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1958-06-24 第29回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十四日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 夏堀源三郎君 理事 福田  一君    理事 坊  秀男君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    内田 常雄君       押谷 富三君    鴨田 宗一君       小山 長規君    田中 角榮君       竹下  登君    南條 徳男君       西村 英一君    藤枝 泉介君       古川 丈吉君    細田 義安君       毛利 松平君    山下 春江君       山村庄之助君    山本 勝市君       春日 一幸君    久保田鶴松君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       山下 榮二君    山花 秀雄君       山本 幸一君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  石田  正君  委員外出席者         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉國 二郎君         国税庁長官   北島 武雄君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      金子 一平君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      泉 美之松君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      吉行市太郎君         日本国有鉄道常         務理事     吾孫子 豐君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基  金に関する法律案内閣提出第一号)  税制に関する件  国有財産に関する件      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。山本勝市君。
  3. 山本勝市

    山本(勝)委員 経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律案について、議事の運営の都合上、私に質問をおすすめになったので、そういう点を頭に置いて、この法案について常識的に起る疑問の若干について質疑をいたしたいと考えます。  第一点でありますが、この法律案資金を設けることと基金を設けることの二つの内容を含んでおりますが、資金基金というものは、目的も性格も非常に違っておるのだと私は思うのであります。その違った目的を持ったものを一つ法律に含んでおりまするものですから、そこで、条文を読んでみますと、いろいろ常識的に疑義を生じてくる。しかし、これは立案者としては深く考えられたことでありましょうから、この機会にその疑義をはっきりさしていただきたい。  なお、必ずしも答弁しなくてもいいこともあるし、あとで研究してもらう点もあっていいのですが、第一点は、資金の方、つまり経済基盤強化のための資金の方は、資金運用部預託することができる、こういうことになっておりますし、基金の方は、資金運用部預託しなければならぬ、こういうふうになっておるのは、やはり目的の違いから私は来ておるのではなかろうかと思うが、どうして資金の方は預託することができるというふうに書かれたか。基金の方は預託しなければならぬというふうに書かれたか。これは現在のいろいろな法律関係からこういうふうなことになった点もあるのじゃないかと思うが、その点をまず伺っておきたい。
  4. 小熊孝次

    小熊説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  若干法律的な問題もございますので、私から答弁さしていただきます。資金は、一般会計からの資金といたしまして、国の内部に設けられるものであります。それから、基金の方は、外部の特別の法人に対して出資をいたしまして、その出資でできますところの基金に属する現金の預託金を貸しておるわけでありまして、一つは対外的な意味におきまして義務を課するわけでございます。それから一つは、国の内部におきまして、内部経理のルールといたしましての規定でございますので、おのずからニュアンスが違う問題でございます。従来も、国の内部におきますところの特別会計とかそういうところで、余裕金資金運用部預託というような場合におきましては、資金運用部預託することができる、こういうような規定があるわけでございます。国の内部といたしまして、その権限だけを規定しておけばよろしい、こういうふうな考え規定しているわけであります。これは、現実の運用といたしましては、資金運用部預託するということには間違いないわけであります。それから、基金の方は、これは、先ほども申しましたように、特別の法人に対する義務規定でございますので、しなければならない、こういうような考え規定している次第でございます。
  5. 山本勝市

    山本(勝)委員 そうしますと、こういうふうに了解していいわけですね。基金の方は、外部のものですから、そこで預金部預託しなければならぬ、こういうふうにきめておく必要があるが、しかし、資金の方は、政府内部のことであるから、そこで、必ずしも預託しなければならぬと書かなくても、預託することができると書いておれば預託するだろう。預託するという意味であって、預託することができるというのは、必ずしも預託しなくてもよろしいという意味ではない。言葉の疑義は、預託することができるということになると、資金預託しなくてもいいのではないか、あるいは二百二十一億三千万円の限度を限って預託することができるということになると、文字上の解釈からすると、それ以下ならば幾ら預託してもよろしいという解釈もつくけれども、そういう意味ではなくて、基金のように、しなければならぬというふうに限定する必要はない、できるという道を開いておけば、必ず二百二十一億三千万円は予算にきめている通り預託するものと思う、こういうふうに考えて、こういうふうな二通りの書き方をされた、こう理解していいわけですか。
  6. 小熊孝次

    小熊説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、一つは国の内部規定でございまするし、一つ外部規定でございますので、国の方の問題につきましては、これは資金運用部預託する、こうなっておるわけでございますから、その執行といたしまして、そういう権限を与えれば当然そういうことをする、こういうことにわれわれは考えておるのでございます。
  7. 山本勝市

    山本(勝)委員 それから、この資金の方は、これは私の解釈ですけれども、基金目的が違う。基金の方は、たとえばジェトロが金がない、それを一つ恒久的な安心をした基金を与えて、その利息で活動させよう、こういうねらいだと思います。ですから、その利息が実際に幾ら利息になるかということは、ジェトロの活動と大きな関係を持つわけであります。通産省が貿易振興のための重大な一つの施策として看板に掲げておるジェトロが、これによって活動するわけであります。だからどうしても利息の額が問題だと思います。従って、預金部利子を払う場合に、利率何分の利子を払うかということが大きな関心の問題じゃないかと思う。従って、この基金の方の利子の率は幾らにするのか。これは、申し上げるまでもなしに、きわめて短期間の場合には利率が低いし、長期預託すれば利子が高くなる。どういう率で預託させることを予定しておられるのか。この点を伺っておきます。
  8. 小熊孝次

    小熊説明員 お答えいたします。  今回の法律によりまして五つの特別の法人に対して出資いたすわけでありまして、その出資した金は資金運用部預託をするわけでありますが、資金運用部の方では、この預託金に対しましてどれたけの利子をつけるかということは、資金運用部の方できまっておるわけでございます。それは、先ほど先生がおっしゃいましたように、長期預託になるほど利子が高くなっております。従いまして、たとえばただいまお話のありましたところの日本貿易振興会、この基金はその預託金利子事業費をまかなっていく、こういうことでございまして、その基金はずっと引き続いて取りくずさないで、永続的に、半恒久的に持っておるわけでございますので、資金運用部利子の最高でありますところの六分で預託をする、こういうことになるわけでございます。従いまして、二十億でございますから、一億二千万円というものが毎年預託金利子として入ってくる、こういうことになるわけでございますが、今年度は設立がおそくなります関係上、かりに九カ月といたしますと、九千万円程度になる。それから、その他の法人について申しますと、労働協会は十五億円でございますが、これはやはり、日本貿易振興会と同じように、基金といたしまして半恒久的にその基金を保持していく、取りくずすことはしない、こういう考え方でございますので、これは十五億円の六分でございますから、平年度として九千万円ずつ入ってくる、こういうことになるわけでございます。ただ、今年度は、九カ月といたしますと六千七百万円程度になります。それから、その他の特殊法人といたしましては、日本輸出入銀行がございますが、この預託利子は将来東南アジア開発協力のための出資に充てる、あるいはその間におきまして投資に充てるというようなことも考え得られますので、一応短期考えまして、三カ月以上一年未満の大体三分五厘程度ではないかと考えております。そういたしますと、五十億でございますから、一億七千五百万くらいになると思いますが、今年度といたしましては九カ月でございますから一億三千万円程度、こういうことになると思います。それから、中小企業信用保険公庫でございますが、この基金保険準備金でございますので、この公庫は、相当安い料金で、安い保険料率保険をやっております。そうして、こういう公庫の性質から申しまして、損失が出てくるという問題がございますので、保険準備金が取りくずされていくということを法律上も認めておるわけでございます。従いまして、全部長期にするというわけには参りませんので、現在のところでは、大体としては六十五億のうちの四十億が六分程度、それから二十五億程度のものが五分五厘程度預託できるのではないか、こういう予想がいたされるわけでありますが、本年度は七月から大体発足を予定しておりますので、そういたしますと、九カ月でございますから、二億二千三百万円程度預託収入が入ってくる、こういうふうに一応予定しておるわけであります。平年度になりますとこれがもっと多くなるわけでありますが、まあ今年度は大体そういうことを予定しております。それから、農林漁業金融公庫でございます。これはやはり六十五億の出資でございますが、大体これも相当半恒久的に六分程度運用できる。すなわち一年以上は預託できるのじゃないか、こういうふうに考えておりますので、これも、九カ月で申しますと、予定では五分五厘で一応考えておりますが、現在では六分で運用できると思いますので、年間といたしますと三億九千万円程度になると思います。本年度は九カ月でございますから少し減る、こういうことになると思います。  以上、簡単ですが、お答えいたします。
  9. 山本勝市

    山本(勝)委員 資金の方はどういう利率になっておりますか。
  10. 小熊孝次

    小熊説明員 資金の方は、御承知のように二百二十一億三千万円でございますが、これは、経済情勢を勘案いたしまして、この資金を使っていいかどうかという判断をするわけであります。従いまして、いっときに長期預託ということは考えられません。従いまして、とりあえずは一年未満を三分五厘で預託する、こういうことになると思いますが、そういたしますと、平年度で申しまして大体七億程度預託金利子が入る、こういうことになると思います。
  11. 山本勝市

    山本(勝)委員 そこで、問題なんですけれども、基金の方に利子をつけるということは、その利子によって活動させるのだから、これは非常に意味があるし、なるべく高い利率でやった方がいいというふうに考えるのですが、ただ資金の方に利子をつけるということは必要がないのじゃないか。ただ政府部内においてたな上げをした金に利子をつける、そうしてその利子資金の中へ繰り込んでいくというようなことは、何か法律上どうしてもそうしなければならぬようなことになって、そういうことになったのかもしれませんが、実質的に考えると、大体こういう資金というものを置かれた理由が、私の理解するところでは、三十一年度剰余金というものが異常に予想外に入ってきた。しかしそういうことは将来必ずしも永続するとは考えられない。ことに国際収支がこういうふうに悪くなってくると、この際は金融引き締めもやむを得ない。ある程度景気の沈滞も収支の改善のためにはやむを得ない。そういうふうな政策を一方ではとるときに、異常の予想外税収があったからといって、これをここで使ってしまったのでは、予算に組めばインプレ——国際収支に悪い影響を与えるような物価を引き上げ影響考えられるし、さらに一ぺん予算に組んでしまうと、来年度から税収がそうなくても、なかなか引き締めることが実際問題としてむずかしい。そこで、何とか、特別な臨時収入、つまりなかなか永続が予想されないような臨時収入を、政府としても使わずにおきたいということが、私は出発点ではなかったかと思うし、常識的によくわかることだと思う。もしそういう趣旨でできたとしたら、これを政府カン詰にしておく、死蔵しておけばいいので、将来において税収が少い、あるいは景気が沈滞したとかいう場合に、物価水準にあまり影響しない、貿易にも影響しないような限度でこれを使っていくというために留保しておくということでありますから、私は、これに利子をつけて、その利子基金の中に繰り入れていくというような必要はないんじゃないか。どうしてそういうふうに利子をつけて基金の中に繰り入れていくというような、自分で慰めるようなことをやらざるを得なかったのか。おそらく、これは、何か現在の法制上の関係からそういうことになったのではないか。差しつかえなかったら、一つその理由を伺いたいと思います。
  12. 小熊孝次

    小熊説明員 お答えいたします。  資金は今度の法律で新しく設けたものでございますが、従来も、特別会計とかそういう制度を設けました際には、国庫統一原則と申しますか、直ちに財源として使うものは別でございますが、そうでないものは、大体資金運用部預託するというのが、国庫統一原則からいって、従来の慣例になっております。この場合におきましては、資金運用部預託いたしましても、資金運用部の方としては、その資金の需要の方の関係から、それぞれ預託期間に応じました預託利子をつけまして、そうしてその運用の面としては、この際、たな上げ趣旨に照らしまして、日銀保有短期証券運用する、こういうことにいたしまして、資金運用部としても、その国庫統一原則を貫いても採算上支障がない、こういうことができるわけでございますので、今回のように、やはり資金運用部預託することができるという方法を講じたわけであります。  なお、この資金目的から申し上げましても、これは、将来における経済基盤強化のために、予算の定めるところによって使用する、こういうことになっておりますから、現在としては使えませんが、将来経済基盤強化のために使うという段階におきまして、些少ではございますが、そういう利子収入が入りまして、それで資金の額がそれだけふくらんでおるということによって、経済強化に資するところの効果もそれだけふえるわけでございますので、そういうようないろんな面を考えました結果、資金運用部預託をして、利子を稼ぐと申しますか、利子収入を得るということは何ら支障ないんじゃないか、このように考えまして、今回のように資金運用部預託して利子を取る、こういうふうな措置を講じたわけであります。
  13. 山本勝市

    山本(勝)委員 時間もあまりありませんから、私の考えを述べて、答弁はなくてもけっこうです。大体、私は、これに経済基盤強化資金という名前をつけたのは、あまり賢明でなかったというふうに思うのです。それで、もともとそういう経済基盤強化するという積極的な目的でもって資金を設定したというのは、法律上、資金というものは、そういう目的を設定しないでは資金をつけられないというふうな、何か法律上の解釈があったんじゃないかと思いますが、しかし、そういう積極的な目的で、経済基盤強化するというふうな目的でできたものではなくて、先ほど申した通り、余分の臨時収入が入った、それでもって世帯をはったら、あと収入がないときに今度はどうにもならぬから、これは使わずに貯金しておこうという考え方でないか。それならば非常にわかる。しかし、それならば利子をつけるということも必要はないし、それから経済基盤強化のためというが、経済基盤強化というふうなことは、一日も早ければ早い方がいいのであります。経済基盤強化するというのですから、これは一日も早いことがいい。それを将来に留保するということはなぜかという疑問を生じてくる。なぜ将来に留保しなければならぬか。現在経済基盤強化してはなぜいけないのかというような、子供みたいなことですが、文字の上からいうと疑問を生じてくる。ですから、どうして現在経済基盤強化してはいけないかというふうなことを、もし野党なら質問するかもしれぬが、そういうことを問い詰められてくると、なかなかむずかしい。実際あっさりと——私が最初に申したことがほんとうならば、経済基盤強化ということじゃなくて、むしろ景気とかあるいは財政調整資金として作る、こういうことにして、こういう名前をつけなんだ方がよかったと思う。しかも、経済基盤強化という中に、道路整備とかあるいは港湾整備とか、科学技術振興とか、いろいろなことを並べておりますが、これに限定するということが、もうすでにはなはだおもしろくない。たとえば通信の、整備というふうなことがなぜこの中に入らぬのかと言われたら、これはなかなか説明はむずかしい。また、私の方から言うと、ほんとの経済基盤というのは何かというと、そういう道路とか港湾とかいうのは、人間の身体でいえば胃袋だとか肺だとか心臓だとかいうものに当るのでしょうけれども、それならば膵臓もあり肝臓もあり目玉もありと、いろいろになってきますから、それよりも、ほんとうの健康にするには、身体全体の機能障害をなおすということが——今日の日本経済が、その正常なる運営がいろいろな点で妨げられて、機能障害を生じておる。こまかいことは申しませんけれども、多角機構で立っておる今日の自由経済市場多角機構というものが、いろいろな干渉によって歪曲されて、機能障害を生じておる。それをなおすことが一番経済の基礎を直すことであって、要するにそういう機能がずっとうまくなるなら、あとはりっぱになるんですから、一つ一つ目玉をどうだとか、道路はどうだとかいうようなことを言うと、今言うように、通信はどうだ。あるいは戦争の結果としていろいろなでこぼこができておりますが、これも財源がないから仕方ないというので、断わっておるものがたくさんあります。こういうものも、こういう財源のあるときに跡始末をちゃんとして、そうして二度とそういう文句のないようにしてやるべきじゃないかというような議論も生じてくるんですから、私は、これを経済基盤強化として、「将来の」とか、一定の項目に限定するとか、これを預託して利子をとるというようなことには、いろいろ疑問があるわけであります。しかし、おそらく、事の成り立ちは異常収入を今使ったんではあとに災いを残すという意味であろうと思います。それが資金ということになると、今の財政法の建前から、目的を明らかにしないで資金は作れないというふうなことから、やはりそこへ目的を書き込んできたということで、こういうふうになったんじゃなかろうかと思う。いずれにしましても、この予算がすでに通っておることでありまするし、また与党は数が多いのでありますから、早晩必ず通るにきまっておりますが、ただ最後に一つだけ申し上げておきますが、こういう税金の余剰分の蓄積というものの一番心配されるのは、これが将来いつ使われる、使われて金融市場に還元される場合に撹乱作用を生ずる。その撹乱作用に対して十分善処しておられるに違いないけれども、変な内閣ができて、洗いざらい、これがあるというので、財源にして、下手な使い方をした場合には、非常な撹乱作用を生ずると思うのです。西ドイツの場合でも、一番心配されたのはそれだと思います。ですから、この点について、使う場合に、ただ目的五つに限定したというようなことではなくて、いかなる状況のときに撹乱しないでうまく使えるかということは、十分研究した上で使ってもらいたいと私はう思のです。  なお、こまかな点を言うと、この四百三十六億三千万円のうちで、基金の方は、これは利子をつけなきゃならぬ。従って、これを運用することが必要でありますけれども、二百二十一億三千万円の資金の方は、たな上げ目的ですから、利子をつける必要はないし、従って運用することがむしろ間違いじゃないか。運用しないで利子をつけるということになると、預金部に赤字を生じてきますし、そうかといって、運用するということになると、たな上げした意味がなくなってしまって、形を変えて実は運用する、たな上げじゃない、こういうふうなことになってきますから、将来研究して、こういう制度はそういう欠陥も生じるし、できるだけ早い機会において、弊害のないような方法でりっぱに使うことを考えるのがいいのじゃないか。この点を申し上げて、時間が参りましたから、私の質問を終ることにいたします。
  14. 早川崇

  15. 内田常雄

    内田委員 前回の委員会で、私はこの経済基盤強化資金法の構想のおもなる点についてお尋ねをいたしたわけであります。たとえば、一番問題になるのは、世間の一部に、ことに社会党の方に、今この法律を成立させるかわりに、今直ちにこの四百三十六億の財源をもって補正予算を組んだらどうか、こういうような意見のあることも想定をいたしましてお尋ねをいたしましたところが、これは、今直ちに補正予算を組むことは、財政経済に対して著しい刺激を与え過ぎるので、一応資金として保留しておいて、将来適当なときにこれを解除していく考えである、こういう御答弁でありました。また、しからば、将来といってもいろいろあるので、いつこの資金を解除して補正予算を組むかという時期をお尋ねをいたしましたところが、それはまだ言うのは早い、こういうようなお答えがあったと思います。ところで、私はそれはその通りであると思います。が、法律の構成につきまして一つお尋ねをいたしたいのは、この法律は、今申すように、四百三十六億を二つに分けて、一つ特定法人に対する出資に充てる、そうしてこれらの法人基金として保有せしめる。他の一つ、これは二百二十一億三千万円でありますが、経済基盤強化資金として資金に繰り入れておいて、将来予算の定むるところによって特定の用途に使う、こういうことになっております。それならば、もしこの資金というものを成立させなかったならばどうなるか。つまり、どうせ将来予算の定むるところによって、すなわち補正予算を組んでこの金を使うのなら、この資金が成立しなくてもあるいはしても、結果は同じじゃないか。政府が必要とする時期に補正予算を組んでやればそれでいいのであって、めんどうな資金というものをわざわざ作る必要はないように思いますが、これは政治論としてではなしに、大蔵省の事務当局からお答えをいただいてもいいし、あるいは政治論として山中政務次官からお答えをいただいてもいいのであります。
  16. 小熊孝次

    小熊説明員 事務的な面からお答えいたしますが、現在、予算におきましては、二百二十一億三千万円は経済基盤強化資金への繰り入れということで計上されております。ただいま先生のおっしゃいましたように、かりに資金ができなかった場合ということでございますが、その場合には不用にいたす。ただこの場合こまかく分けますといろいろな段階があると思いますが、かりに政府がこの金を使わないとした場合には、不用額にいたしますと、将来剰余金の中に入りまして、そうしてその二分の一を下らざる額は国債償還に充てる、こういうことになりまして、経済基盤のために使う、あるいはその他でもよろしいわけでございますが、使うというようなフアンクションが半減するということが起きる可能性がある、このように考えます。
  17. 内田常雄

    内田委員 それは、もしこの法律が成立しなくても、予算には二百二十一億三千万円が経済基盤強化資金へ繰り入れとして載っておるのでありますから、従って、この法律が成立しなかった場合には、それはおっしゃる通り不用に立つわけであります。そこで、不用に立てるか立てないかということは、政府の政策、われわれの政策によって起るところであります。従って、それを不用に立てないで、たとえばこの秋なり次の臨時国会なりあるいは次の通常国会におきまして、その二百二十一億三千万円というものを財源にして、新しく必要の方面に補正予算を組むということが政策としてできるわけじゃないかと私は思う。そうすると、この資金というものは体裁としては存続させた方がいいように見えるけれども、実質的には成立しなくても成立しても同じじゃないかという疑義が起るような気がいたします。ことに補正予算の提出権は政府にだけあります。国会で補正予算を組むわけにはいきませんから、政府は三十三年度予算に載っておる二百二十一億三千万円を財源として、いつでも補正予算を組めるわけである。もちろんその補正予算を組む使途というものは、政府が思う通りに、ここに書いてありますように、道路整備なり港湾整備なりあるいは科学技術整備なりあるいは財政投融資特別会計への繰り入れなり、さらに必要があれば、今同僚の山本委員からもお尋ねがありましたが、それ以外の道へさえも政府の政策一つで組めることになるわけじゃないかと思いますが、今のお答えでは、政府が何もしないでおけば、これは、お話のように、財政法第何条かによって、その二分の一は翌々年度までに国債償還の財源に組み入れなければなりません。しかし、何もしないということはあり得ないことでありまして、政府は意欲的なものでありますから、経済財政の状況を見ながら、いつでも補正予算を組めるのではないか、こういう根本疑念が法律的にあるように思う。もう少し説明を補足していただければ幸いです。
  18. 山中貞則

    ○山中政府委員 内田委員の御指摘のことは確かに一理あると思いますが、現在の大蔵大臣の構想といたしまして、ただいまお手元に提案いたしておりますような方法によって、経済基盤強化に資するためにたな上げしようとするのでありまして、純粋に法律的あるいは政治的にいえば、内田委員のお考え一つ方法であると私は考えておりますが、現在のところでは、財政の与えまする刺激をなるべく弾力ある操作をもっていたしますように、一応この資金を設置いたしておきまして、後の具体的な使用については、予算を通じて審議を経た上で、これを使用していきたいという考えのもとに進んでおります。
  19. 内田常雄

    内田委員 まあ御説明は、明快に山中政務次官がお答えになった通りだろうと思います。しかし、この資金を通さない場合にも、単純なる補正予算といたしました場合にも、国会の審議を経ることは同じでありますので、私はその疑義が起っただけであります。  次に進ませていただきます。この資金というものは、財政法第四十四条でありますか、法律によって特別の資金を設けることができるという規定に淵源するのであります。資金というものは、とにかく国の歳入歳出から一ぺん取りはずして一つのプールにするものでありまして、そのプールを動かすのには、もはや予算を使わないのが私は原則であると思います。たとえば、もう一つ法律案が提出されております。外国為替資金特別会計法の一部改正法案が出ております。これは、ごらんの通り外国為替資金として、「資金」という言葉を使い、「特別会計」という言葉を使っておりますから、この場合の特別会計の歳入歳出に載るのは、この資金運営に基く益金とか損金とかあるいは事務費だけが特別会計の歳入歳出に載るのでありまして、外国為替の売買そのものによる円の動きというものは、予算の歳入にも歳出にもならぬわけであります。でありますから、今度の経済基盤強化資金におきましても、一ぺんここに二百二十一億三千万円を取りのけて資金とした以上は、これはもう予算外に置いて、政府の政策に従って動かされるはずのものであると思います。でありますからこそ、この法律案の第八条にも、資金の受け払いは歳入歳出外とし、その経理手続は大蔵省令できめる、こういう資金原則にこれは従っておるのでございます。この資金についてはそういう建前であるはずと私は思いながら、この資金を使うときには、もう一ぺん補正予算を立てて、一般会計特別会計に計上し直してやるという、資金予算との組み合せのような形になっておりますが、これはどう理解したらいいのでございましょうか。
  20. 小熊孝次

    小熊説明員 会計制度の問題に関連いたしますので、私から答弁させていただきます。  今回の資金は、ただいま先生のおっしゃいましたように、財政法第四十四条の規定に基く資金でございます。この資金の概念でございますが、実は財政法にも定義がございません。しかし、われわれが従来考えておりますところによりますと、資金と申しますものは、一会計年度間に消費し尽さない予定のもとに保有するところの金銭その他の価値物というふうに考えておるわけでございますが、その資金の動きというものは歳入歳出に出すべきであるかどうかという問題につきましては、若干先生の御意見と違うのでございます。原則はやはり歳入歳出に出すべきではないか。これは、財政法の第二条に書いてありますように、各般の需要を満たすための現金の支払いというものが支出、歳出でありますし、それからその財源となるものが収入でございますので、また国会の予算審議権という見地から考えましても、原則としてはやはり歳入歳出に立てるべき性格のものである。ただ、先ほど申しましたように、外為資金の問題あるいは資金運用部資金というような問題でございますが、こういう問題は、その資金そのものは回転はいたしますが、必ずしも消費をするわけではございません。従いまして、その回転をしておる資本といいますか、資金を維持しながら経済的な活動を営んでいくというような場合におきましては、特別会計におきまして歳入歳出はこれこれであるということを具体的に規定いたしまして、特に資金の動きというものを直接歳入歳出に立てないということはございます。しかし、その他の資金におきましては、一応歳入歳出に立てておる。いわば歳入歳出に立てておるような資金会計の方がむしろ多いような実情でございます。従いまして、今回のような資金でございますが、これはまあ資金運用部資金とか外為のような活動をいたすわけでもございませんで、具体的にその活動を開始いたしますのは、具体的に使用する際でございます。その使用する際におきましてはこの資金そのものが消費される場合でございます。従いまして、その場合には、あらためて国会の議決を得るというのが至当ではないか、このように考えまして、このような形にしたわけであります。なお、この資金そのものの構想から申しましても、これは年度関係目的は限定されておりますが、いつどれだけの金額をどういう目的に使うかという点につきましては、この法律からはまだ出て参らないのでございまして、そのときどきの情勢によりまして、この資金から一般会計の歳入へ繰り入れまして、一般会計の歳出予算に計上いたしまして、その際において具体的に何年度においてどういう目的のためにどれだけの金額を使うかということにつきまして、あらためて国会の御審議をお願いいたしまして、そうして使用するというのがまあ妥当な線ではないだろうか、かように考えまして、このような体制にいたしたわけでございます。
  21. 内田常雄

    内田委員 私は、勉強不足と申しますか、寡聞にして今まで、いろいろこれまで設けられた資金のうちで、今のような御説明による運営の仕組みをとっておる資金というものはこれが始めてだろうと思いますが、ほかにも例があるのでございましょうか、初めてでございましょうか。
  22. 小熊孝次

    小熊説明員 このような方法を使っておりますところの資金といたしましては、たとえば大学及び学校資金というようなものがございます。大学及び学校資金と申しますのは、これは一般会計所属の資金でございまして、やはり使用いたします際におきましては予算の定めるところによって使用するということで、考え方といたしましては、やはり一般会計の歳入に入れて使用する、こういうことになっております。
  23. 内田常雄

    内田委員 その御説明で大へんよくわかりました。例があるということであれば、了解ができるのであります。  もう一つちょっとお聞きいたしたい。今度は基金の方でありますが、基金は、言うまでもなく、ここに掲げられている五つの特別の法人への出資であります。この五つの特別の法人はすでに存在をいたしております。また、この法律によりまして基金としての金を受け入れる予想をした規定がありまして、日本労働協会法にいたしましても、中小企業信用保険公庫法にいたしましても、すでに成立をいたしておるわけでありまして、それに出資するのは、この資金からじゃなしに、これは基金でありますから、今度のこの法律がなくとも——すでに前からあり、また先般の国会で成立した法人に対する基金出資というものは予算にも計上してあるのでありますから、この法律がかりに成立しなくても、それへの基金出資というものはこれは可能ではないですか。やはりこの法律が成立しないと、その基金出資ができないのでありましょうか。私は可能なようにも思う。
  24. 小熊孝次

    小熊説明員 お答えいたします。  今回この法律によりまして五つの特別の法人に対しまして出資をするという権限政府が得ようというわけでございますが、御承知のように予算はすでに成立しております。予算の科目には、その法人に対しますところの出資金ということで、予算が計上されておるわけであります。それから、ただいま先生のおっしゃいましたうちで、日本輸出入銀行及び農林漁業金融公庫、これは既存の法人でございます。ただ中小企業信用保険公庫日本貿易振興会、それから日本労働協会、これはすでに法律は通っておりますが、まだ設立はいたしておりません。ただ法律通りましたが、日本労働協会日本貿易振興会につきましては、出資の払い込みがあってから設立される、こういうことになっております。その出資は何によってやるかと申しますと、この経済基盤強化法に基いてやる、こういうことになっておりますので、この経済基盤強化法が成立いたしませんと、法律関係から申しまして無効の法人は設立できないようになっております。それから、中小企業信用保険公庫の方につきましては、これはこのほかに一般会計から二十億というものがございますから、これによりまして出資することは可能でございますが、ただ大宗の六十五億というものもあわせて資本金の規定に掲げております。そういう関係もありますので、この法律が通ってから設立をするというのが一番常識的な考え方ではないか、このように考えております。
  25. 内田常雄

    内田委員 今のお話で大へんよくわかるのでありますが、この法人に対する出資というものは、法律がなくても、法人に対する出資目的とした予算の款項目がすでに成立をいたしており、またその出資を受け入れる法人の組織法がすでに成立をいたしておるのでありますから、その予算の成立と受け入れ法人の組織法の制定によりまして、しいてこの法律がなくても出資ができるのではなかろうか。ただ、出資されるそれの基金としての管理運用につきまして、この法律にはこまかい規定がありますが、管理運用は、これは当該法人理事長あるいは当該法人内部規程にまかせられるというのであれば、この基金についても、この法律が成立しなくても出資ができて、先ほど冒頭に申しました資金についても、どうせこれは将来補正予算に組むのだから、この法律が通らなくても、政府は、いつでもすきなときに、補正予算財源として、本年度やらない場合は来年度に回す。さっきあなたのおっしゃるように、二分の一償還に回さなければならぬでしょうが、まさかこの二百二十一億三千万円を、今年度内には使わないで、来年あるいは再来年度に持ち越すというのではないと思いますので、両方あわせて考えますと、資金についても、基金についても、法律がなくてもいけるんじゃないか、こういう気持を持ったものですから、今基金についてもお尋ねしたのでありますが、基金についての御答弁をいただいて、ほかの野党の方が質問なさるそうでありますから、私は終ります。最後のお答えだけ願います。
  26. 小熊孝次

    小熊説明員 予算があれば、そういう特別の法人——一般的に申しますと、予算に、ある法人に対する出資という予算が計上されておれば、それは法律がなくても出資できるのじゃないか、大まかに申しますと、そういう御質問でございますが、これにつきましては、国が少くとも出資をするという以上は、何らかその法人に対する監督とかいろいろな出資目的に照らしましたところの規律というものが必要になると、われわれは考えておるわけであります。現実の問題としては、少くとも政府出資を単に予算だけでやったという例は、寡聞にして聞いておらないわけです。従いまして、今回の場合におきましても、今度のたな上げ資金のうちの二百十五億を五つ法人に出すといった場合に、そのたな上げ資金からの出資という見地から申しますと、そのたな上げとの関係から必要な法律ができないのに出資をするということは、今までのわれわれの考え方から申しますと、どうであるか。もちろん特別の法人自体の規律の法律が成立しておりましても、たな上げ関係の規律運用というようなものができないのに、成立させるために予算だけで出資するということは、従来のわれわれの考え方からはできないというふうに考えております。
  27. 早川崇

    早川委員長 本案に関する残余の質疑は次会に譲ることといたします。     —————————————
  28. 早川崇

    早川委員長 次に、税制に関する件及び国有財産に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  29. 横山利秋

    ○横山委員 本日はまず税制についていろいろこまかい点がございますので、あまり時間をとりたくないと思いますから、主税局長並びに国税庁長官に、恐縮ですけれども、簡明に一つ一つ御回答を願いたい。  まず第一にお伺いしたいのは、過ぐる国会において、本委員会に税の執行に関する調査小委員会を設けまして、東京、名古屋、大阪の現地調査を初め、本委員会にも多くの証人、参考人を招致をいたしまして、きわめて慎重な調査をいたして参りました。申すまでもなく、本委員会が所期いたしましたのは、単に法律上の問題で税の問題は解決し得ない、運営上の問題こそ実に納税者の苦悩の山積しておるところであるから、この際徴収の問題についても十分に納税者の意見を聞いて具体的な解決をしたい、こう念願したにほかならなかったわけであります。しかるところ、解散も間近いという話がございましたので、三月十三日に中間報告書を作成をいたしまして、小委員長から本本委員会へ報告をされ、政府に善処方を一任をされたものであります。この項目は、大きくいって三項目にわたっておるのでありますが、自来、主税局及び国税庁としては、本委員会の結論に対し、中間調査の結論に対してそれぞれ御検討をなさってきたことだと確信をいたします。そこで、三項目にわたる問題について、その調査の検討の経緯及び結果を端的に承わりたいのであります。  第一は、査察制度であります。査察制度に対する本委員会の答申は、第一に、あまりにも査察の対象が結果的に中小企業、特に同族会社に対して行われる傾向があることを指摘いたしました。第二番目には、科学的裏づけ調査よりも、検察的権力の強制調査を重点とする結果、査察の効果よりも、善良な納税者及び第三者に対して必要以上に圧迫するおそれが多分に現われ、査察に対する社会感情は不信に傾いていることを指摘いたしました。第三番目に、査察事件の内容が外部に漏れて、査察ブローカーの介在する疑いが多分にあること、第四番目に、中小企業の特殊性と商習慣を無視されていることを指摘をしたのであります。しかも、それらを総合いたしまして、戦後の納税道義の低下していた時代においてはともあれ、今日においてはその機構性格をそのまま存続させることは妥当でないという意見が圧倒的でありましたし、一部には廃止すべしという強い意見もあったことは、御存じの通りであります。私どもはその後の査察の状況についても少からぬ関心を持っておるわけでありますが、この点について、国税庁ないしは主税局において、査察のあり方及び指摘いたしました点について、どういう検討を遂げられ、結果を生ぜられたか。まずそれをお伺いをしたいと思います。
  30. 北島武雄

    ○北島説明員 前国会におきまして、当大蔵委員会におきまして非常に御熱心に税の執行について御調査をいただいて、その結果、三月の中旬に中間的な報告をいただいたのであります。税の執行の任に当る国税庁といたしましても、国会の審議の経過並びに中間報告をよくそしゃくいたしまして、鋭意検討いたして参ったわけであります。実は本日総合的にお答えすべきでございますが、ただいま資料等持ち合せておりませんが、さしあたり、ただいま横山先生が御指摘になりました点につきまして、私どもがただいままで検討したところを申し上げたいと思います。ただ、残念ながら資料を持ち合せておりませんので、件数、金額等につきましては、それに触れることはちょっとできません。あしからず御了承願いたいと思います。  まず、査察は、最近中小企業、特に同族会社に片寄って行われていないかという御指摘であったと思います。この点につきましては、私ども、特に中小企業を目のかたきにして査察するということは、毛頭考えておりません。査察の根本方針といたしましては、できるだけ悪質な納税者を査察いたしまして、そのうち特に悪質なものを刑事訴追にまで持っていく、こういう制度でございます。ただ、昭和二十三年に主税局の査察部で始めたわけでございますが、その当時は、至るところ軒並みに大法人が、たとえば、当時の税制及び経済状況からいたしまして、本来はあるべからざる申告をしておったように思われますので、その当時といたしましては、大法人を相当広範囲にとり上げまして、査察いたしておったのであります。ところが、御承知のように、経済界も安定して参り、それから税制も整って参りますと、わずかな査察でもって大きな損害を受けるということは、非常に会社としても損害が大きいわけでございますので、これは、私どもの観測でございますが、大法人におきましては、おおむね税法所定の申告に近いものはできておるとただいま考えております。ただ、同族会社等につきましては、これはいわゆるワン・マン・カンパニーで、一人の主宰者の意思によりまして、どうにでも操作ができる部面が多いのでありまして、勢い、同族会社方面においての脱税が、その後相変らず引き続いて相当広範囲に行われておるという観測なのでございまして、結果的におきまして、査察される件数につきましては中小企業の方が多いわけでございます。しかしながら、もともと全国で法人が現在約五十万ございますが、そのうちで、大法人と目される一億円以上の会社でありますと、千四百しかございません。それから、調査課で所管いたしております資本金一千万円以上というのが約一万五千でございましょう。そういたしますと、いわば法人の圧倒的多数は中小法人ということに相なるわけでございます。従いまして、勢い、査察された場合におきましては、中小法人の方が割合としては多いということには相なろうかと思うのであります。私ども中小企業目当てに査察をするということはいたさない方針でございますし、また特に今後につきましても、そういうような御非難を受けることのないように注意いたしたいと思うのであります。
  31. 横山利秋

    ○横山委員 お言葉中ですが、ちょっと先ほどお断わりしたように、非常にたくさんの問題がございますから、御説明をいただくということでなくして、中間報告に対する審議の経緯及び結果を承わりたいと申し上げておるのであります。今の御説明の点については、当時御説明をいただいてわかっております。どういう措置をとられたかという意味が私の質問であります。
  32. 北島武雄

    ○北島説明員 ただいまの査察事件につきましては、その後、局長会議等におきまして、小委員会の中間報告の御趣旨も十分説明いたしまして、そのような疑惑を受けることのないよう、できるだけ悪質な大納税者を中心に査察しよう、こういうふうに考えて指示いたしたのであります。ただし、査察の制度そのものについて、これを変更する必要があるかどうかという点につきましては、私ども、現在におきましては、査察制度はやはり現状において必要である、こう考えております。しかも、発足した当時に比べまして、査察官の数なども減少いたしまして、極力その後の情勢の推移に即応するようにいたしておるのでありまして、特に現在の査察の制度を変えるという考え方はただいま持っておりません。
  33. 横山利秋

    ○横山委員 意見はあとで申します。  協議団制度が第二の指摘の点であります。協議団についてわれわれが指摘いたしました点は、協議団は救済機関というけれども、国税局長の下部機構であるから、主管部から強い反論があるときには、勢いそれに押されて、当初の判断と異なる審査決定が行われることが多い。協議団に持ち込んでも、審理が相当長期にわたって、その間納税者は不安定の状態に置かれ、利子税等の累積に悩まされる。協議官の人事は、税務職員のおば捨て山的な感があるので、沈滞している。こういう点について不満があることを指摘をいたしました。さらに、本問題については検討を続けるけれども、協議団制度についてPRを徹底せしめるよう努力すべきであるというような点を指摘をいたしました。協議団については、特に運営機構、人事の問題について具体的に指摘をいたしておりますが、いかがいたしましたか。
  34. 北島武雄

    ○北島説明員 協議団につきましてまず御指摘の第一点は、直税部、徴収部等の主管部から強い反論があるときは、それに非常に押されがちじゃないかということでありますが、この点につきましては、ちょっと文書は忘れましたが、国税庁長官の通達をもちまして、できるだけ協議団の協議決定を尊重するよう通知いたしておりまして、そのようなことのないように従来から注意いたしておると思います。ただ、協議官の人事につきまして、税務職員のおば捨て山的な感があるというような御指摘がございましたが、実は、当初協議団ができますときにおきまして、税務官吏の第一線から協議団に移ります場合におきまして、ややそのような傾向があったのであります。しかし、これは協議団の制度趣旨から申しましても適当ではございませんので、その後の人事におきましては、そのような観念を抱くことのないよう、協議官につきましてはできるだけ人材を簡抜し、それからまた、協議団に長くおることなく、時期があればこれを税務署長その他に転出させる、こういうような新陳代謝の措置を講じておるのでありまして、実は、先般の税務署長級の大異動におきましても、そういう方針をもちまして、極力清新、有能な協議官を送り込むとともに、協議官で、相当長期にわたり、しかも有能な者はまた第一線に戻す、こういうようなことをいたしております。ただ、制度の問題といたしまして、協議団というようなことでなく、あるいは国税局の一つの部にしたらどうか、もう訟務部または苦情処理部というようなことにしたらどうかということも考えるわけでありますが、これは法律の改正を要する事項でありますので、今後におきまして部内において十分検討いたしたいと思います。
  35. 横山利秋

    ○横山委員 一つお忘れになりました。協議団に持ち込んでも、審理が相当長期にわたり、その間納税者は不安定の状態に置かれ、利子税等の累積に悩まされておるという指摘でございます。
  36. 北島武雄

    ○北島説明員 まさにその御指摘がございました。実際申しますと、協議団に持ち込まれるものは実は相当焦げつきのものが多いのでありまして、最初に決定を受けましたあとに再調査の請求をし、それがけられて審査請求、こういう格好になるわけでありまして、協議団に来るときにすでに相当問題の多い事件が多いのであります。従いまして再調査の決定のようになかなか簡単にはできないために、ときとして長年月にわたることがございます。しかし、これは、御指摘のように、長年月にわたることによりまして、いたずらに利子税等が累積して、納税者の方が結局悩まされるということになりますので、そういう未済は極力一掃するよう、私どもの方として現在督励いたしております。
  37. 横山利秋

    ○横山委員 第三番目の指摘は二つありまして、一つは、現在の課税の実態を見ると、効率表、標準率表による申告納税制度国税庁みずから否定する結果となるおそれがあるから、この効率表、標準率表を廃止せよ、または公表すべきであるとの強い意見があります。いずれにせよ、当面この運用については再検討すべしとの強い意見に一致いたしました。第二番目は、国税庁外郭団体の実情については一般から疑惑を招く点が多々ありますので、今後は公正、明朗な協力関係を樹立するよう早急に改善すべきであるとともに、特に人事については慎重を期せられるよう指導すべきであると考えます。この二点についてはどうなさいますか。
  38. 北島武雄

    ○北島説明員 標準率、効率につきましては、前国会におきまして当委員会においても種々御質問もあったのでございます。国税庁といたしましてはいわゆる白色申告者の課税につきまして課税の公平適正を得るためには、やはり同業者間におきまして実際に調査いたしました実績を援用するのが効果的であると思います。標準率表、効率表につきましては、今後もこれを廃止するつもりはありません。ただ、標準率表、効率表の作成の方法につきましては、さらに念を入れまして、適正な平均値を反映するようにいたしたいということ、それからさらに、これを実際に運用するに当りまして、画一な適用に陥ることのないよう十分注意いたしたいと思います。  それから、外郭団体の問題でございますが、この点は大阪納税協会に関連しまして御指摘があったのでございますが、問題になりました大阪納税協会につきましては、その後直ちに助成の措置を講じまして、極力短期間に税務署から出ていって独立な事務所を設けてもらう、こういうふうに処置いたしております。なお、いやしくも瓜田にくつを入れまして疑惑を招くというようなことがあっては、税務の執行上非常に大きな障害になりますので、今後、このような外郭団体につきましては、まことにどのような御指摘も受けることのないよう清潔にいたして参りたい、こういうふうに考えております。もちろん、人事につきましては慎重を期しまして、御指摘のように一般から疑惑を招くというようなことにならないようにいたしたいと思っております。
  39. 横山利秋

    ○横山委員 せっかくでありますが、北島さんのお答えは私はきわめて誠意ない結果であると断ぜざるを得ない。本中間報告は与野党が完全に意見が一致いたしたものであり、大蔵委員会の結論となっておるのであります。立場の相違はあるいはあるでありましょうが、しかしこれは国会の意思となったものであります。しかも、本報告書を作成をいたしますについては、それぞれ地方にも出張いたしまして、言うならば国政調査のときの出張と格段の違った努力が払われて、そうしていろいろと議論の末これが決定をいたしたものであります。あなたの仕事の立場からいうと、あるいは意見のあるところはあろうかと思います。それを私は否定はいたしません。しかし、国会の意思として決定をいたしました査察制度について、制度を変える必要はない、あるいは指摘をいたしました点についても、そうねらったことはないけれども、そういう結果にはなるであろう、そういう言い方は、私どもも前から指摘をしておる。それもわかっての上のお話であります。協議団制度についてのお話についても、私はもう、国税庁内部においても、大蔵省内部においても、協議団についての改正意見があることも承知をしておるわけです。しかし、今のお話によりますれば、極端な言い方をいたしますが、弁解をなさっておるという感じしか受け取られない。大蔵委員会が先般の委員会で小委員会を設置いたしましたゆえんのものは、くどくは申しませんけれども、法律を作って改正をしただけでは税の問題は解決しない。運用の問題にこそ納税者の大きな中心的な問題があると活眼を開いて、そうして小委員会を作って何回も何回も議論をいたしておるのでありますが、それにしては、次官が当ったにしては、あなたの方のただいまの御答弁は解しかねます。一体本中間報告は国税庁内部で正規の機関で検討なさったことがあるのかないのか、あるいはまた大蔵省の本省自体で中間報告を真剣に検討なさったことがあるのかないのか、これを伺っておかなければなりません。
  40. 北島武雄

    ○北島説明員 当委員会の中間報告に対しましては、国税庁部内におきまして関係部課相寄りまして慎重に検討いたしたのでございます。その結果、実は、前国会の末におきまして、国税庁側としての意見を申し述べる機会がございましたならば申し述べたいとこう存じまして、取りまとめた案があるのでございますが、本日ただいま持ち合せて参りませんので、総合的にお答えできないのが大へん残念でございます。中間報告の御趣旨は十分に国税庁において検討したことを申し上げておきます。
  41. 山中貞則

    ○山中政府委員 ただいまの御指摘につきましては、私も現在の納税制度運用その他について考える点もありまするし、御指摘された内容が与野党一致の研究の結果出されたものでありまするから、大蔵省といたしましては、私、直ちに大臣に連絡、報告をいたしまして、幸い北島長官は相当人間的に幅の広い男でありまするから、この機会に皆様方の要望を具体化して、少くとも国民が納税というものについて基本的な了解が持たれるような線まで努力をするための省議もしくはそれにかわる打合会を持って、すみやかに皆様方の御期待にこたえる努力をしたいと思います。
  42. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官のまことに誠意ある御答弁に満足をいたしました。それでは、その結果を、恐縮でありますが、中間報告もはっきりしたものでありますから、文書をもって本委員会に御報告をなさるようお願いをいたしておきます。  それから、第二番目にお伺いをいたしたいことがございます。やはり同様、昨年の本委員会におきまして、輸出免税の内部留保の問題につきまして相当議論がございました。少くとも、減税額が、平年度百二十億に達するという輸出免税が、一体どういうふうに使われるのか。今日国際均衡が重視をされておるときに、なるほど輸出優先主義として税法の特典をするという点については、与野党とも異議はないところである。けれども、せっかく輸出のためだといって減税をしてやる、ないしは免税をしてやる。ところが、それが百二十億という膨大な額に達するにもかかわらず、果してその免減税をした額というものは、免税の所期する方向に使われておるであろうかどうか。社外に流出をしてとんでもないところで使われておるといたしましたならば、これは輸出免減税の効果は全くないのである。従って、本委員会としてそれを指摘して、政府はこれについて法律的な措置をとるか、あるいは行政的な措置をとって、この免税の所期の目的が上るようにしたらどうか、こういう意見があったのであります。伝え聞くところによりますと、昨年の暮れでありましたか、通産省から通達が出た模様であります。しかし、大蔵委員会における意見について、事なかれ主義といいますか、一応とにかく意見が出たから通達を出しておくということだけでは、これはまた何のための議論かわからないのであります。これらは所管としてはどういうことになるか、通産省になるかもしれません。しかし、免税をするという趣旨からいうならば、大蔵省としてまた議論のあるところであろうと思うのです。われわれ、そういう法律を立案し、本国会において議論を戦わした立場から見れば、その効果は上っておるかどうかということも究明する必要がある。昨年来の輸出免税、これと重要物産の免税の問題は同様であります。これらの免税の効果ということについて、どういう検討を遂げられ、どういう措置が行われたか、その措置の結果はどうであったか、お伺いをいたしたいと思います。
  43. 原純夫

    ○原(純)政府委員 輸出免税に関しまして、免税されたお金を留保して、商社等が将来貿易が困る場合も強くやっていけるようにという点は、実は国会からもお話がありましたが、私ども、事務的にも、昨年、輸出増強のためにこういう制度があって、これを増強したいというときに、まず考えたことであります。これについて、業界ではかえって窮屈だというような声があり、たしか朝日新聞だったと思いますが、こういうめんどうなことを官僚が言うということで、ある経済団体の代表から私どもがかみつかれたこともあります。しかし、私どもは、国会の御意見もあり、私ども本来そう思っておりましたので、これは絶対にやるということで、お話の通り昨年の秋少しおそかったかと思いましたが、通産省から、私どもと相談の上、通牒を出してもらっております。その結果につきましては、まだ数字を手元に持っておりませんが、前々、この特別措置全般につきまして、私どもが、一部の利益に対する優遇であるから必要がなくなる、あるいは効果が薄いというような場合には、それは公平に負担をしてもらって、そして財源が余るならば、一般的に税を公平に軽減するという線に立っておることは御存じの通りで、特別措置全般にわたって私ども何年来非常に勉強をしておるつもりであります。この輸出免税あたりにつきましても、会社別のいろんな研究はいたしております。また、あわせて、お話のありました重要物産免税につきましても、これが制度の改正にも——これは昨年の春相当大幅な改正をいたしましたけれども、まだ本質的にこの制度に内在するいろんな問題がありますので、これについてはその後も研究を怠らないでおります。これは、国会が御関心を持っていただくことは、私どもとしては、非常にそういう意味で、言葉がちょっと何でありますが、ありがたい、大いに鞭撻していただきたいと思います。機会があれば、まとめてそういうことをお聞きいただけば、なおけっこうだと思います。しょっちゅう勉強しております。輸出控除のなには昨年の暮れからやっておりますので、実績をまだ見ておりません。これは実績がくるようになっておりますが、たしか一四半期か半年かでまとめてくることになっておると思いますので、その通牒を出します前の数字は実はあるのですが、適当な時期に取りまとめまして、御報告申すようにいたします。その他、特別措置全般につきまして、同様な腰がまえでやっていきたいと思います。何でもお聞きになりたい点がありましたら、おっしゃっていただけたらありがたいと思います。
  44. 横山利秋

    ○横山委員 私どもの持論としてかねがね申しておりますように、税は公平でなければならぬ。税は安いことが必要であり、同時にわかりやすいことが必要である。しかし、その例外として政策的減税もあり得るという点については、社会党としても了承するにやぶさかではないのです。今日の政策的減税は、あまりにも多岐にわたり、あまりにも一部の独占資本の奉仕に終っておる。しかし、それらを例外として、なおかつ必要やむを得ない政策減税を認めるにやぶさかではない。しかし、その場合といえども、税の公平の原則をはなはだしくぶち破るものであれば、それに対して幾ばくかの制約があることは、私は当然であると思っている。今承わりますれば、一部の方からその内部留保に対して制限をする点については、これは企業の自主性を阻害するという意見があるように聞いたのでありますが、まあそれは出る意見ではありましょう。ありましょうが、一方においてそれこそ税法通りに出しておる人たちのことを考えますときには、しかも、法律趣旨趣旨でありますから、趣旨が生かせるような方式をこの際やるべきだと思う。いわんや、その輸出ということが当面緊急の問題であり、そのために格別な減税がなされているとするならば、その減税効果が上っておるかおらぬかわからぬようなことでは、これはやめた方がよろしいと私は言いたいのであります。あなたの検討の結果、どういう方向に進められておるのか、その検討はいつごろ結論が出そうなのか、もう少し具体的に承わりたいと思います。
  45. 原純夫

    ○原(純)政府委員 利益の中にはいろいろな利益があります。商事会社は大体貿易に相当ウェートを持ってやりますが、国内におけるいろいろな商事取引もあるわけであります。その貿易面の輸出をした、それによる所得の部分について、かかる法人税を相当まけるといいますか、減税しているわけですから、そうすると、結局総体の所得のうち残った額はわかるのです。留保は、減税された部分は幾ら留保する、その他は幾ら留保するとまでは言い切れませんから、結局最後に商事会社が十億なら十億の所得があった、法人税その他を四、五億払いましょう、残りの五億なら五億を株主にどう配当した、社内にどう留保したかということを見る場合に、結局、ただいままでのやり方として、総体の留保率が、一般の貿易をやらない商事会社あるいは製造会社その他に比べて、なるほど減税の利益を社内留保しようという努力が認められるな、つまり留保率が一般のレベルより高いなということがいわれなければならない。その高い度合いを免税になった額と対照されるわけです。私どもは過去の実績についてそういう検討をいろいろいたしてみました。今手元に数字を持っておりませんが、それらを拝見して、実は特に強くこれは何とかいわなければならない。株主に配当するということも、回り回って、株の配当がふえれば商事会社の資本充実に役立つ、そうすれば貿易のための資本がよりよく集まるという効果はあるでしょうけれども、それは、この制度の使い道としては、すぐに消えてなくなってしまうような感じがするから、やはり留保率が一般より高くなくちゃならぬという目で見たわけです。私の記憶では、一般より高くはない、一般と大体同じ程度だったということが、何社か調べた私の記憶です。それで、特にあのときに、こういう減税を受けておるなら、それは困るときのために持っていてもらわなければ困る、それをやるためにあの制度は今までよりはるかに有効な制度として使えるはずだということを申したわけであります。昨年暮れの通達は、そういうことをやらせるについて、若干技術的な線を入れて、今申したような結果になるようなことを指導し要望するという意味で、通産局長に流し、かつ関係の各種団体にそれの写しを回したというわけでありますから、そういう線で今後の数字がより満足なものになってくるということを私どもは期待しているわけです。そういう角度で、今後集まってきます報告、数字あるいはその他のデータから、私どもは検討する数字というものを見て、それをお目にかけようというつもりであります。
  46. 横山利秋

    ○横山委員 もう少しその点についてお伺いしたいのですが、時間がございませんから、次の問題に移ります。  昭和三十一年五月二十二日、衆議院商工委員会の附帯決議でこういうのがあります。「繊維機械の耐用年数を短縮し、その近代化を促進すること。」当時本委員会におきましても耐用年数の問題が相当議論されました。伝え聞くところによりますと、大蔵省におきましては、現在のところでは耐用年数の圧縮問題だけを審議する耐用年数協議会は見送ったということが、最近伝えられておるのであります。私は、今日の経済情勢だけを考えれば、そのようなことが考えられないこともないと思います。しかし、この耐用年数の問題が昭和二十六年以来放置をされておって、そしてきわめて実情にそぐわない点がだれが見てもあるという点を、大蔵省としては根本的に考えるべきときではないか。移り変る経済情勢の間に間に、やりましょうと答え、そうして今になってはやりませんと答えるということでは、これは権威もくそもあろうはずがない。耐用年数の基礎的な理論及び年月を経た歴史的経過というものが、耐用年数を圧縮すべきである、現状にそぐわない点を改正すべきであるとしたならば、これはやはり、国会における院議なり、あるいは大臣がそれに対して善処すると答えたその精神というものは継続されなければならぬ、こう思うのでありますが、耐用年数に関する大蔵省の検討というものはどういうことになっておるのか、これからどうしようというのであるか、一体それについてどういう議論があるというのか、その経緯を明らかにしていただきたいのであります。
  47. 原純夫

    ○原(純)政府委員 耐用年数問題は、二つの角度からまず問題を考えなければならないと思います。一つは、機械を買って、それを据え付けて使っていく。使い終るまでにはその元が回収されなければならないという意味の技術的な——機械という元は、百万なら百万という機械を各事業年度にどういうふうに割り付けるかという技術的な問題が一つ。それから、もう一つは、特別措置的な角度から、税負担を軽減しようという角度から耐用年数を短かくしてくれという希望が出得る、これが一つ。耐用年数問題を考えます場合に、この二つがからまりますので、私どもの態度はこういうふうにいたしております。後者の政策的な耐用年数の調整をするについては、これは各般の他の要求と突き合せてよほど慎重に考えなければならない。そうでないと、事業をやっている方でも設備をうんと持っておる、ほとんど設備で仕事をしておるような事業をやっておる人は、非常に所得に対する課税が有利になるわけです。その人は相当膨大な資産を持ってごく早く回収してしまうわけですから、もう回収してしまいましても、値打は、まだ、まるまるといいますか、半分以上残っておるのです。そういう設備を持っていないで、運転資金のような格好でやっている人は、相当大きな金を回しておっても、税金は全部とられるというようなことになります。そういう意味で、やはり公平、不公平というような見地から考え、またそこには、そういう設備産業というか、設備を持つ人はより優遇するんだという角度もありましょう。それらを十分考えた上でやらなければならない。かつ、政策的にやるのでありますれば、こまかいあや目を立てるというよりも、耐用年数を二割短かくしろ、あるいは三割短かくしろというような話になりやすい。一割耐用年数を短かくしますと、税額で二百五十億減って参ります。二割も短かくすれば、五百億も減ってくる。これは、特別措置の中でも、御案内の通り二百五十億なんという特別措置は今一つもありません。百何十億というのが一番大きいわけであります。言われておる話は、技術的な角度からの話だけでなくて、政策的に一つ二割くらい短縮しようというような意図で言われておる角度が相当強いのです。それだと私どもとしては大問題だ。今特別措置で全部で八百何億といわれておるのに、さらに五百億減収を生ずるかもしれぬというような角度のものを、抽象的な理論だけで済ましてはいけないと思っております。その面での議論はしてよろしいが、それには相当突っ込んだものが要りますよということが一つ。それから、そういう政策的な角度を持っておりながら、お話しになるのは、世の中が変って企業の機械の構成が変ってきておるという技術的な形で言われることが多いのです。その面も私どもは大いに考える気持はあるのです。現に、この春ですか、昨年の春ですか、両方でしたか、あれはラジオか何かであったと思います。設備が今まで考えておったのとまるきり違うという情勢になってきておるというものには、それに合わして年数を変えております。また、はっきり変えないでも、国税庁長官に申請して、この工場は普通八時間稼働の機械を三交代でぶっ続けでやるからよけい痛むんだというようなものについては、これはできるというような制度もあります。これらについては具体的な事実に基いて措置するわけで、どんどんやって参るというかまえでおります。  大体その両面があるので、技術的な面の改正は私ども今までどんどんやっておると思っております。業界からいろいろ要望がありますのは、その技術的なように言われるけれども、政策的な本質を持つ要望が強い。それについては、私どもは、やはり技術的なように言われる線ならば、技術的なものの実際の数字を見せて下さい、というのは、機械がだんだん近代的になって、廃棄するなら実際廃棄になっておる年数が、昔から今にかけてどう変ってきておるかというデータを出してくれ、昔のデータがわからないなら、今のでもいいから出してくれということをお願いしておるわけです。それを見た上で、私どもは、技術的な角度からこれは当然やるべきことだからやる、政策的な面は、これはいろいろな政策的な要求とあわせて、別の角度からの検討が要るだろうというふうに思っております。私ども政策的な角度からの耐用年数の短縮については、ただいま必ずそれをやるというつもりで一昨年の調査会の答申を了解しておるわけではなくて、技術的な意味で変えるべき点をどんどん変えるということをまずやるという気持で考えております。
  48. 横山利秋

    ○横山委員 これは、国会側の意思とあなた方の考えとは非常に違います。もちろん、あなたのおっしゃるような技術的なということは、当然これは事務当局としてなさるべきことであって、国会側の議論の対象にはなっていないと私は思う。しかし、政策的にやるにしたって、あなたの言うように、一割でも二百五十億かかるから、とても財政的にできない、またできるという議論はあるでありましょうが、しかし、国会が商工委員会なり大蔵委員会で大臣から善処するという答弁をもらったのは、そういうテニオハを直しますからということで私どもが議論をしたわけではないのであります。いわんや、耐用年数の委員会をわざわざ作るということに至っては、そういう雰囲気があり、そういう機運が上ったというに至っては、そんなテニオハを直すからわざわざ委員会を作るというのでもありますまい。これは私は常識の問題だと思う。しかし、そういうことが政府部内において一たんきまり必要性を感じたけれども、今の経済情勢はこういう設備をある程度制限する経済情勢になったんだ、あるいは生産過剰の段階でもあるからこれはやめたんだ、こうはっきりおっしゃるならば、これもまた筋が通ります。意見は別にしても、それは筋が通ると思う。何だかその辺をあいまいにしておいて、国会の意思はこうであったというふうにあなたが独断なさるのは、これはいささか軽率であります。その辺をもう少し明確にされる必要が今日としてはある。すでにそれぞれの経済団体から、この耐用年数圧縮の意見というものは膨大に出ておる。通産省にも出ておる。通産省から大蔵省にも行っておるはずであります。そういうものをほおかぶりをして、テニオハだったらよろしゅうございます、これは大蔵省独断が過ぎると私は思う。この点はいかがです。
  49. 原純夫

    ○原(純)政府委員 私どもは、問題を取り上げている角度はこうだということを申し上げておるわけです。これは何も言いわけをしているだけのことではありません。業界に対しても、耐用年数問題では必要があれば詳しく申し上げてよろしゅうございますけれども、償却というものは本質はどういうものであろうか、考え方が七つか八つございます。それらを全部洗って、そして業界のいわれるのはどういう角度でいわれるのだろうかというようなことから、そういう角度でいわれるのならば、その償却というものはどういうふうにやるべきだというようなことになってくるかというようなことから、あるいは各国の制度はどうなっているというようなことから申しまして、これはもう一昨年の暮れの答申でありますから、昨年の春以来私どもは非常にこれに対して検討いたしております。決して言いわけを申してきん然とするという気持はありませんが、問題を本質的に突っ込んでいけばいくほど、そういう技術的に当然変えるべき面と政策的に考えるべき面というようなものをはっきりとつかんで考えないと、これは結論を出す場合の態度として不十分ではないか。政策的な面については、どうも特別償却の制度景気との関係が、イギリスのように、景気がブームになってきたらすぐにこれを引っ込める、悪くなってきたら広げるというような制度にもまだなっておりません。若干は政令でできますけれども、なかなかそうなり切らぬというような面がある。償却制度については、やはりそれらを含めて相当根本的な検討が要るというふうな気持で、もう昨年来私どもの主税局のエネルギーの相当部分をさいて勉強をいたしておるわけで、決してきん然としているというのではないので、その辺は御了承いただきたいと思う次第であります。
  50. 横山利秋

    ○横山委員 不満足の意思を表明しておきます。  次にお伺いをしたいのは、この間、税制特別調査会が、間接税体系整備の基礎となるべき計数資料の作成について成る専門小委員会の報告書を出して解散したそうであります。一体これは何ごとでありますか。私は、大蔵省が、本委員会のたび重なる請求によって、まさにたび重なる請求によって、逃げ足であったあなた方が間接税部会を作った。そうして去年の暮れに間に合せるのかと言ったら、いやいやなかなかかかります、こう言った。この間の国会においては、どうせそんなものはなかなかできやしないのだから、われわれが政治的判断をある程度交えるかもしらぬけれども、一つ物品税の改正なりあるいは酒とビールの均衡上のビールの問題なり、間接税の問題について結論を出すべきだと言ったところ、八方抵抗をした。そうして税制特別調査会においてはこれは何をしたのですか。あなた方は、学者を集めて、学者に勉強でもさせたのですか。これが何も参考にならないとは私は言わないけれども、これがあなた方が求めた結論であるとするならば、これはわれわれの意思を全く逃げ回った結果しか出ておらないと私は思う。こういうのがほんとうのあなた方が所期した目的であるとするならば、これは、百年河清を待つといいますか、こういうことしか言い得られないと私は思う。一体この専門小委員会の報告書なるものを——こんなややこしいものは国会議員でもだれも読んでいないと思う。おそらく大蔵省でも課長さんと担当者くらいしか読んでおらぬと私は思う。原さんなんかおそらく私は読んでおらぬと思う。いや、あなたみたいな人がこんなものを読んでおったら、あなたは仕事が勤まりませんぞ。もう少し間接税はいかにあるべきかという結論を出して、「こういう点について具体的に法案を作成すべきであるということ」が求めた結論であったはずであります。もしそうでないとしたら、ひそかに手を回して、今度結論を出してもらってはちょっと困るから適当にしておいてくれと言って、頼んだのではないかと私には疑われてなりません。そういう誤解すら現に生まれておるわけであります。少くとも、国会の意思としては、過ぐる池田大蔵大臣、一萬田大蔵大臣の当時から、間接税について次はやりますということをしばしば公約をされ、本委員会の結論になっておる。その結論が、ただにお酒の点で物議をかもして、えらい北島さんにまで迷惑をかけたことになる。そういうことまでして、お酒の問題だけどういうかげんか知りませんが通り過ごして、あとの間接税については何らの結論もやられていない。本国会においてかような報告書がわれわれの目に入るというのは遺憾千万であります。間接税についてどういう考え方をもってこれから進もうとされるのか、具体的に一つお伺いいたします。
  51. 原純夫

    ○原(純)政府委員 先般五月の末に税制特別調査会がその予定の期限でいわば解消したということから、その後のことについて十分一般に申し上げ足らなかったのかもしれません。お話のような御心配が出たというのは大へん恐縮に存じます。しかし、それは、何にもなくなってしまったのではなくて、今後も、各方面の意見を聞いて、いろいろ税制改正のことをやっていくつもりではあります。その中の大きな柱の一つは、やはり間接税の根本的な再検討で、これはやるつもりで私どもは考えております。なお、それの基礎となります間接税関係のいろんな弾力性その他の客観的な資料は、調査会は一応解消いたしましたが、その際調査会の委員さんの下に立って幹事として各三、四の大学から先生に入っていただいて、統計局からも人に入っていただいてやっておりました幹事会、この人たちには、引き続いて大蔵省からその仕事を委託するという格好で、委託をして仕事を続けております。現に、何日でしたか、この月中にその人たちにお集まりを願って、現在鋭意進めておりますいろいろな統計の資料の集まり工合、中間的に集まったものについては、集まったものの計数がこうなるが、これをどう読んでいくか、不十分な点があればどうかというような点を伺いながらやっていくという意味で、現にやっております。従いまして、ただいまの点は従来同様のかまえでやっておるというふうに御了解願いたい。これはもう、私どもやはり間接税を根本的に考えるならば、なるほどおっしゃる通りこれは最後になって百年河清を待つごときものだということにある程度なるかもしれません。それが何割かそういう観があるだろうということは私も覚悟しております。しかし、間接税——税制全般が沿革的な、発生的なきらいといいますか、色合いを持つものですが、間接税ではそれが特に著しいように思いますので、百年河清を待つけれども、いつかは澄むというつもりでこれをやっていきたい。私が見ているかというお話ですが、実はこの調べをやりたいと思ったのは今から十年前です。前に二課長をやっていた時分から、こういうものがなくては間接税というものはいいものができないと思っておりました。その後国税庁をやり、主計局に行ってやはり同様な思いをいろいろな場合に感じましたので、今度昨年の春の当委員会の御決議を機としてやろうじゃないかという腹をきめたわけで、私は、初めから、これについて何が出るか、どういう数字が出るか、一々関心を持って見ております。そういうのはどうだというお話が出れば何ですが、ほかのことも怠らないでやりながら、これはぜひやりたい。将来相当時間はかかると思うのです。ほんとうをいえば年末までにできるのは一応第一版で、何年か同様な検討を重ねて、五、六年たった場合には相当いいものができるということを私は確信しておりますが、そういう意味で、これは長く大蔵省として、また各省、特に企画庁あたりと連絡してやっていきたいというつもりでありますので、そういう気持をお聞きいただけば、私どもそうなまなかな気持でやっておらぬというふうにお考えいただけると思いますが、どうぞそういうふうにお考えいただきたいと思います。
  52. 横山利秋

    ○横山委員 五、六年と言っているうちに、もう一ぺん私どもは選挙をやらなければならぬ。あなたもいつまでも主税局長でおられるはずもない。来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、五、六年もたったら何が笑うかわからない。私が聞いておるのは、あなたも腹の中でわかっておるように、次の税制改正で間接税をやるかやらぬかということをはっきりしてもらわなければ困るというのです。あなたは、今えらい慎重に、政府与党の政策に引っかからないようにというあんばいで、なかなか答弁をうまくされておるけれども、問題の焦点はそこにあるのです。あなたが答えられなければ、これはもう一ぺん政務次官の誠意あふれる答弁を私はいただかなければならない。一体、あなたのやっておられる仕事は、どう考えても——この間も佐藤さんに申したわけでありますが、間接税を次の国会でやるのかやらぬのか、こういうことです。あなたが答えられなければ、山中さんに一つ、今無理だったら次の機会でもよろしゅうございます。お打ち合せの上明確にしていただかなければなりません。そうでなければ、ないように、はっきりしていただかなければなりません。これは国会の意思です。大蔵委員会満場一致決議したものであります。これはやるのかやらぬのかということだけは、この際明確にして下さい。
  53. 山中貞則

    ○山中政府委員 来年度税制の改正につきましては、重点を地方税に置いて考えまするとともに、間接税につきましても当然検討を進めて、具体的な結論を得たいと思っております。
  54. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官に恐縮ですが、自民党の政策としては所得税の減税、それから事業税の減税、こういうことになっておる。それは天下の公約ですからおやりになる。これは私も信じております。これがはずれるようだったら大へんです。けれども、私が心配いたしますのは、間接税の減税は国会の意思となっており、また質疑応答で明らかなように大蔵省としては検討を続けておる。来年のときにあなたの方の天下の公約である所得税と事業税と一緒に間接税をおやりになるのかどうか、国会の意思を尊重しておやりになるのかどうか、これをはっきりしてもらいたいということであります。
  55. 山中貞則

    ○山中政府委員 間接税にウエートを置いて考えるか、あるいは直接税にウエートを置くかということは、おのずから議論の分れるところでありましょうが、少くとも来年度予算編成に当りましての税に対します検討の過程において、当然間接税が重要なる一環として具体的検討の材料になりますことは、私はお約束申し上げて間違いないと思います。ただし、具体的に当委員会において指摘されております品目等につきましては、そのものだけを取り上げるか、あるいはそれ以外に考える点があるか等については、今後検討いたしたいと思います。
  56. 横山利秋

    ○横山委員 それではもう院議の尊重ということにはならぬ。検討するかせぬかということを聞いておるのではなくして、やるかやらぬかということであります。国会はやるべしという決議をして、前大臣及び前々大臣ともにやりますと答えておる。今において、新しい大蔵大臣なり政務次官が、やるかやらぬかそれを検討いたしますということでは、著しい後退になります。それを御承知の上で言っていらっしゃるならば、それで私に対する答弁はもういいのですが、その辺をはっきりしておいていただきたい。
  57. 山中貞則

    ○山中政府委員 最初の答弁で申し上げましたように、検討するということは、当委員会において直接もしくは間接それぞれ品目等について触れてありますので、そういう点についての検討をするというのでありまして、当然間接税もその対象として来年度予算の規模の中に考えていくということであります。
  58. 横山利秋

    ○横山委員 わかりました。時間がありませんから、あとちょっとこまかい問題がございますが、これは、委員長を通じて、大蔵省なり国税庁なりに、恐縮ですが、これをあとでお渡ししますから、簡単な問題でありますので、文書をもってこれはどういうことであるか一つ御報告を願いたい。そうして私の時間の節約をいたしたいと思います。  それでは、恐縮でございますが、次に国有財産質問に移りたいと思います。最初小牧の問題についてお伺いいたします。小牧に関連をいたしまして、先般の本委員会におきまして、アメリカ軍から返還をされる国有財産の使途について、いろいろと基本的なお考えを大蔵省から承わったのであります。その際に私が申し上げましたことは、これを国有財産としてどういうふうに使用するかについては、単に自衛隊中心主義という考えはなさらないように、地元の産業の発展ということについて長期にわたって十分深甚なる考慮を払っていただくようにお願いをいたしたのであります。一方、自衛隊からいろいろ御意見を伺いますと、自衛隊は、おれの方は国有財産がいかにあるべきかということとは一応関係がないから、おれの方がこれはほしいというものは率直に大蔵省にものを言う。まあもっともな御意見であります。そういう立場でありましょう。しかりといたしますならば、大蔵省として、国有財産の返還後におけるあり方というものはどういうものであるかという基本的な考えがなければなりません。私が地方の実情をいろいろと聞きますと、どうもこういうことが感じられてならぬのであります。つまり、自衛隊と地元とけんかをしているところはゆっくり話し合ってくれ、話し合ってまとまったら、それでけんかがなかったら、それで大蔵省としても了解をしようというお考えのような気持が私にはされてならぬのであります。なるほど、それは、争いがないということを望むにおいては、もっとものようではありますが、それでは無為無策であり、それでは安易に堕すると思う。この際重ねてお伺いしますが、米軍より返還をされます国有財産のあり方について、大蔵省としてはどういう基本的な態度をもって臨んでおるか、これをこの際まず明確にしていただきたいのであります。
  59. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 提供財産が返還されました場合、これをどういうふうに処理するか、その基本的な態度についての御質問でございますが、この点につきましては、前国会あるいは前々国会にも御質問がございましてお答えいたしましたことと大した相違はございません。国の財産でございますので、必ずしも自衛隊ということは申しませんが、国の用途に充てるということをある程度優先的に考えるということは、これはいたし方がないと思うのでございます。その場合におきましても、かりに防衛庁の必要ということを認めました場合におきましても、従来軍事目的に使われておったから、その全体をそっくりそのまま新しく自衛隊に使っていただくということは、必ずしも考えておらないのでございます。必要最小限度にとどめていただくという考えを持っておるわけでございます。それから、この返還財産をめぐりまして、地元の御要望というのは、大なり小なり必ず起ってくる問題でございますが、地元の御意見を十分拝聴するという点も、従来と変りなく、今後も踏襲して参りたいと考えておるわけでございまして、そのほか、公共団体で使われます場合のみならず、民間の利用誘致という点も、財産の活用として十分考慮していくべき問題であろうと考えております。地元との話し合いということはきわめて大事なことでございますので、できる限り話し合いを進めまして、無理のないところで処理を決定していくということを考えておるわけであります。返還されます財産の態様によりまして、いろいろこまかい考え方の相違はございますが、大きな筋としてはそういうふうに考えております。
  60. 横山利秋

    ○横山委員 賀屋さんのお話はどうも抽象的でよくわからないのでありますが、私が申し上げるのは、どうも大蔵省として、国有財産について、返還財産について、かくあるべしという基本的な考えがないのではなかろうか。これは単に管財局だけできめるべきものでもありますまい。大蔵省として、あるいは政府として、返還される膨大な財産について、産業の発展のために、あるいは中小企業の育成強化のために、あるいは地元の施設のために、大筋から割り出すべき問題ではなかろうか。単に、防衛庁の要求と地元の要求とがかち合ったならば、話し合って、それで折り合いのついたところで何とかしようという安易な気持が、私には考えられてならぬというのです。そうでないとするならば、何か具体的にこうだというものが、世間の納得するものが、私どもがなるほどそうかというものがなくてはならぬはずではないか。これを私は繰り返し言っておるわけであります。全国の軍事基地なりあるいは返還財産にからまるいろいろな問題の経緯を考えてみますときに、どうも大蔵省がやや逃げ腰のような格好で、まあそれは争いがないということを望むのはもっともではあるけれども、しかしやや安易に堕しておるきらいがある。これは、もう少し高い角度で、政府として考えるべき点ではなかろうか、こう思っておるのでありますが、これはぜひ一つもう少し高いレベルでお考えを願いたいと思う。  ついては、小牧の問題について若干お伺いをしたい。最近の新聞によりますと、小牧の基地駐留の米第五空軍第六一〇一大隊は、かねて撤収のうわさがあったが、六月三十日限り全員同基地を引き揚げて、名古屋の米空軍熱田倉庫へ移って、そこで通勤の形で同基地の接収管理を続けることが、司令部から明らかになったといわれておるわけであります。ところが、一方、同新聞によりますと、自衛隊では今も基地の全面的相続の考えを捨てずに、航空幕僚監部と話し合って、米軍事顧問団所属、全天候機乗員訓練中隊の小牧派遣計画を進め、来月初め同中隊の到着を待って、現在の移動訓練を半永久的な駐留訓練に切りかえる方針を固めている、こういうことが報じられています。私は先般本委員会において返還前の問題を議論をいたしました。管財局としては、返還前は、アメリカの問題であるから私の関知したことではないと言い、それから、防衛庁としては、現在の態勢を、火事どろ式といいますか、それを質量ともに増加をする気持はありませんから、そういう野心はありませんから、どうぞ御安心をと、こうおっしゃっておったのであります。ところが、この新聞が事実だといたしますれば、これは質的な変化であり、量的な変化にもなるでありましょう。そうなれば、返還前に既成事実を作り上げて、身動きならぬような格好にしておいて、小牧はおれのものだという考えがそこはかとなく見えるような気がいたすわけであります。さらに運輸省の航空局にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、運輸省の航空局が小牧を国際空港にするという気持をお立てになって、本委員会においてやはりその点について主張なさったのでありますが、これらの関係は一体現在どういうことになっておるのか。運輸省からでもあるいは防衛庁からでもけっこうでありますが、現在話し合っておられる点はどういうことになっておるのか、どこに問題があるのか、またそれに対して大蔵省としてはどういう判断を立てておるのか、それらを、どなたからでもけっこうですから、運輸省と大蔵省との話し合いの現状、これに対する大蔵省の検討を簡単明瞭に一つお伺いをいたしたい。
  61. 林坦

    ○林説明員 ただいま御質問のございました小牧の問題でございますが、地元の方で小牧の飛行場を将来国際空港として使用したいという御要望のあることは、先般の国会においても御質疑がありまして、御答弁申し上げ通りでございまして、私どもも、現在、小牧の飛行場は、国際的にはICAOのオルタネート国際空港といたしまして、オルタネートの空港すなわちこれは代替空港と申しておりますが、そういう指定を受けておる飛行場でございまして、われわれとしても、将来南方あるいは東南ア方面におきましていろいろと航空事業が発達して参りました場合に、小牧の飛行場というものは相当の重要性を持ってくるであろうということは予想しております。従って、地元の国際空港にしようという御要望に対しましては、われわれとしても十分それは尊重するという意思をこの前表明した次第でございます。ただ、現在のものは米軍が接収中でございまして、これは新聞等では六月末これが返還されるというようなことが報道されております。この点につきましては調達庁の方で正式に御返事があると思っておりますが、われわれとしては正式には何らその点についての通知は受けておりません。しかしながら、それに近いような話は、現地におきまして担当官が向うの基地司令官に会いました節等には、いろいろとそういった計画についての話はあったようでありますが、正式には承わっておらないのであります。しかし、いずれ小牧の飛行場が返ってくるということは当然予想されることでございますので、運輸省といたしましても、それが返ってくるまでの間に、防衛庁その他これを使用する側といたしまして、当然ここの将来の使用計画について打ち合せをする必要があるということで、打ち合せをやっておる現状でございます。ただ、現在は、担当官の間におきまして打ち合せをいたしておるのでございまして、まだ、その将来の計画について、私ども運輸省航空局と防衛庁との間において、最後的な話はついてはおりません。  大体、小牧の飛行場の使用につきまして、防衛庁と航空局で調整すべき点は三つほどございます。防衛庁におきましては、ただいまお話のありましたような飛行機をあそこに持ってきて使いたいという御意向でありますから、これらの機数、これらの運航の仕方いかんによりましては、民間航空の面にも相当な障害になるということも考えられますので、その運用方法につきまして防衛庁の計画を聞いて調整する必要がある。この点について打ち合せをまだ完了はいたしておりません。それから、航空交通管制の問題でございますが、航空交通管制につきましては、これは、航空局が全面的に航空法に基きましてこれに当るのが、大体法制上から申しましても、また技術的な点から申しましても、当然であるとわれわれは考えております。これに対して、防衛庁側は、防衛庁の航空機に対する管制についての、防衛庁の職員による参画といったような問題が現在ございまして、この点につきましては、将来の管制に要する機材の問題等と関連いたしまして、われわれの方と防衛庁の方との間に調整が必要である、そういう点がございます。また、飛行場そのものの管理の問題につきまして、これは、われわれは、名古屋の大部市を控えた小牧の飛行場の将来の運用から考えまして、原則として、滑走路を含む西側を航空局で管理し、もし防衛庁があそこを使われる場合には、東側を防衛庁が管理してやられるということではどうであろうかということで、現在まだ細目、具体的な問題について話し合いを進めておる現状でございます。
  62. 山下武利

    山下説明員 ただいま航空局長から詳しいお話がありましたので、大体のことは御了承願えたかと思いますが、防衛庁の立場といたしまして若干補足して御説明を申し上げます。  防衛庁といたしましては、前国会におきまして御説明申し上げましたように、将来小牧の飛行場が返還された場合には、そこに航空団一を置きたいという強い希望を持っております。もちろん、小牧の飛行場は民間飛行場としても非常に大事なところでありますので、防衛庁といたしまして航空団を置きます場合にも、その訓練の実施に当りまして、民間航空に決して支障のないような方法を講じていきたい、かように考えまして、目下、その方法並びに管理のやり方等につきまして、航空局とお打ち合せをいたしておるということは、ただいま御説明のありました通りであります。  問題として三点あげられましたが、そのうちの一つ、要するに自衛隊機の訓練が非常に頻繁なために、民間航空機に有害な影響がありはしないかという点でございますが、この点少し詳しく申し上げますというと、航空団一と申しますと、今お話のありました全天候の戦闘機、F86Dと申しますが、これが定数といたしまして約四十四機、それからT33と申します練習機、これが定数十七機でありまして、総数大体六機程度のものが、これが自衛隊がフルにあそこで使います場合の配属機数になるわけでございます。そうしますと、それがどういうふうな間隔でもって訓練を行うかという問題でありますが、今のところ、いろいろ私たち詰めてみましても、一番頻繁に訓練を行う、自衛隊として力の充実したときでも、おそらく一つのフライトと次のフライトとの間に十数分の間隔はあるであろう、従って、羽田等の頻繁な使用に比べますと、その点は民間飛行機に対してほとんど無影響であろうというふうに考えております。この点の了解を航空局に求めておるところでございます。  第二点の航空管制の問題でありますが、これは、現在の航空法から申しまして、航空管制を航空局がおやりになるという建前につきましては、問題はないわけでございます。ただ、自衛隊の立場といたしましては、自衛隊として特殊な訓練をやるわけでございまして、その訓練に支障のないような管制をやっていただくというためにはどうしたらいいか、機材の問題とか、あるいは要員の問題とかいうようなこまかいことにつきましては、十分納得のいくような取りきめを結びたいというように考えておるわけであります。  第三の飛行場の管理の問題でありますが、これは現在幸いに、滑走路をはさみまして西側と東側と、民間航空と米軍の使用地区に判然と分れておりますので、ほとんど問題はないと思います。ただ、滑走路等の管理につきまして、これは、航空局としては、当然、民間飛行場ですから、自分の方で管理したいというお気持はよくわかるわけでございます。理屈はその通りだと思うわけでございますが、自衛隊の立場といたしましては、何分にもジェット戦闘機の発着訓練には、民間飛行機とは違った、飛行場の非常に細心な管理が必要なわけであります。そのためには、また相当な人手と経費を要するわけであります。そういう点につきまして、十分に航空局の方で納得のいく管理をしていただければいいわけでありますが、またそれができない場合には、私どもとして応分の御援助をしたい、これもまた細目の取りきめをしたいと考えておるわけであります。  いずれも根本的な対立というものは全くないわけでありまして、ごくこまかい点で二、三問題を残しておる現状でございます。早晩に解決をいたしたいと考えております。
  63. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 大蔵省といたしましては、当飛行場は、運輸省の民間航空、防衛庁の自衛隊の使用と両方に使っていただきます。いずれを主としいずれを従とするかという困難な問題はあろうかと思いますが、両者に使用していただくという基本的な考えでございまして、そのために、両省庁から御説明いたしましたように、こまかい具体的な点についての話し合いを進めておりますので、この話し合いは、今申し上げたように、必ず近いうちにできるものと確信し、また期待をいたしております。
  64. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、時間の関係もありますので、国鉄当局にはえらい恐縮でありますが、お帰り願って、国鉄の問題はあとにしたいと思います。  そこで、一点だけ小牧の問題についてお伺いをしておきたいと思います。根本的な対立はないとおっしゃるのですが、地元としては国際空港に一本やりにいってもらいたいという意見がある。それを百歩譲ったにしたところで、将来の国際空港を目ざして小牧が前進をするために、今日自衛隊が使うについて将来の禍根になるという点は、一体運輸省としては考えられないのであるか。その点は運輸省は地元の要望というものをきわめて誤解をなさっておるように思うのだけれども、あなたは一体防衛庁と妥協をなさって、両者の併用を考えておられるようであるけれども、この点について将来に責任を持たれるのか。地元の要望というものをしっかり腹に入れてやっていなさるのか。地元は地元、運輸省は運輸省とお考えになるのか。具体的な今お話を伺った三項目にいたしましても、かりに運輸省の主張するように妥結をいたしたにしてみても、それは将来の国際空港に対して非常な障害になるおそれがありはしないか。その点をどういうふうにお考えになっておるのか。一つ率直にお伺いをいたしたいと思います。
  65. 林坦

    ○林説明員 ごもっともな御懸念だと思います。私どもといたしましても、小牧を将来国際空港を目ざして整備していくということについては、先ほども申し上げ通りでございますが、そのために防衛庁にはあそこを使ってもらわないということになれば、民間航空としてはそれは非常に便利でございましょう。しかしながら、わが国は御承知のごとく非常に土地に不足しております関係上、防衛庁の御要望に対してもわれわれはやはり相当の考慮を払うべきものであるということを考えるわけでございます。ただ、今委員がおっしゃいましたごとく、小牧空港を将来の民間航空の円滑なる運営支障のないようにするためには、防衛庁があの基地を使われる場合、相当規模において、またその使用方法において、民間航空の立場を尊重していただかなければならないという面があるのでございます。それは必ずしもそこに配属される機数だけの問題ではございません。その機数をいかに運営されるか、どういう訓練計画のもとに訓練されるか、それからまたそこの管制がいかに行われるか、民間航空、特に国際航空の時代にもなれば、さらにスピード化した民間航空機も参りますでありましょうし、また大型化した民間航空機も参りますでありましょうが、それらの航空機と自衛隊の飛行機との間の管制をいかに調整をはかるべきであるか、また、滑走路の問題にいたしましても、そのために国際空港としての使用を妨げるおそれはないか、そういう点を考えればこそ、ただいま申し上げました三つの点について、われわれと防衛庁とが慎重に検討をいたしておるのでございまして、その点は決して地元の御意見を軽視したり無視したりしている意味ではございません。私どもとしては、責任をとり得るように、その点について慎重に相談をいたしている次第でございます。
  66. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、委員長のたび重なるお話でございますから、これで私は質問を打ち切ります。  ただ、政府側各位にお願いしておきたいことは、大蔵省には、先ほど申し上げたように、ぜひともこの際返還された国有財産の基本方針を固めていかれたらいかがであろうか、その点を重ねて申し上げておきたい。  それから、運輸省、防衛庁には、私は何も運輸省の味方をするとかなんとかというやぼなことで言っているのではありませんが、少くとも、小牧というところは、今日まで非常な大問題の起ったところでありまして、それが今回とにかく県民あげて小牧を国際空港にするということによってまとまった今、アメリカ軍が自衛隊にかわっただけで、新しい紛争が起るということは繰り返し私は避けたいと思っているのであります。もちろん防衛庁については防衛庁それ自体の要望があるでありましょうけれども、防衛庁自体の要望もさることながら、地元の意見、あるいは将来の中部経済圏の発展のために、防衛庁としても十分にお考えなさるようにお願いをしておきたいと思います。  私の質問は、国有財産はまだ若干ほかに問題はございますけれども、機会を改めることといたしまして、本日はこの程度でやめておきます。
  67. 早川崇

    早川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時六分散会