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1958-03-28 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十八日(金曜日)    午後一時三十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            鈴木  一君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            東   隆君            大河原一次君            河合 義一君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君   政府委員    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省振興局長 永野 正二君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    厚生省保険局次    長       小山進次郎君    農林省農地局参    事官      正井 保之君    林野庁指導部長 山崎  斉君    建設省河川局次    長       関盛 吉雄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林地地すべり対策に関する  件) ○農業改良助長法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農林漁業団体職員共済組合法案(内  閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  地すべり等防止法案に関する件を議題にいたします。  この件については、過般の委員会において、政府当局から一応の説明を聞いたのでありますが、この件について、御質疑の向きは御質疑を願います。
  3. 清澤俊英

    清澤俊英君 まず、一番先にお伺いしたいのが、地すべり関係面積要綱の第二十二で、大体基準として農林建設にこの分担区別が出ております。ぼた山の方はよろしゅうございますか、砂防法第二条の建設関係の、これは先般の委員会で二百五十カ所と了承しておりますが、それでよろしゅうございますか。
  4. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) ただいま御質問のございました地すべり都道府県別面積の調べの、お手元に差し上げてあります資料に基いて御質問がございましたが、この関係各省地すべり府県別の担当は、地すべり法案に基きます主務大臣条章規定に従いまして分担することになったのでございまして、建設省関係といたしましてはお手元にお示しいたしております農林省資料にありますように、地すべり防止法案の五十一条の第一号に掲げられている砂防指定地等関係のある第一号に該当する面積部分と、それから第三号のロに該当する部分、これらを合せまして八万七千余町歩ということになっておりまして、その個所数が三千五百余カ所、こういうことになっております。ただいま御質問のございました二百五十地区と申しましたのは昭和三十三年度の予算を執行いたします場合におきまして、三十三年度地すへり防止工事を行います地区数でございます。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林関係、林野と耕地に分けまして、大体関係面積ここに出ていますけれども、どういう……、ここに施工する個所といいますか……。
  6. 正井保之

    説明員正井保之君) 主として工事関係いたしております分でございますが、差し上げてございます資料の三ページにございますように、全体といたしまして六百三十四カ所を私どもの方で担当いたします。その面積は一万五千七百七十九町歩でございまして、来年度はこのうち事業を実施いたしますのは二百八十八町歩程度の地域につきまして事業をいたしたい、さように考えております。
  7. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 林野庁において担当いたします地すべり区域面積といたしましては四万三百九十一町歩個所数にしまして千四百四十六カ所となっておるのであります。これに対しまして、三十三年度に工事をいたしまする個所が百二カ所、工事いたします面積が百五十七町歩ということになっておるのであります。
  8. 清澤俊英

    清澤俊英君 この要綱の十の2に、「森林法又は砂防法規定による許可を受けた者は、当該許可に係る行為については、現行の規定による許可を受けることを要しない」、こうなっております。これはもちろん関係官庁で行われておる仕事でありますから、当然こういう工事を進められるときは、それを勘案して進められているのですから、これは許可を要しないのは当りまえであり、そんなめんどうなことは要らない、こう考えるのでありますが、この法律が、これができない前に、こういうものが計画せられておりましたものとの関連においてこれかどういうふうになるかということですね。当然そういうものが、この法律ができないでも勘案せられて制限等ができておったと考えていいのでありますが、その点の、少しばかり何か食い違っておることはないであろうか、こういうふうなあれがしますが、これからは、こういうものがあり、そうしてするのだからいいけれども、その前に許可になつた工事、もしくはこれからやっていこうとするものについて、それに対しての食い違い等は絶対心配要らないのかどうか。
  9. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 林野庁におきまして治山工事を従来継続してやりますものは、保安施設地区という制度を作りまして、そこに対しますいろんな事業の禁止と制限ということをやって参ったわけでありますが、この保安施設地区という制度におきまして、この新しい地すべり法案ができない前におきましても、やはりこの地すべり防止というものをやつてきておったわけでありまして、従来から保安施設地区として指定され、それによっていろいろ事業制限を受けたものも、やはり地すべりということを念頭に置いた制限というものを従来からも受けておったという関係になっておりますので、この両者の相違というものは、事実上ないという形になっておりますので、この点、御了承願いたいと思います。
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうだろうと私も思います。そこで、十一の関連事業計画として作られまする際に、第一の項目で、「家屋その他工作物移転若しくは除却又は除却される家屋その他の工作物」と、こうなっておる。工作物とは何を指すのですか。
  11. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) ただいまお話関連事業計画部分についてのことでございますか、これは、法律案で参りますと第二十四条になるのでございまして、この第二十四条の第一項に、「家屋その他の施設若しくは工作物移転」ということでございます。これは、「家屋」は御承知家厳住宅等のものでございますが、そのほかに農業関係とかあるいはその地帯における地すべり防止地区の全体が農村に関係しておる部分が非常に多いのでございまして、従って農舎とか畜舎とか、そういったようなものもすべて工作物といっておるのでございます。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のところ、もう少しはっきり、少し開き漏らしましたから……。その工作物の具体的なもの……。
  13. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 農舎とか畜舎とか納屋とか、そういうものを申しております。
  14. 清澤俊英

    清澤俊英君 地上に作った工作物という意味合いじゃないんですか。俗にいう家届に類するものですね、それを指したんですか。それを指したんですね。――それでわかりました。わかりましたが、前の関連で受けまして、それがもし用排水とかそういうような工作物というものを工作物と見られるとすると、先ほどの質問とちょっと大きな食い違いができますのでお伺いしたわけですが、家屋とやはり解しておってよろしいですか。
  15. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) その通りでございます。
  16. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に、この関連事業を行う際に、家屋等の、危険がある場合に避難のために立ちのくべきことを指示することができるというのは、これは強制立ちのきを意味するのですか。この指示意味合いがどれだけの強力なものか……。
  17. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) ただいま御指摘立ちきの指示と申しますのは、本法律案の第二十五条に相当する部分でございまして、第二十五条は、「都道府県知事又はその命を受けた吏員は、地すべりにより著しい危険が切迫していると認められるときは、必要と認める区域内の居住者に対し避難のために立ち退くべきことを指示することができる。」こういうふうになっておるのでございます。この指示は、いわゆる災害による被害がきわめて切迫をしておるという場合における緊急に避難をすることの指示でございます。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に、負担金の問題ですが、町村負担が「その受益限度において、その市町村分担金を課することができる」という、この受益限度というものをどう考えられるのかということと、その度合いですが、その基礎となるべき標準というのですか、こういうものをどこで定められるのかということと、そういうものがかりに定められてみましても、大体地すべり地帯は非常に山間地帯が多い、しかも一村から見ますると、部分的な部落災害という形をとりますので、そこに町村分担能力から申しましても、分担金の支払いに非常に困難を感ずるのですが、そういう点について一つ詳しく教えていただきたい。
  19. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) だいま御質問の点は、市町村分担金に関する規定条項についての御質問でございました。法律の第三十一条は、市町村分担金条章規定いたしておるわけでございまして、この規定を設けましたのは、他に類似の規定が、海岸法でありますとか、その他の法規にすべて盛っておるのでございまして、要は、地すべり防止工事というものは、都道府県が実施するというのが原則になっております。その都道府県が、従って管理に当るわけでございますので、工事費用は、原則として都道府県負担をする、それに対する一定の額は国が負担をするという建前になっております。これは先生も御承知の過りでございます。そこで、この場合におきまして、この当該都道府県内の市町村を利するものにつきましては、工事費なりあるいは維持費なりの一部を受益限度において分担させる、こういう道を開いたのでございます。すでに他の法規においてもそういう例がございます。そこで、この費用分担方法でございますが、三十一条の第二項におきまして、この費用につきましては市町村分担すべき額は、当該市町村意見を聞かなければならない、それからまた、その上で、都道府県議会の議決を経て定める、こういうことにいたしておりますので、県並びに市町村、この団体相互間において受益限度における協議が十分整いまして、合理的な基準において行う、こういうことでございます。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 もちろんそうなりましても、寒村だし、大体においては、どっちみち額によりましては、納められない所が多いと思う。そういうものを、かりに都道府県議会が、あの村でこれだけの負担は無理だ、こういう結果が出ましたならば、それは免除していた、だけるようになるのですか。
  21. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) これは、市町村分担金分担させることができるという道を開いておるのでございます。従いまして、当該市町村意見を開かなければならないということも、法律に明確にいたしております。従って、きわめて困難な場合は、おそらくそういうことはできないだろうということに……。で、御懸念の点はないと思っております。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは何ですか、そうなりますれば非常に緩和せられたことで、無理がかからぬとは考えますが、大体限度として、最高限度どのくらいまでに考えておりますか。ただ、これでは限度があまり出ておらないのです。受益限度というものは特殊な場合を指しておられるかとは考えますが、おそらく現在、地すべり地帯防止が、その町村受益をしないということはない、必ずある。そういう場合に、大体の限度をどの付近お山考えになっておるか、最高限度をもし掲げるとしたならば、限度――受益限度なるものがどの付近にあるのか。
  23. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) これは、ただいまの御質問でございますが、なかなか一がいには申し上げにくい問題でございます。これは各府県における非情によりまして、いろいろ違っておりますか、まず分担金を徴収しておるという今までの例を、他の、河川法等について見ますと、まずその分担金をかける基礎は、やはり工事費に対する一定割合というものが一つ標準になっておる、その場合におきまして、中小河川等工事の場合におきましては約七%程度取っておる所は取っておる。こういうような実情が、各府県の中での調査によって、出ておりますが、それらも取る場合の一つの県における基準になるかと考えられるのであります。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは非常にめんどうな問題をあとに残しておると私は思う。ということは、一村全体が地すべり地帯ということはない。大体一部落もしくは二部落くらいが問題になってきておる。そしてそれがために村会体の者が多額のものをかけられるというと、人口割合その他からいって、受益しない面積の方が多い、こういった場合に、村の中では非常に問題が出ると思う。で、村自体としては、受益部落だけにかけるようになったらと……。こういう地帯は、次々の災害で非常に困っている。私は新潟県であるが、新潟県などの実情は、そういう所が得てして多い。弱っている所に分担金のしわ寄せをされる。工事の施行上非常にめんどうな問題が出る。そういうときの考慮は、どの辺まで考えておるか。それは町村意見を聞かれても、おそらくきちっと出せる町村は数においてそうないと思う。災害は相当深刻であり、工事はなかなか金がかかるものが多い。そういうことで、そこに非常なめんどうな問題が出てくると思うが、あなた方の考え方としては、どの辺に町村分担金というものを考えておられるか。また、この法案にある通り町村の意向を聞いて、そしてこれはどうも能力がないからという、こういうような進達が参ったら、これを調査して、そして実際こうだということになって、やっていたたけるのか。だけど、ほかに例があるのだから、ただでということにもおかしいじゃないかというようなことで、すぐそれで押しつけられるというようなことでいきまするか。これは非常に重要な問題だと思うが、その点をもう一度。
  25. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) ただいまのような御質問の御懸念は、毛頭起らないように指導することはもとよりでございます。特にこれは国が補助令等を交付いたします場合において、分担金額等を一々補助金の交付にかからしめるということでありますと、先生の御心配のような点が地方で呪われるかと思いますか、これはそういう意味ではなくて、その地すべり地帯における県と市町村との団体相互間の問題を、こういうようなことを寄付金とかあるいはまたその他の方法によって徴収しておるような例も、他にないではないのでございまして、そういう場合には、やはり一定の、団体相互間についての基準をきめておいて、その基準は、市町村意見を聞いた上で、議会でもってきめる、こういう基準でない限りは、また逆に取る場合でも取れない。こういうことにした方が、道を開くと同時に、またそれについての処置をきめておいた方が、かえって先生のような御心配防止することにもなるし、従って、地すべり地帯における現在の状況では、なかなか分担金をかける例はないのでございますが、その実情は、そのような筋になっていくかとわれわれも思っております。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあこれはこのくらいでやめますが、その次に、個人受益出費担があります。この規定についてその次にお伺いしたいのですが、「著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、受益者負担金を課することができる」というような条項になっておりますが、この「著しく利益」ということは、まあ例をあげて言いますと、どんなものになるのか、あるいはその受益によって課しまするその負担金が、どれくらいの法的な強制力をもって課せるのか、それらの点をお伺いしておきたいと思います。
  27. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) この受益者負担金という制度も、これは最近の他の鉱物等に関する法律にすべてその規定を持っておるのでございまして、ただいまの御質問のような受益者負担金というものを予想しました場合は、たとえば地すべり工事の中で擁壁のようなものをまあ作るような工事もございます。そういうふうな擁壁を作るということが、その辺の地すべり全体を防止する効果のある施設になるわけですが、それが、たまたまその擁壁によって、その当該擁壁に接続する土地所有者、たとえばそれが、あるいは大きな料理屋さんの非常に眺望絶佳な所の土地保全になった、普通の利益よりはそれが著しく利益を受けたというような、これは一つの例でございますが、そういうふうな場合に、その他の者が受けるよりは著しく利益を受けるような施設としての公用が出てくる。そういうような場合に、受益の存する限度、において血担金を取るということもできる、こういうことでございます。従って、これはおそらくそういうふうな場合がありましても、なかなか例はないかといますけれども、一応、まあそういう場合も予想いたしまして規定をいたしたのでございます。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは一つの例ですが、これは耕地なんかの関係でも言えると思うのですが、耕地なんかが始終押されているような場所に防止工事が行われる。そして、その残余の下のものが全部安心してやっていけるものとか、あるいは漏水がとまって耕地が上田化すというようなことが考えられる場合が非常に多いのですが、こういうような場合には、やはり特別な受益者として考えられていいのですか。
  29. 正井保之

    説明員正井保之君) ただいまの御質問でございますが、実はこの法案を考えました際に、耕地等の取扱いにつままして、河川あるいは治山関係等で非常に公共性の強いものと、耕地のようなものとでは、若干性格の違いがあるのではないかというふうな点が、いろいろ問題になったわけでございます。しかしながら、耕地地すべりを起すような場合にも、その地すべり影響というのは、その耕地のみにとどまらないで、他へ影響もずいぶんとあるわけでございまして、たとえば道路影響がある場合もありますし、あるいは川へ上砂を流すというようなこともありまして、やはり公共的であるということについては、若干の程度の差というものは、あるいはあるかもしれませんけれども、まず十分にあるんじゃないかというようなことで、これを一般土地改良事業のごとき補助事業としませんで、国の事務として取上げる。そして考え方も、府県原則として所要の費用負担するが、国もまた応分の負担をするというような建前をとったわけでありまして、一般土地改良等の場合とは違いますので、その辺は、先ほど河川局の方から御説明がありましたように、非常に歩かと比べて著しい利益があるというふうな場合はまた考慮する必要があるというふうな場合はまた考慮する必要があるかと思いますが、一般的には、これに該当する場合は少ないのじゃないかというふうに考えております。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうもそこのところが不明確なんだな。取れる場合には取っていくし、取り得ない場合にはやめるというふうなことで、はっきりしておりませんね。これは個人のですから。もちろん集団耕地として見ましても、個人個人から見れば、その区画だけは受益になるのだ。たがしかし、それ自身が、耕地がすべてではなく、なるほどあなたのおっしゃる通り道路もあるし、その他いろいろの障害を来たすのですから、これはそういう解釈でいきますれば、大体においてもうほとんど特殊の、今も言われる通りどこかの山の端にでも料理屋か何かがあって、それが工事によって非常に安定性を増したというような、温泉宿でなければ、おそらくそういうものは適用せられないだろうと、こう私は考えているのですが、だからそういうふうに解釈しておいていいのか。今のように、解釈によっちゃかかるのだという話をしていっていいのかということなんです。それからもっと広い意味合いにおいて、大体において個人負担でも町村負担でもそうかけるという趣旨でないのだから、そういうことにしてあまり心配しないでいいと、こういう話をして  いいのかどうか。言い詰めればそういうことなんです。
  31. 正井保之

    説明員正井保之君) 先ほど申し上げましたように、耕地保全自体、公共的な利益に合致するものでありますので、ほとんどそういった特殊な場合以外、まずないと、ほとんどあり得ないというふうに考えております。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうもありがとうございました。これでいいです。
  33. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 地すべり及びぼた山の崩壊のために国土保全及び民生の安定に及ぼす影響は非常に大であるのであります。それでありますから、昭和二十八年災の易くにおいては、地すべり特別法を作って対策を練ったのでありますが、今回、政府がいろいろと協議の結果、こういうふうな法律を作られるということは、まことに喜びにたえないのであります。しかし、このために要するところの資金及び要するところの面積というようなものと、三十三年度の予算とを比較して見るというと、こういうふうな重大なものであるのにもかかわらず、予算が非常に少ないために、すみやかに国土保全及び民生の安定ができない。こういうふうなことになるだろうと思うのであります。今、予算を見てみまするというと、総額が三百三十三億円を要するのに、昭和三十三年度の予算は約五億円、こういうふうなことでは、約七十年の歳月を要するのであります。しかし、七十年の間には、再びあるいは三たびあるいは四たびあるいは数十回にわたるところの被害が繰り返されるのでありますから、こんなことでは、この法律を作った目的を達成することはできないというようなことになりはせないかと思うのでありますが、政府は、三百三十三億の金を要するのに、昭和三十三年度で五億円くらいで、果してこの法律目的を達成することがでぎるとお考えであるかどうか、お尋ねいたしたいと思うのであります。
  34. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 地すべり防止工専をすみやかに実施いたしまして、民生の安定、国土保全ということを達成するということは、特に密な人口を有しておりまする日本といたしましては、先生の御指摘通りでございます。やはりこの地すべり防止対策というものを立てまして、全体の事業計画に基きました事業を推進していくためには、ただいま御指摘通り、現在の三十三年度の予算額では、数十年の年月を要することになるわけでございまして、この点は、大臣もいろいろな機会にお話を中されておるのでございますが、建設省といたしましても、できるだけ御趣旨に沿うように、この地すべりはもとより、治山治水の全体の問題として、計画の達成に努力をいたさなければならぬ、こういうことは御承知通りでございます。ただ、国の財政の関係で、この程度のところにきまったのでございますが、昨年度よりは、約倍近くの事業費に増額いたしておりますことと、さらに、地すべり地帯における住民の生活の安定のために、危険、危害を防止するということの一環といたしまして、関連事業計画を推進いたしまして、特に人命の防護という点から、危険地帯における住家移転に対しまして、この法律案によりまして、三十三年度は千戸の住宅につきまして、二億四千余万円の融資を準備いたしまして、別に実施することになっております。なお、この地すべり防止という事柄は、地質の構造とか、あるいは土地々々によりまして、地すべり地帯地質関係等から見まして、非常に困難な問題もたくさん持っておりますので、この法律にありますように、これらの地すべり地帯部分につきましては、国がみずから調査をいたしまして、そしてこの指定をいたすと同時に、地すべり防止工事に必要な調査費につきましても、三十三年度は、建設省におきましては五百万円、指定の調査に必要な経費といたしましては二百十数万円をもちまして、事業の実施の効果的な計画の達成にまず進もう、こういうことでございます。特に緊要な地すべり工事につきましては、緊急なものは、五ヵ年をもって、できるだけすみやかに達成したい、こういうふうな計画でおりますことを申し上げて、御了解をお願いしたいと思います。
  35. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 さっきも申し上げた二十八年災の地すべりで最も有名であった倉有川の防止の状況を本年の二月に見て参ったのでありますが、その施策がりっぱにいったために、現在においては、安心して生活ができる、またつぶれたところの土地も回復ができている、こういうふうなことであるのでありますから、住民の安定のためにも、また防止のためにも、すみやかにこれをやるということが、次に起るところの災害による被害よりも、より少いところの金で効果を発揮することができるのでありますから、今お話のように、緊急なところは、五ヵ年で達成するという計画であるといたしましたならば、できるだけ短期間にこの目的を達成して、そうして第一条の目的にも書いてあるように、国土保全民生の安定に一そうの皆さんの御尽力をお願いしたいと思うのであります。今のような希望を付しておきます。
  36. 千田正

    ○千田正君 建設省並びに農林省の砂防関係と、この地すべりとの関係は、どういうふうに調整上していきますか。工事の実施に当りまして、その見解をただしておきたいと思います。
  37. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) ただいまお話のございました地すべり防止地帯と、地すべり防止区域として推定されます地域の中には、もとより今まで砂防指定地域として指定されております地域の一部を持っております。現在のところ、砂防指定地域に該当する所が、このうちのまあ一割程度になるわけでございますが、しかし、この地すべり防止法というものは、農林建設両省の、地すべり防止のためにする国土保全対策として、統一立法をいたして進んでいくわけでございますので、従って、これは地すべり法によりまして、地すべり防止を一元的に計画していく、こういうことになるわけでございます。従って、この法律によって、地すべり防止を一元的に行う、こういうことで基本計画を立て、また工事を実施し、所要の関連事業計画を実施する、こういうことでございます。
  38. 千田正

    ○千田正君 私の聞いているのは、予算の実施に当りまして、ただいまのあなたの御答弁によるというと、この法案の対象になるものは約一割程度である、そうして、法案としましては、建設農林ともに一つのラインで進もう、こういうわけで、予算の執行に当っては、砂防予算とは切り離して、別に予算を組むんですか。
  39. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 昭和三十三年度の予算は、砂防事業費補助の中に、新たに目を設定いたしまして、地すべり事業費補助という目に、先ほど御説明をいたました建設省所管の一億八千万円を計上いたしておるわけでございます。従って、通常砂防と地すべり事業補助とを分けまして予算を計上いたしておるわけであります。
  40. 千田正

    ○千田正君 三十三年度の予算ではそうであるでしょうが、今度本法案が通過すれば、その項目によってあなたの方では予算をやられるでしょうが、三十四年度以降はどうなんです。やはり三十三年度と同じような日で処置していきますか。それとも、この法案としての裏づけとして、独自の予算を獲得しょうというお考えですか。その点どうなんですか。
  41. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 昭和三十三年度以降の問題につきましては、まだ予算の科白のことまで決定協議いたしておりませんが、いずれにいたしましても、地すべり防止に要する予算事業費の額の増額にまず努めなければならぬ、こういうふうに考えております。
  42. 千田正

    ○千田正君 この法案の成立に当りまして、私自身の要望するところは、せっかく単独立法を作るのですから、この法案の裏づけとして、目という項目じゃなく、地すべりに対する正当の予算を要求して、この法案の完成を期されたらいいんじゃないかと、私はそう思うのです。この点について私は要望しておきます。
  43. 大河原一次

    大河原一次君 ぼた山の管理について一つお伺いしたい。この資料にもありますように、ぼた山というのは炭鉱地帯のいわゆる石炭から出る廃石あるいは亜炭から出る廃石等が集積されたいわば山なんですが、この法案によりますと、地すべり法の対象になるのは、現在すでに炭鉱が休止されて、経営がされていない、そういう所たけであって、現在経営が続けられておる所は対象にはならぬということですか、これは。
  44. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) ぼた山の管理区の問題と本法との関係でございますが、鉱業権者なりあるいはまた鉱業権者でなくなりましても、鉱山保安法によりまして、五ヵ年の間に保安の命令を受けた者は鉱業権者とみなされるという規定がございまして、これらは、いずれも鉱山保安法上の保安義務を有しておる人たちでございます、こういう人たちは、鉱山保安法及び石炭鉱業関係の規則によりまして、当該発生いたしましたところのぼた山を、それらの規定によりまして、十二分に保全すべき義務と、また通産省がそれを指導すべき責任を持っておるわけでございます。今回の法律案におきまして対象といたしましたものは、きわめて古い時代のぼた山でございまして、この鉱山保安法の規定の整備がまた十分行われていなかった、さらに最近に至りまして通産省方面のぼた山関係の鉱業権者に対する保安の処置が非常に精密化いたした今日におきましては、そういうことはなくなるわけでございますけれども、過去において発生いたしましたいわゆる管理義務者のないものにつきましては、国土保全上、放置しておくことができないような崩壊のおそれあるものもございますので、これらのものにつきましては、今回の地すべり等防止法案におきまして、その崩壊の防止に必要な、つまりぼた山の指定、管理、防止工事を、農林省建設省両省におきまして、都道府県知事を管理者といたしまして、実施する、こういうことにいたしたのでございます。
  45. 大河原一次

    大河原一次君 こういう場合はどうでありますか。現在やはり鉱業権者が事業を経常しておるのですが、ところが、ぼた山が二つも三つもある。しかし、ぼた山といっても、現在そのぼた山を依然として使っておる、そういうぼた山もあるわけです。それから、もう相当古くなって、およそ十年も二十年もたっておるのでありましてそうしてこのぼた山は全然使用していない、こういう場合は、やはり経営者は、現実に事業を経営しておるのですから、やはりこういう現在使用されていない十年も二十年も古いようなぼた山に対して、やはり経宮者が事業を経営しているということで、この法案の対象にはならぬ、依然として鉱山保安法なりあるいは鉱業法によって、やはりそういうものは対象としていかなければならぬ、こういうものでありますか。
  46. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) このぼた山というのは、ただいま申しましたように、鉱山保安法上の管理義務責任者のおらない山のみつに限っております。しかも、廃石を一ぺん積んだ、また休んでその次続けるというやつでない山でございます。従って、今御指摘のような鉱業権者もしくは鉱業権者とみなされる者がおるものにつきましては、――つまりそれは本法の施行の時でありまして、その時に管理義務者のおらないものだけを対象にする。今後そういうものがおらなくなることのないように、鉱山保安法の監督指導をやつてもらって、ぼた山の崩壊防止を十分にしてもらう、この両立が、全体としてのぼた山対策、こういうことになるわけでございまして、ただいまこの法案によって現に予想されますぼた山は、二百二十余りと推定されておりますが、なお、これらにつきましては十分に調査をいたしますと、おそらくはっきりした数字が出ると思いますが、このぼた山の数よりはふえることがないように、本法の対象といたしまして実施をいたしていきたい、こういうことに政府都内では話をきめまして進行しようじゃないか、こういうことでございます。
  47. 大河原一次

    大河原一次君 今日までこういう現象がたまたまあったのですが、これは何年前か私記憶ありませんが、長崎でありますが、長崎においては、ぼた山の崩壊によって相当農地がつぶされ、また、人畜の被害を出したということであります。それから最近においても、ほんのわずかですがこういう事態が――崩壊がされている。御承知のように、ぼた山というのは普通の山と違って、先ほど申し上げましたような亜炭の廃石、石炭の廃石等が集積されておるから、普通の場合とは違っております。従って、表面は非常にかたいように見えても、実際は、草も木も、五年や十年植えただけでは生えないという状態でありますから、従って、相当風雨にさらされますと、そのことによって、一度に崩壊して、下にある田畑がこれによって埋没されてしまうというような事態があったのです。従って、これはすでに廃鉱になって経営が経続されていない場合もそうであります。現在、経営されておっても、ぼた山に対する管理が十分でないわけです。従いまして、そういう管理が十分でない所に対しては、これは先ほど言われた鉱山保安法の規定によって、そういう管理を経営者みずから行わなければならない、こういうことになっておると思うのですが、実際は、これは次長さんが調べてみればわかるのですが、ほとんど相当大きな経営をやっている所ですら行われていないのです。私は、四、五年になりますが、ドイツとベルギーに行ってきたのですが、ベルギーでもドイツでも、現在もそうであるが、経営をやっていてもそうでありますが、廃鉱になった所については、相当樹木を植えて、緑化連動の一環としてやって、これによって防止をやっているという事態がありますが、日本では、そういうことはまだ見ていないのです。そういう面に対しては、あくまでも鉱山保安法の規定によって取締りをさしていくというそういう考え方になっておりますか、どうでありますか。
  48. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) ただいま先生の御指摘の、本法の対象とならないぼた山につきましては、鉱山保安法による監督、指導を厳重にいたしましてその鉱業権者等が崩壊防止対策について遺憾のないように、通産当局から処置するということになっております。ただ、御指摘のように大企業もあり、あるいは中小企業の炭鉱もありますので、中小企業炭鉱の経営の問題につきましても、ぼた山崩壊防止対策そのものの実施等、十分に参りますようにしたい。通産省の方におきましても、先般、衆議院の委員会におきまして、この点が一つの論点の中心でございまして、この問題につきまして、ただいま御指摘のような方策につきまして、できるだけの措置をしたいということで、われわれもそのことを期待して、本法の対象になる部分だけをとにかく国土保全をやろう、こういうことにいたしたのでございます。なお、ぼた山につきましては、すでに一部林野庁の方におかれましても、防止工事を直轄でやっておられる実績もございます。従って、築造等の基準とかあるいは工事の結果についての実績もございますし、建設省の方におきましても、最近砂防指定地域の中でやった経験もございます。
  49. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 時間があまりないそうですから、ごく簡明に御質問申し上げます。主務大臣農林大臣建設大臣と両方にわたっておるようですが、どういうふうに主務大臣がなるのか、あるいはまだきまっていないのかもしれませんが、こういうものは建設大臣、こういうものになると農林大臣という分け方があるのか、それをちょっと。もう一つ簡単に。直轄工事主務大臣かやる場合があると、こうなっておるのですが、その程度ですね。機械力とか技術力とか、そういうものが必要だということが書いてあるのですが、その程度は何かありますか。
  50. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 第一点の主務大臣につきましては、地すべり等防止法案の第五十一条にその規定を設けてございまして、これは地すべり防止区域の指定と管理についての主務大臣規定をいたしたのでございますが、その考え方の根本は、砂防法の第二条によって指定された土地の存する地すべり地域、これはもちろん建設大臣でございます。特にこの砂防法の指定というものは、治水上砂防のためにするという一つの要件が客観的にきまっておりますので、これに準ずべき土地建設大臣の所管ということに五十一条の第一号でなっております。それからもう一つは、林野庁関係は、森林法の第二十五条の第一項の規定により指定された保安林、同様に保安材というものの指定の客観的な基準がございますので、この保安林として今は指定されていなくても、この保安林として指定すべき客観的基準に該当するものは、準ずべきものといたしまして保安林と同様に農林大臣の所管にする、それから保安施設も同様でございます。これらの地すべりを除きました部分につきましては、まず土地改良法の第二条第二項に規定する土地改良事業が施行されている地域、それからまた、計画の決定されている地域、準ずべきこれらの地域は、農林大臣、これら以外の地域は建設大臣と、こういうふうに規定されております。ただ、経過的に、この会までやっておる工事で、この五十一条と平仄の合わないような地帯ができてきた場合におきましては、経過的に別の規定によりまして、それらの当該工事が完了するまではその大臣でやる、こういうことにいたしまして、面において、今後地すべり防止の統をはかるために所管を明確にいたしまして、この山はどつちの所管だ、この辺の所はどの所管だということが、第一線で御疑問のないように、法律の条文においてはっきり整理いたしまして、さらに府県別にも、実際の実務上は、こまかく面積を混淆を来たさないように整理いたしております。  それから第二点の直轄工事部分でございますが、これはこの法案の第十条にございまして、主務大臣都道府県知事にかわって防止工事をするということができる場合は、もちろん都道府県知事意見を聞かなければなりませんが、その要件は、地すべり防止工事の規模が著しく大である、それから高度の技術を必要とする、それから高度の機械力を使用する必要がある、それからさらに都府県区域の境界にまたがっておる、こういう場合におきましては、知事の意見を聞いて、主務大臣みずから知事にかわって直轄工事をすることができることに、十条で規定しております。
  51. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 今私のお問いしておるのは、今御答弁になったことは書いてあるからわかっておるのですが、たとえば第一点の問題のこれは、私現地の事情をよく知らぬから、愚問を発しておるかもしれませんが、両省の所管するべきものはあるのですが、これが錯綜して一地域になっておる場合ですれ、その両方のたとえば保安林が一部あるとか、あるいは一部土地改良区が入っておるとかいうような場合に、どういうふうになるのかということをお聞きしておるのです。それから第二の問題は、私のお聞きしておるのとちょっと違うのですが、それはよろしゅうございます。
  52. 正井保之

    説明員正井保之君) ただいま主務大臣の点につきまして御質問のようでございましたが、防止法によりまして統一的に地すべり現象をできるだけ防止し、また関連しまして必要な事業をやるということでございまして、所管におきましても、その間錯綜することのないように、できるだけまとめて処置するということでございます。それで、それを具体的にきめて参りますのに、めどをどこに置くかということでございますが、従来あるいは砂防法によりまして、あるいは森林法によりまして、地すべり防止、あるいはそれに準ずるような仕事もやって参っております。そこで、その分担のめどといかしまして、先ほど説明がございましかように、砂防法の二条の規定によって指定されておる土地、これは建設省で所管する。従いまして、そういった地区の中に土地改良区の施設がございましても、あるいは土地改良事業が施行されておりましても、一括して建設省の方で担当していただく、こういうわけであります。で、それ以外の所につきまして農林省、たとえば農地局で場当するものはどういう所であるかと、うことが第三号に規定されておるわけであります。で、五十一条の第二項にございますように、指定をする際には、各主務大臣が相互に協議をするいう建前になっておりますし、また、砂防法に基きまして砂防地域として指定をするというふうな場合にも、事前に十分連絡をとるというふうな、運用上の覚書等も取りかわしておりまて、その間にむだのないようにいたしたいというふうに考えております。
  53. 千田正

    ○千田正君 今の雨森委員質問されたことは、非常に私は重大な問題だろうと思うのですよ。なぜかというと、過去におきましてもこの建設事業において、農林省及び建設省、両省にまたがる問題が起きて、末端においてはそのセクショナリズムでいろいろな紛糾を来たすことがある。ですから、この案が成立するに際しては、その点を明確にしておかないというと、将来の実施の上においてはなはだ遺憾な点がきてくるおそれがあるので、その点は明確にしておく必要があると思いますから、あらためて私は次の機会でもありましたら、答弁をいただきたいと思うのです。
  54. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) もし具体的な説明を必要とすれば、事務局の方からお答えいたします。この案を、作りますときに、今、千田委員からお話のありましたように、えてして役所はなわ張りを非常に主張いたしまして、実際問題として、過去においては、地方の困っておる住民は、一体農地関係であるのかあるいは建設関係であるのか、そういうことで、場合によっては両方が競争し、場合によっては両方が逃げるというようなことで、地方が困りておる実例が相当多かったのであります。そこで、今度この地すべり等の対策法案をきめますについては、関係するところは主として建設農林両省でありますが、そういうことのないようにということを大きな眼目にいたしまして、立案をいたしております。でありますから、将来そういうことは絶対と言っては、あったときにしかられますが、ないものと御了承願います。
  55. 千田正

    ○千田正君 説明される方は、せっかく建設農林両省において、この案の実施に対しては万全を期すというお答えでありますから、われわれも信頼しますが、ただいま政務次官のお答えのように、実施に当って、その末端において紛糾を起さないように、あるいは予算の獲得等においてお互いになわ張り的な根性を捨てて、これが達成を期していただきたい。特に要望しておきます。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のに関連して。これは、そういう話になるとちつよっとあれしますが、大体工事をする地区を中心にしてやられるのか、それからそれが出てきて災害を及ぼしていく地区を中心にして分担がきまるのか、それで大分そういう見解が違ってくる。たとえば山がこう動いてくる、動いてくるが、この山ぐらいは林野として大した関係はない、これが動いてくると川がふさがってしまう、こういう問題が出てくる。そこで行う場所は、林野の地区で実際の災害としてしなければならぬ、仕事は河川の場合、こういうような場合がありましたら、どちらになるのですか。
  57. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 御存じのように地すべりによる災害の発生といいますのは、普通の山くずれ、がけくずれというようなものとは異なりまして、大体一つの地域が地すべりの危険があるのだということは、あらかじめ十分わかる状況にあるのであります。それで、お手元に配りました資料の三ページをごらん願いたいのでありますが、建設農林両省におきまして、現在地すべり地域として全国を調査いたしてわかっておりますものが五千五百八十四地域あるわけであります。このそれぞれの地域につきまして、この個所を五万分の一の図面にそれぞれ精細におろしまして、それが先ほど建設と農地から御説明いたしましたように、建設農林のどちらがその地域を担当したらいいのかということを、各個所ごとに検討し合いまして、この五千五百四十八のうちで、農地が六百三十四カ所、林野が千四百四十六カ所、建設省が三千三百四ヵ所、これをどの地域のどこをそれぞれが担当するかということで、区域をはっきりきめて受け持つということにした次第でありまして、いろいろ御指摘のように、それぞれの具体的な個所におきまして、どこが担当すべきかというふうな点についての紛糾というものは、地すべりに関しては、従来のほかの事業と違いまして、そう起るものではないというふうに、われわれ関係者はかたく考えておる次第であります。(「了承々々」と呼ぶ者あり)
  58. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本件については、この程度にいたします。速記をとめて。    〔速記中止〕
  59. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を起して。   ―――――――――――――
  60. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、農業改良助長法の一部を改正する法律案を議題にいたします。本件につきましては、昨日質疑を終了いたしておりますので、直ちに討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  61. 柴田栄

    ○柴田栄君 私は、ただいま議題となっております農業改良助長法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。かしながら、農業改良普及所に対しまする経費、これに対する国の補助に関しまする予算、並びに補助の根拠等につきましても、質疑の過程におきまして明らかにせられましたように、いろいろな問題が残されておるのでありまして、今回の法律改正の機会に、これらの問題に対しまして政府の善処を求め、さらに普及活動の一そうの発展を期して、この際、次のような付帯決議を、行うことを提案いたします。決議の一案文を朗読いたします。附帯決議(案)政府は、今回の法律改正に当り次の措置に遺憾なきを期すべきである。一、農業改良普及所に対する国の補助は、農業改良助長法第十四条第一項第一号及び第二号並びに第十六条の三によって交付されることを確認し、補助に必要にして充分な予算を確保し、その補助率は実質上三分の二を堅持し、普及所の機能の充実向上に努めること。二、改典普及員の研修に努め、その素質投能の向上を図るとともに他の団体の技術員との連係を密にし、その能率の増進をはかること。以上であります。御質感をお願いいたします。
  62. 千田正

    ○千田正君 ただいま議題となりました農業改良助長法の一部を改正する法律案に関しまして、柴田委員からの付帯決議をつけてこの法案に対しては賛成の意を表しますが、特に、私はこの際、農林当局に要望しておきますのは、当委員会において、しばしば重要なる法案に対して決議あるいは付帯決議等を付して、これを政府に送付いたしますけれども、どうも、から念仏に終るきらいが過去においては多々ありたのであります。われわれは、これを単なる議論として出しておるのではありませんで、特にこういう問題につきましては、誠心誠意政府としてはこたえこていただきたい。から念仏に終らないように、雷の落ちたあとに、天下晴れてなどというどらむすこのような考え方は……。(笑声)確かにわれわれの誠意をよく受け取ってこれに対処する方針をきめていただきたい。この点を要望いたしまして、賛成いたします。
  63. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御意見もないようですが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。農業改良助長法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の番半平を化願います。    〔賛成者挙、手〕
  65. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。次に、討論中に述べられました柴田君提出の付帯決議案を議題といたします。柴田君提出の付帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  66. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致と認めます。よって柴田君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。なお、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名    柴田  栄   藤野 繁雄    清澤 俊英   鈴木  一    上林 忠次   秋山俊一郎    雨森 常夫   佐藤清一郎    関根 久藏   田中 啓一    田中 茂穂   仲原 善一    堀  松治   堀本 宜実    東   隆   大河原一次    河合 義一   千田  正    北條 雋八
  68. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの決議に対し、政府を代表して、農林政務次官から発言を求めます。
  69. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいま農業改良助長法の一部を改正する法律案を御可決願いまして、ありがとうございました。なお、ただいま付帯決議を御決議になりましたが、付帯決議については、決してこれをその場限りに考えておるわけではございません。誠心誠意をもって御趣旨に沿うように実行いたしたいと思います。そのうち第一項の問題については、審議中にいろいろ御議論がありました通りでありまして、補助率については三分の二ということを堅持いたすつもりであります。ただ、現在の予算に計上いたしておりまするものが、三分の二の計算ではありますけれども、実質上においてなお十分でないということを私どもも自覚いたしておりますので、この制度の重要性にかんがみましてさらに一段の努力をいたしたいと思います。第二項については、これは当然のことでありますので、十分その趣旨円に沿うように善処いたしたいと思います。   ―――――――――――――
  70. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 農林漁業団体職員共済組合法案を議題にいたします。引き続いて質疑を行います。質疑の向きは、御質疑を願います。なお、御要求によってただいま厚生大臣の出席を得ております。
  71. 大河原一次

    大河原一次君 私は、厚生大臣に若干の質問を申し上げたいと思います。すでに前回、あるいは前々回において相当質疑がかわされておりますので、私はこの際、二、三に集約しまして御質問申し上げたいと思います。その前に、私は今出されております農林漁業団体職員共済組合法案については、内容的には多少の不備がありまするけれども、原則的に私は賛成をしているということを前もって申し上げておきます。賛成であります。ただ、今申し上げましたが、内容的に不備であるというその点については、いろいろあるのですが、特に職場転換等による場合において、これが通算されないというような、そういう不備もあろうと思います。しかし、こういう不備は将来、厚生大臣みずからも念願されているところの、将来できる国民年金制度確立の場合に、こういう不備が定正されるものであると思う。従って、そういう前提に立って、むしろ穴をあけておいたのでなかろうかという、そういう感じを持っているわけであります。そこで私は、一つこの際、厚生大臣にお伺い申し上げたいのは、現在すでに厚生年金のほかに、たとえば、吏員のっ年金制度、職員組合法ですか、あるいはまた相当ありまして、八つでありますか、私の記憶するところでは、八つ程度の年金制度が確立されているのであります。そこへきて、さらに今日農林漁業団体職員共済組合法ができようとしているわけなんであります。こうなりますると、われわれも長い間念願している厚生年金、国民年金の制度確立というものが、いつの日に到来するのであるかということについて、多少の不安を持つものであります。従いまして、できることであるならば、こういう農林漁業団体の年金制度は、もう少し前にほんとうはできているべきであったと、かように考えるのであります。従いまして、国民年金制度に統合される場合には、ヒつよりも六つがいい、六つよりも五つがいいので、なるべく少い方が統合、あるいは整理する場合に非党にいいと思うのでありますが、こういう年金制度があとからあとから出てくるということは、むしろ今後の国民年金制度確立のために障害になるのではないか、こういうように考えているのでありますが、こういう点について、まず第一点に厚生大臣からの御答弁を願いたいと思います。
  72. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) 今お話の点は、私どもも非常に心配している点であります。実は、国民年金制度の創設の要望が、最近、特に非常にやかましい問題になっております。むろん軍人恩給その他の問題との関連もありますが、終戦後の新しい日本の社会の情勢、ことに従来の家族制度というものが相当変貌を来たして参りましたときに、本質的にこれらの国民年金制度がしかれること自体が、当然の要求であろうということを考えているのでありますが、お説の通り、現在すでに相当数の共済組合方式、その他による年金制度というものがありますし、今回、農林漁業団体職員がみずからの負担において、そうして年金制度をしきたいという考え方に強く立ちましたときに、実は今の厚生年金制度そのもの自体で、一体諸般の要求が満足さるべきものかどうかという点についても、私どもとしては考えなければならぬところがありますので、この際に、そういう団体の要求に対しては、現実的に国民年金制度が近くしかれるということによってこれを押えることは、私ども政治のあり方として適当でないというふうに考えまして、私も、基本的には御賛成申し上げた次第であります。しかしながら、今後この種の共済組合その他の方式による年金制度ができて参りますことは、すでに御承知通りに、大体本年の五月になりますれば、社会保障制度議会の御答申が得られるような状況になって参りましたので、政府としても、一日も早く国民年金制度をしきたいということと相待ちまして、そういう御答申も近いという事柄でございますので、まずもって私どもといたしましては、農林漁業団体職員の共済組合制度による年金というものを最後の法案にいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、と同時に、国民年金制度自身は、まだ御答申は受けておりませんが、私ども常に表裏一体になって事務を進めなければならぬ立場にありますものは、ほぼその方向についても察知することができますので、なおそれらとの調整ということをも考えて、同時にこの問題にも対処いたしましたような次第でございます。
  73. 大河原一次

    大河原一次君 ただいまの大臣の御答弁の中には、今回の農林団体等の強い要望ももだしがたく、現状としては認めざるを得ないというようなことで認められておるようでありまするが、こういうものができた後に――決して私は、これ自体の問題といたしましては、私は異議はないわけなのであります。しかし先ほども申し上げましたように、今後の厚生年金確立の上に、相当障害になってくるだろうということは予想想するにかたくないわけであります。従って、さらに今、大臣の御答弁のようであるとするならば、この法案ができることによって、さらに今日予想されておるのは、中政連でありますか、中小企業団体の方々が、相当数をもって、やはりこれと同じような要するに共済組合を作らなければならないという大きな盛り上りが、事実が現われておるわけであります。こうした場合に、今御答弁のような、要請もだしがたくという、そういう現状であるならが、再びまたこの中政連の要請にも沿わなくちゃならないだろう、こういうふうにわれわれは考えておるわけでありますが、いかがでありますか。
  74. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) 今具体的におあげになりました、中政連の問題は、率直に言えば、この法案とはよほど内容を異にした趣きもございます。従って、果してあれが成り立ち得るものかどうかということ自体に疑問がありますと同時に、何も強い御要望があるからというだけの点で物事を考えてはおりません。しかし、この農林漁業団体職員共済組合法による年金制度は、率直に申し上げますと、従来厚生年金の適用を受けていた方々でございます。それがこうして厚生年金から離れた年金制度をお作りになるというと、現在のところは、率直に言って、厚生年金自身が一部、まあ少し表現を大きくいたしますれば、一部崩壊いたすというふうな現状にはなり得るわけであります。しかし、そういう前例もないわけではありませんが、この種の団体自身にはこの種の団体としての単純な、強い要望というよりも、相当理論的にもこの種のものが従来のあります共済組合制度と共済組合方式による年金制度と比べまして、特段にこの問題だけを、もうでき上るんたからという理論的な根拠だけでやりていくことは、私は、よくないというふうに考えておるのであります。しかし、今申し上げましたように、五月にはもうすでに答申が出まして、と同時に、どういう国民年金制度をしかなければならぬかという基本的な構想だけはでき上るわけでございます。政府がこれに即応して事務的な案を作りますとすれば、もう現在の状況においては、私は、他に年金制度ができ上る、厚生年金制度の適用者のうちから離脱してでき上るというようなことも、現実的には予想できませんし、また、そう簡単に、おれたちだけでもって何でも作るんだといってでき上るものではありませんから、私どもとしては、まず心配はないじゃないかと思いますが、念のために、この年金法案を閣議決定いたします際に、私どもとしては、今後国民年金制度の創設を急ぐとともに、この厚生年金制度が崩壊していくような方向においては行政的な処置をしないという線で考え、方針をまとめておるわけでございます。従って、御指摘の中政連は、理論的にあの問題が成り立つか成り立たぬかというふうな問題がありますと同時に、政府の方針としては、新しいものを認めて参らないように、時期的に考えましても、そういうものができ上らないということで、閣議において決定いたしますことは、一向私は差しつかえないことであり、また、政府としてはその方針で参ることたけは、はっきり申し上げられることができると思います。
  75. 大河原一次

    大河原一次君 今の厚生大臣の御答弁を、私は強く信じておる一人であります。そういう方針でいてもらいたいと思います。続けて御質問申し上げますか、今厚生年金が実質的にまあくずれつつあるような姿であるということでありますが、なるほど、今日までいろいろな団体があとからあとからと出てきて、厚生年金の方から離れて、みずからの共済組合を作っていくというこういう傾向になろうと思うのですか、こういう傾向が今日現われておるという現実は、一体どこにその根拠があるかということについて、厚生大臣はお考えになっておりますか。
  76. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) 先ほども御答弁の際に触れましたように、本質的には、敗戦後の日本の社会は非常に変貌してきております、なかんずく家族制度が崩壊いたして参っておる。しかも、新しい憲法で国民の生活を保障しようとする、国の責任において保障しょうという観念があります以上、私どもは、国民年金制度が一日も早くしかるべきものであったろうということは考えます。しかし、敗戦後の日本のあの経済社会の情勢で、直ちに年金制度をしくということは、おそらく何人もこれをほんとうに企て得るところではなかったろうと思うのでありますが、最近の社会情勢は、もうそういう問題も私どもとしてはそういう事情が過ぎて参り、かたかたみずからの団体の利益で自分たちの生活を守ろうという考え方が非常にたくさんできておるようで、場合によれば、給与のいい方だけはすでにでき上りつつある。そうすると、社会保障の観点に立ちます国民年金をしきます上においては、支障ができて参りますので、私どもとしては、そういうふうな本質的な社会情勢及び最近の社会情勢から見まして、一日も早くこの制度をしかなければならないというふうに決心をいたしておるような次第でございます。
  77. 大河原一次

    大河原一次君 現在の厚生年金の積立費は幾らになっておりますか。積立金が大体……。一つ簡単でけっこうですから。
  78. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 三十二年末現在でおよそ二千百億税度になっております。
  79. 大河原一次

    大河原一次君 こういうような傾向が――今言う通り厚生年金からの脱退というこういう形になってきておるわけですが――これが、先はともしはしば言ったように、国民年金制度というものが確立する前の姿として現われておるのですが、しかし、現状として厚生年金の現状を考える場合に、こういう傾向がいい傾向であるかどうかということについての厚生大臣の御答弁をお願いします。
  80. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) ちょっと御質問の実体を把握しておりませんかもしれませんが、積立金の問題でありますが、厚生年金による年金受給省というものは、御承知通りにまだ始まったばかりでございます。しかも、炭鉱夫について適用が、年限が短いために起って参りましたためでありまして、従って、株立金が非常に多いというのは、現状としてはやむを得ないんじゃないか。今後、年金受給者が相当ふえて参りますということは言い得るのでありますが、現在のところでは、今申し上げたような状態であります。
  81. 大河原一次

    大河原一次君 そこで、ちょっと飛躍した質問になるかもしれませんが、将来国民年金制度が確立された場合、既設の今七つ、八つあります、こういう年金制度というものが、これがつまり国民年金制度という中に吸収されていくのか、あるいはまたプラス・アルファとしてこの上に重なっていくのかどうか。
  82. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) 国民年金制度をしきます以上は、私は何と中しますか、ベースになる一定のものは共通でなければならぬ、それは総理大臣が申しております統合調整するという意味の分に当たるわけでございます。ただし、おのおのの共済組合によって受けておられるものについて、そのベースは国民年金に統合調整をいたしますが、付加的な方式として、現状では、採用せざるを得ない、その、何と申しますか、四民が全部一本の国民年金制度に直ちに参りますことは、現状から判断して、適当でなかろう、こういうふうに考えております。
  83. 大河原一次

    大河原一次君 先ほどの質問の中に言葉が足りない点があったと思うのですが、そういう場合において、結局、現在あります各種の年金制度、これに掛金をされても、各組合の方々の上に、いわば既得の権利というものが寸られていくかということかやはり心配になるのじゃなかろうかと思うのですが、その点を一つ
  84. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) むろんそれらの問題を帳消しにすることはできるはずがないと思っております。ですから、今あなたのおっしゃったような付加方式を採用されるるよりほかないというふうに私は考えておりますが、おそらく社会保障制度議会も、その方式をとるのでなかろうかと思います。しかし、あまりそれらについて具体的に申し上げるのは、かえって社会保障制度議会の現在の審議に私どもがどう考えておる、ああ考えておるということを申し上げるのはどうかと思いますが、今の点としては、私どもとしては付加方式によってやるので、現在の共済組合の人が受けておる利益が失われるということはない。ただ、国民年金制度ですから、基本的なものは一緒になるというふうな方式で考えてみたい、こう思っております。
  85. 大河原一次

    大河原一次君 そういうことで、国民年金制度確立への道は、相当困難も予想されるでしょう。また、その前には、いろいろな整備をしなければならない、調整をしなければならないという点も、相当派生してくるだろうということを、私は十分に予想することができるのであります。そこで、そのまず前提として、今そういう七つ、八つありまするが、現在そういう年金制度が確立されていたい、国家から、むしろ何といいますか、忘れられておったというような国民の中のいわゆる生活困窮者でありますボーダー・ラインにある方々、特にこの中においては老齢、不具廃疾あるいはまた母子家庭、こうした者は、今日新しく国民年金制府民というものが確立される前の一つの整備の段階として、あるいはまた、過渡的な措置として、現在出されている地方団体等のこういう組合が作られると同じような立場に立って、今申し上げましたようなボーダー・ラインにおる方々のための、何らかの措置が識じられておるか。むしろ、生活保護法の適用というような、そういう面では、いろいろ手は尽されておると思いますけれども、しかし、国民年金制度というものが確立される前の一つの整備としての考え方ですね、整備をしなければならないというそういう考え方があるならば、そういう点をお述べ願いたいと思います。
  86. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) 国民年金制度を創設いたしましても、先ほど、現在の厚生年金について御質問になりましたように、この醵出方式で参りますれば、実際の支払いは相当あとになるわけでございます。しかし、それでは、私ども社会保障制度の一環としてやろうと思うものでは、そういう観点に立ったものでは、今おっしゃいましたような老齢者でありますとか、母子家庭でありますとか、あるいは重度の身体障害者というものは、どうしても無醵出制度を適用いたしまして、そうして一日も早くこれらに救済の手を仲べ、新しい憲法の趣旨に従って参りますことは、私どもの任務だと思っております。従いまして、お説の無醵出制度も並用いたしたいという考え方を持っております。しかし、これも社会保障制度議会で多分そういう方向でお出になるだろうという前提の上に立って御答弁しております。
  87. 大河原一次

    大河原一次君 私は、完全な社会保障制度を確立するということになれば、いろいろ問題もあるし、むずかしいと思いますが、しかし、これが社会保障制度の体制であるというそういう前提に立つならば、やはりこの受ける利益といいますか、受益というものは、国民平等の立場でなければならない、そういう感じを私は持っておるわけであります。従いまして、でき上るものは、やはりそういう前提としたものができ上らなければならない、かように考えております。今、大臣が述べられたような醵出、無醵出という問題も、やはり新しい構想の中には出てくるだろうと思います。そこで、私は先ほども大臣が言われるように、社会保障制度議会の答申を待ってということもありますし、あるいはいろいろ困難があるというようなことを岸総理大臣も言っておりますが、一つ社会保障制度議会からの答申を待ってということはもちろんわかります、当然そうだろうと思いますが、厚生大臣は、非常にこれについては明るい方であります、非帝に温情を持った方であるというふうに考えておりますので、差しつかえなければ、一つ今、厚生大臣みずから持っておる国民年金制度の構想について、概略だけでもいいから、お述べ願いたいと思います。
  88. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) 大河原さんにきょうは珍しくやや持ち上げられたのですが、実は、私率直に申しますと、もう実は私の方が積極的に最近は政府の決意を明らかにして、それが社会保障制度議会に反映いたしまして、私ども内閣を作りましたときに考えておりますよりは、御答申が早まって参っておるという状況なのであります。まことに申しわけないのですが、私はこの際に、私はこういう意見であります、ああいう意見でありますと言うことは、社会保障制度議会の御答申が出ますのを目の前に控えながら、私の考え方をやや述べることは、お許し願えませんでしょうかということを、御了承を願いたい。そう言うと、お前は隠していると言われるんですが、そうでなくて、ただ、実際のところ、私として一番おそれておりますのは、従来答申が出まして、事務はこれに即応して進捗いたしませんというために、もうこれは大河原さん十分御承知のように、たいへんむずかしいんでして、御答申を受けても、本来事務的にずいぶん時間がかかる問題であります。外国の制度を考えましても、相当時間がかかるのであります。ただ、私どもとしては、それを一日も遷延を許さないというので、今は、その社会保障制度議会なり私どもの方にある五人委員会等の進捗の状況に照応いたしまして、私どもの事務がそれに即応して一日もおくれないようにということを考えておりますような次第で、今は、私自身に案の基本を述べろとおっしやることは、お許しを願いたい。ただ、今申し上げましたような無醵出の制度、及び既存の共済組合その他の年金制度との調整、及び――なるほど、あなたのおっしゃるように、社会保障制度の一環としてやることでありまするから、税金なり、あるいは年金に入る者の間におきまして、これは社会保障、言葉をかえますれば、国家責任なり、あるいは、報酬に比例する部分もどうしても保険制度をとって参ります以上は、ありますが、と同時に、その年金制度の中でも、やはり分配の公平というものも一応考えて参らなければならぬ。そういうふうな基本的のことは、おそらく社会保障制度議会の方も大体その方向で遊んでおると思いますので、ここであえて申し上げるのですが、その余のこまかいことにつきましては、もう少しお待ちを願いたい。決して責任逃れで申し上げるのでなくて、時期が、今のような段階でございますので、お許しを願いたいと思います。
  89. 大河原一次

    大河原一次君 本日の議題から離れた質問は申し上げたくないと思って実は考えておるわけですが、こまかいことについては、私も御質問は申し上げません。ただ、今構想の問題についてちょっと大臣みずから触れたその中に、無醵出の問題が出され、無醵出の対象になる者についても意見が述べられておるのでありますが、具体的にお聞きするのですが、醵出の場合、どういう方々が、たとえば年令とか何とかというのがあろうと思うのですが、醵出の考え方について、一つお伺いしたいと思います。特に、雇用関係にある者と、それから全然雇用関係にない者もあろうと思うのです。こういった方々に対する醵出に対する考え方を、一つお述べ願いたいと思うのです。
  90. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) 大河原さん、そうお問い詰めにたると、だんだん内容を言わなきゃならぬようになる。(笑声)そこいら辺になると、ごかんべんを願いたいと思います。
  91. 大河原一次

    大河原一次君 いろいろ申し上げたい点がありまするけれども、大体大臣の御意向わかりましたので、他に発言者もあるようでありますから、私の質問は終ります。
  92. 千田正

    ○千田正君 今、大河原委員の御質問に対して、厚生大臣から御答弁いただきましたので、よくわかりましたが、厚生大臣は、まあ大理想を掲げて、もちろん今の岸内閣の理想でもありましょう、国民年金制度の確立という問題は。しかし、これは理想はそうあってしかるべきであるけれども、結局は、国民所得とそれから国家予算との関連においてしか結論においては出せない、私はこう思うんですね。そこで、ただいまのお答えもありましたように、いわゆる社会保障制度議会の答申を待ってお考えになる。従来、政府の機関でいろいろいわゆる審議機関がありまして、その答申を待ってと、いろいろ大臣がお答えになっておりましたが、ほとんどその審議機関の答申のように実行されたことは、まあまあ私はあまりないと思うんですよ。(笑声)そこで、大臣の理想としましては、国民所得と国家予算関連において、国民年金制度が確立する場合において、無醵出の人たちに対しては、一体どれぐらいが出せるのかという見当はつきませんか。
  93. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) どうもいろいろな羅議会意見通り行われたことがないというふうなお話は、わかるのであります。しかし、私自身は、むろん今度の国民健康保険の問題でも、社会保障制度議会が三割の国庫負担、七割の給付割合というものを考えておられるのですが、これがぶつかって参りまして、端的に言えば、二割五分、そうしてやはり五割の給付割合というものにいたさざるを得ないのは、やはり今おっしゃったように、すべての制度が空にあるのでなくて、国民所得、国民の繁栄、富の状態というものとの相関関係に立っておりますので、財政上の問題に入って参るということは、これはもうおっしゃる通りでありまして、私どもは、そういう理想はあっても、財政上の現実上の制約、財政上と申しますが、率直に言えば、国民の富の状況だろうと思うのでありますが、それとの関係から制約されざるを得ないことは、これは現実には起り得ます。しかし、理想としてはやはり持ちつつも、現実にそれとの調和を図るということでなければ、社会保障に対する進歩はあり得ないと、こういう観念から当っておるわけでございます。従って、少くともやや私ん知っておられる千田さんから、普通の逃げ口上のようにとられますことは、私は心の中では非常に残念でございます。と同時に、今お聞きになりました金額の問題というものは、これが聞かれれは、もう内容がほんとうはわかっているわけであります。私どもも、実はある程度の金額は出す段階までは参っておりますが、しかし、それだから、現実がそうだからといって、常にやはり第一段階、第二段階を現実問題としては経なきゃなりませんので、それらについて、この際、金額まで言えとおっしゃることは、私は御無理だと思うので、お許しを願いたい。
  94. 千田正

    ○千田正君 大臣は、多分そうおっしゃるだろうという考えをもって私はお尋ねしているんですが、そういうわけでありますから、このたびの共済組合の、お互いの負担をある程度出してやっていこうというこの制度は、ある期間十分認めてやって、国もそれに対して善処する方針をとらなきゃうそじゃないか。そういう意味で今度の問題にも閣議において皆さんが御協力になったろうと思うのですが、そういう意味でこの共済組合の醵出に基く年金制度というものは、ある程度の長期の期間必要じゃないか、こういう私は観点に立つのです。これは、ただいま申し上げました無醵出の面と、醵出するこういう人たちの面と、国民所得と国家財政との見合いの上においては、やはりみずから醵出してそうしてみずからの老後なり生活の将来の安定を得るという立場にある者に対しては、国家は、全町的にこういう制度に対しては見てやるべきである、考えてやるべきであって、調整する時期はいつかは知らぬけれども、大理想を掲げているあなたから言えば、来年にでも基本的結論が出てくることを望んでおられるでしょうけれども、私は、現在の国家財政においては、そう急速に理想の通りにはいかないと思う。その期間だけやはりこういう制度は十分見ておくべき必要がある、かような観点に立っておりますので、私は、農業団体だけで終るという閣議の了解は、果して是かどうかということは、まだ論議の余地があると思うのです。今出されている農業団体の問題に対しては、ある程度の、私は相当の期間必要じゃないかと思うのですが、大臣の御意向を承わっておきたい。
  95. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) そういう御論議になりますと、相当いろいろな問題の内容まで入らなければならぬ。また内容に入ります場合は、純理論に立つ場合と、政治家としての現実の問題が、私は起って参ると思います。しかし、こういう制度が必要であるということでも、こういう制度自身が、ほんとうに、年金制度が適用されるのは、相当先のことになって参ります、ですから、これは従来の厚生年金との関係の通算がございますから、初めからできたようなことはございませんが、しかし、いよいよほんとうにこれが全部運用される場合には、相当先のことになるんじゃないか。ですから、国民年金制度をしきます場合、それは構想通りにできるか、今からそんなことを言うと、弱気だといわれるのですが、私の抱いている構想通りできるかできないか相当疑問があるだろう。しかし、第一段階にこれだけのことは考えようじゃないか、かたがた率直に言って、社会保障制度議会の方も現実というものをよく考えて、じきに直ちに施行できるような、現実的な案というものを考えて今度は出すというのが、主たる考え方になっております。その点については、ああいう方々のお集まりの中においても、すでにそういう問題についてお考えになっている。従いまして、私どももこの際、御審議の途中でありながら御会談できる、そうして常にわれわれが接触を保ちつつ事務を進め得るという状況になっておりますので、まあその金額を言えば、できるかとおっしゃるだろうと思いますが、まあしかし金額――一挙にできなくとも、私はその段階までいくんだというので、第一段階というものは、ぜひ作り上げなければ意味をなさないと思って、今そういう理想のもとに、現実的な案との段階を考えて参りたい、それは、それだけでも相当の額が要ることは、これはもう私自身も予想している。しかし、それ自体について、私どもの努力はむろんのことでありますが、いろいろ社会情勢とにらみ合わして、財政との調整も考えて参る場合、もう必ずしも第一段階ということがそう困難だとは、私自身は考えておりません、という状態でございます。
  96. 東隆

    ○東隆君 私は、今の千田君の質問関連をしてお伺いしますが、大臣も御承知通り、私はコーオペラティヴ・ソーシャリストをもって自認しておる。そこで問題は、厚生省の中にある生活協同組合、それから通産省の中小企業者等の協同組合、私はこれは協同組合の中に入るものだろう、こう考えておる。今回のこの農業団体関係のものは農業協同組合、これを中心にして、自余のものは協同組合ないしはもっと公共性を持ったもの、しかも今の憲法のもとにおける、民主主義の機構のもとにおける公共団体、こういう形で、利潤の追求をやっておらないということが、私は条件だろうと思う。そういうような団体からでき上っているものが、今回のこの中心になって、出ておる団体だと、こう考えておる。その場合、生活協同組合、それから中小企業者等の協同組合、これが問題になる。これは、私は千田君の言うように、少し厚生大臣はよろめいた方がいいのじゃないか。閣議決定でもって、防戦これ努めているのですが、しかし、これは当然よろめいていくべき段階じゃないかと、こう考えるし、それからもし国民厚生年金ができる場合におきましても、これは醵出をする面における上に当然考えなければならぬところのものじゃないかと、こういうふうに考えますが、この点はどうですか。
  97. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) 私は、もう今よろめいていては困る段階だ、こういうふうに考えます。と申しますのは、この農林漁業団体職員の共済組合法の方式による年金制度、これには、やや問題点としてあげられることは、むしろ組合員自身が、割合に、何と申しますか、報酬が非常に少い、それから年限が短い、それだから年金制度を作るのだとおっしゃるところにやや私疑問を持ちます。むしろそれなら私自身、まあこんなところで論議すべきことじゃないと思いますが、つい言われると、たとえばもう少しベース・アップなすったら……、その方が先じゃないかということも言い得るかと思います。いろいろな問題が論議ができると思いますが、しかし、そういう小さな事務的な問題よりも、ともかくも自分たちが自分たちの醵出で、自分たちの老後について考えるという形、しかもここに勤めておられる方は、地方の職員とほとんどその仕事の性質を同じようにしている。ただ、あなたのおっしゃるように、何と申しますか、公共的のものだけを先に作ってしまう、たとえば今は三現業の場合は、割合標準報酬は高いわけであります。こういう報酬の高い人たちが、自分たちだけの共済組合を作って年金制度をやれば、それはその人たちだけはいい。しかし、そのほかの国民に対して考えますときに、私は、国民年金制度との問には調整がなくちゃいけない。社会保障である以上は、国家の負担において調整する、のみならず組合員相互間においてもある程度の調整が行われる。しかしそれだからというて、先ほど大河原さんのおっしゃったように、従来の方式によるところのやはり保険的な制度も、醵出制度を加味する以上は、醵出制度というものを基本にする以上は、その利益を守っていかなければならない。程度の問題だと思いますが、しかし私としては、もうこの段階におきまして、理論よりも実際に、何と申しますか、老後の安定なりその他の問題をこの際に解決することが私の役目だと、私は、もうよろめかずに、いちずにこの問題の解決に向いたいと思っております。
  98. 大河原一次

    大河原一次君 よろめかないという力強い大臣の御発言を聞いて、私も安心しているのですけれども、ただ、先ほども言われたように、国民経済云々という問題が、よりよい国民年金制度の確立の上に、非常に何か心配されていると思うのです。ステップ・バイ・ステップということも、現状においては考えなくちやならぬが、しかしこの際、やはりそういうことで、いつまでたっても、まだ日本の国民経済がこうであるから、あるいはまた実態がこうだから、整備が困難であるからということだけで、これを一日のがれにしておいては、いつの日かまた完全な社会保障体制の中に国民年金制度というものが確立できるかと思います。そういった意味で、一つ政府当局においても強く踏み切って、思い切ってやってもらいたい、こういうのが私の念願であります。一言だけであります。
  99. 堀木鎌三

    ○国務大臣(堀木鎌三君) お説の通りに、私はむろん財政上の問題は必然頭に入れておりますが、この際、われわれはやはり国民の福祉と健康を守るためには、この問題は今までのような、戦前のような観念で物事を考えていては、この問題に金が回るわけはございません。しかし、私どもは新しい社会、新しい福祉の国家社会を作ろうと意図する以上は、それは、かえってある意味で相当安いものだと、そういう観念でなくちゃいけない、こう考えて、お説のように努力いたすつもりでおります。(「了解々々」と呼ぶ者あり)
  100. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  101. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて。  他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  103. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題になっております農林漁業団体職員共済組合法案に賛成するものであります。  この法案は、関係者の間において久しい間熱心に希望されていたものでありまして、これが今回政府から提案され、成立に近づいておりますことは、まことに慶賀にたえないのであります。この際、政府においては、この法律の施行に遺憾なきを期し、あわせて農山農民に対してすみやかに社会保障及び福利厚生施設制度の確立を推進するため、付帯決議を行いたいと存じますが、その文案については、先刻懇談のうちに定められましたのが適当と考えられますので、他の討論者の発言を待つことにいたしたいと存じます。
  104. 鈴木一

    ○鈴木一君  私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております農林漁業団体職員共済組合法案に賛成するものであります。  多年にわたる関係者の宿題が、まさに達成されようとしておるのでありますが、これと同時に、農山漁民に対する社会保障及び福利厚生の制度施設が確立されることを心から願うものでありまして、これがすやかなる実現を期し、あわせて今回の共済制度の運営に対して、政府の善処を求めるために、次のような付帯決議を行うことを提案いたします。付帯決議の案文を朗読いたします。    附帯決議(案)  一、政府は、速かに、農山漁民に対する年金制度等社会保障制度を確立するとともに、福利厚生施設の拡充に努めること。  二、政府は、木炭林漁業団体職員共済組合法の施行に当り、特に、次の措置に遺憾なきを期すること。   (一) 使用者団体及び組合員の掛金負担の軽減、給付内容の充実、福祉施設の整備、転職の場合の通算その他制度の改善に対して不断の努力を払うこと。   (二) この制度をあまねく関係団体役職員に及ぼすため、掛金の気担を困離とするような不振団体に対しては、これが対策について、団体当事者の自発的努力と創意工夫とを促すとともに、政府亦適切な措置を考慮すること。   (三) この制度に対する国の補助を拡充すること。以上でございます。御賛成を願いたいと思います。
  105. 千田正

    ○千田正君 ただいま議題となりましたところの農林漁業団体の共済組合に基くところの年金制度法案に対しましては、鈴木委員の付帯決議とともに、賛成をいたします。  この際、私が申し上げておきたいのは、これはむしろおそきに失したのではないかと……、従来政府は、社会制度の確立、あるいは年金制度の確立を常に声明しながら、今もってその完全なる法案も出してこない、しかし、今日ようやく農林漁業団体職員共済組合法案が出て参りまして、今からでもおそくはない、こういうふうな感じをしております。でき上ったならば、政府としましては、誠意を持ってこれにこたえるだけの用意をしていただきたい、かように考えまして、同法案並びに付帯決議案に対しまして、賛成の意を表します。
  106. 上林忠次

    ○上林忠次君 緑風会を代表いたしまして、ただいま問題になっております共済組合法案による福利厚生施設の拡充につきまして、私は千田氏の今の御意見通り、私ももうすでにおそいのじゃないか、どうしてこれまでこれができなかったかということをうらんでおるものであります。従って、本案に対しましては賛成いたします。また、付帯決議に対しましても、特にこの民間の醵出による、民間の支出による団体の経営を完全にしていただくように指導していただく。政府におきましても、この団体の健全な発達――しからずんば、このせっかくの共済制度が危殆に瀕するのじゃないかというような心配もありますが、この点につきましては、この付帯決議にはっきり載っておりますので、特にこの点は、付帯決議に大いに賛成をいたしまして、この法案に賛成する次第であります。
  107. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農林漁業団体職員共済組合法案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決することと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました鈴木料提出の付帯決議案を議題といたします。鈴木君提出の付帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  110. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致と認めます。よって鈴木君提出の付帯決議案は、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員会に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名    柴田  栄   藤野 繁雄    清澤 俊英   鈴木  一    上林 忠次   秋山俊一郎    雨森 常夫   佐藤清一郎    関根 久藏   田中 啓一    田中 茂穂   仲原 善一    堀  末治   堀本 宜実    東   隆   大河原一次    河合 義一   千田  正    北條 雋八
  112. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの決議に対し、政府を代表して、農林政務次官から発言を求めます。
  113. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいま御可決をいただきましてまことにありがとうございます。付帯決議の事項につきましては、審議中いずれも問題になりましたところでありますので、御趣旨に沿いまして、十分努力をいたしたいと思います。
  114. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) これをもって散会いたします。    午後四時三分散会