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1958-07-31 第29回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月三十一日(木曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 中村 幸八君 理事 加藤 鐐造君    理事 田中 武夫君       岡本  茂君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    黒金 泰美君       坂田 英一君    關谷 勝利君       田中 榮一君    中井 一夫君       西村 直己君    大矢 省三君       小林 正美君    鈴木  一君       堂森 芳夫君    中嶋 英夫君       水谷長三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  高碕達之助君  委員外出席者         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (通商局振興部         長)      日高準之助君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   岡嶋 楢文君         通商産業事務局         (繊維局長)  小室 恒夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衞君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 七月十一日  委員今村等辞任につき、その補欠として和田  博雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として今  村等君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  穗積七郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員穗積七郎辞任につき、その補欠として永  井勝次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月八日  一、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正す    る法律案田中武夫君外十三名提出、衆法    第一六号)  二、日本経済総合的基本施策に関する件  三、電気及びガスに関する件  四、鉱業、鉄鋼業繊維工業化学工業、機械    工業その他一般鉱工業及び特許に関する件  五、通商に関する件  六、中小企業に関する件  七、私的独占禁止及び公正取引に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繊維不況対策に関する件並びに重工業軽工業  及び通商に関する件      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 これより会議を開きます。  繊維不況対策に関する件並びに重工業軽工業及び通商に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許可いたします。中村幸八君。
  3. 中村幸八

    中村(幸)委員 私は繊維不況対策についての質問を政府当局にいたしたいと思います。  私ども商工委員の者は、この国会閉会中に全国各地国政調査のために視察に行ってきたのであります。私どもは静岡県の浜松を振り出しに、愛知県名古屋、それから岐阜県、富山、石川福井、この東海、北陸地方産業経済実情調査して参りました。特に今日最も大きな問題となっておる繊維不況の問題については、特別に力を入れて調べてきたのであります。百聞は一見にしかずと申しますか、私どもがこの前の特別国会におきまして、政府当局より実情を徴し、あるいはまた業界の代表の方々参考人としておいでを願って、そうして不況状況について調査いたしたのでありまするが、その当時は話半分とはいわないまでも、ある程度割引してわれわれは考えておったのであります。現地に着きまして調べてみますると、ほんとうにこの不況が深刻であり、もう恐慌一歩手前にあるということを、つくづく感じて参ったのであります。  今日浜松地方に例をとってみましても、遠州地方には千数百軒の機屋があるのでありますが、その中で今日まで百二十七軒の倒産あるいは全面休業をしているものがあるのでありまして、なお毎日々々そうした倒産、破産あるいは休業者が続出しておるのであります。休業をしておるという方々はまだまだ仕合せな方でありまして、休業したくても休業ができないというのが現状であります。ということは、この糸高布安の非常な不利な条件で、休業したいのはやまやまであるけれども、しかし休業してしまうと手形を落すことができない、自転車操業さえもできないというようなことで、血の涙をもって仕事を続けざるを得ないというのが現状でありまして、休業者の数が百二十七軒、一割に達するが、その休業をしておる者以上に苦しい者が非常に多いということを感じてきたのであります。浜松地方におきましては県、市商工会議所また織物組合あるいは全繊同盟の方々労使一体となってこの不況克服に努力いたしておるのでありますが、この人々の力だけではどうにもならない。どうしても政府の強力な力をお借りしなければならないというので、私ども浜松の駅に降りますと、数百人の人々がプラカードを持ちあるいは向うはち巻で駅頭に群がって、私どもが汽車から降りるのを待ちかまえておった。そうして血の涙をもってるる窮状を訴え、また決議事項を、私どもにその実現をはかるように依頼いたしておったのであります。また福井石川におきましても同様でありまして、ちょうど二十六日でありましたが、福井市におきまして北陸三県の繊維不況突破大会が開かれましたが、千五、六百人の方々向うはち巻で闘志あふるるばかりの熱烈なる気魄をもって集まられました。私もその席に列しまして感に打たれたのでありまするが、もう絹、人絹といわず綿スフといわず、繊維業界はさらでだにこの一般的な不況にあえいでいるのに、特別な事情があって、さらに一そうの不況の程度を加えているのでありまして、この際どうしても即刻強力な手を政府によって打っていただかなければならないと考えるのであります。  そこで私伺いたいことは、去る七月四日に本委員会におきまして繊維産業不況対策に関する決議として五項目にわたる決議をいたしております。この決議は、今考えてみて、われわれの考えがやっぱり間違っていなかった、これを強力に実行に移す以外にはこの不況を切り抜ける方法はないのだという強い確信を持ったのであります。従いまして、この五項目にわたる決議事項につきまして、政府はその後どのような対策をとられたか、また準備しておられるかということにつきましてお伺いいたしたいと思います。
  4. 小室恒夫

    小室説明員 ただいま中村委員から御指摘になりました機業地の深刻なる実情につきましては、繊維局といたしましても浜松及び大阪には綿業課長、また福井金沢地区には化繊課長と、それぞれ所管課長を派遣いたしておりまして、十分承知しておるつもりであります。繊維不況については、その後も深刻な状況を続はてはおりまするけれども綿製品等については最近在庫が相当減少したといういい材料も現われてきております。また輸出の面でも前月に比べて最近若干持ち直したという感じもないではありません。絹、人絹の方はそういう好材料も実は見当っておりませんので、全体として申せばやはり非常に危険な状態にあると言って差しつかえないだろうと思っておるのであります。従って、昭和三十三年の七月四日に御決議願った繊維産業不況対策に関する商工委員会決議については、この決議趣旨に即応して行政を進めて参りたいと考えておるわけであります。また政府首脳部においても七月二十二日に経済閣僚懇談会において繊維不況対策を取り上げて相当熱心な議論が行われ、また実情検討し、またさらに近い将来に引き続いてこの問題についての検討が行われるというふうに聞いておるのでありまして、繊維局のみならず政府首脳部においても非常な関心を持って、この問題について対策検討しておるということをまずもって申し上げておきます。  決議の各項目についてどういう状況になっておるかというお尋ねでありまするから、簡単に項目別に申し上げます。  第一点は中小織布業者原糸適正価格をもって円滑に入手し、かつ適正な加工賃が得られるよう、諸般の施策を行うとともに、取引条件を改善するに必要な措置を講ずるように、また綿スフ紡績織布兼営業者と織布事業者との間に公正な競争ができるよう、原綿輸出リンク割当制について是正すること、こういうような項目であります。これは中小の織布専業者が最近の綿布市況の極端な悪化によって、また人絹についても、かねてから引き続く不況によって非常な苦しい立場に追い込まれておる、この取引上の立場を強化するようにということが根本の御趣旨であると思うのであります。人絹については昨年来、人絹糸メーカー輸出商社内需商社機屋相互間の協議会ができて、いろいろそこで相談して、買い上げの問題あるいは価格問題等についても、適正なところに落ちつくような努力が払われておるわけであります。特に最近問題になっておる綿糸取引条件については、まだそういうような態勢も整っておりませんので、私どもとしては、一方において織布専業者中小企業団体組織に関する法律で認められた固有の権利といいますか、組織を強化し、原糸を共同購入するという方向に一歩々々進んで参った方がいいだろうということを申しておるのであります。それと同時に関係業界が集まって、原糸取引条件について十分懇談する。そうして現在の織布専業者不況を是正するような方向を見出していきたい、そういう意味ですでに第一回の会合は、大阪において紡績商社、織布専業者の間で持たれたのであります。これはもちろん一ぺんで問題が解決する筋のものではありませんので、八月上旬にもさらに引き続いて協議会が持たれ、またその先にも引き続いて具体的にいろいろ相談が行われると思うのであります。一ぺん、二へん会合直ちにすべての問題が解決するとは思いませんが、こういうようなやり方で、織布業者取引条件が漸次是正されていくということを、われわれとしては期待しておるわけであります。  それから原綿輸出リンク割当制について是正というお話でありますが、現在繊維の総合的な需給調整実施し、総合的に繊維需給を安定させたいと考えておりまして、その立場から原綿なり原毛なりについても、相当輸入の圧縮を加えておるような状況でありますので、市中でもって取引される一部の原綿について非常なプレミアムがついておるということは事実であります。そういうような状況事情はどうあれはなはだ好ましくないことでありますし、また全体としての輸出リンク制あるいはもっと言えば原綿原毛の現在の割当制についても、いろいろな角度からこの際検討してみることが必要であろうというふうに考えておりまして、これはもう少し時間をかしていただいて、根本的にいろいろな角度から検討してみたいと考えております。  第二点は、過剰滞貨処理を促進するため、その凍結等に必要な諸措置を講ずることという点であります。これも異常滞貨のある綿織物について特に議論があったことと思います。スフ糸については六月上旬から一千万ポンドの凍結実施しておりますが、広幅生地綿布について、この決議趣旨に即応しまして紡績手持ちの五千万ヤードの綿布凍結するということについては、すでに指示済みでありまして、実際にはもう凍結が着手されておるということでございます。一部、割当だけの在庫を持っていない紡績会社は、市中から生地綿布を買って凍結させるというようなことまで行なっておるのでありまして、これはやはり過剰な在庫調整ということに相当役に立つものと考えております。また凍結のほかにも、過剰な在庫をたな上げする措置として、綿織物買い上げ実施したらどうかということを考えまして、この点につきましては、昭和二十八年の春から綿糸布輸出振興組合というような名目のもとに、紡績各社が一種の買上機関を設立しておりまして、ただ今までこれが発動されたことがないというような状況になっておりますので、最近の深刻な綿布市況にかんがみて、この眠っておる買上機関を発動させることが適当ではないかということを示唆いたしまして、紡績側においてもそういう方向考えたい、紡績協会特別委員会においてこの問題について、目下どういうふうなやり方買い上げをすべきか、具体的な問題について検討中でございます。一方において六月には天候が非常によかった、早い夏が来たというようなこともあって、非常に内需取引が盛んでありまして、そのために市中在庫が六月末において前月の末に比して三万コリ減少して、初めて五十万コリ在庫線を割って四十九万コリになったというようなことがありますので、今の凍結買い上げ等と相待って、相当過剰滞貨処理ということについては、効果が上るのではないかというふうに考えておるわけであります。  第三点は繊維製品輸出振興施策を強力に行うとともに、特に綿スフ織物等競争の激化を予想される商品について買取機関の設立を検討するということであります。これは実は今第二点で申し上げたことと共通の問題でありまして、私どもとしては一方において輸出品価格日本人同士競争で不当に下っていくということはぜひとも防止したい。過当競争防止ということは、日本輸出貿易全般の問題でありますが、特に繊維品輸出貿易についてはその点を重視して今まで考えて参ったのであります。そういう見地から申しますと、綿糸布価格を適正なところに一日も早く安定させるということが、やはり輸出振興基本目的に沿うわけでありまして、そういう見地から申して、輸出川の広幅生地綿布を買い取るということが相当大きな効果があると思うのであります。ただ買取機関については先ほど申しましたように、すでに四年来一応設立されておるのでありまして、このままの状態ですぐ買い取りに進めるかどうか、あるいは現在の買取機関について若干の組織その他の改善をさせなければならぬというようなことはあるかもしれませんが、既存のものの運用という線で考えておるわけであります。  それから輸出繊維品検査費用国庫負担とするようにということでございますが、これは不況関係業者負担力の乏しい際には、比較的わずかな負担でも非常に耐えがたく思われるということはごもっともでありますけれども、また検査機関の業務を合理化し、できるだけ検査経費を軽減さして、それに応じて順次検査手数料の引き下げをはかっていくということはきわめて大事だと思いまして、輸出検査については私どもその立場指導はいたしておりますが、直ちに輸出繊維製品検査費用国庫負担とするということは、現状においては実現は相当困難であろうかと思います。  第四点は、綿スフ及び人絹過剰織機処理、これは従来からやっておる継続事業でありますが、一そう迅速かつ強力に実行に移す、また不況下における業界負担を軽減するために、買上単価の引き上げ、国庫補助金の増額を行い、あわせて処理台数の増加を行う、これが第四項目の前段であります。織布部門において不況が特に深刻であるということについては、結局織布部門操短が有効適切に行われないというような面も手伝っておるのであります。そのよって来たるところは、やはり非常に織機が過剰である、織布部門における生産設備が他の部門に比して特に過剰度が著しいということに由来するところが多いのでありまして、そういう意味から申しまして、昭和三十一年度から長期対策として、織布部門合理化対策中小企業対策として実施して参りました過剰織機処理について、この年度においてこれを拡充し、大幅に実施すべきであるという御意見と思いますが、これについてはさきの経済閣僚懇談会においても、この際綿スフ織機を含めて織機の大幅な整理を行うべきであるということについては、御意見が一致したというふうに聞いておるわけであります。ただ単価とか負担金とか、そういう問題についてはまだ検討中でございまして、これについてはいろいろな御意見もあるようであります。  第四の項目の後段は、合成繊維織機の新増設の抑制であります。従来織布部門の中で圧倒的な割合を占めておりますところの綿スフ織機絹人絹織機及び毛織の織機につきましては、それぞれ中小企業安定法等において新増設規制、つまり新増設を抑制する取りきめをいたしまして、これについてアウトサイダーにも強制いたしておりますので、これらの織機については新増設法律的にできないことに相なっておったのでありますが、合成繊維織機につきましては合成繊維産業がまだ発展の当初にある、今後いろいろ新しい合成繊維ができて参る、それに応じて紡機なり織機なりを適用していかなければならぬというような点があるだろうという考慮から、一応規制対象外にとどめておいたのでありますが、最近のような織布部門の非常な不況ということと、織機については合成繊維織機といえども綿スフなり絹人絹なりに容易に転換して使用できるというような点等を考慮いたしまして、これについてはすみやかに規制いたしたい。法律的な問題について目下最終的な検討をいたしておりまするけれども、必要であれば臨時国会繊維工業設備等臨時措置法改正でこれを許可制にする。また法律的な解釈がこれを許せば、現在の中小企業団体組織法ワクの中で、新しい法律改正を用いないで規制することを考えたい、こう思っておるわけであります。  第五点は、総合的な生産調整の実効をあげ、かつこれが実施を円滑ならしめるための諸措置を講ずることという点であります。各項目については、生産調整に対する指導監督を強化する。これは申すまでもないことでありますが、特に綿織物については操短をさらに強化いたしまして、これが監督を強化いたしたいと考えております。また操短実施を裏づける資金の確保については商工中金中小企業金融公庫等と話し合って、所要の資金ワクを確保できる見通しがついておりまするが、これについてはまた関係府県の協力を求める意味で、織布部門の集中しております関係府県に対しては、中小企業庁長官繊維局長の連名でもって、県の損失補償制度考えていただくことをお願いしておるわけであります。その次に生産調整実施中の施設に対する固定資産税の減免という問題でありますが、これについては自治庁に、この決議趣旨に即して通産省としては申し入れをいたしております。現在自治庁においても慎重に検討中でありまするが、これはそれぞれの地方自治体の事情もありまして、なかなかむずかしい点が多かろうかと思います。なお話し合いを続けていくつもりでおります。  最後に生産調整操短によって労務者労働強化を来たさないように、労務者立場を十分考えるようにということでございますが、これについては私どもも十分考慮しておるところでありまして、従来も生産調整勧告、いわゆる操短勧告に際しては、それぞれの業界に対して不当な解雇を行わないようにしてもらいたいということは特に念を押しております。また最も不況に悩んでおるところの化繊会社等についても、離職者がほとんど最初の約束通りある期間の後に復職しておるというような点もありまして、かなりそういう点の配慮経営者側においても払っておるというふうに思っておりますが、不況が長期化し、操短態勢が長引くにつれて、いろいろこういう問題も出てこようかと思います。今後ともこういう点についての配慮はおろそかにしないつもりでおります。  非常に簡単でありますけれども中村委員の御指摘の七月四日の決議に対して、政府はどういうことをしておるかということについてのお答えといたします。
  5. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいま詳細にその後の政府のとられた処置、また準備しつつある方法手段等につきまして御説明がありました。ありがとうございます。大へんむずかしい問題であります。困難な問題でありますが、政府におかれましても真剣にこの問題を解決すべく、その意気込みは十分私ども多とするのでありますが、ただいまの御答弁だけでは、まだちょっと不明な点もありまするし、さらにもう少し——もう少しどころではない、大いにがんばってもらわなければならぬ点もありますので、二、三点重ねてお尋ねいたしまするが、まず第一点の原綿輸出リンク割当制の問題でありますが、綿布輸出振興については紡績業者だけでなくて、織布専業者の功績というものも非常に大きなウエートを持っておるのであります。しかるに輸出リンク報奨制度実施に当っては紡績業者にのみ綿の割当がある、これは非常に不公平でありますのみならず、紡績営業者が非常に有利な立場に立ちますために、あるいは輸出に当って安値で乱売する、そうなって参りますと織布専業者はとうてい太刀打ちができない、こういうことになるのであります。綿布輸出に当っての乱売というようなことも、この問題に一つの端を発しておるのではないか、かようにも考えるのであります。どうしてもこれは紡績業者だけでなくて、織布専業者にも綿の割当はぜひとも割り当てていただいて、そうして公正なる取引競争ができますように、この点は特に強くわれわれとしては主張するものであります。この点についてもう一ぺんお答えを願いたいと思います。  それから過剰織機処理の問題でありますが、絹、人絹方面では一台の単価が五万円、それから転廃業する場合の単価としては十万円ということを主張しております。綿スフにおきましては絹人絹織機と非常に価値が違いまして、同じ価格では困る。全部が鉄製であり、絹人絹の方は半木製であるというような点から、非常に買入価格が違うのであります。従って今度の政府買い上げ単価におきましても、綿スフの方は十万円、少くとも七万円くらいには一つ買い上げ単価をきめてもらいたい、こういう強い要望がございますが、この点についてのお答えを願いたいと思います。  もう一つ操短融資の問題でありますが、金利の問題で、現在の商工中金あたりの一割以上の金利では負担にたえないというのであります。そこで商工中金、あるいは中小企業金融公庫に対して政府資金を大幅に投入いたしまして、この貸出金利を半分くらいにするということもぜひお願いしたいのでありますが、この点についてのお考え。この三つの点について重ねて御答弁を願いたいと思います。
  6. 小室恒夫

    小室説明員 原綿割当の問題でありますが、戦後外貨予算制度がとられて以来、紡績用原綿につきましては、他の主要輸入原材料もほとんどそうなのでありますけれども外貨割当制度がとられておりまして、割当は実際に原綿を使用する紡績業者に、いわば原綿需要者としてこれに割り当てる。需要者割当、現在、現実に処理をする者に割り当てる、こういう立場で、原則として紡績業者に割り当てる建前をとってきておるわけであります。ただいわゆる機屋割当と申しますのは、対米綿製品輸出規制をいたします際に、日本とアメリカとの間で、綿製品輸出の問題について大局的見地から話し合いが行われ、また最終的にこの辺でまとめた方がいいという判断に立ちましたときに、実は織布専業者の作っておりますところのギンガム、別珍とかいうものは非常な打撃を受ける、従来の輸出実績の三分の一というようなところに対米輸出実績が押えられる、これでは先々のことはともかく、ここ一両年どうにもしのぎようがないじゃないか、内需に転換するにしても、輸出市場を転換するにしても、それだけやはり準備期間が要るじゃないか、そういうような差し迫った事情に対しまして、やむを得ざる措置と申しまするか、きわめて異例の措置として二カ年を限って、それじゃそういうような原綿割当一定限度で認めようというようなことでいたしたわけであります。そういうことをやったのが悪いじゃないかという説も実はあるわけでありまするが、その後原綿割当をだんだん圧縮して参りました関係で、先ほど申しましたように原綿市中における取引に伴う価格というものが非常に上って参りまして、その点は一方からいえば機屋さんのふところを潤したということにもなりましょうし、また他方からいえばその分だけ機屋さん関係綿布が安売りされているという面も出ておらないことはないのであります。いずれにしましてもこれは臨時異例の措置としてやったことでございまして、私たちとしてはこれを直ちに拡大するということは考えたくないのでありますが、特に他の染色加工部門とかあるいは縫製部門、メリヤス部門等からも、実は機屋割当の拡充の問題にからんで、現在でも私どもの方にいろいろ陳情がございますが、そういう点、こういう業者にみな割り当てるというようなこともはなはだ不自然であります。また実を申すと、絹人絹関係の業者からも、自分たちの方からは百パーセント国産品を輸出しておるけれども、そういう意味の報奨には何らあずかれない、不公平じゃないかという意見もあります。そういう全体のバランスを考えて参りますと、政策的に簡単に機屋割当を増額するというわけにはなかなか参らないように思いまするが、しかしながら同時に、先ほども申しましたように最近の原綿のプレミアムというような数字を一つとらえてみても、なかなか正常でない状態もありますので、こういう点についてはあらゆる角度からさらに検討を進めたい、そういうふうに考えておるわけであります。現状が何んでもかんでも一番いいのだというふうに私は申し切っておるわけではありませんが、直ちに機屋割当の増額というふうには踏み切りにくいということを申し上げたわけであります。  それから第二点でありますが、織機買い上げの際の補助単価の問題であります。あるいはまた買入価格の問題であります。これについては目下検討中でありますが、自民党の専門委員会の方では一つの数字を一応出しておられるようでありますが、それも参考にし、また関係方面の御希望も参考にはいたしております。しかしながら大体補助金と負担金とを合せて一台当り三万円、それにスクラップ価格を加えたものということが綿スフ織機及び絹人絹織機買い上げて参りました実績であります。そういう点もやはり考慮に入れなければならぬ。不況の際に、不況に呻吟している中小業者にできるだけ保護を厚くするということは、政治的な配慮としてはむろんけっこうであろうかと思いますが、これは私ども事務官というよりも、むしろ政治的にそういう点についてはお考えいただくのがあるいは適当でないかと思いますが、私たちとしてはやはり従来の実績というものも相当考慮に入れて、また現実にどういう程度の織機が売りに出るか、そういう点もよく考慮に入れなければならぬ。実を申すと、織布部門以外についてはやはりかなり不況にあえいでおる、過剰設備のある部門もあるのでありますが、われわれの方もそういう部門に対してまで設備を買い上げるというようなことがなかなか行き届きにくいのでもあります。そういう点もいろいろと考えまして、また大局的な御判断については、上層部の御判断も仰いで最終的にきめたいと考えておりますが、これについてはまだどの程度にするというようなことを申し上げる段階にはなっておりません。いろいろな御意見があるように伺っております。  それから第三点、中小企業金融、特に操短金融につきまして金利が高いじゃないかというお話は、まことに私も平生から痛感しておるところでありまして、御指摘のように政府出資を商工中金なり、中小公庫なりに多額に出しまして、これによって特に操短金融その他緊急の融資に対して金利の安いものを提供できるようになれば、これは非常にいいことだと思います。これは中小企業庁の方で目下具体的に検討していただいておるところでありまして、私どもとしてもできるだけこれが実現を希望しておる次第であります。
  7. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 堂森芳夫君。
  8. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま中村委員から繊維不況対策に対する政府特別国会閉会後のいろいろの対策の推移について説明があったわけであります。委員長にお願いしたいのですが、ただいま小室局長の答弁にもありましたように、事務的な答弁をいろいろされておるわけでありますが、大臣に御出席を願いまして、経済閣僚懇談会ですか、そこでいろいろ討議がされておるようでありまして、新聞紙上にもいろいろ報道されておりますので、大臣にお尋ねしたいこともございます。そこで、十一時に大臣が出席だということでございますが、いつ出席になるでしょうか、まず委員長にお尋ねします。
  9. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 大臣は、何か繊維団体が二組にわたって大臣室へ来ているので至急にそれに御答弁を申し上げて、大体十一時半までには来られるようにしたい、こういうふうに答えております。もう間もなく来ることだと思います。
  10. 堂森芳夫

    堂森委員 繊維局長にお尋ねしますが、特別国会の最終日に——先刻中村委員からこの決議案についていろいろ質問があったわけですが、新聞を見ておりますると、綿スフ対策については割合具体的な対策というものが報道されているのを見ているわけであります。しかしながら絹人絹に対する対策というものがほとんど具体的に記載されていないのです。先刻局長はまず綿スフについてやる、しかし今後さらに絹、人絹についても具体的に対策を立てたい、こういう答弁があったように私は聞いておったのですが、先般この商工委員会の数人が東海、北陸国政調査に参りまして、私も浜松綿スフ業者諸君の大会の模様もこの目で見ました。またその後、北陸三県の絹人絹業者の不況突破大会にも出席しまして、その業者の人たちのいろいろ訴えておられるところを聞いたわけですが、おそらく担当課長から局長は報告があったと思います。そこで私はいろいろお尋ねしたいと思いますが、事務当局として、買い上げ織機の問題につきまして、広幅換算で二十万台くらいある、これを四万台くらいは買い上げて、そうして織機を制限する、こういうことが望ましい、こういうふうに方針をきめておられるわけですが、業者の実情というのは、もう通常国会の予算編成、こういうことで、また従来の審議会の案によって、三十一年、三十二年、三十三年、三十四年さらに三十五年で、この織機買い上げを終るというような緩慢な対策ではとうてい耐えられない、一刻も早く整理織機については財政的な処置を講じてもらいたい、こういう要望があるわけであります。特別国会中にも私は局長にも質問したと思います。一日も早く一ぺんにまとめて過剰織機と目される三万台なり、四万台を買い上げてもらう、こういう質問をいたしましたが、そういうことができるならばまことにけっこうである、こういう答弁であったと思うのです。そこで、特別国会以後政府部内では、来たるべき臨時国会において予算的に一挙に過剰織機と目される三万台なり、四万台の織機買い上げるような措置が講ぜられると思われるのか、現在の政府部内におけるそうしたいろいろ対策の模様について、絹人絹だけでもいいですから、御答弁を願いたいと思います。
  11. 小室恒夫

    小室説明員 私どもといたしましては、堂森委員のおっしゃったように、できるだけすみやかに買い上げ実施しなければいかぬ、ただこれは臨時国会までに何とか当座のものをめどをつけたい、こう考えております。一方において補正予算をどうするとか、そういう全体の問題もございますから、私ども立場で最終的に申し上げることはかなり困難でありますが、ともかくできる範囲でとりあえず実施に移すことをやって参りたい。これは今まででもそうでありますが、三十一年度の予算は、実施は実は三十二年度に相当食い込んでおります。それから三十二年度予算は三十三年度の六月になってから初めて完了したということもありますので、むろん何もかも全部この予算に計上しなければならぬ、そういうわけでもないと思います。三十三年度と三十四年度とうまく連携さしてやっていくという方法もあると思います。しかしながらいずれにしても早く着手できるように当座必要なものを買い上げていく、また業界でも態勢が整っている部分を買い上げてやるということを早くやっていくような方向で話を進めたいと思います。
  12. 堂森芳夫

    堂森委員 これは局長の御答弁でございますので、三十三年度は六千台の買い上げをやる、こうしますればとうてい問題にならぬ。ですから、三万台を買い上げようということになりますと、どうしても補正予算を組まなければできないわけですが、その点どうですか。六千台分の予算で一応可能だと思われますか、どうですか。
  13. 小室恒夫

    小室説明員 六千台の予算で可能だとは思っておりません。ただこれは補正予算でなくても予備費というふうなこともありますし、要するに、私の申したのは、現在の予算を拡充して、ともかく早く手がつけられるようなことで参りたい、それには臨時国会までにめどをつけたい、こういうことでございます。
  14. 堂森芳夫

    堂森委員 それから先刻中村委員から話のあった買上織機価格の問題です。先般の特別国会中の委員会においても三万数千円手取りになる、これは必ずしも安いとは思いません、こういう答弁があなたからあったのであります。そこで、しかしながらこれがまた異常なる不況あるいは恐慌といいますか、そういう繊維界の現状から見て、政治的にはこれに対して何らかの増額というようなことも可能ではないか、こういうような答弁のように私は聞いておるが、そうじゃないですか、どうですか。
  15. 小室恒夫

    小室説明員 速記録を見ないとどういうふうに具体的に答弁したかなんでございますが、私はそのときも現在もこういうふうに考えているつもりなんであります。三万数千円で実は非常に希望者がたくさんあった。それは背に腹はかえられないで売り込みを希望したというふうにも見られますし、またいい値段であったというふうにも見られる。両方事実じゃないかと私は考えております。それで、実は今年度の絹人絹織機買い上げについては、率直にいえば、業者負担金を何とか長期金融なんかでまかなっていくということが一つ番の眼目ですが、買上単価の引き上げということは、売る立場からいえば多々ますます弁ずることはよくわかりますし、また不況下においてそういう希望の出るのも不自然とは思いませんけれども、私は絹人絹織機について、単価の引き上げについても負担金の方に重点を置いて考えるべきじゃなかろうか、そういうふうに感じております。事務官の答弁でありますから、そういうことであります。
  16. 堂森芳夫

    堂森委員 それは少しおかしいと思います。そんな答弁はないと思うんです。  そこでさっきのあなたの言葉じりをとらえるわけじゃないですが、この前は三万円でも申し込みが多くて応じきれなかったんだ、だから三万数千円でもこれは安くないのだ、これは私は詭弁だと思います。また従来の買上織機の中には、いわば遊休織機といいますか、そういうものもあって、今後の買い上げの対象となる織機とは質的には違う織機も相当出てくると思うのです。どんなに安く見積ってもその倍以上する織機が三万円で、それは妥当な値段、こう断定することは私はきわめて不当だと思うのですが、まあ大臣が来られてからこういうことについては質問したいと思うわけです。  そこでまた話を変えまして、先般の絹人絹業者の危機突破大会で議題の中心になった問題は、今不況だ、あるいは操短だとか、そういうわけだが、金を貸してくれ、融資をしてくれというような希望はあまり出ない、ほとんど出ない、金を借りたってしょうがない、こういうふうな意見のように私は受け取ったんですが、現にその証拠に、昨年の暮れ政府資金を四億ですか、絹人絹の織物の滞貨融資として国家資金が回されたにもかかわらず、その借り手がほとんどない。これはやはり金を借りてもしようがない、こういう実情を物語るものであろうと思うわけです。先般の危機突破大会でやはりほとんどの業者が訴えられることは、輸出原糸の値段と輸出織物を織るための原糸の値段に大きな差がある。このことが原因となって人絹織物の輸出がきわめて阻害されておる、こういうふうに業者は解釈しておられるわけであります。そこで、業者が非常に希望しておること——なるほど一ポンド百四十円で外国へ原糸として輸出することは、国際価格としての現状からいけばやむを得ないと思う。しかし、百八十円前後で輸出織物の原糸を業者が買っておったのでは、これはとうていやっていけない。だから、輸出織物に対して何か一つ報奨制のようなものを設けられないのだろうか、こういう希望が非常にあったわけであります。こういう点に対して局長はどういうふうにお考えになりますか。そういうことはできないとお考えですか、あるいはそういうことをやっていくことが可能であると思われますか、その点一つ答弁願いたい。
  17. 小室恒夫

    小室説明員 人絹関係と申しますと、やはり織物で輸出されるものが、従来も圧倒的に多いのであります。人絹糸につきましても、最近輸出が不振であるために、人絹メーカーができるだけ輸出を推進していこうというような態勢をとっておりますけれども、何と申しても織物の輸出が圧倒的であります。この織物の輸出が最近ずっと不振でありまして、七月に入ってからの数字を見ても、実はあまり回復しておりません。これは非常に重大なことでありまして、原糸価格が幾らになるということよりも、数量的に輸出で相当はけていくかどうかということが、一番の問題だろうと思うのです。ところで、御指摘のように、五円とか十円とか下げて、それで人絹織物の販路が広がるだろうかということについては、私ども専門家じゃありませんけれども、いろんな方面から情報をとったところでは、必ずしもそれは期待が持てないのじゃないか。むろん一挙に百四十円とか何とかいうことにすれば、これはまた話は別だと思います。しかし、これだと人絹メーカーとしてはちょっとそれだけの大きな赤字にたえられないのじゃないかというような感じもいたします。実際人絹織物の輸出の問題については苦慮しておるのです。国内の需要についても、どっちかと言うと、最近ずっと不振であります。今お話のような報奨制——どういうことをおっしゃっておられるのか、それにもよりますけれども、多少の報奨をつけたということで輸出が非常に伸びるというふうにもちょっと考えられない。私どもとしても非常に答弁しにくいようなところへ来ておるような感じがいたします。むろん今の人絹価格が適正であるというふうにも思いませんから、これらの点についてさらに関係業界で話し合う際には役所も入って、適当なところに落ちつけることは今後も努力を続けるつもりでありますけれども、若干の値段の調整くらいで輸出が非常に伸びるかということについては、正直に言って今のところ自信が持てない、そういうことであります。
  18. 堂森芳夫

    堂森委員 一昨日の日本経済だったと思うのですが、私汽車の中で読んでおったので、記憶は確かでないのですが、大会社の幹部の人たちが集まって、人絹不況対策についていろいろ協議をし合った。しかし協議はしたが、結局その対策については具体的に意見の一致を見ることができずに物別れになった。そうして八月にまた相談をし直す、こういうふうな記事を私眠り眠り読んでおったのですから、内容をよく覚えておりませんが、ただいまの繊維局長の御答弁は、報奨制を設けて、輸出の値段に近いようなもので織物の輸出業者が原糸を手に入れるようなことが可能であっても、それは人絹織物の輸出がそう伸びるファクターにはならぬ。こういうふうにもとれたのです。そうすると、人絹の織物輸出はどうしたら伸びるのですか。あるいはどういうような方法政府は従来輸出が伸びるように努力をしておられたのか。そういう点、少しこまかく説明してもらいたい、こう思うわけです。
  19. 小室恒夫

    小室説明員 かなりむずかしい問題でありまして、最近輸出が伸びないのも最大の原因は、やはりインドネシアが最終的に買わないということに非常に関係があると思います。それから、ほかの製品に比べて値段が少し高いということもむろん若干影響があると思いますが、もしここで人絹織物を非常に値下げして売れば、今度は日本のもっと大きな輸出品であるスフ織物がそれにつれてがたがた下るという形になってくるであろうという気がするのであります。インドネシアあたりでも、繊維の需要から言うと、綿織物なりスフ織物なりに相当関心を持っている。人絹織物を非常に使う国でありますが、それでも需要度が高いという扱いにはなっておらぬような感じがいたします。内地の需要でも、実はこの前も申しましたが、どうも停滞きみで、やはり内地で需要が伸びるようなものでないと最終的に輸出が伸びにくいということは、いつも私が申していることであります。そういう商品自体の問題があるのですから、私どもとしては、これだけ大きな輸出産業ですから、何とかして、現状は確保していきたいのでありますが、なかなか妙策がない、正直に言ってそういうことであります。
  20. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、局長の答弁によると、何もないということですが、行き当りばったりで、インドネシアの政情が安定をすればまた売れるかもしれぬ、こういうことにもなると思うのです。そこで、今年の三月一日に発足した日本レーヨン人絹輸出振興会社ですか、これができまして買い上げをやっておるわけですが、買手がないのに買い上げをしておって、一体それではどうなってくるのですか。私しろうとですから教えて下さい。売れぬものを買い上げておって、どうなるのですか。
  21. 小室恒夫

    小室説明員 非常に困った問題であります。むろん輸出の努力をしないというわけではありませんし、またいろいろ考えていないこともないわけであります。しかし、今ここでもってこういうふうにやってこの滞貨をはかすというふうに喜んでいただけるような答弁ができないのであります。
  22. 堂森芳夫

    堂森委員 どうもそれは弱りましたな。元締めの局長が弱りましたと言うては大いに弱るのです。先般綿スフ絹人絹の滞貨を凍結しろ、こういう決議があったわけですが、この点凍結という言葉で表現すればよいと思いますが、見通しがございますですか。
  23. 小室恒夫

    小室説明員 凍結とか買い上げは今日までのところは業界の責任においてやっているという形でありまして、ただ、しいていえば政府が金融その他でそういうことが円滑にいくように側面から配慮するということにとどまっておりますので、政府買い上げということは、生糸については別でありますが、一般の製品については、そこまではまだ踏み切っておらぬのであります。
  24. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 堂森君、もうちょっとたつと大臣が来るから、大臣の分だけ保留しておいて、田中君に先にやってもらいたいのですが……。
  25. 堂森芳夫

    堂森委員 それでは保留しましょう。
  26. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 重工業局長軽工業局長、企業局長が来ていますから。田中君。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 私はいろいろと尋ねたいのですが、その前にやはり今の繊維の問題に関連して先に繊維局長にお伺いします。あるいは今までの中村堂森委員と若干重複する点もあるかもわかりませんが、その点はあらかじめお断わりしておきます。  実は私たちもこのたび近畿地方国政調査に参りまして泉州あるいは播州織、そういう人たちのなまの声やあるいは現場を見て帰ったわけなんです。いろいろとお話を聞いており、われわれの考えをまとめまして、私は大体こういうことが言えるのじゃないかと思うのですが、現在の繊維業界、ことに綿スフ不況対策としては、まず当面のものと将来のものと恒久的なもの——当面のものとしては操短融資といいますか、やっぱり金融の問題だと思う。先ほど北陸方面ではあまり金融ということについては聞かなかったそうですが、われわれはやはり金融の問題を大きく聞きました。  それからもう一つは、やはり織機買い上げの問題です。恒久的な問題としては、原綿割当制度の根本的な改革といいますか、それから中小の織物業者が原糸を適当な価額で円滑に入手できる、こういう措置だと思うのです。この問題については、すでに二十九特別国会の最後のときのわれわれの決議に大体言われておりまして、それについては、今局長からも具体的なその後の報告があったわけなんです。私考えましたのは、まず融資の問題ですが、幾らかのワクを与えた、これで政府あるいは当局としては事が済んでおるように考えられておるかもしれませんが、実際借りるという立場になると、ただ絵にかいたもちを見せてもらっただけで、ワクというものが与えられても、実際金融機関と直接に貸借をやる場合には、思うように借りられない、こういうことだと思います。それはこういうような場合に貸付の条件を普通の場合と同じような条件にしたら借りられないと思います。だからこういう特別な危機打開のためには特別な貸付条件というものを考えなければいけないと思います。たとえば今までと同じような担保を要求するとか、あるいは保証を要求するとか、こういうようなことで、借りたいのだが担保能力あるいは今までの取引関係等から借りられない、こういう声が強かったように思うんです。そこで私お伺いしたいのは、こういった特別な金融対策としては、今までと同じような普通の場合の貸付条件ではなくて、特別な貸付条件といいますか、貸付条件を緩和する必要があると思うのですが、この点どう考えておられますか。  それからもう一つはやはり金利の問題——こういった特別な場合における融資については、また普通の場合よりか特別な低金利考えなければならない、こういうふうに思うのですが、金利も貸付条件の中に入ると思いますが、普通の場合でなく、貸付条件の緩和ということも考えられますが、そういう点についてはどうですか。
  28. 小室恒夫

    小室説明員 おっしゃる通りでありまして、こういう深刻な情勢で操短をやるのですから普通のコマーシャル・べースの金の貸し借りというような工合にはなかなかいかぬと思います。自然信用も少くなっておる状態で金を借りるということになりますから、人的、物的担保の上においても非常に問題があると思います。そこで今度の操短融資については、組合単位で組合の理事者が連帯保証をすれば組合に貸そう、こういう線でいく。もう一つは、商中なり中小公庫から言えば福井石川両県でやっておるように関係府県損失補償をやる、ああいう線を出して、二本立でいこう、ただし相手の組合によっては必ずしもそうむずかしいことを言わなくても相当やっていけるところはやってもいい、こういうふうな考え方です。今までの普通の金の貸し借りをやるのと違う態勢で話を進めておるわけであります。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 今の局長のおっしゃったような、たとえば播州織の理事長とも会ったのですが、組合金融でいくということは聞きました。そして早く希望通りの金が入るということが要望せられておったわけですが、私考えるのに、政府機関の金融機関ですか、よくいろいろな問題があるときにやりとりする言葉ですが、たとえば政府関係中小企業金融機関といえども、もちろんこれは社会保障機関じゃない、慈善事業じゃないから、やはり金利その他金融という立場からの条件をつけるのは当然だ、だがしかし二面においては、一般市中の金融機関でない、ことに高利貸じゃないじゃないかとわれわれはよく言うのですが、今日の繊維不況状態は、もう経済という問題から社会問題になっておると思う。社会問題だという立場をとるならば、これの救済という点もいわゆる経済的な問題からもっと社会的な——社会保障的なといいますか、そういった考え方に移行せねばならないのではないかと思う。従ってその貸付条件等も、今までのコマーシャル・ベースとかなんとかいうことでなく、もっと大幅に緩和したものが必要だと思うのです。これはむしろ繊維局じゃなく中小企業庁じゃないかと思うのですが……。
  30. 今井善衞

    ○今井説明員 特に綿スフ織物の不況対策としての操短操短資金が要るということ、これにつきまして、私どもその操短資金の確保について日ごろいろいろ商工中金とか、あるいは中小企業金融公庫指導しているのでございます。この操短資金の中には二通りございまして、一つは短期資金ともいうべきものでありまして、これは従来の糸を買います手形、これは織物を売ったときの代金で落すということで、比較的短期の資金でございます。これは比較的商業ベースに乗りやすいということで、金融関係の方も積極的に協力しておる資金でございます。それからもう一つ資金はいわゆる生産調整資金でございまして、これは織物の生産は落ちながらも、どうしても職工なり従業員は確保しておかなければならぬ、賃金も払わなければいかぬということで、何と申しますか、売り上げは少いにかかわらず、賃金を確保しなければならないので、外部から金を借りて賃金に充てなければならぬ、こういう資金でございます。従いまして通常の金融観念から申しますと、非常に金融しにくい問題になるわけであります。それから借りる方から言いましても、将来の返済のめどがつきませんと、なかなか借りる気にならない。これは福井石川人絹のときにそういう問題が起きているわけであります。綿につきましては、将来滞貨が比較的早くはけるということになりますれば借りる気持が起るわけでありまして、そういうふうな多少普通の金融ベースと異なるような金融でございます。従いまして市中銀行の金融には乗らない性質の金融でございまして、政府機関の方でもってめんどうを見る。ただいまのところ商工中金の手金半分と中小企業金融公庫の金半分との抱き合せでもって融資するということにしておるのでございます。その際に問題になります担保なり保証の問題につきましては、今までも借手の方では、ほかにも金を借りておりますので、従って担保なりそういうゆとりが非常に少い、これは非常にごもっともなことでございます。従いましてその担保条件を補完する意味で、補償の問題、特に府県の補償というものが必要ではないか、こういう問題でございまして、私ども主要な産地の府県に対してぜひこの問題のために損失補償してほしいということをお願いしておるわけでございます。大体各府県におきまして現在商工中金あるいは業界と折衝を続けておりますので、従いましてその問題が片づきますと最終的に金の貸し出しの態度もきまってくる、かように考えておるわけであります。  それからもう一つ金利の問題あるいは貸付期限の問題、これが非常に問題になっている事項でございます。この借りる方からいえば低ければ低いほどいいというのは当然でございます。しかし商工中金が主体になりますと、商工中金は御承知のように半官半民の機関で、他の出資者、民間の出資者の関係もございましていわゆる政策金利というものを商工中金自体が打ち出すわけにいかないということになるわけでございます。これにつきましては、どうしてもその対策といたしましては財政投資と申しますか、国の方でたとえば中小公庫に出資をいたしまして、そうして従来の金融機関の手金と合して、そうしてそこで従来の一割よりもっとずっと安い金利、たとえば六分五厘とかそういうふうな金利を作って政策的に貸し出すよりしかたがないのではないか。しかしこれはどうしても財政措置が必要でございまして、金利の面になりますと、ただいまの現状におきましてはやはり従来の金利を踏襲するよりしかたがない、かように考えている次第でございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 いろいろと聞きましたが、たとえば府県に対して補償をせしむる、こういうことが大体私は間違いだと思う。これはもうあなたに言っているわけではないので、これから先は大臣でないといけないと思うのですが、ちょうど大臣が来ましたから、ちょっとすわって下さい。  大体政府は卑怯だと思う。何かあるとすぐ政府は逃げ込んで地方にこれの責任を転嫁する、こういうことが多い。今日のこの場合においても府県に補償せしむる、こういうことは私は政府は卑怯だと思う。私は今日の経済不況の問題、ことに繊維不況問題等は経済問題として論じるならばいろいろと問題があろうと思う。私はむしろこれは社会問題であろう、このように考えている。従って金融にしてもそういう中小企業金融公庫にこうだとか、商工中金にこうだとかいうことでなく、政府自体がこの社会問題化した不況に対してどう処理するか、どう対策を立てていくかということが必要だと思う。  それで大臣は来てすぐですから、ちょっと要領がわからないと思うのですが、今質問しているところですが、私ちょっと申しますと、実は繊維の問題なんです。繊維不況対策で、私は今日もうこれは経済問題でなく社会問題になっていると思う。従ってこれの救済というか対策については、よほど踏み切った社会問題の解決という立場から臨まなければならぬと思う。従って操短資金等の金融についても、従来の貸付条件ではだめである。いわゆる担保その他の条件もうんと緩和する必要がある。同時にまた金利等もうんと下げなければならぬ。それから先ほどちょっと申し上げておったが、府県に融資についての補償をさすとかなんとかいうような、こういったなまやさしいことでなく、政府自体が解決する、こういう態度が望まれる。ですからそういった金融面についてこういった特殊な場合には普通の場合とは違った相当緩和せられた条件が必要ではないかと思うので、それについてどう考えておられるかということ。  それから織機買い上げの問題について、先ほど三万五千円とか四万円というような話が出ておる。私どもが聞いた話では十万円を希望しておる、こういう話を聞いたが、十万円が正しいのか、四万円が正しいのか、私はよくわからない。これについてはどのような対策を立てていくのか、しかもこれについては社会保障的な、社会問題解決という態度で臨む必要がある。それについて大臣の態度を聞きたい。  それともう一つ恒久的な問題としては、原綿割当制度あるいは原糸の入手の手続というような問題ですが、何といっても今までは大体政府それ自体が大紡績なり大企業擁護の政策であって、中小企業なり零細企業に対してはやはり押えつけた政策をやっている。従ってここで中小企業、零細企業のための原糸割当あるいは原綿割当というようなことについて大改革をやる必要があると思う。そういうことについて政治的な大臣の答弁をお伺いいたします。
  32. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。経済問題であるが、しかしながら現状においては単純なる経済問題として解決すべき時期でなく、社会問題として考えろ、こういうお話のようでございますが、通産省に関する限りにおきましては、この問題をやはりどこまでも経済問題として取り組んでいきたいという考えで今検討いたしております。しかしながらお説のごとく、現場につきいろいろな陳情も聞き、いろいろなお話を承わってみると、これはどうしても社会問題としてある程度の考え方をせなければならぬときに到着しているということも私ども同感でございます。従いましてこれは単に通産省の経済政策としてやるだけでなく、関係する各省との間の連絡もよほど必要だと存じまして、今ここにこれによってこういうような策を出すということは、通産大臣としての意見だけでは申し上げかねる点がありますものですから、その点に対しては御了承を願いたいと思うのであります。  それから織機買い上げの問題、これはすでに各方面から検討いたしました結果、これを実行に移さなければならぬということは先般の閣内においても意見が統一しておるわけであります。この点につきましては、あるいは五万台といい、あるいは四万台といい、いろいろな数字があるようでございますが、これが買い入れるということになりまするとまた弊害が一つ生じまして、今まで遊んでおった機械をおしろいを塗り直して買わすというようなこともあり得るようでありますから、そういう点のないようによく検討いたしまして、実際につぶす機械というものにつきましては、金の許す範囲において、一つできるだけ台数もよけい買い取りたいという考えでおります。価格面につきましても四万円とかあるいは十万円とかいう説もあるようでありますが、この点等につきましても、私どもは通産省とすればできるだけ金額をよけいふやして持っていきたいという考えがありますけれども、ここになりますといわゆる社会問題的の解決をせなければならぬということになりますから、関係各省ともよく打ち合せいたしましてその結論を出したい、こう存じておるわけであります。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 それから根本的な問題、原綿割当
  34. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この問題は、経済的に考えましたときに、自分で紡績の機械を持っていない人間に綿を割り当てるというふうなことは私は間違いだと思っております。ただ今日問題とするところは、あの割当によって一ポンド八十円のプレミアムがついているというふうなことがあるために、そういう問題が起るのだと思いますが、それは根本的に解決してしまって、原綿割当というものは原綿をアクチュアリーに使う人が割り当てられるという性質のものであると思っておるわけであります。その点につきましてただいま私は、織物業者の方で困っておるから、プレミアムがついておるから、これに割当をしてやるというふうなイージーな方法考えていくことは間違いだ、そうすればまた染色業者は同様にこれは自分に割当をよこせというふうになれば、割当趣旨というものが全然根本から狂いますから、私はこれは反対するつもりでございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 私の申し上げたいのは、現在の不況状態、ことに一地方、たとえば一市あるいは一地方のもう半数以上が、その職業に関連を持っており、このために一つの市の半分以上の人たち、あるいは一地方の大部分の人たちが、もうすでに死活の問題である、こういう状態である。こういう問題に直面したときにとるべき態度としては、私は経済問題でなく社会問題として、もっと経済的な頭を切りかえて、融資その他についても臨むべきではないか、そういうことを政府に要望しておきます。  もう一つ原綿割当とか原糸の入手の手続、こういうようなものについて、今までは、いわゆる大企業擁護という立場といいますか、尊重が強かった、これはいなめない事実であります。この間私たちが、これは大阪府の泉州地方ですが、聞いた言葉では、「ぼうせき」の「ぼう」は暴力の暴と書くと、こういう暴績の暴力を排除するというような声を聞いたわけですが、そういったことの声が起っているということを大臣は聞いていただきたい。今日までの大企業擁護という立場を、中小企業、零細企業を生かすためには、根本的なそういった点の改革が必要である、こういうことを申し上げているだけなんです。
  36. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ちょっと関連して。ただいま繊維関係生産調整資金の融資の問題がいろいろ論じられておるわけでありますが、そこで先ほど来、これも政府答弁を聞いておると、一般の業者が、担保力がないから、今度は個々の業者でなく組合単位でやるのだ、貸すのだ、しかもそれについては、関係府県の保証をとる、その方法でやるのだ、せんじ詰めればこういうことだろうと思います。ところがこの前の、たとえば福井あたりの経験もあるわけですが、この間私ども田中委員などと一緒に、蚕糸なり製糸なりの方面の業界も見ましたが、そこで実は、これは申し上げていいかどうか知らぬが、大阪府の商工部長も懇談会のときに来ておりました。ところがどうも府として保証するというようなことは今のところできない——とはっきりは言わなかったと思いますが、まあ大体できそうもないようなお話で、そこでわれわれ、とにかくしようがないから、通産局と府の方と業界とよく懇談して、何らか具体的に一つ策を早くきめてもらって、そして業者に一日も早くこの資金が入るようにと、こういうことでわれわれとしてはその程度しか申し上げられないできておるわけです。ですから、どうも現地について見ますというと、当局が考えているような方法ならば、結局業者に金が回らぬ。結論的にいえば、私は今のところそういう段階じゃないかと思うわけです。そこで何とかこれを打開する道としては、もちろん府県の方の協力を求めるということも必要でしょうが、一方例の信用保険の関係ですね、この話も出ました。現在一組合で、大体三千万円しか保険ができない。しかも填補律は五〇%、こういうことであっては、今度の融資の額も全国で三十数億、大阪関係だけでも六億ないしは六億五千万くらいと言っておるそうですが、とうてい一組合に対して三千万くらいしか府県にもつけられない、一方その保証もない、こういうことでは、もうとても、せっかくワクばかり与えてもらっても、これは先ほどのお話ではないけれども、絵にかいたぼたもちで、金がいきそうもない、こういうことで業者の人は非常に悲痛な叫びをあげておる、こういうのが現況であったわけです。従って私はもちろん一方において府県の協力を求めるということも必要かと思いますが、せっかくあるこの保険制度、これをこういう際に一組合三千万円といったようなことでなく、もっとこれを拡大しなければ、せっかくのこの制度も利用できないということになる、そこらについてはどういう考えを持っておるのか、この機会にちょっと関連して伺いたいと思います。
  37. 今井善衞

    ○今井説明員 ただいまの大阪御視察の問題でございますが、府県の補償、当初私どもとしては五〇%の損失補償を希望していたのでございますが、それにつきまして府県側として非常に異論があるということで、府県の側としましては補償しないわけではないけれども、切り詰めてほしいということが府県の真意でございます。私どもの方としまして商工中金が納得する程度の補償があれば商工中金の方から出るという意味合いで、商工中金と府県と今折衝してもらっておりまして、これは日ならずして解決する見通しでございます。ほかの府県におきましてもおそらくそういう状態になっております。  それから府県の補償だけでなくて、せっかく信用保証機構があるのであるから、それをこの際利用できるようにしたらどうか、これはしごくごもっとものことでございまして、ただいまこの法律によりますと信用保証協会の保証の限度は一組合当り三千万円ということになっておりまして、従いまして今度のような組合融資の場合にそれが非常に少額である、これは何とか解決しなければならぬという問題がございます。この点につきましてこの臨時国会にそれを改正するかどうか、その必要つがあるかどうか、私ども検討中でございます。
  38. 小平久雄

    ○小平(久)委員 今の問題ですが、私は先ほどお話ししましたが、何か問題があるとすぐ府県に持ち込んで府県に補償しろということはちょっと趣旨が違うと思う。むしろせっかく保証制度というものがちゃんと認めてあるのですから、その方を生かすように政府としてはやることがむしろ本筋じゃないか、どうも少し本末転倒しておるのじゃないかという、これは私の考えですから、大臣の耳に入れてもらって今後の参考にしていただきたいと思います。
  39. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 堂森芳夫君。
  40. 堂森芳夫

    堂森委員 大臣にお尋ねいたします。先刻小室繊維局長にいろいろ繊維不況についての政府対策について質問を申し上げておったわけですが、どうも局長では答弁しかねる、こういうことでございます。先般の特別国会に、繊維不況に対する決議を本委員会でいたしました。そこで国会閉会後今日まで、いろいろ新聞紙上でわれわれ見ておるものですが、政府の一般不況対策についても、いまだ政府与党においても一致した意見がない。きょうあたりの朝日新聞によりますと、党の意見が不一致である、政府与党の意見がまだまとまっていない。そうして国内における需要を高めるような刺激を与えて不況を乗り切ろうという方向には参らぬだろう、そういう方にはいかずに、個々別々に特に不況の深刻な方面について、何か対策を講じていこうかというようなことも書いてございます。しかし私は経済というのは個々すべて生きものであって、しかも密接な関連を持ったものであって、不況なものだけを取り上げてやっていこう、こういうようなことでは私は不可能だと思うのです。それはそれとしまして、繊維の問題にただいまは限るわけですが、先般特に要望いたしました決議の中に、根本的に繊維製品輸出について、これを大いに振興するような積極的な施策政府は講ずべきであるということが、実は重要な一つ項目であったと思うのです。また過剰な織機買い上げについて、早急に措置をせよ、こういうこともあったかと思うのでありますが、その後大臣としては、買い上げ織機の問題、それから輸出振興策について、どのような構想をお持ちになって参ったか、来たるべき臨時国会に補正予算を組んで一挙に大量な織機買い上げていこう、こういうふうな腹組みをお持ちになっておるか、この点を大臣に伺いたい。
  41. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 輸出振興につきましては、これは各方面からいろいろな検討を加えておりまして、特に繊維製品をいかにしてよけい出すか、それがためには賠償繰り入れとか、あるいは場合によってはある程度のクレジットを設定して、そのクレジットによって買わしていくとか、こういった方法もいろいろ考えまして、これを実行に移すべく政府は今努力最中でございます。何しろ相手方があることでありますから、今までほしいほしいと言っておったインドネシアが、人絹の方がいろいろ賠償でも払ってやろうということが幾らか漏れると、すぐにこれはあまり飛びついてこないとか、これは商売上のかけ引きもあると思いますが、またそのほかいろいろな点につきまして、相手方があるものだから、なかなか急に進まないわけでありますが、これは努力いたしまして、今度は各地区別におきまして、たとえばアメリカに対してはどういう方針をとるとか、中南米に対してはどういう方針をとるとか、あるいは東南アジアに対してはどういう方針をとるとかということを、さらに十分の検討を加えていきたいと思って、今輸出振興に努力している最中でございます。  それから織機買い上げにつきましてはこれは大体の意見は一致しておる点でありますが、その数量なり金額に応じまして、あるいはこの臨時国会において、補正予算を組んでもらえるということになれば、けっこうだと思っておりますが、そういうふうな点までは進まないまでも、何かそういうふうな補正予算を組まないでできる範囲におきまして、十分の努力をいたしたい。そこはまだどういうふうに補正予算を組むか組まぬかという問題は、ただいまのところは、政府は補正予算を組まないという方針で進んでおるようでありますが、これはわれわれといたしますれば、できるだけこの方面に対する出資ができ得るように努力いたしたい、こう存じておるわけであります。
  42. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、大量の織機を早急に処理していくという根本方針はお立てでございますか、いかがでございますか。
  43. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 大量と申しましても、量によることですけれども、相当多数のものを買い上げていくという考えで進んでおります。
  44. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると私はまたしつこく申さなければならぬ。大量というのは、私の方から思いやりで実は申した言葉なんです。実は本年は織機六千台を買い上げする、もちろん綿スフも含めてそうですから、とうていそんなものではだめなんです。ですから少くともそれの数倍は買い上げる、こういう腹をお作りにならぬと、これはだめなんです。もう来年や再来年じゃだめです。死んでから幾らやったってだめですから、その点もう一度伺っておきたい。
  45. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 六千台というような、そんな小さい数字ではだめだ、こう思っております。それも早くやらなければならぬ。死んでしまってからもういかに注射してもしようがないのですから、なるべく死ね前に実行したい、こう思うわけであります。
  46. 堂森芳夫

    堂森委員 どうも禅問答みたいになって、それでは困るのですが、少くとも絹人絹だけでも四万台過剰だと政府も言っておるし、しかももう早急を要する問題であって、来年、再来年を待っておれない。ですからできるだけ多く、そういうようなことではなしに、政府考えておるように、三万台、四万台という過剰な織機絹人絹だけでも余っておる。さらに綿スフもあるわけですから、そんな六千台、一万台というようなことではだめだ。その点もう一度重ねて御答弁願いたいと思います。
  47. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 何ぼでもよけい買いたいのですけれども、金がないのだから、しようがない。ですから今年はできるだけやって、できなかったら来年も引き続いてやる。根本において、死んでから注射しないような方針でやっていきたいと考えております。
  48. 堂森芳夫

    堂森委員 これ以上聞いても、大臣なかなか本心を言わぬものですから困るのですが、それではおそらく絹人絹あるいは綿スフの業者は倒れる。その責任はあなたの責任ですから、これ以上追及しません。そういうことでは業界がどうなるかわからぬ。これは大体御承知の通りだろうと思います。  もう一つの点は、綿スフあるいは絹人絹もそうですが、これはほとんど賃織でございます。業者はほとんど賃織をやっておる。ところが賃織の現状は、きわめて織布業者は不利になる。この間、綿スフの盛んな浜松の工場をいろいろ見ましたが、そうすると、仕事をしておって損をしておる。赤字になっておる。毎月小さな工場でも十万円、二十万円というような赤字になっておる。こういう工場も相当あるわけであります。これはやはり賃織の非常に不当な条件で、紡績業者あるいは商社が不当な安い織賃でやらしておる。こういう状態であります。こういう状態に対して大臣は打開策を持っておられますか、この点について伺いたい。
  49. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 これは賃織をさす方面と賃織をする方面と両方に分れますが、賃織をさす方面におきましても、やはりできるだけ金を払いたいという腹はありましょうが、それ自身に火がついておる。従って賃織の賃金等も値切るのだろう、こういうことが現状だろうと思います。やはり根本的に全体の織物業の振興を講じなければ、これは解決しないと思います。これらの点につきましては、賃織をさす方とする方と両方の間によく協調を保って、どうにか立っていくように話し合いをつけさせたい、こう思っております。
  50. 堂森芳夫

    堂森委員 大臣の答弁はどうも具体性がなくて、非常に不満足でございますが、もっとも今政府与党では不況対策について微妙な段階にあるように新聞では見ております。今後一つ通産大臣として、責任をもってこの不況を乗り切るために全力を尽されることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣にまずちょっとお伺いしたいのですが、大臣は岸内閣の閣僚の一人として、岸総理が三悪追放ということを大きく掲げられ、その中に暴力追放を第一に取り上げられた。だがしかし、大臣の所管しておられるところの業務の中で、この暴力を助長し、暴力団の逃走といいますか、指名手配を受けて逃亡しておる者に対してその逃亡資金を出しておる、こういうような事実があるとすればどういう態度をとられますか。
  52. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 もしそういうことが事実あったとすれば、やはり私は責任を感じます。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 これはきのうの朝日新聞——私はけさこっちへ出てきたので、これは関西の新聞ですから、東京の方で出ていたかどうか知りません。これは大阪の問題ですが、「逃亡ボスに資金援助」こういう見出しなんです。かいつまんで申し上げたならば、ことしの二月に犯罪を犯して、これは詐欺、賭博犯罪、名前は言わないことにしますが、土建業者のある組長ボス、これが全国に指名手配を受けておる。それに対して大阪府の自転車振興会から場内整理費、これが毎月二十七万円ずつ、二月逃亡以来六月まで、整理に出てきた人とは関係なく、毎月本人に渡されておる。こういう事実があるわけです。この自転車振興会の会計、経理については、昨年でしたか、自転車競技法の改正によってその予算及び人事は大臣の監督のもとに置かれ、認可を必要とする、こういうことになっておる。ところが毎月二十七万円ずつの場内整理費が支払われておるということは大臣の認可になっておるのですが、そういう事実についてはいかがでしょう。
  54. 岩武照彦

    ○岩武説明員 今のお話の点、実は東京の新聞に出ておりませんので、私も見のがしておりましたが、さっそく取り調べて善処したいと思っております。御質問がありましたように、競輪振興会の予算につきましては大臣の認可が要ることになっておりまして、その適正を期することになっておりますので、さっそく担当しております通産局長に指令を出しまして、至急調べさせたいと思っております。なおその経理に用いられない金といたしますれば、これははなはだ不当でございますので、適当に処分いたしたいと思っております。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 前にも横井社長のあの事件で、安藤組ですか、逃亡したとき等について、やはりそういったいわゆる暴力団の資金源がこういうところから出ておる、こういうことで警視庁からも何かそういうことのお話があったというようなことも新聞に出ておったと思います。ことにこういう問題がそういった暴力団の資金源をなしておる、こういうことはいなめない事実だと思うのです。そこで詳しいことは、あとで局長に聞きたいと思っておりますが、大臣、こういった問題についてどのような態度で臨もうとしておられるか、それだけ聞かしていただきたいと思います。
  56. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 今の田中さんのおっしゃるような工合に、競輪とか競馬とかいうようなものは、得てするとそういうふうなところに入りやすいような傾向があるということは、私は想像するにかたからざることだと存じます。従いまして、私どもの所管の競輪だとか、あるいはそういうふうな関係のものにつきましては、できるだけ十分厳重にこれは取り締っていきたい、こう思っております。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは局長はあまりこのことはよく御存じないようですから、もう少し私具体的に申し上げます。大阪府に四つの競輪場がある。昭和二十三年ですか、できた当時から四つの競輪場の場内整理費ということで、月三十三万円ずつ出されておったらしい。それが二十一年に一カ所減って三カ所になった。それでその分を控除して二十七万円ということで、それ以後ずっと出されておる。こういうことなんですが、大体場内整理費というのはどういう性格のものなんですか。その場内整理費の性格と、場内整理費を払っている自転車振興会と、受け取っておる何々組、こういうものとの間は、これは場内整理に対する請負契約なのか、雇用契約なのか。大体この二十七万円というものは、三カ所の競輪場で、何人の人が何日出ていったことに対する一日日当幾らという計算によって出されておるのか、そういうような点について、場内整理費の内情について少し具体的にお伺いいたします。
  58. 岩武照彦

    ○岩武説明員 競輪場の整理のために支出する金であります。競輪場の設置者あるいは振興会の力で整理いたします、おもに人件費でございます。ただ具体的な場合に、今大阪の三つの競輪場におきまして、どういう計算の根拠でそういう予算を組み、かつ支払っておりますか、これは調べて御報告したいと思いますが、予算の認可、これは大臣の権限でございますが、通産局長に委任しておりますので、私自身も今御指摘がありましたような金で認可しておりますかどうか、実は承知しておりませんから、至急取り調べて善処したいと思っております。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 大体場内整理費という性格はどんなものですか。これは大阪だけでなくて、どこもそういう名前で出されておると思うのですが、局長としてはそういう性格は握っておられると思うのです。この場内整理費という費目の性格といいますか、それはどういうものに対して出されるものであるのか。それから支払う方の振興会と受け取る方との間のどういう契約に基くものであるか、それは文書契約をやっているのか、やっていないのか。たとえばこの場合三カ所に月二十七万円なら一カ所九万円平均です。それでは、どれだけの人間が何日間出ていくことによって九万円という計算になるのか、そういう計算はどういう根拠によってなされておるのか、まずその契約の根本をお伺いしたい。
  60. 岩武照彦

    ○岩武説明員 御承知のように場内の整理のためにはいろいろな手数が要りますので、これはもちろん臨時の仕事でございますから、そのつど職安を通じて雇い入れるとか、あるいは特定の人にまとめて人を集めさせるとか、いろいろあるだろうと思います。性格はやはり一つの臨時の労務供給だろうと思っております。ただいろいろ競輪場によって違うと思いますが、具体的に人間をどういうふうにしておりますか。これはやはり土地々々でかなり違っているかと思います。いずれにしましても、性格並びに内容は、ただいま申しましたような、主として警備員の日当その他に充てらるべきものだと考えております。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、人員供給に対する契約だ、こういうふうにおっしゃったのですね。
  62. 岩武照彦

    ○岩武説明員 労務供給と申しましたが、これはいわば日雇い的な、個々の雇い入れの臨時労務者と、施行者が委任しております振興会との間に契約のある場合もありましょう。これが大部分だろうと思います。あるいはそういう人をまとめて監督しておる人に一括して支払っておる場合もあるかと思います。これはいろいろ状況が違うかと思います。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると労務供給契約であったら、その供給者は職業安定法によるところの認可を受けておりますか。もしそういうものでないとすれば、職業安定法の違反になる。そういうものに対する予算で金を出すことを通産大臣が認めておるなら、法違反のものに対して認めたということになりますが、いかがでしょうか。
  64. 岩武照彦

    ○岩武説明員 先ほど申しましたように、個々の人を直接職業安定所その他を通じて雇い入れる場合もありましょうし、あるいは縁故その他で来たものに対しまして、一括して支払いを委任しておる場合もあるだろうと思います。あるいはお話のような労務供給業者に払っておる場合もある。これは場所によっていろいろ違うかと思います。今の大阪の場合、どういうことをやっておりますか、至急調べたいと思います。  それから予算の建前は日当主義で考えておるのでありますが、具体的に今の労務供給業者で認可を受けないで営業しておる者に支払っておるとは考えておりません。これはやはりちゃんとした正当の許可を受けて営業しておる者を、利用する場合ならそういうものを利用する、こう考えております。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 私もっと聞きたかったのですが、大阪のことは具体的に知らない、こういうことだから、これで私のこの件に対する質問をやめます。  そこで資料といいますか、そういうものを要求しておきますが、大阪の自転車振興会が支払っておる場内整理費の明細な資料、どういう根拠によって支払われておるか。それから私のこの新聞によると、二月以来全国指名手配になっている逃亡中の人に対して、整理人員のいかんにかわらず、それとは無関係で本人に支払われておる。それが逃亡の資金になっておる、こういうことなんです。そういうことについて詳細な調査をして、次の委員会までに資料として出していただいて、それに基いて質問を続ける、そういうことにして保留しておきます。  それから次はこちらで大臣に質問があるそうですが……。
  66. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 大臣はこれでもういる時間がない。三十分までしかいませんから、それはあとにして保留でよろしゅうございますね。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは保留しておきます。
  68. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 加藤高藏君。
  69. 加藤高藏

    加藤(高)委員 大臣はお急ぎのようですから、ごく簡単に日中問題について二、三点お伺いしたいと思います。私は日中関係現状というものを非常に憂慮しておるものでありまするけれども、その後の日本の国内的な現状、また国際的に見ましては、中近東の問題の勃発等もございまして、日本といたしまして、政府といたしましても何らかこの際積極的に日中貿易問題についての解決について、具体的な政策を促進する時期が来たのではないか、このように感ぜられるのでありますが、これにつきまして大臣の御所見を承わりたいと思います。
  70. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私どもこの日中貿易を一日も早く正常に返したいという考えは、不動の考えでございます。このままでいけばだんだん悪化するということもよく存じておるわけであります。これで今後どういうふうに積極的に政策を変更するかという問題でございますが、その点につきまして、閣内におきましてもいろいろ検討いたしまして、あれこれと考えておるわけでございます。決して積極的静観といいますか、静観というにとどまっておるわけでありませんで、その点につきましては、今こういう方針で、こうやりたいということを、申し上げる時期に到達していないことをまことに遺憾に存じておるわけでありますが、いよいよ相当積極的にこの政策を実行に移していかなければならぬという考えは持っておるわけであります。
  71. 加藤高藏

    加藤(高)委員 ただいまの大臣の御答弁を承わりますと、近い将来には国民の望んでおります日中貿易問題についても、何らかの施策を期待できるというように了承してよろしゅうございますか。——つきましては、これに関連いたしまして日本商品展覧会の問題について、二、三点お尋ねしたいと思います。  武漢、広州におきまして開催されました日本商品展覧会は、出品物の価格が約六億五千万円、開催経費その他を含めまして約十二億円の巨額を投じまして、六週間の期間に百五十万人の参観人を集めて、きわめて成功裏に終了いたしましたことは御承知の通りであります。しかしながら、予期せざるところの日中関係の緊急事態の発生のために、重大なるところの障害を受けておるのであります。すなわちその一点を申し上げますと、出品物の六億円のうち、約五億六千万円というほとんど大部分の出品物が、中国側との間におきまして売買契約ができておったのでありますが、それが緊急事態の発生によりまして、全部破約となりまして、現在天津の倉庫に集積されておるわけであります。これを内地に引き取るというようなことになりますると、この引き取り運賃にも約四千八百万円という巨額な持ち帰り費用を要するということになったわけであります。  もう一点は、これは必ずしも緊急事態のみの原因ではないのでありまするけれども、現在中国側に対しまして五千八百万円ほどの未払い金がある。これは武漢、広州の会場の借入料、また武漢と広州間の輸送料、また武漢と天津間の輸送料であるとか、天津の倉庫料であるとかいうようなものを合計いたしまして約五千八百万円の未払い金がある。  その原因といたしましては、当初の予算編成に当りましては、約一億円の政府の補助金を要請いたしたのであります。これは六千万円いただいたようであります。これが一つの原因。しかしながら、前の北京、上海におきまして同じく開催されましたこの見本市は、補助金といたしましては、やはり同額の六千万円でございましたが、バナナ協会の差益金の寄付が約千七百万、実質的には七千七百万円の補助をいただけたというような形になっておるのであります。また中国側の運賃、人件費の値上り等であります。この五千八百万円にも達しまする未払い金をこのままにして、なおかつ、先ほど申し上げましたように、四千八百万円もの費用をかけてあえて出品物を日本へ持ってくるということは、日中関係に対しまして、将来にわたりましても必ずしも好影響は与えないと思います。これに対しまして大臣のお答えをいただきたいと思います。  続けてもう一点。二十九日の閣議で千七百五十万円の持ち帰り補助金をきめましたが、持ち帰り費用は、先ほど申しましたように四千八百万円もあるのでありまして、とうてい民間の力ではでき得ない。この点もあわせてお答えいただきたい。  もう一点大事な点ですからお聞き願いたいと思うのは、日中間の緊急事態、この緊急な事態を打開するために、出品物は中国向けに作った出品物でありますから、むしろこれを中国側に寄贈いたしまして、関係出品者に対しましては、これに対して政府が相当額の補助をする方法が一番妥当な線ではないか、かように考えておるのですが、この点につきましても大臣のお答えをいただきたい。また持って帰るにいたしましても、先ほど申し上げましたように、中国側への未払い金が五千八百万円ある。これに対しましても、このままほっておくことは国際的にどうかと考えられますので、あわせてお答えを願いたいと思います。
  72. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 先ほど申しましたごとく、日中貿易を一日も早く回復いたしたいという趣旨から申しまして、先般締結されました第四次貿易協定等のごときも、私どもこれは生かしていきたいという考えからいたしますと、今日この見本市の跡始末について、先方に五千八百万円も損をかけておるということは、そのままにすべきものではありませんし、また同時に出品物も必ずしも持って帰るということでなくて、あるいはそれは売約できたものもある。あるいは売約ということでなくて、両国の関係が正常化したときにこれを寄贈するということも、これは一つの有力な案として私ども考えたい、こう思っておるわけであります。これはいずれにいたしましても日中関係が全体に一日も早く解決するということを望んでおるわけでありますから、その解決がついて、初めて今の御趣旨のごとき方法考えていくべきものだ、こう存ずるわけなんでございまして、それを実行し得るように、一日も早からんことを希望する次第でございます。なお補助金の千七百五十万円というものは、どういうことだったということにつきましては、政府委員からお答えいたさせます。
  73. 日高準之助

    ○日高説明員 今の補助金の追加の点につきまして御説明申し上げますが、ただいまお話がございましたように、四千八百万円の持ち返り費用の増加が加えられたわけでございます。ただその際に全体として約一億ほどの不足という金額が出ておるのでございますが、ただいまお話がございましたように、予算の補助の対象額が運賃に限られておりました関係で、今までの予算の建前から参りますと、やはり運賃の持ち返り費用の増加ということしか対象になり得ないものでございますから、それで今までの予算の建前と同じやり方で計算をいたしまして千七百五十万円という金額を算出したわけでございます。従ってその他の金額の問題になりますと、これは従来の予算計上の建前からいきますと、ちょっと建前が違うことになるわけであります。
  74. 加藤高藏

    加藤(高)委員 この商品の売買契約になったやつは、将来日中関係が正常化されたら直ちに解決できる問題だというお答えがありましたが、御承知のように、出品した業界は割合に弱小な業界が多い、そういう点も御考慮に入れて、今のこの状態を一日も早く解決して、この日中貿易関係並びに見本市問題に関しても、明るい見通しの得られるような措置を講ぜられんことをお願い申し上げます。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 せっかく軽工業局から来てもらったのだから、一言だけお尋ねいたします。簡単でいいです。昨日都下の花火工場が爆発して十一名が死んで二名が重傷、こういう事件が起きましたが、その工場は前にも爆発をやった、それを、所は違うが同じ系統の会社の工場でまたやっている。何か最近に三回ばかり同じ会社で爆発をやっている、こういうことなんですが、前に爆発をやったときにどのような調査をし、どのような今後の措置を講じて、そうして自後こういった爆発がないような措置をどのようにとられたか、それにもかかわらず今回どのような原因でああいう爆発があったのか、そういうことについて、きわめて小さな企業のようですが、そういった設備が十分整っていないところで、そういった危険な作業をほかにもやっていると思うのですが、そういうことに対して、どういった点からどのような監督をしておるのか、こういった事件があったのに関連して、今後どういった取締りというか、事故が起らないような措置考えておられるか、かいつまんで申し上げましたから、それを一括して一つお答えを願いたいと思います。
  76. 岡嶋楢文

    ○岡嶋説明員 昨日事故を起しました丸玉屋工場は、昭和三十一年の十二月にも事故を起しておりまして、その際にも死者一名、負傷者三名の事故があった。それが昨日ただいまお話のような死傷者が十余名というような事故を起しました。花火工場につきましては、非常に零細な企業である、それからまたやっております人が、何というか名人芸というようなかたぎで、非常に近代的な保安の感覚なり、また経営の面につきましても非常に時代的にずれた方が多いわけでございます。火薬につきましては大体全国で花火工場が三百六十ございまして、これにつきましては都道府県知事の方に委任をいたしまして、その監督をやっていただいておるわけであります。まず法律的には製造設備につきましては、あるいはまた実際の製造上の技術士の基準、こういうふうなものについて、すべて許可制にいたしまして、また実際作業いたします場合にも通産省においてきめておりますところの技術上上の基準というものにのっとってやるようにいたしております。それからまた国家試験で丙種の作業主任者の試験を行いまして、その合格者だけが作業ができるということにいたしまして、それからまたその後につきましては年に数回の現場の保安検査をやる、また随時立会検査をやるということをいたしまして、法律上の保安を講じておるわけであります。  それからわれわれの方では、まず何と申しましても作業をする人の問題は一番重要でございまして、従業員の保安教育という点に重きを置いておるわけでございまして、その点からは毎年事故を集計いたしまして、いろいろな原因を究明いたします。それを分析して事故研究会というものを行いまして、特に煙火工場に対しましてはそういうような事故研究を行いまして、それから随時講習会なりを、本省直接あるいは都道府県知事の方のお力でやっておるわけであります。そういうようなところで保安教育をやっておるわけであります。  それから先ほど申し上げましたように、何分にも零細企業が多くて、事業主が職人かたぎの強い方であるというようなところから、特に保安上の設備には重点を置いて改良して参りたい。そういうところから、実は今年度中小企業庁の設備改善の補助金につきましても、煙火工場の保安上の設備に格段の措置を講じたというようなことを始めておるわけであります。今回の事故につきましては今のところまだはっきり原因がわからないようでございますが、どうも打ち上げ花火の黒色火薬を紙に載せまして、それをまるくくるめまして、玉を上に載せるわけでございますが、黒色火薬が非常に摩擦に敏感であるというところから起った事故ではなかろうかと考えておるわけであります。今後とも特に零細的な煙火工場の保安については、格段に災害予防の措置を講じたいと思っております。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 これでおきます。こういう事故が起ったときにまず考えられることは、その事故によって被害を受けた人たち、これの救済の問題ですが、これは労災保険等にもちろん入っていると思うのですが、そういう点もあろうと思います。それから付近の一般民家に対する被害についての救済の問題があると思うのです。それから今後そういうことが二度と起らないように、またそういうことがあれば付近の民家がやはり安心できない、そういう点についてのいろいろな対策、こういうことが必要だと思うのですが、こういうことをあわせて伺いたい。
  78. 岡嶋楢文

    ○岡嶋説明員 ただいまの被害者に対する救済措置でございますが、これは法律上いろいろございましょうが、われわれといたしましては事業主が許す限りの、できるだけの慰謝金を出して、事業主の許す限りの措置を講ずるように指導して参りたいと思います。現在までもそういうようなことがあった場合には、できるだけそういうような趣旨に沿うような指導をいたしておるわけであります。  それから第二の隣家、隣接の家屋との関係でございますが、火薬類取締法では、火薬工場に対してはどれだけの家屋に対しては保安距離を与えなければならないということをきめておりますし、一応一定の距離をとるようにいたしておるわけであります。そういうようなことで、実際にもできるだけ距離をあけまして、隣接の家屋等に被害のないように掛買を講じておるわけであります。
  79. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 次会は八月十一日の午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。     午後零時四十分散会