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政府委員(
渡部伍良君) ただいま
議題となりました
肥料需給安定法の一部を
改正する
法律案の
補足説明をさしていただきます。
この
法律の
改正案は、
臨時肥料需給安定法第六条第一項の「
肥料の
需給の
調整を図るため、」
保管団体に対して「政令の定めるところにより、
肥料の
生産業者又は
輸入業者からその
生産し又は輸入した
肥料を買い取るべき旨を指示するものとする。」と、こういうことを、「買い取るべき旨の指示をすることができる」、すなわち、従来の
規定によりますと、
強行規定でありましたのを、
肥料の
需給の
状況が緩和いたしましたので、これをその時の
情勢に応じて、必要がある場合には指示することができる、こういうふうにいたすのであります。この
制度の
実施状況を、お配りいたしました表について御
説明申し上げますと、資料の表の第一ページであります。
昭和二十九年
肥料年度、すなわち
昭和二十九年の八月から
昭和三十年の七月末まで、これは二十九
肥料年度でありますが、次の三十
肥料年度、三十一
肥料年度実施いたしまして、本
年度は三十二
肥料年度になっておるのであります。
昭和二十九
肥料年度には、一ページの表の
右側の欄をごらん願います。その一番下、
合計欄を見ていただきますと、十二万二千七百八十八トン
保管さしたのであります。三十
肥料年度は五万一千九百八十九トン、三十一
肥料年度は七万五千二百九十八トン
保管さしたのであります。これをどういう所に
保管しておるかということが、
地方別、
府県別にこういうふうな
地方に
保管さしておるのであります。これを、その次の第二表で見ていただきますと、
昭和二十九
肥料年度では、
秋肥の済みました不
需要期に入った十一、十二月、一月に買い入れまして、それを
春肥の
最盛期三、四、五、六、七月に開放いたしたのであります。それから三十、三十一
肥料年度は、大体
秋肥が済んでから不
需要財に買い入れて、
春肥に開放する、こういうふうになっておるのであります。これに対しまして、
法律の第九条に基きまして、
保管して当然
金利、
倉敷等の経費がかかるのでありますから、本来
政府がやるべき仕事を、
保管団体にやらしておるのでありますから、それによって
保管団体に不当の損失を与えるということは不合理でありますので、
欠損金を補てんすることになっておるのであります。その
欠損金をどういうふうに補てんしたかという表が第三表、二ページの
右側の表であります。この表の読み方をちょっと申し上げますと、
価格差益、これは御
承知のように
肥料の
価格は
限月ざやをつけておりまして、十、十一、十二月、一月、三月、四月、順次少しずつ月別の
価格は上ってきておるのであります。従って、十二月に買ったものを三月以降に開放いたしますとすると、この
限月ざやの利益が出てくるのであります。これを今度は
支出損といたしましては、
借入資金に対する
金利、
保管料、
運賃諸掛り、
保管手入れ費、
取扱い事務費、こういう
出費があるのでありまして、
価格差益と
出費との差額を
決損として補てんする。
昭和二十九
肥料年度では、九千百八万三千三百五円、これを
昭和三十
年度の
予算に計上いたしました。すなわち、二十九
肥料年度は、三十
年度の七月をもって終のでありますから、金を支払うのは三十
年度でよろしいのでございますから、三十
会計年度の
予算に計上いたしております。三十
肥料年度の分は三十一年、これは四千三百六十七万四千九百三円、これは
保管数量が先ほど申しましたように少かったからこういう計算になっております。三十一
肥料年度は三十二
年度の
予算において五千九百五十五万四千三百七十二円を支払ったのであります。
この
法律を
改正しますのは、かようにして
保管をいたしますれば、必ず
欠損を補てんしなければいかぬ。
欠損を補てんするのは国の
費用でありますので、
予算に計上しなければいかぬ。しかるところ、最近の
肥料事情はいかがかと申し上げますに、非常に
生産が
仲びてきておりまして、昨年の
状況を見ますと、滞貨が非常に多くて、全購連の側においても
相当の
公定価格から値引きを得た、こういうふうな
状況であります。従いまして、
調整保管をやりますのには、国の
費用を出さなくて、メーカーの
費用負担によって必要な所に
調整保管をしてもいいじゃないか、こういうことで、三十三
肥料年度の分につきましては、約六万トン余りを
消費者団体と
生産者との間で、そういう
措置を講じて、現に
保管を継続いたしております。そういうことになりました。
肥料の
需給状況につきまして、三ページの表をごらん願います。まず第一に、
アンモニア系窒素肥料であります。これは硫安、尿素、それからそのほかにこの表に載っておりませんか、
塩化アンモニア、
硝酸アンモニア、こういうふうな
アンモニア系の
肥料でありまして、
昭和三十二
肥料年度では三百七十六万トンの
国内生産が見積られておるのであります。これに対しまして、内需は、
臨時肥料需給安定法の第三条に基きます
調整保留を含みまして二百五十八万トンの量になりました。輸出は百二十万トン、こういうことに計画されておるのであります。これは昨年の六月に
肥料審議会に、この
法律に基きましてかけまして、
決定したものであります。そこで、この
生産の伸びの
状況をごらんいただきますと、三十二
肥料年度が三百七十六万トンに対しまして、三十一
年度が三百三十万トン、三十
年度が二百八十七万トン、これは
昭和三十六
肥料年度に比べますと、三十二
肥料年度は倍ということになっております。従って、内需と
生産の伸びの
関係は、
生産の方がはるかに内需をオーバーする、輸出可能量がうんとふえる。輸出量は三十二
肥料年度の計画が百二十万トンであります。三十一
肥料年度は九十一万トン、三十
年度は六十万トンを輸出したような
状況であります。この
状況は、おもな
肥料について申し上げますと、その次のロの硫安の項であります。硫安の
生産量も飛躍的に増大しておりますが、それから第四ページの尿素の欄を見ていただきます。これは新らしい
肥料でありまして、
昭和二十六
肥料年度にはわずかに、硫安に換算いたしまして九万トンのものか、三十二
肥料年度においては九十万トン、十倍の
生産になった、こういうふうな
状況か出てきておるのであります。
その他の
肥料につきましても、詳しい
説明は——
臨時肥料需給安定法の中には、ただいま硫安及び
アンモニア系窒素だけを適用いたしておりますので、そのほかの
肥料については、詳細な
説明を省略いたしますが、石灰窒素につきましても、
相当の
生産が確保された。燐酸質
肥料につきましては、一昨年から
原料の燐鉱石の輸入を自由承認制ということにいたすことによりまして、国内の
需要を十分にまかない得る。それからカリ
肥料にしましても、外貨
事情が緩和いたしましたので、これの消費も、第六ページをごらん願いますと、
昭和二十六
肥料年度においては、二十三万トンの輸入、内需二十六万九千トンでありますが、三十一
肥料年度は九十万トンの輸入、七十九万トンの内需、三十二
肥料年度は、輸入七十七万トン、八十五万トンの内需、こういうように
肥料の
需給関係につきましては、全般的に緩和されておるのであります。
これをもう少し詳しく月別の
状況で最近の
事情を申し上げますと、一枚の表をあとからお配りいたしておきましたが、これをごらん願います。左の欄は、先ほど申し上げたましように、アンモニア糸窒素
肥料の全体であります。三十一、三十二というのはこれは
年度の区別であります。三十一
肥料年度の
生産は、一番左の欄を見ていただきまして、上期、すなわち
秋肥の時期では百三十万一千トンの
生産、下期、すなわち一—七月には二百万三千トン、合計三百三十万四千トンの
生産であります。これが計画によりますと、三十二
肥料年度は、三百七十六万トンになるのでありますが、月別の
状況をごらん願いますれば、三十一
肥料年度の八月二十三万四千トン、九月二十五万トン、三十二
肥料年度の八月が二十八万六千トン、九月三十一万トンと、ずーっとそういうふうにいきまして、八—十二で百三十万トンだったのか、百五十五万七千トンと、こういうふうに月別の
生産がふえてきているのであります。
内需の方は、昨年の消費実績が二百三十六万四千トンでありました。今年の内需は、先ほど御
説明いたしたまし別の表の方をごらん願いますが、二百五十八万三千トンというふうに、二百三十六万トンに対するものがなるのでありますが、これはトータルでは
相当の、二十万トン以上の
需要増を見ておりますが、月別の消費実績を、今までのところを見ますと、上期でわずかに三万トン足らずの増であります。一月、二月、三月におきましても、昨
年度の
需要とそう変りませんので、あるいは私
どもの方での二百五十八万三千トンという内需の見方が、少し多過ぎるのかもしれません。しかしその中には、先ほど申し上げましたように、法第三条による
調整保留分、すなわち
肥料の約一割程度を見込んでおりますから、その分だけが残るということになるかもしれません。そういうふうな
状況であります。
従いまして、一番右の在庫の分を見ていただきまして、三十一
肥料年度の期初めの在庫の二十五万五千トンが、三十二
肥料年度の期初めの二十七万九千トンになり、十二月末の在庫が、昨
年度の五十一万三千トンが、本
年度、すなわち去年の暮れでありますが、六十七万七千トン、十六万トン以上の在庫増ということになっております。
そういうふな
関係でありますので、先ほど申し上げましたように、
調整保管の
制度を国の
費用によってやらなくても、当然メーカーの負担によってやっても……。
肥料の
需給が窮屈であって、まあ最初の
調整保管の実績のところに書いておりますが、工場
保管、
地方保管というのを二十九
年度にやりましたが、工場
保管という名前で
保管をさしまして、それが実際は、
保管させないで、配給の中に入れる、こういうふうな非違がありました。それで、工場
保管をやめまして、
地方保管にいたして、厳重に
保管さしているというのであります。
供給が余りぎみでありますから、いやでも応でも
保管しなくちやならぬ。その経費はメーカーで負担すべきである、こういう
趣旨からこの
法律を
改正いたしたいのであります。
以上、簡単でありますが終ります。