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1958-09-01 第29回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月一日(月曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君    理事 中島  巖君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       大久保武雄君    川崎末五郎君       島村 一郎君    砂原  格君       橋本 正之君    服部 安司君       石川 次夫君    小川 豊明君       兒玉 末男君    島上善五郎君       東海林 稔君    塚本 三郎君       武藤 武雄君    山中 吾郎君       山中日露史君  出席国務大臣         建 設 大 臣 遠藤 三郎君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 櫻井 史郎君         運 輸 技 官         (港湾局首席港         湾工事検査官) 布施敞一郎君         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建設事務官         (河川局次長) 曽田  忠君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建設事務官         (住宅局長)  鬼丸 勝之君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 九月一日  委員塚本三郎辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  塚本三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路に関する件  河川に関する件  派遣委員報告に関する件      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  前回の委員会に引き続きまして、派遣委員よりの報告を聴取いたしたいと存じます。橋本正之君。
  3. 橋本正之

    ○橋本(正)委員 去る八月一日より七日間にわたりまして、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島各県下におきまする建設省関係公共事業、特に道路、河川事業等につきまして調査いたして参ったものであります。そのすべてを御報告申し上げますことは相当の長時間を要しますために、要点のみを御報告いたすこととし、あわせて関係当局のこれに対する明確なる御答弁を期待いたすものであります。  まず第一に、一級国道三号線について申し上げます。本線は、今春開通を見ました関門トンネルを起点とし、九州西部を経て鹿児島市に至る総延長四百キロにわたる九州最重要の幹線道路であります。その改修率は、昭和三十二年度末におきまして、改良率四七・二%、舗装率四三・三%を示しているのであります。その大部分は、北九州—久留米間及び植木—八代間に集中されているのであります。このことは福岡県内、改良率八七・五%、舗装率八二・二%、佐賀県内、改良舖装率とも一〇〇%、熊本県内、改良率二九・八%、舗装率二七・一%、鹿児島県内改良率一五・五%、舗装率一一・三%という数字がよくその状況を物語っているのであります。これを逆に未改良区間の状況について見まするに、北部九州におきましては福岡、熊本県境にある小栗峠を中心とする未改良区間を一部残すのみとなっているのでありますが、南部九州におきましては熊本県南端に赤松太郎、佐敷太郎、津奈木太郎の三つの峠よりなるいわゆる三太郎峠の長大なる難嶮が存在いたしておりますため、その進捗は好ましいものではなく、ことに木峠の南に当る鹿児島県内一級国道三号線につきましては、さきに数字をあげて申し述べましたるごとく、その改良さえもほとんど進捗を見ていない現状であります。今後この三太郎峠の改修をも含め、七カ年をもって本路線の整備を完了いたしますために要する費用は、約百四十三億円と目されているのでありまして、このうち今回の新道路整備五カ年計画におきましては、約八十九億円を予定いたし、特に門司—八代間の完全整備にその重点が置かれておる模様であります。同区間、すなわち平地部におきましては、すでに自動車交通に対し飽和の状態に達しているのでありまして、これが完全整備は焦眉の急を要するものであり、ここに計画の重点が置かれたことにつきまして、十分了解できるのでありますが、ただここで懸念されますことは、これらいわゆる平地部に重点が置かれるの余り、予算の年度割の関係上、三太郎峠の改修等は、五カ年計画の相当後年度に回されるおそれがあるのではないかということであります。山地部、ことに三太郎峠のごとき、地形的、技術的にみまして、短時日の工程をもってしては、工事そのものがはなはだ困難と思われる個所につきましては、五カ年計画の後期より一級国道完全整備の最終年次に至る二年ないし三年の間に集約的に多額の経費を投入することの難点もさることながら、その工程上においても、十分なる成果は期し得られないのではないかと考えられるのであります。またこのような地形のところにおきましては、平地部の場合と異なり、一たん工事を完了いたしました以上、後年において再びこれを変更いたしますことは、容易なことではないのでありまして、十分なる予算と工期をもって、慎重に工事を進める必要があるのではないかと思うのでありますが、本年度以降三太郎峠の改修を中心とする一級国道三号線の施工順位等の構想について御説明願いたいのであります。  第二には、二級国道百九十九号線について申し上げます。本路線は、北九州各部市の港湾地帯、工業地帯を連結する重要路線であるのみならず、関門国道トンネルの開通に伴い、飽和状態に達した一級国道三号線の交通緩和のためのバイパス的性格からしましても、現在日本道路公団で施行中の北九州有料道路とともに、早急なる改築の促進が期待されているのでありまして、本年度より着工の運びとなりました有料橋若戸橋は、その一部をなすものであります。  本路線は、昭和十二年、当時の内務省において企画されて以来、幾多の変遷を経て、最近ようやく着工の運びとなったものでありますが、延長二六・七キロ、総工費概算四十一億円に対し、現在までに比較的工事の安易な個所において、事業費にいたしまして約三億円、進捗率にして約一九%の改良工事を実施したにすぎず、解決すべき幾多の隘路は、すべて今後に残されているのであります。そのおもなるものをあげますと、第一には、本路線の地理的条件よりして、その大半が国鉄鹿児島本線及び筑豊本線に並行し、八幡製鉄戸畑工場住友金属小倉製鉄所九州電力小倉火力発電所等の大工場の敷地内を通過せねばならず、従って、これらの鉄道、あるいは引込線との立体交差を余儀なくされ、さらに臨海道路であるため、港湾施設に対する多くの補償問題等複雑なる要素を有していること。第二には、本事業は、当初運輸省所管臨海道路として発足し、後二級国道として建設省において企画調査され、その後福岡県に事業施工を引き継いだものであります。現在におきましても、なおその複雑性から、経済企画庁を中心として、建設省道路局、計画局、運輸省港湾局国鉄本庁等構成メンバーとして百九十九号線審議会が設けられ、定例的に打ち合せが行われて、この決定事項に基いて、福岡県が施工しているのでありますが、これに加えて、前述の大会社が関係しているため、その推進は幾多の制約を受けざるを得ないこと。第三には、北九州地区は、全国有数の失業者多発地区であるため、本事業に対しましても、相当量の特別失対事業の抱き合せを余儀なくさせられているのでありますが、本事業は、物件移転、特殊構造物等が連続する工事であるため、特別失対事業をもってするには、困難な工事であることなどがあげられるのであります。従いまして、本路線につきましては、単に予算の裏づけのみならず、これらの隘路を打開することなくしては、効率的な事業の推進は望めないと思うのでありますが、当局は、これらに対しいかなる対策を有しておられるか。また地元におきましては、関係者の大乗的な見地により、相互協調をはかり得る強力な現地連結機関を設置し、かつでき得れば、国の直轄事業として推進されたい旨要望いたしておるのでありますが、これらに対する当局の御見解もあわせて承わりたいのであります。  第三には、上寺橋架橋の問題についてでありますが、本橋は県道田主丸—寺内線中、上寺部落地先におきまして、筑後川に架橋せられていた一種のもぐり橋に近いものであったのでありますが、昭和十四年における災害により流失いたしたのであります。しかしながら戦争に突入いたしましたため、復旧工事は中止となり、逆に終戦後におきましては、すでに戦前の災害であるとして、災害復旧工事として認められず、今日なお県営渡船によって、人員、自転車のみを辛うじて渡しているという状況であります。ことに本橋架設地点上流恵蘇宿橋と下流両築橋との間は七キロにも及びますため、本橋の早急なる架設、特に昭和十四年当時と異なり、自動車交通の急速に発達して参りました現在、永久橋としての早急なる架設を地元が強く要望いたしておりますことは、けだし当然のことかと考えられるのであります。  以上のごとく、戦争という空白時代のために国の制度上の盲点に置かれ、今日までなお復旧できざるままに放置されているものは、他地区にも数多くあることと思うのでありますが、このようなものに対しましては、地元各県とも十分連絡検討の上、早急なる対策を講ずる必要があると考えられるのであります。  第四に、多比良—長州間フェリーボート設置に伴う連絡道路の改修並びに県道熊本—玉名線改修促進について申し上げます。  従来長崎市並びに島原半島を含む長崎県南部と、熊本県を中心とする九州中部及び福岡県南部との自動車による連絡は、佐賀県を迂回する以外に道はなく、相互経済交易上の隘路となっていたのであります。本年四月一日より長崎、熊本両県共同により、長崎県多比良港と熊本県長州港とを連絡する最短コースによる有明海自動車航送事業が開始されるに至り、相当の効果をあげつつあるのではありますが、これに連結するいわゆる連絡道路の改修が必ずしも十分でなく、所期する成果をあげるには至っておらぬ状況でありまして、これら連絡道路改修の促進が強く要望されているのであります。すなわち長崎県側におきましては、愛野—多比良間並び島原—多比良間の二級国道。熊本県側におきましては、県道府本—長州線がそれであります。特に熊本県側におきましては、県道府本—長州線の改修がおくれております現在、相当数の車が県道大牟田—玉名線を利用いたしておるのであります。しかし本線としても、幅員がきわめて狭小であり、諸車の離合に危険を感ずるほどでありますので、県道府本—長州線の改修が完了いたしますまでの間、とりあえず大牟田—玉名線に退避所のみにても設置できるよう、要望いたしておるのであります。  次に、県道熊本—玉名線についてでありますが、本線は、熊本県五名市より熊本市に至る海岸線を通過する延長三十一キロの主要府県道であります。本路線は、集団栽培地といたしましては日本一とも称せられている天水、河内芳野のミカンの産地をその沿線に有するのみならず、海岸地帯を経過地といたしますため、海産物もまた相当の量にのぼり、これらいずれも鮮度を最も重視する産物の搬出路に当るのでありますが、その良好度はきわめて悪く、ことに利用度の最も高い原産地、天水、河内芳野—熊本間は特に幅員狭小、屈曲多く、その現況はきわめて悪いのであります。これらの区間は、僅々二十キロをこえる程度の距離にすぎないのでありますが、ミカンの搬出期に至りますと、ミカン畑の観光バスも加わり、このわずかな距離の走行に半日を要する状況でありまして、当該区間の全画的改良もさることながら、とりあえず突角芟除、退避所の設置のみにても、早急に行う必要があるのではないかと考えられるのであります。  第五に、南北霧島有料道路連絡有料道路の開設について申し上げます。現在宮崎、鹿児島両県界にまたがる霧島高原を中心といたしまして、鹿児島県側には林田温泉—高千穂河原間約十一キロに、南霧島有料道路が昨年十一月より、また宮崎県側には小林市—えびの高原間約十四キロに、北霧島有料道路が去る十九日に完成いたし、おのおの明眉なる観光資源の開発に寄与することとなったのではありますが、これら両有料道路がいまだ連絡いたしておりませんため、その効果を完全に発揚するに至っていない状況であります。  これら両有料道路を連絡いたしますことは、単に観光資源の開発という点からのみでなく、宮崎—鹿児島両市間の最短距離を連絡することとなり、南九州における交通経済上多大の効果が期得できるのでありまして、本連絡有料道路の開設は、両県のひとしく要望いたしているところであります。  現在連絡道路のルートといたしましては、えびの高原—高千穂河原間十四キロ、えびの高原—林田温泉間十一キロの二案が考慮されている模様でありますが、前者は、国立公園特別地域の中を通過いたしますため、厚生省との関連もあり、観光資源の開発という点については、やや後者にまさってはおりますものの、早急なる着工は困難と思われるのであります。  従いまして、さきに申し述べましたごとく、本連絡道路の第一義が観光資源の開発という点に存するのではなく、宮崎—鹿児島両市間の最短距離を連絡するという交通経済上の点に存します以上、なるべく他の行政機関との摩擦の少いえびの高原—林田温泉間にルートを撰び、これに一日も早く着工することの方が、はるかに得策かと考えられるのであります。  第六には、特殊土壌地帯におけるコンクリート側溝の問題についてであります。特殊土壌地帯におきましては、道路の側溝は、完全なるコンクリート側溝とせざる以上、上下左右に侵食せられ、道路の構造保持のための重要なる一部であります側溝のために、かえって道路自体の構造が破壊せられるという現象が起り、しかもその量も決して無視できないものがあります。加うるに、さなきだに後進牲をかこっている同地帯の公共団体の財政能力をもってしましては、とうていこれに要する費用の負相に耐え得るものではなく、これが対策に腐心いたしているのが実情であります。  すでに災害復旧事業におきましては、鹿児島県のみに対しましては、コンクリート側溝を認めているのでありますが、道路事業におきましても、鹿児島県及び宮崎県南都の、特にシラス地帯のはなはだしい地域に対しましては、コンクリート側溝に対する特別のワクを設けるか、あるいは特殊改良予算の同地域に対する配付に相当の考慮を払う必要があるのではないかと考えられるのであります。  第七に、六角川の改修計画についてでありますが、本川下流一帯は、古くからの干拓造成地でありまして、土地が低く、かつ築後川下流地域と同じく、わが国でも類のない軟弱地盤であるのみならず、有明海の最奧部に注ぐ河口付近の潮位差五ないし六メートルの影響を受け、本川、支川ともに全流路の約八〇%は感潮いたしておるのであります。従いまして、有明海より遡上してくるかた土の堆積により、河積は狭小となり、潮汐の影響と相まって、洪水の疎通はきわめて悪く、年々その被害は増大しておるのでありまして、最近におきましては、その被害額は年平均三億八千万円余に達しているのであります。  本川につきましては、昭和二十三年度以来、中小河川改良工事として施工せられてきたのであります。これら年々の被害額の増大、並びにさきに申し述べました本川の地勢的、地質的悪条件、さらにはこれに伴う本川改修技術的困難性より、昭和三十一年、三十二年度の両年度にわたり直轄調査を行なったところであります。その結果、一応の改修計画といたしまして、本川下流住ノ江地先に潮どめ水門を新設し、高潮による災害を防除するとともに、上中流部の洪水位の低下、かた土の遡上防止をはかり、さらに上中流部においては引堤、掘削等による河積の増加をはかることとし、本年度より事業費三千万円をもって、直轄改修工事に着手することとなったのでありますが、内水排除の問題、あるいは潮どめ水門の問題等、具体的にはなお未解決の問題が相当残されているのが実情であります。すなわち内水排除の問題につきでましては、今次計画には、武雄川合流点より下流の残流量は無視いたし、計画高水流量の対象外といたしておりますため、当然この内水排除の問題は、将来に残るものと思われるのでありますが、さらに下流地区内水排除は、潮どめ水門との関係もあり、水理的にもさらに検討すべき事項も多いため、保留事項となっており、また牛津江の排水も今後の検討事項となっているのであります。  次に、潮どめ水門の問題につきましても、水門の設置個所の地質調査、洪水時の潮汐との水理機構の検討、提防方式との比較、上流部のショート・カットとの関係等、多くの検討事項を残しているのであります。従いまして、本川のごとき、上流より河口に至るまでの間、どこを取り上げましても災害との関係において同一条件のもとに置かれており、かつまた技術的にも非常な困難性を有しているものに対しましては、部分的な予算措置をもって、長期間にわたり改修を継続いたしますことは、非常に危険であります。着手する以上は、一定計画のもとに、相当量の工事を一挙にやらねばならぬと考えられるのでありますが、いずれにいたしましても、本川につきましては、何よりもまず十分なる実施計画の確立が先決問題であろうかと考えられるのであります。  第八に、本明川改修工事について申し上げます。本川は、昭和二十四年度以来中小河川改良工事として、長崎本線鉄道橋より下流河口までの間が施工されてきたのでありますが、昭和三十二年七月における未曽有の大災害により、新たに全水系を一貫した河川計画を樹立し、昭和三十三年度以降、長崎本線鉄道橋より上流は助成と災害との合併により、下流は直轄と災害との合併により施工することを目途として、とりあえず昭和三十二年度におきましては、十一月より災害復旧費のみをもって工事に着手いたしたのであります。本計画実施に要する総事業費といたしましては、一一・四キロにわたる助成区間につきましては、災害費四億九千万円余を含め八億一千万円、六・六キロにわたる直轄区間につきましては、災害費一億八千万円余を含め、十一億七千万円余が見積られているのでありますが、特に直轄区間につきましては、そのほとんどが市街地でありますため、総事業費十一億七千万円余のうち、本工事費四億七千万円余に対し、用地費二億八千万円、付帯工事費三億三千万円余、その他八千万円余となっており、用地費、橋梁等の付帯工事費の割合が大なる比率を占めているのであります。  一方これを工事の進捗率の面より見ますと、上流助成区間につきましては、総事業費の約六三%が災害費でありますため、予算の配付が比較的円滑に行われ、昭和三十三年度末においては、約四三%の竣工を見ることとなるのでありますが、下流直轄区間につきましては、同期における竣工率は、約二一%にすぎず、ここに本川改修計画遂行の上に、かなりの問題があるのではないかと思うのであります。特に本川の場合のごとく、流量を大きく改訂し、河道の流下能力増大を第一義とした改修計画の実施に際しましては、当然下流から改修を進め、疎通能力の増大を確保して後、上流からの流量を受けることとし、万一の場合、下流市街地の災害を防止することが、民心安定の上からみましても常道ではないかと考えるのであります。もちろん本年度は、計画実施の初年度ではあり、また別途実施されつつある諌早市の都市計画事業との関運等、諸種の事情により、思うにまかせなかったであろうことは、十分想像できるのではありますが、それにいたしましても、都市計画事業の方は、一応昭和三十四年度の竣工を目途として進められそいるのでありまして、河川費からの負担金約一億五千万円も、三十四年度中には全額支払いを完了し、かつ橋梁かさ上げによる取りつけ道路も完了いたさねばならぬ段階に立ち至るのであります。従いまして、本年度のごとき、直轄区間一億五千万円程度の予算措置をもってしては、とうてい円滑なる事業の遂行は期しがたいものと想像されるのであります。また直轄区間のほとんどが市街地でありますため、当初懸念された用地買収、あるいは家屋移転等の問題につきましても、沿川住民は、いまだに災害時の恐怖を忘れがたく、現在のところ、きわめて協力的である模様でありまして、この意味からいたしましても、直轄区間の工事は、でき得る限り早急に行う必要があると思うのでありますが、当局は、本川助成区間直轄区間の年度割予算についていかなる構想を有しておられるか、御説明を願いたいと思うのであります。  第九には、球磨川改修工事について申し上げます。本川は、下流区域が昭和十二年度より、上流区域が昭和二十二年度より直轄区域に編入され、改修工事が行われてきたのであります。その進捗率は、昭和三十二年度末におきまして、上流区域において一七・六%、下流区域において二五・四%にとどまり、上下流全体として、今なお七八%が未改修のままに放置せられているのであります。また昭和三十三年度以降における本川に対する修正全体計画によりますと、上流区域十五億四千万円、下流区域十一億一千二百万円、計二十六億五千二百万円の事業費を要するものと積算されるのでありますが、昭和三十三年度を初年度とする球磨川改修五カ年計画におきましても、その総事業量は、上流区域一億三千万円、下流区域二億五千万円、計三億八千万円が施工されるにとどまり、これを予定通りに完遂したといたしましても、なお修正全体計画の一一・二%の進捗率を示すにすぎない状況であります。従いまして、この程度の予算措置をもっていたしましては、途中における災害、あるいは手戻り等を考慮いたしますとき、四十年ないし五十年の長年月を要するものと憂慮されているのでありますが、特に下流区域におきましては、八代港の修築問題との関連もあり、その促進が強く要望されているのであります。  一方、上流区域におきましては、現在、錦、深田、多良木地区等に着工、その改修が進められているのでありますが、何分にも直轄改修区域への編入がおくれましただけに、その改修率は、下流区域のそれに比べ、さらに低い状況でありまして、ことに須恵村中島地区につきましては、連年の被害にもかかわらず、今なお改修計画未決定のままに、今回の球磨川改修五カ年計画におきましても保留の状態に置かれているのであります。もっとも、当地区に対する当初の改修原案といたしましては、一応捷水路による計画が立てられた模様でありますが、その後かなりの河状変化も見られ、現在原案通り捷水路の方式をとるか、あるいは河状整理の方式によるか、当局においても鋭意検討中のことと思われるのでありますが、最終案決定の時期的な見通しについて伺いたいと思うのであります。当地区におきましては、連年被災の経験より、大雨注意報のたびごとに全部落民が他地区へ退避するという悲惨な状態に置かれているのでありまして、早急なる最終案の決定が必要と考えられるのであります。  また球磨川上下流全川住民といたしましては、改修が遅々として進捗せざる現状にかんがみ、緊急事態発生の際の被害を最小限度にとどめるべく、現在設置されている市房ダム工事事務所のほかに、人吉、八代両市にも洪水予報専用の無線電話を設置されたい旨要望いたしているのでありますが、これに対してもあわせて御答弁願いたいのであります。  最後に、川内川改修工事について申し上げます。本川下流部につきましては、昭和六年度以来計画高水流量毎秒三千五百立方メートルの計画のもとに、直轄改修工事に着手いたし、現在までに築堤土量の約八七%を竣工いたしているのであります。また上流部につきましては、下流部とは別個に、昭和十八年における大出水を契機として計画が樹立され、昭和二十三年度より改修工事に着手いたしましたため、現在までの築堤土量の竣工率は、僅々一六%にすぎず、これが早急なる促進が強く要望されているのであります。  一方洪水量は、年々増加の傾向にあり、さらに上流部における改修の促進と相まちまして、下流部における計画高水流量の改訂は、やむを得ざるものとされていたのでありますが、昭和二十九年、三十二年における大出水を契機といたしまして、上下流の流量に関する総合的検討を行いました結果、下流川内市付近における計画高水流量を毎秒四千百立方メートルと改訂するに至ったのであります。しかしながらこの流量改訂により、すでに築堤率八七%に達している下流改修区域におきまして、今さら引堤あるいはかさ上げ等により河積の増大をはかろうといたしますことは、とうてい不可能に近いことでありますため、中流部鶴田村付近の狭窄部に堰堤を築造することにより、毎秒六百立方メートルの流量を調節すべく、計画が樹立されるに至ったのであります。  本堰堤地点につきましては、本川五三・三キロ付近を第一候補地、これより下流三百メートルの地点を第二候補地として調査が進められたのでありますが、本年度におきまして、両者を比較検討の結果、上流地点、すなわち第一候補地点が有利であるとの結論に達し、目下主として地質調査を続行中であります。  本堰堤築造に要する費用といたしましては、最低に見積りましても百億円の巨費を要するものと推定されているのでありますが、北上川における場合と同じく、すでに下流部の改修工事の大部分を完了いたしておる川内川といたしましては、本堰堤により洪水を調節する以外に、下流部を守る方途はないのでありまして、上流部における築堤の促進とともに、本堰堤の早急なる着工が特に要望されているのであります。  以上、要点のみを申し述べ、これに対する関係当局の御答弁を期待いたしまして、報告にかえる次第であります。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、木村守江委員
  5. 木村守江

    ○木村(守)委員 去る八月十六日から九日間にわたる福島、宮城、山形、秋田、青森、岩手の東北大県における建設省関係公共事業の調査並びに青森県における本年発生災害実情を調査して参りましたので、その概要について御報告申し上げます。  御報告事業別に行うことといたしまして、初めに道路関係について申し上げます。まず一級国道六号線の福島県以北は、四号線がこれに並行する関係もあって、改良、舗装がおくれているのであります。すなわち福島県内においてすら、四号国道改良率四一・三%、舗装率二八・四%となっているのに対し、同じく六号国道は、改良率二六・九%、舗装率二一・四%であり、他県においては推して知るべきものがありますので、沿道各地地元からの六号国道改良、舗装促進に対する熱心な要望がありました。また県道平—小名浜線を二級国道に昇格し、重要港湾小名浜港を二級国道新潟—平線の終点とすることについての福島県及び地元市町村の熱心な要望がありました。これは、海陸交通の一体化として十分に考慮すべきであると思います。  次に、四号国道における岩沼—仙台間のいわゆる仙台バイパス、徳田橋—新北上川橋間のいわゆる盛岡バイパスについての宮城、岩手両県の要望は、仙台、盛岡両市内の異常な交通難から見て、その趣旨は妥当と思いますので、当局の善処をお願いする次第であります。その他、地元の熱心な御要望のうち、おもなものを拾って申し上げますと、道路整備促進の要望といたしましては、一級国道の完全舗装、二級国道(特に隣県との連絡道路)の改修舗装、岩沼—塩釜間の海岸開発幹線道路整備、蔵王開発有料道路の新設等があり、橋梁関係といたしましては危険木橋の永久橋へのかけかえの要望は、宮城県松川橋、万石橋等を初め、数百に達しております。また秋田県から戦時中取りはずしたる橋梁の高欄補修の国庫補助について要望せられました。鉄道との踏み切りの除去に関しましては、盛岡市を初め多数の要望があり、当局の一そうの御努力を期したいと思います。  道路事業費の国庫負担率の引き上げないし据え置きにつきましては、東北六県一様に東北開発の観点から、強く要望がありましたことを特に御報告いたしておきます。  次に、河川関係について申し上げます。福島県藤原川の水洗炭による汚濁の問題は、ダムによる扞止、下流の浚渫等の要望がありましたが、根本的には、水質汚濁防止法の早期制定を痛感させました。北上川における多目的ダム群が、洪水調節に大きな効果を表わしていますことは、地元民から非常に感謝せられているのであります。北上川はもとより、他の河川につきましても、多目的ダムはまだまだ足りないと思われますので、なお一そうの当局の努力をお願いしたいと思います。  河川改修工事促進としては、阿武隈川下流、江合、鳴瀬両川及びその支流の吉田川、鶴田川、蛭沢川、また北上川及びその右支の新旧迫川、和賀川上流、左支の広瀬川等、及び盛川、定川河口、最上川中流、雄物川、米代川等、各地でその堤防、護岸等の促進、樋門、排水機、潮どめ堰堤、水制等の新設等、及び砂防、地すべり防止等の熱望が枚挙にいとまありません。  北上川の改修を初め、東北の河川改修が非常におくれていることを痛感し、相携えてその促進をはかりたいと思いますが、当局の一段の御尽力を期待する次第であります。  次に都市計画事業関係について申し上げます。秋田市を初め、都市計画街路事業促進の声が各都市で聞かれましたが、都市交通の緩和は、どこもますます困難に直面している問題であり、当局は、この面にも一そうの力をいたしていただきたいと思います。  能代、大館の火災復興事業を見て参りましたが、防火建築帯造成費の補助が少く、毎年度事業の見通しが困難である点を指摘して、その補助の強力な推進の要望がありました。  最後に、災害復旧事業関係について申し上げます。本年七、八月の豪雨による災害は、土木施設の被害額だけでも、宮城県一億三千万円、山形県六億五千万円、秋田県三億六千万円、青森県六億円となっています。青森県におきまして、災害直後の岩木川及び鰺ケ沢地方の惨状を見て参りましたのですが、木橋が全部流失し、学童が登校不能のため、学校は休校している状態でありまして、応急対策の一日もすみやかなる必要を痛感しました。被災各県とも、応急対策としては、つなぎ融資の措置、国庫補助金の早期交付等を、また本年の災害は、改修効果を如実に示し、改修のできた区域には起らなかったのでありますから、恒久対策として、河川改修工事の早期完成を要望せられたのであります。近時の災害が、未改修河川や奥地の小河川に多く発生している状況にかんがみ、小河川改良に今後大いに力をいたさねばならないことを痛感いたしました。特に青森県において、岩木川直轄事業区域を、弘前市を守るために、上流に十キロ延長することが熱望せられていました。この点、私どもも同感に存じますので、当局のこれに対する御見解を承わりたいと存じます。  以上、要点のみを申し述べて御報告といたす次第であります。
  6. 堀川恭平

    堀川委員長 ただいま派遣委員報告はこれをもって済みました。この報告に対しまして、徳安政務次官から発言を求められております。これを許すことにいたします。徳安政務次官。
  7. 徳安實藏

    徳安説明員 ただいま御調査の御報告を拝聴いたしましたが、御質問は非常に重要なものばかりでございまして、不用意のうちに抽象的な御答弁をなすべきじゃないと思いましたので、後刻御質問の内容を、速記に基きまして十分検討さしていただきまして、次回の委員会に正確な御答弁をさしていただきたいと思います。  なお予算を伴うものにつきましては、御調査の結果を尊重いたしまして、あとう限り御趣旨に沿う考えでございます。右御了承をお願いしたいと思います。  委員長初め委員各位が、酷暑を冒して、現地について詳細に御調査を行われ、きわめて有力なる資料並びに国民の声を私どもにお聞かせ下さいまして、この点、深く感謝いたします。     —————————————
  8. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、道路河川及び住宅に関する件につきまして質疑を続けることにいたします。瀬戸山委員
  9. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 道路局長に一つ、先ほどの国政調査の報告に出ておりませんけれども、私どもが回りまして、ちょっと感じたことがあります。というのは、今道路の問題で、国会も政府も相当強い決意で道路整備をはかっておるわけであります。ところが御承知のように、国道等において、私鉄等の軌道が走っております。これは、軌道としての能力も十分に長い間果して、交通上きわめて重要な意義があるわけでありますけれども、今日の状態を見ますると、たとえば国道において、私鉄軌道が中央部を走っておる。こういう状態のために、一般交通、特に自動車交通は、ほとんど不可能な状態になっておるところが相当あるわけであります。そのために、交通の緩和をはかるために、新たに道路を建設しておるところがあるわけであります。こういう点については、何となく不合理な感じを持っておるのでありますが、こういう問題について、どういう事情になっておるか、またどういうふうに考えておられるか。一軌道会社は、国道をあたかも自分の専用に使っておる。一般国民と申しますか、一般交通は、そのため非常な制限を受け、そのために莫大な国費をもって、新たに国道その他のあるいは有料道路を作る、こういう事態が起っておるのですが、この点について、どういうふうな考えを持っておられるか、一言だけ聞いておきます。
  10. 佐藤寛政

    佐藤説明員 道路の中を軌道等が通っておって、それが非常に道路交通のじゃまをしておる。道路改修に当りまして、そのために別に新たな路線を考えるというような場合があるというような点について御指摘になり、御意見をお求めでございますが、これは、重大な問題でございまして、軌道と申しますのは、申すまでもございませんが、道路の上を走るということを原則といたしておるわけでございます。しかしながら現在におきましては、自動車交通等の激増のために、軌道があることそのものが、交通上の非常なじゃまになっておるというところが、全国に非常にたくさんございまして、あるいは先ほどの御視察の間に、ただいま問題になっておりますことで、九州にもございますので、ごらん下すったかと思いますが、久留米の近く、八女の辺にそういうところがございまして、ただいま軌道撤去の話を進めておるわけでございますが、そういうわけで、軌道そのものの本質が道路の中にあるということになっておること、しかしながら、それが非常に交通のじゃまになっておるという状態でございますので、軌道全般に対しまして一がいに処理するわけにも参らない、その中には、交通上の使命から見て、むしろ交通上マイナスの点が多いものもなきにしもあらず、そういうような場合には、よく会社等と協議いたしまして、軌道の撤去等のお話を進めておるところもございます。ただいま申しました九州の八女—久留米間におきましては、そういう方向について話を進めておる、しかしながら、全般的にいいますと、それはなかなかむずかしい問題でございまして、できますならば、少しお時間をいただきまして、全国的にそういう個所を調べまして、全般的な御報告をさしていただきたい、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
  11. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は、具体的な部所については申しませんが、これは、考え方の問題でありますけれども、たとえば、国道をほとんど軌道だけで使っておる状態になっておるところがあります。そういうところを見ますと、これは、一面においては私鉄等の電車によって交通がはかられておるわけでありますから、一がいにこれが不適当である、あるいは不当であるということも言い切れない点もありますけれども、しかし、近代交通から見ると、必ずしも国道をそれにほとんど専用的に使わせる必要がないという考えも起るわけであります。そのために、数十億の金を投じて別に道路を作って、既存の国道等は一つの私鉄会社にほとんど専用させる、その私鉄会社は、それによって利益をはかっておる、こういう事態は、必ずしも適切でないと私は思います。あるいはこれは高架にするとか、その他の方法を講ずる必要があると考えますので、今調査研究をされるということでありますから、相当むずかしい問題でありますけれども、これは、ぜひ適当な措置を講ずる意味において、調査されんことを希望いたします。  そこで、今大臣が見えましたので、直接建設行政という関係でありませんが、この際緊急な問題として考えておりますので、大臣の、建設省としての考えをどういうふうに持っておられるかということをお尋ねしておきます。それは、御承知のように、今年は非常な旱魃でありました。最初は関東地方、その次には西日本、特に四国、九州等において、水不足のために非常な旱魃がありました。最近になりまして多少雨が降るようになりましたけれども、残念ながら時期的に非常におそくて、部分的には深刻な旱魃の被害を受けておる。それに対しては政府としても、あるいは国会等においても、各種の対策を講じておるわけであります。資金あるいは食糧問題等についても、いろいろ方策を講じております。しかしながら、旱魃の非常にひどいところになりますと、その日の食糧、その日の生計にも因るという事情のところも相当あるわけでありますから、もうすでにお聞き及びだと思いますが、そういうところについては、ただ政府の救済だけということでなしに、働きながら自分の生活を立てるという方策を講じる必要がある、と同時に、一面においては、これは建設省ばかりじゃありませんが、農林省等にも非常に関係があるわけでありますけれども、各種の建設的な事業を特にその地方に行なって、そうして働きながら再建をはかる、こういう処置を講ずる。簡単に申し上げますと、最近強く要望せられておる救農土木を起してもらいたい、こういう要望が非常に強うございます。そこで政府においても、そればかりが目的ではありませんけれども、各種公共事業の繰り上げ施工等を応用するということもやっております。やっておりますが、残念ながら三十三年度の既定予算は、それぞれ前の計画に従ってやっておるわけでありますから、必ずしもそういう旱魃対策、あるいは救農的な事業にマッチしない点がある。これは予算を伴うことでありますが、どうしても政府としては、一面建設、一面その地方の困っておられる方々にある程度の救済を含めて、新しい土木事業を起すべきものである、こういうふうに考えるのですが、建設省としてそういう考えを持っておられるか、あるいはそういう具体策を進めておられるかどうか、これをお伺いしたいと思います。私としては、ぜひそれを進めてもらいたい。それが、この旱魃対策の非常に重要な一面である、こういうように考えますので、お考え方を聞いておきたいと思います。
  12. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 ただいま旱魃対策の問題についての御質問でございましたが、これに非常に関連がございますので、私の方で公共事業の繰り上げ施工をやっておりますので、その報告をまず申し上げまして、そして旱魃対策についての考え方を申し上げておきたいと思います。  実は先般地建の局長及び各道府県の土木部長の会同をいたしまして、三十三年度予算の繰り上げ施工の方針をきめて、それぞれ実行をさせておるのであります。大体道路関係におきまして第三・四半期、すなわち十二月の末までに第四・四半期分を繰り上げて施工させる、その分量をほぼ三十七、八億、その程度実行させよう、河川関係におきまして、ほぼ同額程度事業を十二月までにやらせる、こういう方針をきめまして、今それを実行に移しておるわけであります。昨年は、多少仕事がおくれておったという事情もありますが、これを昨年の十二月末の事業進捗状況に比べますと、今年度は、予算の金額において、十二月までの間に、約四百億程度事業の分量の拡大ができる。これから出て参りますいろいろな物資の需給事情でありますが、鋼材において約五万トン、セメント四十二、三万トン、木材約五十万石、それから労働人口の吸収の点からいいますと、ほぼ千七百万人程度の延べ労働人口を吸収する、こういう計算を立てて、繰り上げ施工を今鋭意督励をしてやらせておるのであります。  ただいま御指摘の旱魃対策でございますが、ことしの春からの旱魃は、非常に深刻でありまして、その範囲も非常に広かったのであります。当初、利根川流域が一番やかましかったのでありますが、さらに北九州の方面が相当ひどい旱魃にあいまして、しかもそれは、利根川流域及び北九州だけでなくて、近畿の方面、あるいは東北方面等もありまして、範囲は非常に広くなっておる。その後の実情を見ますと、相当深刻な打撃がありまして、今お話のような事業を通して、これらの被害農民の救済をはからなければならぬというような意向が強く出ておるのであります。私どももその必要を認めます。そこで、先ほど申し上げました繰り上げ施工の関係で、それぞれ救済ができます部分と、それでもなおカバーのし切れない部分が出て参ります。繰り上げ施工でもって救済のできる部分は、非常にけっこうなんですが、できない部分について、あるいは道路事業、あるいは河川工事、そういうものをやっていくような方法を考えたらどうかということで、それぞれ道府県にはっきりした調査を求めておる次第でございます。大体九月十日前後までにその数字が出て参ります。どの程度の規模の事業をやるべきか、たとえば、道路についてはどの程度のことをやり、河川関係ではどの程度のことをやる、そういう数字的な結論が出て参りますから、それをもとにいたしまして、予算関係、その他政府部内でよく相談をして、各地方の要望にこたえるようにしたい、そういう考えで今進めておるところでございますから、御了承いただきたいと思います。
  13. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 せっかく建設省といたし政府としても、そういう御意向によって調査あるいは計画を進めておられる、まことに適切なことだと思いますが、これは、補正予算等の問題もあると思いますけれども、ぜひ次の臨時国会に間に合うように強力にお進めを願いたいと思います。実際旱魃地帯を回りますと、重ねて申して失礼でありますが、非常に深刻な状態になっております。繰り上げ施工では、先ほど申し上げましたように、必ずしもその土地々々にあるわけではございませんが、ぜひ進めていただきたいということを重ねてお願いしておきます。  もう一つ、今大臣からお話がありました繰り上げ施工の問題でありますが、これは、政府がそれぞれ示達をされて、それぞれ出先においても努力をしておるようであります。ところが、第四・四半期のものを、少くとも今年十二月までに現金の支払いができるように努力をしよう、こういう示達によってやっておるようでありますが、出先の方等においては、それでは一月から三月までの予算というものがほとんどなくなる、従って、その間どうなるんだという一種の危惧の念を持つわけであります。これは、大臣もよく御承知と思いますが、その間何もせぬということは、事実上できないし、またそういう話はないと思うのであります。今これに対して明確なるお話を聞くことは、なかなか困難かもしれませんけれども、そういう点について、出先では非常に心配しながら、この前の示達に対して働いておるという事情であります。その点については、どういうお考えを持っておられるか、承わりたいと思います。
  14. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 その点は、御指摘のように、第四・四半期に仕事が非常に軽くなっていくという問題が出て参ります。しかし、第四・四半期に残る事業は、たとえば道路について見ますと、大体二〇%くらい残って参ります。そこで第四・四半期の対策の問題でありますが、この繰り上げ施工が計画通りに進んでいくかどうか、それを今督励しておりますけれども、その模様を見て、事実第四・四半期があいているような結果になって参りますかどうか、その模様を見ると同時に、今度の繰り上げ施工は、日本経済全体の動きをながめての対策でありますので、日本経済全体の動きをもながめながら、しかる後に対策を講じていきたい、こういう考えを持っておるのであります。繰り上げ施工のときに常に問題になりますのは、年々の繰り越しの金額の問題でありますが、実は、昨年度の繰り越しは、道路河川等合せてほぼ七十億くらいであります。その七十億程度のものを繰り越しがないように年度内にやっても、非常に大きな事業分量の拡大になって参ります。従って、繰り越しがどの程度になっていくかということを見たり、事業進捗状況を見たり、日本経済全体の情勢を判断いたしまして、適当なときにこの穴埋めの問題をきめて参りたいという考えを持っております。
  15. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは、次は島上委員
  16. 島上善五郎

    ○島上委員 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、先般の十一号台風による江東地区被害関連しまして、江東区長並びに区議会議長から陳情がございました。大臣は、そのときお聞きにはなりませんでしたが、承わるところによりますと、大臣は、被害がありました直後に、現地をつぶさに御視察になっておるとのことであります。おそらくは、陳情もその際お聞きになったと思いますが、あの程度の台風で、ほんの一部の堤防の決壊ですが、被害は数十億と推定されておりまして、あの十一号台風の被害のうちで、一番大きな被害であったことは事実であります。そして、これは、かねてから計画しておりまする、いわゆる東京都の外郭堤防計画の中のほんの一部であります。おそらく何十分の一、地域とすれば二十分の一か三十分の一程度地域であろう。そこで、あの被害にかんがみまして——そうでなくても、昨年本委員会の調査室が出しました資料には、もうすでにこのことを予測しておるような調査が出ております。早急に外郭堤防と水門、閘門を作ることが何をおいても必要なことである、これは、全く異論のないところであります。そこで、先ほど区長及び議長からは、こういう状態であるから、ぜひ既定の計画を短縮して早急に実現するようにやってほしいという陳情がありました。また御承知だと思いますが、東京都議会においては、全会一致をもちまして、十カ年計画を五カ年計画に短縮してほしい、短縮して実現しようということを決議をしております。そのことも大臣のお耳に入っておると思いますが、これに対して、まず現地を御視察になった大臣のお考えを承わりたい。
  17. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 十一号台風の直後に、私はあの災害現場の亀戸四丁目でありましたか、あそこに参りまして、つぶさに実地に調査をしたのでありますが、私どもが想像しておりました以上に、非常に危険を感ずるような状態になっておることを知ったのであります。私は、その直後に、これは、非常に大事な工事であるので、早急にこれをやらなければいけないということで、たまたま幸い東京都知事とも一緒に現地に参りましたので、すぐやろうじゃないかという話し合いをいたしまして、とりあえず、もしかすると来るかもしれない秋の台風季に備えて、応急の施設をやろうということで、知事との意見が一致しまして、東京都といたしましては、すぐ補正予算を組んで——あれは、予備費になっておりますか、予算を出しまして、現場の応急復旧をやったのであります。応急復旧が済んだからといって、すぐ私のところに報告に来ておりました。同時に、あの地区の方々も見えておりまして、今お話の十カ年計画を短縮して五カ年間にやりたいという意向を伝えておったのであります。私も全く同感でありまして、あの地域災害防止対策というものが、大体七十億円程度費用がかかるようでありますが、あそこの工業生産力等から見ますと、この七十億円程度の金額は決して大きな金額ではなくて、政府としても、まっ先にやらなければならぬ仕事の一つであろう、こう判断をいたしまして、それぞれの関係の人たちを督励をして、早く進めるという考えを持っておりますから、御了承いただきたいと思います。
  18. 島上善五郎

    ○島上委員 大臣は、現地を見られてそういうお考えになったということはけっこうです。ぜひそうあってほしいと思います。  そこで、さらに進めて伺いたいと思いますが、東京都の建設局では、今申しました既定計画を、五カ年短縮するという考えの上に立って、かなり計画を具体的に検討しておるようであります。その結果として、都の建設局から建設省の方へ、明年度予算に九億九千万円を計上してほしい、その九億九千万円は、どことどこにどれだけかかるという内容も、もちろん十分検討した上でのことですが、そういう要望が出されておるはずであります。今の大臣のお考えは、これを具体化するには、明年度予算の編成に際して、どれだけ計上するかということにならなければ何にもならぬわけですから、東京都から、こういうように具体的に数字をあげて要望がきておりますが、これに対して、大臣のお考えは固まっておりますかどうか、伺いたいと思います。
  19. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 明年度予算に九億九千万円かかるということについては、実は詳細な数字は、私はまだ伺っておりません。しかし考え方としましては、東京都の建設局の者と建設省河川関係の者との共同作業のような意味で、一緒になってやっていくというような考え方を持ってやらしたいと思っておるわけです。予算が九億九千万かかりますかどうかという予算の費目と金額の問題については、もう少し両者集まって検討さしていただきたい。やるという方針のもとに、できるような予算の編成もしなければならないと考えておりますので、詳しいことは、事務当局検討さしていただきたい、こう思っております。
  20. 島上善五郎

    ○島上委員 まだ十分検討していないとすれば、これ以上具体的な御答弁を伺うのは無理かと思いますけれども、七十五億で十カ年という計画を、五カ年に短縮してやる。地元では、おそらく三カ年くらいでやってほしいという要望が、率直な声だと思いますけれども、これは、国家財政の関係もありますから、そこで、おそらく東京都議会で五カ年というのは、地元の声をも十分聞きながらも、しかし国家の財政のことを考えて、控え目な決議ではなかろうかと思うのです。ですから、七十五億で十カ年計画というものを五カ年に短縮してやるというこの考え方には、大臣はぜひなっていただきまして、この五カ年で実現するには、明年度どことどことをやらなければならぬか、それにはどれだけの経費が要るかという計算が当然出て参りますから、都で出されたものが万全であるかどうかということは、もちろん十分検討を要すると思いますけれども、予算編成期にも入ることですから、ぜひこれは具体的に検討されまして、はっきりとした計画を立てていただきたい。もう一つは、毎年々々のことですけれども、予算編成の際、予算を要求する際にはかなり地元の声に耳を傾けたような要求をしますが、さて最後には、大蔵省の査定にあいまして、どうもぶしつけな言葉を使いますけれども、途中で腰砕けになって、最初の要求の半分か三分の一に減ってしまうということがしばしばあったのです。今度の大臣は、現地をつぶさにごらんになって、痛切に感じておりますから、そんなことはなかろうと思いますけれども、こういうことに対しては、あなたのごらんになったように、非常に重要な工業地帯で、年額二千億といわれる工業生産力を持っておる地帯ですから、そして、あの程度の台風でさえああいうひどい災害をこうむっておる、累卵の危うきにある状態ですから、ぜひ今度こそは、計画を五カ年に短縮するという考えの上に立って貫いていただきたい、こう思うわけです。大臣のお考えを重ねてお伺いいたします。
  21. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 ただいま五カ年計画の御意見でありますが、五カ年になりますか、四カ年になりますか、あるいは六カ年になりますか、早急にやらなければならぬということは、これは、私の考え方でありまして、あの計画を十カ年計画でもってのろのろやっておる事態ではない、そういう状況ではないというふうに私は考えております。従って、四カ年計画になるか、五カ年計画になるか、そこらは、一つ事務当局とよく打ち合せをさしていただきたい。東京都と建設省の間に、実行可能な計画にしていかなければ何にもなりませんから、そういうふうに進めさしたいと思います。ともかく半分くらいの年限でもってやってしまわなければ意味がないということだけは、私ははっきり申し上げます。そういう方針で進めていきたいと思います。
  22. 島上善五郎

    ○島上委員 ぜひその意気込みで、一つやっていただきたいと存じます。  そこで、運輸省の港湾局の方、お見えになっておりますか、運輸省所管の部分もだいぶありますので。たしか東京都の港湾局から、今申しましたような都議会の決定を具体化するために、明年度計画を要望してきておられるはずだと思う。私の聞いたところによりますれば、運輸省へは九億七千六百万円来年度予算がほしいという要望が出されておると聞いておりますが、これに対して、運輸省ではどういうふうにお考えになっておるか。
  23. 布施敞一郎

    ○布施説明員 運輸省といたしましては、先ほど建設大臣が御答弁なさいました通りで、同じような考え方で進んでいきたいと思っております。なお、ただいまのお話では、来年度の運輸省としての予算要求が九億七千六百万円ということでございますが、私どもといたしまして、東京都の港湾局とお打ち合せをいろいろいたしました結果、九億三千万ということでただいま要求しております。
  24. 島上善五郎

    ○島上委員 私の聞いたところによりますと、何か運輸省ではもっと少額に、六億程度にしようという考えがあったということを聞いておりますが、今の九億三千万円というのは、東京都の港湾局と打ち合せをした結果、それが明年度必要であるという結論になったわけですか。
  25. 布施敞一郎

    ○布施説明員 仰せの通りでございます。
  26. 島上善五郎

    ○島上委員 それならば、私の聞いておるのと数字的に少し違いますけれども、これは、東京都の港湾局であなたの方へ持っていく際には、十分に専門的に検討した結果ですから——それから、さっき大臣にも御要望申し上げましたように、予算要求はこうしたけれども、大蔵省で査定されて、半分になりましたとか、三分の一になりましたとかいうことのないように、最後までがんばって、あなたの方も、もちろん現地を十分にごらんになっておると思いますが、これは、与党野党などという問題ではなく、国家的な重要な事業ですから、ぜひそれを実現していただきたい。五カ年間で、大臣は、場合によっては四カ年ということも言いましたが、なるべく早い期間にこれを実現するように、ぜひ一つ積極的にやってほしい、これを御要望申し上げまして、質問を終ります。
  27. 逢澤寛

    ○逢澤委員 関連質問。ただいま江東地区の防潮堤のことについて議題になっておりますが、この間の十一号台風によって、あれだけの被害をこうむった、これに対する防潮施設の重要性ということは当然であります。しかし、ここに考えねばならぬことは、あの工業地帯が、この表によりますと、年々相当の地殻沈下をしておる、よってきた原因は何であるかというと、結局地盤沈下が重要な問題である。地盤沈下によるから、あれだけの台風でも浸水をするということになる。そこで、あの地帯は、しばしばここに指摘されましたが、重要工業地帯です。この刷りものを見ても、セメント工業とか、あるいは重工業か非常に多い。この脆弱な地盤の上にそうした重工業を建設するのに対しては、建設省や運輸省は、いろいろの法令上において制限をしておるかしてないか。それから多くの地下水をとる、それで地盤が沈下するとか、あるいは地盤のやわらかいところに非常に荷重のかかるものを作るから地盤が沈下するとか、こういうようないろいろな人工による地盤沈下もある。そういうような場合に対しての法的措置——大阪なんかの場合においてはすでにそういうようなところもある。従って尼崎、大阪の海岸地帯の地盤沈下と同じような状態であるこの江東地区においては、そうした場合に対しては、どんな法的措置をとっておるかということを一つお伺いしたい。
  28. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 ただいまの江東地区の地盤沈下の法的措置の問題でございますが、これは、ぴたっとした御答弁になるかどうか、はっきりいたさない気もしますが、誤まっておればまた御訂正いたします。そういう地区に対しまする法的措置の問題としては、御承知のように工業用水法という法律がございまして、今申しました尼崎地区あたりは、この地区の指定になって、工業用水等をくみ出すことによりまして地盤が非常に沈下する原因になりますので、こういう地区は、一つの地区指定がございまして、そこでいろいろの手続で制限するというような立場になっております。  ただいまの江東地区関係は、まだこの法律の適用を受けてないというふうに、私今ここで記憶いたしておりますが、こういう法律適用の問題として、今後は十分検討しなければいかぬのじゃないか、ただいまはそういう気持がいたしておる次第であります。
  29. 逢澤寛

    ○逢澤委員 私は、この沈下に対しては、たとえて言えば、地下水の採取などに対して制限をするとかいう措置は、おそらくとってあったと存じております。とってあっても、なおこの表でもいっているように、年々五センチくらいの沈下を継続的にやっておると書いてある。そうすると、何かの対策をせねば、防潮堤をやっても、年々五センチも低下していくのであれば追いつかぬと思う。さらに、今の答弁ではきわめて不明確だから、断定は許せませんが、もし措置をとってないとすれば——とってあっても、私はこの委員会において十分答弁してもらいたい。防潮堤の必要であるゆえんは、地盤沈下がこうした原因を作っていると想定するが、そうすると、それに対する対策を——地盤はいいのに沈下するのか、地盤が脆弱だから、あるいは地盤に対する圧力に耐えないから沈下するのか、あるいは地下水の採取度が度を越すから沈下するのか、いろいろの研究の上に立ってその対策を講ぜねばならぬと思うが、何か方途を施しているかいないかということが一点、施していないとすれば、さっそくこれを研究するということと、その対策の必要があると思います。この点、一つ特にお願い申し上げたい。
  30. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 地盤沈下の問題については、全国各地にそういう問題がございます。今最もやかましく論ぜられておりますのは、新潟の地盤沈下の問題であります。あるいは尼崎あるいは大阪等、非常に大きな問題になっております。ところが、その地盤沈下の原因についていろいろ調べておるのですが、その原因がなかなかわからない。その原因を突きとめなければ、はっきりした対策も立たぬじゃないかということで、率直に言いますと、もたもたしてきておったのであります。さしあたりの問題としましては、とにかく沈下をして参りますから、潮をかぶらないように堤防を上げていく。これは、今までやられたことでありますし、現在もやっていることであります。しかし、これは、その地区々々によって事情も違うようであります。たとえば新潟あったりでは、ガスをとるから沈下するのじゃないか、こういうこともいわれております。尼崎あたりは、地下水をとるから沈下するのじゃないかというふうにいわれておりますが、それも、はっきりした原因が突きとめられていないのが現状であります。しかし、将来の問題としては、こういう地盤沈下の問題は、相当がっちりした調査をいたしまして、そうしてはっきりした方針をきめていかなければいかぬのじゃないか。今は目の子勘定でもって、沈下をしたから、堤防を上げていこうということでやっているのが現状だと、私は率直に見ております。これは、なかなか困難な問題でありますけれども、大事な地帯でもって、沈下をしているのでありますから、相当がっちりした調査もし、その調査の上に立って、恒久的な方針をきめなければならぬ段階にきているのじゃないかと思うのであります。せっかく私の方でも、できるだけ調査をして参りまして、統一的な方針をきめるように努力したいと思います。
  31. 逢澤寛

    ○逢澤委員 大臣のお話は、新潟などの例をあげてのお話だったが、私どもの想定では、その感覚が違うと思う。あの地帯は、かつては海であった。地盤の二十メートル、三十メートル、四十メートルくらい下は、おそらく泥土であるということが想定される。その軟弱地帯の上に、重量のあるセメント工場を作るのだから、とうふの上に石を置いたような形になっておる。そこに対して、そういうものを建設する場合には、どういうような基礎くいを打つか、その地盤に与える影響も考えねばならぬ。おそらくそういうようなことで、人為的な工作によって地盤が沈下することが多いのでありますから、特にこういうようなことについては、関心をもって調査を進めていただきたい。私の質問は、これで終ります。
  32. 三鍋義三

    ○三鍋委員 関連。ただいま逢澤委員の御質問に対して、大臣の御答弁があったのでありますが、それに関連いたしまして、新潟及び江東地区の地盤沈下の原因の調査の件でありますが、これは、非常に調査がむずかしいようであります。しかし新潟におきましては、現在四百メートル、六百メートル、千二百メートルのボーリングをやりまして、詳細な調査に入っておるのでありますが、これは、常識的に考えまして、どうもガスの採取によるものである一日五十万トン近いものを揚げているので、これによる変化が原因であるというのが常識的なんです。しかし、これは、やはり精密な調査をやらないと確認できない。そのほか原因と目される問題は、たくさんあるのでありますが、私がお尋ねしたいのは、この調査に名をかりてじんぜん日を送りまして、その対策はいつも後手々々となって、予算がむだ使いされ、膨大な経費を使わなければならぬという結果になることをおそれるわけであります。かりにガスの採取によるところの地盤沈下であるといたしましても、これは、ガス工業の立場から考えますと、重大問題なんです。しかし新潟市が年々埋没していって、きのうの新潟市が影もなくなり、カモメが飛んでいるということになっても困るのでありまして、この点は、調査を十分綿密にやっていただきたい。この機構がどういう工合になっているか、お互いに利害が相反する立場において調査をやっておって、その結果がまとまらないということは——純粋な科学的調査においては、そういうことはないと思いますけれども、えてして都合のいいような調査が出てきて、そして、そこに一致点が見出せない、利害相反する結果が出てくるということになりますと、ほんとうの対策ができないのでありまして、住民の立場からいきますと、実に安心して起居できない、眠っていられない状態なんでありますから、この調査機関がどのように統一されて、そしてしっかりと連絡のとれた、間違いないものができているか、できていないとすれば、今後これに対してどういうお考えに立っておられるか、これを、一つはっきりと御所見を承わりたいと思います。
  33. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 ただいま新潟の地盤沈下対策についての質問でありますが、お話しのように、地盤沈下の原因については、なかなか結論が出て参りません。一応常識的には、こうだろうというようなことをいわれておりますけれども、それも、結論づけるわけには参らないのであります。しかし、どんどん沈下をして参りまして、高潮が非常に危ないような状態になっていることは事実でありますから、その対策は、とりあえずやらなくてはいかぬということで、大体二億余になったのでありますが、実は、先般予備金を支出いたしまして、そして、さっそく工事を実行するということになりました。この雪の前にできるだけ一つやろうということで、実地調査に今係官をやつております。すぐ着手ができるような形になっておるわけであります。ただ将来の原因を突きとめるための調査機構等については、お話のように、十分考えて参らなければならぬと思うのでありますが、利害関係者の意見があまり強く反映するような調査機構というものは、適当でないと私も思います。そういうものとは離れて、純粋の科学的な立場から調査ができるような機構でないと、ほんとうのいい結論は出てこないのじゃないかと思います。そういう点を考えて、なおあえて新潟だけでなくして、その他の地盤沈下の地帯についても、そういう考えで根本的な対策を講じていきたい、こう思います。
  34. 三鍋義三

    ○三鍋委員 私、その考えでなくして、現在そのお考えがどのように具体化されているかということをお聞きしておるのですが、これからですか。
  35. 山本三郎

    ○山本説明員 新潟の地盤沈下の問題につきましては、従来いろいろ問題になりまして、しかもあの地帯は、各省いろいろ事業的には関係があるわけであります。従いまして、共同的にこれを調べなければいかぬということになりまして、従来も共同に現地を調査したりしておりました。その後、ただいま大臣からお話がございましたように、応急調査と、それから原因の調査というものをやることに相なりまして、それに対しまして予備金が支出されたわけでございます。調査の問題につきましては、各省相談いたしまして、各省が直轄でこの調査をやるということに相なっております。十分連絡の上で、しかも企画庁がそれらの調整をとりながらやる、こういうことに相なっております。それから科学技術庁に委員会ができております。
  36. 三鍋義三

    ○三鍋委員 それが、全部統括して連絡をとってやっておるわけですね。
  37. 山本三郎

    ○山本説明員 そうでございます。
  38. 三鍋義三

    ○三鍋委員 そこで、手抜かりがないということを確認したのでございますが、私、もう一ぺんごく常識的にこれを判断いたしまして、一生懸命に地面の底を掘っていけば、防潮堤がだんだん下っていくわけですね。下ったのをどれだけかさ上げをやっても追っつかないのでありまして、その調査を的確にして、そしてガス採取の原因であるか、何の原因であるかということがはっきりわかったならば、これは重要な化学工業であるけれども、この採掘の条件を十分考え、適正なる処置をとること、こういうことをしっかりとやっていただかなければならぬ、このように考えますので、調査の適正を心から念願するものでありまして、この立場におきまして、当局におかれましては、この問題を十分慎重に御調査願いたいと思います。これだけ御希望申し上げておきたいと思います。
  39. 島上善五郎

    ○島上委員 ちょっとさっきの地盤沈下の問題に対する大臣の御答弁が、少しあいまいで気になるところがあったので、一言言っておきますが、江東地区に関する限りは、昭和二十六年以来政府も補助金を与えて、東京都においては、権威者を網羅した調査機関を持ちまして、この調査機関の一応の結論は出ておるわけです。原因は、工業用水をくみ上げることにある。それと、今後の見通しとしては、今後大体一メートル程度でこの沈下がとまるであろう。これは、一応の結論ですから、それが果してほんとうに正確なものであるかどうかということは、なお調査を続ける必要があろうと思いますけれども、そうして、今のいわゆる外郭堤防計画というのは、この一応の調査の上に立った計画ですから、なお調査する必要があるからといって、この計画が多少でもよろめかれては困るわけです。さらに権威ある調査の結果が出て、工業用水のくみ上げを中止するとか、制限するとか、あるいはほかから持ってくるということも必要でしょう。今の調査の結論から見ましても、工業用水の問題は、他から水道を引いてくるという計画が将来必要であるということもいわれております。そういうことも並行的に今後の問題としてはしなければならぬと思いますが、今すぐ工業用水のくみ上げをやめて、他から水道を引っぱってくるということになると、これまた莫大な経費を必要とする、そのために、こっちの計画を延ばすとか変更するということになると困るわけです。これは、一応相当権威のある調査の上に立った計画であるということを頭の中に入れて、不動のものとして計画を進めていただきたいと思うのです。
  40. 徳安實藏

    徳安説明員 先ほど三鍋委員から、新潟の調査のことについてお話がございましたが、実は、私現場を拝見して参りまして、帰りましてから大臣にも御報告いたし、よく相談いたしまして、早くその結論を出すべきだ、どろぼうに追い銭というようなことをしてはいかぬという私の考え方であります。そこで、政府の方で、ただいまその原因について、権威のある学者諸君が集まって委員会ができておる、そこで、建設省からもその委員に加わっておりますから、その諸君に話しまして、勇敢に、そうして良心に恥じないような結論を早く出してもらいたい、大臣もそういう気持だから、何も懸念する必要はないから、早く出してもらいたいという話をしてございます。盛んにそちらの方から、早く結論を出すように督促しておりますし、またほかの方の役所にも、私ども連絡をとりまして、各役所から出ている役員には、おのおのが良心的に早く出されるようにということをお話をしておりますから、そう遠くないうちに結論が出ます。これに対しては決して憶病ではありません。あくまでも良心的に結論を早く出すように努力いたしておりますから、御了承願いたいと思います。
  41. 堀川恭平

    堀川委員長 次は、中島君。
  42. 中島巖

    中島(巖)委員 大臣がお見えになりましたので、大臣にお伺いいたしますが、さきの通常国会におきまして、道路整備緊急措置法外特別会計法など四案を可決いたしたわけでありますが、これは、私が申し上げるまでもなく、岸内閣といたしましては、鳩山内閣の住宅四十二万戸建設などにもかわるべき内政血の大きな看板であったわけであります。私ども野党ではありますが、この政策につきましては、基本的に賛成いたしまして、これらの四法案を通したわけであります。従いまして政府といたしましても、相当重大決意をもちまして、いわゆるこれの根幹となるところの道路整備五カ年計画決定いたしたわけであります。そこで、この時期にお伺いしておきませんと、来年度予算関係をすでにお手元で現在編成しつつある時期でありますので、はっきりした基本的のお考えをお伺いいたしたいと思うわけであります。新聞などで見ますと、当時決定いたしました五カ年間に九千億の道路整備費を使うというのを、最近に至りまして、これを一兆億といたしまして、そしてガソリン税を増徴するというようなことが、大蔵大臣談話などで各新聞に出ておるわけであります。そこで、質問いたします要点は、このごろ決定いたしました道路整備五カ年計画を変更する御意思があるのかどうか。それから新聞で伝えられるところのガソリン税を増徴する御計画であるかどうか、最初に、この二つの点を大臣にお伺いいたしたいと思うわけであります。
  43. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 道路投資の問題についてのお尋ねでございますが、あの当時九千百億円計画というものを出しておったのでありますけれども、その後のいろんな新しい要望もあり、あの計画を五カ年間に約一千億円の増強をする。すなわち五カ年計画で一兆億円の投資をするということに大体話し合いがまとまって参りまして、実は率直に申し上げますと、まだ閣議で決定する段階まではいっておりません。しかし大体の話し合いがまとまって参りまして、その一千億円に相当する部分の各部門別の配当、割当の問題を今相談しておる最中でございます。特に目ぼしい五カ年計画修正というような形ではなくして、五カ年計画の基本的な考え方は変らないけれども、不足している部分を補っていくような考え方で一兆億円の投資をやっていこう、こういう考えでおります。  なおガソリン税の問題でありますが、ガソリン税の増徴の問題を、この間新聞で私は見ておったのでありますが、この問題は、政府の部内におきましても、もう少し検討しなくてはならぬと思っておるわけであります。まだもちろん方針はきまっておりません。しかし、私は、ガソリン税の問題については、精細な資料を整えまして、道路整備のために、ガソリン税というものを一銭もよそ道に使わないで、道路に使っていくという建前であるならば、これは考えてもいいことではないかというふうな考えをもちまして、そして、具体的な数字その他の検討を今やらしておる最中であります。もうしばらくたちますと、これをやるべきかやらざるべきかという結論が出て参ると思います。現在としてはそういう段階でございますから、御了承いただきたいと思います。
  44. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいま大臣の御答弁でもはっきりいたしたことは、九千億の五カ年計画を一兆億にするということは、はっきりいたしたわけであります。それからガソリン税に対しましては、まだ決定はいたさぬけれども、これを全額道路に充てるということならば、あるいは増徴してもいいではないかというような考えで、目下数字を出さして、検討中である、こういうように了承していいわけですね。それで、さらにお尋ねいたしたい点は、これは、むしろ道路局長から御答弁願ってもけっこうなんですが、九千億の予算であっても、年間千八百億を道路整備費に投入するわけでありますが、本年度の、これは有料道路であるとか、あるいは地方公共団体の負担分であるとかというようにいろいろ多方面に分れておるので、はっきり数字を私つかんでおりませんが、昭和三十三年度の総道路事業費は、どれだけの額になっておるか、この点、お伺いしたいと思います。
  45. 佐藤寛政

    佐藤説明員 昭和三十三年度、本年度におきましては、国費の関係いたします道路事業費は、おおむね千億でございます。
  46. 中島巖

    中島(巖)委員 国有分でなくて、いわゆる道路整備緊急措置法によるところの五カ年計画に該当するところの総予算は、どれだけになるか、この点をお伺いしたいのです。
  47. 佐藤寛政

    佐藤説明員 概数で、もし数字に間違いございましたら、一つ訂正さしていただきますが、一切を含めまして、千三百億くらいにはなっておるかと思います。
  48. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいま道路局長の答弁によりますと、総額で千三百億程度じゃないか、こういうような答弁であったわけでありますが、そうすると、三十三年度分を三十四年度、あるいはそれ以降の五カ年間に五百億を繰り上げて施行せねばならぬ、こういう結果になっているわけであります。従いまして、われわれは、道路整備費の九千億が一兆億にふえることは非常に歓迎いたしますけれども、本年度予算において、道路整備五カ年計画が、第一年度において年間千八百億のやつが、五百億も予算計上に不足を来たしておる、こういうような状態において、ここで一兆億予算に直ちにこれを変更するという、そういう必要はないのではないか、これは、当初予算の九千億に対する年間一千八百億の消化が可能になった場合において、そういうような案を立つべきではないか、こういうように考えるわけでありまして、昭和三十三年度の当初予算における岸内閣のこの大きな計画が、年間当りの当初予算を計上しないでおいて、さらにここで飛躍的に一兆億予算にして、ガソリン税を増徴する、こういうことは、基本的に間違っておりはせぬか、こういうように考えるわけですが、大臣のお考えを、あらためて伺いたいと思うわけであります。
  49. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 一応の道路五カ年計画を発表いたしまして、そうして、これを進めて参っているわけてありますが、道路五カ年計画におきましては御承知のように、一級国道について八〇%足らずの改良舗装しかできないのであります。さらにまた二級国道及び重要地方道についても、なかなか思うようには進まないという事情もありまして、非常に強い要望等も考え、五カ年間には、もう少し能率を上げていく必要があるではないかという考え方を持って参ったわけでありますが、でき得る限り当初をふやしていきたい、こういう考え方を持っておるのでございます。ただ昭和三十三年度予算が非常に少くて、さらにまた次年度以降の予算をふやすような形になるのはおかしいじゃないかという点のお尋ねのようでありますが、御承知のように、ガソリン税の財源が道路投資の資金の主要部門を占めております。ガソリン税が漸次増収されて参りますので、その伸びとにらみ合せて、だんだんその年度が過ぎていくに従って、大きくなっていくような計画をしておるわけであります。そういうことを考えて、初年度は少いけれども、だんだん大きくなっていくような計画にしてあるわけであります。そういう点を一つ御了承いただきたいと思います。
  50. 中島巖

    中島(巖)委員 今大臣の言われた構想は、私も賛成なんです。賛成ではありますけれども、結局画期的な五カ年計画を樹立いたしまして、そうして、年間当りにすれば千八百億を使わなければならぬことになっておるのを、千三百億しか使わなくて、本年度の五百億というものは来年へ持ち越す、あるいは今大臣の言われたように、年間当りではなくして先の年に順次延びる、これはその通りでしょう。しかし来年度は、千八百億にさらにプラス五百億という、こういう考えも一応成り立つわけであります。それで、この五カ年計画予算が使えない現在の状態において一兆億の予算を立てるよりは、これをある程度年間当りの消化ができてから、一兆億予算を立てるような構想をとったらどうか。道路整備五カ年計画という看板だけで、その内容は、それだけの金額を使わずにしておいて、そうしてガソリン税増徴の方へ持っていくということについては、どうも納得ができない、こういうように考えるわけであります。  その他質問いたしたいとともありますが、時間もありませんので、簡単に質問いたしたいと思います。たしか道路整備緊急措置法の第二条におきましては、事業の量、種目などを決定して、閣議の決定を経なければならぬ、こういうことになっておるわけでありまして、昭和三十三年度道路事業も、この法律通りにすれば、いわゆる青写真ができて、閣議決定を経てから行わねばならぬということになるわけでありまして、前の根本建設大臣は、それができれば委員会に対して御相談をするということを、当委員会において、公式の席でお話もあったわけであります。  そこで、御質問の第一点は、そういうような計画がもう樹立されておるのであるか。つまり簡単に言えば、青写真とでも申しますか、そういうものが樹立しておるのであるかということが一点。  それからもう一つの点は、この緊急措置法によりますと、いわゆる国の負担率は、三十三年度限りということになっておりますが、来たるべき通常国会におきましては、この負担率に対してどういうようなお考えを持っておるか。あるいは従来通りのようなお考えで法律を御提出になるお考えがあるのかどうか、この二つの点についてお伺いいたしたいと思います。
  51. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 道路整備五カ年計画の内容の問題でありますが、先ほど来申し上げておりますように、一兆億円投資の問題が出て参りまして、それを各部門別にどういうふうに割り当てるかということについての相談を今進めておるところであります。従って、それができ次第、道路整備五カ年計画の内容をきちんときめてお諮りしたいと思っておるわけであります。  なお国の負担率の問題につきましては、御指摘のように、これはきわめて大事な問題でありまして、私どもは国の負担率の問題は従前通りの扱いをして参りたいということで、今回の予算の要求についても、今までの方針を踏襲して、大蔵省の方との話し合いをしておるわけでございます。これらも、予算が確定して参りますと、最終的な決定になるわけでありますが、一応私どもは、この負担率の問題は、さらに法案を提出いたしまして、そうして従来通りの考え方でいくようにしたい、こういう希望を持っておるわけであります。
  52. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、例の道路整備五カ年計画によるところのいわゆる緊急措置法による事業の種目、量などにつきましては、一兆億計画になったので、その線に沿って今立案中である、こういう御答弁であった。これに対しましては、非常に私どもとして疑義があるのでありますが、本日は時間もないので、いずれ臨時国会、通常国会において御意見を伺ったり、私どもの考えを申し上げたいと思います。  それから国庫負担におきましては、従前の負担率でいきたいという考えである、こういう御答弁であります。これもしごくもっともなお話でありまして、その方針で大蔵省なんかと折衝をやっていただきたいと思います。これは、りっぱな五カ年計画ができましても、地方負担の問題で、絵に書いたぼたもちになるおそれがありますので、これは、ぜひ通常国会において法律を出していただきたい、こういうように希望いたしておるわけであります。  それからもう一つここに強く要望いたしこておかなければならぬことはせっかく総額においてふえましても、一部では、一級国道が国の直轄管理になる部分が非常に多いために、一級国道に対して重点的に予算が配られて、二級国道、地方道においては、従来よりも低い率になりはしないか、こういうような心配をする者があるわけでありますが、これは、道路局長でけっこうでありますが、この予算の配分の基本方針については、従来の一級国道、二級国道もしくは地方道に対する予算などを勘案して、これにえらい狂いがないような配分方法をしているかどうか、この点について、基本的のお考えをお伺いしたいと思う。
  53. 佐藤寛政

    佐藤説明員 五カ年計画を策定いたしますに当りまして、各種道路への予算の配置の問題でございますが、ただいま御指摘のように、一級国道幹線道路につきましては、できるだけ早く整備進捗を期待いたしたいところでございますが、また一面におきましては、二級国道以下の地方道路現状を見ましても、整備状況が非常に悪いのでございます。今回の五カ年計画におきましても、なお相当整備の進め残しがあるようでございます。従いまして、予算の配置につきましては、この一級国道幹線道路のみに集中いたすようなことなく、特にただいま確定いたしております一兆円計画におきましては、むしろこの二級国道以下の地方道路整備が非常におくれておるところを即効的に整備を進めることを一つ考えるようにというような気持をもちまして、予算の配置を考究いたしておるような次第でございます。
  54. 中島巖

    中島(巖)委員 次に、大臣にお伺いいたしますが、例の経済基盤強化基金の関係でありますが、あれは、たしか特別国会におきまして、二百十五億の割り振りはきまりまして、たしか二十二億だと思いましたが、道路整備、港湾その他というような項目になっておったわけであります。私は早合点いたしまして、あの法律によって、大蔵大臣の意見によって予算化されたもの、こういうように考えておったのでありますが、昨日の官房長などの答弁、それから私の方でも調べてみますと、これは、さらに国会へかけなければ使えない、こういうようなことがわかったわけであります。この問題につきまして、特別国会で大臣に御質問いたしましたところが、この半額は、道路方面に使いたいという意向である、こういうようなことをお聞きしておるわけであります。私どもも、それを希望いたしておるわけであります。そういたしますと、これを国会にかけねばならないといたしますと、いくら早くても臨時国会になるわけですが、十一月のいよいよ降雪の時期に向うわけでありまして、従って、早くこれを予算化せねば、気候の関係なんかで必要に迫られておるわけであります。そこで、お伺いする点は、臨時国会に経済基盤強化基金について提案するような御意思があるかどうか、この点、お伺いしたいと思います。
  55. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 経済基盤強化基金の点についての御質問でございますが、これは、お話のように国会で決議しなければ使えない形になっております。ただ、これを臨時国会でやるかどうかという問題については、もちろんまだきまっておりません。特殊の意味を持った日本経済全体の運営の判断からきまってくる問題でありまして、むしろ大蔵大臣の考え方を主にしてきめていかなければならないと思うのであります。現在は、まだいつこれをおろすかということについてはきまっておりません。だんだん情勢が進んで参りまして、日本経済の全体の動向から見て、おろすべきときがくればおろす、こういうことを申し上げる以上のことは申し上げられない状態であります。
  56. 中島巖

    中島(巖)委員 それから、これは非常にこまかい問題になってくるのですが、二つお伺いしてみたいと思うのです。一つは、外資の関係でありますが、三十三年度予算にも、四十五億だとか六億、すでに予算に計上済みで、外資導入ができるという見込みで計上してあったわけですが、この外資の関係に対する現在の状態は、どうなっておるかということが一点と、それから、これは御答弁願えればけっこうでありますけれども、実は、先ごろ私ども建設委員会が、三班ほどに分れて国政調査をしたわけでありますが、私どもの班は、東海道、中部、北陸を回ったわけですが、このときに感じましたのは、一級国道の中にもありますが、二級国道なども全面的、それから府県道なんかも全面的でありますが、この幅員が狭いために、三十分も四十分もかかって自動車のよけ合いをしたというようなところが各所にあったわけであります。そこで、自動車退避所をこしらえることが目下非常な急務ではないか。しかもこの退避所は、将来の五カ年計画のいわゆる改良計画とマッチしてこしらえさせれば、重複投資にならないから、この点について重点を入れてもらいたいというようなことを、一昨日の視察結果の報告でも申し上げて、さらに道路局長に質問いたしましたところが、本年度事業費として十五億、国庫負担として七億五千程度を計上した、こういうようなお話であったわけであります。もちろんこの金額を出した基礎的の計画というものはおありで、そういう点からこういう数字が出たものと考えるのですが、私どものしろうとの大ざつぱの考えとしては、この程度では不足ではないか、この五割もしくは倍額程度を計上して、早急に自動車の交通だけは円滑にすることが、目先の急務ではないかと考えたわけであります。従って、自動車退避所の特殊改良費の相当額の増額を希望いたすわけであります。  以上二つの点について、大臣より御答弁願えれば仕合せと思うわけであります。
  57. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 最初のお尋ねの外資導入の問題でありますが、外資導入の計画は、当初予定いたしましたあの計画が順調に進んでおりません。非常に時間がおくれておりますが、これは外国との話し合いなものですから、非常に文書等のために時間がかかっておりまして、私の方でも鋭意督促をしておるのですが、交渉はだんだん固まっておりますし、予定通りにこの道路についての外資は入ってくるものと私は信じて、これを進めておるような次第でございます。  それから第二の地方道の退避所の問題は、御指摘のように、非常にこれは不便をしております。私どもも、これを前々から何とかしなければならないというふうに考えておりましたので、予算を盛って、この交通の輻湊を解消するようにしたいということで進めておるようなわけであります。また予算の金額がどうかという点については、事務的にもう少し検討をしていきたい。いずれにしても、重要地方道のバスその他の輻湊するために、非常に不便をしておることについては、でき得る限り早く解消する方法を講じなければならない、こういうふうに考えております。
  58. 中島巖

    中島(巖)委員 これは、河川局長でもけっこうでありますが、昨日の災害予備費の関係の質問に対して、予備費が八十億程度あるというようなことを伺ったわけですが、この八十億という予備費は、建設省所管だけの災害対策に対する予備費であるか、政府全体の予備費であるか、その点をお伺いし、さらに現在まで、政府全体として災害に対する予備費はどのくらい出ておるか、これは、大臣もしくは政務次官からお伺いしたいと思います。
  59. 山本三郎

    ○山本説明員 八十億というのは、政府全体の予備費でございます。建設省関係として出ておる災害分の予備費は、現在までのところ二億数千万円でございます。
  60. 中島巖

    中島(巖)委員 それから非常に話はこまかくなるのですが、農林省の災害復旧課長にお伺いいたしますが、実は最近の災害の非常な特徴は、昨日もいろいろお話があったのですが、大河川ではなくして、梅雨前線と申しますか、あるいは台風後において一カ所に気圧が停滞して、そして小河川災害が非常に大きいわけであります。そこで、質問をいたしますのは、かえって具体的な問題をとらまえてお話しした方がわかりがいいと思いますが、実は私、長野県の南部なんですが、今回の十七号台風によりまして、あの地区では非常に荒れたわけなんですが、そこで、天竜川の支流に南ノ沢という小さい河川があるのですが、これは奥で国営砂防をやっておるわけです。そこで、この林道がほとんど五〇%流失しておるのですが、口元が町村道である。それから中間が、森林組合の経営しておる林道である。その奥が国営砂防でやっておるところのいわゆる営林署の林道。つまり営林署の林道、それから森林組合の維持管理しておる林道、口元が町村道、こういうようになっておる。これが同じように災害を受けたわけですが、こういうような復旧作業に当っては、どの一カ所が復旧できても、一カ所が復旧できなければこれが使えないという状況にあるわけですが、こういうような状態のところの指導方針は、どういう方針をとっておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  61. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 私、林野庁の人間でないのですが、私の方の農道の関係で申しますれば、大体五十メートルの間隔以内にあれば、一カ所としてみなすという規定がございますので、それでやっていくわけでございます。原則的に申しますと、用排水路なんかの場合ですと、五十メートル以上離れておりましても、効用上分離施工不可分ということで、切り離して施工する場合にはどうしても事業効果が発揮できないというような場合には、一カ所として取り扱うというような運用をいたしております。しかし農道の場合などですと、あまり離れていると、そういうような規定は現実には適用しておらないという状況であります。今お話しの点は、私管轄外でございますが、営林署の関係ですと、これは国有林の関係で、災害を受けた林道は、国有林の林道としてやらなければなりません。それから組合のは、これは一般の普通の民有林の林道の関係になりますが、組合のは、普通の暫定法が適用される災害復旧だと思います。それから町村道になりますと、これは建設省の所管の災害復旧で扱われるというふうになると思います。
  62. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 ただいま農林当局から御答弁がありましたが、政府全体としましては、建設省も農林省もないのですから、一本通さなければ役に立たないというときには、連絡しまして通させるようにいたしますから、一応御了承願いたいと思います。
  63. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは、次会は公報をもってお知らせすることといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会