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高田なほ子君 百年待てとか、五十一年待てという問題じゃなくて、これは大臣もおわかりだと思いますが、あすの急迫した事態を何とか解決できるように御善処願いたいというのが、これはむしろわれわれはこの場になると辞を低うして、この
教育の混乱を防ぐために大臣の特段の御決断をお願いしておる形なんです、きょうは。そこで実情を
調査してから善処をしたいと、こうおっしゃっておりますね。
本島教育長に会って実際をよく調べてから善処したいと、こう言っておられる。善処の結果、私
たちが期待するのは、あすの混乱をどうかして回避させたい、これだけなんですよ。ただあげ足を取るつもりはありませんけれ
ども、
東京都の実情というものは、すでに
文部省では
調査済みだと思うのですよ、大体御
調査済みだと思う。さらに御
調査済みでももう一ぺん
一つ御
調査願いたい要点は、
教員組合の方の昨晩のラジオのニュースによると、私
どもは
最後まで
話し合いを捨てない、
最後まで
誠意を持って
話し合いを続けていきたい、こういうような態度を持っておるわけなんです。ただしかし
文部省は、初めからこの
話し合いというものは拒否するようなふうに御指導になってきた、初めから
話し合いをせいという御指導ではなくて、団体交渉権がすべったのころんだのといって、法的な根拠に名をかりて
話し合いを避けさせるような方向に御指導になったということは、これは遺憾だと思います。しかし私は、今そのことについて責めようとは思いません。ただ、この四月の十二日に「
教職員の服務等について」という通達が都道府県
教育委員会殿、
内藤初中
局長の名において出されておりまするが、これは五項目にわたった
教育委員会に対する
要請でございますが、これは資料を
要求しておったが、きょう出ておりませんが、これを見ますと、みんな強硬に
措置をせよとか、厳正な
措置をしろとか、服務条件を乱したときはこうだとか、二十三日には
教員の集会の場所、それから何時に始めた、こういうようなことまで一々こまかい項目をあげて非常にむしろ強圧的な御通知がいっているようであります。こういう通知がいっている矢先でありますから、これは
文部大臣、よほど御決意いただきませんと、このあすの事態を回避するということは、しかく困難ではないかと思います。大臣にきょうは心からお願いしたいのですが、それについて質問いたしません。心からお願いしたいことは、あすの混乱の事態をどうか
一つ回避させていただきたいという、ただこの一言に尽きるわけです。御
承知のように、尾崎先生が
教育庁の前で切々たる遺書を持って自殺をはかられた事件が朝日新聞、読売新聞で報道された。私
どもも何ともいえない
気持になりました。この問題については、あとで時間をちょうだいして私もまた
当局、各方面から御
意見を聞きたいのですが、これは長谷川都教組の
委員長にあてられた遺書、ここにはこういうふうに書いてあるのです。
「長谷川さん、考え方によれば、闘争の手段に生命をもてあそぶようで、甚しく卑劣な行為のようにも思われます。」その次「しかし、時の流れのテンポがあまりにも早く、権力の力があまりにも大きく、大衆は真実を知ることあまりにも遠い場合には、このような非常手段をとることもやむを得ないのではないでしょうか。」
こういうふうにですね、非常な決意をもって、あまりにもテンポが早過ぎる、自分としてはもう訴える手段もない、自分の命をかけて、これはこういう事態を回避して、
最後まで
話し合いをしたいという
気持が切々として述べられているのです。私はこの先生の問題については
一つの問題としてではなくて、すべての方々が今こういう切ない
気持を持っているということ、たとえ
文部省の
内藤さんがどのような御通達をお出しになろうとも、御指導をお出しになろうとも、それは
文部省の権限において自由だと思うのです。しかし
文部省の権限は、こういう困難な事態を何とかして食いとめるというやはり私は使命を持っているのじゃないかと思うのです、いろいろの通達の出たあとに、大臣が今
東京都に行かれましてこの事態を回避なさろうとすることはしかく困難で勇気が要るのです。勇気が要ると思うのですけれ
ども、どうかこの二十三日に不測の事態が起って、つまらないことで犠牲者が出たり、またこうした命をかけた先生の
気持というものが無視されることがあったならば、おそらく私は今後いろいろな意味での歴史に悪影響を持つのじゃないか。私はきょうお願いする、どうかあすのこの事態をあなたの決意で回避することができるように、勇気を持って
一つ御善処願いたい。これはもう繰り返し申し上げる以外にない。きょうはお願いします。