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竹中勝男君 大へん次官から激励を受けて、(笑声)私も意を得ておるのですが、ほんとうに
外務省のこの文化何とか局ですね、情報局ですか——の予算などを見て、ほんとうに私は寒心にたえないのですよ。寒い寒心にたえないのです。(笑声)
外国の
学者が来て、
日本のことを手っとり早く知りたいというのです。で、
外務省の局にいきますと、もうこれは一冊しかありませんけれ
ども、というのを、まあ非常な宝物のようにして下さるのです。向うは五人も、六人も来ておるのです。この
日本を紹介する、
日本の文化を紹介する、産業を紹介する、総合的に紹介する、その資料
一つないのです。その資料だけでもないのです。これはもう
文部省の
社会教育局にも
関係すると思いますが、
文部省に行ってもおそらくそれを
外国文にした、
外国人にまで
日本の
教育状態をわからす、
日本の全体の大衆、
国民をどういうふうにして
教育しておるかというようなことは、
外国人にはわからないと思うのですね。それでわかっておるのは、例の富士山だとか芸者だとかあまり……、非常に制限された範囲なんです。これは私はもう、外務
委員をしているときもやかましく一度言ったことがあります。どうしてもその文化交流ということに国が力を入れないのが、やはりこの
海賊版などに関連してくると思うのです。
日本という国はまあ非常にどろぼうの上手な国だ、こそこそどろぼうをすることはこのごろやめて、大っぴらに海賊になってきた。こういう印象をもし与えると、これは
日本の将来の
経済や貿易について非常に不利な条件を
日本は持つことになると思うのですが、英国や
アメリカがもう各国に、その何といいますか、図書館を作ったり博物館みたいなことをやったり、展覧会をやったりして、どんどんやっておるのに、
日本というのはどうしても
外国にわからない、わかってもらえない。それはやはり情報や宣伝が
外国に行く予算がないことが
一つ、予算がないということはやはり熱意がない、圧力
団体のような熱意がないのです。ほんとうにその
通りです。博物館
一つ見ても
日本くらい恥かしい——京都の博物館といったら明治、古いだけが官庁自慢していますが何もない。借り物ばかり、よその宝物、個人の物を預かってそこに置いておくだけのことです。博物館の予算がないから博物館には物がないのです。そして見せない、蔵の中に入れてあまり見たらいかぬという、そういう博物館しかないのです。こういう社会
教育だとか、それから国外に対する
日本の紹介というものは非常に弱いという点は、もうこの
文教委員会で
一つこの
海賊版に合せて強調し、文部当局や外務当局に警告していただきたいと思うのですが、それにつきましてソ連及び中国との文化協定がおくれておるわけです。国交が回復しな、これはまあ
政府の立場はよくわかります。しかし
経済の交流、文化の交流、人道上の問題の解決には力を入れるというのが総理の答えです。総理の決意なんであります。貿易においては第四次協定にしても、鉄鋼協定についても相当進んでおりますけれ
ども、まだ文化の交流ということには非常に
民間の者が苦労しておるわけです。それでお互いに
日本のいいものをソ連人にも見せ、中国人にも見てもらい、中国のいいものを
日本人にも紹介し、ソ連のすぐれた芸術を
日本人が鑑賞する。これはアジアにおいて非常に大事な点だと思います。むろん日米の
関係においてもますますこれはやらなくちゃなりません。しかし、さてその中国やソ連になると、なお出し惜しみといいますか……
民間はこのごろは非常に熱心です。大新聞などがやるようになりまして、そういう点について外務当局あるいは文部大臣の御
意見を伺いたいのですが、いいもの、国の歴史、国の文化、そういう文化財をお互いに紹介し合う、先日敦煌展覧会が
日本に来まして、非常な熱心な観覧者、まじめな観覧者を吸収しております。近く何というのですか、中国舞踊団というものが毎日新聞のあっせんで
日本に来ることになっていますが、そういうときに
日本の文化を、こういう機会に
外国に紹介すると同時に、
日本人が正しいアジアの歴史、東洋の歴史、東洋の心、アジアの心というものを理解する、これは大きな社会
教育です。
日本人の心や知識を豊かにする
一つの契機です。社会
教育の大きなものだと思いますが、こういうときにもっと積極的に
政府当局、文教当局、外務当局は協力をしていただきたいと思うんですが、それについて文部大臣、
外務次官の御
意見を伺いたいんです。