運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-06-26 第29回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十六日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 園田 直君    理事 大坪 保雄君 理事 田中 正巳君    理事 野澤 清人君 理事 八田 貞義君    理事 小林  進君 理事 五島 虎雄君    理事 滝井 義高君       小川 半次君    大石 武一君       加藤鐐五郎君    藏内 修治君       河野 孝子君    齋藤 邦吉君       田邉 國男君    中村三之丞君       中山 マサ君    藤本 捨助君       柳谷清三郎君    山田 彌一君       亘  四郎君    赤松  勇君       伊藤よし子君    大原  亨君       岡本 隆一君    河野  正君       多賀谷真稔君    堤 ツルヨ君       山口シヅエ君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 橋本 龍伍君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房長) 太宰 博邦君         厚生事務官         (保険局長)  高田 正巳君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚生事務官         (医務局長)  小沢  竜君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君         厚生事務官   高田 浩運君         (児童局長)         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 六月二十四日  委員中川俊思君辞任につき、その補欠として篠  田弘作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員篠田弘作辞任につき、その補欠として中  川俊思君議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員吉川兼光辞任につき、その補欠として鈴  木一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十四日  全逓及び日教組等労働組合に対する弾圧反対に  関する請願西村力弥紹介)(第九号)  活性酸素利用による健康保持に関する請願(長  谷川四郎紹介)(第一一号)  身体障害者年金制度創設に関する請願中原健  次君紹介)(第六七号)  同(山崎始男紹介)(第六八号)  完全雇用のため国土開発事業実施に関する請願  (永田亮一紹介)(第七三号)  し尿終末処理施設費国庫補助率引上げ等に関す  る請願丹羽兵助紹介)(第九四号)  国民年金制度創設促進に関する請願丹羽兵助  君紹介)(第九五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生行政に関する件      ————◇—————
  2. 園田委員長(園田直)

    園田委員長 これより会議を開きます。  先般厚生行政について厚生大臣より所信が述べられたのでありますが、本日はこれに対する質疑を行います。滝井義高君。
  3. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 きょうは橋本厚生大臣就任をされてわれわれにごあいさつをされたあとの、初めての大臣の今後のいろいろの施策に対する方向をお聞かせ願いたいと思うのですが、私は現在の日本の保守党の政治家の中で最も尊敬をしておる一人である橋本先生が、厚生大臣就任をせられたことを非常に同慶の至りであると思っておる者の一人ですが、しかも橋本先生は第三次吉田内閣厚生大臣をおやりになって、二度目の勤めでございます。私が衆議院に出て以来、山縣大臣以来の大臣は大がい——七人経過しましたが、川崎君を除いては、全部いわばしろうと大臣ですが、橋本先生は幸い二度目のベテラン大臣であるわけです。従っておそらく厚生行政に対する施策方向づけというものは、期して待つべきものがあるだろう、こう推定をし、心強く思っておるわけです。  そこで、私大臣にお尋ねしたいのですが、実は堀木さんが厚生大臣になってから、堀木さん、一体あなたは何をおやりになりますかという質問をしたのです。昔から、芸術は長いけれども、人の命は短いということわざが、西洋にも日本にもあるのだが、歴代の厚生大臣の命は、まあ長くて一年ちょっと、普通は七カ月そこそこだ、こう予言をしておる。従ってあまりこれもやるこれもやると言ってもできないのだから、一つあなたが男一匹をかけてやるものは一体何なのかという質問をいたしましたところが、堀木さんは、皆保険基礎的条件整備することが私の厚生行政の眼目でございます、こういう名答弁をやった。その後厚生行政と見ますと、大体皆保険基礎的条件整備する方向に、その答弁を契機として、一貫した歩みをやっていったような私は感じがしております。そこで基礎的条件とは一体何なのか、こう申しましたところが、堀木さんは三つあげました。一つ昭和二十六年以来問題になっておる社会保険診療報酬の問題を解決することが、皆保険基礎的条件の第一なんだ。二番目は、医療機関の地域的再配分をやっていく。三番目は、結核対策の推進。大体この三つ自分は今基礎的条件考える。しからば三つのうち、一体あなたがまず最重点を置いてやるものは何かと言ったら、それは社会保険診療報酬の問題を解決することである、こう言明をせられて、今問題になっている甲乙二表の十円単価のあの案を出してくることになりましたが、まあごたごたがあって、結局その出した案の最終的な実施にまでいかずに、大臣は足かけ十一カ月ですか、私の予言した通りに、一年以内でその命を終ったわけです。そこでベテラン橋本先生にお尋ねしたいのですが、一体前大臣あとを受けられた橋本厚生大臣厚生行政方向というものは、一体どういうところに主眼を置いてやっていかれるのか。この前の厚生大臣のごあいさつを私ずっと一通り系統的に書いてはみましたが、これはほとんど厚生行政の全部にわたっておりますし、これだけのことはなかなか岸内閣の四年をかけてもできないだろうと思うのですが、そうしますと、やはり大臣重点的にやっていかれるものがなければならないと思いますが、それをまず一つお聞かせ願いたいと思います。
  4. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 私今回厚生大臣を拝命いたしまして、一生懸命やって参りたいと思っております。過分のおほめをちょうだいいたしましてまことに恐縮でございますが、決してそんなところではございませんので、今日の状態というものは、世の中も複雑になりまするし、いろいろなむずかしい問題が山積をいたしておりまして、ただ個人の知恵や善意のみでは解決のできない問題が多いのであります。どうかこの上とも御理解と御支援をお願いをいたしたいと思います。  ただいまの御質問の問題でございますが、当面しておりまするいろいろな問題がございますが、私は自分の心がまえとしては、今日、実は在任期間のうちこんなつもりでやりたいと思っておるのであります。それは、最近数年の間、厚生行政で起って参りますところのいろいろな医療保障に関しまする問題、国民年金に関しまする問題、あるいはその他いろいろな問題を見ておりまするのに、何と申しますか、いわゆる恩恵的社会政策で、貧しい人、弱い人たちにできるだけ社会政策的な救済の手を伸べるといったような方式で発足をしたものが、だんだん世の中が進んで参りまして、そうした恩恵というよりも、近代福祉国家を合理的に運営いたして参りまする上で、経済計画と並んで、必須の仕組みとして、所得のアンバランスを埋めるといったような面を十分に考慮しながら考えていく近代的な社会保障へ移りていかなければならない。そのための悩みというものがいろいろな面で出て参っておると思うのであります。診療報酬の問題にいたしましても、本来的には助けてあげるんで、実費でけっこうだというようなところから発足した仕組み自身にひそんだ因縁というものが、今日もいろいろ問題の上に出ておると思うのであります。  私そういうような点を考えてみまして、厚生省仕事のしぶりの面で従来の行き方を見直して、新しい近代的な社会保障としては、たとえば医療保障はどういう面を考えればいいのかとか、あるいは国民年金創設の問題でありまするとか、あるいは環境衛生の問題であるとかいうようなものを、私実はそういう新しい観点で一わたり見直してみたい。そして自分の一代で何も全部ができることじゃありませんけれども、将来厚生省としては、今まであまり注意を置いていなかったけれども、こういう面に注意を置いてやらなければならないという、過去のレールを見直して、将来のレールを新たにながめ回してみるといった点を一つぜひやってみたいと考えておるのであります。そのためには厚生省機構などもやはりいろいろ考えてみなくちゃならぬ問題があると思いますが、そうした観点で見直したところに従いまして、私は、特に何が重点というふうなことでなしに、いろいろな面に落ちのない仕事をやっていきたいと思います。  ただ当面やはり仕事の多いのは、国民保険を軌道に乗せて推進いたして参りまする問題、それから来年度から、たとい薄くても国民年金制度を三種類にわたって創設いたします問題、もう一つの問題は、非常におくれてしまいました環境衛生の問題をどうやったら急速に解決ができるのかという努力、これが仕事の量としては非常に大きなものであろうかと考えておるのであります。  大体今日考えておりまするあらましの考え方はこういうことであります。  前大臣のやってこられましたことを引き継ぎを受けました。これはなかなか大事なことでありまして、私も十分な重点を置いて処理して参るつもりであります。
  5. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 今大臣の御答弁をいただきましたが、これを要約いたしてみますと、非常にマンネリズムに陥っている厚生行政というものを一ぺん根本的に見直してみたい、これが橋本厚生行政一つの大きな新しい面のようでございます。あとの皆保険の問題、それから年金の問題、環境衛生の問題と、大ざっぱに言って四つくらい言われておりますが、環境衛生の問題は、これは環境衛生関係業態自体の問題も、環境衛生に関する法律がもうすでに出ておるのですが、この業態の今後の運営の問題なり団体結成の問題があると思います。しかしやはりもっと重大な問題は、日本における人口の増加と近代的な科学技術の進歩にある新しい化学工業の勃興というものが、われわれ人類の生活環境というものに急激な変革を与えておりますが、そういう面で、いわゆる公害——本州製紙の問題なんかに出ている汚濁水防止、こういうようなものもやはり速急にやってもらわなければならぬ問題だと思います。皆保険厚生年金の問題は、これはまあ、厚生行政における福祉行政と合せた三つの柱のうちの二つをなすものであります。  これらのものを一挙に全部はなかなかむずかしいことだと思いますが、まず第一の厚生行政を見直してみるということなんですが、一体厚生行政をどういう工合に見直していかれるのか、これを一つもう少し具体的に御説明願っておきたいのです。
  6. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 先ほど私の申し上げた中にちょっと誤解があるようです。環境衛生の問題は、業態整備の問題がこれからあるのだというようなお話がありました。私が申し上げたのは、環境衛生施設の問題、水道だとか下水道、屎尿処分、それからただいまお話のありましたようなものを含めての環境衛生施設整備といった問題、それが非常におくれてしまっておるのでそのことを申し上げたのでありまして、あの環境衛生整備という、理髪業その他の問題を私申し上げたのではございません。その点だけ訂正いたしておきます。  それから従来の厚生行政を私見直してみたいと申しましたのは、まだ本日具体的にどこをどうするという面を申し上げるまでに至っておりません。ただいろいろの面で断片的に痛感するところがございますので、国民保険の間における医療のあり方でありまするとか、あるいはその他いろいろの問題につきまして、私の申したような観点で今まで通りでいいのかどうかということを、これは皆さんの御意見等も承わりながら、省内で検討をいたして参りたいと思うのでありまして、本日具体的にどこをどうということはまだ考えておりません。
  7. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 厚生行政を見直してみるということについては具体的にお考えになっていないそうでありますので、これ以上追及いたしませんが、私はやはり今日本厚生行政というものは一つの転換期に立っていると思うのです。もうすでにわれわれがこの委員会で何度もこれを指摘したのですが、たとえば治療の面、いわゆる病気が出てからそれに金をつぎ込むことに力を入れて、予防面というものが非常に無視されておるのです。あるいは犯罪が起ってからこれをひっくくることには力を入れるけれども、その前の青少年の不良化防止児童の問題については、あとで時間があれば質問をいたしますが、たとえば保育所の問題というような、人間でいえばいわゆる前段階の問題、こういう面に力が入っていない。こういう日本厚生行政の大きな欠陥というものは、今後厚生行政を見直す上にどうしてもやはり考えてもらわなければならぬ問題だと思います。これはいずれ大臣厚生行政を見直してみたいということでございますので、ぜひ一つ、十分検討していただきまして、りっはな成案を得ていただきたいと思います。  次の皆保険厚生年金大臣のぜひやりたいという二つの問題についてでございますが、元来日本人というものは新しがりやというか、目先ばかり追う傾向がある。今から五年くらい前は、かねや太鼓だ結核対策をはやし立てた。ところがその結核対策がいまだ地につかない前に、皆保険政策がはやし立てられる。その皆保険政策がいまだ地につかず、未完成段階において、国民年金問題というものが大きく時代の脚光を浴びるという形になってきた。元来その年金というものは、皆保険という磐石不動の基盤の上にそびえ立つ年金制度こそ、ほんとうの年金制度である。皆保険に対して、保険料さえもよく払うことのできない日本の大衆というものか、順当な年金制度を打ち立て得るとは、なかなかこれは常識的に見て、考えることはできないだろうと思う。そういう意味で、今度の選挙では自民党さんの方では国民年金制度をやるんだということと同時に、七百億の減税をやるんだということを言われたわけなんです。今まで厚生省大臣で、年金制度をいつから実施すると言明してくれた人はありませんでした。堀木さんも言明できなかったし、岸総理も言明しませんでしたが、橋本厚生大臣になられて、大胆にも昭和三十四年からこれをやりたいということで、この大臣あいさつの中にも「昭和三十四年度から老齢者母子世帯身体障害者等に対する国民年金を漸次実施されるように、諸般の準備に万全を期して参りたいと考えております。」と、こう書いてあります。何年からやるということを言われたのは橋本厚生大臣をもって嚆矢とするわけであります。そうしますと、選挙公約で、七百億の減税をやる。それから国民年金昭和三十四年度から実施をする。皆保険昭和三十五年度までには完成をする。まだ多分国民健康保険に加入をしていない者は、非常に少く見積っても二千二百万人、そうすると三十三、三十四、三十五と三カ年やると、七百万から七百五十万、へまをすると八百万ずつくらいは入れなければならぬ、こういう形になるのです。一体きょう新聞にも、昭和三十二年度の税の自然増収は当初予算に比べて千三十億三百万円の自然増がある、補正予算基礎にしても六百五億上回る、こういうことですが、これは六百五億全部つぎ込んでしまっても減税にも足らぬ、こういうことになるのです。一体ここらあたりの矛盾をどういう工合解決をしていくかということなんです。これは大臣は若い時代には大蔵省のお役人としての経験もあられますし、財政的な経験も非常に豊富でございますので、しろうとの私に十分な示唆が与えていただけると思いますが、このような矛盾を、一体今後厚生行政の二大支柱である皆保険年金を遂行していく場合に、どういう工合にこれを調整していくかということ、これを一つお聞かせ願いたいと思います。
  8. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 直接御質問にお答えいたしまする前に、ちょうどいい機会を与えられましたので、大体国民年金制度実施に関しまして、どんなふうな手配なり、今のところ考えを持って進めておるかということをもう一度聞いていただきたいと思うのであります。  国民年金制度につきましては、私も前々から多少、党におりました時分に関係をいたしまして、この立案に多少の参画をいたして参ったのであります。昨年内閣社会保障制度審議会諮問案を出し、また厚生省国民年金委にも作業をお願いをいたしておるわけであります。先般これの答申が得られました。ただこれは財政的にも、一応事務費を除いて初年度五百八十億という財政負担を出しております。内容を拝見いたしますと、まだまな非常に荒いものでありまして、どういう立て方をするとそのどの項目によってどれくらいかかるか、それから実施の面についての手間がどれだけかかるかといったような問題につきましては、よほど掘り下げてみないとだめなわけであります。実施をいたしまするに当っては、ただいま滝井委員から御指摘のありましたように、大へんな問題であります。イギリスの国民年金制度実施に関しまする法制を見ましても、これは何十年という間に年金を毎月かけていく、その掛金一つ仕組みをこしらえてやるということだけでも、なかなかもって来年度から実施するのは大へんな問題であろうと考えておるのであります。そういったふうな問題、つまりどういう立て方をするか、そのときに財政負担がどれだけになるか、つまり厚生省で案をきめまして、来年度の予算要求を出します、その基礎になります素材自身をまず整備する必要がある。これは年金委に大体八月一ぱいくらいに出していただくことをお願いしておるわけであります。同時にその間に、たとえば法制整備でありますとか、いろいろな仕組み、今申し上げましたような掛金の取り方をどうするかといったような問題につきましても、基本的な問題の拾い上げをやっていただいて、それを厚生省事務機構の中でこなしていくというようにしなければならぬ。これも一わたりのめどを八月一ぱいに置きながら国民年金委の御意見を求めておるところであります。なお保険局も今日までの間診療報酬等の問題でかかり合って参りましたが、これは何とかして一つ当面の問題の解決をいたしまして、事務機構の方でもこの国民年金制度整備に取りかかっていく事務機構を、来月早々から整備をいたして参りたいと考えております。要すれば次の臨時国会ででも、さらに一段と事務機構整備をやりたいと思います。そういったふうな問題を考えてみますときに、相当大へんな問題であることは承知をいたしております。この間の社会保障制度審議会答申にも、この問題はスタートしてからでも五年ごとに計算をし直してみなければならぬというように書いてありますように、やはり実施に移していくということが非常に大切な問題でありまして、いつまでこれを手元に置いて検討いたしましても、なかなかむずかしいのじゃないかと考えておるのであります。そこで私は新内閣が成立をいたしましてから以来でも、折あるごとに、とにかく三十四年度から実施をする、そしてその実施をする際には、およそ実施をするに必要な最低の基準と申しますか、形というものはなければなりませんけれども、その中におきましては、多少当初予想いたします金額よりも初年度のスタートの割合が少くなりましても、そして事務機構整備等で実際の支給が年度開始後相当おくれることがかりにありましても、来年度からぜひこれを実施に移したいと考えておるのでありまして、私、非常に大胆なことを申し上げたようでありますが、ただ私の個人的見解だけでなくて、私は私が責任閣僚といたしまして発言をいたしましても、そう政治的にでたらめでないというだけの私としての下固めをしながら方針を申し上げておるつもりでございます。具体的な財政のワクの問題につきましては、秋口から来年初頭にかけまして、いろいろな問題はあると思いますが、大体そうした考え方で、減税とのからみ合せの問題はもちろん財政計画の上で大きな問題になると思いますが、私はかまえて来年度から、ごあいさつで申し上げましたように、国民年金制度発足をいたしまするつもりであります。いたしますことができると考えておりまするし、またするのが私個人のみならず内閣方針であるということを申し上げてよろしいと思います。
  9. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 大臣の今の御答弁で、結局国民年金国民保険とは矛盾なくやれる、要約すればこういう御答弁になるようでございます。そうしますと、一体大臣のやられようとする国民年金というもの、特に三十四年度から発足するものは、無醵出年金なのか醵出年金なのか、いずれでございましょうか。
  10. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 これはもう醵出制度、無醵出制度をからみ合せまして、やはり本体はあくまでも醵出年金に置きまするけれども、しかし醵出を始めた人が、一定年限がきまするまで全然やらないというのではいけませんので、来年度から老齢あるいは子供をかかえた未亡人あるいは廃疾といった状態に該当する人々に対しましては無醵出金額、これは醵出よりも少し金額は少くなりますが、それを含めて体系の整備したものを発足させたいと考えております。
  11. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 これは非常な朗報でございます。今まで同僚の山下先生——おられぬようであるか、山下先生かこの委員会で泣くようにして母子年金を作って下さいと言っておったのだが、そでを振り切られてなかなかできていなかったようでございますが、今度橋本厚生大臣のもとで無醵出ばかりでなく醵出年金も同時に発足を、三十四年を目途にしてできるということでございます。これは非常に朗報だと深く胸におさめておきたいと存じます。まあ財政上の問題は、無醵出醵出を同時にやれば、われわれ社会党のずさんな案でも千百三十七億をこえるという非常に膨大なものになっております。しかも同時に母子年金にも身体障害者年金にも老齢年金にも、相当の所得制限を加えて千億をこえるのです。私はこまかい数字は、きょうは一般的な質問でございますので聞こうとは思いません。どうか一つ八月以降においては計数上の整理もされて、体系ある年金制度の確立に挺進していただくことをあわせてこの機会お願いをいたしておきたいと存じます。  そこで、無醵出年金大臣やられるということでございますか、御存じの通り現在厚生年金積立金は多分二千四百億円をこえておるだろうと思います。この厚生年金の金を七十億か七十五億くらい勤労者のための住宅とか病院とかその他の福祉施設のために還元融資をしてもらっておるわけなんです。大蔵省にこの勤労者の血と汗の結晶である積立金運用してもらって、今度は頭を下げて厚生省がその還元融資をもらう、こういう形になっておる。そうしますと、この際無醵出年金を非常に円滑に遂行をしていくためには、この二千四百億円の積立金というものの運用について、何か一つ工夫をこらすと、無醵出年金というものを実施する場合に、そう大蔵省に頭を下げなくてもいいのではないかという感じが実はするのです。アメリカやその他においてはいわゆる私的な年金というものがあって、これが相当証券市場等につぎ込まれて、経済の順当な回転に役立っておるようですが、日本は民間の私的な年金というものがそれほど発達をしていないためにそういうことはできません。今しいてわれわれが求めるとすれば、共済組合年金厚生年金、何といっても厚生年金です。そうしますと、これは何かやはり年金制度発足に当って、この積立金の問題を考えなければならぬ時期がきているような感じがするのですが、この際それについて何かお考えがあれば、一言大臣考えを述べておいていただきたいと思います。
  12. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 御質問の中には国民年金との関連においての運用の問題と、それから必ずしもそれに関係なしに、厚生年金運用について何か考えがあるか、二つの面がおありのように拝聴いたしたのであります。国民年金制度を運営するに当っての財政計画の問題については、私自身も所管大臣として至大の関係を持ちますが、これはやはり大蔵大臣その他とも相談をしてみなければなりませんので、私ここで軽々にいろいろなことを申し上げかねますけれども、しかし制度の内容を見た上での考え得べき問題としてみれば、必ずしも厚生年金を持ち出すまでもなく、同時に発足をいたします醵出年金の積み立て額というものは、今後使うのは二十年なり三十年なり後に出てくる問題ではありますけれども、しかしそれ自身も、つまり何十年か後に支払いはするのだけれども、金としてみれば一方で無醵出年金が支払われていくと同時に、片一方醵出年金醵出額が非常に大きく積み立てられる、これは国民年金財政を運営する上において、私それをどう運用するというふうなことを今日まだはっきりした考えを持ってもおりませんし、どうこう申し上げることはできませんけれども、厚生年金を問題にするくらいなら、むしろ醵出年金自身を将来のためにただためておくのか、何らか当面の財政的寄与のために活用ができるかどうかということは、私は非常に大きな考慮の対象になり得るものだろうと思います。しかしそういうことは考えられるというだけで、実際どうするかということをまだ考えてもおりませんし、相談もいたしておりません。それから今たまっております厚生年金運用の問題につきましてはいろいろな問題があると思いますが、当面は現在考えておりますような還元融資をやって参るということを考えておるのでありまして、なお改善の策等がございましたら十分研究はいたして参りたいと思います。
  13. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 無醵出醵出の両年金が三十四年度から発足をする、そういうことになりますと、現在の厚生年金というものは御存じの通りフラットと比例報酬を合せてもせいぜい三千円から三千五百円程度の月の手取りぐらいにしかならないわけです。そうしますと将来やはり無醵出醵出年金を作る場合は、当面勤労者を対象としておる厚生年金については、やはり再検討を加えなければならぬ段階が同時にきておると私は思うのです。そうしますと三十四年度に発足するとすれば、次の通常国会には当然年金法案というものが出てくるだろうと思います。その際にやはり今の厚生年金についても再検討しなければならぬという議論が起ってくることは、これは私は必然的な成り行きじゃないかと思うのですが、その場合に現在の厚生年金については今のままでいかれるおつもりなのか、それともある程度検討を加えてこれもやはり改正をするというおつもりなのでしょうか。そのあたりの見通しはどうでしょうか。
  14. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 これは非常にむずかしい問題でありまして、滝井委員御指摘のように当然問題になりますし、問題にしなければならぬと思いますけれども、これは非常にむずかしい問題でありますので、とりあえず現在年金制度の適用のない面についての国民年金制度発足させまして、つまり社会保障制度審議会答申案で勧告せられた面の実現に精力を集中いたしまして、今の問題は同時に検討はいたして参りたいと思います。
  15. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 就任早々でございますので、厚生年金法の改正をするかしないか、あるいはそれをどういう工合に無醵出醵出年金と関連つけていくかということはなお大臣一つ御研究していただきたいと思います。  そこできよう大臣自分のやりたいという四つばかりあげられた問題の中で、一つ私が気になる問題は、四、五年前にかねや太鼓で宣伝をされておった結核対策の問題でございます。こまかいことは多分あとでだれか結核対策について聞くと思いますが、私は大ざっぱなことをお聞きしたいのです。この大臣あいさつの中にも一ページの最後の方に、結核対策というのが四字出ておるだけであります。別に具体的には結核対策の見解については詳しく触れられていないようでございます。幸い現象的に見ますと日本の結核死亡順位というものは、多分今六番目くらいになっておると思います。一番が多分脳溢血で、二番目がガンで、三番目が老衰ですか、四番目が心臓病、五番が最近は肺炎が出て、六番が結核くらいじゃなかったかと思いますが、順位が下って、死亡率も五万を割って、四万台くらいに低減してきた。だけれども、結核患者というものは依然としてちまたにあふれておる。そして日本社会保険の赤字の原因というものが一にこの結核にかかっておる、こういう状態なのです。私この委員会で再々主張したことがあるのですが、何といっても結核の予防の中心は保健所である。ところが保健所には医者ばかりでなく、技術者というものは七割か八割の充足率しかない。治療の中心というものは、一応今までは療養所だったが、抗生物質の出現は必ずしも療養所でなくてもいいということになって、療養所は最近必ずしも満員ではない。やはり空床が依然としてある。そしてしかも優秀な医者が、結核病というものが現象的に減ってきたということのために、結核の専門医になっておっても将来食えなくなるかもしれないということて、優秀な結核医というものが続々社会に出ていくという情勢がなくなりつつあるという姿です。後保護施設に至っては——後保護の中心はやはり後保護施設ですが、その後保護施設に至っては遅々として進んでいない。予算的な措置もあまり講ぜられていないというふうに、すでに二十世紀の後半においては、日本においては諸外国と同じように、結核病そのものが非常に古くなる形が出てきておるために、結核対策が忘れられるという形が出てきておる。いわんや国民年金というものが激しく宣伝をされると、ますますての傾向か顕著になる、こういう傾向が出てきておる。歴代の厚生大臣あいさつを見ても、まず山縣さんから草葉さんの時代までは、医療費体系の問題とともに結核対策というものがやはり大臣あいさつの中には必ず出てきておる。ところがだんだん出てこなくなって、橋本大臣に至っては、たった四字になるという形が出てきておるわけです。これは日本人が大事なところを忘れて新奇を好むという一つの傾向が現われておるのかもしれませんが、やはり皆保険政策を推進をし、年金を推進をしていくためには、何としても結核対策について考えなければならぬ。ところが最近は、ここに行政管理庁長官が厚生大臣に結核予防行政監察結果についてという勧告を出しておるのを見てみましても、ともかく結核行政は予防から治療から後保護に至って、非常に多くの欠陥があることを指摘されておる。そして特に医療費の公費負担の面なんかにおいては、もう予算の面においてもその承認率においても、非常に低下が起りつつあることを指摘されておる。こういうことは結局、大臣あいさつの中にも今まで少くとも結核対策については何行か述べておったのが、たった四字に節減されるという、こういうことにも具体的に現われてきていると思う。そこで、大臣もなかなか何もかにもやるといってもむずかしいと思うのですが、やはり医療行政を推進をしていくためには、土台となるポイントだけは押えていってもらわなければならぬと思うのです。そういう意味で、あと医療費の問題も尋ねますが、この結核対策を、一体厚生行政を見直していく場合にどの程度の比重をもって見直していくかということです。まあ大臣あいさつや今のいろいろな所信表明の中には、結核対策がきょうの中には出なかったのですが、一体厚生行政の中でどの程度に結核というものを見ていくか、比重をどういう程度に置いていくかということなんです。この点これ以上私は、時間の関係がありますから、結核については質問いたしたくないのですが、この結核に対する結核に対する比重を大臣はどの程度厚生行政で見ていくか、これだけ一つお答え願いたい。
  16. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 結核についてお話がありました。実はお話を申し上げますたびに、保育所も何も全部落ちがないように、比重に誤解がないようにお話申し上げるのもいかがと思っておるのでございまして、ただ結核対策の重要なゆえんにつきましては、私も十分心得ておるつもりでございます。行政管理庁の勧告につきましても、私就任後それに目を通しまして、いろいろ御指摘の部分についての欠陥があることを考えておるのでございます。今日なるほど結核の死亡率が減っては参りましたけれども、これは死ぬ人が少くなっておるというだけでありまして、御承知のように患者は非常にたくさんおりますし、今日の日本の保健衛生の面からいきましても、あるいは生活一般の問題からいきましても、結核というものは非常に大きな問題でありますし、とにかく死ぬ人が少くなって治療率が高くなったという結果からいっても、むしろ問題をほうっておけばいいというのじゃないので、今まではなかなか効果を上げにくかったのを、力さえ入れればほんとうに絶滅するとまでいかないでも非常に少くすることができる、こういうふうに考えておるのであります。何といいましてもやはりこれにつきましては検診を十分にして、特に危険な患者を危険にならないうちにとにかく早く発見をいたしまして早く治療できるための検診の整備をやりますことと、それから発見された患者の処遇を十分にしますためのいろいろな施設をいたす、その間におきましての御指摘のありました保健所の整備だとかという問題もいろいろ問題があると考えております。私も今年度の予算をとりまするに当りまして、特に結核対策の問題については前任の厚生大臣からも御依頼があって、及ばずながら骨を折ったのでございますが、なかなかいろいろな事情がありまして十分でないのは残念であります。私はこの結核対策の重要なゆえん、今こそ今までよりもずっと身を入れた結果、効果が上げやすくなっているということを認識をいたしまして、これの効果の上るように、この上とも配慮をいたし推進をいたして参りたいと思います。
  17. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 金をつぎ込むには、やはり潮どきというものがあると思うのです。私はやはり結核を撲滅する時期、いわゆる追い打ちをかける時期は今をおいてはないと思うのです。ところがそれかだんだん結核の予算その他を見ましても、なかなか遅々として進まないということは、結局厚生行政というものがやはり計画がないということなんですよ。そのときそのとき、行き当りばったりの行政がやられておる。もし厚生行政を見直すとするならば、私はこの点をやはり見直してもらわなければならぬ。一貫した計画を立てて、少くともきっちりやっていく。少くとも戦後十年保守党の内閣が続いたのですから、そのときそのときの内閣方針が変り、行き方が変るということでは、これは応接にいとまないというのが厚生省のお役人の姿だと思うのです。そういう意味で、やはり私は皆保険政策の重要な一環として、やはりこの結核対策というものは同時にとられていかなければならぬ、追い打ちをかけるのは今だ。ところが公費負担の問題にしても、三分の二をやるのだ、八割をやるのだということは再々言われながらも、いよいよ最後の予算折衝段階になるとそれが落されてしまって、結核関係者というものが悲嘆の涙にくれるという姿が、ここ数年連続して起っているのです。またあの予算折衝期か来ております。だから一つこれは国民年金とともに、国民年金が一年おくれてでもまず結核を先にやるというくらいのやはり腹がまえを私は持ってもらいたいと思うのです。まあ大臣とわれわれと立場は違いますが、百億くらいの金は、何とか削ればどこからでも出てくると思うのです。四百三十六億もたな上げしておるのですから。だからそういう点、一つ追い打ちをかけるのは今だということだけ私は言っておきます。  次には、今一番燃えさかっておる告示の問題についてでございますが、大臣のごあいさつの中を見てみますと、すでに去る五月下旬以来政府与党の基本方針が確立されておりますので、その線に沿って善処して参る考えでございますということを、社会保険診療報酬改訂問題については言っておられますが、政府与党の基本方針というものは一体どういうことなのか、一つ御説明を願いたい。
  18. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 私、就任いたしまする前にきめられましたこととして、前任大臣から申し送りを受けたわけでございます。厚生省で昨年中央医療協議会に諮問をいたしましたものについていろいろ御議論がありましたけれども、中央医療協議会でまとまった御意見がありませんで、いろいろな御意見のあったという答申を受けたのであります。そこで厚生大臣として、結局あのまとまらないままの御答申を参考にして告示の案をまとめなければならないということで、前厚生大臣の手元で、昨年出した案をさらに練り直して、一応厚生省の何と申しますか、告示の原案のようなものを整備をされたのであります。その厚生省の告示原案、甲案、乙案でありますが、これを基礎として関係団体と話し合いをして、できるだけの調整をした上で、六月中にぜひ告示をする、それからその調整ができなかったならば、要するに調整できただけのところを参酌するのはもちろんでありましょうが、厚生省考えておりまするところに従って、六月中に告示をするということであります。なお六月と申しまするのは期間もわずかなことでありまするから、十分な論議を尽すことはできないと思います。なお診療報酬の問題は、国民保険のあり方の問題として、その診療報酬の多寡についても支払い方法についても十分検討しなければならぬと思いまするし、今後の問題については、これはもう当然十分また別に慎重に検討していくということを腹に含んでの話でありますが、六月中の処理については、ただいま申し上げましたような基本の方針を政府できめまして、私その申し送りを受けまして、それを遂行するつもりであります。
  19. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 六月中ときめられた理由は、大臣どういう工合に御理解なさっておりましょうか。六月という期限を限られたのは。
  20. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 引き継ぎを受けましたところでは、これはもう十月一日から診療報酬の引き上げをするについては、なかなか全面的の改正であるから、六月中に告示を出して、そうしてそれを十分に各診療機関で御検討の上、あるいは甲表をとるか乙表をとるかということを御検討願わなければならぬので、それにはぜひ六月中に告示をする必要があるというので、それをきめたという申し送りでありまして、私も大体そういうふうに考えておる次第であります。
  21. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 準備があるということでございますが、三カ月も準備が要りましょうか。
  22. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 これはいろいろ御議論のあるところであると思います。私は前内閣時代にきめましたところを第二次岸内閣におきましても引き継ぐという基本方針でおりますので、これは御議論はあると思いますけれども、六月中に告示をいたしまして、各診療機関の方に御準備を願いたいと考えておるわけであります。
  23. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 一体大臣、僕らはそれを納得できないのですがね。われわれは野党でございます。この問題の起ったのは、大臣も御存じの通り、二十六年、第三次吉田内閣に、大臣が当時大臣であられたときの問題なんです。そのときから問題が未解決のままで今まできておる。まあ悪い言葉でいえば、大臣が種をまいて、そして大臣がまた八年の後に刈り取らなければならぬという、こういう形が出てきておるわけですね。従って足かけ八年の間燃え続けてきておる問題なんです。今になってこれを三カ月で合理化をしようという——必ずしも合理化ということを、まだ国会でも論議をして納得がいかぬもので押し切るということ、これは政党政治のもとにおいてとるべきものではないと思う。なるほど法律ではこれは大臣の告示事項になっておりますけれども、こんなに政治問題になったものは、やはり国会でも論議をさしてもらわなければいかぬと思う。これは私はする権利があるのです。今までわれわれに論議をさしていない問題ならば私は言いません。ところがわれわれも、少くとも私個人は心血を注いだ問題です。昭和二十九年以来心血を注いでおります。そこで大臣は自信をもっておやりになるというのでありますから、今から大臣にお尋ねするわけでありますが、六月中に自民党の方針できめられておる。社会党はそういう方針はきめられていないので、この問題については自民党さんの方と社会党の方と対決をしなければならぬと思う。私の方は、合理化というものは甲とか乙とか二つのものであってはならぬという基本線です。合理化を口にしようと思うならば一本化しなければならぬ。これはできないはずはない。まず甲乙二表で実施した場合に、たとえば大阪を例にとってみますならばどういうことになるかというと、大阪には多分甲地区と乙地区があると思う。甲乙二つの地区がある審査委員会には四種類のものが出てくるのですよ。甲地区の甲表と乙表を選択した人と、乙地区の甲表と乙表を選択した人と、四種類の診療報酬の請求が出てくる。これはなるほど甲表は簡単です。簡単でございますけれども、そんなべらぼうな医療の請求の方式というものはありはせぬでしょう。第一患者が困ります。大阪の乙地区の人が甲地区の医者にいってきた場合には、第一に初診からして違ってくる。片一方は百円で、片一方は百八十円です。見てもらうだけで違ってくる。そうすると患者は、一体これはどっちに行ったらいいかと迷います。患者自身一体一回経験してみればその次から、待て待ておれの病気は百八十円の初診のところへいった方がいいだろうか、百円の初診のところへいった方が得だろうかという迷いが出てくる。なるほど現在も個々の医者によって治療内容は違いますので、支払いの額は違いますけれども、少くとも技術料というものはどこにいっても同じだったのです。保険においても同じ。ところが合理化という名のもとにこういう不合理というものがまかり通るということは許されません。それは自民党がいかに多数で方針を決定しようと、許されないと思う。少くとも大臣が理性があり、前の大臣のをそのまま受け継ぐというなら大臣の資格はない。あやまちを改めるにはばかってはならぬ。だから前の大臣がやっておることが、いかに自民党がどこと約束をしようとも、間違っておるものは直してもらわなければならぬ。一本化をするなら日にちをかけなくてもできる。やろうと思えばできる。徹夜をやれば一週間もあればできる。お前やってみろと言えば、私はやってみせます。一本化はできます。だからこれは大臣が政治的な良心を持ち、ほんとうに厚生行政を見直そうとするなら、まずここから見直さなければいかぬ。そして、しかも現在は医師会は医師会の希望案を出し、薬剤師会は薬剤師会の希望案を出し、歯科医師会は歯科医師会の希望案を出して、その希望案がまとまらなかったら一体どうなる。製薬企業は、あとで言いますが、製薬企業は製薬企業で希望案を出してきている。そうしますと、ますます甲乙二表によっててんやわんやです。こういう不合理な道というものを、合理化の名のもとに二十世紀の後半の文化の時代に、切り開くことは許されぬと思う。ですから、甲乙二表のこの不合理というものを一本化するだけの腹がまえを大臣は持っておるかどうか、これをまず大臣にお伺いしたい。
  24. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 先ほどお話を申し上げた中で、この六月中に告示というのを、政府与党の方針というふうに話しましたが、これは与党と相談の上には違いありませんが、国会に対してお話を申し上げるときには、政府の方針と申し上げまるのが筋だと思います。速記録にはそうなっておるはずであります。今日いろいろな御意見はあると思います。御意見はあると思いますが、六月中に一わたりとにかくできるだけの調整をして、そしてその後ほんとうに良心をもって、なお根本的に日進月歩の医学も取り入れながら、また今日あるものの不合理については、なお是正するということについて、十分検討するに決してやぶさかでございません。しかしこの際としては、やはり一わたりまとめて参りたいと思うのであります。私前回この問題を担当いたしました際にも、私が中央医療協議会に諮問案を出しましたのは八月の半ばでありまして、まとまらないままに、まとまらないという御答申をいただいたのが十一月の末でありました。実際上は医師会その他に相当お骨折りを願い、私も骨を折りまして、連絡の上で私の責任で告示をいたしましたのが、たしか十二月の六日であったかと考えておるのであります。ただいま滝井委員は、まとめるならすぐまとまるというお話でありました。これは確かに一人の人がまとめるとしたときに、考えようによってはまとめようは私はあると思いますが、その間においては、今後の審議の上においても、学識経験者のほんとうの学問上の見地から出た御意見、それからそれを基礎に置きながら利害関係者の利害調節の問題というようなものは、私はやはりそう簡単に片づけることはできでないものだと考えておるのであります。いずれにいたしましても、私今日全然新たに、白紙でものを書くようなことはできませんので、前大臣あとを引き受けまして、申し送りの問題について可能なる限り調整をとって、私無理押しに勝手にやってしまうというようなことは考えておりません。できるだけの調整をとって、御納得の上で今月は今月で発足し、今後の検討は今後の検討としてやりたいと考えておるのであります。今までのいろいろな問題はおありだと思いますが、私は、七月以降においてなおいろいろな問題を検討する分には別でありますが、今日としては、私みずからの提案として十円単価で甲乙二表というものを提案いたしておりますので、それを基礎にして一応の御意見お願いしたいと思います。医師会の方からも御意見が非常にありながら、曲げて一応甲乙二表というものをのんでいただきまして、そして御提案を得ておりますのは、私も非常に感謝をいたしておる次第であります。なお話のつかないところもありますので、事務当局をしてきょうも折衝をさせておりますし、私もなお努力するつもりでありますが、この間の事情は滝井委員もおくみ取りの上、どうか一つ私に対する御援助をお願いいたしたいと思う次第であります。
  25. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 とにかく甲乙二表、十円単価で六月に告示をしたい、七月以降の検討は別である、こういうお話でございますが、大臣御存じの通り昭和二十六年にできたとき、あの単価十一円五十銭なり十二円五十銭が生まれたのも、これは暫定単価であります。来年からの検討は一つやりましょう、こういうことで、その後臨時医療保険審議会ができたのであります。しかしそれから八年たった。従って、やはりその歴史を繰り返してはいかぬと思う。何もこれをあした改めなければならぬということはないのですよ。日本医療のために、何なら十一月一日に延ばしてもいい。十二月一日からやってもいい。やはりそれだけの雅量というものがなくちゃならぬ。社会党は金額表示方式を主張しているから、もはやこの際甲乙二表というものは、社会党も絶対のめません。だから、自民党の方で勝手におやりになるならば、今後私はこの問題は執拗に大臣に食い下ります。そこで大臣にお尋ねしますが、それでは一体甲乙二表というものは、いかなる基本的な原則でお作りになったのであるか。
  26. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 私も、実はこの問題で前々から苦労をいたしましただけに、いろいろな点で多少なりとも知識を持っておりますし、こうもしたいという希望も持っているわけであります。しかし、私はただいま甲乙二表で十円単価の提案をいたしておる次第でありまして、今日のところでは、この十円単価の甲乙二表について、関係方面その他国会においても、とにかくとりあえずの御賛同を得たいと考えております。
  27. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 私は今の段階では、そういう非科学的なことは、政治には許されぬと思う。たとえば、今問題になっている米価を参考にしてみて下さい。国会を通った予算米価は一万二百円ですよ。ところが政府与党は今幾ら出しているか、一万三百三十円を出している。そして予算にきまっていない加算を百円出しましょうということは、もう大臣みずからおっしゃっている。社会保険だけが予算がきまっているから、それを動かせぬということにはならぬですよ。米価というものはパリティ方式でいって、農林省は一万百六十六円、ところが与党の特別委員会は一万三百三十円で、百六、七十円も多いものを出そうとしているわけだ。だから政治というものは生きものですよ。何も堀木厚生大臣がきめたからといって、その間違っているものを、あなたがしゃにむにやろうということはないと思う。間違っておれば改めるのが、私は大臣の使命だと思う。従って、一体甲乙二表というものはいかなる原則で作っているのかということです。基本原則というものがなくちゃならぬ。甲乙二表に共通した基本原則というものがなければ、これくらい不合理なものはない。一体大臣はいかなる原則をもって甲乙二表を押されようとしているのか、これを特に大臣からお聞きしたい。やはりわれわれは国民に納得させなければいかぬ。何か堀木さんが与党と約束をして、大役会議で涙をのんで判を押したから、それを社会党ものめと言っても、これはのめませんよ。われわれはとにかく心血を注いでやってきている。だから、少くともこれは納得がいかなければ、われわれはこの審議はずっと続けさせてもらわなければならぬ。だから新点数表の作成の基本原則というものを、一つ御説明願いたいと思う。
  28. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 私もこの問題は、心血を注いで解決をして参りたいと真剣に考えております。冗談でも何でもなく、真剣に考えております。ただし、私は今日の段階におきまして、私みずからの提案として十円単価の甲乙二表というものを御賛同願いたいと言って、あっちこっちにお願いをしている次第であります。この甲乙二表を提案いたしました理由は、私は前大臣から御説明のありました通り、それを私が引き継ぐと御了承を願いたいと思います。
  29. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 前大臣が説明したというけれども、前大臣はわれわれに説明していないのですよ。この甲乙二表についてわれわれはまだここで正規に討議をして結論を出したわけでも何でもないのです。今度出た手直しの案というようなものはわれわれは全然知らないのですよ。ここで一回も説明も何も受けていない案なのです。その資料は国会にも——個人的には配付せられているけれども、この委員会で正規に配られたものではないのですよ。国会の論議も経ずして関係団体だけで大臣がこっそり話し合って、それでいけというのは無理ですよ。もしそういう政治が法治国家の国会で許されるとするならば、自民党独裁ですよ。大臣は独裁の大臣だと言わなければならぬ。われわれはこれについて、この委員会でまだ全然資料ももらったこともないし、説明をしてもらったこともない。手直しの案というものはそういうものなのです。そういうものを今度は、前の大臣がやったことだから自分もそれを受け継ぐ。なるほどそれは行政措置だから法律上はそれでいいかもしれぬ。しかし一国の政治の根本、予算編成の根本をゆるがし、国民生活の根本に重大な影響を与えるような医療費の問題を、そんなに役人が作ったからといって、関係団体と話し合って、それでいいなんということは、私は今の国会のあり方からいって絶対許されぬと思う。前の大臣がやったからそれで協力してくれ。協力をするからには、やはり協力をするだけのわれわれの意見をある程度参照してもらわなければならぬ。大臣はこの中で「御支援、御協力を得て」こう書いておる。何もわれわれの意見も聞かぬで、ただおれの言う通りに協力をせよ、それから支援をせよということではいかぬと思う。御支援、御協力をわれわれに頼むならば、われわれの意見もある程度聞くだけの雅量と寛大さと時間とがなくちゃいかぬと思うのです。そういう点で大臣、ここらあたりはわしの言う通りにしてくれと言っても、それは厚生行政を見直すということを大上段に振りかぶった大臣としては私は受け取れぬと思う。こういうことこそまず見直さなければいかぬ。基本的の原則もはっきりしない。大臣が言われるように、学問上の見地からの意見もやはり考えなければならぬ、こうおっしゃっておるならば、あやまちを改めるにあなたはどうしてはばかる必要がありましょうか。百万人といえども正しかったらわれ行かんという気概をお持ちになっておるはずではありませんか。だから大臣、その点がどうも納得いかないのですが、あらためてもう一回お尋ねしますが、一体甲乙二表の基本原則はどういうものなのかということなのです。どういう基本原則で甲乙二表をお作りになったか。
  30. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 私繰り返して申し上げます。私もう皆さん方の御意見をほんとうに真剣に十分承わって参りたいと思います。本日も承わりたいと思いますし、今後も承わりたいと思います。承わったことは私十分身にしみてものを考えて参るつもりでございます。その点はぜひ一つ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。ただ、国の行政をやって参りまする上において、問題のあることがありましたならば、その問題を全部解決し切るまでの間何もしないのがよろしいか、あるいは一段落片づけながらそれを次に改善をしていくかということは、実際の問題としていろいろあることでございます。甲乙二表を作った基本原則というものにつきましては、私は今日提案しております甲乙二表というものは、全く前大臣の立てられましたものを引き継いでおる次第でございまして、この席上でのお話はどうあったか存じませんが、甲乙二表についてこういう趣旨で作ったというのが堀木大臣の構想であります。それと同じだと御了承願います。
  31. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 寡聞にしてまだ堀木厚生大臣の甲乙二表の基本原則を聞いていない。さいぜん言うように、この委員会に甲乙二表の手直しの案はかかったこともないし、説明を受けたこともない。  それでは大臣あらためてお尋ねいたします。少くとも甲乙二表の説明をして、質問がある程度完了して、われわれの納得いくまでは告示を延ばすことができますか。そうはいかぬでしょう。六月中にはやらなければならぬということは前の大臣と約束があるから。それでは大臣、まるでロボットですよ。ロボットになってしまう。やはり前の大臣のやったことでもあやまっていたならば、どんどん直していくのが他の大臣の行き方だと思うのです。だからその点で、新点数表、甲乙二表を作った基本的原則もはっきりしないし、それの説明も聞かないのに協力してくれ、十円単価で堀木さんの通りやるのだと言われても私たちもちょっと困る。こういう重大な問題ですから、そう単純に、では、協力しましょう、その通りおやりなさいというわけにはいかぬ。与党の諸君だってそうだと思う。だからこれは与党の六役なり何なりと厚生大臣は話し合ったかもしれませんけれども、われわれはそれを関知していない。社会党としては少くとも関知していない。従ってその点をやはりはっきりしてもらって——どうですか、われわれに甲乙二表を審議するだけの時間的な余裕と意見を述べさせる時間とを与えていただけませんか。
  32. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 私も御意見は十分承わりたいと思いますが、本日私が先ほど申し上げましたような方針で処理をいたして参りまして、この上とも問題に対します基本的なお考えというものは、各方面のお考えとも十分考えて将来善処して参りたいと思います。
  33. 堤(ツ)委員(堤ツルヨ)

    ○堤(ツ)委員 ちょっと関連して。今滝井委員が御質問になっておる問題は非常に大切な問題で、新しい大臣が自主的な自分考えをもって解決なさらなければならない一番大きな問題なんです。先ほどから滝井委員との質疑応答を承わっておりますと、橋本厚生大臣に自主性がない。私たちにのめとおっしゃっておる、協力しろとおっしゃっておる単価の問題も、大臣自身の見解の上に立って作られたものにあらずして、前の厚生大臣がなされたものを円満に引き継ぐ政治的な妥協の上に立ってこの委員会にお示しになっておる。こういうことになると思うのです。従って私は、大臣が今の滝井委員の御質問に答えられないならば、一つ前の大臣をここに呼び出して、私たちの前に理路整然とした御説明を承わって、納得がいきましたならば大臣の今の御要請をここで承認してもよろしいと思いますから、一応その時間をとるよう、順序をとるようにしていただいて——糊塗策を長年続けてこられたのが、医者はサボタージュをやる、被害者は国民である、しかも医療技術は低下するというような結果になりましては、なまのからだを持った国民はたまらないのでありまして、この辺でまあまあ主義を捨てて、画期的な医療政策に踏み出さなければならないのでございますから、三カ月や四カ月はどうなってもいい問題でありますから、一つ根本的にやらせていただきたいと思いますので、委員長のお取り計らいによりまして前の大臣を呼び出していただいて、そこのお引き継ぎの様子を二人の大臣によってはっきりさせていただいて、私どもの所信を明らかにさせていただきたいと思いますので、一つ理事会で御検討願いたいと思います。
  34. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 大臣にお尋ねいたしますが、今言ったように、少くとも甲乙二表をわれわれ国民生活の中におろして現実の医療に使用せしめるためには、やはりわれわれ議員が少くとも納得しておらなければ困る。それを議員にも全然その説明もしないし、関係団体とこそこそと話し合って、関係団体が了承したのだからそれでいくのだという、こういう政治のあり方は私は聞いたことはない。それでもし橋本厚生大臣がやるのだとおっしゃるなら、私たちはあす橋本大臣の不信任案を出します。どうですか大臣、われわれに時間的余裕と意見を述べさせるだけのものを与えるのか与えないのか。与えないでそのまま告示をやるのか、やるとするならばさっそく党に帰ってあしたの本会議に不信任案を出します。この委員会でも不信任案を出さざるを得ない。それはそうです。われわれは審議していないのですから。しかも二十九年以来医療費体系の結論は出ていない。医療費体系というものはいまだにペンディングしておる。従ってそういう意味において大臣がわれわれにどうしても時間を与えずに、国会でやらずにそのままやられるというならば、おやりになってもけっこうです。委員長、ここらあたりで一つ休憩してもらわなければ困ります。
  35. 小林(進)委員(小林進)

    ○小林(進)委員 議事進行について。今までの滝井委員並びに堤委員の発言は非常に重大でございますので、この問題を直ちに理事会で取り上げまして、委員会の議事が円満に進行できるように一つしばらく休憩をして、緊急に理事会を招集していただきたいと思います。
  36. 園田委員長(園田直)

    園田委員長 それでは休憩いたします。理事会を開きます。     午前十一時五十分休憩      ————◇—————     午後一時五十八分開議
  37. 園田委員長(園田直)

    園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生行政に関する大臣の説明に対する質疑を継続いたします。滝井義高君。
  38. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 午前中に甲乙二表を作った基本的な原則について御質問申し上げましたが、それについて明確な答弁がございません。医療費の問題というものは、一国の予算の編成の根本をゆるがす程度にまで重大な問題になってきております。現在社会医療だけでもその総医療費は二千四百億、日本の防衛費の二倍になるという、こういう大きな額を占めております。国民所得の四%をこえております。従ってこういう大問題が単に大臣の告示によりて行えるからといって、大臣関係団体と話し合っただけでこれを告示するということは、私たち社会党としては納得がいきません。従って当然成規の手続によって、国会に告示をする案を御提示いただきまして、そして十分な国会の審議を経てわれわれ議員が納得をし、国民代表の国権の最高機関である国会が納得した上でこれを告示してもらいたい、こう思うわけでございますが、一体大臣はこのわれわれの考え方についてどうお考えなのか、再度御質問をいたします。なお大臣がそれもできないということになれば、この問題に対する質疑は無用だと思いますので、これ以上私はこの問題についてはやりたくないと思うのですが、大臣の御所見を明白にお聞かせ願いたいと思います。
  39. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 私はもう御意見は十分承わりまして、そしてそれを十分参酌をいたしながら、私の責任で告示をきめて参りたいと思います。
  40. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 そうしますと、結局大臣は何ら国会には意見も求めずに、役人の作った案で告示をやられる、こういう御方針を変えられないということでしょうか、あらためてもう一回確認をいたしたいと思います。
  41. 橋本国務大臣(橋本龍伍)

    橋本国務大臣 私は御意見を承わらないと言うのじゃありません。御意見を十分拝聴をいたしまして、それは私といたしましても十分参酌をいたしながら告示をきめて参りたいと思います。
  42. 滝井委員(滝井義高)

    滝井委員 意見を聞くと言うならば、その告示をする案に対する説明なりその内容の質疑その他について、少くともわれわれに理解をさせてもらわなければ困る。われわれは今度告示をされると新聞に発表されておる案を正式にこの委員会で聞いたこともなければ、その案を見たこともないのです。個人的にはいただきました。しかしあくまでもそれは個人的にいただいたものであって、個人的にいただいたものが公式の厚生省の告示案であるかどうかということもなおわれわれはわからないわけです。そういう形で行政が行われるとするならば、岸内閣というものが官僚内閣であると言われておるそのままを厚生大臣はみずから体現することになると思うのです。そういうことであるならば、私たちはこれでもう委員会を引き上げて党に帰って相談いたします。大臣、それでよろしゅうございましょうか。こういう重大な国政の問題について野党に一言の発言の機会も与えず、与党と政府だけが隠密裏に話し合い、それで実行するというなら実行してごらんなさい。それで橋本厚生行政が二十世紀後半の民主国家の行政であるというならやってごらんなさい。これ以上私は何も言いません。——それでは委員長、引き上げます。聞く必要はない。党に帰って相談して処置いたします。
  43. 園田委員長(園田直)

    園田委員長 それではこれて休憩いたします。     午後二時三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会合議を開くに至らなかった〕