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1958-03-26 第28回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十六日(水曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      松澤 兼人君    副主査     剱木 亨弘君    委員            大谷 贇雄君            苫米地英俊君            横山 フク君            高田なほ子君            藤原 道子君            矢嶋 三義君            高良 とみ君            市川 房枝君   担当委員外委員            吉田 法晴君   国務大臣    労 働 大 臣 石田 博英君   政府委員    調達庁労務部長 小里  玲君    労働政務次官  二階堂 進君    労働大臣官房長 澁谷 直藏君    労働大臣官房会    計課長     松永 正男君    労働省労政局長 亀井  光君    労働省労働基準    局長      堀  秀夫君    労働省職業安定    局長      百田 正弘君   説明員    労働省職業安定   局失業対策部長  三治 重信君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ただいまから第四分科会を開会いたします。  労働省所管を議題といたします。  まず、政府説明を求めます。
  3. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 昭和三十三年度労働省所管一般会計及び特別会計概要を御説明申し上げます。  今回提案されました、昭和三十三年度一般会計及び特別会計予算中、労働省所管分につきましてその概要を御説明いたします。  まず第一に、一般会計におきましては、歳入において、総額七億八千八百二十一万四千円でありまして、前年度の四億五百二十三万円に比較いたしますと、三億八千二百九十八万四千円の増加となっております。  この歳入のおもなるものは、国家公務員等退職手当暫定措置法に基き、退職した政府職員並びに政府関係機関職員に対し、失業中の退職手当支給するために必要な財源を、特別会計等から一般会計へ繰入れまたは納付するための負担金であります。  一方、歳出におきましては、総額三百八十八億五千五百二十万五千円でありまして、前年度の三百三十五億四千九百七十八万七千円に比較いたしますと、五十三億五百四十一万八千円の増加となっております。  次に、この歳出内容について概略の御説明を申し上げたいと存じます。  その一は、失業対策に必要な経費であります。完全雇用の達成は、政府基本的政策とするところでありまして、これがため長期経済計画を樹立し、これに基く諸施策推進に努めておるところであります。しかしながら、明年度におきましては、経済引締めの影響、駐留軍撤退等の原因から相当数失業者の発生が予想されておりますので、当面の失業対策の強化に意を用い、失業対策事業における月平均失業者吸収人員を、前年度に比し二万五千人増の二十五万人に拡大いたしましたほか、失業保険におきましても受給者増加を見込む等、失業対策整備充実をはかるため、これに必要な経費として、失業対策事業費補助百七十五億四千八百万円、特別失業対策事業費補助三十五億円、失業保険費負担金百五億一千八百万円、政府職員等失業者退職手当六億二千六百万円、合計三百二十一億九千三百万円を計上いたしております。なお、このほか建設省所管臨時就労対策事業費七十四億円を計上いたしておるのであります。  その二は、職業訓練に必要な経費であります。工業その他の産業に必要な技能労働者を養成し、職業の安定と労働者地位向上をはかるとともに、経済発展に寄与するため、現行の技能者養成職業補導等制度検討を加え、企業内外を通ずる総合的な職業訓練制度及び技能検定制度確立するため、これの実施に必要な経費として五億八千三百五十八万二千円を計上いたしております。なお、「職業訓練法案」につきましては、本国会提出いたしております。このほか、失業保険特別会計において十二億五千六十一万三千円を計上いたしておりますので、これを加えますと、総合的職業訓練制度運営に要する経費総額は、十八億三千四百十九万五千円となります。  その三は、労使関係安定促進に必要な経費であります。労使相互の信頼と納得による円滑なる労使関係確立経済発展の基盤であることにかんがみまして、常時的確に労働運動並びに労使関係の動向を把握するとともに、労働教育の積極的な推進をはかる等の施策を講ずることとし、これに必要な経費として、八千三百二十三万円を計上し、また労使関係の合理的かつ円滑なる調整をはかるため、中央労働委員会並びに公共企業体等労働委員会に必要な経費として、一億三千九十六万八千円を計上いたしております、さらにこのほか、大蔵省所管日本労働協会出資金として、十五億円が計上されております。これは、近代的労使関係確立促進するため、労使はもとより全国民対象として労働問題に対する理解と良識をつちかう目的のもとに民間の労働教育機関として日本労働協会を設立することといたし、その事業経費に充てる財源を生むための基金としての政府出資金でありまして、これに関する法律案を本国会提出いたしております。  その四は、労働保護行政に必要な経費であります。労働者保護福祉の万全を期するため、労働基準法並びにけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法の適正かつ円滑なる運営をはかるとともに、最低賃金制度につきましては、労働者労働条件の改善に資するのみならず、ひいては企業公正競争の確保、国際信用維持向上等国民経済の健全な発展促進する上にも必要でありますので、わが国経済並びに中小企業実態に即した業種別地域別最低賃金制度実施することといたし、その他労働衛生研究所産業安全研究所整備充実等労働保護行政に要する経費として、十六億九千五百五十二万円を計上いたしております。なお、最低賃金法案につきましては、本国会提出いたしております。  その五は、婦人及び年少労働者保護に必要な経費であります。現下の未亡人問題の重要性にかんがみ婦人職業対策推進するため、内職公共職業補導所家事サービス公共職業補導所拡充整備をはかるとともに、中小企業密集地に働く婦人労働者福祉向上を期するため、働く婦人の家を設置するのほか、年少労働者保護福祉推進及び一般婦人社会的地位と生活の向上並びに売春問題対策等に関する施策を講ずることとし、これに必要な経費として一億九百九十二万六千円を計上いたしております。  その六は、職業安定行政に必要な経費であります。現下雇用情勢にかんがみまして、就職の促進をより一そう強力に実施する必要がありますので、公共職業安定所職業あっせん機能を強化して、これが効率的運営を期するとともに、駐留軍離職者並びに身体障害者等雇用促進に関する施策を講ずるため、これに必要な経費として、三十三億八千七百七十五万六千円を計上いたしております。  その七は、労働統計調査に必要な経費であります。労働関係における賃金給与問題の重要性にかんがみ、賃金基本調査実施して、合理的賃金体系確立に資するとともに、毎月勤労統計調査を整備するのほか、前年度に引き続き、労働生産性統計調査及びその他労働事情に関する統計調査実施して、労働行政施策基礎資料とすることといたし、これに必要な経費として、二億三千九百六十七万八千円を計上りいたしております。  その八は、国際協力に必要な経費であります。国際労働憲章に規定されている義務を履行し、積極的にこれに協力するために必要な分担金及びILO関係話会議への出席旅費等経費として、七千五百六十七万四千円を計上いたしております。  その九は、その他一般行政に必要な経費であります。大臣官房等における行政事務費として、三億五千六百八十七万一千円を計上いたしております。なお、以上のほか、建設省所管官庁営繕費に、一億二千三百六十万二千円を、労働省関係分として計上いたしておるのであります。  第二に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。この会計歳入歳出は、いずれも三百十六億四千四百六十九万六千円でありまして、前年度の二百六十二億五千八百六十九万九千円に比較いたしますと、五十三億八千五百九十九万七千円の増加となっております。歳入のおもなるものは、保険料収入の二百八十一億八千三百九十一万二千円と、支払備金受け入れの二十一億一千八百七十三万六千円であります。また歳出のおもなるものは、労働者災害補償保険給付費の二百三十四億五千四百七十五万二千円でありますが、このほか、業務上の災害疾病をこうむった労働者療養目的とする労災病院等施設設置運営せしむるため、労働福祉事業団に対して行う出資並びに交付に必要な経費として、十四億九千九百六万円を、また、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法に基き、けい肺患者及び外傷性せき髄障害患者に対する療養、休業の給付並びに配置転換労働者のための、就労施設設置する等のため、三億五千十六万一千円を計上いたしております。  第三に、失業保険特別会計につきまして申し上げます。この会計歳入歳出は、いずれも四百九十五億九千二百六十一万四千円でありまして、前年度の三百九十六億百十九万七千円に比較いたしますと、九十九億九千百四十一万七千円の増加となっております。歳入のおもなるものは、保険料収入の三百四十七億九千五百十二万七千円と、一般会計より受け入れの百五億一千八百万円であります。また歳出のおもなるものは、失業保険給付費の三百十二億五千四百万円でありますが、このほか、本会計積立金より生ずる利子収入の二分の一額を充当することにより、労働者福祉増進をはかることといたし、総合職業訓練所簡易宿泊施設簡易総合福利施設並びに日雇労働者住宅等設置運営せしめるため、労働福祉事業団に対して行う出資並びに交付に必要な経費として、十二億九千五百四十六万八千円と、その他の保険施設費として、一億四百五十三万二千円、合計十四億円を計上いたしておるのであります。なお、失業保険制度を五人未満の事業所に拡大適用することといたし、失業保険法の一部を改正する法律案を近く提出することにいたしております。  以上、昭和三十三年度労働省所管一般会計及び特別会計予算につきまして、概略説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格段の御力添えをお願い申し上げる次第であります。
  4. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) それでは、質疑に入るわけでございますが、大体理事会の申し合せによりまして、分科会は午前中に終了いたしまして、午後からは、主査報告をいたすようになっておりますので、時間もあまりございませんが、質疑は、できるだけ簡単にお願いをいたしたいと思います。なお、分科担当委員外委員の発言の通告がございますから、これを許します。
  5. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) 冒頭にお許しをいただいて、大へん恐縮ですが、本委員会で、本年度以降多数見込まれます駐留軍労働者失業対策についてお尋ねをいたしたのでありますが、時間の関係で、十分尽しませんでしたところを二、三お尋ねをいたしたいと思う。  各県の対策本部費用については、本委員会の際、考慮したいというお話であったように思いますが、その後具体案と申しますか、構想について進展がございましたら、この際承わりたい。
  6. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それぞれ所要措置をとってございますが、詳細は、安定局長から報告いたさせます。
  7. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) ただいま御質問駐留軍対策につきまして、特に離職対策本部についてのお話であります。これにつきましては、昨年九月の閣議決定に基きまして、十月に所要措置を講じたのでございますが、三十三年度におきましても、引き続き主要関係府県につきまして離職対策本部設置することとし、かつ、そこの活動状況によりまして、実情に即するような予算の配分をいたしたいと考えております。さらに、これを中心といたしまして、今後各種の各省の施策を、この離職者対策本部中心といたしまして、総合的に離職者対策推進していく、こういうふうなことで各県に指示してあるような状況であります。
  8. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) 本委員会のとき、十分質問趣旨が徹底しなかったようですが、駐留軍労働者が減っていく体様ですか、たとえば岡山なら岡山県で基地返還されますと墓地はなくなる。それから駐留軍労働者というものはなくなるはずですが、その基地に使われておりました、駐留軍に使われておりました労働者が一ぺんに就職してしまうわけではない。そうすると、その就職あっせんなり、あるいはこれは、企業組合を作って、自分で仕事をする等のあれが完成をいたしますまで、対策本部というものは要る。従って、費用というものが要るわけですが、そういう、何といいますか、基地返還をされて、あるいは駐留軍労働者仕事を失っても、なお対策本部は残さなければならぬ、費用は要る。こういうものについて予算を配分することを考えて下さっているかどうか、こういうことをお尋ねをしたのであります。それについてなお十分のお答えがなかったようでありますから、その点はどういうようになっておりますか。
  9. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) ただいまのお話は、おそらく調達庁関係務労管理費、これが駐留軍労務者離職がふえてくることによって漸次削減されてくるのではないか、こういうお話だと思うのでありますが、労働省としても、この関係と総合して、われわれも考えなければならぬというふうに考えております。本年度、三十三年度につきましては、調達庁労務管理諸費と、われわれの方の離職者対策本部費と、並びに各種諸策に伴う予算を総合いたしまして、運営して参るわけでございます。今。話のように、将来におきまして、駐留軍労務者が減ることによって、調達庁関係予算が減っても、しかし、一方において離職者対策本部活動というものは必要になって参るのでございまして、これは、今後におきまして総合的に考えて参りたいと、こういうふうに考えております。
  10. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) 調達庁労務部長が来ておりますから、調達庁から御答弁いただきたいと思うのでありますが、今の点、百田局長は将来の問題だというお話でしたけれども、ある県については、そういう事態が三十三年度にも出てくると思う、全体についてはともかくとして。ですから、それは将来の問題でなくて、今から問題になっているわけでありますが、現在及び将来にわたってこの施設返還をされた、あるいは駐留軍労働者というものはなくなったからということで、対策本部というものは活動をそこで終るわけに参らぬと思うのでありますが、今のような御方針で、対策本部に十分な予算交付されるように願いたい、こういう要望を含んでお聞きしたわけでありますが、調達庁からもおいでをいただいておりますので、この際、御答弁いただきたい。
  11. 小里玲

    政府委員小里玲君) この駐留軍関係離職に伴います各県の離職者対策本部に対しまして、政府予算をもちまして、この離職に伴う善後処置をいろいろ進めていただくということで、調達庁予算配付しておりますのは、三十二年度といたしまして千六百八十一万九千円、それから、三十三年度といたしまして千五百四十二万八千円でございます。見通しといたしましては、三十二年度の方が離職者が非常に各県とも多い。これは、例の岸・アイク声明以後の大幅なアメリカ軍撤退に伴う現象でございます。従いまして、三十三年度の方が、離職者数といたしましては、相当今年度よりも減るのではないかという見通しを持っているのでありますが、各県の離職者対策本部調達庁から配付をいたしまする予算といたしましては、まあわずかではございまするが、減ってはおりまするけれども、しかし、離職者の数に比例いたしますと、相当予算を今年度と比較いたしまして多くみているということが言えるのではないかと思います。これの配付につきましては、もちろん、その離職者のたくさん出まするところに多く配付をするという方針で従来もやっておりまするし、今後もその方針でございまするが、今お尋ねのような、離職者がなくなりましても、この善後処理仕事は残っておりまするので、駐留軍労務者がなくなったからといって、すぐにこの金を打ち切るということではございません。善後処理事務の多い少いによってこの予算を有効に使ってもらうという趣旨で、今後も進んで参りたいと思っております。
  12. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) 特別支給金については、先ごろ閣議決定を見たようでありますが、支給範囲について、これは曾祢委員からもお尋ねをしておったように思うのですけれども、いわゆる直用と称せられる諸君、それから、これは国連軍関係使用については、閣議決定を見ますと、六月二十二日現在の在籍者については、その後支払われるかのようでありますけれども、それ以前の分については問題になっていないように、支給し得るようになっていないように思うのでありますが、これは理由が、岸・アイク声明に伴う云々、それから性質が、特別にまあ苦労をさせたというか、従って立ち上り資金的なものとして支給するということであるならば、当然直用なり、あるいはこの国連軍関係と同様のものについて支給せられるべきだと考えるのでありますが、この点はいかがでしよう。
  13. 小里玲

    政府委員小里玲君) 特別給付金の問題につきましては、ただいま御指摘のように、政府のいわゆる間接雇用労務者で、六月二十二日以降に解雇になった労務者、しかも満三年以上継続して勤務をしておった労務者に対して、政府が長年の御苦労に対して報償をするという意味で、わずかではございまするが、支給をすることにいたしたのでございます。この直用労務者関係ですが、これはもちろん、この外国軍隊という特殊な社会の中で長年御苦労を願ったという意味では、間接雇用の、調達庁雇用をしておる労務者と、実質的には変ったところはないのでありまするが、今回の特別給付金は、まあ雇用主として政府が雇っておった労務者に対して、多年の労苦に報いるという意味でございまするので、直用労務者につきましては、政府雇用しておったという関係がございませんので、政府からこれを支給するという、この範疇から除いたわけでございます。  それから、国連軍労務者、これは、すでに昭和三十年中にほとんど、呉地区でございまするけれども、国連軍の引き揚げによって労務者もほとんど全部いなくなっておるわけであります。従いまして、この六月二十二日と、まあ政府がこの時期を画して、岸・アイク声明によってアメリカ軍が大量に撤退する、そういうまあ今までになかったような画期的な時期ということで限りましたこの時期には、国連軍労務者は一人もいない、こういう関係で、この今回の特別給付金支給範囲外といたしたわけでございます。  大体事情は、以上のようでございます。
  14. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) 政府が雇っておったからと、こういうことで言われ、それから、六月二十二日を限って、岸・アイク声明に伴うものは云々ということで、一応期日を切られるわけでありますが、駐留軍仕事をしておったという点から言うと、直用であると、あるいは政府雇用であるとを、これは問いません。しかも個人が、メイドさんその他で使っておるならとにかくだけれども、あるいは食堂に使うとか、その他共同使用といいますか、仕事実態が変らぬ場合には、これは同じような仕事をして、間接雇用の者についてはもらえる、それから直接雇用のものについてはもらえないということになりますと、そこにやはり矛盾が生じ、あるいは不平と申しますか、不満があるだろうと思うのであります。ですから、これは政府から出すか、あるいはどこから出すかは別問題にして、個々の労働者については責任がないわけでありますから、支給せられるように取り計らわるべきだと思うのでありますが、重ねて御答弁を願いたい。
  15. 小里玲

    政府委員小里玲君) 繰り返すようなことになるかと思いますが、今回の支給措置は、あくまでも政府雇用主であり、政府雇用されておった者に、政府として多年の労苦に報いると、こういう意味実施をすることにいたしました関係上、仕事内容なり実態なりということにつきましては、今の御質問の中にもございましたように、別に政府雇用しておるといなとにかかわらず、そんなに差異はないということはいえると思いますが、あくまでも雇用主としての政府労務者に払うと、こういう趣旨でございまするので、支給範囲外ということにせざるを得ないというふうにいたしております。
  16. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) これは、賃金にすれば、たとえば政府からもらうか、あるいは日本政府分担金において駐留軍からもらうかということは、これは本人たちとしては問題ない。とにかくこれだけのものをもらうと、こういうことですが、特別給付金について、政府政府が雇っておる労働者に対して支給するのだ、それはわかるが、労働者にとっては、そういう点は問題ないので、直用労働者についても同額のものがもらえるように取り計らえるか、こういうことを聞いておるのでありますが、具体的な方法をここで指示し、あれをするわけには参りませんけれども、間接雇用労働者だけでなくて、直用についても交付を受ける方法について検討をこれはする方法はありませんか。
  17. 小里玲

    政府委員小里玲君) 調達庁といたしましては、(「大臣答弁」と呼ぶ者あり)雇用主として政府で雇っておった労務者というものを対象に考えると、それ以外の労務者について同じような措置をするということは困難だと考えます。
  18. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) 時間をよけいにとりますが、政府が出してやるのも一つ方法、それから、個人で雇っておる場合には、個人同額のものを出してやるように取り計らうというのも一つ方法でしょう。どこから金が出るかは別問題にして、同じような仕事をしておる者については、同じ金額がもらえるようにしてやるような方法はあるじゃありませんか。だからそれについて……。
  19. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ちょっと打ち合させておりますから……。
  20. 小里玲

    政府委員小里玲君) 間接雇用労務者だけに払って、直接雇用労務者には払わないということにつきましては、先ほど来御説明申し上げておる通りでございまするが、まあ仕事実態なり、それから、各個の個人労務者という立場から考えてみた場合に不公平だということも、御質問通りでございまして、まあ政府として、政府の金で雇用も何もしてない労務者に払うということは困難だという点につきましては、先ほど来申し上げた通りでございまするが、まあその実情をよくわかっておりまするので、その点十分、まあ出すとすればどこがら出すか、研究もして、まあ雇用主ということになりますれば、これは軍でありまするから、軍がそういう措置をとってくれるように、調達庁としても、軍の方にそういう申し入れもいたしてみたい、かように考えております。
  21. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) それでは、労働大臣からも、多少注意と申しますか、もあったようですが、大臣から御答弁を願いたいんですが、これはいずれも同じ日本国民、そうして同じような仕事をし、それに対しては、労働省としては、最初は共通の責任をもって、おそらく予算要求はこういうことじゃなかったろうと思う。従って直用、それからまあ六月二十二日という点についてもやっぱり問題が起ってくる。以前の離職者についても同じような要望があると思うのでありますが、支給範囲の拡大については、これは努力を願えると思うのです。大臣の御答弁を求めたい。
  22. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この関係予算は、労働省の要求ではございませんで、御承知のように、調達庁であります。しかし、労働問題でございますから、私どもの方で全く無関係の問題ではございません。そこで、今お尋ねのありました直用労働者と、それから間接雇用労働者との関係は、政府雇用していない者に対して政府から支払うというわけには参りませんけれども、その直用労働者の使用主である軍に対して、政府としては間接雇用者にこういう措置をとったから、軍も直用労働者に対してこういう措置をとってもらうことが望ましいという努力ですね、そういう努力はなし得るんじゃないか、私はこう考えて、今そういう努力をする方法はないかという検討を命じたようなわけでございます。  それから、そのほかの、範囲の問題でありますが、これは、私の方で直接所管をしたものではありませんけれども、やはり一定のけじめが必要なことが一つと、それから、先ほどお尋ね国連軍関係になりますると、今度の基準である勤務三年以上ということになりますると、実際上該当する者がほとんどなくなるんでございます、国連軍の場合になりますと。まあしかし、それは現実問題で、建前としてはやはり六月二十二日の岸・アイク声明をけじめとした、またそれをけじめとする以外には、ちょっとけじめのつけようがないんじゃないか、こう考えております。しかしこれは、私の方の直接の関係でございませんが、私としては、いろいろ矛盾は生じてきますけれども、やむを得ない措置だと、こう考えておるのであります。
  23. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) これは、どういうふうになるのか知りませんが、職業補導とそれから地方財政の関係ですが、先般の離職に伴います地方税の減免問題については、特別交付税の規定の中でやりくりができるということでありますが、職業補導については、地方の負担分、それは特別交付税の中に入っていないから、実際問題として、地方自治体が駐留軍労働者離職対策、職業補導について困難を来たしておるし、あるいは予算的な裏づけが十分行われておらぬ。そこで、もし地方財政をもってさらに離職対策、職業補導について十分のことをやることができなければ、全額国庫負担でもやる以外にはないんじゃないか、こう考えられますが、この職業補導、離職対策について、財政的な裏づけに一そうの努力を要するように思うのでありますが、この点について、どういう工合になさろうとする御決意か、承わりたい。
  24. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 財政上の困難な点につきましての具体的解決策は、なお一そうの努力を要すると思いますが、現在、本予算案の中に処理しておりますることにつきましては、職業安定局長から説明をさせます。
  25. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) ただいま御指摘の職業補導費の地方負担の問題でありまするが、現在、われわれのほうにおきましても、駐留軍離職者が大量発生する、その場合に、特別の臨時職業補導ということを実施いたして、三十三年度予算につきましても、前年度の千百万円に対しまして、二千九百万円を計上いたしておるのでございますが、特にそうした地方の負担の状況にかんがみまして、また、事の性質にかんがみまして、臨時職業補導につきましては、経常費については三分の二の補助を、一般については二分の一でございますが、三分の二の補助をするというふうな措置をいたした次第でございます。さらに、これに基きまして、各県におきましてそれぞれの予算措置を講ずるわけでございまするが、しかしながら、非常に離職者が多い、また、職業補導の必要性があるというのにもがかわらず、地方財政の負担上非常に困難だというような場合につきましては、自治庁当局ともかねがね話しておるわけでございますが、自治庁当局におきましても、十分に考慮するというようなことを申しておりますし、今後、そうした問題につきましては、十分自治庁と協議して善処いたしたい、こういうふうに考えます。
  26. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) 次は、PD切りかえ問題でありますが、仕事があるのに、駐留軍労働者を使わないで、PDに切りかえようとしておる。これは、労働大臣も御承知だろうと思うのでありますが、これはどういう底意でやられるのか、はなはだ了解に苦しむところであります。調達庁から、より以上の失業者を出さないために、PDはやめてもらいたい、こういう意味を含んで、申し入れがなされておるようであります。ただ、少し申し入れの調子が弱いという点はございますけれども、大体問題点は指摘をされておるように思います。たとえば、職業安定法違反の疑いがあるといったような点も指摘をされております。ただ、少し指摘の仕方が弱いという点があるんですが、それに対して、軍側から回答がなされ、その中に「適当な双方の代表の間で今後会議をして、日本政府の申し入れた事項を協議の基礎とし、双方の提案の評価を完成するに当って日本政府の意見及び勧告を取り入れることを提案する。」、こういうことが書いてありますが、こういう方法が具体的にどういうことになるのか、疑問が起るのであります。こういう双方の会議委員会を通じてPDへの切りかえを最小限度にとどめる。それから「日本政府と事前にもできるだけ調整を行う」という点等もございますが、このPD切りかえを阻止するために、この主張、それから回答に基いて、実際にどのようにされようとするのか、この際承わりたい。
  27. 小里玲

    政府委員小里玲君) PD切りかえの問題につきましては、政府といたしましても、まだ仕事が実際あるのにかかわらず、これを民間業者に切りかえる、それによって駐留軍労務者が多数解雇される、こういうことは、労務管理上も非常に困るということで、この一月以来対軍折衝を続けて参りまして、その間合同委員会にも持ち出し、あるいは調達庁の長官から米軍の参謀長あてに文書も出し、あるいは口頭で強く米軍側の慎重なる配意方を要請をいたしたのでございます。ただいま御質疑の中にもございましたように、米軍側から、これを、日本政府の意向も十分了解できるところであるから、最小限度にとどめる、そしてやむを得ずこれを実施しなければならないような場合でも、日本政府と事前調整を十分行なった上で実施に移す、という意味の回答を米軍側からよこしておるわけでございます。この米軍側の回答そのものによって、具体的に会議が持たれたということは現在までございません。ただ、実際にPD切りかえの問題が起っておりまする各現地ごとでは、それぞれ各県あるいは労管等で、軍と折衝もいたしてきておるわけでございまするが、それが今までは、どちらかといえば、おざなりな軍折衝ということでございましたので、このPD問題に限って、事前調整を徹底的にやろう、しかも、日本政府からいろいろ、こういう項目について事前折衝をやりたいということについても、軍側として、これに全面的な同意の意向を示してきておりまするので、その線に沿って各県ごとにそれから、まあ大きな問題につきましては中央段階ということで、それぞれ軍との事前折衝の会議等が持たれることになると思いまするが、ただいま、日本政府側と軍側と、それをどういうふうに進めていくかというような問題について検討中でございまするので、近く成案を得て、それに基いて今後折衝が行われていくものと、かように考えております。
  28. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) 大臣もそこで聞いておられますが、駐留軍撤退をして、解雇になるというなら別問題であります。あるいは経費の節約のためかもしれませんが、仕事はあっても、そうして駐留軍労務者がそこにあっても、これを民間に仕事をさせる、こういうことが行われているわけです。経費の節約もあるかもしれませんが、これは不当な労働組合の断圧であり、あるいは一方的な不当首切りと言っても、これは過言ではないと思う。それを阻止するために調達庁が、まあ労務部長かどうか知りませんけれども、やってくれているのですが、申し入れの文書を読んでみても弱い。こういうことは、あるいは職業安定法違反の疑いがある契約あるいは事実等もある。こういうことのないように、これは一つ労働省としても努力を願いたいと思う。労働大臣いかがでしょう。
  29. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御指摘の事件は、望ましいことでございませんので、政府といたしましても、調達庁を通すばかりでなく、内閣としても、先方に対して再三考慮を求めましたし、また私も、きわめて非全式でございますが、先方側の人と会って、いろいろ話し合いをいたしました。職業安定法違反の疑いのあることについては、それぞれ具体的事実に基いて調査をいたさせておるわけであります。お説の通りでございますから、今後とも——三月十二日の米軍の回答というものは、今までの態度からはかなり進んだものでありますので、これを足場に、わが方の希望を達するように、さらに一段の努力をいたすつもりでございます。
  30. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) これは、売春問題についても、売春禁止についてもそうですが、駐留軍労働者離職すると、うこういう問題についても、私は、日本政府は、新しい仕事につけるということについて、全責任をこれは持っておられぬのじゃないか、感じておられぬのじゃないか、こういうことを感じます。具体的にどういう仕事につくかということは、いわば駐留軍労働者あるいは労働組合に大部分がまかされている。それから売春婦であった不幸な諸君について、その一割が就職あっせんの対象としか考えられておらぬ、費用についてもそう。で、仕事を見つけるということは、今日なかなか容易なことではありません。そこで、駐留軍労働者離職に伴って対策を立てるならば、あるいは売春禁止に伴って、十数万の人たちを仕事につけるということになるならば、これは政府責任を持たなければならぬと思う。中国の解放に伴います売春婦の諸君が全部仕事についた過程等を考え合せますと、日本駐留軍労働者離職、あるいは売春禁止に伴います就職、あるいは生活の道を得ていく上に非常な苦労をそれぞれの人たちでやられておるという点を考え合せて、感無量なるものがあります。これは、引揚げてきた姿にしてもそう、これは、日本から中国に帰りますものと、それから中国から日本に里帰りその他で帰ってきて、日本仕事をしようとする場合との姿を対比して考えると、あまりにその間に差があるのに心を寒うするのであります。政府は、もっと仕事を離れる者について、あるいは仕事を求める者について、これは職業安定行政ということになると思うのでありますが、仕事を与えることについて、もっと真剣に、全責任を負うという態勢にならないものか、労働大臣に最後に伺いたい。
  31. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 政府の政策によって職を失った人々に対する対策は、やはり政府が全責任を持ってやるべきものと考えておりますが、なかなか労働条件あるいは仕事それ自身を探すことにも問題がありますが、労働条件その他が相互に合わない場合もございます。いろいろな困難な問題がございますけれども、まあさらに一そう努力をして参りたいと思っております。売春婦であった人たちの更生の問題も、私どもとしても、あとう限りの努力をしなければならないと思っておりますが、この場合は、特に売春婦であったという前歴をやはりできる限り隠してと申しますか、知らさずしてお世話をする方が望ましいのでありまして、数としてあるいは明瞭な分け方はなかなかできない、困難であるばかりでなく、そういう明瞭な分け方はすべきでないと私は思っております。しかし、相談員等のあるいは婦人少年室等の強化を通じまして、われわれの方の果たすべき役割を十分やって参りたいと思っているわけでございます。
  32. 吉田法晴

    担当委員外委員吉田法晴君) これは一つ要望になると思いますけれども、責任を持ってやっている部分が非常に狭い。売春禁止法に伴う就職あっせんについて、こまかくお伺いする時間もございませんから、あげません。それから、駐留軍労働者諸君と一緒にして大へん恐縮ですが、駐留軍労働者の諸君が仕事を見つけるということについても、実際に政府なりあるいは公共団体でやっておられる部分が非常に狭い。そのことを申し上げて、仕事につけるということが政府責任であれば、労働省のあるいは所管であれば、その全部についてああらゆる方法、その方法予算的な裏づけもつけておやりになることが、これは労働省の任務である、あるいは政府の任務じゃないかと考えますだけに、職業安定行政について、職業補導あるいは職業安定という問題について、もっと十全の体制を整えてもらいたい、全部について責任を持つような体制にしてもらいたいということを要望いたしまして、質問を終ります。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと関連いたしますが、婦人少年室を強化するというお言葉をいただいて、まことにけっこうなお話であると思います。従いまして、どういうふうに強化していくのか、どうも私には、その基本的な方針、これがはっきりしておらない。もっと詳しく言えば、婦人少年室の果すべき役割というものを労働大臣広く認識せられて、そうしてそれを強化するには強化するだけの確たる私は方針というものがなければならないのではないかと思います。私があえて関連してお尋ねしたいと思ったことは、婦人少年室は、御承知のように、たびたび崩壊の危期に瀕している。予算的に見ても、昭和二十二年度以降かなり数字的に減っております。また、本省と地方との定員等については、二十二年以降次第に減少している。たとえば、地方の場合には、二十二年には三百十三名、二十三年、二十四年、これはぐっと減って百五十八名、そうして二十五年には百四名に減っている。二十七年そうして二十年と、同じようにこの数字は依然として続いております。本省の場合も同様に、九十名から七十名、六十六名、六十名、六十名というふうに、次第に定員減がされております。予算の面にも、このことが当然表われてきているわけでありますが、こういうようなことでは、今大臣がおっしゃったように、婦人少年室を強化する云々という言葉は若干当てはまらないように思う。この際、あとで質問の時間をいただきたいのでありますが、特に婦人少年室の労働省内における位置づけ並びに今後の婦人少年室強化に対する基本的な方策というものをとくと大臣から詳細に承わりたいと思います。
  34. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 婦人少年室は、わが国の行政機構の中にありまして、婦人地位及び婦人労働、年少労働の問題を取り扱う唯一の行政機構であると考えております。従って、ただいま御指摘のように、年々その機構が縮小されつつあった経過というものは、いろいろ事情はございましょうが、私としては、すこぶる遺憾に思っておる次第でございます。従って、本年度におきましては、一ぺんにはできませんけれども、地方における定員増を行い、それに必要な予算措置も講じたわけであります。これは、将来にわたって、この傾向に向っての努力は重ねていくべきものだ、こう考えておるわけであります。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一問ちょっと。唯一の機構でありますが、その唯一の機構が七千百三十一万、まことに唯一の機構にふさわしくない予算であって、お言葉と実際があまりにも違うということは、情ない状態ではないでしょうか。しかし、敬意を表したいことは、今回の予算には、地方婦人少年室の定員を若干ふやされて、地方の実情に即すような御努力をされたことについては、私は敬意を表したい。けれども、それはただで手放しで敬意を表するわけにはいかない。たとえば、今度の売春対策問題等についても、婦人相談員の活動というものは、相当これは重要な役割を持ってきている。しかも、全県下に散らばって、転落していくこうした人たちに対する相談というものは、かなり手厚い方法が行われなければならないし、また、地方においては、婦人少年室の方々が足を棒にしてお歩きにならなければ、この実績が上らないという実情なんです。しかるに、地方婦人少年室の年間旅費というものは、四十六都道府県において四十六室があるようですが、これは、一室平均にすると、旅費が十三万円、月別にすると、一ヵ月旅費がわずかに一万八百円である。一万八百円の旅費で二人の婦人少年室の係の方々が全県下を歩き回るということは、おそらくこれは神わざに近いことであって、口には売春対策強化というようなことも言われ、婦人相談員の活動を期待するような今お話し向きがあったのですが、こういうような状態では、これはもう神風をたよりにするというような、かつての封建思想につながる予算の組み方であって、大臣が言われるような、婦人相談員の活動に待つというようなお言葉は、ちょっと当らないように思う。どういう科学的な基礎で、全県下の活動費の旅費が一万八百円と組んだのか。私は、少くとも労働行政というものは、相当やはり近代的な感覚をもっていかなければならないのだと思う。けれども、今回の予算の組み方を見ると、一律パーに大体三%減して、その余波をくらって、こういう非科学的な措置が出てきているのではないか。少くとも私は、婦人労働行政、なかんずく婦人問題等については、一律パーに減らすことではなくて、もっと合理的な、科学的な、少くとも今回の売春対策に当って働かねばならぬ婦人相談員などを中心とする地方の婦人少年室に対する旅費は、相当これは大幅にがんばってもらいたいと思う。これは、要求額は当初どのくらいあったのか。一万八百円というのは、どういう活動の分野から計算したものか。この際、一つ伺わしてもらいたい。
  36. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まあ不十分であるというおしかり、それから、婦人相談員に対する待遇その他の処置の不十分は、これは全く痛感をいたしております。痛感をいたしておりますから、あとう限りの増加予算の増額、それから定員増をやったわけでありますが、しかし、それで十分だとか、それで満足しておるわけではありません。しかし、一ぺんにはなかなかできないのでありまして、今までの傾向を是正するための努力をし、さらにその努力を今後続けていくということで、御了承いただきたいと思います。  それから、旅費を含めまして、今御指摘の数字のほかに、全国で事務費四百六十万円を増加いたしましたから、今御指摘のほかに、四百六十万円というものが増加されてあります。しかし、これを加えたところで、その金額がきわめて少いということは私も認めます。従って次年度におきましては、さらに漸増の方向に向って努力をするつもりであります。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一つ大臣ね、漸増とあなた言われるのですが、再軍備の予算というものの漸増方式というものは、相当科学的な漸増方式をとっておる。従って、あなたの言われる婦人問題等に対する漸増方式というものは、これは全く非科学的な、たとえば婦人相談員なんか、これは一週間に一日半きり働けない。なぜ働けないか。婦人相談員は非常な情熱を持っておるけれども、一日四百円、この金額を予算上から見ると、一週間に一日半きり働けない。一週間に一日半だけの予算を組んで、婦人相談員が適確な指導ができるか、適確な使命が果せるかというところの漸増方式というものは、あまりに非科学的な、あまりにもその場のがれです。石田労働大臣は、かなりフェミニストだということを私は聞いておるのですけれども、もう少しこういう問題に対して研究していただきたい。フェミニストというのは、ただ鼻の下が長いというだけではなくして、(笑声)科学的に、婦人をいかにして保護し、いかにしてこういう行政の上にあなたが努力なされるかというところに、初めてあなたの真価というものが認められるのじゃないか、そんなふうに思うのです。こういう問題については、御研究になっておられますか。漸増方式について、もう少し納得のいくような御答弁をいただきたい。それじゃあまりおざなりじゃありませんか。
  38. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 増加額の不足ということについては、これはもう全く、何と言われましても仕方がございませんですが、それからまた、婦人相談員の活動に要する費用その他も、実は、私も回って歩きまして、実情を見て、私自身も一驚を喫しておるような状態であります。従って、今次予算要求額についても、あとう限りの努力をしたつもりでございます。今までの下降現象というものを上昇線に向ける土台はまあつけるつもりでありますが、しかし、それで十分だとはつゆさら考えておりません。来年のことを言えば鬼が笑うかもしれませんが、来年はさらに一そうの努力をするつもりでございます。(「答弁漏れ、要求額は幾らか」と呼ぶ者あり)
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 要求額幾らかということを答弁しない。
  40. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) では、あとで……。
  41. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 日本産業を大いに振興をしていきまするために、勤労者の問題は最も重要でございまして、今回その労働問題を研究をして、広く労働者並びに使用者、さらには国民全体に対しまする勤労者の問題、労働問題の良識と理解を持ってもらう、こういうことで日本労働協会をお作りになるということは、非常にけっこうなことだと思います。ところが、大臣は非常な熱意を持ってこの問題と取っ組んでおられたようでありますが、当初聞きまするというと、三十億の予算を要求なすった。こういう重要な問題につきまして、石田労働大臣のような、まことに巨躯堂々として、そのダンクの力をもって、当初の要望のごとく、三十億の予算をなぜ獲得できなかったか。と申しますることは、今回この十五億円の予算が計上されておるわけですが、それをファンドにして、そうしてやっておいでになる、そうすると年間九千万円の利子だ、その利子をもって運営をしていく、こういうようなことであっては、せっかくのあなたの非常な抱負経綸の実現が多少よろめくのじゃないか。従って、そのうちの五億円くらいをぽんと出して、そうして後は、毎年政府はそれこそ漸増的に補助をしていくというような漸増方式を考えておられるかどうか、この点をお聞きしたい。
  42. 石田博英

    国務大臣石田博英君) どうも、予算要求額と比べて、予算の獲得額を批評されますと、これは、何と申しましょうか、非常に恐縮いたすわけであります。しかしながら、本年は、御承知のように、編成方針が非常に厳しい編成方針をとられた。その厳しい編成方針の中で、幾らか自画自賛になりますが、労働省は、一般会計において五十数億円、特別会計を加えれば、相当量の増額を見ておりまして、これは多少、他の予算全体に対する割合からいたしましても、また絶対額におきましても、他の役所に見られない状態のところまでは努力はしたつもりでございます。  それから、労働協会につきまして、その基金の一部を本年で使って、それをあとで埋め合したらいいじゃないかという議論でありますが、私は、この基金を毎年補充して、活動費をたくさん出していくということについては、そういう努力はしなければならぬと思いますが、その基金を食うということを初年度から考えることは、私はやっぱり間違いじゃないか、この基金は、やはり最小限度活動をする基礎を作っておきませんと、すぐれた人を得られない。政府の補助金や助成金だけを頼りにしておりますと、その政府方針の変更によって、それがゼロになる、あるいは減少されるという場合もあり得ますから、いい人に落ちついて仕事してもらうわけにいきませんので、最小限度活動し得る費用、特に本年度は、中央における機構の整備と活動する費用というものを見込んだわけでございまして、次年度以降基金の増加を期しまして、それを重要な産業中心地に支部を設けるなり、ブランチをこしらえまして、それによって活動範囲を広げて参りたい、こう思っております。  それから、婦人少年局のいまの婦人相談員関係予算要求額と獲得実際額の関係は、官房長から説明させます。
  43. 澁谷直藏

    政府委員(澁谷直藏君) 三十三年度の当初の要求額ということでございますが、人件費のようなものを除きまして、純然たる事業費の系統を申しますると、婦人年少者の保護対策費といたしまして、三十二年度予算額が二千百七十六万九千円に対しまして、当初要求額は、三億三百四十五万七千円、増額としましては、二億八千百六十八万八千円の増額を含めた要求をいたしたのでございます。それから、売春問題対策費につきましても、三十二年度予算額が六百四十万円に対しまして、当初要求額が三千五百四十二万一千円、二千九百万の増額の要求をいたしたのでございます。
  44. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そこで、今私は、十五億円で、あとはこの利子でやっていくのだということだと思っておりましたところが、今年度は九千万円の利子であれするが、来年度からは漸増を要求していくのだということでありますから、その点は了承いたします。  そこで、これはほかの特殊法人と同じような組み立て方になっているわけです。この協会は、よほどしっかりした、しかも中正な会長と役員を得なければならぬ。これは、昔の協調会がよかったのかどうか知りませんが、あまりぱっとしなかったのではないかと思う。よき人を得なければならぬ。私は、こういう、労働者の期待にもそむかず、また、使用者の期待と信頼を得るというような人を得るということは、なかなか容易ではない。かりに当初においてそういう人が得られましても、だんだん時が移り変るに従って、お役人さんの古手の人が来なさったり、うば捨て山になるというようなおそれなしとしないと私は思う。その点を非常に懸念するわけでありますが、それらについての大臣の御所信を承わっておきたいと思います。
  45. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この協会は、まず第一に、協調会とよく比較されますが、協調会とは性格的にはっきり違えていこうと思っております点は、二点でございます。  その一つは、協調会の基金は、大半が財界の醵出によってまかない、政府は当時の金で二百万円程度の出資であったと思います。これでは、労働問題の取扱いが使用者側の立場に偏する。こういう危険を感じますから、この基金は全部政府の醵出に待つということにいたした点が一点であります。  第二点は協調会は、いわゆる労使の紛争の調停という仕事を非常に大きな仕事といたしておりましたが、現在そういう仕事は、中央労働委員会、地方労働委員会、あるいは公共企業体等労働委員会等がございまして、そちらでやる建前になっておりますから、労働問題の調停というような仕事は、その任務から省いたということであります。  それから、普通の特殊法人と同じ立て方になっているというお話でありますが、大体はお説の通りでございますけれども、しかし普通の特殊法人の規約以外に、会の業務の公正を保つ所要の立法措置をいたしているのであります。    〔主査退席、副主査着席〕  それから、その人事の大切なことは、御指摘の通りでございまして、特に私は、最初の会長の人事については、将来日本労働協会の性格を決定し、その方向を定めるようなことになりますので、慎重かつ良心的に行わなければならない。いやしくも世間のごく少数の人にでも非難を受けるようなことのないように人事をいたしたいと考えているわけであります。  それから、役人の古手のたまり場みたいになるのではないかということでありますが、それは厳に戒めて、この協会が出発いたしますのは、現在労働省設置法の中で、労働教育についての事項があるにもかかわらず、それを設置いたしますのは、役人的運営では十分効果が果し得ないということで、民間の人々の感覚と手によってやりたいという建前で作ったものでありますから、役人の古手の人がなるというようなことはいたさせない方針でございます。
  46. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 どうか一つ、この人事というものは、国民から信頼感を十分に受け、また公明中正な人を得られて、この御構想に万全を、ただ当初の出発だけでなしに、後代におきまして日本の労働問題に関しまする、りっぱな機関としていきまするような御配慮を十分にお願いをいたしたいと思います。  それから次に桐原さんの労働科学研究所は、従来非常な、まことに敬意を表するに足るところの業績をずっとあげてきておられる。いつでしたか多少の補助金も政府から出ておるようでありますが、こういうようなまじめな、真摯な研究機関に対して、この機会に大いに助成をいたして、日本の労働問題の研究を大いに振興する、という御意思はあるのかないのか承わりたい。
  47. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 今御指摘の桐原さんの労働科学研究所は、文部省の所管になります。文部省から補助金が出ておるようになっております。それから労働問題についての真摯な研究をしている者に対する適当の助成方法、これは考究しなければならぬと思いますが、これはざっくばらんに申しましていろいろ雑多でありまして、むしろ労働協会で集中的にやることの方が望ましいのではないか、こう考ておるわけでありますが、しかし適当な機関があれば助成措置を考究するのにやぶさかではありません。
  48. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そこで何ですか、労働科学研究所は文部省の所管だから、おれの方は何も関係はないのだというように受けとれるのでありますが、少くともこの労働問題を研究しておられるりっぱな機関に対して、労働省としてはノータッチであるというようなことは、これは受け取りがたいが、その点はいかがですか。
  49. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは私のそれこそ言葉が足りないことでありますが、文部省の所管でありますから補助金等の措置は、文部省を通してやっておるということをお答えを申し上げたのでありまして、いろいろの各種の統計や資料の収集等に協力をいたしておることは言うまでもございませんし、御研究になりました結論を私どもの方で使わしていただいていることも当然であります。ただ補助金のルートは文部省を通してやっておりますということを申し上げたのであります。
  50. 剱木亨弘

    ○副主査(剱木亨弘君) ちょっと私からお願いがございますが、実は労働大臣は御承知のように衆議院で補正予算委員会をやっておりまして、十二時までという実はお約束をしておりましたが、その大臣の要求される時間がだいぶ迫ってきたようでございますから、もうしばらくはよろしいと思いますが、大臣に対する御質疑は、大臣のおられるときに、皆さんで一つできるだけ簡単にお願いいたしたいと思います。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について。こちらは本予算を審議しており、衆議院は補正予算をやって計る。両院で話し会って運営することには異議ございませんが、しかし労働大臣は御病気で、お待ちしておったけれどもお出にならないので、あの日午前中から午後二時半まで待ってむだになったことは、主査御承知の通りでありましょう。本日十一時吉田さんが質疑を始めて、一時間そこそこで分科会の審議を終了しようというのは、いかにも与党の人たちも無理だと思います。
  52. 剱木亨弘

    ○副主査(剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  53. 剱木亨弘

    ○副主査(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
  54. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そこで労働協会につきましては、労働者の中にも必ずしもこれを喜んでおられるという者もない、また使用者の方についても満幅の賛成をしておられるという面もないおそれもある。従ってこの労働協会というものの必要性というものを、これはやはり天下に大いに明らかにしていただきたいということを一つお願いをいたしておきます。  それから最低賃金法案の問題でありますが、これは賃金の低廉な労働者について、いろいろ生活安定、労働力の質的向上、事業の公正な競争の確保に資するということで、まことに非常にけっこうなことです。ところが業者間協定になっている最低賃金制でありますから、ことに中小企業のうちの零細企業等におきましては、支払い能力がないというようなことでくずれていくようなおそれはないかどうか。またこの金融措置に対するところの態勢ができているのか。今度中金に六十五億円支出があるわけですが、そのうち三十億ぐらいはこの金融措置の方に回すということを聞いておりますが、そういうことが行えぬと、なかなか実行が不可能になるのじゃないか、という点を心配いたすわけですが、その点一つ説明が願いたい。
  55. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 労働協会について労使双方、あるいは労使それぞれの間の中におきましても、労働者側は労働者側、使用者側は使用者側におきましても、いろいろな御意見あるいは関心の濃淡があることは御指摘の通りでありますが、現在日本労使問題の一番不幸な点は、労使双方の間に十分な信頼感が相互にないという点が、一番不幸な点だと思っておりますが、そういう基礎の上に立って、労働教育を行おうとするのでありますから、なかなか一致した見解というものはのぞめないのでありまして、御指摘の通り、この協会の仕事趣旨についての啓蒙あるいは宣伝、説明等は積極的にやって参りたいと思っております。  それから最低賃金法について、業者間協定だけのようなお話でありますが、これも誤解の根本でありまして、最低賃金決定については、法律案におきましては四つの決定方式を設けてございまして、一つは業者間協定でありますが、その次は業者間協定の拡張適用、それから労働組合等がございまして、労使協定ができます場合におきましてはその拡張適用、そのいずれもとれない場合につきましては、職権における実施というような四つの方式をとっているわけであります。決して業者間協定だけを中心においたものでもないのであります。  それからこの法律を実行するための、中小企業の基盤育成のための有効な措置でありますが、それに対してこの法律案実施のためだけの特別な金融を考えているか、どうかという問題でありますが、この法律案実施のためのみの金融措置等は考えていないのであります。というのは、中小企業の基盤を強化する、あるいは中小企業の経営の基礎が脆弱である、あるいはその構造が前時代的であるということの原因は、非常にたくさんあるのでありまして、そのたくさんある原因のうちの一つをその法律案によって改め、近代化し、中小企業実態を改造していこうとするわけであります。その幾つかの欠点のうちの一つのことだけのために、別ワクの措置をとるというよりは、やはり中小企業の全体の育成策を背景として行うべきである、という見解の上に立ちまして、この法律案のためだけの特別の措置というものはとっておりません。他の全般的な中小企業育成策を背景といたしておるわけでございます。
  56. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 もう一点だけ。そこで今大臣お話の中に、労使の間に相方信頼がないということが、わが国のきわめて不幸なることであるというお話でありますが、全くそれは私も同感であります。そこで、この最低賃金法案通りました場合に、お話のようなことからして、大企業におきましても、よき労働慣行というものがいまだわが国においては残念ながら熟しておらぬ、こういう状況である。ましていわんや中小企業等に至っては私はなおさらのことであろうと実は思うのであります。従いまして、この賃金の交渉等の場合におきまして、果して円満にいけるかどうか。かえって紛争をきたすおそれなきや否や、という点についての心配を持っておりますが、その点についての御説明を願いたい。
  57. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 中小企業におきましては、そのほとんどがまだ未組織の状態にございます。従って未組織の状態にありますときに、その未組織の労働者の考え方、意向というものを最低賃金の決定の中にどうして生かすかという点が、この法律案一つの困難な問題であります。これは中央地方の最低賃金審議会の構成の中に、労働者側の代表が参加していただくことによりまして、この構成を三者構成にすることによって、その審議会の議を経なければ最低賃金というものはきまらないわけでありますから、それによって労働者側の意向をそこで代表さしていこうと、こう考えているわけであります。  それから労働者の組織のある企業におきましては、労使協定が結ばれるわけでありますから、その労使協定を基礎として最低賃金制を実施しようというわけであります。この法律によりまして、おそらく中小企業における労働組合の組織化というものは、推進されていくだろうと思います。しかしそれでもなおその中小企業の規模の脆弱さによって、あるいは小ささによりまして、なかなか組織化はむずかしい点がございます。私はよき労働組合の組織化が進行することが、正しい労使関係を作る基礎であると考えておりまするので、この法律案によって健全な労働組合の組織化が進行することを期待いたしております。ことさら紛争が生ずるなどというようなことを特に心配をしているわけではございません。
  58. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 この最低賃金制がしかれますることは、この賃金の低廉な労働者にとりましては非常な喜びであり、また私はこれは非常なけっこうなことであると思う。労働条件もそれによって改善をされると思いまするが、この運営よろしきを得ませんと、いろいろトラブル等も起って参りますので、願わくばこの画期的な法が万全よろしきを得るように、御配慮をお願いいたしまして質問を終ります。
  59. 高田なほ子

    高田なほ子君 三点関連してお尋ねいたしたいのです。労働協会の問題は今大谷ざんから御質問がありましたが、労働省は当初この労働協会については三十億の予算要求をしたようであります。大蔵省はこれに大なたをふるって十五億になった、こういういきさつを聞いています。婦人労働の問題についでは、ずいぶんけちけちと金を使う労働大臣が、この問題になると三十億というような実に膨大な予算を組んで方針を立てられておられる。本会議においても、この労働協会の性格というようなものについては、遺憾ながらつまびらかに私ども承知する機会がなかった。もちろん社労ではこの問題については詳細御審議になっておると思いますが、この際にです、三十億要求された当初の労働省と、労働大臣としての構想はどうであるか。この十五億円に予算が削減された場合の基本的な方策は、どういうふうなもので、内容は一体どういうことをやるのか、具体的にその内容について特にただしたいことは、先ほど労働科学研究所の問題が出ましたが、お言葉の中にこれらのものもひっくるめて、というような御意向をちょっと伺うことができたようです。従って特にこの仕事内容というものについて、明確にお示しを願いたいということが一つ。  私の想像するところでは、この労使間の慣行をよりよく築くために、こうしたものが築かれたというふうに察知するわけでありますが、しからば本年度は特に、この労働情報収集に必要な経費として、三千六百六十万円が組まれておるようであります。労働情報の収集に対して昨年は三千百十七万円の予算が組まれたわけでありますから、この問題に対してだけでも本年度は四十三万という予算の増額を見ているようであります。一方においては、この労使間の健全な発展のためにという意味合いから、三十億というような膨大な予算を要求されながら、また一方においては、この労働情報の収集にも、婦人少年局の年間の約半額にも及ぶような収集費を組んでおられる。どうもこれではお話がわからない。従いまして一体この労働情報の収集というのは、どういう方法で、どういうような情報を収集するために必要でやっているのか。今日までどんな方向でこれがやられてきたのか。そこらを詳しくこの労働協会の予算とからみ合せて御説明が願いたい。  第三点は、最賃法の問題でありますが、最賃法を先般御提案になられましたが、この中で、家内労働法の問題が、最賃法制定の過程で、後刻政令としてこれを決定するようなお話を伺っておる。で私どもは、この家内労働法の実施というものに、相当重大な実は関心を持っているわけなんです。で今回の予算ではこの家内労働法の実態を調査するために、八十九万円という予算を組んで、内容は五製品にわたってこれを調査するというように、予算書に見られるわけでありますが、一体この五製品というのはどういうものなのか、そうして何年くらいの計画でこの家内労働の実態調査が行われるのか、最賃法とからんで、いつになったらば家内労働法が実施されるのか、こういうような問題についてこの機会に十分な御説明を承わりたい。なおさらにこれと関連して、未組織の者をどういうふうに生かすかということは、最賃法の中で相当これは重要な問題、われわれ社会党もこの問題では大きく論議し、また研究をしている問題、特に家内労働の場合は全くこれは未組織である。そしてその分野がほとんど不明確のままに放置されておる。こういうような場合に、業者の方も未組織である、そして労働する者の側も未組織であるというような場合に、果して中央地方の労働審議会の中で、労働者の意向を展開する機会というものが与えられるのか。私は日本の労働問題の中で、全く野蛮の国と同じように、家内労働法が放置されていることについて、はなはだしく遺憾の意を持つと同時に、遅々としてこの家内労働法の実施か進まないのではないかという危惧を持っているものでありますから、以上質問いたしました私の意向をしんしゃくされまして、詳細なる御答弁をわずらわしたい。
  60. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まず最初に、労働協会について御答弁を申し上げます。労働協会についての予算要求は三十億でございますが、これは基金の要求でありまして、他の予算と比較を願います場合は、実際使うのは利子でありますから、一億八千万円であります。それが十五億に削減をされまして、実際使います予算は九千万円ということになります。一億八千万円のときは、全国の主要産業地域に、支部を設けて活動をするつもりでございました。ところが、それが削減をされましたから、初年度は中央だけに設けるつもりであります。  それから協会の活動する目標でありますが、まず第一に、現状認識といたしましては、わが国においては、まだ労働問題についての正しい近代的認識が一般的でない、使用者側におきましては、労働組合というものそれ自体が、すでに反社会的なものだという考えを持っておる者も相当ございますし、逆に、組合側におきましても、労働組合のその組織を通じて、社会秩序なり経済秩序というものを変革しようとするところまでいくような、行き過ぎた傾向もなしとしない。一般的国民におきましては、なおさら労働問題についての知識が低い。そこで、そういう状態についての欧米先進国その他の実情を紹介すると同時に、国内におきまする労働運動の展開の状態を、広く世間に周知せしめることによって、近代的な労働問題に対する一般的理解を深めようというのが目標であります。仕事は、まず第一に調査研究であります。第二は、適当な機関、たとえば出版、放送、映画、テレビ等を使いましての啓蒙宣伝であります。それから大体同様趣旨でございますが、講座その他の設置等も行いたいと思っておるわけであります。ただ、この運営は、労使双方いずれの立場にも片寄らない、いわゆる国民的な信頼を得る中正性が望ましいのでございますから、協会法の法案作成につきましても、一般の特殊法人の規約以外に、その中正を確保するために必要な措置を講じておるわけでございます。それから第二点は、情報収集費その他については、労政局長から説明をいたさせます。  それから最低賃金実施と家内工業法の関係でありますが、御承知のごとく、わが国の家内工業の実態は、約三百万ともいわれ、あるいはそれ以上を上回るものではないかともいわれ、なかなかその実態をつかむことは困難であります。従ってその実態の調査をまず始めようといたすわけでありまして、その実態調査の具体的方法その他につきましては、所管の政府委員から答弁をいたさせます。しかし、最低賃金法を実施する場合、その最低賃金実施に関連のある家内工業については、今直ちに適切な措置を講じておかないと、最低賃金法の実施を妨げまするので、それに関連があるものにつきましては、最低工賃を定める規定を設けておるわけでございます。  それから未組織労働者の取扱いの問題、これは非常にむずかしい問題であります。それをいかにして最低賃金の中に未組織労働者の問題をどう取り扱い、その労働者の意見を反映せしめるか、これが組織されておれば、その組織されておるものの代表を選ぶことは簡単でございますけれども、組織されていないところに問題がございます。先ほどもお答え申しました通り、この最低賃金法の実施を通じまして、組織化が推進されることを望みます。従って組織化が推進されれば、その組織されたものと使用者との間に労使協定が結ばれますから、その労使協定の拡張適用という方法によりまして、労働者の意見は反映するわけでありますが、未組織なものについては、非常に困難でございますので、地方あるいは中央の最低賃金審議会に、一般の労働者の組織の代表者に参加を願いまして、そうしてその労働者としての立場からの御意見を反映して、それによって最低賃金実施の中に、労働者の意見をそういう方法で反映せしめたい、こういうことを考えておるのであります。
  61. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと大臣だけに関連して伺って、あとで事務的なことを……。ただいま御答弁を承わりましたが、最賃法の問題は、それでお考えとしては納得でまる。ただ、家内工業をしている場合、この場合の最低賃金というものは、相当つかみにくいだろうし、最賃審議会等に、家庭の中で働いている婦人たちの声というものは、おそらく私は反映する機会がないんじゃないかという危険性を持つわけであります。一番心配なのは、家内労働者に対して、せっかくの機関の中に、どういうふうな方法でこの声を反映させるかということを、相当御研究いただかなければならないと思う。御答弁漏れだったんですが、家内労働法は、いつごろから実施するような御計画でお進めになっているかを御答弁を願いたい。  それから今の労働協会の問題でありますが、中正性を保つことが望ましいということで、だんだんの御苦心談を今お話しになったわけであります。私どもも、もちろんこの中正性を保つということは考えられなければなりませんけれども、やはりこれは釈迦に説法ですから申し上げませんが、岸内閣の資本主義政策の中で、やはり利潤を追求するという一つの資本の性格から、労働組合が労働条件を守ろうとする場合には、どうしても意見の対立を見るのは、これは私は一つの科学の原則で、これは何もおかしいことでも何でもないと考えるのです。中正性を保つということを、政府が、これが中正だという出し方は、私は間違っているんじゃないかと思う。中正性を保つ方法というものは、資本家の意見は資本家の意見で、そのままで出したらいい。労働者の意見は労働者の意見で、なまのまま出させたらいい。それを政府の方がよけいなおせっかいをして、金を出したからという理由で、労使間の中正な意見というものが、どっちにもつかないような意見を政府の方から出していくということは、これはこの中正性を保つゆえんではないと思う。私は、国民が、資本家の意見と、そうして労働者のなまの意見というものを出して、国民自体がそこで批判するためにこそ、労働教育が必要なのであって、政府がでっち上げた労働教育というものは、初めからこれは中正性を欠くものである。従って労働大臣の言われるところの、今度のこの労働協会の活動の中に、映画、テレビ、放送、これらのものを用いて、正しい労働問題を認識させたい、こういう希望でありますが、一たんこれを誤まりますと、政府官製の中正なるものができ上ってきて、むしろここに大臣の意図されないような、不要なトラブルをむしろ起させるような結果を来たさないではない。こういう私はおそれを持つのです。従って、今回は政府が金を出しているわけでありますから、政府官製のこの中正性というものは、はなはだ危険性を持つものであるという観点から、この問題についてあなたの御所信を伺いたいということが一つございます。
  62. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 一番終りの労働協会についての御質問からお答えをいたします。第一に、私どもは、政治思想的には自由主義、それから経済政策としては、資本主義体制を支持する政党に所属をし、現内閣もそうであります。しかしながら、それはそのまま固定されたもので行くべきものであると考えておるわけではありませんで、私どもの役所では、その体制の中にあって、勤労者の生活の向上を考えていくべき立場にあるわけでありますから、私どもの経済政策が資本主義であるからというて、それだけをもってそれは直ちに使用者側の立場のみ守るものであるという断定には、私は承服いたしかねるのであります。しかしながら、百歩譲りまして、政府がそういう一定の意図を持った場合についても、この協会については中正性を保つ保障は日本労働協会法案に出しているつもりであります。政府の意図とか、政府の意見とかいうものを労働協会の意見として労働協会から出すという形がとり得ないようになっておるわけであります。私は衆議院においても答弁をいたしましたが、労働協会の個々の事象に対する意見と、政府の意見とが食い違った場合どうするか、こういう御質問に対して、食い違うこともやむを得ないということを明確にお答えいたしておりますのも、そういう建前からであります。  それからもう一つは、労働協会がやろうと思いますことは、基礎的なそうして普遍的な知識の普及でありまして、個々具体的に生ずる労使間の紛争について、そのつど第三者的意見を出そうというのではございません、これは誤解のないようにお願いいたしたいと思います。従ってむしろ労働問題というものの基礎的な知識を深めていく、それから近代的な労使関係、進んでおる先進国の実情、その他を紹介することによりまして、労使問題についての知識の向上をはかっていきたいということでございます。  それから家内労働、最低賃金法を実施いたします場合におけるそれに関連をいたしておりまする家内労働の工賃をきめる場合に、実際働いている人はどうなるか、こういう御質問でございますが、先ほど賃金賃金とおっしゃいましたが、雇われている場合には、これはやはり中小企業の中に入りまして、雇われている場合には、家内労働という範疇じゃないと思います。家内労働という場合には、やはり家族の労働でありますから、これは工賃の規制の問題になると思います。それで最低工賃を決定いたします場合におきましては、必ず最低賃金審議会の中に専門部会を設けまして、現場から現実の代表者の参加を願って決定するという方式をとるつもりでございます。  それから次は、より広範な家内労働法をいつ作るつもりか、今、明確な年限上の目標を定めていませんけれども、すみやかに調査をいたしまして、家内労働法の制定を待たなければ、最低賃金法の万全を期し得ないものと、こう考えておるわけであります。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっともう一問だけ漏らしましたので……。この労働教育の問題は、かなり重要な問題ではないかというふうに考えるのですが、今御説にあります先進国の労働状態、こういったようなものを十分知らせて、国民の正しい労働問題の認識をはかるということは、こういうことは私はけっこうだと思います。  ただ、ここで注文しなければならぬことは、ややもすれば完成された労働組合のあり方というものだけを出して、これに対比して日本の労働組合のあり方は逸脱しているじゃないかという、そういうような認定の方式を、私は持つということは誤まりではないかと思う。たとえばイギリスの労働組合は、今日かなりやはり大きな激しいストライキもやりますが、ときには労使の協調というものが非常に円滑にいく場合もある。フランスは今日なおもって激しいストライキをもって、しばしば賃金闘争をやっているようでありますが、イギリスのような場合には、長い労働組合の戦いの上に築かれた労使の慣行であって、それを模範的なものなりと示して、日本の労働組合をこれを基準にして批判するというやり方を指導するというようなあり方については、これはよほど研究しなければならぬ。その国の労働運動の歴史というものが、むしろ私は労働教育の認識の中に大切な背景として取り入れられなければならないというふうに考えるのでありますが、この点について労働大臣の考えいかん。  もう一つ、今日義務教育の中でも社会科が行われております。社会科の中でも、労働問題が取り扱われております。しかし、最近の教科書等の傾向を見ると、労働問題の正しい認識を深めるというような行き方よりは、むしろ、これを押えていきたいというような文部省側の意向も若干見られる、こういう傾向が見られる。すなわち、政府側では莫大な予算を投じて正しい労働問題の認識に当ろうと思うのに、教育の面における社会科等の労働問題を取り扱う教育の場面には、かなり制肘の手が伸びている。これでは正しい労働教育というもののあり方というものが一貫されていない、岸内閣として。従って、労働大臣が正しい労働教育の認識のために努力するのだということであれば、当然文部省側あたりでもこれは連絡をお持ちになって、ほんとうの意味での基礎的な労働教育というものが、制約なしにやられるように私は協力してもらいたい。御承知のように今日の教育委員会は任命制になって、あなたの与党の方々がこの席を過分に占めている。しかも、彼らは非常な老齢に達している。労働運動なんというものは全然知らない、労働問題を知らない。こういうような連中が教室における労働教育に制肘を加え、正しい労働問題の認識を押えつけるやり方なんというものは、これは私は許せないことだと思う。ほんとうに労働大臣が正しい意味での労働教育を、労働問題の認識を国民に知らせたいとするならば、当然こうした方面にもあなたの御協力というものが、払われてしかるべきではないかと思うのです。これらの問題についての御所見を承わりたい。
  64. 石田博英

    国務大臣石田博英君) やはりものの認識というものは、あるいは知識というものは、その歴史的経過の中から、いろいろやられなければならないと思いますから、歴史的経過というものを無視した教育というものはないと思います。従って労働協会が行います活動の場合におきまして、各国の実情を紹介するに当りましても、やはりその歴史的経過というようなものを基礎に置いたものでなければならぬことは、これは御指摘の通りでございます。  もう一つは、各国先進国のあり方を示して、わが国の現状の組合なり何なりを否定するというやり方よりは、私はむしろ先進国の実情というものを示すことによって、その歴史的な経過を、先進国以上に短かくすることであります。それがやはり私は正しい労働教育じゃないか。イギリスにおいて五百年たってできたものが、わが国も五百年かからなければならぬというのでは困るのであって、先進国の実情と経験とを示すことによって、その五百年は百年なり五十年に縮められる効果を、教育に期待すべきものだと私は考えているのであります。しかし、とあれかくあれ、労働協会は全く別個の政府の第三者の人格として運営してもらうことを希望するのでありまして、こういうことについての私の意見を言うこと自身も、これは行き過ぎだと私は考えておるわけであります。  それから文部省の関係、教科書の問題等については、私は知っておりません。よく詳しく存じませんが、しかし年配者の中に、労働問題についての知識が非常に乏しいといいますか、むしろ、感情的反発しか感じない人がたくさんいるという事実は、それは率直に認めます。そういう事実を直すために、やはり労働協会の役割に期待をする、こういうふうに考えております。
  65. 剱木亨弘

    ○副主査(剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  66. 剱木亨弘

    ○副主査(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
  67. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 先ほどの御質問の中で、労政局関係の労働情報収集について、昨年度に比べて四十三万円増額になっておるのであるが、それはどういう条件において増額になっておるかという御質問でございますが、最近の労働運動というもの、またさらに、労働争議というもは、全国的な規模で行なわれて参っておるわけでございます。従いまして中央におきまして、いろいろな判断をし、われわれが行政の推進をいたしますにつきましては、そのつど的確に地方の情勢を把握しなければならないのでございます。しかるに、労政局という組織は地方に直轄の組織を持っていないのでございます。労働基準局でございますと、直轄の機構を持っておりまするし、あるいは職業安定局でございましても、県の中に国家公務員によって構成されておりまする下部機構を持っております。ところが、労政局の仕事は、本省は国家公務員でございまするが、地方庁に参りますると労働部の中の労政課というものは地方公務員でございまして、その身分から、その業務からすべて知事の指揮、監督を受ける建前になっておるわけでございます。従いましてそういう面で、われわれが今申しますように、全国的な規模における労働運動あるいは労働争議につきましての的確な情報を集めよう、また、それに基く判断をするということにつきましては、何らかのそのつながりが必要である。人事権を持ちませんだけに、せめて予算面のつながりということを、われわれとして考えざるを得ないのでございます。従いまして情報収集費のおもなものは、地方庁に対しますそういう調査の委託費が主体になっておるのでございます。そのほか、地方で行いまする各産業別の組合の大会、こういう行事に出席をいたしまして、その状況を把握する、あるいは各地方別にいろいろなこまかい労働争議が起りました場合に、現地に参りまして、これらの争議の実態内容を調査するというふうな経費、こういうものがこの中に入りまするし、さらにまた、地方庁からとりまするいろいろなそういう地方の動きの情報、あるいは中央におきまして把握しまする情報を毎週印刷物にいたしまして資料として出しております。それが月報とし、またさらに四半期報としまして、中央、地方の情報——県庁と労働省との情報の交換、こういうふうな資料がある。さらに、それが産業別に大きな問題になりますると、産業別のそういう調査の資料というふうなものを発行いたします。それは労働教育というよりも、労働行政を推進するために必要な資料としまして、中央と地方とのつながりのための資料でございます。まあ、こういうものが主たるものでございまして、本年度ふえました予算は、主としてこの情報の資料の発行費においてふえておるわけでございます。そのほかの面は、むしろ前年度よりも若干減っておりますが、大体前年通りというふうになっておるわけでございます。
  68. 市川房枝

    ○市川房枝君 事務当局の方からでけっこうですが、婦人少年局の海外会議に出席の費用として、ここ数年来毎年七十万円計上されてきたはずなんですが、三十三年度にはそれが入ってないやに聞くんですけれども、その事実を伺わしていただきたいと思います。
  69. 松永正男

    政府委員(松永正男君) ただいまの市川先生の御質問でございますが、昭和三十二年度におきましては、当初計画といたしまして、第十二回の国連婦人地位委員会の出席旅費が七十万円組んであります。外国旅費は全体といたしまして一千三百七十七万五千円でございまして、その中に七十万円組んでおったわけでございますが、外国旅費の主たる使途といたしましては、ILOの総会並びに委員会の出席旅費及びアジア地域議会等の出席旅費、並びにこの国連婦人地位委員会の出席の旅費でございます。三十三年度におきましても、総額一千三百四十九万一千円でございまして、ILOの総会及び各種委員会並びに第十三回の国連婦人地位委員会の出席旅費が二十万七千円でございます。合計いたしまして一千三百四十九万一千円でございます。
  70. 市川房枝

    ○市川房枝君 どうしてそれは少くなったわけなんでしょうか。
  71. 松永正男

    政府委員(松永正男君) 昭和三十二年度におきましても、当初の予定といたしましては、国連婦人地位委員会との関係が明確でございませんでしたので、費用負担の区分が明確でございませんでしたので、運賃並びに滞在費を全部予定としては組んだわけでございます。その後費用負担の区分が明確になりまして、運賃につきましては国連の方で負担するということになりましたので、実行計画におきましては滞在費だけを支出をいたしまして、その他の七十万円との差額につきましてはILO関係委員会の予定が当初とは変って参りましたので、新たに入って参りました委員会の出席旅費の方に充当いたしたわでございます。その費用負担の区分が明確になりましたので、三十三年度におきましては、労働省の負担といたしまして、婦人地位委員会の出席旅費は滞在費のみを計上いたしましたという次第でございます。
  72. 市川房枝

    ○市川房枝君 労働省婦人少年局の方は費用は幾らかふえておりますし、それから大臣はしきりにふやしたふやしたと、漸増だ、そうおっしゃっておりますけれども、婦人少年局の予算でなくて、そのほかの費目の中での婦人少年局の関係予算が、いつの間にやら削られておる。今の御説明は、ちょっと納得いたしかねるが、これは大臣がお帰りになりましたら、その問題についてさらに伺いたいと思います。
  73. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 先ほど高田委員の御質問にありました家内労働の実態調査をどのような計画でやるか、こういう御質問でございますが、これにつきましては、今後最低賃金審議会等の御意見も十分に聞きまして、さらに具体的なものを作るつもりでございますが、目下のところ、一応このように考えております。すなわち、各県における主要な家内労働につきまして、大体各県平均五業種ずつにつきまして調査を実施したい。その内容につきましては、紡織関係、衣服、身回り品関係、製材、木製品関係、家具関係、紙及び類似品関係、印刷出版関係、皮革及び皮革製品関係、その他主要なものにつきまして、各県大体五業種平均の予定で調査をなるべくすみやかに三十三年度中に実施したい、かように考えておる次第でございます。
  74. 高田なほ子

    高田なほ子君 五業種というのは、今あげられたのは五業種よりももっと広範なものですが、各県の地域の産業の特殊性に基いて選ぶわけですか。
  75. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 説明資料の方が、あるいは不十分かと思いますが、五業種と書いてございますのは、各県平均五業種という意味でございます。それぞれ各県によりまして業種は違うと存じております。
  76. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、おもちゃのような内職は、大へんこれは多いんですが、それは何業種に当りますか。
  77. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) これはただいま申し上げました中には入りませんか、その他の製造業という中に入ります。玩具につきましても重要と思いますので、これはぜひ調査いたしたいと存じております。
  78. 藤原道子

    ○藤原道子君 労働大臣が来るまで私の方で待っていられなくなったんで、ちょっとお伺いしたい。最近実は看護婦さんたちの労働問題がいろいろ問題になっているのです。むろん、労働省の所管では十分この基準が守られていることと思うのでございますが、産前産後の休暇等についてどういうふうになっているか。つまり、看護婦さんは定員で大体縛られておりますので、妊娠いたしましたときの休養が取りにくい状態です。ところが、こうした場合に、妊娠した者はやめてくれというような慫慂が各地で行われている。また、新規雇い入れの場合に、結婚したら退職するというようなことを条件で雇い入れているというようなところもあると聞いておりますが、労働省ではどういう扱いをしておいでになるか、さらに、看護婦さんが出産等において休んだ場合の代替要員はどういうふうにして扱っておるか、この点お伺いいたします。
  79. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 労災病院の従業員の労働条件につきましては、これは以前労災協会で運営しておりましたのを、労働福祉事業団に切りかえたわけでございます。その際におきまして、看護婦等の労働条件につきましても、就業規則を作成したわけでございまするが、その就業規則の内容につきましては、これは申すまでもなく労働基準法の線に合った就業規則を作成してもらったわけでございます。その線から申しますれば、当然産前産後の休暇、その他労働基準法の規定に沿った労務管理がなされておると信じます。ただ、その実情につきましては、労働福祉事業団につきましては、官房に監理官室を置きまして、その事業団の業務の運営等につきましても、監理をしているわけでございますが、もし、お話しのような事実がありましたならば調査いたしまして、法律違反の事実については是正を求めたいと考えております。
  80. 藤原道子

    ○藤原道子君 きょう突然質問して詳細なことが伺えるとは思いませんが、至急に御調査になって資材を出してほしいのです。看護婦の通勤を拒否しているところもあるやに聞くのでございますが、それは人権じゅうりんだと思うのです。このごろ看護婦の教育が非常に高くなっておりますから、高等学校卒業してさらに三年の教育を受けますと相当年配になる。それでよき看護力が、そうした一方的なことによって失なわれるということは、非常に大きな損だと思うのです。そういう意味で、労働省所管の病院で看護婦がどういう待遇を受けておるかというような資料ですね。それから非常に少い定員に縛られているのですよ、看護婦は。最近の調査によりますと、医療に従事する看護婦さんとか保健婦さん、こういう人に異常産が多いのですね。医療に従事している人たちが、自分の出産に対しては十分守られない。こういう不幸な出来事がたくさんございますので、至急に調査なさいまして資料を御提出願いたい。それから少い定員に縛られているのに、お産で、産前産後で休むでしょう。そうすると、あとの同僚に負担がかかるのですね。従って、そのときの代替はどういうふうにしてまかなっておいでになるか、要員を雇っておいでになるかどうかというようなことをあわせてお伺いしたい。
  81. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 調査いたしまして、後ほど資料を提出いたしたいと思います。
  82. 高田なほ子

    高田なほ子君 今のに関連しての問題で、これはまだ調査なされていないような御答弁だったのですが、国立施設に勤務する看護婦のこの身分は国家公務員、この場合に最低十二週間の休養期間を取るとすれば、当然これに対しては補助要員を置かなければならないと私は思うのです。そうすれば、これは予算上の問題として相当これは考慮しなければならない問題ですが、この問題の研究はできているのか。もう一点は、今保健婦、助産婦の問題が出ましたが、保健婦、助産婦もこれは市設に勤務する者は身分としては地方公務員です。この場合、地方公務員の場合には、三分の二が地方負担で三分の一は国庫負担、こういうことになると、完全なる産休を取るとすれば、やはり補助要員を置かなければならない。この場合における国の負担並びに地方の財政的な負担というものが、かなり考慮されなければ、この本質的な問題の解決はないのです。従いまして地方財政計画の中に、当然そういう調査をもとにした財源的な措置というものが組まれなければならないのですが、労働省としてこういう問題について本格的な研究がされているのか。また、今申し上げた予算措置等については、どんなふうに考えているのか。幸いにこれは労働大臣が今お見えになったところですから、またフェミニストの労働大臣にこの問題を一つお伺いしたい、関連質問です。
  83. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いや、今来たばかりでわからぬから、この次の質問からお答えいたします。
  84. 高田なほ子

    高田なほ子君 だんだんわかられるでしょう。お答えいただきたい。
  85. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 労災病院の従業員につきましては、ただいまの労働基準法の線に沿いました労務管理がなされますよう、また、医療法の線に沿いました基準が確保されますように、所要交付金を組むことにしてございます。なお、その他厚生省関係、あるいは国立、あるいは地方の公営の病院の看護婦の問題につきましては、われわれの方といたしましては、これはもとより労働基準法の線が確保されるように、随時監督は行なっておりまするし、また、その線に沿った労務管理が行われますよう、所要財源措置が講ぜられるように、関係の各省に連絡をとっております。
  86. 高田なほ子

    高田なほ子君 それは奇怪なことを伺うのですね。実態の調査がされないのにどうして所要のその予算財源的な措置がされるのか、これは奇怪なことです。労務管理だけの問題では、これは解決がつかないのです。これは私ども文教委員会では婦人教師の問題で立法措置をしましたが、立法措置をしても、なおかつ財源的な措置をサボっているのが、今の政府のやり方なんです。これはよほど婦人保護の問題については本腰を入れませんと、労務管理とか、一片の通牒だけでは問題が解決しないのです。従いまして、特に労働大臣がお見えになりましたから、今質問しているのは、この看護婦並びに保健婦、そうして助産婦等の産休期間というものが、労働基準法に示されている最低十二週間が確保されるように、適正な要員を配置すべきであるという質問に対して、財源措置がされていると、こう言うのです。私はこの財源措置なんか、いいかげんにされているのだろうと思う。どうですか。
  87. 藤原道子

    ○藤原道子君 石田さん、労働省の所管であるから、十分私は手当ができておるだろうと思ったのですが、まだよくわからないのです。今大きな問題になっておりますのは、この医療法の規定のもとに働いている医療従事者——看護婦、保健婦、助産婦さんたちが、産前産後の休暇が十分に取れていないのです。これらの人の出産に異常産というような不幸なできごとが、他に比べて多いのでございます。それでまあ、今厚生省関係の問題といろいろ折衝しているのでございますが、私が今質問しましたのは、労働省であるからさぞ十分な休養が与えられているだろうと思って、まあ念のために御質問いたしましたが、よくわからない。まあ、よく調査して御答弁いただくということになったんですけれども、どうも医療法の定員が非常に少いんです、看護婦は。大体において、患者四人に対して看護婦が一人。結核の場合には患者が六人に対して看護婦が一人というふうになっている。ところが、外国へ行って見ますと、常時、患者四人に対して看護婦が一人いる。日本の場合は、患者四人に対して一人というのは、これはもう全部を通じてなんです。夜、病院へ行ってみますと、八十床ぐらいの病棟で、たった一人の看護婦が見ている、こういう実情にある。そういう所で産前産後の休暇をとりますと、代替要員というものが措置されていないものでございますから、ほかの同僚の上に負担がかかってくる。いやな顔をする。そうすると、雇い入れる側は、施設側は、雇い入れるときに、結婚したならばやめることとか、通勤者は二五%にきめるとかいうような、締め出しするようなやり方がなされておるんです。大臣も御案内のように、高等学校を卒業してから看護学校へ参ります。相当な教養を受けますから、年令も高くなってくる。結婚することは当りまえでございますね。それを拒否するならば、患者にとっても非常な不幸だと思う。優秀な看護力を失うことになる。と同時に、人権じゅうりんだと思う。そういう点について、どういう措置がなされておるか。今後、大臣として、もし予算措置がなされていなかったならば、十分これに対しておやりになる御決意を持っていただきたいのでございますが、大臣の御所信を伺いたい、こういう質問です。
  88. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただいま御指摘のような事柄については、それぞれ適当な処置を講じているつもりでございますけれども、もしも、そういう具体的な点につきまして不十分な事態が生じましたならば、労働基準法をお預りしておる労働省からいいましても、当然適切な処置を新たに講じなきゃならぬ問題と考えておるわけでございます。
  89. 藤原道子

    ○藤原道子君 そのお言葉は、つまり、休養をとった人の場合には、必ず仕事は支障のないように、他の同僚に迷惑がかからないように代替をお雇い入れなさるという意味と解してよろしゅうございますね。
  90. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 労働福祉事業団等で管理をいたしておりまする病院その他については、基準法に沿って就業規則を作って、それを守らしておるわけでございますが、個々の事例につきまして、ただいま御指摘のようなことが、全部にわたって全然ないというようなことは言えないかと存じます。そこで、そういう点につきましては、基準法をお預りしておりまする私どもの役所といたしましては、万全の処置を講ずべきであり、不十分な点がございましたならば、是正する措置をとるにやぶさかではないということを申し上げておるわけでございます。
  91. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して。今の大臣の御答弁とうらはらのように、あなた、先ほど御答弁になったでしょう。地方財政計画の中に入っているんだ、予算措置もされているんだ、こう言う。そうすると、重ねて伺いますが、看護婦の産前産後の休養十二週間の場合に、当然補助要員というものの予算が組まれていると、こう言うわけですが、何人その予算が組まれているか、積算の基礎を、保健婦と助産婦とそれから看護婦と、この三種類、明確に、一つ数字的に発表して下さい。
  92. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) ただいま申し上げましたように、労災病院の関係につきましては、基準法の規定に沿いました就業規則を作成いたさせまして、それに基きまして労務管理を行なっておるわけでございますが、定員の問題につきましては、ただいまは手元に資料はございませんけれども、たとえば、看護婦につきましては、昨年の七月について見まするときに千八十七名、十月には千百五十七名、本年一月には千三百十二名というように、医療法の線に沿いました定員は確保するようにしてあるわけでございます。ただし、実際の労務管理につきまして、ただいま御指摘のように、たとえば、出産等の際に、基準法の線に沿った休暇も請求してもとられないというようなことがあるというお話でございましたが、この点は、まだわれわれもつまびらかにしておりませんので、さっそく調査いたしまして、違反の事実があれば十分に是正させるつもりでございます。
  93. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと、私の質問の要点が違ったのでそんなふうにお答えになっていらっしゃる。よろしゅうございますか。今、あなた御答弁になったのは、これは予算定員、これはいいんですよ。その定員を確保し、また、就業規則を作って基準法の実施のために万全を期すと、これは答弁としていいんです。私の質問は、そうじゃないんです。ここに十名の定員が確保されている施設があったとする。この中の一人がお産になった。これが休む場合に、自動的に九名になるわけでしょう。そうすると、その九名の者が労働を分け合わなきゃならないから、今言うように八十のベッドを一人で回るということになるから、当然産休の場合には代替要員をここに配置すべきである。その代替要員は、これは看護婦の場合には、言うところの国家公務員としての予算を組まれるべきである。そういう予算措置がされているのかと言ったら、あなたがされていると言う。ですから、この代替要員の問題についてどうなっているかと。予算上の問題なんです。
  94. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) ただいま私の申し上げましたのは、労働福祉事業団の経営するすなわち労働省関係の労災病院の看護婦について申し上げたわけでございます。ただいま高田委員の御質問にございまするのは、おそらく厚生省関係の国立病院あるいは府県営の地方病院、これについての御質問であろうかと思うわけでございます。これにつきましては、われわれの方といたしましては、労働基準法の線に沿いまして監督は実施するわけでございまするが、その予算措置につきましては、私も今のところ、ちょっと資料を持っておりませんので、所管省と連絡いたしました上で、必要な資料は御提出いたしますように措置いたします。
  95. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣、おわかりになりましたか、私の質問趣旨が。
  96. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 福祉事業団で経営しておる労災病院の定員の中に、今の出産その他によって生ずる欠員の代替員のことを見込んでおるかどうかという御質問でございます。(「そうそう」と呼ぶ者あり)それは、見込んであるそうでございます。
  97. 高田なほ子

    高田なほ子君 ほんと……。(笑声)
  98. 藤原道子

    ○藤原道子君 基準局長は、高田さんの御質問を、厚生省関係でしょうとおっしゃったけれども、われわれは、厚生省はちゃんと質問済みなんです。厚生省の予算措置も私は承知している。不十分だから、今厚生省は責めております。私たちがきょう聞いているのは、労働省関係のを聞いている。それで、予算措置が講ぜられていると言うけれども、確かに看護婦が休んだとき代替を入れておりますか。そこまではっきり答弁できますか。(「大臣、入れてないですよ、おっしゃるけれども」と呼ぶ者あり)
  99. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 予算措置としては入れてございますが、実際にそれが労務管理をやっております際に、入れておりますかどうか、この点につきましては、調査いたしまして資料を御提出いたします。(「よろめき答弁だめじゃないか」と呼ぶ者あり)
  100. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 予算措置は講じてございますけれども、それにもかかわらず御指摘のような事態が、これはさきほどもお答えしておる通り、全然ないと言い切れるわけのものでございませんから、そういうことにつきましては、調査をいたしまして、そういう御指摘のような事実がございましたならば、適法に処理をいたします。
  101. 藤原道子

    ○藤原道子君 資料として下さい。    〔矢嶋三義君発言の許可を求む〕
  102. 剱木亨弘

    ○副主査(剱木亨弘君) 関連でございませんでしたら、ちょっと矢嶋君にお諮りいたしますが、高良さんが先に通告されておりますので、高良さんに……。
  103. 高良とみ

    高良とみ君 今の関連もあるのです。今の各種の病院に勤務しております者の代替の看護婦、助産婦、保健婦を入れようと思っても、十分な人が養成してない。それですから、予算措置がある所があっても、労働省関係予算を取ってあるかもしれませんけれども、大部分の大学病院その他においても、そういうことはしてない。そこで、その点を私どもは今労働基準局に御希望申しておきたいことは、何だか自分の関係の省だけはまあ目を通すけれども、全国で、労働基準法がいかに守られていないかということについては、十分御存じだと思うのであります。そして石田大臣は、この点についてはお若いのだし、労働観念もほかの古い閣僚よりも進んだ考えを持っていらっしゃるとわれわれは期待しているのですが、労働基準局が弱過ぎて、いずれ、そういうことを見つけたら、そこへ勧告をいたしましょうなんてやっているから、今の労働組合の組織もできないし、今の看護婦が十人や十五人の所でもって団体交渉なんていうものは、なかなかできるものでない、従って、労働基準というものは守られておらない所があまりに多過ぎる。その点については、特にどこまでなさるおつもりか、一つ大臣に伺いたい。労働基準局というものは、その存在の価値が、労働省関係では多少仕事ができるけれども、ほかの省については、あるいは未組織の労働者については、まだまだ手が伸びないというのは、基準局が弱いからか、あるいは予算が少な過ぎるか、どういうわけでしょう。
  104. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 一般的に、労働基準法につきましてはいろいろ議論がございます。今特に病院の問題を取り上げておいででございますが、他の製造工業その他につきましても、わが国の経済界の実情から比べると、進み過ぎているという議論もあるわけでありまして、しかし私は、労働基準局その他についての指導の方針は、部分的に生ずるギャップ、あるいは生じておるギャップのゆえをもって、基準法を後退せしむべきものでないと私は第一に考えております。従って、現行の労働基準法というものは、これが保障しておりまする最低基準に、全国の労働者あるいは雇用者が一日も早くたどりつくように努力をすべきものだと考えておるわけであります。しかし、そのギャップを埋めるためには摘発とか、あるいは罪人をことさら作るということよりは、むしろ指導、啓蒙によってそのギャップを埋めていくベき態度をとるべきものだと考えておりますが、しかし、それでも度しがたきものに対しては、やはり法の命ずるところに従って、峻厳にやるべきものだと考えております。そういう方針でございますので、部分的には、あるいは緩急の度合の違いが生じたり、あるいは消極的に流れたりする点もあるかと存じます。そういう点は特に御指摘のような事案に対しましては、今後積極的な指導、啓蒙、改善の措置を講じていくつもりでござります。
  105. 高良とみ

    高良とみ君 と申しますのは、一面には、最低賃金法をお出しになって、ILOの条約を批准しようとしておられるのですが、その内容が、御存じの通りあまりに日本労働条件は、男女を問わずひどい、その点から申しまして、大臣が今消極的だとおっしゃいましたが、そうすると二、三伺いたいのですが、一体、労働省の労働基準局というものは、教育機関なんですか、指導機関なんですか、行政機関なんですか、どういう任務を持っておられるのですか、大へん原始的なお話でありますが。
  106. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは行政機関でございます。基準法の遵守を行わしむべき機関であります。しかしながら、その遵守を具体的に実情に合せて行わしめまするための措置として、啓蒙も指導もやはり相伴って行わなければならないと考えておるわけでございます。
  107. 高良とみ

    高良とみ君 すると、行政指導を多分になさる御意思のあることと了承いたしますが、それでILOの批准をいつごろになさるおつもりでありましょうか。それが一点。  そして、内容をそろえるために、最低賃金法もお考えなんだろうと思います。そうすると、内容が整ってきて、世界的に、ILOのそれぞれの——国際連合の機関でありますが、内容を見ましても、これならよろしいと大体言えるようなお見積りはどんなふうに立つでしょう。  それと、もう一つ伺いたいのは、世界各国でILOの基準まで達しない国はたくさんございますけれども、その中では、日本としてはどのくらいの地位にあるか、日本の労働状態というものはどのくらいの地位にあるか、その三点について伺います。
  108. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ILOの条約、決議等につきましては、ただいま最低賃金に関するものについては、最低賃金法の成立を待って批准手続をとりたいと思っているわけであります。他の条約は百幾つかのうちで、わが国がすでに批准を終りましたものは二十四であります。それを差し引きました残りで、わが国に関係のあるものは約五十件ほどございます。植民地の問題とか、その他すでに整理されたものは取り除きまして、その五十件につきましては、適切な機関を設けまして、わが国の法制その他と調整をはかって、順次すみやかに批准を行なっていきたいと思っております。しかしながら、その中には、法律の立て方によりまして、内容はいずれが進んでおるともいえないのでありますが、法律の立て方によりまして、ILOの決議をそのまま批准できないものもございます。それからわが国の国内法との関連があって、にわかに批准できないものもございます。そういうものにつきましては、適宜調整の措置を講じて参りたい。しかしながら、法律の立て方によって違うものにつきましては、わが国の実情ということもございますから、その実情を尊重するつもりでございます。ILOの決議というものは、あるいはその憲章は、その精神は尊重いたしますけれども、ILOの憲章それ自体の中にも、各国の自主性を妨げておりませんし、そういう日本政府の自主性を保ちつつ、国際的水準に近づくことを特に私は努力して参りたいと思っておるわけであります。  それでは、ILOの条約批准が、世界各国と比べてどういう割合になっておるか。これは内容によってもいろいろ違うと思います。条約の批准された数だけでもって律するわけには参らないと思いますが、しかし、批准といえば、やはり数で申すよりしようがないわけでありますが世界加盟各国の批准しておる平均数は二十二件でありまして、わが国は二十四件でございます。
  109. 高良とみ

    高良とみ君 そうすると、種々な問題があるのですが、現に労働基準法とそれから職安法が国内でもってなかなか実施せられておらない。たとえば末端に現われる現象をつかまえて恐縮でありますが、職安法はまだ行き渡らないからですか、とにかく民間のたとえばタクシー運転手の職業安定なんというものは、民間でいろいろと組織ができておる、これがたくさん行われる、何年も行われた後に、職安の方では、これは職安法違反であるからそう通牒をお出しになると思うのですが、これに対しても、これは処罰する、摘発するとまでは言われますけれども、そこまでいかないというのは、職業安定局の仕事職業安定法そういうものが非常に半ば教育的であり、半ば行政指導的であって、弱いからなんですか。
  110. 石田博英

    国務大臣石田博英君) もうすでに法律が実施されて十年くらいたっておりますから、今までの日本の慣習とかいうことだけでは説明がつかないのじゃないか。今後は、もっと厳格に職安法の精神というものが守られていいのじゃないかと私は思います。私は、法律が弱いと申しますよりは、むしろ昔からそういう職種がありましたから、人入れ業とか何とかいうものかございましたから、そういうもののうまみというものが残っておって、法網をくぐろうという行為が絶えない。私は、むしろそういうことについては、積極的な摘発の方針をとっていくことによって是正をはかって参りたい、こう思っておるわけでございます。それから労働基準法についても、先ほどからたびたび申し上げましたが、一、二の例をあげますと、たとえば商店の週休制の実施、一齊休業あるいは、これは両方相関連いたしますが、青少年の就職についても集団就職のあっせんを行いまして、労働条件等の統一整備等にも行政指導をやって、だんだんと成果をおさめておるようなわけであります。でき得る限り今後とも積極的な行政指導を行うことによりまして、効果をあげて参りたいと思います。
  111. 高良とみ

    高良とみ君 それから今度はこの基準法でありますが、たとえば二十八条ですか、二十九条、その辺に、必要と認めるときは最低賃金政府は定めることができると書いてある。決定することができる。今度の最低賃金法とここにうらはらの法律がすでにあるわけです。それから地方と中央の最低賃金の審議会というものがある。いろいろな段階がいろいろあるのに、それが働かないでいて、死文になっていて、そうして現状におきましては、実際の例からいいまして、これは中小企業の家庭の労働者はもちろん、それと同じようなものが公けのちまたに走っておる、私ども運輸委員から見ると、タクシーの運転手諸君のごときも、ここ何十年の間、最低三千円くらいな固定給であって、現実には一日に十万円も二十万円も上げておる、こういう現状に対して、こういう機関にかけて、あるいは日本にこの労働省がなきがごとき姿で、三月十何日かに、労働大臣は、奇怪不可思議なる賃金体制であると言われましたが、全くその通り。その刺激給とやら称して、これでむちでたたくがごとく、あるいはトップ賞であるとか、あるいは下車勤であるとか、妙な組織が日本のちまたにおいて公然と行われておる。これについては、警察も運輸省も手をあげておって、長年何らなすところがない。で、私どもいろいろ個別に尋ねていきますと、あにはからんや労働基準法も労働基準局もあり、法律もある、委員会もある、いかに法律をお作りになっても、死文になっておるのでは、一般国民大衆は、その結果をみんな頭の上にかぶってくるわけです。これについても大臣お考えがおありになるだろうと思うのですが、摘発できますか、どういう方法でいきますか。
  112. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただいまのタクシー運転手の労働条件の問題でありますが、これは、実は私も就任早々基準局長に調査を命じておった事項の一つであります。ところが、現在の条件は、法律の上から参りますと、何ともどうも必ずしも不当だとは断定できないのでありまして、しかし、断定できないからといって、あの労働条件が適正なものだとはいうわけには参りませんので、今、内閣に設けております対策協議会におきまして研究をいたして、結論はもうすでに近く出ることになっております。それは、一定の雇用条件というものを定めまして、その雇用条件に反して、あるいは雇用条件を無視した労務管理を行なっている所に対しては、道路運送法の規定によりまして、営業の認可許可を取り消すというような、法をもって適正な雇用条件、労務管理を守らしめたい、まあこう思っておるわけでございます。
  113. 高良とみ

    高良とみ君 ところが、これは世論がやかましくなり、私どもの運輸委員会において長いこと騒いできて、そうして初めて内閣にこういう交通事故の委員会が、何年だったか、もう五年くらいなって、しかも、それが何ら結果を出さないというのは、各省の間の連絡が悪いのと、それから法を生かして用いるという親切な行政指導が足りなかったからだと思うのであります。今後は、内閣のこの委員会というのはいつまであるかわかりませんけれども、こういうことは、国民が注意して、やかましく言って、初めてできるのでございましょう。しかし、たとえば八時間労働についても、長年のこういう道路交通の従業者は、タクシー、トラックの従業者もですよ、多くの事故を起す。そうして最近のように二十四時間働いて街頭で死ぬというような状態があっても、なかなか八時間労働が行われない。これに対しても、これは今大臣のお答えの通りそれは自由契約である。雇用条件及び労働時間については、自由に契約したものだから、これに対して労働基準局は何ら言う権利がないとおっしゃれば、今後最低賃金法ができましても、四つの一つの柱であるところの自由契約である、この不当な自由契約のもとに、婦人労働者、あるいは家内工業の低工賃その他が、同じ形で依然として残るのではないかということを心配するのです。いかがですか、これは自由契約だとお逃げになるのですか。
  114. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 最低賃金法が実施されて、その適用を受ける場合に、その適用を守らないことが自由契約だというわけにはいかないと思います。これはやはり法律違反でありますから、法の規定に従って処罰されます。タクシー業種というものは、法のワク内における自由契約なんです。非常に不合理で、不当で、不公正であるとは思います。思いますけれども、一応法のワク内の自由契約であるわけであります。法のワクの中の自由契約と、法を初めから破った自由契約とはまた別でありまして、最低賃金法が実施され、その適用を受けた業種におきまして、最低賃金が守られない場合には、罰則によって処罰されるわけであります。
  115. 高良とみ

    高良とみ君 すでに最低賃金の要求はもう労働基準法にうたってあるのでありますから、どうかその法を十分に生かして、今後できるものが屋上屋を架しても、実行されないということのないように希望しておきます。  最後に、婦人労務者でありますが、これはまあ同志の方々からいろいろ御要望もありましたが、婦人職業戦線に出るということは、多くの犠牲を払っている。それのみでなく、高田さんはフェミニストと言われましたが、若い人でないと、この婦人の労働を保護していこうとか、これの社会的意義というものは、なかなかわからない。その点からいうと、まことに恐縮でありますが、われわれは長年石橋さんなどと一緒に、婦人の啓発のために尽してきたのであります。石橋さんの七人の同志の一人である石田さんが、こういう方が今度労働大臣になられたときは、期待していたのでありますが、どうぞ思い切って、婦人の画期的な売春禁止の法律が通りましたときに、この日本婦人実情がよくなるために先ほど修正なすったとおっしゃいましたが、予備費もだいぶ厚生省にあると思いますが、一つ婦人を泣かしめないような方法を、あるいは奴隷状態から救い出す方法に対して、特別な御配慮をいただかないと、過半数の有権者であるところの婦人たちは、黙っておりますけれども、なかなか腹の底はおさまらないものがあるということを申し上げて、一つ大臣、予備費でも使って転落の婦人、女性を助けるという御意思があるかどうか伺いたい。
  116. 石田博英

    国務大臣石田博英君) どうも強制的にフェミニストにされて、はなはだ恐縮でありますが、御期待に沿うように努力いたして参りたいと思っております。他省の予備費の問題は、私の関与するところではございませんけれども、しかしながら、私どもの所管の事項につきましては、あとう限りの努力をするつもりであります。
  117. 高良とみ

    高良とみ君 なお、売春禁止の国際条約がもう控えておりまして、これはもう長年婦人少年局のみでなく、圧力がかかっているわけです。こういう日本婦人実情がこうであるということは、東南アジアの諸国からも、常にわれわれは警戒を与えられているのでありますから、どうかアジアにも世界にも最もおくれているこの婦人状況を、一つお考え願うことを希望いたしまして、    〔副主査退席、主査着席〕 簡単ですが、私の質問を終ります。
  118. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 主査のお気持はわかりますので、簡単にやります。若干お伺いいたします。私は、率直に申しまして、現在のわが国の政界において、最もたくましく力強い政治家の一人だと、労働大臣を失礼ながら評価いたしているわけであります。しかし、よきにつけても悪しきにつけてもそうだと、私は考えているわけなんです。  まず伺いたいのは、労働大臣は、政府与党の労働行政の非常にエキスパートでしょうし、頭もよろしいわけですから、私の聞かんとするところがどこにあるかということはおわかりだと思いますから、丁寧に、なおかつ簡単明確にお答えいただきたいと思います。  まず伺いたい点は、あなたの労働行政を見ておりますと、どうも労働者には力をもって、法律をもって対処していけば、彼らはへこむのだ、こういうような、意識するとしないとにかかわらず、そういう気持が少しあるのじゃないか、あられるのじゃないか、こういう私は感じを受けるわけです。戦後のこの労働者が結成している組合を育成していくに当りましては、これは背後に権力とか国家権力というものをちらつかせてやる、いわば警告労働行政という形よりは、私は、あなたを裸になれる人だと思うのです。裸になれば、だれとでも十分話のできる性格の方だと私は思っているわけです。それで、もうちょっと裸になって、そして素朴になれば、思うほどでない単純な勤労者なんです。その労働階級と裸になって話し合って労働行政を進めていくというように、従来の警告行政というものを、少し私は方向転換された方がいいのじゃないか、かような感じを始終持っているものですが、それに対する御所見を承わりたいと思います。
  119. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、決して国家権力を背景にしたり、力をもって、法規をもって規制することを考えて労働省に参ったつもりではないのでありますが、そういうお考えをいただきますことは、身の不徳のいたすところであります。ただ、私は今まで労使の間における労働問題処理についての土俵というものを、あるいはルールというものがちゃんと規定されておるにかかわらず、明確でなかったように思う。そこで、それをまず明確こすることが必要であろう、労使双方に対して必要であろうと、私は考えたわけであります。しかし、力や法規をもって産業平和の確立を期したり、あるいは労働問題の処理ができるとは決して思っておりません。私は、一面におきましては、積極的に政府としてなすべき措置はとって参ったつもりであります。御不満ではございましょうし、また、いろいろ御議論はございましょうけれども、たとえば公労委の仲裁を完全実施するという基本方針確立もいたしたつもりであります。今までいろいろ議論がありましたが、確立をいたしたつもりであります。それから公共企業体、その他の超過勤務の支払いの問題も、今まで放置されておりましたものも処理いたしました。それから公共企業体のうちで、業績のできない企業の部門におきまする期末手当、年末手当等の支給についても、あとう限りの努力をして参ったつもりでありますし、日雇労働者諸君の賃金につきましても、米価の値上りに伴いまして、PWの変化を待たないで処置をいたしました。やはり結局労働条件向上に対する政府の積極的な援助と施策を通じなければ、労働者の協力と産業平和の確立は得られないものだ、私はこう考えておる次第でございます。今後ともそういう方針に従ってやって参りたいと思っておるわけでありまして、決して力をもってどうこうするという意思はございません。  それから労働者の代表の人たちとも実は積極的にしばしばお目にかかって御意見も伺っております。しかし、非常に不幸なことには、それを、だれと会ってどうしたということを、私の方から申し上げることは、一向差しつかえございませんけれども、日本労働運動界の実情におきましては、先方がまだまだ迷惑をされる、迷惑をされるということは、政府、使用者、労働者、三者間の相互の不信感、対立感、これが非常な状態にあるために、そういうこがあると思います。私は積極的にお目にかかって御意見を伺いつつ労働行政をやって参っておるつもりでございます。
  120. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は具体的に伺います。が、労働大臣は、日本の労働界に精通されているだけに、労相につかれて間もなく、閣議においても、あるいは総理に対しても、私的に労働行政は少くとも全労の線までくらいは近づけるだけの決意でいかなければならないというような意見を吐かれております。で、確かに日本の総評と全労とは若干のズレがあるわけですが、労働大臣としては、勤労者は一本となって、そうして健全な、りっぱな有力な労働組合となることを期待し、そういうふうに直接指導してはなりませんが、そういう念願をもって対処されることは、私は基本的なあり方ではないかと思うのですが、私、外部から見ておって、具体的にここに現われることは、大臣は総評と全労とは一本には絶対なれない、もうこれはしようがない。従って、深くくさびを一本打ち込んで、そうして全労を育成して総評を押えつけていくのだ、こういうふうに私は思い詰めておられはしないか。それで、最近政府から労働者側の代表の委員を選定する場合なども、総評をネグレクトして全労側からとっていらっしゃる場合が、具体的に申しませんが、かなりあります。総評と全労との、たとえば公務員制度調査会とか選挙制度調査会あたり、総評は入っていないが、全労の方は入っているわけですね。これは一つの例ですが、確かに色をつけていると思うのです。一体総評と全労にくさびを打ち込むというような気持かあられたのじゃ僕はいけないのじゃないかと思うのですが、これは労働者の反撃を食って、先ほどあなたがみずから認められたところの対立意識というものが深まっていく。これは私は大きくいえば、お互い日本民族の悲劇だと思う。もちろん、政府と使用者と労働者の立場は違いますから、ある程度の食い違いがあることは当然です。しかし、それは程度の問題であって、私は、あなたのたくましさと力強さというものが正しく使われた場合は、すばらしいものになると思うのですが、それがちょっと方向を誤まった場合は、非常に悲しむべき事態を招来するのじゃないか、こういう私は懸念を従来持っているのですが、総評、全労に対して、本会議でちょっと触れられましたけれども、どういうお考えであるか、これを一本にするように、くさびを入れるのじゃなくて、できれば一本になってもらいたいという気持で労働行政を進めるとともに、日本の労働組合に対して対処してもらいたい、かように私は念願をこめて伺っておるのです。
  121. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私が全労を支持して総評と対決するのだということがよく言われている。これはどこからそういう誤解が出たかということも私は実はよくわかっております。それはどういうことかと申しますと、私が労働大臣に就任いたしました直後に旅行をいたしまして、その旅行についてきた新聞記者団が私が新たにやろうと思っている労働行政の柱について、いろいろ意見を聞いてきたわけであります。そのときに、特に最低賃金法案の問題に関連をして、それは全労の出している案とほとんど同じじゃないか、こういう質問がございました。それはそうかもしれぬが、実は私の考えなんだ。私はこの程度のものは立法化したいのだ、こう言うたわけであります。それが、私が全労を支持するという言葉として誤報されたわけでありまして、私は、労働行政をやっていく場合において、労働者の立場というものが一本にまとまることができれば、これは労働行政を処理する上においてもその方が簡単であります。まあ、簡単という言葉はよくありませんが、処理しやすいわけでありまして、そういう形にいくことが、しかも、それが健全であることが望ましいことは言うまでもございません。しかし、もちろん私自身が離れているものを一つにしようとか、あるいは一つになっているものを二つにしようとかいうことを、行政の上で意識すること自体が、私は間違いであると思っておりますので、決してそういう工作もしたわけじゃございません。今御指摘の各種委員会は、これは実は全然知らない、私の所管外の委員会でありまして、労働省におきましては、そういうことは全くいたしていないつもりでございます。
  122. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間の関係上、質問を続けます。  先ほどちょっと他の委員から質疑されたんですが、はっきりしませんので伺いたいと思います。これは予算書の六百三十二ページに、「労働情報蒐集に必要な経費」として三千百六十万二千円計上されているわけですが、この三千百六十万二千円はこの明細書の目のどこに出ているのか。だいぶ調べてみたのですけれども、数字が合わないんですが、どこに入っているのかお教え願いたいと思います。
  123. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 明細書の九ページの一番下に「14」が三つ並んでございます。これに該当するわけでございます。「労働関係調査委託費」、「労働情報調査委託費」、「中小企業労働関係調査委託費」、これではないかと思います。
  124. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 目だけを教えて下さい。目の何番……。
  125. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 九ページの十四でございます。
  126. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先ほど他の委員質問に、この「情報蒐集に必要な経費」のおもなものは地方庁へという説明がなされたので、不思議だったのですが、この「14」の中の委託費の二百四十七万七千円、これは主として地方自治体に、地方庁へいかれるものではないですか。しかもこの三つを合しても二千万しかならないわけですね。あと一千一百万というものはどこへ入っているのでございますか。
  127. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 先ほども御説明申しましたように、「労働関係調査委託費」、十四日「労働情報調査委託費」と、それから現地調査費と……。
  128. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはどこですか。何ページの目何番……。
  129. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 小さく分れておりますが、六ページの「労働事情現地調査旅費」——六ページの「職員旅費」にございます。
  130. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 六ページの「8」のどこのあたりですか。
  131. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 上から十番目でございます。「主要労働組合活動状況調査旅費」、それと下の「労働事情現地調査旅費」と……。
  132. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 わかりました。大体それで数字が合うようであります。  これと関連して報償費の三百八十九万二千円はどういうふうに使っていらっしゃいますか。
  133. 澁谷直藏

    政府委員(澁谷直藏君) 労働行政は人間関係を処理する行政でございまするし、これを円滑に推進して参りますためには、報償費あるいは交際費というような経費が必要になってくるわけでございまして、労働省におきましては総額で四百三万六千円の報償費が計上されておるわけでございます。これの具体的な使途でございますが、部外者に対する報償費とか、あるいは報償物品の購入、それから会議用の諸経費というような工合に使用いたしておるわけでございます。
  134. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは他の省庁に比べて私は金額が少し多過ぎると思うんですよ。この中には大蔵大臣予算委員会説明されました高度の機密を要する云々というものが幾ら入っているのですか。入っていないのですか。大体文部省は所管事項からいってずいぶん賞状なんか出す機会があるだろうと思うんですが、報償費は一円ももらっていないんです。お宅は、労働委員会ですら十四万四千円という報償費をもらっておるんですね。全部合せると、あなたが今言った四百何がしになるわけですが、この本省関係に組まれておる三百八十九万二千円というのは、大蔵大臣説明した性格のものがどのくらい含まれておりますか。
  135. 澁谷直藏

    政府委員(澁谷直藏君) 大蔵大臣予算委員会における説明を私よく承知しておりませんが、高度の秘密という言葉がどのようなことを意味するのかわかりませんが、労働省に計上されております報償費につきましては、そういう高度な秘密というような性質のものは含まれておらないと思っております。
  136. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 本省に組まれておる交際費の百五十五万六千円もかなりな金額だと思うのです。これと労働情報収集の経費、これは内容はわかったわけなんですが、全く私の杞憂であればいいことを私は望むわけですけれども、おそらくないと思うのですけれども、要望しておきたい点は、労使間の問題が起った場合は、使用者はよく工作費というのを使って組合にくさびをぶち込んでくるのですね。これは現にあるのです。日本労働者は、かなり簡単にこれに参っておる一部の労働者もあるんです。まさか石田労政はそういうことをやってないと思うのですが、一部の労働組合の幹部をちょっと呼んでどこかで簡単に一ぱいやるというようなことも、労働組合が対立しておる場合は望ましくないと思うのです。そういうことは、やはりくさび戦術になるわけで、それを五万でも使えば相当効力があると思う。まさかやっていないと思いますが、こういう数字を見ると疑いを失礼ながらちょっと持ってくるわけで、あるかないかは答弁求めません。しかし、これは御用心いただきたいことだけ申し上げておきます。  そもそも本省で表彰状なんか出す場合は、私は副賞をつけなくていいと思います。労働大臣の賞としてりっぱな賞状、私はそれでいいと思う。品物々買うてつけて賞するというような行き方というものは私は今後やめるべきだと思う。文部省のごときは賞状も交際費の方から出しておるのです。報償費は一円も予算に組んでいない。その点報償費の組み方に、私は予算の編成方針として一貫したものがないことを遺憾とするわけですが、その点は要望にとどめておきます。  次に伺いますことは、先ほど高良委員から質疑がありました点、もうちょっと私は具体的に伺いたいと思うのです。石田労政に私は金字塔を打ち立てる意味で、条約の批准をぜひとも石田労働大臣時代に一つやり上げていただきたい。先ほど最低賃金決定制度の創設に関する条約第二十六号、これは御承知のごとく三十五カ国がもうすでに批准しておると思うのですが、今国会に出されておる法律案が通過後に批准手続をとるということなんですが、いつごろになりましょうか。
  137. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 通過後に批准手続を直ちにとるつもりでございます。通過の期日の見込みは立ちませんから、御協力いただきまして、早く通過さしていただきたいと思います。
  138. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ちょっと矢嶋君に申し上げますが、ほかの委員会も全部済んでおります。それで全体の委員会はここが上るのを待っておるわけなんです。さっき一時からとか、一時半とかいって延ばしてもらっておるのですが……。
  139. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 簡単にやります。
  140. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) それでもう二時になりますから……。
  141. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この前労働大臣が病気になられなかったらもう済んでおったんです。あのとき午後二時まで休んだものですから……。  それで、それには反問いたしませんが、私は結社の自由及び団結権の擁護に関する条約八十七号、これはかなめだと思うのですね。先ほどあなたは、各国平均は二十二件だが、わが国が二十四件で云々と言われましたが、やはり質が問題だと思いますが、この八十七号の批准はすでに三十ヵ国がなされておるわけですが、これはわが国労働行政上からいって、これを批准するかしないかということは大きな問題点だと思う。この点については、あなたも十分御承知の通り、ILOの第四十回総会において日本政府の代表は見解を表明している。それは、第八十七号の批准の可能性につき検討しているし、この点に関しては、労使団体と協議するつもりであるということを、四十回の総会で表明して、批准することを半ばその四十回総会で意思表示をされているわけなんです。その間十分検討されてきたと思うのですが、国際水準に近づけるという意味からも、これが一日も早く批准されるように、石田労働行政は、私は努力さるべきだと思うのですが、第八十七号についてはどうお考えになっておりますか。いつごろを目途とされておりますか。
  142. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 八十七号条約については、私も個人的な見解を別に持っておりまするし、いつまでも放置すべき問題だとは思っておりません。四十回総会において政府代表がお約束を申しました通り、私は労働大臣に就任後直ちに、労使及び公益三者の代表によって構成されておりまする労働問題懇談会に付議をいたしまして御協議を願っておるわけであります。その労働問題懇談会は二月以来小委員会を設けまして、毎月二回ずつ協議を行うことにし、近く四月一日にもその第何回目かの会議が行われる予定になっておるわけであります。私はでき得る限りすみやかにこれについての結論を得られ、あわせて関係法規との調整が得られるように期待をいたしております。
  143. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次は、数字だけ明確にお教え願います。その一つは、質疑に出たかと思いますが、売春防止法の完全実施によって失業対策として講じなければならぬ人数を何人と踏んでいるのか、それから本年度駐留軍の引き揚げによって失業対策対象となる人員を何人と踏んでいるか、それを数字だけお伺いいたします。
  144. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) 駐留軍離職につきましては、大体調達庁と連絡してその数字の見通しをつけておりますが、現在のところ、アメリカの予算会計年度が七月以降でございますから、明確なことはわかりかねますが、大体来三十三年度におきましては、三万ないし四万の新しい離職者が出るであとろういうふうに一応予定しております。  それから売春の関係につきましては、売春婦の数がまあ現在あるわけでございますが、そのうちどれだけに対して失業対策として、あるいは職業紹介の対象として行うかということにつきましては、明確な数字を持ちませんが、一例を申しますと、昨年中におきまして、東京都におきまして、御承知の通り、先ほど大臣のお答えにもありましたが、安定所におきまして、前歴がどうだ、こうだといったようなことは、一切私どもがそのことには触れないで職業紹介の対象といたしております関係上、そのうちのどれだけをどうしようということについては申し上げかねますが、婦人少年局、あるいは婦人相談員の方々からの連絡によりまして安定所で取り扱っておるものがあるわけでございます。昨年におきまして、東京都では百三十二名のそうした紹介を受けたのであります。ほとんど、実情を申し上げますと、大部分の人が呼び出しても見えない。六十九名が不参といったようなことになりまして、残りの人たち、約六十三名でありますが、そのうち五六十名が就職いたしております。
  145. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 結論だけを教えて下さい。何人ぐらい対象に入ってくると予想しておるか。
  146. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) われわれといたしましては、対象といたしましては、この全員を考えておるわけでございますけども、実際問題としては、直接就職されるといったような事態が多いものですから、安定所が取り扱う分につきましては、今申し上げましたような状況であります。
  147. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで、私の伺いたいのは……。これは追求しようとしているのではないのですが、ただ数字だけを参考につかんでおきたい。安定所にかかってくるのは何人ぐらいあるだろうと見積られておるかということです。その結果だけ教えて下さい。
  148. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) 安定所で、一体何人くるかということについては、明確に何人ということはちょっと困難でございます。
  149. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大よそでけっこうです。
  150. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) ただいまの例から申し上げますと、東京都におきまして約半数。
  151. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は全国を聞いておるのですよ。
  152. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) ですから、これから類推するという意味です。
  153. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 幾らに類推していますか。まあその類推はあとで承わって……。その前に、三月上旬におけるアメリカの労働者の数の動きは情報としてわかりましたか、わかりませんか。
  154. 三治重信

    説明員(三治重信君) これは、私どもの方へ直接外務省からどうこうといって情報はわかりませんが、私の方でずっと調べておりますのでは、大体新聞と同じでございまして、二月中旬に四百五十七万でございます。
  155. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 二月に対しまして幾らふえましたか。
  156. 三治重信

    説明員(三治重信君) まあ一月に対して三十七、八万と思っております。
  157. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間がないからこれは詳しく聞きませんが、石田労働大臣に伺いたい点は、今度二万五千人として、一般失対をふやして二十五万になったわけですが、三十一年のときに一〇%減じている。神武景気で一〇%減じて、今度また二〇%ふやして二十五万になっているのですが、ちょっと景気の持ち直しが世界景気の動向でもずれそうですね。そうしますと、これはいずれ補正か何かしなくちゃならぬようなことになるのじゃないでしょうか。労働大臣見通しはどう立てておられますか。
  158. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 大体失業者の発生の数を逐月別に今まで見て参りますと、一月が失業保険の面から申しますと、十四万人余り新しく入る受給者が出て参りました。それで受給者総数が四十四万人くらいになりました。しかし、一月にそういう現象が出ますのは、大体毎年一緒であります。一月の事例だけでは、去年、おととしと比べて、四万人くらい増になっております。まあ大体十万人前後でございますから……。  それで、失業保険の支払いの準備は、三十二年度予算、まあならしますと大体予算通りで間に合って参ります。  それから失業保険事業の二十五万という数は、例の昭和二十九年、三十年の引き締め政策のときに、それに対応して作ったものでありますが、そのときに、まあこんなことを申しますとあれですが、数が少し余りました。それでまあ今回も万全を期し得るのじゃないかと、こう思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、これは先の見通しのことでございますから、私は失業保険の支払い準備と、失業対策事業の数は、予算の見込みで間に合うと思っております。しかし、それが狂えば当然補正措置をしなければならぬことは言うまでもありません。
  159. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記中止して。    〔速記中止〕
  160. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記をつけて。
  161. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 労働省は、来年度常勤労務者を何人使う予定ですか。
  162. 澁谷直藏

    政府委員(澁谷直藏君) 常勤職員は三千七百名いるわけでございますが、そのうち今度の予算措置で定員に振りかえますのが千三百名でございます。
  163. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 百田職業安定局長から、ちょっとさっきの答弁があります。
  164. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) 先ほどの売春関係でございますが、三十二年度の四月の婦人少年局ので十三万三千人でございます。職業紹介の対象としては、約その二割、二万六千人を見込んでおります。
  165. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一千三百人定員化ということはわかっていますが、来年度三千七百人というのを私の調べたところで数が合わないのですが、もう時間がないから、この点は質疑しません。ただ労働大臣に私はこの際この点について要望しておきたい点は、時間がないから、これらの職種について追及はいたしません。この明細書の中に、この常勤職員の内訳を書いてないというのは予算書としては不十分だと思いますが、他の省庁では看護婦何名、運転手何名と書いてあるわけですが、これは予算金額を書いてあるだけでして、内訳を書いてない。これはいけないと思います。定員内の職員については定員表があるわけですからね、職階別にちゃんと出ているわけです。ところが常勤職員については定員外ですから、予算金額だけ出ているわけなんですから、他の省庁に見られますように、あなたは三千七百人と言いましたが、私の計算とちょっと合わないのですが、その内訳は各項目において書いておかなければならぬ、そうすれば当然看護婦とか、運転手、タイピストなんかが出てくるわけですが、これは国家財政との関連もあるが、各省庁にこういう問題があり、約六万の中から一万九千何がしを定員化するわけですけれども、これは私はエキスパートのあなたに申し上げるまでもなく、それらの職務内容からいって、行政機構を縮小するなら縮少する、不要な人員なら整理するなりして、行政をおやりになるのに必要な人は適格者を採用して、全部定員内にして、そうしてサーバントとしての彼らに報いるというようないき方でなければおかしいと思います。この点については、労働行政担当の労働大臣としては、国務大臣として閣内において格別努力されるようにしていただきたいと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  166. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 常勤職員の定員化につきましては、今までも閣内においてできる限り主張して参ったのでありますが、今後ともさらに一そう努力するつもりでございます。
  167. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後の質問といたします。主査から非常にやかましく言われますので。しかし、きょう始まったのが十一時で、皆さんと一緒で三時間足らずの何で不十分だったと思うのですよ。これは労働大臣が御病気なすったので、いたし方なかったと思うのですが、主査の意向もございますから、これで終ります。  それは勤労学徒の件ですが、文部省でこういう調査をされているのですよ。定時制高等学校、あるいは通信教育を受けている諸君ですね、みんな工場や会社で働いている。この統計を見ますと、大体八時間くらい働いているのが大部分なんです。感心なのは、二、三千円というのを親元に送金している学生もおります。ところがこの資料を見ますと、使用者が理解を持っているのは三四%と出ている。あと六六%は使用者が理解を持たない、そうしてまた仲間も冷やかな目で見る、非常に苦衷を訴えているのが統計に出ている。御承知のごとく自由国家群も、それから共産国家群も勤労学従の教育、特に職業教育というのはずいぶん力こぶを入れています。日本産業の進展、さらに科学技術の進展をはかるに当ってもゆるがせにできない階層だと思います。しかし、この統計を見ますと、約七〇%の諸君は夜十時以降御飯を食べている。だから、消化不良が多いということが文部省の調査の中に詳細出ております。従って、労働大臣が今後労働行政を進めるに当って、結局使用者にはね返ってくるのですから、こういう学習意欲のある勤労学徒には使用者として理解を持つように一つ指導していただきたいし、またさらに基本的に考えますならば、若き労働者で学習意欲に燃えて学校に進学したいという子供には、何らかの便宜を与えなければならぬような法規制までやっていいのではないか、私は日本の国家財政、それから国民経済の現状、今後の見通しから考えて、そういうことに対する対策を講ずることによって、日本の働く人々の教養を高め、技術を高める機会を与えるような行政をやるべきではないか、かように私は考えているわけです。これに対する大臣の所見と、今後どういう御努力をいただけるか、それを承わって質疑を終りたいと思います。
  168. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 勤労学徒の問題、文部省所管の学校に通っている人たちもそうでありますが、私の方の公共職業補導所、あるいは今度作ります職業訓練所に通学するものに対する便宜、あるいは使用者の理解を深めることは非常に重要だと存じますから、これについての啓蒙、その他は商工会議所、その他を通じまして積極的にやりたいと思っておりますし、労働協会の一つ仕事とも考えているわけでございます。
  169. 高良とみ

    高良とみ君 関連して。先ほどから問題になっている勤労学徒よりも、もう一つ下のところの義務教育年限にあるところのもので、学校に行けないで、しかも働いている。そのために夜間中学校が全国に千校もある。法律上許されないことでありますが、少年保護のことは厚生省だなどと言われないで、こういう人たちは家内工業などにあるのでありますが、それに対して特別に婦人少年局では心配しておりまするが、やはり御考慮いただきたいということを希望します。
  170. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  171. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記を始めて。  ほかに御質疑ございませんか——他に御発言もなければ、労働省所管に関する質疑はこれをもって終了したと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは以上をもちまして、昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中文部省所管、大蔵省所管、厚生省所管及び労働省所管に対する報告の内容等については主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  173. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。  それでは、これにて散会いたします。    午後二時十八分散会