○
山本政府委員 河川局の
関係のことを御
説明申し上げます。
先ほど
大臣、
官房長から御
説明がございましたが、多少重複いたす点もあると思いますが、順を追いまして、
河川局の
予算、
法律の
関係、並びに最近の起りました事例に対する経過並びに
処置等を御報告申し上げたいと思います。
第一番目に、
昭和三十三
年度の
予算の
執行状況を御
説明申し上げます。先ほど
官房長から
概略の御
説明がございまして、
予算の全貌並びにその
予算の各
現地への
予算の
到達状況を御
説明申し上げたわけでございますが、
治山治水の
関係につきましては、すでに
個所決定をいたしまして、先ほど御
説明がありましたように、各
現地に
内定通知をいたしております。それによりまして、
補助事業につきましては、各
府県の
申請に基きまして
交付をいたすわけでございますが、各県の
事情もございまして、多少まだ
交付の
通知をいたしておらぬものもございますけれども、額面に比べまして、順調に進んでおる次第でございます。
まず
最初に
個所の選定をいたしたわけでございますが、
昭和三十三
年度におきましての
個所数の
概略を申し上げますと、
直轄河川は、
北海道を含めて百四
河川を三十三
年度に
施行いたしております。そのうちには、
北海道の一本の
河川と、
内地におきまする三本の新しい
直轄河川が含まれております。
次は
中小河川でございますが、三百十三本
施行いたしておるわけであります。そのうちには
北海道の
新規の三本、
内地の二十本、合せて二十三本の
新規が含まれております。
次は
海岸堤防でございますが、全部で三十数カ所の
海岸堤防の
修築工事を行なっておりますが、そのうちには六カ所の
新規が含まれております。
次は、
海岸の
浸蝕対策事業でございますが、
全国で二十二カ所行なっておりまして、そのうちには四カ所の
新規が含まれております。
次は
ダム関係でございますが、
直轄の
ダムにつきましては、
全国で十五カ所
実施計画調査を進めまして
施行いたしておりますが、そのうちには二カ所の
新規が含まれております。
次は
補助関係の
ダムでございますが、十五カ所行なっておりまして、そのうちには七カ所の
新規が含まれております。
以上のように
個所を
決定いたしまして、それらの
個所は、担当いたしておりますものと十分打ち合せをいたしまして、
経済効果あるいは他の
事業との
関連を考慮いたしまして、至急
施行を必要とする
個所を打ち合せいたしまして
個所を
決定いたし、
工事の
施行をはかることにいたしております。
なお
執行状況でございますが、ただいま申し上げましたように多少の金を保留してありますのは、
災害の
あとにおきまして
補修工事等を行わねばならぬ点につきましては、
河川の
維持補修費を多少保留いたしておりまして、
災害の
あとでこれを使って、跡始末をしようという分を保留しておる次第でございます。
次は
災害復旧費の
関係でございますか、これは、しばしば御
説明を申し上げましたように、二十六年、二十七年の
災害及び三十年の
災害は、いずれも三十三
年度で
復旧を完了する
所存でございます。それから二十八年、二十九年の
災害につきましては、全
工事のおよそ六割を完成いたす
所存でございまして、その
方針に従いまして、
予算を配分いたすつもりでございまして、二十六年、二十七年及び三十年の
災害につきましては、
残所要額を的確にきめる必要がありますために、多少の保留をいたしておりますが、七月初旬におきましては、それらの的確な
数字を
決定いたしまして配分を完了いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
それから
ダムにつきましての
概要は先ほど申し上げましたが、本
年度におきまして
完了予定の
天竜川の
美和ダム、あるいは
肱川の鹿野川
ダム等につきましては、鋭意
工事を進捗いたしておりまして、
天竜川の
ダムは、昨年の十二月に灌水をいたしましたし、また
肱川の
ダムも、本年の九月には水がためられるように
工事を急いでおる次第でございます。
その他地すべりの
事業につきましても、
法律の
施行状況は先ほど
官房長から御
説明申し上げましたがそれに従いまして、各地すべり
個所に
予算を配分いたしまして、
工事の進捗をはかっておる次第でございます。以上が
執行状況の
概要でございます。
次は、
河川局関係の
法律の
施行状況でございますが、
概略の御
説明は、先ほど
官房長から申し上げたのでございますが、
河川局関係といたしましては、
水防法の一部を
改正する
法律、
地すべり等防止法の二つがあるわけでございますが、これらに関します
政令並びに
省令は、すでに
決定公布せられておりまして、その
内容につきましては、お手元に差し上げております
水防法の一部を
改正する
法律並びに
関係資料、それから
地すべり等防止法の
関係の法令にその
内容を全部掲げておるわけでございまして、これに基きまして
現地によく
法律の趣旨を徹底いたしまして、管理並びに
事業の執行に遺憾なきように期しておるわけでございます。これに対する詳しい御
説明は、時間がかかりますので省略いたしますが、以上法令
関係の
概略の御
説明を申し上げた次第でございます。
次に、本年の発生
災害の
概況を御
説明申し上げたいと思います。本年は、実は非常にから梅雨でございまして、雨が非常に少いわけでございます。例年に比べましては、所によりましては、五月、六月の雨量は例年の平均三分の一くらいしかない。大部分は、二分の一くらいであるというふうな
状況でございまして、後ほど申し上げまするように、方々に干害の問題が起っております。その反面、
災害は比較的少くて済んでおるわけでございます。現在までの報告によりますると、六月二十日現在におきまして、
直轄関係の
災害が三億円、それから
補助事業の
関係の
災害が二十四億円でございまして、
合計二十七億円となっておりまして、現在のところは、前年の同期に比べますと約五〇%程度でございまして、三十一年の
災害と大体同程度でございます。そのうちで
災害の比較的多かった都道
府県は、
北海道が、約四億円、秋田県が三億円、新潟県が四億円、富山県が三億円と相なっておりまして、これらは、主として融雪の出水による被害でございます。これらの
災害につきましては、特に緊急に
復旧する必要がある
個所につきましては、すでに応急
工事に着手しておりますが、これらのものにつきましても、できるだけ早い機会に査定を
実施いたしまして、予備費の支出を行いたいというふうに考えております。すでに
北海道等につきましては。査定を開始しておる次第でございます。
次は、最近問題になりました水質の汚濁の
関係の問題につきまして御
説明を申し上げたいと思います。最近起りました問題といたしまして、先生方御承知の江戸川筋におきまして、本州製紙の廃水による汚濁によりまして漁業が非常に損害を受けたという問題で、事件が起っておるわけでございます。この問題につきましては、江戸川のふちにあります、江戸川の下流の
東京都内にあります本州製紙というのが、三十三年の四月になりまして工場を拡張いたしました。しかも新しい施設をいたしまして、パルプを作っておる工場でございますけれども、従来と異なった廃液を出すような施設をいたしたわけでございます。これは、当初は、その廃液によりまして被害はないという会社の申し出のために、東京都がその場を許可いたしたわけでございますが、その後その排水の、
状況を見ますると、漁業に非常に損害があるということを、漁民あるいは
地方の人たちが言い出しまして、五月末日からこの問題が地元の漁業者と会社の間で、いろいろと問題を起しておったわけでございますが、地元の漁業組合等の言、あるいは東京都の話によりますと、話がつくまでは水を出さないという約束であったのに、六月九日に至りまして、断わりなく廃液を排水したということがあったために、六月十日に約千名の漁民が本州製紙の会社に押し寄せまして、乱闘事件が起ったというのが事件の経過でございます。これに対しましては、東京都は
河川法、あるいは漁業の
法律、あるいは工場鉱害防止条例というふうな
法律または条例によりまして取締りをやっておるわけでございますが、六月十一日に、その廃水の処理施設ができるまでは水を出すことは相ならぬという通達をいたしまして、その後は、会社といたしましては、目下施設を増築中であるし、またもっと積極的に施設をしようということで
検討中でございまして、その施設ができ上るまでは水を出させないということを、東京都は言明いたしておる次第でございます。
それからまた漁業の補償
関係につきましては、東京都並びに千葉県知事が
中心となりまして、その問題を円満に調停していきたいということで、目下
努力中でございます。
以上が本州製紙の事件の
概要でございますが、これらについて、
建設省は
河川管理の立場からどういうふうな考えを持っておるかという点を、御報告いたしたいと思います。
この
水質汚濁の問題につきましては、最近におきまして、工業の発達に伴いまして、公共水にその汚水が放流されておるために、水道であるとか、水
産業農業等に被害を及ぼしておる事実つが方々で認められて参ったのでございまして、
河川における水質の汚濁防止の問題につきましては、従来は、
河川法の十九条の規定に基きます都道
府県規則によりまして取締りを行なって参ったわけでございます。東京都におきましても、やはり規則を作りまして取締りを行なっておったわけでございますけれども、最近のように、従来考えていないような薬物が排出されるようなことになりまして、現在持っておりまする規則等におきましては、条文の表現が抽象的であるために、その実効が上っていないというのが実情でございます。そういうために、私どもの方といたしましても、
河川法によります
対策を実効あらしめるための方策をいろいろ考えて参ったわけでございますが、御承知のように、この問題は、工場の運営、あるいは漁業、あるいは農業、あるいは水道というふうな各般の行政にまたがる問題でございますので、経済
企画庁を
中心といたしまする各省
会議でこの問題を
検討していくのが順当ではないかというような話になりまして、この問題をいろいろ
検討して参ったわけでございます。その結果、昨年の二月になりまして、
水質汚濁の規制に関する
法律案というのが
企画庁から提案されまして、各省に示されたわけでございます。その
内容は、水質審議会というのを置きまして、その審議会の意見を聞いて、冬場所々々の水質の許容基準を定めようというのがおもなるねらいでございまして、その許容基準が定まりましたならば、各省はその基準に従いまして、自分の持っておる
法律を運用して
水質汚濁の
対策を考えていこうというのが趣旨でございまして、これに対しましては、
建設省は、多少の事務的の修正すべき点はあるといたしましても、基本的には賛成であるという態度をとって参ったわけでございまして、今後におきましてもこの
方針を踏襲いたしまして、こつの
法律の成案を得るように
努力したいというのが、私どもの考えでございます。
以上が水質の問題でございますが、次は渇水と申しますか、旱害
対策の問題につきまして御
説明申し上げたいと思います
お手元に差し上げてありまする二枚つづりのこういう長い紙がございますが、これに
昭和三十三年五、六月渇水応急
対策の経過についてというのがございます。先ほど御
説明申し上げましたように、本年は五、六月の雨量が
全国的に非常に少い、しかも暖冬異変によりまして、雪が非常に山に少かったというふうな悪条件が重なりまして、六月の初旬に、関東及び東北の諸県におきまして渇水の問題が起って参ったわけでございます。最近に至りまして、また西日本の方面におきましても、水がかれて問題が起っておるようでございますが、ここに書いてありますのは、関東、東北の問題につきまして、現在までにとった
処置の御報告を書いてあるのでございます。
読みながら御
説明申し上げますと、本年五月下旬以降に発生した旱魃にかんがみ、農林、
建設両省は、これに関する
対策を講ずるため、六月四日に連絡協議会を設置いたしました。そうして
建設省は、農林省と連絡をとりつつ応急
対策を
実施しているわけでございますが、具体的に申し上げますと、まず第一に千葉、茨城県の方面の旱害並びに塩害に対する
対策でございまして、利根川におきましては、群馬県に昨年でき上りました藤原
ダム、これは
建設省が
直轄管理いたしておりますが、この
ダムを運用いたしまして、渇水の補給をやったわけでございます。これは、五月初句より放流をいたしておりましたが、六月五日から十八日までの二週間にわたりまして、貯水池にたまっておりました貯水量のうち、千百万立方メートルの貯水量を自然流量にプラスいたしまして放流いたすことにいたし、六月五日の零時より放流を開始いたしました。そうしてその放流は、六月十八日まで続けられ、当初
予定した千百万立方メートルを超過いたしまして、千三百十三万立方メートルを放流いたしました。なお現在におきまして、千五十万立方メートルばかりまだ貯水量が残っておりますが、これも、今後の渇水の
状況に応じまして放流をしようという
計画にしております。さらにその藤原の上流に須田貝という
ダムがございます。これは、東京電力が自分で作った貯水
ダムでございますが、東京電力もこれに協力いたしまして、須田貝
ダムから八百七十万立方メートルの放流を行なって危機に対処いたしました。その後、下流の旱魃地帯の
状況が好転いたしましたので、流域内の雨量や利根川下流の水位に応じまして、残っておりまする貯水量は放流しようというふうな
計画にいたしております。
それから第二番目は、千葉、茨城の上流で埼玉県内に大きな灌漑用水がございますが、利根川より取水している埼玉県下の
農業用水、これは約六十八立方メートルを灌漑用水にとっておりますが、これを六月七日十二持から十八時まで樋門を全部閉じまして、これにより節減された約百五十万立方メートルの水量を下流に流送いたしました。そうして、その後も六月十八日までは六月四日にとっておる水以上にはとらないというふうに制限をいたしまして、下流の灌漑に協力いたしました。
それから第三番目は、利根川の下流部におきまして、
建設省の持っております千馬力のポンプ船を利用しまして、上流部の塩害のないところの水を水路に吸い上げまして、灌漑用水に使うようにいたしました。さらに今後におきましても、下流にありますポンプ船、あるいは
工事用のポンプ等を貸与いたしまして、灌漑及び塩害の問題には協力をいたそうというふうに考えておるわけでございます。
二枚目は、東北方面の
ダムによりまして旱害問題に対処した例を書いてありますが、北上川の山瀬
ダムは、五月十五日より用水のための放流を行いまして、
関係地域三千八百町歩の田植えを支障なくした。
それから、石渕
ダムは、五月二十四日より七ないし十四立方メートルの放流を行いまして、胆沢川下流の七千町歩の用水を満たした。
それから宮城県が作りました花山
ダムでは、五月二十日ころより一迫川沿岸の灌漑用水不足に対して、毎秒約十二トンの放流を行いまして、九千町歩の用水不足に対処した。
それからやはり宮城県でありますが、鳴子の
ダムで、五月十六日から基準によりまして灌漑用水の放流を行いまして、下流の用水に役立たした。
それから最上川に作りました菅野
ダムから毎秒十トンの水を放流いたしまして、千町歩の用水を満足させた。
それから赤川という山形県の川の荒沢
ダムから放流いたしまして、一万二十町歩の灌漑に支障ないようにした。
新潟県の三面
ダムによりまして、下流の七百三十町歩の灌漑用水は十分に満たされた。
このように多目的
ダムを作りました下流地域は、何とか灌漑用水に支障ないようにいたされたというふうな
状況でございまして、東北の
地方におきましては、今
ダムを作っておるもの、あるいは
計画のあるもの等につきましては、
促進してくれというふうな陳情を最近非常に持って参っておるようなのが実情でございます。
以上簡単でございますが、
説明を終らしていただきます。