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清澤俊英君 社会党を代表いたしまして、本案には賛成いたします。
そこで、先ほどからお伺いしております
通り、非常に行き先が
蚕糸業全体の上に対しまして楽観を許さない
状況になっておりますので、ぜひ、ただいま農林次官が
政府を代表して
お答えになりました
糸価の安定はもちろん、繭の安定にも万全な御
処置をとつていただきたい。
それと、いま
一つは、私
どもは、ただそれでは将来問題にならないと思いまして、本議案を中心にして、いま少し突っ込んだ
蚕糸業全体のあり方について検討もしてみたいと思いましたが、本案の急速なる通過が現在混迷しておりまする
蚕糸業の
事態を緩和するに非常に効果があると思いますので、その点を何らかの機会に譲っておりますが、大体機械
設備は三分の一を整理したと、従って、繭の生産額の必要量は、当時の
局長の
説明によりますと、三千万貫と、こう押えられておって、それから約七百五十万貫ぐらいの増大をもって機械全体を、残された整理後の機械全体の生産能率を八〇%以上に
上げろと、もうはっきりと生産の
数字が出ております。しかるに機械の方、製糸の方はそういう
準備ができましたが、生産面にいきますると、なかなかそれに対する計画的な検討が行われておらない。従って、明日に迫る危機に対しましても、一方は自粛生産をやりますと、こういう
事態の中、繭の生産の方は町放しにしてある。これは非常な危険の状態を将来に残すと思うのです。従って、最近のまた実情から見ましても、全技術家の言うておるところから見まするならば、今の繭の生産量はもっと倍大させることができるのだと、あるいは蚕糸の業者に言わせれば、蚕糸の改良をやらせればもっと増大させることができる。現在のままでも約倍額に増大させられる、こう言っておるのであります。しかるに、幸い
繭糸価格安定法の
ようなものがありまして、長い間繭の
価格というものは一応の安定を保つておりますので、今まで生産をやらなかった養蚕地帯という
ようなものが、逐次増反を行なっている、こういう状態を放置してある。これは近い将来においても大きな波乱を起す私は要因じゃないかと思う。一方において繭の増産を技術的にはやりましたが、これは七千万貫をじき割つてしまうのであります。そこで、
繭価というものが保てないということになりますると、またせっかく植えつけた桑苗を、これで減反しなければならぬ、こういう昔の状態を再び繰り返すのじゃないかと思います。これらの点は、十分われわれとしても
考えなければならぬことと同時に、ただいま全繊維の中でこなされる量が、国外においては一%、国内においては二%という
ようなわずかの繊維価値というか、という
ようなものを自然的に表わしているこの
状況は、私はそう簡単に
あと戻りするものじゃない、こういう
考え方を持つのであります。従って、これだけの統制を強く行われまするならば、これはもうある段階に参っておるので、それは製糸も養蚕家も一体となって、
一つの業態を
維持するというところまできておるのじゃないか。これは製糸業者の一部分にもそういう
考えがあり、あるいは
輸出業者の一部にもそこまでの
考えがあり、これをばらばらにする形ではいけないから、もっと統一した企業体に直した方がよかろう、こういう
ような声も非常に聞かれると同時に、私
どもが一番おそれておりますのは、一部の議論が、今ありまする繭、
生糸の
価格の引き下げに対しては、現在ありまする
糸価安定法自身が大きなじゃまになっているのだと、これがじゃまになって、ほんとうの
生糸というものの将来の発展性を阻止しておるのだ、従って、少くとも十六万円ぐらいに
生糸の
価格を、現在の実施
価格というのですか、十六、七万円ぐらいに引き下げなかったならば、消化増大というものは
考えられないという
ようなことも言われており、このまま不幸にして進みまするならば、もはや百億近い国のかかえ込みが出て参ります。これがいつまで続くか、需給が調整せられて、欠損をまぜた
価格で売り戻されるという時期がいつくるか、そうしますると、だんだんともう
政府の方でもそうたくさん損害を補償できないという
ような、食管会計の
ような問題も出てこないとは限らない。そうなりますると、これはもう一大混乱に入ると同時に、
価格が繭で下げられる態勢を、やはり今にして確立せぬければいけないと思う。それには、
生糸で
保管によって将来欠損するやわからない。何百億の
予算という
ようなものを
考えて現に行われておるのであります。ここで二十億ふえますれば八十億になる。それが足らないで二十億ふやすというこの間具体的なものが出ました。これは
衆議院をこの法案が通っておるという中に、それを今二十億ふやし、四十億ふやしますといっても、これはなかなか技術上困難であろうと思いますから、
数字をお出しにならないのはかえっていいと思う。また二十億出して、八十億に二十億足して百億にして参りましても、二十三年度の実際の
買い入れが始まりました際には、これは
あとの二十億ぐらいで緩和できるかというと、おそらくはできないのじゃないか。私
どもはしろうとでありますけれ
ども、そういうことを
考えている。七月までには今この法案が
通りまして、二十億増大しましても、どんなことを計算してみましても、八十億は全部使っちまうのであります。八十億の金は使ってしまうのです。現在四十五億足らずの金を使って、そうしてこれから持ち繭が八百五十万貫、そうしますと、先ほどの計算で参りますと八万五千俵、これが七月までに大体こなされる、こうなりますると、どうしても月五千俵ぐらいは最小限に見て買い
上げなければならぬ。そうすると約二万俵というものが買い
上げになりますると、
あとの四十億というものは、——これは四十億足らずのものです——なくなるのでありまするから、そうして三十三年度の
準備資金というものは、かりに二十億というものをきめていただいても、これは非常に危険性があるから、
危急に応じて幾らでも出すという御決定をしていただきますることは、かえって
金額を定められるよりも、私は効果的だと思いますので、その点には賛成して参りまするが、そういう
情勢のうち、繭の生産に対しては
一つも御考慮がない、これは全く矛盾した今蚕糸行政というものを行なっておられる、こう
考えられますので、この点は一日も早く、せっかく
審議会等もお作りになっておるのでありますから、それに諮って、根本的な蚕糸
事業一体の根本策を、急速に
政府みずからが立てて、諮問していただく
ようなことが私は必要でないかと思うのです。この点を強く主張しまして、そして本案に賛成しておきます。