○
奧野説明員 御承知のように
鉄道利用債は、
鉄道の
事業から
利益を受けるものがあります場合、それに
資金の一部を持ってもらって
鉄道の
事業をやっていく、こういう形で行われているものでございます。
利益のあるものに
資金を持ってもらうわけでありますから、
国鉄が
政府保証債を発行するその際の
利回りよりも低い
利回りでありますし、またそういう
資金でありますから、もとより
国鉄の
政府保証債でありますと、日本銀行が担保にとるわけでありますけれ
ども、
利用債でありますと、これはとりません。従って
資金も寝てしまうわけであります。そういう
意味で従来
鉄道利用債を、たしか年間二、三億円ずつ発行して参ったように思います。それが三十二年度では一躍十九億円にふえたというように記憶しております。それがさらに三十三年度においては八十三億円に増額になったわけであります。その
鉄道利用債はどういうところに向けられるかということを見て参りますと、ことしはたとえて申し上げますと、
山陽線を
電化していく、こういう
電化に必要な
資金を
地元で
利用債を引き受けてもらいたい、それと見返りに
電化工事をやっていく、こういう
格好になってきたのであります。そうしますと、
電化によってだれが
利益を受けるか、なかなかむずかしい問題であります。
勢い府県や
市町村がその
資金を背負い込まざるを得ないというような
格好になってしまうのでございます。その結果、
府県や
市町村としても、なかなかそういう
資金を背負い込めないので、結局銀行に無理に頼み込んで持ってもらって、そのかわりに利子の少い
部分だけを
地方団体が補給する、こういうようなことにもなってきたわけであります。そうしますと、将来
鉄道の
電化もどんどん進められるわけでありますし、そういう場合の
資金の調達を全部
府県や
市町村が背負い込まなければならないようなことになって参りますと、まさにこれは
地方財政として予想もしなかったことでありましてさしあたりのことは若干のことはできましょうが、将来にわたって、そういうような任務を
地方団体が負わざるを得ないということは大問題だと私
たちは
考えておるわけであります。そういうものは、やはり
国鉄が
政府保証債を発行いたしまして全国から
資金を集めて必要なところからどんどん
電化を進めていく、そういう性格のものじゃないか、こういうふうに私
たちは
考えておったのであります。そこで将来の問題といたしまして
一体鉄道利用債をどういうものについて
地元に背負い込ませるつもりであるか、その範囲を明らかにしてもらいたい。たとえていえば駅前の広場を拡張する、あるいは駅舎を改築するというような場合に、
地元の都市計画の
事業とも関連いたしまして、いろいろ希望もありましょう。従いまして
利用債を
地元で引き受けるということは、私
たちはけっこうなことだと思います。しかしながら幹線を
電化していくためには、
国鉄は
政府保証債を出しておるじゃないか。それにもかかわらず、
地元で別途に
利用債の引き受けを強要するということは、先ほ
ども申しましたように、その
資金は寝てしまう
資金でありますし、また
政府保証債よりも低い
利回りのものでありますし、またそれが低いものでありましても、なかなか
地方財政にはそういうゆとりがありませんので、そういう任務は負っていけないと思います。そういうことになりますと大問題になるわけでありまして、
鉄道利用債を将来にわたってどういうものについて発行するのか、その範囲を明確にしてもらいたいということを、
国鉄に対して申し入れておったわけであります。
国鉄といたしましても、出したくないのだけれ
ども、そういう話し合いをはっきりせよということになりますと、運輸省の問題にもなるのでということでありまして、運輸省と話をしてもらいたい、こういうようなことになったりしておるわけでありまして、早急に政府部内でその辺の範囲を明確にしてもらいたいという希望を強く持っておるわけであります。将来にわたります
利用債発行の
態度がきまりませんと、今年だけは
利用債をどんどん引き受けて
電化をどんどんやってもらうというのは、
府県や
市町村としても出にくいのじゃないか、また私
たちとしても、たとえば再建団体が再建計画の変更をするなり、
利用債について利子補給を銀行にやっていくのだというようなことを言われても、それがよろしいということは言えないのじゃないかと
考えております。そういうことで、
利用債の将来にわたる発行範囲をどうきめるか、そういうことについての範囲を、
国鉄なり運輸省なりに明確に示してもらいたいということを求めておるわけでありまして、いまだに具体的な話を得ておらないわけでありますが、私
たちは早急にそういう点について明確になることを期待いたしておるわけであります。