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1958-03-25 第28回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十五日(火曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————   委員の異動 三月二十四日委員豊田雅孝君辞任につ き、その補欠として佐藤尚武君を予算 委員長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      小幡 治和君    副主査     戸叶  武君    委員            迫水 久常君            鶴見 祐輔君            苫米地義三君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            吉田 法晴君            佐藤 尚武君   担当委員外委員            藤原 道子君   政府委員    外務政務次官  松本 瀧藏君    外務大臣官房長 田付 景一君    外務省アジア局    長       板垣  修君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君    外務省欧亜局長 金山 政英君    外務省経済局長 牛場 信彦君    外務省国際協力    局長      宮崎  章君    外務省移住局長 内田 藤雄君    通商産業政務次    官       白浜 仁吉君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業大臣官    房会計課長   安部 久一君    通商産業省重工    業局長     岩武 照彦君    通商産業省繊維    局長      小室 恒夫君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    通商産業省公益    事業局長    小出 榮一君    工業技術院長  黒川 眞武君    中小企業庁長官 川上 為治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小幡治和

    主査小幡治和君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管を議題といたします。  政府から説明を願います。
  3. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 外務省所管昭和三十三年度の予算について大要を御説明いたします。  予算総額は九十四億一千四百十万円で、これを大別いたしますと、外務本省三十五億三千三百四十三万七千円、在外公館五十八億八千六十六万三千円であります。ただいまその内容について組織別に御説明いたします。  組織外務本省。  第一、外務本省一般行政に必要な経費九億三千五百六十八万四千円は外務省設置法に定める本省内部部局及び付属機関一般事務処理するための職員一千二百六十一名の人件費及び事務費等であります。  第二、外交運営充実に必要な経費三億一千万円は、諸外国との外交交渉により幾多の懸案の解決をはかり、また各種条約協定締結する必要がありますが、これらの交渉わが国に有利に展開させるため本省に必要な工作賢でありまして、前年度に比し一億三千万円の増加となっております。  第三、アジア諸国に関する外交政策樹立並びに賠償実施業務処理に必要な経費九百九十六万九千円は、アジア諸国に関する外交政策企画立案及びその実施総合調整並びに賠償の円滑かつ統一的な実施をはかるため必要な経費であります。  第四、アジア諸国との経済技術協力に必要な経費二億五千六百十四万円は、アジア諸国との経済協力に関する企画立案及びその実施総合調整に必要な経費と、コロンボ計画に基く技術者派遣、研修生の受け入れのための技術協力実施委託費一億六千五百五十七万一千円、国際技術調査委託費千五百万円、社団法人アジア協会補助金四千万円、財団法人国際学友会補助金三千百八十四万三千円、財団法人日華学会補助金二百九十万八千円であります。  前年度に比し九千八百七十七万一千円の増加は、技術協力実施委託費国際学友会補助金等増加によるものであります。  第五、欧米諸国等に関する外交政策樹立に必要な経費四千百十五万六千円は、北米、中南米、西欧、ソ連、東欧、中近東、アフリカ及び英連邦諸国に関する外交政策企画立案及びその実施に必要な経費と、新たに中南米中近東に対する経済技術協力のための技術協力実施委託費千五百万円、財団法人ラテンアメリカ中央会補助金六百万円であります。前年度に比し二千二百九十一万九千円の増加は、技術協力実施委託費及びラテンアメリカ中央会補助金等増加によるものであります。  第六、国際経済情勢調査並びに通商交渉準備等に必要な経費千七百七十八万八千円は、国際経済に関する、基礎的資料を広範かつ組織的に収集し、これに基いて国際経済を的確に把握するための調査、並びに通商交渉を行う際の準備等に必要な経費であります。  第七、条約締結及び条約集編集等に必要な経費千二百三十八万七千円は、国際条約締結、加入及び条約集等編集条約典型作成条約国際法並びに内外法規調査研究のため必要な事務費であります。  第八、国際協力に必要な経費一億五千五百七十四万円は、国際連合等に対し協力するため国際連合機関との連絡、その活動の調査研究等に必要な事務費、及び諸種の国際会議わが国代表派遣し、また本邦国際会議を開催するに必要な経費と、財団法人日本国際連合協会補助金千万円、財団法人日本エカフエ協会補助金四百万円であります。  第九、情報啓発事業並びに国際文化事業実施に必要な経費一億八百二十九万三千円は、国際情勢に関する資料の入手、海外に対する本邦事情啓発及び田内啓発並びに文化交流を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な啓発宣伝資料作成、購入の経費と、財団法人国際文化振興会補助金三百二十万円、財団法人東方学会補助金六十三万円、社団法人日本新聞協会補助金百万円、仏教文化会議運営委員会補助金三千万円であります。前年度に比し六千三十五万八千円の増加は、仏教文化会議運営委員会補助金及び啓発宣伝関係経費等増加によるものであります。  第十、海外渡航関係事務処理に必要な経費二千三百五十九万円は、旅券の発給等海外渡航事務経費と、その事務の一部を都道府県に委託するための委託費千二百四十八万八千円であります。前年度に比し七百六十三万五千円の増加は、前述の委託費等増加によるものであります。  第十一、国際分担金等の支払に必要な経費六億五千百七十万七千円は、わが国が加盟している国際機関各種分担金及び拠出金等を支払うため必要な経費であります。前年度に比し四千三百六十四万七千円の増加は、国連食糧農業機関分担金国際原子力機関分担金等増加によるものであります。  第十二、旧外地関係事務処理に必要な経費六百四十三万八千円は、朝鮮、台湾、樺太、関東州等旧外地官署職員給与、恩給の支払いその他残務整理に必要な経費であります。  第十三、旧外地官署引揚職員等給与支給に必要な経費二千九百万円は、三十三年度中の旧外地官署引揚見込職員十四名と未引揚職員三百五十五名の留守家族に支払う俸給その他諸給与等であります。  第十四、移住振興に必要な経費九億三千百十七万四千円は、中南米等に移住する者一万人を送出するための旅費事務費及び渡航費貸付金六億五千三百二十六万七千円、日本海外協会連合会補助金一億四百七十七万九千円、移住者受入機関補助金一億三千五百二万八千円、農業労務者派米協議会補助金千五百万円等、移住事業振興をはかるため必要な経費であります。前年度に比し一億三千五百三十二万二千円の増加は、送出移住者増加に伴う渡航費貸付金及び日本海外協会連合会補助金移住者受入機関補助金等増加によるものであります。  第十五、移住あっせん所業務処理に必要な経費四千四百七万一千円は、移住者本邦出発前における健康診断、教養、渡航あっせん等業務を行うための必要な経費であります。  組織在外公館。  第一、在外公館事務運営に必要な経費五十一億六千三百二十六万九千円は、既設公館八十七館二代表部六百九名と三十三年度新設予定の在ラオス、在ガーナの二大使館及び在エル・サルバドル、在ノールウエーの二公使館のために新たに必要となった職員十六名、並びに既設公館職員増加五十五名、計六百八十名の人件費及び事務費等であります。  第二、外交運営充実に必要な経費四億九千万円は、諸外国との外交交渉の有利な展開を期するため在外公館において必要な工作費であります。前年度に比し七千万円の増加となっております。  第三、対外宣伝及び国際文化事業実施に必要な経費六千六百九十万九千円は、わが国と諸外国との親善に寄与するため、わが国の政治、経済文化等実情を組織的に諸外国に紹介するための事業費等に必要な経費であります。  第四、在外公館営繕に必要な経費一億六千四十八万五千円は、在マラヤ公館公邸及び在ホノルル公館公邸の新営工事等並びに在外公館事務所及び館長公邸建物修理費等であります。  以上がただいま上程されております外務省所管昭和三十三年度予算大要であります。詳細御審議のほどお願いいたします。
  4. 小幡治和

    主査小幡治和君) 質疑のおありの方は、順次、御発言願います。
  5. 吉田法晴

    吉田法晴君 予算そのもの関連しては、あとで同僚から質疑があるし、私からもお尋ねいたしたいと思うんですが、その前に、大へん恐縮ですが、ごく最近と申しますか、二月九日に、北海道石狩当別町の山中で、中国人の劉連仁という人が、これが山に行った道民に見つけられたという事実、これがどういうことになるのか。私どもは、戦争中に俘虜として強制的に連れてきて労働に従事させたということで、俘虜に準じた扱取いをしなければならぬと思うのでありますが、今までのところ、自治体にいたしましても、赤十字にいたしましても、責任をのがれて、むしろ入国管理局から密入国というか、密入国管理令違反疑い云々という呼び出しをした、こういう事実を聞いている。どういう取扱いをしようとされるのか。問題は国際的な関係でございまするので、この点この機会にお伺いをいたしたい。
  6. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ただいまの件はわれわれ承知いたしておりまするが、もと使っておりました会社の寮で厚いもてなしを受けておるそうでございますが、こまかい技術的の問題に関しましては、アジア局長より御答弁させていただきます。
  7. 板垣修

    政府委員板垣修君) 御承知のように、戦時中中国から相当多数の労務者日本へ来て働いていたわけですが、この身分につきましては、通常、俘虜とか何とか言っておられますが、私、現地で直接会って承知いたしておりますが、俘虜ではございません。全部、身分俘虜であった者も、現地日本に送る前に身分を切りかえまして、雇用契約の形でみな日本に来ております。従って、通常言われる俘虜という身分ではございません。  それから、今の劉連仁の件につきましては、戦前におりました労務者で生きておった者は全部本国へ帰したと同じように丁重に取り扱いまして帰すつもりでおります。この劉連仁は、御承知のように、明治鉱業雇用のもとにあったものでありますから、旅費その他一切は明治鉱業が負但して帰すということになりまして、ただいま外務省でも、厚生省と相談をしまして、なるたけ近い便船で劉連仁本国に送り帰す手続を進めております。
  8. 吉田法晴

    吉田法晴君 俘虜ではない、契約労働者ということでありますが、この劉連仁氏のごとく、市場に出ようとしたものですか、あるいは出ておったものですか、それをつかまえて、そうして青島経由日本に送ってきて、そうして北海道の炭鉱に使ったという事実のようでありますが、これは明治鉱業が使ったからこれは明治鉱業責任という、こういうお話のようでありますけれども、当時の政府あるいは向うでどういう……。俘虜があったというお話もありまするし、軍が関係したこともありましょう。日本政府が何らかの形において関与したことも、これは間違いなかろう。そうすると、私は国際法は十分知りませんけれども関連する条約を一応読んだのでありますが、俘虜として取り扱うかどうかは別問題にしても、俘虜同様の取扱い——丁重な取扱いという言葉がございましたが、政府としても丁重に取扱いをし、あるいはもう十何年と、十三年間山におったわけでありますが、衣服ももちろんぼろぼろであろうし、あるいは体も弱めていることと思うのでありますが、金銭的に、あるいは医療の面でも、あるいは服装その他の点でも、できるだけのことをして、近い機会に送り帰すというのが私は政府責任じゃないかと思います。あるいは政府直接でやるか、日赤を通じてやるかは別問題にしまして、人道的な立場からも、法の基礎をなします人道的な立場から、最善の取扱いをして送り帰すというのが私は当然じゃなかろうかと思いますが、もう少し具体的に、どういう取扱いをして、いかなる機会に送り帰すつもりかどうか、具体的に承わりたい。
  9. 板垣修

    政府委員板垣修君) 御指摘通りに考えております。ただいま私が明治鉱業負担で帰すと申しましたのは、政府が全然責任はないというのじゃなく、たまたま旅費その他の所要の経費明治鉱業相当負担をするという意味でございまして、それ以外の点につきまして、政府としましても、金銭的その他において多少なし得る範囲内において、応分のことはいたしたいと存じますし、ことに送還の手続等に関しましては、完全に政府責任をとりてこれは帰すつもりでございます。
  10. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連してお尋ねをいたしますが、劉連仁氏を含みます当時の華人労務者といわれたその中には、なくなった人もあり、それを中国殉難烈士として最大の敬意を表していて、今は受け入れている。あるいはその遺骨収集等についても、感謝の意味を含めて李徳全さん等が昨年来られたことは御承知通りでありますが、このなくなった人、あるいは行方不明になった人、あるいは送還された人等名簿をいただきたいという中国側の希望がございます。これは、日本人中国における遺骨調査し、そうして引き取るという問題と関連をする。あるいは里帰り、戦犯の帰国等関係もあるのでありますが、そういう人道問題に対しまするいろいろな問題について、総合的に解決をしたい、こういう気持は、これは赤十字ほか三団体のみならず、厚生省も持っているわけです。名簿については、これは調査報告書というのですか、外務省で一度お集めになったということでありますが、その名簿をいただきたい、あるいは送りたいという話は、先般石井副総理に三団体代表が会ってお願いをしたわけでありますが、この際できるだけのことを政府としてもし、劉連仁氏なりあるいは強制的に拉致されました人々に対する政府の礼といいますか、できるだけの親切という意味で、名簿を出すべきだと思うのでありますが、外務省として協力を願えるかどうか、承わっておきたい。    〔主査退席、副主査着席
  11. 板垣修

    政府委員板垣修君) 中国労務者戦時中日本におりました名簿につきましては、三関係団体あるいは中共側から要望のあることは承知しておるのでありますが、遺憾ながら、この点につきましては、終戦後のどさくさで原本は焼却をしたかどうか、紛失したか、なくしたか、なくなっておるのであります。その後、外務省といたしましてもいろいろな方面に手を尽しましたけれども、完全な原本がございません。ただいま残っておりますのは、当時の名簿から書き抜いた摘要のようなものが一つ残っております。しかし、これは一人々々の名前を書いたりストはございませんので、これだけでは不十分でございます。従って、今後、この日本におりまする労務者、ことに六千名ばかり死亡いたしまして、そのうち二千名ばかりが、御承知のように、殉難者遺骨慰霊実行委員会の方で、従来民間ベースでこれを探しまして、それについて送還しておるのでありますが、遺骨を、残ったものにつきましては、民間ベースでこれを探すことはもう限界に達しましたので、政府ベースで本格的に調査をしようということで、ただいま厚生省の方で準備をいたしておりますが、今後そういう遺骨慰霊実行委員会で集めた資料と、政府ベースにおきましてそれぞれの事業所をたよりにいたしまして、そうしてできるだけさかのぼって収集したいというふうに考えております。
  12. 曾禰益

    曾祢益君 私は、農業労務者アメリカ派遣問題について、若干質疑をいたしたいと思うのです。これは私、昨年、非常に短かい期間でしたけれどもカリフォルニア南カリフォルニアの方で実情一端を見せてもらったようなわけです。非常に興味を持った問題で、——興味というのは、非常に、これはうまくいくならば、日本の農家の二三男対策といたしましても、また日本農業に新しい知識を導入する点からいっても、さらには、これは移民ではないかもしれませんが、何とはなしに日本の農村の過剰人口の問題に対して明るい将来を与えるというような意味からいって、規模は現在小さいけれども、将来の発展性を期待するならば、非常に積極的な意味があるだろう、こういう意味で、全体の考え方としては、うまくこれを成功させたいものだと、こういう意味興味を持ったわけです。だが、現実にこの実情一端に触れてみると、私どもが現場に行く前にも、日本新聞あるいはあちらの新聞等で、いろいろ事故が起る、必ずしも所期の目的が達成しておらないような点が多々あった。そこで、この問題について適当な機会国会の場を通じて御質問したいと思ったのですが、今日までそういう機会がなかった。今日は十分な資料を持っておりませんけれども、若干の資料に基いて、これはほんとうならば外務当局だけでなく、農林省当局等も呼ばなければいけないのですが、一応この問題の最も大きな関係は何といっても対外関係なので、この意味外務当局の方の意見を伺いたい。  まず第一に伺いたいのは、これはあと実情等に関する私の気づいた点を申し上げまするが、とにかく三十一年にこの制度ができて、昨年実施に入ったわけでありますが、その後第二回のいわゆる一千名の送り出しの問題について、アメリカ側においてもいろいろな問題が起っておったようでありまして、従って、最近に至って、この第二回の送出関連して、アメリカとの問の話し合いも大体ついたやに新聞に出ておりました。たとえば労務者協定書といいますか、労務者先方栽培協会との間に結ぶ協定書も若干改訂され、その第二回派遣の一応基礎準備ができたやに聞いておりますが、最近の発展ですね、第二回送り出しに関する先方との話し合いの結果、現状並びに、しからば本年度いつごろ第二回派遣計画予定であるか、まずこの点を伺い  たいと思います。
  13. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) お答え申し上げます。一昨年の十月からこの仕事を始めまして、昨年の五月で第一回の一千名の送出が終ったわけです。引き続きまして第二回の千人分を送ろうといたしましたときに、アメリカ内部で、ただいま曾祢委員も御指摘になっておりまするように、果してこの事業が本来所期しておったような目的に合致しておるかどうか、十分の効果をあげておるか、またあげ得るだろうかというようなことにつきまして、アメリカ内部でもいろいろ問題が起ったわけでございます。特にこの実施の一つにうたっておりますねらいは、日本の若い農業者アメリカの進歩した技術の習得の機会を与えるというようなことになっておるのでございますが、実際行われておることが果してそれに適合しておるかという点がかなり問題になりました。さらにまた調査班を、向う国会におきまして委員会ができまして、その調査などの結果、現地におきまして、日本から行っております若い農業者の声などを聞いたわけでございますが、まあかなりいろいろな不満もあるというようなことで、それらを総合いたしまして、アメリカ国務省労働省、それから法務省の二省会議におきまして、官庁同士協議、あるいは現地におきます公聴会その他を通じまして、これの改善方についていろいろ討議されたようでございます。その結果、結論から申しますと、ある程度移住者——移住者と申しますか、今の若い農業者のためになるような改善が行われたわけでございます。  おもな点を申し上げますと、向うへ参りまして一年たちましたならば、六ヵ月ごとに職場を変える機会が与えられるということが一点、第二点は、就労期間一ヵ月につきまして一ドルずつ米国往復旅費補助農場主負担する、第三点に、日本人労務者スト破りに使用しない、第四点といたしまして、労務者教育娯楽機会を与えることをあっせんする、こういうような点がきめられたわけでございます。  ここに至りますまでにつきましては、アメリカ国務省あたりが、非常に、この事業の意義にかんがみまして、なるべくその目的を達するように、日本人農業者のためにはかってくれたわけでございますが、他面、現実にこの労務者を雇います農場主の方にいたしてみますと、あまりやかましい条件をつけられたのでは、わざわぎ日本人労務者を呼ぶ興味を失うというようなことでございまして、われわれ日本政府といたしましては、国務省あたり日本人労務者のためにはかってくれること自体は非常にけっこうであるけれども、あまりそのために雇おうとする人が日本人労務者はもう要らぬというようなことになってしまっては、この話が元も子もなくなってしまう懸念もございましたので、大体われわれとしましては、向うの内政上の問題でもございますし、もっぱら申立と申しますか、あまりそれに介入しないでなり行きを見守っておったわけでございます。    〔副主査退席主査着席〕  しかし、この二月に至りまして、先ほど申し上げましたような点で、大体向うも、先ほど申しました三省と農場主との間に大体妥結ができまして、御承知のように、一応この次の一千名が派遣される基盤はできたわけでございます。  さて、それでは、この人たちがいつ向うに出て行けるだろうかということになりますと、実は、アメリカのやはり景気が頭打ちと申しますか、そういうことを背景にいたしまして、カリフォルニアにおきまし相当失業者がふえておるという状況でございますので、向う労働組合あたりでは、これは主としてむしろメキシコ——これは数におきましても非常な数でございますから、メキシコ労務者を目当てにしているようでございますが、現在外人労務者入国について反対的な空気が祖当起っております。従いまして、今すぐに日本人のこの人々が行けるような状況になるかどうかは疑問に思っております。ただ、聞くところによりますと、そのカリフォルニア失業者というのも、農場で実際に働けるような人は少いそうでございまして、たとい雇われてもすぐいやになってやめてしまうというような人々であるやに聞いておりますので、農繁期にでもなれば、自然農場主の方からぜひ日本人労務者をほしいという声が起る、てれに伴いまして、大体今年度内に千人くらいのものは送るようになるのではないかというように考えております。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 そこで、若干の労務者、いわゆる協定書の改訂が行われた基礎においての本年度の送り出しの問題が、アメリカ経済問題等関連で、まだいつごろ送致するかわからないけれども、一応準備はできたというお話なんですが、そこで私が得た印象から言うならば、どうもこのいわゆる短農の送り出しの問題は、根本から相当、問題がはっきりとした線が出ないままに実行されたところに、根本的な欠陥があったのではないか。  というのは、これを簡単に言うならば、送り出しの方の日本側は、特に国際畏友会とか、農業関係団体の諸君は、これは善意からではあるが、これより先に行われた、数は少なかったけれども、いわゆる農業実習生、あの制度、すなわち農村の有力な青年をアメリカに若干でも送って、これはアメリカばかりではございませんが、いわゆる世界の新しい農業の概要を実習して帰ってきて、そうして今後の日本農業の、あるいは農村の新しい行き方に寄与させたい、こういう農業実習生制度があったわけですが、まあそれの多少大規模になった計画であるかのように、国内に実はふれ回っておる。従って、日本側の行く方の農村の子弟も、大体アメリカの生活様式、ウエイ・オブ・アメリカン・デモクラシイを習い、あのアメリカのすぐれた大農方式を習うというような気持で、あえてこれを物見遊山と私は言いませんし、善意から出た学ぶつもりが主であって、決して、必ずしも働らくことが主という考えでない。農村からの主としての若人ですが、送られて行き、まあサンフランシスコに飛行機で着いたときに、おりてきた日本の第一回の派遣農業労務者は、全部が全部といっていいくらい、これは日本人だから当りまえだと思うが、カメラを肩にかけて、威風堂々と入り込んでくる、こういうことである。  ところが、一方受け入れる側からいうならば——これはアメリカ労働組合等の問題は、これはあとで触れまするから、申しません。いわゆる栽培者、グローアー、つまり農場主で、使う方の人からいうならば、これは要するにメキシコから年に三十五万も入れておるところのきわめて短期間の季節労働者、これをただ一部日本人に振りかえただけである。ことに、日本のいわゆる移民で、一世の諸君も、戦後アメリカに帰化して国籍を御ておりまするから、これらの中には非常に大きな農場を経営している非常に有力な人もおります。咲岡氏とか近沢氏というような有力な六百エーカーも八百エーカーも持って、主として野菜栽培をやっておる。これはオレンジ・カウンティの人ですが、こういう人からいえば、メキシコから呼ぶくらいなら、同じ日本人だから日本人を呼んだ方がいい、そうすればちっとは自分の先祖に対するサービスにもなろうという気持はもちろんあるけれども、しかし、大ぜい行って、カメラを抱えてくるような農業実習生を、別に人道的に雇うつもりは毛頭ない、あくまでも労働労働である、こういう気持で迎えた。  しかも、そのかれら労務者の実態を考えるならば、これは言うまでもなく、アメリカの非常に機械化された大農方式のもとで、しかも、どうしても機械ではやれない、非常にいわば苛烈な肉体的労働を要するような、たとえば野菜をつむとか、あるいは植えるとか、あるいは剪定するとか、非常に単純にして、しかも肉体的には非常に苦痛な労働、もう季節が来ればもちろん三週間ぶっ続けで、十二時間労働をやらなければならぬというような、非常に単純な、いわば工場でコンベアで働くのと同じ、ただオープン・コンベアで働いているのと同じような、全く日本農業を実習した人から見たらおよそ考えられないような、単調にしてしかもつらい労務である。そこで完全に、送り出した者は、あるい送り出された者は、受け入れた側との気分、気持というものは、完全に食い違っておったと言っては語弊かもしれません、大きな食い違いがあったということは明瞭だと思う。そうしたことにすべてのトラブルの原因があった。だから、日本側の若い諸君からいえば、まるでだまされて、そうして牛馬のごとくこき使われるというような苦情が出た。それから農場主からいえば、ことに日系の善意をもって相当いいことをやったつもりの人からいうならば、近ごろの日本の若人は全くかなわない、権利ばかういうけれども、権利を叫ぶ前に、農業労務者としての義務を果してから権利を言ったらいいじゃないかというようなところに、非常に大きな問題が起った。いわんや、そこへ向って、アメリカ農業労働マーケットにおける問題、労賃を引き下げる傾向があるとか、あるいはスト破りとかというような、こういったような、あるいは労働組合側のコンブレーンもそこにからんでくる。ここに問題がある。  せっかくの好意と善意から出発したのであって、これは余談ですが、私がワシントンでチーフ・、ヂャスティス・ウォーレンさんに会ったときも、ウォーレンさんがまだ最後のカリフォルニア知事のときにやり出したのだ。これはちょっと記憶が違っているかもしれませんが、おそらく農業実習生を始めたときと思うのですが、向うの偉い人たちも、おそらく好意をもってやり出した、日本農業関係の方々も好意と善意をもってやり出したのだけれども現実には、現場において非常に気分の食い違いというものからトラブルが起った。そのこと自身は、今後の送出そのものに非常に大きな暗影を投じているばかりでなく、せっかくの日米関係にも暗影を投じかねないという事態に立ち入ったと思うのです。  非常に釈迦に説法みたいなことになって恐縮ですが、そういうような点を考えるならば、第二回の送出に当って、まず日本側準備としても根本的に考え方を改めて、そうして行く必要がありはせんか。まず第一に、送出に当って、いかなる人を選ぶか、募集、それから選抜、これらについて今までの計画を根本的に直して、ほんとうにこの趣旨を生かすように、つまり率直に言うならば、アメリカン・ウエイ・オブ・ライフを習うというようなことの宣伝をし過ぎている。むしろそれを引き下げて、率直に実態に即して、これはあくまで三年間アメリカ農場で働いて、そうして働くことによって、尊い労働によって、将来の自分の村なり自分の家なり、自分がさらに南米等に移民として働く基盤を作るんだ、こういうような考えの人を送り出すように、募集や選抜の方式も根本的に変える必要がある。特に農業実習生的な宣伝が行き渡っているが、これを根本的に打破して、割り切って、これは働きに行くんだ、習いにいくんじゃないんだという点を主にした宣伝のもとに、それに即応するような人間を募集するような方法に変える必要があると思うが、この点はいかようにお考えになりますか。
  15. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 結論から申しますと、全く同感でございます。ただ、最初のことでありますし、先にも御指摘になりましたように、この農業実習生の伝統と申しますか、そういうものがございまして、それを拡大してやるんだという気分があったことも事実でございますし、それからまた、この仕事に当りました方が、何となく希望的な観測でいろいろ仕事をなすったということも否定できないところじゃないかと思います。実は、われわれ自身こういう体験と申しますか、報告を受けておるのでございますが、非常にこの事業につきましては、アメリカ側で好意的にやってくれておりますある人が、われわれとそういう人と話しましたときに、君や僕は非常な紳士だけれども、しかし、派米の農業労務者としては、お互いに落第生だ。ところが、従来日本側は、そういう落第生——それは落第生であるということは、何も非難でも何でもないが、ただそれに適合しておるかどうかということが問題なんだが、その適合していない者を非常に送ってきておるということを、この事業アメリカ側で非常に好意的な人がそういうことをやはり言っております。これはわれわれとして非常に考えなければならぬ点で、まさに御指摘のように、この選考を誤まってやりますと、この仕事が実際破綻してしまうし、また、もっと大きく申しますと、日米関係にも悪い影響を与えるということをおそれております。過去の一千名につきまして、全部とは申しませんが、そういった誤まった前提に立った人が混入しておったということは、遺憾ながら認めざるを得ないと思っております。  従いまして、今後こういうことのないようにと思って、まあこれは責任回避じゃございませんが、この募集、選考は、主として農林省の方にお願いしておるのでございますが、農林省の方でも非常にこの点は考えておられまして、現在向うに行く前に、集めて訓練をやっておりますが、その際に、そういう点の誤解のないように十分やって下すっておるものと信じております。
  16. 曾禰益

    曾祢益君 この問題については、きょうは参議院の予算委員会ですけれども、お出になっている方は、かなり参議院の外務委員会の諸先輩が多いんですが、非常に関係がある。大体派米協議会のトツプは、これは最も尊敬する同僚石黒委員、それからこの問題について——この問題だけじゃありませんが、戦後のアメリカに移住あるいは渡航した日本人の実態について、これは参議院外務委員会調査室に、当時の笹森外務委員長の非常にりっぱな口述されたレポートがある。われわれは、単に政府対議会という関係ばかりでなくて、お互いにこれは考えなければならない非常に大きな問題だと思うので、私は取り上げたわけなんですが、率直に言って、きょうは実は本来ならば農林省側も呼んで伺いたいと思ったんですが、分科会ですからそういうことはいたしませんでしたけれども、これは外務省の人に率直に言いますが、やはりここから先は、国内の方の送出の方は農林省だというようなことでは、そういう消極的な考えではこれはだめなんです。これは申し上げるまでもなく、ほんとうに渾然一体となって、送り出す人の選定が悪ければ、結果は悪いんです。結果が悪ければ、結局対外的の責任を背負わなければならない、であるから、これはなかなかこの問題に限らず、移民問題については、いろいろ過去からのいきさつもあるし、外務省として大いに改めていかなければならない点もあるし、また内地側の考え方の甘さ、単なる希望的観測がかえって現地においては逆効果であるということは、徹底的に農林省側に直させるように、これはもっと、それこそ総合的にやるのが外務省なんですから、そういうことについては、もっと、へっぴり腰でなくて、直すべき点は直すように、もっとイニシアチブをとるべきであると私は考える。  そういうわけですから、今度の募集、選定等については、どの機関ということは言いませんけれども、甘い希望的観測を一擲するような方向でやってもらいたい。特に、農村における顔役の次男坊かと、その口ききで、大学中退で、生まれてかつて苛烈な農業労務をやったこともないようなお坊っちゃんを送り出すというようなことは、断じてやめてもらいたい。そうしてこれはほんとうに富農層からは出さない。中農以下、言葉は悪いけれども、率直に言うならば、貧農の二三男の、ほんとうに働く意欲と実績を持っているりっぱな青年だけを、選抜をするようにしてもらいたい。これにはっきりと資格を限定してもらいたい、これが第一点でございます。  それから第二点は、送り出す前の講習、訓練等、これまた、まだどうも甘い考えでやっておるように思われてならない。これは第一回の訓練、講習に関する農業労務者派米協議会の報告に書いてあるんですが、一体何を教えたかというと、実にこれはもう噴飯ものというか、講習内容を見ると、悲喜劇です。非常にアメリカに関する一般的な知識を教えるのもいいでしょうけれども、たとえばこれはやってはならないトラクターをやったりなんかしている。この禁じられているトラクターを教えるとか、そんなことよりも、どういうふうにして野菜をピックアップしたら一番能率があがるかというような、実習でもやらした方がずっと気がきいている。まるきり講習のポイントというものがはずれている講習をしている。そういう講習のやり方も、これは根本的に一つ変えて、実戦的な講習をやってもらいたい。ハイカラぶった講習なんか要りません。むしろ、そういうことは、打破して、疲れないで能率をあげる、アメリカ農場で、どういうふうに働いたらいいかというような講習に日を送るべきではないか、こう考えるんですが、そこまで思い切って頭の切りかえをやっていただけるかどうか、これを一つ外務次官に伺いたい。
  17. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ごもっとものお説、ありがたく拝聴いたしましたが、外務省といたしましては、もちろん、ただいま曾祢委員のあげられましたような気持で農林省に強く当りまして、そうして向うに参りましていろいろ問題の起るたびごとに、在外公館の連中あたりが頭を悩ましておることは御承知通りであります。そういう意味からいたしましても、先方で起るトラブルというものは、主として外務省の出先がこれを承わるような実情でもございますので、十分その点は注意いたしまして、もとをただすべく、農林省と今後強く折衝いたしまして、いろいろと善処したいと思うのであります。あげられました点に関しましては、すでに農林省と強く折衝しておりまするけれども、今後なお一つ交渉を強く行いたいと、こう考えます。
  18. 戸叶武

    戸叶武君 この問題に関連しまして……。今、松本次官が農林省の方に当ると言われておりましたが、農林省に当る前に外務省の体勢を整えなければ、当っても効果がないと思うのです。今の外務省のやっているところの移民政策は、率直に言って、戦前の移民屋さん、と言っちゃいかぬが、移民関係の残党を組合した形であって、新しい形における移民体制というものが、失礼だが、確立されていないと思うのです。私は三年間続けてアメリカを尋ねるたびに、サンフランシスコからロスアンズエルスに至る一帯を、自動車旅行その他をしまして、この移民関係も調べて参りましたが、一番最初に、前に曾祢さんが言ったような、ウォーレン加州知事が問題にしているのは、大体レヒュジーの難民救済の形で、農業労働者として受け入れた段階のことかと思います。その問題と、それからこの農業実習生——那須さんなんかのたしか農業実習生の問題、この短期農業労働者の問題とがありまするが、こういうレヒュジーの人たちを、難民救済を受け入れたときから問題は深刻にあったと思うのです。  一九五六年の九月に、いやそうです、私がサンフランシスコでもって講演会をやりましたときに、その席上において、当時今来で問題になったところの川崎キャンプ逃亡事件というのがあり、日本の朝日新聞でも大きく二、三回報じておりましたが、その中心人物が二人ほど尋ねてきまして、つぶさにこの川崎キャンプの事件の真相というものを泣いて伝えました。そこで当時の総領事館に行って総領事と折衝しましたが、総領事はひた隠しに隠して、真相を知らしてくれません。私はそれよりすぐ前に事実の真相は詳細に大体わかっておったのでありますが、その席に隣の部屋にいた海外協会の人に、別個な今度は会見をやって聞いてみると、その人もよく知っているのです。総領事が知らないはずはないのです。非常にひた隠しに隠している。しかも、その言うところにおいては、あの逃亡した人間は共産系の人物だというようなことを暗示する始末でありますが、これなんかを見ましても、移民なり何なりを向うへ送ってしまうと、総領事館はほとんどかまわない。現地をたずねることもしなければ、どうして現地を見舞わないのだと言えば、自動車がない、ガソリン代もろくにくれられていない。これは至る所で聞く悲鳴です。事実また、外務省は非常に頭のいい人たちばかりそろっているけれども、大蔵省と折衝して金をとるなんてめんどうくさいことをやるような人はあまりいないので、お坐なりの仕事きりやっていないから、いつまでたっても外務省の外地における活発な仕事などというものはできないというのも事実でありましょう。  そういうようなので、しかも、キャンプ事件の真相を見ましても、中間におけるところの日本人の一世、二世等のブローカーが、相当のひどい搾取をやっているのであります。古いバスの、非常に、あんなボロなものは日本でもないようなもので、小さいキャンプに押し込んでいく。そうしてまかないをやる。そうすると、そういう真相がわかるのは、日本人の青年にまかないの仕入れから、まかないまでまかせる。五十セントくらいの原料でもって二ドルくらいとる。そういうようなピンはねをやる。それから事実上至る所に、労務者をあっせんした場合においては百ドルないし百五十ドルくらいの手数料をとっている。これは農業労働者というものがどこへ行っても足りないのです。ですから、そういう習慣というものがあるのです。それから、日本に来ましても、和歌山、広島等においては選考のことを曾祢さんが非常にやはりうるさく言いましたが、選考に非常に情実が加わる。非常な物品上のいろいろな問題まである。そうしてボスに結びついて相当の運動をやった者が、選考の中へ入っていく。それで農業労働者としての責任者や何かという、実際はそういう運動の上において効果の上ったものが行くというような、選考に対して非常にルーズなことがやられている。失敗すると、そういうことがあとで問題になると重大な問題だと思いますが、あれは共産党なんだのと、和歌山県の青年も言っているような始末。  こういうことはその場のこととして処理できるかしれないが、しかし、この朝日新聞に、新聞に載せないでくれといって、これは外務省側から折衝したのは、やはりそういうようなことで記事を載せないでくれというようなことを言ったそうですが、全くこれは日本政府なり、その関係者の不見識から来ているのだと思います。しかし、その当時その問題を大きく取り扱うと、非常にセンセーショナルにアメリカにはね返ると思いまして、私は遠慮して、非公式な形であるが、当時の移住局長その他に警告をやりました。やってもきかないんです。外務省人たちは聡明であって、謙虚な形において他からの話を聞くというような考え方はあまり持ち合わせていないんです。農林省なんかも、この問題においてはもう前々から外務省に対しては憤りを持っております。これが古い時代の、戦前における拓務省と外務省外務省と農林省、この満洲関係の移民の問題でもずいぶん悲しい歴史があるんですが、今なおそれは消えていないんです。なわ張り争いをやっているだけで、親切な形において日本の移民の問題と取っ組んでいない。  しかも、この農業労働者の問題でも、ちょうど一九五五年の正月に、今ベルリンにいるであろう法眼君が総領事をロスアンゼルスでやっていたじぶん、私はアメリカ側農業団体なり何なりに折衝いたしまして、カリフォルニアにメキシカンの八万五千人からのもののせめて一割、一割といかなくても、五分でも日本人を迎えられないかというようなことを、非公式ながら方々飛び歩いたこともあるのであります。いろいろの形で、国務省のマーフイ氏やいろいろな人たちの好意によって、年に一千人くらい入れられるところまでいったのでありますが、来た連中というものは、五人とか十人程度の分散した、これはまだ農家の家庭的な雰囲気の中において人間的なあたたかい待遇を受けているので、ノイローゼにはかからないようでありますが、去年あたり行って、カリフォルニアのキャンプの集団的な農業労働に従事している者をたずねた人たちの報告によると、非常に殺風景な生活で、何らの慰安もなく、何らのそこには情味もない。全く青年たちが日本で想像する農村と違う。前に曾祢さんが指摘したような、オーバー・ワークな仕事に従事していながら、ほんとうに疲労困憊に陥っているというようなことも聞きましたが、そういうことに対して、総領事はそれらにあたたかい手を差し伸べるだけの自動車も、ガソリン代もないらしくて、ほんとうにアメリカに入った同胞というものに対する親切なめんどうはあまり見ていないようです。  今のロスアンゼルスの総領事なんかは、代々、比較的いい人が行っておりますが、サンフランシスコの前の総領事なんというものはひどいものだったと私は思うのです。昔の代官のような考え方で、戦前にああいう習慣をつけてしまったから、なかなか抜けないのだといって、日本の一世や二世の人も嘆いておりましたが、それに、戦前は一万二千エカーからの農地を持っていたたとえば甲府田農場の甲府田さんや、その他いろいろな有力者もおりますけれども、この人たちに何ら相談もしない。また、そういう委員会なり何なりを設けて、そういう農業労働者たちにおいても、先に入ったカリフォルニアにおける開拓者との結びつきということも、あまり考えていない。そしてほうりっぱなしだ。こういう移民政策が続けられる限りにおいては何らか私はいっか不祥なことが起きるのじゃないかという憂いを非常に持っているのです。  それから、短期農業者だけでなくて、この農業実習生の、日本に帰ってきてからはいい評判だけを聞いたが、ずうっとアメリカの農家なり、アメリカ人に会ってみると、あまりいい評判はない。ただ見物に来たので、働こうとか研究とかの意欲というものを持っていない。これはアメリカを見るだけであって、このアメリカの大規模な農業を持ってきても日本じゃ一つも適用しない。私はむしろデンマーク、北欧あたりを見たいのだが、そこは行けないからアメリカに来たまでのことだというような、投げやりな態度です。これではいかぬと思って、この人たちとも会いまして、接触を持って、幾たびも面会もしました。ところが、さっき曾称さんの言った、飛行機をおりたときの風景はもっと派手で、アロハのシャツを着て、カメラをぶらさげて、そうしてたばこものみほうだい、酒も飲みほうだい。アメリカの青年はもっさまじめです。真剣です。何か農村における有閑階級の、ヨタモノの世界旅行というような感じをほうふつさせるような情景を見たときに、ほんとうに涙が出ました。一体だれが選んでアメリカに送ったのか、だれが教育し、だれが訓練してアメリカに送ったのか、そこの責任の所在を僕らははっきりしなければいけない。  しかも、外地のことは、移民の問題は外務省のことだ、農林省はあまり出てもらわないように。海外協会その他でも、外務省の外部団体的に各県に作ったけれども、その作り上げ方と運営の仕方にも幾多の疑念がある。私は、こんな形にすると必ず問題が起きると思うのだが、もっと具体的な事例をあげろと言えば、もっと具体的な事例をあげますけれども外務省はこのような移民政策を何ら反省することなく、今後も継続していくつもりですか、私はこのことをお聞きしたい。
  19. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) いろいろと戸叶委員、カルフォルニアにおける実例をおあげになりまして、もちろん暗い面もありますが、私どもの実際に会いました青年たちの中には、非常に明るい面もあるやに承知しております。川崎キャンプの問題に関しましては、中でいろいろとトラブルの中心になった者が陳情しております。それとまた、第三者の陳情とは多少ギャップのあることも知っておりますが、どっちが正しいかは別問題といたしましても、ローカル・ケースといたしましては、ずっとカリフォルニアの南の方のキャンプには相当暗い面もあるというのでございますが、また中カあたりにおきましては、非常に明るい、明朗な労働をやっておる青年のグループのあることも知っております。たとえば、しろうと芝居に参画したりしまして、またこのスポンサーの外人に会ってみましても、非常に喜んでいるケースがあるのであります。全部が全部、暗いものとは思わないのでありますが、先ほどあげられましたような悪い面のあることもわれわれ反省いたしまして、過去のミステークを起さないように、将来これを是正していかなければならぬということは、先ほど曾祢委員にお答えした通りの気持でございます。  なお、甲府田さんとか、その他のいわゆる第一世、柳ごうりをさげて向うに参りまして、そうして星を仰ぎながら働らいた第一世と、今回参りました青年の勤労、労働に対する観念の相違のあることも私ども知っております。もちろん、どちらが正しいかということは、これは時代が違いますので、これも簡単に評価することは困難であろうと思うのでありますが、こういう先駆者のやはり意見等あたりも十分参しゃくいたしまして、戸叶委員の申された通り、一つ今までのミステークというものはこれを是正いたしていかなければならないのであります。  さらに、在外公館、総領事等あたりが十分調査をしないということでありまするが、これはその通りだと思うのであります。私ども非常に残念でたまらないことは、従来の外務省予算というものがあまりにもひど過ぎたということであります。これはもちろん与党ばかりの問題でなくして、委員会あたりにおきましても、もう少し外務省予算増加をいろいろ御協力願えたならば、もっと楽になるのじゃないかと思うのでありまするが、これもぐちになるかもしれませんが、予算委員会等あたりにおきまする質問の率から見ますと、一番外務省が多いのでありまするが、予算の面からいきますと、一番少い状況であります。もう少しこういう点を一つお考え下さいまして、十分超党派で今後一つ御支持あらんことをお願いしたいと思うのであります。  自動車が古くて、ガソリンが買えないということは、これは確かに実情なんであります。今年は幸いに、もしこの予算を通過さしていただきますならば、若干の余裕もございますので、ことに在外公館等あたりの活動範囲ももう少し潤沢になるのではないかと思うのでありますが、こういう点も十分考えまして、一つ国内の体制、また出先におきまするところの諸般の問題と、一つ真剣に取っ組んでみたいと、こう考えます。
  20. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 一、二点釈明さしていただけませんか、今の戸叶委員の御質問に対して。  ただいまの戸叶委員の御批判中には、全く同感の点も多々ございますし、われわれとして十分謙虚に反省いたしたと思います。ただ、戸叶委員のおっしゃいました中に、これは失礼な申し分かもしれませんが、ちょっと概念的に、まあわれわれがあるいは誤解いたしたのかもしれませんが、はっきりいたさなかった点につきまして、二、三釈明さしていただきたいと思います。  一つは、難民救済法で、川崎事件というのは、あれは難民救済法で行った人の事件だと思いますが、難民救済法で参りましたものは、もとよりこれに対しましてもわれわれ関心は十分持っておりますが、大体アメリカ側の気持自体が、難民救済法で入れた者は、今直ちにアメリカ市民になっているかどうか存じませんが、これはアメリカ自身の問題であるという考え方のようでございます。従いまして、われわれの方から、難民救済法で参りましたものにつきましては、あまりとかくのことを申しますのは、かえって何と申しますか、内政干渉とでも申しますか、そういう誤解を受けるような問題のように存じます。で、これは実はあの川崎事件のときわれわれ自身も相当心配したのでございますが、アメリカの方ではこの点割合に割り切っております。難民救済法で入れた人の問題は、これはアメリカの方で自分で処置する、こういう大体考え方のように了解いたしております。  それから、短農で参りました者は、これは確かにこの派米協議会の現地機関、ないしはどうしてもそれだけでは足りませんので、総領事館あたりが相当世話してやらなくちゃならぬ運命に実は御指摘通りございます。この点につきまして、過去におきましてはいろいろ批判も聞いておりますが、最近桑港には一人は、専門家というほどでもございませんが、この問題を主として担当しております人もふえております。総領事も非常に熱心で、まあ最近、過去一年ぐらいのことで申し上げますと、非常に改善されてきているのではないかと考えております。ロスアンゼルスの方は、できればこれにも一人ぐらいそういう担当の人を置きたいのでございますが、これは遺憾ながらまだそこまで参っておりません。いろいろ、外務省の者が非常に冷淡であるとか、あるいは熱意がない、そういう御批判も必ずしも不当とは考えませんが、われわれの気持といたしましては、できる限りそういうものを改善して参りたい、また出先の人にもそういう気持でやってもらうようにということを心がけている次第でございます。
  21. 曾禰益

    曾祢益君 私は、あと二、三点だけ質問さしていただきたいと思います。私が触れようと思っていたことで、いわゆる外地における世話でありますが、この問題については戸叶委員から詳しく述べられたようですから、簡単に申しますと、要するに、私の先ほど来申し上げたいわゆる短農の問題については、送り出された諸君は不適格な人もあるけれども、これは本人が悪いというよりも、つまり制度的に、あるいは制度上の運用のまずかった点もあるので、非常に気の毒だと思う。こういう関係もあるので、現地における補導なり世話ということにもっと重点を置かなければならぬと思う。これは戸叶君がおっしゃった通りであります。従って、この問題は一つは気持の問題であるとともに、多くはこれは予算の問題だと思う。  で、同僚笹森委員の御報告書によっても、これは領事館の旅費のことだろうと思うのですが、あの全ヵ州に散在する短農の現場を歴訪するための出張旅費として、一年に桑港から羅府までの飛行機代が一回分、汽車賃四回分だけではどうにもならない、こういうふうに報告しております。これは果してそういうふうに窮屈なものであるかどうかは知らないけれども、大体そんな程度の問題ではなかろうか。飛行機や汽車ではもちろん間に合わないで、結局これは領事館あるいは派米協議会の現地機関の諸君がみずから自動車を運転して、そうして年がら年中回れとまでは言えないでしょうが、定期的に回る、臨時にいかなる遠いところでも走っていくという態勢がとられなければならぬ。ところが、今年度の予算で見ると、派米協議会に対する補助金が千五百万円というのは、これは去年との比較においてどうなるか知らないけれども、どういうふうにそういった予算を見積っておられるのか、これを伺いたい。  それからもう一つ伺いたい点は、これも戸叶君が言われたことに関連することですが、私はやはり、一方においては国内の送り出し等に対する農林省等の考え方を改めさせることにちゅうちょしてはならない。同時に、これはことに農業の指導ですから、現地に、なるほどそれの専門的な人が向うの派米協議会あるいは領事館にいるようですけれども、むしろ農業専門家を現地派遣すべきである。これも同僚笹森委員の提案ですけれども、サンフランシスコあるいはロスアンゼルスに農業関係の農務参謀本部を置けと、彼はこういう表現をされておる。要するに、カ州の農業の実態をよく知っている人が、季節的に短農が働けない。ある農場では非常に労働力が余っている、他の農場では非常に忙しい、そういう状態を計画的にこれを調整していくことになれば、農業者の方からいっても非常にありがたがられるであろうし、ことに、何といってもこれは出かせぎなんですから、要するになるべくプル・タイムに働きのできるように計画化すること、そういう方面にこそ農業のエキスパートというものを現場に送るというようなことは、これは大いに取り入れるべきではないか。  以上、予算と、農業関係のエキスパートを現場に送るというお気持があるかどうか、あるいは計画があるかどうか、この三点についてお伺いいたしたいと思います。
  22. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) まず第一に、予算の総ワクの問題を離れまして、実は外務省予算のワク内でも、もう少し出張旅費などをそういうところに多く配分できないかという問題はあると思っております。実は、これは外務省の中における私の努力と申しますか、力の問題になるかと思いますが、遺憾ながら、過去におきまして移住を担当せざるを得ないような間におきましても、どうも十分でなかったのじゃないかといううらみは、実は私自身持っております。その点は一つ今後も、予算通りましたあと、できます限りただいまの御批判にこたえるような線において努力いたしたいと思う次第でございます。  それから、派米協議会あるいは総領事館に農業関係の専門家を配置したらどうか。これも、現に派米協議会の現地には、たしか今年度におきましてそういう人が一人行ったはずでございますが、ただ、これはなかなか量と質と両面ございまして、この農業関係の専門家であり、かつ非常に語学も達者であるというような人を得るということは、実際問題としてなかなかむずかしいのでございまして、農業専門家である方が行けば、いろいろなことが非常にうまくいくかというと、なかなかそうも参らないようでございます。むしろ現地で聞くと、ともかく英語ができて農場主あたりと英語でしゃべれるということが最前提であると、それがなくてはどうにも、行ってもあまり役に立たないというような話も聞いておるわけでございます。しかし、これは一挙に今申し上げたような非常にいい人を得ることが困難であっても、農業専門家の方が行かれて数年たたれれば、やがて語学も上手になるということでございましょうから。それと、あるいは語学のうまい人を選んで、そこからそういうことに興味を持ってもらうように育てていくか、両方、方法があるかと思いますが、とにかく御趣旨は十分了解いたしますので、そういうことの実現に努力いたしたいと考えます。
  23. 曾禰益

    曾祢益君 この点については、私の申し上げたのは、農業の専門家はむしろ内におって計画する方で、現場に行って世話するのは、これはもう農業も何も要らないので、気軽に英語ができる人が飛び歩くことが必要である。それだけの予算を、人間を配置することを希望いたします。  最後に、労働関係から私は取り上げたいのですが、最初に私も申し上げたように、アメリカ労働組合の方からいろいろな苦情が出る。私も向うに行ったときに、カリフォルニア・ステート・フェデレーシヨン・オブレーバーの諸君に会い、直接諸君から文句を聞いた。私はアメリカ労働組合の主張には必ずしも全面的に賛成ではない。たとえば、日本人労働者が来て、そしてアメリカカリフォルニア州における労賃の引き下げをやっている。それは当らない。それはむしろ一千名の日本人労働マーケットを作っておるのではなくて、これは三十五万のメキンコ人が入ってくるという事態に問題があるのであるから、そういう考え方にはわれわれもちろんそのまま賛成するわけでは毛頭ございません。しかし、このいわゆる派米協議会とアメリカ栽培協会との間に結ばれた、いわゆる一般協定というのですか、取りきめですか、この問題及びこれに基いて作られた労務者協定の中に、確かに、日本でも採用している労働者保護のためのいろいろな法令の趣旨からいって、納得できない。あるいはアメリカ労働組合から当然文句が起りそうな状態があることは、これは否定できない。  で、今回、親協定はそのままにして、それから生まれてくる子供の協定である労務者協定書の方だけが、若干の点にわたって改善されることは、われわれも認めます。たとえばストやロック・アウトの場合には、これを破るようなあれには使わない。あるいはさらに、日本の若い人の大へん希望であったレクリエーシヨンなり、あるいは学習の機会を、契約上の権利として栽培業者、雇用主に与えさせるように条項を変えた、こういう点。さらには、これもアメリカ労働組合が主張しておった往復旅費は当然に雇用主の方から払わすべきではないか。これはメキシコのように近い場合ならできるけれども日本の場合であったら、そこまでやっても、日本から雇うのはなくなろうという問題にぶつかると思いますが、その一部として、一人分毎月一ドルずつを帰国の旅費の二部として栽培業者から取るという、これも一つの改善された点だとは思います。しかし、問題はまだある。どういう点が問題であるかというと、少くともアメリカ労働組合が、まるでこの短農が日本政府なれ合いで、十七世紀のインテンチュワード・サーバントとか、ウエージ・スレーブとか、こういうことを言わすような条項がまだ残っていると思います。これは当然に変えるべきであると思います。  これはどういう点かというと、一つはこれは、アメリカメキシコと国家間の協定によって作られているのに、日本の場合は、国家あるいは政府間の協定でやっておらないという点に問題がある。  第二の方は内容にかかるのですが、内容の一つの問題点は、この労働者の代表を設ける、そしていろいろなことで交渉するという、こういう規定が一つもない。労働者の代表で、これはアメリカメキシコとの協定の第二十一条に相当するんです。こういう点が設けてないんです。  それから第三に問題にするのは、いわゆる苦情処理の問題があります。苦情処理は一般取りきめの十条、それから労務者協定の第三条の第七項に書いてありますが、いずれの場合でも、短農は苦情処理機関に訴えるだけなんです。つまり労使が一緒になって苦情処理に当るという機構に全然なっていない。これは通常の労働組合の先例からいうならば、まさにおくれもはなはだしいという、こういうやり方になっている。  それから、一等問題になるのは、この賃金の五%を福祉資金その他といっても政府が預かる。政府といっては悪いですが、協議会が預かる。しかも、それがどう使われるであろうかということについて、金を預ける方の人間の発言権は何ら規定されていない。これではアメリカ労働組合に、まさにこれはインデンチュワード・サーバント、スレーブ・レーバーだと言われても釈明のしょうがないような規定が、そのまま残っている。だから、こういう点についてさらにもう一つ言うならば、二十ドル以上のもうけがあった場合には、五割は本国にとめ置く。これもある意味で奨励の意味でそういうことをやって、ある意味で本人たちもむだ使いしないようにという親心かもしれないけれども政府といえどもずいぶん親心過ぎて、やはり封建的なやり方だという非難は免れないと思う。  こういう点をこの際直すお考えはないのか。少くとも近代的な労務関係といいますか、労使関係というものを、労働基本法という建前から見るならば、こんな協定を作っているのはどだい間違いではないか。そういう点を直しても、一つも短農の諸君を野放図にするということには絶対にならない。こういうことによって、アメリカ労働組合の言っている心配、それがもし心配以上にもし彼らに一つのじゃまさせる口実になっているならば、それを除去することができるのではないか。これは当然に外務省なり農林省が頭を切りかえて、一般協定の方から、取りきめの方から直していくべきではないか、かように考えるのですが、この点について最後に政府のお考えを伺います。
  24. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ただいま曾祢委員が御指摘になりましたような諸点は、実は一般論として申し上げますと、これは直した方がいい、こう思うことは間違いないと思うのです。ただ、問題は、その中でわれわれ限りと申しますか、日本側だけの、そしてアメリカ側はほとんどそれに文句を言うはずのないような点と、アメリカ側とはある程度話し合いできめなければならぬ点とに分れるのではないかと思うのでございますが、日本側だけでできます部分につきましては、これは派米協議会の方の意向も十分聞いてみますが、できるだけ御趣旨に沿うようにやるべきであると考えます。ただ、アメリカ側交渉しなければならない問題点になりますと、実は一般論としては、今申しましたように、日本労務者のためによくなるようにする、これは当然外務省の大きな任務であると思っておりますし、われわれの気持も常にそこにあるわけ正でありますが。  ただ、昨年からのいきさつで、冒頭にもちょっと申し上げましたように、結局今の段階においては、少くともグローアーズが日本労務者をぜひはしい、そして毎年千人というようなものが確実にレギュラーに送られている状態、それによりますと、向う農業経済の中に日本労務者というものが不可欠な要素として組み入れられるような事態というものを早く作るということが、一つのやはり大事な点ではなかろうかと考えているわけでございます。そういう事態が生まれますれば、これはもうそこに一つの、何と申しますか、実績としても残りますし、また、向う農場主などがいやおうなしに、あくまで日本人労務者をどうしても来てもらわなければ困る、こういう事態ができますれば、これはわれわれとしてもかなり強い態度をもってそういった問題に取りかかれると思うのでございますが、現在の段階では、われわれが憶病である、あるいは杞憂に過ぎるかもしれませんが、下手に問題を持ち出しまして、そういううるさいことならば日本人労務者はごめんだ、こういうような事態に導いたのでは、せっかくいろいろな条件を片方に取りきめましても、実際上は行く人間が行けなくなってしまうというのでは問題にならぬと思いますので、その辺実は非常にジレンマを感じているわけでございます。しかし、行く行くの問題としましては当然考えなければなりませんし、また、機会を見つけまして、御指摘のように、国家間の協定にでも乗せまして、はっきりしたものにするという一つの目標は十分われわれとしても考えて参りたいと思っております。
  25. 曾禰益

    曾祢益君 最後に。いろいろありましたが、少くとも苦情処理の問題と福祉資金の問題に関するものは、これはアメリカ側から文句が、栽培業者の方からも文句が出るはずがないと私は思う。しかも、この問題は、移住局長の話からもあったように、アメリカが特にアメリカの不景気、失業から、非常に労働問題としてのウエートが多くなりました。そういう意味からいっても、向う労働組合から文句を言われるような、古くさい日本労働慣行でやっているのだ、直していく方がスムーズにいくのだという、その辺をぜひお考え願いたいと思います。これで質問を終ります。
  26. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 私は簡単なことを一つお伺いしたいのでありますが、それは、今度在外公館の新設のときに、三年前からアメリカのテキサスのヒューストンに総領事館をお置きになった方がいいだろうということを申し上げておったのでありますが、昨年の夏でありましたか、外務省のある局長が、今おいでになりませんが、ヒューストンに置くことになりましたという話がありまして、喜んでいましたところが、あとで伺いますと、やっぱり大蔵省との折衝で落ちたようであります。  そこで、私はこの問題について、なぜ私が特に外務省の方にこれを熱心にやっていただかなければならないかということを申し上げると、これはもちろん皆さんの御承知のことでありますが、それをさらに大蔵省に反映していただいて、日本の国論にしていただきたいという一つの重要な点があるのであります。たとえば、今日本では、アメリカの方で関税を引き上げて、いろいろな日本の輸入品を拒否をする。外務省では国務省を通じていろいろ御交渉になっております。ところが、私の根本的なヒューストンに置いていただきたいという理由はこういうところなのでございます。アメリカという国は、われわれがイギリスと交渉したり、フランスと交渉するというのとは全然違う国だということを、外務省の方は御存じでございましょうけれども、ほかの役所、たとえば大蔵省ではおわかりになっていないのじゃないか。現に、ヨーロッパの各国でも、アメリカとの外交交渉で失敗するのがその点にあるのじゃないか。つまり、アメリカはイギリスやフランスのような中央集権の国でなくて、日本と同じ地方分権の国だということがほんとうにわかっているのは、私はイギリスだけだと思うのです。見ておりますと、ですから、イギリスは始終四十八州に間断なく非公式に人を送って、四十八州の世論を、アメリカ人を通じて動かせるように、及びイギリス系の人を動員する。今カリホルニヤの問題が大きくなって非常にけっこうなのでありますが、つまり今まで日本の国民が、アメリカといえばワシントンでみな物事がきまるように思っていた。その次は、ニューヨークで物事がきまると思っていた。その次は、カリフォルニアに考えております。そのほかの場所については、シカゴくらいなものである。その次の大事なものを見落していやしないか。  大体、私は戦争後にアメリカに二度も参りまして痛切に感じましたことは、今度の大戦争を通じて、アメリカの政治構造あるいは経済構造が非常に変ってきた。つまり、勢力の中心が南部に移りつつある。ことにテキサスに移りつつある。現金を持っている数からいいましても、政治力からいいましても、テキサスというものがカリフォルニアを凌駕するようになりつつある。ところが、関税の問題をおやりになるときに、国務省は非常に日本に好意を持っておると思いますけれども、各地方における政治勢力の分野からいって、これはアメリカ人に援助してもらわなければできないと思っておりますから、そこでテキサスのような州が非常な勢いで伸びていって、政界においては下院議長も出ているし、上院の多数党の首領も出ているというようなわけでございましょうから、テキサスというものが非常に重要になってきている。今、曾祢委員からもたびたびお話がありましたように、日本在外公館の費用が非常に足りなくて、自分の管内をお回りになることもできないということですから、とうていワシントンの大使館からテキサスにおいでになることはできないであろう。それで、これはニューオルリンズにある領事館ですることになるのでしょうが、ニューオルリンズの持っている勢力というものは、すなわちルイジアナ州の勢力は小さいから、私は地方分権のアメリカにおいてはこの政治力は強くないと思う。  ことに、テキサス州は日本に好意を持っている。三年前にテキサスに呼ばれまして驚きましたのは、テキサスはニューヨークを凌駕しようという考えでやっておりますし、港としても、ニューヨークの次にはテキサス、テキサスの次にヒューストン、ヒューストンはその次にニューヨークを凌駕するという勢いである。  そこでヒューストンに領事館を置いてもらいたいと申しますのは、地方分布の関係からどんどん商売が大きくなったということじゃなくて、将来の日本の対米外交の重大な拠点として、ほかの国の大使館や公使館よりもむしろ重要な地域になるのじゃないかということを感じてお願いしたのですが、そこで、今度ヒューストンに領事館を置くということで大体出ておりましたが、そのいきさつを少し伺いたい。
  27. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) テキサス州と日本関係の比重がだんだんと重くなってきたことは、ただいま御説明の通りだと思うのであります。従来テキサスは日本にはあまり好意を持っていなかった。それが最近非常に好意を持つようになった。いろいろな要因がございましょう。テキサスの全体が全滅の運命に会ったのを救い出した第百部隊のほとんど全部が、日本人の血を引いていた二世であったということ、あるいは農業技術等で日本人が寄与したということもありましょうが、先ほど先生からお話のございましたように、確かに比重はだんだんと重くなってきております。従って、ヒューストンに領事館を置くことにつきましては、われわれは非常に関心を持ちまして、相当この問題に関しましては真剣に検討いたしました。  なぜ落ちたかという問題に関しまして、こまかい折衝の段階を御説明するわけにはいきませんが、とにかく在外公館をふやすこと、あるいは官吏の数をふやすことにつきましては、国会全般非常に強い抵抗があったのであります。従いまして、残念ながらこれは落ちましたけれども、一応省内におきましていろいろと討議の一つの題目になったことは事実でございまして、万やむを得ない場合には、何らかの方法を講じたらどうだろうというようなプライベートの意見も出ております。それは、たとば名誉領事を置くとか、いろいろな方策がございますので、今後も一つゆるむことなくこの問題を真剣に検討していきたい、こう考えております。
  28. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 将来の見通しはいかがでございますか。
  29. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) これもやはり予算国会の空気の問題でございまするが、もっと在外公館等あたりの新設の必要性ということを、一つ先生方からも強調していただきまして、何とかそういう工合に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  30. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 私は、ほかのたとえば公使館を置くとかいうようないろいろな振り合いから、ヒューストンが落されると、非常に不利益になるだろう。私は、ヒューストンという位置は重要性を増しつつあるときでありますから、それで外務省におかれても、ほかのものと振り合いをとっておやりになる以上の力で、ヒューズトンに総領事館ができなければ、領事館でもいい。  ニューオルリンズは、位置からいって、こちらにあるから、あまり近いというようなことを大蔵省で言うのですが、これは一つ外務省の皆さんの御決心で強力に推進していただきたいと思います。
  31. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 御趣旨に沿いまして、十分一つ今後も努力さしていただきたいと思います。
  32. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 私は、きわめて特殊な問題について二、三外務省の意見をお尋ねしたいと思うのですが、それは在外公館の備品の問題、それからもう一つは現在の旅費規則の問題です。  備品の問題から申しますると、私は何も国産愛用とかいう、そういう運動にみずから携わっておるものでも何でもなく、従って、そういったかた苦しい方面から私の意見を申し上げるわけではないのですけれども、しかし、在外公館において日本の製品を使われた方が、各般の見地から見て、日本のためになるということがかなりあるのじゃなかろうかと思うのであります。  第一の問題は自動車の問題ですが、すでに皆様御承知通り日本の自動車も、おくればせながら、現在の程度に発達してきて、そうして小さいながら国産の自動車が製造されておる。中にはデラックスという銘を打って、高級車でございといって売り出しているものもあるようでございます。これを欧米諸国の高級車に比べますならば、とても私は比較にならぬほどの、いわゆる日本の高級車ではありますけれども、しかし、とにかく乗用に差しつかえない程度のものはできている。そういうような日本国産の車を、日本在外公館、場所にもよりますけれども、あの方面にお使いになるということは考えられていないのかどうか。  それで、以前欧米諸国に駐在しておった日本の大使なり公使なりというものは、多くはその国生産の自動車を使っていたように見受けておりました。国の体面を保つという意味からも、他の外国の公館に負けないくらいのりっぱな自動車を持って、そうしてそれを使っておったというようなことが普通であったと思うのです。当時はそれでよかったでありましょうけれども、しかし、今後の日本としては考え方を違えなければならぬのじゃないかと思うのです。敗戦後の日本として、今欧米の諸国に派遣された使臣たちが、たとい外国産の高級な自動車を乗り回してみたところで、何もそれで日本の権威が高まるというわけのものでもなかろう。むしろそうでなくて、日本でもこの程度のものができるようになったのだということを諸外国に報告するという、そういうような、むしろ日本は現在この程度まで発達しておるのだということを見せる上からいいまして、むしろ意味があるのじゃなかろうか、こういうふうに思うのです。従って、外国に持っていったら小さな貧弱な車になるかもしれませんけれども、しかし、日本の国内で生産された自動車を持っていって、そして使臣たちがそれを使って外国人たちにも見せるということが、非常に意味が出てきた。単に国産であるからこれを使うのだというようなことでなくて、日本の工業の実際の発達程度を知らせるという上からの意味をもって、在外公館等において国産車を使うということがいいんじゃなかろうかと思うのです。ことに東南アジア方面におきましては、とにかく距離も比較的近いし、運賃等もそうかからぬでありましょうから、一そうそういう点において私は意義を見出すものでありますが、これは外務省当局におかれましてどういうふうにお考えになっておるか、まずお聞きしたいと思います。
  33. 田付景一

    政府委員(田付景一君) お答えいたします。ただいま佐藤委員が仰せられましたように、われわれとしましてもできるだけ国産のものを使いたい、こう考えておりまして、目下、現在のところ在外公館では約六台の国産車を使用いたしております。ジャカルタ、セイロン、フィリピン、中華民国、ボンベイ、カンボジアといったような、今話しのように、大体東南アジア地域の諸国において使っております。全体が百四十二台というようなところでわずか六台でございますから、その比率から申しますと非常に少いわけでございますが、何分遠方に参りますと、部分品の関係だとかあるいは修繕、輸送の関係といったようなことで、なかなかそう早く実現することはできないのでございますが、最近東南アジアのほかの諸国の所でも、国産車をほしいというような要望もございますので、だんだんその方面を拡張していきたい、こう考えております。
  34. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 今の官房長お話で、外務省自体としても国産の自動車を使っていくというお考えのように伺いましたが、これは大へんにいいことだと思って喜ぶものであります。確かに部分品の問題等で不便があると思うのでありますが、これは生産者に一つよくお話を願って、そしてその会社の広告にもなることでありますからして、会社側でもって奮発して、部分品をできるだけ広く諸外国準備をするというような方面に指導していただきたいと思うわけです。  自動車の点はそれでわかりましたが、そのほかの調度品というものについては、外務省はどういうふうに考えておられますか。たとえば、戦前のフランスの大使館が、戦後は知りませんけれども、戦前の在仏大使館というものの調度品というものは、ほとんどすべてが仏国製であったと私は記憶しておるのです。たとえば食卓の備品、食器類、それには陶器、ガラス製品、銀器類等々があるわけです。いずれを見ましても、フランスの製品ばかり、年に十回も十五回も大きな宴会を当時催しておったと思いますが、これでは、使っている食器もフランス製、出てくる料理もフランス料理、飲むブドウ酒もフランスというようなわけで、そこに何らの日本の大使館にふさわしい日本の空気というものがかもされていないように見受けたのでございますが、まことにこれは日本にとってもあまりほめた話ではないように感じたのであります。私の貧弱な経験をかれこれ申し上げるのは差し控えますけれども、戦後においてはそういうことでなしに、先ほど自動車の問題で申し上げた通りに、日本でもこれだけのものができるのだ、欧米品に比してひけをとらないところまでいっておる。  現に現在では、日本の食器類の陶器は非常に進歩して、高級なものができておる。アメリカあたりでもノリタケの製品というものは、私自身驚いたのでありますけれども、消費者側の投票によってみますというと、ノリタケの製品なんていうのは、昨年の話でありますけれども、三年ごし第一位を占めておる。その次がチェコなりドイツなりフランスなりというふうになっておるというようなわけで、そこまで日本の陶器というものが高級品ができ、そしてその国の人たちの嗜好に適する程にまで発展しておるというようなわけであります。従いまして、陶器の一例をあげまするならば、そういう陶器を日本の大使館なり領事館なりで備えられて、そして外国の賓客を呼んだときに、これは日本製品であるというようなことを、言うと言わぬとは別問題でありますけれども、実際日本の製品を使わせる、賞翫させるというようなことをやられたら、これまた日本の工業の発達の上にかなりの意味を持ち得るのではなかろうかと思うのであります。  単にそれは陶器に限らず、ガラス製品であるとか、あるいは銀器類であるとか、リネンの類であるとか、たくさんあるでありましょう。そういうふうな問題、それから食卓に飾るいろいろな装飾品、単に食卓ばかりでなく、客室なり婦人室なり等に飾るようなそういう美術品の類なども、なるべく日本品を持っていって、そして一部日本の工芸品の広告にする、宣伝にするというようなことをやった方がいいんじゃなかろうかと思うのでありますが、そういう点で、外務省としてそういうことをお考えになっているでありましょうか、どうでしょうか。  実は、戦前においてはそういったようなことに対して、外務省というものはどうも注意を払っていなかったのであります。戦前ならば財力の余裕も多少あったからよかったかもしれませんけれども、戦後こうやって日本の工業をできるだけ伸ばさなければならぬ一というような時代になった今日といたしましては、そういう点にも外務省としては心を用いられて、そしてできるだけ日本の工芸品の宣伝をするように方針をきめられたらばどうかと思うのです。そういう点においてどういうふうにお考えになりましょうか。
  35. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ただいま佐藤委員の申された通りでありまして、これはただ単に外部から見た意見ば、かりでなく、省内におきましても、かなり強いそういう傾向の意見がございます。戦前におきましても、相当そういう方面に努力されておったということを聞いておりまするが、特に戦後、予算関係で十分なことはできなかったのでありまするが、徐々に予算がふえるに従いまして、たとえば在外公館長のディナーあたりに招かれますと、そこに出るさら、食器類は日本製であると思う。そういうふうな方向に持いていくように努力いたしております。今年度もし予算通りましたならば、若干そういう調度あたりの費用も出るかと思いますので、十分これは、日本の商品のPRの意味におきましても、また国家の威信を高める意味におきましても、私は必要なことだと考えます。
  36. 田付景一

    政府委員(田付景一君) 実は目下、家具装飾委員会というようなものを外務省で今作りつつございまして、デパートの支配人ですとか、あるいは帝国ホテルの支配人ですとか、あるいは専門家の方に集まっていただきまして、そのほかに儀典関係の先輩の方にも来ていただきまして、海外公館に出すものの家具だとか、装飾品ないしは洋食器等の図案というようなものについて検討していただくという委員会を  設けております。これによりまして、ただいま政務次官からお話がございましたように、今度の予算によりまして買い上げるものは、そういうところで買い上げて海外に出したい、こういうように考えております。
  37. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 今の官房長の御説明で、そういう特別の委員会ができたということ、これは大へんにいいところに気がつかれたものと考えますので、喜ぶ次第でありまするが、願わくば、外務省の幹部の方々ばかしでなく、外務省省員一般にいってそうありたいと思いますることは、そういう点に興味を持っていただくということであります。ということは、家具であるとか調度品であるという問題に関しまするというと、現在はよく知りませんけれども、従来とかく外務省人たちはそれに対して興味を感じなかった。だから、自分の公館なら公館に備えてあるものがどんなものであっても、一つも関心を払わない。そういうような傾向が多分にあったのであります。それでは、せっかくの今の御方針も、実現される上においていろいろな支障が起きると思うので、やはり若い人たちに対してそういった点に対してよく指導をして、そしてこうあらねばならぬというふうな点で、第一、備品等に対しての興味を持つ、これを賞翫する、見きわめる。賞翫する眼を持つというような方向に若い人たちを指導していかれるということが、非常に必要じゃなかろうかと思うのであります。研修所等を外務省ではお持ちになっておるからして。そういう点で美術に対する愛好心を養っていくとかいうような便宜もお持ちでありましょうから、特にそれをお願いしておきたいと思います。  もう一つの問題は、旅費規則の問題でありますが、私はあんまりそういったような会計の方面には通じていないので、適切な内容を質問を申し上げることはできないかもしれないけれども、私自身の実見したところでもありまするし、また今後国際会議等がひんぴんに行われる、開催される。それに日本代表が各方面から出て行かなければならぬというような実情におかれておる日本といたしましては、現在の旅費規則では、私はこれはだめだと思うのでありまするがゆえに、外務省の注意を喚起し、それからまた御意見を伺いたいと思うのであります。  この旅費規則は昭和二十五年に制定されたことになって、たびたび改正されて、最後の改正は昭和三十二年ということになっておるようでありまするが、この外国規則の方の表を見ますというと、別表の第二「外国旅行の旅費」という表がありまするが、これによりますというと、「区分」として、第一に書いてありまするのは、「内閣総理大臣」等として、そうしてその内訳に、内閣総理大臣、最高裁判所長官及び特命全権大使、この三つのカテゴリーが最初に掲げられておる。そうして日当の部において甲地方——甲地方、乙地方いろいろありまするが、日当の部において甲地方は四千三百二十円、それに宿泊料一万二千九百六十円、ドルにしますと、四十八ドルくらいになるだろうと思います。ところで、その次の欄を見ますると、「その他の者」として二千七百円、同じように「甲地方」とありまする二千七百円、それに八千百円、ドルにすると三十ドル、こういうような規則になっておる模様であります。これによりますと、総理大臣、最高裁判所長官、特命全権大使等は四十八ドルであって、そうしてこのカテゴリーに入らない者でもって。何か必要な職務について外国の旅行をする人たちは二千七百円、つまり三十ドルということになるわけであります。  ところで、国際会議あたりの実際を見まするというと、大使という肩書きを持たないで、そうしてその会議に出席をするという人たちは、これは過去においても多々あったようでありまするし、将来はむろんそういう場合はむしろ多くなるのではなかろうかと思うのですが、政界、財界等あたりからその会議に出かけて行ってもらわなければならぬというようなことがたびたび起きるでありましょう。そうして、その人たちは特命全権大使という肩書きを持たないで行くという場合が、むしろ多くなってくると思うのです。そうして、その人たちがその会議日本代表部の首席を勤めるということがかりにあるとしましたならば、そうしてまた、そういうことはたびたびあるわけであります。そうするというと、特命全権大使という肩書きを持った人が自分の配下に属するようになった場合に、非常な不均衡が起きてくる。首席の「その他の者」に属するその人は三十ドルしかもらえない。しかるに、自分の配下にある大使は四十八ドル、これは非常に不合理な話で、もう一つは、先ほど申しましたが、三人の人たち、総理大臣、最高裁判所長官、それから特命全権大使、これに属しない外務大臣——外務大臣が国際会議に出かけられるということは、これはたびたび過去においてあった。この三人のカテゴリーの中に入らない外務大臣はやはり三十ドルに落されて、現在落されておる。これは実にまたわからない話で、外務大臣が行くというようなことになりまするならば、これは総理大臣が行かない場合はもちろん首席代表として、首席全権として行くわけであります。それが自分の配下にある大使に比べて少い旅費をもらう。これはどうも私解せない。  それからもう一つ、私はどうしてもかわらないのは、会議がたとえば一ヵ月続く、そうすると、一割減になる。二ヵ月続けば二割減、三ヵ月続くと三割減に、三割以上は減らされないようですけれども、これも実に不思議なんで、一ヵ月続いて二ヵ月目に入ったからといって、自分の宿舎をもっと安いところに変るというわけでもなし、また食事をそれだけ減らさなければならぬというようなこともない。同じ生活を続けつつ今の会議に出ておる。しかるに旅費はだんだん減っていって、ついには三割減になる。実にどうも今の旅費規則というのは現在の時代に合わない規則だと思うのです。それにかかわらず、外務省としては、戦後これで十年以上になりまするけれども、依然旅費規則でもってやっていく、あるいは旅費規則でもってこれでいいのだというように思っておられるかどうか知らない。ともかくこの旅費規則を続けていくという点においては私は解せない。もしそういうふうな不合理があるならば、この旅費規則を改正しなければならぬと思うのでありますが、そういう点においてどういうふうにお考えになっているか、一つお伺いしたいと思います。
  38. 田付景一

    政府委員(田付景一君) ただいま佐藤委員の仰せられましたように、実際特命全権大使等が特別でありまして、そのほかの外務大臣及び首席全権になられる方がその他になっておりますのは、はなはだ不都合だと私どもも考えております。従って、この点はできるだけ改正したいと思っておりますが、問題は法律でございますので、そのために各省といろいろ協議をいたさなければなりませんために、われわれの方としても考えてはおりますが、容易にこれを提出するところまで至っておらない次第でございます。また、ただいまも仰せになりましたように、六十日以後になると、三割は宿泊料等が滅ってしまうということでございまして、これはもっとも四十六条の二項で、各庁の長は、必要なときには、当該旅行上困難だというようなときには、大蔵大臣に協議して定める旅費を支給することができるということになりまして、現にモスクワで開かれております漁業委員会会議に出席されておられる方は、三割減というものをやめまして、例の通りに出しておるというようなことをいたしております。そういう意味で救われないことはないのでありますが、これも今仰せの通り、長くなるから従って金はかからなくなるという理屈はあまり立たないと思いますので、われわれといたしましても、この点は各省と御相談申し上げまして改正していきたい、こう考えております。
  39. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 今の御説明で、この旅費規則が不合理だということは外務省が認めておられるのであって、それは当然そうでなければならぬと思うのでありまするが、繰り返すようでありますけれども、外務大臣を初め国務大臣、これも差別待遇を受けて三十ドル組に入ってしまうというと、どうしてもだれが考えたって不合理だと言わざるを得ない。どういうわけでこういう規則ができたのか、むしろ不思議なくらいに思うのであります。つきましては、これは今の御説明では、各省との関係があるからして、それぞれ交渉をして改正することを考えておるという程度のように私は伺いましたが、そんななまぬるいことでは私はだめだと思うのでありまして、大蔵省に対して、堂々として外務省はこれではいかぬということを、これはだれが見たってそうであるからして、これは大蔵省だってわからないわけはないと思う。外務省はそういう点においてはもっともっと強く出られて、そうして不合理を是正されるということが私はどうしても必要なことだと思うのであります。何となれば、そういうふうにゆっくりしておられる間に国際会議はどしどし開かれていくのでありますからして、それが規則の改正できないがゆえに、行っている人が非常に不愉快な思いをしなければならぬということで、せっかく外務省、その他政府がお頼みして、そうして財界なり政界なりから行ってもらう代表に対しても非常な迷惑をかけ、またその人自身の感情を害するというようなことが出てくるので、これは当然そうなるわけで、この職務を引き受けるというときには、一体自分はこれは幾ら日当をもらえるのか、そういうことは一切おかまいなしに多くの場合引き受けるのでありましょう。現地にいって見ると、非常にお金が足りないとか、あるいはまた、そこに大きな差別があるということがわかって参りますると、非常な不愉快な感じを与えるに相違ないのであります。これは将来、国際会議等がしばしば催される今日においては、外務省としてぜひともそれはお考えにならなければならぬことでもあり、そしてまた至急にその改正に努力されなければならぬ問題だと思いますが、政務次官はそれをどういうふうにお考えになりますか。
  40. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 佐藤委員のおっしゃる通りだと思います。従いまして、法律の改正をできますならば、一つ早くいたしたいと思います。
  41. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 それならばそれでけっこうだと思いますが、予算はもう数日中に片づくことでありましょうし、それも各省の交渉の結果どうこうというのでは、予算が通る前にはとうていまとまるわけもないと思いますので、その交渉の結果どういうふうになったかということについては、外務委員会政府から報告をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)それではそのようにお願いします。
  42. 戸叶武

    戸叶武君 さっきの移民の問題に関連してですが、この前の難民救済の名によるところの労働者をカリフォルニアに送ったが、その受け入れの中で、一番積極的に大量に入れたのはデジョジョという果樹会社です。これは向うに行って調べて見ると、私はここではいろいろな影響があるといけませんから、詳細な報告はしませんが、これはイタリア人の経営する果樹会社で、短期間に急激に伸びた会社なので、いろいろな批判のあるのは当然だと思いますが、そういうところに日本労働者が奴隷労働的の形において大量に投げ込まれ、しかもその間において日本人の一世、二世の移民でブロカー的の人たちによって中間搾取がひどいということです。これは逃亡した人の訴えだけでなく、私は在留邦人の幾多の人から、あれはひどいと聞いたのです。しかし、そういうことに対しては、あれは向うに属するものだから、こちらはタッチできないという形では、これは日本外務省のやり方というものに、私は非常に冷たさを感ずるのであります。私は移民の問題にけちをつけようというのではないのです。松本さんからは明るい面もあるということも聞きました。しかし松本さんのような高官がアメリカに行くと、明るい面だけ御報告になるのだけれども、われわれ野党の者が行けば、やはり自分たちの訴えることのできないことを私どもに訴えるのだと思います。この問ブラジルから来た方でも公けの席と違う席での話は別です。しかも、やはり外務省に当りさわりがあってはいけないと遠慮して、ほんとうのことを言っていない。だから、移住会社の問題などももっと考えなければ困るので、もうすでに予算委員会においてもその片りんは出ておりまするが、ブラジルの問題をつくと、もっと私はいろいろな問題が出てくると思っております。それで移民に対する親切心、親心というものがいかに大切であるかということは、ブラジルの方の関係は藤原さんが来られたから、藤原さんが一番詳細に母親の心で見てこられたと思いますが、カリフオルニアの在留邦人からいろいろの形で発言され、また南米を視察した人たちでも、ブラジルにおいて日本人の気違いが多く、気違い病院に非常に数多い人たちが収容されて、これはある人によっては、五百人もいるということも報じておりましたが、とにかく、殺風景な世界に、非常な生活の境遇上の変化をもって投げ込まれたときに、そこにその人たちをいたわってくれる者、相談相手、取りつく島もないというようなこと、そういう荒廃した生活の中に絶望的な生涯を送らなければならない人たちがあると思うのです。これはやはり私は、日本の移民政策というものに親切が行き届いてないからだと思うのです。たとえば、おととし私は西ドイツを訪れましたときに、ルールの炭鉱地方で、日本の炭鉱労働者を受け入れるこれが住宅だというのを見せられたときに、実に行き届いています、親切です。そういうふうに西ドイツの人たちは戦争に二回も敗れ、ずいぶん民族的な苦難を経てきたのでしょうが、他国の労働者を受け入れるの対しても、どうやってこの労働者の人たちに住みよい生活をさせてやろうかという心づかいまでしているんです、他国の人でも。そういうところが、移民を送り込めばいいという在来の裸移民的な形で中南米にほうり込まれた人もずいぶんあると思うのですが、こういうことに対して、私たちは、外務省はほんとうに考え直してもらいたい。私の親友である石川達三君が昔、蒼氓という小説を書いたことがありますが、戦前における移住会社、戦前におけるところの船会社、そういうものと結びついて、古い形の移民ブローカというものがどういう形でリベートを取ったり、ぼろいもうけをしたかということは数限りないのです。しかも現地におけるところの移住会社なり、あるいは移民関係のいろいろな機関なりというものが、いろいろふしだらなことをしても、それを監督するものも十分でない。しかも移民に対する中心になって世話をやく人も欠けているというのじゃほんとうに私たちは、これから海外に行く民族を安心してまかせることができないのじゃないかと思います。この移民の問題に関しましての予算でも、中南米ということだけうたわれていますが、一万人程度しか予算はとっていないようですが、日本と同じような窮屈さの中にもがいているイタリアにおけるところの、移民関係からの送金の多いことを見てもわかりまするように、観光事業と移民というものに非常な積極的な計画的な対策をイタリアのごときは行なっております。イタリアのような実績を日本がまだ持ってないからといっても、これから相当な私は移民問題に対しては実績を持たなければならないのだと思います。たとえば豪州のような国を見ましても、今までは白豪主義的な形において、なかなか日本の南下というものを侵略的に見て、拒んでいる向きもあるようですが、このごろ空気が変ってきた。しかも、日本が羊毛を大量に買い付ける点においては非常な顧客である。そういうような国に対して何らかの手を打つならば、日本の移民というものを全然入れないということはあり得ないので、そういう、今日はいろいろ東南アジアという問題がありますけれども、東南アジアの非常な生活レベルの低いところでは、技術協力なり何なりの形で行くのは別ですが、なかなか移民というものを筒単に送り込めるものではないが、やはり中南米なり豪州なり、また開拓の方法によって移民というものは積極的に海外に出せるのじゃないかと思いますが、そういうことに対する外務省としての積極的な対策なり構想というものはないのでしょうか。この予算に圧縮された程度の萎縮したものしかないのですか、そのことを移住局長から。
  43. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 今までの日本の移住政策の御批判につきましては、実は私ども自身としましても、非常に今やっているいろいろな人的、物的に見まして非常に貧弱であるということは、私ども感じております。これには、われわれ自身の努力が中心でなければならぬと思いますが、結局、予算の問題などに逢着いたすのでありますが、遺憾ながら、今度の予算でも、われわれが企図したものから三分の一くらいのものになってしまったようなわけでして、大体われわれ自身、おおむね三万程度の移民をレギュラーに、しかも今御指摘のように、ある程度のアフター・ケアなどもやって参るためには、まあ五十億くらいの金がなくては、おそらく満足なことはできないじゃないかと思っておりますが、そこまで努力目標としては持っておりますが、急にいろいろの財政上の理由その他からなかなかそこまでいかない。まあ漸を追って一つ改善に努力して参るよりはかなかろうかと思います。  それから、数の問題でございますが、もちろん中南米中心で考えますと、現在のキャパシテイから申しますと、遺憾ながら一万ちょっとというのが大体の限度でございます。これはもちろん航空機なども発達して参りましたから、補助的な手段として航空機の利用というようなこともむろん考えると思っておりますが、御承知のように、今の移住の大部分が家族主体の移民でございますし、相当いろいろ機具など持って参ります関係上、やはり移住者の輸送手段の主体は船であるというのは、当分やむを得ないのじゃないかと思います。そうなりますと、現在の船のキャパシテイは遺憾ながら、中南来を主体といたします限り一万一千人には達し得ない、一万六、七百というのが船のキャパシティでございまして、しかも実情を申し上げますと、その中に自費で渡航して参ります者が相当おりますと、この一万という数はいわゆる渡航費の貸付による数ですから、実はそれよりも多いのでございますが、しかし自費で行く人がそのキヤパシティを奪う、奪うというと変ですが、取るということになりますと、貸付で一万を送るということもなかなか容易ではないというのが現状でございます。この船のキヤパシテイをふやすという問題になりますと、これはなかなか、今日のように船の建造費も高うございますし、遺憾ながら、中南米の貿易が最近ずっと下り坂になっております関係で、大体赤字航路なのでございます。移住者の輸送だけでは船会社としてはペイしない。どうしても荷物が相当ございませんと船会社としてペイしない。そうすれば勢いそういうところに使う船を作ろうとする意欲がなくなるというような悪循環が起るわけでございまして、現在ことしの予算で実は、従いまして、南米航路に移民を主体にし造船のための補助金を運輸省の方で組んでもらいまして、大蔵省とも折衝いたしまして、またわれわれ自身といたしましても、船賃をもう少し上げるということにつきましても、大蔵省と折衝いたしたのでございますが、遺憾ながらどちらも削られてしまいました。そうなりますと、今のさしあたっての船のキャパシティはまず一万というのが遺憾ながら限度であるというのが実情でございます。  それから、豪州その他の移住地の問題でございますが、これはもちろん、われわれできますことならば、ただいま申し上げましたような輸送の角度から見ましても、なるべく近いところに移住地があるということが望ましいわけでございます。アフター・ケアなどの観点から見てもそれが申せますし、従いまして、そういう東南ア、あるいは豪州等の比較的日本に近い地区に適当な移住地を得たいということは、われわれの一つの努力の目標と申しますか、あるいは念願していることでございますが、しかし、さしあたっての現状として、今すぐそれじゃ豪州と移住の問題でも交渉するかということになりますと、これは相当考えなければならぬかと思っております。と申しますのは、こういう話を非常に機が熟さないときに出しまして、一度強くノーの返事を受けてしまいますと、かえって何もしなかったよりむしろ悪いような状態が生まれる懸念もございますのでただいま、われわれとしましては、非常に回りくどい方法でございますが、国連あたりにおきまして、まあ世界の人口問題というような角度で考えてもらうというようなこと、あるいはローマ法王庁あたりが非常に熱心に考えておられるようでございますので、そういった宗教的な関係の方などを通して、少しでも日本の移民に対する諸外国の理解ある態度、あるいはそれに対する関心を高めていくというようなことを——これは結果がなかなか現われませんが、まあわれわれとしてはそういうことで、さしあたり努力しているというのが現状でございます。
  44. 戸叶武

    戸叶武君 このアメリカの短期農業労働者が、まあ三ヵ年契約ということになっておりますが、もう間もなく三年を迎えなければならないような状態にもなると思いますが、その後のことに関して、先ほど曾祢さんも、中南米の方に伸びていくということも考えなければならぬと言っておりましたが、カリフォルニアにおける多くの人たちから話を聞きましても、アメリカで土地を得ることは非常に困難なので、またそこに定着することも困難なので、三年働いて最低六、七十万か百万くらいの金は残るだろうということ重言っておりますが、裸移民と違って、多少外国における農業労働にもなれ、そうしてさらに、このカリフォルニアをジャンプ台として中南米に伸びようというような意欲を持っている者に対して、何らかの政府側においてもあっせんなり準備なりを今のうちから心がけているかどうか。あのままほうっておいて、また日本に帰すというような方式とるのか、また人によっているい出ろあるでしょうが、それに対してどういうことを考えておりますか。
  45. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 確かにこの三年たちましたあとの問題というものは、われわれとしても考えなければならぬ問題であると思っておりますが、もっとも、希望的な一つの結論は、これは実はあの人たちを雇ってくれ、また非常に短期農業移民のことにつきまして好意的にやってくれております農場主、これはまた最近あすこの移民局の人などともそういったことについて、ごく非公式でございますが、話してみたこともあるのですが、あまり過大な希望は持てないと思いますが、非常にいい成績を上げた人につきましては、今度は短期農業移民の形でなく、もう少し長期で、しかも向うにいる間にある程度まあ永住的なものに切りかわり得るような形でアメリカに渡る人人も、ある程度は出るのではないかということを一つの希望として持っております。これはまあ農業短期移民が三年になっているということ自体にいろいろな問題点がございますが、まあ希望的なもので申しますと、一種のあれは試験的な雇用者であるという考え方も成り立たないわけでもないわけでありまして、なお優秀ないい人である者につきましては、おそらく向う雇用者から、一般の毎年の千人のワクとは別に、この人は自分のところでぜひ雇いたいというような形で、今申しましたような永住的なふうな形でアメリカへ再渡航できる可能性もあるのではなかろうかというのが一つの希望でございます。  それから、帰りましたあとの、もし帰って南米にでも行きたいという人がありました場合には、これは今、格別の措置ということは考えておりませんが、現実にそういう問題が起りました場合は、過去の経験もあることでございますし、まあ向うで、受け入れ国のワクにはまらないと、これはちょっと問題になりませんが、受け入れ国のワクにはまるような人であるならば、よちろん優先的に移住者として送り出すということも当然考慮していいと思っております。
  46. 小幡治和

    主査小幡治和君) この際、分科相当委員外の委員の発言を許可いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 小幡治和

    主査小幡治和君) 藤原道子君。
  48. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) 時間もございませんので、ごく簡潔にお伺いしたいと思います。  基本的な問題は戸叶委員から御質問があったことと存じますので、具体的な問題点二、三伺わしていただきます。  私は、今も戸叶さんからお話しありましたが、現地に三、四ヵ月おりまして、方々見て歩いて、内地の移住政策と、それから現地における人々との間に非常なズレがあると思うのです。内地の考え方は、今の現地に即していない考え方が多いように思うのでございますが、送り出したりすることについての調査その他はどういう方法でやっておいでになるか。
  49. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) これは御承知のように、大体におきまして海外協会連合会、それから各県にございます地方海外協会がこれに当っておるわけでございます。しかしまあ当っておると申し上げましたが、そのほか移住に関係興味を持っておられる方はたくさんおられるわけでございます。国際農友会とか、いろいろな諸団体もございますので、そういう方からの申し出を拒否するというようなことではございませんから、いろいろな形で推薦なりあるいは申し出がございました場合には、地方ならば地方海外協会でましめ、また最後には中央の海外協会連合会においてこれをまとめて処置しておる、こういう大体形でございます。
  50. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) そのやり方にどこか欠陥があるのじゃないでしょうか。受け入れ国としては、病気の人とか、かたわの人とかというような者が入ることは全然認めていないわけですね。ところが、どういう選考をなさるのか知らないけれども、毎回、神戸その他の——神戸、横浜ですか、移住あっせん所ですね、あすこで、家屋敷も売っ払って、家財道具も売っ払って、いよいよあっせん所へ入った人たちで、乗船拒否の問題が繰り返して起されているのですね。ところがそのときに、無理に情実で乗り込んでいったために、現地で問題を起しているというような例が多々あるのでございますが、これについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。これが向うに非常に悪い結果を起しております。
  51. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 全く御指摘のごとく、これはわれわれ非常に頭の痛い問題なんでございまして、特に数から申しまして一番問題になるのは眼病でございます。非常に相手の国はトラホームというようなものをおそれるといいますか、非常に強く拒否しておるにもかかわらず、実際上トラホームの人が相当多数あっせん所まで来てしまうというのが多いのでございます。中には御指摘のようにかたわの人もおりますし、あるいは規定の身長に足りないとか、いろいろな問題の者も入っておることも、よくわれわれも承知しております。で、これは最後にはわれわれ自身も責任を分担しなきゃならぬと思っておりますが、一応第一線でこの選考に当ってくれる人に、その点をよく理解してやってもらう以外にどうも処置がないのでございますが、実はわれわれとしましては、あっせん所まで——お話のように、すでに家屋敷も売り払ってきてしまったという人の家族の中に、たとえばまあトラホームなんかの場合ですと、大体一人がかかっておると、その家族が皆かかっておるというような例が多いようでございますが、しかし、中には子供が一人トラホームである。子供一人置いていくというわけにはいかないし、さればと言って、子供一人がそうであるために、家族の者全部の渡航をやめさせてしまうというわけにもいかないといったような、人情とからんだ非常なジレンマに陥ることが多いのでございます。まあこれはわれわれの方の問題でもございますし、また大阪商船なども非常にその点は弱っておるのでございまして、今までは、これはあまり大きな声で申せませんけれども現地でしかるべくやって、そこをごまかしてきておるようなんでございますけれども、長い問題としては、これはこんなことでいつまでもやっていけるものでもございませんし、根本的には大いに対策を考えなきゃいかぬと思っております。しかし一番問題は、このトラホームの問題でございますが、これは厚生省あたりにもよりよりお願いしておるのでございますが、やはりいなかで、もうパーセンテージで、ある程度トラホームの人がおるということは不可避であるというようなことでありまして、そうなりますと、ある数移民をすると、その中にまたあるパーセントのトラホーム患者がおるということも避けられないといったような、大げさに申しますと、日本の農村全体の保健状態と申しますか、そういうものに根本的な原因があると思うのでありますが、われわれとしましては何とかしてそういうような者のない、いい移民を選びたいということを心から希望いたしておるようなわけでございます。
  52. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) トラホームの場合でございましたら、至急に手当をしたり、必要なものは手術をしたりして何とかなると思うのですが、熱心にやれば。だから最後のどたんばへ来る前にそういうことの指導が欠けておる、私はそう思います。  それはそれとして、トラホームの問題は別といたしまして、最近私行っているときに、ブラジルで日本の移民に結核が多い、排菌者が多いといというので、日本移民の排菌者調査というのですか、それからその後の療養上のことについての調査が、各サナトリウムを回っておりましたが、たまたま私サナトリウムを視察したときに、そのときにそのことを附いて私はがく然とした。結核については非常に神経を病んでおりますので、これら対策を厳重になされますと同時に、現地に病んでいる人たち、この受け入れ態勢がほとんどゼロなんです。戦前は日本人の、あすこは何というか、カンポスジョルドンというところに日本人の療養所がありますが、それには外務省からの補助金がいっていたらしい、総領事館を通じて。戦後それが全然ないわけです。私行ったときに一ヵ月入院すると四ポンドくらいかかる。ところがそれが入って入院できる人は少い。だから入院を希望してもほとんど拒否されている。あまり気の毒なのが十人ばかり、施療で入っておりますが、入院患者の入院費の中から十人分ひねり出しているということで、当の患者から不平が出てくるというので非常に困っておりました。帰るときに、せめて結核の薬だけでも何とかしてもらえないだろうか、こういうことでございましたから、製薬会社等の試薬品などもございますので、特にそういうものを今、厚生大臣に頼んで何とか現地に送ってやってくれないかということを努力いたしておりますが、かりにこれができた場合には、外務省を通じて何らかの方法を講じて送っていただけましようか。  それと同時に、現地における結核、気違い、それからいろいろな病気がありますが、これらに対して費用がないからできないことだけでは済まされないと思います。コチア産業だけでも絶えず四、五十人の者がふらふらしている。一般のコロニアを考えると相当数あると思います。これらが非常に現地で不評になっている。ひいては日本の移住問題にも非常に影響してくると思いますので、これに対しては何とか考えなければならぬのじゃないだろうかと私考えますけれども外務省ではどのようにお考えになりますか。
  53. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) まさに御指摘のように、先ほど戸叶委員もちょっと触れられましたが、気違いの問題と肺病の問題というのは、移住者の保健の問題として非常に大事な問題と申しますか、全くこれはよほど考えないと、日本将来の移民政策に暗影を投ずる問題だと思っております。まあ幸いと申しますか、相当多いいということは事実でございますが、しかしわれわれが、その点心配しながらいろいろ調査もし、向う側の考えも聞いているのでありますが、今までのところでは、それが原因で日本の移民がとめられるというような事態には、それはうっかりしておるとなるかもしれませんが、今のところ、なったら大へんでございますし、今までのところでは、そこまでにはなっておらぬと思いますが、しかし考えなければならぬ問題でございますので、今度五十年祭の機会に、日本政府向うの記念事業に協賛補助と申しますか、協力します一つの題目に、精神病の方でしたか、病棟か何かを作るということは一つ入っております。予算が許せば、これは結核の方につきましても何か日本側の誠意ある態度を示したいのでございますが、今度の予算では気違いの方だけになっておりますが、今の薬のお話でございましたが、これはもちろん、そういう便宜がございますれば、われわれの方として、できるだけ御便宜をはかりたいと考えております。
  54. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) 御便宜をはかっていただくとともに、外務省の方でも何とか考えてやってほしいのです。  それから協賛費はどのくらいお出しいただけるのですか、二億くらいではないのですか、どのくらいですか。
  55. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 五十年祭に日本政府の方で出します金は三千五百万円になっております。
  56. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) 非常に残念でございます。現地は二億くらいを期待いたしておるようですが、三千五百万円とは非常に残念だと思いますが、それはそれといたしまして、そこで私、現地においては、日本の移住政策は棄民政策といううらみがあるのです。私パラグァイのコンパトランというところに参りました。そこに百人ばかり入っておりますが、これはアメリカ人の経営する農園へ行っているのですね。ところが御案内のように、コーヒーというものは荒山でなければ将来の楽しみはないのだそうです。パラグァイ人を使って一年やってだめだったから、そのあと日本移民を入れたわけです。これに飛びついて外務省は送っておいでになる。ところが入った人は、私現地で見てみますと、非常にコーヒーのできが悪い、それから約束が全然違う点が多いわけです。住宅も与える、医者もいる、通訳もつける、いろいろいい条件だったようでございますが、通訳もおもわしくいかない、それから病院の問題も家の問題もあまりおもわしくいっていないのですが、それは移民で来たのだからがまんをするという。ところがコーヒー園の将来の見込みが暗いということに対しては、非常に私はこれは責任問題ではないかと、こういうふうに考えるのです。それと同時に間作は非常によくできている。ところが大豆その他の間作物をそこで売る販路がないわけです。パラグァイは御案内のようにブラジルとの国境でございます。ブラジルへ送り出せれば何とかどんどんはけるのでございますが、国境でございますから、ブラジル側へ送り込むということは、そこに全く大きな問題がある。こういうことで現金がなくて非常に困っているのです。そこで困ればそこに不平も起きてくるというようなことで、非常にお気の毒だと見て参りましたので、そこの支配人が、あした日本人会の総会があるから、あなたは出て不平を聞いてもらいたい、私たちもできるだけ善処すると言っておいでになりましたが、善処しても将来の見通しは暗いわけです。こういうコーヒー園へ送る場合には、そのコーヒー園の性質がどうであるか、果して行って、できた販路はどうなるかというようなところまで調査しておやりにならなければ、親心ありとは言えないように思うのでございますが、最近新聞を見ると、パラグァイヘまた大へん多量にお送りになったとか、それはどういうふうな所へ、どういう調査のもとにお送りになることになったのかを、ちょっとこの際心配でございますから、伺わしてほしいのでございますが。
  57. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ただいま藤原委員のおっしゃいました農場の問題というのは、これはずっと一昨年から昨年にかけまして相当問題になっておったところでございます。われわれ自身も、いろいろ現地の人の不満の中にも無理からぬ点もあるかと思っておりますが、しかし他方、移住の問題というのは実際むずかしいので、本人が期待しておったほどいかないといって不平を持たれますと、一体期待さしたやつが悪いということになるのでございますが、なかなか期待通りいかないという場合はある程度は避けられないので、現地のわれわれの方の公館の判断では、少し甘く考えておったのです。アメリカ側農場主の態度は、全般的に見て非難できないというような結論を言って参っておるのでございます。確かにいろいろなトラブルがございましたが、大体昨年は脱落した者も多少出たかと思いますが、昨年の秋ごろからは一応落ちついて参っておるのではないかと思います。  それからパラグァイに、ああいう狭い市場に多数の移民を送った場合のあとの生産物の処理の問題、これは実際われわれ自身としても良心的に考えますと、こうすれば大丈夫だというような名案はございません。従いまして、今後これはまあほかの地区でもよくそういう問題が起るのでございますが、輸送機関関係から申しまして、ある生産物を作っても、その市場と結びつきがうまくいかないという例は、これは往々にして起る問題でございまして、パラグァイの場合、特にあすこ自体は人口の非常に少いところでございますし、さればといってブラジルまで輸送賃をかけて出して、果して市場で競争できるかといったような問題は、これは深刻な問題だとわれわれ自身も思っております。  そこで、今、具体的な計画というようなことを申し上げる段階でございませんが、やはりこれを、澁澤大使などの御意見でもそういうことを言っておられますが、ある程度中小企業、工場と申しますか、その生産物を買い上げて、そしてそれをさらに高度の製品に仕上げて海外の市場にでも出すようなものを並行してやって参らないと、今のような問題が起るのではなかろうかということを、われわれ自身も感じております。しかし、ただいまパラグァイに大量と申しますが、今年度と申しますか、四月に始まります年度は大体千八百くらい予定しておりますが、パラグァイと協定ができましても、一挙にそう多数送るということは船のキャパシテイ、あるいはアルゼンチンに着きましてから、向うの輸送のキャパシティ、いろいろ考えますと、そう大量に一挙にということはなかなかむずかしいのじゃないかと思いますので、そういう移住者の数がふえるにつれまして、またそのときの状況とからみ合せまして、ただいま申し上げましたような、ある程度の工業進出と並行して、ただいまのような問題も解決して参るというようなことも考えていくよりしようがないのじゃないか、こう考えております。
  58. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) 私もアメリカの農園主に悪意思があったとは思わない。ところが、このコーヒーというものの性質を考えるときに、一年草だらけにした所は将来伸びぬそうですよ。そのくらいのことは現地の人が、あなたに言ったって無理ですが、現地の人が調査すればわかるはずだと思う。そういう親切心が欠けておる、これが私はつきたいわけです。それからドイツあたりのやり方は、現地で話ができると、農業技師を派遣して、地質とか作物の適正なものなど調査して、販路までも考えて、衛生施設をして、そこに移民を入れている、こういうふうなことがなされておるのです。従って、私は日本でも、この人口過剰な日本で、真に海外へ出ようという人には、もっとあたたかい対策がされてしかるべきだ。私どもは、決してどんな貧乏をしても国民を棄民にするつもりは毛頭ありませんので、その点の親切がほしい、こういうわけであります。  それからもう一つは、現地移住振興の問題ですけれども、評判悪いですね、とても。ここで具体的なことを言うとまた悪いから、私、言ってくれといわれているのですけれども遠慮します。人選等に対してもっと慎重な態度をとってほしい。内地の県知事さんで、リコールで首になった人が、現地移住振興責任者として行っている。その人が向うでどういう日常行動をしているかというようなことは、お調べになればすぐ答えが出ると思うのです。おそらく、あなたのところにも私は報告があると思う。けれども、そうそう首を切ることができないというところに移住振興が情実人事だと、こういうことをいわれる原因だと思うのでございます。私は何も移住振興で酒を飲んで悪いなんということは申しませんけれども、アルコール中毒では困るですね。そういう点は十分お考えになって、大切な移住振興の使命が果せるような組織と人事に切りかえていただきたい。これは強く要望いたします。もっともっと評判悪い人があるのですよ。親方だってとても評判悪いのです。けれども、私はその点はそのくらいにしておきますが、この移住振興のやり方でございますがね。今まで企業に対しては融資しておりますが、土地も最近買ったようですが、この土地にも問題がある。しかし、それはさておきまして、旧移民にも融資をするというようなお考えはないでしょうか。これによって一つ移民をもり立てて、この人がもり立てれば、あとから来た人をまた受け入れもできるわけなんです。今のところ、私行って方々で泣かれましたのは、ぜひ渡航費を昔並みの補助にしてもらいたい、仕度金を出してもらいたい、ただ、今は仕度金がないから、行きたい人が、貧農は行けないわけですね。まあ現地に行ってみますと、大体旅費を返すのに五年かかるそうですね、働いて。それからあとに土地を購入するためには、さらに五年ぐらい働かなければ土地を買う金ができない。こういう場合に移住振興が金を貸して下さるならば、現地になれた人がすぐ次の仕事に乗り出せるわけな、んですね。で、まあ金を返すことにばかり頭を悩ましていて、希望が持てない。やっと返せば今度は次の段、これでは十年のブランクがある。従って私としては、旅費は戦前並みの補助にしても大したことはない。この人たちが成功することによって内地送金等もあるだろう、内地へ観光に来ることもあるだろう、いろいろなものを買うこともあるだろうさらに日本の信用を高めてくれることによって、今日企業移民ができるとか、あるいは技術移民ができるということは、旧移民としてきた五十年来の先駆者の労苦の納品がきょうの地位を築いたと思う。従ってそういうふうにしてやってほしいと思うのですが、さらに旧移民、新移民を問わず、移住振興では融資すべきものだと考えますが、いかがでしょうか。
  59. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 移住振興のやり方、あるいは人事等につきましては、われわれ自身も非常にいろいろなことを耳にいたしておりまして、まあ私自身の責任でもあると思っておりますが、十分反省すべきものは反省いたしまして、今後善処して参りたいと思っております。
  60. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) お願いいたします。
  61. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) その中で、ただ従来この貸出先が企業の方には熱心だけれども移住者の方にはどうも熱意がないということでございます。これはもうわれわれ自身も、できるだけそういうふうにやってもらいたいということは、まあ口をすっぱくして、申しておるのでありますが、一つには、これは大蔵省とわれわれ並行しての責任でございますが、一方において振興会社にコマーシャル・べースでやっていけということを要求しておるわけなのでございまして、そこになかなか、それが一つと、それからもう一つは、御承知のようにブラジルは非常にインフレが進行しておりまして、現地の通貨で貸しますと、多少の利子を取っても、返ってきたときにはまあ元にならないというような問題もあるわけでございます。そういう関係から、最近この点は大蔵省と話し合いがつきまして、大体このワクなども、非常な基礎ができましたから、今後は非常によくなると思いますが、従来はそういった問題のために、会社の貸出につきまして非常ないろいろな制約がございまして、まあ一概に振興会社を非難するわけにも参らないような事情もあったわけでございます。この点は、ただいま申しましたように、大体話し合いがつきまして、基準ができましたから、今後は一つ移住会社は大いにそういう方面の貸出をやってもらいたい、こう感じております。で、ただいまお話のように土地を買うための金融などはむろんできるわけでございます。ただ政府が、具体的にこれは貸した方がいいか悪いかというところまで干渉するのは、私はいかがかと思いますので、これは大体考え方を、そういうことも大いにやってくれということ以上に、具体的にはやはり会社の裁量でやってもらうよりいたし方ないだろう、こう思っております。
  62. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) それは人だと思うのです。現地調査をしていいということになれば、それを踏み切るだけの能力がなければだめですよ。現地で不信を買う原因は、リベートの入るようなところだけに融資をする、これは現地でもうほとんど言っております。変なところと結びついて行動している、あれは移住不振興会社だ、こういうことで評判が悪うございますから、十分御調査になって、そういうことのございませんように、一つ御指導が願いたい。それで適正な人でなかったら首のすげかえをもあわせ御考慮願わなければ、この問題は解決できないと私は思っております。ところが海外移住協会がこんな状態のところへ、聞くところによると、また今度海外興業株式会社とかいうものを再建するとかいうような動きがあるのですか、私は、海協連がある、移住振興がある、コチア産業がすでに移民のあっせんもしておる、移民の世話もしておる、そこへもってきてまた海外興業株式会社というものを再建するというようなことは納得がいかないのでございますが、もしそういう動きがありとしたならば、この際明確に伺っておきたい。
  63. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 移住会社につきましては、先ほど申しましたように、今後できるだけ努力いたします。海外興業会社の再建という問題は、私は寡聞にしてまだ聞いたことありません。少くとも外務省は全然関与しておらぬことは確実でございます。
  64. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) 農林省のことでございましょうが、それは移住に大きな関係がありますので、なお御連絡をしてお調べになって、海外に変な摩擦の起きるようなことはしないでもらいたい。私はこれはほんとうに大切な問題だと思います。それよりも国策会社としてできた移住振興を役立つような組織に育てて、これでやっていただくことがいい。それからコチア産業など、コチア産業が今日まで努力している努力も十分評価なさいまして、もっとこれに十分動いてもらいますような方法をお与えになるということが私は必要じゃないかと、こういうふうに思うのです。そこで、実は現地で一向移住振興も思うようにいかない、海外協会だって人がなくて十分に働けない、こういうことでコロニノの人たちが金を十コントずつですか出し合って、農拓協ですか、できましたね。これに対して、今度建設省の方から開拓青年を向うに送る、この間すでに十数名送ったようでございますが、これの受け入れ等めために百アル・ケールですか、寄付された土地の周辺に四千アル・ケールの土地を買って、そこで訓練をし、送り出し、いろいろしたいという計画はお手元にきているはずなんでございますが、最近聞くところによると、外務省の方が渋っていらっしゃるうちに、オランダがインドネシアとああいう関係になったものでございますから、とてもいい土地でございますから、七千アル・ケールのうち四千アル・ケールだけ買おうと日本側の農拓協の申し込み、これをオランダでは一括七千アル・ケールを買うからこちらへくれ、こういう申し入れがきて、ブラジル政府は、日本が先約だからといって好意的に待ってくれているということを聞きましたけれども、これに対して政府はどういうお考えを持っておいでになるか。これは要するに、すでに建設青年隊は送られていることだし、また今後も送る人数等もすでに決定をしているやに私聞いておりますが、もしそうなったら、どういうふうにおやりになるお考えであるか。それからさらに、いろいろ行き違い等がございますので、私はこの際、現地で成功した人たち、あらゆる角度の人たちでございますので、この人たちに移住審議会ですか、移住者受け入れ審議会ですか、名前は何でもようございますが、そういうものをお作りになって万全を期する、内地における審議会もあるわけでございますから、現地でそういうものを作って、そうして本腰を入れて移住問題に取っ組まれる御意思があるかどうか、お伺いしたい。
  65. 小幡治和

    主査小幡治和君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  66. 小幡治和

    主査小幡治和君) 速記起して。
  67. 戸叶武

    戸叶武君 この予算委員会でやはり一応問題にしなければならないのは、外務省予算の問題だと思いますが、先ほどもお話が出ましたが、外務省ほど予算の取り方の下手なところはないと思います。まあ松本さんなんかどっちかといえば政治家というよりか外務省の人みたいなもので、年じゅう外務省に出たり入ったりしておられるのだから、その点の御苦労はよくわかると思うのですが、やはり日本の内地での考えと違って、やはり外地におけるところの大使館なり公使館なり、総領事館なり、こういう公館は相当りっぱなものでなければならないし、それから外交官の住んでいる住宅も相当りっぱなものでなければ、外国の人と交際できないと思うのです。日本では待合なり料理屋にお客を連れていって接待するという悪習慣に染まっているので、そういう感覚から切りかえられないが、やはり公館に人を呼ぶなり、自分の家に人を呼ぶなりというのが、新しい外交の行き方であるし、またアメリカやあるいは豪州あたりの新しいタイプの大公使の人なんていうものは、ダンス・パーティとかカクテル・パーティとかいう形よりも、その土地における各界の有力者を五、六名ずつでも呼んで、そうしてひざを交えていろいろ問題を懇談して片づけるというような、非常にビジネスとしての成果を上げておるのですが、日本の外交月たちのやり方というものは、今までの隋性で、古い行き方から脱し切れないと思っております。そういうのを切りかえるためには、やはり住まいだけはりっぱなものをやることと、もう一つは、足がなくては動けない、自動車の問題ですが、大公使館や総領事館に対する備えだけじゃなくて、やはり活動的な人たちの自動車を買うのに必要な費用の立てかえ払いなり、あるいはそういう融資なりというものを、やっておるかと思いますが、もっと積極的にやってもらいたい。  私がシカゴの総領事館をたずねたときに、カナダ人の私の友人とデトロイト、イリノイ、インディアナ、ミシガン、方々旅行したあとでたずねたときでありますが、総領事館の自動車であとで送られて、これは総領事館の自動車だというのを知ってその老人が、驚きました、ほんとうに日本人はひどい自動車を、アメリカのだれも、カナダ人でも使っていないような、これはまたひどい自動車を使っておるものだと驚かれましたけれども、これは私はシカゴだけのことでなくて、至るところでそういう情景にぶつかっております。いろいろな海外に紹介するような食器類の器物なんかは備わっておるようでありますが、やはり動ける態勢を作り上げることが必要なんで、そういう関係予算を取るのに対しても、ほかの内地の官庁にはプレッシュア・グループがあり、あるいは常任委員会その他とも密接な関係があって、予算ぶんどりにはたくましいものがありますが、さっき言ったように、外務省というのは、天下、国家、世界のことを論じていながら、いつも足を地につけた予算の裏づけがなされていない。経済外交とはいわれておるけれども経済の裏づけがさつぱりないところの外交になっておるのですが、こういう点をもっと根本的にこの際考えてみる必要があると思うのですが、松本さんは、ほんとうに外交関係においてはそういう点で一番私は外務省の苦労がわかる適任者だと思うのですが、具体的にはどういう方法でこれを打開しようとしておられるか。
  68. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 今予算お話がございましたけれども、白状いたしますと、確かに予算折衝のときに一番手助けの薄いのは外務関係だと思うのであります。社会党の先生方も相当アメリカその他においでになりまして在外公館のあの実情をごらんになり、そうして日本にお帰りになりまして、今度予算の折衝のときには、われわれが側面から一つ大いにお助けをするそうようなかけ声もございましたが、私どもの知っておる範囲内においては、お一人もお手伝いいただけなかったのであります。それは、先ほどお話がございましたごとく、いろいろな関係もありましょうが、ことに選挙等、これは全部とは申しませんが、選挙等の関係で、一番やはり選挙区に関係のある予算の折衝におきましては非常に御熱心なのでありますが、直結しないところの、しかも大事な外務省予算につきましては、ずいぶん省の折衝しておるところの担当の係が苦労しておるありさまをことしはまのあたり見せてもらったのであります。しかしながら、非常に熱心にやりまして、今年は率から申したならば非常に伸びたのでありますが、しかしながら、これでも足りないのであります。これに対して批判がましいことを申し上げて、はなはだ失礼であるのでありますが、予算委員会におきまして一番質問が多いのは、率からいうと外務関係だと思うのであります。しかるに予算は一%に足りないというようなみじめさであります。先ほど藤原先生からもいろいろと、この移住の問題に関しまして御熱心な御質問並びに御注意がございました。また先ほど来、イタリアの問題等あたりもいろいろお話がありましたが、大体国家予算がほとんど同じであるところのイタリアに比較しますと、イタリアでは、日本は一%に足らない予算ですが、一・七%以上取っておるのであります。しかも移住の問題に関しましては、一年間に三十万人から出すほどの予算を計上しているのです。そうしてこのアフター・ケアー問題等も綿密にこれを準備してやっておるのでありますが、はなはだ残念なことには、われわれは移住の振興の問題を含めまして、とにかく一%に足りないような予算です。しかしながら、昨年、一昨年あたりと比較いたしますと、今年は、これも手前みそになるかもしれませんが、外務省の担当官の不眠不休の努力によりまして、これが相当額ふえました。一つ再来年の予算になりますが、年末あたりの今度の折衡の場合には、一つ超党派でお助け願いたいということを私は申し上げたいのでありますが、だいぶ国会関係も旅行がふえまして、在外公舘手薄のところ、予算の少いところに、ずいぶんお世話しなければいけないような状況もございますので、私どもも一つ、もう少しこれをかばってやりたいというような気持は、国会議員の一人といたしましても考えるのでございます。どうか今年の暮の予算折衝においては一つお助け下さいますことを切に御願い申し上げます。
  69. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 建設省のやっておりますあれにつきましては、今度われわれの希望から見れば、非常に貧弱でございますが、千三百万ばかりの予算がつきまして、まあ一応建設省の方でもそこでやむを得ざる満足をいたしております。  それから農業協同組合経営の土地の購入の問題でございますが、これは私自身も、オランダ側が、あそこで追い出されました関係で、南米の方向に転換して、あっちにだいぶ土地などを買いあさっておるということは聞いておりました。具体的にこの土地につきましてオランダ側がどこまで熱意を持っておるか存じませんが、とにかく売り主の方ではそういうことを口実にして、早く買ってくれということを言って参ったことは事実のようでございます。大体、大蔵省の方でも了解がつきまして、大体この土地は日本側で取得することになりました。
  70. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) 旅費はどこから……。
  71. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 旅費の問題で、渡航費の貸付の問題、これはわれわれ移住局から申しますれば、補助金になってくれれば、非常に仕事も簡単になりますし、まことにありがたいのでありますが、現在の大蔵省との折衝の過程でわれわれの感じていることを申しますと、渡航費は補助金にしろ、人間の数、ワクをふやせということはなかなかむずかしいのじゃないかと思っております。それで、一応気休めのようですが、この金は将来はいずれの日にかは返ってくるんだからということで、今の移住者のワクをぶやしていくというのが、現在さしあたっての対大蔵省との交渉ではまあいいのではなかろうか、しかしこれはもう少したちまして、移住者のところのワクなどが相当われわれの希望するところまで参りました際には、さらに検討いたしたい、こう考えております。
  72. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) 政府は一体何をしているのかわからない下すね。結局、人口過剰で困る困るといいながら、せっかく今がチャンスです。もう十年です。移住の問題は十年が私は限度だと思う。この一番大事なときに変なことをしているので、だから移住問題に対しまして不熱意だというようなことをいわれるわけなんですが、私、大蔵省へは十分交渉したいと思いますけれども、そう遠慮しないで、もっとがんばってほしいと私は思います。そこで、このいつの日にか返ってくるんだという希望を大蔵省に持たせるということですが、受け入れ者に対しまして、スポンサーというのですか、受け入れますね、移民を。その人たち旅費を払えという、計策をして、海外協会から申し渡しをしておる例があるのですけれども、そうなると受け入れる人がなくなってしまうのですよ。やっと来ても、そこでしんぼうするかどうかわからない人の、その旅費責任まで受け入れ者に持たせるというようなことでは、移住が縮小してくるばかりになる。こういうことは、まあ現地ではあると聞いて参りましたので、そういうことがあるならば、やっぱりきびしくまあ取り立てる方針だと、こう断ぜざるを得ない。一面においては、まあまあそのうちにという意見も聞くのですが、こういうことを一つ統一してほしいのです。この問題は非常に大きい問題でございますから……。
  73. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 現地の受け入れ側に旅費を請求をしたという、また、それで非常に受け入れ側が迷惑を感じておるというような話は、実は私もこれは藤原委員以外からも耳にしたことがございますが、調べてみたんですが、まあ、われわれとして、一応ああいう建前になっております以上、われわれとしては、現に私自身が実は債権の管理官というような立場におるのでして、貸したものである以上、返してもらうという建前の措置は一応とらざるを得ないと思うのでございますが、しかし、われわれの真意は決して受け入れにまで、われわれに好意的に受け入れてくれた人にさらに金の負担を、かわって払えというような意思は毛頭持っていないのでございまして、それは何かわれわれの気持をはき違えた者が、あるいはそういうことをやった者があったかもしれませんが、決して中央のわれわれのみならず、海外協会連合会の中央からそういう指令を出したという事実は全くございません。何かの誤解ないしは——誤解と申します意味は、海協連の出先の者あたりが少し行き過ぎてそういうことをしたかもしれませんが、中央で調べました限りではそういうことはございません。  それから、今の渡航費の問題でございますが、私は別に大蔵省をごまかすという意味でそういうことを申したわけではないのでございまして、これはともかく予算をとりあえず、私どもとしてやはり重点を置いて考えたいのは、移住者のワクを少しでもふやして参りたいということでございますので、その建前から見ますと、今直ちに補助金に切りかえるということをあわせて要求して参ることが賢明であるかどうか、私は依然として疑問を持っております。そしてまあこれはなかなか期限通りに返してもらうということは、これは私もむずかしいのじゃないかと思っておりますけれども、多少条件等につきまして再考いたしまして、やはり建前は、あくまで返してもらうという建前で当分は進む方がいいのではなかろうか、ただいまのところそういうふうに考えております。
  74. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) あなたが大蔵省をごまかしたと言うたのではないけれども、それならば、送るためにはいたし方がないということだが、送った人が立ち上るのに十年間のマイナスを来たすようなやり方では、欺瞞政策だといわれても仕方がない、そうでしょう。それならば、十年なら十年据え置きにして、その人が土地を持って、立ち上ってから返金をさせるとか何とか考えてやらなければ、現地に行っている人は気の毒だと思うのです。  それから今の問題ですが、サンパウロの在のサントスの間に瑞穂村というのがあるのですが、私はそこへ行きましたとき、あそこは選挙で、日本流に選挙をして村長さんを選んでいましたが、その村長さんがしみじみ言っておられました。そこで海協連の大澤さんに聞いたら、今こういうことをしているのです、頭が痛いですと言っている。出先の者の行き過ぎであるとするならば、そういうことがないように通達をしていただけますか。
  75. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ただいま申し上げましたように、まあ今の規則で、たしか三年据え置きでございましたですか、それから四年でございましたか、一応そういう規定がございます以上は、それに従ってなるべく返済を求めるように努力をするということは、これは一応われわれ役人としてやらざるを得ないと思っております。ただし、ただいま御指摘のようなことは、われわれ自身も、果してこの通りで実行できるかということにつきましては非常に問題と感じておりますので、まあ二十七年に再開されましたが、最初はごくわずかでございましたから、現在のところ、ほんとうの返還期に入った人というのはまだ少数であろうと思います。これがもう一、二年たちますれば、いよいよ返済期に入った人の数も相当多くなって参りますから、そういう場合に、その状況などを勘案いたしまして、ただいま藤原委員のおっしゃいますことも一つの案かと思いますが、もう少し据置期間を長くするとか、そういう点については、その状況を見た上でこれは検討すべき問題かと考えております。
  76. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) それから、何といいますか、送還者が出ますね。送還者の問題でございますが、あなたの方のあれでは、国外追放と決定したものならば引き取るという方針ですね。ところが、国内送還者として向うから追放されるということは、コロニア全体の恥辱であると同時に、日本の名誉の上からいってもあまり好ましいことではないと思う。こういうことですから、結局問題のある者はコロニアに非常に迷惑をかけ、対外的にも国辱的な存在であるというような場合には、やはりこれは受け入れてしかるべきじゃないかと思うのです。ですから二、三年前で、いつでしたか、サンパウロで四十万同胞総引き揚げなんてデモ行進をして総領事館へ押しかけていってえらい恥をかいた事件がございました。あれなんかでも二、三の人が日本へ帰りたいのだけれども旅費がない、騒げば国外追放になりはせぬかということでやったのだということも聞いております。そういうことになるのですから、これらに対しましては、国外追放になるまで待って、対外的に恥をさらして、その上で引き取るというような消極的な考え方はいかがかと、私はこう考えるのですが、それよりも、だれが見てもこれは困るというような人は、やはりこの際受け入れるべきではなかろうか、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。行ってみれば、実にさまざまな問題があるのでございます。従って、いま一つは、現地にある受け入れ側の事情に通じた人が移民監督官というようなことにでも御採用になって、その人たちが来たときに、さらにいろんな問題点を十分御検討になり、行きながら移住者の心がまえを教育していくというような方法をとられることも一つの方法ではなかろうかというふうにも私は考えるのでございますが、それらについてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  77. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ただいま藤原委員は、国外追放でなければ引き取らぬとおっしゃいましたが、そういうことは全然考えておりません。ただ金の問題として考えた場合に、国外追放の者にはちゃんと法律の規定がございます。それに従って措置し得るわけでございますが、国外追放でない場合には自由意思、まあ、ほんとうの意味の自由意思とはちょっと違うかもしれませんが、ちょっと諭示帰国というようなことでございましょうか。そうなりますと、これの法律上の規定もございませんし、また、予算上の根拠が非常に困難であるということを私はある会合で申し上げたことがございます。と申しますのは、一体そういう一種の諭示帰国というような人の予算を組むということになりますと、これはなかなか数の推定もむずかしゅうございますし、大蔵省の方でも、そういうことになるのはお前の方の選考が悪いのじゃないか、そんなことにならぬように選考したらいいじゃないかということに理屈からいうとなるわけでございまして、なかなかその予算をもらうということは、私は見通しとしても相当困難ではないかと思うのでございます。しかし、実際問題として、そういう者があるということは、これはもうわれわれもよく承知しておりますし、それに対して何とか方法を考えなければならぬということも感じております。それで、ただいま表向きの問題としては、ちょっと申し上げられないのでございますが、一応、たとえばこの間コチャの産業組合の方が見えまして、そういう問題についていろいろ善処方を要望されましたときに、私がお答え申し上げましたのは、表面はやはり海外協会連合会あたりが、つまり送出責任を負ったところが、それをどうしても返した方がいいという場合には、そこの判断で返す、その費用の問題については、まあ、これは外務省がどの程度お助けできるか、わかりませんけれども外務省としてはできる限り御協力申し上げるというようなことを考慮いたしたい、こういうふうに私はお答えしておるのでございます。まあ、大体一応表面的にはその程度のことしか申し上げら回ないかと思います。
  78. 藤原道子

    担当委員外委員(藤原道子君) どうもありがとうございました。
  79. 小幡治和

    主査小幡治和君) 他に御質疑もないようでございますから、外務省所管につきましての質疑はこれをもって終了いたしたいと存じます。  午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時四十五分休憩    —————・—————    午後三時十一分開会
  80. 小幡治和

    主査小幡治和君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。  通産省所管を議題といたします。順次御質疑をお願いします。
  81. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それでは鉄の問題を少しきのうの続きで伺います。きのう鉄鉱石の問題はいろいろお聞きしたのですが、ところが、鉄鉱石の問題は、きょうは偶然各新聞が相当詳しく、私の質問と関連なしに、私がお聞きしようと思っていた問題を相当みんな大きく扱っておりますので、まあ大体わかったような気がするのですが、そこで今度は、問題は、鉄鉱石の問題よりも問題は粘結炭の問題だと思うのですが、粘結炭の問題をきのう若干お聞きしたのですけれども、これをもう少し今鉄鋼業の諸君が考えているような、きょうそして発表されているような、鉄鉱石に関連する長期のああいう対策と照応するような石炭に対する対策、特に鉄鉱石においてすらアメリカだとか、カナダ依存ということを大きく中共の方に切りかえようとしている方向が、今日はっきり出ているようですが、石炭に関する限りはもっと傾向なり、方向が大きく出なければならないと思うのですが、その点はもう少し、きのうちょっと触れましたが、あなたたちは特に長期的にはどういうふうにお考えですか。
  82. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 昨日申しましたように、強粘結炭の需要が今後相当ふえて参るということは、これは製銑業の増加に伴いまして、当然だと思っております。他方、米国以外の強粘結炭の供給地ということを考えてみますると、近回りとしましては、中国のほかには台湾と樺太、それから少し遠くなりますと豪州あるいはインドということになるわけです。インドはあまり強粘結炭のいいのは少いわけです。そういう点考えて参りますと、樺太からも若干強粘結炭は出ますが、これは現在でも契約数量だけの強粘結炭は積み出し困難で、どうしても一般炭、あるいは弱粘結炭を相当量まぜてくるわけですので、非常に困っているわけです。ということで、これは強粘結炭の供給としてはあまり多きを期待できない状況であります。台湾でありますが、ここにも小さい強粘結炭の山がございます。ございますが、これも埋蔵量その他の点からしまして、将来ここからそう多量に取れるとも実は考えられないのであります。そういたしますと、結局戦前あるいは戦時中になじんで参りました中国炭ということになるわけで、先月の北京の交渉におきましても、具体的に山の名前をあげまして、日本側で輸入する数量の話し合いがついているような次第であります。この量はもちろん今後相当増加して参るというふうな見通しであり、また、そういう方向で鋼材の輸出と引き合いに考えているわけでございます。ただ昨日も申しましたように、何分必要量の増加が多いわけでございまするが、せめて増加分なりとも中国から輸入する、これ以上米国炭に依存する量をふやさないでいくということがまず第一の目標でございます。続いては、でき得べくんば、それ以上に中国から輸入いたしまして、米国炭の輸入を減らすというのがその次の目標だと思います。これは具体的には、今後の中国側との交渉あるいは先方の輸出余力、開発のテンポ、こういうものをにらみ合さなければなりませんが、概略で申し上げますと、今申しましたように、これ以上米国炭をふやさないというのがさしあたりの目的で、続いてそれをできるだけ減らそうということになると思います。
  83. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、今のお話で、大体三十三年度は四百万トン、あるいは四百二十万トン、それが三十七年になれば八百万トン、従って倍、四百万トン増ということになる。その中に米炭は今のところ三百万トンぐらいですか、四百万トン。
  84. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 三百万ちょっとです。四百万とまではいきません。
  85. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、三十七年度までには四百万トン程度ふえるわけですね。その四百万トン程度の増加の大部分を中国炭に依存するというようなことになれば相当大きな量になる。協定は今お話通り、さしあたりは四十万トンですか、それが三百万トンあるいは四百万トン近くになれば十倍ぐらいになる。それをそれだけにするためには、向うの供給力の問題を考えなければならないし、その供給力の問題、しかも配分を少くしてなお供給力を確保するという問題は、日本の方からいろいろな技術協力なり何なりを、非常に積極的にやらなければならないという方向の問題が出てくると思うのです。しかも中国の石炭であれば、私はそういうことを積極的に、大規模にやってしかるべきだと思うし、ことに前からよく言われておりますように、インドの鉄鉱石とそれから中岡の炭と、これを結びつけて作る製鉄業というものがアジアの中心になるのだということがこれはもう御承知通り古くから言われている。地理的な位置から見ても、その他の関係からしても、そういう場合に日本は非常に格好な位置にある。そういう長期の大きな構想でもう一ぺん鉄鋼業の合理化計画なり、鉄鋼業の原料対策なりというものをここで考え直さなければならぬ時期であると思いますが、そういうふうにお考えになっているかどうか。
  86. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 大きな目標といたしましては、そういう方向だろうと思います。ただ具体的に申しますると、インドの鉄鉱石の今後の開発の進度まあるいは規模、あるいは中国の石炭の開発のテンポあるいは輸出の余力という点を、もう少し事態の推移を見まして検討いたしませんと、今すぐお話のような方向の何といいますか、実行案として決定いたしますことは、これはちょっとまだ早過ぎるだろうと思います。  それから中国の炭鉱の開発、その他に日本側の資材あるいは技術的な協力という問題がございます。これはもっぱら先方側の受け入れ態勢いかんの問題だろうかと思います。日本側にはそういうものを供給しようという意図がありますことは、昨日大臣も申し上げた通りであります。果して中田側におきまして、日本側技術協力を期待しておりまするのか、あるいは長期の契約協定を結んでおりますソ連側の協力を期待しておりますのか、この辺のところは、まだもう少しこれも事態の推移を見ませんと、こちらだけあれいたしましても、ちょっとひとり相撲になるかと思っております。  なお、炭鉱の開発資材等につきまして、今度の北京交渉でも先方から話が出るかと思って若干用意していったようでありますが、この話は出なかったようであります。そのあたりもっぱら中国側の受け入れ態勢いかんの問題だろうかと思っております。
  87. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その問題はおっしゃる通りに、中国側の受け入れ態勢の問題だし、こっちから積極的にしいるわけにはいきませんが、しかし、大体僕らがしろうと的に向うの周恩来、その他の首脳部の諸君と会っての話では、第二次五ヵ年計画のあの規模と、あのテンポで、建設計画、増炭計画をやるとすれば、実はソ連に期待していただけでは不十分だ、あのテンポ、あの規模では。従って、西独とか、ヨーロッパ諸国も考え、もっと地理的には近い日本をそういう建設資材の供給地として考えたいと思っているのだ、ただ問題は日本中国との間の政治の問題、それに関連してさっき言ったようないろいろな投資的なあるいはクレジット設定的な、そういう経済的な用意が日本にできるかどうか、そういう問題にもっぱらかかっているのだというような気持、考え方なんです。だから日本が積極的に押し売りするわけにはいかないが、これは大きな政治の問題であり、外交の問題にも関連するのですが、とにかく関連をしながら、今言ったような気持があることを含みながら、こっちが技術協力の問題を積極的に具体的に打開されるような用意と働きをすれば、私は非常に可能性がある問題だと、こういうふうに思いますので、鉄鉱業の長期的計画を考えられる場合に、その点を十分に配慮していただきたい。特に石炭の問題は、鉄鉱石の問題以上にこれは大事な問題でありますので、そういうことを中国との関係においては、鉄鉱石よりももっと石炭の方が重いと考えますので、お考えを願います。ことにアメリカあたりから三百万トン以上の石炭を遠い所から運んでいるという必要はそうないのじゃないかと思います。しかしお話通り、三百万トンをかりにそのままとしても、今の計画だけでもなお四百万トン以上どこかで手当をしなければならない。そういうものの大部分を向うに依存するというようなことを中心にして一つ計画を考えていただきたい。  それからそれに関連して、今の第二次五ヵ年計画に関連する投資の問題です。鉄鉱石における投資の問題、従って、資金の問題ですが、あの五ヵ年計画によると、やはり資金のピークはむしろ、ことし、来年ということになるのではないか。ところが、今、去年からことしにかけてああいう金融引き締めをやって、そこで一体鉄鉱の三十二年度の投資計画の不足資金はどうなっているのか、それから三十二年度と三十三年度を引っくるめてあの予定の投資計画というか、設備計画、そのための資金調達の問題、そういうものはどういうふうにあなた方はお考えになっておるのか。
  88. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 三十二年度の投資の当初の計画はたしか千二百六十億程度あったと思います。それが金融引き締め、投資抑制の措置をとられまして、約百六十億程度繰り延べしたわけであります。その残りました千百億円のものにつきまして、極力これを充足するようにということで、いろいろ資金審議会その他で御検討願ったわけですが、年度末を前にしまして一応の見通しを立ててみますると、結局五十三億円ばかりこれに達しないということが大体確実となったわけであります。これを今すぐ何らかの措置で調達するという妙案もすぐは出ませんから、年度繰り越ししましても、何らかの形でこれを、補てんするというふうな措置を検討してもらうというふうになっております。  それから三十三年度でありますが、これも一番最初の計画によりますれば、これは御指摘のように、大体三十三年度、四年度が山になりまして、相当大きな金額を考えたわけでありますが、これも三十二年度における調達なり、あるいは自己資金の余力が減少したということを考えまして、現在大体三十二年度実績見込みと同様程度の千百億余りに一応予定しております。つまり金額的にはちょつとはっきり推計できませんが、おそらく二百億前後のものを繰り延べもしくは圧縮したということになっているだろうと思います。もっとも、当初の、投資予定額の見積りをしました当時は、資材その他がかなり値上りしたときでもあり、それが現状から判断いたしますれば、ある程度安く調達できるということもございまするので、その差額が全部が全部繰り延べというわけではございません。値下り分を含めて、大体、まあ三十二年度の実績程度の投資が必要であるだろうということになっております。ただ、これが全部調達できるかということにつきましては、実は目下横討中でございまして、資金審議会等におきましても、一般の基礎産業の資金需要等とも考え合せまして、目下検討されておるようであります。どうも、少しやはり調達不能分が出てきはせぬかというのが、目下の見通しでございますが、金額等は、まだあまりはっきりしない点もあるようでございます。
  89. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、今のお話で、昨年度百六十億繰り延べて、しかも、千百億のうち五十三億不足が出て、それから、今年度も、当初計画だと、五千二百億計画のときには、ことしももっと千三百億か以上ぐらいだったんじゃないかと思いますが、それが相当圧縮をされた。そういうことになりますと、例の第二次五カ年合理化計画というやつは、やっぱり相当計画変更をするのか、あるいは繰り延べになるのか、そこいらはどういうふうに考えておられますか。
  90. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その点は、実は、過日参りました世銀の当局者とも大いに議論をした点でございます。われわれの見方としましては、昨日申しましたように、最終の設備の目標、これは量的目標でございますが、これは、主要なものにつきましては変えないで参りたい、ただ、その完成の時期が、状況によってはあるいは半年前後は延びることもあるだろうというふうに説明し、かつ、現在でもそういうふうに考えておるわけでございます。ただ、この五千億になりまする設備投資の予定の中には、かなりの何といいますか、関連工事、あるいはさまで重要性を帯びていない工事もあるかと思います。そういう部分は、あるいは大きく繰り延べになる、あるいは圧縮になるということもあるかと思っております。いずれにしても、全体のテンポが少しずれて、かつ、しり上りという形をとるのではないかと思っております。また、事実、現在の鋼材の市況等から与えますると、自己資金の調達力も三十年度あたりはかなり落ちて参りまするので、ある程度、後年度にしわを寄せざるを得ない、こういうふうな状況であります。
  91. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の、後年度の方に少し繰り延べになる、まあ、時期的に半年ぐらいというお話ですが、これは、今すでに当初の方でこれだけの繰り延べになっていれば、もっと時期的にはずれてくるんじゃないかと思いますが、それはそれとして、今の繰り延べなり、ズレは、いわば資金調達力から見た繰り延べであり、ズレなんですね。ところが、きのうから問題にしているように、第二次合理化計画その他で考えられていることは、現在のような不況、状況があることをあまり予測していなかったんじゃないか。現在の不況状況その他を予測に入れて考えると、どうも、あの計画自体を、資金調達の面からだけでなく、需給計画その他の面からしても、やっぱりもう一ぺん再検討し直さにやならぬのじゃないか。これは、どうも、いろんな産業全部がそうですが、統制経済をやめられてから、自由経済の名のもとに、非常に各社ばらばらにやっている。それをあとから追認していくというような形で、いろいろな設備なり何なりが行われているのでこういう結果になっているとも思える。そういうことを考慮に入れながら、もう一ぺんそういう点までひっくるめた再編成の問題なり、合理化の調整の問題なりというようなことを少し基本的に、根本的にお考えになる必要があるのじゃないか。そこいらどういうふうに考えられます。
  92. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 鋼材の市況の問題につきましては、なかなか的確な見通しを立てることが困難でございますが、われわれとしましても、今のような不況がこの計画期間を通じて持続するというふうには考えておりません。できるだけ早く、ある程度の回復は、国民経済全般としましても必要だというふうに考えております。その回復の時期、程度いかんということが問題でございますが、基礎資材で幅広い需要層を持っておりますために、波の動きが比較的大きいようであります。消費財よりも、この投資財あるいは生産財の方は、どうしても波動が大きく現われる、あるいは時期がおくれて現われるという傾向がございます。それでまあある意味では、何といいますか、相場気配といったものでかなり左右される面も現在のところあります。的確にはつかめませんけれども、できるだけ早く現在の状況が回復されるんだというふうに考えておるわけでございます。それから設備の投資の内容につきましては、一々のものにつきまして役所が計画的に、何といいますか、可否、あるいは着手の時期、それから内容の規模、種類等を指示し指導するということはやっておりませんが、大体におきまして、現在の指導方針としましては、昨日も申しましたように、日本の鉄鋼業の一番の弱点は、鉄源の不安定なかんずく製銑設備の相対的な不足という問題がございまするから、その線を強化するという一般的な指導面に即しまして、設備投資の全体の傾向を指導しているというふうに御了承願いたいと思います。圧延、設備等につきましては、いろいろな意見もあるようでございます。ございますが、最近の傾向としましては、鋼材の用途が、私申しました生産財あるいは投資財という用途のほかに、耐久消費財に相当大きく出回っておる。これは各国ともそういう需要構造の変化を示しております。これは、やはり国民生活が向上して参れば、どうしても耐久消費財の需要がふえて参る、相対的に比重が上って参るということが、これは傾向としては十分に言えますので、その辺の面に即しまして圧延設備の増強あるいは改善といったことも必要になります。今申しましたような二つの大きな線に即して、設備投資の方向を指導して参っております。
  93. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 大体非常に楽観的に見ておられますが、きのうのお話での、高炉十一基ですか、転炉三十二基、それからミル、いろいろな方面のもの、こういうものがフルに動き出したら、これは相当な生産能力になると思うのですね。それをフルに動かすとすれば、古いものは思い切ってこれはスクラップに廃棄しなければならないという問題がそう遠くないうちに出てくる。そういうこともちゃんと考慮に入れながら、設備革新なり、新しいあれに合理化する。従って、鉄鋼の値段も、質のいい安いものを作るという上からは、これ全体が必要であり、しかもこれ全体を生かすためには、古いものは廃棄しちゃうんだ、非常に大胆に廃棄しちゃうんだ、そこぐらいまでの決意はすでにできているんですか、どうですか。
  94. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この老朽設備の廃棄の問題でございますが、これは主として圧延関係に起ることでございます。それで、圧延関係で現在一番力を入れて増強いたしておりますのは、薄板の連続圧延装置、つまりストリップ・ミルでございます。これは今度の計画にも三基ぐらい入っておると思います。
  95. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今度の計画というのは第二次の全部、ことし。
  96. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 現在進行中のものもあるわけでございます。
  97. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは三基、いや、もっと多いでしょう
  98. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) はっきり数字は申し上げられませんが、それはいろいろ計算の仕方がございますが。
  99. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ホットで五つ、コールド十六。
  100. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ホットとコールドは一連のものとしてお考え願いたいと思います。それで、これができますれば、自社内に持っておりまする在来のいわゆるプルオーバーというハンドワークの圧延設備が、これが廃棄されることになるわけであります。現にそういう心がまえで万事を進めておる企業もあるわけであります。そういうことで、主として薄板でございますが、あるいは厚板の二部にもそういう問題が起るかと思います。
  101. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこで、いよいよ予算の問題に直接関連してくるのですが、そういう計画をやられる場合に、一体財政資金というのは、その設備投資、その他においてどういう役割を演ずるというふうにお考えになっているのか。特に、今の前年度の不足額の補てんの問題、さらには今年度若干繰り延べてもなお不足が出る。市中銀行、その他金融機関からの供給力から見れば不足が出る。その場合に、財政投資の面から、現在開発銀行、その他からどういうふうに予算の問題として考えておられるのか、これをさらに今の不足補てん対策等としてもう少し変えなければならぬということになるのか、そこいらはどういうふうにお考えになりますか。
  102. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 財政投融資の方の期待額、ことに開発銀行に対する融資の期待でございますが、三十三年度予算には、十二億円程度しか実は予定されておりません。
  103. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 三十二年度は幾ら出したのですか。
  104. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 三十二年度は二十五億だったと思います。  それで、これは鉄鋼業の関係には実は二つの問題がございます。一つは、先ほど来申しておりますのは、普通鋼の基本的な考え方でございまして、そのほかに特殊鋼、あるいは特殊銑、フェロアロイといった、まあ比較的企業の規模の普通鋼ほど大きくない部門もかなりございます。その辺につきましては、設備の近代化に即応いたしまして、若干の財政投融資に期待している面もございます。これはその金額は、全部が全部普通鋼面に回るわけではございませんので、むしろ普通鋼の企業の方は比較的自己調達力なり、あるいは市中金融の調達力の多い企業がたくさんございますので、財政資金は両者に適当な形で分れることになると思います。もう少し財政投融資を鉄鋼業、なかんずく普通鋼にふやしたらどうかということもございまして、いろいろ予算編成の際には、この鉄鋼業の将来のあるべき形を基礎にいたしまして、財政投融資の話を進めて参ったわけでありますが、全体の財政投融資の規模、考え方等もございまして、まあ残念ながら、今申しましたような程度の金額で現在は予定されているのであります。そのほかにいろいろ財政投融資の一つの変形と申しましょうか、社債発行の引き受け、あるいは長興銀の融資という点から、金融債を財政資金で引き受けて、その方面から鉄鋼業に対しまして所要の融資を行わせるというふうな話し合いも寄り寄り研究中でございます。まあこれは、特に三十二年度の資金の不足分の補てんという形でも検討いたしておりまするが、まだ実は結論を得ておりません。
  105. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと問題をエネルギーの問題に移したいと思うのですが、これはやはり重工業局長ですか。
  106. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) いいえエネルギーのことは石炭、石油、それぞれ所管局が違いますが、あるいはまた電気も局が違いますが。
  107. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それでは繊維の方を伺いますが、繊維は今の操短その他を、あの程度で続けていけば、一応もう価格はストップできるというふうなお見通しですか、どうですか。
  108. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 私どもとしては、実は一—三月の期間にまあ底が入るということを期待しておったのでありますが、これは暖冬の問題だとか、あるいはインドネシアヘの輸出が期待通りいかなかったというようなことで、少し時期がずれました。四—六月の間に底入れになるということを期待して操短の強化、励行を中心にして、諸般の対策を考えているわけでございます。
  109. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その場合に各糸によって、織物によって違うのでしょうが、大体その場合にストップして、しかも世界競争にたえ得る適正な価格水準というようなものは、現在の価格よりどのくらいアップのものを考えておられるのか、あるいは現在の価格でも、もう少し下るというような見通しなのか、その辺の見当はどうつけておられるのか。
  110. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 国際競争力ということだけから申せば、相当大幅に上っても国際競争力はあると思います。ただし、これは国内の消費の面も考えなければなりません。大幅に上っていいというわけではありません。しかしながら、今日ではごく太番糸の綿糸を除いて、あるいは麻糸の一部が値上るというようなことで、大体系段階において、全部採算割れになっておりますが、こういう状況は一日も早く是正しなければなりませんし、また、ある程度反騰しても、国内的にも御迷惑をかけずに、また、国際的にはむしろ輸出品の価格が維持できるという見地から好都合だと考えております。
  111. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、コストと、それから国際競争力、両方兼ね合いに考えた場合に、おのおのによっていろいろ違いはあるでしょうが、大体どの程度に上げるべきだと、上るべきだというふうにお考えになるのか、そこらのあれは。
  112. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) お尋ねの通り、品目によって非常に事情が違いまして、たとえば人絹糸のごときは、国際的に一種の投げ売りのごとき状態に置かれるのが一種の通例でありますが、これは各国でも生産費にかかわらず安い値段で売っておる、そういうものもありますし、また、一般のものであれば、織物類でありましょうが、織物類は現在はたとえば一割上っても、何ら一般的に支障がない、もっと上っても支障がないものもあります。国際競争力という点からいえば、今の状況では、まず多少の反騰はあっても全然心配はない、こういう状況であります。
  113. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこでその滞貨融資だとか、減産融資とかというような問題が出てくるでしょうが、これらの問題は、あなたの方としてはどういうふうにお考えになっておるのでしょうか。
  114. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 操短を強化いたしまして、需給をバランスさせて、国際的にも、また、国内的にも適当なところに価格水準を落ちつけるということのために、やはり金融の措置が必要でありまして、まあ需給調節を可能ならしめるための金融はぜひ確保したい、また、ある程度その実をあげておると考えておるわけであります。
  115. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは、そういう滞貨融資なり何なりをやつて、今おっしゃる程度のところに価格をストップして、そうしてできてくるのはどんどんやはりそこへ買い上げて、しばらくカン詰にして置くというような考え方ですか。
  116. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 買い上げ機関は、現在は人絹織物の一部それから梳毛糸について実施されておるわけであります。また、人絹織物についても、細目的なところがきまっておらないので、これはまだ発動しておりません。流毛糸の方はごくわずかでありますが、すでに買い上げを実施しているというような段階でございます。概して申せば、操短を励行して需給が短期間にバランスできるという見通しのもとに、買い上げ機関でもって一時的な価格の暴落を防ぐというのが建前である。そう長期にわたって買い上げ機関というもので価格の低落を防いでいくということは、建前としては考えておりません。情勢の推移によって買い上げ機関が相当長期にわたって存続されるということはあるかもしれませんが、できるだけ短期のうちに買い上げ機関自体が必要がなくなるような情勢に持っていきたいというのが私どもの念願でございます。
  117. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこで操短を勧告して、操短をやっておられるのですが、さらにいろいろの生産の監視までもやられるのでしょうが、これは大体今の状態だと、そういう生産の監視ができて、操短を勧告しておけば、大体生産は、そうむやみには生産実績は上らない、大体操短で所期した通りに結果はなるだろうというふうにお考えですか。そこのところは、もっと生産はそれにもかかわらず、相当伸びやせぬかというふうにお考えになりますか。
  118. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 一—三月まで、全部じゃありませんが、相当部分の繊維について、操短が私どもの期待しておるように励行されておるとは言えない状態であります。四—六月において、操短をたとえば綿糸、毛糸のごときははっきりした勧告操短に切りかえ、その期間監視の機構を強化するということで、やはり一—三月の実績にかんがみてその点を改善させたい、そうしてほんとうに操短の実をあげたい、こういう考え方であります。四—六月においては実効があがるというふうに期待しております。
  119. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから、これはやはりこういう高度な操短をしなければならぬというようなことは、過剰設備だと思うのですが、これはやはり当初からそういうふうに予定をされたものなのか、非常に見込み違いなのか、あるいは現在のような自由競争のもとでは、不可避のことなのか、そこいらどういうふうにお考えになりますか。
  120. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 神武景気の所産で、非常に急テンポに設備が増設されて、そのあとに逆転的に不況がきたということで、設備過剰が目立つのだと思いますが、これはある期間をかせばそれほど、ただいま考えられておるような設備過剰というようなことが長く続くとは思いません。ただいま非常に設備過剰の重圧というものが表面に出ております。
  121. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 たとえばスフとか人絹というようなものなんかは過去一年半ぐらいの間に、三十年の十二月末から三十二年の六月末までの一年半の間に、四〇%から六〇%というような非常に急激な設備増加が行われておる、これはやはりあのときの一つの成長の過程としては不可避だった、あれでいいのだというふうにお考えになるのか。いやどうも今の態勢のためにああいうことになっちゃったと、こういうふうにお考えになっているのか、そこいらどういうふうにお考えになりますか。
  122. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 事実として申し上げますが、スフ綿については、実は非常な勢いで各社が増設をやって好景気が続いて、もちろん需給がアンバランスになるというような見通しを私どもとして持っておりましたが、一昨年の春、こういう乱設といいますか、設備を急激に拡張することはやめてもらいたいということを再三勧告いたしたのであります。しかしながら、これは当時スフ綿は好収益を生んでおりまして、好況のときに設備の拡張をやるということは、ある程度本能的なものでありまして、なかなかとめられなかったのであります。それに対して人絹糸の方も、スフ綿には劣りますけれど、合理化も手伝って生産能力がふえたわけであります。これは実はちょうど一昨年の後半に人絹糸は特別に暴騰いたしまして、この価格をいかにして押えるかというようなことに苦心していたような関係もありまして、スフ綿のごとくはっきりした勧告を出すというようなことに至らなかったのであります。また、われわれとしては、見通し違いもあったかと思うのであります。
  123. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこでそうすると、今後の設備の問題ですがね、これは今後は設備増加計画というようなものを、どういうふうに考えておられるのか、特に綿の関係、それから化学繊維、合成繊維、おのおの違った面があるだろうと思いますが、そこいらをどう考えておられるか、それからそういうものを全部総合的に考えてみて、繊維の需給度というようなものを、今後はどういうふうに持っていこうとしておられるのか、その辺はどうなんですか。
  124. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 一昨年の十月に、繊維工業設備臨時措置法というものが施行されまして、紡績設備については登録制という名目でありますが、実際上一種の許可制になりました。合成繊維紡績を除いてはそのときから新増設を認めないという方針をとっておりました。で、合成繊維紡績については、合成繊維の生産がだんだんふえ、新しい品種もふえていくというような関係で、もう少しゆるやかな態度をとっておりましたが、最近の状勢にかんがみて、今後は合成繊維紡績についても大体認めないという考え方でいきたいと思っておりますので、紡績設備については、少くともここ当分のうちは新増設は新しく認めるということはないかと思います。それに対して化学繊維、スフ綿とか、人絹糸については、これは法律上の規制がありませんけれども、しかしながら、まあ今日の不況の一番どん底にあるのは化繊というような関係で、今あらためて新増設をやろうという機運はむろんございません。それに対して、合成繊維については、従来、ナイロン、ビニロン、まあしいて言えば絹にかわる、あるいは綿の一部を代用するような繊維がある程度確立しておるわけであります。今後は羊毛にかわる合成繊維が、いろいろな種類のものがこれから生産に着手されます。あるいは現実に若干の生産を開始しておるわけであります。こういうものについては将来のまあ産業であります。何が一番適当なものであるか。何が一番伸びるものであるか。何が将来の輸出産業として競争力を持つことになるかというようなことを見きわめるためにも、ある程度競争的に作らしていかなければならないというふうに考えて、また、それに伴うリスクもありますから、これは育成計画の対象にしてしかるべきものだというふうな考え方を持っておるものであります。
  125. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、合成繊維だけはまだ設備をむしろこれからという形で伸ばされるというようなふうな感じを受けるのですが、そうだとすれば、やはりこれは相当大規模なものであるし、金額的には相当設備資金として張ってくるのじゃないかと思いますが、これは資金的には調達の可能性はあるのですか。
  126. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) まあその点はいろいろ御批判のあるところかと思いますが、むろん最近のような金融情勢下でありますから、結局できるだけ金融を確保するという前提のもとでものを考えれば、相当程度の規模になるということにもなりますから、実際にはかなり漸進的に設備が拡張されていくことになるだろうというふうに予測しておるわけであります。
  127. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこで、その製品のはけ口、輸出の問題ですが、まあいろいろな方面で行き詰まってきている。その場合に、私たちが昨年中国あるいはソ連へ行って、中国、ソ連は今申し上げるまでもなく、生活水準を引き上げなければならないという問題に直面をしている。その場合に、特にこの化学繊維なり、合成繊維関係のものは、しばらくの間は、少くともしばらくの間は外国に少し期待をしたい。そういう意味日本に相当着目している気配、空気を見聞してきたのですが、輸出市場の問題として、これらの方向、これらのあれをどういうふうにお考えになっていますか。
  128. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 率直に申しまして、ソ連、中共に対して化繊をできるだけ輸出したいと考えております。また、最近スフ綿が相当大量にソ連に行く、あるいはまた、過去一両年の間に、実はこれは化繊だけじゃありません。一昨年のごときは、毛織物とか、綿布までも実は売れた。たしか一昨年は千三百万ドルくらいのかせぎであったかと思いますが、昨年は数百万ドルくらい減りまして、これは、毛織物が出ないという事情のために減りまして、やはり長期的に見れば御指摘のように、化繊、合繊のマーケットとして中共を特に重点を置いて考えていきたいと思います。
  129. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 もう一つ、繊維の問題でこれはあなたの関係ではないかもしれませんが、おととしから去年にわたっての繊維産業の不況のために一体人員整理なり何なりはどういうふうに行われてきたのか。それからさらに、これは今後出るのかと思いますが、今後どういうふうになると見通されるか。これはどうですか。これはあなたの方ではないかもしれませんが。
  130. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 労働省の方の話かもしれませんが、まあ大ざっぱに見て、化繊を中心にしまして、まあ羊毛工業も若干ございますが、最近一万人前後くらいのものが一時帰休、あるいは再雇用条件を、優先再雇用条件というようなことでそれぞれ労使間に話し合いを済ませた上で、実際上整理に近い形になっておるようです。今後も若干そういう事例は出るかと思いますし、最近の例で言えば、会社の名前は差し控えますが、現にそういう話し合いを続けておるものもございます。しかし、これはまあ四—六月で底が入り、情勢が好転すれば、そういう点についてはよほど情勢が好転するだろうと期待しておるわけであります。
  131. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その一万人というのは去年一年間くらいの間ですか。
  132. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 最近数ヵ月というくらいに。
  133. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 最近になってから。
  134. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 主として、最近実はこういう問題が表面化したのでありまして、ある程度不況が長期化したので、踏み切らないでおったものがやむを得ずそういうふうな措置に出た。しかし、大体においては、労使間に紛争がなく、将来の再雇用ということを期待して、円満なそういう一種の整理でありましょうが、実施されておるという点は幸いだと思っております。
  135. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その四—六月に底入れになって横ばいになるのか、上昇になるのか、そこいらはまだはっきりしませんが、横ばいになりあるいは上昇になるとすれば、それらの者は再雇用される見通しがあるのか。そうじゃなくて、これだけ整理したものはもうそのまま投げ出されちゃってあとは現員でずっと続けていくというような状況になるのかどうか。  それからもう一つは、これは大きな近代的な会社の問題でしょうが、これに付帯する繊維の織布その他の面においての雇用状況というのはどういうふうになっておるのか。
  136. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 優先再雇用ということを約束して整理した場合には、情勢が好転すれば、当然これは約束は守られるものと私どもは期待しております。  それから織布以下の中小企業の労働情勢というものは、実はなかなかつかみにくいのでありますけれども、しかしながら、二、三の実例から申しましても、やはり一時帰休であるとかあるいは若干の整理であるとかということは行われておりますから、そういう点にも問題はあるかと思います。
  137. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 エネルギーの問題ですが、これはむしろ次官にお聞きした方がいいのじゃないかと思いますが、例のこのエネルギーに関連して、炭主油従の方針をとるのか、逆に油主炭従の方針をとるのか、そこいらは今どういうふうな見当なり方向なり考えておられるのですか。
  138. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 御承知通り、二十六国会でありますか、五国会でありますか、重油ボイラー規制法というものができておりまして、それ以来の大体の考え方は、国内資源を中心にして活用していく、こういうふうな原則をとり、足らぬところを、いわゆる海外資源に依存するというふうな大体の考え方で参っておることは御承知通りであります。そこで、石炭と油との競合の問題につきましては、これまでの基本的な考え方としましては、炭主油従というにおいが、それほどはっきりはいたしませんが、大体そのニュアンスを持ってきておるということが言い得ると思います。この考え方は、今日におきましても私は変っておらぬ。ただ問題は、いろいろな条件のもとに、油の特質というところからくる、油に対する需要は順次増大してきておる、こういうふうな傾向にあるものと考えておるのであります。
  139. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その炭主油従の方針というのは、国内産業、従ってまた、雇用関係にも関連すると思いますが、そういう面もあわせ考えながら、今おっしゃったような方針が打ち出されているんだろうと思うんですが、同時に、今度エネルギーの原価の問題からいえば、むしろ油主炭従ということの方が有利というような問題にもなるんじゃないかと思いますが、そこいらのあれはどういう感じになりましょうか。
  140. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) この問題は、結局日本産業の基本は、今申し上げましたような考え方からいたしますと、石炭の値段がどうなるか、こういうところになるのであります。で、政策といたしましては、石炭の合理化というものをいたしまして、油との関係においての価格上の較差をなくしていく、こういう方向のもとに日本の石炭産業を指導していく、こういうのが私はさしあたりとるべき政策ではないか、こういうふうに考えております。
  141. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、合理化政策なり、そういうもとでの設備更新なり、そういうものをやればもっと価格は引き下げられるし、従って、エネルギーの原価はもっと切り下げられるんだというふうにお考えになりますか。
  142. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 私はそういうふうに考えております。    〔主査退席、副主査着席
  143. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、やはりそういう方向で価格あるいはエネルギー・コストの問題も、今のこの炭主油従の方針で、そのまま矛盾なく長期的にも継続し、遂行し得られるものであるというふうな感じでそれを進めていかれますか。
  144. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 私は得られるというよりも、そういう方向に産業政策を持っていかなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  145. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 しなければならないという意欲はあっても、それができなければ、どうもむなしき意欲に過ぎないが、まあ非常な御決意だからそれに反しないように進めていただく必要があると思いますが、ところが、この油の問題ですが、今サウジアラビアの油田の開発の問題がありますね、これは総合エネルギーの立場からいって、非常に重要な問題になると思うんですが、一体この話はどの程度話が進んでいて、政府はどの程度これに力を入れるつもりにしておられるのか、そこらの所管はどなたですか。
  146. 福井政男

    政府委員(福井政男君) サウウジアラビアとクェートしとの沖合いにございます中立地帯の開発につきましては、サウジアラビアと日本輸出石油との間に協定ができまして現在通産省に認可申請が出ております。なお、この地帯は、サウジアラビアとクェートが両方権益を持っておりますので、両方から権利を得ました場合に完全な作業が独自でできる、こういう格好になるわけでございまして、現在日本輸出石油の方がクェートと交渉をいたしておりまして、現在まだ妥結に至っていない状況でございます。
  147. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これは、この油田を開発しようとすれば、どれくらいの開発資金が要って、日本からはどれくらいの期間にわたって、どれぐらいのものを供給するという見通しになっているのか。その結果として、どれくらいのものがこっちへ入ってくる形になるのか。その辺はどうなんですか。
  148. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 長期にわたりましての詳細な事業計画は、まだ会社の方で検討中のようでございますが、何分にも海の地下の開発をいたしますので、まず探鉱を実施する必要があるわけでございます。現在のところ、会社の計画といたしましては、二年間で約五十二、三億の経費を見込んでおります。
  149. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その五十二億というのは、二年間探鉱のための経費ですか。
  150. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 探鉱のための経費でございます。
  151. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 二年間探鉱だけやつて、それからあと、ほんとうに本格的な開発をするといえば、大体のこのあれとしては、どれくらいのスケールになるんですか。そうしてそれが全部日本からだけ資金なりあるいは現物として出すのか、ほかとの共同でやるのか、そこいらのあれはどうなっておりますか。
  152. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 御承知のように、アラビア石油という会社は日本経済界から出資をされております私法人でございますが、これが開発に当ろう、こういうことで進んでおるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、中立地帯の沖合いの海域につきましては、サウジアラビアとクェートと両方が権益を持っておりますので、そこで現在サウジアラビアとは協定ができておるわけでございますが、クェートとは、万一できません場合には、どこかクェートから権益をもらう会社ができるわけでございます。現在数社が競願になっておるというようなことで、現在交渉をいたしておるようでございますが、万一よその会社がクェートから権益をもらう、こういうような事態が発生いたしたということになりますと、その会社と日本側の会社と協定をいたしまして、その中立地帯の沖合いの開発に当る、こういうことになろうかと存じます。その辺はどういうふうなことになりますか、現在交渉中でございますのでわかりませんが、今まで得ました情報では日本側が非常にクェートから権益をもらう可能性が大きいというふうに在外公館あたりからの情報も得ております。それから資材といたしましては、これはまあ大部分外貨の支払いになるわけでございますが、そのうち資材関係では、海洋の屈さく、海洋の物理探鉱をやりますので、そういったものは外国の施設を使うようになろうかと思います。
  153. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、この五十二億の探鉱のときに、すでにこれはもう大部分外貨払い、外貨まで用意せねばならぬのですか。外貨で払うのですか。
  154. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 相当部分が外貨払いになるもつのと思います。
  155. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからさっき言った探鉱だけでなくて、いよいよ本格的にあれするとすれば、全体の開発の規模、資金的なあれはどれくらいになり、そうしてどれくらいの期間を見通されるのですか、大ざっぱなことでいいですから。
  156. 福井政男

    政府委員(福井政男君) ただいまの御質問につきましては、まだ私どもも会社の方の検討段階でございまして、聞いておりませんが、協定では、四年間が探鉱の期間ということになっておるわけであります。従いまして、その四年間の基、できるだけ早い時期にうまく石油の層にぶつかりますと非常に採算的にも有利になってくる、こういうようなことになるわけでありますが、大体まあ現在のところでは、二年くらいでそういった採掘の段階になるのではなかろうかというふうな見込みを立てております。開発の段階になりますと、大体七、八十億くらいの経費ではなかろうかというふうな試算が会社でもいろいろ検討されておるようでございます。
  157. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それが何年くらいですか、七、八十億というのは。
  158. 福井政男

    政府委員(福井政男君) この七、八十億の開発の段階は何カ年続きますか、どんどん油が出てきますと、それを販売してやっていくというふうな関係になりますので。
  159. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 七、八十億の規模で開発するとして、それはもう一年くらいで全部その七、八十億の開発の設備なり何なりができるのか、いや、七、八十億の規模のものは三ヵ年くらいかかるのだか。
  160. 福井政男

    政府委員(福井政男君) これは開発段階になりましてからの経費が大体七、八十億だろうというふうなことになっておりますが、要は探鉱期間にどのくらいの期間を要して、うまく油層に当るかどうかということが問題であろうと思います。この点はまあ地下のことでございますから、物理探鉱なり、最近の技術が非常に進歩いたしておりますので、物理探鉱をかけ、それから地質調査のボーリングをやる、こういうことでございまして、開発の段階になりますと、問題はそうむずかしくはなかろう、かように考えております。
  161. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 七、八十億の開先資金はこれもやはり外貨ですか、それとも日本のいろいろな機械設備を現物で持っていけるのか、そこいらはどう考えておられますか。
  162. 福井政男

    政府委員(福井政男君) そこまでの詳細な検討はまだできていないようでございますが、大体まあ外貨になります部分が相当多くて、円払いのものは管理費であります。国内における管理費、こういったものはなかろうかと想像いたしております。
  163. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その当初の二ヵ年の探鉱費の五十二億というやつは、これはアラビア石油が全部調達し使うんでしょうが、その場合に、政府はどの程度のこれに支持なり、支援をする話になっているんですか。
  164. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 現在のところ、具体的な金額につきまして支援をするということに相なっておりません。
  165. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 しかし、政府の方で何らかの約束はしているんですか。
  166. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 現在のところ、具体的な約束はまだ何もいたしておりません。
  167. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これは次官にお聞きした方がいいんじゃないかと思うんだが、どうなんですか、その点は政府がこれに対してどういう態度をとっているか。
  168. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) この問題につきましては、昨年でありましたか、問題が起りましてから、中近東におきまする油田開発に対しましては、政府は援助を与えるという閣議の申し合せを実はいたしているのであります。援助を与えるということをきめておりますが、しからば具体的にどういうような方法で、どういう程度までこれをするかということについては、まだきまっておりません。現状におきましてはその程度であります。    〔副主査退席主査着席
  169. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 イランの石油の開発という問題がありますが、その内容はどうなんですか。
  170. 福井政男

    政府委員(福井政男君) イランの方はまだこれからという段階でございまして、具体的にはまだ今後の問題になるわけでございます。
  171. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これはまだちっとも目鼻がついていないんですね、従って、本年度の三十三年度計画として何か出てくるとか、何とかいうことは考えておかなくてもいいんでしょうか。
  172. 福井政男

    政府委員(福井政男君) イランの方につきましては、出光が応札をしようという段階に現在はなっております。応札の期限が三月、本月一ぱいに、イランの法律で公布されております期間がさようになっておりますので、本月中には応札することになろうかと思います。そういたしますと、その決定が三十三年度中には行えることになりまして、五、六月ころには、現在では二十数社が応札しようという態勢にありますが、どこに落ちるか知りませんが、かりに落ちますと、この決定は五、六月ころになる予定でございます。
  173. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、次官の言われた中近東石油開発を援助するという方針的な閣議決定は、今のイランのものあたりまで全部引っくるめての話ですか。
  174. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) その通りでございます。
  175. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは特に石油開発について援助するという決定ですか。
  176. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) そうです。石油の開発についてです。
  177. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、援助する場合には、たとえば日本の石油何とか会社、あすこらを通じてやるとか、あるいは輸出入銀行を通じて資金的な援助をするとか、そういうこととして発展することを予想しての決定ですか。
  178. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 先ほども申し上げましたように、具体的な方法並びに程度というものはまだきめておりませんが、私は結局輸出入銀行を通じて資金援助の形になる公算が非常に多い、こういうふうに考えております。
  179. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それでは岡田君がこられるまで、ちょっと中小企業のあれを少し聞きたいのですが。……中小企業の合理化だとか、設備の近代化というような問題が非常に問題になっていると思うのですが、これまでの技術革新、今の過大設備その他の原因になったのは、大体において巨大なやつ、そういうところが大体技術革新をしてきたんだと思います。ところが、これが過大設備になって金融を引き締められるという形になって、金融が非常に窮屈になった。そのしわ寄せがまあ中小企業、零細企業に行っていると言われているのですが、しかし日本経済あるいは雇用の二重構造等の問題から言えば、むしろ中小企業あたりは、今後この技術革新なり、あるいは合理化というようなことが、非常に全面的に積極的になされなければならないじゃないかと思うし、そのためには相当な設備資金その他が要るんじゃないかと思いますが、それに対しては政府の方ではどういう方法、どういう措置を考えておられますか。
  180. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 中小企業の設備の近代化につきましては、三十一年度から、すでに設備近代化に対する助成金の措置をとっております。これは五ヵ年計画を立てまして、まあ主として繊維工業関係ですが、その他雑工業あるいはまた機械工業、そういうものを入れまして設備近代化の助成金を三十一年度から五ヵ年計画として出しておるわけでございます。それの制度としましては、国の方が大体六分の一を出す、これは無利子の金でございまして、それから県の方が同じく六分の一、合計しまして全体の三分の一をこの県に、それぞれ特別会計制度を設けまして、そちらの方から無利子の金を業者の方へ出して行く、業者の方におきましては、自己の金を三分の二十す、それによって設備の近代化をはかって行くというような方法を講じまして、現在までずっと続けて参っておるわけでございます。ただ、五ヵ年計画の対象としましては、大体少くとも三百億近い金が必要でございまして、少くとも三十六年度ごろまでには全部仕上げる予定であったのでありますけれども、何分、国の予算が十分でありませんし、また県の予算も十分でありませんが、これよりも若干ずれまして、もうあと三十六年から三年ぐらいずれるのじゃないかというふうに考えておりますけれども、一応現在の予算の規模で行きますというと、大体、第一の五ヵ年計画というのは、その程度で済むのじゃなかろうかというふうに考えております。これがまあ一つの方法であります。  それからもう一つの方法としましては、現在、中小企業金融公庫、それから商工組合中央金庫、こういう二つの金融機関があるわけなんですが、まあ国民金融公庫は別にしまして、特に中小企業金融公庫につきましては、これは主としてその設備資金、まあ運転資金についても大体二割程度のものがありますけれども、これは長期運転資金でございますが、主として設備資金ということになっておりまして、その設備資金というのは、輸出関係を中心としました中小企業に対する設備の近代化、これに重点をおきまして、金融の措置を現在やっておるわけでございまして、現在まですでに相当の額がこの中小企業の設備近代化のためになさ回ておるわけでございます。そういう措置をとりまして設備の近代化をはかっております。なお、三十三年度におきましては、中小企業関係技術の指導を特にはかるというような関係から、各府県の試験研究機関、これの設備なり、人員を新たにしまして、そうして中小企業に対しまして設備の近代化が十分できるような、あるいはその技術の更新が十分できるような指導をさせたいということにしまして、大体六千万円程度の予算を計上してあるわけでございます。今申し上げましたように、そういう方法によって設備の近代化を極力はかろうといたしております。なお、その一面におきましては、企業の診断ということをずっと続けてやっておりますので、これは年々、大体一億程度の金を出しまして企業の診断をやっておりますが、この企業の診断の中には、経営診断、それから技術方面のいろいろな診断をしまして、そうして技術のいろいろな指導をし、あるいはその近代化に対する指導をしまして、それに対する先ほど申し上げました融資なり、そうした方面のあっせんをして設備の近代化をはかりたいということで、現在ずっと続けておるわけでございます。
  181. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その中小企業の設備近代化五ヵ年計画の三十一年度、三十二年度、国から出された六分の一の資金というのはどれだけ、おのおの各年度どれくらい出して、三十三年度は幾らになっておりますか。
  182. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 三十二年度におきましては国から出されましたものは四億であります。三十三年度におきましては六億計上いたしております。三十三年度六億でございますが、先ほども申し上げましたように、県の方の負担がこれと同額でありますので、それを合わせますと十二億、それからこれは無利子の金を貸して回収することになっておりますので、その回収金を合わせますと、三十三年度におきましては、大体十五億程度の金が出せるということになっております。そうしますというと、先ほど申し上げましたように、三分の二は業者負担ということになっておりますから、四十五億程度の設備の近代化が三十三年度においてはなされるということになるわけでございます。
  183. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 三十一年度から始まったんですか、資金は三十二年度からついたわけですか。
  184. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは三十一年度から始まっております。
  185. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 三十一年度は幾らですか。
  186. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 三十一年度は、大体国から出しましたものは二億程度ということになっております。
  187. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その回収金を入れて十五億、三十三年度は新しく出すのが六億と言いましたね、回収金を入れて十五億というのはどこから……。
  188. 川上為治

    政府委員(川上為治君) こういうことになります。先ほど申し上げましたように、三十三年度は国から六億、それからそれと同額の県の方が六億、で、十二億、それからさらに回収金が一億七千万円、それと同額を県の方からまた出すことになっておりますから、それを入れますというと、十五億幾らということになるわけでございます。
  189. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからちょっともう一つ。この中小企業金融公庫ですが、これは昨年は当初計画が自己資金まで入れて四百十五億、それに追加が百億あって五百十五億ということになっていますね、これは全部この通り、追加の分も全部年度末までに入って、しかも使われたんですか、そこのところはどうなっているのですか、追加分あたりは。
  190. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 三月一ぱいまでに、追加分も全部入れまして使われることになっております。
  191. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、五百十五億使ったわけですね。
  192. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実は、これは自己資金と言いますか、回収関係の金も入っておりますので、回収の方がふえまして、大体、三月末までに、この五百十五億というのが五百四十八億程度になるんじゃないかというように考えております。
  193. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 五百四十八億。そうすると、ことしはまあ五百七十億という規模ですが、これは昨年と規模は大体同じだ、昨年の実績と同じだ、ちっともここはふえていないんだ、というふうに考えておいていいんですね。
  194. 川上為治

    政府委員(川上為治君) ことしは、五百四十八億よりも若干ふえて、五百七十億ということになるわけですが、実は、今度の予算では、弾力事項というのがございまして、期の途中において、いろいろ中小企業の金融が非常に問題のありますときは、これは、大蔵大臣の裁量によりまして、ふやして使えるというようなことになっておりますので、私の方としましては、特別な場合におきましては、そういう措置によってふやしたいというふうに考えております。
  195. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 弾力条項というのは、大蔵省に聞くと、去年と同じように繰り延べたり何かして、そっちの方で弾力性を持たしているんです、削る方に弾力性を持たしているんですと言っているんだが、そうですが。——そうすると、今の弾力条項を、またことしも、百億程度なり百五十億程度、これはもう、今度の不況の結果が、むしろ今後現われてくるんだろうから、中小企業への金融の問題は大問題になると思うんだが、そうすると、弾力条項はあなた方の考えているように解釈をして、百億なり百五十億追加の問題があるものとして、各四半期ごとの、ことに第一四半期の資金計画は、そういうものを予定して、第一四半期から、たくさん目に運用の計画なり何なりをする、方針的にはそういう問題になると思いますが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  196. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 昨年度でありましても、非常に金融引き締めの関係から、特別な場合として臨時国会において補正予算が組まれまして、中小企業金融公庫につきましては百億ふえたわけでございますので、私の方としましては、まあ、さしあたりとしましては、やはりこの五百七十億の計画で進めて行きまして、どうしても、去年と同じような大きな問題が出て参りまして、中小企業が非常に困るというよな事態になった場合に、先ほども申し上げました弾力事項につきましては、特別な計らいをしてもらおうというふうに、私どもは考えておるわけでございまして、最初から五百七十億を四つの期に分けまして、その計画で進めて行きたいというふうに考えております。なお、これは中小企業金融公庫だけではなくて、あるいは国民金融公庫とか、あるいはまた商工中金とか、そうした方面におきましても、三十二年度よりも、ある程度資金は計画としてはふえておりますので、そっちの方からも中小企業に対する金融は相当円滑に行くんじゃないかというふうに考えますし、また、現在国会にお願いしておりまする保証協会の強化、あるいは保険の特別制度、こういうようなことによって、一般の金融機関の方から相当金を出してもらうような措置を考えておりますので、まあ、なるべく弾力事項については、非常に特別な場合に措置してもらいたいというようなふうに考えておるわけでございます。
  197. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 昨日、岡田委員から、フィリピンのララップの鉄鉱石の輸入について、扱い商社である木下商店に安い鉱石の売り込みの話があったが断わったようだが、どういう事情かというお話でございましてさっそく関係者の方に照会して調べてみましたが、かなり前のことのようでございますので、はっきりした事態がわかりません。はなはだ申しわけございませんが、実は漠然とした話しか、まだ今日の段階で御返事できないのでございまして、当時のいきさつは、相手方でありまするフィリピン・アイアン・マインズの関係の鉱区外の小さい山らしいというのでございますが、そこからあるいわばブローカーを通じて申し入れがあったことがある、そのときのいろいろな条件が必ずしも的確でなかったから断わったことがあるのだが、そのことだろうかという程度のことでございますので、それでは困るから、もう少し過去にいろいろなことがあっただろうから、少し詳細に調べて至急報告してくれと、こういうふうに言っておきました。はなはだあれでございますが、かなり前のことでございますので、的確にわかりかねますので、もう少し時日をかしていただきまして、御返事したいと思っております。
  198. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それは、木下商店に行っているのもあったのでしょうけれど、さらにこっちの製鉄会社の方にもあったのですね。ところが、木下商店がPIMとちゃんと契約がかわされておって、ほかのものは受け付けないということで、実際においては、木下商店もそれからPIMとが独占をしている。そうなってくると、今後安いもののオファーがあっても、その独占のために安い鉱石は買えなくなるということは、これは問題があるのじゃないかということを私は聞いたんで、個々のケースについて、どうだ、こうだということを聞いているのじゃない。そういうことが今後原料取得の場合に行われるということになるというと、これは中間に入っている取扱い商社はもうけるかもしれんけれども、しかし、国全体として考えてみたならば損をすることになる。私どもはそう考えて、今後原料の取得に対して業者がそれを独占して、価格を不当につり上げ、あるいはまた、下がるべきものを下げないというような作用をさせることはいかぬと、まあこういうことは、単に鉄鉱石の問題だけじゃなくて、すべて他のものについても、そう言えることになりゃせんかと思うので質問したわけです。
  199. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 実は、われわれ気をつけておりますのは、原料を輸入します際に、競争して高くすることを非常に警戒しておりますが、それで、できるだけ担当地域等、あるいは具体的にある鉱山とかいうことにつきましては、やはり数社が競合しないようにという指導をやっております。むしろ安くしてきたのを断わるというのは、実はよくわからぬ点がございますが、ただ、これは、こういうふうな鉄鉱石みたいな資源でございまするので、やはり長期的に買いたいとか、あるいは品位、あるいは不純分等で、適格性のあるものを選びたいというような事情があったかもしれないと思います。あるいは売り込みの人の素性等も正確でなかったので、あと回しにしたということもあるかもしれませんので、まあこれは、その場その場の問題もございましょうから、個々の問題につきましては、また調べたいと思いますが、いずれにいたしましても、御意見のようなものは、これは高く独占で買うことがあっては困りますので、これは十分注意いたしておりますので、また買う方でございますから、安く買うのが普通商売人の常識でございます。その点は、大体において御懸念は要らぬかと思いますが、なお十分注意いたしたいと思います。
  200. 吉田法晴

    吉田法晴君 おそくなって恐縮ですが、ふのうから、まあお尋ねしたいと思っていたのですけれども、今年の予算で、従来論議されておらなかった点を探して見ましたが、外務省関係で、移住会社等が出てきたんですが、さっき佐多さんがサウジ・アラビアの石油について、輸出石油株式会社との間に協定ができておる、これを政府としてはどういうような工合にお考えになるか、こういうことですが、通産省にお尋ねしたところが、概要はまあ知らしてくれましたけれども協定それ自身は、どうしてか知りませんけれども、知らしてくれぬ、そこで別なところから入手してみたんですが、その中身は詳しく調べれば調べるほど、何と申しましょうか、むちゃくちゃというのですか、新聞は革命的と書いてありますが、その革命的がいい方に革命的ならいいのだけれども、きわめて悪い方に革命的。……そこで、なおこれは大蔵省も関連があると思いますけれども、直接何と申しますか、監督と言いますか、責任を持っておられる通産省として、どういうふうにお考えになっておるか伺いたい。
  201. 福井政男

    政府委員(福井政男君) これは会社とサウジ・アラビアとの私契約でございまして、従いまして、まあこれを私どもの方がささえるというような性質のものでございませんので、あるいは担当の者がそういうふうに申したかと存じますが、先ほど申し上げましまたが、会社とサウジ・アラビアとの話し合いにつきましては、契約ができまして、現在、通産省の方に認可申請が出ております。それから、なお現在クェートと会社側と話し合いをいたしております。多分、当初の話しはさようであったわけでございますが、話し合いがつくと期待いたしておりますが、現在のところまだ結論が出ておりません。従いまして、その関係がどういうふうになるかということを見まして措置いたしたいと、かように考えております。
  202. 吉田法晴

    吉田法晴君 私契約だから、まあ認可申請についてどういう工合にするか、まだきめておらぬと、こういうことで逃げられますと、それ以上追及する方法がないかのごとくでありますが、それでは契約の内容、これはドルで、年間ロイアリティと、それからもう一つ、百五十万ドルと百万ドル、二百五十万ドル、あるいは純所得の五六%までを保証する、これもドルでありますから、外貨が出て行く、出て行くというか、支払わなければならぬ、それから、たとえば協定が終ったら一切の財産はアラビア政府のものになる、こういうことで、私契約だけれども、話の結果が及ぶところは日本の全体的な利害に関連を持ちます。あるいは価格にしても最高価格、平均価格でなくて、最高価格であったと思うのですが、しかも場所はペルシャ湾の奥の方、そうすると、結局、実際問題として一群高い価格でと、こういうことになりそうです。そういう点について通産省は何も意見がないというわけにはいかぬだろうと思う。鉱山局の下の方かもしれませんけれども、私に意見を述べられましたけれども、その意見は、こういう内容について批判的というよりも、むしろ肯定的であったかのごとく思うのであります。こまかい内容は私が指摘するまでもないと思うのでありますが、通産省としては、こういう特に国際慣例を破ると申しますか、日本に対して非常に不利な条項について、これでもよろしいと、こういう工合にお考えになりますか、それとも、あるいは好ましくないと考えられますか、その辺の意向を承わりたい。
  203. 福井政男

    政府委員(福井政男君) この契約が有利であるか、不利であるかという点でございますが、これは一に、どういう時期に石油の層に当って、うまく石油が出るかどうかということにかかっているのではなかろうかというふうに考えられます。ただいまお話しのございました外貨面では、お話しのように、当初、探鉱期間につきましては、レンタルということで、年に百五十万ドルのものを支払わなければならぬわけでございます。それから石油の層にぶつかりまして、これが商業的な採算ベースで採油段階になりますと、百万トルのボーナスをさらに支払うと、こういう契約になっておりまして、二百五十万ドル支払うことを要するわけでございますが、さらにまた採油の段階になりますと、その利益の配分につきましては、五六%、四四%というような配分の率がございますとか、また口イアリテイを支払うことを要するというようなことになっておりまして、これらは外貨を支払うことを要するわけでございます。ただ、現在、御承知のように中東地区から日本は原油を買っているわけでございまして、現在輸入されております油の七、八割程度が中東地区から外貨を支払って買っているわけでございまして、今後この契約によりまして油をとるということになりますと、この油は無為替で入って参るわけでございまして、その関係では外貨の支払いが節約できると、かような関係になるわけでございます。従いまして、外貨上どういうメリットがあるかということは、探鉱期間がどの程度で一体済むか、いかなる時期にうまく石油の層にぶつかって油が出るようになるかということと、その間に、またその量がどの程度になるか、一本の井戸から年間相当量が出てくるというようなことになり、それまで支払い分が思ったより少いということになりますと、非常に有利になってくるというようなことになるわけでございます。  それから価格の点につきましては、御承知のように、ガルフの建値と、それからペルシャ湾の建値と両方でございます。一般的には国際カルテルの健値がございますが、今後出ました場合に、公示価格で売るということになっておりますが、その公示価格はこのペルシャ湾のポステット・プライス、これも公示価格ですが、このカルテルの価格を参考にしてきめられることになろうかと思っております。
  204. 吉田法晴

    吉田法晴君 油が出たので入れば無為替輸入、こういうことで外貨の節約になるというお話ですけれども、これを一体米ドル、あるいはこれに準ずると言いますか、とにかく二百五十万ドルなり、あるいは純所得の五六%、これは外貨で支払わなければならぬ、しかもそれが油の価格の五六%云々というのじゃなくて、さらに油を入れて日本なら日本で精製をする、あるいは化学製品を作る、そうすると、この契約に基いて出てきた製品の全部の所得について五六%というものは、ついて回ると承知しておるのですが、そうすると、この油の輸入それ自身についての油の価格と言いますか、その五六%と、それからこの無為替輸入によって外貨を節約できる分というものとが、そこだけで比較されるのじゃなくて、さらに日本に入ってきた油なら油による製品の売り上げ所得全部について五六%がついて回ると、にわかに無為替輸入で有利になるのだということは言いにくいのじゃないかという感じがいたしますが、その点はどうなんですか。
  205. 福井政男

    政府委員(福井政男君) おっしゃいますように、どういうふうな結論になりますか、これはまあ掘って見ないとわからないわけでございまして、掘って見ましたけれども全然当らなかったということになりますと、これは非常なロスになるわけでございますが、それでまあ出まして、今度、日本に輸入いたしますわけでございますが、その際に、ただいま仰せのように一貫的な形態の思想が確かに入っております。これはサウジ・アラビアの方の生産国としての非常に強い要請であったようでございまして、原油生産国は最近非常に立場が強くなってきている、特に従来原油を輸出いたしまして、それを精製し、販売すると、輸出以後の、言いかえますと、精製いたしました以後の利益というものに、生産国が全然あすからないのはどうもおかしいというような思想が、最近非常に強くなっておるようでございます。そういうようなことて、ただいまお話のような精製段階、このアラビア石油が精製いたしますと、その利益の方も含めて勘定に入れるという思想が入っておるようでございますが、これはいつ、そういった精製工場を持つかということは、御承知のように、現在この会社は精製工場を持っておるわけじゃございませんし、一にこのアラビア油田の開発が非常に当って成功するという、そのテンポに応じての話になってこようかと存じます。
  206. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一つ伺いますが、これはサウジ・アラビアと、それから輸出石油会社との間の協定ですが、クェートと交渉していると言いますと、クェートとの間にまた同じような協定ができる、これはクェートとサウジ・アラビアの中間地帯ですから、同じような協定向うのクェートとの間にもできる。そうすると、かりに全く同じものができると、レンタル、あるいはボーナス、あるいはロイアリテイ、名称はともかくとしましても、二百五十万ドル、あるいは五六%というのは、こういうものはクェートの方にもできる、こう考えなければならぬじゃないですか。
  207. 福井政男

    政府委員(福井政男君) さようでございます。
  208. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから、たとえば同じあれができるとすれば、さっきの日本に輸入したサウジ・アラビアのこの協定による油を輸入するときだけじゃなくて、入ってきて精製をしていく、あるいは化学工業に使う。そうすると、その最後まで所得の五六%、利益じゃない、所得の五六%をサウジ・アラビアなり、あるいはクェート側は取る、こういうことは、これはついて回る。それから、さらにこれはほかにも余りないと思うのだけれども協定が終ったら会社の一切の財産はアラビア政府のものとなる、鉱区というか、あるいは鉱業権というか、あるいは、そういうものだけでなくて、採油、それから現地に精製を作れば、現地の精製の設備ですが、日本なら日本に精製設備なり、あるいは化学工場なり、そういうものを作った場合に、協定が終ったときに、日本に作った財産あるいは施設というものがアラビアの政府の所有になる、あるいはクェートならクェートの所有に帰する、こういうことは、まあ、やって見にゃわからぬと言えば、それまでの話だけれども、その中味を見て許可を与えるかどうか、これは通産省は鉱業権の何ですが、輸出入貿易並びに鉱業権の関係ですけれども、感想がないというわけにはいかぬだろうと思う、  それからもう一つ。この中でこれはおかしい、そういう話は、これはまああり得ぬのじゃないかとわれわれが考えてみても、あるいは政府が考えてみても、協定について一切外交的な手段を放棄する、こういうことになっておるから、あるいはこの協定を破棄するか、あるいは完全百パーセント実施するか以外にないので、通産省なら通産省からは何も言えぬのだ、こういう格好のように思うのですが、そういうことでいいとお考えになりますか。
  209. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 協定終了時の財産処分につきましては、もちろん日本側に非常に有利になっておるというのにこしたことはございません。しかしまあ、今大体お話のような数字でございますが、ただ、日本国内にありますものについては、日本側で四四%の取り分があるわけでございまして、これが無条件に全部向うのものになる、こういう契約にはなっていないようでございまして、まあ、こういうことでございまして、外交の交渉権につきましても、そういうクローズが入りますことは、もちろん私どももないにこしたことはないと考えております。ただ、本件に関連いたしまして日本政府が外交権を行使するのは、全然本件とは関係がない、自由に行使できる、こういう解釈のようでございます。
  210. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあやって見にやわからぬということで、やらしておるようですけれども、契約を結んでき、アラビアとの間には協定ができた。それからクェートとの間には交渉中、こういうことでありますが、政府として、あるいは通産省として、この協定について、ここはこうなさるべきじゃなかろうか、あるいは政府外交交渉の権限と申しますか、そういうものは放棄されたわけじゃない、否定されたわけじゃない、こういうお話ですけれども日本政府のこの契約実施のための許可の申請に対して、通産省として意見を述べるおつもりなのか、放任をして、こういう不利な契約が結ばれるのを看過されるつもりか、あらためてもう一度、これは局長なり、あるいは政務次官に御答弁を願いたいと思います。
  211. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 先ほども申し上げましたように、クェートとは話し合い中でございますので、その結果を待ちまして、一緒に処置するようにいたしたいと、かように考えております。
  212. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃ割ってお話を伺いますけれども、先ほどあげましたような点が問題だということは、これはお認めになるでしょう。あるいはこの条項がクェートとの話し合いの条項になる、それから今後の交渉に、もしこのままで確定されるならば、これはやっぱり影響されて参りましょう。どこまで影響するかは、これはそのときの日本から出します何と言いますか、資金なり、あるいは資材の投入の仕方にもよることだろうと思いますけれども、何らかの形で影響をすることは間違いない。そういう意味で、日本政府としてアラビア輸出石油会社ですか、日本輸出石油株式会社に対して意見を申し述べられるのは、そう先では、きまってしまってからではおそいと思います。許可を申請してきたこの際に意見をお述べになるべきだと思うのでありますが、それについて、先ほど指摘をいたしました点については、訂正を求めると言いますか、あるいは改善を求めると言いますか、意見を述べられる意思がおありなのかどうか、具体的にさらに御答弁願いたいと思います。
  213. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 先ほど申し上げましたようだ、まあ日本側に少しでも不利であると思われますようなクローズは、ないにこしたことはないわけでございまして、そういった点につきまして、私どもの方から、今までもいろいろ意見は申し上げてございます。
  214. 吉田法晴

    吉田法晴君 申し上げてある、あるいは今後も改訂を求めると申しますか、あるいは意見を述べて不利が直されるように希望をすると、こういうことでしょうか。
  215. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 今後これを改訂するかどうかというところまでには考えておりません。
  216. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、希望は申し述べた、申し述べっ放しで、これを許可するかどうかという点は、これは希望は申し述べたけれども、希望はいれられなくても許可するというのですか、それとも改訂を求めて、改訂がいれられなければ許可をしないというのですか、その辺はどうなんですか。
  217. 福井政男

    政府委員(福井政男君) この点は、先ほど申し上げましたように、クェートとの関係がどういうふうになるかということで、その結果を待って処置いたしたいと存じておりますが、ただ、大局的に見まして、この株式会社がこれでもってやっていけるというふうな判断で進んでおりますので、それにつきまして、こまかい点について、私どもの方といたしましては、どうこうというふうにする考えは持っておりません。
  218. 吉田法晴

    吉田法晴君 政務次官にお尋ねをいたしたいが、会社の方で、これでやっていけるということであるならば、不利な点は直ることにこしたことはないけれども、直らなくても仕方がない、こういうお話なんですね。これは中近東の石油については一つの例となると思うのであります。ですから好ましいか好ましくないかは、先ほど局長からるる述べられましたけれども改善をされるように希望をする、希望する気持は、先ほど表明されたのですけれども、努力をされるか、それとも仕方がないということで見過されるのか、その辺の通産省としての基本的な立場だけは、政務次官から一つ承わっておきたいと思います。
  219. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 先ほどから局長から御答弁がありました通り、また御意見の通り、なるたけ日本に不利にならないように私どもも検討して行きたいと考えております。
  220. 小幡治和

    主査小幡治和君) ほかに御発言はありませんか。——御発言がないようでございますから、本件に対する質疑はこれをもって終了することに御異議ございませんか。——御異議ないと認めまして、以上をもって昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府のうち調達庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、外務省及び通商産業省所管に対する質疑は終了いたしました。  これをもって本分科会の審査を終了いたします。  なお、委員会に対する報告の内容等については主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 小幡治和

    主査小幡治和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後五時十八分散会