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1958-07-04 第29回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月四日(金曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 吉川 久衛君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    秋山 利恭君       五十嵐吉藏君    今井  耕君       大野 市郎君    大森 玉木君       金丸  信君    倉成  正君       笹山茂太郎君    高石幸三郎君       内藤  隆君    永田 亮一君       中村 寅太君    濱地 文平君       松岡嘉兵衛君    三和 精一君       八木 徹雄君    足鹿  覺君       石山 權作君    角屋堅次郎君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       小松  幹君    實川 清之君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       西村 関一君    芳賀  貢君  出席国務大臣         農 林 大 臣 三浦 一雄君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 七月四日  委員赤澤正道君及び兒玉末男辞任につき、そ  の補欠として中村寅太君及び久保田豊君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中村寅太辞任につき、その補欠として赤  澤正道君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月三日  釜石漁港修築第二期事業実施に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第四一三号)  酪農危機突破対策に関する請願外七件(中島巖  君紹介)(第四一四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  米価に関する件      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  議事に先だちまして、この際委員長より一言ごあいさつ申し上げます。  当委員会といたしましては米麦価格に関し連日討議のことは農林大臣も特に御承知のことと存じます。本委員会決議を尊重し閣議に諮るべきものと存じますが、しかるに、突然閣議を開き米価決定されたことは、まことに本委員会といたしましては遺憾に存じます。自今かかることのなきよう厳重に警告をいたしますとともに、本委員会審議を尊重せられんことを望む次第でございます。開会に当り一言ごあいさついたします。  まず農林大臣発言を求めます。三浦農林大臣
  3. 三浦一雄

    三浦国務大臣 きょうの閣議開催でございますが、きのうのお尋ねに対しまして、十時から閣議を開きまして、そうしてそこでお取りきめを願う、こういうふうに私がお答えしたのでございましたが、昨夜、深更でございましたけれども、明日のいろいろな段取りがあるから、九時に開会する、閣議を開くということでございまして、そうしてきょうは九時十五分くらいから実は閣議に入ったのでございます。私としましては、定例の閣議は十時が常例でございますし、それから、昨夜深更措置でございましたので、こちら等に対しましても……(「深更とは何時だ」と呼ぶ者あり)夜中十二時過ぎでございましたが、そのころに官房長官から御連絡がございまして、そうして本日の閣議開催に至ったわけでございます。この点は、私のこちらに対します御連絡等が悪かったのでございまして、この点を一つ心からおわびを申し上げたいと存じます。  なお、議事運営等につきましては、御指示を待つばかりでなく、私としましては誠心誠意円滑な議事ができますように最善を尽したいと考えますので、この点を私から一言申し上げておきたいと思います。     —————————————
  4. 松浦周太郎

    松浦委員長 ただいま委員長不信任に関する動議提出せられました。  私の一身上のことでありますから、理事田口長治郎君に本席を譲ります。     [委員長退席田口委員長代理着席
  5. 田口長治郎

    田口委員長代理 委員長指名によりまして、私が委員長の職務を行います。  これより日野吉夫君外九名提出委員長不信任に関する動議について議事を進めます。  まず提出者趣旨弁明を許します。日野吉夫君。
  6. 日野吉夫

    日野委員 私は、日本社会党を代表して、委員長松浦周太郎君の不信任動議説明をいたします。  農林委員会は、農林水産委員長松浦周太郎君を信任せず これが主文でございますが、非常に不幸なできごとである。従来農林委員会は超党派的な一つ伝統と歴史を持って今日までまことに模範的な一つ運営をやってきたとわれわれは考えておる。農林委員長不信任は、私たちも相当長い間農林委員会関係をいたしておりまするが、その記憶を持っておらないのであります。きょう突如としてこういう事態が出たということは非常に残念なことで、私たちは何がゆえにこういう不信任案を出さなければならないのか、いまだかつてなかった一つのこの事態をここにかもし出した原因とこの経過について、一応皆さんの御了承を得なければならないと思いますので、よって来たる根本的な原因であるところの、昨日来農林委員各位が夜を徹して苦労されてきたこの生産者米麦価格に関する一つ案件の御説明を一応申し上げておかなければならないのであります。  まず先にこれを読みますと  米麦政策の基調となる事情が次第に変化している実情にかんがみ、政府は、今年産米麦価格等については、さきに行われた米価審議会答申並びに建議を尊重して決定するものとし、左記の事項については必ずこれを実現すべきである。      記  一、米価算定方式については来年産米からいわゆる生産費及び所得補償方式を採用することとし、すみやかに細目の検討に着手すること。  二、本年産米価算定上の基準年次昭和三十年、三十一年及び三十二年とすること。  三、時期別格差及び等級格差については、従来時期、区分及び検査を通じて、農家実質手取りをことさらに引き下げる等の操作が行われてきたきらいがあるので、集荷等の増加に応じ格差金が増大することとなるよう、検査の充実、検査費用の増額、検査規格適正化等措置を講ずること。  四、昭和三十三年産麦価については、食糧管理法施行令第二条の三により減収加算を行うこと。  五、米麦包装費については実情に即した適正価格とすること。  六、昭和三十三年産米につき所得税並びに地方税減免措置を従来通りこれを行うこと。  右決議する。  こういう一つ案件でございますが、これは七月の二日に本委員会において自民党に提示いたしまして、昨三日徹宵このことについての協議が進められたことは御承知通りであります。この案件に基いて昨日来審議が行われております。農林大臣等からの答弁もあり、本委員会としては、農林委員会の従来のいきさつ等もあり、諸君がここで切なる農民陳情等もしばしば聞いておられる、こういう事情等から考えまして、当然にこれに対する態度というものを決定の上政府に意思表示すべきである、しかも、本日は午前十時より閣議が開かれて最終決定をされるということであり、時間的にも昨日中に何とかこれをしなければならぬということで、諸君の全く涙ぐましい奮闘が続けられて参ったわけであります。農林大臣といえども農林委員長といえども、しかもわれわれのいただく農林委員長は閣僚の経験もあり、委員長のしばしばの経験もあられ、もうすでにこのことが何らかの決議になって意思表示されなければならぬことは百も承知であるはずである。そのための努力が続けられて、その経過は、昨日の五時過ぎに一応審議が終了いたしまして、いろいろ理事会等相談の結果、八時に党の幹部が集まられる、こういうことで、八時再開を約して休憩をいたしたのでありますが、その八時にここに集合して、いろいろの折衝を続けておるうちに、全部そろわない、こういう事情で、その最後努力をするために時間を数回にわたり延長し延長し、十二時五分前に委員会を再開いたしまして、きょうの午前八時半に再開することを約して、最後努力をすることになって別れ、今日まで参ったのでありますが、けさ開かれた理事会等におきましても、結局、わが党の、農民の切なる要望であり、最も妥当である米価審議会決定を忠実に実行し尊重すべきであるという一つの意見が自民党諸君のいれるところとならず、ついにこういう結果になったことは、私たちは返す返すも残念である。こういうことによって、従来のうるわしい農林委員会伝統、その前途に暗影を投ずることを、私たちは非常に遺憾とする。全くこういう事態で、委員長不信任案を上程しなければならない一つ経過を見たわけであります。  不信任理由一つとして、私たちは、正常なる国会運営を期するために、国会権威を保持するためにも、農林委員長は、農林大臣官僚法律違反越権行為、こうしたものは断固これを阻止しなければならない一つ立場におりながら、結果論から言うならば、努力の結果が一つも現われず、むしろ逆に、きょう十時から開会されるはずの閣議が繰り上げられて九時から行われ、われわれの意思決定を前にしてすでに米価最終決定閣議を通過した、こういう報告を途中で受けるに至っては、いかにも、この越権行為法律無視農林大臣並びに農林官僚のやることに対して協力したような印象を与える。きのう来全然時間を引き延ばしてこれに奉仕をし、この陰謀を容易ならしめたような結果になることを行い、農林委員長として適切なる一つ運営、しかも政治力を発揮して事態収拾に当るべきであるにかかわらず、この事態を惹起せしめた、農林大臣の行動を容易にし、こういう陰謀を成立さしたことについて、委員長松浦周太郎君の責任をここに問わなければならないというのが、まず不信任理由の第一点であります。  その第二の理由としては、何と申しましても民主主義政治をわれわれは守らなければならない。民主主義政治は約束の政治であります。もうすでに食管法法律で規定して農民に約束しているこのことが、今一つ一つじゅうりんされつつあるのであります。日本農政の後退が叫ばれ、今この責任を追及する声が非常に高いことは、今日自民党諸君といえどもこれを十分承知いたしておると私たちは考えるのであります。かるがゆえに、われわれはどうしても、法律違反、こうしたものは認めるわけにいかない。行政官によって踏みにじられておるところの法律、ことに日本農政のあらゆる面においてこのことが行われつつある。私は過般も、これは憲法違反である、違憲問題としてさえも取り上げなければならないようなことが平気で行われているということを指摘したのだが、国会の機関を代表する者は最低限このことは守っていかなければならないという今日の立場に置かれておりながら、これを十分に果しているということをわれわれは是認することができないのであります。こういう政治的な態度、しかも、きのうあたり大臣のあの答弁についても、聞いておりますと、ずいぶんむちゃなことを言っておられる。減収加算である米価審議会答申の尊重の問題、こうした問題は、明らかに法律を無視した態度であって、農林委員長として、適切な政治力を発揮いたしますならば、これらの横暴な態度を厳としてしかって、正しい軌道の上に乗せて民主主義を守らなければならない。この責任を持っているところの委員長としては、私はまことに政治性なしと言わなければならない。こういう点が私の松浦委員長不信任理由の二であります。  もう一つは、松浦委員長は、去る六月の二十三日、全国の農民が集まっている農民大会に出席されて祝辞を述べられておるが、この祝辞においては、農民の切なる要求であるところの米価決定方式である生産費並びに所得補償方式に賛成し、その努力をなす旨の祝辞を述べられておるが、その祝辞を述べられた委員長が、今日その問題がここに集中されて、新しい方式に移行し、そのために、本年の政府のなしたパリティ方式は暫定的に認めるが、基準年次はこれを変更するの要があるという米価審議会答申に対して、きわめて日ごろの言明と似ないところの冷淡な態度をとっておることには、われわれはとうてい理解ができない。何と申しましても、この決議米価に関することであり、米価は、全国民食糧として、全国民生活に重大な関係のあることは、私が、ここで申し上げるまでもない。同時に、日本の全農家所得の半分を占めるその価格の適否は、直ちに食管法の規定しているところの再生産に大きな影響を持つことは、ここで論ずるまでもないのであります。農民生活の不安を結果することは、国民の半数に近い農民の不安を巻き起すことである。同時に、それが、消費者まで入れまするならば全国民生活の安定に重大な関係のあることである。今日岸内閣の五カ年計画の見通しの誤まりから国民生活の不安を招いておる。下期回復などということを言っておったが、もうすでにそういう見通しはない。すでに誤まりであることが明確である。こういう国民生活安定のために重大な関係を持つ、しかも日本農林行政中最大の問題と言っても過言でないところのこの重大な米価決定に当って、これを適正に決議し、指導し、こういう一つの建前において暴政を食いとめ、国民生活安定、日本経済再建のために貢献すべき重大な役割をあなたは持っているのに、この事態処理に対して大きな政治性の発揮もできないで、今日のこの事態を招来させたことは、私はどうしても納得のできないことであると言わなければならないのであります。  その次は、本年度の産米価格についての米価審議会態度は、このことにかんがみて、政府法律違反を指摘し、法律を守るべきことを要求しておる。米価審議会は連続四カ年、しかも満場一致をもって生産費補償方式米価の採用を決議しておるのに、政府は言を左右にして採用しないというところに今日の問題惹起原因があるということをわれわれは考えておるわけであります。しかも、今度の米価審議会に臨むに当っては、米麦価決定に当っては自民党政調とだけ相談をして、いかなる審議をなし答申をなそうとこの決定は絶対動かされないという、一方的にこういう決定をしたという印象が世間に伝わって、そのために農民はこの一党独裁の姿に非常に憤激を感じておるのであります。しかも、新聞の報ずるところによりますと、自民党政調会が、米審通過はわれわれが責任を負うからこの案をのめと言ったとさえ伝えておるのであります。しかも、米価審議会の存在を否定し、そうしてこういう結果を強引に押し切って、きのう来の審議でも明らかになったように、あくまでわれわれの意向を通すのだという印象をわれわれは受けるのであります。しかも、そのことが筋が通ってみんなが納得できるような姿であるならばよいけれども、事実はそうではない。諸君の御承知のように、もう政府はしばしば方針を変え、あらゆる要素中最も不利益な要素だけをとってでっち上げてきた米価があれなのです。農林委員会がこれをただこのまま認めてよろしいのかどうかということの問題は私はあろうと思うのでありまして、農林委員会は、こういう政府の誤まり、あるいは米価審議会の足りないところを補い、正常な軌道に乗せて、日本農業政策の正しい推進をやるべき一つの府であるにかかわらず、これらの問題に対して今日見る一つのこの姿の現出ということは、私はどうしてもふに落ちないのであります。だから、一党独裁と言われ、ファッショと言われるこういう結果を私たちは見るのであって、こういうことは、どうしてもわれわれの力、農林委員会の力、これを率いる農林委員長が最も熱意を持ってこれらのことに当らなければならないのに、そのことに対する熱意もなく、政治性もなく、じんぜん日を送り、時間をかせいで今日の事態を起したということは、これは私は農林委員長責任のきわめて重大なることを指摘しなければならないのであります。  ことに、最後に私が申し上げたいのは、私たちは、きのう来の経過自民党諸君が骨を折ったことは額面通りゆうべ来の奮闘を認めたいけれども、結果においてはどうであるかというと、今のような事態になって、今ここに農林大臣が来たって、一体どうする。われわれは農林大臣処置については別個に別の機会に考えるが、とりあえず、この事態を引き起し、農林委員会をぺてんにかけたようなこの姿——ほんとうならば、農林委員会全員決議をして、政府が繰り上げ閣議決定をしたような態度は責めるべきものだ。しかも、自民党諸君は鳴りをひそめて一言発言もなくこうしているということは、私は、国会権威を守るゆえんではない、農林委員会伝統ではないと思う。こういう結果、この善後処置についてはわれわれはまた重大に考えなければならないと思いますし、今日のこの事態収拾に対しては、さらに考えて、農民の負託にこたえる、そして今日の農政というものをわれわれの手で立て直すために努力しなければならないけれども、まことに遺憾なこの事態に対して、われわれは農林委員長松浦周太郎君を信任することができず、こういう意味できょうの不信任案提出した次第でありまするので、これはひとり社会党委員だけではなく、農林委員会全体の名誉のために、ここで全員一致をもってこのわれわれの提案を御賛成願って、日本農政の発展のために寄与したい、こういう意味から私の不信任案説明を終る次第であります。(拍手)
  7. 田口長治郎

    田口委員長代理 これより討論に入ります。吉川久衛君。
  8. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私は、自民党を代表いたしまして、残念ながらただいまの不信任案反対の意を表するものでございます。  ただいま日野委員から長々と不信任提案の御説明を伺ったのでありますが、しかし、そのお述べになるところの理由があまりに薄弱で、どうも好意的に考えましても賛成のできないことはまことに遺憾でございます。  第一におあげになっておいでになるのは、この米価算定関係をいたしまして決議をしようというのでございますが、その決議にわれわれの同調すべき条項もございますので、なるべく一つ歩調を合せてやっていきたいということで党との話し合いをいたして参ったのでございます。深更に及んで長時間にわたって努力をいたしたのでございますが、昨晩のような結果になったのでございます。そこで、その話し合いが非常に手間取りまして、そのことが政府陰謀の時間を与え、そうして効果をあげ得なかったではないか、かくのごとく無力な委員長は信任できない、こういうお言葉でございますけれども、私も、この交渉過程、渦中にありまして、つぶさにその交渉の実態々見て参りました。ことに、昨晩十時半ごろでございましたか、委員長は、この委員会の席を出まして、何とか話をつけてくるからそれまで待っていてくれと言って、非常な努力をやっていられることは、私がまのあたりにした事実でございます。しかし、私どもは、かつて四大政党と申しますか政党が幾つかありました時分の本委員会におきまして、いつも米価問題に関して私ども決議をした経験がございます。しかし、二大政党になったことから、幸か不幸か存じませんけれども、とにかく党の決定にわれわれは従わなければならない。われわれ以上にむしろ社会党皆さんの方がこの問題には御理解をいただけようかと私は思う。そこで、党では、すでに早く米価問題に対して政調の中に特別委員会を作りまして、幾日もかかってこの問題についての決定を見たのでございます。その審議過程における内容等につきましては、社会党皆さんのところにも重要な問題が漏れておりますので、そのこともお含みの上で、おそらくこの程度の決議案ならば自民党諸君も同調できるであろう、こういうお気持で出されたことは私もよく了承しているのでございます。ところが、一たん党決定を見まして、政党内閣である以上は、御案内のような政府の原案なるものはわれわれどうしても承服のできないものであったのでございますが、幸いにいたしまして自民党政調で作りました案を政府にのませまして、最後諮問案となったようないきさつを顧みますと、これをまた改めるということは、党としてはどうしてもがえんずることができない、こういうことでございましたので、松浦委員長努力は実に涙ぐましいものがあったのでございますけれども、残念ながら政府与党執行部のいれるところでなかったのでございまして、効果をあげ得なかったからといって、松浦委員長不信任案理由には薄弱ではないかと私は考えるのでございます。  第二に、この委員会を軽視した態度憲法違反ともいうべきものであるというお言葉でございました。実にすばらしいお言葉でございますが、しかし、その理由とするところは、民主主義を守ってくれなかった委員長である、こういうのでございますが、昨日は、会期延長等の問題に関連をいたしまして、これまた議運は深更に及び、暁に及ぶというような議事運営をやっていたことは各位の御案内通りでございます。そういうような関係がございまして、会期末に迫ったので閣議の時間も変更になったであろうと推察することができるのでございますが、そういうような諸般の事情から、十時というのが九時になったというのでございますが、それを委員長責任にするということは、少し行き過ぎではないかと私は考えるのでございます。もしこういう点に責任があるといたしますならば、これは政府責任があるのでございまして、農林委員長責任と断定するのは少しどうかと考えるのでございます。  第三の反対理由は、生産費及び所得補償方式について委員長が冷淡である、こういうお言葉でございましたけれども松浦委員長は、御案内通り、北海道の米作の限界点にお住まいの方でございます。こういう米の生産限界点における一石の生産費、あるいは鹿児島あたりの一石の生産費、私の長野県の八ケ岳の千二百メートルのところの米の生産費、あるいは濃尾平野あたりの恵まれたところの一石の生産費、こういうものをとって一体どこに線を引くかということになりますと、生産費方式というものは非常にむずかしい問題である。そこで、これを補うために、所得補償方式ということになりまして、生産費プラスアルファ、今日までパリティ方式プラスアルファ、これを称して政治米価と言われてきたのでございますが、インフレの過程においては、パリティ方式はいかにもごまかしの方式であるということが言えないこともないと思いましたので、われわれの野党におりました時分は、ずいぶんこのパリティ方式を批判しまして、生産費方式でなくてはならないということを強調いたしたのでございますけれども、横ばいの経済事情になりますと、私はこの両方のどちらがいいかということについては断定はすみやかにできないと思いますが、しかし、デフレのような経済事情になって参りますと、案外パリティ方式の方が農家手取りのためには都合がいいではないか。そこで、プラスアルファの線を政治の力によって補って、そして農家所得をふやしていくという考え方も考えられないわけではございませんので、こういう問題については、研究すればするほど専門家の方はお悩みになっておいでになる通りでございますから、松浦委員長もこの点について何か調和点がないかということで御苦心をしていられるのではないかと私は推察いたしております。このように、米価問題についても、すなわち農家所得問題についても非常な熱意を持って心配をされている委員長を、この新しいところの米価算定方式に冷淡であると断定なさるのは、これはまあ日野先生は党を代表しておっしゃるのだから、そういうお言葉になるのじゃないかと思いますけれども先生御みずからが、ちょっと行き過ぎたのではないかと思っておいでであろうと、これまた私の推察するところでございます。  こういうわけで、反対理由一つ一つ検討してみますると、あまり理由が薄弱でございますので、私どもはどうしてもこれに賛意を表することができません。ただ、社会党皆さんからお出しになりましたところのこの米価に対する決議案を拝見いたしますと、ほとんどはわれわれも全く同調できるのでございますが、ただ、第二項にございますところの産米の価格算定の基準年次の問題でございます。この問題が、党で決議をしたあとでございますので、どうしてもわれわれの希望をいれてもらうわけにはいかなかったので、そのために昨晩は非常におそくまで皆さんに御迷惑を相かけた点は、私もこの点はともに遺憾に存ずるのでございますけれども、しかし、社会党皆さんといえども、圧倒的にこの問題について時間をおとりいただいて、そうして十分質疑を尽されたあとのことでございますから、私は、本日の閣議において了解された米価というものは、皆さんの御主張が相当に盛られているのではないかと推量をいたしているのでございますが、十分尽されたはずでございますのに、決議ができなかったからといって、これ以上委員長の不信をお唱えになるのは、少し私はおとなげないのじゃないかというような感じもするのです。しかし、これは私の感じでございますので、言葉に行き過ぎがありましたら特に御了解を願いたいと思いますが、以上のごとく、私はどうしてもただいまの不信任案に賛意を表することのできないことを御了解を願いたいと思います。  以上をもちまして反対討論といたします。(拍手)
  9. 田口長治郎

    田口委員長代理 栗林三郎君。
  10. 栗林三郎

    ○栗林委員 私は、松浦委員長不信任するという日野委員動議に賛成の意見を申し上げたいと思います。  吉川委員反対討論を聞きますと、理由が非常に薄弱だというお説でございますけれども、私は、日野委員動議説明には非常になまぬるさを感ずるのでございます。もっとそのものずばり、何ら遠慮会釈なく反対理由を述べるべきであろうと思う。こういう点がどうも、古い人方は、きついことを言いましても、お互いに顔なじみでありますから、こういう点でお互いに相通ずるものがあるやにうかがわれて、新人であるわれわれとしては、非常に了解に苦しむところであります。私は日野委員説明以上に賛成の理由を討論として申し上げたいと思います。  御承知のように、当委員会においては、一昨二日と三日の両日にわたって、農業災害に関する問題や米麦価に関する問題が真剣に審議、質疑が行われたのでございます。そうして、米価におきましては、本四日午前十時より開かれる閣議にかけて最終的に買い入れ価格をきめるということが農林大臣答弁によって明確になったのでございます。そこで、当委員会米価についてはすでに政府決定の以前に当委員会決議をもって国会の意思を政府に伝えるということが慣例になっておると伺っております。それゆえに、わが党は赤路氏を通じて米価に関する決議案提出したのでございます。ところが、松浦委員長は、自民党の三役に連絡しなければならない、党に相談したいからしばらく待ってもらいたい、そういう口実を設けて、最初は、昨日は午後八時まで休憩になりました。私どもは神妙に八時まで待っておったのでございます。ところが、八時になっても何ら音さたがない。そうしてついに十二時まで待たされてしまったのでございます。十二時直前になりまして、委員長はようやく、明日は八時半から委員会を開く、こう宣告されまして、十二時直前に散会になったのでございますが、この米価に関する決議は、本日十時から閣議決定されるのでありますから、当然、前日、きのうのうちに決議を行わなければ、この決議はほとんど無価値になると思うのです。これは常識で判断してもわかることだと思う。ところが、委員長初め与党の皆さんは、この米価決議案に対して反対するわけにもいかない、といって賛成するわけにもいかない、そういうジレンマに陥ったと見えまして、これをやみに葬ろうという策動が行われたことは明白でございます。従って、賛成するとともできない、反対することもできない、それならば委員会を流してこの決議案をやみに葬むることが上策であると考えた委員長は、きのう十二時ぎりぎりまでこの委員会を引っぱっていたではありませんか。危なくあと五分でこの委員会は流会になるところであったではありませんか。辛うじて本日八時半に開くということが決定されましたけれども、本来から言うならば、きのうのうちにこの決議案というものが審議されなければならないものでございましょう。そういうような委員長としての御配慮をしなかったということは、これは、自分たちの都合を考えて何とかこれをやみに葬り去ろうとする、そういう意図の現われであると私は断ぜざるを得ないのであります。こういうような委員長態度は、少くとも民主国会の常任委員長としては、私はきわめて不適格なものであると考えるものであります。  その次に、きょうは八時半から開会されるというので、私どもほとんど全員が出席をしたのでございます。きのう農林大臣答弁によりますと、十時の閣議米価がきまるという御答弁であったにもかかわらず、突如九時に閣議が開かれて、われわれが十時前に何とか決議を上げたいと、それぞれ理事会を開き、あるいはいろいろと相談しておるさなかに、閣議は九時から開かれて、米価はきまったという情報が伝えられたのであります。同時に、その真偽をただすために、農林大臣の出席を求めて農林大臣にただしてみたところが、その通りでございますというあいさつでございました。きのうのことはきのうのことにしましても、きょうは八時半に委員会を開くと言った以上は、少くともわが党から出しましたこの米価決議案を早く審議に乗せて、そうしてこれに対する結末をつける努力をするのが委員長の職責であろうと思う。それを、九時、九時半まで延ばして、政府の方から早く閣議を開いて米価決定したという通知がくればよいというような態度閣議決定をお待ちになっておった。九時半ごろになって、閣議決定したというので、もはやこの決議を扱うことは無価値になりますので、やおら委員長は立ち上って、この処置をどうするとかいうような話し合いが行われたようでございます。  私は、米価に関しては、先ほども申し上げましたように、各先輩、各委員からも伺っておりますが、米価に関しては、常に当委員会は何らかの決議を上げて、政府決定以前に国会の意思を通じてあると聞いておるのでございます。そのことが今回に限ってなされずに、やみからやみに葬り去られたということは、この責任はきわめて重大であろうと思うのでございます。かくのごとく、党利党略にとらわれて委員会を運用する委員長政府と通謀して決議をなさしめなかったような行為をあえてした松浦委員長態度は、明らかに一党独裁に通ずる思想であって、私は、かくのごとき態度は、少くとも民主国会における常任委員長としての適格性がないと断ぜざるを得ないのでございます。これが松浦委員長不信任する日野委員動議に賛成する私の意見でございます。  さらに、第二に申し上げたいことは、松浦委員長は、先ほど日野委員説明されたように、去る六月二十三日の全国米価要求農民大会に出席されました。そうして農民大衆にこういうようなあいさつをされておるのであります。農民諸君の要望には委員長としてできるだけ自分も努力すると、農民の要求にこたえる覚悟であるという意味のあいさつをされたことを覚えておられると思う。今回の米価審議会答申は、きのうの私の質疑の過程で申し上げてありますが、今までにないやわらかい答申でございます。いずれの新聞も、おおむね政府の原案を認めた答申であると報道しておるのでございます。ただ、答申の第一の末尾にある「基準年次については、再考を要するものと認める。」、この再考を要すると認めるという点は、二十九、三十、三十一、この三カ年間を基準年次としておるが、これは妥当なとり方ではない、従って、二十九年をやめて三十二年を入れて三カ年間の平均を基準年次にとるべきであるということが、口頭をもって説明されてあるのでございます。こういうことも米価審議会においては異例の措置であろうと私は考えております。政府がこの答申をあるいは牽強付会の解釈をして、基準年次について再考を要すると認める、こういう答申に対して、あるいは再考すればいいのだから再考した、そういうようなことになれば大へんだというので、この解釈に明確な区切りをつけるために口頭で注釈を加えてあるはずです。それが三十二年を含める三カ年を基準年次とすべきであると説明されてあるのでございます。それでありますから、これを入れて米価をはじき出すと、わずか石当り約六十五円の増になるという説明があったのでございます。六十五円でありますから、ことしの集荷目標は二千九百万石といたしましても、約十九億の金です。だから、これは足鹿委員も指摘された通り米価審議会からは、今までは常に、政府諮問案は不適当である、妥当ではない、こういうようにきめつけられた答申であったはずです。ことしは、そうではなく、おおむね妥当であるような答申であります。ただ、違うのは、この基準年次について再考せい、二十九年をやめて三十二年にせい、このように説明がされておるのです。してみれば、政府はたびたび米価審議会答申を尊重すると言明されておるのでございますから、せめて今回米審が答申されましたこの第一項の末尾にあるこの三十二年を入れて基準年次をとるというこのごとくらいは実施に移すということでなければ、尊重ということにはならないと思うのです。このことも農民が強く要望しておるところでございます。その農民の要望にこたえて、米価審議会はさらに審議をしてこういう答申をされておる。してみれば……(「わかったわかった」と呼ぶ者あり)いや、あなた方がわかっても、松浦委員長がわからないのだ。(笑声)松浦委員長は、農民の要望にこたえると大見得を切った以上は、せめてこの程度の答申を実現できるような配慮をされることは当然だと思う。  さらに、足鹿委員はきのうの質問で何と言いましたか。大臣は、大事な基準年次の点になりますと具体的な答弁をしない、これでは尊重ということにならないではないか、これでは審議が進まないではないか、従って、この審議軌道に乗せるために、これを委員長の御配慮で何とか話し合いを持たなければ審議が進まないじゃないか、かように足鹿委員発言された。これに対して、委員長は、適当に措置する、考慮するという約束をされてあったはずでございます。そのことが何らなされておらないではないか。八時まで待たせ、十二時まで待たせ、本日は八時半から招集をして、そうして、閣議決定をされてから、決議をさせないような、そういうような魂胆で委員会を運用しようとする松浦委員長のこの態度は、断じて許すことができない。農民に対してもまた申しわけないことではないかと私は考える。きのう何とかして、足鹿委員の意見をいれて、委員長話し合いの場をちゃんと作って、基準年次についてもう少し話し合いをしたならば、本日のようなこういう場面は出てこなかったと思う。皆さん、きのうの大臣答弁はこういう答弁であった。基準年次について、二十九年度は凶作の年ではあるけれども、三十年は豊作の年だから、それに見合うために凶作の年も入れなければならない、こういうような答弁をされて、みんなに笑われた。二十九年は作況指数九二を示すごとく凶作に近い年であった。従って、パリティとして基準年次をとる場合に、このように凶作に近い年を基準年次に取り入れることは妥当性に欠けておる。これがパリティの原則です。パリティの常識ではありませんか。それですから、昨年はこの三カ年間の平均でやったが、ことしは二十九年をやめて三十二年を入れるのが当りまえだというのがわれわれの意見であり、またわれわれが政府に対して言うところの筋である。米価審議会の内容もそのように聞いておるわけです。(「わかったわかった」と呼び、その他発言する者あり)わかったらやってくれたらいいじゃないか。わからないからこういうことになっているんだ。三十年はなるほど作況指数は一一九を示しておる。従って、このように豊作の年を基準年次に入れることは無理だとするならば、三十年も捨て、二十九年も捨てて、三十一年、三十二年、この二カ年間を基準年次にとってもよいわけなんです。ところが、なぜそれができないかというところに問題がある。まず第一に、三十二年を入れると、米価が高くなる。政府米価をできるだけ安く押えたい。政府の低米価政策から言うならば、三十二年を入れることは非常に困る。そこで、三十二年はあくまでもこれを排除して、二十九年の平均価格は九千百二十円で一番安いから、これを基準年次に入れれば、資本家は安くなるにきまっている。(「資本家が安くなるのか」と呼ぶ者あり、笑声)そういうように、できるだけ米価を安くしたいから、二十九年を入れて三十二年を入れないのが、与党自民党米価政策の実体じゃないか。従って、これらの問題について、基準年次については何とか話しいの場を作り出そう、こういうように足鹿委員から話が出ておる。これを委員長は何ら取り上げて具体的に相談の場を作らなかったではありませんか。私は、このような委員長委員会運営態度は、先ほど申しましたように、民主的国会の常任委員長としてきわめて不適格性が満ち満ちていると断ぜざるを得ない。従って、私は、この際松浦委員長にやめていただいて、そうして自民党皆さんの方からでよろしゅうございますから、私もそれに賛成でございますから、もう少し民主的な良識のある方を委員長に推薦していただきたい、こう思うわけであります。  私は日野委員動議に賛成意見を述べたものでありますけれども、どうか自民党諸君日野委員動議全員賛成して下されんことを切に希望するものでございます。(拍手)
  11. 田口長治郎

    田口委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  12. 田口長治郎

    田口委員長代理 起立少数。よって、日野吉夫君外九名提出委員長不信任に関する動議は否決されました。(拍手)  委員長の復席を願います。     [田口委員長代理退席、委員長着席]
  13. 松浦周太郎

    松浦委員長 暫時休憩いたします。     午前十一時十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕