○河野謙三君 ただいま
議題となりました四
法律案につきまして、大蔵
委員会の
審議の経過並びに結果を御
報告いたします。
まず、
たばこ専売法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
第二十六
国会において、平林剛君ほか三十八名の発議にかかわる、
たばこ専売法の一部を
改正する
法律案が提出され、次いで、
改正内容を異にした
政府案も提出されたのでありますが、両案ともに結論を出すに至らず、
審議未了となったものであります。本
委員会においては、閉会中、
たばこ専売法改正懇談会を設け、数次にわたって慎重に
審議した結果、一応の了解事項が得られましたので、
政府は、この
趣旨に基き、今
国会に再度提出することとなったものであります。
次に、本案のおもなる
改正内容について申し上げます。第一に、葉タバコ収納価格決定の
基準を、新たに法制化しようとするものであります。すなわち、現行法では何らの
規定も設けられておりませんが、耕作農家の経済安定等をはかるためにも、この際、
法律事項とすることが適当であろうと思われますので、「生産費及び物価その他の経済
事情を参酌して、耕作者が適当な対価を得ることができるように定めなければならない。」旨の
規定を設けることとしております。
第二に、タバコ耕作許可の
基準に関する
規定を明文化しようとするものであります。現行法では、タバコ耕作の経験の有無が耕作上最も重要であるにもかかわらず、参酌する明文がなく、とかく実情に即しない点がありますので、耕作者の地位の安定をはかる見地から、新たにこれを許可
基準の
一つに入れることとし、また、耕作許可も、その耕作計画の範囲内においてなすべき点についても、必ずしも明確でなかったので、今回これを明文化して生産事業の円滑なる運営をはかることとしております。
第三に、耕作不許可処分に対して
異議申し立ての道を開こうとするものであります。従来、耕作
関係については、耕作者の利益擁護という点において必ずしも十分でなかったことにかんがみ、耕作許可の処分の適正を期する
意味において行政上の救済措置を講ずることとしております。
第四に、葉タバコ収納価格の決定等、耕作に関する重要事項を調査
審議するため、公社総裁の諮問機関として新たに、たばこ耕作
審議会を設置し、総裁は、その決定に当っては、あらかじめ
審議会の
意見を聞かなければならないこととしようとするものであります。収納価格の決定は重要な事項でありますから、公社は、従来から各方面の
意見を徴して、慎重に取り扱って参ったのでありますが、今回、これを
法律上の制度として
規定するものであります。なお、
審議会は委員九人以内で組織し、委員は、耕作者を代表する者及び学識経験者のうちから、公社の総裁が委嘱することとなっております。
〔
議長退席、副
議長着席〕
委員会の
審議に当っては、
審議会委員の選任方法、減反問題等について
質疑がかわされたのでありますが、その詳細は
会議録により御
承知願いたいと存じます。
かくて
質疑を終了し、
討論に入りましたところ、杉山委員より、「本案は、耕作者の永年の要望であった耕作
関係についての
発言権を
法律上認めることとなる
改正措置であるから賛成するが、しかし、なお若干不十分な点を是正すべきであると思われるので、各派共同修正案を、便宜上、代表して提出する。すなわち修正の第一点は、収納価格決定の
基準として「耕作者が適正な対価を得ることができるように」という表現では、やや明確を欠くように思われるので、「耕作者に適正な収益を得させることを旨として」に改め、第二点は、
審議会の
意見を尊重すべきであるという
趣旨を強く打ち出すために、「その
意見を聞かなければならない」という
規定を、「その議を経なければならない」と改めるが、この
意味は、決して議決機関の
性格を持たすものではない。第三点は、
審議会の委員数についての修正で、耕作者代表を参加させるためには、実情から見てなお十分ではないから、「九人以内」を「十一人以内」に改め、増員をはかりたい」旨の修正
意見が述べられ、次いで平林委員より、「前
国会における
社会党の提案が動機となって耕作者の立場から検討されるに至ったことは喜ばしい。今回の
改正措置は、なお完全なものではないが、一歩前進したものとして修正案を含めて賛成するが、鑑定方式、標本の設定等、未解決のまま残された問題も多いから、今後の積極的な措置を要望する」との賛成
意見が述べられました。
採決の結果、各派共同修正案、修正部分を除く原案については、それぞれ全会一致をもって可決され、本案を修正可決すべきものと決定いたしました。
次に、
厚生保険特別会計法等の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
本案の
内容について申し上げますと、第一は、厚生保険
特別会計法の一部を
改正しようとするものでありまして、さきに第二十二
国会において
政府管掌健康保険の給付費の支払い財源の不足を補てんするため、
昭和三十
年度以降七カ
年度間、毎
年度十億円を
限度として、
一般会計から厚生保険得別会計の健康勘定に繰り入れることができる措置がとられ、
昭和三十一
年度及び
昭和三十二
年度においては、この繰り入れを
昭和三十三
年度以降に繰り延べることとされてきたのでありますが、
昭和三十三
年度におきましても、この
一般会計からの繰り入れを
昭和三十四
年度以降に繰り延べることにしようとするものであります。
第二は、船員保険
特別会計法の一部を
改正しようとするものでありまして船員保険についても、第二十二
国会において、療養給付等の部門の給付費の財源の一部に充てるため、
昭和三十
年度以降六カ
年度間、毎
年度二千五百万円を
限度として
一般会計から船員保険
特別会計に繰り入れることができる措置がとられ、
昭和三十一
年度及び
昭和三十二
年度においては、この繰り入れを
昭和三十三
年度以降に繰り延べることとされてきたのでありますが、
昭和三十三
年度におきましても、この
一般会計からの繰り入れを、
昭和三十四
年度以降に繰り延べることにしようとするものであります。
委員会における
審議の詳細は
会議録によって御
承知願います。
質疑を終り、
討論、採決の結果、全会一致をもって
衆議院送付案
通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、
食糧管理特別会計法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
本案は、
食糧管理特別会計の経理の
内容を明確にし、その運営の健全化をはかるため、
昭和三十三
年度より勘定区分を設ける等、所要の
改正をしようとするものでありまして、
内容のおもなる点を申し上げますと、第一点は、この会計を、食糧管理勘定としての国内米管理、国内麦管理、輸入食糧管理の三勘定と、農産物安定勘定、業務勘定及び調整勘定の六勘定に区分し、食糧管理勘定においては、それぞれ国内米、国内麦及び輸入食糧の買い入れ及び売り渡し等に関する
歳入歳出を、農産物安定勘定においては、農産物価格安定法等に基く農産物等の買い入れ及び売り渡し等に関する
歳入歳出を、業務勘定においては、事務取扱い、施設運営等に関する
歳入歳出を、調整勘定においては、調整資金に充てるための
一般会計からの受け入れ、他勘定における所要資金の借り入れ及びその償還、他勘定べの運転資金の繰り入れ及びその返還金の受け入れ等に関する
歳入歳出を、それぞれ経理することにしようとするものであります。
第二点は、調整勘定に調整資金を置き、
一般会計からの受け入れ金等をもって、これに充てることにしようとするものであります。なお、
昭和三十三
年度の調整資金は、
昭和三十二
年度に
食糧管理特別会計に設置される資金の残額を引き継ぐこととなっております。
第三点は、食糧管理勘定及び業務勘定の損益は、調整勘定に移して整理し、この整理をしたあとの調整勘定の利益または損失は、調整資金へ組み入れ、または同資金を減額することによって整理することとし、農産物安定勘定の利益または損失は、積立金への積み立てまたは積立金の減額によって整理することにしようとするものであります。
続いて
食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための
一般会計からする繰入金に関する
法律案について申し上げます。
本案は、
食糧管理特別会計の運営の健全化をはかるために、この会計に資金を置き、この資金に充てるために、
昭和三十二
年度において
一般会計から百五十億円を限って繰入金ができることとし、損益計算上、利益があれば資金に組み入れ、損失があれば、資金を減額して処理できることにしようとするものであります。
委員会におきましては、以上の二案を便宜一括して
審議したのでありますが、資金の本来の
目的は運転資金であるというが、百五十億では少な過ぎ、この会計の運営を制約することにならないか、今後の米価の決定いかんでは、資金をもって整理し切れない損失が予想されるが、その場合、いかに処理されるか、今回の
改正は、コスト主義を貫く足がかりとなり、生産者、消費者に不当なしわ寄せをすることにならないか、
昭和三十三
年度の米価の決定に当って、予約奨励金、軟硬質米格差等をいかに扱うか等の諸点について
質疑がありましたが、詳細は
会議録によって御
承知を願います。
質疑を終り、一案を一括して
討論に入り、それぞれについて採決の結果、いずれも全会一致をもって
衆議院送付案
通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)