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1958-07-01 第29回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月一日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 長谷川 峻君    理事 堀内 一雄君 理事 土井 直作君    理事 正木  清君       宇田 國榮君    小淵 光平君       川野 芳滿君    菅家 喜六君       小泉 純也君    小枝 一雄君       關谷 勝利君    高橋清一郎君       羽田武嗣郎君    前田  郁君       三池  信君    久保 三郎君       杉山元治郎君    館  俊三君       山田 長司君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         交通課長)   内海  倫君         総理府事務官  牧園  滿君         大蔵事務官         (主計局主査) 渡部  信君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  八木 利眞君         運 輸 技 官         (鉄道監督局国         有鉄道部保安課         長)      柳澤 忠男君         建設事務官         (道路局路政課         長)      三橋 信一君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     吾孫子 豐君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道常         務理事     久保 亀夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 六月二十七日  委員生田宏一君及び中村寅太君辞任につき、そ  の補欠として川野芳滿君及び高橋英吉君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十八日  名古屋都市計画十二号線の高架線鉄道工事計画  変更等に関する請願赤松勇紹介)(第一二  七号)  国鉄生橋線等建設工事促進に関する請願(飯  塚定輔紹介)(第一二八号)  東北地方幹線鉄道複線化及び電化工事促進に  関する請願飯塚定輔紹介)(第一二九号)  魚津、本江線鉄道踏切拡張工事促進に関する請  願(三鍋義三紹介)(第一五七号)  釜石港湾修築を国の直轄工事として施行に関す  る請願山本猛夫紹介)(第一七三号)  三陸沿岸縦貫鉄道早期完成に関する請願(山  本猛夫紹介)(第一七四号)  飯山線の線路改善に関する請願塚田十一郎君  紹介)(第一九八号)  大隅地区測候所設置に関する請願二階堂進  君紹介)(第一九九号)  隼人、古江間国鉄バス路線の鹿屋市等に延長に  関する請願前田郁紹介)(第二〇〇号)  新得、足寄間鉄道敷設に関する請願本名武君  紹介)(第二〇一号)  民営バス事業の振興に関する請願檜田甲子七  君紹介)(第二〇二号) 同月三十日  東北地方幹線鉄道複線化及び電化工事促進に  関する請願石山權作君紹介)(第二一七号)  信越本線改良促進に関する請願羽田武嗣郎君  紹介)(第二一八号)  同(松平忠久紹介)(第二五二号)  自動車泥除備付に関する請願外一件(戸叶里  子君紹介)(第二五一号)  同(板川正吾紹介)(第二九二号)  国鉄志免鉱業所払下げ反対に関する請願外二  件(館俊三紹介)(第二五三号) の審査を本委員会に付託された。 六月三十日  東京湾臨海鉄道及び佐原、水戸間の鉄道敷設に  関する陳情書  (第三五号)  自動車等による泥土及び泥水の飛散防止に関す  る陳情書外一件  (第三七  号)  同  (第九四号)  内航旅客定期航路整備促進に関する陳情書  (第三八号)  山陽本線電化促進に関する陳情書  (第三九号)  四国循環鉄道東部線着工促進に関する陳情書  (第四〇  号)  交通事故防止に関する陳情書  (第四一号)  高崎線完全電化促進等に関する陳情書  (第四二号)  小型漁船乗組員船員法適用に関する陳情書  (第七七号)  交通安全協会に対する補助金交付に関する陳情  書  (第八九号)  国鉄紀勢線全通実現に関する陳情書  (第九〇号)  北陸本線の複線及び電化に関する陳情書  (第九一号)  日勝鉄道敷設促進に関する陳情書  (第九二号)  自動車泥除備付けに関する陳情書  (  第九三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件      ――――◇―――――
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  国鉄経営等について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 国鉄の当局にお伺いいたします。ことしの五月に東南アジアから鉄道関係者が参りまして、国鉄の各運輸施設等視察したそうでありますが、その中で特に金沢鉄道監理局管内敦賀の構内を視察されたのですが、これに当って地元鉄道監理局長は総額約四千五百万円を出して見せかけ工事をしたという話がありますが、この点についてまずお尋ねをしたいと思います。
  4. 小倉俊夫

    小倉説明員 昨年閣議の御了解を得まして、東南アジア近東の十九カ国の鉄道首脳者——首脳者と申しますのは、中に運輸大臣もございますし、総裁あるいは副総裁局長というような最高首脳者を御招待申し上げまして、国鉄現状あるいは交通関係民間の諸工場、そういうものを視察していただいて、鉄道関係者親善及び将来のわが国の技術の輸出、あるいは産業、車両その他の物資の輸出をはかりたい、こういう意図のもとにお招きいたしたのでございます。そのうち十一カ国の方が御招待に応じて日本に見えたのでございまして、それにつきましては国賓に匹敵するものでございますので、万遺漏なきを期して、国鉄あるいは民間、あるいは地元方々歓迎の意を表したのでございます。そういう際に、金沢におきまして約四千五百万円程度工事をいたしたことは事実でございますが、しかし、それは将来にわたって国鉄の有効なる利用のできる工事もございますし、また遠来の賓客を遇するためにいたした工事もございますが、これは決して現地の一部が申し立てるような見せかけ工事で、不当な支出とは私ども考えておりません。
  5. 久保三郎

    久保委員 視察団敦賀機関区を見たその見る目的は何であったか。
  6. 小倉俊夫

    小倉説明員 この来朝者は、国鉄に限らずすべての輸送に関連する工場であるとか施設であるとか、それの全部の視察をいたしたいという御要求がございましたので、各方面の御案内をいたしたのでございます。特に交流電化は世界におきましても先進国のごく一部しか採用しておらない全く近代的の形式でございますので、私の方でも主力を特に交流電化視察に置きまして御案内をいたしたのでございます。その際に敦賀機関区の機関車乗務員休息休養施設というものもお見せするのがいいのではないかということで、休養施設ごらんに入れたのであります。
  7. 久保三郎

    久保委員 今のお答えの中で、たとえば敦賀機関区の休息施設を見せてあげた、こうおっしゃるが、今度この工事でやったような冷暖房装置で、あらゆる電気設備が入っておるような休息設備が、果して国鉄には何カ所くらいおありなのですか。これが典型的な、いわゆる国鉄の全貌を代表するものですか。
  8. 小倉俊夫

    小倉説明員 実は機関従業員休息ということは、安全運転にもつながるのでございまして、私どもはぜひ何とか休養施設を向上して参りたいというのが常々の願望でございます。ところが、休息施設というのはいろいろむずかしいことがございまして、疲労回復度測定だとか、専門的な、学問的な測定も行わなければなりません。それで、かねがねテストケースとして一つできるだけ完備したものを設けて、そういういろいろなデータを集めて研究して参りたい、こう思っておりましたので、この機会敦賀機関区の休憩室を、テストケースとして冷暖房を作ったのでございまして、これはテストケースでございますからして、まだ全国のどこにもできておらないのでございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 テストケースとして一つだけをお見せすることは、日本国鉄現状を真に視察していただく目的ではないと思うのですが、そういう点は、なるほど副総裁のおっしゃるようにテストケースとしてやりたいことであったから、たまたまおいでになるのでやった、こういうふうに了解するわけですが、それにしても日本鉄道ごらんいただくのでございますから、日本鉄道見せかけでやっておるようにどうしてもとられざるを得ないのではないですか。こういうことはあとからつけた一つのこじつけじゃないかと思うのであります。  それで次にお尋ねしたいのは、この四千五百万円の工事はどういう費目によってなされたのか、これは国鉄本社がそういう工事を指示しておやりになったのか、こういう点を一つお尋ねしたい。
  10. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいまの、前の御意見に対して私の意見を述べさせていただきますが、これはもちろん御案内いたしましたときにはっきり申しまして、これは私どもの国でもまだ初めての機関区であります、いろいろ従事員疲労回復度その他のしっかりしたデータをつかみたいために初めて試みました施設でございますということは、見学された方にはっきり申し上げております。決してこれが全国全部できておるなどということは申しませんで、かえって、こういう施設もこしらえて研究をいたしつつありますということは、はっきり申し上げております。これによって来朝方々が誤解を招くというようなことは全然ございません。  それから次の御質問工事内訳でございますが、これは項別工事ということで、項別工事というのは支社で計画施行いたします金額の張った工事でございまするが、これが一件で一千五百万円、それから小工事と申しまして、これは局長限りでできる軽微な工事でございまするが、これが四十一件で二千五百四十万円、修繕費が二十件でこれが五百十万円、合計で約四千五百五十万円になっておるのでございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 先ほどの休憩室の話ですが、ことさらにこれを敦賀機関区にこしらえなければならなかった理由というものが私にはわからないのです。研究としておやりになるならば、もっと手近なところで、国鉄本社の一番近いところで、しかも、もっと乗務員のたくさんおるようなところでやるべきでなはかろうか、こういうように思います。これはいずれにしてもそういう機会を御利用になっておやりになったと思うのですが、そのほかに国鉄現状からいいますれば、たとえば休憩所一つとりましても、この近所にも雨漏りがするとか、冬になって羽目板から寒い風が吹き込んでくるような休憩所が数多くあるわけです。そういうものも今やれないでいる現状じゃないでしょうか。そういうのを放置しておいて、研究機関であるからというので多額の費用を出すことはどうかとわれわれは思っておるわけです。  それからもう一つ、この工事の中で、たとえば変電所の棚がきなどは、去年の十月に何か作ったそうであります。それをこわしてまた金網か何かにした。ところがこれは近く変電所を大きくするのでまたこわさなければならぬ、こういう実態だそうであります。こういうのは少くとも費用を有効に使ったとは言いがたいのではないかと思います。  それからもう一つ続いて申し上げますが、支社で計画執行したという一千五百万円、あるいは小工事の二千五百四十万円、あるいは修繕費が五百十万円あるそうでありますが、その内訳あとからつけたのではないかという疑いをわれわれは実際持っておるわけです。特にわれわれが聞いた範囲では、三十三年度末の工事として大半の修繕費をこれに投入した。それで足りなくて、三月一ぱいに完成した工事も三十三年度にこれを押し込んでいった、こういうことなんですが、予算の執行がこういう点あいまいだと思うのです。三十三年の三月一ぱいに完工したものは、これは三十二年度工事だと思うのです。それを三十三年度予算がまだ明示されない以前においてそういうからくりをした、こういう点はもう少しはっきりお聞きしなければならぬと思うのです。この点について一つ……。
  12. 小倉俊夫

    小倉説明員 金網の件につきましては、これは決してむだになるものではございませんで、ただいまお話がございました将来の拡張の場合にでも有効に使い得るものでございまして、一部の人が言うような、取り払ってしまう短期間見せかけであるというようなことは絶対にございません。実はこの金網にいたします前は、よく地方の駅でごらんになりますような古まくら木を使ったきわめて簡単なものでありまして、こういうものはときどき、手が回ります場合あるいは金が回ります場合には、そういう駅あるいは機関区というようなところでは漸次取りかえていくものでございまして、将来も継続使用できるものでございますから、むだではないのでございます。  また、修繕費を乱費したがために、ほかの予算が回らないのではないかというお話でございます。ただいま仰せられるように、休憩室につきましてもまだ手が回りかねまして、いろいろ修繕をいたしたい、拡張をいたしたいというところもございまするが、鉄道のいろいろな施設と申しますのは、やはり日進月歩に追いついてある程度水準を高めなければならないのでございまして、たとえて申しますれば、ただいま国鉄の中では、いなかへ行きますとまだきわめて程度の低い列車も動いております。と申しまして、やはり東海道線特急というようなものは、相当金をかけまして高度のものを作っていかなければならぬ。地方がまだ車両が悪いから、特急もするのは見合せるということは、やはり国鉄全体の進歩のためにとらないところではないか、やはり一方にはできるだけ手回りの修繕もして参りますが、一方にはやはり最高度のものも研究を続けていきたいというのがわれわれの気持でございます。それでこの金沢の一局におきまして年間の工事費が、修繕費もあわせまして約十八億の予算を持っております。そのうち四千五百五十万円でございますから、比較的に申しますると、これは少額の工事で、全体をゆがめるというほどの数字ではございません。  それから次に、年度を越して予算を食う、あるいは継続工事をしたのはどうかという御質問でございましたが、これは国鉄予算制度におきましては、次年度にまたがる工事については債務負担行為という制度がございまして、一定ワクを大蔵省から認められております。そのワク範囲内におきまして、次年度にまたがる工事を、次年度予算を当てにいたしまして工事を起すということは認められておるのでございまして、この点につきましてはそのワク内の債務負担行為でいたしておりまするので、決して違法ではございません。
  13. 久保三郎

    久保委員 債務負担行為でやったとおっしゃるが、そういうのは事前に支社なり本社でもって局長などの申請に基いて許可をしておやりになるのですか、それともでき上ってしまってから、結局今年度予算がないから来年度繰り上げ充用ということで債務負担行為をするのですか、その点一つ……。
  14. 小倉俊夫

    小倉説明員 大きな工事につきましては、あらかじめ地方から本社に禀申が参りまして、これだけの債務負担行為をいたしたいがどうかということは伺いが出て参ります。この項別工事、先ほど申しましたこの大きな工事の件につきましては、機関区につきましては債務負担行為本社で認めております。しかしながら、一般の小工事につきましては一定ワクを与えて、そのワク内で支社会議債務負担行為ができる。それをこすことはできませんけれども、そのワク内でありますれば債務負担行為ができる建前になっております。
  15. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、今回のこの問題については局長権限を逸脱したものではないというふうに了解してよろしゅうございますか。
  16. 小倉俊夫

    小倉説明員 その通りでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 では工事契約方式ですが、国鉄には仮契約方式というのがございますね。
  18. 小倉俊夫

    小倉説明員 場合によりましては、通常仮契約と申しますものをいたすこともございましょうが、これは決して正規のものではございません。
  19. 久保三郎

    久保委員 この問題については仮契約という方式をとっているものがあるようでございます。この点御承知ないようでありますが、今御答弁があったように、仮工事契約といいますか、そういうものはないということでありまして、こういう点も少し変じゃないかとわれわれは考えております。  もう一つ続いてお尋ねしますが、先ほどの御説明で、金沢鉄道監理局修繕費を含めて十八億の工事費を持っておる、だから四千五百万程度は大したことはない、こうおっしゃっておるようでありますが、敦賀機関区に集中したこういう工事は果して妥当かどうかということをお尋ねしたい。  もう一つ続いてお尋ねしておきたいのは、たとえばこの視察団が来る通路をきめまして、その通路は全部舗装する、その付近にある線路のバラスは全部新しいものに取りかえる、あるいはその通路に面したところには全部花壇を設けて、ちょうどおいでになる時期に花を植えかえてりっぱに咲かせる。これも一つの礼になり、歓迎の意になるかもしれませんが、国鉄全体の現状からすれば少し行き過ぎじゃないかと思っておりますが、あなたはどうお考えでしょうか。
  20. 小倉俊夫

    小倉説明員 花壇でありますとかあるいは通路の舗装でありますとか申しますものは、物事の考え方でいろいろな批判も出てくると思います。しかし私どもは、これは国際間のお客様でありまして、東南アジアあるいは中近東といった遠方のところから、忙しい中を特に視察に来られるということでございまするから、できるだけこれを優遇したい、そして国際間の親善もはかり、また日本文明度の高いことをぜひ承知してもらいたいということを念願して、できるだけの精神的、物質的な御接待をすべきである、こう考えたのでございます。これは金の点につきましてもそうむだ金は使っていきたくない。しかし、できるだけの御接待を申し上げなければ、かえって御招待をしたことがマイナスになる、こう考えまして、国鉄が総出でいろいろな資料の作成あるいは御接待その他御説明ということをいたしたのでございます。その結果、このお客様皆様本国に帰られまして、それぞれの機関報告をされております。それが在外の大公使の手を通じまして日本外務大臣報告が来ておりますが、それによりますと、すべて手厚いもてなしを受けたことを非常に感謝されております。それからまた、日本鉄道西欧諸国よりも機能的にまさっておる、おそらくこれに匹敵するのはアメリカ、西ドイツの鉄道があるのみではないかというところまで、激賞せられておるのであります。それで私どもは、このわずかな金で思うようにはできませんでしたが、東南アジアあるいは近東お客様を御招待した目的がまず達成できたと非常に喜んでおりまして、これにつきましては、外務省その他民間関係団体からも、よくやったとほめられておるのでございます。これは、申し上げるとかえって自画自賛になって、言いにくいことでございますが、ただいまのことに関連いたしますので申し上げたわけで、かようないい結果を持ちましたことについては、お客様を優遇する方法としまして道筋をきれいにする、あるいは目を楽しませる、それに対しまして若干のお金を使うということは礼儀でもあるし、また普通の常識であるだろう、こう考えておる次第でございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 花を咲かせるのも礼儀だと思いますが、建物通路に面した側の方にだけペンキを塗るという工事礼儀でしょうか。おそらくこれは人をばかにした工事だと思うのですが、いかがでしょうか。
  22. 小倉俊夫

    小倉説明員 先ほど申しましたように、お客様接待と申しますのはいろいろの見方があり、個人々々の感覚もございますので一がいには申せませんが、われわれ個人でございましても大切なお客様をお迎えするときには、まず玄関口、それからお座敷というようなところのふすまの張りかえだとか、道の手入れだとかいうことをいたすのが普通でございまして、もちろん金が十分ありますれば台所まで完備してお見せするということもあるかと思いまするが、とりあえずはお客様のお通り道だけでもきれいにいたしたい。この工事羽目板をきれいにするという程度でありまして、それによって特にお客様の関心を買うというような程度では決してございませんで、普通の礼儀範囲であります。かえってあまりみっともないところをお見せしては、国鉄というのは何てだらしがないのだろう、建物もこわれかけているではないかという印象を深くいたされましては、せっかくほかでかせぎました点数がマイナスになりますので、そういう腐れ落ちた羽目板を直すというようなことは、見せかけ工事としてそう取り上げて言うほどのことではないと私ども考えております。
  23. 久保三郎

    久保委員 副総裁のお考えではそういうことも必要かもしれませんが、たとえば敦賀の建築区で今回担当した工事だけを見てみますと、大体今度の工事は二年分くらいの費用になっておる。しかも国鉄現状は、そういう一カ所だけをよくして、見せるということは別として、集中してやるほどの能力はないと思うのです。しかも短期間のうちに仮契約というふうな、何かわけのわからぬような契約に基いてやってきている。今ここでこれが問題になってから口うらを合せて御答弁をいただいておるようにわれわれは聞いておるわけなんです。別に副総裁を追及するということではなくして、こういうあり方の本質を一つ私は考えてみたいと思うのです。なるほど御招待申し上げた外国の人を、気持よく、しかも心から歓待して見せるということに対して、われわれは反対しているわけじゃない。そういう狭い考えで申し上げているのではなくて、それも一つであるけれども、なお国鉄現状というものを比重にかけると、東南アジアから来た人により重点を置いて考えて、その他の職場なり施設をそのままほったらかしておいていいのだろうか。それから三百六十五日毎日利用されておるところ国民大衆利便というものもやはり考えなければならぬ。そういうかね合いの上に立って、いわゆる外国から来る人の接待をすべきではないか、こう思うんです。今までわれわれが調査した範囲におきましては、とにもかくにもこの金沢監理局工事そのものは、あの地域におけるところ国民大衆利便利用者の立場に立っても不当である。先ほどあなた方は、地元の一部の者が申し立てるほどのものではない、こうおっしゃっておりますが、地元の新聞はこぞってこれに対して非難をしている。しかも一方、電化のための利用債の消化に地元の各市町村といいますか、自治体が骨を折っているでしょう。このためにまずくなって監理局の幹部の方でおやめになった人も出てきた、こういう話も聞いているんです。そういうことが正しいあり方であろうかどうか、こういうことが一つあるんです。局長権限を逸脱したかどうかの問題は二の次にしまして、こういう問題が出てきたから本省の方とも一応連絡をとって形を整えたかは知りませんけれども、こういう問題は別として、地元の一部の申し立てということではなくて、非常に国鉄に対する見方が悪化しているという現状です。こういう点を副総裁は御存じあるのかないのか。  それから、先ほども申し上げましたように仮契約ですか、そういう方式を認めていくのがいけないのか、先ほどの答弁でははっきりしませんが、法規上はそういうものはない。ないものを認めていくようなお話なんですが、この点はっきりお伺いしたいと思うんです。  続いてもう一つ申し上げますが、交流電化をいたしまして、今日まで五名の感電死した従業員がいるそうですが、交流電化しているところはこのほかにもあると思うのですが、感電死の防護措置というのはどの程度進んでおりますか。今どの程度にやっているのか、その点もお伺いしたい。
  24. 小倉俊夫

    小倉説明員 予算を集中してこの工事に充てて、ほかの方はおろそかになっているのではないか、あるいは次年度予算が困るのではないか、かように一時的に集中するのはどうだろうかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、金沢の一局で、修繕費も含めまして、工事全体の予算額は十八億でございまして、ただいま申し上げました工事の全体を合せましても四千五百五十万円、このうちにはお客様が見えなくても当然しなければならない工事も含んでおりますし、また将来これが国鉄施設として有効に使われる工事もあるのでごございまして、決して御心配のように今後の工事の運用が困るというようなことはございません。  それから地元の反対があったではないかということでございまして、私も地元の新聞は全部見たのでございます。それで新聞は、先ほど申し上げましたように、いろいろな見方もございまするし、記事をいろいろあれこれ修飾したり、おもしろおかしく報道する場合もございますので、いろいろな点で批評がございました。しかし、私が聞きましたところでは、別の観点で、お客様を御接待するのは当然ではないか、どうしてああいうふうに労組の方の反対があるのであろうかというような、かえって逆の批判もあったように聞いておりまするし、また、今回東南アジアそれから中近東の首脳者が敦賀に来られたということは敦賀市の名誉であるということで、小学生が通りで、来られた各国の旗を持ちまして観迎したり、花束を贈呈したり、あるいは花火を上げたりなどしまして非常に喜んでやっております。そういう点から考えましても、私どもの方で多少の予算を持って御歓待するということは、あながち不当ではないと考えております。  それから、その次の仮契約でございますが、仮契約というのは正式の契約でございませんで——あるいは規程の中に出てくることもあるかと思いますが、今はっきりは記憶しておりませんけれども、もちろんこれは変則の工事でございまして、本契約によっていたすのでございますが、今、当面の件について仮契約をどのくらいしておるかということは、まだ手元に詳細にきておりませんので、これは調べてみたいと思います。  それから交流電化につきましては、東北線では実行いたしておりますが、何しろ新しい設備でございまして、かつて交流電化で四、五人の死者が出たこともございますが、この点につきましては交流電化に対する知識の教育を十分いたしていく。それから前に死者を生じましたのは、蒸気機関車が架線の下を通るときに、つい機関車の上に乗っていたために電線に触れて死者を生じたというケースもございましたので、蒸気機関車にも上に上らないような措置をいたしまして交流電化の事故を防いでおりまして、その後におきましては、交流電化区間内におきましても、特段の支障は現在のところ起っておりません。
  25. 久保三郎

    久保委員 仮契約のことについては、はっきりしないそうですから、後刻お調べいただきたいと思います。  なお、この際申し上げておきますが、この工事全般にからんで、工事の件名と権限、その費目、それから契約の時期、方法、こういうものを調べて出していただきます。というのは、この前井岡委員から、委員長を通じてこの件についての資料の提出を要求してあると思うのですが、今に出てきておりませんので、念のために申し上げておきます。  それから、交流電化については知識を与えるように努力しておるとおっしゃるけれども、雨降りのとき、こうもりがさをさして構内を歩くことができないと言っております。それからストーブに触れることもできない。雨どいとかそういう鉄のものも危なくてさわれないというようなことを地元では言っておるようであります。こういうことがほんとうだとすれば、その防護装置がおくれているのじゃないか。小倉副裁総が今おっしゃるような、従業員に対して電気の知識を与える程度でいいものならその通りでいいかもしれませんが、現地ではそういうことを訴えておりますが、これを御存じかどうか。  それから、先ほどから繰り返しおっしゃっておるようでありますが、どうもあとからつけ加えていろいろ体裁をつくろっておられるように私はとっておるわけです。歓迎するのは当りまえだろう——先ほども私が申し上げたように、地元の子供たちが旗を持って歓迎するほどだから、国鉄としても多少の費用を出して歓迎するのは当りまえだろう、こうおっしゃることもよくわかりますが、しかし私の聞いている本質じゃないのです。私の言っておるのは、全般の問題としてそういう工事が妥当かどうかということです。これが国鉄全体として背伸びした歓迎をやっておられるのじゃなかろうか。これはまだ現地を見ておりません。現地を見ればはっきりすることでありますが、少くとももう少し誠意を持った歓迎の仕方というのがありましょう。それから、繰り返し申し上げるのですが、国民の鉄道なら、利用者の国民の立場に立って、まず第一に施設の改善をすべきであるはずなのに、向うは雨が多い地区であって、上屋もないところがたくさんあり、跨線橋もないところがたくさんある。それから一般働く者の立場に立てば、休憩室冷暖房装置も、これは雲の上のような話だ。現在の休憩室は雨漏りさえするものもあるという。それから宿舎にしても、これは貧民窟の長屋にひとしいものがたくさん付近に散在しておる。こういうものを放置して、あるいは研究であるとか、歓迎だからといって、多額の経費をつければ、これは奇異の目をもって見られるのも当然だし、国鉄のやり方に対して内外から不審の目をもって見られるのも当然じゃないだろうかと私は思う。現在いろいろな面で国鉄の合理化を一生懸命やっておられるようですが、こういうものも、片方で少くともそれほどの工事をやるんなら、こういう閑散線だからお前のところの駅をなくせということを言われても、地元の住民は聞くはずがない。実際今、閑散線といいますか、閉鎖線というものをどこにするかということで、地元から大いなる反発を食っておるのであります。こういう国鉄自体のやり方に対して不信の念を抱いている者もある。この辺を一つすっきりしてもらわなければならぬ、こう思うのです。  それから、もう一つつけ加えて御質問申し上げたいのは、この東南アジアから視察団が来られまして、どういうところを見て、このために——このためにと言っては語弊がありますが、こういう敦賀において代表するような工事に、どのくらいの費用を全体としてお使いになったのか。それからどういう個所をどういう目的でお回りになったのか、その点をお尋ねしておきます。
  26. 小倉俊夫

    小倉説明員 交流の危険性でございますが、もちろん交流を採用いたします場合には、いろいろ専門家が集まりまして、危険防止に万全の措置をとったと私は考えるのでございます。私が聞くところによりますと、交流の電線に直接触れればもちろんのこと、これにある程度近接すると危険であるということは聞いておりますが、普通日常の仕事をいたしますところの、ストーブやといにさわっても危ないということは、これはよもやないと思いますが、ただいまの仰せでありますから、さらに調べて専門的にお答えいたします。  それから資料の提出、これがおくれておりましたことはまことに申しわけないので、さっそく督促いたしまして提出することにいたします。  それからいろいろな御注意もございますので、この点に関しましては、また私どもの方でもいろいろ考えまして、もし多少でも行き過ぎの点があるとすれば、今後の注意の参考にいたしたいと考えます。  それから今度見えられましたのは、セイロン、中国、インド、インドネシア、イラク、マラヤ、パキスタン、フィリピン、タイ、トルコ、アラブ連合のシリア、以上十一ヵ国の鉄道首脳者でありまして、合計二十八名でございます。それで視察をせられた個所は、簡単に申し上げますと、国鉄の大井工場国鉄の技術研究所、国鉄の軌道更新作業、交通博物館、東京地下鉄、国鉄宇都宮変電所国鉄新鶴見操車場、国鉄中央教習所、北陸線交流電化施設及び国鉄北陸隧道、関門隧道及び国道隧道、八幡製鉄所、日立製作所笠戸工場国鉄鷹取工場、住友金属安治川工場国鉄伊東線列車遠距離制御装置、こういう個所でございまして、そのほか皆さんの格別の御希望によりまして御案内いたしたところも数カ所ございます。それで、先ほど申し上げましたように、これの一番の大きな目標が交流電化視察でございましたので、工事費も大体金沢が主でございまして、ほかの局では施設等の工事費として使ったものはほとんどございません。ただ御接待費用その他は全部本省で負担いたしたのでございまして、直接の経費といたしましては宿泊費、食料費、交通費、会場費その他で約六百二十六万円余支弁いたしております。それから間接経費といたしまして、記録映画、あるいは資料の編さん、展示会等で二百八十万円、それから特別列車を運転いたしましたのが三十三万円、その他合せて大体一千万円支弁いたしております。
  27. 久保三郎

    久保委員 今お話の中で、敦賀以外は工事費にたくさん出したものはないというのですから、代表的ですね。ここへ集中されたように思うのです。それで、これは金沢監理局長が一生懸命になり過ぎてこういうふうにいろいろな工事をおやりになった、ほかは、やはり国鉄現状をそのまま見ていただくという立場に立って、あまりそういう方面へはお金をかけなかった、こういうふうに私はとっているんです。そこで問題になったので、国鉄の本省と打ち合せて、つじつまと言っては語弊がありますが、こういう形を整えてきているのではなかろうか。もしもそうだとすれば、これは問題だと思う。  それからもう一つは、われわれが知っている範囲では、こんな工事まで指示した覚えはないと本社では言っているそうです。本社のどこか知りませんが、今の副総裁お話だと、あなたの方で全部認めておやりになったように聞くんです。たとえば休憩室などは、あなたが冒頭お話しになったように、テストケースとして、これは幸いだから敦賀研究的にやれという御命令を下して予算をつけてやったのかどうか。そういうものがほとんどなのかどうか。もちろん工事費用の少いものは地元監理局長の権限でおやりになったと思うのでありますが、そういう大きな工事は一々本社で計画を立てておやりになったのかどうか、その点を最後にお尋ねしておきたい。
  28. 小倉俊夫

    小倉説明員 敦賀工事が集中いたしたと申しますか、ほかの方であまり使わなかったと申しますのは、先ほども読み上げましたのですが、大体作業現場を短時間で回られるのでございまして、敦賀のように相当時間をかけて御視察を願うようなところが非常に少かった、言いかえますれば敦賀交流電化区間、交流電気というものが日本においてどういうふうに発達しているかということを見るのがこの主たる目的でございますし、また御案内を申し上げました主たる理由でありますので、自然と敦賀に長時間をかけて御視察願った結果、こういうふうなことに相なったのでございます。  それでただいまの御質問で、本社ではどういうふうに——これを全部認めたのか、あるいは全部知らなかったのかという御質問でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、この機関区の休養室につきましては、本社においても承知いたしております。もちろんお客様の御接待にそつがあってはいかぬということで、関係者が事前に、そのいろいろな視察個所に先行いたして、いろいろ打ち合せもいたしておったのでございます。従いまして、敦賀にも当方の者が参りまして、いろいろ事前の打ち合せをいたしたのでございます。しかし、工事ということになりますと、先ほども申しましたように、小工事と申しますのは局長の専決になっております。それで局長限りで予算をやりくりして工事を専決いたす権限を持っておりまして、もちろん金網の件だとか塗装の件だとかいうものは、決して一々支社にも上って参りませんし、本社としても指図する範囲外でございます。そういう小工事あるいは修繕につきましては、全部支社長がその責任において施行したのでございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 最後にもう一つ、この敦賀機関区では、交流電気機関車は三菱製をごらんいただいたのですね。それから休憩室その他にある電気設備は全部三菱製品であったそうですが、機関車にしてもそのほかのメーカーの作ったものがあったにもかかわらず、それはどこか遠いところに置いておいて、ことさらに三菱製をそろえておいたということを聞いております。その点は少し変じゃなかろうかというふうに私自身も思っておったのですが、その点副総裁は御承知かどうか、最後にお伺いいたします。
  30. 小倉俊夫

    小倉説明員 交流電気機関車は、日本としましても最近の製作でございまして、非常にむずかしいものであるということを聞いております。この電気機関車には二種類ございまして、一種類は三菱で作っておりまするし、もう一つは日立で作っておりますが、おのおの違った性能を持っております。でありますからしてこの北陸で使います電気機関車を三菱に契約するということは、これは当然のことでございますが、そのほかいろいろなメーカーでできるものにつきましては何も三菱に集中する必要はございませんで、成規の手続をいたし、あるいは自由競争契約、あるいは見積り合せ競争契約というようなことで契約いたしております。私の手元に『東南アジア視察団来敦に伴う「見せかけ工事」の実態について』というのがございます。これは少し事実が違っておるのでございますが、この冷暖房装置、電気冷蔵庫、洗たく機等につきましては、おのおの成規の手続を経て購入いたしておりまして、冷房装置は東洋キャリアという会社に注文いたしております。それから電気冷蔵庫、洗たく機は三菱でございまするが、請負業者は、この書面では「四社が競合して」となっておりますが、実はこれは十二社の誤まりでございまして、やはり特段に特命にすることでなくて、成規の手続で請負あるいは工事をいたしておるのであります。     —————————————
  31. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に交通行政について質疑の通告があります。天野公義君。
  32. 天野公義

    ○天野(公)委員 前から問題になっていたことでございますが、最近、都市を中心にしたところの交通量が非常にふえてきておる。そういうようなこともありますし、自動車が非常にふえてきたというようなことから、踏み切り及びガードというようなところでいろいろな事故が起ったり、また交通を遮断するというようなことが非常に多くなっておりまして、いろいろ問題を起しておるわけでございます。そこで踏み切り及びガードに関連をいたしまして、当局に若干お伺いしたいと思うのであります。  国鉄、私鉄をひっくるめまして、最近における踏み切り事故の、特に人身事故の問題について、概数をお知らせ願いたいと思います。国鉄の方はここに資料をいただいておりますので大体のところはわかるのでございますが、私鉄をひっくるめた数字は全然わかっておりません。こういう点からお伺いしたいと思います。
  33. 權田良彦

    ○權田説明員 お手元に国鉄の資料がお届けしてございますが、その資料の一ページに合せまして私鉄の件数を申し上げます。昭和十一年度の私鉄の事故発生件数は三百六十二件でございます。それから昭和三十一年度では千六百五十件でございます。昭和三十二年度が千七百八十七件でございます。
  34. 天野公義

    ○天野(公)委員 そうしますと、国鉄と私鉄と合計すると相当な数になるわけですが、一体どういうことが原因でこういう大きな数字が出ておりますか。
  35. 權田良彦

    ○權田説明員 この原因は、国鉄、私鉄とも大体同じでございまして、まあ通行をされる方の不注意と申しますか、たとえば直前横断あるいは運転を誤まって線路に落ち込む、またあるいは踏み切りを横断しておられるときに故障を起しましてそのまま踏み切り道上にとまってしまう、あるいはこれはごくわずかでございますが、おりている遮断機を突破するとか、踏切警手がとめたにもかかわらず突っ込んだ。これはごくわずかでございまして、大半はこの直前横断でございます。これらの原因によりますものが、大体九八%ぐらいに相なります。その他の、たとえば踏切警手の防護が適切でなかったとか、遮断機を早く上げたとか、おろすのがおそかったというような、いわゆる踏み切りを守る方にそういう落度のありますものは、全体の二%ぐらいでございます。
  36. 天野公義

    ○天野(公)委員 そこで一つ大きな問題があると思うのであります。かりに、国鉄の方の資料を拝見した結果によりますと、第四種という何も設備のない踏み切りの数が八八・二%もあって、それから直前横断、本人の不注意というような件数が非常に多くて、九八%も占めている。それでこの第四種のところで起りました事故が八二・五%、そうすると、何もないところで起った事故というのは、非常に大きな件数を占めているわけであります。何もないところで、本人の不注意ということもあるかもしれませんけれども、何の警報機も何の知らせもないままに踏み切りを放置しておくというところにも、一つの大きな問題があるのじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
  37. 權田良彦

    ○權田説明員 踏み切り事故の起りました件数の絶対数は、今天野先生の御指摘の通りでございますが、個所別当りで事故の起りました傾向を見ますると、国私鉄を通じまして第三種で起ります事故が、個所別当りでは一番多いのでございます。第三種と申しますのは、御案内の自動警報機がついておりまして、列車が接近いたしますとちゃんちゃんと鳴る、機械によって防護しておりますところでございますが、この警報を通行側において無視される例が、割合としては多いのでございます。絶対数は御指摘の通り第四種が多うございます、個所当りにいたしますと減ると思いますが。これにつきましては、先ほど原因別のパーセントを申し上げましたが、私どももこの踏み切り事故のふえて参りますことは非常に残念な次第でございまして、幸い鉄道事故という一般の事故は年々減ってきておりますが、踏み切り事故だけは御指摘の通りふえております。これはただ原因別に通行者側の責任だけによって解決すべきものでないと私ども考えまして、特にこの第四種についてはいろいろ考えておるところでございます。特に第四種につきまして今私ども考えておりまするのは、根本的には、御案内のように全国で第四種が、国私鉄を通じまして六カ所以上ございます。大体国鉄で三万六、七千カ所、私鉄で二万四、五千カ所ございます。なおこのほかに、これはいわゆる作場道と申しますか、人だけ通れるようなごく細い、歩いて越えるといったようなもの、これは踏み切りとしては扱っておりませんが、これらを入れますと莫大なものになります。そういたしますと、ちょっと考えていただきましても国鉄の営業キロが約二万キロございますし、私鉄の営業キロも一万キロぐらいございますから、キロ当りにしますると、とても踏み切りの数が多い。これは日本の特徴でございまして、世界各国より多いことはやむを得ませんが、ある場所によっては二百メートル置きぐらいに踏み切りがあるというようなことは、よく先生御存じの通りでございます。この踏み切りの数を整理統合することを根本的に考えなければならないのではないか。これは、実際は今までもいろいろ現地々々で当っておるのでありますが、通行側にとっては若干不便になるわけであります、あるいは少し遠回りになりますが、しかし、私どもとしては、非常に危険な場所でございますし、いわば川を渡る橋みたいなものでありますから、そう数が多くあるよりは、多少減っても渡る橋が安全であるという方が望ましいのじゃないかというので、この整理統合にはなお努力いたしたいと考えております。  次に、この四種のままで放置しておいていいかどうかといういう問題がありまして、列車の交通量も、特に最近は車両もいろいろ進歩しまして、速度も向上しております、また通行側においても、先ほどお話の通りに自動車が著しく、ふえてきておりますので、特に自動車の起す事故が多いことは、この資料ですでに御承知の通りでありますが、これらによりまして、やはりここでその交通量及びその現場の実情に応じました、どういうところをどうしたらいいかという、その基準を考え直す時代にきておりはせぬか、できればこの基準を、現在やっておりますものよりは程度を向上せしめて、しかるべきものは三種なり一種なりに上げていく、これについて実態調査も行い、そういう改良計画を推進いたしたいと思っておるのであります。  さらに第三の問題といたしましては、踏み切り全体の問題、これは立体交差も含めまして、立体交差、平面交差を通じましての踏み切りに対します問題でございますが、実はかねて関各者行政機関の間におきまして、交通事故防止対策本部というのを内閣に設けまして、この中に踏切部会という部会を特に作りまして、いろいろその対策についての検討をいたしました結果、踏切道通行に関する措置、あるいはその施設の整備改善に関する措置というものが出ておりますが、そのうちに、この立法措置が必要であるという結論をいただいておるのであります。これは私どもも同感でありまして、言にして申し上げますと、現在実は踏み切りというものは、道路側の道路でもあり、鉄道側の鉄道でもございます。従って、現存立法的には、道路側からはこれは道路の付帯工作物として道路法で扱っておりますし、鉄道側からは一つ鉄道施設として鉄道の建設規程というようなもので扱っておりまして、その両方からやっておりますために、踏み切りというものを一つの営造物といいますか、物として一元的にこれを規制しておらないのでございます。従いまして、道路管理者と鉄道管理者との協議という形にすべてがまかされておりまして、協議がととのいませんときにはなかなか思うようにまかせないという遺憾な事態がございます。そこで、この内閣の交通事故防止対策本部踏切部会の結論にもございますように、実は鉄道と道路との交差に関する法律というものを、できるだけ早い機会に国会に御提出申し上げまして御審議をわずらわしたいと考えまして、今関係いたします運輸省、建設省並びに警察関係でもって協議しておりまして、ほとんど大半その新しいものができ上っておりますが、なお一、二の点についてまだ最終的な結論に達しない点がございますので、これを至急まとめまして何とかいたしたい。その要領は、これも簡単に申し上げますと、結局交差施設の設置基準を法定する。それからその保守基準を法定する。それから新しく作る、あるいは改築する、また維持管理区分、費用負担等を立法措置で明確にする。それに先ほど申し上げましたいろいろ近接踏み切りの合理的な整理統合を促進する根拠を法的に持つ。あるいはその整備計画を作れるようにするということを織り込んでございます。  以上申し上げましたようなことを、実は今後推進いたしますことによって根本的な解決策があると私ども考えて、せっかく努力をしておる次第でございます。
  38. 天野公義

    ○天野(公)委員 だいぶ広範な御答弁をいただいたわけでありますが、ただいまの鉄道と道路の交差に関する法律案というのが、第二十六国会へ提出予定でありましたが未提出になった、そこで今まで御準備をなさった、その間交通事故防止対策本部の踏切事故防止部会でいろいろの協議をなさった、まあ準備中であるというようなお話でございますが、運輸省で今予定されておりますこの法律案には私鉄は入るのですか。
  39. 權田良彦

    ○權田説明員 現在私どもが考身ておりますのは、その中に含める踏み切りの種類としては、日本国有鉄道のものと、地方鉄道法によります地方鉄道、これはいわゆる私鉄でございますが、それとさらに専用鉄道並びに軌道法によります軌道、これらによる踏み切りを考えております。
  40. 天野公義

    ○天野(公)委員 そういうお話でございますが、そうしますと、建設省、それから大蔵省並びに警察庁、これらの関係御当局の御見解はいかがなのですか。
  41. 三橋信一

    ○三橋説明員 建設省といたしましても、その踏み切りの問題につきましては、ただいま運輸省からお話のございました点につきまして法律を作ることには賛成いたしております。ただ問題は二、三やはり残っております。主として費用の負担の点でございます。これにつきまして現在運輸当局といろいろ話し合いを進めております。そういう段階でございます。
  42. 内海倫

    ○内海説明員 警察庁としましても、踏み切り事故防止の点につきましては重大な関心を持っております。その対策といたしましては、結局第四種踏み切り、あるいは場所によりますと第三種踏み切りをさらに合理化するというような点を非常に期待いたしておるわけであります。今度の考えられました法案につきましては、全面的に期待をいたす立場に立っております。何とか早く運輸省、建設省の協議がととのいまして、無人踏み切りなどというものが極力解消される方向にいくことを期待しております。とりわけ事故の態様から見ますると、それが重大事故であればあるほど、踏み切りにおける一時停止というようなことが励行されておりません、これに伴う事故が非常に多いように思います。この点からもこういう措置が早急にとられることを希望しています。
  43. 渡部信

    ○渡部説明員 ただいま皆々さんからお話がありましたように、踏み切りに対して保安施設のないために起る事故解消というようなことにつきましては、早急に解決するように努力すべきものだと思います。ただ、この法律案の内容につきましては、まだ説明かございませんので、今後運輸、建設両当局の方々からよく聞いた上で検討いたしたいと考えております。
  44. 天野公義

    ○天野(公)委員 大蔵省ではこの法律案についてまだ聞いてないという話ですね。踏切事故防止部会というのでいろいろ御相談をなさったようでありまするし、また運輸御当局では前にこの法律案を出そうと準備をなさったこともあるし、また近く出したいという御意向もあったようでございますが、大蔵省が全然聞いたこともないというような状態でありますれば、この法律が通るか通らないか、出せるか出せないか、てんでわからないと思います。運輸省では今まで、この法律を通すために一生懸命に努力しておったのであるか、予算をとるために幾らか御努力をなさったのであるかどうか。そういう法律を作る上においての一番めどになるところが抜けておるということは、われわれとして非常に遺憾にたえないのでありますが、この点どういう工合になっておりますか。
  45. 權田良彦

    ○權田説明員 この点は、運輸省といたしましては当初二つの法律を考えたのであります。一つは、先ほど申し上げました踏切道の基本法と申しますか、恒久的な根本法である鉄道と道路との交差に関する法律案でありまして、これは先ほど御説明した内容であります。それからもう一つは、これは臨時時限法でありまして、この基本法に基いて短期間に緊急整備をいたしまして、その緊急整備をいたすものに限って若干の国家からの補助を出すという補助法であります。運輸省としては、この二本建で準備をいたしまして、予算を編成いたしまして、各省が大蔵省主計局との間に相談をいたしますときには十分相談をいたしたのであります。従いまして主計局は、その一条々々の用語については、御案内をいたしておりませんので、御承知ないかもしれませんが、その構成及びその体系については、主計局には十分説明いたしております。いろいろ協議をいたしました結果、緊急整備法についてはなお検討を要する点がございますので、実は私どももなお再検討することにして保留をいたしまして、国家の補助がなくとも、根本法を作ることによって踏切施設の改善に著しく寄与いたしますので、ただいまではこの基本法である鉄道と道路との交差に関する法律案について審議をしておるのでありまして、この点については建設省から御説明がありました通りに、あと費用分担の問題とこの踏切道の中の保安設備の範囲の問題だけの二点にしばられて参りまして、これは両省大いに努力をして意見を急いで取りまとめたいと思っております。この法案でございますと、これは保安設備の保安基準を法定いたしますための予算経費だけが一般行政費として必要になりますので、その点については来年度予算要求において——本年度予算要求においてもやったのでありますが、さらにそう度を進めてやりたいと思っておるのでありまして、私どもとしては、前国会でも申しました通りに、この法案は非常に重要なものであり、国民の期待するところも大きいと考えますので、でき得る限りの努力はいたしておるつもりでございます。
  46. 天野公義

    ○天野(公)委員 もう一つ別な観点からお伺いしたいのであります。それは大体市街地の踏み切り及びガードの問題であります。最近非常に自動車がふえておりますので、踏み切りの遮断機がおりるということになりますと、ずっと車が並んで、交通上非常に危険を覚えるというようなところもたくさんあるわけであります。従って、東鉄管内において都市交通の円滑化をはかるために、踏み切りを緊急に整備をしなければならないところが多々あるかと思います。そういった個所がありましたならば、そういう点の概要もしくはそういうような市街地の交通遮断、また危険を感ずるところの踏み切り整備、三年計画でも五カ年計画でもよろしゅうございますから、無人踏み切りでなくて、今度は交通遮断の関係におけるそういうような踏み切りの点の御計画、構想、これをお伺いしたいと思います。  それからもう一点は、この資料のうの要望事項の中にもございますが、「道路の新設、改良に際し、鉄道と交差するものについては、事前に鉄道と協議するようにして戴きたい。例えば、道路幅が踏切幅より広いものが全体の1/3ありますが、この多くは道路幅が後から拡大されたものであります。」こう簡単にいわれておりますけれども、実情からいたしますと、道が広くなって踏み切りの幅がうんと狭くなる、道が広くなってガードが昔のままである。でありますから、自動車がどんどん通っている、そのわきを、今度は人道からはずれて、そして人間が車道に入って、おつかない思いをしてかけていかなければガードを通り抜けることができない、そういうようなところもたくさんあります。私の近所にも、親知らずのガードといわれているガードがあるわけであります。また非常に幅が狭くて、新小岩の駅のところなどは、自動車が一方交通であり、荷物を積んだトラックはあそこを通つていくことができないというようなところになっております。そのガードの両側の道路というものは、非常にりっぱな道路ができておる。そういうように、非常に矛盾している個所がたくさんあるわけであります。こういうようなところを早急に整備改善をしていかなければならないと思うのでありますが、そういうような面につきまして、国鉄といいますか、運輸省は一体どういうお考え方を持っておるか。また、それを早急にやる場合には、当然自治庁なり警察庁なりがこれに非常に御関係を深くお持ちだと思いますが、自治庁なり警察庁の御意見をお伺いしたい。
  47. 權田良彦

    ○權田説明員 第一点の踏切道の整備計画でございますが、具体的な場所は、あまりこまかくなりますので省略させていただきますが、一応私どもの手元で今整備計画として考えておりますものが、これは全国の数になりますのと、さらに今ここで日本国有鉄道から出ております国鉄自体の希望改良計画数とは若干食い違っておりますが、国私鉄を通じまして約千五百八十カ所くらいの整備計画を一応計画しております。その内訳は、第四種から第三種に昇格させまして機械防護装置を設けますものが約千カ所余り、第二種に昇格するところが八十カ所余り、それから交通量が非常に多うございまして第一種に昇格すべきものが四百七十カ所余り、こういう個所数の整備計画を考えております。所要金額はなお正確に内容も吟味してみたいと思いますが、大ざっぱな所要金額としては、これくらいで大体十三億程度の年次計画でございます。なおこれは国鉄の希望もございますので、さらに調整をとりたいと思います。これは平面交差計画でございますが、立体交差整備計画としては、緊急整備個所として全国で八十カ所くらいを考えておる次第でありまして、これで五十三億くらい概算でかかるのじゃないかと思っております。  それから次に第二点のガード等の問題でございますが、これは国鉄からの資料にもございますように、跨道橋のけた下高さの低いもの、これは御指摘のように、相当の個所が全国にございます。これはまた三十二年の五月に常磐線で事故を起しまして、御案内のようにガードのけたが低いものでございますから、重量物を積んだトラックがそのガードにぶつかって、そのガードを曲げてしまってわからないところへ列車が走って参りましたために転覆をいたしたという悲惨な事故を起しましたので、これも大いに改良しなければならぬと思います。ただこの問題は問題から申しますと、現在は踏み切りではないのでございまして、すでに立体交差ができておりまして、昔自動車がまだ小さい時代には、道路構造令から申しましてもその高さがあれば十分でございましたのが、自動車も大きくなり、道路の規格も改良を要する問題が起って参ります。これを道路側と鉄道側とでどういうふうに改良をしていくかという問題は残っておりますので、なお国鉄、建設省、運輸省等で今後協議をいたしたいと存じております。  それから道路の幅が広がって踏み切りが狭いという御指摘のものも多々ございます。これは国鉄からの要望もございますように、道路の新設、改良に際しまして在来とかく連絡に不行き届きの点がございました点もありますので、道路は広がったが、踏み切りが広がらない、これの改築になりますが、その場合に、前会御説明申し上げましたように、現在の建前では、道路側に原因がございますときにはできるだけ道路側で御負担願うというようなことの協議の建前になっておりまして、道路管理者と鉄道管理者との協議にゆだねられておりますので、残念ながらこの改良が非常におくれているというものもございます。こういう点については、この協議を促進すると同時に、根本的には、先ほど申し上げました交差に関する法律案ができ上りますれば、こういうものの費用区分等については明確にいたされると思いますので、その方の立法措置にも努力いたしますとともに、現在なお協議の態勢でやらざるを得ぬものについては、十分促進をして事故の防止に資したい、かように考えておる次第でございます。
  48. 天野公義

    ○天野(公)委員 ただいまお話を伺いますと、だいふ協議々々というお話が出ておるようでございますが、この問題についての各省の連絡及び協議の実態はどういうものであるかという点と、それから今度大阪まで特急が出るようになりますが、そうした場合にこういうような事故の点は一体大丈夫なのであるかどうか、そういう点を国鉄側並びに各省の御見解を伺いたいと思います。この二点です。
  49. 權田良彦

    ○權田説明員 その前段の協議の問題でございますが、これはただいま御説明申し上げましたように、協議をせざるを得ない立場にありますので協議々々と申し上げますが、その実態は、現在では国鉄の場合には国鉄と、それから道路管理者の立場でおられる建設省とが協議をいたしておりまして、たとえば立体交差の費用分担というような問題については協定書もできまして、著しく進捗しておる状況であります。私鉄の場合にはそういう改良の場所が起きますと、その当該の私鉄の業者とその道路を管理する道路管理者、府県知事でありますとか、市町村長と協議をいたします。大きな立体交差等の問題になりますと、事実上の問題として運輸省があっせんといいますか、話し合いに乗って解決するものもございます。たとえば大阪の阪神国道の野田の立体交差等はそれによって解決をいたしましたが、こまかいものになりますと、当事者の協議にまかせておる次第でございます。なおこういう点については、若干私どもは将来改正すべき点があると考えますので、前会から御説明申し上げておりますような点に努力しておる次第でございます。  なお、特急の問題については、国鉄からお答え申し上げることにいたしたいと存じます。
  50. 石井昭正

    ○石井説明員 本年の十一月から、東京—大阪間に電車による特急を二往復運転する予定であります。これは東京—大阪間を六時間五十分で運転することを目標といたしております。現在の特急は、御承知のように七時間三十分でございまして、最高時速が九十五キロのところがありますが、今回の特急は約百十キロ程度になりまして、相当速度の向上がありますので、踏み切りにつきましてもいろいろ苦心もいたしております。その対策といたしましては、列車の色彩を非常に極端な警戒色にして識別しやすいようにする、あるいは明るい前照燈を個数も三個つける、あるいは汽笛を高音と低音の二音とするというような、列車側からの警戒を多くすることも考えておりますが、踏み切り施設に対しましては、現在の第一種踏み切りに対しまして、今までよりも早く列車が接近して参りますので、これに対応する接近ベルを取りつけることにいたしております。それから第三種の踏み切りと申しまして、警報機の鳴るものにつきましては、これはやはり早い列車でございますので、速度によって鳴り方が違うという装置を考えておりまして、これを取りつけることにいたしております。これらに対する予算といたしまして、大体七千二百万円くらいの手配をいたしておりますが、なおこの上に第四種踏み切りに対しては、これにはもっと第四種警標について、踏み切りがあるんだということをよく認識させる方法を検討いたしております。これとは別に、第四種踏み切りで、先ほど監督局長からお話のありました交通量の多いものにつきましては、第三種なり第一種なり格上げいたしまして、保安度を高めるというようなことを一般の対策としてやっておるわけでございます。
  51. 三橋信一

    ○三橋説明員 運輸省と協議々々ということで何しておるかということでございますが、すでに先ほど運輸当局から御説明ございましたように、国鉄との関係におきましては協定ができ上っておりまして、これで費用負担の関係も明らかになっております。なお問題は私鉄の関係でございますけれども、これにつきましては大体ケース・バイ・ケースで道路管理者と私鉄とが協議いたしてきめておりますが、大体原則といたしましては、立体交差にすることによって踏み切りが要らなくなります。そうするとその踏み切りの維持管理費というものは、要するに私鉄では浮いてくる。そういう限度におきまして、私鉄が費用を持っておるというやり方で今進捗しておりますけれども、なお鉄道と道路との交差に関する法律を急ぎまして、これによって明らかにして参るのが、一番焦眉の急を要する問題ではなかろうか、その点を急ぎたいと存じております。  なお、クリアランスの足りないガーダーの問題でございます。これにつきましても、ただいま私の方で道路整備五カ年計画というものの事業量を決定しつつございます。その中におきまして、この五カ年間に立体交差にする個所について道路側が負担する額を、少くとも百億以上は見込みたいというふうに考えております。なおその道路整備五カ年計価におきまして立体交差にはしないまでも、道路をつけかえることによりまして、鉄道を通らないでも自動車が走れるというような方法も、約四百カ所ほどただいま検討中でございます。これらをあわせましてただいま御指摘の点に万全を期して参りたいというふうに考えております。
  52. 塚原俊郎

    塚原委員長 長谷川君。
  53. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 私のお尋ねしたいのは、現に工事を継続中の路線でなく、建設工事未着手のもの、及びいわゆる調査線といわれる路線についてであります。私の承知している範囲では三十一年二月二十四日の鉄道建設審議会の建議によって、十一線、これは敷設法の関係から十三線となるのでありますが、調査線として選ばれております。次いで三十二年四月三日の建議によって、右の十三線は三十二年度から建設すべきものとなって、実現の方途については、建設費の規模並びにその利子補給の措置等について十分な対策を講ずるよう要望があったはずであります。同時にまた三十二年度から調査を開始すべき新線として、別に十六線選ばれたように承知しておりますが、以上のことに間違いがありませんか。
  54. 權田良彦

    ○權田説明員 お答え申し上げます。ただいまのお話の通りでございまして、鉄道建設審議会におきまして、三十一年二月二十四日に建議がございました。それで「昭和三十一年度から調査を開始すべき新線は、左の通りとするを適当と認める。」といって、十一線の建議がございました。続いて同じく三十二年四月三日の鉄道建設審議会の建議で、ただいまの十一線について「三十二年度以降着工するを適当と認める。但しその着工の時期及び方法については各路線の実情に鑑み、左によって実施するものとする。」といいまして、各線別に、あるいはこの線は直ちに着工、あるいはこの線の何々と何々間はさらに調査を行えというように、線別にこまかい御指示がございます。それについては三十二年度鉄道建設費の割当を国鉄でいたしておるわけでございます。さらに同じく三十二年四月三日の建設審議会の建議で、昭和三十二年度から調査を開始すべき新線は十六線であるということで御建議がございまして、この着工については調査の結果、別にまたあらためて建設審議会で御審議をなさることになっております。
  55. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 そうしますとこの十三線のうち、直ちに建設に着手すべきものと、建設の時期について検討した上で決定すべきものと二つに分れておるわけです。そうしますと、すでに建設工事に着工したものがあるかどうか。それからさっき局長が話されましたが、もし建設を開始したものがあるとすれば、その線名とか予算の割り振りなどをお聞かせ願いたいし、さらにもう一つは十六線の調査が終了して、その結果がどうなっているか。調査が全部終了しているかどうか。それからまだしていないとすれば、今どの段階までいっておるか、こういうことについてお尋ねしたいと思います。
  56. 權田良彦

    ○權田説明員 第一点の十一線の内訳でありますが、北から申し上げますと美幸線、これ興浜線を含みますが、美幸線につきましては、美幸線のうち、美深—仁宇布間は直ちに着工。興浜線のうち雄武—音標間はなお検討を要する、こういうことになっております。それから芦別線は、これは石炭開発計画並びに予算の規模等をさらに勘案するということになっております。白糖線は直ちに着工、ただし二股—足寄間は開発計画をさらに検討しろということに相なっております。鷹角線は阿仁合—比立内間は直ちに着工、檜木内—角館間は阿仁合—比立内間の工事の進捗状況を考慮しろ、また比立内—檜木内間はさらに調査を継続しろ、こういう御建議であります。生橋線は直ちに着工ということになっております。それから武蔵野線は東北本線から東側の区間は直ちに着工するを適当と認める。根岸線は直ちに着工するを適当と認める。氷見線は奥能登地域の開発計画を勘案してさらに検討する。神岡線は直ちに着工。窪江線、これは中村線を含んでおりますが、これは直ちに着工するを適当と認める。小国線ば直ちに着工するを適当と認めるが、経過地中、山岳部については技術的に検討を要するので継続して検討を行え、こういう線別になっております。この御建議に従いまして、実は本年度の建設費の割り振りを国鉄でいたしておるのでありまして、線別の予算のつけ方は国鉄の方でいたしまして、私の方はまだこまかい報告をもらっておりませんけれども、一般的に申し上げますと、直ちに着工と申します場合には、建設線の場合でございますと、路線選定が行われます。これは現実の工事のために具体的に人が歩きまして経過地選定を行います。これは現場の工事事務所で行いまして、その経過地選定の結果、経過地がきまりますと、続いて用地の問題に入るわけでございます。その用地の買えるものは話し合いの結果買います。そうしますと、用地費がつくわけでございますが、今まで戦後三十線の建設をいたしておりますが、大体建設工事費がつきまして初年度で土工費まで参ることはなかなか困難でございます。うまくいきまして用地費くらいでございまして、特に線路を敷きます費用は、これは開業面前に相なりますので、今申し上げました線で、まだ用地の買収まで入ったものは私の承知している限りではないと思います。従いまして線路選定の測量費と申しますか、これも着工費の工事費でございますが、その程度のものが国鉄としては今予算の配分が済んだ程度じゃないかと考えております。  それから調査十六線の問題でございますが、これは御建議がございまして、すぐ国鉄の方で調査を開始いたしたはずでございます。十六線の講査は戦後国鉄始まって以来のことでございまして、非常に北から九州まで線路が多いので、年度内に調査を完了するように監促をいたしておりましたが、年度内に実は完了いたしませんでした。最近に至ってこの十六線の調査が完了したはずでありまして、その内容の一々については、まだこまかく報告を受けておりませんので、いずれ報告を受けました上で申し上げたいと存じます。
  57. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 非常に明瞭になりましたので、全国の関係者が安心する点がだいぶ出てきたと思います。  その次に十六線と十三線の関係です。十六線が調査を終了して、建設審議会の議を経て当然建設するという段取りになっていますが、この場合、十三線の建設工事に着手して、次いで十六線の工事に及ぶということになるものかどうか、あるいは十六線に属する路線であっても、その経済効果、交通系絡としての必要性から勘案して、十三線と前後して起工するということになるものかどうか、すなわちどういう場合においても十三線が十六線に優先するということになるかどうか、この点について御答弁いただきたいと思います。
  58. 權田良彦

    ○權田説明員 実は今回の総選挙によりまして、鉄道建設審議会の委員方々のうち、衆議院議員の六名の先生方が解任と相なりまして、これは鉄道敷設法で実はきまっておりまするものですから、この新しい委員が未決定でございます。これを国会でおきめ願いませんと建設審議会が実は事務的に開けない段取りになっておりますので、私どもはそれを期待しておるわけでございますが、この建設審議会委員の新しい編成がきまりますれば、私どもは建設審議会を開いていただきまして、今お話のような問題に入っていただきたいと思うのであります。すでによく御承知の通り、十一線以前の戦後新線三十一線が建設されました昭和二十八年でございますか、あの当時からのいきさつで毎回の建設審議会でもそうでございますが、特に先ほど申し上げました建設審議会の建議の中にも、この十六線の調査線のときには、「調査の結果、予算の規模及び既に着工中の路線の進捗状況等に応じ、交通経絡の形成、資源の開発、国民経済上の効果等を勘案し、その必要度に応じ逐次着工の選定を行うものとする。」こうございますので、今お話の点が御審議の内容になるわけであります。それともう一つ大きな問題になるのは予算の規模でございます。これは十一線の着工のときにもすでに御承知かと思いますが、これを先ほど私が申しました内容で御建議をいただきましたときの御建議にも、この予算規模、利子補給の措置につき十分な対策を講じろということで、利子補給についても非常に努力をいたしましたが、残念ながら三十二年度予算ではこれが計上できませんでございました。しかし、わが国の資源の開発、産業の振興等をさらに促進し、国力の増進をはかるためには、可能な限りすみやかに鉄道網の整備拡充を達成しろ、こういう御建議もございます。で、建設審議会におかれましても、「よって今後の鉄道建設費の規模はさきの答申にかかわらず」——さきの答申というのは、実は六十五億程度という御答申が一ぺんあったのでございます。「さきの答申にかかわらず昭和三十三年度においてはさしあたり百三十億円程度とし、爾後の建設規模は逐年わが国経済の発展に対応せしめるように措置することを適当と認める。」こういう御建議で、本年度も百三十億の建設費の要求をしたわけでございます。これは残念ながら財政上の事由その他によりまして、先ほど御説明した通り九十億になりましたために、この十一線の工事計画以外に実は継続工事で残っておりますものが十五線ございます。この十五線にさらに二百九十三億くらいの金が要るのでございます。これはどうしても継続工事でございますので、この二百九十三億を投じて開業を急ぎませんと、相当程度これに新規着工線が入ってきておりますので、今年度の九十億はきまったことでございますから、それによって国鉄が、先ほど申した通り配分をいたしますけれども、来年度以降の建設費の規模が非常に問題になってくると思うのでございます。そういたしますと、この十五線と新規着工しました十三線と、今調査線で調査の結果また建設審議会の御建議によって着工すべきものとの合計四十四線の長期建設計画に対応する建設費の規模がないと、この十六線の始末がつかないということに相なる、この点を建設審議会でどう御判断願うか。私どもとしては、前回の御建議にもあるような線に沿って、できるだけ財政状態の許す限りの建設財源によって各線別の取捨選択をいたしたいと思っておるのでありますが、こういう大前提の御審議とからみまするものですから、ただいまの御指摘の点は十分私どももその意を体しまして、なお鉄道建設審議会に十分お諮りしたいと思っておる次第でございます。
  59. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 今局長から鉄道建設審議会が開かれてないという話が出ましたが、選挙があって委員がやめたこともありますけれども、もう選挙を終ってから一カ月以上になるのです。国会もあと二、三日で終ります。国会の承認を得なければ委員の任命ができないのです。そういうことについて事務当局がどういうふうに今まで手段を講じられておったか、この点をお伺いしたいと思います。幾ら新線に対して熱心であっても、委員まで任命するような手段を講じられていなければ熱意がないということになるわけであります。
  60. 權田良彦

    ○權田説明員 これはすでによく御承知かと思いますが、鉄道敷設法の第六条に「委員ハ左ニ掲クル者ニ付内閣之ヲ任命ス」、それで「衆議院議員ノ中ヨリ衆議院ノ指名シタル者六人」こうございます。これは私どもは事務的にはいろいろ諸先生方に御連結いたしまして、議運その他の手続も要することでございますし、またいろいろ政党関係の御判断もあることでございまするので、なるたけ急いで御任命を願うよう努力いたしておりまするが、やはりどうぞ早く衆議院で指名していただきたいと申し上げるよのほか事務当局としてはないのでございます。
  61. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 それで新線建設費の割り振りなんかもすでにことしは三カ月終っているのです。こういう関係からして、この点はどちらの責任ということはありませんけれども、積極的に進めてもらいたい。  それから先ほど出ましたが、鉄道公債をことしの幹線五カ年計画の第二年度目からやるということで、今問題が地方で出ております。これは当局が十二分に御承知のことなのですけれども、私たちが承知しておりますところによると、電化の問題において約二十五億、それがいずれも富裕県の場合にはそれを引き受けたところがある。しかしながら、最近再建整備の県においてはこれがなかなかもって大へんだ。ところが自治庁はこれに対してあくまで反対しておる。町村においては、この公債を引き受けることになれば、町村財政が苦しくなるから、自治庁の許可をもらわなければ因る。そうしますと、運輸当局と自治庁の間の連絡がまずいということが、新線建設計画というものを非常に阻害しておると私は思うのです。たとえば自治庁が今まで申しておることから見ましても、地方債の利率が三十三年度以降が六分七里、最終利回りで六分九厘、政府保証債が七分二厘六毛で、それぞれ低いというので、赤字県としてはこれはとても割り当てしてもらっては困るということから、自治庁が反対をしているわけです。こういうふうな大きなところでよく連絡がつかないために、たとえば私の地方でありますと、東北本線の電化からすると栃木県、福島県、宮城県。それから常磐線の電化からしますと茨城県、福島県、宮城県、こういうところが非常に困っておる。しかしながら、富裕県であるところの九州地方においてはこれをすでに引き受けておるから、そのままで仕事をしていこう、こういう一つの先例ができますと、ほかの団体も同じようなことをやられるのではないかということで、貧弱町村であり貧弱県であるところの財政当局が困っておることと、そういう問題に対するところの自治庁が非常に困っておる問題、私はどうしても今の運輸関係から、仕事はしなければならぬけれども、上級官庁の連絡不行き届きが、新線を待望しながら、あるいは電化を待望しながらこれをおくらしておる事実、これらについて窮通打開の道を講ぜられておるかどうか。一説に聞きますと、六月の末まで大蔵省と自治庁あるいは運輸当局との間に話合いがつくように努力しておったということでありますが、きょうから七月になりましたから、それが結論づけられて地方に明朗な空気あるいは報告ができておればけっこうだと思いますが、自治庁の方がおられましたら一つ答弁を願いたいと思います。
  62. 小倉俊夫

    小倉説明員 利用債は、以前はその土地の停車場でありますとか、あるいは高架線でありますとか、そういうものだけに限定しておりまして、金額も二十億以内でありました。ところが、三十三年度予算の場合に、どうしても国家の投融資、公募債のワクをいただけませんでしたので、それで国会の御承認を得て八十二億という利用債ワクをいただいたのであります。それで、八十二億というものは巨額でございますので、従来のしきたりを拡張いたしまして、電化あるいは線増というようなところに振り向けざるを得ない次第でありまして—しかしただいま仰せのように、新線につきましては全く利用債を割り付ける意思はございません。特殊なものにつきましては別でございましょうが、原則として新線建設には利用債考えておりません。問題になりましたのは電化あるいは線増でございますが、私ども国鉄の方の側は、公募債のかわりにそれだけのワクをいただいて、それを全体の工事費として五カ年計画を推進しなければならぬ、そうすればやはりその消化をはからなければならぬ、もしそれが未消化になりますれば、結局予定された、あるいは御公約申し上げた全体の工事が進行しない、こういうことになりまして、私どもは富裕県だとか、金回りの悪い県だとか、そういうことは別にしまして、地元方々にできるだけ持っていただくということで現在まで交渉して参ったのでございます。それで電化につきましても大体二十六、七億程度のお引き受けを願った次第であります。ところが自治庁の方では、今年はさることながら、来年度以降利用債を認められない、もし来年度以降利用債を廃止しないということであれば、今年度利用債もストックせざるを得ない、こういうようなお話でありまして、大蔵省の方では国鉄と自治庁とよく話をしろという程度のように承知しておりますが、私どもの方ではとにかく来年度度以降の利用債をどうするかということは、国鉄だけでできる問題ではございませんので、もし利用債をやめてそれが公募債に振りかわるならけっこうでございます。しかし、そういうことをお約束もできません。そうすればもし利用債がとれないで、公募債もふえなければ、五カ年計画をお約束した電化の線増もできなくなる、そういう点に立ち至っておるわけでございます。それで自治庁は来年度以降は利用債をやめてくれ、そういう線増あるいは電化工事に使うことはやめてくれ、そうでないと今年も承認できない。私どもの方では国会で投融資のかわりにお認め願ったんだから、ぜひ今年の利用債の消化に御協力願いたい。来年のことについては国鉄限りでお約束することができないというような段階で今事務的に折衝しておりますので、近々私のところで自治庁にも呼びかけまして、何らかその間に調整をとって参りたい、こういうふうに考えております。
  63. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 それでは今のお話から戻りますけれども、先ほど天野君の質問に対して、東京—大阪間を六時間五十分で百十キロの速度で走る電車を運転するということでしたが、そういうものはこういう利用債などを使っておりますか。
  64. 小倉俊夫

    小倉説明員 それは現在施設利用しておりますので、利用債を対象としておりません。車両は新製でございまするが、そこまでしなくともということで利用債考えておりません。
  65. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 東海道線のような富裕なところは、前の設備もあるからいろんな施設が新しく行われていく。ところが上野から北海道へ行く地方は、電化々々といえばいずれもみな貧弱町村、しかも国会でワクがきまって、八十二億のワクの中の二十七億くらいの電化工事利用債が、国会の承認を得ながら事務当局同士の了解を得ず、待望しているものができない。やる方もできないためにつらいでしょう。それを待望しておる町村民としても、財政的な面もありますし、待望しているものができなくなったというつらさがあるわけですね。こういうものはただ単に事務当局だけの折衝でうまくいくというならまだいいです。しかしながら、役所のセクショナリズムというものはなかなか激しいものですから、そういう意味合いからしまして私は、国鉄総裁あるいは運輸省当局、あるいは大蔵省、自治庁あたりの大きな政治的な折衝まで当局はお考え願わなければ、これは片づかないのじゃないかということを、公債をもらう方もつらいけれども、作ってもらわない方がなおつらいだろうということを一つ御考慮願いたい、こう申し上げます。  最後に一つ。これは徹底的に一つわれわれ運輸行政の発展のためにも、何も運輸委員会は運輸当局の御用機関ではありませんけれども、何としてもやらなければなりませんから、足りない分についてはほかの委員方々からも関連質問していただきますが、ついでに小さい問題で恐縮でありますけれども、先ほど調査線の中に入っておった三陸鉄道について、ちょっと一つお尋ねしてみたいと思います。  三陸鉄道は五十年間の懸案なのです。去年の二月に二十キロ五分の開通式をやったときに、国鉄当局の方々がその開会式の祝辞にやって来て、五十年かかったと言ったら、吹き出して笑って、何で今までそうもかかったかと、ある意味においては地方方々の政治力に対して軽蔑するような意味を漏らされた実例があるくらいで、ようやくその二十キロ五分が開通して地方民は喜んだ。あと五十キロ五分ができないことには、国鉄に連絡しないことには、これは盲腸線となっているのです。調査線にも入っている現況でありますから、それが十六線の一線として調査されている、その経済効果などをどういうふうに当局がお考えになっているか。そして今まで貨物は一つも扱っておりませんでしたけれども、私の聞くところにおいては、旅客運賃においても予想以上で、年令を一カ月くらいであげているやに聞いておりまして、地方民の待望というものは非常に大きなものです。特に三陸縦貫でありまして、しかも未開発地方に初めて鉄道が敷かれることでありますから、これらについて—今まで気仙沼と津谷の間にできたものを、さらに津谷から前谷地間に調査線が延びている。これを建設線として将来皆さん方はどういうふうにお考え下さるか、権威者の御意見をお漏らしいただければ非常にけっこうだと思います。
  66. 權田良彦

    ○權田説明員 実は先ほど申し上げましたように、こまかいいろいろなデータ国鉄では調査の結果出ておりますが、まだ詳細に報告を受けておりませんので、詳細に申し上げることは不可能でありますが、私の承知している限りにおきましては、この気仙沼線すなわち津谷—前谷地間というものは非常に重要な線でございます。特に石巻方面からさらに気仙沼方面というものが現在ルートが切れておりまして、道がございません。これによりましてさらに遠く仙台の方面へも短絡と相なりますし、旅客の面以外に、貨物においても相当の量が調査の結果判明するんじゃないかと思っております。いずれそういう点につきましては、なお詳細に調査の結果を待って建設審議会にも十分事務的に御説明する心組みでおりますが、この三陸鉄道はこれからさらに上の方にも、なおこれが相当大きな資源開発地帯でつながって参る運命といいますか、性格を持っておりますので、それらの点についても、将来なお考慮を加えたいと思います。十分資料を整えまして、建設審議会にはいろいろ調査の結果を御報告するつもりでおります。
  67. 正木清

    ○正木委員 二つほど関連してお尋ねしたいのですが、これは国鉄当局の方ですが、路線の選定について、建設線十三線についてはほぼ終っているんじゃないかと大体私どもは見通しを立てているわけでございます。終っておらないとしても、すでに現地の建設事務所においては、書類をまとめて国鉄本社にもう答申されているんじゃないかと思うのです。すでに三十三年度の新線建設に対する予算は、私の記憶では九十億と心得ておりますが、その予算は通って、本来ならば用地買収にもうそろそろ入るべき時期ではないか。国鉄が誠意をもって事務を進めているならば、全国の関係の諸君から、衆参を合せた国会議員に対する熱心な陳情等も行われずに済むのではないか。ところが、連日のように衆参議員に対して地元から非常に強い要請が行われている。この経過をまず聞かしてもらいたい。  さらにこれに関連して、第二点としてお伺いしたいのは、一体三十三年度の用地買収その他に対する予算配分が、国鉄としてはなぜ遅々として進まないのか、なぜおくらしているのか、このことを私どもは理解に苦しむわけです。これを明らかにしてもらいたい。  それから利用債のことでございます。同僚から非常に重要な御質問が行われたわけですが、一体国鉄としてはどの程度まで利用債の割当を関係町村に慫慂しておるのか、この具体的な事実を明らかにしてもらいたい。私の承知しておる範囲では、電化を行う各路線に対して、各県及び市町村はさることながら、たとえばディーゼルを通してもらいたい、これは現実の問題ですが、そうすると関係町村に対して利用債を何千万円引き受けてもらいたい、この利用債の割当はそこまで進んでおる。そこに自治庁との間に非常にむずかしい問題が起きたと私は聞いておるのでありますが、一つ常務の方で詳細にその点はおわかりでございましょうから、そういう点をここで明らかにしてもらいたい。  それに関連して私のお尋ねしたいことは、国鉄はしばしば国民に向って、議会を通して五カ年計画をお約束をしておる。ところがこの利用債の、私は消化という言葉を使いますが、この消化が思うようにいかないということになると、資金難のために五カ年計画は予定の通り進行しない、こういうことになる。そうするとこの利用債の割当、消化という問題は、ある意味では国鉄の五カ年計画の運命を支配するほどの大きな問題になってくる。こういう点について、国鉄当局及びそれを監督する運輸省は一体どういう解決をするお考えであるのか。ただ単に自治庁との話し合いがいまだに完全な了解点に達しないとか、それから大蔵省は第三者的な立場に立って、自治庁と国鉄当局との交渉を傍観的な態度で見ておるとかいうようなことでは事が済まないのではないか、こう考えますので、小倉さんが十分御承知でなければその方の理事も御出席のようでございますから、詳細に当委員会で明らかにしてもらいたい。ということは、全国の新線建設並びに電化その他の関係県並びに関係市町村は非常にこれを重大視しておりますし、議会も間もなく終るのでございますから、この機会に明らかにしておいてもらいたい。
  68. 小倉俊夫

    小倉説明員 建設線につきましては、とりあえずのところ、百万ずつの予算を十三線につきまして張りつけまして、今その工事着手前の準備をいたしておりまして、私どもはなはだ申しわけないのではございますが、至急に工事費の割り振りをいたしまして着手をいたしたい。いろいろな事情もございまするのでむずかしいことでございますが、急速に工事費の割り振りをしていきたいというふうに考えております。私の考えでは、これは規則上のことではございませんけれども、やはり建設審議会でもおできになりましたら、非公式にいろいろ御意見を伺うこともあろうかという心がまえもございますけれども、もしそちらの方が延びるようでございましたならば、割り振りをいたしまして着手いたして参りたい。とりあえず百万円ずつ各線につけまして、今できるだけのことをいたしておる次第でございます。  それから利用債についての詳細な資料ということでございますが、三十三年度におきましては通勤輸送に十六億五千万円、それから幹線輸送に六億七千六百万円、それから側線関係で三億五千三百万円、駅前広場に対しまして約八百万円、それから跨線橋につきまして三千六百万円、それから駅本屋につきまして五億二千八百万円、それから旅客上屋その他につきまして千三百万円、ディーゼル化につきまして二億、合計いたしまして三十四億六千五百万円ごございます。しかしこのほかに、先ほど来問題になっております電化及び線増につきまして東北線の工事費が大体三十億かかりますのに対しまして、そのうちの六億五千万円を利用債でお願いしております。それから常磐線は今年の工事費が五億五千万円程度でありまして、そのうち三億五千万円お願いしております。それから北陸線は線増で三十六億ばかりございますが、そのうちの五億程度をお願いしております。山陽線は二十億でございまして、これは電化でございますが、そのうち六億をお願いしております。それから鹿児島線は八億でございまして、そのうち六億をお願しております。これらはいろいろないきさつはございますが、大体本年度御了承を得られるかと思っておりましたのですが、先ほどお話し申し上げましたように、自治庁の方からの意見もございまして、ただいまのところ停頓いたしておる次第でございます。  それで、その利用債についての国鉄の心がまえと申しますか、考え方のお尋ねがございましたが、私ども利用債を特に好んで予算ワクをお願いしたのではございませんでして、とにかく三十三年度は、御承知の通り投融資のワクが非常に窮屈でございました。私どもは何とかして五カ年計画を達成いたしたい、それにつきましては、まあ国家の投融資ばかりをお願いせずに、私どもの手でも何がしか資金を集めていきたいというふうなことでお話し申し上げまして、そうして八十二億の利用債ワクをいただいたのでございまして、私どもはこれは投融資にかわるものだ、こういうふうに考えております。それですから、私の方ではもし投融資をいただけるならば、好んで利用債を多額にいただくということは事務的にも非常にめんどうでございますので、相なるべくは投融資でお願いいたしたい、公募債でお願いいたしたい、将来もそう考えております。ただし、諸般の情勢で五カ年計画の資金は、すでに三十二年度、三十三年度で二百数十億穴があいております。この上将来利用債だけ削られまして、投融資の方が依然としてふえないということになりますれば、五カ年計画もまた容易に達成できない、こういうふうな事態になりまして、これは資金は出さないが、五カ年計画は達成しろ、こうおつしゃいましても、実は私どもの方はこれはできないのでございまして、利用債がいかぬということでありますれば、当然公募債の方を達成するだけのごめんどうを見ていただきたい、かように考えております。
  69. 正木清

    ○正木委員 もう一点お尋ねしますが、今の副総裁の御答弁の中で、新線建設の予算配分でございますが、各線に対して百万円は割当済みだ、あと予算配分等については、審議会の委員が任命されて、審議会ができてから相談もしたいし、それを待つことができなければ配分の作業に入ってもいいのだ、こういうふうに承知したわけですが、実際はその百万円の割当すら全部建設事務所ですか、それに下っていないのではないですか。そこを調べてごらんなさい。私の知っておる範囲では下っていないのです。わずかの線に対しては百万円が割当になって、そうして二、三線のところでは用地買収の準備作業に入ったという程度のもので、大方はその百万円すらいまだに下っていない。ですから割当になった地元町村と割当になっていない地元町村では、その地方から出ている衆参議員がはなはだ迷惑している点が一点と、それから来年の市町村の一切の選挙と関係して、非常に迷惑しているわけです。こういう点は国鉄としては細心の注意を払って考える必要が事務的にあるんじゃないか、こう私は考えますから、重ねて念を押す質問をいたすわけでございます。全部に下っておれば問題はございませんが、この点私は重ねて一つはっきりした答弁を、この機会にもらいたい。もし下っていないとすれば、百万円に対しては急速に配分の処置を講ずべきが妥当ではないか、これは私の意見になります。  それから利用債の割当ですが、詳細な各項目についての御答弁がございました。これは私の計算上の間違いかもしれませんが、六十一億になる。八十二億で現在割り当てたのが六十一億だとすると、あとの残った分の消化について、一体何か具体的な案があるのかないのか。  それからこの三十四億、東北本線の六億五千万、常磐の三億五千万、北陸の五億、山陽の六億、鹿児島の六億、こういう御答弁でございましたが、この数字の総計が私の計算で六十一億になるわけですが、あるいは間違いかもしれませんけれども、これは地元の関係の県並びに市町村と了解点に達して現実に資金化している総額なのかどうか、ただ単に国鉄としての机上の計画割当だけなのかどうか、ここが問題になると思うのですね。完全に了解点に達して、もうすでに一部が資金化して、工事資金として工事がどんどん進められているんであれば、これは幸いですが、自治庁その他の関係で、国鉄としては一応こういう計画を立てて、現に関係の県や市町村と折衝する、これは工事の計画なんだ、こういうことになると、理屈はどうであろうとも、現実に工事は進まないわけですから、この点を一つ明確にしてもらいたい。  それから小倉さんには珍しい一大攻勢に転じて御発言でございますが、私などの気持を率直に言うと、三十二年度利用債は、二十億前後でなかったか、二十億くらいだったと記憶しているんです。ところが三十三年度で突然利用債が八十二億にふえたので、そのときの私の発言の速記を見ないとわかりませんけれども、私のその当時の気持を今振り返って考えてみると、この利用債の消化については、すでに大蔵省との話し合いがついているんだ、これは投融資と同じ性質のものなんだ、実はこういう考え方を持っておったわけです。過日の自治庁の反対の新聞記事を見て、実は事の意外に感じて、こうして関連質問をしているわけですが、この点の予算折衝、それから予算の最終的な決定等の経過についても、これは運輸当局の方から正確な答弁を聞きたい。  以上で、答弁によってもう一回お許しを得て質問してみたいと思います。
  70. 小倉俊夫

    小倉説明員 先ほど申しました十三線についての百万円ということは、私は書類で見て決裁しましたので、その通りにいっておると考えて御答弁申し上げたのでございまするが、ただいまのお話もございまするので、帰りまして再調いたして、まだ出ていないところがあったら至急出すということにいたしたいと存じます。全体の工事の割り振りはいろいろな社会的な問題も関連することでございましたので、今までいろいろな事由で延びておりましたことを御了承願いたいと思います。新線について誠意がないということは絶対にございません。  それから利用債についてでございますが、先ほど申し上げましたように、通勤とか幹線とか駅前広場、駅本屋等で三十四、五億、それに電化の、先ほど申し上げました二十七億を加えますと、六十一億何がしかになるので、御計算の通りでございます。あと利用債につきましては、これは駅関係であるとかあるいは側線関係であるとか、いろいろまだ今後も出て参りますので、それに引き当てたいと思いまするが、それにしましてもあと二十億というのは相当消化がむずかしいのではないかということで、実は苦慮いたしておるのでございます。まあ電化でありますとかあるいは線増でありますとか、そういうもので相当の利用債を持っていただかないことには、八十数億というような大きな利用債は、駅関係とか側線関係だけでは消化は今後もむずかしいと考えております。それから当初八十二億という利用債のときには、実はその利用債の引き受けまでははっきりいたしておりませんでした。投融資と合せまして、これは三十三年度におきまする五カ年計画の原案では、多分建設費を除きまして改良費用約一千百億ベースだったんじゃないかと記憶しておりまするが、正確な数字は別に調査いたしますが、たしか千百億程度だったと思います。それに対しまして投融資と利用債を合せましても、あるいは借入金を合せましても、はるかに一千億にも達しなかったので、私どもは五カ年計画遂行に非常に苦慮いたしまして、今までかってない縁故債というようなものにまで財源を見つけた次第でございます。御承知の通り、共済組合からの縁故債三十五億まで考えたのでございます。こういうふうに利用債もできるだけいただかなければ、全体の資金のワクがどうしてもとれなかったということでありまして、これは予算の最終段階では一々の割当をはっきりするようなひまが全然ございませんので、全体のワクとしまして、なるべくならば一千億のベースに持っていきたい、こう考えましたが、これは投融資、縁故債、借入金、公募債、利用債等を全部合せましても一千億に満たなかった次第でございます。結論的に申しますれば、予算の当時には、利用債の消化は極力努力する、こういうことでありまして、内訳の割当はいたしておらなかった次第でございます。
  71. 正木清

    ○正木委員 副総裁、もう一点お尋ねするのですが、六十一億何がしについては、これは完全に消化するんだ、こう心得てよろしゅうございますか。
  72. 小倉俊夫

    小倉説明員 これは私が聞いております範囲では、大体この線でいけるという見込みのものでございまして、利用債をはっきりお引き受け願うには、利用債引き受けの契約が要ります。その契約までいっておりまするのは電化工事としてはございません。しかし関係者が、ただいま局長でありますとかあるいは支社長が地元の責任者とお会いしまして、大体このくらいまでは引き受けよう、引き受けられるだろうというのが、先ほど申し上げました二十七億であります。
  73. 正木清

    ○正木委員 そこに国鉄と、私どもが承わっている間に大きな聞きがあるわけです。通過する関係の県及び地元市町村は、電化を促進してもらいたい、ディーゼル・カーを通してもらいたい、駅を作ってもらいたいから、非常に積極的な意欲に燃えて、引き受けましょう、ここまでは話が進んでおるのです。ところが、さて実際に現金化する場合に、銀行から借り入れても、お宅の利率と銀行から借りる利率との間に開きがあります。従ってこの利率の差を地元は負担しなければなりませんから、そこで地元銀行では貸し出しを渋っているという現実の問題が一つ出てきております。それから銀行が貸さないために、自治庁へ百度参りを始めたのが現状なんです。ところが自治庁としては、再建を受けている自治体はさることながら、富裕県の場合においても、これに非常な難色を示しているやつが現実に新聞記事になって現われてきている。ですから私の承わっているのは、そういう中間の事務的なことではなくて、現実にあなたの方としては資金が現実化さなければ仕事を始めていくことができないのですから、すでにこの六十一億というものは、完全に契約が成立して、もう資金化する段階にきているのかどうなのかということを聞いておるのです。
  74. 小倉俊夫

    小倉説明員 先ほど申し上げました停車場、跨線橋その他につきましては、資金化しているものもあると思います。それは少額のものでございます。しかし、今お話のような電化につきましては、契約ができておりませんから、資金化しているものはございません。私どもの方では、契約ができる前に資金化する方法はございません。契約をいたしまするには、自治庁その他とも了解を得なければまた契約化するわけにもいかないのでございます。でありますから、私どもの方では、自治庁とも話し合いをつけまして契約をして、そして資金化をしたい。現実に資金化を第一にするということは、私どもの立場では困難でありまして、やはり順序を追うて資金化をしていきたい、こう考えております。
  75. 正木清

    ○正木委員 ですから、そうなりますと、現実に五カ年計画の第二年度であるこの三十三年度の事業というものは、あなた方が当委員会を通じて国民に約束した通り、事業は予定の通り進まないのだ、こういう結論になるのです。あなたの方ではお金がないのですから、現実には。そこに問題が出てくるわけですね。ですから私のお尋ねしていることは、私が常識的に考えておったことは、利用債の八十二億というものは、これは当然財政投融資と同じ性格のものをもって、予算化するときに大蔵省との間に話し合いがついておったというように私は私なりに考えておったわけです。ですから、その最終的な予算決定のとき折衝の衝に当った運輸当局と大蔵省との間は一体どうなっていたのか、その一札を大蔵省からとっておれば、今自治庁と国鉄の間のもやもやについても、大蔵省を立ち会わせて、一日も早くこの問題のあり方をきめなければ、たといあなた方がどんな熱意を持って第二年度の五カ年計画を予定の通り進めるのだ進めるのだと言ってみたところで、先立つ資金がなければできないじゃないですか。そのときの事情は一体運輸当局どうだったのですか。御無理ごもっともで引き下ったのですか。
  76. 權田良彦

    ○權田説明員 御説明申し上げます。三十三年度の国有鉄道予算を組みますときには、先生も御承知の通り、当初は私どもの方では、これを財政投融資計画で全部組んだわけでございます。それでいろいろ自己資金、財政投融資計画、工事計画にらみ合せまして、ある数字を出したのでございますが、ちょうど三十二年度から三十三年への経済情勢の変革その他によりまして、国家財政投融資計画全体を前年度規模通りに圧縮するということで、財政ワクからはどうしてもとれないということに相なったわけです。  そこでいろいろの資金繰りを考えたのでありますが、実は私どもが最初に考えましたのは、純粋な民間資金計画を考えてみたわけであります。これは主計局、銀行局、理財局等とも話し合ったのでありますが、これは御承知の通り日本国有鉄道法上はできる建前になっておりまして、予算総則でワクをきめればできるのでありますが、今までそういうことをした例がないのであります。しかし、一般市中金融状況等を見て、だいふ議論を重ねたのでありますが、これも無理である。そこで最後に、いろいろ全体ワクを操作しました結果出てきましたのが、この利用債と縁故債でございます。縁故債については、これは共済組合の資金というものがございまするし、これのいろいろの資金繰りその他を見ますると、これが一般の公社債等を購入して資金運用を行なっておりますので、それならば鉄道債の縁故債によっての運用も可能であるというので、これに一つ新しい方法を考える。それから利用債については、これは先生指摘の通り二十億のはずでござたました。これは予算総則にもありまする通りに、都市計画事業等々でございまして、これの利用による受益の範囲からこれを負担していただいて、後に償却を開始していくという制度でございますが、この制度をそのまま生かしまして、その総額において八十二億でございますが、一挙に四倍にしたわけでございます。当時、利用債のいろいろの消化実績等々を見て参りますると、大きなものは、環状線あるいは高架線、大阪、名古屋等におきますいろいろな都市計画事業にあります鉄道工事に伴うもので、相当の消化も期待できましたのと、その他車両、一般工事等を合せまして、計画的にこれくらいはまずいけるという見込みで立てたのでございます。従いましてその筋合いは、建前から申しますると財政投融資ではない、これは当初からはっきりしております。資金の一つ利用をしたわけであります。従いまして、実際にはこの消化に当っては、引き受けるべき受益者団体等と国鉄が個々に折衝をいたしまして、その契約確定を待ってこれを消化し、初めて御指摘の通りに資金化するという筋合いのものでございます。しかし最近に至りまして、今御指摘を受けましたような自治庁の意見その他もございまして、この消化が思わしくないことは事実でございます。しかし現在の段階では、この予算消化の建前からも、利用債あり方における消化にいま一段と努力をいたしたいと思いまするので、これはぜひ私どもとしては今日のところでは完全な消化をさせるべく努力をいたしたいと思っております。ただこの成り行きいかんによりましては、来年度予算編成におきましては、こういう貴重な体験もございますので、なお慎重に検討を続けたいと思いまするが、三十三年度予算といたしましては、利用債ワクはふえましたけれども、その筋合いは在来の利用債とは変りていないのでございます。
  77. 正木清

    ○正木委員 最後に。先ほど小倉総裁答弁の中で、三十一年度、三十二年度を通じて二百五十億からの穴があいた、こういう答弁があったように記憶しております。私はかくあることを予期いたしまして、四月十日の当委員会において、一日かかって、実はこれだけの速記を通じて、国鉄一つの警告を与えた。たとえば今の利用債の問題にしても、久保務理事などは、結論から言うとこういう答弁でいるのです。「私どもの今の感じでは何とかめどがつくのではないかという強い期待は持っておるような現状でございます」。今現実にお話を聞くと、その通りいっていないじゃないですか。非常に不安定な状態じゃないか。そういうことで一体いいのかどうか、これを私は言うのです。それからこの四月十日の私との一問一答の間で、權田さんはこの二百五十億からの穴について——あなた、速記をごらんなさい、巧みに答弁技術で真相を明らかにしなかったのですよ。しかし私はそうではないんじゃないかと念を押しておる。そこで、いっときも早く三十三年度国鉄の決算を明らかにしなさい、そうでないと三十四年度になったとき国鉄は動きのつかないところへ行きますよと、私は私なりの御注意を申し上げているわけです。いいですか。ですから私は、幸い同僚の委員がこの問題を取り上げたから、簡単に関連を兼ねて御質問申し上げたのですが、議会が終らない前に国鉄当局は一切の資料をここへ提出して、あからさまに、国鉄現状はこうなっております、もう私どもの力でどうにもならないところまで来ております、政府はよほど腹をきめて、新線建設に対してはどうあるべきか、今の五カ年計画に対してはどうあるべきか、三十四年度予算編成に対して今年度同様、利用債をまた八十億も九十億も予算でやられたのではやっていけませんという、きぜんたる態度を示さない限り、私は与党の首脳部の諸君といえども政治折衝が困難になってくるんじゃないかと思うのです。ほんとうのことを言ってくれなければ——われわれは野党ですからのんきなものでありますが、与党さん実際問題としてなかなかお困りだろうと思うのです。私はできるなら、もう三十三年度の決算の帳じりはおのずから明らかになるのですから、二百五十億の穴は一体どこから出てきたのか、利用債の現実はこうなんだ、三十四年度の見通しについてはこうなんだということを明らかにすべき時期がきていると思う。きているのに明らかにしなければ、このことは委員会が開かれるたびごとに繰り返しますよ。繰り返して問題は解決しませんよ、小倉さん。私はそう思う。これは私の希望ですが、総裁とも打ち合せ、運輸大臣とも打ち合せて、永野君は事業家ですから何か新しい案があるかもしれません。どうか一つ一日も早く態度を明らかにすべきだということを希望申し上げて、質問を終ります。
  78. 塚原俊郎

    塚原委員長 關谷勝利君。
  79. 關谷勝利

    ○關谷委員 時間もありませんので、一度にまとめて御質問をいたしますので、国鉄当局あるいは運輸省当局からそれぞれお答えを願いたいと思います。  先ほど長谷川委員から三陸鉄道の気仙沼線のことが出ましたが、あの鉄道をやるのにつきまして、私はあれを計画し実施の段階にまで運びました当時の政務次官でもありましたし、新線建設審議会の委員でもありましたので、責任がありまするので、関連して少しくお尋ねを申し上げておきたいと思います。  大体あの路線は、交通計画の面から申しましても、資源の開発の面から申しましても、また、たちまちの経済効果の点から申しましても、当然継続してやるべきものであったのが、あれが現在気仙沼—津谷間で一応打ち切られておるというふうなことに対しましては、私、非常に遺憾に存じております。なぜこのようにすべての条件が備わっておるものをあそこで打ち切ってその後継続してやらなかったのか、その理由を第一に承わっておきたいと思うのであります。  次に、もしかいたしますると、前谷地の方と石巻の方と両方けんかをしておったから、それで逃げたのだ、こういうことになるかもわかりませんが、その問題はすでに片がついておるのであります。片がついておる上に、さらに用地の点につきましては、これはすべてすでに買収予定地であり、みな買い上げられるものなりというので、耕作等につきましても、すでにその地域がはっきりと区画整理の場合に現われまして、あれが鉄道線路が通る予定地だということで、その面は高いところから見ますとはっきりとできておるのであります。経過地もきまっておるし、用地の関係等までできておるのであります。こういうふうなことになっておるということになりますと、これは優先的に取り扱いをなすべきものである、このように考えますが、これに対してどういうふうに考えておるのかということを第二点としてお尋ねをいたしたいと思います。  なお、今十三線が建設線で、次に十六線が調査線ということでこれが決定いたしております。ところがこの十三線の中にもまだ調査を十分すべき点があったりいたしまして、これは多少延びていくものがあろうと考えます。そういたしますると、十六線の中からここに二線なり三線なりというふうなものをピック・アップしてこれを施行するというようなことも考えられるのであります。もちろんこれは建設審議会の意見を聞かなければならぬことになってはおりますが、私は今の審議会——正木委員がおられますので、そういうことを言うとしかられるかもしれませんが、これは各党とも大体大物ばかりを寄せておりまして、小さな一つ一つを検討するという人は出ておりません。事務的に完全に準備ができましたならば、それに賛成するのがやまやまというところでありますので、事務的にこれができておりましたならばその通り通るのであります。そういうことになりました場合に、これが事務的な面だけで審議会を通る、通らぬということは別といたしまして、そういうふうな十六線の中から繰り上げてやるものができた場合に、この三陸鉄道、気仙沼線を延長することを入れるか入れないかということについて、はっきりしたお答えをお願い申し上げたいと思います。  なお、ことしの九十億の配分について、すでに配分というようなことを一部終られておる点もありますが、私はやろうと思えばこの範囲内で着手ができるのじゃないかと思いますが、これについて着手するような事務的な御意見でけっこうでありまするので、事務的に着手をするというふうな意思があるかどうかということをお尋ねをしておきたいと思います。  なお私はこういうようなことを考えております。毎年予算の時期になりますと、私たち連続十年近くも予算折衝あたりの際に走り使いをやっておるものでありまするが、どうも国鉄予算ということになりますと、先ほど正木委員お話がありましたように、合理化もできる、そうしてこれから先は責任のとれる配分はこうだということを言っても、国鉄の言うことはほんとうに聞いてくれないというのが実情であます。またそれだけ信用がないのかもしれませんが、それよりも一番大事なことは、国会方面の世論といいますか、同情という点が非常に薄い。小倉総裁もこれは認められると思うのでありますが、こういうふうなことは、国鉄が新線建設等に積極的でないというところから現われてきておるのではないか、こういうふうなことを私は考えております。率直に小倉総裁の御意見も伺っておきたいと思いまするし、もう少し新線建設につきまして、私は積極的な動きを示してもらいたいと思います。どうも国鉄はもうかるところだけをやろうとして、いなかの方は割合等閉視しておるというふうなことが方々に現われておりますので、そういうふうなところだけが熱心であって、そしてそういうふうな人は、自然にできるのだというような安心感から、これは協力いたしません。いなかの方では、国鉄というものは独立採算制ばかりを言って、公共性を忘れてしまっておる。公共企業体じゃない。あれはもうけ一辺倒の経営企業体であるから、公共の字をはずせということをみんなが言うておるような状態であります。公共企業体としては、私は資源の開発その他についてどうしても新線建設を熱心にやってもらいたい。そういうことでなければ、将来国鉄がどんなになっても、みんながほうっておけということになって、責任のある輸送ということはできないのじゃないかということを私は考えております。ほんとうに国鉄がみんなから積極的な協力を得る第一歩は新線建設でなければならぬ、私はこういうふうに考えておるのでありますが、これに対しまして、これから先どういうふうなお考えでやっていくのか。先ほどは決して不熱心でありませんと言いましたが、今までは実際不熱心なのであります。不熱心なるがゆえに予算がとれぬ。予算がとれないからやれない。やれないからみんなからなお不熱心のように思われる。おいおい悪い方へ追い込まれていくというのが、国鉄の今の予算獲得の際の現状でありますので、私は、新線建設というものに対して本格的に取り組んでもらいたい、こう思っておるのでありますが、これに対して副総裁はどう考えておられるか、運輸当局もどう考えておられるのか、この点を一つ伺っておきたいと思います。  それから五カ年計画のことでありますが、この五カ年計画につきましては、これは一応決定したものでありますので、どうしても私たちはやらなければならぬと思います。ことに今までの大蔵省との折衝等におきまして、大蔵省あたりの理解が少かった。もちろん国会の支援も少かったと思いますが、大蔵省の理解も少かったという点がありますが、今は幸い大蔵大臣は佐藤榮作氏で、鉄道出身であります。こういうふうなときに議会の世論を盛り上げ、さらに理解を深めたならば、私はうんとやれると思うのであります。こういうときが一番大事なときでありますので、よく事情を国会等へ説明しなければならぬ。私は、以前から事情は多少わかっておりますので、国鉄予算に多少無理がいっておるということはよく承知いたしております。そしてどうしてもこれではやれないのだというふうなときには、はっきりとその赤字を出しなさいということを言ったのでありますが、どうも国鉄のやり方というものは、何とかかんとかつじつまを合せてみて、何とかやれるのだというふうなことをいつでも出しますので、どうしても予算というものが改められないというのが今の実情であります。合理化というものもこれだけできたということをはっきりと示し、そしてなお責任のとれる最小限度の予算はこれだという確信のあるところを示していただきたい、そして私たちはそれに向って御協力申し上げたい、こういうふうに考えておりますので、この点に対しましてはどういうふうなお考えを持っておられるのか、この際当委員会等へほんとうの赤裸々な御説明をされる用意があるのかないのか、そういう点も伺っておきたいと思います。  昭和二十八年か九年に、池田元大蔵大臣が政調会長当時、国鉄はしぼれるだけしぼってみようじゃないか、しぼつてみたら、やはり何とか出てくるものだからしぼってみよう、しぼり切れぬというふうなことが来年にでも現われたら、その際には何とか考えようというので、私たちと約束をしておりましたが、しぼってみると何とかかんとかつじつまを合せてやっていく、一向これで差しさわりができてこないというふうなやり方をしているのが国鉄の状態でありますが、はっきりとしたすべての調査をして、これだけはどうしてもやらなければ、何年先にはこの輸送が大へんなことになるのだという線を出していただきたい。その御説明を十分願いたい。これは希望でありますが、さっそくそういうふうな方向に進んでいただきたいと思います。これは答弁は、要りませんが、ほかの点に対しましては、ー括して御答弁をいただきたいと思います。
  80. 權田良彦

    ○權田説明員 まず最初の気仙沼線の問題でありますが、お話の通り一部できてその先が継続しておりません。これが継続しなかった理由はどうかというお尋ねでございますが、私が承知しておりますところでは、お話の中にもございましたが、この経過地、用地等の問題でまだ調査不十分の点もあり、いろいろ検討を要する点が当時あったように考えます。それで諸般の事情を調査研究いたしておりまして、その条件がそろっておりませんために、建設審議会の方で御選定に相ならなかったのではないかと考えます。御指摘の通りに、すべての条件はでき上っておりますので、建設審議会においてもその重要度を認めて、これが調査線にお取り上げになった理由だと存じております。  次に、これの今後の取り扱いでございますが、これは先ほども申し上げましたように、交通系絡の点から申しましても、資源開発から申しましても、非常に重要な線でございますので、私どもといたしましては、国鉄の詳細な調査の報告を待ちました上で、事務的にはでき得る限り正確に、この線の持っておりますいろいろな数字をあげて、その資料とともに、建設審議会の方へ十分御説明をいたしたいと考えております。  それから着工線と調査線の関係でございますが、これは先生よく御存じの通りに、この着工線を入れます際にも、在来の三十一線の残っている継続工事線とあわせて計画をしているのでありまして、今回も同様に、この十六線を審議いたしますときには、私ども事務的には、現在の継続工事線十五線、それから新規着工線十三線、並びにこの新しい調査線十六線、これが、先ほどもちょっと申し上げましたが、今私どもの手元にあるわかっております資料では、この継続工事線十五線で二百九十三億、新規着工線十三線で八百三十四億、調査線十六線で七百九十三億、合計一千九百二十億円くらいの総工事費になるかと心得るのであります。これが各線別に、技術的にもいろいろ違いますし、また輸送の問題その他も事情が違いますが、一線々々を解剖いたしまして、これを全部仕上げます工事年度割を作り上げるわけであります。大体今までのところでは、概算申し上げますと、これは平均しての話でございますが、一線十年計画くらいで、線によって四、五年のものから、長いもので十二、三年のものまで、もちろん状況によって違いますが、各線別に平均しますと、一線十年計画くらいの完成の速度に相なるかと思うのでありますが、そういうふうに線別に経済速度を持ちました工事年度別計画に組みかえるのであります。それを年度別に集計いたしまして、初年度にどれくらい出るか、次年度にどれくらい出るか、実は継続線と十三線についてはそれをいたしてみたところが、初年度は本年度でございますが、それが百三十億出たのでございます。それが最盛期には百五、六十億から三百億近くまで出て、工事最盛期が過ぎますと七、八十億円落ちて参りますが、今回はこの調査の結果によって、十六線を再びそういうふうに割ってこの十三線と合せて、すなわち全部の四十四線についての年度割を作ってみたいと思っておるのであります。これはまだ十六線について線別のこまかい工事年度割ができ上っておりませんので、早急に国鉄にも検討してもらいたいと思いますが、私なんかの今までやっておりました傾向から申しますと、これを入れますと初年度どんなに少くても百五、六十億出るのじゃないかという気がいたします。そういたしますと、工事最盛期に二百三十億くらいは少く見ても出て参ると思うのであります。そうしますと、これを一体長期の財政投融資計画でどうお考え願うか、この点が建設審議会の大きな御議論の中心点だろうと思うのであります。事務的にはこれを全部入れまして、政財規模からまた逆にこれを圧縮して参るわけであります。従いまして十五が上って十三、十三が上って十六というふうにはならないわけでありまして、十五線、十三線、十六線をひっくるめまして、そういった財政規模からの勘案をしてみたい、これが事務局として私の考えておる点でございます。従いまして、この三十三年度の建設費は九十億円でございまして、そのうち調査費は五億円でございますから、総係費と工事費では八十五億円でございます。この八十五億円でどれだけ顔を出せるかというお尋ねがあったように思うのでありますが、この点は、この線別に将来の財政規模がきまりますれば、先ほども説明いたしました通り、実は建設線の各線別の初年度というのは予算的にはほとんど問題にならないのでございます。これは経過地選定と、実際の工事に入る測量費程度でございますから、その金も非常に小さいのでございます。これが二年目に用地買収、三年目に土工というような段取りが普通のよく御承知の状況で、二、三年目以降から経済速度がかかって参りますと、一線に大体五、六億は、私の在来の経験では要るように思うのであります。四、五億の工事能力が出て参ります。ものによっては九億から十億くらいの工事能力が出て参りますので、その最盛期の財政規模が、逆に初年度をきめる要素になって参ります。従いまして、今申し上げましたことによって、事務的にそういう資料を整備しました結果、各線別のいろいろと持っております性質を正確に御報告申し上げまして、建設審議会で十六線の処分について十分御建議をいただきたいと考えておるわけでございます。 なお、次のお尋ねの新線建設に対する考え方でございますが、私どもとしては公共企業体でございまするし、特に現在の日本の状況から見ても、わが国の資源開発あるいは産業振興、あるいはまた民生安定というものから、何を申しましても日本ではやはり鉄道だと思うのであります。我田引永ではないのでございまして、アメリカで自動車とかなんとか申しますけれども、やはり日本ではなお今後長く鉄道というものが、陸上交通機関では一番中核であり、大事なもののように考えるのであります。特に今置かれております経済規模を飛躍的に大きくしますためには、どうしても建設線というものが必要だと思います。従いまして、地下資源開発、電源、農林水産、農地開発、地方産業振興等、国民経済上民生安定に資するものについては優先的に考慮をする。しかし建設の順序としては、やはりどうしてもその中から、輸送力が大きくて収支割合がいいものが先になって参ると思うのであります。なお輸送経済上の観点から、経済効果の高いものから優先考慮することはやむを得ないと思います。財政規模の関係がありますので、事務的には何と申しますか、総花主義はこれはとり得ないのではないか。重点的にできるだけいいものを早く上げていくという方針で参りたいと思います。これは国鉄からも御答弁があるかと思いますが、熱意の問題については、私どもの見る限りでは熱意はあるように思います。なお実は政府としてもまだすべきことがあるように思うのであります。これは先生も御承知の通りに、建設審議会もかねがね事の性質から見て、また日本国有鉄道法の建前から見ても、政府が出資すべきではないかというので、実は運輸省としては絶対この御建議は正しいと思い込んでおるのであります。これは実はすでに先生の方がよく御承知でありますが、昭和二十年度台から毎年度、この建設線の問題が始まってから政府出資の一般会計の要求をして、これは残念ながらすべて討ち死にして申しわけないのでありますが、なかなか実現を見ないので必死に努力しておる次第であります。政府出資の見込みがなければ、せめて利子補給を考えたらどうかということで、実はこの三十三年度からは、法律も通し予算も通していただくために、これはよく御存じの通り、法案を作り予算案も作って私どもは出すつもりでおったのでありますが、最高判断で実はおりざるを得なくなりまして、三十三年度は残念ながら国会に御提出できなかったのでありますが、今後この運輸委員会の諸先生の御応援を得まして、ぜひ来年度はこれはとっていただきたいということを、この席からもお願い申し上げる次第であります。
  81. 小倉俊夫

    小倉説明員 新線建設につきましては、おしかりをこうむりましたが、決して、前申します通りに、特に熱心だったと申し上げるわけにはいかないと思いますが少くとも冷淡ではございませんで、日本現状から、地方の開発、地元方々の経済発展のためにできるだけ寄与いたしたいと思っておりますので、今後とも御鞭撻を願います。  また国鉄現状説明して、できることはできる、できないことはできぬと、はっきり現状を訴えたらどうだろうというお話でございますが、これは毎回、ぜひ聞いていただきたいという点は率直に申し上げておるのでございます。ただ公共企業体として、やはりある程度言えないこともございますが、できるだけ国鉄の事情をお話し申し上げまして、御援助を願いたいと思います。  先ほど正木先生の御質問で二百五十億、予算が五カ年計画で足りなくなっておるというようなことも、これは前々から申し上げておることでございまして、きょうあらためてお打ちあけしたことではございません。ただ今後、五カ年計画の当初に考えました資金を五カ年間にいただければ達成するのでございますが、ただいままで多少の不足もございますので、ぜひ今後ともそれを充足するように私ども努力をいたして、何とか五カ年計画を達成していきたい。しかし財源がなければ遺憾ながらおりざるを得ないということになりますので、この点ぜひ御援助を願いたい、こう考える次第でございます。  それから公益を無視するのではないか、営利にばかり走っておるとおっしゃいますが、これは決してそうではございませんで、鉄道工事費予算ごらん下さいましても、通勤輸送あるいは混雑緩和のための施設、駅設備等は、これは収入の財源にならぬどころか、持ち出しのものでございまして、そういうことも重々私どもは公益的に動かなければならぬと考えております。国鉄はもうけると申しましても、積極的にもうける道はございませんで、結局国家の経済がよくなればもうかる、そうでなければもうからぬという大きな宿命を受けております。しかし設備投資につきましては、公益優先ということでいたしております。  それから、たたけば幾らでも出るとおっしゃいますが、これはもう食えない貧乏人が娘を売っても食えるわけでございまして、そこははっきりした限界がないのでございまして、国鉄としましては、ずいぶん今まで合理化して参りまして、これもほぼ私どもは限界だ思いますので、これ以上たたいても出るというような残酷なお考えは御容赦願いたい、こう考える次第でございます。
  82. 關谷勝利

    ○關谷委員 もう時間がありませんから、簡単に打ち切りますが、とにかく私は国鉄の努力も相当なものであることは認めますけれども、まだ十分でないという点を私は申し上げておるのであります。この点、特に新線建設等にはなお一そう熱を持ってもらいたい。これがやはり国会あたりの同情を得るゆえんでありまして、毎年の予算の折衝の状態を副総裁あたりよく見ておられると思いますが、後になりますと運輸省なり国鉄予算に努力してくれる者はわずかに二人か三人であります。これは国鉄にいかに同情がないかということのはっきりとした証拠でありまして、農林委員会あたりはずいぶん大ぜいどんどん手伝ってやっております。従ってそれが通るのであります。ああいうふうな状態へ持っていこうといたしましたならば、もう少し私は上手なやり方があるように思います。この点よくわかっておられて実際に動いておられないのかもわかりませんが、もう少し政策的な面も考えられていいのだと私は思います。その面から考えますと、一番新線建設ということが重要なのであって、先ほど權田局長が言っておられました政府出資すべきものであるとか、利子補給すべきものであるとかいうことはみなわかっておりますが、それができないのは国会の同情がないからであります。応援がないということは、今までの運輸省なり国鉄のやり方がよくないのであります。熱がないのであって、もう少し上手にやったならばどんどんでき出して、そうして多くの地域がそういうことになってきたならば、だれもほうっておく者はないのであります。私の言っておることがよくおわかりになるかどうかわかりませんが、今晩よく寝て考えていただくと、なるほどそうかということがわかるはずであります。国鉄の新線あたりについてはもう少し熱心の度を増してもらいたい。そうしてなるべく広くこういうふうにしなければいけませんといったことでやれば、初年度あたりは予算はわずかしか要らないのでありまして、そういうふうなことも国会の世論に従ってこれをやっておけば、国会がそれを押し込んでほうっておくという手はないのであります。自然に同情もわいてくるのであります。そういところに持っていくのに何さま下手な、ばかがたいことばかり考えたのでは国鉄は伸びません。もう少し政治的な面も考えていただきたいと思います。政府出資をしなければならぬ、利子補給をしなければならぬ、自然にそういう声が国会の方からわいてきて、あなた方が法案さえ準備して出したらすらすらと通るようになります。またそうしなければならぬ。この点よくお考え願いたいと思います。  きょうは苦ごとのようなことを言いましたが、実際にもう少し新線建設にカを入れて多く取り上げて、代議士あたりに希望を持たせる、代議士に希望を持たせることは地方に希望を持たせるということであります。そういうふうに希望を持たせると、全国からほうはいとして国鉄に対する同情がわいて参ります。もう少し上手にやったならば、私はそれができないことはないと思いますので、その線に持っていってもらいたいということを申し上げて打ち切ります。
  83. 塚原俊郎

    塚原委員長 他に御発言はありませんか。  明二日は午前十時より志免鉱業所の問題について、志免鉱業所調査委員会委員方々を参考人としてお呼びいたしておりますから、さよう御承知下さい。  本日はこれには散会いたします。     午後一時五十四分散会