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1958-03-25 第28回国会 参議院 文教委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十五日(火曜日)    午前十時四十六分開会     ━━━━━━━━━━━━━   委員異動 本日委員野村吉三郎君及び岡三郎君辞 任につき、その補欠として吉江勝保君 及び竹中勝男君を議長において指名し た。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     湯山  勇君    理事            野本 品吉君            吉江 勝保君            竹中 勝男君            常岡 一郎君    委員            川村 松助君            下條 康麿君            高野 一夫君            林屋亀次郎君            松岡 平市君            三浦 義男君            吉田 萬次君            秋山 長造君            高田なほ子君            松永 忠二君            大和 与一君            吉田 法晴君   政府委員    文部政務次官  臼井 莊一君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省薬務局長 森本  潔君    厚生省児童局長 高田 浩運君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選日本育英会法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○ヘき地教育振興法の一部を改正する  法律案秋山長造君外二名発議) ○高等学校定時制教育及び通信教育  振興法の一部を改正する法律案(吉  田法晴君外二名発議) ○学校保健法案内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 湯山勇

    委員長湯山勇君) これより文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。本日野村吉三郎君及び岡三郎君が辞任され、補欠として吉江勝保君及び竹中勝男君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に、理事松永忠二君から都合により、理事辞任の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  この際、理事補欠互選を行います。  選任の方法は、慣例により委員長の指名によりたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  それでは理事吉江勝保君及び竹中勝男君を指名いたします。     ―――――――――――――
  6. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 昨日開きました委員長及び理事打合会経過について報告いたします。  まず、前回委員会において委員長に御一任願いました教職員勤務評定に関する参考人出席日時につきましては、委員長において内交渉を行いましたが、いまだ決定に至りませんので、なお交渉を行なっております。  次に、教育課程、特に道徳教育についての参考人につきましては、本月二十九日土曜日に出席を求めることとしましたが、参考人は現在交渉中で、確定を見るに至っておりません。  著作権法の一部改正法案につきましては、早急に発議を行い、なるべく二十七日に採決できるように取り運ぶことといたしました。  本日の日程としては、本審査になっております日本育英会法の一部を改正する法律案、べき場地教育振興法の一部を改正する法律案及び高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案について提案理由説明を聞いた後、学校保険法案質疑を続行し、できれば本日質疑を終了し、二十七日に採決の運びとすることにいたしました。なお、国立学校設置法の一部を改正する法律案につきましては、二十七日から質疑に入ることにいたしました。午後は、前回に引き続き教育文化及び学術に関する一般質疑を行う予定であります。  以上、報告の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。     ―――――――――――――
  8. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 日本育英会法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を求めます。
  9. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) ただいま議題になりました日本育英会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由および内容概要を御説明申し上げます。  昭和十九年日本育英会法施行以来、日本育英会は、年々堅実な発展を遂げ、今日まで同会を通じて学資貸与を受け、その勉学を続けることができた学徒は、きわめて多数に上り、国家的な育英事業として多大の成果をおさめて参りました。  しかしながら、特に優秀な素質、能力を有する者であっても、経済的理由によって著しく修学困難な者にあっては、なお、その進学を断念しなければならないことが少なくないのであります。  従って、これらの者に対し、高等学校または大学への進学を保障する制度を創設し、国家社会発展に枢要な英才の育成をはかるため、現行法の一部に必要な改正を加えることが適当であると考え、この法律案を提出するものであります。  改正の第一点は、学資貸与一般貸与特別貸与の三種類に区分したことであります。すなわち、従来行なってきた貸与一般貸与であり、特別貸与は、特に優秀な学徒であって、経済的理由により著しく修学困難な者に対し、進学を保障する目的をもって行う貸与であります。  改正の第二点は、この特別貸与を受けた者が、卒業後の貸与金返還について、過大な負担に苦しむことのないようにするため、その貸与金のうち、一般貸与を受けた場合に相当する額を返還したとき、その貸与金の残額の返還を免除できる規定を新たに設けたことであります。  以上申し上げましたのが、本法案提案理由及び内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いいたします。
  10. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 本案に対する質疑は、後日に譲ります。     ―――――――――――――
  11. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に、へき地教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  発議者から提案理由説明を求めます。
  12. 秋山長造

    秋山長造君 この席で説明申し上げます。ただいま議題となりましたへき地教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由を御説明申し上げます。  へき地教育振興法は、憲法規定されております教育機会均等趣旨にかんがみまして、はなはだしくその発展を阻止されておりまする僻地における教育振興する目的をもって、積極的な対策を講ずるために制定されたのであります。  しかるに、本法施行以来、すでに四カ年になんなんといたしておりますが、僻地におきましては、小規模の学校が多く依然として、その施設設備整備等は不十分であり、しかも、教職員を確保することも容易でないといで現状であります。  去る第十九回国会におけるへき地教育振興法成立の際、本院文部委員会へき地教育に対する総合的恒久的振興策を樹立することの付帯決議をいたしております。  この趣旨に基き、今回、国の地方公共団体に対する補助対象を拡大するとともに、僻地学校に勤務する教員及び職員特殊勤務手当の増額、その他の措置を講じて、僻地における教育振興をはかることが必要であると考えまして、ここに、この法律案を提出いたした次第であります。  次に、本法律案内容のおもな点について御説明申し上げます。  まず第一点は、僻地学校の定義であります。すなわち、現行法におきましては、「交通困難で自然的、経済的、文化的条件に恵まれない山間地、離島、その他の地域に所在する公立小学校及び中学校をいう」とあり、交通条件という大前提のもとに自然的、経済的、文化的、僻地性を形成している各要素がその条件となっておりますため、僻地学校交通機関からの距離によって決定されている現況でありますが、このことは必ずしも実態に沿わないものでありますので、僻地性を形成している諸条件交通条件とを同列にするよう改めたいことでございます。  第二点は、市町村任務として、僻地学校健康管理及び通学改善につき義務規定を設けるとともに、僻地教育振興をはかるための事務について、都道府県任務を明確にしたことでございます。  第三点は、僻地学校指定基準文部省令で定め、新たに僻地手当支給に関する規定を設けるとともに、その僻地手当支給についての都道府県がよるべき基準を定めたことでございます。  第四点は、市町村及び都道府県が行う事務に要する経費について、国の補助率を明確に二分の一と定めたことでございます。  なお、附則において所要経過規定を設けました。  以上が、この法律案提案理由とその内容概要でございます。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同賜わりますようお願い申し上げます。
  13. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。      ―――――・―――――
  14. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に、高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を求めます。
  15. 吉田法晴

    吉田法晴君 お許しを得て高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案提案理由説明をいたします。  ただいま議題となりました高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  わが国は、国土狭隘、人口稠密かつ資源に乏しい国であります。九千万国民憲法に示された平和な、自由で幸福な生活のできる明るい社会を建設して参りますためには、高度の科学技術に基く産業発展が期待されねばならず、そのためには、すべての青少年に対し、高い教養と技術を付与する教育が、重要視されぬばならないことは申すまでもないところであります。  従いまして、年々義務教育を終えて直ちに職業についてゆく約半数の勤労青少年に対しましても、十分な教育を与えてゆく方策が、確立されなければならないのでございます。このことは、憲法教育基本法に定められた教育機会均等にのっとるゆえんでもあります。  戦後六、三、三、四の新教育制度が実施せられ、義務教育中学校まで延長されるとともに、国民的教育機会均等の理想を実現するために、定時制教育及び通信教育制度が実施されたことは、まことに喜ばしいことでありました。  今、これらの教育を受ける生徒数の推移をながめますと、昭和二十三年の発足当初は十三万人でありましたが、翌二十四年には一躍三十万人となり、自後、逐年増加の傾向をたどり、二十八年度には五十万人を突破し、高等学校の全生徒数の四分の一を占めるに至ったのであります。  また学校数におきましても、発足当初、独立校併置校分校を合せて約一千校でありましたのが、二十八年には、三千校をこえております。このような発展の陰には、多数の関係者のなみなみならぬ苦心と、努力があったことは申すまでもありません。特に多くの市町村が、地域住民の熾烈な要望にこたえて、市町村立または、組合立定時制高校を設立していった、教育に対する熱情は高く評価されるところであります。  そして、同二十八年には高等学校定時制教育及び通信教育振興法議員立法によって制定され、同時に、施設費についての国庫補助教職員に対する給与費国庫負担雇傭主に対する積極的な修学奨励措置を講ずべきであることが、付帯決議として可決されております。この付帯決議の線に沿って、新たに、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律が、本文教委員会提案によって、同三十一年に制定される等、法制上からの制度推進努力も重ねられて参ったのでありました。  しかるに、近年この重要な教育制度が、危機に逢着いたしておりまして、これは、まことにゆゆしき事態と申さねばならないのであります。  すなわち、第一には、地方財政の窮状と、国の補助金手薄等理由から、これら定時制高等学校の整理、統廃合が行われているのを、指摘できるのであります。昨年、文部省調査によりますと、過去一カ年に定時制高校の数は、二千八百八十九校から二千八百十九校に減少しております。すなわち、本校十八校、分校五十二校が減少しております。しかも、この傾向はなお続き、昨年から本年にかけてはさらに、五十数校が廃校となる運命にあると伝えられております。設立の趣旨からいいましても、このように財政的理由のみによって、統廃合されるということは問題なしといたしません。特に農山村僻地における、定時制高校統廃合は、生徒通学条件から見ましても、むざんに、勤労青年の向学心をつみ取ることを、意味するのであります。  このような、重大な事実の陰には、教員定数の削減、あるいは施設設備の不足、ひいては生徒数減少等という憂うべき悪循環が、全国的に起りつつあります。また最近は、定時制通信教育を受ける使用人に対する、雇用主理解は次第に深まりつつありますが、なお多くの使用者理解なく、生徒の就学困難の事実も、うかがえるのでありす。  このことについては、中央青少年問題協議会においても、つとに論議せられ、昭和三十一年に定時制高等学校に学ぶ働く青少年教育保護福祉対策要綱が決定され、さらに定時制高等学校通信教育を含む)に対する財政措置についてが、政府に要望されております。  さてこのような事態に立ち至った、最も大きな原因は、さきにもちょっとふれましたように、本教育制度に対する財政措置の貧弱ということがあげられますが、ここで、その経過を簡単に振り返ってみたいと思うのであります。昭和二十三年、定時制教育制度発足に当りましては、特に勤労青少年教育振興をはかりますために、市町村立学校職員給与負担法とともに公立高等学校定時制課程職員給与費国庫補助法が制定され、定時制高等学校職員給与費は、都道府県負担とし、その四割は国庫において補助することとなり、本制度財政的基礎が固められたのでありました。そしてこの補助法によりまして、国は昭和二十三年度において四億九千万円、二十四年度には五億七千万円の支出をしたのであります。しかるに、昭和二十五年に至りまして、地方財政平衡交付金制度が実施されるに及び、教育費は、交付金に算入され、右の補助金は打ち切られるごととなり、その後、昭和三十年に至り、さらに補助金等臨時特例等に関する法律によりまして、この補助法施行が停止され今日に至ったのであります。  右のような経過の中で、はっきり申し上げられるのは、定時制高等学校職員給与費は、県財政に組み込まれているとはいうものの、これがひもつきでないがために、地方財政が窮乏すれば前述いたしましたように、市町村財政に依存しております面が多いだけに、たちまち勤労青少年教育が危胎に瀕するということも、うなずかれるものがあるということでありまして、この点発足当初の形のように、国から直接給与費負担する制度が、ぜひとも必要であることを痛感するものであります。また施設設備の不備を改善していくために、さらに国の財政措置を強化するとともに、生徒の就学を容易ならしめるための奨学措置使用者協力措置等を積極化することは、わが国文教振興の大方針からいっても、ぜひとも推進されねばならない点であると信じ、ここに本改正案を提出いたした次第でございます。  次に、本法律案の骨子とするところを申し上げますと、第一には、第三条において新たに勤労青年経済的理由により定時制教育又は通信教育を受けることの困難なものに対し、国及び地方公共団体は適切な奨学措置をなすよう考慮すること、また、定時制教育または通信教育に従事する職員の定員及び待遇についても同様に特別の措置を講ずべきことを規定いたしました。  第二には、勤労青年使用者は、勤労青少年が、定時制教育または通信教育を受けることを不当に妨げたり、不利益な取扱いをしてはならないことを第三条の二として規定いたしました。  第三には、第五条の公立学校についての国の補助制度を二分の一の負担制度に改めるとともに、従来欠けていた施設を新たに対象といたしました。またさらに、公立定時制教育並びに通信教育に従事する教職員給与費の四割を国庫負担することを新たに規定いたしました。  第四には、第六条において従来私立学校に対する国の補助対象定時制教育設備のみに限定されておりましたのを、新たにその運営費をも対象といたしました。  第五は、付則におきまして、本法施行期日昭和三十三年四月一日とするとともに、第五条第一項の教職員給与費の四割負担の項のみは昭和三十四年四月一日とし、第五条第二項および第三項の定時制高校施設設備通信教育運営費等に対する二分の一の国庫負担規定を、本年度に限り、「予算の範囲内においてその全部又は一部を補助することができる」と読みかえることといたしましたほか、関係法令につき所要改正をいたしております。  以上本法律案提案理由及び内容概略を申し述べました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さいますようお願いいたします。
  16. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  17. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。     ―――――――――――――
  18. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に学校保健法案議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 文部省の方へお尋ねしますが、今度の学校保健法と、それからすでに設置されておる養護教諭との関係はどういうことになるのですか。
  20. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 一応建前としては、別でございますが、学校保健法の制定を予定いたしまして、特に学級編成基準及び教員定数基準に関する法律につきましては、養護教諭を約三千名の増員計画いたしておるわけでございます。現在約一万名のところ一万三千名程度予定しております。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 この三千名の増員というのは、何年計画ですか。
  22. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは大体ある一定基準までに達していない県と、達している県があると思います。ですから、達している県については問題はございません。ある一定基準に達していない府県につきましては、ここ数カ年計画で三千名を埋める計画でございます。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 学校保健法養護教諭建前は別だけれども、これに並行して学校自体保健関係充実をやるということで、養護教諭をふやすということなんですね。建前は別という点は、私はどうも建前は別じゃないと思うのですがね。なるほどこの学校保健については、今度の法律案に書いてあるように、学校医あるいは歯科医薬剤師というようないわば学校を取りまくいろいろな条件を整えていくということが必要だと思うけれども、しかしやはり、常時学校にいて、そうして学校内の大小にかかわらず、いろいろな保健事務をやるのは、やはり養護教諭じゃないかと思うのですが、にもかかわらず、今度のせっかくできる学校保健法の中に、養護教諭という名前が一字も出ていないわけなんですね。大体学校教育法等養護教諭という名前は出ておりますけれども養護教諭というものの内容についての規定というものがどこにもないわけです。だからこれは当然学校保健ということで保健関係事務をこの一本に基本的にまとめていくということになれば、やはり養護教諭なんかの位置づけというものは、当然学校保健法の中でやらるべきじゃないかと思いますが、その点どうお考えになっておりますか。
  24. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校教員職制につきましては、これは学校教育法規定するのが筋だと思うのであります。そこで、現在の学校教育法の中にも校長教諭養護教諭その他の職員規定されており、そこには職制として、養護教諭児童生徒養護をつかさどる普通の教諭でありますれば、教育をつかさどるわけですが、養護教諭につきましては、特に児童生徒養護をつかさどるという規定があるわけであります。これは御承知のように学校教育法では、必置制建前をとっておりますけれども、百三条附則で、必ずしもすぐ置かなくてもよろしいという意味は、まだ日本現状からは、一ぺんに必置制にするのは、現状から少し飛躍し過ぎるのではないか。大体四万ある学校のうち、一万程度が充足しております。そこで、できるだけ私ども養護教諭が実際に置かれるような措置をしていきたい、かように考えておるわけであります。このたび教職員定数基準が当委員会にも予備審査で付託になっておりますが、この定数基準の中で、たとえば教諭についてはどういう基準でやるか。あるいは養護教諭につきましては、小学校は千五百人に一人、中学校は二千人に一人の割、こういうような基準で、教員定数の一環としてこれを考慮する。しかも、これはどこかで裏づけがなければならないのでありまして、定数基準できめた定数は、地方財政交付金の場合の算定基準に用いるように、今度交付税交付金単位費用改正を予想しておりますので、その定数だけは必ず置けるように私ども指導もし、充実もはかって参りたい、かように考えますので、この学校保健法というものは、むしろ、学校保健管理に関する一般的な規定、特に生徒児童を補導して、教職員健康診断及びその疾病対策、こういう点に重点が置かれておるのでありまして、養護教諭学校における平素の児童生徒養護をつかさどるもので、必ずしもこの体系になくても、私どもはよろしいという考え方に立っておるわけであります。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 この点は、どうも私は局長説明は、納得いきませんよ。大体数の点もあります。それは養護教諭の数の点もありますけれども、いわゆる私の言っておるのは、もちろん、どれだけの新しい、しかも学校保健に関する――これは基本法になるだろうと思いますがね。そういうものをお作りになるならば、当然私は、すでにある養護教諭というものの位置づけというものを、この法案の中にうたうべきじゃないか。養護教諭は、この学校保健法の中でどういう位置におって、そうしてどういう任務と責任を果すものかということですが、たとえば保健室なんかを設けるということを書いてある。しかし、その保健室は必ずしも学校医なり何なりが、四六時じゅうを通じて番をしているわけじゃありませんから、当然保健室なんかの守をしていくのは、これは養護教諭だと思います。だからそういう点でも、養護教諭というものの任務をこの中にうたうべきじゃないか。それでこれを数的に充実していくということは、これは第二の問題であります。これは基本法ですからね。学校保健法基本法ですから、だから建前としてはこの中に、学校医なり、学校歯科医なり、学校薬剤師というものをうたうならば、それと並んで養護教諭というものを私はうたうのがほんとうじゃないかというように思うんですがね、何か、養護教諭はこの中にうたっては工合が悪いという理由があるんですか。
  26. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 別にうたって悪いという理由も私はないと思いますけれども学校教育法の方が私は本筋じゃないかと思います。と申しますのは、学校教育の中でどういう職制を持っているのかということは、これは本則できめなければならないものであります。校長にしても、教諭にしても、助教諭にしても、養護教諭にしても、全体の中のあり方というものが、中心になると思います。ですから学校行政の本体は、一般的なものは学校教育法規定する特殊な面で、これは保健管理という面が中心でございまして、このほかに学校では保健教育というものがあるわけです。保健体育の教科がございますので、保健体育に伴う保健指導、こういうものは学校教育の面でやるわけです。こちらの面は、むしろ保健管理の面ですから、私ども教育の面として保健体育の面が向うに残っておりますので、学校教育の中で位置づけた方が、より適当ではないかと考えております。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 それは基本法学校教育法で、この学校保健法学校教育法の特別法というか、特別法ということが、この提案説明に書いてありますから、その点はわかります。わかりますけれども、なるほど養護教諭の身分ですね、身分等についての規定は、これは学校教育法でいいと思うのです。ただ、養護教諭の実際の仕事ですね、仕事ということになると、今度の学校保健法に書いてあるようないろいろ事務と、これは密接な関連を持っている。だからこの中にたとえば養護教諭と、それからこの学校医なり、あるいは学校歯科医なり、薬剤師なりとの関係とか、あるいは保健室の管理とか、そのほか常時学校保健についての事務上の位置づけというようなものは、これは学校保健法にうたってしかるべきじゃないかという気持で質問しているのですが、この立案の過程において、そういうことが問題にならなかったのですか。
  28. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 秋山委員のお説、非常にごもっともですけれども、私どもはむしろ学校保健計画は、校長以下全職員が協力しなければならないと思う。単に養護教諭だけの仕事じゃないと思う。ですからこの場合に、学校保健計画及び学校保健の実施をやる場合には、何と申しましても校長学校においては責任者でございます。ですから養護教諭校長の指揮を受けて、それぞれ必要な事務を行なっていただきたい。だからまた、担任の先生方も、それぞれ必要な学校保健計画を実施していただきたいと思いますので、むしろ、学校において全体の中で学校保健計画を押し進める方がよりいいのではなかろうか。たとえ養護教諭だけ抜き出してみましても、養護教諭だけの責任ではないと思うのです。そういう点で、むしろここに置かない方がいいのではないか、こういうふうに考えております。
  29. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ただいま厚生省の公衆衛生局長児童局長厚生省公衆衛生局の結核予防課長がお見えになっておりますから、お含みの上で御質問願いたいと思います。
  30. 秋山長造

    秋山長造君 もちろん、それはただ保健管理の問題だけでなしに、学校内のいかなる問題にしても、これはその当事者だけの責任ではない。これは校長以下全員が共同して当るべきものだ。これは何事によらずそうだと思いますけれども、ただしかし、主たる当事者はやはり養護教諭になっておるのだろうと思う。で、それはこの勤務評定の、全国教育長協議会で作られた勤務評定の評定要素の観察内容表というものを見ましても、それは一般の教諭についての評定要素というのは、学級経営とか、あるいは学習指導とか、生活指導とか、そういうことになっている。ところが、養護教諭の場合は、健康管理、それから環境衛生、保健指導保健室の管理、そういうものが主になっている。で、これ自体は、おのずからみんなの共同責任ではあるけれども、それぞれの主たる任務はどこにあるかということを物語っておると思うのです。この養護教諭の場合は健康管理、虚弱者の養護、救急処置、環境衛生、保健指導保健室の管理というようなことが主たる評定要素になっておる。ということは、それが主たる仕事だと思うのですよ。これに関して保健室の管理ということと、今度の法律に書いてある保健室というのは、おそらく同じものだと思うのですね。そういうことになっておれば、養護教諭の身分的な位置づけというものは、基本法たる学校教育法にそれは書くのが当然ではあるが、学校保健に関する他の学校医とか何とかという他の身分の人たちとのつながりというものは、主として養護教諭を通じての交渉なり、つながりというものが多いだろうと思うのですよ。それだけ養護教諭任務というものは、一そうこの学校保健法ができることによって非常にクローズ・アップされてくると思うのです。今まではややもすれば、第一その配置状況からして非常にばらばらで、しかも、身分的にも養護教諭とか事務職員とかいうのは、一般の教諭、助教諭等に比べて影が薄い。俗な言葉を使えば、影が薄かったのですね。その担当しておる任務に対する評価、理解というものも非常に浅かったわけですね。今度学校保健法ができることによって、保健衛生面というのが非常にクローズ・アップされる。従って、同時に、それを常時主として担当しておる養護教諭というものが、非常にクローズ・アップされてくると思うのですね。だから、これは今までいわば下積みになっておった、しかも、その仕事は、非常に重要な仕事であるにもかかわらず、下積みになってぱっとしなかった養護教諭というものの任務なり立場なりというものを、こういう学校保健法というようなものを作る機会に、やはり本来あるべきところにつかさなければいかぬと、私は言葉は下手だけれども気持はわかっていただけると思う。そういうように思うのですがね。そういう配慮がこの法律を読んだところでは、全然なされていない。はなはだ私は不満なんです。重ねて御答弁願います。
  31. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 気持の上では、秋山委員と全く同感でございます。ですから先ほども申しましたが、教員定数基準に関する法律におきましては、特別に養護教諭を重視いたしまして、各県ばらばらでございまして、この点私ども非常に遺憾に思いましたので、このたび一つの基準を設けまして、小学校千五百人に一人、中学校二千人に一人という新しい基準を設けまして、それに達していないところは、二、三年のうちに、そこに達するようにということで、今回の定数基準では、最も養護教諭を重視したわけでございます。ですから、この法律で書いてないから、養護教諭を軽視したという意味ではございません。その点は御了承願いたいと思います。
  32. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 薬務局長もお見えになっておりますから。
  33. 竹中勝男

    竹中勝男君 これは次官、局長あるいは厚生省関係の方にも関連すると思いますが、例の養護教諭任務学校保健法に盛られておる内容、ことに健康診断という、総合的な身体検査よりもさらに深みを持った、あるいは幅を持った学童の保護をやる。健康管理をやるというこの法律目的、これは主として身体的な養護あるいは保護、検査がねらいのように思われますが、現に日本の学童の一分ないし五分は、少くとも何が精神的な身体心理的な、身体精神的といいますか、そういう面の欠陥があるように思われるのですが、そういう点についての発見といいますか、あるいは対策というものはどういうように考えておりますか。この法律の中で。
  34. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) その点非常に大事なことでございますので、このたびの法律では、就学時の身体検査というものを新しく設けてあります。第四条に「就学時の健康診断」というものがございます。これは従来もある程度やっておりましたが、大体七割、八割程度はやっておったわけでありますが、このたび法案を作成するに当りましては、これを市町村教育委員会の義務にいたしたわけでございます。この身体検査には御指摘のような知能の検査を含んでおるわけであります。学校へ入ってしまった子供には、知能検査はいたしませんけれども、知能検査を就学時に行いまして、そこで知能の程度の低いものは養護学校へ入れるとか、あるいは盲学校、ろう学校あるいは特殊学級を作ってやるとか、そういうような措置を講ずるわけであります。その身体検査の結果を十分活用するようにいたしたい。それからいま一つは、これも定数基準法律でございますけれども、例のいわゆるすし詰め学級解消の法案につきましては、特殊学級を作る場合には、児童生徒十五人で一学級を作ってよろしい。その定数に基きまして交付税の算定基準にいたしますので、なお特殊学級につきましては、設備費の補助が八百万ほど、わずかながら出ております。なお、建物の方の建築費の補助も出ておりますので、特殊学級を一そう充実いたしまして、知能の低いものの教育努力いたしたいと考えております。
  35. 竹中勝男

    竹中勝男君 さっき秋山委員が指摘された養護教諭という制度ですね。といいますのは、今、局長のお答えのときに、入学当時の身体検査、健康診断によって、知能の面も審査をして、その適当な学級を編成するというお考え、それは大へんけっこうないいことだと考えておりますが、しかし同時に、入学してから知能とか性格だとか、あるいは特殊な身体精神的な非常な特徴、天才とか気違いとかいうような、そういう優秀なもので、しかし欠陥を持った者、あるいは非常な特殊な傾向を持った性格、性格的な偏向を持ったそういう人間が相当あると思うのです。学童の中には。そういう人たち並びにそういう人たちの家庭の経済ですね。要保護児童だとか、準要保護児童、そういう家庭的な経済的な背景、学童の健康及び性格、こういうものをもっと具体的に総合的に、しかも個々のケースについて取扱うことが、非常に教育上は必要だと思うのですが、厚生省でいういわゆるケース・ワーカーというような仕事をする教員がぜひとも必要だと、せっかくこういう法律をこしらえられていくのですから、養護教員というカテゴリーに入るか入らないかわかりませんけれども、いわゆる学校の教師がケース・ワーカーの仕事をするということでなければ、ほんとうの健康管理、あるいはこの道徳教育まで含めて非常に効果を上げることはむずかしいだろうと思いますが、学校でそのケース・ワーカー的な仕事をする養護教員というような考え方を持っておられますか。
  36. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今お尋ねのケース・ワーカーのようなことは、これは私、原則としてやっぱり担任の教師がいいと思います。といいますのは、担任の教師は児童の性格なり態度なり、能力なり、または家庭の事情というものを一番よく知っておると思います。ですから、できるだけ担任の教師が中心になりまして、養護教育のいろいろ御相談になって、そうして児童養護保健の管理に当っていただきたいとかように考えております。
  37. 竹中勝男

    竹中勝男君 準要保護児童というものの、厚生省の方では、家庭をどういうように考えておりますか。
  38. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私の方の関係で、厚生省ではございませんので、ちょっと私から……準要保護児童と申しますのは、要するに生活保護の対象になるのは、要保護児童の家庭でございまして、これは厚生省の所管でございます。これは大体その数が二・五%くらいそれでほぼ同数でございますが、私どもの調査では、大体二%程度はその上に位するもので、これは生活保護の対象にはなっておりませんけれども、いろいろ公私の扶助を受けておる方々、この線は何とかしていきたいとかように考えて、二%には教科書を無償で支給しております。なお、給食につきましては一・五%を無償で支給をしておる、こういう実情でございます。御指摘のように貧困家庭に準ずるものでございますので、やはり病気とか、特に長欠児童とか、その辺のところに多いと思っております。
  39. 竹中勝男

    竹中勝男君 これは文部省の方でそういうふうに判断をして処置しておられることはわかりましたのですが、児童局の方で、厚生省の方でいわゆるボーダー・ラインという生活のラインにあるものは、決して二%ではないわけでして、厚生白書によっても八百万人というのですから、相当この準要保護児童というものの家庭は多いわけだと思いますが、要保護児童が二・五、それで準要保護児童が二%だというふうな文部省の今の取扱い及び判断に対して、厚生省の児童局はどういうように考えられますか。
  40. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは今お話しのありました点は、生活保護に、一つは生活保護に関連した問題でございます。この方の一般的な対策は、御承知のように社会局の方でやっておりますので、ただいま保護課長の方に連絡をして参るようにいたしております。一方、児童局の方におきましても、児童の健全な育成という立場から、いろいろな施策を講じておるわけであります。御承知のように一般的ないわゆる貧困の問題としてではなしに、私どもの方では、たとえば保護にかかる児童でありますとか、あるいは身体の障害であるとか、あるいは精神の障害であるとか、そういった特殊の形態に応じてそれぞれの対策を講じておるわけでございますが、これは必ずしも生活保護的な観念にとらわれないで実施しているのが実情でございます。これらの点について、なお詳細にお答え申し上げる必要があれば、また申し上げさしていただきたいと思います。一応それだけ……。
  41. 竹中勝男

    竹中勝男君 児童憲章もあり、児童は健全に育てなくちゃならないということ、児童教育を受けなければならないということは、国の義務として宣言してあるわけなんですが、実は健康にしても、知能にしても、生活にしても、その基礎になるものは、やはり家庭の所得なんですね。それでこれはその日本教育、ことに初等教育という非常に重要な、これはやはり経済階級というものをしっかり分析することだと思うのです。どういう階級に一体児童たちが所属をしておるか、どういう家庭の所得があるか、そういうことを健康管理の面でしっかりやはりそのケース・ワーカーというのは、そういう、もっと客観的に児童とは何か、児童の、AならばAという児童はどういう家庭の環境におるのか、どういう食事をとっておるのか、どういう衣服を着ておるのか、どういうところで寝ておるか。そういうことが性格を形成してくるわけなんですね。で、せっかくこういういい法律ができる場合に、もう少し深さを持った、手の行き届いた方策を実際的に講じていく必要があるのじゃないか。この前も言ったように、罹病率というものは、はっきり経済階級と相互的な関係を持って経済の低い、所得の低い階級は利用率が高いという、こういう関連性を持っておるのです。そうして、私どもは所得の低いものは知能もやはり低いのだ、教育学習の能力も低いのだ、こういうように見ておるのですが、これは事実だろうと私どもは考えておりますが、こういう点に関しては、もっとこの養護教育という制度を、現実の日本の貧乏な経済の基盤の上に立っておる日本教育というものは、もう少し現実に即した、日本の経済に対応した教育制度というものを確立する必要があるように私は思うのですが、重ねて、これはそういう考えに基いた学校保健法施行をしていただきたいと思うのですが、一応文部省のお考えを聞いておきたい。
  42. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お説まことにごもっともだと思います。そういう意味でこの法案では、大体要保護児童を準要保護児童につきましては、治療費を支給いたします。それで全国の学童を全部健康診断を行いまして、その健康診断の結果、治療を要する者は治療をさせます。そうして丈夫なからだにして学習効果を上げていく。そこで、今御指摘になったように、いわゆる貧乏な階級の子供たちは、疾病率が多いのであります。そこで、この法案におきましては、要保護児童及び準要保護児童につきましては、市町村で治療費を支給する、それに対して国が二分の一の補助を行う、かようにして疾病を治療いたしまして学習効果を上げていきたい。大体お説の通りになっておるつもりでございます。
  43. 竹中勝男

    竹中勝男君 関連質問が長くなって……、ついでにお伺いしておきたいのですが、厚生省の方が見ておられますのであれですが、この学校のお医者さん、学校薬剤師というような問題です。いいことが出ておるのですが、これは何か薬務局の方でもおられましたら……。薬務局長がおられますけれども薬剤師という者は絶対数が非常に少いのです。ことに僻地教育あたりで、最初は三十六年までに準備されるわけでしょうけれども、なかなかのことだと思うのですが、そういう見通しがおありですか、これは薬務局長に……。
  44. 森本潔

    政府委員(森本潔君) 薬剤師の現在数でございますが、本年度におきまして、全国で約五万二千人ほどおります。御存じのように医師が約九万、歯科医師が約三万人、薬剤師が五万人、こういう数字でございまして、その中で開局しておられるのが、勤務をしておられるのも含めまして、約二万人、それから製造業関係、あるいは化学工場関係が一万、衛生行政その他に関する者が約一万人、それから無職という範疇に入る者が約一万ちょっとおります。今申しましたように、かれこれ合せまして五万二千人でございます。それで、学校薬剤師として仕事をしていただきますのは、主として病院勤務の薬剤師、あるいる薬局を開設されておる、あるいは薬局に勤務されておる薬剤師、こういう者が大部分であると思います。それで現在の日本の薬局の配置状況を申しますと、市部においては薬局が十二分にある。町村においては無薬局の地区がございます。大体約半数、四〇%程度のものが無薬局町村でございます。数の上から見ますとそうでございますが、市部においては大体薬局はある。それから郡部におきましても、町という名のつくところにおきましては、大体薬局が二、三カ所あります。町をめぐる郡部の比較的へんぴな村において薬局がない、こういう実例でございます。それで、学校のあります村において薬局がないという場合が問題になると思います。この点については、大体学校薬剤師の方は常勤でございませんので、多く一人の薬剤師の方が、近くの隣接の学校を数カ校担任して世話をするということが可能であります。それによりまして、非常に過度の仕事になるというふうにも考えておりますが、そういう方法で現在もやっておるところが多いと思います。今後この法律案が通りまして、ことに昭和三十六年度以隆必置制度になると、そういう方式で十分まかなえると考えております。
  45. 竹中勝男

    竹中勝男君 なお、非常にむずかしい仕事だということは、十分当局はわかっておられると思いますが、四〇%の村に薬局がないのですから、薬剤師がいないのですから、半分近くの学校に今後薬剤師を、どういうようにして学校薬剤師というような形で真剣に取り組む薬剤師を入れるかということは、ほんとうに不可能なほど困難なことですが、そういう対策については十分、まあ不可能に近いことですけれども、やられることと思いますが、ことに、お医者さんよりも薬剤師が少い。それから一般にやっぱり薬剤によることが、お医者さんより薬剤に実はよっておることが多いのですから、これは一つ日本の医療行政の上からも考えなくちゃならない問題であると思いますが、薬務局長にもう一度お尋ねしますが、狭い経験ですけれども、ドイツだとかアメリカだとか、英国の薬剤師というのは、非常に高い地位を持っておりますね、社会的に。そして医者のかわりをしておりますね。非常に威厳があって、なかなか日本の歯みがきや石けんを一緒に売っている薬剤師とは、非常に違うのです。しかも、学校薬剤師というものは、蚊取り線香や、上ぞうりやら、薬やら一緒に学校へ持っていって売るような、こういう薬剤師の方は工合悪いけれども、その通りなんです。薬学の大家がおられますけれども、何とかこれは日本の薬学というものは、こういう機会ごとに、もうちょっと権威のあるものにしなくちゃいけないんじゃないかと思うのです。これはまあ関連のあることで、今文部省薬剤師を養成するといってもしようがないことですけれども、これはやはりこの法律施行をされる上において、十分考えなくてはならないことだと思うのですが、結局富山の薬売りさんに学校にきてもらって、薬を置いてもらうというようなことになったら、これは学校保健法趣旨に合わないことだと思いますが、やはり科学的な信頼のできる薬剤師の薬の、売薬がこんなに多くなっておるんですから、薬の指導、調合ということを、もっと権威を持った薬剤師にしてもらいたいと思います。そういう点について、文部省はこの法律施行する上において、何かお考えがあるんですか。むずかしい質問で失礼ですが。
  46. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 薬剤師の重要性につきましては、私ども十分認識しております。国立大学その他に最近急速に薬科増設が行われております。薬剤師の人員養成も画期的に増加されております。それからなお、学校薬剤師におきましては、主として環境衛生の面に当っていただくわけでございますので、先ほどからもお話が出ましたように、一人で数校は担当できると思っております。そういう点で私どもは三十六年を待たないで必置できるのではなかろうかと考えておりますので、この点は自治庁と文部省で共同通達を出しまして、三十六年を待たないで、すみやかに学校薬剤師を設置するようにという申し合せができておりますので、できるだけその線に沿って努力して参りたいと考えております。
  47. 竹中勝男

    竹中勝男君 もう一つ医務に関することですが、学校歯科医、これも非常に重要なんですけれども歯科医の数は、非常に少いのですが、普通のお医者さんの三分の一ぐらいでしょうかと思うのですが、ところが、歯はやはり子供のときにやるのがよろしい。ことにアメリカは小学生のためのデンタル・ディスペンサリーが至るところでやって学童の歯を徹底的に直すのですね。そうするとおとなになって歯を直す必要がない。植えかえているのですよ。子供のときは植えかえられるのだそうです。徹底的にもうずいぶん三、四十年前からこれをやっております。そういうような意味からも、やはり学校歯科医を置かれるということは非常にいいことなんですが、実績が上るようにやはり計画される必要があると思います。もう子供のときに歯をやってしまわないと、おとなになってからはだめなんです。その点についても何か御所見がありますか。
  48. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御指摘のように、虫歯の多いのは、私どもの統計についても相当多く出ておりまして、特に都会が非常に多いのでございまして、大体小学校で六〇%、市部で六〇%、郡部で大体五五%ぐらいです。中学校の方は市部で四〇%、郡部で三六%、そこで、そういう意味で虫歯に悩まされておる子供が非常に多いのでございまして、これが消化不良等の原因にもなりますので、虫歯の治療という意味からも、歯を丈夫にするという趣旨からも、学校歯科医をぜひ置かなきゃならぬ、かような趣旨から、数年来文部省は前の省令で必置制にいたしております。まだ普及率はお医者さんほどには参りませんけれども、お医者さんは九七、八%に上っておると思いますが、八〇数%に上っておりますので、さらにこの法の施行後は、その趣旨を徹底いたしまして、百パーセントすみやかに設置されるように努力を払って参りたい、かように考えております。
  49. 高野一夫

    ○高野一夫君 先ほど竹中さんが私の顔をじろじろ見て御質疑があったので、私は一応文部省の方の説明を求めておいた方がいいと思うのは、学校医並びに学校歯科医というのは、どういう仕事をするかということは、これはもう説明をするまでもなく、常識的にわかるわけです。ところで、学校薬剤師がどういう仕事をするかということについておわかりにならぬ方が私は大多数多いのではないかと思います。そうしてたとえば学校に薬を売るとか、殺虫剤をまくとか、そういう仕事がその学校薬剤師の仕事であるというように考えられておる面が多いのではないか。そこで、学校薬剤師の学問が衛生科学とかいう以外ような、科学的に別に医学の学問をやっておってそれを根拠にしてやるのが、学校薬剤師の重要な仕事になっておるのではないか、こう私は考えるわけですが、そこで、従来とも学校薬剤師があるわけなんで、そこで概略でけっこうですから、従来の学校薬剤師でどういうことをやっておったか、どういうことをやらせるように仕向けたかという、文部省の何か職務基準みたいなものが従来あったと思うのですが、さらにこれができますれば、明らかな基準ができると思いますけれども、従来のでけっこうでありますから、概略ちょっと説明しておいていただいた方がいいと思います。
  50. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校薬剤師につきましては、大体学校保健計画の企画実施に参与するということが一つであります。第二番目には、学校の環境衛生に関し、学校医の協力を得て、次のような仕事をいたしております。その一つは、学校における飲料水及び用水の検査、これは主として学校薬剤師がやって、学校医が協力する。教室その他学校内の空気検査並びに暖房及び換気、その他学校内の採光、照明の検査、学校内の消毒及び鼠族、こん虫等の駆除、学校プールの検水及び消毒、学校給食用品及び飲食用器具の衛生の問題、その他学校薬事、衛生に関し必要なこと。それから特に次の事項については、必要に応じて検査を行い、鑑定を行う。学校で使用する医薬品、それから学校で使用する毒物及び劇物、学校で使用する用具及び衛生材料、大体こういうようなことが、薬剤師のおもな任務でございます。
  51. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は先般逐条的に質疑申し上げたので、もう御質疑しないつもりでありましたが、一点だけ質疑漏れを気づきましたので、この機会に合せて伺っておきたいと思うのですが、第八条です。職員健康診断ですが、この中に、学校の設置者が一般の健康診断を行う場合と、都道府県教育委員会が結核に関する定期の健康診断を行う場合と、二つ分けてある。これはどういう何か意味があるのですか。
  52. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校の設置者が行う場合には、これは定期の健康診断でございます。特に都道府県教育委員会が行うのは、これは教員の、義務教育給与費については都道府県負担しておりますので、そういう関係で身体検査を特に重視した。もう一つは、児童に結核を感染させる危険がありますので、こういう点から、特に都道府県が統一的基準でこれを厳重に検査して、結核の早期発見をする、早期診断による早期発見及び早期治療、こういうような趣旨で、都道府県教育委員会が行う場合がありますので、この法案にはその趣旨を織り込んであります。なおその場合は、もちろん都道府県負担でございますが、二分の一を国が補助する建前になっております。
  53. 高野一夫

    ○高野一夫君 それでは、もう一つ学校の方で、学校の設置者が定期的に毎年一般的の健康診断を行う。その健康診断を行なった場合に、結核であることの診断があったといたしますれば、そうすると、再度また、都道府県教育委員会の方で健康診断を行う、こういうふうなことになりますか。
  54. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 結核につきましては、いわゆる設置者がやる場合には精密検査はいたしませんので、結核に関しましては、主として都道府県教育委員会中心でやるわけでございます。
  55. 高野一夫

    ○高野一夫君 それはわかるのですけれども、その学校の設置者は、ここでやはり学校医健康診断をやるわけですから、とにかく医師がやるわけです。専門家が。それで、一般の健康診断をやって結核であると明確に診断ができた場合、あるいは、もっと精密検査をやれば結核であるという診断が下せるかもしれないが、あいまいだけれどもどうも結核らしい、こういうようなふうの、どっちかの診断が一般の健康診断の場合にあった場合に、そうしたらそれは教育委員会の方にすぐ回して、そこで結核の専門的の健康診断をもう一ぺんやる、こういうふうになるわけですか。
  56. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 結核に関しましては、都道府県教育委員会が責任を持つという意味でございまして、もちろん、御指摘のような場合もあり得ると思います。
  57. 秋山長造

    秋山長造君 さっきの養護教諭のことをもう少しお尋ねしたいのですが、その前に、今の質疑応答の中で、学校の中の常時の環境衛生等については、学校医でなしに学校薬剤師がやるというお話しでございました。現在はどうなっているのですか。
  58. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 現在もそういうことであります。
  59. 秋山長造

    秋山長造君 学校薬剤師というのは、ほとんど現在いないのじゃないですか。
  60. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) いないところは学校医が兼務している、こういうことになっているわけであります。
  61. 秋山長造

    秋山長造君 私らの常識では、学校医がやっていると思ったのですが、今の話を聞くと、私は大いに認識をあらためたのですが、そうなるとやはり学校医学校薬剤師、大体医師会と薬剤師会の仲が悪いのですが、やはり学校のいろいろな健康管理の問題について、学校医学校薬剤師との協力関係というのは、うまくいきますか、どうですか。
  62. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これはぜひうまくやっていただきたいと思います。
  63. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をとめて。   〔速記中止
  64. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  65. 秋山長造

    秋山長造君 養護教諭のことですが、これはどうも内藤さんの説明では私納得できません、実際のところ。そこで、養護教諭のことをもう少しお尋ねしてみたいのですが、養護教諭の職務内容というものはどこにきめてあるのですか、それからまたどういうことなんですか。
  66. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは学校教育法規定されまして、その職務は児童生徒養護をつかさどる、こうなっております。
  67. 秋山長造

    秋山長造君 養護というのはどういうことですか、もっと砕いていえば。
  68. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) いろいろ定義は、非常にむずかしいと思いますが、子供たちのうち健康でない者についていろいろと指導をしたり、そういう先ほど秋山委員からお述べになったようなことが内容になるかと思います。
  69. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、養護教諭の仕事、それから今度の学校保健法のねらっているものというのはほぼ同じものだと思うのですが、そういうように考えてよろしゅうございましょうか。
  70. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校保健中心は、何と申しましても、やはり学校という場合には学校長が中心にならぬとならぬ。学校長と全教師が一丸になって学校保健計画の推進を進めなければならぬ。かような観点から、単一に養護教諭だけの問題ではないと思うのであります。
  71. 秋山長造

    秋山長造君 養護教諭の主要な仕事は、健康管理ということが一番主要な仕事だと思うのです。学校教育法には、健康管理という言葉が使ってなくて保健管理という言葉が使ってありますね。この学校保健法にある保健管理ということと健康管理ということはどう違うのですか。
  72. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 健康管理保健管理とどう違うとおっしゃっても、大体同じ意味に御了解いただいていいのではなかろうか。ただ、健康管理の方が少し広いのではなかろうか、精神的な面も含めて健康にしたいということであります。
  73. 秋山長造

    秋山長造君 養護教諭については、これは学校教育法で必置ということに一応なっておって百三条で当分の間置かなくてもいい、こういうようになっているのですが、学校教育法ができた当時、当分の間というのは、大体どのくらいを考えておられたのですか。
  74. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 日本の経済が相当復興いたしまして、同時にもう一つは、養護教諭の養成計画ともにらみ合せますので、実は年限は考えておりませんでした。たとえば五年とか何とかいうことは考えておりませんでした。現在のところ、養護教諭の養成は毎年五百人程度しかできないのでございます。ですから一万人おりまして、私ども定数基準では三千人をふやす計画をしておりますので、まあ一歩前進ではなかろうか。その次にまた次の手を考えて参り、前進していきたい、かように考えております。
  75. 秋山長造

    秋山長造君 学校教育法昭和二十二年にできておるのですが、養護教諭の養成計画というのは、その当時から養成計画を作ってそうして計画的にやって来られているのですか、それともどうなんですか。
  76. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そういう意味でできるだけ養成計画を行なっておるのですが、今のところ、一年に五百人程度しか養護教諭についてはできないということでございます。それからこれは関連でございますが、養護学校の義務制をこれも延ばしておるわけでございます。学校教育法は同じように養護学校も義務制にしておりまして、これも附則で義務制をはずしておるような事情でございますので、なるべく早く本則の方に戻りたいと、実質的には養護学校につきましても推進をいたしておりますし、また、養護教諭必置制につきましても努力を払っておる次第でございます。
  77. 秋山長造

    秋山長造君 養護教諭が百三条で置かなくていいということになっているわけですが、文部省としては、これはできるだけ早く百三条というものは削除したい、必置制にしたいという熱意は持っておられるわけですか。現に衆議院で今度議員提案で出しておりますね、百三条をはずす法案を。これについて文部省はどういうようにお考えになっておりますか。
  78. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 一ぺんに必置制にしますと、地方財政、ひいては国の負担にも影響がございますので、現在一万人程度しか置いていないのでございます。それを必置制にいたしますには、四万人要りますので、三万人の増員ということは、これは非常な財政負担が伴うことと思います。いま一つは、とても三万人という養成計画はございませんので、事実上置けないという法律違反事態が起ると思います。ですからできるだけ必置の方へ行政指導努力して参って、七、八割のところへいったら、そういう法律を強行することは私は不可能だと思うのでございますけれども、今の段階では必置制は無理ではなかろうかと考えております。
  79. 秋山長造

    秋山長造君 現在養護教諭は一万人いると、この間文部省からいだたいたこの資料によりますと、三十二年の五月一日の資料ですけれども、一万人なんかいないのですね。小学校中学校と両方で、小学校は六千七百九十一人、中学校が千五百二十六人ですから、両方で八千二百幾らということになるのですが、そうすると二千近いものがこの一年間にふえたんですか。
  80. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私が申し上げましたのは高等学校も含んでおります。
  81. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、高等学校が二千近くいるわけですか。高等学校ほとんどいないんじゃないですか、養護教諭は。
  82. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは幼稚園が二百十五、それから高等学校が千六百三十一、盲学校ろう学校、そのほかにおりますので、そういう点で一万人でございます。
  83. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、小学校が多いのはわかりますがね。中学校はがたっと減ってまた高等学校は逆にふえておる、こういう実態になると思うのですね。これはどうしてそういうことになっているのですか。常識的に考えると、やっぱり小学校の次は中学校、それから高等学校というようになってこなければならぬと思うのですが、高等学校小学校が多くて、中学校が少いというのは、どういうわけなんです。
  84. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは御指摘のように、やっぱり下の方が多いのは、普通だと思います。ただ、沿革的に新制中学が発足がまだ間もないわけですから、おそらくその沿革的な理由で、昔から中等学校に置いたと思うのです。そういう事由ではなかろうかと思います。
  85. 秋山長造

    秋山長造君 高等学校の千六百三十一人といったら、国立、公立高等学校は、ほとんど置いているぐらいになるんじゃないですか。そのパーセンテージはどのくらいになりますか、六百三十一人という……。
  86. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 高等学校は大体四八%くらいです。中学校は一二%、非常に低いのですね。ですから高等学校が非常に多いと申しますのは、先ほど申しましたのは沿革的の理由で、中学校は終戦後置いたわけですから、そういうところに原因があるのではなかろうかと思うのです。
  87. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、小学校中学校で非常に隔たりがあるし、また小学校同士、中学校同士の間でも、府県によって非常にでこぼこがあるのですが、これは主たる理由は財政的な理由ですか。
  88. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 主として財政的な理由だと思います。
  89. 秋山長造

    秋山長造君 たとえば、この表の佐賀県ですが、佐賀県なんかはおそらく再建団体だと思うのですがね。にもかかわらずこれは非常に佐賀県はいいのですね。小学校では九四%、それから中学校でも五三%。それから東京が八二%というのはわかりますか、東京は中学校は問題にならない。その他非常にでこぼこがあるので、必ずしも府県の財政状態と並行しているというものではないというふうに考えるのですね。これはやはりどうしてそうなるかと言ったら、やっぱり養護教諭というものに対する認識といいますか、そういうものが非常に府県によって違っているのじゃないかと思うのですね。それはつまり文部省指導よろしきを得ていないという僕は結論になるのじゃないかと思うのですかね、どうですか。
  90. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 佐賀県は、御指摘のように養護教諭を非常によけい置いております。財政が不如意にもかかわらず、佐賀県が養護教諭を置いておりますのは、養護教諭に対する御指摘のように認識が高いからだと思います。そこで、私どもとしては、こういうふうにアンバランスでは困るので、このたびの、先ほど申しました定数基準法律におきまして、小学校千五百人という基準中学校二千人に一人という基準で最低を保障して参りたい、かように考えておりますので、今後こういうアンバランスの状態が、なるべく早く解消いたすように努力して参りたいと思っておりいます。
  91. 秋山長造

    秋山長造君 こういうことは、私はさっきからしつこく言っておるように、やっぱり養護教諭というものに対する認識評価というものが、私はおそらく文部省自身にそれほど私はないのじゃないかと思うのですね。それがやっぱりこういう数字になって現われているので、佐賀県なんか特殊な例ですよ。大体これはもう認識が非常に低いと見なければならぬ。財政状態と必ずしも見合った数字じゃないのですよ。だから低いというのは、どうも養護教諭というものの名前は、ただ法律に書いてあるけれども、その職務内容というようなものがきわめてばく然としておる。しかも、今度の学校保健法なんかできれば、いの一番に養護教諭の何か職務内容でもどこかに書いておけば、これは養護教諭というものは大へんな仕事だ、これは置かなければいかぬということになるのですけれども、何にも書いてないでしょう。だからますます養護教諭というものの影が薄くなってしまって、あんなものは置いても置かぬでもいいのだということになってしまう。これは必ずそうなりますよ。これはどこかに書いたらどうですか。
  92. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは私が先ほどから申し上げておりますような、むしろ定数基準の問題だと思います。各府県がやれないのは、定数基準がはっきりしていなかったと思うのです。ですから、ここにかりに書きましても、どこかでそれの財源保障をしなければならぬと思うのです。私どもはむしろここに書かなくても、定数基準法律によって定数を確保するように、先ほど申しました基準で、全国小学校の場合は千五百人、中学校は二千人に一人の割で計算したものを道府県に必ず置けるように半額国庫負担の方で、国の方でも半分持つ。地方財政計画では、それを基礎に交付税の計算をするわけでございますから、両方相待ってたとえば学校養護教諭充実ははかり得ると確信しておるのであります。
  93. 秋山長造

    秋山長造君 それで本年度何人ふやすのですか。
  94. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 本年度と申しますか、一応定数基準によりますと、大体私ども七、八千人の増員を見込んでいるわけであります。そのうち先ほどから申しますように、学校養護教諭については三千名の増員になる。その増員を一ぺんに本年度増員もできかねますので、大体教員総数の二%程度の増員を毎年はかっていきたい、そういう観点からここ二、三年のうちに三千人は充実できるように計画を進めております。
  95. 秋山長造

    秋山長造君 二、三年のうちに三千人ということになると、年に千人ですね、一番長くかかって三年でしょう、それで五百人しか養成できないということをさっきおっしゃったですが、それは養成計画をもっと拡大されるわけですか。
  96. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 現に余っておる分は、相当あるわけでございます。ですから特に学校養護教諭のワクは今までふえていなかったわけですから、相当余っておるところがあると見ております。
  97. 秋山長造

    秋山長造君 そうするとこの養成計画が、財政的な事情とともに、養成計画がなかなか伴わないから、急速に充実ができなかったというお話しだったのですけれども、今のお話しでは養成はできておるけれども、相当あふれて余っている、だぶついている、こういうお話しですが、それは一体どっちがほんとうなんですか。
  98. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私が申し上げているのは、地方財政が苦しいから置けないのだ、財政計画全体が養護教諭必置制にするのは、なかなか無理だということが第一点でございます。第二の理由として、養成計画が一ペんに、かりに三万人必置された場合には、とてもついていけませんと、こう申し上げているのです。私どもとしましては、できるだけ充足するように、養成についても今後努力していきたいと考えております。
  99. 松永忠二

    松永忠二君 今の秋山委員の質問に関連して一つだけそのことについて、今話を聞いていると、保健法で養護教諭のいろいろな仕事の内容を入れると、学校全体が保健管理をやるのだという印象が非常に薄くなるという御説明だった。そういう点について、やはり法でもって明確にしていって、そして今お話が出てきているように、養護教諭については重要性があるということを一応認めている。しかも、内容については非常に個々の関連が多いので、この中に入れていくことによって、養護教員の必要性も十分強調できるし、そして内容規定もされるし、しかも、なおかつ法でもって学校全体がやるのだという趣旨が明確になれば、一そうこの定員を獲得する上にもいいのじゃないかというのが、一般聞いておられる方々の御意見だと思うのですが、そういうことをして悪いという何かあるのですか。
  100. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは先ほどもお答えしたようにして悪いというのではございませんけれども、むしろ、私ども学校保健計画を推進するのは、校長の責任じゃないか。それからその次に各受持ちの担任教師それぞれの責任でもあり、子供たちの日常の生活を最もよく知っている先生方の非常な御協力を得なければ、学校保健計画は推進できないと思う。単に養護教諭だけでやるというようなことは、むしろ弊害が起きるのじゃないだろうか。学校保健養護教諭だけにやらせておけばいいのだというような気持を起さしたら、私はうまく保健計画は推進されないと思います。
  101. 松永忠二

    松永忠二君 それは一つの説明としてお聞きしておきますが、むしろ、それは内容規定して十分学校全体でやるのだということがわかれば、現実に養護教諭を置いてないところもあるのですから、むしろそういう方向の方が率直にいっていいのじゃないかということは、公平に判断してもそうだと思うのですよ。あまりこだわっていかなくてもいいのじゃないかと思うのですが、せっかく厚生省もおいでになりますので厚生省の関係の方に一つお伺いをしたいのですが、学齢にある結核児童の一体どの程度が治療されないでそのままにおかれているのか、それから自宅療養をしている者はどのくらいなのか、また、入所して療養している者はどうか、その中で入所命令を受けて療養しておる者がどのくらいあるのかというような点について、御調査をしておられると思うのですが、その点お聞きしたいわけです。
  102. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 昭和二十八年に結核の実態調査をいたしましたそのときに、要入院の……。その前に学齢期と申しますか、年令別に実態調査をいたしまして、結核の患者の発見率を調べたのでございますが、それによりますると、大体全国民の結核患者発見率は三・四%でございますが、零才から十四才まで、これは未就学児童も含めてのデータでございます。
  103. 松永忠二

    松永忠二君 就学児童については。
  104. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 就学児童だけで一・一%から一・三%くらいのところでございます。そのうち入院を要するというふうに判定されます者は、推計でございますが約四万七千三百名ということでございます。それで実際に入所している者がどれだけかと申しますと、児童のための既設の病床は、これは国立療養所二十カ所で九百八床、それから少年保養所、これは都立あるいは市立というのが多いのでございますが、それが八カ所で千百二十床、二千二十八床、このほかにまだ府県立の病床があるのでございますが、ただ今申し上げました病床の数は、これは児童のためというふうにして特別に作ってある病床ではございません。全体、現在昨年の十月で病床数が二十六万三百でございますが、そのうちどれだけ入所しているかというと、普通おとなの入るところにも子供が入っておりますが、入所患者の年令別の統計が今私どものところにございませんので、はっきりしたことを申し上げるわけにはいかないのでございますが、入院を要する者が四万七千と推定されますうちに、現在あります病床が先ほど申し上げました数字だけで二千、そのほかに府県立を合せまして約三千くらいあるのではないかというふうに推定されましたので、従いまして入院を要する児童と比べて病床の数が比較的少いということは、特殊な病床が少い、子供だけ別にしておく病床が少いということは言えると思うのであります。それから入所命令を出した児童がどれだけあるか、これは児童年令別に入所命令を出した数字がはっきりございませんが、結核予防法の三十五条に基きまして入所命令を出しております数が、年間、これはおとなも何もひっくるめまして、いわゆるほんとうに法律に基いての入所命令を出しておる者は非常に少いのでございまして、全国で千数百名という数でございます。児童だけになりますと、非常に少い数になると思うのでございます。私どもは結核の児童につきましては、その療養のために生活環境をおとなと一緒に置くということは好ましいことではないというふうに考えますので、できるだけ先ほど申しました国立療養所で、別の病棟を作ってもらいたいというようなこと、府県立でもそういう病棟を作ってもらいたい、できれば国立の少年結核療養所というようなことでやっていきたいと考えております。
  105. 松永忠二

    松永忠二君 文部省から同じような一つ調査をお聞きしたい。学齢児童について今お尋ねをしたようなものについて、どういうふうに調査をされておるのか。
  106. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 昭和二十九年の調査で、長欠児童のうち、結核患者の数は一万三千七百名という数字が出ております。
  107. 松永忠二

    松永忠二君 そうではなくて、結核児童であって自宅療養をしておる者、そうしてまた入院して加療している者、その中で入院命令でもって療養をしている者の数というものを把握をされておるのかどうか。
  108. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この数は、私ども正確な数字を持ち合せておりませんです。
  109. 松永忠二

    松永忠二君 これは大へんにおかしな話しだと私は思うのです。学齢児童が結核に現にかかっておる者の数がどれくらいであり、その中で入所して、入院治療を要する者がどれくらいあるのか、そうしてその中で現実に入院して治療をしている者がどれくらいであり、いろいろの事情から入所命令を受けて入所している者がどれくらいあるかということを把握されないで、一体どういう具体的な結核児童の発見、治療の対策をお持ちになるのでありますか。
  110. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほど厚生省からもお話がございました結核実態調査による入院児童数は、四万七千三百名、そのうち結核による就学猶予者が一万一千四十二人、それから結核による就学免除者が千百四十人、結核関係養護学校の就学者が四百三十人、こういうふうになっております。さらに長期欠席で、百日以上の欠席者が一万三千七百名ということになっているのでございます。ですからこの一万三千七百名を治療いたしまして、就学のできるようにいたしたいと、かように考えております。
  111. 松永忠二

    松永忠二君 今お聞きした結核児童の発見と治療の対策を、文部省としてはどういうふうにおやりになっているのか、具体的にお聞かせを願いたい。
  112. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほど申し上げましたように、結核患者のうち軽いのは就学猶予をさせているわけでございます。それから重い者は就学免除になるわけでございます。一般の治療につきましては、これは結核予防法の関係で、厚生省でめんどうをみていただいているわけでございます。
  113. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことについて、従来十分な対策が打たれていなかったというところから、新しく学校保健法というものもその裏づけとしてお作りになったと思うのです。厚生省にお尋ねするのですが、四万七千三百人の要入院者があって、しかもなおかつ、これが今の数字でお話を聞くと、結核児童の病床が三千だというようなお話しなんですが、そうするとまあ三千以外に入所して治療している者はないというふうに判断をされるわけなんですが、そのほかに入って治療されている方もあると思うので、私ども承知しているのでは、四万七千人の中で治療を加えている者が一万三千人程度あるというふうには聞いておるのですが、いずれにしても、こういうふうに、非常に実際入院を要するような、結核にかかっている学齢児童があっても、現実にこういうような入院治療できない原因というものは、どこにあるというふうに考えておられるのか、また、こういう点について、どういうふうな処置をとっていくということが妥当だというふうにお考えになっておられるのか、その点を一つお聞かせいただきたい。
  114. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 先ほど文部省にお尋ねがございました学齢期にある者に対する結核対策を、どういうふうに考えておるかというお尋ねでございましたが、私ども文部省と連絡をとりながら、結核対策としては国全体として、いろいろな策を立てておりますが、特に学校という特別な集団について、いろいろ健康診断の面においても、そのほかの措置についても、できるだけ重点的にやるということを重要視いたしておるわけでございます。たとえば健康診断の面におきましても、保健所の管内の健康診断は、保健所長が計画を立てて実施いたしますが、その際にその中の大きな集団である学校というようなことについては、検診の手伝いそのほかの点について、できるだけの努力を払っておりまして、従いまして国全体の結核の検診率は該当者に対しましては昭和三十一年では三三%ぐらいでございますが、学校生徒児童に対します検診率は九〇%というような非常に高い率で検診が行われておるわけでございます。  それから発見しました患者に対する医療の面でございますが、これはやはり一般の結核の医療の線に沿って施設なり、あるいは医療費の問題を考えていかなければならぬと思うのでございます。現在結核予防法による医療費の公費負担制度というのは、特殊な医療について本人が半分で、地方と国が四分の一ずつ負担するという制度が行われておりますが、必要な児童についてはそれを適用する、あるいは社会保険の被保険者の家族である場合には、そちらの方で費用負担が行われる、さらに生活の非常に困窮するというような人については、生活保護法で医療負担が行われるというようなことでございます。それでただいまお尋ねになりました数万人の要入院に対して、ベッドの数が非常に少いではないか、また、先ほど申し上げました約三千ぐらいの数のほかに児童が入ってないかどうかということでございまして、これは先ほど申し上げましたように、この三千という数字は国立とか府県立あるいは市立などで特別に結核児童のための病床として整備されている数がそれだけでございますので、そのほかに一般の病床の中に学齢期の児童が入っていることは当然考えられます。現在どれだけが入所しておるという実数は、今ここで数字を持っておりませんので申し上げかねるわけでございますが、先ほど申し上げました実態調査の成績は、これは全国から二百十地区を選び出してその中でサンプル調査をしましてそれから全国を類推した数でございますので、はっきりそれだけを全部つかんでおるわけではございません。従ってそれだけ直ちに病床が必要だというふうには考えられません。今後健康診断をやって発見して、そしてそれに対して必要な病床を整備するということを考えなければならぬと思うのでございます。  入院を要するものでありながら放置されている、その理由はどこにあるかということにつきましては、病床が足りないということも一部には、地域的には一般の結核患者と同様にあるとは思いますが、そのほかに、やはり経済的な問題が原因になっている面もあるのではないかというふうに考えるわけでございます。病床の不足は現在国全体から考えまして、地域的なアンバランスがあるということでございます。そういう点を考えまして、現在まで私ども病床の整備に当って参りました。入れないで放置されているのがどれだけあるかという実数は今のところはっきりつかんでおりません。先ほど申し上げましたのはサンプル調査から全国を類推しての数でございまして、行政的に把握しておるのは、そのうちの一部ということになります。
  115. 松永忠二

    松永忠二君 文部省にお伺いしますが、この学校保健法案が通過をすれば、従前よりも結核児童の発見、治療というようなものがどういうふうに促進されてくるのか、そういう点について具体的に今度は発見されれば、どういうふうな処置が行われ、どういうふうになって一体この法案に基いて促進されるのか、そういうことをお聞きしたいと思います。
  116. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この法案では、主としていわゆる学校病と申します虫歯だとか、トラホームとか、あるいは疥癬等の皮膚病とか、十二指腸虫のようないわゆる学校病を駆逐いたしまして、健全な身体にして学習効果を上げるのが、大きなねらいでございまして、もちろん、身体検査をして、従来と同じように結核予防法等によって治療の万全を期するわけでございますので、私どもはこの法案によってさらに結核の対策にも十分効果があると、かように考えております。
  117. 松永忠二

    松永忠二君 まあ、そこで第十四条の中に「その他伝染病の予防に関して規定する法律に定めるもののほか、学校における伝染病の予防に関し必要な事項は、文部省令で定める。」ということが出ているわけなんですが、結核児童が発見をされた場合には、この第十四条によって保健所に通知をされていくというようなことが考えられているのかどうか。ただ、発見の度合いが多くなるのだから、前よりは促進されるという程度のことではなくて、現実にこの法律によりまして発見された場合には、従前はこうであったけれども、直ちに保健所に通知もされ、具体的に処置もされるということは、この法律の中からは考えられていないのかどうかという点を伺いたい。
  118. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは従来からも、保健所に十分連絡をして参ったわけですが、この法案によりましても、特に二十条に「学校の設置者は、この法律規定による健康診断を行おうとする場合その他政令で定める場合においては、保健所と連絡するものとする。」かようにしてございまするので、そういう結核性の伝染疾患については直ちに連絡し、また、事前に御相談いたしまして、結核診断についてもレントゲンとかその他についても、十分御協力を仰ぎたいと思っております。
  119. 松永忠二

    松永忠二君 文部省と厚生省の両方にお聞きするのですが、せっかくこういう法律ができてくると、現実にこれはおとなの結核を放置しておいていいというわけではないけれども、子供の結核というものは、将来のあることであるし、早期に発見をして十分に治療をしていくということは必要だと思うわけなんです。この法律も、ただ学校病といわれるものを駆逐するということだけではなくて、もう現実に今出てきているように四万七千人の入院を要する児童がある。しかも、それ以外に自宅療養をしているような者もあるし、自宅療養も十分にしていないというような生徒も実はあるわけなんです。極端なことを言えば、結核児童が実は学校へそのまま出てきているような場合もあるわけなんです。これはもう何としても、対策を十分に立てていかなければできないし、こういう法律ができた機会に、何らかこの行政措置を行なって、文部省と厚生省の間に、この行政的な措置として何か考えていくか、あるいは生活保護法というものをもう少し改めていって、そうして児童の結核が発見された場合には、その児童の結核の医療については、生活保護の適用を直ちにしていくとか、あるいは入所命令を出していくとかいうような法律改正なり行政措置を考えていかなければ、これはその学校病の駆逐をする法案だということでは、せっかく就学前の健康診断をやってみても、そのままになってしまうのではないか。これについてはやはり徹底的な措置文部省として考えていかなければできないし、厚生省にしても今お聞きした程度の調査では、実は私らも非常に物足りないわけなんです。現実にそういう子供をよく知っているし、非常に入院もできなくて困っているような子供たちもあるわけなんですから、的確な数字をもって常にベッドの要求もされていくということが私は必要だと思う。今度厚生省が三千ベッドの要求をされたようでありますけれども、もう少しやはりこういうときには、的確に学齢児の中でこれだけの結核の患者があるし、療養者はこれだけであり、入院患者はこれだけだというようなことが明示されていくという必要がやはりあると思うんです。特に学齢児童の結核児童対策というものは、非常に一歩前進した措置をすべきだと私は思う。この機会に厚生省もそういうふうな考え方を持っておられるのかどうか、この点を一つ両方からお聞きをしたいんです。
  120. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御趣旨の点、よく了承しましたが、結核につきましては、従来から結核予防法等で一応措置がされておるわけなんです。今御指摘のように、不十分な点はございますけれども、で、主としてこの法案で治療等をいたしますのは、いわゆる学校病等をこの法案によって治療する、こう申し上げたわけでございまして、決して私どもは結核対策に対して、これを軽視するというような考えは毛頭ございませんので、この法案の成立した暁におきましては、十分厚生省と連絡をとりまして、さらに児童の結核対策に万全の措置をとるように努力いたしたいと考えております。
  121. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 御指摘の点、ごもっともでございまして、児童の結核は、新しく実態調査の成績から見ますと、新しく発生して参ります患者の発見率は、年齢の低い方に割合に多いのであります。しかも、それが一年二年の間の経過を見ますと、早期に治療すれば、非常によくなおるという成績がはっきり出ております。結核全体の中でも、特にやはりこの児童の結核ということについては、重点を置いてやっていかなければならないというふうに考えております。ただいま数字等についていろいろ御指摘がございましたが、厚生省でも、国立の施設については、先ほど申し上げましたように、現在は二十カ所ございますが、児童の結核の療養については、やはり生活環境を、一般のおとなと同じでない方が効果がございますので、そういうふうに別な病床を作るということを厚生省の方でも特に考えてもらっておりますし、民間の方に対してもそういうものを慫慂いたしております。また、経済的な裏づけにつきましては、結核予防法の範囲の拡大、あるいはそのほかの生活保護法の問題も御指摘がございましたが、そういう点については、関係の方と十分連絡して、今後医療費に関する裏づけをさらに広げていくというふうに努力をいたしたいと考えております。従来とも、先ほど申し上げましたように、私ども結核対策健康診断にいたしましても、学校ということに重点的にやって参っておりましたが、今後、この学校保健法が実施されますれば、それに基いて保健所との連絡も二十条に規定してございますが、その他の面について、学校の中でもいろいろ整備されますので、私どもの方と一そう連絡を強くして御指摘の点、結核対策の強化に努めて参りたい、そういうふうに考えております。
  122. 松永忠二

    松永忠二君 文部省局長は、生活保護法で処理しているから、今後また対策を考えるというお話しですが、現実に生活保護法を適用されているものは、これはもう調査をしてみればわかるように、ほんの少いものでしょう。しかも、入所命令をされているものは、ほんのわずかな数である。で、しかも、今度はこの法律保健所へ連絡するということがちゃんと規定してあるんだから、保健所へ連絡した者については、保健所の方ではどういうふうにしてもらうというようなことについて、やはり厚生省の方へ連絡をとって、厚生省の方から保健所の方へ行政措置としての通達が出ていくというようなことになってこなければ、一歩も前進したことには私はならないと思うんです。早期に発見はいたしました。発見はしてみたところが、何らの治療も加えられることができないし、一歩も前進していないわけなんです。で、そういう点で、再度そういうふうなことを交渉するつもりなのか。それから厚生省の方ではそういうことは可能なのか、事実上、保健所長が相当そういう意見を持っているし、国立の療養所の所長の権限としてそういうものを持っているわけなんです。で、今お話しのように、法の改正ということまでいけば、徹底してくるわけだけれども、法を改正しない段階でも、やはり行政措置としてできるものを国立の療養所長が権限を持っているわけなんです。そういうところについて、新しくこういう学校保健法ができる、こういうものについては保健所の方へ連絡があるそのものについては、できるだけこういうふうな措置をせよというようなことをし、順次これを法制化をしていくというようなことにして、的確にこっちは健康診断が定期的に行われ、それが結核については直ちに報告をされ、その報告をされたものについては直ちに処理ができる、そうすれば数もはっきりわかってきて、その処理の仕方も促進できるということなんで、この法律のできた機会に、そういう措置の的確を期していくということでなければ、対策として十分じゃないと思うんですよ。ただ、そういうふうに今後考えていくとか、十分熱意を持ってやるとかとおっしゃっても、この法律でも活用できる部面があるということを私は言うわけです。そういうことについては、文部省は積極的に厚生省に当るべきであるし、厚生省も先ほどそういう熱意のある御答弁もあったんですが、具体的にこういう法律もできたので、そういう点についての措置について、行政的な措置なり通達をしていく考えを持っているかどうか、そういうことをお聞きしたい。
  123. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御指摘の点、特に児童の結核対策につきましては、結核予防法に基きまして、厚生省とも従来密接な関係を持って努力して参ったのですが、その点御指摘のように、まだ不十分な点もございますので、今後この法案が成立いたしました場合には、ぜひ二十条の規定を活用しまして、保健所と密接な連絡をいたしまして、適切な措置が迅速に行われるように、十分厚生省とも協議して参りたいと考えております。
  124. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 先ほども申し上げましたように、施設の面では現在いろいろ考えておりますが、医療費の面につきましては、昭和三十三年度では、非常に大幅な増額は認められなかったわけでございますが、しかし、結核予防法によります公費負担の範囲も、ある程度拡張されました。それから入所命令を出し得る対象者の予算も、全体として数は少いのでございますが、五割ばかり増加されております。従いましてただいま内藤局長からもお答えがありましたように、この法律施行されるという機会に、私どもといたしましても、従来も十分連絡してやっておりましたが、さらにこれを機会に、通知されました患者の医療につきましては、国立の療養所あるいは一般の所において、特段の注意を払って協力するようにというようなことを、行政措置として、私ども関係の方面に通達を出してやって参りたい、そういうふうに考えておるのでございまして、厚生省といたしましては、児童の結核というものにつきましては、特に最近重要視して、厚生省内においては、公衆衛生局及び児童局と連絡をとって乗り出しておる最中でございますが、この際、学校保健法が制定されますれば、特段にそういう点に注意して参りたいと思います。
  125. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つで終りたいと思うんですが、これは治療を加えている子供の教育の問題なんです。で、これについては、必ずしも結核児童だけではなくて、今お話しの出てきている精神薄弱児とか、身体虚弱児とかいう、児童福祉施設における療養中の生徒についてもそうだと思う。特に今結核療養をしている子供たちの教育というような問題について、治療を中心に行われているとしても、やはり教育の可能性というものは十分にないので、こういう点については、厚生省は国立療養所の中に、そういう教育施設を作っていきたいという気持を持っておられるんだし、児童福祉施設の中に、そういう教育施設を併設をしていきたいという気持でおやりになっておられるようであります。そういう点について、やはり文部省はこの点についてやはり同様な考え方を持っておられるのか、あるいはこの行政的な管理の面については、やはり将来改めていって、たとえば療養中の生徒教育施設設備については、厚生省が負担をする、そうして片方の教材費とか、あるいは定員について文部省が心配をするというようなことになって非常に一貫性を欠くということも実はわれわれも感じておるわけなんです。こういう点については、厚生省と文部省の間に考え方の相違はないのか、そうしてまた、将来はどういうふうな統一した方向でこの問題を解決をしていこうというようなお考えを持っておられるのか。これは結核児童並びにその話しの出てきている身体虚弱児、肢体不自由児というようなものについての施設についても同様だと思うのですが、それを両方からお聞かせをいただきたいと思います。
  126. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) その養護施設なり、あるいは療養所で治療をいたしております子供たちの教育については、今お述べになったことに全く同感でございます。そういう趣旨教育委員会の方から教員を派遣して、そうして児童が就学のできるように機会を与えることが望ましい、かような指導をいたしておるのでありまして、今後療養所その他の養護施設等におきまして、一そう結核児童等が教育に恵まれる機会を充実して参りたいと、かように考えております。
  127. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほど来お話しのありました、たとえば結核の国立の療養所等において小児病棟等をこしらえました場合におきましては、努めて教育委員会等から教員を派遣をしていただいて、治療に差しつかえない範囲において、医師の処方に基いた意味において教育を施すということは、努めて実施をいたしておるような次第でございます。そのほかの児童関係施設につきましても、まあ同様な考え方を持ちまして、十分文部省とも連絡をし合って、その辺はやっておるような次第でございますが、今後ともそういう考え方で進んでいくつもりでございます。
  128. 松永忠二

    松永忠二君 現実のことは、私たちも承知しておるのですが、非常にうまくいっていないということは御承知だと思うのです。また、予算的に非常に困っている。国立の療養所では施設をしたいけれどもそれの予算はほとんどない、そうしてまた、この学校教育委員会の方は、定員を配置したいけれども、定員も十分でないので非常に困っている。そういうのが実態なんであってお話しのように十分に注意をしているけれども、それができているという状態では私はないと思うのです。そこで、たとえばこういうふうに福祉施設へ入って療養中の者とか、国立療養所に療養中の者については、全部の責任が厚生省にあるということになって、そうしてその厚生省がしかるべく予算を充実をして、そうしてその間の教育というもの、教育というよりも、むしろ治療を伴う同時の教育ということにしてこれを充実していくというようなことに責任を持ってそこに移していくというような措置をしなければ、厚生省としても予算も取れなかろうし、現実には、国立の療養所では金がなくて困って金をいろいろな名目で出している、教育だから教育委員会が責任を持つべきじゃないかという、逆にまた教育委員会の方は、そういう金は全然ないというような状態なんで、現実には非常に困っている状態、しかもなおかつ、一人の先生がそこへ配置をされたことによって子供たちには精神的な支えがあるということ、自分の親たちを離れて一年、二年の程度の子供たちが、療養中を非常な有効な効果を上げていることも事実なんです。こういう点については、そういう一本化するやり方というものは考えられていないのか。その点はやはりあくまで限界をもっていくべきだというように考えておられるのか、厚生省の方はどういう見解を持たれているのですか。
  129. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話しのありました国立の結核療養所に対する教員の派遣、あるいは教育の問題等につきましては、今お話しのありましたように、十分解決しにくい状態になっているのも私耳にいたしております。しかし、やはり教育は、これは教育委員会の方が主体としてやる建前でございますので、一応現在その建前のもとに文部省の方とも協力し合って、その線で進むように努力をいたしているのでございますが、結局はあまり地方における予算の問題とか、そういうことになるわけであろうと思いますが、この辺は文部省の方も気を使って努力をしていただいておりますが、当面の問題としては、そういうような線で進んで参りたいと思います。将来の問題としまして、どうしてもそれで工合が悪いということになれば、さらにあらためて両者打ち合わせしたいと思います。
  130. 松永忠二

    松永忠二君 今の説明のあった予算はどのくらいお持ちなんですか。厚生省で……。
  131. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今申し上げましたように、教育関係は、これは先生の派遣でありますとか、あるいは教室の建設でありますとか、これはむしろ国立療養所でやることではなくして、教育委員会の方の仕事でございますから、そちらの方の予算に当然入ってくるわけでございます。
  132. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、現実には、そういう療養所で教育を受けているものの、たとえば黒板とか、机とか、そういうものの費用というものは全然支出する項目なしに、結局国立療養所の中の経費でやっているんですか。それともそういうものは予算化されているのですか、その点だけ一つお聞かせ願いたいと思います。
  133. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) その辺の具体的な問題については、むしろこういう席上であまり立ち入らない方がかえっていいかと思うのでございます。が、もちろん、国立療養所におきましても、療養所の運営上もろもろの費用があるわけでございますから、私どもとしては、名目のつく限りにおいては努力もし、協力もしてやっていることは御承知いただけると思うのでございます。
  134. 松永忠二

    松永忠二君 それはわかるんですよ。ただしかし、私の申し上げたのは、そういうことで出しているのでは結局現実には進まないのだ。だからその辺を明確にして、やはり児童の療養というようなものを行なっている場合においては、そういう施設とか、あれも必要だというふうな考え方のもとに、この話して工合の悪いような状況の中からでは解決をしていく程度がわかっているわけなんです。それが暗礁に現実に乗り上げていることは事実だと思うんですよ。これは教育委員会に責任があるといえば言えるけれども、とにかく、一番そういう関係の予算も相当持っておられるのだから、そういう方面でやはり明確な支出をされて、その予算の拡大をはかって、必要性を強調していかなければ、今あなたの御説明になったような予算の支出では、もはや限界に来ていると思う。限界どころではない、非常に不徹底になってきていると、そういう点を私は申し上げた。今後、そういう点についても御研究をいただいて、ぜひ一つこの苦しい中で、療養所が教育的な良心をどう満足させるために苦労しているかという、現実のことを解決のできるような措置を、厚生省としても努力をしていただきたいということを御要望申し上げるわけでございます。
  135. 湯山勇

    委員長湯山勇君) なお、今の点については、厚生省の各局間の連絡をよくしていただきまして、一つ御善処願いたいと思います。  ちょっと、私この際聞いて、おきたいことは、内藤局長にお尋ねいたしますが、この学校の健康相談はだれがやるんですか。資格その他非常に問題が多いと思うんですけれども、ただばく然と学校では健康相談を行う、こうなっているわけですが、どういう構想ですか。
  136. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 主として学校医が当ることでございます。
  137. 湯山勇

    委員長湯山勇君) それからこの法案のように、学校医あるいは学校歯科医、それから学校薬剤師、こういう人たちの仕事が非常に明確になって、これを積極的にやってもらう、法案趣旨の通りにやってもらうとすれば、これはずいぶんたくさん費用がかかると思います。費用を見ないで、こう法律だけ出しても、結局今の養護教員と同じように何にもならないということになるので、これを作ってもらったために、市町村が迷惑したということではいけないのですが、この学校医学校歯科医学校薬剤師等のまあ旅費あるいは何といいますか、手当とか、そういうものについてはどういうお考えでしょうか。
  138. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御指摘の点、まことにごもっともなんで、実は私どもも従来も学校医学校歯科医等は非常に少額でございましたので、このたびの地方財政交付税交付金単位費用を計算するときに、特に従来三千円でありましたのを、まあ倍額といっちゃ非常に失礼ですけれども、七千円に引き上げたわけでございます。
  139. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 今のは、七千円というのは、学校医学校歯科医学校薬剤師全部ですか。
  140. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようであります。
  141. 湯山勇

    委員長湯山勇君) それからもう一点最後に、今のやはり百三条の問題ですけれども、これはもう法施行以来十年来たってまだこういう状態だというのは、われわれにも責任があるけれども、最も大きな責任は文部省にあると思います。十年もたってやはりこういう状態であるということは、まことに残念なことですが、これは養護教諭制度もありますし、やはり年限を切ってここまでで充足するということをしないと、先ほど来御質問にもなったように、学校によっては校区内にお医者さんもいないし、薬局もないし、それから養護教員もいないと、こういう学校が相当できると思います。これはどのくらいあるか計算なさったことがありますか。
  142. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校医は大体九七、八%の普及率でございます。それから学校歯科医は八〇数%で、学校薬剤師は最近制度化されましたので、まだ一万以下かもしれません。しかし本法施行されますれば、急速に薬剤師につきましては充足するように、これは自治庁とも十分打ち合しております。さらに、学校養護教員につきましては、先ほど申しましたように千五百人に一人、中学校は二千人に一人ということで、ある程度兼務でもできると思いますので、できるだけ学校にそういう医療関係者のいないような状態の起きないように努力いたしたいと考えております。
  143. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 今のは、学校医にしても名目の学校医、つまり兼務だとかずいぶん遠くから来ていると、兼務している、そういうことがかなりあって、そういう充足率なので私がお尋ねしておるように、その校区内にお医者さんがいない、それから歯科医師、もちろんいない、薬局はない。これは相当あると思うのです。御調査になっていないんだろうと思いますけれども、こういう所こそ、養護教員が必要なんで、今定数基準を千五百とか二千とか言われますけれども、そういうことだと大きい学校ばかりに、そういうものに片寄ってそうして地方の不便なところは結局取り残される。こういうことは義務教育趣旨からいっても、この学校保健法趣旨からいっても私はよくないことだと思います。そこで、ぜひそういう所こそ、優先的に学校養護教員を置くというような措置を講じないと、なかなか、この法案はせっかく作っても、そういうかえって恵まれない所を一そう恵まれないようにする、そういう懸念があると思うのですが、何かそういうことについてお考えありますか。
  144. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この法案を作ったから、一そう恵まれないということは私はないと思うんです。むしろ、この法案によって大いに推進されると思います。学校医学校歯科医学校薬剤師が設置され、また一方におきましては、定数基準法律におきましても、先ほど来申し上げましたように、一つの全国的基準を設けますので、お手元に示したようなアンバランスの状態が解消されて、全国的に飛躍的に私は養護教員についても充実できる、かように信じておるのであります。
  145. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 何もないところの学校はどうですか。
  146. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そういうことのないように、巡回診療班とかそういうようなものを組織いたしまして、今御指摘になったような何もないというようなことのないように、十分配慮いたしたいと考えております。
  147. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  148. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて下さい。  本案に対する質疑はこれにて終了いたします。  午前中の委員会は、これで終了いたしました。    午後一時十八分休憩      ―――――・―――――   〔休憩後開会に至らなかった〕      ―――――・―――――