○安井謙君 ただいま
議題となりました
国会法等の一部を改正する
法律案外一件につきまして、議院
運営委員会における
審査の
経過並びに結果について御
報告いたします。
まず、
国会法等の一部を改正する
法律案について申し上げます。
国会法につきましては、去る
昭和三十年一月、第二十一
国会におきまして、各般にわたり重要な改正が行われたのでありますが、その後、さらに懲罰に関する
規定その他について、
国会運営の正常化をはかる等のため、衆参両院において鋭意研究が進められました結果、今回、意見の一致を見て、本
改正案が
衆議院から
提出されるに至っだのであります。
本案は、
国会法の一部を改正する
規定と、外務公務員法の一部を改正する
規定とからなっておりますが、まず、
国会法の改正
規定について申し上げます。
今回の改正のおもな点は、
議長の権威を高めるための
措置、会期延長に関する
措置、懲罰事犯取扱いに関する
措置、
国会運営の能率化のための
措置等でありまして、以下、順次その
内容について申し上げます。
第一は、現行憲法及び
国会法に、
衆議院議員の任期満了による総選挙または
参議院議員の通常選挙後の
国会召集に関する
規定を欠いている点を補うための
規定であります。すなわち、右の選挙後、当該議員の任期の始まる日から三十日以内に臨時会を召集すべき旨の
規定を新たに設けております。
第二は、会期延長を
制限する
規定でありまして、延長回数を、常会にあっては一回、特別会及び臨時会にあっては二回に
制限することにいたしております。
第三は、会期前に逮捕された議員の勾留
期間延長に関する
規定であります。すなわち、
現行法では会期前に逮捕された議員があるときは、
内閣は、会期の初めに、その氏名を
議長に通知することになっておりますが、その後、勾留
期間が会期中に延長された場合の
措置について
規定を欠いておりますので、この場合、
内閣は
議長にその旨を通知することといたしております。なお、
参議院の緊急集会においても、同様の扱いとすることとしております。
第四は、議事協議会に関する
規定であります。すなわち、従来の議院
運営小
委員を議事協議員と改め、
議長は、議事の順序、その他必要と認める
事項について、議院
運営委員長及び議事協議員と協議するものとし、その意見が一致しないときは、
議長がこれを裁定することができることとするほか、
議長は、協議会の主宰を議院
運営委員長に委任することができることといたしております。また、協議会は、会期中、閉会中を問わず、いつでも開くことができることとなっております。
第五は、秩序保持に関する
規定でありまして、
議長が秩序保持権に基き、議員の
発言を禁止し、または議員を議場外に退去させる場合、
現行法には、「当日の
会議を終るまで」としてありますのを、議事が翌日に継続した場合には、その議事を終るまで及ぼすこととするとともに、議員以外の者が院内の秩序を乱した場合、
議長は、これに対し
措置し得ることといたしております。
第六は、懲罰に関する
規定であります。すなわち、懲罰事犯の件につきましても、院議により、閉会中
審査に付することができることを明確にし、閉会中
審査を行なった懲罰事犯の件は後会に継続することとしております。また、会期の終了日、またはその前日に生じた懲罰事犯、閉会中、
委員会その他議院内部において生じた懲罰事犯を、次の
国会において取り上げることといたしております。
次に、外務公務員法の改正
規定についてでありますが、従来、国
会議員を特派大使、
政府代表等に任命するためには、両議院一致の議決を要します
関係上、閉会中にはこれが任命をなし得なかったのでありますが、今回これを改め、今後は会期中たると閉会中たるとを問わず、これらの外務公務員に任命し得ることといたしたのであります。
なお、
本法の施行につきましては、
国会法の改正
規定は、次の
国会の召集の日から、外務公務員法の改正
規定は公布の日から施行することとなっております。
以上が
本案の
内容であります。本
委員会におきましては、去る九日、付託されましてより慎重に
審議いたしました結果、
全会一致をもって原案
通り可決すべきものと決定した次第であります。
次に、国
会議員互助年金
法案について申し上げます。
国
会議員の退職金につきましては、
国会法第三十六条に、「議員は、別に定めるところにより、退職金を受けることができる。」旨
規定しておることは、御
承知の
通りであります。また、欧米
各国におきましても、おおむね議員退職金
制度が実施されておりますので、これらの実情にもかんがみ、議院
運営委員会におきましては、
国会法制定以来の懸案として、かねがね庶務
関係小
委員会において、
衆議院側と協議を重ねつつ、本問題につきまして慎重に研究を行なって参ったのでありますが、今回、議員相互の互助の精神を根本とし、努めて国庫の財政的負担に依存することを避け、議員全員の平等な醵出によりまして、永年在職議員の退職年金
制度をまかなうことを建前として、
衆議院から本
法案が提案されるに至った次第であります。以下、本
法案の
内容のおもな点について申し上げます。
第一に、退職金は年金のみとし、一時金は支給しないこととしており、その種類は、普通退職年金、公務傷病年金及び遺族扶助年金の三種類となっております。普通退職年金は、在職十年以上の退職者に支給され、その年額は、退職当時の歳費年額の百五十分の五十、十年以上は、一年を増すごとに歳費年額の百五十分の一を加算するごとといたしております。公務傷病年金は、公務傷病により不具廃疾となり退職した場合に、在職
期間の長短、年令のいかんを問わずに支給され、その年額は、その者に給すべき普通退職年金の額に、それぞれ不具廃疾の程度に応じ、一定の金額を加算した額が支給されることになっております。遺族扶助年金は、通常の場合は普通退職年金額の二分の一、公務傷病に基因する場合は若干増額して、これを遺族に支給することといたしております。
第二に、在職
期間についてでありますが、本
法案は、公選された議員を
対象といたします
関係上、
帝国議会における
衆議院議員としての在職
期間は、国
会議員としての在職
期間に通算いたしますが、
貴族院議員としての在職
期間は通算しないことになっております。また、議員が恩給法に
規定する公務員、すなわち
国務大臣、政務次官等を兼職する場合には、その兼職
期間は、恩給の基礎となる在職年に算入せず、この
法律に基く国
会議員の在職
期間に算入することといたしております。ただし
本法施行の際、すでに恩給の基礎となっている兼職
期間等は、議員の在職
期間に算入しないことといたしております。
第三に、議員は、毎月その歳費月額の百分の三に相当する金額を国庫に納付いたすこととなっており、この
法律の施行前の在職
期間が、普通退職年金の基礎となる場合におきましては、
本法施行の日における歳費月額の百分の二に相当する金額に、当該在職
期間を乗じた納付金額を分割して年金額から控除するか、または本人の申し出により、一時にこれを国庫に納付することといたしております。
第四に、
本法は、公布された後、最初に行われる
衆議院議員の総選挙の行われる日から施行すこととなっておりますが、施行前に国
会議員であった者、またはその遺族についても、
本法を適用することとなっております。
以上のほか、在職
期間の計算
方法、年金受給権の消滅、裁定、高額所得による年金の一部支給の停止、公務傷病の認定等、
所要の
規定が設けられております。
本
委員会におきましては、四月十一日、本
法案の
提出者、山村
衆議院議院
運営委員長の出席を求め、互助の建前で経費をまかない得るか、短期在職者に対する一時金
制度を取り入れなかった理由、旧
貴族院議員の在職
期間の通算を認めなかった理由、新憲法制定当時の旧
貴族院議員に対上、何らかの処遇の道を講ずべきではないか、国
会議員と
国務大臣、政務次官等との兼職
期間を、恩給の基礎在職年に算入せしめない点等について熱心な
質疑が行われ、これに対し山村
委員長から、
提出者としての見解の表明があった次第でありますが、詳細は
会議録によって御
承知を願いたいと存じます。
次いで、本
委員会は、本
法案の取扱いについてさらに検討を加えるため、これを庶務
関係小
委員会において協議することといたしましたところ、庶務
関係小
委員長から、小
委員会の結論として
本案は、第一に、議員が毎月その歳費月額の百分の三に相当する金額を醵出することにより、互助年金に要する経費をまかなう建前をとっているが、果して将来、国庫の実質的財政負担をもたらすこととなるおそれはないか、あるいは逆に、相当に剰余が生ずるのではないかという点、第二に、
国会法第三十六条に
規定する退職金は、国庫もある程度の実質的負担をなすべき法意ではないかという点、第三に、年金のみを認め、十年未満の退職者に対しては一時金の
制度を採用していない点、第四には、国
会議員としての在職
期間に、
帝国議会における
衆議院議員としての在職
期間が通算されるに反し、旧
貴族院議員の在職
期間の通算を認めないこととしている点、第五に、国
会議員と
国務大臣、政務次官等恩給法上の公務員との兼職
期間について 一律に互助年金の基礎在職
期間に算入し、恩給の基礎在職年に算入せしめないとしておる点等の問題点を包含しており、この際、これらの諸点についても解決をはかるべきであるが、本
法案が、
衆議院において諸般の
事情を考慮し、研究を重ねられた上、提案、議決されたものであるから、小
委員会においては、これらの
事情にかんがみ、以上の諸点については、将来考究の上、必要な改正を加えることとし、この際は、本
法案をこのまま可決すべきであるとの意見の一致を見た旨、なお、
本案審議に際し、国
会議員の退職金
制度とは直接
関係を有するものとは言えないが、わが憲政に貢献せられた旧
貴族院議員に対し、適当な
機会に適当な
措置を講ずべきであるとの意見があった旨の
報告がありました。
かくて
質疑を終り、
討論に入りましたが、別に
発言者もなく、
採決の結果、
全会一致をもって原案
通り可決すべきものと決定した次第であります。
右、御
報告申し上げます。(
拍手)