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1958-04-18 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十八日(金曜日)    午後三時二十二分開会   —————————————   委員の異動 四月十七日委員田中啓一辞任につ き、その補欠として最上英子君を議長 において指名した。 本日委員最上英子辞任につき、その 補欠として田中啓一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            東   隆君            北村  暢君            上林 忠次君    委員            雨森 常夫君            植竹 春彦君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            大河原一次君            河合 義一君            戸叶  武君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○臨時肥料需給安定法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 開会いたします。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 戸叶武

    戸叶武君 議事進行について。本日、大蔵委員会におけるところの委員長理事打合会によるところの本委員長に対する申し入れというのは、大蔵委員会理事打合会として、やはり慎重な態度申し入れがされたものと思いますが、それによると、経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律案閣法第四五号)に関連のある法律案の中で、社会労働委員会における審議中の日本労働協会法案に対して、合同審査申し入れたということです。もう一つは、日本貿易振興会法案閣法第八八号)中小企業信用保公庫法案閣法第一〇一号)及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案閣法第一〇二号)については、本来合同審査を出し入れるべきであるが、諸般の事情にかんがみ、合同審査申し入れば遠慮するが、しかしながら、経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律案が、いまだ衆議院大蔵委員会において審議中で、本院においては予備審査中であるので、基本法審議が終らない段階関係法案採決を行われることは、法律案審議の従来の慣行にかんがみ適当でないので、右の趣旨について、商工委員会農林水産委員会善処方申し入れる、こういうことになっておりまして、そうして大蔵委員長の代理で平林理事からの申し入れもありましたが、もちろんこのことに対する最終的な決定というものは、当農林水産委員会においてなさるべきでありましょうけれども、このように親法案がいまだ参議院に送り込まれていないので、大蔵委員長としても提案理由説明も聞いていないので、結局、申し入れということも時間的に少しズレたのだと思いますが、私たちは、この法案に対していろいろ論議を重ねましたけれども、今質疑打ち切りを行われ、そうして採決を迫られておりますが、このように、この大蔵委員会におけるところの委員長並びに理事打合会において、さきのような趣旨における申し入れ内容に盛られているような決定がなされているのにかんがみますならば、当農林水産委員会においても、やはりこの問題は十分慎重審議して、そうしてこの採決をしばし待っていくというのがしかるべきだ、こういうふうに私たちは考えておるのでありまするが、与党方々は、非常にこの法案が上るのをお急ぎのようなので、そういう理論の筋はわかっていても、そういうことにかかわりあわずに、この法案だけ上げてしまえというような御趣旨のようにもとられるのでありますが、また、与党の中の人たちにおいても、質疑打ち切りになったのだから、ここでこの討論採決まで持っていっても、やはり本会議場への上程ということは、相当慎重な態度にしなければならぬという御意見も出ているようですけれども、いずれにしても、私たちは、この今までの理事会の申し合せ、その他があったということを、決して軽視するものではありませんが、その後における、きょうの午後におけるところの大蔵委員長からの申し入れというものを、その段階においてやはり尊重すべきことが妥当なのではないかと考えておりますので、そういうことを、この委員会皆さん方に御了解を願って、討論採決をしばしば待ちまして、保留しておいた方がいいのじゃないか、こういうふうに考えておりますので、私たち意見をここに開陳する次第であります。
  4. 柴田栄

    柴田栄君 議事進行について。ただいま戸叶委員から議事進行について御発言がございまして、一応戸叶委員の申し出ももっともな点もあると存じまするが、当委員会として、それらの点は審議過程においてもいろいろ議論せられた経過もございまするし、本案に関連いたします部面というものは、必ずしも強く並行していかなければ筋が通らないというほどにも考えられない問題でございまして、一応、質疑打ち切りというとこころまで参った次第でございます。特に本日に至りまして、口頭大蔵委員会理事会の話し合いを理事会の名においてお申し入れがございましたが、これらの点につきましては、委員長において本会議上程の場合に、それらの点を顧慮されて御承知を願うということにいたしまして、本日は、本委員会といたしましては、討論採決を行なっていただきたいということを提案いたします。
  5. 千田正

    千田正君 議事進行について。ただいま戸叶委員並びに柴田委員より、本委員会運営について話がありましたが、討論採決に入る前に、私は、農林委員会運営について、特に両政党の諸君に対してお願いしておきたいと思います。ということは、お互いに議事進行をスムーズにしようとするのはけっこうでございますが、自由民主党、あるいは社会党とも大政党となりますと、国会会対策委員会というものがおのおのの会派の中にあるはずでありますが、しかも、当法案の中で、今も申されたように、両委員会にまたがるような問題、あるいは三つの委員会等にまたがるような問題が、一つ委員会において審議されるような場合かありましたならば、その会派に属する理事なり委員方々と十分に御相談されて、統一した見解のもとに議事進行をやっていただかなければ、われわれのような少数派からいえば、まことにきょうのようなことだというと、せっかくのお申し入れもお断わりをしなければならないような状態が起りやすい、今後ともこういう問題については、どうか一つ遺憾のないように、大政党の中で十分に御検討になって、統一した見解のもとに委員会に臨んで運営の全きを期せられんことを、特に私は要望いたしまして、委員長にお計らいをお願いしたいと思います。
  6. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本案につきましては、昨日質疑を終局いたしておりますので、討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  7. 北村暢

    北村暢君 私は、社会党を代表いたしまして、本案に対して賛成討論をいたしたいと存じます。  まず、最近の農林金融状態は、農林中金並びに農林漁業金融公津等金融機関が発足いたしまして、すでに十年になんなんとして参りまして、その発足の当初から見ますというと、規模におきましても、取扱い金額にいたしましても、格段の相違をいたしておりまして、情勢は一変をしている状態であろうと思います。しかも、これに伴う信用保証制度等におきましても、各種の保証制度がありまして、今日これらの農林金融全体について、当初と情勢は一変してきている。その中において、農林金融がいろいろな意味において輻湊し、調整を要するという点も種々出てきておる。今度の法案改正に当りましても、そのために副総裁を置き、四つの支店を設ける、こういうようなことになってきているようでございますが、私はこの際、この情勢の変化に応ずる農林金融全体について、根本的な再検討を要する段階にきている、こういうふうに考えるわけでございます。従って、こういう事情を勘案いたしまして、次に述べます各派共同提案としての付帯決議を付したいと存じまするので、御賛同をいただきたいと思う次第でございます。  決議の案文を朗読いたします。    付帯決議(案)  政府は、次の事項に関して遺憾なく措置すべきである。  一、すみやかに現行農林漁業金融制度に根本的な検討を加え、これが整備拡充をはかり、もって農林漁業金融の円滑を期し、特に制度金融系統金融との調整をはかり、両者関係機関業務及び機構等についてもいたずらに紛乱摩擦等を引き起すことのないよう留意すること。  二、農林漁業金融公庫に対する政府出資金の増大に努め、公庫業務簡素化を促し、もって融資円滑化資金コストの低下をはかること。  三、公庫融資は法第一条の目的に沿って農林漁業者農林漁業生産力維持増進及び自作農の維持創設に重点をおくべきこと。  四、農林、外務及び大蔵三省において緊密な連絡を保ち、農業移住に関する金融抜本的対策を確立し、あわせて移住者財産処分に対しても遺憾なき措置を講ずること。  五、「非補助小団地等土地改良事業助成基金」の実施に当っては、地元の意向を充分にしんしゃくし、かつその負担等に考慮を払い、補助と並行して両者の効率的な運用に努め、基金の設置によって補助を縮小することなく、これが拡大のため万全を期すること。    右決議する     昭和三十三年四月十八日        参議院農林水産委員会  以上であります。
  8. 田中茂穂

    田中茂穂君 私は、今回提案になりました農林漁業金融公庫法の一部改正案に対しまして、いろいろ問題点は包蔵いたしておりまするけれども、長時間にわたる審議の間におきまして、政府当局の答弁を一応了といたしまして、自由民主党を代表いたしまして、賛成をいたすものであります。  特にこの機会に申し上げておきたいことは、今後、農林漁業金融公庫に対しまして、政府の投融資相当増加するであろう、そうなった場合に、公庫事業分量相当ふえて参るであろう、これは想像にかたくないのでありまして、その間、現在の農林漁業金融体系の大きな二本柱でありまする組合金融系統との間に、必ず問題が起ってくるであろうということを、非常に杞憂いたしておるものでございまするから、その間の調整につきましては、十分一つ政府当局におかれましては御留意願って、この農林金融体系の根本的な再検討を甲急に一つ進めていただきたい。  なお、公庫需要が伸び、また、組合金融府県段階の信連の事業分量もふえて参りますれば、従いまして、中間的な農林中央金庫の存在というものが非常に大きな問題点になってくるであろうと思うのであります。農林中央金庫の再検討に対しましても、この機会に、政府におかれましては十分一つそれに対応する検討を進めていただきたい。この二点を特にお願い申し上げる次第でございますが、なお、今回のこの公庫法審議に当りまして、海外農業移住者に対する融資の問題、これがこの道を開くための法政正を私どもも念願いたしておったのでございますが、これは別個に一つ考えるというようなことで、一応了といたしておるのであります。現在海外移住会社が取り扱っておりまする移住者に対する資金は、農業者にほとんど顧みられていないという現状でありまして、商工方面相当流れておる。一つ移住会社短期高利農業金融長期低利商工金融とを行うところに、大きな問題があるわけでございまするから、その点について、特に農林省におかれては、この農業移住者に対する資金の道を早急に一つ考えていただく、これもこの審議過程におきまして、いろいろ外務省、大蔵省方面意見も聞きましたけれども、さしあたっての問題といたしましては、移住会社資金長期低利に運用して、それを農業移住者にできるだけの手当をするということで、一応当面の対策としてはけっこうだと思いまするけれども、この農業移住者に対する金融の道は、当然農林省が主体となって扱わなければならないことを、私どもは痛感いたしておるわけでございまするから、その点につきましても、十分一つ早急に対策検討をお願い申し上げたいのであります。  以上の三点につきまして、強い希望を申し述べまして、この改正法案賛成をいたすものであります。
  9. 上林忠次

    上林忠次君 今回の金融公庫法の一部を改正する法律案、ただいま問題になっておりますこの法案に対しまして、全面的に賛意を表するものであります。今回の改正農産物価格安定法の適用を受ける農産物、これを原料または材料として製造加工する事業に対しても、当該農産物の大きな将来の生産発展ということの関係にある部面に対しては、これに対して金融をするということになっておりますが、私は、数年前の砂糖飢饉のときに、砂糖供給量が少かったときに、相当砂糖の問題があったのでありますが、あの節にも叫んだのでありますが、日本砂糖供給量が少いために、業界か混乱している、この際、われわれの農産物一つであります澱粉の大きな安定した消化口を作るためにも、これを糖化して、日本生産の少い砂糖源として利用するのが至当じゃないか、それに対しまして政府はもっと積極的な資金の融通とかあるいはその他の指導措置をとりまして、砂糖日本で少しでも作るのだと、ただいま欧州におきまして、あの寒い北欧におきましても、相当砂糖の自給をやっておる、日本土地で全部を外国からの砂糖供給を待っているというのはおかしいじゃないかということを言ったのでありますが、ただいまの法案によりまして、ようやくその方面砂糖源としての澱粉の処置、これに対する金融、こういうようなところまで手が差し伸べられまして、時期は少しおそくなっておると思いますが、われわれこの農産物の将来の安定そういうような点からも、大いに裨益するところがあると思うのであります。時期はおくれておりますが、おくればせながらここまで法案改正ができまして、この業界の将来の大きな安定を期待できるということになってきましたことに対して、特に喜んでおるものであります。果してブドウ糖の製造によりましての砂糖が、カンショ糖に似たような値段供給し得る時代がくるかどうか疑問でありますが、何とかして生産費をペイするように、この澱粉から転化した砂糖事業発展を期していきたい。先刻も話がありましたが、値段の点につきましては、まだはっきりしておりませんが、この価格決定を、引き合うように、原料生産原価をペイするような価格決定ということも将来行わなくちゃならぬのじゃないかというような示唆も、次官の口から出ましたが、そういうところまでいっても、日本砂糖源としてのこの業界発展を援助していっていただきたいと思うのでございます。  一言希望を申し上げまして、賛成の言葉といたす次第であります。
  10. 千田正

    千田正君 ただいま議題になりましたところの農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、この審議に当りましては、衆議院からも付帯決議がなされ、さらにわが参議院農林水産委員会からもただいま北村委員から提案されたように、各派提案付帯決議がなされて、今日採決の寸前になったわけであります。私は、この法案は決して完全なものでなかったということと、付帯決議がなされるほど不完全な点が多々あるということを十分に政府当局は銘記されまして、この法案が通過した後においては、十分にこの付帯決議趣旨を尊重されて、万全、遺憾なき方途を講ぜられるように、特に希望いたしまして、本法案並びにわが参議院農林委員会が出しましたところの付帯決議とも賛成の意を表するものであります。
  11. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御意見もないようですが、討論は、終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  13. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。次に、討論中に述べられました北村提出格派共同提案付帯決議案議題といたします。  北村提出格派共同提案付帯決議案を、本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  14. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致と認めます。よって付帯決議案は、全会一致をもって委員会決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容議長提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが。御異議ございまんせか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     柴田  栄  堀  末治     関根 久藏  田中 啓一     堀本 宜実  仲原 善一     田中 茂穂  植竹 春彦     雨森 常夫  北條 雋八     藤野 繁雄  東   隆     戸叶  武  北村  暢     河合 義一  上林 忠次     千田  正
  16. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの付帯決議について、政府見解を求めます。
  17. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上、御可決いただいたことを厚くお礼申し上げます。  なお、ただいま付帯決議がなされましたが、一々ごもっともな点でありますので、この決議趣旨を尊重いたしまして、その実現に努力をいたしたいと思います。   —————————————
  18. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案議題にいたします。  この件については、去る二月二十七日の委員会において提案理由説明を聞いたのであります。本日は、その他の事項について補足説明を求め、続いて審査に入ります。
  19. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいま議題となりました肥料需給安定法の一部を改正する法律案補足説明をさしていただきます。  この法律改正案は、臨時肥料需給安定法第六条第一項の「肥料需給調整を図るため、」保管団体に対して「政令の定めるところにより、肥料生産業者又は輸入業者からその生産し又は輸入した肥料を買い取るべき旨を指示するものとする。」と、こういうことを、「買い取るべき旨の指示をすることができる」、すなわち、従来の規定によりますと、強行規定でありましたのを、肥料需給状況が緩和いたしましたので、これをその時の情勢に応じて、必要がある場合には指示することができる、こういうふうにいたすのであります。この制度実施状況を、お配りいたしました表について御説明申し上げますと、資料の表の第一ページであります。昭和二十九年肥料年度、すなわち昭和二十九年の八月から昭和三十年の七月末まで、これは二十九肥料年度でありますが、次の三十肥料年度、三十一肥料年度実施いたしまして、本年度は三十二肥料年度になっておるのであります。昭和二十九肥料年度には、一ページの表の右側の欄をごらん願います。その一番下、合計欄を見ていただきますと、十二万二千七百八十八トン保管さしたのであります。三十肥料年度は五万一千九百八十九トン、三十一肥料年度は七万五千二百九十八トン保管さしたのであります。これをどういう所に保管しておるかということが、地方別府県別にこういうふうな地方保管さしておるのであります。これを、その次の第二表で見ていただきますと、昭和二十九肥料年度では、秋肥の済みました不需要期に入った十一、十二月、一月に買い入れまして、それを春肥最盛期三、四、五、六、七月に開放いたしたのであります。それから三十、三十一肥料年度は、大体秋肥が済んでから不需要財に買い入れて、春肥に開放する、こういうふうになっておるのであります。これに対しまして、法律の第九条に基きまして、保管して当然金利倉敷等の経費がかかるのでありますから、本来政府がやるべき仕事を、保管団体にやらしておるのでありますから、それによって保管団体に不当の損失を与えるということは不合理でありますので、欠損金を補てんすることになっておるのであります。その欠損金をどういうふうに補てんしたかという表が第三表、二ページの右側の表であります。この表の読み方をちょっと申し上げますと、価格差益、これは御承知のように肥料価格限月ざやをつけておりまして、十、十一、十二月、一月、三月、四月、順次少しずつ月別の価格は上ってきておるのであります。従って、十二月に買ったものを三月以降に開放いたしますとすると、この限月ざやの利益が出てくるのであります。これを今度は支出損といたしましては、借入資金に対する金利保管料運賃諸掛り保管手入れ費取扱い事務費、こういう出費があるのでありまして、価格差益出費との差額を決損として補てんする。昭和二十九肥料年度では、九千百八万三千三百五円、これを昭和三十年度予算に計上いたしました。すなわち、二十九肥料年度は、三十年度の七月をもって終のでありますから、金を支払うのは三十年度でよろしいのでございますから、三十会計年度予算に計上いたしております。三十肥料年度の分は三十一年、これは四千三百六十七万四千九百三円、これは保管数量が先ほど申しましたように少かったからこういう計算になっております。三十一肥料年度は三十二年度予算において五千九百五十五万四千三百七十二円を支払ったのであります。  この法律改正しますのは、かようにして保管をいたしますれば、必ず欠損を補てんしなければいかぬ。欠損を補てんするのは国の費用でありますので、予算に計上しなければいかぬ。しかるところ、最近の肥料事情はいかがかと申し上げますに、非常に生産仲びてきておりまして、昨年の状況を見ますと、滞貨が非常に多くて、全購連の側においても相当公定価格から値引きを得た、こういうふうな状況であります。従いまして、調整保管をやりますのには、国の費用を出さなくて、メーカーの費用負担によって必要な所に調整保管をしてもいいじゃないか、こういうことで、三十三肥料年度の分につきましては、約六万トン余りを消費者団体生産者との間で、そういう措置を講じて、現に保管を継続いたしております。そういうことになりました。  肥料需給状況につきまして、三ページの表をごらん願います。まず第一に、アンモニア系窒素肥料であります。これは硫安、尿素、それからそのほかにこの表に載っておりませんか、塩化アンモニア硝酸アンモニア、こういうふうなアンモニア系肥料でありまして、昭和三十二肥料年度では三百七十六万トンの国内生産が見積られておるのであります。これに対しまして、内需は、臨時肥料需給安定法の第三条に基きます調整保留を含みまして二百五十八万トンの量になりました。輸出は百二十万トン、こういうことに計画されておるのであります。これは昨年の六月に肥料審議会に、この法律に基きましてかけまして、決定したものであります。そこで、この生産の伸びの状況をごらんいただきますと、三十二肥料年度が三百七十六万トンに対しまして、三十一年度が三百三十万トン、三十年度が二百八十七万トン、これは昭和三十六肥料年度に比べますと、三十二肥料年度は倍ということになっております。従って、内需と生産の伸びの関係は、生産の方がはるかに内需をオーバーする、輸出可能量がうんとふえる。輸出量は三十二肥料年度の計画が百二十万トンであります。三十一肥料年度は九十一万トン、三十年度は六十万トンを輸出したような状況であります。この状況は、おもな肥料について申し上げますと、その次のロの硫安の項であります。硫安の生産量も飛躍的に増大しておりますが、それから第四ページの尿素の欄を見ていただきます。これは新らしい肥料でありまして、昭和二十六肥料年度にはわずかに、硫安に換算いたしまして九万トンのものか、三十二肥料年度においては九十万トン、十倍の生産になった、こういうふうな状況か出てきておるのであります。  その他の肥料につきましても、詳しい説明は——臨時肥料需給安定法の中には、ただいま硫安及びアンモニア系窒素だけを適用いたしておりますので、そのほかの肥料については、詳細な説明を省略いたしますが、石灰窒素につきましても、相当生産が確保された。燐酸質肥料につきましては、一昨年から原料の燐鉱石の輸入を自由承認制ということにいたすことによりまして、国内の需要を十分にまかない得る。それからカリ肥料にしましても、外貨事情が緩和いたしましたので、これの消費も、第六ページをごらん願いますと、昭和二十六肥料年度においては、二十三万トンの輸入、内需二十六万九千トンでありますが、三十一肥料年度は九十万トンの輸入、七十九万トンの内需、三十二肥料年度は、輸入七十七万トン、八十五万トンの内需、こういうように肥料需給関係につきましては、全般的に緩和されておるのであります。  これをもう少し詳しく月別の状況で最近の事情を申し上げますと、一枚の表をあとからお配りいたしておきましたが、これをごらん願います。左の欄は、先ほど申し上げたましように、アンモニア糸窒素肥料の全体であります。三十一、三十二というのはこれは年度の区別であります。三十一肥料年度生産は、一番左の欄を見ていただきまして、上期、すなわち秋肥の時期では百三十万一千トンの生産、下期、すなわち一—七月には二百万三千トン、合計三百三十万四千トンの生産であります。これが計画によりますと、三十二肥料年度は、三百七十六万トンになるのでありますが、月別の状況をごらん願いますれば、三十一肥料年度の八月二十三万四千トン、九月二十五万トン、三十二肥料年度の八月が二十八万六千トン、九月三十一万トンと、ずーっとそういうふうにいきまして、八—十二で百三十万トンだったのか、百五十五万七千トンと、こういうふうに月別の生産がふえてきているのであります。  内需の方は、昨年の消費実績が二百三十六万四千トンでありました。今年の内需は、先ほど御説明いたしたまし別の表の方をごらん願いますが、二百五十八万三千トンというふうに、二百三十六万トンに対するものがなるのでありますが、これはトータルでは相当の、二十万トン以上の需要増を見ておりますが、月別の消費実績を、今までのところを見ますと、上期でわずかに三万トン足らずの増であります。一月、二月、三月におきましても、昨年度需要とそう変りませんので、あるいは私どもの方での二百五十八万三千トンという内需の見方が、少し多過ぎるのかもしれません。しかしその中には、先ほど申し上げましたように、法第三条による調整保留分、すなわち肥料の約一割程度を見込んでおりますから、その分だけが残るということになるかもしれません。そういうふうな状況であります。  従いまして、一番右の在庫の分を見ていただきまして、三十一肥料年度の期初めの在庫の二十五万五千トンが、三十二肥料年度の期初めの二十七万九千トンになり、十二月末の在庫が、昨年度の五十一万三千トンが、本年度、すなわち去年の暮れでありますが、六十七万七千トン、十六万トン以上の在庫増ということになっております。  そういうふな関係でありますので、先ほど申し上げましたように、調整保管制度を国の費用によってやらなくても、当然メーカーの負担によってやっても……。肥料需給が窮屈であって、まあ最初の調整保管の実績のところに書いておりますが、工場保管地方保管というのを二十九年度にやりましたが、工場保管という名前で保管をさしまして、それが実際は、保管させないで、配給の中に入れる、こういうふうな非違がありました。それで、工場保管をやめまして、地方保管にいたして、厳重に保管さしているというのであります。供給が余りぎみでありますから、いやでも応でも保管しなくちやならぬ。その経費はメーカーで負担すべきである、こういう趣旨からこの法律改正いたしたいのであります。  以上、簡単でありますが終ります。
  20. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから本法律案審議を行ないます。  御質疑のある方は御質疑を願います。
  21. 東隆

    ○東隆君 この改正のところで、今まで強制規定であったものを「買い取るべき旨の指示をすることができる」こういうふうに直されていますね。でありますが、私は今御説明を聞いて、需給関係を御説明になりましたが、しかし、だいぶまだ心配な点がありますので、政府が「買い取るべき旨の指示をすることができる」とこうなっておりますが、指示するためには予算を必要とすると思うのですが、聞くところによりますと、予算を削ってしまわれておる、こういうふうにも聞いております。そこで、「買い取るべき旨の指示をすることができる」と、こういうふうになって、そして予算を削ってしまうと、これはやらないというふうに解釈するよりほかに手がないのですが、その辺はどういうお考えですか。
  22. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど御説明の中で、その点を含んで御説明したのでありますが、御承知のように会計年度肥料年度が食い違っておりますから、会計年度で前年度保管したものを、本年度の本会計年度予算に組むと、こういうことになるわけであります。その肥料年度は八月から来年の七月まででありますが、需給計画は、六月に肥料審議会にかけて、答申に基いてきめるわけであります。その際に、年の見込みの状況生産見込み、消費の状況を勘案いたしまして、調整保留一割を加算して内需を算定して、そして残ったものを、大体在庫は月生産の半額を下らない在庫を見込みまして、その範囲内で輸出の許可を与える、こういうふうにしておるのであります。従いまして、この一枚の表で御説明申し上げましたように、計画の在庫は月生産の半額を見ておりますけれども、実際は、生産が予定より伸びる、あるいは生産が変らなくても内需が減るということになりますと、在庫はうんとふえるわけであります。現に昨年度に比べまして、本肥料年度の月末在庫は、月別ずっとふえてきておるわけであります。そうしますと、このものは政府が金を出して保管を命じなくても、先ほど御説明申し上げましたように、私の方で行政指導をいたしまして、メーカーの金利倉敷負担によって適当な団体に保管させた方が費用の節約になる。従って、最初に本年度需給はどうなるか、非常に苦しくなって在庫は減っていくというふうな見通しの場合には、その肥料計画を六月に立てて、暮れに来年度予算を組むわけでありますので、そのときに予算を組めば十分ではないか、こういう考え方であります。
  23. 東隆

    ○東隆君 御配付になりました資料の第一表を見ますと、これは地方別に二十九年度から三十一肥料年度にわたってしさいに見ますと、たとえば北海道のような所は非常にふえております。たとえば三十年の肥料年度地方保管の約二倍に三十一年度にはなっておる。それから東北の場合においても三十年よりも三十一年度保管の量がふえている。こういうふうに見て参りますと、非常にこれは事情があると思うのです。これは、保管しなければならぬ地帯の事情がはっきりしておると思うのですが、所によっては減っておる所もございますけれども、非常にふえているという所には、その地方事情か非常にあるということをお考えになりましたか。
  24. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これが一つの問題になるのでありまして、御承知のように北海道の生産は非常にふえておるのであります。しかも、北海道は単作地帯でありますから、保管政府で持ってやれば非常に喜ぶ人がおるわけであります。しかるところ、肥料が不足でありますれば、北海道でもどこであろうと、持ってやらなければならないわけでありますが、こういうように非常に余りますと、ほかに持って行こうと思っても、輸出許可を受けて国外に出す以外には、持って行く場所がない。そういうふうに供給の方が緩和しておる場合には、その保管を、ことさら政府費用保管しなくても、北海道の在庫は非常に大きくなるわけでございます。そこで、そういう事情の変化を考慮いたしまして、何も国の費用保管しなくてもメーカー自身の費用保管すると、保管場所はできるだけその配給の便利な所に配給担当者と相談で保管してもらったらいいんじゃないか、こういうことであります。
  25. 東隆

    ○東隆君 保管の数量は、これは実は地方の方が希望して、そして保管をしてもらっておるのが理由だと私は思うのですか、今の御説明ですと、メーカーがたくさん生産をするから、そこで保管をする、こういうふうに聞えるのですが、私はそうではなくて、北海道のような地帯では、農家が保管をしておいてもらわないと、非常に春の配給の時期に殺到いたしますから、従って、そういう関係希望しておると、そのためにこの保管を要請をして、そしてやっておるのだと、こういうふうに理解をしておるのですが、少しメーカーの方に土台を置いて御説明になったようですが、そうではないのですか。
  26. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この法律制度との関係におきましては、純然としてこれは消費者の希望とか、メーカーの希望とか、こういうことではないのでありまして、工場に保管するとか、あるいは工場に保管しておってもその管理がうまくいかない。すなわち自分の配給品と保管してある他の物との区別がつきません。これは御承知のように一つの工場に何万トンと保管しますから、ばらで保管するような関係で、そこで混淆を起しやすいので、工場保管をやめた。しからば地方保管はどういうふうにいたしますかというと、やはり地方の倉庫施設その他を見て、経費の最も少い所に、農林省保管の場所を認可いたしましてやるのであります。それが保管をいたしますと、これは命令して、補助金をつける、欠損金を補てんいたしますというのが、この本末顛倒いたしまして、欠損金をもらって自分の自由な所に保管させてもらった方がいいのじゃないかと、こういうふうに曲げて宣伝されたきらいかあるのであります。そこで、いろいろな問題が派生いたしまして、行政管理庁なりあるいは会計検査院等からもいろいろやかましく言われまして、本来の保管と、その消費者側の希望と、それを混淆したのでは困る。ことにこういうふうにたくさんになっておるならば、政府の金を使わないで、メーカーが工場に保管するか、地方保管するかでありますから、農業団体の資金相当潤沢にある部面では、融資をすることによって——農案団体の好む所に置いて、その保管のための金利倉敷はメーカーに負担させたらいいのではないか、こういう趣旨であります。
  27. 東隆

    ○東隆君 業者に保管させる、こういうことなんでありますが、私は、必要がある場合には、政府保管を命ずると、こういう形で金利倉敷だの、そういうようなものを出すと、こういうようなことになりますというと、予算がありませんから、必要がありまするならば、政府は臨時国会を開催してその場合に提案をする、そういうふうなお  心組みですか。
  28. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど申し上げましたように、肥料年度需給計画を立てるのは、会計年度からいいますと、前会計年度であります。そしてその八月から肥料年度進行いたしまして、需給計画に非常な狂いが出てくる、生産がどこかの工場の事故で落ちるとか、あるいはそのほかの理由で保管を命ぜなければならないという場合か起きてきた場合には、これは来年度予算に組むわけでありますから、それが予算を編成する十二月ごろまでにわかれば、そのとき組みますし、もしそのときまでにわからなければ、来年度に入ってから予備費なら予備費でまかなう必要が生じた場合には、そういう手段を講ずる必要があると思います。
  29. 東隆

    ○東隆君 この三ページの「最近の肥料事情について」、これを見ますと、たとえばアンモニア系窒素肥料の合計でありますが、これの三十二年度の繰り越しが十八万七千トン、それから生産か三百七十六万トンですか、それから内需は二百五十八万トン、輸出が百二十万トン、こういうようにして合計が出ておりますが、私は、生産と合計とを合せてみますと、生産、内需とそれから輸出を加えたものが、うしろの計だろうと思うのですが、そうすると三百七十六万トンの生産に対して三百七十八万トンの需要があるわけなんです。繰り越しを食っておるわけですが、そういう形になってこれは出てきておりますが、そこで、輸出はものすごい騰勢を示しておるわけです。ここで見ますと、九十一万トンであったものが百二十万トン、こういうふうに輸出がふえていっておる、これの関係は、あとの硫安、それから尿素、石灰窒素、いろいろ関連をしてみますと、それをみんな合せたものでありますから、当然その形が出てくるのでありますが、その中で特に大きな疑問を持つのは尿素なんであります。尿素の場合は内需とそれから生産関係は、これは実のところを申しますと、尿素工業が非常に発達をして、そっちの方にどんどん出ていくので、内需の中にも、おそらく肥料ではなくて、尿素工業の方に向けられるものも入っているのじゃないか、こういう疑いがあるわけです。そういうことになりますると、それに合せて輸出も非常に騰勢をしておる、そんなことから考えて参りますると、窒素質の肥料需給関係というものは、必ずしも安心をするような中身でない、こういう感じを持つわけです。と同時に、輸出か非常に伸びておりますから、その輸出が伸びておるために、農家が非常に必要な時期に輸出をされたのでは、これはもう内需の方面においてメーカーが価格を維持し、あるいは価格を上げることをメーカーそれ自身がやらないといたしましても、配給の方面にタッチしておる者が品不足でもって値段を上げるおそれが十分にある、それで、年間の需要というような問題だけを考えるのではなくて、要は、季節の需要品なんですから、そういうようなものをあんはいして考えてくると、輸出と内需と加えた合計は、常に生産を上回っておるというような、こういう状態が最近非常に顕著に出てきておるときに、政府がいろいろな事情でもって買い上げを任意にする、こういうのは、これは国内の農家の肥料需要者にとっては、非常に不安な感じを与えるものである、こういうのが、これは常識じゃないかと思うのですが、その点はどういうふうに解釈をいたしますか。
  30. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) その点は、数字でよくごらんをいただきたいのであります。この内需といいますのは、一定の増加趨勢がございますから、これを相当たっぷり見ております。それから輸出というのは、生産と内需と、それから期末にその月の生産の半分くらいを持っておれば、在庫としては十分なのでございます。差し引いてその残りを輸出に向けられるといって、その差引計算で輸出計画量を出しておるのです。これは三十二度は計画です。三十一年度まではこれは全部実績であります。従って、三十一肥料年度の在庫二十七万九千トンというのがございます。これは三十二年度の計画を樹立いたします肥料審議会にかけたのは三十二年六月でございますから、実績がわかりません。従って、十八万七千トンというものがあるという予定で繰り越し、生産、内需、輸出、合計、差引翌朝に繰り込す額、こう出しておるわけであります。ところが、十八万七千トンと見たのが、実際は三十七万九千トン売れ残ったのであります。従って、十八万七千トンと二十七万九千トンで約十万トンは供給量がむしろふえた。生産、内需、輸出の三十二年度の計画が、その通りあるとすれば、十六万四千トンに対して、二十七万九千トンと十八万七千トンの差額は、在庫として残る計算になるわけであります。プラスされることになるわけであります。つまり三十二年度の計画を組むときには、三十一年度の実績がつかめておりませんでしたから、一応三十一肥料年度から三十三肥料年度に繰り越しされる額が十八万七千トン、実際には二十七万九千トン残ったわけです、現実に。その差額は供給量として国内にあるわけであります。ですから生産が予定通り三百七十六万トン、内需が二百五十八万トン、輸出が百二十万トンとすれば、この三十一年度から三十二年度に繰り越された実績と計画の差額は、三十二年度から三十三年度に繰り越すべく予定しておる十六万四千トンにプラスされた量が出てくるわけであります。そういうのでありまして、決してこの需給計画は窮屈なものではありません。非常に余裕をとっております。それから輸出の伸びも、これは最近中共の農業五カ年計画によって、四十万以上の需要が出てきました。これは年々ふえるだろうと思います。しかし、生産の増も今の増加と同じような傾向をとっておりますから、おそらく三十三年度では百五十万トン以上を輸出しなければ、うんと在庫がだぶついてくるのではないか、こういうふうに考えております。  それからさらにもう一点。尿素の内需の中には、尿素工業にいくものというのがありますが、これは何かの間違いではないかと思いますが……。ですから、尿素工業にいく分は、この尿素の需給計画の中には全然入れておりません。肥料として出てくる前に、その尿素が単体でほかにいっているわけであります。これは尿素として出てきた数字でありまして、尿素の出てきたやつはほかの方に回されるというのは、これは例外的に多少あるかもしれませんけれども、ほとんどネグレクトだと思います。従って、この内需の中に農家の需要に迷惑を及ぼすような品種は入っておりません。むしろ尿素につきましては、硫安石灰窒素に比べまして価格が非常に安いから、私どもの方では奨励いたしておりますけれども、なかなか新しい肥料でありますから、内需が伸び悩んでいるというのが実情でありまして、これは全購連その他で、非常に熱心に石灰窒素と同じように無硫酸根肥料でありますから、石灰窒素の値段と比べると一割も安いのでありますから、なぜ使わないのだといって奨励しておりますけれども、なかなか伸びないのであります。  さらにもう一点。肥料が時期的なものであるから、年全体の計画でなくて、月別の計画もにらんでなければならない、こういうお話であります、その通りでありまして、別の一枚紙の表をお配りいたしております。それで見ますように、在庫の実態によって、在庫が適正在庫を上回れば輸出許可をいたします。輸出許可は毎月計画数量を区切りまして、かつ一船ごとの許可指令を出しているのでありますから、不当に在庫が減るというような見込みの場合は、輸出の方を減らしていく、こういうふうにしているのでありますから、その点も御指摘の御心配は全然ないのであります。
  31. 東隆

    ○東隆君 尿素のところで、人工樹脂の方の関係のところに尿素を出すということは、これは人工樹脂の尿素工業の方に尿素を出すことが非常に値段も高いし、従って肥料にするよりも有利に回るものですから、そっちの方にたくさん出ていくということを聞いているわけです。従って、ネグレクトとこういうようにお話になりますけれども、実は尿素を生産しているのは北海道にありまして、そしてしかも畑作地帯に非常に奨励をしてやっている、そんなような関係で、今後畑作地帯で硫安を用いるよりも、尿素を用いた方がいい、こういうような空気ですから、そこで、内需の面に非常にとられる、しかも、外国向けに尿素が出ている、こういうことになると、これは値段をつり上げていく、そういう形になっていく。問題は、尿素の工業の方にいくものの値段の方か比較的いいんですから、従って、内需の面におけるところの尿素の価格も次第に上ってくる、こういう問題が一つあるわけです。そういうような問題と一つかね合せていくと、私は輸出をやるものは、これはメーカーがやるものであるから、そこで最近の年次におけるものを聞いてみますと、非常にその問題があるのではないかと思います。非常に問題があるというのは、これは輸出をするところのワクが、もうおそらくないくらいになっているのじゃないか、輸出をするリクですね、それはなんですか、先ほどお話があったように、中共の方に輸出をする、どこか南米の方の地にも——何か商人の方は高い所があれば、計画的に輸出をしようとしないわけです。それで高い所の方に送ってしまって、そうして新規需要方面には送らない。そんなような形でもって、一定のワクを完全になくしてしまっている。こんなようなことも聞かされておるわけです。そういうふうに考えてみますると、業者に貯蔵させる、こういうことは、輸出という面において相当伸びということを前提に置きますと、私は、だいぶ困難な問題がそこにあると思う。そして結局在庫が少なくなれば、国内におけるところの農家の利用するものの価格が高騰する、こういうような形がおのずから出てくるのじゃないか。それから需要の時期において非常に品不足のために迷惑を及ぼすような、そういう問題が出てくると思う。こういうような形で政府保管をするところの量というのは、必要な量の一割以内ですか、非常に少い数量になって、それらの数量というものは、これは調節することによってそんなに大きなものにもならぬ。ことに国内におけるところの価格と、それから輸出をする価格の間に、大きな開きがある。そういうようなものをある程度調節をし、品物の量の調節をする、こういうような考え方で生まれた制度だろうと思うのですが、それを簡単におやめになるという趣旨が、私にはなかなかわからないものですから、輸出等について、最近の年次において、メーカー、輸出業者を通じて、どういうような動きをしているか。それから価格ですね、国内においての価格と、それから輸出をしているものの価格ですね、これがどれくらいな開きになるか、そういうような点を少し明らかにしていただきたいと思います。
  32. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) しばしはこの表でごらん願いますように、これが最近の需要でございまして、アンモニア系については昨年の在庫よりは三月末ではまだ多いのであります。簡単に輸出々々といいますが、輸出をもっと伸びさせたい、そうすれば、生産ももっと上げられる、こういうのでありますが、ごらん願いますように、昨年の十二月は実にアンモニア糸で六十七万七千トンの在庫でありまして、こういう在庫をかかえている。六十七万七千トンでありますから、昨年度に比べて十六万トンも多い在庫をかかえて、どこに輸出するかということで苦慮をしておって、中共の問題が出てきまして、中共の話に乗って、やっと愁眉を開いている。従って、在庫を中共に輸出する契約か成立するかしないかが来年度需給のバランスがとれるかとれないか、逆に商品を消化できるかできないかという意味の需給のバランスでありまして、従って、あわせて御説明申し上げますが、輸出価格も共給者の方がどうしても荷を早く売らなければいかぬというあせりで、安く売って、いわゆる国内価格公定価格よりも輸出価格が安いという問題を起しているのであります。  それから繰り返して申し上げますが、この点は、はっきりお考えを訂正していただきたいのであります。尿素の中に入っている量は、この中から工業用に回すというものはありません。尿素の形態で、白い尿素の出てきたものを工業用に回すというものはこれに入れておりません、この需要の中には。
  33. 東隆

    ○東隆君 生産の方も……。
  34. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ええ、生産の方も。尿素のまだ結晶しないものをほかに回している——これは化学工業でありますから、それをそのまま、あるいはいろいろなものに使う方面に持っていくということはありますけれども、この需給とはこれは別でありますから、全然その関係は見ておりません。  それから、ほかの方に有利に回るから、尿素のこの肥料としての生産を抑圧するというようなこと、これもございません。これは石灰窒素にございます。石灰窒素では、最近まで原料のカーバイドが有機合成品に非常に回りましたから、ここの表でごらん願いますように、生産も三十年度をトップにいたしまして、ほかに食われております。しかし、最近の情勢では、有機合成品が繊維の自給過多で頭打ちをしておりまして、おそらく三十三年度はもっと生産が出てくると思います。これは非常に肥料に回るカーバイドをその他の産業で食っております。これはしかしこの表の中には、これはアンモニア糸でありませんから、アンモニア系需給の表の中には含んでおりません、石灰窒素の分は。従いまして石灰窒素は、これは輸出は五千トンありますが、中共に見本的な輸出をやったのか計上されているというだけでありまして、全然輸出を許可いたしておりません。  それから尿素も、これも先ほど申し上げましたように、適正在庫を差し引いて、これだけ輸出しなければ、内需が五十五万トンであれば、三十六万トン輸出しなければならないというむしろ数字であります。これだけ輸出することは、硫安を輸出するより困難であります。日本の国においてすら、尿素が新しい肥料として——これは御指摘のように、無硫酸根の肥料だから、石灰窒素とか、その他の高い肥料、あるいは硫酸糸の硫安肥料に代替させると盛んに宣伝しておりますけれども、なかなかついてきてくれない。しかし、これはここ一、二年で相当伸びていくと思いますから、バランスはとれると思うのでありますが、現在のところは、尿素の輸出も、硫安よりももっとむずかしい問題になってきているのであります。そういう状態でありますから、少くとも来年中共が四十万トンというのを、八十万トンとか、六十万トンということになれば、生産が、私どもが予定している通り伸びないということになりますと、あるいは来肥料年度は開店休業を見なければならないというようなことも考えられるかもしれませぬが、これは、この六月に来肥料年度需給計画を肥料審議会にかけて決定いたしたいと、かように考えております。  それから国内価格と輸出価格との差額の表は十八ページ以下に出ておりますから、これでごらんを願います。三十二年十二月に最低四十七ドル八十セントというのか出ております。これか韓国及び中共向けの価格であります。これが一番大口でありますと同時に、一番条件の悪いところで約束いたしましたが、こういうふうに安くなっております。高いのでは六十一ドル五十セント、こういうことになっております。これを、国内の価格との比率をとってみますと、一番右の表で見ております十二月の価格では、国内価格に比べて輸出価格は約九四・八%になっております。すなわち国内価格の方が輸出価格より高いというような問題を輸出会社も処理しなければならない、こういう問題があります。
  35. 堀本宜実

    堀本宜実君 この需給安定法によりますと、三条で需給計画を立てて、一割の基準を保留する、第六条で保管団体を大臣が指定をする、第九条でそれに対しまする倉敷料、その他のものの補てん、補助をする、こういうことになっておると思うのであります。で、それによって需給を安定しようというのでありますが、この一部改正法によって起ってくる心配というものは、今まで局長の話、あるいはこの資料等を拝見いたしますと、私は常識的にはもうその心配はない、はずしていいだろう、こういうふうに考えますが、しかしこういう問題が出てきて困りはせぬかというその心配がありますのを一、二点伺いたいと思うのでありますが、たとえば最近中共との貿易によるこの輸出増加の問題かある。それから、コストの高い工場整理という問題が出てくると私は思う。ことにこの中共のみならず、東南アジアとの貿易というものの振興をはからなきゃならぬというわが国の外交的政策、つまり立場から考えて、相当貿易に出さなきゃならぬというようなことがあった場合に、この需給調整保管ということを、ワクをはずしていくということにおいての不安が生まれてくるのではないか、こういうふうに考えるのであります。その点どういうふうに考えますか。
  36. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 第一点は、輸出の増加に対して生産が間に合わなくなるおそれはないか。これは肥料審議会でも問題になります。今国会で予算委員会でも、どなたかの意見で、中国の農業五カ年計画が進展している、従ってその五カ年計画が延びれば、今四十数万トンと言っているのが、倍、あるいは三倍になるのじゃないか。従ってそれに協力するのは当然じゃないか、こういう御意見がございました。私の方の計画では、この三十二肥料年度の計画に出ておりますが、三十三肥料年度生産の増加の見込みは、さらにこれを三十万ないし五十万トン上回る見込みを立てております。これは最終的には肥料審議会できめますけれども、従いましてその限度までは需要に応ずることができるのでありますが、それ以上の需要になりますと、やはり国内を圧迫いたしますから、これはどうしてもやはり国内優先で輸出管理を継続していかざるを得ぬと思います。これだけははっきりしなきゃならぬと思います。  それから第二の御指摘の、老朽工場かあって、コストが非常に違うので、これを整理しなきゃいかん段階にきているのじゃないか、こういうお話でありますが、まさにその通りでありまして、現在この肥料需給安定法と同時に通りました硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法というので、合理化を五カ年で期限を切って、来年の七月までに進めることになっておりますが、今の問題はまだ片づいておりません。従ってこれは早急に片づけなければならないのでありまして、その際に、老朽工場を新しい原料、すなわち非常に単価の安い液体——天然ガスとか、あるいは重油等に切りかえる方法、あるいは場合によったら、ある工場をぶつつぶしていかなきゃならぬ、こういうふうな問題が起ってくるのであります。これらは今生産担当の通産省、消費担当の農林省、それから業界自身ですね、それぞれ案を練っております。どうしても来年度予算までにはこれもまた片づけなければならない問題でありまして、現在肥料の、硫安の工場だけで言いますと、最低のコストは約一万九千円、最高は二万七千円を越しております。そこで公定価格は約二万五百円でありますから、約半分以上の工場が公定価格でもペイしない、このペイしないのを廃ガス利用の薬品とか、あるいはほかの事業の兼業によってまかなっておるのであります。肥料としてはもうからぬ、副産物でもうける、こういうことをやっておりますが、これも最近のように、相当人造繊維等が悪くなってきまして、あるいは薬品工業か乱立するということになってきますと、そのもうけも少くなってきますから、どうしても根本的な、最初のアンモニア製造設備にメスを入れなければならぬ、こういうのであります。頭を悩ましているのであります。どうしても最近の機会に処置をしなければいかぬと思っております。
  37. 堀本宜実

    堀本宜実君 今お話の中にあった最低一トン当り一万九千円ないし二万七千円という、開きが非常に多いと思うのですが、この開きがある、これは将来整備をしなければならぬと思うのです。しかしそれは天然ガスだとか、たとえば重油だとかいうような液体燃料によってその合理化をはかり、コストを下げていくという指導はされるのだろうと思うが、しかし、それにはおのずから立地条件というものが伴うのであって、とうていそういうことは夢に描いてみてもでき得ない問題にもこれは逢着すると思うのであります。そこで、そういうようなものを含めたこの肥料法案というものは、これは時限法だと私は思いますが、来年の七月にはこの問題は切れてしまう、効力をなくするという立場に立っての今後のこれは根本的に改革をしていかなければならぬ、こういうふうに考えます。そこでコストの非常に高くつく工場を合同企業するなり、あるいは系列化を変えていくなり、いろいろな方法はあると思うのでありますが、そういう点、あるいはそれを基調としたところの今後の肥料政策というものを根本から、この法律というものを別にして、そうして変えていくという意思があるかどうかということが一点と、これだけ製造価格の違う、要するにコストの違った価格を対象とする肥料の農家が受け取るべき価格というものをきめる場合ですね、つまり価格決定に出るところの行政的処置というものを一体どうするのか、要するにこれはバルク・ラインといいますか、それを決定するところの順序といいますか、その考え方を伺っておきたい。
  38. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 第一点の老朽施設の工場をどうするかという問題です。これは、一番今コストの高いのは電解法、最初の日本で始めたのはみんな電解法でありましたが、これはその当時は電気が消化し切れなくて、余剰電力の消化として、たとえば川崎の昭和電工というようなものも始まった、これが現在は電力料金が高くなりまして、硫安のコストとしては一番高いのであります。その次はやはり石炭であります。これらの工場を重油に切りかえるなり天然ガスに切りかえるというのであります。すでに重油に切りかえておるのもあります。それから、これは名前を出してどうかと思いますが、話を正確にするために新聞等にも出ておりますから申し上げますが、たとえば秋川の東北肥料、小名浜の日本水素、こういうのは非常にコストが高いのであります。これは現在秋田の方は、秋田で天然ガスに切りかえるというのか進んでおります。小名浜の方もこの新聞に出ておるところによれば、やはり天然ガスがあそこでめっかりまして、それに切りかえる、こういうふうな計画を進めております。それと同時に、やはりそれには相当資金が要るわけでありますから、そういう硫安を主体として、小規模の事業では相当大規模の資金を急速に集めることがなかなかむずかしいのでありますから、大企業との合同、すなわち系列化、そういう問題も話が進んでおるように承知しております。これは今は、私の方でも最終的な結論を出しておりませんから、それをどうやるのだということは今申し上げられませんが、結局そういうふうなことを政府としても施策として打ち出して強力に推進せざるを得ない、こういうことになってくるのであります。これはもう現実の課題になってきておるのであります。  それから第二点のこの価格決定の方法でありますが、これはこの法律によりまして、原価計算の生産費の調査をすることができるようになっておるのであります。これは工場に行きまして、レポートを受けて、それを費目別に検討いたしまして、不審な点は現場、工場へ行って帳簿と伝票と差し引いて整理して、そうして過当なものは落して原価計算をいたします。その上で今度は、先ほどの表で申し上げました、たとえば硫安につきまして、この三ページの表を見ていただきます。生産量が硫安で二百四十七万五千トン、三十二年の計画になっております。三ページの下です。それから内需が百七十三万五千トン、こういうことになっております。この工場別に、今のようにして原価計算をいたしましたのをコストの安いところからずっと並べまして、全部では三百四十七万五千トンできるのでありますが、その中で百七十三万五千トンまかなうところまで、コストの安いところからとっていくのであります。そこでバルク・ラインを引いているのであります。その中に入ったものの加重平均の価格公定価格としてきめているのであります。従って、三十二肥料年度の原価計算したときの模様を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、最低は約一万九千円、最高は二万七千円でありまして、これが十八工場ありまして、今の百七十三万五千トンをまかなうまでの工場は十番目の工場、コストの安いところから十番目の工場は、全部の数字ではなくて、一部の数字を扱えばいい、こういうことになります。もちろんこの中には副産回収硫安等も入っておりますが、そこで、その数量を加重平均いたしますと二万約五百円であります。従って、バルク・ラインの十番目の工場でも約二万一千五百円のコストになっておりますから、バルク・ラインの中でも、そういう計算の仕方をすれば利益に残る分が非常に少い。いわんや二万七千円の工場では肥料だけでは、これは成り立たないので、その損はほかの副産物あるいは兼業の事業でまかなっていく、こういうことになっているのであります。
  39. 堀本宜実

    堀本宜実君 それでは非常にバルク・ラインが引かれて、それ以上のコストのかかっているところでは肥料だけでは採算が合わない工場が相当ある、こういうわけですね。そこでこの表の中に、どの工場が幾らで作っているという表が出ていますか。
  40. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは法律の何で、各社の営業の秘密に属するというので、工場別のものは出しちゃいかぬというので、この表には載せておりませんが、何といいますか、A、B、Cで説明はやっているわけであります。
  41. 堀本宜実

    堀本宜実君 それは秘密ならそれを伺おうとは思いません。それじゃ重ねて伺います。日本の農政上から見ましても、肥料行政というものは非常に重要な問題だと私は思うのでありますか、どうもいろいろな観点に立って、工場保護というようなふうなにおいがないでもないと、私はそういう立場から考えて、農林省というのは、少くとも農民の立場に立って肥料行政をするのだというところに一つの重点を置いていかなければならぬと私は思うのであります。これは非常に抽象的なことを申し上げますが、しかしいろんな点で、たとえば公庫の金等が短期ではあるけれども、実際は長期の形で流れているというようなこと、あるいはそういう金で当然工場整備をしなければならない、高いコストにつくような、生産費のかかるようなものが、早く合理化しなければならぬようなものがあるが、それをそのままに放任されて、現在のように三万七千円に近い経費がかかっている。こういうようなことがやがてそのしわ寄せが今御説明になりましたバルク・ラインを引きますところの作業方法であることがわかりまして、公正なものであろうと信じますけれども、一般農民にとりましては必ずしもさようには考えられないものでございます。従いまして、すみやかにこれらの問題につきましては、農民の保護の政策を中心に、要するに基盤とする考え方による肥料行政を打ち立ててもらいたい、こういうふうに思うのであります。これは、まあ私が思うのでありまして、希望として申し上げておきます。  もう一点、これは政務次官に私は申し上げて、一つ御決意を伺いたいと思う。やがてまた問題になると思うのでありますが、去年もこの委員会で申し上げたのでありますけれども肥料を売らんかなの態勢で、売りさえすればいいという行政のように見られていけません。今申し上げたように、農民保護の立場から私はいろいろ考えて見ますると、よくきくとか、いろいろなこういうふうな効能があるとか、何だとかいうようなことで、とかく農民というものに買わそうとする、売りつけようとすることか非常に強度に強烈に見られるのであります。しかし、その反面に、肥料を年々使用いたしまする量を見ますると、約三十年ぐらい前の肥料の消費量と、現在の消費量は、零であったものか大体三倍くらいになっております。これは硫安において特に著しいカーブを示しておるのでありまするが、その割合に生産物がそれと並行しているかというと、並行していない。土地というものは肥料を与えられてそうして、それと比例した成果というものが上ってくるということでなければ私はならぬと思います。これは肥料行政とはちょっと離れますけれども、直接経済局に申し上げるという意味じゃなしに私は、肥料というものに関連を持ちますので、政務次官に申し上げるのでありますが、そういうことをそのまま放任しておきますと、また知らず知らずの間に肥料をたくさん使えばいいという、つまり多肥技術というものだけに進んでいって、ほんとうの土地の力というものと肥料というものとの合理化が進められておらない。要するに仁丹のような形で肥料を使う、果して心臓にきくのか、じん臓にきくのかという薬効の分明を持たないで肥料を使うという状況に私は追いやられておるというのか現状であるので、そういうものを一体どうするかということなんです。それの政策が足りない。要するに何か売りさえすればいいというような立場で農林省は立っては私はいけないと思います。施肥の合理化をどうして進めていくかということでなければならない。それには土地と作物の関係と、肥料の成分とをどう調整していくかということか肥料行政の中に中心としてなければ私はいけないと思います。そういうことはこれは、単に肥料を作るという工場方面の問題でなくして、農政の問題として重要な問題であると私は思う。去年私はこの問題を提唱いたしまして、幸いにわずかな予算をつけていただきました。これは全くわずかでありますが、しかし新規予算をつけていただきましたことは感謝にたえません。感謝いたしますが、あれくらいな金でどうにもなりません。しかし、つけていただいてあれくらいなんというのは悪いが、しかしそれはほんの言いわけにすぎないような金なんであります。私は大いに土壌を分析して、土壌と作物と、いかなる肥料がそこに適合するかということでありますれば、おそらく現在使用しております肥料の半分あったら優に足りる量であると思うのであります。製造して売るこの工場のちょうちん持ちをやるというのではなく、少くとも土壌に適合するような肥料の施肥の合理化ということを進められる意思があるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  42. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) まず最初に、これは肥料行政と申しますか、肥料の問題は全国の農民が非常に、今関心を持っているというとおかしいのですが、関心を持っているというのは、生産資材を下げなければならないということを言うておりますけれども、農機具等もありますが、肥料値段が最近はある程度横ばいといいますか、大へん横ばいになっていますけれども、なかなか下らない。そこで先ほど肥料価格の問題について経済局長から数字についてやや詳細なお答えをいたしましたか、これは私の感想をここで申し上げておきます。  先ほど非常に老朽と申しますか、非能率的な工場が相当に多い、そこでそういうものをプールをして肥料価格決定するということになりますから、工場によっては相当の利益を得るけれども、工場によっては損害をこうむる、従ってそういうものがいわゆる農村に転嫁される、こういう状況になっておりますのは御存じの通りであります。でありますから、これはきわめて簡単にいかないと思いますけれども、もう少しいわゆる農林行政を担当する者は、肥料工場のそういう非能率的なものは極端に言ってぶつつぶしても、やはり能率的な工場をよけい作って、安い肥料を農民に買ってもらう、こういう基本の態度でもう少し強力にやるべきだと、こういう考え方であります。  それからもう一つは、肥料を買い過ぎはしないか、これはそういう点があると思います。最近は御承知の通りに、改良普及員という人たちがいろいろ肥料その他について営農の指導をぼつほつといいますか、だんだんやるようになっておりますが、また農協その他においても肥料についての知識は相当に高まりまして、また農家においても特に若い青年層あたりでは肥料についての知識は相当高まりまして、しかしそれでもなお、今お話のように売らんかなの商売……これは商売なら商売でこれでやむを得ないといえばやむを得ませぬが、いろいろ薬の効能書きみたいなことで、盛んに売らんかなという宣伝をしておる。  もう一つは、御存じの通りに、従来の日本の農法が変る、これは進歩でありましょうが、あまり金肥に頼り過ぎて土壌ということを考えない施肥の方法が盛んに行われている、こういう傾向かあるわけであります。この点については、農林省としてももちろんこれの対策を考えておるのでありますけれども、まだ不十分だというのは、最後に堀本さんがおっしゃったように土壌と肥料関係が、日本の農業の場合にはそれほど深刻に検討されておらない、ここに大きな問題があるのではないかと思います。これは、一ぺんに解決するということはできませぬけれども、そういう方面を進めるべく十分に努力を重ねておるのであります。これは非常に私の経験を申し上げて失礼でありますが、御存じだと思うのですが、ほかにもあると思いますけれども、岐阜県の揖斐川町であったと思いますけれども、あそこでは数年前から岐阜県の農業試験場と、そこの町長さんが非常に熱心な方でありまして、その町内の田畑の土壌の検査を全部やりました。そうして台帳ができております。従って農家は、どういうふうな肥料がどのくらい要るのだということを自分であまり計算しなくてもその台帳によって、何と申しますか、農協に行くと、お前のたんぽではこの肥料をこれだけ使えばいい、これ以上多くてもいかぬし、少くてもいかぬ、いわゆるむだがなくて、心労がなくて、しかも効果があるというやり方をやっておる。私は非常に感銘を受けたのでありますが、そこまでいくのは全国の農村はなかなかでしょうけれども、そういうところまで農政を進めていくということと、先ほど、肥料工場に対する対策を立てるということが肥料行政の根本ではないか、こういうふうに考えて、実は私専門家ではありませぬが、農林省はそういう方面にもっと努力をしなければならぬ、こう思っております。
  43. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本日は、この程度にいたしまして散会いたします。    午後五時九分散会