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山本(勝)
委員 時間もあまりありませんから、私の
考えを述べて、
答弁はなくてもけっこうです。大体、私は、これに
経済基盤強化資金という
名前をつけたのは、あまり賢明でなかったというふうに思うのです。それで、もともとそういう
経済基盤を
強化するという積極的な
目的でもって
資金を設定したというのは、
法律上、
資金というものは、そういう
目的を設定しないでは
資金をつけられないというふうな、何か
法律上の
解釈があったんじゃないかと思いますが、しかし、そういう積極的な
目的で、
経済基盤を
強化するというふうな
目的でできたものではなくて、先ほど申した
通り、余分の
臨時収入が入った、それでもって世帯をはったら、
あと収入がないときに今度はどうにもならぬから、これは使わずに貯金しておこうという
考え方でないか。それならば非常にわかる。しかし、それならば
利子をつけるということも必要はないし、それから
経済基盤強化のためというが、
経済基盤の
強化というふうなことは、一日も早ければ早い方がいいのであります。
経済の
基盤を
強化するというのですから、これは一日も早いことがいい。それを将来に留保するということはなぜかという疑問を生じてくる。なぜ将来に留保しなければならぬか。現在
経済基盤を
強化してはなぜいけないのかというような、子供みたいなことですが、
文字の上からいうと疑問を生じてくる。ですから、どうして現在
経済基盤を
強化してはいけないかというふうなことを、もし野党なら
質問するかもしれぬが、そういうことを問い詰められてくると、なかなかむずかしい。実際あっさりと
——私が最初に申したことが
ほんとうならば、
経済基盤強化ということじゃなくて、むしろ
景気とかあるいは
財政の
調整資金として作る、こういうことにして、こういう
名前をつけなんだ方がよかったと思う。しかも、
経済基盤強化という中に、
道路の
整備とかあるいは
港湾の
整備とか、
科学技術の
振興とか、いろいろなことを並べておりますが、これに限定するということが、もうすでにはなはだおもしろくない。たとえば
通信の、
整備というふうなことがなぜこの中に入らぬのかと言われたら、これはなかなか
説明はむずかしい。また、私の方から言うと、ほんとの
経済基盤というのは何かというと、そういう
道路とか
港湾とかいうのは、人間の
身体でいえば胃袋だとか肺だとか心臓だとかいうものに当るのでしょうけれども、それならば膵臓もあり肝臓もあり
目玉もありと、いろいろになってきますから、それよりも、
ほんとうの健康にするには、
身体全体の
機能障害をなおすということが
——今日の
日本の
経済が、その正常なる
運営がいろいろな点で妨げられて、
機能障害を生じておる。こまかいことは申しませんけれども、
多角機構で立っておる今日の
自由経済、
市場の
多角機構というものが、いろいろな干渉によって歪曲されて、
機能障害を生じておる。それをなおすことが一番
経済の基礎を直すことであって、要するにそういう
機能がずっとうまくなるなら、
あとはりっぱになるんですから、
一つ一つ、
目玉をどうだとか、
道路はどうだとかいうようなことを言うと、今言うように、
通信はどうだ。あるいは戦争の結果としていろいろなでこぼこができておりますが、これも
財源がないから仕方ないというので、断わっておるものがたくさんあります。こういうものも、こういう
財源のあるときに跡始末をちゃんとして、そうして二度とそういう文句のないようにしてやるべきじゃないかというような議論も生じてくるんですから、私は、これを
経済基盤強化として、「将来の」とか、一定の項目に限定するとか、これを
預託して
利子をとるというようなことには、いろいろ疑問があるわけであります。しかし、おそらく、事の成り立ちは
異常収入を今使ったんでは
あとに災いを残すという
意味であろうと思います。それが
資金ということになると、今の
財政法の建前から、
目的を明らかにしないで
資金は作れないというふうなことから、やはりそこへ
目的を書き込んできたということで、こういうふうになったんじゃなかろうかと思う。いずれにしましても、この
予算がすでに通っておることでありまするし、また与党は数が多いのでありますから、早晩必ず通るにきまっておりますが、ただ最後に
一つだけ申し
上げておきますが、こういう税金の
余剰分の蓄積というものの一番心配されるのは、これが将来いつ使われる、使われて
金融市場に還元される場合に
撹乱作用を生ずる。その
撹乱作用に対して十分善処しておられるに違いないけれども、変な
内閣ができて、洗いざらい、これがあるというので、
財源にして、下手な使い方をした場合には、非常な
撹乱作用を生ずると思うのです。西ドイツの場合でも、一番心配されたのはそれだと思います。ですから、この点について、使う場合に、ただ
目的を
五つに限定したというようなことではなくて、いかなる状況のときに撹乱しないでうまく使えるかということは、十分研究した上で使ってもらいたいと私はう思のです。
なお、こまかな点を言うと、この四百三十六億三千万円のうちで、
基金の方は、これは
利子をつけなきゃならぬ。従って、これを
運用することが必要でありますけれども、二百二十一億三千万円の
資金の方は、たな
上げが
目的ですから、
利子をつける必要はないし、従って
運用することがむしろ間違いじゃないか。
運用しないで
利子をつけるということになると、
預金部に赤字を生じてきますし、そうかといって、
運用するということになると、たな
上げした
意味がなくなってしまって、形を変えて実は
運用する、たな
上げじゃない、こういうふうなことになってきますから、将来研究して、こういう
制度はそういう欠陥も生じるし、できるだけ早い
機会において、弊害のないような
方法でりっぱに使うことを
考えるのがいいのじゃないか。この点を申し
上げて、時間が参りましたから、私の
質問を終ることにいたします。