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青木一男君 ただいまの河野長官のお話でよく了解いたしました。長官は、法律できまっておる中央自動車道のことをどうしようという
意味ではないのだ、全体的の交通運輸の計画について話し合ったのだ、こういう
趣旨でございますから了承いたしました。
この中央道の問題について、東海道を通るか、あるいは中部山岳地帯を通るかということは、もう多年の論争の経過であったのでございますが、御
承知の通り、昨年の法律によって
国家意思として、最後の断が下されておるわけでございます。それでございますから、この法律の現存する限りこれに対する案というものはあり得ないわけでございます。この法律は、衆議院の四百三十人の
提案になるものであり、衆議院においても全会一致で可決した法律である。参議院においても、共産党の野坂、岩間両議員が起立しなかっただけでありまして、他の全員の
賛成になる法律であります。従いまして、この法律を直して後でなければ、この中央道をほかへ持っていくということにはできないわけでございます。もちろん一般
国民は、この法律に対して批判を加えることは自由でございます。しかしながら、
政府は、国法の命ずるところを忠実に実施するのがその任務であります。従って、
国務大臣はもとより、各省の公務員、あるいは道路公団等の
国家機関の職員が、法律の定めたところに
反対したり、あるいはこれに非協力の
態度をとるというようなことがあってはならないことは当然でございます。衆議院の決算
委員会におきましては、道路公団の首脳部が、業者から資金を集めて、高速道路調査会という財団法人を作ったということが問題になったようでありますが、
国家機関の外郭団体が国策に協力する、活動するということでありますれば話の筋が通るのであります。ところが最近、昨日私が得た情報によると、ある国立大学の教授で、この道路調査会の
理事をやっておる人が、最近に中央道に
反対し、東海道案促進の講演をして回っておるということであります。私はその事実の真偽を知りませんが、もし事実といたしまするというと、
国家機関というものが、間接ではあるけれ
ども、国策
反対運動に支援を与えるというようなことになりかねないのでありまして、これは非常に不都合な結果になるのでございまして、この点は建設大臣において十分御注意をいただきたいということを申し上げておきたい。
それから最後に、先ほど根本建設大臣は、この国土開発縦貫自動車道建設の資金の一部を外資に求める計画のお話でありました。これは従来
政府の考えがここにあることも
承知しておりますが、私はこの縦貫自動車道の建設資金を、程度にもよりますけれ
ども、その多くの部分を外資に依存するという考案に対しては多大の疑問を初めから持っておるものでございます。
第一に、外資依存では、この大事業は外国の意向に支配されるのでありまして、非常に不確実、不安定のものになるのであります。第二に、われわれが子孫に残すべき大事業としては、われわれの汗と貯蓄による資金をもってまかなうべきでありまして、外国からの借金をあとに残したのでは、子孫はかえって迷惑することがあり得るのであります。
〔
委員長退席、
理事剱木
亨弘君着席〕
第三は、外債は、国として外貨需要の存するとき初めてその意義をなすのであります。経済企画庁の長期経済計画の目標は、貿易と貿易外収支で国際収支の均衡を維持することにあるのでありますから、借金を必要としないのであります。従って、外債募集はこの計画と矛盾する点ができてくるのであります。第四に、自動車道の建設費の大部分は労銀であり、資材としてはセメントが主要なものであります。すなわち円資金をもって間に合うものでありますから、外債の必要が理論上ないわけであります。
第五に、国内蓄積資金で支弁いたしますれば、インフレーションは起らないのでありますが、外債によって円資金を調達すれば、それだけ通貨の増発の原因となるのであります。もしこれを避けようとするならば、外債によって得た外貨を物資に変えて輸入し、これを国内で売って円貨を回収するほかはないのでありますが、これは不必要な物資を輸入するという点で不健全な政策であり、また、それだけ商品の入超となるのでありますから、貿易と貿易外収支で国際収支の均衡をはかるという国の
基本計画に背馳するのであります。
第六に、国内の貯蓄増加高が毎年数千億に上る現状から見て、毎年三百億円程度の資金調達は不可能なことではございません。これらの点につきまして、大蔵当局及び経済企画庁当局に所見を伺うことは、時間の
関係上、今日は遠慮いたしまして、他日の
機会に譲ることといたしますが、十分御研究願いたいと思います。
ただ最後に、建設大臣に伺いたいのは、建設
審議会の資金部会をなぜ開かないかという点であります。
審議会は法律第十二条によって、資金の調達に関し、調査、審議することとなっておるのでありす。昨年一度この資金部会を開くとの通知がありましたけれ
ども、何ゆえか、これが取消されておりまして、今日に至っても一回もこの資金部会が開かれておりませんが、建設大臣のお考えを伺っておきたい。