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飛鳥田委員 もうこの議論はやめますが、私は別に国防の充実などを望んでおりません。これは明確にさしていただきたいと思います。今のお話で、予備自衛官、あるいは徴兵
制度についての態度がわかりました。そういうものを当然含めて一万名増員を御決定になるだろうということもわかりました。しかしさらに、私
たちしろうとでありますが、自衛隊の内部を見て参りますと、幾つかの矛盾を発見します。たとえば千歳の基地には、飛行機としてF86Fがおります。これが六十機おるはずです。それからT33が八機あるはずです。ところがそれに対してパイロットは三十人しかいないじゃないですか。その六十機、そしてT33が八機とすれば、六十八台です。六十八台に乗れるパイロットが三十人しかいない。どうやって動かすのでしょう。石橋君のヤジにありました
ように、飛行機はスペアにしておくというのならけっこうですが、金を出しているのは
国民ですよ。しかもF86Fというのは昼間機のはずです。夜は飛べないはずです。あなたのお説によれば、私
たちはそんなことはないと思いますが、敵機が夜来るかもしれない。昼間だけしか役に立たない自衛隊、いやに皮肉っぼく言いますが、
現実はそうです。そしてまた整備の問題を見ましても、米軍は一機に対して三十人整備士を持っているはずです。自衛隊は一機に対して五名整備士を持っているだけである。だから従って、自衛隊の飛行機はいつでも落ちるという迷信が国内にみなぎっている。先般も
委員長さんがお乗りになりたいというので、落ちない飛行機を世話してあげて下さいといって笑ったのですが、五名しか整備士がいない。こういうことをそのままにして一万名増員するというのはどういう
意味ですか。今日本に加えられる攻撃などというものを私
たちは
考えませんが、誤解があるといけませんから
考えませんが、しかし、いろいろな
防衛庁の側に立った軍事評論家、あるいは
防衛庁の中の方で、たまに本に執筆をなさる方、こういう
方々の御
意見を見ると、攻撃はまず空から来るというのは、もうだれでもが決定している前提です。ところが一万名に人間をふやして、飛行機の方は昼間しか使えない飛行機、しかもその飛行機に対して一台五名しか整備士を持っていない。パイロットも飛行機の半分しかいない。こういう
やり方はどうでしょう。
さらにまた、もう時間がありませんので続けて伺いますが、徳島の基地に最近MDAPでもらったS2Fという対潜哨戒機があるはずです。アメリカから十八台もらったはずです。これは動いておりますか。これに必要な。パイロットの数がそろっておりますか、整備士の数がそろっておりますか。少くとも私
たちがいろいろな業界紙その他で拝見いたしました限りでは、半分くらいしか動いていないということであります。さらにまたP2Vを六十機作られる、この間こういう御決定があったそうですが、しかしP2Vの六十機の製作にとうてい足りない、こういうことで年次計画を減らしていくという話があります。これも事実かどうか伺いたいと思いますが、ところが最近は、さらにP2Vの段階を越えかかっているのじゃないでしょうか。
一般のシュノーケル型の潜水艦でいくならば、P2Vである程度発見できる。ところが原力潜水艦というものはもう発見できないのじゃないか。もうP2Vの性能の範囲を越えているのじゃないか。こういうことを
考えますと、もう世界の科学の水準にどんどんおくれていくのに、一番おくれている自衛隊の陸上一万名の増員、こういうことをお
考えになるのはなぜか。私
たちがごく私
たちなりの主観で
判断すれば、もう自衛隊の皆さん方は外国の問題に対して棄権をなすった、権利を捨てた。そして国内の労働運動なり、いわゆるあなた方の目からごらんになった不逞のやからを弾圧するために陸上兵を増員するのだ、こう言わないわけにいかないと思うのです。どこをどうつついていってみたところで、日本の対外戦闘力を増力するための一万名増員だとは私には思えない。にこにこお笑いになった平和愛好の自衛隊という仮面のもとに、実は日本の民主主義を弾圧する底意が動いておる、私はこう言わないわけにいかないのです。現に、これはあなた方の責任ではありませんが、いろいろな軍事評論家あるいはその他の
方々の書いたものを拝見いたしておりますと、今までの
ような直接侵略に対してどう対処するかという議論をするよりも、間接侵略に対してどう対処するかという部分の御議論が非常にふえてきました。ここに何とはなしにお互いのあなた方の気持の
表現があるのじゃないか、こういう
ような解釈さえ私
たちはせざるを得ないわけです。先ほど申し上げました
ような事実、千歳における。パイロットと機数の差、あるいは整備士の非常に少いこと、そうして昼間戦闘機しか持っていないということ、あるいは徳島のS2Fが動いていないということ、P2Vそれ自身の年次計画が減っているということ、そうしてこれが時代おくれになりかかっているということ、こういう
ような事実、それはもちろんやるとおっしゃるでしょうが、この問題をある程度そのままにしておいて、一万名増員の御議論は一体何であるかということを、非常にくどい
ようでありますが、もう一度伺わさしていただきたいと思います。そうしてさらに、私が先ほどひがんで申し上げました
ような間接侵略、あるいは国内における労働運動その他の弾圧用としての自衛隊ではないということを、ここで再度御確認をいただいておきたいと思います。