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1958-03-27 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十七日(木曜日)    午前十時四十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            鈴木  一君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            東   隆君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省振興局長 永野 正二君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城俊男君   説明員    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      河野 恒雄君    農林省振興局普    及部長     徳安健太郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○森林開発公団法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○農林漁業団体職員共済組合法案(内  閣提出、衆議院送付) ○派遣委員報告農業改良助長法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  森林開発公団法の一部を改正する法律案議題といたします。この法律案につきましては前回委員会において質疑を終っておりますので、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。森林開発公団法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  4. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致でございます。よって、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によってこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     柴田  栄  藤野 繁雄     鈴木  一  上林 忠次     秋山俊一郎  雨森 常夫     佐藤清一郎  関根 久藏     田中 啓一 田中 茂穂     堀  末治  東  隆     河合 義一  北村  暢     千田  正  北條 雋八   ―――――――――――――
  6. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 農林漁業団体職員共済組合法案議題にいたします。御質疑の向きは御質疑を願います。
  7. 大河原一次

    大河原一次君 この前出ておったかと思いますが、私午後から欠席をいたしまして聞かなかったのですが、一点だけ伺っておきたいと思います。それは、現在あります厚生年金でありますね。私自身実は今厚生年金をかけておる立場なんですが、会社の方は休職になっておるのですが、まだまだ二十年間の掛金は終っていないのですが、この厚生年金の場合は、そういう定年制によって、われわれが五十五才なら五十五才の定年によって職をやめた場合においても、その後自分の立場直接に、二十年に満たない掛金に対してはかけることができるわけです。さらにまた一面には、厚生年金の場合には職場が違った場合、転職したという場合においても、現在の厚生年金においては、そのまま継続し、これを計算に入れて二十年間の掛金を終ることができるわけでございます。今回の農林漁業団体年金制度のもとにおいては、そういう従来の厚生年金がやっておった、職場転換されたような場合においても継続していく場合があるのだが、今回の年金制度の場合においてはその点が違っておるように思うのでありますが、その点についてお聞かせ願いたい。
  8. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) ただいまの点について御説明申し上げます。この制度の中におきましても、同じ団体、たとえば農協のいわゆる単協連合会との間の異動、あるいは農協森林組合との異動、あるいは漁協との異動、あるいは改良関係組合所属団体との異動等については、その間に通算措置ができるようになっております。ただ、前回におきましても御説明いたしましたように、厚生年金制度からこの組合に移る者につきましては、その組合が発足いたします際に厚生年金からこの組合に移る者については、全部通算をいたすことにいたしております。ただ、途中でかわりました際、その組合所属団体からこの組合外団体にかわります際には、遺憾ながら現在の制度では通算をいたさないことにいたしております。ただ、さような点について不二合がありますので、いわゆる任意継続制度というものを認めておるわけでございます。つまり、十五年以上在職いたしまして、なお本人組合掛け分負担をするという前提のもとに両方の掛金を納めるということであれは、なお組合員として認めよう。従って、五年以上さらにそういう形で掛金を継続すれば、二十年たって年金をもらえる、いわゆる任意継続制度というものを本組合については認めておるわけでございます。従って、その点につきましては、厚生年金制度もその点を認めておりまするので、できるだけさような点について不工合を調整いたしたいということで、以上のような方法を認めておるわけでございます。通算については、先回もいろいろ御質問が出ましたように、特に市町村との関係において御質問が出たわけでありますが、われわれはこの点につきましても、なお今後十分検討いたしまして、できるだけさような措置をとれるように検討いたしたいと思っておりますが、現在の段階におきましては、さような方法で一応調整をいたしたい、かように考えております。
  9. 大河原一次

    大河原一次君 大体お話の点はわかるのですけれども、ただ、今説明されたような点について非常に疑念を持たざるを得ないわけです。何かそこに法の不合理な点が是正されておらないような気がするのです。任意継続制度によって、いかにも職場がかわった場合の通算がカバーされるような、そういうお話の筋であるように思うのですが、任意継続の問題と、それからまた職場転換が行われた場合に通算がされないということは、おのずと違った線であると思うので、従って、任意継続任意継続として、当然やはり厚生年金と同じような立場に立ってやられるのが正しいと思うのですが、ただ、職場がかわったということによって、それに対する通算が行われないということは、この法の不備が露骨に出されておるという、何かこういうことについてこれを十分にカバーし得るような別の方法はないかどうか。そういう点について、今、将来の問題として十分考えてみなければならぬということを言われたのでありますが、僕としては非常に……これは今日制度になっておる厚生年金とおのずと違っておるのですが、通算されないというところに僕らは非常に不満を感じておるわけなんです。これを十分カバーし得るような一つの、そういう方策というものがないものかどうか。ちょっとお聞かせ願いたい。
  10. 河野恒雄

    説明員河野恒雄君) ただいまの点につきましては、実は社会保障制度審議会における議論もその点が相当重要な点として議論されたのであります。これは単にこの組合のみならず、他の組合におきましても、いわゆる現在あります共済組合につきましてはほとんどやはり通算が事実上できないのでございます。これはお話がございました通り職場転換した場合に非常に不利不便をこうむるのみならず、本人の不利益になるんじゃないかということで、当初からこの問題については議論があったのでございますが、現在のいろいろな仕組みを考えまして、私どもは、さような点で他の共済組合と共通な点をできるだけ多くして、通算のできる態勢を整えたいということで、さような観点からもいろいろ検討しておるわけでございます。従いまして、この組合給付内容等につきましては、できるだけ他の組合と近づけるということで検討されております。ただ、厚生年金等比較いたしまして、さらに理論的にもいい点は当然組み入れなければなりませんし、他の共済組合比較して、他の共済組合の欠点になっておりまするような給付内容をこの組合は改めたというところもございます。従いまして、完全に他の組合と共通になっておりますれば通算はできますけれども、さような点について若干の相違がございますので、この組合発足と同時に通算を直ちにやるということは非常に困難でございます。従いまして、さような点については先般もお話がございましたように、今後の問題として、できるだけこの組合のみならず、ほかの組合との通算の問題もございます。ほかの組合からの通算の問題もございます。従いまして、全般的にさような点で厚生省その他とも連絡しながら措置を考究して参りたい、かように考えております。
  11. 大河原一次

    大河原一次君 将来考えられる国民年金制度というものが、これは岸総理大臣も、最も近い将来において望ましい国民年金制度を確立したい、これによって、今日もう多種多様になっておる年金制度を統合すべきだということを言われておりますが、今御質問申し上げましたそういう職場転換に対して通算ができなしというような、そういう不満はいろいろあろうと思いますが、そういう点も、将来考えられる国民年金制度が確立された場合に是正されるべきものであるというように考えていいかどうか。
  12. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 当然その点は、今農協部長が御説明申し上げました通り一つの大きい課題として研究が進められておるのであります。
  13. 北村暢

    北村暢君 私は一点だけお伺いしたいのですが、この共済制度農協の発展のために、農協職員の生活、身分を安定するためにという趣旨でできておるわけですが、ところがこの共済制度をやりますというと、相当この事務負担というものが出てくるのでありますが、前の質問田中委員もこの点非常に指摘しておられるのですが、私も実はそういうふうに思うのです。それで、非常にまあこの農協特性からいって、非常に弱小な単協ずい分たくさんあるわけでございますが、そういう弱小な単協のあるところで共済事業事務負担というのは相当事務負担になる。まあこういうふうに思うのですが、ここにもありますように、相当多数の農協、あるいは森林組合その他の組合等もたくさんあるわけですが、事務やり方によって相当むだなことになりかねないのじゃないか、そういうふうに思うのですが、どういうふうな形で指導をして事務簡素化といいますか、たとえばこの県の段階とかというところで専門の人を置いてやるとかいうのはどういうふうに考えておられるのか。どういうふうに指導しようとしておられるのか。この辺のところをちょっとお伺いしたい。
  14. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 組合負担は、一点は掛金負担、一点はただいま御指摘事務負担でございます。その事務簡素化の問題につきましては、まだ最終的な結論には到達しておりませんが、関係者の間でもその問題が提起されておりまして、純然たる独立の機構を作って、人員を整備してやるべきか、現に農協では建物共済生命共済等もやっておるわけですから、その機構をどの程度利用できるものか、あるいは一般の系統組織をどの程度利用できるものか。そういうものについて目下関係団体共済の間でもよりより研究しておるわけであります。いずれにしましてもすでに基礎の組織があるわけでありますから、できるだけ経費の少くて能率の上るようなことを考えたいと、こういうふうに思っております。
  15. 北村暢

    北村暢君 これは短期給付がないので、長期給付だけですからね。事務量としては私はそう大したものじゃないと思うのです。そういうところに農協なり、水産協同組合森林組合ですね。おのおのがこれを担当する人を置いておくと、同じその事務所内にですね。県なら県段階においてこの農業共済事務担当者を置くということになるというと、非常に不経済になるのじゃないか。だから農協なり、水産協同組合なり、森林組合なりの実際の末端事務はそこでやってもらうのですけれども県段階にまとめたような機関で、農業協同組合中央会なり、森連連合会なりですね、どこで取り扱うかわかりませんけれども、とにかくそういう一カ所のところで全体のものを取り扱うようなふうにしたならば、非常に事務簡素化できるのじゃないかと思うのだけれども、それを各系統別に全部担当者を置くということになると非常に下経済になるのじゃないか、こういうふうに思う。  それから、この事務量については、今までの公務員共済組合でも同じで、事務に要するものは国で負担せいということを盛んに言っているのですけれども、なかなかそういうわけにいかないので、公務員の場合も、実際に、何と言いますか、内しょでもってほかの、まあ経理事務とかをやる人が、そっちに籍を置きながら、実はその共済仕事をやっておるということが非常にたくさんあるわけです。ですから、そういうことになって、今までの本来の農協の業務なり事務なりというものに携わっておる者をさいて農協共済組合仕事をさせるということになれば、農協なりその他の団体事務負担というものがふえる形となって、せっかく農協振興させるためにやるものが負担が大きくなって、かえってその趣旨にそぐわなくなるのじゃないか、こういうようなことを私は心配するわけです。  それからもう一つは、一人百円の事務費負担、こういうことでございますけれども、これもこの私学との均衡上その程度までもっていくというのですから、私学の場合規則給付も取扱っておるのですから、その事務分量長期だけで百円しかということは、はっきりしないまでも、確かに私はやはり百円というものが低いのじゃないか、こういうふうに思うのです。それから、船員共済を見ましても、事務負担が三百幾らになっておるようです、この資料を見ましても。そうしますと、私学の場合の二百二十円の場合と、この船員の場合、どういう条件でああいうふうに事務量負担がかかるかしりませんけれども三百幾らという例もある。従って農協の場合は末端単協という組織というのが、先ほど言いました非常に人数の少い弱小単協というのが非常に多いのですから、そういう点からいっても、この事務の面が非常に多くなるのじゃないか。しかも、農協職員というものが、今まで身分の安定がしてないから非常に出入りが多い。やめたり入ったりする出入りが非常に多いということも手伝ってこの事務分量というものもふえてくるのじゃないか。ほかと比較して決して少ないとは言えないのじゃないかというふうに判断しておるのです。ですから、この農協特性からいくならば、事務費の補助の百円というのは、これは事務費負担するということになって、百円を限度にするのではなくて、かかっただけ全部負担するのか、それとも相当部分の事務分量のふえたものは、在来の系統の各団体事務分量をある程度補なっていかなければならないのか、そこら辺のところが、事務費国庫負担するということになると、やはり相当にかかっただけのものが国庫負担として出させるような形をやはり実質的にとるべきだ。そうでないと、せっかくの農協振興という趣旨事務負担で過重になるということがあっては法の趣旨に合わないのじゃないか。それは往々にしてそういう方向にいく可能性があると、こう見ておるのです。従ってくどいようですが、この点についてお尋ねするわけですが、この前の答弁でも、実際にやってみてこれが百円をオーバーするようであればまた考えるのだ、こういうことのようですけれども、これはもう確実にオーバーするのじゃないかと思うのですから、その点についての今後の処置というものについて、農業協同組合なり各種団体特性というものは、やはり相当考慮してやる必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておるのですが、その点の見解をお伺いしたいと思います。
  16. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御指摘通りでございますが、少し具体的なお話を申し上げますと、あの農協共済連ですね。建物とか生命共済とか、これは事務分量がふえまして、そうして今までのやり方ではとてもいけないので、加藤経営研究所に頼みまして、それの合理化について研究してもらっておるわけです。そうして整理の仕方、そういうものについて相当刷新することにしておるわけです。これは何といいますか、単位が非常に大きい。それからこの農業団体だけでも三十万近く、一人一人、一銭も違ってはならぬわけですから、その整理が必要であるし、その整理はある程度機械的にできるわけであります。そういう点も取り入れましてやるわけであります。これはもうすでに銀行とかあるいは生命保険会社等では、そういう新しい整理の仕方をずっと前から取り入れてやってきております。ですからそういう点も考慮すると同時に、要するに一人々々をカードに整理して、取り立てとそれから給付を正確に行う方法を考えればいいわけですから、末端――何と言いますか組合本部、支所を置くことになると思いますが、その中間の経費はこれは系統組織の利用によって、連絡員なりあるいは職員でなくても、ある事務を委託すればいいわけですから、そういうことで具体的にこの法律通りますれば、さっそくある程度事務機構を整えましてつとめていきたいと思います。三十万人にしますと一人百円、三千万円、それからこの契約で四十億程度積み立て金委管が得られますと二億あまりの金が運用できると思います。それと、今の管理の費用とのバランスの問題でありますが、これらの点は組合発足までに、はっきりした数字が出ると思います。その上で百円が不足なら、これはどうしてもめんどうでも国に御厄介にならざるを得ないのじゃないか、私どもはそう考えておるわけであります。
  17. 東隆

    東隆君 私はこの法案がまだ海のものとも山のものともわからない昨年十二月、その時分にこの委員会で一応いろいろ討議をした際に、この制度公共性を持たせなければならぬ、公共性を持っておるが、ゆえに年金制度が確立されるという根拠がある、こういうお話が皆さんから出たはずです。そこでその公共性という点からいって、今度関係する農業協同組合法以下九つのいろいろの法律によってできる団体、これらは私は公共性という点において決してほかのものに一箒を輸するものではない、こういうような考え方を持つのですが、たまたま専務費の問題でもって学校法人関係ですね、それに比べて少いものになった、こういう事態が起きたのは、私は当初この法律を進めるときに、農業団体のみを対象において予算をとられたのじゃないか、それに加えて林業あるいは漁業関係団体が加わりまして、それで予算が少くなったのじゃないか、こういう懸念があるのです。もしそうだとすれば、早急に対策を講じなければならぬと思うし、それからそうでないとするならば、新しくできるところのこの共済組合によるところの年金制度は、これは普通のものよりも公共性が少いのだ。従って政府が、国が金の出し方を惜しんでおるのではないか、こういうことになってくるわけです。それで私は前にできております、たとえば厚生年金保険であるとか、あるいは船員保険であるとか、あるいは恩給、それから公共企業体職員共済組合、あるいはそういうようなものがずっとありますが、そういうようなものの中で、私立学校職員共済組合、これらの関係ですが、この中におけるととろの重要な問題は、民主主義原則がこれらの組合の中に働いておるか、働いておらないかということが、私は非常に重要な中身になっておると思う、公共性の問題から参りまして。それで共済組合の中には民主主義原則が働いておるし、それからその他の農業関係あるいは漁業関係団体の中には、これは民主主義原則の働いておると同時に、私はかえって町村に近いような強制加入のような形のもとに、おけるところの組織になっておる、そういう組織がここに出ておると思う。そこで私立学校の場合と比較をしたときに、何もそんなに公共性という点において劣っておるものと思わぬのです。それでかえって私立学校は、私はその当時申し上げたのですが、例のアメリカのシンクレアなんかは、私立学校ほど資本主義のなははだしいものはない、こういうふうに言っておる。ことに最近の日本における私立学校の入学のあの試験の現象だの何だのそういうものを考えてみると、だいぶどうも営利本位になっておるのじゃないか。貧乏人なんかなかなか入れません、あの学校には非常に金持ちな人で、相当別なものを持って行かなければ入れないような、そんなような態勢になってきておる。私は私立学校法人共済制度を認めたときの考え方を決して悪いとは思いませんけれども、しかしそれに比較して農林漁業団体関係のものが公共性あるいは民主主義原則、そういうような点において劣っておる点があるのならば、われわれはこの際国家からの助成をこれは少くもらっても満足することができると思いますけれども、しかしそういう点で一つも劣っていない、だから私はもう一つ強力に突っぱる必要がある。ことに今度できる団体協同組合には税金を課していますが、しかし税金を課すそのことが私は大きな間違いだろうと思います。そういう協同組合に対する非課税原則という問題が、まだ戦争というようなことによって非課税原則がこわれてきたその惰性をいいことにして、そして農業団体はまだ営利的な仕事をやっておるのだと、こういうような見方を農林省の方はお持ちにならぬかもしれぬけれども大蔵当局はそういうような考え方を持っておるし、そうして農林省の要求に対して圧力を加えておる、こういう面が出てくるのじゃないか。そこでやはり私は協同組合非課税原則を大きく確立をして、そして大蔵省に当っていくということと同時に、こういう問題について、学校法人比較をしてそして決して国家がこれに対して助成をするに際して差をつけるなんていう、そういうことがあってはいけない。これは私はなぜこういうことを主張するかというと、将来今度は国民年金制度というようなものに統合された場合に、こういう関係のものはこんな実績となって出てくるわけです。実績となって必ず現われてくる。そういうようなことを考えた場合に、やはりこの際もう少し強力に突っ込んでいく必要があろうと、こういうことを考える。そんな考え方からどういう話し合いをされたか。初め農林漁業全体を含めておりませんでしたから、そこで予算を取るときに、そういう点で少し減したのだ、そのために、はなはだやりづらかったのだ、こういうのならば、その点を明らかにされておいた方がいいのじゃないか、こういうわけです。それと合せて、差がないということを、ここで一つはっきりさしておいていただいた方が将来のためになると思いますので、その点を一つ
  18. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 率直に申し上げまして、昨年の暮からこの春にかけて、この法律を出すか出さないかということは、政府あるいは党の方で非常にもめたのであります。従いまして予算についても、あるいはこの制度内容についても、最終的結論に達するまでには、初めは五人以下のものは入れないとか、あるいは団体についてもこの法律を出すぎりぎりまで、人数は少いのでありますが、信用保証協会などは、入れるか入れないか、その実態がはっきりつかめなかったのでありますから、そういう問題があっわたけでありまして、本年度の予算一千万円については、私も率直にお答え申しておりますように、これは暫定的な計算だというふうに私は考えておるわけであります。従って先ほど北村委員の御質問にお答えしましたように、法律を通して実際に人数なり俸給なりそういうものを整理した上で、そうして厚生年金からの移管の金額ももう少し見当をつけて、一人当り百円でいいのかどうかということは、はっきり出てくるわけですから、必要なものはぜひ考慮したい、そういう考えであります。その際に、御指摘私立学校農業団体との公共性比較の問題でありますが、これは見方がいろいろありまして、今国民年金制度になっていきますと、全国民に年金制度を与えるというと、全国民が一人一人公共性を持つ。私はこの年金制度を考えていきますと、どうしてもそこまで到達していくのであります。しかし今までの考え方としてはいろいろな見方があると思います。一方からいえば国が全部教育をやったらいい、私立学校なんかを作る余地を置いておくから、こういうことになるのだ。だから私立学校そのものの経営は相当御承知のように資本主義的な経営になっておる。私立学校、教育そのものはやはり国のやるものも負担しておるのだ、こういうところから、やはり私立学校法人というものが問題になっくてるのじゃないかと思います。しかしそれらはさておきまして、この制度をやる以上は、やはりその制度がうまくいくように、当然私どもの方では最大の努力を払いたいと、こういうふうに考えます。
  19. 千田正

    千田正君 今の東委員のお尋ねに関連してお伺いしますが、この法案が成立する前にただしておきたい重大な点は、先ほどから論議されておりますところの、将来国民年金法というものを成立させようとする政府の意図のあります今日におきまして、この農漁関係のこうした法律が、それに先行するところの暫定措置としての面として閣議が了解しておるのか、それともそういう年金制度をしかれた場合におきましても、このような公共的な面において特殊な今まで施行されておったところの公務員あるいは地方公務員、並びに農協職員に対しては、将来は別個の面においてこの法案が存続するというしっかりした考えを持っていなければ、私は将来年金制度というものがしかれていくと九千万の人口、あるいは将来一億になるかもしれない人口のうちのその何十パーセントかはしらぬが、国民年金の対象になった場合に、おそらく国家財政の立場からいいますというと、今日行われているところのいわゆる社会保障制度の一環として行われておる生活保護程度の、たとえば、ただいまのような月二千五百円か三千円程度年金しか支給されない、おそらくきわめて小範囲のいわゆる年金しか与えられないのじゃないかという非常なそこに危惧を感ずるのですよ。で、先般来今局長のおっしゃるように、この問題については閣議においても相当論争されて、まずこの種のあれとしては農協団体職員のこれだけを認めて、あとからいろいろな問題が出てもそれは応じない、一応これでピリオドを打って国民年金制度に踏み切ろうじゃないかというのが現首脳部の考えらしい。その辺のラインをはっきりしておかないと、将来年金制度が全部しかれた場合に、これはもう解消して、そうして月二千円や三千円くらいのものにしかならないとすれば、これは非常に私は残念なことで、この際その程度のけじめはどの程度はっきりして今度の法案がかかるのかというその目安はどうなんですか。
  20. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 国民年金制度が問題となっている重要な点は、一点は醵出制にするか無醵出制にするかということ、それから納付の内容をどういうふうにするかということ、それから既存の各厚生年金制度との調整をどうするかという、こういう三点に要約されるのじゃないかと思います。そこで今まで議論になっておりますのは、既存の年金制度を後退するような調整の仕方であってはならないという原則は、これはどなたも異議がないようであります。しからば現在の年金制度をよりよくすると同時に、今のを国民皆年金まで持っていく調整をどういうふうにするかという点に絞られておるようでありまして、これは社会保障制度審議会の中でまだ結論が出ておりませんが、委員さん方の個人的な意見議論を戦わしている中で見ますと、共通の部面を国民年金でしきまして、その上にこの醵出力に応じて上積みに各職域によって年金をやっていく、その際には現在の何といいますか、既得の権益を阻害しないように考えなければならない、そういう説も出ております。あるいはもっと包含して、今の原則は忘れないでほかの方法でやっていったらいいだろう、こういうふうな意見がいろいろ出ております。それらがおそらく総合されて社会保障制度審議会から答申になってくると思いますので、御指摘のような現在の制度国民年金制度によって不利益になるという点は全然考えられておらないようでありますが、もちろん私どもとしては全然考えておらないのでありまして、社会保障制度審議会の審議の模様を見ておりましても、そういう点は非常に気を使ってやっておられるようでありますから、御指摘の点は御心配ないのじゃないかと、こういうふうに考えております。
  21. 千田正

    千田正君 私はこれは特に強く希望を申し上げておくのですが、今の局長のお答えで大体納得しますけれども、この最低線ですね、そういう国民年金制度がしかれるような場合に立ち至った場合におきましての現行審議の過程にありますところのこの法案に盛られたパーセンテージですね。これは一応の最低基礎としてこれより下ってはいけない。マイナスになってはいけない。またある場合においては、国民年金制度をしく場合において、各人自己醵出の負担が多少上回ってもいいから、実際においては十分な将来の年金制度を確立するような一つ将来は、はっきりしたものを打ち出すという考えで、強くあなた方からも社会保障審議会等に対してはあくまでこれは最低級なんだ、国民年金制度がしかれる場合においては、醵出の面等においてはこれにあるいは上回っても、パーセンテージは上回っても、あくまでもこの人たちのあれはやっていかなくちゃならないという強い線を打ち出して、あの人たちにも相当了解させる必要があるのじゃないか。こういう運動といえば語弊がありますが、こういう了解的な話し合いをもっと強く打ち出していっていただきたい。この点を強く私は要望しておきます。もちろん審議会の答申をへて政府がわれわれに対して国民年金制度の提案が出てくると思いますが、その際にもわれわれはわれわれの立場として農林委員会の各位からも相当強い意見を出されると思いますけれども、まずもって政府の審議機関であるそういう人たちの了解を強くつけておく必要がある、こう思いますので、特にこの点の了解運動を要望しておきます。
  22. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御指摘の点は全く私同じ考えを持っております。御趣旨に従ってやりたいと思います。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この法律を読んでみまするというと、第五十三条に組合員の福祉を増進するための必要な事業ということについていろいろ規定してあるのであります。それでこの組合員の福祉を増進するための必要な専業というものはどんな構想であるかということをお尋ねしたいと思うのでありますが、私など農業関係者におきましては、農業協同組合の役職員のための共済事業を行う目的をもって、昭和二十六年の四月に、財団法人全国農業協同組合職員共済会というものを設立して今日に至っているのであります。しこうしてこの共済会の目的というものは、将来においては年金制度にまで発展せしむる目的を持って作られたのでありますから、言いかえれば今回の法律の先駆的な役割を果すものとして出発したものであると信ずるのであります。そこで今回農林漁業団体職員組合が成立した上は、財団法人全国農業協同組合職員共済会というのはその目的が達成されたのでありますから、当然農林漁業団体職員共済組合に合流すべきものであると思うのであります。農林漁業団体職員共済組合では、先ほど申し上げましたように、組合員の福祉を増進するための必要な事業を定款で書けばすることができる、こういうふうになっておるのでありますから、私の考えといたしましては、財団法人全国農業協同組合職員共済会の事業というものは、組合員の福祉事業として農林漁業団体職員共済組合が取り扱っていくのが最もいい方法ではなかろうかと考えるのでありますが、政府のお考えを承わりたいと思うのであります。
  24. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 全国農業協同組合職員共済会の事業は、一応この法律共済組合とは別のものでありますが、しかしその共済組合のメンバーの相当多数の人に関係する事業でありますからして、御指摘のように、その関係の調整については新しくできまする組合において、組合一つの福祉事業としてやってもいいというきめができますれば、これは当然取り上げてよろしいんじゃないかと思います。あるいはまた逆に、現在の役職員共済会の方でもこれは独立しておきたいというのであればそれでもいいと思います。いずれにしましても共済会ができまして、共済会の組合会の決議によりまして福祉事業の一環としてやるかやらないかということはそれできめていくのが一番いいんじゃないか、こういうふうに私どもは考えておるのであります。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 さっきも申し上げましたように、財団法人全国農業協同組合職員共済会というのは、役職員の将来においては年金制度を作ろうと、年金制度まで発展しようというようなことで設けられて、それが今回この法律によってその目的を達成するというようなことになったのでありますから、二つのものが同一ではないのだけれども組織員においてほとんど同一なものであるのでありますから、幸いにしてさっき申し上げた五十三条では、組合員の福祉を増進するための必要な事業というようなことが、定款で書けばできるというようなことになっておるのでありますから、政府当局においても、今申し上げた役職員共済会の事業が、本法によってできるところの共済組合の事業の、組合員の福祉を増進するための必要な事業として定款に定めるようにして、両々相待って農協職員の福利厚生に努めていただくように希望を申し上げておきます。
  26. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御趣旨の点は、私の方でも十分了承いたしまして、共済組合農林漁業団体共済組合の設立の際に十分協議を進めたいと、こう思います。
  27. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ここでしばらく休憩いたしまして、午後一時から再開いたします。    午前十一時四十五分休憩    ―――――・―――――    午後一時三十分開会
  28. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 委員会を再会いたします。中央卸売市場法の一部を改正する法律案議題にし、委員派遣の報告を願うことにいたします。  御出張をわずらわしました各委員におかれましては、遠路御足労をいただき、まことにありがとうございました。  これから順次御報告をお願いいたします。第一班、堀君。
  29. 堀末治

    ○堀末治君 先般派遣されました第一班の御報告をいたします。  第一班は、田中委員、東委員、特別に参加願いました柴田委員と私の四名で、二十一日東京を出発、二十二日早朝より、名古屋市中央卸売市場の本場及び枇杷島市場の現状を視察した後、県庁におきまして、県市当局及び関係者各位と中央卸売市場法及び同改正案について懇談を行い、二十三日帰京いたした次第であります。  次に、その概要につきまして簡単に御報告申し上げます。  名古屋市中央卸売市場本場の業務開始は昭和二十四年四月一日、また、枇杷島市場は昭和三十年九月十三日で、他の大都市の市場に比してその歴史は浅く、総面積は、本場は四万三千八百九十七坪、枇杷島市場では九千五百三十坪で、その業務内容は、本場におきましては、鮮魚部、塩干魚部、青果部及びつけもの部でありまして、枇杷島市場は青果のみであります。  市場手数料は売上げの千分の一・六で、三十三年度予算では、年間売上げは百八十七億円が見積られ、市場使用料は二千九百九十万円が見込まれております。また卸売場、仲買場及び倉庫等の施設使用料は、四千二百六十万円が見込まれております。また、卸売人委託販売手数料は、青果は一割、果実八分、つけもの八分、水産関係六分、鶏二分、卵一分であります。  次に、各関係者がひとしく述べられる本市場の特色について申し上げますと、本市場の取引内容は、中央卸売市場の名に恥かしい、原始的な取引が続けられていることであります。すなわち、相場の立て方については、特に個人出荷が多い近郷の青果物については、ばら荷に値なしといわれるように、値段は、相手次第で高くも安くもつけられる川村取引、いわゆる袖の下取引でなされる場合が多く、その上、売られた荷物は当然その場渡しであるにもかかわらず、小売商の車なり店先まで運搬させられる現状であり、生産農家は、去る昭和三十一年十一月に、名古屋中央卸売市場対策協議会を結成し、市場側と折衝を重ねており、昨年九月二十八日に、一、せり売りの励行、二、売買成立後の物品の卸売揚渡しの実施、三、市場手数料を戦前の六分までに引き下げる旨の決議をなされたようであります。  次に、懇談会における各関係の方々の御意見を申し上げてみたいと思います。  まず、改正案に対する各界の御意見を申し上げます。  第一点の、中央卸売市場の名称使用の制限については別段の意見はなく、第二点の、卸売の業務にかかる取引方法の制限に関する規定の新設については、卸売人代表より、開設者が農林大臣の認可を得てきめるのでは、今までと同様に競争が激しく、農林大臣がきめるべく法律で明確にすべきである旨の、生産出荷代表は、奨励金、歩戻金などは自粛し、市場手数料を引き下げるべきである旨の、小売商代表よりは、奨励金については、小売商の義務を遂行した者については十分生かしていただきたい旨の、なお、生産者代表より、手数料の歩戻しの問題について不公平な旨の発言に対し、小売商代表より、われわれは一分の歩戻しを受けることにより義務を負わされる、また本件については、荷受けと小売が六年間協議の結果とられた措置であり、妥当な措置と認められる旨の意見の開陳がありました。  第三点の、卸売人の純資産額に関する規定の新設につきましては、卸売人代表より、丸東問題に端を発した今回の改正案中、特に純資産額に関する規定につきましては、全く残酷な規定であり、暖冬異変で物価の下落した今日、卸売人は経営がきわめて困難であり、他の温情ある指導方法により脱落者を防止していただきたい旨の要望がなされたのであります。  その他各関係者が一同に会し、懇談的に会議が運ばれた関係上、種々激論がかわされ、本法に対する意見が述べられたのであります。卸売人代表よりは、整備統合一本化こそ取引方法の適正化の早道であるとの意見に対し、仲買人及び小売人代表よりは、卸売人の単数化は反対の旨の、また生産者代表よりは、公正取引の前提となる設備の完備、卸売人の過度競争に対処するため、その数を少い単位に、せり売りの原則を市場開設の条件に、農林大臣の監督は厳重に、利害関係者による市場運営協議会の常設をされたい、法第二十四条職権の委任について、恒常的なものについては都道府県知事に委任されたい旨の、また買出人代表よりは、出産者は、市場にくずの少い商品を運搬されたい旨等の、市場運営の適正化に対する建設的意見が開陳されたのであります。  以上、きわめて簡単でありますが、第一班の報告といたす次第であります。
  30. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 第二班堀本君。
  31. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 第二班の大阪の市場の調査について御報告を申し上げます。  第二班は、去る三月二十一日より二十三日までの三日間にわたって、大阪市における中央卸売市場の実情につき調査をいして参りました。一行は、河合委員上林委員及び特別に参加されました清澤委員と私の四名であります。  以下、調査の内容について申し上げます。われわれ一行は、二十二日午前四時より大阪市の中央卸売市場に参り、関係者より市場の概況について説明を聴取した後、直ちにその施設並びに運営の実情についてつぶきに視察し、また、関係業界の代表と懇談をいたしたのであります。  この中央卸売市場は、市内福島区安治川北岸にある本場と、住吉区にある分場とからなっておりまして、本場は昭和六年十一月より、分場は十八年六月より業務を開始したものでありますが、そのおもな施設といたしましては、敷地面積五万六千余坪、建物の面積が約一万五千坪で、そのうち卸売場が五千六百坪、仲買売場が六千五百坪、冷蔵庫面積は二千五百坪で、その収容能力は約七千八百トンであります。また、取扱品目は、青果物及び水産物がおもなもので、その他はつけもの、鶏の卵等で、昭和三十一年における取扱い高の総額は三百十九億余円で、そのうち青果物は八千六百万貫で約百十億円、水産物は五千八百万貫で約二百億円であります。これら集荷物のおもな産地は、青果物にあっては、和歌山、大阪、青森、静岡等であり、水産物にあっては、長崎、山口、福岡、北海道、兵庫等であります。  また、この市場の運営について見ますると、関係業者数は、卸売人は十五社で、そのうち青果物関係は五社、水産物関係が三社、その他が七社、仲買人は千百二十四人で、そのうち青果物関係が四百五十四人、水産物関係が六百四十一人であります。その他に売買参加者が七十八人おります。卸売場については、青果物にあっては一年ごと、水産物にあっては三年ごとに更新が行われることになっており、その期間中の各社の取扱い量の実績によって売場面積がきめられることになっております。また、即売人と仲買人との取引は、せり売りが行われることになっておりますが、実情は、必ずしも公正妥当なせり売りとは言いがたい方法が行われております。なお市当局は、中央市場の運営の完全を期するため、本場及び分場の整備を急いでおりますが、整備計画は、本場に八億八千万円、東部分場の新設に九億一千万円、南部分場に二億三千万円を予定して、昭和三十五年度中に完成させるべく、着々その準備を進めております。  次に、市場関係者との懇談会の模様について申し上げますと、この会議に出席された方々は、大阪府、市場開設者、卸売人、仲買人、小売人、生産出荷者団体等の各界代表約四十名でありました。この懇談会における各界代表の要望のおもなものを申し上げますと大阪市としての要望の第一点は、類似市場の規制についてでありますが、さきの改正で、類似市場は届出制となったが、今日まで果してどの程度の規制の実が上ったか疑問である。第二点は、開設者に対する権限の付与についてでありますが、市場については、実情を最もよく知っている開設者に権限を与えるべきで、農林大臣は開設者を監督するという建前に改めていただきたい。第三点は、補助金、起債等財政的援助についてでありまするが、農林省予算では、市場対策費はわずかに十四万円で、政府の市場に対する関心がいかに薄弱であるかがわかる。もっと補助金等の財政的援助を積極的に行うべきであるというのであります。卸売人の要望する点につきましては、今回の法律改正については異存はないが、この改正は、明らかに丸東問題に端を発したものであって、政治の貧困を裏書きするものである。このような改正で、全面的に流通面が改善されるかどうか疑わしいので、将来とも中火卸売市場のあり方について、根本的な検討を加えるべきであるというのであります。仲買人の要望の第一点は、奨励金の規制は、市場経済に関する当局の認識不足を物語るものである。仲買人の卸売人に対する支払協定では、買受日を含めて四日目となっているのに反し、買出人に対するそれがないために、売掛金の回収率は平均二十日を要し、その間は借入金によっているのであって、この奨励金は、代金支払いの保証という意味を持っており、この規制は、かえって市場取引の円滑を失わしめるものである。第二点は、類似市場に対する規制や取締りが一向に講じられないのは遺憾である。第三点は、全面改正の時期に来ているので、早急に検討してほしいというのであります。小売人の要望は、類似市場の分場化について考えてほしいというのであります。生産出荷者団体の要望の第一点は、奨励金については、実際の生産者に行かす、農協などの一部特定人を肥やしているだけである。従って、この際奨励金の規制は賛成である。第二は、販売面の中間経費すなわち手数料の引き下げを考慮していただきたい。第三は、中央市場の設備の拡充と類似市場の分場化の促進に、類似市場の規制の強化を行うべきであるというのであります。以上が各界代表の要望でありました。  かくして中央卸売市場における調査を終り、午後浪速区にあります大阪木津卸売市場を視察いたしました。この市場は類似市場でございまして、昭和二十五年十二月民間の会社によって開設されたもので、敷地面積六千二百坪、建築面積四千五百坪で、そのうち荷受売場は五百五十坪、卸売場三千坪、冷蔵庫の収容力は三千トンであります。取扱い品目は青果物及び水産物で、その取扱い額は年間七十数億円で、そのうち八〇%が青果物であります。また、関係業者数は、荷受機関五、卸売人四百六十一名であります。ここに集荷される品物は、主として市場周辺の近郷から運ばれるもので、一部には遠方より来るものもあるようであります。  時間の都合で、ここの視察は簡単に済ませまして、西成区にある大阪市食肉卸売市場へ参ったのであります。この食肉卸売市場は、大阪市が、政府の食肉関係流通機構の改善策に沿い、食肉の公正取引を実施するために、かつて市の食肉卸売商組合が所有をしていた屠畜場を買収し、政府の余剰農産物見返資金から九千六百万円の融資を受けて、新たに食肉卸売場及び冷蔵庫等を建てて、本年一月から、中央卸売市場法に基く取引業務を開始したものであります。ここの取扱い品目は、牛、馬、豚、緬羊及びヤギでありまして、卸売場は三百四十六坪、一回の取引可能頭数は、牛馬二百三頭、豚四百五頭であります。冷蔵庫は空冷式で、地下室となっておりまして、その面積は三百四十坪、収容力は、牛馬六百五十八頭、豚六百十四頭で、屠畜場、卸売場及び冷蔵庫間の枝肉の搬送は、すべてモノレールを使用するという、最新の設備を持っております。屠畜場の屠殺能力は、一日五時間作業で、牛三百頭、馬五十頭、豚五百頭であります。  以上のような設備を有しておるのでありますが、現在は、発足後日も浅いし、また、枝肉市場に対して関係者が批判的である等の理由によりまして、一日の屠殺量は、牛百頭、馬五頭、豚百五十頭程度で、このうち枝肉市場に上場されるものは六〇%程度であります。取引は、中央卸売市場法に基いて行われておりますが、現在までのところ、価格の点については、生産者及び消費者にとっては、いい結果が出ているようであります。これらの関係業者の数は、荷受機関が二社、売買参加者が百三人であります。  次に、この市場における関係業者、特に卸売人の強い要望を申し上げますると、枝肉市場の制度は、食肉の流通過程の合理化と食肉の公正取引の面から、まことにけっこうな制度でありますので、これが実施につきましては、全面的協力を惜しまないが、古い制度のもとに今日まで働いてきた多数の弱小な仲買人等は、現在失業に等しい状態に置かれているのであります。これらの仲買人は、新しい荷受機関の職員として作業についておるのでありますが、上場される枝肉の頭数が少いので、生計を維持するだけの給与が得られないという深刻な問題となっているのであります。従って、当局においては、農協等からの出何について積極的な指導を行う等、これが救済策を早急に樹立するのでなければ、せっかくのこのよい制度の存立が危ぶまれるというのであります。  以上をもって調査日程を完了いたし、二十三日帰京をいたしました。  以上、御報告を申し上げます。
  32. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 第三班、雨森君。
  33. 雨森常夫

    雨森常夫君 第三班の視察の結果のごく概略を御報告申し上げます。  第三班は、私と安部委員北條委員の三人で、広島の中央卸売市場を見て参りました。三月二十日東京発、二十一日広島に到着、さっそく県市当局から中央卸売市場の概況について説明を聞きました。広島市の中央卸売市場は、昭和二十四年十月開設され、昭和三十一年の総取扱い高は約二十億、開設当時から見ますと、三倍以上の増加率を示しております。市場の需給の特質といたしましては、蔬菜は、広島県が生産地であるため、県内産が七〇%を占めておりますが、果実では、県外産が六四%を占め、鮮魚は、七七%が県外から集荷されている状況であります。県では、農林大臣からの職権委任により、中央卸売市場の卸売人の業務の検査、取引の改善等を指導中であります。  翌二十二日朝六時から、草津にある魚市場を視察いたしまして、引き続いて関係業者と懇談をいたしました。この市場は、県条例で認可している類似市場でありますが、昨年の取扱い高は十九億円、広島県下魚介類入荷量の四五%を占め、魚市場として重きをなしている実情にあります。従って、市の中央卸売市場としては、これを包括して、市場法による市場とすることが検討中であり、却売人としても、当市場の歴史にかんがみて、市当局の善処が要望されました。  十時から中央卸売市場を視察しました。当市場は、面積六千七百坪、建坪四千二百坪でありまして、卸売人十二人、仲買人五十人、付属営業人三十五人、売買参加の指定買出人は六百九十六人であります。有名な大長ミカンを初め、県下島嶼部の柑橘がばらばらで船積みされて出荷されて、場内の選果機で選別され、せり売りされておる状況等を視察しました。午後から市場内の会議室で、生産者、消費者代表を初め、市場関係者代表と、今回の中央卸売市場法の改正を中心として懇談会を開きました。まず、今回の改正の第一点である、中央卸売市場という名称の使用禁止の規定については別段問題はなく、先の藤津市場の中央魚市場という名称もいけないかという質問があった程度でありました。第二点の、奨励金、前渡金を制限する規定を、業務規定に定めることができることとする改正点につきましては、卸売人としては賛成であり、市場開設者としても、きわめて妥当な措置であるが、実施に当っては、漸次規制していく必要があるとされ、それぞれ市場の特殊性に応じた運用を行なってほしいという要望がありました。しかし、生産者代表、出荷団体代表といたしましては、今直ちにこれら出荷奨励金、前渡金を廃止することは、手数料の引き上げと同じ結果になるし、出荷団体農協等に影響するところが大きい。奨励金は産地育成のためあった方がよいし、前渡金は必要であるという意見が述べられました。奨励金はどのくらいもらっているかという質問に対し、京阪神への出荷は、手数料が一割であるから二分、当市場の手数料は八分であるから一分が戻されており、出荷販売額が大きいだけに、年間何十万円という額になる。従って、この制限規定を設けようとするのは、卸売人保護の悪法だという一部の強い意見もありました。しかし、現実に奨励金は生産農民の手に渡っているのかという質問に答えて、一分の歩戻しの半分、すなわち〇・五%が生産者へ返されるとのことでありました。また、仲買人代表としては、代払い制をとり、代金を一括して卸売人に支払っており、これまた売買参加者へ奨励金が出されるのは当然である。当市場では、一・三%の奨励金が売買参加者へ支払われているとのことでありました。むしろ卸売人を適限少数に整理することが先決である。しかし、単数制には反対であるという意見が述べられました。また、小売商の代表としましても、奨励金は当然と考えるが、仲買人も極限少数にしてもらいたい。仲買人が市中の大口消費者に直接販売している場合があるので、県条例で禁止しているのであるから、これを取り締ってほしいとの要望がありました。  第三点の、卸売人の純資産の問題については、生産者代表から、取引の安全が第一であるから、改正の趣旨はけっこうであるが、卸売人は、前渡金や奨励金のほかに、ずいぶんむだな経費を使っているから、その方の節減の規制をはかるべきだという意見が述べられました。また御売人代表からは、純資産の報告、監査等の改正法案措置もよいが、信用資力を高めるためには企業整備が必要であり、これに対する積極的な保護指導政策、特に長期低利の融資等、監督だけでなく、保護育成を考えていただきたいという要望が述べられました。なお、市場開設者、県当局からは、卸売人の経理検査、経営指導、仕切り検査等を行う職員は、現在の財政事情より、増員が困難であるので、これら経費の補助等の措置を講じてほしいという要望がありました。  また、中央卸売市場全般の問題としましては、消費者代表、生産者代表より、市場で野菜の価格が暴落しているのに、小売の店頭では、あまり価格が下らないのは、市場組織全体に欠陥があるのではないか。従って、市場法の一部改正もよいが、このような生鮮食料品の流通機構全般の改善をも含めて、全面的に再検討を加え、根本的改正を望むという意見が述べられ、市場法と別に、野菜類、青果物の生産過剰対策と、価格安定策が強く要望されました。また、枝肉市場の問題につきましては、当地では、冷蔵庫等が建設中で、実際にはまだ行われておらぬが、取引単位がきわめて小さいので、せりの方法は不適当であり、当分の間現状を維持されたいと、業者代表の意見が述べられました。このように、市場法の改正点につきましては、改正法案内容が一般に十分理解されていなかった点もあり、それぞれ利害の相対立する関係者代表の懇談会でありましたので、代表者の意見は、必ずしも一致を見なかったのでありますが、一般的に見て、今回の法律改正は、妥当な措置と考えられているようでありました。ただ、これらの現地の声を総合してみますとき、人口の増加に伴って、中央卸売市場が漸次生産者にも消費者にも重要な機関となりつつあることでありまして、積極的に施設を改善し、機構運営を適正にする必要がある。従って、施設の拡張改善、取引方法の改善等について、農林当局の積極的政策が要望され、法律そのものについても、審議会等を設けて、根本的な改正を行うべきであり、市場の整備資金や起債等についても、積極的な援助と助成措置が行わるべきであるという意見が強く述べられました。特に広島には援助が少いし、ほとんど死文になっている法第八条の補助金交付の規定なども、実質的に発動するようにしてもらいたいという強い要望がありました。これに関連して、特に前申し述べました草津魚市場の中央市場に吸収することを農林省が勧奨している当広島市場の実情としては、市場の拡張、護岸、岸壁、荷上げ場の施設等に対する補助金等によって合併が促進されるものと思われます。  最後に、同じ中央卸売市場でも、大都市と中都市では異なっておりまするし、また、地方によって、開設に至る歴史や業者の伝統も異なるので、本改案正の運用についても、これらの地方の実情を十分考慮してほしいというのが全体としての結論でありました。以上、要点のみを御報告申し上げます。
  34. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ありがとうございました。  ただいまの御報告に対して御質疑の向きは、御質疑を願います。(「なし」と呼ぶ者あり)  この点は、この程度にいたします。   ―――――――――――――
  35. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 農業改良助長法の一部を改正する法律案議題にいたします。  この法律案は、本日衆議院において、全会一致をもって原案通り可決されました。この法律案については、前回委員会において提案理由の説明を聞いておりますので、本日は、まず法律案内容その他について補足説明を求めます。
  36. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 先般御説明を申し上げました農業改良助長法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして、なるべく重複を避けまして、補足説明をさせていただきたいと思うのでございます。  農業改良助長法は、昭和二十三年に施行されまして、これに基きまして、試験研究と技術普及を車の輪のように並行いたしまして、農民の農業技術の改善のための制度が実施されて参ったのでございまするが、この制度が戦後の農業生産の改善に貢献をいたしたところは、非常に大きいと考えるのでございます。昨年度の米の三年続きの豊作を見たようなことも、こういう制度によりまして、最新の技術が農家の手元に確実に普及がされたということが一番の根本の一つの理由になっておると思うのでございます。この制度は、国民経済の安定の上にも、相当顕著な大きな貢献をいたしておると考えるのでございます。  ただ、最近の農業の発達によりまして、いよいよ農業経営の多角化あるいは技術の高度化ということが要請をされておりまするので、この要請にこたえますために、各種の高度な技術指導並びに畜産、果樹、園芸、蔬菜、あるいは農機具の使用の技術等、特殊の技術を組み合せまして、総合的に農家の技術指導に当りますために、従来事実上設置せられております中地区制の普及所というものをこの際法制化をいたしまして、先ほど申し上げましたような、総合的な高度の技術指導を徹底させたいというのが、この法律を改正する理由でございます。  お手元に、縦に閉じました「一般参考資料」というのがございますが、その五枚目をお開き願いますと、昭和三十三年の一月末現在におきまして、各県がそのために置いております事務所あるいは普及所あるいは相談所等、名称はいろいろ異なっておりますけれども、事実上普及員が連絡をいたしますための機構が実際に置かれておるのでございます。しかしながら、ごらんいただきますように、その根拠となるものは、規則によるもの、告示によるもの、訓示によるもの、その他いろいろまちまちでございまするし、また、その事務所の担当いたします地区の広さなり、その実際の事務の連絡の程度なりがいろいろまちまちでございまして、私どもが今考えておりまするような、高度の各種の特殊技術を総合指導するための機構としては不十分であると考えますので、これを改良助長法の改正によって、中地区の技術指導組織として確立をいたしたいということであるのでございます。お手元に配りました資料の一枚目に、機構図を作っておきましたのでございます。今後こういうふうな機構で、技術指導をいたして参りたいと考えておるわけでございます。農林の下に都道府県がございまして、そこに普及事業の専門的な技術を下の方に伝えますために、また下の方の、農家側の技術指導に対する要求を試験研究機関に取り次ぎますための専門技術員というのがございます。これは、六百八十九名でございまして、この中には、農業の専門技術員と、生活改善の専門技術員とがあるわけでございます。その下に、農業改定普及所が置かれるわけでございます。この数は、昨年の春ごろから、漸次各県の実際の数を私どもの方と協議をいたしまして、中地区の指導にふさわしいような機構に直すように、技術上指導をいたして参っておりまして、おおむね来年度から、目標にいたします千五百八十六にするための都道府県との協議は大体済んでおるのでございますが、まだ一部の道県におきまして、もう少し協議が残っておる点もございます。これらにつきましては、今後各道県の実情に即しまして、この普及所の数等はきめて参りたいと考えておるわけでございます。この普及所に普及員が所属するわけでございますが、来年度からは、特に特技普及員を新設いたしたいと考えておるのでございます。これは、三年計画で、現在の計画といたしましては、千五百九十八名を設置いたしたいと思っておるのでございまするが、その初年度といたしまして、五百三十名の新設が認められたわけでございます。このうちの二百三十名が純粋の新設でございまして、三百名が一般普及員からの定員の振りかえによる新設でございます。そのほかに、新しく、所長が千五百八十六名できますので、所長の千五百八十六名、一般普及員の八千五百十名、特技普及員の五百三十名が農業改良普及員を構成することになります。このほかに、生活改善の普及員が千五百九十七名、これは、来年度から九十二名の増員を見ることに相なっておるのでございます。この普及員が普及所に所属をいたしまして、従来通り直接農民に接して、技術指導を行うという建前をもって進むわけでございまするが、その際のいろいろな総合調整をこの事務所において行う。また、その右側にございますように、農民に対する技術指導の関係では、市町村におります改良の職員あるいは農業委員会職員、あるいは農業協同組合の営農指導員等がおるわけでございます。これらにつきましては、新しく設けられます農業改良普及所を中心にいたしまして、随時技術指導上の協議を行いまして、技術指導の総合性を保っていきたいと考えておるのでございます。普及員の下に、農家の技術の受け入れ体制として、いろいろなものができておりますが、まず第一に農事研究会、これは、現存全国で約二万五千の会がございまして、会員は五十区万と推定いたしております。生活改善のグループは、全国で八千ございまして、会員数が十八万ということになっております。それから、青少年のグループ活動をいたします4Hクラブというものが、全出国で約二万できておりまして、会員は三十万と推定いたしております。こういう機構で、試験研究の成果が農家の実際の経営にまで届くように、今後の普及事業を推進して参りたいと考えておるわけでございます。  なお、来年度予算につきましてその次のページに資料をつけておきましたが、来年度の改良農業普及事業の補助金は、十九億九千九百七十七万円でございます。このほかに、農林省の本省の事務費が六百八十五万四千円でございます。そして、今回法律改正により設置をされます農業改良普及所の運営費といたしましては、もう一枚めくっていただきました三ページ、上から七行日あたりのところに、Cといたしまして、地区普及所運営費補助金というのがございます。千五百八十六の支所に対しまして、一カ所当り六正方五千百円、金額において一億三百二十四万八千円を計上いたしておるのでございますか、この運営費は、右の方に基盤の目の表をつけておきましたように、一普及所当り、まん中のところに計とございますように、十万二千七百九十円の経費を一応想定をいたしまして、これに対しまする三分の二補助といたしまして、六万五千百円を計上いたしておるわけでございます。  大体、以上をもって説明を終らしていただきます。
  37. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから審査を行います。  まず、質疑に入ります。御質疑の向きは、御質疑を願います。
  38. 柴田栄

    柴田栄君 この農業改良普及の重要性とその実績ということは、関係者はきわめてよく認識しているとは思うわけですが、従来、政府部内全体、特に大蔵省あたりでは、とかくどうも認識が足らないために、非常に大きな補助をしながら、不安定な状態に置かれたり、あるいは必要な定員数を確保することに困難を感じたりというような傾向が非常に強くなったのじゃないかという気がするわけです。今ここに、今度の法律改正に伴って、地区の普及所の単位当りの経費というものを一応設定しておられまするが、果してこの単位当り十万二千円の一カ所の実際の経費というものの見方は、これで大体足るというようなお見込みですか。
  39. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 従来の普及所は、先ほど申し上げましたように、必ずしも全国同じような仕事やり方をやっておらないのでございまして、従いまして、その経費につきましても、いろいろと程度の差が相当あるようでございます。しかしながら、普及所としては、ほんとうに普及員を調整して、地区の技術指導に責任を持つような仕事やり方をいたしますと、これは、相当普及員の事務的な補助員も必要でございましょうし、あるいは通信費、消耗品費等も相当必要でございましょうし、従いまして、中には、私どもの計算いたしております金額より以上に、相当経費がかかっておるという普及所が相当あるようでございます。それらにつきましては、あるいは市町村の負担、あるいはその他の団体等の負担等をもわずらわしておるような実情にあるかと思っております。これらにつきましては、今後この普及所の法制化を一つの機会にいたしまして、できるだけ国費並びに県費をもって十分な運営費が確保できるように努力をいたさなければならぬと、こう思っております。
  40. 柴田栄

    柴田栄君 その考えはよくわかるのですが、実情は、従来協力団体といいますか、市町村とか、あるいは協同組合、農業会等が、実際の活動をするためには、相当の実質的な負担をしてきたのだ。さらに今法制化されて、普及事務所が開設されるということになれば、実際に政府あるいは県が、これをよりよく運営しようという企図の結果が、市町村の負担を一方的に増されるという危険がありはしないかという批判がかなり強かったわけですね。まあ極端に申せば、農家の経営の指導、経済的、技術的な改善普及という問題は、たくさんの補助助成仕事のほんとうの効果を現わすポイントになりゃしないかと思う。こういうかなめになるような問題を、非常に従たるような取扱いをしているのだという感じがしてならなかったわけですが、幸いにして、この改正によって、これは一歩非常に前進するというふうには見られるのだが、これに対して、やはり魂を入れていただく、結局、国がそれだけ力を入れているのだ、そして将来も安定してやらせるのだという明確な見通しがないと、かえって迷惑をかけるばかりになるという心配があるわけですね。そこで、従来この補助金というものは、どういう規定で交付されておったわけですか。
  41. 永野正二

    政府委員(永野正二君) お手元の活字で刷りましたところに、参考条文を入れておきましたのでございますが、おしまいから二枚目の紙でございますが、その裏の方に、十四条というのがございます。この十四条が、補助金の対象になる事業を列挙しておるわけでございますが、その一号に「改良普及員を置くこと。」ということが書いてございます。三号には「改良普及員の巡回指導、農場展示、出版物の配布、講習会の開催、器材の利用その他の手段により、農民に対し農業又は農民生活の改善に関する教示及び実地展示を行うこと。」というのがございます。この二つの条文をもちまして、改良普及員の活動に必要な経費、従いまして、それは普及所の経費ということになるわけでございます。それらのものを補助の対象にいたしているわけでございます。この点につきましては、文章といたして、必ずしも非常にはっきりしたとは申しかねる点もあるのでございますが、そういう解釈につきましては、十分大蔵省とも打ち合せをいたした上でお答えをしておるということを御了承を願いたいと思います。
  42. 柴田栄

    柴田栄君 まあ、大蔵省と十分打ち合せを願っているということですが、従来大蔵省と口約束をしても、毎年のごとく脅かされておるんだということで、そのつど関係者が非常に不安を感ずるのだというようなことでは、こういう重要なことが腰を据えてやれないというような環境、雰囲気を作るというのは非常に私は残念だと思うのですね。今度の法律改正に、どうしてこの普及所に関する国の補助の規定を明文化できなかったかということですが。何か少し、せっかく重要なことが部内で完全に徹底され、認識されていないというようなうらみはないのですか。
  43. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 審議の過程におきまして先ほど申し上げましたような点について、十分大蔵省とも話し合いをいたしました上で、今回の改正案を作ったのでございますが、なお、立法技術的に申し上げますと、改良普及員を置くこと自体が一つ、すでに書いてあるわけでございます。改良普及所の経費をここに明文で加えますと、あるいは厳密な読み方をすれば、改良普及員の方をむしろ削って、普及員というものは普及所に属するんだから、普及所の経費というふうに書くという案も一つあり得るわけでございますが、私どもは、やはり改良普及員というものをこの普及事業の一つの根幹的な制度と考えておりますので、それを落されるよりは、むしろこの形のままで、ただいま申し上つげましたような、大蔵省との打ち合せを根拠にいたして、今後考えていくことが適当であると、こう考えたわけでございます。
  44. 柴田栄

    柴田栄君 もちろん、普及員の補助に関して、それを非常に不安にするようなことは、もってのほかだと思うのですが、まあことしあたりの例を見ても、実は補助率について、きわめて簡単にこれを削減しようというような動きがあるわけなんです。そのために、当事者の身になってみれば、きわめて不安なことになりやしないかと、そういうような気持を持たしておいて、しかも、必ずしも十分でない人数で、非常に重要な、しかもいい仕事をしてる人たちをほんとうに遇する道ではないと私は考えておるわけです。それはもちろん、従って安定化させなきゃいかぬ、しかも十分な活動をさせるために、普及所というものについても、将来変らないんだ、十分に活動できるように安定させるんだという方向はもっと強く、もちろん農林省省としては主張していただいてしかるべきじゃないか。いわんや、わからないという場合には、政府部内が徹底するように、さらに御努力を願い、そうして認識を深めて、この制度を活用するということにならなければ、私は、ほんとうに効果を現わし得ないんじゃないかという気がするんですがね。何かそういうことが明文化されないということは、逆に、まあ杞憂かもしれないが、心配して考えれば、将来また補助率をなぶりたいというときに都合が悪いから、そういうことを書かれちゃならないなんていうような、大蔵省あたりの圧力が多少かかり過ぎてないかということを、これは、私が杞憂として心配するということであれば幸いだが、そんな気さえするが、そういうことはないんですか。
  45. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 実際の経過につきましては、柴田委員も御承知のように、大蔵省の内部の考え方としては、いろいろあり得ると思うのでございます。しかしながら、今回の改正案を政府提案としてまとめました過程におきまして、私どもも将来の普及事業を不安定なような状態におくことは非常に好ましくないという点を十分説明もいたしております。その上で、先ほど申し上げましたようなふうに考え方を統一をいたしておるわけでございますので、今後は、いやしくもそういうことがあってはならないと考えておりますし、また、十分その点は徹底をいたしておる、こういうふうに存じておるのでございます。
  46. 柴田栄

    柴田栄君 今局長から、相当予算確保の面において十分なお話し合いをいただいておるということで、やや安心いたしましたが、この際、特に次官に、はっきりと一つ、今後この制度と、これに関連する人たちが安定して、積極的に活動できるように、政府の確固たる見解を一つ承わっておきたいと思うのです。
  47. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) この改良普及員の制度が行われまして、御承知の通りに、当初の間は、この実効が認められぬといいますか、不なれな点もありまして、各市町村等におきましては、それほど好ましいものでないというような空気があったのであります。働いてもらう人たちも、仕事になれてくるに従って、地について参りまして、今お話のように、非常に効果をあげておる。ますますこういう制度を助長いたしまして、技術その他日本の農業の改良をして、生産を上げたい、そして農家の生活の安定の資に供したいということでありまして、そこで、こういうふうな、今度の一部改正をいたしまして、普及員というものを公式に置く、こういうところまで進めておるわけでありますから、ますますにの制度を強化していく、こういう考えでおるわけであります。ただいまお話のように、予算措置の点について、明文がそれほどで十分でありません。この点は、ざっくばらんに申し上げて、毎年予算編成については、財務当局とはいろいろ意見の食い違いが生ずるのでありますけれども、今度の改正等につきましても、いきさつは別といたしまして、政府部内で統一して提案をするようになりましたので、そういうことについては将来懸念のないものと、こういうふうに承知いたしておるわけであります。
  48. 柴田栄

    柴田栄君 多少くどいようですが、重ねてお願い申し上げたいわけですが、従来とかく十分に認識されなくて、やや厄介視されたというお話もありまして、経過においては、そういうことはあり得たと思うのですが、その大きな原因が、最初に当局が考えた以上に地元の協力といいますか、負担が多過ぎたのだということ等から批判されたことが非常に大きいのではないかという気さえするのですが、しかし、やってみれば、きわめて大きな効果を上げているんだということが、今お話のごとく、今後は十分に認識されて行われるということになれば、それは非常にけっこうだと思っておりますが、さらに、普及所を法制的に開設するんだということになりまして、普及所の運営の経費というものが、どうも私は、平均一カ所当り十万円前後ということでは、またほんとうに活動を要望するということになれば、実は私は非常に足りぬのではないかという気がするのです。せっかく設けたが、十分に活動ができない、十分に活動させるためには、また協力費を方々から迷惑をかけなければならぬということになると、かえって従来の方がいいんだということを言われては、実に残念きわまることです。そのことによって、効果が上るべきものがかえって逆に批判されるということは、私は大問題だと思っているのです。将来、少くも普及所が法の改正によって法制化された暁においては、普及所が十分に活動できるように、予算の補助率等の問題ももちろん安定させてもらわなければならぬですが、額について妥当な額をぜひとも確保する、また、大概当局にもそのことを、必要性を十分に認識させるということを、責任をもってお進みいただきたい。こう思っておりますが、その点について御確答をお願い申し上げます。
  49. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 今このお説通りに、先ほど局長から御説明を申し上げました予算が、かりに一カ所十万二千円程度、決して満足だとは思っておりません。これは、予算編成について各種の事情がありまして、なかなか困難をいたしておるということは、よく御了解ができると思いますけれども、こういう新しい、しかも、末端において非常に期待をされておる問題について、正直なところ、必ずしも財政当局などで、特に農業政策において十分な認識があるとは言えない点がある。こういう点は、われわれも努力しなければなりませんし、現在の、今参議院において審議中のこの予算が必ずしも満足であると思っておりませんので、将来また十分努力をいたしたいと思っております。
  50. 大河原一次

    大河原一次君 関連して。私も、ただいま質問されました柴田委員考え方に対しては、全く同感なんでありますが、実は、たまたま私が東北地方の農村の、農業改良普及促進大会という大会に参ったわけであります。非常にこれは、最近農業改良という問題に対して相当の真剣な態度で、特に青年層においてがんばっておられる。しかしながら、半面に考えますと、こういう現象がある。最近、政府でやっておる農業改良というものは、つまりこの農業改良助成の対象になるものは一部のいわゆる富裕農家であって、五反百姓あるいは零細農家、兼業農家というものは、何らの恩典にも浴することができない、そういう仕組みになっておるのだ、こういうふうなことが一部の人から聞かされるわけです。私も、そういう面に対して、いろいろな方々と懇談いたしますと、確かにそのような事態が起っておるわけであります。決して私は、こういう農業改良助成というような問題がいうところの三割農政のうらみがあるというようなことを言っておるのではないのですが……。  そこで、今回の法の一部改正によって、どれだけまんべんなく、各農家個個に対して、ほんとうに身の入ったいわゆる今後の改良助成が行われるかどうか。こういう点に対して、一つ農政の問題でもあろうと思いますので、次官の方からお答えを願いたく思います。
  51. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 私ども、この普及制度によります技術指導を、農家の一部の、上の階層にのみとどめるような考え方は毛頭持っておらないのでございます。あらゆる農民にとりまして必要な技術の指導を徹底させたいという念願を持っておるのでございまするが、ただいま御批判のような点が、あるいは従来地方によっては、そういう批判があり得たかと思うのでございます。従来技術指導も、まあ地帯によりますけれども、主要食糧の増産ということが非常に農業のおもな命題でありましたので、たとえば、稲作の指導というような点については、相当徹底した技術指導が行われたと思うのでございます。しかしながら、畑作等の指導につきましては、これは、技術指導にいろいろな困難性もある関係もございまするが、これはむしろ、今後力を入れていかなければならない面であると思うのでございます。これらが、従来の一部の農家でなく、ほんとうに零細な農家あるいは部の兼業農家等の農業経営を改良するための一つの要諦になっておると思うでございます。従いまして、私どもは、従来非常に力の入りました水稲その他の指導につきましては、これは、より一そう新しい技術の普及に努めなければなりませんけれども、従来取り残されておりました、畑作等のおくれた部門の農業指導につきましても、今回特技普及員を、その関係の普及員を特に増員をしたしつまして、あるいは特技研修を一般の普及員に対しても数多くやり、できるだけ幅の広い、いろいろの階層の農家、いろいろな立地条件の農家の農業経営に役に立つような普及をいたしていきたいという念願で、その一助といたしまして、今回の法の一部改正の提案をいたしたのでございます。
  52. 大河原一次

    大河原一次君 補助金の削減というものが、これは、今日まで非常に大きく言われておる。先ほど柴田委員の方からも、補助金削減という問題が出されたのですが、最近政府等においては、非常に農業改良というものを強く叫ばれておるようですが、一面に補助金区を削減し、しかも、これにかわるに、融資政策をもってかえるという、いわば今日までの農政の何か転換が行われているのではないかという印象をわれわれは受けるのであります。こういうことを考えますと、結局、補助金というものの政策が薄らいで、融資政策にかえられるということになりますと、先ほど僕が申し上げましたが、三割農政と言うのではないのでありますが、融資を受ける、その融資の対象になる方々は、やはり相当の富裕農家である。一般の、あるいは中以下の農家の方々は、実際は融資の対象になっていない。融資を受けられないという現象になると思うのであります。こういう点は、農村の方から実際出ている問題だ。こういうことは、実際から言うと、われわれといたしましては好ましい問題ではない。従って、結局融資の対象になるものは富裕農家であって、一般の方々はその対象にはならない。実際なっても、実質的に借りることに困難が伴っておるということを考えますと、結局、こういう問題はやはり三割農政に通ずるものではないかというような端的な意見も出るわけである。そういう点につきまして、一つお伺いしたい。
  53. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 今、農業政策の根本につきまして、補助政策を融資政策に切りかえる方向にありはしないか、そういう懸念もあるというようなお話でありましたが、なるほど一部においては、補助政策について相当の批判がありまして、融資政策にしたらどうかというような意見もあるわけであります。しかしながら、御承知のように、日本の農業事情では、この補助政策といいますか、保護政策を根本に取り上げなければ、日本の農村政策ができないというようなことを根本的に考えております。ただ、国家財政がなかなか思うように参りませんので、その足らないところを補助的に融資を、融資政策によってやろうという考え方は持っております。これは、今度十分御審議を願わなければならぬ農業、農地改良守について基金を設けまして、低利で長期に融資をして、できるだけ事業を促進したいということの実は案を立てておるのも、やはり財政的に限度がありますので、非常に急がなくちゃならないが、財政事情によって、なかなか遅々として効果が上らない、そういう町が、他の資金によって早くその効果を上げたいという補助的なものとして、そういうことを考えておりますが、根本的には、決して補助政策と申しますか、保護政策を変えるという考えは持っておらないのでありますから、御了解を願いたいと思います。
  54. 仲原善一

    ○仲原善一君 今度の改正のねらいで、中地区制をおとりになるということになっておるようでありますが、予算書を見ますと、千五百八十六の地区にしぼられるようになっておりますが、ところが、現状を申しますと、いまだに小地区制で、各町村に駐在している所もあるようでございますし、たとえば、中地区制をとっておっても、この数字、千五百八十六におさまるかどうかという点が非常に疑問がありますが、その点は、農林省の方は、どういうふうにしてこの数に合せるように指導さされるのか、まず等一に、その点をお伺いします。
  55. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 先ほども御説明申し上げましたように、現在まで各府県におきます地区の数というものは、必ずしも私どもが将来考えております地区の数とは一致しておらないのでございまするが、これは、昨年の、昭和三十二年の二月現在におきましては、この地区の数は、全国で千九百三十三あったのでございます。私どもの方といたしましては、全国的な一つのシステムといたしまして、中地区制の指導をいたしたいということで、昨年から本年にかけまして、各都道府県と協議をいたしまして、この地区の数につきまして、いろいろ協議をいたして参ったのでございます。その結果、各県の方でも、私どもの方針に合せるように、地区の再編成を行われたのであります。本年の、昭和三十三年の二月現在では、先ほど申し上げました数字がだいぶ減りまして、千七百七十六になっておるのでございます。なお、このうちでも、四月の一日から、私どもと打ち合せをしたような程度にしようということに話し合いのついておるものもだいぶあるのでございますが、現在協議がまだ済んでおりませんのは、ほんの二、三の県でございまして、将来は、この方針にのっとって、各県で再編成をされることに、大体すでに話し合いがついておるわけでございます。
  56. 仲原善一

    ○仲原善一君 その次は、改良普及員の任務の問題でございますが、本来できましたときには、改良普及員は、行政事務には関係させない、もっぱら農家の相談になって技術普及をやる。供出とか、その他一般の行政事務からは解放するのだという指導をやっておられたようでございますが、最近は、自作農維持創設資金の調査をやらせるとか、新農村の建設のために動員するとか、ずいぶん行政事務負担がふえていると思いますが、方針の切りかえと申しますか、そういうものは、やはり国の行政事務、県の行政事務、そういうものにも関与さしてこれからも使っていこうというお考えであるか。これはまあ一時的な問題で、本来の姿に返って技術普及に専念するのか、その辺の考え方をお伺いいたします。
  57. 永野正二

    政府委員(永野正二君) ただいま仲原委員の御指摘のございましたように、普及員の使命といたしましては、みずから農民に接触いたしまして、農業技術の指導に当るというのが本来の使命でございます。食糧の割り当てでありますとか、あるいは補助金の交付事務でありますとか、そういうような行政事務はタッチさせないという建前は、今後も私どもとしては堅持して参りたい。なるべく普及員諸君の事務的な負担というものがふえないように今後も考えて参りたいと思っております。ただ、現在でも、先ほど御指摘もございましたように、たとえば、自作農維持創設資金の貸付の場合、あるいは農業改良資金の貸付の場合に、いろいろ必要な資料を作成することに相なっております。この二つの資金は、いずれも農家の農業経営を改善いたしますための手段として貸し付けられるものでございます。従いまして、普及員が本来の任務としております当該農家の今後の農業経営の改善という仕事と密接に関係がございますので、これは、今後やはり普及員に負担していただかなければならぬ仕事ではないか、こう思っております。そでのほかの事務的な仕事につきましては、できるだけ普及員の方に負担がかからないように、厳重に戒めて参りたいと思います。
  58. 仲原善一

    ○仲原善一君 次は、補助金の問題でございます。先ほど柴田委員からお話がありましたが、運営費の問題で、一普及事務所当り十万円ちょっとと踏んでございますが、その三分の二で、予算計上されている予算は六万五千百円ということになっておりますが、先ほど柴田委員も御指摘になりましたように、これは、現在の実情から申しますと、非常に少いという感じが実はいたします。今月の上旬に、実は新潟県と福島県の普及事務所を視察に参りまして、実態を調査しました結果によりますと、やはり運営費は、二十万円から四十万円かかっております。それから考えますと、これはまあ四分の一ないし二分の一程度にしか当っておりませんので、この計算の基礎は、どういうところからとられて、十万円ぐらいになっておりますのか、これは、実態にずいぶんかけ離れているのじゃないかという気がいたすので、その計算の基礎をお伺いいたします。
  59. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 先ほども申し上げましたように、現状におきます普及事務所の運営費は、運営の実態に相当差がございますので、非常に程度の差が大きいわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけこの運営費を充実して参るということには、年々努力をして参ったのでございますが、一昨年の予算単価は、たしか一地区あたり二万円であったと思いますが、それが三十二年度は五万八千円になり、三十三年度は六万五千百円になった次第でございます。その根拠といたしましては、右の表にありますように、消耗品費、通信運搬費、印刷製本費、光熱費、それから普及員の事務補助をいたしますための人夫賃という名義でございます。そういうものを計上いたしておるわけでございます。私どもといたしましては、ただいま御指摘のような問題が確かにあると考えておりますので、今後普及所の運営の実態を、いろいろ数字的にもう少し十分に調査をいたしまして、今後の予算については十分、ただいま御指摘のような趣旨で努力をしたい、こう考えておるわけでございます。
  60. 仲原善一

    ○仲原善一君 あと一点だけお伺いいたしますが、これは、農業団体再編成の場合に、ずいぶん問題になった問題でございまして、普及員を町村に置くか、あるいは農業協同組合に置くか、または農地委員会に置くかというような問題で、ずいぶん論争された問題でございますが、今回の措置で、やはり県の事務所である普及所に置くということがはっきりしたのでございますが、それにいたしましても、農業団体との連絡、たとえば、普及事務所と農業協同組合との連結、こういうものが農業改良普及の上に重大な影響がある問題だろうと思いますが、そういう点の指導と申しますが、他の農業団体との連絡協調は、どういうふうにお考えになっておりますか。その点を一つ。  もう一つは、立ったついででございますが、特技普及員が置かれる場合に、試験をおやりになるのか。従来の普及員の中から単に引き上げてやられるのか。あるいは特別な特技普及員の試験というものをやって採用されるのか。その点をお伺いいたします。
  61. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 農業協同組合その他の団体の持っております技術指導機構と十分な協力をいたさなければならないことはもちろんでございまして、今後改良普及所におきましては、その地区内の町村の関係職員あるいは団体の営農指導員等とは、たとえば、一週間に必らず一回集まって、技術指導についての協議をするとかいうふうに、定例的に常時接触を保って総合的な指導に遺憾のないように努めていきでたい、こう考えております。  それから、特技普及員につきましては、もちろん、相当なそれに必要な知識経験が必要なわけでございますので、私どもといたしましては、年度の初めからいきなり置くといようなことをいたしませんで、これにつきましては、六カ月間、畜産は畜産、果樹は果樹、おのおのの項目につきまして十分な研修をいたしました上で、必要な試験等をいたしまして、適格者のみを特技普及員に採用するという方針で考えておるわけでございます。
  62. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 今度の改正は、従来小地区制といわれておったこの制度を本格的に改正しようとする、総合性を持たせようとする案であろうと思うのでございますが、これは、各県によって若干事情は違いますが、各町村ごと、旧町村ごとにひとりずつの普及員を置いております県がかなりあるだろうと思うのでございます。そういう場合に、かつて農林省においては、中地区制を指導しながらも、実際の定員が足りませんために、各県の経費で足りない数を補給いたしまして、そして県単で足りない数を追加いたしまして、各町村ごとに置いておったのであります。現在も、そういう制度をとっておる府県もあるであろうと思うのであります。そこで私は、理想的なことから言いますと、おのおのの技術員が総合的な特技も交えておのおのの地区を交換してその特技に従って指導体系を立てていく、直接指導していくということはまことに望ましいことであると思うのでありますが、必ずしもその方法は中地区制にしなければそれができないというものではない、いろいろやり方においてはそれはでき得る可能性はまだほかにも方法があります。また現にやっておるのであります。そこで土地の条件でありますとか、あるいは土地を中心といたしました、たとえば水利の問題あるいは土地と耕作の関係、あるいは人をよく知るという親密感ということが技術を向上いたしますし、また指導いたしますために大きな役割をするのであります。従いまして中地区制にいたしますことは、基本的に考えてみますと、農業をやりまする直接の耕作民と非常に距離が遠くなる制度である、こういうことは私は各町村に置かれております実態から考えてみますと、一部の事務所を設けて、そこに集合的な総合言計画を立てる場所を新たに作っていこうということは非常に耕作農民とは遠くなると思うのであります。現に町村合併等によりまして、地方自治行政が非常に直接住民と遠隔になった広域行政という形をとりますために、親密感が薄らいでいくということは私は否定できない事実であると思うのでありますが、そういうようなわけ合いで総合性を持つということはいいが、農家と非常に距離が遠くなるという心配を持つのであります。そこでこれはどこの町村におきましても、園芸の非常に発展したまた園芸技術者を主たる技術者として招聘したいというところもありましょう、あるいは畜産に主力を置くところもございましょう、その他畑作あるいは水稲等に主力を置くところもございましょう、そういう向き向きの人を選んでそれぞれの地区に駐在いたしておるのであります。それがこの中地区制になるために今申しましたような弊害が出てきはしないか、また直接県独自の経済において雇用をいたしておりますものを、国費でない連中をどういうふうに今後取扱っていくかということも大きな問題であろうと思うのあります。またこれは一例でございますので申し上げてみたいと思いますが、たとえばそれぞれの県がそれぞれの町村に赴任をいたしまする人数が足りないときには町村連合でその区内の行政上のもとの内でございます、あるいは市の財政において雇用をいたしまして、そうして普及員として活用いたしておるところがございます。そういうもの、直接国なり県なりのお声がかりでない、節合いの違った普及員というものが別に離れなければならないような関係に立つのではなかろうか、こういう心配もあるのでありますが、そういう面の指導は一体どういうふうにされるつもりでありますか。また耕作民と直接遠くなるという理由があり得ると思うのでありますが、そういう弊害をどのような方法で除去されますか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  63. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 普及員の仕事の性質上、農家との接触あるいは農家との近親感が薄らぐようなことはこれは厳重に避けなければならないのであります。私どもこの普及所を制度化いたしました後におきましても、従来通り現在ほぼ旧市町村単位に一名の普及員を置いておりますのは、その普及員の一人々々の受け持ち地区というものも従来通りやはりきめて参りたいと思っておるのであります。ただその普及員が農家の要望にこたえていろいろ活動する際に、必ずしも一人だけの力では足りないところが最近の農業事情ではいろいろ出て参りますので、たえず毎日朝一回普及所に寄って、おれのところでは今度はこういうことをしてほしいのだということを所長とよく相談いたしまして、それに必要なほかの普及員を呼ぶとか、あるいは専門技術員を呼ぶとかいうような必要な連絡をとりながら自分は自分の受け持ち地区の農業指導をやるということにいたしたいのでありまして、決して普及所に詰めまして普及所の机の前で仕事をするというようなふうになってはこれはむしろ改悪になるのではないか、その点は厳重に気をつけていかなければならぬ、こういうふうに考えております。  それから第二の点でございますが、従来一部の県でございますが、国の方の補助職員以外に実際普及員と同じようなものを設置しておられる県が二、三あるのでございます。これは従来普及員の増員ということがなかなか困難でございましたのでやむを得ずそういうことになっておったかと思うのでございます。今回は特技普及員の増員に伴い決して普及員全体としては増員になるわけでございます。また今後もあらゆる機会にこの普及員の増員をいたしますことは、私ども現在の普及員の受け持ち地区あるいは受け持ちの農家の数から考えますと、もう少しふやす必要がある、その点については今後とも努力をいたしたいと考えておりますので、そういう機会にこの普及員制度の中に取り入れて参るように極力努力をいたしたい、こう考えております。
  64. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 将来これは予算にも関係のあるころでございますが、他の委員からも要望がございましたように、県独自の立場において置いておりまするようなものは少くとも一律の制度の中に吸収されて動いてゆかれますような制度にいたしますることが最も必要なことである、それがためには予算をふやしてやってゆくということを要望いたしておきます。  なお私が気にかかりますることは、つい何々所長というような肩書をいただきますと、その人だけは、もう直接田畑に出張って末端指導というものがなかなかできにくくなるような実情が世の中にはまれではないのでありまするが、そういうような意味で、ちゃんとおさまり込んでおるというようなことでなしに、この少いところにおける技術員を、技術を持てる人たちをフルに動員をするという考え方についてどういうような職務内容というか、あるいは心がけをもって指導をされるかを伺いたいと思います。  もう一つ私は最後に、これでやめますが伺いたいと思いますることは、これは私の考え方が違うかもしれませんが、私は基本的に農家指導というものは技術ということが大切なことは申し上げるまでもないのであります、また技術というものが非常に進んで参っておりますることもわれわれは認めておるのでございまして、従来ありました改良普及員というものが最近においてはなくてはならないものになっておりますることも同様に承知をしておりまするし、また敬意を払っておるのでございます、ところが技術というものだけではいけないのでありまして、私は技術と経営というものは同じクラスで両立し、両輪のようなものでなければならぬと思う、技術だけが先行して経営問題、経済問題がどうあってもよいというわけではありませんが、とかく技術が先行して、技術的にものを作ろうという考え方のために経営というものがおろそかになっておるのが今のわが国における農業指導の実態であると思うのであります。従って耕作農民というものと非常に距離が遠くなろうとするこの制度の改変に当りましては、もう一つ農協なり、あるいはその場所は指定いたしませんが、いずれにいたしましても実態の経済を取り扱っている面に経営指導者といいますか、経営を指導する指導員といいますか、そういうようなものがあってこそ初めて技術的に増産される面と生産流通の面とのかみ合いが完全にゆくのであって、それが完全にいってこそ初めて農業経営というものの完全が期せられるのであります。それがとかく国におきましては技術の振興というものが高いウエートを持ち、またそういうものだけに手を尽されるようなうらみがあるように私は思うのでありまするが、将来この経営指導員といいますか、経営指導者といいますか、そういうようなものをもう一面作って、車の両輪のような形で農業経営を進めていく、深く高めていくということが必要なのであろうと、こう思います。先年これは完全に雇用ではなかったかとも思いますが、農林省といたしましては、大蔵省に何がしかの要求をして通過しなかった問題があるかと思いますが、要するに中地区制になった改良普及員のもとに補助員とでもいいますか、経営面もタッチし得る堪能な人を置かれることが、将来の農業経営、農業指導の重要な役割を果す、それがなければ私は片輪な指導になるおそれを多分に心配するのでありますが、将来そういう方面の計画といいますか、しなければならないという決心といいますか、そういうものを伺いたいと思うのであります。
  65. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 第一の点の、所長が、所長という肩書を持つと、どうしても従来の普及員のような実際農家のうちに接し、農家の圃場で指導していくということができなくなるのじゃないかという点でございますが、私どもといたしましては、法律の文章にも明記をいたしておりますように、新しく入れます十四条の第四項に、「農業改良普及所の長は、改良普及員をもってあてるものとする。」というふうにいたしておりまして、所長もやはり普及員でございまして従いまして自分の担当地区を持ち、自分の担当地区の農家は直接指導するという役割を持たせたいと思っておるのでございます。ただもちろん所長といたしましては町長としてつの任務がそのほかに、普及員の事務の連綿調整でありますとか、あるいは上部の県等への連絡の事務であるというものがあるのでございまして、ほかの普及員に比べますと、担当地区とか担当農家の数というようなものにつきましては特別な考慮はいたさなければならぬと思いますが、やはり普及員としての仕事もあわせてやってもらう、普及員の考え方というものから離れることのないように、その点は措置をしていきたい、こう考えております。  それから次にお述べになりました経営に関する指導ということでございますが、これは現段階におきましては、私どもはあらゆる技術指導が、最後は経営なり、農家の所得なりというような点につながってくるわけでございまして、私どもの見ております農業技術の中には当然経営の技術を含めて考えておるのでございます。そのために専門技術一員の中には、経営の専門技術員というものも置いております。また普及員も経営の研修ということをできるだけ数多くやりたいと思っております。もちろん農業団体その他が、それぞれの立場におきましての経営指導をなさいますこと、これも非常にけっこうだと思いますが、私どもの普及組織としても農業米経営の指導ということに今後は十分重点を置いてやって参りたい、こう考えております。
  66. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 ただいまの後段の技術と経営の面につきましては、専門技術員等あるいは技術の終局というものが経営につながるものであるという理論的なものについては私もわかります。がそれは口ではそう言われますけれども実態はそうではないのですよ。それは違います。私は現にこういう事例を見ております。たとえば技術的に、あるところでカラシをたくさん作りました。換金のために非常にいい作物だというので、カラシを作りました。うね巾が幾ら、元肥えが幾らとか、あるいはどういう品種がいいのだと技術指導はやりましただけれども、でき上ったものは、全然売れないものができ上ったのであります。これはいわゆる技術としては完全なものであるけれども、経営上の問題からいくならば全くゼロなのであります。技術というものの終局が経営というものにつながるのだという考え方はこれは関連のないことはありません、一連のものでありますることは、もう間違いございません。お話しの通りでありますが、私は技術というものの最高は、経営に通ずるものなりという定義だけでは、この農家指導というものがいくものでないと思う。従って技術というものによくマッチする経営というものがなければ、はっきり言えばこれは私は技術的なものだけであって経済的なものに足を踏み込んではならない、そういう指導をすることはこれはけっこうだと思います。これは一面においてそういう方針が確立していることはけっこうだと思いますが、しかし一面いわゆる経営というものは羽織のひものようなものでありまして、一つの技術があったら必ず一方にも同様の経営というのがなければならないということを考え、今後の農協等につまり補助技術員といいますか、そういう経営というものの担任のできる、指導のできるものを将来へお考えになるということが、大へん必要なことである、こう私は思う。重ねて御意見を伺いたいと思います。
  67. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 普及事業の対象といたします中には、私は当然ただいまの引例をなさいました、ような作物の生産のみならず、それを市場に出して、いかにして有利に販売するかというような指導も今後は十分含めて考えなければ、たとえば畜産の指導にいたしましても、園芸の指導にいたしましても実を結ばないと思うのであります。この点は御意見に十分従いまして今後努力をいたしたいと思いますが、なお普及員の普及組織といたしましては、たとえば農協の営農指導員、それも相当全国では数多くの人が働いておられるわけであります。これらの方々とも常時、今申し上げましたように緊密な連絡をとりまして、単なる耕作技術、単なる作物の技術にとどまらないような技術指導が徹底できるようにこれは十分努力いたしたいと思います。
  68. 東隆

    東隆君 私は今回の改正には賛成いたしますが、改良普及所という名目があるが、これは普及所という名目をつけなければならないということになるかどうか。これは実は農業改良相談所という名前で、もうすでにだいぶ通っております。普及所というと何だか日本農業をインドに普及するとか何とかというようないかにも感じがあまりぴんとこないのです。それで農民に直接接触をするという面から考えると、これはもう少し柔らかな言葉で表現をした方がいいのじゃないか。たとえば法律にはどういうふうにお書きになっても一向差しつかえございませんが、地方でもって名官前を用うる場合には相談所というような名前を用いてよろしいかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  69. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 制度といたしましては、ただいまお話しのように法律的には改良普及所ということに相なるわけでございまするが、実際には従来農民に親しまれている相談所というような看板で置かしてもいいかどうかというお尋ねでございます。実は私どもは単なる相談所というふうに、農民の方々がおいでになるのを待つということではないのでありまして、やはりこれは普及員が全体の方針にのっとりまして、みずから農業技術を農家の経営にまで届けるという役割を果さなければならない、こう思っているのであります。名称の点につきましてはなお十分研究いたしたいと思いますが、考え方としてはそういう考え方を持っております。
  70. 東隆

    東隆君 私は相談所の方がかえっていいと思って、というのは、言葉はなるべく親しみがある言葉を使った方がいい、そういう考え方もありますからこれをお考え願いたいと思います。  それからその次に、実は改良普及員の数は北海道にとってみますと、千名足らず九百名ぐらいじゃなかったかと思います。そうすると、当時私は農会の幹事をやっておりまして、その時分の農会の技術員の総数は約二千名ございました。それでその点からみますと、これは実は半分でありますから非常に貧弱な態勢であると、こういうふうに考える。それで北海道では少し進んだところでありますと、農業米協同組合その他から人を相談所に拠出をいたしまして、そうして仕事をやっておるという形がとられております。そんなふうなところもだいぶございますから、この普及所ができた暁において、例のワンダラシステムのような、そういうような形でもって農業協同組合、あるいは共済組合――共済組合関係は、これは畜産関係の技術員がこれは相当動員ができる。それから農業会、農業委員会、こういう方面からも人を動員できると思います。さらに改良普及の関係でもって大きな欠点は、土地関係で土地改良関係の技術者、これは土地改良関係の方に所属をいたしております。しかし土地改良という仕事は、これは単に造田やその他の仕事だけでなくて、もっと広範な土地改良の関係仕事があるわけでありますから、そっちの方面の技術員もやはり一定の計画のもとにやるべきじゃないか。先ほど経営の話が出ましたけれども、技術だけでも相当総合すべきじゃないか、こういう関係。それからことに自作農創設維持資金なんかを貸し付けるとぎには、改良普及員の判こをもらわなければ……申請をするときに改良普及員がそこにいなければならない。そういうような関係で改良普及員はすでに経済面に足を踏み込んでおる。経営の方面にも踏み込んでおる。従って将来においてこの普及所というものは、単に技術というものを中核にするかもしれませんが、しかしもっと広範な形でもってできていくべきだと思うのです。そういうような点を考えてみますと、この点を十分にお考えになる必要があると思う。いわゆるワンダラシステム、何でもいいから相当なものを中に糾合して、そして統合的な農業の指導、その農業も、もう少しセクト主義じゃなくて養蚕の方面も……これは外れておりますけれども、養蚕の方面、あるいは耕地防風林であるとか、あるいは屋敷林であるとか、そういうようなものに考えて参りますと、当然林野庁関係との関連が出てくる。そんなような関係で、広範な一つの農村指導所というようなものにしなければならぬと思う。そういう中身のものにしなければならぬものであって、あまりに小さく先鋭的な形でもって農村の中に切り込んでいくよりも、もう少しやわらかみのある、将来もう少し拡大するような形でもってやるべきじゃないか、こういう考え方が出てくるわけです。そこで、場合によっては所長も必ずしも改良普及員でなければならぬというふうに規定をせられる必要はない。村でもって学校関係であるとか、あるいはその他の関係でも、適切な人がある、そういうような場合にはそこの人に相談所……私の言っている方は相談所長ですが、その相談所長をその人に頼む、そして中に入っていく、こういうような形は、これはいかがなものでございましょうか。
  71. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 農家に対する技術指導の徹底のために普及員の組織のほかにいろいろな、たとえば畜産の県の組合でありますとか、その他土地改良の関係の指導の方であるとか、いろいろな方々と手を取り合っていかなければならないということは、私もそのようにいたしたいと思うのでございます。そのために先ほど申し上げましたように、地区内のそういう方々との連絡を常時密接に保つように今後指導して参りたいと思っておるのでございますが、後段の点につきましては、実は技術の普及につきましても、いろいろまだ大事な、早急にやらなければならない問題が残っております。ことに試験研究の成果をできるだけ早く農家の経営に届けるという点につきましては、たとえば今後、二作の改善の対策をいろいろ考えるとなりますと、いろいろ必要な問題がたくさんあるのでございます。当面はやはりそういう技術指導ということがこの普及所の中心の仕事でなければならぬ、こう考えるのであります。将来広い意味の農業の指導所なり農業の相談所なりというものの機構につきましては、当面はこれは別途に考えざるを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  72. 東隆

    東隆君 もう一つ、実はこのお示しを願った協同農業普及事業実施機構図、この関係のもので試験場は、これは農林省の管轄の中にあるものですから、試験場は、ここにあげられておりますが、私は平素大学を非常に活用されるということ、これは占領政策のあの時分に非常にあれを持ち出しになって、そうして、しかもあの当時は大学、試験場、こういうようなものは、これは密接な関連のもとに置かれておると思うのですが、戦後各県に大学ができ、中に農学部あるいは畜産その他各般のものが大ていでき上ってきております。そういうようなものとの連携ですね、これは文部省関係でありますけれども、そっちの方の連携もこれは相当続けるべきじゃないか、こういうふうに考えておりますし、実際において改良普及員の関係のものがそれらの学校と連絡をとって講師を求めたりいろいろなことをやっておるようです。そんな関係で、もう少し関係のところ、直接の関係がないといたしまするならば、点線か何かで、もう少し広範な意図を一つ示されるようなことで、将来の農業の発展のために一つ想定図をお書きになる必要があるのじゃないか、こういうことを考えるのですが、これは実はこれだけこう出されて、非常にどうも、あまり自分の範囲内だけを忠実にお守りになるような、そういうふうに見えますけれども、いかがでしょうか、そういう点はどういうふうに関連をお持ちになるか、その点一つお聞きいたします。
  73. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 大学でではあるいは県の農業教育機関等との連絡ということも非常に現実の問題として私ども必要を感じております。アメリカ等におきましては、非常に大学の学術研究が直接その農業の普及組織と結びついた格好になっておるようでございます。日本におきましては、やはり教育機関というものと離れまして、独立の試験研究の機構というものが非常に発達をいたしておりまして、普及組織としてはますそこと結びつくということが第一段階の結びつきになっておるのでございますが、お話のような点は、今後大学等の教育機関、試験研究機関の成果をこの普及の上に生かして参るということについては、いろいろ具体的に私は必要があると思いますので、十分そういう点は心がけて参りたいと思うのでございます。この機構図については、そこまで入れますことは私はやや行き過ぎがあるかと思いますので、入れなかったのでございます。御注意の趣旨は、十分考えて参りたいと思います。
  74. 東隆

    東隆君 もう一点、私はなぜそういうことを申すかと申しますと、実は畑作農業あるいは水田農業にしても、農家が最近非常に進んでいるわけであります、技術の方面で。それで改良普及員という名前でもって、一定の資格条件を備えた者がかりに入ってきましても、その人を農家が、相談相手というか、指導者というよりも、私はそういう人たちが中に入って、そうして試験場であるとか、あるいは大学であるとか、そういうような方面の人を動員をして、そして一定の研究の機会を持つ、そういうようなことが、これがもう必要なほど専門的に実際に進んでいる部面がだいぶあるわけなんです。酪農問題一つ取り上げてみても、農業高等学校くらい出てきた人では、これはてんでお話にならない。そういうふうな状態になっているものですから、そこでせっかくできた指導所そのものの権威を保持して、そうして円滑に仕事がやっていけるような体制を作る、そういう点をやはり相当重視していかなければならない。それから場合によったら、地方吏員になるのですから、官尊民卑のところはいいですけれども、そうじゃなくて、このごろはだいぶ官卑民尊のような、そんなにおいが強いですから、従ってそういうような場合におけることも考えなければならぬと思う。そういう点における一種の指導の中に、カタライザーをやるような、そういう役割というものは非常に大きな役割だろうと思う。だから権威をもって技術を普及する、そういう面ももちろんあるのですし、またそっちに重点を置いてもらわなければならぬと思うけれども、私の言ったような面もだいぶあるわけです。そこでそういう面をやはり円滑にやるために、先ほどのようなそういう点の御配慮を一つよろしく願いたいと思います。
  75. 清澤俊英

    清澤俊英君 配置図でちょっとお伺いしたいが、専門技術員というのが都道府県の改良課に配置せられるのですか。これは府県にだけおるのですか。
  76. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 所属といたしましては、県の機構所属いたしておるのでございますが、専門技術員は、直接農民の方の技術に対する要望と、その技術を作って参ります試験研究機関関との間に立ちまして、農家の注文を試験研究機関に伝え、また試験研究機関の研究の成果を普及員を通して農家に渡すという役割を果しておるのでございます。
  77. 清澤俊英

    清澤俊英君 配置場所は、県に配置せられておるのですか。
  78. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 県庁または試験場におります。
  79. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから特技普及員というものは、これは各普及事務所へ分布配置せられるのですか。
  80. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 特技普及員は、昭和三十三年度から新たに置くわけでございますが、この配置の方針といたしましては、たとえば畜産につきましては、集約酪農地帯のある普及事務所、あるいはまた、園芸でありますと、果樹とか蔬菜の特産地帯のある普及事務所に重点的に配置したいというように考えております。
  81. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、専門技術員と書かれてありますが、これと、特技普及員というのは、どれだけの違いがあるのですか。
  82. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 専門技術員は、これは非常に高度な、しかも専門的な知識を持ちまして、そうして試験研究機関あるいは大学等におきましてできました新しい技術を砕いて普及員に伝え、そうして農民に伝えるわけでございます。従ってこれは、専門学校以上相当の学力を持った者のうちから、国で資格試験を行いまして、この資格試験に合格した者を専門技術員に任命しておるわけでございます。  特技普及員は、一般のいわゆる普及員でありまして、普及員のうちの特にそういう特技に重点を置いて活動するものでございます。従ってこれは専門技術員とは、はっきり分れておるのでございます。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、特技普及員並びに専門技術員として考えられるものは、技術員の種類ですか、今も言われた通り、畜産だとかあるいは果樹だとか、そういう特技の種類が幾つあるのですか。
  84. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 専門技術員は、現在農協が五百九十七名、生活が九十二名おりますが、そのうちで、専門項目は、これは非常にこまかく分れておりまして、二十三の専門項目に分れております。稲とかあるいは蔬菜、果樹、土壌、肥料、病害虫等……。それから特技普及員は、われわれの理想といたしましては、少くとも六あるいは七の専門項目を、考えておりますが、さしあたり現在は、御承知のように酪農振興あるいは園芸振興あるいは畑作振興というようなことが、農政の大きな政策になっておりまする関係上、さしあたり畜産、それから園芸、これは果樹と蔬菜でございます。それと農機具、いわゆる畑作振興の基幹であります農業の機械化という意味で農機具、こういう大体四つの特技について来年度は設置いたしたいと考えております。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 特技は四つですね。そうして、専門の方は幾つですか。
  86. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 二十三であります。
  87. 清澤俊英

    清澤俊英君 二十三種目に一人ずつの専門員を置くのですか。
  88. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 専門技術員は現在、各一県当り大体十五人おります。
  89. 清澤俊英

    清澤俊英君 十五人はわかりますが、その二十三の専門項目に分れているものを、これとこれを兼帯させられるということで、とにかくこれが専門だ、ということになると、幾つくらいになるのですか。
  90. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 二十三になります。二十三の専門項目であります。
  91. 清澤俊英

    清澤俊英君 専門技術員は……。
  92. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 専門技術は非常にこまかく分れております。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、この配置でみますと、三年後になりますと、大体一県三十三人くらいの特技普及員が配られるということになる。ここで普及事務所の数を県別にしますと約三十四カ所になるわけです。そうすると、一普及事務所に一人ずっと、こうようことになりますと、この特技普及員が、なるほど一地区全部であればいいのですけれども、日本の農業としてはそういう体形をあまりとらないのではないかと思うのですが、そういう場合どれかの専門特技員が一カ所に一人ずつ、こういうことになる。先ほどからいろいろ言われている総合的な経営の面にまで立ち至った仕事をする上に、非常にこれはせっかく設けられた特技員の制度というものが死んでしまうのではないか、数字から見ますと。これはどう考えておられますか。
  94. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) これは実は従来の中地区活動のやり方をまず御説明しないと、この点がちょっとおわかりにくいかと思うのでございますが、現在の普及事務所に大体六人ないし七人の普及員がおるわけでございます。この普及員が各町村を、区域を担当して一般的な農家に対するいろいろな相談相手になっておるわけでございますが、それと同時に、その各人が自分のいろいろな特技を組み合せて持ちまして、特技研修を経て、最近の普及員はある地区を持ちながら、畜産の特技を持つ、ある人は病虫害を持つというように特技と一般活動との組み合せで活動をやっておる。それにさらに来年度からは、たとえば集約酪農地帯とか園芸、畜産の地帯とか、そういうところに一名の特技普及員をさらに配置したい、こういうことを考えているわけでございます。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとここのところがわかりませんがね。ということは集約酪農地帯には専門の特技員を一人入れるが、そのあとのものは普通の普及員を専門的に教育してそれをやらせる、こういう形になるのですね。そうしてこの分布がどうも数字から見ると欠けておるところがあるのですがね。むしろ専門のものがあったら、どこか別の所に、あるいは試験場とかなんとかという所に集めておいて、必要に応じてそれを出すようにしていった方が、これだけの数が非常に有効に、あるいは旅費等の経費もかかりますかしれぬが、有効に使われるのではないかというふうに思います。わざわざ特技普及員というものを配置するということになっておるにもかかわらず、それがただ一部の特技員しか入らぬ。それが養蚕地帯であり、あるいはそれが畜産地帯であって、同時に果樹の地帯であるというようなことになったらどうするか、どっちかがおろかなものになってしまわないか。
  96. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) この特技普及員の千五百何名という数字は、これはいわゆる集約酪農地帯、あるいは非常に家畜頭数の多い普及地区、それから園芸につきましては、果樹の特産地帯あるいは蔬菜の特産地帯、あるいは畑作で非常に農機具が導入されておる、こういう地帯を積み上げました数字でございます。従いまして今の御指摘の点につきましては、たとえば畜産が非常に盛んな地帯で、しかも果樹の盛んな地帯があるという場合には畜産と果樹の特技普及員が配置されます。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうなりますと数が足らぬということになります。これは、足らぬことはさっきも言われているからやめますが、その次に専門技術員の方ですね。これが大体二十三の専門で二十三項目の専門技術員を、作るのだ。ところがこれが六百八十九人の専門技術員を各県に配置いたしますと約十五人になる。二十三のうち十五人しか入らぬというと、大部分の専門技術員が欠けているということになる。専門技術員が欠けている勘定になりますが、これはどういうことになるのですか。
  98. 徳安健太郎

    説明員徳安健太郎君) 実はこの専門技術省員の専門項目というものが非常に、まあたとえて申しますと、例外的な営農林というようなものがある、あるいは加工などがあります。それで非常に多いのは現在大体五百七十二名農業の専門技術員がおりますが、そのうちでなんと申しましても多いのは稲の六十二名、これは全国全部、それから畜産がやはり六十二名、それから次に蔬菜が五十四名、土壌肥料の五十三名というふうになっておりまして、二十三項目がありますが、実際各県で、たとえば営農林等については非常に特殊な地帯で、たとえば北海道とか茨城とかいうところで必要でありますので、そういうものは四名しかいないというようなことで、重要なものについては大体各県ともつ専門の項目については配置をいたしておるわけでございます。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは特殊地帯……、これもやはり特殊の地帯で専門技術員を派遣するというので二十三の専門項目があるとすれば、これはやはり全部そろえる必要があると思うのです。そこで確かにそういう配置の仕方で、今の考え方からすると非常に欠けた所が出てくる。従ってさっきからいろいろ御議論がありますように、やはり組み合せの仕方をここは今少し変えたら経済的にいくのではないかと思われる。これは終戦直後に行われた構想は農事試験場は農民のサービスセンターとなって農民の持ってくるものを中心にして研究する。それから研究すべきものは、大学を通じて……、農事試験場が大学に所属して、それを研究していくのだ、この上からくるやつと、下からくるやつとが別な形で、こう出てきておったかと思うのですが、それで相当議論になったと私は記憶しておりますが、やはりこの考え方などは、私はあまり専門家じゃないですから、いつも言う通りこまかいことは言いませんが、こういう今の配置を見ましても、そこに何らか欠けているのだ。実際の面においては、非常に御苦心なさるが、欠けている。それを完備しようとすると、経費やいろいろなことがまあってできない。実に不完全なものができる。一つ金を使うにも思い切ったこの段階にきたら改革を考えられて、根こそぎからのこういうもののあり方を考えられることが非常にいいことじゃないかと思うのであります。これはどうなんですか。
  100. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 今私の専門外でありますが、いわゆる専門員の二十三種類というのは、先ほど普及部長から申し上げましたように、必ず各県に二十三種類の技術員がいるということではなしに、全国の農業問題について専門を区分けすると二十三種類ある、そのうちの必要なものを県にそれぞれ配置いたしておりますが、もちろん必要でない所がある、先ほど申し上げたような事情で。たとえば畜産加工においても、そういう専門技術員が各県におるということではなしに、これは全国数府県にしかおらない、こういう事情があるわけでありますので、もちろん今清澤さんも御指摘通りに、予算その他の関係で必ずしも十分とは考えておりませんが、今お説のようなことも十分考慮いたしまして完備に努めたい、こういうふうに思っております。
  101. 上林忠次

    上林忠次君 中地区にするか小地区にするかというような問題で長らくもまれた歴史を持っておるのでありますが、いよいよ中地区にしたということであります。もちろん技術の発展も最近は高度化しつつありまして、これまでのようなよろずやの指導員じゃとてもいかないのだということになっておるのでありまして、私は何カ町村かを一括した期言及員の集合体を作って総合的な普及をしてもらう、また連絡調整をしながら高度の技術を普及、促進させてもらう、これはけっこうだと思います。しかしながら先ほども堀本さんからも話が出たように、耕作者が実際考えておりますのは、実際相談相手になってもらいたいのは、町村にやはり駐在してもらいたい。そう堪能な技能を有しなくても、何でもよろず屋の相談ができるという人がほしいのだというような地区が相当多かろう、またあるいは全国的に見てもそういう数字が多いのじゃないか。これまでも前の保利農林大臣のときも私お伺いしたのでありますが、今この普及員じゃ足らぬじゃないか、少くともこの倍にしなくちゃいかぬじゃないか、倍にしてあの現在の高度の技術を涵養していただく、普及していく。今の普及員はそれは一括してあるところに普及所を設けて総括的な指導をしてもらうのはいいですけれども、それから引き継いだ町村別の、昔の町村別です。ああいうような末端にほんとうに朝晩指導してくれる人がおったらいいのじゃないか。それがほんとうの農業指導の末端の第一線の仕事をしておるので、それが今度大きくなる、その増員をしませんかという話をしたのでありますが、なかなか賛成するような顔じゃなかったのであります。もちろん今の普及員程度の人数でも国家の補助金が三分の二が二分の一になるということになると、すぐ県は、今でも足らぬのだから、二分の一になったら人数を減らすぞと、かえって指導員から今よりもまだ弱体になるぞというような、今の予算の現状あるいは農業指導員に対して無理解な社会の現状を見ますと、それは増員はできぬと思いますが、私は何とかして協同組合に置いてもいいし、役場においてもいいが、末端にもう少し手足をとるような親切な行動のできる指導員を置いたらいいじゃないかという気持が今でもしておるのであります。これは小地区の指導員は要らぬというような結論が出た現在としましては、どうも解決がついたようなことかもしれませんが、私はやはりそれはそういうような人がほしいのだ、そういう専門家としてももちろんこれはなければ農業の高度の発展もしませんけれども、この現在の数では足ぬのじゃないか。末端までの施設をしていくのには、先ほど申しますような予算関係なり、今の窮状ではできないということになりますと、今の食糧管理の方に使われておられるメンバーの人が相当、二万人近くもおる。もちろん食糧管理は今もやっておりますし、統制は今度はずれたような格好になっておりますが、管理はなさる、また将来も続いてなされると思いますけれども、食糧統制の時代から見たら、少くとも食糧庁のある方の事務に携わっておる人も、少しは余裕が出ておるのではないか。この人の将来ということを考えますと、食糧管理の情勢次第では相当余りが出てくる。余りが出てきたときに、この人たちの職務をどうするか、こういうような農業系統学校を出た人たちが多いのでありまして、この人を再訓練をして技術指導に当らせたらどうか。また試験をして適任者を抜萃してもっと第一線のよろず屋式の人を置いたらどうか。今の普及事務所で働いておるあのメンバーのワン・セットとは別に、ほんとうの、先ほど堀本さんの言われたような、経営あるいは農業経済全般を通じて技術的な方面も入れてよろず屋の指導をする人が必要ではないか。私は申しますならば、あの部を今の倍ほどに増員をしてもらって、その各場所へ設置してもらって、小地区の色彩をそこへ入れていくというのが理想でありますけれども、それができないなら、それなら今の現在の食糧庁の職員の一部も余っておるときに、余っておるとは言いませんけれども、楽になった程度は定員を転用して訓練をしたらどうかというような気もするのですが、どういうような御意見ですか。
  102. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 私どもといたしましては、いろいろな制約があって、必ずしも思うようにも参りませんけれども、中地区制の総合的な指導と、それからなるべく農民の手近なところに普及員が駐在する。今の市町村の単位を受け持っております普及員の制度、この両方の制度をなるべく生かして使っていくことに今後も努力して参りたいと思います。あるいは普及員の数を相当ふやしますれば、これが一番解決になるのでございますが、ただいま食糧庁関係職員を使ったらどうかという具体的な御意見がございましたが、それらにつきましては、相当まだいろいろ考えなければならない問題が出てくると思いますので、この席で私から、これが一番適当であるというお答えをするわけにはいかないのでございます。今後情勢によりまして検討していきたいと、こう思います。
  103. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会といたします。    午後三時四十七分散会