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岡田宗司君(岡田宗司)
○岡田
宗司
君 フィリピンのうちでララップというのが一番たくさん出しておりますけれども、このララップは、その百四十万トンのうちでどのくらい出ておりますか。
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1958-03-24 第28回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第2号
公式Web版
昭和三十三年度一般会計予算(内閣 (会議録情報)
0
昭和
三十三年三月二十四日(月曜日) 午前十一時五十五分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
主査
小幡
治和君 副
主査
戸叶
武君
委員
古池 信三君 迫水 久常君 鶴見 祐輔君
苫米地義三
君 岡田
宗司
君 佐多
忠隆
君 曾祢 益君
吉田
法晴
君 豊田
雅孝
君
国務大臣
通商産業大臣
前尾繁三郎
君
国務大臣
河野 一郎君
政府委員
経済企画庁長官
官房長
宮川新一郎
君
経済企画庁長官
官房会計課長
塚本 茂君
経済企画庁調整
局長
大堀 弘君
経済企画庁総合
計画局長
大
來佐武郎
君
経済企画庁総合
計画局長
伊東 正義君
経済企画庁調整
局長
金子 美雄君
科学技術政務次
官
吉田
萬次
君
科学技術庁長官
官房長
原田 久君
科学技術庁長官
官房会計課長
杠 文吉君
科学技術庁企画
調整局長
鈴木 康平君
科学技術庁原子
力局長
佐々木義武
君
科学技術庁資源
局長
黒澤 俊一君
科学技術庁調査
普及局長
三輪 大作君
通商産業大臣官
房長
斎藤 正年君
通商産業大臣官
房会計課長
阿部 久一君
通商産業省通商
局長
松尾泰一郎
君
通商産業省重工
業局長
岩武 照彦君
通商産業省
軽工
業局長
森
誓夫君
通商産業省繊維
局長
小室 恒夫君
通商産業省鉱山
局長
福井 政男君
通商産業省鉱山
保安局長
小岩井康朔
君
通商産業省公益
事業局長
小出 榮一君
工業技術院長
黒川
眞武
君
中小企業庁長官
川上 為治君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
昭和
三十三
年度一般会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
三十三年度
特別会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
三十三年度
政府関係機関予算
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
主査(小幡治和君)(小幡治和)
1
○
主査
(
小幡治和
君) ただいまから
予算委員会
第二
分科会
を開会いたします。
昭和
三十三
年度一般会計予算
、同
特別会計予算
、同
政府関係機関予算
中、
通商産業省所管
を
議題
といたします。 まず、
前尾通商産業大臣
から御
説明
を願います。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
2
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) ただいま議題となっております
通商産業省予算
各案について御説明を申し上げます。 まず、三十三年度
通商産業省所管一般会計
の
予定経費要求額
は百八億三千七百三十七万九千円でありますが、このほかに
大蔵省予算
として計上されております
中小企業信用保険公庫出資金
二十億円、
保険準備金出資金
六十五億円計八十五億円及び
日本貿易振興会出資金
二十億円を加えますと二百十三億千七百三十七万九千円でありまして、これを三十二年度総額百億九千八百四十四万二千円に比較いたしますと百十二億三千八百九十三万七千円の増額となるわけであります。 しかして三十三年度予算のうち
政策事項
についてはこれを四項目に分類いたしております。 すなわち第一には
貿易振興
及び
経済協力対策費
、第二には、
中小企業振興対策費
、第三には
鉱工業技術振興対策費
、第四には
産業基盤強化対策費
であります。 次にこれら経費について御説明申し上げますと、第一に
貿易振興
および
経済協力対策費
といたしまして総計十七億三百三十七万七千円でありまして、これを前年度
予算額
十二億一百七十一万二千円と比較いたしますと、五億一百六十六万五千円の増額でありますが、先にも申し上げました
大蔵省予算
として計上されます
日本貿易振興会出資金
二十億円を加えますと、実質的には二十五億一百六十六万五千円の増額となるわけであります。 施策の重点は、今後における世界的な
輸出競争
の激化に対応し、
国際収支
の
長期的均衡
を可能ならしめることが現下の急務である点にかんがみまして、
海外市場
の開拓と販路の拡張をはかるため、前年度に引続き
貿易情報
の整備、
市場調査
の充実、
国際見本市等
の開催、参加及び
取引斡旋等
のための
在外機関
の
整備拡充
をはかるとともに、意匠の改善、
輸出検査
の
強化等輸出増進
のための
基礎的施策
を推進することといたしております。 まず、
貿易振興
の中核体といたしましては、従来
財団法人海外貿易振興会
がこれに当っておりましたが、安定した基盤に立脚した強固な機構により、
貿易振興
のための諸事業を強力に推進するため二十億円の基金を以て新たに
特別法
に基く
特殊法人日本貿易振興会
を設立するとともに同法人の
事業運営
に必要な経費として前年度対比三億一千三百六十八万一千円増しの八億八千五百十万円を計上いたしておりまして、
海外市場調査
、
国際見本市等
の開催及び参加、
貿易斡旋所
の運営、
日本商品
の
海外宣伝
等総合的に
輸出振興事業
を推進しようとするものであります。 即ち
海外市場
の調査につきましては、
海外市場
を開拓し、
わが国商品
の販路の拡張をはかることは
輸出振興
のための
基本的事項
でありますので、
海外市場調査
を一そう強化するため前年度より二千五百七万七千円増額した一億二千九百八十九万円を計上いたしまして、海外における諸情報の迅速なる収集をはかることといたしております。 次に、
国際見本市参加等補助
につきましては、前年度より一億七百万円増額の二億三千八百五十万円を計上し、三十三年度開催を予定されております
国際見本市
中、特に
貿易振興
上効果の期待される
ニューヨーク
における
世界見本市参加等
九ヵ所程度に対し、大
規模参加
を予定いたしておりますほか、
日本国際見本市補助
につきましては、前年度に引き続き同額一千万円を計上いたしております。 次に、
わが国商品
の展示、紹介及び貿易の
あっせん
を行う
貿易あっせん所
につきましては、三十二年度に引き続き、既設の
ニューヨーク
、
サンフランシスコ
、カイロおよびトロントの四ヵ所を運営いたしますとともに、三十三年度におきましてはさらに二ヵ所程度これを増設し、その活動を活発化するため前年度に比し七千万円増額した二億二千二百五十八万六千円を計上いたしております。 また、
わが国商品
及び
産業経済
の実態を海外へ紹介宣伝するための
海外広報宣伝費
を二億六百参十九万七千円計上いたしましたが、特に三十三年度におきましては、新たに海外における
輸入制限運動
の
予防調査
を行うことといたしております。 次に、
農林水産物
の
輸出振興事業費
につきましては、前年度対比一千七百七十三万八千円増しの七千万円を計上し、
農林水産物
に関する
海外市場
の調査および宣伝を強化拡充するとともに従来の
海外共同施設事業
を継続するほか、新たに
サンフランシスコ
に
合板関係
の
共同施設
を設置することといたしております。また医薬品の販路の開拓、
宣伝紹介
を実施するため
医薬療品輸出振興事業費
として、前年度対比三百万円増しの八百四十八万九千円を計上いたしております。 なお
輸出品
の
意匠向上事業費
といたしまして、前年度とほぼ同額の九百二十三万八千円を計上し、
意匠留学生
の
海外派遣
および
優秀デザイン商品
の収集をいたす所存であります。 以上
日本貿易振興会
の事業に関して御説明申上げましたが、その他の
貿易振興事業
について以下御説明申上げたいと存じます。
海外市場開拓
のための経費でございますが、前年度対比三千五百十八万三千円を増額した四億九千二百二十三万円を計上いたしております。そのうちおもなるものにつき申上げますと次の通りであります。 まず、三十三年四月よりブラッセルにおいて開催される万国博覧会に参加するための経費一億二千四百九十四万八千円を計上いたしておりますほか、絹織物及び生糸の
海外宣伝
要補助として三千三百六十九万円、中南米に
巡航見本船
を派遣いたしますための
補助金
一億四千四百万円を計上いたしております。 次に、
プラント輸出
の
促進対策
といたしましては、現地における
機械設計
、
技術相談等
の便宜を供与する
日本プラント協会
の活動を継続するために必要な
補助金
一億四千二百万円を計上いたしております。 なお海外における
土建事業
に協力し、あわせて
建設機械
の輸出を促進するための
海外建設協力会
の事業を引続き補助することといたしております。 さらに、外国における
輸入制限運動
に対処し、
関税委員会等
において
反対陳述
を行うための経費につきましては、
海外市場維持対策費補助
として一千万円を計上いたしております。 次に、
貿易振興国内態勢整備
のために必要な経費といたしましては、前年度対比三百八十三万二千円増しの一億五千五百七万八千円を計上いたしておりますが、このうち主なるものにつき以下御説明申上げます。 まず、
輸出品
の
意匠改善費
といたしましては、二千三百十二万二千円を計上し、
わが国輸出商品
の意匠を改善するため、意匠及び
製造技術
の研究、
各種講習会
の開催、
輸出雑貨
の
意匠盗用
及び模倣の
防止等
の措置を講ずることといたしております。 次に、
輸出品
の
品質改善
に必要な経費といたしましては、三千二百九万八千円を計上し、
わが国輸出商品
の品質の向上、販路の
維持開拓
をはかるため、
技術研究
の補助、
新規試作品
の
奨励等
を引き続き行うほか、海外の
商品専門家
を招聘して
輸出意匠
の改善をはかることといたしております。 さらに、
輸出検査等
の
整備費
といたしましては、七千二百五十九万円を計上し、
わが国商品
の
対外的信用
の高揚と輸出の振興に資するため
輸出検査法
に基く機械、金属、繊維及び
雑貨等
について
輸出検査
を実施することといたしております。 次に、
輸出市場
の培養と
輸入原材料
の
安定的確保
をはかるため、
東南アジア諸国等
に対し、その
開発計画
を支援しつつ、
海外投資
、
技術協力等
いわゆる
経済協力
の促進をはかることが、ますます
重要性
を加えつつあることにかんがみまして
経済協力対策費
といたしまして、一億七千九十六万九千円を計上いたしております。 まず、
海外技術センター運営事業費
として新たに一億一千百九十六万九千円を計上し、インドの
西ベンガル等
、海外における
中小企業技術センター
の設置及び
準備調査等
を行うことといたしております。 次に、従来に引き続き
海外投資等
の前提となる
原料事情
、
鉱物資源
の
賦存状況等
について
実態調査
を行うための経費といたしましては前年度対比二千万円増しの四千万円を計上いたしております。 なお以上のほかに、
経済協力対策費
といたしまして、
アジア経済事情調査費
一千万円、
技術者
及び
中小企業
の
海外進出
に要する経費、
国立研究機関
の
海外技術者受け入れ
に要する経費を計上いたしております。 第二に、
中小企業振興対策費
といたしまして総計十一億四千五百五十七万四千円を計上いたしましたが、これは
大蔵省予算
として計上されます
中小企業信用保険公庫出資金
二十億円及び
保険準備基金出資金
六十五億円、計八十五億円を加えますと九十六億四千五百五十七万四千円となり、これを前年度
予算額
十八億四千八百八十一万七千円と比較いたしますと、実質的には七十七億九千六百七十五万七千円の増額となります。
中小企業信用保険公庫
につきましては、従来の
中小企業信用保険特別会計
を廃止し、先ほど申し上げましたように新たに八十五億円の
政府出資
を行い、合計一百七億円の
出資金
により本公庫を創設いたしまして
信用保証協会
に対する
低利資金
の貸付と
中小企業
に対する
信用保険業務
を行わしめ、もって
中小企業
の
信用補完制度
の
飛躍的発展
に資する所存であります。
中小企業振興対策
として、次に重点をおいた事項といたしましては、
中小企業
の
設備近代化
及び
協同組合共同施設
の助成、
技術指導
および
企業診断
の強化、
繊維工業
の
設備調整等
でありまして以下御説明申し上げます。
設備近代化
につきましては、前年度対比二億円を増額して六億円を計上し
中小企業
の設備の
合理化
を一層推進することといたしております。 次に、
共同施設補助
につきましては、前年同額の一億円を計上し、
中小企業
の
組織化
を推進いたしますとともに、
中小企業等協同組合
、
商工組合等
の健全な発達をはかり、
中小企業
の
組織化
を推進するための
総合指導機関
である
中小企業団体中央会
に対する
補助金
を前年度対比一千五丁目刀円増額して五千万円を計上いたしております。 さらに、
中小企業
の輸出に占める地位の
重要性
にかんがみ三十三年度においては、
公設試験研究機関
の設備を整備して
中小企業
の
技術指導
を行なわしめることとし、このために必要な経費六千万円を新たに計上いたしております。 また、
中小企業
の
診断指導費
につきましては、従来よりの成果にかんがみ、前年度に比し二千七百三十万三千円を増額した一億四百八十七万一千円を計上して
地方公共団体
の行う
企業診断
などの経費を補助するなど施策の充実をはかることといたしております。 なお、
中小繊維工業
の
産業規模
を
合理化
し、
過当競争
を避けて
輸出市場
の
安定確保
をはかるための
補助金
として三十二年度は
綿スフ関係
五千万円、
絹人絹関係
七千万円計一億二千万円が計上されたのでありますが、
綿織機関係設備調整補助
は三十二年度をもって打ち切りとし、三十三年度においては
絹人絹織機
のみ対象として一億二千万円を計上いたしております。 第三に、
鉱工業技術振興対策費
でありますが、最近における
欧米諸国
のめざましい技術の進歩に対処し、
わが国
がその立遅れを取戻すためには画期的な
産業技術
の振興が必要であることにかんがみまして前年度対比三億一千八百五十七万八千円増加した十六億六千九百九万二千円を計上いたしております。 本
対策費
中重点を置いた事項といたしましては、
国立試験所
の
特別研究費等
に必要な経費を初めといたしまして
鉱工業技術試験研究助成費
、
工業標準化実施費
および
発明実施化助成費等
であります。 まず、
国立試験所
の
特別研究費等
に必要な経費といたしましては、前年度対比二億二千一百八十三万九千円増の十億九千四百三十五万二千円を計上いたしております。このうち、おもなるものについて申上げますと、
特別研究費
につきましては、当
省所属
の
試験研究機関
において、それぞれの
基礎的研究
に必要な
研究費
のほか、特別のテーマにかかる
特別研究
を行なっておりますが、前年度対比二億五十七万六千円増しの七億四千二百九十五万三千円を計上いたしました。 これによりまして三十二年度に引き続き
電子技術
、
生産加工技術
、
工作機械オートメーション
及び
高度分析技術
の研究など、
わが国経済
にとって喫緊の
重要事項
に関する研究を推進することといたしております。 次に、
電子技術
の向上に寄与して
電子工業
の振興をはかるため、
電子機器
の
試験検定
のための設備を整備するための経費として五千万円を計上いたしております。 さらに三十三年度におきましては、
技術振興
のための基本的問題である
技術者
の
待遇改善
のため、
試験研究所
の
研究員
の
待遇改善費
として新たに一千一百二十九万円を計上いたしました。 次に、
鉱工業技術試験研究助成費
につきましては、五億二千八百万円を計上して
国家的見地
より見て重要と思われまする
応用研究
、
工業化試験
を補助したい所存でありますが、そのうち特に
欧米諸国
に比して立ち遅れていると思われまする
電子技術
を振興するため、一億六千五百万円を当て、また将来における
中型輸送機
の需要を勘案して、その
国産化
を促進するためその
試作研究費
として一億二千万円を当てるほか、
重要工作機械等
の
国産化
を補助するための経費二千万円を計上いたしております。 次に、日本工業規格の制定及び
表示制度確立
のための審査、検査及び規格の普及を行い、また
国際標準化機構
及び
国際電気標準会議
の一員として諸外国と
国際標準規格
の
制定規格表
の交換及び
各種情報
の活用を行うなど
工業標準化事業
を推進するため
工業標準化実施費
といたしまして前年度とほぼ同額の四千四十四万円を計上いたしております。 さらに、優秀な発明であって
経済的理由
により、
外国特許
を出願することが困難なものに対し奨励援助するために交付する
補助金
及び
発明協会
に対し交付する
補助金
といたしましては、
発明実施化助成費
として、六百三十万円を計上いたしております。 なおほかに
原子力平和利用研究費
といたしまして三億五千万円程度が
科学技術庁
より当
省所管
の
試験研究機関
に移しかえされる予定であります。 第四に、
産業基盤
の
強化対策費
といたしましては、前年度対比三億四千十六万六千円増しの十一億三千五百十七万四千円を計上いたしており、その内容といたしましては
生産向上対策費
、
工業用水道事業費
、
産業立地条件合理化費
、
資源開発費
、
商工鉱業統計調査費
、
防衛産業施設維持喪補助
、
鉱害復旧費
及び
メートル法専用実施要等
であります。 まず、
わが国
諸産業の
生産性
の向上を三十二年度に引き続きさらに強力に推進するため前年度対比二千万円増しの、一億三千万円を
日本生産性本部
に対する補助として計上いたしました。
工業用水道事業費
といたしましては
工業用水
の確保が今後における
工業生産伸長
のため重要不可決な基盤である点にかんがみ、横浜、大阪、北九州の
継続事業
のほかに、北伊勢、愛知、仙塩、徳山、
磐城地区
の
新規事業
に対し、補助を行うこととし、前年度比一億九千九百万円増しの五億円を計上いたしております。 次に、
鉱工業
の急速な発達に伴い、
産業立地
の
合理化
をはかることの必要不可決である点にかんがみ、
産業立地条件合理化費
を前年度対比九百八十二万四千円増しの一千一百五十万九千円計上し、
産業立地
に関する総合的な調査、
指導体制
の整備に着手することにいたしました。 さらに、
国内資源
の開発に関しましては、増大する石炭の需要に応ずる
石炭鉱業
の
供給態勢
を確立する必要があり、このため新
炭田開発
の
阻害要因
を除去してその開発を効果的に実施するために必要な経費としまして
炭田総合開発費
四千万円を新たに計上いたしましたほか、砂鉄、
磁硫化鉄鉱等重要鉱物
の新
鉱床探鉱費補助
及び
天然ガス探鉱費補助
はそれぞれ前年度同様五千万円及び二千万円となっております。また
発電水力調査費
といたしましては一千二百九十三万円を計上いたしておりますが、このほか
科学技術庁
より当
省所管
として移しかえを予定されているもので
核原料物質探鉱奨励費
三千万円があります。 次に、
商工鉱業統計
の
整備充実
をはかるため、前年度に比し五千六百五十六万一千円を増額した二億七百十一万四千円、
防衛産業特定設備
の
管理補償費
八千九十八万二千円、
鉱害復旧事業費
七千三百四十五万五千円及び昭和三十四年一月より
メートル法
が専用実施されるので、これに備えて事前に
指導宣伝
を行うための経費九百十八万四千円等を計上いたしております。 以上をもちまして当
省所管
の
一般会計
に関する御説明を終ります。 なお、従来から当省の所管いたしております
特別会計
は五つありますが、そのうち
アルコール専売事業
、
特定物資納付金処理
及び
輸出保険
の三
特別会計
につきましては引続き継続いたしますが、
中小企業信用保険特別会計
につきましては
中小企業信用保険公庫
の発足に伴い七月以降廃止いたします。また
特別鉱害復旧特別会計
につきましてはすでに本来の業務を終了し
残務整理
の段階に至っておりますが、さらに明年度一年間これを継続して業務を完了せしめる予定であります。以下各会計につき、
歳入歳出予算
の大要を簡単に御説明申し上げます。 ま
づアルコール専売事業特別会計
でございますが、三十三年度の
歳入予定額
は三十二億四千八百九十九万五千円、
歳出予定額
は二十九億八千二百万二千円でありまして、資産、売掛金の関係を加減しますと、三十三年度の
益金予定額
は二億五千三百三十七万二千円となります。 第二に、
輸出保険特別会計
について御説明申し上げます。三十三年度
歳入歳出予定額
は、ともに六十六億五千三百五十八万二千円でありまして、歳入のおもなるものは
保険料収入
十億三千一百十六万四千円、
資金運用収入
二億五千八百万円、
雑収入
一億五千二百十七万二千円、前年度
剰余金
五十二億一千二百二十四万六千円等であり、歳出のおもなるものは
支払保険金
六億七千八百五十一万円、
予備費
五十九億三千九百七十三万六千円等であります。 なお、
現行保険制度
の
改善策
といたしまして、
普通輸出保険制度
の
簡素化
をはかるため現行の再
保険制度
を廃止し、政府の直接
引受制度
に改めるとともに
普通輸出保険
の担保危険を明確化することにより制度の運用の
合理化
をはかるほか、この保険の
利用者
の
保険料負担
の軽減のため
保険料引き下げ
を実施する所存であります。 第三に、
中小企業信用保険特別会計
でございますが、前に
中小企業
の
振興対策
において申し上げましたように、
中小企業信用保険公庫
の新設に伴い本
特別会計
は廃止されることと相なりますが、新
機構発足
を七月一日と予定いたしまして、四月より六月までの期間の収支につき御説明申し上げます。三十三年度四—六月
歳入歳出予定額
は、ともに二十三億六千四万二千円でありまして、歳入のおもなるものは
保険料収入
一億一千八百七十七万八千円、
雑収入
六千二百六十九万六千円、前年度
剰余金
二十一億七千八百五十六万八千円等であり、歳出のおもなるものは、
保険金
三億四千七百七十万円、
予備費
十九億九千三百七十五万一千円等であります。 第四に、
特別鉱害復旧特別会計
について御説明申し上げます。本
特別会計
は、戦時中の
石炭増産
に伴う
特別鉱害
を復旧することを目的とする
臨時立法
に基くものでありまして、本法は三十三年三月をもって期限が終了するのでありますが、本
特別会計
のみは
精算事務
のためなお一年継続するものであります。本会計の三十三年度の
歳入歳出予定額
は、ともに四千八百二十九万二千円でありますが、歳入のおもなるものは前年度
剰余金受け入れ
四千八百二十八万六千円であります。 第五に、
特定物資納付金処理特別会計
について御説明申し上げます。本会計は
特定物資輸入臨時措置法
に基くもので、三十三年度の
歳入歳出予定額
はおのおの二十億八千九百一万円で、歳入のおもなるものは
納付金
二十億八千八百万円であり、歳出のおもなるものは
産業投資特別会計
へ繰り入れ二十億円であります。 以上をもちまして
一般会計
及び
特別会計予算
の概要につき御説明いたしましたが、この際当
省関係
の
財政投融資計画
について簡単に御説明いたしたいと存じます。 昭和三十三年度における当
省関係
の
財政投融資
の総額は一千七十二億円でありまして、これに
自己資金等
を加えた
運用総額
は二千四百七十六億円と相なります。これを昭和三十二年度と比較いたしますと
運用総額
につきましては、当初計画二千一百九十三億円に対しまして二百八十三億円増となります。 なお、本計画の前提といたしまして電力、鉄鋼についての
世界銀行借款
三百九十億円が織り込まれており、さらに
金融情勢
の推移に応じまして
資金運用部資金
による
金融債
の引き受け、及び
中小企業金融公庫借入限度
に関する
弾力条項
が発動されることとなっており、これらを総合的に運用することによりまして
重要産業
及び
中小企業
の
資金確保
につき遺憾なきを期する所存であります。 まず、
開発銀行
でございますが、
開発銀行融資
の重点は、
わが国経済
の
安定的成長
を目標といたしまして
産業基盤
の強化と
産業構造
の
高度化
に直接的に貢献する産業に指向し、電力、海運、石炭、鉄鋼、
特定機械
、
合成ゴム等
を重点的に取り上げることとし、
運用総額
は三十二年度当初計画の六百億円に対し二十億円増の六百二十億円を確保するものとし、このため、
財政投融資
といたしましては、三十二年度当初計画の二百五十億円に対し七十五億円増の三百二十五億円を確保する計画であります。なお、六百二十億円の
配分計画
は、電力二百五十億円、海運一百八十億円、
一般産業
一百九十億円となっております。 次に、
中小企業金融公庫
でございますが、
中小企業
の育成、振興のためその金融の円滑化は必要不可決の要件でありますが、
中小企業
設備の
合理化
、近代化が大企業のそれに比較して著しく立ちおくれている現状にかんがみ、融資の重点は設備の
合理化
、近代化とその企業の経営の安定化に資するための融資を中心として運用いたすものとし、
運用総額
は三十二年度の補正後の計画五百十五億円に比し、五十五億円増の五百七十億円を確保するため、軍用部借り入れ二百七十五億円を行うことといたした次第であります。 なお、三十三年度におきましては、前年度に引き続き直接貸しに重点を置くものとし、三十二年度の七十億円に対し二十億円増の九十億円を確保する計画であります。 また商工組合中央金庫につきましては、三十三年度におきましては
中小企業
団体法の関係もあり、資金需要は相当に増加することが予想されますので、三十二年度の当初貸出計画二千二十五億円、補正後、二千二百億円に対しまして三十三年度におきましては、二千五百三十億円の貸し出しを行う計画であり、このため資金運用部による商中債引き受け三十億円を行うことといたしております。 次に、輸出入銀行でございますが、三十三年度におきましては、輸出金融につきましては船舶輸出減少の反面、一般
プラント輸出
の増加、ミナス製鉄所、インド円クレジット等の特殊輸出金融を織り込み、六百八億円の貸付が必要であり、また賠償
経済協力
関係金融につきましても、ビルマ、フイリッピン、タイに対する賠償
経済協力
実施が円滑化し、前年度比倍額以上の六十四億円の貸付が必要と考えられますので、総額七百三十億円と前年度の当初計画に対し三十一億円増しの貸付を予定いたしております。一方これらの原資につきましては、回収金等の増加が見込まれますため、運用部から八十億円の借り入れを行うことといたしております。 次に、電源開発株式会社につきましては、三十三年度においては前年度に引き続き田子倉、奥只見、御母衣の大規模貯水池式発電所の建設に重点を置き、三十二年度の当初計画四百二十八億円に対し七十億円増しの四百九十八億円の電源開発工事を遂行することとなっており、このため産投出資九十億円、運用部借り入れ二百五十四億円、計三百四十四億円の財政資金を投入するほか、世界銀行からの借款の成立を期待し、これにより一百二十三億円をまかなう計画であります。 石油資源開発株式会社につきましては、改訂石油資源総合開発五ヵ年計画に定められました昭和三十六年度原油生産百万キロリットルの目標を達成するため、明三十三年度におきましては、大油田の発見が有望となった裏日本の海洋試掘をも加えまして、三十二年度二十三億円に対し五億円増の二十八億円の工事費をもって試掘工事を推進することといたしております。このため、十八億円を
産業投資特別会計
より出資する計画であります。 以上をもちまして
通商産業省所管
の
一般会計
及び
特別会計
の予算の御説明を終りますが、なお、御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。 何とぞよろしく御審議の上可決せられんことをお願いいたします。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
3
○
主査
(
小幡治和
君) 御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
苫米地義三君(苫米地義三)
4
○
苫米地義三
君
計画
では
輸出振興
とそれから
海外
の
貿易
開発
をやる、こういうことなんですが、主として東アの方面、その方面は割合に資金に不自由なところが多いわけですね、そのためと思いますけれども、この間インドネシアに対する焦げつき債権というものが打ち切りになったということ、ああいうのは今後も起り得る情勢ですか、どうですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
5
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 遺憾ながらインドネシアは御承知のようにまあ焦げつきを生じてしまったのでありますが、これはオープン勘定の
関係
でありまして、前年までは割合誠実に実行しておったのが、一年の間にああいう相当な
輸出
超過になってしまって、それが焦げついた、その後におきましては、これは
輸出
調整をやつておりますので、すでにバランスをとって、焦げつきはふえておるわけではないのであります。従いましてまあ最初お互いに外貨がないというときにはオープン勘定というものはやっぱり大きな力であり、それによって
貿易
の拡大ができるのでありますが、一面にそういうような危険性があるわけでありまして、十六ヵ国最初オープン勘定を開いて、それによって
貿易
をやっておりましたのが、順次、今は減らして参りまして、ただ六カ国だけ現在はやっておるので、あります。そのうちにおきましても、大体向うから輸入する物資さえありましたらそんな心配は、オープン勘定の心配も私はないと思います。従ってただいまやつておりますオープン勘定を開設しておりますところで、そう
輸出
超過になりますおそれのあるものは——台湾とか韓国というところは別といたしまして、エジプトも最近いろいろなことを言われておりますが、あれはちょうど昨年のスエズ運河の問題のために、平素は常に輸入超過になるべきものが
輸出
超過になりまして、多少いろいろ御心配をされる向きもあるのでありますが、これはもう向うから綿花はどうしても買わなくつちやなりません。もうプロジェクト・バランスではほとんどバランスがとれておるのであります。これはそんなに焦げつく心配はないと思います。従って今のところ私どもとしましては、焦げつく心配は、ただいま清算勘定をやつております
関係
国ではないというふうに考えておりますが、それにしましても、よほどこれも常に注意をして、そしてああいう焦げつきのないように、起らぬように、それだけの処置は常に注意をし、善処していかなければならぬ、かように考えておるのであります。
苫米地義三君(苫米地義三)
6
○
苫米地義三
君 焦げつき債権の棒引きという処置は、これは
貿易
のあり方からいっても非常時のやり方だと思うのですがね。私どもが考えますというと、やはりあれは一種の賠償と見るのがほんとうなんじゃないですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
7
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) おっしゃるように、焦げつき債権の棒引きというものはやはり非常手段であります。インドネシアは、今後における——もちろんオープン勘定という形式はもう向うからやめてきたのでありますからとりませんが、今後の
貿易
の拡大また今後のお互いの
経済協力
という
関係
を考えますと、ああいうものは、常に重なっておるということの不安といいますか、続いておりますと、今後の
貿易
というものは非常に阻害される
関係
にもなりますので、思い切った手段をとったわけであります。これは決して好ましいことではないのであります。ただまあ賠償とか、今後の
経済協力
とか、そういうものと一緒に解決して、そうして今後の
開発
なり、
貿易
の拡大なり、正常化をはかっていこうと、こういう考え方でやつたわけであります。
苫米地義三君(苫米地義三)
8
○
苫米地義三
君 くどいようですけれども、あの問題の起ったのは、通産省の側の方からああいう意見が出たのですか。あるいは外務省の賠償交渉の方から出た主張ですか。どちらが原因ですかね。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
9
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) あの問題は、これはまあ期せずしてこれよりもう仕方がないじゃないかということでありまして、実はまあ大蔵省としては従来から反対をしておりましたが、まあみんなで相談してみますと、むしろ結局これで、こういうことで
措置
をとらなければ今後どうにもならぬというので、全くこれは期せずして一致したということが私は正しいと思うので、その場に私もおりましたし、みんながそういうような結論に一致したのでありまして、まあその点は従来のいきさつにおいてはいろいろありますが、あれがきまりました当時にはだれも異存はなかったようです。
鶴見祐輔君(鶴見祐輔)
10
○鶴見祐輔君 この
輸出振興
のことについてちょっとお伺いいたしますが、日本はアメリカからたくさん物を買っておるのですね。ところがアメリカの方からは日本でだんだん買わなくなるように見られますので、いろいろ
輸出振興
で対策をおとりになっておるようですが、特にアメリカの問題についてお伺いしたいのは、どうも私ながめておりますと、日本に対するアメリカのいろいろな制限が、経済上の理由もありましょうけれども、もっと深い正常な理由があると思うのですね。その正常な理由というのは、根本的な外交政策というようなことから言えば矛盾しているのですから、多くは国内の選挙対策の問題に非常に密接に結びつかれておると思うのであります。たとえばマグロの輸入についていろいろな規制を行う。要するに探ってみると、結局サンディエゴ付近にある嘆か二万人のマグロの漁師及びその家族という問題がなぜあんなに大きくなるかというと、あそこを地盤としてニクソソンとか、次の大統領候補のノーランドが出ている。従ってそういう人々の発言が非常に中央政界を動かしている。あるいは織物の制限についてみますと、お死になりましたアメリカの、一番大きな政治力を持っていたセネター・ジョージが自分の選挙区がジョージアにある。そこに織物の工場がある。従って一般的な
輸出
輸入の問題についてはあれだけ非常な寛大な政策を持ったセネター・ジョージが、事いやしくも織物の問題になって参りますと、非常な排外的な近視眼的な意見を通す。従ってそれの対策といたしましては、私は、もちろん外務省の大使を通して交渉されることも一つでありますけれども、通産省とされて外務省と連絡をとられて、こういう国内の政治問題に
関係
する対策をどうするか。たとえば今度鮎川さんがお出でになっていろいろ交渉をされておるようでありますが、一方においてやっぱりアメリカで非常に進んでおるPR
関係
の人々が、アメリカ人でなくちゃできないことでありますが、そういう人々と連絡をおとりになって、こういう国内政治、ことに選挙問題と絡んでくるような問題は、アメリカの消費者の利害
関係
から言えば、日本の安い物が入るのはかえって利益なんでありましょうから、一部少数の生産者の利害だけが日本の
貿易
をじゃましないような対策をおとりになる必要があるのじゃないかと思いますが、大臣どういうふうにお考えになっておりますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
11
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 全くおっしゃる
通り
でありまして、大局から見ました場合に、日本が輸入超過をやっておりまして、アメリカ側として日本の商品を排斥する理由は全然ないということは
政府
の当局がよく知っておるのであります。それにもかかわりませず、いろいろ問題が起りますことは、これは向うの相手方の業者の方々が
中小企業
でありますことと、またやはり民主的な国でありまするから、それが選挙の
関係
と結びついておりますことと、アメリカの立法が非常に個人的な立法ができるというような点にあると思います。ことに盛んに熾烈になっておりますのは、大統領の中間選挙の問題と、それから互恵通商法の延長という二つの
関係
がありまして、ごく最近に熾烈をきわめているというふうに考えております。従いましてこれは
政府
の当局にいろいろ話をするというのももちろん外務省とされてはやっていただかなければなりませんが、やっぱりそういう直接
関係
のある議員によほど了解を求めるという工作もしなければならぬというふうに考えておりますので、実は外務大臣とも私話して、それから適当な人に、各議員にも十分その事情を訴えていくというような、誰か適当な人がないかというようなことを相談もしておるのでありまして、そういうところから話していかなきゃならぬ、かように考えております。
鶴見祐輔君(鶴見祐輔)
12
○鶴見祐輔君 鮎川さんの仕事について、まだ、伺うのは時期は早うございますか、何かこの
委員
会でお話を伺えますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
13
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 実は鮎川さんは、別にわれわれと
関係
しておいでになったのではありませんし、その後の報告も聞いておりません。
戸叶武君(戸叶武)
14
○
戸叶
武君 きょうはアメリカ側からも
政府
関係
の有力者がきておって、通産大臣は午後においてお目にかかるということでありますが、今、鶴見さんの言いましたように、日米
関係
の
貿易
上における調整というものは、きわめて重要だと思うのです。昨年岸総理大臣がワシントンをたずねましたときの演説内容も、ワシントンにおけるナショナル・プレスクラブの演説なんかは主として
重点
をそこにおいたようであります。日本
関係
の、アメリカに対する
輸出
の倍アメリカから日本が輸入しているのにもかかわらず、アメリカは日本に対して公正な市場を与えてくれていないということを非常に力説しておりました。そういうものの反響はどうかということを、私は在野政治家として聞くために、日本側に好意を持っているところの前の外交
委員
長であられたセネター・ワイレーとか、あるいは今の外交
委員
長をやっておられるセネター・グリーンとか、あるいは
ニューヨーク
に来ましてから新聞のハーストとかあるいはハワードとか、そういういろんな各界の人にも会って意見をたたきましたが、やはりアメリカ側の考えの中には、岸さんの言うような面があるが、事実上において日本は特需
関係
において、あるいは船の運賃等の
貿易
外収入においてドルを相当稼いでいる。そういう
関係
でとんとんにやや近いのではないか。これはアメリカ側の一つの見方だと思うのです。そういうやはり特需
貿易
というものに対して、私たちはもっと正常化をはからなくちゃならないが、アメリカ側がどう考えているかということに対しても、予備知識をもってアメリカ側に訴えないと、日本の対米
貿易
というものはどうにもできないのではないか。この点が一つ。 もう一つは、今やはり鶴見さんも心配されたような、アメリカにおける日本製品のボイコットの運動です。これは中間選挙の年にはいつでも起ることでありますが、現象面だけを見てはいけない点は、アメリカの
中小企業
というよりは、アメリカとしての今御指摘になったような零細企業です。大体それに
関係
のある人たちというのは、日本の安い労働力によるところのソシアル・ダンピングというものにおびえて、そういうものが倒産しあるいは不振になったりするので、そういうものを政治家に結びつけて抵抗をやるので、それが選挙の年には著しく出てくるのですが、ILO条約も批准していない日本、現実において、労働賃金において、アメリカと日本の比較というものは、日本の十倍ないし十一倍アメリカの労働者の所得がある。カリフォルニア州においては十七倍とまでいわれている。こういう賃金の非常な格差があるので、ただ日本の
貿易
のやり方というものは古い様式で、安い労働賃金でもって、安い製品を出して、
外国
の市場を席巻しようというような戦前の考え方ではやっていけないのではないか。ガット加入後におけるところの心がまえというのはおのずから違っていかなければならない。それにもかかわらず、アメリカに訴える前に、日本の態勢が整われていないということが、私はアメリカ側に訴える意味においても、非常に力強さを欠くと思うのですが、アメリカ側と折衝に対して、鮎川さんはすでに現地において日本の
中小企業
の弱点というものを是正して、そうして了解を求めようとしている運動をやっております、
政府
側としてはどういう手をこれから打って推し進めていこうとするのですか。ただ日本だけでやっているのだという感じを抱かせるような、空虚な、感傷的な戦いでは私はアメリカをかえることはできないと思うのです。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
15
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) お話の踊りでありまして、一つには、アメリカ側としては特需の
関係
のあることは、われわれもまた十分常に計算をしながらやっておりますが、それでもなおかつ昨年は特別な年ではあったと思いますが、非常にアンバランスでありました。また、特需も、漸次減少していくような格好にもなっております。その点は、われわれとしましては、もちろん十分計算もし、また考えにも入れて常に話しておるのであります。それから一般の民間で、先ほど申し上げましたように、相手の方にも、これはアメリカ側も、零細企業者、これはおっしゃる
通り
であります。従ってこちらの態勢を整えて話していかなければならぬということについても、これはもう御承知の
通り
、御意見の
通り
でありまして、従来からこのことはよくわかっておりますが、なかなか今度は、日本の業者が——実は、通産省もやかましく言っておりますが、ぎりぎりのところまで来ないと、そこまで踏み切るといいますか、そういう気持に今まではなっていただけなかったというふうに私は見受けております。しかしそんなことではいかぬので、今度ことに洋食器の問題等におきまして一般の業者の方々も非常に反省をされたといいますか、非常に参考になったと思います。われわれとしましても、従来よりももっと強力にそうした方が結局得なのでありますから、一割なり二割なりの
輸出
を、着実な
輸出
の増加ということでありましたら、そんなに刺激せずにいくのであります。昨年よりも、倍になった、三倍になった、場合によりましては十倍になった。これではやはり向うの同業者の立つ瀬がないと言われても、これはいたし方がない点もあります。 それともう一つは、
政府
側も、確かにアメリカ側の動向というものについて予知するのがおそかったと思います。アメリカのいろいろの
調査
機関を今後活用して、そうしてできるだけ早い機会に、いろいろなそういう問題の起りそうなものについてのことを
調査
いたしまして、早目にこちらが規制していくということで、今度の
予算
につきましても、これは外務省として
活動
される面もありますし、またこちらのジェトロとして
活動
する面もあります。そういうような
経費
も十分取りまして計上しておるわけであります。それによってできるだけ早く察知して、こちらの手を早く打っていくということにいたしたいと思っております。
戸叶武君(戸叶武)
16
○
戸叶
武君 アメリカの業界の動き、それから人心の動き、国会の動き、そういうものをいち早く察知して、
情報
をとらなければならないということは、私は、二、三年前と思いますが、可燃性織物の、アメリカの国会における禁止の問題が出て、半年——約一年近くたっても、日本の
政府
機関は何らこれを関知しないで、えらい問題を起したこともあったときに、緊急質問でずいぶんきびしく質問しましたが、そのときには、
政府
の言い分が、それに応ずるだけの態勢を作るということでしたが、さらに態勢を作つていない。今の御
説明
だとジェトロのようなものを活用しようか、あるいは外務
省関係
の出先の機関を活用しようかと、まだ迷っておられるようでありますが、やはり国会
関係
のロビーの人たちあるいはプレッシャー・グループのいろいろな動き、そういうようなものぐらい、私は、専門家をやつておけばわからないはずはないので、大体
政府
の
貿易
に対する手の打ち方というものが形式的で、緩慢で、外地の総領事館に行っても、機関に行っても、大体自動車もろくなやつがつけられておらないので、燃料費にも事欠いて走れないというような、びっことつんぼみたいなものが存在しているので、これでは私は動けないと思うのですが、こういうことに対して、外務省なり通産省なりは、具体的にはどういう手を打っておりますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
17
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) ただいま申し上げましたのは、外務省を使うか、ジェトロを使うかというのでなしに、両方とも使うのだということで、両方に
経費
が計上されております。これは接触する面が違います。それから私の方としましては、やはり向うのそういうようなリサーチの機関がありますから、そういう目的に、委託
調査
といいますか、ジェトロに委託
調査
さして、そうして早目にこれを知るというふうに、ただいまのところは考えて、
予算
はそういうつもりで計上いたしております。
戸叶武君(戸叶武)
18
○
戸叶
武君
政府
の
予算
の振り分け方はいつも形式的で、あちらにもこちらにも手を打っていながら、結果的には何らの成果をあげていないというのが、私は実情だと思うのですが、やはりもっと私はしっかり、現地の人が動けるような態勢をとつてもらいたいと思うのですが、ただ今の洋食器の問題でも、玩具の問題でも、向う側で指摘しているのは、あれは言いがかりをつけているのが主であって、ああいう傾向もあるから、日本側でそういうあれは直していかなければならないけれども、いずれにしても大都市集中の生活の窮屈というものから転換するために、自動車を利用して郊外に遊びにいったり、また郊外におけるいろいろな住宅の分散、あるいは野外におけるパーティ、いろいろな形でもって、こういうものはどしどし私は使われていくと思うのです。それの
輸出
の量を減らすということよりも、向う側に応じた一つの態勢を整えるということがいいのであって、ただ萎縮した形において、そうしてやっていたのでは、食器の問題なんかも、あるいは玩具の問題なんかも私は不振な結果を招くだけだと思うのですが、こういうのにもっと専門的な感覚を持ったものを動かすようにしたらどうなんでしょうか。ただいろいろな機関に金をやるというだけでもって、機関に金をやると、いろいろなパーティばかり開いていて、旧態勢の外交官と旧態勢の
貿易
丙ではこの新しい時代の転換ができないと思うのですが、どうなんですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
19
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) われわれもそういうふうに考えましたので、いわゆるジェトロを特殊
法人
にしたといいますことは、結局機動力を与え、自性をもって、そうしてまた今までの不安定なものでありますと、優秀な人が得られぬ、こういうところを考えまして、特殊ないい人を得て、そうしておおせのように機動的にまた自主的に活躍してもらいたいというのが、そもそも特殊
法人
にしました根本の考えであります。お話のような結果になったことは私ども十分認めておるのであります。それを直そうというふうに考えておるわけであります。
鶴見祐輔君(鶴見祐輔)
20
○鶴見祐輔君 今
戸叶
さんのお話に関連してですが、アメリカの中で日本にいろいろ不利益な材料をもって、日本の製品をじゃまする者があると同時に、非常に日本に、自分の利害
関係
なしに、正しい立場から日本に好意を持っている人がたくさんおるのです。こういう問題は、私は日本人が表面に立って働くことは反感を買うと思うのですが、イギリスのやり方を見ておりましても、アメリカ人を非常に上手に使う。中国の人もそうなんですね。それで、アメリカで好意を持っておる人を逆にこういう問題にお使いになるということを、私はお願いしたいのですか、通産大臣にその一つの例を申し上げておきます。たとえば、今日本に非常に好意を持っている、実力を持っているのがテキサスだと思うのです。テキサスの州からは、政治家としてはレーバーンにしても、ジョンソンにしても、ああいう偉い人が上院にも下院にもおって、非常な政治力がある。そこへもってきて、港としてもヒューストンが
ニューヨーク
の次になって、遠からず
ニューヨーク
を追い越す。現在でも、
ニューヨーク
のウォール・ストリートよりずっと現金を持っておる。テキサスは非常に日本に好意を持っておりまして、日本といろいろなことで連絡をとりたいと思っておるにかかわらず、日本側はテキサスに全然連絡をとらないのです。これは外務省に二、三年来お願いしておるのですけれども、あそこに、総領事館をヒューストンに置きなさい。ニューオルリンズにあるからといって、ニューオルリンズには勢力がないのですから……。昔は商務官がおった。通産大臣としてテキサスに、ことにヒューストンに商務官をお置きになりまして、あそこにたくさんおる日本に好意を持った、政治力を持ち経済力を持っておる人々に呼びかけられて、日本が表に立たないで、テキサスその他の人々が、アメリカ人が表に立って、自分の利害
関係
を離れて、日本とアメリカとの協力、協調という
関係
を具体化するために働くような方針を立てて、通産省と外務省と御相談いただきまして実行していただきたいと思います。ことに、ヒューストンに総領事館を置くような場合には、ぜひあそこに前のような通商商務官をお置きになりまして、アメリカ人の友人をたくさんお作りになることの努力を一つお願いしたいのでありますが、いかがでございますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
21
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 非常に適切な御意見であります。お話の御趣旨に従って私も努力いたしたいと思います。
戸叶武君(戸叶武)
22
○
戸叶
武君 日本の鉄の方の業者が中国との間に協定を結び、一方インドにおける鉄鉱石の
開発
の問題で日本側が積極的な協力を示すことになりましたが、コロンボ・プランとの結びつきは、すでにこの問題は一九五二年のニュージーランドでコロンボ
会議
が開かれて以来の懸案であったのですが、この問題を中心に、ほかはどういうことが考えられておりますか。これは通産省、わかりませんか。外務
省関係
になっていますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
23
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 中共との鉄鉱石の
関係
につきましては、私は
鉄鋼
の問題につきましては、やはり
鉄鋼
、製鉄会社の
関係
の方々が自分の必要な鉄鉱石を入れる、これにはどういうふうに推進するかということを努力していただくということが、
貿易
の拡大に資するゆえんで、その努力をしてもらわなければならぬということでおいで願って、ああいう契約もできたのであります。また、インドの
関係
につきましては、大統領
基金
との
関係
がありますので、極力早く実を結びませんと、その
関係
が切れてしまったのではまずいというところから、早くおいで願ったような次第でありまして、それ以外の
関係
で、特別にコロンボ・プランとの
関係
ということでなしに聞いていただきたい。
戸叶武君(戸叶武)
24
○
戸叶
武君 先ほど
説明
した西ベンガルにおける施設は、あれはインド
政府
だけの
関係
の結びつきですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
25
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) この前に総理がおいでになったときに、インドでも話していただきました。インドだけの
関係
であります。ただ、私どもは、西ベンガルにまず置きますが、マラヤとかその他の地方にも、次の段階においてそういうものを作っていきたいと、かように考えておりますので、少くとも
調査
だけは来年度の
予算
でやろう、もしよければもっと
促進
したいというふうに考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
26
○佐多
忠隆
君 ちょっと、関連。今のインドの鉄鉱石の
開発
の問題ですが、ルールケラーの鉱山
開発
、これは今度の協定によると、
開発
資金八百万ドル、これを現物出資するというような形の話のように思うのです。これは例の百八十億協力の問題ですね、この資金と今のこの
開発
資金八百万ドルとは、どういう関連として考えておられますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
27
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) この五千万ドルの
関係
は、インド側としては、今度の
開発
資金とは
関係
するわけではなしに、すでに五千万ドルについてはインド側としてはいろいろな
計画
を持っておるようであります。この八百万ドルの
関係
は、要するに、今後の鉄鉱石の輸入ということに関連しまして、そうして安定した、しかも
品質
のいいものを低廉に供給してもらう、こういう問題と
関係
いたしておりまして、五千万ドルの借款とは
関係
なしに一応は進んでおります。しかし、これは今後の正常
貿易
なりいろいろな問題があると思います。また、八百万ドルだけで済むかどうかというような問題がありますので、いろいろ今後の進み方は問題がからみ合ってはくると思います。しかし、ただいまのところ、八百万ドルというのはそれとは
関係
せずにいっておるわけであります。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
28
○佐多
忠隆
君 そうすると、五千万ドル、百八十億の
計画
は、この間から聞いておるところによると、大体三ヵ年くらいで出す。初年度は五十億
程度
のものを出すというようなお話だったと思うのですが、この五十億の
経済協力
は、それ以外の問題を考えておられて、五十億以外に、
開発
資金八百万ドルのこれは何年
計画
になるのか。初年度をどう考えておられるのか。そこらが、それとの関連との問題で、もっとはっきりしてもらいたいのですが、それを外にさらに
計画
をしておられるのかどうか。
政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)
29
○
政府委員
(
松尾泰一郎
君) ちょっとかわりましてお答え申し上げますが、この三年間五千万ドルの円クレジットにつきましては、初年度大体五十億円というふうに考えておるわけであります。御承知のように、五十億円というものと
輸出
額というものとは、必ずしも一致をしないわけであります。百八十億円にしましても、初年度の五十億円にしましても、これは
輸出
入銀行が金を貸し出すベースということになっております。従いまして、率直な言い方をいたしますれば、先方が上手な買い方をいたしますれば、五千万ドル以上の
輸出
が三年間にできるということになるわけであります。もちろん、この五千万ドルのほかにも、いわゆる通常のベースによりますところの買い受けのオファーも現在かなりきておるわけであります。われわれ通産省といたしましては、大体過去におきましてこういうプラント類が千五百万ドルないし二千万ドルくらいはインドに出ておつたわけでありますから、われわれとしてはもう少し伸ばしたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、その五千万ドルの円クレジットが一つの方便として考えておるわけで、これだけが全部とは考えていないわけであります。 従いまして、先ほど大臣のお答えになりましたルールケラー等の
関係
の八百万ドルにつきましても、これも日本の鉄道車両等の資材を
輸出
する、八百万ドルの日本のそういう
機械
類を出される。従いまして、それを
輸出
を押えるという建前になれば、五千万ドルの中でやれという議論になりますし、できるだけ
輸出
を多くしようということになれば、五千万ドルのほかでいいじじゃないかという議論にもなるわけでございます。まだこれにつきましては、向うで
開発
した鉱石を持ってくるということでありまして、普通のその十年間で、三年間のその最初の支払いは猶予するというような方式の貸し付けにはならないわけであります。まあ、われわれといたしますれば、五千万ドルのワク外で考えたいということなんでありますが、今大蔵当局ともその辺のところは話し合いをしておる最中でございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
30
○佐多
忠隆
君 そうすると、八百万ドルという
開発
資金は、今のあなた方の考え方では、この三年なら三年、すぐ今年度を初年度として三年なら三年でやられるのか、それとも、もうこの
程度
の鉱山
機械
なり車両の現物出資だったら、今年一年間くらいでこれをやられるのか。従って、それとこの五十億との関連をどう考えておられるのか、そこのところのポイントを聞いておるのですよ。もっと大きなことはもっと別な話で、その点だけが問題なんです。そこをどう正確にあなた方は考えておるのか。
政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)
31
○
政府委員
(
松尾泰一郎
君) このルールケラーの方は、われわれの今受けておりまする
情報
によりまと、資金として五千万ドル要る、こういうふうに伺っておるわけであります。そのうち、まあアメリカが半分大統領
基金
でもって出す、あとを日本側が八百万ドル、そういう車両等の資材で出す、インド側が残額の千七百万ドルを負担する、こういうようなことであります。従いまして、その三者が話し合いが妥結いたしませんと、まだ進まぬわけでありますので、まだ第一年度に何ぼ要るかというところまでは、ちょっと行っていないことと私は考えております。繰り返し申し上げますように、一応先般インド側に与えました日本の円クレジット五千万ドルの外で考えたい、こういうふうに通産省は考えております。
戸叶武君(戸叶武)
32
○
戸叶
武君 その問題は、五千万ドルのうち、二千五百万ドルが米大統領特別
基金
からの借款、それからインド側が一千七百万ドル、日本側が八百万ドル出資、こういうことになっておるようでありますが、事前にすでにアメリカ側との話し合いもできて、そうしてインド側と交渉をしたものだと思われますが、アメリカ側との話し合いはインド側がやったのですか、日本側がやったのですか、両方でやったのですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
33
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) これは三者協議中なんでありますが、実をいいますと、大体の大綱をまあきめて調印というので、民間の方がお帰りになりまして、まだ
政府
としましてそれに対してどういう態度をとるかということはきめておりませんが、実はまだ詳細にわたっての今後いろいろ協議するようなことになっておりまして、ただまあ向うですべてをきめてくるというわけにも参りませんし、これはまあ三者いろいろ話し合いをして、一応のただいまのところ大まかな線が出ておるというのであります。また、内容につきましては、いろいろ今後協議に残されておるわけであります。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
34
○佐多
忠隆
君 その点は、今後残されているといっても、今のお話
程度
のものは、もう向うとの間に話し合いが大体大まかについているわけなんで、従って、そういうことを
前提
にして今の日本の
開発
資金八百万ドル、しかも、これは現物出資で、具体的に物も大体指示がされておる。それならば、その八百万ドルを現在の初年度五十億協力との関連において、それを内にするか外にするか、そういうことはもう一応、
計画
としてはさまっているはずなんじゃないですか。そういうことをきめもしないで、ぼかぼか、ぼかぼか民間の方がやってくるのを、あとからやられるから、
計画
的でもなければ、総合的でもない。従って、多いの少いのといういざこざが起きて、そうして一向そういうものが統一的に、総合的に検討されないうちに、すでに既成事実として出しちゃう。出して、今度のルールケラーの問題あたりは鉱石で送ってもらうだろうから、まだいいでしょうが、そうでないものは立ちぐされになり、非常なずさんなものがたくさんあるわけですね。その今までの、もうこの一、二年の間にそういう苦杯をなめておりながら、こういう問題がこれくらい具体的になってきているにかかわらず、まだこれからやるのですというようなことじゃ、いかにもこの
計画
がずさんであり、あれであるかと、行き当りばったりだということ以外の何物でもないじゃないですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
35
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) そのお話はごもっともでありますが、大体は、今度の調印という段階まで行くかどうか。それよりも、最初のこれはまあ話し合いなんだ。要するに、資金がどれくらい要り、またどういう——まあほかにもいろいろな鉱山がありまして、この前にいろいろ
調査
に行ってもらった。そうして、最初の話し合いとして向うの意向もサウンドし、こちらの事情も話をして、そうして、どういうふうにやっていくかということでありまして、ことに年度
計画
ということになりますと、車両なんかもまあ本年度といいますか、最初にやるわけではありませんし、この年度割りということになりますと、これはもう少し話が進みませんときまってこぬのでありまして、そういう実は段階で、発表されることがいいか悪いかは別でありますが、そういう段階であるということだけは、これは事実であります。その点は御了承願いたい。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
36
○佐多
忠隆
君 調印まで行くか行かないかよくわからぬというのは、どういうことなんですか。少くとも日印の間では調印したのでしよう。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
37
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) これは業者の方々が大綱だけきめてこられたのでありまして、向うとの話し合いは、その五千万ドルのうちに入れるとか入れぬとか、向う側はそういう希望である、日本の
政府
としてどういう態度をとるかということにつきましては、向うで保留されて、今後また両方で話し合いをしようと、こういうようなことで帰ってきておられるのであります。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
38
○佐多
忠隆
君 いや、これは、きめるのは、五十億の内か外かということをきめるのは、何もインド側に指示されなくたって、あるいは希望はあるのかもしらぬけれども、インド側に指示されなくたって、こっちできめられるわけでしょう。それから百八十億という話をきめられて、そうしてこれが初年度で五十億、あとどうなるのか。その初年度五十億がきまっている場合に、それの内容としては、五十億と具体的にきめた以上は、大体どういう題目で——ほぼ本年度は五十億というようなことは大体はきまっているし、きめられなければならぬはずのものじゃないですか。これは百八十億、特に初年度五十億というのは、
経済協力
のうちの、あなた方の東南アジア
経済協力
と主張されるうちの、一番これは軸になるやつでしょう。それすらきまっていないとすれば、あと問題になっているいろいろな諸雑多なやつは、より以上にきまっていないということになる。何を一体——
経済協力
だとか何とかこの数年間叫ばれ、今までもこの一両年いろいろ無
計画
にやつて、いろいろなロスも出ている。立ちぐされもきている。そういう年月も経ていながら、なおかつ今に至って一番柱になるものがはっきりしないというようなことは、どうも僕らとして了解できないのですが。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
39
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 五千万ドルの円クレジットにつきましては、これは向うの選択にまかせるわけでありますが、それらにつきましては、まだ向うから正式にこちらと相談もない段階でありますから、従って、その内容についてわれわれもはっきりした線を持っているわけではないのであります。今後に、これまたいろいろその内容についての相談をしなければならぬ、こういうことでありますので、もちろん、ほかの
経済協力
の場合につきましても無
計画
でやっておるわけではないのでありますが、大体の大ワクがきまって、その後にいろいろ詳細がきまってくるのであります。今後の問題として最も有効に使っていくということは、これはどうもやむを得ないことであります。
戸叶武君(戸叶武)
40
○
戸叶
武君 五年ほど前に、岸さんが在野の時代、西ドイツをたしかたずねた途中カルカッタをたずねたと思うのですが、そのときから鉄の問題と取っ組んでおるようで、このことは私は岸さんが異常な関心をインドの鉄に示しているというのはわかるのですが、特にイギリスなりドイツなりは、イギリスは自国に鉄と
石炭
があり、西ドイツも自分の近間から鉄または自国から
石炭
もとれるので、インドはそういう
関係
で、特にイギリスとの
関係
において、鉄や
石炭
の
開発
というものがおくれて、製品だけを持ち込んで支配された傾きがあるので、そこに鉄の
開発
ということはインドとしては非常な愛着を持つのだが、問題はやはり、今度のものを見てもわかりますように、半分はアメリカ側から借款していこうという、アメリカのふところ相手にインドが一千七百万ドル、日本が八百万ドルの出資をやっていくというようなやり方なんですが、民族資本が蓄積されていないので、
外国
からの資本を導入して自国の
産業
開発
をしようというインドの悲願はよくわかるのですが、これがひもつきの外資であるならば、餓死してもこれに応ずることができないというような非常な抵抗力というものがインドにあるので、インドにおけるところの
外国
からの借款の問題は、きわめて私はむずかしい点が多多あるのだと思います。そういうことを百も承知の上で、今アメリカが五〇%以上の巨額のものをインドに投げ込み、またソ連が一六%以上の、
外国
借款の中においては、比率をもってインドへ手を伸ばし、それに続いてイギリス、さらに西ドイツ、日本というようなものがここへ手を差し入れてきているのですが、佐多さんも心配していられたように、私も日本が非常に簡単に考えてインドへ手を差し伸べているような感じがするのですが、これに至るまでの過程において、十分なる私は
研究
調査
なり態勢を整えてインドとの結びつきを考えたのかどうか。今の問題にいたしましても、何だか調印までしてきながら、アメリカ側とだれが責任をもって交渉に当ったのか、三者で話し合ったというのですけれども、いつどこでどういう話し合いができたのか、何か雲をつかむような話で、非常に心配な点があると思うのです。その点をもっとはっきりお示し願いたいと思います。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
41
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) まだ最後的に各首脳部で決定しているわけでもないのでございますが、とにかくインドの現地で、インド側の人、アメリカ側の人、日本側の人、それで話し合いをして、そして極力具体化していこうというので行ったのであります。従って、ただいま申し上げましたような最終的な話がきまったわけではないので、とにかくここで話を始めませんと、先行きうまくない。ルールケラーの問題にしましても、これは長年の問題ではありますが、一時どうもならぬというので立ち消えになっておりました。また、ルールケラー以外の鉱山についても、いろいろ問題はありますが、ただいまのところ、
調査
され、そしていろいろ具体的に話し合いがあるというのは、ルールケラーがやっと日本側も
調査
を済まし、その
計画
に対してどのくらいの資金が要るかというようなことが初めて最近になってでき上ったのであります。それをどういうふうに処理していくかという話し合いをまず始めたいという
程度
になっております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
42
○佐多
忠隆
君 それでは、もっと外ワクの問題を聞きますが、日本の
鉄鋼
業の長期
計画
、特に一つ一つ聞きたいのは、今問題になっておる鉄鉱石の供給を長期にわたって——まず聞きたいのは、三十三年度にどういうふうに考えておるのか。それから三十三年度のうち、特に今のインド、あるいはフィリピン、マレー、それから中国からの四十万トンが問題になっておる。それらのものをどういうふうにきめられようという考えなのか。それを出発点にして、さらに中国の方では場合によっては、話し合いによっては、海南島の合弁なりあるいは協力による
開発
を提供してもよいのだという話まで出てきておる。そうなってくると、輸入鉱石の構成の問題を相当、今後また変えていかなければならないのじゃないか。特にアメリカあたりから来ておるものはほとんど必要ないというような方向になるのじゃないかと思いますが、五年なり十年、相当これは長期にわたって考えないと、今の強力な投資なりという問題と関連をする問題ですから、毎年毎年行き当りばったりでは、きめられない問題である。従って、そういう長期の
計画
としても、すでに大きな方向なり構想はお持ちだと思うが、それらをどう考えておられるのか、そこを一つはっきり伺いたい。そうすると、今のルールケラーの問題ももっと具体的になるのじゃないか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
43
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 重工
業局長
が来ませんと、数字的なことは申し上げられません。今呼んでるそうですから……。
吉田法晴君(吉田法晴)
44
○
吉田
法晴
君 関連して。これはきのう帰ってこられて、私ども新聞で見たのですから、十分通産省は報告を受けたり、あるいは協定書を見ておられないと思いますが、追ってでけっこうですが、協定文があったら一つお出しを願いたいと思います。聞いておりますと、さっきの鮎川さんもこれは
政府
というか、通産省との
関係
なしにおいでになっておる。それから永野さんを団長とする日印鉄鉱
開発
何といいますか、協定ではない、協議ですかに行かれたのは、全然通産省との
関係
がないような話のようですが、そういう点はどういう工合になっておるのですか。 八百万ドルなら八百万ドル
程度
の
機械
を、これはまあ、ある
程度
プラント輸出
になるかと思うんですけれども、現物が出るということになれば、通産
省関係
だと思います。話は、新聞の模様だと、
機械
類その他を投資をすると。そして見返りには鉄鉱が入ってくる。しかしながら、それは向うから、佐多さんから質問ございましたけれども、ことし一ぱいに八百万ドルの
機械
類を
輸出
をして、それからその見返りに鉄鉱石が入ってくるという格好ではなさそうです。投資を幾らするか、そのうち半分は大統領
基金
、それから八百万ドルが日本の負担分というんですか、醵出分と、こういうことになりそうですが、どうも先ほどの御答弁のような
貿易
ではなさそうな気がするんですが、そういうきまったとこにろ従って、通産省としてはどういう工合に
関係
をしていかれるのか、その辺を承わりたい。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
45
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 鮎川さんのおいでになったのは、まあ少くも私は、実は御相談にあずかっておりません。しかし、鉄鉱使節団が行きますにつきましては、通産省も参っております。また大蔵省の人も行っております。そうして向うのいろいろ事情を聞き、向うの希望を聞き、それによって今後
政府
としても態度をきめていくということでありまして、実は今まで向うの意向が全然具体的にはわからなかっつたわけです。従って、大部分が、今後また帰って、
政府
部内の考え方もきめて、さらに折衝をする、こういうふうになっておるのでありまして、これはやはり
政府
としても十分……。八百万ドルという話は、もうすでに石橋さんがおいでになったときに八百万ドルという話が出たんですが、まあその後この話がそのままになりまして、最近になってわれわれとして、通産省としても
調査
団を出して
調査
をし、どのぐらいの資金が必要であるかというようなことも考えまして、そうして行っていただいたわけなんです。
戸叶武君(戸叶武)
46
○
戸叶
武君 いろんな関連質問が飛び出しましたけれども、私の質問はなるべく早く打ち切ることにいたします。この東南アジア
開発
基金
の構想並びに東南アジア各国との結びつきの考え方の問題で、諸
外国
から一番問題になったのは、五四年の十一月における、
吉田
さんがワシントンをたずねたときの、ナショナル・プレス・クラブにおける最後の演説だったと思います。あの演説を思い起して、スイスの有力な新聞が、昨年岸さんが訪れたときのいろんな言動と
対比
して、回想をやっておりまするが、あのときの
吉田
さんの演説の内容というものは、共産主義各国からの供与をアジアが受けており、しかも、中共が強力な国家資本を動員して、そうして
計画
経済に入っていく。そのときに、この周辺の国々というものが、その国の国家資本並びに民族資本を動員しても、これに対抗できない。これに対する方策というものは、アメリカが
貿易
関係
でもうけている四十億ドルもの金を投げ出して、東南アジアの未
開発
地を
開発
し、
産業
を復興させ、貧困をなくさせる以外に方法はない、というような、しかも非常なこまかい数字を出しての演説で、平生の
吉田
さんらしくない演説だったので、だれかのポケットから材料が出て、アメリカの国会なり、アメリカの世論を動かすために
吉田
さんがスピーチをやったんかと思いましたが、おととしパリを訪れましたときに、当時の秘書の松井公使に聞きましたら、そうでなく、
吉田
さんの話だったということですが、いずれにしても、そういう演説の反応というものが、ロックフェラー三世の話なり、あるいはジョンストン構想の日本への持ち込みなり、それに対する高碕さんや一萬田さんの非常に積極的な賛成の意思表示なり、また昨年の岸さんのアメリカ訪問なりに一貫した流れがあると思うんですが、 ここで問題なのは、やはり岸さんが
ニューヨーク
の集会における演説におきましても、東南アジア諸国が、その経済を
開発
し、生活水準を
向上
するためには、大きなものが二つ欠けている。その一つは資本であり、他の一つは
技術
であります。しかも、これらの諸国は、この両者について外部からの援助及び協力以外にたよるべきものがないのであります。こういう形で、このアメリカの援助というものを非常に強く期待した演説をやっているんですが、そういうことから、この東南アジア
開発
基金
の構想の具体的な動きというものが、今度のインドとの結びつきにおいても、適用されようと試みているのでしようが、私は
政府
の、今の通産大臣のお話を聞いていると、何かたよりげのない、模索しているという感じでもって、確信を持って突っ込んでいるという感じがしないので、その岸さんなり藤山さんなりに経済外交というお株を通産大臣が取られてしまつて、アメリカの方は鮎川さん、東南アジアの方は岸さんと藤山さん、通産大臣はたな上げで模索しているという感じですが、これでは、非常に経済外交もいいが、一体だれが中心になって、どこを中心にこれを進めようとしているのか。こういうふうに模索的な瀬踏み的な行き方だけではたよりないと思うんですが、どこに中心を置くんですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
47
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 別に鮎川さんの問題は、これは私は、そういうただいまお話しのような問題ではないと思います。経済
開発
の問題は、思想的に一貫してきております。しかし、具体化するにつきましては、これは早い話が、
産業
開発
あるいはルールケラーの問題ということになりますと、具体的な
計画
が果して妥当であるかどうかということについては、通産省として十分積極的に考えていかなければなりません。従って、
調査
団を出して具体化していこう、こういうわけであります。ただ、最終的に、たとえば資金の問題になりますと、これは大蔵省の所管でもあるわけで、今度は大蔵省と通産省と一緒に加わって、そうしてそれの具体化をはかっていこう、こういうわけでやっておるわけであります。 まあ、思想的には一貫しておりますが、今まで何ら具体化されてこなかったのを具体化していこうというわけで、また、責任としては、
内閣
全体として考えていくべき問題であります。そのおのおのの分野において積極的に具体化して仕事を進めていく、そういう意味におきまして、とにかく具体的な問題として話が提供され、それを解決する方向で軌道に乗ってきた、こういうことであります。
戸叶武君(戸叶武)
48
○
戸叶
武君 この借款競争の中で、インドにおいて、ソ連は製鉄所とか、あるいは発電所、光学レンズ、
炭田開発
、こういうことをやっていると同時に、もう一つは農機具の援助というようなこと、それから鋳物屋、かじ屋のようなことまで手を打っているようですが、この
海外
技術
センターの
運営
事業
費としての、西ベンガルにおけるところの
中小企業技術センター
というものの
重点
は、どこにこれは置くんですか。
政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)
49
○
政府委員
(
松尾泰一郎
君) 現在のところ、鋳鍛造の
技術
と、それから木工
関係
を中心に考えております。
戸叶武君(戸叶武)
50
○
戸叶
武君 それは、インドではいつでも、ことにインダストリーあるいはハンドワーク、そういうものをもっと普遍化しなければならないという念願をみんな持っているようですが、そういう線に沿って、そこでインドの青年たちを訓練するか何か、そういうことを試みるのですか。
政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)
51
○
政府委員
(
松尾泰一郎
君) これは向うからの申し出によっておるのでありますが、土地と建物は向うが出しまして、わが方からは
機械
と
技術者
を派遣してやる、こういうようなことであります。もちろん、そういう向うにおける
技術者
の養成訓練というのが、これは主体になっております。
戸叶武君(戸叶武)
52
○
戸叶
武君 何か農業
関係
のセンターも設けるような話を前に承わっていたのですが、これとは全く切り離れた別個なものですか。
政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)
53
○
政府委員
(
松尾泰一郎
君) 通産省といたしましては、農業
関係
のものはどうなっているかよくわからぬのであります。農林省であるいは
計画
があるかもわかりませんが、やや具体化しておりますのは、この西ベンガルであります。近く準備のために
調査
団を派遣する
予定
になっております。近日中に出発させることになっております。あと、いま一つ考えておりますのは、先ほど大臣からお話がありましたが、シンガポールで自転車の組み立ての
技術
センターを一つ作ってはどうか。この方はまだ構想中でありまして、全然まだ話し合いの域にすら達しておりません。
戸叶武君(戸叶武)
54
○
戸叶
武君 鋳物を作ったり、それからいろいろな小さな
機械
類を作ったりするのもけっこうだが、インドで一番欠けているのは、私も四ヵ月近くインドの農村にも入り、各地にも行きましたが、やはり
機械
や何かがこわれたらそれを修理したり何かする、そういうことが非常におくれているので、その点では日本の野かじなんというものは非常に
発達
しているのですが、そういうこまかいところに気の行き届くような役割を日本がしないと、大国と競争してあまり背伸びして、アメリカやソ連やイギリスのまねをやっていると、ばかにされる結果にもなるのではないかと思うのですが、何か日本の独自の独創的な面を、どういう形でそういう所に持っていって切り開いていくのか、そういうことをどういうふうに考えておりますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
55
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) お話の点われわれも確かにそういうふうに考えておるわけでありますが、大体に今までの各国の東南アジアからのいろいろな話を聞きますと、一ぺんに背伸びした非常に近代工業というようなもの、肥料工場にいたしましても、ちょっとほかの関連
産業
がないとうまく円滑には動かぬのではないかというような工場の
計画
が、ずいぶんあるように思います。肥料工場にしましても、造船工場だとか、そういうような……。それよりは、もっと、ただいまお話しのような東南アジアの現在の文化の
程度
に即応した、そうして直ちに役に立つというような面で、日本が貢献していく方がより実質的に効果が上る、私自身もそう思っておるのであります。そういう意味合いで、まあ西ベンガルあたりにおきましても、今後その他の地域におきましても、またおそらく農林省としても、やはりそういう考え方で進んでくれると思っておりますが、私個人は全くただいまの御意見に同感で、そういうつもりで進んでいきたい、かように考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
56
○佐多
忠隆
君 大臣はお急ぎのようですから、重工業の方は後にして、大臣の方に先に伺います。 これまでいろいろ聞いておりますと、
輸出振興
の問題を非常に重要に考えておられるのですが、一体どこに統一的な、総合的な
重点
があるのかということが、何べん聞いてもわからないのですが、まあしかし、おぼろげに考えられることは、まずジェトロを中心にした
市場調査
を非常に大規模にやるというようなことに、相当
重点
を置かれているのじゃないか。その場合に、その
市場調査
なるものが、いろいろの所に金が行っているが、もっと
計画
的に統一的にやった方がむしろいいのじゃないか。この
予算
によりますと、たとえば
貿易振興
会に
海外市場調査
費一億二千九百万、それから、そうかと思うと、今度は、外務省の方に
海外
経済
調査
費四千七百万、それからまた、通産省の方に投資等基礎
調査
費四千万とか、いろいろな所に分属している。非常にばらばらになっている。
経費
自体がそういうふうにばらばらになっているのみならず、一方には外務省にそういう基本的な
外国
調査
なり
市場調査
なりの支出をされるかと思うと、あなたの方でも別にやっておられる。それからまた、
貿易
商の方でもおのおのやっているでしょうし、あるいは大きなメーカーはメーカーで何かやっている。そういうところが少しも
計画
的に統一的にやられていない。 今、問題は、前々から
輸出振興
だ、
輸出振興
だといって、いろいろな
経費
をあっちこっちへかじっちゃ、少しずつつけておられるが、問題はそういう
経費
をあっちこっちかじっちゃ分散してつけるということではなくて、今のこの段階になれば、そういうものをいかに
計画
的に、統一的に、そこに
機構
の問題としても、それから
経費
の配分の問題としても、どう考えるかということだと思うのです。そういう意味では、だから、官庁自体において
輸出振興
のためのもっと統一的な、
計画
的な
機構
になるのか、
運営
になるのか、そこいらをどういうふうにお考えになっているか。それと、今の
貿易振興
会を中心にした
調査
なり
計画
と、それから民間の商社あるいは在外公館、そういうものの統一性なり総合性、
運営
あるいは
機構
の問題、そこをどういうふうにお考えになっているのか。そこがむしろ今の
重点
だと思う。そういう点は少しもお考えになっているようでもない。御
説明
もはっきり聞かない。それをどうお考えになりますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
57
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君)
輸出振興
という問題は国全体の問題でありまして、あらゆる面で総合的にやっていかなければならぬ問題だと思うのであります。もちろん、国際的な
関係
において、経済外交を推進し、
経済協力
を推進するということでなければなりませんし、また国内におきましては、もうあらゆる面において協力し、
制度
も改正し、常に言っておりますように、
輸出
の金融につきましては優先的に取り扱うとか、あるいは
輸出保険
を引き下げるとか、あるいは税法上の便宜を与える、
輸出
手続の
簡素化
をはかる、こういうような面で
政府
としてもやっていかなければならぬわけであります。 また、業者の方々からいいますと、一面におきましては、
輸出
責任体制といいますか、
輸出
会議
あるいは最高
輸出
会議
等におきまして、官民協力して、どこに隘路があるかというようなその隘路の打開に努め、半面において責任を持って目的数量を達成してもらうという態勢を作り、また一面におきまして、
過当競争
を排除してやっていくということを考えていかなければならぬのであります。また、国民全体におかれましても、極力国内の消費を節約してもらって、そうして一品でも国外に
輸出
するということを考えていただかなければなりません。 私は、
輸出
という問題は国全体の問題だと思っています。今まで府県にもいろいろ自然発生的におやり願っているのでありますが、ところで、
政府
が正面から、業者の方々と同様な
宣伝
あるいは
貿易
の
あっせん
をやるということは、これはもう役所の
機構
としては不適当でないか。従って、これは一つの民間団体でやっていただかなければなりません。また、民間におきましては、大企業者の方々は、それぞれ自分で職場の
宣伝
もやり、
あっせん
も、みずから市場の
開拓
もやられる、市場の
調査
もやられる。しかし、
中小企業
なり、また大がかりな
輸出
をしておられぬという方々につきましては、そういう機関がない。と申しまして、
政府
が直接向うの業者の一々に当ってゆく、仲に入っていろいろな
あっせん
までするということは適当でありません。で、御承知のように、これは自然発生的には、この
海外市場
の協議会あるいは見本市の
参加
の協議会、また
貿易あっせん所
協議会というようなものができて参りまして、それがあまりにも不統一だというので、統一されたのが、今までの財団
法人
のジェトロです。 そのジェトロは、ただいま申しましたように、民間団体でありますとともに、また府県が中心というような格好で、府県の寄付金にも相当依存しておりましたし、また従って、あらゆるスケールが府県中心で現在のジェトロは、御承知のように、大阪に本部を持っている、こういうものであります。それでは私は全国的な組織にならぬ、また国もそれに対してしっかりした指導もし、また十分本腰を入れるという態勢ではありません。どうしても、特殊
法人
に統一して、そうして一つには、従来は
政府
ももちろん援助をいたしておりまして、それが
補助金
という形で、現在でも
補助金
でいくわけでありますが、そのもとがしっかりしておりませんから、勢いひどい干渉をしていかなければならぬ。もっと自主性を持ち、もっと実力を持って、ある
程度
のことはまかしていけるというものがなければ、機動的にも動いていきませんし、また規模的にも動いていかぬ。また、そういう機関が弱いものでありますると、信頼感がないために、人も得られぬ、また業者の方々も、会費を払うにしましても、受益者負担をするにいたしましても、どうもたよれない、こういうことでありますので、まず強固な基礎を持った特殊
法人
に一本化するということが、まず私は肝心だというふうに考えたのであります。その後のいろいろな状況を聞いておりましても、今度はジェトロに少し受益者負担してもいい、また会費もふやしてもいい、こういうような動きが出ているという点からお考え願いましても、私の考えが必ずしも当っていなかったとは思っておりません。 ただ、そこで、
市場調査
等につきましては、外務省とジェトロというものが、二本建になっておりますし、また、さっきの輸入制限に対処する問題になりましても、二本建になっております。これはおのずから二つの分野があることは確かであります。(佐多
忠隆
君「そこが問題なんだよ」と述ぶ)役人としてやられる
市場調査
、それから今度は個々の商社に具体的に入り込んでいろいろやります
調査
、その間にやはり分野があると思います。ただ、要するに、同じような
調査
をやられたのでは、これは意味をなしません。従って、その点はお互いに、ジェトロからもだいぶ
計画
が出て参るわけです。これは、外務省とも十分相談してやっていきまするし、また、一面からいいますと、向うの出先で連絡のないというようなことではなりません。役所としましては、外務省としては、指導される。またジェトロとしましても、相談をかける。こういうような一致した態勢に持っていかなければなりませんので、その点につきましては、われわれも非常に憂慮いたしておりまするが、それをやっていこうじゃないかというので、外務省とも通産省とも互い協力し合って、そうしてむだのないやり方をやっていかなければならぬというふうに考えているのであります。 また、通産省としましては、大体においてジェトロに十分まかしてやっていける。そのかわり、それにつきまして詳細な報告も取り、また認可の
制度
も
拡張
いたしまして、その詳細に基いて外務省とも打ち合せる、こういうような
機構
でいくのであります。その点で、ジェトロ共管という説もあります。しかし、共管ではかえって責任が明確でありません。ジェトロとしましては、通産
省所管
ということにいたしておりますが、内部としましては十分相談し、一本化してやっていく、かように考えておるのであります。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
58
○佐多
忠隆
君 そこのところが問題でね、二本建でやっていくのだとおっしゃるけれども、この二本建の問題が、どうも問題の禍根になるのじゃないか。で、今お話しの
通り
に、もしそういう所に、
貿易振興
会あたりに
重点
を置かれるのならば、非常にいい考え方だから、官庁
機構
自体も、外務省のたとえば内外経済
調査
費等四千七百万円というような
調査
費を要求しておられます。これは昨年に比べれば相当ふえております。一体これは何にされるのかよくわかりませんが、そういう内外経済
調査
というような問題なんかこそ、もし
調査
なり基礎
調査
その他を統 一しようとされるのならば、これをジェトロの方に移されればいい。あるいは通産省自体からいっても、たとえば投資等基礎
調査
費四千万円、昨年の二千万円に比べて四千万円という倍額になっておる。こういうものも、何も通産省にとっておかれないで、そういうものも全部出して、この基礎的な
調査
を
貿易振興
会にやらすというような思い切ったことをやられたらどうなんだろうか。同じような問題は、企画庁あたりについても言えることなのであります。もし今の
貿易振興
会みたような、役所の外郭的なものを作られるのならば、それに集中的な、
計画
的な、統一的な
運営
なり仕事をさして、そのかわりには、役所のいろんなそれに関連するものは、どこの省のものであろうと、それを全部引っぱがしてきて、そこに集めて、それを最も強力なものにするというふうな、基本的な態度なり方針をとられなければ、いつまでも
経費
ばかりあちこちに分散しちゃうということになるので、その点をもう少し突っ込んでお考えになり、あるいは配慮をされる必要があるのではないか。そこに今の問題があるのです。そういうことをやらないで、今のようにばらばらにやっておられたのでは、
貿易振興
会を幾ら大きくされたって、そういう統一的な、総合的な、基礎的な、非常に強力なものにはならぬと思う。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
59
○
主査
(
小幡治和
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
主査(小幡治和君)(小幡治和)
60
○
主査
(
小幡治和
君) それでは速記を起して。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
61
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 私はそう簡単にはいかぬと思うのでありまして、まあ輸入制限の問題にしましても、民間の
宣伝
とか、そういう問題につきましては、やっぱり民間の人間がやる。それから役所に対する折衝は、やはり外務省の出先にやっていただく、あるいは
市場調査
につきましても、これは役所にいろいろやっていただく、また、いろいろな
施策
をしていただくという面と、今度は民間人として、民間になり切った民間人が今度は各商店に行って
調査
をするというのと、もうこれを一本に動かすには、これはできるだけ緊密な総合性をもって動かなければなりませんが、
経費
の出場所というものは、おのずから違ってくるという点がありますので、御趣旨の点は私もよくわかりますので、そういうように一体的な
運営
をして行かなければならぬということはよくわかりますが、
経費
の面になりますと違い、また、それぞれ特色を持った二本建になってくるということについては、どうもやむを得ないのではないかというふうに考えておるのです。しかし、御趣旨の点は私どもも決して異議があるわけではなしに、ことに一体的に、おのおのの分野は違いますが、しかし総合して効果の上るようにということについては極力進めて行きたい、かように考えております。
政府委員(斎藤正年君)(斎藤正年)
62
○
政府委員
(斎藤正年君) 事務的に、ちょっと今の御質問の費目について御
説明
申し上げますと、これは外務省と、それからジェトロとの
調査
の分担につきましては、両省間に申し合せをいたしておりまして、大まかに申しますと、一般的な政治、経済情勢の
調査
ということは、外務省が外務省の出先職員を使ってやる。それからジェトロはそうではなしに、個々の商品の事情及び経済市況の短期的な波動と申しますか、そういったようなものを中心にして
調査
をするということになっております。 それから
海外投資等
基礎
調査
と申しますのは、これは全然別の性質の
調査
費でございまして、たとえば、今度参りましたルールケラーの
調査
でございますが、これは基礎
調査
費から出しております。たとえばイランの
鉱物資源
の
調査
を依頼される。そういうような場合に、民間のそれぞれのエキスパートを出しまして、場合によっては
政府
職員もそれに
参加
いたしまして、全般的な資源の状況の
調査
をする。あるいはルールケラーのように、インドの鉄鉱石の全般的な資源状況の
調査
をするという、個々のケースにつきましての
調査
の費用でございまして、ジェトロの一般的な
市場調査
の費用とは全然別種のものでございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
63
○佐多
忠隆
君 今の、そういうふうな個々の商品の一つ一つのあれということになれば、もっとそれは民間なり、何なりの方がよくやっているので、そこのところ、民間と、それから役所と両方やらなければならないところの接合点みたいなものを、
貿易振興
会がやろうというのでしよう。それならば、民間でむだな基礎
調査
をやっておるのを、もっと
振興
会の方にとってやって、そこがやれば、民間はもう何もそういう全般的な一般的なことをやる必要はないということになる。同じように役所の方からもそれをとって、こっちにとってくる。少くとも二十億の
基金
を持たし、今度だけで二億五千万円
程度
の
経費
をふやし、しかも、その二十億
基金
の利子が幾らになるか、一億五千万円か、幾らになるのか知りませんが、そういう膨大な
経費
を使われるのならば、個々の商社なり、メーカーがやる一つ一つの個別商品の問題の
調査
より、もっと基本的なものがあり得るし、そこのところの仕事の分担なり、配分をもっと
計画
的に、もっと能率的に効率的にやられる必要があるのではないか。そうでなければ、みんな同じようなことをしている結果になってしまいます。せっかくそういうものを作っていながら、ちっともそういうような基本的な力が入れられていない。まるで商社がやってしかるべきような、個々の端くれの
調査
の下請をやっているようなことになる。僕は今度のこんな大きなものは、そんなものじゃないと思う。これは意見になるから……。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
64
○
政府委員
(岩武照彦君) インドの鉄鉱石
調査
団の
調査
につきまして、おくれまして済みません。鉄鉱石の輸入見通しのお話だと思いますが、今度の経済
計画
に即しまして、将来の
鉄鋼
の需給
計画
を今作成しております。それによりますと、大体
昭和
三十七年度におきまして、鉄鉱石の所要量が二千二百万トンをこすかと思われます。三十一年度の実績が千百五十万トンでございますから、相当大幅な増加になるわけであります。そのうちで国産と言いますか、国内で得られる鉄源は大体七百万トン
程度
のものと思います。これは鉄鉱石のほかに、砂鉄あるいは硫酸滓その他の鉄源全部をひっくるめてでございます。三十一年度の実績は四百五十万トン余りでございますから、これまた相当大幅な供給増加を来たしております。従いまして、輸入に待ちまする分は千六百万トン前後、こういうことに相なりまして、三十一年度の七百万トンに比べまして約倍になるかと思っております。この輸入鉱石の収得先でございますが、御承知のように、大部分は東南アジアに期待しておりますけれども、フィリピンあたりはだんだんと山の資源埋蔵力が枯渇して参りまして、従って新しい山の
開発
に力を入れる、あるいはマレー方面も大体同様の傾向でございまして、マレーは山によって違いますが、総量におきましては、フィリピン、マレーともにもちろん増加して参りたい、そのためにそれぞれ所要の手を打ちたいと考えております。概数を申し上げますれば、フィリピンは約二百七十万トン前後、マレーは四百二、三十万トンというところまで持って参りたいというように考えております。 インドでございますが、これは現在百万トン余りのものを買鉱しておりますが、なお二、三百万トンは取得したいということで、ルールケラーその他の地区につきましては、
調査
団を派遣して
調査
を行いましたし、また、今度の永野ミッションによりまして、ルールケラー地区の
開発
について一応の話し合いがついたわけでありますが、これも大体期待しておりまする
昭和
三十七年度までには出鉱を見るまでに至らないようでありまして、そのあとの年度におきまして、つまり一九六四年から年間二百万トンというふうに話がまとまったようであります。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
65
○佐多
忠隆
君 六十四年から……。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
66
○
政府委員
(岩武照彦君) これは、きょうもその点についていろいろ検討したのでありますが、やはり現地の労働者の能率あるいは資材の輸送力、その他考えますると、どうしても日本で考えておるよりも相当長目に見積る必要があるのではないか。大体、日本で二年かかるものは三年とか、三年のものは五年と見て
計画
を組みませんと、従来もそういうことで失敗した例があるようでございますから、一九六四年ということは、そういう意味では比較的信頼できることかと思います。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
67
○佐多
忠隆
君 そうすると、三十七年は千九百何年になりますか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
68
○
政府委員
(岩武照彦君) 一九六二年であります。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
69
○佐多
忠隆
君 今の三十七年
計画
には二百万トンというのは入ってないのですね。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
70
○
政府委員
(岩武照彦君) そういうわけでございますから、これはある
程度
ほかの地区の買鉱を増加せざるを得ないだろう、こう思っております。ほかと申しますのは、インド、そのほかの地区の買鉱を増加せざるを得ないと思っております。 それからその次でございますが、残った鉱石につきましては、従来から買っておりますカナダ、あるいはアメリカ方面もございますが、アメリカにつきましては、そう増加する余地は少ないようでございまして、むしろカナダ方面にかなりいい山もあるようでございまして、これを百万トン
程度
までは持って参らなければいかぬだろうと思っております。残りのものにつきましては、まだはっきりした目安もついておりませんし、南米方面にも相当いい品位の埋蔵量の多い山もございます。これはチリでありますけれども、なかなか日本でこの
開発
に手をつけるかどうかは、これは相当問題もございます。そこへ持って参りまして、過日、北京に参りました稲山ミッション一行が、海南島の鉱石につきまして、ある
程度
の話し合いを進めて参りました。これはまだはっきりしたことになっておりませんが、長期的に向うと話し合いを進めますれば、これは年間百万トン以上の輸入ということも、あながち無理ではないというふうな見通しをつけて帰ったようであります。近く中国側の鉱産公司その他の実務者が参りますので、この辺はもう少し具体化するかと思っております。いずれにしましても、できるだけ近回りで、しかも品位のいいものを入手したいということで、あちらこちら各方面にいろいろな手を打っているようなわけでございます。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
71
○
主査
(
小幡治和
君) 二時四十分まで休憩いたします。 午後二時十四分休憩 —————・————— 午後三時五分開会
主査(小幡治和君)(小幡治和)
72
○
主査
(
小幡治和
君) ただいまから第二
分科会
を再開いたします。 午前に引き続いて、
通商産業省所管
を
議題
といたします。 順次御質疑をお願いいたします。
岡田宗司君(岡田宗司)
73
○岡田
宗司
君
鉄鋼
政策について一、二点お伺いしたいんですが、第一番は、戦前においては
鉄鋼
はまあ国内において全部消費して、作っただけ消費した。これはまあ軍事用が非常に大きかったために、
輸出
なんということはなかったんです。戦後ずっと
鉄鋼
の生産がふえてきて、ここのところ数年、特に
鉄鋼
の
輸出
というのが相当重要な地位を占めておる。金額にいたしましても、相当な額になっておる。で、今後
鉄鋼
の生産が増加していくといたしますれば、やはりこの
輸出
というものは、
鉄鋼
政策の上でも非常に重要な問題になると思うんですが、
政府
としては、今後
鉄鋼
生産を
計画
的にずっと増加していく上において、
鉄鋼
の
輸出
をやはりコンスタントな要素として考えて、
鉄鋼
の
輸出
をどんどん今後
促進
していくおつもりであるか、その点お伺いしておきたい。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
74
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 実を申しますと、
鉄鋼
の
輸出
というよりも、
鉄鋼
は今後プラントなり
機械
類の
輸出
というために、どうしても
確保
しなければならぬというくらいの考えで今まで出発してきたと思うんです。しかし、最近におきまして、プラントなり、あるいは
機械
類の
輸出
のみならず、さらに
鉄鋼
について
需要
もあり、これは今後の
開発計画
——東南アジア等の
開発計画
と見合いにして、安定といいますか、コンスタントのものであるというふうな感じもいたしております。
鉄鋼
の
輸出
ということについても、十分検討して、そういうことを考えに入れながら
鉄鋼
政策をやっていかなければならないというふうに考えておるのであります。ただ、まあ先ほどもちょっと申し上げましたように、鉄鉱石の輸入という問題が——
確保
ということもまた重要な要素になっております。そういうように鉄鉱石の輸入ということについては、安定的な
確保
がはかれるということと見合って当然
輸出
をしていくということを考えていこうと思っております。
岡田宗司君(岡田宗司)
75
○岡田
宗司
君 従来は船を作ったり、レールや
機械
を作って、それでまあ
輸出
をするという考えが主だった。しかし、ここのところ数年来、相当鋼材としても出ておるんです。これが金額にいたしましても重要な
輸出
の一つになっている。今まではそれが偶発的であったかもしれないけれども、それじゃ今後日本でもって、この鉄で船を作るとか、あるいは
機械
を作って
輸出
するのが、この
鉄鋼
の生産の増加と見合うほど
輸出
しないとすれば、あるいはこの
鉄鋼
を素材のままで
輸出
しなければならぬということも大きな問題になると思うが、そこの点がまだはっきりした政策は立っておらぬのですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
76
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 実は先ほど来申しておりますように、今まではっきりした
計画
が立っていなかったと申しますのは、御承知のように昨年なんかにおきましては、鉄鉱の輸入を押えてしまったと、こういうようなことから考えましても、はっきりした政策はとっておらなかったと言った方が私はほんとうだろうと思うんです。しかし、これは
鉄鋼
として安定的な
需要
があれば、これは私は
輸出
として当然考えていくべき問題だと思っております。鉄鉱石の、ことに
確保
と見返りにして、また
輸出
をするということであれば、非常にけっこうなことで、これに対しても今後十分考えていくべきであるというふうに思っておりますが、これは率直に申し上げまして、最近になってそういう考え方に変ったといった方がまあ正直だと思います。
岡田宗司君(岡田宗司)
77
○岡田
宗司
君 そういたしますと、これは
機械
だとか船だとかと違って、国際的な価格の変動に非常にさらされることになってくる。うんと景気がよくて、急に
需要
が増加したような場合にはぐんと伸びるけれども、そうでない場合には、またえらい
輸出
が減るということになりまして、非常に不安定なものになり得るおそれもあるのです。これがまた
鉄鋼
の生産自体にも響いてくることにもなり、価格にも影響も持ち、それから他の関連
産業
にも影響してくると思うのですが、要するに、もしそういう政策をとっていくとすれば、国際市場で十分に競争できるだけの価格でもって
輸出
できるようにならなければならぬ。それについては、日本では原料炭や鉄鉱石自身がないというようなことで、非常にむずかしい面もあると思うのですが、もし、そういうふうに国際的な競争に十分たえ得るようにするための
措置
として、今後どういうふうな方針をおとりになりますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
78
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 結局、鉄鉱石の価格を引き下げることと安定することということになりまするから、何としましても、原料の安い、
品質
のいい鉄鉱石を
確保
する、半面におきまして、
石炭
の問題、それと、いわゆる何といいますか、高炉なり転炉というようなもの、最近におきまして五ヵ年
計画
も立て、そういうような方向でやっておりますが、そういう面で考えていかなければならぬわけでありますが、ただいまの
計画
の中には、百数十万トンの
輸出
ということも
計画
に入っておるようであります。少くともそういうものくらいは当然われわれとしても出すようにしなければなりませんし、出すにつきましては、これは極力価格を下げ、安定した供給ができるという方向へ持っていきたいと思います。
岡田宗司君(岡田宗司)
79
○岡田
宗司
君 最近
鉄鋼
生産の
技術
の面においては、相当
技術
的な進歩が見られると思うのですが、問題は、その原料炭並びに輸入鉱石の値段にかかってくると思うのですけれども、
石炭
の方については、国際価格があって、相当国際価格を下押ししていくようですけれども、鉄鉱石については、これはまあ直接いろいろなところから契約しておって、たとえば
鉄鋼
の値段が下っても鉱石の価格は下らない。契約したときのままの値段でもってずっと買っていかなければならないというようなことで、案外高いものを買わされていくというような場合が起るのじゃないのですか、その点どうでしょうか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
80
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) われわれの考えておりますことは、たとえばインド等におきましても、国際的な価格ということも考慮に入れた価格でなければなりません。もちろん、コストに利潤ということを加えたものというような考え方もありますし、しかし、国際的に見て高い価格で買うということのないような配慮だけはしていかなければならぬと思います。それからもう一つ問題は、鉱石を買ってきて
鉄鋼
にして売り出す、輸送という問題が非常にハンディキャップになるわけです。それにつきましては、製鉄会社に専用船を作らせるとか何とかいうような
計画
も考えて、極力輸送についてのコストも下げるということも考えていかなければならぬと思います。
岡田宗司君(岡田宗司)
81
○岡田
宗司
君 これは重工
業局長
にお伺いするのですが、原料は今主としてマレー、フィリピン、インド、ゴア、あるいはその他から入ってくるが、現在はどこの鉄鉱石が一番有利なんですか。つまり、比較して一番安く入っているのですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
82
○
政府委員
(岩武照彦君) これは御承知のように、山元価格で見ます際は、これは品位だけの比較になるわけであります。ただ、製鉄所に入ってくる場合の有利のものということになりますと、御承知のように、運賃加算されますので、従って、端的に申しますれば、先ほど来お話のありましたように、鉱石の価格のうちでは、やはり運賃部分が一番大きゅうございまするし、また動きも大きいわけでございます。それで、どこの鉱石が現在一番有利かということになりますと、ちょっと私そこまで一々お答えするだけのあれもございませんが、概要を申しますれば、やはりマレーあたりの鉱石が比較的有利な場合が多いというふうに申し上げて差しつかえないと思います。ただ、フィリピンあたりの石、これは若干の性質の差もございまするので、山元の条件によりましては、マレーものよりもいい場合もあるようであります。これはなかなか一がいに言えないようでございますので、簡単に言いますれば、やはり同じ山元の品位の条件であれば、これは船の安いときにつかまえたケースが一番有利だということになるわけでございます。あるいは、海上距離の短かいのがいいということになるわけでございますが、なかなか一律に申せないようでございますので、ちょっとこれ以上どこが有利か、どこが不利か、ちょっと私もそれを今申し上げるだけの資料を持っておりません。
岡田宗司君(岡田宗司)
83
○岡田
宗司
君 買付ですね、普通の商品ですと、っまり相手が競争する、そのために安くオファーしたものを買うということができるわけです。鉄鉱石の場合はそうじゃないですね、それでかなり高いものをつかまされる危険性がないかどうかということ、たとえば、今後ルールケラーが
開発
されて、六四年から先あそこのものを持ってくるということ、あれはインド
政府
でやるということになって、一種の独占価格で売りっけられるというようなことにならないですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
84
○
政府委員
(岩武照彦君) 鉄鉱石の場合は、相当大きな部分は、山元の
開発
等に日本側がある
程度
の関連を持ってやっておりまするので、比較的長期の価格協定等もできておりますから、あとは運賃だけの問題になるわけでございます。ただ問題は、いわゆる買鉱と申しますか、スポットものを買う場合なんか、これは運賃が上りぎみのときになりますれば、やはり割高のものをつかむ、運賃が下りぎみのときはいいものをつかむというようなことになります。ルールケラーの場合は、これはきよう午前いろいろ交渉の経緯を聞いておりますと、これはインドから日本以外の国に
輸出
します鉱石の数量平均価格で港渡しをする、それに若干の国際的な動き、あるいは山の
開発
の状況の若干のコスト要因とをしんしゃくしまして、その数量平均よりもやや低目に取りきめよう、こういうふうになっております。従って、まあヨーロッパ方面のものよりも特に悪い条件で日本が買うということはないようでございます。あとはうまく安い船をつかまえるかどうか、こういうことになるようでございます。
岡田宗司君(岡田宗司)
85
○岡田
宗司
君 フィリピンですが、三十二年度ではフィリピンから来るのが百六十八万トンになるというのですが、そうですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
86
○
政府委員
(岩武照彦君) たしか、その辺の数字と思います。ちょっと。
岡田宗司君(岡田宗司)
87
○岡田
宗司
君 いや、大体でけっこうです。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
88
○
政府委員
(岩武照彦君) 三十二年は百四十万トン
程度
かと考えております。
岡田宗司君(岡田宗司)
89
○岡田
宗司
君 フィリピンのうちでララップというのが一番たくさん出しておりますけれども、このララップは、その百四十万トンのうちでどのくらい出ておりますか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
90
○
政府委員
(岩武照彦君) 大体百万トン前後でございます。三十二年は百万トンを少し割るようでございます。
岡田宗司君(岡田宗司)
91
○岡田
宗司
君 ララップには一つの鉱山でなくたくさんの鉱山がありますね。そうしてその鉱石は何ですか、フィリピン・アイアン・マインズという会社が一手に引き受けて、そして日本側に一手に売り渡しているということになっておるのですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
92
○
政府委員
(岩武照彦君) 私は詳しい山元の事情を承知しませんが、ララップの鉱石の積み出しにつきましては、日本側から特殊の契約を結びまして、向うの積み出し施設等に日本側が資金的な援助をしたかと思っております。ただこれが、たしか先方の相手の名前を私は承知しておりませんが、今お話のありましたように、たくさんの山のものを買い集めておりますのか、あるいはそのうちの主たる山のものを積み出すについて、日本側がそういうふうな資金的援助をしておりまするか、その辺ちょっと私も詳しい状況は存じません。
岡田宗司君(岡田宗司)
93
○岡田
宗司
君 フィリピン側はフィリピン・アイアン・マインズという会社と、それからこちら側は木下商店との間に何か契約ができているということなんですけれども、そうして木下商店がララップのものを一手に輸入しておる。それでたとえばララップにあるほかの鉱山が、たとえば日本の製鉄会社に対してもっと安い値でもって買ってくれ、こう言っても製鉄会社の方では、これはみんな木下とPIMとの間に契約があるから、買うわけにいかぬ、こういうことでこれは拒否しておる、こういうことを聞くのですが、そういうことはあるのですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
94
○
政府委員
(岩武照彦君) 私はその点まだ耳にいたしておりませんが、もし御必要でございますならば、
調査
いたしまして後日お答えしたいと思います。
岡田宗司君(岡田宗司)
95
○岡田
宗司
君 私はそういうことを聞いているのです。そうしてそのためにかなりララップのものの価格が高くなっておるということも聞いておる。どうして木下商店がそういうふうにララップのものを一手に取り扱うようになったか。またPIMとの間にどうしてそういう契約が結ばれたか、そうしてオプションがあるのにそれを通さなければ買えないのか、ということは私どももよくわからない、かなり解せない点があるのであります。そのために安いものを買えないでいることもあるんですね、こういうことはほんとうだとすると、ちょっと、おかしいのですがね。たしかマレーの方のやつは
鉄鋼
の値段が下ったんで向うでも安くしたというのですね、ところが、去年、三十二年ですか、ララップの方のは逆に上げたという話が来ているんです。これはいろいろ事情があるでしょうけれども、そうなってくると、どうしてそうなったか、むやみに高いものを買っていくということはおかしな話じゃないかと思うのですがね、そこらのところを御存じないでしょうか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
96
○
政府委員
(岩武照彦君) その辺の事情、実は何も耳に入っておりませんが、ただ、木下商店の名前が出ましたが、私の記憶によりますれば、木下商店が日本側の高炉三社から資金の
あっせん
を受けて、それをフィリピンの相手側に貸しまして、フィリピンの今お話のありましたフィリピン・アイアン・マインズというのですか、それがアメリカからこの積み出し施設を輸入してララップに据え付けて日本向け鉄鉱の
輸出
の増大をはかった、こういうふうな
関係
はあるのでございます。お話のありましたこのいわばアウトサイダーといいますか、ほかの山が安く売るのに木下商店がそれを相手にしないというふうな事情は、これはどういうことになりますか、もう少し調べてみたいと思います。どの
程度
のアウトサイダーの山がありまするか、その量あるいは品位等にもよるだろうと思います。何もそういう
技術
的な事情は聞いておりませんので、
調査
いたしまして後日お答えしたいと思います。
岡田宗司君(岡田宗司)
97
○岡田
宗司
君 昨年ですね、そのマレーの方でもって値下げをして——ところが、それを製鉄会社の方で拒否をしているのです。その後において、ララップの方から輸入される粉鉱のうち、昨年の夏にトン当り一ドル〇五の値上げが行われている、こういうのですね。それでまあいろいろどうもおかしいのじゃないかという問題も起っている、こういうのです。だから、
鉄鋼
の価格が下っていくときに、こういうようなたとえば契約があって、両方がまあ独占的に取引をしているということのために、日本が高い鉄鉱をつかまされているということになっていきますと、今後の日本の
鉄鋼
の価格の上に影響を持つことであるし、また今後日本が
鉄鋼
をコンスタントに
輸出
して、国際競争にたえていくというような場合には、これは大きな問題になろうかと思います。ここらのところに私は相当鉄鉱石の買付について疑問があるので、お伺いしたわけです。まあ十分なお答えがなかったのですが、お答えを願いたいと思います。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
98
○佐多
忠隆
君 この鉄鉱石の問題についてもう少しお伺いしますが、先ほどの五ヵ年
計画
の三十七年度鉄鉱石が二千二百万トンという場合には、これは千三百八十五万トンの銑鉄生産に見合う鉄鉱石ですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
99
○
政府委員
(岩武照彦君) 銑鉄の生産の目標は今御指摘の数字でございますが、鉱石はそのほかにわずかでございまするが、平炉用とかあるいは一部電炉あたりに使っている、そういうことが
計画
されている数字であります。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
100
○佐多
忠隆
君 そこで、先ほど各地からの三十七年度千六百万トンの鉄鉱石輸入、各地別の大体の見当をおあげになったのですが、その場合に、カナダあるいはアメリカの鉱石あたりは大したことはないと言っておられましたが、今アメリカでは、三十三年度ですか、今年度ですか、二、三十万トン入れておられますね、そういうのはさらに増加の方になるのか、カナダ百万トンの場合は、アメリカの方なんか全然切って、カナダだけに百万トンというような考え方なのか、そこらどうなんですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
101
○
政府委員
(岩武照彦君) アメリカは大したことないと申し上げましたのは、今後増加さす見通しはないという意味で申し上げたのでございます。三十一年度も大体九十七万トン
程度
来ております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
102
○佐多
忠隆
君 九十七万トン、三十一年度ですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
103
○
政府委員
(岩武照彦君) ええ、これは大体横すべり
程度
だろうと、こういう意味でまあ大したことないと申し上げたのであります。カナダの方は、現在三十万トンそこそこでございますが、これは比較的埋蔵量の多い、また品位のいい取得しやすい地点の鉱山が太平洋岸にございまして、その辺との連絡をつけまして、これは百万トン以上も取ることになるかと考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
104
○佐多
忠隆
君 そうすると、両方合せて、大体カナダ、アメリカで二百万トンちょっとというようなことになるのでしょうか。その場合に中国、今のお話では百万トンという話ですが、この百万トンという場合には、現在掘っているものを今度の協定で四十万トンを二、三年のうちにはふやせば百万トンになれるという話で、しかし、そうでなくて、さっき僕がお尋ねをしたのは、海南島の
開発計画
をインドであるとか、フィリピンであるとか、マレーであるとかいうようなところと同じような考え方で
開発
を積極的にやるのだということになれば、さっきのルールケラーの、あれくらいの年度、すなわち一九六四年度ならば、やはりもっとはるかに多い期待ができるのではないか、そうすればそういう方向にもう少し変えて、今のアメリカのものあるいはカナダのもの、そういうものをもう少し減して、むしろそっちの方に
重点
を置くという必要が出てくるのじゃやないか、というのは、鋼材の
輸出
その他との関連においても、それから価格の面においても、成分の面においても、海南島の石だったらそう劣らないのじゃないかと思いますが、そこらどういうふうにお考えになるのですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
105
○
政府委員
(岩武照彦君) 現在中国からは来ておりませんので、その数字が今後百万トン以上を見込めそうだというふうに申し上げたわけであります。それで実は海南島の事情はなかなか日本側からつかみにくいようでございます。過日の稲山ミッションの中のある人が帰りに海南島に寄って参りました。その話を聞いておりますと、われわれの考えておりますところとかなり違っておるようであります。と申しまするのは、今お話がありましたように、海南島の石碌あるいは田独にいたしましても、今後多量のものを積み出すには、かなりの
設備
費の投資が要るのじゃないか、港の
設備
にいたしましても、あるいは港までの輸送の鉄道の
設備
にしても、あるいは山元の採掘施設にしましても、今から手をかけなければならぬのではないだろうかというふうに一応みんな考えて参ったようでありますが、行ってみますと、港にはかなりローダーその他の輸送
設備
がそろっておるようであります。鉄道も単線ですが、ちゃんとしたものができておるし貯鉱もかなりある。これによって察するに、中国側はあるいは自分の方の製鉄原料に一部は使っておるのじゃないだろうかというふうな報告をしておりました。従いまして、今申し上げました百万トン以上といいます数字は、日本側でも、あるいは中国側でもそうでございますが、新しい大きな投資をしなくても比較的短かい期間に出得る数字というふうに承知いたしております。稲山ミッションが本年度の協定におきましては、たしか四十万トンだったかと思いますが、ちょっと数字がはっきりいたしませんが、その
程度
契約しております。それで現地の状況を考えますれば、今申しましたよりに比較的早く百万トンの数字をこすのじゃないかというふうに見られておるのであります。なお、品位の点でございますが、これはまあマレー、フィリピンのものに比べて劣っておるというほどのものではないのであります。ただ、インドのルールケラーのものに比べますれば、今度の永野ミッションの保証品位は六三であります。これに比べますれば海南島のは五七、八
程度
でありますから、これはそれだけまあメリットが落ちるというふうに考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
106
○佐多
忠隆
君 先ほどからのお話によると、インドは単にルールケラーだけでなくて、その他の所に対しても相当大規模な
開発計画
をお考えになっておる、もしそうだとすれば、それと並んで今の海南島の
開発計画
というようなものは、それと同じように、特に先ほどのお話のフィリピン、マレーがだんだんと停頓の状態になるとすれば、それに代替するものとしても相当積極的に考えていってもいいのじゃないか、もっと長期なものとしては。それから向う側も、この条件の話し合いによっては、今まで自由主義国家というか、資本主義国家とそういうことをやったことがないが、話し合いによっては、日本ならやりたいし、それは日本が元来
調査
されたものだし、
設備
もされたものだし、
規格
その他は日本の
規格
になっておるから、そうして自国の方としては、これは必ずしもここのものを期待はしていない、ほかの内地のもので十分間に合うものがあるので、日本でお望みとあれば、そういう形で
開発
してもいいということを、これは、そして非常にある意味では思い切った
計画
であり、提案なんだということまで言っておる。だからそういうことを一つ考えて、もう少し積極的に輸入鉄鉱石の政策の問題として、インドあたりのものと並んで一つぜひお考えになることがしかるべきではないか、こう思いますので、一つ考えてみていただきたいと思います。 それからもう一つ、
石炭
の問題ですが、これも申し上げるまでもなく、来年は四十万トンという中国からの輸入ですが、その場合にも、さらに、たとえば三十三年度は幾らお入れになるか、四百万トン近くお入れになるのじゃないかと思いますが、そのうちほとんど、三百万トン
程度
は米炭じゃないかと思いますが、この点も今の山西、中興あたりの炭、あるいは開らんでも、もっと洗いをよくしたら、そう遜色なしに、特に運賃を考えたら、比較的には有利に入るのじゃないか、それならばやはり米炭の三百万トンというようなものを、すぐにはだめかもしれませんが、逐次減していって、それを中国炭にかえていくという配慮をしてしかるべきなんだから、ことに、さっきから言っておる鋼材
輸出
との関連においては、そういうことが考えられるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
107
○
政府委員
(岩武照彦君) 製鉄所の強粘結炭の問題につきましては、三十二年度あたりに、今御指摘の四百万トン弱の輸入のうちで、米国炭が三百万トンをこしておるような次第でございまして、しかも、これは海上距離が九千海里をこしておるので、できるだけ近回りから入れるということは、これはもう当然のことだと考えております。ただ、先ほど申しましたように、銑鉄の生産が増加いたしますと、やはりこの輸入炭に期待します量も相当増加いたします。おそらく三十七年度あたりは八百万トンをこすのではないかと思っておるわけでございます。従いまして、ふえる分だけでも、まず近回りで
確保
するというふうに考えるのがまず第一歩だと思います。その上で米国炭が減らせるかどうかというふうな問題になるかと思っております。今おあげになりました中国側のいろいろな炭鉱の問題でございますが、今度のミッションも、
石炭
の問題につきましては、現地に着きまして、一々
調査
する余裕もなかったようでございますが、開らん炭は現在年間四十万トンの輸入
計画
を持っております。これが今度さらに十数万トン追加の契約をしております。品位が非常によくなって——非常にといいましても、一二、三%でございますから、特にいいということもございませんが、洗い粉炭でその
程度
出るということで、非常に喜んでおりますが、あとの井けい炭あるいは中興炭等も戦前、戦時中に日本側でタッチしておりました品位よりは若干落ちておるようだというふうなことでございましてそういうふうな選炭の問題等によりまして、どの
程度
品位が上げられるるかという問題、あるいはそのほかの強粘結炭の山について、どの
程度
日本側に
輸出
できるかという問題もございます。御指摘のように、できるだけ中国炭を入れたいというふうに考えておりますが、そういうふうな品位上のメリットと運賃とのかみ合せになります。それと中国側の製鉄業の増産に伴います
石炭
の必要量の増加という辺のところがどういうふうに相なりますか、ちょっと日本側ではなかなか見当がつきかねております。いずれにしましても、御指摘のような趣旨によりまして、まずふえる分でも近回りから
確保
したいということで、せっかく努力しておる次第でございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
108
○佐多
忠隆
君 海南島の
開発
の問題は、向うから積極的に応じてきておる。それはやるあれがあれば問題はない。従って、やってもらいたいと思いますが、さらに
石炭
の問題も、これは具体的には向うから名ざしては出しておりませんけれども、しかし、今のお話のように、向う自身も非常に積極的に増産を考えておりますし、その場合に、日本の
技術
なり何なりが必要になってくるあれは非常に大きいのじゃないか。従って、そういう点でもこの
技術
協力というか、それは同時に、日本のいろいろな
輸出
にもなると思うわけですが、そういう意味でいろいろなむずかしいデリケートな問題はあるでしょうが、東南アジア諸国の
経済協力
を考えておられるのか、それよりもっとと言いたいのですが、それはあなた方、今の
政府
だからそこまでは言いませんが、少くともそれと同じようなランクにおいて、そういう
技術
協力なり何なりという問題を積極的に進めることがこの際必要なんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点は大臣、どういうふうにお考えですか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
109
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 私は、もう純粋に
貿易
あるいは
技術
の協力という面でありますならば、極力推進すべきだと思います。これは全く共存共栄でいくべきなんで、そういう点につきましては、私は何人にも譲らず積極的に推進していきたい、かように考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
110
○佐多
忠隆
君 もしそういうお考えならば、この投資の基礎
調査
とかいうような問題としても地域的にもそれらのところを入れて同時に考えていただくことが一つと、もう一つは、どうしても
プラント輸出
という問題もあるだろうし、それになれば延べ払い、クレジットを与えるというような問題にもなると思うのです。そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
111
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 実は、その点について私の方でも非常にまあ
技術
的にどういうふうにやるか、まあ何としましても承認はいたしておりません。債権
確保
の問題につきましては、いろいろ外交交渉とかそういうまでにいきません。何かはかに
技術
的にかわる問題の処理の仕方があるのじゃないかというようなことで検討いたしておるのであります。ただ、聞きますところによりますと、むしろ中国としても延べ払いとかいうことを考えるのでなしに、実際に延べ払いをやらずにいくのだ、これは私は実にりっぱな態度だと思うのでありますが、そういう話も聞いております。その点ではむしろ最近はいろいろの
情報
によって安心しておるような次第であります。しかし、第三国の保証とか、いろいろの問題処理の仕方があるのじゃないかという意味におきまして、これらについても極力検討いたしております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
112
○佐多
忠隆
君 クレジット、延べ払いを必要としないというのは、今の現在、今度できた
貿易
協定の規模、そのくらいの場合にはそういう必要はないだろうと思うのです。しかし、さっき言ったように、海南島だけでなくて、
石炭
の
開発
なりその他いろいろの種類の
プラント輸出
という問題を考えてくると、必ず延べ払いなりクレジットの問題は出てくるし、これはもうすでにドイツなりその他の諸国でも現実の問題になってきておるのですから、日本でこれが問題になることは当然だと思うのです。その場合に、ドイツやイギリス等がそういう態勢のときに、日本がただあるいは承認していないからとか債権
確保
の問題が非常にむずかしいからといって、いつまでもぐずぐずしておられれば向うに先を越されてしまうという結果になるので、私は先ほど言っておるように、もっと投資の基礎
調査
その他の面においては、東南アジア諸国に劣らず同じランクで、地域的に入れて少くとも
研究
なり
調査
なりは積極的にされてしかるべきだと、こう思うのです。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
113
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) その点については全く異存がないのであります。強力に推進したいと、かように考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
114
○佐多
忠隆
君 それから先ほどこれは岡田君も出した問題ですが、この
輸出
の問題ですが、先ほどのお話だと、
輸出
も相当
程度
見込みながら
計画
を立てておる。それでこの新長期
計画
によると百二十万トン
程度
の
輸出
、三十七年度、こういうことになっておるようですが、この
程度
お考えになっておりますか。そして現在、三十一年、三十二年はどうだったのか。それからどういうふうな
計画
で百二十万トンということを考えておられるのか、その点を一つお答え願いたい。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
115
○
政府委員
(岩武照彦君) 長期
計画
の終年度の
輸出
の目標は、一応御指摘の百二十万トンに置いております。これは別段それだけでいいんだとかというふうな考えで作った数字ではございませんで、国内のこの鋼材に対しまする
需要
の見通しと、銑鉄あるいはスクラップ等鉄源の供給の
関係
から見て、この
程度
ではないかというふうな数字でございます。状況が許しますれば、もう少し
輸出
したいということは、これはまあ当然のことであります。過去の
輸出
の教字につきましては、おそらく百二十万トンという教字では、昨年あるいは一昨年の数字よりはかなり少い数字でございますから、状況が許しますれば、今申しましたように、もう少し
輸出
はしていけるだろうと思っております。ただ、先ほど……
佐多忠隆君(佐多忠隆)
116
○佐多
忠隆
君 三十一年、三十二年は、正確に幾らですか。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
117
○
政府委員
(岩武照彦君) 三十二年度は、これは集計を終っておりませんが、三十一年度は百三十七万トンでございます。三十二年度もこの
程度
の数字だと思っております。これは半製品
輸出
は、鋼材に換算した額も含まっております。先ほど岡田
委員
の御質問もございましたが、まあやはりわれわれとしましても、できるだけ加工度を高くし、付加価値の多いものを
輸出
したいという気持はございますので、やはり造船、鉄道車両その他の
プラント輸出
はもちろん
振興
しなければいけませんが、現実に鋼材等の市場もある
程度
、まあ培養地という言葉は悪うございますが、継続的な
関係
を持ってきておる市場もできておりますので、やはり鋼材
輸出
等もある
程度
はやらなければいかぬだろうと、こういうふうに考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
118
○佐多
忠隆
君 私がふに落ちないのは、今お話のように、三十七年度までには生産自体は相当伸びるのですね。第二次五ヵ年
計画
の、第二次の
合理化
計画
その他の結果、生産は相当伸びる、そして
輸出
を非常に大きく見ておる、全体としては
輸出
を伸ばさなければならぬということを言っておられる。そしてその
輸出
の中に鉄の
輸出
というものは相当重要なウエートを持つというふうにお考えになっているにもかかわらず、むしろ絶対量からいえば減るのだ、それは何かそれを
輸出
することが非常に困難だというようなことを正確にお考えになってのお話なのか、あるいは今お話の
通り
に、いや、二次製品なり三次製品なり、もっと付加価値の多いものとして、そっちをうんと見込んでいるから、こっちはこんなに少くしているのだとかなんとかそういうはっきりしたあれがあるのか、いいかげんな数字をただ出しておられるにすぎないのか、そこいらがわからない。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
119
○
政府委員
(岩武照彦君) これは、実はちょっと先ほど申しましたように、きわめて、製表
技術
の上から問題でございます。別段政策的に鋼材を押えておるという趣旨ではございません。端的に申しますると、鉄源でありまするスクラップは、おそらく現在以上に供給を増加いたしますことは困難だろうと思います。もう一つの鉄源でありまする銑鉄でございまするが、これは国内の製鉄
設備
、つまり溶鉱炉でございますが、これはピッチを上げましても、先ほど申しました数字の供給に達しまするには、実は相当困難がございまして、現在高炉建設に着手しておりまするもののほかに、なお千トン高炉二本を完成いたしませんと、この銑鉄の供給は間に合わないというようなことでございます。ところが、御承知のように現在着手しております高炉建設なども、資金の
関係
その他で延び延びになっておりまするし、いわんや、これに追加いたしまして新しく二本の千トン高炉を建てるということは、これはまあ困難でございます。また、スクラップの供給があまりふえません結果、製鋼法におきましてもスクラップの配合を減らしまして、銑鉄をよけい使うということもございまするので、どういたしましても、銑鉄の供給増加という点が、その鋼材供給のネックになるわけでございます。目下のわれわれの需給の作成の
技術
から申しますると、これ以上鋼材供給はむずかしいのじゃないかと思われまするので、しかも、これ若干の輸入までも見ております。何か非常な自己矛盾かもしれませんが、その
程度
まで考えましても、これ以上の供給が無理だとなりますれば、国内の一応の
需要
を測定いたしましたものを充足いたしますれば、残りを
輸出
するということになりまするので、従って、百二十万トンというふうな、はなはだ貧弱な教字になるわけでございます。これを国内の
需要
を押えて積極的に
輸出
をすべきかどうかということも政策としては考えられると思いますが、この点はもう少し現実の問題になりましてからの議論だと考えております。一応需給表を作ります上からは、この
程度
の数字にしておきたい、こういうふうに考えております。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
120
○
主査
(
小幡治和
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
主査(小幡治和君)(小幡治和)
121
○
主査
(
小幡治和
君) 速記を起して。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
122
○佐多
忠隆
君 しかし、今のお話だと、この銑鉄にして三十三年度八百万トンのやつが、この
計画
によると千四百万トン、千三百八十五万トンという増加ですね。それから、鋼塊が三十三年度総合して一千三百万トン、一千四百万トンぐらい、それが二千万トンになるわけでしょう。国内で生産は非常にふえるのですね。それにかかわらず、
輸出
は伸びないのみならず、むしろ減っちゃう、絶対的にも減っちゃう、だから、こっちの銑鉄の供給なり、鋼塊の供給力があまりないからだということでは解明にならない。むしろそれだけ国内の生産はふえるけれども、国内の
需要
がうんとふえるから、そちらの方に足りないので
輸出
にはなかなか回せないというお話ならまだわかるのです。そこいらがはっきりしないが、その点はもっと大きな問題とひっからめて、これは企画庁の問題でもありますから、じゃ、もっと大きくして、第二次の
合理化
計画
——三十二年度から始まって三十七年度、この第二次
合理化
計画
というのは相当前に作られたものだと思いますが、この
合理化
計画
はそのままあの
計画
でやられるつもりなのかどうか。特に私がこれを問題にするのは、あの
計画
ができた後に現在の不況状況なり何なりが出てきている。そういうものを考えた場合に、それ以前の見通しでやられた第二次
合理化
計画
なるものは、
設備
投資その他はこのままでやっていいという、基礎的な、こういう基幹
産業
だから、これは現在の一時的な好況不況にかかわらず、それは無視してやる、当初
計画
通り
積極的にやるのだというお考えなのか、それとも現在のような状態を見て、もう少しこれは手直しをしなければならぬというふうにお考えになっているのか、その点はどうなんですか。両大臣に一つ。
政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)
123
○
政府委員
(岩武照彦君) 事務的な立場から申し上げますると、先ほど御指摘ありました国内の
需要
の見通しの問題が一つございます。これは実は過去の
鉄鋼
需要
の推移と工業生産の伸長ぶりと
対比
して検討いたしますると、
鉱工業
の生産指数の増加率と鋼材の国内
需要
の増加率と大体同じようでございます。そこで、今回も企画庁の
鉱工業
生産指数の増加率に合せまして、年率八・二%でありまして、この率で国内の鋼材
需要
が増加するのではないかというふうなことで、国内
需要
の数字をはじいたわけでございます。そういたしますと、これにまあ
輸出
の問題もございますが、先に鉄源の供給力の方を具体的に詰めて参りますると、この需給我にある数字が大体マキシマムに近いのじゃないだろうかというふうな結論でありまして、これにも若干の銑鉄輸入なんか見ておりますが、この
程度
の鉄源の供給力ということになりますならば、差引、
輸出
はこの
程度
にとどまらざるを得ないだろうという数字であることは、先ほど申し上げた
通り
でございます。そういたしますると、鉄源の供給力のうちで、銑鉄が一番大きな要素を占めまするので、この生産施設でありまする高炉の建設
計画
を具体的に検討して参りますると、大体この期間におきまして十一本でございましたかの高炉建設が必要になるというふうな数字に相なります。で、その高炉の建設
計画
あるいはそれに見合いまする転炉の
計画
あるいは分解施設等の
計画
等を総括いたしまして、長期の投資
計画
あるいは第二次
合理化
計画
というふうに総称しておるわけでございます。そこで、この
計画
は、現状から見て再検討の余地はないかという問題になるわけでございますが、われわれとしましては、当面の
鉄鋼
需給の問題もございまするが、やはり日本の
鉄鋼
生産の基本は、何と申しましても鉄源対策、なかんずく製銑
設備
の増強であろうと思っております。これが第二次
合理化
計画
の中心になっておりますので、この目標は一応これで進めて参りたいと思います。ただ、具体的にそのときどきの好況あるいは不況等もございまして、資金の調達力等にも差異が出て参りますので、この年次的な投資の問題につきましては、それぞれの状況に応じてあんばいし、調整して参ることが必要だと思っております。目標だけは一応この目標を目安にしまして仕事を進めて参りたいと、こういうふうに考えております。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
124
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) ただいま重工
業局長
が
説明
いたしましたように、将来の長期
計画
としましては、私はあくまで進めていかなければならぬと思っております。ただ、最近の不況につきましては、
需要
の
調査
をいたしますと、強気であったり弱気であったり、これはそのときによって非常に差異が出ております。また価格の問題その他もありますので、実は減産なり調整は必要ないかと思っておりましたが、当分においては、相当な調整をやらなければならぬということになったのであります。その点はやはり生産調整は必要だと思っておりますが、生産の
設備
その他におきましては、長期
計画
にのっとって極力推進していきたい、かように考えております。
吉田法晴君(吉田法晴)
125
○
吉田
法晴
君 関連、企画庁長官もこられてあと問題が移るわけです。今の佐多さんの質問に関連する部分だけお尋ねいたしておきます。先ほど来、中国等につきましても、
プラント輸出
を含めて大いに今後
鉄鋼
あるいは
鉄鋼
製品の
輸出
をはかりたい、こういうお話でしたが、そういう点について
計画
がおありになるのかどうなのか。まあ聞いておりますと、結局問題が起ってきて、たとえばインドならインドの場合に、民間使節が行って話をしてこられた、それをあとでどうするかということで、
政府
自身としてどういう
計画
をお持ちなのか、こういう疑問が起って参るのです。要するに、あれは鉄あるいは
鉄鋼
あるいは
鉄鋼
製品その他の問題を含んで、そういう
輸出
増進について、供給先を含んで
計画
をお持ちなのかどうかお尋ねをいたしたい。もしお持ちであるならば、中国について
プラント輸出
云々の
計画
がございますならば、今検討に入っておるというココムの制限緩和についても、具体的に日本の案というものがあるだろうと思うのですが、どういう意見と申しますか、希望と申しますか、お持ちなのか、承わりたい。 それからもう一つ、前の鉄鉱石の輸入先でありますインドあるいはフィリピンその他特別になにが出ましたが、私どもこれは聞くところによると、アジアのインドの鉄鉱石と、それから中国の
石炭
とが大きく結ぶならば、これは日本の今後の何と申しますか、アジアにおける経済分野というものは非常に限定をされるのではないか、こういうことを聞くだけに、鉄鉱石にしてもあるいは
石炭
にしても、
石炭
の場合には、国内産のあるいはこれはまあ弱粘結炭かもしれませんが、どういう役割を果すかということをお考えになりますか。そういう
鉄鋼
にいたしましても、あるいは
石炭
にいたしましても、あるいは市場にいたしましても、そういうものが五ヵ年
計画
の中で、
計画
を持って仕入れ先と申しますか、あるいは仕向け先を含んで
計画
的にお持ちなのか、通産大臣の答弁を承わりたいと思います。
国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)
126
○
国務大臣
(
前尾繁三郎
君) 五ヵ年
計画
につきましては、先ほど来申しておりますように、鉄鉱石その他の
確保
につきまして、一応ラフな
計画
は持っておるわけであります。また中共に対して
プラント輸出
その他につきましても、これは詳しくはやっておりません。しかし、一応どの
程度
にふえていくかという
計画
はいろいろ考えておるわけでございます。ただ
鉄鋼
の
輸出
に関連いたしまして、中共の鉄鉱石あるいは
石炭
につきまして、今までは実はよくわからなかったのでありまして、鉄鉱石につきましても、最近になってかなりの供給力がもうすでにあるということが判明してきたのであります。しかしまだ、ただいまの
鉄鋼
の使節団が行きましてきめました数量は、それほど大きなものではありません。すべての
計画
を変えていくというほどのものではないのであります。しかし、今後の鉄鉱石の生産状況あるいは中国における
計画
等を知り、あるいはまた
石炭
につきましても、先ほど来お話がありましたが、そういうような
計画
がわかれば、これを積極的に織り込んだ
計画
を立てていくということにしたいと、かように考えておるわけであります。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
127
○
主査
(
小幡治和
君) それでは通産
省所管
については、本日は、一応この
程度
で終了することとし、残余の質疑等は、明二十五日に続行いたすことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
主査(小幡治和君)(小幡治和)
128
○
主査
(
小幡治和
君) それではさよう決定いたします。
—————————————
主査(小幡治和君)(小幡治和)
129
○
主査
(
小幡治和
君) 次に、総理府のうち経済企画庁所管を
議題
といたします。 まず、河野企画庁長官から御
説明
願います。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
130
○
国務大臣
(河野一郎君) ただいま
議題
となっております経済企画庁の
予算
案について御
説明
申し上げます。
歳出
予算
の要求
総額
は二十九億九千五百二十五万八千円でありまして、これを前年度
予算額
二十三億二千四百七十六万九千円に比較いたしますと、六億七千四十八万九千円の
増額
となっております。この
増額
となったおもな理由は、離島
振興
事業
費が前年度に比較して五億七千八百九万四千円
増額
となったためであります。 次に、
経費
の内訳を申し上げます。 第一に、経済企画庁の項では、要求額は二億八千九十五万二千円でありまして、前年度二億四千六百五十万五千円に比較いたしますと、三千四百四十四万七千円の
増額
となっております。 この要求
経費
の内容を御
説明
申し上げますと、人件費一億九千一百二十七万円と事務費八千九百六十八万二千円であります。この事務費は一般庁務の
運営
経費
並びに次に申し上げる内容のものであります。
わが国経済
に関する長期
計画
及び年次
計画
の策定、国際
経済協力
の推進、基本的経済政策の企画立案並びに経済審議会その他各審議会の
運営
等に要する
経費
が七百三十二万円であります。
わが国
内外の経済の動きを的確に把握し、また経済白書等の報告書及び統計指標を作成する等、経済動向の
調査
分析に必要な
経費
が四千二百六十六万五千円であります。
わが国経済
の
安定的成長
をはかるためには長期経済
計画
の策定、及びこれに基く政策の樹立並びに景気変動に対処する経済
運営
の基本的態度の決定が最も適切でなければなりません。この要請にこたえるには、内外経済動向の的確な把握と経済構造及びその変動の諸要因の探究について
調査
研究
の
充実
と
機構
上の
強化
をはかる必要があります。よって新たに経済
研究
局(仮称)を設置いたしますほか、三十名の定員増加、
海外
駐在員の設置、民間有識者三省の参与委嘱等の
措置
をいたしております。 また事務費におきましても、景気観測に要する
経費
はその
重要性
にかんがみ一千一百六十万三千円
増額
しております。 なお経済構造、経済循環その他経済の
基本的事項
を
調査
研究
するために要するに事務費は四百四十八万五千円であります。 第二に、国土
開発
調査
費の項では、要求額は一千九百七十七万八千円でありまして、前年度一千五百九十七万四千円に比較いたしますと、三百八十万四千円の
増額
となっております。 この
経費
は国土総合
開発
法、電源
開発
促進
法、特殊土じょう地帯災害防除及び
振興
臨時
措置
法、離島
振興
法、東北
開発
促進
法等の各法律に基きまして、それぞれ災害の防除と生産力の発展を
促進
する諸
施策
を樹立するために要する
経費
と国土総合
開発
審議会、電源
開発
調整審議会、特殊土じょう地帯対策審議会、離島
振興対策
審議会、東北
開発
審議会の
運営
に要する
経費
であります。なお、九州地方の総合
開発
を
促進
するための
調査
費として、新たに五百万円を要求しております。 第三に、土地
調査
費の項では、要求額は一億八千五百二十七万二千円でありまして、前年度一億八千一百十二万八千円に比較いたしますと、四百十四万四千円の
増額
となっております。 その内容を申し上げますと、基準点測量におきましては、四等三角点の新設点数を九百五十点と
予定
し、これに要する
経費
として三千六百四十一万円、国土
調査
法の規定によって、
地方公共団体
、土地改良区等が地籍
調査
を行いますときの
補助金
として一億四千万円、土地分類
調査
と水
調査
については、委託
調査
費として五百四十万円となっております。 第四に、国土総合
開発
事業
調整費の項では、五億五千万円を要求しております。国土総合
開発
法に基く
開発
事業
は、各省各庁によってそれぞれ所管を異にして実施されるため、
開発
事業
相互の進度に不均衡を来たし、総合的な効果が発揮せられない場合があります。このような場合に、経済企画庁がこれを調整いたしまして、総合
開発
の効果を上げようとするものであります。特定地域及び
調査
地域並びに東北地方及び九州地方における
開発
事業
を対象といたすものであります。 第五に、離島
振興
事業
費の項では、要求額は十九億五千九百二十五万六千円でありまして、前年度十三億八千一百十六万二千円に比較いたしますと五億七千八百九万四千円の
増額
となっております。 この
経費
は離島
振興
法に基きまして離島において国が行いますところの治山治水、道路
整備
、港湾漁港、食糧増産等の公共
事業
に必要な
経費
と、
地方公共団体
等が行いますところの公共
事業
、農山漁村電気導入
事業
、簡易水道
事業
に必要な
事業
費を
補助
するための
経費
であります。この
経費
は、前年度までは、各
事業
実施の省庁に計上されておりましたが、本年度より経済企画庁に一括計上したもので、その使用に際しましては、各
省所管
に移しかえるものであります。 以上で経済企画庁の
予算
説明
を終りますが、なお、御質問に応じて詳細御
説明
を申し上げたいと存じます。 何分よろしく御審査の上、すみやかに
可決
せられんことを御願いいたします。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
131
○
主査
(
小幡治和
君) 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
132
○豊田
雅孝
君 新長期経済
計画
を見ますると、
輸出
規模を三十七年度には三十一年度に比べまして通関ベースで八二%上げようということになっておるのでありますが、これを達成するというのは、容易でないというふうに私どもは考えるのであります。これをどうしても達成するというのには、よほど画期的な裏づけ対策がなければならぬというふうに考えるのでありますが、特に税制
関係
につきまして、西独があれだけ
輸出
を
振興
さした例などから見ましても、よほどしっかりした税制
計画
を、しかも
計画
的に漸次に立てていかないと、また実行していかないと、これだけの目標を達成することは困難じゃないかというふうに考えるのであります。これにつきまして長官の構想を一つ率直に伺いたいと思います。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
133
○
国務大臣
(河野一郎君)
輸出振興
について必要な税の改正、つまり奨励の方法として税制の処置をどういうふうに考えておるか、考える必要があるじゃないかということでございますが、むろん、
輸出振興
はこの新長期経済
計画
の主眼点になっておるのでございまして、これが達成には、すでに当面必要な処置も
政府
としてはごくわずかではございますがとったわけでございます。今後におきましても、この
計画
が
輸出
輸入、これらの調整をとりつつ日本の経済の発展を期して参るということでございまして、第一義的に考えていかなければならぬ問題でございますから、しばしば通産大臣からも申しております
通り
、今ここでどういう税をどういうふうにするということは、むろん私は案を持っておりませんが、時々必要な
措置
については優先して考えていく必要があるということだけは、強くこれは思っておるわけでございます。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
134
○豊田
雅孝
君 今現にごくわずかなことはやっておる、そして全体の構想というものは、今のところお持ちでないということでありますが、この
輸出
規模の上昇構想も、これはやはり一つの構想でありまして、そんなに確実にしっかりしたものじゃないと、まあ失礼ではありますが言わざるを得ぬのであります。従ってそれを達成するのには、どういう減税
計画
が必要であるか、もっと具体的に言いますというと、御承知のことかと思いますが、光学
機械
などの
輸出
をするにしても、西独などには物品税というようなものはないのですね。ところが、
わが国
は物品税があるために、光学
機械
の
輸出
を伸ばすにしてもなかなか容易じゃない。それからまた、
法人
税につきましても、西独などでは一時内部留保は一〇〇%控除を認めたというようなことでありまするし、また、
わが国
の
事業
税というものは商工業者だけが納めておる。こういうようなことでは、
輸出
コストに響いていって、
輸出
を
振興
するということは楽じゃない。のみならず、今申す八二%も
輸出
規模を上昇させようというようなことについては、徹底的に減税
計画
というものを立て、また推進していかないといかぬと思うのですが、大蔵省は従来からいろいろ特殊の立場があるだけに、なかなか事は推進しない。通産省も、通生省でなかなか思うように、これまた打開ができない。こうなると、経済企画庁であの
輸出
規模というものを三十七年度までに八二%上昇させようというのには、よほどしっかりした
計画
を立てていかなければいかぬと思うのでありますが、そういう点で河野長官のこれは政治家として、少し先を見通された構想から、減税についてはかくあらぬばならぬという
程度
のことは、一つここで伺うことは非常に意味があるのじゃないかというふうに思うのでありまして、そう現実に今すぐ大蔵省とどうとか、通産省とどうとかいうようなことじゃなく、一つ
計画
は
計画
なんでありますから、一つ政治家としての率直な抱負、経綸を伺いたいと思うのです。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
135
○
国務大臣
(河野一郎君) 御承知の
通り
、税の問題につきましては、最も熱心に
内閣
におきましても検討いたして、税制
調査
会の
調査
の結果等を十分に尊重していっておるわけでございます。その間にありまして、ただいまお話しのようなことにつきましては、特に企画庁としては考えなければならぬ、また、たとえば
機械
あたりが従来のような償却年限でいいか悪いかというようなことにつきましても、相当今回の減税の際に当りましても、議論を実はしたわけでございますが、これらにつきましても、なかなか内容の検討が困難でございまして、急速にはなかなか間に合わないというような事情も実はありまして、あと回しにしたようなわけでありますが、現在の日本の
産業
全体をながめて見、特に
輸出
産業
につきましては、一方においてダンピングであるとか何とかというような問題も起りますから、それらの点を考えつつ、十分そういう点と抵触しないような面において、ただいまお話しのような税の面において操作するとか、もしくは基幹
産業
においてこれを考えるとかというような点については、いろいろ各方面の御意見を伺いつつ遅滞なくやって参りたいというふうに考えておるのでございまして、今差し当ってお話しのような点につきまして、明確にここでお答えできぬことは、はなはだ遺憾でありますけれども、各方面の御意見を伺いつつ、今お話しの
通り
、なかなかこれだけの
輸出
を達成することはむずかしいということは、十分わかっておりますが、さればと申してこの
程度
にやって参りませんことには、増加して参ります人口を、増加して参ります就業人口をどういうふうに吸収していくかというようなこと等から考えまして、どうしてもこれを消化していかなければならぬというふうに考えておるのでございますから、お話しの点も十分考慮いたしまして、それらにつきましては、遅滞なく必要な
措置
はとるということに考えていきたいと考えております。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
136
○豊田
雅孝
君 そうしますと、
輸出
規模拡大
計画
に伴う減税
計画
、こういうようなものは、全然今まで検討せられたことはないのでしょうか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
137
○
国務大臣
(河野一郎君) 実は長期
計画
策定に当りましては、全体を通じての減税はそこに示してあるように考えておりますけれども、特に
輸出
産業
について考えたことはないのでありまして、ただ優遇して扱うという
程度
に考えておるわけでございまして、まだそこまでいっておりません。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
138
○豊田
雅孝
君 そうしますと、この際この
輸出
規模拡大について、具体的に西独等の先例から見ましても、減税
計画
を立てねばいかんというふうに長官はお考えでございましょうか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
139
○
国務大臣
(河野一郎君) お話しのような点の御意見は、相当に各方面に有力にございます。また、この税に関する部会等におきましては、具体的な案も実は出ておるそうでございます。従って、これらを大蔵省方面と意見の調整をはかりまして、なるべく早くきめる必要があるだろうというふうには考えておりますけれども、具体的には今決定の運びに至っておりません。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
140
○豊田
雅孝
君 それでは、今後減税
計画
を特に検討願うという上におきまして、先ほど申し述べました
法人
税の内部留保の問題、それから物品税の問題、それから地方税としましては、
事業
税を撤廃するかどうか、こういう面について、
輸出
規模拡大
計画
の見地から御検討を願い、そうして強力に大蔵あるいは通産方面と連携せられまして、打開の道を講ぜられたい。これをまた適当な機会に、あらためてその結果を承わりたいと思います。と同時に、資金
計画
については、検討せられたことがあるのでありましょうか。その点を伺いたい。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
141
○
国務大臣
(河野一郎君) 事務当局から
説明
させます。
政府委員(大來佐武郎君)(大來佐武郎)
142
○
政府委員
(大
來佐武郎
君) 資金
計画
、
輸出
の直接の資金
計画
ということではございませんが、この五年
計画
全体を遂行するための資金の所要量全体の見積り、日本経済の今後に予想されます資本の蓄積の
総額
といいますか、そういういわば巨視的な見積りは、
計画
の中でいたしております。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
143
○豊田
雅孝
君 全体の
計画
はおありのようですが、そのうちで、大体
輸出
関係
については、これが
重点
をなしておるだけに、目の子、腰だめでもいいのですが、どの
程度
のことを考えているのですか。
政府委員(大來佐武郎君)(大來佐武郎)
144
○
政府委員
(大
來佐武郎
君) 実は、この
計画
の性質から申しまして、
鉄鋼
とか、
電力
とか、そういう大きなものにつきましては、一応五年間の所要資金を出しておるわけでありますが、そのうちで、
中小企業
を含めて、
輸出
の分が幾らかという計算は、所要資金量としてはいたしておらないわけであります。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
145
○豊田
雅孝
君 この点も長官にお願いしておくのですが、
輸出
規模の拡大がよほど大幅であるだけに、資金
計画
を具体的に将来検討をいただきたいと思います。 さらに伺いたいのは、
輸出
規模自体の拡大
計画
については、地域別で特に伺いたいと思うのでありますが、たとえば、これは中共にどの
程度
の拡大を見込んでいるか、あるいは対ソにはどの
程度
の拡大を見込んでいるか、そういう
程度
の拡大
計画
、これを一つ伺いたい。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
146
○
国務大臣
(河野一郎君) 御承知の
通り
、この長期
計画
策定につきましては、各方面の
関係
業界の方々もむろんお集まりになりまして、一応
輸出
の見込み等は地域別にやりましたけれども、それは今ここで申し上げるほどのものにはなっておらないということでございます。なお、事務当局からお答えいたさせます。
政府委員(大來佐武郎君)(大來佐武郎)
147
○
政府委員
(大
來佐武郎
君) ただいま大臣から御答弁の
通り
でございまして、経済審議会の部会の
貿易
部会というのがございまして、この
貿易
部会の一小
委員
会でございましたか、
輸出
目標を検討する小
委員
会で、いろいろ、品目別、地域別の議論をやっていただきました。まあ、検討はしたわけでございますが、やはりこまかく分ければ分けるほど、
輸出
の目標というものは不安定な要素が多くなって参りますので、
政府
計画
としてそのようないろいろ動く数字を正式の
計画
に取り上げるのは不適当ではないだろうか、それから対外的な
関係
もデリケートな
関係
がありますので、一応本
計画
にはそういう内訳は示さない扱いになっております。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
148
○豊田
雅孝
君 今内訳を明らかにしていくということは容易でない、また、それは対外
関係
等もあるというお話しでありますが、内訳がなくて全体の取りまとめができるというのは、私どもはこれは納得がいかぬのでありまして、また、対外的に
関係
があれば、それは秘密会でも何でもいいですし、従来から長期
計画
というものが、いつも単にデスク・プランであって、絵にかいたもちだというふうに言われてきたのは、やはりそういうところにあると思うのです。この
予算
のこまかい内訳等もありまするけれども、何といっても、長期経済
計画
をしっかり立てて、そうしてそれを推進していくということは、経済企画庁として最大の任務であるのでありますから、そういう点で、一応のプランはプランとしてでも、地域別にはこういう
計画
である、それに伴う資金
計画
はこういうものである、さらにそれに伴う減税
計画
はこういうものであると、そういう
計画
がはっきりあってしかるべきで、また、それでなければ、全然意味がない、そういうふうに思われるのであります。その点について、今後拡大
計画
について、また資金
計画
について、また減税の
計画
について、しっかりしたものを、再出発の形で御検討願って、そうしてそれを適当な機会に、また適当な方法でいいのでありますから、お示しを願いたいと思いますが、この点について、すべての点について最も実行をたっとばれる河野長官の御決意を、また、長官が長官になられた意味は、そこらにあるのだろうと思いますから、あらためて一つ御決意を伺いたいと思います。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
149
○
国務大臣
(河野一郎君) 実は、今のお話しでございまするが、たとえば
輸出
の数字をきめますにしましても、通産省、大蔵省の間に、もしくは農林省の間に、いろいろ意見の違いが出てきます。お話しのように、非常に楽観的に大きく見る省もありますし、また、そうはいかぬという見方もあります。これを民間の方面から考えましても、生産する者と、それから実際の
貿易
を扱う者との意見が、なかなか一致しないものであります。そこらのところを調整、あんばいして、そうして取りまとめをして作りましたのがこの
計画
でございまして、また、企画庁としての任務もおのずから実はそういうところにあるので、これは現在におきましては、御承知の
通り
、
貿易
につきましては、通産省で一応
計画
を、みなで出したものを調整し、あんばいして、決定したら、それぞれの所管行政省において責任を持って忠実に実行していただく。その結果を企画庁においては十分うしろでながめておりまして、どういう点にうまくいかぬ点があるか、どういう点に障害があるかというようなことを
調査
していき、またそこに協力、補正をしていくというようなふうにして私は実はいった方がいいのではないかと、こう考えておるのでございまして、今のところは、おのずから企画庁の職責としましても、一応その
程度
が一番妥当ではなかろうかと、こう思っておるのでございます。今お話しのように、税の点について一つ案をしっかり持てとおっしゃいましても、おのずから税につきましては、大蔵省が所管になっておりまして、これに対して
貿易
の
関係
の税を持っておりましても、他の税との関連におきまして、また、自治庁等の
関係
も出て参りますしいたしますので、なかなかそういきかねる点もあります。そういうことで、この長期
計画
を一つ一つ分析していただき、一つ一つ詰めて参りますと、なかなか、そこには割り切ってお話のできない点も実は起ってくるような気持ちがするのであります。従って、これを総合して、すべてのものを調子を合せて一点にまとめれば、この
程度
にまとまるのじゃなかろうかということだろうと思います。でございますから、今後も引続き、いろいろの面について御要望なり御注意なりは十分拝聴いたしまして、順次これをまとめて強くしていく、しかも、実行上については、遅滞なくこれを行うということでやって参る、また、世論の支持によりまして、役所の中におきましても、それぞれ従来の認識が、時にこれを強め、または変更するというようなことが起ってくるだろうと思うのでございますが、それじゃ全く空なものか、全くふわふわしたものかと申しますと、今まで相当に勉強してやり上げましたものが、まず押えてみると、この
程度
で押えていくよりほかにおさまりがない。この
程度
ならば可能だろうというところをねらってまとめたものでございまして、この
程度
ならばやり切ることができるだろうし、また、この
程度
やらなければ将来のために困るだろうというところのものでございますから、われわれの決意といたしましては、先ほどお話しの
通り
、この
貿易
の数字にしましても、五ヵ年間にこれだけのものをふやしていくということは容易でないことは了承しております。現に、
明年度
にいたしましても、こういう世界情勢のもとにおいて、しかも、三十二億以上のものを出さなければならないというようなことは、なかなかこれは容易なことじゃない、各方面でいろいろ御議論もございます。しかし、これを達成するにあらざれば、国内の経済全体に非常にまずい影響が起ってくるということでございますれば、今後も引き続き、さらにまた、これを
助成
して参るということを考えていくということでやって参りたいと思っておるわけでございまして、いろいろ御注意でございますけれども、特に私といたしましては、一たん決定し、そして各方面の御協力を得ております以上は、
政府
内部におきましても、
予算
の編成等につきましてもいろいろ御意見もございますけれども、実は相当な努力をしてこの
程度
にまとめたというつもりでございまして、今後もこの線を逸脱しないように、ぜひ
政府
みずからやるし、各方面にも御協力願おう、こう考えておるわけでございます。なおよく、各般についての御注意なり御協力なりちょうだいいたしたいと思っております。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
150
○豊田
雅孝
君 今のお立てになっておる
計画
自身が、現在の減税
計画
なり、あるいは資金
計画
なり、あるいは今の
貿易
政策それ自体、そのままでいけるという確信がおありになるならば、またそれを承わるのもけっこうなのですが、今の大蔵当局の行き方にしましても、あるいは通産当局の行き方にいたしましても、ある意味においては、いわゆるセクショナリズムになっておる。それがために、場合によるというと、従来の大蔵省的な考え方が、一種の画期的な伸張にはネックになっておるという面もこれはあるということを肯定せざるを得ぬだろうと思うのでありますが、そういう面から、経済企画庁というものは、一段高い所から、総合的に、かくあらねばならぬ、そのかくあらねばならぬというものを数字的に出すというと、今度お示しになっておるようなものだと思うのであります。従って、そういう見地から、かくあらねばならぬ、それにもいろいろお話しのように摩擦はあろうと思いますが、まあまあこの
程度
なら一つやってみようという
程度
の
輸出
所得の減税
措置
、またこれに関連して、先ほど申します
通り
、物品税とか、
事業
税とか、そういうもの等について
研究
をせられ、また、別個に資金
計画
も検討せられ、また、地域別にも拡大
計画
というものをお考えになる、そうしてそれが工合悪ければ秘密会でもいい、そういう点で一つ、将来あらためて何もかも
計画
自身を改めるという意味ではないのでありますが、それの裏づけになる政策を具体的に検討してもらって、そうしてそれを適当なときに適当な方法でお示しを願いたい、そういうことなんでありますが、これについて一つ最後に御意見を伺いたい。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
151
○
国務大臣
(河野一郎君) 今の
貿易
の地域別、物品別というようなものにつきましては、なお通産当局ともよく相談をいたしますけれども、かえって通産省の方からお聞きいただいた方がいいじゃないか。われわれの方としては取りまとめてやっております。それから税の点につきましては、大蔵省から聞きいただいた方がいいじゃないか、実は全体を見合って調整しつつやっておるのでございまして、まあ、たって企画庁からとおっしゃれば、企画庁もやらぬことはございませんけれども、これは両省と十分調整した上でいたすことでございまして、今のお話しでございますが、なおよく両省と相談の上でお答えすることにいたします。
貿易
の将来等につきまして、通産省、大蔵省、その他
関係
省が従来なかなか協調が保てない、そのために支障が起っておるのが実情であるというようなことで、これは私も全く同職に考えますけれども、今回、総合して長期経済
計画
を立てましてからは、相当各省の意見を強く調整をしてここに取りまとめたのでございまして、これが実施、
運営
に当りましては、各省に何らの懸隔はない、忠実にこの
計画
を遂行することに協力をしていくということに実はなっておるわけでございます。経済上の見通し等につきましても、いろいろ御意見も実はあるのでございますけれども、これらにつきましても、遅滞なく時々
関係
閣僚会を開きまして、意見の調整等につきましても、企画庁が中心になってやっておるようなわけでございまして、もし遅滞する問題がありますれば、及ばずながらできるだけその点は強力に進めていきたいと考えておりますので、この
計画
達成のためには全力をあげて進めたいと思っておりますので、ぜひ一つ御了承願いたいと思います。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
152
○豊田
雅孝
君 もちろん、大蔵当局、あるいは通産当局にも、それぞれの立場から今後追及はいたしますが、そのほかに経済総合
計画
の見地から御検討を願い、そうしてそれを先ほど来申しまするように、適当なる方法で示されたい。そういうふうに考えるのでありまするので、先ほどの御答弁によりますると、資金
計画
なり、あるいは減税
計画
等については検討するというお話しでもあったのでありまして、それは了承いたしまするが、同時に今後、一つ真剣に裏打ちの政策を具体的に御検討願いたいということを重ねて要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
153
○
国務大臣
(河野一郎君) 今事務当局ともいろいろ打ち合せをいたしましたが、この会期中に、資金
計画
なり地域別、品目別
貿易
の先のあれを
関係
省と打ち合せいたしまして差し上げることはちょっとできにくいと思いますので、これは決してやらぬのではないので、なるべく早くできました際に、しかるべき機会に申し上げることといたしまして、さっそく努力はいたします。
豊田雅孝君(豊田雅孝)
154
○豊田
雅孝
君 この会期中にということは容易でないと思いますから、私も考えておりません。そうして
計画
自体が長期
計画
ですから、あるいはこの次のときにでもいいでありましょうし、経済企画庁全体としての立場から総合企画、その裏づけという意味で検討を願い、明らかにしてもらいたい、こういう意味でございますから……。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
155
○
国務大臣
(河野一郎君) 承知いたしました。
吉田法晴君(吉田法晴)
156
○
吉田
法晴
君
説明
の中にありました、九州地方の総合
開発
調査
費五百万円、これはなんでしょう、五百万円では、人間が歩くだけでしまうと思うのですが、
調査
費にしても、五千万円というならまだわかるのですが、五百万円という
調査
費は、何に使うのですか。
政府委員(伊東正義君)(伊東正義)
157
○
政府委員
(伊東正義君) 私からお答えいたします。 九州
開発
調査
費の五百万円の問題でございますが、これは実は、東北の
開発
につきましては、二ヵ年間にわたりまして一千万円ずつ
調査
費がついておりまして、基本的な
調査
をやったのでありますが、九州につきましては、大体あそこの北九州と南九州は、いろいろな経済状態が違いますが、東北地方と比較いたしまして、やります
調査
につきましても、実は調整費の方で、九州
開発
のために五千万円というような調整費も実はついております。その中でも
調査
はできることに相なっておりますので、五百万円だけで九州の
調査
を全部するということは考えておりませんで、調整費の中でも
調査
の調整費がございますので、それと合せまして、九州地方の基本的な
調査
でありますとか、あるいは農業
関係
の改良等について、どういう形態がいいかというような
調査
を続けてやっていきたいと考えておりますので、五百万円で全部の
調査
をするというふうには、実は考えておりません。
吉田法晴君(吉田法晴)
158
○
吉田
法晴
君 それでは、総合
開発
事業
の調整費ですか、五億五千万円、この中で九州
関係
五千万円の
調査
、これはわかります。これはまあ、
調査
費を含んだ調整費五千万円、こういうのでしょうが、従来ここにあります特定地域は、あるいは
調査
地域も含んでおりますが、何々総合
開発
地域というのが特定をされて、それぞれこういうことを行うということが決定をされておりながら、その
予算
の裏づけがない。もっともこれは、企画庁は、総合
開発
の具体的な裏づけを全部やるわけじゃないと、こういうことを言われるだろうと思うのですけれども、しかし、従来国土総合
開発計画
を特定地域その他でやらせてきて、その
予算
の裏づけが十分でないということが一番大きな問題でした。五億五千万円で、これにこたえることは困難だとも思うのですが、従来ありました不満をどういう工合に解消しようとしておられるのか。五億五千万円の調整費に
関係
をいたして、お伺いをいたしたい。
政府委員(伊東正義君)(伊東正義)
159
○
政府委員
(伊東正義君) 私からお答えいたします。 特定地域の
事業
があまり進んでおらぬ、各省に
予算
はついておるのだが、あまりいろいろな地域
開発
が進んでおらぬというお話でございますが、御承知のように、全国で二十二ばかりの特定地域を指定いたしております。それでこれは、大体の
計画
は十ヵ年
計画
になっておりまして、約半分、五ヵ年ばかり経過いたしておりますが、進捗率は四〇%、大体四割くらいがその
事業
の進捗率になっております。これも、地域によりまして、いろいろアンバランスがございまして、たとえば、
開発
でありますとか、そういうようなものが中心になりました特定地域の
開発
につきましては、非常にテンポが早く進んでおります。ほとんど九〇%くらい進んでおるところもありますが、そのほかに、一般の公共
事業
といいますか、治山治水
関係
を中心としましたような特定地域につきましては、比較的おくれておるというような、地域ごとによりましてアンバランスはございますが、平均しますと、大体四割くらい進んでおります。われわれの方といたしましては、これは各省が実施をいたす
事業
でございますので、その間にいろいろなアンバランスが出てくる。たとえば、河川と土地改良について、河川だけ進んだが、土地改良は進まぬというような、そういうアンバランスをなるべく調整いたしまして、なるべく早く経済効果を上げるというような趣旨からいたしまして、一昨年から、てこに計上してあります調整費というような
予算
をもちまして——一部は
調査
費に使っておりますが——そういう調整費でその中のバランスをとっていくというようなやり方で、特定地域の
事業
をなるべく早く進めて参りたいというような行き方をしております。
吉田法晴君(吉田法晴)
160
○
吉田
法晴
君 地域によって違うということ、それから、地域の中で、河川は進んでおるけれども、道路は進まぬという場合に調整をしたい、こういうお話でしたが、地域の場合に、東北その他は、これは早かったせいもありましょうが、あるいは進捗率も相当なあれかもしれませんが、北九州にいたしましても、それから九州
関係
その他有明海を含めた地帯、それから先年
予算
委員
として鳥取に参りました場合に、鳥取、あれは、大山、出雲総合
開発計画
等については、先ほど申し上げましたような
計画
があるけれども、
予算
の裏づけがなくて、せっかく
計画
を作らせたが、これの裏づけをどうしてくれるのだろうと、こういうような希望等を聞いて参りました。それから、これはこまかいことになるから、まあこまかいことは例として何しませんけれども、北九州なら北九州で国道、関門トンネルはできたけれども、他の道路、これは九州なら九州、一体九州を縦貫いたします道路
計画
については、まだ
調査
の段階、しかも、まあ北はとにかくといたしまして、西、南については、何もないといったような状態だと理解していますが、そういう地域的なアンバランス、それから、一つ一つのあれについても、アンバランスが具体的にございますが、そういうのは、今後のこの調整費の中で一体解決をされていくものであるかどうか、重ねて伺いたい。
政府委員(伊東正義君)(伊東正義)
161
○
政府委員
(伊東正義君) 今御質問の点でございますが、
調査
の調整費とか、あるいは
事業
の調整費というものを使って、いわゆる
事業
間のアンバランスの調整ということをやっておるわけでございますが、たとえば、
調査
の方から例を申し上げますれば、琵琶湖あたりでは、あの水を大阪の
工業用水
に使うには一体どうすればいいのかというようなことで、湖面低下の問題について、あるいは漁業問題あるいは湖面が低下することによりますあそこを通っている船の問題、あるいは河川に流れ込みます場合の河川敷がどうなるかというような問題、そういうような問題を総合的に
調査
をするというようなことを実はやっております。 それから、
事業
の調整費では、例をあげますれば、九州で昨年やりました例は、ダムはできたと、もう発電はしたいのだが、土地改良の方がなかなか進んでおらぬというので、ダムの下に取入口をつけるというようなことだけは、農業
関係
で先にやっておいた方がいいんじゃないかというようなことで、そういう金を農業
関係
の方へつけていくというようなことは、具体的にはやっておるのでございますが、今御指摘のありました、たとえば九州の関門トンネルができたが、道路の方にはあまりついておらぬというお話でございますが、そういうような非常に大規模と申しますか、非常に大きなものになって参りますれば、この金ぐらいではどうにもなりませんので、これは、もう一つ前にさかのぼりまして、もう少し地域
開発
を総合的に
計画
的にやっていくという
計画
を先に作るということが私は大
前提
であろうかと思います。で、企画庁でも、国土総合
開発
法に基きまして、目下全国
開発計画
というようなものも検討中でございますが、そういう地域
開発
につきましては、調整費は、出てきております現象的なもののまあ穴埋めと言っては語弊がございますが、そういうことでございまして、今御質問のような大規模の問題は、もう少し
計画
を総合的に前からやるという必要があるのじゃなかろうかというふうに考えております。
吉田法晴君(吉田法晴)
162
○
吉田
法晴
君 琵琶湖とそれから大阪ですか、あの
工業用水
の問題についても問題はあるというお話ですが、この前大阪で聞いて、大阪府、市自体として考えておる問題ですが、なお解決の方法は出ておらぬようにまあ思うのですけれども、そういう調整はやっていく。それから、大きな、全国的なこの地域総合
開発
の調整はやりたいというお話ですから、その点は、地域的なものにしましても、全国的なものにしても、調整をやるということを要望をして、次にお尋ねをいたしたいのは、離島
振興
に関連をしてですが、これはまあ離島
振興
、どういうことをやられておるかということは知っておりますが、ごく最近、小笠原の島民の、何と申しますか、帰りたい、帰れない、そこでまあその補償といいますか、見舞の問題が出ております。これは、直接あの
局長
の
関係
ではないと思うのですが、離島
振興
ということが
予算
が出ております。これに関連して承わるのですが、小笠原にいたしましても、それから沖縄に参りましても感じます。それから奄美にしてもそうだろうと思うのですが、それが離島
振興
法の離島に入るかどうかはとにかくとして、この離島で、
政府
の
施策
といいますか、あるいは具体的には、この国の
施策
が及んでいないところが非常に多いのですね。沖繩のごときも、沖繩の悲劇が、今日米軍の施政下に、片寄った軍政のために困っておるという点もございますが、敗戦直前まで、それでは日本の
政府
が、日本の
政府
としてどれだけ沖繩して来たかということを実は反省させられる。そこで、小笠原の島民の諸君は、帰りたい、帰れない、そこで見舞金を——土地を売り渡すことは、これは日本の国家的な、国民的な立場から、賛成するわけにいかぬ。そこで、どうするかという問題が起っておるわけです。ですから、まあ見舞とか何とか、これは口実を設けて、小笠原なら小笠原にどうするか、こういう問題なんです。
施策
の及ばない部面が離島なり、あるいは離島に準ずる、奄美にしましても小笠原にしても、沖繩——これは潜在主権ということになっておるが、沖繩等にもあるわけです。これについて、これからのいわば忘れられた国民に対して、
政府
といいますか、国としてどういうふうにしなければならぬかと考えておられるのか。これはこまかい問題でありませんから、長官に伺いたいと思います。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
163
○
国務大臣
(河野一郎君) ただいまのお話の点でありますが、この離島
振興
法の対象として考えますことは、お話の
通り
、従来離島におきまして、本土もしくは各主要な島嶼における行政と、その恩恵もしくは
施策
が非常に懸隔がある。これを均一し、もしくはこの方面に急速に各種の行政
施策
を施す必要があるという見地からこの立法が行われた。その
通り
と、私も必要を考えておるわけでございまして、そういう意味から、
明年度
におきましても、わずかな金ですが、従来に比べれば相当大幅な
増額
をお願いをいたしておるわけでございますが、さればといって、今のお話のような点は、離島
振興
の
予算
で考えて、
予算
要求しておるかと申しますと、実は今お話のような点につきましては、別途これは、今の
政府
の建前からすれば考えられることとわれわれは了承して、
予算
の要求をいたしておるわけでございまして、いろいろ御意見もあるかもしれませんが、今さしあたり、われわれのここに今
予算
を要求しておるものの中には考えておらないということでございます。
吉田法晴君(吉田法晴)
164
○
吉田
法晴
君 その
通り
です。離島
振興
法によってなされる。そこで、正直に言いますと、これは、会長が網島氏でしたか、あれは協議会じゃないのですが、離島
振興
のための議員連盟等もあります。そこで、いわばそういう関連しておる島に入っている、いわばここから議員が出たり、まあ島の名前は言いませんけれども、関連するところについては、実は割合に
予算
がついたり、港がよくなったりしております。ところが、本来離島
振興
法がねらうべき、小笠原にいたしましても、奄美にしても、離島で国の
施策
が及ばなかった所、従来の生産、農業なりあるいは生活の方法で放置されている所については、これは、離島
振興
法に直接
関係
はありません。
関係
はありませんけれども、これは、国としてその生活の
向上
なり、あるいはその生活の一番基礎になります農業なり漁業なり、生活の方法の
改善
のために
施策
をしてやらなきゃならぬ。ですからこれは、その
振興
法とは直接は
関係
はないけれども、そういう忘れられた国民のために、企画庁長官はどういう工合に
施策
すべきだと考えておられるか、あなたにお尋ねしているわけです。離島
振興
法の中身は、
局長
かだれかに聞けばわかるのです。関連をして、この忘れられた離島の
振興
をどうしなければならぬと考えておられるか、この際お伺いしたい。こういうわけです。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
165
○
国務大臣
(河野一郎君) 今お話の沖縄、小笠原の問題等につきまして、それぞれ従来これらのものを取扱いますところでやつて参ることになっておりますので、今、私、これらの所管の大臣がおりますのに、ここでとやかくお答え申し上げることはどうかと思いますが、たとえば、小笠原の今帰島を非常に希望しておられる諸君、これが当分なかなか困難だ、これに対する賠償問題、補償の問題をどうするかということは、むろん考えられる問題だと思いますけれども、しかし、それについては、従来それぞれこういう問題を取扱います機関において考えられることだろうと思いますので、私がこの際お答え申し上げるのは適当でないのじゃないかと、こう思いますので、差し控えさしていただきたいと思います。
吉田法晴君(吉田法晴)
166
○
吉田
法晴
君 何と言いますか、小笠原なり沖繩の問題は、当面しておる問題は、なるほど外務省の問題かもしれません。しかし、小笠原に帰島すべき国民も、沖繩の県民も、これも日本人ですからね。私は、そういう所で、今まで国の
施策
の恩恵を浴しなかった、税金は納めたけれども、自説たちの生活をよくするために、岡か戸
助成
なりあるいは
補助
なり、そういう
施策
を受けなかった気の毒な国民、忘れられた国民をここに見て参り、これは、離島においてもそうでしょう。あるいはこれは、奄美においてはどうなっておるのか知りませんけれども、奄美についても、これは同じような事態でおそらく放置されておると思う。あるいは沖繩と一緒に放置されておるときは、何の
施策
もなかった。そうして帰ってくるときに、長く日本の
政府
からも見放されておった。こういうことで、あのときは見舞金ということだったろうと思いますけれども、とにかく幾らか一時金を支給しておるのです。それは口実であって、実際には、奄美ならば奄美の諸君が、奄美の生活というものが放置されておった、こういうことだろうと思う。港はなるほど離島
振興
法その他であれしておりますが、島民の生活というのは、離島の場合の生活というものは、これはほとんど
改善
されずに、放置されてきております。これはまあ、だから具体的に言うと、奄美だとか、あるいは離島だとかいうことになりましょうが、そこにおける国民の昔のまま放置されておる生活をよくするために、どういう方策をおとりになろうとするのか、それを承わりたい、こういうわけです。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
167
○
国務大臣
(河野一郎君) これは、単に漁港をどうするとか、道路をどうするとかいう問題だけでなしに、むろん、教育の問題でありますとか、衛生の問題でありますとかいうことについては、それぞれの省において考えるということを今日強く要請されておるわけでございまして、今、すでに企画庁において、離島
振興
法ということでこれらの問題を取り上げておりまする以上は、お話の
通り
、この内地というと語弊がありますが、本土におきまする行政と同様に、むしろこれより強く見ていかなきゃならぬという世論は、順次起りつつあるんじゃないかと私は思うのでございます。で、電灯を引かなきゃいかぬとか、病院船を作らにゃいかぬとかいうようなことも、だんだん強く要請され、順次運びになっておる。連絡船についてもまた、しかりである、ということでございまして、こういう点につきましては、相当に各方面の世論の支持もありますので、だんだん強く政治の恩恵、恩典が及ぶようになっていくものと私は確信しております。
吉田法晴君(吉田法晴)
168
○
吉田
法晴
君 離島
振興
法の現在の法の建前、あるいは小笠原とか沖繩とかいうものの現在の所管は、渉外の
関係
で外務省の所管と、こういう現実でなしに、離島なり、それから、離島の法律の概念には入らぬかもしらぬけれども、あるいは奄美とか小笠原とか、こういう、沖繩等にしましても、忘れられた日本国民の古い生活あるいは生産様式に放置されてる所については、法に
関係
なしに、もっと一つ考えてもらいたい。その具体策を、これは総合的に、いや所管は、教育の問題は文部省であるとか、あるいは衛生の問題は厚生省であるとか言わないで、企画庁で一つ、離島
振興
法が対象にしておる国民生活の全般的な
向上
については、総合的に考えてもらいたい。そのことは、これは部落問題についてもそういうことが言えると思うんです。日本の国内についても、ここで時間ございませんから、詳しく申し上げませんけれども、消防も入らぬような部落ですね。従って、これはもう何十年、あるいは何百年といってもいいかしらぬと思うんですが、税金は出してるけれども、その税金が、国の税金にしても、あるいは自治体の税金にしても、返ってこぬようなところが日本の国内にもある。ですから、そういう面については、これは所管のことを言わないで、まあ離島
振興
法に関連してお願いをしておるわけですけれども、総合官庁としての企画庁が、法律云々ということにこだわらず、涙のというか、あったかい政治をする意味において
調査
立案をしてもらいたいと、こういう要望をしたわけです。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
169
○
国務大臣
(河野一郎君) 御趣旨よくわかりましたから、これはことに国内におきましては、終戦後直ちに実施いたしました
開拓
農民等につきましては、特に遺憾の点があるように私考えます。これらを総合して、国全体の文化の上昇におくれておると、
施策
等の恩恵におくれておる所というようなものを総合的に
調査
をいたしまして、そうして
施策
をなるべく並行して参るように、総合的に
調査
研究
をするという仕事は重要なことと考えますから、一つ御趣旨のところは十分に考えまして、至念に案を立てることにいたしたいと思います。
戸叶武君(戸叶武)
170
○
戸叶
武君 国土総合
開発
の問題でお尋ねしますが、この国土総合
開発
の問題は、もっと国として統一的に、それから
重点
的に
計画
を遂行しなきゃならないんだが、このごろは、選挙前なので、いろいろな議員がブロックでたむしろて、そうして
予算
獲得に非常に熱心のようだが、
政府
みずからも、たとえば関東においても、赤城構想の利根川総合
開発
利用なんというのを打ち出されたのは、自民党の関東会と組んで打ち出したので、そのねらいは、災害九州その他が痛めつけられ、冷害で東北、北海道が痛めつけられる。そのたびごとに、そういう地方においては総合
開発
が具体化するが、一番肥沃な土地である関東地方その他は、災害においても冷害においても、きびしい被害がないと、ほうりっぱなしになる。食糧増産に
重点
を置く観点からは、こういう肥沃な地方を
開発
したならば、もっと食糧増産になるんだが、災害冷害対策としてならば取り上げるが、そうでなければ置き去りを食う。これではかなわぬということで、どろなわ式に打ち出された傾向があるんですが、当初の
予算
というものは二億三千万円要求して、そこでとりあえず七百五十万円になっている。先ほどの九州の五百万円から見ると、二百五十万円ほど多い
調査
費になっているんですが、こういう、各省庁がばらばらになっている。ちょっと河野さんあたりの方のところが中心になって、物事をまとめていかないと、各省におけるセクショナリズムで、いろいろの、思い思いのことをなされていったんではしょうがないと思うんですが、どういう御見解ですか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
171
○
国務大臣
(河野一郎君) お話の点、私もごもっともと考えられる点も実はあるのでございますが、今日全国に各府県がありまして、各府県がそれぞれ府県の実情を異にいたしますために、また、府県の財政内容等も非常に差異がございます、というようなことのために、府県が相協力して、その地区地区の
開発
に非常に熱心だ、これは私は、見方によれば、今のようにばらばらになって、非常に困るという見方も仰せの
通り
でございますが、全国それぞれの地区において、熱心に主張されることによって、全国的に活発に、地方の事情も出てきて、これが
開発
されるということになれば、それも一つの行き方じゃないか。しかし、いずれにいたしましても、今お話のように、特別の地区について特別のものをやるか、それとも全国皆一様に地方
開発計画
を立ててやるかというようなことで、これが、いずれがいいか、いずれが悪いかということになりますと、ちょっと今ここで、これは悪い、これでなければいかぬということも言いにくいんじゃないかというような気もするんですが、いずれにいたしましても、国土総合
開発
法というものがありまして、総合的に
開発
していこうということを建前にいたしておるのでございますから、もう少し私の方が全体的に活発に総合
開発
の
計画
を進めていくということになれば、おのずから、今おっしゃっておるのもその中に吸収して、善処して参れるんじゃないかと思うのでございますが、各地にそういう総合
開発
の声が起りましたのを契機にいたしまして、なお企画庁におきまして、これらを取捨あんばいいたしまして、いずれを先にするか、あとにするかというようなことにつきましては、遅滞なくよく勉強して、そうしてただ騒ぐからやるというようなことでないように、
調査
だけはいたすにいたしましても、いよいよ実施の段階までには、この間の調整等を十分注意して、なるべく御趣旨に沿うようにやっていくというふうにいたしたいと思います。
戸叶武君(戸叶武)
172
○
戸叶
武君 この総合
開発
のようなものが、基本対策と、災害や何かにぶつかったときの応急対策というものがごっちゃになってしまって、性格が非常にもうろうとなってしまう。このままでいくと、私は、収拾のつかないものになるんじゃないか。やはりもっと
計画
性を持ったものにしなければならない。その役割があなたのところにあると思うんですが、河野さんは、とにかく
重点
政策を押し進める上においては、非常に適任な性格も具備しておる人なんで、あるいは原子力の平和利用の問題でも、電気料金の値上げの問題でも、四つに組むところが、とかくの批評があっても、河野さんの政治家としての存在を保つところのおもしろいところを示しているのだと思います。河野さん、過去において専門であった食糧の問題でも、私は、非常に最近の
政府
の政策というものはぼけていると思うのです。やはり人口において四〇%農民が占め、三千六百万人あり、農家において六百十万戸あるというような農民の
実態
というものが、今では六五%までは兼業農家になっておる。しかも、農家のうちの二百万戸は五反百姓と称せられ、五反以下が二百万、またあとの二百万戸は五反から一町
程度
で、実情において、
政府
なんかの発表だと、一町三反ぐらい持たなければ、専業農家としてはやっていけないというような形でありながらも、実際の
政府
のやっておる農政と結びつくものは、三割に満たない農民きりしか結びつけない状態にある。それ以外の、三分の二もの農民に対する農業政策というものが欠除している。土地改良その他によって食糧増産をやると言っているけれども、新たの段階において、
補助金
制度
なんというのが食い散らかされちゃって何にもならない。もっとまとまった金を差し与えて、土地改良をやっていこうというけれども、いろいろな点において、資金を持たない農民というものが、土地改良その他食糧増産に積極的に参与できる状態にない。あなたの方の相模ダムにおける水利権の問題をめぐっても、農民というものは、非常にあえいでおる形がある。畑地灌漑があんなによくできているところはないという所でも、実際上は負担の面でやっていけない。国家が積極的に、食糧増産について、
計画
的な投資をやっていかなければ、私はだめだと思うのですが、こういう
補助
政策というのを、しみったれた
補助
政策じゃなく、国家みずからが一つの企画をもってやっていかなければ、日本の食糧問題に対する解決はないと思うのですが、この問題に対しての取っ組み方が非常に足りないと思うのですが、あなた自身はそれをどうお考えですか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
173
○
国務大臣
(河野一郎君) 私も、お話のように、どうも今のような中途半端なことでは、農村問題にしましても、その地
中小企業
対策にしても、効果をあげることがなかなか困難であるというふうには考えます。考えますけれども、何分今の日本の現状からいたしますと、ともかくこれは、やらなきゃならぬものばかりでございます。先ほど離島のことについてお話がありましたが、離島の話になれば、離島についてもやらなきゃならぬ、農村の話になりますと、農村もやらなきゃならぬ、出る場所場所で、これもあれもということで、そのいずれもほうっておけない問題ばかりでありますので、これをしからば順序をきめて、しぼってやれるかというと、これもなかなか困難であるというようなのが実際の実情じゃないかと思うのであります。従って各省大臣は、それぞれの行政の責任において、非常に所管のことについては熱心であるが、これもまた、ごもっともと思われる点もあるのであります。そういうことでございますので、私も、農林大臣を二年やってみましたが、事志と違いまして、自分の思うようにはさっぱりできず、やめなきゃならぬようになったわけでありますが、企画庁長官になりまして、各省の調整総合を実は努力しておるわけでございますが、これとても、国家の実情もしくは実際の経済の進行状況等から見れば、なかなか困難な問題が次々に出てくる。
電力
の料金の問題にしましても、自分で考えている
通り
にはなかなか行きにくい事情も出てくるというようなことでございます。私は、みずから省みて、自分でやっておることになかなか自信も持ちにくいというような気持もいたすのでございますけれども、私も、今お話の
通り
、
戸叶
さんと全く所見を同じくしており、せっかく努力いたしたいと思っておりますが、急げとおっしゃられても、なかなかできにくい点もありますので、このごろ、少々気が長くなりまして、ぼちぼち、一つでもいいからやっていこうということで、せっかく努力しておるわけでございますから、御了承いただきたいと思います。
戸叶武君(戸叶武)
174
○
戸叶
武君 岸
内閣
は、岸さんとあなたでもっているというか、それは、違った性格を、個性豊かに発揮することによって、存在の意義があるので、岸さんは、八方美人的な、そつのないところに岸さんの長所があるし、あなたは、少し摩擦があっても、
重点
的に強引に押すところに特長があるのでその特長がぼけてしまっては、非常におもしろ味がなくなると思うのです。 私は、具体的に二、三の点でお聞きしたいのですが、結局日本におきましても、すぐ通俗的に言うのは、農耕地が狭くて、日本じゃやっていけないのだ。人口が多くてやれないのだと言うけれども、スイスなんか、日本よりもっと山国です。アルプスのある国ですが、日本の三倍の、五二%の農地が開かれているのは、山岳酪農をやっているからです。日本の山岳というものから見るとほとんど不可思議のようなことで、大山森の地主の所有権にいきなりわたり合い、取っ組む必要もないし、また、国有林と称するものが蟠居している林野庁のこのやり方に対しても、すぐにどうこうというような根本的な切りかえはできないかもしれませんが、とにかく今の酪農なら酪農を伸ばすならば、スイスのように、やはり今、この近間なら熊笹でおおわれているような奥地の山、あるいは北海道の酸性土壌地帯のカシワ葉がずっとはびこってるような、むだに使われている山、そういうものを、農村の二、三男を動員して、社会党が言うように、徹底した国土
開発
隊によって、
機械
化された
開発
をやっていかなければ、私は思い切った酪農の推進ということはできないのじゃないか。もう日本全体が、千万ぐらいの失業者並びに潜在失業者におおわれている。六百万以上の潜在失業者が農村にはある。そうして農村の青年は、パチンコなんかやって、うさ晴らしをやっている。こういう状態のもとに、都市を中心としたオートメーション化、
産業
合理化
という形において、どんどん雇用
関係
は無視されて、失業者は続出している。こういう窒息するような政治というものは、私は、何らかの形で爆発すると思うのです。方向がない、希望がない、こんなつまらない私は政治はないので、これは全く、もうこの機会においてこそ、もっと国土
開発
を中心として、山岳酪農を拡大するなり、自給飼料の獲得をやるなり、もう一つは、北方農業の確立、台湾を持っていたときには、今のような砂糖でよかったかもしれないけれども、北海道のビート糖をもっと利用すれば、ほんとうに自給の方はできるので、砂糖でも、ハッカでも、デントーコンでも、北にふさわしいところの、西洋の北方の国々で実験しているような農業を北海道においても確立すべきで、そうでないと、今のような農林省官僚の惰性で、内地
技術
の延長で北海道へ行き、
品質
改良だなんて、末端の
技術
的なものでもって、南方の品種の米を北海道でもって無理押しするというやり方では、浪費ばかり多くてだめだと思う。こういう点においてもっと、せめてあなたが専門だった農業部門において、さっき言ったような弱音を吐かずに、山岳酪農を徹底してやる、所有権の問題はタッチしなくても、もっと利用権を確立して、もっとオープンに、国民に利益を分ち与えるようにする、北方農業を確立するためにこうこうやるという点は、もう少し打ち出していただかないと、河野君がいるかいないかわからなくなってしまうと思うのです。どうですか、存在の意義を明らかにするために……。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
175
○
国務大臣
(河野一郎君) 企画庁の長官といたしまして、あまりそういう点について申し上げますことはよろしくないかと思いまして、差し控えているわけでございますが、お話の
通り
、私も全くそういう点については同感でございます。今のような農林行政にしましても従来の惰性でやって参ることは、結局壁に馬を乗りつけて、行く所まで行って、さあだめだというときになったならば、手の施しようのない農村経済の
実態
になるだろう、これは私も同感であります。今にして画期的な飛躍的な農政を確立しなければいかぬだろう。たとえば山の上から申しますれば、今の国有林の
制度
というものはすみやかにこれをやめまして、そして国が山に木を植えて、それを切って売って財政政策の一助にするというような考え方は、根底からやめたらよかろう。そうでなくて国自身は、国土保全の意味において全国の山森林適地には、全部国家の費用で木を植えたらいいだろう、そうして植えてこれを処分する場合には、その所有者によって分有するということにしたらいいだろう。そしてまた今お話のように酪農の適地であるならば、これはもう酪農適地としてこれを扱うように、飛躍がなければだめだ、部分的にも飛躍のある所に希望がありますけれども、飛躍のないところに希望は起きてこないということは、ことに農政の上においては、私は強く主張をするものでございますが、これがなかなか過去の法令等との
関係
におきまして、既存の法令等から束縛を受けまして、なかなかさて実行するということになりますと、非常に困難でございます。そういうことを身をもって私は経験いたしまして、捲土重来この次は大いにやってやろうと思っておるのでございますが、まあ私がやらぬでも、他の諸君がそれぞれ同じような思いをいたしておられることによって、必ずそういうふうになっていくということを思うのでございますが、半面今お話のように、農村の問題からお話でございますが、先ほども豊田さんから
貿易
のことについてお話がありましたが、私は今の日本の
貿易
ほど楽しみのある
貿易
はない、国際的に見てこれだけ有力な労働層を持っておって、そうしてしかも決して安く使えということじゃなしに、非常に低賃金でこれだけよく働いている、労働力もあって、それを基礎にした日本の
産業
、それを基礎にした日本の
貿易
というものの伸長というものは、期して待つべきものがあるのじゃないかと、そこに
施策
よろしきを得るならば、国際的に見て私は相当に伸びることができるのじゃないか。まあこんなことをいいますと、佐多さんからまたそんなばかなことを言う、と言ってお叱りを受けるかもしれませんが、何とはなしにそこに金利の点を考えるにつけ、工場の施設の
改善
をする点を考えるにつけ、あらゆる点において不利な条件において戦っている日本の労働者諸君に、有利に適切な
施策
をすることがもしできるならば、そこに日本の
産業
の将来というものには、非常に私は希望が持てるのじゃないか、というような気持がいたすのでございまして、そういう点について一つすみやかに官民一体、このたとえば金利の引き下げのためには、
輸出
の
振興
をはかり、これを日本の富の蓄積に充てて金利を下げる方向に持っていったらどうだろうか。ないしはまたこれらの
施策
をすることによって、工場の条件がよくなることによってどうだろうか、というようなことを考えて参りますならば、決して
産業
全体から考えて、今の人口の増加して参りまするそれ自身を、そう苦にする必要はないのじゃないかという、一方においてまた楽観的な気持を持ったりしておるのでございますが、要はどういうふうにしてこれを実現するか、どういうふうにして実行するかという点にあるのじゃないかと思うのでございます。従いましてわれわれとしましても、ここに
計画
いたしました長期経済
計画
を十分に身につけて、そして各方面の障害を除去しつつ、これを実行する、実現するということに邁進していくことによってやり得るのじゃないか。ただ今の農政につきましては、長期経済
計画
の上におきましてもあまり伸びがないわけでございます。で、この点につきましてはさらに十分な検討を加えて、一つここに今お話のような点につきましては、飛躍を企図しなければなるまいというふうに考えております。
戸叶武君(戸叶武)
176
○
戸叶
武君 最後に、私は当面の牛乳の問題に触れたいと思うのですが、今日繭糸価格維持のためには、
政府
は二十億円くらいぽんと投げ出しながら、乳価の安定のためには五億円出し渋っているような感じである。しかもそれが、国が牛乳を扱う業者を救うような、こそくな手段で一番困っている乳価を叩かれている。畜産
関係
の農家を救ってない。ところが今における農家におけるところの収入の比率というものは、米作収入が四九%で、その次は畜産が一三%なんで、ずっと養蚕
関係
なんかすでに五%に落ちているので、昔と比率が違っている。今
政府
みずからが畜産を奨励して、そうして乳製品なり牛乳の処理も困り出したというようなときに、その方とは四つに組まないで、昔からの繭糸価格というような形で、片倉なり何なり大資本をバックにして、全養連というのはその雇兵なんです、ある意味においては。そういうものに、いつでも凍霜害のときだというと、勝手に一群のものが金をぶったくって、二十八年のときも問題を起しましたが、そういうところにだけ古い考えで金を投げ出してしまって、今一番困っているところの、発展途上におけるところの畜産の方に対しては政策は不徹底だ、あまりにもでこぼこ過ぎる。この現状に対する認識が正しく行われていない。何か働きかける力
関係
において絶えずよろめいているという感じがするのですが、こういうことに対してもっと
政府
は確固たる対策をやらないと、これは
政府
の責任においてえらい混乱が生ずると思う。それにもう一つは、明治にしろ森永にしろ、ああいう大きな所は考え直さなくちゃならないのは、日本人の生活
程度
なんかで、まだチーズやバターを完全に大衆が消費する段階にきていない。
外国
のまねばかりしておって、あんなことばかり
宣伝
しているが、やはりマーガリンでバターなんか間に合うので、スエーデンあたりなんかもマーガリンにたしか二〇%くらいバターを入れて、マーガリンの
品質
を上げて大衆化をねらっている。生活にマッチした製品を作っていくような指導をしないで、結局ああいう下手な商売人が今のような行き詰りを来たしておるので、どんどん消費の面を拡大していくつもりならば、学校給食なり職場給食なり徹底してやっていく、という
政府
の意気込みがなくちゃいけない。それをこそくな手段でばかり流通面においても業者救いの不徹底なやり方であって、両方から攻撃されていることになっているのだが、こういうことに対してもう少し抜本的な対策を立てられないものかどうか、一つ河野さんにお聞きしたい。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
177
○
国務大臣
(河野一郎君) その点私も全く同感であります。欧米の実情を見ましても、バターはマーガリンで十分だと、デンマークあたりでもすでにデンマーク自身で使うものはマーガリンが多い。イギリスに出すものは本物を出しますけれども、というような実情にあることも私は聞いております。日本の国内の畜産
振興
が今のように乳価が上って牛がふえる、ふえた分は下る、これをこのままにしておきますことは、蚕糸行政におきまして繭糸価の不安定と同様、もしくはそれ以上に考えなければならぬことは私全く同感でございまして、所管大臣と今後協力いたしましてすみやかに解決、善処することをお答え申し上げます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
178
○佐多
忠隆
君 先ほどの長官の
予算
説明
を聞いていると、費目その他から見て、非常に基礎的な
調査
といいますか、そういう方面に非常に力を入れて、これが非常に大きくなっているのが特徴だと思いますが、実際
政府
がいろいろな
施策
をやられる場合に、基本的な
調査
をしっかりやって、その上で科学的な政策が編み出されていくということが、これはもう絶対に必要なことで、そういう意味では非常にいい傾向だと思うのですが……。 同時に私が感ずることは、それはそうであるが、同町にそういう基礎的な
調査
なり
研究
というようなものが、各省間に非常にばらばらになってしまっているのではないか。早い話がここでたとえば
海外
経済
調査
七百万円、これは昨年に比べると二百万円ふえている。あるいは経済基本
調査
四百万円、これは新しい、というようなものができている。それ以外にまあ景気観測の問題も出てきている。ところが今度は外務省は外務省で、内外
調査
費と称してこれもまた特別な
経費
を外務省が出している。あるいは通産省の方は
貿易振興
会を中心にして、これまた膨大な
基金
まで持った大きな
調査
機関ができている、役所の間自身において、そういうふうに非常に分れていて、同じようなことをばらばらやって、どこも基本的なことをやっているかと思うと、さらにまた民間でやらせればいいような非常な個別的なものをやっている。そういう官庁と民間との
調査
の分界もはっきりしていなければ、官庁間の相互の仕事の配分というか、というようなこともほとんどなされていない。同じことをばらばらにやっている。これではほんとうに総合的な
計画
的なといいますか、統一的な
調査
、それに基く
運営
がほとんど不可能になってきているのではないか。 そこで今は個々的にそういう
調査
費をふやす問題ではなくて、特に企画庁長官が考えられなければならないことは、それらをどう総合化し、どう
計画
化し、どう統一化するか、
機構
としてどう考えるか、さらには少くとも
運営
としてどう考えるかということが、むしろ今の段階だと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
179
○
国務大臣
(河野一郎君) 御趣旨ごもっともでございます。実はここに計上してあります
海外
調査
費はそういうものを一つ総合的に取りまとめるためにまた、どういう所の報告はどの
程度
に信憑性があるか、またそれを身につけるために
海外
に人を出しておこうということでございまして、また出た人だけの報告によってものがまとまってくる、出した人によってやるのにはあまりわずかな金でありまして、この
程度
の金で
海外
の
調査
ができるというふうには考えておるわけでないのでありまして、ごく少人数の者を出してそれによって、実は商社でありますとか、もしくは大使館でありますとかという所に、それぞれ資料の
提出
を願おう、そういったような人も嘱託をしよう、そうして
海外
の景気の
調査
、経済の
調査
というものをまとめていこうという考えで、すべて委託によってやろうというのに基本をおきまして、あれは立っておるわけでございますが、ただしかしそういうようにいたすにいたしましても、今後だんだん
調査
を完璧にして参りますためには、
海外
の市場等の知識を身につけた者が必要であるという意味合いから、ごく少数の者を
海外
に出してやろう、こういうふうに考えてこの
海外
経済
調査
費……それから大体統一的にやる目途でこういうふうにしておるわけでありまして……
佐多忠隆君(佐多忠隆)
180
○佐多
忠隆
君 もしその総合化なり、統一という問題が主であるならば、ばらばらに各機関からおれのところも出す、おれのところも出すというようなことをされる必要は毛頭ないので、もっと総合化し、統一化するやり方、
運営
の仕方はどうなるのか、
機構
としてはどうなるのかということをお考えになることが必要なんで、もしあなたの方でそれを出されるのならばジェトロとか何とかというようなところ、あるいは外務省のむしろそういうものを全部あなたの方に統一するなり、集中するか、さもなければ、あなたの方から一人一人ばらばらに出すというようなしみったれたことをしないで、
貿易振興
会なら
振興
会に全部それをやらして、国内ではそれを適当に統一化し、集中化するというような
運営
をやられればいい。今はもうその段階である。人をばらばら各省から出すということではなくて……。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
181
○
国務大臣
(河野一郎君) これはジェトロで出す人間は
市場調査
をするという目的をもって持っていった。どういうふうに売れるだろうか、まだ売り先があるだろうかということの
調査
を主としてやるのだろうと思います。外務省の
調査
はこれと相並行してやることだろうと思うのでございます。 いずれにしても、向うの経済市況の
調査
をするには違いはございませんけれども、それぞれの
調査
の目的が違うのじゃないか。私の方でやりますものは個々の商品、どういう商品がどの方面に向けられるか、こちらの出した商品がどういう状態にあるかということは、私の方としてはあまり
重点
は置きませんで、今後世界経済の見通しがどうなっていくか、どういう数字が出ているかというようなことがほしい。御説の
通り
総合してやることはもちろん必要でございますけれども、今の段階はそういう意味において通産省のジェトロ方面は、そういうものの
調査
のために
調査
費を組み、人が行っている。私の方としてはそういったことをやっておるそういう人をそれぞれ嘱託にし、それを取りまとめていくという意味でやっておるというわけでございます。 いずれにいたしましても、その人を得ることによりまして、すべてがこれはやれぬということはないのでございますが、何分今仰せの
通り
ジェトロが扱います場合には、それぞれ民間業界の人がこれに入っていきますが、そういう人が果して
調査
資料を作るという場合に適当であるかどうかというようなこともございまして、二重にも三重にもなることになっておりますが、これが必ずしもよろしいということでないのでありまして、御趣旨は十分一つくみまして、最終的にはむろんこういうものを一本にまとめ、国内的にも
調査
資料が実際必要なものがどんどん起っておりますにもかかわらず、昔ながらの
調査
がそのまま各省においてばらばらに行われているということは、確かに御説の
通り
でございますから、これらにつきましては一つなるべく早い機会に企画庁あたりが一つ中心になって、各省の資料、
研究
等について各省間の調整をすることはやることにいたします。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
182
○佐多
忠隆
君 むしろ人を出していろいろなものをあさったり何かされるよりか、もう
調査
しなければならないようなものは十分に各省にばらばらに来ているのではないか。ただそれを統一的に、
計画
的に、総合的にそれを
調査
なり何なりを
運営
をしておられぬというところに問題がある。それならば人を何も出すとか、外務省も出す、通産省も出す、ジェトロも出すというような問題ではないと思うのですよ。そこのところをやはりもう少し企画庁自身は……。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
183
○
国務大臣
(河野一郎君) 企画庁の
予算
では一人やるだけでございます。これは先ほども申し上げました……。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
184
○佐多
忠隆
君 一人なんか出されてどれだけの機能が……、それよりもこっちに置いて、それに三人なら三人もっと優秀な人を置いて、今来ているものを、各省をコントロールしながらどう
運営
していくかということを考えられる方が、同じ
経費
を使うにしてももっと効果的だし、もっと集中的でないか。そういう面に頭を切りかえられなければおかしいのではないか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
185
○
国務大臣
(河野一郎君) まあ御意見でございますけれども、私の考えとしましては、実際
調査
を委託しまする現地の委託先、委託した人というものから報告をちょうだいしますが、どの
程度
の勉強をして、どの
程度
のものを送ってきていただいているか、というようなことを連絡をして歩かなければならぬだろう、これを調べなければならぬだろう。またこういうことを身につけた、そうして将来の優秀な企画立案者を送る必要があるだろう、というような意味から企画庁としては一名だけ
海外
に派遣して、これらの連絡をするということにしておりまして、私も、今佐多さんのおっしゃった
通り
に初めは一切要らない、
海外
に委託して、その資料を送っていただいたものでやろうということを考えたのでございますが、だんだん検討いたしました結果、一人だけ出してやることにしようということにして、この
予算
を組んだのでございます。御趣旨は私も大体においてあなたと全く同じでございます。その点御了承いただきたいと思います。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
186
○佐多
忠隆
君 それならば、特別にそういう
調査
をやる人をどっかに常置するとか、どっかに派遣するとかいうような考え方でなくて、将来そういうことを有能にできるような人を育てるつもりなんだそういう形で人を出す。それならば偉い大きな人を一人出すときに、二人くらい若い人を出して、将来長い目で見て養成されればいい。そこらはそういう機能を果させるのだということをはっきり……。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
187
○
国務大臣
(河野一郎君) 佐多さんにはっきり申し上げた方が御了解が得られると思うのですが、
調査
課長の後藤君を出してやろう、こう思っております。これを出してやって、さらに現地を勉強をさせようということで考えておるわけでございまして、ただ適当な者をいいかげんにやろうということは考えておらないのでございますから、その点を御了承願います。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
188
○佐多
忠隆
君 それならばそれとして、たとえばそれを出すから、ジェトロなりあるいは外務省なり、通産省等のあれはその下に全部統合されるのだ、それが
計画
的に、統一的に全部在外のあれをやるのだ、そこいらまでちゃんと
運営
なり、
機構
を考えてやられなければ、ただ一人の優秀な人を出すというだけではどっちつかずになってしまう。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
189
○
国務大臣
(河野一郎君) 御趣旨はよく考えて、なおこれは外務省の要員として向うに出すことにしておりますから、よく御趣旨の意に沿うように検討いたすことにいたします。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
190
○佐多
忠隆
君 それと関連してもう一つ、景気観測の問題ですが、これはこれまで景気観測なり経済判断の問題で、各省間にいろいろな相違があります。実際上現在でも景気の見通しについて相当の違いがある。特にひどかったのは昨年のちょうど今頃からの例の在庫論争の問題、このあたりは完全に意見は対立している。そのために政策なり何なりも非常に動揺を来たし、帰一しなかったと思うのですが、そういうことはどういうふうにお考えになりますか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
191
○
国務大臣
(河野一郎君) 別に
予算
にこだわって申すわけじゃございませんが、
機構
を拡充いたしまして、経済
研究
局というものを今度は作る。その経済
研究
局には民間から、主として学界でございます、
局長
も大体の見当は実はつけておるのでございますが、学界の人を
局長
にお願いしまして、そしてそれにさらに民間の方を三省参与にいたしまして、そしてこれを中心にして今後十分検討をして参るようにしていきたいと、こう考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
192
○佐多
忠隆
君 そうすると、景気観測というようなものが主になるのか、そうでなくて、あなたのところでやっておられる長期
計画
なり何なりを立案する場合の、その基礎的な
調査
、基本的な
調査
というのが主になるのか、どっちですか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
193
○
国務大臣
(河野一郎君) 実は両方やるつもりでおります。なお詳しくは事務当局からその分課、分局等について一応御
説明
いたさせます。
政府委員(宮川新一郎君)(宮川新一郎)
194
○
政府委員
(
宮川新一郎
君) 先ほど佐多
委員
から御質問のありました
海外
経済
調査
につきまして、大臣から御答弁がございましたが、なお補足して申し上げますと、御指摘のように各省でいろいろな
調査
をやっておりますが、企画庁といたしましても、
わが国経済
の動向を的確に把握いたしますためには、まず
海外
経済の動向を把握する必要があると考えまして、
予算
の
増額
を要求いたしました。今回は新たに現在の
調査
局に
海外
経済課を一課創設いたしまして、今回新たに要求いたしておりまする三十名の増員のうち、十名をこれに振り向けまして内部の
充実
をはかり、同時に御指摘のありましたように、各省でやっております
海外
経済の
調査
につきましては、できるだけ緊密な連携をはかりまして、
海外
経済の動向の把握に遺憾なきを期したい。 なお今後の経済の見通しあるいは景気観測につきましては、ただいま大臣が申しましたように、新たに経済
研究
局を設けまして、今後の経済の動向を把握いたしますための基礎的な、経済の循環がどういうふうになっていくか、経済構造の特殊性がどういうふうに経済動向に響くか、というような点につきましての基礎的な
研究
をいたしますために、特に課制をしかないで、学界から
局長
を迎えまして、この下に二人の次長と申しますか、参事官と申しますか、次長クラスの人を置きまして、現在
調査
局でやっております国民所得課を移しますほか、ただいま申しました基礎的な経済構造なり経済循環を
調査
研究
するための
研究
官といたしまして、管理職を八名
程度
置き、その下に二名
程度
の補佐を置きまして基礎的な
研究
に従事させ、同時に民間から有識の方三毛を非常勤の参与として迎えまして、主として経済動向の検討に当っていただく。なお長期経済
計画
あるいは毎年作っております年次ごとの経済
計画
の立案についても、長官に対して意見を申し述べるようにしていただく、こういうような考え方で進もうと思っております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
195
○佐多
忠隆
君 さっき意見が相当各省間で違うじゃないかということを申し上げたのですが、これはある意味ではおのおのの省で意見は違ってもいいと思うのです。おのおのの所管が違うし見方も違うでしょうから、ある意味では違ってもいいと思いますが、そういう場合に、何か企画庁あたりでは自分の判断を最高のものとして、ほかの大蔵省なり通産省なりその他が別な意見を発表するとか何とかいうような場合に、あなたの方でチェックされるとか押えられるとかいうようなことは、これまでやられたことはないですか。そういうことはあるのかどうか、その辺はどうですか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
196
○
国務大臣
(河野一郎君) 経済閣僚懇談会を
開催
いたしまして、ここで意見の交換をいたしまして統制をはかってやるということにいたしております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
197
○佐多
忠隆
君 意見は大体そこで調整をされるわけですね。そこで、意見はそこで調整されていいと思いますが、それはやはり政策的になり政治的ないろいろの問題がからんでくると思うのです。お話のような景気観測でありあるいは政策の基礎
調査
であるならば、そういう政治的なものとか何とかにわずらわされないで、もっと客観的な冷静なものであっていいのじゃないか。そうならばそういう任務なりそういう機能を持たせようとするならば、私はもっと理想的にいえば、企画庁というような役所の中に置くのではなくて、役所の外に、そういうものにわずらわされることなしに、もっと客観的に正確に
調査
をし
研究
をするというような
研究
所なり
調査
所、ただ単に民間のああいうあれじゃないが、非常に膨大な非常にりっぱなものであるけれども、政治的なあれにわずらわされないというような
機構
なり方式を考えられた方がもっといいのじゃないか。その点はどういうふうにお考えになりますか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
198
○
国務大臣
(河野一郎君) お説ごもっともに考えます。従来もそういうふうなときに、私は事務当局間において調整をまずいたさせまして、そうしてこれを閣僚の間で十分懇談をして取りまとめるということにいたしまして、私の関する限り、これを政治的に逸脱するというようなことは、厳に慎しんでいく
所存
でございますけれども、しかしそれは人がやることではよろしくないのでありまして、お話の
通り
私は、今回の人事につきましても、そういう意見を十分慎重に検討いたしまして、学界の相当権威ある方に責任の地位についていただく、さらに参与の地位にも、またそういった良識に立って、これを政治的に動かす場合にはその人たちの良心に反するというような意味において、相当に強く主張する立場をとられると思われる人を、これらの参与にも人選をして、御協力を願うということに実は考えておるわけであります。将来につきましては、お言葉の点十分一つなお検討して参るようにいたします。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
199
○佐多
忠隆
君 そのとき、景気観測だったら割合に短期的な予測なり何なりが主になると思うのですが、それに
重点
を置かれるのか、そうでなくて長期
計画
なり何なりの、基礎資料としての基礎
調査
なり何なりに、
重点
を置かれるかによって、
運営
の仕方も人の問題も非常に違ってくると思うのです。そこのところがどうもどっちもやるのだというようなことではっきりしないのですが、私はそれは、景気観測も一つぜひ必要な問題ではあると思いますが、同時に長期
計画
なりその他を立てる場合の基礎
調査
、その他も必要だと思う。その場合に、この長期
計画
はあなたの方の新
計画
でもあれしておられるように、目標、目的はいつでも国民生活の水準の引き上げ、あるいは完全雇用への近付き、雇用の問題、生活水準の問題だと思うのですね。ところがここへ出されているあれは、目的だけはこういうふうにはっきり書かれて、看板だけは非常にりっぱなように政治的にはいっておられるけれども、内容をなしている
計画
自体は、いつも僕らがあれするように、経済を近代化するのだとか成長を高めるのだとか、安定的に成長するのだとかということ自体が問題であって、その結果これから雇用はふえるだろうということで、雇用の問題になったら結果として出るだろうといって、ほんの申しわけ的にしか問題はあげられていないのですね、本来の目標であるべきことが。そうでなくて雇用量をどうするとか、雇用の構成をどうするとか、こういうことがこの長期
計画
の中心的な問題でなければならぬ。そうすれば
運営
の仕方も、
調査
の基本的な仕方も、従って人も非常に違ってくるのじゃないか。そこらを一体あなたはどういうふうにお考えになりますか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
200
○
国務大臣
(河野一郎君) 今申し上げたのは、長期
計画
を主としてやることについて私は申し上げたんであります。従って今お話の御期待に沿うようにやっていきたいと思っております。景気観測の方は、差し当りの経済の見通しにつきましては、むしろこれは
調査
局の方において取扱うつもりでおります。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
201
○佐多
忠隆
君
調査
局で……、そこのところの
関係
はどうなんですか。
政府委員(宮川新一郎君)(宮川新一郎)
202
○
政府委員
(
宮川新一郎
君) 経済動向の把握ということを主眼に置いているわけでありますが、経済動向の把握をいたします場合にどうしても必要なことは、日本の経済構造の特殊性あるいは景気循環のあり方、それからまた佐多
委員
が御指摘になりましたように、雇用構造の問題等があるわけでございます。そこで現在の企画庁にありまする
調査
局がやっておりまする仕事は、主として景気観測と申しますか経済動向の把握にありまして、長期的に、基礎的な検討という面についての機能が非常に弱い、ほとんどないにひとしい状態でございます。そこで経済動向の把握を的確にいたしまするために、現在の
調査
局の機能を重加いたしまして、多少基礎的なものも検討しつつあるのでありますが、そういう仕事を抜きまして、また基礎的な国民所得課でやっておりまする国民所得の問題につきましては、これを
調査
局からはずしまして、経済動向の把握、景気観測というものにもっぱら専念するような
機構
にする、同時に経済動向の把握に必要な基礎的な
調査
研究
、並びに長期経済
計画
達成上必要な基礎的な問題の
研究
、こういう問題を新しい局でありまする経済
研究
局で行うようにいたしたい。そこでそういう基礎的な
研究
につきましては、佐多
委員
も御指摘になりましたように、むしろ内部部局といたしませんで、外部の独立した機関にする方が、政治的な問題にわずらわせられなくて純粋な意見が出るであろう、ということも考えたのでございますが、やはり当面経済動向の把握なり長期経済
計画
の作成、あるいはこれの遂行上の問題というものを究明いたしまするためには、企画庁内部の連繋あるいは
関係
各省庁との連繋もまた必要でございまするので、特に内部部局といたしますると同時に、普通の課制をとりまして行政の雑務にわずらわされないようにするためには、少数の
調査
官
制度
にいたそう、こういうふうな
機構
を考えておる次第でございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
203
○佐多
忠隆
君 この場合に、その国民所得の問題を非常に重要な一つの柱にして考えておられるのと同じに、雇用の数、質、それの趨勢の問題、それをやはり大きな柱に考えるべきだと思うのですが、そこはどういうふうに考えておられるのですか。
政府委員(宮川新一郎君)(宮川新一郎)
204
○
政府委員
(
宮川新一郎
君) 御指摘のように雇用の問題は重要な問題でございます。また同時に資本蓄積、国富の
調査
研究
、
産業
連関がどういうふうになっていくか、
貿易
はどうだというふうにいろいろ問題がございまして、こういう問題につきましては一つ一つの課制をしきまするよりは、相関連する問題といたしまして、管理職の
調査
官
制度
にしておいた方が能率的にいくのではないか、かように考えまして、特に課制をしがなかった次第でございます。現在国民所得につきましては国民所得課がございまするので、それをそのまま移しかえるということにいたしましたような次第でございまして、あるいはいささか便宜主義的ではないかという御批判もあろうかと思いますが、一応そういう体制にいたしまして、残っておりまする雇用の問題、その他
貿易
、
産業
連関、資本蓄積等につきましては、
調査
官
制度
によってそのときどきの情勢の推移も見つつ、問題の
重要性
をも考えて機動的に広く
運営
して参るようにしたいと、かような考え方に出たものでございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
205
○佐多
忠隆
君 いや、その国民所得だとか、国富だとか、こういうものはもうすでに今までやられた
調査
の方式なり何なりがあって、すでに相当なあれを積んできておられる。それから資本の問題はこれは大蔵省なりあるいは通産省なりあるいは日本銀行なり普通の金融機関なり、そういう所が非常にいい手足の
調査
を持っていて、それを基礎にして資本の
調査
の問題もそうむずかしくないと思うのですよ。ただそういうものをどう総合的に統一するかという問題、問題はその雇用の問題、これは実際雇用の全体の量なり質なり、推移なり、雇用対策をどうするかというようなことを、やはり知らないのじゃないでしょうかね。労働省でもこれ自体を扱っている部門は私はないのじゃないかと思うのです。それくいらにこの部門は一番弱い所です。しかも長期
計画
においては、あなた方は眼目として考えておられる。だからもし今度基礎
調査
の特殊的なものができるとすれば、そこに
重点
を置いて、そこをどう確立するかということが、この新しいあなた方の基礎、基本
調査
の問題点だと思うのです。そこのところをどういうふうに進められますか。これはもう意見になりますから、そういう意見があることを十分お考えになって、それにどう対処するかを一つ考えてみていただきたいと思う。 それからちょっとこれはあれですが、この
輸出
との関連において物価の問題ですがね、物価をどう見るか、何か物価は、大体過去一年のあれを見ると、生産財なり何なりは、相当下ってストップしておる状態なんです。ところが消費財小売物価は、むしろストップする、あるいは引き下げるつもりでおられたのが、若干一年の結果は上っている。これは初期のあれに反していると思うのですが、今後これをどういうふうにやられるか。たとえば、企画庁の
調査
によれば、一割引き下げの設定目標を立てておいて、大体数字的にも一割
程度
あなたの方の指数では下っておるかと思いますが、これと日銀のあれとがどう食い違うのか。経済
計画
の中の数字等がどう関連するのかもはっきりわかりませんが、それらの点と、もう一つ、一体国際比価の問題として、
輸出
増進の一番かなめは物価引き下げだとおっしゃるが、あるいは
繊維
はもちろんのこと、鉄にしてもあるいは化学肥料その他にしても、大体もう国際比価からいったら、そう高いことはないのじゃないか。従って、国際競争力としての物価の問題は、そういう物価水準の問題として一般的に問題を解決される問題ではなくて、個別物資、特に
機械
器具なり何なり、そういうところの物価引き下げの問題として、特殊な物価対策が
輸出振興
の物価対策としては考えられなければならないのじゃないか。それをどういうふうにお考えになっているか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
206
○
国務大臣
(河野一郎君) お話の
通り
、生産財の卸売物価は今九・七%ぐらい下っております。ただしこれも御指摘の
通り
内容的に非常にバランスが悪い。であるから、これからはこれらのものは、たとえば
繊維
であるとか鉄であるとかいうものは、むしろ上ってよろしい。従ってまた、他にも相当高いものもあるというものを、一品々々むしろこれらについて各界の協力を得て、そうして妥当なところに安定さすことが必要であろう。これは私も全く同じ考えでございまして、そういうことを今大蔵当局とも話し合って
施策
をしていかなければならないと、こう考えております。ことに
繊維
等につきましては、よほどてこ入れを行わなければいかぬだろう。そこで、輸入の原綿もしくは原毛については、どの
程度
のところで押えたらよろしいかということについては、せっかく今事務当局と検討をいたしておるということでございます。 それから小売価格につきましては、これは少し佐多さんの数字と違いまして多少これも卸に追随して下向いてきておるわけでございます。ただ、今当面一番問題になりますのは、生産資材の滞貨は相当に食いつぶしまして、今は製品の滞貨が非常にふえておる。消費がやや低くなりまして、生産された品物の滞貨がふえてきておるということが、これが生産と消費との合が出ていないということも、業界で手直しを一つ考えておられるという状態にあるのではないか、こう思っております。なお数字の点については事務当局から御
説明
いたさせます。
政府委員(大堀弘君)(大堀弘)
207
○
政府委員
(大堀弘君) ただいま大臣から申し上げた
通り
でございますが、数字についてちょっと補足申し上げたいと思います。物価は卸売物価につきまして約一割、昨年の四月に比べまして、企画庁でとっております物価指数で約一割下っておるわけでございます。日銀指数によりますと、昨年の四月のピークが大体一一〇でございますが、現在一〇五
程度
に下っております。これで申しますと、五%
程度
の下り方であります。これは結局三十一年の上半期でございますが、四、五月当時が約一〇五の指数でございます。従いまして、これはまあ物価の指数の取り方が、品目及び係数の取り方が違っておりまして、企画庁の方は短期の働きを見ますのに非常に実際に適した数字になっておりますし、日銀の方は長期の動きを見ますので、比較的動きの見方がひどく出ないということになっております。カーブとしましては、日銀の方がなだらかなカーブ、企画庁の方は大きなカーブが出ております。実質的には同じことでございますが、日銀指数で申し上げますと、ただいま申し上げましたように、パーセントで言いますと五%くらいの値下りとなり、結果におきましては、大体いずれにとりましても三十一年の上半期の物価指数に、総合といたしましては来ておる、こういうふうにお考えいただけばよろしいかと思います。 消費者物価につきましては、御承知のように昨年上期に三%
程度
上っておったわけでございますが、後半に参りまして、秋口から、弱含みの、横ばい、ごく最近に至りましてわずか消費者物価も下って参りました、こういう数字が出ております。先ほどお尋ねの国民経済計算でとっております物価の比較は、日銀指数によっております。これは経済指標の中に出ております数字も、日銀指数の方に入っておりますので、誤解のないようにお願いいたします。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
208
○佐多
忠隆
君 その日銀指数によると非常にわからない、さっきちょっと質問した点であるのですが、その点は別の機会にお伺いします。問題は、従って物価は、物価水準の問題というよりも、それは個別商品価格の問題です。だからあるいは一般的にいえるとすれば利子、金利が非常に高いという問題が、一番の問題なのではないだろうか。あなた方の
政府
は資本家的な見地でしょうから、よく消費節約あるいは賃金引下げということでコスト引下げをいつもおやりになるでしょう。が、一番問題は、コスト要因のうちで、動かないで世界的にアブノーマルに高いのは利子だと思う、金利だと思う。その次には鋼原材料の問題だと思いますが、これは、さっきも話しましたからいいとして、コストとして一番高い金利の問題を、物価政策と関連してあなたはどういうふうにお考えになりますか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
209
○
国務大臣
(河野一郎君) これは佐多さんと金利のことで議論しても、それはあなたの方が(笑声)専門家ですが、これは何といっても今の日本の実情から申しまして、ここまで外貨を食いつぶしてきて、そうして国内が金融的に非常に窮屈になっておるという実情からいって、金利を下げるということは、とうてい困難じゃないか。これは当然、もう少し金融が緩慢になってままして、そうして自然に金利が下る状態が来るということを実は期待しておるというわけでございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
210
○佐多
忠隆
君 今の日本の金利の高いのは、そういう単に資金
需要
だけの問題でなくて、もっと別な問題だと思うのですがね。しかしこの点は別の機会に伺います。ただ私は、金利高というものが、コスト高というものの非常に大きな問題であるし、これにメスを入れられないで、
輸出競争
力をふやすとか何とか言われたって、これは問題にならないのだということだけを一つ指摘をしておきたいと思います。 それから、もう一つは、さっきあの離島
振興
の
関係
で問題が出たのですが、これは電源
開発
とも
関係
があるのですが、屋久島の電源
開発
の問題、これを離島
振興
と関連してどういうふうにお考えになっておるか。これは特にこれを問題に出すのは、二、三日前のニュースによりますと、長崎県の高島炭鉱ですか、あそこで海底の直流送電の問題がすでに解決をして実施されることになっておりますね。そうだとすると、やはり屋久島の非常に豊富な安い電源
開発
という問題が出てくるのじゃないか。今のような補償費が非常に高いとか何とかいうことで、水力電源
開発
が行き詰って、そこで今申し上げるまでもなく火力に移転をしようとか、さらには重油によろうとかいうようなふうに、大きな方向転換、方針転換がなされつつあるということに関連して、もう少し海底の直流送電というような問題が
技術
的に解決をしたのならば、ああいう
開発
地点をもっとお考えになる必要があるのじゃないか。その今後の五ヵ年
計画
、あるいはそれに続く長期総合エネルギー
開発
の問題と関連して、どういうふうにお考えになるか。
国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)
211
○
国務大臣
(河野一郎君) まだ今のお話は電源
開発
審議会の話題になっておりませんのでありますが、いずれ九州
電力
あたりからそういう議が起って参るかもしれませんが、
政府
におきましても、よくその時代の推移とともに
調査
をすることに注意して参りたいと思います。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
212
○佐多
忠隆
君 これはその九州
電力
というような問題でなくて、もっと電源
開発
なり何なりの大きな問題だと思うのですね。さらにこれは松永さんあたりは、むしろ今のような補償なり何なりの高い
開発
費、水力発電が非常に高くなっているときに、あの地点はそういう意味では特別な地点として考えるべきだということを、あの火力
重点
主義の松永さんあたりが、去年あたりから強く主張をしておられる点だと思うのです。従ってこの電源
開発
の長期の
開発計画
、その方針をどうするかということが問題になる時期だと思いますので、そういう点と関連をして一つお考えを願いたい。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
213
○
主査
(
小幡治和
君) ほかに御質疑もないようでございますから、経済企画庁所管に関する質疑は、この
程度
で終了したものと認めて御異議ございませんか……。御異議ないようでありますからさよう決定いたします。
—————————————
主査(小幡治和君)(小幡治和)
214
○
主査
(
小幡治和
君) 次に
科学技術庁
所管を
議題
といたします。
政府
より御
説明
を願います。
政府委員(吉田萬次君)(吉田萬次)
215
○
政府委員
(
吉田
萬次
君) ただいま
議題
となっております
科学技術庁
の
予算
案について御
説明
を申し上げます。
わが国
産業
の発展と国民生活の水準
向上
を期するためには、
国内資源
をできるだけ有効に利用するはもちろん新
技術
の
開発
、新製品の創造等により
輸出
の
振興
を期さなければなりません。そしてこれを可能ならしめる最も重要な方策が科学
技術
の
振興
であり、これによって生ずる
研究
成果が、その強力な推進力となるものであると信じます。 しかし戦後における
わが国
の科学
技術
の水準は、遺憾ながらいまだ低位にあるというほかなく、これを
向上
せしめることこそ刻下の急務であるといわねばなりません。 これに対処するため、
政府
は重要政策の一環として科学
技術
の
振興
を大きく掲げたものでありまして、
昭和
三十三年度当庁
予算
案は、この政策を強力に実施するための各種
事業
に必要な
経費
として、
歳出
予算額
九十五億三千七百五十九万七千円、国庫債務負担行為額五十一億四十万円を要求し、これを前年度の
歳出
予算額
七十一億七千二百十三万四千円、国庫債務負担行為額四十四億八千万円にくらべますと、
歳出
予算額
二拾二億六千五百四十六万三千円、国庫債務負担行為額六億二千四十万円の
増額
となっております。以下
予算
要求書の順を追ってその大綱を申し述べます。 まず科学
振興
費
関係
として一億四千五百二十七万円を計上いたしました。その内訳は次の
通り
であります。 (イ) 科学
技術者
の
海外
留学
わが国
の科学
技術
の
振興
をはかるためには、各省庁の
関係
職員を
海外
先進諸国に留学せしめ、その優れた点を習得せしめることが緊急の要務と信じ、このため四千二百二十万円を計上いたしました。 (ロ)
発明
実施化試験の
助成
優秀な
発明
考案であって、
経済的理由
からその
発明
を実施化することが困難な個人又は
中小企業
者に対して、実施化試験のための費用を
補助
して、実用化をはかる必要があります。このため二千三百四万円を計上いたしました。 (ハ) 科学
技術
情報
活動
強化
内外における最新の科学
技術
情報
の
収集
、分析及び提供に関する
業務
を行うことを目的として昨年度
発足
いたしました「日本科学
技術
情報
センター」に対して、その
業務
の
強化
を図り科学
技術
水準の
向上
に寄与させるため、
政府出資
金及び
補助金
を交付する
経費
として八千万円を計上いたしました。 また、
海外
の科学
技術
に関する最新の動向を迅速に知るため、科学
技術
アタッシエの増強をはかることとし、ウイーンに一名派遣するための
経費
を、外務省から要求しております。 次に二、原子力、平和利用
研究
関係
として七十七億二百五十四万円を計上いたしました。この内訳は次の
通り
になっております。 (イ) 日本原子力
研究
所 まず実験用原子炉については、
昭和
三十五年度に国産一号炉を完成することを目標として諸般の準備を行なっておりますが、CPI5型炉については、組立、完成を
促進
して、
昭和
三十三年度中に運転を開始したいと考えております。又試験用動力炉については、世界各国の原子力
開発
の趨勢と
わが国
の国状とを勘案して、最も適切な型の炉を購入いたしたいと考えております。 このほか原子炉に関する各種設計、計測制御、原子炉燃料、炉体材料等の、
研究
を推進せしめることとして、日本原子力
研究
所が真に
わが国
原子力
研究
の中核的機関たり得るよう、その機能の拡充
整備
をはかることとしております。このため、四十五億円と別に国庫債務負担行為額三十一億六千百四十万円を計上いたしました。 (ロ) 原子燃料公社 原子燃料公社においては前年度に引続き、核原料物質の探鉱を積極的に行い、
昭和
三十二年度より建設中の精練中間試験工場の完成をはかるとともに、それらの操業による核燃料物質の試験生産を開始することとしております。このため、十二億五千万円を計上いたしました。 (ハ) 核燃料物質等の購入等 日本原子力
研究
所に据えつけられたもの及び今後据付
予定
の
研究
用原子炉等に使用される濃縮ウラン等を購入及び借用する
経費
として、六千四百六十九万円を計上いたしました。 (ニ) 原子力
関係
技術者
の
海外派遣
原子炉築造等に必要な
技術者
を、
海外
先進国へ派遣して、原子力
関係
技術者
の養成訓練を行うこととし、前年度に引き続き三千四百七十万円を計上いたしました。 (ホ) 原子力平和利用の
研究
原子炉築造等のため必要な資材、
機械
装置、計測器等の
製造技術
等を、民間において
研究
しているものに対し、その試験
研究
を
助成
するため、二億七千百円と、これとは別に国庫債務負担行為額一億円を計上いたしました。 また、原子力の
開発
、利用等について、今後の
計画
を進める上に国として解明しておかなければならない試験
研究
テーマを民間等に委託
研究
させるため、二億円を計上いたしました。 (ヘ) 核原料物質の探鉱奨励 国内における核原料物質の
開発
を早急に実施できるよう、核原料資源の賦存が予想される地域に存在する鉱山に対し、積極的に
調査
探鉱をさせるため、
補助金
として、三千万円を計上いたしました。 (ト) 国立機関の原子力試験
研究
関係
行政機関等における試験
研究
については、固有の
研究
分野に関連して原子力の
開発
、利用等の
促進
に直接
関係
する
研究
テーマに対し、それぞれの特色に応じた
活動
を期待することとして、六億七千五十六万円を計上いたしました。 (チ) 放射能測定
調査
研究
大気、海洋、地表、動植物等について人工放射能及び自然放射能の分布状況を組織的に測定
調査
して、将来の原子力時代に備えるため、国立機関及び公立衛生
研究
所等に、その
調査
を実施させるため、三千六百二十四万円を計上いたしました。 (リ) 放射線医学総合
研究
所 放射線医学及び放射線による障害に関し総合的試験
研究
を行う目的で、
昭和
三十二年度に
発足
した放射線医学総合
研究
所は、目下千葉市に施設の建設を行っておりますが、これが完成に努力するとともに、
研究
体制をすみやかに
整備
するため、五億六千九百三十三万円とは別に国庫債務負担行為額一億二千万円を計上いたしました。 三、所掌
試験研究機関
関係
として、十八億六千九百八万円を計上いたしまた。その内訳は次の
通り
になっております。 (イ) 航空
技術研究
所 六ヵ年
計画
をもって
整備
する
予定
で
昭和
三十三年度においてはその第四年度として、遷音速風洞を初め、ジェット・エンジン、機体
関係
等、主要
研究
設備
の
整備
をはかることとし、年度内に、遷音速風洞については大部分の契約を終らせ、ジェット・エンジン
研究
設備
等については、一部運転を開始したい
予定
でおります。このため、十一億二千五百六十二万円と、別に国庫債務負担行為額十五億八千万円を計上いたしました。 (ロ) 金属材料
技術研究
所 新年度は、
整備
五ヵ年
計画
の第三年目に当り、各種の
研究
設備
も逐次
整備
されましたが、引き続き試験
研究
用
機械
、試作用諸装置を
整備
いたしまして、
わが国
唯一の金属材料に関する総合的
試験研究機関
としての機能をすみやかに発揮せしめたいと考えます。このため、四億一千三百四十六万円と、別に国庫債務負担行為額一億三千九百万円を計上いたしました。 (ハ) 特殊
法人
科学
技術研究
所 株式会社科学
研究
所を殊特
法人
科学
技術研究
所に改組して、その
研究
体制の
整備拡充
をはかり、もって特色ある
研究
活動
を
強化
することとし、前年度に引き続き
政府出資
を行う
予定
でおりますが、さらに新年度には、国家的に有意義であって、企業のみでは
開発
の困難な新
技術
を
開発
するために必要な
経費
八千万円を含めまして、
総額
三億三千万円を大蔵
省所管
政府出資
金として別途、要求いたしております。 最後に、 四、一般行政費
関係
として、一億五千六十八万円を計上いたしました、その内訳は次の
通り
であります。 (イ) 科学
技術
会議
科学
技術振興
の基本的政策を確立し、国の諸
施策
にこれを十分浸透させる目的で、新たに総理府に諮問機関として科学
技術
会議
を設けることといたしております。その構成は、
内閣
総理大臣を議長として、
関係
大臣四名のほか、常勤二名を含む学識経験者四名からなり、その審議
事項
としては、科学
技術
に関する総合的かつ基本的な政策の樹立、長期的かつ総合的な目標の設定、総合的な重要
研究
の推進方策の樹立、及び、これらに関する日本学術
会議
から
政府
に要望された意見等についての検討等が考えられておりますが、このための人件費、事務費として、一千五十七万円を計上いたしました。 (ロ) その他 当庁の内部部局におきまして、科学
技術振興
のための長期
計画
の策定、資源利用方策樹立のための総合的構造的
調査
の推進、内外科学
技術
の動向
調査
及び広報
活動
の
強化
、並びに
電子技術
の
振興
をはかるため、当庁の付属機関として、
電子技術
審議会の設置等を行う
経費
として、二千六百八十七万円を計上いたしました。 以上のほか、当庁における一般事務に必要な
経費
等を合算して、
昭和
三十三年度
予算
要求額は、
歳出
予算額
九十五億三千七百五十九万七千円、国庫債務負担行為額五十一億四十万円となります。 近時、世界各国における科学
技術振興
の熱意はきわめて大なるものがありまして、その成果は、まさに画期的な段階に達しており、従来の宇宙観すら一新されねばならない時期に際会していると言わねばなりません。 このときに当り、天賦の資源に恵まれない
わが国
が、世界先進諸国に伍しつつ、なお文化国家建設の理想を達成するためには、科学
技術
の
振興
のほかにはないと確信いたしまして、以上申し述べました諸
施策
を強力に推進いたしたい
所存
でおりますので、何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成を賜わらんことをお願いいたします。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
216
○
主査
(
小幡治和
君) 御質問おありの方は順次御発言願います。 速記をとめて。 〔速記中止〕
主査(小幡治和君)(小幡治和)
217
○
主査
(
小幡治和
君) それじゃ速記を始めて。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
218
○佐多
忠隆
君 この航空
技術研究
所というのがありますね。これと防衛庁で持っている
技術研究
所というのがありますね。これとは何か関連があるのですか。そこいらの
研究
分野なり何なりはどういうことになっておりますか。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
219
○
政府委員
(鈴木康平君) 航空
技術研究
所と申しますのは、ただいま三鷹にあるのでございますが、航空
技術
の
研究
に関しましては、御承知のように占領軍がおりました時代は、
研究
が全然できなかったわけでございますが、その後講和条約ができましてから
研究
を国内でしてもよろしい、また生産をしてもよろしいということになりまして、それぞれの
関係
の省が航空
技術
を
研究
する
研究
所がほしいということになったわけでございます。だいぶ前のことでございますが、そのときに防衛庁の方も航空
技術研究
所がほしい、また運輸省においても、また通産省においても、また文部省においてもそれぞれ航空
関係
の
研究
所がほしいということになったわけでございますが、しかし何分にも航空
技術
の
研究
は、最近の
研究
になりますと非常に施設なり金がかかりますので、それぞれの省がそれぞれ持つことが不適当であるということで、各省が話し合いいたしまして、なおそれには航空
技術
審議会というものが総理府に置かれまして、その諮問機関の意見等を聞きまして、国内的には
設備
を一ヵ所にする、これは一ヵ所といいましても、多額な
経費
を要する施設を備えるのは、一カ所であるということで話がまとまりまして、総理府に航空
技術研究
所というものが設置され、それが
科学技術庁
に引き継がれたわけでございます。従いまして、ただいまのお話の防衛庁の航空に関する
研究
につきましても、多額の
経費
を要する施設は防衛庁が持たないでこの
研究
所の施設を利用することになっております。ただいままだ全部完成はしておりませんが、目下建設中のものは、遷音速風洞というのが一番主体でございます。これはちょうど音速をこえるかこえないかという
程度
の速度の風洞でございます。これは、航空力学的には最もむずかしい点でございますので、まずそれを完成いたしまして、ただいまジェット・エンジン並びに機体
関係
の
研究
施設を建設中でございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
220
○佐多
忠隆
君 そうすると、これが
内閣
にある以上は、防衛庁の
技術研究
所では航空
関係
の
技術
のあれは全然やらない、ほんの小さいものは別として、人員からいっても施設からいってもそういうふうに考えておけばいいのですか。どうも向うの話を聞くとそうでないような、そこのところの調整はどうなんですか。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
221
○
政府委員
(鈴木康平君) まあそれぞれ各省によって目的がございますのですが、たとえば、防衛庁の方でございますと、戦闘目的というのが何分にも主眼となると思いますが、当庁の
研究
所におきましてはそういったことはいたしませんで、つまりあるいは超音速、あるいは遷音速
程度
の速力を出し得る機体を作るにはどうしたらいいかということの
研究
でございまして、それをさらに戦闘目的に使うとか、あるいはどこにどういった機関砲を備えつけるというふうなことは私どもは全然いたしません。そういったような付随的な仕事はおそらく防衛庁でいたしますのですが、
研究
施設そのものは大がかりのものは防衛庁におきましても当庁の
研究
所の施設を利用するということになるわけでございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
222
○佐多
忠隆
君 そうしたらまあ特殊戦闘用のいろいろな
技術
は別問題として、そうでない一般的な航空
技術
の問題を向うでやっていたり、人員としてやっていたり、施設としてやっていたりしたら、それはけしからぬ、こっちでやるべきだということは体制の上からいって、
予算
的に法律的にそれは正当に言えることですね。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
223
○
政府委員
(鈴木康平君) 確かにお話の
通り
でございまして、ただ私どもの方の
研究
所を施設いたしましたり、またその後の
運営
等につきましても、各省の
関係
者を呼びまして
委員
会を持っておりまして、先ほど申し上げました航空
技術
審議会でございますが、これは
委員
長が兼重東大教授になっておりますが、その中に、先ほど申し上げましたそれぞれの
関係
各省の次官が
委員
となっておりまして各省が総合してそれを使う、また使いやすいようにするためにはどういう順序でやるか——まだ施設ができておりませんものですから、順序等はまだ話し合いをしておりませんが、各省の要望を満たし得る施設を、やるということにいたしておりますので、防衛庁が同じようなものを別個に持つということはあり得ないというふうに考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
224
○佐多
忠隆
君 それから金属材料の問題ですが、これは金属材料というのは、僕はよくわからないのだが、どういうものをおやりになっておるのか。というのは、最近ロケットだとか、ミサイルだとかいうような問題が出てきて、金属というあれが非常に違って、新しい分野のものが相当出てきておりますね。そういうことをあわせ考えながらこの
研究
はおやりになるのか、いやそうじゃなくて、そういうものに関連するものはもう日本としては全然タッチしないで、普通今まで金属材料と言っておられたようなものをそのまま継続して
研究
主点をおくというようなことでおやりになっているのか、そこらはどういうことになっていますか。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
225
○
政府委員
(鈴木康平君) 金属材料
技術研究
所につきましては、ここに
技術
と書いてございますけれども、大学の
関係
におきましては、御承知のように東北大学の金属材料
研究
所がございます。これは大学の
研究
所でございますから、特にどういった目的ということを指定いたしませんで、自由な
研究
をいたしております。当庁の
研究
所におきましては、一定の
技術
的な目的を持ちました
研究
を行いつつあるわけでございます。そうしまして総合
研究
所というふうに考えておりますのは、そういった大学の基礎
研究
から先の
研究
をいたしまして、なおそれが
産業
界において実際どういうふうに使われておるか、また
産業
界においてはせっかくのいい理論が実際に応用されないという点等を究明する、そこまでのいわゆる大学の
研究
をやりますけれども、それ以外に、多少とも目的を持ちました
研究
から始めまして、
応用研究
あるいは中間
工業化試験
、
工業化試験
というようなものを一貫して参るわけでございますので、総合
研究
所というふうに銘を打っております。それで、たただいまの
研究
内容につきましては、これも当庁の
研究
所といたしましては、各省の要望あるいは
産業
界等の要望を受けまして、
研究
テーマをきめておるわけでございますが、そのときに、お話のように、たとえばこれからの高速飛翔体、そういった問題におきまして、非常に問題となるべきような材料がございますれば、この
研究
所においてもそれを実行していきたいと思うわけでございますが、しかし、何分にもここにありますようにまだ建設途上でございますので、十分な人員がそろっておらぬような次第でございます。ただいま
重点
を置いておりますのは、純金属の
研究
ということをやっております。これは、あらゆる金属につきましても、非常に純度を高めて参りますと、非常に特殊な性格が出て参るわけでございまして、一例を申し上げますならば、
電子技術
の方で、エレクトロニクスで非常に問題になっておりますようなジルコニウムというようなものを純金属にいたしますると、非常に特殊な性能を発揮いたしまして、トランジスターというようなものができ上るというようなことがございますので、純金属製造
研究
、冶金
研究
ということをやっております。それからあるいはまた粉末合金というもののそこに新しい分野を
開拓
しておりますので、そういった問題もやるとか、あるいは実際の生産工場におきまして、御承知のように日本のいろいろな材料がよくないということがよくいわれるわけでございますが、それが実際的にどうして悪くなるかということをトレースしまして、その弱点をつかまえていくということに
重点
を置いているわけでございまして、ただいまのところ、ロケットのための特殊な材料というところまでは突っ込んではございませんけれども、ただいまやっております
研究
成果が、そういうふうなものに役立つということは、想像されるわけでございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
226
○佐多
忠隆
君 科学
技術
の
研究
所でも、国立のものと今おっしゃった大学あたりにあるいろいろな
技術研究
所、それからさらに民間にある
技術
の
研究
所、そういうものとの相互関連、あるいは何か
研究
分野を調整するとか、何というか、いろいろな問題があり得るんじゃないかと思うのですが、何か私にはよくわからないのですが、同じようなことをいろいろな所でやっておられるので、その点の調整があまりうまくいかないで、かなりむだをやっているという気がしますが、そういう点は、全般を通じてどうなんですか。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
227
○
政府委員
(鈴木康平君) ただいまのお話の点は、各省の
研究
機関につきましては、実は当庁におきまして各省の
予算
の見積り方針につきまして、調整をいたしておりますので、各省の
研究
機関におきまして金属材料の
研究
をいたします場合には、全部
科学技術庁
においてその内容を
調査
いたしまして、その間にむだな重複がないように、検討を加えておるわけでございます。 それからなお、大学につきましては、これは
研究
の自由がございますので、私どもの方では何らの調整はいたしておりませんけれども、しかし、先ほど申し上げたような東北大学の金属材料
研究
所とか、その他大学の——東京大学でございますれば名誉教授の三島徳七先生、そういった金属
関係
の学者の大家に来ていただきまして、それをもって構成いたしまする一つの
委員
会を作っておりまして、それによって十分検討はいたしまするが、ただ、民間の会社においてやっておりますような点につきましては、私ども何ら調整する権限はないのでございますが、しかし、私どもの方としましては、そういった財界、工業界の方々が、この
研究
所の成果を利用する、利用されるという意味におきまして、その
委員
会には各方面の工業界の
技術
系統の方をたくさん
参加
していただいておりまして、その上で
研究
計画
というものを決定し、それによって
予算
を獲得したいというふうに考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
228
○佐多
忠隆
君 この科学
技術
会議
ですが、これは常勤二人を含む四名というのは、どなたとどなたですか、もうきまっておりますか。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
229
○
政府委員
(鈴木康平君) ただいままだきまっておりませんです。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
230
○佐多
忠隆
君 茅さんとか、あれは、今のは、この
技術
会議
じゃなくて、何か総理大臣のプライベートな
会議
ですか、何かありましたね。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
231
○
政府委員
(鈴木康平君) 私ども承わっておりますのはプライベートの
委員
であるということでございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
232
○佐多
忠隆
君 それがこれにかわるわけですか。それとは全然別個に考えられるのですか。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
233
○
政府委員
(鈴木康平君) 直接の私ども
関係
はございませんけれども、あそこの
委員
になられたような学識の高い方にお入り願いたいと思っております。それで、まあ茅先生のことにつきましては、私どもよくわかりませんけれども、東大の学長になられましてからは、なるべく内部の仕事に専心されたいということでございますので、これは私どもわかりませんけれども、あるいはそちらの方をおやめになるのではないかという気持もするわけです。なおそれから、
委員
の方につきましては、やはり日本学術
会議
というものが、何と申しましても日本の科学
技術者
を代表する代表機関でございますので、そういった意向が反映できるような方をこの
委員
にきめたいということも考えております。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
234
○佐多
忠隆
君 そうすると、それをお聞きしようと思っていたんですが、この日本学術
会議
と科学
技術
会議
との関連の問題ですね、
機構
的な、あるいは
運営
上の関連の問題は、どういうふうになりますか。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
235
○
政府委員
(鈴木康平君) この科学
技術
会議
では、日本学術
会議
が
政府
に勧告いたしまする問題のうち、重要なものはこの
会議
において審議をいたそうということでございます。それで、日本学術
会議
の方は、これは学者の集まりでございまして、実際の行政事務というものはあまり見ない。しかしながら、学者としての理想的ないろいろ意見をお出しになって、
政府
に勧告されるわけでございますので、この
会議
におきましては、その意見を、それが行政的にどうやったら反映できるかということを、この
会議
において十分検討を加えていくわけでございます。
会議
法の中には、そういった日本学術
会議
の勧告に関すること、あるいは答申に関することを審議することが規定されているわけでございます。
佐多忠隆君(佐多忠隆)
236
○佐多
忠隆
君 それから、その日本学術
会議
の特に科学
技術
面の人たちは、直接あるいはこっちの力にもう何か代表されるような
機構
になるのか。たとえば常勤二名を含む四人といような人は、日本学術
会議
の中から推薦なり何なりして、それを大体においてとられるというようなことになるのか。そういうことは無
関係
に、総理が任命をするのか。そこらの関連の問題ですね。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
237
○
政府委員
(鈴木康平君) これは法律の方におきましては、学術
会議
の会員を必ず選出するということは書いてございません。しかしながら、
運用
上におきまして、私ども大臣から承わっているところでは、やはり学術
会議
の会長あるいは副会長になるべきような方をお入れしたいということをおっしゃっております。
迫水久常君(迫水久常)
238
○迫水久常君 科学
研究
所の
予算
の中に、新
技術
開発
についての八千万円として特掲して御
説明
してあるけれども、この中にはもちろんごくわずかの事務費が含まれているとは思うけれども、それ以外のものは回転する資金になる性質のものではないかと思いますが、そういうことに了解して見るというと、科学
研究
所の中の経理についてはその新
技術
に関する部分は、何か
特別会計
ということはいいか悪いか何かわからないけれども、独立にした一つの経理をせられるべき性質のものだと思いますし、そういうふうにやられるんだと了解しておりますが、その点はどうです。
政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)
239
○
政府委員
(鈴木康平君) ただいま迫水先生のお話がございましたように、私どもも理化学
研究
所の一般的な従来の
研究
的な
経費
と分けまして
特別会計
的な扱い方をしたいと思っております。で、この点につきましては法律の上では明記してございませんけれども、総理府令あるいは政令等においてそれを規定いたしましてはっきりさしたいと思っております。
迫水久常君(迫水久常)
240
○迫水久常君 了承。
主査(小幡治和君)(小幡治和)
241
○
主査
(
小幡治和
君) それでは
科学技術庁
所管に関する質疑は、本日は、この
程度
で終了いたしまして、他に特別に御質疑がなければ残余の質疑は明日に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
主査(小幡治和君)(小幡治和)
242
○
主査
(
小幡治和
君) 御異議ないようですから、さよう決定いたします。 本日は、この
程度
で散会いたします。 午後七時一分散会