○湯山勇君 ただいま
議題となりました
義務教育費国庫負担法等の一部を
改正する
法律案外三件につきまして、文教
委員会の
審議の
経過並びに結果を御
報告申し上げます。
最初に、
義務教育費国庫負担法等の一部を
改正する
法律案につきまして申し上げます。
まず、本
法案の要旨を御
説明申し上げます。現在、
公立の義務
教育諸
学校並びに
公立の養
護学校の小学部及び中学部の教材に要する経費につきましては、国庫がその一部を負担しております。今回、教材費の国及び
地方公共団体の負担区分を明らかにするため、国の一部負担を二分の一負担と改め、国の負担額と同額の地方費を確保するとともに、国の負担額の増額をはかり、もって教材の充実とPTA会費等を通ずる教材費の父兄負担を軽減いたそうとするものであります。また、
学校図書館の
内容の充実に関しましては、
昭和二十九年度以来、
学校図書館法による
国庫負担が行われておりましたが、おおむねその充実を見るに至りましたし、また、この負担金は教材費
国庫負担金とほぼ同性質の負担金でもありますので、今後は、これを教材賞の中に含めまして、
学校図書館の
経営的な
整備充実をはかろうとするものでございます。
本
法律案は、以上の趣旨によりまして、義務
教育費
国庫負担法、
公立養
護学校整備特別
措置法及び
学校図書館法につきまして、それぞれ所要の
改正をいたそうとするものであります。
委員会の
審議に際しましては、各委員からきわめて熱心な
質疑が行われました。そのおもなものをあげますと、児童生徒一人当りの教材費の単価とその配分の実情、教材費の適正額についての見解、教材費に対する父兄負担の現状並びにその軽減
措置、教材費の地方負担の確実性、理科実験費と教材費との
関係等の諸点でございますが、これらの
質疑並びにこれに対する
政府の答弁の詳細につきましては、
会議録に譲ることといたします。
次いで
討論に入りましたところ、常岡委員より、緑風会を代表して次の修正案を付して
賛成意見が述べられました。
修正点は、「附則第一項中「
昭和三十三年四月一日から施行する。」を「公布の日から施行し、
昭和三十三年四月一日から
適用する。」に改める。」ものでございます。
かくて、まず修正案について、続いて修正部分を除く原案について
採決の結果、
本案は、
全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
次に、
公立義務教育諸
学校の学級編制及び
教職員定数の標準に関する
法律案について御
報告申し上げます。
まず、本
法案の
提案理由及び
内容の概略を御
説明申し上げます。
義務
教育が、一定の全国的水準を保持する必要があることは申すまでもありませんが、戦後の学制改革による義務
教育の拡充、急激な学齢児童生徒数の増加、さらには
地方財政の事情等、種々の
影響によりまして、学級編成基準及び教員定数基準の低下が問題になっておりますことは、まことに遺憾なことであります。これが
改善につきましては、各種の施策が必要でありますが、まずその前提として、学級編成及び教員定数の標準を定め、もって義務
教育水準の維持向上に資するというのが、その
提案理由であります。
次に、
本案の
内容といたしましては、第一に、いわゆるすし詰め学級が全国に十四万学級もあることにかんがみ、同学年の児童生徒で編成する一学級の生徒児童数を、五十人を標準として定めるものとし、
学校の
種類に応じ、学級編成の標準を法定いたしております。第二、都道府県ごとの
教職員の定数につきまして、小
学校については学級担任を、中
学校については教科担任を建前として都道府県ごとに必要な
教職員定数の総ワクを定めるよう標準を定めております。第三は、
経過措置でありまして、以上のような標準を実施するについては、
学校施設の
整備等がこれに伴わないため、暫定的な標準を定め、漸次標準に達するよう
措置しておします。なお、
衆議院におきまして、附則に追加修正がなされております。
委員会の
審議におきましては、各委員より熱心な
質疑が
政府に対して行われましたが、そのおもな点は、
教職員の現員が実数を上回る都道府県に対する
措置、結核、産休等の
補助教員の充実、養護教諭の増員
措置、市町村費負担の
教職員についての対策等でありましたが、詳細は
会議録により御承知願いたいと存じます。
かくて
討論に入りましたところ、自由民主党を代表して野本委員より、「修正案を付して
賛成する」旨の意見の開陳がありました。修正案の趣旨とするところは、
衆議院の修正によって新たに設けられた附則第五項の
規定については、現実に、
本案にいう定数以上に
教職員数を保有する都道府県があり、かような都道府県においては、
教職員を減らすことなく、学級編成の「規模の適正化に努めなければならない。」としておりますが、このような倫理的
規定では、減員しないという保証ができない場合もあるので、「適正化を行うものとする。」と末尾を改め、義務的
規定にしようというのであります。また高田委員よりは、
日本社会党を代表して「野本委員
提出の修正案並びに修正部分を除く原案に対して
賛成する」旨の意見の表明がありました。
次いで、
採決に入り、まず、野本委員
提出の修正案を、続いて修正部分を除く原案を、それぞれ
全会一致をもって可決いたしました。すなわち、
本案は修正議決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、盲
学校、
ろう学校及び養
護学校への
就学奨励に関する
法律の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
政府が
本案提出の
理由といたしますところ及び
法案内容の概略を申し上げますと、次の通りでございます。
さきに、第二十六
国会におきまして、盲
学校、
ろう学校及び養
護学校の幼稚部及び高等部における
学校給食に関する
法律が制定され、いわゆる非義務学年における
学校給食の
制度が
確立されましたので、この
制度の実施に伴い、盲
学校、
ろう学校及び養
護学校への
就学奨励に関する
法律の一部を
改正して、これらの
学校の高等部に対する
学校給食費を新たに
就学奨励費の
対象とすることが
改正の第一点であります。
改正の第二点は、現在、盲、ろう、養
護学校に就学する児童、生徒の
就学奨励費は、その住所地の都道府県が支弁することとなっておりますのを、
学校所在の都道府県が支弁することに改めたことでありまして、この
改正によって従来、同一
学校に就学する児童、生徒の住所地である都道府県が異なることにより起っていた経費の支給日の不統一、支給の遅延等の
教育上、事務上の不便を
改善いたそうとするものであります。
委員会の
審議におきましては、点字図書、教材等の拡充について、教科書以外の学用品に対する経費の支給、幼稚部の給食に対する
措置、保護者等に資料
提出義務を定めたこと等について熱心な
質疑がなされましたが、それらの詳細は
会議録により御承知願いたいと存じます。
質疑を終り、直ちに
採決いたしましたところ、本
法律案は、
全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、
農業又は
水産に係る
産業教育に従事する国立及び
公立の
高等学校の教員に対する
産業教育手当の支給に関する
法律の一部を
改正する
法律案について御
報告申し上げます。
本
法律案は、
衆議院提出にかかるものであります。まず、その
提案の趣旨について御
説明いたします。
産業教育
振興法におきましては、
産業教育に従事する教員の勤務の特殊性にかんがみ、
資格、定員及び待遇について、特別の
措置が講ぜられなければならない旨を
規定しており、この
規定に基き、第二十六回
国会におきまして、
農業または
水産にかかる
産業教育に従事する教員に対して
産業教育手当を支給する
現行法の制定を見たのでありますが、同法
審議の際の
付帯決議もあり、その後、種々
検討の結果、今回さらに
工業、電波及び商船にかかる
産業教育に従事する教員並びに
農業及び
水産を含め、これら
教育の実習について教諭の職務を助ける実習助手で政令で定める者に対しても、
産業教育手当を支給し得るよう、所要の
改正を行おうとするものであります。
委員会の
審議におきましては、実習助手のうち政令で定める者の範囲について、各委員から
発議者並びに
政府当局に対し熱心な
質疑がなされました。特に、「
産業教育に従事する教諭を
補助する実習助手は、すべて本法の
対象とすべきではないか」ということが強調されたのに対し、
政府委員からは、「政令の制定に当っては、
委員会の意向が反映するよう努力する」旨の答弁がありました。その他、
質疑応答の詳細は
会議録により御承知願いたいと存じます。
かくて、
討論を省略、
採決の結果、本
法律案は、
全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)