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高田なほ子君 私も自分で、ときどきこのことを深く
考えることがあるのです。私が
文部大臣になったら、どうしようと
考えることもあるのです。しかし、なかなか名案はないのですが、どうも
一つバツク・ボーンが抜けていらっしゃるのじゃないかと
考えるのですね。私の
考え方では、子供の健康的な
文化的な施設がないということが、一番大きな問題じゃないかと思う。たとえばこれも東京の例でありますけれ
ども、
子供たちはどこで一体遊ぶか。遊び場所というものの一番多いのはこれは近所のあき地とか道路で遊ぶ者が一番多い。その次は友だちのうちで、自分のうちで、こういうような数字が出ておるようですが、どうも遊び場がないのですね。これはもちろん、地方公共団体に属する分野になるかもしれませんが、せっ
かく文部当局は
教育委員会まで任命にされて、それで教員に拘束力をぐっと強めてきておるのですけれ
ども、こういう面に対する御指導というものは存外なされておらないような気がする。できれば子供の遊び場、こういうような問題について文部当局として
一つ筋を入れてみてはどうか。地区々々にこういうものを作ったらどらか。それからもう
一つは、
教育映画の問題でありますが、どうしたわけでしょうか、せっ
かく教育映画の
お話が出て、なるほどそうかと思うのですが、私は
教育映画一本にしぼった方がいいなどというような
考えは毛頭ないのです。また、子供になるたけ見せないようにと言って、何にもないのに見せないようにするわけにはいかないのです。時には大いにそういうふうなものも見せてというところのホーム・ルームや道徳
教育の時間は、お得意の
文部省ですから、そういうような映画を中心とする激しいお互いの議論というものがこの中から戦わされて、悪への抵抗力を強めてくると、こういうような方法があるかもしれない。しかし、そういうことは、今度道徳
教育の徳目をずっと並べてしまえば、そういうことはおそらくできなくなってしまうのです。馬の目のところに目隠しをするように、まっすぐ行かれればいいのですけれ
ども、社会は解放されていますから、見せないわけにはいかない。やはりこれに対する抵抗力をどういうふうにして強めてくるかということと、その反面、
一つの例として
子供たちの遊び場をどうするのか、
学校の映画
教育の時間あたりにでも、なるたけ施設を利用して、特に僻地あたりには、よい映画が見られるような仕組みを作ってもらいたいと思うのです。
大臣も私の
考え方と同じようにおっしゃっていましたけれ
ども、何と全国の児童、学生の二千万の子供がいるのに、今年の
予算では映画等の製作について、何ですかこれは百十四万、三十二年度はそれでも百二十万だったのですね、それが今年は六万円減らした。この岸
内閣が六万円の映画製作費を減したということは、恥かしくてよその場では言えるどころじゃない。エログロの映画がいけないというなら、これに対応するだけの
教育映画の製作費はどんと私は出されて、そして子供の
文化の目を開き、科学の目を開く、いうところの視聴覚
教育というものにもっと本腰を入れてもらわなければならない。
放送教育の問題もそうだと思う。これはやはり普及していかなければならないとおっしゃっていますけれ
ども、実際問題としては七百十二万でしょう、たった。しかも、前年度から比べると三十七万円減っている。三十七万円ばかり減して、この金は一体どこに回っていくかと思って、しみじみ私深夜
考えるところがあった。これは実に私にはわからない。並びに
子供たちが今読んでいる本は何かというと、
子供たちがマスコミに影響されるところははなはだしく多い。今、
子供たちが望んでいる本は、漫画が一番喜んでいるようです、男、女の子も。それから学習のためになるものをその次に望んでいる。これは今の子供はなかなかそういういい面がある。これは実際の子供からとった資料ですが、学習のためになるもの、娯楽
雑誌、それから童詰、それから探偵小説、科学物語、少年少女小説、こういうようなものを
子供たちは読んでおりますけれ
ども、こういうような読み物を望んでいるけれ
ども、実際問題としては、なかなかこういう読み物が手に入らない僻地の
子供たちに対して、あるいは買えない
子供たちに対してどうするか、こういう問題は大体地方の公共団体にほとんどこれがおんぶされているような形でありますし、本年度の文教
予算から見ましても、公立
学校の図書館図書整備費は千二百三十一万きりしかない、法律で規定されている
学校図書館法による基準に到達しているものは、私はそうたくさんはないと思いますが、前年度に比べると一億三千九百二十万円減しているのです。
子供たちが読み物がない、こういうふうに言っている、映画がないと言っている。
教育放送も聞きたいと言っているけれ
ども、
予算の面から見ると、全面的にこれは削除の
方向にある。初めから少いのですから削除の
方向にいっているということは、これは
大臣の御意思とは若干違っているし、
子供たちに対する
文化政策というものは、まず岸
内閣はゼロだと見なければならない。私は前年北海道に行って 一
教育長がこまどり号というジープを運転して、そうしてそのジープに本をつけて、三里も五里もの僻地の中に夜通し車を運転して、
子供たちの待つ村名を回っている姿を実際に見てきました。これらはいずれも地方公共団体の乏しい財政の中から出される負担であり、
教育長みずからがこまどり号を運転して、僻地の
子供たちに
文化を与えようとするこの熱意に対して、岸
内閣の
子供たちに対する愛情というものは、
予算の面から見てあまりにもひど過ぎる、私は
子供たちによい読み物をどうしたら与えられるか、
子供たちのためのよい遊び場をどういうふうにしたら設けられるか、そうして
教育放送の施設を、どういうふうにしたならば
子供たちに喜んで与えることができるか、こういうような明るい面にこそ、私は金を使ってもらいたい。遺憾ながらわずか六万円ばかしの金を国の
予算の中から減すなんということは、当代の恥ですよ。こんなことでどうなさるおつもりでしょう。特に映画と
教育放送の面が
大臣から御答弁がありましたから、なぜこういうものを減らしたか、どうするのか、この点について
お尋ねをしたい。