○
国務大臣(
唐澤俊樹君)
第三者供賄に関する御
意見でございますが、これはまあ一々ごもっともと存じます。この点は、起案するに当りましても非常に省内でも
論議をいたしました。しかし、今度の段階においてはまあ見送っておこう、こういう結論になったのでございますが、それに至りまする
経過や
理由は、先ほど来だんだん
刑事局長が申し上げたようなわけでございまして、まあ過去においても直接の
収賄罪や
第三者供賄がなくて、そうして長い期間それで過ごしたけれ
ども、全部それで逃げたというわけでもなかろうということや、それから
昭和十六年にできてからも、その
規定があるから、なるほどそちらへはいかなかったかもしれぬけれ
ども、なかなか数が少いというようなこともあり、それから
第三者と申しましても、そのうちには、
自分の親、兄弟、秘書官というような、ほとんど一心同体みたようなものは、それはある
意味においては
第三者と見ずに、
脱法行為で
自分がとったといえるかもしれません。さらにだんだん縁遠くなると、あるいは
神社仏閣に寄付してくれとか、こういう
慈善団体に
自分が金を取ったかわりに寄付してくれというようなことになると、
わいろ性がもうなくなるかと、徳義上からいっても
処罰することがどうかというような、
第三者というのは非常に幅の広いというようなこともあり、ことにまあ常識的な
判断ですけれ
ども、従来から、たとえば
改正刑法仮案を見ましてもまず一応はずしてある。それから、社会党から御提案になっておる案にも、たくさん提議された諸案を見てもまずないから、それらのことを
参考にして、取りあえず今度ははずしておこうではないかということでございましたが、しかし、私
どもといたしましても、はっきりその必要ないというような実は確信はなくて、ただ
あっせん収賄罪は従来から非常に
論議があって、今度初めてまず
法律にするから、先ほどのお
言葉を拝借いたしますれば、とにかく
おもやだけを作ろうじゃないか、直接
収賄罪もまず
おもやを作って、それからしばらくして蔵を建てた、それと同じように今度も取りあえず新しい試みで、非常にむずかしい
規定を入れられておるが、
おもやを作って、いずれは、これは
第三者供賄の
規定も要るだろう、要るろだうが、それは
一つ時期を見ていう、少し慎重過ぎるかもしれませんが、こういうつもりで作ったわけでございます。
あっせん収賄罪そのものも非常にありがたい御示唆を受けたのでございますが、私は
ざる法と言われますが、ざるだとは思いません。この中に入ったものは漏れなく検挙されますから、ただ批評すれぱ間口が狭い、狭過ぎやせぬか、こういう御批評はあるかと思いますが、これは私
ども甘受いたすつもりでございます。というのも、
あっせん収賄罪はとにかくむずかしい
規定、諸外国の立法例を見ても一律ではない、日本で初めてここで作るから、そう大幅に一網打尽に
あっせん収賄行為は全部この
法律の
処罰の
対象にすると言わずに、そのうちの最も悪質のものだけを
処罰する、そして社会に警告を与える。今日まで全部これは不問にされておったから、これは徳義的によくないことであるから、そのうちの最も悪質のものは
処罰する、他は社会道義にまかせる、こういうつもりで今お尋ねのありました不正の、
作為・不
作為ということでしぼったつもりでございまして、それもあまり幅が狭い、こういうことになりますれば、
考え方の相違と、こういうふうに
考えておる次第でございまして、
第三者供賄に戻りますと、やはりあれは将来十分研究しまして、いずれはこれを立案するような時期が来やしないか、かように
考えておる次第でございます。