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磯崎説明員 それでは、ただいまお配りいたしました資料につきまして、私
どもが考えておりますことの御
説明をさせていただきます。
まず第一に、現在いろいろ問題になっておりますことは、いわゆる
公共政策割引という問題であります。私の方の
旅客運賃にいたしましても
貨物運賃にいたしましても、一応
日本国有鉄道運賃法の定めるところによりまして
旅客並びに
荷主から
運賃をいただいておるわけでございます。その
運賃法によりまして、
旅客につきましては
旅客運賃の細目、または
貨物につきましては
貨物運賃の
賃率並びにそれの
基礎になります
貨物運賃等級表というものがございます。これによりまして
貨物運賃を収受いたしておるわけであります。ただいまお手元にお配りいたしましたのは、その本来ならば
貨物等級表によりまた
貨物賃率表によって収受すべき
運賃から特別な
理由によって割り引いているものにつきまして拾った
数字でございます。これは、最近まとめました
昭和三十二年度の具体的な
実績によりまして、
割引をいたしております各
物資全般の
数量をまとめておるものでございます。また、
割引の
基礎は、
日本国有鉄道運賃法第八条によりまして、
日本国有鉄道総裁がこれを定めることになっておりますし、また、定めましたものは官報並びに公報に公けにすることになっております。
以下三十二年度の
実績について申し上げます。
大ざっぱに申しまして、大体
割引しております
品目は約百十
種類ぐらいございます。そのほかの私の方で輸送いたしております七千数百の
物資のうちの
残りの七千何百というものは、
割引を一切いたしておりませんで、あくまでも
運賃等級表並びに
賃率表によって
正規な
運賃を収受しておるわけでございます。
第一枚目の表を
ごらん願いたいのでありますが、今
割引しております
貨物の全体の
トン数はどのくらいかと申しますと、その
トン数の欄の一番下にございます。千六百六十一万九百五十二トン。千六百万トンと申しますと、ちょうど私の方で輸送いたしております
物資が年間約一億七千万トンでございます。一億七千万トンの約十分の一が
運賃の
割引の
適用を受けておるわけであります。また、
農林水産関係の
物資は、全体で一億七千万トンのうち約四分の一ございまして、約四千万トンございますが、四千万トンのうち千六百万トンだけが
運賃の
割引を受けているわけでございます。これを私の方の
正規の
等級表並びに
正規の
賃率表によりまして
運賃を計算いたしますと二百二十五億三千六百万円であります。そのまん中の欄の
所定運賃という欄にございますが、約二百二十五億になるわけでございます。それに対しまして各
物資ごとに、後ほど御
説明いたしますいろいろの異なった
割引の率を
適用いたしまして、そうして実際に三十二年度に
割引を実施いたしました
実額が二十三億七千七百万でございます。すなわち二十三億の
割引額でございますが、これは大体
国有鉄道の
貨物運賃の総
収入に対しまして一・七%くらいの
割合に当るわけでございます。
以下
品目別に申し上げますと、
木材類におきまして約十億、
薪炭類におきまして約三億八千万、
魚介類におきまして二億二千万、
野菜類におきまして一億七千万、生果物におきまして二千九百万、
雑穀類が四千四百万、
食料品が七千二百万、
家畜類が千六百万、
肥料類が四千二百万、農機具が四百万、
わら工品が四千三百万、以下
通産関係になりますが、
無煙粉炭が一億三千八百万、
鉱石類が一億三千六百万、その他として、これは
通産関係のその他でございますが、約千四百万、合計いたしまして二十三億という膨大な
割引を三十二年度に実施いたしたわけでございます。
しからば、その
割引額は具体的に各
物資別にどうなっているかということを申し上げますと、次の表をおあけ願いたいと思います。
次にございます表は、標題が「
公共政策割引貨物の
品目別割引率調(
昭和三十二年度
実績)」という表がございます。ただいまの第一表の
分類をさらに若干こまかくいたしまして、と申しますことは、第一表の
大分類の中でも
いろいろ割引率が違っておりますので、一応
割合に
輸送数量の多い
品目だけを抜きまして、各
品目につきまして
割引率を
ごらんに入れますと、その第
二枚目の表のようでございます。すなわち、まず
普通等級、
特別等級というところがございます。すなわち、本来ならば、私の方の
貨物運賃は、先ほど申し上げました
通り、
一般のあらゆる
種類の
貨物を約十五の
等級に
分類いたします。これは、主として物の
価格による、いわゆる
負担力主義の
運賃と申しまして
トラックの
運賃などと全く異なりまして、
貨物そのものの
価値によって、高い
貨物からはよけい
運賃をとる、
値段の安い
貨物からは安い
運賃をとるという建前が実は
国有鉄道始まって以来ずっと現在までとられてきております。
トラックにつきましては、その
貨物の
値段が高かろうが安かろうが同じ
運賃をとっておりますが、
鉄道運賃と申しますのは、
値段の高い
貨物からはよけい
運賃をとる、
値段の安い
貨物からは少い
運賃をとる。この
分類をいたしますために、全体の
貨物を十五の
等級に
分類いたしまして、物の
価格によりまして
分類いたしております。それが一級から十二級まで、それから二十台をつけましたのは特別のものでございます。すなわち、本来ならば一級から十二級までに全体の
貨物を
分類しておるのでございまして、そこに書きました
普通等級の六とか八とか申しますものが大体本来の
そのものの
価格から参りました
等級に該当するわけでございます。すなわち、たとえば
木材類で申しますれば、
パルプと不
工製材に分けまして、
片方が六級と
片方が八級、
薪炭類が八級と五級。数が少いほど
運賃が高く、数が多いほど
運賃が安いわけでございます。次に、それのうちからさらに、
生活必需物資というものだけにつきましては、これはやはり
等級審議会の議を経まして、ある程度の値引きをいたしております。すなわち、
等級上
特別等級というものを設置いたしまして、これを二十から二十一、二十二、二十三と、二十台の番号をつけて呼んでおります。そうして、
特別等級にいたしますために、
普通等級から相当の
割引をいたして
特別等級を作っておるわけでございますが、その
割引の率がそこに書いてございます
引き下げ率であります。すなわち、たとえば上から三番目の
鮮魚で申しますれば、
下級鮮魚の本来ならば五級であるものが、
特別等級で二十二級に下っておる。その
割引率は二割二分だ、こういうふうに
ごらん願いたいのであります。すでに
特別等級を作りましたときに約二割前後の
割引をいたしまして、
生活必需品につきましては
引き下げをいたしておるわけでございます。すなわち、この
特別等級までが
国鉄を利用されますあらゆる
荷主があらゆる場合において
適用される
運賃でございます。
そうして、以下がいわゆる
公共政策割引というものでございます。そこに書いてございます
通り、
公共政策割引は
最高最低の
種類が非常にたくさんございます。
最低一分から
最高六分まで、あるいは一割一分から一割七分まで、あるいは二割二分から出発するもの等、
ごらんの
通り品目によりまして非常にさまざまな違いができております。その違いの一番大きな
理由は、昨年の
運賃改正の際に、
遠距離逓減と申しまして、
遠距離に行くほど
運賃が安くなっておる、その
運賃が安くなっておるのを若干修正いたしましたために、
遠距離につきましてはある程度の
割引をいたしまして、
最低一分から六分までという
割引をいたしましたので、それが加わりましたために、
ごらんの
通りこういう非常に
内容のばらばらな
割引率になっておるのでございます。それを
距離別、
数量別に平均いたしまして、すなわち加重平均いたしますと、その次の
平均割引率、これは
実績でございます。これらを実際に
昭和三十二年度に私の方で輸送いたしました
数量と輸送いたしました
距離におのおのあてはめてその
割引率を出しますと、
ごらんの
通り、
平均割引率と申しまして、
木材類が、不
工製品が一三%、
パルプ材が二一%、魚類が六%というふうに、
ごらんの
通りさまざまな違いがあるわけでございます。従いまして、
普通等級のものをさらに
特別等級に下げて、その下った
特別等級からさらにこの特殊な
物資だけ、すなわち全体の
輸送数量のうちの一割程度のものだけを特別にこれだけ
割引しておるというのが現在の
割引の
内容の実態でございます。
普通等級からどれだけ下っておるかということにつきましては、この
引き下げ率と
割引率を
ごらん下さいますと、大体御見当がおつきになると思いますが、大体
最高三割三分の
割引をいたしておるわけでございます。この
割引率によりまして計算いたしましたものが、先ほど申し上げました二十三億、
木材の十億を初めといたしまして全体が二十三億という膨大な
数字に実は上っておるわけでございます。
次に三枚ばかり表がございますが、これは今申しましたことを簡単に
グラフに書きましてお示ししたものでございます。この
グラフは三枚とも同じ
趣旨でございますが、ただ、
品目が、一番初めが
鮮魚、次が
バレイショ、次が
木材というふうに異なっております。一番上の
鮮魚だけについて申し上げますと、まず
普通等級ならば五級で、この一番上のまっすぐな線でございます。これは下が
距離でございまして、縦が
運賃の
実額でございます。この
普通等級を
特別等級二十二級でもってこの長短の
点線のごとく下げておるわけでございます。すなわち、
遠路離に行くに従ってこの差額が大きくなっていることは、これは
ごらんになるとおわかり下さることと思いますが、これをさらに五百キロ以上につきまして、その下のこまかい
点線のごとくこれを割り引いていくわけでございます。実際、
普通等級を一〇〇といたしますと、
特別等級は七八、
割引額は七四というふうに下っておるわけでございます。
次の
二枚目三枚目は同じ表でございますので、重複いたしますから省略させていただきますが、
二枚目が
バレイショ関係、三枚目が
木材関係、大体
趣旨は同じ
趣旨の表でございます。
次の「
設定品目から見た
割引品目数調」という表がございます。これは、先ほど申し上げましたごとく、全体の、
貨物運賃等級表という、私の方で実際
荷主から
運賃を収受いたします際の七千ばかりの
品目を、千三百に圧縮いたしまして、その圧縮いたしましたこの千三百の
物資が、先ほど申しました
通り十二の
等級に分れているわけでございます。これを
品目別に
ごらん下さいますと、そこに掲げました
通り、全体で千三百六十の
品目がございます。しかし、具体的な
品物の数は約七千くらいあります。と申しますことは、大体
価格の同じような、また性格の同じ
物資を一括しておりますので、
品目としては減っておりますが、全体としては、私の方の輸送いたします
物資は、この約五倍くらいの品種になっておるわけでございます。このうちで今の
特別割引が
適用されておりますのは、そこに書きました
通り百十五
品目、すらわち、
鉱産品が八、
林産品が十六、以下これがないところもございます。あるいはわずかしかないものもございますが、いずれにいたしましても、全体で百十五
品目。結局、この
割引を受けていない、当然普通の
運賃によって普通の
等級を
適用されているものが千二百四十五
品目あるわけでございます。すなわち、全体の約一割弱のものだけがこの
割引の
適用になっておるわけでございますが、全体の
運賃の
割引額から申しますと約二十五億という勘定になっております。
ただいままで御
説明申し上げましたのは、現在私の方でやっております
公共政策割引の
実情でございますが、この
公共政策割引につきましては、従来とも、これを一年に限りまして、毎年毎年
内容を
検討いたしまして、それを更新しておる、また場合によりましては年度途中におきましてその
割引額についてある程度減少を見ることもある、あるいは場合によってはその
品目につきましても変更することがあるということをやって参りましたのでございますが、今回、
昭和三十三年の三月末でもって一応切れます現在の
割引を、一応二カ月間現在延長しておるわけであります。二カ月間延長いたしました
理由は、ほとんど
国鉄運賃史上始まって以来の膨大な
割引をいたしましたその
実績を
検討いたします際に、どうしても二カ月くらいかかる、と申しますことは、約四千の駅から発着する
品物につきまして全部
調査いたしますと、具体的に
割引の
適用のあったもの、ないもの、すっかり
調査いたしますと、どうしても約一月半ないし二月かかりますので、約二カ月延ばしまして、この
実績について再
検討を加えるという意味で、六月末まで延長しております。六月末まで延長いたしますと、自動的に落ちることになっております。
さて、これに対しまして、私
どもといたしましてはいかなる
措置を考えておるかと申しますと、とにかく全体の額にいたしますれば、二十五億、私の方の
運賃収入の二%になんなんとする巨大な額でございます。しかも、
経済界一般の不況を当然大きく
国有鉄道として受けまして、この二%も決してゆるがせにできないというような
実情から、私の方といたしましては、ある程度
割引額を削減していただきたい、減らしていただきたいという、お願いと申しますか、そういう考えを持っておるわけでございます。削減いたします率は大体私
どもの案では二分の一ないし三分の一、逆に申しますと二分の一から三分の二は残すということでございます。たとえば、現在一割の
割引をしているものは五分ないし七分は残す、こういう考え方でございます。また、百十五
品目につきまして、どの
物資をやめてどの
物資を残すということは、
物資相互間の中においても非常に問題がございますので、これはやらない。もし削減をするならば、これは非常に能のないような話でございますが、一応一律に現在
適用しております百十五
品目につきまして二分の一ないし三分の一の率を削減いたしたいというふうに考えておるわけでございます。これによりまして、私
どもといたしましては、ある程度の
収入の増加が期待できるということが第一点であります。
もう一点は、
ごらんの
通り、先ほどから申しました
通り、この
割引の
適用を受けておりますのは、全体の一割弱のものでございます。そのために、
荷主の側から申しますと、
鉄道を利用される数万の
荷主大衆の側から申しますと、特別なある
品目だけが
割引を受けておる、おれ
たちはお前の方できめている
賃率表、
等級表のままの
運賃をとられておる、非常に不公平じゃないか、しかも、近ごろのように非常にいろいろの
産業が
発達して参りますと、どの
物資が
生活必需品でどの
物資がそうじゃないということの限定はむずかしい、何人もこの
物資はボロだから、くずだからといってこれは
生活必需品じゃないとは言えないというようなお話もいろいろございます。約七千の
品目につきまして一々話を伺いますと、どれもこれもやはり私
どもの
生活に関連のある
物資であります。それらのうちの約一割だけについてこういった特別の
措置を講じていることは、
残りの九割の
荷主の側から見ますと、この二十五億の
運賃の減収が自分のところに
しわが寄せられるんじゃないかというような非常に大きな
心配を持っておるわけでございます。すなわち、この百十五
品目の
荷主のほかの
荷主は、この
運賃の
割引については不満な
意見を持っておるわけでございます。と申しますのは、さらにそれがどういうふうになるかと申しますと、現在私の方できめております
等級表は
昭和二十八年に策定したものでございます。大体今までの例から申しますと、いろいろ
科学技術の
発達その他で大体五年に一回くらいこの
貨物等級表を
改正する必要に迫られております。と申しますことは、いろいろ
産業、
科学の
発達で新しい
製品ができて参ります。新しい
製品ができますと、まずその
製品を何級に格づけすべきかという問題が当然起って参ります。と同時に、その新しい
製品ができましたために、今までの既存の
製品の
経済価値に当然変動を生じてくるわけでございます。従いまして、今まで五級であったものを六級に下げるのが当然だというようなことで、その新
品目ができるに従ってほかの
品目にも非常に大きな影響を来たすわけでございます。たとえば、
化学繊維ができたので
繊維製品の
市場価値がうんと下っているのも
一つの例でございます。そういった例が各般の面におきまして起っておるわけでございまして、いろいろな
荷主から現在の
等級を下げてくれという御要望が非常に強いわけでございます。従いまして、私
どもといたしましては、大体来年、おそくとも
昭和三十四年度中にはこの
等級改正をやらなければならない
段階に追い込まれております。それをやりますには、どうしても一年間くらい
予備調査が要ります。と申しますことは、数千の
貨物の
値段を、全部、荷作り込み、
税込み価格を調べなければなりません。しかも、おのおのの
荷主につきまして具体的に
調査いたしますので、非常に手間がかかります。約一年間の歳月を要するのが今までの実例でございますが、大体ことしの秋を基準といたしましてこの次の
等級改正の準備をなさなければならない
段階にあります。その際に、この現在
割引いたしておりますものは、もしそのまま
割引額をのんだまま新しい
等級に入るということになりますと、ほかの現在の九〇%の
荷主は、これはとても黙っていない。これは暫定的にやったものだ、おれ
たちがその
しわを寄せられてはかなわぬということで、非常に大きな問題が起きることは火を見るより実は明らかな状態でございますので、私
どもといたしましては、ある程度この
政策割引については手をつけたのだ、そうして調整したのだということを
前提として新しい
等級表を作りませんと、今後の
等級表を作ります際に、今
割引をしている
物資の
方々が非常に損害をこうむられるおそれがあるという
心配が実はあるわけでございます。これは、ことしの秋から作業を始めます際に、どうしてもその
前提としてこれを調整しなければなりません
一つの問題でございます。
さらに、次の問題といたしましては、実は先ほど
グラフで
ごらんの
通り、私
どもの
運賃は、
遠距離に参るに従って
キロ当り運賃はずっと安くなっております。すなわち、
グラフで
ごらんの
通り、四十五度の角度では進んでおりません。四十五度より鋭角でもって
運賃の
賃率が進んでおります。と申しますことは、
日本の長大な地形の
関係からいたしまして、どうしても
長距離物資輸送が必要だという
関係からいたしまして、こういった
遠距離逓減の
運賃制度をとっておるわけでございますので、
遠距離に行くに従って
運送原価を割ることは確かであります。この割りました
運送原価をどこでカバーするかと申しますと、
近距離輸送でカバーしておるわけであります。約二百キロないし三百キロの
運賃でもって多少
運賃の
原価より上回る。その上回った
原価でもって
遠距離物資の
運賃をカバーしておるということが
遠距離逓減の
内容でございます。さらに、
品目別に申しますと、先ほど申しました
等級の中で一から上の方の四か五までのところ、すなわち高い
貨物の
運賃でもって低い
貨物の
運賃をカバーする。
原価的に申しますと、
等級の高い
運賃でもって
等級の安い
運賃をカバーしておる。この二つの縦横の
関係で、
物資別に申しますれば、物の
値段の高い
運賃でもって物の
値段の安い
運賃をカバーしていく、
距離的に申しますれば、
近距離の
運賃で
遠距離の
運賃をカバーしている、これが
国鉄運賃制度の
現状でございます。
ただし、この
現状は、実は
鉄道が
陸上輸送のほんとうのただひとりの
独占者であった時代の
運賃制度のなごりでございます。御承知の
通り、現在
トラックの
輸送距離が二百キロないし三百キロに伸びております。しかも、
トラックの
運賃制度は、先ほど申しました
通り、
等級は一切ございませんで、高級品でも下級品でも同じ
運賃、ただ、かさが大きいとか、荷役がしにくいというものは割増しはございますが、
貨物そのものの経済
価格による
運賃の差異はないわけでございます。従って、
等級別に申しますれば、私
どもの方から、高い、当然
運賃をよけい取りたいという
貨物は、どんどん自然的に
トラックに流れるわけでございます。また、
距離別に申しますれば、二百キロ以内、三百キロ以内の
近距離のものは、私
どもの方では
遠距離逓減する財源としなければならない。その
近距離の
貨物はどんどん
トラックに流れる。それは
トラックの性格から言って、またやむを得ない。道路の
発達とともにこうなるのは宿命だと存じますが、こういった意味で、
遠距離逓減の一番
基礎になります
近距離の
貨物が減っていくということ、そうして大きな
基礎になる
等級の高い
貨物が減っていくということ、この二つによりまして、
国鉄の
貨物はどういうものが残るかと申しますと、
遠距離のしかも非常に安いものだけが
国鉄に残るという
現状になっておるわけでございます。これは諸外国の例を見るまでもなく、私
どもの方の
国鉄の
実情から申しましても、統計を調べますと、毎年々々高級品が減っていって、低級品の
割合がふえている。毎年々々
貨物の足が長くなっておる。現在私
どもの方の平均輸送キロが二百八十キロ、
昭和十五年ごろは百八十キロで、ちょうど百キロ足が延びておる。百キロ足が延びておるということは、それだけ高い
貨物が減ったということでございます。
そういうような状況からいたしまして、
等級的に申しましても、また
距離的に申しましても、今後の
国鉄の
貨物運賃というものは、どうしても
遠距離の、しかも低級の
貨物の
運賃をどうするかということを解決しない限り、りっぱになってはいかないというふうに考えるわけであります。
それにいたしましても、さらにその制度よりももう
一つ割引いているというこの
特別割引については、ある程度手を入れなければ、どうしても全般の
貨物運賃のバランスがとれなくなってくるということが考えられるわけであります。実は、私
どもでは、この問題に着目いたしまして、昨年の秋から、私
どもの中ではございますが、
日本国有鉄道の
運賃制度調査会というものを設けまして財界、学界、評論界、その他各界の
方々二十五名の委員を委嘱いたしまして、すでに十数回の会合を持ちまして、新しい
貨物運賃の問題のあり方を探しております。この
調査会は、いずれ先ほど申し上げました
等級問題も取り上げることとなると存じますが、それにいたしましても、現在の
トラックとの
関係から申しまして、この不合理な
距離別、
等級別の
運賃制度からさらに下回ったこの
特別割引制度については、ある程度これを調整しなければ、今後私
どもの
貨物運送としては非常に大きな問題に逢着すると考えておるわけでありまして、この際私
どもの考えておりますことは、そういった
趣旨からいたしまして公共政策
物資の
割引に対する調整をいたしたいと考えておるわけであります。