○竹中恒夫君 ただいまの御答弁の中に、すでに社会保障
制度に対する御認識の程度か実はうかがわれるわけなんであります。なるほど
国民皆保険というものは、社会保障
制度の支柱ではございまするが、やはり社会保障
制度の二大支柱としては、老令者に対しますところの
対策として、年金と同時に皆保険、この二つあろうと思うわけであります。もっとも、両方ともお
考えになっておられるような様子でございまするが、特に漸進的に進まれるという
意味合いから、今回は皆保険に力を注いだと、こう解釈いたしますが、実は私が最も懸念いたしますることは、先般の旧軍人恩給の増額問題に端を発しまして、
国民的な要求と申しまするか、
国民感情の上からいって、老令者に対する前途の不安ということがあの軍人恩給増額問題に火をつけまして、非常に世論がわいて参ったわけなんです。そこで、社会保障
制度の中で、この年金問題を
一つ取り上げて
考えてみました場合におきましても、社会保障
制度審議会の答申がいずれ日ならずして出るということであり、大体の構想が新聞紙上によっても述べられておりまするが、あの社会保障
制度審議会の答申によりまするというと、おそらく三百五十億円前後の金が、あの答申
通りのきわめて控え目な、実施可能な範囲の構想でも要るわけなんです。そこへ持って参りまして、ひとりこの
国民年金だけでなく、最近じゃ公務員の退職年金の問題について、いろいろと
大蔵省と関係官庁との間に
意見の調整等が行われているそうでございまするが、これとても相当な金額の金が要る。あるいはまた、軍人恩給の増額によっても、平年度三百億円からの金が要るというようなことを
考え合せ、あるいはまた、郵政関係の共済組合の問題が話題に上っておりまするし、また、現に農林漁業団体共済組合の問題も出ておるというようなことで、年金関係の問題を取り上げましても、明年度あたりにもしこれを実施する、
総理の言われるように、三十四年度には
国民年金を実施するのだということになって
考えますというと、年金関係だけでも相当な金額を要する。少くとも、私の計算では、七、八百億円の金が要るのではないか。軍人恩給を含めて、七、八百億円の金が要るのではないか、かように
考えるのでありますが、そこへもって参りまして、ただいまの御答弁のように、
国民皆保険がまた出て参る。現在の
国民皆保険の構想にいたしましても、社会保障
制度審議会あるいは社会保険審議会の答申によりますというと、国庫の負担は二割ないし二割五分じゃ少い、少くとも国の
責任を明らかにする
意味におきましては、三割程度の国庫負担をすべきであるということが答申されておるのであります。両審議会からそういうふうに答申されておりますし、また、関係諸団体におきましても、これか
一つの
意見になっておる、すなわち常識になっておるような
状態でございまするが、そこへもって参りまして、今仰せのような日雇いに対する支出増、あるいは組合管掌に対する、今年も二億円ほどの増額がございまするが、そうした皆保険を前提として、基礎条件を整備する上についての、新たに明後年度あたりに
考えられまする金というものは、やはり六、七百億円要るのじゃないか。また、最もわれわれが関心を持っておりまする結核
対策費につきましても、明年度の
予算等を見ますというと、結核撲滅運動の十年計画というようなものは、これは全く画餅に帰しておるような
状態でございます。財政的な裏づけなくして、結核の撲滅というようなことは
考えられない。こうした結核
対策費というものも、相当額を要するわけでございます。目の子算で計算いたしましても、千二、三百億円ないし二千億円程度の金が場合によっては要るのじゃないかと
考えられるわけなんでありますが、漸進主義で進むというお答えでございまするが、明後年あたりの国の歳入の自然増というものがかりに千億円あったといたしましても、その千億円は、今申し上げますように、社会保障
制度を完遂するのになお足らないというような金額になるわけなんですが、そうした点において、漸進主義をとるということに対するテンポの進み方、あるいは、同じ社会保障
制度の中でも重点的にやるのだというようなお
考えであるのか、そうした点について、私はこの機会に、明確なお
考えを大蔵当局にお聞きしたい。