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1958-03-24 第28回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

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  1. 昭和三十三年度一般会計予算(内閣 (会議録情報)

    昭和三十三年三月二十四日(月曜日)    午前十一時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      小幡 治和君    副主査     戸叶  武君    委員            古池 信三君            迫水 久常君            鶴見 祐輔君            苫米地義三君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            吉田 法晴君            豊田 雅孝君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君    国務大臣    河野 一郎君   政府委員    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    経済企画庁長官    官房会計課長  塚本  茂君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    経済企画庁総合    計画局長    大來佐武郎君    経済企画庁総合    計画局長    伊東 正義君    経済企画庁調整    局長      金子 美雄君    科学技術政務次    官       吉田 萬次君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁長官    官房会計課長  杠  文吉君    科学技術庁企画    調整局長    鈴木 康平君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    科学技術庁資源    局長      黒澤 俊一君    科学技術庁調査    普及局長    三輪 大作君    通商産業大臣官    房長      斎藤 正年君    通商産業大臣官    房会計課長   阿部 久一君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省重工    業局長     岩武 照彦君    通商産業省軽工    業局長     森  誓夫君    通商産業省繊維    局長      小室 恒夫君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    通商産業省公益    事業局長    小出 榮一君    工業技術院長  黒川 眞武君    中小企業庁長官 川上 為治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、通商産業省所管議題といたします。  まず、前尾通商産業大臣から御説明を願います。
  3. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま議題となっております通商産業省予算各案について御説明を申し上げます。  まず、三十三年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は百八億三千七百三十七万九千円でありますが、このほかに大蔵省予算として計上されております中小企業信用保険公庫出資金二十億円、保険準備金出資金六十五億円計八十五億円及び日本貿易振興会出資金二十億円を加えますと二百十三億千七百三十七万九千円でありまして、これを三十二年度総額百億九千八百四十四万二千円に比較いたしますと百十二億三千八百九十三万七千円の増額となるわけであります。  しかして三十三年度予算のうち政策事項についてはこれを四項目に分類いたしております。  すなわち第一には貿易振興及び経済協力対策費、第二には、中小企業振興対策費、第三には鉱工業技術振興対策費、第四には産業基盤強化対策費であります。  次にこれら経費について御説明申し上げますと、第一に貿易振興および経済協力対策費といたしまして総計十七億三百三十七万七千円でありまして、これを前年度予算額十二億一百七十一万二千円と比較いたしますと、五億一百六十六万五千円の増額でありますが、先にも申し上げました大蔵省予算として計上されます日本貿易振興会出資金二十億円を加えますと、実質的には二十五億一百六十六万五千円の増額となるわけであります。  施策の重点は、今後における世界的な輸出競争の激化に対応し、国際収支長期的均衡を可能ならしめることが現下の急務である点にかんがみまして、海外市場の開拓と販路の拡張をはかるため、前年度に引続き貿易情報の整備、市場調査の充実、国際見本市等の開催、参加及び取引斡旋等のための在外機関整備拡充をはかるとともに、意匠の改善、輸出検査強化等輸出増進のための基礎的施策を推進することといたしております。  まず、貿易振興の中核体といたしましては、従来財団法人海外貿易振興会がこれに当っておりましたが、安定した基盤に立脚した強固な機構により、貿易振興のための諸事業を強力に推進するため二十億円の基金を以て新たに特別法に基く特殊法人日本貿易振興会を設立するとともに同法人の事業運営に必要な経費として前年度対比三億一千三百六十八万一千円増しの八億八千五百十万円を計上いたしておりまして、海外市場調査国際見本市等の開催及び参加、貿易斡旋所の運営、日本商品海外宣伝等総合的に輸出振興事業を推進しようとするものであります。  即ち海外市場の調査につきましては、海外市場を開拓し、わが国商品の販路の拡張をはかることは輸出振興のための基本的事項でありますので、海外市場調査を一そう強化するため前年度より二千五百七万七千円増額した一億二千九百八十九万円を計上いたしまして、海外における諸情報の迅速なる収集をはかることといたしております。  次に、国際見本市参加等補助につきましては、前年度より一億七百万円増額の二億三千八百五十万円を計上し、三十三年度開催を予定されております国際見本市中、特に貿易振興上効果の期待されるニューヨークにおける世界見本市参加等九ヵ所程度に対し、大規模参加を予定いたしておりますほか、日本国際見本市補助につきましては、前年度に引き続き同額一千万円を計上いたしております。  次に、わが国商品の展示、紹介及び貿易のあっせんを行う貿易あっせん所につきましては、三十二年度に引き続き、既設のニューヨークサンフランシスコ、カイロおよびトロントの四ヵ所を運営いたしますとともに、三十三年度におきましてはさらに二ヵ所程度これを増設し、その活動を活発化するため前年度に比し七千万円増額した二億二千二百五十八万六千円を計上いたしております。  また、わが国商品及び産業経済の実態を海外へ紹介宣伝するための海外広報宣伝費を二億六百参十九万七千円計上いたしましたが、特に三十三年度におきましては、新たに海外における輸入制限運動予防調査を行うことといたしております。  次に、農林水産物輸出振興事業費につきましては、前年度対比一千七百七十三万八千円増しの七千万円を計上し、農林水産物に関する海外市場の調査および宣伝を強化拡充するとともに従来の海外共同施設事業を継続するほか、新たにサンフランシスコ合板関係共同施設を設置することといたしております。また医薬品の販路の開拓、宣伝紹介を実施するため医薬療品輸出振興事業費として、前年度対比三百万円増しの八百四十八万九千円を計上いたしております。  なお輸出品意匠向上事業費といたしまして、前年度とほぼ同額の九百二十三万八千円を計上し、意匠留学生海外派遣および優秀デザイン商品の収集をいたす所存であります。  以上日本貿易振興会の事業に関して御説明申上げましたが、その他の貿易振興事業について以下御説明申上げたいと存じます。  海外市場開拓のための経費でございますが、前年度対比三千五百十八万三千円を増額した四億九千二百二十三万円を計上いたしております。そのうちおもなるものにつき申上げますと次の通りであります。  まず、三十三年四月よりブラッセルにおいて開催される万国博覧会に参加するための経費一億二千四百九十四万八千円を計上いたしておりますほか、絹織物及び生糸の海外宣伝要補助として三千三百六十九万円、中南米に巡航見本船を派遣いたしますための補助金一億四千四百万円を計上いたしております。  次に、プラント輸出促進対策といたしましては、現地における機械設計技術相談等の便宜を供与する日本プラント協会の活動を継続するために必要な補助金一億四千二百万円を計上いたしております。  なお海外における土建事業に協力し、あわせて建設機械の輸出を促進するための海外建設協力会の事業を引続き補助することといたしております。  さらに、外国における輸入制限運動に対処し、関税委員会等において反対陳述を行うための経費につきましては、海外市場維持対策費補助として一千万円を計上いたしております。  次に、貿易振興国内態勢整備のために必要な経費といたしましては、前年度対比三百八十三万二千円増しの一億五千五百七万八千円を計上いたしておりますが、このうち主なるものにつき以下御説明申上げます。  まず、輸出品意匠改善費といたしましては、二千三百十二万二千円を計上し、わが国輸出商品の意匠を改善するため、意匠及び製造技術の研究、各種講習会の開催、輸出雑貨意匠盗用及び模倣の防止等の措置を講ずることといたしております。  次に、輸出品品質改善に必要な経費といたしましては、三千二百九万八千円を計上し、わが国輸出商品の品質の向上、販路の維持開拓をはかるため、技術研究の補助、新規試作品奨励等を引き続き行うほか、海外の商品専門家を招聘して輸出意匠の改善をはかることといたしております。  さらに、輸出検査等整備費といたしましては、七千二百五十九万円を計上し、わが国商品対外的信用の高揚と輸出の振興に資するため輸出検査法に基く機械、金属、繊維及び雑貨等について輸出検査を実施することといたしております。  次に、輸出市場の培養と輸入原材料安定的確保をはかるため、東南アジア諸国等に対し、その開発計画を支援しつつ、海外投資技術協力等いわゆる経済協力の促進をはかることが、ますます重要性を加えつつあることにかんがみまして経済協力対策費といたしまして、一億七千九十六万九千円を計上いたしております。  まず、海外技術センター運営事業費として新たに一億一千百九十六万九千円を計上し、インドの西ベンガル等、海外における中小企業技術センターの設置及び準備調査等を行うことといたしております。  次に、従来に引き続き海外投資等の前提となる原料事情鉱物資源賦存状況等について実態調査を行うための経費といたしましては前年度対比二千万円増しの四千万円を計上いたしております。  なお以上のほかに、経済協力対策費といたしまして、アジア経済事情調査費一千万円、技術者及び中小企業海外進出に要する経費、国立研究機関海外技術者受け入れに要する経費を計上いたしております。  第二に、中小企業振興対策費といたしまして総計十一億四千五百五十七万四千円を計上いたしましたが、これは大蔵省予算として計上されます中小企業信用保険公庫出資金二十億円及び保険準備基金出資金六十五億円、計八十五億円を加えますと九十六億四千五百五十七万四千円となり、これを前年度予算額十八億四千八百八十一万七千円と比較いたしますと、実質的には七十七億九千六百七十五万七千円の増額となります。  中小企業信用保険公庫につきましては、従来の中小企業信用保険特別会計を廃止し、先ほど申し上げましたように新たに八十五億円の政府出資を行い、合計一百七億円の出資金により本公庫を創設いたしまして信用保証協会に対する低利資金の貸付と中小企業に対する信用保険業務を行わしめ、もって中小企業信用補完制度飛躍的発展に資する所存であります。  中小企業振興対策として、次に重点をおいた事項といたしましては、中小企業設備近代化及び協同組合共同施設の助成、技術指導および企業診断の強化、繊維工業設備調整等でありまして以下御説明申し上げます。  設備近代化につきましては、前年度対比二億円を増額して六億円を計上し中小企業の設備の合理化を一層推進することといたしております。  次に、共同施設補助につきましては、前年同額の一億円を計上し、中小企業組織化を推進いたしますとともに、中小企業等協同組合商工組合等の健全な発達をはかり、中小企業組織化を推進するための総合指導機関である中小企業団体中央会に対する補助金を前年度対比一千五丁目刀円増額して五千万円を計上いたしております。  さらに、中小企業の輸出に占める地位の重要性にかんがみ三十三年度においては、公設試験研究機関の設備を整備して中小企業技術指導を行なわしめることとし、このために必要な経費六千万円を新たに計上いたしております。  また、中小企業診断指導費につきましては、従来よりの成果にかんがみ、前年度に比し二千七百三十万三千円を増額した一億四百八十七万一千円を計上して地方公共団体の行う企業診断などの経費を補助するなど施策の充実をはかることといたしております。  なお、中小繊維工業産業規模合理化し、過当競争を避けて輸出市場安定確保をはかるための補助金として三十二年度は綿スフ関係五千万円、絹人絹関係七千万円計一億二千万円が計上されたのでありますが、綿織機関係設備調整補助は三十二年度をもって打ち切りとし、三十三年度においては絹人絹織機のみ対象として一億二千万円を計上いたしております。  第三に、鉱工業技術振興対策費でありますが、最近における欧米諸国のめざましい技術の進歩に対処し、わが国がその立遅れを取戻すためには画期的な産業技術の振興が必要であることにかんがみまして前年度対比三億一千八百五十七万八千円増加した十六億六千九百九万二千円を計上いたしております。  本対策費中重点を置いた事項といたしましては、国立試験所特別研究費等に必要な経費を初めといたしまして鉱工業技術試験研究助成費工業標準化実施費および発明実施化助成費等であります。  まず、国立試験所特別研究費等に必要な経費といたしましては、前年度対比二億二千一百八十三万九千円増の十億九千四百三十五万二千円を計上いたしております。このうち、おもなるものについて申上げますと、特別研究費につきましては、当省所属試験研究機関において、それぞれの基礎的研究に必要な研究費のほか、特別のテーマにかかる特別研究を行なっておりますが、前年度対比二億五十七万六千円増しの七億四千二百九十五万三千円を計上いたしました。  これによりまして三十二年度に引き続き電子技術生産加工技術工作機械オートメーション及び高度分析技術の研究など、わが国経済にとって喫緊の重要事項に関する研究を推進することといたしております。  次に、電子技術の向上に寄与して電子工業の振興をはかるため、電子機器試験検定のための設備を整備するための経費として五千万円を計上いたしております。  さらに三十三年度におきましては、技術振興のための基本的問題である技術者待遇改善のため、試験研究所研究員待遇改善費として新たに一千一百二十九万円を計上いたしました。  次に、鉱工業技術試験研究助成費につきましては、五億二千八百万円を計上して国家的見地より見て重要と思われまする応用研究工業化試験を補助したい所存でありますが、そのうち特に欧米諸国に比して立ち遅れていると思われまする電子技術を振興するため、一億六千五百万円を当て、また将来における中型輸送機の需要を勘案して、その国産化を促進するためその試作研究費として一億二千万円を当てるほか、重要工作機械等国産化を補助するための経費二千万円を計上いたしております。  次に、日本工業規格の制定及び表示制度確立のための審査、検査及び規格の普及を行い、また国際標準化機構及び国際電気標準会議の一員として諸外国と国際標準規格制定規格表の交換及び各種情報の活用を行うなど工業標準化事業を推進するため工業標準化実施費といたしまして前年度とほぼ同額の四千四十四万円を計上いたしております。  さらに、優秀な発明であって経済的理由により、外国特許を出願することが困難なものに対し奨励援助するために交付する補助金及び発明協会に対し交付する補助金といたしましては、発明実施化助成費として、六百三十万円を計上いたしております。  なおほかに原子力平和利用研究費といたしまして三億五千万円程度が科学技術庁より当省所管試験研究機関に移しかえされる予定であります。  第四に、産業基盤強化対策費といたしましては、前年度対比三億四千十六万六千円増しの十一億三千五百十七万四千円を計上いたしており、その内容といたしましては生産向上対策費工業用水道事業費産業立地条件合理化費資源開発費商工鉱業統計調査費防衛産業施設維持喪補助鉱害復旧費及びメートル法専用実施要等であります。  まず、わが国諸産業の生産性の向上を三十二年度に引き続きさらに強力に推進するため前年度対比二千万円増しの、一億三千万円を日本生産性本部に対する補助として計上いたしました。  工業用水道事業費といたしましては工業用水の確保が今後における工業生産伸長のため重要不可決な基盤である点にかんがみ、横浜、大阪、北九州の継続事業のほかに、北伊勢、愛知、仙塩、徳山、磐城地区新規事業に対し、補助を行うこととし、前年度比一億九千九百万円増しの五億円を計上いたしております。  次に、鉱工業の急速な発達に伴い、産業立地合理化をはかることの必要不可決である点にかんがみ、産業立地条件合理化費を前年度対比九百八十二万四千円増しの一千一百五十万九千円計上し、産業立地に関する総合的な調査、指導体制の整備に着手することにいたしました。  さらに、国内資源の開発に関しましては、増大する石炭の需要に応ずる石炭鉱業供給態勢を確立する必要があり、このため新炭田開発阻害要因を除去してその開発を効果的に実施するために必要な経費としまして炭田総合開発費四千万円を新たに計上いたしましたほか、砂鉄、磁硫化鉄鉱等重要鉱物の新鉱床探鉱費補助及び天然ガス探鉱費補助はそれぞれ前年度同様五千万円及び二千万円となっております。また発電水力調査費といたしましては一千二百九十三万円を計上いたしておりますが、このほか科学技術庁より当省所管として移しかえを予定されているもので核原料物質探鉱奨励費三千万円があります。  次に、商工鉱業統計整備充実をはかるため、前年度に比し五千六百五十六万一千円を増額した二億七百十一万四千円、防衛産業特定設備管理補償費八千九十八万二千円、鉱害復旧事業費七千三百四十五万五千円及び昭和三十四年一月よりメートル法が専用実施されるので、これに備えて事前に指導宣伝を行うための経費九百十八万四千円等を計上いたしております。  以上をもちまして当省所管一般会計に関する御説明を終ります。  なお、従来から当省の所管いたしております特別会計は五つありますが、そのうちアルコール専売事業特定物資納付金処理及び輸出保険の三特別会計につきましては引続き継続いたしますが、中小企業信用保険特別会計につきましては中小企業信用保険公庫の発足に伴い七月以降廃止いたします。また特別鉱害復旧特別会計につきましてはすでに本来の業務を終了し残務整理の段階に至っておりますが、さらに明年度一年間これを継続して業務を完了せしめる予定であります。以下各会計につき、歳入歳出予算の大要を簡単に御説明申し上げます。  まづアルコール専売事業特別会計でございますが、三十三年度の歳入予定額は三十二億四千八百九十九万五千円、歳出予定額は二十九億八千二百万二千円でありまして、資産、売掛金の関係を加減しますと、三十三年度の益金予定額は二億五千三百三十七万二千円となります。  第二に、輸出保険特別会計について御説明申し上げます。三十三年度歳入歳出予定額は、ともに六十六億五千三百五十八万二千円でありまして、歳入のおもなるものは保険料収入十億三千一百十六万四千円、資金運用収入二億五千八百万円、雑収入一億五千二百十七万二千円、前年度剰余金五十二億一千二百二十四万六千円等であり、歳出のおもなるものは支払保険金六億七千八百五十一万円、予備費五十九億三千九百七十三万六千円等であります。  なお、現行保険制度改善策といたしまして、普通輸出保険制度簡素化をはかるため現行の再保険制度を廃止し、政府の直接引受制度に改めるとともに普通輸出保険の担保危険を明確化することにより制度の運用の合理化をはかるほか、この保険の利用者保険料負担の軽減のため保険料引き下げを実施する所存であります。  第三に、中小企業信用保険特別会計でございますが、前に中小企業振興対策において申し上げましたように、中小企業信用保険公庫の新設に伴い本特別会計は廃止されることと相なりますが、新機構発足を七月一日と予定いたしまして、四月より六月までの期間の収支につき御説明申し上げます。三十三年度四—六月歳入歳出予定額は、ともに二十三億六千四万二千円でありまして、歳入のおもなるものは保険料収入一億一千八百七十七万八千円、雑収入六千二百六十九万六千円、前年度剰余金二十一億七千八百五十六万八千円等であり、歳出のおもなるものは、保険金三億四千七百七十万円、予備費十九億九千三百七十五万一千円等であります。  第四に、特別鉱害復旧特別会計について御説明申し上げます。本特別会計は、戦時中の石炭増産に伴う特別鉱害を復旧することを目的とする臨時立法に基くものでありまして、本法は三十三年三月をもって期限が終了するのでありますが、本特別会計のみは精算事務のためなお一年継続するものであります。本会計の三十三年度の歳入歳出予定額は、ともに四千八百二十九万二千円でありますが、歳入のおもなるものは前年度剰余金受け入れ四千八百二十八万六千円であります。  第五に、特定物資納付金処理特別会計について御説明申し上げます。本会計は特定物資輸入臨時措置法に基くもので、三十三年度の歳入歳出予定額はおのおの二十億八千九百一万円で、歳入のおもなるものは納付金二十億八千八百万円であり、歳出のおもなるものは産業投資特別会計へ繰り入れ二十億円であります。  以上をもちまして一般会計及び特別会計予算の概要につき御説明いたしましたが、この際当省関係財政投融資計画について簡単に御説明いたしたいと存じます。  昭和三十三年度における当省関係財政投融資の総額は一千七十二億円でありまして、これに自己資金等を加えた運用総額は二千四百七十六億円と相なります。これを昭和三十二年度と比較いたしますと運用総額につきましては、当初計画二千一百九十三億円に対しまして二百八十三億円増となります。  なお、本計画の前提といたしまして電力、鉄鋼についての世界銀行借款三百九十億円が織り込まれており、さらに金融情勢の推移に応じまして資金運用部資金による金融債の引き受け、及び中小企業金融公庫借入限度に関する弾力条項が発動されることとなっており、これらを総合的に運用することによりまして重要産業及び中小企業資金確保につき遺憾なきを期する所存であります。  まず、開発銀行でございますが、開発銀行融資の重点は、わが国経済安定的成長を目標といたしまして産業基盤の強化と産業構造高度化に直接的に貢献する産業に指向し、電力、海運、石炭、鉄鋼、特定機械合成ゴム等を重点的に取り上げることとし、運用総額は三十二年度当初計画の六百億円に対し二十億円増の六百二十億円を確保するものとし、このため、財政投融資といたしましては、三十二年度当初計画の二百五十億円に対し七十五億円増の三百二十五億円を確保する計画であります。なお、六百二十億円の配分計画は、電力二百五十億円、海運一百八十億円、一般産業一百九十億円となっております。  次に、中小企業金融公庫でございますが、中小企業の育成、振興のためその金融の円滑化は必要不可決の要件でありますが、中小企業設備の合理化、近代化が大企業のそれに比較して著しく立ちおくれている現状にかんがみ、融資の重点は設備の合理化、近代化とその企業の経営の安定化に資するための融資を中心として運用いたすものとし、運用総額は三十二年度の補正後の計画五百十五億円に比し、五十五億円増の五百七十億円を確保するため、軍用部借り入れ二百七十五億円を行うことといたした次第であります。  なお、三十三年度におきましては、前年度に引き続き直接貸しに重点を置くものとし、三十二年度の七十億円に対し二十億円増の九十億円を確保する計画であります。  また商工組合中央金庫につきましては、三十三年度におきましては中小企業団体法の関係もあり、資金需要は相当に増加することが予想されますので、三十二年度の当初貸出計画二千二十五億円、補正後、二千二百億円に対しまして三十三年度におきましては、二千五百三十億円の貸し出しを行う計画であり、このため資金運用部による商中債引き受け三十億円を行うことといたしております。  次に、輸出入銀行でございますが、三十三年度におきましては、輸出金融につきましては船舶輸出減少の反面、一般プラント輸出の増加、ミナス製鉄所、インド円クレジット等の特殊輸出金融を織り込み、六百八億円の貸付が必要であり、また賠償経済協力関係金融につきましても、ビルマ、フイリッピン、タイに対する賠償経済協力実施が円滑化し、前年度比倍額以上の六十四億円の貸付が必要と考えられますので、総額七百三十億円と前年度の当初計画に対し三十一億円増しの貸付を予定いたしております。一方これらの原資につきましては、回収金等の増加が見込まれますため、運用部から八十億円の借り入れを行うことといたしております。  次に、電源開発株式会社につきましては、三十三年度においては前年度に引き続き田子倉、奥只見、御母衣の大規模貯水池式発電所の建設に重点を置き、三十二年度の当初計画四百二十八億円に対し七十億円増しの四百九十八億円の電源開発工事を遂行することとなっており、このため産投出資九十億円、運用部借り入れ二百五十四億円、計三百四十四億円の財政資金を投入するほか、世界銀行からの借款の成立を期待し、これにより一百二十三億円をまかなう計画であります。  石油資源開発株式会社につきましては、改訂石油資源総合開発五ヵ年計画に定められました昭和三十六年度原油生産百万キロリットルの目標を達成するため、明三十三年度におきましては、大油田の発見が有望となった裏日本の海洋試掘をも加えまして、三十二年度二十三億円に対し五億円増の二十八億円の工事費をもって試掘工事を推進することといたしております。このため、十八億円を産業投資特別会計より出資する計画であります。  以上をもちまして通商産業省所管一般会計及び特別会計の予算の御説明を終りますが、なお、御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上可決せられんことをお願いいたします。
  4. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  5. 苫米地義三君(苫米地義三)

    苫米地義三君 計画では輸出振興とそれから海外貿易開発をやる、こういうことなんですが、主として東アの方面、その方面は割合に資金に不自由なところが多いわけですね、そのためと思いますけれども、この間インドネシアに対する焦げつき債権というものが打ち切りになったということ、ああいうのは今後も起り得る情勢ですか、どうですか。
  6. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 遺憾ながらインドネシアは御承知のようにまあ焦げつきを生じてしまったのでありますが、これはオープン勘定の関係でありまして、前年までは割合誠実に実行しておったのが、一年の間にああいう相当な輸出超過になってしまって、それが焦げついた、その後におきましては、これは輸出調整をやつておりますので、すでにバランスをとって、焦げつきはふえておるわけではないのであります。従いましてまあ最初お互いに外貨がないというときにはオープン勘定というものはやっぱり大きな力であり、それによって貿易の拡大ができるのでありますが、一面にそういうような危険性があるわけでありまして、十六ヵ国最初オープン勘定を開いて、それによって貿易をやっておりましたのが、順次、今は減らして参りまして、ただ六カ国だけ現在はやっておるので、あります。そのうちにおきましても、大体向うから輸入する物資さえありましたらそんな心配は、オープン勘定の心配も私はないと思います。従ってただいまやつておりますオープン勘定を開設しておりますところで、そう輸出超過になりますおそれのあるものは——台湾とか韓国というところは別といたしまして、エジプトも最近いろいろなことを言われておりますが、あれはちょうど昨年のスエズ運河の問題のために、平素は常に輸入超過になるべきものが輸出超過になりまして、多少いろいろ御心配をされる向きもあるのでありますが、これはもう向うから綿花はどうしても買わなくつちやなりません。もうプロジェクト・バランスではほとんどバランスがとれておるのであります。これはそんなに焦げつく心配はないと思います。従って今のところ私どもとしましては、焦げつく心配は、ただいま清算勘定をやつております関係国ではないというふうに考えておりますが、それにしましても、よほどこれも常に注意をして、そしてああいう焦げつきのないように、起らぬように、それだけの処置は常に注意をし、善処していかなければならぬ、かように考えておるのであります。
  7. 苫米地義三君(苫米地義三)

    苫米地義三君 焦げつき債権の棒引きという処置は、これは貿易のあり方からいっても非常時のやり方だと思うのですがね。私どもが考えますというと、やはりあれは一種の賠償と見るのがほんとうなんじゃないですか。
  8. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) おっしゃるように、焦げつき債権の棒引きというものはやはり非常手段であります。インドネシアは、今後における——もちろんオープン勘定という形式はもう向うからやめてきたのでありますからとりませんが、今後の貿易の拡大また今後のお互いの経済協力という関係を考えますと、ああいうものは、常に重なっておるということの不安といいますか、続いておりますと、今後の貿易というものは非常に阻害される関係にもなりますので、思い切った手段をとったわけであります。これは決して好ましいことではないのであります。ただまあ賠償とか、今後の経済協力とか、そういうものと一緒に解決して、そうして今後の開発なり、貿易の拡大なり、正常化をはかっていこうと、こういう考え方でやつたわけであります。
  9. 苫米地義三君(苫米地義三)

    苫米地義三君 くどいようですけれども、あの問題の起ったのは、通産省の側の方からああいう意見が出たのですか。あるいは外務省の賠償交渉の方から出た主張ですか。どちらが原因ですかね。
  10. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) あの問題は、これはまあ期せずしてこれよりもう仕方がないじゃないかということでありまして、実はまあ大蔵省としては従来から反対をしておりましたが、まあみんなで相談してみますと、むしろ結局これで、こういうことで措置をとらなければ今後どうにもならぬというので、全くこれは期せずして一致したということが私は正しいと思うので、その場に私もおりましたし、みんながそういうような結論に一致したのでありまして、まあその点は従来のいきさつにおいてはいろいろありますが、あれがきまりました当時にはだれも異存はなかったようです。
  11. 鶴見祐輔君(鶴見祐輔)

    ○鶴見祐輔君 この輸出振興のことについてちょっとお伺いいたしますが、日本はアメリカからたくさん物を買っておるのですね。ところがアメリカの方からは日本でだんだん買わなくなるように見られますので、いろいろ輸出振興で対策をおとりになっておるようですが、特にアメリカの問題についてお伺いしたいのは、どうも私ながめておりますと、日本に対するアメリカのいろいろな制限が、経済上の理由もありましょうけれども、もっと深い正常な理由があると思うのですね。その正常な理由というのは、根本的な外交政策というようなことから言えば矛盾しているのですから、多くは国内の選挙対策の問題に非常に密接に結びつかれておると思うのであります。たとえばマグロの輸入についていろいろな規制を行う。要するに探ってみると、結局サンディエゴ付近にある嘆か二万人のマグロの漁師及びその家族という問題がなぜあんなに大きくなるかというと、あそこを地盤としてニクソソンとか、次の大統領候補のノーランドが出ている。従ってそういう人々の発言が非常に中央政界を動かしている。あるいは織物の制限についてみますと、お死になりましたアメリカの、一番大きな政治力を持っていたセネター・ジョージが自分の選挙区がジョージアにある。そこに織物の工場がある。従って一般的な輸出輸入の問題についてはあれだけ非常な寛大な政策を持ったセネター・ジョージが、事いやしくも織物の問題になって参りますと、非常な排外的な近視眼的な意見を通す。従ってそれの対策といたしましては、私は、もちろん外務省の大使を通して交渉されることも一つでありますけれども、通産省とされて外務省と連絡をとられて、こういう国内の政治問題に関係する対策をどうするか。たとえば今度鮎川さんがお出でになっていろいろ交渉をされておるようでありますが、一方においてやっぱりアメリカで非常に進んでおるPR関係の人々が、アメリカ人でなくちゃできないことでありますが、そういう人々と連絡をおとりになって、こういう国内政治、ことに選挙問題と絡んでくるような問題は、アメリカの消費者の利害関係から言えば、日本の安い物が入るのはかえって利益なんでありましょうから、一部少数の生産者の利害だけが日本の貿易をじゃましないような対策をおとりになる必要があるのじゃないかと思いますが、大臣どういうふうにお考えになっておりますか。
  12. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 全くおっしゃる通りでありまして、大局から見ました場合に、日本が輸入超過をやっておりまして、アメリカ側として日本の商品を排斥する理由は全然ないということは政府の当局がよく知っておるのであります。それにもかかわりませず、いろいろ問題が起りますことは、これは向うの相手方の業者の方々が中小企業でありますことと、またやはり民主的な国でありまするから、それが選挙の関係と結びついておりますことと、アメリカの立法が非常に個人的な立法ができるというような点にあると思います。ことに盛んに熾烈になっておりますのは、大統領の中間選挙の問題と、それから互恵通商法の延長という二つの関係がありまして、ごく最近に熾烈をきわめているというふうに考えております。従いましてこれは政府の当局にいろいろ話をするというのももちろん外務省とされてはやっていただかなければなりませんが、やっぱりそういう直接関係のある議員によほど了解を求めるという工作もしなければならぬというふうに考えておりますので、実は外務大臣とも私話して、それから適当な人に、各議員にも十分その事情を訴えていくというような、誰か適当な人がないかというようなことを相談もしておるのでありまして、そういうところから話していかなきゃならぬ、かように考えております。
  13. 鶴見祐輔君(鶴見祐輔)

    ○鶴見祐輔君 鮎川さんの仕事について、まだ、伺うのは時期は早うございますか、何かこの委員会でお話を伺えますか。
  14. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は鮎川さんは、別にわれわれと関係しておいでになったのではありませんし、その後の報告も聞いておりません。
  15. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 きょうはアメリカ側からも政府関係の有力者がきておって、通産大臣は午後においてお目にかかるということでありますが、今、鶴見さんの言いましたように、日米関係貿易上における調整というものは、きわめて重要だと思うのです。昨年岸総理大臣がワシントンをたずねましたときの演説内容も、ワシントンにおけるナショナル・プレスクラブの演説なんかは主として重点をそこにおいたようであります。日本関係の、アメリカに対する輸出の倍アメリカから日本が輸入しているのにもかかわらず、アメリカは日本に対して公正な市場を与えてくれていないということを非常に力説しておりました。そういうものの反響はどうかということを、私は在野政治家として聞くために、日本側に好意を持っているところの前の外交委員長であられたセネター・ワイレーとか、あるいは今の外交委員長をやっておられるセネター・グリーンとか、あるいはニューヨークに来ましてから新聞のハーストとかあるいはハワードとか、そういういろんな各界の人にも会って意見をたたきましたが、やはりアメリカ側の考えの中には、岸さんの言うような面があるが、事実上において日本は特需関係において、あるいは船の運賃等の貿易外収入においてドルを相当稼いでいる。そういう関係でとんとんにやや近いのではないか。これはアメリカ側の一つの見方だと思うのです。そういうやはり特需貿易というものに対して、私たちはもっと正常化をはからなくちゃならないが、アメリカ側がどう考えているかということに対しても、予備知識をもってアメリカ側に訴えないと、日本の対米貿易というものはどうにもできないのではないか。この点が一つ。  もう一つは、今やはり鶴見さんも心配されたような、アメリカにおける日本製品のボイコットの運動です。これは中間選挙の年にはいつでも起ることでありますが、現象面だけを見てはいけない点は、アメリカの中小企業というよりは、アメリカとしての今御指摘になったような零細企業です。大体それに関係のある人たちというのは、日本の安い労働力によるところのソシアル・ダンピングというものにおびえて、そういうものが倒産しあるいは不振になったりするので、そういうものを政治家に結びつけて抵抗をやるので、それが選挙の年には著しく出てくるのですが、ILO条約も批准していない日本、現実において、労働賃金において、アメリカと日本の比較というものは、日本の十倍ないし十一倍アメリカの労働者の所得がある。カリフォルニア州においては十七倍とまでいわれている。こういう賃金の非常な格差があるので、ただ日本の貿易のやり方というものは古い様式で、安い労働賃金でもって、安い製品を出して、外国の市場を席巻しようというような戦前の考え方ではやっていけないのではないか。ガット加入後におけるところの心がまえというのはおのずから違っていかなければならない。それにもかかわらず、アメリカに訴える前に、日本の態勢が整われていないということが、私はアメリカ側に訴える意味においても、非常に力強さを欠くと思うのですが、アメリカ側と折衝に対して、鮎川さんはすでに現地において日本の中小企業の弱点というものを是正して、そうして了解を求めようとしている運動をやっております、政府側としてはどういう手をこれから打って推し進めていこうとするのですか。ただ日本だけでやっているのだという感じを抱かせるような、空虚な、感傷的な戦いでは私はアメリカをかえることはできないと思うのです。
  16. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) お話の踊りでありまして、一つには、アメリカ側としては特需の関係のあることは、われわれもまた十分常に計算をしながらやっておりますが、それでもなおかつ昨年は特別な年ではあったと思いますが、非常にアンバランスでありました。また、特需も、漸次減少していくような格好にもなっております。その点は、われわれとしましては、もちろん十分計算もし、また考えにも入れて常に話しておるのであります。それから一般の民間で、先ほど申し上げましたように、相手の方にも、これはアメリカ側も、零細企業者、これはおっしゃる通りであります。従ってこちらの態勢を整えて話していかなければならぬということについても、これはもう御承知の通り、御意見の通りでありまして、従来からこのことはよくわかっておりますが、なかなか今度は、日本の業者が——実は、通産省もやかましく言っておりますが、ぎりぎりのところまで来ないと、そこまで踏み切るといいますか、そういう気持に今まではなっていただけなかったというふうに私は見受けております。しかしそんなことではいかぬので、今度ことに洋食器の問題等におきまして一般の業者の方々も非常に反省をされたといいますか、非常に参考になったと思います。われわれとしましても、従来よりももっと強力にそうした方が結局得なのでありますから、一割なり二割なりの輸出を、着実な輸出の増加ということでありましたら、そんなに刺激せずにいくのであります。昨年よりも、倍になった、三倍になった、場合によりましては十倍になった。これではやはり向うの同業者の立つ瀬がないと言われても、これはいたし方がない点もあります。  それともう一つは、政府側も、確かにアメリカ側の動向というものについて予知するのがおそかったと思います。アメリカのいろいろの調査機関を今後活用して、そうしてできるだけ早い機会に、いろいろなそういう問題の起りそうなものについてのことを調査いたしまして、早目にこちらが規制していくということで、今度の予算につきましても、これは外務省として活動される面もありますし、またこちらのジェトロとして活動する面もあります。そういうような経費も十分取りまして計上しておるわけであります。それによってできるだけ早く察知して、こちらの手を早く打っていくということにいたしたいと思っております。
  17. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 アメリカの業界の動き、それから人心の動き、国会の動き、そういうものをいち早く察知して、情報をとらなければならないということは、私は、二、三年前と思いますが、可燃性織物の、アメリカの国会における禁止の問題が出て、半年——約一年近くたっても、日本の政府機関は何らこれを関知しないで、えらい問題を起したこともあったときに、緊急質問でずいぶんきびしく質問しましたが、そのときには、政府の言い分が、それに応ずるだけの態勢を作るということでしたが、さらに態勢を作つていない。今の御説明だとジェトロのようなものを活用しようか、あるいは外務省関係の出先の機関を活用しようかと、まだ迷っておられるようでありますが、やはり国会関係のロビーの人たちあるいはプレッシャー・グループのいろいろな動き、そういうようなものぐらい、私は、専門家をやつておけばわからないはずはないので、大体政府貿易に対する手の打ち方というものが形式的で、緩慢で、外地の総領事館に行っても、機関に行っても、大体自動車もろくなやつがつけられておらないので、燃料費にも事欠いて走れないというような、びっことつんぼみたいなものが存在しているので、これでは私は動けないと思うのですが、こういうことに対して、外務省なり通産省なりは、具体的にはどういう手を打っておりますか。
  18. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま申し上げましたのは、外務省を使うか、ジェトロを使うかというのでなしに、両方とも使うのだということで、両方に経費が計上されております。これは接触する面が違います。それから私の方としましては、やはり向うのそういうようなリサーチの機関がありますから、そういう目的に、委託調査といいますか、ジェトロに委託調査さして、そうして早目にこれを知るというふうに、ただいまのところは考えて、予算はそういうつもりで計上いたしております。
  19. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 政府予算の振り分け方はいつも形式的で、あちらにもこちらにも手を打っていながら、結果的には何らの成果をあげていないというのが、私は実情だと思うのですが、やはりもっと私はしっかり、現地の人が動けるような態勢をとつてもらいたいと思うのですが、ただ今の洋食器の問題でも、玩具の問題でも、向う側で指摘しているのは、あれは言いがかりをつけているのが主であって、ああいう傾向もあるから、日本側でそういうあれは直していかなければならないけれども、いずれにしても大都市集中の生活の窮屈というものから転換するために、自動車を利用して郊外に遊びにいったり、また郊外におけるいろいろな住宅の分散、あるいは野外におけるパーティ、いろいろな形でもって、こういうものはどしどし私は使われていくと思うのです。それの輸出の量を減らすということよりも、向う側に応じた一つの態勢を整えるということがいいのであって、ただ萎縮した形において、そうしてやっていたのでは、食器の問題なんかも、あるいは玩具の問題なんかも私は不振な結果を招くだけだと思うのですが、こういうのにもっと専門的な感覚を持ったものを動かすようにしたらどうなんでしょうか。ただいろいろな機関に金をやるというだけでもって、機関に金をやると、いろいろなパーティばかり開いていて、旧態勢の外交官と旧態勢の貿易丙ではこの新しい時代の転換ができないと思うのですが、どうなんですか。
  20. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) われわれもそういうふうに考えましたので、いわゆるジェトロを特殊法人にしたといいますことは、結局機動力を与え、自性をもって、そうしてまた今までの不安定なものでありますと、優秀な人が得られぬ、こういうところを考えまして、特殊ないい人を得て、そうしておおせのように機動的にまた自主的に活躍してもらいたいというのが、そもそも特殊法人にしました根本の考えであります。お話のような結果になったことは私ども十分認めておるのであります。それを直そうというふうに考えておるわけであります。
  21. 鶴見祐輔君(鶴見祐輔)

    ○鶴見祐輔君 今戸叶さんのお話に関連してですが、アメリカの中で日本にいろいろ不利益な材料をもって、日本の製品をじゃまする者があると同時に、非常に日本に、自分の利害関係なしに、正しい立場から日本に好意を持っている人がたくさんおるのです。こういう問題は、私は日本人が表面に立って働くことは反感を買うと思うのですが、イギリスのやり方を見ておりましても、アメリカ人を非常に上手に使う。中国の人もそうなんですね。それで、アメリカで好意を持っておる人を逆にこういう問題にお使いになるということを、私はお願いしたいのですか、通産大臣にその一つの例を申し上げておきます。たとえば、今日本に非常に好意を持っている、実力を持っているのがテキサスだと思うのです。テキサスの州からは、政治家としてはレーバーンにしても、ジョンソンにしても、ああいう偉い人が上院にも下院にもおって、非常な政治力がある。そこへもってきて、港としてもヒューストンがニューヨークの次になって、遠からずニューヨークを追い越す。現在でも、ニューヨークのウォール・ストリートよりずっと現金を持っておる。テキサスは非常に日本に好意を持っておりまして、日本といろいろなことで連絡をとりたいと思っておるにかかわらず、日本側はテキサスに全然連絡をとらないのです。これは外務省に二、三年来お願いしておるのですけれども、あそこに、総領事館をヒューストンに置きなさい。ニューオルリンズにあるからといって、ニューオルリンズには勢力がないのですから……。昔は商務官がおった。通産大臣としてテキサスに、ことにヒューストンに商務官をお置きになりまして、あそこにたくさんおる日本に好意を持った、政治力を持ち経済力を持っておる人々に呼びかけられて、日本が表に立たないで、テキサスその他の人々が、アメリカ人が表に立って、自分の利害関係を離れて、日本とアメリカとの協力、協調という関係を具体化するために働くような方針を立てて、通産省と外務省と御相談いただきまして実行していただきたいと思います。ことに、ヒューストンに総領事館を置くような場合には、ぜひあそこに前のような通商商務官をお置きになりまして、アメリカ人の友人をたくさんお作りになることの努力を一つお願いしたいのでありますが、いかがでございますか。
  22. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 非常に適切な御意見であります。お話の御趣旨に従って私も努力いたしたいと思います。
  23. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 日本の鉄の方の業者が中国との間に協定を結び、一方インドにおける鉄鉱石の開発の問題で日本側が積極的な協力を示すことになりましたが、コロンボ・プランとの結びつきは、すでにこの問題は一九五二年のニュージーランドでコロンボ会議が開かれて以来の懸案であったのですが、この問題を中心に、ほかはどういうことが考えられておりますか。これは通産省、わかりませんか。外務省関係になっていますか。
  24. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 中共との鉄鉱石の関係につきましては、私は鉄鋼の問題につきましては、やはり鉄鋼、製鉄会社の関係の方々が自分の必要な鉄鉱石を入れる、これにはどういうふうに推進するかということを努力していただくということが、貿易の拡大に資するゆえんで、その努力をしてもらわなければならぬということでおいで願って、ああいう契約もできたのであります。また、インドの関係につきましては、大統領基金との関係がありますので、極力早く実を結びませんと、その関係が切れてしまったのではまずいというところから、早くおいで願ったような次第でありまして、それ以外の関係で、特別にコロンボ・プランとの関係ということでなしに聞いていただきたい。
  25. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 先ほど説明した西ベンガルにおける施設は、あれはインド政府だけの関係の結びつきですか。
  26. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) この前に総理がおいでになったときに、インドでも話していただきました。インドだけの関係であります。ただ、私どもは、西ベンガルにまず置きますが、マラヤとかその他の地方にも、次の段階においてそういうものを作っていきたいと、かように考えておりますので、少くとも調査だけは来年度の予算でやろう、もしよければもっと促進したいというふうに考えております。
  27. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 ちょっと、関連。今のインドの鉄鉱石の開発の問題ですが、ルールケラーの鉱山開発、これは今度の協定によると、開発資金八百万ドル、これを現物出資するというような形の話のように思うのです。これは例の百八十億協力の問題ですね、この資金と今のこの開発資金八百万ドルとは、どういう関連として考えておられますか。
  28. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) この五千万ドルの関係は、インド側としては、今度の開発資金とは関係するわけではなしに、すでに五千万ドルについてはインド側としてはいろいろな計画を持っておるようであります。この八百万ドルの関係は、要するに、今後の鉄鉱石の輸入ということに関連しまして、そうして安定した、しかも品質のいいものを低廉に供給してもらう、こういう問題と関係いたしておりまして、五千万ドルの借款とは関係なしに一応は進んでおります。しかし、これは今後の正常貿易なりいろいろな問題があると思います。また、八百万ドルだけで済むかどうかというような問題がありますので、いろいろ今後の進み方は問題がからみ合ってはくると思います。しかし、ただいまのところ、八百万ドルというのはそれとは関係せずにいっておるわけであります。
  29. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そうすると、五千万ドル、百八十億の計画は、この間から聞いておるところによると、大体三ヵ年くらいで出す。初年度は五十億程度のものを出すというようなお話だったと思うのですが、この五十億の経済協力は、それ以外の問題を考えておられて、五十億以外に、開発資金八百万ドルのこれは何年計画になるのか。初年度をどう考えておられるのか。そこらが、それとの関連との問題で、もっとはっきりしてもらいたいのですが、それを外にさらに計画をしておられるのかどうか。
  30. 政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)

    政府委員松尾泰一郎君) ちょっとかわりましてお答え申し上げますが、この三年間五千万ドルの円クレジットにつきましては、初年度大体五十億円というふうに考えておるわけであります。御承知のように、五十億円というものと輸出額というものとは、必ずしも一致をしないわけであります。百八十億円にしましても、初年度の五十億円にしましても、これは輸出入銀行が金を貸し出すベースということになっております。従いまして、率直な言い方をいたしますれば、先方が上手な買い方をいたしますれば、五千万ドル以上の輸出が三年間にできるということになるわけであります。もちろん、この五千万ドルのほかにも、いわゆる通常のベースによりますところの買い受けのオファーも現在かなりきておるわけであります。われわれ通産省といたしましては、大体過去におきましてこういうプラント類が千五百万ドルないし二千万ドルくらいはインドに出ておつたわけでありますから、われわれとしてはもう少し伸ばしたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、その五千万ドルの円クレジットが一つの方便として考えておるわけで、これだけが全部とは考えていないわけであります。  従いまして、先ほど大臣のお答えになりましたルールケラー等の関係の八百万ドルにつきましても、これも日本の鉄道車両等の資材を輸出する、八百万ドルの日本のそういう機械類を出される。従いまして、それを輸出を押えるという建前になれば、五千万ドルの中でやれという議論になりますし、できるだけ輸出を多くしようということになれば、五千万ドルのほかでいいじじゃないかという議論にもなるわけでございます。まだこれにつきましては、向うで開発した鉱石を持ってくるということでありまして、普通のその十年間で、三年間のその最初の支払いは猶予するというような方式の貸し付けにはならないわけであります。まあ、われわれといたしますれば、五千万ドルのワク外で考えたいということなんでありますが、今大蔵当局ともその辺のところは話し合いをしておる最中でございます。
  31. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そうすると、八百万ドルという開発資金は、今のあなた方の考え方では、この三年なら三年、すぐ今年度を初年度として三年なら三年でやられるのか、それとも、もうこの程度の鉱山機械なり車両の現物出資だったら、今年一年間くらいでこれをやられるのか。従って、それとこの五十億との関連をどう考えておられるのか、そこのところのポイントを聞いておるのですよ。もっと大きなことはもっと別な話で、その点だけが問題なんです。そこをどう正確にあなた方は考えておるのか。
  32. 政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)

    政府委員松尾泰一郎君) このルールケラーの方は、われわれの今受けておりまする情報によりまと、資金として五千万ドル要る、こういうふうに伺っておるわけであります。そのうち、まあアメリカが半分大統領基金でもって出す、あとを日本側が八百万ドル、そういう車両等の資材で出す、インド側が残額の千七百万ドルを負担する、こういうようなことであります。従いまして、その三者が話し合いが妥結いたしませんと、まだ進まぬわけでありますので、まだ第一年度に何ぼ要るかというところまでは、ちょっと行っていないことと私は考えております。繰り返し申し上げますように、一応先般インド側に与えました日本の円クレジット五千万ドルの外で考えたい、こういうふうに通産省は考えております。
  33. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 その問題は、五千万ドルのうち、二千五百万ドルが米大統領特別基金からの借款、それからインド側が一千七百万ドル、日本側が八百万ドル出資、こういうことになっておるようでありますが、事前にすでにアメリカ側との話し合いもできて、そうしてインド側と交渉をしたものだと思われますが、アメリカ側との話し合いはインド側がやったのですか、日本側がやったのですか、両方でやったのですか。
  34. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) これは三者協議中なんでありますが、実をいいますと、大体の大綱をまあきめて調印というので、民間の方がお帰りになりまして、まだ政府としましてそれに対してどういう態度をとるかということはきめておりませんが、実はまだ詳細にわたっての今後いろいろ協議するようなことになっておりまして、ただまあ向うですべてをきめてくるというわけにも参りませんし、これはまあ三者いろいろ話し合いをして、一応のただいまのところ大まかな線が出ておるというのであります。また、内容につきましては、いろいろ今後協議に残されておるわけであります。
  35. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 その点は、今後残されているといっても、今のお話程度のものは、もう向うとの間に話し合いが大体大まかについているわけなんで、従って、そういうことを前提にして今の日本の開発資金八百万ドル、しかも、これは現物出資で、具体的に物も大体指示がされておる。それならば、その八百万ドルを現在の初年度五十億協力との関連において、それを内にするか外にするか、そういうことはもう一応、計画としてはさまっているはずなんじゃないですか。そういうことをきめもしないで、ぼかぼか、ぼかぼか民間の方がやってくるのを、あとからやられるから、計画的でもなければ、総合的でもない。従って、多いの少いのといういざこざが起きて、そうして一向そういうものが統一的に、総合的に検討されないうちに、すでに既成事実として出しちゃう。出して、今度のルールケラーの問題あたりは鉱石で送ってもらうだろうから、まだいいでしょうが、そうでないものは立ちぐされになり、非常なずさんなものがたくさんあるわけですね。その今までの、もうこの一、二年の間にそういう苦杯をなめておりながら、こういう問題がこれくらい具体的になってきているにかかわらず、まだこれからやるのですというようなことじゃ、いかにもこの計画がずさんであり、あれであるかと、行き当りばったりだということ以外の何物でもないじゃないですか。
  36. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) そのお話はごもっともでありますが、大体は、今度の調印という段階まで行くかどうか。それよりも、最初のこれはまあ話し合いなんだ。要するに、資金がどれくらい要り、またどういう——まあほかにもいろいろな鉱山がありまして、この前にいろいろ調査に行ってもらった。そうして、最初の話し合いとして向うの意向もサウンドし、こちらの事情も話をして、そうして、どういうふうにやっていくかということでありまして、ことに年度計画ということになりますと、車両なんかもまあ本年度といいますか、最初にやるわけではありませんし、この年度割りということになりますと、これはもう少し話が進みませんときまってこぬのでありまして、そういう実は段階で、発表されることがいいか悪いかは別でありますが、そういう段階であるということだけは、これは事実であります。その点は御了承願いたい。
  37. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 調印まで行くか行かないかよくわからぬというのは、どういうことなんですか。少くとも日印の間では調印したのでしよう。
  38. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) これは業者の方々が大綱だけきめてこられたのでありまして、向うとの話し合いは、その五千万ドルのうちに入れるとか入れぬとか、向う側はそういう希望である、日本の政府としてどういう態度をとるかということにつきましては、向うで保留されて、今後また両方で話し合いをしようと、こういうようなことで帰ってきておられるのであります。
  39. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 いや、これは、きめるのは、五十億の内か外かということをきめるのは、何もインド側に指示されなくたって、あるいは希望はあるのかもしらぬけれども、インド側に指示されなくたって、こっちできめられるわけでしょう。それから百八十億という話をきめられて、そうしてこれが初年度で五十億、あとどうなるのか。その初年度五十億がきまっている場合に、それの内容としては、五十億と具体的にきめた以上は、大体どういう題目で——ほぼ本年度は五十億というようなことは大体はきまっているし、きめられなければならぬはずのものじゃないですか。これは百八十億、特に初年度五十億というのは、経済協力のうちの、あなた方の東南アジア経済協力と主張されるうちの、一番これは軸になるやつでしょう。それすらきまっていないとすれば、あと問題になっているいろいろな諸雑多なやつは、より以上にきまっていないということになる。何を一体——経済協力だとか何とかこの数年間叫ばれ、今までもこの一両年いろいろ無計画にやつて、いろいろなロスも出ている。立ちぐされもきている。そういう年月も経ていながら、なおかつ今に至って一番柱になるものがはっきりしないというようなことは、どうも僕らとして了解できないのですが。
  40. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 五千万ドルの円クレジットにつきましては、これは向うの選択にまかせるわけでありますが、それらにつきましては、まだ向うから正式にこちらと相談もない段階でありますから、従って、その内容についてわれわれもはっきりした線を持っているわけではないのであります。今後に、これまたいろいろその内容についての相談をしなければならぬ、こういうことでありますので、もちろん、ほかの経済協力の場合につきましても無計画でやっておるわけではないのでありますが、大体の大ワクがきまって、その後にいろいろ詳細がきまってくるのであります。今後の問題として最も有効に使っていくということは、これはどうもやむを得ないことであります。
  41. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 五年ほど前に、岸さんが在野の時代、西ドイツをたしかたずねた途中カルカッタをたずねたと思うのですが、そのときから鉄の問題と取っ組んでおるようで、このことは私は岸さんが異常な関心をインドの鉄に示しているというのはわかるのですが、特にイギリスなりドイツなりは、イギリスは自国に鉄と石炭があり、西ドイツも自分の近間から鉄または自国から石炭もとれるので、インドはそういう関係で、特にイギリスとの関係において、鉄や石炭開発というものがおくれて、製品だけを持ち込んで支配された傾きがあるので、そこに鉄の開発ということはインドとしては非常な愛着を持つのだが、問題はやはり、今度のものを見てもわかりますように、半分はアメリカ側から借款していこうという、アメリカのふところ相手にインドが一千七百万ドル、日本が八百万ドルの出資をやっていくというようなやり方なんですが、民族資本が蓄積されていないので、外国からの資本を導入して自国の産業開発をしようというインドの悲願はよくわかるのですが、これがひもつきの外資であるならば、餓死してもこれに応ずることができないというような非常な抵抗力というものがインドにあるので、インドにおけるところの外国からの借款の問題は、きわめて私はむずかしい点が多多あるのだと思います。そういうことを百も承知の上で、今アメリカが五〇%以上の巨額のものをインドに投げ込み、またソ連が一六%以上の、外国借款の中においては、比率をもってインドへ手を伸ばし、それに続いてイギリス、さらに西ドイツ、日本というようなものがここへ手を差し入れてきているのですが、佐多さんも心配していられたように、私も日本が非常に簡単に考えてインドへ手を差し伸べているような感じがするのですが、これに至るまでの過程において、十分なる私は研究調査なり態勢を整えてインドとの結びつきを考えたのかどうか。今の問題にいたしましても、何だか調印までしてきながら、アメリカ側とだれが責任をもって交渉に当ったのか、三者で話し合ったというのですけれども、いつどこでどういう話し合いができたのか、何か雲をつかむような話で、非常に心配な点があると思うのです。その点をもっとはっきりお示し願いたいと思います。
  42. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) まだ最後的に各首脳部で決定しているわけでもないのでございますが、とにかくインドの現地で、インド側の人、アメリカ側の人、日本側の人、それで話し合いをして、そして極力具体化していこうというので行ったのであります。従って、ただいま申し上げましたような最終的な話がきまったわけではないので、とにかくここで話を始めませんと、先行きうまくない。ルールケラーの問題にしましても、これは長年の問題ではありますが、一時どうもならぬというので立ち消えになっておりました。また、ルールケラー以外の鉱山についても、いろいろ問題はありますが、ただいまのところ、調査され、そしていろいろ具体的に話し合いがあるというのは、ルールケラーがやっと日本側も調査を済まし、その計画に対してどのくらいの資金が要るかというようなことが初めて最近になってでき上ったのであります。それをどういうふうに処理していくかという話し合いをまず始めたいという程度になっております。
  43. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 それでは、もっと外ワクの問題を聞きますが、日本の鉄鋼業の長期計画、特に一つ一つ聞きたいのは、今問題になっておる鉄鉱石の供給を長期にわたって——まず聞きたいのは、三十三年度にどういうふうに考えておるのか。それから三十三年度のうち、特に今のインド、あるいはフィリピン、マレー、それから中国からの四十万トンが問題になっておる。それらのものをどういうふうにきめられようという考えなのか。それを出発点にして、さらに中国の方では場合によっては、話し合いによっては、海南島の合弁なりあるいは協力による開発を提供してもよいのだという話まで出てきておる。そうなってくると、輸入鉱石の構成の問題を相当、今後また変えていかなければならないのじゃないか。特にアメリカあたりから来ておるものはほとんど必要ないというような方向になるのじゃないかと思いますが、五年なり十年、相当これは長期にわたって考えないと、今の強力な投資なりという問題と関連をする問題ですから、毎年毎年行き当りばったりでは、きめられない問題である。従って、そういう長期の計画としても、すでに大きな方向なり構想はお持ちだと思うが、それらをどう考えておられるのか、そこを一つはっきり伺いたい。そうすると、今のルールケラーの問題ももっと具体的になるのじゃないか。
  44. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 重工業局長が来ませんと、数字的なことは申し上げられません。今呼んでるそうですから……。
  45. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 関連して。これはきのう帰ってこられて、私ども新聞で見たのですから、十分通産省は報告を受けたり、あるいは協定書を見ておられないと思いますが、追ってでけっこうですが、協定文があったら一つお出しを願いたいと思います。聞いておりますと、さっきの鮎川さんもこれは政府というか、通産省との関係なしにおいでになっておる。それから永野さんを団長とする日印鉄鉱開発何といいますか、協定ではない、協議ですかに行かれたのは、全然通産省との関係がないような話のようですが、そういう点はどういう工合になっておるのですか。  八百万ドルなら八百万ドル程度機械を、これはまあ、ある程度プラント輸出になるかと思うんですけれども、現物が出るということになれば、通産省関係だと思います。話は、新聞の模様だと、機械類その他を投資をすると。そして見返りには鉄鉱が入ってくる。しかしながら、それは向うから、佐多さんから質問ございましたけれども、ことし一ぱいに八百万ドルの機械類を輸出をして、それからその見返りに鉄鉱石が入ってくるという格好ではなさそうです。投資を幾らするか、そのうち半分は大統領基金、それから八百万ドルが日本の負担分というんですか、醵出分と、こういうことになりそうですが、どうも先ほどの御答弁のような貿易ではなさそうな気がするんですが、そういうきまったとこにろ従って、通産省としてはどういう工合に関係をしていかれるのか、その辺を承わりたい。
  46. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 鮎川さんのおいでになったのは、まあ少くも私は、実は御相談にあずかっておりません。しかし、鉄鉱使節団が行きますにつきましては、通産省も参っております。また大蔵省の人も行っております。そうして向うのいろいろ事情を聞き、向うの希望を聞き、それによって今後政府としても態度をきめていくということでありまして、実は今まで向うの意向が全然具体的にはわからなかっつたわけです。従って、大部分が、今後また帰って、政府部内の考え方もきめて、さらに折衝をする、こういうふうになっておるのでありまして、これはやはり政府としても十分……。八百万ドルという話は、もうすでに石橋さんがおいでになったときに八百万ドルという話が出たんですが、まあその後この話がそのままになりまして、最近になってわれわれとして、通産省としても調査団を出して調査をし、どのぐらいの資金が必要であるかというようなことも考えまして、そうして行っていただいたわけなんです。
  47. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 いろんな関連質問が飛び出しましたけれども、私の質問はなるべく早く打ち切ることにいたします。この東南アジア開発基金の構想並びに東南アジア各国との結びつきの考え方の問題で、諸外国から一番問題になったのは、五四年の十一月における、吉田さんがワシントンをたずねたときの、ナショナル・プレス・クラブにおける最後の演説だったと思います。あの演説を思い起して、スイスの有力な新聞が、昨年岸さんが訪れたときのいろんな言動と対比して、回想をやっておりまするが、あのときの吉田さんの演説の内容というものは、共産主義各国からの供与をアジアが受けており、しかも、中共が強力な国家資本を動員して、そうして計画経済に入っていく。そのときに、この周辺の国々というものが、その国の国家資本並びに民族資本を動員しても、これに対抗できない。これに対する方策というものは、アメリカが貿易関係でもうけている四十億ドルもの金を投げ出して、東南アジアの未開発地を開発し、産業を復興させ、貧困をなくさせる以外に方法はない、というような、しかも非常なこまかい数字を出しての演説で、平生の吉田さんらしくない演説だったので、だれかのポケットから材料が出て、アメリカの国会なり、アメリカの世論を動かすために吉田さんがスピーチをやったんかと思いましたが、おととしパリを訪れましたときに、当時の秘書の松井公使に聞きましたら、そうでなく、吉田さんの話だったということですが、いずれにしても、そういう演説の反応というものが、ロックフェラー三世の話なり、あるいはジョンストン構想の日本への持ち込みなり、それに対する高碕さんや一萬田さんの非常に積極的な賛成の意思表示なり、また昨年の岸さんのアメリカ訪問なりに一貫した流れがあると思うんですが、  ここで問題なのは、やはり岸さんがニューヨークの集会における演説におきましても、東南アジア諸国が、その経済を開発し、生活水準を向上するためには、大きなものが二つ欠けている。その一つは資本であり、他の一つは技術であります。しかも、これらの諸国は、この両者について外部からの援助及び協力以外にたよるべきものがないのであります。こういう形で、このアメリカの援助というものを非常に強く期待した演説をやっているんですが、そういうことから、この東南アジア開発基金の構想の具体的な動きというものが、今度のインドとの結びつきにおいても、適用されようと試みているのでしようが、私は政府の、今の通産大臣のお話を聞いていると、何かたよりげのない、模索しているという感じでもって、確信を持って突っ込んでいるという感じがしないので、その岸さんなり藤山さんなりに経済外交というお株を通産大臣が取られてしまつて、アメリカの方は鮎川さん、東南アジアの方は岸さんと藤山さん、通産大臣はたな上げで模索しているという感じですが、これでは、非常に経済外交もいいが、一体だれが中心になって、どこを中心にこれを進めようとしているのか。こういうふうに模索的な瀬踏み的な行き方だけではたよりないと思うんですが、どこに中心を置くんですか。
  48. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 別に鮎川さんの問題は、これは私は、そういうただいまお話しのような問題ではないと思います。経済開発の問題は、思想的に一貫してきております。しかし、具体化するにつきましては、これは早い話が、産業開発あるいはルールケラーの問題ということになりますと、具体的な計画が果して妥当であるかどうかということについては、通産省として十分積極的に考えていかなければなりません。従って、調査団を出して具体化していこう、こういうわけであります。ただ、最終的に、たとえば資金の問題になりますと、これは大蔵省の所管でもあるわけで、今度は大蔵省と通産省と一緒に加わって、そうしてそれの具体化をはかっていこう、こういうわけでやっておるわけであります。  まあ、思想的には一貫しておりますが、今まで何ら具体化されてこなかったのを具体化していこうというわけで、また、責任としては、内閣全体として考えていくべき問題であります。そのおのおのの分野において積極的に具体化して仕事を進めていく、そういう意味におきまして、とにかく具体的な問題として話が提供され、それを解決する方向で軌道に乗ってきた、こういうことであります。
  49. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 この借款競争の中で、インドにおいて、ソ連は製鉄所とか、あるいは発電所、光学レンズ、炭田開発、こういうことをやっていると同時に、もう一つは農機具の援助というようなこと、それから鋳物屋、かじ屋のようなことまで手を打っているようですが、この海外技術センターの運営事業費としての、西ベンガルにおけるところの中小企業技術センターというものの重点は、どこにこれは置くんですか。
  50. 政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)

    政府委員松尾泰一郎君) 現在のところ、鋳鍛造の技術と、それから木工関係を中心に考えております。
  51. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 それは、インドではいつでも、ことにインダストリーあるいはハンドワーク、そういうものをもっと普遍化しなければならないという念願をみんな持っているようですが、そういう線に沿って、そこでインドの青年たちを訓練するか何か、そういうことを試みるのですか。
  52. 政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)

    政府委員松尾泰一郎君) これは向うからの申し出によっておるのでありますが、土地と建物は向うが出しまして、わが方からは機械技術者を派遣してやる、こういうようなことであります。もちろん、そういう向うにおける技術者の養成訓練というのが、これは主体になっております。
  53. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 何か農業関係のセンターも設けるような話を前に承わっていたのですが、これとは全く切り離れた別個なものですか。
  54. 政府委員(松尾泰一郎君)(松尾泰一郎)

    政府委員松尾泰一郎君) 通産省といたしましては、農業関係のものはどうなっているかよくわからぬのであります。農林省であるいは計画があるかもわかりませんが、やや具体化しておりますのは、この西ベンガルであります。近く準備のために調査団を派遣する予定になっております。近日中に出発させることになっております。あと、いま一つ考えておりますのは、先ほど大臣からお話がありましたが、シンガポールで自転車の組み立ての技術センターを一つ作ってはどうか。この方はまだ構想中でありまして、全然まだ話し合いの域にすら達しておりません。
  55. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 鋳物を作ったり、それからいろいろな小さな機械類を作ったりするのもけっこうだが、インドで一番欠けているのは、私も四ヵ月近くインドの農村にも入り、各地にも行きましたが、やはり機械や何かがこわれたらそれを修理したり何かする、そういうことが非常におくれているので、その点では日本の野かじなんというものは非常に発達しているのですが、そういうこまかいところに気の行き届くような役割を日本がしないと、大国と競争してあまり背伸びして、アメリカやソ連やイギリスのまねをやっていると、ばかにされる結果にもなるのではないかと思うのですが、何か日本の独自の独創的な面を、どういう形でそういう所に持っていって切り開いていくのか、そういうことをどういうふうに考えておりますか。
  56. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) お話の点われわれも確かにそういうふうに考えておるわけでありますが、大体に今までの各国の東南アジアからのいろいろな話を聞きますと、一ぺんに背伸びした非常に近代工業というようなもの、肥料工場にいたしましても、ちょっとほかの関連産業がないとうまく円滑には動かぬのではないかというような工場の計画が、ずいぶんあるように思います。肥料工場にしましても、造船工場だとか、そういうような……。それよりは、もっと、ただいまお話しのような東南アジアの現在の文化の程度に即応した、そうして直ちに役に立つというような面で、日本が貢献していく方がより実質的に効果が上る、私自身もそう思っておるのであります。そういう意味合いで、まあ西ベンガルあたりにおきましても、今後その他の地域におきましても、またおそらく農林省としても、やはりそういう考え方で進んでくれると思っておりますが、私個人は全くただいまの御意見に同感で、そういうつもりで進んでいきたい、かように考えております。
  57. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 大臣はお急ぎのようですから、重工業の方は後にして、大臣の方に先に伺います。  これまでいろいろ聞いておりますと、輸出振興の問題を非常に重要に考えておられるのですが、一体どこに統一的な、総合的な重点があるのかということが、何べん聞いてもわからないのですが、まあしかし、おぼろげに考えられることは、まずジェトロを中心にした市場調査を非常に大規模にやるというようなことに、相当重点を置かれているのじゃないか。その場合に、その市場調査なるものが、いろいろの所に金が行っているが、もっと計画的に統一的にやった方がむしろいいのじゃないか。この予算によりますと、たとえば貿易振興会に海外市場調査費一億二千九百万、それから、そうかと思うと、今度は、外務省の方に海外経済調査費四千七百万、それからまた、通産省の方に投資等基礎調査費四千万とか、いろいろな所に分属している。非常にばらばらになっている。経費自体がそういうふうにばらばらになっているのみならず、一方には外務省にそういう基本的な外国調査なり市場調査なりの支出をされるかと思うと、あなたの方でも別にやっておられる。それからまた、貿易商の方でもおのおのやっているでしょうし、あるいは大きなメーカーはメーカーで何かやっている。そういうところが少しも計画的に統一的にやられていない。  今、問題は、前々から輸出振興だ、輸出振興だといって、いろいろな経費をあっちこっちへかじっちゃ、少しずつつけておられるが、問題はそういう経費をあっちこっちかじっちゃ分散してつけるということではなくて、今のこの段階になれば、そういうものをいかに計画的に、統一的に、そこに機構の問題としても、それから経費の配分の問題としても、どう考えるかということだと思うのです。そういう意味では、だから、官庁自体において輸出振興のためのもっと統一的な、計画的な機構になるのか、運営になるのか、そこいらをどういうふうにお考えになっているか。それと、今の貿易振興会を中心にした調査なり計画と、それから民間の商社あるいは在外公館、そういうものの統一性なり総合性、運営あるいは機構の問題、そこをどういうふうにお考えになっているのか。そこがむしろ今の重点だと思う。そういう点は少しもお考えになっているようでもない。御説明もはっきり聞かない。それをどうお考えになりますか。
  58. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 輸出振興という問題は国全体の問題でありまして、あらゆる面で総合的にやっていかなければならぬ問題だと思うのであります。もちろん、国際的な関係において、経済外交を推進し、経済協力を推進するということでなければなりませんし、また国内におきましては、もうあらゆる面において協力し、制度も改正し、常に言っておりますように、輸出の金融につきましては優先的に取り扱うとか、あるいは輸出保険を引き下げるとか、あるいは税法上の便宜を与える、輸出手続の簡素化をはかる、こういうような面で政府としてもやっていかなければならぬわけであります。  また、業者の方々からいいますと、一面におきましては、輸出責任体制といいますか、輸出会議あるいは最高輸出会議等におきまして、官民協力して、どこに隘路があるかというようなその隘路の打開に努め、半面において責任を持って目的数量を達成してもらうという態勢を作り、また一面におきまして、過当競争を排除してやっていくということを考えていかなければならぬのであります。また、国民全体におかれましても、極力国内の消費を節約してもらって、そうして一品でも国外に輸出するということを考えていただかなければなりません。  私は、輸出という問題は国全体の問題だと思っています。今まで府県にもいろいろ自然発生的におやり願っているのでありますが、ところで、政府が正面から、業者の方々と同様な宣伝あるいは貿易あっせんをやるということは、これはもう役所の機構としては不適当でないか。従って、これは一つの民間団体でやっていただかなければなりません。また、民間におきましては、大企業者の方々は、それぞれ自分で職場の宣伝もやり、あっせんも、みずから市場の開拓もやられる、市場の調査もやられる。しかし、中小企業なり、また大がかりな輸出をしておられぬという方々につきましては、そういう機関がない。と申しまして、政府が直接向うの業者の一々に当ってゆく、仲に入っていろいろなあっせんまでするということは適当でありません。で、御承知のように、これは自然発生的には、この海外市場の協議会あるいは見本市の参加の協議会、また貿易あっせん所協議会というようなものができて参りまして、それがあまりにも不統一だというので、統一されたのが、今までの財団法人のジェトロです。  そのジェトロは、ただいま申しましたように、民間団体でありますとともに、また府県が中心というような格好で、府県の寄付金にも相当依存しておりましたし、また従って、あらゆるスケールが府県中心で現在のジェトロは、御承知のように、大阪に本部を持っている、こういうものであります。それでは私は全国的な組織にならぬ、また国もそれに対してしっかりした指導もし、また十分本腰を入れるという態勢ではありません。どうしても、特殊法人に統一して、そうして一つには、従来は政府ももちろん援助をいたしておりまして、それが補助金という形で、現在でも補助金でいくわけでありますが、そのもとがしっかりしておりませんから、勢いひどい干渉をしていかなければならぬ。もっと自主性を持ち、もっと実力を持って、ある程度のことはまかしていけるというものがなければ、機動的にも動いていきませんし、また規模的にも動いていかぬ。また、そういう機関が弱いものでありますると、信頼感がないために、人も得られぬ、また業者の方々も、会費を払うにしましても、受益者負担をするにいたしましても、どうもたよれない、こういうことでありますので、まず強固な基礎を持った特殊法人に一本化するということが、まず私は肝心だというふうに考えたのであります。その後のいろいろな状況を聞いておりましても、今度はジェトロに少し受益者負担してもいい、また会費もふやしてもいい、こういうような動きが出ているという点からお考え願いましても、私の考えが必ずしも当っていなかったとは思っておりません。  ただ、そこで、市場調査等につきましては、外務省とジェトロというものが、二本建になっておりますし、また、さっきの輸入制限に対処する問題になりましても、二本建になっております。これはおのずから二つの分野があることは確かであります。(佐多忠隆君「そこが問題なんだよ」と述ぶ)役人としてやられる市場調査、それから今度は個々の商社に具体的に入り込んでいろいろやります調査、その間にやはり分野があると思います。ただ、要するに、同じような調査をやられたのでは、これは意味をなしません。従って、その点はお互いに、ジェトロからもだいぶ計画が出て参るわけです。これは、外務省とも十分相談してやっていきまするし、また、一面からいいますと、向うの出先で連絡のないというようなことではなりません。役所としましては、外務省としては、指導される。またジェトロとしましても、相談をかける。こういうような一致した態勢に持っていかなければなりませんので、その点につきましては、われわれも非常に憂慮いたしておりまするが、それをやっていこうじゃないかというので、外務省とも通産省とも互い協力し合って、そうしてむだのないやり方をやっていかなければならぬというふうに考えているのであります。  また、通産省としましては、大体においてジェトロに十分まかしてやっていける。そのかわり、それにつきまして詳細な報告も取り、また認可の制度拡張いたしまして、その詳細に基いて外務省とも打ち合せる、こういうような機構でいくのであります。その点で、ジェトロ共管という説もあります。しかし、共管ではかえって責任が明確でありません。ジェトロとしましては、通産省所管ということにいたしておりますが、内部としましては十分相談し、一本化してやっていく、かように考えておるのであります。
  59. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そこのところが問題でね、二本建でやっていくのだとおっしゃるけれども、この二本建の問題が、どうも問題の禍根になるのじゃないか。で、今お話しの通りに、もしそういう所に、貿易振興会あたりに重点を置かれるのならば、非常にいい考え方だから、官庁機構自体も、外務省のたとえば内外経済調査費等四千七百万円というような調査費を要求しておられます。これは昨年に比べれば相当ふえております。一体これは何にされるのかよくわかりませんが、そういう内外経済調査というような問題なんかこそ、もし調査なり基礎調査その他を統  一しようとされるのならば、これをジェトロの方に移されればいい。あるいは通産省自体からいっても、たとえば投資等基礎調査費四千万円、昨年の二千万円に比べて四千万円という倍額になっておる。こういうものも、何も通産省にとっておかれないで、そういうものも全部出して、この基礎的な調査貿易振興会にやらすというような思い切ったことをやられたらどうなんだろうか。同じような問題は、企画庁あたりについても言えることなのであります。もし今の貿易振興会みたような、役所の外郭的なものを作られるのならば、それに集中的な、計画的な、統一的な運営なり仕事をさして、そのかわりには、役所のいろんなそれに関連するものは、どこの省のものであろうと、それを全部引っぱがしてきて、そこに集めて、それを最も強力なものにするというふうな、基本的な態度なり方針をとられなければ、いつまでも経費ばかりあちこちに分散しちゃうということになるので、その点をもう少し突っ込んでお考えになり、あるいは配慮をされる必要があるのではないか。そこに今の問題があるのです。そういうことをやらないで、今のようにばらばらにやっておられたのでは、貿易振興会を幾ら大きくされたって、そういう統一的な、総合的な、基礎的な、非常に強力なものにはならぬと思う。
  60. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  61. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) それでは速記を起して。
  62. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 私はそう簡単にはいかぬと思うのでありまして、まあ輸入制限の問題にしましても、民間の宣伝とか、そういう問題につきましては、やっぱり民間の人間がやる。それから役所に対する折衝は、やはり外務省の出先にやっていただく、あるいは市場調査につきましても、これは役所にいろいろやっていただく、また、いろいろな施策をしていただくという面と、今度は民間人として、民間になり切った民間人が今度は各商店に行って調査をするというのと、もうこれを一本に動かすには、これはできるだけ緊密な総合性をもって動かなければなりませんが、経費の出場所というものは、おのずから違ってくるという点がありますので、御趣旨の点は私もよくわかりますので、そういうように一体的な運営をして行かなければならぬということはよくわかりますが、経費の面になりますと違い、また、それぞれ特色を持った二本建になってくるということについては、どうもやむを得ないのではないかというふうに考えておるのです。しかし、御趣旨の点は私どもも決して異議があるわけではなしに、ことに一体的に、おのおのの分野は違いますが、しかし総合して効果の上るようにということについては極力進めて行きたい、かように考えております。
  63. 政府委員(斎藤正年君)(斎藤正年)

    政府委員(斎藤正年君) 事務的に、ちょっと今の御質問の費目について御説明申し上げますと、これは外務省と、それからジェトロとの調査の分担につきましては、両省間に申し合せをいたしておりまして、大まかに申しますと、一般的な政治、経済情勢の調査ということは、外務省が外務省の出先職員を使ってやる。それからジェトロはそうではなしに、個々の商品の事情及び経済市況の短期的な波動と申しますか、そういったようなものを中心にして調査をするということになっております。  それから海外投資等基礎調査と申しますのは、これは全然別の性質の調査費でございまして、たとえば、今度参りましたルールケラーの調査でございますが、これは基礎調査費から出しております。たとえばイランの鉱物資源調査を依頼される。そういうような場合に、民間のそれぞれのエキスパートを出しまして、場合によっては政府職員もそれに参加いたしまして、全般的な資源の状況の調査をする。あるいはルールケラーのように、インドの鉄鉱石の全般的な資源状況の調査をするという、個々のケースにつきましての調査の費用でございまして、ジェトロの一般的な市場調査の費用とは全然別種のものでございます。
  64. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 今の、そういうふうな個々の商品の一つ一つのあれということになれば、もっとそれは民間なり、何なりの方がよくやっているので、そこのところ、民間と、それから役所と両方やらなければならないところの接合点みたいなものを、貿易振興会がやろうというのでしよう。それならば、民間でむだな基礎調査をやっておるのを、もっと振興会の方にとってやって、そこがやれば、民間はもう何もそういう全般的な一般的なことをやる必要はないということになる。同じように役所の方からもそれをとって、こっちにとってくる。少くとも二十億の基金を持たし、今度だけで二億五千万円程度経費をふやし、しかも、その二十億基金の利子が幾らになるか、一億五千万円か、幾らになるのか知りませんが、そういう膨大な経費を使われるのならば、個々の商社なり、メーカーがやる一つ一つの個別商品の問題の調査より、もっと基本的なものがあり得るし、そこのところの仕事の分担なり、配分をもっと計画的に、もっと能率的に効率的にやられる必要があるのではないか。そうでなければ、みんな同じようなことをしている結果になってしまいます。せっかくそういうものを作っていながら、ちっともそういうような基本的な力が入れられていない。まるで商社がやってしかるべきような、個々の端くれの調査の下請をやっているようなことになる。僕は今度のこんな大きなものは、そんなものじゃないと思う。これは意見になるから……。
  65. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) インドの鉄鉱石調査団の調査につきまして、おくれまして済みません。鉄鉱石の輸入見通しのお話だと思いますが、今度の経済計画に即しまして、将来の鉄鋼の需給計画を今作成しております。それによりますと、大体昭和三十七年度におきまして、鉄鉱石の所要量が二千二百万トンをこすかと思われます。三十一年度の実績が千百五十万トンでございますから、相当大幅な増加になるわけであります。そのうちで国産と言いますか、国内で得られる鉄源は大体七百万トン程度のものと思います。これは鉄鉱石のほかに、砂鉄あるいは硫酸滓その他の鉄源全部をひっくるめてでございます。三十一年度の実績は四百五十万トン余りでございますから、これまた相当大幅な供給増加を来たしております。従いまして、輸入に待ちまする分は千六百万トン前後、こういうことに相なりまして、三十一年度の七百万トンに比べまして約倍になるかと思っております。この輸入鉱石の収得先でございますが、御承知のように、大部分は東南アジアに期待しておりますけれども、フィリピンあたりはだんだんと山の資源埋蔵力が枯渇して参りまして、従って新しい山の開発に力を入れる、あるいはマレー方面も大体同様の傾向でございまして、マレーは山によって違いますが、総量におきましては、フィリピン、マレーともにもちろん増加して参りたい、そのためにそれぞれ所要の手を打ちたいと考えております。概数を申し上げますれば、フィリピンは約二百七十万トン前後、マレーは四百二、三十万トンというところまで持って参りたいというように考えております。  インドでございますが、これは現在百万トン余りのものを買鉱しておりますが、なお二、三百万トンは取得したいということで、ルールケラーその他の地区につきましては、調査団を派遣して調査を行いましたし、また、今度の永野ミッションによりまして、ルールケラー地区の開発について一応の話し合いがついたわけでありますが、これも大体期待しておりまする昭和三十七年度までには出鉱を見るまでに至らないようでありまして、そのあとの年度におきまして、つまり一九六四年から年間二百万トンというふうに話がまとまったようであります。
  66. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 六十四年から……。
  67. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) これは、きょうもその点についていろいろ検討したのでありますが、やはり現地の労働者の能率あるいは資材の輸送力、その他考えますると、どうしても日本で考えておるよりも相当長目に見積る必要があるのではないか。大体、日本で二年かかるものは三年とか、三年のものは五年と見て計画を組みませんと、従来もそういうことで失敗した例があるようでございますから、一九六四年ということは、そういう意味では比較的信頼できることかと思います。
  68. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そうすると、三十七年は千九百何年になりますか。
  69. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 一九六二年であります。
  70. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 今の三十七年計画には二百万トンというのは入ってないのですね。
  71. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) そういうわけでございますから、これはある程度ほかの地区の買鉱を増加せざるを得ないだろう、こう思っております。ほかと申しますのは、インド、そのほかの地区の買鉱を増加せざるを得ないと思っております。  それからその次でございますが、残った鉱石につきましては、従来から買っておりますカナダ、あるいはアメリカ方面もございますが、アメリカにつきましては、そう増加する余地は少ないようでございまして、むしろカナダ方面にかなりいい山もあるようでございまして、これを百万トン程度までは持って参らなければいかぬだろうと思っております。残りのものにつきましては、まだはっきりした目安もついておりませんし、南米方面にも相当いい品位の埋蔵量の多い山もございます。これはチリでありますけれども、なかなか日本でこの開発に手をつけるかどうかは、これは相当問題もございます。そこへ持って参りまして、過日、北京に参りました稲山ミッション一行が、海南島の鉱石につきまして、ある程度の話し合いを進めて参りました。これはまだはっきりしたことになっておりませんが、長期的に向うと話し合いを進めますれば、これは年間百万トン以上の輸入ということも、あながち無理ではないというふうな見通しをつけて帰ったようであります。近く中国側の鉱産公司その他の実務者が参りますので、この辺はもう少し具体化するかと思っております。いずれにしましても、できるだけ近回りで、しかも品位のいいものを入手したいということで、あちらこちら各方面にいろいろな手を打っているようなわけでございます。
  72. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 二時四十分まで休憩いたします。    午後二時十四分休憩    —————・—————    午後三時五分開会
  73. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) ただいまから第二分科会を再開いたします。  午前に引き続いて、通商産業省所管議題といたします。  順次御質疑をお願いいたします。
  74. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 鉄鋼政策について一、二点お伺いしたいんですが、第一番は、戦前においては鉄鋼はまあ国内において全部消費して、作っただけ消費した。これはまあ軍事用が非常に大きかったために、輸出なんということはなかったんです。戦後ずっと鉄鋼の生産がふえてきて、ここのところ数年、特に鉄鋼輸出というのが相当重要な地位を占めておる。金額にいたしましても、相当な額になっておる。で、今後鉄鋼の生産が増加していくといたしますれば、やはりこの輸出というものは、鉄鋼政策の上でも非常に重要な問題になると思うんですが、政府としては、今後鉄鋼生産を計画的にずっと増加していく上において、鉄鋼輸出をやはりコンスタントな要素として考えて、鉄鋼輸出をどんどん今後促進していくおつもりであるか、その点お伺いしておきたい。
  75. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 実を申しますと、鉄鋼輸出というよりも、鉄鋼は今後プラントなり機械類の輸出というために、どうしても確保しなければならぬというくらいの考えで今まで出発してきたと思うんです。しかし、最近におきまして、プラントなり、あるいは機械類の輸出のみならず、さらに鉄鋼について需要もあり、これは今後の開発計画——東南アジア等の開発計画と見合いにして、安定といいますか、コンスタントのものであるというふうな感じもいたしております。鉄鋼輸出ということについても、十分検討して、そういうことを考えに入れながら鉄鋼政策をやっていかなければならないというふうに考えておるのであります。ただ、まあ先ほどもちょっと申し上げましたように、鉄鉱石の輸入という問題が——確保ということもまた重要な要素になっております。そういうように鉄鉱石の輸入ということについては、安定的な確保がはかれるということと見合って当然輸出をしていくということを考えていこうと思っております。
  76. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 従来は船を作ったり、レールや機械を作って、それでまあ輸出をするという考えが主だった。しかし、ここのところ数年来、相当鋼材としても出ておるんです。これが金額にいたしましても重要な輸出の一つになっている。今まではそれが偶発的であったかもしれないけれども、それじゃ今後日本でもって、この鉄で船を作るとか、あるいは機械を作って輸出するのが、この鉄鋼の生産の増加と見合うほど輸出しないとすれば、あるいはこの鉄鋼を素材のままで輸出しなければならぬということも大きな問題になると思うが、そこの点がまだはっきりした政策は立っておらぬのですか。
  77. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は先ほど来申しておりますように、今まではっきりした計画が立っていなかったと申しますのは、御承知のように昨年なんかにおきましては、鉄鉱の輸入を押えてしまったと、こういうようなことから考えましても、はっきりした政策はとっておらなかったと言った方が私はほんとうだろうと思うんです。しかし、これは鉄鋼として安定的な需要があれば、これは私は輸出として当然考えていくべき問題だと思っております。鉄鉱石の、ことに確保と見返りにして、また輸出をするということであれば、非常にけっこうなことで、これに対しても今後十分考えていくべきであるというふうに思っておりますが、これは率直に申し上げまして、最近になってそういう考え方に変ったといった方がまあ正直だと思います。
  78. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 そういたしますと、これは機械だとか船だとかと違って、国際的な価格の変動に非常にさらされることになってくる。うんと景気がよくて、急に需要が増加したような場合にはぐんと伸びるけれども、そうでない場合には、またえらい輸出が減るということになりまして、非常に不安定なものになり得るおそれもあるのです。これがまた鉄鋼の生産自体にも響いてくることにもなり、価格にも影響も持ち、それから他の関連産業にも影響してくると思うのですが、要するに、もしそういう政策をとっていくとすれば、国際市場で十分に競争できるだけの価格でもって輸出できるようにならなければならぬ。それについては、日本では原料炭や鉄鉱石自身がないというようなことで、非常にむずかしい面もあると思うのですが、もし、そういうふうに国際的な競争に十分たえ得るようにするための措置として、今後どういうふうな方針をおとりになりますか。
  79. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 結局、鉄鉱石の価格を引き下げることと安定することということになりまするから、何としましても、原料の安い、品質のいい鉄鉱石を確保する、半面におきまして、石炭の問題、それと、いわゆる何といいますか、高炉なり転炉というようなもの、最近におきまして五ヵ年計画も立て、そういうような方向でやっておりますが、そういう面で考えていかなければならぬわけでありますが、ただいまの計画の中には、百数十万トンの輸出ということも計画に入っておるようであります。少くともそういうものくらいは当然われわれとしても出すようにしなければなりませんし、出すにつきましては、これは極力価格を下げ、安定した供給ができるという方向へ持っていきたいと思います。
  80. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 最近鉄鋼生産の技術の面においては、相当技術的な進歩が見られると思うのですが、問題は、その原料炭並びに輸入鉱石の値段にかかってくると思うのですけれども、石炭の方については、国際価格があって、相当国際価格を下押ししていくようですけれども、鉄鉱石については、これはまあ直接いろいろなところから契約しておって、たとえば鉄鋼の値段が下っても鉱石の価格は下らない。契約したときのままの値段でもってずっと買っていかなければならないというようなことで、案外高いものを買わされていくというような場合が起るのじゃないのですか、その点どうでしょうか。
  81. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) われわれの考えておりますことは、たとえばインド等におきましても、国際的な価格ということも考慮に入れた価格でなければなりません。もちろん、コストに利潤ということを加えたものというような考え方もありますし、しかし、国際的に見て高い価格で買うということのないような配慮だけはしていかなければならぬと思います。それからもう一つ問題は、鉱石を買ってきて鉄鋼にして売り出す、輸送という問題が非常にハンディキャップになるわけです。それにつきましては、製鉄会社に専用船を作らせるとか何とかいうような計画も考えて、極力輸送についてのコストも下げるということも考えていかなければならぬと思います。
  82. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 これは重工業局長にお伺いするのですが、原料は今主としてマレー、フィリピン、インド、ゴア、あるいはその他から入ってくるが、現在はどこの鉄鉱石が一番有利なんですか。つまり、比較して一番安く入っているのですか。
  83. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) これは御承知のように、山元価格で見ます際は、これは品位だけの比較になるわけであります。ただ、製鉄所に入ってくる場合の有利のものということになりますと、御承知のように、運賃加算されますので、従って、端的に申しますれば、先ほど来お話のありましたように、鉱石の価格のうちでは、やはり運賃部分が一番大きゅうございまするし、また動きも大きいわけでございます。それで、どこの鉱石が現在一番有利かということになりますと、ちょっと私そこまで一々お答えするだけのあれもございませんが、概要を申しますれば、やはりマレーあたりの鉱石が比較的有利な場合が多いというふうに申し上げて差しつかえないと思います。ただ、フィリピンあたりの石、これは若干の性質の差もございまするので、山元の条件によりましては、マレーものよりもいい場合もあるようであります。これはなかなか一がいに言えないようでございますので、簡単に言いますれば、やはり同じ山元の品位の条件であれば、これは船の安いときにつかまえたケースが一番有利だということになるわけでございます。あるいは、海上距離の短かいのがいいということになるわけでございますが、なかなか一律に申せないようでございますので、ちょっとこれ以上どこが有利か、どこが不利か、ちょっと私もそれを今申し上げるだけの資料を持っておりません。
  84. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 買付ですね、普通の商品ですと、っまり相手が競争する、そのために安くオファーしたものを買うということができるわけです。鉄鉱石の場合はそうじゃないですね、それでかなり高いものをつかまされる危険性がないかどうかということ、たとえば、今後ルールケラーが開発されて、六四年から先あそこのものを持ってくるということ、あれはインド政府でやるということになって、一種の独占価格で売りっけられるというようなことにならないですか。
  85. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 鉄鉱石の場合は、相当大きな部分は、山元の開発等に日本側がある程度の関連を持ってやっておりまするので、比較的長期の価格協定等もできておりますから、あとは運賃だけの問題になるわけでございます。ただ問題は、いわゆる買鉱と申しますか、スポットものを買う場合なんか、これは運賃が上りぎみのときになりますれば、やはり割高のものをつかむ、運賃が下りぎみのときはいいものをつかむというようなことになります。ルールケラーの場合は、これはきよう午前いろいろ交渉の経緯を聞いておりますと、これはインドから日本以外の国に輸出します鉱石の数量平均価格で港渡しをする、それに若干の国際的な動き、あるいは山の開発の状況の若干のコスト要因とをしんしゃくしまして、その数量平均よりもやや低目に取りきめよう、こういうふうになっております。従って、まあヨーロッパ方面のものよりも特に悪い条件で日本が買うということはないようでございます。あとはうまく安い船をつかまえるかどうか、こういうことになるようでございます。
  86. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 フィリピンですが、三十二年度ではフィリピンから来るのが百六十八万トンになるというのですが、そうですか。
  87. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) たしか、その辺の数字と思います。ちょっと。
  88. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 いや、大体でけっこうです。
  89. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 三十二年は百四十万トン程度かと考えております。
  90. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 フィリピンのうちでララップというのが一番たくさん出しておりますけれども、このララップは、その百四十万トンのうちでどのくらい出ておりますか。
  91. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 大体百万トン前後でございます。三十二年は百万トンを少し割るようでございます。
  92. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 ララップには一つの鉱山でなくたくさんの鉱山がありますね。そうしてその鉱石は何ですか、フィリピン・アイアン・マインズという会社が一手に引き受けて、そして日本側に一手に売り渡しているということになっておるのですか。
  93. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 私は詳しい山元の事情を承知しませんが、ララップの鉱石の積み出しにつきましては、日本側から特殊の契約を結びまして、向うの積み出し施設等に日本側が資金的な援助をしたかと思っております。ただこれが、たしか先方の相手の名前を私は承知しておりませんが、今お話のありましたように、たくさんの山のものを買い集めておりますのか、あるいはそのうちの主たる山のものを積み出すについて、日本側がそういうふうな資金的援助をしておりまするか、その辺ちょっと私も詳しい状況は存じません。
  94. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 フィリピン側はフィリピン・アイアン・マインズという会社と、それからこちら側は木下商店との間に何か契約ができているということなんですけれども、そうして木下商店がララップのものを一手に輸入しておる。それでたとえばララップにあるほかの鉱山が、たとえば日本の製鉄会社に対してもっと安い値でもって買ってくれ、こう言っても製鉄会社の方では、これはみんな木下とPIMとの間に契約があるから、買うわけにいかぬ、こういうことでこれは拒否しておる、こういうことを聞くのですが、そういうことはあるのですか。
  95. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 私はその点まだ耳にいたしておりませんが、もし御必要でございますならば、調査いたしまして後日お答えしたいと思います。
  96. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 私はそういうことを聞いているのです。そうしてそのためにかなりララップのものの価格が高くなっておるということも聞いておる。どうして木下商店がそういうふうにララップのものを一手に取り扱うようになったか。またPIMとの間にどうしてそういう契約が結ばれたか、そうしてオプションがあるのにそれを通さなければ買えないのか、ということは私どももよくわからない、かなり解せない点があるのであります。そのために安いものを買えないでいることもあるんですね、こういうことはほんとうだとすると、ちょっと、おかしいのですがね。たしかマレーの方のやつは鉄鋼の値段が下ったんで向うでも安くしたというのですね、ところが、去年、三十二年ですか、ララップの方のは逆に上げたという話が来ているんです。これはいろいろ事情があるでしょうけれども、そうなってくると、どうしてそうなったか、むやみに高いものを買っていくということはおかしな話じゃないかと思うのですがね、そこらのところを御存じないでしょうか。
  97. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) その辺の事情、実は何も耳に入っておりませんが、ただ、木下商店の名前が出ましたが、私の記憶によりますれば、木下商店が日本側の高炉三社から資金のあっせんを受けて、それをフィリピンの相手側に貸しまして、フィリピンの今お話のありましたフィリピン・アイアン・マインズというのですか、それがアメリカからこの積み出し施設を輸入してララップに据え付けて日本向け鉄鉱の輸出の増大をはかった、こういうふうな関係はあるのでございます。お話のありましたこのいわばアウトサイダーといいますか、ほかの山が安く売るのに木下商店がそれを相手にしないというふうな事情は、これはどういうことになりますか、もう少し調べてみたいと思います。どの程度のアウトサイダーの山がありまするか、その量あるいは品位等にもよるだろうと思います。何もそういう技術的な事情は聞いておりませんので、調査いたしまして後日お答えしたいと思います。
  98. 岡田宗司君(岡田宗司)

    ○岡田宗司君 昨年ですね、そのマレーの方でもって値下げをして——ところが、それを製鉄会社の方で拒否をしているのです。その後において、ララップの方から輸入される粉鉱のうち、昨年の夏にトン当り一ドル〇五の値上げが行われている、こういうのですね。それでまあいろいろどうもおかしいのじゃないかという問題も起っている、こういうのです。だから、鉄鋼の価格が下っていくときに、こういうようなたとえば契約があって、両方がまあ独占的に取引をしているということのために、日本が高い鉄鉱をつかまされているということになっていきますと、今後の日本の鉄鋼の価格の上に影響を持つことであるし、また今後日本が鉄鋼をコンスタントに輸出して、国際競争にたえていくというような場合には、これは大きな問題になろうかと思います。ここらのところに私は相当鉄鉱石の買付について疑問があるので、お伺いしたわけです。まあ十分なお答えがなかったのですが、お答えを願いたいと思います。
  99. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 この鉄鉱石の問題についてもう少しお伺いしますが、先ほどの五ヵ年計画の三十七年度鉄鉱石が二千二百万トンという場合には、これは千三百八十五万トンの銑鉄生産に見合う鉄鉱石ですか。
  100. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 銑鉄の生産の目標は今御指摘の数字でございますが、鉱石はそのほかにわずかでございまするが、平炉用とかあるいは一部電炉あたりに使っている、そういうことが計画されている数字であります。
  101. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そこで、先ほど各地からの三十七年度千六百万トンの鉄鉱石輸入、各地別の大体の見当をおあげになったのですが、その場合に、カナダあるいはアメリカの鉱石あたりは大したことはないと言っておられましたが、今アメリカでは、三十三年度ですか、今年度ですか、二、三十万トン入れておられますね、そういうのはさらに増加の方になるのか、カナダ百万トンの場合は、アメリカの方なんか全然切って、カナダだけに百万トンというような考え方なのか、そこらどうなんですか。
  102. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) アメリカは大したことないと申し上げましたのは、今後増加さす見通しはないという意味で申し上げたのでございます。三十一年度も大体九十七万トン程度来ております。
  103. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 九十七万トン、三十一年度ですか。
  104. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) ええ、これは大体横すべり程度だろうと、こういう意味でまあ大したことないと申し上げたのであります。カナダの方は、現在三十万トンそこそこでございますが、これは比較的埋蔵量の多い、また品位のいい取得しやすい地点の鉱山が太平洋岸にございまして、その辺との連絡をつけまして、これは百万トン以上も取ることになるかと考えております。
  105. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そうすると、両方合せて、大体カナダ、アメリカで二百万トンちょっとというようなことになるのでしょうか。その場合に中国、今のお話では百万トンという話ですが、この百万トンという場合には、現在掘っているものを今度の協定で四十万トンを二、三年のうちにはふやせば百万トンになれるという話で、しかし、そうでなくて、さっき僕がお尋ねをしたのは、海南島の開発計画をインドであるとか、フィリピンであるとか、マレーであるとかいうようなところと同じような考え方で開発を積極的にやるのだということになれば、さっきのルールケラーの、あれくらいの年度、すなわち一九六四年度ならば、やはりもっとはるかに多い期待ができるのではないか、そうすればそういう方向にもう少し変えて、今のアメリカのものあるいはカナダのもの、そういうものをもう少し減して、むしろそっちの方に重点を置くという必要が出てくるのじゃやないか、というのは、鋼材の輸出その他との関連においても、それから価格の面においても、成分の面においても、海南島の石だったらそう劣らないのじゃないかと思いますが、そこらどういうふうにお考えになるのですか。
  106. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 現在中国からは来ておりませんので、その数字が今後百万トン以上を見込めそうだというふうに申し上げたわけであります。それで実は海南島の事情はなかなか日本側からつかみにくいようでございます。過日の稲山ミッションの中のある人が帰りに海南島に寄って参りました。その話を聞いておりますと、われわれの考えておりますところとかなり違っておるようであります。と申しまするのは、今お話がありましたように、海南島の石碌あるいは田独にいたしましても、今後多量のものを積み出すには、かなりの設備費の投資が要るのじゃないか、港の設備にいたしましても、あるいは港までの輸送の鉄道の設備にしても、あるいは山元の採掘施設にしましても、今から手をかけなければならぬのではないだろうかというふうに一応みんな考えて参ったようでありますが、行ってみますと、港にはかなりローダーその他の輸送設備がそろっておるようであります。鉄道も単線ですが、ちゃんとしたものができておるし貯鉱もかなりある。これによって察するに、中国側はあるいは自分の方の製鉄原料に一部は使っておるのじゃないだろうかというふうな報告をしておりました。従いまして、今申し上げました百万トン以上といいます数字は、日本側でも、あるいは中国側でもそうでございますが、新しい大きな投資をしなくても比較的短かい期間に出得る数字というふうに承知いたしております。稲山ミッションが本年度の協定におきましては、たしか四十万トンだったかと思いますが、ちょっと数字がはっきりいたしませんが、その程度契約しております。それで現地の状況を考えますれば、今申しましたよりに比較的早く百万トンの数字をこすのじゃないかというふうに見られておるのであります。なお、品位の点でございますが、これはまあマレー、フィリピンのものに比べて劣っておるというほどのものではないのであります。ただ、インドのルールケラーのものに比べますれば、今度の永野ミッションの保証品位は六三であります。これに比べますれば海南島のは五七、八程度でありますから、これはそれだけまあメリットが落ちるというふうに考えております。
  107. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 先ほどからのお話によると、インドは単にルールケラーだけでなくて、その他の所に対しても相当大規模な開発計画をお考えになっておる、もしそうだとすれば、それと並んで今の海南島の開発計画というようなものは、それと同じように、特に先ほどのお話のフィリピン、マレーがだんだんと停頓の状態になるとすれば、それに代替するものとしても相当積極的に考えていってもいいのじゃないか、もっと長期なものとしては。それから向う側も、この条件の話し合いによっては、今まで自由主義国家というか、資本主義国家とそういうことをやったことがないが、話し合いによっては、日本ならやりたいし、それは日本が元来調査されたものだし、設備もされたものだし、規格その他は日本の規格になっておるから、そうして自国の方としては、これは必ずしもここのものを期待はしていない、ほかの内地のもので十分間に合うものがあるので、日本でお望みとあれば、そういう形で開発してもいいということを、これは、そして非常にある意味では思い切った計画であり、提案なんだということまで言っておる。だからそういうことを一つ考えて、もう少し積極的に輸入鉄鉱石の政策の問題として、インドあたりのものと並んで一つぜひお考えになることがしかるべきではないか、こう思いますので、一つ考えてみていただきたいと思います。  それからもう一つ、石炭の問題ですが、これも申し上げるまでもなく、来年は四十万トンという中国からの輸入ですが、その場合にも、さらに、たとえば三十三年度は幾らお入れになるか、四百万トン近くお入れになるのじゃないかと思いますが、そのうちほとんど、三百万トン程度は米炭じゃないかと思いますが、この点も今の山西、中興あたりの炭、あるいは開らんでも、もっと洗いをよくしたら、そう遜色なしに、特に運賃を考えたら、比較的には有利に入るのじゃないか、それならばやはり米炭の三百万トンというようなものを、すぐにはだめかもしれませんが、逐次減していって、それを中国炭にかえていくという配慮をしてしかるべきなんだから、ことに、さっきから言っておる鋼材輸出との関連においては、そういうことが考えられるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  108. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 製鉄所の強粘結炭の問題につきましては、三十二年度あたりに、今御指摘の四百万トン弱の輸入のうちで、米国炭が三百万トンをこしておるような次第でございまして、しかも、これは海上距離が九千海里をこしておるので、できるだけ近回りから入れるということは、これはもう当然のことだと考えております。ただ、先ほど申しましたように、銑鉄の生産が増加いたしますと、やはりこの輸入炭に期待します量も相当増加いたします。おそらく三十七年度あたりは八百万トンをこすのではないかと思っておるわけでございます。従いまして、ふえる分だけでも、まず近回りで確保するというふうに考えるのがまず第一歩だと思います。その上で米国炭が減らせるかどうかというふうな問題になるかと思っております。今おあげになりました中国側のいろいろな炭鉱の問題でございますが、今度のミッションも、石炭の問題につきましては、現地に着きまして、一々調査する余裕もなかったようでございますが、開らん炭は現在年間四十万トンの輸入計画を持っております。これが今度さらに十数万トン追加の契約をしております。品位が非常によくなって——非常にといいましても、一二、三%でございますから、特にいいということもございませんが、洗い粉炭でその程度出るということで、非常に喜んでおりますが、あとの井けい炭あるいは中興炭等も戦前、戦時中に日本側でタッチしておりました品位よりは若干落ちておるようだというふうなことでございましてそういうふうな選炭の問題等によりまして、どの程度品位が上げられるるかという問題、あるいはそのほかの強粘結炭の山について、どの程度日本側に輸出できるかという問題もございます。御指摘のように、できるだけ中国炭を入れたいというふうに考えておりますが、そういうふうな品位上のメリットと運賃とのかみ合せになります。それと中国側の製鉄業の増産に伴います石炭の必要量の増加という辺のところがどういうふうに相なりますか、ちょっと日本側ではなかなか見当がつきかねております。いずれにしましても、御指摘のような趣旨によりまして、まずふえる分でも近回りから確保したいということで、せっかく努力しておる次第でございます。
  109. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 海南島の開発の問題は、向うから積極的に応じてきておる。それはやるあれがあれば問題はない。従って、やってもらいたいと思いますが、さらに石炭の問題も、これは具体的には向うから名ざしては出しておりませんけれども、しかし、今のお話のように、向う自身も非常に積極的に増産を考えておりますし、その場合に、日本の技術なり何なりが必要になってくるあれは非常に大きいのじゃないか。従って、そういう点でもこの技術協力というか、それは同時に、日本のいろいろな輸出にもなると思うわけですが、そういう意味でいろいろなむずかしいデリケートな問題はあるでしょうが、東南アジア諸国の経済協力を考えておられるのか、それよりもっとと言いたいのですが、それはあなた方、今の政府だからそこまでは言いませんが、少くともそれと同じようなランクにおいて、そういう技術協力なり何なりという問題を積極的に進めることがこの際必要なんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点は大臣、どういうふうにお考えですか。
  110. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 私は、もう純粋に貿易あるいは技術の協力という面でありますならば、極力推進すべきだと思います。これは全く共存共栄でいくべきなんで、そういう点につきましては、私は何人にも譲らず積極的に推進していきたい、かように考えております。
  111. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 もしそういうお考えならば、この投資の基礎調査とかいうような問題としても地域的にもそれらのところを入れて同時に考えていただくことが一つと、もう一つは、どうしてもプラント輸出という問題もあるだろうし、それになれば延べ払い、クレジットを与えるというような問題にもなると思うのです。そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  112. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は、その点について私の方でも非常にまあ技術的にどういうふうにやるか、まあ何としましても承認はいたしておりません。債権確保の問題につきましては、いろいろ外交交渉とかそういうまでにいきません。何かはかに技術的にかわる問題の処理の仕方があるのじゃないかというようなことで検討いたしておるのであります。ただ、聞きますところによりますと、むしろ中国としても延べ払いとかいうことを考えるのでなしに、実際に延べ払いをやらずにいくのだ、これは私は実にりっぱな態度だと思うのでありますが、そういう話も聞いております。その点ではむしろ最近はいろいろの情報によって安心しておるような次第であります。しかし、第三国の保証とか、いろいろの問題処理の仕方があるのじゃないかという意味におきまして、これらについても極力検討いたしております。
  113. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 クレジット、延べ払いを必要としないというのは、今の現在、今度できた貿易協定の規模、そのくらいの場合にはそういう必要はないだろうと思うのです。しかし、さっき言ったように、海南島だけでなくて、石炭開発なりその他いろいろの種類のプラント輸出という問題を考えてくると、必ず延べ払いなりクレジットの問題は出てくるし、これはもうすでにドイツなりその他の諸国でも現実の問題になってきておるのですから、日本でこれが問題になることは当然だと思うのです。その場合に、ドイツやイギリス等がそういう態勢のときに、日本がただあるいは承認していないからとか債権確保の問題が非常にむずかしいからといって、いつまでもぐずぐずしておられれば向うに先を越されてしまうという結果になるので、私は先ほど言っておるように、もっと投資の基礎調査その他の面においては、東南アジア諸国に劣らず同じランクで、地域的に入れて少くとも研究なり調査なりは積極的にされてしかるべきだと、こう思うのです。
  114. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) その点については全く異存がないのであります。強力に推進したいと、かように考えております。
  115. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 それから先ほどこれは岡田君も出した問題ですが、この輸出の問題ですが、先ほどのお話だと、輸出も相当程度見込みながら計画を立てておる。それでこの新長期計画によると百二十万トン程度輸出、三十七年度、こういうことになっておるようですが、この程度お考えになっておりますか。そして現在、三十一年、三十二年はどうだったのか。それからどういうふうな計画で百二十万トンということを考えておられるのか、その点を一つお答え願いたい。
  116. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 長期計画の終年度の輸出の目標は、一応御指摘の百二十万トンに置いております。これは別段それだけでいいんだとかというふうな考えで作った数字ではございませんで、国内のこの鋼材に対しまする需要の見通しと、銑鉄あるいはスクラップ等鉄源の供給の関係から見て、この程度ではないかというふうな数字でございます。状況が許しますれば、もう少し輸出したいということは、これはまあ当然のことであります。過去の輸出の教字につきましては、おそらく百二十万トンという教字では、昨年あるいは一昨年の数字よりはかなり少い数字でございますから、状況が許しますれば、今申しましたように、もう少し輸出はしていけるだろうと思っております。ただ、先ほど……
  117. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 三十一年、三十二年は、正確に幾らですか。
  118. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 三十二年度は、これは集計を終っておりませんが、三十一年度は百三十七万トンでございます。三十二年度もこの程度の数字だと思っております。これは半製品輸出は、鋼材に換算した額も含まっております。先ほど岡田委員の御質問もございましたが、まあやはりわれわれとしましても、できるだけ加工度を高くし、付加価値の多いものを輸出したいという気持はございますので、やはり造船、鉄道車両その他のプラント輸出はもちろん振興しなければいけませんが、現実に鋼材等の市場もある程度、まあ培養地という言葉は悪うございますが、継続的な関係を持ってきておる市場もできておりますので、やはり鋼材輸出等もある程度はやらなければいかぬだろうと、こういうふうに考えております。
  119. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 私がふに落ちないのは、今お話のように、三十七年度までには生産自体は相当伸びるのですね。第二次五ヵ年計画の、第二次の合理化計画その他の結果、生産は相当伸びる、そして輸出を非常に大きく見ておる、全体としては輸出を伸ばさなければならぬということを言っておられる。そしてその輸出の中に鉄の輸出というものは相当重要なウエートを持つというふうにお考えになっているにもかかわらず、むしろ絶対量からいえば減るのだ、それは何かそれを輸出することが非常に困難だというようなことを正確にお考えになってのお話なのか、あるいは今お話の通りに、いや、二次製品なり三次製品なり、もっと付加価値の多いものとして、そっちをうんと見込んでいるから、こっちはこんなに少くしているのだとかなんとかそういうはっきりしたあれがあるのか、いいかげんな数字をただ出しておられるにすぎないのか、そこいらがわからない。
  120. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) これは、実はちょっと先ほど申しましたように、きわめて、製表技術の上から問題でございます。別段政策的に鋼材を押えておるという趣旨ではございません。端的に申しますると、鉄源でありまするスクラップは、おそらく現在以上に供給を増加いたしますことは困難だろうと思います。もう一つの鉄源でありまする銑鉄でございまするが、これは国内の製鉄設備、つまり溶鉱炉でございますが、これはピッチを上げましても、先ほど申しました数字の供給に達しまするには、実は相当困難がございまして、現在高炉建設に着手しておりまするもののほかに、なお千トン高炉二本を完成いたしませんと、この銑鉄の供給は間に合わないというようなことでございます。ところが、御承知のように現在着手しております高炉建設なども、資金の関係その他で延び延びになっておりまするし、いわんや、これに追加いたしまして新しく二本の千トン高炉を建てるということは、これはまあ困難でございます。また、スクラップの供給があまりふえません結果、製鋼法におきましてもスクラップの配合を減らしまして、銑鉄をよけい使うということもございまするので、どういたしましても、銑鉄の供給増加という点が、その鋼材供給のネックになるわけでございます。目下のわれわれの需給の作成の技術から申しますると、これ以上鋼材供給はむずかしいのじゃないかと思われまするので、しかも、これ若干の輸入までも見ております。何か非常な自己矛盾かもしれませんが、その程度まで考えましても、これ以上の供給が無理だとなりますれば、国内の一応の需要を測定いたしましたものを充足いたしますれば、残りを輸出するということになりまするので、従って、百二十万トンというふうな、はなはだ貧弱な教字になるわけでございます。これを国内の需要を押えて積極的に輸出をすべきかどうかということも政策としては考えられると思いますが、この点はもう少し現実の問題になりましてからの議論だと考えております。一応需給表を作ります上からは、この程度の数字にしておきたい、こういうふうに考えております。
  121. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  122. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 速記を起して。
  123. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 しかし、今のお話だと、この銑鉄にして三十三年度八百万トンのやつが、この計画によると千四百万トン、千三百八十五万トンという増加ですね。それから、鋼塊が三十三年度総合して一千三百万トン、一千四百万トンぐらい、それが二千万トンになるわけでしょう。国内で生産は非常にふえるのですね。それにかかわらず、輸出は伸びないのみならず、むしろ減っちゃう、絶対的にも減っちゃう、だから、こっちの銑鉄の供給なり、鋼塊の供給力があまりないからだということでは解明にならない。むしろそれだけ国内の生産はふえるけれども、国内の需要がうんとふえるから、そちらの方に足りないので輸出にはなかなか回せないというお話ならまだわかるのです。そこいらがはっきりしないが、その点はもっと大きな問題とひっからめて、これは企画庁の問題でもありますから、じゃ、もっと大きくして、第二次の合理化計画——三十二年度から始まって三十七年度、この第二次合理化計画というのは相当前に作られたものだと思いますが、この合理化計画はそのままあの計画でやられるつもりなのかどうか。特に私がこれを問題にするのは、あの計画ができた後に現在の不況状況なり何なりが出てきている。そういうものを考えた場合に、それ以前の見通しでやられた第二次合理化計画なるものは、設備投資その他はこのままでやっていいという、基礎的な、こういう基幹産業だから、これは現在の一時的な好況不況にかかわらず、それは無視してやる、当初計画通り積極的にやるのだというお考えなのか、それとも現在のような状態を見て、もう少しこれは手直しをしなければならぬというふうにお考えになっているのか、その点はどうなんですか。両大臣に一つ。
  124. 政府委員(岩武照彦君)(岩武照彦)

    政府委員(岩武照彦君) 事務的な立場から申し上げますると、先ほど御指摘ありました国内の需要の見通しの問題が一つございます。これは実は過去の鉄鋼需要の推移と工業生産の伸長ぶりと対比して検討いたしますると、鉱工業の生産指数の増加率と鋼材の国内需要の増加率と大体同じようでございます。そこで、今回も企画庁の鉱工業生産指数の増加率に合せまして、年率八・二%でありまして、この率で国内の鋼材需要が増加するのではないかというふうなことで、国内需要の数字をはじいたわけでございます。そういたしますと、これにまあ輸出の問題もございますが、先に鉄源の供給力の方を具体的に詰めて参りますると、この需給我にある数字が大体マキシマムに近いのじゃないだろうかというふうな結論でありまして、これにも若干の銑鉄輸入なんか見ておりますが、この程度の鉄源の供給力ということになりますならば、差引、輸出はこの程度にとどまらざるを得ないだろうという数字であることは、先ほど申し上げた通りでございます。そういたしますると、鉄源の供給力のうちで、銑鉄が一番大きな要素を占めまするので、この生産施設でありまする高炉の建設計画を具体的に検討して参りますると、大体この期間におきまして十一本でございましたかの高炉建設が必要になるというふうな数字に相なります。で、その高炉の建設計画あるいはそれに見合いまする転炉の計画あるいは分解施設等の計画等を総括いたしまして、長期の投資計画あるいは第二次合理化計画というふうに総称しておるわけでございます。そこで、この計画は、現状から見て再検討の余地はないかという問題になるわけでございますが、われわれとしましては、当面の鉄鋼需給の問題もございまするが、やはり日本の鉄鋼生産の基本は、何と申しましても鉄源対策、なかんずく製銑設備の増強であろうと思っております。これが第二次合理化計画の中心になっておりますので、この目標は一応これで進めて参りたいと思います。ただ、具体的にそのときどきの好況あるいは不況等もございまして、資金の調達力等にも差異が出て参りますので、この年次的な投資の問題につきましては、それぞれの状況に応じてあんばいし、調整して参ることが必要だと思っております。目標だけは一応この目標を目安にしまして仕事を進めて参りたいと、こういうふうに考えております。
  125. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま重工業局長説明いたしましたように、将来の長期計画としましては、私はあくまで進めていかなければならぬと思っております。ただ、最近の不況につきましては、需要調査をいたしますと、強気であったり弱気であったり、これはそのときによって非常に差異が出ております。また価格の問題その他もありますので、実は減産なり調整は必要ないかと思っておりましたが、当分においては、相当な調整をやらなければならぬということになったのであります。その点はやはり生産調整は必要だと思っておりますが、生産の設備その他におきましては、長期計画にのっとって極力推進していきたい、かように考えております。
  126. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 関連、企画庁長官もこられてあと問題が移るわけです。今の佐多さんの質問に関連する部分だけお尋ねいたしておきます。先ほど来、中国等につきましても、プラント輸出を含めて大いに今後鉄鋼あるいは鉄鋼製品の輸出をはかりたい、こういうお話でしたが、そういう点について計画がおありになるのかどうなのか。まあ聞いておりますと、結局問題が起ってきて、たとえばインドならインドの場合に、民間使節が行って話をしてこられた、それをあとでどうするかということで、政府自身としてどういう計画をお持ちなのか、こういう疑問が起って参るのです。要するに、あれは鉄あるいは鉄鋼あるいは鉄鋼製品その他の問題を含んで、そういう輸出増進について、供給先を含んで計画をお持ちなのかどうかお尋ねをいたしたい。もしお持ちであるならば、中国についてプラント輸出云々の計画がございますならば、今検討に入っておるというココムの制限緩和についても、具体的に日本の案というものがあるだろうと思うのですが、どういう意見と申しますか、希望と申しますか、お持ちなのか、承わりたい。  それからもう一つ、前の鉄鉱石の輸入先でありますインドあるいはフィリピンその他特別になにが出ましたが、私どもこれは聞くところによると、アジアのインドの鉄鉱石と、それから中国の石炭とが大きく結ぶならば、これは日本の今後の何と申しますか、アジアにおける経済分野というものは非常に限定をされるのではないか、こういうことを聞くだけに、鉄鉱石にしてもあるいは石炭にしても、石炭の場合には、国内産のあるいはこれはまあ弱粘結炭かもしれませんが、どういう役割を果すかということをお考えになりますか。そういう鉄鋼にいたしましても、あるいは石炭にいたしましても、あるいは市場にいたしましても、そういうものが五ヵ年計画の中で、計画を持って仕入れ先と申しますか、あるいは仕向け先を含んで計画的にお持ちなのか、通産大臣の答弁を承わりたいと思います。
  127. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    国務大臣前尾繁三郎君) 五ヵ年計画につきましては、先ほど来申しておりますように、鉄鉱石その他の確保につきまして、一応ラフな計画は持っておるわけであります。また中共に対してプラント輸出その他につきましても、これは詳しくはやっておりません。しかし、一応どの程度にふえていくかという計画はいろいろ考えておるわけでございます。ただ鉄鋼輸出に関連いたしまして、中共の鉄鉱石あるいは石炭につきまして、今までは実はよくわからなかったのでありまして、鉄鉱石につきましても、最近になってかなりの供給力がもうすでにあるということが判明してきたのであります。しかしまだ、ただいまの鉄鋼の使節団が行きましてきめました数量は、それほど大きなものではありません。すべての計画を変えていくというほどのものではないのであります。しかし、今後の鉄鉱石の生産状況あるいは中国における計画等を知り、あるいはまた石炭につきましても、先ほど来お話がありましたが、そういうような計画がわかれば、これを積極的に織り込んだ計画を立てていくということにしたいと、かように考えておるわけであります。
  128. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) それでは通産省所管については、本日は、一応この程度で終了することとし、残余の質疑等は、明二十五日に続行いたすことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) それではさよう決定いたします。   —————————————
  130. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 次に、総理府のうち経済企画庁所管を議題といたします。  まず、河野企画庁長官から御説明願います。
  131. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) ただいま議題となっております経済企画庁の予算案について御説明申し上げます。  歳出予算の要求総額は二十九億九千五百二十五万八千円でありまして、これを前年度予算額二十三億二千四百七十六万九千円に比較いたしますと、六億七千四十八万九千円の増額となっております。この増額となったおもな理由は、離島振興事業費が前年度に比較して五億七千八百九万四千円増額となったためであります。  次に、経費の内訳を申し上げます。  第一に、経済企画庁の項では、要求額は二億八千九十五万二千円でありまして、前年度二億四千六百五十万五千円に比較いたしますと、三千四百四十四万七千円の増額となっております。  この要求経費の内容を御説明申し上げますと、人件費一億九千一百二十七万円と事務費八千九百六十八万二千円であります。この事務費は一般庁務の運営経費並びに次に申し上げる内容のものであります。  わが国経済に関する長期計画及び年次計画の策定、国際経済協力の推進、基本的経済政策の企画立案並びに経済審議会その他各審議会の運営等に要する経費が七百三十二万円であります。  わが国内外の経済の動きを的確に把握し、また経済白書等の報告書及び統計指標を作成する等、経済動向の調査分析に必要な経費が四千二百六十六万五千円であります。  わが国経済安定的成長をはかるためには長期経済計画の策定、及びこれに基く政策の樹立並びに景気変動に対処する経済運営の基本的態度の決定が最も適切でなければなりません。この要請にこたえるには、内外経済動向の的確な把握と経済構造及びその変動の諸要因の探究について調査研究充実機構上の強化をはかる必要があります。よって新たに経済研究局(仮称)を設置いたしますほか、三十名の定員増加、海外駐在員の設置、民間有識者三省の参与委嘱等の措置をいたしております。  また事務費におきましても、景気観測に要する経費はその重要性にかんがみ一千一百六十万三千円増額しております。  なお経済構造、経済循環その他経済の基本的事項調査研究するために要するに事務費は四百四十八万五千円であります。  第二に、国土開発調査費の項では、要求額は一千九百七十七万八千円でありまして、前年度一千五百九十七万四千円に比較いたしますと、三百八十万四千円の増額となっております。  この経費は国土総合開発法、電源開発促進法、特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法、離島振興法、東北開発促進法等の各法律に基きまして、それぞれ災害の防除と生産力の発展を促進する諸施策を樹立するために要する経費と国土総合開発審議会、電源開発調整審議会、特殊土じょう地帯対策審議会、離島振興対策審議会、東北開発審議会の運営に要する経費であります。なお、九州地方の総合開発促進するための調査費として、新たに五百万円を要求しております。  第三に、土地調査費の項では、要求額は一億八千五百二十七万二千円でありまして、前年度一億八千一百十二万八千円に比較いたしますと、四百十四万四千円の増額となっております。  その内容を申し上げますと、基準点測量におきましては、四等三角点の新設点数を九百五十点と予定し、これに要する経費として三千六百四十一万円、国土調査法の規定によって、地方公共団体、土地改良区等が地籍調査を行いますときの補助金として一億四千万円、土地分類調査と水調査については、委託調査費として五百四十万円となっております。  第四に、国土総合開発事業調整費の項では、五億五千万円を要求しております。国土総合開発法に基く開発事業は、各省各庁によってそれぞれ所管を異にして実施されるため、開発事業相互の進度に不均衡を来たし、総合的な効果が発揮せられない場合があります。このような場合に、経済企画庁がこれを調整いたしまして、総合開発の効果を上げようとするものであります。特定地域及び調査地域並びに東北地方及び九州地方における開発事業を対象といたすものであります。  第五に、離島振興事業費の項では、要求額は十九億五千九百二十五万六千円でありまして、前年度十三億八千一百十六万二千円に比較いたしますと五億七千八百九万四千円の増額となっております。  この経費は離島振興法に基きまして離島において国が行いますところの治山治水、道路整備、港湾漁港、食糧増産等の公共事業に必要な経費と、地方公共団体等が行いますところの公共事業、農山漁村電気導入事業、簡易水道事業に必要な事業費を補助するための経費であります。この経費は、前年度までは、各事業実施の省庁に計上されておりましたが、本年度より経済企画庁に一括計上したもので、その使用に際しましては、各省所管に移しかえるものであります。  以上で経済企画庁の予算説明を終りますが、なお、御質問に応じて詳細御説明を申し上げたいと存じます。  何分よろしく御審査の上、すみやかに可決せられんことを御願いいたします。
  132. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  133. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 新長期経済計画を見ますると、輸出規模を三十七年度には三十一年度に比べまして通関ベースで八二%上げようということになっておるのでありますが、これを達成するというのは、容易でないというふうに私どもは考えるのであります。これをどうしても達成するというのには、よほど画期的な裏づけ対策がなければならぬというふうに考えるのでありますが、特に税制関係につきまして、西独があれだけ輸出振興さした例などから見ましても、よほどしっかりした税制計画を、しかも計画的に漸次に立てていかないと、また実行していかないと、これだけの目標を達成することは困難じゃないかというふうに考えるのであります。これにつきまして長官の構想を一つ率直に伺いたいと思います。
  134. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 輸出振興について必要な税の改正、つまり奨励の方法として税制の処置をどういうふうに考えておるか、考える必要があるじゃないかということでございますが、むろん、輸出振興はこの新長期経済計画の主眼点になっておるのでございまして、これが達成には、すでに当面必要な処置も政府としてはごくわずかではございますがとったわけでございます。今後におきましても、この計画輸出輸入、これらの調整をとりつつ日本の経済の発展を期して参るということでございまして、第一義的に考えていかなければならぬ問題でございますから、しばしば通産大臣からも申しております通り、今ここでどういう税をどういうふうにするということは、むろん私は案を持っておりませんが、時々必要な措置については優先して考えていく必要があるということだけは、強くこれは思っておるわけでございます。
  135. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 今現にごくわずかなことはやっておる、そして全体の構想というものは、今のところお持ちでないということでありますが、この輸出規模の上昇構想も、これはやはり一つの構想でありまして、そんなに確実にしっかりしたものじゃないと、まあ失礼ではありますが言わざるを得ぬのであります。従ってそれを達成するのには、どういう減税計画が必要であるか、もっと具体的に言いますというと、御承知のことかと思いますが、光学機械などの輸出をするにしても、西独などには物品税というようなものはないのですね。ところが、わが国は物品税があるために、光学機械輸出を伸ばすにしてもなかなか容易じゃない。それからまた、法人税につきましても、西独などでは一時内部留保は一〇〇%控除を認めたというようなことでありまするし、また、わが国事業税というものは商工業者だけが納めておる。こういうようなことでは、輸出コストに響いていって、輸出振興するということは楽じゃない。のみならず、今申す八二%も輸出規模を上昇させようというようなことについては、徹底的に減税計画というものを立て、また推進していかないといかぬと思うのですが、大蔵省は従来からいろいろ特殊の立場があるだけに、なかなか事は推進しない。通産省も、通生省でなかなか思うように、これまた打開ができない。こうなると、経済企画庁であの輸出規模というものを三十七年度までに八二%上昇させようというのには、よほどしっかりした計画を立てていかなければいかぬと思うのでありますが、そういう点で河野長官のこれは政治家として、少し先を見通された構想から、減税についてはかくあらぬばならぬという程度のことは、一つここで伺うことは非常に意味があるのじゃないかというふうに思うのでありまして、そう現実に今すぐ大蔵省とどうとか、通産省とどうとかいうようなことじゃなく、一つ計画計画なんでありますから、一つ政治家としての率直な抱負、経綸を伺いたいと思うのです。
  136. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り、税の問題につきましては、最も熱心に内閣におきましても検討いたして、税制調査会の調査の結果等を十分に尊重していっておるわけでございます。その間にありまして、ただいまお話しのようなことにつきましては、特に企画庁としては考えなければならぬ、また、たとえば機械あたりが従来のような償却年限でいいか悪いかというようなことにつきましても、相当今回の減税の際に当りましても、議論を実はしたわけでございますが、これらにつきましても、なかなか内容の検討が困難でございまして、急速にはなかなか間に合わないというような事情も実はありまして、あと回しにしたようなわけでありますが、現在の日本の産業全体をながめて見、特に輸出産業につきましては、一方においてダンピングであるとか何とかというような問題も起りますから、それらの点を考えつつ、十分そういう点と抵触しないような面において、ただいまお話しのような税の面において操作するとか、もしくは基幹産業においてこれを考えるとかというような点については、いろいろ各方面の御意見を伺いつつ遅滞なくやって参りたいというふうに考えておるのでございまして、今差し当ってお話しのような点につきまして、明確にここでお答えできぬことは、はなはだ遺憾でありますけれども、各方面の御意見を伺いつつ、今お話しの通り、なかなかこれだけの輸出を達成することはむずかしいということは、十分わかっておりますが、さればと申してこの程度にやって参りませんことには、増加して参ります人口を、増加して参ります就業人口をどういうふうに吸収していくかというようなこと等から考えまして、どうしてもこれを消化していかなければならぬというふうに考えておるのでございますから、お話しの点も十分考慮いたしまして、それらにつきましては、遅滞なく必要な措置はとるということに考えていきたいと考えております。
  137. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 そうしますと、輸出規模拡大計画に伴う減税計画、こういうようなものは、全然今まで検討せられたことはないのでしょうか。
  138. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 実は長期計画策定に当りましては、全体を通じての減税はそこに示してあるように考えておりますけれども、特に輸出産業について考えたことはないのでありまして、ただ優遇して扱うという程度に考えておるわけでございまして、まだそこまでいっておりません。
  139. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 そうしますと、この際この輸出規模拡大について、具体的に西独等の先例から見ましても、減税計画を立てねばいかんというふうに長官はお考えでございましょうか。
  140. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) お話しのような点の御意見は、相当に各方面に有力にございます。また、この税に関する部会等におきましては、具体的な案も実は出ておるそうでございます。従って、これらを大蔵省方面と意見の調整をはかりまして、なるべく早くきめる必要があるだろうというふうには考えておりますけれども、具体的には今決定の運びに至っておりません。
  141. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 それでは、今後減税計画を特に検討願うという上におきまして、先ほど申し述べました法人税の内部留保の問題、それから物品税の問題、それから地方税としましては、事業税を撤廃するかどうか、こういう面について、輸出規模拡大計画の見地から御検討を願い、そうして強力に大蔵あるいは通産方面と連携せられまして、打開の道を講ぜられたい。これをまた適当な機会に、あらためてその結果を承わりたいと思います。と同時に、資金計画については、検討せられたことがあるのでありましょうか。その点を伺いたい。
  142. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 事務当局から説明させます。
  143. 政府委員(大來佐武郎君)(大來佐武郎)

    政府委員(大來佐武郎君) 資金計画輸出の直接の資金計画ということではございませんが、この五年計画全体を遂行するための資金の所要量全体の見積り、日本経済の今後に予想されます資本の蓄積の総額といいますか、そういういわば巨視的な見積りは、計画の中でいたしております。
  144. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 全体の計画はおありのようですが、そのうちで、大体輸出関係については、これが重点をなしておるだけに、目の子、腰だめでもいいのですが、どの程度のことを考えているのですか。
  145. 政府委員(大來佐武郎君)(大來佐武郎)

    政府委員(大來佐武郎君) 実は、この計画の性質から申しまして、鉄鋼とか、電力とか、そういう大きなものにつきましては、一応五年間の所要資金を出しておるわけでありますが、そのうちで、中小企業を含めて、輸出の分が幾らかという計算は、所要資金量としてはいたしておらないわけであります。
  146. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 この点も長官にお願いしておくのですが、輸出規模の拡大がよほど大幅であるだけに、資金計画を具体的に将来検討をいただきたいと思います。  さらに伺いたいのは、輸出規模自体の拡大計画については、地域別で特に伺いたいと思うのでありますが、たとえば、これは中共にどの程度の拡大を見込んでいるか、あるいは対ソにはどの程度の拡大を見込んでいるか、そういう程度の拡大計画、これを一つ伺いたい。
  147. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り、この長期計画策定につきましては、各方面の関係業界の方々もむろんお集まりになりまして、一応輸出の見込み等は地域別にやりましたけれども、それは今ここで申し上げるほどのものにはなっておらないということでございます。なお、事務当局からお答えいたさせます。
  148. 政府委員(大來佐武郎君)(大來佐武郎)

    政府委員(大來佐武郎君) ただいま大臣から御答弁の通りでございまして、経済審議会の部会の貿易部会というのがございまして、この貿易部会の一小委員会でございましたか、輸出目標を検討する小委員会で、いろいろ、品目別、地域別の議論をやっていただきました。まあ、検討はしたわけでございますが、やはりこまかく分ければ分けるほど、輸出の目標というものは不安定な要素が多くなって参りますので、政府計画としてそのようないろいろ動く数字を正式の計画に取り上げるのは不適当ではないだろうか、それから対外的な関係もデリケートな関係がありますので、一応本計画にはそういう内訳は示さない扱いになっております。
  149. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 今内訳を明らかにしていくということは容易でない、また、それは対外関係等もあるというお話しでありますが、内訳がなくて全体の取りまとめができるというのは、私どもはこれは納得がいかぬのでありまして、また、対外的に関係があれば、それは秘密会でも何でもいいですし、従来から長期計画というものが、いつも単にデスク・プランであって、絵にかいたもちだというふうに言われてきたのは、やはりそういうところにあると思うのです。この予算のこまかい内訳等もありまするけれども、何といっても、長期経済計画をしっかり立てて、そうしてそれを推進していくということは、経済企画庁として最大の任務であるのでありますから、そういう点で、一応のプランはプランとしてでも、地域別にはこういう計画である、それに伴う資金計画はこういうものである、さらにそれに伴う減税計画はこういうものであると、そういう計画がはっきりあってしかるべきで、また、それでなければ、全然意味がない、そういうふうに思われるのであります。その点について、今後拡大計画について、また資金計画について、また減税の計画について、しっかりしたものを、再出発の形で御検討願って、そうしてそれを適当な機会に、また適当な方法でいいのでありますから、お示しを願いたいと思いますが、この点について、すべての点について最も実行をたっとばれる河野長官の御決意を、また、長官が長官になられた意味は、そこらにあるのだろうと思いますから、あらためて一つ御決意を伺いたいと思います。
  150. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 実は、今のお話しでございまするが、たとえば輸出の数字をきめますにしましても、通産省、大蔵省の間に、もしくは農林省の間に、いろいろ意見の違いが出てきます。お話しのように、非常に楽観的に大きく見る省もありますし、また、そうはいかぬという見方もあります。これを民間の方面から考えましても、生産する者と、それから実際の貿易を扱う者との意見が、なかなか一致しないものであります。そこらのところを調整、あんばいして、そうして取りまとめをして作りましたのがこの計画でございまして、また、企画庁としての任務もおのずから実はそういうところにあるので、これは現在におきましては、御承知の通り貿易につきましては、通産省で一応計画を、みなで出したものを調整し、あんばいして、決定したら、それぞれの所管行政省において責任を持って忠実に実行していただく。その結果を企画庁においては十分うしろでながめておりまして、どういう点にうまくいかぬ点があるか、どういう点に障害があるかというようなことを調査していき、またそこに協力、補正をしていくというようなふうにして私は実はいった方がいいのではないかと、こう考えておるのでございまして、今のところは、おのずから企画庁の職責としましても、一応その程度が一番妥当ではなかろうかと、こう思っておるのでございます。今お話しのように、税の点について一つ案をしっかり持てとおっしゃいましても、おのずから税につきましては、大蔵省が所管になっておりまして、これに対して貿易関係の税を持っておりましても、他の税との関連におきまして、また、自治庁等の関係も出て参りますしいたしますので、なかなかそういきかねる点もあります。そういうことで、この長期計画を一つ一つ分析していただき、一つ一つ詰めて参りますと、なかなか、そこには割り切ってお話のできない点も実は起ってくるような気持ちがするのであります。従って、これを総合して、すべてのものを調子を合せて一点にまとめれば、この程度にまとまるのじゃなかろうかということだろうと思います。でございますから、今後も引続き、いろいろの面について御要望なり御注意なりは十分拝聴いたしまして、順次これをまとめて強くしていく、しかも、実行上については、遅滞なくこれを行うということでやって参る、また、世論の支持によりまして、役所の中におきましても、それぞれ従来の認識が、時にこれを強め、または変更するというようなことが起ってくるだろうと思うのでございますが、それじゃ全く空なものか、全くふわふわしたものかと申しますと、今まで相当に勉強してやり上げましたものが、まず押えてみると、この程度で押えていくよりほかにおさまりがない。この程度ならば可能だろうというところをねらってまとめたものでございまして、この程度ならばやり切ることができるだろうし、また、この程度やらなければ将来のために困るだろうというところのものでございますから、われわれの決意といたしましては、先ほどお話しの通り、この貿易の数字にしましても、五ヵ年間にこれだけのものをふやしていくということは容易でないことは了承しております。現に、明年度にいたしましても、こういう世界情勢のもとにおいて、しかも、三十二億以上のものを出さなければならないというようなことは、なかなかこれは容易なことじゃない、各方面でいろいろ御議論もございます。しかし、これを達成するにあらざれば、国内の経済全体に非常にまずい影響が起ってくるということでございますれば、今後も引き続き、さらにまた、これを助成して参るということを考えていくということでやって参りたいと思っておるわけでございまして、いろいろ御注意でございますけれども、特に私といたしましては、一たん決定し、そして各方面の御協力を得ております以上は、政府内部におきましても、予算の編成等につきましてもいろいろ御意見もございますけれども、実は相当な努力をしてこの程度にまとめたというつもりでございまして、今後もこの線を逸脱しないように、ぜひ政府みずからやるし、各方面にも御協力願おう、こう考えておるわけでございます。なおよく、各般についての御注意なり御協力なりちょうだいいたしたいと思っております。
  151. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 今のお立てになっておる計画自身が、現在の減税計画なり、あるいは資金計画なり、あるいは今の貿易政策それ自体、そのままでいけるという確信がおありになるならば、またそれを承わるのもけっこうなのですが、今の大蔵当局の行き方にしましても、あるいは通産当局の行き方にいたしましても、ある意味においては、いわゆるセクショナリズムになっておる。それがために、場合によるというと、従来の大蔵省的な考え方が、一種の画期的な伸張にはネックになっておるという面もこれはあるということを肯定せざるを得ぬだろうと思うのでありますが、そういう面から、経済企画庁というものは、一段高い所から、総合的に、かくあらねばならぬ、そのかくあらねばならぬというものを数字的に出すというと、今度お示しになっておるようなものだと思うのであります。従って、そういう見地から、かくあらねばならぬ、それにもいろいろお話しのように摩擦はあろうと思いますが、まあまあこの程度なら一つやってみようという程度輸出所得の減税措置、またこれに関連して、先ほど申します通り、物品税とか、事業税とか、そういうもの等について研究をせられ、また、別個に資金計画も検討せられ、また、地域別にも拡大計画というものをお考えになる、そうしてそれが工合悪ければ秘密会でもいい、そういう点で一つ、将来あらためて何もかも計画自身を改めるという意味ではないのでありますが、それの裏づけになる政策を具体的に検討してもらって、そうしてそれを適当なときに適当な方法でお示しを願いたい、そういうことなんでありますが、これについて一つ最後に御意見を伺いたい。
  152. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 今の貿易の地域別、物品別というようなものにつきましては、なお通産当局ともよく相談をいたしますけれども、かえって通産省の方からお聞きいただいた方がいいじゃないか。われわれの方としては取りまとめてやっております。それから税の点につきましては、大蔵省から聞きいただいた方がいいじゃないか、実は全体を見合って調整しつつやっておるのでございまして、まあ、たって企画庁からとおっしゃれば、企画庁もやらぬことはございませんけれども、これは両省と十分調整した上でいたすことでございまして、今のお話しでございますが、なおよく両省と相談の上でお答えすることにいたします。  貿易の将来等につきまして、通産省、大蔵省、その他関係省が従来なかなか協調が保てない、そのために支障が起っておるのが実情であるというようなことで、これは私も全く同職に考えますけれども、今回、総合して長期経済計画を立てましてからは、相当各省の意見を強く調整をしてここに取りまとめたのでございまして、これが実施、運営に当りましては、各省に何らの懸隔はない、忠実にこの計画を遂行することに協力をしていくということに実はなっておるわけでございます。経済上の見通し等につきましても、いろいろ御意見も実はあるのでございますけれども、これらにつきましても、遅滞なく時々関係閣僚会を開きまして、意見の調整等につきましても、企画庁が中心になってやっておるようなわけでございまして、もし遅滞する問題がありますれば、及ばずながらできるだけその点は強力に進めていきたいと考えておりますので、この計画達成のためには全力をあげて進めたいと思っておりますので、ぜひ一つ御了承願いたいと思います。
  153. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 もちろん、大蔵当局、あるいは通産当局にも、それぞれの立場から今後追及はいたしますが、そのほかに経済総合計画の見地から御検討を願い、そうしてそれを先ほど来申しまするように、適当なる方法で示されたい。そういうふうに考えるのでありまするので、先ほどの御答弁によりますると、資金計画なり、あるいは減税計画等については検討するというお話しでもあったのでありまして、それは了承いたしまするが、同時に今後、一つ真剣に裏打ちの政策を具体的に御検討願いたいということを重ねて要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  154. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 今事務当局ともいろいろ打ち合せをいたしましたが、この会期中に、資金計画なり地域別、品目別貿易の先のあれを関係省と打ち合せいたしまして差し上げることはちょっとできにくいと思いますので、これは決してやらぬのではないので、なるべく早くできました際に、しかるべき機会に申し上げることといたしまして、さっそく努力はいたします。
  155. 豊田雅孝君(豊田雅孝)

    ○豊田雅孝君 この会期中にということは容易でないと思いますから、私も考えておりません。そうして計画自体が長期計画ですから、あるいはこの次のときにでもいいでありましょうし、経済企画庁全体としての立場から総合企画、その裏づけという意味で検討を願い、明らかにしてもらいたい、こういう意味でございますから……。
  156. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 承知いたしました。
  157. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 説明の中にありました、九州地方の総合開発調査費五百万円、これはなんでしょう、五百万円では、人間が歩くだけでしまうと思うのですが、調査費にしても、五千万円というならまだわかるのですが、五百万円という調査費は、何に使うのですか。
  158. 政府委員(伊東正義君)(伊東正義)

    政府委員(伊東正義君) 私からお答えいたします。  九州開発調査費の五百万円の問題でございますが、これは実は、東北の開発につきましては、二ヵ年間にわたりまして一千万円ずつ調査費がついておりまして、基本的な調査をやったのでありますが、九州につきましては、大体あそこの北九州と南九州は、いろいろな経済状態が違いますが、東北地方と比較いたしまして、やります調査につきましても、実は調整費の方で、九州開発のために五千万円というような調整費も実はついております。その中でも調査はできることに相なっておりますので、五百万円だけで九州の調査を全部するということは考えておりませんで、調整費の中でも調査の調整費がございますので、それと合せまして、九州地方の基本的な調査でありますとか、あるいは農業関係の改良等について、どういう形態がいいかというような調査を続けてやっていきたいと考えておりますので、五百万円で全部の調査をするというふうには、実は考えておりません。
  159. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 それでは、総合開発事業の調整費ですか、五億五千万円、この中で九州関係五千万円の調査、これはわかります。これはまあ、調査費を含んだ調整費五千万円、こういうのでしょうが、従来ここにあります特定地域は、あるいは調査地域も含んでおりますが、何々総合開発地域というのが特定をされて、それぞれこういうことを行うということが決定をされておりながら、その予算の裏づけがない。もっともこれは、企画庁は、総合開発の具体的な裏づけを全部やるわけじゃないと、こういうことを言われるだろうと思うのですけれども、しかし、従来国土総合開発計画を特定地域その他でやらせてきて、その予算の裏づけが十分でないということが一番大きな問題でした。五億五千万円で、これにこたえることは困難だとも思うのですが、従来ありました不満をどういう工合に解消しようとしておられるのか。五億五千万円の調整費に関係をいたして、お伺いをいたしたい。
  160. 政府委員(伊東正義君)(伊東正義)

    政府委員(伊東正義君) 私からお答えいたします。  特定地域の事業があまり進んでおらぬ、各省に予算はついておるのだが、あまりいろいろな地域開発が進んでおらぬというお話でございますが、御承知のように、全国で二十二ばかりの特定地域を指定いたしております。それでこれは、大体の計画は十ヵ年計画になっておりまして、約半分、五ヵ年ばかり経過いたしておりますが、進捗率は四〇%、大体四割くらいがその事業の進捗率になっております。これも、地域によりまして、いろいろアンバランスがございまして、たとえば、開発でありますとか、そういうようなものが中心になりました特定地域の開発につきましては、非常にテンポが早く進んでおります。ほとんど九〇%くらい進んでおるところもありますが、そのほかに、一般の公共事業といいますか、治山治水関係を中心としましたような特定地域につきましては、比較的おくれておるというような、地域ごとによりましてアンバランスはございますが、平均しますと、大体四割くらい進んでおります。われわれの方といたしましては、これは各省が実施をいたす事業でございますので、その間にいろいろなアンバランスが出てくる。たとえば、河川と土地改良について、河川だけ進んだが、土地改良は進まぬというような、そういうアンバランスをなるべく調整いたしまして、なるべく早く経済効果を上げるというような趣旨からいたしまして、一昨年から、てこに計上してあります調整費というような予算をもちまして——一部は調査費に使っておりますが——そういう調整費でその中のバランスをとっていくというようなやり方で、特定地域の事業をなるべく早く進めて参りたいというような行き方をしております。
  161. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 地域によって違うということ、それから、地域の中で、河川は進んでおるけれども、道路は進まぬという場合に調整をしたい、こういうお話でしたが、地域の場合に、東北その他は、これは早かったせいもありましょうが、あるいは進捗率も相当なあれかもしれませんが、北九州にいたしましても、それから九州関係その他有明海を含めた地帯、それから先年予算委員として鳥取に参りました場合に、鳥取、あれは、大山、出雲総合開発計画等については、先ほど申し上げましたような計画があるけれども、予算の裏づけがなくて、せっかく計画を作らせたが、これの裏づけをどうしてくれるのだろうと、こういうような希望等を聞いて参りました。それから、これはこまかいことになるから、まあこまかいことは例として何しませんけれども、北九州なら北九州で国道、関門トンネルはできたけれども、他の道路、これは九州なら九州、一体九州を縦貫いたします道路計画については、まだ調査の段階、しかも、まあ北はとにかくといたしまして、西、南については、何もないといったような状態だと理解していますが、そういう地域的なアンバランス、それから、一つ一つのあれについても、アンバランスが具体的にございますが、そういうのは、今後のこの調整費の中で一体解決をされていくものであるかどうか、重ねて伺いたい。
  162. 政府委員(伊東正義君)(伊東正義)

    政府委員(伊東正義君) 今御質問の点でございますが、調査の調整費とか、あるいは事業の調整費というものを使って、いわゆる事業間のアンバランスの調整ということをやっておるわけでございますが、たとえば、調査の方から例を申し上げますれば、琵琶湖あたりでは、あの水を大阪の工業用水に使うには一体どうすればいいのかというようなことで、湖面低下の問題について、あるいは漁業問題あるいは湖面が低下することによりますあそこを通っている船の問題、あるいは河川に流れ込みます場合の河川敷がどうなるかというような問題、そういうような問題を総合的に調査をするというようなことを実はやっております。  それから、事業の調整費では、例をあげますれば、九州で昨年やりました例は、ダムはできたと、もう発電はしたいのだが、土地改良の方がなかなか進んでおらぬというので、ダムの下に取入口をつけるというようなことだけは、農業関係で先にやっておいた方がいいんじゃないかというようなことで、そういう金を農業関係の方へつけていくというようなことは、具体的にはやっておるのでございますが、今御指摘のありました、たとえば九州の関門トンネルができたが、道路の方にはあまりついておらぬというお話でございますが、そういうような非常に大規模と申しますか、非常に大きなものになって参りますれば、この金ぐらいではどうにもなりませんので、これは、もう一つ前にさかのぼりまして、もう少し地域開発を総合的に計画的にやっていくという計画を先に作るということが私は大前提であろうかと思います。で、企画庁でも、国土総合開発法に基きまして、目下全国開発計画というようなものも検討中でございますが、そういう地域開発につきましては、調整費は、出てきております現象的なもののまあ穴埋めと言っては語弊がございますが、そういうことでございまして、今御質問のような大規模の問題は、もう少し計画を総合的に前からやるという必要があるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  163. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 琵琶湖とそれから大阪ですか、あの工業用水の問題についても問題はあるというお話ですが、この前大阪で聞いて、大阪府、市自体として考えておる問題ですが、なお解決の方法は出ておらぬようにまあ思うのですけれども、そういう調整はやっていく。それから、大きな、全国的なこの地域総合開発の調整はやりたいというお話ですから、その点は、地域的なものにしましても、全国的なものにしても、調整をやるということを要望をして、次にお尋ねをいたしたいのは、離島振興に関連をしてですが、これはまあ離島振興、どういうことをやられておるかということは知っておりますが、ごく最近、小笠原の島民の、何と申しますか、帰りたい、帰れない、そこでまあその補償といいますか、見舞の問題が出ております。これは、直接あの局長関係ではないと思うのですが、離島振興ということが予算が出ております。これに関連して承わるのですが、小笠原にいたしましても、それから沖縄に参りましても感じます。それから奄美にしてもそうだろうと思うのですが、それが離島振興法の離島に入るかどうかはとにかくとして、この離島で、政府施策といいますか、あるいは具体的には、この国の施策が及んでいないところが非常に多いのですね。沖繩のごときも、沖繩の悲劇が、今日米軍の施政下に、片寄った軍政のために困っておるという点もございますが、敗戦直前まで、それでは日本の政府が、日本の政府としてどれだけ沖繩して来たかということを実は反省させられる。そこで、小笠原の島民の諸君は、帰りたい、帰れない、そこで見舞金を——土地を売り渡すことは、これは日本の国家的な、国民的な立場から、賛成するわけにいかぬ。そこで、どうするかという問題が起っておるわけです。ですから、まあ見舞とか何とか、これは口実を設けて、小笠原なら小笠原にどうするか、こういう問題なんです。施策の及ばない部面が離島なり、あるいは離島に準ずる、奄美にしましても小笠原にしても、沖繩——これは潜在主権ということになっておるが、沖繩等にもあるわけです。これについて、これからのいわば忘れられた国民に対して、政府といいますか、国としてどういうふうにしなければならぬかと考えておられるのか。これはこまかい問題でありませんから、長官に伺いたいと思います。
  164. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) ただいまのお話の点でありますが、この離島振興法の対象として考えますことは、お話の通り、従来離島におきまして、本土もしくは各主要な島嶼における行政と、その恩恵もしくは施策が非常に懸隔がある。これを均一し、もしくはこの方面に急速に各種の行政施策を施す必要があるという見地からこの立法が行われた。その通りと、私も必要を考えておるわけでございまして、そういう意味から、明年度におきましても、わずかな金ですが、従来に比べれば相当大幅な増額をお願いをいたしておるわけでございますが、さればといって、今のお話のような点は、離島振興予算で考えて、予算要求しておるかと申しますと、実は今お話のような点につきましては、別途これは、今の政府の建前からすれば考えられることとわれわれは了承して、予算の要求をいたしておるわけでございまして、いろいろ御意見もあるかもしれませんが、今さしあたり、われわれのここに今予算を要求しておるものの中には考えておらないということでございます。
  165. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 その通りです。離島振興法によってなされる。そこで、正直に言いますと、これは、会長が網島氏でしたか、あれは協議会じゃないのですが、離島振興のための議員連盟等もあります。そこで、いわばそういう関連しておる島に入っている、いわばここから議員が出たり、まあ島の名前は言いませんけれども、関連するところについては、実は割合に予算がついたり、港がよくなったりしております。ところが、本来離島振興法がねらうべき、小笠原にいたしましても、奄美にしても、離島で国の施策が及ばなかった所、従来の生産、農業なりあるいは生活の方法で放置されている所については、これは、離島振興法に直接関係はありません。関係はありませんけれども、これは、国としてその生活の向上なり、あるいはその生活の一番基礎になります農業なり漁業なり、生活の方法の改善のために施策をしてやらなきゃならぬ。ですからこれは、その振興法とは直接は関係はないけれども、そういう忘れられた国民のために、企画庁長官はどういう工合に施策すべきだと考えておられるか、あなたにお尋ねしているわけです。離島振興法の中身は、局長かだれかに聞けばわかるのです。関連をして、この忘れられた離島の振興をどうしなければならぬと考えておられるか、この際お伺いしたい。こういうわけです。
  166. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 今お話の沖縄、小笠原の問題等につきまして、それぞれ従来これらのものを取扱いますところでやつて参ることになっておりますので、今、私、これらの所管の大臣がおりますのに、ここでとやかくお答え申し上げることはどうかと思いますが、たとえば、小笠原の今帰島を非常に希望しておられる諸君、これが当分なかなか困難だ、これに対する賠償問題、補償の問題をどうするかということは、むろん考えられる問題だと思いますけれども、しかし、それについては、従来それぞれこういう問題を取扱います機関において考えられることだろうと思いますので、私がこの際お答え申し上げるのは適当でないのじゃないかと、こう思いますので、差し控えさしていただきたいと思います。
  167. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 何と言いますか、小笠原なり沖繩の問題は、当面しておる問題は、なるほど外務省の問題かもしれません。しかし、小笠原に帰島すべき国民も、沖繩の県民も、これも日本人ですからね。私は、そういう所で、今まで国の施策の恩恵を浴しなかった、税金は納めたけれども、自説たちの生活をよくするために、岡か戸助成なりあるいは補助なり、そういう施策を受けなかった気の毒な国民、忘れられた国民をここに見て参り、これは、離島においてもそうでしょう。あるいはこれは、奄美においてはどうなっておるのか知りませんけれども、奄美についても、これは同じような事態でおそらく放置されておると思う。あるいは沖繩と一緒に放置されておるときは、何の施策もなかった。そうして帰ってくるときに、長く日本の政府からも見放されておった。こういうことで、あのときは見舞金ということだったろうと思いますけれども、とにかく幾らか一時金を支給しておるのです。それは口実であって、実際には、奄美ならば奄美の諸君が、奄美の生活というものが放置されておった、こういうことだろうと思う。港はなるほど離島振興法その他であれしておりますが、島民の生活というのは、離島の場合の生活というものは、これはほとんど改善されずに、放置されてきております。これはまあ、だから具体的に言うと、奄美だとか、あるいは離島だとかいうことになりましょうが、そこにおける国民の昔のまま放置されておる生活をよくするために、どういう方策をおとりになろうとするのか、それを承わりたい、こういうわけです。
  168. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) これは、単に漁港をどうするとか、道路をどうするとかいう問題だけでなしに、むろん、教育の問題でありますとか、衛生の問題でありますとかいうことについては、それぞれの省において考えるということを今日強く要請されておるわけでございまして、今、すでに企画庁において、離島振興法ということでこれらの問題を取り上げておりまする以上は、お話の通り、この内地というと語弊がありますが、本土におきまする行政と同様に、むしろこれより強く見ていかなきゃならぬという世論は、順次起りつつあるんじゃないかと私は思うのでございます。で、電灯を引かなきゃいかぬとか、病院船を作らにゃいかぬとかいうようなことも、だんだん強く要請され、順次運びになっておる。連絡船についてもまた、しかりである、ということでございまして、こういう点につきましては、相当に各方面の世論の支持もありますので、だんだん強く政治の恩恵、恩典が及ぶようになっていくものと私は確信しております。
  169. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 離島振興法の現在の法の建前、あるいは小笠原とか沖繩とかいうものの現在の所管は、渉外の関係で外務省の所管と、こういう現実でなしに、離島なり、それから、離島の法律の概念には入らぬかもしらぬけれども、あるいは奄美とか小笠原とか、こういう、沖繩等にしましても、忘れられた日本国民の古い生活あるいは生産様式に放置されてる所については、法に関係なしに、もっと一つ考えてもらいたい。その具体策を、これは総合的に、いや所管は、教育の問題は文部省であるとか、あるいは衛生の問題は厚生省であるとか言わないで、企画庁で一つ、離島振興法が対象にしておる国民生活の全般的な向上については、総合的に考えてもらいたい。そのことは、これは部落問題についてもそういうことが言えると思うんです。日本の国内についても、ここで時間ございませんから、詳しく申し上げませんけれども、消防も入らぬような部落ですね。従って、これはもう何十年、あるいは何百年といってもいいかしらぬと思うんですが、税金は出してるけれども、その税金が、国の税金にしても、あるいは自治体の税金にしても、返ってこぬようなところが日本の国内にもある。ですから、そういう面については、これは所管のことを言わないで、まあ離島振興法に関連してお願いをしておるわけですけれども、総合官庁としての企画庁が、法律云々ということにこだわらず、涙のというか、あったかい政治をする意味において調査立案をしてもらいたいと、こういう要望をしたわけです。
  170. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 御趣旨よくわかりましたから、これはことに国内におきましては、終戦後直ちに実施いたしました開拓農民等につきましては、特に遺憾の点があるように私考えます。これらを総合して、国全体の文化の上昇におくれておると、施策等の恩恵におくれておる所というようなものを総合的に調査をいたしまして、そうして施策をなるべく並行して参るように、総合的に調査研究をするという仕事は重要なことと考えますから、一つ御趣旨のところは十分に考えまして、至念に案を立てることにいたしたいと思います。
  171. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 国土総合開発の問題でお尋ねしますが、この国土総合開発の問題は、もっと国として統一的に、それから重点的に計画を遂行しなきゃならないんだが、このごろは、選挙前なので、いろいろな議員がブロックでたむしろて、そうして予算獲得に非常に熱心のようだが、政府みずからも、たとえば関東においても、赤城構想の利根川総合開発利用なんというのを打ち出されたのは、自民党の関東会と組んで打ち出したので、そのねらいは、災害九州その他が痛めつけられ、冷害で東北、北海道が痛めつけられる。そのたびごとに、そういう地方においては総合開発が具体化するが、一番肥沃な土地である関東地方その他は、災害においても冷害においても、きびしい被害がないと、ほうりっぱなしになる。食糧増産に重点を置く観点からは、こういう肥沃な地方を開発したならば、もっと食糧増産になるんだが、災害冷害対策としてならば取り上げるが、そうでなければ置き去りを食う。これではかなわぬということで、どろなわ式に打ち出された傾向があるんですが、当初の予算というものは二億三千万円要求して、そこでとりあえず七百五十万円になっている。先ほどの九州の五百万円から見ると、二百五十万円ほど多い調査費になっているんですが、こういう、各省庁がばらばらになっている。ちょっと河野さんあたりの方のところが中心になって、物事をまとめていかないと、各省におけるセクショナリズムで、いろいろの、思い思いのことをなされていったんではしょうがないと思うんですが、どういう御見解ですか。
  172. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) お話の点、私もごもっともと考えられる点も実はあるのでございますが、今日全国に各府県がありまして、各府県がそれぞれ府県の実情を異にいたしますために、また、府県の財政内容等も非常に差異がございます、というようなことのために、府県が相協力して、その地区地区の開発に非常に熱心だ、これは私は、見方によれば、今のようにばらばらになって、非常に困るという見方も仰せの通りでございますが、全国それぞれの地区において、熱心に主張されることによって、全国的に活発に、地方の事情も出てきて、これが開発されるということになれば、それも一つの行き方じゃないか。しかし、いずれにいたしましても、今お話のように、特別の地区について特別のものをやるか、それとも全国皆一様に地方開発計画を立ててやるかというようなことで、これが、いずれがいいか、いずれが悪いかということになりますと、ちょっと今ここで、これは悪い、これでなければいかぬということも言いにくいんじゃないかというような気もするんですが、いずれにいたしましても、国土総合開発法というものがありまして、総合的に開発していこうということを建前にいたしておるのでございますから、もう少し私の方が全体的に活発に総合開発計画を進めていくということになれば、おのずから、今おっしゃっておるのもその中に吸収して、善処して参れるんじゃないかと思うのでございますが、各地にそういう総合開発の声が起りましたのを契機にいたしまして、なお企画庁におきまして、これらを取捨あんばいいたしまして、いずれを先にするか、あとにするかというようなことにつきましては、遅滞なくよく勉強して、そうしてただ騒ぐからやるというようなことでないように、調査だけはいたすにいたしましても、いよいよ実施の段階までには、この間の調整等を十分注意して、なるべく御趣旨に沿うようにやっていくというふうにいたしたいと思います。
  173. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 この総合開発のようなものが、基本対策と、災害や何かにぶつかったときの応急対策というものがごっちゃになってしまって、性格が非常にもうろうとなってしまう。このままでいくと、私は、収拾のつかないものになるんじゃないか。やはりもっと計画性を持ったものにしなければならない。その役割があなたのところにあると思うんですが、河野さんは、とにかく重点政策を押し進める上においては、非常に適任な性格も具備しておる人なんで、あるいは原子力の平和利用の問題でも、電気料金の値上げの問題でも、四つに組むところが、とかくの批評があっても、河野さんの政治家としての存在を保つところのおもしろいところを示しているのだと思います。河野さん、過去において専門であった食糧の問題でも、私は、非常に最近の政府の政策というものはぼけていると思うのです。やはり人口において四〇%農民が占め、三千六百万人あり、農家において六百十万戸あるというような農民の実態というものが、今では六五%までは兼業農家になっておる。しかも、農家のうちの二百万戸は五反百姓と称せられ、五反以下が二百万、またあとの二百万戸は五反から一町程度で、実情において、政府なんかの発表だと、一町三反ぐらい持たなければ、専業農家としてはやっていけないというような形でありながらも、実際の政府のやっておる農政と結びつくものは、三割に満たない農民きりしか結びつけない状態にある。それ以外の、三分の二もの農民に対する農業政策というものが欠除している。土地改良その他によって食糧増産をやると言っているけれども、新たの段階において、補助金制度なんというのが食い散らかされちゃって何にもならない。もっとまとまった金を差し与えて、土地改良をやっていこうというけれども、いろいろな点において、資金を持たない農民というものが、土地改良その他食糧増産に積極的に参与できる状態にない。あなたの方の相模ダムにおける水利権の問題をめぐっても、農民というものは、非常にあえいでおる形がある。畑地灌漑があんなによくできているところはないという所でも、実際上は負担の面でやっていけない。国家が積極的に、食糧増産について、計画的な投資をやっていかなければ、私はだめだと思うのですが、こういう補助政策というのを、しみったれた補助政策じゃなく、国家みずからが一つの企画をもってやっていかなければ、日本の食糧問題に対する解決はないと思うのですが、この問題に対しての取っ組み方が非常に足りないと思うのですが、あなた自身はそれをどうお考えですか。
  174. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 私も、お話のように、どうも今のような中途半端なことでは、農村問題にしましても、その地中小企業対策にしても、効果をあげることがなかなか困難であるというふうには考えます。考えますけれども、何分今の日本の現状からいたしますと、ともかくこれは、やらなきゃならぬものばかりでございます。先ほど離島のことについてお話がありましたが、離島の話になれば、離島についてもやらなきゃならぬ、農村の話になりますと、農村もやらなきゃならぬ、出る場所場所で、これもあれもということで、そのいずれもほうっておけない問題ばかりでありますので、これをしからば順序をきめて、しぼってやれるかというと、これもなかなか困難であるというようなのが実際の実情じゃないかと思うのであります。従って各省大臣は、それぞれの行政の責任において、非常に所管のことについては熱心であるが、これもまた、ごもっともと思われる点もあるのであります。そういうことでございますので、私も、農林大臣を二年やってみましたが、事志と違いまして、自分の思うようにはさっぱりできず、やめなきゃならぬようになったわけでありますが、企画庁長官になりまして、各省の調整総合を実は努力しておるわけでございますが、これとても、国家の実情もしくは実際の経済の進行状況等から見れば、なかなか困難な問題が次々に出てくる。電力の料金の問題にしましても、自分で考えている通りにはなかなか行きにくい事情も出てくるというようなことでございます。私は、みずから省みて、自分でやっておることになかなか自信も持ちにくいというような気持もいたすのでございますけれども、私も、今お話の通り戸叶さんと全く所見を同じくしており、せっかく努力いたしたいと思っておりますが、急げとおっしゃられても、なかなかできにくい点もありますので、このごろ、少々気が長くなりまして、ぼちぼち、一つでもいいからやっていこうということで、せっかく努力しておるわけでございますから、御了承いただきたいと思います。
  175. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 岸内閣は、岸さんとあなたでもっているというか、それは、違った性格を、個性豊かに発揮することによって、存在の意義があるので、岸さんは、八方美人的な、そつのないところに岸さんの長所があるし、あなたは、少し摩擦があっても、重点的に強引に押すところに特長があるのでその特長がぼけてしまっては、非常におもしろ味がなくなると思うのです。  私は、具体的に二、三の点でお聞きしたいのですが、結局日本におきましても、すぐ通俗的に言うのは、農耕地が狭くて、日本じゃやっていけないのだ。人口が多くてやれないのだと言うけれども、スイスなんか、日本よりもっと山国です。アルプスのある国ですが、日本の三倍の、五二%の農地が開かれているのは、山岳酪農をやっているからです。日本の山岳というものから見るとほとんど不可思議のようなことで、大山森の地主の所有権にいきなりわたり合い、取っ組む必要もないし、また、国有林と称するものが蟠居している林野庁のこのやり方に対しても、すぐにどうこうというような根本的な切りかえはできないかもしれませんが、とにかく今の酪農なら酪農を伸ばすならば、スイスのように、やはり今、この近間なら熊笹でおおわれているような奥地の山、あるいは北海道の酸性土壌地帯のカシワ葉がずっとはびこってるような、むだに使われている山、そういうものを、農村の二、三男を動員して、社会党が言うように、徹底した国土開発隊によって、機械化された開発をやっていかなければ、私は思い切った酪農の推進ということはできないのじゃないか。もう日本全体が、千万ぐらいの失業者並びに潜在失業者におおわれている。六百万以上の潜在失業者が農村にはある。そうして農村の青年は、パチンコなんかやって、うさ晴らしをやっている。こういう状態のもとに、都市を中心としたオートメーション化、産業合理化という形において、どんどん雇用関係は無視されて、失業者は続出している。こういう窒息するような政治というものは、私は、何らかの形で爆発すると思うのです。方向がない、希望がない、こんなつまらない私は政治はないので、これは全く、もうこの機会においてこそ、もっと国土開発を中心として、山岳酪農を拡大するなり、自給飼料の獲得をやるなり、もう一つは、北方農業の確立、台湾を持っていたときには、今のような砂糖でよかったかもしれないけれども、北海道のビート糖をもっと利用すれば、ほんとうに自給の方はできるので、砂糖でも、ハッカでも、デントーコンでも、北にふさわしいところの、西洋の北方の国々で実験しているような農業を北海道においても確立すべきで、そうでないと、今のような農林省官僚の惰性で、内地技術の延長で北海道へ行き、品質改良だなんて、末端の技術的なものでもって、南方の品種の米を北海道でもって無理押しするというやり方では、浪費ばかり多くてだめだと思う。こういう点においてもっと、せめてあなたが専門だった農業部門において、さっき言ったような弱音を吐かずに、山岳酪農を徹底してやる、所有権の問題はタッチしなくても、もっと利用権を確立して、もっとオープンに、国民に利益を分ち与えるようにする、北方農業を確立するためにこうこうやるという点は、もう少し打ち出していただかないと、河野君がいるかいないかわからなくなってしまうと思うのです。どうですか、存在の意義を明らかにするために……。
  176. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 企画庁の長官といたしまして、あまりそういう点について申し上げますことはよろしくないかと思いまして、差し控えているわけでございますが、お話の通り、私も全くそういう点については同感でございます。今のような農林行政にしましても従来の惰性でやって参ることは、結局壁に馬を乗りつけて、行く所まで行って、さあだめだというときになったならば、手の施しようのない農村経済の実態になるだろう、これは私も同感であります。今にして画期的な飛躍的な農政を確立しなければいかぬだろう。たとえば山の上から申しますれば、今の国有林の制度というものはすみやかにこれをやめまして、そして国が山に木を植えて、それを切って売って財政政策の一助にするというような考え方は、根底からやめたらよかろう。そうでなくて国自身は、国土保全の意味において全国の山森林適地には、全部国家の費用で木を植えたらいいだろう、そうして植えてこれを処分する場合には、その所有者によって分有するということにしたらいいだろう。そしてまた今お話のように酪農の適地であるならば、これはもう酪農適地としてこれを扱うように、飛躍がなければだめだ、部分的にも飛躍のある所に希望がありますけれども、飛躍のないところに希望は起きてこないということは、ことに農政の上においては、私は強く主張をするものでございますが、これがなかなか過去の法令等との関係におきまして、既存の法令等から束縛を受けまして、なかなかさて実行するということになりますと、非常に困難でございます。そういうことを身をもって私は経験いたしまして、捲土重来この次は大いにやってやろうと思っておるのでございますが、まあ私がやらぬでも、他の諸君がそれぞれ同じような思いをいたしておられることによって、必ずそういうふうになっていくということを思うのでございますが、半面今お話のように、農村の問題からお話でございますが、先ほども豊田さんから貿易のことについてお話がありましたが、私は今の日本の貿易ほど楽しみのある貿易はない、国際的に見てこれだけ有力な労働層を持っておって、そうしてしかも決して安く使えということじゃなしに、非常に低賃金でこれだけよく働いている、労働力もあって、それを基礎にした日本の産業、それを基礎にした日本の貿易というものの伸長というものは、期して待つべきものがあるのじゃないかと、そこに施策よろしきを得るならば、国際的に見て私は相当に伸びることができるのじゃないか。まあこんなことをいいますと、佐多さんからまたそんなばかなことを言う、と言ってお叱りを受けるかもしれませんが、何とはなしにそこに金利の点を考えるにつけ、工場の施設の改善をする点を考えるにつけ、あらゆる点において不利な条件において戦っている日本の労働者諸君に、有利に適切な施策をすることがもしできるならば、そこに日本の産業の将来というものには、非常に私は希望が持てるのじゃないか、というような気持がいたすのでございまして、そういう点について一つすみやかに官民一体、このたとえば金利の引き下げのためには、輸出振興をはかり、これを日本の富の蓄積に充てて金利を下げる方向に持っていったらどうだろうか。ないしはまたこれらの施策をすることによって、工場の条件がよくなることによってどうだろうか、というようなことを考えて参りますならば、決して産業全体から考えて、今の人口の増加して参りまするそれ自身を、そう苦にする必要はないのじゃないかという、一方においてまた楽観的な気持を持ったりしておるのでございますが、要はどういうふうにしてこれを実現するか、どういうふうにして実行するかという点にあるのじゃないかと思うのでございます。従いましてわれわれとしましても、ここに計画いたしました長期経済計画を十分に身につけて、そして各方面の障害を除去しつつ、これを実行する、実現するということに邁進していくことによってやり得るのじゃないか。ただ今の農政につきましては、長期経済計画の上におきましてもあまり伸びがないわけでございます。で、この点につきましてはさらに十分な検討を加えて、一つここに今お話のような点につきましては、飛躍を企図しなければなるまいというふうに考えております。
  177. 戸叶武君(戸叶武)

    戸叶武君 最後に、私は当面の牛乳の問題に触れたいと思うのですが、今日繭糸価格維持のためには、政府は二十億円くらいぽんと投げ出しながら、乳価の安定のためには五億円出し渋っているような感じである。しかもそれが、国が牛乳を扱う業者を救うような、こそくな手段で一番困っている乳価を叩かれている。畜産関係の農家を救ってない。ところが今における農家におけるところの収入の比率というものは、米作収入が四九%で、その次は畜産が一三%なんで、ずっと養蚕関係なんかすでに五%に落ちているので、昔と比率が違っている。今政府みずからが畜産を奨励して、そうして乳製品なり牛乳の処理も困り出したというようなときに、その方とは四つに組まないで、昔からの繭糸価格というような形で、片倉なり何なり大資本をバックにして、全養連というのはその雇兵なんです、ある意味においては。そういうものに、いつでも凍霜害のときだというと、勝手に一群のものが金をぶったくって、二十八年のときも問題を起しましたが、そういうところにだけ古い考えで金を投げ出してしまって、今一番困っているところの、発展途上におけるところの畜産の方に対しては政策は不徹底だ、あまりにもでこぼこ過ぎる。この現状に対する認識が正しく行われていない。何か働きかける力関係において絶えずよろめいているという感じがするのですが、こういうことに対してもっと政府は確固たる対策をやらないと、これは政府の責任においてえらい混乱が生ずると思う。それにもう一つは、明治にしろ森永にしろ、ああいう大きな所は考え直さなくちゃならないのは、日本人の生活程度なんかで、まだチーズやバターを完全に大衆が消費する段階にきていない。外国のまねばかりしておって、あんなことばかり宣伝しているが、やはりマーガリンでバターなんか間に合うので、スエーデンあたりなんかもマーガリンにたしか二〇%くらいバターを入れて、マーガリンの品質を上げて大衆化をねらっている。生活にマッチした製品を作っていくような指導をしないで、結局ああいう下手な商売人が今のような行き詰りを来たしておるので、どんどん消費の面を拡大していくつもりならば、学校給食なり職場給食なり徹底してやっていく、という政府の意気込みがなくちゃいけない。それをこそくな手段でばかり流通面においても業者救いの不徹底なやり方であって、両方から攻撃されていることになっているのだが、こういうことに対してもう少し抜本的な対策を立てられないものかどうか、一つ河野さんにお聞きしたい。
  178. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) その点私も全く同感であります。欧米の実情を見ましても、バターはマーガリンで十分だと、デンマークあたりでもすでにデンマーク自身で使うものはマーガリンが多い。イギリスに出すものは本物を出しますけれども、というような実情にあることも私は聞いております。日本の国内の畜産振興が今のように乳価が上って牛がふえる、ふえた分は下る、これをこのままにしておきますことは、蚕糸行政におきまして繭糸価の不安定と同様、もしくはそれ以上に考えなければならぬことは私全く同感でございまして、所管大臣と今後協力いたしましてすみやかに解決、善処することをお答え申し上げます。
  179. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 先ほどの長官の予算説明を聞いていると、費目その他から見て、非常に基礎的な調査といいますか、そういう方面に非常に力を入れて、これが非常に大きくなっているのが特徴だと思いますが、実際政府がいろいろな施策をやられる場合に、基本的な調査をしっかりやって、その上で科学的な政策が編み出されていくということが、これはもう絶対に必要なことで、そういう意味では非常にいい傾向だと思うのですが……。  同時に私が感ずることは、それはそうであるが、同町にそういう基礎的な調査なり研究というようなものが、各省間に非常にばらばらになってしまっているのではないか。早い話がここでたとえば海外経済調査七百万円、これは昨年に比べると二百万円ふえている。あるいは経済基本調査四百万円、これは新しい、というようなものができている。それ以外にまあ景気観測の問題も出てきている。ところが今度は外務省は外務省で、内外調査費と称してこれもまた特別な経費を外務省が出している。あるいは通産省の方は貿易振興会を中心にして、これまた膨大な基金まで持った大きな調査機関ができている、役所の間自身において、そういうふうに非常に分れていて、同じようなことをばらばらやって、どこも基本的なことをやっているかと思うと、さらにまた民間でやらせればいいような非常な個別的なものをやっている。そういう官庁と民間との調査の分界もはっきりしていなければ、官庁間の相互の仕事の配分というか、というようなこともほとんどなされていない。同じことをばらばらにやっている。これではほんとうに総合的な計画的なといいますか、統一的な調査、それに基く運営がほとんど不可能になってきているのではないか。  そこで今は個々的にそういう調査費をふやす問題ではなくて、特に企画庁長官が考えられなければならないことは、それらをどう総合化し、どう計画化し、どう統一化するか、機構としてどう考えるか、さらには少くとも運営としてどう考えるかということが、むしろ今の段階だと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  180. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 御趣旨ごもっともでございます。実はここに計上してあります海外調査費はそういうものを一つ総合的に取りまとめるためにまた、どういう所の報告はどの程度に信憑性があるか、またそれを身につけるために海外に人を出しておこうということでございまして、また出た人だけの報告によってものがまとまってくる、出した人によってやるのにはあまりわずかな金でありまして、この程度の金で海外調査ができるというふうには考えておるわけでないのでありまして、ごく少人数の者を出してそれによって、実は商社でありますとか、もしくは大使館でありますとかという所に、それぞれ資料の提出を願おう、そういったような人も嘱託をしよう、そうして海外の景気の調査、経済の調査というものをまとめていこうという考えで、すべて委託によってやろうというのに基本をおきまして、あれは立っておるわけでございますが、ただしかしそういうようにいたすにいたしましても、今後だんだん調査を完璧にして参りますためには、海外の市場等の知識を身につけた者が必要であるという意味合いから、ごく少数の者を海外に出してやろう、こういうふうに考えてこの海外経済調査費……それから大体統一的にやる目途でこういうふうにしておるわけでありまして……
  181. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 もしその総合化なり、統一という問題が主であるならば、ばらばらに各機関からおれのところも出す、おれのところも出すというようなことをされる必要は毛頭ないので、もっと総合化し、統一化するやり方、運営の仕方はどうなるのか、機構としてはどうなるのかということをお考えになることが必要なんで、もしあなたの方でそれを出されるのならばジェトロとか何とかというようなところ、あるいは外務省のむしろそういうものを全部あなたの方に統一するなり、集中するか、さもなければ、あなたの方から一人一人ばらばらに出すというようなしみったれたことをしないで、貿易振興会なら振興会に全部それをやらして、国内ではそれを適当に統一化し、集中化するというような運営をやられればいい。今はもうその段階である。人をばらばら各省から出すということではなくて……。
  182. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) これはジェトロで出す人間は市場調査をするという目的をもって持っていった。どういうふうに売れるだろうか、まだ売り先があるだろうかということの調査を主としてやるのだろうと思います。外務省の調査はこれと相並行してやることだろうと思うのでございます。  いずれにしても、向うの経済市況の調査をするには違いはございませんけれども、それぞれの調査の目的が違うのじゃないか。私の方でやりますものは個々の商品、どういう商品がどの方面に向けられるか、こちらの出した商品がどういう状態にあるかということは、私の方としてはあまり重点は置きませんで、今後世界経済の見通しがどうなっていくか、どういう数字が出ているかというようなことがほしい。御説の通り総合してやることはもちろん必要でございますけれども、今の段階はそういう意味において通産省のジェトロ方面は、そういうものの調査のために調査費を組み、人が行っている。私の方としてはそういったことをやっておるそういう人をそれぞれ嘱託にし、それを取りまとめていくという意味でやっておるというわけでございます。  いずれにいたしましても、その人を得ることによりまして、すべてがこれはやれぬということはないのでございますが、何分今仰せの通りジェトロが扱います場合には、それぞれ民間業界の人がこれに入っていきますが、そういう人が果して調査資料を作るという場合に適当であるかどうかというようなこともございまして、二重にも三重にもなることになっておりますが、これが必ずしもよろしいということでないのでありまして、御趣旨は十分一つくみまして、最終的にはむろんこういうものを一本にまとめ、国内的にも調査資料が実際必要なものがどんどん起っておりますにもかかわらず、昔ながらの調査がそのまま各省においてばらばらに行われているということは、確かに御説の通りでございますから、これらにつきましては一つなるべく早い機会に企画庁あたりが一つ中心になって、各省の資料、研究等について各省間の調整をすることはやることにいたします。
  183. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 むしろ人を出していろいろなものをあさったり何かされるよりか、もう調査しなければならないようなものは十分に各省にばらばらに来ているのではないか。ただそれを統一的に、計画的に、総合的にそれを調査なり何なりを運営をしておられぬというところに問題がある。それならば人を何も出すとか、外務省も出す、通産省も出す、ジェトロも出すというような問題ではないと思うのですよ。そこのところをやはりもう少し企画庁自身は……。
  184. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 企画庁の予算では一人やるだけでございます。これは先ほども申し上げました……。
  185. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 一人なんか出されてどれだけの機能が……、それよりもこっちに置いて、それに三人なら三人もっと優秀な人を置いて、今来ているものを、各省をコントロールしながらどう運営していくかということを考えられる方が、同じ経費を使うにしてももっと効果的だし、もっと集中的でないか。そういう面に頭を切りかえられなければおかしいのではないか。
  186. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) まあ御意見でございますけれども、私の考えとしましては、実際調査を委託しまする現地の委託先、委託した人というものから報告をちょうだいしますが、どの程度の勉強をして、どの程度のものを送ってきていただいているか、というようなことを連絡をして歩かなければならぬだろう、これを調べなければならぬだろう。またこういうことを身につけた、そうして将来の優秀な企画立案者を送る必要があるだろう、というような意味から企画庁としては一名だけ海外に派遣して、これらの連絡をするということにしておりまして、私も、今佐多さんのおっしゃった通りに初めは一切要らない、海外に委託して、その資料を送っていただいたものでやろうということを考えたのでございますが、だんだん検討いたしました結果、一人だけ出してやることにしようということにして、この予算を組んだのでございます。御趣旨は私も大体においてあなたと全く同じでございます。その点御了承いただきたいと思います。
  187. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 それならば、特別にそういう調査をやる人をどっかに常置するとか、どっかに派遣するとかいうような考え方でなくて、将来そういうことを有能にできるような人を育てるつもりなんだそういう形で人を出す。それならば偉い大きな人を一人出すときに、二人くらい若い人を出して、将来長い目で見て養成されればいい。そこらはそういう機能を果させるのだということをはっきり……。
  188. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 佐多さんにはっきり申し上げた方が御了解が得られると思うのですが、調査課長の後藤君を出してやろう、こう思っております。これを出してやって、さらに現地を勉強をさせようということで考えておるわけでございまして、ただ適当な者をいいかげんにやろうということは考えておらないのでございますから、その点を御了承願います。
  189. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 それならばそれとして、たとえばそれを出すから、ジェトロなりあるいは外務省なり、通産省等のあれはその下に全部統合されるのだ、それが計画的に、統一的に全部在外のあれをやるのだ、そこいらまでちゃんと運営なり、機構を考えてやられなければ、ただ一人の優秀な人を出すというだけではどっちつかずになってしまう。
  190. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 御趣旨はよく考えて、なおこれは外務省の要員として向うに出すことにしておりますから、よく御趣旨の意に沿うように検討いたすことにいたします。
  191. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 それと関連してもう一つ、景気観測の問題ですが、これはこれまで景気観測なり経済判断の問題で、各省間にいろいろな相違があります。実際上現在でも景気の見通しについて相当の違いがある。特にひどかったのは昨年のちょうど今頃からの例の在庫論争の問題、このあたりは完全に意見は対立している。そのために政策なり何なりも非常に動揺を来たし、帰一しなかったと思うのですが、そういうことはどういうふうにお考えになりますか。
  192. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 別に予算にこだわって申すわけじゃございませんが、機構を拡充いたしまして、経済研究局というものを今度は作る。その経済研究局には民間から、主として学界でございます、局長も大体の見当は実はつけておるのでございますが、学界の人を局長にお願いしまして、そしてそれにさらに民間の方を三省参与にいたしまして、そしてこれを中心にして今後十分検討をして参るようにしていきたいと、こう考えております。
  193. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そうすると、景気観測というようなものが主になるのか、そうでなくて、あなたのところでやっておられる長期計画なり何なりを立案する場合の、その基礎的な調査、基本的な調査というのが主になるのか、どっちですか。
  194. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 実は両方やるつもりでおります。なお詳しくは事務当局からその分課、分局等について一応御説明いたさせます。
  195. 政府委員(宮川新一郎君)(宮川新一郎)

    政府委員宮川新一郎君) 先ほど佐多委員から御質問のありました海外経済調査につきまして、大臣から御答弁がございましたが、なお補足して申し上げますと、御指摘のように各省でいろいろな調査をやっておりますが、企画庁といたしましても、わが国経済の動向を的確に把握いたしますためには、まず海外経済の動向を把握する必要があると考えまして、予算増額を要求いたしました。今回は新たに現在の調査局に海外経済課を一課創設いたしまして、今回新たに要求いたしておりまする三十名の増員のうち、十名をこれに振り向けまして内部の充実をはかり、同時に御指摘のありましたように、各省でやっております海外経済の調査につきましては、できるだけ緊密な連携をはかりまして、海外経済の動向の把握に遺憾なきを期したい。  なお今後の経済の見通しあるいは景気観測につきましては、ただいま大臣が申しましたように、新たに経済研究局を設けまして、今後の経済の動向を把握いたしますための基礎的な、経済の循環がどういうふうになっていくか、経済構造の特殊性がどういうふうに経済動向に響くか、というような点につきましての基礎的な研究をいたしますために、特に課制をしかないで、学界から局長を迎えまして、この下に二人の次長と申しますか、参事官と申しますか、次長クラスの人を置きまして、現在調査局でやっております国民所得課を移しますほか、ただいま申しました基礎的な経済構造なり経済循環を調査研究するための研究官といたしまして、管理職を八名程度置き、その下に二名程度の補佐を置きまして基礎的な研究に従事させ、同時に民間から有識の方三毛を非常勤の参与として迎えまして、主として経済動向の検討に当っていただく。なお長期経済計画あるいは毎年作っております年次ごとの経済計画の立案についても、長官に対して意見を申し述べるようにしていただく、こういうような考え方で進もうと思っております。
  196. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 さっき意見が相当各省間で違うじゃないかということを申し上げたのですが、これはある意味ではおのおのの省で意見は違ってもいいと思うのです。おのおのの所管が違うし見方も違うでしょうから、ある意味では違ってもいいと思いますが、そういう場合に、何か企画庁あたりでは自分の判断を最高のものとして、ほかの大蔵省なり通産省なりその他が別な意見を発表するとか何とかいうような場合に、あなたの方でチェックされるとか押えられるとかいうようなことは、これまでやられたことはないですか。そういうことはあるのかどうか、その辺はどうですか。
  197. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 経済閣僚懇談会を開催いたしまして、ここで意見の交換をいたしまして統制をはかってやるということにいたしております。
  198. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 意見は大体そこで調整をされるわけですね。そこで、意見はそこで調整されていいと思いますが、それはやはり政策的になり政治的ないろいろの問題がからんでくると思うのです。お話のような景気観測でありあるいは政策の基礎調査であるならば、そういう政治的なものとか何とかにわずらわされないで、もっと客観的な冷静なものであっていいのじゃないか。そうならばそういう任務なりそういう機能を持たせようとするならば、私はもっと理想的にいえば、企画庁というような役所の中に置くのではなくて、役所の外に、そういうものにわずらわされることなしに、もっと客観的に正確に調査をし研究をするというような研究所なり調査所、ただ単に民間のああいうあれじゃないが、非常に膨大な非常にりっぱなものであるけれども、政治的なあれにわずらわされないというような機構なり方式を考えられた方がもっといいのじゃないか。その点はどういうふうにお考えになりますか。
  199. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) お説ごもっともに考えます。従来もそういうふうなときに、私は事務当局間において調整をまずいたさせまして、そうしてこれを閣僚の間で十分懇談をして取りまとめるということにいたしまして、私の関する限り、これを政治的に逸脱するというようなことは、厳に慎しんでいく所存でございますけれども、しかしそれは人がやることではよろしくないのでありまして、お話の通り私は、今回の人事につきましても、そういう意見を十分慎重に検討いたしまして、学界の相当権威ある方に責任の地位についていただく、さらに参与の地位にも、またそういった良識に立って、これを政治的に動かす場合にはその人たちの良心に反するというような意味において、相当に強く主張する立場をとられると思われる人を、これらの参与にも人選をして、御協力を願うということに実は考えておるわけであります。将来につきましては、お言葉の点十分一つなお検討して参るようにいたします。
  200. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そのとき、景気観測だったら割合に短期的な予測なり何なりが主になると思うのですが、それに重点を置かれるのか、そうでなくて長期計画なり何なりの、基礎資料としての基礎調査なり何なりに、重点を置かれるかによって、運営の仕方も人の問題も非常に違ってくると思うのです。そこのところがどうもどっちもやるのだというようなことではっきりしないのですが、私はそれは、景気観測も一つぜひ必要な問題ではあると思いますが、同時に長期計画なりその他を立てる場合の基礎調査、その他も必要だと思う。その場合に、この長期計画はあなたの方の新計画でもあれしておられるように、目標、目的はいつでも国民生活の水準の引き上げ、あるいは完全雇用への近付き、雇用の問題、生活水準の問題だと思うのですね。ところがここへ出されているあれは、目的だけはこういうふうにはっきり書かれて、看板だけは非常にりっぱなように政治的にはいっておられるけれども、内容をなしている計画自体は、いつも僕らがあれするように、経済を近代化するのだとか成長を高めるのだとか、安定的に成長するのだとかということ自体が問題であって、その結果これから雇用はふえるだろうということで、雇用の問題になったら結果として出るだろうといって、ほんの申しわけ的にしか問題はあげられていないのですね、本来の目標であるべきことが。そうでなくて雇用量をどうするとか、雇用の構成をどうするとか、こういうことがこの長期計画の中心的な問題でなければならぬ。そうすれば運営の仕方も、調査の基本的な仕方も、従って人も非常に違ってくるのじゃないか。そこらを一体あなたはどういうふうにお考えになりますか。
  201. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) 今申し上げたのは、長期計画を主としてやることについて私は申し上げたんであります。従って今お話の御期待に沿うようにやっていきたいと思っております。景気観測の方は、差し当りの経済の見通しにつきましては、むしろこれは調査局の方において取扱うつもりでおります。
  202. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 調査局で……、そこのところの関係はどうなんですか。
  203. 政府委員(宮川新一郎君)(宮川新一郎)

    政府委員宮川新一郎君) 経済動向の把握ということを主眼に置いているわけでありますが、経済動向の把握をいたします場合にどうしても必要なことは、日本の経済構造の特殊性あるいは景気循環のあり方、それからまた佐多委員が御指摘になりましたように、雇用構造の問題等があるわけでございます。そこで現在の企画庁にありまする調査局がやっておりまする仕事は、主として景気観測と申しますか経済動向の把握にありまして、長期的に、基礎的な検討という面についての機能が非常に弱い、ほとんどないにひとしい状態でございます。そこで経済動向の把握を的確にいたしまするために、現在の調査局の機能を重加いたしまして、多少基礎的なものも検討しつつあるのでありますが、そういう仕事を抜きまして、また基礎的な国民所得課でやっておりまする国民所得の問題につきましては、これを調査局からはずしまして、経済動向の把握、景気観測というものにもっぱら専念するような機構にする、同時に経済動向の把握に必要な基礎的な調査研究、並びに長期経済計画達成上必要な基礎的な問題の研究、こういう問題を新しい局でありまする経済研究局で行うようにいたしたい。そこでそういう基礎的な研究につきましては、佐多委員も御指摘になりましたように、むしろ内部部局といたしませんで、外部の独立した機関にする方が、政治的な問題にわずらわせられなくて純粋な意見が出るであろう、ということも考えたのでございますが、やはり当面経済動向の把握なり長期経済計画の作成、あるいはこれの遂行上の問題というものを究明いたしまするためには、企画庁内部の連繋あるいは関係各省庁との連繋もまた必要でございまするので、特に内部部局といたしますると同時に、普通の課制をとりまして行政の雑務にわずらわされないようにするためには、少数の調査制度にいたそう、こういうふうな機構を考えておる次第でございます。
  204. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 この場合に、その国民所得の問題を非常に重要な一つの柱にして考えておられるのと同じに、雇用の数、質、それの趨勢の問題、それをやはり大きな柱に考えるべきだと思うのですが、そこはどういうふうに考えておられるのですか。
  205. 政府委員(宮川新一郎君)(宮川新一郎)

    政府委員宮川新一郎君) 御指摘のように雇用の問題は重要な問題でございます。また同時に資本蓄積、国富の調査研究産業連関がどういうふうになっていくか、貿易はどうだというふうにいろいろ問題がございまして、こういう問題につきましては一つ一つの課制をしきまするよりは、相関連する問題といたしまして、管理職の調査制度にしておいた方が能率的にいくのではないか、かように考えまして、特に課制をしがなかった次第でございます。現在国民所得につきましては国民所得課がございまするので、それをそのまま移しかえるということにいたしましたような次第でございまして、あるいはいささか便宜主義的ではないかという御批判もあろうかと思いますが、一応そういう体制にいたしまして、残っておりまする雇用の問題、その他貿易産業連関、資本蓄積等につきましては、調査制度によってそのときどきの情勢の推移も見つつ、問題の重要性をも考えて機動的に広く運営して参るようにしたいと、かような考え方に出たものでございます。
  206. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 いや、その国民所得だとか、国富だとか、こういうものはもうすでに今までやられた調査の方式なり何なりがあって、すでに相当なあれを積んできておられる。それから資本の問題はこれは大蔵省なりあるいは通産省なりあるいは日本銀行なり普通の金融機関なり、そういう所が非常にいい手足の調査を持っていて、それを基礎にして資本の調査の問題もそうむずかしくないと思うのですよ。ただそういうものをどう総合的に統一するかという問題、問題はその雇用の問題、これは実際雇用の全体の量なり質なり、推移なり、雇用対策をどうするかというようなことを、やはり知らないのじゃないでしょうかね。労働省でもこれ自体を扱っている部門は私はないのじゃないかと思うのです。それくいらにこの部門は一番弱い所です。しかも長期計画においては、あなた方は眼目として考えておられる。だからもし今度基礎調査の特殊的なものができるとすれば、そこに重点を置いて、そこをどう確立するかということが、この新しいあなた方の基礎、基本調査の問題点だと思うのです。そこのところをどういうふうに進められますか。これはもう意見になりますから、そういう意見があることを十分お考えになって、それにどう対処するかを一つ考えてみていただきたいと思う。  それからちょっとこれはあれですが、この輸出との関連において物価の問題ですがね、物価をどう見るか、何か物価は、大体過去一年のあれを見ると、生産財なり何なりは、相当下ってストップしておる状態なんです。ところが消費財小売物価は、むしろストップする、あるいは引き下げるつもりでおられたのが、若干一年の結果は上っている。これは初期のあれに反していると思うのですが、今後これをどういうふうにやられるか。たとえば、企画庁の調査によれば、一割引き下げの設定目標を立てておいて、大体数字的にも一割程度あなたの方の指数では下っておるかと思いますが、これと日銀のあれとがどう食い違うのか。経済計画の中の数字等がどう関連するのかもはっきりわかりませんが、それらの点と、もう一つ、一体国際比価の問題として、輸出増進の一番かなめは物価引き下げだとおっしゃるが、あるいは繊維はもちろんのこと、鉄にしてもあるいは化学肥料その他にしても、大体もう国際比価からいったら、そう高いことはないのじゃないか。従って、国際競争力としての物価の問題は、そういう物価水準の問題として一般的に問題を解決される問題ではなくて、個別物資、特に機械器具なり何なり、そういうところの物価引き下げの問題として、特殊な物価対策が輸出振興の物価対策としては考えられなければならないのじゃないか。それをどういうふうにお考えになっているか。
  207. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) お話の通り、生産財の卸売物価は今九・七%ぐらい下っております。ただしこれも御指摘の通り内容的に非常にバランスが悪い。であるから、これからはこれらのものは、たとえば繊維であるとか鉄であるとかいうものは、むしろ上ってよろしい。従ってまた、他にも相当高いものもあるというものを、一品々々むしろこれらについて各界の協力を得て、そうして妥当なところに安定さすことが必要であろう。これは私も全く同じ考えでございまして、そういうことを今大蔵当局とも話し合って施策をしていかなければならないと、こう考えております。ことに繊維等につきましては、よほどてこ入れを行わなければいかぬだろう。そこで、輸入の原綿もしくは原毛については、どの程度のところで押えたらよろしいかということについては、せっかく今事務当局と検討をいたしておるということでございます。  それから小売価格につきましては、これは少し佐多さんの数字と違いまして多少これも卸に追随して下向いてきておるわけでございます。ただ、今当面一番問題になりますのは、生産資材の滞貨は相当に食いつぶしまして、今は製品の滞貨が非常にふえておる。消費がやや低くなりまして、生産された品物の滞貨がふえてきておるということが、これが生産と消費との合が出ていないということも、業界で手直しを一つ考えておられるという状態にあるのではないか、こう思っております。なお数字の点については事務当局から御説明いたさせます。
  208. 政府委員(大堀弘君)(大堀弘)

    政府委員(大堀弘君) ただいま大臣から申し上げた通りでございますが、数字についてちょっと補足申し上げたいと思います。物価は卸売物価につきまして約一割、昨年の四月に比べまして、企画庁でとっております物価指数で約一割下っておるわけでございます。日銀指数によりますと、昨年の四月のピークが大体一一〇でございますが、現在一〇五程度に下っております。これで申しますと、五%程度の下り方であります。これは結局三十一年の上半期でございますが、四、五月当時が約一〇五の指数でございます。従いまして、これはまあ物価の指数の取り方が、品目及び係数の取り方が違っておりまして、企画庁の方は短期の働きを見ますのに非常に実際に適した数字になっておりますし、日銀の方は長期の動きを見ますので、比較的動きの見方がひどく出ないということになっております。カーブとしましては、日銀の方がなだらかなカーブ、企画庁の方は大きなカーブが出ております。実質的には同じことでございますが、日銀指数で申し上げますと、ただいま申し上げましたように、パーセントで言いますと五%くらいの値下りとなり、結果におきましては、大体いずれにとりましても三十一年の上半期の物価指数に、総合といたしましては来ておる、こういうふうにお考えいただけばよろしいかと思います。  消費者物価につきましては、御承知のように昨年上期に三%程度上っておったわけでございますが、後半に参りまして、秋口から、弱含みの、横ばい、ごく最近に至りましてわずか消費者物価も下って参りました、こういう数字が出ております。先ほどお尋ねの国民経済計算でとっております物価の比較は、日銀指数によっております。これは経済指標の中に出ております数字も、日銀指数の方に入っておりますので、誤解のないようにお願いいたします。
  209. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 その日銀指数によると非常にわからない、さっきちょっと質問した点であるのですが、その点は別の機会にお伺いします。問題は、従って物価は、物価水準の問題というよりも、それは個別商品価格の問題です。だからあるいは一般的にいえるとすれば利子、金利が非常に高いという問題が、一番の問題なのではないだろうか。あなた方の政府は資本家的な見地でしょうから、よく消費節約あるいは賃金引下げということでコスト引下げをいつもおやりになるでしょう。が、一番問題は、コスト要因のうちで、動かないで世界的にアブノーマルに高いのは利子だと思う、金利だと思う。その次には鋼原材料の問題だと思いますが、これは、さっきも話しましたからいいとして、コストとして一番高い金利の問題を、物価政策と関連してあなたはどういうふうにお考えになりますか。
  210. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) これは佐多さんと金利のことで議論しても、それはあなたの方が(笑声)専門家ですが、これは何といっても今の日本の実情から申しまして、ここまで外貨を食いつぶしてきて、そうして国内が金融的に非常に窮屈になっておるという実情からいって、金利を下げるということは、とうてい困難じゃないか。これは当然、もう少し金融が緩慢になってままして、そうして自然に金利が下る状態が来るということを実は期待しておるというわけでございます。
  211. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 今の日本の金利の高いのは、そういう単に資金需要だけの問題でなくて、もっと別な問題だと思うのですがね。しかしこの点は別の機会に伺います。ただ私は、金利高というものが、コスト高というものの非常に大きな問題であるし、これにメスを入れられないで、輸出競争力をふやすとか何とか言われたって、これは問題にならないのだということだけを一つ指摘をしておきたいと思います。  それから、もう一つは、さっきあの離島振興関係で問題が出たのですが、これは電源開発とも関係があるのですが、屋久島の電源開発の問題、これを離島振興と関連してどういうふうにお考えになっておるか。これは特にこれを問題に出すのは、二、三日前のニュースによりますと、長崎県の高島炭鉱ですか、あそこで海底の直流送電の問題がすでに解決をして実施されることになっておりますね。そうだとすると、やはり屋久島の非常に豊富な安い電源開発という問題が出てくるのじゃないか。今のような補償費が非常に高いとか何とかいうことで、水力電源開発が行き詰って、そこで今申し上げるまでもなく火力に移転をしようとか、さらには重油によろうとかいうようなふうに、大きな方向転換、方針転換がなされつつあるということに関連して、もう少し海底の直流送電というような問題が技術的に解決をしたのならば、ああいう開発地点をもっとお考えになる必要があるのじゃないか。その今後の五ヵ年計画、あるいはそれに続く長期総合エネルギー開発の問題と関連して、どういうふうにお考えになるか。
  212. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    国務大臣(河野一郎君) まだ今のお話は電源開発審議会の話題になっておりませんのでありますが、いずれ九州電力あたりからそういう議が起って参るかもしれませんが、政府におきましても、よくその時代の推移とともに調査をすることに注意して参りたいと思います。
  213. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 これはその九州電力というような問題でなくて、もっと電源開発なり何なりの大きな問題だと思うのですね。さらにこれは松永さんあたりは、むしろ今のような補償なり何なりの高い開発費、水力発電が非常に高くなっているときに、あの地点はそういう意味では特別な地点として考えるべきだということを、あの火力重点主義の松永さんあたりが、去年あたりから強く主張をしておられる点だと思うのです。従ってこの電源開発の長期の開発計画、その方針をどうするかということが問題になる時期だと思いますので、そういう点と関連をして一つお考えを願いたい。
  214. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) ほかに御質疑もないようでございますから、経済企画庁所管に関する質疑は、この程度で終了したものと認めて御異議ございませんか……。御異議ないようでありますからさよう決定いたします。   —————————————
  215. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 次に科学技術庁所管を議題といたします。政府より御説明を願います。
  216. 政府委員(吉田萬次君)(吉田萬次)

    政府委員吉田萬次君) ただいま議題となっております科学技術庁予算案について御説明を申し上げます。  わが国産業の発展と国民生活の水準向上を期するためには、国内資源をできるだけ有効に利用するはもちろん新技術開発、新製品の創造等により輸出振興を期さなければなりません。そしてこれを可能ならしめる最も重要な方策が科学技術振興であり、これによって生ずる研究成果が、その強力な推進力となるものであると信じます。  しかし戦後におけるわが国の科学技術の水準は、遺憾ながらいまだ低位にあるというほかなく、これを向上せしめることこそ刻下の急務であるといわねばなりません。  これに対処するため、政府は重要政策の一環として科学技術振興を大きく掲げたものでありまして、昭和三十三年度当庁予算案は、この政策を強力に実施するための各種事業に必要な経費として、歳出予算額九十五億三千七百五十九万七千円、国庫債務負担行為額五十一億四十万円を要求し、これを前年度の歳出予算額七十一億七千二百十三万四千円、国庫債務負担行為額四十四億八千万円にくらべますと、歳出予算額二拾二億六千五百四十六万三千円、国庫債務負担行為額六億二千四十万円の増額となっております。以下予算要求書の順を追ってその大綱を申し述べます。  まず科学振興関係として一億四千五百二十七万円を計上いたしました。その内訳は次の通りであります。  (イ) 科学技術者海外留学  わが国の科学技術振興をはかるためには、各省庁の関係職員を海外先進諸国に留学せしめ、その優れた点を習得せしめることが緊急の要務と信じ、このため四千二百二十万円を計上いたしました。  (ロ) 発明実施化試験の助成  優秀な発明考案であって、経済的理由からその発明を実施化することが困難な個人又は中小企業者に対して、実施化試験のための費用を補助して、実用化をはかる必要があります。このため二千三百四万円を計上いたしました。  (ハ) 科学技術情報活動強化  内外における最新の科学技術情報収集、分析及び提供に関する業務を行うことを目的として昨年度発足いたしました「日本科学技術情報センター」に対して、その業務強化を図り科学技術水準の向上に寄与させるため、政府出資金及び補助金を交付する経費として八千万円を計上いたしました。  また、海外の科学技術に関する最新の動向を迅速に知るため、科学技術アタッシエの増強をはかることとし、ウイーンに一名派遣するための経費を、外務省から要求しております。  次に二、原子力、平和利用研究関係として七十七億二百五十四万円を計上いたしました。この内訳は次の通りになっております。  (イ) 日本原子力研究所  まず実験用原子炉については、昭和三十五年度に国産一号炉を完成することを目標として諸般の準備を行なっておりますが、CPI5型炉については、組立、完成を促進して、昭和三十三年度中に運転を開始したいと考えております。又試験用動力炉については、世界各国の原子力開発の趨勢とわが国の国状とを勘案して、最も適切な型の炉を購入いたしたいと考えております。  このほか原子炉に関する各種設計、計測制御、原子炉燃料、炉体材料等の、研究を推進せしめることとして、日本原子力研究所が真にわが国原子力研究の中核的機関たり得るよう、その機能の拡充整備をはかることとしております。このため、四十五億円と別に国庫債務負担行為額三十一億六千百四十万円を計上いたしました。  (ロ) 原子燃料公社  原子燃料公社においては前年度に引続き、核原料物質の探鉱を積極的に行い、昭和三十二年度より建設中の精練中間試験工場の完成をはかるとともに、それらの操業による核燃料物質の試験生産を開始することとしております。このため、十二億五千万円を計上いたしました。  (ハ) 核燃料物質等の購入等  日本原子力研究所に据えつけられたもの及び今後据付予定研究用原子炉等に使用される濃縮ウラン等を購入及び借用する経費として、六千四百六十九万円を計上いたしました。  (ニ) 原子力関係技術者海外派遣  原子炉築造等に必要な技術者を、海外先進国へ派遣して、原子力関係技術者の養成訓練を行うこととし、前年度に引き続き三千四百七十万円を計上いたしました。  (ホ) 原子力平和利用の研究  原子炉築造等のため必要な資材、機械装置、計測器等の製造技術等を、民間において研究しているものに対し、その試験研究助成するため、二億七千百円と、これとは別に国庫債務負担行為額一億円を計上いたしました。  また、原子力の開発、利用等について、今後の計画を進める上に国として解明しておかなければならない試験研究テーマを民間等に委託研究させるため、二億円を計上いたしました。  (ヘ) 核原料物質の探鉱奨励  国内における核原料物質の開発を早急に実施できるよう、核原料資源の賦存が予想される地域に存在する鉱山に対し、積極的に調査探鉱をさせるため、補助金として、三千万円を計上いたしました。  (ト) 国立機関の原子力試験研究  関係行政機関等における試験研究については、固有の研究分野に関連して原子力の開発、利用等の促進に直接関係する研究テーマに対し、それぞれの特色に応じた活動を期待することとして、六億七千五十六万円を計上いたしました。  (チ) 放射能測定調査研究  大気、海洋、地表、動植物等について人工放射能及び自然放射能の分布状況を組織的に測定調査して、将来の原子力時代に備えるため、国立機関及び公立衛生研究所等に、その調査を実施させるため、三千六百二十四万円を計上いたしました。  (リ) 放射線医学総合研究所  放射線医学及び放射線による障害に関し総合的試験研究を行う目的で、昭和三十二年度に発足した放射線医学総合研究所は、目下千葉市に施設の建設を行っておりますが、これが完成に努力するとともに、研究体制をすみやかに整備するため、五億六千九百三十三万円とは別に国庫債務負担行為額一億二千万円を計上いたしました。  三、所掌試験研究機関関係として、十八億六千九百八万円を計上いたしまた。その内訳は次の通りになっております。  (イ) 航空技術研究所  六ヵ年計画をもって整備する予定昭和三十三年度においてはその第四年度として、遷音速風洞を初め、ジェット・エンジン、機体関係等、主要研究設備整備をはかることとし、年度内に、遷音速風洞については大部分の契約を終らせ、ジェット・エンジン研究設備等については、一部運転を開始したい予定でおります。このため、十一億二千五百六十二万円と、別に国庫債務負担行為額十五億八千万円を計上いたしました。  (ロ) 金属材料技術研究所  新年度は、整備五ヵ年計画の第三年目に当り、各種の研究設備も逐次整備されましたが、引き続き試験研究機械、試作用諸装置を整備いたしまして、わが国唯一の金属材料に関する総合的試験研究機関としての機能をすみやかに発揮せしめたいと考えます。このため、四億一千三百四十六万円と、別に国庫債務負担行為額一億三千九百万円を計上いたしました。  (ハ) 特殊法人科学技術研究所  株式会社科学研究所を殊特法人科学技術研究所に改組して、その研究体制の整備拡充をはかり、もって特色ある研究活動強化することとし、前年度に引き続き政府出資を行う予定でおりますが、さらに新年度には、国家的に有意義であって、企業のみでは開発の困難な新技術開発するために必要な経費八千万円を含めまして、総額三億三千万円を大蔵省所管政府出資金として別途、要求いたしております。  最後に、  四、一般行政費関係として、一億五千六十八万円を計上いたしました、その内訳は次の通りであります。  (イ) 科学技術会議  科学技術振興の基本的政策を確立し、国の諸施策にこれを十分浸透させる目的で、新たに総理府に諮問機関として科学技術会議を設けることといたしております。その構成は、内閣総理大臣を議長として、関係大臣四名のほか、常勤二名を含む学識経験者四名からなり、その審議事項としては、科学技術に関する総合的かつ基本的な政策の樹立、長期的かつ総合的な目標の設定、総合的な重要研究の推進方策の樹立、及び、これらに関する日本学術会議から政府に要望された意見等についての検討等が考えられておりますが、このための人件費、事務費として、一千五十七万円を計上いたしました。  (ロ) その他  当庁の内部部局におきまして、科学技術振興のための長期計画の策定、資源利用方策樹立のための総合的構造的調査の推進、内外科学技術の動向調査及び広報活動強化、並びに電子技術振興をはかるため、当庁の付属機関として、電子技術審議会の設置等を行う経費として、二千六百八十七万円を計上いたしました。  以上のほか、当庁における一般事務に必要な経費等を合算して、昭和三十三年度予算要求額は、歳出予算額九十五億三千七百五十九万七千円、国庫債務負担行為額五十一億四十万円となります。  近時、世界各国における科学技術振興の熱意はきわめて大なるものがありまして、その成果は、まさに画期的な段階に達しており、従来の宇宙観すら一新されねばならない時期に際会していると言わねばなりません。  このときに当り、天賦の資源に恵まれないわが国が、世界先進諸国に伍しつつ、なお文化国家建設の理想を達成するためには、科学技術振興のほかにはないと確信いたしまして、以上申し述べました諸施策を強力に推進いたしたい所存でおりますので、何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成を賜わらんことをお願いいたします。
  217. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 御質問おありの方は順次御発言願います。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  218. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) それじゃ速記を始めて。
  219. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 この航空技術研究所というのがありますね。これと防衛庁で持っている技術研究所というのがありますね。これとは何か関連があるのですか。そこいらの研究分野なり何なりはどういうことになっておりますか。
  220. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) 航空技術研究所と申しますのは、ただいま三鷹にあるのでございますが、航空技術研究に関しましては、御承知のように占領軍がおりました時代は、研究が全然できなかったわけでございますが、その後講和条約ができましてから研究を国内でしてもよろしい、また生産をしてもよろしいということになりまして、それぞれの関係の省が航空技術研究する研究所がほしいということになったわけでございます。だいぶ前のことでございますが、そのときに防衛庁の方も航空技術研究所がほしい、また運輸省においても、また通産省においても、また文部省においてもそれぞれ航空関係研究所がほしいということになったわけでございますが、しかし何分にも航空技術研究は、最近の研究になりますと非常に施設なり金がかかりますので、それぞれの省がそれぞれ持つことが不適当であるということで、各省が話し合いいたしまして、なおそれには航空技術審議会というものが総理府に置かれまして、その諮問機関の意見等を聞きまして、国内的には設備を一ヵ所にする、これは一ヵ所といいましても、多額な経費を要する施設を備えるのは、一カ所であるということで話がまとまりまして、総理府に航空技術研究所というものが設置され、それが科学技術庁に引き継がれたわけでございます。従いまして、ただいまのお話の防衛庁の航空に関する研究につきましても、多額の経費を要する施設は防衛庁が持たないでこの研究所の施設を利用することになっております。ただいままだ全部完成はしておりませんが、目下建設中のものは、遷音速風洞というのが一番主体でございます。これはちょうど音速をこえるかこえないかという程度の速度の風洞でございます。これは、航空力学的には最もむずかしい点でございますので、まずそれを完成いたしまして、ただいまジェット・エンジン並びに機体関係研究施設を建設中でございます。
  221. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そうすると、これが内閣にある以上は、防衛庁の技術研究所では航空関係技術のあれは全然やらない、ほんの小さいものは別として、人員からいっても施設からいってもそういうふうに考えておけばいいのですか。どうも向うの話を聞くとそうでないような、そこのところの調整はどうなんですか。
  222. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) まあそれぞれ各省によって目的がございますのですが、たとえば、防衛庁の方でございますと、戦闘目的というのが何分にも主眼となると思いますが、当庁の研究所におきましてはそういったことはいたしませんで、つまりあるいは超音速、あるいは遷音速程度の速力を出し得る機体を作るにはどうしたらいいかということの研究でございまして、それをさらに戦闘目的に使うとか、あるいはどこにどういった機関砲を備えつけるというふうなことは私どもは全然いたしません。そういったような付随的な仕事はおそらく防衛庁でいたしますのですが、研究施設そのものは大がかりのものは防衛庁におきましても当庁の研究所の施設を利用するということになるわけでございます。
  223. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そうしたらまあ特殊戦闘用のいろいろな技術は別問題として、そうでない一般的な航空技術の問題を向うでやっていたり、人員としてやっていたり、施設としてやっていたりしたら、それはけしからぬ、こっちでやるべきだということは体制の上からいって、予算的に法律的にそれは正当に言えることですね。
  224. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) 確かにお話の通りでございまして、ただ私どもの方の研究所を施設いたしましたり、またその後の運営等につきましても、各省の関係者を呼びまして委員会を持っておりまして、先ほど申し上げました航空技術審議会でございますが、これは委員長が兼重東大教授になっておりますが、その中に、先ほど申し上げましたそれぞれの関係各省の次官が委員となっておりまして各省が総合してそれを使う、また使いやすいようにするためにはどういう順序でやるか——まだ施設ができておりませんものですから、順序等はまだ話し合いをしておりませんが、各省の要望を満たし得る施設を、やるということにいたしておりますので、防衛庁が同じようなものを別個に持つということはあり得ないというふうに考えております。
  225. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 それから金属材料の問題ですが、これは金属材料というのは、僕はよくわからないのだが、どういうものをおやりになっておるのか。というのは、最近ロケットだとか、ミサイルだとかいうような問題が出てきて、金属というあれが非常に違って、新しい分野のものが相当出てきておりますね。そういうことをあわせ考えながらこの研究はおやりになるのか、いやそうじゃなくて、そういうものに関連するものはもう日本としては全然タッチしないで、普通今まで金属材料と言っておられたようなものをそのまま継続して研究主点をおくというようなことでおやりになっているのか、そこらはどういうことになっていますか。
  226. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) 金属材料技術研究所につきましては、ここに技術と書いてございますけれども、大学の関係におきましては、御承知のように東北大学の金属材料研究所がございます。これは大学の研究所でございますから、特にどういった目的ということを指定いたしませんで、自由な研究をいたしております。当庁の研究所におきましては、一定の技術的な目的を持ちました研究を行いつつあるわけでございます。そうしまして総合研究所というふうに考えておりますのは、そういった大学の基礎研究から先の研究をいたしまして、なおそれが産業界において実際どういうふうに使われておるか、また産業界においてはせっかくのいい理論が実際に応用されないという点等を究明する、そこまでのいわゆる大学の研究をやりますけれども、それ以外に、多少とも目的を持ちました研究から始めまして、応用研究あるいは中間工業化試験工業化試験というようなものを一貫して参るわけでございますので、総合研究所というふうに銘を打っております。それで、たただいまの研究内容につきましては、これも当庁の研究所といたしましては、各省の要望あるいは産業界等の要望を受けまして、研究テーマをきめておるわけでございますが、そのときに、お話のように、たとえばこれからの高速飛翔体、そういった問題におきまして、非常に問題となるべきような材料がございますれば、この研究所においてもそれを実行していきたいと思うわけでございますが、しかし、何分にもここにありますようにまだ建設途上でございますので、十分な人員がそろっておらぬような次第でございます。ただいま重点を置いておりますのは、純金属の研究ということをやっております。これは、あらゆる金属につきましても、非常に純度を高めて参りますと、非常に特殊な性格が出て参るわけでございまして、一例を申し上げますならば、電子技術の方で、エレクトロニクスで非常に問題になっておりますようなジルコニウムというようなものを純金属にいたしますると、非常に特殊な性能を発揮いたしまして、トランジスターというようなものができ上るというようなことがございますので、純金属製造研究、冶金研究ということをやっております。それからあるいはまた粉末合金というもののそこに新しい分野を開拓しておりますので、そういった問題もやるとか、あるいは実際の生産工場におきまして、御承知のように日本のいろいろな材料がよくないということがよくいわれるわけでございますが、それが実際的にどうして悪くなるかということをトレースしまして、その弱点をつかまえていくということに重点を置いているわけでございまして、ただいまのところ、ロケットのための特殊な材料というところまでは突っ込んではございませんけれども、ただいまやっております研究成果が、そういうふうなものに役立つということは、想像されるわけでございます。
  227. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 科学技術研究所でも、国立のものと今おっしゃった大学あたりにあるいろいろな技術研究所、それからさらに民間にある技術研究所、そういうものとの相互関連、あるいは何か研究分野を調整するとか、何というか、いろいろな問題があり得るんじゃないかと思うのですが、何か私にはよくわからないのですが、同じようなことをいろいろな所でやっておられるので、その点の調整があまりうまくいかないで、かなりむだをやっているという気がしますが、そういう点は、全般を通じてどうなんですか。
  228. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) ただいまのお話の点は、各省の研究機関につきましては、実は当庁におきまして各省の予算の見積り方針につきまして、調整をいたしておりますので、各省の研究機関におきまして金属材料の研究をいたします場合には、全部科学技術庁においてその内容を調査いたしまして、その間にむだな重複がないように、検討を加えておるわけでございます。  それからなお、大学につきましては、これは研究の自由がございますので、私どもの方では何らの調整はいたしておりませんけれども、しかし、先ほど申し上げたような東北大学の金属材料研究所とか、その他大学の——東京大学でございますれば名誉教授の三島徳七先生、そういった金属関係の学者の大家に来ていただきまして、それをもって構成いたしまする一つの委員会を作っておりまして、それによって十分検討はいたしまするが、ただ、民間の会社においてやっておりますような点につきましては、私ども何ら調整する権限はないのでございますが、しかし、私どもの方としましては、そういった財界、工業界の方々が、この研究所の成果を利用する、利用されるという意味におきまして、その委員会には各方面の工業界の技術系統の方をたくさん参加していただいておりまして、その上で研究計画というものを決定し、それによって予算を獲得したいというふうに考えております。
  229. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 この科学技術会議ですが、これは常勤二人を含む四名というのは、どなたとどなたですか、もうきまっておりますか。
  230. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) ただいままだきまっておりませんです。
  231. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 茅さんとか、あれは、今のは、この技術会議じゃなくて、何か総理大臣のプライベートな会議ですか、何かありましたね。
  232. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) 私ども承わっておりますのはプライベートの委員であるということでございます。
  233. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 それがこれにかわるわけですか。それとは全然別個に考えられるのですか。
  234. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) 直接の私ども関係はございませんけれども、あそこの委員になられたような学識の高い方にお入り願いたいと思っております。それで、まあ茅先生のことにつきましては、私どもよくわかりませんけれども、東大の学長になられましてからは、なるべく内部の仕事に専心されたいということでございますので、これは私どもわかりませんけれども、あるいはそちらの方をおやめになるのではないかという気持もするわけです。なおそれから、委員の方につきましては、やはり日本学術会議というものが、何と申しましても日本の科学技術者を代表する代表機関でございますので、そういった意向が反映できるような方をこの委員にきめたいということも考えております。
  235. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 そうすると、それをお聞きしようと思っていたんですが、この日本学術会議と科学技術会議との関連の問題ですね、機構的な、あるいは運営上の関連の問題は、どういうふうになりますか。
  236. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) この科学技術会議では、日本学術会議政府に勧告いたしまする問題のうち、重要なものはこの会議において審議をいたそうということでございます。それで、日本学術会議の方は、これは学者の集まりでございまして、実際の行政事務というものはあまり見ない。しかしながら、学者としての理想的ないろいろ意見をお出しになって、政府に勧告されるわけでございますので、この会議におきましては、その意見を、それが行政的にどうやったら反映できるかということを、この会議において十分検討を加えていくわけでございます。会議法の中には、そういった日本学術会議の勧告に関すること、あるいは答申に関することを審議することが規定されているわけでございます。
  237. 佐多忠隆君(佐多忠隆)

    ○佐多忠隆君 それから、その日本学術会議の特に科学技術面の人たちは、直接あるいはこっちの力にもう何か代表されるような機構になるのか。たとえば常勤二名を含む四人といような人は、日本学術会議の中から推薦なり何なりして、それを大体においてとられるというようなことになるのか。そういうことは無関係に、総理が任命をするのか。そこらの関連の問題ですね。
  238. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) これは法律の方におきましては、学術会議の会員を必ず選出するということは書いてございません。しかしながら、運用上におきまして、私ども大臣から承わっているところでは、やはり学術会議の会長あるいは副会長になるべきような方をお入れしたいということをおっしゃっております。
  239. 迫水久常君(迫水久常)

    ○迫水久常君 科学研究所の予算の中に、新技術開発についての八千万円として特掲して御説明してあるけれども、この中にはもちろんごくわずかの事務費が含まれているとは思うけれども、それ以外のものは回転する資金になる性質のものではないかと思いますが、そういうことに了解して見るというと、科学研究所の中の経理についてはその新技術に関する部分は、何か特別会計ということはいいか悪いか何かわからないけれども、独立にした一つの経理をせられるべき性質のものだと思いますし、そういうふうにやられるんだと了解しておりますが、その点はどうです。
  240. 政府委員(鈴木康平君)(鈴木康平)

    政府委員(鈴木康平君) ただいま迫水先生のお話がございましたように、私どもも理化学研究所の一般的な従来の研究的な経費と分けまして特別会計的な扱い方をしたいと思っております。で、この点につきましては法律の上では明記してございませんけれども、総理府令あるいは政令等においてそれを規定いたしましてはっきりさしたいと思っております。
  241. 迫水久常君(迫水久常)

    ○迫水久常君 了承。
  242. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) それでは科学技術庁所管に関する質疑は、本日は、この程度で終了いたしまして、他に特別に御質疑がなければ残余の質疑は明日に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 主査(小幡治和君)(小幡治和)

    主査小幡治和君) 御異議ないようですから、さよう決定いたします。  本日は、この程度で散会いたします。    午後七時一分散会