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1958-07-08 第29回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月八日(火曜日)     午後二時三十四分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 岡崎 英城君 理事 高橋 禎一君    理事 前田 正男君 理事 山本 正一君    理事 受田 新吉君 理事 木原津與志君       今松 治郎君    植木庚子郎君       始関 伊平君    田村  元君       高橋  等君    富田 健治君       町村 金五君    山崎  巖君       淡谷 悠藏君    石山 權作君       柏  正男君    中原 健次君       西村 力弥君  出席政府委員         調達庁長官   丸山  佶君         防衛政務次官  辻  寛一君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君  委員外出席者         議     員 赤路 友藏君         防衛庁参事官         (人事局長)  山本 幸雄君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    橋本正次郎君         農林事務官         (農地局管理部         長)      庄野五一郎君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 七月三日  委員田中龍夫君及び石山權作君辞任につき、そ  の補欠として福永健司君及び神田大作君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員福永健司辞任につき、その補欠として田  中龍夫君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員神田大作辞任につき、その補欠として石  山權作君議長指名委員に選任された。 同月八日  委員茜ケ久保重光君及び八木昇辞任につき、  その補欠として西村力弥君及び淡谷悠藏君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員西村力弥君及び淡谷悠藏辞任につき、そ  の補欠として茜ケ久保重光君及び八木昇君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 七月三日  水質汚濁防止法案赤路友藏君外四十二名提出、  衆法第一四号) 同月三日  長野県の寒冷地手当等増額に関する請願外一件  (小坂善太郎紹介)(第三八八号)  同(小坂善太郎紹介)(第四〇四号)  北安曇郡及び大町市の寒冷地手当増額等に関す  る請願下平正一紹介)(第三八九号)  下伊那地区寒冷地手当増額等に関する請願(  中島巖紹介)(第三九〇号)  福島県の寒冷地手当増額等に関する請願外二件  (野口忠夫紹介)(第三九一号)  寒冷地手当等増額に関する請願石田宥全君紹  介)(第四〇二号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第四〇三号)  北海道寒冷地手当等増額に関する請願(正木  清君紹介)(第四〇五号)  会津高田町の寒冷地手当増額に関する請願(八  百板正紹介)(第四〇六号)  秋田県の寒冷地手当等増額に関する請願外一件  (柳谷清三郎紹介)(第四二四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  水質汚濁防止法案赤路友藏君外四十二名提出、  衆法第一四号)  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  去る三日本委員会に付託されました水質汚濁防止法案議題とし、提出者より提案理由説明を求めます。赤路友藏君。
  3. 赤路友藏

    赤路友藏君 ただいま議題となりました水質汚濁防止法案につきまして、提案者を代表いたしまして、その提案理由を御説明申し上げます。  申し上げるまでもなく水は国民生活にとって最も重大な関係を持っており、水質管理が正しく行われるかいなかは、国民の生存と産業発展にとって、絶大な関係を持っております。国民福祉のためには、飲料水清浄にして病源菌及び有毒物質を含まず、魚貝は良好な生活環境を与えられ、農作物は良質の灌漑水に恵まれるよう管理されねばなりません。工業発展もまた、良質工場用水を得るかいなかによって左右されること論を待ちません。  しかるに国民の繁栄と福祉にとって至大な関係を有する水質管理重要性がほとんど無視され、公共用水域汚濁するにまかされているのがわが国の現状であります。ことに戦後の都市人口の飛躍的な増大、各種鉱工業の急激な復興発展に伴い、これら関係施設から排出される汚水廃水等の量が著しく増大し、農水産業はもとより、公衆衛生に及ぼす被害が激増し、これら排水等放出をめぐる紛争が年とともに激化していることは、最近発生いたしました本州製紙問題、富士フィルム工場汚水放出による酒匂川のアユ全滅問題を初め幾多の事件が示す通りであります。以上のように水質汚濁に基く被害が続出し、それにかかる紛争が激化するにつれ、水質汚濁防止並びにこれにかかる紛争解決の急務が痛感されるに至ったのであります。この法案は、このような事態にかんがみ、ぜひとも必要と考えられる水質管理を実現し、公共用水域における水質汚濁防止するとともに、工場事業場から排出される廃液等にかかる紛争に関し、あっせん調停及び仲裁を行うことによって公衆衛生向上水資源及び水産資源保護をはかり、あわせて工場事業場から排出される廃液等にかかる利害関係者間の利害の調整に資することを目的として立案いたしたものでございます。  内容を簡単に御説明申し上げますと、まず第一に、効果的に水質汚濁規制を行うために次のような措置をとることといたしております。  一、公共用水域のうち、公衆衛生向上水資源及び水産資源保護の見地から水質清浄を確保する必要がある水域を、その水域汚濁に密切な関係を有する地域とともに、水質汚濁規制区域として指定することといたしております。  二、水質汚濁防止委員会は、前項規制区域を指定いたしましたときは、関係行政機関の意見を聞いて、当該規制区域にかかる水質汚濁許容基準を定めることとなっております。規制区域内において委員会規則で指定する事業を行う工場事業場設置しようとするものは、水質汚濁防止委員会にその事業計画書を添えてその旨を届出、許容基準の指示を求めねばならないことになっております。  三、この法律規定により廃液等許容基準が定められた工場事業場事業主は、廃液等許容基準適用期日以後は、当該廃液等許容基準を越えて廃液等を排出してはならないことといたしました。そして事業主がこの項の規定に違反したときは、当該事業主に対し、期間を定めて除害施設設置または改善その他の措置をとるべき旨を命ずることができることを規定いたしました。  四、水質汚濁防止委員会は、事業主前項前段規定に違反し、かつ当該工場事業場から排出される廃液等により著しい被害があると認められる場合においては、当該事業主に対し、除害施設設置または改善その他の措置をとるべき旨を命ずるとともに、当該措置がとられるまでの間、その業務の全部または一部の停止を命ずることができるようにいたしております。  五、規制区域内において委員会規則で指定する事業を行うため、新たに工場事業場設置しようとするものは、あらかじめその廃液等処理方式につき水質汚濁防止委員会許可を受けなければならないことといたしました。従ってこれらの事業主は、その許可を受けた後でなければその事業を開始してはならないわけであります。  第二に、パルプ工業製紙工業繊維工業その他事業の遂行上廃液等により水質を著しく汚濁するおそれのある事業で、別に法律で定めるものの工場事業場事業主は、その業務上排出する廃液等によって他人に損害を与えたときは、その損害を賠償せねばならないことといたしました。いわゆる無過失賠償規定であります。  第三に、紛争処理についてでありますが、次のように規定いたしました。  まずあっせん調停についてでありますが、工場事業場から排出される廃液等による被害に関して紛争が生じたときは、関係当事者委員会規則で定める手続に従い、水質汚濁防止委員会に対し、紛争解決につき、あっせんまたは調停申請することができることとするとともに、右申請があったときは、委員会当該紛争解決につきあっせんまたは調停をしなければならないことといたしました。すなわちあっせんまたは調停は、当事者の一方の申請によって行い得るようにいたしたわけであります。  二、仲裁申請は、双方の合意によらねばならないことといたしました。これは水質汚濁防止委員会の行う仲裁については、この法律に別段の定めがある場合を除いて、仲裁委員仲裁人とみなして、民事訴訟法第八編の規定を適用することとし、その効力を一段と強めることといたしたことによるものであります。  第四に、以上の主務官庁として、国家行政組織法第三条第二項の規定に基いて、総理府の外局として水質汚濁防止委員会設置することにいたしました。そしてこの委員会が強力な水質管理機能を発揮することができるよう、現在関係各省に分有されております水質管理汚水防止に関する権限をできる限りこの委員会に統合することといたしました。なおこの委員会には強力な事務局を置き、全国八ブロックにその支所を置くこととなっております。  第五に、水質汚濁防止の完璧を期するため、除害施設に対する助成を行うことといたした点であります。すなわち国は、規制区域内の工場事業場事業主に対し、当該工場事業場除害施設設置または改善に要する経費の一部を補助し、または当該設置または改善に要する資金の融通についてあっせんをすることができるよう規定するとともに、他方で地方税法の一部を改正して除外施設に対する固定資産税を免除することといたしました。  第六に、この法律の厳格な実施を保証するために、罰則を規定し、正直者がばかを見るようなことのないよう配慮いたしました。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。     —————————————
  4. 内海安吉

    内海委員長 次に国の防衛に関する件につきまして調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。淡谷悠藏君。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 防衛庁にお伺いいたしますが、去る四月二十二日に茨城県の百里原開拓地でございますが、ここにジープの先導で西松建設というのがダンプ・カーに資材を積み込んで、土工たちを数十名動員いたしまして、全く地元反対を暴力で押しのけまして資材を搬入しまして、飛行場基地の拡張を行おうとした事件があります。この防衛庁のやりましたやり方に対して、地元農民が非常に激高いたしまして、いろいろ混乱が生じたということがあるのでありますが、これを口実にして警察当局は四月二十六日に家宅捜索を行い、約七名の農民を逮捕投獄したのであります。ちょうどこれは国会の解散のときでございまして、こうした挑発による騒ぎを理由に、相次いで地元農民たちを大量に警察へ呼び出して取調べを行い、この飛行場建設反対を続けて参りました地方民に大へんな圧迫を加えた事実がございます。しかも選挙中と農繁期、これを利用いたしまして、こうしたやり方がますますひどくなって、最近になりましてから、五月十八日の未明ですか、東京、土浦、水戸などのトラック業者に秘密に連絡をしまして、たくさんの砂利、セメントなどの基地建設資材を積み込み、朝の三時ごろに茨城県の奥ノ谷というところに結集させまして水戸—大和田小川線の道路を大きく回って百里原へ向けまして、午前四時過ぎに見張小屋におりました反対同盟の見張員との間に非常にあつれきが生じたのであります。一方この多勢の暴力的な侵入に驚きました反対同盟農民諸君が早鐘をたたいて動員しまして、武装警官約八十名と乱闘したという事件が起ったのであります。この百里原飛行場建設を、なぜこのような暴力的な手段に訴えて、しかも多数の反対者がいるのに強行しなければならないのか、その理由を一つ御説明を願いたいと思います。
  6. 山下武利

    山下説明員 百里原飛行場は御承知のように防衛庁といたしまして、航空団を置きます関係からぜひとも早く完成したいという希望を持ちまして地元といろいろ折衝もいたし、また工事の方の計画も進めておるわけでございます。今お話しになりました工事は、すでに買収を終りました土地に隊舎あるいは格納庫というような地上施設建設いたしますためのものでございます。請負業者はおそらく防衛庁との間の契約に基きまして、その完成期日におくれないように施行を進めて参る関係から、いろいろと地元折衝もいたして、工事が円滑にいくようにいろいろと努力をいたしておることと思うのでございます。今お話がございましたように、工事資材の搬入に当りまして地元反対を受けましたために、若干のいざこざが起ったということは聞いております。しかし請負業者の方といたしまして別に不法の行為をとったということは私は聞いておらないのであります。今後とも工事の監督に当りまして、請負業者の方にもその点十分注意をして参るようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 こういう事件を若干のいざこざという認識では、将来非常に大きな問題をかもし出します。一体防衛庁は全体の計画をした場合に、部分的にまだ買収のできない土地がある——特にこれは飛行場でございますので、滑走路等買収見込みも十分に立ってからでないと手をつけてはならないと思うのです。飛行場は、飛行場全体の計画に基いてやっておる。それを片っ端からなしくずしに強行して工事を始めるという必要は一体どこにあるか。これはやったが最後反対があろうが、何と言おうが、問答無用でやっておるという態度じゃありませんか。あくまでもこういう飛行場建設あるいは演習場建設については、地元民の納得を得て、十分話し合いをして円満のうちにこれをやるというのが、たびたびここで行われました問答の結果明らかになっておるのです。それを百里原において武装警官隊まで動員してやるという必要がどこにあるのですか。これは戦争中でもなかったことです。一体このような強硬手段をとるというのはどういう理由ですか。
  8. 山下武利

    山下説明員 自衛隊基地を設けます場合に、地元の方の十分な御納得を受けた上でやっていくということは、防衛庁の従来からとっておる方針でございまして百里原につきましてももうここ数年来地元との間にいろいろと交渉をいたしまして、百数十名もありました地主の中で、現在滑走路としてわれわれが考えておりますところの上に、わずかに二名の不買収土地を残すことになりましたわけでございます。どうしてもその方が売っていただけないということになれば、あるいは滑走路の位置を変えなければならないかとも考えるわけでございますが、いずれにしましても大体飛行場ができるという見通しがつきましたので、建設工事の方を進めて参っておるわけでございます。今後とも地元の方と十分に御納得のいくような交渉を進めて参りたい、かように考えております。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ねらって手をつけたら最後、どうしてもこれはのがさぬぞといったようなやり方は、これは全く国民の権利というものを無視したやり方なんです。やるためには最も大事な滑走路に当るところの者が反対しておるのに、その見通しもつかないうちに片っ端から工事を始めるという態度は高圧的です。これは今までの調達庁関係にもありましたが、一番被害を受ける者が一番反対する。被害を受けないで周辺におって利益を得る者は賛成して、最も被害を受ける者が反対する場合に強行する態度はどうも私は受け取れない。百里原飛行場というものは、一体どれくらいの予算で、どういう計画でやっておるのですか、御説明願いたい。まず予算の方から伺いましょう。
  10. 山下武利

    山下説明員 今手元資料がございませんので、はっきりしたお答えはできかねますが、私の記憶では十数億の金を予定しておると思います。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の質問要領はあらかじめ通知してあるはずです。この十数億の莫大な演習地予算は、防衛庁予算のどの項目から出すのですか。
  12. 山下武利

    山下説明員 施設整備費の項でございます。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 施設整備費は大体どういう種目に使われますか。これは大きな金額が盛られてありますが、こまかい材料が手元にない。特に土地買収費というのはどこから出します。
  14. 山下武利

    山下説明員 項が施設整備費でございまして、節の方に不動産購入費というのがございまして、そちらの方から土地買収費を出しております。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 不動産購入費は三十三年度全体で幾ら見積ってありますか。
  16. 山下武利

    山下説明員 三十二年度からの繰り越しを加えまして約十七億円でございます。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 このうち百里原土地購入に充てました費用は幾らになりますか。
  18. 山下武利

    山下説明員 まことに恐縮でございますが、今手元資料が来ておりませんので正確な答えはできかねますが、二億弱と考えております。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 土地を買うために正確な資料もないという態度なら、めちゃくちゃに買っておるのですか。全国不動産購入費によって支払われる土地購入費はどのくらいありましたか。現在支払われたのはどのくらいありますか。
  20. 山下武利

    山下説明員 三十二年度の実績で申し上げます。陸海空幕その他の関係機関を合せた総額、三十二年度の予算は、三十一年度からの繰り越しを加えまして十六億二千六百万円でございます。そのうち支払われましたのは十三億八千万円でございます。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 三十三年度に入ってからはどのくらい払いましたか。これは経理の方はわかるでしょう。
  22. 山下武利

    山下説明員 現在までのところ、不動産購入費として使用したものはほとんどないと思います。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 百里原はいつ払いました。
  24. 山下武利

    山下説明員 地主の方との間に逐次話をつけて参りましたので、一度に払ったわけではございませんが、大部分のものは昨年中に支払われております。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 だれには幾ら、だれには幾らというその明細を伺いたい。
  26. 山下武利

    山下説明員 今手元資料がございませんので、後ほどお知らせいたします。
  27. 淡谷悠藏

    淡谷委員 国会はきょう一日です。すぐ資料を取り寄せてもらいたい。そういうだらしのない経理ではしようがない。  それでは来るまでにお聞きしますが、現在防衛庁で主として使用しております演習地土地は、今後どういうところにどれだけ見込んでおりますか。
  28. 山下武利

    山下説明員 ちょっと御質問趣旨を取り違えてお答えするかもしれませんが、今後取得をする予定演習地ということでございますか。
  29. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうです。
  30. 山下武利

    山下説明員 防衛庁として今後取得して参りたいという演習地は、すでに解除になりましたものと未解除のものと両方あります。すでに解除になりましたもので今後とも使用させていただきたいと考えておりますおもなものといたしましては、日本原相馬ケ原の二つがございます。それから今後解除されたならば使っていきたいと考えておる演習場のおもなるものは、北海道演習場富士演習場、これが大きなものとして考えております。
  31. 淡谷悠藏

    淡谷委員 北海道のどこですか。
  32. 山下武利

    山下説明員 千歳、恵庭近辺を含む一円の演習場でございます。
  33. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも防衛庁の買い方は、旧軍隊と同じように非常に放漫な権力的なやり方をしているのです。一体面積はどれくらいになる予定で国内に演習場を設けようとしているのか。防衛庁計画自衛隊演習地としてどれだけの広さを要するかということをまずお聞きしたい。
  34. 山下武利

    山下説明員 自衛隊施設の中でもこの演習場というものは、非常に数も少く地域も狭いということが防衛庁の訓練の上には非常に差しさわりがございますので、現在米軍あたりが演習地として使っておりますところは、もし解除になりましたならば、できる限り取得して参りたい、かように考えておるわけでございます。今申し上げましたのもそういうふうな趣旨から選定したものでございます。
  35. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の聞いているのは面積です。土地の広さを聞いているのです。あなた方はあるだけの土地の適当なものはみなとろうと思っているかもしれませんが、日本の零細な農民は一反歩、半反歩を争うような非常な土地の窮乏を感じているのです。それを必要があるからといって、でたらめに国土を演習場にされたのでは、生産面でこれは非常に大きな損害を受けます。一体、全体でどれくらいの予定なんです。そんな計画もないのですか。
  36. 山下武利

    山下説明員 自衛隊といたしましては今例をあげて申し上げました大体三千万坪程度のものを大演習場と考えております。それを今申し上げましたようなところに数カ所考えております。それから中演習場は百五十万坪から三百万坪くらいのもの、小演習場といたしましては三十万坪程度のものを考えております。
  37. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは総計画と考えてよろしいのですか。三千万坪、百五十万坪、全国演習場はこれだけあればよろしいのですか。私は全国で聞いているのです。
  38. 山下武利

    山下説明員 今申し上げましたのは一カ所当りの演習場の広さを申し上げたのでございます。今の大演習場に当りますものを数カ所考えております。そのほかに中小の演習場を相当程度考えておる、こういうことであります。
  39. 淡谷悠藏

    淡谷委員 数カ所では反別が出ませんから、はっきり言って下さい。これはあなた方は何ともなしにとるかもしれませんが、武装警官を向うに回して抵抗するほど農民土地に執着しているのです。それを数カ所とか若干とかいう形でやられたら、国の防衛計画はむちゃくちゃですよ。ずさんきわまるものですよ。もっとはっきり答えて下さい。
  40. 山下武利

    山下説明員 それでは例をあげまして大体の大きさから申し上げます。ただいま申し上げました北海道演習場二千五百万坪、それから王城寺原演習場九百三十万坪、富士演習場二千四百万坪、饗庭野演習場五百四十万坪、青野原二百万坪、日本原三百五十万坪、日出生台千四百万坪、大矢野五百六十四万坪、十文字二百万坪、大野原二百六万坪、黒石原——ここらあたりから小さい演習場になります。黒石原二十五万坪、古賀新宮二十万坪、長池三十八万坪、信太山百万坪、大体以上のようなことでございます。これは一応の計画でございまして、この中にはまだこれから取得をして参るものも入っておるわけでございます。その際にいろいろ地元の方の御意向等もありまして、この部分はぜひ払い下げてほしい、国有地から民有地に払い下げてほしいというような御要望と重なる面もございます。そういう場合には農林省御当局ともよく相談をいたしまして、防衛庁側の需要と地元側の御要望とが調整できるようにこれから協議をして参りたい、かように考えておるわけでございまして、今申し上げました坪数は一応の現在ありますままの姿を申し上げたのでございます。
  41. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきのお答えの中に、駐留軍が撤退したあとの解除になった部分自衛隊にほしいというお話がございましたが、これは防衛庁ではなくて調達庁の方にお聞きしたいのですが、駐留軍が使っておった演習地自衛隊に渡すときには、どういう手続をとりますか。手続上の問題です。
  42. 丸山佶

    丸山政府委員 駐留軍接収使用中の土地施設等が返りますれば、これは国有地であればその所管省大蔵省、それから民公有地であればそれぞれの所有者自衛隊が使用する場合にもそれぞれその所管官庁なり所有者なりの承諾を得て使用することになります。
  43. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは国のものならば管財局なり大蔵省なりに一たん返して、私有地の場合は本人に返すのであって、それからあらためて折衝するのが建前だと思うのです。それを既成事実のように、駐留軍が使っておったものは必然的に自衛隊がとるのだというような考え方がかなり濃厚ですよ。しかも広い国有地があって、中に私有地があった場合、国有土地はとってしまったのだから、私有地は少いから、これは武装警官隊を何十名入れようが、あるいは土方をたくさん入れて暴行させようが、二人や三人だったらやってしまえという考え方ならば、これはとんでもない迷惑です。こういう場合の個人の土地に対する権利は尊重するつもりですか。それともこれは国有地の中にはさまれたごく小部分土地なんだから、これは自衛隊の必要の前には一蹴して顧みないということになりますか、どっちですか。これは防衛庁調達庁の両方から聞きたい。
  44. 丸山佶

    丸山政府委員 先ほども申し上げましたように、自衛隊があと使う場合においても、国有地の中にたとい一部でも民有地があれば、もちろんその所有者の承認、御了解を得て初めて自衛隊が使われるものと考えております。
  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一言あなたに確かめておきたいのですが、その場合にたとい一人であっても、法律的な手続をとらないで力でもって強奪することはできないでしょうな。日本の政府としてはこれはできますか。
  46. 丸山佶

    丸山政府委員 それはその通りだと思います。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 防衛庁はどうですか。
  48. 山下武利

    山下説明員 あくまで地元の御納得を得た上で処して参るつもりであります。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 国有地の中に私有地を持った者が、最後までその土地を取り返したがつた場合はどうされますか。
  50. 山下武利

    山下説明員 あくまで地元の御納得を得た上でやります。
  51. 淡谷悠藏

    淡谷委員 地元納得を得てからやるというのですが、それではなぜ百里原は若干のものが残っておるのに、片っ端からこういう乱暴なことをして工事を進めたのですか。これは少数の者だからいいというので、土方をたくさん入れて武装警官隊を動員して多大の国費を使って、なぜこういうことをやるのですか。これは明らかに力をもってする脅迫じゃないですか、そう思いませんか。
  52. 山下武利

    山下説明員 百里原につきましても数年来、地元との間にずいぶん長い折衝をして参りました。あくまで地元の御納得を得た上でやるという方針に変りはないわけでございます。地元の御納得を得られるという確信をもってやっておる次第でございます。どうしても納得が得られないということになれば、また計画を変えるということもあり得るかと思いますが、しかし今のところはあくまでも御納得を得た上でやっていきたい、かように確信をもってやっております。
  53. 淡谷悠藏

    淡谷委員 納得をしない場合に計画を変えるならば、なぜその計画をどんどん実行に移すのですか。計画を変えなければならないものを、片っ端から工事を始められてしまったら変えられないじゃないですか。現にやっているのですよ。そこがどうも僕には納得がいかない。防衛庁一体予算を粗末に使います。さっきも演習地の反別のお答えがございましたけれども、これらの演習地買収した実際の価格を一つ報告して下さい。北海道あるいは王城寺原その他の私有地買収の単価をおっしゃって下さい。一反歩幾らで買っていますか。
  54. 山下武利

    山下説明員 ただいま申し上げましたところは国有地が多いのでございます。買収の事例というものは比較的少いわけでございます。買収と申しましても山林、原野、宅地等、いろいろと形態によりまして単価は非常に違うわけでございます。この算定の方法といたしましては、もとより登録価格のあるものはそれによるわけでございますが、登録価格の非常に低い場合が多いわけでございます。そういう場合には近傍の実際の取引価格というものを参酌いたしまして、地方の財務局あるいは銀行の不動産等に評価を願って、極力公正妥当な値段をきめておる次第でございます。
  55. 淡谷悠藏

    淡谷委員 このうち開拓者の入っておる個所は何カ所ありますか。今まで自衛隊演習地に取り上げられた、その中に開拓者の入っているものが幾らありますか。これは駐留軍の使う前のことにさかのぼってお聞きしたい。
  56. 山下武利

    山下説明員 ただいま申し上げました中で開拓地の入っておりますのは、王城寺原演習場日本原演習場北海道演習場等でございます。
  57. 淡谷悠藏

    淡谷委員 農林省の方に伺いますが、防衛庁から開拓地演習地にほしいと言ってきて、断わった事例と承諾した事例と分けて御報告を願いたい。
  58. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 ただいまのところでは断わりましたのは、茨城県の神ノ池の開拓地がございます。それからもう一つは長野県の有明原の開拓地、それから山口県のむつみ村の開拓地、それから今問題になっております百里原は昨年慎重に検討いたしまして、総括的にこれは農林省としては開拓地飛行場になることを承認したわけでございますが、中の開拓者につきましては十分意向を尊重して、納得づくで話がつくまでは慎重にやっていただきたい、こういうようなことで営農に差しつかえないようないろいろな施策を講じて転換されるように、そういうことで百里原については総括的な承認をいたした次第であります。
  59. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも総括的な承諾というのがはっきりのみ込めませんが、百里原開拓地自衛隊に譲り渡そうとした農林省の意向はどこにあったのですか。承諾をした理由をお聞かせ願いたい、並びに経過をお聞きしたい。
  60. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 百里原は御承知のように元海軍の飛行場でございまして、面積が二百四十四・九町歩、これだけありまして、開拓者が六十八戸、増反者が約七十戸、大体関係農民百三十七戸、こういうことになっております。これにつきましては、前々から自衛隊の方で飛行場にやりたい、これは首都防衛上どうしてもここでないとだめだ、こういう強い御意見でありましたし、また国の防衛上ここが絶対に必要だ、こういうようなこともありまして、農林省としては当時地元の意向その他もただしまして、やむを得ないということで総括的に承認したわけでありますが、個々の農家につきましては、承諾する者は農地の許可はしないということで総括的な承認をしたわけであります。当時知事からもこの点についての申達があったわけであります。農林省はやむを得ないという考えで承知したわけであります。
  61. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あくまでやむを得ないということでしょうな。進んでこれをやったわけではないのですね。この際反対をした開拓者は何人くらいかお聞きしたい。
  62. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 最後まで反対された開拓者は三戸でございました。ただいま二戸になっております。こういうふうに聞いております。
  63. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この開拓地は、土地の所有権を開拓者に渡してありますか。
  64. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 土地の所有権は売り渡しております。
  65. 淡谷悠藏

    淡谷委員 土地は一反幾らに見ていますか。
  66. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 ちょっとつまびらかにしておりませんので、至急取り寄せましてお答えいたします。
  67. 淡谷悠藏

    淡谷委員 冗談おっしゃい。一体防衛庁はさっき何と答えられた。その周辺の価格によって買うと言っているのですよ。防衛庁幾らで買いました。
  68. 山下武利

    山下説明員 もちろん人によって若干ずつ違ったわけでございますが……。
  69. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なぜ違ったのですか。
  70. 山下武利

    山下説明員 場所とかその他いろいろな経営上によって違うわけでございますが、土地を買います場合には、土地の値段のほかに離作補償料というものを払うわけであります。これを合せまして大体反当七万円ないし九万円というところだと思います。
  71. 淡谷悠藏

    淡谷委員 総額幾ら払っています。
  72. 山下武利

    山下説明員 先ほどの御要望もありましたので、至急資料を取り寄せております。
  73. 淡谷悠藏

    淡谷委員 最近、防衛庁調達庁もそうですが、米軍なり自衛隊地元反対を無理やり押し切って、でたらめな金を払って演習地を買っている例がある。あなた方が買うのではない。国が買い、われわれが買うのです。そうして演習地がなくなった場合、たとえば妙義山のように、山のてっぺんの草一本生えない土地が、どうして一反歩三十六万円もするのです。これは調達庁の場合ですが、大へんな損害です。これだって一反歩七万円と言っておりますが、農林省はまだわからぬと言っている。開拓をやらした農林省がわからぬという土地になぜ七万円払うのです。もしこれより高かったらどうしますか。うそを言っては困りますよ。これ以上の金を払えば不当支出です。一町歩平均七十万円という価格に相違ありませんか。
  74. 山下武利

    山下説明員 詳細な資料を今取り寄せ中でございますのでもうしばらくお待ちを願います。七万円ないし九万円ということを聞き及んで申し上げたのであります。もし間違いましたら訂正さしていただきます。
  75. 淡谷悠藏

    淡谷委員 国民の金だってでたらめに使ってもらいたくない。何十億という金をこんなだらしのない使い方をして、しかもはっきりと立ちのきがきまらぬところへどんどん物を作って、こんな国損を与えるような形で、よしんば自衛隊ができたところで、国民は協力しません。これは単なる経済上の問題だけでなく、こういう精神で、国民を敵にしてやるような演習地であれば、絶対に治安は保てないと思うのです。むしろ治安を乱しますよ。一つ聞きますが、自衛隊駐留軍との間はジョイント・ユーストの土地はありますか。
  76. 山下武利

    山下説明員 米国の基地自衛隊が共同使用いたします場合には、法的な根拠が二通りあるのでございます。行政協定の第二条4項の、米軍の承諾を得て、米軍が一時使用していないときに、日本国または日本国民がこれを使用することができるという条項に基きまして使用いたすもの、もう一つは、米軍がそういうふうな使用の承諾をいたしません場合、しかし一時使ってもよろしいという、行政協定第三条場の米軍管理権の範囲内でもって向うが認めてくれるという根拠に基きまして使っておるもの、この二通りあるわけでございます。個所の数は相当たくさんありますので、両方合せまして大体四、五十というところと考えております。
  77. 淡谷悠藏

    淡谷委員 現在残っているところが四、五十ですか。
  78. 山下武利

    山下説明員 その通りでございます。
  79. 淡谷悠藏

    淡谷委員 米軍の撤退したあとは、ジョイント・ユーストの土地自衛隊も撤退するつもりですか。それともそのまま居すわるつもりですか。
  80. 内海安吉

    内海委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  81. 内海安吉

    内海委員長 速記を始めて下さい。  淡谷さんの御質問に対する当局の御答弁等において、まだ調査を要する点もあるようでございまするから、早急にあらためて委員会を開いてこの質問を続行したいというような考え方のもとに、本日は淡谷さんの御質問はこの程度といたしまして、あらためて通告順によりまして西村力弥君。
  82. 西村力弥

    西村(力)委員 最初に今淡谷君の質問に関連して二、三点お聞きしたい。神ノ池の件は転用不許可にしたといいますが、その不許可にした時期はいつなのでございますか。
  83. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 茨城県の神ノ池につきましては、今までの防衛庁との話し合いでは、防衛庁地元に直接当ることは非常に開拓者の動揺を招いたり、営農意識を低下させる、こういうようなことで、直接事前に防衛庁地元農民あるいは開拓者に接触されるということは農林省では非常に困りますので、その点を防衛庁に申し上げて、防衛庁計画は事前に農林省に話していただく、こういうことになっておりまして、そういうことで、昨年神ノ池の問題がありまして打ち合せがあったわけでありますが、農林省といたしましては、あの近くの百里原飛行場をすでに総括的に容認している、こういうような事情もありまして、昨年の暮れだと記憶いたしますが、防衛庁に、地元反対もあり、農林省としても同意しかねる、こういうようなことを文書で申し入れをしてあります。
  84. 西村力弥

    西村(力)委員 管理部長のお考え、大へんけっこうでございますが、私たち実情を知っている者からいいますと、それは大へん表面だけきれいにしておって、実際は神ノ池の接収工作というものは苛烈をきわめて、昭和二十九年の末から始まっている。あらゆる手段を弄して防衛庁がそれにかかってきたわけなんであります。そうして去年の末に至っては、もうこれは見込みがない、放棄する、こういう段階になって、農林省が全面的に転用を不許可にするというような工合に出ましても、それでは八百長というか、何というか、言葉は悪いのですけれども、そういう工合に受け取れますので、今後はそうではなく、当初からそういうきぜんたる態度をもって、開拓農民の利益を守るという本来の姿に立って、やっていただきたいと思います。こう私はぜひお願い申し上げたいわけです。  それから経理局長にお尋ねしますが、あなたは先ほど話し合いがうまくいかない場合には計画を変更すると言いましたが、その計画変更は、滑走路を振るのかどうか、それとも別地区に移すのか、そのどっちなんでございますか。
  85. 山下武利

    山下説明員 さっき申し上げましたのは滑走路のことでございます。建物の現在建築中の部分につきましては、土地取得のいかんにかかわらず計画を進めて差しつかえないという判断のもとに、計画を進めております。
  86. 西村力弥

    西村(力)委員 あなたはさように簡単に言われますけれども、滑走路の設定の場合には、方向や何か、相当科学的あるいは軍事的というか、そういう研究の結果、滑走路の方向というものがきまるわけなんです。そう簡単にはできないということが一つと、それから振るといったって、振る余地がないというところがあそこなんです。しかもあなた方が既定事実として建物を建ててしまったので、なおさら振るえなくなってしまっている。だから、そういう工合に計画を変更してやるのだということを言っても、これはその場だけの答弁にすぎないと私は思う。これは、現地をよくごらんになればそういうことはできないことなんですから、そういう答弁をなさらぬ方がいいと私は思うのです。  それからあそこに歌舞伎組とか西松建設とかいうものがたくさん入ってきておりますが、あの契約は、どういう契約で入っておるのですか。
  87. 山下武利

    山下説明員 通常の方式によりまして、指名競争の入札をいたしたわけでございます。ちょっと御質問趣旨がわかりかねますが、契約の時期あるいは竣工の時期とか、金額の内容とか、そういうようなことでございますれば、後ほど資料を取り寄せまして御説明申し上げます。
  88. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう点は、契約内容を全部明確に示していただきたいと思います。  それから滑走路内におる人を説得これ努めるということで解決しようと仰せられるが、それでもなおかつどうしても説得が不可能な場合にはどうするか。それでも説得するといって、それでもまだ聞かない場合、絶対に本人が聞かなかった場合には、最後的にあなた方はどうやるつもりであるか、説得以外に用いる手があるのか。ないとすれば、説得がきかない場合に最後的にどうなるのか。滑走路の設定ができない飛行場は意味がないのですから、今注入しているいろいろな建物の資材というものは、全部むだになってしまうわけなんです。そういう際の責任をどう考えるか。
  89. 山下武利

    山下説明員 先ほど申しましたように、あくまで地元の御納得を得た上でやりたいと思っております。またその確信を持って工事に当っておるわけでございます。どうしてもそれがやれないという場合には、先ほども申しましたように、計画の一部を変更するということもあり得るかと思います。いずれにいたしましても、現在進めておる工事がむだにならないという確信のもとに、進めておるわけであります。
  90. 西村力弥

    西村(力)委員 確信はいいですけれども、どっちにどう振るかといったって振るいようがない土地なんです。あっちにも反対派があるし、こっちにも反対派がある、向うにも反対派がある、こういう工合になっておるので、この滑走路反対派を避けて振ることは不可能なことなんです。そこで、私が聞きたいのは、そういうことも不可能であって、あそこの計画は放棄するという工合になったときに、今まで注ぎ込んだ国費のむだ使いというものに対して、どう処置するかという問題です。こういうことにまで考えを持ってやっていただかないと、結局あなた方の心中には、最後は強権でやれるのだ、納得させることができるのだという、腹の底にそういう考え方があってやっておるのだと私たちは断ぜざるを得ないわけなんです。どうですか。
  91. 山下武利

    山下説明員 繰り返し申し上げるようでございますが、あくまでも地元納得を得た上でやりたいと思っております。
  92. 西村力弥

    西村(力)委員 しかしそれでも納得しないというときにどうするかということです。私は、むだに押し問答しているのじゃない、この辺であなたの方から答弁を少し変えてもらいたい。
  93. 山下武利

    山下説明員 私たちといたしましては、もう最善の努力を尽して説得に努めるつもりでございます。どうしてもいけない場合には、計画を変更することもあり得ると考えておるのでございます。
  94. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは一つ聞きますが、どうしても説得ができないときに他の方法を考えておられるかどうか。
  95. 山下武利

    山下説明員 いろいろ技術的にも検討を続けております。計画の変更ということも技術的にできないことはございません。ただそのときには、現在考えておりますよりも若干不便な点が生じて参るということはあるかと私思います。しかしどうしても納得がいかぬという場合には、あらためて考えなくちゃならぬと思います。
  96. 西村力弥

    西村(力)委員 その点は関連ですから、それでは本問に入りますが、大津の米軍キャンプが、先月の二十九日ですか、返還になりまして、あそこにある水耕農園というのも近く返還になる、こういう予定を聞いておるのでありますが、あそこには防衛庁としては何がしかの部隊を入れていきたい、こういう希望を持っていらっしゃるということは聞いております。どういう部隊を入れようとされるのか、防衛局長でも一つ……。
  97. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 水耕農園の話は具体的に聞いておりませんが、今あそこの施設で問題になっておりますのはA地区と申して市内にあるはずのものであります。あの方の返還を受けました場合におきましては、あそこに姫路の特科部隊の一部と福知山の部隊の一部を入れたい、かように考えております。
  98. 西村力弥

    西村(力)委員 福知山の部隊というのは何部隊ですか。
  99. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 福知山は普通科の連隊のうち二個大隊、それと陸曹教育隊といって昔の下士官の教育隊であります。
  100. 西村力弥

    西村(力)委員 総計何人くらいになるのですか。
  101. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 現在考えておりますところは、約千七百名くらいでございます。
  102. 西村力弥

    西村(力)委員 大津のキャンプにその部隊を駐留させるというか、そこに置くということは、どういう見解から、どういう必要からそういう見込みを立てられておるのか、それをお聞かせ願いたい。
  103. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 現在姫路部隊は施設が貧弱でございまして、用地も狭くまた建物も改修を要しなければならないものが相当あるのでございます。そこでどこかにかわるべき土地を求めたいと考えておったのでございますが、大津の施設が返還になるということでございますので、その一部を移したい。福知山の部隊もほぼ同様な事情でございまして、建物が非常に古いので近い将来、今のままでは改修しなければならなくなるものでありますから、そこで一部を大津の方に移駐したい。また福知山にも若干の部隊を置いておくことは必要でありますけれども、教育訓練の面から申しますと、天候のかげん等からいたしまして、大津の方がより適地であるというふうな見解もそれに加わっております。
  104. 西村力弥

    西村(力)委員 そうすると今施設が老朽であり狭隘である、それから訓練の便宜、その二つの理由で大津を選ばれた、こういう工合にお聞きするのですが、大津に置く理由として、京阪神地区の治安維持のためにぜひ大津が必要だと、こういう見解を述べておる者がおるということを聞いておりますが、そういう考えは全然ないのですか。
  105. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 そういうことも全然考慮に入れないということではございません。滋賀県では御承知のように饗庭野に一つの部隊がございます。ただ京都、大阪ということを考えますと、饗庭野から出て参りますよりか大津に駐屯しております方が便宜ではございます。そういうこともございますけれども、しかしそういうことよりも先ほど申し上げました理由の方が、私どもの主として頭の中にあることでございます。
  106. 西村力弥

    西村(力)委員 これは政務次官でもけっこうですが、今まで防衛庁が駐屯部隊の場所をきめるなり何かする場合に、あるいは飛行場を作る場合などでも、常に口をついてわれわれに答弁しておったことは、地元反対というものは絶対に無視しない、こういうことを何べんも私たちは聞いておるのです。そういう原則は今でもそういう場合の根本として貫かれておることは間違いないだろうと私は思うのですが、これはいかがですか。
  107. 辻寛一

    ○辻政府委員 その通りでございまして、現在もそうでございまするし、今後におきましてもあくまで土地との調整を十分にはかって参りたい、かように考えております。
  108. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、大津に部隊を移駐させるということに対して反対がどこらにあるかということ、これは十分にお知りだと思うのですが、その反対をどういう工合に把握していらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。これは経理局長防衛局長かどちらかにお願いしたい。
  109. 山下武利

    山下説明員 地元の方には、むしろ自衛隊を誘致したいという側の方もございますし、それからまた市議会の一部だと思いますが、反対の意向を持っておられる方もあると聞いております。いずれにいたしましても、自衛隊といたしましては、地元と十分に調整をした上で使用したい、かように考えておる次第であります。
  110. 西村力弥

    西村(力)委員 今の発言はちょっと私は訂正を求めたい、こう思うのです。市民の一部にはあるいは移駐賛成の人もおるでしょう。まあどこの基地でもその通りだが、米軍が帰ったあと、その基地経済に依存しておった地方のさびれ方はひどいものです。ですから自衛隊でも来て、ぼろもうけではなくても、細々とでも仕事をやっていきたい、こういうことがあるに違いありません。それはどこでもありますが、大津の市議会が全員一致決議をして反対しているという事実を——あなたは市議会の中でも一部反対がある、こういうことを軽々しく仰せられるが、これは取り消してはどうですか。こういう言い方は許されないことじゃないか。地方自治体というものは、あなた方国の機関であろうと何であろうと、そういいかげんに決議そのものを憶測して、そしてあれはほんもののの決議ではないのだというような発言はなさるべきじゃないと私は思うが、どうですか。
  111. 山下武利

    山下説明員 市会の一部と申しましたのは間違いでございます。市会としては反対の決議をしておるということは、お説の通りでございます。取り消します。
  112. 西村力弥

    西村(力)委員 市会ばかりではなくて、そのほかに多くの団体が大津に移駐されることに反対して、決議をし、陳情をし、要望書を出した、こういうことはとっくに防衛庁にも通じておるだろうと思うのです。これは詳細にごらんになっていらっしゃいますか。御記憶がありましたら、どんなところから反対要望書が来ておるか、それだけを述べてみて下さい。
  113. 山下武利

    山下説明員 反対をされる方の御意見は、大津市を観光都市として発達させたい、それには自衛隊が入ることは反対であるというふうな御意向と伺っております。反対をされておる方は、今申しました市議会のほかに、観光連盟がたしか反対態度をとっておられる、かように思いました。
  114. 西村力弥

    西村(力)委員 これは皆さん方にはしょっちゅうひっきりなしに陳情がくるから、一々記憶することもできないでしょうけれども、観光連盟や市議会だけではない、そのほか大津市全学区自治会連合会とか、あるいは体育協会とか未亡人会とか遺族会とか婦人連絡協議会とか、あるいは身体障害者とか民生委員協議会とか、こういうような工合にほとんど大津市の大部分を占める人々の組織が、あげて移駐に反対要望書を出しておるのです。こういうことはもう少し真剣にお取り上げになって、それを考慮の中に入れてもらわなければならぬものじゃないか、こう私たちは申し上げたいのです。ところがこういう工合に反対があるにかかわらず、あなたの方では大蔵省と協議をなさったのでしょう、そうではございませんか。
  115. 山下武利

    山下説明員 防衛庁といたしましては、大津に駐屯地を設けたいという強い希望を持っておりまして、そういう意図のもとに大蔵省との間に協議を進めておるということは事実でございます。しかしながら、実際問題として大律に行くという場合には、十分に地元納得のいく方法をとりたい、かように考えておるわけでございます。
  116. 西村力弥

    西村(力)委員 現在協議を進めておるという段階であるのかどうか、協議は大体合意が成立したという段階なのか、大蔵省管財局の方にお聞きしたいのですが、それはどういう工合になっていますか。
  117. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 お答え申し上げます。国有財産の処分に当りましては、各方面の希望意見、希望理由、そういうものを十分に協議いたしまして、その上で大蔵省としてはどう考えるかという一応結論を得ますと、これを御存じのように国有財産審議会というものがあって、ただいまの大津問題で言えば近畿地方に国有財産審議会がありまして、それにかけまして審議会がそれでよろしいという結論を得ますれば、それによって処理するということになっております。ただいまの大津のキャンプの問題につきましては、地元要望もわれわれは十分くみまして、一応暫定的に防衛庁が使ったらどうか、饗庭野に永久的な施策ができたときには、そちらへ移るということでどうであろうかという大蔵省としての結論を出しまして、去る四月九日に審議会におかけ申し上げました。しかし問題が、地方の要望もいろいろあり、暫定的にということは一体どのくらいの期間になるかというような問題もありまして、これは早急に結論を出してはいかぬではないかという委員の方々の御意見がありまして、この問題を十分調査するために五人の小委員が選ばれまして、今その小委員の方が現地を調査し、防衛庁説明を聞き、それから現地の要望も聞いて近くそういう各方面の要望を十分——と申しますか、不十分な点がありましても、できるだけその土地を有効に使うのにはどうしたらいいかという点についての結論を出していただくことになっております。その結論によりましてわれわれの方では措置するということになるわけでありまするが、この大津のキャンプにつきましても地元要望を十分に尊重して処置したい、かように考えております。
  118. 西村力弥

    西村(力)委員 大体の経過はその通りだろうと私も聞いておりまするが、今のお話ですと饗庭野に恒久的な施設を作ったらそちらに移駐してもらおう、こういう考えを持っていらっしゃるというわけですが、その暫定的にというのは大体どのくらいを大蔵省としては考えておられるのか。事と次第によっては、今狭隘である、老朽しているからこちらに移すのだという防衛庁態度を、しばらく待ってもらうということが可能であるはずだと私は思うのです。ですから暫定的にと、こういう言葉で大津に持ってこないで、その間御不自由でも自衛隊の諸君には今おられるところにがまんしてもらって、そして来年なら来年に饗庭野なら饗庭野にあなた方の計画があるならばやられたらどうか。私はこのことを奨励はしませんけれども、そういう考えがあるとするならば、それなら暫定的に入れて、そして入れるにしたって、アメリカさんの帰った跡を自衛隊が使用するために修理改造をする費用はどれだけ要るか、そういうような予算も立てなければならぬと思うのですが、その予算は大体どのくらいを考えていらっしゃるか、そういう短期間なむだな支出をやめて、別途方法を考えられたらどうか、こう思うのです。その点はどうですが。
  119. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 ただいまおっしゃっておりますような御意見まことにごもっともでありまして、そういう意見もこれあり、委員会で慎重に審議していただきたい、こういうふうに存じております。
  120. 西村力弥

    西村(力)委員 慎重審議を願うのはよろしいですが、さっきおっしゃったような原案を近畿地方の国有財産審議会にかけられているのでしょう。
  121. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 さようでございます。
  122. 西村力弥

    西村(力)委員 それで国有財産審議会にかけた大蔵省の原案が、修正されたり否決されたりした事例がありますか。橋本説明員 ただいまおっしゃる事例はございます。
  123. 西村力弥

    西村(力)委員 その事例ありということは大へんけっこうだと思いますが、私たちはそういうことはほんのまれなる問題であろうかと思っておるのです。ところで今いろいろな反対理由なんかも十分考慮に入れてという工合に仰せられましたが、防衛庁の出したあの協議の際の参考事項として、かくかくの反対が強くあるのだというようなことが大蔵省に提示されたかどうか。これは国有財産法ですか、その施行令の中にはいろいろ協議する場合の事項がありまして、その中に「その他参考となるべき事項」というものがある。その参考となるべき事項にはそれが重要なる要件として考慮されなければならぬと思いますが、その点はどうです。
  124. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 あらためて防衛庁から参考意見としてそれがついてはきておりませんでしたが、われわれの方は防衛庁よりもむしろ以前にいろいろ要望があることを知っておりました。その点は十分承知して処置しております。
  125. 西村力弥

    西村(力)委員 それではもう一つお聞きしますが、六月になってからあの滋賀県選出の現衆議院議員堤康次郎、今井耕、社会党の矢尾、堤、西村とその五人の人が連署で、大津に自衛隊が移駐することにはわれわれは反対であるという要望書を岸総理あてに出しているはずです。この要望書に対して皆さん方はどう考えられるか。
  126. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 実を申し上げますと、私四月に大蔵省の管財関係の方の担当を命ぜられまして、六月のたしか中ごろでございましたか、さっそく実は大津へ参りまして問題の土地を現地視察して参りました。その節大津市の市長さんにもお会いしまして、いろいろと現地の御要望も聞きまして、滋賀県選出の衆議院議員の皆様が自民党、社会党、超党派的にここへ自衛隊が来ることはいけないという御意見の要望書をお出しになっていることは聞いて参りまして、本庁に御報告いたしましたので、大蔵省としては存じております。
  127. 西村力弥

    西村(力)委員 存じております——存じなければどうかしているのです。存じておりますはよろしいけれども、しかし一県の衆議院議員全員が党派を越えてそしてそういう住民の意思を守り抜こう、そして滋賀県発展の百年の計を立てていこう、こういう立場で要望書を出している、それを存じておりますだけの受け取り方では私はよろしくないと思います。これは次官どうです。そういう工合に書面でもって現議員全員強い意思表示をしている。この点についてどう考えますか。
  128. 辻寛一

    ○辻政府委員 私まだ実情を存じませんで申しわけありませんが、とにもかくにも、先ほど申し上げましたように地元の十分なる御了解のもとに初めて駐屯を実現するという、この基本原則は変えておりません。ただいま承わりますれば、相当濃厚な御反対もあるようでございますが、これを何とか御納得をいただくように運動を進めて参りまして、円満に駐屯が実現するように運びたいと、ただいまのところ考えております。
  129. 西村力弥

    西村(力)委員 その納得の中には、この五人の国会議員の意思も翻させていこう、こういうことですか。
  130. 辻寛一

    ○辻政府委員 国会議員の方々も含めまして、土地の方々一体の御了解を得たい、かように考えております。
  131. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう工合に誠意を尽して納得づくでやるのだといいまするが、これは先ほどの問答と同じような工合に、納得がいかなかったらどうするかということになるわけです。また百里原の場合には土地を所有する二、三の農民最後の抵抗をしておるのですが、今度は全市をあげて、市議会の議員と国会議員の全体の意思、こういう工合になっているのですから、そこに向って納得させるのだという工合に向うこと自体を、私たちは少し考え直してもらわなければならぬと思うのです。それでは防衛庁経理局長建設本部長の役割と同じじゃないですか、政務次官。そこは先ほどの百里原納得してもらうのだというような言い方と今度の場合とは、問題が違うのじゃないかと思う。その点をよく考えていただいて、もっとそういう事務的な答弁と思われるようなことでなく、はっきりしてもらわなければならぬと私は思う。
  132. 辻寛一

    ○辻政府委員 決して事務的ではございません。誠意を尽して一つ御納得をいただくように御折衝いたしたい、こういうわけでございます。従いましてそれがうまくいかぬ場合はということは、目下のところ予想いたしておりません。誠意を尽してお話を申し上げますれば、御納得をいただき得るのではなかろうか、またいただきたいという信念のもとに進むつもりでございます。
  133. 西村力弥

    西村(力)委員 とにかく自衛隊防衛庁の次官であるから、まことに勇壮な御答弁でありまするが、そういうような行き方はわれわれとしてはとるべきじゃないと思うのです。あそこの市民は、京都を近くして京都から観光道路ができており、比叡山にどんどんと陸続として出てくる。それが大津におりていく。それで近畿一円の観光の中心となろうとして、奈良にも京都にも劣らないようなものになっていこう、こういうような希望を持って、実際計画を立ててやっておるのです。それをくつがえして自衛隊の庁舎を置くということは、それ以上に重要に考えることは、やはり政治の基本方式としては私は正しくないと思うのです。だから誠意を尽してという工合にだけ修正せられて、どこもここも切りくずすのだという行き方を、政務次官の方があまりとられては好ましくないのじゃないか。そこで加藤防衛局長に聞くが、狭隘である、老朽であるということから、あそこに移そうとするのですが、それは御不便でしょうが、がまんをすればどのくらいおられますか。
  134. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 これは現在今すぐに困るというようなことはないと思います。しかしまた老朽の方の点につきましても、それがいつまでもおられるというように申し上げることは困難かと存じます。
  135. 西村力弥

    西村(力)委員 今の答弁を次官に聞いてもらいたいのですが、大津のキャンプに入れても、これは明治九年の建築物ですよ。そんなところへ入れて一体どうするのです。また老朽ということになるのじゃないですか。それを相当入れて持たせるには、莫大なる補修費、改造費がかかる。ですから今がまんできるのに対して、そういうすぐ直さなければならぬときに無理やりに入れるということは、理屈はどこにも立たない。しかも知事としては、先にも申し上げましたような工合に有料道路、申叡山の観光道路ができてからとみに観光客が多くなってその道で滋賀県の発展をはかるのだ、こういう具体的な、そして熱情を込めた計画を本気になってやろうとしておる。ですから今の二つの理由からしましてどうでしょう。もう少し考慮していただいて、大蔵省の方においても審議会にかけたのを終論を出すことを、しばらく待つようにすべきではないだろうか、そして十分に検討せられまして、別の方式を考えることが一番妥当であると私は思うのですが、どうでしょう。
  136. 辻寛一

    ○辻政府委員 あいだがら何でもとにかくこの機会に入り込もうなんというような根性は毛頭持っておりません。従いまして、私実情をよく存じませんが、ただそういう一念から、土地の猛烈な反対があるにもかかわらず入りたいというような考えは毛頭ございません。従いまして、今防衛局長からも答弁がございましたが、私はやはりやむにやまれぬ、防衛庁といたしましてぜひともほしいという理由があるのではないかと今思っておるわけでございますから、もしそんな必要はないということなら、あえてその必要はないと私は思いますので、よく私も実情を調べまして、そして防衛庁といたしましてこの機会にぜひとも一つ駐屯をさせてもらいたいというのっぴきならぬ要望でありますれば、その立場を一つよく御納得をいただいていきたい、こう考えておる次第でございます。
  137. 西村力弥

    西村(力)委員 そう仰せられますれば、防衛局長の答弁ではっきりするように、狭隘である、老朽化したといいながら、今すぐどうこうということはない。最大の理由はそれによって消えているのですよ。それにもかかわらず、風光明媚で、アメリカさんはここは日本一いい駐屯地だといって、司令官は悦に入ったそうですがね。そういうところに不粋な——不粋と言っては申しわけないのですが、とにかく観光とは縁の遠いジープを走らせる自衛隊をどさくさ入れて、実際の県のあるいは大津市の計画を破壊してしまうということはやめたらどうか。そしてがまんし切れなくなったときに、これはいついつまでにがまんし切れなくなるから、そのときには別途に考えるというような工合に、今からすぐ次官が働きなさって、そしてそういう工合にやらないで両方を立てるようにしたらどうか。大蔵省に言ったって、暫定的にという工合に言っておる。これはいつまでも置くつもりはないと言っている。別途に何とかその処置方式を考えよう、こちらはがまんしてもいいのだ、そういうときにあなた方次官が、あくまでも誠意を尽して納得してもらおうというので猪突されるのはおかしいではないですか。そういうことを一つ十分にお考え願いたいし、もう一つは、これは大蔵省にも次官にもお聞きしたいのですが、内閣に付置されている観光事業審議会というところが現地に行って調査をした。その結果が不適であるという結論を出しているのです。これは団長が平山孝という人で、委員が飯沼一省、田村剛という、こういう権威のある方々が行って、そうして近畿全体の観光地域の一つの重要な点として、これは生かすべきだ、内閣の観光事業審議会の委員の諸君がこういう建議をしておるのです。これだって内閣にせっかく設けられた審議会の答申であるならば、これを無視するということもいかぬではないだろうか。この審議会の結論に対しては、一体大蔵省はどういう工合に考えていらっしゃるか。
  138. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 ただいまのは審議会の結論を無視しているのではなくて、尊重したために暫定的という線が出たわけでございます。と申しますのは、こういう計画はありまするが、その計画の実現はきょう、あすということでなく、将来のことでもあり、暫定的ならばその計画に支障はないであろう、かように考えたわけであります
  139. 西村力弥

    西村(力)委員 暫定的というような考え方——防衛局長の答弁によっても、不必要になってきた。今何としてでも絶対に避け得ない事情があって、大津に行かなければならぬのだという理由は、全部解消しているわけです。大蔵省におきましても、せっかくかけられたのですが、ここのところは撤回するなり、審議の一応の中止を求めるなり、そういう工合にして、暫定的を本格的に早急にやる対策の方向に向われたらどうかと思うのですが、わざわざ暫定的に入れて、あの古くさい建物も修理して——それは何千万かかるかわかりませんけれども、アメリカさんの行ったあと、しかも古い、明治九年だかに建てた建物に入れるのには、相当の金がかかるのです。それをまたすぐ別な方式でやるというならば、それはただ金をむだに捨てることになってしまうわけです。どうです。大蔵省において、そういう観光審議会にかけたことを撤回する、もしくは審議の中止を求める、こういう工合にいくわけには参りませんか。
  140. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 審議会にかけました管財局の原案が、その場で委員さんの満場一致の賛成を得られず、継続審議になって、しかも小委員会ができて、そこで実地に調査するということは、大蔵省の原案がそのまま通りにくいということから、そういうことになったのじゃないかと思います。従いまして委員会の結論が今後どう出るかということは、もちろんわれわれの予測するところではありませんが、ただわれわれとしましては、どこまでもその原案を固執して、これで小委員会の結論を出してもらおうというような気持ではおりませんということだけは、一つお答えしておきます。
  141. 西村力弥

    西村(力)委員 原案を固執しない、それはいかようになろうともいいし、現実にその切迫した必要感というのは薄らいだのであるから、この審議というものが保留なら保留という結論が出ても、これはやむを得ない、このような考え方に今おなりになって下さることを私は求めるのですが、どうですか。
  142. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 ただいまの小委員会の審議状況とにらみ合せた上で、われわれも保留されても仕方がないかどうかということの結論を出さぬといかぬと思います。ただ先ほど申し上げましたように、四月九日に出した原案は、どうでもこうでも通すのだという気持がないことだけは申し上げておきます。
  143. 西村力弥

    西村(力)委員 そういろいろ仰せられるけれども、ぎりぎり今直ちに大津に移駐させなければならぬという理由は、実に希薄になってきた。この前提をはっきり認められるかどうか。
  144. 橋本正次郎

    ○橋本説明員 その後特別に希薄になったということでなく、先ほどお話に出ましたように、現在すでに不便しておりましても、がまんしているので、きょう、あす中に結論を出して移駐させなければならぬという状態にないために、慎重審議を待つ、こういうことでございます。
  145. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは次官にお聞きしますが、内閣にある観光事業審議会の結論というものはこれをどう尊重されるのか。こういう審議に対しては、ときによっては尊重し、ときによっては無視する、いろいろあります。けれども、しかしながらとにかく内閣が必要によって設置した審議会ですから、その結論というものは尊重するのは当然だろうと思うのですが、これに対する政府側の態度はどうあるべきと思うか。
  146. 辻寛一

    ○辻政府委員 答申の趣旨は尊重するのが当然だと考えます。
  147. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう諸般の問題がある。すなわち自治体がこぞって反対するという決定的な事実が一つある。それから防衛庁が入りたいことは入りたいけれども、今すぐどうこうしなければならぬというぎりぎりの問題はないのだということ、それからこういう工合に内閣の審議会が決定的な答申を出したというようなこと、こういうことになっております。もう一つは地元選出の衆議院議員五人とも、党派を越えて、自分たちの愛する滋賀県の将来の発展のために、内閣総理大臣に要望書を出している、こういうような諸般の事情を考えて、納得がいくまで説得してやるのだというようなことを、一応この際改めていただきたいと私は思うのですが……。
  148. 辻寛一

    ○辻政府委員 駐屯地としての必要の度合いと、地元の御反対の度合いというようなものもよく一つ考えまして、考慮をいたして参りたいと思っております。     〔委員長退席、岡崎委員長代理着席〕
  149. 西村力弥

    西村(力)委員 駐屯する必要の度合いというものはどういうことを予測されるか。先ほど申しましたように、京阪神の治安維持のためにここにぜひ置かなければならぬのだと、こういう工合に、理由をだれかが言ったそうですが、今防衛局長は、そういうことは大したことはないのだと、こう言われました。そんなことは理屈にならない。治安維持上の理屈なんか全然立たない。そうすれば、あそこはとにかく狭いからこっちへ移すのだという理由以外にはないわけです。ところがそれだって、恒久的なものができるとすれば、それまで待ってもかまわぬのだと、こういうことになっておる。その理由というものはそこにはないようになるのです。そこに駐屯しなければならぬという必要性が、私たちはないように思うのです。その点を一つはっきりと、防衛庁の政務次官になられて、防衛庁の立場をまず主張するということが一つの大事な仕事であるかもしれませんけれども、少くとも大先生が事務次官になったような、そんなことではなく、大きな見解をわれわれはあなたに要求したいと、こう思うのです。
  150. 辻寛一

    ○辻政府委員 お言葉よく尊重をいたします。
  151. 西村力弥

    西村(力)委員 私はとにかく結論として申し上げまするが、自衛隊がそれはいろいろ不便なところにおって、さまざま苦労していらっしゃるでしょうけれども、自衛隊が移駐する場合に、先ほども淡谷君の場合に問題になりましたが、地元が徹底的に反対するところに行って、何が自衛隊の本来の任務を果し得るかということをまず念頭に置く。そのことはだからこれまでの国会においても何べんも答弁なさったのですが、そういうことを大前提として、大津移駐はしばらくやめて、別途方式を大蔵省側と折衝せらるべきであると思う。それを強く私は期待しておる。その点は次官の方においても、一つ十分に高い立場に立った解決の方式をぜひ見つけ出してもらわなければならぬと思う。以上申し上げまして、私の質問を終ります。
  152. 淡谷悠藏

    淡谷委員 議事進行について。さっき休憩中のお話で、早急に委員会を開くという条件で私質問していましたが、今与党の理事の方から承わりますと、今月の二十九日にやるという。それではまただいぶ間があるのです。この間に百里原の情勢というものは実に逆睹すべからざる形になっておりますので、私二十九日ごろに開くのであれば、やはり質疑を続けたいと思うのです。それとも委員長においてもっと早くお開きになる御意思があるならば、これでよろしいけれども、月末まで待っておられるような情勢じゃないと思うのですが、防衛庁、いかがでしょう。もっと早くするかどうか。それによっては私他日に譲ります。
  153. 岡崎英城

    ○岡崎委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  154. 岡崎英城

    ○岡崎委員長代理 速記を始めて。西村君。
  155. 西村力弥

    西村(力)委員 ちょっと忘れてしまったのでお尋ねしますが、追加して。私の県の酒田市で、自衛隊の自衛官募集の適格者名簿作成という問題が起きたのです。これは御存じだろうと思うのですが、五月二十八日に山形で、そういう係の打合会があったときに、名簿を作成しておいて、自衛官募集に便宜を与えようじゃないかというような話し合いが出た、こういうのです。普通その場合には自衛隊の地方連絡部の方が出席しておるのだろうと思うのですが、そういう場合にサゼスチョンや何かをあなたの方でやるというようなことがないのかどうか。どうですか。
  156. 山本幸雄

    山本説明員 ただいまの自衛官に志願しそうな人についての名簿というお話でありますが、これは募集の方法にもいろいろあるわけでございますが、都会なりあるいは地方のそれぞれに特色がございまして、地方の場合には、そういうような自衛官になりそうな人の名簿というものも、場合によれば備える場合もある。酒田市の場合、山形の数市が集まったときには、地連の方からさような話を積極的にしたということではなかった。むしろその場合数市の係の方から、そういうものを作ったらどうだというような話が出た、そういうふうに聞いております。     〔岡崎委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 西村力弥

    西村(力)委員 自発的にそういう意向が出て、決議ではないけれども、そんな意向が大勢を占めた、こういうことになるのでしょうが、それは喜ばしいことであるかもしれないのです、自衛隊自体にとっては。しかしただ喜ばしいからといって、自衛隊法に規定されている町村の事務委託ですか、そういうような範囲は、そこまでいってはならないということが、自衛隊法施行令にはっきり制限づけられておるのじゃないか。第七章雑則の第百十五条でこういうときは、志願票の提出があったときは、初めて市町村長が動くのです。それから第百十六条においても、志願者が出て、その志願者の願書を出したところから、本籍地の市町村にその調査を依頼があった場合に、市町村長がそれを応援する、この二項だけであると私は思うのですが、それ以上にやってくるならば、あなた方自体は大へんけっこうだと思われるかもしれませんけれども、この自衛隊法という厳格な——いろいろ世論に賛否両論あり、もまれてきて、厳格に規定になっておるこの自衛隊法という立場から考えまして、単に好ましいことであるような工合にだけは思えないのじゃないか、こういう点を、自衛隊の募集の関係における一つの限界として、一つはっきりしておいていただきたい、こう思うのです。
  158. 山本幸雄

    山本説明員 ただいま御指摘のごとく自衛官を募集します場合の市町村長のお仕事として二つお引きになりましたのは、もう一つそのほかに広報宣伝の任務というものをお願いしておるわけです。この広報宣伝ということについては、市町村側としては大へん努力をしていただいておりまして、優秀な隊員を獲得するためのいろいろな方法手段を尽してやっておっていただくわけなんです。そういう場合に一般的な広報というものもまたポスターを張ったりいろいろございますけれども、しかし地方によりますれば場合によりますとそういう個人に対して広報宣伝をするという場合もないではないのでありまして、そういう場合に自衛隊に来てくれそうな人に対する広報宣伝というものも、市町村長の応援なさる仕事としてあってもいいではないか、かように考えております。
  159. 西村力弥

    西村(力)委員 それは相当へ理屈に類することであって、個人に対する広報宣伝というのは、明らかにこれは勧誘です。それが自衛隊法のどこにもそんなこと、市町村長に委嘱するなんということは、ありはしないと思うのです。広報宣伝というのは明らかに軍楽隊を呼んで、自衛隊の威勢のいいところを見せるとか、募集の広告を、ポスターを張るとか、さまざまそういうことをさすのであって、個人の説得まで広報宣伝の条項で、これは法的に許されるのだ、こういうふうな解釈は、私たちは、何というか、詭弁というか、法の拡大解釈の誤まれるものというか、そういう工合に思うのです。一体個人に対する勧誘が広報宣伝というような工合になるものかどうか。この法律の内容にそれを包含しているかどうかということ、それは一つ厳格にやっていただきたい。軍紀の厳正をもって範とするというようなことで、この間も左藤防衛庁長官はだいぶ軍紀は厳正と言っておほめなさったように新聞なんかで見ておりまするが、そういうような根本は、法律をそう手前勝手に御都合主義に曲解するようなこと、拡大するようなことをやめることも大事なことじゃないかと思う。その点はどうなんですか。
  160. 山本幸雄

    山本説明員 広報宣伝、これは地域的にただいま申しますように、大へん都市的なところもありますし、地方によりますと大へんへんぴな地方というところもありまして、募集宣伝の方法というものは、その土地その土地に即して考えなければいかぬと思います。都市のような、たとえば東京のようなところにおきましては、個人に対して宣伝するということは考えられない。しかし地方に参りますれば、たとえば一人々々に自衛隊の募集についてのビラを渡すというようなことも、一つの広報宣伝ではなかろうか。それはその土地その土地、地方々々の実情に即してやらなければならぬ。しかしお話のごとく、広報宣伝という域を逸脱するということについては、これはもとより戒心をしていかなければならぬ。またさように戒心をしてやっておるつもりでおります。
  161. 西村力弥

    西村(力)委員 はっきりしておきたいのは、今仰せられたように、広報宣伝のことを市町村当局に委嘱するが、それは個々の勧誘を認めておるものではないのだということだけ明確にしてもらいたいのです。だからそういうことに関連する名簿の作成なんということは、これはもう法上から言っても少し自衛隊の仕事の逸脱であるということをはっきりしていただきたいと思うわけなんです。この問題については市当局がいろいろそんなことをやりましたが、議会においてもだいぶ論議になりまして、これはやはり自治体としての仕事を少し上回った、飛び越えたものだから、これはやめにするという工合になっているのですが、こういう工合にいくのが正常であって、それを何とか御都合のよいように拡大していこうというようなことは、この際はっきりやめていただきたい。これはそういう議会の論議で中止になっているから、まず一応いいのですが、これを契機としてあなた方がそういう解釈を広げていくと、これはどこでもここでもそういうことをやることが、いかにも自治体として大へん国家に忠実であるかのごとき考え方になる危険性がまた出てくることになるわけです。その点明確に一つ広報宣伝の限界というものは、そういう問題じゃないのだということをはっきりしておいていただきたい。
  162. 山本幸雄

    山本説明員 名簿というものが適切であるかどうかは別問題といたしまして、しかし地方におきましては、非常に人口の密度が低いところの、自衛隊に来てくれそうな人が非常に散らばっておるというような地域を連絡するようなものは、足をこまめに歩いて募集をやっておるわけでありますが、そういう場合に、市町村の方で広報宣伝というワクの中で御協力下さることにつきましては、私は喜んでお受けして、それに基いて広報宣伝をやり、隊員の募集をやるということは、自衛隊としてやむを得ないことではなかろうか。むしろそういうことをやらなければ、優秀なる隊員を募集できないのではなかろうか、かように思っております。
  163. 西村力弥

    西村(力)委員 それはあなたの方の御都合だけでなく、厳正に一つ考えてもらいたいということを前提にして私は聞いているのです。あなたの方の御都合からいうと、自衛官募集に苦労なさっているから、幾らかでも市町村当局が協力してくれることを大歓迎だろうと思うのですが、そういうような工合に、自分の御都合次第によって一つの限界を越えてしまうということだけはやめていただきたいと思う。自衛隊は、少くとも防衛庁は、この法律を厳格に解釈して、そしてその限界内において行動せられること、そういうことこそ望ましいはずですから、そこのところをはっきりと割り切って、そこまではこの法自体は望んでいない、認めていないのだという見解をとってもらいたいと思うのです。それは私も法律的にどうこうということをあなたと論争しようとしても、どうもだめなのであって、今あなたの方の希望意見だけが先に走っておるから、どうも話が合いませんけれども、この点については、そこまで広報宣伝ということを、法制定当時の趣旨として決して認めてはいないのだということを一つ明確にしていただきたい。これはくどいようで、何べんも同じようなことを言うようになりまして、工合が悪いのですが、そうしないと非常に困る。そういうことを言うならば、そのほかの募集事務一切を市町村当局がやるならば、それでよろしい。そのほかの相当の問題、会社に就職するのも、官庁に就職するのも、そういう点なんかも全部就職の便宜をはかるという具体的な動きがあるのならばとにかくとして、ここだけ取り上げていくということは、ちょっと行き過ぎであると私は思うのです。再度その点について人事局長のはっきりした、純粋に法の解釈に立った立場を一つ聞かしてもらいたいと思う。
  164. 山本幸雄

    山本説明員 現実の場合に、募集に参りますときは、地連の者が参りまして募集をして歩く、そういう場合に役場の協力を得るということは、これはどうしても得たいところなので、その得る具体的な方法になるわけですが、要は、そういう広報宣伝を受ける受け身になる方の方が心理的に非常に圧迫を受けるとか、あるいは人の自由意思を踏みにじるとか、そういうようなことは毛頭あってはならないわけでありまして、さような点につきましては、これは厳重に注意をしていかなければならぬ。そしてそれについては、募集をいたしまする場合に、地連といたしましては十分に心してやっておるはずでございます。そういう一つのワクをきっちりはめまして、そのワクの中で地連というものは募集をやっておるわけで、さような問題については、今までもあまり問題もなかった、かように考えておるわけでありまして、現在の募集方法というものを一つの方法としましてやっていきたい、かように思っております。
  165. 西村力弥

    西村(力)委員 最後に、こういう名簿を作成することは好ましいとは思うけれども、市町村当局にこういうことをお願いしたり要求したりは絶対にしない、防衛庁としては、そういうことをやろうという気はないし、われわれから言うと、そういうことをやることは行き過ぎであると考えるのですが、防衛庁としても、そういうことをやろうとする気は全然ない、かようにはっきりしていただきたい。
  166. 山本幸雄

    山本説明員 繰り返し申し上げますけれども、ただいまのような募集の方法で、要するに、再三申し上げて恐縮でありますけれども、募集の主体はどこまでも一応地連がやる、そして、それに対して地連が、具体的に非常に人員も少いし、また現実にはなかなか募集上の要件というものはそろうてない、そこでいろいろ苦労してやるわけでありますが、その場合に、やはり自衛隊法なりあるいは自衛隊法施行令に書いてありまする範囲内で市町村の協力は得ていきたい、かように思っておるわけです。その場合の市町村の協力の仕方として、名簿という具体的に紙に書き上げたもので協力を得るか、あるいはまた具体的にどういうところにどういう方がおられるかということを伺うくらいのことは、やはり募集上はやっていかないと、地連としても非常にむずかしいことではなかろうか。その辺のところは、一つ具体的の募集の方法において弊害のないようにやるというだけのことは、非常な戒心をもってやっておりますから、御了承いただきたいと思います。
  167. 西村力弥

    西村(力)委員 それでわかりました。市町村におかれて、適当な人がいないかぐらいのことを聞くのは、普通あり得て何もかまわないと思います。ただ名簿を作ることは、前の徴兵検査の適齢者名簿に類するものになるから気をつけなさい、それほどの広報活動など絶対許していない。私たちの連想は徴兵適齢者名簿です。ですからそこは厳然としてもらいたい、こういうことなんです。よろしゅうございますか。
  168. 山本幸雄

    山本説明員 ただ私の方から申し上げたいのは、徴兵制度の適齢者名簿とまぎらわしいということの誤解を招くという点については、私どもとしては決してそういうことはない、つまりこれは、たとえば十八才から二十五才までのすべての人の名簿を書き上げてくれというわけでは決してない。その町村におきまして適当な職を持っておられない、あるいは家に余力があって、自衛隊に行ってもよさそうだ、そういう人たちの何がしかの、つまり市町村のそれぞれの中におけるそういう十八才から二十五才までのうちのほんのわずかの人、何%かにすぎない人、そういう人はどういう人があるかということだけでありまして、それ以上の、つまりこれが直ちに適齢者名簿が連想されるということは、自衛隊としても迷惑ではなかろうかと思っております。決してさような誤解を招かないように、名前もさような適齢者名簿というような名前は使うなということを繰り返し注意をいたしておるわけであります。でありますから、決して徴兵者名簿のような印象はない、私はかように思っておるわけであります。
  169. 西村力弥

    西村(力)委員 今言われた適齢者名簿というような誤解を招くような名称は使うな、こう言っても、地方連絡部や何かの備えつけの書類に対してでしょう。それを役場で作る場合に、そういう名前を使うな、こういうのじゃないでしょう。それはわかりました。その点は一つはっきりやっていただくことを、希望として申し上げておきます。
  170. 淡谷悠藏

    淡谷委員 関連して。自衛官募集のポスターをだいぶ多量に張られているようですが、あれは全国くまなく張っているのですか。何枚ぐらい出しておりますか。
  171. 山本幸雄

    山本説明員 もちろん募集は全国的にやっておりまして、全国に張っております。大体年に数回募集をやるものでございますから、その一期々々で、年間に六十万枚くらいだと思いますが、それを数回に分けて張っておるわけであります。
  172. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この申込所や何かは、各市町村の役場になっているようですが、これは自動的に役場が事務扱いをやるのですか。それとも一々役場の承諾を求めてやるのですか。ポスターは一様に役場になっておりますが、役場はいつから自衛隊の雇い入れの仲人をするようになったのか、ちょっとわからないのですが……。
  173. 山本幸雄

    山本説明員 法律のことを申し上げておそれ入りますけれども、自衛隊法に、実は募集上の協力ということがございましてそれに基きまして政令で、ただいま西村委員からもお話がありましたように、市町村の協力をしていただく事項が書いてございます。それにのっとりましてやっておるわけでございます。
  174. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ここにも法令集がございますから、政令及び法の何条かをお教えいただきたいと思います。
  175. 山本幸雄

    山本説明員 自衛隊法の第九十七条、及び同じく施行令の第百十四条から第百二十条まででございます。
  176. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これによって役場が自動的に自衛官の募集に対する申し込みを受けたりする義務が生ずるのですか。どこにこれが出ているのですか。
  177. 山本幸雄

    山本説明員 施行令の第百十五条は、志願票の提出を市町村が受け付ける規定になっております。それに基きまして志願票の受理をするようになっていると思います。
  178. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その際役場がいろいろな事情で断わった場合はどうなるのですか。これはやはり法律の処罰を受けますか。
  179. 山本幸雄

    山本説明員 ちょっと今資料は持っておりませんが、この事務は市町村長に機関委任しておるわけでございまして、その委任に対して、これをやってくれないというときには、地方自治法に戻りまして地方自治法の内閣総理大臣の監督権でございますか、それによって適当な処置が講ぜられるということであります。
  180. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうすると、市町村長の自衛隊の募集に関する事務は、必行の事務なんですね。この条文は、そむいた場合は行政処分か何かを受ける強制力を持っているのですか。その点確かめておきたいと思います。
  181. 山本幸雄

    山本説明員 それは地方自治法の第百四十六条だと思いますが、これによりまして、内閣総理大臣が市町村長に対しまして、是正あるいは改善のために必要な措置を講ずべきことを求めることができる、かようになっております。
  182. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そういうあやふやな解釈では危ないのです。あなたが引用した第九十七条の第二項を読んでごらんなさい。「長官は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。」となっているでしょう。その前に「都道府県知事及び市長村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」としてある。この「できる」と「行う」とどう違いますか。これは義務規定ですか、権利規定ですか。この法律は、これに基いて政令が作られたものですよ。
  183. 山本幸雄

    山本説明員 第九十七条の一項の方は、「事務を行う。」となっておりますから、それによってやっていただく。それから二項の方は、「長官がこういうことの協力を求めることができる。」こういうわけであります。
  184. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一項の方は権利規定で、二項は義務規定、あるいは逆に、一項は義務規定、二項は権利規定、受ける方からすればどっちですか。一項の方にそうした行政処分までなし得るような強い規定が入っておりますか。
  185. 山本幸雄

    山本説明員 これは今申しましたように、一項の方はやっていただく、だから義務的な規定ではないかと思います。二項の方は求めることができるという規定ではないかと思います。
  186. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大事な点ですから明確にしておきたいのですが、やってもらうというのは、頼み込んでやってもらうのですか。頼み込まなくても、これをやるだけの義務があるのですか。当然やるべきものなのか、頼まれた場合にやるのか。これは法の解釈ですから、明快にしておいてもらいたい。
  187. 山本幸雄

    山本説明員 これは第九十七条の一項、さらにそれを受けた政令によりまして市町村長がやる、こういうことだと思います。
  188. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なお若干の疑点はありますが、あなたの方の解釈は、一つのはっきりした義務規定と解釈しているというふうに了解していいですね。  それでは一応これで終ります。
  189. 内海安吉

    内海委員長 この際ごあいさつ申し上げます。第二十九特別国会は本日をもって閉会となることになりました。私はまことにふなれのために、委員各位に御不便をおかけいたしましたが、各位の御協力によりまして、大過なく本国会を終えることができましたことは、まことにありがたく御礼申し上げる次第でございます。なお今後ともどうぞ御協力のほどをお願いいたします。簡単でございますが、閉会に当りまして一言ごあいさつ申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二分散会