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1958-07-31 第29回国会 衆議院 商工委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十三年七月三十一日(木曜日) 午前十時二十五分
開議
出席委員
委員長
長谷川四郎
君
理事
小川 平二君
理事
小平 久雄君
理事
中村
幸八君
理事
加藤
鐐造君
理事
田中
武夫
君 岡本 茂君
奧村又十郎
君
加藤
高藏君 黒金 泰美君 坂田 英一君 關谷 勝利君
田中
榮一君 中井 一夫君 西村 直己君 大矢 省三君 小林 正美君 鈴木 一君
堂森
芳夫君 中嶋 英夫君
水谷長三郎
君
出席国務大臣
通商産業大臣
高
碕達之助
君
委員外
の
出席者
通商産業事務官
(
大臣官房長
) 齋藤 正年君
通商産業事務官
(
通商局振興部
長)
日高準之助
君
通商産業事務官
(
重工業局長
) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(
軽工業局無機
化学課長
) 岡嶋
楢文
君
通商産業事務局
(
繊維局長
)
小室
恒夫君
通商産業事務官
(
中小企業
庁振
興部長
) 今井
善衞
君 専 門 員 越田 清七君
—————————————
七月十一日
委員今村等
君
辞任
につき、その
補欠
として
和田
博雄
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員和田博雄
君
辞任
につき、その
補欠
として今
村等
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月三十日
委員永井勝次郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
穗積七郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員穗積七郎
君
辞任
につき、その
補欠
として永
井勝次郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
七月八日 一、
下請代金支払遅延等防止法
の一部を
改正
す る
法律案
(
田中武夫
君外十三名提出、
衆法
第一六号) 二、
日本経済
の
総合的基本施策
に関する件 三、電気及びガスに関する件 四、鉱業、
鉄鋼業
、
繊維工業
、
化学工業
、機械
工業
その他
一般鉱工業
及び特許に関する件 五、
通商
に関する件 六、
中小企業
に関する件 七、
私的独占禁止
及び
公正取引
に関する件 の
閉会
中審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
繊維不況対策
に関する件並びに
重工業
、
軽工業
及び
通商
に関する件 ————◇—————
長谷川四郎
1
○長谷川
委員長
これより
会議
を開きます。
繊維不況対策
に関する件並びに
重工業
、
軽工業
及び
通商
に関する件について
調査
を進めます。 質疑の通告がありますのでこれを許可いたします。
中村幸
八君。
中村幸八
2
○
中村
(幸)
委員
私は
繊維不況
の
対策
についての質問を
政府当局
にいたしたいと思います。 私
ども商工委員
の者は、この
国会閉会
中に
全国各地
に
国政調査
のために視察に行ってきたのであります。私
ども
は静岡県の
浜松
を振り出しに、愛知県名古屋、それから岐阜県、富山、
石川
、
福井
、この東海、
北陸地方
の
産業経済
の
実情
を
調査
して参りました。特に今日最も大きな問題となっておる
繊維不況
の問題については、特別に力を入れて調べてきたのであります。百聞は一見にしかずと申しますか、私
ども
がこの前の
特別国会
におきまして、
政府当局
より
実情
を徴し、あるいはまた
業界
の代表の
方々
に
参考人
としておいでを願って、そうして
不況状況
について
調査
いたしたのでありまするが、その当時は話半分とはいわないまでも、ある程度割引してわれわれは
考え
ておったのであります。現地に着きまして調べてみますると、ほんとうにこの
不況
が深刻であり、もう恐慌一歩手前にあるということを、つくづく感じて参ったのであります。 今日
浜松地方
に例をとってみましても、遠州
地方
には千数百軒の
機屋
があるのでありますが、その中で今日まで百二十七軒の
倒産
あるいは
全面休業
をしているものがあるのでありまして、なお毎日々々そうした
倒産
、破産あるいは
休業者
が続出しておるのであります。
休業
をしておるという
方々
はまだまだ仕合せな方でありまして、
休業
したくても
休業
ができないというのが
現状
であります。ということは、この
糸高布安
の非常な不利な
条件
で、
休業
したいのはやまやまであるけれ
ども
、しかし
休業
してしまうと手形を落すことができない、
自転車操業
さえもできないというようなことで、血の涙をもって仕事を続けざるを得ないというのが
現状
でありまして、
休業者
の数が百二十七軒、一割に達するが、その
休業
をしておる者以上に苦しい者が非常に多いということを感じてきたのであります。
浜松地方
におきましては県、
市商工会議所
また
織物組合
あるいは全繊同盟の
方々
が
労使一体
となってこの
不況克服
に努力いたしておるのでありますが、この
人々
の力だけではどうにもならない。どうしても
政府
の強力な力をお借りしなければならないというので、私
ども
が
浜松
の駅に降りますと、数百人の
人々
がプラカードを持ちあるいは
向う
はち巻で駅頭に群がって、私
ども
が汽車から降りるのを待ちかまえておった。そうして血の涙をもってるる窮状を訴え、また
決議事項
を、私
ども
にその
実現
をはかるように依頼いたしておったのであります。また
福井
、
石川
におきましても同様でありまして、ちょうど二十六日でありましたが、
福井
市におきまして
北陸
三県の
繊維不況突破大会
が開かれましたが、千五、六百人の
方々
が
向う
はち巻で闘志あふるるばかりの熱烈なる気魄をもって集まられました。私もその席に列しまして感に打たれたのでありまするが、もう絹、
人絹
といわず
綿スフ
といわず、
繊維業界
はさらでだにこの一般的な
不況
にあえいでいるのに、特別な
事情
があって、さらに一そうの
不況
の程度を加えているのでありまして、この際どうしても即刻強力な手を
政府
によって打っていただかなければならないと
考え
るのであります。 そこで私伺いたいことは、去る七月四日に本
委員会
におきまして
繊維産業
の
不況対策
に関する
決議
として五
項目
にわたる
決議
をいたしております。この
決議
は、今
考え
てみて、われわれの
考え
がやっぱり間違っていなかった、これを強力に
実行
に移す以外にはこの
不況
を切り抜ける
方法
はないのだという強い確信を持ったのであります。従いまして、この五
項目
にわたる
決議事項
につきまして、
政府
はその後どのような
対策
をとられたか、また準備しておられるかということにつきましてお伺いいたしたいと思います。
小室恒夫
3
○
小室説明員
ただいま
中村委員
から御
指摘
になりました
機業地
の深刻なる
実情
につきましては、
繊維局
といたしましても
浜松
及び
大阪
には
綿業課長
、また
福井
、
金沢地区
には
化繊課長
と、それぞれ
所管課長
を派遣いたしておりまして、十分承知しておるつもりであります。
繊維
の
不況
については、その後も深刻な
状況
を続はてはおりまするけれ
ども
、
綿製品等
については最近
在庫
が相当減少したといういい
材料
も現われてきております。また
輸出
の面でも
前月
に比べて最近若干持ち直したという感じもないではありません。絹、
人絹
の方はそういう好
材料
も実は見当っておりませんので、全体として申せばやはり非常に危険な
状態
にあると言って差しつかえないだろうと思っておるのであります。従って、
昭和
三十三年の七月四日に御
決議
願った
繊維産業
の
不況対策
に関する
商工委員会
の
決議
については、この
決議
の
趣旨
に即応して行政を進めて参りたいと
考え
ておるわけであります。また
政府首脳部
においても七月二十二日に
経済閣僚懇談会
において
繊維不況
の
対策
を取り上げて相当熱心な
議論
が行われ、また
実情
を
検討
し、またさらに近い将来に引き続いてこの問題についての
検討
が行われるというふうに聞いておるのでありまして、
繊維局
のみならず
政府首脳部
においても非常な関心を持って、この問題について
対策
を
検討
しておるということをまずもって申し上げておきます。
決議
の各
項目
についてどういう
状況
になっておるかというお尋ねでありまするから、簡単に
項目別
に申し上げます。 第一点は
中小織布業者
が
原糸
を
適正価格
をもって円滑に入手し、かつ適正な
加工賃
が得られるよう、諸般の
施策
を行うとともに、
取引条件
を改善するに必要な
措置
を講ずるように、また
綿スフ
紡績
織布兼
営業者
と織
布事業者
との間に公正な
競争
ができるよう、
原綿輸出リンク割当制
について是正すること、こういうような
項目
であります。これは
中小
の織
布専業者
が最近の
綿布
の
市況
の極端な悪化によって、また
人絹
についても、かねてから引き続く
不況
によって非常な苦しい
立場
に追い込まれておる、この
取引
上の
立場
を強化するようにということが根本の御
趣旨
であると思うのであります。
人絹
については昨年来、
人絹糸メーカー
、
輸出商社
、
内需商社
、
機屋相互
間の
協議会
ができて、いろいろそこで相談して、
買い上げ
の問題あるいは
価格
の
問題等
についても、適正なところに落ちつくような努力が払われておるわけであります。特に最近問題になっておる
綿糸
の
取引条件
については、まだそういうような
態勢
も整っておりませんので、私
ども
としては、一方において織
布専業者
が
中小企業団体
の
組織
に関する
法律
で認められた固有の権利といいますか、
組織
を強化し、
原糸
を共同購入するという
方向
に一歩々々進んで参った方がいいだろうということを申しておるのであります。それと同時に
関係
の
業界
が集まって、
原糸
の
取引条件
について十分懇談する。そうして現在の織
布専業者
の
不況
を是正するような
方向
を見出していきたい、そういう
意味
ですでに第一回の
会合
は、
大阪
において
紡績商社
、織
布専業者
の間で持たれたのであります。これはもちろん一ぺんで問題が解決する筋のものではありませんので、八月上旬にもさらに引き続いて
協議会
が持たれ、またその先にも引き続いて具体的にいろいろ相談が行われると思うのであります。一ぺん、二
へん
の
会合
直ちにすべての問題が解決するとは思いませんが、こういうような
やり方
で、織
布業者
の
取引条件
が漸次是正されていくということを、われわれとしては期待しておるわけであります。 それから
原綿
の
輸出リンク割当制
について是正というお話でありますが、現在
繊維
の総合的な
需給
の
調整
を
実施
し、総合的に
繊維
の
需給
を安定させたいと
考え
ておりまして、その
立場
から
原綿
なり
原毛
なりについても、相当
輸入
の圧縮を加えておるような
状況
でありますので、
市中
でもって
取引
される一部の
原綿
について非常なプレミアムがついておるということは事実であります。そういうような
状況
、
事情
はどうあれはなはだ好ましくないことでありますし、また全体としての
輸出リンク制
あるいはもっと言えば
原綿
、
原毛
の現在の
割当制
についても、いろいろな
角度
からこの際
検討
してみることが必要であろうというふうに
考え
ておりまして、これはもう少し時間をかしていただいて、根本的にいろいろな
角度
から
検討
してみたいと
考え
ております。 第二点は、
過剰滞貨
の
処理
を促進するため、その
凍結等
に必要な諸
措置
を講ずることという点であります。これも
異常滞貨
のある
綿織物
について特に
議論
があったことと思います。
スフ糸
については六月上旬から一千万ポンドの
凍結
を
実施
しておりますが、
広幅
の
生地綿布
について、この
決議
の
趣旨
に即応しまして
紡績手持ち
の五千万ヤードの
綿布
を
凍結
するということについては、すでに
指示済み
でありまして、実際にはもう
凍結
が着手されておるということでございます。一部、
割当
だけの
在庫
を持っていない
紡績会社
は、
市中
から
生地綿布
を買って
凍結
させるというようなことまで行なっておるのでありまして、これはやはり過剰な
在庫
の
調整
ということに相当役に立つものと
考え
ております。また
凍結
のほかにも、過剰な
在庫
をたな上げする
措置
として、
綿織物
の
買い上げ
を
実施
したらどうかということを
考え
まして、この点につきましては、
昭和
二十八年の春から
綿糸布
の
輸出振興組合
というような名目のもとに、
紡績各社
が一種の
買上機関
を設立しておりまして、ただ今までこれが発動されたことがないというような
状況
になっておりますので、最近の深刻な
綿布
の
市況
にかんがみて、この眠っておる
買上機関
を発動させることが適当ではないかということを示唆いたしまして、
紡績側
においてもそういう
方向
で
考え
たい、
紡績協会
の
特別委員会
においてこの問題について、目下どういうふうな
やり方
で
買い上げ
をすべきか、具体的な問題について
検討
中でございます。一方において六月には天候が非常によかった、早い夏が来たというようなこともあって、非常に
内需取引
が盛んでありまして、そのために
市中在庫
が六月末において
前月
の末に比して三万
コリ
減少して、初めて五十万
コリ
の
在庫線
を割って四十九万
コリ
になったというようなことがありますので、今の
凍結
、
買い上げ等
と相待って、相当
過剰滞貨
の
処理
ということについては、
効果
が上るのではないかというふうに
考え
ておるわけであります。 第三点は
繊維製品
の
輸出振興施策
を強力に行うとともに、特に
綿スフ織物等競争
の激化を予想される商品について
買取機関
の設立を
検討
するということであります。これは実は今第二点で申し上げたことと共通の問題でありまして、私
ども
としては一方において
輸出品
の
価格
が
日本人同士
の
競争
で不当に下っていくということはぜひとも
防止
したい。
過当競争
の
防止
ということは、
日本
の
輸出貿易全般
の問題でありますが、特に
繊維品
の
輸出貿易
についてはその点を重視して今まで
考え
て参ったのであります。そういう
見地
から申しますと、
綿糸布
の
価格
を適正なところに一日も早く安定させるということが、やはり
輸出振興
の
基本目的
に沿うわけでありまして、そういう
見地
から申して、
輸出
川の
広幅
の
生地綿布
を買い取るということが相当大きな
効果
があると思うのであります。ただ
買取機関
については先ほど申しましたように、すでに四年来一応設立されておるのでありまして、このままの
状態
ですぐ買い取りに進めるかどうか、あるいは現在の
買取機関
について若干の
組織
その他の改善をさせなければならぬというようなことはあるかもしれませんが、既存のものの運用という線で
考え
ておるわけであります。 それから
輸出繊維品
の
検査費用
を
国庫負担
とするようにということでございますが、これは
不況
で
関係業者
の
負担力
の乏しい際には、比較的わずかな
負担
でも非常に耐えがたく思われるということはごもっともでありますけれ
ども
、また
検査機関
の業務を合理化し、できるだけ
検査経費
を軽減さして、それに応じて順次
検査手数料
の引き下げをはかっていくということはきわめて大事だと思いまして、
輸出検査
については私
ども
その
立場
で
指導
はいたしておりますが、直ちに
輸出繊維製品
の
検査費用
を
国庫負担
とするということは、
現状
においては
実現
は相当困難であろうかと思います。 第四点は、
綿スフ
及び
人絹
の
過剰織機
の
処理
、これは従来からやっておる
継続事業
でありますが、一そう迅速かつ強力に
実行
に移す、また
不況下
における
業界負担
を軽減するために、
買上単価
の引き上げ、
国庫補助金
の増額を行い、あわせて
処理台数
の増加を行う、これが第四
項目
の前段であります。織
布部門
において
不況
が特に深刻であるということについては、結局織
布部門
の
操短
が有効適切に行われないというような面も手伝っておるのであります。そのよって来たるところは、やはり非常に
織機
が過剰である、織
布部門
における
生産設備
が他の
部門
に比して特に
過剰度
が著しいということに由来するところが多いのでありまして、そういう
意味
から申しまして、
昭和
三十一年度から
長期対策
として、織
布部門
の
合理化対策
、
中小企業対策
として
実施
して参りました
過剰織機処理
について、この年度においてこれを拡充し、大幅に
実施
すべきであるという御
意見
と思いますが、これについてはさきの
経済閣僚懇談会
においても、この際
綿スフ織機
を含めて
織機
の大幅な整理を行うべきであるということについては、御
意見
が一致したというふうに聞いておるわけであります。ただ
単価
とか
負担金
とか、そういう問題についてはまだ
検討
中でございまして、これについてはいろいろな御
意見
もあるようであります。 第四の
項目
の後段は、
合成繊維織機
の新
増設
の抑制であります。従来織
布部門
の中で圧倒的な割合を占めておりますところの
綿スフ織機
、
絹人絹織機
及び毛織の
織機
につきましては、それぞれ
中小企業安定法等
において新
増設
の
規制
、つまり新
増設
を抑制する取りきめをいたしまして、これについてアウトサイダーにも強制いたしておりますので、これらの
織機
については新
増設
は
法律
的にできないことに相なっておったのでありますが、
合成繊維
の
織機
につきましては
合成繊維
の
産業
がまだ発展の当初にある、今後いろいろ新しい
合成繊維
ができて参る、それに応じて紡機なり
織機
なりを適用していかなければならぬというような点があるだろうという考慮から、一応
規制
の
対象外
にとどめておいたのでありますが、最近のような織
布部門
の非常な
不況
ということと、
織機
については
合成繊維織機
といえ
ども
、
綿スフ
なり
絹人絹
なりに容易に転換して使用できるというような
点等
を考慮いたしまして、これについてはすみやかに
規制
いたしたい。
法律
的な問題について目下最終的な
検討
をいたしておりまするけれ
ども
、必要であれば
臨時国会
に
繊維工業設備等臨時措置法
の
改正
でこれを
許可制
にする。また
法律
的な解釈がこれを許せば、現在の
中小企業団体組織法
の
ワク
の中で、新しい
法律改正
を用いないで
規制
することを
考え
たい、こう思っておるわけであります。 第五点は、総合的な
生産調整
の実効をあげ、かつこれが
実施
を円滑ならしめるための諸
措置
を講ずることという点であります。各
項目
については、
生産調整
に対する
指導監督
を強化する。これは申すまでもないことでありますが、特に
綿織物
については
操短
をさらに強化いたしまして、これが
監督
を強化いたしたいと
考え
ております。また
操短
の
実施
を裏づける
資金
の確保については
商工中金
、
中小企業金融公庫等
と話し合って、所要の
資金
の
ワク
を確保できる見通しがついておりまするが、これについてはまた
関係府県
の協力を求める
意味
で、織
布部門
の集中しております
関係府県
に対しては、
中小企業庁長官
と
繊維局長
の連名でもって、県の
損失補償
の
制度
を
考え
ていただくことをお願いしておるわけであります。その次に
生産調整実施
中の施設に対する
固定資産税
の減免という問題でありますが、これについては
自治庁
に、この
決議
の
趣旨
に即して通産省としては申し入れをいたしております。現在
自治庁
においても慎重に
検討
中でありまするが、これはそれぞれの
地方
自治体の
事情
もありまして、なかなかむずかしい点が多かろうかと思います。なお
話し合い
を続けていくつもりでおります。 最後に
生産調整操短
によって
労務者
に
労働強化
を来たさないように、
労務者
の
立場
を十分
考え
るようにということでございますが、これについては私
ども
も十分考慮しておるところでありまして、従来も
生産調整
の
勧告
、いわゆる
操短勧告
に際しては、それぞれの
業界
に対して不当な解雇を行わないようにしてもらいたいということは特に念を押しております。また最も
不況
に悩んでおるところの
化繊会社等
についても、
離職者
がほとんど最初の約束通りある
期間
の後に復職しておるというような点もありまして、かなりそういう点の
配慮
は
経営者側
においても払っておるというふうに思っておりますが、
不況
が長期化し、
操短態勢
が長引くにつれて、いろいろこういう問題も出てこようかと思います。今後ともこういう点についての
配慮
はおろそかにしないつもりでおります。 非常に簡単でありますけれ
ども
、
中村委員
の御
指摘
の七月四日の
決議
に対して、
政府
はどういうことをしておるかということについての
お答え
といたします。
中村幸八
4
○
中村
(幸)
委員
ただいま詳細にその後の
政府
のとられた処置、また準備しつつある
方法
、
手段等
につきまして御
説明
がありました。ありがとうございます。大
へん
むずかしい問題であります。困難な問題でありますが、
政府
におかれましても真剣にこの問題を解決すべく、その意気込みは十分私
ども多
とするのでありますが、ただいまの御
答弁
だけでは、まだちょっと不明な点もありまするし、さらにもう少し——もう少しどころではない、大いにがんばってもらわなければならぬ点もありますので、二、三点重ねてお尋ねいたしまするが、まず第一点の
原綿
の
輸出リンク割当制
の問題でありますが、
綿布
の
輸出振興
については
紡績業者
だけでなくて、織
布専業者
の功績というものも非常に大きなウエートを持っておるのであります。しかるに
輸出リンク報奨制度実施
に当っては
紡績業者
にのみ綿の
割当
がある、これは非常に不公平でありますのみならず、
紡績
兼
営業者
が非常に有利な
立場
に立ちますために、あるいは
輸出
に当って安値で乱売する、そうなって参りますと織
布専業者
はとうてい太刀打ちができない、こういうことになるのであります。
綿布輸出
に当っての乱売というようなことも、この問題に
一つ
の端を発しておるのではないか、かようにも
考え
るのであります。どうしてもこれは
紡績業者
だけでなくて、織
布専業者
にも綿の
割当
はぜひとも割り当てていただいて、そうして公正なる
取引競争
ができますように、この点は特に強くわれわれとしては主張するものであります。この点についてもう一ぺん
お答え
を願いたいと思います。 それから
過剰織機処理
の問題でありますが、絹、
人絹方面
では一台の
単価
が五万円、それから転廃業する場合の
単価
としては十万円ということを主張しております。
綿スフ
におきましては
絹人絹
の
織機
と非常に価値が違いまして、同じ
価格
では困る。全部が鉄製であり、
絹人絹
の方は半木製であるというような点から、非常に買入
価格
が違うのであります。従って今度の
政府買い上げ単価
におきましても、
綿スフ
の方は十万円、少くとも七万円くらいには
一つ買い上げ単価
をきめてもらいたい、こういう強い要望がございますが、この点についての
お答え
を願いたいと思います。 もう
一つ
は
操短融資
の問題でありますが、
金利
の問題で、現在の
商工中金あたり
の一割以上の
金利
では
負担
にたえないというのであります。そこで
商工中金
、あるいは
中小企業金融公庫
に対して
政府資金
を大幅に投入いたしまして、この
貸出金利
を半分くらいにするということもぜひお願いしたいのでありますが、この点についてのお
考え
。この三つの点について重ねて御
答弁
を願いたいと思います。
小室恒夫
5
○
小室説明員
原綿割当
の問題でありますが、戦後
外貨予算制度
がとられて以来、
紡績用
の
原綿
につきましては、他の
主要輸入原材料
もほとんどそうなのでありますけれ
ども
、
外貨割当制度
がとられておりまして、
割当
は実際に
原綿
を使用する
紡績業者
に、いわば
原綿
の
需要者
としてこれに割り当てる。
需要者割当
、現在、現実に
処理
をする者に割り当てる、こういう
立場
で、原則として
紡績業者
に割り当てる建前をとってきておるわけであります。ただいわゆる
機屋割当
と申しますのは、対
米綿製品
の
輸出規制
をいたします際に、
日本
とアメリカとの間で、
綿製品
の
輸出
の問題について
大局的見地
から
話し合い
が行われ、また最終的にこの辺でまとめた方がいいという判断に立ちましたときに、実は織
布専業者
の作っておりますところのギンガム、別珍とかいうものは非常な打撃を受ける、従来の
輸出実績
の三分の一というようなところに対
米輸出実績
が押えられる、これでは先々のことはともかく、ここ一両年どうにもしのぎようがないじゃないか、
内需
に転換するにしても、
輸出市場
を転換するにしても、それだけやはり
準備期間
が要るじゃないか、そういうような差し迫った
事情
に対しまして、やむを得ざる
措置
と申しまするか、きわめて異例の
措置
として二カ年を限って、それじゃそういうような
原綿
の
割当
を
一定限度
で認めようというようなことでいたしたわけであります。そういうことをやったのが悪いじゃないかという説も実はあるわけでありまするが、その後
原綿
の
割当
をだんだん圧縮して参りました
関係
で、先ほど申しましたように
原綿
の
市中
における
取引
に伴う
価格
というものが非常に上って参りまして、その点は一方からいえば
機屋
さんのふところを潤したということにもなりましょうし、また他方からいえばその分だけ
機屋
さん
関係
の
綿布
が安売りされているという面も出ておらないことはないのであります。いずれにしましてもこれは臨時異例の
措置
としてやったことでございまして、私たちとしてはこれを直ちに拡大するということは
考え
たくないのでありますが、特に他の染色加工
部門
とかあるいは縫製
部門
、メリヤス
部門
等からも、実は
機屋
の
割当
の拡充の問題にからんで、現在でも私
ども
の方にいろいろ陳情がございますが、そういう点、こういう業者にみな割り当てるというようなこともはなはだ不自然であります。また実を申すと、
絹人絹
関係
の業者からも、自分たちの方からは百パーセント国産品を
輸出
しておるけれ
ども
、そういう
意味
の報奨には何らあずかれない、不公平じゃないかという
意見
もあります。そういう全体のバランスを
考え
て参りますと、政策的に簡単に
機屋
の
割当
を増額するというわけにはなかなか参らないように思いまするが、しかしながら同時に、先ほ
ども
申しましたように最近の
原綿
のプレミアムというような数字を
一つ
とらえてみても、なかなか正常でない
状態
もありますので、こういう点についてはあらゆる
角度
からさらに
検討
を進めたい、そういうふうに
考え
ておるわけであります。
現状
が何んでもかんでも一番いいのだというふうに私は申し切っておるわけではありませんが、直ちに
機屋割当
の増額というふうには踏み切りにくいということを申し上げたわけであります。 それから第二点でありますが、
織機
買い上げ
の際の補助
単価
の問題であります。あるいはまた買入
価格
の問題であります。これについては目下
検討
中でありますが、自民党の専門
委員会
の方では
一つ
の数字を一応出しておられるようでありますが、それも参考にし、また
関係
方面の御希望も参考にはいたしております。しかしながら大体補助金と
負担金
とを合せて一台当り三万円、それにスクラップ
価格
を加えたものということが
綿スフ織機
及び
絹人絹織機
の
買い上げ
て参りました実績であります。そういう点もやはり考慮に入れなければならぬ。
不況
の際に、
不況
に呻吟している
中小
業者にできるだけ保護を厚くするということは、政治的な
配慮
としてはむろんけっこうであろうかと思いますが、これは私
ども
事務官というよりも、むしろ政治的にそういう点についてはお
考え
いただくのがあるいは適当でないかと思いますが、私たちとしてはやはり従来の実績というものも相当考慮に入れて、また現実にどういう程度の
織機
が売りに出るか、そういう点もよく考慮に入れなければならぬ。実を申すと、織
布部門
以外についてはやはりかなり
不況
にあえいでおる、過剰設備のある
部門
もあるのでありますが、われわれの方もそういう
部門
に対してまで設備を
買い上げ
るというようなことがなかなか行き届きにくいのでもあります。そういう点もいろいろと
考え
まして、また大局的な御判断については、上層部の御判断も仰いで最終的にきめたいと
考え
ておりますが、これについてはまだどの程度にするというようなことを申し上げる段階にはなっておりません。いろいろな御
意見
があるように伺っております。 それから第三点、
中小企業
金融、特に
操短
金融につきまして
金利
が高いじゃないかというお話は、まことに私も平生から痛感しておるところでありまして、御
指摘
のように
政府
出資を
商工中金
なり、
中小
公庫なりに多額に出しまして、これによって特に
操短
金融その他緊急の融資に対して
金利
の安いものを提供できるようになれば、これは非常にいいことだと思います。これは
中小企業
庁の方で目下具体的に
検討
していただいておるところでありまして、私
ども
としてもできるだけこれが
実現
を希望しておる次第であります。
長谷川四郎
6
○長谷川
委員長
堂森
芳夫君。
堂森芳夫
7
○
堂森
委員
ただいま
中村委員
から
繊維不況対策
に対する
政府
の
特別国会
閉会
後のいろいろの
対策
の推移について
説明
があったわけであります。
委員長
にお願いしたいのですが、ただいま
小室
局長の
答弁
にもありましたように、事務的な
答弁
をいろいろされておるわけでありますが、大臣に御出席を願いまして、
経済閣僚懇談会
ですか、そこでいろいろ討議がされておるようでありまして、新聞紙上にもいろいろ報道されておりますので、大臣にお尋ねしたいこともございます。そこで、十一時に大臣が出席だということでございますが、いつ出席になるでしょうか、まず
委員長
にお尋ねします。
長谷川四郎
8
○長谷川
委員長
大臣は、何か
繊維
団体が二組にわたって大臣室へ来ているので至急にそれに御
答弁
を申し上げて、大体十一時半までには来られるようにしたい、こういうふうに答えております。もう間もなく来ることだと思います。
堂森芳夫
9
○
堂森
委員
繊維局長
にお尋ねしますが、
特別国会
の最終日に——先刻
中村委員
からこの
決議
案についていろいろ質問があったわけですが、新聞を見ておりますると、
綿スフ
の
対策
については割合具体的な
対策
というものが報道されているのを見ているわけであります。しかしながら
絹人絹
に対する
対策
というものがほとんど具体的に記載されていないのです。先刻局長はまず
綿スフ
についてやる、しかし今後さらに絹、
人絹
についても具体的に
対策
を立てたい、こういう
答弁
があったように私は聞いておったのですが、先般この
商工委員会
の数人が東海、
北陸
の
国政調査
に参りまして、私も
浜松
の
綿スフ
業者諸君の大会の模様もこの目で見ました。またその後、
北陸
三県の
絹人絹
業者の
不況
突破大会にも出席しまして、その業者の人たちのいろいろ訴えておられるところを聞いたわけですが、おそらく担当課長から局長は報告があったと思います。そこで私はいろいろお尋ねしたいと思いますが、事務当局として、
買い上げ
織機
の問題につきまして、
広幅
換算で二十万台くらいある、これを四万台くらいは
買い上げ
て、そうして
織機
を制限する、こういうことが望ましい、こういうふうに方針をきめておられるわけですが、業者の
実情
というのは、もう通常国会の予算編成、こういうことで、また従来の審議会の案によって、三十一年、三十二年、三十三年、三十四年さらに三十五年で、この
織機
買い上げ
を終るというような緩慢な
対策
ではとうてい耐えられない、一刻も早く整理
織機
については財政的な処置を講じてもらいたい、こういう要望があるわけであります。
特別国会
中にも私は局長にも質問したと思います。一日も早く一ぺんにまとめて
過剰織機
と目される三万台なり、四万台を
買い上げ
てもらう、こういう質問をいたしましたが、そういうことができるならばまことにけっこうである、こういう
答弁
であったと思うのです。そこで、
特別国会
以後
政府
部内では、来たるべき
臨時国会
において予算的に一挙に
過剰織機
と目される三万台なり、四万台の
織機
を
買い上げ
るような
措置
が講ぜられると思われるのか、現在の
政府
部内におけるそうしたいろいろ
対策
の模様について、
絹人絹
だけでもいいですから、御
答弁
を願いたいと思います。
小室恒夫
10
○
小室説明員
私
ども
といたしましては、
堂森
委員
のおっしゃったように、できるだけすみやかに
買い上げ
を
実施
しなければいかぬ、ただこれは
臨時国会
までに何とか当座のものをめどをつけたい、こう
考え
ております。一方において補正予算をどうするとか、そういう全体の問題もございますから、私
ども
の
立場
で最終的に申し上げることはかなり困難でありますが、ともかくできる範囲でとりあえず
実施
に移すことをやって参りたい。これは今まででもそうでありますが、三十一年度の予算は、
実施
は実は三十二年度に相当食い込んでおります。それから三十二年度予算は三十三年度の六月になってから初めて完了したということもありますので、むろん何もかも全部この予算に計上しなければならぬ、そういうわけでもないと思います。三十三年度と三十四年度とうまく連携さしてやっていくという
方法
もあると思います。しかしながらいずれにしても早く着手できるように当座必要なものを
買い上げ
ていく、また
業界
でも
態勢
が整っている部分を
買い上げ
てやるということを早くやっていくような
方向
で話を進めたいと思います。
堂森芳夫
11
○
堂森
委員
これは局長の御
答弁
でございますので、三十三年度は六千台の
買い上げ
をやる、こうしますればとうてい問題にならぬ。ですから、三万台を
買い上げ
ようということになりますと、どうしても補正予算を組まなければできないわけですが、その点どうですか。六千台分の予算で一応可能だと思われますか、どうですか。
小室恒夫
12
○
小室説明員
六千台の予算で可能だとは思っておりません。ただこれは補正予算でなくても予備費というふうなこともありますし、要するに、私の申したのは、現在の予算を拡充して、ともかく早く手がつけられるようなことで参りたい、それには
臨時国会
までにめどをつけたい、こういうことでございます。
堂森芳夫
13
○
堂森
委員
それから先刻
中村委員
から話のあった買上
織機
の
価格
の問題です。先般の
特別国会
中の
委員会
においても三万数千円手取りになる、これは必ずしも安いとは思いません、こういう
答弁
があなたからあったのであります。そこで、しかしながらこれがまた異常なる
不況
あるいは恐慌といいますか、そういう
繊維
界の
現状
から見て、政治的にはこれに対して何らかの増額というようなことも可能ではないか、こういうような
答弁
のように私は聞いておるが、そうじゃないですか、どうですか。
小室恒夫
14
○
小室説明員
速記録を見ないとどういうふうに具体的に
答弁
したかなんでございますが、私はそのときも現在もこういうふうに
考え
ているつもりなんであります。三万数千円で実は非常に希望者がたくさんあった。それは背に腹はかえられないで売り込みを希望したというふうにも見られますし、またいい値段であったというふうにも見られる。両方事実じゃないかと私は
考え
ております。それで、実は今年度の
絹人絹織機
の
買い上げ
については、率直にいえば、業者
負担金
を何とか長期金融なんかでまかなっていくということが
一つ
番の眼目ですが、
買上単価
の引き上げということは、売る
立場
からいえば多々ますます弁ずることはよくわかりますし、また
不況下
においてそういう希望の出るのも不自然とは思いませんけれ
ども
、私は
絹人絹織機
について、
単価
の引き上げについても
負担金
の方に重点を置いて
考え
るべきじゃなかろうか、そういうふうに感じております。事務官の
答弁
でありますから、そういうことであります。
堂森芳夫
15
○
堂森
委員
それは少しおかしいと思います。そんな
答弁
はないと思うんです。 そこでさっきのあなたの言葉じりをとらえるわけじゃないですが、この前は三万円でも申し込みが多くて応じきれなかったんだ、だから三万数千円でもこれは安くないのだ、これは私は詭弁だと思います。また従来の買上
織機
の中には、いわば遊休
織機
といいますか、そういうものもあって、今後の
買い上げ
の対象となる
織機
とは質的には違う
織機
も相当出てくると思うのです。どんなに安く見積ってもその倍以上する
織機
が三万円で、それは妥当な値段、こう断定することは私はきわめて不当だと思うのですが、まあ大臣が来られてからこういうことについては質問したいと思うわけです。 そこでまた話を変えまして、先般の
絹人絹
業者の危機突破大会で議題の中心になった問題は、今
不況
だ、あるいは
操短
だとか、そういうわけだが、金を貸してくれ、融資をしてくれというような希望はあまり出ない、ほとんど出ない、金を借りたってしょうがない、こういうふうな
意見
のように私は受け取ったんですが、現にその証拠に、昨年の暮れ
政府資金
を四億ですか、
絹人絹
の織物の滞貨融資として国家
資金
が回されたにもかかわらず、その借り手がほとんどない。これはやはり金を借りてもしようがない、こういう
実情
を物語るものであろうと思うわけです。先般の危機突破大会でやはりほとんどの業者が訴えられることは、
輸出
原糸
の値段と
輸出
織物を織るための
原糸
の値段に大きな差がある。このことが原因となって
人絹
織物の
輸出
がきわめて阻害されておる、こういうふうに業者は解釈しておられるわけであります。そこで、業者が非常に希望しておること——なるほど一ポンド百四十円で外国へ
原糸
として
輸出
することは、国際
価格
としての
現状
からいけばやむを得ないと思う。しかし、百八十円前後で
輸出
織物の
原糸
を業者が買っておったのでは、これはとうていやっていけない。だから、
輸出
織物に対して何か
一つ
報奨制のようなものを設けられないのだろうか、こういう希望が非常にあったわけであります。こういう点に対して局長はどういうふうにお
考え
になりますか。そういうことはできないとお
考え
ですか、あるいはそういうことをやっていくことが可能であると思われますか、その点
一つ
御
答弁
願いたい。
小室恒夫
16
○
小室説明員
人絹
関係
と申しますと、やはり織物で
輸出
されるものが、従来も圧倒的に多いのであります。
人絹
糸につきましても、最近
輸出
が不振であるために、
人絹
メーカーができるだけ
輸出
を推進していこうというような
態勢
をとっておりますけれ
ども
、何と申しても織物の
輸出
が圧倒的であります。この織物の
輸出
が最近ずっと不振でありまして、七月に入ってからの数字を見ても、実はあまり回復しておりません。これは非常に重大なことでありまして、
原糸
の
価格
が幾らになるということよりも、数量的に
輸出
で相当はけていくかどうかということが、一番の問題だろうと思うのです。ところで、御
指摘
のように、五円とか十円とか下げて、それで
人絹
織物の販路が広がるだろうかということについては、私
ども
専門家じゃありませんけれ
ども
、いろんな方面から情報をとったところでは、必ずしもそれは期待が持てないのじゃないか。むろん一挙に百四十円とか何とかいうことにすれば、これはまた話は別だと思います。しかし、これだと
人絹
メーカーとしてはちょっとそれだけの大きな赤字にたえられないのじゃないかというような感じもいたします。実際
人絹
織物の
輸出
の問題については苦慮しておるのです。国内の需要についても、どっちかと言うと、最近ずっと不振であります。今お話のような報奨制——どういうことをおっしゃっておられるのか、それにもよりますけれ
ども
、多少の報奨をつけたということで
輸出
が非常に伸びるというふうにもちょっと
考え
られない。私
ども
としても非常に
答弁
しにくいようなところへ来ておるような感じがいたします。むろん今の
人絹
の
価格
が適正であるというふうにも思いませんから、これらの点についてさらに
関係
業界
で話し合う際には役所も入って、適当なところに落ちつけることは今後も努力を続けるつもりでありますけれ
ども
、若干の値段の
調整
くらいで
輸出
が非常に伸びるかということについては、正直に言って今のところ自信が持てない、そういうことであります。
堂森芳夫
17
○
堂森
委員
一昨日の
日本経済
だったと思うのですが、私汽車の中で読んでおったので、記憶は確かでないのですが、大会社の幹部の人たちが集まって、
人絹
の
不況対策
についていろいろ協議をし合った。しかし協議はしたが、結局その
対策
については具体的に
意見
の一致を見ることができずに物別れになった。そうして八月にまた相談をし直す、こういうふうな記事を私眠り眠り読んでおったのですから、内容をよく覚えておりませんが、ただいまの
繊維局長
の御
答弁
は、報奨制を設けて、
輸出
の値段に近いようなもので織物の
輸出
業者が
原糸
を手に入れるようなことが可能であっても、それは
人絹
織物の
輸出
がそう伸びるファクターにはならぬ。こういうふうにもとれたのです。そうすると、
人絹
の織物
輸出
はどうしたら伸びるのですか。あるいはどういうような
方法
で
政府
は従来
輸出
が伸びるように努力をしておられたのか。そういう点、少しこまかく
説明
してもらいたい、こう思うわけです。
小室恒夫
18
○
小室説明員
かなりむずかしい問題でありまして、最近
輸出
が伸びないのも最大の原因は、やはりインドネシアが最終的に買わないということに非常に
関係
があると思います。それから、ほかの製品に比べて値段が少し高いということもむろん若干影響があると思いますが、もしここで
人絹
織物を非常に値下げして売れば、今度は
日本
のもっと大きな
輸出品
であるスフ織物がそれにつれてがたがた下るという形になってくるであろうという気がするのであります。インドネシアあたりでも、
繊維
の需要から言うと、
綿織物
なりスフ織物なりに相当関心を持っている。
人絹
織物を非常に使う国でありますが、それでも需要度が高いという扱いにはなっておらぬような感じがいたします。内地の需要でも、実はこの前も申しましたが、どうも停滞きみで、やはり内地で需要が伸びるようなものでないと最終的に
輸出
が伸びにくいということは、いつも私が申していることであります。そういう商品自体の問題があるのですから、私
ども
としては、これだけ大きな
輸出
産業
ですから、何とかして、
現状
は確保していきたいのでありますが、なかなか妙策がない、正直に言ってそういうことであります。
堂森芳夫
19
○
堂森
委員
そうすると、局長の
答弁
によると、何もないということですが、行き当りばったりで、インドネシアの政情が安定をすればまた売れるかもしれぬ、こういうことにもなると思うのです。そこで、今年の三月一日に発足した
日本
レーヨン
人絹
輸出振興
会社ですか、これができまして
買い上げ
をやっておるわけですが、買手がないのに
買い上げ
をしておって、一体それではどうなってくるのですか。私しろうとですから教えて下さい。売れぬものを
買い上げ
ておって、どうなるのですか。
小室恒夫
20
○
小室説明員
非常に困った問題であります。むろん
輸出
の努力をしないというわけではありませんし、またいろいろ
考え
ていないこともないわけであります。しかし、今ここでもってこういうふうにやってこの滞貨をはかすというふうに喜んでいただけるような
答弁
ができないのであります。
堂森芳夫
21
○
堂森
委員
どうもそれは弱りましたな。元締めの局長が弱りましたと言うては大いに弱るのです。先般
綿スフ
、
絹人絹
の滞貨を
凍結
しろ、こういう
決議
があったわけですが、この点
凍結
という言葉で表現すればよいと思いますが、見通しがございますですか。
小室恒夫
22
○
小室説明員
凍結
とか
買い上げ
は今日までのところは
業界
の責任においてやっているという形でありまして、ただ、しいていえば
政府
が金融その他でそういうことが円滑にいくように側面から
配慮
するということにとどまっておりますので、
政府
買い上げ
ということは、生糸については別でありますが、一般の製品については、そこまではまだ踏み切っておらぬのであります。
長谷川四郎
23
○長谷川
委員長
堂森
君、もうちょっとたつと大臣が来るから、大臣の分だけ保留しておいて、
田中
君に先にやってもらいたいのですが……。
堂森芳夫
24
○
堂森
委員
それでは保留しましょう。
長谷川四郎
25
○長谷川
委員長
重工業局長
、
軽工業
局長、企業局長が来ていますから。
田中
君。
田中武夫
26
○
田中
(武)
委員
私はいろいろと尋ねたいのですが、その前にやはり今の
繊維
の問題に関連して先に
繊維局長
にお伺いします。あるいは今までの
中村
、
堂森
両
委員
と若干重複する点もあるかもわかりませんが、その点はあらかじめお断わりしておきます。 実は私たちもこのたび近畿
地方
の
国政調査
に参りまして泉州あるいは播州織、そういう人たちのなまの声やあるいは現場を見て帰ったわけなんです。いろいろとお話を聞いており、われわれの
考え
をまとめまして、私は大体こういうことが言えるのじゃないかと思うのですが、現在の
繊維業界
、ことに
綿スフ
の
不況対策
としては、まず当面のものと将来のものと恒久的なもの——当面のものとしては
操短融資
といいますか、やっぱり金融の問題だと思う。先ほど
北陸
方面ではあまり金融ということについては聞かなかったそうですが、われわれはやはり金融の問題を大きく聞きました。 それからもう
一つ
は、やはり
織機
の
買い上げ
の問題です。恒久的な問題としては、
原綿
の
割当制
度の根本的な改革といいますか、それから
中小
の織物業者が
原糸
を適当な価額で円滑に入手できる、こういう
措置
だと思うのです。この問題については、すでに二十九
特別国会
の最後のときのわれわれの
決議
に大体言われておりまして、それについては、今局長からも具体的なその後の報告があったわけなんです。私
考え
ましたのは、まず融資の問題ですが、幾らかの
ワク
を与えた、これで
政府
あるいは当局としては事が済んでおるように
考え
られておるかもしれませんが、実際借りるという
立場
になると、ただ絵にかいたもちを見せてもらっただけで、
ワク
というものが与えられても、実際金融機関と直接に貸借をやる場合には、思うように借りられない、こういうことだと思います。それはこういうような場合に貸付の
条件
を普通の場合と同じような
条件
にしたら借りられないと思います。だからこういう特別な危機打開のためには特別な貸付
条件
というものを
考え
なければいけないと思います。たとえば今までと同じような担保を要求するとか、あるいは保証を要求するとか、こういうようなことで、借りたいのだが担保能力あるいは今までの
取引
関係
等から借りられない、こういう声が強かったように思うんです。そこで私お伺いしたいのは、こういった特別な金融
対策
としては、今までと同じような普通の場合の貸付
条件
ではなくて、特別な貸付
条件
といいますか、貸付
条件
を緩和する必要があると思うのですが、この点どう
考え
ておられますか。 それからもう
一つ
はやはり
金利
の問題——こういった特別な場合における融資については、また普通の場合よりか特別な低
金利
を
考え
なければならない、こういうふうに思うのですが、
金利
も貸付
条件
の中に入ると思いますが、普通の場合でなく、貸付
条件
の緩和ということも
考え
られますが、そういう点についてはどうですか。
小室恒夫
27
○
小室説明員
おっしゃる通りでありまして、こういう深刻な情勢で
操短
をやるのですから普通のコマーシャル・べースの金の貸し借りというような工合にはなかなかいかぬと思います。自然信用も少くなっておる
状態
で金を借りるということになりますから、人的、物的担保の上においても非常に問題があると思います。そこで今度の
操短融資
については、組合単位で組合の
理事
者が連帯保証をすれば組合に貸そう、こういう線でいく。もう
一つ
は、商中なり
中小
公庫から言えば
福井
、
石川
両県でやっておるように
関係府県
が
損失補償
をやる、ああいう線を出して、二本立でいこう、ただし相手の組合によっては必ずしもそうむずかしいことを言わなくても相当やっていけるところはやってもいい、こういうふうな
考え
方です。今までの普通の金の貸し借りをやるのと違う
態勢
で話を進めておるわけであります。
田中武夫
28
○
田中
(武)
委員
今の局長のおっしゃったような、たとえば播州織の
理事
長とも会ったのですが、組合金融でいくということは聞きました。そして早く希望通りの金が入るということが要望せられておったわけですが、私
考え
るのに、
政府
機関の金融機関ですか、よくいろいろな問題があるときにやりとりする言葉ですが、たとえば
政府
関係
の
中小企業
金融機関といえ
ども
、もちろんこれは社会保障機関じゃない、慈善事業じゃないから、やはり
金利
その他金融という
立場
からの
条件
をつけるのは当然だ、だがしかし二面においては、一般
市中
の金融機関でない、ことに高利貸じゃないじゃないかとわれわれはよく言うのですが、今日の
繊維
の
不況
状態
は、もう経済という問題から社会問題になっておると思う。社会問題だという
立場
をとるならば、これの救済という点もいわゆる経済的な問題からもっと社会的な——社会保障的なといいますか、そういった
考え
方に移行せねばならないのではないかと思う。従ってその貸付
条件
等も、今までのコマーシャル・ベースとかなんとかいうことでなく、もっと大幅に緩和したものが必要だと思うのです。これはむしろ
繊維局
じゃなく
中小企業
庁じゃないかと思うのですが……。
今井善衞
29
○今井
説明
員 特に
綿スフ
織物の
不況対策
としての
操短
に
操短
資金
が要るということ、これにつきまして、私
ども
その
操短
資金
の確保について日ごろいろいろ
商工中金
とか、あるいは
中小企業金融公庫
を
指導
しているのでございます。この
操短
資金
の中には二通りございまして、
一つ
は短期
資金
ともいうべきものでありまして、これは従来の糸を買います手形、これは織物を売ったときの代金で落すということで、比較的短期の
資金
でございます。これは比較的商業ベースに乗りやすいということで、金融
関係
の方も積極的に協力しておる
資金
でございます。それからもう
一つ
の
資金
はいわゆる
生産調整
資金
でございまして、これは織物の生産は落ちながらも、どうしても職工なり従業員は確保しておかなければならぬ、賃金も払わなければいかぬということで、何と申しますか、売り上げは少いにかかわらず、賃金を確保しなければならないので、外部から金を借りて賃金に充てなければならぬ、こういう
資金
でございます。従いまして通常の金融観念から申しますと、非常に金融しにくい問題になるわけであります。それから借りる方から言いましても、将来の返済のめどがつきませんと、なかなか借りる気にならない。これは
福井
、
石川
の
人絹
のときにそういう問題が起きているわけであります。綿につきましては、将来滞貨が比較的早くはけるということになりますれば借りる気持が起るわけでありまして、そういうふうな多少普通の金融ベースと異なるような金融でございます。従いまして
市中
銀行の金融には乗らない性質の金融でございまして、
政府
機関の方でもってめんどうを見る。ただいまのところ
商工中金
の手金半分と
中小企業金融公庫
の金半分との抱き合せでもって融資するということにしておるのでございます。その際に問題になります担保なり保証の問題につきましては、今までも借手の方では、ほかにも金を借りておりますので、従って担保なりそういうゆとりが非常に少い、これは非常にごもっともなことでございます。従いましてその担保
条件
を補完する
意味
で、補償の問題、特に府県の補償というものが必要ではないか、こういう問題でございまして、私
ども
主要な産地の府県に対してぜひこの問題のために
損失補償
してほしいということをお願いしておるわけでございます。大体各府県におきまして現在
商工中金
あるいは
業界
と折衝を続けておりますので、従いましてその問題が片づきますと最終的に金の貸し出しの態度もきまってくる、かように
考え
ておるわけであります。 それからもう
一つ
金利
の問題あるいは貸付期限の問題、これが非常に問題になっている事項でございます。この借りる方からいえば低ければ低いほどいいというのは当然でございます。しかし
商工中金
が主体になりますと、
商工中金
は御承知のように半官半民の機関で、他の出資者、民間の出資者の
関係
もございましていわゆる政策
金利
というものを
商工中金
自体が打ち出すわけにいかないということになるわけでございます。これにつきましては、どうしてもその
対策
といたしましては財政投資と申しますか、国の方でたとえば
中小
公庫に出資をいたしまして、そうして従来の金融機関の手金と合して、そうしてそこで従来の一割よりもっとずっと安い
金利
、たとえば六分五厘とかそういうふうな
金利
を作って政策的に貸し出すよりしかたがないのではないか。しかしこれはどうしても財政
措置
が必要でございまして、
金利
の面になりますと、ただいまの
現状
におきましてはやはり従来の
金利
を踏襲するよりしかたがない、かように
考え
ている次第でございます。
田中武夫
30
○
田中
(武)
委員
いろいろと聞きましたが、たとえば府県に対して補償をせしむる、こういうことが大体私は間違いだと思う。これはもうあなたに言っているわけではないので、これから先は大臣でないといけないと思うのですが、ちょうど大臣が来ましたから、ちょっとすわって下さい。 大体
政府
は卑怯だと思う。何かあるとすぐ
政府
は逃げ込んで
地方
にこれの責任を転嫁する、こういうことが多い。今日のこの場合においても府県に補償せしむる、こういうことは私は
政府
は卑怯だと思う。私は今日の経済
不況
の問題、ことに
繊維
の
不況
の
問題等
は経済問題として論じるならばいろいろと問題があろうと思う。私はむしろこれは社会問題であろう、このように
考え
ている。従って金融にしてもそういう
中小企業金融公庫
にこうだとか、
商工中金
にこうだとかいうことでなく、
政府
自体がこの社会問題化した
不況
に対してどう
処理
するか、どう
対策
を立てていくかということが必要だと思う。 それで大臣は来てすぐですから、ちょっと要領がわからないと思うのですが、今質問しているところですが、私ちょっと申しますと、実は
繊維
の問題なんです。
繊維
の
不況対策
で、私は今日もうこれは経済問題でなく社会問題になっていると思う。従ってこれの救済というか
対策
については、よほど踏み切った社会問題の解決という
立場
から臨まなければならぬと思う。従って
操短
資金
等の金融についても、従来の貸付
条件
ではだめである。いわゆる担保その他の
条件
もうんと緩和する必要がある。同時にまた
金利
等もうんと下げなければならぬ。それから先ほどちょっと申し上げておったが、府県に融資についての補償をさすとかなんとかいうような、こういったなまやさしいことでなく、
政府
自体が解決する、こういう態度が望まれる。ですからそういった金融面についてこういった特殊な場合には普通の場合とは違った相当緩和せられた
条件
が必要ではないかと思うので、それについてどう
考え
ておられるかということ。 それから
織機
の
買い上げ
の問題について、先ほど三万五千円とか四万円というような話が出ておる。私
ども
が聞いた話では十万円を希望しておる、こういう話を聞いたが、十万円が正しいのか、四万円が正しいのか、私はよくわからない。これについてはどのような
対策
を立てていくのか、しかもこれについては社会保障的な、社会問題解決という態度で臨む必要がある。それについて大臣の態度を聞きたい。 それともう
一つ
恒久的な問題としては、
原綿
の
割当制
度あるいは
原糸
の入手の手続というような問題ですが、何といっても今までは大体
政府
それ自体が大
紡績
なり大企業擁護の政策であって、
中小企業
なり零細企業に対してはやはり押えつけた政策をやっている。従ってここで
中小企業
、零細企業のための
原糸
の
割当
あるいは
原綿
の
割当
というようなことについて大改革をやる必要があると思う。そういうことについて政治的な大臣の
答弁
をお伺いいたします。
高碕達之助
31
○高碕国務大臣 ただいまの御質問に
お答え
いたします。経済問題であるが、しかしながら
現状
においては単純なる経済問題として解決すべき時期でなく、社会問題として
考え
ろ、こういうお話のようでございますが、通産省に関する限りにおきましては、この問題をやはりどこまでも経済問題として取り組んでいきたいという
考え
で今
検討
いたしております。しかしながらお説のごとく、現場につきいろいろな陳情も聞き、いろいろなお話を承わってみると、これはどうしても社会問題としてある程度の
考え
方をせなければならぬときに到着しているということも私
ども
同感でございます。従いましてこれは単に通産省の経済政策としてやるだけでなく、
関係
する各省との間の連絡もよほど必要だと存じまして、今ここにこれによってこういうような策を出すということは、通産大臣としての
意見
だけでは申し上げかねる点がありますものですから、その点に対しては御了承を願いたいと思うのであります。 それから
織機
の
買い上げ
の問題、これはすでに各方面から
検討
いたしました結果、これを
実行
に移さなければならぬということは先般の閣内においても
意見
が統一しておるわけであります。この点につきましては、あるいは五万台といい、あるいは四万台といい、いろいろな数字があるようでございますが、これが買い入れるということになりまするとまた弊害が
一つ
生じまして、今まで遊んでおった機械をおしろいを塗り直して買わすというようなこともあり得るようでありますから、そういう点のないようによく
検討
いたしまして、実際につぶす機械というものにつきましては、金の許す範囲において、
一つ
できるだけ台数もよけい買い取りたいという
考え
でおります。
価格
面につきましても四万円とかあるいは十万円とかいう説もあるようでありますが、この
点等
につきましても、私
ども
は通産省とすればできるだけ金額をよけいふやして持っていきたいという
考え
がありますけれ
ども
、ここになりますといわゆる社会問題的の解決をせなければならぬということになりますから、
関係
各省ともよく打ち合せいたしましてその結論を出したい、こう存じておるわけであります。
田中武夫
32
○
田中
(武)
委員
それから根本的な問題、
原綿
の
割当
。
高碕達之助
33
○高碕国務大臣 この問題は、経済的に
考え
ましたときに、自分で
紡績
の機械を持っていない人間に綿を割り当てるというふうなことは私は間違いだと思っております。ただ今日問題とするところは、あの
割当
によって一ポンド八十円のプレミアムがついているというふうなことがあるために、そういう問題が起るのだと思いますが、それは根本的に解決してしまって、
原綿
の
割当
というものは
原綿
をアクチュアリーに使う人が割り当てられるという性質のものであると思っておるわけであります。その点につきましてただいま私は、織物業者の方で困っておるから、プレミアムがついておるから、これに
割当
をしてやるというふうなイージーな
方法
で
考え
ていくことは間違いだ、そうすればまた染色業者は同様にこれは自分に
割当
をよこせというふうになれば、
割当
の
趣旨
というものが全然根本から狂いますから、私はこれは反対するつもりでございます。
田中武夫
34
○
田中
(武)
委員
私の申し上げたいのは、現在の
不況
の
状態
、ことに一
地方
、たとえば一市あるいは一
地方
のもう半数以上が、その職業に関連を持っており、このために
一つ
の市の半分以上の人たち、あるいは一
地方
の大部分の人たちが、もうすでに死活の問題である、こういう
状態
である。こういう問題に直面したときにとるべき態度としては、私は経済問題でなく社会問題として、もっと経済的な頭を切りかえて、融資その他についても臨むべきではないか、そういうことを
政府
に要望しておきます。 もう
一つ
は
原綿
の
割当
とか
原糸
の入手の手続、こういうようなものについて、今までは、いわゆる大企業擁護という
立場
といいますか、尊重が強かった、これはいなめない事実であります。この間私たちが、これは
大阪
府の泉州
地方
ですが、聞いた言葉では、「ぼうせき」の「ぼう」は暴力の暴と書くと、こういう暴績の暴力を排除するというような声を聞いたわけですが、そういったことの声が起っているということを大臣は聞いていただきたい。今日までの大企業擁護という
立場
を、
中小企業
、零細企業を生かすためには、根本的なそういった点の改革が必要である、こういうことを申し上げているだけなんです。
小平久雄
35
○小平(久)
委員
ちょっと関連して。ただいま
繊維
関係
の
生産調整
資金
の融資の問題がいろいろ論じられておるわけでありますが、そこで先ほど来、これも
政府
の
答弁
を聞いておると、一般の業者が、担保力がないから、今度は個々の業者でなく組合単位でやるのだ、貸すのだ、しかもそれについては、
関係府県
の保証をとる、その
方法
でやるのだ、せんじ詰めればこういうことだろうと思います。ところがこの前の、たとえば
福井
あたりの経験もあるわけですが、この間私
ども
も
田中
委員
などと一緒に、蚕糸なり製糸なりの方面の
業界
も見ましたが、そこで実は、これは申し上げていいかどうか知らぬが、
大阪
府の商工部長も懇談会のときに来ておりました。ところがどうも府として保証するというようなことは今のところできない——とはっきりは言わなかったと思いますが、まあ大体できそうもないようなお話で、そこでわれわれ、とにかくしようがないから、通産局と府の方と
業界
とよく懇談して、何らか具体的に
一つ
策を早くきめてもらって、そして業者に一日も早くこの
資金
が入るようにと、こういうことでわれわれとしてはその程度しか申し上げられないできておるわけです。ですから、どうも現地について見ますというと、当局が
考え
ているような
方法
ならば、結局業者に金が回らぬ。結論的にいえば、私は今のところそういう段階じゃないかと思うわけです。そこで何とかこれを打開する道としては、もちろん府県の方の協力を求めるということも必要でしょうが、一方例の信用保険の
関係
ですね、この話も出ました。現在一組合で、大体三千万円しか保険ができない。しかも填補律は五〇%、こういうことであっては、今度の融資の額も全国で三十数億、
大阪
関係
だけでも六億ないしは六億五千万くらいと言っておるそうですが、とうてい一組合に対して三千万くらいしか府県にもつけられない、一方その保証もない、こういうことでは、もうとても、せっかく
ワク
ばかり与えてもらっても、これは先ほどのお話ではないけれ
ども
、絵にかいたぼたもちで、金がいきそうもない、こういうことで業者の人は非常に悲痛な叫びをあげておる、こういうのが現況であったわけです。従って私はもちろん一方において府県の協力を求めるということも必要かと思いますが、せっかくあるこの保険
制度
、これをこういう際に一組合三千万円といったようなことでなく、もっとこれを拡大しなければ、せっかくのこの
制度
も利用できないということになる、そこらについてはどういう
考え
を持っておるのか、この機会にちょっと関連して伺いたいと思います。
今井善衞
36
○今井
説明
員 ただいまの
大阪
御視察の問題でございますが、府県の補償、当初私
ども
としては五〇%の
損失補償
を希望していたのでございますが、それにつきまして府県側として非常に異論があるということで、府県の側としましては補償しないわけではないけれ
ども
、切り詰めてほしいということが府県の真意でございます。私
ども
の方としまして
商工中金
が納得する程度の補償があれば
商工中金
の方から出るという
意味
合いで、
商工中金
と府県と今折衝してもらっておりまして、これは日ならずして解決する見通しでございます。ほかの府県におきましてもおそらくそういう
状態
になっております。 それから府県の補償だけでなくて、せっかく信用保証機構があるのであるから、それをこの際利用できるようにしたらどうか、これはしごくごもっとものことでございまして、ただいまこの
法律
によりますと信用保証協会の保証の限度は一組合当り三千万円ということになっておりまして、従いまして今度のような組合融資の場合にそれが非常に少額である、これは何とか解決しなければならぬという問題がございます。この点につきましてこの
臨時国会
にそれを
改正
するかどうか、その必要つがあるかどうか、私
ども
検討
中でございます。
小平久雄
37
○小平(久)
委員
今の問題ですが、私は先ほどお話ししましたが、何か問題があるとすぐ府県に持ち込んで府県に補償しろということはちょっと
趣旨
が違うと思う。むしろせっかく保証
制度
というものがちゃんと認めてあるのですから、その方を生かすように
政府
としてはやることがむしろ本筋じゃないか、どうも少し本末転倒しておるのじゃないかという、これは私の
考え
ですから、大臣の耳に入れてもらって今後の参考にしていただきたいと思います。
長谷川四郎
38
○長谷川
委員長
堂森
芳夫君。
堂森芳夫
39
○
堂森
委員
大臣にお尋ねいたします。先刻
小室
繊維局長
にいろいろ
繊維不況
についての
政府
の
対策
について質問を申し上げておったわけですが、どうも局長では
答弁
しかねる、こういうことでございます。先般の
特別国会
に、
繊維不況
に対する
決議
を本
委員会
でいたしました。そこで
国会閉会
後今日まで、いろいろ新聞紙上でわれわれ見ておるものですが、
政府
の一般
不況対策
についても、いまだ
政府
与党においても一致した
意見
がない。きょうあたりの朝日新聞によりますと、党の
意見
が不一致である、
政府
与党の
意見
がまだまとまっていない。そうして国内における需要を高めるような刺激を与えて
不況
を乗り切ろうという
方向
には参らぬだろう、そういう方にはいかずに、個々別々に特に
不況
の深刻な方面について、何か
対策
を講じていこうかというようなことも書いてございます。しかし私は経済というのは個々すべて生きものであって、しかも密接な関連を持ったものであって、
不況
なものだけを取り上げてやっていこう、こういうようなことでは私は不可能だと思うのです。それはそれとしまして、
繊維
の問題にただいまは限るわけですが、先般特に要望いたしました
決議
の中に、根本的に
繊維製品
の
輸出
について、これを大いに振興するような積極的な
施策
を
政府
は講ずべきであるということが、実は重要な
一つ
の
項目
であったと思うのです。また過剰な
織機
の
買い上げ
について、早急に
措置
をせよ、こういうこともあったかと思うのでありますが、その後大臣としては、
買い上げ
織機
の問題、それから
輸出振興
策について、どのような構想をお持ちになって参ったか、来たるべき
臨時国会
に補正予算を組んで一挙に大量な
織機
を
買い上げ
ていこう、こういうふうな腹組みをお持ちになっておるか、この点を大臣に伺いたい。
高碕達之助
40
○高碕国務大臣
輸出振興
につきましては、これは各方面からいろいろな
検討
を加えておりまして、特に
繊維製品
をいかにしてよけい出すか、それがためには賠償繰り入れとか、あるいは場合によってはある程度のクレジットを設定して、そのクレジットによって買わしていくとか、こういった
方法
もいろいろ
考え
まして、これを
実行
に移すべく
政府
は今努力最中でございます。何しろ相手方があることでありますから、今までほしいほしいと言っておったインドネシアが、
人絹
の方がいろいろ賠償でも払ってやろうということが幾らか漏れると、すぐにこれはあまり飛びついてこないとか、これは商売上のかけ引きもあると思いますが、またそのほかいろいろな点につきまして、相手方があるものだから、なかなか急に進まないわけでありますが、これは努力いたしまして、今度は各地区別におきまして、たとえばアメリカに対してはどういう方針をとるとか、中南米に対してはどういう方針をとるとか、あるいは東南アジアに対してはどういう方針をとるとかということを、さらに十分の
検討
を加えていきたいと思って、今
輸出振興
に努力している最中でございます。 それから
織機
の
買い上げ
につきましてはこれは大体の
意見
は一致しておる点でありますが、その数量なり金額に応じまして、あるいはこの
臨時国会
において、補正予算を組んでもらえるということになれば、けっこうだと思っておりますが、そういうふうな点までは進まないまでも、何かそういうふうな補正予算を組まないでできる範囲におきまして、十分の努力をいたしたい。そこはまだどういうふうに補正予算を組むか組まぬかという問題は、ただいまのところは、
政府
は補正予算を組まないという方針で進んでおるようでありますが、これはわれわれといたしますれば、できるだけこの方面に対する出資ができ得るように努力いたしたい、こう存じておるわけであります。
堂森芳夫
41
○
堂森
委員
そうしますと、大量の
織機
を早急に
処理
していくという根本方針はお立てでございますか、いかがでございますか。
高碕達之助
42
○高碕国務大臣 大量と申しましても、量によることですけれ
ども
、相当多数のものを
買い上げ
ていくという
考え
で進んでおります。
堂森芳夫
43
○
堂森
委員
そうすると私はまたしつこく申さなければならぬ。大量というのは、私の方から思いやりで実は申した言葉なんです。実は本年は
織機
六千台を
買い上げ
する、もちろん
綿スフ
も含めてそうですから、とうていそんなものではだめなんです。ですから少くともそれの数倍は
買い上げ
る、こういう腹をお作りにならぬと、これはだめなんです。もう来年や再来年じゃだめです。死んでから幾らやったってだめですから、その点もう一度伺っておきたい。
高碕達之助
44
○高碕国務大臣 六千台というような、そんな小さい数字ではだめだ、こう思っております。それも早くやらなければならぬ。死んでしまってからもういかに注射してもしようがないのですから、なるべく死ね前に
実行
したい、こう思うわけであります。
堂森芳夫
45
○
堂森
委員
どうも禅問答みたいになって、それでは困るのですが、少くとも
絹人絹
だけでも四万台過剰だと
政府
も言っておるし、しかももう早急を要する問題であって、来年、再来年を待っておれない。ですからできるだけ多く、そういうようなことではなしに、
政府
が
考え
ておるように、三万台、四万台という過剰な
織機
が
絹人絹
だけでも余っておる。さらに
綿スフ
もあるわけですから、そんな六千台、一万台というようなことではだめだ。その点もう一度重ねて御
答弁
願いたいと思います。
高碕達之助
46
○高碕国務大臣 何ぼでもよけい買いたいのですけれ
ども
、金がないのだから、しようがない。ですから今年はできるだけやって、できなかったら来年も引き続いてやる。根本において、死んでから注射しないような方針でやっていきたいと
考え
ております。
堂森芳夫
47
○
堂森
委員
これ以上聞いても、大臣なかなか本心を言わぬものですから困るのですが、それではおそらく
絹人絹
あるいは
綿スフ
の業者は倒れる。その責任はあなたの責任ですから、これ以上追及しません。そういうことでは
業界
がどうなるかわからぬ。これは大体御承知の通りだろうと思います。 もう
一つ
の点は、
綿スフ
あるいは
絹人絹
もそうですが、これはほとんど賃織でございます。業者はほとんど賃織をやっておる。ところが賃織の
現状
は、きわめて織
布業者
は不利になる。この間、
綿スフ
の盛んな
浜松
の工場をいろいろ見ましたが、そうすると、仕事をしておって損をしておる。赤字になっておる。毎月小さな工場でも十万円、二十万円というような赤字になっておる。こういう工場も相当あるわけであります。これはやはり賃織の非常に不当な
条件
で、
紡績業者
あるいは商社が不当な安い織賃でやらしておる。こういう
状態
であります。こういう
状態
に対して大臣は打開策を持っておられますか、この点について伺いたい。
高碕達之助
48
○高碕国務大臣 これは賃織をさす方面と賃織をする方面と両方に分れますが、賃織をさす方面におきましても、やはりできるだけ金を払いたいという腹はありましょうが、それ自身に火がついておる。従って賃織の賃金等も値切るのだろう、こういうことが
現状
だろうと思います。やはり根本的に全体の織物業の振興を講じなければ、これは解決しないと思います。これらの点につきましては、賃織をさす方とする方と両方の間によく協調を保って、どうにか立っていくように
話し合い
をつけさせたい、こう思っております。
堂森芳夫
49
○
堂森
委員
大臣の
答弁
はどうも具体性がなくて、非常に不満足でございますが、もっとも今
政府
与党では
不況対策
について微妙な段階にあるように新聞では見ております。今後
一つ
通産大臣として、責任をもってこの
不況
を乗り切るために全力を尽されることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
田中武夫
50
○
田中
(武)
委員
大臣にまずちょっとお伺いしたいのですが、大臣は岸内閣の閣僚の一人として、岸総理が三悪追放ということを大きく掲げられ、その中に暴力追放を第一に取り上げられた。だがしかし、大臣の所管しておられるところの業務の中で、この暴力を助長し、暴力団の逃走といいますか、
指名
手配を受けて逃亡しておる者に対してその逃亡
資金
を出しておる、こういうような事実があるとすればどういう態度をとられますか。
高碕達之助
51
○高碕国務大臣 もしそういうことが事実あったとすれば、やはり私は責任を感じます。
田中武夫
52
○
田中
(武)
委員
これはきのうの朝日新聞——私はけさこっちへ出てきたので、これは関西の新聞ですから、東京の方で出ていたかどうか知りません。これは
大阪
の問題ですが、「逃亡ボスに
資金
援助」こういう見出しなんです。かいつまんで申し上げたならば、ことしの二月に犯罪を犯して、これは詐欺、賭博犯罪、名前は言わないことにしますが、土建業者のある組長ボス、これが全国に
指名
手配を受けておる。それに対して
大阪
府の自転車振興会から場内整理費、これが毎月二十七万円ずつ、二月逃亡以来六月まで、整理に出てきた人とは
関係
なく、毎月本人に渡されておる。こういう事実があるわけです。この自転車振興会の会計、経理については、昨年でしたか、自転車競技法の
改正
によってその予算及び人事は大臣の
監督
のもとに置かれ、認可を必要とする、こういうことになっておる。ところが毎月二十七万円ずつの場内整理費が支払われておるということは大臣の認可になっておるのですが、そういう事実についてはいかがでしょう。
岩武照彦
53
○岩武
説明
員 今のお話の点、実は東京の新聞に出ておりませんので、私も見のがしておりましたが、さっそく取り調べて善処したいと思っております。御質問がありましたように、競輪振興会の予算につきましては大臣の認可が要ることになっておりまして、その適正を期することになっておりますので、さっそく担当しております通産局長に指令を出しまして、至急調べさせたいと思っております。なおその経理に用いられない金といたしますれば、これははなはだ不当でございますので、適当に処分いたしたいと思っております。
田中武夫
54
○
田中
(武)
委員
前にも横井社長のあの事件で、安藤組ですか、逃亡したとき等について、やはりそういったいわゆる暴力団の
資金
源がこういうところから出ておる、こういうことで警視庁からも何かそういうことのお話があったというようなことも新聞に出ておったと思います。ことにこういう問題がそういった暴力団の
資金
源をなしておる、こういうことはいなめない事実だと思うのです。そこで詳しいことは、あとで局長に聞きたいと思っておりますが、大臣、こういった問題についてどのような態度で臨もうとしておられるか、それだけ聞かしていただきたいと思います。
高碕達之助
55
○高碕国務大臣 今の
田中
さんのおっしゃるような工合に、競輪とか競馬とかいうようなものは、得てするとそういうふうなところに入りやすいような傾向があるということは、私は想像するにかたからざることだと存じます。従いまして、私
ども
の所管の競輪だとか、あるいはそういうふうな
関係
のものにつきましては、できるだけ十分厳重にこれは取り締っていきたい、こう思っております。
田中武夫
56
○
田中
(武)
委員
それでは局長はあまりこのことはよく御存じないようですから、もう少し私具体的に申し上げます。
大阪
府に四つの競輪場がある。
昭和
二十三年ですか、できた当時から四つの競輪場の場内整理費ということで、月三十三万円ずつ出されておったらしい。それが二十一年に一カ所減って三カ所になった。それでその分を控除して二十七万円ということで、それ以後ずっと出されておる。こういうことなんですが、大体場内整理費というのはどういう性格のものなんですか。その場内整理費の性格と、場内整理費を払っている自転車振興会と、受け取っておる何々組、こういうものとの間は、これは場内整理に対する請負契約なのか、雇用契約なのか。大体この二十七万円というものは、三カ所の競輪場で、何人の人が何日出ていったことに対する一日日当幾らという計算によって出されておるのか、そういうような点について、場内整理費の内情について少し具体的にお伺いいたします。
岩武照彦
57
○岩武
説明
員 競輪場の整理のために支出する金であります。競輪場の設置者あるいは振興会の力で整理いたします、おもに人件費でございます。ただ具体的な場合に、今
大阪
の三つの競輪場におきまして、どういう計算の根拠でそういう予算を組み、かつ支払っておりますか、これは調べて御報告したいと思いますが、予算の認可、これは大臣の権限でございますが、通産局長に委任しておりますので、私自身も今御
指摘
がありましたような金で認可しておりますかどうか、実は承知しておりませんから、至急取り調べて善処したいと思っております。
田中武夫
58
○
田中
(武)
委員
大体場内整理費という性格はどんなものですか。これは
大阪
だけでなくて、どこもそういう名前で出されておると思うのですが、局長としてはそういう性格は握っておられると思うのです。この場内整理費という費目の性格といいますか、それはどういうものに対して出されるものであるのか。それから支払う方の振興会と受け取る方との間のどういう契約に基くものであるか、それは文書契約をやっているのか、やっていないのか。たとえばこの場合三カ所に月二十七万円なら一カ所九万円平均です。それでは、どれだけの人間が何日間出ていくことによって九万円という計算になるのか、そういう計算はどういう根拠によってなされておるのか、まずその契約の根本をお伺いしたい。
岩武照彦
59
○岩武
説明
員 御承知のように場内の整理のためにはいろいろな手数が要りますので、これはもちろん臨時の仕事でございますから、そのつど職安を通じて雇い入れるとか、あるいは特定の人にまとめて人を集めさせるとか、いろいろあるだろうと思います。性格はやはり
一つ
の臨時の労務供給だろうと思っております。ただいろいろ競輪場によって違うと思いますが、具体的に人間をどういうふうにしておりますか。これはやはり土地々々でかなり違っているかと思います。いずれにしましても、性格並びに内容は、ただいま申しましたような、主として警備員の日当その他に充てらるべきものだと
考え
ております。
田中武夫
60
○
田中
(武)
委員
それでは、人員供給に対する契約だ、こういうふうにおっしゃったのですね。
岩武照彦
61
○岩武
説明
員 労務供給と申しましたが、これはいわば日雇い的な、個々の雇い入れの臨時
労務者
と、施行者が委任しております振興会との間に契約のある場合もありましょう。これが大部分だろうと思います。あるいはそういう人をまとめて
監督
しておる人に一括して支払っておる場合もあるかと思います。これはいろいろ
状況
が違うかと思います。
田中武夫
62
○
田中
(武)
委員
そうすると労務供給契約であったら、その供給者は職業安定法によるところの認可を受けておりますか。もしそういうものでないとすれば、職業安定法の違反になる。そういうものに対する予算で金を出すことを通産大臣が認めておるなら、法違反のものに対して認めたということになりますが、いかがでしょうか。
岩武照彦
63
○岩武
説明
員 先ほど申しましたように、個々の人を直接職業安定所その他を通じて雇い入れる場合もありましょうし、あるいは縁故その他で来たものに対しまして、一括して支払いを委任しておる場合もあるだろうと思います。あるいはお話のような労務供給業者に払っておる場合もある。これは場所によっていろいろ違うかと思います。今の
大阪
の場合、どういうことをやっておりますか、至急調べたいと思います。 それから予算の建前は日当主義で
考え
ておるのでありますが、具体的に今の労務供給業者で認可を受けないで営業しておる者に支払っておるとは
考え
ておりません。これはやはりちゃんとした正当の許可を受けて営業しておる者を、利用する場合ならそういうものを利用する、こう
考え
ております。
田中武夫
64
○
田中
(武)
委員
私もっと聞きたかったのですが、
大阪
のことは具体的に知らない、こういうことだから、これで私のこの件に対する質問をやめます。 そこで資料といいますか、そういうものを要求しておきますが、
大阪
の自転車振興会が支払っておる場内整理費の明細な資料、どういう根拠によって支払われておるか。それから私のこの新聞によると、二月以来全国
指名
手配になっている逃亡中の人に対して、整理人員のいかんにかわらず、それとは無
関係
で本人に支払われておる。それが逃亡の
資金
になっておる、こういうことなんです。そういうことについて詳細な
調査
をして、次の
委員会
までに資料として出していただいて、それに基いて質問を続ける、そういうことにして保留しておきます。 それから次はこちらで大臣に質問があるそうですが……。
長谷川四郎
65
○長谷川
委員長
大臣はこれでもういる時間がない。三十分までしかいませんから、それはあとにして保留でよろしゅうございますね。
田中武夫
66
○
田中
(武)
委員
それでは保留しておきます。
長谷川四郎
67
○長谷川
委員長
加藤
高藏君。
加藤高藏
68
○
加藤
(高)
委員
大臣はお急ぎのようですから、ごく簡単に日中問題について二、三点お伺いしたいと思います。私は日中
関係
の
現状
というものを非常に憂慮しておるものでありまするけれ
ども
、その後の
日本
の国内的な
現状
、また国際的に見ましては、中近東の問題の勃発等もございまして、
日本
といたしまして、
政府
といたしましても何らかこの際積極的に日中貿易問題についての解決について、具体的な政策を促進する時期が来たのではないか、このように感ぜられるのでありますが、これにつきまして大臣の御所見を承わりたいと思います。
高碕達之助
69
○高碕国務大臣 私
ども
この日中貿易を一日も早く正常に返したいという
考え
は、不動の
考え
でございます。このままでいけばだんだん悪化するということもよく存じておるわけであります。これで今後どういうふうに積極的に政策を変更するかという問題でございますが、その点につきまして、閣内におきましてもいろいろ
検討
いたしまして、あれこれと
考え
ておるわけでございます。決して積極的静観といいますか、静観というにとどまっておるわけでありませんで、その点につきましては、今こういう方針で、こうやりたいということを、申し上げる時期に到達していないことをまことに遺憾に存じておるわけでありますが、いよいよ相当積極的にこの政策を
実行
に移していかなければならぬという
考え
は持っておるわけであります。
加藤高藏
70
○
加藤
(高)
委員
ただいまの大臣の御
答弁
を承わりますと、近い将来には国民の望んでおります日中貿易問題についても、何らかの
施策
を期待できるというように了承してよろしゅうございますか。——つきましては、これに関連いたしまして
日本
商品展覧会の問題について、二、三点お尋ねしたいと思います。 武漢、広州におきまして開催されました
日本
商品展覧会は、出品物の
価格
が約六億五千万円、開催経費その他を含めまして約十二億円の巨額を投じまして、六週間の
期間
に百五十万人の参観人を集めて、きわめて成功裏に終了いたしましたことは御承知の通りであります。しかしながら、予期せざるところの日中
関係
の緊急事態の発生のために、重大なるところの障害を受けておるのであります。すなわちその一点を申し上げますと、出品物の六億円のうち、約五億六千万円というほとんど大部分の出品物が、中国側との間におきまして売買契約ができておったのでありますが、それが緊急事態の発生によりまして、全部破約となりまして、現在天津の倉庫に集積されておるわけであります。これを内地に引き取るというようなことになりますると、この引き取り運賃にも約四千八百万円という巨額な持ち帰り費用を要するということになったわけであります。 もう一点は、これは必ずしも緊急事態のみの原因ではないのでありまするけれ
ども
、現在中国側に対しまして五千八百万円ほどの未払い金がある。これは武漢、広州の会場の借入料、また武漢と広州間の輸送料、また武漢と天津間の輸送料であるとか、天津の倉庫料であるとかいうようなものを合計いたしまして約五千八百万円の未払い金がある。 その原因といたしましては、当初の予算編成に当りましては、約一億円の
政府
の補助金を要請いたしたのであります。これは六千万円いただいたようであります。これが
一つ
の原因。しかしながら、前の北京、上海におきまして同じく開催されましたこの見本市は、補助金といたしましては、やはり同額の六千万円でございましたが、バナナ協会の差益金の寄付が約千七百万、実質的には七千七百万円の補助をいただけたというような形になっておるのであります。また中国側の運賃、人件費の値上り等であります。この五千八百万円にも達しまする未払い金をこのままにして、なおかつ、先ほど申し上げましたように、四千八百万円もの費用をかけてあえて出品物を
日本
へ持ってくるということは、日中
関係
に対しまして、将来にわたりましても必ずしも好影響は与えないと思います。これに対しまして大臣の
お答え
をいただきたいと思います。 続けてもう一点。二十九日の閣議で千七百五十万円の持ち帰り補助金をきめましたが、持ち帰り費用は、先ほど申しましたように四千八百万円もあるのでありまして、とうてい民間の力ではでき得ない。この点もあわせて
お答え
いただきたい。 もう一点大事な点ですからお聞き願いたいと思うのは、日中間の緊急事態、この緊急な事態を打開するために、出品物は中国向けに作った出品物でありますから、むしろこれを中国側に寄贈いたしまして、
関係
出品者に対しましては、これに対して
政府
が相当額の補助をする
方法
が一番妥当な線ではないか、かように
考え
ておるのですが、この点につきましても大臣の
お答え
をいただきたい。また持って帰るにいたしましても、先ほど申し上げましたように、中国側への未払い金が五千八百万円ある。これに対しましても、このままほっておくことは国際的にどうかと
考え
られますので、あわせて
お答え
を願いたいと思います。
高碕達之助
71
○高碕国務大臣 先ほど申しましたごとく、日中貿易を一日も早く回復いたしたいという
趣旨
から申しまして、先般締結されました第四次貿易協定等のごときも、私
ども
これは生かしていきたいという
考え
からいたしますと、今日この見本市の跡始末について、先方に五千八百万円も損をかけておるということは、そのままにすべきものではありませんし、また同時に出品物も必ずしも持って帰るということでなくて、あるいはそれは売約できたものもある。あるいは売約ということでなくて、両国の
関係
が正常化したときにこれを寄贈するということも、これは
一つ
の有力な案として私
ども
は
考え
たい、こう思っておるわけであります。これはいずれにいたしましても日中
関係
が全体に一日も早く解決するということを望んでおるわけでありますから、その解決がついて、初めて今の御
趣旨
のごとき
方法
を
考え
ていくべきものだ、こう存ずるわけなんでございまして、それを
実行
し得るように、一日も早からんことを希望する次第でございます。なお補助金の千七百五十万円というものは、どういうことだったということにつきましては、
政府
委員
から
お答え
いたさせます。
日高準之助
72
○日高
説明
員 今の補助金の追加の点につきまして御
説明
申し上げますが、ただいまお話がございましたように、四千八百万円の持ち返り費用の増加が加えられたわけでございます。ただその際に全体として約一億ほどの不足という金額が出ておるのでございますが、ただいまお話がございましたように、予算の補助の対象額が運賃に限られておりました
関係
で、今までの予算の建前から参りますと、やはり運賃の持ち返り費用の増加ということしか対象になり得ないものでございますから、それで今までの予算の建前と同じ
やり方
で計算をいたしまして千七百五十万円という金額を算出したわけでございます。従ってその他の金額の問題になりますと、これは従来の予算計上の建前からいきますと、ちょっと建前が違うことになるわけであります。
加藤高藏
73
○
加藤
(高)
委員
この商品の売買契約になったやつは、将来日中
関係
が正常化されたら直ちに解決できる問題だという
お答え
がありましたが、御承知のように、出品した
業界
は割合に弱小な
業界
が多い、そういう点も御考慮に入れて、今のこの
状態
を一日も早く解決して、この日中貿易
関係
並びに見本市問題に関しても、明るい見通しの得られるような
措置
を講ぜられんことをお願い申し上げます。
田中武夫
74
○
田中
(武)
委員
せっかく
軽工業
局から来てもらったのだから、一言だけお尋ねいたします。簡単でいいです。昨日都下の花火工場が爆発して十一名が死んで二名が重傷、こういう事件が起きましたが、その工場は前にも爆発をやった、それを、所は違うが同じ系統の会社の工場でまたやっている。何か最近に三回ばかり同じ会社で爆発をやっている、こういうことなんですが、前に爆発をやったときにどのような
調査
をし、どのような今後の
措置
を講じて、そうして自後こういった爆発がないような
措置
をどのようにとられたか、それにもかかわらず今回どのような原因でああいう爆発があったのか、そういうことについて、きわめて小さな企業のようですが、そういった設備が十分整っていないところで、そういった危険な作業をほかにもやっていると思うのですが、そういうことに対して、どういった点からどのような
監督
をしておるのか、こういった事件があったのに関連して、今後どういった取締りというか、事故が起らないような
措置
を
考え
ておられるか、かいつまんで申し上げましたから、それを一括して
一つ
お答え
を願いたいと思います。
岡嶋楢文
75
○岡嶋
説明
員 昨日事故を起しました丸玉屋工場は、
昭和
三十一年の十二月にも事故を起しておりまして、その際にも死者一名、負傷者三名の事故があった。それが昨日ただいまお話のような死傷者が十余名というような事故を起しました。花火工場につきましては、非常に零細な企業である、それからまたやっております人が、何というか名人芸というようなかたぎで、非常に近代的な保安の感覚なり、また経営の面につきましても非常に時代的にずれた方が多いわけでございます。火薬につきましては大体全国で花火工場が三百六十ございまして、これにつきましては都道府県知事の方に委任をいたしまして、その
監督
をやっていただいておるわけであります。まず
法律
的には製造設備につきましては、あるいはまた実際の製造上の技術士の基準、こういうふうなものについて、すべて
許可制
にいたしまして、また実際作業いたします場合にも通産省においてきめておりますところの技術上上の基準というものにのっとってやるようにいたしております。それからまた国家試験で丙種の作業主任者の試験を行いまして、その合格者だけが作業ができるということにいたしまして、それからまたその後につきましては年に数回の現場の保安検査をやる、また随時立会検査をやるということをいたしまして、
法律
上の保安を講じておるわけであります。 それからわれわれの方では、まず何と申しましても作業をする人の問題は一番重要でございまして、従業員の保安教育という点に重きを置いておるわけでございまして、その点からは毎年事故を集計いたしまして、いろいろな原因を究明いたします。それを分析して事故研究会というものを行いまして、特に煙火工場に対しましてはそういうような事故研究を行いまして、それから随時講習会なりを、本省直接あるいは都道府県知事の方のお力でやっておるわけであります。そういうようなところで保安教育をやっておるわけであります。 それから先ほど申し上げましたように、何分にも零細企業が多くて、事業主が職人かたぎの強い方であるというようなところから、特に保安上の設備には重点を置いて改良して参りたい。そういうところから、実は今年度
中小企業
庁の設備改善の補助金につきましても、煙火工場の保安上の設備に格段の
措置
を講じたというようなことを始めておるわけであります。今回の事故につきましては今のところまだはっきり原因がわからないようでございますが、どうも打ち上げ花火の黒色火薬を紙に載せまして、それをまるくくるめまして、玉を上に載せるわけでございますが、黒色火薬が非常に摩擦に敏感であるというところから起った事故ではなかろうかと
考え
ておるわけであります。今後とも特に零細的な煙火工場の保安については、格段に災害予防の
措置
を講じたいと思っております。
田中武夫
76
○
田中
(武)
委員
これでおきます。こういう事故が起ったときにまず
考え
られることは、その事故によって被害を受けた人たち、これの救済の問題ですが、これは労災保険等にもちろん入っていると思うのですが、そういう点もあろうと思います。それから付近の一般民家に対する被害についての救済の問題があると思うのです。それから今後そういうことが二度と起らないように、またそういうことがあれば付近の民家がやはり安心できない、そういう点についてのいろいろな
対策
、こういうことが必要だと思うのですが、こういうことをあわせて伺いたい。
岡嶋楢文
77
○岡嶋
説明
員 ただいまの被害者に対する救済
措置
でございますが、これは
法律
上いろいろございましょうが、われわれといたしましては事業主が許す限りの、できるだけの慰謝金を出して、事業主の許す限りの
措置
を講ずるように
指導
して参りたいと思います。現在までもそういうようなことがあった場合には、できるだけそういうような
趣旨
に沿うような
指導
をいたしておるわけであります。 それから第二の隣家、隣接の家屋との
関係
でございますが、火薬類取締法では、火薬工場に対してはどれだけの家屋に対しては保安距離を与えなければならないということをきめておりますし、一応一定の距離をとるようにいたしておるわけであります。そういうようなことで、実際にもできるだけ距離をあけまして、隣接の家屋等に被害のないように掛買を講じておるわけであります。
長谷川四郎
78
○長谷川
委員長
次会は八月十一日の午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。 午後零時四十分散会