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1958-09-16 第29回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月十六日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 鹿野 彦吉君 理事 高橋 英吉君    理事 山本 猛夫君 理事 小川 豊明君    理事 山田 長司君       相川 勝六君    藏内 修治君       進藤 一馬君    辻  政信君       平井 義一君    八木 一郎君       猪俣 浩三君    田中幾三郎君       中村 高一君    松平 忠久君       横山 利秋君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         証     人         (国務大臣、防         衛庁長官)   左藤 義詮君         証     人         (元二等空佐) 岡  幸昌君         証     人         (空将北部航         空方面隊指令) 松前曽雄君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 九月十六日  委員大久保留次郎君、賀屋興宣君、椎名悦三郎  君、廣瀬正雄君、保岡武久君、片島港君、上林  與市郎君及び森本靖辞任につき、その補欠と  して進藤一馬君、辻政信君、藏内修治君、相川  勝六君、平井義一君、中村高一君、猪俣浩三君  及び田中幾三郎君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員相川勝六君、藏内修治君、進藤一馬君、辻  政信君、平井義一君、猪俣浩三君、田中幾三郎  君及び中村高一君辞任につき、その補欠として  廣瀬正雄君、椎名悦三郎君、大久保留次郎君、  賀屋興宣君、保岡武久君、上林與市郎君、森本  靖君及び片島港君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件(防衛庁航空機購  入問題)      ————◇—————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。前会に引き続き、歳入歳出実況に関する件、特に防衛庁航空機購入問題について、証人証言を求めることにいたします。御出頭になられた証人岡幸昌君、松前曽雄君でありますね。——証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣言をさせなければならないことと相なっております。証人宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係にあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはでき頭ないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。これらのことを御承知になっておいていただきたいと思います。  それでは法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。起立を願います。  岡君、松前君の順序で宣誓書朗読して下さい。     〔証人岡幸昌朗読〕    宣誓書   良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。   昭和三十三年九月十六日                  岡  幸昌     〔証人松前曽雄朗読〕    宣誓書   良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。                  松前曽雄
  3. 田中彰治

    田中委員長 それでは、宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  4. 田中彰治

    田中委員長 証人の方に申し上げますが、証人発言はその証言を求められた範囲を越えてはならないことになっており、また発言の際にはそのつど委員長の許可を得なければならないことになっておりますから、あらかじめ御承知おき願います。なおお尋ねしているときは御着席のままでけっこうですが、お答えの際は起立を願います。  証人に対しましては、委員から順次に証言を求めることにいたしております。  まず、岡幸昌君の証言を求めることにいたします。松前証人にはお気の毒でありますが、控室でお待ちを願います。  発言の通告がありますから、順次にこれを許可いたします。
  5. 山田長司

    山田(長)委員 その発言の前に、議事進行に関して……。前会九日の決算委員会におきまして、証人として喚問いたしました河野川島、さらに二日の日の喚問廣岡国防会議事務局長、これらの人たち証言は、私はさらに再調査の必要があるという感じがするので、この際再喚問を要求するのです。その理由としましては、一例を申し上げますと、過日川島幹事長は、この委員会の席上で、自分ハワイに旅行するに当っての外貨その他の問題は大蔵省で調べればわかるという意味でここで証言をされているのです。ところが、さらに調べてみますると、川島証人ハワイ行きの保証人永田大映社長がなっております。さらにこの席で、ハワイへ行ってから家内の希望によってアメリカ本土へ行ったということを言われているが、出張するに当っては最初からアメリカ本土へ渡る意味大蔵当局へ書類が提出されてあります。こういう点で川島証人の言われたこと自体が、全然この委員会証言と食い違う点があるのです。聞くところによりますと、これらの経費は先方において伊藤忠が持っておるのではないかといううわさがあるほどであります。そういう点で、ほかの人たちについてももう一度伺いたいことがありますから、委員長において証人としてもう一度喚問あらんことを希望いたします。
  6. 田中彰治

    田中委員長 山田委員にお尋ねいたしますが、そうすると川島さんの前委員会においての発言がお調べになったのと違うから、再度証人として呼び出してくれ——そのほかだれとだれですか。
  7. 山田長司

    山田(長)委員 そのほか河野証人、それから廣岡事務局長、それから岸国防会議議長証人として呼んでいただきたい。各証人調べによりますと、どちらがほんとうかわからぬところがありますから……。
  8. 田中彰治

    田中委員長 河野証人理由は何かありますか。
  9. 山田長司

    山田(長)委員 河野の場合は、私の郷里の牧場の証言の問題です。
  10. 田中彰治

    田中委員長 この前の証言と食い違っておるのですか。
  11. 山田長司

    山田(長)委員 そうです。
  12. 小川豊明

    小川(豊)委員 関連して。今、山田委員から証人川島さんを再喚問してほしい、こういうお話でしたが、それなら私も一つつけ加えてもらいたい。一般人たちが外国に出張する場合に、外貨が不足だというので、なかなか外貨は許可しない。しかるに先般の川島幹事長の行かれたのは療養のためとかいうことを証言されているわけです。従って、そういうものに対して外貨はどういう形で許可されたのか、幾ら許可されたのか、こういう点から、外貨割当に関する担当の人を一緒に呼んでいただきたい。それから永田大映社長を呼んでいただきたい。
  13. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの山田君、小川君の発言につきましては、委員長においてよく調査し、しかるべく取り計らうことにいたしたいと思いますが、いかがでしょう。——それでは小川豊明君。
  14. 小川豊明

    小川(豊)委員 岡証人にお尋ねしますが、あなたは防衛庁勤務していたことがありますか。
  15. 岡幸昌

    岡証人 あります。
  16. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたは旧軍の出身であると承わっておりますが、そうであるかどうか。——それで旧軍時代には、終戦直前にはどういう階級で、どういう任務についておられましたか。
  17. 岡幸昌

    岡証人 海軍軍人でありました。終戦直前少佐でありました。海軍総隊兼連合艦隊司令部付としまして電波関係に関する事項を特命を受けてやっておりました。
  18. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで旧軍時代には海軍軍人であり、少佐であって、電波関係仕事をなすっておられた、こういうわけでございますが、あなたは防衛庁にそれから勤務されておるわけですが、防衛庁勤務については、防衛庁においてはどういう仕事をなすっておられたのでありますか。
  19. 岡幸昌

    岡証人 防衛庁におきましては航空幕僚監部装備部におきまして、主として電波通信関係装備に関する計画に従事しておりました。
  20. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこであなたは、防衛庁次期戦闘機の購入問題が起ってグラマンあるいはロッキード、いろいろな問題が起っておることは新聞にどんどん書かれておりますから御存じになっておったと思います。この次期戦闘機選定については、防衛庁に在勤中はどういう仕事に当っておられましたか。
  21. 岡幸昌

    岡証人 一般の業務といたしまして次期戦闘機に関するエレクトロニクス、特にファイア・コントロール・システム等につきましての資料調査をしておりました。特に次期戦闘機につきましての仕事について命ぜられたことはございません。
  22. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、あなたは次期戦闘機選定について佐薙という幕僚長とともにアメリカ出張することに予定されておったと聞いておりますが、そういう予定がされておったかどうか、この点をお尋ねいたします。
  23. 岡幸昌

    岡証人 記憶でありますから、はっきりした日付を覚えておりません。昨年の八月の初めごろ当時の直属上司である大谷装備部長より、次期戦闘機調査団アメリカに派遣する予定でその一員に内定しておる、ということで、幕僚長から装備部長を通じてその準備をするように正式に伝えられたことがございました。それだけでございます。
  24. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、あなたは昨年の八月に直属上官から次期戦闘機選定についてアメリカ調査団を送るから、その一員として行くようになるからという予告とでもいいますか、そういう点を言われて、あなた自身出張に対する準備をそれぞれしておられた、こういうことですが、それが急に出張取りやめになっておるわけです。この出張が内定しておっていろいろと準備をしておったのにもかかわらず、あなたの出張が急に取りやめになったということについて、あなたはどういうお考えを今持っておりましょうか。その当時なぜ取りやめになられたか。
  25. 岡幸昌

    岡証人 私にはわかりません。
  26. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたはそうすると、取りやめにされたことについて、出張は内定しておるということを言われておる。しかるにそれが何ゆえか特に取りやめられたということについて、あなたはそれについて何の考えも持たなかったのですか。何でおれは出張に内定したのが取りやめになったのかということについて、取りやめ事情がわからない。あなたには明確にわからないとしても、なぜこういう重大な用務に対してあなたが取りやめにされたかということに対して、あなたは何も考えなかったということはないはずです。どういうわけで取りやめにされたかということは、おそらく人間として考えるはずだと思いますが、それはお考えになりませんでしたか。
  27. 岡幸昌

    岡証人 当時、私が内命を受けましたときは幕僚監部人間でありました。八月の終りに技術研究所の方に転勤を命ぜられまして、技術研究所の方に行っておりました。その間に——その間ではありません、行った直後だと思いましたが、正式に調査団が発令されてアメリカへ出発いたしました。内命任命との食い違いにつきましては、多分私よりほかに適任者が現われたのではなかろうかと考えておりました。
  28. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたが技術研究所へ転任させられたという、その技術研究所というのはどういうことをおやりになっているのですか。
  29. 岡幸昌

    岡証人 設置法を見ておりませんので、私、はっきりは申し上げられませんが、技術研究所というのは常識的に申し上げますと、防衛庁に必要とする装備品技術的研究開発をやる。私はその第四部、電気通信機器に関する研究開発をやる部門に参りました。
  30. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたは内命を受けてそれぞれ準備をしておられたにもかかわらず、途中で急に出張任命されないで取りやめになった。その前にあなたは技術研究所へ転任になったということになるのですね。われわれとししては、これはあなたを内命してあるのであって、当然このままならば出張させなければならない。そこで出張させないように技術研究所へその前に転任させたのではなかろうかという考えさえわれわれとしては持つわけですが、あなたの今の御答弁では、私より適任者があったからやめられたのだろうという、まことにどうも寛容な御答弁なんですが、あなた御自身がそういう重要な任務を与えられておって、使命に発憤されたかどうか知りませんが、とにかく一生懸命準備を進められた。それが急に技術研究所の方に転任させられたと同時に、出張はさせられないようになったということについて、もう少しこの点についてのあなたの個人的な見解でいいわけですけれども、御答弁が願いたいのです。
  31. 岡幸昌

    岡証人 技術研究所転勤を命ぜられましたときには、やはり口頭で上司より、技術研究所には転勤したけれども、調査団内命の件はもと通りであるという確かめの言葉をいただいております。たしか八月の十五日付で転勤になったと思います。それで当時私のやっておりました仕事が忙しかったために、八月一ぱい赴任を延ばしてもらいまして、八月一ぱい幕僚監部仕事をしておったと思います。八月一ぱいおりまして、技術研究所に実際に赴任するときには、まだ内命を解かれていない形でありました。従って技術研究所に行きましても、正式発令があるまではほかの人にかわるであろうというようなことは考えておりませんでした。
  32. 小川豊明

    小川(豊)委員 技術研究所転勤を命ぜられても内命は取り消されていない、そのままであるということであるならば、あなたは当然その内命に基いて調査出張することになる。それが急に行けなくなったについてあなたは何もお考えにならなかったのですか。どうもそこのところが、なぜおれはそういう重要な内命を受けていながら、しかも研究所に行ってもその内命は解かれていないにもかかわらず、急にそれが行かれないようになったのか、むしろ私の方から言えば、行かせられないようになった、これはなぜかということを、あなた自身がお考えにならないわけですか。それとも、それは考えても発表できないのですか、どういうことですか。考えないはずはないと思います。その事情を私は聞きたいのです。
  33. 田中彰治

    田中委員長 岡証人、遠回しに歯に衣を着せたようなことを言わぬで、全部言ってやった方がいいよ。(笑声)
  34. 岡幸昌

    岡証人 当時私の——これは正式に聞いておりませんので違っている点があるかもしれませんが、防衛庁関係新聞に出ておりました内命は多分五名あったと思います。そのメンバーは大体課長クラス以下、いわゆる実際に仕事をするメンバーであったように考えました。私は先ほど申し上げましたように、エレクトロニクスということで責任を持っておりましたので、私がエレクトロニクス、それから機体関係とか、その他ちょうど私たちくらいな人間内命を受けておったように承知しております。発表されましたときは、もう一つ上のランクの人が行ったような感じがいたしました。調査団長も、最初のときの調査団長はたしか当時の浦一佐であったと記憶しておりますが、それがかわりまして永盛空将補調査団長になった、こういう記憶があります。従いましてもう少し上の見地で見て、技術的な具体的なことはまたいずれ次の機会か何かに調査するというように御方針が変ったのではなかろうかと想像いたしました。
  35. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはあなた、内命を受けるときには、次期戦闘機の購入に当ってそれぞれ技術的な調査研究をするためにあなたは内命を受けたのではないですか。そうでなければあなた方を内命するはずはない。この点はどうですか。
  36. 岡幸昌

    岡証人 その通りだと思います。
  37. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうするとあなた方、技術関係方々がそれぞれ内命を受けていたのが、その後それのさらに上の、技術よりも政策とでもいいますか、そういうもっと高い意味での人、永盛という空将補にかえられた。従ってこの内命を受けておった五名は、あなた一人でなく、ほかの四名もみなかえられたのですか、この点はどうですか。
  38. 岡幸昌

    岡証人 はっきり私が知っておりましたのは、私のほかに高山一佐がかわっております。浦一佐については、私ははっきりした記憶を持っておりません。第一回のときのメンバーにも、それからその次のときにも、私の記憶は非常に不確かであります。
  39. 小川豊明

    小川(豊)委員 この点、はっきりしてくれませんか。あなたは五名が内命を受けたと言われるが、内命を受けたということは、お互いにあちらで十分研究調査をしなければならないのだから、内命を受けた方々は、内命であろうとも、お互いにおれらがやられるのだということで、五名はそれぞれ知り合っておった。この知り合っておった五名のうちあなたは行かなくなった。あとの四名は行ったのか、それとも何人か行かなくなったのか、その点あなたは記憶があるはずですが、どうですか。
  40. 岡幸昌

    岡証人 当時ノースアメリカンの100とロッキードの104が、何と言いますか、競争が激しかったので、私たち自分の言動を非常に注意しておりました。従って内命は受けましたが、内命の程度ではこの人たちが集まって打ち合せをするというようなことはいたしませんでした。その内命を受けた人たちが同じところに勤務しているわけでもありませんし、同じところに勤務しておりましてもお互いに忙しくて……。私と高山一佐はこの問題につきまして、渡米準備というような形で話し合いをしたことはございます。
  41. 小川豊明

    小川(豊)委員 今あなたは五名が内命を受けたが、それぞれ勤務場所も違うし、仕事も違うから、そういう話をしたことはないとおっしゃいましたが、そういう話をしたことがない、勤務が違うということは、だれとだれが内命を受けたということをあなたは知っているからそういうことをおっしゃるのでしょう。てんでわかっていないなら、勤務が違うの場所が違うのということは、わかっていないはずです。そういうことをおっしゃるということは、あなたは正名というのはどういう人が内命を受けたかということがおわかりになっていると思うのです。そのわかっておられる五名のうちで、今度正式に行くに当って何名が漏れたか、何名が入ったか、この点をお聞きしたいのです。正式の任命じゃないからはっきりしないかもしれませんが……。
  42. 岡幸昌

    岡証人 私がはっきりしてないと申し上げましたのは浦一佐のことでありまして、他の四名は高岡一佐、高山一佐、それから装備局川上技官と私だったと記憶しております。
  43. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、正式の出張に当ってはこれらの浦、高岡高山川上、あなた——あなたは行かれなかった。あとの四人はみな行かれましたか。
  44. 岡幸昌

    岡証人 高山一佐ははっきり行かなかったのでありますが、あとにつきましては何かしかるべきものをお調べ願います。私はほかのだれが行ったかどうかはちょっと記憶しておりません。高山だけは私と一緒に行きませんでした。
  45. 小川豊明

    小川(豊)委員 だれが行ったかでいいですけれども、高山さんとあなたは行かなかった。高岡川上、浦、この方は行きましたか。行ったか行かないか、ほかの人はかわったか、かわらないか。
  46. 岡幸昌

    岡証人 高岡一佐、浦一佐、川上技官の三人は行ったと私は記憶しております。私と高山一佐だけがかわったように記憶しております。
  47. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで、今あなたがお述べになったようにノースアメリカンあるいはロッキード、その後にグラマンというようないろいろな機種が出てきて、日本において売り込み合戦が繰り広げられたということはあなたの記憶にあるようで、今お述べになったわけですけれども、このロッキードなりグラマンなりの性能等について、あなた自身が当然職務上から研究したことがおありだろうと思うのです。もしそういう御研究なすった、あるいは研究しなくても今までのお仕事の上からそういうことの知識は持っておられたとするならば、これらのロッキードなりグラマン等について性能なりその他について、これはもちろんあなたの個人的な考え方でけっこうですけれども、どういう考え方見解を持っておられたか、この点、お述べ願いたいと思います。
  48. 岡幸昌

    岡証人 ただいま申し上げましたように、当時はノースアメリカンF100とロッキードF104だけが残されていたような格好になっておりまして、グラマンは、当時はおそらく口にした人もないと言っていいくらいだったろうと思います。従いまして、当時私が——もちろん正式ではありませんが、個人的に比較検討いたしましたのは、100と104でございますが……。
  49. 田中彰治

    田中委員長 ちょっと証人、100というのはノースアメリカン、104というのはロッキードですか。
  50. 岡幸昌

    岡証人 そうです。当時私の知っておりました資料知識によりまして考えておりました私の思想は次の通りであります。  日本の防衛に一体何が必要なのかということが先決問題である。ただノースアメリカンの100とロッキードの104を比べろといわれますと、当時私がよく言いましたのは、乗用車トラックでどっちがいいかと比べられるようなものだ、どちらにも一人や二人なら乗れるんじゃないか、どちらにも少しなら荷物が積めるのじゃないかというような議論にひとしいような気がいたしました。用兵作戦責任に当る者は、これをはっきりしてくれ、日本要撃戦闘機をほしいならば要撃戦闘機とはっきり要求してほしい。フアイターボンバー、すなわち戦闘爆撃機日本の防空上専門的に見て必要であるというなら、はっきりその要求を出してくれ、これが私の考えでありました。そういうふうに割り切りますと、要撃戦闘機、インターセプターとしてはロッキードF104、フアイターボンバーとしては、ノースアメリカンF100、これが当時の私の個人的な結論でありました。
  51. 小川豊明

    小川(豊)委員 なるほど、私どもしろうとですから、あれしませんが、ノースアメリカンF100とロッキードF104は、トラック乗用車の違い、用途目的が違う。  そこで、あなたは要撃機ならばロッキードをとるべきだ、あるいは戦闘爆撃機ならばノースアメリカンをとるべきだ、こういう主張をなされたというと、日本ではまさか戦闘爆撃機をとるということは私ども考えられないわけです。要撃機を採用するということは当然だと思う。従って、この場合にはロッキードF104をとるべきだというのがあなた方の主張の根幹をなしてくるのじゃないか、こう思いますが、この点はいかがです。
  52. 岡幸昌

    岡証人 私もそう考えました。
  53. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで、こういうことを聞いておるのです。あなたは今おっしゃられたように、ロッキードF104を採用すべきだという考え方に立っておられた。当然忠実な技術者としてそれを主張なすったと思います。昨年の八月中旬には、グラマンというものは、てんで話にも出てきていなかった。従って、あなた方の方では、ノースアメリカンをとるのか、ロッキードを採用するのかということが研究課題の中心になっておった。そうするとそれがここで急遽グラマンに変更された。このなぜグラマンに急遽変更されたかということは、もうあなたは職務から離れておられたからわからなかったかもしれませんが、おわかりになっておりますか。それともなぜ急遽グラマンに変更されたかおわかりになりませんか。
  54. 岡幸昌

    岡証人 私がグラマンということを聞きましたのは、多分ことしになってからであると思います。なぜかということも、職務を離れておりましたし、わかりません。
  55. 小川豊明

    小川(豊)委員 こういう国民の側からいえば一千億もする膨大な経費であり、あなた方の方からいえば、日本国防がそれによって果せるかどうかという、これまた重大な問題である。そういうのをきめるのに、今あなたがおっしゃったように、グラマンということはことしになってから初めて出てきた、そうしてこの四月の十二日にはこれが内定されている。これはあなたは、十二日に内定されているのはおわかりになっている。そうすると、てんで問題としてあなた方専門家に取り上げられなかったものが、ことしになって急遽この問題が登場し、しかも四月の十二日には国防会議でこれが内定されているということになるわけです。そんな二月か三月で、こういう重大な問題が、技術的には論議せられずに、検討せられずに、そう簡単にきめ得るものかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  56. 田中彰治

    田中委員長 証人、あなたの考え通りのことをおっしゃったらいいじゃないですか。別にあなたに専門的に聞いているんじゃないから。
  57. 岡幸昌

    岡証人 次期戦闘機の問題は、多分二年か三年越しくらいな検討がされてきたという私は記憶なんです。今おっしゃったように、グラマンが私たちの耳に——私はもちろん中心から離れておりましたからおそかったかもしれませんが、ことし、あるいは担当者は去年の秋とか暮れだろうと思います。従いまして、二年も三年も検討してきたところが、半年くらいでグラマンがきまったということは、何が非常に明確な、他のものにすぐれた資料防衛庁当局者がお持ちであろうと私は推察いたします。
  58. 田中彰治

    田中委員長 それでは岡証人は、すみませんが、これで打ち切ってもらって、今左藤証人が来ておられるから……。
  59. 小川豊明

    小川(豊)委員 もう一問だけ……。そこで、一機種を選ぶについても、二年も三年も検討されるのは常識である、建前である。しかるに去年までは話題にも上らなかった。それが急に本年の四月に入るとグラマン採用に内定された。そのことは、これらのものよりも、あなたの今のお話では、はるかにすぐれた性能を持っているという資料がおありになるからきめたんだろう、それ以外にはわかりません、こういうことですが、しからばお尋ねしますが、二月か三月でそういう広範な資料というものが調査研究され得るかどうか。あなたはその道の専門家である。従ってあなたは、そういう国民に一千億円もの負担をかけ、日本の防衛をそれによって責任を負えるか負えないかというようなものを、二月か三月でそういうことを研究し、調査して出し得るとお考えになりますか。
  60. 岡幸昌

    岡証人 私にはできません。
  61. 小川豊明

    小川(豊)委員 わかりました。
  62. 田中彰治

    田中委員長 それではちょっと、岡証人には申しわけありませんが、左藤証人が出頭せられましたので、同証人証言を求めたいと存じます 岡証人には控室でお待ちを願います。  左藤証人に申し上げますが、宣誓の趣旨、証言を行なった際の注意等は九月二日御出頭の際委員長より申し上げた通りであります。また宣誓につきましても九月二日の宣誓を維持することにいたしますから、さよう御了承を願います。  それでは左藤証人証言を求めることにいたします。発言の通告があります。順次にこれを許します。  山本猛夫君
  63. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 左藤証人に前もってお断わりをいたしておきます。同時に御了解を得ておきます。  私は本件を重大なる不正事件と見ております。なぜ私が本件を不正事件と名づくるかと申しますと、あらゆる証拠物件が私の手元に集まっている。     〔委員長退席、高橋(英)委員長代理着席〕  それはあなたの役所の内部からもほとんど連日にわたって参っております。これはあなたもごらん及びでございましょう。マル秘です。それから、かような部外には現われてはならないこういうもの、それからこれは八月の十九日に共済会館で行われました会議の内容、二、三の点をあげましてもさようでございます。幾らでも参っております。防衛庁の内部から機密に属するものが続々として参っております。またその他の証拠物件もたくさん私の手元には集まっている。従ってそれらと比較対照して調べてみまして、私はこれを一大不祥事件であり、一大不正事件であると断定いたします。従ってあなたも自由民主党の党員、私も自由民主党の党員であって、しかも私はあなたとは多年にわたってじっこんの間柄でありますが、そういうような見地を去ってこれを究明しなければならない、これを国民の納得のいくように解明をしなければならないというのでございますから、あるいはあなたには心苦しいような点にまでお尋ねが及ぶかもしれません。どうか、そういうようなことは事件の解明のために御了承を願いたいのでございます。従って、失礼にわたるような言葉使いにあるいはなるやも知れないおそれあることも、私は前もって気づかうのでございますが、これもどうか国のこういう不鮮明な事件を解明する過程としてやむを得ない、こういうふうに一つ御了承願いたいのでございます。  まず第一にお尋ねをいたしたいことは、先般国防会議事務局長にお尋ねをいたしました仕様書の問題、国費を一千億以上もお使いになって、しかも国防上必要な重大なる買いものをなさるのでありますから、仕様書がなければならない。次期戦闘機を御選定になるというこういう重大な事態に及びますのに、仕様書ができていなければならない。でございますから、要求せられますところの性能整備に関するところの仕様書の原案というものをお作りになって、そしてその仕様書の仕様の原案に基いてグラマンを買うことに国防会議でおきめになったのか、あるいはまた外国の各飛行機製造会社の売り込みによって、その中から選定をせられたのでありますか。この点についてまずもって伺っておきます。
  64. 左藤義詮

    左藤証人 私、着任前のことでございますので、詳細は担当者よりお答えいたすと思いますが、仕様書と申しましても、各会社から提出の資料も私どもは参考にいたしておりまするし、それだけですと各会社の宣伝ということもありましょうので、米軍当局と十分連絡をいたしまして、いろいろ経験を重ねております米軍当局のオーソライズしたものについて、私ども資料を整備したように聞いております。
  65. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 米軍当局というお言葉が出ましたが、米軍当局とは、米軍のうちの海軍当局であるのか、空軍当局であるのか。
  66. 左藤義詮

    左藤証人 全部にわたっておるものと思います。
  67. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは伺いますが、この仕様書の原案はお作りになっておりますか、お作りになっておりませんか。
  68. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど申しましたように米軍との連絡によって、これならば私どもが価値確実と信ずるものにつきまして、各種の性能等を比較いたしております。
  69. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私のお尋ね申し上げているのはそうじゃなくて、仕様書の原案をお作りになったか、ならなかったがということでございます。  またこの案件に対しまして前防衛長官からの引き継ぎがございましたか、ございませんか。この点も伺っておきます。
  70. 左藤義詮

    左藤証人 あとの件でございますが、私、六月十二日に着任をいたしまして翌日事務引き継ぎをいたしました。機械の問題につきましては、四月十二日の国防会議において、今後の計画を進行せしむる諸条件を整備するため、一応F11—IFを採用することに内定しておるとの事務引き継ぎを受けました。この内定の線に従って各種の条件を現在整備中であるというように引き継がれておるのでございます。  それから仕様書ということでございますが、各機種につきましての性能等について十分調査をいたしまして、     〔高橋(英)委員長代理退席、委員長着席〕 これを詳細なところまでスペックというものを作っておるかどうか、私存じません。
  71. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは仕様書の原案は作成されておると解釈してよろしゅうございますか。
  72. 左藤義詮

    左藤証人 各種の要求性能について資料を集めて検討しておる、こういうことでございます。
  73. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私のお尋ね申し上げているのはさような点ではございません。仕様書の原案を作成したと解釈をしてよろしいかとお尋ねをしているのであります。
  74. 左藤義詮

    左藤証人 専門のことになりますが、仕様書というものが詳細なところまで、こういう設計でこういうようにするということの原案までできておるかどうか、私存じません。
  75. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは重大なるできごとでございます。一千億以上の国費を使って、しかも国防上欠くべからざる次期の戦闘機の購入に当っての御計画であります。何ゆえにその原案の作成をお認めになりませんか。しからば原案は作成されていない、こう解釈してよろしゅうございますか。
  76. 左藤義詮

    左藤証人 私の報告を聞いておりまするところは、要求性能その他について十分検討をした結果、F11の国産化等について現在検討を進めていっておる、こういう段階でございます。
  77. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 しからば原案の作成はない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  78. 左藤義詮

    左藤証人 技術的なスペックというものが全部完成しておるかどうか、その点は私は存じません。私が報告を聞いておりますのは、各種の要求性能等を十分検討しておる段階ということでございます。
  79. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは本件の場合は防衛庁設置法の第三条に背反する、自衛隊法の第七条に背反する、かような不正事件であります。しかも今、証人は、四月の十二日に防衛会議において本件が議題になった、これをお話しになっておるのでありますが、四月の十二日に本件が議題になったと申しますことは、内定の前提として議題になっている、そうして内定がせられている。しかもそれは表面の問題であって、実質的にはそれよりさかのぼる約一カ月以前、すなわち三月十五日に、防衛庁の防衛長官の部屋において、時の防衛長官、高橋防衛第一課長、そこに空幕長の佐薙君が加わって、三名をもってほとんど決定的な話し合いをいたしております。その内容が外部に漏れてつまびらかになっておる。それを漏らされましたのは佐薙空幕長である。その証拠物件を先般、岸国防会議議長にお尋ねいたしましたときに私は本委員会においてお見せをしておる。こういう厳固として動かない証拠をもってこの機密が漏洩をせられておる。その漏洩せられたる機密によりますると、防衛庁内の防衛長官の部屋において——あるいは自宅というお話もありますが、私の調べましたところでは間違いなく防衛庁の中の防衛長官の部屋であります。三月十五日の早朝である。そして、防衛長官、佐薙空幕長、そこに高橋防衛一課長が加わって、たった三名で決定打として本件がすでにきめられておる。そうして、各関係課長に高橋防衛一課長名をもって伝達されました事項は、次期戦闘機グラマンを買うことにきめられた、従ってグラマンに有利になるような資料を製作をするように、こういうことが各関係課長に伝えられております。それが根幹となって今、左藤長官がお話しになりました四月十二日に防衛会議が開催をせられて、私の手元にありまするこの書類が原案となって、防衛会議においてグラマン購入の内定がなされておる、こういうことです。しからば、今、証人はあいまいなことを言っておられますが、本件に対する仕様書は原案がないというふうに判定ができます。それでよろしゅうございますか。
  80. 左藤義詮

    左藤証人 国防会議に提出します資料の整備をいたしたことは聞いておりますが、これは三月十五日……。私あとから、山本委員からもお話がありましたので調べましたが、三名だけではございません。そのほか防衛庁の多数の幹部が参集をいたしまして、これが国防会議に提出をいたすべき資料の整備を内定したというふうに聞いております。
  81. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それは証人がいかに否定をなさっても三月十五日早朝には三名だけであります。その後関係課長に伝達をせられました。三名をもってきめられました内容が各関係課長に伝達をせられて、その後は各関係課長も加わりました相談、話し合いがあったことは事実でありましょう。しかしこの決定打を打つべき最初の話し合い、すなわちこれは三月十五日に以上申し上げた三名をもっての話し合いできめられたことは事実でございます。従って、何度お尋ねをいたしましてもこの仕様書の原案は作成せられていない、もし作成をせられておるといたしますならばこの原案は委員長において本委員会に提出を求められたい。委員長よろしゅうございますか。
  82. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。
  83. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それから原案作成の年月日、これも委員長責任においてお調べを願いたい。
  84. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。
  85. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それから、これは先般も議題になりましたことで、やがて他の同僚委員からもお尋ねがあるかとも存ぜられますので、私は一言だけお尋ねを申し上げておきます。今、左藤証人は四月十二日の国防会議のお話をせられましたが、この国防会議防衛庁から御提出になりましたものを見ておりますと、グラマンの購入機はF11F—1Fと言われております。この名称はどこでおつけになった名称であるのか、お伺いします。
  86. 左藤義詮

    左藤証人 どこでというのはどういう意味か、もう一度お示しを願いたいと思います。
  87. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは世界のだれも認めていない名称なんです。およそ航空機というものは、世界のどこの国でも認められる名前でなければならない。こういう名前のつけ方は、部隊に配属された場合に付せられる名前なんです。ところが防衛庁次期戦闘機としてお買いになろうとするグラマンには、部隊配属の名前はできておりません。まだないのでありますから、できておらない。従って、製作する会社がこれに明らかに名称をつけております。その名称は世界でどこでも認めている名称でありまして、98J—11型というのでございます。ですからこのF11F—1Fという、部隊に配属せられたかのようにまぎらわしく感ぜられるところの名称というものはどこでつけた名前であるか、こうお聞きしておるのであります。
  88. 左藤義詮

    左藤証人 先日から名前のことが問題になっておるようでございますが、私の調べましたところによりますと、グラマン社のF11F—1は古い艦載機でありまして、タイガーと称しておるのでございますが、これを改良開発いたしまして、艦載機でない本格的な超音速戦闘機の製作を志し、その原型がF11F—1にFをつけた、これがスーパー・タイガーという名前だと聞いております。これはどこでつけたかということまで私は存じませんが、おそらく米軍の方でこれを採用いたしますときにはこういうような形の名前をつけるのでありますから、その方でつけたのだと思いますが、命名者は存じません。このF11F—1F、すなわちスーパー・タイガーの原型でございますが、それについてどういうエンジンをつけるとかいうようなことをいろいろ検討いたしまして、シリーズの中にいろんな、たとえば輸出用のものであるとか、西ドイツ向けであるとか、スイス向けであるとかいうようないろいろな型を作ったようでございます。その中で日本に対してプロポーズして参りましたのがいわゆる98J—11、これは今申しましたF11F—1Fを原型といたしまして、これを一人乗り、エンジンはJ79—7というものをつけました。さらにオール・ウエザーにして、たとえばFCSの点もエアロー13のような性能の優秀なものを考慮するということで、これを日本向けに設計いたしましたのが98J—11と存じます。従ってF11F—1Fと98J—11とは、物としては違っておるのでございますが、機種の方向といたしましてはF11F—1Fのうちの一つのシリーズである、それを日本向けにプロポーズしたものというように存じます。
  89. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 証人、あなたは何もまだ勉強しておらないようでございますが、私のお尋ねをいたしておりますのは、そういうことを言っておるのじゃございません。世界のだれも知らない名前を、一体どこでつけたのをそういうふうに公式の国防会議に出すか、ここに瞞着性がある。不正事件はここから起きている。よろしゅうございますか、証人、よくお聞きなさい。これは三菱で作りましたあなたがお買いになろうとするものの内容を書いたものなんです。この中のどこにそういう名称がございますか。ありません。全部お読みになって下さい。私、きのう一日読んだ。一日読んだが、どこにもそんなものは書いてない。よろしゅうございますか。卑近な例を申し上げますが、人間に付せられるクリスチャン・ネームだって、クリスチャンにならなければクリスチャン・ネームはつけない。これは別名なんです。ここに瞞着性がある。天下を愚弄しようとするところがある。たとえばあなたのおっしゃっているのを黙って伺っておりますと、勉強が足りているとかいないとかいうことは別問題にいたしまして、瞞着性をそのまま録音せられて、録音放送をやられているようにしか聞えない。しかもこの四月の十二日に提出をせられた国防会議に対しまするF11F—1Fというものはエンジンが全く違う。エンジンはJ79—3、よろしゅうございますか。これを見てみますと、どこにもそんなものはないのです。新三菱重工業で下請なさるか、なさらぬか、いずれにしても、ここで組み立てや何かなさるのでありましょうが、このどのページを見ても、そんな名前は出ていない。世界のだれもが知っているところの、まだ部隊に配属せられていない98J—11という名前しか出て参りません。これはあとでごらんなさい。これは三菱のマークがついてりっぱなものになっていて、防衛庁に行っているはずです。私はこれを取り寄せて拝見いたしました。どこにもない。ここに瞞着性がある。
  90. 山田長司

    山田(長)委員 この資料について一言私は言っておきますが、実はこの資料は、おそらく契約をしなければ出されなかった書類のはずです。この書類を八方手を尽して、実は新三菱に連絡をいたしました。ところが新三菱ではこの書類は一切どこにも出さないのだと言ったが、これを黒田専門員が、どういう強引さでか一部持ってきてあった。それは絶対にほかに出さないからということを言われたのだが、この書類は決定されなければ出さないものだと専門家の間では言われておる。その書類ができている以上は、おそらくこれは内定ではなくて、もうすでに決定しているのだと言われているが、一体、長官、これをどう考えます。
  91. 左藤義詮

    左藤証人 国防会議で正式にまだ決定をしておりませんし、むろん私どもが三菱と契約をいたしておるわけではございません。ただ私どもは四月十二日の内定後、通産省と相談をいたしまして、三菱を主契約者、川崎を従契約者といたしまして、今すべてのお話がございましたが、実際これをいろいろやりますにつきまして検討をさせておるということでございまして、あるいはその検討いたした書類であるかも存じませんけれども、むろんその上で私どもとしては国防会議の御決定があり、さらに国会の予算等の御審議をいただきました上で、初めて契約をいたすことでございまして、まだ私ども全然正式の契約等をいたす段階ではないと存じます。     〔田中委員長退席、高橋(英)委員長代理着席〕
  92. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それならばお尋ねを申し上げます。国防会議にお出しになりましたこの名称は、万が一の場合98J—11型ではないという瞞着性を欺瞞するためにお出しになったものと解釈する以外に道はないのであります。しかも十六時間試験済みである、こう言っておる。十六時間試験済みとは何でありますか。世界のおよそこの種の戦闘機の知識が多少でもある者から見ましたならば、十六時間や千六百時間ではその試験は終らないはずであります。しかもその十六時間の試験をせられた結果であると言われておりますのは——これも深くは追及いたしません。多分同僚委員からもこの問題については専門的にお出しになるでありましょうから、お出しいたしませんが、一言だけ申し上げておきます。十六時間試験をせられました機種は、たとえばエンジンにおいて違う。さいぜん申し上げましたJ79—3のエンジンをつけましたスーパ一・タイガーと称するもので試験をせられている。これはスーパー・タイガーではありません。スーパー・タイガーと証人は言われましたけれども、グラマン社の作りまするスーパー・タイガーというものは、98J—11型にJ79—7というエンジンをつけましたものが、すなわち98J—11型でございます。もう一度申し上げます。98J—11型にJ79—7というエンジンをつけましたものでなければスーパー・タイガーとは申しません。従って、十六時間試験をした結果として内定に導くためにお出しになりました防衛庁の機種は、これは世界の何人も認めない陳腐な名称であるところのF11F—1Fという、およそだれが考えてもわけのわからない名称を付せられました艦上機、艦載機、タイガーの少し改良したボディにJ79—3というエンジンをつけましたものを根底として四月の十二日に開かれました国防会議に原案としてお出しになったのであります。あなたの前任者の時代であるから、詳しいことはおわかりにならないということは了といたします。しかし、少くも、あなたもさいぜん言われましたように、引き継ぎ事項として引き継ぎを受けました本件でありますから、これは責任なしとは了解しにくいのであります。従って、こういう点、御就任になってまだ日が浅いのでございますし、各般の防衛関係のお仕事に携わっておられるのでありますから、今おわかりになって即答のできないことは了といたしますが、この点をつまびらかにされるように用意をお願いいたしたいと存じます。
  93. 左藤義詮

    左藤証人 お答えいたします。ただいまお話がございましたが、F11F—1F、これはスーパ一・タイガーであります。私はかように信じております。これは今お話のように、F11F—1、すなわち、前の艦載機でありますタイガーを基礎といたしまして、これはエンジンを今お話のようなJ79—GE—3に換装いたしまして、機体の一部、翼とか、尾翼等を改造いたしました実験用原型に対する海軍機であります。むろん海軍は採用はしておりませんが、海軍の名前であると聞いておるのであります。従いまして、今のお話のように、F11F—1Fがスーパー・タイガーでないということはおそらく山本委員のお考え違いではないか。私はF11F—1Fはすなわちスーパー・タイガーである、これは先ほど申し上げました艦載機、前のタイガーを換装いたしまして実験用にいたしておる、それの海軍名であるというふうに存じます。
  94. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 長官はわれわれの最も尊敬すべき同僚であり、同時にまた、御出身は宗教家でございますから、防衛庁の一部の人たちのように天下を瞞着するお考えでそういう白々しいことをおっしゃっておるとは思いません。これはスーパー・タイガーではございません。スーパ一・タイガーには名称がございます。スーパー・タイガーは、再度申し上げますが、98J—11型であって、そうしてJ79—7というエンジンがつきましたものでなければスーパー・タイガーとは申しません。これは世界の常識であります。
  95. 左藤義詮

    左藤証人 F11F—1F、これはスーパー・タイガーでございまして……(「そんなごまかしがあるか」と呼ぶ者あり)ごまかしではございません。そうしてそのグラマンが企画いたしましたそれの一つのシリーズの中にいろいろなものを作ってプロポーズしたわけでございますが、その中で日本へプロポーズいたしましたものが今お話のようなエンジンをJ79—GE—7にいたしまして、それから前のものには兵装がございませんが、これに各種兵装を可能に計画して日本向けにプロポーズいたしまして、全天候戦闘機、これがグラマンの中の社名で、まだ軍の名前でなしに、グラマンの中のデザインの名前としてつけて参りましたのが98J—11。従って、これもむろんスーパー・タイガーのシリーズの中の一つではございますけれども、F11F—1Fがスーパー・タイガーでないということは、おそらく山本委員のお考え違いではないかと思います。
  96. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは角度を変えてお尋ねをいたします。あなたはまじめな方でございますから、そう思い込んでおられるらしい。実際と違うのです。それではなぜこの三菱の——この中にそういうことが書いてないが、それは別問題といたしましても、四月の十二日は正式に開催をせられました国防会議でございます。よろしゅうございますか。その中で、エンジン・ナンバーのJ79—3というものを積んだものである。ここであなたがどういうふうに言いわけをなすっても、あなたの下僚からどういうテキストを持たせられてここにお出ましになりましても、これは違うのです。思い込んではいけないのです。やはり間違いは間違いでけっこうでございますから……。あなたも国会議員でありますから、どうも国会議員には間違っているものをまっすぐだと言うふうなきらいもあるやの点も認めないではありませんけれども、本件に関しては私の方がまっすぐでございまして、あなたがお持ちになったテキストの方が、やんわり間違っているではない、急角度に間違っている。これは違う。絶対に違う。しからばこそ、ここにもあとでつけ加えたようでございますが、これはまだついていない。私が先般の委員会で指摘をしましてからあわててあとでつけたらしい。これにはまだつけてない。先般の委員会の前にできました、四月十二日の国防会議にお出しになった原文のままでありますから、これにはついておりません。本委員会で先般、私がこの問題を指摘いたしまして、あとでは同様のものであるとつけ加えてございますが、実際問題としてこれは違う。数字は、長官、ごまかせないのです。3と7は世界共通であって、どの国へ行っても3は3、7は7です。これは小学校の子供に計算させましても、7は7、3は3でございますから、あなたのおっしゃっていることは、テキスト通りお読みにならなければならないということでございましたら、これは重大な問題が起ります。それこそ大へんな問題が起る。国防会議法、国防会議を構成する法律、自衛隊法あるいは防衛庁設置法にも抵触して、重大な問題が起りますから、この点はあまり固執されない方がおよろしいと思います。
  97. 左藤義詮

    左藤証人 先ほども申し上げましたように、F11F—1F、これは私、だれがつけたかということを詳しく申しましたが、まだ採用はしておりませんが、海軍の方ではそう呼んでいる。これはスーパー・タイガー。会社の方でスーパー・タイガーの一連のシリーズのものにいろいろなエンジンとかその他工夫いたしまして、この98というのはF11Fに対するグラマン社の基本設計番号であり、JというのはJ79というのを搭載した型を示している。そのうちの2というのは米海軍向けにプロポーズしている。3というのは空軍向けにプロポーズしている。7というのはドイツ向けにプロポーズしている。9というのはスイス向けにプロポーズしている。11というのは日本の方ヘプロポーズした。すなわちスーパー・タイガー、F11F—1Fのいろいろなシリーズがございますうちの、私どもはJ79—GE—7をつけましたすなわち98Jの11というのを検討いたしたわけでございまして、従ってF11F—1Fということに内定したということは、正確に申し上げますと98J—11のF11F—1Fということになります。こういうことであります。
  98. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは本問題はだいぶ御勉強が足りないようですから、この程度でけっこうですが、どうか防衛庁にお帰りになってお調べになっていただきたいと思います。  次に申し上げます。この四月十二日の国防会議にお出しになった場合に、たまたまグラマン社の製作になる機種とロッキードの製作になるものとの価格の対照が出ておるようでございます。前提として申し上げておきますが、私はグラマン派でもありませんし、ロッキード派でもございません。ただここで国防会議に提出をせられましたもので国民の納得のいかないものがございますから、価格の点についてお尋ねをいたしておきます。四月十二日の国防会議に出されました価格は、グラマンの場合に一機の単価が日本の円に直しまして、端数は避けますが、三億五千万円、それからロッキードのAの場合は三億一千万円とこう出ております。ところがだんだん調査をいたしてみますると、それは値段が違う。この三億一千万円という価格は確かにあったようでありますが、これは大量生産に入る前のロッキード104A値段でございまして、今日はそうではございません。従って四月十二日ごろの価格というものは二億七千万円でございます。そしてしかもこの二億七千万円のうちには、いろいろな予備品等の値段も加わっての二億七千万円、これがロッキードの方の価格であります。グラマンは予備品や何かの値段がつかないで載せられてありまして、それでも三億五千万円。それをロッキードと同じように予備品や何かを付しますると二千万円前後違いますから、まさに一機当り一億という差がここに出て参ります。三百機購入いたしますと三百億という膨大な差が出て参りますが、この点に対しまして証人の御所見を伺っておきます。
  99. 左藤義詮

    左藤証人 国防会議に出しましたときの104Aの価格は、私どもの方で算いたしました結果、一機当りは三億一千三百三十一万円というように、これはいろいろな資料によって検討して出したものでございます。
  100. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 グラマンはどれくらいでございますか。
  101. 左藤義詮

    左藤証人 グラマンは三億六千三百五十三万円として出してあります。
  102. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 この三億一千万円ははるかにさかのぼる前に付せられましたことが確かにあるようでございます。しかし国防会議の開かれました、そして本件が議題になりました四月十二日当時のロッキードの値段というものは、精細な調査をいたしました結果二億七千万円以下になっておりますことは間違いがございません。こういうところにも国防会議防衛庁は壟断しておるということを言い得るのでございます。まさに国費を無意味考えられておるということを前提として申しますると、一機一億の相違がある。何がゆえにこういうような瞞着性を帯びた説明原案をお出しにならなければならないか。
  103. 左藤義詮

    左藤証人 一億円の差はないと存じます。三億一千万円と三億六千万円でございますので、おっしゃるような数字の差はないと存じます。     〔高橋(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは今お調べを願いたい。ロッキード社の関係の者が日本におられるでありましょうから、現在価格をお調べ願いたい。あなたはどこまでもそういうふうに防衛庁の出した文書が正しいということでございますならば、お調べを願いたい。もし違っておりましたら、あなたはどういう責任をとられますか。
  105. 左藤義詮

    左藤証人 その後また104Cについても十分検討するようにということでございまして、ロッキード社の方と私どもの方の係官といろいろ話がございまして、その価格を検討いたしたのでございますが、この検討につきましてはいろいろな条件を同じようにして比較しなければなりませんので、そういうものを検討いたした結果が後に出しました私どもの資料でございまして、私どもはロッキード社が初めにどういうものをお出しになったか存じませんが、各会社の言い分をそのまま取り入れるのでございませんで、実際経験しております米軍とも十分連絡し、しかも申すまでもなく、今あるものをすぐその値段で買ってくるのじゃございませんで、これに決定をいたしますれば、米軍の方とどれくらい負担を分ち合うかということの折衝をいたし、これを国産化いたしまするときには、これを国産化いたします会社と十分値段等を折衝いたしまして初めてきまることでございますし、そういうような国産化しまする場合、どれくらいまで国産の比率が高くなるかというようなことをいろいろ考え合せまして、私どもは私どもの役所としての立場から値段をはじいておるわけでございます。
  106. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 おっしゃることは了解に苦しみますが、明らかに一機について一億違いますことは、これは間違いがありません。従って三百機で三百億という膨大な開きが出て参ります。いずれこの問題につきましても御研究が足りないようでありますから、よろしゅうございますといたしまして……。(左藤証人委員長研究が足りないって……。それでは証人ですから……。」と呼ぶ)  それならば申し上げますけれども、一つの問題をいつまでもやっておりますと……。私も相当件数をお尋ねをいたしたいのでございますから、これはどうかお調べをいただきたい。明らかに一機について一億内外のものは違います。でありますから国民が損をしますのは、三百機と計算をいたしましても三百億損をするということでありますから、本件としましては重大な問題でございますので、どうぞもっと私どものわかりまするようにお調べをいただきたいのでございます。  それから、今、仰せになりました、言葉じりばかりつかまえるように聞えるかもしれませんけれども、お話を伺っておりますと、まことにどうも不可解千万なことばかり出て参りますので、お尋ねをいたさなければなりませんが、両方同じ条件のもとでと言っておられまするけれども、しかし防衛庁内からいただきました公表されました文書だけで見ましても、どうもその比較対照表はグラマンロッキードしかおよこしになっておりませんから、グラマンロッキードで申し上げる以外に道はありませんけれども、たとえば必要なる滑走路の長さ、これはロッキードの場合四千六百七十フィートとしてお出しになっておりまして、グラマンはお書きになっておらないのはどういうことでございますか。
  107. 左藤義詮

    左藤証人 どの書類でありますか。
  108. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これの中にあります比較表でございます。四月十二日にお出しになりました比較表と存じます。ともかく国防会議にはグラマンを有利に有利に、ロッキードを不利に不利にお書きになっていることは明白な事実であります。どうしてこういう不公平なことをおやりになるのか。たとえばロッキードに対しては積載量の違うもの、ロッキードの半分しか積まないグラマンのものと対照してお出しになっているような表をお書きになっておりますが、これなんかは一体どういうことでございますか。
  109. 左藤義詮

    左藤証人 技術的にいろいろ検討いたしまして、わざわざ一方を有利に有利にというようにいたしたことはないと存じます。
  110. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これはさいぜんお目にかけましたこういう表によっても明らかでございます。これは多分防衛庁の中から送られたものと思います。それは責任を持ってあとは幾らでも資料を送ってくると言っておりますから、これは防衛庁法の第一条の一項にも抵触することでございますから、よく監督をなさるようにお願いいたしておきます。  それから、もう一つお尋ねを申し上げます。グラマンのお買いになろうといたしますところの98J—11、私は正しい名前で申し上げておきます。いいかげんの名前の方は今後申し上げません。98J—11というスーパー・タイガー、このスーパー・タイガーはチャンス・ヴォート社のクルーセーダーに試作の上で負けているのです。これは世界の何人もわかっているのでございますが、こういうふうに優劣の差のはっきりいたしておりまするものをお選びにならなければならなかったという事情を伺っておきます。
  111. 左藤義詮

    左藤証人 ただいまお示しのような名前は、私は存じませんですが、特に私、前長官から受け継ぎまして一番重点を置きたいことは、操縦性、安全性の点でございまして、これは山本委員が非常にお詳しいようですが、私はしろうととして、あの模型の形を見ましてもF104の方は非常に羽が小さくま薄い。りそういういろいろ数字に出てきた点から見ましても、着速なども相当のスピードでなければ着陸態勢に入れない。エンジンが故障を起しました場合の沈下速度なども非常に速い。これは私、浜松その他実際戦闘機を使っております部隊を見まして、一昨年来非常に事故を起して皆さんに御心配をかけたのでございますが、何とかしてそういうことを少くしていきたいという点から申しまして、専門の者が参りまして、F104Cもすぐれているけれども、安全性、操縦性という点から、これでは非常に困る。ある人は自分のような名人なら104Cも乗りこなすけれども、部下に乗らせることについては私としては非常に心配だというような——これは内輪の話でございますが、現場の人たちのことを私たち考えまして、特に安全性という点に重点を置きまして、この内定の線に私はなるたけ従っていきたい、かように存じております。
  112. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは何でございますか、防衛上必要じゃなくて、安全性上必要だということでございますか。
  113. 左藤義詮

    左藤証人 そういうことではございません。安全性、操縦性ももちろん重要な因子でございます。各種の性能、その他につきましても、もちろん検討しなければなりません。
  114. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それならばだんだん詳しく申し上げないといけないことになりますが、今、証人が言われておりますようなことでありますならば、今申し上げましたチャンス・ヴォートのクルーセーダーにこれは試作の点で敗れたのです。片方のスーパー・タイガーはあなたの言われるところの安全性その他あらゆる性能においての試作競争において敗れたのです。もっとよいものがあるのです。はっきり申し上げる意味で、私はまず対象となった一番わかりやすい、あなたは御承知なくても世界のだれでも知っているチャンス・ヴォートのクルーセーダーの話をしたのです。
  115. 左藤義詮

    左藤証人 番号は何番ですか。
  116. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 そのチャンス・ヴォートのクルーセーダーは、番号で言いますとF8U—1型。そこにございませんか。それに負けたんでございますから、それを何でもグラマンを買わせよう、買わせようとする防衛庁では、あなたにそれを知らせないでいるんでしょう。どうも長官無視の形がありますから、どうかそういうことをお小言をおっしゃって、そういうものを隠すな、こうおっしゃってお調べを願いたい。それからまだあるのです。番号でとおっしゃいますから番号で二、三の点を申し上げてみましょう。F102、F105、F106、よろしゅうございますか。それからもう一つ話は飛びますけれども、マッハの問題が今民間の航空研究家の中でも盛んに問題になっているのです。私は今人間の乗る飛行機を全部やめなさいと極言はいたしません。アメリカでもどこでも人間の乗っております戦闘機を一機も不必要であるとはまだきめておりませんから、申し上げません。無人兵器の時代に入ったばかりなのでございますから、人間の乗る飛行機を一機もお買いになってはならないと申し上げているのではありませんけれども、お買いになるならば、今、証人が仰せになるように、安全性において、またその他の要求せられますところの性能において、あとう限り万全を期したものであって、国費ができるだけ節約せられるものでなければならないということは、これはどなたがお考えになっても常識でありましょう。国民の命ずるところでございます。しからばあなたの今言われておりまするものは、こればテキストでお答えになっておりますから御同情にたえませんけれども、全く逆なんです。これに勝っておるものがある、F8U—1型である。すなわちチャンス・ヴォートのクルーセーダーにどの点においても負けておる。私は、このグラマンが今、日本の防衛会議において問題になって機種を狭められた、対象とするものはロッキードグラマンだけでありますから、ロッキードグラマンの問題を論ずればよいのでありますけれども、しかしこれは世界共通の常識であります。しかも事実である。チャンス・ヴォートの作りましたクルーセーダー、すなわちあなたが番号で言えとおっしゃるならば、F8U—1型、これにいろいろな面の試作の点で負けておる。あなたの最も心配される安全性において、その他のあらゆる要求せられるところの性能、整備の点において、チャンス・ヴオートのクルーセーダーというものは勝っておる。もしあなたがこのF8U—1というものを知らないとしても、明らかに全世界が認めたすぐれたものがあるといたしますならば、あなたはグラマンの場合は内定であって決定ではない、これから買おうとするものをおきめになるのだと、こう言っておられますが、内定せられましたグラマンを今直ちにおやめになる御意思がありますか。
  117. 左藤義詮

    左藤証人 山本委員は非常に戦闘機についてお詳しい。私のテキストにないようないろいろな名前をおあげをいただきましたが、もしそういうようなさらに優秀な、しかも日本の現在要求する性能に適応し、私の念願いたします安全性等においてもすぐれたものがございますれば、謙虚に私どもはこれを検討するにやぶさかでございません。
  118. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 最後の方がまだよく聞き取れなかったのでございますから、さらにお尋ねを申し上げては失礼でございますが、それでは、グラマンよりさらに優秀なものが発見せられるに及んでは、ただいま内定をせられた、すなわち四月十二日に内定をせられたグラマンをやめてもよろしい、こういうお答えでございますか。
  119. 左藤義詮

    左藤証人 さようなことを決定いたしますのは国防会議でございます。私は国防会議一員にすぎぬのでございますが、これにいろいろな資料を出します防衛庁の立場といたしまして、今、山本委員のお話しのような非常にすぐれたものがございますれば、さらに私どもは資料を出して検討したいと思います。
  120. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、この点であまりお責めすることは遠慮いたしましょう。  次に、八月十九日に共済会館におきまして開催せられました会議内容を、証拠物件についてお尋ねいたします。これはまことにおそるべき会議であった。なぜそういう言葉をもって申し上げるかといいますと、まあかりに建設省に例をとって申し上げましょうか。ダムの建設をする、河川の改修をすることを請負わしめるというようなときには、業者を入れて原案は作っておりません。しかるに、この値段の打ち合せなどをも含むこの会議に、民間の業者を入れて、そうして値段を論議せられておる。これはどういうわけでございますか。
  121. 左藤義詮

    左藤証人 戦後、航空機工業の非常な空白がございまして、実際に航空機、特に戦闘機を扱ったものが少いのでございまして、現に私の方でT33とかF86とかいうものをやって、これの原価計算等に非常な経験を積んでおります。そういう人々を加えたのでございまして、他意あるわけではございません。
  122. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それならば、これは重大なる機密事項を規定づけるところの会議であるとお認めになりますか。それともそれは重大性がないというふうにお考えでございますか。
  123. 左藤義詮

    左藤証人 党の方から、104Aは検討したが、Cの方はまだ十分聞いてないのじゃないか、もう少し念を入れて、ロッキード社の説明も聞いて、もしそれがいいものならば考え直した方がいい、これは大きな予算を食うものであり、国会においても論議されるのだから、念を入れた方がいいという御注意がありました。しかし、防衛庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、一応の検討をいたして、私どもの一応の結論を出しておりますので、念を入れるということは、国防会議の事務当局の方で御主催願ったらということで、私どもの方から資料を出しまして、この数字の考え方が正しいか、間違っているかということで御検討をいただいたのでございまして、いわゆる法制による正式の会議ではございませんが、しかし、少しでも国民の前に事態を明らかにいたしますためには、まことに大切な会議だったと思います。
  124. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、実際に下請をさせる工場を選定する場合には、この会議に加わった会社は除くという意味でございますか。
  125. 左藤義詮

    左藤証人 さようなことではございません。
  126. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それは重大なことではございませんか。どういう役所でどういう国家事業をおやりになります場合でも、民間に内容を知らせる、しかも民間からお知恵拝借というようなことをやって、そうしてお知恵を拝借せられた相手にそれを下請をさせる、こういうようなことは、ほかの事業ではございませんけれども、航空機工業においてはそれでよろしいのでございますか。
  127. 左藤義詮

    左藤証人 今申し上げまするように、これは正式の法制による会議ではございませんのですが、ロッキードの方を再検討せよということでございますので、両方の資料を整えまして、この方面の経験者に意見を聞いたのでございまして、先ほど申し上げましたように、たとえば三菱にいたしましても、これに私どものF11F—1Fをもし国産をさせるならば、どういう条件でどういう費用になるかということ等も十分調査しておりまして、実は私どもといたしましては、なお東大の教授とかそういう方面にも御意見を聞きたかったのでありますが、それは理論の方面の学者が多いのでありまして、実際にこういうものを原価計算して、生産のことについては、私の方では——中央大学の今井教授がその方面の権威でありますが、どうも学界にそういう方面の専門家が少いということでありますので、実際にいろいろT33、F86によって原価計算その他を体験をしておりますそういう会社、おそらく今日の日本の航空機に関係しておりますおもな会社のそれぞれの専門家を集めたことと思うのであります。
  128. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これはどう考えましても、たとえば建設業者なんかだったら談合してさえ法律の制裁を受けます。あなたにそういうようなお話を伺ったところで国民は納得いたしません。しかしまだ質問する項目がございますから、機会がありましたならこの点についてまた再びお尋ねいたしますといたしまして、これに関連したことでお尋ねをいたしておきます。  現在お作りになっておりますF86の場合でございます。先般も当委員会で議題になりましたが、これはアメリカででき上ったものを買いますと、日本の円に直しまして五千万円か六千万円でできますものが、日本で防衛産業育成という名のもとに組み立てられておりまする今日は、その三倍、一億五千万円かかる。二割や三割高いというならまだそこにありますけれども、その三倍、何ということでございましょう。これが国民が納得のいく数字だとお思いになりますか。もし国民が納得のいく数字であり、国民の納得し得られるところの数字であるということでありましたならば、証人の御所見を伺っておきたい。
  129. 左藤義詮

    左藤証人 私どもの要求性能を満たしました戦闘機が、ただいまおっしゃるような値段で十分完全なものを買い得るということは私どもは存じません。
  130. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それはまた奇妙なことをおっしゃる。私の申し上げておりますのは、日本のもうすでにきまったやつでございます。F86というのはもうきまっておるのであります。あらゆる文献において、あらゆる公式な書面において私は検討した結果、日本の要請される性能その他において同様のものが、向うで買いますと日本の円に直しまして五千万円から六千万円であります。それが三倍、一億五千万もかかるようなことで、どういう点で一億以上の費用が日本の防衛産業育成に貢献をしておるかということを伺いたいのであります。
  131. 左藤義詮

    左藤証人 F86につきましては米側に相当の負担を願いまして、一方では日本の航空産業その他のことを考えまして国産をいたしておりますので、現在アメリカでたくさん生産しておりますものをそのまま買ってくるよりは若干高いかもしれませんが、今おっしゃいましたような大きな数字ではないと思います。詳細なことにつきましては、また私の方の局長その他から御説明申し上げたいと思います。
  132. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは御承知ないのは防衛庁長官である証人だけでありまして、この数字には間違いがございません。私も権威ある委員会において御質問申し上げるのでありますから、これは間違いのない数字でございますから、どうぞお調べを願いたい。しからばお尋ねを申し上げますが、防衛産業の育成というのはどういうことでございますか。
  133. 左藤義詮

    左藤証人 日本の産業が、できるだけ私ども防衛の必要に応ずるように今後発展を望むわけでございます。
  134. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは具体的にお尋ねを申し上げます。F86の場合におけるところの防衛産業育成というのはどういうことでございますか。
  135. 左藤義詮

    左藤証人 現在三菱と契約をいたしまして進めておる過程でございます。
  136. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 長官は何もかも実態は御承知ないようでありますが、現在F86は組み立てだけなんです。もし日本の防衛産業育成ということに重点を置かれるならば、なぜエンジンをも日本で組み立てられないか。その理由について承わりたいと存じます。
  137. 左藤義詮

    左藤証人 日本の立ちおくれております技術その他を克服いたしまして、そういうふうに進みたいと思います。なお安いものがどんどんアメリカで生産されているから買えばいいじゃないかとおっしゃいますが、ドイツはまだあまり航空機産業に力を入れていないようでございますし、貿易が非常な黒字でドルをたくさん持っておりますので、あるものを安く買ってくるということができると思いますが、それでもいろいろドイツも検討しているようでございます。日本におきましては外貨の点、それから将来の日本の航空機産業等のことを考えまして努力をいたしておるのだと思います。
  138. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私は先刻前もって申し上げましたように、あなたをお困らせしようというのではございません。こういうふうに計算をしておりますと、現在作られておりまするF86の組み立てだけでも、国民の血税を膨大に欠損していく。これは防衛産業の育成とからみ合せて考えて、その育成上重大なる貢献をなしておるのならばけっこうでございますけれども、あれを持ってき、これを持ってき、もっとわかりやすい言葉で申し上げまするならば、卑近な例にすぎて失礼にわたる点があるかもしれませんし、恐縮でございまするけれども、学校の子供が手工で、模型屋からいろいろな材料を買ってきて、ただセメダインでくっつけて組み立てているというだけのことしかやっておらない。部品でもきわめて簡単な部品で、むずかしい部品はそのまま向うから買ってくる。しかも最も重要なるエンジンは向うで作ったままのものを持ってくる。こういうことで、F86でさえさようでございますから、いわんや今度お買いになろうとするところのスーパー・タイガーというものは性能の高度なものでございますことは申し上げるまでもございません。これを考えましたならば、りつ然としてこの防衛庁の御計画というものに対して、われわれは不可解千万な疑惑を持たざるを得ない。かようにして国民の血税を無意味に使ってもよろしいか。かようにいたしまして、金は国民が払うんだ、給料をもらっている防衛庁の役人は知ったこっちゃない、極論をいたしますれば、そういうような現状のままをそのままお続けになっていいかどうかということを証人に承わっておきます。
  139. 左藤義詮

    左藤証人 われわれは月給さえもらっておればどうでもいい、さようなことを考えておる者は一人もないと私は信じております。数字等につきましてはなお詳細に私どもの係の方から申し上げる機会を持ちたいと思います。私どもは現在の情勢におきまして、F86の国産化を進めて参りますことが妥当であるということから、国会の御審議をいただきまして、その予算の範囲において今最善を尽しているわけでございます。
  140. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私の調査によりますと、F86でさえもそういう膨大な欠損があります。それからこれは重ねて申して上げおきますが、日本の防衛産業の育成にはさして役に立っておりません。また、さらにそれよりも高度の性能を持つところのグラマン機を購入なさろうとするにおいては、われわれが想像も及ばないところの国費の欠損になりますことは明確でございます。こういう点からも、グラマンの購入というものはおやめになるべきである、かように私は考えます。それでは、その点はその程度にとどめまして、いずれかの機会にまた詳しいことはお尋ねいたすことにいたします。  次にお尋ねをいたしますことは、この四月十二日にお出しになりました防衛庁からの説明書の中の(5)という二項目に「武装及び全天候性」という項目がございます。この筆頭第一に「AAMを装備することが不可欠の要件である。」と断定せられております。これにつきまして御説明を願いたいと思います。
  141. 左藤義詮

    左藤証人 今後の空中戦におきましては、機銃よりもやはり空対空のミサイルによることが必要だ、かように考えます。
  142. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 関連して。ただいま山本委員の質問について、F86の生産費が直接輸入するよりも三倍の費用がかかるという問題がありましたが、これは非常に重大な問題であると思います。山本委員もよほど確信を持って質問されておることでございますので、もしもそういうことがほんとうだという前提に立った場合に、左藤証人はどのようなお考えを持たれるか、私はお聞きいたしたいと思います。
  143. 左藤義詮

    左藤証人 さような三倍というような大きな差は私はないと信じておりますが、なお数字につきましては、係官に十分調査をさせまして、現在三菱で生産を続けておりますそのコスト、あるいは米国において現在購入し得るコストを十分に検討いたしまして、証言を申し上げたいと思います。
  144. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私が左藤さんにお尋ねしているのは、そういうことはないと信ずるからよく調べる、こういうことですが、私もまたそのようなことはあるはずはないと思います。ただしあった場合にどのようなお考えを持たれるか。防衛庁長官として防衛産業育成ということはわかりますけれども、しかしそれは限度があります。ですから、限度があるから、もしもそういうようなことがあった場合には、これは防衛産業を育成するどころか、防衛産業を甘やかして、かえって日本の科学技術水準を引き下げるような状態に置いておると私は思いますけれども、これについて、あったならばという前提において左藤証人はどのようなお考えを持って今後善処されるか、こういうことを私は承わっておるわけです。
  145. 左藤義詮

    左藤証人 価格の差とともに、今お話のございました日本の防衛産業の現状及び将来等、すべてのことを十分勘案いたしました上で善処いたしたいと思います。
  146. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 ただいまお尋ねを申し上げましたAAM、この文章をそのまま再度お読み申し上げますと、「AAMを装備することが不可欠の要件である。」こう断定的におっしゃっておられるのに対しまして、AAMは今後は必要であるとお答えになったのでございます。しからばAAMの性能についてお尋ねを申し上げます。
  147. 左藤義詮

    左藤証人 核弾頭をつけませんTNTの普通の火薬を装備いたしましたミサイルを戦闘機に——実は私も戦闘機を見て、どこにつけるのだと聞いてみましたが、両翼につけまして、これで……。(「核兵器じゃないか」と呼ぶ者あり)核兵器ではありません。核弾頭はつけません。通常火薬によりますミサイル、空対空のミサイルでございます。
  148. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 お尋ねを申し上げますが、AAMの文献を証人はごらんになっていないものと断定せざるを得ません。これはフランスの文献を見ても、イギリスの文献を見ましても、どこの文献を見ましても、今日の新しい文献によりますると、AAMというものは証人のお答えになったようなものではないのでございます。もし私が失礼にしてこういうふうなお尋ねの仕方を申し上げるといたしまするならば、もう少し具体的にAAMを御説明願いたいのです。
  149. 左藤義詮

    左藤証人 わが国のミサイルの開発は非常におくれておりまして、この間やっと地対空のミサイルの勉強を始めようというのでスイスからエリコンを持って参りましても、いろいろ国民の誤解を招き、皆さんに御心配をかけているような事情でございます。これを基礎にいたしまして、今後できるだけ早くミサイルの実用化に向って努力をいたしたい、かように存じております。
  150. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは証人、大へんなできごとでございます。あなたが知っておられるといたしまするならば、どうかここで正直にお話を願いたい。これは憲法第九条をまだ否定せざる日本といたしましては、重大なることでございます。もし御存じないならば、AAMというものに対して、証人が今お答えになるように全く無知識である、こういうことでございまするならば、またの機会にお答えをいただくといたしまして、御承知のはずであります。それを御承知なくして防衛庁長官としての証人とは私は考えられません。もう一度私どもの納得するようにAAMを御説明願いたい。
  151. 左藤義詮

    左藤証人 AAMは空対空のミサイルでございまして、私どもは次期戦闘機にこれを装備して、敵の爆撃機あるいは戦闘機に対する装備にいたしたいと存じております。
  152. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは証人はAAMに対して具体的にお答えになりませんか、あるいはお答えできないのでございますか。大へん失礼なお尋ねでございますけれども、これは重大なる案件でございますから、この点伺っておきたい。
  153. 左藤義詮

    左藤証人 AAMを私どもはこれからだんだん研究開発しようとしておると申し上げておるのでございまして、それ以上どういうことをお尋ねになっておりますか、もう少し詳細にお願いをしたい。
  154. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは申し上げます。AAMというものは、今日世界で言われるところのAAM、各国によりまして呼び名は違っておりますが、AAMはAAMであります。よろしゅうございますか、あなたがお答えになるように空対空のミサイル、この空対空のミサイルは、世界常識といたしまして核弾頭をつけるものでございます。核弾頭をつけないAAM、こうおっしゃいましたけれども、核弾頭をつけるということが常識化されておる。しかも日本の権威ある学者は全部これを認めております。日本の翻訳されたる文献でなしに、日本で著述せられました文献の中にも明らかにそれが説明をせられております。その長官におなりになった証人が御存じないというはずはないのである。核弾頭をつけるということが今日のAAMの常識でございます。でございますから、それを御承知の上で表面だけを隠蔽して、そうしてAAMというものを不可欠の問題であるとここへお書きになったものをあなたは前長官からお引き継ぎになったのであるか、あるいは四月十二日に国防会議にお出しになりましたこのAAMの項目だけをあなたはお削りになりますか。
  155. 左藤義詮

    左藤証人 現在私どもが研究開発しようと存じておりますミサイル、特にAAMは核弾頭を装備するものではございません。私どもはさようなことを目標にはいたしておりません。
  156. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは世界常識と背反するのです。今日の世界常識におけるAAMとは、核弾頭をつけることが常識になっております。それをでは、あなたはお認めにならないということでございますか。
  157. 左藤義詮

    左藤証人 山本委員は御常識とおっしゃいますが、私どもは、岸内閣の根本方針でございまして、核武装はいたさない。従って今後私どもがAAMの開発をいたしましても、核弾頭をつけない。TNTの通常火薬を装備するAAMを開発研究をいたしたいと存じております。
  158. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、局地戦の場合だけを考えた空対空ということをお考えになりましても、これは役に立たないのである。世界のどこでもAAMというものは核弾頭をつけて積載せられております。また今後はさらにその核弾頭が強化せられ、醇化せられ、進化せられて、そうして、たといその目的物に対する誘導のちぐはぐな場合がありましても、攻撃面積の広いように、そうして攻撃効果の拡大強化せられるように、世界のどこの国でもAAMというものはさようにして常識化されておる。ひとり日本だけがさようなものではないということでありましたならば、何のための戦闘機でございますか。
  159. 左藤義詮

    左藤証人 繰り返して申しますが、私どもは核装備によってAAMを開発しようとは存じておりません。TNTの通常火薬によるAAMによって、私どもは日本の防空を果していきたいということを目標にいたしております。
  160. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 このAAMの弾頭は、爆発槽をのぞきますと何千という炸裂性の物質が中に入っているものなんです。そしてこれはあなた方が何と否定せられましても、これは核爆発の物質が充満しているのです。それをおつけにならないということで何になさるか。あなたがお買いになろうとするこの戦闘機はどういうものに対応しようとなさるのであるか。世界のいずれの国でもAAMは核弾頭をつける、その爆発槽をのぞきますと、炸裂するたくさんの物質が入っております。それが信管作用によって爆発をする。その爆風によって爆発せられましたその炸裂性の物質によって目標物を殺傷する。これは私が申し上げるのではない。世界の常識であります。どういう文献をお読みになって、どういう専門家に長官はお聞きになってそういうお答えをなさるのか。
  161. 左藤義詮

    左藤証人 山本委員は先ほどから、私どもの存じません機種のこととか、あるいはAAMについても非常に該博な知識をお持ちのようでございますが、私は部内の私の部下の者からの説明を聞いております程度でございますが、もし今お話のような世界全体の常識で、AAMというものが核武装でなければ全く無意味なものだというようなことでございまするかどうか、もう一度私は十分勉強いたしまするが、しかし私どもが現在開発しようといたしておりまする戦闘機あるいはこれに装備をいたそうと勉強いたしておりまするAAMにつきましては、絶対に核武装はいたさない。TNTの火薬によって来襲をして来ます敵機に対して対処し得るものというような信念を持って、私どもは現在のところはやっております。
  162. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、まだ私も質問したい事項がたくさんございますが、長時間にわたるようでありますし、質問者もあとに多いようでございますので、一点だけ申し上げておきます。  AAMは世界の常識として核弾頭をつけるものであるということを申し上げましたが、これは日本でも認めている人の名前を一つあげておきましょう。それは日本企画協会発行の「航空用語集」というものがございます。斯界の権威でありますところの木村秀政博士が監修せられておりますこの「航空用語集」の中にも、AAMというものは核弾頭をつけることが常識であるということが書かれております。その他いろいろな国の文献を見ましても明らかでございますから、AAMというものは明らかに核兵器である、こう申し上げなければなりません。しからばAAMは核兵器でないとして国防会議に持ち込んだ防衛庁は、まさに防衛庁設置法第三条を無視し、あるいは自衛隊法第七条を無視しているとわれわれは言わなければならないのであります。総理もあなたも国防会議の議員であり、議長であり、そうして核兵器はお使いにならないと言明せられておるのであります。しかるに世界の常識と相なっておりますところの核兵器であるAAM、それをつけなければならない、しかも不可欠であると論じております防衛庁というものは、まさに防衛庁設置法第三条を無視している、自衛隊法第七条を無視している、こう言わなければなりません。もしさようであったといたしますならば、防衛庁長官である証人はどういう責任をお持ちになりますか。それを伺って質問を打ち切っておきます6
  163. 左藤義詮

    左藤証人 繰り返して申し上げますように、私どもがAAMの研究開発をいたします目標は、核装備ではございません。
  164. 田中彰治

    田中委員長 左藤証人にちょっと委員長からお尋ねしておきます。国民が非常に誤解するものですから……。あなたは今グラマンが非常に性能がいい、すべてが非常にわが国に向いている、ああいう飛行機は乗るのに非常に都合がいい、乗務員を養成するにも都合がいい、こうおっしゃいましたが、グラマンはまだできておらないのです。二機できたが、二機とも破損しておって、アメリカの軍部に性能試験を頼んだら断わられて、その次にまた運動して、十六時間性能試験をした。そのグラマンの会社に対して、十六時間の性能試験でいいのかと言ったら、三十万時間しなければものになりませんということをグラマンの会社では言っておる。あなたの言われることは、宣伝と利害に伴ってのグラマンの会社の、つまり書類によってあなたが調査されて、そういう工合に、ばかの一つ覚えで覚えていらっしゃるということなんです。これは決してアメリカの空軍で出した性能のあれでもなければ、ほかのものが認めたものでもないのです。グラマン社がやったのです。その証拠には、グラマンという飛行機は、世界のどこの空も飛んでおりません。しかもあなたが防衛会議において、これを試験して十六時間飛行したが良好だと言われたエンジンはにせものであって、3なんだ。それはあとから質問があると思いますが、あなたの言うことを聞いておりますと、グラマンはできておって、みな乗って、これはアメリカの空軍も使っておって、世界の空を飛んでおって、非常に優秀なもののように聞える。ないのです。二機作ったが、二機だめになった。試験飛行したのはにせものだ。軍部も採用しておらないのですよ。そういう飛行機なんですから、証人はこれはグラマン社の書類を資料として、あなたの方できめられたものだということをはっきりしておかぬと、国民は知らないから迷ってしまう。そこをあなたに御注意申し上げておきます。
  165. 左藤義詮

    左藤証人 ばかの一つ覚えというお話でございましたが、私はグラマン社の宣伝だけで申し上げているつもりはございません。ことにグラマンの現在試作しております二機がだめになってしまっているということは事実に反しておる。米軍を通じまして調査いたしました結果、いろいろな人が飛んでおりますが、一機はフランスの操縦者の誤まりによって、胴体着陸をして故障を起しましたが、これも修理をして飛んでおります。もう一機の方はGEの方へ改装を依頼して、これも現在飛べる状態になっておるという報告を受けております。
  166. 田中彰治

    田中委員長 左藤証人に申し上げますが、二機作ったのは、一機はフランスのパイロットがいためてしまって、大破してだめになってしまった。そのあとの一機は十六時間試験使用した結果、よろしくない。それがにせエンジンでしたから、これから7の中古エンジンですることも、今工場へ入っていることも、こちらは調べてわかっております。これもあとで質問があると思います。グラマンアメリカの空軍で採用したような、軍部の証明かアメリカの政府の証明でもあるような、その飛行機が世界の空を飛んでいるような印象を国民に与えて国民を惑わすことはよろしくないから、税金を納めて泣いている国民のその税金を一千億も使うのですから、そうでしょう、そんなグラマンを買ったところで防衛分担金はくれません。アメリカで軍で採用しておらぬようなものを。そういうのを国民は知らないのだから、それをあなたは隠さないで、それはこういう書類でやったんだ、こういうふうにおっしゃらないと、何でもかんでも防衛庁の書類を基礎にしておっしゃると、国民は信ずるのです。私どもでもこの二、三日前までだまされておったのです。にせのエンジンだなんて知らなかった。いろいろ調べてそういうものを発見してきた。それを私はあなたに御忠告申し上げておきます。
  167. 横山利秋

    ○横山委員 関連して。左藤さんに私どもは言いたいのですが、今の決算委員長のおっしゃった意味はきわめて重要だと私は見ておる。あなたがそれに対して御答弁になったのは、ただグラマン社の宣伝ではない、それから二機の問題については事実に反する、それだけおっしゃったにすぎないのです。私はそんなことはどうでもいいと思っている。今の委員長発言については、防衛庁長官として今あなたが受けられた印象というものはそんなことでは私は済まないと思うのです。そんな答弁では私は済まないと思うのです。子供じゃあるまいし、防衛庁長官があれだけ言われて、ああいう答弁をなさって、それできょうお帰りですか。今の委員長発言に対してもう少しあなたの言わんとするところをおっしゃるべきが当然なんです。それとも、あれだけしか言う方法はないのですか。逆に私はあなたに質問をいたします。
  168. 左藤義詮

    左藤証人 なお具体的なことについて御質問がございますれば、私の知りまする限りのことはお答えをいたしたいと思いまするし、また技術的なことにつきましては、他にも証人に御申請をいただいておりますのがおりますので、ことに私は就任日が浅いので、過去の経緯等につきましては、なお詳細に存じまする者が皆さんの疑いを晴らしますまで十分一つ御答弁を申し上げたいと思います。
  169. 横山利秋

    ○横山委員 きわめて不満足きわまる答弁であります。委員長が今指摘いたしました事項は幾つも幾つもあります。あなたはそのほんのちょっぴりした二つのことしか——今、午前の委員会としては最終的な段階で、最終的に委員長が事実を指摘したのですよ。その中の二つを答弁しただけで黙ってお帰りになろうとしておる。きょうの午前中の最後であなたが単に二つだけ言ってお帰りになるというのはいかがなものであろうかと私は言っている。ですから、委員長の指摘のあった問題について、逐一御答弁なさると同時に、その根本に触れる問題について、長官として御意見はないか、こういうことを私は言っているのです。
  170. 左藤義詮

    左藤証人 委員長からいろいろ御質問がございますればお答えをいたします。ただ、今、委員長から何か御注意いただきましたので、私はそれに対して特に気のつきました点を申し上げました。なお、私はこれから個々の問題につきましても、御質問に応じまして私の知る限りはお答えいたしたいと思います。
  171. 田中彰治

    田中委員長 左藤証人には再開後委員会において引き続き証言を求めることにいたしまして、暫時休憩いたします。     午後一時十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十五分開議
  172. 田中彰治

    田中委員長 休憩前に引き続き、左藤証人証言を求めることにいたします。  発言の通告があります。順次これを許します。  山田長司君。
  173. 山田長司

    山田(長)委員 前の津島長官の跡を引き継がれております長官に対しまして、内定の問題をちょっと伺いたいと思います。四月の十二日に内定をして、この内定の引き継ぎを証人は受けているわけでありますが、この内定の内容はどういう内容を持っておったのか、内定について最初伺いたいと思います。
  174. 左藤義詮

    左藤証人 いろいろな事項について引き継ぎを受けましたので、このFXにつきましては、四月十二日の国防会議において、今後の計画を進行せしめる諸条件を整備するために、一応F11F—1Fを採用することに内定をいたした。現在防衛庁においては、この方針に従って各種の諸条件を整備する作業をいたしておるというような引き継ぎを受けました。
  175. 山田長司

    山田(長)委員 内定というのは、世間一般から勘案いたしますと、契約の一段階としか考えられないわけです。いろいろなあとで起っている事実を研究いたしますと、この内定は十分契約を意味したものと思われるのです。それはどういう点かというと、国産機の生産に関する委員会防衛庁の中に持ったり、あるいは新三菱重工から五月上旬にグラマンに技師の人員を派遣しているというこの事実、これらについては内定はそう簡単なものと理解されないのです。そういう点で、こういう契約の一階梯としか考えられないような事態が次々と発生しておる問題について、長官はこれをどういう角度で見ておられたのですか。
  176. 左藤義詮

    左藤証人 内定と申しましても、あるものをすぐ買ってくるということの内定ではないのでございまして、申すまでもなく、どこまで米側がこれを分担していってくれるか、これはまだ内定でございますが、これをさらに諸条件を整えまして国防会議で決定いたしまして、それから日米交渉に移るわけであります。そういたしまして国内におきましては、分担の国産をどれくらいにするかということがきまりまして、価格等についても十分の調整をいたしまして、初めて契約をいたすのでございます。従って現在でも内定ということは契約とは全然関係がないと思います。
  177. 山田長司

    山田(長)委員 では、内定を進めておる範囲においてアメリカの負担あるいは日本の負担、こういう問題についてどんな話が出ていますか。
  178. 左藤義詮

    左藤証人 前のときにもそうでございますが、こちらとしてはできるだけ米側に負担をしてもらいたい。向うの方も予算その他の事情もございましょう。そういうことにつきましては今後の折衝でございますが、私どもはなるべく、少くとも五〇%くらいは米側の援助を求めたい。相手のあることでございますからどういうことになりますか、こういうような気持でございます。
  179. 山田長司

    山田(長)委員 米側の意向によって五〇%くらいの負担をさせたいというふうな希望のようですが、一体このスーパー・タイガー内定に従ってさらに進めていった結論として、これらの背後にアメリカ軍が容喙する点が十分にあるとあなたはお認めになりましたか。
  180. 左藤義詮

    左藤証人 従来調査官をやりましたり、あるいはこちらでいろいろ折衝をいたしました過程におきましては、特にこれならば応援するとか、これならば応援しないとかいうようなリコメンドは米側からはなかったように聞いております。
  181. 山田長司

    山田(長)委員 あなたが長官になられてからは、アメリカ側から推奨されるような印象はなかったと言われるような意味のことですが、これは風聞によると、極東空軍あるいは軍事顧問団等がかなり活躍したということが言われておるのであって、あなたが担任されてからはそういうものを感じなかったと思うのでありますけれども、この結論に到達するまでの過程において、内定が内定として発表されるまでの過程には、かなりのいきさつがあったはずです。聞くところによりますと、河野総務会長が内定でなく決定に近いことが国防会議に出たときに、かなり強く主張されておる。あるいはまたロッキードのいろいろな飛行機に対する明細書が出ていないことについて、強く要請をされたというようなことも言われておるのであります。  この内定後、私が理解できないのは、八月の七日、九日にホテル・テイトで今井次官の名で佐薙幕僚長、今井次官も出席されているようですが、そのほかロッキード側の社長、技師——そのときには価格表なども出ておるようですけれども、これは河野会長が要求していたので、いわば何らかの形の会合を持たなければ、河野会長に対する面子が悪いというような意味で持たれたのではないかと言われておるのです。この会合はどういう意図でお持ちになられたものですか。
  182. 左藤義詮

    左藤証人 党の幹部から104Cについて、これは非常にいいものだからしてもう一度十分話を聞くように、どうも前のときには104Aの方は聞いているが、Cについてはあまり詳しく聞いてないようだから、     〔委員長退席、山本(猛)委員長代理着席〕  少しでも悔いを残さないように念を入れて、一応ロッキード日本に来て説明をしたいと熱心に言っているんだから聞いたらどうだ、ということがございましたので、念を入れる意味におきまして八月の七日、九日でございましたか、私は出席いたしませんでしたが、私どもの幹部の者が二回にわたりましてロッキード社から説明を聞いたのでございます。
  183. 山田長司

    山田(長)委員 それは八月のうちであって——それじゃ約一カ月前になるが、七月十一日の参事官会議で、F11F—1Fの準備計画が持たれている。そこにあなたも出ているのはずです。一方ではFの準備会が持たれてどんどん国産計画が進められている、一方ではロッキードの説明を聞かなければならぬから、一応党の幹部から言われたから説明を聞こう、こういうことのようです。一体七月十一日の参事官会議というものは、どういう内容を持った会合だったのです。
  184. 左藤義詮

    左藤証人 国防会議の参事官クラスで、あるいはそういう会合があったか存じませんが、私は出席いたしておりません。存じません。
  185. 山田長司

    山田(長)委員 その席にあなたが出ていないはずはないと思うのですが、あなたは出ていないのですか。
  186. 左藤義詮

    左藤証人 私は国防会議の議員として国防会議に出るわけでありますけれども、御承知のように四月以来まだ国防会議は開かれておりませんので、今お示しの各省から課長クラスが出ております参事官の相談が、詳細は存じませんが、あったかもしれません。私自身の議員として出席いたしますのは国防会議でございます。これは四月十二日以降開かれておりません。
  187. 山田長司

    山田(長)委員 防衛庁内部の装備局会議の席上で、米国側の負担についてどういうふうにすべきじゃないか、何かそういうことの意見の交換であったように聞くのですが、そういうことの会はございませんでしたか。
  188. 左藤義詮

    左藤証人 装備局内部におきましては、先ほど申しましたように、できるだけ米側の負担を多くしてもらいたいというので、いろいろな研究、検討はいたしておると存じます。
  189. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、四月十二日に内定はしているものの、実際においては国民負担に非常に影響のあるところの米側の負担の問題、あるいは日本側の負担の問題等については、明確な何らの線が打ち出されずに四月十二日には決定したということが事実なんですね。
  190. 左藤義詮

    左藤証人 決定はいたしておりません。内定をいたしまするのには、今後のそういう折衝も含めて内定をしたのだと思います。
  191. 山田長司

    山田(長)委員 そこでF11F—IFというのが先ほどのお話にもありましたが98J—11、これは原型で、できておらないと言われておる。飛行機の内外ともに改良はされておるけれども、実際はできてないという。先ほどの答弁を聞いても明確を欠くのですが、一体F11F—1Fの説明をやはりこの際私は明確にする必要があると思うのですが、長官の再度の御答弁を願いたい。
  192. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど山本委員の御質問にも申し上げたのでございますが、F11F—1Fは、グラマン社が先ほど申しましたように古い艦載機を改良して超音速の戦闘機に乗り出した原型でございまして、これは海軍の方の名前をつけたのでございますが、会社のデザイン・ナンバーといたしましては、先ほどお話のような98J、それの一連のシリーズの一つのものが日本ヘプロポーズされました今お示しの98J—11である、かように存じます。
  193. 山田長司

    山田(長)委員 内定されている飛行機というのはF11F—1Fであって、98J—11の原型がF11F—1Fだという。契約の対象にしたものは、やはりこのF11F—1Fであったはずなんです。その内部の改造がなされている以上は、当然別な形の98J—11というものが契約の対象にならなければならぬと思うのですが、この点やはり私は明確を欠いておると思うのですけれども、この点どうなんです。
  194. 左藤義詮

    左藤証人 先ほどから繰り返して申しましたように、契約をいたした事実はございません。
  195. 山田長司

    山田(長)委員 間違えました。内定です。
  196. 左藤義詮

    左藤証人 内定というのはF11F—1F、すなわち98J—11に内定しました。かように私は存じております。
  197. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、これはまだできていないもの、全然姿を見せていないものと見ていいですか。
  198. 左藤義詮

    左藤証人 この一連のシリーズにつきまして、実験、研究をいたしておるのが現在二機できております。試作機だと思います。
  199. 山田長司

    山田(長)委員 二機の件はさっきも話されたように、フランスのパイロットによって落ちているという話も聞いているし、そのほかエンジンの故障等によってしばらく飛ばずにいたという話も聞いています。最近は、長官の話では飛んでいるような話だった。しかし私が不思議でならないのは、その二機がそんな状態に置かれているのに、日本の内定されているという飛行機の目標は、その98J—11である。一体どうしてそういうものを選ばなければならなかったか。まず性能の問題も、単価の問題も、いろいろあるでしょうけれども、ここに私は疑問があると思うのです。その疑問の解明はやはり長官はこの際明確にしておく必要があると思う。どうかその点の明確さを、もっと明確に一つこの際発表願いたいと思う。
  200. 左藤義詮

    左藤証人 調査団も参り、また米軍を通じていろいろな資料を集めまして検討いたしました結果、F11F—1F、現在試作して試験中であります。先ほど時間のことがございましたが、先ほど私の調べましたところでは、この一、二号機合せまして、約二百三十回テストしている。最初一日一時間といたしましても、二百三十時間のテストは本年の二月までに済んでおるという報告を聞いておるのでございますが、このF11F—1F、それのシリーズの一つである。日本にこれが向くだろうとプロポーズしておる。それを私どもは他の機種と十分比較検討いたしました結果、性能におきましても、全天候性、特に安全性、操縦性という点から、これが最もふさわしいのじゃないかということで内定をするようになったと思っております。
  201. 山田長司

    山田(長)委員 この内定の問題について、岸首相に、実は国防会議議長としてここに説明員として出ていただき、そのときにロッキードの改良型Cの問題、あるいはグラマンの問題等について書類の提出を、岸首相は要求したが出なかったと言っておる。われわれは別にロッキードでもグラマンでもない。われわれはこれを両方とも踏みつぶさなければならぬという立場で臨んでいるわけだが、国防会議議長という立場でこの書類の提出を要求したときに、それが出なかったと言っているけれども、これはあなたの在任のときじゃないけれども、その当時のいきさつはやはり引き継がれているものと思うけれども、一体これはどういう理由だったのですか。
  202. 左藤義詮

    左藤証人 要求せられた書類を出さなかったというような事実、私、伺っておりません。
  203. 山田長司

    山田(長)委員 あなたの引き継ぎ事項として引き継がれていなかったか知らないが、聞くところによると、首相はノースアメリカンを推奨したこともあったそうだ。それらの飛行機の性能が、どれがよかったかわれわれは知らない。しかし書類の提出方を要求しておったということは、これは事実のようです。あなたは全然お聞きにならなかったと言われるが、何かそれに関連のある片りんの争いを感じたことはなかったか。
  204. 左藤義詮

    左藤証人 さようなことは、私、感知いたしません。防衛庁といたしましても、調査団調査あるいは米軍を通じあるいは各会社の申し入れを十分検討いたしまして、資料を提出して御審議を願ったものと私は心得ております。
  205. 山田長司

    山田(長)委員 あなたに御答弁を願うのに、御答弁してもらうわれわれも何か一つもの足りないものを感ずる。なぜもの足りないものを感ずるかというと、あなたがさしあたってその衝に当っていなかった当時のことを今伺うわけですから、引き継ぎ事項として引き継ぎがなされなかったということから、あなたはそういう詳細にわたる事項がなかったと言われてしまえば、それだけのことなのですが、実は四月十二日の国防会議の内容については、その前の月の三月十五日には、津島長官の自宅で三人の人たちが集まって、グラマンに決定してしまっておる。津島長官の自宅でですよ。そのあと高橋課長が防衛庁へ帰られて、防衛庁の課長のまわりをぐるぐる回って、グラマンに決定してしまったからというふうなことで動かれておる。こういうことを耳にしておるわけなんです。どこかそういう点、もう少し詳しく——どうもあなたでなかったときのことなんでわからない点もあるかもしれないが、しかしそのくらいなことは、今度のいきさつを通しては耳にしていることがあるはずだと思うのです。どうです。
  206. 左藤義詮

    左藤証人 津島長官の自宅でさような会を開いたということは聞いておりません。三月十五日に、津島長官、林統合幕僚長、今井次官その他が集まりまして、それ以前にすでに調査団のいろんな話を聞いておりますので、そういう結果を総合いたしまして資料を整備して国防会議に出そうというようなことは相談をいたしたように聞いております。長官の自宅云々のことは、さようなことはないと思います。
  207. 辻政信

    ○辻(政)委員 関連して簡単に二、三点。これを整備するには大体一千億円かかる。これは長官も御承知でしょうが、きわめて膨大な国民の税金を一千億かけて、そうして非常に進歩の早いものを見通して将来決定しなければならぬ。にもかかわらず、私が不審に思うのは、先ほどの問答を通じてみて、F11Fという種類のものが論議に上ったのはまだ今年の初めであって、内定までに二、三カ月しかかかっておらない。これはきわめて重大な問題である。こういう一千億の税金を使うものを二、三カ月の短期間で急いで決定しなければならぬ理由は、これは前長官の時代ではございますが、あなたは公平に今までの議論を聞かれて、責任のある立場で、やはり急いで決定しなければならぬと思うか。それとも、もう少し慎重に一切を白紙に返して練り直すというお気持を今の心境でお持ちになっておるか。それをまずお伺いします。
  208. 左藤義詮

    左藤証人 決定が非常に急速であったようにお話しでございますが、私の伺いますところでは、100とか104とか、いろいろ長い間検討をせられまして、F11Fというものがわれわれの要求性能に非常にふさわしいというようなことでございまして、すでにもう二年近く検討した結果、これに内定をいたしたように伺っております。しかし非常な日進月歩でありまして、さっき山本委員からいろいろな新しい機種の御紹介をいただいたのでありますが、こういうことも十分検討をいたしまして、内定ではございますけれども、もし非常にふさわしいものがございますれば、これはまた私がそんな権限は持ちませんが、国防会議において十分御検討をいただくことはできると思います。
  209. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の聞いているのはちょっとあなたの答弁と違うんです。二年間検討をしたということは、F100と104の性能について検討したのでしょう。グラマンという、突如上ってきて、突如出たものを二、三カ月の間に内定に持っていくということは、これはほんとうに例のないことです。しかも、アメリカではたった二機しか作っておらない試作です。大体こういうものを決定するには、試作をやったものを、旧陸軍の観念でいけば、二、三年間ほんとうに研究し、これで万全だということで正式決定をして、第一線の警備に充てる、これがどこの国でも常識です。アメリカさえ二機しか持っておらない。模型というか、ほんとうのモデルというか、アメリカ自身がそれに対して自信を持っておらぬのに、日本が何がゆえに飛びついて先物を買わなければいかぬか。西ドイツは日本グラマンF11Fを決定したことを笑っておりますよ。なぜ日本は急がなければならぬか。ドイツのやり方は違っておる。現在の第一線の乗用機、すなわちF86、あの程度のものでパイロットを徹底的に養成をしておる。そうして次のものは研究費にぶち込んでおる。これから数年間一つの新しい戦闘機をドイツの技師がフランスと共同してやっていく、それを盛んに試験中であります。そうしていよいよこれがいいというところで量産に移る、それを大量に買うなり製造するなりということが常識なんです。今あなたの御決定になったこれは、日本の国で自給するにはほんとうに五、六年かかりますよ。五、六年に世界の軍事情勢はどう変るか。これは完全にミサイル時代になりますよ。今苦労して議論をしておるF11Fとか104というものは博物館を行かなければならない。その証拠に、アメリカはこのミサイル時代に切りかえたために、アメリカの航空工業では大縮小をやった。十万人の従業員を首切っておる。そのはけ口を日本に求めようとして、ロッキードグラマンノースアメリカンもやっきになっておる。でありますから、日本の国民がその決定に疑惑を持つのはそこなんです。アメリカの兵器工業の連中にマーケットを与えるために日本防衛庁が急いで決定したというような疑惑を国民に与える。これはぬぐい切れないものがある。何がゆえに五年先に整備されるものを、今急いで、たった二機のモデル機を基準にして御決定にならなければならぬか。100はもう実用に供して数年間使っておる。104も大量に生産しておる。私はいずれがいいとは言いません。しかるにF11Fに至っては、これは艦載機を改造したとはいえ、たった二機試作しただけで、これが役に立つ、役に立たないということは決定したデータはない。何がゆえに急いでやらなければならぬか。あなたの金をお使いになるならば御自由だ。一千億円の国民の金をぶち込んで政府が責任を持ってやるときに、こういう軽率な決定というものはありませんよ。いずれ機会を求めて専門的なデータで質問いたしますが、これに関連をして国民が聞きたがっているところはその点です。いかにも軽率で、何かそこに取引がありはせぬか、そういうことを疑惑の目を持って見られておって、そうして内定したからまたやるんだなんて押し済まされるものじゃないですよ。後日の機会に私が調べたところで御質問いたしますが、これだけ天下の耳目を集めた問題で、この委員会においても数回議論されておる。もう結論は出そうなんです。そこであなたが国防会議の一議員として今までの議論をお聞きになって、あなた一人で決定するのじゃないが、国防会議を構成する一議員としてのあなたの心境を、もう少し待つのがいいという心境か、それとも内定したのだからやってしまえという心境か、もう一度はっきり答えてもらいたい。
  210. 左藤義詮

    左藤証人 いきなりこれを無理に押そうとは存じません。内定でございますので、決定したことじゃないのでございまして、いろいろな情勢を十分検討いたします。もし今御指摘のような、これを内定することについて不正等がございますれば、私は、私の在任中でございませんでも、現在私の部下でございます者にさようなことがありますれば、厳重に処罰いたしまして、私の責任をとるつもりでございます。そういうようなものが、もし内定をいたします過程において誤まりがあり、不正がございますれば、私は十分責任をとります覚悟でございます。
  211. 辻政信

    ○辻(政)委員 私は不正があったとか、あなたが責任をとれということを言っておるのじゃありませんよ。こういうことは国民に疑惑を与えておる。不正があったとは言っておりません。国民に対して疑惑を与えておるのだ。それともう一つ、私の常識から申しますと、これは急いで作るべきものじゃない。グラマンが何百機か実用化されて、相当の試験が重ねられて、諸元が固定したものならば、いずれにしても御決定なさってけっこうです。これはたった二機しかアメリカ自身が作っておらない。それを日本がいきなり正式に五年後の整備目標に取り入れようというところに、はなはだ慎重を欠いた点がある。これを申し上げておる。ですからほんとうに常識からいえば、100も104も11もみなやめてしまうのです。やめてしまって、現在ようやく手に入りかけたF86で、思い切ったパイロットを養成しなさい。またF86の性能の欠陥を補うべき手段方法がある。サイドワインダーをつけるなり何なりあるのですから、それに全力を注いで、国民の税金をむだに使いなさるなと言っておる。あなたの私財を使うなら文句は言わない。一千億の税金を使うのですから、そうしてできた後においては何にもならなかったというなら、腹を切っても申しわけが立たない。ですから、あなたの立場は今非常に重要な立場なんです。防衛庁長官として国防会議に携わっておられますが、その責任にあるものはあなたが中心なんですから、私は今までの議論を聞いておって、はっきりとあなたがこの問題は慎重に取り扱って新規まき直しで白紙にするのがいいという御決意か、それとも内定したものだからまだそれに未練があるのかとお聞きしておる。不正があったとは言ってない。
  212. 左藤義詮

    左藤証人 そういう意味で、前長官時代にきまったことだからどこまでも墨守しようという未練は持っておりません。
  213. 辻政信

    ○辻(政)委員 未練がないということは、白紙にした方がいいということを今の御心境でお考えになっておるかどうかということです。
  214. 左藤義詮

    左藤証人 白紙にいたしますかどうかは、今お話のありましたようなことも、辻さん多年の御経験をお持ちになった先輩でございますので、御意見等は十分参照いたしまして、私、部内に諮りまして、国防会議に私の意見を申し上げるつもりでございます。今私は白紙に返すとか返さないとか、あるいは未練を持ってどこまでもこれを無理押しするとかいうような心境ではございません。
  215. 平井義一

    平井委員 ちょっと今の辻委員の質問に関連いたしまして、長官にお尋ねをいたします。実は防衛庁が急いで内定をしたわけでなくて、国防会議の一部の人、自民党の幹部の人が急げ、早くきめろということによってきめたのではないか。津島防衛庁長官の気持は、七月か八月までに研究をしてきめればよかろうというような考えでなかったのかどうか。いたずらに防衛庁がきめて防衛庁が罪をかぶるというようなことでなくて、これは党幹部が早くきめろと言ったから早くきめたのか、あるいはまた国防会議議長なり、副議長があるかどうか知りませんが、これが早くきめろと言ったから防衛庁は急いだのか、この点を一つ長官は、はっきりされた方が私は防衛庁が疑われない、こう思いますが、いかがでございますか。     〔山本(猛)委員長代理退席、委員長着席〕
  216. 左藤義詮

    左藤証人 さようなお話は私は全然伺っておりません。もし今、平井委員の御注意のように、機会がございますれば津島前長官にその当時のことを私はもう一度伺いたいと思いますが、私が現在引き継ぎました範囲においては、防衛庁はもっと先のつもりだったけれども、無理に押されてきめたのだというようなことは一言も私、引き継ぎません。
  217. 山田長司

    山田(長)委員 国民はこの問題についてだれ一人として疑念を持たない者はないところにきていると思うのです。ただ詳細にこのことについての報道がされていないから、ややもするとこの内容が理解されずにあると思うのですが、その点、長官、十分一つ今、辻委員からの発言のように考えなければならぬと思うのです。第一、十二月の国防会議で内定した議案を正式に——あらゆる問題は大体次官会議で結論を出す筋のものですが、次官会議ではただ単に了承した程度であったようです。ところが、聞くところによるとこの内容は決定しておった。それがたまたま当時の愛知官房長官がその書類を国防会議の席へ出したところが、国防会議の席で河野一郎議員及び岸首相に、これは内定になっているじゃないか、こんなはずはないぞということで、この国防会議の終った数日後の閣僚会議で問題になって、愛知官房長官はひどく怒られているということが、世間というか、一、二の政界の中でいわれているのです。この点は、一体あなたに引き継ぎがされていないというものの、やはり愛知官房長官がかなり怒られているということなんですから、当然もっと明確にこのことの内定ということについては打ち出されていなければならなかったはずです。それが決定であるのか、内定であるのか、さっぱりわからない、雑誌には決定として出ていたものもあるし、大新聞にも決定として出ていたものもある。そういうことから、おそらく新三菱にしても、グラマン社に行ってこれが製作の研究をされる状態にまでいっていると思うのです。さらにあなた方の部下の中においても、国内生産計画というものをどんどん進めておったと思うのです。この当時の前後の事情というものをあなたが耳にしていないはずはないのですが、どうです。
  218. 左藤義詮

    左藤証人 私、引き継ぎました当時、これをすぐできているものを買ってくるというような意味での内定ではございませんで、今後の計画を進行せしめる諸条件を整備するためにということです。その条件の中には、日・米どれだけ分担をいたすか、どういうふうに国産をいたすかというふうないろいろなデータが入ってくると思うのであります。そういうことを今後いろいろな交渉あるいは計画等をいたさなければならぬのでございまして、その一部に、もしこれを国産する場合にはどういうふうになるだろうかという研究も私はいたしたと思うのであります。そういう一切のことを含めまして、今後の計画を進行せしめる諸条件を整備するということでありますから、しかしそれも一応内定したということでありまして、私どもはこれが決定したとか、あるいは申し入れ、契約をしたというような段階には決していっていないものと、かように思います。
  219. 山田長司

    山田(長)委員 この間委員部から出された資料によりますと、このF11F、これについているエンジンは79—7というエンジンがついている。契約されるものは逆に3である、あなた方が見ておったものは。一体これはどっちがほんとうの契約の対象としているものか。一応自動車にしても飛行機にしても、一番の中心になっているものはやはりエンジンだと思うのです。このエンジンが全然違ったものが対象とされて内定されているという事実があるわけです。この点についてはどうお考えになっておるのですか。
  220. 左藤義詮

    左藤証人 先ほどから繰り返して申し上げましたように、海軍名ではF11F—1F、スーパー・タイガーでありますが、これに会社の方でいろいろなデザインをいたしまして、日本へ向けて参りましたのはGEという会社のJ79—GE—7、これをつけましたものであります。これが98J—11でありまして、私どもが内定をいたしましたものは、これを目途として諸条件を整備していくということでございます。
  221. 山田長司

    山田(長)委員 そうすると、あなた方が選んでいるエンジンというものは、今まで発表しているものと違うように思いますけれども、エンジン番号についての出遅いというものを発見しないということですか。
  222. 左藤義詮

    左藤証人 試作飛行をしておりますものは、当時J79—GE—3をつけておりましたが、その機体に一連のスーパー・タイガーをいろいろなデザインをしているわけでございます。その中で日本にプロポーズして参りまして、私どもが今検討いたしておりますものは、先ほど申しましたJ79—GE—7をつけましたF11F—1Fでございます。
  223. 山田長司

    山田(長)委員 さっき山本委員の質問のときに、核兵器は取りつけない、AAMの空対空のミサイルというものは核兵器をつけないという意味のことであなたは答弁をされておったが、現在イギリスでもアメリカでも、あるいはフランスでもロシヤでも、みんなAAMは核兵器をつけるためのものとして備えてあるわけです。日本の飛行機にだけこれが取りつけをしないのだ——あなたは長官をいつまでやっておるか知らぬが、聞くところによると来年二月にはもうやめて、大阪の知事選挙に出るのだという話があるくらいで、そういう状態を耳にしているくらいなのですから——あなたは取りつけないと言うかもしれぬが、実際は取りつけられる機械が用意されておることになるわけです。この点、どういう点で取りつけないものであるということが言い切れるのです。やっぱり国民が安心がいかないのはそこにあると思うのです。どうです。
  224. 左藤義詮

    左藤証人 私もしろうとでございますが、先ほど実は山本委員にようお答えいたしませんで、休憩中に調べてみたのでございますが、たとえばアメリカにありますサイドワインダー、フアルコン、あるいはフアイアストレイクというような現在研究開発されておりますAAMは、これはみな核弾頭をつけていない、旧来の火薬でやるというように私は存じております。今後あるいはAAMで核装備をするものができるかもしれませんが、わが国に関しまする限りは、総理が宣明したように、われわれは核武装は現在いたさない方針でざいますので、エリコンでもそうでございますが、SAMでもAAMでも、私どもはどこまでも核装備のものは使用いたさない。先ほど山本委員の該博な知識に私はお答えしかねたのですが、世界では全部常識であると言われましたが、私の今聞くところでは、各国ともまだ核弾頭をつけないAAMを研究開発しているように承知いたしております。
  225. 山田長司

    山田(長)委員 あなたはつけないと言うけれども、現につけている個所があるからこれは問題になっているわけなのです。それであなたはつけないと言うけれども、つけたものが来た場合に、それに対抗するのにつけずに対抗するというわけにはいかないので、やっぱりつける状態になるのですよ。そういう危なっかしいものをここに用意するということが問題なのです。明確に国民に言い切れるまでは——どうもこの間の総理の答弁も私は満足しないのですが、そういう点でこういうAAMの整備をするということが問題なので、この装置ということについて、もっと明確に言い切れるものはないのですか。
  226. 左藤義詮

    左藤証人 AAMで核弾頭をつけようという研究をしておるのはジェニーという一種があるそうですが、これもまだ実用になっていない、大勢といたしましては現在のところAAMはみなTNTの従来の火薬を装備しておるというように私は聞いておるのでございます。将来もし各国が核武装したAAMをもって襲撃をした場合にはこれはだめじゃないかというお話でございますが、私どもは、もし原水爆が用いられることになれば、これは人類の破滅するときでございまして、原子力の手詰まりと申しますか、なかなか私どもはさようなことはできない。それ以前の通常兵器による直接間接の侵略に対処しようというのが私どもの年来の目標でございまして、私どもは世界で初めて原水爆の洗礼を受けた日本国民として、総理もいつも国民に公約しておりまするように、核武装は一切いたさない、こういう方針で進んでおります。
  227. 山田長司

    山田(長)委員 まことにあなたの答弁答弁としてもっともらしく聞えるけれども、実際はAAMの設備というのは、やはり何と言ってもこれは一般常識として核兵器を備えつけられるものであるということだけは事実なんです。まことに危なっかしいものがそういう点で用意される。しかも今までの過程で明確にあなたが言っていないところを見ると、そういう危なっかしいものの用意を非常に急いでされているというところにあると思うのです。さっき私はこのエンジンの問題について、ちょっと間違えて伺ったような感じがするのですが、このF11Fの問題につきましても、エンジン番号で言うと、試験しているのはアメリカではJ79—3だというのです。今度入ってくるのは7だという。エンジンの番号においても契約と内容とが全然違ったものが入ってくるわけですが、こんなことで国民の血税がたくさん消費されることになるわけですが、防衛庁長官としてやっぱりこれでも責任が持てるということになるわけですか。国防会議の一メンバ一であり、さらに一番重要な責任者である防衛庁長官として、やはり私はこういう問題は一つ何とか取り上げることにする方向に、国防会議であなたは強い発言をすべきじゃないかと思うのですが、この点どうです。
  228. 左藤義詮

    左藤証人 先ほどエンジンのお話がございましたが、繰り返して申し上げますように、F11F—1Fは現在試作機は3をつけておりまするが、この型の一連のものをF11F—1Fと名づけております。それをいろいろなデザインをいたしておるわけでございまして、その一つとして7をつけました——エンジンだけでございませず、さらにこれをオール・ウェザーにいたしましたものをプロポーズしてきておるわけでございます。従って私どもが今内定——いろいろお話がありましたが、検討いたしておりまするのはF11F—1Fのシリーズのうちの一つである7をつけました98J—11でございます。これを目途にいろいろ資料を集めたわけでございます。
  229. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 関連し……。この際先ほど左藤証人がF86の生産費について、アメリカから買う場合に比べ日本で生産する場合には三倍もかかるという山本委員発言に対して、お調べになったのでございましたら、この際一つ御説明を願いたいと思います。
  230. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど私、資料を持ち合せませんでお答えできなくて失礼いたしましたが、F86Fにつきましては、現在三百機を目標に国産いたしております。正確な数字は出ませんが、大体今の見通しとして一次、二次、三次を正平均して国産をいたしておりますものは、一機当り一億三千六百万円でございます。ただしその中の半分弱は御承知のように米軍の援助でございます。従ってこちらの方で国産いたします費用は五二%、約七千万円ほどになるわけでございます。米軍の援助を差し引きますと、国民の皆さん方の税金でまかなっております分は七千万円ほどについております。これに対しまして米軍から供与を受ける分がございます。これは今会社がどれくらい米軍に納めるかわかりませんが、私どもの方にはこれは無償で供与を受けておりますので、これを国有財産に登録しなければなりません。そのときには大体米軍が調達いたしますTOプフイスと申しますか、その費用を参考にいたして国有財産に登録いたすのでございますが、これが九千三百万円でございます。これは御承知のように千何百機というたくさんの生産をいたしましたので、一億三千六百万円よりも安くなっておりますが、大体向うの調達価格が九千三百万円というので、この価格で無償供与を受けました分は国有財産に登録しております。こまかいことを申し上げて失礼でありますが、電子機器は別にまた計算いたしております。国産の方はそれも入れております。それを合せますと、もう少し高くなるわけでございますが、いずれにいたしましても一億弱、九千三百万円というような価格であります。これに対して国産の方は一億三千六百万円であります。しかもそのうちの五〇%弱は米側の援助であります。国民の税金でいたします分は約七千万円。そういたしますと、七千万と九千三百万でございますから、国産の方が米側の援助を除きますと、むしろ安くなります。三倍も高いものを買っているというような事実はないと存じます。
  231. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 関連して……。私は結果においての数字をさいぜん申し上げたので、あなたのようにこまかく言うときになれば、また計算が違います。あなたは今電子装置は別だと、こうおっしゃいました。それでは組み立ての治具はどうでございますか。
  232. 左藤義詮

    左藤証人 治具等を全部計算に入れまして、一機当りが一次、二次、三次平均して一億三千六百万円でございます。
  233. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは、あなたはそういうふうに巧みにおっしゃっておりられますけれども、私は結果の計算において、さいぜん申し上げたように申し上げておるのでございます。それではもう少し具体的に、たとえば電子装置の計算の場合を御説明願いたいと思います。
  234. 左藤義詮

    左藤証人 電子機器の方に、貸与の場合は別に登録しております。数字は持ち合せませんが、それをかりに無視いたしましても九千三百万円、これが米軍が向うで調達したTOプライスというのを参考にして無償提供を受けたものを国有財産の価格としております。
  235. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 技術指導員の場合はどうですか。
  236. 左藤義詮

    左藤証人 国産の方で計算いたします場合には、平均には全部それが含まれております。
  237. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 一時間の工員はどうですか。
  238. 左藤義詮

    左藤証人 そういう国産の場合の数字は存じませんが、そういうものを全部入れまして、一方は米側で作って、米側から持ってきて供与してくれるという分であります。一方は国産の場合の価格でありますので、個々の単価は存じませんが、そういうものを全部平均して、これは先ほど申しましたように一次、二次、三次とありますので、約と申し上げましたが、一億三千六百万円、かように心得ております。
  239. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それならば委員長においては、ただいまの数字は私は信ずべき方面からの的確なる数字を資料として申し上げたのでございますが、長官の言われておりますのと食い違いがございますので、委員長がどうかその数字を提出されるようお取り計らいを願いたい。
  240. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。  そこで左藤証人、重大なことですから、あなたに私からちょっとお尋ねしますが、あなたの方が四月十二日の国防会議で、原型二機について飛行機の性能を試験したところが非常にうまく終ったといってここに報告されておる。その試験されたエンジンはGEのJ—3であった。それから今あなたが御説明された、あなたの方で今内定して、今度入ってこようとする、それについてくるエンジンはGEのJ—7ですね。これだけははっきりあなたからお答えしておいてもらわなければならぬ。試験したものは3なんですよ、違うエンジンです。それから今度入ってくるのは7なんです。たから、入ってくる7のエンジンは未完成のものであって、たといできておっても試験は一回もしてないのです。未試験のものですね。これをあなたからよくあれしておいてもらわぬと、人が誤解しますから。私は別にあなたを責めるのじゃない。ちょうど人間でいえば姉を嫁にくれるといって見合いさしておいて、もらったら妹だったということなんだから……。これだけは違うのですが、違うことだけはあなたの方でお認めになりますか。それとも7で試験したとおっしゃいますか。
  241. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど来繰り返して申し上げますように、スーパー・タイガー、すなわち艦載機を改装いたしましたF11F—1F、これの試験をいたしますときには3をつけております。おっしゃる通りでございます。この3をつけて試験をしておりますのを会社の方でいろいろなデザインをいたしまして、この機体を基礎にしていろんなプロポーズをしているわけでございますが、繰り返して申しますように、日本に向けていろんな資料を添えてプロポーズして参りましたのは、これを試験をしたものよりもさらに全天候にする、それからエンジンを7にする——たくさんあるF11F—1Fのシリーズのうち、この二つをデヴェロップしたもの、それが98J—11である、かように存じております。従って試験をしたときには3をつけておった、今、日本でわれわれが検討しているのは7のエンジンであるということは委員長のおっしゃる通りでございます。
  242. 田中彰治

    田中委員長 証人にもう一点お尋ねしておきますが、3は試験した、その3のエンジンを改良してもっといいものにして、7というのにして持ってくるのだ、こうおっしゃったのでしょう。7はまだ作ってないのでしょう。作ってあったとしても未試験のものだ。それを国防会議で内定されるのはおかしいじゃないか、これが疑惑の第一点なんです。
  243. 左藤義詮

    左藤証人 おっしゃる通りでございますが、先ほどの二機のうち一機はフランスの操縦士のあやまちで修理中である。これは近く修理が完了いたすと聞いております。もう一機の方は、ただいまお話のエンジンを作る会社がGE、ゼネラル・エレクトリックでございますが、そこで現在新しいエンジンのテストを行なっているというように聞いております。委員長は別の資料をお持ちのようですが、私どもが米側を通じて持ちました情報につきましては、今おっしゃる通りF11F—1Fの改装をやっている……。
  244. 田中彰治

    田中委員長 あなたのおっしゃるように、今一機落ちて、一機は大破してエンジンを取りかえている、これはいいですよ。三十万時間も試験飛行をしなければ、ものにならぬ飛行機を十六時間試験した。それも3のエンジンである。7のエンジンは未完成のものであって、未試験のものである。それをまた今度はこういう工合に改良するからというその会社の宣伝、つまり会社の発表したそういう数字とか、性能とか、そういうものを対象にしてあなたの方で国防会議できめられた。片方は米軍が、たとえばロッキードのことは私は言いたくないけれども、百五十機も使っておる。西ドイツでも使っておる。そうして軍部でも証明しておる。今度あなたの方で出したのは、ロッキードの証明は、全部これはアメリカの空軍の証明である。片方のは、グラマンばまだ軍に納めておらないから、だれも証明してくれないから、会社の宣伝用の利害関係の証明書である。こういうものを対照されないで、あなたの方で試験したエンジンがいいからこれをとるのだということなら通ります。これは試験をしたけれども、これよりもっとまさったものを会社が作ってお前のところに売るのだということが信じられるのか、今使っているアメリカの軍部あたりが発表しているのが信じられるのか。未完成のものより、完成して五千七百五十回ばかりの試験飛行をしている、三十万時間以上の試験飛行をして、四十万ドル以上の試験費を払っておる。これと未完成のものをあなたは対照されて、未完成のものがいいとおっしゃるものだからここに変なものが出てくるのです。あなたはあとからおいでになってお知りにならないのだから、やはり悪いところは悪いと認めて、国民の納得のいくようにさせるようになさらぬと、あなたは、姉をお嫁にもらうと約束しておいて姉と見合いして、妹を姉よりもきれいにしてやるよと言ったって、それはちょっと信じられないのじゃないか。その点、証人は少しお考えになった方がいいと思います。これだけ忠告しておきます。
  245. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 証人にお尋ねしますが、さいぜんからいろいろと防衛庁のお立場に立っての御説明を伺っておりますと、防衛庁が何でもかんでも内定した線でいかなければならないということを、もう基本的におきめになっておるというような印象しか受けないのでございます。これは私だけならけっこうでございますが、この委員会を通じて国民全般がそういう印象を受けるのではないかということを心配するのでございます。そこで伺っておきますが、これはしばしば当委員会で述べられましたように、たとえばマッハの問題等におきます場合、音速以上の飛行機をお買いになります場合、それを性能試験する設備その他の御用意が、防衛庁にはただいまございますか。
  246. 左藤義詮

    左藤証人 漸次開発努力いたして参ります。
  247. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 そういうことを伺っているのではございません。音速以上に走ります飛行機を持っていらっしゃった場合に、試験はよその国でばかりしてもらって、自分の国ではそんなことは知ったことではないのだというのでございますか。それとも、かくかくの設備があって、音速以上のものを持ってきた場合にでも、防衛庁責任において、航空自衛隊の責任において、それをりっぱに試験をしていく用意があるのであるか、ないのであるか。そういう施設が皆無なのであるか。りっぱにそういう施設が技術研究所その他においてできておるのか、それを伺っておるのです。
  248. 左藤義詮

    左藤証人 試験をいたします場合には、これに応じ得るように努力をいたしております。
  249. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私はそんなことを伺っておるのではない。試験をいたしますそういう施設ができておるか、できておらないか、そういう施設がないのであるか、あるのであるか、ということを伺っておるのです。
  250. 左藤義詮

    左藤証人 いろいろ技術的な試験のことでございますか、それとも試験飛行のことでございますか、御質問をもう一度……。
  251. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 つまり速度を試験いたしますのには飛行もしてみなければなりますまいし、また性能を試験するところの技術的な施設、従って用意、こういったものがなければならないと思います。外国で試験をしてもらったら、三十万時間も要するということを委員長もしばしばさいぜんから言われております。よろしゅうございますか。それなのに十六時間だけしかしない。その十六時間は一体どこでやったのですか。
  252. 左藤義詮

    左藤証人 先ほどお答え申し上げましたように、その後の数字は出ておりませんが、二月末までで二つの飛行機を合せまして二百三十回試験をしておるというような情報を私ども得ておりますが、どこで試験をしたか存じません。
  253. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 どこで試験をしたかわからないでは、私がさいぜんからお尋ねをしているのと相違いたして参りますが、日本の航空自衛隊にそういうものを試験する用意があるか、施設があるか、そのための技術員というものは日本におるのか、こういうことを伺っておるのでございます。
  254. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど申し上げますように、日米交渉をやり、さらにリードタイムがありまして、いよいよそれが生産をいたしますときに、これをテストできるだけの施設なり人員なりは十分私どもの責任において用意しなければならぬと思っております。
  255. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 用意しなければならないということはわかりますが、それを伺っているのではございません。そういう試験をする施設があるかないか。  それからもう一つは、さいぜん証人海軍機々々々ということをおっしゃっておられますが、これは航空自衛隊が使うのではございませんか。それからもう一つは、米国と共同防衛という約束に基いて、共同防衛の線にこれを乗せていきます場合には、米国の海軍とだけの共同防衛の線に乗るのでございますが、それとも米国の空軍との協力の線に乗るのでございますか。もし空軍の線に乗るものであるといたしますならば、こういうものを試験する施設においても、また部品一つにおいても、アメリカの空軍と共同防衛の作線に即応するようなものでなければならない。従ってそういうような見地から考えてみましても、試験をする施設が日本にあるかないか、こういうことを伺っているのでございます。
  256. 左藤義詮

    左藤証人 こまかいことはまた私どもの技術者に説明をさせますが、お話のようにこれはもちろん航空自衛隊が用いるものでございまして、さっき海軍機ということを申し上げましたのは、グラマンが艦載機をやっておりました関係から、F11Fという名前は海軍名だということを申し上げましたわけで、この飛行機は先ほど申しましたように艦載機を改装いたしまして、本格的な戦闘機としておるものでございまして、決して海軍が用いるものではないと思います。これは内定のことでございますけれども、これを御決定いただきますれば、もちろん航空自衛隊においてこれを採用いたすわけでございます。
  257. 山田長司

    山田(長)委員 私はこの質問で終りますが、簡潔に願いたいと思うのです。私はこの飛行機を購入することには、ロッキードにしてもグラマンにしても反対です。しかし、いずれにしても今の国防会議及びあなた方の考え方では買わなければならないようです。そこでこの日米交渉の結果、アメリカ側の負担として、先ほどあなたは五〇%を希望するような意味合いのことをおっしゃいましたが、莫大なテストの経費が負担分の中にあげられておるようです。こういうことを加味してテスト経費までが全部日本のパーセントの中に入るのかどうか。それからもう一つは、五〇%でなかった場合に、あなたはどういう責任をとるかということです。国民負担の見地から考えてみまして、私は最後にこのことを伺って私の質問を終ります。
  258. 左藤義詮

    左藤証人 今お話しになりました研究開発の費用は、もちろんその中に含まれる計算をいたしております。五〇%を目標に交渉をいたしますが、相手のあることでございますのでどの程度になりますか、計画が必ずしもグラマンで無理押しということを申すのではございませんが、いよいよある機種に決定をし、国防会議で決定し、日米交渉がまとまりまするときには、むろん案を付し、予算を付しまして、国会で十分御審議をいただくことでございます。私どもはできるだけ多くの負担を米側に持ってもらう努力はいたしまするけれども、どの程度になるかということは、今から私ども予断はできないと思います。
  259. 山田長司

    山田(長)委員 この飛行機を開発するための経費日本側の負担の範疇に入らなければならぬといわれるが、一つの商売にたとえてみると、自動車を持ってきて買ってもらう場合にしても、あるいはミシン一台を買ってもらう場合にしても、売りに来る方はその商品についての一応の操縦方法あるいは使用の方法等は全部先方持ちでなければならぬと思うのです。こういう点はやはり私は、交渉の衝に当る者の腹がまえとして当然先方が負担してしかるべきだと思うのです。そういう点で、いかにも開発経費はこっちが負担するというようなことは、少し交渉の上において弱腰ではございませんか、どうです。
  260. 左藤義詮

    左藤証人 さようなことも全部含めまして、できるだけ私どもは国民負担が軽くなるように、しかも私どもとして国防責任を全うするように努力いたしまして、その結果は先ほど申し上げましたように、国会で一つ御審議をいただきたいと思います。
  261. 辻政信

    ○辻(政)委員 関連して。先ほどちょっと私落しましたが、念のために聞いておきます。この機種を決定するのに、どうもほんとうに乗った経験のある人、それから乗ろうとする人の意見よりも、乗った経験のない、また乗ろうとしない、もっと端的にいえば、政治家の意見によってこの機種が決定されたというような印象を受けますが、あなたは長官として、この機種決定について、あなたの部下にたくさん専門家がおりますが、ほんとうに乗った人の意見をお聞きになりましたか。
  262. 左藤義詮

    左藤証人 第一線の部隊を巡視いたしますときに、できるだけこの問題についても、もし長官とか何とかいう形式を作るといけませんので、非常にフランクな自由な会話で、できるだけ意見を聞くようにいたしたつもりでございます。
  263. 辻政信

    ○辻(政)委員 一体こういうものを決定するのに、政治家がくちばしを入れるとか、経験のない者が会社といろいろ話し合いをしてきめる筋合いのものではありません。お作りになったものは、命がけでパイロットが乗るのですから、パイロットの意見を最も重視して決定しなければならない。私どもが見たところでは、どうも少し政治屋が専門的な経験者の意見よりも勝ち過ぎているような感じがするが、あなたの部下には海軍の有名な航空将校であった源田空将がおります。この源田空将は五十四、五才になっても、まだ自分で、ジェット機F86のを指揮し、操縦して夜間着陸をしているのです。この貴重な意見が私は決定すると思うが、この機種決定について、この老練な経験を持ち、責任の地位にある源田空将の意見をお聞きになったかどうか。
  264. 左藤義詮

    左藤証人 源田空将の意見も十分参考にいたしております。
  265. 辻政信

    ○辻(政)委員 源田空将F11Fに承知いたしましたか。
  266. 左藤義詮

    左藤証人 そういう意味では私は聞いておりません。このF11Fというものが安全性、操縦性の点においてどうだということを申しましたときに、まあ冗談でしょうが、名人芸ならばこの飛行機だっていいけれども、たくさんの部下を乗せるには、やはりできるだけ安全なものにしたい……。
  267. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の言うのはそこですよ。性態がいかによくても、日本人の技量でやれる限度がある。あなたはT33にお乗りになった経験がありますか。
  268. 左藤義詮

    左藤証人 これは身体検査を受けたり、適性検査を受けなければなりませんので、浜松に行ったときも乗りたかったのでありますが、ジェット機には乗せてくれませんでした。T33に乗った経験はありません。
  269. 辻政信

    ○辻(政)委員 乗ってごらんなさい。乗ってみればわかります。私はほんとうに乗ったのです。乗ってあなたに言う。マッハ一でどんなに苦労するか。それが今度は一躍マッハ二になる。私は源田空将に聞いてみた。君、ほんとうに自信があるのか。僕が若ければできるが、ほんとうの名人芸以外では無理だよと言っています。そうすると、日本に航空自衛隊が何万人がおりますが、その中にパイロットが何百人おるか。ほんとうにパイロットが自信を持ってあれをこなし得る者が一体何人おるか、日本人が今まで乗った経験から考えて……。一千億で名人芸の飛行機一機を作るのではありません。日本人の大多数にこなし得るものを作らぬと力にはならない。あんなもの一機二機あったって、これは展覧会に出すならいいけれども、ほんとうに役に立ちません。そこで日本人の能力でこなせる限界というものがあるわけです。そういうことは何十年間鍛えた人の意見をお聞きにならなければいけません。源田空将は断じてF11Fが最適のものとは考えておらぬはずですよ。何なら委員長、源田空将をここへ呼び出して、専門家の経験のある意見をわれわれは聞いて決定したいと思いますが、いかがでしょう。
  270. 田中彰治

    田中委員長 辻委員に申し上げますが、実は源田空将の意見をある第三者から聞いてもらった。私は今の未完成のグラマンには賛成しておらないのだ、しかし、私が防衛庁に入るときには佐薙君からだいぶ世話になって入ったので、佐薙君が頼む頼むと言ってくるから、まあ名人になれば乗れるだろうというようなことを言ってやったのだが、実はほんとうの証人に出て言うなら、それはグラマンなどは支持しない、ということを私も聞いております。
  271. 辻政信

    ○辻(政)委員 そこなんですよ、大事な問題は。そこを私はあなたに言うのです。あなたの部下がたくさんおりますよ。たくさんおるが、文官優位で、一回も乗ったことのない連中ばかりです。いいですか、ほんとうに乗った人の、血の出るような体験によって決定すべきものであって、知らない者が常識的に、あるいは政治家が利権と結託したような疑いを持たれてやるなんて不届きしごくです。どうですか。
  272. 左藤義詮

    左藤証人 ただいま委員長のお話がございましたので、私なお先ほど申しまするように、決してこだわるわけではございませんので、今後いろいろ検討いたします段階において、今までも努めて接触するようにしておりますが、今お話のような、将来これを背負っていく人々の意見を、私、長官といたしまして、できるだけフランクに聞く機会を持ちたいと思います。
  273. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 簡単に関連して。今伺っておりますと、海軍機というお言葉が出ました。ことほどさように、鼻近なたとえ方をして恐縮ですが、卵がひよこになり、ひよこが鶏になった、一人前の鶏を買うのだという。ずっと改良に改良を加えてりっぱなものになった。卵がひよこになり、ひよこが鶏になった、りっぱな鶏になったのを買うのだという印象しか受けないのです。ところが今度のやつはそうじゃない。艦載機じゃないのです。鳥は鳥で、飛ぶのは飛ぶにいたしましても、ダチョウを買うという。四月十二日にお出しになりましたものは明らかにそれであります。そうすると、卵がひよこになり、ひよこが鶏になったものをお買いになるのじゃなくて、ダチョウをお買いになる。鶏とダチョウとはおのずから違うのであります。  そこでお尋ねいたしますが、ハイパーソニックについて、長官はお考えになったことがございますか。
  274. 左藤義詮

    左藤証人 もう少し詳細に御説明を願います。
  275. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 つまり、あなたのさいぜんのお話を、私はこういうふうに解釈するのであります。日本の航空自衛隊というものは、米空軍と共同作戦をするのだというふうに伺えましたが、違いますか。
  276. 左藤義詮

    左藤証人 米空軍と共同作戦をいたす場合も、いたさない場合もあると思いますが、私は先ほどの質問に対しましては、新機種は航空自衛隊が使用いたすものだということをお答え申し上げました。
  277. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 その航空自衛隊が使用するのはわかっております。わかっておりまするけれども、共同防衛というような実態が現われました場合に、それでは米空軍と共同作戦はなさらないのでございますか。
  278. 左藤義詮

    左藤証人 いたす場合もあり、あるいは単独でインターセプトその他をいたす場合もあろうと思います。
  279. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは米空軍と共同作戦をいたすというふうな場合がある、こういうことでございますね。
  280. 左藤義詮

    左藤証人 そういうような場合もあり得ると存じます。
  281. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、大方はどの部門の米軍と共同防空をするのでございますか。
  282. 左藤義詮

    左藤証人 日本は海外出兵いたしませんので、在日米空軍と共同——もし共同することがあるなれば——防衛をいたすと思います。
  283. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 在日米空軍ということでございましたら、空軍とでございますが、それを伺いたかったのでございます。そうすれば当然ハイパーソニックというものをお考えになっておられなければならない。つまりマッハの問題が、今、辻委員からも出ましたけれども、米空軍は、もうすでにハイパーソニック、つまり音速の七倍ないし八倍というものを目標にして、この空軍計画というものを立てております。これを御承知でございますか。
  284. 左藤義詮

    左藤証人 ただいま辻委員のお話のようにニマッハでも大へんでございますが、七マッハ、八マッハということにつきましては私ども存じておりません。
  285. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これはおそれ入ったお答えでございまするけれども、米空軍はもうすでにこの音速の七倍ないし八倍、近い将来においてこういうような段階に入ります。なぜ私がこういうことを話の前提として申し上げなければならないかというと、さいぜん山田委員からもお尋ねがあったようでありまするけれども、この98Jの11が日本の部隊に配属を完了いたしますのは、昭和三十九年であります。     〔田中委員長退席、鹿野委員長代理着席〕 あなたの方からお出しになった説明文書によりますと、昭和三十九年である。昭和三十九年にはアメリカでは、今あなたがお買いになろうとする98J—11というものはもう問題にしない。ただいまF86というものは米国の第一線を退いているというより、もっと古ぼけたものになり、不要なものになっておる時期でございます。従って今お話を申し上げましたように、在日米空軍と共同防空の任に当らなければならないのが日本の航空自衛隊であるといたしまするならば、ハイパーソニックの問題は当然重要視して、もうすでにお考えになっておられなければならない。防衛庁長官である証人は、このことすらお考えになっておらないというようなことで、どうして一体米空軍との共同防衛論をなさることができるのか、これをまず伺っておきたい。
  286. 左藤義詮

    左藤証人 マッハが上昇いたしますと、機体の内部と外との温度の差が非常に大きくなる、熱の壁と申しますか、こういう問題を伺っております。その他航空医学、心理学等の問題、今、辻委員のお話にもございましたが、私は七マッハというものが近い将来に実現するということは存じておりません。
  287. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これはどうも大へんおそれ入った話でございまして、大体航空機の進歩の過程から申し上げますと、今防衛庁がお作りになっておられる、現在お作りになりつつありまするところのF86は、私の記憶が間違っておりませんければ、一九四七年の十二月には、飛びました最大距離が千八十キロメートル、それが今度F104のロッキードができましたときには、およそその倍以上飛んでおるのでございます。こういうようにいたしまして、日進月歩と申しまするけれども、このグラマンがもし買われたといたしましても、昭和三十九年の、部隊に配属を完了いたしました場合には、もう役に立たないものになっておる。それをもお買いになろうとするところに、非常に大きな疑惑があるのでございます。私は関連質問でございますので、この程度でとどめておきます。
  288. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員長代理 横山君。
  289. 横山利秋

    ○横山委員 先ほど山田委員からちょっと質問が出ましたが、この負担の問題です。負担の問題について、五十対五十を希望せられているのだけれども、従来の経緯からいいますと、その負担割合はいかなる条件によって取りきめられるか。客観的にどういうことになっているか、それをまず御説明願います。
  290. 左藤義詮

    左藤証人 供与の分と国産の分、その国産の程度をどれくらいまでにいたしますとかいうことも、一つの条件になると思いまするし、それから日本の現在の財政、米国が世界各国、自由圏の国々に援助をいたしますその予算、それを極東、特に日本にどれくらいまで持って来得るか、そういう向うの都合もあると思いますし、いろいろな条件によってお互いに折衝する。こちらは少しでも多く向うに負担してもらいたいし、向うは——私どもとしては初めから手のうちを見せるようでありますが、五〇%だけはぜひ一つということから話を始めたいと思っております。
  291. 横山利秋

    ○横山委員 供与の分と日本の国産の分との関係もある、こうおっしゃる。この前のT33Aジェット練習機及びF86Fジェット練習機の国内生産についての状況を見ますと、少くともMSA協定に基いて取りかわされた交換文書によって、米国が無償で、米国国内海港積み込み積付済みで日本政府に供与した組み立て部品等を日本政府が組み立て製造するものである。すなわち、米国側の負担するものは、製造権、組み立て及び製造用の治工具、組み立て用部品、資材であり、日本側の負担は、組み立て製造及び輸送の費用である。これは私は一つの基準になると思うのです。ですから左藤さんのおっしゃるように、もしも国内生産が多ければ多いだけ向うの負担が多くなる、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  292. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど申しますように、両方の財政力とか、いろいろな関係がございますので、どのような交渉ができますか、ことに相手のあることでございますので、たとえば私が今それじゃやむを得ぬからここで四〇%、三〇%と言ったら交渉になりません。私どもとしては少くとも五〇%ということで一つ交渉したいと思いますが、どういうような結果が出ますかは、先ほど申しますように十分努力いたしました結果、予算化しまして、国会の公正な御審議をいただくわけでございます。なかなかその見通しにつきましては、相手のあることでございますので、今から私どもはこういうふうに必ずなるのだということは申し上げかねるわけであります。
  293. 横山利秋

    ○横山委員 そこでこの間八月十九日に、共済会館で行われた、これは一種の意見聴取の会でなくて説明会なんですね。記録をずっと読んでみますと、この説明会で防衛庁の馬場課長が発言しております要旨を熟読翫味してみますと、最も決定的な要素になる材料部品費について詳細説明をしております。その中で、グラマン社がその五四%を日本で国産する計画を立てているのに反し、ロッキード社はわずかに二〇%にすぎず、ロッキード社は秘密材料や部品が多いので、国産はこれで精一ぱいといっている、こういっているわけです。こういうことが防衛庁で相当やはり問題の焦点となっておるのではないか。この記録の中では、あとの方でもこれが出て参りますけれども、これが相当の問題点として、防衛庁としては一生懸命に業者に意見聴取をするなり説明をしている。こういうことをどうお考えになりますか。
  294. 左藤義詮

    左藤証人 できるだけ私どもは国産化の方を多くすることを望むのでございますが、しかし先ほど申しますように、日米交渉の結果で、その他のうちどこまで負担を向うに持ってもらえるか、そういうことを全部含めまして、今後私どもはできるだけの折衝をいたしたい、かように存じます。
  295. 横山利秋

    ○横山委員 二つの問題があると思う。一つは先ほど辻委員だったかおっしゃったのだが、グラマン社というのは、もうすでに農業用の種まき飛行機を作っている状態で、そうして全く仕事に困っておる。一方現在日本におけるF86Fを生産しておるところは、これまたじきに仕事がなくなるという状態にある。そういう点をどういうふうに御判断になりますか。これは全く極端に善意に解釈して、グラマン社がそういう危機にある、危機にあるのだから、一つ買いたたきができるというふうな感じがあるいはなさったかもしれぬ。あるいはまた日本におけるF86Fを作っておる会社が、機械や人員を遊ばせる、だから何とか早く仕事を与えた方が結果においては得である、こういう感じがあったかもしれぬ。そういうふうに極端に善意に解釈しますと、そういう議論が出てくるのですが、これも検討に入っているのですか。
  296. 左藤義詮

    左藤証人 ただ買いたたいて安かろう悪かろうでは困りますので、やはり十分な技術水準を持ち、十分な要求性能を備えるものでなければならないと思います。ただ相手が弱いから少しよけいたたけるだろうというふうには考えていないだろう。これは私、参与しておりませんから、はっきり申し上げられませんが、今そういうような気持がなかったかとおっしゃいますと、おそらくそういうことは、考えの中には、その点がそれほど重要なウエートがおかれているのではない、だろうというふうに私は思います。
  297. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは今十二日の内定については割合客観的な立場にあるわけです。しかし今みんなから朝から集中的に質問されていることは、どうして一体二年ものF100、F104の議論の中で、たったニカ月やそこらでグラマンに急遽変ったのかというところがちっとも解明されておらぬ。あなたは割合客観的な立場におるのだから、防衛庁長官になってもう一ぺん振り返る機会に恵まれたわけです。そこを国民に今あなたが言うならば、これはいいのです。一応はあなたの責任でもないのだから。それを国民に解明し得る最も有利な条件にあなたはあるではないか。それを解明することができたならば、国民の疑惑は相当解くことができるのですよ。ですから、この際わずかニカ月やそこらで、なぜグラマンにきまったのかてそこをとっくり一つ、時間をかけてもいいのだから、あなた御説明になったらどうですか。もしもその中で、軽率であった、あるいはこういう事情があったというならば、それもこれから——内定は内定だけれども、相当検討するとおっしゃるのだから、従来の経過の悪い点をもさらけ出して、これからきれいにするために一つこういうふうにしたいのだという欠陥を、一応はっきりしなければ、国会なり国民の疑惑は解けません。有利な条件にあるのだから、あなたは、ニカ月でなぜ変ったか、お調べになった状況を一つ詳細に報告して下さい。
  298. 左藤義詮

    左藤証人 いろいろな機種を検討いたしましたが、結局要求性能、安全性、操縦性においてこれが一番いいということで内定をいたしたと聞いておるのでございますが、十二日には防衛庁で、もう一度ロッキードの話を聞いて検討いたしましたが、やはり結論が変らない。それでは防衛庁ばかりでやっておって、先ほどお話のようにいろいろな疑いがかけられても仕方がないじゃないかということで、国防会議の事務局の方にお願いいたしまして、十二日にいろいろ意見を聞いていただいたのでありますが、しかしこれもまた先ほどお話のように、もっと広く——私は何でも早い方がけっこうだけれども、念を入れて間違いないことを期したいと思いますので、決算委員会で一応皆さんに御結論を出していただきますれば、官房長官のところにおきまして、十分一つ内外の学識経験者を集めまして、先ほどおっしゃったことも含めて検討いたすと思います。私どもはその検討の結果を虚心たんかいに考究しようと思っております。ことにこうして決算委員会で、ころばぬ先のつえと申しますか、今後予算をつけ、これを執行して参るにあやまちがあったらいけないということで、いろいろ御親切なお話がございましたので、この御意見も十分一つ私どもは持ち帰りまして、これも一つ検討の中に入れまして、まだ内定でございますので、十分念を入れまして、もし先ほどお話のように、部内に不正でもありましたならば、かりにニカ月でやったことに対して、急速のためにあやまちがあったといたしますれば、これは私どもは謙虚にそのあやまちをあやまちとして是正をいたすことにやぶさかでないつもりでございます。
  299. 横山利秋

    ○横山委員 率直じゃありませんよ。私が言っているのは、決算委員会で騒ぎ出してからの話じゃないんです。あなたが防衛庁長官になって引き継ぎを受けて、そうしてまた決算委員会で議論になったときに、どうして二カ月できまったのかとお聞きになったはずだ。それからまた与党からいろいろ文句が出たときにも、あなたがお答えになったはずだ。そのときはあなたはグラマンに手をあげられておるはずだ。そうでしょう。今は少しさっぱりした気持で、もう一ぺん検討しようということになっておる。悪い言葉で言えばよろめいておる。あなたがそういう反省の機会を与えられて、なぜニカ月や三カ月できまったのかということを検討なさったはずだ。なさらなければおかしいです。それが軽率でなかったとするならば、あなたは断固として、いやグラマンでよろしいのですと、決算委員会でも言うべきでしょう。今はそうではない。みんなの意見を聞いて、なるほどそういう点もあるから、もう一ぺん白紙に返して検討しようと言っておられる。そうだとしたら、なぜニカ月や三カ月できまったのか。あなたの調べたまずい点があったはずだ、確信が十分につかめなかった点があったはずだ。それは何であったか。それを私は先ほどから、ああではないか、こうではないかといって善意の立場で聞いておるのです。悪意で言ってくれというなら幾らでも言いますけれども、あなたの言いやすいように言っているわけです。なぜ短時日のうちに二年も研究したやつが変ったのか。それを一つ善意な意味で、あなたはここでお話なすったらどうか、こう言うんです。
  300. 左藤義詮

    左藤証人 従来からいろいろと調査研究して参りましたが、調査団も参り、いろいろなデータを集めて参りまして、技術のことは私、しろうとでございますが、いろいろな技術の面からこれに内定をいたしたと私は聞いておるのでありまして、その間にいろいろな動きがあったとか、庁内に不正があったということは、私は自分の部下に対して信じておりません。  先ほど、私がよろめいたとおっしゃいまするが、私はいろいろな御意見を聞き、国民の少しでも疑いを晴らしまするような、十分反省する機会を持ちたいということでございまして、白紙に返すとか、あるいはこれで押すとかいうことではございませんで、私ども防衛庁としてもう一度——山本委員の七マッハの飛行機ができるとか、いろいろ新しい飛行機の機種のことがございましたが、私には初耳でございまして、あらゆる資料を検討いたしまして、念を入れて、もし私どもの今までやったことについて、こういう新しいデータがあるとか、あるいはこういう間違いがあったとかいうことでございますれば、その点は私ども資料を出して、国防会議で御検討願うということでございます。
  301. 横山利秋

    ○横山委員 なぜもう少しはっきりおっしゃいません。あなたは引き継ぎを受けたときに、国防会議で決定したグラマンに対して了承なさったでしょう。それを否定なさいますか。防衛庁長官としてその内定については責任を負わぬ、こういう立場ではなかったはずでしょう。ところがいろいろ問題になって、こういうふうに紛糾を来たして、あなたは防衛庁長官として内定したことを了承したけれども、もう一ぺん自分は広い立場で検討しようという立場に変ったんでしょう。変ったんじゃないですか。
  302. 左藤義詮

    左藤証人 前長官から引き継ぎましたことは、先ほど来申しますように、今後の計画を進行せしむる諸条件を整備するということでございまして、今その整備の段階でございますので、私どもはいろいろ御注意もございましたが、念を入れて条件を整備していきたいと思います。
  303. 横山利秋

    ○横山委員 念を入れてということは、どんなに国民に内定は内定で決定ではないといったところで、これは決定の第一段階であって、かくも重大なる内定が変更されるというふうには常識的には考えられぬから、決算委員会としても、さらに念を入れていろいろと話をして、変更なり白紙に返す必要があるのではないか、こう言っているのです。そこのところをあなたは間違えていらっしゃる。内定というのは権威ある国防会議で決定したものをたなの上に上げるものだ。そうではないのです。われわれの審議によって、岸さんは内定ではあるけれども、もう一度別の今までの内定と違った意味において審議をしようというふうに態度を変えた。あなたもそうであると私どもは信じておる。そうでないというなら、われわれはまた全然別な角度から進めますけれども、しかしそうであるとするなら、どうしてそういうふうに変ったのか、短時日の間に一挙にグラマンに変ったということの検討を今われわれがやっているわけです。私は先ほどから言っているんだけれども、まだ不正があると言っていないんだ。私の言うニュアンスはまだ軽率であるという段階なんです。あなたは軽率であるとも思いませんでしたか。
  304. 左藤義詮

    左藤証人 前長官の時代でありますが、二年有余検討をしてきて、そうして幾たびか調査の結果、こういう結論を得たというふうに存じております。
  305. 横山利秋

    ○横山委員 押し問答でありますから、それじゃ伺いますけれども、F11Fの国産準備委員会防衛庁において構成され、国産計画が、もう一応青写真としてできておるということは事実でありますか。
  306. 左藤義詮

    左藤証人 いろんな場合を考慮して、準備はいたしておることはあると存じます。
  307. 横山利秋

    ○横山委員 それらはどういうふうな作業をしておりますか。
  308. 左藤義詮

    左藤証人 もしこれを国産化をいたすならば、どういうような計画で、どういうふうに進めていくかということを、係官の方で検討はしておる。しかし私ども庁議で決定しておる、あるいは私のところへ国産計画なるものを正式に報告を受ける段階には至っておりません。
  309. 横山利秋

    ○横山委員 聞くところによれば、委員長に秋山幕僚副長がなって、防衛庁空幕において決定したF11Fの国産計画というものは生産開始は三十四年九月、三十五年九月に第一号機、最終納期は三十七年九月の予定、こういうような詳細なものが出ておるわけです。これは一体どういうことでありましょうか。少くとも当委員会がこれを取り上げて、もう一度新しい角度で検討するという政治情勢の中で、これらが構成され、そうして準備が少くとも進められておるとするならば、これらのことは一応中止すべきじゃありませんか。F11Fの国産準備委員会であれ、その国産計画というものは、今日中絶すべきでありませんか。これを一応白紙に返して、何を真に決定すべきであるか、やるべきであるか、やらぬべきであるか、大綱方針をもう一ぺん検討するときに、これらの委員会や計画を、一応中止するのが当然じゃありませんか。
  310. 左藤義詮

    左藤証人 各係におきまして、それぞれのいろいろな資料を集め、あるいはこれを検討することは、私どもは現在中止をいたす必要はないと存じております。
  311. 横山利秋

    ○横山委員 それは詭弁じゃありませんか。まさに詭弁です。何がゆえにわれわれはかくも国民の前で議論をしておるのでありましょう。言うまでもなく、グラマンに急遽決定をされるその中に疑惑はなかりしか、不正はなかりしか、あるいは手違いはなかりしか、こういうことを中心に議論をし、そのために総理みずから出てきて、この決定についてはあくまで内定であるから、今後変更することがあるかもしれませんという。そうして各界の権威者であるかどうか知りませんけれども、——これは問題のものでありますが、それらを構成して、新しい角度で、今後の新鋭機が何であるかということを検討する時代に、実はグラマンに旗を振った防衛庁は、一生懸命それは知らぬ顔をし、F11Fの国産準備委員会を発足させ、そうして国産計画についていろいろ検討し、練っておる。その作業が今なお進行しておるという。もしもあなたの言う通りであれば、ロッキードの104の方も国産準備委員会が発足、そうして国産計画も準備が進められ、両方ともやってみて、初めてどっちがいいかということならわかる。こっちの方だけはどんどん進んでおるじゃありませんか。こういう不公平なことがありますか。いかがですか。これをやめてこそ、初めて真に公平に各界の意見を知ることができるし、公平な研究が出るのじゃありませんか。言うだけはここで言っておいて、実は防衛庁へ帰れば、国会で何を言うたって、そっちで勝手にやっておる、そんなばかなことがありますか。
  312. 左藤義詮

    左藤証人 国会をばかにしておる気持は毛頭ございません。ただ今後の計画を進行せしむる諸条件を整備するということでございますから、その整備の一段階として勉強をいたしておることはあると私は思います。しかし、先ほど申しましたように、これを決定いたしまして契約をするというようなことは、全然むろんございません。係において、どの段階までか、いろいろな話を顧慮して検討いたしたことはあると思います。
  313. 横山利秋

    ○横山委員 承知しません。だれが聞いてもばかな話です。国会でこれほど議論をしておるのに、うちの中ではF11F—1Fの国産準備委員会がいろいろ仕事をしており、国産計画が精密に立てられていく過程というものは、だれが聞いても納得しませんよ。私は左藤さんという人は、誠実な人だと思っている。あなたという人は、きょうの答弁を聞いておっても、なかなかまじめに答弁なさると思っている。思っているけれども、もしもあなたがその言葉通りに真に誠実であるならば、こういう仕事は一時中止させることが当然じゃありませんか。そうでない、これは進行させるというならば、実はこじきのおかゆで、御飯はなくて湯ばかりであって、実際問題としてはグラマンに腹をきめているんだ、ここのところはうまいこと逃げられればいいんだ、こういうふうにしか見られないじゃないですか。これをやめてこそ、初めて左藤さんの誠実な態度が見られるんじゃないですか。どうです。
  314. 左藤義詮

    左藤証人 いろいろ御注意、御意見のありましたことにつきましては、先ほど申しましたように、十分検討いたしまして、もし正式の機構、会議において内定が変更されることになりますれば、むろん私どもはそういう準備は必要がなくなると思いますが、現在まで計画を進行せしめる諸条件の整備ということでスタートいたしましたので——むろん私はそれを特に督励をして、国会の方ではああ言っているけれども、どんどんやれということを言っておるわけじゃありません。事務当局において、国産をする場合にはどういう条件でいくかということの勉強はいたしておる。これを今すぐに、どうなるかわからぬからやめてしまえということは、私は今申す段階じゃないと思います。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  315. 横山利秋

    ○横山委員 諸条件を整備するためというのは、一体どういうことなんですか。F11F—1Fの国産をするための諸条件を整備するためであるならば、これでいいのですよ。そういうことじゃありますまい。少くとも疑惑と不信に包まれたこのグラマンについて、もう一ぺい広い角度で検討してみる。先ほどからいろいろ話があったように、あの飛行機も、この飛行機も、またわれわれの言っているそういう必要のないことも含めて検討してこそ、初めていい。中には、それは文字通り一応内定だから、それがある程度のウエートを持つかもしれぬということくらいは、私どもにも感じられる。けれども、それだけではない。すべての飛行機や、あるいは不必要ということの議論も含めてあなたのおっしゃる通りであるならば、国会の意見を含めてすなおに議論をするとするならば、一応とにかくこの計画、この委員会というものはストップさせるか、解消させてこそ、国民の疑惑を解くことができるのではないかという私の意見が、どうしてあなたの心には響かないのですか。これはF11F—1Fの国産委員会です。そのための国産計画じゃありませんか。従って少くとも今の国民の疑惑を解くための一番最大の、また最小の要件というものは、フリーでとにかく考えてみようということであるならば、そのもう実行段階に入るという委員会や計画というものはストップをするのが、当然ではありませんか。それは、あなたの言う、御意見を一ぺんよく考えてというような問題じゃない。これは人間の問題です。誠実性の問題ですよ。これは政済及び防衛庁に真に国民の疑惑に対する誠実さがあるかないかというものさしの問題だと私は思っている。
  316. 左藤義詮

    左藤証人 事務的にいろいろ勉強いたしておるのでございまして、政治的の責任と総理はおっしゃったが、私どもはいろいろな御意見を十分入れて、しかも官房長官のもとで検討をする機関もできますので、虚心たんかいにそういう情勢を見たいと思います。ただ事務的にいろいろな勉強をいたしております。決してこれで契約をするわけでもなければ、これで実行するわけでもないのでございます。ことにこれは法律できめられたわけでございません、部内で勉強をいたしておる段階でございまするから、今お話のように、しいてこれを皆さんに逆らって、どんどん強行するという意味ではございませんけれども、また私はこれを今すぐやめてしまえというようなことは、そんなに必要でないじゃないかという程度のことを申し上げたのであります。
  317. 横山利秋

    ○横山委員 いろいろ聞きたいことがあるが、これだけに問題をしぼって私の質問を終ることにいたします。あなたは法律のことではない、うちうちのことだからとおっしゃる。うちうちのことだから私は言うんです。うちうちのことなら、あなたの腹一つだけでやめられるから、よけい言っているんです。あなたが朝から言っていることが、真にほんとうのものであるか、真に誠実さを持ったものであるかどうかのものさしになるから、私はあなたに言っている。これが法律事項だとか、大へんな、閣議できまったことだとか、国防会議できまったことだというならば、こうは言わないんです。あなたの腹三寸でこれができることであるから、あなたの誠実さをはかるものさしとして、この国産準備委員会と国産計画というものを一時停止をして、そうして左藤衛庁長官は決して妙な考えを持ってない、妙な方向へ進むものではないということを、これをもって証明できるんだ、私はそう固く信ずるのです。あなたが私の言葉を、まあそのくらいなことはお見のがしをとおっしゃるならば、えらい認識の間違いであります。あなたがどんなにいろいろおっしゃったところで、この点が乗り切れないようなことでは、もう朝からのお話は百日の説法へ一つに終ると思う。これを私はあなたへの最後の質問にしたい。この点についてのあなたの誠実な答弁を聞かない限りは下りません。
  318. 左藤義詮

    左藤証人 私どもの内部の事務的な問題につきましては、ここで私が中止を命ずるとか、あるいはしばらく進行をおくらせるとかいうことは申し上げかねますけれども、ただ私は繰り返して申しますが、これは決してそれで決定をしようとか、あるいは私どものある一つの意図を無理に進めようとかいうことではございませんのです。この計画を進行せしむる諸条件ということで指示されて、これを国産化する場合にはどういうふうになるかということの検討でございますので、私は、こういう勉強は、ほかの仕事を差しおいてまで、そればかりやることはいけませんけれども、仕事の一つとしていろいろな国産化についての勉強をいたすことは、きょうからもう絶対してはいかぬというようなことは、私としては申せないと思います。
  319. 横山利秋

    ○横山委員 よく一つ胸に問い、腹にこたえて答弁して下さいよ。少くとも内定したことを、グラマンにきまったことを推進するのが、今のあなたに与えられている任務であるか、それとも国会でいろいろ議論になって、内定したこと自体をも含んで、決定に対して検討するのがあなたに与えられた任務なのか、また政府に与えられた任務なのか。混同してはいけませんよ。あなたがあくまで固執をなさる、この委員会は解かない、この量産計画についてはストップするようなことはしないと、あくまでおっしゃるならば、あなたの腹のうちというものは、内定をそのまま決定へ持っていくのだ、そういう心理が宿っておるとわれわれは見ざるを得ないのですよ。そうでないならば、その証拠を見せなさいと言うのです。そうでないならば、あなたの誠実さを証明するゆえんとして、この委員会と計画というものを一応中止をしなさい。それであってこそ、あなたの言っていることがほんとうになるじゃありませんか。私は、くどくみんなが言っているように、ロッキード派でもグラマン派でもありません。しかし政治の、今日でき上った重大な疑惑を解くため、こう議論をしておっても結局水かけ論に終る可能性があるから、政府が誠実さを示すならば、この委員会を一回中止すべきだ。それであってこそ、もう一度新たな見地で決定して研究をしておるのだ、こういうことが示されるのではないか。それすらようやらないでどうしますかね。結局国会は、まあ適当なことを言って逃げ切ってしまって、自分たちのことを考えよう。片方ではどんどん仕事が進んでおる。どんどんと言わないでも、あなたはそろそろとおっしゃるかもしれないけれども、同じことですよ。これを一ぺんやめなさってこそ、初めてここに誠実さがわかるではないか。なぜそれがやられません。どういう原因があります。どういうちゅうちょがそこにありますか。防衛庁長官として面子が保てぬのですか、防衛庁内部に対する面子を重視するのですか、国民に対する誠実さを披瀝することが大事ですか。
  320. 左藤義詮

    左藤証人 私は、国民の疑惑を少しでも早く晴らすように努力するということを、ここで申し上げます。それを一つお受け取り願いたいわけでございまして、事務的に勉強いたしますることと、たびたびのようでありますけれども、別のことと存じております。そろそろとか急いでとかおっしゃいますけれども、私どもいろいろの勉強をいたします。その一つとして、今やっておりますことを全部やめてしまえということは、私は、そのことが皆さんに誠実さをお伝えすることと引きかえではないと思います。私自身としましても、今申し上げますように、これを勉強いたしておる段階でございますから、お前ら勉強をやめろということは、これと引きかえのようにおっしゃいますけれども、私が皆さんに申し上げておりますことは、その点、一つよく御信頼願いたいと思います。
  321. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、なぜF11Fだけ勉強なさるのです。なぜロッキードも勉強なさらぬ。なぜ先ほど山本委員が言ったような、いろいろなこともあわせて勉強なさらぬ。その全部を勉強することが今あなたに与えられた任務ではありませんか。それを、おそらくあなたはやっておるとおっしゃる。やっておるけれども、その中でも、下まで軸が通っているのは、もう委員会が構成されて、そうして国産計画が立って、さらにその具体的なところへ入っていくという、それだけがずっと百メートルも前へ出ているのじゃありませんか。だから、国民は一そう疑惑を抱く。百メートルも出ておるやつを少し引き下げて、みけな一緒になぜ勉強をやらぬか。そのことが、あなたに課せられた一番大事な任務じゃありませんか。あなたがどうしても承知しないというなら、あなたに対する疑惑は絶対に解けません。あなたの誠実さに対しては、決して私は、信用をすることはできません。いかがです。
  322. 左藤義詮

    左藤証人 ただいま申し上げました部内の委員会というものは、百メートルか、どの程度まで勉強いたしておるか、実は今日の段階を存じないのでありますが、こういうような問題がありますから、私は、しいて急いでやっているとは存じませんけれども、先ほど申しますように、これで決定をするとかということではないのでありまして、私はいろいろな、たとえばこの場合を一つ勉強いたしますれば、かりにほかの機種になりましても、また私どもの勉強になると思います。国産についてのいろいろな勉強をいたしておることまで差しとめようということではございません。
  323. 横山利秋

    ○横山委員 もう押し問答になりますから、私はここでやめますけれども、最後に一つ左藤さんにお伺いをいたしますが、どうしてもこの委員会と計画は中止をしませんか。そして仕事を続けさせますか。最後に私は、何回も押し問答しましたけれども、これを聞いて、あなたに対する質問を打ち切って、私の結論にしたいと思います。
  324. 左藤義詮

    左藤証人 これは、部内のことでありますので、おまかせをいただきたいと思います。先ほど申しますように、国民の御理解をいただくように努力をいたし、その結果において、改むべきことはこれは私も改めるのでありまして、この委員会そのものは、部内で勉強いたしておりますところのものであっります。この点のところは、一つおまかせをいただきたいと思います。しかし、これはしいて逆らって、国会が何を言おうと、どんどんと推進するという意味のものではございません。部内のことでございますので、ここで私が、そんな委員会はやめてしまえということを言うことはいたしません。この点は、部内のこととして、私におまかせいただきたいと思います。
  325. 横山利秋

    ○横山委員 終ります。
  326. 田中彰治

    田中委員長 松平君。
  327. 松平忠久

    ○松平委員 同僚委員が皆さん御質問になりましたので、私は、重複を避けて、二、三の点についてお伺いをしたいと思います。  第一には、ただいま台湾海峡で行われておる金門、馬祖の空軍の戦闘状態について、防衛庁長官としてどういう情報をお持ちになっておられるが。私ども聞いておるところによっても、ほとんどミグ17が制空権を持っておりまして、蒋介石側の空軍というものは撃墜される。そういう状態にあって、アメリカから供給を受けておる飛行機が、このミグ17に全く太刀打ちができない。これが、今日の馬祖、金門の戦闘の状況であるということを、われわれはわれわれの情報から聞いておるのでありますが、防衛庁長官として、あの空軍について、アメリカの戦闘機が、どういうふうな性能であるかという詳細なる情報を入手しておりますか、どうですか。
  328. 左藤義詮

    左藤証人 この問題は、証人でなしに、質疑応答にしていただくわけには参りますまいか。
  329. 松平忠久

    ○松平委員 それでは伺いますが、八月の終りごろ、日米安保委員会が開かれたわけでありますが、そのときに、アメリカ側の委員からこのグラマンの問題を議題にしまして、そして、どういう状況になっておるのかという質問が出たことを聞いております。そのときに証人は、この問題は、大した問題じゃないんだというような意味のことを答えたということを、われわれ聞いておるわけでありますが、この日米安保委員会において、アメリカ側との間におけるこのグラマンの問題について、どういうようなやりとりがあったか、ここで明らかにしていただきたいと思います。
  330. 左藤義詮

    左藤証人 この問題も、証人でなしに質疑応答として……。
  331. 田中彰治

    田中委員長 それは、関連ありますよ。グラマンに対して聞いておるのですから、それはお答えになってよろしいでしょう、さっきのはあれですが。
  332. 左藤義詮

    左藤証人 これは安保委員会においては、正式の議題にはなっておりません。
  333. 松平忠久

    ○松平委員 正式の議題にはなっておらぬけれども、その最後の議題が全部終ったあとにおいて、アメリカ側の委員からグラマンの問題が持ち出されて、あなたはそれに対して答弁をしておる。それに対して、どういうやりとりがあったかということを聞いておるわけです。
  334. 左藤義詮

    左藤証人 正式の議題にはございませんし、雑談をいたしました記憶もございません。
  335. 松平忠久

    ○松平委員 それでは、八月の終りに行われた日米安保委員会の合同委員会において、議題にはないと言われたが、雑談的にも何らの論議がかわされなかったかどうか。
  336. 左藤義詮

    左藤証人 戦闘機の機種問題について、論議をいたした記憶はございません。
  337. 松平忠久

    ○松平委員 それでは伺いますが、機械の問題が、いろいろと与党の部内においても問題になって参りましたときに、七月でありましたか、八月でしたか、いわゆる機種選定委員会というものを作ってこれをきめる、こういうことが新聞に伝わっておったのであります。機種選定委員会を開いて、これによって各方面の学識経験者を集めて、そして新しい角度からこの機種の決定に対して参考意見を求める、こういう意味の機種選定委員会が作られるということでありましたが、あなたは、それを御承知であるかどうか。またその機種選定委員会には、防衛庁その他は入らずに、全然関係のないところの学識経験者をもって委員に充てる、こういうことでありましたが、あなたは、これは御承知ですか、どうですか。
  338. 左藤義詮

    左藤証人 法制によりますか、あるいは閣議決定によりますか、そういうような機種選定委員会というものが正式にできるというような話は、伺ったことはございません。私は、一方ロッキードが、いろいろな話があるのだから、これを一つ聞けということで、部内において聞かせまして、それについての結論を出しましたところが、なお念を入れよということで、国防会議の事務局長がお世話をいたしまして、先ほどお話しになりましたような人々が集まって検討したのでございますが、今お話しの機種選定委員会というのは、新聞等には、そんな名前が出たことはあるようでございますけれども、正式に話題に上る、またそういうものが正式に成立をしたということは聞いておりません。
  339. 松平忠久

    ○松平委員 それでは伺いますが、共済会館でやられたあの会議というのは、私どもの承知しておるところでは、機種選定委員会と申しますか、新聞ではそう報道されておったけれども、機種を決定する上においての参考意見を各方面から徴する委員会のように私どもは了解しているのです。これは、防衛庁の長官から廣岡国防会議事務局長に話をして、君の方で開いてくれと言った。それに対して廣岡事務局長は、筋が違うけれどもというふうに一応断わったそうでありますけれども、たっての防衛庁長官の希望によって開いたということを、ここで証言しておるわけです。事実そういういきさつでありますかどうか。その間のいきさつを、一つ説明してもらいたいと思います。
  340. 左藤義詮

    左藤証人 私どもの方で、ロッキードの話も聞いて十分検討せよということで、検討をいたしましたが、それでも、防衛庁では片寄っているんじゃないか、防衛庁自身が検討しても、客観的にまだ十分なあれがないんじゃないかということで、できるだけ広く民間有識者の意見を徴せよということでございましたから、これは、私ども防衛庁で主催いたしますより、国防会議でお世話をいただいた方がいいんじゃないかということで、廣岡局長に話をいたしまして、事務局長主催のもとに、八月十五日に会合が開かれた。これは、機種決定委員会というような名前はなかったように私は思います。官房長官の指示によって事務局長が主催をして、民間有識者の意見を聴取したものであるというように存じております。
  341. 松平忠久

    ○松平委員 その委員会は、一体どういう権限を持っておるのかどうか。機種の選定についての参考意見が、どの程度尊重さるべきものであるか、どういう根拠に基いてこういう委員会というものができたのか。それは、あなたが廣岡国防会議事務局長に言って、これを主催さしたということでありますから、あなた自身はよく御存じであろうと思う。それを一つ説明してもらいたい。
  342. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど申しましたように、法律によったものでも、また閣議の決定によった委員会でもございませんので、私どもがいろいろ資料を出しまして、その資料を、広く民間の有識者の意見を聞いて御批判をいただきたいということでございまして、これがここで決定したから、法律的に絶対のものであるとか、あるいはそこで全部の責任を負うというものではないと思います。ここで各方面の意見を聞きまして、私ども防衛庁でデータを出しておりますものが、果して正しいか正しくないかということを御批判いただく、こういうことが目的でございます。
  343. 松平忠久

    ○松平委員 そうすると、それは、本来ならば防衛庁でやるべき仕事であるけれども、防衛庁では都合が悪いので、国防会議の事務局長にやってもらうんだ、こういうふうにあなたは今おっしゃいましたが、防衛庁でやるのは都合が悪いというのは防衛庁が内部的に、先ほどのお話によると、三月十五日以降はグラマンにほとんど決定、内定をしておるということであるので、色がつき過ぎているから、防衛庁ではまずい、国防会議事務局長がやれということなんですか。
  344. 左藤義詮

    左藤証人 さような意味ではございませんので、これは、本来防衛庁としては、いろいろな資料を出しまして、その資料によって国防会議で御内定になったことでございますから、その資料を再検討し直すならば、資料を作っております私どもよりも、御内定になりました国防会議で、していただく方がいいんじゃないか。まだ正式の国防会議を開く段階でございませんので、事務局長の御主催によっていたしました。私どもの方で本来やるべきものであるが、都合が悪いからあちらにやらしたということではございません。本来、私どもの段階はもう過ぎておりまして、やはり国防会議の事務局長が御主催を願う方がいいんじゃないか、かように存じました。
  345. 松平忠久

    ○松平委員 そういたしますと、これは、結局防衛庁が、今までのいきさつからいって、どうしてもグラマンの方に傾きがちであって、公平なる立場をとりがたい、世間はこういう意味にとっているわけであります。そこで、今言いましたような委員会ができて、参考意見というものが出た場合において、その参考意見が、たまたま防衛庁考えておるグラマンとは違った方向に出てしまったという場合には、防衛庁は、それに対してどういう態度をとりますか。
  346. 左藤義詮

    左藤証人 もし私どもの従来出しておりました資料と違った結論、あるいは資料が出ますれば、私どもは率直にこれを国防会議に提出をして——御承知のように、先ほどのは内定でございますから、いよいよ次の段階におきまして、学識経験者、民間有識者の意見を、私どもの従来の意見とあわせまして、国防会議資料として提出すべきものだと思っております。
  347. 松平忠久

    ○松平委員 そうしますと、ここで違った意見が出てきた場合においては、防衛庁の空軍その他の責任の地位にある者は、相当責任をとらなければならぬと私は思うのであります。これらの問題につきまして、性能その他いわゆる技術的な方面に相当重きを置いて機種決定がなされなければならぬけれども、防衛庁を全然オミットした委員会ができて、それによって違った意見が出たという場合には、一体防衛庁は、どういう責任をとるのですか。
  348. 左藤義詮

    左藤証人 技術的に検討いたします段階において、あやまちがございますれば、このあやまちは、責任をとらなくちゃいかぬ。いわんや不正等がございますれば、これは厳重に処断をいたすつもりでございます。防衛庁として、今まで出して参りました資料は、責任を持って整備いたして参りました。この民間有識者、あるいは今度官房長官のもとに、どういう形になりますか、再検討されるそこにおいて、私どもの今までやって参りましたことにあやまちがはっきりいたしますならば、それぞれ今までそういうことを勉強して参りました者に対して、私は責任をとらせるべきだと思います。
  349. 松平忠久

    ○松平委員 私ちょっと考えられることは、防衛庁が全然出ていない委員会で学識経験者、民間の者を入れて、それで、違った意見が出てきたという場合におきましては、防衛庁はあってもなくてもいいことになっちゃう。そういう委員会ならば、パイロットの意見も聞くわけでもなし、防衛庁の専門家の意見も聞くわけでもなし、全然違った人の意見を聞いて、それによって防衛庁のいわゆる空軍、航空自衛隊ですか、これが考えておったことと違ったことになっちゃったということになりますと、一体日本防衛庁設置法から言いまして、そういうことはあり得べきことかどうか。全然防衛庁がオミットされておって、そして違ったものが出てきたという場合には、防衛庁は全面的な責任をとるか。さもなければ、これは法治国としても、国家組織法からいっても、妙なことになるのじゃなかろうかと思うのです。その点については、一体防衛庁長官はどうお考えになっておりますか。
  350. 左藤義詮

    左藤証人 少し話がよそに飛んでおそれ入りますが、本日、私は防衛懇談会というものを実はお願いしておきまして、各界の有識者に防衛についてのいろいろな御意見を伺うのでございますが、決算委員会で私、出席できませんでしたが、こういうところで、防衛庁のやっておりますことについて、広い意味でいろいろな御意見を私ども伺って、十分われわれが勉強していく資料にいたしたい。今の委員会、正式の委員会でございませんが、事務局長にあっせんを願いましたのは、私どものやっておりますることについて、われわれはこういうような基礎で、こういうような計算をして、こういう結論を出しているが、これは、果して正しいかどうかということを御判断いただくために——もちろん私どもの方からも、説明員は出ております。資料については、十分御説明申し上げ、それを基礎にして御審議をいただいておるわけであります。その御審議の結果、私どものやっておりますることが非常なあやまちである、あるいは非常な不正があったということでありますれば、私は、せっかく御意見を伺ったのでございますから、私において調整をし、あるいは国防会議において調整を願いまして、私どもの事務当局が出しましたものが間違っておりますれば、それぞれの責任を私は負うべきだと思います。
  351. 松平忠久

    ○松平委員 最後に一つ伺いたいのは、今、横山君が、最後の段階においてグラマンに内定した、その諸条件を整備するためのいろんな作業というものを中止したらどうかということに関しまして、長官は、事務的には研究するんだというように言われましたけれども、新三菱並びに川崎に対して、通産省から、防衛庁とともにグラマンとの間のいろんな技術的なことをやれ、こういう命令をお出しになっているはずでありますが、この命令を一時やめさせたらどうか。そういうことはできませんか。
  352. 左藤義詮

    左藤証人 私も、就任以前のことで詳細は存じませんが、命令とおっしゃいますが、コントラクターあるいはサブ・コントラクターといたしまして、これをお前たちの方の会社で国産をするときには、どういうふうな費用で、期間とかその他はどれくらいでできるかということについて調査をさせまして、技術者を渡航させて、先方の会社と十分研究をさせたのでありまして、その結果として、いろんなデータを出したわけであります。その程度でありますから、その後現在新三菱あるいは川崎において、私どもの命令によって、いろんな作業が進んでおるというふうには考えておりません。
  353. 松平忠久

    ○松平委員 そうではなくて、コントラクターとサブ・コントラクターに新三菱、川崎をそれぞれ指名したということによって資料を得て、そうしてグラマンに内定したというのではなくて、グラマンに内定してからそういうことを全部やらしておるというのでしょう。それで、いろんな人が向うに行って折衝しておるというような段階じゃなかろうかと思うのです。そこで、防衛庁の中における機種の選定に関する技術的ないろんな研究というものは、これは、すべての機種についておやりになるのは当然の任務でありましょう。しかしながら、こういうふうに政治問題化してきて、そこにいろんな、軽率であったとか、あるいは何か隠れたるものがあるのではなかろうかというような疑惑が若干でもあるという段階においては、現在コントラクターなりサブ・コントラクターというようなものを作って、いろんな費用をかけてやっておる、それは、政府の内示によってやっておるのだけれども、少くともそういうことはやめて、そして、しばらく機種の選定が行われるまで待つということにしなければならぬと思うのですが、そういうことはお考えにならぬのですか。
  354. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど申しましたように、もう一ぺん詳しく申しますと、内定をして後に、この線に沿って、まず通産省が航空機産業行政の立場から、防衛庁ともども協議をいたしまして、国産の担当会社として新三菱並びに協力会社として川崎航空機を指定いたしました。防衛庁は同社に指示して、具体的な国産計画案を作らせる。それには、グラマン社ともむろん協議したかもわかりませんけれども、それを作成せしめて、提出を待って、審査検討の上で御決定をいただこうということであります。もうそこの段階まできておりますから、今別に、続いて作業をしてどんどんやっておるというような段階ではないかと存じております。
  355. 松平忠久

    ○松平委員 しからば、ほかのロッキードなんかに対しても、彼らをして同じようなことをやらしめて、初めてそこで正確なものが出てくるのではなかろうかと思いますが、そうではなくて、新三菱または川崎にだけそれをやらせて、ロッキードのそういうものについては、全然やらせない。結局同じようなスタンダードの上に立っての資料というものは、入手できないということになるのではなかろうかと思うのです。その点は、非常に不公平のように思うのだが、どうでしょうか。
  356. 左藤義詮

    左藤証人 先ほど申し上げましたように、諸条件を整備することに内定いたしましたのはF11F—1Fでありますので、こういうような作業をいたしました。この作業で、国産計画案というものが一通りできまして、これを基礎にして、今国防会議に最後の御決定をいただく段階であります。しかし、いろいろお話がございますので、なお十分検討、念を入れることはもちろんであります。
  357. 松平忠久

    ○松平委員 最後に、もう一点だけお伺いいたします。今いろいろ検討しておるということを、さっきからずっと言われておるのですが、防衛庁でいろいろ検討するというのは、今言われた廣岡事務局長を中心とするところの委員会、これが一つあるわけであります。そのほかいろいろと申しますと、一体どういうことをこれから検討の資料としてやられていって、最後に決定するところへ持っていくというのか。どういうことを検討の資料として集めてやられるということになるのか、その点を伺って、私はやめます。
  358. 左藤義詮

    左藤証人 事務局長にごあっせん願いました委員会と申しますか、その意見聴取の段階が終りまして、それでもいろいろ念には念を入れろということで、官房長官のところで何か計画せられておるようであります。私どもは、これに対しまして御要求がありますれば、今までやってきたことについての資料も提出いたしますし、あるいはきょう特に当委員会でいろいろお話がありましたことにつきましても、山本委員の方からも非常な新しい機種の名前が出ました。辻委員のお話もありますが、皆さん方のいろいろなお話もございます。こういうところを、十分いろいろ国会の方、あるいは世論を私どもは考慮いたしまして、しかし、面接には官房長官が、できるだけ広く学識経験者を集めまして、この問題について検討されますから、その結果を待ちまして、私どもの立場から、一つまた国防会議資料を提出するように努力いたしたいと思います。
  359. 松平忠久

    ○松平委員 それでは、結局するところ、官房長官が考えられておるこの種の委員会——新聞には機種選定委員会といわれておりますが、この機種選定委員会というものが、機種を決定する上において一番重要なる役割を持つ、こういうことに解釈して差しつかえないですか。
  360. 左藤義詮

    左藤証人 私ども部内で検討いたしましても、全き念を入れろということで、国防会議の事務局長がしさいに検討いたしまして、それでもう一度念を入れろということで、要求もありますから、官房長官の主催いたしますのが最後になりますか、あるいはなお念を入れろということになりますか、その点について、私からあらかじめ申し上げる段階ではないと思います。
  361. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 関連して。政府で内定してあるにすぎないので、今後検討してよく研究し、勉強する、こう言うのですが、その後における本機を注文して、機械を引き取るということに至るまでの交渉の段階は、どういうふうにやっていくのですか。
  362. 左藤義詮

    左藤証人 先ほどから松平委員のお話のように、いろいろ念を入れまして、十分国民に御納得のいくように努力をいたしまして、国防会議で御決定があると思います。国防会議で御決定になりましたら、その機種につきまして、どこまでアメリカの方に分担をしてもらえるか、日米折衝をいたしまして、米国が負担しまする分につきましては、米国政府とその会社とのいろいろなネゴシエーションもありますし、私どもとしては国産をさせますその会社とのいろいろネゴシエーションがありますが、この問題についても、国民の税金のためにも、少しでも安く、しかし、できの悪いものを作っちゃいけませんから、十分のネゴシエーションをいたしまして、初めて計画が決定するものだ、かように考えております。
  363. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 私の伺いたいのは、そうなった場合に、契約の対象は、米国のグラマン会社とやるのか、あるいは今、日本の生産を担当さしておる新三菱と契約を結ぶのか、その形を聞きたいのです。
  364. 左藤義詮

    左藤証人 私、先ほど申し上げましたが、それは、こちらで決定いたしまして、私どもは、案を具しまして予算をお願いいたしまして、国会の御審議をいただくわけでありますが、その後に、いよいよ国会の御承認をいただきますれば、国産をいたしまする分については、日本政府とこちらの製造会社と契約をいたします。米側が援助してくれる分につきましては、米政府と米国の会社との間に折衝が行われるものと、かように存じております。
  365. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 政府の内部の操作といいますか、事務手続といいますか、非常に進み過ぎておるということを心配しておるわけです。そこで、国防会議の内定はどこまでも内定であって、内部の意思の決定である。その決定は、まだ米国に対しても、あるいは新三菱に対しても、外部には何らの意思の発表、申し込みとでもいいますか、そういうことはなされていないわけですね。
  366. 左藤義詮

    左藤証人 内定をいたしました分につきましては、私どもそういうような束縛をされますようなことはいたしておりませんし、国防会議で正式に決定いたしました上で、正式に日米交渉に移るわけであります。それから先ほど申しましたように、わが国の負担分につきましては、予算案は国会の御審議を経るわけでありますから、行き過ぎておるようなことはないと存じます。
  367. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 そうしますと、この国産担当のために新三菱を選んで、いろいろ出張せられて調査をされておる。そういうことは命令といいますか、申し入れといいますか、政府の意思は、外部に通じておるわけでしょう。それは、別に契約の予約でもないし、申し込みでもないし、あなたのおっしゃる通り、何ら三者のためには拘束されない。ただ内定した、内部だけの問題であって、外部からは何らの制肘を受けない、こういう段階だとおっしゃる。私は、それを伺いたい。
  368. 左藤義詮

    左藤証人 内定をいたしまして、これらの諸条件をいろいろ整備いたしますためには、これを国産化する場合にはどれくらいの予算でできるかということを、あるいは予算だけでなしに、いろいろな条件を検討せなければなりません。それを検討させる。三菱といたしましては、勉強して、将来もし決定すればお受けしたいという希望を持っているために、いろいろ資料を整えたわけでございまして、そのことによって、三菱にそういうことを研究させたから、わかりやすく申せば、それじゃどれくらいでやれるかという見積書を出すためにはアメリカへ行って打ち合せをやっておりますけれども、そのことによって私どもがどうしても三菱と契約をしなければならぬとか、値段等についても、一切向うの言う通りに取りきめをしなければならぬとか、そういうような束縛を受けるものではないと存じております。私どもは、またそういうような契約をする立場でございません。一文もまだ予算をいただいておりません。そういうことが国防会議で決定されまして、日米折衝をいたしまして、そうして予算の御審議をいただいた上で、初めて契約の段階に移るものである、かように存じております。
  369. 田中彰治

    田中委員長 小川君。簡単にお願いします。
  370. 小川豊明

    小川(豊)委員 簡単にお尋ねいたしますが、この機種決定で、アメリカへ数回調査団を出したようですが、調査団は、もちろん国の費用で行ったと思います。招待で行ったようなことはないと思いますが、どちらでしょうか。
  371. 左藤義詮

    左藤証人 第一回の永盛調査団を出しましたときには、国の予算で行ったと思います。第二回、これは、調査団と申しますよりも、私、実は在任中でございませんが、聞きまするところでは、佐薙以下数人が参りましたのは、いろいろ向うの米空軍の施設、あるいは訓練の状態、そういうものを見ますために、米空軍の招待で行った。横へそれますけれども、一々グラマンが迎えに出たというようなお話がありましたので、念を押しましたところが、大使館の空軍武官が案内をいたしまして、全部米軍の施設等に泊めてもらって、米軍の招待で参った。その機会にいろいろ調査をして来たわけであります。
  372. 小川豊明

    小川(豊)委員 ごく簡単なんですから、答弁も一つ簡単に願いたいと思います。そうすると、この調査団は、国の費用で行かれた。米空軍の費用で行かれたとしても、一応正式に派遣したわけですから、これは、調査に対する報告の復命書というものが出されたと思いますが、この復命書等は出ておりますか。
  373. 左藤義詮

    左藤証人 書類でございましたか、口頭でございましたか、むろん私は、復命は詳細にいたしてあると思っております。
  374. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、これは委員長の方において、この復命書を一つ資料としてお取り寄せ願うことを希望します。
  375. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。
  376. 小川豊明

    小川(豊)委員 最後に一点お尋ねいたしますが、今、辻委員その他の皆さんの質問の中で、私、はっきりさせられたことは、機種の採用というものは、三年も四年も血の出るような試験なり研究なりを重ねた結果決定されたということが、ここでわかったわけです。しかるに今回のグラマンの採用は、アメリカでさえもまだ二機しか作っていない、そうして、それは試験中である。それを急遽日本で三百機も買い入れる。しかもこの決定に当って、わずかにニカ月か三カ月の調査で決定した。これは常識では考えられない、こういうことです。国民の疑惑もここにあると思うのです。内定だから、まだ決定ではないからという答弁で逃げておられるようですが、われわれは、ろくろく調査もし研究もする期間も置かずに決定した防衛庁のこの軽率な態度、あるいは防衛庁にさような軽率な態度をとらしめた外の力、陰の作用というようなものに対して、きわめて不自然であり、不明朗なものを感ずるのでありますが、この点を、やはりこの機会に、どうしても明瞭に解いていかなければならぬ、こう思うのであります。  そこで、長官の今までの御答弁では、これを疑惑を一掃して、国民の納得のいくような形で決定をしたい。ここまではわかるのですが、これを具体的にするには、どうしても私は、一応きめた内定というものを白紙に返して、そうして元から出直すことが、一番国民の疑惑を解くゆえんではないか、私は、この席上でこう痛感したのです。従って、今私は、この点をあなたに明瞭にお答え願いたい。あなたの今までの御答弁では、そういうことはなかなかでき得ないような答弁ですけれども、これは、具体的に疑惑を解くとするならば、あなたはどういう措置をとられるか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  377. 左藤義詮

    左藤証人 白紙に返すとか、決定を変更するということは、国防会議できまることでございまして、私はいろいろな御意見を十分調整をいたしまして——私どもが決定をいたしましたのが非常に急いだというお話でございますが、相当私どもとしては念を入れて、調査団の報告等も基礎にいたしまして、米軍等の資料も十分検討したつもりでございますが、もしこれ以上優秀であり、また価格もいいのがありますれば、これは、私は国防会議においてまた御検討になるべきだと思うわけであります。私どもといたしましては、もう二年越しにいろいろな検討をいたしました結果、内定をいたしたもの、こういう引き継ぎを私は受けております。
  378. 田中彰治

    田中委員長 左藤証人には、長時間にわたり御苦労さまでございました。  お諮りいたします。この際、岡証人松前証人証言を求める際は、両証人を同席せしめて証言を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  379. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。(「例にしちやいかぬ」と呼ぶ者あり)  岡、松前証人には、大へんお待たせいたしまして出しわけございません。それでは、岡、松前証人証言を求めます。発言の通告があります。順次これを許します。  小川豊明君。
  380. 小川豊明

    小川(豊)委員 午前中非常に重要な段階にまできたわけですが、防衛庁長官の出席で、中座してもらったわけです。そこで、あなたは午前中の御証言で、機種の決定等には二年も、三年も研究し、調査、検討した結果きめられるのであって、これを二月か三月では私にはそういうことはできません、こういうようなお話があったわけですけれども、そこで、あなたは軍人ではあられますが、同時に技術家であって、良心的な技術家だと思って、私はお尋ねしようと思いますが、あなたは、ロッキードグラマンのその性能等について、研究あるいは調査等をなさったことがございましょうか。もしあったとするならば、それを、あなたの個人の立場で、ごく簡単に御説明願いたいと思います。
  381. 山田長司

    山田(長)委員 議事進行について、岡証人発言前に、ちょっと発言さしてもらいます。  聞くところによると、あなたは近くアメリカヘ、航空機の関係か、あるいは兵器関係調査に行かれるそうですが、このことについて、今日の証言に当って、防衛庁から何か注意を受けたことがないか。あるいはまた現在勤務されている丸紅から、何かきょうの証言上における注意を与えられたようなことがないか。これから小川委員が質問する前に、ちょっとこのことを伺っておきたいと思います。
  382. 岡幸昌

    岡証人 アメリカへ行くと申しますのは、アメリカにゼネラル・エレクトリックという会社がございますが、これのミリタリー・エレクトロニクスの代理権を丸紅飯田株式会社におきまして取りまして、八月の終りごろ向うからその正式な通知がございました。それと同時に、向うのゼネラル・エレクトリックの会社の方から私に、向うの会社の技術屋さんと相談をしたいから、至急来てくれという電報、手紙が参りまして、会社の方から私を派遣するということになったのでありまして、本件とは関係がないと思います。
  383. 山田長司

    山田(長)委員 本件と関係がなければいいのですが、あるいはきょうの証言によって、防衛庁が渡航のじゃまでもするんじゃないか、あるいは丸紅で渡航のじゃまでもされてはいけないから、きょうの証言は注意しろというようなことは、なかったかということです。
  384. 岡幸昌

    岡証人 特に感じておりません。
  385. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、あなたの午前中の証言に、あなたは、グラマンというのは私のおるときには登場もしなかったという。従って調査研究等をあるいはなさらなかったかもしれませんが、ロッキードあるいはグラマン等について、両方について研究してみたことがあるならば、それについてのあなたのお考えをお聞きしたいわけであります。
  386. 岡幸昌

    岡証人 どちらもアメリカの軍用機でございまして、性能等につきましては、正式に当事者でないと、データが得られないと思いますので、私たちが得ておりますデータは、新聞記事にある程度のものでございます。しかも午前中申し上げましたように、私が幕僚監部におりましたとぎには、グラマンという話は出ておりませんので、検討を加えておりません。現在は商社の人間としまして、いわゆる通俗的なデータでそれを知り得ておるにすぎません。従って、その比較とかいうようなことは、私の今の知識と立場ではむずかしいと思います。
  387. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、このグラマンについての知識は、今の段階でお持ちにならない。あなたがお勤めになっておるときには、ロッキードやその他ノースアメリカン等のものが出てきております。そのグラマンの出てきていない以前の段階において、あなたは、日本で新機種を採用するとすれば、どの機種が最もいいとお考えになりましたか。
  388. 岡幸昌

    岡証人 午前中申し上げましたように、作戦用兵の立場から、どういう機種がほしいということがまずきめらるべきだと私は思います。従いまして、要撃戦闘機がほしいのか、あるいはフアイターボンバーがほしいのか、こういうことが先にきめられてから、後に機種決定が行わるべきだと思います。私たちが当時、正式ではありませんが、聞いておりましたのは、要撃戦闘機というふうに聞いておりましたので、当時私は、ロッキードの104がこれに一番適するのではないかという個人的な意見を持っておりました。
  389. 田中彰治

    田中委員長 証人小川君の質問に答えていただけばいいんですが、グラマンについてもその後いろいろ評判を聞かれまして、あなたの知識ロッキードをそれだけ知っておられるんなら対照されたことがあると思う。そういうあなたの簡単な感じといいましょうか、意見といいましょうか、あなたが考えられたそういう程度のものでも、小川委員の質問にお答えできたらしてやって下さい。
  390. 小川豊明

    小川(豊)委員 今僕の言いたいのは、委員長が言った通り、あなたは軍人であられ、その後防衛庁に勤めておられ、しかも飛行機のことを専門にやっておられたんですから、あるいはグラマンの詳しい性能はお知りにならないかもしれませんが、日本が爆撃機をとるのか要撃機をとるのか、こうなってくると、要撃機をとるならばロッキードがいいとお考えになったということですが、グラマンという飛行機はかっての戦争でもあったわけですから、グラマンという飛行機の性能等もわれわれよりは多く知っておられると思う。そのグラマンロッキードを比較した場合、あなたはどちらがいいと考えられるか、こういうお尋ねをいたします。
  391. 岡幸昌

    岡証人 聞くところによりますと、候補に上っておりますグラマンF11もロッキードの104も、どちらもゼネラル・エレクトリックのJ79—7というエンジンを使うように聞いております。もしそうであるとしますと、現在の飛行機の技術からいきますと、われわれの通常の観念をもってしますと、飛行機の性能というものはエンジンのパワーに正比例する、エンジンのパワーによって左右される、こういうふうにわれわれは承知しております。従いまして同じエンジンが搭載された飛行機である以上、これはエネルギー不滅の原理でありまして、うしろにつくというと非常に語弊がありますが、飛行機が何か非常に絶大なる電子計算機か何かで計算したらイコールというようなことになるんじゃないかと思います。従いまして片一方ではスピードを主にして飛行機を作った、あるいは上昇力を主にして作った、片一方では着陸性能というようなことを主に考えて作った、あるいは航続距離というようなことを主にして考えたというようなことで飛行機の性能が変るのでありまして、今の場合同じようなことを繰り返しますが、ほんとうに防衛庁ではどういう飛行機がほしいかということで私はきまるんだと思います。フアイターボンバーがほしいけれども今そういうわけにはいかない。従ってそれに近いような飛行機をほしいというようなことなら、また違った考えも出てくると思います。ただ簡単にインターセプターであるというようなことになりますと答えも非常に簡単だろうと思います。そこらが防衛庁の担当の方々のお苦しみの点だろうと私は思います。
  392. 小川豊明

    小川(豊)委員 私はあなたより、はるかにしろうとなんでよくわからないんですが、爆撃機でなくて要撃機だということは、これは日本の国の政策から、はっきりしているのでございます。そうなってくると、あと日本の置かれた地形だとか、あるいは日本の航空界、防衛庁等で持っておる操縦者の技能その他を判断した場合に、日本ではグラマンをとるべきか、あるいはロッキードをとるべきかということは、あなたがもし防衛庁の長官であった場合にどちらをおとりになりますか、お尋ねいたします。
  393. 田中彰治

    田中委員長 証人、遠慮は要らないから自分の意見だけ言って下さい。
  394. 岡幸昌

    岡証人 どうも防衛庁長官ではありませんので……。(笑声)今御質問の搭乗員の能力ということでありますが、これは私もかつての飛行機乗りでありまして、アメリカ人と日本人と比べて、日本人が飛行機の操縦において先天的に劣るとは考えません。アメリカ人が乗りこなせる104が、日本人が乗りこなせないことはなかろうと思います。地理的条件などでは、滑走路が問題になりましょうし、滑走路付近の人家の問題も起りましょうし、非常にむずかしいと思います。どうも、どちらをとるかと言われましても……。
  395. 田中彰治

    田中委員長 あなたの考えだから遠慮は要りません。それを委員会が採用するんじゃないですから……。(笑声)
  396. 岡幸昌

    岡証人 これは私はある外国人に言われたことがございます。もちろんグラマンロッキード関係ないことですが、日本防衛庁ではインターセプターがほしいと言っているんだが、ほんとうはフアイターボンバーがほしいんじゃないですか、と言われたことがあります。私も旧軍人の端くれでありますので、日本の防空ということをほんとうにまかされたと仮定しまして考えてみますと、非常にここがつらいところです。私は防衛庁が非常におつらい立場にあると思います。今おっしゃられましたように、日本の方針として要撃機である、こうおっしゃられると、これは政治が軍事に優先するのでありますからその通りでいいと思いますが、軍人として日本の防空ということを考えますと、やはりどうもいまだ発せざるを討つというのが兵法の上とするところでありますので、ほんとうを言うと、これは私個人の、全然防衛庁の方に御迷惑をかけない私個人の図上演習でもやってみると、おそらく来たやつを討つというのでは責任がとりかねるという点がありはしないかと思います。いまだ発せざるを討つということになりますと、足の長いフアイターボンバーというのが考えられてくるのじゃなかろうかと思います。非常に私は恐縮なんでありますが、防衛庁はその点で非常にお苦しみじゃないか。ほんとうに防空の責任を負わされてやってみると、どうもそういうことで、お苦しみがなければ非常にけっこうでありますが、私はそういう気がいたします。従いまして、防衛庁の方にやはり内心そういうことがあるとしますと、機種決定に至ってそれが非常にむずかしいことになってきやしないかと思います。
  397. 小川豊明

    小川(豊)委員 いささか要領を得ないのですが、防衛庁の苦しみだとか、防衛庁のことは考えるが、国民の立場になって考えてもらいたい。防衛庁は幾ら苦しもうが、国民はそれ以上苦しまなければならない。従って防衛庁の立場だけでなく御答弁願った方がいいのです。そこであなたは防衛庁から、左遷という言葉が当っているかいないか知りませんが、一たん外に出されていますね。それからやめているわけですが、これはどういうわけであなたは外へ出されたりなんかしたわけですか。あなたはそれについて自分の一身上のことですから、おれがなぜ外へ出されなければならなかったか、この点についてあなた自身の御考察というものがあったら、この際どういう御考察をなさいましたか、伺いたい。
  398. 田中彰治

    田中委員長 証人のお答えは何だか歯に衣を着せたようだが、証人の意見の通りでいいのです。それをこちらでとるとか、それで何かをきめるとかでないから、一つ衣を着せないで赤裸々にやっていただきたい。何の遠慮をするのですか。
  399. 岡幸昌

    岡証人 どうも私の恥をさらけ出されたようなものでありますが、左遷という言葉は、これはどうも定義がむずかしいと思います。私も人並みにうぬぼれも希望も持っております。だれでもそうだと思いますが、少しでもいいところへ行きたいとか、出世もしたいと思っておる。その通りにいかない場合にこれを左遷というならば、ずいぶんそれもあると思います。従いまして私が左遷されたということは見方でありまして、そう見て下さる方もありましょうし、当りまえだと見て下さる方もあると思います。私自身は私自身勤務ぶり、いわゆる成績が上司のおめがねにかなわなかったのであろうと思っています。
  400. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたは午前中は非常に明快な答弁をして下すったので、従ってわれわれもよくものの核心をつかむことができた。午後になるとお疲れになったのかどうか、答弁は上手にはなったけれども、今度は何も触れていない。そこで自分が栄転か左遷か知らぬが、あなたは自分がいるところからよそへ出された。その後にあなたは防衛庁技術研究所の第四部の班長というものをやっているわけです。それからあなたはやめさせられているでしょう。しかもあなたはその班長になってからあんまり役所に出勤しないじゃないですか。そこへ出されて、しかもそこへ出勤していないということは、これはあなたがおもしろくない、不愉快だ、出てもだめだからということじゃないでしょうか。うれしかったら出るはずですよ。出ないということは、やめさせられるということが前提です。あなたはやめさせられるということを覚悟してまで出なたかっということは、何かここにはよほど重大な理由がなければ、そんなことはないでしょう。それはあなたが無関心で、能力がなかったからとか、そういうことでこうなったと思うはずはないでしょう。人間というものはうぬぼれがある。おれほどの人間をなぜここへ出すが、こういうこと、だっておありだろうから、それを率直にお聞きしたい。
  401. 田中彰治

    田中委員長 証人宣誓されたのですから、はっきり言って下さい。
  402. 岡幸昌

    岡証人 あまり出勤してないとの仰せでありましたが、したつもりであります。出勤簿を見ていただくとわかります。あまり欠勤してないつもりです。
  403. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたはそれから、最後に学校の方の整備課長とか、そういうものになられた。そうすると、防衛庁の中枢からだんだん外回りになってくる。それでいて、なぜおれがそういうようになったかということを考えないはずはないと私は思う。出勤しているから、出勤簿を見てくれればわかるというが、その後あなたはやめさせられている。あなたの方で喜んでやめたのではなく、これもやめさせられている。そうすると、何かここにはそういうふうに外回りに出される理由、やめさせられる理由というものは、あなた自身なりに判断があったと思う。あなたはそれをどう判断なすったかをお聞きしたい。
  404. 岡幸昌

    岡証人 浜松の通信学校の整備課長というのは、それはもちろん見ようによりますといいますか、私の前任者も後任者も下級者でありました。従って形から見ますと左遷のようでありますが、私はそのときも、はっきり辞意を表明しましたときに、かりに通信学校の校長でも、浜松ではちょっと一身上工合が悪いものですから、やめさせていただきたいということを申し上げてあります。これはあるいは左遷であったかもしれませんけれども、私が浜松へ行きましたのは、当時血圧が少し高うございまして、食餌療法をしておりました。従いまして単身赴任して団体生活ということには向かないということで、そういう勝手なことは許されませんので、やめさしていただいたというのがそのときの状況であります。
  405. 横山利秋

    ○横山委員 議事進行。今のお話ですね。委員長からおっしゃったように、何か非常に憶測に憶測を重ねるような話になってしまっておる。あなたはどういうお考えか知らぬけれども、巷間伝うるところによれば、あなたがロッキードを支持しておられた。そうしてあなたが海外へ行くことになっておった。ところが、あなたはそういうような立場もあったので、あなたに行ってもらっては困るという雰囲気が出て、あなたが行かないようになった。それが防衛庁内部の状況であって、それであなたが御不満を持たれた。そういう人間をそのままにしておいてはいかぬというわけで、いわゆる左遷された、こういうふうに巷間では非常に言っておるわけです。私どもがあなたに聞きたいのも、そういうふうな結果はともあれ、あなたがロッキードがいいというふうに言っておられるならば、それはどういう理由であるか。またあなたがそういうふうに最後にはやめてしまうというほどの事情というものは、それが手伝っておったのかということを率直に実は承わりたいということなんですから、どうぞあなたは宣誓もされましたし、ここは言論の自由な国会の府ですから、どうぞ一つ遠慮なくあなたは話していただきたい、こう思うのです。さっきからどうも回りくどい話ばかりで、あなたも用心しいしい言っておられるから、それでは果てしがつきません。これはわれわれ委員の全員の気持ですから、そのように答弁をしてもらいたい。
  406. 岡幸昌

    岡証人 私が去年の八月ごろロッキードを支持しておったから、工合が悪くて調査団から除名されたというようなことではないと私は思います。当時は、私が承知しておりました範囲では、空幕の意見の大半というものは104であったと私は思います。私だけではないと思います。
  407. 田中彰治

    田中委員長 104というのはロッキードか。
  408. 岡幸昌

    岡証人 ロッキードの104であったと           1思います。でありますから、私一人がどうこうというようなことは私はないと思います。従いまして、この調査団に行かないということも、それからその後の私の転勤の状況なども、私のほんとうの個人的なことに原因して、されたと私は思っております。これは決して私がつくろっておるためではありません。今現在そう思っております。
  409. 横山利秋

    ○横山委員 わかりました。その点はまあ了としましょうか。それで本委員会があなたにお伺いしたいのは、私どもも当時は空幕は圧倒的にロッキードであったと思っておる。それが急遽グラマンに変ったのはどういう理由であろうか。それが真相を究明したいところです。あなたにお伺いしたいところもまたそういうところが本委員会の趣旨です。その点でおわかりになっているところところがあったら説明して下さい。
  410. 田中彰治

    田中委員長 爆撃機がいいとか戦闘機がいいとか——戦闘機の話をしているのですから、そういうことでなく、ロッキードがどうとか、グラマンがどうとか、たとえばどうしてグラマンが急に内定したのか、そういうことについてあなたのお考え、お感じでいいのです。それによって何もグラマンを買うとかロッキードを買うとかというのではないのですから、そこを一つあなたは忌憚なく、今の横山委員の御質問に答えてやって下さい。
  411. 岡幸昌

    岡証人 なぜグラマンに急に変ったかということは、ほんとうに私も知りたいところであります。これは国民のみんなが知りたいだろうと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はさいぜんから申し上げます通りに、日本の今のあり方としましては、要撃戦闘機が必要であり、それにはF104がいいではないかと私個人は今でも思っております。従いましてグラマンに変ったことにつきましては、私もはっきりした理由をお聞きしたいものの一人であります。
  412. 小川豊明

    小川(豊)委員 当時防衛庁の中堅幹部の大部分はあなたと同様にロッキードを支持しておられた。われわれもこう聞いておるわけです。われわれもあなたにここに来ていただくからには、あなたの同僚がどういう考えを持っておられたか、そういうことは幾分か調査してある。どうかそういう点から率直にお答え願いたい。今の防衛庁の大部分の中堅幹部はロッキードを支持しておられた、こう解釈してよろしゅうございますか。
  413. 岡幸昌

    岡証人 八月末、私が航空幕僚監部を去りますときの空気はそうであったと私は承知しております。
  414. 小川豊明

    小川(豊)委員 昨年八月、あなたが防衛庁を去るまではほとんどの幹部はそれを支持しておった。午前中の話で一つの機種を採用するのには三年も四年も調査、検討する。しかるにこの場合に八月から幾月もたたないうちに、四月の十二日にはグラマンが内定されておる。私の聞くところによると、このグラマン内定に対して中心的な役割を果しているのは佐薙という幕僚長佐薙幕僚長も当時、あなたの去られた八月まではロッキードの支持者であった。それは間違いないです。その佐薙幕僚長が急にグラマンに変った。そうして大部分の中堅幹部がロッキードを支持しているので、ロッキード支持者をグラマンの支持に切りかえさせるために佐薙幕僚長は非常に苦慮し、骨を折って説得に当っていた。こういうこともわれわれの調査の上に出てきておるのです。あなたも説得された一員ではありませんか。その点はどうですか。
  415. 岡幸昌

    岡証人 さいぜん申し上げました通り、私は八月末をもって幕僚監部からのいておりますので、グラマンという話は当時何も聞いておりません。従いまして説得されたというような事実はございません。
  416. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると当時はグラマンのグの字も出ていなかった。こういうことなんで、防衛庁内の中堅幹部の常識としてはロッキードにきまるべきものだ、こう思っておったわけですね。従ってあなたはグラマンに反対する理由はなくて、ロッキードが当然とらるべきものだと思っておった。従ってそういう点から佐薙幕僚長に別に説得されたり、それに対してグラマンでいけないと言ったことはないわけですね。その点をはっきりして下さい。
  417. 岡幸昌

    岡証人 その通りであります。
  418. 小川豊明

    小川(豊)委員 最後に一点。そうするとロッキードを支持しておったあなたの同僚がその後グラマンに変っている。これはあなたは前の同僚としてロッキードが急速にグラマンに変更したことについて何か不平なり、不満なりというものをお聞きになったことはありませんか。
  419. 岡幸昌

    岡証人 私はその後幕僚監部人たちと会っておりませんので、そういったことに対する不平とか不満というものを耳にしておりません。
  420. 小川豊明

    小川(豊)委員 私の岡さんに対する質問はこれで終ります。
  421. 田中彰治

    田中委員長 辻君。
  422. 辻政信

    ○辻(政)委員 私どもの立場は、直接兵を訓練をして防衛の任務に当られる皆さんのために喜んでもらえるものを作りたい。それが政治家の任務であります。率直に伺いますが、まず松前さんから。あなたはかって陸軍でもすぐ、れた航空幕僚であり、またあなたが空幕におられたときには、たびたびT33ジェットに乗って全国をかけずり回っておる姿を見ております。     〔委員長退席、山本(猛)委員長代理着席〕 現在は隊長として責任を持って部隊を訓練をしておられる。そのあなたにお伺いをしたいことは、この機種決定に当りまして、第一回にアメリカ調査団として行ったのがだれとだれであったか。そうしてそれが帰った第一回の結論はどうであったか。これをまずお伺いいたしたい。
  423. 松前未曽雄

    松前証人 第一回の調査団の団長は永盛空将補であります。随行いたしました者は、浦一佐、升本一佐、それから内局の部員二名でございます。  第一回調査団の帰りました報告は、十月に行われました。十月の初旬だったと記憶いたします。この調査団は、候補に上りました各機種のこまかいデーターを集めて参りまして、それぞれの機種につきましてその利害と短所を克明にいたしました。判決といたしましては、この利害の観点をどこに置くか、またその観点を置く比重をどうするかによって機種は決定さるべきものである、こういうふうに判決を出したように私は記憶しております。
  424. 辻政信

    ○辻(政)委員 そのときに104という意見は出なかったのですか。具体的な機種をきめずに、原則だけを報告されたのですか。
  425. 松前未曽雄

    松前証人 原則だけであります。
  426. 辻政信

    ○辻(政)委員 それはおかしいじゃありませんか。どの機種を決定するか見てこいと言われたのに、その意見を除いて原則論だけを答申されるならば、費用をかけて長い間専門家が向うに行く必要がないはずです。私が聞いたところによりますと、政治上の考慮は別問題として、先ほど岡さんが述べられたように、第一回の報告は104というふうにあなた方の中できまったということを聞いておるのでありますが、違いますか。
  427. 松前未曽雄

    松前証人 それは違います。それは内局に書類があると思いますので、お調べ願いましたら、よくわかると思います。
  428. 辻政信

    ○辻(政)委員 それじゃそのときにグラマンF11Fも一緒に見ておいでになりましたか。
  429. 松前未曽雄

    松前証人 調査団は見てきております。
  430. 辻政信

    ○辻(政)委員 そのときにF11Fが有力候補として話題に上りましたか。
  431. 松前未曽雄

    松前証人 そのときと申しますのは報告のときでありますか。
  432. 辻政信

    ○辻(政)委員 そうです。
  433. 松前未曽雄

    松前証人 有力な候補として話に上りました。
  434. 辻政信

    ○辻(政)委員 あなたの先輩の源田空将、これは幕僚じゃなしに、部隊長として直接訓練をして、自分もF86Fを操縦して現在もやっておる。あなたは幕僚でT33に乗っておられるが、F86Fは操縦なさった御経験がないと思うが、源田さんはやっておる。これは源田さんの意見を、その下にある関連のあるあなたはどういうふうにお聞きになりましたか。
  435. 松前未曽雄

    松前証人 そのときは聞いておりません。
  436. 辻政信

    ○辻(政)委員 私がたまに会って聞いたんだが、しょっちゅう接触しておるあなた方が、自分の大先輩である源田さんの意見を聞いておられませんか。
  437. 松前未曽雄

    松前証人 調査団の報告に対する源田空将の意見を私は聞いておりません。
  438. 辻政信

    ○辻(政)委員 それと離れて、日本の防衛を担任しておる大先輩の意見として、現在の日本のパイロットの能力、飛行機の性能、これを見て源田さんはどういうことを日ごろ考えておりますか。
  439. 松前未曽雄

    松前証人 各種の問題にわたりまして源田空将の御意見はよく承わっております。日本のパイロットの能力からして、源田空将は、ある席で、平均した日本の操縦者からすると104は少しむずかしいんじゃなかろうか、おれ個人ならば104でもいいというようなお話をされたことも聞いてります。
  440. 辻政信

    ○辻(政)委員 104がむずかしいので、グラマンF11Fならこなせるという意見ですか。
  441. 松前未曽雄

    松前証人 そこまでこまかく突っ込んで私は聞いておりません。
  442. 辻政信

    ○辻(政)委員 あなたは部下を相当訓練をして責任を持っておられるが、今のF86Fは完全に手に入りましたか。
  443. 松前未曽雄

    松前証人 大体手に入った、こういうふうに感じております。
  444. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは、現在整備されておるF86Fの数と、それを完全に乗りこなせるパイロットの数はどのくらいですか。
  445. 松前未曽雄

    松前証人 明確なる数字はただいま記憶いたしておりません。御所望でございましたら、後ほど調べまして御報告申し上げます。
  446. 辻政信

    ○辻(政)委員 あなたは最近までその責任にあった人ですから、ここで何十何名ということは言わぬが、大体何十名、何十機、これは答えられるでしょう。
  447. 松前未曽雄

    松前証人 F86に搭乗し得る操縦者の数は、大体現在百四、五十名じゃないかと考えております。飛行機の数は二百機近くあるのじゃないかと思っております。
  448. 辻政信

    ○辻(政)委員 そこで問題は、F86を完全に乗りこなしておると、100もしくは104あるいはF11Fという新機種が出た場合に、それに乗りかえるためにどのくらいの期間が要りますか。
  449. 松前未曽雄

    松前証人 これは乗りかえる機種によって違うと雇いますが、F100あたりでありましたならば、多く見ましても六カ月あったらたくさんだろうと思います。F104でございましたならば、まずこれも六カ月から八カ月見れば大丈夫じゃないかと思います。これは一に操縦者の個人の技量によってずいぶん違います。F11は、まず普通の練習、教育と申しますか、各機能を十分に手に入れる、機能を知るという程度で、大体三カ月くらいでできるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  450. 辻政信

    ○辻(政)委員 そうしますと、訓練の責任を持ったあなたとしては、いわゆるF86Fで養成されたパイロットを短期間に乗りかえるにはF11Fの方が有利である、こういう結論ですか。
  451. 松前未曽雄

    松前証人 そういう結論でございます。
  452. 辻政信

    ○辻(政)委員 その結論は私が源田空将から聞いたのとまるきり違っておる。あなたは直接自分でF86を操縦なさった御経験はない。T33にお乗りになっておる。私も乗っておる。同乗する者と直接責任を持って自分で操縦する者とまるきり違うのです。源田空将の意見は、率直に私に訴えたのは、現在のF86Fで養成した者をいきなりF11やF104に乗りかえるということは、マッハ二以上はきわめて困難である、しかしF100ならば簡単にいける、こういうことを源田君が私にしみじみ言ったことがあるのです。その点についてあなたお聞きになったことはありませんか。
  453. 松前未曽雄

    松前証人 私は聞いたことはございません。ただ源田空将F11をごらんになっておられませんので、御理解があるいは足らないかもしれぬと思います。
  454. 辻政信

    ○辻(政)委員 F104は見ましたか。源田さんは知っていますか。
  455. 松前未曽雄

    松前証人 ごらんになったかどうか、私、はっきり知りません。
  456. 辻政信

    ○辻(政)委員 今あなたがほんとうの責任者の部隊長として困っておるのは、新機種を急いで作るのじゃなくて、現在持っておるF86Fをどういうふうに生かし、その飛行機に相当するパイロットをいかに早く作るかということじゃないですか。私は責任ある部隊長ならそうだろうと思うのですね。ほんとうはまだ十分乗りこなせない。それから日本はまだ現在使っておるやつを今どんどん製造しておる。それができますと相当な数になる。そこで実際の仕事をやっておる人の意見は、私がもしあなたの地位に立ったら、F86Fというものは完全に乗りこなすような訓練の整備、給与の改善、そういうものをすっかり整えて、そうしてその欠陥を補うために、たとえばサイドワインダーであるとか、何かいろいろの補助手段が要る。それを持っておればできるはずです。機関砲にしても、今のじゃ全然だめなんです。もう少し大きくするとか、そういうことをすれば、少しスピードがおそいが、手に入ってなれておる。パイロットの数が多い。でありますから、欠陥を現在是正をしていけば、そう金をかけずに防空の任務がある程度達成される、そういうお考えになりませんか。
  457. 松前未曽雄

    松前証人 ただいま辻先輩が言われました、私どもとして現在F86をまず手に入れることが第一である、これは私もその通り考えております。それではF86だけで当分このまま過ごしていいかということになりますと、私は必ずしもそう思っておりません。この新しいセスチュリー・タイプの飛行機におきましては準備の期間に相当の日にちを要しますので、相当早いときに決心をいたしまして手をかけませんと、いざというときになって機種改変をしようと思っても、すべての点において手おくれになるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  458. 辻政信

    ○辻(政)委員 岡証人証言によりますと、F100と104は二年ほどかかって研究をした。昨年の八月まで、あなたが空幕布におられるまでは、グラマンF11というものはほとんど話題にも上らなかった、こう聞いておるのですね。それは松前証人も認めますか。
  459. 松前未曽雄

    松前証人 大体同じような考えであります。ただ私は防衛部長をしておった関係上、下に調査課というものがございます。この調査課は各国の各種の飛行機の情報を集めております。そういう関係で、グラマンという米海軍において使用しておるなかなか変った飛行機があるということは、私も知っておりました。
  460. 辻政信

    ○辻(政)委員 そのときに、岡証人証言によりますと、昨年の八月ころまではいわゆる空幕の中堅連中の意見は104にほとんど固まっておった。これはあなたは認めますか、松前さん。
  461. 松前未曽雄

    松前証人 中堅幹部が全部それに固まっておったかどうか、私は全部聞いておりませんのでよく存じませんが、私は第一回の調査団が帰るまではF104                1が望ましい。これの対抗馬はF100であります。この二つを比較いたしますと、航空自衛隊としては期の方が望ましい、こういうふうに考えておりました。
  462. 辻政信

    ○辻(政)委員 岡さんにもう一回立ってもらいますが、あなたの先ほどの話では、昨年の八月ころまではグラマンF11というものは話題にも上らなかった、ほとんで大勢は104であった。あなたも専門家であり、くろうとであり、また友だちと話をする機会がありましたが、それに間違いありませんね。
  463. 岡幸昌

    岡証人 われわれの範囲内におきましては、やはり今お話がありましたように、F100とF104の比較検討ということが行われておりました。それに対しまして、はっきりとグラマンを比較するということはなかったように思います。
  464. 辻政信

    ○辻(政)委員 そうしますと、F100と104については、話題になってから大体二年くらい研究しておりますね。そして決定せぬうちに、突如F11Fというものが頭をもたげてきた。その決定が非常に短期間にスピード化されたのはどういうわけですか、松前証人
  465. 松前未曽雄

    松前証人 それは、F11の方の情報を永盛調査団が持って帰りましたときに、ほとんど私どもがF104について知っておるくらいの詳しいデータを持って帰りました。たとえて申しますと、F11に関する整備等につきましては、升本一佐が部隊に二日間行きまして、F11と取っ組んでこれを調査してきております。従いまして、F11の方に関する情報と申しますか、調査資料は、ほとんど当時の私どもが知っておりますF140あるいはF100の情報と同程度でございました。この出発点がほとんど同じというところに、早く転換をした一つの根本原因があると私は考えております。
  466. 辻政信

    ○辻(政)委員 そのときにアメリカF11Fは何機あったか。期は何機あったか。104にはどれだけの経験を積んでおったか。今、国防会議で内定したグラマンは一体何機あって、どのくらいの経験を持っておったか。それを一つ伺いたい。
  467. 松前未曽雄

    松前証人 調査団が行きました時分のF11F—1Fは二機できておりました。これはほとんど飛行性能試験を終っておりました。104の方は飛行性能試験を終りまして、部隊訓練試験と申しますか、特殊の、あるいは寒地における試験、そういう試験を続行中でございました。
  468. 辻政信

    ○辻(政)委員 あなたも旧軍においてはその方の責任者でありましたが、国軍が新しい機種を決定するには非常に慎重なかまえが要る。この機種の選定を誤まると、戦争の勝敗に影響がある。それほど重要な問題です。それで単なる試作機二機というもので、アメリカがまだ整備しようという決意ができておらない、単に一つのモデルにすぎない、試作品です。そしてほんとうの経験を積んでおらない。それを日本が今一千億円出して三百機以上やるということは少し軽率だとあなたの常識ではお考えになりませんか。
  469. 松前未曽雄

    松前証人 このF11F—1FはF104と異なりまして、基礎になるF11を米海軍で長く使っております。そのパワー・アップをしたものでございまして、その他部品について申しますと、ほとんど五〇%以上は同じものを使っております。それだけF11F—1Fの試作と申しましても、初めて作った試作ではなくて、相当の、F11でもって基本的な訓練から何からすっかり済んでおる機種である。その点に違いがあると思います。
  470. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは、なぜアメリカ空軍が104を使ってF11Fを使わないか。それはアメリカ空軍と海軍とのなわ張り争いからきておるものですか。
  471. 松前未曽雄

    松前証人 それはちょっと、アメリカに聞かなければわかりません。
  472. 辻政信

    ○辻(政)委員 アメリカに聞かなければわからぬと言うが、あなたは専門家ですからね。ほんとうにF11Fが要撃機として性能もすベてがいいならば、アメリカ空軍としては当然取り上げるべきですね。そうでしょう。それは常識です。それを見向きもしておらないというのに日本が飛びつく。ドイツあたりにおきましては、御承知と思いますが、新機種の決定は非常に慎重です。現在F86FもしくはF100で要員、パイロットを養成している。そして技師を各方面に出して、みずからの機種を決定しようというときです。日本だけが半年足らずあれして、しかも二機しか試作しておらないものに飛びつくということは、あなたは純専門の立場から考えて少し軽率だというお考えはないですか。
  473. 松前未曽雄

    松前証人 米空軍はF11F—1Fにやはり注目しております。その証拠に、米空軍のパイロット、これはエドワード基地におりましたパイロットでありますが、両方乗っております。F104もF11Fも乗っております。またその他朝鮮あるいは日本に来ておるかってのテスト・パイロットも乗っておる。その話を聞いております。従いまして、米空軍が米海軍の飛行機に一顧も与えないということは私も思っておりません。ただ、ちょうど同じ時期にF104が出てきた場合に、防空兵器体系をそれぞれ米空軍も米海軍考えておると思います。その組み合せにおきまして、米空軍におきましてはポイント・デフェンスとしてはF104がよろしい。エリア・デフェンスとしてはF100がよろしい、こういう体系のもとに104を採用したのだと、これは私の想像でありますが、考えております。
  474. 辻政信

    ○辻(政)委員 現在あなたは部隊長として部下を訓練する責任があるのですが、F86Fに対する装備の改善、訓練施設の改善、そういうものが、あなたが部隊長として責任を持って部下に訓練を要求する程度にいっておりますか。
  475. 松前未曽雄

    松前証人 大体いっておりますが、完全ではありません。私の任務を達成する範囲にはございます。
  476. 辻政信

    ○辻(政)委員 何が不完全で、何を直してほしいか。
  477. 松前未曽雄

    松前証人 これはいろいろございますが、一例をあげますと、F86Fのシミュレーターのようなものがあったならば——シミュレーターと申しますと、室内で訓練する機械ですが、ああいうものがあったならば、もっと効果的に訓練ができるのではなかろうか。あるいは飛行場の給油の施設等につきまして、自動給油装置と申しますか、ああいうものが作られたならば、さらに訓練効果が上るのではなかろうか。いろいろございますが、一、二例をあげました。
  478. 辻政信

    ○辻(政)委員 今実際に北海道上空における防衛の任務を担任されておるあなたの部隊は、現在のF86Fの機関砲その他の兵器装備においてほんとうに任務が達成できると思いますか。
  479. 松前未曽雄

    松前証人 これはできるできないの問題でなくて、私はやらなければならない、こういうふうに感じております。
  480. 辻政信

    ○辻(政)委員 われわれはできないものにやれということは要求しない。あなた方が受けた任務を完全にできるようにしてあげたいのです。あなたがやれるやれぬにかかわらず、やらなければならぬということは、責任を持った部隊長の言うべきことではない。国民に対してこういう任務を持っておる、これはできない。実際現在の兵器ではできないのです。そうでしょう。あの機関砲の威力から見ても、スピードから見てもできないのです。それをできるためにわれわれが骨を折っておるのですから、やれるやれぬにかかわらずやらなければならぬということでは責任は持てませんよ。その点はどうです。(「精神主義じゃいけない」と呼ぶ者あり)
  481. 松前未曽雄

    松前証人 現在装備しております機関砲でも、敵の戦闘機でありましたならば、この方がよろしゅうございます。一にやってきます向うの機種によります。できましたならばこれにさらにサイドワインダーを加えるとか、そういった兵装の強化ということは私どもが常に希望しておるところでございます。
  482. 辻政信

    ○辻(政)委員 サイドワインダーは北海道の全機に装備されておりますか。
  483. 松前未曽雄

    松前証人 まだ装備されてございません。
  484. 辻政信

    ○辻(政)委員 結局あなた方の立場を率直にいえば、先ばしったことを考えるよります足元を整備して、受けた任務を自信を持ってできるように、われわれ政治家にあなた方は要求するのじゃありませんか。
  485. 松前未曽雄

    松前証人 それをやっていただきますと同時に、先のことも一つ考えていただきたい、こういうふうに思います。
  486. 辻政信

    ○辻(政)委員 先のことは今すぐきめなくても、これは五年後にあなた方の手に入る飛行機です。昭和三十九年です。その決定を今すぐ急がなければならぬか。さらに104とF11Fをもう一回慎重に検討した上でやってほしいと思うか。あなたがもらってそれを使う立場においてどう思いますか。     〔山本(猛)委員長代理退席、委員長着席〕
  487. 松前未曽雄

    松前証人 ただいま五年後と言われましたが、私どもは決心をされましたならば、第一線の部隊に二年の末期にはいただける、こういうふうに考えております。従いまして、そう五年もおそくなってはとてもたまらないというような感じがいたします。
  488. 辻政信

    ○辻(政)委員 それではあなたは、部隊長として最後の結論をお伺いしますが、104がほしいか、F11Fがほしいか、これは日本の防衛体制をきめる大きな問題です。受身に立つあなた、責任を持って立つあなたとして、どっちがほしいか、それを最後に伺います。
  489. 松前未曽雄

    松前証人 ただいまのところでは、F11F—1Fを基調としました性能向上機を最適と考えております。
  490. 辻政信

    ○辻(政)委員 終ります。
  491. 横山利秋

    ○横山委員 ちょっと関連して。あなたは東京へいつ、いらっしゃいましたか。
  492. 松前未曽雄

    松前証人 昨日の午後参りました。
  493. 横山利秋

    ○横山委員 防衛庁にお行きになりましたか。
  494. 松前未曽雄

    松前証人 防衛庁に参りません。
  495. 横山利秋

    ○横山委員 日本の地理的条件として、国の幅がきわめて狭い。従って二段がまえで防御することはできない。だから高速上昇率の高い飛行機が必要である、こういうふうにお考えになったことはありませんか。
  496. 松前未曽雄

    松前証人 考えたことはございます。
  497. 横山利秋

    ○横山委員 今日、安全性、整備訓練に使うがいいか、それとも急速に飛び立って敵機を迎撃することが第一義であるか、どちらが必要であるかによって多少の判断の相違があるかと思います。つまり戦闘能力ということと安全性、整備訓練という二つの見解であります。あなたはどちらをおとりになりますか。
  498. 松前未曽雄

    松前証人 それは非常に比較がむずかしい問題が一つございます。と申しますのは、一つの飛行機は、安全性は一〇〇%であるが、作戦的の要求を全然満たしておらないというのでございましたら、これは問題ございません。もう一つの飛行機は、作戦的要求を満たしておるが、安全性が全然ない。その両方の比重を大体おっしゃっていただきませんと、明確なお答えはちょっとしにくいかと思います。
  499. 横山利秋

    ○横山委員 抽象的な議論をせざるを得ないのです。いろいろな具体的なお話をここでするということは時間がかかります。しかし、かりに両方とも一緒であったならば何をとるか、今日の日本の訓練部隊を担当するあなたとして、どちらをとるかということを聞いておる。
  500. 松前未曽雄

    松前証人 両方とも要求諸元を満たしておるものでありましたならば、私は安全性の大きな方をとります。
  501. 横山利秋

    ○横山委員 問題は、防衛庁内部においてもその二つで議論が分れておるのです。少くとも作戦方面の担当者は上昇率の高いところを中心とする、これは日本の実情からいって当然である。もちろん安全性が阻害されては何にもならぬ。何にもならぬけれども、戦争の準備を実際問題としてしておるわけですから、その意味においては戦闘能力というものを第一とすると作戦方面は言っておる。そうでなくして、教育訓練に当る方では、やはり安全性というものを重視しておるということを言うておる。これはもうあなたも御存じの通り防衛庁内部においての意見である。あなたは今日までどちらの道をたどって意見を開陳してこられたか、こういうことを聞きたいのです。
  502. 松前未曽雄

    松前証人 私は先ほどちょっと申しましたように、第一調査団が帰って報告するまでは、比較するものがF104でございました。従いまして、これは当然優秀なる上昇性能を持っております104でなければならない、こういうふうに確信を持っておりました。F11F—1Fが出て参りまして、その諸元をだんだん調べて参りますと、上昇性能においても私どもが要望しておりました諸元に合致しておりますので、そういう同じ要求性能を持っておるものならば、安全性の大な方がいいのではないか、こういうふうに考えます。
  503. 横山利秋

    ○横山委員 あなたはアメリカへ今年の一月行かれましたが、そこで牟田さんと一緒ロッキードに乗られた。そしてグラマンもごらんになって、そしてなおかつロッキードについての一つの批評をなさっておるわけです。あなたのおっしゃったことや今日までのいろいろな状況については、私どもは手元に資料を持っておるわけです。持っておる状況から判断すると、あなたの今のお話というものはいささか不審の念を私どもに抱かせるに十分であります。なぜかといいますと、それは諸元についてF11Fをいろいろ調べてみたらとおっしゃるけれども、しかしながら、一方においては実際問題としてそれが二機しかない。その二機の状況については御存じの通りである。そしてわずかに二カ月前に急遽脱兎のごとく出てきたものであって、まだ実用に供されていないのであって、いわゆる理論的な問題としてあなたはF11Fをきょうおっしゃっておるわけです。そうでございましょう。そういう点に非常に不審の念を私は持つわけです。まさかあなたが今日まで言っておられたことはでたらめではないでしょうが、どうにも納得できぬところが私どもにはあるわけです。従来からのあなたの所説をいろいろと拝見をしておるのですけれども、きょうあなたがおっしゃったことについてはどうにも納得できないという感じがいたしますが、どんなものですか。     〔委員長退席、山本(猛)委員長代理着席〕
  504. 松前未曽雄

    松前証人 私は去年の十月第一調査団が帰ってくるまでは、先ほど申しましたように明確に104がいいということを人に表明したことがございます。その後におきましては私はそういう言動を明確に表わした覚えはございません。それが一つであります。もう一つは、十月以降特に私自身としまして注意をいたしましたことは、第一線の実際これを使う操縦者がどちらを好んでおるのだろうかということを実は心配をしておりました。作戦的要求でどんなに性能のいい飛行機でも操縦者が毛ぎらいする飛行機はこれはものの用に立ちません。この点におきまして操縦者、特にジェット・パイロットの経験を持っておる人に私が直接聞きますと、従来の私のことを知っておりますので、直接私は聞きませんが、いろいろ人に伝えて聞いてもらったりしまして、操縦者の意向を逐次聞いております。大体操縦者の意向は、やはり日本のように飛行場の数が少くて、飛行場は滑走路が短かくて、しかも人家が密集しておるというところでは、パイロットはほんとうに安心して乗れる飛行機がほしいんだということを、ジェット・パイロットは口をそろえて言っております。こういう点からいたしまして、私はこの安全性ということにつきまして一応は従来は自分で割り切っておったのでございますが、これらの人の話を聞きまして、これは決してゆるがせにしてはいけないものであるということを痛感した次第であります。
  505. 田中彰治

    田中(彰)委員 関連して。私は一つ証人に伺いますが、あなたは初めロッキードを非常に支持しておられた。今もロッキードのことを言われておるようですが、それは104CですかAですか、それをお尋ねいたします。
  506. 松前未曽雄

    松前証人 Cに発展することを予測してのAであります。
  507. 田中彰治

    田中(彰)委員 Cに発展することを予測というと、Cというものが今できて、アメリカの軍隊でこの七月に相当購入されているのを御存じですか。
  508. 松前未曽雄

    松前証人 存じません。
  509. 田中彰治

    田中(彰)委員 Cがアメリカで相当長い間試験飛行されて、しかも七月に百五十機というが、その台数については秘密を要するので申しません。とにかく百機以上のものが購入されて、今アメリカの軍部で使われておる。ロッキードの104Aは古い型なんです。国防会議で問題を起したのはそれなんです。Aというものはまだ改良されておらない。Cは非常に改良された。その改良されたものが軍部で今採用されておる。あなたはグラマンがいいと言われる。グラマンもいいかりもしれない。しかしあなたがグラマンがいいと言う根拠は、あなたがその飛行機にお乗りになったのですか。それともあなたと同じような立場にある人がアメリカの軍部で採用して、その試験飛行をしたとか、あるいは採用してそれに乗って今使っておる。その結果今度こちらで買うところの98J何とかいうグラマン機に対して証明書がある。そこであなたはそれを信じられるのか。グラマン社が今度はこういうものを改良してこういうものを作った、二機作って一機は今破損していることは間違いない。一機はにせのエンジンの3Aを7にかえるべく工場に入っていることも間違いないんだ。あなたは今非常にいいと言われるが、私はロッキードでもグラマンでもどっちでもいい。ただ、あなたがいいと言はれるのは何を根拠にしているのか。軍の証明書があるのか、人から聞いた話なのか、グラマンが飛んでいるのを見たのか、それとも乗ったのか。それともグラマン社がこういうものをこれから作って日本に売るから買ってくれといって出した性能と安全性を基礎にしてあなたが言われるのか、まずそれをお伺いいたしたい。
  510. 松前未曽雄

    松前証人 お答えいたします。私はF11F—1Fには乗ったことばございません。と申しますのは、これは単座機でございまして、まだ複座機ができておりません。これは離陸から着陸、空中操作をしてみせてくれたのを私は見て参りました。それからF11F—1Fに関する諸元は米空軍から正式にもらった諸元を基礎として私は考えております。
  511. 田中彰治

    田中(彰)委員 証人、あなたはそういううそを言われると大へんですよ。まだその日本が買うというグラマンは二機しかできておらないで、一機が破損して、一機が十六時間、3のエンジンで試運転して、それを7に取りかえるのに工場に入っている。アメリカの軍部では買っておらない。まだ名前もつけておらない。会社が便宜上つけておる名前なんです。それをアメリカの軍部がその性能を証明するはずがないじゃないですか。われわれはこれだけのものを持っている。全部これは写真だ。防衛庁から来たんだ。軍部がどういう証明をしましたか。どこの軍部のだれが証明したのか。あなたは現職にありながら、この委員会を愚弄するようなことは承知しませんぞ。だれが証明したのか言ってごらんなさい。
  512. 松前未曽雄

    松前証人 F11F—1Fは私はエドワード基地で確かに飛んでおるのを見、非常にみごとなる着陸をしておるのを見て参りました。それからF11F—1Fは、先ほど申しましたように米空軍もこれに着目をしまして、テスト・パイロットを乗せてすべて諸元をとっております。米軍も確かに乗っております。その諸元は当然米空軍省にもいっておるのでございまして、それを佐薙幕僚長がもらってきておられるはずでございます。
  513. 田中彰治

    田中(彰)委員 そういうグラマンのりっぱな証明書があるなら、国防会議グラマンのそれがついておるはずです。私どもの方は国際電話で照会しておる。グラマンの試験飛行をしてくれと頼んだ、一等初めは断わった、それを今度は猛運動をしてぜひとも試験飛行をしてもらいたいというので、試験飛行を十六時間した。それでエンジンに少し工合の悪いところがあるので、それきりやめてしまった。だれが証明書を出したのですが。そのグラマンの証明書を幕僚長はだれから持ってきたのですか。あなたが証明書をそんなに言われるならば、ロッキードF104Cに対してもここにその乗った数人の人が証明しておるじゃないですか。それは全部アメリカ軍人の証明書だ。これが出ている。グラマンの証明書があったら、あなたお出しなさい。そこに防衛庁の人が来ておるから証明書をもらっていいですよ。グラマンの証明書はどれだか、おもらいなさい。あなた、この間私の方の調べに行った調査員に言われたことと今言われたことが違っている。あなた今私服を着ているが、もし軍人だったら、そういうでたらめなことをおっしゃると大へんですよ。試験飛行をしておらないものがどうして証明書を出せるのですか。あなたは、わずか十六時間試験飛行をしてその飛行機が買えると思っておるのですか。ロッキードが五千五百七十五回試験飛行しておってもまだこのCについては彼らは保証しておらない。それはどういうわけなんですか。その証明書を一つ見せてもらいましょう。だれが証明したのか、名前をおっしゃい。
  514. 松前未曽雄

    松前証人 今言っておられます飛行機はF11F—1Fと私は思っておりますが、間違いございませんか。
  515. 田中彰治

    田中(彰)委員 国防会議できまった、買うことにしている飛行機です。番号は言わぬでよい。買うと聞いておる飛行機を聞いている。
  516. 松前未曽雄

    松前証人 まだその飛行機は試験飛行をしていないだろうと思います。まだできておりません。
  517. 田中彰治

    田中(彰)委員 試験飛行をしておらないものがいいということがどうして言えますか。私は何も古いことを言っているのじゃありません。日本が今度一千億からの、国民が泣いて納めた税金で買う飛行機が、日本で購入していいのか悪いのかということを聞いている。この選定が正当なものであるのか不正当なものであるのか聞いている。日本の買う飛行機のことを言っているので、ほかのそんな改良をするのだというような古いものを聞いているのじゃありません。ロッキードについてもそうです。改良したCのことを聞いている。Aのことを聞いているのじゃない。皆が飛行機のことを知らないから、むずかしい番号のようなことを言ってごまかそうとしている。その証明書を、あったらあなた出して下さい。
  518. 松前未曽雄

    松前証人 今、先生がおっしゃいましたのは、F11F—1Fと申します。エンジンはJ79—GE—3Aというのをつけております。この3Aというエンジンを7というエンジンに改装したものを防衛庁は買う計画をしておるのであります。その7のエンジンに改装した飛行機が試験飛行を始めたかどうかということは、私はまだ存じません。
  519. 田中彰治

    田中(彰)委員 これはあなた重大な問題じゃありませんか。国防会議をごまかして試験飛行——違うエンジンをつけて試験飛行をしたようなにせものを聞いているんじゃないんです。大ていにしなさい。国民が一千億から税金を納めて、その高い税金を三年か五年先に出して、ロッキードだろうがグラマンだろうが、それを買わなくちゃならぬ。われわれはその問題が出たときに、飛行機を買わない、両機とも買わないということなら、これは決算委員会にかけないでも済むんです。どうしても買うということでありますから、買うということならこれに対してわれわれは質疑をしなくちゃならない。それはなぜかというと、国防会議経費というものが一年間に一千二百万というものを組んである。あなた方がいろいろなところに行かれた経費は、全部国民の税金である。防衛庁の金じゃない。岸内閣の金じゃない。政府の金じゃない。国民の金だ。国民の金を莫大に使って、向うに行って、そしていろいろな、どの機を選ぶかということを研究しておるのだから、そういうことに関連して、変なものを選ばれたんじゃ困る、そういう金を使いながら。そして今度選んだ結果は一千億の金で買って、これが四、五年たったら、できたときに役に立たなくなった。あるいはまたそんなものを買わなくてもよかった。ロッキードにおいても、グラマンにおいても、それよりも今作っている飛行機をもう少し改良して、飛行機の研究所でも作って、そして残ったものだけ国民に減税をした方がいいということをわれわれが総理にも進言し、いろいろな党の幹部にも言っておる。どうしても防衛上それがほしいのだ。どっちかは買わなくちゃならない。そうして日本の飛行機の技術を養成する上にも、そういうものを買わなくちゃならない。どうせ買うならばもっと国民が納得するようなものを買えというのです。あなたが今までいろいろなことを言って、社会党の人たち、あるいは辻君を愚弄されたが、それは買う飛行機じゃない。買う飛行機を言っているのですよ。隣の娘さんを嫁にもらうのに、裏の娘さんの議論をしているのじゃない。嫁にもらう娘さんを議論しておる。あなたはそれで服を着たところの軍人か。あなたのような軍人が大戦前におったから、日本の国は今日になった。国会に出て議員を侮辱して、ばかやろう、黙れ、無礼者などと言う者がおって、そうして言うことを聞かないと、すぐにピストルを持っていったり、押し込んでいったり、殺してしまう。それだからいくじのない、きんたまのないような政治家はこれに愚弄されて、日本の政治を誤まって、日本の国家が今日こういう状態になって国民が苦しんでおる。今あなたの言っておるのは、国民が泣いて納めた一千億、この一千億の半分、五百億を減税してごらんなさい。今までどこの党が、たとい社会党が予算を組んで出そうと、わが党が出そうと、五百億ここで減税すれば、こっちの方で二百億とか三百億よけいなものを取って減税したことにしておる。ほんとうの減税じゃない。飛行機を買わないでほんとうに国民に減税するのならば、これはほんとうの減税だ。それをしないでこれを買おうというのだ。一千億も出して、しかも四年か五年後できる。よほど選ばなければならぬ。そこで、買う飛行機がロッキードよりいいのか、安全性が試験してあるのか、能力を試験してあるのか、日本に向くのか向かぬのか、どっちがいいのかということを聞いておる。それをみんな飛行機の技術を知らないから、いろいろな番号を言って、買わないような、前の娘を嫁にもらうのに裏の娘のことを言って、みんなを迷わせておる。私は買う飛行機のことを聞いておる。その買う飛行機を軍が採用しておるのか、証明書があるのか、君がそれを見たことがあるのか、今できておるのか、アメリカだけでなく一体世界中何度飛んでおるか、それを御答弁願いたい。
  520. 松前未曽雄

    松前証人 非常に御質問が広範で、ちょっとつかみにくかったのでございますが……。
  521. 田中彰治

    田中(彰)委員 何がつかみにくい。買う飛行機は一つじゃないか。君の頭が悪い。買う飛行機は一つじゃないか。十も二十も飛行機を言っているのじゃない。
  522. 松前未曽雄

    松前証人 私が今まで申し上げておりますのは、F11F……。
  523. 田中彰治

    田中(彰)委員 そんなことを聞いているのじゃない。買う飛行機のことを聞いているんだ。
  524. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員長 代理松前証人にちょっと御注意申し上げますが、防衛庁がお買いになろうとする飛行機の、世界じゅうの人がわかっております名称は、グラマン社が社名として暫定的につけております御承知の98J—11です。あなたのおっしゃっておられますのは、あなたの御証言でようやく明快になりましたが、なるほどあなたは非常に正直な方で、あなたの言われるのが正しいのです。F11F—1FというのはJ79ナンバー3のエンジンをつけたものであるということは、あなたの証言でここで初めて明確になりまして、これはあなたの証言中最も御功績のあったことなんです。それでございますから、今、田中委員のお尋ねをいたしておりますのは、そのF11F—1Fと称するものではなくて、グラマン社が社名としてつけました、まだ部隊に配属せられておりません98J—11、これにJの79—7というエンジンナンバーのついたやつを田中彰治委員がお尋ねをいたしておるのでございます。それにお答えを願いたい。
  525. 田中彰治

    田中(彰)委員 第一、委員長でもそうなんだが、飛行機をしろうとのくせに何だとかこうだとか、あまりなまじっかな研究をし過ぎるからついろいろなことでごまかされる。私はそういうことを考えておるんじゃない。日本の買う飛行機は一つだ。それの対象になるものはロッキード、それからまたそのほかにいいものがあったら新たに選ぶ。それだからあなたに聞いておるのは、そんな昔のものを改良するとかいうことを聞いておるんじゃない。こういうことをあなたに私は一つ物にたとえて言います。昔の何も改良しないお百姓のところにいる鶏は、一年間に卵を九十くらいしか産みません。それを持ってきて、今度これにこれをかけて二年後には三百六十五くらい産むようにしますといって広告したのが信用できますか。もしその交配にどっかの血がかかっておったので工合が悪いとか、なんだとかいうことになったらできないじゃありませんか。そうでしょう。あなたが今おっしゃるのは、買う飛行機のことをおっしゃらない。そうでしょう。三百六十五の卵を産む鶏を選んでいるのに、五年も六年も前の百二十か九十しか産まない鶏を、これにこれをかければ、これがこれになるんじゃないかと言われる。それを、代議士はなかなか肩書きと名誉心があり過ぎるから、わかりもしない英語のやつをたくさん持ってきてやっておるから何もわからぬ。私のように買う飛行機は一種なんだ。グラマンの今度国防会議できまったあの3というにせのエンジンをつけたのでなく、これに7のエンジンをつけた、それを買う。それの試験飛行がされておるのか、軍部が採用しておるのか、安全性その他の性能について軍部が証明しておるのかということを聞いておる。どうなんです。
  526. 松前未曽雄

    松前証人 防衛庁が買おうと企図しております飛行機は、試験飛行をしておるかおらないか、私は存じません。  それから先ほどから私がF11F—1Fと言ういろいろの話の根拠は防衛庁が買おうと企図しておる7のエンジンに改装したものでお話ししております。
  527. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたはそうおっしゃるが、今国防会議で買うという、98Jというこの飛行機を言っておるのですよ。それはあなたは試験飛行も知らないでしょう。その今買うというエンジンはできていない。二機作った飛行機のことですよ。買う飛行機ですよ。あなたは今飛行機の改良する前の型を言っておられる。私はそういう古いやつは聞いておるんじゃない。そんなものは必要ありません。前にどんなになくてもいい。今度買う飛行機がほんとうに試験され、ほんとうに軍部の証明があって、ほんとうにそれらはりっぱに飛んで日本に向くものであればけっこうです。前の祖先なんか要らない。前が悪いから改良するんでしょう。いいなら前のでいいはず。悪いから改良する。日本がその改良したものを買う。その原型の飛行機を言っておる。その戦闘機を米空軍が採用しておるのか、あなたがお乗りになったことがあるのか、それが飛んだのを見たことがあるか、7のエンジンの試運転されたのを見たことがあるのか、それに対する証明書があるのか、これをあなたにお尋ねしておる。古い型のことを聞いておるんじゃない。
  528. 松前未曽雄

    松前証人 すべてございません。米空軍は採用しておりません。それから7のエンジンをつけたのを、飛んだことも見たことはございません。ただここで一言申し上げますが、3Aのエンジンをつけましたものと7のエンジンをつけましたものは、ほとんどこれは変りはなくて、性能が向上されておるのでございます。従いまして米空軍におきまして7のエンジンをつけました諸元は、米空軍の実験航空隊その他研究所におきまして、従来の経験といろいろな計算の結果からその数値を出されたものと私は考えております。
  529. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたはおかしい、片寄るじゃないですか。私はロッキードとかグラマンとか言っておるんじゃないですよ。今あなたは試験飛行をしたこともない、軍部が採用したこともない、7のエンジンをつけて飛んだものを見たこともないとおっしゃる。そのないものに、これから改良すればこういうものになるだろうという仮定のものです。やってみて、ならぬかもしれません。仮定のものです。こういうことから、これにこういうものをつければこういうものになるだろうという仮定のものです。それを今、日本は買うという。買う飛行機は、今あなたの言われた通り、試験飛行もしておらなければ、飛んだこともなければ——二機飛んだという。一機は破損して、一機はこうなって、それは3のエンジンをつけたものです。7のエンジンをつけたものじゃない。飛行機で一番大事なものは、われわれ民間の飛行機に乗っても、あの飛行機に乗ると危ない、というのは、エンジンがいいかと、しろうとでも聞く。飛行機の十の性能のうち、七までエンジンです。そのエンジンをまだつけたことがない。試験したのは3です。古いエンジンです。この3のエンジンをつけたのを買うということならよいのです。それを改良した7を買うというのです。改良ということは、よくなるとばかりきまっておらない。改良して悪くなるかもしれぬ。しかも、できておらぬ。未定です。よくなると仮定しても未定なものです。未定なものを、あなたがまるで見てきたような、まるで自分が乗ったような、まるで軍が証明したようなことを言われたから——私が質問をするまでは、皆の人があなたのことを、あれはやはり飛行機乗りだからものが明るいなと思っていた。えらい見そこなっておる。私に言われて、あなたはこれを白状した。あなたが言っておる飛行機と日本が買う飛行機と違う。その買う飛行機はあなたの金で買うのではない。防衛庁の者の金でない。岸内閣の金で買うのではない。国民が泣いて納めた税金で買うのです。あなたも私も税金には——あまり楽じゃないが、税金を納めるのに、差し押えを食ったり、競売に付されたり、子供の着物まで売られて納めるような階級ではない。だからあなたはあまり考えない。私はあなたよりちょっと利口だから、そこらを歩いておるから、いろいろなものが競売にされて、先生何とかなりませんかと子供連れで泣いてきて、競売にされたオーバーの一つも受けてやったことがあるから、あなたより知っておる。そういう泣いて納めた税金で買うのじゃありませんか。それを国民がだれも知らない。ただ代議士なんという者は、ばかでも何万票という票をとってくるのだから、相当普通の者よりすぐれておる。その者でさえも、ここで四回も五回も、こういう委員会を開いてもごまかされる。そこであなたの方が、専門家みたいなのがうまいことを言うと、皆聞いておる一切の者が、委員会であんなことを言っておるけれども、グラマンという買う飛行機はりっぱな飛行機じゃないか、完全なものだと考えるじゃありませんか。できていないじゃないですか。米国の軍部が試験飛行を断わった。頼んで十六時間した。採用しておらない。軍部も採用しないような、名前もついておらぬような、それからどんなものができるかわからぬようなものを買う約束をしたことについて、防衛分担金五百億でも、たとえば一千億の五割もらえる。いかにアメリカが持てる国といえども、そんなものでくれますか。あなたが自分の子供がたくさんあって、自分の籍に入った子供には財産を分けてやるでしょうが、たとえば自分の子供だといってどこで作ったかわからない、籍もない、ころがってきた者に全財産を分けてやりますか。憲法もこれは保障しておらぬ。その名前もわからぬような、また試験飛行もしたことがないような、軍部も採用しておらぬような、二機作ったが、二機ともたとい理由いかんにかかわらず、飛行機が途中でもって大破したとか、にせのエンジンをつけたやつで、エンジンを切りかえておるなんという話は、あまりよくないことだ。そんな状態にあるじゃありませんか。しかもあなたがほめたのはこれを改良する、このもとの飛行機、古い飛行機をあなたはほめられたのであって、これから改良された飛行機に乗ったこともないし、見たこともないし、何でもないとおっしゃった。そういう国民をごまかすことをおっしゃるならば、あなたはその軍服に恥じなさい。あなたのようなものが行って、それで防衛庁なんかへ行って、君はこう言ってくれ、ああ言ってくれと頼まれて、松前が十二月にやめるから、(笑声)そのあとお前にするからとかいって頼まれたか、何ですか、恥じなさい。私がこうやって大きな声を出して言ったから、国民もなるほどあの飛行機というものは、四月十二日に内定した日本が買うという飛行機は、にせのエンジンをつけた、試運転で十六時間しただけだ。飛行機は、聞くところによると三十万時間ぐらいしなければほんとうのものでないといわれている。そんなにたくさんしなくてもいいけれども、やはり何千回というものは、試験飛行をしなければならぬ。それがたった十六時間、これをしただけです。そうしてその十六時間を、その試運転もにせのエンジンをつけてやった。ほんとうの買うエンジンは、今できたかできないか知らぬが、目下まだ試作中だ。どんなものができるかわからぬ。飛行機がまだそれをつけて飛んだこともない。アメリカの軍部も採用しておらぬ。名前もついておらぬ。同時に、値段もわからぬだろう。そういうものを無理にきめたところに、決算委員会が取り上げてその不当性をついておるのだ。こういうことが初めて今晩国民にわかった。あと、わからなかったじゃありませんか。あなたは青森からわざわざ旅費を使って来ておって、少し恥じなさい。これもやはり国民の税金だ、恥じなさい。
  530. 辻政信

    ○辻(政)委員 これはきわめて重大な問題で、この機種をどうするかによって将来の防衛体系、防衛生産がみな変ってくる。松前証人を呼んでここで質問をしたのは、実は松前君は直接自分で操縦をした経験のない人です。幕僚として同乗した経験はある。それだけの証言でもってこの重要な問題を決定することはできない。私は委員の皆さんにお諮りいたしますが、ほんとうの自信を持って、自分の経験から信念を持ってこれを決定するかどうかという意見を吐けるのは、おそらく日本の航空自衛隊に源田空将ただ一人だと思う。彼は二十数年間乗って、現在F86Fを操縦しておる。その最高の責任者だ。でありますから、次回の決算委員会においては、源田空将をぜひとも証人に呼ばれて、その経験からくる信念をお聞きの上で御決定になることを特に委員長にお願いいたしておきます。
  531. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員長代理 今、辻政信委員から御発言の源田空将証人として呼ぶことについては、田中委員長に御一任するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     〔山本(猛)委員長代理退席、委員長着席〕
  532. 田中彰治

    田中委員長 御質問ございませんか。
  533. 小川豊明

    小川(豊)委員 松前証人にお尋ねいたしますが、私は、あなたは長い間、旧軍時代からやっておられたこの道の全くの権威者であり、また日本の防空を担当しておられる重大な責任者だ、こういうふうに考える。従って、先ほど田中委員長が言われたように、あなたの御答弁というものは全く権威のあるものとして聞いておったわけです。そこで非常に疑問に思ったのです。あなたは昨年の十一月調査団が帰るまではやはりロッキードがよろしい、こう思っておった。従って今グラマンがよろしいということならば、それは調査団が帰ってその報告を聞いてそうなられた、こう思うのです。そうすると日本における最も重大な責任は、その道に対する権威者であるあなたが、このグラマンの飛行機はこういう飛行機がある、そういう飛行機があるというのは、調査団が帰るまでそういうものはてんで知らなかったのですか、この点私はお尋ねしたい。実はがっかりしておるのです。
  534. 松前未曽雄

    松前証人 お答えいたします。先ほどちょっと申し上げましたが、私が防衛部長をしておりました時分に、下に調査課という課がございまして、その課では各国の各種の飛行機のデータをいろいろ調査しております。そこの中に米海軍で使用しておるF11Fという飛行機があった。離着陸の距離が非常に短かい、しかも相当優秀な性能を持った飛行機があるということは私は知っておりました。
  535. 小川豊明

    小川(豊)委員 しかし先ほどのあなたの御答弁では、十一月に調査団が帰るまでは、まさにロッキードがよいのだと思っておった。それが帰ってきてから、あなたは急にロッキードよりグラマンがよろしいのだ、こうなったからには、グラマンという飛行機があることくらいは、僕らだって知っておったのだから、あなたはその性能等調査して、御承知になっていなければならぬはずである。あなたの立場からいうならば、世界じゅうの飛行機、軍用機あるいは戦闘機の性能というものは、おそらくあなたはちゃんと腹に入れていなければならぬものだ。僕らはそういう意味において信頼もしているわけだ。そういうものが一つも入っておらないで、今度調査団が帰ってきたらグラマンがいいんだ。われわれがこの問題で非常に不透明に思い、納得のいかないのは、さっき岡証人が言われたように、一つの機種を決定するのには三年も四年も検討し、調査をし、研究をしてきめるんだ、こういうことを言われておるわけです。ところがあなたは、調査団が帰るまではグラマンがあることは知っておったけれども、それは知らなかった。それで帰ってきたら急にロッキードグラマンに変更した。少しもその間において、検討も調査も、研究する期間も置いてです。そういうふうにきめることはきわめて軽率でないかとわれわれしろうとは思うのです。あなた、これについて軽率だと思いませんか。
  536. 松前未曽雄

    松前証人 お答えいたします。私どもがなぜF11Fをそう関心を持たなかったかという一つの原因は、先入主的に、米海軍で使っておる飛行機を日本の空軍にリリースするということは、まずないのではなかろうかという先入主がありましたので、十分調査もしてなかったわけでございます。
  537. 小川豊明

    小川(豊)委員 ですから、多額の金を支出して、そうして日本の防空を担任するために買うわけでしょう。従って世界じゅうのあらゆるものを十分調査された上で買うのが国民に対するあなた方の任務であり、義務でなければならぬ。それが、そのことは調査してなかった。こっちも調査してなかったけれども、報告を聞いたら、これがよさそうだから、これを買おうということでは軽率過ぎやしませんか。私はこういう点をお尋ねしておるわけです。
  538. 松前未曽雄

    松前証人 私は軽率ではなかったと考えております。まずわれわれが最も早く、スムースに手に入れられるのは、現在米空軍が作って、実際実用中のものか、あるいは研究中のものが一番手に入りやすいのじゃないかというふうに考えておりましたので、研究の主対象をそこに持っていったのでありまして、他を全然無視したわけではございません。
  539. 小川豊明

    小川(豊)委員 実は私も今、田中委員長発言するまでわからなかった。田中委員長発言によって、これは調査もしてないじゃないか。試験もしてなければ、できてもいない、軍の推薦もないのだということがわかったんですよ。そうなると、それを採用するということが、あなたは今軽率でないと言われるが、もし田中委員長の言われたことに対して、あなたはその通り試験もしてない、乗ったこともない、アメリカの軍の推薦もない、そう答弁なさっているとすれば、それを採用しようと内定したことは軽率でないとどこから言えるのですか。どこからこれは慎重であったと言えるのですか。
  540. 松前未曽雄

    松前証人 F11F—1Fは、先ほどから御説明申しました通り二機できて、これの飛行試験が完了しまして、その性能もわかっておりますし、私も実際飛んでおるのを見ておるわけです。防衛庁が買おうとしますのは、そのエンジンのパワー・アップをしたものでございまして、それよりよくこそなれ、悪くなるということは現在考えておりません。また米空軍におきましても、従来の経験、従来のその飛行機のいきさつからしまして、これだけの性能が出るということを知らしておるのです。こういうふうに思います。
  541. 小川豊明

    小川(豊)委員 だめですよ。さっきあなたは、質問に対して何にもやってないと答えておる。それで今僕が聞いたのでは、それはよくこそなれ悪くならない、それは想像ですよ。私どもはそんな想像で一千億も一千二百億も金を出すことはできません。従って、調査はまさに軽率でないと言うけれども、軽率きわまることでんよ。私はそういう答弁では承知できません。あなたの答弁、要りません。
  542. 田中彰治

    田中委員長 松前証人、あなたに聞いておるのは、あなたは前の型を言わないで、日本国防会議で買うときめた飛行機をあなたに聞いておる。それは試験もしてなければ、米軍も採用もしてなければ、できてもおらない、それを言えばよいのですよ。
  543. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 ただいま社会党から、本件は非常に重大性を帯びてきたのでという御意見もございましたが、わが党の立場として、できるだけ穏当にいくようにということで多少新しい折衝が始まった次第であります。そこで松前証人に、あなたが田中委員にお答えになりましたことについて、再確認をいただきます意味でもう一度お尋ねを申し上げます。それは本件に関しまして、三沢のあなたの任地に出張いたしました決算委員会調査員にあなたがお話しになりました事柄と、ただいま当委員会であなたが証書をせられました証言に重大な食い違いがあります。これは具体的な問題になり、また細部に入りますので省きますが、まず第一に、あなたがここで重大なる証言をなさいましたということは、先般四月の十二日に国防会議に提出をせられましたF11F—1Fというものは、エンジン・ナンバーがJ79—3がついたものに対する説明であるということがここで明白になったわけでございます。従ってエンジン・ナンバーのJ79—3もJ79—7も同様性能のものである。似通った性能のものであるとうようなお言葉をもってして御説明になっておりますけれども、おのずからJ79—3は3であり、おのずからJ79—7は7であるのでございまして、これは専門家でございますあなたは当然お認めになるわけでございます。  そこで再確認のためと申し上げましたことは、あなたのごらんになったものは、F11F—1Fと称するものにJ79—3というエンジンのついたものをごらんになり、それをお調べになったのでございますか。
  544. 松前未曽雄

    松前証人 おっしゃる通り、私どもが見て参りましたのはその飛行機であります。それからいろいろその性能につきましてお話をしておりますのは、防衛庁か買おうとしておられます7のエンジンをつけた諸元は先ほどから申しました通り、米空軍において大体教えてもらった諸元でございます。
  545. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 そこで重大なる食い違いが生じておるのでございます。あなたの御証言によりまして、F11F—1Fの国防会議に持ち込まれましたものと98J—11というものは違ったということは、ここで明確にわかったのであります。しかしあなたは米空軍から教えてもらったということをおっしゃっておられますけれども、われわれの手元に集められました調査事項によりますと、米空軍は98J—11というものの試験飛行を断わっておるとわれわれは聞いておるのでございますが、この点はいかがでございますか。
  546. 松前未曽雄

    松前証人 その辺は私は存じません。
  547. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、あなたが言われておりますところの米空軍から得られた資料というものは、どの根拠に基いたものでございますか。
  548. 松前未曽雄

    松前証人 これは私が得た資料ではなく、空幕長が得た資料でございます。
  549. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、あなたとここで論議いたしておってもいたし方ございませんから、この程度にとどめますが、あなたが当委員会証人として御出頭になるにつきまして、先般同僚委員からのお尋ねで、防衛庁とは連絡をとっておらないということをおっしゃっておられます。連絡をとりましたか、とらないかは、いずれわれわれも防衛庁の中に友人もおり、また諜報を得ますのに便宜な方面もございますので、後刻明瞭になりますが、もしそういう点、食い違いができますというと、法律で定められました証言に対します偽証という問題が起って参りますが、この責任を御承知の上でございますか、それを伺っておきます。
  550. 松前未曽雄

    松前証人 防衛庁と連絡をとっておらないことを、さらに明確に申し上げます。
  551. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、あなたは四月十二日の国防会議の内容というものを御承知でございますか。
  552. 松前未曽雄

    松前証人 内容全部を存じておりません。ただこれに内定をされたということだけを聞きました。
  553. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは、さらにもう一度一点だけをお尋ねを申し上げましてお尋ねを終りますが、F11F—1Fというものが、J79の3というエンジンをつけたものと、グラマン社が暫定的に名称づけられました98Jの11にJ79の7というエンジンをつけましたものとはおのずから別個のものでございますか、同一のものでございますか、伺っておきます。
  554. 松前未曽雄

    松前証人 大へん失礼でございますが、ちょっと私、今御質問を途中で聞き漏らしたのでございますが……。
  555. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それではもう一度申し上げます。よろしゅうございますか、F11F—1F、これにJ79の3というエンジン番号の付せられましたものと、グラマン社が暫定的に名称づけました、世界のどこでもわかっておりまする98Jの11型にJ79の7というエンジン・ナンバーを持ちましてエンジンをつけられたものとは、同一のものでございますか、違ったものでございますか。
  556. 松前未曽雄

    松前証人 同一のものではございません。しかし……。
  557. 田中彰治

    田中委員長 それでいい。
  558. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私の質問はこれで終ります。
  559. 田中彰治

    田中委員長 他に御発言はありませんか。——別に御発言もなければ、両証人に対する尋問はこれで終ります。  両証人には長い間大へん御苦労でした。  本日はこの程度にとどめたいと存じます。午前中の会議山田委員より発言のありました件につきましては、委員会散会後理事会で協議を願うことにいたしたいと存じます。  これにて散会いたします。     午後六時五十六分散会