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1958-03-06 第28回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月六日(木曜日)    午後二時八分開会   —————————————   委員異動 三月五日委員前田佳都男君及び松澤靖 介君辞任につき、その補欠として川口 為之助君及び秋山長造君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     湯山  勇君    理事            野本 品吉君            竹中 勝男君    委員            川村 松助君            下條 康麿君            林屋亀次郎君            三浦 義男君            秋山 長造君            高田なほ子君            松永 忠二君            吉田 法晴君            加賀山之雄君   国務大臣    文 部 大 臣 松永  東君   政府委員    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部省初等中等    教育局長    内藤譽三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○連合審査会開会の件 ○学校保健法案内閣提出) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (当面の文教政策に関する件)  (昭和三十三年度文教予算に関する  件)   —————————————
  2. 湯山勇

    委員長湯山勇君) これより文教委員会開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  三月五日、前田佳都男君及び松澤靖介君が辞任され、その補欠として川口爲之助君及び秋山長造君が選任されました。  以上であります。   —————————————
  3. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に、午前中開きました委員長及び理事打合会経過について報告いたします。  最初に、本付託になっております学校保健法案について、本日提案理由並びに補足説明を聴取し、次回十三日から質疑に入ることとなりました。  次に、教職員勤務評定に関する参考人意見聴取の件でありますが、本件については、第二十七回国会十一月五日の委員会におきまして、関係者から参考人として意見を聴取する必要性について意見一致を見ながら、時期的な関係から、本国会においてなるべく早い機会にこれを行うことを確認しておりましたので、今回勤務評定実施基準案を作成した全国都道府県教育委員長協議会及び同教育長協議会関係者から、その立案趣旨並びにその内容実施方法等を明確にする目的で、適当な時期に参考人として出席を求めることに意見一致を見ました。  次に、内閣委員会付託されております文部省設置法の一部改正法案について、同委員会連合審査会を開催する件について協議を行いました結果、これを行うことに決定いたしました。  なお、放送法の一部改正法案についても、連合審査会を行うことに意見の  一致を見たのでありますが、本案は本会議趣旨説明を聴取する要求が出ておる関係上、いまだ付託されておりませんので、本件については後日決定を願いたいと存じます。  次に、科学技術振興について関係者から意見を述べたいという希望がありましたが、本件は後日協議することといたしました  また、著作権法改正について意見の交換を行なったのでありますが、本件については、すみやかに各会派の態度をまとめることとなりました。  以上報告通り取り運ぶことに御異議ございませんか。
  4. 竹中勝男

    竹中勝男君 今の勤務評定に関する協議会並び教育長協議会から参考人として意見を聴取する、実情を聴取するということについて適当な時期ということでけっこうと思いますけれども、しかし、これはやはり十一月の決定にもある通り、できるだけ早い機会に、四月から実施されるわけですからして、なるべくやはり早い時期に、一つ参考人を呼んでいただきたいということを、理事としてそういう希望をここで申しておきたいと思います。御賛同を得たいと思います。
  5. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ただいまの竹中君の発言につきましては、追って理事会において十分御協議を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松永忠二

    松永忠二君 道徳教育の時間特設を中心にした教育課程の問題について、やはり相当各方面に意見もあるようでありますので、参考人を呼んで意見を聴取するということについて委員長委員長理事打合会において一つ協議を願いたいと思うわけです。これについては、やはり四月から実施をするということを文部省希望しているような状態であるから、三月中には、一つその意見聴取ができるように取り計らいをいただきたいと思うわけです。  なお、もう一つ委員長にお願いをしておきますことは、この前初中局長からもお話しのありました教育課程審議会の前の教育課程審議会道徳教育並びに職業教育関係して前回審議会報告した事項資料としてお出しをいただきたいという要求を私したわけでありますが、早急に一つそれが取り運ばれるようにお手配いただきたいと思うわけです。
  7. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと申し上げますが、松永君の御発言は、理事会報告と若干性質が違うと思いますから、理事会報告を承認いただいたあとで、今の問題を取り上げたいと思ますが、それでよろしゅうございまか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと質問があるのです、その報告について。勤務評定の問題について参考人を呼んでいろいろの意見を聞くということについて、私は賛成するわけですが、今の報告によりますと、理事者側からだけの意見を聞くようにありましたけれども、そういうふうに理解していいわけですか。もっと広い意味意見を聞くというのではないのですか。
  9. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 本日の理事会決定は、今回勤務評定実施基準案を作成した全国都道府県教育委員長協議会及び同教育長協議会関係者から、立案趣旨並びに内容、それから実施方法、それをまず聞こうというわけでございまして高田君の御発言の点については、今回は考慮に入れていないわけでございます。
  10. 高田なほ子

    高田なほ子君 重ねてお伺いをしますが、勤務評定は非常にやはり大きな問題になっておるし、これは単に当面の教職員だけではなく、かなり広い職場でもこの問題が論議され、また、国民の中でも、この問題については、九なりの論議がされておるので、できば理事者側から実施計画経過だけをここで聞くのではなくて、できればやはり広い層からの意見というものが開陳され、われわれもまた、その意見を十分に聞くという機会というものが当然持たれなければならないと思うのですが、委員長におきましては、そうした措置についても善処されることを強く要望したいと思います。
  11. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ただいまの高田君の御意見も、この参考人を呼ぶ時期の決定等機会につけ加えて御審議いただくようにいたしたいと思いますから、それで御了承いただきたいと思います。
  12. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 科学技術振興申し出があったというのは、どういう立場の方からお申し出があったのですか、話をしたいという。
  13. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 直接科学技術並びに科学技術教育関係しておる学者の方とか、あるいは学術会議の方とか、そういう方々から、公式にではありませんけれども申し出がありましたのでお諮りしたわけでございます。
  14. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 学術会議議長からというようなことではないのですか。
  15. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ということではありません。
  16. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 希望としては、そういう方からお申し出があったなら、これはやはりできるだけ放っておかないで早く伺うのがいいと思います。そういうふうに委員長にお取り計らいを願いたいと思います。
  17. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 了承いたしました。  それでは、ただいま御報告申し上げました委員長理事打合会決定については、その通り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  18. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に、松永君から御発言のありました道徳教育教科課程について参考人を呼ぶこと、この件についてお諮りいたします。この件の取り計らいいかがいたしましょうか。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 いかがでしょうか。この問題はやはり大へん大きな問題になっておるわけでありますから、ぜひ廣い国民層からの各般の御意見を聞くという機会というものを持っていただきたいということを、私どもは謙虚に要望するわけであります。そういう時期あるいは人選方法等については、従来の慣行通り委員長理事打合会等で御相談いただきまして、大へんけっこうだと思います。そういうふうに取り計らっていただきたいと思います。
  20. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 他に御意見ございませんか。——それではこの件につきましては、松永君及び高田君の御発言通り理事会において検討するということについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 湯山勇

    委員長湯山勇君) そのように決定いたします。   —————————————
  22. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に、松永君から資料要求についての重ねての御発言がございました。この点については、初中局長の方から御説明願いたいと思いますが、どうなっておるのでしょうか。
  23. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 本日プリントにしたものを持ち合わせておりませんが、趣旨前回教育課程審議会で議論されましたときに、道徳教育教科については御異論がなかった。これについて特設した方がいいという意見と特設しなくてもいいという二つの意見がございました。そのことでございまして、この程度のことが教育課程審議会に引き継がれておるのであります。ですからあらためてその程度のことを文書にしてお出ししてもけっこうでございます。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 その点については、この前あなたが御答弁になって、前回審議会の積み上げとして十分に検討したというお話しであった。従って、私どもはやはり前回相当長い期間にこの問題は討議されたのだから、その討議の状況等については詳細にやはり報告をして、そうして今度の審議会における参考としてやっていくということが至当なことだと思うわけです。そういうことについての取り運びをする責任というものは、局長に私はあると思う。局長が簡単なことを、今言われたような程度のことを審議会に引き継いだとするならば、これは妥当な引き継ぎの仕方ではないと思う。そうなってくれば、私たちは前回審議会審議記録公開していただきたいということを要求しなければいけないわけです。もし、そういう御答弁でありますならば、前回審議会における審議記録を  一つ資料として御提出いただきたいと思います。そうすれば一切詳細にわか  るわけでありますから……。
  25. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私どもはこの審議会経過は、これは公表すべき性質のものではないと思っております。ですからもちろん審議会に、新しい審議会に引き継がれた部門、これ一につきましては、審議会資料を提出しております。ですからその限度において私はここにお出しすることは差しつかえない、こういう意味で申し上げたのであります。
  26. 松永忠二

    松永忠二君 私の申し上げたのは、あなたが責任をもって取り継がれた項目について、内容について資料出していただきたい。今この席で言われたような程度のことをプリントにいたしますというお話ならば、私の方でお断わりいたします。そんなものであるならば……。そうであるならば、私はお断わりをして前回公開をしない審議記録内容を、やはり詳細に相当趣旨を盛ったものをお出しをいただきたいと思うわけです。
  27. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 審議会の方は、昨年の九月に発足した教育課程審議会自主性に基いて決定される、こういう前回審議経過というものはあくまでも参考である、その参考としてせっかく前回いろいろな問題が出ましたので、問題を整理して提示したわけであります。ですから私どもとしては、ただいま申し上げた程度のことが道徳教育については論じられた、それ以上のことは論じられておりませんので、その程度のことを出す、こういう意味でございます。
  28. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっとわからぬのですが、その程度のことを出すということは、今言ったようなことをプリントにしたものを出すのか、それともそうではなくて、やはり前回審議会の大体の審議状況について、状況といいますか、要項について書かれたものを出すというのでありますか、どちらでありますか。
  29. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私が申し上げたのは、前回審議会で議論になったまとめでございます。個々の委員が一々どういう発言をされたとか、こういうふうなことは、私どもは必要ないという考え方で、全体の流れ、問題点出し方、こういうようなものについて、前回記録をまとめておりますので、この程度のことは本委員会に出すということはけっこうでございます。こういう意味でございます。
  30. 松永忠二

    松永忠二君 今発言されたようなとりまとめたものを一つ出していただきたいと思うわけです。
  31. 秋山長造

    秋山長造君 内藤局長に関連してお伺いいたしますが、この教育課程審議会審議内容公開すべき性質のものではないというさっきの御答弁があったのですが、公開すべき性質のものではないと私は思えないのですが、これはどういうわけで公開できないのですか。大体審議会というものは、事を民主的に運ぼうということで審議会というものが設けられていると思うのです。従ってその審議会というものはこれはもう当然公開主義でやられるのが私はほんとうだと思うのです。こういう審議会だとか、調査会だとかいろいろな機関が政府関係、各省関係設けられておりますが、今おっしゃるような審議会内容公開すべき性質のものではないというような審議会というものは、私はほかにないと思うのですね。憲法制定当時の秘密議事録という話はあるけれども、それくらいなもので、教育課程審議会なんかの内容公開すべき性質のものではないというようなことは、それこそ私はおかしいと思うのです。その点はどういうわけでさっきのような御答弁が出たのか、ちょっとお伺いしたい。
  32. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) どの委員がどういう発言をされているかということは、これは委員方々の良識によって判断されているわけです。そういうようなものが堂々と外部に漏れて言論の自由が束縛されては、私はならないと思う。しかしながら、審議会でまとまった結論、これは私はお出ししてもけっこうだと思います。
  33. 秋山長造

    秋山長造君 では別な角度からお尋ねいたしますが、この教育課程審議会会議録というものはとってあるのですかどうですか。
  34. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) とっております。
  35. 秋山長造

    秋山長造君 それは速記録ですか、それともさっきおっしゃったよ、うなある程度要点取りまとめというような程度のものですか。
  36. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 要点取りまとめでございます。
  37. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ要点取りまとめ程度のものしかとっていないというふうに理解してよろしいわけですか。
  38. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) さようでございます。
  39. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ今、松永委員に約束された資料提出というのはそれなんですね。
  40. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 大体要点取りまとめでございます。
  41. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、この委員会での記録は全部資料として出そう、こういう趣旨だと承わっていいのですか。
  42. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 委員会の今申しました取りまとめ結論については、私ども発表して差しつかえないと考えております。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 いや、取りまとめ結論というそこがちょっとニュアンスが違うのですが、取りまとめたものをそのまま資料要求に応じて資料として出そうというのか、それともその中からまたあなたの主観をもって、こういうものは国会出しても当りさわりがないだろう、こういうものはなるべく見せぬ方がよいだろう、こういうことになるのですか、どっちなんですか。
  44. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私の主観をまじえるようなことは考えておりません。ただ、審議会審議過程においていろいろな人の意見が出ておりますから、そういうものはお出しすることはいかぬと思います。審議会としてまとまった結論がございますれば、それはお出ししてもけっこうだと思います。
  45. 竹中勝男

    竹中勝男君 関連して。さっき内藤局長公開すべきものではないと言った部分は、あなたのところには記録にあるのですか。
  46. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 公開すべき部分と申しましたのは、私が申しました意味は、大体審議会でいろいろと審議されて最後に審議会としてこういうふうにきめよう、こういうふうにきまったものは、これは公開してもよいと私は思っておりますが、審議経過の分につきましては、それはどなたの委員がどういうふうな発言をされたということは、これはこれは一切外部に出さないことになっております。
  47. 竹中勝男

    竹中勝男君 だれがどう言ったかということはあなたの方では速記録はとってないというのでありましょうか。
  48. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) メモ程度のものはとっております。
  49. 竹中勝男

    竹中勝男君 そのメモ程度のものをなぜ公開できないのですか。公開すべきでないのですか。そうすると審議会でわれわれが、私も内閣審議会委員をたびたびしておりますが、何本公開されて困るような発言というものはないと思うのですが、公開して困るような発言があるのですか。
  50. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私どもは各委員責任において発表されたことを、その委員了解なしに発表することは控えたいと思っております。
  51. 竹中勝男

    竹中勝男君 それじゃ委員了解を得れば発表できますか。
  52. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 各委員の御了解を得れば、これは私は発表して差しつかえないと思っております。
  53. 竹中勝男

    竹中勝男君 それじゃこういう重大な問題ですから、また委員ニュアンスがあるということでありますから、少くとも参議院文教委員会了解を得てこれを発表してもらいたい。できますか。
  54. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私どもはどなたの委員にも、委員会内容については外部に漏らさぬということを言っておりまから、各委員責任においておやりになったことだし、私どもとして、委員了解を求めることはあっても、私は各委員はそのことに応じられないかもしれないと思っております。
  55. 竹中勝男

    竹中勝男君 公表しないという前提のもとに審議会を開いたというのですね。
  56. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) さようでございます。各委員発言は、自由に発言していただきたい。その委員発言が漏れますと、非常に圧力団体等からいろいろと陳情されたり、あるいはひどい圧迫を受けることもございますので、そういう事態が今までも相当出あったので、私ども審議会の内部の発言については、外部には一切申し上げないことにしております。
  57. 竹中勝男

    竹中勝男君 それではその委員にあなたが了解を得た上でということは、どういう意味なんです。
  58. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) あなたのお話しのように、委員了解を求めてくれというお話しですから、私ども先ほどから申しましたように、私はそういうことをしないというお約束で始めておりますので、私がかりに参議院文教委員からこういうふうに、たってのお話がありますがいかがしましょうか、こういうふうにもう一ぺん念を押したいと思いますけれども、この場合に確実に御了解を得るということは、私お約束できかねる、こういう趣旨でございます。
  59. 竹中勝男

    竹中勝男君 それじゃ、一応今後の審議会の行き方、審議会発言というものが、そういう秘密を要するようなものであるならば、これは審議会というものの性格が非常に変ってくると思うのです。これは秘密会だと思う。審議会秘密会性質を持つのだというのであれば、審議会というものはそんな民主的なものではなくなる。そして勝手な部分だけが、事務局の都合で公表されるというようなものであれば、何のための国民審議会かわからな。そういうものを打ち破るためにも、一つこの審議会発言内容を、もっと詳しくこの委員会報告してもらいたいと思います。できますか、それは。
  60. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) ですから、私が先ほどから申し上げておりますのは、委員会審議されてきまったことについては御報告申し上げると、こう言っているのです。そのいろいろな発言経過や何かは、これは私ども発表する筋合いではないと私は思っております。ただ皆さんの御要望がございますれば、お取り次ぎいたします。
  61. 竹中勝男

    竹中勝男君 それを一つ取り次いでもらいたい。それは審議会そのものの重大な問題です。
  62. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 ちょっと伺いたいのですが、その審議会は何か一つまとまった答申の形でされるのですか。
  63. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) いずれ答申の形でいたします。ただ、今まで中間発表をしていらっしゃいますので、その中間発表がまとまった段階で、いずれ今月の中ごろには、大体今までの審議経過答申があると思います九ら、答申をまとめたものをお出ししたいと思います。
  64. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 審議会として答申をはっきりとした文章として出される、こういう意味ですね。
  65. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) さようでございます。
  66. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 私も今お話のあったように、これはどうも秘密にしておくのも少しおかしい。審議会性質として、できるだけそのようにきまるにしても、きまる過程とか、ニュアンスとか、理由とか、そういうことが非常に大事な問題になるのだから、できるだけ了解を得られて、そしてその過程がわかるようにしていただく方が、ただ答申案文を、結論だけをわれわれが見るよりは、その方がわれわれの今後の考え方をまとめていく上に非常に好都合だと思うので、できるだけそういうふうにお取り運び願いたいと思います。
  67. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ただいまの要望については、私の方からも局長に善処を強く要望いたします。なお、局長の御答弁は若干あいまいで、そういう記録がないとか、だれが何言ったかわからないとか、それから途中でもメモ程度はあるとか、あいまいなので、こういう御答弁は、今後御留意願いたいと思います。
  68. 秋山長造

    秋山長造君 局長、今の委員長発言に対してどうですか。
  69. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私あいまいにしたつもりはないのでございます。私はできるだけ詳細に報告しておるつもりでございまして、その審議会速記を入れておりません。ですからメモ程度のもので整理しております。しかし丁審議会としてまとまった分は、次の会に御了承を得ておりますので、審議結論については、はっきりしたものがございます。あとメモ程度のものでございますから、これは各人の御了解を得なければなりません、こういうことでございます。審議会公式記録じゃないというのです。
  70. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと別な話になるのですが、先ほど他の委員会との連合審査提案が幾つかあったのですが、そのほかに青少年問題協議会設置法の一部改正というのが出ております。おそらく内閣委員会にかかるのだろうと思いますが、この青少年問題は、非常にわれわれの立場から見ても、無関心であり得ない問題ですから、一つこの法律案が本付託になった場合に、必ずこれの連合審査をやっていただきたいと思います。要望です。
  71. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ただいまの秋山君の御要望については、そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔一異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ではそのように決定いたします。   —————————————
  73. 湯山勇

    委員長湯山勇君) それではまず、学校保健法案について提案理由並びに補足説明を求めることといたします。
  74. 松永東

    国務大臣松永東君) このたび政府から提出いたしました学校保健法案につきまして、提案趣旨を御説明申し上げます。  この法案は、学校における保健管理に関し必要な事項を定め、学校における保健管理についての全国的水準を維持し、向上するための諸条件を整備しようとするものであります。  学校は、御承知の通り多数の児童、生徒、学生または幼児を収容して教育を行うところでありますから、人的にも、物的にも、最も健康に適した環境でなければなりません。また児童、生徒等の健康は、学校教育における学習能率の向上の基礎でもあり、さらには健康の増進そのものが、教育の目的につながるものであります。およそ、児童、生徒、学生及び幼児並びに職員の健康の保持増進をはかることは、学校教育の円滑な実施と、その果の確保に資する基本的要件の一つと言わなければなりません。  ところで、現行の学校教育関係諸法規に規定せられました学校における保健管理に関する制度は、学校教育法第十二条の規定とこれに基く学校身体検査規程その他一、二の文部省令の規定がある程度でありますので、政府といたしましては、とりあえず指導措置によって学校における保健管理の強化に努力してまいったのでありますが、法的不備と相まって必ずしも十分な成果を期待することができません。優良な学校も一部には出て参りました反面、全国的には低水準にあることを免れなかったのでございます。こうした現状にかんがみ、かわて保健体育審議会答申、あるいは全国学校保健大会の決議を初め、各方面より学校保健に関する立法措置が要望され、政府といたしましても、学校における保健管理学校教育において占める重要性にかんがみまして、慎重に検討の結果、この法案を作成いたした次第であります。  次に、この法案要点とするところを申し上げます。  まず、総則におきまして学校保健計画と学校環境衛生のことを規定いたし、児童、生徒等の健康診断その他その保健に関する事項については、学校保健計画を立て計画性をもって実施すべきこと及び学校においては、換気、採光、照明、保温、清潔等についての環境衛生の維持及び改善に務めるべきことを明らかにし、第二章以下において具体的項目について規定いたしておりまする  第一は、健康診断及び健康相談の制度を整備いたしたことであります。  すなわち、小学校へ初めて就学するに当っての就学時の健康診断を新たに制度化し、また、学校における健康診断について、児童、生徒、学生及び幼児の健康診断と職員の健康診断について所要の整備をはかり、その充実を期し、さらに健康相談の制度を規定いたしたのであります。特に児童、生徒等の健康診断の結果に基き、疾病の予防処置を行い、または治療を指示し、並びに運動及び作業を軽減する等、適切な事後措置を講ずることといたしました。  第二は、学校における伝染病の予防に関して所要の規定を整備いたしたことであります。  第三は、新たに都道府県の教育委員会事務局学校保健技師を置くこととし、また学校には学校医、学校歯科医及び学校薬剤師を置くための制度を整備いたしたことであります。  第四は、要保護及び準要保護の児童または生徒の伝染性、または学習に支障を生ずるおそれのある一定の疾病の治療のための医療に要する費用について、地方公共団体が必要な援助を行うこととし、これに要する経費についての国の補助と、また公立の義務教育学校の校長及び教員の結核に関する定期の健康診断に要する経費についての都道府県に対する国の補助とを規定いたしたことであります。  その他は、保健室の設置、保健所との連絡に関する規定を設けたことであります。  なお、学校教育法の第十二条を改正し、同法が基本法であり、この法案は、いわば同法の特別法であることを明らかにしております。  最後に、本法の施行期日は、現行制度からの移行を円滑ならしめるため本年六月一日からとし、要保護及び準要保護児童、生徒に対する医療に要する費用についての地方公共団体の援助及び国の補助については、新制度実施の準備期間を考慮して、本年十月一日から施行することといたしました。  何とぞ十分御審議の上、御賛成下さるよう切にお願い申し上げる次第でございます。
  75. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 続いて補足説明を求めます。
  76. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 学校保健法案についての文部大臣の趣旨説明を補足いたしまして、その内容の概要を御説明申し上げます。  まずこの法案の規定事項についてであります。従来は、学校における保健管理制度全般にわたる統一的立法はなく、学校教育法第十二条の規定及びこれに基く省令等で各個別に規定しており、その他は指導措置によっていたのでありますが、この法案は、制度の全般にわたり、必要な基本的事項を総合的に規定することとしたものでありまして、総則、健康診断及び健康相談、伝染病の予防、学校保健技師ならび学校医、学校歯科医及び学校薬剤師、地方公共団体の援助及び国の補助、雑則の六章二十一条と附則から構成されております。  以下、章ごとに順次、その要点を御説明申し上げます。  第一章総則におきましては、目的、学校保健計画及び学校環境衛生について規定しております。  まず、この法律の目的とするところは、学校における保健管理に関し必要な事項を定めることにより、児童、生徒、学生及び幼児並びに職員の健康の保持増進をはかり、もって学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することにある旨をうたい、この法案の規定範囲とその目標を明らかにいたしたのであります。  学校保健計画につきましては、児童、生徒等の健康の保持増進をはかるためには、児童、生徒等の健康診断その他その保健に関する事項について合理的な計画を立て、計画性をもってこれを実施しなければならないことを規定しております。  次に、学校環境衛生につきましては、主として学校内の環境衛生のことを規定したもので、日常努めるべき換気、採光、照明、保温、清潔等の学校内の環境衛生の維持と必要に応じてその改善をはかるべきことを規定したものでありますが、この実施については、参考指針を示したいと考えております。  第二章は、健康診断及び健康相談に関する規定で、就学時の健康診断、児童、生徒、学生及び幼児の健康診断、職員の健康診断並びに健康相談のことを規定しております。  まず、健康診断という言葉でありますが、従来学校教育関係法規では、身体検査という言葉が使われておりましたが、身体検査というと身体的な体格検査に偏したような語感もあり、最近の各方面の用語例にも合わないので、この法案においては健康診断と改めるごとにいたしたのであります。  就学時の健康診断につきましては、従来就学時の身体検査として全国約八割近くの小学校において行われておりますが、これは特別な法的根拠に基いて行われてきたわけではなく、その必要性から事実上行われてきたものであります。しかし、就学時の健康診断は、市町村の教育委員会が学齢簿を作成し、入学通知を行う就学事務との関連において行なって初めて所期の目的が達せられるものでありますから、この法案においてはそのように制度化いたすこととし、就学時の健康診断の結果に基き、入学までに必要な治療の勧告をし、就学義務の猶予もしくは免除または盲学校、ろう学校もしくは養護学校べの就学に関し指導を行う等の適切な措置をとるものといたしたのであります。  児童、生徒、学生及び幼児の健康診断につきましては、これは従来の学校身体検査を移行したものでありますが、従来の身体検査がやや形式に流れているきらいがありますので、この法案成立の上は、健康診断の方法及び技術的基準等を省令においてできる限り整備し、また、健康診断の結果に基く事後指導等の措置につきましても、できるだけ実施に便利なように整備いたし、後に述べます要保護及び準要保護児童、生徒に対する保健医療費の補助と相待って、いわゆる学校病の一掃に努力するようにいたしたいと考えております。  職員の健康診断につきましては、事業主たる学校の設置者が行う建前とし、また、市町村立の義務教育学校の校長及び教員の結核に関する定期の健康診断は、従来の実績にかんがみ、また、統一的基準をもってより効果的に行う必要性から、特に都道府県の教育委員会において行うことといたしております。  健康相談につきましては、従来指導措置によって行われてきましたが、この法案におきましては、これを制度として行うこととし、その充実をはかりたいと考えております。  なお、健康診断の方法及び技術的基準、その時期、検査の項目等に関しましては、細目にわたりますので、主として省令で定めることにいたしております。健康相談の実施基準につきましては、参考指針を示したいと考えております。  第三章は、伝染病の予防に関する規定であり、出席停止、臨時休業、省令への委任のことを規定しております。  従前学校における伝染病の予防に関しましては、学校伝染病予防規程という戦前の省令がありましたが、新憲法制定以後は一つ参考基準としての意味しか持っておらないものとされております。この法案におきましては、伝染病予防法その他伝染病の予防に関して規定する一般公衆衛生法規に規定のない事項について、学校における伝染病の予防に関し必要な事項を定めたものでありまして、最も重要な予防方法である出席停止のことと臨時休業のことを明記し、その他の予防方法の細目は省令に委任しております。  なお、伝染病による児童、生徒等の出席停止については、急施を要するので校長が行うものとし、伝染病予防上必要がある場合の臨時休業については、単に個々の学校の臨時休業だけでは効果を期待できないことが多いこと及び学校の全部または一部の授業を休止することでもありますので、学校の設置者が行うことといたしました。  第四章は、学校保健技師並びに学校医、学校歯科医及び学校薬剤師について規定しております。  学校保健技師は、都道府県の教育委員会事務局に置き、上司の命を受け、学校における保健管理に関し、専門的技術的指導及び技術に従事する一種の専門職であります。この種の制度は、戦前は地方学校衛生職員制という勅令によって各都道府県に学校衛生技師というものが置かれていたのであります。学校における保健管理の問題は、専門的事項について学識経験がある医師等が必要でありますので、少くとも都道府県の教育委員会事務局に、この種の専門職を置くことといたしたのであります。  学校医、学校歯科医及び学校薬剤師については、従来省令で暫定的に規定されておりましたが、これらの学校医等の設置は、本来法律で規定すべき事項と思われますので、この法案においてはそれらの設置のことを規定し、まま、従来学校医等の職務の範囲が、必ずしも明確でない点もありましたので、この法案の規定に基いて職務執行の準則を省令で定めることといたしました。なお、学校薬剤師につきましては、この制度が設けられたのが比較的新しく、現在の設置状況が低いため、本法施行後も昭和三十六年三月三十一日までは置かないことができるという経過規定を付しておりますが、政府といたしましては、本則において学校薬剤師を必置とした趣旨にかんがみまして、三年間の猶予期間を待たずに、できるだけすみやかに各学校に設置されるよう勧奨いたしたいと考えております。  第五章は、地方公共団体の援助及び国の補助に関する規定であります。  学校において健康診断を実施し、児童、生徒の疾病が発見された場合等に、学校において疾病の治療の指示をいたしましても、従来の最も大きな隘路は、経済的理由によって医療費を支出することが困難な要保護および準要保護の児童、生徒の場合であります。この法案におきましては、地方公共団体は、その設置する義務教育学校の児童または生徒の保護者のうち、要保護および準要保護のものの児童または生徒が、政令で定める伝染性または学習に支障を生ずるおそれのある疾病について学校において治療の指示を受けた場合は、二の疾病の医療に要する費用について必要な援助を行うものとし、その地方公共団体の援助に要する経費の一部について国は補助することができることといたしております。なお、政令で定める疾病とは、学校病ともいわれるトラホームその他の眼疾、伝染性皮膚疾患、中耳炎、アデノイド、蓄膿症、鶴歯、寄生虫卵保有を予定しており、また、国の補助については、二分の一の補助を予定し、なお、公費負担割合は、要保護児童、生徒については全額、準要保護児童、生徒については半額を予定しております。  次に、国の補助としては、都道府県に対し、公立の義務教育学校の校長及び教員の結核に関する定期の健康診断に要する経費の一部を補助することができることとし、補助率は二分の一を予定いたしております。  第六章の雑則では、保健室、保健所との連絡、学校の設置者が事務の委任を行うことができることを規定しております。  この法案に規定された健康診断及び健康相談を行うため、その他救急処置を行うため、学校には保健室を設けるものといたしました。  保健所との連絡につきましては、健康診断を行う場合、結核に関するエックス線検査、ツベルクリン反応陰性者等に対する予防接種等に関し、保健所の協力が必要であり、また伝染病によって出席停止や臨時休業の措置をした場合は、保健所における一般公衆衛生活動との連絡が必要でありますので、規定いたしました。  学校の設置者が事務の委任を行う場合については、この法案において建前として学校の設置者が行うとされた事務が二、三ありますが、大学以外の公立学校に関しては地方教育行政の組織及び運営に関する法律に、公立大学に関しては地方自治法にそれぞれ事務の委任の規定がありますので、これらの学校に関しては、それらの法律の特別の定めによることとし、その他の国立または私立の学校については、校長に委任することができるとしたのであります。  附則におきましては、本法の施行期日と前述いたしました学校薬剤師の設置の特例の規定を設けたほか、本法の施行に伴い、関係法律に所要の改正を加えております。  以上、学校保健法案につきまして、各車ごとにその内容要点を御説明申し上げた次第であります。
  77. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 本案に対する質疑は次回に譲ります。   —————————————
  78. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 本案に対する質疑は次回に譲ります。
  79. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 前回に引き続き、当面の文教政策及び昭和三十三年度文教予算を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  80. 秋山長造

    秋山長造君 松永文部大臣にお伺いしたいのですが、まず第一にお伺いしたいことは、これはもう最近新聞、ラジオ等でもずいぶんやかましく報道され、松永大臣のお耳にもずいぶん入っておると思うのですが、東京、大阪というような大都市が一番ひどいと思いますが、小、中学校のもぐり入学あるいは越境入学というような俗語で呼ばれておる現象です。これは聞きしにまさるひどいものなんですね、実地に当って見ると……。こういう事態に対して大臣はどうお考えになっておるか、まず……。
  81. 松永東

    国務大臣松永東君) 御指摘のような問題があることを耳にもいたしております。また、承知もいたしております。ところが、どうも考えますと、あまりにしゃくし定木で、その通学区域の範囲を墨守するということについてはどうかとも考えておるのです。これは実は私は日も浅いので研究し尽さないところがありますが、実際言うと、すぐ近所に学校がありながら、わざわざその近いところには行けないというような実情もありますので、どうもこれはどういうふうにすればよいかと、実は研究を進めているようなことで、これもう実際の告白です。
  82. 秋山長造

    秋山長造君 いや、研究を進めて実はおられぬのじゃないかと私は思うのですね。研究を多少でも進めておったら、今のような御答弁はちょっとできないはずだと思うのですね。と申しますのは、すぐそばに学校があるのに、たまたまそこが何か区の境ですね。区と区の境だったりするために、自分の区の遠方の学校に行かなければならぬ、こういう場合も、多い中にはあるでしょう。あるでしょうけれども、そういうことが問題になっているのじゃない。具体的に言えば、ずっと郊外の中央線沿線の方へ住んでおりながら、どうもやはり将来いい学校へ入ろうと思えば、これは千代田区あたりの番町小学校だとか麹町中学だとか、そういう所へ入れて置かなければ、これはなかなか先の見通しもむずかしいというようなことで、その越境とかもぐりというふうな、ずいぶん飛び離れた所へ行っているのです。今、大臣のおっしゃるようなこと、程度なら何もそんなに社会問題も何にもなりはせんと思うのです七その点はこのまま放っておいていいのかどうかということをお伺いしているのでするこれは全く床屋の茶話に類するような話しですけれども、これだけひどい——文部大臣が一言も発言しないで知らぬ顔をして放っておくというのは、やはり松永さんは都知事に出ない、出ないと言っているけれども、やはり都知事に出るのじゃないか。あまりやかましくそういうことまでやっておると、どうも選挙に響くかもしれぬから、だからもう知らぬ顔をしているんじゃないかという、これは全く茶話しにすぎぬけれども、そういうことすら言われるくらいひどいのです。こういうことを、特にこれは義務教育ですからね。義務教育はちゃんと法律に書いてありますね。自分の学区の居住地の学校に行かなければならぬということをちゃんと書いてあるのです。だからそれを今のような状態で放任していたら、これはもう全くめちゃくちゃになると思うのです、あらゆる意味で。どうですか。
  83. 松永東

    国務大臣松永東君) いや、その御質問の要旨が私は先ほど答弁したようなことを考えておりました。ところが、今御指摘になった問題は、実際それは困った問題だと思って私も承知いたしております。仰せの通り、小学校時代から将来進学に便宜な学校に入ろうとして、まあ越境ですな、仰せにたりました越境している実例も私は承知いたしております。そこで、これはどういうふうにすればいいのかと思って、実は仰せになりました通り研究は自分一人でしておりますけれども、さればといって、これにどういう手を打つかということを、まだ専門家に打ち合せたりしたようなことはありません。これは政府委員から実情について、さらにその弊害除去についてお答え申し上げた方が一番ぴんとくると思います。
  84. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 御指摘になったような事例、特に都会地には、そういう事例が多いことも私どもよく存じております。この場合に非常に合法的なやり方をしておりますので、籍をその区内に1移して、そうしてその区からその区の学校に行くという形をとっておりますので、これを非常に正面切って押えるということは、なかなか困難な事例でございます。結局、これはある有名校に片寄るという傾向でございますので、一番問題は、そこの学校の校舎なり設備はもちろんでございますけれども、教員組織によると思うのです。できるだけ教員組織を公平にすることが妥当だと思います。ところが、転任になりますと、いい学校の先生はなかなか悪い学校に動いていただけないし、こういう点で結局私どもは教員組織を整備し、みんないい学校に育てるようにすることが一番いいのではないかと思っております。消極的にこれを押えるということよりも、むしろ積極的に各学校のできるだけ教員組織をそろえていきたい、かような気持で指導しておるのであります。
  85. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  86. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  87. 秋山長造

    秋山長造君 大臣の御答弁にしても、内藤局長の今のお話しにしても、これははなはだ私はやはりこれだけの事態が全国的に起って、そのために巻起されたいろいろな面での弊害というものは莫大なものだと思うのです。これはもう本筋からいえば、おっしゃるように教員組織をできるだけ平均化して、そうして施設等も平均化して、そうして学校差はできるだけなくしていくということは、これは本筋の対策なんです。その点についても、実際いまおっしゃるように、これは不断にそれだけの努力をしておられるのかどうかということについては私は疑問を持つ。疑問を持つけれども、これはおっしゃることはその通りです。その通りだけれども、だからといってそういう状態になるまではどうも仕方がない、仕方がないと手放しで放っておくのは、私は困ると思うのですね。一方では、やはりそういう基本的な手を文部としても最大限の努力をして打っていかれると同時に、当面目先に起っているこの混乱というものはやはり何らかの手を打ってとめるべきだと思うのです。そうしないと、東京や大阪だけでなしに、地方に行きましても、たとえば地方都市でも、まあ県庁のあるとうな都市の小中学校というものは、その周辺のいなかの方の小学校、あるいは中学校なんかの子供が、やっぱり今おっしゃるように寄留だとか何だとかというような手を使って、ずいぶんもぐり込んでいるわけですね。そのために、せっかくその地方で、特に中学校なんかの場合、地元で、やってはならぬ中で、ずいぶん寄付を募ったりなんかして、四苦八苦して中学校を育ててきたわけですね、さらに今後育てていこうとしているわけです。ところが、そういういなかの町村の、まあちょっと有力者ですね。有力者なんか、本来を言えば、その地元の中学校を最も献身的に育てていってくれなければならぬような立場にある有力者たちが、自分の子供だけはさっと都会の中学校に入れてしまうのですね。そんなことをやっておったら、それは地元のそうでなくても何ですよ、月足らずの中学校が、これは育つはずはないと思うのですよ。だから、やっぱりこれはこの法律できめられている通りですね、居住地の学校へ子供はやる、子供は行くと、この原則だけはやっぱり国としてもはっきりとけじめをつけて、私は指導してもらわなければ、これは中学校そのものが育ちませんよ、小学校にしても。だから、文部省の方はできるだけ学校差をなくしてやっていきますと言っておっても、実際にはますます学校差ができてくる。これは何でしょう、文部省としても、文部大臣としても、これはやろうと思えばやれるのですから、ここまでの弊害というものは、何とか食いとめる方法があると思うのです、やる気さえあれば。なぜならば法律にちゃんとその根拠が書いてあるのですから。どうですか、その点。
  88. 松永東

    国務大臣松永東君) ところがですね。その法律に違反しないような方法でみんな、脱法行為ですか、やっておるのですね。やはり合法的に、寄留をさせるとか、合法的に、よその家に同居させるとかですね。そういうことをやっておるので、これを一体取り締るのには、これはまあ法律的根拠をも研究せんけりゃなりませんが、どういうふうな方法をもってやればいいかというようなこと、なかなかこれは今即断する名案も浮かんできません。これはまあ、もう少し研究さしてみて下さい。
  89. 秋山長造

    秋山長造君 きめ手がないとおっしゃるがね。これはもう確かにそれは私が口で言うほど簡単なきめ手はないと思うのです、ないと思うけれども、今のもぐり入学なり、越境入学なり何かする瞬間は、入学をする手続をするときは、それは合法的にやっておる。これは非合法では受付けませんから合法的にやっておる。ところが、合法的にやるのは手続をするまでで、入ってしまうと、また、そのあとの実態は非合法に返っているわけです。たとえば、まあ東京の例で言えば、入るときにはなるほど、千代田区の学校に入ろうと思えば、千代田区に帯留して、住民登録をして、寄付金も納めて、そうして一応体裁だけは整える。入ったあくる日からは、認められたあくる日からは、学校から定期券の証明をもらって、省線の駅に行って、パスを買って親元から通学しているのです。だから、そこのところを押えたら押えられぬことはないじゃないですか。どうですか。
  90. 松永東

    国務大臣松永東君) 御説のようなふうに、入学するときだけ合法的を装うて、あとからその住居を異にするというようなものもありましょうが、私の承知しているのは、ずっと学校卒業するまで、やはり住居でないところに寄宿して、そうして行っているのも古ります。ですから(秋山長造君「それは数は少いですよ」と述ぶ)いや、そこで、秋山委員の言われるようなことがかりにあるとしても、これは一体取締り方法、一片の勧告や何やだけでいけるものかどうか。これは相当研究してみなけりゃならぬと思います。で、私は実は、御指摘になりましたように、研究していると言うだけで、何も手を打たぬじゃないかと仰せになりましたが、その通りです。それは実際はその通りだけれども、何かこれは手はないものかということは、私はしょっちゅう考えておるのですが、どうも名案は浮かんでこないのですよ。なおしかし、これは長い間専門的な、文部当局等に働いている連中とも、御指摘になりました点を土台として、そうして一つ研究を重ねてそういうことをなるべく根絶するようにやってみたいと思います。
  91. 秋山長造

    秋山長造君 さらに少し具体的にお伺いしますが、われわれの聞いているところだけでも、たとえば東京あたり、千代田区だとか文京区だとかいうようなところでは、教育委員会あたりも、私は少し考え方がふまじめだと思う。すし詰め学級だとか何とかということを解消するために、予算がほしい。ところが、都の方からなかなか余が回ってこない。そこで、やはり越境入学をえさにして、そうして寄付金を取るわけですね。寄付金を取って、そうしてそれで教室を建てたり、給食、食糧をととのえたりということをしておるのですね。千代田区が大体二万円ですか。それから文京区あたりが一万円ぐらいのところらしい。そういうようなことでやっていって、しかも入学のときだけ合法的な手続をやって、そしてあとはもう非合法状態に返ってしまう。こういうことを、まあ仕方がない仕方がないで放任しておって、大臣のお得意の道徳教育というようなことが一体言えるのかどうかということは、これは米のやみ等の時代に多少似通ったところがありますが、これは、もう学校と親と教育委員会とが、それぞれ、半ばなれ合いみたような格好で、仕方がないからそうなるにしても、なれ合いみたいな格好で非合法的なことを半ば公然とやっておって、そうして道徳教育もくそも私はないと思うのですね。それからもう一つは、これは地方都市ですが、地方の農村の中学校あたりで、さっ「き言いましたように、地元の中学校へ行かないで、そしてわざわざ汽車賃を払って都会の中学校へ通学するというようなことをやっているわけですね。こういうことで、ほんとうに愛郷心というか、郷土を愛する、自分の地元の学校をりっぱに育てていく、地元の学校を愛する、自分の生まれ故郷を愛する、こういうような、大臣のよくおっしゃるような気持が育つでしょうか。私は、そういう点に非常に疑問を持つのです。やはり、特に地方の有力者なんかという家庭は、少々の都会の学校へやる力はあっても、まあ、義務教育なら、地元にあるのだから、地元のこういう学校べやっていく、そうして地元の学校を家族ぐるみで育てていく、こういう実践をやって初めて、愛郷心なりなんなりというものが、言わず語らずのうちに私は育っていくものだと思う。うちの子供はもう別だというような考え方を、親もし、周囲もし、そうして子供自身もそういうような考え方になっていって、そして一体、少々いい学校べ入ったからといって何に4なりはしないと思う。その点が第二点ですが、この点はやはり、せんだって新聞で拝見すると、福岡市の教育委員会が、やみ入学したり越境入学したのは、全部強制的に地元の学校へ帰しているという記事が出ていた。その点、そういう行政措置をやることについて、法律的にどうかということを文部省へ聞き合したところが、文部省も、それでよろしい、やってよろしいと、こういう返答をしたという記事を私は読んだ。聞いてきた場合に、そういう返答をされるということならば、もう一歩踏み出して、積極的に、文部大臣として全国の教育委員会に対して通達でも出されて、この今の傾向というものはあまりにもひどいではないか、何とかこれはあるべき姿に食いとめるべきではないかということを、通達なり指導をやるぐらいのことは、私は大きく手を打たるべきだと思う。今これは一番まつ盛りですね、この三月の。ですから、そのうちにそのうちにと言って、これは来年になってしまうのですから、何とかそういうような手を、効果百パーセントあるかどうかは別として、効果はゼロじゃないと思うのだ。文部大臣がここで強く発言されることは、これは百。パーセントは期待できないにしても、五〇%なり七〇%というものは、私は心理的効果というものだけでも期待できると思う。しかも、子を持つ親の気持というものは、私らも子供を持っていますから、その親の気持というものはわからぬことはないのです。また反面、これは一つの、はやりのようなものだ。あそこの子も行くからうちの子もやらなければと、おくれてはというので、子供同士にしても何々さんが番町小学校に行くのだから僕も行きたい、私も行きたい。こうなるんで、せり上げているんです、お互い同士で。そこで、文部大臣というような、日本の文教の最高責任を持った権威ある人が、これはそういうことはつまらぬことだ、いかぬことだ、とにかく地元の者は地元の学校に行きなさい。こういうことを強く発言すればそれで多少私は冷静になると思う。それをおやりになる御意思はないですか。
  92. 松永東

    国務大臣松永東君) 秋山委員から御指摘になりましたような問題ですね。ことに、第一点のそうしたもぐり入学をする学校に、いろいろ金品の寄付とか何とか、そういうことまでやって入学が行われておるというようなことを初めて承わって実は驚きました。さらにまた、第二、第三の御質問のその内容、それもだ、うすうすは聞いておりましたけれども、それは一面においてお説の通り、保護者の気持はよく私もわかる。私もわかるが、せっかく居住地の学校で育て上げようという気持ですべての設備がされておる折柄、そういうふうなもぐりを放置しておくということは、これは許せぬと思います。ですから、仰せの通り、急々に一つ何らかの処置をとりたいと思います。
  93. 秋山長造

    秋山長造君 これは、急々にとおっしゃることは、早急にということですか。
  94. 松永東

    国務大臣松永東君) そうです。早急と急々ということは大して違わない。(笑声)
  95. 竹中勝男

    竹中勝男君 これは早急に、相当強いはっきりした態度で一つやってほしいのです。さっきの文部大臣の答弁を聞いていると、これを黙認しているかのような答弁なんですよ。あなたは法律家ですから、これを合法的にやっているんだからしようがないというようなことを言われたのですがね。これは文部大臣としては不適当な言葉だと思うのですよ。というのは、法律上は、それは正当な手続を踏んでいるかもしれないですけれども、あなたの言う道徳教育…、これは親も社会を偽わり、子供も社会を偽わる、なお悪いですよ。手続だけ合せれば、法律さえくぐれば悪いことをしてもいいということを奨励するようなことになるのです。これははっきりしておる。それを文部大臣が、手続は合っているんだからこれはなかなかむずかしいというふうに言われることは、文教の首長としては、私は軽率ないし、はなはだ遺憾な言葉だと思うのです。それだから、きぜんとして、この際、速急にこのもぐり入学、すなわち自分の学区の所に入れということを権威を持って、確信を持って言っていただきたい。この際、なるだけ早く効果的に一つやっていただきたい。やられますか。
  96. 松永東

    国務大臣松永東君) 私がさっき言ったのは、そんな黙認とか何とかいうことじゃないのですよ。私の承知している、ごく懇意な家にもそういうのがある。しかもそれは、学校のすぐ近所に下宿させてそうして行っている。これをある意味から言えば、その学校が、学校差といいますか、それが非常にいいので、それでそこの学校に入っていりゃ進学にも便宜がいいということでしょう。それで住所をやはりその親戚の家に持ってきている。(「そんなことじゃない」と呼ぶ者あり)いいえ、いいえ、持ってきているのがある。そこで、そういうのとの見分けがなかなか困難だ。
  97. 竹中勝男

    竹中勝男君 見分けははっきりしている。
  98. 松永東

    国務大臣松永東君) そこで見分けるとか、あるいはそれが実際はどうであるとかということを判別するのに、警察力をもっているわけでないので、なかなか困難である。だけれども今、秋山委員の仰せになりましたような、脱法行為をしてはいかぬという強力な通達を出すことによってやはり根絶するということはできますまいけれども、相当の効果は上る、さっそく一つやっていきたいと思います。
  99. 竹中勝男

    竹中勝男君 それが道徳教育ですよ。
  100. 秋山長造

    秋山長造君 この点は私自身は非常に重大で、しかも深刻な教育問題だと思っているのです。思っていますから重ねて申しますが、私の承知したところによりますと、たとえばここの近場の番町小学校あたりでは、今度四月に入る子供の二百二十人のうち百二十人は越境入学なんだそうです。それで文京区とかあるいは千代田区なんかのような、いわゆるいい小学校の多いと世間に見られておるようなところは、みなもうすし詰め学級もすし詰め学級、ひどいのですね。大体七十人以上が常態なんですね。これによって一面被害を受けるのは、その地元に居住している家庭の子供なんですね。そういう点もありますし、それからさっき地方においては月足らずで生まれた新制中学というものを充実し育てていくということからいいましても、それはとにかく子供の小中学校の越境入学くらいは、せめて何とか文部省の努力によってとめて下さいよ。それをやっても、だれも怒る者はないのです。親自身も喜ぶのですよ。そうときまってしまえば、それであきらめがっくのだけれども、あれも行く、これも行くとなるから、やはり自分一人じっとしておれぬということが、その空気がせり上げてきてこういう状態になる。全く狂態です。冷静な状態でないですよ。一つそれで通達とか何とかという行政指導とともに、やはり文部大臣として、よく新聞なんかでも大きく松永文相ここにありというような報道がされておるのですから、こういう問題こそ、松永文部大臣の健在ぶりを大きく世間にアッピールされる格好な問題だと思うのですよ。
  101. 松永東

    国務大臣松永東君) 果してその通りやってくれるかどうか疑問もありますけれども、とにかくそうやってみたい。そしてまた、もちろん通達等も出してみたいというふうに考えております。
  102. 秋山長造

    秋山長造君 その問題は文部大臣がさっそくやるとおっしゃったから、一つおやりなる手の打ち方を一つ期待して待っております。  それからその次に、大学の問題について少しお尋ねしたいと思います。今度の大学の予算ですが、あちこちに理工系の学校が増設になるとか、あるいは講座がふえるとか、附属研究機関がふえるとかといういろいろな新規事業を見込まれておるのですがその前に基本的な問題として、大学の教授の研究費が非常に単価が安くて、大学の研究というものが非常に事欠いておったということは歴然です。文部省の方でも、この機会に研究費を画期的に増殖するということで、ずいぶん事前の意気込みは相当なものだったのです。それが今度の予算に出たのを見ますと、これは理工系については二〇%増して三%減、法文系については五%増して三%の減というようなことで、非常に期待はずれという感じを持たざるを得ないのです。一体科学技術教育の振興いうことをずいぶんやかましく言っておられるのですが、やはり、私は科学技術教育の振興ということにしても、あまり目先の効果だけねらったようなやり方で、ただ形式的に理工系の学科をふやすとか、あるいはその人数と予算をふやすようなそういう目先のことだけざっと総花的にやって、そうしてそれでもう科学技術教育の体系が画期的に前進したというような考え方、やり方は、あまりにも安易なやり方ではないかと思うのです。それぞれ既存の学科なり、既存の講座なり、既存の研究室というものは、やはり相当長い歴史と伝統を持っておる。また、それぞれ存在理由というものを十分持ってやってきておるのですから、まず基本的にはそういう既存のもので不十分な点を充実して、そうしてその上にさらに新しいものを積み重ねていく、こういうやり方でなければいかぬのじゃないか。話が非常に抽象的になって恐縮ですが、その点がどうも今度の予算を拝見しておって、その点の考慮が欠けておるのじゃないかと思うのですがね。基礎研究ということがよく言われながら、予算の上でも、実際には軽んぜられておるのじゃないかというように思うのですが、その点について文部大臣からまずお考えを承わった上で局長に御質問したい。
  103. 松永東

    国務大臣松永東君) 御指摘になりました問題については、これは実は仰せの通り基礎研究費用も三十三年度予算で相当獲得しようと思って努力をしてみたのですが、何せ財政の現状についてはそう思うようにはいかなかった。しかしながら、まず中学校の最終課程のすなわち三年においても実業教育にこれから入る人と進学する人との差別を設け、さらにまた、高等学校においてもそうした科学技術に対する基礎学の研究費も計上するようにいたしました。でありますから、仰せの通り基礎学の方からやはりやらぬければいかぬと考えまして、そうしてやはり計画は立てて参っておる。ただしかし、三十三年度は何せそうした科学技術振興の初年度でありますために、思うようには予算も取れませんでしたし、すぐその実績を上げることはできなかったわけですけれども、しかしながら、これから相当年を追うて、科学技術教育の振興がその目的達成をすることができるであろうと考えておるわけであります。
  104. 秋山長造

    秋山長造君 ただ問題は、何もかも一度にというわけにはいきません。これはおっしゃる通りですけれども、ただ充実していく順序として、まず基礎科学、基礎研究というものが第一歩です。そうしてその点の今まで不十分だらけな点を充実をしていった上に、新しいものを積み重ねていくということが必要なんじゃないか。なかなか目先にすぐ効果は見えませんけれども、その方が本質的に重要なのではないか。ところが、今度の予算を見ますと、今言ったようなたとえば研究費なんかの点についての考慮というものが、私は何よりもまず重点を置かれなければならぬと思うのです。私の論法から言えば……。ところが、その点は案外軽視されて、そうして今度の学科の新設なんかを見てもわかります通りに、全部工科系だけですね。そうしてその工科系の基礎になるべき研究部門、たとえば物理学関係の部門等についての考慮というものは、ほとんど今までの惰性のままでなされていないのではないか。それでは順序は逆になるのではないか。ちょうど私どもが学生生活を送ったのが二二・六事件前後ごろから太平洋戦争の直前ころです。あのころに、私どもの学生時代にやはり科学技術の振興ということがずいぶん、ちょうど今と同じようなほどだった。科学技術の振興ということがずいぶん論議されたわけです。そうして場当り的に、たとえば今後は戦争に飛行機を使うんだから、航空学科を充実せなければならぬとか、軍艦をしっかり作らなければならぬから、造船の方を強化しなければならぬというような、きわめて場当り的にやられたわけです。そうしてほんとうの意味科学技術の振興とか、ほんとうの意味の科学の振興ということにはならなかった。その結果、あの戦争というものになってしまって、何もかも吹っ飛んでしまったわけですけれども、今から二十年前にやられたことを、二十年後の今日全くそのままのやり方で繰り返すということは、私はあまりにも二十年間のどういいますか、教訓といいますか、経験というものに学ばない態度ではないかと私は思うのです。いかがですか。
  105. 松永東

    国務大臣松永東君) これは私も二・二六事件、五・一五事件当時、あの時分の科学技術の振興、教育の振興、これもよく承知しております。しかし、私はあの時分と今の方針とは非常に変っている、こう確信しているのであります。申すまでもなく、あの時分は軍部が非常に強い力を得ておりまして、そうして政治に干渉するどころではない、政治を掌握し、教育まで掌握しておった時代ですが、しかし、その時分と今の私ども考え方とは、全然私は違うと思います。それは仰せになりましたように、やはり基礎学です。基礎に重点を置いて、そうしてこの科学技術振興をやらなければならぬという方針のもとに進んでおる。そうしてさらにまた、一面においては御承知のように法文系を出た卒業生あたりが、大学を出た卒業生あたりが就職に非常に窮しておりますので、一面これを何とかして現実の需要に応ずるようにやらなければいかぬ。そうするのには、まずもって今、俗にいう経済五カ年計画、それににらみ合せて、そうして本年度から量においても学生を科学技術方面にふやしていく。そうして五カ年計画の最終の昭和三十七年度には、八千人の中堅技術者を作る、そういう方針でいこうという建前で進んで参っておる。でありますからしてその基礎学の問題についても、相当これは全然完全とか何とかいうわけじゃありません。しかしまあまあ、足らずながら頭を上げてきております。その意向だけは表わしておるというふうに考えておるのであります。それは予算に今度要求いたしております。やがて御審議を願うので、その詳細な面については、政府委員から申し上げた方がよく徹底するのではないかと思います。
  106. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 秋山委員の御指摘の点は、私ども科学技術の振興をはかります上におきまして、一つは既設のものを充実していくという考え方、もう一つは、やはりただいま大臣がおっしゃいましたけれども、新しい部門を新しく開いていくという両面があると思います。全体といたしまして、大学の充実につきましてやらなければならぬことはたくさんございます。そのうちの一つの問題といたしましてお取り上げになりました教官研究費の問題、これは非常に大きな問題だと存じます。従来も文部省としまして逐年努力は重ねて参りました。来年度におきましては特に科学技術の振興をはかりますためには、この研究費をふやしますことが非常に重要な問題だということは、私どもも十分に考えまして、予算要求におきましてもその点は努力はいたしましたつもりでございます。ただ、結果として今この予算に掲げまして御審議願っております金額は、来年度増額だけを申し上げますと、四億二千百万円でございます。教官研究費、これは講座制、学科目制両方合せましての話しでございます、四億二千百万円。御承知の通り教官研究費と同系列で、大学の研究あるいは教育のための運営の基準的な経費になります金といたしましては、学生経費でございます。これが一億七千二百万、そのほか御承知のように設備費とかいろいろございますけれども、教官研究費、学生経費、これらを中心にいたしまして学校の研究を経営的にまかなう経費が、これによってまかなわれるわけでございます。これは先ほど秋山委員もおっしゃいましたように、教官研究費につきましては、特に理科系を取り上げまして講座制には二〇%、学科目制のものにつきましては一〇%ということでございます。学生経費につきましては学科目制で四〇%、講座制のところで学科目制の七〇%でございまして、これだけの増額を来年度は要求しているような次第でございます。私どもはこれで十分だとは考えておりませんけれども、今後とも逐年努力を重ねまして、教官研究費の増額をはかるということを中心に努力をしていきたいと考えております。なおまた、これは今申し上げたように大学の経営的な研究費でございますけれども、科学研究費というのがございます。御承知の通りでありますけれども、科学研究費は国立大学に限りませず、公私立大学、あるいは文部大臣の指定いたします特定の研究機関の研究者が行います重要な研究に対しまして特別に配分しまして、そうしてその研究を推進する目的の経費であります。この教官研究費は経営的な大学の研究費でありますけれども、それに特定のものにつきましては科学研究費を配分いたしまして、その研究を引き上げるということを従来もやって参っておりすが、この科学研究費を来年度におきましては二億二千万円増額をいたしまして十四億二千万円の計上をいたしております。既設の研究の方面を高めていくということの一つの中心としましては、御指摘の通り教官研究費、科学研究費等を増額していくことが大事であろうと存じます。なおこのほかにも設備費そのほかございますけれども、それぞれ努力いたしまして、従来よりも若干成果を上げたいと考えたわけでございますが、なお今後とも努力を続けたいと思います。  それから、また二面新しい分野、先ほども御指摘になりましたけれども、原子力の関係とか、あるいは電子光学の関係とか、これらのことは新しく広げていくということも、やはり世界の学術水準に伍していくという観点から、あるいはまた、その関係の技術者を養成していくという観点からいたしまして必要でございますので、その面につきましても、来年度相当予算を計上いたしておるわけでございます。原子力につきましては、資料も差し上げてございますけれども、金額にしまして二億余り。それから学科の新設につきましては、十五学科の新設をはかっております。大臣のお話もありましたように、技術者の不足ということは現実の問題として現われております。去年の四月の事業会社、工場等の採用の状況を調べてみますと、求めて得られなかった技術者の数というものが四千人出ております。それから私ども文部省で経済五カ年計画の線に合わせて計算いたしましてみますと、新計画の最終年度になります三十七年度におきましては、八千人不足するという計算に相なります。でこれらを目標にいたしまして、一面理工系の学生をふやしていくということが必要でございますので、秋山委員の御指摘になりました、既設の研究も水準を高めるということと合せて、この分野を広げていくということもあわせてやりたいと考えまして、来年度にはそういう意味の予算もお願い申し上げておるようなわけでございます。
  107. 松永忠二

    松永忠二君 今の関連でありますが、教官研究費について今説明があったわけですが、基礎的な学力を充実させるという意味で、今の大学で非常に要望している点は、定員の充実だと思うのです。特に教養学部あたりの基礎学科の定員が、非常にまだ不足をしているというようなことで、そういう面の増員をしてそういう充実をはかっていきたいという声もある。それからまた学科制の大学において、新制大学として認められたときのように、すでに定員の不足があった、それでその定員がほとんど保持をされていないというような状態もある。そこでこの前私は資料もお願いをしたのですが、千七百十六人の増募をするに当って、定員の方面でどう一体配慮をして定員の保持をしたのかどうか、その点を一つと。そういう方面からいうと、学部の教授と大学院の教授とが兼任をしているということについては、今後どういうふうな対策を考えているのか。それからなお、もう一点は、専任講師の研究費というものが計上されているのかどうか、この三点について一つお話をいただきたいと思うのですが。
  108. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 第一点でございますが、教官の充実ということは、これは研究、教育を高めます上におきまして非常に大事な点だと思います。そこで、今まで文部省として努めておりますことは、今お話しのように、学科目制と講座制とありますけれども、まず講座制の方について申し上げますと、講座というのは、御承知のように実験講座、非実験講座と分れておりますけれども、実験講座について申しますと、教授、助教授、助手の数を一・一・二と、こういうふうに一組にしましてそれを一講座として立てておるわけであります。で、その講座組織が不十分のものがございますので、まあしかし、これは年々努力をいたしまして、最近では教授、助教授の欠けておる講座というものは非常に少くなって参りました。しかしまだ、若干残っております。これはまあ年次計画で充実をはかって参りましたので……、まだ医学部の方は若干残っておる。そのほかの学部におきましては非常に少くなっておりまして、ただ、その下の方の助手の欠けておる講座というのが、まだございます。これらにつきまして、まあ年々これからも努力をしていきたいと思っております。で、講座の充実をはかりまして、そうしてその上に学生の増員を行いたいということが一つございます。  それから、学科目制につきましても同じように、これは今のようにちゃんとした組織をきめておるわけじゃございません。その学科目によりまして、それぞれ教授、助教授を配当いたしておりますけれども、これもなるべく教育にあるいは研究に支障のないような充実をはかりたいと思っております。  そこで、来年度の千七百人の、千七百十六人でございますが、学科新設あるいは学生増募等によります理工系の学生の増員に対しましては、これらを合せまして大体百三十人くらいでございます、百二十七人くらいをこれに充てたい。
  109. 松永忠二

    松永忠二君 それは教授ですか。
  110. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 教授、助授授、助手全部でございます。
  111. 松永忠二

    松永忠二君 それを含めてですか。
  112. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ええ含めて。
  113. 松永忠二

    松永忠二君 教授はどのくらい。
  114. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) で、先ほど申しましたように、講座制の大学におきましては、教授の充員は大体できて参りましたので、助手の方に重きを置いております。新制の方は教授、助教授について新設をしていきたい。
  115. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっとその説明は不備だな、その点は。
  116. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 何人かとおっしゃいましたから、そういう御説明をしたわけですが、それから第二点は、大学院と学部との関係についてお話がございました。これは現在の建前といたしましては、お話しのように、学部が充実しましたその上に大学院を作る。教育、研究の施設、設備並びに教員組織を充実いたしましたところに大学院を作っていく、こういうことであります。大学院の研究、教育というものを、全然学部と切り離してやるという建前にはいたしておりませんのでございますから、大学院の専任の教官というものはございません。大学院を担当して、学部を担当していると同時に、大学院の研究の指導も行い、あるいは教育に当っておるというのが実情です。そういうことでございまして、従いまして、先ほども申しましたように、不完全講座の充実ということを年々やりまして、大部分の不完全な状態を今は解消しつつあるという状態外ございます。  それから第三の、専任講師に対する研究費の計上は、来年度もいたしておりません。
  117. 松永忠二

    松永忠二君 少し関連なんで、簡単で終りますが、私がお考えいただきたいのは、不完全講座がまだあると、未完全講座がある、それから学科制についても、新制大学と認められたときの定員の助教授、教授の定員についても不備のままで、新制大学になっている。そういうふうなところへ、この際、定員を完全にしていかなければ、今言った通り、ただ生徒を増員したり、そういう面だけのことでは不十分ではないか。むしろ、そういうところを充実させて、基礎的な力を伸ばしていく必要があるのじゃないかと思うのですが、どういうわけで、そういうところを充実していかないのですか。それからなお、私がお聞きした千七百十六人の理工科系の生徒をふやして、そのために百三十人という人が増員になったのか、未完成の講座を充実をさせ、学科制の教授、助教授、助手を充実させて、完全にするために、百三十人ふやすということになれば、特に千七百十六人の増募に伴う定員増というものはないというような印象を受けるので、その点について、百三十人というのは、そういうふうな観点から充実させていったものなのかどうなのかということと、それから、さっきも言ったように、そういうところへ重点的に金を使っていくべきではないかというように思うのですが、どうですか。
  118. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 学生増募の実態をお話ししませんと、十分な御説明にならぬかもしれませんが、学生増募の関係だけを申し上げますと、千七十四名でございますが、これを既設の学部の中の学科に割り当てる。これを学科によりましては、五人割り当てる、十人割り当てる、あるいはもっと少い数を割り当てるというのを各大学に、ずっと調べましていたしまして、それが千七十四名になっておるわけでございまして、これは実態々々に応じまして、教員の配当を考えなければならぬわけであります。そこで、そういう実態に積み上げまして、教員の数を考えましてやったのが一つと、それからもう一つは、今お話しのような、特に旧制の講座制の大学におきましては、特にそこに優先的に、不完全なものを充実しましてやっていく、学生増募のあるところを優先的に充実していくというような、両方の計画をとって、今申しましたように、百二十七名という数を申し上げたのであります。
  119. 松永忠二

    松永忠二君 それについては、去年も実はそういうふうに定員をふやさないで、学部で学科目、学科によって十人とか十五人とかの割当をやったわけなんです。また今度、こういうふうなことをやるために、各大学ではどうしてもこのために定員をふやしてほしいとか、それから施設の充実をしてほしいというのは、これは第一の要望だと思うのですよ。そういうふうな意味て、教官研究費とか学生経費の計上ということも、これは非常に重要だけれども、それと同時にもっと必要なことは、むしろそういうところの定員を充実させて、それから学生増募に伴う定員増というものを考えなければできない段階だと私どもは思うのですがね。その点について配慮が十分でないというふうに私たちは思うのです。そういう点で、二年間続けて学生増をやつたために、定員をふやしたというような大学はあるのですか。
  120. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは、その御趣旨には全く同感なんでございます。私、別に反駁しているわけではございません。昨年、三十二年度も増募しましたし、続けて今年、来年度もやろうというわけでありまして、その両方を、三十二年度、三十三年度両方の学生増募の数を基準にいたしまして、各大学を対象にしまして、今申しました数の割当を今考えておるところでございます。
  121. 竹中勝男

    竹中勝男君 関連して。簡単に文部大臣にお伺いしたいのですが、大学局長からもお答えいただきたいと思うのですが、どうも文教政策として、日本がもっと研究の上の実際上の効果を上げていくということと、それから大学が相当ふえていくということとの間に矛盾があるように思うのですが、戦後、国立大学も非常にふえておりますし、また、私立大学というものも非常にふえて、それから定員が増加する。これは日本の特殊な、こんなに大学が多い国は、私もあまりよそのことは知りませんけれども、ないように思うのです。何でも大学、料理の大学ができるし、頭の毛を刈る大学もできるし、いろいろなものが大学になって、全国もう大学ばかりになってしまうような状態ですが、これはまあいろいろ理由があるでしょう。失業者が非常に多いし、経済が拡大していく速度がおそいし、そうすれば、まあ、何とかして大学にでも行っておくよりほかに方法がないというので大学に行く。そうすると、大学を経営することは一つの商売になるというようなところで、一つはふえていくと思うのですが、まあ、たくさんの人が大学へ行くということは、いいことかもしれないのですけれども、そのために、ほんとうのいわゆる大学としての大学が弱まっていく。すなわち研究の深さが浅くなっていく、この危険性が非常にあるのですね。ことに、教員組合などもあるものですからして、いわゆるほんとうの学術に没頭するような学者の待遇というものは、なっていないのです。だいぶ平均的になってきた。私どもの学生時代の大学の先生というものは、今でいえば自家用車を持っておる。人力に乗ってきた。馬に乗ってくる先生もありました。そうして、ひまもあったでしょうが、りっぱな絵をかいたり、とにかく相当すぐれた学者が大学にはおったように思うのです、錯覚じゃないだろうと思うのですが。それはなぜかというと、その大学の教授たちの生活が非常に安定しておった。研究に没頭できておった。ところが、今の大学教授というのは、もう非常にサラリーが安いわけです。何かアルバイトをやらないと、やっていけないのが、現在の大学教授の生活内容です。私も三十年大学におりますが、国会議員になってからの方が貧乏はしますけれども。それでもう普通のサラリーマンですよ、大学の教授というのは。借金はしないくらいの程度の生活しかできない。それは、自分で研究する費用とか、そんなものはありません。そういう余地はありません。原稿書きをしたり、講演をしてばかりいなきゃならぬ。そういうことに日本の大学が転落しつつあるのじゃないか。そういう学者を、ほんとうに待遇する方法がまだ足りないと思うのです。これはアメリカにおいても、それから社会主義国家においても、大学の教授というものの権威と生活の程度は非常に高い。外国から学者が来て、私のうちにたずねてくると、私は恥かしくて、連れていけない。月給を聞かれると、恥かしくて言えない。うちへ連れてきたら、うちの中から犬が出てきたりしますから、生活の程度が非常に違う。こういうことは、文化国家でもなんでもないと私は思う。こういう点について、文部大臣として何とか、日本の大学をふやすとか、理工科の学生をふやすということに先んじて大学の数をふやすというよりも、質を高めていく。そしてことに大学院が中心です。大学というのは、どうしても大学院が中心です、研究というものは。大学院の研究費というものをもっと有力な学者にうんと持たす、こういうやり方をやらなかったら、学術というものは、絶対に私は進まないと思うのですが、一応文部大臣にそういう、また、大学学術局長にその方針はどう思われますか、そういう方針は。
  122. 松永東

    国務大臣松永東君) これは竹中委員の御説の通りです。私もふだんからそう考えております。いかにも大学が多過ぎる。多過ぎるのも御説の通りで、決して悲しむべきことじゃありますまい。しかし、むしろそれよりも内容を充実してりっぱな大学という名前のつく以上は、りっぱな大学の名前にふさわしい研究、それを進めていった諸請勢を作りたいというふうに私は考えております。そこで、ただしかし、いかにも大学が多過射るところへもってきて、もっと国立大学にいたしましても、あるいは私立大学にいたしましても、その大学、大学の特殊性を発揮するようなりっぱな学問をするようにしなければならぬ。それには御指摘になりました通り、学者に対する優遇というものは、ほとんどなっておりません。御指摘の通りです。これではいかぬというふうにかねがね考えておりました。実は三十三年度予算にも、そうした面でさらに研究設備、その充実というような点も非常に考えまして努力をしてみたのであります。これは話しのついでですから申し上げますが、まあ一番昔から学問の首府といわれておった東大あたりでも、これは余談みたいな話しですが、実はいろいろ学長あたりと話しますときに、どうも戦災後そのままに放置してあるというようなことを言う話しでしたから、それは十二、三年もそのままにこわれたままで放置してあるのですかという話をしましたら、戦災じゃない震災だ、関東震災だと言うのです。関東震災後そのままに放置してある。なるほど言われて見れば、病院あたりでも、この間行ってみたって、床でも危なくて歩けないようなところがある。しかし、その反面りっぱなところももちろんあります。ありますが、そうした設備も、さらに御指摘になりましたように、先生方に対する優遇、これも世界各国の実情とやはり比べてみますというと、とてつもない違いがある。何とかこれはそうした面からしなければ、幾ら大学という名前ばかりあってみたって、完全な教育、りっぱな、技術者にすれば技術者を作り出すことはできない。ですからこれは何とかそうした方面、質の方面も相当これは、それがまず先じゃないかというふうに考えておるのであります。それから大学の数が多過ぎるとこういうお話しですが、実際これは私も同感です。たしか四百九十九ありますな、今大学が……。これは御説のごとく世界中にこんな大学の多い国はないそうでございます。しかしさればといって、一ぺんできておる大学を、その自治にまかせておる今日、これをつぶすわけにはこれはいきません。そうする力もございません。しかしながらその内容を充実してそうしてたとえば短期大学にいたしましても、その内容を充実して、そうして大学にふさわしい学問を教えていく、そうしたりっぱな研究をした人々を社会に送り出していくというふうに努めなければならぬというふうな考え方で進んでおるわけであります。なお、詳細な点は政府委員から申し上げることにいたします。
  123. 竹中勝男

    竹中勝男君 ちょっとついでに緒方局長にこういうことも重ねてお尋ねしておきます。一億七千万円のこれは大学院の学生並びにそういうことの研究費、あるいは奨学金というものがあったと私は思うのですが、大へん私はそれはいい、ありがたいことだと思っておりますが、やはり大学院の学生をうんと力を入れて、ことに博士課程に行く者の進学の道を開いてやらないと、現在の日本人の経済力ではとうてい大学を出して、まだ二年修士課程をやって、それから少くとも六年ぐらいは論文を書くのにはかかるのですから、その経済力は家庭にはありません。それで何かこういう人たちに研究費が出る道がなかったら、博士課程ができてもやる人がない、やれない。優秀な者旧ど高給でよそに就職ができるものですから、大学に残らないのですよ。そういう矛盾、優秀な者を大学にとどめておいて、まあ十年、少くとも十年、安心して研究ができるという制度を確立しないと、ほんとうにいい者は出てこないと思いますが、今度の一億七千万円組んでいただいたことは、非常にありがたいと思いますが、明年度にはずっとこういうものを増額して、博士課程の学生をふやしていけるようにしていただきたいと思いますが、局長のお考えを関連して……。
  124. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 一番今お話しになりました問題からまずお答えいたしますが、先ほど学生経費一億七千二百万大体計上しておると申し上げましたが、これは大学院の学生だけじゃございませんで、学部、大学院含めまして総額が一億七千二百万増額をいたしたということを申し上げたわけであります。これは来年度の要求全体で申しますと十二億でございます。そうして大学院の学生につきましては、学部の学生の一倍半ぐらいに計上いたしております。ちょっとその率が今度高まりましたけれども、差が大きくなりましたが、学部の学生の方に増額をいたしまして計上をいたしております。それから育英資金の関係でございますが、来年度博士課程の学生に対しまする育英資金といたしましては六百人、一万円口を六百人ふやしました。この六百人のうち百人は学年進行の分でございますから、純粋にふやしたといえのは五百人でございますけれども、人員の総数を申し上げますと……。
  125. 竹中勝男

    竹中勝男君 できたらそれを自然科学と文化科学、人文科学の博士課程の学生の数を知らせて下さい。
  126. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは資料でも差し上げてあったように思うのですが……。
  127. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  128. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  129. 竹中勝男

    竹中勝男君 わかりました。そんなにいるのですかね、博士課程に五百人も……。
  130. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 博士課程、これは総数を申し上げますと、三十二年五月現在でございますが、四千七百十一名です。その内訳を申し上げますと、人文社会系が千四百七十七名、自然科学系が千六百五十八名、それから医学の関係でございますが、これが千五百七十六名、合計しまして四千七百一十一名おる。これはもちろん国公私立大学合わした数でございます。それで、これに対しまして奨学生としまして三千七百名分を来年度は計上いたしております。医学関係が千三百名でございまして、そのほかの学部の関係が二千四百名、お説のように世の中が景気になればなるほど学部でやめて、大学院に残って学問の研究に没頭しようという人が少くなりますので、私どもこの大学院の学生に対しまする奨学資金のワクの拡大を進めていくことに対しまして、なお今後とも研究したいと存じますけれども、来年度におきましては、これは一万円口と六千円口とございまして、その一万円口の方を正確に申しますと、五百人ふやしているような状態であります。
  131. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 今の三千七百というのは、博士課程だけじゃなくて、修士課程も含んでいるんじゃないんですか。
  132. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) いいえ、博士課程だけでございます。
  133. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今、大学の充実について竹中さんから意見が出まして、大臣も全く同感だと、こういうお話しでしたが、こういう話はしばしば出るのですね。そのときどきの大臣から答弁があるんですが、これは実際にはなかなかそれが実現せぬ。特に大学の教授についての給与といいますか、待遇が、その地位が昔に比べて下っておる。そこで研究費補助等でやられておりますけれども、従来の実例はこれは個人までいかないで、あるいは学部なら学部の全体の費用に使われるといったような実情が多かったと思うのです。いわば公務員で一番上のクラス、たと、えば文部省でいえば事務次官がまあ公務員として一番上ですが、あるいはたとえば検察庁、裁判官に比べて実質、大学教授の給与というのは悪いですね。従ってアルバイトをやらなければならぬというか、あるいは雑文を書きなぐらなければならぬということになるのですが、たとえば検察庁にしましても、あるいは行政官庁にしても、手当等もございますし、あるいは何といいますか超勤というか、それぞれ手当がございますがね。ところが、学校には全然それがない。そうして特別にある研究補助というのが問題にならないで、一人々々にはいってもきわめて少額である、あるいは中には個人のところへ来ないというのか実態のようです。そこで、具体案をもって一つ待遇がよくなるように、これは最高のやはり何といいますか、待遇が与えられることが、学問あるいは科学、大学における科学的な水準を高めるゆえんですから、その具体案を出し一つ実現を願いたいと思うのでありますが、大臣、局長この際一つ決意を述べていただきたいと思います。
  134. 松永東

    国務大臣松永東君) 吉田委員の仰せになりました点についてしごく同感です、実際。それでことしの予算編成のときにも、相当努力してみたのですが、力足らずしてその目的を十分に達成することができなかったのですが、しかしながら、まあ多少はその意図だけは表現したというふうに考えておりますが、詳細な計算につきましては、政府委員から申し上げることにいたします。
  135. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 教官の待遇を向上しなくちゃならぬことは、私どももさように考えております。そこで、来年度の予算といたしましては、私ども努めたいと思いましたことは、先ほど松永委員からもお話がございましたように、大学院の講座を担当する教官につきまして、何ら手当などがないのであります。で、学部の教育を担当し、かっかねて大学院の指導に従事している、それにかかわらず何らそれに対する手当がございませんので、その分をまず取り上げまして調整号俸を考えていきたいということで進めましたけれども、これはまだ来年の予算といたしましては、実現するに至りませんでしたが、今後一つ方法等につきまして、なお一つ想をあらためて今後研究したいと思っております。これはまあ大学院の教官のみならず、科学技術の研究に従事します研究員全体の待遇の問題が起っておりますから、これら科学技術庁等とも十分連絡をいたしまして、全体の問題としても、十分一つ努めてみたいと思っておりますが、現在の大学教授の待遇でございますけれども、これは俸給表は大学教授には特別なものがございまして、若干よろしゅうございます。先ほどちょっとお話がございましたけれども、大学の学長、国立大学の学長等につきましては、やはり一等級でございまして、俸給としましては次官よりも上の人があります。それから管理職手当につきましても、たとえば学長とか、学部長とか、そういうところの管理職手当はついております。しかし一般の教授にはついておりません。そこで、大学教授の待遇の問題でございますけれども、これは個人の収入を高めることはもちろん必要でございますけれども、しかし先生方のお話を聞いてみますと、やはり念願される最大のものは、やはり研究環境を整備しておく、つまりりっぱな研究室で十分研究設備が入って、研究費もふんだんに使って自由に研究に従事されるという研究環境の整備を、一番希望されているように思います。先ほどからお話が出ますように、まだまだ来年度予算では十分ではないと考えておりますけれども、将来とも研究費の増額、設備費の増額等につきまして、私ども骨を折らなきゃならぬと考えております。なお、それからお話しの中にございました教官研究費が教室そのものに渡る金額が非常に少くなるという点でございます。これは事実、そういう実態があります。現在の予算の立て方からいたしまして、先ほどもちょっと触れましたけれども、教官研究費あるいは学生経費、これらの経費を中心としまして国立大学の運営に関しまする基準経費というものがあるわけでございます。これは予算の教官研究費、学生経費ど申しましても、予算といたしましては表面に出てこない問題でございまして、積算の基礎になる。それが校費というものにまとまりまして、それが学校に配分されるわけでございます。もちろん、その内容の積算につきましては、明示されるわけでございますけれども、それを大学におきましては大学全体とし、あるいは学部としてそれを全体まとめて運用していく、そこで、研究費につきましても、これは経営経費としての研究費でございますから、その中身の実態としまして、あるいは水を使う、電気を使う、ガスを使うといったようなものとか、あるいは消耗品とかいうことになりますと、そこでどうしても大学の事務当局そのもので一括して経理するという形にならざるを得ない、した方が有利だということもございまして、そういうものを学部なりあるいは事務局なりで引きまして、そうしてその残りが教室の方の運営にまかせるという形でございますので、どうしてもそれはお考えの通りの実態が現われてくると思いますが、しかし、これはなるべく教室そのもので自由に使える金をたくさん確保するということが必要でございますから、そういう方向に努力いたしておるはずでございます。経理の方法等につきましても、改善をする余地があれば十分していきたいと存じております。しかし、何といたしましても総額を高めませんと、お話しになりませんから、先ほどから御意見のございましたように、その方向に私ども今後とも努力をしたいと存じます。
  136. 秋山長造

    秋山長造君 もう質問は次にしますが、資料要求だけです。第一は、全国の国立大学の教授、助教授等の定員と、それから実人員等を示す表をお願いしたい。それから第二に、全国の教授の年令構成ですね、三十台がどれだけ、四十台、五十台、六十台以上がどの程度になっているか、そういうことが一目でわかるような表を作って出していただきたい。それから第三は、各省の予算に計上されている研究費で大学へ受け入れているものが相当ありますね……。(「ありますよ、農林省だとか、」と呼ぶ者あり)いろいろな科学技術庁だとか、いろいろなところの予算に入っておって、それで大学に受け入れている研究費というのがあるでしょう……。
  137. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  138. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  139. 秋山長造

    秋山長造君 そういうものの一覧表を作っていただきたい。それからもう一つは、大学院の学生のうち、大学院大学でない一般大学の卒業生で、大学院に入っている学生がありますね。この学生の年度別、それから大学別、研究科別の一覧表ができれば資料を作っていただきたい。
  140. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 年度別、研究科別、大学別、出身大学でございますれ。
  141. 秋山長造

    秋山長造君 そうです。
  142. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 極力努力をいたしますが、ただこのうち、私ちょっと第二と第三の問題は、相当こまかく各大学を調べなければならぬ問題であると思います。まとまったものが今まであるかないか、ちょっと見当がつきません。
  143. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  144. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  145. 野本品吉

    ○野本品吉君 大学の問題でいろいろ御意見があったのですが、私聞いておる次のような話があるのですが、そういう事実があるかどうか、もしあるとすれば、これはよほど考えなければならぬ。それはこういうことです。日本の大学における研究の設備、あるいはその他の諸条件が、特に少壮な研究意欲に燃えている学者に満足を与えることができないので、そういう非常に研究意欲の高い少壮な学者が外国へ研究に行ってしまうという傾向があるということを聞いておるのですが、これはどうですか。
  146. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今お話しになりましたような少壮学者が外国に行く、それが実数としてどれくらいあるか、私ども実は十分つかんでおりませんけれども、まあ聞きました顕著な一、二の例は存じておりますので、そういう例は相当あるのじゃないかと想像します。たとえば、この前文化勲章をもらいました小平という数学の学者がございます。この方はアメリカの大学に行っておられます。少壮な学者でございますけれども、外国へ行って勉強しておる。こういう実情でございます。
  147. 野本品吉

    ○野本品吉君 そういう有数な学者が外国に行って研究する。外国の研究に奉仕する、日本の研究の推進の力にならない。そういう機会が失われるというようなことは問題だと思うので、そういうような角度からも、少壮学徒の研究意欲を充足させるためのいろいろな条件について考えていくべきだと、こういうことです。
  148. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 残余の質疑は、次回に譲ることにいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十八分散会