○
高田なほ子君 いろいろ理由はあったと思いますが、私はここで根本問題に触れて
大臣に所信をただしたいと思うのですが、海鷹丸を随行させないとか、させるとか、今させなかったという理由について
意見が一致して随航させなかったということでありますが、私は、それは表面の理由でありまして、決してすべての
意見が必要がないという断定を下すような資料のもとにやられたというふうには
考えられないのです。しかしこれは、ここでは水かけ論になりますから、私はここで論議しようとは思いません。ただしかし、今日の南極洋に対する世界各国の目というものは、はなはだしく今きびしくこれを見守っているようです。ソビエトの南極大陸にいどむ態勢というものは、これは容易ならざる態勢にあるとも伺っております。しかしソビエトがそうだから
日本もそうせよというのでは決してないのですけれ
ども、現在のわが国の捕鯨漁業は、いろいろ各界のお説を承わっていますと、
相当に高い水準を保っているように聞いています。六船団もの漁業船が雄飛して、世界のバターの必要量の約一割五分の原料をわが国捕鯨業がこれを獲得して提供している。そういうすばらしい貢献を平和
産業にしているにもかかわらず、海洋学に対する系統的なものを持たないために、国際的の発言権というものが必ずしも強くはなっていない。これはどうしても系統的な海洋学に対する
研究、なかんずく未開発の南極洋に対する
基礎的な
努力というものは、これはやっていかなければならないということになるのじゃないかと思うのです。幸いに前回の予備観測では、海鷹丸がその使命を果して、南極洋に対する今後の捕鯨漁業が、どういうふうな形で広げられていくのか、魚類の生息はどういうような海洋の中につかんでいくことができるかというような点についても、かなり突っ込んだ
研究をされてきたと私は思うのです。こういうような地球観測年の一事業である海洋
研究に対して、すべての人が、これが必要ないなどということは、私はそういう結論は出さないのではないかと思うのです。もう少し
日本の将来は、再軍備で
日本の威力を示すのではなくて、平和な、それはまた、世界の人がほんとうに必要であると思われるような食糧の生産のために科学陣を動員するということは、当りまえなことだと思うのです。伝え聞くところによると、ソビエト砕氷船のオビ号には、半分も学者が乗っている。そうして未知の南極洋の
研究のために全力をあげていると聞いています。また、白い大陸といわれる南極には、すでに四つの基地を結ぶ八十マイルにも及ぶような恒常的な基地航路ができているとも聞いています。それなのにわが
日本では、せっかく国際協力の一歩を踏み出しながら、海洋
研究の海鷹丸の費用は必要ないといって削ってしまう、宗谷の力はもう
限界である、新しく船を作るには二、三年かかるというような、そういうような、根本的に科学とわが国の生産とをどういうふうに結びつけるかという、そういう熱意というもの、あるいはまたそういう
研究というもの、そういうものを持たないというところに、私は科学とわが国の生産というものが別々になってしまうのではないか。せっかく貴重な国費を使い、そしてまた、宗谷とそれから海鷹丸の前年の
関係を見ても、お互いに助けたり助け合われたりして、非常に観測にはよいお友だちと言ってはおかしいのですけれ
ども、広い困難なところに向うために、お互いに連絡をとり合うというような道連れがあるということは、常識的に
考えても大へんけっこうなことであったと私思うんですが、
大臣は今後こういったような事業に対して、この失敗を新しくまた新たなる面に生かしていこうというようなお
考えをお持ちになる用意はないでしょうか。また、こういう面について農林水産
方面と連絡もとられて、この科学陣がもっと生きた方に使われるような形の組織というものを必要だとお
考えにはならないか。現在の推進本部のような形だけではなくて、もっと学問の
研究というところを主にした、組織の再編成というものについてお
考えになることはできないか、この点について
大臣の御所信をただしたいと思います。