○岩本
委員 私は自由民主党を
代表いたしまして、
藤山外務大臣が
国連へ重ねて出発せらるるに際しまして、一言申し上げまして、積極的なる御活躍を期待したいと存ずる次第でございます。
私は元来超党派
外交の推進論者でございまして、その
意味は、申し上げるまでもなく、与党、
政府というものが野党の言い分に謙虚に耳を傾けることであり、しこうして野党の諸君も反対のための反対ということは打ち切っていただきたい、そして少くとも重大
外交につきましては超党派
外交で推進してもらいたいという切なる念願でございますが、幸いにして本日は両党協調において、今やまさに重大時局に立っておる
国連の場で大活躍をされようという藤山
外相に対して、両党から激励の辞を述べる、これはわが外務
委員会においても画期的なことでございまして、いわゆる私の
考えておりまする超党派
外交に一歩踏み出したものである、こういうことで、きわめて痛快に存ずる次第でございます。
そこで最近の岸内閣における藤山
外交というものは、特に
国連の場における藤山
外交というものは、おおむね成功をしておると
考えます。これは客観的な
立場から見ても、完全にそう言い得ると存じます。たとえば先般安保
理事会におきまする
日本の
態度、もちろん米ソは自国本位の
決議案でありましたから、これが否決せられたことは当然であり、さらにスエーデン案といたしましても、連合国が認める
意味ではなかったと存じますから、これが否決せられたのは当然である。しこうしてわが
日本の
代表が提案いたしました
決議案というものは、ソ連の拒否権には会いましたけれ
ども、その他絶対の支持を得たというこの一事でもまず成功だといえまするし、そのこと自体が次の緊急
総会において
相当な効果をもたらしたということは事実でございまして、きわめて愉快に存ずる次第でございます。しこうしてまた、去る緊急
総会におきましては、藤山
外相みずからが出席いたしまして、いわゆる
自由主義陣営との提携という大原則はありまするけれ
ども、是は是とし、非は非とする、こういう建前におきまして、米英中心の案であるノールウェー
決議案というものに、軽々に賛同しなかったというところに結果的には
アラブ決議案というものが成り立ったのであって、
日本のこの間に処したる活躍というものは世界列国がことごとく認めたと、かように存ずる次第でございまして、きわめて御同慶にたえないと存じます。しかもハマーショルド事務総長が
日本の
決議案をそんたくして、監視団を派遣せいというこの要請に対しましても、 のとりました
態度、すなわち憲法上、自衛隊法上からそれは拒否した、このこと自体も当を得た措置だと
考えるわけでございまして、かような方向を推進いたして参りますについては、
日本の信用度というものも着々として世界列国に認めらるることであろうと
考えまして、この点はきわめて愉快なことであり、めでたきことであると、かように存じております。
そこで藤山
外相も当
委員会において仰せらるる
通り、
日本そのものが主役の
立場に立つということは、あらかじめ計画的に意識的にいたしたのでは成功度はおぼつかない、その
通りだと私も
考えております。現在の
日本の
立場という面から見ますと、意識的に計画的に事をする、こういう主役は成り立ちませんけれ
ども、正しい主張、そしてはからざる
努力というものが、この間の
決議案提案のときのようなひとりでに主役になるということは、きわめてけっこうなことでございます。今後もそういう方向で臨んでいただくのでありますが、今回の出発に際しまして特に申し上げたいことは、積極的に主役を果してもらいたいという事柄があるわけでございます。それは、たびたび論議もされておりまするけれ
ども、とにかく核実験の停止、そして行く行くは禁止、この問題に関する限りはこれは八十数カ国ありといえ
ども、
日本自体が積極的な発言をし得るいわゆる苦い体験者であるという点において、他のどの国にも譲らない
立場にあり、この国の主張というものが一番通過する可能性を持つことであり、しこうしてこれが成功した場合において、世界
外交中における最も重要なる事件でありまするからして、このことに対しましては
日本の世論というものをもちろんまじめに取り上げていただくのでありまするけれ
ども、
国内の雑音というものは排除いたしまして、あくまでこの信念貫徹のために、出発に際してこの点については強い決意のもとに臨まれることを要望してやみません。(拍手)
しこうしてまた一般的な問題といたしましては、もちろん床次君のすでに申されましたように、人口の問題とか、自由貿易の問題とか、あるいは
東南アジア経済開発の
問題等々、これまた積極的に御尽力を願わなければならぬわけでございます。
さらに
国連総会に出席する前に出発せられまして、カナダとの善隣あるいはまた
アメリカに対する片務的な安保条約の改訂等御尽力になることであろうと存じますが、外務
委員会において数万言費やされておりまする両党の
意見というものは、大よそ
外務大臣としてすべてを理得され会得されておると存じますので、こういう面に向って積極的なる御奮起をお願いしてやまぬのであります。李ラインの
問題等につきましても、日韓間において非常な
努力をされておるのだが、しかしながら隠忍自重にも
程度があるのでございまして、私は李ライン
問題等につきましては、今やこれは
国連提訴の覚悟をきめられていいのではないか。要するに私は、あの事件のごときは国辱問題であるとさえ
考えておる次第でございまして、今回の
会議に出席される上においては、そうした面についても積極的な御活動を願いたい、かように存ずる次第でございます。
しこうしてまた、基本的な
考え方といたしましては、中東問題というそうした事柄に苦労することは、もとより当然でございますが、何といたしましても、
日本といたしましては、極東問題こそきわめて直接的な重大な事件でございまするが、わが極東において、今日不祥な
事態が目の先にぶら下っているというこの事実を深く体せられまして、
アメリカに対し、イギリスに対し、その他
国連全体に対しまして、それらを総合して積極的なる御活躍を期待してやまぬ次第でございます。さような御労苦、まことにお骨折りのことではございますけれ
ども、どうか今日の
日本の置かれておる
立場というものを、間違いなく世界の壇上において発言せられ、活動せられて、成果を上げられることを、出発に際し特に要望申し上げまして、わが党の
意見といたします。(拍手)