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赤松委員 言うまでもなく、労働時間の短縮によって生じましたその時間は、
労働者の休養に充てられていく。その休養は単なる消費娯楽の方面だけでなくて、これを教養を高めるための文化生活に振り向けていくということにつきましては、何人も異存がないし、これこそ新しい労働文化の分野ではないか、こういうふうに
考えております。ただ問題は、
倉石労働大臣が期待するような
方向に行っておればいいのですけれ
ども、生産性の向上あるいはオートメーションの進行につれまして逆に首切りが行われておる。それが雇用拡大の作用をなしていないという
ところに問題がある。もっと問題を広げて参りますならば、
政府は口を開けば国際市場との均衡の問題、国際経済とのバランスの問題、これをしょっちゅう口にするのですけれ
ども、もとより私は狭隘な国内市場を持っておる日本
資本主義が、やはり広大な海外市場を持つ必要を否定するものではないのであります。ただ問題は、その一点に集約して参りますると、労働問題そのものがぼやけてくると思うのです。たとえば、端的に
資本主義の矛盾が集中的に現われておるのはどこであるかといえば、一方には倉庫の中に繊維製品が山積をされておる。しかるにその倉庫の外では、洋服一着着ることのできない失業者が、食うに職なく、そこにこじきのような生活をしておる。これは一体何を物語るか。すなわち生産された富というものが、あなたのおっしゃるように、消費大衆の利益のためにこれが配分をされるのではなく、あるいは国の富としてこれが均霑されるのではなくて、逆に一部の資本の独占利潤にそれが集中されておるという
ところに私は問題があると思うのです。そこで、そういうような
資本主義の本質的な問題に関する論争をあなたとこの
委員会でやっておっても仕方がないのですけれ
ども、問題はその面から生じてくる失業の問題あるいは今言ったオートメーション化の進行につれて生じてくる
ところの労働時間短縮の重要性の問題、そういう問題について、今あなたの意見を伺って、今後はでき得る限り時間短縮の
方向に持っていき、その与えられた休養の時間を文化的な方面に振り向けていきたいという
方針が明らかになったので、私も非常なこれは
倉石労働大臣の前進だと思いまするが、ただ問題は、あとで私
どもの
同僚議員が取り上げまするが、雇用の拡大が思うにまかせない。すなわち商業サービス面における雇用に若干の伸びがありましても、一番重要な基礎産業の雇用面が伸びていかない。そうしてそれは国際貿易の面から来る
ところのしわ寄せであるかといえば、私は決してそうではないと思います。すなわち先ほ
ども申し上げましたように、大衆の窮乏につれて購買力が減退をする。減退をする購買力が循環をいたしまして、さらに
資本主義の矛盾をば増大をしてみるという
ところに、
資本主義の本質から出てくる経済の悪循環があるのでありまして、こういう点につきましては、あなたは
労働大臣として失業問題、労働問題を扱っておられるのでありまするけれ
ども、閣内においては、こういう高い視野から問題の処理をばお願いしたいと思います。
そこで労働時間の短縮の問題について、何か生産性向上に伴う時間短縮の問題について
総評云々、こういう非常に注意深い、かつ含蓄のある御意見がありましたが、これは
誤解が生じるといけませんから私もはっきり申し上げておきます。生産性向上は、今日、先ほ
ども申し上げましたように、独占資本の利潤を増大さして、一方においては失業者をばふやしておる。そのことは決して消費大衆の利益に、あるいは国の富にもなっていないということを明確にいたしまして、われわれは今現にやっておる
ところの生産性向上には反対である。しかしながらそれによって生じてくるいろんな利潤、そういうものにつきましては、これはできる限りやはり分配の面に注意を払って、賃金の増額の方面、雇用増大の方面に振り向けていかなければならぬ、こういうふうに私
どもは
考えておることをば強調しておきたいと思うのであります。
その次に、時間がありませんから端折りますが、日雇い
労働者の夏季手当の問題です。この日雇い労務者の問題につきましては、一般失業問題の一環として、あとから私
どもの
同僚議員が取り上げますから、あんまり分野を荒らすといけませんから、私は夏季手当の一点にしぼっていきますが、この点につきましてはもう
労働大臣は私が説明するまでもなく、あなたも戦後私と一緒に十二年間、この
委員会でやってきて、しょっちゅう毎年々々日雇いの問題を取り上げてきたので、もう抽象的な議論はいいです。やるかやらないか、ふやすかふやさないか、
一つはっきり答えていただきたい。もうあなたの政治力だから、必ず私は
政府を動かして、そうして夏季手当を若干でも増額するための努力を払ってくれるとは信じておりますけれ
ども、その点についてはどうですか。