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亀田得治君 最初に新しい
ケースである
大阪府の
忠岡町の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。
質問に入る前に、なぜこういう問題を取り上げるのかという点について、
考え方を若干申し上げておきたいと思うのですが、それは、従来
警察と
一般の人民との間にいろいろないざこざがあることがございます。そういう場合に、ややもすると、
警察が
自分の
権力を利用して、そうしてしっぺい
返しをする。こういう話はときどき私も聞くわけです。しかし、その
警察の
権力の
行使自体は、形の上では合法的でありますから、これは相当悪意を持ってやっておるということがわかりましても、なかなかその点をはっきりさせることができないわけです。
警察官といえ
ども、これは同じ
お互い人間ですから、
感情にとらわれることはもちろんあり得ることですが、しかしそれを公務の執行の上に現わしてくる。こういうことでは、
警察の威信という
ものが非常に傷つけられると思うのですね。そういう
立場から、私
ども絶えず正しい
警察権の
行使ということをこいねがっておるわけですが、必ずしもその
通りいっておらないことがあるわけなんです。しかし、今も申し上げましたように、
形式は、合法的であるためになかなかそういう問題があっても突きとめにくい。私はそういうことを
一つなくしてもらいたいという
意味で、ここに具体的な
ケースを
一つ出して、
真相を明らかに実はしてもらいたいと思っております。
事の起りは、非常に古い問題です。
昭和二十六年当時に起きた問題なんです。それ以来、
警察と
被告人にされた
山内という人が争ってきたわけですね。これは、
山内というのは
町会議員をやっていて、
公職にある。相当そういう
意味では公けの
立場で活動しておる方なんです。その方に、後ほ
ども申し上げますが、そういうしっぺい
返しがきて、それがともかく二十六年からですから、七年間やってきたわけです。私はときどきそのことは聞いているのですが、しかし、今
裁判所で
争い中だから、ともかく済んでから
——争い中にやったのでは、かえって君のそういう何が
誤解されてもいかぬから、私も遠慮したいということできたのですが、昨年の、
昭和三十二年の十月十五日の
最高裁判所の
判決で、終局的に完全に
無罪になったわけなんです。そこで、
本人としても、どうしても、これは
自分としても長い間苦しんできた問題だし、また、こういうことをほうっておけば、結局は役所の方だって、多少のことはあったって、時間がたってしまえば、
相手はもう泣き寝入りだ、こういうことの癖をつけてもいかぬ、どうしてもこれははっきりしておかなければならぬ、こういうことで、
地元の
検察庁等にも、後ほど申し上げます
書類等は出しているのですが、そういうわけです。
具体的に若干申し上げますと、この
被害者というのは、
大阪の
泉北郡
忠岡町の
山内誠巍、それから
加害者は、
佐竹秀澄というのです。これは問題が起きた当時は、
忠岡町の
自治体警察の
署長です。現在は
大阪市の大淀の
警察署の次長をしているわけです。現職です。で、この問題が発生するまでに、この
山内は、
佐竹署長の
警察行政上のやり方、これに対して、相当
批判を持っていた。率直に
ものを言う人ですから、悪いところは悪いと率直に
批判もしていたわけです。従ってまた、
警察の会計の監査、こういうことも、町の
議員として積極的にやろうとして、そうしてそれを妨害されたりして、問題も起したりしている。それから根本的には、
山内というのは、その当時、
自治体警察の
廃止論者であったわけです。私
どもは、その当時は
存続論者だったから、そういう
意味では
意見はちょっと違うわけですが、まあそれは別として、当時の
立場という
ものは、
廃止論者であった。どうもこういう
佐竹のような人のやっているところを見ると、これは廃止すべきだというふうな
議論すらも強硬に持っていたわけです。結局そういうことが、
山内と
佐竹との間にみぞを作って、そうして
一つの
口実を設けられて、
逮捕されたというわけです。
その
口実を設けられた問題を簡単に申し上げますと、当時、
昭和二十六年三月七日に、
被害者である
山内は、
大津川という川があるのですが、その川の
土砂の
採掘権を
大阪府の知事に
申請をしておろしてもらったわけです。で、その
採掘権をおろしてもらった直後に、
忠岡の
町立の
病院で
建築を始めていたのですが、その
建築に
コンクリート用の
土砂を使わしてもらいたい、しかし、
相手は
町会議員であるし、
町立の
病院なんだから、
一つ安く分けてもらいたい、こういう申し込みを受けたので、
山内も、それはごもっともだ、おれの方としても、そんなに別にたくさんもうける必要はないのだからということで、快く
自分が掘り出す
ものを譲る約束をしたわけです。そこまではもちろんいいわけですが、ところが、その
忠岡町の
病院の
建築が急ぐということで、結局、鑑札には十七日から掘ることになっておるのですが、少し
早目に掘りかけたわけです、期日よりも前に。もちろんそれは代金の納入は済ましておりますが、それから、それをずっと掘っていったわけですが、途中で、どうしても
期限までの分では、
町立病院に使う砂の分量が足らないということを、
病院の方から
山内が聞いた
ものですから、それで第二回の
申請を
大阪府の方にさらに出したわけです。もう少し要るから継続して掘らしてくれと。ところが、後には結局は、第二回の
申請も
許可されたのですが、第二回の
申請が
許可されるまでに、継続して掘った、これは、この事実は間違いないわけです。このことを聞き出してきて、結局これは無
許可の
土砂の
採掘だ、これは
窃盗罪であるということで、同年の六月十二日から三十日まで
逮捕状をもらい、そうして
警察に留置する、こういう
事件が起きたわけです。さらに、それは
裁判所に回って、しかも七月三日まで
拘置所に留置されております。
で、これは後ほ
ども申し上げるように、こういう
ものを
窃盗罪というのは、はなはだこれは無理なんですが、結局それは
河川法に基く
命令の
許可を受けない行為であることは間違いない、しかし、先ほど申し上げたように、
事情のあったことも事実なんだが、しかし、
形式的な
議論からいっても、
許可を受けていないことは間違いないのですけれ
ども、
河川法の
規定に違反してやった場合には、
河川法に基く
命令によっての罰則という
ものが、それぞれきまっているわけですね、当然それはそれで
処理すべき
ものである、それを
窃盗罪ということで
逮捕、こう出てきたことろに、
一つ問題があるわけです。
それからさらに、それに引き続いて、まだ何かないかということでいろいろ調べてみますと、その前年、
昭和二十五年に同じ
大津川の
堤外私有地、そこの
バラスを府の
許可を得ないで売った、こういうことが出てきたわけです。これも
法律的には非常に問題がある。
大津川は、これは
準用河川ですが、
準用河川の
堤外私有地の
売買をする場合に、
府県庁の
許可が要るかどうかということも、これは問題はあるのですが、しかし、事実は、
本人も府に確かめてみたところが、府の係官としてもどうもはっきり言わない、
見解がはっきりしない、そういうことで結局その
バラスを売るに当っては、
許可の
問題等はあまり触れないで
売買をしておるのが
真相なんです。ところが、今度
警察の方では、いろんな
規則を調べて、
規則の上ではどうも
準用河川の
堤外私有地であっても、
許可を得ないと、売ったりしてはいかぬのだというふうに思われる点を引きずり出してきて、結局そのことを隠して
相手方に売ったのはこれは
詐欺罪だ、こういうことで罪名を立てまして、再び七月二十三日に
逮捕したのです。先ほどの
窃盗罪で
逮捕して、
期限が切れて釈放した後、再び今度は一年前のそういう問題を引きずり出してきて、これは普通の
刑事犯罪とかそんな
ものじゃないわけですが、そういう
ものを引きずり出してきて、そしてしかも
詐欺だということにしてまたぶち込んだわけです。問題はその
二つですね。
そして、これらの結末はしからばどうなったかと申し上げますと、第一審では
二つとも
有罪になりました。それから第二審では、これは
事件が
二つあるわけですが、
詐欺罪も
窃盗罪の方も
二つとも
無罪になったわけです。
検察官の方では
窃盗の問題についてだけさらに上告したのですが、これも
上告棄却、当然こういう
ものは
窃盗の対象にも
法律的にいってならないのじゃないか、こういう場合の
処理の仕方は
河川法等によって、ちゃんときめてあるのですから、それを無視して、ことさらに
窃盗にもっていくということは、全然筋が通らぬというので、これは結局全部
無罪になったわけです。それで
本人としては
警察なり
——結局
警察ですが、
警察の責任を追及しておるわけですが、追及される方の言い分は、おそらくこれはむずかしい
法律問題があるので、そこの
法律の
解釈を
自分としては間違えたというだけなんだというふうな
立場での
弁解のようです。だから、そういう
弁解の成り立つような
法律問題も世の中にはたくさんあると思いますがね、あると思うが、だれが見てもどうもすぐ
窃盗とか
詐欺とか、そういうところにもっていくのは無理だ、
河川法関係の法規に別個の
規定という
ものがあるのに、ことさらにそれをはずして、重い、そうして世間体から見るならば、これははなはだもう、ことに
公職についておる者としちゃ工合の悪いことですよ、選挙をやろうとか、そういう
立場の人なら。果してそういうふうにもっていった
法律の運用、これが単なる誤まりということで済ませるかどうか、この点が
一つ私
ども問題にしなければならないのです。
それからもう
一つは
警察がいろいろでっち上げた事実
関係ですね。これは非常に無理があるわけです。
詐欺ということにもっていくために、いろいろの調書を作る過程において無理があるわけです。その無理は結局二審以上でくつがえされたわけですが、そういう事実
関係を曲げ、そうして
法律のわかり切った
解釈をことさらに曲げて、そうして
逮捕状をもらって、
逮捕状をもらったのだから
形式の方では合法的だ、七年間争ってみた、ところが、それは結局
警察は間違いであった、こういうことなんですが、
長官としては、この問題をよくまだ
御存じないかもしれませんが、どういうふうにお
考えになるか。私はもう
形式論をこの際お聞きするのではないのです。そんなことで私は片づけられない問題だと思う。その点をまず
一つお聞きしたいと思います。