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1958-03-20 第28回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)    午前十時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     泉山 三六君    理事            伊能 芳雄君            小幡 治和君            剱木 亨弘君            迫水 久常君            高橋進太郎君            佐多 忠隆君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            森 八三一君    委員            石坂 豊一君            大川 光三君            大谷 贇雄君            小山邦太郎君            後藤 義隆君            佐藤清一郎君            塩見 俊二君            下條 康麿君            苫米地義三君            苫米地英俊君            一松 定吉君           小笠原二三男君            亀田 得治君            坂本  昭君            鈴木  強君            戸叶  武君            藤原 道子君            矢嶋 三義君            加賀山之雄君            千田  正君            市川 房枝君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    建 設 大 臣 根本龍太郎君    国 務 大 臣 郡  祐一君    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    国家消防本部長 鈴木 琢二君    自治庁行政局長 藤井 貞夫君    自治庁財政局長 小林與三次君    自治庁税務局長 奧野 誠亮君    経済企画政務次    官       鹿野 彦吉君    経済企画庁総合    開発局長    伊東 正義君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    林野庁長官   石谷 憲男君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度般会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ただいまから委員会を開きます。  昨日本委員会において理事会の議に付されました宮良氏の問題につきましては、本日理事会において慎重協議の結果、ここにあらためて本委員会において大蔵大臣から所信表明を求めることと相なりました。大蔵大臣発言を許可いたします。
  3. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先般来当委員会において御調査相なっておりましたいわゆるこの宮良氏の問題につきましては、行政取扱い上慎重を欠いた点がございましたことは、まことに遺憾に存じます。今後は、このような事態が起らないように慎重に注意いたしますから、御了承をお願いいたします。
  4. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 議事進行について。
  5. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 簡単にお願いいたします。
  6. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 簡明率直に申しますから……。
  7. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ちょっと大谷委員に申し上げます。ただいまの大蔵大臣所信表明は、遺憾の意を表明されましたが、理事会の議を経て発言をいたされたものでありますので、その点を御了承の上、御発言願います。
  8. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 議事進行について。昨日私が委員長に、何べんも議事進行について発言を求めましたところ、委員長は、それがお耳に入っておるにもかかわらず、いきなり散会を宣言しました。従って佐多議員が、あれは私語だ、私語ではあかんではないかということでありましたが、まさにその通りでありまするので、今日は、正式にここで委員長に対して御所信を伺いたいのであります。それは、私が昨日関連質問ということで、もう二へんも手をあげて、そうして発言を求めたのでありますが、委員長は、どうも佐多さんばかりひいきにしている。それで、佐多さんに発言を許されてしまいました。ついに私の発言は封じてしまわれたのであります。私としましては、先般の予算委員会審議におきましても、郡長官厚生大臣に対する質疑が残っておりましたけれども、すでに夜七時半になりましたので、皆さんに御迷惑でもあり、また、委員長にも御迷惑をかけてはと思って、大いに協力をしているつもりでありましたのに、昨日のごとき状況は、はなはだ議員審議権を抹殺をされるものであって、まことに私としましては、遺憾であるのでございます。ことに昨日のごときは、何べんも発言を求めているのに、聞かぬような振りをして、散会を宣してしまわれた。先般の臨時国会におきまして、商工委員会中小企業団体法案が上程されましたときに、近藤さんが、高橋進太郎君が発言をしているのに、ぱっと散会してしまった。その例を委員長はおやりになっている。(「議事進行じゃないか」と呼ぶ者あり)いつのまにか近藤君に弟子入りをして、その仕法をお学びになったのか、はなはだ私は遺憾に実はたえぬのであります。また、石坂先生に聞きまして、私きのう夕方公報を見ると、分科会に私の名前が載っておらぬ。いつのまにか私は抹殺されてしまった。(笑声)、そういうようなあほうなことはないのでありまして、それで、抗議を申し込んだら、けさそれはミスプリントであるということで訂正になった。私は、どうも泉山委員長は、名委員長として、非常に尊敬をしているのであります。あなたは私に先般書物を下さった。「トラ大臣顛末記」というのですが、トラというものは、眼光けいけいとして四方をへいげいするのが当然で、一方のやぶにらみのようなことがあっては断じてならぬと私は思う。私は、委員長というものは、そもそも法にちゃんと載っておりますが、秩序を保持すると書いてある。あなたの秩序は、どうも好ききらいがあるようなふうであって、方的であって、すこぶる公平を欠いている。どうか一つ今後この議事は、きわめて公平無私にお取扱いをいただきたいことを申し上げるわけでありますが、これについての委員長の御所信を簡明率直にお願いしたい。
  9. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 委員長からお答えをいたします。ただいまの大谷委員の御発言に対しまして、私は、やや疎漏な点があったやに考えられますので、これは、遺憾の意を表明いたします。昨日の議事進行につきましては、松澤委員から発言があり、私は、これを採択する意図のもとに、直ちにその宣言に入ったわけでありました。しかるところ、途中からはしなくも大谷さんの御発言が耳に入ったのではありましたが、ただいま大谷委員お話通りお話までもなく、委員長公平無私を旨といたしております。しかるところ、私も自民党に所属をいたしますがゆえに、自民党諸君の御意見は、よく承知をいたして、間々耳に入っておりまするので、その公平の原則からも、若干重みが違って参りますることはやむを得ない、こういうことがあるいは大谷さんの御発言の動機であったやに存じます。私は、発言の自由、議事の完璧につきましては、微力ながら全力を注いでおるつもりでありまして、帰するところは、円満に議事を進めまして、本予算審議議了、こういうことに重点を置いて参りますので、今後各位の一段の御理解御協力をお願いいたします。  なお、分科会の配属につきまして、大谷委員を記入漏れいたしましたのは、これは私のはなはだ失態でありまして、おわびを申し上げます。(「委員長了解」と呼ぶ者あり)   —————————————
  10. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 昭和三十三年度一般会計予算外二件を一括議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を続行いたします。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、もっぱら地方行財政一般について質問するように言いつかっておりますので、主として自治庁長官にお尋ねしたいと存じます。  自治庁長官昭和三十三年度地方財政計画に関する提案の内容説明要旨を見ますというと、その骨子として、四点あげておられます。  第一は、地方交付税税率を引き上げ、既発行地方債にかかわる公債費問題の恒久的解決をはかる。  第二は、地方税負担最小限度合理化をはかるほかは、できるだけ自主財源を確保する。  第三は、一般財源の充実とも相待って、一般会計における地方債発行額を減少する。  第四は、できるだけ行政水準の確保をはかる。  こういうことになっておりますが、そこで、基本的な立場としてこういう計画のもとに三十三年度の地方財政計画を立てられた郡長官としては、今日憲法上示されている地方自治の本旨と、この地方財政制度というものとは全く理念的に合致しておる、これでいいのだというお考えを持っておられるのか。また、欠陥があるということであるけれども、どういう点にいまだ欠陥があるというふうにお考えになっておられるか、基本的なお考えについて、この際お示し願いたい。
  12. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私は、憲法保障をいたしました地方自治が、国の権力に由来して、そうして地方独立自治体としての権限を持っている。このことは、住民自治という観念と、団体自治という観念がきわめて明確に調和をいたして存在しておる。そのような意味において私は、一つの好ましい形にあると思います。制度の上で見ますると、これは、他の国の立法例に見ましても、日本の国の地方財政くらい自主性を持たしておる制度といたしまして、たとえばイギリスにいたしましても、あそこは自治建設省というような形になりましょうか、あそこで監査をいたしておる。ところが、これに対して日本制度は、自治監査にいたしておる。条例もすべて自由にいたしておる。こうした点につきましては、かなりに自治的の保障ができていると思います。しかしながら、その事実上の財源付与状況、これになりますと、私はまことにいまだしという感がいたします。これは、小笠原委員よく御承知のように、府県においては、住民税事業税市町村においては住民税固定資産税、これらの税のほかに、はっきりした財源がない。一方では調整財源的なものもございまするけれども、何と申しまするか、形の上の自治は充実いたしておる。しかしながら、これに対しては、さらに財源的にほんとうに活動できるようにいたして参らなければならぬ。ことに数年前、地方財政というものは一つのどん底に参りまして、ようやく立ち直っておる状況で、四つの点を強調しておるじゃないかというお話がございました。私もその気持で、ようやく安定の状況に向った。その次には、地方、国を通じまして一つの税制上、財政上の根本的な検討をいたしたいと考えております。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その長官のお考えが、実際に今回の財政計画に筋が通っておるかどうかということは、またあとでお尋ねいたしますが、しかしまあ、あなたのお考えになっておるこの四点の重要な財政計画上の骨子というものは、これはやはり、単に官庁の役人としての考え方だけでこれを措置するということでは容易でない。どうしてもやっぱり郡長官のような有能な政治家が断行する決意をもってやらなくちゃ、この種の改革は、改善はできないように私は思うのですが、長官どうですか。
  14. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 現に各省とも協議をいたしておりまする地方財政法改正等におきましても、一方で地方財政というものをでき得る限り合理化をいたし、早く返すべきものは返していくというような措置を講じますと同時に、地方財政というものをいろいろな角度から、何と申しまするか、食いつぶしていくというようなことの起らないように、現に各省とも相談をいたしておりまするし、各省大臣も、地方財政というものを安定させ、また、地方行政ほんとう自主性を持たせるという点については、きわめて熱意をもって当っておりまするので、政府といたしまして、おっしゃるように、地方自治の育成という方にはさらに強力に進んで参りたいと思います。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう御決意のもとにおやりになることは、まことにけっこうなことで、特に郡長官が御就任になった際には、鈴木次官等は、父帰る思いがするというくらいのことを庁員諸君に言って紹介するというふうに聞いておる。ですから、自治庁役人諸君は、あなたの言うことなら、絶対服従で仕事をおやりにもなるだろう、この際、十分あなたに期待するところが大きい。  いろいろお尋ねしたいのですが、分科会もきょう開かれますから、一例としまして、この四点のうちの公債問題をお尋ねしますが、地方債にかかる公債費問題の恒久的解決をはかる、こういうことを申しておりますが、恒久的解決をはかることとして、三十三年度にどれだけ長官のお考えというものが盛り込まれたのか、御説明願いたい。
  16. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 地方財政の一番の自立する上の困難な点は、御承知のように、国財政地方財政も、両方苦しかったために、給与に充てるべきものまでも公債で持たせた。それから、失業対策だとか、公共事業というようなものまで公債に持たした。その分の対策というものがつかずに今日に参りました。従いまして、交付税率を、国会の御協力も得まして、一・五%引き上げることで進んでおるのでありますが、この点も、それで交付税というものが、ただ交付税率の二七・五%というものは、私は一つ限度だと思います。しかし、あの一・五%上げましたことは、まことに公債費対策としまして、このようにいたしますならば、そうした非常に特例な、適債事業でないものにみましたところの公債というものがとにかく解決をできた。それから、残りは、交付税配分等につきまして、公債の多いところに従来見ておりましたよりも、これらのものに対する財源の賦与を強くいたしました。  それからさらに、将来の公債費対策といたしましては、現に五千億の現在高を持っております。これらは、公債をできるだけ減して参らなければならない。従いまして、しかも学校等建築等につきましては、総ワクで減らしましたが、増加いたしております。そうした点で、公債は今後は適債事業にのみ向けて、そうして従来の公債の補償のために、地方財政の赤字が生ずるものに対しては、それぞれ補てんの措置を講ずる、それが公債費対策骨子でございます。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の御説明ですと、公債費対策としましては、交付税交付金をふやす、その分も充てられる、あるいはその財政需要計画の中にいろいろな負担分を組み込んでおる、あるいは将来においては起債総額を減らしていく、こういうようなことのように受け取るのですが、そういうことが恒久的な対策であるということは、いろいろこれは重大な要素を含んでおる問題があると思われるのでありますが、どだい起債というのは、個人の貸借と同じことであって、そうして長期の償還の方法なり、あるいは資金調達の方法なりからそういうものを考えてみることは同じことなんですが、基本的にその必要性と、その償還能力というものが問題点であろうと、こう思います。地方交付税基準財政需要の中には、前に示された起債元利償還計算、こういうもののほかに、投資的施設について、たとえば、今お話の庁舎とか、学校とか、こういうものについては、耐用年数による償還財源というものが計算に入っておるように思うのです。この点だけで考えるというと、その計算元利償還について九五%くらい見ておる、こういうような関係がどういうふうになっているか、耐用年数による交付税法上の財政需要額、こういうものがどの程度であって、それが元利償還の方の九五%の方とどういうふうな関係になっているかということは、私は問題だと思うのです。で、これは政府委員の方からでもいいのですが、交付税法上の財政需要に組み込んでおる程度は、耐用年数によるそれを組み込んでおるのはどの程度なのか、お示し願いたい。
  18. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) お話のように、地方財政におきましては、これは、国と趣きを異にいたしまして、学校建築であるとか、災害に対する対策であるとか、こうした非常に長い将来にわたってなしくずしていくことが適当だと思いまするものがございます。一口に申せば、適債事業でございます。そうしたものに対して公債で満たして参るわけでございます。従いまして、そうした適債事業をどの程度毎年利用されるかということをよく考えて参らなければならないと思うのでございます。耐用年、数等の点につきましては、政府委員からお答えいたします。
  19. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お答えいたします。  耐用年数は、それぞれの施設基礎にいたしまして、橋梁とか道路とか学校とか、そういうものをそれぞれ基礎にして、計算をいたしておるわけでございます。それでございますから、そういう建設的な事業におきましては、むしろ耐用年数基礎にした、一般財源で償却をするという仕組みが私は筋であろうと思います。今の公債費対策はむしろそうじゃない。一般財源で見るべきものを見ずに、妙な形で公債がここに行われて、それの過去のものの跡仕末、今後のものは、一般財源の上におきまして、投資等において適当に将来償却していくような仕組み考えなければいけない。それぞれの事業の中味につきましては、これは、ちょっとあとからこまかい資料で必要ならば御説明申し上げます。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたが今おっしゃったように、基準財政需要が、その施設による起債年度ごと元利償還額に見合っていくように考えていけば、その範囲内では、起債は何も心配なことは起らぬと思うのです。で、公債費の問題が起るのは、今の場合は、投資的な事業について言っておるのですが、その歯車がきちんと合わない、どこか狂ってくる、そうなると、この公債費問題が起ってくると思う。たとえば、国から補助を受ける、それから、その残余の部分の一部について起債をする、一般公共事業で、交付税財政需要計算がうまくいっていないという場合には、これはまた問題が起る。ところが、計算の方は十分必要額が入っておるんだが、一般財源として交付税が向うへ回っていくのだから、従って、他の項目の方に流れてしまう、だから、その公債問題が起る、こういうふうに、まあ大体二色あると思うんですが、たとえば他に流用したというような場合であるならば、それは公債費自身の問題ではなくて、交付税法上の一般財源措置全体が十分でないというところに問題が起ってくると思うんです。どうですか、その点は。そういうふうに認識してようございますか。
  21. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 公債費につきましては、大きいワクで、ことに特殊の状態のために起りましたものについて、このたび対策を講じましたことは、申し上げた通りでございますが、おっしゃるように、一般財源、自主的な税収入と調整的な交付税がございましょう。これらのものとすべての財政上のにらみ合せ、たとえば、再建団体の利子などについても似たような問題があると思います。これは私、財政全般の問題ということは、おっしゃる通りだと思います。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、長官は、過去の起債償還という問題が非常に問題になったその理由として、適債事業でないものにまで起債がいった、こういうことですが、そういう点は、やはり終戦後の国の方の施策のためにいろいろ考えられる部分が多くて、地方に対して十分な財源を付与しなかったというような点が根本的な問題になるのですから、この起債の問題でも、大幅に責任を負うのは政府側の方である、国の方である、というふうに私は思うのです。それを、先ほど、財政計画基本計画として、交付税を二千二百四十億、二百八十何億かをふやした、その方を公債費の方の償還の方に回せるんだというようなことですが、こういう扱い方は、交付税建前からいって、所要経費調整財源に充てるものが、そういう過去のしりぬぐいのために大幅に使われて、それをもう初めから予定しておくということについては、どうも私はおかしいというふうに思うんですが、どうですか、この点は。
  23. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私は、こうした対策の講じ方、これは一応終り、むしろ結末をつけるためにとりました措置であります。全体の、おっしゃるように、私もさっきちょっと申し上げましたが、自主財源が乏しい、そういたしますると、勢い交付税に対する依存度が高くなってくる、しかし、その交付税に対する依存度というものも、このたびの二七・五%というようなものも、一つの限界に参ったと思っております。これは、たとえば、市町村の場合に、シャウプの勧告がございましたのを見ましても、あの勧告通り財源措置をかりにいたしておったら、そういう事態は後に起らなかったかもしれません。しかしながら、これは国、地方を通じましての財政状態で、そう万全は期せられなかった、そのために、先ほど申しましたような数年前の事態が起りましたが、将来におきましては——私は一方ではこう考えております、地方財政については。適当な単価と思うて国が与えましても、必ずしもそれでできない場合がある、そうしたとき等に、継ぎ足しの仕事等が起る、これはやり過ぎじゃない、しかしながら、同時に、地方がもっと仕事を健全化していかなけりゃ、何と申しまするか、何と申しましても規模の小さい財政でそれぞれやっております。全部を合せますと一千二百七十億という財政計画を持ち、予算ではもっとふえて参りましょう。しかしながら、だと言うて、一つ一つ分けますと規模が小さいのでありまして、これについての綿密な計画を立てて持っていくというようなことは、これは地方財政法建前からいたして参らなければならぬ、従って、御指摘の点の、前の公債に対する措置をいたしましたのは、私は、これがいつもそういう形でまかなっていくべきものということではなくて、これからの三十三年度からほんとう適債事業をいかに消化し、そうしてこれを間違いなくやっていくかということは、これから一応の安定を見た状態からはっきりと注意して進んで参りたいと思います。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 過去の起債総額全部ということは、それは問題があろうかもしれませんが、内容として政府施策に伴う義務的なもの、その他一般的に国の方針として地方事業を行わなくちゃならなかった、一般財源に欠けておった、従って起債に仰いだ、あるいは先ほど言う給与とか、その他適債事業でないものにまでその起債をもってしりをぬぐわなけりゃならなかった、こういうような過去のものを、そういう公債費を、一般経費と見てそうして交付税でしりぬぐいをしていく、こういう考え方は、間違っているのでないか。この過去のもののある大部分のものは、これは別途の方途を講じて始末してしまわなけりゃ、あとのあなたのあげておる条件である標準、水準維持向上ということは、いかに二七・五%にこれを上げたからといっても、そういう方面には手が届かないという問題がまだ将来残ってくると思う。が、まあこの点は分科会でまたやりますから、問題点だけあげておきます。  第二の問題として、減債しておる、起債を少くした、圧縮したということを申しておるのでありますが、投資的な事業というものは、金を借りてやるのが建前でないですか。そういうのが筋でないんですか。どうですか。地方一般財源所要額までため込んでいって、そうして金ができたから事業をやるんだ、こういうことでなしに、適時適切に事業をやるためには、金を借りるというのが筋じゃないですか。
  25. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 地方財政を見ていきます場合に、穴埋めということを別建てにする、これも一つ考え方であります。しかし、私は、独立財源交付税のような財源とその他のすべての財源を合せまして、そうして財政力に合せてやっていけるという方がより実情に合うんだろうと日ごろ考えておりまするが、それで公債の面では、御指摘のものの中でも、たとえば学校であるとか、下水であるとかいうようなものになりますると、これは確かに公債で見ることで適当な適債事業でございます。しかしながら、従来、同じ建設的と申しましても、道路をやっていく、これは、地方地方によりますけれども、ほとんどずっと経常的にやっていくものなんですね。だから、学校を建てて、その学校が何年持つ、下水ができればそれがほとんど半永久的にその部分は残っていく、そういう仕組みのものと、道路というような種類のものと、こうしたものを振り分けまして、後者については、漸次一般財源でまかなっていくというような考え方で三十三年度の計画を立てている次第でございます。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 過去においてこういう償還に困難を生ずるような問題が起ったからといって、一般的に将来起債ワクをどんどん圧縮していく、こういう考え方では、これはあまりに便宜的な当面の考え方であるように思うのです。しかも、過去の、それは再三申し上げておるように、ほとんどが政府責任の点があるのですから、だから、これに工合が悪かったから、今度は起債額を押えていくのだ、こういう一般的な考え方であるというなら、私はやはり問題があると思うのであります。  次にお尋ねしますが、財政計画上、先ほど申しました利子負担などの、半額ですか、それを財政需要で見ていくというようなことは、これまた交付税法上の趣旨に合わぬのでないかと思うのですが、この点はどうですか。
  27. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは要するに過去の公債費の始末をどうするか、こういう二つの考え方がありまして、今、長官が申しました通り、特定の交付金か補給金か知らぬが、そういう形で公債費にぴたりと充てるという考え方一つ。そうでなくて、交付税として一般財源の形で流してこの問題を解決する、交付税ならそれぞれの団体の財政力に緩和されて流れていきますから、その方がむしろ公債費の問題の解決に適当であろうというふうな考え方で、交付税を通じて流すことにしたのであります。そこで、そういうものは交付金で見るのはおかしいじゃないか。これはその考え方が成り立ちましょうが、災害債のようなものでも、九五%というような災害債に対する補給金を交付税を通じて流しておるのでありまして、その団体における実際の動きのつかぬ財政需要でありまして、これは公平に適正に把握できる限り、交付税を通じて流すことは、これは交付税の性質上差しつかえあるまい、こういうふうに考えております。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、この利子負担の分について限定してお尋ねしておるのです。かまわないですか。そうだとすると、まじめに、地方公共団体の中でまじめに金を節約してまかなっておるというような団体、あるいは過去においてもう仕事をしてしまった、そういう団体、こういうものはその分損することになるのじゃないですか。
  29. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) この点は、私どもも地方財政を見て参ります場合に、たとえば、そのために国会で成立をさしていただいた財政再建団体の促進団体によりましても財政を一方では再建していく、従いまして、勢い過去に、現在の理事者あるいは住民の責任ではないけれども、過去においてそういう赤字を出したと申しますか、やや放漫だったというようなところについて、現に相当の負担を負いながら仕事の方で減っているというような事態は起っております。それでありますから、両面を考え合せながら、しかしながら、ある程度団体というものの財政を立てていかなければならぬ、かような意味合いから、従いまして、元利の補給等につきましても、ある程度、過去の責任ではあるが、重く現在のこの住民が背負っておりますものについて、その率を高めて見てやる、これは地方団体というものを見ていきます場合、これは自由な自主財源を持ち得るものならば……。そうでない以上はそのようにいたしまして、しかし一方では、仕事というものをある場合には押えて再建を急ぐ、両方のにらみ合せで進めていっておる状態でございます。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 一応、では公債問題を終りまして、今の地方財政の中で府県については、ここ二、三年のところ著しい改善のあとが見える、この点はよくわかりますが、市町村についても、もう十分である、行くところまで行ったのだというふうに御認識ですか。
  31. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私は確かに市町村になりますると、これにいろいろな態様があります。しかしながら、現に超過課税をしたり、やむを得ず税外負担を求めておる、こういうような状態から見まして、たとえば今度自転車荷車税を全廃いたすのに伴いまして、従来は府県と市町村に分れておりましたオートバイ、バイク・モーター等の税を全部市町村に、府県はやめまして、全部市町村にまとめて与えるようなことにいたしておりますのも、なるべく市町村財源を、税源を強化しようという趣旨でございまするが、私も市町村に対する措置がいまだ十分だとは考えておりません。しかし、徐々に改善されておるということは十分言えると思っております。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 確かにあなたもお認めになっておるように、たとえば農村県などの町村では、住民税所得割の課税方式はオプション・ツーのただし書きで取っておる。あなたの方で見ておる交付税法上の基準財政収入においては、第一方式で見ておる。にもかかわらず、それではとうていやっていけない、そこで、こういうことまでやって徴税を強化して、辛うじて市町村財政をまかなっておる、こういう状態であるのですね。それでちょっと例示しますと、全国的にいうと、あなたの方からもらった資料によれば、オプション・ツーのただし書き等でよけい取っておる町村は八〇%ぐらいある。特例的な措置の方の徴税方式が原則にもうなってしまっておるのですが、しかし、福島県の市町村の例で見てみますると、再建法によって四億をたな上げして、そうしてようやく三十、三十一年度あたりはとんとんになっておる。これはオプション・ツー、それでやってとんとんになっておる。そこで、三十年度の市町村税の基準財政収入というものが四億何がしあります。それに七分の十を掛けるというと六億三千二百万ですか、しかし、実際のオプション・ツーで取っておる収入額というものは十二億。こういうふうに六億以上も住民の特に負担、こういう形でまかなって、ようやくとんとんになっていく、こういう状況なんです。ですから、私は今後においては、この市町村財政というものについて、ほんとう自治庁において十分力を入れてめんどうを見なければならぬだろうと思う。ところが、最近の新聞の発表によると、地方に対して予算計画についていろいろ指導し要望しておる中にも、今言うた税外負担の軽減ということをぜひやってくれという要望をしたというようなこともありますが、しかし、たとえば町村において教育費が非常にかかる。けれども、教材費一つ例にとっても、昨年は十三億程度のものが本年十五億、中に図書館費が差っ引かれて、結局また十三億何がし、何にもふえない。手当をしないで、そして税外負担を軽減しろというても、これは容易でないと思う。で、もういろいろ例をあげるのはやめますが、市町村のこういう財政窮乏について、どういうふうに今後やっていこうとお考えになっているか、御方針を承わっておきたい。
  33. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 現に心がけておりますることは、地方債にいたしましても、交付税にいたしましても、でき得る限り重点を市町村に置いております。それで、市町村財政というのは、小笠原委員お話のように、非常に町村によりまして事情の著しい違いがある。これはまた、地方財政として非常に大事であり、また、言葉はどうでありまするか、一つの興味のある問題だと思うのであります。もし住民のほんとうに利益になることであるならば、負担を少々かけても、それが適切に行われるということは、一つ自治としての形だと思います。それで、私どもとしては、標準的な経費が、よけいな負担をしなければ解決つかないというようなことでは困るのでございまして、やはりただいま申しました地方債だとか交付税だとかいうことによって措置をいたしますと同時に、根本的な地方財源の付与ということを考えてみなければ相ならぬと思います。これは早急に地方、国を通じて考えてみたいと思っております。
  34. 藤原道子

    ○藤原道子君 関連。私は地方財政について郡さんにお伺いしたい。と同時に、大蔵大臣にも伺いたいと存じます。  今のような御答弁では、私どもどうも納得できない。考えなければならぬ、研究しなければならない、そういっているうちに、地方はどうなっているか。結局国の大きな政策であるところの結核対策にいたしましても、あるいは何と申しますか、保健所の問題にしても、全部国が負担を何分の一というふうに地方にかけておりますために、本省では金が余っているけれども、地方ではこれが財政措置ができないために、ほとんど使い切れないので本省には余っている。保健所の機能が麻痺している。結核対策ができない。あるいはこの際、売春防止法ができても、性病対策は非常に大事だといいながら、性病対策費は本省には残っている。そうすると大蔵省では、本省に残るのだからといって、これを減額してくる。一体、こういうことで、地方住民の利益になることならばとおっしゃるけれども、現実にやられていないじゃございませんか。防止法ができても、ことしは性病対策費が減っている。その理由を厚生省で聞いたら、これは地方が消化し切れないから、残っているものだから大蔵省に減らされたのだ。性病対策はもう不要になったとは言えないと思う。地方が貧困であるから保健所もちっとも……、運営がまるでかたわになっている。結核予防法だってあってなきがごとき情勢にある。これは地方負担が過酷であるからです。それに対して大蔵省では、保健所にいたしましても、国が今三分の一負担でございますが、これをぜひ半分にしてほしいという厚生省の切なる要望にもかかわらず、またこれが切られて三分の一に据え置きなんです。これでは、政府は一体結核対策をどう考えておられるか。自治庁長官は、こういう実態に対してどういうふうに処置されるか。このままでいいとお考えになっているかどうか。現実の問題なんです。地方住民の福祉に直接関係のある問題でございますから、この点、納得のいくような対策を聞かしてほしい。これに対して、この住民のこうした直接命にかかわるような問題でも、財政のために地方が運営されていないということに対して、大蔵大臣は、どういうふうにお考えになっているか。これも伺いたい。
  35. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 保健所にいたしましても、国の補助率に合せて地方財源を付与いたしまして、三十三年度の財政計画では、合せて四億九千万を見ております。結核対策にしてもそのようでありまするし、公官住宅のごときは特に必要でありますので、地方が、与えました財源のほかにつけ足し経費を出させましても——これはいつもそうするということは適当じゃありません——そうして建てております。従いまして、私は、厚生省の予算が消化できないとするならば、それは財源的な貧困さのためではなく、他に行政上の理由があろうかと思います。もし財政的な理由ならば、三十三年度においては、それらについてすべて財源措置を講じておりまするから、それでできないという市町村がありまするならば、これは私どもの責任でありますから、督励いたしまして、必ずやらしてみたいと思います。そうした財源措置を講じておりまするが、ただ、行政上の他の何か理由がないか、それらの点もよく検討してみることにいたします。
  36. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 国が補助するが、地方財政状況等からこれが措置できなくて、金が消化し切れず残る、そうすると大蔵省は、またこれを使い切れないから金は削っていく、こういうような御質問の要旨であると思うのでございますが、これは私、やはりそういうふうに機械的に切るべきでないので、かりに国が補助を出すが、地方で十分消化し切れないとすれば、そのし切れない原因がどこにあるかよく確めて、そうして国が補助を出すという以上は、理由があって出しているのですから、これが消化し得るように、考究を重ねていくべきである。こういう点については、結局するところは、地方財政の強化というところにあるだろうと思います。今後におきましては、自治庁長官とも十分話し合いをいたしまして、善処いたしたいと考えます。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、ほんとうにそういうやり方で長官が真剣にお考えになっていただくことを期待いたしますが、税の中で木引税——木材引取税、今度軽減して半分にしておるようですが、あなたの地方税の提案理由の説明で見ますというと、「市町村ごとの課税をさらに一段と適実化することによって、従来の税収を確保することができるよう措置して参る所存であります。」、私は、どういう計算でこういうことになるのかわからぬと思って、税収入の分を見ますと、前年度が十八億何がしですか、取れる。本年現行法通りなら二十二億何がし、それが税率を半減してなおかつ二十一億何がし取るんだ、こういうことであります。こういう木材引取税などを取っておる町村というものは、全国的には地域的に偏在しておる。非常に大きくこの部分に依存しておる町村があるように見受けられる。しかし、どういう適切な措置をとってこれだけの税収を上げるというのですか。過去において何かだらしがないことがあったんですか。それを今度はきちんと取ればこうなるんだということですか。その程度のことでは、これはやはり市町村財政を圧迫することになりませんか。もしも歳入欠陥が出たら、これは特別交付税交付金等で見ますか。一括して御答弁願います。
  38. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 木材引取税は、根本的に特別徴収義務者の協力を強く得なければならぬのでございます。ところが、これは私は見ておりまして、北海道、東北等はかなり市町村からの要求も強くて、特別徴収義務者——営林署長であります。これの協力をかなり得られております。ところが、全国的に見ますると、その点が非常にゆるい所がある。民有林に至ってはなおさらそうであります。それから素材価格を現在、昭和二十九年をとらえておりますけれども、その素材価格に比べますと、かなり上っております。そうして、従って素材価格の、従量課税にいたしますならば、石当りの価格でありますが、そうしたものをはっきりと現在の適正な価格をとるということでございますから、実情に合せ、そうして特別徴収義務者の協力を強く得る態勢を、関係省の間で相談をいたしましてこしらえました。とかく木材引取税につきまして紛議のあったことは、これは確かに先ほど申しましたように、北海道、東北では比較的協力が得られる、ところが南に行くに従って割に近ごろになって紛議が多い、こういう現状であります。これらを通じて見まするならば、私は税率を引き下げて、そうしてとかく税率がこうだから素材価格を低くするというような紛議をなくしまして、そうしてこの木材引取税というものを一つ落ちついた税にいたしたい。しかし、こうした措置をとって参ります途中に減収というものは確かにございます。従来減収補てんの措置財政上とって参りました、これに対してことに山村で減収が生じまするところについては、十分補てんの措置はとって参ることにいたします。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この木引税の廃止は関係業者の念願であり、それらの運動の経過からこういう事態になってきたというふうにだれもが見ている。しかるに、それでは困るということで税率を下げ、しかも税収だけは例年度並みに確保するのだ、こういうようなやり方は私は苦肉の策だと思う。まあしかし、長官は準備せられた答弁をやっておりますが、こんなことはだめですよ、こんなやり方は……。もう一つ市町村問題で特徴的なものをこの際お尋ねしたいのですが、それは岩手県東磐井郡旧松川村、現東山村に東北開発会社の松川セメント工場というものを建設中であります。これが計画は、東北興業時代にあって、十四億の資金をもってシャフト・キルン方式でこれをやるのだということで、政府保証の関係の法律案が国会に出て、われわれも審議したのですが、十四億以上の金がかかる様子であるが、そういうことにはならないかと言ったら、この限度でやるのだということで承認したのですが、その後これが十五億五千万、あるいは東北開発会社になって開発促進の波に乗って来年度までの要求額を入れますと、三十二億をこえる膨大な資金計画になってきた、しかるに、当初そういう十四億ぎりぎりの金でありますから、用地費なんていうものは三百万そこそこで、そうして二万坪でしたかの、それを一町村の無償提供ということでこれを進めてきたのです。ところが、そういう財政貧弱な町村では当てがないから地方銀行から八千万も金を借りて、毎月三十万円くらいを利払いをする、とてもたえられないというので、村内にある百行造林について繰り上げ伐採の許可をもらつて一部支払ったが、まだとても払い切れぬ、そこで林野庁に極力お願いをして、これが契約の解除を願って、分収金をもって払うということを最近やって解決したようであります。これは林野行政上一般的な問題ではないように思われますので、どういう経過でこういう措置をとったのか、一応林野当局から御説明を願って、事態を明らかにしておいてから質問したいと、こう思うのであります。
  40. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 岩手県の東磐井郡東山村は、現在約六百余町歩の官行造林地がございます。ただいまのお話しにございましたように、三十年の九月にセメント工場の誘致問題が起りまして、主として用地の買収費等に充てますために、岩手殖産銀行から八千万円の借り入れをいたしたという事実は、私どもも承知をいたしておるわけでございます。その後になりまして、これを返済する財源に非常に困りまして、繰り上げ伐採を認めてもらいたいという要請が出て参ったわけであります。これらの官行造林地は、おおむね大正十一年ないし十二年から、昭和七十一年ないし二年に至ります非常に長期の契約のもとに実施いたしておりまする事業であるのでございますが、その中には、おおむね適正伐期令ないしそれ以上に達しております森林もございまするので、村当局の実情からいたしまして、これは繰り上げ伐採を認めるということはやむを得ないという認識のもとに、この繰り上げ伐採を認めました結果、おおむね分収金三千六百万円ばかりのものを得られまして、これを直ちに返済に充てられたわけであります。その後になりまして、これはたしか三十二年の五月ごろだと思うのでございますが、村の持っております持分権を譲り渡すことによって承認をいたしてもらいたいというような要請が出て参ったのでございまして、これらにつきまして、私どもは検討いたしておったのでございますけれども、やはり持分権の譲渡だけでは、なかなかこれが換金できないというような事情等もからみまして、ぜひともこれを解除してもらいたい、こういう要請が非常に強く出て参ったわけであります。これらの要請を強く私の方に持って見えましたのは、県当局であったわけでございまするが、私どもといたしましては、森林資源の培養をはかりますることと同時に、国土保全のためと合せまして、市町村の基本財産の造成ということを目的にいたしておりまする官行造林を、契約の中途において解除するということにつきましては、これは原則的に容認し得ざるところでございますので、そういうことで相当長期にわたって、県当局とも折衝をいたしたのでございまするけれども、ただいまのお話のごとく、毎月三十万円もの利息を払って参らなければならぬ、非常に村といたしましては困った状態に遭遇しているという事情も明らかになりましたことと合せまして、何とかそういう措置をいたさなければ、どうにもこの事態解決ができないということに相なったものと考えまして、きわめて異例のケースといたしまして、万やむを得ず去る三月十日にこの契約解除に応ずるというような方針を決定いたしたわけでございまして、大体六百町歩の中の百町歩の、比較的年令の古い林に対しまして契約解除をいたす、こういうことにいたしたわけでございます。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 自治庁長官に伺いますが、こういう貧弱な町村において、工場誘致後の固定資産税収入があるからとか、いろいろな事情もあって、六千万もこえる金を出して土地を買い取って、一会社に提供して、そうしてしかもそのしりをぬぐうために基本財産までこれをつぶしてしまう、こういうようなことを一般町村行政として、どうお考えになられますか。
  42. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 自治体の工場誘致につきましては、私の承知しておりまする、これは今お話の東山村ではございませんが、私の承知しておりますものでも、どうも自治体同士が競争で、これはちょっと事情が違うようでありまして、競争でもって参る。なるほど税の収入等を期待するようでありまするが、ところが十分なる判断の資料がないので、工場を持ってきたその工場が不振で、税が入るどころでないというような例もあるのであります。で、私は工場誘致につきましては、それが地方の産業を進める上ではけっこうなことでありまするけれども、工場誘致をするための便宜供与はおのずから限度がありまして、市町村がすべき公共施設等を十分いたすと同時に、それは工場のためにもなろうが、住民全体のためになる公共施設道路をよくするとか、いろいろそういう公共施設を充実するというようなことで、なるべく好ましい条件で工場に来てもらうことはけっこうでございまするけれども、今の御質疑ならびに林野当局の答弁を総合して判断いたしますること、官行造林契約を解除するまでいったということは、さらに調べれば特殊な事情があるのかもしれません。しれませんけれども、全般的の市町村が工場誘致をいたして参る際に、そのようなやり方をいたして参っては地方財政上好ましくない結果が生ずることと考えております。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はこの問題を具体的な問題とした場合に、これを追及するものではありません。事情は私知っておるものですから、追及するものではありません。ともかく十四億以上金はかけられない。用地費までの余裕がない。従って県そのものは開発計画上ぜひこの松川地域は石灰石原料採集に適地であるからやりたい、そこで地元に犠牲を払わせる。地元も善意をもってこれを受け入れ、困難の中にこの官行造林を処分して支払おうと考えてこういうことをやる。また林野庁自身も今回の措置は善意をもって、何とも一般林野行政措置すべからざることではあるが、町村財政の窮乏を見かねて善意をもって措置した。会社自身もまたりっぱな会社を作りたいという善意をもってこういう措置をした。もう私はそういうふうに信じておる。しかしその後東北開発の国策が進み、国策会社として東北開発会社がこれが拡大発展して、そうして大幅にこの国家資金がこれに投ぜられ、シャフト・キルン方式だけではだめなのだというあの当時において、それだけでもやっていけるのだ、技術的にできるんだといったものが、今回はまたレポール・キルン方式のものをこれに追加をして増設するということまで発展してきている。そういう国策としてもやり出してきた以上は、六千万やそこらの金がこの東北開発会社でめんどうをみられないという事態ではない。三十二億以上も金をかけようというときにそれをもう放置して、林野庁の犠牲において、町村の犠牲においてこの開発会社の工場を作っていくということ、これで企画庁はその立場にある当局でありますが、それを何と考えておるのです。きょうは長官はおられませんので、政務次官の御答弁をお伺いしたい。
  44. 鹿野彦吉

    政府委員(鹿野彦吉君) 小笠原委員の御質問に対してお答えいたします。あの工場の誘致問題については小笠原委員も十分御承知のことでございまするから、ただ問題は確かに東北開発のいろいろな問題が発展いたして参りました事情にありますし、現実に東山村の困難な事情もございますので、お説のような考え方も確かに考慮しなきゃならぬ。こういう考え方を持っておる者ですが、現に今県当局があっせん役といたしまして、会社側と交渉中でございまするので、こうした模様を見まして、適当に企画庁といたしましても会社側を指導して参りたい。このように考えております。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 県があっせんしているというのは、内容としてどういうことか私にはわかりませんが、県自身はこの種の関係で一文の金も出してない。そうしてあっせんするということはどういうことなんですか、わからぬのですが、もう時間もありませんから、これ以上お尋ねしません。予算委員会もまだ続いていますから、河野長官と御相談になって、具体的にこれをどうするのか、こういう林野行政を乱し、しかも自治庁長官も望ましくないという、そうしてその町村自身においては基本財産を失ってしまう。こういう事態について、その一方開発を進めるためのこの犠牲に対してですね、どういうめんどうをみているか。会社にどういうめんどうをみさせるか。この点を明らかにしていただきたい。具体的に御答弁を後日期待しておきます。ようございますか。
  46. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連して。
  47. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 簡単にお願いいたします。
  48. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 簡単に伺いますが、ただいま国有林の問題が出ましたので、この際大蔵大臣並びに林野庁の長官に方針を承わっておきたいと思うのです。地方自治体の合併が促進されて参るに従いまして、その自治体の基盤強化、経済再建のために具体的な計画を立てて、そしてこの国有林野等の払い下げを要望する声は、全国に相当あるわけです。私はその計画は適正であり、また価格が適正であったならば、これは払い下げれば地方自治体のためにもなるし、また国有林の管理も今より以上に効率的に行われるのではないか。こういう私は見解を持っているのでありますが、これらの払い下げ要請に対する大蔵省、林野庁当局の方針はどういうものであるか。この際承わっておきたいと思います。
  49. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは一般的に私言えないと思うのでございます。この国有財産、これを払い下げる。これは具体的に私は決していきたいと思っています。そして払い下げをすることが真に役立つ、また払い下げすべきだという、そういう事態から考えてみたい。一般的に何でもかんでも国有財産を払い下げるのだというわけには参らぬと考えております。
  50. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 先には町村合併促進法によりまして、また現在は新市町村建設促進法によりまして、合併市町村に対しまして、その地域内の国有林を将来の基本財産の造成のために売り渡す。こういうことに相なっておりまして、逐次問題を進めておるわけでございます。法律にも明らかにうたってありまするように、新市町村の将来の基本財産の造成のため必要だ、適当だという山につきましては、個々のケースにつきまして、どんどん申し出を受けながら町村当局側と計画的にこれを進めておるという現状であるわけであります。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣もう一回質問させていただきます。それはこの戦後混乱期もあった関係もありましょうが、国有財産の管理状況というのは非常に不十分である。承わると、向う三ヵ年計画で国有財産の台帳をこしらえるそうですが、それは山にしろ、また土地にしろ、あるいは建造物にしましても、この国有財産をみだりに払い下げるということは適当でないということは私は了承します。しかしそこに閉じこもって、非常に経済効率上不能率な管理状況をしている点については、私はもう少し大蔵省はしっかりしてもらわなくちゃならぬと思うのですが、こういう国有財産の今の管理状況の不十分な点について、ことに経済効率の不能率な状況にある点については、どういうお考えを持っているのでありますか。先ほど私が申し上げましたように、自治体の方で適正なる計画をもって払い下げを要請したならば、むしろ私は——それは個人に払い下げるのじゃないのですからね——そういうところに払い下げた方が、私は国という立場に立った場合に、非常に私は経済効率は上ると思うのです。そういう点について、私は大蔵当局の、この国有財産の管理状況には不満を持っているものでありますが、その点もう一度お伺いしたいと思います。
  52. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 国有財産の処分管理が必ずしも満足すべき状態でないということは、実はこれは私がこの前の大蔵大臣のときにすでにこれを感じまして、従いまして、当時大体この国有財産が一括して二兆円以上にも及ぶという状況、この運用、あるいはまた処分いかんによって、国の財政というものは大きな影響をこうむる。同時にまた国民生活にもこれは影響の大きいもので、それでこの国有財産の管理というものは、一体どういうふうな形態で管理するのが一番適当であるかということを基本的にまず審議してもらう。それから同時にまた、処分する場合には、一体どういうふうな方法で処分するがいいかということを審議していただきます国有財産処理に関する審議会を作りまして、そして今日に及んでおるのでありますが、地方におきまするこの国有財産の処理につきましては、地方に知事さんとか、あるいは市長さんとか、その他地方の有力者——有力者というのは必ずしも金かあるというわけじゃありませんが、地方状況のよくわかっておる、まあ社会的にお働きになっておる方々をメンバーとする国有財産地方処理審議会といいますか、私この名前はちょっとはっきりしませんが、そういう審議会を作りまして、そこの審議にかけまして、そして地方における国有財産は、これはこういうふうに処分をすれば一番いいと、こういうふうにして今処分をいたしておるわけであります。同時に、それがまた国家的見地から検討し、考えなくちゃならぬというような対象につきましては、さらに中央に審議会がありまして、その中央の意見も聞く。まあかようにして、できるだけ合理的な処分と管理方法を、今多数の人々の意見を聴取して、実情に合うようにやることに努めておる次第でございます。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次にこの地方財政にからんで、建設大臣にお伺いいたしたい。  もう時間がありませんから簡単にいたしますが、道路整備緊急措置法案が提案せられておりますが、内容として五ヵ年間九千億程度事業をやっていこう——その趣意等には全面的に賛成の立場でありながら、質問いたします。  しかし、この法で見ますと、本年のこの国の負担率はきまっておりますが、五ヵ年間の計画を持ちながら、来年度はどうなるかわからぬというふうに、来年は来年で法律で別にこれをきめるというふうになっておりますが、なぜこういう措置を取られたのか、お伺いしたい。また来年以降の見通しについてもお伺いしたい。
  54. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。今度の法律におきまして、三十三年度の国の負担率、並びに補助金については規定しておりまするが、三十四年度以降は別に法律をもって定めておるというのはどういう意味か、こういう御質問のようでございますが、御承知のように、道路財源を確保するための臨時法がございまして、これによりまして現在本来の道路法に規定しておる率よりも高く国が負担しておるわけでありますし、また地方に対する補助率も高めているわけであります。これは一方におきまして、河川、あるいはその他の公共事業におきましても、地方財政がだいぶ困っておりますので、再建整備をしなければならぬという形にありますために、御承知の臨特法がありまして、これと相対応いたしまして、実は三十三年度までの時限立法になっているのでございます。そういう関係で、この時限立法のまだ期間がある三十三年度においては、それによるということにいたしまして、その後につきましては、これは大蔵省、自治庁、私の方と、実は端的に申しまして、意見の一致をみなかったのです。法律を作るに当って、実は自治庁とわれわれの方は、この法律の中に今までの時限立法を延長すべきだという意見があったことは事実です。ところが法律の体制上、これが現実にあり、かつまた大蔵省としては、地方財政も非常に最近よくなっているから、もとに返すべきだ、こういう意見がございまして、この点については三十三年度現実に実施してみて、しかる後地方財政と国の財政等のもう一回十分検討の上に定めるということで、三十四年度以降は別に法律でもって定める、こういうふうにいたしたわけでございます。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことだから問題になる。この九千億程度の卒業をやる事業計画は、これはむろん国会の方にも出してもらわなければなりませんが、そういうきちっとしたものをきめておいて、それの裏づけになる財源そのものは国と地方が持ち寄るのですから、従って五ヵ年の計画で、緊急措置で事を進めるとなったら、この五ヵ年の財源も見通して、国と地方との関係がどうなるということから、負担なり、補助の率というものももう当初法定しておくべきものだ。それが来年この負担率、補助率が高くなるのか、あるいは道路の方のそれに戻っていくのか、そういうことが全然不明である、見さかいがつかぬということで、この法律は審議できないじゃありませんか、実態としては。あなた自身はどういう方なんですか。現行のそれでいこうと考えておられますか。道路法に戻されてもやむを得ないと思っておりますか。自治庁長官はどうですか。大蔵大臣はどうですか。
  56. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。建設省といたしましては、この五ヵ年計画は現在の道路が非常に梗塞状況にある、これを国の経済の発展に対応する交通需要を十分に満たし得るというような道路を整備するということが目的でございます。従いましてこれができますれば、われわれとしてはけっこうなものでございまするが、ただその際に、地方財政との問題となりまするのは、せっかく国が補助金なり、あるいは負担金を出しましてやっても、地方がそれを消化し得ないという場合における危惧の念が出てくるわけであります。これは私の方としては、今のところはっきり責任をもって、地方財政がどうであるかということは、私の方がこれは検討すべきではなくして、自治庁の方がこれを握っておられますので、自治庁の御意見によって、われわれはこれを指示して参りたい、かように思っております。一方において大蔵省は、自治庁地方財政その他全般を見ておりまするので、そこに三者が完全な一致を見まして、その負担区分をきめるということになりますが、われわれとしては今どうでなければならないということを言うよりも、事業量が完全に遂行でき得る態勢をとるということに最大の関心をもっているのであります。そういう意味におきまして、大体この前の予算編成の過程におきましては、自治庁の申し分が現状のままにおいては、もちろん地方財政はよくなっていくけれども、必ずしも大蔵省がいう程度でありませんから、若干危惧の念を抱いておる。危惧の念を抱いておるのはわれわれとして困るから、ぜひ自治庁の意向に同調いたしたい、こういうような気持で今日まで参っておる次第でございます。
  57. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 三十四年度以降は、補助事業の分量から見ましても、直轄事業の分担金から見ましても、著しく地方負担がふえて参ります。これらを完全に遂行をいたしますために、地方財政状況もにらみ合せまして、最も妥当な線に決定をいたしたいと考えております。
  58. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 大蔵大臣、御答弁になりますか。
  59. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 道路五ヵ年計画でありますが、これが初年度から五ヵ年というふうに、下から積み上げてずっと計算をしていって、そして計画になれば、これは私はそれはいいと思います。これが今回はそう行きませず、まず五ヵ年の総体の規模をきめて、そうして初年度は三十三年度、そうして全体の規模を実現するために毎年度の予算でこれを現わしていこう、その間において関係各省並びに学識経験者の十分な意見を徴して、そうして最も合理的な道路計画を作っていこう、こういうことに総体のワクをして、年次でこうきめていこう、こういうふうなことに相なると考えております。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大蔵大臣の立場は、金を握っておられるのですから、その少い金で効率を高く事業を伸ばしていきたい、こういうお考えでしょう。建設大臣は、おっしゃる通り事業量さえはっきりできればいい。自治庁長官は、金の方がはっきりしなくちゃ困る。で、結局、大蔵大臣のところに問題が行くようですね。話を聞くと、行くようです。  それで、毎年々々地方財政の収入を見、そして財政需要を見て、そうして負担率なり補助率というものを変えていくという、こういうやり方が、計画的な一貫した事業の推進ということにとっては障害にこそなれ、何のプラスにもならぬ。まして、地方財政計画上からいえば、年々翌年度の見通しをもって、各再建団体その他においても、いろいろな所要額というものを捻出していく当てをもって、仕事を進めていく。ところが、自治庁長官のおっしゃるように、来年度以降もしも道路法のそれに引き戻るなら、六百億からの地方持ち出し分がふえ、年度にして百五十億程度の費用がよけい要ると、そういう問題になっておる。そういうときに、これをはっきりしない。そして道路法のそれに財政収入の見通しの上から引き戻していこう、こういうことでは、とてもこの道路整備というものに国と地方協力して仕事を進めるという点においては、これは不可能に近いものがあると思う。この点は、来年度以降についてもこういう方法でいくんだという、もっと具体的な点をお示しにならぬというと、この法案審議は非常な支障を来たす、そう思われます。今御答弁願わなくてもけっこうですから、はっきりしたお考えを、大蔵大臣におかれてもやはり御協議の上、当該委員会なり予算委員会等にお示しを願いたい。  それからもう一つですが、その負担の問題ですが、国の方で直轄事業に、従来地方でやっておったものを、国道を引き上げる、そういう国と地方の事務の再配分をしていながら、それに見合うところの予算上の問題については、私は放置している点があるように思う。具体的に申しますと、国の直轄事業における維持費ですね、これの負担は従来地方まかせですから、国の負担は全然なかった。ところが、国がみずからやるとなったのに、国が出す金が三分の一で地方には三分の二出せ、こんなべらぼうな、自分の所管の仕事に三分の一しか金を出さぬで、そちらさんの方に三分の二出せなんという、こんなべらぼうなことがありますか。従来こんなやり方はどこかの事業にありましたか。この点だけは、私は建設大臣の責任のように思う。なぜこれを半分なり半分以上というところできめなかったのか、お示し願いたい。
  61. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申します。国道の維持費の問題が今出ましたのですが、維持費についていうならば、ちょっと誤解があるじゃないかと存じます。維持費においては、従来これはほとんど全部地方知事が管理いたしておりまして、従いまして、地方知事の方でこれは負担しております。今度は全部ではございませんけれども、交通量の著しいところの一定区間につきましては、指定いたしまして、その点については国が直轄の維持管理をする。その場合において、今度は、今までは全部地方負担であったのを、国が二分の一以内を負担するというふうに規定しているのでありまして、国が維持することによってむしろ地方の方の負担が軽減されるということになるのでありまして、決して反対ではないはずでございます。
  62. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連質問。簡単にお尋ねいたします。道路政策は政府のきわめて重大な政策であり、われわれとしても慎重にこれを審議いたしたいと思っておるものでございます。ところで、われわれとしては、道路整備五ヵ年計画として、一つの五ヵ年を通じての計画としてわれわれはこの問題を考え、また予算の面においてもこれを審議するのが当然である、そう考えるのであります。ところが、まず第一に、具体的な計画提出が、また提案が行われていない。衆議院においてはこの道路立法はすでに審議が尽されたのでありますけれども、そのときにおいてまだ具体的な計画は出されていない。少くとも参議院においては、これを、具体的な計画が出されない以上は、私は審議はできないと思います。それからまた、ただいま小笠原委員が質問された通り、三十四年度以降の補助率の決定も未決定のまま、大蔵省、自治庁、建設省、その間にまだ十分相談ができ上っていないままにこの審議を進められるということは、われわれ参議院としてははなはだ迷惑しごくであると思うのであります。この点につきまして、第一に、一体その具体的なプランをいつまでにお出しになるつもりか、また三十四年度以降の補助率についてどういう具体的な計画をいつまでにおきめになるか、その二点について、建設大臣、大蔵大臣並びに自治庁長官にお尋ねいたしたい。
  63. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申します。具体的な五ヵ年間の計画は、御承知のように、法律が制定されて後閣議決定にいたさなければならぬことになっております。そういう関係上、先般の参議院の建設委員会におきましても、一応の、これは政府決定でなくとも、建設省の一応の草案的なものを出すべしというような御指示でありましたので、これはなるべくすみやかにこれを提示いたしまして、御審議の参考の材料にしていただき、いろいろの御検討のあれにしていただきたいと存じます。  それから、負担率の問題につきましては、これは三十四年度以降の問題でございまするので、三十四年度予算編成までにはこれははっきり法律に別に定めることときめてあるわけでありまするから、それまでには完全に、関係各省協議の上、法律を作りまして、国会の御承認を得なければならないことになっております。それまでには十分意見の一致を見て、御提示申し上げたいと思います。
  64. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 地方財政が負担に耐え、所要事業量が完全に消化できる負担率に決定いたすように、われわれは努力いたします。
  65. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 道路整備五ヵ年計画計画については、関係各省とも相談して、なるべく早くきめることにいたしたいと思っております。
  66. 坂本昭

    ○坂本昭君 ただいまの三人のお方の御説明を聞きますというと、建設大臣は特に閣議の決定のあとに具体的なプランを出すと言うけれども、これはどうもおかしいのですね。具体的なプランがなければわれわれは審議できないですよ。こういう具体的なものがないのに、その審議を要求せられるのは、はなはだ私はおかしなことだと思う。特に今の自治庁長官大蔵大臣の御説明を聞きますと、これは確かに道路整備五ヵ年計画は五ヵ年計画でありません。政府が非常な重大な政策として出しておられるけれども、われわれはこれを五ヵ年計画という大きなプランとして認めることはできません。せめて認めるとするならば、建設省だけが昭和三十三年度について立てているところの単なる小さいプランである。私はそういう意味に、ただいまこの参議院で審議せられているところの政府提案の五ヵ年計画道路整備計画については、五ヵ年計画というそういう考えのもとにこれを理解することはできない。そのことを一つ申し上げておきます。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に、時間がありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。これだけ片づけたいと思うので。この特別会計に関してのことでありますが、国が仕事をやる。その場合に、地方負担分は特別会計が預金部から六分で借り、そして事業はやっちまう。やったあとで、地方はまた金を借りて、六分五厘の利子で借りて、これを特別会計に入れる、特別会計はそれで借金は消える。こういうやり方のようでありますが、この法律で見ますと、「当該負担に係る政令で定める利息があるときはその利息の額を合算した額」が負担金だと、こういうことに規定しておるのでありますが、そうしますと、これは従来やっておるように、六分五厘まるまる地方に持たせるのではなくて、何か別途の措置を講じていくという建前のことになるのかどうか、関係の方で御答弁願いたい。  それで、もう重ねて質問しておきますが、従来のように地方が負担していますと、例をあげますが、多目的ダムの特別会計におきまして、三十三年度に十一億三千五百七十六万円の借り入れをする。これが四十八年度に元利を特別会計に払う場合には十八億四千五十九万と、六分の利子でこうなる。ところが、地方から回収するときの金というものは、十八億九千一百九十七万円で、五千万円もこの五厘という利ざやを特別会計がかせぐことになる。その分は地方の負担にしてしまっておる。こういうやり方は、私は不当も不当であると思うのです。端的に申しますなら、これらはやはり事業費、経費である。それにもかかわらず、この利子分の負担はまるまる地方に持たせる。直轄事業でありながら、たとえば事業費の振り割りを三分の二対三分の一としておるなら、その比率で利子も国と地方で分担したらいいではないか、それが筋ではないかと思います。とともに、六分で特別会計が借りた金を払うのに六分五厘の利子をつけて地方が負担して払う、そうして特別会計は利ざやをかせぐと、こういうことはおかしいと思う。特別会計が赤になったら、一般会計から繰り入れたらいいと思う。なぜこういうことまでやるのか、これも関係の大臣で御答弁願いたい。
  68. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) だいぶこまかいことになりましたから、政府委員から……。(小笠原二三男君「こまかくないのだ、地方財政からいうと」と述ぶ)
  69. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私の方の考え方を申し上げます。私は、多目的ダムの場合は一つの特例でありまして、国の負担と地方の負担に応じて、ものの負担はいたさなければ相ならぬと思います。交付公債の利子の問題については、これは別途、私どもは一つの問題として現に思って、折衝をいたしておるところでございます。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どういうふうに。
  71. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 交付公債の利子についての負担を現に地方がいたしております。これらは筋がいかがなものであるか、このような点で折衝を十分重ねて参ります。
  72. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 地方分担分の利息をどうするかという問題につきましては、現在特定多目的ダムと、それから土地改良の特別会計の二つの例がございまして、この二つの例はいずれも、その利息を加算をいたしました金紙で計算をいたすことに相なっております。従いまして、今回の道路の場合におきましても、同様の例にならって処置をいたしたいと考えております。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうふうに措置したいと考えておられるなら、なぜこの法文で「政令で定める利息」というふうに、特にこういう一項を入れたのですか。この点ははっきりしていないから、今後の協議なり解決点が残されているから、こういうことを言うのであって、従来の通りということであれば、これは要らぬものなんです。従来の通り大蔵省はやると言いますが、法文ではそういうことははっきりしていない。
  74. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 法文も同じ法文であります。「政令で定める」云々ということがございまして、これは借りたときからその年度末までというような意味に政令できめておるのが、従来の特定多目的ダムの例でございます。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、もう打ち割ってお尋ねしますが、こういう中では、この利子の国と地方との負担をする割合とかというようなことは、もう全然考慮の余地がないのだ、やはり従来通り六分で借りたものを地方には六分五厘で払わせる、こういうことはもう動かさないのだというのですか。これは大臣にお尋ねしたい。今、多目的ダムの例で言いましたが、わずかな借りでも、五千万も利ざやが出るのです。年々歳々借りていくのです。あるいはこの道路整備でも、年々五年間借りていくのです。あるいは土地改良でもそうです。国と地方の負担というものは、これでまた小さなものではないのです。大臣言うように、こまかいことだからということではないのです、地方財政上から言うなら。で、大臣のお考えをお聞きしたい。自治庁長官は、今後の問題として折衝中なんだ。交渉中だということは、やはりこれは事業費の負担区分と見合って、利子もそういうことにしていきたいということでないかと私はそんたくする。どうですか、大臣。
  76. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 問題が金利のことでありますから、これが絶対に変えられないという理由は毫もありませんと思います。しかしながら、変更することによって他にどういう影響があるかとかいろいろ問題がある、単にこれだけというわけにいかないのでありまして、そういうもろもろのことを考えましてこれはきめなくてはならぬ。今のところ、私変えるという考えは持っておりませんが、検討を加えることにはやぶさかではありません。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう時間が切れましたからこれでやめますが、正力大臣にわざわざ御出席願ってとうとう質問できなかったのですが、簡単なことですから、二点だけ正力大臣にお尋ねします。  一つは消防の問題でございますが、昨年審議会の答申があって、それには財政上の措置についても答申がありますが、今度の予算案にやはり例年並み、何らの措置も出ない、法律案も出てこない、これはどうしたことか、今後どういう構想で消防施設の問題を解決していこうとするのか、お伺いしたい。われわれの考えでは、イタリア等がやっておるように、目的税としては火災保険会社等の総掛金額に対して消防施設税というようなものをかける、これも一つ財源になるだろうというふうにも考えますが、あなたのお考えはどうか。  それから第二点としまして、参議院の半該委員会で従来しばしば主張しておった警察や消防の寄付の問題でございます。町村団体が寄付する、あるいは個人が寄付する、これらは一切もうそういうことはしないようにするということで、警察関係でも通達が出ておる。その後の措置がどういうふうになっておるか、励行されておるかどうか、お伺いしたいのであります。この二点。  それから立ったついでに、郡長官に、自民党で公職選挙法の改正で、衆議院選挙に当ってトラックの廃止とか、あるいは立会演説会の廃止とか云々、まことに都合のいい改正をしたいという、選挙行為の原則を踏みにじるようなお考えを持っておるようでありますが、担当長官としまして、今国会にこういう改正をする意思があるかないか、この点だけ伺って、私の質問を終ります。
  78. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) お答えいたしますが、最初の消防審議会の問題でございます。審議会は、実は昨年の十月ようやく決定いたしましたので、それからすぐ実は法律改正の問題、予算問題を講じましたけれども、どうしても今期には間に合わないので、明三十四年からそれを実施し、審議会の答申通りに実行したい、こう思っております。  それからなお寄付の問題ですが、これは警察の方は、三十年の九月に寄付を禁止したので、警察はやっておりません。ただ地方の府県会で予算に組み入れたのがありまして、個人の寄付は警察では取っておりません。消防の方は、実は財源が、まだ確固とした財源がないものですからして、今まで実は取っておりますが、今度消防審議会の答申で、確固たる財源ができますれば、むろん廃止するつもりでおります。
  79. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 公職選挙法につきましては、いろいろな御意見のあることは私も承知いたしておりますが、府県会議員の町村合併に伴いまする選挙の部分以外には、あまり多く手直しをいたすような部分は生じないというふうに私は考えております。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もっとはっきり御答弁願いたい。私が具体的にあげて聞いているようなそういう改正は、断じてしないならしないということを御答弁願いたい。そうすると、御本家の方でしかられるということであるなら、こっそりでもいいからおっしゃって下さい。  それから正力さんの方ですが、消防施設税に関する考えについて御答弁ございませんでしたが、今固定資産の評価額でいえば年々損害額は減ってきておりますが、三百億をこえる。これを実際額に引き延ばせば一千億くらいあるいはこれをこえる損害額がある。しかし、地方の消防施設の努力によって、この火災保険会社は火災が年々減っていくということであればまたこれは利益を得るのです。火を消す方の金は勝手に住民の税金であるいは寄付でまかなわせる、会社自身はもうける方はもうけるではいかぬかと思う。この部分は、零細でも消防施設税を取られるということが有益でないかという意味で質問しておる。お考えがあったら伺いたい。
  81. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) その施設税については目下なお考究中であります。
  82. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 御例示のようなことは、ただいまにわかに取り上げるようには相ならぬかと考えております。
  83. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 関連して。小笠原議員からの道路三法案に関連する地方負担分、交付公債の利息の問題ですが、ただいま大蔵大臣は考慮してもいい、こういうことでしたが、わが党としましては、少くともこの負担率でも問題だが、せめて交付公債の利子は全免すべきだ、こういう考えを持っておるのですか、百歩譲って大蔵大臣、こういうことはできませんか、たとえば一級国道、緊急措置法の第五条では、四分の三を国が持って四分の一を地方が持つ。この四分の一ということを利息を含めて四分の一、利息の方も四分の一にする。非常に大蔵省辛いからその方もそういうふうなことをすれば首尾一貫すると思うが、そういうことはどうか。たとえば修理につきましては、二分の一を国がやって地方が二分の一を持つというふうにして、二分の一の交付公債の利息も含める。そういうふうにするということは妥協的な解決かと思いますが、その辺までは譲るような言明なしには、当委員会が通らぬかもしれませんから、一つそういうことを含めて。  それから根本大臣にお尋ねしたいのですが、政府が今後五ヵ年なり十ヵ年なりで大規模道路政策を展開されていきますと、四分の一なり二分の一なりの負担でもなかなか地方負担は多いのです。これは特に道路だけでなしに、河川におきましては大へんな額になっておるのです、交付公債は。関東諸都県におきましては二十億なり二十五億程度の交付公債が茨城、群馬、栃木、その他にはありまして、これをどういうふうに関係府県に分担させるかということは、非常に大きな地方財政健全化の上からもあるいは経済効果を測定して妥当に割るということは非常に大切なんで、私は昨年の当委員会におきまして、どういう基準で関係府県にその負担をさせるか、こういう質問をいたしましたところが、研究をして適当な措置をとりたいという局長の答弁があったのです。根本さんの前だと思うのですが、道路法の第五十条の第二項におきましても、政令の定める基準によって割るということになっておるのですが、私もこの問題は、中央と地方との負担区分の問題について分科会で質問したいと思うのですが、政令で定める基準は、一年前に質問したのですが、もうできたと思うのですが、その点について御答弁願いたい。
  84. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御質問の金利の点ですが、これは三十三年度についてはもうすでに各般の情勢を考慮いたしまして、予算にも組んであるのでありまして、これは私は変更する意思はございません。これは、先ほど申しますのは金利でありますから、それで将来にわたっては、いろいろお説の点は考えて研究をいたしましょう、こういうことでございます。
  85. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。政令はまだできておりません。政令を策定する場合における基礎資料について今検討中のようであります。と申しまするのは、御承知のように、両県分の二県にまたがるこの分担は、大体今まで距離といいますか、延長のあれでやっておりまするが、今度国道なんかが、相当長い延長が数県にわたりましてこれが利用される。そうした場合におきまして、交通量、車両の数、距離、こういうものが一つの基準になるわけでございまして、この方面の客観的資料に基いてやらなければなりませんので、そうしたところの具体的な資料と、それからその基準と、こう二つあわせてやらなければなりませんので、目下建設省、それから自治庁、あるいは運輸省、こういう方面と連絡をして、なるべくすみやかに、政令を策定するように努力申し上げます。
  86. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 今局長がおいでになっているが、これは一年前に私質問申し上げて、距離や面積だけでは、交通事情の大きな変化からなかなかいけない線があるんです。たとえば東京から日光へ行く国道です。これは一番栃木県が受益なんです。ところが、受益者は、栃木県に行くまでに、東京からその間にはさまった県が最もたくさん負担をする国道があるのです。たとえば東京から長野を通って行くのは、その途中の県が四分の一の負担をするのですが、その途中の県は、つまりネギやサツマイモ等を運搬したりして、最も受益は、長野県のリンゴを運搬したりするのです。これは非常な交通事情の変化から経済効果というものを測定してやりますには、なかなか大きな問題で、特に申し上げたいのは、関東諸都県は、とにかく、交付公債が十億から二十億、多いのは二十五億もあって、これが関東諸都県の財政圧迫をする最たるものです。ですから河川にしても、道路にしても、新しい情勢の変化から経済効果を測定していただいて、妥当な割り方をしていただかぬと、これはもう一年にもなるんですが、事はめんどうだと思うのですが、一つ寄り寄り検討されているんでしょうから、分科会にはぜひまとまった、中間段階でもけっこうですから、一応の構想を話していただくように、分科会にはぜひ御説明を願いたい。
  87. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これにて一般質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。一般質疑は終了したものと認めます。  本日午後から分科会に入ります。  本日の本委員会はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会