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五島委員 大体経過はわかりました。しかしこれは、なるほど建築の確認申請があったのは三十二年の六月七日で、そうして二十一日以内に確認をすべき場合は確認をしなければならないという基準法の
内容ですが、そこで十日を経て六月の十七日に、確認を市の建築課がしているわけです。その確認の前、六月十五日に旅館業法の施行があった。そして官報所載は二十一日になっているのですが、その間に確認が建築に関する限りにおいては、その以前であった。建築を申請した人は、最初から旅館営業をしたいと思っておった。ところが旅館営業の許可申請が出てきたのは、それからずっと二カ月も過ぎてから、去年の七月三十一日に保健所を経由して提出されたというわけですね。もうすでに建築の事実は始まった。従ってこの許可確認によって、建築がだんだん
基礎打ちされた。その
基礎打ちされた
あとに許可の申請があった。そこでずっと越えてことしの五月、総選挙半ばに知事の不同意があった。そして市も不許可にされたわけです。期日は一年たっているわけです。一年たっている間に、たとえば不許可の理由が、学校、幼稚園から直接中の施設が展望できるとかいう。展望できるという場合も、できるから許可しないんだというのだったら、展望できないようにしたらいいんじゃないかというような指導をすればいいし、それからまた、いかがわしい風俗等々は改正させればいいわけですが、不許可まで一年間も放置してある。しかも建築は昨年の十一月から十二月にかけて完全に、いかがわしい室内の飾りとか、あるいは玄関わきにヴィーナスの像を建てたとかいうようなことが、昨年の末にはでき上っておった。そうして建てた人は早くこれを営業をしたいと思っておられる。ところがそれからなお半年放置されて、五月一日に不許可をやられた。そうすると建物が建ち上ってもう営業ができるというてから、四カ月、五カ月後に不許可になっておるわけです。どういう理由で不許可になったか、それはわかりませんが、最後のぎりぎり五月一日に不許可になったときは、すでにヴィーナスの像ができ、あるいは中が美麗過ぎたり、赤色、青色にいろいろ部屋を塗って、感情を刺激するような建物だと思われたことは、半年前にわかっておった。そうして五カ月後にこういう理由で改造しなさい、入口を変えなさいというように言うて
——いや、言わないで不許可になった。その前に
話し合いがあったことは想像されるわけです。何も
話し合いをしないで、お前のところはあ
まりきれい過ぎるから不許可にするぞといってぽんと不許可にして、数千万円かけた建築に、それだったら下宿屋にせぬかいとか用途変更なんか指導されるはずがないと思う。そこで不許可になったわけです。県知事の不同意があった。不許可にしたのは教育
関係が反対したから不許可にした。ところが五月一日に不許可にしたのが、再申請が出た。そうして二カ月、三カ月の間にそれを改造された。なるほど改造されたという個所を聞いてみると、入口を幼稚園の生徒が通らない方向にわざわざ作ったとか、あるいは地下室に入っていく入口を別に作ったとか、あるいはヴィーナスの像を取り払ったとか、それから、展望されるような、中の行為がわかるような、そういうところには高いへいを作って、幼稚園の生徒が見れないようにしたとか、各部屋々々には窓を作ったとかいうようなことをやって再申請を出されたようですけれども、そうすると二カ月後の今日においては、それが今度は清純な、教育に支障がないというところまで改造されたかどうかということは、こちらはちょっとわかりませんけれども、今や間もなく許可になりそうだ。そうすると神戸の婦人団体等あるいはその他の神戸市民が、
新聞に書きますから全部知っておるわけですが、すると、もう建築が始まって、しょうがない、建築の事実行為が始まって事後承認の形において、一度不許可になったのを再び、いろいろの運動等々でこれは許可せざるを得ないじゃないか。そうすると、百メートル以内の教育の清純を守るという法律の
内容、著しく教育の清純を害するというような、著しいという判断は主観的な問題であって、わからないのじゃないか。そうすると、今後も百メートル以内に建ててしまって
——建ててしまってということは今後はないでしょうけれども、建って、そうしてこれは著しく教育の清純を阻害しないんだと市や県が判断し、建設省がそれでいいんだ、著しい阻害じゃないんだというようなことに
——なるほど著しいというのはばく然たる問題ですから、そこで著しく阻害しないと認めるということで、どんどん建てられたら、金のある者は得じゃないか。すると旅館業法の一部改正で、百メートル以内にはというような規定そのものは、死んだも同然じゃないかというようなことになる。しかも一年もかかった
あとの五月一日に不許可をして、二カ月経過した今日においてはそれを許可せざるを得ない、もう間もなく許可するんだということです。そうして、こんなのは許可しないでくれといって反対の陳情をされる
人たちには、陳情はおかしいから請願にしてくれとかなんとかと言われるというのです。だから、旅館を建築し旅館営業をしようとした
人たち、あるいは今伊藤
委員から言われたように、売春禁止法に伴うそれが転業で、新しく旅館を建てるかどうかというようなことなどは、私は問題じゃないと思う。できるだけ転業しなければならぬ。従って、そういう
人たちがそこに旅館を建てたから売春行為がそこで行われるであろう、従って教育環境を害するであろうと、その最後のことを想像するがゆえに反対する、行為がないのにそういうように断定するということもどうかと思うのです。それから、もうすでに法上では売春婦がいないのです。いないのに売春が行われるであろうと想像するのもおかしいのですけれども、事実はさいぜん安田
局長が申されましたように、いかがわしく転落している人がある。そこで、売春禁止が四月一日から実施されたのだ、業者は転業しているのだ、そうして鳩森事件以来旅館業法の一部改正が行われて、百メートル以内には今後建てることができないのだと
一般は思っている。だから、教育環境は非常によくなったと思っている。そういうような期待がある矢先に、ま隣りに展望できるような旅館を営業したり、非常に美麗な部屋ができたとかいうようなことで、
一般が想像するのも無理がないと思うのです。そうして五月一日に、こういうのは適当していないからということで不許可を与えて、二カ月、三カ月たった今日においてはもうやりますというようなことで、市民
一般は市当局の豹変だと言っておる。そこで、法に照らしてほんとうに清純な教育を阻害しないという判定はだれがやるかというと、市民個人じゃないわけです。それは知事の同意、市長の許可、そうして問題があった場合には尾村さん
たちがサゼスチョンを与えられるでしょうけれども、市民
一般はそうは
考えないのです。そこで市民に対するところの筋を通して、ただあやふやに許可を与えたり不許可を与えたりすることは、市民
一般を惑わすものだ、それはその土地の住民に対してもいけないというように私は思うのです。そこで、この
委員会で尾村
局長に、どうですかといって神戸の問題一点をとらえてあなたに聞く気持はなかったわけですけれども、神戸市から
局長が来て、
局長に対して相談をされた。
局長に対して相談をされたということは、かつて相談をしておられたからだろうと思うし、なおまた神戸地方の
新聞では盛んに取り上げられ、そうして公開
質問状まで出しておるというようなこと、これは全国的な問題だと思うのです。これは神戸市だけに限らず、全国的にこういうような事例が発生した場合は、事実を認めざるを得ないがゆえに営業権が許可されざるを得ないというところに追い込められるということならば、法の精神が曲ってしまうのじゃないか、こういうように
考える。それからもう
一つ非常に問題にしていることは、こういう
一つの例ができれば、次だってそうじゃないか、次も次もということで、教育環境を金の力によって破壊されるということは困るのだというように神戸市民の
人たちは思っているようです。
そこで、今後の問題について、どういうようにこれを指導されていくか。もちろん
局長が言われましたように、旅館業法が改正された今日に至っては、建設
関係と衛生
関係とでよく連絡を保って、合議制にしてやっておるそうです。神戸市は、昨年の十一月から合議制にしたというのです。旅館業法が改正されてから、半年前やっと合議制になったというのです。それまではてんでばらばらです。そうすると、一方では建築の
適格基準があって、建築は建築基準の方面から確認したり不確認したりする。一方では衛生
関係で、旅館業法に照らし合せて、環境衛生の問題として許可していいか不許可していいかをきめるというようなことで、てんでばらばらであった。しかし今では、昨年の末からでも合議制になっているから、今後は誤
まりがないと思うのですけれども、現実に建ててしまって、さあ建ってしまったから許可してくれろというようなことで、多くの反対があるにもかかわらず、
あとでは感情の問題になって、陳情している方が悪いみたいな表現をされながら営業が許可されるということは、私は困ると思う。そういうような行政をされると、民心を惑わすようになるのじゃなかろうかと思うのですが、この問題について今後はどういうようにわれわれは解釈したらいいでしょうか、お伺いしたい。