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1958-03-27 第28回国会 参議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十七日(木曜日)    午後三時七分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     湯山  勇君    理事            野本 品吉君            竹中 勝男君            常岡 一郎君    委員           大野木秀次郎君            川村 松助君            下條 康麿君            高野 一夫君            林屋亀次郎君            三浦 義男君            秋山 長造君            大和 与一君            吉田 法晴君            加賀山之雄君   国務大臣    文 部 大 臣 松永  東君   政府委員    外務政務次官  松本 瀧藏君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省社会教育    局長      福田  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○学校保健法案内閣提出) ○著作権法の一部を改正する法律案  (野本品吉君外三名発議)     —————————————
  2. 湯山勇

    委員長湯山勇君) これより文教委員会を開会いたします。  先刻開きました委員長理事打合会の経過について報告いたします。  教育課程改訂及び道徳教育についての参考人はすでに三月二十九日土曜日に出席していただくことになっておりますが、理事会に一任いただいております参考人人選についても次のように確定いたしましたので御報告いたします。教育課程審議会会長日高第四郎君、教育課程審議会会長村上俊亮君、日本教育学会会長長田新君、東京教育大学教授梅根悟君。  次に、教職員の勤務評定に関する参考人出席については、委員長において内交渉を行い、先方の都合のいい日を確かめて決定することになっておりましたので、問い合わせたところ、先方より四月十日木曜日にされたいとの回答がありましたので、そのように手続を進めております。  なお、参考人人選については最終的な決定を見ておりません。  以上御報告いたします。     —————————————
  3. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 学校保健法案議題といたします。本案については前回すでに質疑を終局いたしておりますので、これより直ちに討論に入ります。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  4. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記を始めて下さい。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  5. 竹中勝男

    竹中勝男君 学校保健法案につきましては、私は賛成の立場で一言討論をいたし、あわせて各派意向をまとめました付帯決議案を朗読いたしまして御承認を得たいと思っております。  この学校保健法案は、世の中には悪法というものがあるようですが、これはきわめて善法でありまして、最も範囲の広い、また日本の現在の国民の健康からいっても、教育の上からいっても影響するところがはなはだ深く広い実にいい法案であると考えております。しかしながら、この関係するところが広く深いものであればあるほど、法律がいかに善意をもって法文が作成されておっても、これを実施するに当って、どこに重点があるか、どこが最も日本教育において、日本人の健康において弱い点であるか、どこにその行政上、管理上の欠陥があるかということについては、十分検討を要すると考えましたので、私どもは慎重に、審議をいたしてきたのであります。小学校学童が千二百万、中学校生徒が六百万、高等学校生徒が二百七十万、合計二千七十万の国民、ことに次の時代をになうところの国民にこれは影響するところの、その基礎を養うところの、すなわち次の日本経済、文化を担当するところのこの次代の人に対する、教育上に関係する、その基礎になるところの健康を守る法律でありますからして、こんなにりっぱな目的を持った法律はないのであります。そこで、各委員から熱心な御討議があったのでありますが、特に秋山委員からは、健康な者を管理するということは、むろんもとより必要であります。予防的に健康な者をはっきりさらに健康な者にするということは必要でありますけれども、さらに直接に、当面のこの法案のねらいは、やはり弱いところの者、病弱な者あるいは病気に冒されておるところの者、そういう学童、少年を養護するということが直接に大きな本法のねらいでなければならない。従って、現在養護教育というような形において直接にこういう学童生徒に触れておるのであるからして、この教育、この制度をさらに強化して充実していかなければならないという御意見があり、またわが国の疾病の一つの特色であるところの結核病が、児童生徒を冒しておる実情であり、結核予防対策についても強化する政府意向でありますが、現実においてはいまだこの青少年指導に十分の手が行き届いていない。また僻地のごときは無医村もあり、薬剤師の数も限定されておって、せっかくこの法律において学校医学校薬剤師がうたわれておりながら、果して現実にそれが十分配置されるか、あるいは学校の健康をこの人たちが管理できるかという点についても、いまだ十分の確信を持てない現実の段階におきましては、特にこれを注意してほしいという強い要望がありましたので、ただいま各派代表しまして、本案に対する次のような付帯決議を付して賛成をお願いしたいと存じます。学校保健法案に関する付帯決議案を朗読いたします。   政府は、本法制定の趣旨の徹底とその成果の高揚に努力し、特に、次  の諸点については、速かに適切な措置を講ずべきことを強く要望する。  一、高等学校以下の学校における養護教諭の必置制の促進。  二、結核に対する根本施策の一環としての学童対策の重視。  三、へき地学校保健対策の確立。  以上でございます。この付帯決議案にも御賛成を得たいと存じます。以上であります。
  6. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  学校保健法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  8. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  それから、報告書に多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     野本 品吉  林屋亀次郎     下條 康麿  三浦 義男     川村 松助  加賀山之雄     常岡 一郎  大和 与一     秋山 長造  吉田 法晴     竹中 勝男
  10. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に、討論中に述べられました竹中提出各派共同提案による付帯決議案議題といたします。  竹中提出付帯決議案を、本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  11. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 全会一致であります。よって竹中提出付帯決議案は、全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。     —————————————
  12. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 著作権法の一部を改正する法律案議題といたします。まず、発議者から提案理由説明を求めます。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  13. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。  著作権法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を求めます。
  14. 野本品吉

    野本品吉君 ただいまから著作権法の一部を改正する法律案について、提案者代表してその提案理由及び内容について御説明申し上げます。  まず、この法律案提案理由を御説明いたします。  戦後、外国科学書無断複製して、国内で販売する者が多くなりました。これは、わが国研究者や学生の間で外国書が高価なために、低廉な偽版書の需要が相当多いということにもよりますが、また、一方では現行の著作権法罰則規定が軽いことが偽版書横行させている原因となっているのであります。しかも、この種のいわゆる海賊版は、国内の正規の出版者ではなく、不法な常習者によって秘密裏に複製頒布されているのが実情でございます。わが国における外国書無断複製行為は、今日、国際的にも非難の的となっており、このためにわが国外国信用を大へん失っているのであります。  ところが、著作権法罰則規定は、明治三十二年制定当時のままであり、著作権侵害した者は、罰金等臨時措置法によりましても、せいぜい最高二千円以下の罰金に処せられるだけであります。これは、現在の経済事情に照らしましてもきわめて少額でありますし、また、同じ知能的権利保護目的とする特許法意匠法のような工業所有権法規定や、外国立法例と比較しましても大へん軽く、刑罰の目的を達することができないのであります。従って、この法律案では、著作権侵害の罪に対して新たに体刑を加えるとともに、罰金最高額を引き上げて、著作権侵害を防止し、あわせて著作権者保護目的を完全にしようとしたわけであります。これが、この法律案提出する理由であります。  次に、この法律案内容概要について御説明申し上げます。  第一は、著作権法第三十七条に著作権侵害の罪に対して五十円以上五百円以下の罰金罰金等臨時措置法により二千円以下の罰金)を定めておりますのを二年以下の懲役または五万円以下の罰金に改めたことであります。著作権侵害の罪に対して新たに体刑を設けましたのは、主として前述海賊版常習者の発生を防止しようとしたものであります。  第二は、第三十八条に著作人格権侵害の罪に対して三十円以上三百円以下の罰金を定めておりますのを五万円以下の罰金に改めたことであります。この規定他人著作物著作者無断改ざん変更を加えた場合の罪を定めております。  第三は、第三十九条に出所不明示の罪に対して百円以下の罰金を定めておりますのを一万円以下の罰金に改めたことであります。この規定他人著作物を利用する際にその出典を明らかにしなかった場合の罪を定めております。  第四は、第四十条に著作者名詐称の罪に対して三十円以上五百円以下の罰金を定めておりますのを一年以下の懲役または三万円以下の罰金に改めたことであります。この規定は自分の著作物他人の氏名を冒用した場合の罪を定めております。  第五は、第四十二条に虚偽登録の罪に対して百円以下の罰金を定めておりますのを一万円以下の罰金に改めたことであります。この規定登録官庁を偽わって事実に反した登録を受けた場合の罪を定めております。  第六は、公訴時効に関する第四十五条の規定を削除したことであります。従来、著作権侵害の罪に対する公訴時効は、刑事訴訟法規定によらないで、著作権法に特例を設けて二年としておりますが、これを改めて著作権侵害の罪に対する公訴時効刑事訴訟法第二百五十条第五号によって三年とすることにいたしました。  第七は、第四十五条として新たに両罰規定を設けたことであります。これは著作権侵害に対しましてもその侵害を行なった行為者を罰するほかに法人等に対しても前述罰金を科すことにいたしました。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞよろしく御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
  15. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  16. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。  これより本案質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  17. 吉田法晴

    吉田法晴君 こういう著作権法罰則強化しなければならぬという意見と申しますか、動きはどこから起ったのでしょうか、第一に伺いたい。
  18. 野本品吉

    野本品吉君 先ほどの提案理由で御説明申し上げましたように、著作権法における罰則がきわめて古い時代にできたために、現在の他のこの種の法律に比べまして罰則が非常に軽い、均衡がとれないということが一つ。もう一つは、罰則強化によりまして、著作権者著作権というものを保護する。なお、その罰則強化の当然の結果といたしまして、現在問題となっております海賊版というようなものの発行、発売というようなことについて、これを防止する効果を期待するというところに罰則強化するねらいがあるのであります。
  19. 吉田法晴

    吉田法晴君 ねらいは提案理由説明でわかるのですが、そういう要望は第一どこから出てきたのかと、こういうことです。
  20. 野本品吉

    野本品吉君 この要望は、実は海賊版が非常に市場に多く頒布されておるという事実がありますので、外国からも日本海賊版横行に対しましていろいろと批判があり、また抗議がきておる。それから、さらに国際的な学者会合等におきましても、それらの問題が指摘されて、非常に日本が批判されておる、こういうようなことは日本の国際的な信用を保持し高める上から言っても適当でない、どうしたならばそれを防げるかということが一つ。もう一つは、著作権保護してほしいと、各種の団体からも、ぜひ著作権法改訂によって著作権保護してもらいたいという熱心な希望請願陳情等が出てきておるわけであります。
  21. 吉田法晴

    吉田法晴君 海外等でという、海外等からというのですが、原著作者からどういう要望が出ておりますでしょうか。それから、あるいは新聞によりますと、著作権協議会等からも意見が出されたと、こういうことですが、この外国原著者、あるいは日本著作権協議会、あるいはその出版、放送、映画等、具体的にどういうところからどういう要望が出て、そこで著作権法改正を取り上げることになったのか、こういう具体的な要望の筋を伺っておるのです。
  22. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの御質問でございますが、これはあるいは文部省の方から申し上げた方がよろしいと思いますのでいきさつを申し上げますが、日本におきまして、戦後海賊版がいろいろ出ましたということにつきましては、外国出版社あるいはその元は著者でございましょうが、出版社から日本の、その洋書を輸入する洋書同業組合でございますが、そういう組合等に対しまして、こういった海賊版横行は困るというような申し入れも再三ありました。  それから、また外国政府から、外務省等を通じましてそういった意見も、たとえばアメリカとかその他関係の国から注意を喚起されたこともございます。そういった意味で、ルートとしては政府関係、あるいは外国出版社関係からそういった要望が出たということは事実でございます。それからまた日本学者等外国で開催されますいろいろな学術会議に出ました際に、いろいろそういう海賊版の問題が話に出まして、非常に赤面をしたというような事実もあるようでございます。  以上まあ少し、ばく然としておりますけれども、過去において幾たびかのそういった要望があるということでございます。
  23. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、今の第一に言われました外国出版社から、洋書輸入同業組合申し入れがあった。それはおそらく政府申し入れがあったのだろう、文部省申し入れがあったのだろうと思うのですが、それから外国政府からの申し入れというものは、これは今言われたように外務省——それもやはり結局は文部省じゃないでしょうか。それから、学術会議学者が赤面するようなことがあったというお話です。これはどこにきたか……やはり文部省にきたのですか。
  24. 福田繁

    政府委員福田繁君) もちろんそういった外国政府からの注意の喚起なり、あるいは輸入業者の方の話というものは、文部省にももちろん参ります。あるいは外務省にもそういう関係の話は当然いっていると思いますが、外国会議での学者の話は、これはまあ非常に個人的な話になりますので、私どもはそういったことがあったということを伺っているわけでございます。  なお、日本の各団体におきまして、特にこの著作権侵害に対する罰則強化という問題については、日本の各いろいろな著作権関係団体におきましても非常な関心を持っておりまして、昭和二十三年には日本著作家組合から衆議院請願を出された。また同じ年には日本文芸家協会等におきましても、そういう問題につきまして、衆議院罰則強化してもらいたいというような請願がなされております。それからまた二十四年、それから三十二年と、そういうように過去におきましても、そういった文芸家協会、あるいは海外出版物輸入同業会日本蓄音機レコード協会といったような、そういう数団体を通じていろいろなされているわけであります。そういった要望があるということをあわせてつけ加えて申し上げておきます。
  25. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  26. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記を始めて。
  27. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ、外国政府から云々ということで、外務省を通じてというお話文部省社会教育局長からあったのですが、せっかくおいでになったのは、その辺のことを説明しようということじゃないかと思うのですが、せっかくおいでになった外務次官から、外務省に入っております海賊版の、何と申しますか、禁止のための措置要望等について御存じのところがあったら、この際お聞かせをいただきたい。
  28. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) あるいは重複するかもしれませんが、万国著作権条約というものが昭和二十七年にできまして、日本がこれに加盟いたしましたのは昭和三十一年でございます。批准書寄託と同時にこれに加盟したのでありまするが、この国際条約の中にははっきりした罰則規定というものがないのであります。その規定は、おのおの加盟している国におきまして、国内法でそれを規定すべきであるということでございます。そこで、条約違反とか、そういう強い線ではなくして、日本国内法が不備であるとか、そういう点でなくして、いろいろとケースが……。正式の文書とか、あるいは正式のこれが申し入れというのではなくして、会談、会議の最中におきまして、口頭でいろいろと注意を喚起されたことはございます。たとえば、商品のトレード・マーク問題等あたりと合せまして、あるいはコピイ・ライトの問題もあるというような注意も受けたことはございます。大体その程度でございます。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 さっきの社会教育局長の話ですと、外国政府アメリカ等から外務省を通じて政府云々ということであります。これは正式の抗議のようでしたが、今のお話では、トレード・マークの何といいますか、不正使用等と関連して、いわばつけたりで、非公式に会議の際に言われたということのようですが、話がだいぶ違うのですが……。
  30. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 私も、先ほどちょっと局長の話を聞いておったのですが、その言葉通りでありまして、注意があったという工合に表現しておられます。正式の抗議文とか、そういうことではなかったと思うのでありまするが、注意のあったことは事実でございます。
  31. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、注意というのは、トレード・マーク不正使用等に関連して口頭注意をされたことはあるけれども文書等政府から正式に日本政府あて抗議というか、注意というか、それは知らぬけれども、そう四角張ったものではなかった、こういうことですね。
  32. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) その通りでございます。さらに、いろいろと国際学術会議におきまして、ことにまあ科学書が非常に多いということを聞いておるのでありますが、そういうときに、こういう問題が出たということを、報告を受けたりなどしておりますが、正式の抗議文というようなかた苦しいものはもちろん今日までなかったのであります。
  33. 吉田法晴

    吉田法晴君 わかりました。いわば注意というか、抗議的な注意であるかのごとくに聞くのですが、そうすると、先ほどお尋ねしておったのは、国内あるいは国外からの要請にしても、これは政府機関になされた要望であり、あるいは請願等であったと思うのでありますが、それが政府で取り上げられないで、議員提案になりましたのはいかなる理由に基くものでしょうか。
  34. 野本品吉

    野本品吉君 これは請願だけでなしに、日本著作家組合代表、あるいは文芸家代表蓄音機レコード協会代表、そういうような方々から、国会に対しましても、著作権法改正によって著作権の完全な保護の受けられるようにしてほしいという申し入れ要望があるわけであります。
  35. 吉田法晴

    吉田法晴君 社会教育局長に伺いたいのですが、従来外国政府から、あるいは日本学術関係学者、あるいは著作権関係組合洋書輸入同業組合というものもありますが、そういうところから要望があった、それを受けられたのは文部省なり、あるいは直接か間接かは別として、とにかく社会教育局長として受けられたのでしょうが、それを政府提案にしなかった理由はどういうところにあるのですか、それを政府に聞きたい。政府は今までに要望を受けたのです。
  36. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいま各方面からの要望なり、請願等は、これはもちろん政府に対する要望もございましょう、国会に対する要望ももちろんあるわけでございます。それからまた外国のそういった出版社等から参ります注意なり、要望というものは、これはそういった組合を通じて参りますけれども組合自体に対して何らかの措置をしてもらいたいという、こういう希望もあるわけであります。だから、まあ政府民間を通じました全体に対して、日本に対して何らかの措置をしてもらいたい、こういうような、外国からの希望はそうだと思います。ただいまのお尋ねは、これが政府提案でなくて、議員提案になっているのはどういうわけかというようなお尋ねのようでありますが、ただいまのような各民間団体等からの陳情等もありましたので、そういう関係議員方々がお取り上げになった問題でございます。それからまた政府としても、こういう問題は当然研究しなければならない問題でございますが、政府におきましては、ユネスコ著作権会議等におきまして、今後いろいろ全面的に検討しなければならない問題が非常に著作権法の中にございまして、そういった問題とあわせて考えたいというような気持で、いろいろ研究いたしておったのでございますが、ただこの罰則強化でなく、いろいろ他の関係上、改正するなり、あるいは措置するということになりますと、なかなか政府として緊急にこれを決定して御審議願うというようないとまがありませんので、政府としては提案しかねたことでございます。  以上がいきさつでございます。
  37. 吉田法晴

    吉田法晴君 請願陳情等があって、議員の方で取り上げられたという点は、提案者野本さんから伺ったのです。あとは先ほどの、注意とかいろんなものは政府が受けたとおっしゃるから、その政府が受けた陳情をどうして政府が取り上げなかったのか、こういうことをお尋ねしたのですが……。その消極的な理由の中には罰則強化だけでなく、ユネスコ著作権会議等でいろいろ問題になった点等もあって、罰則だけでなしに、文部省としては、あるいは社会教育局としては、著作権法のほかの部分についても修正を要するというか、あるいは著作権法でないかもしれませんけれども著作権の関連から別に手当をしなければならぬ点もあって、相当多岐にわたっているから、政府から著作権法改正案を出すには至らなかった。その間に議員の方から罰則強化が出されたと、こういう御説明です。そうすると、今のユネスコ等で問題になっております著作権に関する諸問題というのはどういう点でしょうか。
  38. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは非常に広範な問題でございまして、御承知と存じますが、ユネスコ会議におきましては、いわゆる著作権に隣接していろいろ保護をしなければならない権利がたくさんあります。この世の中の進歩に従いまして、今著作権法の中に規定しておりますいろいろな権利だけでなく、いわゆる隣接権というような問題が非常に国際的な問題になってくるのです。そういう問題を含めまして、従来から文部省に文部大臣の諮問機関として置かれております著作権制度調査会におきましては、この著作権法の問題点と申しますか、将来改正を要するような点につきまして、従来から検討を続けておりますところに、今申しましたような世界的な新しい問題が起ってきておりますので、そういう問題を加味してこれの改正をしてやるということになりますと、なかなか早急にこれの改正が実現できないというような事情にあるものであります。
  39. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、ユネスコ等で問題になった著作権に接続する権利の保護のためにどうするかということは著作権制度調査会等で検討しておる、その結論がまだ出ておらぬから法律的な手当について案を具体的に出しておらぬ、こういうお話でございます。ところが罰則規定強化による海賊版の絶滅といいますか、そのためにいろいろ要望はどこからあったかと言ったら、外国出版業者あるいは同じ輸入同業組合あるいは外国政府から、あるいは学術会議、あるいは著作権関係団体等から要望があった、それは政府要望があった、こういうことです。そうするとさっき国会にも請願されたと、こういうお話ですけれども、あの請願書は国会できめて政府に出すには願意おおむね妥当なるものとしてこれを政府に送る、こういうことで政府に来ているのですね。あれは国会に行ったのであって政府の方に来なかったのですか。行っているでしょう。
  40. 福田繁

    政府委員福田繁君) もちろん国会で御採択になりました請願政府にもそのことは手続を経て来ていると思います。
  41. 吉田法晴

    吉田法晴君 とにかくどういう方面から要望があったかと言うと、いろいろそれが政府に来た、著作権に接続する権利についてはまだ時期が熟しておらぬ。しかし、その罰則強化ということについてはどうなんですか。それもまだ時期が熟さないでほかとの関連で時期が熟さないうちに国会が先に取り上げた、こういうことですか。
  42. 福田繁

    政府委員福田繁君) その点は、先ほど申し上げた通りでございまして、政府としては他のいろいろ問題になっている点の改正を何らかの措置をしなければということで現に研究をいたしております。従って政府としてはその罰則のみを政府提案法律として出すのに非常にちゅうちょしたというのが現状でございます。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 福田局長にお伺いしますが、他にいろいろあるというのは、たとえばどういう点ですか。その主要な点をちょっとお示し願いたい。
  44. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは、あげますといろいろあるのでございますが、一つは現在の日本著作権法は、ベルヌ同盟の関係のベルヌ同盟国ということになっております。いわゆる欧州大陸の系統を引いた著作権法になっております。で、戦争以前におきましてはブラッセルで行われましたブラッセル規定によって著作権ができておりますが、その後戦争中におきましていわゆるローマ規定という、ローマで会議がありましてローマ規定というものができております。それで非常に多岐にわたる問題でありますが、ローマ規定には日本は入っておりません。従って今後ローマ規定をいかに補正していくかということは、これは日本著作権法におけるところの一つの問題でございます。また、そういったローマ規定のみでも相当著作権法のいろいろな部分に修正を行わなければならぬというような問題もございます。それからまた、さっき申し上げましたように、隣接権という問題が戦後に起って参りました。これは著作権として本来保護されている権利でなくして、著作権に隣接しているところの権利でございまして、たとえば一例をあげますと、放送等におきまして放送者が実際にやりましたときにその放送者の権利というものを著作権法保護すべきか、あるいは他の労働法規みたようなもので保護すべきかというような問題がありまして、これはユネスコでも研究いたしております。あるいはILO等におきましても研究しておりまして、そういった世界の問題につきまして、これは将来ユネスコとILOと、それからまたベルヌ同盟三者協力して各国の調整を加えながら、必要な保護規定を設けていこうじゃないか。こういうような傾向になっておるのであります。今、放送者の権利を一例として申し上げましたが、あるいはまた新聞のニュースの権利とかいろいろあげれば幾らもあります。そういったいわゆる今まで日本著作権保護しているところの権利以外にいわゆる文明の進歩に従っていろいろ保護すべき問題がたくさんありますので、そういった問題を今後取り上げて相当研究してやらなければならないという問題があるわけでございます。  それからちょっと、先ほど申し上げたことで訂正いたしますが、ブラッセル規定に入っておると申しましたが、それはローマ規定であります。ローマ規定には入っておりますが、ブラッセル規定には戦争中のことでございますから入っていない。こう訂正いたします。
  45. 秋山長造

    秋山長造君 そのベルヌ同盟からブラッセル規定、ローマ規定というつながりは、ちょっとさっきのなんでよくわからなかったのですが、これはベルヌ同盟に日本も加盟して、そしてベルヌ同盟で大体きめられた、いわば基準のようなものを日本もそのまま採用しておった。それがそのブラッセル規定に変り、ローマ規定に変って行って、そしてローマ規定というものに日本も加盟しているということですか、そこのつながりをもう一ぺん御説明願います。
  46. 福田繁

    政府委員福田繁君) このベルヌ同盟を作った著作権条約に日本が最初に加盟したのであります。その後のローマの会議におきまして、ベルヌ同盟の著作権条約の内容について進歩と申しますか、改正があった。それには日本は入ったのであります。ところが、戦争中にちょうど日本はそういう外交関係がなかったものですから、戦争中にブラッセルにおいてベルヌ同盟の関係会議があって、いわゆるブラッセル規定というのができたのであります。これには日本は戦争中であったために入らなかったということであります。
  47. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、戦後ローマ規定による著作権条約ですか、それには日本は入ったと、そのときにそのローマ規定に対応するような改正というものが当然日本著作権法について加えらるべきであったんじゃないですか。
  48. 福田繁

    政府委員福田繁君) 御意見でございますが、これにつきましては、その後国会でも御審議をいただきました、ユネスコ万国著作権条約というものができて、ベルヌ関係の諸国とアメリカ関係の諸国との著作権関係規定の橋渡しをする意味の万国著作権条約というものができて、日本もこれに加盟したことは御承知の通りであります。従って、この万国著作権条約関係については日本も世界各国に自由にそういった保護ができるわけでございます。ただ、根本において日本著作権法が非常に古いためにやはりそういった点において、個々の点について検討の余地のある問題があるということを申し上げたわけでございます。
  49. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、万国著作権条約には日本も加わっておるのですから、結局著作権については著作権条約とそれから著作権法と二つが競合しておるようなことになるのですか。それに抵触するような面はないのですか。
  50. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは抵触する点はございません。万国著作権条約日本の現在の著作権法とは抵触いたしません。
  51. 秋山長造

    秋山長造君 抵触しないということになると、著作権法を別に古過ぎるから改正しなきゃならぬということもないということになるように思われるのですがね。それがわからぬ、僕には。
  52. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは、この前申し上げましたように、古いから規定改正しなきゃならぬということでなく、先ほど申し上げましたように、いろいろの点で世界各国が共通に研究している問題がございます。そういった研究問題が幾つかある限りにおきましては、日本著作権法も将来の改正につきましてやはり同じような問題を研究しなきゃならない、こういうことでございます。
  53. 秋山長造

    秋山長造君 いや、その点はね、それはわかるのですよ。どういう法律だってどこの国も皆研究しているのだから、日本だって研究しなきゃ、一つ法律がいつまでもそのままというわけにはいかぬでしょうけれども、今の著作権法の場合は、すでに今ある著作権について現在の世界の水準からいっても、もう古過ぎて、これはいじくるということになると、もうあちこちいじくらなきゃいかぬ、だからとてもそれは急場の間に合わないから、というような説明のように私は受け取っていたのですがね。それで、各国が研究しているというのは将来の問題ですからね。すでに各国の、現在の各国の著作権法に比べて、日本の今ある著作権法というものがあちこち欠陥だらけだ、だからそれを現在の世界的な水準に持っていくためにも早急に何とかしなきゃいかぬが、しかしこれはやはり手を入れるということになると、これはとても急場の間に合わないほどあちこちボロが一ぱい出てくる、こういうことじゃないですか。
  54. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私の説明が少し足りませんかもしれませんが、現在日本著作権法が非常におくれているというのではないので、これはやはり今まで申し上げましたように、世界との、いろいろな世界各国との会議等におきましてもそういういろいろな検討の問題が出ておりますので、そういった問題を今後取り入れていかなきゃならぬ、こういうような改正が今後に必要になってくるということを申し上げておるわけであります。
  55. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、現在の世界の各国の著作権法に比べて日本著作権法がおくれているとか、遜色があるとか、不十分だとかいうことじゃないのですね。そうすると、大体この罰則規定なんかにしてもこんな、われわれがわざわざ名前を連ねて改正なんかを急いでやらなきゃならぬというほどの必要もないのじゃないかという気がするのですけれどもね。罰則の点だけは非常におくれておったのですか。
  56. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは罰則の点につきましては、明治三十二年に制定された当時のままになっておりますので、提案理由説明の中にもありました通りでございまして、これは確かに各国の著作権に関する著作権侵害の場合の罰則に比べて非常に軽いということが言えるわけであります。
  57. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますとね。この罰則の点を改めれば、大体もう先進国のこの著作権法に対して別に遜色は認められぬということになりますか。
  58. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは非常にむずかしい御質問のようでありますが、罰則の点は確かに今申しましたように、日本著作権法は軽くなっております。ところで著作権法につきましては、これはもちろん条約等が根本になっておりますので、いろいろこの条約を根幹といたしましてできているわけでありますが、しかとながら日本の場合におきましては、日本のまたいろいろ実際に関係する向きの特殊な問題がありますので、そういった点は条約の解釈なり、あるいは法の運用の場合にいろいろ問題があると思いますが、そういった点につきましては、これは一々各国と比較して、どちらが進歩しているというようなことは言い得ないと存じますが、条約を根本にしておりまする限りにおきましては、これは世界の著作権法と同様だと考えて差しつかえないと思います。  ただ、日本は最近までにそういった著作権法の大改正をやっておりませんで、外国はその後におきましていろいろの改正を実施しているという点はございます。
  59. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、最初国際著作権条約の線で各国ともやって、日本もやって、それでやっておって、各国はその後思い切った大改正をやって今日になっており、日本は何もやってないということになると、やっぱり大改正をやっているだけ各国の方か進んでいるということになるのじゃないですか。その点はどうですか。言葉のやり取りを見ていると、そこらがどうもよくわからぬ。
  60. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは、そういった新しい規定を入れた点については、進歩と言えるかもしれませんが、これはやはり各国まちまちでございますので、日本だけがおくれているというようには考えられません。ただ具体的に問題を処理する場合に、非常に困る問題があれば、その具体的な日本の特殊事情に応じて、そこまで改正していくということはこれは必要だと思います。従ってそういう問題について先ほど申しましたように、この著作権制度調査会でいろいろ研究中だというここを申し上げたのでございます。
  61. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、そり著作権制度調査会で研究をしておられるのは、もうすでに前々からやっておられるのだろうと思うのですが、これは大体その目途をどの辺に置いておられるのですか。何か教育課程審議会なんか半年くらいで、御承知のように半年くらいでぱっぱっぱっぱっやってしまったんですが、著作権の方はまことに漫々的ですが、何か適当な目安というものは置いておられて、そうしてそのときにまとまったものを基本にして、この著作権法の大改正政府の責任においておやりになるというこの目途でやっておられるのですか、どうですか。
  62. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは事柄が事柄でございますので、いついつまでにというような期間を限って結論を得るということは非常に困難でございます。この著作権法関係します分野というものは、日本の文化に非常にまた関係があり、各団体にもいろいろ関係がありますので、そういった調整等も十分やはり考えなければならぬと思います。従って期限はありませんけれども、できるだけ調査会としては早い機会に結論を考えたいというような気持は持っております。
  63. 秋山長造

    秋山長造君 これは諮問をしておられるのですか。この調査会に対して。
  64. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは著作権法のどこを改正するというように諮問はいたしておりませんが、著作権制度調査会は大体学者の集まりでございます。学者関係の方がたくさん入っておりますのと、それからまた民間の各団体代表みたいな方がたくさん入っておられますので、それぞれ問題点を持ち寄りまして、そうして研究していくというのが今まで建前になっております。従って、特に文書でもって諮問はいたしておりませんけれども、この改正するという前提に立っていろいろ研究いたしておるわけでございます。
  65. 大和与一

    大和与一君 さっきお話を聞いていると、外国からは一応注意喚起といいますか、そういう程度のまあ注意を受けておる。そうしたら今度は、こちらの方でこういう法律を出さなければならぬということは、資料四を参考にするほかないと思うのですが、三年間で百八十件ある。そうすると、それが三年間に百八十件ということは、常識的に言ってどうも多過ぎる。これはよくないから一つやめたいと、こういう気持で議員立法になったのか、あるいは政府としてはこのくらいな資料ではまだ政府としてこの法律を変えるということは必要ないのだ、こういうふうに思ってやったのか。それをまあ一つ聞きたい。  それから第二の点は、これを改正するのについては、必ずこれからこういうことがなくなるということが前提だと思うのです。そうすると、今度のこの改正によってまあなくなるという自信がおありなのか。  第三点は、さっきもお話があったように、国際的な条約の水準があって、日本は明治以来変えていない、これはよくないかもしれぬ。各国で変えたならば、その変えた国々の、変える前と変えたあとの件数なり、あるいは罰金の金額なり、あるいは体刑内容なり、こういうものを全部正確に調べてその比較検討された上で、日本の現在の状態では、これはお金の方はこれくらいにしたい、体刑はこのくらいにしたい、こういうところまで正確にお調べになって、そうしてなされたのか、その三点。
  66. 野本品吉

    野本品吉君 これは筋からいえば、私ども政府の提案による著作権法の全面的な改正を期待するわけです。しかし先ほど来、局長からいろいろ説明のありました通り、当面する問題を、できるだけ早い時期に何とか手当をしなければならぬということで、筋としては先ほど申し上げましたような気持でおったのでありますけれども、当面の対策として、ほうっておくわけにいかぬだろうということで、議員立法というような形をとろうとしたわけです。  それから第二点の、これでなくなるかの問題でありますが、私は全部これでいわゆる海賊版が絶滅できるとも思いませんけれども、こうすることによって相当程度防止し得る、こういうふうに考えております。現にこういう問題が新聞その他で報道されて、国会で取り上げているというような状況が生まれて参りましたところが、従来この種の仕事をしておった相当多数の者が一つにまとまって、合法的な会社を作ろうという機運が起っておるということを聞いております。絶滅はできないと思いますが、相当心理的な効果は期待できる、こういうふうに私は考えております。
  67. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの説明にちょっと補足させていただきますと、百八十件と申しますのは、これはわかったものだけでございまして、まだ秘密出版と申しますか、そういうものはちょっとわからぬものがあるかもわかりません。従って、まだ百八十件以上におそらくわたっているであろう、こういうように考えられます。  それから、なお、この外国の立法の問題でございますが、これは海賊版が特に戦後日本に多くなったという実情でございまして、外国ではあまりないというように聞いております。ただスペイン系統の国では、特に南米あたりでそういったものがあるように、国際会議等に話が出ております。他の国々におきましては、そういう海賊版出版というような事実はないようでございます。
  68. 大和与一

    大和与一君 それじゃ著作権法の根本的なというか、全体的な検討は十分したいと思っている、しかし当面は、主としてこの金額と体刑内容、これを主にしてやって、最良ではないけれども、これをやらぬよりやった方がおそらく相当減るだろう、こういう暫定措置としてとりあえず出してみる、こういう意味にとっていいですか。
  69. 野本品吉

    野本品吉君 今御質問の通りに私どもは考えております。政府で完全なものを出して、それで防遏できるものならば、それがいいことは当然ですけれども、ただ当面の措置としてはこういうことが必要である。もっともこれは逆に考えれば、こういう罰則改正によって、他にいわゆる海賊版だけじゃなしに、著作権全体というものが、ある程度保護が十分できる点もありますし、それからその結果としていわゆる海賊版というものの相当程度の防止もできる、こういうふうに考えておる次第であります。
  70. 大和与一

    大和与一君 そうすると、政府は、そういう今おっしゃったような意味だから政府提案としなかったんだ、こういうふうに理解してよいですか。
  71. 福田繁

    政府委員福田繁君) 野本先生のおっしゃる通りでございます。
  72. 竹中勝男

    竹中勝男君 これは発議者になっておって質問するというのは妙な形ですけれども、これは審議する上の前提となるような点について、当局の御意見を聞いておきたいと思うので質疑するわけです。特に文部大臣、外務次官お尋ねしたいんですが、去年の、あれはいつですか、十月にワシントンで開かれた政府機関著作権委員会で、大へん日本にとっては不名誉な決議というか、発議がなされているんです。それは、日本は組織的に海賊版を作る傾向を持っているということをこの委員会がいっております。元来、海賊版という言葉すら、非常に不名誉なんですけれども、今聞くところによると、スペインがある、その次に対象になるのは、スペイン以上かもしれないけれども日本であるというような、こういう海賊に日本がされる、しかもこれは個々の業者をいっているんじゃなくて日本がそういう傾向があるというんです。これは非常に聞き捨てならない国の不名誉になることであると私は考えております。で、文部大臣にお伺いしたいんですが、なぜ日本にはこういう海賊版がはやるのでしょうか。まあまねするのが上手である、何でも、ちょっとやることが上手というだけじゃ済まぬと思うんです。というのは、ロカビリーがアメリカからすぐ日本にきて、日本の方が盛んになるというようなこととは違うと思うんですが、なぜでしょう。大臣の意見を伺っておきたい。
  73. 松永東

    ○国務大臣(松永東君) これは私はしろうとですから、よく知りませんけれども、大体洋書が購入するのに非常に高価過ぎる、それでやはり今問題になっているような海賊版が流行するというようなことを聞いております。それといま一つは、やはり著作権侵害といいますか、海賊版を出しても大した処罰をされない、そういう点がやはり今仰せになったような不名誉な名前まで冠せられるというような事態が起ったんじゃなかろうかというように考えております。
  74. 竹中勝男

    竹中勝男君 ただいまの、そのあとの分については私もそう思う。その前の分についても、ある意味においてはそうだと思いますが、そうすると、洋書か非常に高いから、安い洋書を作るということは、日本の研究を促進するからして、文部大臣もそれを奨励されるわけですか。(笑声)
  75. 松永東

    ○国務大臣(松永東君) どうも海賊版奨励というわけにはいきません。しかし何とかしてそうした違法をあえてせぬようにやりたいというふうに考えておるんです。
  76. 竹中勝男

    竹中勝男君 しかし洋書の輸入物が高い。で、日本の大学の予算は、文部大臣が知っておられる通りに、非常に少い。東大の化学講座の予算は、講座八、教授、助教授が八人おります。助手が十六人おります。そうして図書費が八十万円しかありません。ところが、海賊版でやっている何とかいう化学全集は、原価は三百万円ほどします。海賊版ですると三十三万円で手に入る。そうすると日本研究者は、ほんとうに勉強しようと思ったら、海賊版によらなくちゃならない。そうすると、大臣はそういう現実を認められるのであれば、やはり文部省は予算を組まないのですから、海賊版を奨励されていることに事実はなるのじゃないですか。
  77. 松永東

    ○国務大臣(松永東君) いや、それは事実はそうなるかもしれませんけれどもね、事実そうならぬようにしたいと思って、文部省としては努力を続けているので、要するに戦前は、世界各国のいろいろな著作にもひけをとらぬような相当の文献が出ておりました。やはりまあ戦争の結果、御承知のように、やはり外国の文献に頼らんければならぬようになって、従って海賊版というものが起ってきた。ですからして何とか——この間から当国会でも問題になっておりまするように、やはり学者を尊重して、そうして質的にもそうした研究に、自由な研究をさせるようにやはりしむけていかんければならぬ。そうすることによって海賊版なんかもおのずから根を絶つようになるのじゃないかと思っております。しかし、遺憾ながら三十三年度の予算では、どうもそこまでは私にはやれなかったことを大いに遺憾と思っております。
  78. 竹中勝男

    竹中勝男君 大臣の言われることが実行されれば、これはもう海賊版はなくなるのです。海賊版については、法律よりもむしろ予算をということが解決するだろうと思うのです。予算といいますか、日本の生活を、もっと学者が図書の購買力を持つようになり、学生が容易に外国書も買えるようになるということが、これはもう海賊版を解消するという、不名誉を回復する前提になるのですが、現実はそういうふうにいかぬ。それで海賊版の業者も、学生も、あるいは学者の一部もでしょうけれども、まあ海賊版を——まあその海賊というのには、昔から英雄がおったり、国のためになったり、えらいことをやっているのですから、義賊のように思っている国民の感情もあるのですね。われわれの学問を助けてくれる、国の学術を進めてくれる、研究を進めてくれる……。そうすると、業者もまた鼠小僧の親類のように、自分でも悪いことだけれども、またこの何といいますか、必要悪というふうに考えて、まあ大目に国も見てもいいじゃないかというような気持も出てくる危険も私はあると思うのです。そこで、私はやはり文教の当局に、あるいは外務当局に、特にこの法案審議の前提としてお伺いしたいのですが、一つはやはり日本人——われわれのモラルに関することだと思うのです。花をどろぼうしてもどろぼうではないということわざが日本にもありますが、まあ学術の書物を多少どろぼうしてもそう大したことじゃないと思う風潮があるのです。私どもが書物を貸すと、返ってこない書物がだいぶあります。私どもも人の書物を借りて返さないこともある。(笑声)それはあまり毎日そうやっているというのじゃありませんが、そういうことについて割に無関心というか、その意識が低いというか、日本人のこれは通弊ではないかと思うのです。外国の図書館で、本の期日がおくれるのは日本人の学生が一番多いのです。私自身おくらしたのですが、そういう意味で、たとえばデザインでも何でもまねするということはそう大した罪じゃない、著作権なんかも、いいことに使えばいいじゃないか、こういう風潮はやはりはっきりした道徳的意識に呼び戻さなくちゃならぬと思いますが、大臣もそうだと思います。それと同時に、まあ外務省の海外との学術交流や、文化交流や、この日本の宣伝ですね。宣伝というとあれですけれども、そういう政策がまだどうも確立していないように思うのですが、次官にその点をお伺いしたいと思います。
  79. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 前段と、ただいまの御質問と合せて一つ答弁させていただきたいと思うのでありますが、実はいろいろな学術会議におきまする著作権海賊版の問題、先ほど申しましたごとくいろいろ起りまして、その報告も受けておりますし、またいろいろな会議におきまして、また折衝の過程におきまして、口頭等あたりでこの問題を注意されたことも先ほど説明した通りであります。特に私どもが、日本商品の輸出制限運動を起しております。それに対抗いたしまして、折衝するたびごとに、かかり合いに出されるのがこの海賊版の問題なんであります。デザインであるとか、トレード・マークを盗むという問題に関しましては、多少日本側におきましても、これを弁護するだけの資料はあるのであります。たとえばメーカーが無知である。従ってアメリカであるとか、英国の商人がやって参りまして、こういうデザインを作れ、こういう箱を作れ、こういう名前を書けというようなことを、正直に受けまして、向うに参りました品物が問題になるのですが、これらの問題に関しましては、最近の洋食器の問題等あたりの例を見ても御存じだと思うのでありまするが、日本側の自制によりましてこれを解決していっておるのであります。またアメリカにおきまするところの輸入制限問題も、ジェトロ等あたりを強化することにいたしまして、日本側の自制を彼らは信頼して、この問題が解決されておるのであります。  この海賊版の場合におきましては、これはもちろん先ほど竹中先生の言にもありましたごとく、組織的に日本がやっておる。これはモラルの問題、道義の問題であるということを絶えず、何と申しますか、対照として出されますので、輸入制限の問題等あたりでも、相当被害をこうむっていることは事実なんであります。従いまして日本側におきまして、自発的にこの問題を何とか一つ解決していくという責任をとられるということは、外務当局としては非常に望ましいことでございます。  文化交流等の問題に関しましては、これは私あわせてまあ御答弁するのはどうかと思うのでありまするが、どうも文部省とか、外務省というのは、予算折衝の場合に、非常にプレッシャー・グループが少いのであります。直接選挙というものにかかり合いがないということもあるかもしれませんが、(笑声)いろいろと外国あたりをお回りになりまするところの自民党の先生方も、社会党の方も、その他の方も、お回りになりまして、たとえば外務省の予算が少いじゃないか、今度の折衝のときには大いに一つお手伝いするからとおっしゃりながら、農林省であるとか、そういう方面はきわめて御熱心であるが、(笑声)文部省であるとか、あるいは外務省、ことにこの文化交流の問題等あたりに関しましては非常に不熱心なんであります。私どもは非常に四苦八苦いたしまして、文化協定あたりを結んだ。そうしますると、結んだからいけないじゃないかと言って、予算を断わる理由としていろいろつらい思いをしておりまするが、文化交流等あたりは、もちろん文化国家といたしましてこれは大切なことなんであります。その意味におきまして、一つこれは超党派で、今後一つ大いに援護していただきたい、こうお願いしたいと思います。
  80. 竹中勝男

    竹中勝男君 大へん次官から激励を受けて、(笑声)私も意を得ておるのですが、ほんとうに外務省のこの文化何とか局ですね、情報局ですか——の予算などを見て、ほんとうに私は寒心にたえないのですよ。寒い寒心にたえないのです。(笑声)外国学者が来て、日本のことを手っとり早く知りたいというのです。で、外務省の局にいきますと、もうこれは一冊しかありませんけれども、というのを、まあ非常な宝物のようにして下さるのです。向うは五人も、六人も来ておるのです。この日本を紹介する、日本の文化を紹介する、産業を紹介する、総合的に紹介する、その資料一つないのです。その資料だけでもないのです。これはもう文部省社会教育局にも関係すると思いますが、文部省に行ってもおそらくそれを外国文にした、外国人にまで日本教育状態をわからす、日本の全体の大衆、国民をどういうふうにして教育しておるかというようなことは、外国人にはわからないと思うのですね。それでわかっておるのは、例の富士山だとか芸者だとかあまり……、非常に制限された範囲なんです。これは私はもう、外務委員をしているときもやかましく一度言ったことがあります。どうしてもその文化交流ということに国が力を入れないのが、やはりこの海賊版などに関連してくると思うのです。日本という国はまあ非常にどろぼうの上手な国だ、こそこそどろぼうをすることはこのごろやめて、大っぴらに海賊になってきた。こういう印象をもし与えると、これは日本の将来の経済や貿易について非常に不利な条件を日本は持つことになると思うのですが、英国やアメリカがもう各国に、その何といいますか、図書館を作ったり博物館みたいなことをやったり、展覧会をやったりして、どんどんやっておるのに、日本というのはどうしても外国にわからない、わかってもらえない。それはやはり情報や宣伝が外国に行く予算がないことが一つ、予算がないということはやはり熱意がない、圧力団体のような熱意がないのです。ほんとうにその通りです。博物館一つ見ても日本くらい恥かしい——京都の博物館といったら明治、古いだけが官庁自慢していますが何もない。借り物ばかり、よその宝物、個人の物を預かってそこに置いておくだけのことです。博物館の予算がないから博物館には物がないのです。そして見せない、蔵の中に入れてあまり見たらいかぬという、そういう博物館しかないのです。こういう社会教育だとか、それから国外に対する日本の紹介というものは非常に弱いという点は、もうこの文教委員会一つこの海賊版に合せて強調し、文部当局や外務当局に警告していただきたいと思うのですが、それにつきましてソ連及び中国との文化協定がおくれておるわけです。国交が回復しな、これはまあ政府の立場はよくわかります。しかし経済の交流、文化の交流、人道上の問題の解決には力を入れるというのが総理の答えです。総理の決意なんであります。貿易においては第四次協定にしても、鉄鋼協定についても相当進んでおりますけれども、まだ文化の交流ということには非常に民間の者が苦労しておるわけです。それでお互いに日本のいいものをソ連人にも見せ、中国人にも見てもらい、中国のいいものを日本人にも紹介し、ソ連のすぐれた芸術を日本人が鑑賞する。これはアジアにおいて非常に大事な点だと思います。むろん日米の関係においてもますますこれはやらなくちゃなりません。しかし、さてその中国やソ連になると、なお出し惜しみといいますか……民間はこのごろは非常に熱心です。大新聞などがやるようになりまして、そういう点について外務当局あるいは文部大臣の御意見を伺いたいのですが、いいもの、国の歴史、国の文化、そういう文化財をお互いに紹介し合う、先日敦煌展覧会が日本に来まして、非常な熱心な観覧者、まじめな観覧者を吸収しております。近く何というのですか、中国舞踊団というものが毎日新聞のあっせんで日本に来ることになっていますが、そういうときに日本の文化を、こういう機会に外国に紹介すると同時に、日本人が正しいアジアの歴史、東洋の歴史、東洋の心、アジアの心というものを理解する、これは大きな社会教育です。日本人の心や知識を豊かにする一つの契機です。社会教育の大きなものだと思いますが、こういうときにもっと積極的に政府当局、文教当局、外務当局は協力をしていただきたいと思うんですが、それについて文部大臣、外務次官の御意見を伺いたいんです。
  81. 松永東

    ○国務大臣(松永東君) 竹中委員のお説の通り、私としてはこれはもう文化の交流については熱望しておる。すなわち文化については国境がない、スポーツも同様に国境がないというふうに考えます。従ってもし事情が許せば急速にでも一つ交流を実現するようにしてもらいたい。しかしそれは、今日の国際情勢あるいは国内情勢と、いろいろ支障もありましょう。それは総理並びに外務当局、今後大いに活躍してもらうことでありましょう。しかし文部当局といたしましては、できる限り早く文化の交流を実現したいというふうに考えております。
  82. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 先ほどの情報文化局のことでございまするが、竹中先生のおっしゃる通りでございまして、各国ともに最近日本の文化事情等あたりを知りたがっておりますので、その資料を在外公館に求めますのですが、残念ながら十分な配布ができない実情でございます。今年の外務省の予算は、率からいきましたならば従来よりもずいぶんふえておるのでありますが、元が一%足らずでございますので、ふえました率が多いといっても高が知れております。しかしながら、情文局の予算というものは、率からいたしましたならば相当大幅にこれをふやしましたので、少しばかり来年度の予算が通過いたしましたならば、この方面に力を注ぐことができるんではないかと思うのであります。  またソ連、中共との文化の交流の問題でございまするが、ソ連とは御承知のごとく国交正常化いたしまして、まだ本式の講和の締結にはなっておりませんけれども、すでにスポーツの交歓あるいは向うから芸術家あたりが参りましたり、日本からも向うにいろいろなものを送ったりして、相当これは実績を上げております。将来におきましてもちろん文化協定を結ぶ段階にいくということはわれわれ期待しております。最近ではその前提といたしまして、通商協定も審議をいただきまして国会を通過いたしましたので、徐々にこれを進めていくことができると思うのであります。ただ中共との、国と国との協定になりますると、これは先生も御承知の通り非常にデリケートな、微妙な問題がございますので協定を結ぶわけにいきませんけれども、すでに民間ベースにおきまして、日本から歌舞伎が向うに行き、向うからも芸術家が参っております。こういう工合にお互いに文化というものはいいことでございますから、これを承認の前提とか、あるいは外堀を埋める、内堀を埋めるというような政治的意図のないものにつきましては、われわれ政府といたしましても、大いにこれを援助していくべきではないか、こう考えます。
  83. 大和与一

    大和与一君 一つ簡単ですけれども。去年私たちが片山さんとソビエトへ行きましてそれでフルシチョフ、ミコヤン、スースロフ、三人の実力者と話をして、そのとき文化の問題が出まして、門脇大使から特にどうしてもことしは歌舞伎をモスクワにやってもらいたい。その話をしまして、フルシチョフは非常に歓迎したんです。そういう話が門脇大使からあった場合には、今は中国との話をされましたが、ソビエトからそういうふうな話がこれからある場合、どのような便宜というか、お考えをお持ちか、具体的な話ですけれども、ちょっと聞いておきたい。
  84. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 向うから、歌舞伎をぜひよこしてくれ、という正式の申し出がございますれば、一つあらゆる便宜をはかって、向うにぜひ、日本のクラシカルな文化の紹介の意味におきましても、行ってもらいたいという気持がいたします。ただ、条件その他等あたりもよく調べませんと、ここで最後決定はできませんけれども、あらゆる角度から一つ検討いたしまして便宜をはかりたい、こう考えます。
  85. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  86. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  87. 吉田法晴

    吉田法晴君 ほんとうの質問は、関連があまり多くなって、どこかへ行ってしまったので……。(笑声)時間もおそいので、質問それ自身はこの次の機会にいたしまして、整理をして能率的にやりたいと思うんですが、この次の審議の機会までに、政府及び提案者から、以下の資料を一つ願いたい。  先ほど、ベルヌ同盟条約、あるいはローマ規定、ブラッセル規定、それから万国著作権条約等がございましたが、その条約の関係部分を資料としてお出しをいただきたい。  それから、著作権制度調査会というものができておって、ほかの点もだけれども著作権法についての改正がこの問題を含めて論議されている、こういうお話でありますが、その著作権制度調査会におけるこの問題に関連する、あるいは、先ほど社会教育局長が御説明になりました範囲において関連する部分の、何といいますか、結論というのか、あるいは中間報告といいますか、関連する部分だけでいいですから、お出しをいただきたい。  それから、外国からの注意申し入れもあった、あるいは、請願もあった、ということですが、これは提案者文部省で協力をしてその注意申し入れ、あるいは請願等代表的なものをお出しをいただきたい。その資料の中に、海外出版物輸入同業会から声明書なるものが出ているというのですが、それも一ついただきたい。  それから、先ほど海賊出版をする者がどのくらいあるかという質問がありましたが、百八十件あるいはそれ以上ということ。週刊雑誌で今読みましたところによると、種類は三百種以上あるように書いてある。どの程度の出版社があり、どの程度の出版物が出ておるのか。それから、その価格。これは、もしできれば、正規に入手された場合の価格との比較。それから、日本で再プリントの権利を得てプリントをする場合にどのくらいになるか、価格の比較表が出ればなお幸いです。  それから、これは文部省だと思うのですが第三回のユネスコ会議ですか、ユネスコ政府著作権委員会提出するために万国著作権条約の適用排除あるいは侵害の情報を集めよということで政府で集められたということですが、その集められた情報なり資料なり。それから米国出版社あるいは大使館から法的手段に訴えるための委任状が来ておるということでありますが、そういう法的手段に訴えたのかどうか知りませんが、訴えるための、これは委任状を含む、何といいますか、文書。それから民間で不正複写防止法というのが考えられておるということでありますが、不正複写防止法なるものの案文ですね。これは提案者にお願いをしたらいいかと思うのです。  以上、審議をいたしますに必要な資料を、全部この次までそろわんかもしれませんが、できるだけこの次までにおそろえをいただきたいのです。いかがですか。
  88. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私どもでわかります資料はできるだけととのえましてお出しいたしますが、今おっしゃいました中で、たとえば、委任状のごときものだとか、文部省として手に入らないようなものがあるかもしれませんので、そういう点がありましたら、御容赦願いたいと思います。
  89. 吉田法晴

    吉田法晴君 中には外務省関係があります。法的手段に訴えるための委任状云々というのは、おそらく外務省に来ておるだろうと思うのです。そういうものは、それぞれ御協力を願って出していただきたい。
  90. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 一応調べまして出せるだけの資料は文部省と協力いたしまして御提出さしていただくことにいたします。
  91. 大和与一

    大和与一君 私も資料要求をします。きょういただいた資料の三ですね。外国の金が書いてあるですね、罰金が。これは、やっぱり日本の金に直さなきゃ、こんなものは資料にならんですよ。見たってわからん。邦貨に換算してもらってね。  それからその次は、外国の件数ですね、これをちょっとできたら少し調べてもらいたい。特に日本と同じくらいな力の国、たとえばイタリアとかあるいはアジアの国、そういう国でこういうことが行われていないか、あるいはあるだろうか、そういう点も、調べられたら一つお願いしたいと思います。その二つ。
  92. 福田繁

    政府委員福田繁君) その外国でのいろいろ違反の件数等は、これは正確にわからんと思いますけれども、資料等、できるだけ探してみたいと思います。
  93. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  94. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記を始めて。  それでは本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十二分散会      —————・—————