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1958-03-24 第28回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十四日(月曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      加賀山之雄君    副主査     伊能 芳雄君    委員            木島 虎藏君            小山邦太郎君            佐藤清一郎君            本多 市郎君            三浦 義男君            安部キミ子君           小笠原二三男君            鈴木  強君            森 八三一君            千田  正君   担当委員外委員  岡田 宗司君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君    郵 政 大 臣 田中 角榮君   政府委員    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    運輸大臣官房会    計課長     佐藤 光夫君    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省船舶局長 山下 正男君    運輸省船員局長 森  嚴夫君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君    運輸省航空局長 林   坦君    運輸省観光局長 細田 吉藏君    海上保安庁次長 安西 正道君    高等海難審判庁    長官      長屋 千棟君    気象庁長官   和達 清夫君    郵政大臣官房文    書課長     上原 一郎君    電気通信監理官 松田 英一君    電気通信監理官 岩田 敏男君    郵政省貯金局長 加藤 桂一君    郵政省経理局長 西村 尚治君   説明員    郵政事務次官  小野 吉郎君    郵政省電波監理    局次長     荘   宏君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道常    務理事     久保 亀夫君    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) ただいまから第三分科会を開会いたします。本日、午前中は昭和三十三年度総予算のうち、運輸省所管についた審査を行います。  では、まず運輸省関係予算並びに日本国有鉄道予算大綱について中村運輸大臣から説明を願います。
  3. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) それでは私から昭和三十三年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  御承知のように、当省所管予算一般会計予算のほか二つの特別会計予算によって構成されています。  まず一般会計歳入歳出予算について申し上げますれば、歳入予算総額は十五億六千七百八十二万九千円、歳出予算総額は二百五十九億九千七百七十六万二千円であります。今、三十三年度の歳出予算総額を前年度のそれと比較いたしますと、八億七千百四十一万四千円の増加となっています。  このほか、他省所管歳出予算として計上されているもので、当省に関係あるものといたしましては北海道港湾事業費特別失業対策事業費及び北海道空港整備事業費等三十二億六千二百三十二万六千円がございます。  次に、特別会計歳入歳出予算につきましては、木船再保険特別会計歳入歳出予定額は一億三千八百十四万六千円でありまして、自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予定額は、四十一億五千三十七万円であります。  以上をもちまして、昭和三十三年度運輸省予算規模につきましての御説明を終り、以下、昭和三十三年度運輸省歳出予算等のおもな点につき、御説明申し上げたいと存じます。  まず、国際収支改善目的とした施策に関連した経費でございますが、第一に、外航船舶拡充に必要な融資額として、財政投融資計画中に百八十億円を見込んでいますが、これはわが国経済規模の拡大に即応し、貿易の振興国際収支の均衡をはかるために引き続き、積極的に外航船舶拡充をはかる必要があり、経済企画庁の新経済計画においても、毎年平均五十万総トン建造計画が策定されていますが、三十三年度の計画造船としては百八十億円の開発銀行融資により二十五万総トン建造を行う予定であります。しかしながら、最近における金融情勢の逼迫から市中金融分の調達には、相当の困難が予想せられますが、市中金融機関の協力を得てこれを円滑に実施いたしたいと思います。  第二に、国際航空整備拡充に対する措置といたしまして、日本航空株式会社への出資航空大学校整備拡充いたしたいと考いています。  日本航空株式会社出資に要する経費といたしましては、大蔵省所管産業投資特別会計中に五億円が計上されています。国際航空事業振興については、各国とも積極的助成策をとっている現状にかんがみまして、日本航空株式会社に対し、昭和二十八年度以来五カ年にわたって五十億円を政府より出資してきたのでございますが、さらに同事業の健全な発展をはかるため、三十三年度においても五億円の政府出資をし、新機種購入費の一部に充当せしめたいと考えています。  また、同様の趣旨から、日本航空株式会社に対する融資円滑化をはかるため、同社の発行する社債については五億円を限度に、借入金については十七億三千七百六十万円を限度に、その元利について政府保証を行いたいと存じます。  次に、航空大学校整備拡充に要する経費といたしましては、九千百十七万円を計上しています。これは航空大学校維持運営のほか、航空路線の伸張に伴う航空機乗員需要増に対応いたしまして、航空大学校本科生養成規模を現行の十名から三十名に拡充しようとするものであります。  第三に、観光事業振興に必要な経費として、一億七千百万円を計上上していますが、これは財団法人国際観光協会に対する補助金一億三千百万円とユースホステル青年の家)の整備費補助四千万円であります。  近年海外からの観光客は、年々増加の傾向にあり、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨の増収をはかることがきわめて必要と考えられますので、三十三年度においても、財団法人国際観光協会の行う対外宣伝を助成するとともに、国内外客受入体制整備の一環として、ユースホステル青年の家)の整備を促進し、もってわが国国際観光事業の進展をはかろうとするものであります。  次に輸送力増強に関する経費について申し上げますと、第四に、高速自動車国道整備のための経済調査に要する経費として、四百七十五万二千円を計上いたしていますが、これは長年の懸案であって高速自動車国道も、神戸——名古屋問につきましては、今三十二年度より建設に着手することとなり、名古屋——東京間についてもおそくとも昭和三十四年度には予定路線を決定しなければならない段階にありますので、前年度に引き続き調査実施し、早急に結論を出したいと考えています。  第五には、港湾整備に要する経費として、運輸省所管に八十四億八千二百五十一万四千円を計上いたしていますが、このほか総理府所管北海道港湾事業費十三億九千百七十万円、離島振興対策事業費二億三千八十万円が計上されており、また、労働省所管特別失業対策事業費のうち四億六千八百万円が港湾事業に充てられることとされています。従いまして、三十三年度の港湾整備のための経費は、総額百五億七千三百一万四千円となり、前年度に比べ、約三億円の増加となっています。  わが国産業発展の隘路となっている港湾公共投資の立ちおくれを打開し、新経済計画に即応して港湾施設整備しようとするものでありまして、事業内容といたしましては、輸出振興工業原材料輸送沿岸輸送力強化並びに災害復旧防止及び交通安全のための港湾整備等がおもなものでございます。  第六に、空港整備に要する経費として、運輸省所管に五億三千百八十九万八千円を計上いたしていますが、このほか、総理府所管北海道空港整備事業費一億三千八百万円、離島振興対策事業費五千三百三十二万円が計上まれています。従いまして、空港整備のための経費は、総額七億二千三百二十一万八千円となり、ほぼ前年度と同額程度でございます。  三十三年度の事業といたしまして、国際空港に関しましては、東京空港の一万フィート滑走路新設のための埋立護岸工事を行い、昭和三十五年度末には、新滑走路の舗装を完了、大型ジェット輸送機受入態勢整備する考えであります。なお、東京空港整備に関しましては、七億一千万円を限り国庫の負担となる契約を結ぶことができることといたしたいのであります、すた、新たに大阪空港整備にも着手いたしたいと考えています。  ローカル空港に関しましては、前年度に引き続き、稚内、釧路、函館、高松、高知、松山、広島、大村、熊本及び鹿児島の十空港並びに新たに女満別及び離島関係空港整備をいたしたい考えています。  次に、交通安全の確保災害防止目的とした施策に関連した経費について申し上げますと、第七に、海上保安体制整備に関する措置でありまして、海難救助海上犯罪の捜査の態勢強化するため、巡視船及び通信施設等整備をはかるとともに、海上航行の安全と能率化のため灯台等航行補助施設整備をはかる必要があります。従いまして、巡視船艇代替建造及び通信施設整備に要する経費として二億六千九百八十一万八千円、航路標識整備に要する経費として四億四千六百五十五万二千円を計上いたしています。  第八には、離島航路整備補助に必要な経費として、四千三十万五千円を計上していますが、これは離島航路整備法に基きまして、離島航路事業者に対し、航路補助金を交付するに要する経費並びに離島航路用船舶建改造資金を融通する金融機関に対し利子補給を行うために要する経費であります。  第九に、地方鉄道軌道整備に必要な経費として、三千四十一万六千円を計上していますが、これは地方鉄道軌道整備法に基きまして、地方鉄道軌道車業者に対し、新線建設補助及び老朽綿欠損補助を行うために必要な経費並びに昭和三十二年七月の西九州における、水害により災害を受けた地方鉄着事業者に対し復旧費の一部を補助するために要する経費であります。第十には、自動車車両検査登録腱能充実に関する措置でありまして、最近における自動車数の激増に対処するため、自動車登録検査要員増強並びに自動車検査施設整備に要する経費として、一億二百五十七万四千円を計上いたし、車検場を新設するともに、既設車検場拡張合理化及び能率化を推進いたしたいと考えています。  第十一に、航空交通管制官養成のために要する経費百十万六千円を計十していますのは、わが国における航空交通管制業務米軍によって運用せられている現状にかんがみまして、なるべくすみやかに同業務を引き継ぐために必要な措置であります。第十二には、気象業務整備に要する経費として六億七千二十八万四千円を計上していますが、これは気象観測通信予報体制強化し、もってその的確化迅速化をはかり、交通安全確保と、一般災害防止産業発展並びに国民の福利の増進に寄与するために必要な経費でありまして、その内容は、予報精度向上をはかるための、数値予報実施に必要な電子計算機の借料並びに無線模写放送実施に要する経費等三億千八百一万一千円、観測精度向上をはかるためのレーダー観測網整備に要する経費三千八百五十五万九千円、防災業務整備をはかるための、水理水害対策用施設及び航空気象施設に要する経費三億千三百七十一万四千円を計上いたしています。最後に、科学技術振興に関する経費について申し上げますと、運輸技術研究所及び気象研究所整備に要する経費一億九千七百十七万六千円、原エー力船研究その他原子力の開発利用に要する経費七千二百六十六万五千円、超大型船共同研究等民間科学技術試験研究に要する費用の一部を補助するために要する経費四千五十五万五千円を計上いたしています。  以上が昭和三十三年度の運輸省関係予算概要でございますが、何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に、昭和三十三年度日本国有鉄道山予算概要につきまして御説明申し上げます。  まず、予算の作成に当りまして、三十三年度は日本経済過大成長のあとをうけて、経済発展は幾分控え目にならざるを得ないと考え収入支出予算を組みましたが、一方また、輸送力増強のための国鉄五カ年計画実施の第二年度としてこの計画の実現に支障を来たさないように十分の配慮をいたした次第であります。  以下、収入支出予算について損益資本工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定収入について申し上げますと、鉄道旅客輸送人員は、対前年度六、二%増で四十五億六千万人、輸送人キロは、一千五十三億三千六百万人キロとして旅客収入一千七百四十八億円を見込み、また、鉄道貨物輸送トン数は、対前年度四・一%増で一億八千七百万トン輸送トンキロは、五百十三億九千九百万トンキロとして貨物収入一千五百六十六億円を見込んでおります。  これらの旅客貨物輸送に要します列車キロは、四億四千万キロで対前年度四・八%増となっております。以六の旅客貨物収入のほか、雑収入に従来収入支出予算計上していなかった電源開発株式会社等の委託によって国鉄が施工する工事費約四十二億円を新たに計上して、収入合計は、三千五百七十八億円と見込んでおります。  次に、経営費についてみますと、入件費につきましては、三十二年度の仲裁裁定実施による増額のほか、三十三年度の昇給と期末、奨励手当合計二・四カ月分を見込んでおります。なお、このほか職員計画につきましては、若干の増員を見込みまして、給与の総額は一千二百十六億円といたしております。  物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、動力費の大宗としての石炭費三百十億円のほか、修繕費五百九億円、業務費三百四億円等を見込んでおります。これらを合せまして経営費総額は二千六百一億円となっております。  以上の経営費のほかに、受託工事費四十億円、資本勘定への繰り入れ七百三十五億円、利子百五十二億円、予備費五十億円を合せて損益勘定支出合計は三千五百七十八億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。  収入といたしましては、先ほど申し上げました損益勘定から受け入れます七百三十五億円のほか、資金運用部等よりの借入金青億円、鉄道債券の発行による二百二億円、不用資産売却等による十七億円、合計一千百五十四億円を計上いたしておりますが、一方支出といたしましては、このうち一千六十二億円を工事勘定に繰り入れ、借入金等の償還八十八億円、帝都高速度交通営団の増資に伴う出資金四億円を予定いたしております。  次に、工事勘定について申し上げます。  三十三年度は国鉄五カ年計画実施の第二年度でございますので、老朽施設の取りかえ、輸送力増強の根本的な増強対策に重点を置いて作成いたしております。  まず、新線建設費については、前年度より二十億円増額いたしました。  電化設備費につきましては、現在施行中の北陸線東北線山陽線等電化のための工事費六十二億円を計上いたしておりますが、このほか、これに伴う電気機関車七十二両、四十四億円、合計百六億円となっております。  通勤輸送対策といたしましては、前年度に引き続き東京付近三十億円、大阪付近二十五億円、電車増備百四十両、二十八億円その他で合計八十三億円となっております。  幹線輸送強化対策といたしましては、北海道東北、常磐線、裏縦貫線北陸線、東海道、山陽線九州その他で百二十四億円を計上いたしております。  以上のほか、車両増備、諸施設の取りかえ工事、総係費等を含めまして支出合計は一千六十二億円となっておりまして、これらに要します経費の財源といたしましては、資本勘定から受け入れます一千六十二億円を充てるこにいたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済の動向にもよりますが、これに予定せられました収入をあげ、予定工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もって日本経済発展に資するよう指導監督いたして参りたい考えであります。  以上、昭和三十三年度日本国有鉄道予算大綱につきまして御説明いたして参りましたが、何とぞ御審議の上御賛成下さるようにお願いいたします。
  4. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 以上で運輸大臣の御説明は終りました。この際お諮りしておきたいと思います。他の分科会担当委員の発言を許可することに御異議ございませんか。  速記とめて。    〔速記中止
  5. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 速記つけて。
  6. 千田正

    千田正君 先般理事会で話し合いがありまして、他の分科会の諸君でも必要なときは質問したいという要望があった場合、それをお諮りして了解を得ればお許し願いたいということで犬体御了承を得たようでしたが、たかし、やはり時間が非常に限られておりまずから、この当委員会委員の方々の御質疑に差しつかえない程度の時間で皆さんにお諮りの上お許しになったらいいと思います。
  7. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) ただいまの千田君の御発言通り取り扱いまして、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 異議ないと認めます。さように決定いたします、  直ちに質疑に入ります。
  9. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) それではまず、運輸大臣にお伺いいたします。  ただいまの御説明のうち、国際空港整備拡充に対する措置として、日本航空株式会社に三十三年度は五億円の政府出資をする、こういうことになっております。従来は大体十億円ずつで、すでに今までに五十億円しておるわけであります。ところで、日本国際航空は非常におくれておる。だんだん路線も長くなっておりますけれども、しかし、これは他の諸外国に比べまずと非常な立ちおくれだといわなければならぬ。特に最近ではSASにいたしましても、エア・フランスにいたしましても北極を通ってくる航空路を開設しておる状態であります。まあ世界を一周する航空路がすでにできておるような次第でありまして、まことに立ちおくれなんですが、よその国の例を見ておりますと、いずれの国も非常に力を入れておる。政府として年に五億円くらいの金を出して、それで新機種購入費の一部に充てようとかというくらいでは、当然列国の国際航空に太刀打ちできないと思うのですが、これにもっと力を入れるというふうにお考えにならぬのかどうか、その点を養ずお伺いしたいと思います。
  10. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 国際航空に従事いたします日本航空株式会社に対しましては、これは民間資力によっておりますが、国家がこれに援臥をしなければならぬことは御指摘の涌りでございます。実は十億円か二十債の出資を要求したのでありますが、遺憾ながら五億に本年はとどまりました。しかし、最近は、日本航空会寿自体経営相当改善をされて参りまして、黒字を出しておるという状態でございます。従いまして、将来ジェット機を買い入れる、こういう見込みもついておりまして、次第に国際航空に従事する日本航空株式会社体制は私は整いつつあると思うのであります。なお、第三次の補正予算におきましても、土地を買い入れる費用なども三倍五千万円ほど計上をいたしておりまして、御審議を明日から願うことにしておりますが、いずれにいたしましても、仰せのごとく、外国と比べましてはまだ十分の発展、またその力も持っておりませんけれども、次第に今後はロスアンゼルスに乗り入れるとか、あるいは南方、北方にもっと延ばしたい、こういうことを今はかっておりまして、現在の資力、現在の状態において十分に今努力をさしておるのでありまして、この点は立ちおくれの感はれりますけれども、徐々にそれを回復してきておるということは私は言い得ると思うのでありまして、今後一そうまた、この日本航空株式会社に援助を与えまして、国際航空事業発展を期していきたい、こういうふうに考えております。
  11. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) 日本航空黒字を出してきたということはけっこうなことですけれども、日本航空経営が幾らかよくなったということと、五億円を政府出資するというくらいのことでは、あるいはまた、十億円を出資するくらいのことではこれはとうてい立ちおくれは取り戻せないと思います。そういうことではなくて、根本的に国際航空について一体どういう考えをもっておるのか、ただ予算がそれだけしかないから、ぼつぼつ延ばしていくという考えなのか、もっと本気になって力を入れるという考えなのか、そこのところを伺いたい。
  12. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 本気になって努力をいたしております。しかし、予算的の意味からいえば、私はまだ十分でないと思います。その点は、私もはなはだ遺憾に思いますけれどもも、現在の状態において私は最善を尽してきたと思っておるのであります。国際空港整備ということが一番でありますから、羽田も今後拡張をしていかなければなりません。去る三月十八日、大阪の伊丹もこちらに返ってきましたから、これも整備していかなければなりません。将来、板付であるとか、小牧等も、国際航空として可能性は持っておるのでありますから、こういう点についても、国際航空整備ということで、やはり今後ジェット機などの外国航空会社も入れてきますから、やはりそれに応ずる滑走路充実中をいたして参りたいということを、私どもは進めておるのでございまして、現在のところ、理想の域まで達しておらぬことは、これは、私は率直に告白せざるを得ません。
  13. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) やはり航空のことなんですが、国内航空の問題ですね、日ペリ極東航空一つになったということが一つ、これは両方とも赤字を出していたので、今後一緒になって新たな経営を出発さしたのですけれども、こっちの方が、国際航空と違って、補助金を出しておらぬ。やはり国内航空の方も、今後必要があつて、盛んにしなければならぬと思いますけれども、これに対しては、何ゆえ、国際航空のように、政府でもって保護奨励しないのか、その点をお伺いしたい。
  14. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これも内輪話で申して恐縮でございますが、日本空輸に対しても、補助金を要求したのでございますが、これは実現しなかったのであります。現在、通行税について、多少租税特別措置法で恩典を与えておりますが、今後、全日本空輸が、新しい飛行機を買い入れるとかいうようなことについては、私は政府十分便宜をはかつてあげたいと思います。しかし、何分にも、この会社は、合併早々で、しかもあまり利益を出しておりません。大体において、日本航空は、これは国際航空をやつてもらう。で、全日本空輸ローカルの方をやつてもらうということになっておるのでございまするが、この日本空輸に対しましても、今後は、日本航空株式会社と同様、別に差別をすることなく、国内航空発展努力してもらうよう、私は努めたいと思っております。
  15. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) 今のお話ですというと、日本航空同様に、大いに補助をして、力を尽したいというのですが、今のところ、ちつとも実があがつておらぬ。たとえば先ほどのお話ですけれども、日本航空の方は、主として国際航空で国際的なもの、それから片方の方は、日本国内のものというようにお分けになるということですけれども、これは、私もその方針はけつこうだと思います。しかし、日本航空の方は、御承知のように、東京から福岡、東京から札幌をやつております。それで全日本の方は、ほんとうにそれに連なるローカル線、この一番の幹線を、日本航空がやつておるために、この全日本の方はやはり、あまり利益があげられないような次第でもあるし、また、国内航空としてほんとうに立っていこうとすれば、はっきりと、日本航空は国際線、あるいは全日本国内線というふうに分けてしまわなければ、片方の方は立ち行かないのじゃないかと思うのですが、これは非常にむずかしい問題なんですが、そういう点はどうお考えになるのですか。
  16. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) それは、仰せのように、非常にむずかしいと思うのでございますが、今のところ、日本航空国際航空をやりまして、ことにアメリカとの間には、非常にお客も乗りますし、国内におきましても、お客さんも乗っておるのでありますが、全日本空輸がもっと充実して、その資力強化し、また、新機種を買い入れるというような力が出てくるといたしますならば、私は全日本空輸の前途は、これはそう悲観すべきものではないと思うのでありまして、日本航空株式会社と相並んで、全日本空輸株式会社発展するよう、私どもも助成して参りたいと思いますが、今のところ、大体そういうふうになっている次第でございます。
  17. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) どうも国際航空国内航空とのはっきりした根本方策が立っていないように思うのですね。国際航空の方も、今の日本航空が、どうやら黒字だから、五億円ぐらいの出資でよかろうということを言っているし、それから国内航空の方は、二つの会社が合併したと、これから国内の飛行場を整備してやるから、何とかやっていけるだろう、融資のめんどうぐらい見てやろうということじや、これは国内航空の方は、特にうまくいくはずはないと思う。これからできます飛行場を使いましても、これはおそらくもうかるほどお客さんが乗る線じゃないと思う。一体ほんとうに、国内航空の方を発達させようという必要があるとお考えになるならば、もっともっと積極的な方策をとらなければならぬと思うのですが、一向立ってないように思うのですが、どうですか。
  18. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) まず今のところ、われわれは先ほども御説明申し上げましたが、ローカル航空というものの整備をはかるということをやっております。そこへこの全日本空輸というものに対しての援助は、これは私も今その予算要求をしたことは、先刻も申し上げた通りでございまするが、今のところ、なかなかそれも実現できなかったことは遺憾に存じまするが、決して全日本空輸を、まま子扱いにしてやるという考えは持っておりません。今後も日本航空と相並んで、全日本空輸発展していくように、さらにこれが国際的にも伸びるということにも可能性がありとするならば、私どもの希望とするところでございますが、今のところは、大体先刻来申し上げました通りに考えている次第でございます。
  19. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) 国内路線幹線ですね、福岡、大阪東京、札幌、これについて、全日本日本航空と並べてやっているわけですがね、どう考えてみたって、飛行機の性能といい、何といい、それはもう日本航空の方に有利なことは間違いない。それに対して、ローカルでやっているわけですけれども、今のままほっておけば、これはもうだんだんやはり利用者は少くなるのじゃないかと思いますがね、こういう点はもっと考えなければならぬ。たとえばもう少し値段に差がつけば、ローカルの方を利用して札幌べ行く人もできるだろうし、あるいは大阪、福岡へ行く人もできるだろう、何かそういう点で、たとえば補助をつけたりなんかして、もう少し考えてやらぬというと、全日本をせっかく合同さして、これからあなたの方で大いに今後助長してやろうというのに、あとできる新しい飛行場というものにどんどん路線を引いていくということになりますと、いよいよ赤字の累積ということになりやしないかということを心配するのですが、どうお考えになりますか。
  20. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も御同様それは心配をしている。決して楽観はいたしておりません。それで通行税の全廃などを考えたのですが、これも一部の軽減でとどまったのですが、まあ、その税制の方面からも援助してやりたい。ことに私は、全日本空輸は飛行機があまりまだ日本航空と比べてよくないのです。航空機を、外国から新しい性能を持ったものを買い入れるということは、これは私は援助してあげたい。これは大蔵大臣とも私は話し合いをしたいと思います。現在のところは、はなはだおしかりを受けて恐縮でございますが、今日の状態をさらに徐々に改善してあげたいという熱意は持っている次第でございます。
  21. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) 日本航空の方は御承知のように、最近DC7Cとか、ああいう優秀な飛行機を買い込んで、国際的競争力を強めてきた。全日本の方は何といっても古い。そして非常に時代おくれの飛行機を使っているのです。これを何とかしなければ信頼して乗る気がしなくなるのですね。こういう点を考えてやらなければ、それは国内航空発展させようったってするものじゃないと思います。それが一つと、それからもう一つですね。これは大きい飛行機は、今日本で作るということはとうていできることじゃないと思いますが、それはまあ外国から買い入れるのは仕方がないといたしまして、今後ローカル線に使うぐらいの飛行機というものは日本で生産してもいいのじゃないか。また、できる技術は私はあると思うのですが、これはあなたの方の所管ではないのですけれども、今後こういう商業用飛行機を日本で作ることにっいて、たとえば通産省とお話になったことがありますか。これはまた、日本がそういう飛行機を作ってあるいは輸出することもできる可能性もなきにしもあらずと思うのですが、それはどうお考えになりますか。
  22. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 日本で平和産業——交通に利用する、こういう飛行機ができるというふうにする。また、従来からの技術から申しましてでき得ると思いますが、これもなかなか補助を要する、莫大な金を要するものと思いますが、私は通産大臣とは正式には交渉したことはございませんが、こういう点につきましても私は申しておりまするが、いずれこれは事務的に話を進めまして、そういうことが実現するように私は努力をいたして参りたいと思います。で、私の希望するところは、全日本空輸資力充実して、今使っているような、おっしやるようなちっぽけなものではなくして、これを外国の新しい飛行機を買い入れる、これは私は援助するつもりでおります、もし計画を立てて参りますれば。私も全日本空輸に一ぺん乗ってみましたが、それは仰せのように、あまりりっぱであるとは思えません。しかし、サービスは割にいいようでございますが、飛行機そのものがちっぽけで性能も悪いのですから、こういうりっぱな性能を備えたものを多国から買い入れるという場合は、繰り返しましたごとく、私は民間航空発展のために援助するつもりでおります。
  23. 安部キミ子

    安部キミ子君 関連しまして大臣にお尋ねしますが、今日の交通は、まあ汽車あるいは船ということもいわれましようけれども、何といっても航空機——飛行機の時代になってきたと思うわけですね。そこで、中国とはあの通り貿易協定もできまして、文化の交流もしげくなりましたし上ますので、早く日本航空国際航空が、文化協定でも結ばれまして、北京との航空路を開こうというお考えはお持ちにならないか。それと同じように、ソ連政府の方では、東京との交通を開きたいという意向があるやに聞いておりまするし、これもあわせまして早急に開くという御意思はないか。また、そういうふうに努力をしようという御意思はないか、お尋ねしたいと思います。
  24. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は数年前、貿易協定に中共べ参りまして、香港まで行って、それから広東から入って北京へ行く、これは私も非常に不便だと思います。それからまた、中共の航空上の地位というものは私は重視をいたしておりますが、ところがこういう一つの障害があるのです。と申しますことは、中共とソ連は、国際民間航空機構に入っておらないのですね。それでございますから、航空管制の組織につきましても、あるいはまた、どういう機種を使っておるか、今その情報がわからないのです。向うへおいでになったお方もあるかと思いますが、専門的でわからないので、こういう技術的な問題を一つ解決していきたい、それが先決でないかと思いまして、私も中共の航空上における地位が重要なものを持っておるということは日本として考えております。  それからソ連とは、これは航空協定を結べばいいのです。ところが、航空利益というものでちょっと合わぬところがある。こちらがハバロフスクだけでとめられてシベリアを通れない、向うはシベリアを通って羽田へ来るということにでもなりますと、この点ちょっとむずかしいのではないか。この点、日本もシベリアを通ってモスコーにやってもらう。向うもおいでになる。これはこういうことの話し合いができますならば、航空協定を結んで、羽田—モスクワ、これは私は日本もそこまでやらなければならぬと思っておりますが、今そういう問題について多少の考えなければならぬところがございまして、いずれにいたしましても、中共、ソ連に対する日本航空路開設ということにつきましては、重大な関心を持っておる次第でございます。
  25. 安部キミ子

    安部キミ子君 ただいまの御答弁だと、大臣は熱意があるやに私は一応了承したいと思います。今の、話し合いということなんだろうと思いますが、このことも向うさんは、東京との航空路が開けるようになったらいいと、これは北京でもモスクワでも要人の方はおっしゃっておられる。私は両方とも行きまして大へん不便だということは、私ども日本人だけが感じるのでなくて、同じように向うさんでも感じておられるので、大へん向うさんは熱意があると私は考えます。ただ日本がそういうふうな熱意を示さない。むしろそっぽを向いておるというふうなのじゃないだろうか。こういうことが心配だったからお尋ねしたわけですが、今大臣のお話だと、必ずしもそうではなくて、非常な熱意を持っておられる、関心を持っておられるということでありますので、この問題をただここだけの答弁でなくて、積極的な何か案でもおありになってそういうふうに働きかけをなさろうという、そこまで突き進んだお考えがあるかどうか、もう一度伺いたい。
  26. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) やはり潮どき(を見なければいかぬと思います。それでございますから、両国でそういう潮どきが出てきたら、私はそのチャンスをつかまえたいと思いますが、今申し上げましたように、多少の解決しなければならぬ問題があるわけでございまして、この点は御了承を願いたいと思います。
  27. 安部キミ子

    安部キミ子君 もう一ぺん。潮どまが向うから来るとお思いになりますか、御自分で作ろうとお思いになりますか。私は向うはこういう点では非常に積極的なんですよ。ですから、こちらの今の大臣の気持をお示し下されば、潮どきは自然とできてくると思います。何しろ日本政府は、これは大臣だけを非難するのではありませんが、中共、ソ連となったら、何もかもそっぽを向くというのが今の政府のやり方でありますので、その点は私は大へん心配するのでありまして、その潮どきは私はこの点をはっきり言えると思うのですよ。私は周総理にも会ったし、ブルガーニン首相にも会っていろいろな話をしましたから、向うの政府の意思は私は確かにこの協定を結びたいという気持があると思うのです。私はこの点は責任を持って言明できるのです。ですから、こちらの方からそういうふうな働きかけを早急になさったら、それは一ぺんにあすの日のことがあさってにできるとは言いませんけれども、いろいろ話し合われて、いい道が開けるわけですが、ことに私はソ連の飛行機、ジェット機に乗りまして、向うの飛行機の優秀さには全く驚きました。中国の飛行機も操縦士も上手です。私はもう各国の飛行機にも乗りましたが、操縦の点では、世界の飛行機の中でソ連の飛行機が一番りっぱであった。そういう点で、これは科学技術とも関連するのでありますけれども、ただそっぽを向くだけが能じゃないですね、平和共存の線を強く打ち出すことは、こういうことから善隣関係を推し進めていかなければならないと、こういうふうに考えますので、大臣の熱意を貫いてもらうように、また、今の発言がただの口頭禅だけに終らないように御努力願いたい、こういうふうに考えます。
  28. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) この説明の第九にあげられました地方鉄道軌道整備に必要な経費として三千四十一万六千円を計上してあるのです。これは額は小さいので大したことはないのですが、「これは地方鉄道軌道整備法に基きまして、地方鉄道軌道事業者に対し、新線建設補助及び老朽線の欠損補助を行う」こういうことになっているわけですが、この新線建設補助はどの社の、どの線に行うのか、また、老朽線の欠損補助はどの社の、どこの線について行うのか、これをちょっとお聞かせ下さい。
  29. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは鉄道監督局長が数字を持っておりますから、どうぞ政府委員から説明させます。
  30. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) お答え申し上げます。今御指摘の通りに、地方鉄道軌道整備法という法律がございまして、この法律の規定に基きまして、特に重要な地方鉄道の新線あるいは運転が継続されなければ国民生活に著しい障害を生ずるおそれのある老朽地方鉄道の維持に対して補助するのでございますが、ここに予算として計上いたしております予定は、ただいまの予定では、新線補助が約五社、欠損補助が約六社の予定でございます。で新線補助は営業用固定資産額の六分以内となっておりましてそれから欠損補助は欠損額の範囲内ということになっております。これはいずれも予算成立後、その後の実績によりましていろいろこまかい手続で交付申請をとりまして、査定をいたしまするので、これは予定と申し上げるしかないのでございますが、御承知の通りに、これはその事前に補助対象鉄道として認定いたしておるものにいたすのでございます。で、今予定されておりまするものは、新線鉄道については、天塩鉄道、岩手開発鉄道、江名鉄道、岡山臨港鉄道、筑豊電気鉄道、それから欠損補助については、寿都鉄道、長岡鉄道、南部鉄道、草軽電気鉄道、北丹鉄道、北海道拓殖鉄道、これらが予定に上っておりますが、これは今申し上げましたように、その決算に基きまして数字を確定いたしまするので、予定でございまして、決定ではございません。
  31. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) これらの地方鉄道に対する新線の補助あるいは欠損を埋めるために政府でも補助してやる、これは一体地方鉄道軌道というものに対して根本的にどういうお考えを持っているのか、今後新線を作っていく必要が一体あるのかどうか、バスなんかで間に合わないのかどうか、それから欠損しているところで、そういうものに置きかえていってやれないものかどうか、そういうことについて御検討になっておりますか。
  32. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 御指摘の点について実は十分検討してございます。この地方鉄道軌道整備法に基く補助につきましても、ただいま御指摘のようないろいろの点も考慮いたしまして、たとえば、新線補助については特に重要な地方鉄道の新設でありまして、それに対するものに対してのみ、こういった補助が行われます。また、欠損補助につきましても、他の交通機関で大体済みまするものは、これは補助の対象には相なりませんので、どうしてもその鉄道の運輸が継続されなければ、国民生活に著しい障害を生ずるおそれがある鉄道でなければならぬというものに対しこの欠損補助をいたすわけであります。  なお、この中小私鉄の問題につきましては、いろいろそういう全体の交通政策上の見地から、新しいいろいろ他の交通機関も進歩発展して参っておりますので、それらとあわせましていろいろ指導監督しておるのでありまして、現実には、中小私鉄の中の一部には、その事業を廃止いたしまして、自動車に置きかえたものもございまするし、また、どうしても鉄道でなければ因るものについては、こういった補助の制度を持っておるわけでございます。
  33. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) これらは、単に旅客を運搬するのが主ではなくて、たとえば石炭を運ぶとか、鉱石を運ぶとかそういうことが主の鉄道ですか。
  34. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 今申し上げましたこの新線補助の中には、いろいろそういう産業上の重要な線もございます。また、欠損補助の線については、これは大体今申し上げましたのは旅客が主の線でございます。
  35. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) こういう旅客の主の線については、なお検討を要するものがあるのじゃないですか。
  36. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 一般的に中小私鉄につきましては、この旅客を主にいたしますものについては、特に、最近の自動車運送事業の飛躍的な発展もございまするので、いろいろ経営合理化その他企業の転換等についても指導いたしておりまするが、ただいま申し上げましたものにつきましては、その地方のいろいろな特別の事情もございまして、この鉄道を廃止するわけには参らない。たとえば御案内のように、一部の冬季積雪地方等におきましては、冬季間にやはり道路が阻害をいたしまして、その地方の通勤、通学なり、あるいは国民生活にどうしても鉄道でなければならぬ、それからまた、他のそうでない地区におきましても、いろいろそういうような輸送上の必要から、自動車では置きかえがたいというものについて認定をいたしておりまするので、補助対象会社につきましては、鉄道の運輸の継続されなければ困るという認定をいたしてやっておるわけでございます。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その今例示されましたものの中に、岩手開発鉄道の新線建設補助ということが検討されるようでありますが、それはここ二、三年新線建設をやり、しかも補助対象として補助をされてきたのかどうか、新年度の計画はどういうふうになっているのか、はなはだ横道に入るようですけれども、具体的なことを。
  38. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 過去三年間の実績で申し上げますると、三十年度に新線補助が八社、欠損補助が六社、三十一年度に新線補助が五社、欠損補助が五社、三十二年度に新線補助が五社、欠損補助が五社でございましていずれもこれは今申し上げております認定会社について行なってきておるのでございます。三十年度、三十一年度、三十二年度の内容について、実は資料を持って参りませんでしたが、私の記憶では、今申し上げておりました具体的な会社については、過去三年度においても補助をいたしたと記憶いたしております。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どれだけの新線建設をやったんですか。そういうことは監督官庁として、計画上の進行検査なり何なりやって、具体的に新線建設ができているということになっておるのですか。
  40. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) その点は新線建設補助につきましては、建設のでき上りました後、その線に対しての先ほど申し上げました率の補助をするのでありまして、今後新線建設する分についてするのではございません。新線建設をして開業後、ある年数にその固定資産額の六分以内の補助をいたすのでありまして、既開業分について行うのでございます。
  41. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) そうしますと、もう初めから新線建設会社営業をやるものに、借入金建設事業をやれば、当然そのあとはずっと借入金利子をこの法律によって見ていくと、そういうことなんですね。
  42. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) その点は、先ほど申し上げましたように、特に重要な新線の建設ということで認定を要しまして、その新線建設がどうしても特に重要であって、その地方の開発なり、産業上重要な使命を持っておる、そういう場合に申請がございますると、これを認定いたしまして、認定を受けたものについてだけ、開業後何年間かを限って、その新線補助がいくと、こういう仕組みになっておるわけでございまして、従いまして、すべての地方鉄道の新線建設にこの補助がいくというわけには参らぬようになっております。
  43. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) 次に、気象庁関係のことを一つ。前に、気象庁の庁舎を作る計画が、できておったようですが、これはもう立ち消えになったのでしょうか。
  44. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 気象本庁は大切な機械を持っておりますから、これが万一のことがあっては大へんと思います。私もあの庁舎の予算につきましては要求をいたしたのでありますが、遺憾ながら実現をいたしませんでした。しかし、全体としての日本気象業務の精度を向上するということには、予算措置におきましても私はある程度できたと思っております。気象庁長官も参っておりますから、詳しいことは長官からお答えいたします。
  45. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) 今度電子計算機を借り入れたり、レーダーをつけたり、そのほかいろいろなことをやっておりますけれども、なかなかこういうものにたくさんお金を注がないのが今の日本政府のやり方なんですが、気象庁の方でこれらのほかにさしあたりどうしても必要な設備といいますか、機械といいますか、そういうものはどういうものがあって、どれくらいの予算を要するものであるか。
  46. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象業務改善方針に対しましては、気象審議会の答申もございます。で御承知のように、気象に対する世間の要望が日に増し大きくなって参ります。一方、気象の技術も日進月歩のありさまでありますので、われわれとしても技術にはおくれず、世間の要望にこたえて参りたいと思っております。と申しましても、気象業務は全国にいろいろの施設がありますので、年次計画になっているものが相当ございます。われわれとしましては、年次計画を早く完成するということが希望されておるわけであります。順序が少し逆になりましたが、方針としましては、わが国災害防止するということを第一眼目に置いておりますので、その目的のために、第一に予報を正確にし、情報を早く利用者に伝えるということが大切であります。そのために、今回の予算におきましても予報業務改善というところに主眼を置きまして、皆様のおかげさまで、電子計算機を借用し、数値予報というものを取り入れる段階になって参りました。これに伴って無線模写放送というのが整備拡充されることになりました。で、その他レーダーとかあるいは水害とか、水理の業務があります一方、航空とか海洋という問題があります。これらのほかにも、まだ気象業務というのは、世界におきましてもそれぞれの国の国力に応じて世間の要望にこたえるだけの施設をして参るわけであります。気象庁といたしましてはいろいろ理想もございますが、第一は、本年予算に私どもが掲げましたものが第一にと申してよいかと思うのであります。これはわれわれが要求いたしました約半分通っておるという状態であります。先ほどもお話にありましたところの、気象庁の本庁舎も関東大震災以後ずっとバラックにおりまして、その間二回火事にあっております。そういうような基本的の、基本と申しますか、業務を行うために必要な経営的な施設というものも一方にございまして、これは本庁舎の新築とあわせて、全国にあります百数十の気象観測所の施設、建物等の老朽しておるのもできるだけ早く直したいと思っております。で、ここでいろいろございますので、何ほどということはちょっと申し上げにくいのでありますが、気象業務改善に対する気象審議会の答申というものが、一応の気象業務に関係しておる各権威者が集まりまして作られたものもございますので、お手元に差し上げたいと思っております。
  47. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) その審議会の答申ですね、それを運輸省の方ではずっと取り入れて実施する御方針ですか。
  48. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 気象審議会の答申を尊重することは、これは申すまでもございません。しかし、これを予算化するということになりますと、順序と経路がございまして、全部できないことは私も率直に申し上げざるを得ないのです。しかし、本年度の予算は、先ほど私が御説明申し上げましたように、現在の気象の予報の精度を向上するための予算はとれておると思うのでございまして、ことにレーダーなんかも私も各地を視察しましたが、非常に貧弱なところがございますから、まあ今度もこれを備えつける。あるいはロボット雨量計と申しますか、そういうものも増すことをいたします。まあ幸い電子計算機のごときは、これはアメリカからは借入賃がここに入っておるのでございますが、将来、日本でも国産の電子計算機というものができて参りますならば、これを簡単に利用し得ることはできると思うのでございまして、審議会の答申は、これは所管大臣として尊重することは申すまでもないことでございます。
  49. 岡田宗司

    担当委員外委員岡田宗司君) これは大臣にお伺いしたいのですが、とにかく日本は非常に災害が多いのですね。それから産業気象というものが非常に重要なんで、これは積極的に日本経済の上に大きに役に立っものである。そういう点で、もっと気象の問題については、運輸省は積極的であっていいと思うのですよ。尊重は口だけでは容易でありますけれども、予算化するということが一番問題なんで、その点はもっと積極的にやっていただかなければならぬと思うのですよ。今、私長官の方から、庁舎の問題についてもいろいろ実情を伺ったのですが、これはもっと積極的であっていいんじゃないかと思うのですが、どうもこういう根本的なもので、すぐ目の前に利益の上らぬものについては等閑に付されがちなんですね。まあ大臣はいつおかわりになるかわかりませんので、来年の予算のことについては、あなたに申し上げることは無理だと思うのですけれども、しかし、運輸省でそういう重要な基本的なものについては根本方針を立てて、たとえば方針を、何カ年間にやるというようにきっぱりした計画を立てて、それで本腰を入れて実行するようにされたらどうか。そうすれば、大臣がかわっても大体行われるだろうと思うのです。一つそういうふうに御努力を願って、そうしてあとの方に引き継がれるようにされたらいいと思うのですが、いかがですか。
  50. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 本庁の庁舎は、私も就任早々視察をいたしまして、これではならぬということは、私も承知して要求したのでございますが、まあ外務省の庁舎もあって、ならぬとかいうので、それとは違うのでございますけれども、そういう理屈をつけて参りまして、とうとう実現しなかった。これは私は後任の運輸大臣にこういう点は努力せよということは申し送ります。しかしながら、私は、岡田さん認めていただきたいのは、地方へ参りまして、ある気象台のごときは、庁員の宿舎が実に豚小屋同然のところがありまして、これは国会からも御注意を受けましてこの予算は今度できました。そうして修繕するように——こういう日の当らぬ実際気象庁というところは学者がおりまして、その点予算の取り方が下手なものですから、私も協力をいたしましたが、本庁はだめでございましたけれども、そういう宿舎の点などはこれは改善したつもりでございます。あるいはこれは予算の御審議を願いますれば直ちに新年度からできると思いまして、そういうやはり気象の事務に従事する人の、地方に従事する人の宿舎が不完全ではこれは何の役にも立ちませんですから、そういうふうに努めたことは事実でございます。
  51. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 関連して。この天気予報の長期予報というようなことは、われわれはそのぐらいのところかぐらいの程度しか国民としても、あるいは一般の農民あたりは、気象はいつでも間違っているんだから大したことはなかろうかぐらいにしか尊重していません。しかし、実際にはことしのように暖冬——冬は暖かでこれは非常に住みよいわけですが、農家は非常に心配しておるのです。今年の気象はこれは凶作型じゃないか、まあほんとうに老農のような多年経験のある者は、たとえば宇都宮あたりで四月の十日前後が桜の満開であるのに、ことしはおそらく三月の末には満開になるだろう、そういうような気象は、これはもう凶作型であるというような心配をしているのです。そこで、私は気象の長期予報というものがもっと科学的に、そうして一般国民からも、農家からも信頼できるようなことにしてもらいたいと思うのですが、現在自信があるのですか。あるいは今度機械を買い入れるような話ですが、どうなんですか。一つよく説明していただきたいと思います。詳しくなくてもいいですから、忌憚ないところを、国民の信頼にこたえられるようなことをやってもらいたいと思います。
  52. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいまお話の天気予報あるいは長期予報の信頼に関して、そういうふうなお感じを与えたのは申しわけないと思っております。しかし、実際において天気予報というものは、明日あるいは明後日というような程度でありますと、まあこれは計算の仕方もいろいろありますが、八〇%以上現在成績を上げています。それから長期予報でありますが、これは現在なお気象学界の宿題でありまして、それぞれの国において研究を続け、わが国においてももちろんそういった研究を続けております。しかし、全くのでたらめに出されるのと比較いたしますれば、はるかに高いパーセントでこれを予測いたしております。ただそのパーセントがあす、あさってに比べますと十分でありませんし、また、遠いことでありますから、その表現がはっきり利用者につかみにくいというようなことから御指摘のような感じも与えていると思います。この長期予報に関しましては、お話のように、農業等に最も大きな関係がございます。わが国気象業務は、あらゆる方面に最大の利用ができるように努力しておりますが、特に農業に対しては、もう一歩の業務発展と高度の利用ということを考えまして本年、気象審議会におきましては、特に農林水産業に対する問題点を審議しまして、結論を得まして実行いたしたいと存じている次第でございます。
  53. 千田正

    千田正君 運輸大臣に特にお伺いしたいのは、運輸行政のうちの国鉄に関する問題ですが、国鉄は御承知の通り、独立採算制でありますから、できるだけ採算のとれるところに重点を置いていろいろな施設、設備の改善をやっているし、そういう予算も組む。しかしながら、ほんとうをいうと、たとえば北海道や、東北九州というような地方に行くと、ローカル線であって十分な設備もサービスもできない。さらに産業の開発、あるいは観光事業の開発の点からいっても、新線の増設を望んでくる陳情はこれは毎日のようであります。それに対しては、独立採算制の立場から採算のとれないものはなかなかこれはできないんだというようなことで、容易にそういう問題は解決しない。そこで私は考えるのは、むしろ国鉄において採算のとれないところであっても、国民の要望にこたえるためには、足りない点は運輸省の予算から見てあげて、そうしてひとしからざるを憂うるじやなくて、やはり日本国民ひとしくその文化の恩恵に浴すような方法をとるのが当然だと思うのですが、従来のやり方を見ても、今後の行き方を見ましても、たとえば東海道線であるとか、そういう幹線だけが十分な施設もされ、相当注意もされている。しかしながら、東北北海道九州、あるいは北陸というような、いわゆるローカル線になるというと、まことにみじめな状況であって、さらに、開発のための新線などというものは、しよっちゆう審議会にかけて、次の年、次の年といって延ばされておる。これはやはり独立採算制というものを建前にしておるからであるが、そういう点についてマイナスのあった点は、運輸省の総体予算として国鉄の方に応援してやって、国民の要望にこたえる方針を立てない限りにおいては、こういう問題は解決しないと思うのですが、大臣としてはどういうお考えを持っていますか。
  54. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは国鉄総裁からもおえをすると思いますが、日本の大きな輸送計画から申しますると、新線の要望は、これは私どもは最大限にいれております。ただ、これがために赤字を生じておるというところもありますけれども、しかし、地方の産業経済の開発、交通の利便のためには、私は、国鉄という公共企業体は、多少の赤字を忍んでも新線は建設してもらわなければならぬ。また、私どもは監督官庁としてこれを実行する考えでおります。  東海道にのみ力を入れるという非難はよく受けますけれども、しかし、日本経済の大動脈として、あれは行き詰まってきているのです。今後数年もすると、行き詰まるのです。東海道線が行き詰まりますと、それがやがては地方交通に及んでくるのだと私は判断をいたしております。従って、東海道の輸送を円滑にすることが、これが地方の経済交通もよくすることだと思いまして、やはり輸送量のあるところはこれに応じていかなければならない。また、その要求のあるところは応じていかなければなりません。この点は御了承を願わなければなりませんが、といって、ローカル線を貧乏線にするというような、また、がたの車を流して冷遇する、そういうことは私は間違いだと思います。  最近は電化も、北陸あたりもだんだん努力いたして参りますし、また九州等のあの辺の線も複線にしたい、こういうことを今国鉄では努力いたしておるのでございますが、結論といたしまして、もうからないから新線はやらないのであるという考えは、私は持っべきものじゃないのでありまして、地方の要求される交通発展をはかるためには、ある程度の赤字を覚悟して新線を敷いていくということは、私は公共企業体たる国鉄の使命であるというふうに見ております。
  55. 千田正

    千田正君 私は、東海道線の必要ということはよくわかっております。だから、それに重点を置かれることもいいが、それに並行して、地方鉄道の開発ということも、ローカル線の設備の改善であるとか、そういうことをやらなければうそだと思うのです。それは、格段の差がついている。たとえば、あなたがいらっしてローカル線の駅長なり駅員の話なりを聞いてごらんなさい。幹線におる駅長とローカル線の駅長との間には、生活の環境におきましても、その程度においても、格段の差がありますよ。国鉄当局に聞いてみても、それはおそらくそうでしよう。なるべくローカル線に行きたくないのが従業員の当然のことであって、そうではなくて、ローカル線に行く従業員も喜んでサービスするような考えを持たせるだけ、やはりローカル線も幹線と当然同じように並行して進んでいかなかったならば、政治の根底に触れていない。私は、大臣がそういうお考えだということは、非常に残念だと思う。むしろこれは、国鉄の総裁なり局長がそう言うなら、いいですけれども、いやしくも日本の輸送を担当する大臣が、幹線の運営だけに力を入れるなんということは、とんでもないことです。幹線と同じような力を地方鉄道の開発にも入れるべきだということに対するあなたのほんとうの御方針を承わっておきたいと思う。もし現政府考え方があなたのようなお考え方なら、これはとんでもないことだと思う。
  56. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私が申し上げたのが、言葉が足りなかったために、そういうふうに誤解を受けたことは、非常に遺憾に思います。私は、ローカル線を差別待遇して冷遇するということは言っておりません。むしろ、赤字を覚悟して地方経済発展をはかりたいということは、さっきも申した通りであります。しかし、東海道というものをほうっておきますと、これは輸送力がもう限界に達しておるのですから、東海道が乱れてくれば地方も乱れてくるという見地から、私は東海道の幹線には努力しなければならぬと申し上げておるのでございまして、東海道とローカル線、これは両々相待っていきませんと、日本全体の交通政策にはなりません。その点は、私は決してローカル線は捨ててよろしいいうようなことは考えておりません。先ほど申し上げました通り、できるかけ複線にする、あるいはまたディーゼル・カー、あるいは電化もしようということには、今日努力をいたしておるということを、一つ御了承を願いたいと思うのであります。  それから、国鉄の給与につきましては、地方とか本線とかで私は変りはないと思うておるのでございますが、これは国鉄から一つお答え申し上げましょう。
  57. 千田正

    千田正君 給与の問題は大した差がないとしても、環境が違うわけです。たとえば子供に教育をしようとしても、サルのおるような山の中にいる駅員と、都市にいる駅員とは、同じ給料でも違うのですよ。  またそのことは次の機会に論ずるとしまして、国鉄当局がおられるならば、三十三年度の予算に、しからば新線をやろうという線が幾らあって、目下幾らの一体出願があって、そのうちどれだけ許可しようという計画ですか、それを伺いたい。
  58. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 私から鉄道新線建設についてお答えいたします。鉄道の新線建設につきましては、御案内のように、鉄道敷設法という法律がございまして、その別表に予定線が載っておりますが、この敷設法別表に載っております予定線が、全体で約一万六千キロくらいございます。そのうち、もうすでに開業しておりますものが七千八百キロくらいございまして、夫開業のものが従って八千二百キロくらい残っておりますが、この未開業のうち、現在すでに工事に着手しておりまして、継続して工事しておりますものが約千二百キロばかりございます。従いまして、なお将来どうするかということが残っておりますのが、キロ数で申し上げますと、まだ七千キロぐらいあるわけでございまして、これを全体仕上げますには膨大な資金と長年月を要するわけでございますが、ただいまこの残ったもののうちから引き続いて建設工事に着手すべく調査をいたしております線が十六線ございまして、これが約八百キロくらいに相なります。従いまして、全体として鉄道新線については、工事中のものが、今申し上げました、線数にして約二十八線、それから続いて工事に着手すべく調査しておりますものが十六線、その他のものについては、なお図上の研究はいたしておりますが、さしあたっての目途は、まだ実行計画は立っておらぬと、こういう状況でございます。  で、御案内のように、国有鉄道が鉄道新線を建設いたしまするときには、運輸大臣の方へ伺って参りまして、許可を与えますが、その際に鉄道建設審議会に諮問をいたします。鉄道建設審議会の御答申に沿っていたすわけでありますが、予算といたしましては、三十三年度には、三十二年度の七十億に比べまして、二十億増の九十億という予算計上いたしております。この配分については、今申し上げました線に、鉄道建設審議会の御意見をも尊重して配分する、こういう段取りになっておるわけでございます。
  59. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 関連。私は運輸大臣にお尋ねしたいのですが、先ほど東海道、関西線等に重点を置かれるという運輸大臣お話でありますが、それはまあ従来の日本と大陸との関連の上から見て、どうしても東海道線や関西線というものは重点交通路であることは、われわれも承認せざるを得なかったわけでありますが、今日においてはそれは、四つの島に局限された日本経済の再建から見て、東北北海道というものが残された民族の唯一のこれは開発場所であるとわれわれは考えております。そういう意味において、動脈にも比すべき鉄道が、東北線というものが、きわめてローカル線のような考え方で今日まで置かれたわけであります。私は昭和二十六年から電化運動に今日まで精進してきたわけでありますが、とかく予算を、今度岡山までやるのだ、どこまでやるのだというて、いつもこの電化問題等についても、他の方面に取られてしまったわけです。で、これは一つ運輸大臣、どこの県の出身だか私はよくわかりませんが、(笑声)おそらくこれは束化方面から出身の大臣ならば、これはもうすぐにわかるわけです。  今は、青森から自動車がこのローカル線と競争をして、東京まで、人間あるいは旅客あるいは貨物を載せて鉄道と競争しております。こういうむだをさせる必要がどこにあるのか。鉄道は鉄道本来のほんとうに事業に精進し、速力、あるいはサービス、あるいはその他においても、ほんとうに自動車と競争しなくても済むような私はやり方をすべきではないかと考える。それが、ようやく電化問題も宇都宮までできましたが、北海道まで延ばすには何十年かかるのか、目鼻がつかぬほどの状態でございますが、昭和三十三年度において、どの程度までおやりになるのか、あるいはその後どういう計画で進んでおられるのか。  また、車両の問題にいたしましても、せっかく電化ができましても、それは東海道線とは比べものにならぬほどのあの状態です。今でも、何ですよ、郵便物を入れるような貨車の中に人間がすし詰めになって、毎日運行されております。こういうことはおそらく東海道線にはなかろうと思う。岡山と、それから青森、岩手、これはキロ数において同じです。そうして時間が、今度普通列車の時間は、岡山までが大体十六時間幾らくらいで行ったと思います。ところが、青森までは同じキロ数でありながら、二十二時間もかかるのです。急行においては問題になりません。  こういうように、それはもちろん、輸送量あるいは乗る内容等においては、乗客の内容等においては、あるいは比べものにならないかもしれません。二等車に乗るような人は数少いかもしれません。それだけに、私は、東北方面にはいわゆる経済力がないのだから、開発をする余裕があるということに私はなると思う。どうか一つ、十分東北線の方面の開発についての運輸大臣としての考え方を一つ、お願いしたいと思います。
  60. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は京都市の出身でございまして、(笑声)しかしながら、日本全体の輸送ということをやらなければならない責任を持っておるのでございますから、東北北海道をそでにする、そういう考えは私持っておりません。むしろ、そういう未発達、未開発の所がありとすれば、そういう所に輸送力をつけていくということにこれは私は心がけております。東北につきましても、これは電化もだんだん進んで参りましたし、あるいは東北方面の新線も、おそらく審議会を通過してこちらに出て参ると思います。その点は、私は北海道東北につきましてはいささか認識を持っておりまして、決してそでにしておるとか、知らぬ顔をしておるとか、そういうことはございません。どうかその点は御了承を願いたいと思います。詳しいことにつきましては、鉄道監督局長からお答え申し上げます。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連。運輸大臣のお気持もわかるけれども、今のような新線建設のやり方で、経済効率の上からいって採算のとれないような部分が残っておって、それらの新線建設をやらなくちやいかぬ。国鉄自身は、営業政策上からいえば、そういうことはごめんこうむりたい、こういう気持もあろうかと思う。それで、新線建設事業というものが今のようなやり方でやられて、政治的にどんどん新線建設を決定して、国鉄の方に押しつけて、国鉄が一切その後の営業上の負担を負うというやり方で、今後七千キロなりの莫大な予定線というものの建設が遂行できるかどうか。ほんとうに運輸大臣がそういうお考えであるならば、もっと変ったやり方——まあしろうと流に言うならば、新線建設の負担は国が全部負担する、施設は全部国が負担する、公社は経営、これだけやる。何か抜本的な措置を講じなければならぬようにも思われますが、これは運輸大臣と総裁と両方から、どうするのが最もいい計画遂行のための方式であるのか、御検討になっておるならば、御輿解をお示しいただきたい。
  62. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 大体、新線は赤字なんです。この点は事実、数字で出ております。しかしながら、先刻も申し上げました通り、公共企業体たる国鉄が、ただ赤字だからといって、地方の産業経済、また地方の方々の要望を退けるというようなことは、なすべきものでないと私は考えておるのであります。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはわかるよ。
  64. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) むしろ多少の赤字はあっても、これを地方の発展のためにやるということが、私はそういうふうに考えております。理想から申しますと、こういう新線による金などは利子補給ということもつけたいのでございますが、これは将来に待たなければなりませんが、この点は私も十分認識をいたしておる次第でございます。
  65. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 電化の問題を……。
  66. 十河信二

    説明員(十河信二君) 御質問の中にもありました通りに、国鉄は両面の義務を持っております。公共性を発揮しなければならぬというような義務と、それから独立採算をやらなければならぬという義務と、両方ありまして私といたしましては、新線を建設できるようにしていただいて、また東海道線のような幹線の方も、これもお客さんが、荷物があふれておって、輸送ができなくなっておるから、これもやれるように、両方やれるようにしていただくということが私の熱願であります。どうか、そういうふうなことのできますように、皆さんからも御援助をいただきたいことをお願い申し上げます。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも、私がまともにお尋ねしていることに、まともに御答弁にならぬようです。実際上、新線建設建設審議会で決定する。しかし、これは扱いとしては非常に政治的なものである。そして国鉄自身がその責任において建設しなくちやいかぬ。一方、経営については、運賃その他は、やはりやかましい政治問題となって、その独立採算という上からいえば、公社自身は不満な点が大きいかもしれない。政策的な運賃が多過ぎる。そういうことで、なお国鉄公社が赤字を出すことについては、政治的にも批判が出てくる。そうすれば、そのしりをぬぐうものは、国鉄公社何十万かの従業員の問題を中心とするいろいろな節約とか、その他の問題にしわが寄ってくる。確かに、公共性も独立採算制も、よくわかる。けれども、私から言うならば、今日の公社のこのやり方の中には、いろいろ世間的に批判される場面もあるけれども、基本的には、こういう建設事業等については、政府自身が国策としてやることなんですから、やらせることなんですから、政府自身がもっとめんどうも見、援助もしなければいかぬのじゃないか、こういう考えを持つ。  責任は大いにかかって運輸大臣の方にあると、私は思うのです。それが何ら新方策もなく、惰性でこういうやり方でやっていって、そして公社経営というものが行き詰まっていくということがないのかということなんです。もう少し所管大臣もこの種のものを検討してみた結果、お考えになっておる点があるなら、お示しを願いたいし、また、どういう方式が一番公社のためにも、国民のためにもいいというお考えであるのか、こういう状態で公社経営をやらせておくということでいいとするのかどうか、大臣のお考えを承わりたい。
  68. 鈴木強

    ○鈴木強君 運輸大臣に、非常に大事な問題ですから、今の問題に関連して、質問しておきますが、私はあなたの御答弁を聞いておりますと、非常に運輸事業を担当する大臣として、もちろんわれわれの方にも、国会側にも責任があると私は思いますが、もっと信念を持って国鉄経営というものに対する基本線をうたっていかなければならぬのじゃないかと感じました。それは、五カ年計画国鉄がお立てになって、人口もふえて参りますし、非常に増大する輸送力に対していろんな計画を立てております。そして三十二年度予算計上して、具体的にこれは計画に入ったわけですが、すでに百億近い建設計画の繰り延べが第一次五カ年計画の当初においてやられておる。ですから、今、小笠原委員が指摘せられておるように、国鉄は公共事業であるし、国民のものであるし、従って、できるだけ安い料金でいいサービスを、一億の国民に平等に提供していくのが、私は本質であろうと思うのです。ですから、国鉄が独立採算をしいられて、収入支出の中でやらなければならぬということになると、結局、比較的輸送の増大する東海道線とか、東北線とか、北陸線とか、こういう所に重点がかかってくるのは、私たちわかるのですが、経営の智方としてはいかぬ。しかし、そういうことをやっておること自体が、基本的な考え方から見ると、ぶつかってきておる。ですから、私は一応の目安として、国鉄の収支をはかるというものを立てるということはけっこうでありますが、しかし、年間を通じて出ておるこの赤字というものは、これは国鉄経営全体に対して今世間がきびしい批判をしておりますが、私は明日、またあらためていろんな経営についてお伺いしたいと思いますが、いずれにしても、国鉄経営内部における、ほんとうに全職員がふるい立って、そしてむだをなくし能率を発揮して、そして国民がなるほど国鉄はやってくれているのだ、こういうふうに信用を挽回することも大事でありましょうが、しかし、そうやっても出る赤字は出てくる。ですから、私はそこで年間を通じて出た赤字に対する政府の補てんというものをやはり考えない限りは、国鉄は伸びていかないと思うのです。そういう窮屈なワクをはめられて、あなたは国鉄の担当大臣として言われておるのじゃないですか。  私の聞きたいのは、少くとも五カ年計画の一年目に百億の繰り延べが出てきて、しかも、その百億の繰り延べがそのままになっておるのじゃないのですか。三十三年度予算の中において、それが補てんされておりますか。そういうことが大臣であるあなたの重大責任なんです。少くとも国会においてはそのワクを認めておったにもかかわらず、経済の引き締めによって運輸事業百億の赤字を繰り延べにした、こういうことは重大問題ですよ。だから、国民の期待するような計画が進まないのです。  それと、私の言いたいのはもう一つ、国会側でも、いい論議ですから、佐藤委員からもお話がありましたが、それはやはり国鉄を責める前に、国会自体としても、今申し上げましたような運輸省の基本的な政策を打ち出してくるならば、国会側の審議というものも、少くとも私は国鉄当局のやろうとしておる計画を認めるべきだと思います。それが国鉄に行く間に査定されてしまって、頭をちよん切られてしまう。運輸省から大蔵省に行って、頭をちよん切られてしまう。大きな予算という全体のワクに縛られてしまう。これは国会の方としてはまんべんなく、赤字が出たら補てんするということに立って、必要な建設資金はどんどん出して、それをわれわれが承認していけば、これは国鉄がわれわれの期待をするようにいくのです。これをやらないのは、国会側の、審議権を持っわれわれの責任だと思うのです。  それにしても、大臣の腰の弱い考え方、そういうものが結局第一次五カ年計画を百億も繰り延べさせた、こう思うのです。ですから、担当大臣はきわめて不用意に答弁されておるのですが、私は聞いておって非常に気になりましたものですから、一応あなたのほんとうの気持を聞いておきたい。
  69. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 ただいまの御議論は非常にもっともなところがあると思うのです。そこで、私は一つお尋ねしたいのは、むしろ昭和五、六年ごろの不景気なときに、新線の建設をやるときに、簡易線という規格を下げたやり方をやったのです。新線は、御承知のように、大体日本の山間地帯に多いのです。そこに簡易線の規格を下げたものをやったので、これは失敗したと言っておるのですけれども、大きな材木なんかで、まして線路の強さが足りなくて、あとで直したのですが、そこでこれから新線に擬せられておる所の大部分は輸送量も少いし、その輸送量の少い所にこの幹線に似たような道具立てをしてやっていくというところに、この新線の赤字の原因があるのです。そうしてその赤字を国鉄だけが背負っておるという現状は皆さんも指摘されたところなんです。  そこで、今から二十年近く前に考えられた簡易線の考え方をもう一ぺん飛躍さして、そうして何も鉄道の線路を敷かないでも、民衆からいえば、客を運び貨物が通ればいいのです。そこで新しい考え方で、近ごろ発達しておるバスを利用する、あるいは底床のトレーラーに載せて、そうしてそこを通過して幹線に連絡する、こういうふうな新しい技術の飛躍をお考えになって、この経営の困難、これを打開する。国民全体からいうと、それでたくさんなんです。切符も直通するし、荷物も直通する。そういうことをお考えになって、そうして将来の日本の開発、この新線建設をしなければならぬ。そして日本の残された資源の開発をしなければならぬと思うのです。この資源の開発と経営の技術、こういうものをこね合せた新しい考え方を、これから研究なさるお考えがあるかどうかという点を、関連してお尋ねしておきたいと思います。
  70. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 三つの御質問は、これは公共企業体としての国鉄の根本問題でございまして、大へん重大だと思います。そこで、先般鈴木さんからも予算委員会で御質問あったように、私は、現在まだ八年にしかならないこの公共企業体としての国鉄の形は、これを育成強化していきたい、これは私の信念で持っております。民営に移すとか、もとの官営にするとかという考えはありません。  そこで、国家の投融資の百億円、これをスロー・ダウンされたことは事実でございますが、いろいろ交渉の結果、四十数億円は取り戻しております。しかし、五十億円スロー・ダウンされたということは、国鉄計画にとりましては痛手であることは事実でございますが、これは全体としての総合政策の上からいってやむを得ないものであるとして、私はこれを承認をいたしたのでございます。  それから新線問題につきまして、いろいろ専門的な御見解なり御指示がございまして、私もつつしんで承わったのでございまするが、これらにつきましては、国鉄からも一つ専門的にお答えを申し上げた方がいいと思いまするけれども、できるだけ国鉄全体の財政、公共企業体としての財政は、これはまあ今自分でまかなうという形でございますけれども、将来はやはり国家資金というものがこれにつぎ込まれていく、投入されていくということは、建設審議会等においてもしばしば議論されておるところでございまして、この傾向は私も助長していかなければならぬということは考える次第でございますが、三十三年度はまあ今までの方針によってこれを継続していくということにとどまっておることは、これは事実でございます。
  71. 千田正

    千田正君 私が大臣にさっきからお尋ねしているのは、大臣を責める意味ではなくて、私の大先輩だから、大いに応援するつもりで言っているのですが、それは、従来の運輸大臣というものは運輸大臣という名前だけで、汽車の煙のごとく国民の頭の中に残らない大臣が多いのです。(笑声)せめて大臣がすわっておられる間は、私は、先輩として運輸行政に画期的なはっきりしたものを植えつけてもらいたいと思う。これは、私が先ほど申し上げたことに端を発して、各議員から御質問があった通り、国鉄のあり方ということについて十分御検討願って、しかも、国民の要望にこたえる方策としては、やはり運輸省は、大臣が決意を持って、さっき各議員からお尋ねのあったように、マイナスの面、しかも新線の建設というようなそういう面においては、われわれはもうあなたの方から予算が出てきたならば大いに賛成するのですから、十分この際切りかえて、今までのような行き方じゃない方策を、大臣の就任している間に大政策を、根本的なものの建て直しを出してもらいたい、こういう意味で各議員からお尋ねしているのですから、そういう意味で、まだお尋ね申し上げたことに対してお答えがされてない点もあると思うのです。  ただ、時間が来ておりますから、主査にお尋ねするのですが、第三分科会の運輸省に対する質疑は、何時までやるのか、それとも、後日またあらためてやるのか、それによって私はまだまだありますので、伺っておきたい。
  72. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 主査は大体、本日は本会議の関係でおくれましたので、一時までやって、まだたくさんに質疑が残っていると思いますので、明日建設省の予算を終了後、午後になりますが、引き続き運輸省関係の予算について質疑を続けたいと考えております。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  73. 千田正

    千田正君 それでは、明日続けて……。私、まだお尋ねしたい点がありますから。
  74. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 今のお話に対して、運輸大臣から、さらに先ほどの小笠原委員の御質疑に対しても、ちょっと御答弁が足りなかったように思うのでございますが、もしございましたら……。
  75. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、先ほどお答えしましたごとく、この三十三年度の予算国鉄予算、これは従来の方針を受けついでおるので、さらにこれが新しい方法によって、これがやはり国鉄五カ年計画と相並んでいろいろ考えなけりやなりませんが、まず私はこの国鉄五カ年計画を完全に実行したいという、これはどうしてもやらんならぬことであります。この点は私は努力し、また将来その完遂を期さなきゃならぬということは、私は申し上げておきたいと思います。
  76. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 電化計画東北線計画を申し上げます。御承知のように、宇都宮まで本年の四月の四日に開通いたすことになっておるのは、御承知の通りであります。そうして継続いたしまして、これをさらに福島への継続工事を来年度の予算計上いたしておりまして、福島までの予定が大体来年の九月から十月にかけてという予定工事を進めております。それから仙台までが大体三十五年度一ぱいに工事を完成するという予定で、この計画は組んでおります。それから盛岡までが三十六年度一ぱいに、いわゆる五カ年計画工事として、三十六年度一ぱいに完成する予定でございます。盛岡以遠青森までがいわゆる第二期計画でございまして、その後の五カ年間に完成するという予定でございますが、それのこまかいスケジュールまでは、今日まだ立っておりません。
  77. 三浦義男

    ○三浦義男君 今のお話だと、仙台までは三十五年度だというお話でしたが、そうすると、私どもが聞いていたのは、…十四年度までに仙台に行くのだというお話を聞いていたのですが、計画の変更があったのですか。
  78. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) ちょっと私申し違えましたが、福島—仙台までは三十五年の十月でございます。
  79. 三浦義男

    ○三浦義男君 そうすると、やっぱり半年くらいは繰り延べられていると考えてよろしいですか。
  80. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 三月ないし、線区によりましては、半年近く延びているのもあるかと思います。全体としてはそう大きく変っておりません。
  81. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 運輸省関係予算審議は、本日はこの程度にとどめまして、明日午後一時から引き続き運輸省関係予算質疑を続けたいと思います。  それでは、午後二時まで休憩いたします。    午後一時十分休憩    —————・—————    午後二時三十三分開会
  82. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) ただいまから第三分科会を再開いたします。  まず、郵政省関係予算について、田中郵政大臣から説明を願います。
  83. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) それでは、私から昭和三十三年度郵政省所管予算案と、これに付随する若干の問題につきまして、説明申し上げたいと存じます。  まず、郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計の予算総額は千六百七億九千七百万円でありまして、前年度の千四百三十五億二千五百万円に比して百七十二億七千二百万円の増加となりますが、その歳出予算の内訳を申し上げますと、郵政省において取り扱う郵便、郵便貯金、簡易生命保険及び電気通信等の諸業務に要する業務費が千百七十六億七千九百万円、収入印紙、失業保険印紙等の収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外の支出額が三百七十七億五千八百万円、公債及び借入金の償還金が一億六千六百万円、予測しがたい経費支出に充てるための予備費として八億円、郵便局舎等の建設費として四十三億九千四百万円を計上いたしております。  次に、定員関係について申し上げますと、郵政事業特別会計における昭和三十三年度の予算定員は二十六万六百七十七人でありまして、前年度に比べ二千六百十五人の増員となりますが、この増員は主として郵政窓口機関の増置、郵政業務量の増加、特定局における電話施設増加に伴う所要人員並びに常勤労務者の一部を定員化するに伴うものであります。  次に、歳入予算について申し上げますと、歳入予算総額は歳出予算と同額の千六百七億九千七百万円でありまして、その内容といたしましては、郵政固有業務収入及び雑収入が五百六十億一千三百万円、郵便貯金、保険年金、電気通信等の各業務の運営経費に充てるため、他の会計から繰り入れられる他会計からの受入収入が六百三十八億八千百万円、郵便局舎等の建設財源に充てるため郵便貯金特別会計、簡易生命保険及び郵便年金特別会計の両会計から受ける設備負担金が五億四千五百万円、郵便局舎等の建設財源に充てるための借入金が二十六億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務収入が三百七十七億五千八百万円となっております。  次に、郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出ともに五百二十三億九千百万円でありまして、このうち歳入予算は、郵便貯金の資金を資金運用部に預け入れることによって生ずる利子収入等が四百八十一億八千五百万円、歳出経費の財源に充てるため、資金運用部特別会計から繰り入れを受ける他会計からの受入収入が五十二億六百万円となっております。これに対し歳出予算は、郵便貯金の預入者に対して支払う利子が三百五十一億三千三百万円、郵便貯金業務運営のために必要とする経費が百八十二億五千八百万円となっております。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計は、歳入が千三百九十八億三千三百万円で、歳出は四百八十七億二千九百万円を計上いたしており、歳入超過額九百十一億三百万円は、法律の定めるところによりまして積立金として処理することになっており、一般公共貸付の運用原資といたしまして八百五十八億円を確保する予定となっております。  なお、参考までに郵便貯金及び簡保年金の資金と、財政投融資資金との関係について申し上げますと、三十三年度の政府財政投融資原資見込額三千五百七十二億円のうちには、郵便貯金の資金が一千百五十億円、簡保年金資金が八百五十八億円、合計二千八億円が含まれておりまして、この金額は全投融資原資の五六%を占めている実情でございます。  次に、当省所管一般会計予算案について説明申し上げますと、歳出予算総額は十七億七千四百万円でありまして、これを前年度予算額十六億四千百万円に比べますと、一億三千三百万円の増加となっております。この増加のおもな事項といたしましては、電気通信監理機能の充実に要する経費として四百万円、マイクロ散乱波、ミリメートル波等電波技術関係重要施策実施に要する経費として四千六百万円、放送局、テレビジヨン局等の監督に必要な機器類の整備充実に必要な経費として八百万円、定員の増加並びに職員の昇給に必要な経費として八千九百万円等が主たるものでありまして、他方海外放送交付金の減少千五百万円等がありますので、前述の通り、一億三千三百万円の増加となるわけであります。  次に、これら業務の運営に必要な定員について申し上げますと、本年度予算定員は二千九百五十五人で、前年度予算成立定員二千九百四十二人に比べ、十三人の増員となっておりますが、この増員は、電気通信監理機構の拡充強化に伴って十五人の増員が認められ、ほかに二名を科学技術庁に組みかえたことによるものであります。  次に、昭和三十三年度の日本電信電話公予算案の概要を申し上げますと、同公社の予算は、損益資本及び建設の三勘定に分れており、その総計におきまして、収入支出とも三千二百三十六億九千四百万円でありますが、このうち勘定間の振りかえによる重複する金額一千三百七億七千六百万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計額はいずれも一千九百二十九億一千八百万円でありまして、これを三十二年度に比較いたしますと、二百十六億六千九百万円の増加となっております。  次に、主要勘定たる損益建設両勘定の収入支出の内訳について申し上げますと、損益勘定において、収入は、電信収入及び電話収入が一千六百四十三億八千万円、受託業務収入が十八億二千二百万円、雑収入が三十一億九千万円、計一千六百九十三億九千二百万円となっており、支出は、給与その他諸費が五百六十三億一千三百万円、営業費が二百五十五億一千五百万円、保守費が一百五十五億七千三百万円、共通費が六十二億二千四百万円、利子及び債券取扱費が八十億九千六百万円、減価償却費が二百八十六億円、受託業務費が六億二千七百万円、予備費が十三億円、計一千四百二十二億四千八百万円となり、収支差額二百七十一億四千四百万円は建設改良及び債務償還に充てるため、資本勘定べ繰り入れることになっております。  次に、建設勘定におきましては、資本勘定において調達いたします、電信電話債券の加入者及び受益者引き受けによるものが六十七億一千三百万円、電話設備負担金が五十八億六千八百万円、借入金が三十五億円、損益勘定からの繰入金が、減価償却引当金二百八十六億円を含めて五百五十七億四千四百万円、その他の自己資金が七十四億四千五百万円、合計七百九十二億七千万円から債務の償還に充当する四十二億三千八百万円を控除し、差引七百五十億三千二百万円を建設財源として予定しております。同じく支出といたしましては、総係費が六十一億二千四百万円、電信電話拡充第二次五カ年計画第一年度工事費といたしまして、一般拡張工程の工事費が六百三十億二千四百万円、町村合併対策費が二十九億三千五百万円、農山漁村普及特別対策費が二十九億四千九百万円、小計六百八十九億八百万円、合計で七百五十億三千二百万円となっております。  これによって予定しております工程内容について申し上げますと、まず、一般拡張工程につきましては、加入者開通二十五万名でありまして、これは本年度に比べて六万五千名の大幅な増加を示しております。公衆電話は一万個、市外回線六十六万四千キロメートル、これによりまして、従来の大都市相互間即時サービスの拡充に加えまして、これら大都市と密接な関連のある県庁所在地局相互間等の即時サービスの実施をもはかることとなっております。電話局の建設は百五十五局で、うち、年度内にサービス開始のできるものとして六十一局を予定しております。  このほか、来年度はテレビ放送局の大幅な開設が予定されておりますので、これに即応して、テレビ中継網の整備をはかるため、市外電話回線の拡充の工程の分を含めて、二十三区間のマイクロルート、新増設を実施する計画であります。  次に、町村合併に伴う電話サービスの改善に対しては、さきに申し上げました約三十億円をもって電話局の統合二百三十七局、市外回線増一万三千六百キロメートルの工程を実施いたすこととなっております。  さらに、農山漁村普及特別対策につきましても、本年度の倍額の約三十億円を充当いたしまして、四千個の公衆電話、一万二千加入の共同電話を設置するとともに、新たな制度として地域団体加入電話を約百カ所に新設することとし、無電話部落の解消に努めている次第であります。  以上の建設工程を遂行するために必要な財源の調達につきましては、御承知のように、きびしい経済財政事情から、政府の財政投融資資金といたしまして、資金運用部及び簡保資金特別会計から三十五億円の借入金が認められておりますほかは、その大半を公社の内部資金に求めることとなりましたので、計画の完遂を期するためには、一段と経営全般にわたる合理化を推し進めて、内部蓄積の充実をはかることが要請される次第でありまして、今後とも公社をしてますます経費の効率的使用をはかり、生産性の向上を高めて、健全なる経営基礎の上に事業拡充発展させまして、電信電話サービスに対する国民の要望にこたえるとともに、国民経済の進展に寄与していきたいと存じます。  これをもちまして、私の説明を終りたいと思いますが、なお、詳細な点につきましては、御質問をいただきまして、お答え申し上げたいと存じます。よろしく御審議の上、すみやかに御承認下さいますようお願い申し上げます。
  84. 千田正

    千田正君 私、不勉強で、項目の字がわからないのですが、保守費というのはどういうことですか。
  85. 靱勉

    説明員(靱勉君) 電電公社関係の御質問かと思いますが、電信電話の設備を維持する経費でございます。
  86. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 郵政大臣の説明は終了いたしました。順次、御質疑のある方は御発言願います。
  87. 鈴木強

    ○鈴木強君 最初に郵政大臣にお尋ねいたしますが、私たち聞くところによりますと、十四日の閣議で、懸案の郵政現業職員に対する退職年金制度、これを普通の公務員の諸君と切り離して、いわゆる郵政以下五現業の職員に対して共済方式による退職年金制度を作っていく、こういう方針がおきまりになっているようですが、ところが、その後一日も早くこの法案が国会に提案されることをわれわれは期待しておるわけですが、何かきょうの新聞を見ますと、一般公務員との関係で、大蔵省と総理府との対立があるように見受けられます。従って、そういう余波を受けて、五現業の方がおくれておるように思うのですが、現状はどうなっておりますか。その見通し、いつごろ国会べ提案できる予定でしょうか。
  88. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 御承知の通り、私は、公務員の退職年金制度切りかえについて非常に熱意を持って、ただいま御説のような状態までこぎつけて、閣議決定いたしました。閣議決定は三カ条になっております。第一条は、郵政職員は全部共済制度に切りかえる。それから第二は、非現業の雇用人も右と調整をする。第三は、一般公務員は共済制度に切りかえることは原則的に了解をし、国家管掌にするか組合管掌にするか等は、人事院の勧告等もありますので、その具体的な方法については早急に協議を行う。こういうことになっておるわけでありますから、郵政初め五現業は、当然問題はないわけであります。  ただ、今までの状況から申し上げますと、大蔵省と総理府との間に、総理府はあくまでも、郵政を含めた五現業を一本の法律で出して、非現業の雇用人はまた別な形の法律で出すということを了解したのだが、ということを言っておりますし、大蔵省は当然原則的に非現業の雇用人も含めたものである、こういうふうな見方に立っておりまして、まだ最終的なまとまりはついてはおりませんが、このような問題は、もう今月中にはどうしても提案をしなければならない、もうおそ過ぎると思っておる法律案であるから、明日の閣議で私も発言をして、できるだけ早く提案をするようにという考えでございます。
  89. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣の努力されておることはわかるのですが、要するに、閣議全体としての、一般公務員との関係があるようですが、私たち、もちろん一般公務員の諸君もできるならばこの際一ぺんにやっていただくことは一番いいわけですが、それが非常にいろいろの点でむずかしいとするならば、すでに御決定になっておる郵政以下五現業の問題については、一日も早くこれをやることが大事なことだと思う。それで、今月中などということ一を言っておるのですが、もうすでに法案の準備は進められておると思うのです。ですから、これは早いところ、政府の方も予算に関係する重要法案は早く上げると、こう言っておられるのですから、今お見通しを聞いたのですが、今月中というようなことですが、これは一つすみやかに提案できるようにさらに努力していただきたいと思うのですが、どうですか。
  90. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お説の通り、私も就任後、この問題をできるだけ早く法律化したいという意味で、努力をいたして参っておりますから、明日の閣議を中心にして、できるだけ早く提案の運びにしたい、こういう考えでございます。
  91. 鈴木強

    ○鈴木強君 その点は一つ了承しました。さらに御健闘をお願いします。  それから、大臣と、公社の方とも関係があるのですが、日本とベトナムとの賠償問題がいろいろ取りざたされておるのですが、その賠償と直接関係があるかどうか知りませんが、南ベトナムですね、ここに対して通信建設計画というものがあるらしいのですが、その通信建設計画日本の電電公社がやるというような話を聞いておるのですね。  それは、日米行政協定に基くサービス契約というのがありますが、そういうものを適用してやったのか。私たちちょっと考えても、米軍の依頼によって電電公社がやるというような、こういう話なんですね。そうなりますと、ベトナムは少くとも独立国であるし、日本はこれを承認しておる国であるし、その間に米軍が介在をして通信建設計画を立てて、その計画を公社がやっていくのだ、こういうことになりますと、非常に奇々怪々だと思うのですが大臣はご存じでございますかその点。
  92. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) まだ調査に行っただけで、実施をするともしないともきめてないそうであります。
  93. 鈴木強

    ○鈴木強君 その調査に行ったというのは、どういう根拠に基いて行かれたのですか。
  94. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私はまだ報告を受けておらなかったものですから、電電公社側から答えさせます。
  95. 靱勉

    説明員(靱勉君) これは、アメリカ軍におきまして通信施設整備するということの計画があるように承わっておるのでございますが、それにつきまして、一応無線設備の調査並びにそれに対して建設するならばどういうような計画がいいかということを依頼を受けましたので、公社としましてはそれの調査の人を派遣した、こういう形になっております。
  96. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、在日米軍の調達部の依頼によって、電電公社は南ベトナムを縦断する通信建設計画調査に出かけた、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  97. 靱勉

    説明員(靱勉君) これらの調査につきまして、入札によりまして公社に入札が落ちましたので、調査に出かけた、こういう形になっております。
  98. 鈴木強

    ○鈴木強君 私もそこまで、入札がきまったというところまでは実はよく理解しておらなかったのですが、台湾の方もそういう計画があるのですか。それで、台湾の方はもうすでに報告を出してある。それで、南ベトナムの方はまだ夫報告になっておる、というふうにわれわれは理解しておるのですが、それはそうでございますか。
  99. 靱勉

    説明員(靱勉君) 台湾につきましても、同時に調査をいたしまして、そしてそれの調査の結果の報告を出しておるわけであります。
  100. 鈴木強

    ○鈴木強君 どうも私は、入札をした——落札でしたか、落札したのかとうかわかりませんが、そういう南ベトナムの通信建設計画、しかも、それが米軍整備建設するというものに対して、日本がどういう根拠に基いて入札に参加したのか、あるいは日米安全行政協定というものがちゃんとあるわけですから、それとの関係で非常に疑義を感ずるのですが、入札がきまって工事をどういうふうにするのか、その人は公社直轄でやるのか、あるいはメーカーを派遣してやるのか知りませんが、いずれにしても、日本がそれの建設に当ることになるわけですから、その点非常に問題があると思いますがね。
  101. 靱勉

    説明員(靱勉君) これはまだ工事をやるとか何とかということはさまっておらないのでございまして、結局、調査しまして、設計をしたというだけのものでございます。  そこで、一体そういうことを公社がどういう根拠でやったかという形になりますが、公社の能力としまして、いろいろ他の委託その他によりまして、建設その他保守の委託を受けるというようなことは、公社としてできるという解釈のもとにやったことであります。特別に何かの条約に基いてやったという形のものではない。かりに、台湾政府自体からいろいろ技術的な調査を依頼されたり、その他の計画の設定等依頼された場合には、やはり同じように、公社としてできるものと考えておる次第でございます。
  102. 鈴木強

    ○鈴木強君 それが、台湾政府が直接日本政府に対して建設計画に対する協力を仰いでくるとか、要請してくるとか、あるいは南ベトナムの国が直接そういう話を日本にしてきて、それに対して日本が技術援助をするというようなことは私はいいと思うのですよ。私は、東南アジアの後進地域の通信施設というものを日本が協力をしてやるということは、もう公社がお考えになっておることは、私はそれは賛成なんです。それを悪いと言っているのじゃない。ただ、この話は、少くとも在日米軍の調達部からの話だと私は思うのです。そうして、しかも、ベトナムに米軍の要請によって縦断する約千百五十キロメートル、南北ですね、VHF帯を使ってやる。予算も十一億くらいの予算考えているようでありますが、そういう在日米軍調達部からの要請に基いて、とんでもない、ひとの国にそういう施設をやるのを、日本がやる、公社がやるというその根拠を私は聞いているんです。これは当然、日本ないしはその日本の周辺にある米軍施設に対する協力は、サービス契約に基いて日本の電電公社がやる。これは、そういう契約がありますから、それはいいのです。いいけれども、少くともベトナムの国まで行ってやるということに対しては、これは法的にいって疑義があると私は思っているのです。ですから、そういう点を明確にしていただけば、私の質問は納得できるのです。
  103. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) なるほど、南ベトナムとか台湾とかという独立国であるにもかかわらず、第三者である在日米軍調達部の要請によってやったということになりますと、少し問題もあるようではありますが、これは一般的な観念からいいまして、依頼を受けたので入札に応じたという、しごく単調な考え方でやっていると思います。しかし、日本電信電話公社法によりますと、第三条の二項に、「委託により左の業務を行うことができる。」と書いてあるだけで、外国からでもどこからでも委託を受けたらやっていいとは明確に書いてありませんから、その意味では少し考えなければならないところがあるかもわかりませんが、現在の常識的にいって、頼まれたからやったということであって、もちろんその根拠になるものは、米国と台湾、米国と南ベトナムとの間に円満な交渉の前提があればこそ出かけられるのでありますから、戦略的にいろいろな問題を持っておるときに出かけたというのではなく、もちろん国際法上も合理的なものとしての入札参加でありますから、今の法律上は問題はないのではないかと、こう考えております。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連。今、大臣、そういうことをおっしやるけれども、この経過については、大臣は監督の責任にある立場ですから、従前に公社の方からお話を受け、よかろうということで決済をしているという様子でもない。しかも、相手国からの要請でもない。また、政府の手を通じて公社側が入札に応じ、これに協力しろと勧奨されたのでもない。監督責任のある大臣の答弁としては、常識的にやったんだ、よかろう、そんなことはおかしいですよ。今言うた公社法の根拠でも、委託されるならどこでもいいのだ。そんなことじゃない。それは国内の問題です。解釈上の問題としてはですよ。特段な問題があれば、所管大臣たる郵政大臣の方が外部からそれを受け、そうして公社側の方にそれを通ずる、そういう形式は、手続は整っていないとおかしいと思うのです。どうなんですか。
  105. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私も就任後、電電公社法の改正等をして、明確に規定しなければならないのではないかとさえも考えておりました。おりましたが、今日までなってしまったのですが、電電公社が南ベトナムだけでなく、東南アジア諸国に対しての賠償の実施に伴いまして、いろいろな工事入札に参加をするということを、電電公社も絶えず発表いたしておるわけであります。そのときに、日本電信電話公社法は、国内的に公社としての法制の形態を整えておるようであるから、外国に対しては法文に明記のない場合一体やれるのかどうかという問題に対しては、多少明確を欠くわけであります。でありますが、国内以外のものをやって悪いという明確な条文がないのであります。でありますから、まあ当然外国に対しても、電電公社が公社として何か参加をするような事態ができて参りますので、この間の問題は一つ十分に明確にした方がいいという考えを持っておったわけでありますが、今まではついに改正をすることができなかったわけでありますが、少くとも現行法でも外国のものをやって悪いということはないと思いますし、また日本では大きなものは電電公社しかないのでありますから、やはり国際的な入札に参加をする。特に、電電公社はだんだんと民営形態に移していかなければならないという公共企業体等の答申を見ても、また弾力条項を大いに発動して、広く一つ事業拡張するという意味からいっても、こういうことをやって悪いとは考えておらないわけであります。しかし、法律的に、外国のものまでどこでも手を出していいとは書いてないわけであります。  もう一つは、国内的のものしかできないと思う公社が、しかもいろいろな問題があるようなところまで入札参加して、いわぬじゃないかという問題がありますが、正式に認可はいたしておりませんが、私自身といたしましても、電電公社に対して、これから東南アジアあるいはその他外国の市場に出ても競争さしたいという考えがありますので、法律的に明確に規定した方がよければ、いずれも改正案を提出いたさなければならない、こう考えております。
  106. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは大臣としては、将来の抱負としていかような措置をとられようとも、それは合法的であればそれでいいです、将来のことは。しかし、電電公社法は、国民べのサービスとして、そういう電報、電話のサービス常業をやる機関として作られているのが、この公社なんです。何にも法律にないから、外国のことをやっても悪くないのだということが、どこから言える、そんなことを予想していないから、そんなこと明記してない。この公社の目的は何ですか、それは、国民べのサービスをするだけの機関なんです。それを大臣がちっとも触れておらなかったというのは、どういうことか。
  107. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 確かに、私も先ほど申し上げた通り、原則として日本電信電話公社は、日本を代表し、外国に出すような目的をもって作られたものではありませんから、確かに外国まで手を出していいか悪いか——亜くはないけれども、いいかということは問題があると思います。でありますから、いよいよ外国の仕事をすることになれば、法律で明確にそういう権限を規定した方がいいかもわかりまけん。しかし、国内的にいろいろな電信電話業務に対して支障が全然ない限度において、外国にも発展をする、しかも一定の条件のもとに入札に応ずるということが、悪いとはちょっと考えられないのであります。
  108. 鈴木強

    ○鈴木強君 電電公社法の解釈は、きわめて大臣、にわか勉強で、そこで監理官に教わってやったって、僕もくろうとですから、あなたのそういうへ理屈では僕は納得できないですよ。当面を糊塗することでなしに、私の言っているのは、少くとも在日米軍が依頼をしてきたのです。だから、ベトナムがストレートでこっちに要請をしてきて、そうして賠償の一環として国が電電公社に対して通信協力をこういう形でやるのだという方針をおきめになって、その範囲内において建設計画にある程度の要員を派遣してやるとか、非常にむずかしい問題ですけれども、派遣してやるとか、あるいは資材を提供するとか、こういうことについては、私は大いにやってもらいたいのです、日本の技術を。しかし、それとは事が違うのでありまして、南ベトナムの国が在R米軍の調達依頼があって、日本電電公社に一千何百キロ、これは私の調べによると、サイゴン—カンチ間約千百五十キロで、十一億の経費を充ててやっている。こういう、具体的に少くとも米軍からの要請があって、しかも入札に応じて行なったということになると、これはもう日米行政協定のサービス契約以外によるところはないのです。率直に言って、ないのです。  在日米軍に対して日本がサービスを提供する場合は、この黒い表紙のがありますから、これを読んで下さい。これはサービス・エリアとか、サービス契約とかいろいろありますけれども、これによってやらざるを得ないのです。ですから、先般も、朝鮮海峡の海底線の敷設に対して公社の職員を派遣する際にも、三人の首切りが出るくらいの紛争を重ねたのです。ですから、日本の領土外に日本の職員が入ってゆくということになりますと、これは事そう簡単じゃないのです。ですから、そこまでやっているかどうか。これは私の憶測ですから、言い過ぎかもしれませんが、場合によってはそういうところまで発展する問題ですから、少くとも法律的に、このベトナムを縦断する通信施設というのを、米軍の要請によってやるということになりますと、電電公社法やあるいは政府のお考えによってはいかないのじゃありませんか。別に決定された契約に基いておやりになることだと私は思うのです。ですから、少くとも電電公社がこの計画を立て、これに参加入札をし、調査団を派遣するということでありますからね、外国出張で行っているということになるのです。これは大臣に報告がなかったということは公社の怠慢かもしれませんが、また監督官に報告をしたのかどうか私は知りませんが、少くとも公社でそういう計画をお立てになっているのですから、事国際的な問題でもあるし、所管の大臣が私は聞いておらないということはそういう無責任なことじゃ私は困ると思うのです、率直に言って。  ですから、その経緯を明確にしていただくとともに、もっと進んで、今抽象的に私は言っているのですから、内容はよくわかりませんが、在日米軍からどういう要請で、どういう計画を、どういうふうな格好でやる、入札をどういうふうにやって、それにどう参加していって、電電公社にやってもらいたいということになったのか、そういう経緯を一応説明していただければ、問題の荒筋がわかると思うのです。そうしてそれに対する、監理官なら監理官に対する公社の説明があったかなかったかということも出てくると思いますから、ですから、公社の責任に当ったのはだれが当ったのですか。計画局長ですか。総裁でございますかね。とにかく一応その内容を明確にしてもらいたいと思うのです。
  109. 靱勉

    説明員(靱勉君) ただいまの御質問でございますが、私どもの解釈といたしましては、本案件は、賠償とかあるいは在日米軍とのサービス契約に基くというものではなくて、全く一つの設備の調査あるいは設計というものの委託というふうに考えた次第でありまして公社法の建前から申しますれば、さっき御指摘のように、日本国内における電信電話サービスに絶対責任を持っているわけです。これを阻害するようなことはできませんが、私ども第三条の解釈といたしまして、非常にこの軽微と言っては語弊があるかもしれませんが、そう大したことではない。こういうような委託につきましては、必ずしも国内だけの問題じゃない、外国へも行ってやれるというふうな解釈を、まずとった次第でございます。  この解釈につきまして、もちろん、またその内容等につきましては、郵政省へも御報告いだしまして、一応御了解を得たという格好のもとに引き受けたのでございまして、在日米軍の調達部の方からどういう具体的項目できたか、それはただいまその主任の契約者から御説明いたさせますが、私どもの考え方といたしましては、公社法の精神に反していないという考えに立ってやったことでございます。大体、台湾を縦断するものと、南ベトナムの一部に無線施設というものを設定することの調査並びに設計というものの委託を受ける、こういうふうに考えております。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の靱副総裁の解釈を大臣も支持しますか、そういうふうに法律が拡大解釈されますか。
  111. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私は就任後、外国のものに対しては少くとも政府関係機関でありますから、もっと明確な規定を必要とするというふうに考えておったんです。おったんですが、その後、国鉄が南方のものに対して入札参加をするとか、それから電源開発、アスワン・ダムの建設をやりたいとか、日本とベトナム……、日本とフィリピンとの賠償に対してダムの建設を、電源開発をやりたいという話が出て参りましたし、こういうものはただしておかなければならない問題でありますから、やって悪いという規定はなくても、できればそういうことを明確にする方がいいと考えましたが、先ほど申し上げた通り、法律はそのままで今日に至っておるわけであります。でありますから、それらの政府機関が外国に出て仕事ができないというふうには解釈をしておりません。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 公社にお尋ねしますが、その種のものには公社の建前としては積極的に参加しよう、そうして日本の技術というものを海外に示そう、そういうような積極的な態度でおられるのですか、事情やむなしとするものに限ってやはり何かの考慮の上一でそういう措置に出ているのですか。
  113. 靱勉

    説明員(靱勉君) 率直に申しますと、戦争中並びに戦後、わが国の通信技術と申しますか、あるいは器材の海外進出というものは程度の低いものでありまして、かつて進出しておったものもなくなってしまうというような状況にあるわけであります。国内通信施設整備に伴いまして、あるいは戦後、欧米の発達しました通信技術に追いつぐという意味合いにおきましてわが国の通信技術及び通信機製造工業の発展というものには、公社もやはり一つの大きな任務があるものと考えておった次第でございますが、特に東南アジアと申しますか、アジア地域あるいはA・A地域と申しますか、そういうようなところに、ようやく立ち直ったわが国の通信技術の進出をはかりたいということは公社も考えておった次第でありましてこれはなかなかそう考えましても容易にできるものではないのでありますから、ただいまのような機会におきまして、私ども、できるだけわが国の通信技術、それに関連したものを東南アジア地域にも紹介していきたいという考えを持っておったものでございます。で、台湾並びにベトナムに対するこういう調査をいたしましたのも、その調査並びに設計等の技術は、わが国においてはまず電信電話公社が一番能力があるものと客観的にも考えられる次第でございまして、そういうような点を総合いたしまして私どもは公社法の規定に全く違反するものでないという考えのもとに、競争入札に参加し、それを落札しまして調査団を派遣した、こういう形になっておる次第であります。
  114. 鈴木強

    ○鈴木強君 どうもその基本がはっきりせぬものですから、いろいろと都合のいい解釈が出てくると思うのですが、それから、一番はっきりしてもらいたいのは、南ベトナムに敷く通信網というのは、これはもう在日の米軍から要請を受けているのですから、アメリカの政府というか、アメリカの軍隊、米軍がベトナムに通信網を敷くということだと思うのです。これはべトナムの国が直接やっておるのではないことははっきりしていると思うのです。だから、在日米軍の調達部から要請があったということになりますと、おそらく米軍が南ベトナムを縦断する通信網を敷くのだと、こういうふうに僕らは解釈するわけです。そうなりますと定義が違ってきまずから、法的な問題が非常に疑義が出てくる、解釈が幾つも出てくると、こういうことになってくる。ですから、どだい調達部から要請があったということはどうなんですか、ベトナムの政府からでなしに、米軍がベトナムの基地の中に通信網を作るということであるのかどうか、これを一つはっきりしてもらいたい。
  115. 靱勉

    説明員(靱勉君) これは私どもよくアメリカの軍のことは存じないのでありますが、結局アメリカの資金をもって、ベドナムなり台湾なりに所要の通信施設をするということで、在日米軍が直ちにそれをやるという格好ではないのであります。それらの施設についてはもちろん、当該政府とアメリカとの間に正当なる協定ができている、それに基きまして、東洋地域においてそういうものを調査し、設計する能力があるものはどこかということを探した、それを在日米軍の調達部がかわって日本国内にそういうものを求めてきた、この際におきまして、電電公社が一番その能力があるという形になったのでありましてもちろん調査団といたしましても、当該政府のやはり協力も得なければならぬような問題もありますし、そこらの了解というものはあったわけでございます。
  116. 鈴木強

    ○鈴木強君 どうもはっきりせぬのですが、普通の状態でありますれば、これは日米間の平和条約が結ばれておるわけでありますからして、一般的な対外協力の面ということになると、当然外務省を通じて、外務省から電電公社に話があってしかるべきだと思うのです。ところが、特に在日米軍の調達部から話があったということは、少くとも、軍が指導をしてベトナムに敷くのだ、こういうふうに判断するのがこれは常識じゃないですか。もし、ほんとうに国際的に日本の電電公社の技術というものに協力していただきたいのだ、しかもそれがアメリカがイニシアチブをとるということだな、ると仮定しても、もしそういう話があるとすれば、私は普通の外交ルートをもってくるのが当然であって、ことにこういう変則的な方法によって直接在日米軍から電電公社に話があるということはこれはとてもおかしいことだと思うわけです。しかもそういう経過の中で、少くとも大臣は知らぬというのだが、郵政省当局とこういう話に対して全然公社が話をせずに進めたとは、私は考えられないのですよ。ですから大臣が知らぬとすれば、これはあなたを補佐するだれかがやられたと思うのですが、少くともこういう大事な問題に対して、国会に対して、何らわれわれは報告も聞いていなかったし、しかも相当話が進んで、これが台湾に関する限りは出ているという段階になっても、われわれはそういうことを不幸にして正式には知らなかった、こういうようなことでありまして、その問題に対する郵政大臣としての責任は私は残ると思うのですよ。ですから、たとえ電電公社がこういう話でもって在日米軍から話があった、これは直接要請があった場合、そうすると、郵政省に対してどうですかという一応私は判断を求めない限りは、これは簡単にベトナムあたりまで、外国資金を使って、何人行ったか知りませんが、出張しての調査をするなんということは、ちょっと常識じゃ考えられない。そこら辺でも非常に不統一ですね。ですから、その点まだ副総裁、よくわからぬです、率直に言って。なぜ、調達部からそういう話が直接ストレートであったのですか、どうして外務省を通じないで……。そうすると僕の判断では、これは米軍がイニシアとってやる、むしろ米軍が南ベトナムにそういう施設をやるのだ、それに対して電電公社に対してやれ、こういう協力をしてきた、こういうふうにとらざるを得ないのです。そうでないのですか、その点は。
  117. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。郵政省は全然これに関知しておらないということではありません。今、電気通信監理官にも問いただしたのでありますが、こういう問題に対しては電電公社から申し入れがあり、了解を与えておるそうであります。これを与えておる根拠は、技術提供でありまして、予算に重大な変更をもたらすようなものでもないし、もちろん優秀な日本の技術を海外に出すことでありますから、そういう意味でよろしいでしょう、こういうことを言ってあるそうであります。
  118. 鈴木強

    ○鈴木強君 報告が正式にあったとすればどういうことですか。あなたから直接聞いた方がいいと思うのです、公社に聞くよりも。監理官はどういう要請を受けて、その内容についてはどういうように分析をして、あるいは国内法上あるいは国際法しどういう見解に立ってそれを了承したのか、その点一つ明確にしていただきたいのです。
  119. 松田英一

    政府委員(松田英一君) この問題につきましては、当初の出方と申しますか、郵政省ではございませんで、電電公社との折衝が始まったわけでございます。ただ、この問題の取り進めにつきましては、私どももかねがね、東南アジアに対して日本として電気通信の技術というものをもっと紹介し、また日本の電気通信の技術というものについて東南アジアの国がこれを信頼し、これを利用するという道を積極的に進めて参りたいという考えも私は持っておったわけでございます。(「権限外だよ」と呼ぶ者あり)これは私どもは実は郵政省というところは、監理官ではございますけれども、電気通信の政策については当然考えなければならない責任部局と考えておりましたので、そういった考えをしておったわけであります。そこで、この問題が話が出て参りましたときに、私どもは、もちろん公社というものの性格を考えまして、相当その点では問題だとは思ったのでございますけれども、しかし、とにかく事柄が、日本の技術力を外国に出すというだけのことで、外国施設整備するとか、あるいは施設を運用するとかいう問題ではなく、ただ日本の技術というものを東南アジア各国に対して知らしめるというために、その設計をし、あるいは調査をするというふうなことだけでございますので、ここに先ほど大臣からも申し上げましたような公社法の三条の二項の委託というふうなことから考えまして、必ずしもこの規定に完全に抵触して違法だというふうにまでは言い切れないと思いましたので、その程度のことを公社限りでやる分については支障はなかろう、事柄としてはいいのだからというふうに考えておった次第でございます。
  120. 鈴木強

    ○鈴木強君 法第三条第二項をそう解釈するに至ってはもう監理官の能力を疑うのですよ。委託ということが、外国のものまでを委託してやるというような日本電信電話公社じゃないのです。五年前に公社法が提案されたときの提案理由見てきなさい。そういうセンスでもって電電公社を監督する監理官というのは、ちょっとおかしいのですよ、率直に言って。しかも、大臣にもこういう大事な問題に対して報告もしないで、あなたが独断専行したような形じゃないですか、その責任をあなたはどうとるのですか。私が聞いておるのはそんなことじゃないのだ。要するに、アメリカの米軍調達部から少くとも話が出ているのだ、これは。ですから、これはべトナムの直接政府から話があって、外務省を通じて話があった、そうであるならば、これは私は賠償の問題もあるし、そうでなくても、東南アジアに対する技術提供に対する協力ということに対しては、あなたの言っておることはその点に対しては賛成なんです。ただし、少くとも相手方は米軍であるということなんです、これは。であるならば米軍施設に対する公社のサービスということは、当然サービス契約に基いてやることになっておるから、ですからそうなればおかしいじゃないですか。そういうことを十分に判断してみて、あなたが大臣に報告をしないで了承しておるということに、僕はなると思うのですが、ですからそういう解釈が、何か公社法を無限大に解釈して、どこへでも持っていって適用できるような解釈をされては困るということと、それからもう一つは、米軍からのこれは直接の要請であるし、米軍が、これはベトナムに施設するものではないですか、そこはどうなんですか。監理官。
  121. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 私ども承知しております範囲では、これはベドナムの政府あるいは台湾政府施設になるものというふうに承知したわけでございます。ただしその間に、これがアメリカの資金援助でできますために、その間持っていくまでのいろいろな手続と申しますか、そういったことは米軍がやってやっているというふうに考えておりまして従って、向うで調査をいたしますときにも、それぞれ、その国の政府というものがその調査に対して援助をいたしまして、その政府の援助のもとに仕事を進めていくというふうなことでございますので、米軍が自分のものとして作るのだというふうには承知していなかったわけでございます。しかもそれは、そこで施設そのものを運用するとか、施設そのものを作るとかいうことではございませんで、ただ技術力だけをその場合に提供して、調査するということでございますので、まあいいのではないかというふうに考えた次第でございます。
  122. 鈴木強

    ○鈴木強君 まだ、あなたがその公社からの話を聞いて決断をされ、了承されるまでの経過について納得できません、私にはどうしても。少くとも、アメリカのかりに資金でベトナム政府がやるにしても、相手方が直接要請してきたところが調達部でありますから、米軍でありますから、ですから普通常識でもおかしいなということを気づかれるのが当りまえと思うのですよ、サービス契約というのがあるのですから。だから、その点どうしても納得できません、率直に言って。それから、大臣もまだ様子を聞いておらないようですし、この問題をここにこれ以上やっても、なかなか明確な答弁を得られないと思いますから、一つ次回に私はその明確な、大臣以下の統一したこれに対する考え方を報告してもらいたいと思う。それで納得できなければ、さらに質問申したいと思いますが、ただ言っておきたいことは、こういう大事な問題に対して、そつのない田中大臣が、報告も受けていないということはきわめて遺憾ですよ。ですから、そういう点に対しては、この責任をあとからどうするか、一つ済まないくらいのことを言ってもいいと思うのですが、済まないとも二言も言わないで——済まないとも思っていないのでしよう。僕の質問したそんなことは、くだらぬ質問をしているのだと思って聞いているから、済まないということが出てこないと思うのですけれども、いずれにしても明確な統一解釈を一つあとで聞かして下さい。
  123. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) ただいまの報告につきましては、申し上げましたように、私も聞いておりませんから、後ほど十分に調査して御報告することにいたします。  ただ、鈴木さんに一言申し上げておきたいのは、相手が在日米軍だからおかしいということを言われておりまするけれども、これは技術提供は、在日米軍だろうが、だれであろうが、電電公社の技術を提供するということでありますし、特に、行政協定さえある日本と在日米軍でありますから、入札参加の要請があれば、これは当然やるということで(「おかしいぞ、それは」と呼ぶ者あり)やったのでありますから、そうして、特にこういう問題は、将来も各公社、政府関係機関等、たくさん出てくる問題でありますので、私どもの方でもこの法律解釈その他に対しては、十分一つ電電公社側の意向も聞き、次回に御報告することにいたします。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今、大臣のおっしゃったこと、アメリカとの関係あるいは米軍との関係があるんだから、だからやってかまわないのだというようなことを言っておるけれども、それは民間の団体なり会社なりがおやりになることは御自由でしようけれども、公社の建前からいえば、公社のようなところにも入札参加を要請するというようなことであるならば、やはり、これは国と国との問題ですから、政府を通し、政府は公社を指導してやらせることなんであって、公社自身がどんどん自分の考えで事を進めるということでは、公社自身も責任を負うにたえない場合もあるでしようしね。ところが、今回の場合は、公社はちゃんと伺いを立て、そうしてその了承のもとでやったというんだから、私は公社は責めない。法の解釈はどうしようが、それを認めた監理官ですね、これはどうも私は納得いかないものがある。公社法にある監理官というものは——あなたは監理官ですか、かねがね公社の技術その他を海外に進出させなければならぬと思っておったと言うのですが、ずいぶんよけいなことをあなたは考えておったものだ。監理官の職責、権限にそんなことがありますか。そうして、しかも、そのことがあなたの一存で承認が与えられておる。あなたは、大臣に直接つながつておる監理官だ、大臣の行政を一部担当しているのですよ。先ほど監理官がおっしゃったことに大臣も全面的に同意ですか。こういう監理官のおやりになることを、ぼつぼつと部下にやられて、あなたはよろしいということで、あの大きな大臣室にふんぞり返っていますか。
  125. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 事外国に関する問題でありますから、こういう問題は、小さな問題であっても大臣の許可を得ることが一番正しいと思います。しかし、郵政省と電電公社との間は御承知の通りでありますし、電電公社の自主的な運営、特に官がなるべく干渉しないようにという原則を確立いたしておりますし、この問題に対しても、事情を聞いてみますと、こういうことがあるんですが、どうでしょうかと、悪いことではないから、あなたの御責任でおやりになるならばけっこうでしようと、ざっくばらんにいうと黙認形式をとったんですと、黙認する前に大臣の耳に入れておけばよかったのではないかというのが真相であります。でありますが、この問題は、在日米軍ということでありますが、そう悪いことであるということではないのでありますので、一つ、将来、こういうケースを一つの段階にして、こういうものは各公社もあるのでありますから、一つ明確にこれからするために、場合によれば法律改正も必要であるということになるかもわかりませんので、そういうことを十分調査をいたして御報告申し上げますから、一つきょうのところはこの程度にしていただきたいと存じます。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の質問に答弁していない。監理官の職責を全うしておる、そう思っておるのかどうか。
  127. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げた通り、まあ監理官も、悪いことではないし、あなた方の責任でおやりになるならばと言ったのでありますから、ただ大臣にそれを耳に入れ、決裁を仰がなかったという処置がありますが、私もざっくばらんに申し上げて、まあ悪いことじゃないので、監理官が将来は一つこういうことは十分大臣の耳に入れ、できれば許可制度にするということでもいいのでありますが、いずれにしても、今般の問題は、私の耳に入らなかったのですが、そう悪いことだとも思っておりませんので、監理官の責任を追及しようというような考えはございません。
  128. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣、僕がきょうは議事進行上協力して、あなたに統一解釈を求めておるのですよ。それを、自分のやっておることを正当化するようなことを今言っておる。責任問題をはっきりしたいから問おうと言っているのですよ。それを、まだ前提がぐらぐらしてどっちかわからない、質問が途中のときに、何かやったことが正しいようなことで、責任は追及しません、大して問題にならない、よいことだからと言う。ここであなたが僕に対してそんなことを言ったら、また蒸し返しですよ。そうでなくて、あっさり、きょうにおいてはあなたの負けなんだから、十分事情を聞いて、次回に、これこれこういうような形でありましたから間違いないと思いますと、こういうふうにするなら、われわれもそれに対して検討を加えようが、そうでないでしよう。不安定だから議事進行をやっておるのだから、よけいなことを言わぬで、次にやったらいいと思う。
  129. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) では、次回までに十分調査をして、御報告をいたしますから、御了承願います。
  130. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 鈴木君にちょっと伺いますが、次回と言われるが、分科会はきょう限りですが、本委員会……。
  131. 鈴木強

    ○鈴木強君 予算委員会はあるでしよう。
  132. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) そういう意味で了承いたしました。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この公社の話が出たので、一応伺いますが、公社の新しい第二次五カ年計画、第一年度の事業予算が七百五十億をこえるようですが、これは来年度はそれでわかりましたが、五カ年間でどのくらいの事業を、どういう資金調達のもとにやる御計画なのか、お示し願いたい。
  134. 靱勉

    説明員(靱勉君) 大体御案内かと思いますが、実は公社は、昭和二十八年から本年度までを一つの五カ年計画といたしまして、加入電話を例にとりますと、五年間に百三万、それから公衆電話は四万五千、市外電話回線を二百万キロということでございまして、二十七年度末の施設に対しまして、加入電話は一、七倍、公衆電話は三倍、市外電話回線は二、五倍という大体の開通工程をこの三月末までにやり終ることになっておりますので、一、二年前から、さらに三十三年度から五カ年間を予想しました、いわゆる第二次五カ年計画というものを考えておりまして、ようやく昨年の秋ごろに大体の計画ができましたので、今回、御質問の三十三年度の拡張整備予算というものは、第一年度に当るものを予算化いたしております。  そこで御質問の、それでは大体五年間にどういうような規模で、資金はどうするつもりかと、こういうことでございますが、今後三十三年度から五カ年間に、加入電話は、第一次に比べまして約三割増しの百三十五万の加入電話を増設いたしたい。そういうことになりますと、三十七年度末には加入電話数は四百万、現在約二百六十万ばかりになっておりますが、これが四百万になる。各国の統計は大体電話機数になっておりますが、それで見ますと六百万という電話機数になる。現在三百万程度のものでございます。次に、公衆電話を六万五千個増設いたしますから、現在の約倍にする。それから、市外電話回線を四百三十万キロ増設いたしまして、わが国内の県庁所在地、あるいはこれに準ずる都市相互間、それから京浜、京阪神、中京地区等の、それを中心とした同一経済圏内、それから同一の市町村内、これの市外通話を大体即時にいたしたい、五年間にそう  いう計画にいたしております。それからなお、こういうような市外回線を相当増設するためにも、またもう一つは、テレビの全国的普及と申しますか、そういうもののために、さらにマイクロウエーブの通信網を国内全体に推し進める、さらに一つの銅線によりまして千回線近くの回線を取れるような新しい同軸ケーブルを所要地に作る、こういうような計画内容になっております。それから、なお電報につきましては、なかなかこれは収支償わないものでありますけれども、もちろん、わが国の全体至る所に電報が到達できるように、しかも、これをできるだけ経済的にするという意味で、中継を機械化して参りましたが、第一次五カ年計画においては、必ずしもそうスピード・アップできませんでしたが、第二次五カ年計画におきましては全部完了する。それから、加入電信サービスというものも相当多くさせたい。なお、町村合併に伴う電話の整備、それからいわゆる無電話部落に対する電話サービスの改善というようなことで、これらにも重点を置く。  要するに、第一次五カ年計画におきましては、戦災を受けた大都市が大体中心になりまして行われたのでありますが、今後は全国的に均衡のとれた電信電話サービスを提供する、こういうような計画を立てた次第であります。しかし、なかなか需要に対しましては、これらの計画をもってしましてもなお需給の関係はよくなりません。しかしながら、この五カ年計画実施するためにも、四千百億から二百億程度の資金が要るということでございまして、そのうち約千五百億程度を外部資金に仰ぐ、こういうような一応資金の計画を立てまして、その初年度といたしまして、三十三年度予算七百五十億というものを政府の方で御承認願った。こういう形になっております。
  135. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのうち、資金運用部あるいは簡保資金特別会計から三十五億円の借入金をしていますが、これは初め、てのことでないかと記憶するのですが、これはどういう目安で三十五億というものが出てきたのか、どちらでもいいからお答え願いたい。
  136. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) ただいま副総裁から述べられたように、五カ年計画の総ワクは四千百億であります。この中から外部資金に頼らなければならぬのは、おおむねラウンドで千五百億と押えておるのでありますが、私たちから見ますと、まあ千五百億まで外部資金に頼らなくても第二次五カ年計画はやれるのではないかという見通しでございます。三十三年度の予算で初めて簡保資金及び資金運用部資金で三十五億まかなかったわけでございますが、三十二年度の繰り越し分もございますので、そういうものを入れますと、大体初年度実際の事業費としては八百億程度工事ができるという見通しを立てておるわけでございます。三十五億では、私も非常に少いということで、少くとも昭和三十二年度の予算計上せられた外部資金通り、九十五億は最低線、外部資金を入れなければならない、三十三年度の公社予算総額は八百三十三億にしたいということで予算折衝もしたわけでありますが、初年度でありますし、内部資金でまかなえるというような見通しもつきましたので、一応三十三年度は三十五億だけ資金運用部及び簡保でまかなうということをきめたわけでございますが、来年度からはもう少し大幅な外部資金を投入しなければならぬ、こう考えておる次第であります。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、来年度から三十五億円以上必要とするというのですが、五カ年計画計画上では、この種の借入金はいかほどなければならないというお考えで初年度三十五億となっておるのですか。
  138. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 四千百億の第二次五カ年計画のうち、外部資金によるものは千四百六十億でございます。しかし、加入者債券、公募債等、他の財政投融資も含めて千五百億弱必要だとまず考えたわけであります。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、そういうものを差し引けば、資金運用部あるいは簡保資金特別会計から必要とするものはどれだけになるのですか。
  140. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私の考えでは、どうしても財政資金から繰り入れなければならないのが五百億以上だと考えております。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 五百億以上必要なものが五カ年計画、平均でも百億以上必要になるわけでしよう、単年度で。それが初年度だから、間に合うから三十五億だというのは、どういうわけです。
  142. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 速記をとめて。    〔速記中止
  143. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 速記を始めて。
  144. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十二年度の繰り延べになったものを三十四年までかかって幾らかでも使っていこうということそれ自身が、三十四年度以降この種の借入金をふやしていくということとはどういうことになるのですか。全然無関係になるとは思えない、話としてはうまいけれども。先へ行ったら消えてしまうじゃないか、どうなんです。これは責任持てるのですか。
  145. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 三十四年以降は、おおむね百億程度以上の財政資金を入れなければならない。こういう考えでございます。
  146. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、かりに三十四年度百億新規の借入金を設定する、そうして繰り延べになっているものを、三十四年度四月一日に三十億というものをこれも復活させる、こういうようなことはうまくできるのですかということを聞いておる。
  147. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 三十三年度の電電公社の予算を八百億にでもしたいということであれば別ですが、第二次五カ年計画の総ワクは四千百億でありますから、これを五で割れば八百億でございます。でありますので、おおむね、第二次五カ年計画の第一年次は三十三年度予算案でありますので、七百五十億で実際の運用においては八百億できるという見通しがつきましたので、今年度は七百五十億という数字で三十三年度予算案を提出いたしておるわけでございます。でありますが、来年度は、含みも本年度で吐き出してしまいますから、来年度は自力だけでまかなえるわけではないのでありますので、その場合は当然三十五億程度の財政資金では八百億以上実際に工事ができると思いませんので、おおむね来年度以降は百億程度の外部資金によらなければならない、こういう考えでございます。
  148. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ぜひそういうふうにやってもらいたいと思うのですが、国の計画しておる長期経済計画なり何なりを見ても、交通運輸というようなことについては、いろいろ政府も問題にしていますけれども、この通信事業ということになると、経済発展とか産業の開発とかということと関連して、極力強調するという向きが少いのですね。そうして受益者負担なりあるいは自己資金なり、そういうことで、自前でまかなっていくというやり方だけしておる。他の公社その他から見ると、この借入金というものは、私は総体の事業計画からいえば少いと思う。まあ郵政大臣は非常に信頼厚い、近来まれな大臣で、大いにがんばっておられることには敬意を表しますが、三十四年度以降百億以上のこういうものを充てるというようなことについては、大臣も長いこともないのだから、次々の大臣には、議院内閣制の建前から厳重に申し渡して、そういう予算を実現するようにやってもらいたい。それから、この通信事業というものを、やはり経済建設の一環として表面に出していくような考え政府部内でも持たせるように努力願いたい。どうです。
  149. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お説の通りでありまして、従来、通信政策は、あまりに身近にありましたために、これが最重要産業でないというような気持を持っておったことは間違いだと思います。私の就任後も、その意味で非常に努力をしてきたわけでありますが、御承知の通り、郵政省の所管には、簡保の運用権もございますし、なお一兆二千億の資金運用部資金のうち、五六%が貯金の金であるということでありますから、同じ郵政大臣が監督をしておるところの電電公社が、外部資金さえも入らないというような状態では困るというので、非常に強く政府部内との意見調整をはかつておるのでありまして、長期経済計画の中にも通信政策の重要性をうたいまして、四千百億の第二次五カ年計画はぜひ達成をするということを、政府も公けに発表いたしておりまするが、昭和三十四年度以降も、三十三年度よりもより活発な予算計上せらるべきだと考えておるわけでございます。私もまた、まだ今やめるつもりありませんが、しかし次代の大臣に引き継ぐ場合には、これらの問題に対しては十分な申し送りをして、お互いの力で日本の通信政策の完璧を期したいという考えでございます。
  150. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ついでですからお伺いしますが、国際電電会社の最近の決算は、どういう工合になっておりますか。
  151. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 国際電電は、御承知の通り、昨年は非常に黒字でございました。昨年の下期に多少下降ぎみでありましたが、決算は黒字でございます。
  152. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 年間どれくらいの黒字になっているのですか。
  153. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 今期はまだはっきりいたしませんが、昨年度は六億黒字でございます。今年度は少し減ると考えております。
  154. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あれは私の記憶ですと、分離した際の益金は十三億程度であって、実際、民間運用したら二十億にもなる益金を上げるのでないかということで、国会の論議がやかましかったのですが、どういう事情でそういうふうに金額が下ってきているのですか。
  155. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 昨年値下げを一割何分やりましたし、もう一つは、経済界の状況の変化にもよりまして、多少外国通信の料金収入は下降ぎみでございます。
  156. 千田正

    千田正君 国際電話の問題ですが、貿易が非常に伸張するにつれて各商社もぜひその国際電話の加入を許可してくれという申し込みが相当いっているはずだが、なかなか窮屈らしい、去年あたりなかなか窮屈だったが、ことしはどうなんですか。年に何回通話するとか、そういう標準をあなたの方で定めておいて……。相当むずかしいのじゃないですか、そういうことはありませんか。
  157. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げましたように、多少通話も減っておりますので、今年度は順調に通話ができる状態でございます。
  158. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あと、私つまらぬことのようですけれども、二点伺いたいのですが、今出ておる郵政関係の法律案を見て郵政の名称を変更する、そうして逓信ということのようですが、これはどういう名称に変えたらいいかという部内での論議の際にあげられた、候補となった名前をちょっと二、三御披露願います。そしてまた、なぜ逓信というものに決定になったか、そのいきさつも伺いたい。
  159. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 御承知の通り、現在の郵政省所管の仕事は、明治以来、逓信省としてやってきたことは御承知の通りであります。昭和二十三年の暮れに、現在の郵政省設置法が出されたわけでございますが、これはマッカーサーのメモランダムによりまして、日本の行政機構を相当大幅に改正しようという意図があったようでございます。一説によりますと、縦書きの省名をみな横書きにしようということで、大蔵省は財政省に、内務省は内政省にという意見があったようでございます。それで、現行郵政省設省法は非常に回りくどくたくさん書いてございますが、これはほとんどが直訳だそうであります。直訳のひな形だといわれております。そのときは、御承知の通り、逓信省は三省分離ということになりまして、一つは電気通信省になり、一つ内閣に電波監理委員会ができまして三つになったわけであります。そういうときに、まあ保険、それから貯金及び郵便を含めて何という名前がいいのかということでいろいろ折衝した結果、まあ郵政省にすればどうか、そうすれば、あとの他の省の省名を改正するならば、財政省、内政省ということになるからよかろうという意味で、郵政省という名前を採用したそうでございます。その後、昭和二十七年に、御承知の通り電波監理委員会が廃止になり、郵政省の内局、電波監理局となりまして、同時に電電公社が発足して、電気通信行政が郵政省に帰って参ったわけでございます。このときに省名を当然逓信省に直そうということで国会でも議論があったようであります。あったようでありますが、まあ直さなくてもいいだろうというようなことで、その通りになったのだそうであります。国会は、電気通信委員会及び郵政委員会が一緒になって、御承知の通り逓信委員会に衆参両院とも名称は変えられたわけでございます。  そのまま今日まで参りましたが、御承知の通り、電波も非常に大きくなり、貯金及び保険の状況を見ますと、貯金も七千億を突破いたしましたし、簡易生命保険の契約高も一兆五千億、運用額四千億を突破するという状態でありますので、設置法の改正を機会に省名をどうするかという問題を議論いたしたわけでございます。まあ逓信省という名前も出ましたし、郵電省ではどうかというような話もありましたし、通信省でいいじゃないかというまあ話も出ました。中には、もう明確に一つ、郵便通信保険電信電話電波省というくらいにした方がいいのじゃないかというような、そういう議論も出て、いろいろな議論をしたわけでありますが、通商産業省というような名前がありますが、大体略して通産省と呼ぶということになると、あまり長い明確な名前を出してもうまくいかないことでもあるので、まあ国会に右へならえして逓信省がいいじゃないか。しかも名称を変更することによって非常に金がかかったり何かするということが問題でありますので、金がかからないということでは一体何がいいのかといいますと、御承知の通り、今の船舶とか航空とか電力とか、たくさん持っておりました逓信省でありますので、逓信省には逓信省の判が全部あります。だから今そのまま省名を変えましても、郵政省の方で使う倍くらいの判こがある、看板まで全部ある。国会が両方とも逓信委員会であるということであれば、逓信省でいいじゃないかという、さらっとした気持で逓信省に名称を変更しようということに落ちっいたわけでございます。
  160. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 郵政省の「郵政」は、これは翻訳である、そして「逓信」というのは、これは固有の名称だというふうに聞えるが、逓信省というのを作った明治の最初のそれ自身が直訳ではないのですか。
  161. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) これはメモランダム・ケースのものですから、悪いというのじや全然ないのです。ですが、どうも郵政といいますと、時代の先端を行く電波などを持っておりますし、御承知の通り、電波はもう全国で三万局もあるのでございまして、非常に大きな仕事をやっておるのですが、電波関係などでも、どうも郵政といわれると郵便だけが表に出て、電波などが忘れられるので、何とか電波も含むようないい省名がないだろうかということで、平たく逓信省に戻そう、変えようということになったわけでございます。でありますからして、この省名に対しては、なるべく金がかからないように、また国民も知っておる名前で、国会とも平伏が合って、われわれもまた気分的にも喜ぶという名前にしようということで、逓信省と変えようとしたのであって、どうもこれが飛び抜けて違った名前だからというような感じでそう考えておるわけではございません。
  162. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、その経緯についてはよくわかりましたが、金がかからないのだそうですから、かけないようにやってもらいたい。印判もたくさんあるそうですから、新しく発注するなんてことはやめてもらいたい。が、ただ問題としては、逓信というのは、先ほどから言うように、電力、海運、そういうものがないだけで、戦前の姿に立ち戻る、そういうようなことから逓信という言葉で包括される。何といいますか、郷愁なり何なりから、一つここを居城として、やはり旧来分散しておった官僚組織を結合していこう、そういうようなやましい考えが内面にあるとするならば、それでは近代行政をやるのに不都合であろうと思うのです。まして初代逓信大臣として、名称を復活させたのは田中であるというふうに歴史に残そうなんていうことで、わざわざ逓信などという名前をっけたということなら、それはもってのほかのことである、そう思うのです。ですから、確かに名前にはとらわれる必要はないのですから、そして近代行政をやらなくちやならぬと思うのですが、そこで最後に伺いますが、最近テレビの免許に関して、郵政官僚というと、お歴々の役人諸君は本能的にいやな感じを持っようでありますが、われわれは官僚と言った方が一番聞えはいいと思うのだが、この官僚をさまざまな民間会社に売りっけようという動きがあるようにうわさとして聞くのです。あるいはまた、大臣自身が、どうだというようなことで民間会社に気合いをかけておるようにも聞くのです。こういうことはどうも不都合である、どこから考えても不都合であると思う。まして電波行政に携わっておる技術を持っておる人を、これを民間会社が必要であるとして要請して、もらうというようなことは、一部それは理屈としてはわかるが、電波行政を一部門として持っておるのだから、郵政の全体の役人をさばくために、これが何らかの形で役立っというなら、あるいは役立たせようというなら、これは間違いである。たとえば郵政局長とかあるいは何等郵便局長とか、何も電波行政にもテレビにも関知せざる者を重役だというようなことで天下りさせようというなら、これはもってのほかのことではないか、監督行政の行き過ぎであるというふうに私は思うのです。そういうことは絶対やらせませんか、明快に一つ、この点は田中大臣のいいところなんですから、明快に御答弁願いたい。
  163. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 先ほどの省名の問題は、全く先ほど申し上げた通り、国会が逓信委員会でありますし、なかなかいい名称がありませんので、国会に平伏を合わせようというように平たい気持でございますし、これで官僚機構を復活して大きくしようなんという考えは毛頭ありませんから、一つ誤解のないようにお願いしておきます。  また第二の、テレビの免許に当って官僚の押し売り、押しっけをやろうという、そういう意図はございません。これは明確に申し上げておきます。ただ端的に申し上げますと、郵政局長及び電波監理局長、これが民間のテレビ会社、ラジオ会社に入っておるのは例があります。ありますが、どういうことかと申し上げますと、その官僚といわれるような人たちをもらうのには大体天下りで困るというのが戦後の風潮でもありますし、あまりそういうことは好ましくない、こういうふうに戦後考えられておりますが、電波に関しては、どうしても口で言うほど官僚をきらっては仕事にならないのが実態であります。口では相当のことを言っておりますし、官僚などは来てもらわなくてもいいというようなことを口では言っておりながら、大体免許の場合には、何とかしてわれわれが免許をもらっても、実際に発足する場合には、この技術屋は、非常にテンポが早く発達をした技術でありますので、主任技術者になるような人たちは非常に少いのであります。そういう意味で、どうしてもNHKからもらうか、郵政省からもらうか、もしくは電気通信の経験のある電電公社や国際電電からもらう以外には、技術屋を求めるにはどうにもならないのが実態でございます。いずれにしても三万局も小さな局があり、なおテレビ局が十一チャンネル百八局、そのうち三十四社三十六局も一時に波を出さなければならないというのでありますから、主任技術者程度の人たちは払底いたしておることは事実でございます。そういう意味で、ぜひ一つ有能な技術者をもらいたいということで申し入れて、中には電波局でも絶対に手放せない、郵政局でも困るというような状況もございますが、免許をしておりますし、官民一体になって電波の発達に資さなければならないという要請がありますので、円満に了解がっいた場合は省外に出しておるというだけでございます。中には郵政局長が一、二出ておるというのでありますが、これも電波には関係はなくても、逓信省時代に電気通信の経験者でありますし、そういう意味では技術者として招聘をされておるのであって、押し売りをするような例はございません。
  164. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その電波技術に関係せざる役人は、そういうところには極力やらぬようにする、こういう御方針と承わっておいてようございますか。それから郵政局長であった者でも、昔電波通信等に経験があるというようなのは、これはつけ足しの話なんで、そういうことを政党政治家として、有能なる政治をやる人がお認めになっていいとお考えですか。
  165. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) いずれにいたしましても、受け入れる方が求めない人を押しっけるというようなことは厳に慎しまなければならぬ問題でありますし、そういうことをやろうという意思はございません。明確にお答えをしておきます。
  166. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは私も何か言い過ぎのようにとられるかもしれない。しつっこいと思われるかもしれないが、これは重大なことですよ。監督行政をやるところが郵政省、将来の逓信省、その監督行政をやるところからその対象になるところに入るのが天下りであろうが、なかろうが、受ける側の方は積極的にほしいという者もあるでしようけれども、これを断わったあとの報復をおそれると、やはり営利事業会社であれば、やむなく一人くらいはかかえておこうというようなことは、実態として、実情として今日まである。電電公社の関係だろうが、国鉄の関係だろうが、外郭会社にそういうのがある。あって、なおまた、あそこにはだれそれがおるのだから、少しは発注もしてやらぬと義理が悪い。彼も飯の食い上げになるだろうから、まあちょっと世話をしてやろう。これはやはり役人同士の仁義だと思う。そういうのを近代行政をやろうという大臣がみずから認めるというのはおかしいと思う。あなたが大臣の現職にある間は、そういう当面脚光を浴びておるテレビ関係の方には、それは郵政官僚として将来大きく伸びるという方でない、一般の技術担当の者を出していくというようなことはあり得ても、一般に郵政官僚といわれるような局長とか部長とか、そういう人をテレビ会社に出しはしない。そのくらいのことはあなた明言できないですか。
  167. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) もう大体全部確認を与えられる段階になっておりますし、会社もみな発足し、新しく重役陣の構成もほとんど終っておりますので、これからどうしてもこういう人をもらわなければならない。郵政省になければNHK、NHKになければ国際電電及び電電公社に一つ口をきいてもらいたいというようなものもございますが、そういうものを除いては私の方から押しつけるようなことは全然ございません。
  168. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 テレビに関して、今日までの間にそういう部長、局長級の中で新会社へ入った者はありますか。
  169. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 今までというと、私が就任をしてからでありますが、就任をしてから入った諸君が五、六人くらいあると思います。
  170. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 五、六人もそういうのに入っていくということは、郵政省に電波監理の行政がたまたまあるからそういう道が開けてきたのであって、何にも関係なかったら、だれがそういうところから受けますか。あなたは一番下情にも通じ、何でもかんでもよくわかっておる。わかっておって、まあこういう席ではありきたりの一般的な答弁をして、それでよかろうということにしておく。五、六人もあったとなったら、これはわれわれから見たら問題ですよ。それこそが監督官庁、そういう立場にあるものの最高責任者は自粛しなくちやいかぬと思う。われわれが調査して、お前の会社ではなぜこの人をとったかといえば、いやこっちからたってお願いして、だめだというのに無理々々もらったのだ、そう言わないと、将来都合が悪いからそう言うのです、われわれには。しかしながら、民放界ではまことに迷惑だということを言っている。業界新聞その他も、押しつけられるのを何とか排除しようということを言っている、それは大臣はそんなことは絶対ないということを言っているけれども、皆迷惑がっている。ただ泣く子と地頭には勝てないからそっとしておくだけなんです。明敏な大臣がそういうことぐらい直観的にわかってやらなくちやいかぬと思うのですよ。それを部下であった者のために、いろいろ就職あっせんもしてやった、親分としてまことにそれは珍しい大臣と、部内からは信頼されるでしよう。しかし、そういうことは行政権の乱用という——そこまでは言いませんけれども、その道に通ずるものがある。この岸内閣が言う三悪追放の立場からいったら、厳に慎しまなければならぬことだと思う。もうあなた自身、そういうことは今後において厳戒していただくように、掌握せられている幹部諸公にも厳にそういうことを申し渡しておいて、もうテレビ業界あるいはラジオ業界等に進出してゆくことを当然のごとく考えるような、そういうしきたりというものを排除してもらいたい、いかがですか。
  171. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お説明の通りでありまして、少くとも行政権の乱用に道が通ずるような人事をやってはならないということは、私も現に考えております。また将来もその考えを押し通そうという考えでございます。ただ申し上げたいのは、五、六人行っておりますが、これらの諸君は、おおむね技術出身でありまして、実際において現在電波の主任技術屋として、新しい置局の全責任を持ってやれるという人は非常に少いのであります。そういう意味で、ラジオももうすでに混信の問題等がございまして、FMのチャンネル・プランもきめなければならぬという状態でありますし、テレビは白黒よりももうカラー・テレビの試験免許をいたしてやっているような状態でございますし、テンポが非常に早い。特に五年前に日本のこれらの技術家の諸君は、テレビが日本において実用化されるのは十五、六年後だろうとさえ明言をしたのが、今日もうすでに四、五年後には四百万台にもなろうというように、非常にテンポが早い技術でありますので、実際置局を行い始めて開局をする場合には、技術屋は非常に少いのであります。そういう意味で、今まで民放会社に出ておりますのは、これは懇望せられて局長の地位を去っていったような諸君だけでありまして、私の方から押しつけて、実際腹の中では迷千万だというような考えのものはおりませんし、また将来ともそういうことをする意思は絶対にないことを明言いたしておきます。
  172. 鈴木強

    ○鈴木強君 答弁の都合上、最初に申し上げて、これは時間がかかると思いますから、ちょっとあとで調べて下さい。それは会計検査院の三十一年度の決算報告でありますが、その中の郵政省に関係する部分で、百七十一ページ、指摘事項の九百三十三、九百三十七、九百三十八、九百四十三、九百四十七、九百五十、これはそれぞれ、特定郵便局長が本人の不正行為によって国に損害を与えた額でありまして、これに対して郵政省から一応国会に対する説明書が出ておりますが、それによりますと、それぞれ、これらの方々は懲戒免職になっておりますが、その懲戒免職の発令された日を聞きたいのです。  それから次に、NHKの国際放送に対する政府の交付金の問題について、大へんこれはくどいのでありますが、私は何回も何回もこの質問をするのでありますが、納得ができませんので、さらにきょうも分科会で大臣の明快な一つ御答弁をいただきたいと思います。御承知の通り、NHKの国際放送に対しては、政府がこれに交付金を出すことになっておりまして、その準拠規定は、放送法の第三十三条であります。この三十三条に基いて郵政大臣がNHKの会長に対して命令することになっております。この解釈がいろいろあるわけでありますが、きょうは具体的に一つ問題をお聞きいたしますが、あなたの前の平井郵政大臣が、三十二年の四月一日に、永田会長に対してこの国際放送に対する実施命令を出しております。その内容を拝見いたしてみますと、放送方向が十五方向、それから放送時間が、インド、パキスタン一時間を初めとして十五時間。使用国語は日本語、英語、現地語ですか、三カ国語になっているようでありますが、この郵報四百五十二号、この公文書によって命令したのは、第三十三条に基くものだと思いますが、現在、国際放送をやっておるのは十五方向、十五時間、十六カ国語でやっておりますが、従って、少くとも、この命令によりますと、十五方向、十五時間をやりなさい、こういう命令が出ております。従って、現在は、NHKはこれ以上の国際放送はしていないと思います。そうしますと、十五方向、十五時間の中で、どういう放送をしようか、これは国際放送の番組審議会等もありますから、そこでいろいろ検討されて、最初に君が代をかけて、それからニュースをやって、そのあとに音楽をかけて、南米あたりにいる邦人や世界にいる人たちに、日本の文化を伝えたり、あるいは貿易や国際的な親交を深めておるのでありますが、これによっても明らかなように、少くとも十五方向、十五時間ということを指命された以上は、それに要する費用が幾らかかるかということを算定して、かかった以上は全額国が負担する、こういうのが建前だと思います。その通りで間違いないですか。
  173. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 前大臣の名前で出しましたものは、三十三条に基いて出されたと思います。しかし、三十三条に基いて出されたものであるから、全額国が負担しなければならないということにはならないと思います。そこがきっと鈴木さんと意見の分れるところでありますが、この三十三条で指定するものは、放送区域、放送時間、その他必要な事項を指定して、協会に国際放送を行うべきことを命ずることができるというのでありますから、ざっくばらんに言うと、内容まで指定してやらしめることもできるということを、国際放送に関しては明確に規定しておるわけであります。ところが、それは前大臣が出されたものは、三十三条に準拠してやったのではありますが、これはきっとNHKの予算を国会に提出をし、それに意見を付し、その予算が通過をしておりますから、三十二条をそのまま準用して、そういう命令を出したと思いますが、この三十三条の条項による国際放送ということを法文に照らしてみますと、そういうふうに予算が、もうすでに郵政大臣を経て国会に提出せられておるという、十五時間、十五方向は、NHKが自主的にやったもので、それに命令形式を整えたというものであって、三十三条にいう国際放送、いわゆる政府が放送区域及び放送時間、その他必要なる事項をきめて国際放送を行わしめたものだと、狭義に解釈することはないと思います。
  174. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは、今までは私は、非常にばく然としておりましたから、あなたのそういう解釈で、まあ、あとで解釈論議をやりましょう。わが党で改正法案を出すから、賛成して下さいと言ったのです。法案も準備いたします。だから、一つ与党の諸君にも賛成してもらいたいと思います。しかし、少くともその時間と方向をはっきり命令した以上は、十五方向ですか、十五地域に対して、インド、パキスタンは一時間、近東は一時間というふうに、一日の放送時間と、送信電力ももちろんありますが、そういうふうにしてきめる以上は、十五時間、十五方向に対して放送しなさいよ、その内容についても、もちろん、編集会議がありますから、そこで当然これは放送についてやられるわけであります。ですから、政府が注文はお出しになるでしようが、原則として、国際放送の番組審議会が取り上げていくわけですから、内容的には、NHKがやっておるのを見ますと、解説、ニュース、講演、トピック、リッスナー・アワー、インタビュー、対談、音楽、演芸、実況、こういうようにバラエティに富んだ放送をやっております。ですから、時間を指定して、方向を指定したということは、政府が命令して放送をさしておるという、こういうことになれば、三十三条は、NHKの国際放送に関する限りは、今NHKがやっておる国際放送は全部政府が命令してやっておるということになる。あなたはこじつけの解釈をしておると思います。要するに、国会を予算が通過した範囲内において十五方向、十五時間やりなさい、こうやっておるのだと思うが、実際にNHKで十五時間、十五方向をやるには、少くとも六億、金が要りますよ。こういうことで、あなたにNHKは要求しておるはずです。それが郵政省で査定されて、少くとも二億六千万円が必要だということで、あなたは大蔵省にかけ合ったはずです。ところが大蔵省では八千九百万円に、全くこれは問題にならないようにたたき切っておるわけであります。ここに論争があったわけで、少くともあなたが命令するからには、必要な額をつけて、これだけの命令をするからこれだけほしいのだ、こういう要求を出して、それが国会において否決され修正された場合は、これはやむを得ないのです。それが、第三十五条の二項の建前であって、二億六千万円要求した結果、大臣は責任を持って命令するわけですから、命令する人が、二億六千万円かかる、こういう算定をしたわけですから、その予算を国会に出して、国会が八千九百万円に削られた場合には、第二項によって、八千九百万円でやり得る範囲の命令をあなたは出さなければならぬ。その場合には、十五方向は別としても、十五時間の時間というのは、どだい、やれませんよ、率直にいって。そのときには、十五時間が十時間になるかもしれない、あるいは八時間になるかもしれない。国会で承認された範囲内において国際放送をやればいいということになっておる。ですから、これは国際放送の解釈が、私はこの命令を見ても、はっきりしてきたのです。ですから、平井大臣がやったことですから、直接あなたの責任ではないでしようが、しかし、今提案されておるNHKの三十三年度の予算を見ますと、料金値上げもできない。一部、国が拡充資金の金を出しておるようでありますが、これでも不十分なようでありまして、減価償却を切り下げたり、あるいは、償還を延ばしたり、まさにNHKの予算は危機です、そういう段階でありますから、私は少くとも従来のような方針であるとしても、この法律解釈からいきますと、明らかに法律違反をやられておったのですね。そう私はとらざるを得ない。ですから私は、もう今やこの解釈は明確になって参りましたので、二億何千万円ですか、あなたは必要と認めて、命令をするっもりでやったわけですから、これは国会において一つ修正をしたら一番賢明だと思いますが、もし修正ができないとすると、四月一日にいずれ出すでありましょう。出すでありましようと思われるNHKに対する命令は、少くとも十五方向、十五時間、こんなとんでもない命令を出したら、これはちょっと承知できませんよ。私はこの公文書もいずれまた、これを見せていただくつもりでありますが、そういうむちやなことをNHKに押しつけて、そうして国際放送に関する限り、国内から徴収する聴取料を使って、そうして政府が命令する国際放送をNHKの負担でやらせるということは、もってのほかであって、少くとも法を守るわれわれ日本国民、ましてその指導的立場にある政府は、率先躬行して正しい法の運用をしてもらわなければならぬと思うのです。ですから、放送法もいろいろ改正案が、確かにあなたによって出されておりますけれども、肝心の三十三条、三十四条、三十五条のこの関連が、幾たびか国会で論議になり、そうしてあったにかかわらず、この点が抜けておったということは非常に残念でありますから、私はきょうはやや掘り下げて明瞭になりましたので、今申し上げておるわけでありますが、どうぞ一つ、今からでもいいわけですから、予算の余裕を使うなり何なりして、NHKに対するあなたが認めた二億六千万円の交付金は、これは必ず出してやる。そうして十五時間、十五方向のこの国際放送をやらして、国際親善のために寄与する。送信機を、二波長を出しているやっを一波長にして、私自身この送信を見ておりましても、まだ各国に到達する電波は十分であります。混信のあるところがあるし、やや不良というところがあって、二波長を一波長にするということになりますと、せっかく放送をする電波が混信のために聞えなくなってくる、また地域的に感度が鈍る、いろいろなフェーディングとか季節の状態、昼、夜、秋、冬の状態で違うのですね。ですから完全な二波長で、そうして放送をする電波が届くようにすることが、私は、現在国際連合に加盟して常任理事国になった日本が、一億や二億の金を出し渋っておるということではナンセンスですよ。そういう意味から、一つ予算の修正をあなたやったらどうかと思うのです。
  175. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 鈴木さんも御承知の通り、この三十三、四、五条の規定のいかんにかかわらず、国際放送はできるだけ国が全額負担をしてやるべきものだという私の思想は、御承知の通りであります。でありますが、この法律三十三条は議論のあるところでありますが、いずれにしても、法律解釈としては非常に明確になっております。政府が命令をした、しかもそれは番組の内容まで、こういうものをこういう方向でもってやりなさいということを命令することができる、その命令をしたものに対しては国が負担をしなければならない、こういうふうに三十三条、四条、五条でもって明確に規定してございます。特にNHKの自主的な性質を守るための一項、すなわち国が指定したもの以外は国が出してはならないというぐらいに、かえってNHKの自主的な状態を義務づけるようにも読める条文があります。いずれにしても国際放送の世界的通則に従うと、国が負担してやるべきだ、法律のいかんにかかわらず、出してやることに一向異議はないじゃないか、こういうふうに私は考えておりますが、三十三条そのものは明確に放送命令を出すことができると規定してございます。そういう意味からいいますと、そのものは三十二年四月の一日に出ておるというのですが、そこに問題があるのです。まあ出してしまったから、これは三十三条による大臣の国際放送命令だと、こう鈴木さんはおっしゃっておられますが、もちろん法律的には郵政大臣が出せば、そういうふうに解するのが至当であります。至当でありますが、なぜ四月一日にそういう命令を出したのか、私はちょっと今の状態では了解に苦しむものであります。それは政府が必要と認める場合に、内容を限って十五方向のうち何方向をこういうものでやれということができるのであって、そのものは全部国が負担しなければならないと、法律は明確に書いてあります。でありますから、実際上命令を出し、しかも国会でもって議決をした範囲内でなければならないということであり、国の予算はNHKの予算とともに三月三十一日で成立するような状態でもって国会の審議を仰いでおるのですから、三十二年度の予算案がその国会を通過してしまってから、四月一日に命令を出す場合には、全額国が負担する限度内において、十五方向のうち何時間は政府の命令によってこういうものをやれと命令が出るのが普通だと思うのです。ところが、NHKが国会の承認を仰いだ十五方向、十五時間全部大臣名で命令書が出ておるのでありますから、そうなるとその分は、すなわち十五方向、十五時間は国が全部負担しなければいかぬ、こういうことになるわけで、それは間違って出したとは言いませんが、どうもおかしい。三月三十一日ですでに国の予算も通り、NHKの予算も国会の議決を経た後に出したものであるから、全く形式的にNHKに対して十五方向、十五時間を出した、こう解するのが至当だと思います。でありまするので、三十三年度の予算案が国会を通過いたしましても、私は四月の一日にそれと同じ形式による国際放送に対する業務命令を出す意思はございません。
  176. 鈴木強

    ○鈴木強君 最後に。それでわかりました。それであるならば、私はこの法律の解釈というものが正しく運用されると思うのです。ですけれども、今まではやりたいのだが予算がない。結局あとになって予算がっいたのですけれども、あえてその十五時間、十五方向を出して無理な放送をやらしておったのですね。ですから、予算が国会を通った範囲内でやらせるということであれば、これはいいのです。そうすれば、NHKも原則としてそれ以上やらないでもいいということになる。これは国際放送の定義というやつは三十三条で、これは政府が命令をして行う場合以外は、私に言わせるならば、もう建前上国際放送はできない、そのくらい厳密な法解釈であると思うのですよ。勝手に国際放送を政府が何もしないでやれという趣旨でこの放送法はできてない。放送法ができたときの精神というものは少くともそういうことなのです。ですから今、平井大臣が故永田会長に出した文書は無理なことが、これは明らかになりました。ですから、そういう解釈になれば、私はあえて予算を修正していただきたいところですが、一つやってもらいたいと思うのだが、一応法的な解釈としては了解しました。これは非常な疑義もありますし、ぜひ明確な解釈ができるように、一つお互いに法的な改正をする必要があると私は思うのです。
  177. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことになると、田中大臣が岸第二次内閣の大臣として昨年就任せられ、三十二年度に就任された大臣なんで、この前大臣の行政命令ですか、これに対してはあなたは責任を負わなくていいのだということでは断じてないわけです。それで、あなたは、これはだめなんだ、よけいなことをしたのだという解釈であるならば、なぜあなたが大臣就任になったら、これをあなたが適法と思うように直さなかったのか、あるいはまた、予算を補正して、十五方向のこの財源というものをNHKに与えなかったのか。間違ってそれは命令したことなんで、そのしりはぬぐわれない、NHKだけが勝手に負担してやったらいいだろう、こういうことなら、これは切り捨てごめんで、もうこの岸内閣の郵政政策というものはでたらめもきわまったものだ。内閣改造といったって、同じ首班内閣で、その行政の継続性、政策の継続性というものは現にあるのですから、そうなれば、これは大臣を補佐して、こういうものを出した郵政省のだれかの責任を追及しなければならぬ。だれが起案してこんなものを出したのですか。
  178. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 非常に痛い御質問でありまして、私も困っておるのでありますが、これは毎年出しておるそうであります。だから、全くそういうことになると、形式的に出したのだということだろうと思います。この三十三条を読んでみますと、非常に明確になっておるにもかかわらず、NHKの年度の予算が国会を通過すると、新年度の初めに郵政大臣から国際放送の命令を出しておる。しかもそれが法律違反でないという解釈としては、命令をした分の所要経費は全額国が出しておりますと、こういうふうに事務当局は言っておるわけであります。なお、十五時間、十五方向ということを出しておりながら、半分の金でもって一体どうしてできるのかということを言っておりますが、政府がいっておるものに協会が色をつけて、自己資金をもってより内容をいいものにしたり、バラエティに富んだものを放送しておるのだから、日本放送協会の宣伝やその他もありますので、まあおおむね両者の協議によって、半分を出せば政府は命令をした全部である、こういうふうに解釈をしておりますが、これはやはり第三十三条の法文をそのまま読みますと、そういう解釈はこじつけだと思います。私自身もそう了解します。でありますから、三十三条によって郵政大臣が出すということは——一の放送法全文を読んでみますと、ほとんどNHKの自主的な放送にまかしておることを原則としております。でありますが、国際放送に限っては、郵政大臣が特に放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会をして放送せしめることができると、こういう除外例を開いておるのだから、除外例の部分は少くとも国が交付しなければいかぬ。もちろん第九条には、国際放送はNHKが行うこととしてございます。でありますが、NHKが行う国際放送に対する費用は何によって支弁するかは書いてありません。書いてありませんし、九条と三十三条を見ますと、九条で、NHKが行うということにしておいて、三十三条では、郵政大臣は特に必要と認める場合は、特殊なものを海外放送できる、これは例をあげて申し上げますと、ブラジルに対してこの方向、この時間に、こういう内容のものをブラジルにおる日本人向けに放送しようというような放送命令が出た場合には、これは全額国が持たなければいかぬ、こういうふうに解するのが至当でありますので、今のお話から言うと、岸内閣が、いずれにしても現在三十三条に基いて命令を出して、全額国が交付をしないのはおかしいじゃないかという議論も、純法律議論としては成り立つようでありますが、三十三条に基いて出した命令としては少しおかしい命令でありますので、まあ三十三年度からは、そういうことのないように一つ注意をいたしますから、今年度は一つ……。ぎりぎりの法律論をおやりになって、ここに郵政大臣は、当然、補正予算を組んでも補てんをしなければならないという議論は、一つごかんべんいただければけっこうだと思います。
  179. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 田中大臣が率直にお認めになって、そういうふうな御発言のあることは、率直に言ってわれわれも敬意を表しますよ。ただしかし、そういうことが、かねて大臣としても苦悩しておられるならば、過去において放送協会に対して非常に大きな負担をかけておったということは、率直にお認めにならなきゃならぬと思うのです。そうして聴取料を受益者負担でやっておる放送協会の建前から言えば、それでもって放送協会に海外放送をせいということは国民が承知しない。この法律には、何にも、国際放送を放送協会がやることはきめてあって、負担のことは書いていないのだと言ったところで、書いていないのがあたりまえなんだ。書いていないのがあたりまえなんで、そういうことをさせんがためには、三十三条、三十五条の規定が生きてきて、こうなるのだと、ところが、そういうふうに大臣が非常な深いお考えを持っていながら、過去のそれをしりぬぐいしようともせず、三十三年度のそれは従来の予算額よりも大なたをふるって減額して、この国際放送予算というものを提案している。これは大臣が言うこととは矛盾していると思うのだな。少くとも去年通りには命令はしないと言ったところで、それはしないのはあたりまえなんで、できるわけはない、予算は減額しているのだから。何らそういうところでは、めんどうを見ようとした意思というものはくみ取れない。少くとも昨年度以上に予算をとってやってなおかつ昨年の命令以下に、厳密に規定をして命令してやるということならば、それは今度の大臣は偉い大臣だ。物わかりがいいということでよくわかる。間違いは間違い、筋は立てる。ところがお認めにはなっても来年度予算は減額している、こういうことはやっぱり放送協会は踏んだりけったりですよ。何とかやっぱりこれはカバーしなきゃ、一般聴取料を払っているものは直接何らかの形で負担しているということなんですから、それだけ国民に、一般に対するサービスというものが欠けたということになるのですから、理屈から言えば。そういう点はどうなんです。将来どうするのですか。
  180. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 昭和三十三年度の予算では、十五方向、十五時間、昭和三十二年度通りでございます。政府交付金は千五百万円削減いたしまして八千九百万円、こういうことでありますが、これは千五百万円が、国際電電の機械の使用料が千五百万円減りましたので、そのまま昭和三十二年度通り十五方向、十五時間で二分のすなわち八千九百万を支出する。こういうふうな方法で八千九百万円を交付することにきめているわけでございます。しかしながら、私どもはいつも逓信委員会で述べているのですが、私の思想としては、国際放送はできるだけ国が全額持って、しかも自主的に、特殊な場合を除いては、NHKをして放送を行わしめる方がいい、政府は特別の必要がある場合には、三十三条の命令権を発動して、政府が行うということであるのだ、こういうふうに言っておるのですが、大蔵、郵政両省の間で意見が合わないで、現行放送では国際放送は二分の一をやればいいのだ、こういう法律的な明確な議論があるのです。国は半分出して、しかも国が全然命令しないということになれば、命令をしないでおいて、半分も国が交付金を出しているのだから非常に好意なんだ。こういう財務当局の意見があります。なぜかと言いますと、こういう考えそのものが妥当な考えだと私は考えておりません。おりませんが、現行法はそういうふうに認める条文が明確にあるのです。そしてラジオの聴取料をもって国際放送などをまかなっちやいかぬ。こういう議論も国会では相当明確にされておりますし、私もラジオの聴取料、一般的なものは、在留邦人の慰安にもなるのだから、しかも国の八五%にもなる一般国民全般の負担において在留邦人を慰安してもいいじゃないか。しかも聴取料は、もう全般的な性格を帯びているのだから、そういうことでもいいのじゃないかという議論もありますが、そういう議論の以外に、放送法第三十九条に、「協会の収入は、第九条第一項及び第二項に掲げる業務の遂行以外の目的支出してはならない。」こういう明確な規定があるのです。第九条第一項第二号と申しますと、第二号に、「国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府施設を使用すること。」とある。だから放送局が大体受信料で国際放送をまかなってよろしいという規定が三十九条に明確にあるのでありますので、大蔵当局としては、三十三条により政府が命令した特殊な国際放送以外では、聴取料をもってまかなうべきものだと、こういう見解を持っているのです。長い問いろいろの議論がありますが、ついに今日までは、まあ十五時間十五方向にすれば、その二分の一を何が負担する。三十二年度十五時間十五方向でありました。その後、三十三年度も同じく十五時間十五方向とした場合では、千五百万円機械の使用料が減ったので、三十二年度通り千五百万円は減ったけれども、十五時間十五方向放送ができるという見解をとっているわけでございます。
  181. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いずれにしても、あなたの見解は率直で明快なものが出ているのに、予算上の措置は従来の観念に沿うて予算措置をした。ここに私は問題があると思う。三十九条の収入と言いましても、…十五条の政府の負担金という名称であろうが、協会側から言えば、これは決算上はやはり収入だと思うのです。一般聴取料だけを収入として国際放送も負担して行くという解釈になるかどうかということは、これはしっかりしたことを聞いてみないと私もはっきりは言えぬ。しかし、あなたがそういうしっかりした考え方を持っておりながら、予算は従来通りの措置をしている。しかも国際電電の方に、それが安くなったのだから、その分、減額するのだ。安くなったら、その過去の放送協会の負担分というものをこの際考慮してでも、減額すべきではなかったというふうに私は政治的に思うのです。大臣は、その大蔵当局とかいうのに負けたわけなんですね。
  182. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 表面から言えば、まさにその通りでありまして、まことに不本意でございます。しかし、こういう問題がございます。三十三年度以降は、NHKは現行の放送受信料だけをもってまかなえるような計画ではございません。これは民放に対応して、いろいろな仕事をやらなければならないのでありますので、三十三年度をできれば初年度として、相当大幅な長期計画をしなければならないような状態にあることは御承知の通りであります。でありますので、衆議院はようやく通過をいたしましたが、参議院で御審議を願っておる三十三年度のNHKの予算も、相当三十二年度とは趣きが違っておることも御承知の通りであります。そういうふうに大幅に事業を拡大しなければならないNHKに対して、国際放送も問題ではありますが、NHKの一体その新しい財源措置をどうするか。値上げによってまかなわなければいかぬのか、政府の新しい大幅な交付金制度をとらなければならないのか、もしくは長期借入金制度を行なって、何年間たったら、一体現行料金でもペイ・ラインに乗るようになるのか、借り入れた金は償還できるのか、できないのかという、いろいろな大きな問題が山積をいたしております。でありますので、国際放送の問題、一億ないし一億五千万円という問題よりも、三十三年度のNHKの全体予算そのものを一体どうしようかという大きな難関にぶつかっておる現状でありますので、これが明確な財源措置として、値上げをするとか、そういうことは提出予算案ではできませんでしたが、いずれにしても五十億近い借入金を行わなければできないという予算案を提出しておりますので、そのうちで、一つ国ができるだけめんどうを見ようということで、逓信委員会でも申し上げておりますが、三十三年度NHKの予算に対しては、放送債券を三十億程度簡保資金をもって一つ引き受けようというような非常措置をしておるわけでございます。でありますから、昭和三十四年度の予算案は、当然五カ年計画の一年度ないし二年度のものとして組まなければならないほど重要な段階に至っておりますから、国際放送等の問題も含めて、次の年度の予算案を組むまでに、十分一つ合理的な状態を作らなければならない、こういうふうな大きな目標を立てましたので、今、国際放送、それにしても千五百万円削つたということは非常にいかぬということを私も考えておりますが、そういう問題よりも、もっと大きい問題を研究し、早く一つきまりをつけよう。特に政府が誠意を持っておる、おらないというのではなくて、簡保資金をもって三十億も放送債券を引き受けようというふうに、好意的な態度でおりますので、三十四年度のNHKの予算案をきめるまでには、NHK当局とも十分緊密な連絡をとって、より合理的なものをきめなければならぬ。もちろんそのときには、国際放送に対する将来の明確な一つ考え方もきめようという考えでございます。
  183. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その大きな問題があるというので、ずらしてお話をすることもいいだろうが、私はそんなことはまともな答弁だとは考えない。将来のことは将来のこと、今まで措置したことは措置したこと、それを何かあなたの言うことをまともに聞いておるというと、五十億もの金のうち相当額を政府がめんどう見てやるんだ、政府は結局NHKのめんどうを見てやつているんだ、大きな金を出してやるのだから、何千万というような、ちつぽけな金なんという、あまり痛いことは言うな、こみにしてまあやつておけ、そうでなかったら、めんどう見ないぞというようなね。やつぱりこれも聞きょうによっては、NHKはもう仰せごもっともでいなくちやならないような、そういうふうな立場に聞きとれるのですよ。あなたのおっしゃるのは大構想を持って言っていることで、そういうふうに邪推は私したくありませんけれども、問題をそらしてそういう扱い方をすることには私はにわかに同じがたい。やはり望ましくない点は望ましくないとして、法が示すことは法が示すこととして、きつぱりした態度をおとりになる、こういうことを私は望みます。まあこれ以上は、あなたは率直な御答弁があったから何も申し上げませんが、やはり筋道だけはしつかり立てておやりを願いたい。
  184. 鈴木強

    ○鈴木強君 きょうは電波監理局長が見えないのですが、荘さん、あなたのところで出した去年の公文書の中で、ちょっと関連があるので質問したいのですが、実施細目について命令をしておりますが、四月一日に。その中に、第二項で「各放送区域における放送は、同時に二周波数をもって行うものとすること。ただし、東亜向け放送については、一周波数をもって行うものとすること。」というふうに書いてあるわけです。ですから、われわれは知らなかったのですが、去年から一波長において放送をやつておつた、しかし、それが東ア向けの放送をどういう聴取率においてやつておつたかという調査ができておるかということが一つと、それから今度は、大臣の御説明によると、一千五百万円ばかり減らしたのは、東ア向けだと聞いたのですが、従来、二台の送信機でやつたのが一台の送信機になるので、それだけ国際電電に払う使用料が安くなるから、実質においては昨年度と比べて特に後退していないのだということでございますが、昨年の東ア向け放送が、すでに一周波数で行なっておると食い違いが出てくると思いますが、こういう点はどうなっておりますか。
  185. 荘宏

    説明員(荘宏君) 今回、千五百万円減額に応じまして、従来、二周波送信をやつておつたのだけれども、一周波でも十分受信ができるという考えで、一周波に減らすという方向は大体八つございます。現在考えておりますのは、華北向け、華中向け、華南向け、次が言葉が長くなりますが、インドシナ、タイ、ビルマ向け、それからハワイ向け、豪州向け、次が比島、インドネシア向け、次が北米西部向け、大体、日本の近回りの電波の伝播状態の非常によろしいところでございます。
  186. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、七方向ですね……。八ですか。
  187. 荘宏

    説明員(荘宏君) 八方向でございます。
  188. 鈴木強

    ○鈴木強君 八方向。従来この方向に対しては、あなたは命令したんだから間違いないと思うのですが、このうちで東ア向けばどこに入るのですか、華北とか、華中とか、華南とか、こういうところは入らないのですか、東ア向けに。
  189. 荘宏

    説明員(荘宏君) 東ア向けと申しますのは、特定の方向、たとえば華南とか、華中とか特定の方向に向けないで、大体、日本の近傍地域、従いまして、南洋でありますとか、琉球方面でありますとか、あるいは中国方面でありますとか、そういうようなところが一円に入るものでございます。
  190. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、ちょっとNHKで三十三年の三月現在で出しておる受信の概況を見ますと、今おあげになつた方向でも一部混信があつて、良好とは書いてありますが、しかし、二波長を出しておることと思いますが、そういうことであなたの方で責任をもって国外の受信状況を調査したのですか、その点今の答弁に漏れておりますが、私の調査したところによりますと、まああなたの方で、どういうルートで調べたか、これはNHKの海外の報告を受けたのを、あなた方は丸のみにしておると思うのですが、それにしても、一波長にすることは危険があると思うのです。ですからそういう点と、また東ア向け放送というのが、そうしますと、あなた命令して、すでに一波長になっておるのも入っておるということですね、今回の一波長の中に。そうではないのですか、この十五方向の中のどれとどれを。これは昨年なんですね、昨年あなたのところで命令したのですから、十五方向の中で、どことどこが、いわゆる東ア向けと称するのですか。
  191. 荘宏

    説明員(荘宏君) 東ア向けと申しますのは、先ほど七つ八つの方向を申し上げましたが、それとは別のものでございます。東ア向けと、ただ称しているだけのものでございます。  それから、受信状態につきましては、NHKから、いろいろデータを徴しまして、それによって判定をいたした次第でございます。
  192. 鈴木強

    ○鈴木強君 非常にこの取り方が私は無理をしておるように思うのです。それで、今回は東ア向けのほかに八方向が、少くとも二周波数で従来放送しておったのが、一周波数になるということになりますと、これは放送効果が半減するように私は思うのです。これはやはりNHKの調書をごらんになっておきめになつたようでありますが、もう少し政府当局も権威ある調査をして見たらどうですか、NHKまかせでなしに。そうして、せつかく放送するのですから、それが途中で消えては何にもならないのです。そういう点を私はもう少し政府がほんとうに責任を持って、大丈夫だ、こういうふうに確信を持てるときになりますと、これは別ですが、私の方も電波の方を少しやつておりますが、実際に空間の状態によっては、これはいいときもありますし、太陽の黒点がちょっと多くなつたというようなこと、それから時間によって非常にフェーディングが出て聞き取れないのです、傍受しておりましても。ですから相当危険が伴うと思うのです。ですから、こういう点非常に、昨年命令して一年間やつてきてまたさらに命令を出してやるわけですが、そういう機械的なことでなしに、どうぞもう少し突つ込んで、政府研究していただくようにお願いしておきたいと思います。  それから、さっき小笠原委員がおっしゃったように、少くとも今まで何回か、私は国会に出てから、この法律解釈については終始一貫やつております。うるさいくらいやつておりますが、さっき大臣が最終的に、具体的な問題を私が申し上げて、やつとこれを認めたから、今までは趣旨においては認めておるが、法律解釈になると、要するに放送というものは、政府が命令した分だけやればいいのだと言ってきておつたのですが、命令したから十五方向、十六方向を認めておつたのですが、あなたは参ってしまつて、そうして、やりと長い論争が一つの法律解釈として出てきた。これをあなたが認めたのは確かに僕はいいと思うのです、今後のために。ですから、そういう趣旨であるならば、少くともこの二の舞の命令が出ないということをあなたが確認したのだから、そうは言っても、国際放送に対するわれわれの熱意は非常に大きいわけです。国民も期待しているわけですから、あなたは問題をそらさずに、結局、国際放送に対する解釈がはっきりしてくれば、十五方向でない、もっと長い方向に、もっと長い時間やろうということを考えておられると思うのです。積極的にこの施策をやり得なかったということは非常に残念です。私は今までそういう法律解釈問題に追われてしまつて、具体的な政府施策がやれなかったということは、あなたの方は二億六千万円程度を大蔵省に要求した、それは進歩なんです。ところがその先が大蔵省で切られてしまつた。きょうは大蔵省の主計官はお見えになっていないようですから、これはまたあらためて大蔵省に対して、どういう法律解釈に基いて郵政省の二億六千万円を削つたか、もう少しはっきりしたいと思います。少くとも大臣は法解釈としてはっきりしたから、これにはかなわないでしよう、おそらく。ですから、来年はこういうことのないように一つお願いしたいと思います。  それから、その次にもう一つ、電波関係ですが、三十三年度の予算を見ますと、大臣もよくわれわれに言っているように、最近、電波行政が非常に輻湊して参りましてその倍率を見ますと、百倍もふえているのです、つい五、六年前から見まして。ですから、当然そういう業務量の拡大に伴つてそれに対応する陣容というものを作らなければならぬと思うのです。そこで私は先般も信越、北陸方面を行政視察をして、つくづく感じたことは、長野に行きましても、金沢に行きましても、地方監理局で言っていることは、仕事がうんとふえたにかかわらず、要員措置が全然ないというので非常に苦労しておりました。私たちはその実情を委員会に報告してあるのですが、今回の予算には、あなたもそういう事実を認めておつたわけですから、少くとも電波行政の拡充強化に対応するための態勢というものが、できてくると思って期待しておったのですが、予算書を見ますと、昨年は二千百五名あったものが二千百三名に、二名減員になっているのです。地方監理局を見ますと予算書に間違いなければ、これは実際言うこととやることと違うということは、まさに、その通りであつて、なぜこういう実情に合わない措置をしたのだ、実態をもっと明確に把握しておけば、こんな私は逆行するような結論は出ていなかったと思うのですが、この点、大臣どうでございますか。
  193. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私も三十三年度の提出いたしております予算案によって、電波監理関係が、私が考えているほど拡充強化ができなかったことを、はなはだ遺憾としております。おりますが、二名減つているというのは、二名、科学技術庁に出向しておりますから、組みかえいたしましたので、前年度と同じというわけでございます。テレビの問題を見ましても、三十四社三十六局にも予備免許を与えておるのでありますから、その意味から言っても、事業量は非常に拡大しておりますので、電波監理機構の拡充強化ということは、新しい立場から、もっと深刻に考えなければならぬ問題であることは言うを待たないのであります。本年度は非常に少くはありますが、幾らか予算の面で獲得をいたしましたし、特に電波技術研究所の人件費計上されておりますので、理想的ではありませんが、今年度は御承知の通り、特に国家的な立場から見て、今年度一年度は、できるだけ一つ均衡予算を組もうという立場にありましたので、今年度はこの程度にいたしましたが、来年度はもう少し考えなければいかぬということをみずから考えております。特に機構改革におきましては、電波監理局を電波庁にした方がいいという議論も相当強くありましたのでありますが、ただいま申し上げましたような事情によって、郵政省設置法の一部を改正する法律案では、電波局に三部を設けて、できるだけ拡充強化をいたしたいということでございます。
  194. 鈴木強

    ○鈴木強君 私は電波行政の監督組織を拡大するということは、これはいろいろ大臣のおっしゃる中に意味があると思いますが、そういうことでなしに、監督組織を強化するとか何とかいうことでなしに、実際にテレビがどんどんふえ、有線放送がふえ、自動車にも無線がついてくる、これに対する免許の認可事務だけでも大へんですよ、これは。それで、特に電波関係の職員が一般会計予算的な特権を持っておりまして、労働運動の面でも、ある程度電通や郵政と違つて公労法の適用を受けていないこういうようなことで、どうかすると弱い、日の当らない立場にいるのではないかと私は思う。そういうことをいいことにして、実情としては非常に窮屈な状態にある。私は実際職場を回って見て、ほんとうに人が足りないのです、率直に言って。ことしは必ずふやしてくれるだろうという期待をもって、みんながまんしてきたのです。とりたいところもがまんしてやつてきたと思うのです。そういうことを聞いたのです。ですから必ずふえるという確信を持って、苦しかったががまんしてきたのに、ことしは一つもふえないということになると、実に勤労意欲に影響するし、これ以上たえられないと思う。そういう実情をよくあなたも御存じでしようし、私たちもよく了承しているわけです。だから、あなたの時代にみんな非常に期待しておったにかかわらず、こういう逆行したような——明らかにこれは逆コースです、仕事がふえているのですから。去年の現状維持であると減つているのです。そういうふうなことであつては、これは実際に電波行政もべったくれもないので、率直に言ってもう少しことしはがまんしてくれということでなしに、実情を、国民がこれを理解し、また国会はこれを正しい主張であり正しい要求であれば通さなければならぬと思う。ですから、補正を組むなり、今からでも私はそういった措置をやつてしかるべきだと思うのですよ。何か来年まで待て——あなたはやめてしまう。あとにだれがくるか知らぬが、引き継いだことなんかなかなかやれないのですよ。これまで何回も何回も頼んでも措置をしてくれないで、現場の人たちはあきれ返つているのです。そういう実情にあることを実際承知しておきながら、こういう無責任な仕方をするのは、これは実にけしからぬと思うのです。今からでも何とか措置できないですか。
  195. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。昭和三十三年度の電波関係は、十六億四千百万円の、三十二年度に比べて一億三千三百万円しかふえておりません。人件費におきましては八千九百万円、物件費において四千四百万円でありますから、これは非常に少いので、私も予算編成の途次において非常に努力をしたわけでございます。御承知の通り、一般会計では三十三年度はおおむね三十二年度の線で押えようというようなきつい線を守りますために、こうなつたわけでございます。もちろん、これで万全とは考えておりません。私の方の責任においてテレビで三十六局も予備免許を与えておりますから、そういう責任も十分感じております。特に機器類等におきましては、検査に行つた民間会社の機器類を借りて検査をしなければならぬという実態でございますことは、これははなはだ遺憾であつて、これはどうしても解決しなければならない問題だと考えておつたわけでございます。  しかし、一面考えられますのは、三十二年度が相当大きな山であったわけであります。テレビの競願関係等でもってほとんど忙殺をされて、出先電波同等が全く昼夜兼行という状態でありましたが、おおむね一段落つきましたが、これからFMのチャンネルプランをきめたり、またヵラー・テレビの問題等いろいろな問題もございますが、少し三十三年度は三十二年度に比べて腰を落ちつけて仕事ができるという状態でありますので、三十三年度に一つ十分、統制色を出すような考えはございませんから、新しい立場における電波行政というものに必要な相当長期の計画を立でて、電波監理機構の拡充とともに、あわせて年次計画等も立てたいという考えでございます。
  196. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣のお話を承わつていると、一般会計予算全体から見ると、少くとも三十三年度予算に比べて増額しておる、こういうことでしようが、それはどこにふえているか言う必要ないと思いますけれども、結局、基本的には、定員措置がないとすれば、超過勤務によるオーバー・ロードによってやるということになると思うのです。そういうことが、すでに戦後十三年もたつた時代ですから、できるだけ超過勤務なんというものはだんだん減らしていくのが建前である。そういうことに、こそく的にいくことがおかしいと思う。国家予算というものは、私つくづく思うのですが、二十五億円も不正汚職が——汚職といいますか、乱費が会計検査院から指摘されているのです。そういうことも、実際必要のないところに金を使つてみたりしている。必要のところには出さない。実際悪い癖ですよ。こういう点をやはり直さなければいけないのであつて何もおそれることないですよ。百倍以上も業務量がふえている電波行政に対して、あなたが責任を持って、監督大臣としてこれから一年間執行できませんよ、免許がおくれても知りませんよ、それくらい開き直つても正しい主張は通していくのがあなたの責任ですよ。そういう点から見ると、非常にわれわれは期待を裏切られたような気がしておるのです。ですから、今言つたように、くどいようですけれども、今からでも予算を修正するなり、こういうことを僕は言いたいくらいです。そういう意思もないようですから、これ以上言ってもしようがないのですが、非常にこの点は重大ですから、一つ十分今後の運営の中で考えていただきたいと思うのです。  次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案が出ておりますが、これはまことに、電波行政に対しては人もふやさない、それでオーバー・ロードでやらせようなんという不届きなことを考えておきながら、一応設置法を改正して電電公社に対して監督権を強化しようというような考え方は、おかしいですよ。電務局を作つて、そこに十二名ですか人をふやすといっておりますが、そんなことは必要ないと思う。要するに、現在の郵政省設置法案の中にある電電公社を監督し、電電公社の実際業務を監督する、これで事足りているのですよ。それを今度は電気通信行政を企画し、監督し、指導する、こういうように明確に規定して、そして人員もふやしていこうという、こういう考え方は、大臣としては実際とるべからざることだと思う。委員会や何かの質問を見ますと、監督権を強化することは毛頭ございません、こう言ってあなたは逃げておるのですが、そんなら電電公社を監督する、こういうことの一項だけでいいじゃないですか。そうして電務局にするというなら、まだ話がわかる。それを三項も四項も新しい項をふやして、電電公社に対する監督権を強化しようという考え方は、まことにもってのほかの考え方だと私は思うのです。  さっき小笠原委員が、基本的な郵政事業、電通事業八十数年間の長い歴史の中から、一つの郵政、電通というのれんもあるでしようし、いろいろないきさつもあったでありましようし、とにもかくにも郵政と電電公社というものが、企業体として企業形態は別にして運営されておるわけですが、せつかく三公社の中で一番新しいセンスの中に生まれてきて、あなたも御答申の中で認められておるように、もっと郵政、電電に対し民間的な要素を取り入れて政府の監督権をまつすぐな方向にやらなければいかぬことを、あなたもはっきり認めておるのですね。そうであるのに、今度出してきた設置法の一部改正法案はまことにけしからぬ法案だと思う。こういう問題は、われわれ黙つちやいられない、率直にいって。どうしてそういうものを出すのか。私が予算委員会で質問すれば、毛頭ございませんと言って逃げておる。ああいう所では、あまり深い話ができませんからね。きょうは少しじつくり聞かしていただきたい。
  197. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 鈴木さんのそれは誤解でありますから、ぜひ一つその誤解は解いていただきたい。ということはですね、電電公社や国際電電公社をこれ以上に監理をしようなどとは考えておりません。そうしてこれは、私は、国際電電や電電公社の戦後の形態、特に電電公社の形態は非常にりつぱだと思っておりますから、その長所こそ助長をすれ、郵政省がこれに対して監理機構を強化して、ただいまよりも統制色を出すというようなことは、毛頭考えておりません。また、大体やろうと思ったつて、できません。私はそう思っている。いずれにしても、電務局ができましても、大先輩が行っておるのだし、機構は膨大だし、そういうものが十何人の電務局で押えられるなどと考えてはおらないのです、全然。  なぜ電務局を作ろうかというのは、郵政省で電電公社や国際電電の監督を強化しようなどという考えではなくて、今よりも弱化してもよい。私は明確に申し上げたい。そうじゃないのです。電気通信行政をやる明確な局がないのです。これは電電公社ができるときに、電電公社は監理機関ということではなくて今の情勢になれば、必ず電務局というような通気通信行政をやる局ができたのだろうと思いますが、当時は、御承知の通り、今の電電公社ははっきり申し上げますと、電気通信省がそのまま看板を変えて電電公社になつた。そうしてりつぱな成績を上げていったから、そういうものの監督を強化しようという考え一つもない。そうじゃなくて、電電公社は、さっきも議論がありましたが、明確にいって、やはり国内政府機関です。ところが、さっき言つたような外国の問題は一体どうするのだ、ハワイとのケーブルを一体どうするのだ。それだけではなく、東南アジア及びその他の国が、日本の賠償の中に電気通信事業を入れる場合には、どうあるのだ。こういう新しい問題がたくさん起きてきておるのです。そればかりでなく、あなたもこの間御質問になりましたが、俗にいわれる正力構想というものが出てきた。国鉄国鉄、それから防衛庁は防衛庁、警察は警察、こういう問題が起きてきたときに、どうも既設のものに対しては反発するような思想が、また精神が起きるということは、これはどうもやむを得ないことではあろうと思いますが、何だか日本電信電話公社は有線から発達したのだから、有線主義でわれわれはやるのだ、こういうようないろいろな議論が出てきます。そういう問題に対して、少くとも郵政大臣及びその監理官、特に監理官というものは、これは御承知の通り、電電公社及び国際電電の監理官であつて、その他の電気通信というもの、特に無線局等は御承知の通り、もう全国に三万カ所にもなっているのです。日々ふえておる。特に必要を認めたので有線放送法が八月の一日から施行されたのです。こういう問題をやる局が全然ないのです。これを電気通信監理官という郵政省設置法に明記をしてある電電公社の監理官に、こういう仕事をやらせるのはおかしいのです。だから電電公社及び国際電電の監理官は別に置いて、あらためて別に局を作れば、あなたが言うような電電公社の監督を強化するような懸念は少くとも、気分の上でもそういうことは出ないでしようが、少くともそういうことをする必要はない。電気通信行政としていろいろな新しく出てきたものをます電務局でやるのだ、そうして電電公社や国際電電はりつぱにやつているのだから、片手間にやつていけばいいではないか、そういう気持で、電気通信監理官を廃止して電務局を作ろう、こういうのであります。この問題に対しては、電電公社とも十分相談したのです。  これは速記を中止してもらえば一番いいのですが、私は明確に申し上げますが、電電公社と私どもの間は今までは平穏だったのでありますが、正力構想というものが出てきて、公社とはけんかにならない。やはり正力のけんか相手は田中だと、そういうことをまじめに考えますと、まさに電気通信行政を主管する局が必要だ、こういう結論に達しておるのです。今の局でもいいのだということでいると、これから五年、八年後になって、どうにもならないような混乱が出てきてからでは困るので、電気通信行政に関しては少くとも郵政省がやるのだということをここで明確に考えておつてもらうことが非常にいいのだ。特に電信電話公社などは、説をなす人は、郵政省の監督も困るけれども、全然知らない他人に監督されるよりも、郵政省の方が身内だからいい、こういうふうにあらゆる毎度からものを考えている。これは少しざつくばらんに言い過ぎたかもしれませんけれども、私は信念をあなたに申し上げているので、少くとも、私は電電公社や国際電電の現在の形態に満足しているのでございます。こういう考えからしまして、電務局というものを設置するということに関して、電電公社や国際電電に対して今よりも強い統制や干渉を行う必要は毛頭ない。できれば私は、もうこの法律を審議していただく過程において、最も明確に、電電公社や国際電電に対しては必要以上に干渉をいたしませんという一札を出してもいいぐらいの気持で、この郵政省設置法の改正案を提案しておるのでありますから、この誤解をぜひ解いていただきたい。私の考えと電電公社側の考えが一体違うかどうか、靱副総裁も来ておりますから、一つ聞いていただきたい。私の答えと同じだということならば、ぜひ誤解を解いていただきたい。
  198. 鈴木強

    ○鈴木強君 あなたの言われているのは、子供に話すならわかるかもしれない。しかし私は、そのあなたの考え方では納得ができないのです。それはこういう理由なのです。なるほど、有線放送がふえ、いろいろと電気通信監理官の部屋でやつておる仕事がふえておることは認めます。ですから、それなら何も電務局にする必要はない。そうしてその十二人も人をふやす、その人の点については、必要があるならば十二人の人をふやして、そして監理官が十分に仕事ができるようにしてやればいいのです。そういうことであれば、私たちはあえて反対するものではないのですが、要するに電務局というものを設けて、三項目にわたって従来より以上に、企画し、監督し、指導をするという法律を起して設置法を改正してきている。新しい条文を入れてきている。今までは、さっきも言つたように、日本電信電話公社を監督する、共済組合を監督する、郵政大臣は、そういう条文だったのです。ところが今度はそれを幾つかに変えて規定をしているというところに、あなたが何と言っても、やはり監督権の強化だというふうに私たちはとらざるを得ないのです、これは靱副総裁の話を聞かなくても、一生縣命にやつているのだから、私どもはこんなことはけしからぬと言っているのだが、公社当局は一生懸命やつているようです。私たちのところでもそういう陳情がきているのです。しかし、私が納得できないのは、あなたはいろいろ、今度正カマイクとか、あるいはハワイまでの海底線とか、国内外のいろいろな通信行政が輻湊してきてそのときは田中対正力にしておきたいと言われるが、これはそういう機構でやらなくても、郵政大臣は電電公社を監督するのだ、はっきり設置法に書いてある以上は、最終的の行政の責任はあなたにある、電気通信事業に対しては。だからどんな問題があろうと、あなたが出ていけばいいのですよ。何も監理官を十二名ふやして、そうして電務局を作つて監督権を強化すると世間から非難されるような、そういうことをやる必要は毛頭ない。それから、あなたは毛頭そういうことはやらぬと一筆書いてもいいと言うのだが、あなたは率直に言って、これからどれくらいやるかわからぬ。この四月解散か五月解散か知らぬが、一応再任することはなかなかむずかしいでしよう。そうなってくると、あなたは郵政大臣の席を離れていくわけです。あなたがいる間は、あなたを信用してやりましょう。しかし法律解釈というものは、やつぱり時が流れていくと、結局、自分の都合のいいような解釈をしてくるのですよ。ですからそういうふうな……。
  199. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 鈴木君、できるだけ質疑に御限定願います。  速記をとめて。   [速記中止
  200. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 速記を始めて。
  201. 鈴木強

    ○鈴木強君 ですから、大臣がわしのいる間はといって太鼓判を押してみたつてこれはあとまで続きませんからね。なぜそんな誤解のできる条項を設けたのですか。一項目にして、それで電務局にするなら、まだ僕らはわかるのですよ。前より以上に、企画し、指円導し、監督するという条文を起しておきながら、それで毛頭監督権の強化ではございませんと言うのはおかしいですよ。子供だましみたいなことを言わないで、ちゃんと答弁して下さい。
  202. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。私も何回も申し上げますが、電電公社に対しての監督権を強化しようなんということは全くないことは一つ御了解願いたいと思います。しかし、幾ら言ってもわからぬ、こういうことであるならば、道は二つしかないと思います。その一つは、電気通信監理官という制度をそのまま残しておく、現状よりも、いわゆる代が変つて間違つた法律解釈をするようなことを絶対に起さないように、いわゆる電務局と電気通信監理官は別途に置くということが一つでございます。特に電気通信監理官というような名称にまだ疑問があるならば、電電公社監理官及び国際電電株式会社監理官というふうな名称に明確にしてもいいと思います。これは建設省に道路公団監理官、住宅公団監理官というような正式な名称があるのでありますから、電務局という一般的な電気通信事業をつかさどる局ができるとして、それが権限紛清を起すおそれがあるというふうに思うならば、もちろん、そういうふうにできれば合理的だと思います。もう一つの方法は、電務局が電電公社に今よりも統制を強化するようなにおいを払拭しなければいかぬということであるならば、これがいろいろな改正案が出ておりますが、これを現行のままに議院で御修正になる、こういう二つの道がございますが、私としては、一切そういう統制を強化しようというような意思がありませんから、今言つた二つの問題、どういう道をおとりになっても、院議でもって御修正になるということであれば、私としては自分の意思はそこにあるんでありますから、それをもって満場異議なく御承認が願えるということであるならば、院議は尊重いたしたいと思います。
  203. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣がそこまで言うなら誠意があると私も認めましょう。確かに私も法案が出てくるまではおっしゃる通りに信頼しておったのですよ。ところが、出てきたものを見ますとね、やつぱり四カ条くらいになっておりますとね、これを職員が見たときにもぴんとくるのですね。そういうことが出てきますと、将来代が変つてきますと、必ず強い方向が出てくるのです。これは官僚組織の中の典型的なものでし、出う。そういう点をわれわれは憂えるものですから、非常に猛烈な反対をしているわけです。あなたがそこまで、修正、その他二つの方法について、私はどつちでも尊重するというところまで言うなら、大臣の真意だけはわかります。だから誤解のないような形で一つ過程において修正もするようにしたいと思っております。  それじや設置法の一部改正についてはこの程度におきますが、最後にもう一つ質問しておきたいのは、電電公社の経営の問題でありますが、先に小笠原委員から基本的な問題として建設資金等の問題が出ておりましたが、私はこれは逓信委員会でも何回も大臣に申し上げておりますから、重ねてくどくどしく言う必要はありませんが、少くとも今日電話が東京でも、もう六年くらい前に申し込んであるんですが、それがつかないという事情があるのですね。私たちも迷惑なくらい、どうして電話が引けないんだ、早く引かしてくれというので陳情を受けるわけですが、そのつど公社にも伺って様子を聞いてみますが、問題は建設資金がないのですね。ことしも八百三十三億の要求に対し七百五十億、これもよく取ってくれたでしょう。しかし公社がやろうとする書画が実際に予算に制約されてできないというのが実態なんです。午前中も国鉄予算審議したときに私申し上げたのですが、やっぱり国鉄もそういう問題が出てきている。ですから、確かに国鉄、電通、こういった事業を総体的に見ると、ある程度資金的なワクにはまることもわかります。だが、しかし小笠原委員も言ってるように、電信とか電話とか、あるいは鉄道というものは一国の動脈であるし、これが発達することが、やっぱりその一国の発達になると思うのですね、そう一いう使命を持っているのでありますから、政府はほんとうに建設事業資金を出していただけるならば、もっと早く電話はつくのです。けさも午前中、政府を盛んに攻撃をしている。与党の委員もそう言っている私は論議が主客転倒しておって、われわれ国会が審議権を持ってるんですから、少くもほしいだけの予算を認めてやればつくんですよ。ですから、むしろ公社なんかの責任じゃなしに、この点に関する限り国の責任でもあるし、国会の責任でもあるわけですね。ですからその点を取っ違えないでいただきたいということを申し上げたのですが、大臣は非常に非積極的なことを申しておるのですが、もう少し、七百五十億という建設財源が一応できましたけれども、さっき小笠原委員の指摘したような内容であって、外部資金にたよるものはわずかに百六十一億、内部資金が五百八十九億、こういうような比率になっております。だからこの五百八十九億というものが、実際労働者諸君から言うならば、一生懸命働いて千四、五百億の収入を上げているのですね。その中で建設資金の方に持っていってしまう。要するに、自己資金として取られてしまう。そうしてなかなか政府が言うように待遇もよくならないということから、いろんな不満がある。私はそれ以上に問題にしたいのは、電話がなぜ引けないか、今苦情がたくさんある。その苦情を満たしてやるのが、建設資金を多く獲得して、それによって局舎を建て、国内設備をして、電話をすぐ引けるようにしてやるのが、今の大臣の責任でもあるし、公社の使命でもあるのです。それを積極的に推進するのは国会の立場であると思う。見ていると、どうも第二次五カ年計画は緒につきましたけれども、前途は非常に困難なように思うのです。定員の問題にしても依然として変らず、予算的には四百九名ですか、二十五万人の電話の加入者がふえて、七十万キロも電信電話線が延びているのです、遠くまで。にもかかわらず四百九名の増員にしかなっておらない。公社の内部に不合理があり、むだがあるならば、大いになくするようにしなければならぬと思いますが、現状、大臣もむだがあると認めていない。そうなると、あまりにも事業量の増に伴う人員増は少な過ぎるように思うのです。こういった幾つかの人的な降路、資金面の隘路、こういう点を克服されて、第二次五カ年計画の最初の年を完璧な態勢でやってもらいたいと思うのですが、今の形では、なかなか国民の期待する建設は進んでいかないと思う。さっき小笠原委員の質問に大臣は答えて、今後も直接な財政投融資の面でストレートに企業資金なり簡保資金を出していくように努力すると言っておりますから、これ以上あなたに言いませんが、要するに国民一が文句を言って、その文句というもの一がやはり大臣に当る、国会に当ってくる。当ってくる苦情をなくすには、建設資金をつけるという点にかかってきまずから、こういう点の今後とも十分配意をしておいていただきたい、こう思うのです。
  204. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 電電公社の第二次五カ年計画に対しては、全く御説の通りでありまして私も苦慮いたしておるのでございます。三十三年度は、御審議願っておる予算では七百五十億でございますが、先ほど申し上げましたように、今年度に繰越金もございますので、今おおむね七百八十億くらい、プラスして自己資金の幾らかの増もありますから、おおむね八百億程度はできる予定でございます。しかし、これは三十三年度はもう自己資金、いわゆる含み資産は総ざらいをするということでありますから、三十四年度からは相当苦しくなってくるということは、先ほど申し上げた通りであります。そういう意味で、第二次五カ年計画の四千百億は理想的な数字ではありません、最小やむを得ざる限度のものでありまして、これをやれば、五カ年間に積滞は全然なくなるという数字ではありませんが、もっとより新しい財源措置考えて、五カ年計画は四千五百億ないし五千億でやらなければ、積滞は減らないということは御承知の通りであります。もう一つは、今までは戦後の電話不足を補うため第一次五カ年計画をやって参りまして、都市偏重といわれるくらいに都市に重点を置きましたので、ペイ・ラインに乗ったのでありますが、これからは農村電話をふやし、山村漁村にも公衆電話を引こうというのでありますから、今度は、あまねく電話を架設するというような基本的な原則にのっとりますので、今までのように自己資金がふえると考えられないのであります。でありますから、三十三年度の電電公社の予算を見ると比較的に、四千百億、五カ年計画を作って、うまくいけば八百二、三十億もできるかもわからぬということでありますから、理想的な第一年次を踏み出したんではないかとは見えますが、内容を見ますと、第二年度、三年度は非常に苦しくなっているということでありますので、これが合理的な第二次五カ年計画遂行に当っては、財政資金の投入等、画期的な措置をしなければならぬ、こういう考えを持つのであります。
  205. 鈴木強

    ○鈴木強君 さっき質問しました処分の発令の問題をお答え願います。
  206. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。九百三十三号につきましては、処分の発表は三十一年四月四日であります。それから九百三十七号につきましては三十二年九月七日、それから九百三十八号につきましては三十二年九月十二日、それから九百四十三号につきましては三十二年七月の十二日、九百四十七号につきましては三十二年五月三十日、九百五十号につきましては三十二年六月十七日  以上六件でございます。
  207. 鈴木強

    ○鈴木強君 この問題は、会計検査院の会計監査が済んだのはいつですか。三十一年度の決算の会計検査が済んだのはいつですか。
  208. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) これは主管でございませんので、正確にはちょっと申し上げかねますけれども、郵政監察官におきまして摘発いたしましたものが、そのまま決算委員会にのせられたものと了解しております。それで会計検査院の決算が済みましたのは三十二年の十二月ごろだったと存じます。が、郵政監察官が摘発いたしましたものが、そのまま検査院の決算報告に載るのが従来の例でございます。
  209. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、人事部長が見えておらぬのですから、事務次官でもいいです、これは。郵政監察が摘発したものを自動的に会計検査院が取り上げる、こういうことでありますが、そうしますと、その郵政監察が取り上げた日はいつですか。十九件のうち六件あるのですが、この六件を郵政監察が取り上げたのはいつですか、わかりますか。
  210. 小野吉郎

    説明員(小野吉郎君) ただいまその辺の明細のところが資料を持ちませんので、個々のケースに当りまして、いきさつを御報告を申し上げたいと思います。
  211. 鈴木強

    ○鈴木強君 それではやむを得ません。あとからでけつこうですから、郵政監察が摘発した日がいつなのか、その点ちょっと各件ごとにお知らせ願いたいと思います。
  212. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 鈴木君に申し上げますが、今の御回答はいつ求められますか。
  213. 小野吉郎

    説明員(小野吉郎君) あとで先生のところに直接に……。
  214. 鈴木強

    ○鈴木強君 文書でけつこうです。
  215. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) それでは、文書によって御提出願います。  他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、先ほどの鈴木委員の南ベトナムの通信施設に関する質疑につきましては、予算の総括質疑の段階において、田中郵政大臣から政府の所見をあらためて御発言願うことといたしまして、郵政省所管につきましては、これで審査を終了することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 加賀山之雄

    主査加賀山之雄君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  明日は午前十時に本分科会を開きまして、午前は建設省所管の予算、午後は運輸省所管予算につきまして、本日に引き続き審査を行うことにいたします。本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十五分散会