○井岡
委員 大臣は自分の
判断を決定するのに参考
資料が必要だ、同時に現状のままでやるのには——一番それが望ましいことだ、たとえば
国鉄が
総合開発なり何なりをやることが一番望ましいことだから、そういう
資料があれば
出してもらいたいという御
意見だったと思う。そこで私たち先般、これは社会党だけでありますが、十名ばかりで向うに参りまして、反対される
理由を聞いて参りました。会った
方々を先に申し上げておきますが、
鉱業所の所長を
中心とした職員、それから
従業員の
方々、隣村の町村会の議員の
方々、それから鉱害関係の
方々、これは主として隣接市町村の
方々であると思います。それから社会福祉事業の
方々、さらに主婦の会の
方々、
最後にこの山を
経営していく上にいろんな関連業者がおりますので、この業者の
方々、以上の
方々に会いました。
そこでまず
鉱業所の職員の
方々は、現状のままでこれをやるのに対しての見解としてこういうように言っております。
大臣もすでに
総合開発をして国家資源を
活用することが一番大事だ、この目的には変更を加えるわけにいかない。私もそう思います。そこで、現状のままでどうしてやっていくかということでありますが、現状のままで、
大臣もいろいろお調べになって
おいでであろうと思いますから、あの地区における
鉱区を詳細にお調べになればおわかりになると思いますが、たとえば
三菱の持っておる
鉱区が
志免の
鉱区の中に入っております。しかもこれは
志免の方からとらないと
三菱の方からはとることができないという現状にあります。従ってこれを買ってもらいたい、こういう
意見を持っております。そこでその金について、現在金を出すということが困る、こういう
国鉄側の御意向でありますが、職員並びに
従業員の諸君の言い方は、なるほどわれわれは長い間迷惑をかけてきたけれ
ども、最近に至っては、われわれは何とかしてこの
鉱業所を守ろうという
立場からいろいろ努力をしてきた、その努力の蓄積は昭和三十一年度並びに昭和三十二年度の純益、これはある
意味において鉱害関係が若干未処理になっておりまするから、純然たる純益とは申しませんけれ
ども、合せて約五億近くの金があります。このお金を使っていたたいていわゆる
隣接鉱区を買う、それから今手をつけておるのにその費用を充てていただくとするならば、われわれの立てておる十年
計画というものは立っていく、しかしそれはいわゆる現在の五十万トン・ベースではなくて、四十五万トン・ベースは十年間確保することができる、こういうように言われております。従って、そういう
立場をとりつつ
総合開発をいかにすべきか、こういう観点でこれを
考えることが望ましいのではないかと思うのであります。御
承知のように
総合開発でありまするから、私は必ずしもこれが採算ベースに乗るか乗らないかということも将来
考えていかなければいけない。従、もし採算、ベースに乗らないとするならば、しかし資源を生かさなければならぬという絶対至上命令があるとするならば、これは国家投資をやらなければならぬということになって参ろうと思います。こういう点を
考え合せるならば、現在のままでいわゆる
志免の
鉱業所が努力の蓄積によって得た黒字、それを若干補てんをしていただくということは、これは現状のままでよいという結論になろうかと思うのであります。
それから隣接市町村の問題でありますが、市町村議会でありますが、これは鉱害の問題を主としております。御
承知のように今日まで鉱害問題の解決いたしておるのは、単に
志免問題ではなくて全国一律に見てみますと、必ずしも鉱害問題はスムーズに解決をしておらない。各
鉱業所との間に、これは石炭にいたしましても鉱石にいたしましても一緒でありますが、かなり鉱害問題をめぐって紛争のあることは事実であります。そこで、にもかかわらず隣接の市町村は、この
国鉄等の鉱害の問題について比較的、どう申しますか、大らかな気持であることは、過去から
国鉄が今まで示していただいた実績、同時にそれに対する
取扱い、こういう点をほかの鉱害に対する問題と比較対照するならば、かなり血の通ったものがある、従ってこれをわれわれはこのままやっていただきたいというのが、鉱害関係における隣接市町村関係者の
考え方であります。同時にまた隣接市町村の
考え方はいわゆる地方財政の確立であります。御
承知のように今日地方財政は非常に苦しゅうございます。仕事が多うございます。ここでこれがほかの方に売られていくということになって、果して
計画したいわゆる地方行政というものができ得るかどうかということについて不安を持っております。時間がないという
委員長からの御注意がございましたから、こまかいことは省略いたしますが、この点を十分
大臣の方でお取り上げ並びに御
検討をいただきたいと思います。
それから社会福祉事業であります。今日の各
炭鉱の中では必ずしもいい環境にあるとはいえません。しかしながら、
志免の
鉱業所における社会福祉あるいは児童教育というものは、この事業が国営である、あるいは
国鉄の事業であるというプライドをいわゆる主婦から子供からみんな持っておる、そういう点からかなり社会福祉事業にいい結果をもたらしておる。このことは向うの社会福祉事業の方たからお聞きになられれば十分おわかりになると思いますが、この点を強く主張されておりました。これもほかとの比較対照における問題であります。
それから主婦の
方々であります。主婦の方たは自分の子供に仕事をさす上において、あるいは就職をさす上において、
志免鉱業所の職
従業員の子弟であるというならば、いわゆる北九州における工場就職率というものは無条件でとっていただいておるということであります。これがほかの
炭鉱と比較するならば、あの
炭鉱かあるいはあの会社の
従業員かということでどうも入れていただいておらない、こういう点から将来の子供に対する希望というものが非常に強く主婦の方たから働いておるということであります。
最後に関係者の話でありますが、たとえば坑木の問題であります。御
承知のように坑木はその炭坑々々に企画をして、半年ないし一年前からこれを整備している、これがほかに譲られていくということになると、果して今まで
通りに坑木が入れてもらえるかどうか、年間一億幾らの取引をしておるようでありますが、こういう結果からくるこれらの約十軒に当る業者の生活の問題、並びに
従業員の問題等で非常に心痛をしておるというようなことをわれわれに陳情されたのであります。
以上のような点を
考えてみまするならば、
大臣が言われるようにそこの隣接の市町村と
従業員の福祉ということが第一前提として
考えられるならば、私は十分現在のままにおける反証になろうかと思うのであります。同時にまた
大臣は
総合開発について、現状では
大蔵大臣はこれを認めない、こう言っておられるようであります。従って現状ということは、現
段階におけるとわれわれは解釈をいたしまするから、先ほど申し上げましたように、たとえば十年
計画が遂行されつつある中であるいは
情勢の変化があり得るかもわからない、こういう点等を合せるならば、十分私は現在のままやっていってよいのじゃないか、こういうように
考えます。
大臣の
判断の
資料にということでございまするので、私はこの程度にしておきます。