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山中(日)
委員 これは、私の
見解になりまするが、この
汚濁水による
漁民の
被害、あるいは農民の
被害に対する補償の問題につきましては、従来もあっせん、あるいは当事者間の
話し合いで問題をきめるような態度をとってきたのでありますが、この経過を見ますると、どうしてもこういう
汚濁水を流す
工場というのは、大きな資本力を持って経営をいたしておるのでありまして、その
汚濁水によりまして
被害をこうむる零細な農民、あるいは
漁民というものは、たといその
被害に対する要求を掲げて戦いましても、やはり資本力あるいは大きな勢力に押しつぶされまして、そうしてほんのわずかな涙金、あるいは金額で泣き寝入りというようなことで問題が
処理されてきておる傾向が非常に強いのであります。そこで私どもは、そういうことの
解決では十分でない。しからば当事者にその損害の賠償の争いをさせておくかといいますと、実際問題といたしましては、こういう
工場の
汚濁水による
被害というのは、非常に化学的な問題も含んでおりまするし、あるいは産業の発展、
工場の誘致という問題と関連をいたしまして、非常に重要な問題であり、非常にむずかしい問題で、こういう問題による争訟を当事者間にまかせておくと、この問題は非常に
法律的にむずかしい問題ですし、また長い間裁判で争うというようなことは、とうてい
漁民や農民にとっては耐え得られない。ですから、私どもはどうしてもこの
水質汚濁による損失の
補償等については、従来のただ都道
府県のあっせんにまかせる、あるいは当事者間の争訟にまかせるということではなしに、ちょうど今
わが国にあります労働
委員会のように、一つの機構を設けまして、そこでこの
水質汚濁による損害のあっせん、調停あるいは裁定をする、こういうような機構を作る必要があるのではないか。そうしてその専門的な
委員会がもしこの裁定に服さざるものに対しては、その補償を強制できる、あるいはまたその
委員会が、
河川法あるいは鉱山保安法にありますようなああいう権限を持ちまして、そうして
委員会の命令によって、そういう施設はできない、これはこういうふうにしなければいかぬというふうに、そこに一つの統一した機構を設けて、
水質汚濁の問題を根本的に
解決する、こういうふうな考え方はどうしても必要だと私どもは考えておるのでありますが、その点については、いかがでございますか。