○平岡委員
大蔵大臣、今日までその衝になかったから、いろいろな事情は御承知ないかもしれません。あるいは最もよく知っておるかもしれません。しかし、この問題は、
国民は従来の悪例に徴しまして納得していないのです。自民党が今までやってきまして
——それは財界をもって立党の基盤としていまする貴党の立場はわれわれ社会党と対照的な立場にあることもよく知りておりますゆえ、ある程度貴党がサービスをするのはいいとは思うのですが、私どもはそれを数え立てて言いたくもありませんが、大体今までの保守党
内閣と財界との経済
政策におけるところの結託関係
——こういう言葉でいいかどうか知らないけれども、そして、
大臣の個人的な事柄に触れるつもりはないけれども、造船利子補給の問題で天下を驚倒させた事例、要するに
予算の上に補助金を組むということ、これは運営がよろしければいいのですが、おのずから限度があると思うのです。私は、かたくなに、こうした行き方自体が悪いとは思っておりません。日本の造船を何とか戦前のレベルに早く回復させる、こういうことのためにということがあるので、私は反対せんがための反対はしません。限度をはずさなければ、このこともいいと思うのです。しかし、補助金による助成が巷間では不当に行われたとされておりました。ところが、これは
予算面にはっきりと出てくるんだ。助成金、補助金というものはどうも目について工合が悪いというので、今度は朝鮮事変以降は、これは朝鮮事変という特殊な
事態によって非常なブームがきたのだけれども、これが終りますと、いわゆる不況に転じまして、そのときに朝鮮事変を契機として一般の
法人税とか所得税が上げられたけれども、平和不況になったのだからこれを一般的に下げろという世論があったときに、一般的な問題として取り上げずに、一部財界の租税特別
措置の陳情を全部受け入れて、その方面だけにこたえていった。そして二カ年ほどは四二%の不当に高い
法人税を据え置いて、特定な陳情請願に対しましてのみ租税特別
措置としまして約一カ年平均一千億ドルを減税した。そしてそれが五カ年間も続いた。これが昨年あたりの神武景気の根底をつちかっていると私は断ずるものなのでありますが、こうした租税特別
措置法という特例によって財界を援助した。この点もそろそろ世の指弾にあいまして、この問題に対しましても、自民党あるいは
政府としましても、こればかりではいかぬというような、大体反省的な立場に立ったと思うのです、なかなか根強いものがございますが。それから今度はどう形をとって財界の要望にこたえたかといいますと、オープン勘定で商社、メーカーの危険負担を
国民に転嫁する、こういう方式を結果としてはとってきたといわざるを得ないのです。それから、私どもがおそれるのは、このインドネシアの債権棒引きによって一定のメーカーにとシッパー対して特典を与え、そのしりぬぐいを
国民の税金によってまかなう、
国民全般に転嫁していく、こういう
一つのコースをとってきましたので、これからどういうことをやるかという疑問があるのです。賠償輸出、円借款供与というような問題も、かくして私どもはどうもすなおには考えるわけにはいかぬのです。
エカフェの調査によりますと、
東南アジアの生活レベルを二%だけ高めるためには十七億ドルの金が要る。約六千億円です。ところが日本が、いかにも名
目的にはアジア経済のリーダーシップをとるのだから、そこで日本の方も円借款をインドに与えようとか、あるいは世銀に要請して世銀の円
資金を解除して。パキスタンの要望にこたえよう、こういうようにうわべはなかなかきれいなんですが、ところが、今言ったような六千億円のところに持っていって、インドに対して初
年度五十億円ですか、こんなものは問題にならぬと思うのです。日本がアジアにおける先進国だからそのリーダーシップをとる、こういう貴重な
一つの費用なんだと言ったっても、客観的に見れば、今言いましたアジア諸国が必要とする額からははるかに低いものなんです。そうなると、効果のない金をばら巻くことになる。インドに対して五十億円の円借款を与えるということは、円を別段インドに送るわけではなくて、日本銀行にインド勘定として五十億円を置いて、あなたの好きなものを買いなさい、こういうことで買わせます。そうして特定のメーカーがそれを輸出します。そのときに預けられました日銀の勘定から、そのメーカーが金をすぐ受け取ることができる。プラント輸出なら、普通ならばメーカーはえらい犠牲をしいられるのですけれども、その点が、円借款をインドに与えておけば、日本銀行からすぐ金を支払われるのですから、特定のメーカーそれ自体には、えらい恩典になるのです。ですから、近ごろあなた方が言っておられる賠償輸出とか円借款供与とかいうものは、アジアにおける日本の対外
政策と言わんよりは、特定層に結びついた対内
政策ではないか、こういうふうに疑いを持ちたくなる。私どもは、こういう点で、
国民に対してあなた方の明快な、しからざるゆえんを開陳してほしいのです。その問題は、先ほど
春日君の言われた
経済基盤強化の
法律に対する
質問の要点あたりが、そこいらにやはり関連があるように思うので、そういう点をわれわれの納得のできるように
一つ御開陳いただきたい。