○濱田政府
委員 大臣の御
説明がありましたように、ただいまNHKにおきまして、
東京と
大阪の二カ所において
実験放送を
実施しております。この目的は技術的な面と番組の面との両方があると思うのであります。技術的の面につきましては大かたの技術資料が集められております。番組の面につきましては——番組と申しますのは、どういう番組をやるのがまず適当だろうかということを私どもは
考えておるわけであります。FMというものは、本来外部からの雑音の
影響を受けることが少い、また音質のよい
放送ができるわけであります。そのために、西洋音楽、古典音楽などが大へんいいというのが常識的に
考えられることでありますけれども、もちろん他の日本語の
放送、義太夫でも浪花節でも何でもいいには違いないわけであります。そういうわけでありますので、どういう内容の
放送であるのがいいかという点につきましても、私どもは
実験放送を通じて検討し、また世論の
反響を聞いておるわけであります。かような次第でありまして、大体のところ私の
考えでは、
実験の資料は集まりつつある、大体集まっている、欲をいえば限りはありませんけれども、大体集まったろうというふうに
考えておりますので、これをもとにしまして免許の基準、技術基準というようなものをなるべく早く制定しまして、それによってどういうふうに免許していくかということの方針をきめたい、こういうのが一つの
考え方であります。
言いのがしましたが、
外国からの
妨害電波の
影響を受けないということ、これはまさにその
通りであります。
外国電波というのはみな中波でありますから、これを
FM放送を
実施いたしますならば、その受信機は中波は受からないわけでありまして、当然妨害を受けないのが当りまえである、そういう意味でありますけれども、現在
外国からどの程度に妨害を受けているかということにつきまして、私どもは注意を強く向けまして、そしてどの辺がどの程度に受けているかということを
考えまして、それとにらみ合せまして、まずFMを免許するにはどの地区からやるのがいいだろうということにつきまして検討いたしておる、そういう段階でございます。田中前
大臣が、現在の中波をすべてFMをもって置きかえてしまう、その構想について考究をしているということを申されたことを、私は
承知しております。けれども今すぐ
実施するというふうなことは事実不可能であります。かようなことは、私どもはあえて申し上げできない、そう思っているのであります。
ついでに申し上げまするが、現在の千五百万台も行き渡りました中波の受信機を全部FMが聞えるようにするためには、少くとも一千億円くらい費用がかかる。今の受信機でFMを聞くためにはチューナーというものをつける必要が最小限ある。新しくFM受信機を作りますと、どうしても一台一万五千円以上、現在では二万円から三万円するといわれております。そのくらいお金がかかるのでありまして、そういうわけでこれを一挙にやることは非常に困難であります。そういう意味で、私の
考えでは、まず
東京、
大阪あるいは北九州というような大都会においてこれを
実施してみる。すなわち雑音源の多いところ、それが一つ。それから自動車道路だとか。しかし雑立言を受けることが少い、良質の
放送が聞えるところも多いのであります。それで、農村とかあるいは遠隔の地域もやりたいのですけれども、まず大都会でやってみる。これにはタレントの便宜もありますから、それから日本海沿岸
地方あるいは北九州というふうな
外国電波の
影響を受けやすいところ、現に受けているというような
事情にあるところ、そういうところからまずやっていく。それには現在の
実験放送というものをなるべく早く実用化試験というものに切りかえまして、そして
放送時間を長くしまして、だんだんやっていく。そして世論の
反響を見て慎重に、スロー・アンド・ステディにこれをやっていくというのが、私どもの偽わらざる
考えであります。