運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-06-24 第29回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十四日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 松浦 周太郎君    理事 吉川 久衛君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君    理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    赤澤 正道君       秋山 利恭君    今井  耕君       大森 玉木君    金丸  信君       倉成  正君    佐藤洋之助君       笹山茂太郎君    砂原  格君       高石幸三郎君    内藤  隆君       永田 亮一君    濱地 文平君       松岡嘉兵衛君    三和 精一君       八木 徹雄君    保岡 武久君       足鹿  覺君    角屋堅次郎君       神田 大作君    栗林 三郎君       中澤 茂一君    中村 時雄君       西村 関一君    松浦 定義君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局参         事官)     森  茂雄君         農林事務官         (農林経済局企         業市場課長)  鈴木 一美君         農林技官         (林野庁林政部         林産課長)   中川久美雄君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   亀長 友義君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  八木 利真君         日本国有鉄道参         与         (営業局長)  磯崎  叡君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会専務         理事)     岡  尊信君         参  考  人         (大日本水産会         副会長)    伊東 猪六君         参  考  人         (日本林業協会         副会長)    三浦 辰雄君         参  考  人         (全国木材組合         連合会常務理         事)      吉田 好彰君         参  考  人         (全国森林組合         連合会専務理         事)      加納 秀雄君         参  考  人         (日本坑木協会         専務理事)   七瀬 善吉君         参  考  人         (森林資源総合         対策協議会常務         理事)     田中 紀夫君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会農政         課長)     熊谷 建樹君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産物運賃に関し参考人出頭要求に関す  る件  農林水産物運賃に関する件      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  本日は農林水産物運賃に関する問題について調査を進めます。     —————————————
  3. 松浦周太郎

    松浦委員長 この際参考人出頭要求についてお諮りいたします。すなわち、本件について、日本林業協会会長三浦辰雄君、全国木材組合連合会常務理事吉田好彰君、全森連専務理事加納秀雄君、日本坑木協会専務理事七瀬善吉君、森林資源総合対策協議会常務理事田中紀夫君、大日本水産会会長伊東猪六君、全国漁業協同組合連合会専務理事岡尊信君、全国木炭協会常務理事近藤鎌三郎君、全国農業協同組合中央会農政課長熊谷建樹君、以上の方方を参考人と決定し、御意見を承わることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  4. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 松浦周太郎

    松浦委員長 それでは、農林水産物資に対する鉄道貨物運賃割引率について改正検討中であると聞きますが、本問題についてまず日本国有鉄道当局並びに運輸省側意見を聴取いたしたいと存じます。磯崎鉄道営業局長。  なお、続いて参考人方々の御意見を伺うことといたしますが、参考人方々はきわめて簡潔に御意見を述べていただきたいと存じます。
  6. 磯崎叡

    磯崎説明員 それでは、ただいまお配りいたしました資料につきまして、私どもが考えておりますことの御説明をさせていただきます。  まず第一に、現在いろいろ問題になっておりますことは、いわゆる公共政策割引という問題であります。私の方の旅客運賃にいたしましても貨物運賃にいたしましても、一応日本国有鉄道運賃法の定めるところによりまして旅客並びに荷主から運賃をいただいておるわけでございます。その運賃法によりまして、旅客につきましては旅客運賃の細目、または貨物につきましては貨物運賃賃率並びにそれの基礎になります貨物運賃等級表というものがございます。これによりまして貨物運賃を収受いたしておるわけであります。ただいまお手元にお配りいたしましたのは、その本来ならば貨物等級表によりまた貨物賃率表によって収受すべき運賃から特別な理由によって割り引いているものにつきまして拾った数字でございます。これは、最近まとめました昭和三十二年度の具体的な実績によりまして、割引をいたしております各物資全般数量をまとめておるものでございます。また、割引基礎は、日本国有鉄道運賃法第八条によりまして、日本国有鉄道総裁がこれを定めることになっておりますし、また、定めましたものは官報並びに公報に公けにすることになっております。  以下三十二年度の実績について申し上げます。  大ざっぱに申しまして、大体割引しております品目は約百十種類ぐらいございます。そのほかの私の方で輸送いたしております七千数百の物資のうちの残りの七千何百というものは、割引を一切いたしておりませんで、あくまでも運賃等級表並びに賃率表によって正規運賃を収受しておるわけでございます。  第一枚目の表をごらん願いたいのでありますが、今割引しております貨物の全体のトン数はどのくらいかと申しますと、そのトン数の欄の一番下にございます。千六百六十一万九百五十二トン。千六百万トンと申しますと、ちょうど私の方で輸送いたしております物資が年間約一億七千万トンでございます。一億七千万トンの約十分の一が運賃割引適用を受けておるわけであります。また、農林水産関係物資は、全体で一億七千万トンのうち約四分の一ございまして、約四千万トンございますが、四千万トンのうち千六百万トンだけが運賃割引を受けているわけでございます。これを私の方の正規等級表並びに正規賃率表によりまして運賃を計算いたしますと二百二十五億三千六百万円であります。そのまん中の欄の所定運賃という欄にございますが、約二百二十五億になるわけでございます。それに対しまして各物資ごとに、後ほど御説明いたしますいろいろの異なった割引の率を適用いたしまして、そうして実際に三十二年度に割引を実施いたしました実額が二十三億七千七百万でございます。すなわち二十三億の割引額でございますが、これは大体国有鉄道貨物運賃の総収入に対しまして一・七%くらいの割合に当るわけでございます。  以下品目別に申し上げますと、木材類におきまして約十億、薪炭類におきまして約三億八千万、魚介類におきまして二億二千万、野菜類におきまして一億七千万、生果物におきまして二千九百万、雑穀類が四千四百万、食料品が七千二百万、家畜類が千六百万、肥料類が四千二百万、農機具が四百万、わら工品が四千三百万、以下通産関係になりますが、無煙粉炭が一億三千八百万、鉱石類が一億三千六百万、その他として、これは通産関係のその他でございますが、約千四百万、合計いたしまして二十三億という膨大な割引を三十二年度に実施いたしたわけでございます。  しからば、その割引額は具体的に各物資別にどうなっているかということを申し上げますと、次の表をおあけ願いたいと思います。  次にございます表は、標題が「公共政策割引貨物品目別割引率調昭和三十二年度実績)」という表がございます。ただいまの第一表の分類をさらに若干こまかくいたしまして、と申しますことは、第一表の大分類の中でもいろいろ割引率が違っておりますので、一応割合輸送数量の多い品目だけを抜きまして、各品目につきまして割引率ごらんに入れますと、その第二枚目の表のようでございます。すなわち、まず普通等級特別等級というところがございます。すなわち、本来ならば、私の方の貨物運賃は、先ほど申し上げました通り一般のあらゆる種類貨物を約十五の等級分類いたします。これは、主として物の価格による、いわゆる負担力主義運賃と申しましてトラック運賃などと全く異なりまして、貨物そのもの価値によって、高い貨物からはよけい運賃をとる、値段の安い貨物からは安い運賃をとるという建前が実は国有鉄道始まって以来ずっと現在までとられてきております。トラックにつきましては、その貨物値段が高かろうが安かろうが同じ運賃をとっておりますが、鉄道運賃と申しますのは、値段の高い貨物からはよけい運賃をとる、値段の安い貨物からは少い運賃をとる。この分類をいたしますために、全体の貨物を十五の等級分類いたしまして、物の価格によりまして分類いたしております。それが一級から十二級まで、それから二十台をつけましたのは特別のものでございます。すなわち、本来ならば一級から十二級までに全体の貨物分類しておるのでございまして、そこに書きました普通等級の六とか八とか申しますものが大体本来のそのもの価格から参りました等級に該当するわけでございます。すなわち、たとえば木材類で申しますれば、パルプと不工製材に分けまして、片方が六級と片方が八級、薪炭類が八級と五級。数が少いほど運賃が高く、数が多いほど運賃が安いわけでございます。次に、それのうちからさらに、生活必需物資というものだけにつきましては、これはやはり等級審議会の議を経まして、ある程度の値引きをいたしております。すなわち、等級特別等級というものを設置いたしまして、これを二十から二十一、二十二、二十三と、二十台の番号をつけて呼んでおります。そうして、特別等級にいたしますために、普通等級から相当の割引をいたして特別等級を作っておるわけでございますが、その割引の率がそこに書いてございます引き下げ率であります。すなわち、たとえば上から三番目の鮮魚で申しますれば、下級鮮魚の本来ならば五級であるものが、特別等級で二十二級に下っておる。その割引率は二割二分だ、こういうふうにごらん願いたいのであります。すでに特別等級を作りましたときに約二割前後の割引をいたしまして、生活必需品につきましては引き下げをいたしておるわけでございます。すなわち、この特別等級までが国鉄を利用されますあらゆる荷主があらゆる場合において適用される運賃でございます。  そうして、以下がいわゆる公共政策割引というものでございます。そこに書いてございます通り公共政策割引最高最低種類が非常にたくさんございます。最低一分から最高六分まで、あるいは一割一分から一割七分まで、あるいは二割二分から出発するもの等、ごらん通り品目によりまして非常にさまざまな違いができております。その違いの一番大きな理由は、昨年の運賃改正の際に、遠距離逓減と申しまして、遠距離に行くほど運賃が安くなっておる、その運賃が安くなっておるのを若干修正いたしましたために、遠距離につきましてはある程度の割引をいたしまして、最低一分から六分までという割引をいたしましたので、それが加わりましたために、ごらん通りこういう非常に内容のばらばらな割引率になっておるのでございます。それを距離別数量別に平均いたしまして、すなわち加重平均いたしますと、その次の平均割引率、これは実績でございます。これらを実際に昭和三十二年度に私の方で輸送いたしました数量と輸送いたしました距離におのおのあてはめてその割引率を出しますと、ごらん通り平均割引率と申しまして、木材類が、不工製品が一三%、パルプ材が二一%、魚類が六%というふうに、ごらん通りさまざまな違いがあるわけでございます。従いまして、普通等級のものをさらに特別等級に下げて、その下った特別等級からさらにこの特殊な物資だけ、すなわち全体の輸送数量のうちの一割程度のものだけを特別にこれだけ割引しておるというのが現在の割引内容の実態でございます。  普通等級からどれだけ下っておるかということにつきましては、この引き下げ率割引率ごらん下さいますと、大体御見当がおつきになると思いますが、大体最高三割三分の割引をいたしておるわけでございます。この割引率によりまして計算いたしましたものが、先ほど申し上げました二十三億、木材の十億を初めといたしまして全体が二十三億という膨大な数字に実は上っておるわけでございます。  次に三枚ばかり表がございますが、これは今申しましたことを簡単にグラフに書きましてお示ししたものでございます。このグラフは三枚とも同じ趣旨でございますが、ただ、品目が、一番初めが鮮魚、次がバレイショ、次が木材というふうに異なっております。一番上の鮮魚だけについて申し上げますと、まず普通等級ならば五級で、この一番上のまっすぐな線でございます。これは下が距離でございまして、縦が運賃実額でございます。この普通等級特別等級二十二級でもってこの長短の点線のごとく下げておるわけでございます。すなわち、遠路離に行くに従ってこの差額が大きくなっていることは、これはごらんになるとおわかり下さることと思いますが、これをさらに五百キロ以上につきまして、その下のこまかい点線のごとくこれを割り引いていくわけでございます。実際、普通等級を一〇〇といたしますと、特別等級は七八、割引額は七四というふうに下っておるわけでございます。  次の二枚目三枚目は同じ表でございますので、重複いたしますから省略させていただきますが、二枚目バレイショ関係、三枚目が木材関係、大体趣旨は同じ趣旨の表でございます。  次の「設定品目から見た割引品目数調」という表がございます。これは、先ほど申し上げましたごとく、全体の、貨物運賃等級表という、私の方で実際荷主から運賃を収受いたします際の七千ばかりの品目を、千三百に圧縮いたしまして、その圧縮いたしましたこの千三百の物資が、先ほど申しました通り十二の等級に分れているわけでございます。これを品目別ごらん下さいますと、そこに掲げました通り、全体で千三百六十の品目がございます。しかし、具体的な品物の数は約七千くらいあります。と申しますことは、大体価格の同じような、また性格の同じ物資を一括しておりますので、品目としては減っておりますが、全体としては、私の方の輸送いたします物資は、この約五倍くらいの品種になっておるわけでございます。このうちで今の特別割引適用されておりますのは、そこに書きました通り百十五品目、すらわち、鉱産品が八、林産品が十六、以下これがないところもございます。あるいはわずかしかないものもございますが、いずれにいたしましても、全体で百十五品目。結局、この割引を受けていない、当然普通の運賃によって普通の等級適用されているものが千二百四十五品目あるわけでございます。すなわち、全体の約一割弱のものだけがこの割引適用になっておるわけでございますが、全体の運賃割引額から申しますと約二十五億という勘定になっております。  ただいままで御説明申し上げましたのは、現在私の方でやっております公共政策割引実情でございますが、この公共政策割引につきましては、従来とも、これを一年に限りまして、毎年毎年内容検討いたしまして、それを更新しておる、また場合によりましては年度途中におきましてその割引額についてある程度減少を見ることもある、あるいは場合によってはその品目につきましても変更することがあるということをやって参りましたのでございますが、今回、昭和三十三年の三月末でもって一応切れます現在の割引を、一応二カ月間現在延長しておるわけであります。二カ月間延長いたしました理由は、ほとんど国鉄運賃史上始まって以来の膨大な割引をいたしましたその実績検討いたします際に、どうしても二カ月くらいかかる、と申しますことは、約四千の駅から発着する品物につきまして全部調査いたしますと、具体的に割引適用のあったもの、ないもの、すっかり調査いたしますと、どうしても約一月半ないし二月かかりますので、約二カ月延ばしまして、この実績について再検討を加えるという意味で、六月末まで延長しております。六月末まで延長いたしますと、自動的に落ちることになっております。  さて、これに対しまして、私どもといたしましてはいかなる措置を考えておるかと申しますと、とにかく全体の額にいたしますれば、二十五億、私の方の運賃収入の二%になんなんとする巨大な額でございます。しかも、経済界一般の不況を当然大きく国有鉄道として受けまして、この二%も決してゆるがせにできないというような実情から、私の方といたしましては、ある程度割引額を削減していただきたい、減らしていただきたいという、お願いと申しますか、そういう考えを持っておるわけでございます。削減いたします率は大体私どもの案では二分の一ないし三分の一、逆に申しますと二分の一から三分の二は残すということでございます。たとえば、現在一割の割引をしているものは五分ないし七分は残す、こういう考え方でございます。また、百十五品目につきまして、どの物資をやめてどの物資を残すということは、物資相互間の中においても非常に問題がございますので、これはやらない。もし削減をするならば、これは非常に能のないような話でございますが、一応一律に現在適用しております百十五品目につきまして二分の一ないし三分の一の率を削減いたしたいというふうに考えておるわけでございます。これによりまして、私どもといたしましては、ある程度の収入の増加が期待できるということが第一点であります。  もう一点は、ごらん通り、先ほどから申しました通り、この割引適用を受けておりますのは、全体の一割弱のものでございます。そのために、荷主の側から申しますと、鉄道を利用される数万の荷主大衆の側から申しますと、特別なある品目だけが割引を受けておる、おれたちはお前の方できめている賃率表等級表のままの運賃をとられておる、非常に不公平じゃないか、しかも、近ごろのように非常にいろいろの産業発達して参りますと、どの物資生活必需品でどの物資がそうじゃないということの限定はむずかしい、何人もこの物資はボロだから、くずだからといってこれは生活必需品じゃないとは言えないというようなお話もいろいろございます。約七千の品目につきまして一々話を伺いますと、どれもこれもやはり私ども生活に関連のある物資であります。それらのうちの約一割だけについてこういった特別の措置を講じていることは、残りの九割の荷主の側から見ますと、この二十五億の運賃の減収が自分のところにしわが寄せられるんじゃないかというような非常に大きな心配を持っておるわけでございます。すなわち、この百十五品目荷主のほかの荷主は、この運賃割引については不満な意見を持っておるわけでございます。と申しますのは、さらにそれがどういうふうになるかと申しますと、現在私の方できめております等級表昭和二十八年に策定したものでございます。大体今までの例から申しますと、いろいろ科学技術発達その他で大体五年に一回くらいこの貨物等級表改正する必要に迫られております。と申しますことは、いろいろ産業科学発達で新しい製品ができて参ります。新しい製品ができますと、まずその製品を何級に格づけすべきかという問題が当然起って参ります。と同時に、その新しい製品ができましたために、今までの既存の製品経済価値に当然変動を生じてくるわけでございます。従いまして、今まで五級であったものを六級に下げるのが当然だというようなことで、その新品目ができるに従ってほかの品目にも非常に大きな影響を来たすわけでございます。たとえば、化学繊維ができたので繊維製品市場価値がうんと下っているのも一つの例でございます。そういった例が各般の面におきまして起っておるわけでございまして、いろいろな荷主から現在の等級を下げてくれという御要望が非常に強いわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、大体来年、おそくとも昭和三十四年度中にはこの等級改正をやらなければならない段階に追い込まれております。それをやりますには、どうしても一年間くらい予備調査が要ります。と申しますことは、数千の貨物値段を、全部、荷作り込み、税込み価格を調べなければなりません。しかも、おのおのの荷主につきまして具体的に調査いたしますので、非常に手間がかかります。約一年間の歳月を要するのが今までの実例でございますが、大体ことしの秋を基準といたしましてこの次の等級改正の準備をなさなければならない段階にあります。その際に、この現在割引いたしておりますものは、もしそのまま割引額をのんだまま新しい等級に入るということになりますと、ほかの現在の九〇%の荷主は、これはとても黙っていない。これは暫定的にやったものだ、おれたちがそのしわを寄せられてはかなわぬということで、非常に大きな問題が起きることは火を見るより実は明らかな状態でございますので、私どもといたしましては、ある程度この政策割引については手をつけたのだ、そうして調整したのだということを前提として新しい等級表を作りませんと、今後の等級表を作ります際に、今割引をしている物資方々が非常に損害をこうむられるおそれがあるという心配が実はあるわけでございます。これは、ことしの秋から作業を始めます際に、どうしてもその前提としてこれを調整しなければなりません一つの問題でございます。  さらに、次の問題といたしましては、実は先ほどグラフごらん通り、私ども運賃は、遠距離に参るに従ってキロ当り運賃はずっと安くなっております。すなわち、グラフごらん通り、四十五度の角度では進んでおりません。四十五度より鋭角でもって運賃賃率が進んでおります。と申しますことは、日本の長大な地形の関係からいたしまして、どうしても長距離物資輸送が必要だという関係からいたしまして、こういった遠距離逓減運賃制度をとっておるわけでございますので、遠距離に行くに従って運送原価を割ることは確かであります。この割りました運送原価をどこでカバーするかと申しますと、近距離輸送でカバーしておるわけであります。約二百キロないし三百キロの運賃でもって多少運賃原価より上回る。その上回った原価でもって遠距離物資運賃をカバーしておるということが遠距離逓減内容でございます。さらに、品目別に申しますと、先ほど申しました等級の中で一から上の方の四か五までのところ、すなわち高い貨物運賃でもって低い貨物運賃をカバーする。原価的に申しますと、等級の高い運賃でもって等級の安い運賃をカバーしておる。この二つの縦横の関係で、物資別に申しますれば、物の値段の高い運賃でもって物の値段の安い運賃をカバーしていく、距離的に申しますれば、近距離運賃遠距離運賃をカバーしている、これが国鉄運賃制度現状でございます。  ただし、この現状は、実は鉄道陸上輸送のほんとうのただひとりの独占者であった時代の運賃制度のなごりでございます。御承知の通り、現在トラック輸送距離が二百キロないし三百キロに伸びております。しかも、トラック運賃制度は、先ほど申しました通り等級は一切ございませんで、高級品でも下級品でも同じ運賃、ただ、かさが大きいとか、荷役がしにくいというものは割増しはございますが、貨物そのものの経済価格による運賃の差異はないわけでございます。従って、等級別に申しますれば、私どもの方から、高い、当然運賃をよけい取りたいという貨物は、どんどん自然的にトラックに流れるわけでございます。また、距離別に申しますれば、二百キロ以内、三百キロ以内の近距離のものは、私どもの方では遠距離逓減する財源としなければならない。その近距離貨物はどんどんトラックに流れる。それはトラックの性格から言って、またやむを得ない。道路の発達とともにこうなるのは宿命だと存じますが、こういった意味で、遠距離逓減の一番基礎になります近距離貨物が減っていくということ、そうして大きな基礎になる等級の高い貨物が減っていくということ、この二つによりまして、国鉄貨物はどういうものが残るかと申しますと、遠距離のしかも非常に安いものだけが国鉄に残るという現状になっておるわけでございます。これは諸外国の例を見るまでもなく、私どもの方の国鉄実情から申しましても、統計を調べますと、毎年々々高級品が減っていって、低級品の割合がふえている。毎年々々貨物の足が長くなっておる。現在私どもの方の平均輸送キロが二百八十キロ、昭和十五年ごろは百八十キロで、ちょうど百キロ足が延びておる。百キロ足が延びておるということは、それだけ高い貨物が減ったということでございます。  そういうような状況からいたしまして、等級的に申しましても、また距離的に申しましても、今後の国鉄貨物運賃というものは、どうしても遠距離の、しかも低級の貨物運賃をどうするかということを解決しない限り、りっぱになってはいかないというふうに考えるわけであります。  それにいたしましても、さらにその制度よりももう一つ割引いているというこの特別割引については、ある程度手を入れなければ、どうしても全般の貨物運賃のバランスがとれなくなってくるということが考えられるわけであります。実は、私どもでは、この問題に着目いたしまして、昨年の秋から、私どもの中ではございますが、日本国有鉄道運賃制度調査会というものを設けまして財界、学界、評論界、その他各界の方々二十五名の委員を委嘱いたしまして、すでに十数回の会合を持ちまして、新しい貨物運賃の問題のあり方を探しております。この調査会は、いずれ先ほど申し上げました等級問題も取り上げることとなると存じますが、それにいたしましても、現在のトラックとの関係から申しまして、この不合理な距離別等級別の運賃制度からさらに下回ったこの特別割引制度については、ある程度これを調整しなければ、今後私ども貨物運送としては非常に大きな問題に逢着すると考えておるわけでありまして、この際私どもの考えておりますことは、そういった趣旨からいたしまして公共政策物資割引に対する調整をいたしたいと考えておるわけであります。
  7. 松浦周太郎

    松浦委員長 八木運輸省説明員。
  8. 八木利真

    八木説明員 私、運輸省の国鉄部長でありますが、ただいま国鉄営業局長からお話がありましたように、この運賃割引問題は、運賃法によりまして、国鉄の総収入に著しい影響がない場合は国有鉄道で行うことができる、そういうことになっておりますので、運賃割引につきましては大体国有鉄道の方の問題だと考えておるのでありますが、私ども運賃割引について考えますとすれば、この運賃割引といいますものは、現行の運賃制度の中におきましては、大体臨時的なものが多いのではないかと考えております。現行の貨物運賃制度は相当複雑でございますが、その割引が相当広い範囲に行われております現状から見ますと、さらにそれを複雑にしておるというふうに考えられますので、なるべくわかりやすいすっきりした制度にすべきであるというので、ただいま営業局長からお話のように、いろいろ御検討になっておりますが、そういうような方向に持っていく一つといたしましても、ただいまの割引制度はなるべく改定して調整していった方がいいのではないかと考えられます。問題は、具体的問題になりますといろいろ沿革等もありまして簡単に理屈通りには参らない点もあると思いますので、ただいま営業局長お話しになりましたように、いろいろな面から御検討を願って御決定を願いたい、こういうふうに私どもは考えておる次第であります。
  9. 松浦周太郎

    松浦委員長 それでは参考人の御意見を伺いたいと思いますが、全国漁連の方がお忙しいようでありますから、先にやっていただきたいと思います。岡尊信さん。
  10. 岡尊信

    ○岡参考人 はなはだ勝手を申しまして……。  毎年鉄道運賃の改定ということについて国会におきましてもたびたび問題になるのでありまして私は、第一に根本問題として考えなければならないのは、やや独占的の運送機関である国鉄運賃というものを、単に運賃制度調査会というようなものをこしらえて、そうして法律に基いて総裁が独断できめるという制度を改正していただきたいということをたびたびお願いしておるのであります。国鉄運賃というものは、旅客は別としまして、貨物につきましては、国民の生活必需品であるとか、あるいは産業の原料になるもので日本産業の盛衰に関する大きな基本になるものであります。こういうものは、やはりもう少し国の広い方面から委員をあげた、そうして最後は法律によってきめる、すなわち国会の議決を経てこういうものをきめるというような制度にしていただきたいということを私どもはたびたびお願いしておるのであります。  第二に申し上げたいと思いますのは、昨年及び一昨年の改定のときに、この農林水産委員会でいろいろの御質疑がありまして、一体何のために上げるかというと、大体は国鉄の赤字克服のためです。赤字の原因が那辺にあるかということは、国会が全般的に見て、不必要なる経費が出てはいないか出ているかというようなことをよく検討して、これを運賃しわ寄せすべきものであるかないかということを十分検討の上にしていただくようにすることが必要じゃないか。それで、その際どういうことをするか。一部は赤字補てんもあるが、一部はサービス、貨車の改善とかいろいろやる。その際に、水産物関係といたしましては、冷凍貨車が非常に少いために、せっかく生産地でとれた魚が送れないで産地で腐ってしまうというような場合がたびたびある、そういうような関係だから、冷凍車をふやしてもらいたい、こういうようなこともなにしまして、もちろんそういうこともサービスの一つとして考えておる、こういうようなことでありましたが、おそらくこの冷凍車の増加ということは思うように行ってないと思います。  それから、この運賃を作る際に、冷凍貨車に入れますと一割をふやす、あるいは急送する場合には五%をふやす、あるいは指定貨車をする場合は二〇%ふやすということが規則の内客になっておるように思っておりますが、これも、魚を好きこのんで指定貨車に入れたり、急送車に入れたり、冷凍貨車を用いたりするということではないのであります。これは、それに入れなければその品物としての価値を失うからであります。すなわち鮮度を失って物の用途がなくなるのでありますから、冷凍貨車を要望したり、あるいは急送を要望したりするのでありますが、どうも実際から言うと、常に急送車を要求され、急送車に入れる、あるいは指定貨車にほとんど入れる。運輸関係の中央機関におきましてはよく御存じないかもしらぬが、地方ではそういうことを要望されて、つい指定で二割、あるいは冷凍で一割、急送で五分というようなものがプラスされているのであります。  それから、この前等級改正するということをずいぶんなにしましたが、全般的の物資を比較してみると、この前の改正でかなり等級の点においては改正されましたが、まだ足らない点が私どもは往々あると思います。  それから、もう一つは、この割引をした結果、しからばどんなになっておるか。これは実際面で申しますと、長距離割引ということはしております。けれども、これは八百キロなり何なりでとめるとかとめぬとか、この前だいぶ問題になりましたが、今その結果から見ますと、下級品の遠いところほと——この前の審議会では、割引をしてみても一割五分程度上げるというものが、一割七分以上になっております。私どもの調べによるとどのくらいになるかと申しますと、大体において下関—大阪間の一番下級魚におきましても一七・五%になっております。それから下関—東京間の下級魚でやはり一七・七%、それから長崎—大阪間が一四・七でありますが、長崎—東京間は一七・七、それから下関—大阪間、これは高級魚の方でありますが、一七・四あるいは長崎—東京のもので一七・三、こういうように遠距離のものが近距離よりも上る。パーセンテージが多くなっています。これは私は、国鉄のお考えになっておる方針が、結果の上から見るとそうでないように考えております。  こういうような実例からいたしましても、国鉄運賃というものは、当初にも申した通り、これらの貨物は国民の生活必需品であり、産業の原資材で基本をなすものでありますので、これは、どうか一つ、単なる制度調査会できめて国鉄総裁の独断できめるというようなことのないように、こういう生活必需品及びこういう基本原資材というものは、法律で運賃をきめて運賃を改定する場合はやはり法律でやるべきものではないか、こういうように考えまして、この点をお願いしておるような次第であります。水産物は御承知の通り運賃を消費者に転稼ができません。たとえば、北海道の例をとりますと、北海道の漁業者は、関東地方よりも、油を買いましてもその他の漁業資材を買いましても高いものを買わなければならない。すなわち生産するのにハンディキャップがつけられております。今度とった魚を中央市場に出しますと、手数料なり運賃なりは全部生産者負担であります。東京市場で手数料をとられて、仕切金が来ると、その中から運賃というものは生産者負担として、生産者の手取りにならないのであります。そうすると二重のハンディキャップをしょって同じ日本の中で漁業をしなければならない。こんな不合理なことはないのであります。しかもそれは工場の製品と違って非常に良不良もあるし、値段の格差が非常に多いのであります。最近三陸地方のイワシは十貫目十五円というような値段が出ていて、これはかりに運賃その他の手数料を払うと、手取りがほとんどないと言ってもいいくらいになる。こういうようなことがありますので、この運賃というものは、単に国鉄の赤字克服の営業政策ということだけでこの大切なものをいじくられては困るのであります。国民の生活必需品であり、また産業の原資材であるというようなものは法律をもって価格を決定していただきたいということをこの際陳情を申し上げたいと思います。  水産といたしましても、十二億貫ぐらいのうちの大体五億八千万貫ぐらいはすべてこの国鉄の輸送のごやっかいになっておるのであります。従って、これらのものに対して運賃が高くなるということは非常に問題であります。ことに、割引率というものは、昨年のこの国会で非常に問題になりまして、そうしてとにかく割引をすることになったが、広報で発表を見ますと、何か一年間の暫定措置みたような感があるのであります。昨年この国会でいろいろ運賃をやったときには一年の暫定措置というようなことは私は聞いておりませんでしたが、何かそういうようなことで、だいぶんまたそれを廃止するとかせぬとかいう話です。  もっと早くわかりますれば、私どもこまかい資料を調査して御説明申し上げたいと思ったのでありますが、いかんせん、運賃改正というようなことは、これは非常な秘密裏に行なっておるのでありまして、私どもは知る余地がなかったのであります。どうか、こういうことは日本の重要な法律として出すべきものであるので、私は、法律によって運賃改定をするように、法律の改正をしていただきたいということを申し上げまして、終らしていただきます。
  11. 松浦周太郎

    松浦委員長 次は、大日本水産会会長伊東猪六君にお願いいたします。時間がありませんから、十分以内で簡潔にお願いいたしたいと思います。
  12. 伊東猪六

    伊東参考人 水産の立場から魚介の運賃につきましてお願い申し上げますが、岡さんからお話がございましたし、大体私がお願い申し上げることも似たようなことでありますので、重複を避けまして簡単にお願い申し上げます。  結論的に、岡さんからもお話がございましたように、実は私どもはなはだうっかりしておりまして、この割引が一年限りであるということは全然承知しておりません。従いまして、今日まで——運賃改正の問題について割引が取り去られるのだということを耳にいたしましたのは先週でございます。大あわてにあわてまして、大日本水産会といたしましても、実は委員会を開きまして、そうしてこの対策について協議をいたしたわけでございますが、鉄道さんは、御承知の通り非常にりっぱな資料をお持ちになっていらっしゃいますので、私どもが在来の交渉の場合に民間からいろいろな材料を提供いたしまして御相談を申し上げましても、これははねつけられてしまっておるわけでございます。そういう事情でございますが、今度の運賃割引を撤廃されるという問題に対する対抗策としましては、できるだけ一つ的確な資料を私どもの手によって作らなければならぬ、こういうのが委員会の決議になりまして、そうして、その方法に対してどれくらいかかるかというと、これから二カ月ぐらいはどうしてもかかる。それではどうするか、六月末でこれが切れるということになると、このままにしておくと撤廃になってしまう、こういうことになるわけでございますから、とりあえず一つ国会の先生方にも、また鉄道の御当局にもとくとお願い申し上げまして、その割引制度が六月末で切れるのを延ばしておいてもらいたい、こういうことが一つでございます。  それから、私どもは、さっき申し上げましたように、自分たちの手によって資料を作って、そうして先生方にも御納得のいくような資料を御提供申し上げて御配慮を請わなければならないのだ、こういうように考えておるわけでございますから、少くとも一つ当分の間はこのままおいでおいでいただきまして私どもが勉強をして参りまして、資料をもちまして御配慮を願いたいと思います。  鉄道運賃関係が私ども漁師の立場としまして大影響のありますことは、先ほど岡さんからお話があった通りでございます。私どもの決議いたしましたところのこの問題は、大日本水産会、全漁連、日本罐詰協会、日本遠洋底引網協会、日本機船底引網協会、全国水産練製品協会、全国焼竹輪協会、北海道漁業協同組合連合会、北海道水産会、東京都水産物卸売品協会、日本冷凍事業協会が連名をいたしまして、先ほど申し上げたように、繰り延べていただくことを一つ御配慮を請いたい、かように存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
  13. 松浦周太郎

    松浦委員長 どうもありがとうございました。  次は、日本林業協会会長三浦辰雄君にお願いいたします。
  14. 三浦辰雄

    三浦参考人 私どもの林業協会と申しますのは、全国の木材関係、しかもその中には、一般木材あり、パルプあり、坑木あり、それぞれの団体が入っております。また、全国森林組合連合会、あるいは全国木炭協会といったような、林産関係の業界の全国団体が全部参加している団体でございますが、そこで、先ほど岡さんあるいは大日本水産会の伊藤さんからお話がありましたように、鉄道運賃割引関係を今回変えそうだということをうかがい知ったのは、実は一週間前なんです。その前に、いわゆる割引制度に対して、責任出荷制というようなものを考えて、今までの割引制度をそういう責任出荷のようなものにしようということが役所間であったということは聞いておった。ところが、農林水産物関係のような、きわめて零細な生産者、そうしていわば不得定な地域から出されて、そうして相手がまた非常に不得定な場所に輸送されるものは、そんな責任出貨制などというものは、いかに、考えてもできない、こういふうな考え方でおったのでありますが、一週間ほど前に、いよいよ鉄道は何かやるらしいというようなことで、実は驚いたのです。  先ほどの参考人の言いますように、私どもはこの運賃割引制度というものをそう簡単に再々変えるべき性質のものであるとは聞いていないのです。林産物関係で申しますと、木炭とまきの問題は、魚と同様に生活必需品という関係での特別割引を持っておる。また、木材、竹等におきましては、いわゆる遠距離特別割引をいただいておるわけであります。ちょうど日本の林産資源が、北海道に全日本の約三割、それから同じく遠距離を現行で適用されまする東北の遠距離地域に一割五分、それから南九州に一割余り、合計すると五割五分というものが、いわゆる現行の遠距離割引適用をいただいて、何とかそれが切られて、社会に利用されていく。運賃が高くなったからといって、そのしわを消費者に対して転嫁することができないことは、魚関係の方がお述べになったと同じように、農林水産物一般実情でございますことは申し上げるまでもございません。  そこで、結論を申し上げれば、今日運賃制度調査会というものを鉄道の部内にお持ちになって、すでに磯崎局長もお話しになったように、三十四年度になれば前の貨物等級をきめた二十八年からすでに六年たっておる、どうしても貨物等級を変えなければならないのだ、その後の物資、その後の経済状況の変化で変えなければならないのだということから、この運賃制度調査会もその含みをもって勉強されておるようです。でありますから、私どもといたしましては、この際ぜひ今まで通りその運賃改定のときまで存続をしていただけないか、このことをお願いいたしたい。  局長の説明で、この等級改正に当っても、今まで当局が変則的な割引だと言うその制度を秋の初めに改定をしておかなければ、ある程度調整をしておかなければ、次の等級の審議会等において、荷主側、それらの特定の割引を受けておる物資関係者が意外な損をするかもしれないという大へん親切なお言葉、御配慮もあって、感謝はしますけれども等級のきめ方というものは、同じく局長が説明の中でも申された通りに、一つのトン当り価格というものが基準になるのであります。そのあとの問題は、いわゆる公共行政的な意味での特別な措置なのでありますから、私は、この秋口までにその特別割引をある程度整備しておかなければならないということは少しも理解がいかない。私も二十八年の際には等級審議会の委員をさせられましたが、決してそういうものではない。私は、そういう意味から言っても、この林産物問題は少くともそのままに願いたい。  貨物が非常に錯綜いたしますれば、木炭といい、木材といい、それぞれ支線、山線でございますために、貨車がなかなか回転の率が悪い。そうして請求を何度毎日しておりましても満足すべき貨車などというものはとうてい期待されない。その何分の一かで、滞貨が駅頭にあることは皆様御承知の通りでございます。私どもはそういう不便の中にも荷を出して、しかも割引を受けておるのですから、それは感謝もしなければならないが、林産物の生産とその消費の実態とを十分お考えを願って、ぜひこれをこのまま延期を当分して、そうして等級改定の際にこれを十分皆様の御検討に供した方が一番適切ではないか。  さらに言うならば、鉄道の五カ年計画にいたしましても、当時収入として積算されたものは、その当時割引をされておったいわゆる特定割引があるなら特定割引のままに収入源が計算されてそれに基いての値上げも行われたのであります。今日私どもは毎月十億以上の貨物収入減があるのは残念に思いますけれども、だからといって、この特別割引をしておるものに多くのしわを寄せていただくことはまことに迷惑千万に存じます。公共性の鉄道の新設計画、あるいは国鉄は公共のものであるがゆえに特別の割引をしないのだというならば、それは国におきましてある程度の国鉄当局に対する補助を与えてもいい。しかし、一方、新設の際には、非常に各審議会で問題にしますけれども、その財源は国鉄自身がその利息を負担するところの起債に全部よらしておるというようなことは、お互いに国民として反省すべきような考えを私は持っておる。それらのことを考えても、なおかつ、私は、林産物の生産と消費の実態と、その価格からいきまして、ぜひとも等級改正案まではこのまま御存続も願うように、皆様方の御検討と御支援をお願い申し上げたいと思うのであります。  その経過は、非常にこまかしくて、いろいろの問題がございます。述べますれば時間があまりに使われますが、いつでも、この運賃改正ごとに、林産物の関係は非常にこまかい折衝、非常ないきさつを経て今日まで来ているのでありまして、その点も十分皆様御承知のことと思いますが、それらを頭に入れて、よろしく御支援と御了解をお願い申し上げたいと申し上げて、私は終りたいと思います。
  15. 松浦周太郎

    松浦委員長 どうもありがとうございました。  次は、全国木材組合連合会常務理事吉田好彰君。
  16. 吉田好彰

    吉田参考人 国鉄運賃の問題につきまして、主として木材関係の事情を申し述べたいと思います。  ただいま三浦先生からお話もございましたように、木材並びに薪炭の受けておりまする現在の割引総額というものは、いわゆる公共政策割引の六割に近いものでございます。従いまして、木材関係、林業関係のこの問題に対する憂慮と申しますか心配は非常な大きいものがございまして、特に北海道、東北、山陰、九州、四国、これらの業界にとりましては死活の問題であろうというふうに考えまして、また、これらの地方における資源というものが木材資源の重要な半分以上を占めているという現在におきまして、この運賃割引制度の廃止によって、遠いところまで送れないということになりますれば、全国の林産物に関する需給が破れるというような重大な問題も起きるのではないかというふうに考えます。  木材につきましては、木材が全部の国鉄輸送量の一五%以上を占めている。それがために常に運賃問題の改定に当りましては、木材が目のかたきにされておるということも言い得るのでございましてそれがために運賃改定のたびごとに国会におきましてもいろいろ問題となっております。国鉄との交渉の始まりは昭和二十五年のときに始まっておりまして、現在に及んでおります。その中におきまして木材、薪炭につきまして特別の割引がなされておるという事実は、その交渉の結果によるものである。しかもその交渉はすべて国会におきましてなされたものでございます。特に、昨年の改定に当りまして遠距離割引の制度が認められましたときにおきましては、国会におきまして、いわゆる運賃値上りを含めまして公共物資に対する値上り率を一七%に押えるという決議のもとに、この公共割引がなされたものでございます。なるほど国鉄の言われますように暫定割引であるという法的なことはあるかもしれませんが、その当時叫ばれました公共物資の値上りを押えて低物価政策に準拠していくという実情はさらに変っていないのでございます。特に、国鉄の赤字増加の原因となる経済後退による情勢というものは、すべての物資、特に農林物資において顕著である、そういうことが言えると思います。従って、そのときの国会において審議されました一七%にとめるという精神、またそれによって経済界を生かしていこうという実情は何ら変っていない。従いまして、単に法的にどうであるからといって国鉄総裁の権限によりましてこれを一挙に減らしていこうということに対しては、業界といたしましても承服できかねるのでございます。  特にそのような経過がございまして、従来国会あるいは業界との間にいろいろ交渉が続けられておったにかかわらず、今回につきましては、業界等に何らのお話し合いもなく、突然ここで重大な割引を削減していこうという国鉄のやり方には、どうも私ら業界としては反対せざるを得ないのであります。特に、北海道の関係物資につきましては、青函連絡船の擬制距離等の問題もございまして、特別な割引がなされておりますが、これには林産関係だけではないと思います。わが国の重要な資源地帯である北海道の輸送がこれによって重大な影響をこうむるということは、今後の開発問題から見ても大きい問題を残すのではないか。  以上のような問題がございまして、私たちといたしましては、従来の国鉄との国会におきまする約束をぜひ守っていただきまして、従来の割引賃率を存続さしていただきたい。これが業界の切なるお願いでございます。
  17. 松浦周太郎

    松浦委員長 どうもありがとうございました。  次は、全森連専務理事加納秀雄君。
  18. 加納秀雄

    加納参考人 私は、全国森林組合連合会の専務理事加納でございます。  森林組合と申しますのは、御承知のように、森林所有者の協同組合であり、全国における森林組合は現在のところ約五千組合、組合員は全国の零細森林所有者約二百万人に及んでおるのでございまするが、本日この委員会でお取り上げをいただいておりまする鉄道貨物運賃の問題は、二百万の森林所有者にとりましてきわめて重大な関心事であるのでございます。  時間もございませんので詳細な考え方につきましては遠慮さしていただきまするが、私どもは、治山治水の立場と、さらには木材資源の保続という立場から、常日ごろ山林の緑化ということに最大の努力をいたしておるのでございまするが、その林産物は御承知のように運賃の占める部分がもともと大きいのでございます。しかもまた、特にその林産物の所在が北海道あるいは九州といったようなところに偏在をいたしておるような関係からいたしましても、運賃のうちのさらに鉄道運賃の占める部分はきわめて大きいものであるのであります。従いまして、鉄道運賃の改定によりまして立木の価格に非常に大きな影響があるのでございます。私どもはそのために造林意欲が非常に減退する結果になりはしないかということを一番おそれておるものでございます。そういった意味合いから、先ほど来の参考人の述べられました意見に対しましては全面的に同意見を持っておるものでございまして、当委員会におかれましてもよろしく御善処あらんことをお願い申し上げまして、私の意見を終りたいと存じます。
  19. 松浦周太郎

    松浦委員長 どうもありがとうございました。  次に、日本坑木協会専務理事七瀬善吉君。
  20. 七瀬善吉

    七瀬参考人 私の申し上げたいことは、すでに数氏の参考人の方からお述べになったものと同様でありまして、時間の関係もありますし、詳しいことは御遠慮申し上げるのでございますが、結論を申し上げますと、ただいまの遠距離特別割引は、この次の等級改正——先ほど来営業局長よりお話がありました等級改正は、もうすでに三十五年度ぐらいから御実施なさるように思うのでありますけれども、そのときまで現状維持にして、そして等級改正のときに——実は今までの赤字の累積も承知しておりますが、そういうことを国会を中心に、もちろんこれは運輸省、国鉄の御主管でありますから、そのときに関連としておやり下さい、ぜひ現在の割引制度はそれまで御存続を願いたいということを申し上げまして、私の意見を終りたいと思います。
  21. 松浦周太郎

    松浦委員長 どうもありがとうございました。  次に、森林資源総合対策協議会常務理事田中紀夫君。
  22. 田中紀夫

    田中参考人 時間もございませんので簡単に申し上げたいと思います。  私どもの団体のできたのは、日本木材需給が非常な危機にあるということから、その対策協議会というものが生まれたのでございます。これは、さいぜんから皆さんからも申し上げましたように、日本の国の木材の供給、あるいは薪炭の供給関係が宿命的に遠隔の地で生産されているということからできているわけでございます。  そこで、今日まで国鉄の公共性によりまして、遠距離のしかもかさ高な物資の輸送がとにもかくにも行われまして、さいぜん営業局長さんからのお話もございましたように、二十四億のうちの六割に及ぶものが林産物であるということから見ましても、いかに遠距離に依存しているかということがわかると思いますが、そこで、この問題の重要なことは、すでに運賃価格形成の中に織り込まれておりまして、しかも、今度特別割引が廃止されたときに、消費者に転嫁することができなくて、生産者に端的に響いてくる。たとえば、木炭というものは、東京において最終価格は大体きまっておりまして、これをこしますと練豆炭その他の関連がございまして、上げ得ない。従って、炭焼きの一俵約八十円という焼き賃に直ちに響いてくるというような非常に深刻な問題に転嫁いたしますので、こういった点をよく国鉄におかれましても御了解の上、簡単にこれを六月一ぱいではずすなどという乱暴なことはいやしくもされないようにということを特に申し上げておきたいと思います。
  23. 松浦周太郎

    松浦委員長 どうもありがとうございました。  次に、全国木炭協会常務理事近藤鎌三郎君。——まだ御出席でないようですから、それでは、全国農業協同組合中央会農政課長熊谷建樹君。
  24. 熊谷建樹

    熊谷参考人 国鉄運賃割引のことにつきまして、農協を代表いたしましてお願いを申し上げたいと思います。  御承知のように、農産物の価格は最近下落しておるのでありまして、たとえば、野菜等におきまして、運賃の代金を払えないというような現象が昨年から起っておりまして、こういうふうな事態におきまして、私ども協同組合の関係の者といたしましては、そうした事態に、自力でみずからできるだけのことをして対処していきたいというので、営農指導員の設置を拡充いたしまして、生産費の切り下げ、そうしたことその他につきまして改善をやって参っているのであります。組合によりましては、そうしたきわめて困難な状態の中におきましても、生産計画あるいは生産調整等の段階にまで組合が入りまして生産の指導をやっている組合が出て参っているような状態であります。このように、農業協同組合といたしまして、困難なこうした事態の中におきまして、みずからの解決を求めて努力しているのでありますが、しかし、基本的には、農産物のこうした価格の下落は、需給の方の関係が根本的にあるわけでありまして、こういう状態の中において、われわれの努力は限界があるわけであります。こういうような状態の中におきまして、運賃割引を廃止するというようなことになりますと、そうした負担はすべて農家にかかってくる。ほかの産業物資でありますならば、あるいはそうした中間の経費は消費者に転嫁することができるかもしれませんが、しかし、農産物の現状におきましては、その流通の状態あるいは農家の力の関係等によりまして、運賃等の関係もすべて農家の生産費の切り下げ、農家の販売価格の切り下げというような形でしわ寄せされるような状態にあるわけであります。ここでもしも国鉄運賃割引が、——現在農産物の中で二十四品目について適用されているわけでありますが、これが廃止されましたならば、その影響はきわめて大きいわけでありまして、現在の価格の値下りによりましての農家のこうむっております負担、さらにそれにこの分が加重されてくるということになりまして、いよいよ農家の経営を苦境に陥れてくるというような事態になるのではないかということをおそれるものであります。それで、ぜひ国鉄運賃割引につきましては従来通り継続していただきますようお願いいたしまして、私の陳述を終ります。
  25. 松浦周太郎

    松浦委員長 どうもありがとうございました。  これにて参考人意見陳述は終了いたしました。  続いて質疑に入ります。質疑の通告があります。松浦定義君。
  26. 松浦定義

    松浦(定)委員 ただいま国鉄運賃割引制度の継続実施についての参考人の御意見、並びに国鉄当局の御意見を聞いたのでありますが、私は、まず第一に、参考人の御意見を聞くのが本意であろうかと思うのであります。しかしながら、ただいまの参考人の御意見を聞いておりますと、それぞれの関係者は異口同音に、今回の問題について事前に知ることができなかったということの遺憾の意を表されているのであります。このことは当然われわれ国会といたしましても重要だ、かように考えているのであります。そういう意味合いから、国鉄当局にちょっとお伺いいたすのでありますが、この問題は去る昭和二十五年並びに二十八年度の二回にわたって改定をされたのでありまして、その当時の重要性は今日と何ら変っていない。むしろ、ただいま参考人の御意見を聞いておりますと、逆に、生産者並びに消費者もこれによって苦しむのでなかろうか、こういうような御意見だと私どもは拝承できるのであります。従って、国鉄当局といたしましては、今回のこの改定に対して、従来と変らなければならないような原因はどこにあるかということを、もう一度、きわめて簡単でよろしゅうございますから、御説明を願いまして、それから参考人方々に御質問いたしたいと思うのであります。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、まず第一点の、この問題は非常に唐突であるというようなお話がございました。先ほど伺っておりました中にもございましたが、この問題についていやしくも業界の方々が非常に関心をお持ちであるならば、私どもの方の広報なり、官報によりまして三月末にこの公開はしております。   委員長退席、本名委員長代理着席〕 これははっきり官報にも出ております。その公開いたしましたものによりまして、私どもの現場では現実に運賃の処理をいたしておるわけであります。その三月末に出しましたものには、明らかに六月末ということは明示いたしてございます。もし運賃問題がそれほど重要で非常に御関心が深いとすれば、その広報なり官報あるいはその実施内容について御承知ないということは、私は万々ないと思います。  次の御質問でございますが、二十五年、二十八年あるいは昨年と今とは状況はどうかというお話でございますが、全般的な経済情勢といたしましては、昨年からことしにかけまして日本経済全体が下向状態にあることは、私どもの方でも、滞貨の状況、運賃収入の状況によってよく知悉しております。しかし、それと同時に、二十五年、二十八年あるいはことしという中に、全般のトラックの問題あるいは新しい産業発達による新製品の増加の問題等があることは見のがせない事実だと感ずるわけでございます。従いまして、ある程度の変化は、当然二十五年、二十八年に比較いたしますればあるというふうに考えております。
  28. 松浦定義

    松浦(定)委員 ただいま局長のまず第一点の御答弁によりますと、少くとも関係者は、三月末に公開をしてあるので、それを知って直ちにそのことの対策をすべきだ、そういうことをやらないのはわれわれの責任ではないというきわめて不親切な答弁だと私は考えるのであります。従って、関係者の方々にお伺いいたしまするが、そのような制度であるということを皆さん方はほんとうに承知をしておられて今日の段階まで拱手傍観をされ、余すところわずか数日という追い迫ったときにおいて本委員会が取り上げて皆さん方のお話を聞かなければならない、こういうような問題でありますと、いかに国会でありましても、皆さん方の御意見をそのまま私どもは了承して、この問題を継続あるいは廃止等についての結論を出すということは非常にむずかしい、このように考えざるを得ないのであります。ただいまの局長の答弁に対して、どなたでもよろしゅうございますから、その点についての御見解を一つお聞きいたしたいと思うのであります。
  29. 三浦辰雄

    三浦参考人 ただいまの松浦先生の御質問ですが、私ども、この問題は、昨年においても、あと三月だけ延ばそう、ある極端なときには一月だけといったような区切り区切りでやってきたことを知っております。また、同時に、私ども気にする者としては、本年三月二十九日に日本国有鉄道営業局長さんから農林省関係にあてた通牒の写しをようやく手に入れたものがたまたま手元にございますが、それによるとこうあります。これは三月二十九日付の「貨物運賃割引の継続実施について」という見出しで、「本年三月三十一日をもって公共政策割引の期限が満了するに当って別紙の通りきたる六月三十日まで割引期間を延長することといたしました。もともと現行割引は、昭和二十五年度及び二十八年の運賃改正に当り暫定的に値上りの影響を緩和するため採ったものと昨年四月の運賃改正に当り遠距離逓減率修正の影響を緩和するため行ったものとがあり、本年度における割引額は二十四億円にのぼる見込であります。このような現行公共割引は、経過的暫定的なものとして既に相当な役割を果してきたものと認められますので、昨年十月以降は、その割引率について調整を行ってきました。昭和三十三年度の鉄道収入の見通しはきわめて悪く、五箇年計画予定工事の遂行にも支障をきたすおそれもありますので、七月以降は、出貨責任付割引に切り替える等本割引について再検討を加えたいと存じますので御了承のうえ特段の御協力をお願いします。」、こういうふうな通牒を私どもも気にしてはおったのでありますが、しかし、これにうたってあるように、いわゆる出貨責任制などというものを考えた場合に、私どもが申し上げるまでもなく、農林水産物というものは、とうていそういった性質のものではいかんともしがたい。かつ、前にも申し上げましたように、昨年も三月々々といったようなことで区切ってきた関係もありますので、私どもの方としては、まさか断行をなさるのではないだろう、しかし一応責任出貨制についてはわれわれは考えなければいけない、ただできないできないと言ってはおられまい、こういう態度で来ておった程度でございます。
  30. 松浦定義

    松浦(定)委員 一応そういう形の通達があったと仮定いたしましても、少くともこういう重要な問題でありますので、いま少し親切な形でそれぞれ話し合いをする用意があって私はしかるべきだと思うのであります。  しかし、それはそれといたしまして、先ほどから参考人方々がお話をなさっておりました中に、まず第一の問題としては、この運賃制度改正調査会の内容等について多少不満があるかのような御意見があったのであります。私どもとしては、国がこうした問題をやります場合において、少くとも、いずれの場合の決定にいたしましても、その影響を受けるものが決して満足することはできないとしても、このような問題で、今生産者並びに消費者も苦しみ、また一般の営業等についても至大な影響があるといった問題についての制度改正等の場合においては、やはりその内容を詳しく知ってもらう必要があるのではなかろうか。先ほどのお話の中にもありましたように、一部の方々が特定の場所で秘密裏に行なったといったような向きもないではないというような御発言等にも私どもは聞くのでありまして、こういうような形でなしに、今後こうした改正をする場合においては、この制度改正調査会のメンバーの中にどういう方々がおられるか私よく承知いたしませんが、やはり関係者は当然これに参加あるいは意見を述べるような機会があっていいと思うのでありますが、この調査会の内容あるいはメンバー等について、概略でよろしいから、一つ当局から御説明を願いたいと思うのであります。
  31. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま運賃制度調査会の内容等についての御質問がございましたが、この調査会につきましては、先ほどのお話の中に二つ混同した問題があったと存じますので、その点をあらかじめ申し上げますが、まず初めに、審議会というお言葉がございましたが、二十八年の等級を作りました際に等級審議会というのを作りまして、そこでもって、もちろんガラス張りの中で議論したわけであります。それから、今回の問題は、調査会と申しまして、これは昨年の十月から国鉄総裁の諮問機関として設置いたしました。大体のメンバーを申し上げますと、会長日本化薬株式会社社長の原安三郎氏であります。それから、農林関係は湯河元威さん、通産関係は岡松成太郎さん、新聞関係は朝日新聞の土屋清氏、産経の小暮光三氏、日本経済の友光正昭氏、評論界といたしまして今井一男氏、それから財界関係といたしまして日本興業銀行の中山素平氏、それから、財界と申しますか、経済界として経団連の堀越禎三氏、主婦代表といたしまして主婦連の春野鶴子氏、それから、組合関係の代表といたしまして、元国鉄労働組合におりました、元代議士の菊川孝夫氏、それから、あと通運関係、自動車関係等でございまして、荷主関係といたしましては、ただいま申しましたように農林関係の湯川元威氏、通産関係の岡松成太郎氏が委員になっております。なお、現在のところ、調査会は総会を十回やりまして、一応中断いたしまして、現在旅客部会及び貨物部会及び運賃理論専門部会に分れておりまして、運賃理論専門部会は東大及び都立大学の教授を数名委嘱いたしまして、今運賃理論の根本的な研究をやっております。また、旅客部会、貨物部会につきましては、おのおの具体的な問題につきまして現在審議中でございまして、来月の末に第十一回の総会を開きまして、その総会に今まで審議したことを報告される予定でございます。さらに、まだ最終的にこの問題は決定いたしておりませんが、現在会長その他貨物関係の部会の大体の意向といたしましては、この等級問題については専門委員会を大体ことしの秋ごろ設ける、そして今の調査会の大体の考え方のもとに、具体的な等級問題についてこの専門委員会にやってもらおうじゃないかというような御議論になっておりますが、これはまだ、貨物部会といたしまして、この等級問題をどう考えるか、どういうようなプリンシプルで、自動車等の問題あるいは遠距離の問題等、どういうふうに考えるかということにつきまして、目下非常に白熱的な論議が展開されておる最中でございます。この問題が済みましたあとにこの具体的な問題につきまして総論的な範囲の中でもって具体問題の実施について多分等級関係の専門委員会が設けられることになると存じます。なお、専門委員会につきましては、その運賃制度調査会の規定そのものの中に、そういう専門委員会を設置するということをあらかじめ予見してございます。従って、もしそういう具体的に、じゃその調査会の専門委員会として等級問題を取り上げようという段階に、——大体今の意向ではなると思いますが、なりました場合には、ただいま先生のおっしゃいました通り関係各省はもとより、関係の団体の方々に御参加を願うつもりでありますが、現在なお運賃の抽象的な概念的な理論をやっておりますものですから、その総括論が済みましたら、そういった専門委員会を設置し、その専門委員会の中には、農林、通産関係各省を初めといたしまして、業界の方に前回の二十八年のような形で御参加を願うつもりであります。決して、一部の人が集まって何かこそこそやっているといったような御批判がありましたが、その点の御批判は当らないということをはっきり申し上げておきます。
  32. 松浦定義

    松浦(定)委員 ただいまの御説明でありますと、なるほど各界の権威者を網羅されておるようでありますが、やはり、生産者団体といいますか、そうしたことの影響を受ける、実際の改定がされた場合において一番不利益をもたらされるような方面の代表の意見というものが十分ここで出てこられないというふうなものであるというふうにしか私どもには考えられないのでありますが、その点については、ただいま局長は、今後大いに各委員会設置の場合においても考慮いたしますということを言っておられますが、しかし、その前提としてやはりこういうような問題が出て参っておるのでありますから、私は、今回のこの問題がやはり七月一日から元へ復するということになりますと、相当影響力があるということは、ただいまも各参考人からの御意見でも了承できるわけであります。従って、私どもが国会でこの問題の陳情を受け、さらに公平な判断によってこれをどうするかという結論を出すには、やはり、今参考人の御意見の中にもありましたように、ちょっと時間的にもまだ結論を出すには不十分でなかろうか。これは、現在の自由民主党あるいは社会党両派の中でもそれぞれ各専門の委員会を持って検討をし、各関係者の方々意見を聞いているような現状であります。従って、そういう中から国鉄当局として結論的にこの問題の明確な線を出して国民大衆の支持を仰ぐということになれば、いま少しく時間をかすというようなことが当然でなかろうかと思うのでありますが、こういう点については、どうしても七月一日から実施しなければならない、たといわずかな期間でもこれを延期することはできないというような現状であるかどうか、この点についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  33. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの先生の御質問の中で、私の方が現在やっております二十五億になんなんとするこの大割引につきまして、今すぐ全廃するというふうに考えておるような御質問があったかと存じますが、その点につきましては、冒頭私が御説明の機会を与えられましたときにはっきり申し上げましたように、私といたしましても、これを今すぐ全廃するということは一言も申しておりません。また、先ほどの参考人方々の御意見をそばで拝聴させていただきましたが、その中には全廃を前提としての御議論も相当あったように承わっておりましたが、その点につきましては、私が、それは二分の一ないし三分の二を残すというふうにはっきりと申し上げておりますし、私の方といたしましても、その筋でいろいろ計算をいたしている最中でございます。従いまして、この点は、全廃するということを前提といたしますといろいろ問題があるかと存じますが、私といたしましては、現在の二分の一ないし三分の二を残すという前提で七月一日から実施させていただきたいというふうに考えております。
  34. 松浦定義

    松浦(定)委員 私どもがただいまお伺いいたしておりますのは、なるほど先ほど二分の一あるいは三分の二を残すというような御意見がありますけれども、そういうようなものでなく、現状通りこのまま存続してほしいということでありますし、われわれとしても、そういう形でなければ現在の原始産業の域を脱しないこういう原料生産者並びに扱い業者等についての問題は解決しない、こういうように考えておるのでありますから、今の局長の御意見についてもこれを肯定するということはちょっとできないのでなかろうかというふうに、参考人意見を徴しても私どもは考えるのであります。そういう肯定の上に立っての質問ではないのでありますから、そのような考え方で、ぜひ現状通り存続する、こういう考え方に立っていただかない限り、この問題は解決しないと思うのでありますが、先ほどのお話のように、どうしてもそれに対してはもうできないんだというような御決意であるかどうか、もう一度御回答を願いたいと思います。
  35. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど申し上げました通り、全体が二十五億、しかも全体の荷主の中の約一割の方々だけがこの問題に均霑しておられるというような状況から見まして、私といたしましては、現在の国鉄の財政のことも考えつつ、七月一日に実施させていただきたいというふうに考えております。
  36. 松浦定義

    松浦(定)委員 それでは簡単にお伺いいたしますが、先ほど局長の御意見の中には遠距離の問題については安い、さらに参考人の方は高いといったような御意見がありまして、この問題についてはちょっと食い違いがありますが、こういう点を少し御両氏から明確にしていただきたいと思うのであります。
  37. 磯崎叡

    磯崎説明員 私が申し上げましたのは、先ほどお配りいたしました資料の中にございます通り、私の方の現在実施いたしております賃率表並びに等級表によりまして正確な筋を引き、グラフを引いてみました結果、お手元に配布いたしましたような数字になっておりまして、私の方の、違距離に行くに従って運賃が安くなるということは当然でございます。これは何んでしたら計算の例を二、三申し上げてもよろしゅうございますが、遠距離逓減制と申しますのは、国鉄運賃制の根本でございます。旅客運賃でありましても、よくこういう例がございます。たとえば、東京に北海道の人と九州の人が集まる場合に、北海道の人は九州まで切符を買い、九州の人は北海道までの切符を買って、東京でそれを交換いたしますと、非常に運賃が安くなります。これははっきりした例で、こういうふうに、遠距離に行くに従って運賃が安い。遠距離逓減制は国鉄運賃制の根本でございまして、この点、遠距離に行くに従って高いということは、何かお間違いではないかというふうに考える次第でございます。
  38. 松浦定義

    松浦(定)委員 局長から説明されるまでもなく、旅客運賃についてはそういうことはある程度やっておられる方もあるいはあるかと思いますが、事は貨物になりますとそういうことはできないわけであります。貨物旅客とそういう形ができるならばこれはけっこうでありますが、そういうことはできませんのでお伺いしておるのであります。  そういたしますと、先ほどの岡参考人の御意見をちょっとお聞きしたいのでありますが……。
  39. 伊東猪六

    伊東参考人 岡さんが退席せられましたので、伊東がかわってお答え申し上げますが、お尋ねの件につきまして的確なお答えになるかどうか存じませんけれども、先ほど岡さんが言っておられました問題は、大阪、長崎からの例を引いておられたんじゃなかったかと思うのでございますが、今局長さんのお話のように、遠距離割引という点から参りますと、むろん計算的にはその通りだと思います。そこで、何かやはり部分的にはあるいはそういう面があるんじゃないかと私は思いますけれども、その的確な材料を持って御説明申し上げ得ないのを、申しわけございませんが、はなはだ不勉強でございますから、お許し願いたいと思います。
  40. 三浦辰雄

    三浦参考人 今のに補足をして申し上げますが、たとえば木材で言うと、二十八年の遠距離割引は七百五十一キロだった、それを十二年の際には五百キロでいわゆる遠距離逓減というものは打ち切る、つまり、従来は七百五十一キロまでのいわゆる距離別のキロ・トン料金というものを逓減していたのを、五百キロで打ち切ってしまって、五百キロ以上はずっと今度は同じ値段でいくというふうな基本の線をお出しになったので、そこで、木材を例にしていけば、それでは非常に困るということで、いろいろと折衝いたしました結果、それを、四百一キロ、六百一キロ、八百一キロ、千一キロといったような段階で、一一%、一二%、一三%、一四%というふうに、一七%引きまで特別に総裁権限で御決定を願ってようやく、その五百キロ以上は特別なキロ・トン割引をしないという原則に対して総裁権限で、過去の実情にまあまあ合う程度にまで進めてもらって今日に来ている。こういう事実、しかも、その遠くなれば、先般三十二年のときには平均二%の値上げとなりましたけれども収入全体に対する二%値上げが目標なんで、その他と考えてみると、運賃そのもので言えば一七%の値上げになっているわけです。その一七%、あるいはこえるという線のところまで数字を持っておりませんが、北海道のたとえば遠軽地帯あるいは上川地帯、これから東京に来れば、それをこえるというような数字になったように記憶しております。
  41. 松浦定義

    松浦(定)委員 ただいま三浦さんからの御説明によってもある程度わかりますように、やはり、遠距離の問題でありますから、私は北海道でありますからこの点については非常によくわかるわけであります。従って、先ほど参考人の中でいろいろお話がありましたが、いわゆる林業、水産、あるいは農産物等、いずれにいたしましても、北海道の一例をもっていたしますと、移出をする場合と移入をする場合と両道をかけて、これが生産者の負担が過重になるわけであります。そういう意味で、現在の二十三億のうちで、少くとも移出については、北海道だけでも四億六千五百万、あるいは逆に移入する面については一億六千一百万と、総計両方でもって六億二千数百万というような、こういう多額のものがやはり生産者の負担になるということになるのであります。従って、北海道が御承知の通りに終戦後の一つの豊庫だというような形で、特別立法まで作って総合開発を推進しておる。しかもこれは現在の自民党政府がやっておるのでありますけれども、なかなかそれが思うようにいかないという面の大きなやはりこれは一つの障害になっておるのではなかろうかと思うわけでありまして、国の政策として、こういう問題は、やはり小さな一律的な考え方で、近距離の者の負担になるから、こういう問題はこうしなければならぬといったような先ほどの局長の御意見のような形でやるということは、これは単に北海道あるいは九州といったような遠距離に対しますものでなくて、むしろそこから生産される重要物資を国内の全体に対して安くこれを消費させるということが国策として必要ではなかろうかと思うわけでありますから、こういう点についても、この問題は、私はいま少し一つ考慮をしてほしいと思うのであります。  なお、先ほどお話の中にありましたように、木材等については、御承知の通りに、二十八年の十三号台風で少くとも全国にないような大きな被害木を出した北海道のその処理がようやく軌道に乗ったという程度であります。従って、計画的にこれを伐採しなければならぬというような問題は、まだまだ残っておるというようなことから考えましても、この消費を国内全般に対して消化させなければならぬというときにこのままのような形でやっていくということは非常に間違っておるのではなかろうか。それが三十二年にちょうど改定がされる場合においてこれが認められたが、しかし、そのことだけでも私はまだまだ十分解決していないというふうに考えております。あるいは漁業の問題についてもしかりでありますし、特に魚介あるいは農産物でも、特に種バレイショ、生食用といったような生果物についての移出については、やはり少くとも国民に安いものを多量に一つ消費してもらう、こういうことでなければ、現在の農林漁業というものは振興ができないという形でこれが認められておると思うのでありますから、こういうような状態がただ輸送面だけで見てこれが緩和されたというだけでなくて一般国民の、そういうものを基礎とする産業に携わっておる者の生活の状態がほんとうに緩和されるということが政治的にも政策的にも了承されるような時期が来たというなら、こういう問題を取り上げても私はしかるべきであると思いますけれども、何らそういう問題については、われわれ当該委員会としては重要な問題が次から次と出てくることから考えましても、これは了承することができないのであります。  従って、そういうような面から、本日は私これ以上の御質問はいたしませんが、先ほど申し上げましたように、両党間においてこの問題は重要な問題として審議をされておるようでありますから、そういうところから結論を出していただいて、当該委員会としては、本日の参考人方々の御意見を尊重し、当局の御事情もよく考えまして、これに対しては少くとも生産者並びに関係団体の方々が今後の施策について万遺憾なきような形で進められていけるように一つ努力すべきである、私はこのように考えておりますので、私は本日の質問はこれをもって終了いたしたいと思います。
  42. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま松浦先生から北海道の問題につきましてお話がございましたので、ただいま資料を配らしていただきましたが、北海道につきまして、数字的に伺いますと、何か私どものやっておることが逆なような印象にとっておられるのではないかと思いまして、残念でございますので、ちょっと説明させていただきます。  ただいまお配りいたしました資料をごらん願います。これは、北海道から出ますもの、あるいは北海道の中から出て北海道の中へ着くものの二つにつきまして、昨年の運賃値上げの結果どういうふうになっておるかということについての正確な数字を最近まとめましたので、御説明させていただきます。  これは、まず青函航路のキロ程の修正の問題と割引の問題と二つございます。私どもといたしましては、昨年の運賃改正の際には青函航路のキロ程は四百五十キロを百キロだけ短縮するという原案でございました。もし百キロだけ短縮するといたしますと、賃率の値上げ率は一六・八一%になるのでございます。それはこの一番右に書いてございます。それを今度は御審議の途中でぜひ五十キロ延ばせというお話がございました。それで、私どもといたしましても納得いたしまして、四百五十キロを百五十キロ、実に三分の一短縮したのでございます。それによりまして、ここで約二億の金が出まして、結局一四・八九%に落ちております。さらに私どもといたしましては、今までの北海道関係特別割引は、実は昭和二十八年のときに青函航路のキロ程の修正をしなかった代償として割引をさせていただく、これは二十八年のときのはっきりした了解事項になっておりますが、その点を実はやめさせていただくつもりでおったのであります。それは公共割引しの上の欄でございますが、しかし、これはどうしても北海道は困るからとにかく継続しろということで、これも約五億三千万そのまま継続いたしたわけでございます。従って、値上げ率は一一・九%に下っております。さらに、北海道につきましては、遠距離逓減関係で、二千三百一キロ以上が高くなるから、これを考えようということでお話がございまして、それにつきましても、それではということで納得いたしまして、ここで約六百万ばかり追加いたしまして、総体の結論が一一・八七%ばかりになっております。表に書いてあります通り、総車扱い貨物についてだけ申し上げますと、値上げ率が一四・三%、これは小口扱い関係その他関門トンネル等いろいろな関係でプラス、マイナスの面がございますので、差し引きまして、一四・三%でございますが、それを修正して一四・九%になっております。それに対しまして、北海道は一一・八七%でございます。その点につきましては、先生もおっしゃった通り、私どもといたしましても、及ばずながら、北海道発のものあるいは北海道着のものにつきましても、日本全体の運賃値上げ率よりだいぶ低い値上げ率で押えたつもりでございます。輸送につきましても、冷蔵車の配車あるいは有蓋車の配車につきましても、相当無理をして貨車の配車をし、また青函航路の輸送につきましても及ばずながら力を尽しておるつもりでございます。北海道につきましても、私どもといたしましては北海道なるがゆえに冷遇するということでなしに、この表で明らかなように全般の値上げ率よりも北海道が低いということで、その点は数字がはっきり示すわけでございます。その点、どうか私どものやっておりますことに誤解のないようにお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
  43. 本名武

    ○本名委員長代理 赤路君。
  44. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと局長にお尋ねしますが、先ほどの御答弁の中に、調査会の中に専門委員会を持って、そこでいろいろ討議するというお話がございましたが、専門委員会はいつ開かれますか。
  45. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、調査会自体の正確な御意向がまだまとまっておりませんが、七月の二十一日に調査会の総会がございます。その総会の席上で、多分全員にお諮りの上、今後の貨物運賃の取扱いその他の問題について論議があると思います。従いまして、私は単なる事務局でございますので勝手なことを申すことは非常にいけないと思いますが、私どもといたしましての大体の腹案といたしましては、ことしの秋十月か十一月ごろには設置いたしまして、大体六カ月、——その辺もまだちょっと明確になりませんが、大体六カ月くらいの時日を費しまして専門委員会でもって等級問題を論議いたしまして、できれば昭和三十四年度中、あるいはおそくとも昭和三十五年度には新しい等級表でやって参りたいというふうに考えております。
  46. 赤路友藏

    赤路委員 それは今回の特別な措置でなくして根本的な問題の討議、こういうことになるのですか。
  47. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は、貨物運賃だけでありませんで、旅客運賃も含めまして、鉄道運賃全般の根本的な問題と、それから等級問題の具体的な問題と、両方あるわけでございます。たとえば、旅客の方でも、一、二等をどうするという問題もございますので、貨物の方でも、等級問題等具体的問題、それから運賃問題全般の根本問題と、両方あるわけでございます。
  48. 赤路友藏

    赤路委員 貨物の方では今までの等級等のやり方の不均衡な面を是正する、旅客運賃においてもそうだと思うので、これは根本的な検討だと思うのです。しかし、それと今度のこの改正、これとの関連はどうなるわけでしょうか。
  49. 磯崎叡

    磯崎説明員 その根本的な改正は、実は失礼ですが、この等級表では……。たとえば一つ理由としては、これは根本的に改正するわけでありまして、この中に約七千の品物の名前が書いてございますが、たとえば灰皿が何級だというような具体的な適用があるわけであります。このほかに、もう一つ距離別賃率表というのがあります。これは国有鉄道運賃法の付表になっております。そういったものの訂正と申しますか、修正もいたさなければならない。もちろん、運賃の根本的な賃率に触れない限度において、現在の国鉄総裁にまかされておる限度におきましてそれの実施方を調査会にお諮りするということになるわけであります。従いましてそれまでに、今までの二十五年、二十八年以後やりましたいろいろな不合理な点はある程度調整しておきませんと、すなわち、現在の等級表基礎にしての論議になるわけであります。従って、これ以上特に特定の人がメリットを受けておるということを是正しておきませんと、この基準に立って論議ができなくなるわけであります。従って現在のこの一般の九〇%の荷主適用されておる等級表賃率表基礎にして新しい等級表を作るという段階になると思うのであります。
  50. 赤路友藏

    赤路委員 そこのところがちょっとわからぬのです。いずれ根本的に改正するわけでしょう。その根本的に改正するときに、今起っておる問題もその中で検討をするということが本筋じゃないですか。それまでに、今の一割が逓減されておっていろいろと特別な扱いを受けており、あとの九割が受けていない、だからあとの九割のそれぞれの荷主関係の方からいろいろな異論が出てくる、こういうことが主になって、まずそれを直す、それで根本的にあらためて専門委員会等を開いて三十四年なりあるいは三十五年度から一切の改定をやっていく、こういうことなんですか。
  51. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまおっしゃいましたことでございますが、私どもといたしましては、昭和三十二年四月一日現在の等級表なり賃率表基礎にいたしましてこれが国鉄を利用される国民大衆が運賃を払って下さる基礎の規則でございます。これをべースといたしまして、そして、これがいいか悪いか、それから、たとえば新製品の場合にはどうするか、それによって、現在五等級に入っておるものの経済価値が下っておる、従ってそれを下げるとか、すべて現在のものを基礎にした、国民全般の受ける等級表を基準として新しい論議が展開されるわけであります。従いまして、これ以上に特別にやっておるというものにつきましては、それを是正しておきませんと、これの基準にみなが立てないわけであります。従いまして、そのほかのこの九〇%の荷主からは非常に大きなクレームが出てくるわけであります。
  52. 赤路友藏

    赤路委員 それは、論議する場合、今のものの中で大体アンバランスのあるものを是正しておかないと根本的に話し合いができない、こういう御意見だと思うのです。だからそういうあれが出ると思うのですが、これは意見の相違だと思いますからやむを得ません。  それから、もう一点お聞きしたいのは、そういうような専門委員会でいろいろ話し合ってその上で何か関係の業者団体の人等も交えて別に話し合いをする、こういうお話があったように思いますが。
  53. 磯崎叡

    磯崎説明員 その専門委員会の構成につきましては、まだ具体的に検討しておりませんが、先ほど松浦先生の御質問にお答えいたしました通り、前回、昭和二十八年には、その専門委員会を等級審議会と称していたわけであります。その等級審議会には、通産農林その他関係各省はもとより、関係の業界の方にじかに入っていただきました。従いまして、今後も、専門委員会を設けますれば、大体それと同じような形になるのじゃないか。人数も二十五人よりも多少ふえる、大体三十人から三十五人くらいの委員の数でやることになると思いますが、その点は実はその調査そのものの意向がまだきまっておりませんので、私どもといたしましては、そういうような考えで進めていただきたいというふうに考えております。
  54. 赤路友藏

    赤路委員 そうしますと、別途専門委員会のほかにそれができるのでなしに、専門委員会の委員の中に業者の代表の諸君が入ってくる、こういうことですか。
  55. 磯崎叡

    磯崎説明員 さようでございます。
  56. 赤路友藏

    赤路委員 非常に親切なやり方だと思います。そこで、私申し上げたいのですが、それほどこれは根本的な大きな問題ですから、そういう親切味があっていいと思うのですが、今度の場合なぜそういう親切味が出なかったかということです。先ほど局長の御答弁を聞いていますと、非常に明快なのです。まことに明快ですが、また、まことに冷たいのですね。聞いておりますと、何か木で鼻をくくったような形になるわけなのです。たとえば、おっしゃっておったように、三月に官報で出しておる、公示もされておる、それを業者が全然知らなかったということは、業者が関心がない、そういうふうに私はあなたの御答弁を受け取ったわけなんです。確かにそうでしょう。それは業者はぼんやりしていますよ。それほど大きな関心のあるものなら、もっと気をつけるべきだ。しかしながら、国鉄の方としましても、ただ単に一片の官報で出したから、公示をしたのだから、——これはとういう法規があるか知りませんが、これは法的な手続上の問題からいけばそれでいいのでしょう。私もそれでいいと思います。手続上の問題はそれでいいとしましても、国鉄は普通の民営の鉄道ではないはずなんです。少くとも国有鉄道です。今まであったものが一応公社形態をとった。性格が違うと思うのです。だから、今のように、専門委員会を持って、業者の団体も入れて、そうして一つ検討しようという親心といいますか、あたたかみといいますか、それが今度の場合もあれば、——この品目から見ましてもたくさんじゃないのですよ。農協であるとか、あるいは水産関係であるとか、鉱業界であるとか、肥料界であるとか、もうわずかに十指に及ぶ程度のものだと思います。これはやはり、こういうふうな公示を出したから、よく目を通せというくらいの親心とあたたかみは持たなければいかぬと思います。まあ今後のこともありますから、私はそれに対して手続上の誤まりはもちろんあるとは言いません。これはそれでいいわけなんですが、国鉄の性格からいきますと、ある程度のあたたかみは持っていただきたい。今回のこれは、前々から非常に議論のあるところなんです。一つ国鉄の方でも十分お考え願うし、私たちの方でもまた十分、きょうの局長の御意見なり参考人の御意見なりを伺いましたので、検討はさしていただきます。一つ今後十分あたたかいお気持でおやり願いたい、これだけを御希望申し上げておきます。
  57. 磯崎叡

    磯崎説明員 今非常におしかりを受けましたけれども、実は、先ほど私、こういうことは部内のことで、また私どもの中のことで、申し上げるべきことでないと思っておったので申し上げなかったのであります。なるほど、先ほど官報、広報に書いてあると非常に木で鼻をくくったようなことを申し上げまして、まことに申しわけありません。ただ、私どもといたしましては、先ほど三浦参考人がたまたまお読み上げになりましたが、これは三月末に農林省、通産省の関係局長にもこの旨を実はじきじきにお話し申し上げ、正式に書面も差し上げておったのでありますが、こういうことをこの席上で申し上げましてお役所の方に御迷惑をかけてもどうかと思って申し上げなかったのですが、さらに、私どもといたしましては、私どもの方の荷主団体でございます貨物協会がございます。この貨物協会は私どもの方の荷主のほとんど九九%を網羅している会であります。この会の方には私の方から率直にこの話をし、また、各地方の支部でちょうど五月が総会の月でございますので、この総会のときに私どももできるだけ参りまして、この問題についても直接お話を申し上げておったわけでございます。実は、これらはあまりに内部のことでございますので、先ほど申し上げませんで、まことに申しわけございません。
  58. 本名武

    ○本名委員長代理 参考人各位には御多忙中御出席いただき、ありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十六分散会