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滝井委員 時間短縮の問題は、やはりある程度
企業の自主性にまかせることも必要かもしれませんが、この際積極的に
政府が時間短縮の問題を打ち出していく以外にはないじゃないかと思います。と申しますのは、さいぜん技術革新の問題が出ましたが、
日本の生産力をぐんぐん高めていくためには、当然技術革新をやらなければならぬ。しかしいま一方
考えてみると、
日本の人口構成というものは、生産年令入口というものがここしばらくは非常に膨大になっていく、こういう形があるわけです。従って
日本の生産力と人口の競合という問題をどうしても破ろうとするならば、時間短縮というこの単純な真理で割り切っていく以外には、
日本の
雇用の
増強というものはあり得ないと思うのです。
日本の
雇用が非常にたくさんあるということは——本質的に
雇用の状態を見るとたくさんはないのですけれ
ども、
日本の
雇用のとり方というものが、一時間働いておっても
雇用になっておるのです。結局その
雇用の
実態というものを見ると、
賃金が安い、労働時間が長い、
雇用契約も明白でない、退職金の条件もない、こういう形で、いわば不安定
雇用の形です。しかしその不安定
雇用でも、
日本では
雇用にありついておれば、どうにかみんなが満足しておる。
大臣の言われるように、アメリカのように高い生活ではないのですから、どうにかそれで不承不承ながらがまんをしていく。こういうのを何と言いますか、非自発的な就業だと学者は言っておるのですが、そういう形だと思う。自発的に就業しておるのではない。非自発的就業だ。アメリカその他ではみな自発的就業だ。
自分のしている職業が悪かったら、やめてほかにかわればいい。ところがわれわれの方は非自発的就業だ。
中小企業の方はそういう状態で、さらに農業に至っては、その
雇用量というものは非常に大きいのですが、その
労働条件の劣悪性というものは実にはなはだしい。しかしはなはだしくても、これが
雇用の
一つの単位になっていることは確実なんです。完全失業者の中には入っていないという、こういう
日本の農業なり
中小企業の
雇用の特殊性を、一応われわれは知っての上の話なんです。だとするならば、これはまあまあ貧しいながらも、すべての人に職を与えようとするならば、第一段階として
日本としては、労働時間を短縮して、食うだけのものを保障する姿を第一歩としてとならければならない。それがとれたならば、次の段階において
雇用の質の改善をやらなければならぬ。契約も結んでもらおうし、失業
保険もやってもらおう、こういう形に持っていく以外にないのではないか。
日本の
雇用の形態というものは、きわめて非近代的な
日本的な特殊性を持っておるが、しばらくはやむを得ない。しかし、だんだんそれを近代的なものに変えていく努力というものは、労働運動を通じ、あるいは
政府の施策を通じて、これを戦い取らなければならぬと思うのです。そういう
意味で、この段階で、
日本経済がこういう行き詰まりを来たしておるときは、何といっても
雇用増強の
政策の中における
中心は、私は時間短縮以外にないと思う。それが週給制が先に言われて、時間短縮が
労働行政の中でとれない、どうもそれが積極的に推進できないというのでは、私は納得がいかないのです。これは
労働大臣と水かけ論になりますが、
労働大臣も週給制を言われた程度に、時間短縮を
一つやろうじゃないかというぐらいの呼びかけはやってもらいたいと思うのですが、これは
大臣も、先ほどからなかなか御答弁ができないようでありますから、これ以上は追及はいたしません。
そこでもう
一つ大臣にお伺いしたいのは、公共
企業体の問題です。これはILOの批准とも
関連をしてくる問題ですが、公企体の審議会から、公社
制度の改革に関する答申が出ておるわけです。
大臣はこの公社
制度の改革と公労法の
改正、これは四条三項が
一つの大きな問題になるところでしょうし、それから予算上、資金上の措置の問題も問題となると思いますが、同時にILOの批准とも
関連する問題です。一体これらの
三つの
関係をどうお
考えになっているのか。公社
制度の改革の答申の問題、公社
制度が改革できない間は、公労法は、しばらくそのまま見合った形でいくのか、また当然公労法の
関係が出てくる、ILOの八十七号かの批准の問題も出てくる。この
三つの
関係を
大臣はどうお
考えになっておるか。それを
一つお教え願いたいと思います。