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1958-03-18 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)    午前十一時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            鈴木  一君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            東   隆君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            梶原 茂嘉君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      渡辺 伍良君    農林省蚕糸局長 須賀 賢二君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    説明員林野庁林    政部長     戸嶋 芳雄君    建設省河川局次    長       關盛 吉雄君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○繭糸価格安定法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○中央卸売市場法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○森林開発公団法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○参考人出席要求に関する件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林省関係職員の定員に関する件)  (農林地地すべり対策に関する件)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(閣法第九〇号、内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  なおこの法律案は、去る十四日、衆議院会議において全会一致で原案通り可決され、当院に送付され、即日当委員会に付託されました。  引き続いて質疑に入ります。御質疑の向きは御質疑を願います。
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今までいろいろと大きい問題で質疑があったのでありますが、私はこの法律案について、二、三質問したいと思うのであります。  第一番目は、第九条の三の「政令で定める期間」となっているのでありますが、その「政令で定める期間」は六カ月であるかどうか。もし六カ月であったならば、六カ月ということはどういうふうな基準によって六カ月と定められたのであるか。これをお尋ねしたいと思うのであります。
  4. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 「政令で定める期間」は、従来の特別買い入れ制度が六カ月になっておりますので、今回の特別買い入れ制度におきましても六カ月を基準にいたしましてきめるようにいたしております。六カ月ときめておりますのは、これは前回補足説明ときに申し上げましたように、一種のこれはたな上げでございまするので、あまりこの期間が長くなりますと、かえってそういう不安定な形におけるたな上げがありますことが、市価を圧迫する要因にもなりますので、六カ月くらいが最も適当な期間ではないかというふうに考えております。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第三項の「農林大臣の定める数量範囲内」、これはどのくらいの数量であって、その数量を決定せられるところの基礎についてお尋ねしたいと思うのであります。
  6. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この数量は、目下私どもの方でもいろいろ計数的な基礎を検討いたしておりますが、立案の過程におきまして考えました考え方といたしましては、大体一カ月分の輸出数量基準にしてきめようという考え方を持っております。それで、大体玉糸を含めまして、七千俵前後のところできめることにいたしたい、かよう考えております。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから第十四条の六です。これに、「会社取締役代表取締役及び監査役選任選定」と、こうなっておる。「選任」は大体わかるが、「選定」というのはだれを選定するのであるか、選定方法はどうするのであるか、その「選定」についてお尋ねをしたいと思うのであります。
  8. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 「選定」と申します意味は、代表取締役取締役会で定めます。それをさしているわけでございます。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから第十四条の七に「会社代表取締役は、他の報酬のある職務又は営業に従事してはならない。」こう書いてあるが、代表取締役というのは一人であるか。もし専務または常務であるというようなものがいるとしたならば、そういうふうなものは、営業に従事していてもいいのであるかどうであるか。この十四条の七の説明をお願いしたいと思うのであります。
  10. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 代表取締役は、必ずしも一人であることを予定いたしておりません。複数である場合も考えております。その場合は、専務取締役代表取締役になりました場合を考えまして、やはり兼職禁止考えておるわけでございます。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、十四条の八の三号です。「会社目的を達成するため必要な事業」こうなっておるが、どういうふうな事業であるか、その事業の種類をお尋ねしたいと思うのであります。
  12. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この会社は、この法律予定をいたしておりまするよう事業をやることが主たる目的会社でありまするので、付帯業務といたしまして特別に目下のところ予想をいたしているものはございません。従来の保管会社におきましては、短期保管、これはややこまかい話になりますが、短期保管ような仕事を、別にやっておったのでありまするが、そういう業務もこの会社でやらせるかどうか、これは今後検討いたすことにいたしたいと思っております。考え方といたしましては、目下のところ、付帯業務を行うことは、具体的にまだ考えておりません。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから付則の第三条です。これは「設立委員は、定款を作成して、農林大臣認可を受けなければならない。」と、こう書いてあるのですが、定款を作成しただけで、定款を作って認可申請をする場合においては、旧会社財産目録であるとか、あるいは貸借対照表であるとか、事業計画書であるとか、事業目論見書であるとか、こういうようなものをつけなくてもいいのであるかどうか、従来こういうような場合においては、必ずそういうものをつけさせておったと私は信じておるのでありますが、今後は定款を作成してということだけで、別の書類をつける必要がないのかということを承わりたいのであります。
  14. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) もちろん実際に設立業務をいたします場合は、そのよう資料等も十分検討いたしてやるわけでありまするが、旧会社についてのそのよう資料を添付いたしますことは、法律上の必要な要件にはなっておらないようでございます。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 法律上必要な要件でなかったらば、それでそういうふうなものを出させるような何か規定がなくちゃできないのじゃないかと思っておるのでありますが、そういうふうなことは、付則にも何も書く必要がないのですか、新会社の場合。
  16. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 私が聞き間違いでありまして、新会社事業目論見書その他の資料は、当然要るわけであります。それは、商法の準用規定でそういうことに相なっております。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから第五条のしまいの方に「会社に対してそう営業の全部を出資することができる。」こう書いてあるのであります。しかし、前の方の法律の第十四条四によれば、政府出資金は三千万円となっておるのであります。それを「営業の全部を出資することができる。」というのと、三千万円というのと、どういうふうな関係があるか、それをお尋ねしたいと思うのであります。
  18. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 第五条によりまして、旧会社が新会社営業の全部を出資いたすわけでございますが、これは会社を設立いたします場合に、あとにございまする評価審査会評価をするわけでございます。それで、予想されまするところは、この旧会社資本金が五千万円でございます。これは額面通り五千万円、それに今までの営業利益、若干の器具類でありますとか、多少の備品がございます。それを加えましたものが営業の全部になるわけであります。従いまして、五千万円をこえる若干の額、それから政府の方は三十万円を出資するわけでございます。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと今度は第九条の、「旧会社が出資する営業価格」というものは、今お話になった金額でありますか。
  20. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) さようでございます。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それからその第二項に、「委員五人をもって組織する。」というのでありますが、委員構成お尋ねしたいと思うのであります。
  22. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) これは、前例によりまして、このよう構成を予想いたしております。大蔵省職員が一名、農林省職員が一名、それから旧会社の役員が一名、設立委員が一名、学識経験者が一名、以上のよう構成で五人を選ぶわけであります。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 法律の具体的の質問はこれで終って、私一言お尋ねしたいのは、繭の価格が決定されて取引が行われた後に、その繭の契約になった価格は、全部支払われているのであるかどうか、もし未払いかあったらば、どういうふうな会社が、どのくらいの金額未払いになっておるか、こういうようなことをお知らせ願いたいと思うのであります。
  24. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 手元に細かい数字を持っておりませんが、毎年私どもの方で、十二月末現在で繭代金不払い状況を調べております。最近までは比較的繭代金不払いは少額でございまして、昨年の分はたしか数百万円と記憶いたしております。過去に累積をいたしておるものを加えましても一千何百万円という程度数字しか、私どもが県庁を経由して調べましたものの範囲内におきましては、そういうふうな工合でございます。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今の、大体において累積したのが一千万円ということであれば、これが農家に及ぼす影響というものは非常に重大なものである、でありますから、こういうふうな一千万円という金は、農家経済に重大な影響を、さっき申し上げように及ぼすものであるとしたならば、直ちに支払いをさせて、農家の経営の安定をはからなければいけないと思うのでありますが、未払金処置を、将来においてどう取り扱おうとしておるのであるか、承わりたいと思うのであります。
  26. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 未払金処置につきましては、我々もふだんから地方庁を介しまして、神後措置につきまして指導いたしておるのでございますが、特に昨年の国会におきまして、生糸製造設備措置法の御審議をいただきました際に御質問をいただきまして、設備処理に関連して補助金及び補償金が出ます場合、これを繭代不払いに優先的に充当するように指導しろというお指図があったわけであります。この点は、今年度の設備処理補助金が近く現実に支払われますので、過般、昨年の御審議経過も折り込みまして、業界の方へ、補償金が支払われる場合において、不払いになっております繭代について、優先的に処置をするようにということを通達いたしておるわけであります。なお通達だけでなくて、現実にさようなことになりますように、引き続き指導して参りたい。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 先般、繭の買い上げについて、政務次官に、農林大臣大蔵省と御相談して、はっきりした御意見をお伺いしたいと言っておりましたが、その経過一つお知らせ願いたい。
  28. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 繭糸価安定の問題について、最近の情勢に対応するための、もう少し強力な措置をとるべきである、こういうことが当委員会その他においても議論の焦点となりました。政府におきましても、そのことは当然なことであると考えて、先般来政府考え方についてはお答えをいたしておったのであります。その後、具体的な措置等につきまして、政府部内、ことに財務当局等とも協議をしまして、実は本日の閣議におきましてその協議をいたしました線を、了解と申しますか、承認をいたしてもらう段取りになっております。まだ閣議が午後になる予定でありますが、その趣旨を申し上げて、御了解を得たいと思います。それは、生糸最低価格は来年度においても十九万円とすることに、先般繭糸価格安定審議会に諮りまして決定いたしましたが、政府は、最近の蚕糸業状況にかんがみまして、糸価安定資金確保に万全を期する、こういう方針であります。さらに糸価維持をはかるために必要がありますれば、適当な機関をして一時生糸買い入れ保管をせしめる等、万全の措置を講ずることとし、その措置によって、内外の糸価安定に対する不安を除きまして、生糸輸出の促進と、農家経済の安定をはかる方針である。こういう趣旨方針を、きょうの午後の閣議において承認をしてもらうという段取りになっております。  ここで一言加えておきますが、資金確保をはかるほか、さらに糸価維持をはかるために必要があれば、適当な機関をして、一時生糸買い入れ保管をせしめる等、この措置は、現在御審議願っております保管会社等をして繭の買い入れをさせる、それに対する資金等措置については、十全の措置をこの際講ずる、こういう趣旨であります、付け加えておきます。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 何か新聞を見ますと、具体的な数字が出ているようですが、今の二十億に倍加して、いま二十億安定資金として追加する、そういう点はどうなっているのですか、ということと、今のお話だというと、危急に対応して、こういうのでありますから、それよりもっと強いものではないかと私は思いますから、その点の御見解。  それからいま一つは、危急に対応しという中に、失般来私は強く申しあげているのは、このままの推移でいったならば、おそらく新繭の出回りにおいて、繭の買い控えをするのではないか。この買い控えをやりますと、繭価格はくずれてくるのではないか。そして、先般も課長も言われるように、それは百万貫くらいの乾繭処置を、これをほとんど考慮をなさらないで、大部分は買い控えされた後のなま繭を持つ、従って、そういう買い控えをするよう情勢でありますから、今までのような変熊的な買いあさり等のことはないのでありますから、従って、そこから繭の値段はくずれてき、せっかくの価格維持がくずれる、養蚕界は大混乱に陥ってくる。こういう場合に、今言われた危急の場合の方針をとられて、今までやったようた割当まで、やはり会社の方でやっていくのか。これをどうしてものませるのか、そうでなかったならば、繭が余ってきます、どうしても余ってくる、二割の大体自粛操業をやっておるのでありますから。そうして三十三年度が幸いにして繭が三十三年度より二割もふえたなんということになりますと、これはどうしてもそういう現象が起きる。そのとき泣きを農民に見せないのかどうか。それまでの処置を含んでおられるのかどうか。  それからいま一つは、せっかく繭の価格安定審議会におきましては、最低十九万円ときめられましたが、これを中心にして繭価協定ができて、そしていよいよ繭を出しますと、今までも地銀において、大体において支払い肩がわりをしておりますので、二割ないし三割の控え金を持っている。払わないのです。こういう状態が続いた場合、今まではそれでかまわないでおきましたが、需要が増大してきましたから、じき払ってくれましたが、盆勘定ぐらいには間に合うように払ってくれましたが、もしはっきりした見通しでもなかったならば、銀行はあと払いを相当な期間、私は、見通しがつくまで益し控えているのじゃないかと思う。これの危険をどう考えておられるのか、これも含んでおるのかどうか、こういうことなんです。糸の方は、なるほど危急の場合、臨時にでも糸は買い上げてやろう、これはわかっておりますが、それをずっとやってきましても、新繭が出たとき、そういう現象が起きるであろうというのは、もうほとんど農民である限りにおいては、それを心配している、今までの関係上。それに対するところまでの御処置を御相談になっているのかどうか。
  30. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいま新聞等に、糸価安定資金の増額について、さらに二十億前後と、こういうものが出ておったが、それはどうかという御趣旨お尋ねでありましたが、もちろん各般の打ち合せをいたします間においては、そういう具体的な数字等も検討された事実はございます。ございますが、御承知のよう経済情勢でありますので、決して十億、二十億で片づくというはっきりしためどがたつものではございませんから、この際、政府の決意といたしましては、ただいま申し上げましたように、安定資金は必ず確保するのだ、こういう方針であります。その必要度を見て決定する、こういうことでありますから、御了解を願いたいと思います。  それから買い上げ問題について、技術的な、専門的な問題になりますから、むしろ蚕糸局長からお答えいたします。
  31. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 繭の需給事情が変って参るに伴いまして、いろいろただいま清潔委員から御指摘をいただきましたような問題が今後出て参ることは、私どもも十分考えているところでございます。今後の考え方といたしましては、繭糸価格の安定はどうしても制度の運営の本質といたしまして、糸値最低価格を支持するというところを根幹にして参らなければならないと考えておるわけでございまするが、それだけで農家の繭に対する正当なる代価が保証されるかということになりますと、現実の問題といたしまして、いろいろそこに問題があるわけでございます。この点に対する対策といたしましては、現在の制度におきましては、乾繭共同保管制度が設けられておるわけでございまするが、現実乾繭をいたします場合の設備でありますとか、あるいは保管倉庫でありまするとか、また、それを管理いたしまする事務的な能力の問題でありますとか、いろいろ実際に行いまする場合につきましては、しばらくそういうようなことがとだえておりました関係もありまして、現実業務を円滑に進めていくためには、いろいろ問題があると思うわけでございます。従いまして、われわれといたしましても、特に今年の春繭以降の問題につきましては、生産者団体ともすでに相談も始めておるわけでございます。そのよう事態に備えまして、乾繭共同保管制度によりまして、繭価の正当な支払いを得まする一つの機会になりますように運用して参るよう十分努力をいたしたいと思うわけでございます。それにいたしましても、前段申し上げましたように、やはり糸の値段を少くとも最低の線に支持いたそうということが糸価安定制度根幹でございますので、その面にさらに特段の力をいたして参りたい、さよう考えます。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 御趣旨はよくわかる。今の場合、糸価の安定のために万全の力を注ぎかけるのは当然でありますが、それが実質上の繭の売買ということになりまして、さっき言ったようなもつれの出た場合に対する考え方も非常な重要性がある。それでなかったら、せっかくやっておいでになる糸価安定の線も、そこからくずれてくるのではないか。繭がぐっと下る、だから今も乾繭処置というようなお考えもありますが、先般お伺いをしたところでは、これは予算範囲から計算して出すと、大体百万貫ぐらいだろうとおっしゃっている。その数字課長の言うことに間違いがあれば御訂正願いたいが、なお藤野さんと私との申し入れで、今日は、乾繭の使われる数字資料として出していただきたいと言ったのですが、その資料が整っておるかどうか、おそらく百万貫ぐらいがせいぜいのものじゃないかと、狭い範囲考えられる。それでは乾繭ではとてもその処理はできません。そうしますると特別な措置をとられて、一応各製糸会社なら製糸会社なりで、買い余した分も一応引き受けて、第二引き受けにする、それに対する予算ワクの拡大ぐらいのことをお考えになっていただかなければ、乾繭で繭の暴落を防止するということは、おそらく不可能じゃないか。それは、専門家の大家ではここに幸い関根さんもおられるのでありますから、よくわかるだろうと思いますが、そうなった場合、私が危惧するような問題が必ず出てくるのでありまして、それが今言った繭価安定をやっていくのだ、こういう中に含まれているのかどうか、こういうことをお伺いしたい。それと同時に、支払いの面、今まででも支払いとしては二割引いて払ったり、三割引いて払ったりして、せっかく繭価協定できても、どうも相場がおもしろくないから、ずっと高い繭の値段じゃないかということで、地銀が払ってくれない、支払い控えをしておる、こういう情勢がありますので、それらの場合に、非常に不安があるから、今まででも何とか処置してもらわなければならぬのを、この際、そういう場合には購繭資金でも何でも出して、そういう買い控えがあるようなことなども押えていかれるのかどうか、こういうことなんです。それまでの考え繭価安定の処置としてお話しになっているのかどうか。
  33. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 乾繭共同保管を行います場合の数量予定等につきましては、これは昭和三十年に制度を設けまして以来、今日まで幸いにしてまだ一回も発動いたしたことはございません。今日までの準備といたしましては、前回課長から申しましたように、百万貫を一応予定をいたしまして百万貫の保管をいたします場合の乾繭設備の利用の方法でありますとか、あるいは実際の倉庫施設等につきまして、現地でそれぞれ手配をいたしておるわけでございます。本年の春蚕以降の問題につきまして、現在までに用意をいたしたものによりまして、必ずしも十分でないというよう事態が万一考えられるようでありますれば、さらに必要な手配をいたさなければならないのでございますが、現実施設あるいは保管設備等関係もありまして、どの程度までできますか、これは現場で十分検討して参らなければならぬわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げました事態に備えまして、われわれも関係団体とも十分相談いたしまして準備を進めつつある段階でございます。なお乾繭共同保管をいたします場合は、一応はその金利、保管料を保有いたすわけでございまして、乾繭をいたしまする繭資金に対しまする手当は、農業系統金融から出ることになっておりますので、直ちにはこの糸価安定の資金と関連を持たないわけでございますけれども、長期に保管いたしました場合は、政府においてこれを引き取るという制度になっております。その資金手当等につきましても、先ほど政務次官からお答えがありました糸価安定資金の内容の一部をなすものでございます。従いまして、今後の推移によりまして、糸価安定資金確保して参ることについて万全の措置を講ずるということは、そういう意味も含めての考え方でございます。なお、繭代金支払い状況につきましてのお話でございますが、従来は往々にして協定掛目等を上回る取引もございまして、そういう取引の結果が、一部繭代金不払いというような結果になっておる事例があるのでございます。今後の態勢といたしましては、生産者団体におきましても、正常な団体協約によりまして繭の販売をやっていただくことを、さらに一段と強化してもらうことにいたしまして、正常な価格による正常な団体取引によりまして、代金支払いにつきましてもいろいろトラブルのないように、私どもといたしましても指導して参りたい、さよう考えております。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 いま一点だけ。今、局長は、繭の割引支払いというのですか、七割くらい払っておくということが、何か不正の取引のものにそういう不払いが出る、こういうお話ですが、私の言うておるのはそうじゃない、繭価協定をやって、しかもそれが団体協定で何々会社に納める、こうきまったものでさえ、銀行が実際金を払ってくれるとき、本年は八割にしてくれとか、当分七割にしてくれとか、こう言って頭金を取って、七割ないし八割くらいしか実は払わない、今まででもそうなんです。だからそれが正常なルートで正常な団体協約ででき上った支払いでも、地銀がそういう形をとるのです。これがうんと強くなるということと、それから今言うたような不正な取引、抜け買い等がありまして、相当繭の価格が上って参りますから、従って、時期がくればこういうものを払ってくれたが、もしそれが出てこないような場合になりましたら、そのときはずっと払わぬ、しまいまで払わぬことはないんですが、何とかかんとか言うて、糸が売れませんでしたとか何とか言うて、時期が長くなれば、農民に非常に迷惑をかけるのではないか。三千二百万貫全部そうだというのではありませんが、そのうち何%か知りませんが、二割か三割のものが数カ月支払いがおくれたということになりますと、これは総体的から見たら、相当な金額になる。今度はそういうことにならないように、何らかの処置考えていただきたい。こうさっきから言うておる。決して不正の取引をしたために不正の価格が出て、その分が支払い未納になった。こう言うておるのではない。
  35. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 私の方で目下別に必要もありまして、各製糸会社につきまして、業務のやり力等につきまして今実際に調べております。そういうような材料もある程度わかって参りまするので、実情をよく調べまして、お話のことにつきましては十分指導して参りたいと思っております。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 くどいようですが、これはわしらが外から見ていますと、製糸会社は払いたい、払いたいが、結局は地金が片がわりして払ってくれている。そうなりますから、地方銀行は手元の金がないとか、あるいは行く先がまだどうも不安定だというので、いつでも押えている。これは地銀の仕事なんです。だから糸屋さんは、製糸会社の方では、幾ら払いたいと思っても、貸してくれないのだから仕方がない、これでがまんしてくれ、これが実情なのであります。そういうことが今度はないように、一つこの不安の状態の中なので、やってもらいたい。こういうことです。なお、次官に念を押すようでありますが、ただいまの糸価安定ということの線を堅持していくということは、同時に非常に繭の価格がくずれてきまするならば、糸価安定に対しては非常な脅威を感ずると思うのです。従って、今政府考えられておる糸価安定という線を堅持して、これがためには非常処置をされる、こういう閣議決定をせられようという中には、繭価の暴落もしくは値くずれ等に対しましては、やはりその御決定が糸価という名前になっておりますけれども、当然人っているものと、われわれは解釈してよろしゅうございますか。その点だけ、ごく簡単にはちんと聞かしていただきたい。
  37. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ぱちんと聞かしてほしいということですが、(笑声)その問題は、前回の委員会でも局長等からお答えいたしておりますように、糸価を安定するという、いわゆる繭を安定するという一連のものでありますから、もちろんそこまで考えての問題であります。
  38. 関根久藏

    関根久藏君 ただいま藤野先生や清澤先生から、それぞれ御質問がありまして、大体政府の方のそれに対しましての答弁も了承をするものでありますけれども、ただ、今繭が下った場合に、百万貫のすでに予定されておるその数字そのものではむずかしいじゃないか、こういう御意見でありますが、これは三月の三日ですか、あの後の情勢とあの前の情勢とは、非常に情勢が違っておるのであります。従いまして、政府の方の繭の計画の百万貫というのは、前の情勢下における計画なんであります。しかしながら、あの三日以後の情勢によりまして、あらゆる努力を払って繭糸価格の安定をはかろうと、こういう政府の強い御方針が打ち立てられたようであります。まことにその点につきましては感謝にたえない次第でありますが、もちろん繭糸価格の安定制度を守ることは、もちろんこれは政府の責任ではありますけれども、これがほんとうにあやふやでなしに、確実に本腰を入れて、本気になってやるところにおいて、初めて業界あるいは内外の情勢が確立されるのだと思うのであります。その点におきましては、本日閣議で、先ほど政務次官からお話のありました点が御決定になりそうで、まことにこれは業界のためにけっこうなことでありますけれども、先ほどの清澤先生が非常に御心配なすっておる問題も、当然それは起り得ると思うのであります。しかしながら、一方におきましては非常な確たる御決意で、あらゆる面におきまして対処されるそうでありますから、それはおのずから問題がうまくいくのではなかろうかと、かように思うのであります。ただ、私はこの際、輸出生糸保管株式会社代表取締役兼職禁止の問題でありますが、これは、輸出生糸保管株式会社繭糸価格の安定制度を守る一大支柱であります。政府の代行といえば代行、その大部分の仕市を工合よくやる機関であります。この機関代表取締役に、もちろん専務取締役等はこれは当然兼職禁止が適当であると思うのでありますが、その代表取締得には、少くとも内外の情勢から見て、相当な大物を入れる必要があるのではないか、かよう考えるのです。まあ農林大臣承認を得れば、その条項もなにのようでありますけれども、とにかく日本の蚕糸業の安定制度を守っていくその一つのあるいは半官半民のこれは親玉になるのであります。それにつきましては相当の大物を充てる、こういう人がやるなら、内外ともあるいは業界も、あげて信頼を受けるような大人物をほしいのであります。従いまして、それを兼職禁止で、その専門家にやる……、これが事務的に陥らないように、一つ考えを願いたいと思うのであります。何も別に看板ではありませんけれども、内外の事情に通じ、内外に重きをなすような者が、そういう会社の長であるということは、これは非常な安定制度に向いましても、あるいは繭糸業全体に向いましても、非常に意義の大きいものだと、かよう考えるのであります。それに、今度の法律改正によりまして、政府保管生糸があるいは処分とかあるいは加工とかあるいは販売とか、いろいろうまく改正されておるようでありますが、もちろんこれは日本の生糸、日本の繭がこれができるだけできて、それが余ってたな上げになっておるということは、これはやはり内外のなにから将来の価格を圧迫するものである。できることならば、こういうものもあるいは高騰の際における予備として、何らか意味はもちろんありますけれども、できることならば、政府が相当の決意を持って、あるいは新販路の拡張を考えるなり、あるいは委託して製品にして輸出するなり、あるいは処分するなり、さまざまな方法ができるよう考えられておりますが、これらも大いなる勇気を持ってやるべきであろうと、かよう考えるのであります。輸出生糸保管株式会社の社長ですか、社長の問題につきましては、特に一つ考えを承わつておきたいと思うのであります。
  39. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 代表取締役兼職禁止規定の問題でありますが、これは申すまでもなく重要な保管株式会社業務と申しますが、糸価安定の重要な任務を遂行する地位にあるんでありますから、これを専心やつていただくというのが、これは当然の建前であります。従いまして、原則としては、ほかの業務に従事するというようなことはないというのが建前であろうと思います。しかしながら、今お話になりましたように、この糸価安定の重要な役割を果すための人材を得るためには、御趣旨ような点を十分考慮をしなければならない、その目的を果すような人材を選ばなくちゃなりませんから、そういうことも勘案いたしまして、他に兼業と申しますか、兼任をしても、なおかつ先ほど申し上げましたよう代表取締役としての任務遂行に支障がない、こういう人がありますれば、農林大臣の特に認めるところで裁量ができるわけでありますから、そういう措置もあり得ると思いまするが、趣旨といたしましては、先ほど申し上げましたように、この重責を専心果す、そういう人材を得るために、ある程度の兼職を許さなければならないという事態がありますれば、農林大臣承認を得てやる、御趣旨の点は十分くんでやりたいと考えております。
  40. 千田正

    ○千田正君 私、二点だけお伺いしたいと思いますが、これは政府の国策会社に準ずるよう会社を作ろうという御趣旨ようであり、また、繭糸価格の安定のため必要なことであるから、非常に賛成でありますが、ただ、将来のことについて、私は、一応伺っておきたいと思うのであります。それは、御承知の通り日本の繭糸なるものは、将来果して海外市場に、より以上のマーケットを拡張できるかどうかということと、今後とも相当の売れ行きをなすかどうかということが非常に疑問であると思う。それは化学繊維は各外国において非常にもう市場へ進出をしてきておるということと、また、日本の国内においても化学繊維がどんどんできて、生糸を圧迫しておるという現況におきまして、そういうことをある意味において救うために、こういう会社もできることになるのですが、将来この海外における輸出が十分じゃなくなってくる、国内の需要も激減する、こういうような場合が起きた場合において、一体、政府はどこまでめんどうを見るのか、今度の会社は三千万円のいわゆる出資額でありますが、将来ともこれはもうある程度下っていったら、もう無限に政府はめんどうを見る、こう考えておるのかどうか、そうだとするならば、この法案の中にあります通り政府は、予算範囲内において会社に対して出資することができる。」とするならば、今度の法案におきまして、損害が起きた場合、あるいはストックが累年激増していった場合、処置ようがなくなってくるような場合がないということは何ぴとも保証できないと思うのであります。こういうことに対しては、どう将来対処していくのか、どこまでいっても政府はあくまでめんどうを見てやるというのですか、それとも予算範囲内でできるだけしかやれない、その先はやれないという考えで進まれるのか、その辺の大綱を一つお示し願いたいと思います。
  41. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 生糸の将来の問題はあとから申し上げるといたしまして、この会社業務の規模と申しますか、沿革でございますが、これは政府糸価安定資金を背景としてやって参りまする仕事でございます。六ヵ月の間保管をいたしておりまして売り主に買い戻されなかったものが政府に入ってくるという形に相なりますので、この会社の仕事の規模は、政府糸価安定資金の裏づけの範囲内にとどまることは、これはもう初めからそういう考えでいるわけでございます。従いまして、政府糸価安定資金の裏づけがあります範囲内で営業いたしますので、この会社自体が損失を、自分の責任において負担するというようなふうの業務の運営は、いたさせないようにいたすつもりで考えております。それから今後の生糸消費の見通し等に対します御質問でございますが、簡単に申しますと、一昨年までは大体内外を通じまして年に一万俵の割合で消費がふえて参ったのでございます。一万俵と申しますと繭にいたしますと約百万貫でございます。年率百万貫ぐらいの割合で、内外を通じての消費がふえて参った、昨年から特に輸出の面、また内需の面ともに停滞ぎみでありますが、輸出の方は生糸、絹織物を通算をいたしますと、大体前年程度のベースを維持しております。国内の方は、昨年の上半期ごろまでは神武景気と申しますか、非常に好況の段階でありましたので、その間に非常にふえたのが、今年の下期までに激減いたしまして、そこのところは非常に断層がついているわけであります。今後の見通しといたしましては、大体現在海外で使われております生糸と申しまするものは、全繊維の〇・一%ぐらいの程度の難でございます。国内におきましても、日本で使われておりまする全繊維の二%ぐらいに当つている程度の量でございます。従いまして、量的には、いずれにいたしましても、ごくわずかなものでございまして、大体消費水準の動きに伴いまして、全部の繊維がそれ相応の割合でふえていくというのが従来の傾向であります。非常に絹は、化繊なりほかの人工繊維に圧迫をされているというような見方があるわけでございますが、もちろん他のいろいろな優秀な繊維が出てきておりますので、絹がだんだん伸びていく力というものが、昔に比べて小さくなっていることは事実でございますけれども、やはり全体の繊維の消費量の増大に伴いまして、絹自体の消費量もふえて参っているわけでありますけれども、数年来、先ほど申し上げますように一万俵程度の割合でふえて参っておるわけであります。最近は、非常に繊維不況でありまするし、また、生糸ようなものは、好況不況の波をこうむる割合も多いのでありまして、今回のよう事態を招来しているのであります。そういう大きな幅におきましての増加を期待することは、実際問題として非常に努力を要すると思うのであります。全体の繊維の消費増加に伴いまして、絹自体も、絶対量におきまして少し現在量よりも同様にふやしていくということは、努力によってできるものであると、かよう考えております。
  42. 千田正

    ○千田正君 ただいま局長のお考えであるというと、大体この会社のいわゆる取り扱うところの生糸の量が、大体百万貫という検討なんでしよう
  43. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この会社生糸を扱います。
  44. 千田正

    ○千田正君 繭ですよ。
  45. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 生糸を扱いますので、百万貫と申しますのはちょっと……。
  46. 千田正

    ○千田正君 百万俵というのは、会社として、たとえば繭糸価安定のために、政府の出資とともに、これは保管しておくんでしようが、この会社の取扱い量というものは、全日本の生産額の何パーセントぐらいに当るんですか。
  47. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この会社の年間取扱い量は、これは糸価の動き等によって変って参りまするので、あらかじめはっきりとした数字予定することは困難でございまするが、先ほど申し上げましたように、かりにこの会社事業額を、今七千俵ときめました場合を想定してみますると、かりにそれが年間に二回転をいたしますれば、一万四千俵ぐらいになるわけであります。一回転に終れば七千俵になる、普通の糸価の動きでありますれば、ごく大まかに考えまして、一万俵前後のものを年間に扱うというぐらいに想定しておるのが、一応の考え方じゃないかと思います。一万俵と申しますと、日本の現在の生糸輸出量は、大体一十三万俵ぐらいでございますから、三十分の一ぐらいの量でございます。
  48. 千田正

    ○千田正君 三十分の一としますと、生産農家に対しても、それならば、いわゆる三十分の一しか国の政策が均霑しないということになりますか。
  49. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) この会社は、前回も御説明申し上げましたように、政府で直接買い入れをいたしまする賢い入れの方法と並行いたしまして、この会社を経由して政府買い入れる場合があるという、二段がまえのそういうふうな制度になっておるわけでございます。従いまして、糸価安定の根幹は、政府で十九万円相当額によってて生糸価格を支持するというところが、農家に対する繭の価格支持につながっておるわけです。直接この会社で幾ら扱うかということ自体は、農家繭価格との関連において、それほど大きなものではない。むしろ政府糸価安定制度そのものが、はっきりといたしました基礎によって、生糸価格を十九万円で支持するという態勢に整備せられておりますことの方が重要でございまして、こちらの方は、糸価の変動に備えまして、政府に直接入っててこない、保管会社を通しまして人つてくるという制度を、別に開いておくわけであります。農家価格とのつながりは、直接はないわけです。
  50. 東隆

    ○東隆君 戦前、実はニューヨーク等に蚕糸局の出先があったようですが、今あれはあるんですか。
  51. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 戦前は、いわゆる役所の出先といたしまして、ニューヨークに生糸の海外市場調査事務所というものを置きまして、役人がそこへ数人行って仕事をやっておりました。戦後は、各関係省の出先を直接海外に置くという方針がとられないことになりましたので、現在は、政府で、蚕糸関係の総合団体でありまする中央蚕糸協会に政府から補助金を出しまして、補助事業及び委託事業の形において、ニューヨークで生糸市場の調査事務を行わしております。
  52. 東隆

    ○東隆君 この貿易関係から見て、生糸の問題は、どちらかというと、だんだん斜陽のような状態であります。そんな場合に、もう少し力を入れるようなお考えはないですか。今のあっせんその他プロパガンダの促進、そういうものについて少し力を入れるようなお考えはありませんか。
  53. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) われわれは、御指摘を受けますまでもなく、生糸の販売面におきまして、努力が十分でない点は十分自覚をいたしておりまするので、特に業界の指導につきましては、その点に力を入れておるわけでございます。これは簡単に申し上げますと、大体昨年ごろまでは、大体三十万俵強の生糸が日本でできておりましたが、これが輸出と内需で、別にもう売る方面の努力はそれほどしなくても、大体製品がさばけておつたわけであります。従いまして、機業の方でも、販売の方の力の入れ方は、必ずしも十分でなかったというのが実際でございます。しかし、今後の問題といたしましては、さようなことではもちろんいきませんので、特に本年度からは、海外宣伝に民間の方の力をさらに強く入れますように、いろいろ具体的にも目下協議が進んでおるわけであります。さような方向へ私どもも十分持って参りたいと、さよう考えます。
  54. 東隆

    ○東隆君 もう一つ。総合繊維の資源として、私は国内で生産されるものを優位に考える必要があろうと思いますが、その場合に、綿との関係ですね、これは相当競合する面があると思うのでありますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  55. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 御質問趣旨は。国内で作られる綿ですか。
  56. 東隆

    ○東隆君 そうです。場合によっては、実のところ申しますと、国内で生産されるところの繊維資源というものを優位にするために、生産を増加する等のために、外国から輸入するところの綿、そういうようなものを、ある程度制限を加えるというようなことも私は考えてしかるべき場合があると思う。そういうような点で、何か非常に困難な問題はございませんか。
  57. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 綿と絹の関係は、繊維の性格そのものも非常に違つておりまするし、やはり特に日本の気候風土等の関係からいきますと、やはりはだ着の面では綿にかわるべきものがない実態でございます。従いまして、綿と絹との競合の関係は、現実にはそれほどめんどうな問題はないのではないか。また量の問題から考えましても、絹の量というものは、ごくわずかなものでありまするし、また、日本の農家の経営の状況から考えましても、桑園の状況その他から考えまして、そう飛躍的に、これを倍とか三倍とかという量にふやすということは、簡単ではない問題でございます。従いまして、絹の量をふやすことによって、直ちに綿の輸入の量を調整をするというような問題までは、なかなかつながらない問題じゃないかと思っております。
  58. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  59. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて。  他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 社会党を代表いたしまして、本案には賛成いたします。  そこで、先ほどからお伺いしております通り、非常に行き先が蚕糸業全体の上に対しまして楽観を許さない状況になっておりますので、ぜひ、ただいま農林次官が政府を代表してお答えになりました糸価の安定はもちろん、繭の安定にも万全な御処置をとつていただきたい。  それと、いま一つは、私どもは、ただそれでは将来問題にならないと思いまして、本議案を中心にして、いま少し突っ込んだ蚕糸業全体のあり方について検討もしてみたいと思いましたが、本案の急速なる通過が現在混迷しておりまする蚕糸業事態を緩和するに非常に効果があると思いますので、その点を何らかの機会に譲っておりますが、大体機械設備は三分の一を整理したと、従って、繭の生産額の必要量は、当時の局長説明によりますと、三千万貫と、こう押えられておって、それから約七百五十万貫ぐらいの増大をもって機械全体を、残された整理後の機械全体の生産能率を八〇%以上に上げろと、もうはっきりと生産の数字が出ております。しかるに機械の方、製糸の方はそういう準備ができましたが、生産面にいきますると、なかなかそれに対する計画的な検討が行われておらない。従って、明日に迫る危機に対しましても、一方は自粛生産をやりますと、こういう事態の中、繭の生産の方は町放しにしてある。これは非常な危険の状態を将来に残すと思うのです。従って、最近のまた実情から見ましても、全技術家の言うておるところから見まするならば、今の繭の生産量はもっと倍大させることができるのだと、あるいは蚕糸の業者に言わせれば、蚕糸の改良をやらせればもっと増大させることができる。現在のままでも約倍額に増大させられる、こう言っておるのであります。しかるに、幸い繭糸価格安定法ようなものがありまして、長い間繭の価格というものは一応の安定を保つておりますので、今まで生産をやらなかった養蚕地帯というようなものが、逐次増反を行なっている、こういう状態を放置してある。これは近い将来においても大きな波乱を起す私は要因じゃないかと思う。一方において繭の増産を技術的にはやりましたが、これは七千万貫をじき割つてしまうのであります。そこで、繭価というものが保てないということになりますると、またせっかく植えつけた桑苗を、これで減反しなければならぬ、こういう昔の状態を再び繰り返すのじゃないかと思います。これらの点は、十分われわれとしても考えなければならぬことと同時に、ただいま全繊維の中でこなされる量が、国外においては一%、国内においては二%というようなわずかの繊維価値というか、というようなものを自然的に表わしているこの状況は、私はそう簡単にあと戻りするものじゃない、こういう考え方を持つのであります。従って、これだけの統制を強く行われまするならば、これはもうある段階に参っておるので、それは製糸も養蚕家も一体となって、一つの業態を維持するというところまできておるのじゃないか。これは製糸業者の一部分にもそういう考えがあり、あるいは輸出業者の一部にもそこまでの考えがあり、これをばらばらにする形ではいけないから、もっと統一した企業体に直した方がよかろう、こういうような声も非常に聞かれると同時に、私どもが一番おそれておりますのは、一部の議論が、今ありまする繭、生糸価格の引き下げに対しては、現在ありまする糸価安定法自身が大きなじゃまになっているのだと、これがじゃまになって、ほんとうの生糸というものの将来の発展性を阻止しておるのだ、従って、少くとも十六万円ぐらいに生糸価格を、現在の実施価格というのですか、十六、七万円ぐらいに引き下げなかったならば、消化増大というものは考えられないというようなことも言われており、このまま不幸にして進みまするならば、もはや百億近い国のかかえ込みが出て参ります。これがいつまで続くか、需給が調整せられて、欠損をまぜた価格で売り戻されるという時期がいつくるか、そうしますると、だんだんともう政府の方でもそうたくさん損害を補償できないというような、食管会計のような問題も出てこないとは限らない。そうなりますると、これはもう一大混乱に入ると同時に、価格が繭で下げられる態勢を、やはり今にして確立せぬければいけないと思う。それには、生糸保管によって将来欠損するやわからない。何百億の予算というようなものを考えて現に行われておるのであります。ここで二十億ふえますれば八十億になる。それが足らないで二十億ふやすというこの間具体的なものが出ました。これは衆議院をこの法案が通っておるという中に、それを今二十億ふやし、四十億ふやしますといっても、これはなかなか技術上困難であろうと思いますから、数字をお出しにならないのはかえっていいと思う。また二十億出して、八十億に二十億足して百億にして参りましても、二十三年度の実際の買い入れが始まりました際には、これはあとの二十億ぐらいで緩和できるかというと、おそらくはできないのじゃないか。私どもはしろうとでありますけれども、そういうことを考えている。七月までには今この法案が通りまして、二十億増大しましても、どんなことを計算してみましても、八十億は全部使っちまうのであります。八十億の金は使ってしまうのです。現在四十五億足らずの金を使って、そうしてこれから持ち繭が八百五十万貫、そうしますと、先ほどの計算で参りますと八万五千俵、これが七月までに大体こなされる、こうなりますると、どうしても月五千俵ぐらいは最小限に見て買い上げなければならぬ。そうすると約二万俵というものが買い上げになりますると、あとの四十億というものは、——これは四十億足らずのものです——なくなるのでありまするから、そうして三十三年度の準備資金というものは、かりに二十億というものをきめていただいても、これは非常に危険性があるから、危急に応じて幾らでも出すという御決定をしていただきますることは、かえって金額を定められるよりも、私は効果的だと思いますので、その点には賛成して参りまするが、そういう情勢のうち、繭の生産に対しては一つも御考慮がない、これは全く矛盾した今蚕糸行政というものを行なっておられる、こう考えられますので、この点は一日も早く、せっかく審議会等もお作りになっておるのでありますから、それに諮って、根本的な蚕糸事業一体の根本策を、急速に政府みずからが立てて、諮問していただくようなことが私は必要でないかと思うのです。この点を強く主張しまして、そして本案に賛成しておきます。
  62. 千田正

    ○千田正君 一言だけ要望しておきます。  私は本案に賛成いたしますが、特に私は農林省に要望することは、何と言っても農林省の管轄は、生産農家を、いかにして農家経営のために育成していくかということが問題でありますので、政府は貿易とそれから国内におけるところの内需、いわゆる需要という面を通産行政とともに、一体となった一つこの成案を作って、十分に生産農家の方に誤まりのないように、方策を立ててもらいたい、特にこの点をお願いいたします。  さらに、私はこの問題はただいま清津委員のおっしゃる通り、将来おそらく減反しなくちゃならないのじゃないか、たとえばタバコ耕作業者のように、将来を考えた場合において、ある場合においては、全国のこの養蚕業者の反別を減らさなくては、とうていやっていけないような時もこないとは限らない。むしろ農林省としては、そういうような不幸な事態を招かないような方途を、今から抜本的に研究して、政策を練っていただきたい、この点を要望いたしまして賛成いたします。
  63. 上林忠次

    ○上林忠次君 私も要望の一部を披瀝したいと思います。  世界の糸の現況を見ますと、だんだん日本の生糸の将来性が押し縮められていくようなさびしい気持がいたしまして、私は、いつまで日本のこの生糸が発展し得る余地があるのか、あるいはどの程度まで単価を下げたら今でも発展するのか、そういうような点も、審議中にお聞きしなかったのでありますが、とりあえずこの改正法案には、もちろん賛成いたしますが、われわれが小学校時代に大きな生糸輸出でもって日本は大収入を得た、それが日本の外貨獲得の大宗であったというような時のことを考えますと、もう時期は去っているのじゃないか、それでは、われわれとしては今はどうしたらいいのか、生糸の将来をどういう工合に見ていったらいいのか、農林省におきましては、最近も改植問題をやっておりますし、向う見ずに、目標なしに、どんどん拡張されているような気がするのであります。いずれは現在の糸業の関係を見ますと、だんだん化繊に圧迫されて、これが今、千田氏の申しますようにいつかは引っ込む時期がくるのじゃないか、それならその時期がいつになるか予想しながら、検討しながら、今の改植問題、将来の増植問題、こういうようなこともまた考えていかなくちゃならない。シナにおいては、あの広い養蚕地帯が今復旧しつつあります。戦争によって荒されたあの地帯が、どんどん復旧されておる。ああいうふうな安い生産地帯を相手にして、日本の生糸がどこまで発展し得るのか、発展し得る余地があるならば、今われわれは急速に日本の産業を発展させたい、また、養蚕にかわるべきいわゆる農産物の輸出先、あるいは発展の方策があるならば、それを求めて変えていくというような大きな見地から、生糸価格考えていかなくちゃならぬのじゃないか、まあ、われわれしろうとでありますけれども、農林省のやり方を見ておりますと、十九万円から二十二、三万円の間にしたら、何とか現状を維持できるのじゃないか、現状をいかにすればそれが維持できるかということになりますと、目先は真暗だ、こういうようなその場限りの政策に動いているのじゃないか。将来養蚕業者を窮地に入れないよう対策考えていただきたい。十分検討して、養蚕の将来性、輸出の将来性、また内需のこれからの発展性を十分検討してもらって、確固たる農林省としての養蚕対策考えていただきたい。その点どうも欠けているような点がありまして、審議中にも申し上げなかったので、今つけ加えて申し上げておきます。
  64. 関根久藏

    関根久藏君 私は、本案に賛成をするものでありますが、今蚕糸業に対しまして、斜陽産業という言葉が横溢しているのでありますが、斜陽産業というのは、どういう点から起ったのか知りませんけれども、まあ少くとも政府関係している人も、あるいはその業界に関係している人も、また、もちろん第三者の直接関係ない人はもちろんそうでありますが、みな一体この産業は斜陽産業じゃないかという考えに立っていると思うのであります。私はそれとは考え方が違うのであります。これは斜陽産業ではない、新興産業だ、かように確信しているのであります。少くとも、これに関係する政府も、これは斜陽産業でないということで、あらゆる施策を立てていると思うのであります。将来斜陽産業という言葉がわが国からなくなることを期待いたしまして、本案に賛成いたします。
  65. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御意見もないようですが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。   [賛成者挙手〕
  67. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔、異議なし工と呼ぶ者あり〕
  68. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  よってさよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     柴田  栄  藤野 繁雄     清澤 俊英  鈴木  一     上林 忠次  秋山俊一郎     雨森 常夫  佐藤清一郎     関根 久藏  田中 茂穂     仲原 善一  堀  末治     堀本 宜実  東   隆     大河原一次  河合 義一     北村  暢  千田  正     北條 雋八
  69. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ここでしばらく休憩して、次は、午後一時半かっきりに再開いたします。    午後零時二十八分休憩    ——————————    午後一時五十八分開会
  70. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。中央卸売市場法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人から意見を聴取してはいかがかと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  なお参考人の人選、意見を聞く日時その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  73. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 中央卸売市場法の一部を改正する法律案(閣法第一三七号)及び森林開発公団法の一部を改正する法律案(閣法第一三九号)、(いずれも内閣提出、参議院先議)を、議題にいたします。  まず、提案理由の説明を求めます。
  74. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいま上程になりました中央卸売市場法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  青果物魚介類等、いわゆる生鮮食料品の流通の改善をはかることは、農畜水産業の経営を改善する上からも、一般消費者の利益を増進する上からも、きわめて重要でありますが、特に米麦重点主義から転換して、適地適産、畑作改善により、農家経済の拡大改善をはからればならない現在におきましては、これら生鮮食料品の加工貯蔵が国難でありますので、どうしても中央卸売市場の適正円滑な運営を確保し、その機能を十分に発揮させることが肝要であると存ずるのであります。中央卸売市場には、大正十二年に中央卸売市場法が制定されまして以来、時に応じて変遷はありましたが、現在においては、六大都市を含む十五都市に市場が開設され、青果物及び魚介類の全国における販売恥の約三分の一が、市場における取引を経て流通しており、さらに最近においては枝肉の市場取引も逐次開始される状況にあり、なお、数都市において新たに中央卸売市場が開設される予定となっているのであります。しかしながら、現在の中央卸売市場は、開設地の人口増加に相応する施設の改善は十分とは申されませんので、今後さらに市場施設の整備拡充を進めなければならないとともに、卸売人の信用状態、取引方法等についても一そうの改善を要する点が多々存すると考えられるのであります。  中央卸売市場法につきましては、さきに第二十四国会において成立し、昭和二十一年九月から施行されました一部改正法におきまして、本法制定以来三十余年間における生鮮食料品の流通事情の変化に応じて、卸売人の許可、卸売人の整備統合、類似市場に対する監督等に関する規定の整備が行われ、取引改善につきましても特段の指導を行い、市場運営の適正化の努力を重ねて今日に至っているのでありますが、その後の市場における卸売の業務状況を見ますに、さらに卸売人の間における過度の競争による弊害を防止するため、その取引方法を適正にするとともに、卸売人の信用を強化するため、その財務の健全性を確保することが必要と認められますので、ここにこれらに関し必要な規定を整備するため、本法律案を提出した次第であります。  以下本法律案のおもな内容を概略御説明申し上げます。  第一は、中央卸売市場という名称の使用を制限する規定の新設であります。  すなわち、魚介類、肉類、青果物等の卸売市場であって、中央卸売市場でないものについては、その名称中に中央卸売市場という文字を使用することができないこととする規定を新たに設けることであります。従来この規定は、施行規則の中にあったのでありますが、右に御説明しましたような中央卸売市場の重要な地位にかんがみまして、この際、中央卸売市場と他の市場との区別を明確にし、出荷者方面の誤認を防止することとする趣旨であります。  第二は、卸売の業務にかかわる取引方法の制限に関する規定の新設であります。  現在の中央卸売市場における取引状況を見ますと、卸売人の間における競争が過度にわたり、出荷者方面及び小売人、仲買人等売買参加者方面に対する前渡金、奨励金等の支出が過度に行われ、適正な価格形成及び卸売業務の健全性を確保する上に弊害を生じている状況でありますので、開設者は、中央卸売市場の業務の適正かつ健全な運営を確保するため必要があるときは、農林大臣認可を得て業務規程で定めるところにより、これら卸売の業務にかかわる取引方法を制限することができることとする規定を設け、これによって過度の競争を防止し、卸売人の業務の健全性を保持しようとしているのであります。  第三は、卸売人の純資産額に関する規定の新設であります。  現在の卸売人の財務状況を見ますに、過度の競争その他の事由により、きわめて憂慮すべき状態にあるものも見られ、これらに対しては報告徴収、検査等の措置を通じて、財務の健全化の指導を行なっているのでありますが、この際、生鮮食料品の流通の中枢である中央卸売市場の卸売人の信用を強化するため、卸売人の資産上の最低要件を明確にする必要があるのであります。  すなわち、現行法上、卸売人の財務の最低要件として定められている「当該卸売の業務を行うに足る資力信用」にかえ、卸売人の純資産額の最低額を定め、これを下る場合における業務の停止、許可の取消等に関する規定を整備することとしたのであります。純資産額とは、総資産額から総負債額を差引いた正味資産額であります。  この改正の内容は、第一に、純資産額が中央卸売市場の業務の規模等を参酌して農林大臣の定める最低額に達しない者に対しては、卸売人の許可をしないことができることとし、第二に、純資産額が右の最低額を下った卸売人に対しては、農林大臣は、その卸売の業務を停止することができることとし、第三に、業務停止後六カ月間に純資産額が最低額以上にならない場合には、卸売人の許可を取り消すこととするものでありまして、これに伴い、純資産額の定期報告等に関する規定を整備することとしているのであります。  右の改正に伴う経過措置としましては、本法附則におきまして、改正法律施行の日に許可を受けている卸売人は、本法施行後一定期間内に純資産額を農林大臣に報告しなければならないこととし、その純資産額が最低額を下るものについては、純資産額増加計画を農林大臣に提出し、農林大臣が適当とするときは、改正法律の施行の日から二年以内にその財務を改善させることとしているのであります。  以上が、本法律案を提出する理由で知ります。  次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。  森林開発公団は、膨大な森林資源を抱きながら、未利用のまま放置されている奥地未開発林を急速かつ計画的に開発するために、御承知の通り昭和三十一年第一十四国会において成立を見た森林開発公団法に基いて設立せられたものであります。  現在までの事業の概要を申し上げますと、農林大臣が定めた基本計画に基いて、公団は鋭意その事業の逆行に努力しているのでありますが、昭和三十三年二月末日における事業の進捗状況は、完成路線五、工事施工中二十となっております。しかし、工事着工後の進捗は、概して良好でありますので、未着手の八路線をも含めまして、昭和三十三年度末までには、おおむね全計画路線を完成する見込みであります。  次に、公団の事業に対する将来の見通しでありますが、現在、公団が事業を行なっております熊野、剣山両地域には、なお公団が開発することを必要とする未開発林が存在しますので、三十四年度以降、約八億円の資金をもちまして林道を開設いたすようにいたしたいと考えております。  以上が、現在の公団の事業の概要ならびに将来の見通しでありますが、次に、改正の要点を御説明いたします。  公団は、林道の開設、改良を行うのみならず、当該林道が災害を受けた場合には、直ちにこれが復旧事業を行い、常時適正に維持管理する任務を有しているのであります。しかるに、昭和三十二年度以降、余剰農産物協定が締結されなかったたため、事業資金は、資金運用部資金をもって充てることとしているのでありますが、これに伴い、資金計画を変更いたしました結果、公団の手持資金が減少し、災害復旧事業等に要する資金としては、若干不足しているのではないかと思われるのであります。従いまして、公団の開設した林道に不測の災害が発生した場合等には、資金運用部資金を借り入れ、あるいは、やむを得ない場合には債券を発行して資金をまかなう必要があると考えられるのであります。  以上の理由によりまして、森林開発公団の業務の円滑な運営に資するため、公団に森林開発債券を発行する能力を与えるよう森林開発公団法の改正をいたしたいのであります。  以上が、この法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  75. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) これらの法律案の審査は、日を改めて行うことにいたします。   —————————————
  76. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に関する件を議題にいたします。  本国会に、政府からこの法律案が提案され、内閣委員会に付託されておるのでありますが、この法律案に関し、特に農林省関係の分について、政府当局から説明を聞くことにいたします。なお、時間の都合がありますから、説明は簡単に願います。
  77. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) それでは定員法の改正に関連いたしまして、御審議をお願いいたしております定員外職員の定員化につきまして、簡単に御説明申し上げたいと存じます。  本日は、何か御質問を待ってお答え申し上げようと思いましたので、資料を持参いたしませんでしたが、御便宜のために、内閣委員会に提出いたしました参考資料をお手元に差し上げるのが適当だったかと思いますので、お許しを得れば、そういうように取り計らいたいと存じますが、いかがでしょうか。
  78. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) よろしゅうございます。
  79. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) それでは、資料が参りますまでにごく簡単に、かいつまんで出し上げたいと存じます。  御承知の通り、定員外職員といわれるもののうちには、常勤労務者と非常勤職員、そのうちの常勤化したもの、すなわち常勤的非常勤というのがございますが、このたびの定員化につきましては、各省を通じまして常勤労務者六万六百二十五人、それから常勤的非常勤といわれるものが総数で三万二千八百でございます。これらを対象といたしまして検討いたしました結果、このたび定員法の改正といたしましてお願いいたしておりますのは、結局一万九千六百十五人の定員化をお願いしておるわけでございます。特に農林省について申し上げまするならば、農林省の常勤労務者二万一千六百五十六人のうち総数で七千五百九十人の定員化をお願いしております。そのおもな内訳を申し上げますると、農地事務局関係で千百五十五名、統計調査事務所関係で三百五十名、食糧事務所関係で千四百十六名、林野関係で四千四百四十名、その他本省関係若干でございますが、おもなものはそういうところでございます。  それで、定員化の基準につきまして申し上げますと、これは常勤労務者というのは、その職種が非常に多岐多様にわたっておりまするので、あるいは給与であるとか勤続年数であるとかいうような一本のものさしではかるわけにいきませんので、いろいろな考え得るあらゆる基準を用いて考えたわけでございますが、結局のところ、具体的に申し上げますると、大別いたしまして、公共事業に従事する職員と非公共事業に従事する職員とを分けました。これはどうして分けたかと申しますると、公共事業と非公共事業とでは、定員外職員の発生の理由が非常に異るわけでございます、それで、この二つに大別いたしました。  それから職種につきましては、今申し上げました通り数十の職種があるわけでございますが、これを、事務、技術、労務、技能、庁務と五つに分類いたしまして、それぞれの部門につきまして、それぞれの職務内容の重さから考えまして、ある程度の責任を持っているもの、一かどの責任を持っているもの、というものを実態調査その他によって選び出しまして、このよう数字を得たわけであります  どうしてそういうことになったかと申しますると、このたびの定員化の措置は、第一には、公務員制度の改正によって、本格的にこの定員外職員という制度措置するはずでございましたが、それがことしは間に合いませんので、暫定措置であるということが第一点であります。それから第二には、公務員制度の改正が、公務員制度調査会の答申の具体化として作業中でございますので、公務員制度調査会の答申の趣旨に沿うて作業をし、従って、公務員制度の改正の答申が出ましても、間違いなく公務員の範疇の中に入るというようなものを拾って選んだ、こういうよう関係で、こういう数字を選び出したわけでありまして、今度選び出したものだけが将来公務員の中に入り、それ以外のものはもう公務員の中には入らないということでは決してございませんで、今度は一つの標準を設けまして、確かなものだけを選んだ、こういうようなことでございます。  あまり長くなりましてもあれですから、とりあえず、一般的なそういうよう方針で査定をしたということを申し上げます。
  80. 大河原一次

    大河原一次君 またあと資料がきましてから御説明をされるわけですか。
  81. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) まことに不行届でありまして、間もなく資料が参ろうかと思います。資料が参りまして、また御説明申し上げたいと思います。
  82. 大河原一次

    大河原一次君 先ほど説明された農林省関係の二万一千六百五十六、これは総数ですか。これの中には非常勤並びに常勤は入っておるわけですか。
  83. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) ただいま申しました二万一千六百五十六というのは、常勤職員、常勤労務者ということでございまして、そのほかに、常勤的非常勤が約一万六千、それから純粋の非常勤が各省を通じまして二十八万でございますが、そのうち農林省は十六万ほど占めております。
  84. 大河原一次

    大河原一次君 各省のやつで二十八が幾らというのは覚えているのですか、そうすると、農林省は十六万あるのですね。
  85. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 仰せの通り、いわゆる非常勤職員というのは各省を通じまして二十八万でございますが、そのうち農林省が十六万を占めておるということであります。
  86. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 先ほど御説明になった常勤の六万六百二十五人と、常勤的非常勤の三万二千八百、これはどういうことですか。
  87. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 一般職の国家公務員のうち、各行政機関構成する職員というものは、定員法によって各省それぞれきまっているわけでございますが、これがいわば恒久的な職員でございます。それに対しまして、二ヵ月以内の期間をもって雇用される臨時の職員というものがございます。これが二ヵ月以内の臨時の仕事を対象として雇われるわけでございますが、その仕事がだんだん長続きするに従いまして、二ヵ月の雇用期間を更新して、数年にわたって勤務しているというのが常勤労務者と言われるものでございます。それから非常勤と言われるものは、これは非常に種類が種々雑多でございますが、日給で日々雇い入れられる職員がこれでございます。委員、顧問、参与であるとか、あるいは資料調査員であるとかというような種類のものがこれでございますが、その中で、日々雇い入れられて、毎日役所に顔を出してきて、それが一年以上も固定してくるというようなのを、その役所で登録その他の手続をいたしまして、固定して顔なじみになってくる。従って、日々雇い入れるものと少し待遇を異にして参るということになるわけでありまして、これは、制度上の問題ではございませんが、非常勤の常勤化したものといたしまして、これを常勤的非常勤と一般に俗称しておりますが、こういう性質のものが三万二千八百いる、こういうことを申し上げた次第であります。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林省関係が三万二千八百というのですか。
  89. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 三万二千八百と申しましたのは、各省を通じての常勤的非常勤の総数でございまして、農林省は一万七千でございます。
  90. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはどうもわからないので弱るのですが。
  91. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) それでは、私から農林省関係の定員の実態数につきまして申し上げてみます。まず、数字の御説明をいたしたいと思いますが、まず、常勤職員の定数が現在何人で、それの現在員が何人、そのうち今回の定員化されるものが何人かという点を御説明いたしましょう。  三十二年度の定数におきましては、常勤職員は二万一千五百二十六名でございます。そのうち現在欠員もございますので、予算要求当時における現在員について申し上げますと、昭和三十二年の十月一日現在でございますが、一万九千百六十五名、これか十月一日現存における現在員でございます。そのうち定員化いたしましたものが七千五百名でございます。常勤職員から今回の定員化措置によって増員いたしたものが七千五百名でございます。  それから非常勤、つまり常勤的非常勤とわれわれは通称いたしておりますが、つまり日々雇用の形態をとっておりますものを通年化して、一般職員と似たような仕事をしているようなものを称しまして、常勤的非常勤職員とわれわれは通称しております。それが十月一日現在におきまして一万五千三百九十二名でございます。そのうち今回の定員化措置に伴って定員化されたものが九十名でございます。従って、先ほど七千五百九十名が定員化されたと管理局長の方から御答弁になりましたのは、先ほど申しました常勤職員から定員化された七千五百名と常勤的非常勤職員から定員化された九十名を加えた七千五百九十名というものが、今回の定員化措置によって繰り入れられたものでございます。それから先ほど常勤的非常勤以外に、農林省関係で約十六万人のいわゆる非常勤職員がおる。こういう御答弁がございましたが、つまりこの十六万人というのは、日々雇用しておる状態にある純然たる人夫でございまするが、従って、時点々々によってこれは非常に変動するものであります。時期によってはゼロになる場合もあり、繁閑によりまして、繁忙期になれば臨時に雇う、閑散期になればいなくなる、こういう性質のものでございます。  以上、簡単でございますが……。
  92. 東隆

    ○東隆君 この場合、この定員化される分の財源は、どういうふうになるのですか。
  93. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) これは、常勤労務者というのは、御承知の通り昭和二十七年から常勤労務者給与という目がはっきりできておりまして、そこに計上されておりますし、常勤労務者というものもすでに定員内の職員と同じように一般職給与法の適用を受けまして、何等級何号という給与を受けているわけでございます。その予算がすでに予算言に計上されておりましたのを、このたび一般職員の方に移すわけであります。そういうことで、予算措置は、このたびの三十三年度の予算には、一般職の中に含まれてできていると考えていただきたいと思います。
  94. 東隆

    ○東隆君 今回の場合はそういう措置を講ぜられたのですが、以前はどういうことになっているのですか。事業費の中か何かに入っていたのですか。
  95. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 常勤労務者六万六百二十五人というのは、すべての各省に存しておりまして、一般行政部費の中にも、事業費の中にも入っておりますので、それぞれの仕事に応じまして、事業費の中に含まれているもの、あるいは一般行政部費の中に入っているものもございます。
  96. 東隆

    ○東隆君 事業費の中に入っているものを定員化する場合は、はっきりそれを抽出して予算を組むのではないですか。
  97. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 予算書をごらんいただけばわかる通り、仰せの通り抽出して組んでございます。
  98. 東隆

    ○東隆君 そうすると、定員化することには、今までの場合も、決して無理はなかったわけですか、財源は十分にあったわけですね。
  99. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 定員化するというのは、私どもは財源の問題よりは、恒久的な役所の大きさの問題と考えております。すなわちある役所で恒久的な職員を何人必要とするか、ただし臨時の仕事にはさらに臨時の職員を何人か必要とするわけであります。そういう臨時の仕事を除いて、恒久的の仕事としてその役所に何人必要とするかということを、定員化の問題と考えております。
  100. 大河原一次

    大河原一次君 お聞きしていると、質問の内容が本格的の検討に入っているようですが、どうしますか、正式の質問資料のくるのを待ちますか。
  101. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 資料を見て御質問なさる方は、資料がきてからしでいただき、それまで時間の関係上、総括的の質問があればやっていただきたい。
  102. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 定員の問題ですが、実は昭和二十四年から五年にかけまして行政整理をやられましたが、あの行政整理をやったのは、いわゆる恒久的定員を減らしたのであって、こういったような常勤労務者とか、常勤的非常勤職員には手をふれていなかったわけですか。
  103. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 仰せの通りでございまして、戦後の行政整理は三回ありまして、二十四年には総計二十五万人、二十七年には九万人、二十九年には六万人の行政整理をやりましたが、これは定員法上の定員、その他、正規の定員でございまして、本日問題となっております臨時の職員につきましては、全然手を触れませんでした。
  104. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、本日問題になっております定員化されようとするもの、あるいは後に残るものもあるようでありますが、そういうものは、その後にたんだんふえてきたものでありますか、三回の行政整理の当時においても相当数あったものか、そういうものは、きょうの資料に掲げられておりましょうか。
  105. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) きょうお手元に差し上げ資料には、今お尋ね資料はございませんが、資料を作って差し上げてよろしゅうございますが、この常勤労務者制度というものが、制度として認められたのが昭和二十五年でございます。その当時、幾らいたかという的確な資料はございませんが、大体二万見当いたと考えてよろしいと思います。昭和二十七年度の予算からその数がはっきり計上されることになりまして、そのときに約三万五千だった。それが主として公共事業に限られておりましたが、逐次これが臨時に人を雇える——試験任用によらないで、臨時に簡便に人を雇えるというようなこともございます。その他、定員が非常に窮屈だという事情もございまして、だんだんふえまして、逐年ふえて、今年に参りまして六万を突破したというような状態でございます。
  106. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 資料が参りましてから……。
  107. 関根久藏

    関根久藏君 さっきお話しの、何ですか、技能、技術、労務、庁務というその技能と技術というのはどういうふうな……。
  108. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) お答え申し上げますが、結局これは職階制に基礎を置くわけでございますが、それぞれの定義がございまして、技術とはどういうものか、技能とはどういうものかというようなことがはっきりきまっておるわけでございますが、ごく簡単に申し上げまするならば、少し定義めいて申し上げますと、技術職と申しますのは、こんな種類を含んでおるわけでございます。第一には理学、工学、農学等の自然科学に関する専門的業務においてその施策の樹立及び実施に関与し、またはこれらに必要な調査研究等に従事する職員。それから第二は、船長、機関長、機関士、航海長、航海士等の高級船員。第三には、自然科学に関する専門的業務において比較的初歩的な知識経験に基いて技術的な補助業務に従事する職員でありますから、技術職というのは、結局御想像いただきますいわゆる技官、上は技官の非常に高級なものから、下はごく簡単な初歩的な技官と、こう考えていただいてけっこうと思っております。それから技能職というのは、これは特殊な技能経験を必要とするものでありまして、技能といいますのは、どういうものかと申しますると、職種で出し上げますれば、おわかりになろうかと思いますが、大工、左官、石工、電工、営繕工、配管工、トビ、作業員、水夫、火夫、製図工、青写真工、写真作業員、印刷工、製本工、製材工、木工、鉄工、溶接工、塗装工、旋盤工、仕上げ組立一般加工員、有線通信員、自動車運転手、昇降機、運転手、建設機械操作手、機械修理工、潜水作業員、作業船舶操作員、ボイラーマン等の機械作業員、土木作業員、こういうようなものが技能職に入っております。
  109. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 今度定量化されますものは、本来定員法における定員に相当する性質のものと、こう見ていいのですね。
  110. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 仰せの通りであります。
  111. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうすれば、当然初めから定員法を改正して処理すべき性質のものだ、こう考えていいんですね。
  112. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 仰せの通りでございます。
  113. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 従来数回にわたって行政整理が行われたわけですけれども、そういう人々は、現実の問題として常勤職員ですか、そういう立場に一応置かれている。そういうものが今度定員化というので、何というのですか、還元といいますか、そういうふうになってくるものが相当ある、こういうふうに考えていいのか、それともこれは別と見ていいんですか。
  114. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) これは非常に古いいきさつがございまして、一がいには申せぬわけでございまして、ただいま極端な例を引いて申し上げるのは悪いかと思いまするが、先ほど秋山委員からお尋ねがございました行政整理があれば定員の中から落ちる、その職員を今度臨時職員として雇うのに、常勤労務者の中にもぐり込んだというような事情もございます。それからごく臨時の仕事のつもりで雇ったのが、それがそのままいついたというのもございますし、また、他面におきまして、公共事業いうものは、御承知の通りはっきりした定員という観念よりは、主として金額事業量というようなことを主としてやったものでありますから、これに従事する職員の定員規整が不十分であった。ことにその雇用形態が昔から例のはかま人夫その他と申しまして、公務員法の線に上らなかった者が多いのでございます。従いまして、定員法を制定いたします場合に、各省の必要な定員、各省を構成する必要な定員というものは、すべて定員法に計上するのが建前でございましたが、それからそういうような現業的な部分が相当漏れていたということも事実でございます。それから、その後数次の行政整理に関連いたしまして、定員が非常に窮屈に押えられていた、定員はその場合、窮屈に押えるけれども、まあ一つ常勤労務者でこれを認めようというような気持があったことも事実であります。その他いろいろな事情がからみまして、こういう相当多数の常勤労務者というものが出て参った次第であります。
  115. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) では続けて御質問願います。——ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  116. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて。
  117. 大河原一次

    大河原一次君 先ほどの委員長の話は、本日は、何か農林省関係だけの定員化の問題を取り上げるというような、そういうお話でありましたが、そういうことでありますか。
  118. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) そうです。
  119. 大河原一次

    大河原一次君 先ほど岡部局長の方から御説明があったのでありまするが、今回の農林省関係の定員化は七千五百九十名であるということでありまするが、この数字は、現在定員化を要請されております総ワクの何パーセントになっておりますか。農林省関係の定員です。同時に、これはきょうは農林次官がさっきおったんですが、農林次官にいてもらわなければ、ちょっと先ほど農林省関係のみであるということを言われておりますから、当然これは農林次官が出ていてもらわなければ、ちょっと質問ができないんですが。
  120. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中正〕
  121. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて。
  122. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 御質問の点、ちょっとうっかりいたしましたが、七千五百九十名が、現在の定員に比べて何パーセントのパーセンテージになるかということでありますが、現在員一万九千百六十五名でございまして、これは先に申しましたように、十月一日現在の現在員でございます。それに対しましては三九%になります。
  123. 大河原一次

    大河原一次君 当初、農林省で行管の万に対しての要求があったと思うんですが、要求の数字は何名になっておりますか。これは先ほど説明がなかったように思うんですが、農林省の要求といたしましては、定員外を定員化するための要求は、何名くらい要求されておりますか。
  124. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) われわれの最終の要求といたしまして、行管と折衝いたしました数字は、一万七千四百十八名でございますが、その前に、ちょっとこの考え方を申し上げておきたいと思いますが、先ほど管理局長の方からも御説明がありましたように、私の方におきましては、やはり今後の公務員制度改正全般を待って措置すべきである部分が定員化についてはある、こういう考えに立ちまして、現在暫定的に定員化するということでありますので、従いまして、農林省の常勤職員、あるいは常勤的非常勤職員につきまして、先ほど職種の内訳といたしまして、技術であるとか、労務であるとか、技能であるとかといったような職種の御説明があったわけでございますが、それらの中で、将来公務員制度の答申の線にも沿って定員化されるであろうという職種につきまして、勤続年数にもう一つ基準をとって出したものでございます。従いまして、管理庁の今御説明になりました基準とは、われわれの基準は違うわけである点をお含みおき願いたいと思います。
  125. 大河原一次

    大河原一次君 昨年の二十七国会におきまして、私は、当時建設常任委員となっておったんですが、その場合に、本日来ておられます岡部局長が、この今回行われている定員法の一部改正の問題については、これは将来定員法の改正というものを前提としての暫定的な措置である、従って、これは一時的ないわゆる手直しの方策であるというふうに述べられておりまするのですが、これは現在でもその通りでありますか。
  126. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 先ほども申し上げました通り、その通りでございます。
  127. 大河原一次

    大河原一次君 官房長も、そういうふうに理解していいのでありますか。あなたのお考えは。
  128. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 今私が御説明したのも、そういう考えに立って申し上げたわけであります。
  129. 大河原一次

    大河原一次君 そうしますと、これは公務員法そのものはどういう改正になって現われるかわかりませんが、従って、そうしますと、一時的な暫定措置であるというふうにしますると、さらに今後、たとえば今国会において公務員法の改正というものを、実際は出せないようなかりに状態になった場合に、あるいはまたその後におきましても、今後とも、あるいは明年度といいますか、明年度もこういうよう措置がとられるというふうに、われわれは解釈するんですが、そういうふうに解釈してよいのでありますか。
  130. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) この定員外制度というものは、非常に不合理なものでございますから、できるだけこれは早い機会に解決しなければならぬことでございまして、私どももそれが一日も早くでき上ることを急いでおるわけでありまして、ほんとうはこの二十八国会に間に合わせる予定で作業が急がれておるように承知しておりましたが、それが結局間に合いませんでしたが、次の、すなわち三十四年度からは、確実に公務員制度の改正ができるということを総務長官も申しておられますので、次の国会におきましては、根本的な公務員制度の改正と、定員法の改正ができることと確信いたしております。
  131. 大河原一次

    大河原一次君 先ほど申し上げ通り、昨年の二十七臨時国会において、建設委員会においては、すでに決議を出しているわけです。これは岡部町長も御承知の通りだと思います。このことは、結局二十二年でありますか、あるいは二十四年、それに二十六年という、毎国会のごとくですね、衆参両院の内閣委員会において付帯決議がなされているわけであります。従いまして、建設委員会におけるあの決議という問題も、この内閣委員会の付帯決議に順応した姿をとっているのではなかろうかと、私はこういうふうに考えているわけでありますが、あの当時の模様から申し上げまして、岡部局長は、そういうふうに考えておられますか。
  132. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) その点はお尋ねように了承いたしております。
  133. 大河原一次

    大河原一次君 そうしますと、今回のこの農林関係におきまする七千五百九十名というものは、この定員化がなされたのでありますが、この定員化がなされたことは、あの内閣委員会の決議等に沿った措置が、この数字になって現われたと解釈してよろしいのでございますか。
  134. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) あの決議を一日も早く徹底的に実現化したいというのが私どもの念願でございますので、その趣旨に沿うて大きな一歩を進めたものと考えております。
  135. 大河原一次

    大河原一次君 それにいたしましては、あの内閣委員会の決議の内容から申し上げますると、今回達成されましたこの七千五百大十名という数字は、先ほども三九%ですか、非常に私は少い数字だと思うのであります。特にこの三十三年度の農林関係における予算全体を見ましても、あるいはまた政府の立てている農林政策の基本的な考え方からいっても、非常に今後はますます畜産の問題とか、あるいはまた畑地振興の問題とか、とにかく農林政策においては相当重要視しているわけであります。従いまして、相当積極的に力も添えているような現状であるし、同時に、このことによって、農林関係における事業量というものは、結局少くなるよりかも、多くなると見通されるわけであります。従って、こういった場合に、今出されましたような七千五百九十名というものは、これをほんとうに政府の立てている農林施策に忠実な一つ対策として現われた数字でないというふうに、私は解釈しているのでありますが、これについて、官房長の御意見を承わりたいと思います。
  136. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 今回の定員化に伴う一般的な考え方は、先ほど御質問にもありました通り、また管理庁の方からも答弁いたした通り、公務員制度——公務員の一般的な制度の改正前における暫定的な措置である、こういうことで、われわれとしてはこの定員化に一歩を進めたものであるというふうに考えているところでございます。従いまして、多々ますます弁するということももちろん必要であるわけでありまするが、われわれの一般的な考え方といたしましては、従来もとって参ったのでございまするけれども、非常勤的な職員をまず常勤職員にし、あるいは常勤的職員を定員の欠減があれば定員化に組み入れると、こういうような漸次身分の安定化をはかっていくと、こういう努力を重ねて参ったのであります。従って、今回におきましても、この数字自身で必ずしも全部が解決したというふうには、もちろん考えておりませんけれども、農林省の具体的な定員化された数字の結果につきまして考えてみまするならば、先ほど管理庁における今回の定員化の漸定的措置基準といたしまして、各職務の重要度とか、あるいは責任の大小とか、こういった各職場々々における職務の実態から見て定員化されている職員のっ職務なり、職域なり、これらがある程度類似性を持っているというようなものにつきまして定員化の措置がとられた、こういう基準に基きまして、農林省の定員化も行われたわけでありますので、そういう観点からいたしますならば、われわれとしては、当面この措置でまず第一歩を踏み出そう、こういう考え方をとっておるところでございます。農林省の定員化は、先ほど申し上げましたように、全体といたしましては、現在では三九%でございますが、各省の定員化の比率の二六%と比べますると、三九%でございまするので、その定員化率におきましては、われわれとしてはやむを得ないと、かよう考えておるところでございます。  次の御質問でありますところの、しからばこのような定員化によりまして、増大する農林施策に対して十分呼応するような態勢ができておるかどうかという御質問でございますけれども、もちろん必要な事業の増大に伴う定員化につきましては、われわれとしても要求もいたして参りました。また、今後においてもこのような努力をいたすところでございますが、今回定員化された中におきましても、新たに事業のふえたものにつきましては、これは定員として増加を認める。さらに常勤職員なり、非常勤職員なりの中で、先ほども申し上げよう基準に該当するようなものにつきましては、定員化をはかっていく。そして全体として事業の実態に応ずるような適正な配置を考えて、事業の遂行には遺憾ないよう措置をとりたい、かよう考えておるわけであります。  ついででございますので、一言申し上げますと、農林省の今回ふえました常勤職員の定員化は七千五百九十名でございますけれども、定員の増として認められたものは、そのほかにございまして、合計いたしまして七千六百六十三名の増でございます。もっともそのほかに事業の効率化とか、あるいは事業の縮小に伴いまして、減が八十名ございますので、差し引きいたしましては七千五百八十三名の増ということになっておるわけでございます。定員全体といたしましては、七千五百八十三名の増ということになっておるわけでございますが、今申しましたように、内訳といたしましては、増員されたものが七千六百六十三名、そのうち常勤の定員化に伴うものが七千五百九十名、こういうことに相なっているのでございます。
  137. 大河原一次

    大河原一次君 岡部局長にお伺いいたしますが、先ほどの説明の中に出ておりました、各省庁の現在要求されておる総数が六万六百二十余名であって、このうち大体三分の一に相当する一万九千六百十五名が定員化というような御説明でありましたのですが、これは農林関係における七千五百九十名も関連するわけですが、この中に入っておるわけでありますが、このきめられた定員化されたに当っての、何といいますか、基準といいますか、この基準についてもう少し御説明願いたいと思います。どういう基準でこういう措置がなされたか。
  138. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 定員化するにつきましての基準というのは、種々雑多な要素が考えられておりますが、結局、今度は暫定的な手直しでございますから、何らか必ず一つのよりどころ、はっきりしたメルクマールというものがあればいいわけでございますが、それがなかなかつかみにくい。御承知の通り勤続年数でつかまえるというのも一つ考え方かと思いますけれども、実はこの臨時職員を勤続年数で定員化するということは、世界各国の例から見て、最も避けなきゃならぬことであると、こうされているわけであります。欧米各国におきましても、臨時職員というものは、これは正規の職員の任用に当って、何らの優先権を与えてはならないというのが、近代公務員制度における共通の原則でありまして、公務員法におきましても、公務員法の六十条では、臨時的任用に当ってはいかなる優先権も与えるものではないということを明記しておるわけであります。これは臨時的職員がずるずる本来の職員となりまするならば、公務員制度の質を悪化するということになり、メリット・システムを破壊することになるわけでございますし、また、たとえば三年間勤続したものが定員内に入るのだと申しますると、毎毎年勤続年数がふえてくるわけでありますから、そのたびごとに入れるということは、今申しましたよう意味でこれは避けなければならぬことでございます。しかし、やはり勤続年数が長いということは、別な意味におきましてそれだけ職務内容がその役所にとって欠くことのできない一面もあるのだということも、あわせて考慮に入れなければならぬのではなかろうか、こういう考えを持っております。  それから第二点は、給与の点はどうであろうか、すなわち職階給与制に基きまして、昨年の八月一日以前においては十五級に分れておる、それから八月一日以降は八等級に分れておるわけでございますが、この給与を表わす等級というものが、一つのやはり職務と責任の大きさを表わすもので、これは大いにやはり参考になる一つの標準であろうかと思うのでありますが、単にやはり給与だけをメルクマールにいたしますと、給与というものはやはり職務内容と関係なしに、長い間勤めておりますと自然に上ってくる、これはおかしいようでありますが、その役所の実情をごらんになりますと、実は給与が高いものが重要な仕事をしている、その役所にとって欠くべからざる職員であるということにはなっていないわけであります。従って、給与だけをとるということは、標準としてこれも危険なことでございますが、しかし、やはりいろいろな要素を勘案いたしまして、給与が表われている等級ということも、一つの参考にすべきではなかろうかと、こう考えます。  それから第三には、役所の大きさと仕事の分量との関係でございます。これが本来的な基準であろうかと思うのでありますが、これを把握するということが、実は公共事業等におきましては非常に困難がありまして、いろいろその役所の業務量、過去数年間の事業量というものから見合って、これを一つの重要な要素とする。  それから第四には、その役所の欠くべからざる仕事として、その職員が重要な仕事に従事しているかどうか、すなわちある責任を負うておるその職務と責任の内容をつかまえていく、今度は暫定措置でございますから、すなわち必要な全員を入れるというのではなしに、間違いないところを入れるということでございますから、従いまして、ある程度の職務と責任を持っておるものをつかまえるということが、まあ一番肝心なところではなかろうか、そういう点で、こういう基準に重点を置きました。  それからある職種におきましては、その職務遂行上どうしても必要な単位というものがございます。その必要な単位を構成する職員は、これもやはり構成員として認めようというようなことで、従いまして、非常にそれぞれの職種によりまして違って参っているわけでございます。それからその職務と責任を把握するにつきましても、これがいろいろな大きさがございますので、実態を調査いたしまして、ある程度の、たとえば第一位と申しますか、第一位の職務内容というものはこの程度のものだ、この程度の職務内容のものは、これは問題なく入れる、それからそれより軽い第一番目のものも、一定の表現でその職務と責任が明らかになりますから、これも一つ役所の構成員として必要だから入れよう、こういうような順で、すなわちその職務と内容を、この際、一つの特徴をもって把握し得る段階までつかまえていったというようなことが、大ざっぱに申し上げますと、基準の内容になろうかと思います。
  139. 大河原一次

    大河原一次君 いろいろと具体的に基準の点について御説明あったんですが、まだ私としては十分に了解に苦しい点がいろいろあるのでありますが、今回の全般的に言われました一万九千六百十五名の定員化、農林省におきましては七千五百九十名の定員化がなされたのでありますが、これらの方々の中には、従来われわれがよく見あるいは聞かされるところの、たとえば一つの現場あるいは工事の中に、たとえば定員外のいわゆる常勤労務者でありますか、定員外の、何というか、主任だとか、あるいはまた事業所主任といいますか、そういう方々の下に、定員職員がおるというんですね、定員外の主任のもとに、自分の部下に……。そうして定員職員を持っておるということで、事業の統制上であるとか運営上において、いろいろな支障があるということを、われわれ現場の方々から聞かされておったわけです。それは、農林省の中には一般公務員と同様な仕事をされておるのは、先ほど御説明通りでありますが、この中に特に二ヵ月ごとに更新されていっておる方で、今日まで勤務されて七年から十年までの方々が一万一千九百七十一名の——この数字にあるいは誤りがあるかどうかわかりませんが、関係の方々からいただいた資料でありますが——とにかくこういう方々が、今日農林省の中におるわけです。いわゆる常勤労務者の中にですね、二ヵ月ごとに更新されて、しかも十年間勤続されておる方々が、農林省の中に二千九百十九人おられるというようなことの数字を、私はいただいておるわけです。それから七年間から十年までの人々が一万一千九百七十一人おられる。こういう方々が、今回の措置によって農林省における七千五百九十名の中に含まれておるかどうか、この二つの問題について御質問申し上げます。
  140. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 先ほど申し上げました通り、一かどの責任を分担しております定員外職員は、これはすっかりつかまえまして定員化いたしましたから、大河原委員お尋ねの第一段の方でございますね、これはすっかり是正されたと信じております。従いまして、農地事務局の事業所、出張所の定員構成も大幅に改善され、是正されると考えております。  それから常勤労務者が実は十年以上勤続している者が六万人のうち、私の記憶では六千人ぐらいいるのでございます。で、実はその常勤労務者制度というものが確立されましたのが、先ほど申し上げました通り昭和二十五年あるいは二十七年からと申し上げていいと思いますので、それ以前から国家公務員という観念じゃなしに、あるルーズな形態を持って勤務しておられた——ルーズと申しますのは、公務員法が厳格に適用されないという意味でありますが、そういうような形の方が多いのでありまして、一般的に定員管理あるいは人事管理の立場から申し上げまするならば、ある役所の年間の欠員のローテーションと申しますのは、現実数字を申し上げましてもよろしゅうございますが、大体三%、年間に三%の欠員が出るわけでございまするので、もしも定員構成上ぜひ必要ならば、かなり定員化し得る余地もあるわけでありまして、今第二段にお尋ねようなことは、人事管理の面からもあわせてお考えいただかなければならぬのではなかろうかと考えております。
  141. 北村暢

    ○北村暢君 私からお伺いしたいのは、今の大河原さんの質問とも重複する点もありますが、関連的にまず質問いたしますが、この前の二十六国会の定員法通過の際における付帯決議、これについては、衆議院の方は入っておりませんが、参議院の方には、明らかに非常勤職員中その職務の性質、勤務の状態からいって、定員法上の定員と何ら変らないものが多数に上っておる、こういうものについて定員化するんだ、こういうことですね。それから、常勤職員についてはもちろんのことですが、これは触れませんが、そういう付帯決議がなされておるわけです。ところが、今聞いておりますというと、岡部局長の、今回における定員の査定の基準というものが全くあいまいもことして、あなたがそういうふうに詳しく説明しなければならないくらいで、あらゆる基準だとか種々雑多な基準とか、——それは基準じゃないですよ。そういうあらゆる基準なんというものは、基準じゃないんで、私は基準了解できない。それでまた、今予算委員会審議しております中で、同僚委員の鈴木委員から、この基準についての資料を提出願った。これを見ますというと、この基準も非常にあいまいもことして、この基準で今度の定員が出てきた、定員化されたというふうには、私ども考えられない節が大いにある。それで、まず、私どものこの付帯決議の問題からいけば、農林省常勤だけで二万一千なにがし、そのほかに常勤的な非常勤が一万なんぼ、これに対してわずかに七千五百九十名。これは、私は、この付帯決議の精神というものからいって、その付帯決議の国会の意思というものに沿っていないんじゃないか、こういうふうに思うんです。そして、今説明を聞きますと、公務員制度が改正になることを予定して、そして、そういうことで暫定的にと、こうおっしゃっておられるが、その暫定的なと言っておる基準というものは、私は、公務員法の改正の法案がまだ国会にも出ていないうちから、その基準、そういうものが通るであろうという想定のもとに、こういう定員というものについて極端なワクをはめて、将来、公務員になるであろうという、あるいは公務員の中に入らないであろうという想定のもとにやるということは、これはそういうことを前提に置いて基準を設けるということは、国会の意思というものを軽視しておる、こういうふうに思うんですが、その点についてはどういうふうにお考えになるか。これが一点。  それからもう一つは、こういう基準を示されたと、こう言っておるんですが、一体、行政管理庁の出した今の法案の数字が、こういう基準を農林省なり各省に示して、そして報告をとってそうして今のこの定員法というものが改正が出たのかどうか、この点について一つ伺いたい。  それからもう一つは、官房長は、予算要求の際に、二年以上の勤続勤務者について要求して、これは常勤だろうと思うのですが、一万七千何がしですか、これを要求されたということから推しても、行政管理庁が各省に定員の基準というものを示してやったんではないというふうに受け取れる。この点について、前の質問と関連してお答えをまず願いたい。
  142. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 北村委員お尋ねお答えいたしますが、第一点は、常勤労務者のみならず、常勤的非常勤職員も対象としたかという点におありのようでございますが、先ほども申し上げます通り、常勤労務者及び常勤的非常勤を合せまして対象といたしまして検討いたしました結果、結局、職務と責任というよう基準から申しますと、非常勤の方が軽かったというために、数は少うございます。これは、まあ当然のことなんでございます。それで、結局のところ、常勤的非常勤の定員化は、総数で七百五十三名に達しております。  それから第二点の、調査会の答申を基礎として、あるいは調査会の答申の方を尊重して定員化の基準考えたのはけしからんじゃないかという仰せでございます。いかにも、調査会の答申というものがまだ具体化して法案にならないときに、これを出すのはいかがかという御意見もおありだろうと思うのでございますが、ざっくばらんに申しますれば、調査会の答申が、公務員制度の改正として具体化され、それに基いて定員化のことを考えるのが、私は、本筋だろうと思っております。しかし、そういたしますと、少くとももう一年おくれるわけでございます。私も役人として実情を知っておりますが、いろいろな事情から常勤労務者の中で多数の者は、定員の中に入りさえすれば、任官もできるわけであります。農林技官、農林事務官として任官し得る能力のある人が相当数おるわけであります。一年間も早くこの人たちをそういうような正規の地位につけたいということ、それからさらに、これは公けの席で申し上げるのもなにかと思いますけれども、若い職員にあっては、早く農林事務官、農林技官として結婚の有資格者にもなりたいというような、切々たる希望もあるわけで、どっち道、とにかく基準が間違いがないならば、できるだけ間違いのないところを一年でも早く定員化することが望ましいのではないかということから考えて、これは一年早く内輪として定員化をはかって、お願いしたいということでございます。  それからもう一つ申し上げますと、そもそもこの公務員制度調査会の一つの眼目は、二十九年の行政整理の場合におきましても、その当時の定員内職員六十四万に対しまして、約四万の常勤労務者というものがある。これが公務員制度というものを非常に明朗を欠くものとするので、これを早く措置しなけりやならぬ。しかし、これは種々雑多の公務員を含んでおるし、この措置をどうするかということについては、あらためて考えようというような事柄から、これが主になっていることでございますので、従いまして、公務員制度調査会の答申に大体のっとって、この定員化を中間的な措置として私は考えるのが、やむを得ないことではなかろうかと思いますので、御了承をいただきたいと思っております。  第三には定員化の基準につきましては、各省と打ち合せしたかというお話でございますが、関係各省と十分打ち合せいたしまして、関係各省の要望を十分取り入れまして、関係各省の実情を把握した上で、基準を定め、計数を整理したと、こうはっきり申し上げます。
  143. 北村暢

    ○北村暢君 今の答弁で、各省から報告を願って、そうして基準を定め、慎重にやったと。基準で示して、これに該当する者はあるかと、こういうふうに聞いたのですか、どうなんですか。
  144. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 関係各省の常勤労務者の実態をいろいろな方法で、特に関係各省の人事管理当局あるいは機構定員管理当局と打ち合せまして、実情を聞いて定めたわけでございます。
  145. 北村暢

    ○北村暢君 基準を示してから報告を聞いたのかどうか、それでなければ、その実情を聞いてから基準は自分できめたのか。基準はこうですと言って各省に示したのか、それを聞いているのですけれども、何も私の質問に対して答えてくれていないように思うのですがね、どうなんですか。
  146. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) ちょっとわからぬのですが、考え方は、各省に示してございます。
  147. 北村暢

    ○北村暢君 考え方というのは基準ですか、何ですか。
  148. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 基準考えてよろしいかと考えております。
  149. 北村暢

    ○北村暢君 基準というのは、そういうあやしげなものなんですか、考え方だなんて……。
  150. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 先ほど申し上げました通り基準というものが一つ何かなければ基準にはならないのじゃないかというような仰せでございましたが、私どもそう考えませんので、これは職種は千差万別でございますので、その実情に即するようにするのが基準だろうと思うのです。一つのものさしだけでは、公務員のこの実態というものははかれないと考えております。
  151. 北村暢

    ○北村暢君 そこで私は、その基準についてはまだまだ異議がありますけれども、ここでこの論議をやっていてもしようがない。それではまず、その新規の事業に対して、人間に従って定員をきめるのでなくして、官庁の大小という——大小と言われたのは、私はこの役所の機構なり事業量なり、こういうものを言うのだろうと思うのです。こういうものに従って定員をきめるのじゃないですか。今いる常勤労務者の実態なり、あるいは常勤的非常勤の実態で、この人は責任があるとかないとかということで、定員をきめるのか、役所の仕事の内容で定員をきめるのか、どっちが優先するのですか。
  152. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 役所の定員のきめ方というものは、仰せの通り、原則として前者であります。ただ、現実に人がおります場合におきましては、それを間接に推測する方法として、後者の方を考えていったということでございます。
  153. 北村暢

    ○北村暢君 たとえば例をあげて申し上げますが、統計調査部の水産統計、これは新規事業となったときに、定員は一人もついておりませんね、これは。それから被害補助員、被害補助員というからあれなんだけれども、農業災害補償法による被害調査のための仕事はふえておるわけです。これに対して定員一つもついてなかったわけです。それに対して、今度の定員化を見ますと、これに応ずるような定員化がなされておらないようですが、一体、これの考え方の差というものは、私にはどうしてもわからない。どういうふうにしておられるのですか。
  154. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) まことにお尋ねごもっともと思うのであります。そもそもこの農林統計の規模というものが、どういうふうにしてできたかということを考えなければならぬわけでありますが、現在一万一千名おります農林統計調査員と農林統計事務とがどの程度の正確さをもってマッチしていたかということが根本だったろうと思います。で、原則といたしましては、それがマッチするということを前提としてしなければならぬわけでありまして、それに水産統計が加わりました場合においては、水産統計に必要な職員唐名なら百名というものを、やる以上は、これを付加するというのが建前でございますが、当時におきましては、そういう措置をとらなかったということも私承知いたしております。それから例の共済被害の調査関係につきましても、新たな仕事といたしまして、従来の定員に余裕がないとすれば、新たなる定員をつけるのが筋であろうと思うのであります。しかし、これが二十八年でございましたか、当時の考え方によりまして五百九十名を非常勤としてやった、非常勤職員として日給制度でこれを採用したということに、一つの問題があるわけでございます。そういうように、現在の実情におきましては、一つの新たな仕事がふえました場合に、それに必要な最小限度の定員がきちんとつくという制度が確立していないわけでございます。とにかく仕事はもらおう、人は二義的だというような風潮がないとはいえないのであります。これが定員管理を私は困難にする一つの原因であることは、先ほど申し上げ通りであります。このたびにおきましては、そういう点も考慮いたしまして、水産統計及び被害調査につきましては、事情の許す限りその定員化をはかったつもりでおります。
  155. 北村暢

    ○北村暢君 事情の許す限りと言いますけれどもね、そうすると、この最大要件である新規事業なら事業、しかも数次の行政整理で非常に業務が過重になっている、これはもう職員が一致して認めているところであります。この点は、もう岡部局長十分知っているはずであります。そこへ新規事業をふやせば、これは必ず定員をふやさなければやれないはずなんです。それを定員をつけないでやってきた、非常勤だとか何だとかで、やってきているわけなんです。そのことは、私はそれじゃ言いますが、とにかく何か仕事によって定員化するのだということもくずれていると思う。岡部さんの一番大事なその基準になるべきものがね、一つくずれる。そうすると、今の人の状態で、責任だとか何とかいう状態で実情に合うようにと、こういうふうにおっしゃった。ところが私どもの認識では、そういう実情に合うようにということになれば、これは二万一千何がしの常勤、それから一万七、八千の常勤的非常勤、これは私は定員化の対象になる人だ、そういうふうに考える。ところが、それはそういう機構でなしにやるというのですから、人の実情に従ってやるということであれば、この七百何がしというものは該当しない。その趣旨に合わないと私は理解する。それからもう一つは、この常勤的非常勤の問題について定員化されているのは統計の被害調査員の九十名だけです。そうでしょう。従って、非常勤の人では統計以外は全部これは頭から削除されている。基準の中に該当しないといいますか、岡部さんの方からいえば該当しないと思う。ところが、そうではなしに、この非常勤の人が、農産物、食糧庁でいうならば農産物検査という重大な責任のある仕事をやっておる。これは事実なんです。これが定員化されないということは、私はどうも納得がいかない。どうなんですか。その食糧庁で非常勤の人で食糧の検査をやっておる、これは常勤とも同じだし、定長内の人と同じような仕事をやっておる人、責任の重い農産物検査という仕事をやっておる、これを定員化しない。しかも臨時的にちょこちょこ来てやるのじゃない。年間を通してそれも長い期間勤続しておるし、相当な条件というものは備えておるにかかわらず、一人も定員化されていないということは、どういうことなんですか。
  156. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 先ほど非常勤について七百九十三名と申しましたのは、農林省だけのことではございませんので、農林省につきまして、この非常勤のうちで最も定員化するのに必要なものは何か、といっていろいろ検討いたしました結果、共済被害の調査に従事しております五百九十四名でしたか、その職員のうち九十名を定員化いたし、その余の残りは、これは非常勤という資格では少くとも不適当である。第一段階としては、これは常勤労務者化する方が適当ではなかろうかということで、残りは常勤労務者に新年度から改めるということになっておるわけであります。でありまするから、そもそも常勤労務者が常勤的非労勤職員だということで、行政事務をさせておくとか、あるいはこういう制度が残っておれば、やすきについてこういうことがふくれ上る、というような欠点があるわけであります。しかも同じ金を使つてこういう地位に長く置くということは、能率も上りませんし、士気も上りませんし、人事管理上得なことはないわけであります。その点で制度を一日も早く明確化するということが必要であろう、こう考えるわけであります。  それから食糧検査につきましては、統制がだんだんゆるんで参りましたけれども、一面におきまして、麦の間接統制になりましてからの業務量の増加ということも十分考えまして、大幅に検査官の定員化をはかったわけでありますが、こういう検査業務につきましては、本来の建前といたしまして、定員内の職員と、臨時的なあるいは嘱託で間に合うような仕事と、両方あると考えておるわけでありまして、こういうような問題も、制度の改正を待って根本的に解決したいと思っております。
  157. 北村暢

    ○北村暢君 私の質問には答えてもらっておらないと思うのですがね。とにかく今の食糧庁関係の農産物検査をやっておるのは、その麦だの何だのの問題じゃないんです。農産物の検査を検査官としてやっているんですから、公務員の責任性という問題からいっても、おっしゃられる通り、そういう非常勤の人にそういうことをやらしちゃいけないんですよ。ところが定員がないためにそういう便法として、そういうものをやらざるを得ない実情にあるわけです。それであったならばこの際、定員法を改正するのですから、そういう不合理は改正するのが目的なんです、そういうように合うように改正したらいいだろうと思うのだが、そういうものは改正の中に対象に入っておらぬということは、制度そのものが安易につくとか何とかじゃなしに、私は少くとも検査員といったような人はしなければならないのじゃないか。この点はその答弁では納得いかない。それから被害調査の九十名について、常勤労務者たしか二百何十名かふやしました。ふやしたのですけれども、それじゃ被害調査をやっている人が常勤でいいという理屈はないんです。なぜ定員化されなかったのか、この点については、常勤化ある程度したところが、まだ非常勤でこの被害調査をやる人がいるわけです、全部したわけじゃないので。全部したのですか……。全部やったとしてもとにかくこの被害調査という問題は、これは農民の災害の評価という、非常に重要な仕事ですから、そういう責任のある、保険料の決定せられるような重要な仕事をやる人が、定員外の職員でよろしいということはないんですよ。だから今のせっかく定員法を改正するんだから、そういう業務屋のふえたものについては定員化するとおっしゃられておるが、それが大きな基準になるということも言っているのだから、この際やったらいいじゃないか、これはどうしたって理屈から言えばそういうふうにならざるを得ない。それをいろいろな実情とか基準とか、私にはわけのわからない基準でやられたということについては、これは私は非常に遺憾です。と同時に先ほど齋藤官房長は、ほかの省が二〇何%なのに、うちの方は三九%、四〇%近くで、とにかく非常にがんばってよくできた、こう言うのだけれども、これは各省について違つた基準でやったわけじゃないので、今度の定員化すべき人をやったはずなんです、各省とも。だから農林省は今まで怠慢であって、そういう多くやったことが自慢じゃなくて、あたのそれは大失態なんですよ。あなたは何も四〇%にしたことを大きな手柄のようなことを言っておるけれども、そういうふうにほっぽらかしておいたことはあなたの怠慢なんですよ。何も手柄でも何でもないんですよ。そういうことを手柄のようなことを言われたって、こっちはありがた迷惑なんだ、非常に。怠慢をみずから反省すべきが至当なんであって、ここら辺でほかの省と比べて、おれの方が多いからおれの方がよけいできたんだなんて言ったらだめだ。それを百パーセントにしなきゃならないんです。それを四〇%でとまっておるというのがおかしい。だからこういう点については私は了承しません。きょうは時間もずいふん過ぎましたから、私はこの程度質問は打ち切ります。打ち切りますが、この問題はまた時を改めてもう少し掘り下げて、各部局ごとに一つ当つてみたいと思います。委員長の方でそういうふうに一つ取り扱うようにお願いをして、一応私の質問は終ります。
  158. 大河原一次

    大河原一次君 時間もないようですから、最終的に申し上げたいと思うのでありますが、先ほどいろいろ御説明を願っておるのでありますが、いずれにいたしましてもこの問題の抜本的な解決ということになるならば、これはやはり公務員法の改正ということになってくると思うのです。この際官房長の御意見を承わりたいのですが、この三十四年に改正されることは必至でありますし、その場合にもちろん答申案の精神がこの中に反映するだろうと思うのですが、農林当局といたしましては、この公務員法の改正に当って、現在残されておる常勤労務者の定員化の問題について、私は全員定員化を望んでおるわけなんですが、当局としては公務員制度改正の場合において、全員の定員化ということを現在考えられておるかどうか、それを一つお聞かせ願いたい。
  159. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) まず農林省の定員化につきまして、三十四年度の公務員制度改正を待って措置すべきではないかという御質問でございますが、これに対しましては先ほど行政管理庁の方からるる御説明がありましたように、われわれとしては時間を待たず漸を追ってできるものは、すみやかに実施したいということで、今回暫定的な数であっても、まず定員化できるものは定員化したい、ということでこういたしたのであります。  第二の御質問の公務員制度改正の暁においては、農林省において全員定員化の見込みがあるかどうか、用意があるかどうか、こういう御質問でございますが、これは公務員制度の調査会における答申もございますので、それらの答申が織り込まれて制度改正ということに相なろうかと思います。われわれとしては、各省を通ずる同一の基準で取り扱われるべきものであろうと考えておりますので、その基準設定につきましては不公平がないように、できるだけ御趣旨に沿うよう考え方で善処して参りたいと考えております。
  160. 大河原一次

    大河原一次君 先ほど一つ肝心なことを質問しなかったのですが、今回の措置によって、今二万一千六百五十六名の中の七千五百九十名が定員化されたわけでありまするが、あと残りのもの、たとえば今私が申しました全員定員化の問題が出された場合に、これに伴う予算が、いわゆる費用といいますか、どのくらいかかりますか、それをちょっとお聞かせ願いたいと思います。全員定員化をした場合に一体どれだけ費用がかかるかということを、もしおわかりになっておるならばお示しいただきたいと思います。予算措置の問題ですが。
  161. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 定員内に入ります場合における待遇の差がありますので、それらが定員化される場合にどのような額になるかということにつきましては、今のところ資料を持っておりませんので、お答えできる用意をいたしておりません。
  162. 大河原一次

    大河原一次君 差しつかえがなかったら、あと一つその資料を出していただきたいと思います。  最後に申し上げますが、との定員化の問題は先ほども申し述べましたように、来る国会、来る国会で論議され、しかもそのたびごとに内閣委員会の付帯決議がなされているわけです。同時に昨年の二十七国会の続継委員会等におきましても、この内閣委員会の付帯決議に沿うベく、やはり建設委員会においても決議がなされておる。従いまして私もこれにならえという、そういう意味ではないけれども、これは自民党の皆さんもこの定員化の問題については、ほとんど賛成されておるように私は聞いておるのであります。従いまして本委員会におきましても、これは本日でなくてもけっこうなんでありますが、最終的な結論を結ばれる場合には、やはりこの農林委員会としての決議を私はやるべきだと思う。その決議の内容については、今衆議院の内閣委員会に出されておるあの案に対して、これを全面的、何といいますか修正ということが困難である、そういう面もあるかもしれませんが、少くとも現在置かれているような、どちらかといえば、そういう常勤労務者あるいは常勤的非常勤という中で、そういう人は長い間実際不遇な立場に立ってこられましたし、それから明日に対する不安な立場で今日おられる方です。これは非常に私は気の毒だと思います。同時にまた二ヵ月ごとの更新ということは、これは実際今日の何といいますか、労働基本権からいっても非常に間違っておると思う。憲法の精神である同一労働、同一賃金という面からいっても、私は非常に不合理な矛盾したことだと思うので、従ってこういう制度は一日も早く直すべきだと、こういうふうに考えておるわけです。従いましてこういう点につきましては、さらにいま一度局長の御意見を賜わりたいと思います。どういうふうに考えておられるか。
  163. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) まことに仰せの点ごもっともなところがあるわけでございまして、人事管理というものは物を作ったりなどするのと違って、あくまで人格者を相手とする問題でございますから、その人格を有する職員が喜んで働けるよう制度でなければならない。これは当然のことでございまして、従って今のような常勤労務者というものが、公務員制度としていろいろ弊害をもっておるということは、私も痛感いたしておるところでございます。従ってこれの改善にできるだけの努力を払っているところでございますので、その点についてはなおよろしくお願いいたしたいと思っておる次第でございます。  ただしかしながら役所の仕事と申しますものは、その本来の定員だけではなしに、臨時の職員でこれをまかなわなければならないということが、どうしてもあるわけでございますし、また、ピークだけの職員をかかえているということは、これは国民に対して申しわけないことでございますから、との臨時の職員というものを、本来の職員とどうマッチさせるか、ということにこれはむずかしい点があるわけでございまして、ともすれば臨時の職員として雇ったつもりのものが恒久化する、しかも資格も何もないのに恒久化するということの傾向は、これは十分気をつけなければならないことであろうと思います。それでいかにも長い間勤務している職員が、二ヵ月期間で更新されるのは、はなはだ遺憾でございますけれども、この二ヵ月以内の期間を限って雇用されるというのは、労働基準法の二十一条にも、臨時の職員はすべての公共企業体にも、認めておるわけでございます。従って、制度としてこういうものを臨時の職員としてどら活用するか、あるいは労働基準法の二十一条の二ヵ月の期間は適当かどうか、ということも問題もあろうかと思いますが、その制度が不適当で、実情に合わなくなっておるようなおそれもあるということも考えまして、制度と実際の運用と両面から考えていかなければならない問題であろう、こう考えております。
  164. 大河原一次

    大河原一次君 最後に官房長に一つ。先ほどもちょっと触れましたが、私は今結論をつけようというわけではないが、前に申し上げ通り建設委員会等でもああいう決議をしている。従って当委員会においてもわれわれここにおいて決議をするということについて、あなたの御所見を承わりたい、決議をしてもらおうということについて。私はいいと考えておるが、あなたの場合はどうですか。内容等のことについては別に考えますけれども
  165. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 私からお答えするあるいは資格がないかもわかりませんけれども、農林省の官吏の身分の安定について、当委員会において叱咤激励していただくことについては感謝いたす次第でございます。
  166. 仲原善一

    ○仲原善一君 時間もないようですから簡単にしたいと思いますが、定員化によって定員を新しく採用される場合に、試験をおやりになるかどうか。しかもこれは公開の試験をおやりになるかどうかという点、これをまず初めに。
  167. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 今度の定員というものはあくまでワクを広げたことでございますので、理屈からいけば、定員外の職員をそのまま定員の中に入れるということではございませんで、ワクを広げたその職種が、人事院で定めている職種に該当する場合においては、競争試験によってこれを定員の中に繰り入れるというのが原則でございます。ただこれにつきましては人事院規則八の十四というのが出ておりまして、昭和三十年八月一日以前から常勤労務者として勤務しておる者につきましては、選考によってこれを定員の中に入れる道が開かれておるわけでございますので、そういう実情によりまして、そういうことを勘案いたしまして、各省の任命権者は適当な人事管理上の措置をとられることと思っております。
  168. 仲原善一

    ○仲原善一君 先ほどの御説明の中にあった、優先権も認めぬというのとは矛盾しないわけですか。その点重ねて伺います。
  169. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 人事院規則八の十四というのは、今申し上げました内容を持っておるものでございますが、人事院がこのような規則を制定いたしたということは、公務員法の六十条と矛盾しないと考え措置されたことと考えております。
  170. 仲原善一

    ○仲原善一君 次は先ほど申されましたが、人事院で基準を定めて、各省に定員化の考え方を示した。それによって今度の定員化の制度を繰り入れたというようお話でございましたが、かりに農林省の内部について、定員化された数を予算要求の場合の数と比較してみますと、各局あるいは庁によって、林野庁、食糧庁その他農地局いろいろありますが、非常にでこぼこがあるわけです。同じ考え方で要求ざれたものが、実際の結果として表われたものについては、非常にでこぼこがある、平均すればそれは三九%になろうかもしれませんけれども、その間の事情はどういうのでしょうか。
  171. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 農林省各局から要求した数字と、結果的に決定した数字と違うではないか、こういう御質問でございますが、これはもちろん行政管理庁における基準に基いて要求いたしたものではないのでございまして、各省間の一つ考え方によりまして要求いたした、その結果管理庁と折衝し、あるいは大蔵省と折衝し、今管理局の方から御説明があったよう基準によって、最終的にきまったわけでございます。
  172. 仲原善一

    ○仲原善一君 今のお話で、不公平な査定でなかったといろ意味がはっきりしましたので了解いたしますが、最後に、今度の定員化は、たびたび御説明になった通りに暫定的なもので、基本的な考え方は、あらためて公務員制度の答申によって将来きめる、というお話でございますが、その際に、現在定員化されている定数が、既成事実として、何と申しますか、今後のものについてはそう積極的に考えないという意味ではなくて、今後はやはり基本的に考え直すのだ、という意味のことを確認しておきたいと思うのですが、その点はそれでよろしゅうございますか。
  173. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) よろしゅうございます。
  174. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本件は、この程度にいたします。   —————————————
  175. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、地すべり等防止法案、及び地すべり等による災害の防止等に関する法律案二件を議題にいたします。  本国会に政府から前者の、また衆議院議長井手以誠君外二十五名によって後者の法律案が提案され、建設委員会に付託されておるのでありますが、これらの法律案に関して差しあたり政府当局から説明並びに意見を聞くことにいたします。なお、時間の都合がありますから、説明を簡単に願います。
  176. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) このたび地すべり及びぼた山の崩壊による災害を防止するとともに、地すべりによる被害を除却し、または軽減するための関連事業計画を定める等の必要がありますので、地すべり等防止法案を提案いたし、ただいま衆議院建設委員会において御審議中でありますが、農林水産業に関する部門がありますので、本法案の要旨につきまして、当委員会におきましても御説明申し上げまして、御了承をお願いいたしたいと思うのでございます。  この法律案は、第一章の総則以下六章、五十五ヵ条と、付則十四ヵ条からなっております。  第一章におきましては、この法律案目的、定義、地すべり防止区域及びぼた山崩壊防止区域の指定、地すべり防止区域の指定のための調査等について規定をいたしております。  この法律案目的とするところは、地すべり及びぼた山の崩壊による被害を除却し、又は軽減するため、地すべり及びぼた山の崩壊を防止することによって、国土の保全と民生の安定に資することにあります。  この目的を達成するため必要がありますときは、主務大臣は、関係都道府県知事の意見を聞いて、地すべり区域及びこれに隣接する区域であって、公共の利害に密接な関連を有するものを、地すべり防止区域として指定することができることといたしたのであります。  またぼた山崩壊防止区域の指定も、同様の趣旨によりまして主務大臣が行うのであります。  なお主務大臣は、地すべり防止区域の指定に当って、必要に応じ現地調査を行うことといたしております。  次に第二章は、地すべり防止区域の管理に関する規定であります。  地すべり防止区域の管理は、その区域の存する都道府県知事が行うべきものであり、管理すべき事務の範囲は、地すべり防止区域における防止工事の施行、標識の設置、地すべり防止上支障のある行為についての規制のほか、防止工事の計画を勘案して、家屋の移転、農地及び農業川の施設の整備等に関する、関連事業計画の作成がおもなるものであります。  防止工事の施行は、都道府県知事が基本計画を定めて行うこととなっておりますが、主務大臣は、防止工事の規模が著しく大である場合、高度の技術を要する場合、高度の機械力を使用して実施する必要がある場合、都道府県の区域の境界にかかる場合であって、国土の保全上特に重要なものであると認められるときは、都道府県知事にかわって直轄工事を施行することができることといたしております。  主務大臣または都道府県知事以外の者が、地すべり防止工事を行いますことは、むしろ望ましいところでありますが、ただ、その工事の設計及び実施計画、地すべり防止施設の築造の基準等に適合せしめるために、都道府県知事の承認を要することといたしております。  なお、工事の施行につきましては、以上のほか、他の土木法規と同じく兼用工作物の工事、原因者工事及び付帯工事に関する規定を設けております。  次に、地すべり防止上支障のある行為の制限につきましては、第十八条以下に規定するところでございますが、地下水の排除を阻害する行為、地表水の浸透を助長する行為等については、都道府県知事の許可を得なければならぬことといたしております。  第三章は、地すべり防止区域に関する費用の負担に関する規定でございます。すなわち地すべり防止工事の施行、標識の設置、その他地すべり防止区域の管理に要する費用は、原則として都道府県の負担でありますが、国もその執行の責任を有するという意味から、第二十八条以下においてその費用の一部を負担することといたしております。また他の土木法規における費用負担の規定と同様、受益都道府県の分担金等についても規定いたしております。  次は第四章でございます。第四章は、ぼた山崩壊防止区域の管理及びその管理に要する費用に関する規定であります。この法律案におけるぼた山といいますのは、この法律の施行の際、現に存するものであって、鉱山保安法により、鉱業権者または鉱業権者とみなされる者が必要な措置を講ずべきものを除いたものであります。ぼた山崩壊防止区域の管理及び管理に要する費用負担の原則、行為制限につきましては、この章において特別な規定をいたしておりますほかは、地すべり防止区域の管理及びその他の管理に要する費用に関する規定を準用いたしております。すなわち、ぼた山崩壊防止区域の管理は、都道府県知事が行うこととし、その管理に要する費用は、都道府県が負担することを原則といたしております。ぼた山崩壊防止区域における行為制限は、地すべり防止区域における行為制限と異なりまして、立木竹の伐採、石炭その他の鉱物の掘採等、ぼた山の崩壊防止に支障のある一定の行為につきまして、都道府県知事の許可を受けることといたしております。  第五章は雑則に関する規定でありまして、先ほど申し述べましたように、関連事業計価に基く事業を実施したものに対する補助、家屋の移転者等に対する住宅金融公庫の資金の貸付、漁港の区域及び港湾隣接地域内において施行される地すべり防止工事について、それぞれの区域管理者の長に対する協議、訴願及び土地調整委員会の裁定、主務大臣等についての規定であります。すなわち、都道府県知事の承認を得た関連事業計画に基きまして、家屋以外の農地の整備または保全、灌漑排水施設の整備等の事業を実施した市町村、土地改良区等に対しましては、その事業に要する費用を、予算範囲内で補助することといたしましたほか、家屋の移転者等に対しましては、住宅金融公庫法の一部をこの法律案付則において改正することにより、住宅金融公庫から家屋の移転または建設に要する資金の貸付を受けることができることといたしました。また、との法律案における地すべり防止区域またはぼた山崩壊防止区域の指定及び管理についての主務大臣につきましては、砂防指定地及びこれに準ずる土地の存する地すべり地域またはぼた山に関しましては建設大臣、保安林及びこれに準ずべき森林または保安施設地区及びこれに準ずべき森林または原野その他の土地の存する地すべり地域またはぼた山に関しましては農林大臣とし、これら以外の地すべり地域またはぼた山のうち、土地改良事業が施行されておる地域、または土地改良事業計画のある地域及びとれらに準ずべき地域の存する地すべり地域またはぼた山に関しましては農林大臣、右以外の地域の地すべり地域あるいはぼた山に関しましては建設大臣となるのでありまして、地すべり防止区域ないしはぼた山崩壊防止区域の指定につきましては、関係主務大臣が相互に協議して行うことといたしております。  第六章は、この法律規定に違反したものに対する罰則の規定であります。  最後に付則でございますが、この法律案の施行期日に関する規定のほか、経過規定、建設省設置法及び農林省設置法の一部改正、住宅金融公庫法等住宅関係法律の一部改正、土地収用法の一部改正等について規定いたしております。  以上が、この法律案の概要でございます。
  177. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) ただいま建設省の河川局次長から、法律案の内容の説明がございましたが、私は、地すべり地域の現況と、これに対しまして主として農林省関係事業計画の概要について、簡単に申し上げたいと存じます。  地すべりは、わが国の地質構造から非常に他の国に比べまして多いのでございまして、現在までにわれわれのところで調査をいたしておりまして、わかっておるものが全国で約五千五百ヵ所、面積にいたしまして十四万三千町歩余に達しております。その面積のうち一千町歩以上に及びます府県は山形、千葉、山梨、長野、新潟、冨山、石川、兵庫、和歌山、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎という県でございます。  その地域につきまして、農林省といたしましては林野関係昭和十二年ごろから三十二年にわたりまして約三百十八カ所に着工いたしております。それから農地関係につきましては、昭和二十八年から三十二年までに九地区に着工いたしております。  今後の計画でございますが、林野関係におきましては、面積で四万町歩余、それから農地関係で一万五千町歩余、事業費にいたしまして両方合せまして百四十六億ぐらいになるのでございます。  なお、参考までに建設省の分を申し上げますと、建設省の分は三千五百カ所、その事業費が百八十七億円でございまして、農林建設両省を合せますと個所数で五千五百カ所、面積にいたしまして十四万三千町歩、それから事業費にいたしまして三百三十三億円程度になるのでございます。これに対しまして、昭和三十三年度の事業量を申し上げますと、林野関係で、面積一万町歩、それから農地関係で五千町歩、それから建設省関係で二百五十ヵ所、こういうことになっておりまして、これについて、初年度でございますので、非常に三十三年度予算が少いのでございますが、将来その第一年度の実施の状態を見まして、漸次との事業の推進をはかって参りたい、こういうことでございます。
  178. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本件は、この程度にいたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時二十一分散会