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1958-03-28 第28回国会 参議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十八日(金曜日)    午前十時九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十六号   昭和三十三年三月二十八日    午前十時開議  第一 昭和三十二年度一般会計予   算補正(第3号)  (委員長報  告)  第二 昭和三十二年度特別会計予   算補正(特第5号) (委員長報  告)  第三 社会福祉事業法の一部を改   正する法律案内閣提出)            (委員長報告)  第四 たばこ専売法の一部を改正   する法律案内閣提出第二号)            (委員長報告)  第五 厚生保険特別会計法等の一   部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付) (委員長報告)  第六 食糧管理特別会計法の一部   を改正する法律案内閣提出、   衆議院送付)   (委員長報告)  第七 食糧管理特別会計における   資金の設置及びこれに充てるた   めの一般会計からする繰入金に   関する法律案内閣提出、衆議   院送付)     (委員長報告)  第八 在外公館の名称及び位置を   定める法律等の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)           (委員長報告)  第九 公営企業金融公庫法の一部   を改正する法律案内閣提出、   衆議院送付)   (委員長報告)  第一〇 新市町村建設促進法の一   部を改正する法律案内閣提出、   衆議院送付)   (委員長報告)  第一一 森林開発公団法の一部を   改正する法律案内閣提出)            (委員長報告)  第一二 海難審判法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院   送付)      (委員長報告)  第十三 計量法の一部を改正する   法律案内閣提出) (委員長報告)  第一四 計量単位の統一に伴う関   係法律の整備に関する法律案   (内閣提出)   (委員長報告)  第一五 合成ゴム製造事業特別措   置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)            (委員長報告)  第十六 学校保健法案内閣提出)            (委員長報告)  第一七 放送法第三十七条第二項   の規定に基き、国会承認を求   めるの件(衆議院送付)            (委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ————・————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
  4. 松永忠二

    松永忠二君 私はこの際、教育課程中心とする文教政策に関する緊急質問動議を提出いたします。
  5. 佐野廣

    佐野廣君 私は、ただいまの松永君の動議に賛成いたします。
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 松永君の動議に御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。松永忠二君。   〔松永忠二登壇拍手
  8. 松永忠二

    松永忠二君 私は日本社会党を代表し、教育課程中心として岸内閣文教政策に対して質問をいたします心  ますその第一点は、岸内閣文教政策であります。戦後の教育改革は、教育中央集権的官僚統制を排除し、地方分権的民衆統制を確立すること、極端な国家主義軍国主義を改めて平和主義民主主義教育を確立するところにあります。ところが、その根幹である教育委員会法は大幅に改められて教育委員任命制となり、文部大臣の権限は強化され、府県の教育長承認制によって、ひもつきとなり、中央政府地方に対する支配体制は飛躍的に強化されました、戦後の教育改革を守ろうとする社会党が、異常な決意をもってこれに当ったのも当然であります。文部省は、この基盤の上に立って監督行政を強化し、勤務評定実施管理職手当の支給、教頭制制定等権力支配は強化されました。法律は廃案になったのに、教科書の検定は強化され、国定の方向に向いつつあります。これこそ教育国家統制であります。国家の誤まった教育支配と、その政府に無批判に盲従して日本は悲惨な犠牲を払ったのでした。総理は、戦後の教育改革性格をどう把握していられるのか、また、教育基本法に定められた教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接責任を負うという教育行政方針は堅持さるべきだと思うが、総理の見解を明らかにしていただきたい。(拍手)  MSA援助受け入れの池田・ロバートソン会談で、日本青年の愛国心の涵養が問題にされ、条件にされたようです。岸総理は、米国訪問後、文教政策に重点を置くと言いました。そして文教政策に関する閣僚懇談会で、民族精神の高揚、国民道義確立のための教育内容刷新ということが協議されました。自民党の文教政策は、米国訪問関係があり、自衛力の増強、憲法改正、再軍備関係がありもこれらの条件教育の内面から固めて行こうという印象を強くいたします。岸内閣文教政策は、憲法改正、再軍備とどんな関係があるのか、これを明らかにしていただきたいと思います。  次に、道徳の時間特設について質問いたします。戦後の道徳教育は、過去の道徳教育に対する反省から来たものであるのです。文部管の出した教師用書に、「従来の道徳教育は、上から道徳をしいるような命令的な指導を行なった。そのために道徳生活の力とならなかった。また、従来の極端に国家主義的な教育方針の結果、道徳の向うところもまた一律に国家目的の実現というふうに考えられた」と書かれているのです。修身科による徳目教育の無力は、敗戦当時の道義頽廃を思うときに、はっきりわかるではありませんか。また、保守革新対立の激しい現在、徳目を出そうとすればイデオロギーが出やすくて、このために意見対立が出てきておるのが現状であるのであります。実施要綱に、日本人としての自覚をもって国を愛するとか、国民自覚を高めるということがありますが、その内容は明瞭ではありません、これもまた勝手に内容づけて、上から教えようとしているのです。道徳時間の特設は、これまでの教育のねらいを根本から変えるおそれがあります。全教科で行うことは、道徳教育全体の究極の到達点として考えているのに、道徳の時間を特設することは、教科指導生活指導の全体的な成果をあらかじめ想定し、そうしてまた規制することになるから、道徳教科で全教育を拘束するということになるわけであります。一体文部大臣は、かつての文部省道徳教育反省を、どういう理由から改めなければいけないのでありますか。そうしてまた、全教科で行う道徳教育に対して、時間を特設して、道徳教育の目標に何を補充しようとするのか、明らかにしていただきたいと思うのであります。  また、教育者の苦しんでいるのは、社会教育の極度の跛行であります。青少年のモラルを毒しているのは、教育のことを顧みない性的挑発の多い商業主義の作り出している環境であるのであります。そしてまた憂うべきことは、ジャーナリズム、興行界における軍国物の復活であり、官界、政界の尽きない汚職であるのであります。教育条件も劣悪で、過大学級青少年不良化を早く発見防止する機会を失わせているのです。昨年、岡山の校長先生は、十一名の不良生徒を退学させて自殺をしたのであります。この校長の望んでいるのは、道徳手引書ではありません。教育条件を整え、三悪を追放し、社会保障を完備することが、政治家としての岸総理のやらなくてはならない道徳教育だと思うのであります。(拍手青年に奮起を教えるよりは、真剣にこれに取り組む総理の姿が、青年希望と勇気を与えると思うのであります。総理は、戦後の道義頽廃根源はどこにあると思っておられるのか。今なお道徳教育を強調しなくてはならないということは、何ゆえだとお考えになっているりか、御答弁をいただきたいと思うのであります。  御承知のように、教育課程審議会は、発足してからたった三ヵ月で、道徳教育の時間特設基本をきめたのであります。それから三ヵ月で、道徳実施要綱という教師の手引きが作られたのであります。同じときに答申された全教科が、小学校は三十六年から、中学校は三十七年から実施されるのに、これだけ問題の多い道徳時間の特設を、この四月から全国一斉に実施をするというのであります。賛成する人も、まず試験的に自由に実施すべきだと言うし、答申した審議会の会長すら、十分な用意ができてから実施してもらいたい、四月からは早過ぎると、新聞紙が伝えているのであります。これでは全く拙速主義であります。一体教育課程については、現在の法律では、文部大臣にその基準になる学習指導要領を作る権利はありますが、それを編成し、実施する権利は、地方教育委員会にあるのであります。文部省の作ったものは教育課程基準であります。しかも、道徳教育の時間については、法にきめられた基準になる学習指導要領もまだできていないのです。この実施要綱で、道徳の時間を一週一時間、四月からやるということは、文部省希望であって、しかも、これは法的に拘束力がないということは明らかだと思うのでありますが、文部大臣から明確に御答弁をいただきたいと思うのであります。法律を改めて拘束力を持たせるというなら、どの法律をどう改めるのか、省令でよいというなら、どういうふうにすれば拘束力があるのか、それを具体的に一つ説明をいただきたいと思うのであります。  次に、教育課程答申の中の、中学校の三年に進学就職コースを作る問題についてお尋ねをしたいのでありますが、答申によると、中学校三年は選択教科の時間が大幅に改められて、当然、進学組就職組とを分けて教えなければならなくなるのであります。一体中学三年の義務教育段階で、数学などの基礎的な教科に相当多くの時間と内容の差をつけることは、義務教育の破壊であります定時制、全日制にも格差を生じて高等学校教育性格をもゆがめると思うのであります。組分けによる優越感劣等感からくる対立も、この時代の生徒精神的発達に大きな障害を与えているのであります。施設と教員を充実しないで時間だけふやすということは、ただ教科書で教えるところの職業教育の時間を増すというだけであるのであります。経営者自己責任で行うべき技術教育を行わずして、教育の場にこれを持ち込んで解決しようとする便宜主義です。中学校校長先生は、就職組生徒進学組生徒の教室の前を通れません、これはとても私にはできませんと訴えておるのであります。こうした問題こそ、現場の教師意見教育学者意見を十分尊重して慎重を期すべきであると思うのでありますが、文部大臣は、この答申をそのまま実施をするのかどうか、御答弁をいただきたいと思うのであります。
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 松永君、時間が参りました。
  10. 松永忠二

    松永忠二君(続) 最後に、勤務評定について簡単にお尋ねをいたしますが、勤務評定については、衆議院で、昭和二十三年の文部委員会で三分から四分、二十五年の文部地方行政合同委員会で一分ぐらい、参議院では、今回問題になるまで一回も、どこでも論議されてはおらないのであります。戦前の教育法規命令主義で、議会を通らずに枢密院で審議決定されていたのが、戦後、法律主義になって、国会で公然たる論議で決定され、民主化されたのであります。
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が参りました。
  12. 松永忠二

    松永忠二君(続) 勤務評定に関しては、この法律主義が実行されていないのであります。しかも、勤務評定実施の最大の根拠は法律にあるからというのであります。
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が参りました。
  14. 松永忠二

    松永忠二君(続) 総理並びに文部大臣は、国会で十分論議されてないこの事実の上に立って、立法府にこの問題を返して、これを十分討議をしていただきたいと思うのでありますが、その点に対する所見を伺いたいと思うのであります。  以上で私の質疑を終りたいと思うのであります。(拍手)   〔国務大臣岸信介登壇拍手
  15. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  教育の問題は言うまでもなく、きわめて重要な問題でございまして、しこうして戦後のこの教育基本について、教育基本法精神を尊重すべきことは、これは何人も言うを待たないところであります。ただ、御承知通り日本の現在行われております教育制度は、終戦後、占領下において作られたものでありまして、ことごとく、これが日本の国情に一致しておるとは言いがたいところでございます。これらにつきましては、これを是正することがもちろん必要であると考えております。  第二の教育改革が再軍備憲法改正にどうつながっておるかということでございます。こういうことに関係のないことは言うを待たないのであります。  第三は、道徳教育に関連して、戦後におけるこの道義頽廃根源はどこにあると思うかというお尋ねであります。これは言うまでもなく、あの敗戦後の社会混乱がその大きな原因であると思います。従いまして、この道義を高揚するためには、御指摘になりましたように、もちろん、ただの学校教育のみで、これが解決できるものでないことは言うを待ちません。桂会環境を改善し、政治を正常にすべきことは当然のことでございます。しかしながら、同時に、私は将来属の繁栄の基礎となり、文化の、全面的に責任を持つべき青少年の諸君が、学校教育を通じてりっぱな民主国家の一員とし、将来明るい社会構成者としてふさわしいところの、私は各種の道義的な習慣を身につけるということは、教育の本義でなければならないと思っております。この意味においては、学校教育におきましても、道徳教育を十分に重要視して行かなければならないと考えております。(拍手)   〔国務大臣松永東登壇拍手
  16. 松永東

    国務大臣松永東君) お答えいたします。  第一は、道徳教育変更理由はどういう理由かということでございます。すなわち、今日まで社会科の中で教えておったそれだけでいいのじゃないかというような御主張のようであります。しかしながら、社会科の中で教えておっただけでは満足することができないのです。そこで、特設の時間を置いて、一つ掘り下げて、そうしてその子供性格、その子供の頭に応じた教育を施し、そうして人間を作り上げて行く、人格を形成して行くということにあるわけであります。そこで、私どもはどうしてもやはり時間を置いて、そうして補充せんとするその目的は、第一、しつけをする、そうして正邪善悪判断力を培養する、こういうことをやりたいと考えておるのでございます。  さらにまた、その仰せになりましたことは、この四月から時間を特設して行うというのであるが、それは一体拘束力を持っているのかどうか、こういうことでございます。それは端的に申し上げますというと、拘束力を持っておるわけじゃございません。それははっきり申し上げておきますが、しかし、私の方では、ぜひ一つ都道府県学校あたりで取り扱ってもらいたいという要望をいたしておるのであります。しかしながら、近く学校教育法第二十条の規定に基いて学校教育法施行規則の一部を改正し、法的根処を後には明らかにしたいと思います。そうなりますというと、もちろん拘束力がありますけれども、それまでは拘束力があるということは言えないのでございます。  さらにまた、中学校三年を進学コース職業コースに分けることについて、これを実施するつもりか、こういうようなお話でありますが、これは、一体今度の教育課程審議会答申におきまして中学校第三学年進学組就職組に、はっきり分けて教育を行うようにしたというふうに受け取っておちれるようでありますが、それはそうではないのです。実はいつも御説明申し上げる通り中学義務教育最終段階でございまして、そのうちの大体半数が上に進学し、半数は直ちに就職したり、あるいは家事に従事したりする状況でありまするので、これまでも英語とか、あるいは職業課程とか、その他の選択教科を設けまして、生徒進路特性に応ずるように教育をしてきておるのであります。今回の改訂におきましては、第三学年選択教科に充てることのできる時間数を週二時間だけ増して、学校が、それだけ地域の事情生徒進路に応じて、最も適した教育課程を組むことのできるように、その裁量の余地を多くしたのでございます。すなわち国語、社会、理科、保健、体育、技術等の多くの教科については、進路特性によって内要や程度に差を設けないことにいたしたのであります。従って、これらの教科について進路によって編成を別にし、教育を行う必要はないのであります。何か今回の答申に、私は現行の教育課程の建前を大きく変えて画一的に進学組とか、あるいは就職組とかに分けて教育を行うようになるのではないかというような誤解もあるまうに思いますが、そのような趣旨ではないことを御了解願いたいのでございます。従って、今回の答申趣旨によって実施して行きたいと考えておりますが、なお、実施まで相当の時日もありますので、みっちり一つ研究してみたいと存じておる次第でございます。  勤務評定の問題についてでございますが、勤務評定は、これはもう適正な人事管理を行うために必要なことでございます。法律にも実施しなければならないと定められておるのでございます。教職員勤務評定につきましては、ただいま各都道府県教育委員会において、せっかくその準備を進めて、そうして実行に移すようになっておられるのであります。間もなく全国的に実施せろれるようになろうということを確信いたしております。どうぞ一つ了承おきを願いとうございます。(拍手)   —————————————
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、昭和三十二年度一般会計予算補正(第3号)  日程第二、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第5号)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。予算委員長泉山三六君。   〔泉山三六君登壇拍手
  19. 泉山三六

    泉山三六君 ただいま、議題となりました昭和三十二年度一般会計予算補正(第3号)、同じく特別会計予算補正(特第5号)の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  まず、補正二案の内容について申し上げます。  昭和三十二年度一般会計予算補正(第3号)は、昭和三十二年度予算作成後に生じたる事由により、当面必要とされる最小限度の措置を講ずるためのものでありまして、歳入歳出ともに七十七億二千万円余と相なっております。歳出におきましては、昭和三十一年度精算の結果、明らかとなった教職員給与費国庫負担金不足額と、昨年十一月成立した一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律施行に関連する期末手当引き上げ等による昭和三十二年度教職員給与費国庫負担金不足額とを補うために、必要なる義務教育費国庫負担金四十二億四千万円余の追加を初め、国民健康保険療養給付費補助金、旧軍人遺族等恩給費等義務的経費不足額が追加計上せられており、また、東京国際空港敷地買収費牛乳乳製品学校給食費補助金等、最近までの事情に基き、本年度内に支出することを必要とする経費が、新たに計上せられておるのであります。  また、これに伴う財源といたしましては、物品税増収見込額三十億円のほか、日本銀行納付金の三十四億円余等、租税以外の歳入における収納済増収額が充てられております。  次に、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第5号)は、昭和三十二年度特別会計予算総則におきまして、中小企業信用保険特別会計において、国が信用保証協会を相手方として締結する普通保険契約限度額が、百八十億円と定められておりましたが、最近の実績に徴し、不足見込まれますために、この契約限度額を二百四十億円に引き上げるよう、特別会計予算総則を改定することといたしております。  これらの補正一案は、三月二十日、国会に提出せられ、三月二十六日、本院に送付されたものでありますが、委員会におきましては、昨二十七日をもってこれが審査に当り、まず、一萬田大蔵大臣から提案理由説明を聴取した後、岸内閣総理大臣並びに関係者大臣に対し質疑を行いました。以下、これらの質疑のうち、補正予算に直接関連する若干の事項について、簡単に御報告申し上げます。  まず、補正予算は、先般第2号が提出せられ、今回さらに第3号が提出せられているが、補正予算編成についての政府基本的な方針を聞きたい。また、本年度は、西日本等に相当な災害があったにもかかわらず、災害に関する補正予算編成しなかったのはどういうわけかという質疑がありましたが、これに対しましては、政府側から、補正予算は必要やむを得な心経費を補てんするため組むのであって、編成を急ぐものもある反面、見積りの正確を期する必要もあるので、小刻みになることがあっても、またやむを得ない。本年度災害に対しては、予備費をもってその手当を行なったので、補正予算の必要がなかった。現在における予備費使用状況は、予算額八十億円のうち使用済額七十九億九千四百万円、うち災害関係が五十九億六千九百万円であるという答弁がありました。  次に、牛乳乳製品学校給食費補助金は、今回の補正により二億九千万円、予備費使用分と合わせ三億五千万円をもって充てることになっているが、十万石という数量に限定し、乳価維持のための方便になっているのではないか。学校給食という見地に立つものとすれば、不足した場合は、単価の切り下げをするのか、また明年度はどうするのかという質疑がありましたが、これに対しましては、政府側から、牛乳乳製品学校給食費補助金は、学童に対する栄養補給のためであり、牛乳が余っているからという意味ではない。三十二年度分については、これで足りると思う。三十三年度分については、牛乳給食用に用いた以上、これを持続すべきものと考えるという答弁がありました。  また、中小企業信用保険特別会計保険契約限度を、百八十億円から二百四十億円に拡大することは、年度末に迫って間に合わないと思うが、これで目的を達することができるのかという質疑がありましたが、これに対しましては、政府側から、信用保証協会保険引受額は、昨年末で百六十億円で、その後さらにふえているが、予算成立年度内にあれば、今までに自己保険として引き受けているものを、これに振りかえられるので、成立後、期間は短くとも消化できると考えるという答弁がありました。  このほか、委員会における質疑は広範にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、質疑を終了し、討論に入り、日本社会党を代表して、高田委員反対意見を述べられました。かくて討論を終局し、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十二年度一般会計予算補正(第3号)及び同じく特別会計予算補正(特第5号)は、多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告いたします。(拍手
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。高田なほ子君。   〔高田なほ子登壇拍手
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 昭和三十二年度一般会計予算補正(第3号)、同じく特別会計予算補正(特第5号)に対し、日本社会党を代表して、反対意見を申し述べるものであります。「人々みなよろし」予算として、大いに神武景気をあおった前年度予算に対し、わが党は、三千二百四十六億の巨額な財政投融資計画の上に組み立てられた大資本擁護性格を持ち、しかも、インフレの要因をはらむ放漫財政として、当時これに対しては強く反対し、かつ国民の窮乏を誘うものとして、これ以上の予算の拡大に対しては強く警告を発したものであります。この予言はみごとに的中し、昨年十一月一日の第一次補正以来、第二次、第三次と変貌を遂げ、ここに一兆一千八百四十六億と、次第に規模を拡大しながら、一方、民衆を困窮に追い込んだ今日の政府の無定見と無計画は、健康で明るい生活を打ち立てると公約した岸内閣の欺瞞政策として強く指摘されなければならないと思うのであります。  第二に、本補正の財源措置として、一千億円の自然増収を見込んで、租税収入等にその財源を求めていますが、アメリカの不況経済のあおりを受けまして今日、増収の見通しは下降線をたどっております。物品税三十億、官業収入一億七千余万、雑収入四十五億等、計四百七十余億円を、この際先食いするということは、結局、今後税金や罰金の取り立てを一そうきびしくし、弱い者いじめの現象が起り得ないとは、だれも断言し得ないところであります。むしろ、前年度分の未歳出、使い残り約二百億、特に例年問題になる防衛費の繰り延べおよそ三十五億を、これに充当することが妥当ではないかと存じます。しかも、こうした財源には全く手をつけることなく、この六月には、まる裸の状態で、妻や子をかかえた七万の駐留軍労務者が、ちまたに放り出されるのでありますが、これの就職対策を全く放棄するがごとき暴挙は、民主主義の名において断固糾弾されなければならないところでございましょう。よろしくここに一人五万円程度の緊急対策を樹立することこそ、今次補正の果すべき重要な役割であったはずであります。この無為無策、無情冷酷な本案に対する第二の反対理由がこれであります。  第三には、国民健康保険療養給付に対する補助金積算分十六億の裏づけについてでありますが、そもそもかくのごとき補助金の不足を見なければならないのは、現政府方針のもとでは当然のことであって、療養給付費の補助額を二割に押え、多大の赤字を市町村に強制しているのみならず、市町村役所、役場の事務費補助金もきわめて少額のため、三十一年度分において、すでに赤字十億をこえている実情であります。国民皆保険を四カ年で完了するという大看板で、三十一年度分についても、このような補正を行わなければならない実情であわながら、本年度分についても、わずかに調整交付金を五分増したにすぎないことは、依然として従来の失敗を繰り返すにすぎないということは、明々白々なことであります。真に適正な国民皆保険を完成する意思があるならば、国保医療の内容を高めるとともに、当然増大する医療費に対する国の負担を、少なくとも四割までに是正すべきでありましょう。本年度の国保新加入者は約五百万人であり、国民生活の窮乏化とともに、結核等の長期疾患は増加の一途をたどる現況から見ても、次々と追加補正を行わねばならねことは、火を見るよりも明らかであり、政府としての無計画を暴露したものと言わざるを得ません。政府は、自分の無責任を、もっぱら国民の負担に押しつけ、岸内閣社会保障だ、やれ皆保険だと国民を偽わるこのやり方に対しては、断固として私どもは批判せざるを得ないのであります。  第四に、義務教育費国庫負担分四十二億四千五百八十九万の経費の裏づけについてでありますが、今回の補正は、当然過ぎるほど当然のことであり、むしろ、少きに過ぎるきらいをさえ感ずるのであります。すなわち、前年度の教員の適正配置には、少くとも一万二千名が必要であるにかかわらず、わずかに千四百六十七名の定員増きり行わず、このために、法律規定された女子教員の産前産後の休養期間の代替教員の補充すら満足に行えなかった始末であります。加えて小中学校の不足坪数は約八十二万坪に達し、逐年すし詰め教育が増加し、今日その限界に達しているのであります。教員の給与は、本案、法律に基いて定期的に昇給昇格が行われるべきものでありますが、地方の財政難を理由にして、一方的にこれをストップし、また、このストップの期間はまことに長期であり、このようなことは、公務員の正当な権利を剥奪するまことに不当行為なのでございます。こうした非合法的な行為を合法化し、給与財源を押えるために、ほとんど研究のされない勤務評定を強引に実施しようとするのが、このねらいの一つであることを申し添えたいのです。その上、法律にもないような、ばかげた不適格条項を持たし、つまり、四十才になったから、もうやめなさい、あなたのだんなさんは校長だからやめなさい、共かせぎの人はやめなさいというような、全くばかげたことを取り上げて、どんどん婦人教師たちに対して首切り勧告を行なっております。このような身分上の不利益処分を排除するために立ち上る多くの教師たちは、地方権力との間に、好まざる抗争を展開するのでありますが、かかる混乱の元凶こそ、政府の無責任な施策であることを指摘したければなりません。  第五に、国連警察軍のスイス派遣費の負担金二億六千万円についてでありますが、今日スイスにあるものは、U・N・ポリス・フオースという独立したものではなく、各国からの正規の兵力によって編成された各国軍隊の共同駐屯の緊急部隊なのであります。一体、国連憲章の差し示す方向は、世界平和への大道であります。全世界加盟八十カ国のみならず、近代における二つの大戦争にしいたげられた二十余億の民衆が、その苦悩の洗礼の中からあげられた熱烈な平和への願いが、国連の崇高な理想をささえているのであります。しかし現状は、平和を口にしながら戦争準備に狂奔する大国間には、流血の危機を内包しているのでございます。このような時期に、新たに国連に加盟したわが国の果すべき使命と責任は、きわめて重大であると言わなければなりません。兵力増強のために、わが国が加盟以前の決議に沿って、この種の負担金をまかなうことは、明らかに、現行平和憲法の建前から見ても、違法の疑いなきを得ないのであります。来たる四月五日には、重ねてエニウェトク島で原爆の実験が行われると聞いておりますが、エニウェトク島は信託統治協定の適用範囲にあり、生命の安全保障と、世界の平和を願う立場において、国連において発言権を十分に持つわが日本が、今こそ、即時、原爆実験禁止の要請を勇敢に行うべきではないかと思います。これこそ非常任理事国として、新たに加盟した日本の果すべき平和への使命であり、責任であり、アジアの民衆に対する戦争贖罪の最大の提唱ではないかと存じます。  以上、平和と独立を願う日本社会党は、五つの理由をもって、本案に対しましては断固反対の意思を表明し、討論を終ります。(拍手
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は、終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。(拍手)    ————・————
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、社会福祉事業法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長阿具根登君。   —————————————   〔阿具根登君登壇拍手
  25. 阿具根登

    ○阿具根登君 ただいま議題となりました社会福祉事業法の一部を改正する  法律案につきまして、社会労働委員会  における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。   今回改正せんとする要点の第一は、新たに社会福祉事業として、結核回復者後保護施設を経営する事業及び隣保事業を加えることであります。第二は、従来、社会福祉審議会の委員のうち、関係行政庁の職員以外の委員の任期が一年とされておりましたのを二年に改めることであります。第三は、従来、指定都市以外の市については、一つの福祉事務所を設置することを建前としておりましたが、これを、政令で指定する人口おおむね二十万以上の市については、その実情に応じて二つ以上の福祉事務所を設置できることとすることであります。第四は、現在、社会福祉法人の定款につきまして資産の総額を必要的記載事項としているのを改めまして資産の変動のつど定款の変更を行う必要がないこととして社会福祉法人の負担を軽減するとともに、行政事務の簡素化をもはかることとし、また、社会福祉法人の指導監督について厚生大臣のほか都道府県知事も、報告徴収及び検査の権限を行使することができるものとして社会福祉法人に対する指導監督の充実をはかろうとすることであります。第五は、低利融資事業による貸付金に関する証書について、印紙税を課さないものとすること等であります。  以上が本法律案の要点であります。  本法律案に関する委員会審議過程におきましては、社会福福祉主事の充足状況及びその資質の向上に関する問題、同和事業の現状及び振興方策に関する問題、結核回復者の後保護問題、並びに社会福祉法人に対する監督の権限を都道府県知事にも付与したあとにおける社会福祉行政の運営方針に関する問題等につきまして、熱心な質疑応答が行われたのでありますが、その詳細は会議録により御了承願いたいと存じます。  かくて質疑を終り、討論に移りましたところ、自由民主党を代表して勝俣委員、日本社会党を代表して山下委員、緑風会を代表して中山委員の三君より、結核回復者の後保護問題、同和事業の振興問題、社会福祉主事の素質の向上問題及び貧困階層に対する援護手続の簡素化問題等につきましてそれぞれ希望意見を開陳されて本案に賛意を表されました。  討論を終局し、採決いたしました結果、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四、たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  日程第五、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案、  日程第六、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案  日程第七、食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長河野謙三君。   〔河野謙三君登壇拍手
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、大蔵委員会審議の経過並びに結果を御報告いたします。  まず、たばこ専売法の一部を改正する法律案について申し上げます。  第二十六国会において、平林剛君ほか三十八名の発議にかかわる、たばこ専売法の一部を改正する法律案が提出され、次いで、改正内容を異にした政府案も提出されたのでありますが、両案ともに結論を出すに至らず、審議未了となったものであります。本委員会においては、閉会中、たばこ専売法改正懇談会を設け、数次にわたって慎重に審議した結果、一応の了解事項が得られましたので、政府は、この趣旨に基き、今国会に再度提出することとなったものであります。  次に、本案のおもなる改正内容について申し上げます。第一に、葉タバコ収納価格決定の基準を、新たに法制化しようとするものであります。すなわち、現行法では何らの規定も設けられておりませんが、耕作農家の経済安定等をはかるためにも、この際、法律事項とすることが適当であろうと思われますので、「生産費及び物価その他の経済事情を参酌して、耕作者が適当な対価を得ることができるように定めなければならない。」旨の規定を設けることとしております。  第二に、タバコ耕作許可の基準に関する規定を明文化しようとするものであります。現行法では、タバコ耕作の経験の有無が耕作上最も重要であるにもかかわらず、参酌する明文がなく、とかく実情に即しない点がありますので、耕作者の地位の安定をはかる見地から、新たにこれを許可基準一つに入れることとし、また、耕作許可も、その耕作計画の範囲内においてなすべき点についても、必ずしも明確でなかったので、今回これを明文化して生産事業の円滑なる運営をはかることとしております。  第三に、耕作不許可処分に対して異議申し立ての道を開こうとするものであります。従来、耕作関係については、耕作者の利益擁護という点において必ずしも十分でなかったことにかんがみ、耕作許可の処分の適正を期する意味において行政上の救済措置を講ずることとしております。  第四に、葉タバコ収納価格の決定等、耕作に関する重要事項を調査審議するため、公社総裁の諮問機関として新たに、たばこ耕作審議会を設置し、総裁は、その決定に当っては、あらかじめ審議会意見を聞かなければならないこととしようとするものであります。収納価格の決定は重要な事項でありますから、公社は、従来から各方面の意見を徴して、慎重に取り扱って参ったのでありますが、今回、これを法律上の制度として規定するものであります。なお、審議会は委員九人以内で組織し、委員は、耕作者を代表する者及び学識経験者のうちから、公社の総裁が委嘱することとなっております。   〔議長退席、副議長着席〕  委員会審議に当っては、審議会委員の選任方法、減反問題等について質疑がかわされたのでありますが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、杉山委員より、「本案は、耕作者の永年の要望であった耕作関係についての発言権を法律上認めることとなる改正措置であるから賛成するが、しかし、なお若干不十分な点を是正すべきであると思われるので、各派共同修正案を、便宜上、代表して提出する。すなわち修正の第一点は、収納価格決定の基準として「耕作者が適正な対価を得ることができるように」という表現では、やや明確を欠くように思われるので、「耕作者に適正な収益を得させることを旨として」に改め、第二点は、審議会意見を尊重すべきであるという趣旨を強く打ち出すために、「その意見を聞かなければならない」という規定を、「その議を経なければならない」と改めるが、この意味は、決して議決機関の性格を持たすものではない。第三点は、審議会の委員数についての修正で、耕作者代表を参加させるためには、実情から見てなお十分ではないから、「九人以内」を「十一人以内」に改め、増員をはかりたい」旨の修正意見が述べられ、次いで平林委員より、「前国会における社会党の提案が動機となって耕作者の立場から検討されるに至ったことは喜ばしい。今回の改正措置は、なお完全なものではないが、一歩前進したものとして修正案を含めて賛成するが、鑑定方式、標本の設定等、未解決のまま残された問題も多いから、今後の積極的な措置を要望する」との賛成意見が述べられました。  採決の結果、各派共同修正案、修正部分を除く原案については、それぞれ全会一致をもって可決され、本案を修正可決すべきものと決定いたしました。  次に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案の内容について申し上げますと、第一は、厚生保険特別会計法の一部を改正しようとするものでありまして、さきに第二十二国会において政府管掌健康保険の給付費の支払い財源の不足を補てんするため、昭和三十年度以降七カ年度間、毎年度十億円を限度として、一般会計から厚生保険得別会計の健康勘定に繰り入れることができる措置がとられ、昭和三十一年度及び昭和三十二年度においては、この繰り入れを昭和三十三年度以降に繰り延べることとされてきたのでありますが、昭和三十三年度におきましても、この一般会計からの繰り入れを昭和三十四年度以降に繰り延べることにしようとするものであります。  第二は、船員保険特別会計法の一部を改正しようとするものでありまして船員保険についても、第二十二国会において、療養給付等の部門の給付費の財源の一部に充てるため、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度二千五百万円を限度として一般会計から船員保険特別会計に繰り入れることができる措置がとられ、昭和三十一年度及び昭和三十二年度においては、この繰り入れを昭和三十三年度以降に繰り延べることとされてきたのでありますが、昭和三十三年度におきましても、この一般会計からの繰り入れを、昭和三十四年度以降に繰り延べることにしようとするものであります。  委員会における審議の詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終り、討論、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、食糧管理特別会計の経理の内容を明確にし、その運営の健全化をはかるため、昭和三十三年度より勘定区分を設ける等、所要の改正をしようとするものでありまして、内容のおもなる点を申し上げますと、第一点は、この会計を、食糧管理勘定としての国内米管理、国内麦管理、輸入食糧管理の三勘定と、農産物安定勘定、業務勘定及び調整勘定の六勘定に区分し、食糧管理勘定においては、それぞれ国内米、国内麦及び輸入食糧の買い入れ及び売り渡し等に関する歳入歳出を、農産物安定勘定においては、農産物価格安定法等に基く農産物等の買い入れ及び売り渡し等に関する歳入歳出を、業務勘定においては、事務取扱い、施設運営等に関する歳入歳出を、調整勘定においては、調整資金に充てるための一般会計からの受け入れ、他勘定における所要資金の借り入れ及びその償還、他勘定べの運転資金の繰り入れ及びその返還金の受け入れ等に関する歳入歳出を、それぞれ経理することにしようとするものであります。  第二点は、調整勘定に調整資金を置き、一般会計からの受け入れ金等をもって、これに充てることにしようとするものであります。なお、昭和三十三年度の調整資金は、昭和三十二年度食糧管理特別会計に設置される資金の残額を引き継ぐこととなっております。  第三点は、食糧管理勘定及び業務勘定の損益は、調整勘定に移して整理し、この整理をしたあとの調整勘定の利益または損失は、調整資金へ組み入れ、または同資金を減額することによって整理することとし、農産物安定勘定の利益または損失は、積立金への積み立てまたは積立金の減額によって整理することにしようとするものであります。  続いて食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。  本案は、食糧管理特別会計の運営の健全化をはかるために、この会計に資金を置き、この資金に充てるために、昭和三十二年度において一般会計から百五十億円を限って繰入金ができることとし、損益計算上、利益があれば資金に組み入れ、損失があれば、資金を減額して処理できることにしようとするものであります。  委員会におきましては、以上の二案を便宜一括して審議したのでありますが、資金の本来の目的は運転資金であるというが、百五十億では少な過ぎ、この会計の運営を制約することにならないか、今後の米価の決定いかんでは、資金をもって整理し切れない損失が予想されるが、その場合、いかに処理されるか、今回の改正は、コスト主義を貫く足がかりとなり、生産者、消費者に不当なしわ寄せをすることにならないか、昭和三十三年度の米価の決定に当って、予約奨励金、軟硬質米格差等をいかに扱うか等の諸点について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終り、一案を一括して討論に入り、それぞれについて採決の結果、いずれも全会一致をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  31. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。  まず、たばこ専売法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  32. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。    ————・————
  33. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 次に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  34. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
  35. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案  以上、両案全部を問題に供します。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  36. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  37. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 日程第八、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。外務委員長寺本広作君。   〔寺本広作君登壇拍手
  38. 寺本廣作

    ○寺本広作君 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、昨年三月、新たに独立したガーナに大使館を新設し、また、サウジ・アラビア、ノルウエ一、デンマーク、ヴァチカン、エチオピア、ニュージーランドに設置されている公使館を、それぞれ大使館に昇格せしめ、同時に、これら公館に勤務する外務公務員の在勤俸の額を決定するため、関係法律に所要の改正を加えんとするものであります。  右のうち、ガーナは、AA諸国との友好関係の増進及び西アフリカの経済的意義を考慮して大使館を新設するものであり、また、六公使館は、外交機関が次第に大使館に切りかえられて行く国際的趨勢にかんがみ、特に、相手国の要望もあるので、これを大使館に昇格せしめるものであるとの政府説明でございました。  審議の過程におきましては、残余の公使館の取扱い、大使増加の現状における公使、総領事との人事運営の関係、キャリア、ディプロマットの配置に関する人事の方針等につき質疑が行われましたが、詳細は会議録により御承知を願います。  昨二十七日、採決の結果、本件は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  39. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。   —————————————  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  40. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  41. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 日程第九、公営金業金融公庫法の一部を改正する法律案  日程第十、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一指して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長小林武治君。   〔小林武治君登壇拍手
  43. 小林武治

    ○小林武治君 ただいま議題となりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案の政府原案の内容は、公庫の基礎を一そう強化し、公営企業の健全な運営に資するため、公庫の現在の資本金五億円を十億円に増額するというものでありまするが、衆議院においては、公営企業の実情、また、第二十六国会における両院地方行政委員会の付帯決議の趣旨にもかんがみ、政府原案に対し、公庫の業務として、新たに、「公営企業に係る一時借入金の資金の貸付」を加えることを内容とする修正を加えて、本院に送付して参ったのであります。  地方行政委員会におきましては、二月二十七日、郡国務大臣より提案理由説明を聞き、三月二十五日、衆議院議員吉田重延君より修正趣旨説明を聞き、また同日、大蔵委員会と連合審査を行う等、慎重審査を重ねたのでありますが、その詳細については、会議録によって御承知を願います。  三月二十七日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、大沢委員は、「本法案に賛成する」旨を述べられ、なお、次のような付帯決議案を提出されました。大沢委員提出の付帯決議案の内容は、   本法の施行に当り、政府は左の諸点に留意してその適正かつ円滑な運営をはかり、公営企業の発展と住民福祉の増進に資すべきである。    一、今後さらに、公庫の出資金及び公庫債の発行限度額を増額し、公庫の機能を充実し、公営企業の発展一をはかること。    一、地方団体の積立金、地方職員共済組合、市町村職員恩給組合等地方団体関係の積立金を公庫債の引受を通じて、これを地方に還元し、地方住民の福祉を増進するために活用すること。    一、公庫の行う一時借入金の資金の貸付については、公営企業にかかる長期資金の貸付に支障を及ぼさない等これが運用に慎重を期すること。   一、公営企業にかかる一時借入金の資金につき政府資金の一そう積極的な融通をはかるよう措置すること。   右決議する。 というのであります。  緑風会所属の森委員は、「修正点に反対であるから、本法案に反対せざるを得ない」と述べられました。加瀬委員は、日本社会党を代表して、「本法案に賛成」の旨を述べられ、なお、「この際、政府は、付帯決議の趣旨を尊重すべきこと、法案の修正に対する政府意見に不一致があってはならないこと、公営企業にかかわる短期資金に対する政府資金の融通について、政府は、積極的な措置を講ずべきことを政府希望する」と述べられました。  かくして討論を終り、採決の結果、本法案は多数をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、大沢委員提出の付帯決議案は、多数をもって、これを委員会の決議とすることに決定した次第であります。  なおまた、本法案審査の過程において、大蔵委員会より地方行政委員会に対し、本法案の審査に当っては、公庫設立の趣旨衆議院の修正点については、特に慎重なる検討を望む旨の申し入れがあったことを一言申し添えておきます。  以上、御報告申し上げます。  次に、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、都道府県の境界にわたる市町村の廃置分合すなわち、いわゆる越県合併に関する内閣総理大臣の処分に関する新市町村建設促進法規定の失効後においても、失効前に新市町村建設促進中央審議会意見を聞く手続がとられているものについては、昭和三十三年九月三十日までの間は、なお当該規定の例によることを定めるものであります。  地方行政委員会におきましては、三月二十七日、郡国務大臣より提案理由説明を聞いた後、質疑を行い、討論に入りたるところ、格別の発言もなく、直ちに採決の結果、本法案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  44. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  45. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————・————
  46. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 次に、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  47. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————・————
  48. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 日程第十一、森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長重政庸徳君。   〔重政庸徳君登壇拍手
  49. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 ただいま議題になりました森林開発公団法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  過ぐる昭和三十一年、第二十四回国会において成立をいたしました森林開発公団法によって森林開発公団が設立され、以来、熊野及び剣山両地区の開発に努め、しかして、団は林道の開設及び改良を行うばかりでなく、これらの林道の災害復旧事業をも行い、また、その維持管理にも当ることになっているのであります。  ところが、当初、公団の事業資金として予定されておりました余剰農産物資金融通特別会計からの融資が、昭和三十二年度から受け入れられなくなりましたので、これにかわって、資金運用部資金をもって充てることとし、これに伴って資金計画が変更されたのであります。その結果、災害復旧事業等に必要な資金をまかなうため、森林開発公団が森林開発債券を発行することができることとするとともに、その際の債権者の権利及び発行手続等について必要な規定を整備しようとするのが、この法律案が提案された理由並びにその内容で  あります。  委員会におきましては、政府当局から、提案の理由、公団における事業の実施状況及び今後の計画、公団の資金計画並びに債券の発行条件その他について補足的説明を聞き、質疑に入り、債券の発行予定額及びこれによって調達する資金の使途、債権者の保護、債券に対する政府の保証、公団の事業地区を他の地区にも及ぼす等、公団事業の拡大継続と公団の存続期間の延長、公団の資金源を余剰農産物資金から資金運用部資金に変更したことによる地元負担べの影響及びその対策、災害復旧資金の必要見込みと地元におけるその負担、公団が開設する林道の規格及びその管理、国有林林道と民有林林道との調整、林道開設と林太伐採との関係米国余剰農産物の受け入れの経過と今後の見通し並びに受け入れの是非等が問題になり、慎重な審議が行われたのでありまして、その内容会議録によって御了承願いたいと存じます。  かくして質疑を終り討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、報告いたします。(拍手
  50. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  51. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————・————
  52. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 日程第十二、海難審判法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員長天田勝正君。   〔天田勝正君登壇拍手
  53. 天田勝正

    ○天田勝正君 ただいま議題となりました海難審判法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、改正案の要点を申し上げますと、第一は、海難審判の促進をはかるため、海難審判庁に副理事官制を新設することであります。すなわち理事官は、海難審判におきまして、審判の請求及びこれにかかる海難の調査等をつかさどるものでありまして刑事裁判における検察官に相当するものでありますが、この理事官の事務は、海難事件の増加、科学の進歩に伴う事故の複雑化、外国関連事件の増加等によりまして、量質ともに過重なるものとなっている現状にありますので、簡易な事件を処理するため副検事に相当する副理事官を置き、事務能率の増進をはかろうとするものであります。  第二は、審判の権威と公正を保持するため、審判官、理事官及び副理事官の資格及び定数を政令で定めることであります。  本委員会におきましては、三月六日より本件の審議に入りましたが、そのおもなる質疑は、海難審判庁の予算及び定員、審判官及び理事官の給与と、それらに相当する裁判官及び検察官等の給与との比較についてでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくして三月二十七日に討論に入りましたところ、松浦委員より、「海難事件が刑事事件に関連する場合において刑事裁判が海難審判と並行し、ときには先行して行われる事例があるが、海難事件については、気象状況、船舶の構造、船舶の耐航性等について海難原因の探究が必要であり、このためには海難審判が刑事裁判に優先して迅速に行われることが要請される、しかるに、海難審判庁の職員の定数及びその待遇は、必ずしもかかる要請に添い得るものとは言いがたい、よって政府は、海難防止のため、あらゆる施策を講ずるとともに、海難審判の早期処理ができるよう、海難審判庁の職員の定数及びその待遇の改善に努力すべきである」との要望を付して賛成意見が述べられました。  また高良委員より、「海難が国民の関心を深めている現状にかんがみ、海難審判の結審が迅速かつ明快に行わるべきことを要望し、あわせて司法事務との見合いを考えて、所要経費の充実が望ましい」旨、意見の開陳があり、賛成意見が述べられたのであります。  次いで採決に入りましたところ、本法律案は、原案通り可決すべきものと全会一致をもって決定した次第であります。以上、御報告申し上げます。(拍手
  54. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  55. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  56. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 日程第十三、計量法の一部を改正する法律案  日程第十四、計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する法律案(いずれも内閣提出)  日程第十五、合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。商工委員長近藤信一君。   〔近藤信一君登壇拍手
  58. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただいま議題となりました計量法の一部を改正する法律案計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する法律案及び合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、計量法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本改正案のおもなる改正点を概略申し上げますと、第一は、新たに放射線関係計量単位を定め、その計量器については、他の計量器と同じように、事業規制と検定を行うようにしてありますが、ただ検定につきましては、新たに構造検査劇度を採用しているのであります。第二は、計量器の製造、修理、販売等の許可区分を企業の実情に即応して定めることができるようにしてあります。第三は、計量器の販売事業につきまして、計量器の普及をはかるため、販売員による店舗外販売制度を新設したことであります。第四は、基準器検査関係改正であります。現行法では、この検査を通産大臣が行うことになっておりますが、今度はその  一部を都道府県知事に行わせることにしているのであります。第五には、使用中の計量器の取締りについて、新たに計量士による検査制度を設けまして、その検査を受けた計量器については、定期検査を免除することにしているのであります。その他の改正点といたしましては、国際メートル委員会の決議に基いて時間、流量、周波数、その他の計量単位を整備する等があります。  委員会における審議の経過の詳細については会議録に譲りますが、論議の中心は、改正点第三の店舗外販売の問題でありました。すなわち生協、農協、婦人会などの会員、あるいは保健婦、農業改良普及員等の人々が、営利を目的としないで、体温計や寒暖計のような簡易な計量器について共同購入の仲介あっせんと申しますか、集団的取次と申しますか、こういうことをする場合は、店舗の登録とか、店舗外販売の手続をする必要があるかどうかということであります。この点について、政府は大要次のような見解を表明したのであります。  その第一は、農協、生協等が継続的に計量器の販売を行うときは、登録を受ける必要がある。第二は、農協、生協、婦人会等が、その団体員に対して集団的にあっせんする場合、そのあっせんが継続的でなく、依頼者が特定しているときは登録は要しない。ただ、需要を見越して多量に買い持ちするなどの場合は登録を要する。第三は、農業普及改良員、保健婦、農協職員等が、その職務である指導と関連して農民等に計量器を引き渡し、または代金等を取り次ぐ行為は、改正規定による販売員としての届出は必要としない。ただ、この場合にも需要を見越して多数持っていたり、手数料を要求するような場合は販売員として取り扱う。以上でございます。  右のほか、本改正案につきましては、放射線関係単位の取扱いとか、計量士の問題、あるいは計量法運用の実情について、活発な質疑応答のあったことを申し添えておきます。  このようにして本改正案につきましては、終始熱心なる審議が行われたのでありますが、質疑を終り、討論に入りましたところ、格別の発言もございませんでしたので、直ちに採決いたしました結果、全会一致をもって、政府原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に、計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。  本法案は、昭和二十六年の計量法施行法で、来年、すなわち昭和三十四年一月一日よりメートル法が実施されることになっておりますので、第一に、現在、尺貫法や、ヤードポンド法を使用している民法、商法、その他十六の法律計量単位をメートル法を統一すること。第二に、メートル法実施の例外的措置として、土地、建物に関しては、最高七年三ヵ月、尺貫法の使用を認め、輸出貨物の国内取引、武器の製造修理関係については五年間、航空機の運航等の計量については、当分の間ヤードポンド法を認めており、工率の単位については、仏馬力のみ三カ年の猶予期間を設ける等のことを内容としているのであります。  本法案につきましては、メートル法普及についての政府の対策を中心に熱心な論議がございましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  以上で質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もございませんでしたので直ちに採決いたしました結果、全会一致をもって、政府原案通り可決すべきものと決定したのであります。  次に、合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案について御報告いたします。  御承知通り、原料ゴムの供給確保をはかることを目的として、昨年五月に現行法が制定されましたが、同法に基いて昨年十二月に日本合成ゴム株式会社が設立され、その後、同社では工場の場所を四日市に決定して、その建設準備や製造技術の導入手続などを進めています。  ところで、現行法の附則第三項及び第四項で、法律施行後一カ年を経過したときは、会社に対する日本開発銀行の出資という方式を改めて、政府出資に切りかえ、あわせて右に伴う所要事項を法律で定めなければならない旨を規定しています。よって、政府では、この出資切りかえに必要な経費を、三十三年度予算中の産業投資特別会計に計上いたしますとともに、立法措置として、この改正案を提出して参ったのであります。  この改正案の要点は、第一に、前述の出資方式の変更でありまして、開銀出資の方式を政府出資の方式に改めるのであります。現行法により日本合成ゴム株式会社には、開銀が十億円を限度として出資できることになっていますが、全部終了していません。よって本改正案で、経過的に、三十三年度に限って、開銀はなお出資ができることとするとともに、政府は開銀の出資完了を待って、同年度中に、できるだけ早く開銀所有の株式を譲り受けることといたしております。第二は、日本合成ゴム会社に対する監督規定の強化でありまして、政府出資に切りかわることに伴って、通商産業大臣の認可を必要とする事項を規定し、かつ監督上必要な立ち入り検査ができることとしています。第三は、政府所有株式の処分に関するものでありまして、日本合成ゴムの経理的な基礎が確立したと認められた際に、政府は株式市場の状況を考慮して、その所有株式を早目に処分すべき旨を定めんとしています。なお、以上のほか、法律の題名を改めまして、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律としているのであります。  この法案に関して、当委員会においては熱心に審査いたしましたが、政府当局との質疑応答のおもなるものは以下の通りであります。  日本合成ゴム会社の技術導入費が四百二十万ドルであるとすれば、それはコスト高を招来せぬかとの質問に対しては、特許使用料ではなく、一時払いであって販売価格の二%を占める程度であるとの答弁がありました。本事業の前途についての見通しはどうかとの質問に対しては、三十七年度に完全操業に入り、三十八年度には一割二分ぐらいの配当ができる見込みであるとの答弁でありました。政府所有株の処分に関しては、加工業者か、または原料関係業者などの、いずれかに大量に集中したり、あるいは従来の株主にだけ行くようなことにならぬか、なお、一般消費者の代表なども参加できる道を開くべきではないかとの質問に対しては、処分方法は競争入札が原則であるが、随意契約の道もあるので、特定者に集中せぬよう十分に注意して処分するとの答弁がありました。また、政府所有株を処分して純然たる民間会社となった場合に、独占支配の弊に陥る懸念はないかとの質問に対しては、政府出資がなくなった後も、行政指導を十分に行い、生ゴム輸入の自動承認制とも相待って、独占的な弊害のないよう処置するとの答弁がありました。なお、中小加工業者の利用を容易ならしめる方途を講じているかとの質問に対しては、その一例として、使用前に必要な特殊処理の施設を全国に一、二カ所設置する予定であるとの答弁などがありましたが、詳細については会議録に譲ることをお許し願います。  次いで討論に入りましたところ、海野委員は、「政府は、一方で予算を削りながら、大企業には投資するわけで、中小企業に対して不均衡を生じていると思うが、特に政府所有株の処分に際しては十分に配慮するとともに、処分後においても、会社の経営に対しては、常に指導監督すべき」旨の希望条件を付して賛成意見を述べました。  かくて採決に入りましたが、全会一致をもって本改正法案は、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告いたします。(拍手
  59. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。  まず、計量法の一部を改正する法律案計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する法律案  以上、両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  60. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  61. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 次に、合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  62. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
  63. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 日程第十六、学校保健法案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。文教委員長湯山勇君。   〔湯山勇君登壇拍手
  64. 湯山勇

    ○湯山勇君 ただいま議題となりました学校保健法案につきまして文教委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。  従来、学校における保健管理の制度については、統一的立法がなく、学校教育法第十二条の規定及びこれに基く省令等で、各個別に規定しており、その他は指導措置によっていたのでありますが、本法案は、制度の全般にわたり、必要な基本的事項を総合的に規定いたしたものであます。  次に、その内容の骨子を申し上げます。第一は、健康診断及び健康相談の制度を整備いたしたことであります。第二は、学校における伝染病の予防に関して、所要の規定を整備いたしたことであります。第三は、新たに都道府県教育委員会の事務局に学校保健技師を置き、また、学校には、学校医、学校歯科医及び学校薬剤師を置くための制度を整備いたしたことであります。第四は、要保護及び準要保護の児童または生徒が、伝染性または学習に支障を生ずるおそれのある一定の疾病、いわゆる学校病の治療のための医療に要する費用について地方公共団体が必要な援助を行うこととし、これに要する経費について、国の補助に関する規定をいたしております。また、公立の義務教育学校校長及び教員の結核に関する定期の健康診断に要する経費について、都道府県に対する国の補助を規定しております。   委員会審議におきましては、各委員と文部、厚生両当局との間に、就学時における健康診断とその結果に対する措置、医療機関のない地域の学校保健問題、学校保健技師の資格、養護教諭と本法との関係、学童及び学校職員の結核問題並びにその対策等につい  て、きわめて熱心な質疑応答がありましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  質疑を終り、討論に入りましたところ、竹中委員より、各派を代表して、次の付帯決議を付して本法案に賛成の意見が述べられました。  次に、竹中委員提案の付帯決議案を朗読いたします。   政府は、本法制定の趣旨の徹底とその成果の高揚に努力し、特に、次の諸点については、すみやかに適切な措置を講ずべきことを強く要望する。   一、高等学校以下の学校における養護教諭の必置制の促進。   二、結核に対する根本施策の一環として学童対策の重視。   三、へき地学校保健対策の確立。  以上であります。  かくて採決の結果、本法案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。また、各派共同提案の付帯決議案も、全会一致をもって、これを委員会の決議とすることに決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  65. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  66. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  67. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 日程第十七、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員長宮田重文君。   〔宮田重文君登壇拍手
  68. 宮田重文

    ○宮田重文君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、日本放送協会の昭和三十三年度収支予算、事業計画及び資金計画について国会承認を求めんとするものでありまして、その内容を申し上げまますと、まず収支予算につきましては、ラジオ関係においては、収支おのおの百三十九億八千八百余万円でありまして、これを前年度に比べますと、総額においてそれぞれ十二億七千六百余万円の増加となっております。しかして、収入増加のおもなるものは、長期借入金及び受信者の新規増加四十二万に伴う四億七千百余万円であり、支出増加のおもなるものは、建設費五億円、給与二億八千四百余万円及び放送費四億五千六百余万円であります。  また、テレビジョン関係におきましては、収支おのおの七十五億七千四百余万円でおりまして、前年度に比べて、それぞれ四十六億六千二百余万円の増加となっております。しかして、収入増加のおもなるものは、長期借入金及び受信者四十八万の新規増加に、出る二十億四千百万余円であり、支出増加のおもなるものは、建設費二十七億八千万円、給与二億七千二百余万円及び放送費九億三千七百余万円であります。  受信料収入については、ラジオ及びテレビジョンともに前年度と同額の、ラジオは月額六十七円、三ヵ月二百円、テレビジョンは月額三百円として、それぞれ算出しております。  また、事業計画につきましては、その重点を、ラジオにおいては、老朽施設の改善及び教育放送の時間増等、番組の充実に、テレビジョンにおいては、テレビジョン放送の全国普及のための置局及び放送時間増並びに教育放送の開始等に置いております。  次に、資金計画につきましては、右収支予算及び事業計画に基いて、年度中における資金の出入に関する計画をいたしてあります。  これら収支予算等に対し、郵政大臣は、「おおむね適当なものと認める」旨の意見を付してあります。  逓信委員会におきましては、政府及び日本放送協会の各当局につき、詳細にわたり質疑を行い、本件の慎重審議をいたしたのでありますが、そのおもなる点を申し上げますと、放送法の定めるところにより、国際放送に要する経費は、政府が全額を負担すべきではないか、借入金にのみ頼ることなく、受信料の値上げを内容とする予算を提出すべきではなかったか、学校等免除されている受信料の相当額を政府が負担すべきではないか、FM放送受信契約並びにこれを中波の範疇に包含することの可否、予算編成上、ラジオとテレビジョンを一本建とする時期に到達しているのではないか、諸般の事情もあろうが、将来に及ぼす影響を考慮して、減価償却引当金の確保に努めるべきではないか、予算編成に当っては、長期にわたる基本方策を樹立しておくべきではないか、収入予算等の早期国会提出を取り計らうべきこと、海外駐在員の使命並びに職種の配置について再検討すべきではないか、教育、教養番組とともに健全娯楽番組にも重点を置くべきではないか、及び、従業員の待遇向上に努めるべきこと等でありました。なお、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終え、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して新谷委員より、次の付帯決議を付して本案に賛成する旨の発言がありました。    放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に関する附帯決議案  一、政府並びに日本放送協会は、すみやかに健全なる財政方針を樹立し、公共放送の使命達成上遺憾なきを期すべきである。  二、政府日本放送協会の昭和三十三年度収支予算の執行に当り、財政資金を融通する等の方法により、その所要の建設資金の確保に協力すべきでる。  三、政府並びに日本放送協会は、国際放送を拡充し、積極的にその内容充実をはかるべきである。  四、日本放送協会は、放送界の事情一変したる今日、協会の気風を刷新し、旧套を脱して、極力、事業経営の合理化、能率化をはかり、もって国民の期待に沿うべきである。   右決議する。  続いて、日本社会党を代表して山田委員より、要旨次のごとき希望を述べて本案に賛成する旨の発言がありました。「今回の日本放送協会の収支予算等は、いずれを見ても、経営上憂うべきものが多々あるので、これが執行に当っては、政府及び日本放送協会は、相協力して円滑な遂行に努められ、国民の寄託している公共放送たる協会の使命達成に邁進せられたい。なお、職員の給与については、事業の合理化、経費の節減をはかり、極力、待遇の改善をはかられたい」というのであります。  かくて討論を終え、採決をいたしましたところ、全会一致をもって、新谷委員発言の付帯決議を付して原案通り承認すべきものと議決した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  69. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。  本件を問題に供します。委員長報告通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  70. 寺尾豊

    ○副議長(寺尾豊君) 総員起立と認めます。よっで本件は、全会一致をもって承認することに決しました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十三分散会    ————・———— ○本日の会議に付した案件  一、教育課程中心とする文教政策に関する緊急質問  一、日程第一 昭和三十二年度一般会計予算補正(第3号)  一、日程第二 昭和三十二年度特別会計予算補正(特第5号)  一、日程第三 社会福祉事業法の一部を改正する法律案  一、日程第四 たばこ専売法の一部を改正する法律案  一、日程第五 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  一、日程第六 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第七 食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案  一、日程第八 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案  一、日程第九 公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第十 新市町村建設促進法の一部を改正する法律案  一、日程第十一 森林開発公団法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 海難審判法の一部を改正する法律案  一、日程第十三 計量法の一部を改正する法律案  一、日程第十四 計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する法律案  一、日程第十五 合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案  一、日程第十六 学校保健法案  一、日程第十七 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件    ————・————