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1958-09-09 第29回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月九日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 鹿野 彦吉君 理事 鈴木 正吾君    理事 高橋 英吉君 理事 山本 猛夫君    理事 小川 豊明君 理事 神近 市子君    理事 山田 長司君       臼井 莊一君    賀屋 興宣君       小林 絹治君    小山 長規君       田中 龍夫君    中村 寅太君       古川 丈吉君    村上  勇君       八木 一郎君    保岡 武久君       山田 彌一君    石村 英雄君       兒玉 末男君    田中幾三郎君       西村 力弥君    松平 忠久君       森本  靖君    横山 利秋君  出席国務大臣臣         内閣総理大臣         国防会議議長  岸  信介君  委員外出席者         内閣官房長官  赤城 宗徳君         内閣官房長官 松本 俊一君         検     事         (刑事局刑事課         長)      河井信太郎君         会計検査院事務         総長      池田  直君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         会計検査院事務         官         (第二局防衛検         査課長)    中島 尚夫君         証     人         (衆議院議員、         自由民主党幹事         長)      川島正次郎君         証     人         (衆議院議員、         自由民主党総務         会長)     河野 一郎君         証     人         (国務大臣、防         衛庁長官)   左藤 義詮君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 九月二日  委員大久保留次郎君、椎名悦三郎君、中島茂喜  君、廣瀬正雄君、八木一郎君、片島港君、上林  與市郎君及び西村力弥辞任につき、その補欠  として田中龍夫君、中村寅太君、小山長規君、  古川丈吉君、臼井莊一君田中幾三郎君、石村  英雄君及び兒玉末男君が議長指名委員に選  任された。 同 日  委員臼井莊一君小山長規君、田中龍夫君、中  村寅太君、古川丈吉君、石村英雄君、兒玉末男  君及び田中幾三郎辞任につき、その補欠とし  て八木一郎君、中島茂喜君、大久保留次郎君、  椎名悦三郎君、廣瀬正雄君、上林與市郎君、西  村力弥君及び片島港君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件(防衛庁航空機購  入問題)      ————◇—————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  先般出席を要求しておりました国防会議議長岸信介君は、午前中は経済懇談会閣議がございますので、午後一時より出席するとのことでございます。あとの河野川島左藤証人も午後一時から出席されますからその際証言を求めることにいたしまして、岸議長に対する質疑証人に対する尋問を午後一時から行うことにいたします。  それまで休憩いたします。     午前十一時二分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  3. 田中彰治

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件、特に防衛庁航空機購入問題について調査を進めます。国防会議議長内閣総理大臣岸信介君が出席されておりますので、同君に対する質疑に入りたいと存じます。質疑の通告がありますので、順次にこれを許します。山本猛夫君。
  4. 山本猛夫

    山本(猛)委員 今回防衛庁次期戦闘機購入に当りまして、防衛庁は政府を無視し、国防会議をロボット化するがごとき様相を呈するに至って、独断専横のふるまいがありましたことはまことに遺憾にたえない次第でございます。岸内閣総理大臣国防会議議長でございますので、国防会議議長として、時間の都合等もございますので、要点をできるだけ圧縮せられました方途をもってお尋ねを申し上げたいと存じます。  まず、国防会議議長としての岸首相は御就任以来何回くらい国防会議をお開きになっておりますか、お尋ね申し上げます。
  5. 岸信介

    岸国務大臣 正確には私記憶いたしておりませんが、三回くらいではないかと思います。
  6. 山本猛夫

    山本(猛)委員 承わりますと、国防会議なるものは経過の正式な議事録お作りにならないということであります。従ってメモをもって会議進行がなされておるというのでございますが、その事実をお認めになりますか。
  7. 岸信介

    岸国務大臣 その通りでありまして、国防会議運営につきましては、これが設置されました当時、議事録をとるべきかどうかということも一応論議の対象になったのでありますけれども閣議と同様にこれは議事録をとらないということに決定されました。そういう運営になっております。
  8. 山本猛夫

    山本(猛)委員 かくのごとき重要な国家の事項に関する案件を、メモという程度のものにしておかれました場合に、それがもし他に、ポケットなどに入れて議員が搬出をいたしますとか、あるいはその辺の書斎等の引き出しに入れておきますとかいうようなことによって、この重大なる秘密をも含むところのメモが他に漏洩せられるというような危険性はお考えになりませんかどうか。
  9. 岸信介

    岸国務大臣 言うまでもなく国防会議議事内容等は厳格に秘密を守るべきことが法律にも規定してございまして、従いましてメモ等がそういうふうなことになる、あるいは会議に列した者がその内容をゆえなく他に漏洩するというようなことは、国防会議の性質上厳にこれを戒めなければならぬ、かように思います。
  10. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それならばお尋ねを申し上げますが、ここにこういう証拠物件がございます。これは私の某友人にあてられました手紙を写真をもって複写をいたしたものでございます。これにはさらに幕僚長グラマン内定いたしました当時の模様がつまびらかにされておるのでございます。これに対しまする国防会議議長としての御所見を承わっておきたい。
  11. 岸信介

    岸国務大臣 私自身その書類を見たこともございませんし、どういう内容であるかも承知いたしておりません。従って今御質問でありますけれども、先ほど私がお答えを申し上げましたように、もしも国防会議内容に関する秘密漏洩であるとするならば、これは法律の規定に反するわけでありますから、十分に綱紀の振粛をすべきものであると、かように考えます。
  12. 山本猛夫

    山本(猛)委員 この証拠物件に対しまする問題を取り上げて参りますと、論議にわたる点等にもなりますので、時間の都合上省いて後日に譲ることといたしますが、いずれにいたしましても、国防会議の結果、内定をせられましたグラマン内定事項がつまびらかになっておりまする証拠物件でありますることは御承知おきを願いたいのでございます。  次に承わりますが……。
  13. 山田長司

    山田(長)委員 議事進行について。この問題に関連のある人たちを同席させることはまずいと思うのです。そういう点で幹事長防衛庁長官にもこの場合は退席していただいた方がいいと思うのですが、一つ皆さんにお諮りを願いたいと思います。
  14. 田中彰治

    田中委員長 それでは、どうせ証人になにするのですから、変に思われるのもいやですから、ちょっと出ていて下さい。     〔証人退席
  15. 山本猛夫

    山本(猛)委員 従って、かような次第でございまして、まだたくさんの証拠物件もございますが、これは後日に譲るといたしまして、かような次第で国防会議模様は他に漏洩いたしておりますることは厳固として否定できないのでございます。でございますから、国防会議議長メモ式のこの会議運営方途を改めて、議事録お作りになって会議を進められるということをお考えになりますかどうか。
  16. 岸信介

    岸国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、この会議重要性及び秘密を保持する必要上議事録を作らないということが運営の規則に決定をされておりまして、日時とかあるいは議案とか決定事項はこれを記録してそうして保存するということになっておりますけれども、しかし正式の議事録を作るべきであるかどうか、及びその議事録をさらにいかなる点は一応の議事録にとめ、いかなる点は秘密議事録にすべきか等の点は十分に研究をしてきめなければならぬと思います。いずれにしてもメモ等によってそれが外部に漏洩するがごときことは、これは私は議長として厳に一つ取り締るつもりであります。議事録の点につきましては、そういう点を十分に検討いたしまして善処したいと思います。
  17. 山本猛夫

    山本(猛)委員 今回次期戦闘機機種グラマン内定をせられましたことに関しまして、やはり機密事項に属すると思われる点が他に漏洩をせられておりますが、ただいまの議長お答えによりまして一応了承するといたしまして、たとえばこの戦闘機購入グラマン内定をいたしましたのは三月の十五日でございます。この三月の十五日に、当時の防衛庁長官であります津島、それから空幕長佐薙及び高橋防衛第一課長の三名がこの三月の十五日の早朝に会合せられまして、そしてグラマン機購入内定する基本的な話し合いをされております。そうしてその決定に基きまして高橋防衛第一課長は本省の関係課長にこれを伝えまして、防衛庁次期戦闘機機種グラマンである、であるから来る四月に開かれる内定を目途とする会合に対してはことごとくグラマン決定焦点を合せるように諸般の準備をされたいということを伝えておるのであります。これを国防会議議長は御承知でございますか、承わっておきます。
  18. 岸信介

    岸国務大臣 防衛庁がこの機種決定するにつきましては、原局として国防会議に意見を提出すべきことはこれは当然であるわけであります。それが当時の防衛庁長官のもとに関係者が集まって話をしてきめたことだと思いますが、その日時であるとかそのいきさつというものは、これは私自身承知いたしておりません。
  19. 山本猛夫

    山本(猛)委員 先般当委員会国防会議事務局長証人として喚問いたしました際には、内定の日は四月の十二日である、こういうふうに言われて、その十二日に焦点を合せられました諸般の答弁を行なっておられるのでございます。そして国防会議議長としての岸信介君から内閣総理大臣としての岸信介君あてに、国防第一三三号という書信が発せられております。これによりますと、「航空自衛隊次期戦闘機については、今後の計画を進行せしむる諸条件を整備するため一応F11F—11Fを採用することに内定する。」こういう公文書が発せられておりますが、議長は御承知でございますか。
  20. 岸信介

    岸国務大臣 もちろん承知いたしております。
  21. 山本猛夫

    山本(猛)委員 当委員会でさきに国防会議事務局長を招致いたしまして、証人として喚問をいたしました場合には、これを肯定するお答えは得られなかったのでございます。  もう一つは、先般も問題に相なったのでございますけれども機種がきわめて不明確な名称がついております。F11F—1Fという名称防衛庁がおつけになりました経緯を御承知でございますか。
  22. 岸信介

    岸国務大臣 一応は承知いたしております。
  23. 山本猛夫

    山本(猛)委員 しからばお尋ねを申し上げますが、飛行機は御承知通り名称というものはきわめて大事でございまして、世界共通のものでなければならないというようなことすら言われておるのでございます。そしてこの機種は御承知通りまだ製作をせられておりません。試験に使いました、購入するであろうというこのグラマン機エンジンは、伝えられておりますようにナンバーが3、日本防衛庁購入しようといたしますエンジンナンバーは7でございます。そしてまだ米空軍にも配属をせられておらないのでございますから、米空軍におきましても、部隊で命名しますところの名称は付せられておらない。言いかえますならばまだ生まれない子供でございますから、かりにグラマン社が98J—11とこう呼んでおるのでございます。国民疑惑というものはそういうところにも集中されておるのでございます。試作として作られましたと称しておりますところの二機に付せられましたエンジンナンバー3、日本防衛庁購入しようとするものは、そのエンジンナンバーは7でございます。そして名称が違っている。国民疑惑を持ちますところは、あるいはこの機種F11F—1というタイガー、つまりアメリカの海軍で使用いたしております艦上機、これを少し手直しをして実際には持ってくるのではなかろうか、そのためにエンジンナンバーの違っている試作機承知の上で購入内定し、従って世界のどこでもわかる会社でかりに付せられました98J—11という名称があるにもかかわらず、日本防衛庁が、世界の何人も了承しておらない別な名前を付したのではないか、こういうような疑惑が伝えられておりますが、議長のお考えを伺っておきます。
  24. 岸信介

    岸国務大臣 私はF11F—1Fというなにに対しまして、当時これを内定する場合の資料のうちに、たしかカッコをしてこれは86J—11を意味するものである、以下これの扱いとしては、一応F11F—1Fという言葉を使っておるけれども、それは86J—11を意味するものであるというような説明資料を見た記憶がございました。そういう意味内定する場合におきましても、F11F—1F、こういう名称を使ったのであります。その内容的には今お話のように会社で設計の名称として言っている86J—11ですか、これを意味するものである、こういうふうに了解いたしております。
  25. 田中彰治

    田中委員長 時間ですから、簡単にやって下さい。
  26. 山本猛夫

    山本(猛)委員 今の議長お話にありました86は98の間違いでございましょうと思いますから了承いたします。  それからもう一つ承わっておきますが、今86という数字は間違って議長がおっしゃったものと了承いたしますけれども、86の問題でございます。現にF86Fなる戦闘機は三百機の生産目標を立てまして、そのうち百機が生産をせられていると伺っておるのでございますが、これは日本防衛のためにのみ購入せられましたものでございますか、あるいは防衛産業育成のためをも含めてお買いになったものでございますか、その点を伺っておきます。
  27. 岸信介

    岸国務大臣 もちろん航空機の問題は、日本防衛のためにこれを採用しているわけであります。しこうしてその防衛を真に地につけ充実するためには、やはり国内に防衛産業たる航空機工業を確立していく必要があると思います。しかしF86Fを採用した理由は、言うまでもなく日本防衛のためにこれを採用したのであります。
  28. 田中彰治

    田中委員長 時間でございますよ。
  29. 山本猛夫

    山本(猛)委員 しからば簡単に承わりますが、現在製作中の86というものは、アメリカ製作をされますと、価格日本の円に直しまして五千万円から六千万円でございます。しかるに日本の工場へ持って参りまして、これに加工をいたさせますと、現在一機一億五千万程度になっておるはずでございます。それは御承知でございますか。
  30. 岸信介

    岸国務大臣 正確な数字は私記憶いたしておりませんが、国産にすることによって実際上価格が高くなるということは、これは事実としてあるのでございまして、従ってアメリカから大量生産されておるそのものを買い入れるよりも、日本でこれを国産化する方法によりまして、航空機を作る場合において、その点原価が高くなることはやむを得ない、かように思っております。数字は私正確には承知いたしておりません。
  31. 山本猛夫

    山本(猛)委員 最後に一点だけお尋ねを申し上げておきます。時間がございませんのでつまびらかにお尋ねを申し上げるわけには参りませんが、要約いたしましてこういうことをお尋ね申し上げておきます。  それは、まず第一点には、F86がまだ二百機生産をせられておらない。しからば百機生産をせられたのであるが、これを乗りこなしますところのパイロット防衛庁には、たしか私の調査が誤まっておりませんければ、四十名に達しないはずでございます。それからさらに今度お買いになろうとするこのグラマン機でございますが、このグラマン機はまだ試作機と称するものは二機しか製作をせられておりません。しかもそのうち一機は大破をし、一機は墜落をしているというようなことが伝えられております。しかりといたしますれば、この仕様書見積書等も拝見をいたしましたけれども、これが製作をせられまして部隊配属になりますのは昭和三十九年でございます。その間、試作機に対しますところの費用は全部日本負担ということでございまして、その試験等もまだ十六時間しかやっておらない。常識の命ずるところに従いますれば、これらの試験は三十万時間を要するというのでございます。しからばいかなる根拠によってこれを購入する内定をせられたのであるか。国民血税を重大視せざるもはなはだしいものでございまして、これを明確に議長からお答えをいただきませんければ、本件の国民疑惑を解くことはできないのでございます。従って議長はいかなる責任においてこのグラマンを御内定になりましたのか、承わっておきます。
  32. 岸信介

    岸国務大臣 言うまでもなく、機種決定ということは非常に重要なことでございます。従いまして、これを内定するに至りますまで国防会議としましては数回の懇談会も開きましたし、事務局においていろいろな資料検討し、しかも言うまでもなく今お話がありましたが、私は日本の真の防衛を確保するためには、やはり日本防衛産業の確立が必要であると思います。この見地から見ますと、このF86を製作しておるのと、今度の新機種を定めましても、それに対する実際の生産には相当な年月を要するのでありまして、その間にはギャップができることは日本航空工業としては、はなはだ望ましくない結果を生ずる、そういう意味において一方において慎重に審議することもし、真剣にこれを検討すると同時に、またいつまでも便々としてこの機種決定しないということは将来の日本航空機産業の上にゆゆしい結果を生ずるのでありまして、こういう意味において、私はしばしば国防会議の職員並びに防衛庁に向ってその機種決定に関する資料を十分に整えて、そうして国防会議に早く出すようにということを督促をいたしておったのであります。しこうして言うまでもなく、この機種決定におきましては、第一にその性能日本防衛目的に適するかいなかというその性格の問題、それからさらにそれを作るにつきまして財政的の負担、今お話がありましたが、国民血税を用いての点というようなことを詳細に検討してこれを決定しなければならぬこと、言うを待ちません。そういう意味におきまして、私どもはこの国防会議において数回の懇談会も開き検討もいたしました。しかしながらなお私として、議長として責任をもって考える場合において、未確定の分子が相当あるがゆえに、しかしその未確定なものを確定的にするためには、一応機種内定してそうしてその方面の専門の技術者をして現地について研究せしめるとか、さらに具体的のこの責任ある資料を集めるとかいうふうに、要件を完備するためには一応機種内定せなければならぬ。しかも私どもの当時の検討によるならば、今申しました日本防衛目的また機種の持っておる性能、それから一応の大ざっぱな見積り等を頭に置いてグラマン内定することが適当である。しかしながら、それはあくまでも内定であって、その決定のためには詳細な具体的な検討をさらに続けていかなければならないという意味におきまして、現地技術者も派遣し、その他具体的な資料もわれわれは集めて、またこれと比較研究すべき機種についても参考の資料を集め、目下検討中であるのが現状でございます。私は、この問題が国民の非常な関心の深い問題であり、もしも万一これについて国民疑惑を持つというようなことがあっては、これはゆゆしいことであります。私は、国防会議議長として、責任を持って国民の納得するような方法によって機種最後決定をいたしたい、かように考えております。
  33. 山本猛夫

    山本(猛)委員 最後にいたそうと思いましたが、ちょっと不明確な点がありますので二、三お尋ねいたします。  今、議長お答えによりましてまことに力強く感ずるのでございますが、しかし、実質はそれと全く背反しておる。たとえば、佐薙空幕長が、ロッキードの社長、技術者責任者日本にやって参りました前に、アメリカ大使館を訪問して、ロッキードのこういう売り込みの人たち日本政治家に会わないように、ことに自民党の幹部には会わないようにアメリカ大使館で取り計らってくれと言われて、断わられております事実。  もう一つは、グラマン内定までに相当多額な運動費がばらまかれている事実がございます。これはいつでも証拠をあげて御説明ができるのでありますが、こういうようなことも、今お答えになりました議長国民に対する真摯なお心がまえとは背反する実態が露呈をせられておるのでございます。しかも防衛庁内におきましては、グラマン以外の他の機種を希望いたしました松前、岡というような人が左遷をせられている。こういうような事実等も現われております。  もう一つには、これはおそるべき事態でございまするけれども、かつて戦前に兵器には菊の御紋章がついておった。よって兵器に批判を許さなかった。こういうような思潮がまだ防衛庁内には歴然として残っているという事実がございます。こういうようなことを一つ一つあげて参りますると、このたびのグラマン購入に当って国際的汚職のにおいの強い疑惑を持っておりますものに対しまして、ただいま議長お答えというものはまことにそれを裏切るたくさんの事態があるのであります。私は先ほどお目にかけましたこういう文書、その他の書類による証拠品、あるいは空幕長米国大使館を訪問しました実態を裏づけるところの証拠、こういうようなものを的確に持っております。  それから、もう一つお尋ねを申し上げておきたい。このグラマン機は、今NATOなどの諸国で選ばれますものは小型戦闘機でございます。日本滑走路その他のことを考慮して、このグラマンの方がよろしいのだというような決定内容もここで説明書としていただいておりますけれども、しかしながら、何がゆえにNATO諸国が今選んでおりますもっと小型の実質的な戦闘機をお選びにならなかったかということ。それからもう一つには、グラマン部隊配属をせられますのは、時間的に考えまして昭和三十九年でございます。ミサイルの時代にすでに入っておりますことは、議長承知通りでありますこの戦闘機日本部隊配属せられますときには、これは画餅にひとしい時期になってしまうことも議長はお考えになっておらなければならない。しかるがゆえに、私は、防衛産業育成のためにすべてを犠牲にして、日本防衛ということは二の次にして、防衛産業育成に重点を置いた施策をもってこれを購入するのであるというお考えであればいざ知らずでありますが、一千億もの国民血税をこれに充て、しかもこれは、まだ試験の期間というものが日本負担になっている。こういうようなことを考えますと、一千億以上の金——防衛分担金の半額を除外しても一千億以上の金が今後要るわけであります。しかも、パイロットの養成、地上整備に対しますところの諸般の施設、これはかいもくできておりません。こういったような点と、もう一つは、AAMを積むのでございますが、このAAM——今日までは核弾頭をつけておりません。しかし、今後生まれますこのグラマン機には、期せずして核弾頭をつけざるを得ないような国際情勢になっておりますことも議長考えのはずであります。一体わが国の防衛庁は、この核兵器を装備しなければ役に立たないグラマン機購入に対してどういうお考えを持っておられるか。以上に対しましてお答えをいただきたいと思います。
  34. 岸信介

    岸国務大臣 この国防会議におきまして機種決定いたしましたいきさつにつきましては、先ほど私がお答えした通りでありまして、いろいろと山本委員からこれについて疑惑の点をおあげになりまして御意見がありました。私は、現在までそういう事実を一切存じてもおりませんし、またあり得べきものだとは思っておりません。ただ、これの最後決定をすることがわれわれ国防会議としてゆだねられておるのでありますから、先ほど申し上げましたように、一国防会議議長としての決意を申し述べたわけであります。  ただ、核兵器の問題につきましては、これは私しばしば国会において回答をいたしております。また、世界に向って核兵器の禁止の問題を強く訴えております。私は、この日進月歩の科学的な兵器の発達におくれないように十分新兵器を取り入れて研究するが、しかし、核兵器は、日本としては絶対に用いない、少くとも私は、このことは政治家としてきわめて明白に申し上げていることでありまして、そういうことは、たとい防衛庁の一部において用いることが有効であり、用いたいという意見がありましても、私が総理大臣をしている以上は、絶対に反対をいたします。それからまたグラマン機核弾頭を用いなければ有効でないという今の御意見でありますが、私はさように了解はいたしておりません。従ってグラマン機決定するということと核兵器の問題は全然切り離して私としては考えておるのであります。
  35. 山本猛夫

    山本(猛)委員 以上をもって、一応私のお尋ねを終了しておきます。
  36. 西村力弥

    西村(力)委員 議事進行。ただいまの山本委員の発言中に相当重要な点がたくさんあるのです。私たちが重大に思うばかりでなく、この問題を注目をしている国民全体が関心を大きく持たざるを得ない発言がたくさんある。すなわち、たとえば秘密漏洩しないはずにかかわらず、かくのごとき種々の写真があるという工合に事実を示された。あるいはまた、相当の運動資金がまかれたという事実を知っているということ。うわさがあるのを知っているのではなく、事実そのものを知っているという発言がある。あるいはまた、米国大使館に行って断わられたという事実があると発言をして答弁を求めているわけなんですから、その事実があるという発言をはっきりここにこの際出してもらうような工合に委員長が取り計うことはできないのかどうか。その点さっそく理事会を開いてその発言の内容を明白にする手段を講じていただきたい。これを一つ希望したいと思うのです。
  37. 田中彰治

    田中委員長 西村委員お答えいたします。今質問中でありますから、また山本君もそれに対する証拠を今持っているか持っていないかまだわかりません。まだこれから証人をたくさん調べるのですから、そういう事実があれば証人を調べるうちに事実が出てきますから、今質疑中に山本君のそういうものを取り上げるというような考えを私は持っておりません。  山田委員
  38. 山田長司

    山田(長)委員 昨年ソ連がICBMや人工衛星の打ち上げに成功して以来、世界の防空戦略には大きな変化が私は起っておるものと思うのです。来たるべき飛行機の時代には、当然無人の誘導弾時代が必ず参ると思われます。最近アメリカからの情報によりますと、有人機の製作については、すでにこの計画をかなりの会社で変化を持ち、予算の引き延ばしや削減、あるいは責任ある軍部当局でさえも契約を破棄して、これが航空上における飛行機製作の変化を持っておる。こういう状態にありますから、おそらくこれはアメリカばかりではなしに、世界各国においてこの情勢を把握されて、これが急激な変化を持っているということは事実だと思うのです。そこでわが国においての問題になると思うのですが、先ほど山本委員から指摘がされたのでありますけれどもF86の製作は新三菱で今日国民の莫大な血税の中から依然として続けられておる。しかも今、山本委員の指摘したように、これが来年度にわたってまで続けられるというふうなことでありますが、これらの問題についても当然国防会議議長として、それが世界人たちが全部見ていて、なおかつその戦闘機製作については笑っているというような状態だと言われておるのに、約束をしているんだからということで新三菱の製作というものをこのまま持続させるのかどうか。私はこれは抜本的に——当然総理としては世界の大勢に即応したものの考え方があってしかるべきだと思うが、その点いかなる考えをお持ちですか。
  39. 岸信介

    岸国務大臣 ただいま山田委員の御質問のようにミサイルの発達や、あるいは人工衛星の打ち上げ等によりまして、一つの防空上の見地から相当な変化のあること、また変化が起りつつあるという事実は私も認めます。しかしながら現在直ちに有人機というものか無用であるという考え方は私はとらないのであります。ミサイルの研究やその他の発達しておるところの国におきましても、やはりそういうものの研究を進めるのと並行して、有人機の性能を高め、それの改良、発達による飛行機製作というものは、依然として国防上重要な使命を持っておるというのが現状でありまして、この情勢に根本的な変革があって、一切有人機というものはもう不要だというふうに即断することは私は適当でない、かように考えております。
  40. 山田長司

    山田(長)委員 少くとも世界の航空史上F86のように時代おくれの飛行機については、当然これを中止するなり、廃止して、もっと意義のある社会保障制度の方に回すことの方が、現在の日本の状態では当然考えられてしかるべきじゃないかと私は思っておったのです。今の首相のお考えでは、F86の製造については中止する意思がないということでありますが、この点については先ほど簡単に山本委員が触れておったようでありますが、新三菱に依然としてこの製造をさせておくということについては、新三菱が設備資金に四十億円投資している。あるいは川崎重工が十五億円設備投資している。こういうふうな関係で、契約がしてあるのだから仕方がない。とにかくやらせておくのだ。もしこんなふうなことでは、やはり航空機世界のことを知っている人たちから見ると、議長までがそういう考え方を持っているのだから、これは新三菱と首相と何か関係があるのではないか、それくらいな実は声が国民の中から出ているのです。ないことを私は信じています。しかし国民の苦しんでいる生活事情を考えたときに、でき上った時分には使いものにらないような飛行機の製作国民血税を何のためにつぎ込む必要があるのか、こういう点。新三菱及び川崎重工などについて、根本から契約を破棄するというふうな考え方については、全然何もお持ちになっていませんか。
  41. 岸信介

    岸国務大臣 御承知のように日本航空機工業は、去る戦争中におきましては日本の技術は世界の一流のレベルに達しておったと思うのであります。戦後これが全然廃棄せられまして、再出発している状況が今日の状況でございます。しかしF86を製作することにつきましてイタリアも日本と同様に出発したのでありますが、日本の方がはるかに優秀な成績を上げているということを私は聞いております。もちろん先ほども明確に申し上げましたように、飛行機を採用するかしないか、あるいは飛行機の機種を何を採用するかというようなことは、言うまでもなく第一段に日本防衛という見地から考えるべきことは当然であります。同時に独立国として自主的な防衛をする意味からいたしまして、その防衛に関連の産業が国内に自立するということも、私は防衛上必要であると思う。今御指摘になりましたが、私は決して新三菱であるとか、あるいは川崎であるとか、特定の会社と何らの関係も持っておりませんし、またそれを保護しようという、その特定会社をどうしようという考えは毛頭持っておりません。しかし今のお話のように、これと契約しているから、仕方ないからこれをやっているのだというような投げやりな考えではもちろんありません。われわれがある機種をきめて、それの製作を、日本に国産として航空機製作の工業を確立するという意味におきまして、技術や設備やその他の点を考えて適当な会社製作を命ずることの契約をするということは当然であります。そういうことが現在進行している状況でありまして、私は現在の契約を破棄して、それが会社に悪い影響を及ぼすからどうだということじゃなしに、当然これはわれわれが長期の国防計画として考えておる飛行機の一定量の整備という、この計画の一部を担当している会社でありますから、これを廃棄するような意思は毛頭持っておりません。
  42. 田中彰治

    田中委員長 山田委員にちょっと申し上げますが、先ほどの新三菱と何か関係があるのじゃないかという話は、お互いに、あなたの方の鈴木さんもそうだが、総理大臣は一国の総理だから、そういううわさのようなことは、委員長として速記録から削っておきますよ。
  43. 山田長司

    山田(長)委員 うわさがあると言っておるのに、何も差しつかえはないでしょう。
  44. 田中彰治

    田中委員長 うわさでもちょっと不穏当ですよ。それは私にまかせて下さい。
  45. 山田長司

    山田(長)委員 戦闘機機種決定に当っては、グラマンとかロッキードとか、いろいろ世間で取りざたされておる。われわれが特に問題にして考えられることは、半年ぐらいの間に、グラマンにしてもロッキードにしても、単価の上に大きな変化がある。この見積書の大きな変化のある事実について、議長はそのつど、これがどういう変化で単価上における変化が起っておるのか、これを知っているかどうか。
  46. 岸信介

    岸国務大臣 先ほど申し上げましたように、一応私ども国防会議においてグラマン内定して、そうして最後決定をするに必要な条件を整えるためのいろいろな調査検討をいたしております。この途上におきまして、これと比較すべき機種内容等につきましてやはり検討をいたしております。いまだ最後決定をいたしておる時期ではございませんで、この間にいろいろな変化があることは、航空機のごとき非常に先端を行っている工業におきましてはありがちのことでございまして、特に大量生産の過程に入るとか、あるいは部品の改良であるとか、あるいはこれに搭載すべき機器類の発達の状態であるとかいうようなことから、いろいろな変化を及ぼすことは当然でありまして、私どもはそういうことを慎重に検討して、そうして国民が納得するように最後決定責任を持ってやる、かように申し上げておるわけであります。
  47. 田中彰治

    田中委員長 山田君、時間がきておりますよ。
  48. 山田長司

    山田(長)委員 時間がきておるといっても、ちゃんと時間を見てやっているのですよ。  さっき山本君に対する答弁によりますと、国防会議議事録が全然残っていない、それからメモ程度のものであるけれども、残っている事実を山本君は指摘した。その内容を明らかにすべきでないということを総理は言っておるが、これは私は最も危険だと思う内容を明らかにすることによって、国民が知らぬうちに戦争に持っていかれるという危険がなくなってくると思うのです。そういう点、どうして内容を明らかにする必要をあなたは感じないのですか。
  49. 岸信介

    岸国務大臣 先ほど私はかように申し上げたつもりであります。国防会議議事については、国防会議の最初の会議においてその運営規則が定められ、その際に議事録を作るべきかいなかということが当時論議されて、こういうものについては議事録を作らないことがいい、ちょうど閣議と同じように扱うことがしかるべきだという結論のもとに、作らないという運営の規則ができております。しかし、現在こういうものについていろいろな論議が行われたり、あるいは国民がそういうことについて多少の疑惑を持つというようなことが万一にもあってはいかぬから、最初にはそういう検討のもとに現在の運営規則ができておりますが、その規則を再検討して、そうして議事録を作るべきかいなか、また作るとしても、秘密議事録と普通の議事録に分けることが適当であるかどうかということを十分に検討して善処したいということを申し上げたわけであります。
  50. 山田長司

    山田(長)委員 国防会議には民間の人を入れると秘密が外部に漏れる、こういうことで民間の人を入れないということを言われた事実があるが、この点についてはその内容はどうだったのですか。
  51. 岸信介

    岸国務大臣 国防会議法の制定の際にどういう構成にするかということは、議会におきまして御承知のように非常に論議のあった問題でございます。民間の人を、有識者を入れる方がいいという議論、もしくは入れない方がいいという議論が十分に論議されました。その際に民間の人を入れるということの反対論の一つとして、今山田委員が御指摘になりましたような点が論議されたことは記憶いたしております。
  52. 田中彰治

    田中委員長 山田君、時間だがね。
  53. 山田長司

    山田(長)委員 あと二点。国防会議に匹敵するような国防会議に関する懇談会というものを持っておる。この懇談会には民間の人たちも入れておる。大体この懇談会の意見というものが相当国防会議にも反映していると思うこれは民間人を入れている結果になると思うが、その点はどうですか。
  54. 岸信介

    岸国務大臣 国防会議懇談会には民間の人は入れておりません。ただ正式の国防会議ではなくて、それの準備的な、予備的な、懇談的な会議として事実上行なっているわけでありまして、それの構成者は国防会議の正式のメンバー以外の人は入れておりません。
  55. 田中彰治

    田中委員長 山田君、総理が二時四十五分に民間放送に行かれるのだから、それまでにあなたの方の質問をされるように。もうだいぶあなたには余分にあれしている。
  56. 山田長司

    山田(長)委員 もう少し聞きたいことがあるのだが……。
  57. 田中彰治

    田中委員長 約束があるから、理事会できめたことはきめたことで守っていただきたい。
  58. 山田長司

    山田(長)委員 もう一点。総理は今、AAMの問題について、今度の戦闘機の選定に当ってこれは関係ない、これは使用しない、核兵器には直接関係はないのだというようなことを言われているが、イギリスでもフランスでもアメリカでもソビエトでも、核の装備については最近非常に小さなものもこれを取りつけることができるようになっているという。そうすると、今度のAAM考え方によると核兵器の装備ですよ。総理はいかにも、核兵器には関係ないのだ、これは断固として信念として取り扱わないのだというようなことを言っているが、実際に今度の戦闘機には、AAMの装備というものは完全に核兵器装備ができるような状態になっているが、それは知っているのかいないのか。知らずにそういう戦闘機機種の候補を取り扱っているとするならば、あなたの言っていることと相反すると思うが、どうですか。
  59. 岸信介

    岸国務大臣 先ほども申し上げましたように、これはもちろん誘導弾というもの、誘導兵器というものは、これが研究開発を自衛隊におきましてもやっております。また私はやることが適当であるということを申しておる。しかしながら核兵器はこれを用いない。これは日本国民の確信であり、今御指摘のように各国がこれを用いているという現状をなくしようとして私は努力いたしておるのでありまして、またそれが国民の総意を表現した国会の意思であると私は考えております。そういう意味におきまして私は核兵器を用いないということを明瞭に申し上げておるのであります。しかし誘導兵器は今申しましたようにこれを研究開発して、そうして世界におくれないように研究をすることは当然であります。しかし私は、いかなる意味においても核弾頭をつけてこれを核兵器としては用いないということをはっきり申し上げておきます。
  60. 田中彰治

    田中委員長 山田君、ちょっと待って下さい。時間をあなた一人で二十分やってしまった。わが党の時間をみなあなたにやっちゃった。——小川豊明君。
  61. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 非常に時間が制約されていますので、いろいろお聞きして結論的なものを得たいと思ったのですが、そういう時間がありません。大体結論的なものだけお尋ねすることにしたいと思います。  そこでこの、一応内定したという発表があったわけですが、防衛庁ではF11Fですか、国産準備委員会を作ってすでにこの実現に踏み出してしまっているような感じを与えるわけです。そこでこの一応内定という発表を議長であるあなたはどう理解し、どう受け取られたか。この点をまず伺いたいと思います。
  62. 岸信介

    岸国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、あの国防会議決定をごらん下さればその内容はきわめて明瞭であると思います。先ほど来申しているように、性能の点であるとか、あるいは価格の点であるとかその製作技術の点であるとかいうようなことについてさらに具体的に専門家に十分な検討をさせ、その具体的な検討の結果に基いて最後の審査決定をするというのが内定意味でありまして、現在はその内定後における各種の調査研究の道程でございます。
  63. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この問題が起りますと、与党の方では八月の二十二日に急遽党の六役会議を開いて、このF11F—1Fを内定したことを一たん白紙に返し、あらためて防衛庁とは関係のない学識者によって委員会を構成し、それによって再検討し、国民疑惑を解く、こうきめられたと新聞は報じておりますけれども、これは事実でございますか。
  64. 岸信介

    岸国務大臣 私は、今お話のような事実は少し誤まり伝えられているように思います。言うまでもなく機種決定は、国防会議におきまして、私が議長として、国防会議法に基いて厳粛に決定すべき重要な問題であります。しこうしてそれが最後決定をなすまでに十分慎重な、精密なる検討を加えることも、これまた当然であります。従いまして、いろんな意見を聞く必要も私はあると思う。そういう意味において、こういうふうな議論のある問題について民間の人の意見も聞いてみるということを党の方において考えられたということは聞いておりますけれども、その民間の経験者を集めて、それで決定するという性質のものではもちろんございません。従って党においてそういう決定をすることはないと私は思います。
  65. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は新聞が書いたのをそのままとったわけですけれども、そうするとかような新聞の報道ではなくて、決定はあくまでも決定である、それについての意見等はこれからも聞くけれども決定はくつがえされることはない、かような解釈でよろしいわけですか。
  66. 岸信介

    岸国務大臣 内定をしたという事実は、これは動かすべからざる事実であります。しかしそれはあくまでも内定であって、最後決定ではございません。従って、決定を動かすとか動かさないとかいうことはございません。また、内定したという事実をくつがえすことも私は意味をなさないと思います。今申しましたように、最初から考えられているように、慎重にあらゆる問題を検討し、国民が信頼、納得するような方法において、国防会議において責任をもって最後決定をする、かように申し上げておきます。
  67. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 どうも、今あなたの御答弁を聞いておると、一応内定だから、あくまで慎重に検討はする、こういう答弁です。しかし、一応内定したのだから、これは変えないのだ、こうも解釈できる御答弁なんですが、慎重な検討の結果変えることはないわけですか。
  68. 岸信介

    岸国務大臣 私は、内定したという事実は変えないと言うのでありまして、最後決定グラマンにする、これは動かすべからざる事実であるということを申し上げておるわけでは決してございません。検討した結果、最も適当な機種があるということは、これはもちろんでありますが……(発言する者あり)そういう意味であります。
  69. 田中彰治

    田中委員長 御静粛に願います。
  70. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 わかりました。そうするとただいまの御答弁は、内定したということはあくまで内定したのだから、くつがえすことはない、しかし内定決定じゃないのであるから、今後調査検討した結果これが変えられることもあり得る、こう解釈してよろしいわけですね。
  71. 岸信介

    岸国務大臣 さようでございます。
  72. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで私、非常に時間がありませんので、最後に結論的な点で一、二点お伺いしたいと思います。  私はこういう決定が非常に論議の中心になったことを考えるときに、防衛庁という一つの官庁が、政府の明確な決定を待たずに先走ってしまったということが考えられるわけです。かつて日本は日華事変の泥沼の中に引きずり込まれてしまって、抜き差しならぬ状態になって、とうとう太平洋戦争に持ち込まれて、今日まだ塗炭の苦しみを味わわなければならぬのは、もちろん専横をきわめた軍部が政府の方針を踏みにじったり、議会の意向を無視した結果であると考えなければならぬ。そうすると、自衛隊の制服組と称する人人が、失地回復的な気持で、今から、責任ある政府の決定を持たずに、こういうような越権処置とは言いませんが、非常に出過ぎた行為をすることに対して、これは旧軍部のあやまちを反省しないばかりでなく、再びこのあやまちを重ねるようなおそるべき思い上りではないか、こういうふうに考えるのであります。私の言い方が少し激越かもしれませんが、私はこの機会に政治優先の方針と決意というものをはっきりと総理から表明願いたい、かように思うのです。
  73. 岸信介

    岸国務大臣 戦後日本の行政機構で、あるいは行政上の諸問題に関して非常な大きな変革のあった問題は、私はその一つは言うまでもなくこの国防に関しての政治優位の原則が確立されたことであると思います。これは戦前の事情とは全然違った考え方、しこうして言うまでもなくこの国防の問題は大きな政治の問題であります、ゆえに政治が常に優位を持たなければならぬというこの戦後に掲げられた原則は、日本において非常な意義のある問題である。あくまでもこれを堅持していくということは当然である。先ほど来いろいろ御論議があり、御意見もございましたが、先ほど申したように、これは内定したのであって、内定する必要は、さらに具体的の資料を集め、技術的な検討をする必要上、またこれが製作についての具体的な計画を立てる必要上、一応内定して、その計画を十分に具体化するように資料を整える、そのために防衛庁はいろいろな研究をし、いろいろな調査をし、いろいろな準備をしておるということであります。私はこれは当然なことであろうと思います。しかしながら先ほど申し上げましたように、グラマン一つ最後決定をしたわけではございません。従っていろいろと他の優秀機につきましてもその途上において比較考量をして、そうして最後決定責任をもってなすべきものであると私は考えるのであります。従って防衛庁がやっております内容につきまして、ことごとくそれが政治優位の原則を破り、もしくは防衛庁の行き過ぎというふうに断ずることは適当でない、かように考えます。
  74. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この問題は、国会でたとえば一億か二億の予算を決定するのでもまっかになっていきまいて議論をしておる。ところが一千億というような莫大な国費がわずか三百機の飛行機の購入のために費消されるというのであります。この決定が事もなげに一防衛庁の五、六の幹部によって決定されてしまってはならない、こう思います。  次には、この機種決定には、国防会議の内部にもかなり議論があったということを聞かされております。議論のあることは当然であって、いいと思うのであります。さらに防衛庁の内部にも相当議論がある。先ほど聞くと、ロッキードを推薦した、あるいはそれを支持した幕僚というものは左遷されたというようなことをこの席上で聞いておるわけです。そういう点から見ると、この決定というのは、国民を納得せしめることを欠くような、明朗を欠いた点がある、こう考えなければならない。  第三点では、この委員会でこの問題が取り上げられて審議されておるその過程で、国民疑惑もこの機種決定について深まっておるということはいなめないことだと思う。以上のような点から、今総理は内定をくつがえすことはできない、しかしながら内定はあくまで内定であって、決してそれにとらわれるのではないという言明もあった。ところが今国民も、またわれわれが受け取っているのは、すでにグラマン決定してしまってこれは抜き差しならない状態になっておるのだという感じを受けるのであります。従ってそういう感じをわれわれにも国民にも与えないように、今あなたは内定はあくまで内定だからそれは守ると言われていますけれども、一応この点については、白紙に返せという言葉はあなたにとって少し無理かもしれぬが、少くとも謙虚な気持でこれを再検討する御決意はありますか。
  75. 岸信介

    岸国務大臣 今申し上げましたように、私は、この研究の道程にあるのであって、しこうしていろいろな論議がこういうふうに出て、国民が少くとも一部疑惑を持っているようなことは大へんなことであるから、国防会議議長として今問題になっておる機種については具体的数字、具体的内容を十分に検討して最後決定をしたい。決して内定をしたからその方をきめなければならぬという先入観でもって最後決定に臨むつもりはございません。十分に検討して国民の納得するような格好に責任を持って決定していきたいと思います。     〔発言する者多し〕
  76. 田中彰治

    田中委員長 神近市子君。——御静粛に願います。
  77. 神近市子

    ○神近委員 私も国防会議議長に二、三お尋ねしたいと思います。私どもは今、小川委員が問題にいたしました政治優先の点で一番初めにこの問題に関心を持ったのでございますが、いろいろ調査をしておりますと、それがやや形が変りまして、何か非常に奇妙なところに追い込まれたというような感じがいたします。私はさっき委員長からうわさを持ち出すなというような御警告がありましたから、巷間こういううわさが流れているということを申し上げようと思っていたのですけれども、それは許されないような気がいたしますから、具体的に申しますけれども、今国民が一番疑惑を持っているのは、岸総理が主宰しておられますところの自民党が、この問題に介入しているところがどこかであるのではないかということでございます。その一例をあげますと、これは現場を見た人の話でございますが、自民党の有力なところから今井防衛庁次官と門叶官房長ですか、その人のところに電話が参りまして、世間が非常にやかましくなったから、このロッキードの方の有力な資料も、今までるる問題になっておりましたように、あまり出したがらなかったけれども、これは出さなくちゃならないから出せというようなことを言う電話がかかってきたそうでございます。そこで門叶官房長と今井次官が顔を見合せまして、これはおかしいじゃないかということを言い合ったそうでございます。自民党から、グラマンにしろグラマンにしろ、幾ら高くてもいいからグラマンにきめろということを今まで圧力をかけられてきて、そして今さらグラマンを中絶しろというようなことを言ってこられるのはおかしい。防衛庁としてはロッキードにきめたかったのだ、グラマンなんか買いたくなかったのだ、ロッキードを買おうと思っていたんだ、ところが自民党からそういうことを言われて圧力をかけられてグラマンにしたのである……。     〔発言する者多し〕
  78. 田中彰治

    田中委員長 御静粛に願います。
  79. 神近市子

    ○神近委員 どういうことなんだということをお互いに話し合っていた現場を見た人があるのであります。それで私が総理に伺いたいのは、そういう事情があるということを夢かあるいは片耳かでお聞きになったことがあるか、あるいはそれに対して何らかの聞き込みがあったかどうか、それはまるで御存じないのかどうか、それを承わりたいと思います。     〔発言する者多し〕
  80. 田中彰治

    田中委員長 御静粛に願います。
  81. 岸信介

    岸国務大臣 私はこの機種決定の経緯につきましては、先ほどこくあらましを申し上げましたが、この機種決定重要性にかんがみて、あくまでもこの機種決定に当っては国防会議を中心に検討を続けて、その結果一応四月にグラマン内定をいたしたのが実情でございます。それ以外に国防会議議長として私はこの問題にタッチもいたしておりませんし、また私自身は、今お話になったような事情があるというようなことは一切開いたこともございません。しかしそういう疑惑があればこそ、あるいはこの委員会において幹事長やその他の者を証人としてお呼びになるということ、私はそれは聞いておりますが、それによって明瞭にされることだと思います。
  82. 神近市子

    ○神近委員 私どもが今一番心配——まあ、よけいな心配だとおっしゃるかもしれませんが、心配しておりますことは、岸総理が、あるいは国防会議議長がロボットにされて、たな上げされて、そうして下の方でいいかげんな理由で勝手な、今、小川委員が申しましたようなことが行われているのでないか、そういうことが大へん心配なのでございます。これは個人の力で押えることはなかなか不可能なのでして、政府の、特別に国防会議の首脳でいらっしゃる方々が力を合せてこれを押えなくちゃならぬ時代ではないかというふうに考えます。F100戦闘爆撃機が問題になったときにあなたが、何だ爆撃機は日本の自衛隊に要るかということで大へんお怒りになったということを読んで私は非常にうれしいし、またりっぱだと思います。筋が通っていると思います。また四月十二日の内定のあの国防会議は、その前の三月十五日にちゃんと申し合せをして、もうちゃんと防衛庁の各課長のところには高橋課長が回って、グラマンにきめたんだからグラマン以外の好材料は出すなというふうなほどの謀略であの四月十二日に持ってきている。そこであなたがその気配をおわかりになったのかどうか、これは勘であったと思うのですけれども、ともかく、もっと性能価格を研究して、ここでは一応内定にしようとおっしゃった、これも私はりっぱだと思います。大体その点であなたが押えよう押えようとして、また日本の国是として核兵器を持ち込まないということについてあなたがしっかりした決心をお持ちになるということは大へんみごとだと思うのです。けれども、この防衛庁ロッキードグラマンとの対決あるいは競合に対してどういうことを書類に出してきているかというと、ロッキードは多目的的でない、グラマンの方が多目的的だ、こう出ているのです。多目的的ということはどういうことかというと、偵察、攻撃、それから要撃とこうなっているのです。私どもは一体どこを攻撃するのだろうかということが考えられます。それから偵察は一体どこの国を偵察するつもりなのか。それからAAMの問題であります。今山田委員AAMのことについてはお尋ねいたしまして、あなたは核兵器は絶対に使わないということを考えておいでになりますけれども、あなたがいつまでも、国防会議議長を何十年なさるということは、これは不可能でございます。そう考えますと、防衛庁がこのAAMを装備することができるということを非常に大きな目的一つにしているということに私ども疑惑を持たないではいられないのでございます。その点であなたがもしこれに対してどういう——たとえばグラマンが最もAAMを装備するのに都合がいいというようなことを言い立てているところに対してどういう基準というか、あるいはお考えをお持ちになって、この核兵器持ち込みというものを守ろうお考えになったか、そこのところをちょっと伺わしていただきたい。これは国民が非常に疑惑を持ち、また心配して考えているところでございます。
  83. 岸信介

    岸国務大臣 今のお言葉のうちに、議長国防会議議員がロボットになっておって、下のなにでいいようにされているのじゃないかという一つ疑惑があるという御意見がありましたが、国防会議は言うまでもなくその国防会議に提案さるべき具体的な内容によりまして、第一に防衛庁がその原案とか、あるいはそれに近いものを出すような仕組みになっております。しこうして幹事会において——これは関係各省の次官が入っております、それがこれを十分に検討いたしまして、そして事務局においてその件を取りまとめ、まとまらないものについてはまとまらない内容をそのまま国防会議に出して参りまして、国防会議におきましても、各国防会議議員は、この重要な問題につきましてそれぞれ真剣に検討して、最後国防会議としての決定をいたしておるわけであります。何か防衛庁の一部の人々の陰謀的な動きによってこういうことが組まれるのじゃないかというような疑惑は全然持てないような仕組みになっており、また運営にいたしておるのであります。その点は明瞭に申し上げておきます。  それから次に今お話の、グラマンを選定したということとこの核兵器の問題につきましては、先ほど私が申し上げましたように、グラマンを一応内定いたしましたことは、グラマンの持っておる性能なりその性格から見て日本防衛上適当である、またごく大ざっぱな見当でありますけれども、それの製作費等につきましても一応の見当をつけておるのでありますけれども、しかしながら最後決定についてはなおそれが検討を要するという意味において内定をいたしたわけであります。しこうして核兵器の問題とグラマンの選定の問題については、これは関連がないので、そういう考えでもってこれを選定したのでないということを明瞭に申し上げておきます。
  84. 神近市子

    ○神近委員 あまり長いお引きとめはできないと思いますけれども、さっきの契約の問題でございます。新三菱重工あるいは川崎その他の飛行機産業を育成しなければならないということについてでございます。アメリカ国防省の機材局長のベーカー少将が、スプートニクが打ち上げられたときに言ったことが伝わっております。それは、今までの飛行機は、削減はもちろんのことだけれども、契約の取り消しもできるということをするかもしれないというのであります。私どもから考えれば、今日のF86——まだあと二百機、二百億でございますが、この戦闘機はもうみんながアメリカに行けば笑いものになっている。こういうものをわれわれがあと一年かかって作る必要が一体あるのかどうか。それよりも、日本のまだ貧困な国土の中で、百五十億あれば、治山治水が全部でき上るそうです。そういうことを勘案いたしますと、その役にも立たない、乗り手がまだ四十人もいないような飛行機を作ることがどうかということ、これは解約すべきものじゃないかということを——これは今契約書その他を見せていただいてまた発言したいと思っておりますけれども、あなたはもう絶対に戦前の産業を復興させるという意味でこれを譲るお気持はないのか、考慮なさることはできないのか、その一点を私は国民にかわって伺っておきます。
  85. 岸信介

    岸国務大臣 航空機工業につきましては、私は日本航空機工業の将来行くべき道としては、民間航空の商業機を製作するように進んでいかなければならないと思います。しかしその基礎が日本の従来のあれから申しましても、またアメリカ等における航空機産業の発達の現状からいいましても、やはり国防産業としての確率のある助成が行われて、そうして民間機の製作というような点に非常な大きな進歩をしておる、これは現に事実であります。結局先ほど申しましたように、日本航空機工業はかつて非常に高い技術と水準を持っておった。それが戦後になにされて、今日、日本防衛の上から見て、ただ飛行機をその場だけの安いとか高いとかというそろばんだけのなにで、一切航空機工業日本に作り上げることをしないということは、先ほど言った私の大きな目的からいっても望ましいことであります。しかしそれには払うべき犠牲にはおのずから限度があります。その犠牲におかまいなしに、ある会社ある会社というようなものを目当てにして、何でもかんでも盛り立てるのだというようなむちゃくちゃなことは考えてはならぬことは言うを待ちません。しかして今F86が何か笑いものの機種であって、全然用をなさないというふうに論難をされますけれども、私はさようには考えておりません。またそういう意味だけでもって現在既契約を取り消すという段階ではないと私は思います。そういう意味におきまして、今御意見でありましたけれども、私は契約を取り消すという——これは決してその会社の利益を擁護するという狭い見地から言うわけではございません。
  86. 神近市子

    ○神近委員 まだ残っておりますけれども、お急ぎのようですから、今日はこれで終ります。
  87. 田中彰治

    田中委員長 これにて岸国防会議議長に対する質疑を終了いたします。御苦労さんでございました。     —————————————
  88. 田中彰治

    田中委員長 次に歳入歳出実況に関する件、特に防衛庁航空機購入問題について川島河野左藤の三証人の証言を求めることにいたします。  証人の方々に申し上げますが、宣誓の趣旨、証言を行う際の注意等は前会御出頭の際委員長より申し上げた通りであります。なお宣誓につきましても、前会よりこれを維持することにいたしますからさよう御了承願います。  証言を求める順序は、川島証人河野証人左藤証人の順で行います。河野証人左藤証人は控室でお待ちを願うことにいたします。  まず川島証人について証言を求めます。証人に対しましては各委員から順に証言を求めることにいたします。松平君。
  89. 松平忠久

    ○松平委員 次期戦闘機決定の問題に関しまして川島証人に御証言を求めたいと思います。  御存じのように、当初この問題はノース・アメリカンとロッキードの二つがぐっとしぼられてきた。その後グラマンが途中から上りまして、そうしていろいろないきさつを経て、今日のような国民疑惑を与えておるような状態でありまして、川島証人幹事長としてその中に巻き込まれているような印象を与えておるのであります。従って、まず当初証言を求めたい点は、証人はこの問題について、幹事長としていつごろから次期戦闘機決定の問題について他からいろいろお話を承わる機会があったか、いつごろからこの問題にあなた自身関係するようになったか、そのことからまず伺っておきたいと思うのであります。
  90. 川島正次郎

    川島証人 的確な時期は忘れましたが、グラマンロッキード、ノース・アメリカンなどの各会社が売り込み運動をやっているといういろいろな情報は、幹事長として各方面から聞いております。その時期につきましては、ただいま思い出せません。
  91. 松平忠久

    ○松平委員 その時期については思い出せないという御答弁であったのでありますが、しからばお伺いしたいのは、あなたは国防会議に列席しておるわけでもないわけであります。国防会議において、三回にわたって懇談会また会議によってグラマン内定を見たということに九月二日、廣岡国防会議事務局長の証言があったわけでありますが、この国防会議における懇談会もしくは会議内容について、機種決定の問題について、あなたはどなたからか報告を受けておりますか、どうですか。
  92. 川島正次郎

    川島証人 国防会議内容につきましては、全然承知をいたしておりません。ただ、私は、自由民主党の幹事長として、この問題が後に国会等において論議をされないように特に注意をいたしたわけであります。当時の防衛庁長官である津島君並びに小山政務次官に対しまして、飛行機の問題は全く技術的の問題であるからして、外部の運動等には動かされないで、まじめに十分研究して、どの機種を採用するかということを決定してもらいたい。ということは、将来これに禍根が残って国会において議論になっては困る、こういうことを私は、はっきり申しております。決定したということを当時の小山政務次官から聞きました。それだけでございます。
  93. 松平忠久

    ○松平委員 この問題に関しては、各方面から、関係のある会社からの売り込みが非常に盛んであったということを幹事長もお聞きになったのでただいまの御注意をした、こういうお話でありますが、幹事長のところへは、それらのどこかの方面から売り込みの話というものが、直接もしくは間接にそういう運動に来る者があったかどうか、これをお伺いしたい。
  94. 川島正次郎

    川島証人 私のところへ直接関係者からそういう話は持って参りません。しかし、幹事長でありまするからして、各般のあらゆる情報は全部私のところへ集まっております。これは飛行機について言うのではありませんが、すべての政治情勢、政府の行政部内のことにつきましてはすべての情報が集まってくるし、また集めております。そうした情報網に触れたのが今の各社の売り込み運動だ、こういうことであります。
  95. 松平忠久

    ○松平委員 承わると、この機種決定を有利にする目的をもって、グラマンの代理店である伊藤忠から、グラマンロッキードとの比較表のようなものを与党の幹部諸公のところへ配付したということが伝えられております。あなたはこの比較表というものの配付を受けたがどうか、また伊藤忠の代表者というようなものと、この問題に限らず、何らかの問題においてお会いになったことがあるかどうか、この点をお伺いいたします。
  96. 川島正次郎

    川島証人 伊藤忠の代表者ということになっているかどうかわかりませんけれども、伊藤忠の社員だという人が私のところへ来まして、今お尋ねの比較表というようなものを持ってきたように覚えております。しかし、それをどう取り扱ったかということは今記憶にありません。     〔委員長退席、山本(猛)委員長代理着席〕
  97. 松平忠久

    ○松平委員 あなたはその比較表というものをごらんになったかどうか。またごらんになったとすれば、何かその表について、価格性能というようなものについて、あなたは印象に残るようなごらんの仕方をしたかどうか。またどういうふうにその比較表について措置をなさったか、御記憶があれば承わりたい。
  98. 川島正次郎

    川島証人 比較表を取り上げた記憶はありますけれども、その内容が何であるかということは全然今思い出せませんし、その比較表をもとにして何らかの取扱いをしたこともございません。それはどこか机の中へ入れたままになっております。
  99. 松平忠久

    ○松平委員 四月十二日のグラマン内定というその会議模様というものは、今小山政務次官からというお話でありましたが、いつごろそれはお聞きになったか。またその内容の正文というものをごらんになったか、もしくはこの決定に至る経緯というようなものもあわせて御報告を受けたかどうかということを伺いたいと思います。
  100. 川島正次郎

    川島証人 国防会議決定した前であるか後であるかは、私存じません。ただ、政務次官が来まして、グラマンの方は滑走路が短かくて済むのだということと、全天候飛行が可能だ、それでグラマン決定するのだ、こういうごく単純な報告を受けただけであります。それ以上詳しいことは聞いておりません。
  101. 松平忠久

    ○松平委員 そこで、その報告を受けられたときには、あなたはただ普通の案件としてその話を聞いたということであって、これがあとで相当政治問題化するというような印象を持って承わったかどうか、そのことをあわせてお伺いいたします。
  102. 川島正次郎

    川島証人 後に政治問題化そうなんということは考えておりません。報告をすなおに聞いただけであります。
  103. 松平忠久

    ○松平委員 このグラマン内定の仕方が、前回の証言によって——きわめて不十分なる資料によって内定を見るに至ったということが証言の結果明らかにされたわけであります。何ゆえに一体そういう工合に早く決定をしなければならなかったかということについて今考えてみると、若干疑問もある。そこで、新聞等によって報じられているところを見ましても、当時解散まぎわにありまして、解散をする前に早くこういうものを決定しておいた方がいい、こういうような考え方もあったのではないかというふうに想像されておる記事等があります。従って、それらの当時の政治情勢ということによってこれを早急に決定する、それが一つの原因になったというようなことがあるのかどうか。その点について何らかあなたのお心当りがあるかどうか、承わっておきたいと思います。     〔山本(猛)委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 川島正次郎

    川島証人 決定に至るまでの経過については、私は全然承知しておりません。従って、国防会議においてその決定を急いだのか急がないのかということも全然知らぬわけであります。今、もってそれは承知しておりません。
  105. 松平忠久

    ○松平委員 その後これが政治問題化されたときに、あなたが防衛庁の門叶官房長に対して、ロッキードグラマン両社の飛行機の性能、これをよく比較検討するような資料を出せ、というような連絡をしたということがありますが、それはどういういきさつでそういう連絡をなさったのか。またいつごろそれを行なったのか、証言を得たいと思います。
  106. 川島正次郎

    川島証人 国防会議グラマン内定をしまして後に、この問題については、御承知通り、やはり世間でいろいろ議論があります。私は国会等において論議されることは避けたいというので、審議中に防衛庁当局に注意をいたしたのでありますが、不幸にしていろんな議論が起っておりますからして、国会等に問題があった場合に、与党の幹事長といたしましてはこれに対処する必要もある。特にグラマン並びにロッキード性能というものを私は聞きまして、一応どういう点に相違があるかということを聞いておく必要がある、そういう考えから官房長にそのことを依頼したわけであります。
  107. 松平忠久

    ○松平委員 その依頼をした結果はどういう報告が関係事務当局からなされたかどうか、そのことを承わっておきたいと思います。
  108. 川島正次郎

    川島証人 その後、たしか官房長でしょう、私のところへ見えまして、グラマン並びにロッキード性能の比較を書類を持ってきて私に説明をいたしておりました。しかし、もともと私は飛行機に対しては全く知識がないのでありますから、説明をそのまま聞く以上に判断力がありません。一応グラマン決定をしたという官房長の報告というものを聞いておいた、これにすぎないのであります。
  109. 松平忠久

    ○松平委員 その後あなたはハワイへ行かれたわけでありますが、きょうの東京新聞によりましても、ぜんそくのためにハワイへ行かれたということであるけれども、何らか飛行機の売り込みの方からの招待があったのではないかという記事が出ております。同時に、ハワイで医者におかかりになったこともないというし、一週間ばかりアメリカ本土にも行ってこられたということがありまして、何かそこに疑惑の点があるように思うのであります。また同時に、本日の新聞によりますと、売り込みが非常に激しいので、幹事長のところへ頼みに行けば何か有利になるのではないかということで、二千万円ばかり持っていったという記事も出ております。そこでその点についてあなたはどういうふうに御証言なさるか、その真相を承わりたい。
  110. 川島正次郎

    川島証人 お話がよく聞えなかったのですが、私がハワイやアメリカ本土へ行ってどういう行動をしたかということをお聞きになりたいのですか。ちょっとそれを聞きたい。
  111. 松平忠久

    ○松平委員 そうです。ハワイへ行った、それが飛行機の売り込みの方からの招待であったのではないかという新聞記事が出ているわけです。従ってその点と、それからアメリカの本土へ渡られたというが、そういうときにもそれに類するような疑惑が持たれるわけであります。そこでそのことについて御証言を願いたい。
  112. 川島正次郎

    川島証人 私が病気療養のためにハワイへ行きました旅費の出所等につきましては、外務省並びに大蔵省をお調べになれば書類によってはっきりしておりますから、どうぞお調べ願いたいと思うのであります。私は向うへ行きましても、また内地におきましても、ロッキード並びにグラマンの社員と会ったことはございません。はっきり申し上げておきます。
  113. 松平忠久

    ○松平委員 そこでもう一つ、今御証言をお願いした点についてはどうですか。本日の新聞によると、売り込みのために運動費を約二億円使った、そうして幹事長のところへは二千万円くらい持っていったといううわさがあるという記事が出ておるが、あなたは今回の総選挙におきまして、関係会社と思われる伊藤忠とか、あるいは新三菱というところから選挙に関する政治献金というものをおもらいになりましたかどうか。もし、もらったとすればどのくらいおもらいになりましたか。
  114. 川島正次郎

    川島証人 今あなたの質問の中に、二千万円幹事長がもらったといううわさがあるということをおっしゃいましたが、うわさでもはなはだ迷惑であります。こういうことはよく確かめて言っていただきたいと思う。これは余談でありまするけれども、前回千葉銀行のときにも、私が宴会に出たといううわさがあるというので質問されて、非常に迷惑に思ったのであります。いやしくもそういうことは、もっと確かめてやっていただきたい。今度の選挙に当りまして、幹事長としても、党としても、個人としても、伊藤忠並びに新三菱なるものから一銭ももらっておりません。
  115. 松平忠久

    ○松平委員 私は東京新聞に出ていることを言ったわけであります。あなたは、しからば東京新聞を告発なさいますか。
  116. 川島正次郎

    川島証人 私は東京新聞をよく読んでない、見出しだけでよく読んでおりませんけれども、かりに私が二千万円もらったということがはっきりしておれば私は態度をきめますけれども、まだ読んでないからわかりません。おそらく東京新聞も私のところに二千万円持ってきたとは書いてあるまいと思う。あなたもよく読んでみて下さい。
  117. 松平忠久

    ○松平委員 先ほど、いろいろ政治問題化するおそれがあるので、自分自身としても知っておく必要があるというので、門叶官房長に対して資料の提出を求めた、こういうことでありますが、この問題は自民党の中でもかなり政治問題化しておる、こういうふうにあなたはお感じになってそういう措置をとられたと思うのですが、何ゆえに左藤防衛庁長官に対してそういうことをはっきり確かめられないか。あるいは左藤防衛庁長官にそういうことを話されるなりするということが、私は幹事長としてとるべき措置ではなかったかと思うのです。そういうことをせずして、いきなり官房長にそういう電話をおかけになったというのは、これはどういうわけなんですか。
  118. 川島正次郎

    川島証人 官房長に一応聞いたのでありますが、はっきりしませんからして、さらに党の三役である河野総務会長、福田政調会長、私の三人が党の本部へ集まりまして、左藤防衛庁長官、今井次官その他の係官を呼びまして、この問題について話を聞いております。
  119. 松平忠久

    ○松平委員 八月二十二日の新聞によりますと、あなたは赤城官房長官とこの問題の善後処理ということについて話し合われたという記事がございますが、そういう事実がございますか。
  120. 川島正次郎

    川島証人 この問題は防衛庁だけでなしに、防衛庁以外でも一応検討する必要がある、こう考えまして、内閣において適当な人間を選んで調査委員会を開いてくれないか、こういうことを申し込んであります。そういう点について赤城官房長官と話し合いました。
  121. 松平忠久

    ○松平委員 新聞には、川島幹事長と赤城官房長官との間に話し合いが行われて、その委員会が新しく設けられ、機種決定について練り直すことになったということで、ただいま御証言の通りであると思いますが、しからばこの機種選定委員会と申しますか、こういうものは民間から学識経験者等をもって委員に任命して練り直すが、その中には防衛庁関係者は入れないということになっておるそうでありますが、そういうことでございますか。
  122. 川島正次郎

    川島証人 防衛庁だけで研究した結果、疑惑を持たれたのでありますからして、防衛庁の影響力のない委員会を作る必要があるのでありまして、それには防衛庁と離れて内閣に、赤城官房長官を主催にして、適当な民間の人を集めて研究してもらう、こういうことが趣意であります。言いかえれば、防衛庁がやった今までの措置に対しまして、疑惑を一掃するために防衛庁以外の人が必要だ、こう考えたわけであります。
  123. 田中彰治

    田中委員長 ちょっと松平委員に申し上げますが、一人でずっとやられると、一人の証人に手間がかかってきょう調べられなくなってしまいますから、できるだけ簡単にお願いします。
  124. 松平忠久

    ○松平委員 防衛庁以外の者を入れてやるという場合において、機種の選定委員会というものは、かなり機密のようなことを知らないと、性能その他の点につきまして決定するわけにいかぬだろうと思うのですが、そういう工合に民間の人を委員にして、機密事項にもわたって論議をしてきめるということは、現在の機構の上からいって妥当な措置であるかどうか。その点はどういうふうにお考えになりますか。
  125. 川島正次郎

    川島証人 私の官房長官に要求したことは、今申し上げたように、防衛庁の影響力のない委員会を作ってもらいたいということでありまして、委員会のメンバー、構成、審議の内容等については、私は何も注文しておりません。それは官房長官が適当に処置することと思っております。
  126. 松平忠久

    ○松平委員 そこで最後お尋ねしたいのは、幹事長としてこの問題の処理をするという場合におきましては、どういうふうにお考えになっておるのか。すなわち、これは先ほどここでも国防会議議長が御発言になりましたけれども、四月十二日の内定というものが非常にずさんで、不十分なる資料によって早急にやってしまったというところに、いろいろ問題があるのではなかろうか、こういうふうに見えます。またそういうふうに至る経過というものについても、疑惑が持たれておるということであります。結局四月十二日の決定と相反したようなことが、あるいは将来起るかもしらぬが、いずれにしても、今のあなたの考えは、要するにこの新しくできた委員会決定を尊重してきめていく、こういうお考えなんですか。
  127. 川島正次郎

    川島証人 機種決定国防会議責任でやるのでありますから、私はそこまではあえて容喙はいたしません。ただ政治的に世間の疑惑があるから、その政治的疑惑だけは解いてもらいたい、こういう念願でありまして、技術的のことまで立ち入ろうとは私は考えておりません。従いまして、委員会の結果がロッキードになろうと、あるいはグラマンになろうと、そういうことについては、何ら私は意見を持っておりません。
  128. 松平忠久

    ○松平委員 これで終ります。
  129. 田中彰治

    田中委員長 山田長司君。——山田委員に申し上げますが、急所のところをお聞き下さって、二十分ぐらいにしていただきたい。そうしないと三人調べられませんから……。
  130. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの松平委員からの質問でも、なお私に解けない個所がありますので、伺いたいと思います。  あなたが七月にぜんそくをなおすためにハワイに御旅行なさった。ぜんそくをなおすのにどういうわけでハワイに行かれたのか、どうも私理解ができないのです。この点が私の伺いたい理由なんです。なぜかといえば、ハワイに特別な名医でもいるということになれば、日本の医学上にも私は非常に参考になると思うのです。(笑声)一応この点お伺いしたいと思います。
  131. 川島正次郎

    川島証人 私は二十年来ぜんそくがありまして、一昨年もハワイに行って療養いたしております。ことしは総選挙の疲れが出て、特別国会中八日間休んだのであります。近く開かれる臨時国会、通常国会に再び休むということはとうていできないのでありますから、からだを休める、こういう意味で行ったのでありまして、医者がなくても、ハワイというところは気候がいいので、ぜんそくには非常にいいところであります。特に申し上げておきます。
  132. 山田長司

    山田(長)委員 そこでぜんそくをなおしにおいでになられて、おいでになられたのは七月の十三日においでになられて、十九日までハワイにおられたのはわかりますが、十九日までハワイにおられて、五日間か六日間で非常にからだの調子がいいわけですか。
  133. 川島正次郎

    川島証人 どういう質問ですか、もう一ぺん伺いたい。
  134. 山田長司

    山田(長)委員 静養においでになられたということはわかるが、期間的に短かいから、そのくらいでからだの調子がいいものかどうかということを伺っている。
  135. 川島正次郎

    川島証人 あなた、ぜんそくをやったことがないからわからないのです。ぜんそくという病気は始終出るのじゃないのです。またいつ出るかわからない。今こうやってあなたと話しておっても出るかもわからない。そういうものでして、一週間いればよくなるとか、一カ月いればよくなるとか、そういうはっきりした期限があるものじゃない。今度行きまして五日ほどハワイにおって、そして大陸に渡って、一晩サンフランシスコ、一晩ラスベガス、一晩はロスアンゼルス、この三カ所を回って、またハワイへ来て一週間ほどおったわけであります。私はアメリカ大陸へ行く必要はなかったのでありますけれども、ちょうど家内も一緒に看護婦がわりに連れていったので、家内はアメリカへ行ったことがないから、ぜひ行きたいという家内からの切なる希望でもありましたから(笑声)行きました。
  136. 山田長司

    山田(長)委員 あなたがアメリカ本土に五日間おいでになられて、七月二十五日にハワイにお帰りになられ、三十日に内地へ戻られたのはわかります。そこで奥さんだけでなく、大映の永田社長の御紹介を受けて、あなたは小林さんという通訳をお連れになって行っておると思いますが、その通訳はいつまでお連れになられましたか。
  137. 川島正次郎

    川島証人 ハワイにいる間ずっとついておりました。それは前年行ったときも、小林君に頼んで通訳、案内をしてもらったので、懇意な人です。
  138. 山田長司

    山田(長)委員 おいでになられる一カ月前に、元海軍大将であった野村吉三郎さんとお会いになっておりますが、あなたは野村さんとお会いになるときに、野村さんだけとお会いになっておりますか。
  139. 川島正次郎

    川島証人 野村さんはわが党の参議院議員でありまして、始終会っております。
  140. 山田長司

    山田(長)委員 なお、野村さんと一緒に瀬島龍三さんという、伊藤商事の航空部顧問をやっておられる方とお会いになっていると思いますが、その点お会いになりましたか。
  141. 川島正次郎

    川島証人 断然会っておりません。瀬島君というのは初めて聞きました。
  142. 山田長司

    山田(長)委員 ハワイでお会いにならなくとも、この方から、あなたは手紙なり、あるいは伝言なり、あるいは電話なり、こういうことの御連絡はありませんか。
  143. 川島正次郎

    川島証人 今申し上げたように、瀬島という人は知りません。あなたに聞いて初めて思い出す名前で、知らないのです。瀬島という名前はかつて聞いたことはありません。従って、伝書も手紙も何もありません。
  144. 山田長司

    山田(長)委員 瀬島さんから連絡はなくても、それでは野村議員から何か連絡がありましたか。
  145. 川島正次郎

    川島証人 今申し上げたように、野村さんとは始終会っておりますが、どういうことで会ったか項目をおっしゃっていただけば思い出すかもしれませんが、ただ会ったかと言われても何ともお答えのしようがない。野村さんは始終本部に来ております。ことに最近は勤務評定の問題で毎日会っております。(笑声)
  146. 山田長司

    山田(長)委員 野村さんは、御承知のように海軍の御出身の方です。この方が、やはりグラマンのことについては多少の見識をお持ちになっているという話を伺っております。そして一緒においでになられて、泊ったところも、あなたがお泊りになったところと同じだから伺うのですが、伊藤忠の瀬島龍三さんも、野村さんも御一緒でございます。そういう点で私が伺う要点は、野村さんもやはりグラマンのことに熱心な研究もされておられますし、あなたがせっかくハワイに一カ月後においでになられることがわかっていられれば、何かこれらのことについての御参考になることをあなたに言われてないかということを私は伺いたいのです。
  147. 川島正次郎

    川島証人 瀬島という人はハワイにおる人ですか。どこにおる人ですか。
  148. 山田長司

    山田(長)委員 それは伊藤忠商事の方です。伊藤忠商事の、東京からおいでになられていると思いますが……。
  149. 川島正次郎

    川島証人 私と野村さんとはハワイへ行った時期が違っております。しかも宿屋は、私はローヤル・ハワイアンという宿屋へ泊っていますし、野村さんはハレクレナ・ホテルという宿屋に泊っていたそうであります。だから野村さんの同行者はだれであったかわかりません。それから野村さんと私とグラマンのことについて話し合ったことは一度もありません。
  150. 山田長司

    山田(長)委員 現地に行ってつぶさに見ているわけではないので、あなたの言っていることはあるいは正しいかもしれません。ただ疑惑がありますので伺っておることなんでありまして、一応それらの事情というものが明確になることを欲して私は実は伺ったわけなのです。  そこで、あなたが今度のグラマン決定に当りまして、かなり積極的にこれが調査や活動をなされたろうと思われる点は、前の松平委員の質問からも推測できるわけですが、このことについて総理初め党の幹部が、あなたが少し深入りしてやせぬかということから、何か御注意を受けたようなことはないですか。
  151. 川島正次郎

    川島証人 総理からそういう話を聞いたことは一ぺんもありませんし、私は深入りしておりません。ただ間違いなく機種決定してくれということを、先ほど松平さんにお答えしておる通り、繰り返し防衛庁の大臣並びに政務次官に言っているわけなのです。特にどの機種を選んでくれというようなことを一ぺんも防衛庁の役人に言ったことはありません。ことにグラマン決定前におきまして、津島大臣並びに小山政務次官以外の防衛庁の役人に、機種のことについて話したことは一ぺんもありません、
  152. 山田長司

    山田(長)委員 機種決定するに当りまして、全く秘密のうちに共済会館に八月の十九日に集まっておるようでありますが、共済会館に集まったときの前後の事情を一つつぶさにお知らせ願います。
  153. 川島正次郎

    川島証人 共済会館にどういう人間が集まってどういう話をしたか、私は全然関係ないのですから知りません。従って御報告できません。
  154. 山田長司

    山田(長)委員 その前後の事情については、あなたは防衛庁とこの会合についてはいかにも表面は連絡なきがごとき状態にあるが、実際には防衛庁人たちに、しかも防衛庁長官に、——民間の各航空会社人たちなどを集めて、ここで会合を持たれる事態については、民間関係者を入れた会合を持ったらどうかということの注意は河野総務会長がしておる。その河野総務会長がちょうど福岡の選挙に行っている留守にこれの会合が持たれたので、このことについて防衛庁長官が、河野さんの発言でなされた会合であるべきなんだから河野さんがいなくてもよいかと言ったときに、あなたは、いなくても僕が話をするということで防衛庁の人に了解を求めたという話がありますが、全然知らないということであるかどうか。
  155. 川島正次郎

    川島証人 これは話が非常に違うのでありまして、先ほどあなたか松平さんにお答えした通り、私が官房長に注意をしたそのすぐあとで、さらに党の三役たる河野君、福田君、私が三人集まって、党の本部へ防衛庁長官、次官、局長を呼んで、このことについて注意を促した。その際に防衛庁以外の何かの機関を作って、いわゆる委員会を作ってよく研究さしたらいいじゃないかとそのとき言ったのであります。それからその後になりまして、今井次官と廣岡事務局長と二人が来まして、こういう顔ぶれで委員会をやりたいがどうかといって、その顔ぶれを僕のところに持ってきました。一応預かっておいて、あとで河野君にも見せたところ、もう少し追加したらどうかというので、たしか二、三人追加さした覚えがあります。その人が今のお話で、共済会館に集まった。しかし集まったことについては私は何ら関係ないし、知らない。ただそういう会合を持つという素地を作ったことは、三役会でもって防衛庁長官その他にわれわれが進言した結果できたわけなのです。ところが、その会合もやはり防衛庁の影響力がある、こう考えましたからして、さらに赤城官房長官に向って、新たにもう一つ別の会合を作って、そこで真剣に研究してもらいたいということを第二段として申し込んで、今、官房長官が構想を練っておるというのが現在の状況であります。
  156. 山田長司

    山田(長)委員 少しこみ入っておりまして、理解に苦しむ点もあるわけですが、河野総務会長に了解を得た形においてやらなかったということから、河野総務会長がかなり、言葉をかえていえばひねくれておるとでもいいますか、そういう状態になっておるということを耳にしておるわけですが、そうしますと連絡は済んだ形でなされたものか。それから当時首相は、北海道に遊説に行っておったのですが、北海道に長距離電話をかけて、これが了承を得たということでありますけれども、共済会館の会合というものは、総理も知っておってなされたものか、全然知らないでなされたものか。あなたは全然知らないというのですが、この点。
  157. 川島正次郎

    川島証人 共済会館の会合を総理が知っておったかどうか私は知りません。私は少くとも全然知りません。あとになって国防通信か何かを見せられて知ったのでありまして、会合を開くまでは、その会合をやったということは防衛庁から連絡もなし、知らない。ただし連絡があったということは、そういう会合の出席者のメンバーについて連絡のあったことは、先ほど申し上げた通りであります。会合の内容、時期、やった結果について、会合の前後も何にも全然私の方に連絡はありません。
  158. 山田長司

    山田(長)委員 その会合では、大体グラマンを中心とした単価の問題が論じられたという。そうすると全然このことも何も知らないで幹事長はおったのですか。はたから見ていると非常に熱心だった立場にあるあなたが、その会合については全然無視されたということをわれわれ考えていいのですか。
  159. 川島正次郎

    川島証人 私は防衛庁に対しまして、疑惑のないようにやってくれということを注文したわけでありまして、どういう会合を持とうと、どういう相談をしようと、私一々関係しません。結論において国民疑惑のないようにしてもらえばそれでいいのでありまして、従って共済会館の会合というものは、事前に連絡もなければ、結果について何ら報告を受けておりません。また私は聞こうとも思っておりません。
  160. 山田長司

    山田(長)委員 いいです。
  161. 田中彰治

    田中委員長 神近市子君。
  162. 神近市子

    ○神近委員 川島幹事長に二、三の点でお尋ねいたします。先ほど来承わっておりますと、いろいろの問題で大へん不愉快な思いをなさっていらっしゃることもあると思います。私もちょっとお気にさわるかもしれませんが、そういうことに触れなければならないのでございます。というのは、先ほど岸総理にもそういうようなことをお尋ねいたしましたけれども、今回のグラマン決定事項に自民党側からの御要請が強かったということが巷間に伝わっているのであります。その具体的な問題としましては、さっきも申したことですが、防衛庁の門叶官房長、それから今井次官に対しまして党から御注意があった。それはグラマンのことについてこんなにやかましくなってきたから再調査をするようにという問題でございます。グラマンについてはずいぶん詳細な資料も行っておりましたけれどもロッキードの方では何もなかった。それで再調査しろということは、ロッキード調査もあわせてしろということになったのだと思うのであります。そうすると今井次官と門叶官房長が顔を見合せて、これはおかしいぞ、われわれはほんとうはグラマンなんか買いたくなかったのだ、ロッキードを買おうと思っていたけれども、党からの指示でグラマン決定した、こういうことを言ったことを聞いた人があるのであります。これはうわさということですが、巷間では一般の常識になっている。その点をはっきりしなければならないと思うのです。党という頭が出てくれば、どうしても幹事長考えられるのです。私が伺いたいことは、グラマン決定しましたときに、どういう形で御賛成になったか、それに決定しろというふうなことをおっしゃったのか、それともやむを得なかろう、防衛庁がそういう決定をしたのだったらやむを得なかろうと、非常に消極的な得態度であったのか、どこらで——たとえば四月十二日の内定のあとあたりでお耳に入りまして、それは防衛庁がそういうのだったらそれで仕方がないだろう、こういうような消極的な御賛成だったのか。この三つくらいの御賛成の態度の中でどれだったのか、それをお伺いしておきたい。
  163. 川島正次郎

    川島証人 機種決定は政党の関与する問題じゃございません。むしろそういうことはやらぬ方がいいのであります。従いまして、私は防衛庁の大臣並びに当時の政務次官に対しまして、将来問題にならぬように公平にやれということを忠告しただけであります。従いましてその結果がグラマンになっても私は何ら関心を持っておりませんから、報告を聞きっぱなしであります。この点は先ほど松平さんにもお答えした通りであります。
  164. 神近市子

    ○神近委員 御存じのように、グラマンのスーパー・タイガーというのは二機できております。この間もここでしきりにその話は出たのですが、なお詳細に聞きますと、これは二機作ったときに、アメリカの空軍に試験飛行を頼んだそうです。ところがアメリカの空軍から断わられまして、そしてアメリカでも一、二を争うような職業操縦士を頼んでロスアンゼルスのどこかの飛行場で試験飛行をした。そのときにフェーズ八というものが、ちょうど大学の単位と同じような単位だそうですけれども、その二点だけしかまだとっていない、こういう機種なのでございます。それから報告をお聞きになったときは、そういうことも御存じでお認めになったというわけですか。
  165. 川島正次郎

    川島証人 これは党で認めるとか認めないとかいう問題でないのでありまして、ただ防衛庁の当事者から報告を聞いただけであります。従いまして今、神近さんのおあげのようなことは聞いたことはあります。その当時聞いたのかあとで聞いたのか、ちょっと思い出せませんけれども、しかし党としましては内容に立ち入ってぜひこの機種を使えなんということは言ったことは一つもありません。問題にならぬようにということを特に注意したのでありまして、これは当時の政務次官その他にお聞きになればよくわかることであります。これはあくまでも技術的な問題でありますから、われわれが関与すべき問題でないのであります。ただ政治問題になることをおそれまして私は注意している、こういう立場におります。
  166. 神近市子

    ○神近委員 それはよくわかりますけれども、自民党の政府であり、その行政管理のもとにある防衛庁のこういう大きな千億以上、あるいはこの価格の別の見積りによりますと千三百億以上というような膨大なもの、そういうふうなものにタッチなさらなかったということは、今日となると私は非常にお手柄だと思うのです。だけれど、そういう態度でいいものでしょうか、これが一点。どっちにしてもわれわれはノー・タッチだというようなことで幹事長の立場はそれでいいのでしょうか、その点を伺いたいと思います。
  167. 川島正次郎

    川島証人 機種決定は、これは非常に高度の技術によってきまるのでありまして、私ども全く知識のない者がかれこれ言うべきものではないのであります。ただ問題にならぬようにしてくれということを注意するだけです。  もう一つは値段の点でありますが、これは私も大いに関心を持しておりまして、かりにロッキードグラマンと同じ性能としたならば、安い方を買うのが当然でありますから、金に関してはむだのないように、そういう点も注意してあります。  それから機種決定については将来問題を起さない、こういう程度を注意するだけでありまして、内容に入っていろいろ注意するということは私どもすべきものでない、またするだけの知識を持っておらぬのでありまして、せっかく神近さんが、与党として冷淡じゃないかと言っても、私どもやる立場でもなし、やる能力もない、こういうことであります。
  168. 神近市子

    ○神近委員 それはお互いさまだろうと思うのです。この委員会でこの防衛庁機種に対する批評を細目に至るまでできる者は、私は一人も、委員長といえどもそれは不可能だと思います。それはわかりますけれども政治家として、あるいは行政監督をしなければならない党としまして、やはりそれではおさまらないと私ども考えます。幹事長がノー・タッチで何も知らないとおっしゃるのは非常にきれいでいいようであるけれど、私はちょっとその点は怠慢ということを意味するのじゃないかということです。そうすると防衛庁が今までさんざん予算面でいろいろ変なことをしたというようなことが、なおいつまでも続けられていく、こういう土台あるいは下地を作ることになるのではないか。その点を私どもは正しい態度で、今のようにこの機種のことはわからないけれど、金のことには関心は強い、その態度だけでもいいから、私はもっと張り切って、立ち入ってその決定に関与なさるべきであったと思うのです。防衛庁自身が、今日進んだアメリカ機種の研究については第三者のいろいろの批評を聞いておりますと、百パーセントこれをこなすことのできる人はいるかいないかというようなことを言われているくらいないのです。ですから、その知識の度が低いとか高いとかいう差はほんの——ほんのじゃないかもしれませんけれども、完全なものと非常に不完全なものじゃないということも考えられるので、私どもその点でもう少し関与なさってもいいのじゃないかということを考えるのです。  それから、今問題になりました、あなたが問題にならないように明朗にやってくれ、それを念願しておるとおっしゃるのは、私はごもっともだと思うのです。とうとうそれがいろいろ問題を起しまして——あまり外国の飛行機会社の跳梁が激しくて、いろいろうわさにうわさを生んで今日こういう全国的な問題になっておるので、そこになってあなた方がこれはいかぬというので、再調査をお命じになって、そして委員会の成立を勧奨なさったということも承わっております。その委員会防衛庁が八月の十九日にやったということは、今、山田委員の質問でわかっていると思います。その共済会館の会合というものは実に奇妙な会合なのでございます。ここに私は議事録を持っておりますけれども、これをごらんになったら、あなた方の機種の選定に当ってもっと明朗公平にしなければならぬという御意思は全部的に踏みにじられているのです。この防衛庁関係者出席は四名でございます。あとは各飛行機会社の者が出て、あるいは氏名不詳なんていう人もあります。この秘密会議は、どういう必要からこんな秘密会議をする必要があったのか私にはわからないのです。第一に、その日の案内は場所を言わないのです。会合を何月何日の何時からいたします、しかし場所はこちらで用意してありますから、そう御承知いただきたい。おそらく私の考えでは、その時間になって共済会館でございますということを通知したと思うのです。この議事内容を見ますと、あなたが希望しておられた多方面の意見を出させて、そしてそれを勘案して決定しろ、決定にプラスするようにという御意思はちっとも生かされていないのです。機種のこと、性能のことでは、これは防衛庁におまかせをいただきたい、価格のことが主として説明されておりますけれども、これは馬場という防衛庁航空機課長が初めからおしまいまで一人で、廣岡事務局長の開会の辞のあとはこの人が一人で説明しているのです。だれも発言しないのですよ。一番しまいに川崎工業の何とかいう人が一問質問したのですが、それには十分満足な返答はしていないのです。これは出た数字だから、だから数字数字であるというようなことで、この質問を簡単に——まあ議事録の書き方が悪かったのかもしれませんが、二行か三行で打ち切っているのです。これに対してあなたの意図した、この機種選定をもっと明朗にあるいは慎重にしろという御意思が通ったのかどうか、それはどういうふうにお感じになっておりますか。
  169. 川島正次郎

    川島証人 神近さんが前段にお述べになりました御意見につきましては、私はむしろ反対の考えを持っております。やはり機種決定は、防衛庁調査した資料に基いて国防会議決定すべきものでありまして、政党がこれに関与すべきものでない。ただ問題が政治問題になるおそれのある場合に限って私どもが注意を与えることはやります。やりますけれども機種決定内容について一々事前に関与すべきものでないという考えは、私は今もって持っております。  それから共済会館の会合でありますが、先ほど山田さんにお答えした通り、私の全く知らないうちに開かれたのでありまして、事前の連絡もなし、また済んでから後の報告も聞いておりませんけれども、しかしその日の会合は主として防衛庁の人が来てリードしたという話を聞きまして、これではいかぬというので、さらにそれをやり直して新たに赤城官房長官のもとでもって違った委員会を作って再検討してくれということを申し込んだわけであります。従って神近さんの御心配のように、それで満足いたしておるのではございません。それではいかぬと思いましたから、新たな委員会を作れ、こういうことに二段になってきたわけであります。
  170. 神近市子

    ○神近委員 それでは私も満足でございます。こういうものが再調査の主たる役目を果すのでは大へんなことだというふうに私は考えております。そして秘密主義も事によりけりで、それこそ皆さんがおっしゃったような共産党の陰謀みたいに、その時間まで共済会館という場所も教えないというようなやり方をする必要が一体あったのか、これはどういう意図でやられたのかということを私どもはひどく疑問に思ったものであります。これをやり直すために新しく委員会を作るということですが、私はぜひそうあってほしいと考えます。と同時に、非常にむずかしいという点で、日本にもいろいろの権威者、これは部分的にはあると思うのですけれども、良心的な防衛庁技術者と、それから学識経験を持っている科学的な頭脳を持っている人と、よい組み合せでなければなかなか決定はむずかしいというふうに感じます。その点で防衛庁のこの問題についていかさまな態度をとった人たちをのけて、そして機種決定は公明正大におやりになるべきだということを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  171. 田中彰治

    田中委員長 他に御発言はありませんか。——他に御発言がなければ、川島証人には御苦労さまでございました。  次に河野証人より証言を求めます。森本君。
  172. 森本靖

    ○森本委員 証人にまず最初にお聞きしたいことは、F86戦闘機について先ほど来この委員会において岸国防会議議長との間にいろいろ質疑応答がありましたが、われわれが知っている範囲内においては、すでにこれはもう時代おくれであるというように聞いているわけであります。事実政府が発行しております文書の中にもそういうことが明確に出ているわけでありますが、これについてまだあと二百機くらい生産を続けていかなければならないということもいわれております。これに対して証人はどうお考えですか。
  173. 河野一郎

    河野証人 私は時代おくれとは聞いておりません。またそれが時代おくれであるかないかということについては明確にわかりません。
  174. 森本靖

    ○森本委員 この政府発行の「日本の財政」という本の防衛関係というところにも、はっきりとこれはすでに時代おくれであって、次期戦闘機の選定ということでF11F—1Fを内定したというようなことが載っているわけであります。そういうことで、この機種決定の際にはあなたも国防会議議員の一人でありましたので、今その御見解を聞いたわけであります。このF86については、現在われわれが聞いている範囲においては、整備とかあるいは訓練とかいうことなら役に立つけれども防衛用とか要撃用とかいうものには今日の航空時代においては役に立たないというふうに聞いているわけであります。これにこのF86を将来二百機くらいまだ生産をしていくということでありますが、一体それほど生産をしてどういうふうにこれを使っていくのか、そういう点については、あなたが国防会議議員の一人としてあったときにはどうお考えだったですか。
  175. 河野一郎

    河野証人 私は国防会議議員の当時、防衛庁のそれぞれの専門家からいろいろ説明を聞きました。その説明によって日本防衛上ある程度妥当なものであるというふうに私は考えます。
  176. 森本靖

    ○森本委員 このF86は朝鮮動乱の際にソ連の戦闘機と対戦した経験から見て、すでに今日では時代おくれだ、アメリカの第一線機からもすでにそれは後退をしておる。そういうところからこのF86については、もはや整備あるいは訓練しか用をなさない。新しくここにFX、いわゆる新戦闘機機種を選定しなければならぬ、そういうところから新しい機種の選定をしなければならぬという議が持ち上ってきたのではないですか。
  177. 河野一郎

    河野証人 お話通り機種を選定いたしますれば、それはその生産までの間には相当時日がかかるそうであります。従って将来を見越しまして新しい飛行機の製作をすることが必要であるということは、その通りに私も考えております。
  178. 森本靖

    ○森本委員 証人も、大体将来の航空防衛という観点からいきますならば、今のF86ではいけない、しかしまたそのFXを決定をし、それをさらに生産をするということになりますと、相当時間がかかる、それまでは——これは怒らずに聞いてもらいたいと思うのですが、それまでは役に立たぬものでも防衛産業育成という観点からF86を生産をしていかなければ仕方がない、そういうふうな受け取りようになると思いますが、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  179. 河野一郎

    河野証人 私は航空機の専門家でもございませんし、専門的なことはよくわかりませんけれども、またそれが日本防衛計画の上からどういうものであるかということもよくわきまえませんけれども、ただ日本の財政の現状、日本航空機生産等の現状から考えまして、F86の今使っておりますものも相当のものである、そして世界の情勢から見て、急激に防衛計画が変更されていくという今の過渡期の時代にありましては、これらの機種の選定については慎重に検討する必要があるだろうということで、当初新機種を選定するよりも、むしろ経費の節約できるF86ですか、今作っておりますものを引き続き作っていき、ある時期までそれでいったらどうかという意見を述べたことも、そういう考えを持ったこともあるわけであります。しかし、いろいろな方面からいろいろな意見を聞きまして、やはり新機種を選定する方がいいのかなということで、新機種を選定することに同意したこともあるわけでございます。
  180. 森本靖

    ○森本委員 私が今申しましたのは、政府の発しておりますところの「日本の財政」という本の二百六十五ページにそれがはっきり載っておるわけでございます。これは政府の予算の説明でありますが、「わが国の主力機となっているF86Fなどはすでに第一線機から退いて、米国では現在ノース・アメリカンのF」云々、そうして新しく機種決定しなければならぬというふうに書いてあるわけでありまして、     〔委員長退席、高橋(英)委員長代理着席〕 これは何も一課長が書いたにいたしましても、これは毎年出ておることでありまして、うそを書いておったのではやはり責任になる問題であります。だからそういうことは別といたしまして、われわれといたしましては、こういうF86にいたしましても、さらにあと二百機を生産いたしていくということになりますと、非常に重要な国民血税をむだに使いかねないというふうに考えておりまするし、また将来の航空機戦を展望した場合におきましても、三十九年にでき上るものを千三百億も金を使ってやるということは、非常に疑問があるわけであります。われわれの立場から言いますならば、あっさり言えば、こんなものは一切やめてしまって、国民のための方向に回せばよいというふうに考えるわけでありますが、そういう考え方を持ちますから、よけいこの問題についてはわれわれ社会党としても非常に関心と注意を払っておるわけであります。  そこで、特に証人にお聞きしたいのは、これが内定をされましたのは、この前の委員会の廣岡証人等の証言によりまして、四月十二日に国防会議において内定をしたということはほぼ明らかになったのであります。ところがその国防会議においてどういう討論がなされて、どういう経過によってきまったかということについては、あまりはっきりしておらぬわけであります。そこで当日の国防会議議員として出ておられました証人に、この新しいFXの問題を決定された経過について一つできる限り詳しくお聞きしたいと思うわけです。
  181. 河野一郎

    河野証人 その点につきましては、これに関する法律にも明記してあります通り、私はこれをここで申し上げることは適当でないと思いますので、それぞれ手続をとらなければならぬと思います。
  182. 森本靖

    ○森本委員 そう言えばこの問題については結局一つもわからないということになるわけであります。そこで、この四月十二日の内容については、これが一番肝心な問題でありますが、われわれが考えまして非常におかしいと思いますのは、十二日に内定をせられたときには各議員が出ておりまして相当意見があったと思いますが、一応最終的にはこれが決定を見ておる。決定を見たあとにおいていろいろな問題が出てきて、これは新しい委員会でやらなければならないというような問題が提案されてきておるわけであります。そこで、それでは証人に伺いますが、十二日のこの内定の際の会議で、証人はこれに対して反対をされましたか。それとも異議なく了承されましたか。
  183. 河野一郎

    河野証人 それはただいま申し上げた通りでございます。
  184. 森本靖

    ○森本委員 その内容については全然明らかにできませんか。
  185. 河野一郎

    河野証人 これは議長の許可がなければこの会合の内容は発表することは適当でないと考えますので、御了承いただきたいと思います。
  186. 森本靖

    ○森本委員 二日の委員会におきますところの国防会議事務局長は、かなりそういう点については説明をいたしておりますが、証人はこれは一切言えぬ、こういうことでありますか。一切言えなければ質問をあっさりやめますが……。
  187. 河野一郎

    河野証人 これは法律に明記してあります通り私としても、処置、態度をとるより方法がないと思っております。
  188. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この国防会議で四月十二日に内定をせられるまでに、国防会議懇談会というものを数回やったらしいのですが、これは大体何回やられましたか。
  189. 河野一郎

    河野証人 ちょっと記憶がありませんですが、もし必要があれば調べてみます。
  190. 森本靖

    ○森本委員 そこで、この国防会議の正式会議というものと、それからその懇談会というものの性格を一体どういうふうに分けておりますか。たとえば懇談会において行う事項はこういう事項である、そうじゃない事項はこうだというふうに、この国防会議懇談会というものと、正式の国防会議というものについては、どういうふうに区別せられておったのですか。     〔高橋(英)委員長代理退席、委員   長着席〕
  191. 河野一郎

    河野証人 別に議事規則を私はあらためて調べてみませんが、いわゆる懇談会懇談会であり、正式会議は正式会議である。そういうものに参加したわけであります。
  192. 森本靖

    ○森本委員 そういうふうに私は聞いておるわけではないのです。まじめにお答えを願いたいと思います。だから懇談会においてはどういうことを懇談をせられて、正式会議においてはどういうことをやられておるのか。たとえば機械の問題については、これはああいうふうにしようというような論議をする場合には懇談会で行なって、最終的に決定をする場合には正式会議でやるのかということを私はまじめに聞いておるのであって、何もあなたのあげ足をとろうというような意地の悪い態度で質問しておるのではない。
  193. 河野一郎

    河野証人 誤解をいたして御無礼をいたしましたが、大体私の記憶するところでは、飛行機の性能説明等は懇談会で承わったように記憶いたしております。これをどうするかということは、正式の会議でやったように記憶しております。
  194. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、この四月十二日の内定に至るまでの国防会議においての懇談会というものは、大体数回にわたったということを廣岡証人は言われておりますが、その懇談会というものは全議員出席をしなければやっぱり開かれぬわけでありますか。それとも二、三の、たとえば経審長官、あるいは総理、防衛庁長官というふうに、そのときの重要な人だけ集まって会議をやるというような懇談会があるわけですか。
  195. 河野一郎

    河野証人 私の記憶ではいつも全員集まって会議が開かれたように——ときに外務大臣の欠席だったことがあるかもしれませんが、これは特別の事情でありまして、今お話のように一部の者が集まって懇談会をやったということはないように記憶いたしております。
  196. 森本靖

    ○森本委員 そこで、四月の十二日の内定をした会議というのは、これは正式の会議ですね。——それで、ここに資料に出て参っておりますところの国防会議議長から総理大臣あての答申の中で、簡単に二行程度で、この航空自衛隊次期戦闘機についてはF11F—1Fを採用することに内定をするというふうに出ておりますが、この内定をする際にはこれは全員一致ですか。
  197. 河野一郎

    河野証人 これは申し上げていいと思いますが、全会一致でございました。
  198. 森本靖

    ○森本委員 全会一致ということでありますが、こういうことを私たちは聞いておるわけであります。その後、これはもうあなたが閣外に去られまして、自由民主党の総務会長に就任をせられまして、この内定をいたしまして、それからあとのいろいろな準備段階その他について、この機種決定についていろいろの風説をあなたが聞いて、そうして特にこのロッキードグラマンについては性能価格も確実に判明をしておらぬので、国防会議の廣岡事務局長や、あるいは防衛庁の今井次官等に対して、この両方の比較表というものを出すようにというふうな要望をせられたというようなことを聞いておりますが、そういうことはございませんか。
  199. 河野一郎

    河野証人 ございます。
  200. 森本靖

    ○森本委員 その要望に対して比較表が出されましたか。
  201. 河野一郎

    河野証人 ちょっと今の答弁を修正さしていただきますが、比較表を出すようにということを私は申したのではないのでございまして、その両種の比較検討について慎重を期するように注意をいたした、こういうことでございます。
  202. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、両方慎重に検討しなさいというふうに注意をせられて、なおかつその両方を比較するような書類があればわしの方へも持ってきたらどうかということは言われなかったのですか。
  203. 河野一郎

    河野証人 書類を持って出ろというようなことは申しません。
  204. 森本靖

    ○森本委員 それではあなたの手元にはそういう書類は全然来なかったわけですか。
  205. 河野一郎

    河野証人 私が、次官でありましたか、だれでありましたか、と会合をいたしまして説明を承りました際に、書類によって御説明を受けたことがございます。その書類はその場で全部返したと記憶いたしておりますが、よく記憶いたしません。
  206. 森本靖

    ○森本委員 そこで、その書類において比較をいたしまして、あなたはその比較をした場合に、このロッキードグラマンに対してはどういう考え方をお持ちになりましたか。
  207. 河野一郎

    河野証人 性能の比較検討につきましては、私しろうとでよくわかりませんので、また価格の点についてグラマンの方が相当高いというようなことでございましたので、この両機についてわれわれども、特にまた国民諸君の御納得のいくように、専門家の方々のお集まりを願って、その決定に待ったらどうかということを私は発言いたしました。
  208. 森本靖

    ○森本委員 その発言はわかりますが、その説明の方で次官なりあるいはその防衛庁の人が、ロッキードはこうで、グラマンはこうでという説明をして、そうしてそのロッキードグラマン説明を聞いて、あなたはそのロッキードグラマンについての重大な違いというのは一体どこにあるというふうにお考えですか。たとえば価格あるいは性能についても、あるいは速力あるいはいわゆる飛行継続能力というふうなものについての比較がおそらく説明をせられたと思います。そういう場合にグラマンロッキードがどういうふうに説明をせられたかということです。
  209. 河野一郎

    河野証人 ただいまよく記憶いたしておりませんが、性能については一長一短あるように私は今了承いたしております。価格についてグラマンの方が高いということでありますので、御承知のように一応グラマン内定はいたしておるのでございますから、これについては十分に一般、われわれのようなあまり飛行機に知識のない者でも納得のできるように、これは専門家諸君の十分なる御調査によって、そして決定をしてもらうということが必要じゃなかろうかというように考えましたので、その旨を進言いたしました。
  210. 森本靖

    ○森本委員 それから、前に聞いておかなければならぬ問題だったのですが、この間も、これは廣岡証人でちっともはっきりしていなかった問題ですが、私もいまだにこれは疑問に思っておるわけでありますが、この国防会議議長から内閣総理大臣に出されております答申で、F11F—1Fを採用することに内定をするというふうに載っておりますが、私も飛行機のことについては専門家でありませんが、「航空情報」とかその他のものを読んでみまするに、これは二日の委員会でも山本委員から説明がありましたように、このF11F—1、こういうのは艦上機であって、それが直されたものがF11F—1Fであって、さらにそれを改造したものが、98J、そういうものであって、最終的に日本が買おうとしておるのは98Jである。そこでその98Jというのについては、全然これは今品物がないというふうにこの間の二日の委員会で明らかになりましたが、この国防会議議長が総理大臣に答申をしておりますところのF11F—1Fというのは、一体その三通りの飛行機の中のどの飛行機をさすように解釈をせられておりますか、これを決定されるときに……。
  211. 河野一郎

    河野証人 私は当時防衛庁説明によりまして、内定書に書いてありますその数字、その機種をそのまま了解して、賛成したわけであります。
  212. 森本靖

    ○森本委員 そうすると証人は、この国防会議において内定をしたときの飛行機というのは、明らかにアメリカ艦上機日本次期戦闘機機種として内定をした、こう解釈をしてこの内定に賛成をせられた、こういうことになるわけですか。
  213. 河野一郎

    河野証人 当時防衛庁が今お話のような艦上機をさしておったか、F11何とかいう一番新しいのをさしておったかということは、よく私は了承しません。
  214. 森本靖

    ○森本委員 これは国防会議秘密でも何でもないので、私はその点は重大だろうと思うのです。私も航空機については専門でありませんので、その点はあなたと同様であります。しかしこの問題が起って、いろいろこの本を読んで勉強してみまするに、明らかに三通りの飛行機があるわけです。そのうちの、ここに内定をしておるところのF11F—1Fというのは艦上戦闘機である。それがすでに何回もテストをして、日本が買おうとしておるものは98J—11であって、明らかにこれはF11F—1Fとは全然違うものである。これは専門誌でありますから、私はおそらく間違はないと思いますが、こういうことがはっきりしておるわけです。そこでこの内定をしたものが一体その三つの飛行機のうちのどの飛行機をさしておるのか。その飛行機は一体どういう飛行機かということを知らずに賛成するということは私はあり得ないと思う。それが、あなたは自由民主党の非常に実力者であり政治家でもあるので、そんなこまかいことについてはあまり調べる必要はないと言うならそれまでですけれども、しかし小さな問題でありましても、私は飛行機の機械の問題というものは相当大きな問題だろうと思う。そういう点から、これを内定する場合にはそのうちのどれをさしておったかということについて、もし御記憶があればお答えを願いたい。しかし御記憶がなければ、しいてどうこう言ったところでやむを得ませんので、御記憶があればここで御説明願いたい、こういうわけです。
  215. 河野一郎

    河野証人 決して小さな問題とも考えませんけれども、ただいま申し上げました通り防衛庁の当局がいろいう性能その他を調べて、こういう性能のこういう飛行機と、こういう性能のこういう飛行機との比較検討ということで説明をいたしたのでございました。名前はどういう名前でどういうものか知りませんけれども、そのときにわれわれに提示した性能の飛行機がつまり今購入しようとする飛行機であろう、こういうふうに考えるのでありまして、正確な名前が何であるかということ等につきましては、はっきり記憶いたしておりません。
  216. 森本靖

    ○森本委員 それ以上私の方からお聞きしてもなかなかお答えしにくいと思いますが、しかし今のお答えを聞いておりますと、国防会議議員がほとんどと言っていいほどこのF11F—1Fを採用することに内定をしたということを決定をする際には、このF11F—1Fという飛行機が一体いかなる飛行機であるか、これに対して98J—11という飛行機が一体どういう飛行機であるか、F11F—1、このFがつかない飛行機はどういう飛行機であるかということについては、あまり詳しく知らずにきめたのじゃないかという気が私はするわけでありますが、その点はどうですか。これは私はまじめに質問をしておるので、お答え願いたいと思います。
  217. 河野一郎

    河野証人 それはお話通り重要な問題でございますが、そういう飛行機が一、二、三とあるその一番新しい性能の上等なものをさして防衛庁がわれわれに説明をし、比較をしたんだろうと私は考えますので、まさか古いものを持ってきて比べてこちらがよろしいと言ったのではなかろうと思うのでありますが、当時そういうものは三つある、その三つのうちのどれだというようなことはだれも考えておりません。現在想像できる一番いい飛行機ということで防衛庁も十分勉強されたことでありますから、われわれとしてはそれには別に疑問も持たずにそのまま了承し、そのまま判断をしたわけであります。
  218. 森本靖

    ○森本委員 この問題についてはこれ以上証人に聞いても、それは確かに無理と思います。しかしこの問題はあとで防衛庁長官あたりに詳しくただしてみたいというふうに考えます。  それで先ほどに戻りまして、両方の価格の問題について、輪郭は今、証人が言われましたので私の方もわかりました。次にグラマンロッキードを比較いたしましたところの性能の問題については、一長一短があるというふうに言われましたが、その一長一短というのは、どこが一長でどこが一短であるかということについて一つ説明願いたいと思います。
  219. 河野一郎

    河野証人 その点は先ほども申し上げました通り、一長一短があると聞いたので、私も一長一短があるものと了承しておるのであります。たとえば滑走路が長いとか、航続距離が遠いとかいうようないろいろな性能の比較がありますので、それについてなるほどそういうものかというふうに考えたのでございまして、別にそれを私はどこが一長でありどこが一短であるということは記憶をしておりませんし、そういうことを実は勉強もあまりいたしておりませんので、ここで御参考になることをお答えすることは困難でございます。
  220. 森本靖

    ○森本委員 今そういう御記憶がないということ、それはうなずけますが、ただ二日の委員会の速記録に明確に残っておりますが、国防会議事務局長が、河野総務会長からこうこうこういうことであったということを言って証言をしておるわけであります。そこで私は聞いておるわけであります。たとえば廣岡証人が「七月の五日でございます。その話の要点をかいつまんで申し上げますと、このときに総務会長は、今度の機種決定について104Cというものがあるだろう、防衛庁の方ではかねて104Aについてやっているけれども、Cについては十分な調査をしていないようだ、しかもその話をロッキードの方から聞いていない、」こういうふうに言われておりますので、ここで104A、104C、ということになりますと、これはあなたも大体御承知だろうと思うのですけれども性能が若干違ってくるわけです。そこでこういう点については証人はおそらく御承知でその一長一短ということを言われたのじゃないかというふうに考えておりますので、私は念を押して聞いているわけであります。もしそういう点についてここで明らかにできればお聞きしたい。できなければ、これまたあとでどうせ防衛庁の方を呼びますから、その方でやってもよろしいわけでありますが、せっかく廣岡証人があなたの名前を出して言っておりますので、聞いておるわけであります。
  221. 河野一郎

    河野証人 これは私の全く不注意でございまして、104Aと104Cというものを防衛庁では十分研究しておったそうであります。ところが私は104Aも104Cも、そういうことをあまり存じておりませんで、いろいろそういうふうなうわさ話が出ますについて、104のAとCと二通りあるのだ、Cの方がAより性能のいいものだというような話を耳にしまして、そうして値段が安い104Cというものがあるのだという話を聞きましたので、廣岡君に特に注意をいたした、こういうわけでありまして、しからばAとCとどういう違いがあるか、性能はどうだということになると、私は全く勉強もいたしておりません、記録もあまり目を通しておりませんので、ただそういうふうな話をそのまま話として、いやしくも疑惑があり、いやしくもうわさにしろそういうことがあってはよろしくないということで、慎重を期さしめる上において注意を与えた、こういうことであります。
  222. 森本靖

    ○森本委員 そこであなたは、104Aというのの説明を聞いておったけれども肝心の104Cというのは説明を聞いておらぬ、それについては、なぜ説明をしないのかというふうに防衛庁なりあるいは廣岡事務局長に対して叱責をしたというようなことはございませんか。
  223. 河野一郎

    河野証人 それはただいま申し上げました通りによくわかりませんで、なぜやらないかということを廣岡君に申しましたら、廣岡君は、いやそれはあなたの御注意が足りないからそういうことをおっしゃるのであって、防衛庁におきましては両機について十分比較検討いたしております、あなたもそういう説明はお聞きになったはずだということで、これは私の間違いだったかなと思っております。
  224. 森本靖

    ○森本委員 それではあなたは、そういう国防会議事務局長説明で、初めには非常にお怒りになったということでありますが、その怒りも解けて内容もわかった、こういうことですか。
  225. 河野一郎

    河野証人 それは先ほど来申し上げますように、今の104Aについて防衛庁検討をして、もっと新しい104Cについて検討をしておらぬそうだが、それではいかぬじゃないか、こういうことを申した。ところが、それはそうじゃありません、あなたが不注意なのであって、防衛庁としては十分検討いたしております、現にあなたもその説明はお聞きになったはずだ、こういうふうに言われてみて、なるほどそうであったかなと思って、その点は私は一応防衛庁検討しておったということについては了解はした。しかしさればといって、それだけでよろしいというわけに参りませんから、とにかくわれわれしろうとはこういう機種決定等については専門的な人の判断が必要である、だからその専門的な人の判断に待つようにしたらいいだろうということを私は申しておる、こういうことでございます。
  226. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、あなたは104A以外の104Cについては、その後詳しく説明を聞いたというわけですね。
  227. 河野一郎

    河野証人 私は飛行機の性能について実はあまり知識を持とうと考えておりません。性能については専門家でなければわからぬものだろうということで、きめておりますので、その性能検討は専門家に譲るべきだ。われわれは政治的立場において、大局的から、経済的に負担がどうなるとか、そういうものを買うがいいか悪いかということを判断すべきであり、同時に防衛上必要があるかないかということを防衛閣僚としては判断する。現在は党の幹部として、全体的立場から、いやしくも国民疑惑のないように、そして国家の負担もあまりかからぬようにというような点について、自分の責任を果すことが必要である。こういう立場でものを考えておりますので、あまり性能等については自分で研究しようと考えておりません。
  228. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、あなたは104のA、104C、そんなことはとにかく防衛庁でよく検討して、そうしてその結論においてどっちがいいということで出してくるならいい。こういうことであって、あなた自身は104のAがどう、104のCがどうということではなかったわけですね。
  229. 河野一郎

    河野証人 私は今お話し申し上げた通りでありまして、それをいやしくも防衛庁でやっておることに、一部に疑惑があるとか、一部に異論があるということでありますならば特に私はここでつけ加えさしていただきますならば、性能価格、二つの要素について判断をしなければならぬ、こう考えますので、これについてはおよそ国民の了承する専門家の意見を十分に聞いてきめることが、国家としては一番いいだろうこういう考えを私は持っておるわけであります。
  230. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておりまするのは、その104のA、104のCというような内容については、あなたは専門家でないから、そういう詳しいことは私の方は知らぬでもよろしい。しかし防衛庁の方はもっと詳しく検討して、そしてここがいい、ここが悪いということで簡単にはっきりしたものを出せ、こういう御趣旨ですか、こういうことを聞いておるわけです。
  231. 河野一郎

    河野証人 防衛庁も十分勉強して、そういうものをお出しになるがいいでしょうし、またむろんこれは防衛庁だけでなしに、経済的立場からも検討しなければなりませんから、およそ国内におけるその道、これに対する興味を持っておられる人たち、専門家等の意見を十分に聞いて決定されることが適当であろう、こう考えております。
  232. 森本靖

    ○森本委員 それともう一つ聞いておきたいのですが、そこでそういうことになれば、これもこの間の決算委員会において、田中委員長の発言でありますが、「証人、今山田委員があなたに質問したこの二点を、私が三役会議に呼ばれたときに、河野総務会長が防衛庁長官川島幹事長を前にして口角あわを飛ばして、今山田委員が言った通りのことを言って、防衛庁のやつらはそれを聞きやがらぬ、調べてもいやがらぬといって怒ったことだけは事実ですよ。今度は河野証人を呼ぶから、どっちがうそかどっちが偽証罪になるか知らぬが、よほどあなたは考えて返答してもらわぬと、どっちかが偽証罪でやられますから、注意して下さいよ。」ということで田中決算委員長が廣岡証人に注意しておるわけであります。そこでこの問題は明らかにしておかないと、どっちを偽証罪で訴えるか困りますので、明らかにしておきたいと思うのですが、これは委員長も言われておりますので、こういうことが事実あったかどうかということです。
  233. 河野一郎

    河野証人 失礼ですがもう一ぺん、こういうことというのはどういうことですか。
  234. 森本靖

    ○森本委員 これはちょっと初めからになりますが、委員長説明すれば一番早いのですが……。
  235. 田中彰治

    田中委員長 証人に申し上げますが、この前の三役会議に私がこの問題についてお伺いしたときに、証人から防衛庁の者にロッキードのCに対する研究資料グラマンについてもう一ぺん詳しい資料を出せと命令しておるのにそれを出さないのだ。それだからこんなことになるのだというようなことで、だいぶ長官に言っておられた。この間廣岡証人に話を聞いたところが、いやそんなことはない。河野会長がみな御存じであって、決してそんなような話はなさらぬ、こういうようなことを申したのですがね。
  236. 河野一郎

    河野証人 その点は私に誤解があるか、委員長に多少の誤解がおありになるんじゃないかと思いますことは、私の強く言いましたことは、今この委員会で申し上げました通りに、民間の権威者、これに関連するあらゆる角度の権威者を集めて、そうして国民の納得するような委員会構成のもとに決定すべきであるということを、私はたびたび防衛庁の方に進言した、にもかかわらず私の言う通りになぜおやりにならないか、そういうことをおやりになったそうだが、その委員会の開催等についてはまだ一部にいろいろ議論がある、そういうことを世間で耳にするというようなことから、私は今、委員長のおっしゃるように非常に激高して発言した記憶はございます。こういうことはこういう席で申し上げるのはどうかと思いますが、今申したようなことを、第一回に私が防衛庁の幹部諸君に、これはどうしても一般の納得のいくような委員会を開いて、その委員会決定するということが一番正しいきめ方である。それを十分参考にしてやることが必要であるということを述べて、私は進言いたしました。ところが、その翌日の毎日新聞でありましたか、どこかの新聞に、その党との会議において、私が、いや実はああは言ったけれども、内心は今のでいいのだというようなことが新聞に書かれておりましたので、私も非常に不愉快に思いまして、強くその後も引き続き防衛庁に、私の今申しておりますようなことを要望し続けてきたということでございまして、資料の点と委員会を開けという点について、委員長に多少誤解があるのじゃないかと思います。
  237. 田中彰治

    田中委員長 森本委員に申し上げますが、廣岡証人は、今の河野証人の言われたことをおっしゃったのでしょう。そうじゃないですか。私の言ったようなことをおっしゃったですか。私もよくわからぬですけれども
  238. 森本靖

    ○森本委員 今のお答えで先へ進みますが、そこで今のお答えでありますが、新しいこの機種決定をする委員会というものを広く世間に人材を求めてやれということを進言をしたというふうに言われましたが、その進言はどこにせられましたか。
  239. 河野一郎

    河野証人 それは防衛庁の幹部と懇談いたしました際に、私は進言いたしました。
  240. 森本靖

    ○森本委員 防衛庁の幹部というのは、防衛庁長官ですか、それともその他の幕僚クラスでありますか、だれですか。
  241. 河野一郎

    河野証人 長官でございます。
  242. 森本靖

    ○森本委員 そこで、その委員会を置けということを進言をした。ところが、まだ一部にいろいろ異論があるので、私もおとなげなく激高したということを今言われましたが、そこでその一部に異論があって、なかなか進まぬということは、どういうことですか。
  243. 河野一郎

    河野証人 それは今私の申し上げたことと違うのでございます。一部に異論があって進まないということじゃないのでございまして、そういうふうに私が進言しておるけれども、なかなかそれをおやりにならない。たまたま先月の何日かに、ごく内々で防衛庁の中で委員会をお開きになったそうだという話をあとで私は承わりました。ところが私が申し上げたのは、その委員会国民の納得する形式においてなるべくおやりになる必要がある。ごく内内でやるということでなしに、そうしてその委員会決定するということはもちろんございませんけれども、そういう委員会の意見を重要な資料にして決定するのが必要であるということを私は申しておるのでございます。ところが、それをごく内々におやりになったということでございますので、その委員会の開催について一部に異論がある。こういうことでございます。
  244. 森本靖

    ○森本委員 これにはむろん国防会議が最終決定でありますから、その委員会決定じゃありません。これは御承知通り、おそらく諮問的な格好になると思いまするが、そうして最終的には防衛庁でさらに点検し、国防会議にかかる、こういう順序になろうと思うが、そういう順序になる形において広く人材を網羅したものにおいて一応諮問的に検討するということについては、これはある程度うなずける点もあるわけであります。そこで、そういうものをやれということをあなたが言ったにもかかわらず、防衛庁の内部においてこそこそやって自分の意見が通らぬ。そういうことはけしからぬということであなたは怒られたと思う。そういうことは一体どこに原因があってそういうふうにやらなかったのか、そのことを聞いておるわけです。
  245. 河野一郎

    河野証人 その点はわかりません。
  246. 森本靖

    ○森本委員 その点はわからぬにいたしましても、あなたも優秀なる自民党の実力者であり、そういう異論があって、そんなものをやる必要はない、これはもうそのままやったらよろしいというふうな意見が一体那辺にあるかくらいは想像がつくと思うのです。もっともこういう公式の場でそういったことを言えないというならば、それはあえて聞きませんけれども、しかしやはりそのくらいの政治的な洞察力があなたにないことはないわけだから、ただ立場上こういうことを言うのはよろしくないと考えてあなたが言うならばけっこうでありますが、あなたのような頭のいい方がわかりませんということはないと思う。だから、私はそういう政治上の情勢においてそういうことが言えないということならば、それは一応それとして納得して次の質問に移ります。
  247. 河野一郎

    河野証人 誤解が生ずるといけませんから、一応私の判断だけを申し上げておきます。無責任な判断を申し上げて、かえってどうかと思いまして、わかりませんとお答えいたしましたが、今のお尋ねでございますから、一応私の判断を申し上げます。これは誤解があると思います。私の言うのは全体の国民の納得のいくような委員会というつもりで要求したのでございますけれども防衛庁の方では委員の人選さえ各権威者を網羅すれば、その開く形式においてはどうであってもよろしいということで、私と防衛庁の間に考えの違いがあった。これは防衛庁の方はとにかくああいう職掌柄の人であられますし、私たちは政治家で、どうしても大衆的討議を好む。でございますから、そこに多少考えの違いがあったのではないかと思います。決して私の言うように、先ほどおとなげなく腹を立てたと申しましたが、話してみれば、あくまでもこだわって内密でなければやらぬと言っておるわけではないということはわかったのでございます。
  248. 森本靖

    ○森本委員 そこで新しい委員会というものはどういう構想ですか。
  249. 田中彰治

    田中委員長 森本委員、あなた一人にだいぶ時間をとっていますから……。
  250. 河野一郎

    河野証人 私は別にどの人が権威者であって、どの人が入らなければいかぬということは考えておりません。どういう構想も別にないのでございます。大方の諸君の納得のいく形式で、参考としてきめるがよかろうということを申しておるわけでございまして、だれが入ってやれということは言ってないのであります。
  251. 森本靖

    ○森本委員 一応そういう広く人材を求めて云々ということであるならば、大体この技術者はこういうふうに、あるいはまたそういう関係のものはこういうふうにという一応のあなたの構想はあろうと思うのです。そうでなければ、広くそういう新しい委員会を持つということを強く進言しても、——やはり一応の具体案というものはあろうと思う。そういう一応の具体案というものは、あなたはどういう用意をせられておったかということを聞いておるわけです。
  252. 河野一郎

    河野証人 私は別に用意はございませんで、たとえばこの飛行機を新三菱で作るとすれば、今飛行機の生産と直接関係のない航空機の技術陣ですか、ないしはまた大学の教授というような人を集めてやったらどうか、さらに財政的見地からもそういうことの判断のつく人というような人を集めてやったらどうかというふうに考えておりました。
  253. 森本靖

    ○森本委員 そこで私はお伺いしたいと思いますが、先ほどの私の質問に対して、この新機種決定国防会議内容については、これは触れるわけには参らぬ、だからこれは議長の許可が要るというくらい、いわばあなたのお答え考えてみると、軍事機密的なにおいがするわけであります。そういう観点から、この「航空情報」なんかを見ましても、たとえばFCSなどの性能等についてはアメリカ側についてもかなり神経を使っておるというようなことを書いておるわけでありますが、そういう観点から言った場合に、この新しい委員会でやるということが可能ですが。
  254. 河野一郎

    河野証人 私はそれは可能であるかないかはわかりませんけれども、とにかく大衆が納得するためには、大衆の納得する人によって審議する必要があるというふうに考えて、そういうことを提案したのでございまして、それが不可能であれば大衆もまたこれを不可能としてやむを得ぬということになるのでありましょうが、可能な限り慎重にしてやる必要がある、こう考えております。
  255. 森本靖

    ○森本委員 それでは時間がありませんし、あとの質問者があるようでありますので、私はこの程度でやめますが、最後一つお聞きしておきたいと思います。こういうふうないきさつで、これが非常にもめてきたということについて、あなたは一体現在の段階においてはこのグラマンロッキード、こういうものについては今言った新機種決定をいずれにするということでなしに、広く人材を求めてやらなければならぬというふうに言われておりますが、昭和三十九年にでき上るというようなものを千三百億も使ってやってみたところで、日本国防上そう大したことはない。防衛産業航空機産業を育成するということならば、今F86を作っておることでけっこうだというふうにもわれわれとしては考えるわけであります。あなたは今日重要な地位にありますので、この点伺っておきたいと思いますが、こういうものは一切必要がない、——一切といわなくても、こんなにばかげた金を使う必要はない。もっと有利に国民のこの血税を使った方がいいというふうにはお考えではございませんか。
  256. 河野一郎

    河野証人 その点いろいろな角度から判断して決定すべきであろうと思うのであります。民間航空の育成もしくは航空事業の育成等の立場から、やはり日本における航空産業の育成も必要でありましょうし、また別の論点から申しますれば防衛上の各種の変遷、進歩等から考えてまたいろいろ議論もございましょうが、これらはそれぞれ政府の責任においていろいろ検討されると思いますけれども、私が現在持っております考えといたしましては、政府が考えておる通りにこれを支持していきたいと考えております。
  257. 田中彰治

  258. 山田長司

    山田(長)委員 あなたが希望して、懇談会に三人の人を推薦しておるという話ですが、あなたが推薦した人はだれとだれですか。
  259. 河野一郎

    河野証人 私が希望して三人を推薦したという人はございません。今申し上げたように、川崎とか三菱とかいうものに関係のない人を入れてやったらよかろうというだけでございまして、私は三人の人の名前、三人の人についてどういう性格を具備しておるかというようなことについて、別にそう強く考えておりません。
  260. 山田長司

    山田(長)委員 あなたが、F104Cを事務局長が知らないということから、推薦をされた。しかしあとで、防衛庁の方ではそれを知っておったというようなことを今おっしゃいましたが、その後、懇談会を作ることについての希望をあなたは申された。しかしあなたが留守にこの会合が持たれたそのことから、あなたは廣岡事務局長にも一応いやみを言い、さらに防衛庁の方にもいやみを言ったというような話がありますが、これは事実ですか。
  261. 河野一郎

    河野証人 別にいやみというわけではございませんが、ただいま御説明申し上げました通りに、私が委員会を作ってやった方がいいと言いました趣旨と違いましたので、そういう委員会ではうまくないじゃないか、もう少し、はっきりやったらどうかということは申しました。
  262. 山田長司

    山田(長)委員 はっきりというのは、その懇談会がもう少し秘密のない、オープンという意味ですか。
  263. 河野一郎

    河野証人 それが秘密会の形式をとりますか、公開の形式をとりますかは、会議進行によって違いましょうが、とにかくこれこれの人によって形成された委員会で機械の問題について十分懇談するということを、みんなが納得できるような形式でやってほしいというのが私の希望でございました。
  264. 山田長司

    山田(長)委員 話をちょっと変えますけれども、あなたは名古屋の、動物などに餌を与える餌料商の河田師部という人を御存じですか。
  265. 河野一郎

    河野証人 よく知っております。
  266. 山田長司

    山田(長)委員 河田君は、俗な言葉でいえばあなたの一の子分である。それから経営している日本餌料の専務であったというが、これは事実ですか。
  267. 河野一郎

    河野証人 かつてはそうでございました。
  268. 山田長司

    山田(長)委員 今から四、五年前に河田師郎がトウモロコシをたくさん輸入したところ、相場が非常に下落して、この河田師郎の商店の経営の救済に当っては、あなたは日本餌料もこれに何とかしてやらなければならぬというようなことでやったが、その結論が何とも思わしくなかった。こういう話を聞いておりますけれども、このときの事情はどうです。(「委員会と何が関係がある」と呼ぶ者あり)黙って聞いている。関係のないことをやっていやしない。
  269. 河野一郎

    河野証人 お答えいたします。これは、事情は多少違います。日本餌料のできたのは、河田君がトウモロコシで損をしたあとでございます。と記憶しますが、その間あまり私深く関心を持っておりませんので、多少違うかもしれませんが、大体あなたの今おっしゃったように、河田君がトウモロコシで損をしたということはその通りであります。
  270. 田中彰治

    田中委員長 山田委員、これは何か関係があるのですか。
  271. 山田長司

    山田(長)委員 あります。ちょっと聞いていて下さい。そこであなたは伊藤忠に連絡して河田商店救済のために五千万円かあるいは一億の資金の融資方をお願いしたというような話があるのですが、この事実はどうですか。
  272. 河野一郎

    河野証人 それは話が違いますので、河田君が、伊藤忠と合併いたしました飯田高島屋という店からそのトウモロコシを買いまして、買ったのを、たとえば味の素等はそれを不履行にいたしておりますけれども、私は友人に、そういうことは不履行にしてはいかぬ、相場で取られたのは取られた借金は借金にしておくべきだということで、飯田高島屋と長期の年賦償還の契約を取りかわしたという事実はございます。
  273. 山田長司

    山田(長)委員 そうすると、伊藤忠の重役の一人をあなたが口をきいて河田商店に入れているというふうな話があるのですが、この点については相違しておりますか、それともやはり人を入れておりますか。
  274. 河野一郎

    河野証人 重役というほどの偉い人ではないと思います。そういうことで、その後今申し上げた飯田高島屋と伊藤忠の合併がありましたので、その際借金がそのまま伊藤忠の借金にかわったわけであります。そういう関係で伊藤忠の代表者が河田商店の経理の方を見るために入っていって監督しておるということでございましたが、それは全部無事完済いたしまして、たしか昨年でございましたか、一切済みまして、伊藤忠の社員も河田商店から引き揚げたということになっております。
  275. 山田長司

    山田(長)委員 こうした関係から、やはり伊藤忠とあなたはかなり御懇意にされておるだろうと私は思うのです。一昨年になりますか、東独カリの問題で、伊藤忠の問題をわれわれが扱ったことがありますが、当時あなたは農林大臣であられたのです。東独カリ等の問題についても、かなり伊藤忠に対する便宜を——偶然だったかもしれませんけれども、東独へ行かれるときなどは一緒の飛行機で行かれたというようなことの記憶を私は持っておるわけなんですが、伊藤忠とのつながりは、今までも御懇意にされておると思うのですが、いかがですか。
  276. 河野一郎

    河野証人 私は伊藤忠会社とは懇意でございます。しかし今の東独カリの話は全くの誤解でございまして、会社の名前は違います。この輸入の主たる契約者となりましたのはたしか日綿でございまして、その当時これをまた他の方面からやろうとしたのは東京食品という会社でございまして、今お話のように伊藤忠は当時その主役として働いた会社ではないのであります。
  277. 山田長司

    山田(長)委員 その東京食品にあなたの秘書をやられた方が庶務課長か秘書課長に入っているという記憶を私は持っております。このことについては、当時決算委員会で東独カリの問題を扱って質疑が進められている途中で、はからずも自民党の人が休むなりあるいは延期するなりの形で、これが進められずにしまっておるのですが、これらの問題についても御協力願わなければならぬと思うのです。そこで、今度の問題につきまして、伊藤忠とあなたの御関係もあると思いますけれども、河田さんがかなり奔走しているという話を伺っているのですが、こめ点について何か知っている範囲があったら教えていただきたいと思います。
  278. 河野一郎

    河野証人 ただいま東食に私の知り合いが秘書か何かに入っているということ、これも、そういうことは全然ございません。私は、東食にそういう秘書とか課長とかいうものの知り合いは一人もございません。それから河田君が飛行機の話について関係がある、何か話があるというようなことは聞いたことがございません。
  279. 山田長司

    山田(長)委員 このたびのグラマン購入に当りましてこの伊藤忠の河田氏がかなり動いているという話なんです。これが政党方面に政治資金などもこの人を介して流れているといううわさがあるわけです。まああなたは関知しないと言われ、あるいは全然知らぬと言われるのかもしれませんけれども、これは私の調査した範囲でございますから、お気にさわる点もあると思いますけれども、その点についての河田さんの動向については全然あなたは御存じないですか。
  280. 河野一郎

    河野証人 私は全然了承いたしておりませんし、河田君とは毎日会いますけれども、飛行機の話を聞いたことはございません。また、これは誤解があるといけませんから申し上げておいた方がいいと思いますが、先ほどからお聞きの通り、私はグラマンをあまり支持いたしておりませんので、その点は一つ誤解のないように御了承いただきたいと思います。
  281. 山田長司

    山田(長)委員 あなたはお気にさわるかもしれませんが、あなたの発言をされておる過程において、あなたは精神的に性能とかあるいは価格の問題とかいうようなことを御意見を申されているかもしれませんけれども、伊藤忠にお知り合いがあったり、あるいはF104Cの推薦といいますか、話をされたりしたことで、何か精神的であるかもしれませんけれども、両方に関係があるといってはおかしいですが、とにかく推薦する立場にあったような印象を私ども調査の範囲で受けているわけなんです。それで念を押して伺うわけなんですけれども、あなたは精神的に、国の立場を考えられて、性能のこと、価格の問題、そういうことを御推薦されると思いますけれども、これは私の調べた範囲でありますから、自分はそれに関係がないと言われるかもしれませんけれども、とにかくいずれの飛行機が推薦の対象になれるような形であったものか、もしその推薦の話ができるものなら、一つここで遠慮なく聞かせてもらいたいと思います。
  282. 河野一郎

    河野証人 私は、はっきり申し上げます。先ほど来申しておるように、防衛閣僚会議内容は申し上げかねますから、はなはだ遺憾でございますけれども、この防衛閣僚会議の経過は、それぞれそこに出席しておられた当時の防衛閣僚会議のメンバーもしくは防衛庁は十分知っておると思います。私が今日までこの機種決定に対してどういう態度をとってきたかということは、多くの人がみな承知しておるわけであります。従ってただいま御質問のような、私がどっちの飛行機に好意を持っておったか、両方の飛行機に好意を持って進めようとしておったらしいというような点は、少くとも私の今日まで取り来たった態度と全然違いますから、そういう点については一つ誤解のないように御了解いただきたいと思います。
  283. 山田長司

    山田(長)委員 いずれこのことにつきましては明らかになることもあると思いますので、これ以上私は質問をいたしませんが、参考に一つ伺っておきたいことがあるのです。それは元四条侯爵を通して私の郷里の那須に二千万円で先月牧場を求められたという話を耳にしているのです。坪数にして五万五千坪、これはお求めになられたのか、ならないのか、参考に一つ伺っておきます。
  284. 河野一郎

    河野証人 それは私の関係しておるところじゃないのでございまして、私の友人が四条侯爵ではありませんけれども、そういう牧場を買ったということは、私も相談を受けております。
  285. 山田長司

    山田(長)委員 けっこうです。
  286. 田中彰治

    田中委員長 小川豊明君。
  287. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 国防会議議員であられるあなたに簡単にお尋ねしたいと思いますが、機種について各社それぞれ売り込み運動があったというわけですが、そこで、これを内定するには価格とか性能とかというものを検討されて内定されるのがしかるべきであって、機種決定してから価格性能検討するというのは順序が違うような気がしますけれども、当時の議員の一人としてのお考えはどうだったでしょうか。
  288. 河野一郎

    河野証人 そういう意味から内定ということの処置をとったのだと私は思っております。
  289. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで官房長官から発表された一応内定したというこの言葉を一体どういうふうにわれわれとして解釈してよいのですか。一応内定という言葉を国防会議議員としてあなたはどういうふうにお受け取りになられたのですか。一応内定という言葉をどう理解せられたのでしょうか。
  290. 河野一郎

    河野証人 お話のように、なお価格の点、機種点等について調査を進めるという意味での内定だろうと思います。
  291. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、これは先ほども総理も言われておるが、一応この機種内定をしたが、これは今後検討の上変更することもあるというようにあななも理解されておりますか。
  292. 河野一郎

    河野証人 それは総理の申された通りと思います。
  293. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから八月二十二日に、自民党の方で党の六役会議を開かれたそうでありますが、あなたは当時総務会長をしておられましたが、そういう会議は開かれましたか。この党の六段会議は、当然総務会長であるあなたも御出席になっておると思いますが、御記憶ありますか。
  294. 河野一郎

    河野証人 大てい欠席せずに出席いたしておりますから、八月二十二日と指定されますとちょっとわかりませんが、どういう問題で相談したかということでしたらわかると思います。
  295. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは新聞の発表ですから、表現はあるいは違うかもしれません。新聞の発表では、この機種選定の問題がいろいろ世上の問題になってきたので、急遽党六役会議を開いてF11Fの内定をしたことを一たん白紙に返し、あらためて防衛庁とは関係のない学識者によって委員会を構成し、それによって再検討国民疑惑を解くときめれらた、こういうふうに新聞は発表しておるわけですが、発表の表現は違うかもしれませんが、趣旨としてはこういうことが新決定になりましたか。
  296. 河野一郎

    河野証人 先ほど来申し上げております通り、大体二十二日だったと記憶いたしますが、そういう趣旨のことを相談したと思います。
  297. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 先ほど私はこのことを総理にお尋ねしたのですが、総理はそういう決定はされておらない、こういうふうに御答弁になっております。そこで、党の最高の機関がこういうふうに一たん白紙に返して、そして学識者によって委員会を作って再検討国民疑惑を解くようにきめたというからには、機関が一応内定したとはいえ、こういう決定が出るくらいですから、この内定というのは非常に権威というか、その効力が薄いものじゃないか。そういう中でF11Fの国産準備委員会というものを防衛庁は作って、すでにこれに踏み出してしまっておるわけです。そうすると国防会議は、一応内定し、さらに検討の上では変更することもあり得るかもしれない、党の六役会議として、最高幹部会として、今申し上げたような決定がなされておるにもかかわらず、防衛庁としてはすでにF11Fの国産準備委員会というものを作って、それぞれ委員を任命してそれに踏み出してしまった。これは防衛庁の非常な行き過ぎではないか、こういうふうに考えるわけですが、あなたのお考えはどうですか。
  298. 河野一郎

    河野証人 それは新聞の発表なる記事が、一応白紙に戻してということは私は間違いだと思います。それほど強いことを六役会議できめたのではないのでありまして、私の了承する限りでは、先ほどからお答えいたしましたように、民間のそれぞれの権威のある方々の委員会なり懇談会を作って、そこでもう一ぺん十分検討してもらって、大衆の納得のいくようにしたらどうかということを防衛庁当局に進言した、こうういふうに私は了承しております。
  299. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから国防会議機種内定されるときには、当然学者の正確な資料が出されたと思うわけですが、あなたはやはりその説明された資料は正確な資料だというようにお受け取りになったですか。
  300. 河野一郎

    河野証人 正確な資料考えております。
  301. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこでこれは仮定になるので御答弁ができないといえばそれまでになるわけですけれども、もしこの国防会議決定に対して正確な資料を提出されないで決定された場合、国防会議議員であられたあなたとしては、こういう場合についての対策とか態度とかいうものはどういうふうにお考えになりましょうか。
  302. 河野一郎

    河野証人 お話のように国防会議に出された資料が正確のものでなかった場合という仮定についてお答えを申し上げるのは、ちょっと迷惑でございますので……。
  303. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 最後に一点お聞きします。国民負担の軽減ということは、あなたは絶えず念頭に置いておられるわけですが、そこで、こういうたとえばロッキードをきめるとかグラマンをきめるとか機種をきめる場合に、これは日本だけでは負担をしきれないわけですから、従来ではアメリカ負担を頼んでるわけですね。そこで、こういう内定であれ何であれ、一応これをきめるからにはアメリカのこれに対する負担は何十%であるか、これは当然重大な問題として議論されたと思うのですけれども、これは決定はされないまでも、どのくらいの負担アメリカからあるかということが説明されておるわけですか。
  304. 河野一郎

    河野証人 説明を聞いておりません。
  305. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは非常に大きな問題だと思うのです。たとえば一千億なり一千二百億なりかかるとするなら、当然アメリカのこれに対する負担というものが何%であるかということが、日本負担との関連で非常に重大な問題だろうと思う。こういう問題を少くとも国防会議が十分に検討して、しかる後にどの機種をきめるかということを考えなければならぬ。あなた方は機種性能とかいうことに対しては知識がないからそういうことに対してあまり介入すべきでないという態度、これは私もわかる。しかしこういう問題はあなた方として当然取り上げて十分検討した上で内定されるべきだ。また防衛庁当局としてもその説明国防会議議員にしないということは非常に手落ちじゃないかと思います。決定してしまってからパーセントが予想より違ったという場合にどうなるのですか。これをお尋ねします。
  306. 河野一郎

    河野証人 それは内定をいたしてから交渉する段階になりますか、もう少し進んで交渉する段階になりますか存じませんが、従来の慣行もあるようでございます。しかし私がその会議に出た当時はまだその段階に至っていなかったのではないかと思うのでありまして、もちろん小川さんのお話のように、いずれかの段階においてそういう段階があるだろうと考えております。
  307. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 機種内定してからその交渉に入るのが筋であるのか、筋としては私もわかりませんが、われわれが一番関心を持つのは、性能の点ももちろんでありますが、この一千二百億にも達しようとする負担国民がこれからしていこうとするならば、これはアメリカのこれに対する負担というものが非常に重大な問題になってくるので、この点が正式に交渉するしないよりも、その内諾あるいは何なりを取りつけて、国防会議防衛庁としても説明すべきじゃなかったか、こう思うし、国防会議議員としては当然その点を質問なさるべきでなかったか、こういうふうに私としては考えられるわけです。機種決定してしまってから、その負担が少くなったとしても、それだから取りやめるということはできないと思うので、この点はくどいようですが、もう一度お尋ねいたします。
  308. 河野一郎

    河野証人 委員会内容にわたりますので、今の点についてはお答えいたしかねます。
  309. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今、委員会内容で、そういう点が議論されたか、説明されたかと言ったら、あなたは説明されなかった、こう今御答弁になった。だから説明されなかったとすれば、これは説明しない方の手落ちじゃないかという一点と、それに対して、質問の内容は私はお聞きしようとは思いませんが、質問等がさらになかったのかあったのか、この点だけお聞きしたい。
  310. 河野一郎

    河野証人 言葉を返すようですけれども、どういう補助があるように考えておったか、話があったかということでございましたから、私はさっきのような、段階がいろいろございましてという、実は含みのあるお話を申し上げたのでございます。  さらに、今のようなことでお尋ねになれば、内容については申し上げられませんとお答えするより仕方がないのであります。よろしく御推察を願います。
  311. 田中彰治

    田中委員長 他に御発言はありませんか。——他に御発言がなければ、河野証人には御苦労さまでした。  だいぶ時間も経過いたしましたので、本日はこの程度にいたし、左藤証人の証言は本日これを延期いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  312. 田中彰治

    田中委員長 異議がなければ、さように取り計らいます。     —————————————
  313. 田中彰治

    田中委員長 証人の出頭要求の件についてお諮りいたします。  歳入歳出実況に関する件、特に防衛庁航空機購入問題について調査のため、松前未曽雄君及び岡幸昌君を証人として当委員会に出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、その通り決しました。  証人の出頭日時委員長に御一任願います。委員長においてその手続を進めることにいたします。  次会は追って御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十七分散会