○
政府委員(須賀賢二君) ただいま御審議をいただきまする
繭糸価格安定法の一部改正につきましては、先般、その趣旨を政務次官から御
説明を申し上げましたが、私から補足して、今回の改正の
考え方等につきまして、御
説明申し上げたいと思います。
お手元に、参考資料といたしまして、「繭糸価格安定
制度の改正について」それから「蚕糸業に関する一般情勢」それから「蚕糸業に関する統計資料」、この三つが差し上げてございますが、この中で、「蚕糸業に関する一般情勢」と、それから「蚕糸業に関する統計資料」は、蚕糸
関係の現在の情勢等につきまして、数字的に取りまとめたものでございまして、これにつきまして、は、御審議の過程におきまして、それぞれの個所につきまして必要な御
説明は申し上げたいと思います。別に「繭糸価格安定
制度の改正について」というのがございまするので、この資料によりまして、今回
繭糸価格安定法の一部改正をお願いいたしました経過並びに法案の内容等につきまして御
説明を申し上げたいと思うのでございます。
「繭糸価格安定
制度の改正について」という資料の第一は、「繭糸価格安定
制度の運営経過」でございますが、ここに、この
制度が始まりましてから今日までの経過を書いてございます。
簡単に要点を申し上げますと、第一に、繭糸価格安定
制度は、昭和二十七年に資金三十億円をもって発足をいたしたのでございます。この
制度は、申し上げるまでもなく、生糸の最高価格及び最低価格の範囲内におきまして、生糸の価格をその安定帯価格の中に維持しようと意図しておるものでございます。最低価格まで生糸が下って参りましたときに、政府で買い入れをいたしまして保有をいたす、一方、最高価格まで生糸が上って参りましたときに、政府で保有をいたしておりまする生糸を放出をいたしまして、二十三万円以上に上らないように押えるという
制度でございます。それで、二十七年に発足をいたしましたときには、最高価格を二十三万円、最低価格を十八万円ということで決定をいたしたのでございます。それから、昭和二十七年になりまして、例の朝鮮ブームによりまして生糸の値段が非常に高騰をして参った。二十七年に糸価が最高価格二十三万円を突破するような事態になったのでございまするが、このときは、政府で生糸をまだ一俵も買って持っておらなかったのであります。従いまして、政府が持っておりまする糸を放出をして、それによって上値を押えるということができなかったのでございまして、この際の格を押えます措置といたしましては、この3のところに書いてありますように、昭和二十七年の七月に生糸価格
制度限令というものを出しまして、一俵二十四万円をこえる売買を禁止をいたした。これがいわゆる禁止価格
制度と言われるものでございます。しかしながら、当時の情勢は、すでに戦時中から戦後にかけましてのいわゆる物価統制の時期を過ぎておりましたので、このようないわゆる価格統制令的な法的規制によりましては、価格の高騰を押えることが事実上困難でありまして、このときにさらに糸価の高騰が続きまして、最高二十七万円というような糸の相場が出て参ったのでございます。そのような経験を経したものでありまするから、この繭糸価格安定
制度につきましては、どうしても政府で
相当量の生糸を買って手持ちをすることを
考えないというと、上値押えの面からして、繭糸価格安定
制度というものが守られていかない、
制度の目的が達せられないというようなことになりまして、政府が生糸を保有する道を何とかして講じなければならないというような空気が非常に濃厚になったのでございます。それらのことがこの二ページの上半分ぐらいの所に書いてあるわけでございますが、そういう情勢を推移いたしまして、昭和二十九生糸年度――と申しますのは昭和二十九年の六月でございます。昭和二十九年の六月から適用いたしまする最高、価格は二十三万円、これは従来とも据え置きでございますが、最低値の方はこの昭和二十九年六月のときに一万円上げまして、最低価格の方は十九万円に改定をいたしたのでございます。ところが、昭和二十九年の六月以降の情勢は、国内の
経済情勢がデフレ傾向になって参りましたことと、その年の春繭は相当増産を予想されるというようなことから、糸値の方も急激に下降を始めまして、昭和二十九年の六月には二十万円を割る相場になって参った。従いまして、政府は、最低価格による生糸の買い入れの準備を始めるというような態勢に急激に変って参ったのでございます。そのような情勢の急変によりまして、このころから、生糸価格の暴落を完全に防止いたします
ためには、三十億円の資金では不安であるという機運がありましたので、当時政府では予備金支出その他の方法で、糸価を維持する旨を声明をいたしたりいたしたのでありますが、そのようなことがききまして、糸価は十九万六千円を低値として回復に向って参ったのでございます。そのような情勢を背景といたしまして、翌三十年の八月に
繭糸価格安定法の改正が行われたのでございます。そのときの改正の主眼は、第一に、政府が糸価高騰に備えまして最高価格で売り渡します
ための輸出適格生糸を買い入れる道を開くこと。さきほ
ども申し上げましたように、政府はどうしてもある
程度の数量の糸を買って、持っておらなければ、上値押えという作用をこの
制度の中に生かしていくことはできないという
考え方からいたしまして、糸価高騰に備えまして、最高価格で売り渡す
ための輸出適格生糸を買い入れる道を開くということがそのときの
一つの主眼であります。第二は、生糸の最低価格に見合いまする繭価を維持します
ために、その具体的な方法として乾繭共同保管という
制度がこのときにできたわけでございます。なお、同時に、このとき、糸価安定特別会計法を改正いたしまして、三十億円を限度とする借り入れを認めまして、資金ワクを三十億から六十億円に拡充をいたしたのでございます。この昭和三十年八月に行われました
繭糸価格安定法の改正が今日まで続いておるわけでございます。ただいまの
制度は、ただいま私が申し上げました内容をもって今日まで運営をされて参ったわけでございます。この改正の結果、いわゆる特別買い入れ
制度というものができたのでございまして、これは上値押えの
ために輸出適格生糸を政府で一定量保有する意図のもとに、農林大臣の指定
機関が一定の
条件に従って保管した輸出適格生糸のうち、六ヵ月を経過してなお保管しているものを買い入れるというような方式を採用いたしたのでございます。これは三ページの中ほどの所に書いてございます。このときに、現在の
日本輸出生糸保管株式会社が民間会社といたしまして設立をされまして、この特別買い入れの業務を担当するようになったわけでございます。
昭和三十年の六月からあと一年、いわゆる昭和三十生糸年度の状況は、繭の豊作を反映いたしまして、生糸の需給
関係がその下期において著しく緩和をいたしましたので、糸値は昭和三十年の十二月から三月まで十九万円に下落をいたしまして、この糸価安定
制度が始まって以来、初めてここで最低価核による買い入れが行われたのでございます。これは昭和三十年の暮れからでございます。その数量は、そのときに買い入れました数量は四千七百三十二俵に達したのでございますが、また同時に、このとき新設をされました特別買い入れ
制度もその機能を発揮いたしまして、保管会社において六千百八十俵の買い入れが行われました。合わせまして、政府で直接買いましたものと保管全社が買いましたものと会わせまして、合計約一万一千俵の糸がたな上げをされました結果、糸価は四月に入って回復に転じまして、その後、需給事情の好転に伴いまして、保管会社の在庫もほとんど売り主に買い戻されました。結局六ヵ月を経過して政府に肩がわりをされましたものは、この保管会社へ入りました六千百八十俵のうち二百四十俵にすぎなかったのでございます。約六千俵近きものは、再び売り主に戻されまして、この糸価安定特別会計に集中的に凍結されるということにはならなかったわけでございます。それから三十一年は比較的穏やかでありまして、このときは凍霜害による繭の減産と生糸の内需がふえましたことにささえられまして、糸価が最低価格に下落した期間はきわめて短かかったのでございます。最低価格による政府の直接買い入れは、年間を通じて約四百三十俵、この年度に保管会社へ入りましたものは千七百二十五俵、糸価の回復に伴いまして、これはほとんど売り生に戻されまして、政府へ最終的に入りましたのは二百五十五俵というような状態であったのでございます。三十一年は比較的平常に過ぎた。
ところが、三十二年になりまして、三十二年は繭の生産面におきまして繭産額は戦後最高でございます、農林統計では三千百八十万円という数字が出ておるのでありますが、戦後の最高になっておるわけであります。一方需要の方は、特に去年の八月ごろ以来、この金融引き締めその他の要素によりまして、国内
経済が非常に引き締って参りましたことと、アメリカを
中心といたしまする海外
経済び方も停滞をいたしておりまするので、糸の値段は去年の八月を境といたしまして下降して参った。大体八月ごろまでは二十万円前後の相場で推移をいたしておったのでありますが、九月ごろから十九万円の線にだんだん近づいて参りまして、十二月からはほとんど十九万円に、去年の十二月からはほとんど十九万円に膠着をいたしておるのでございます。その結果、最低価格による政府の買い入れが大量に行われまして、去年の十二月からことしの二月の終りまでで一万四千百七十六俵の政府買い入れがあったわけでございます。また一方、保管会社におきまする買い入れは、玉系価格の下落等もありまして、二月末までに四千四百五俵に達しております。このような買い入れによりまして、三十三年二月末日までに政府が買い入れました総数量は、この
制度が始まりましてからのを全部通算をいたしまして、二月末までで二万百七十八俵でございまして、この
ため糸価安定特別会計から支出をされました金額は約三十九億円になっておるわけでございます。現在政府で持っておりまする――二月末までに政府が買いました数量は約二万俵でございますが、そのうち約一万五千俵
程度のものがここ三ヵ月ばかりの間に集中的に入ってきておるわけでございます。去年の秋以降の生糸の需給
関係の急変は非常に大きなものであったわけでございます。
次に五ページのまん中ほどに書いてある事柄について申し上げますと、先ほど三十年の改正で特別買い入れ
制度というものを設けたことを申し上げたのでございますが、この特別買い入れ
制度は、一定数量の輸出適性生糸を保有いたします
ために始めた
制度でありまするので、政府が持っておりまする輸出適格生糸の数量に、保管会社におきまして保管いたしておりまする数量を加えたものが、白繭糸では――白繭糸と申しますのは普通の糸でございますが、普通の糸につきまして八千五百俵、それから玉糸については三千表をこえます場合には、買い入れを行わないこととなっておりまするので、白繭糸につきましては二月六日から保管会社の買い入れが停止されまして今日に至っておるのでございます。と申しますのは、従来の特別買い入れ
制度と申しますのは、三十年にこの
制度を作りましたときの意図が、政府が一俵も糸を持っておらなかった段階におきまして、将来上値押えの
ために一定数量の糸は買い方に工夫を加えまして、政府で持ちたいという意図のもとに作ったのでございまするが、それが最も大きな
原因といたしましては、去年の秋以降政府へ持ち込まれる糸が非常にふえました
関係で、一定数量の輸出適格生糸を現にこの会計で持った状態になりましたので、この特別買い入れというのは一応目的を達したという格好になって参ったのでございます。
以上が、この繭糸価格安定
制度が始まりましてから今日までの動いて参りました姿でございますが、このような運営の経過と、今後の情勢等にかんがみまして、この際、改正を加えようと
考えます点は、以下に書きましたような点でございます。それが五ページの第二という所からでございます。
繭糸価格安定
制度の今日までの運営の経過は、以上の
通りでございますが、これらの経緯にかんがみまして、今回次の措置を講じようとするものである。第一は、糸価安定資金の増額でございます。これは糸価安定特別会計法の一部改正になるわけでございまして、目下大蔵
委員会の方に付託になっておるのでございまするが、その内容は、糸価安定特例会計は、資本金三十億円と、三十億円を限度額とする借入金並びに本会計発足以来の積立金五億五千万円、合計約六十五億五千万円を
もって運営されております。当会計において昭和三十年生糸年度には四千七百三十二俵、三十一生糸年度には六百七十俵、三十二生糸年度には一万四千七五七十六俵を買い入れましたので、合計二万百七十八俵分の資金、約三十九億一千七百万円が今日現物化をいたしておるわけでございます。最近の生糸の需給事情から見ますると、この資金は、当分の間固定をするものと
考えられます。この
ため、今後糸価の安定をはかります
ために必要な量の生糸の買い入れ資金に不足を来たすおそれがございまするので、今回、この会計の借入金等の限度額を三十億円から五十億円に引き上げまして、二十億円の買い入れ資金の増加をはかることといたしまして、目下これは糸価安定特別会計法の中の借入金限度に関する規定を直すわけでございますが、大蔵
委員会に付託をされておるわけでございます。
次に、生糸の買い入れの方法の整備でございますが、これは
繭糸価格安定法の一部改正をなすわけでございます。この点は、この
制度が、先ほど申し上げましたように三十年に一度改正をいたしました。それをさらに今回改正いたすのでございまするが、非常に
制度の内容が複雑になってきておりまするので、できるだけわかりやすくという趣旨をもちまして、ここに従来の買い入れの方法と、今回改正をいたそうと
考えておりまする改正の方法とを並べて書いてみたのでございまするが、以下ここに
説明いたしておりまするところによりまして御
説明申し上げたいと思います。
生糸の買い入れ方法の整備、六ページのまん中ごろでございます。第一は、「現行の買い入れ方法は次の
通りである。」まず、最低価格による政府直接買い入れ。これは糸価安定法第二条による買い入れでありまして、俗に二条買い入れと称しておるものであります。この買い入れの場合は、政府は申し込みに応じて最低価格で生糸を買い入れます。いわゆる生糸の市中相場が十九万円を割るような気配になって参りますると、政府に最低価格十九万円で買ってくれという申し入れをするわけであります。その申し入れに応じまして、政府は最低価格で生糸の買い入れをやるわけでございます。その場合の値段は、標準生糸と申しますのは、二十一中A格をいうのでありますが、この標準生糸の最低価格は十九万円、その他の生糸の最低価格は、標準生糸との市場価格差を十九万円に加減した額とする。市場で現実に出ておりまする格差、それによりまして、標準生糸との格差をつけましてとっているわけでございます。
それから、買い入れ
対象生糸は、二十一中の三A格からC格までの五銘柄及び十四中の四A格からB格までの五銘柄、合計十銘柄でございます。これは、ここに書きました二十一中の三A格からC格、それから十四中の四A格からB格と申します糸がもっとも一般的な糸でございます。これを買い入れますことによって、全体の糸の価格をおおむね支持吊ることもでき、また、この
制度がねらっておりまする繭価格の支持もこの範囲の糸を支持の
対象として
考えればできるという
考え方から、この十銘柄を現在最低価格の繭の
対象にいたしておるわけでございます。なお、玉糸はこれには含まれておりません。
それから買い入れ数量につきましては、
予算の範囲内において行うほかは、特に数量の制限はいたしておらないのでございます。
以上が、最低価格による政府直接買い入れでございます。
次に、昭和三十年の改正で入りました安定法第九条の二の規定で規定いたしておりまする輸出適格生糸を保有する
ための特別買い入れというのがございます。これが、いわゆる特別買い入れと称しているものでございます。
これの第一は、政府は、最高価格で売り渡す生糸――これは玉糸を含んでおりますが――として、輸出適格生糸を保有する必要があるときは、指定
機関を通じてこれを買い入れることができる。指定
機関と申しますのは、
日本輸出生糸保管会社を指しているのであります。
第二は、保管会社の買い入れ価格は十九万円(二十一中A格)買い入れ後六ヵ月間保得したものを政府に売り渡す価格は二十万四百円、玉糸二百二十五中は、保管会社買い入れ価格が十五万円、政府の引き取り価格が十九万八千六百円であるというふうになっております。第三として、会社は、保管期間中に売り主から請求があれば、買い入れ価格に保管費用を加えた額で売り戻すこととなっており、これは、この
制度を開きましたときのねらいは、市場価格に悪影響を与えない方法で、順次政府に先糸がたまって参るように意図したわけでございます。
従いまして、この特別買い入れの方法は、糸値が十九万円くらいのところに下って参りますと、その糸の持ち主は、一度保管会社へ十九万円で入れまして、まあ簡単に言えば質に入れたようなものでありますが、保管会社へ十九万円で質に入れるわけです。そうしてその六ヵ月間の間は、買い戻し権が残っているわけであります。六ヵ月問の間は買い戻し権が残っているわけでありますので、従いまして、大体三ヵ月くらいたちましたときに、糸値が十九が五千円くらいに戻って参ったといたしますと、その三ヵ月目に金利、保管料を払って買い戻しましても採算がとれるわけです。三ヵ月目くらいに十九万五千円、六ヵ月たった後に二十万円くらいに糸価が戻って参りますれば、それだけの金利を出してそれを払いましても、再び輸出なら輸出に向けるというような操作ができるわけでございます。政府へ十九万円で売り込みました場合は、これはもう最終的に政府の帰属になって参りまして、その糸は二十三万円になりますまで、政府としては放出することができません。しかし、この保管会社へ入れましたものは、六ヵ月間の間は、そういう
一つの
中間たな上げみたいな格好でそこにとどまっておるわけであります。そこで、糸値が回復をいたさないという場合には、現実に買い戻し権の行使をいたしませんで、六ヵ月たちましたときに、その六ヵ月間の
管理、倉敷を加えました額で政府が引き取るという格好で、二十万四百万で政府が引き取るという
制度を、ここへ開いたわけであります。これをやりました結果、先ほど私が運営の経過の中で御
説明を申し上げましたように、この四ぺ一ジの頭のところに書いてございますが、これは昭和三十年に糸値が下ったときの実際の経験でございますが、このときに、保管会社へ糸が十九万円で六千百八十俵持ち込まれた。ところがそのあと半年の間に、糸値がずっと回復をして参りまして、このうち大
部分のものが、再びその保管会社から取り戻されまして、市場へ出ていったわけであります。その結果、政府へ最終的にこの保管会社を通して入って参りましたものは、この六千百八十表のうち二百四十俵しかなかった。大体その大
部分のものは、再び市場へ還流をしていった。もしこの
制度がなかったといたしますと、これはこの
制度が別の効用を果したと私
どもは見ておるわけでございますが、このときに政府へ直接持ち込まれたのであります。そういたしますと、そのときに六千俵近いものが政府の資金をそのまま食った勘定で、いわゆる現在持っております糸にプラス数千俵のものになっているというような格好になっておったと
考えられるわけであります。従いまして、この会社がありました
ために、糸価安定資金がきわめて効率的に使われたというような結果になっております。これは初めに申し上げましたように、輸出適格生糸を政府が一俵も持っておらなかった段階において、こういう買い入れ方法に
一つの工夫をこらすことによって、順次政府に糸がたまってくることをねらったのでございますけれ
ども、一方において糸価安定資金が効率的に使われるということと、それからいわゆるこの会社の
中間たな上げ
制度を
利用することによりまして、輸出面においての金融的な機能を持つこの
制度が、一部果したというようなけっかになってきておるわけでございます。
次に、八ページの頭のところから御
説明申し上げますが、この特別買い入れ
制度の
対象になっておりまする糸は、八ページにつきましては四十二中及び三十一中のそれぞれ四A格及び三A格、二十一中及び十四中のそれぞれ四A格からA格まで計十二銘柄でございます。玉糸については二百二十五中、二百五中及び百十中のそれぞれ優等格及び一等格の六銘柄で、合計十八銘柄となっておりまして、これが、現在輸出生糸と称されますものの代表的な銘柄になっておるわけでございます。
それからこの
制度は、政府が保有する輸出適格生糸の数量に保管会社の保管数量を加えましたものが一万一千五百俵に達しない場合に限りまして、その範囲内で買い入れ契約を締結することができるということになっております。これは、先ほど来しばしば申し上げましたように、一定数量の輸出適格生糸を保有しようという意図で始めました
制度でありますので、この
制度を通じて買い入れます数黄のワクを、初めから、この
制度が始まりましたときから政令できめてあるわけであります。それが一万一千五百俵ということになっておりまして、輸出適格生糸の政府保有量が一万一千五百俵になれば、それでこの
制度は一応目的を達するという建前になっておるのでございます。ところが、前に申し上げましたように、最近の買い入れ状況が非常に進んだことによりまして、政府で現に持っておるものと保管会社が保管しておるものと合せて、すでにこの限度数量に達しておるわけでございます。で、現在は、この保母会社を通して買い入れるという
制度は、現に保管会社が持っておるものが、将来政府へ移ってくるということだけ残っておりまして、新たに保管会社がこの買い入れ
制度によって生糸を受け入れるということはとめております。従って、現在のように糸がたまって参ると、九条の二の買い入れによる特別買い入れ
制度というものは、
制度はございますが、事実上はストップしておるわけでございます。この
制度は、将来政府の糸が相当出払いまして、輸出適格生糸をこういう
制度によって買い入れ補充するという事態に備えて、そういう場合に再び動き出すということになるわけでございます。しばらくの間は、この
制度は事実上は眠っておるわけでございます。
以上が、現在の
制度に盛られている最低価格による政府直接買い入れと九条の二による輸出適格生糸の特別買い入れでございますが、今回の改正案によって追加いたす買い入れ方法は、次のような
考え方のものでございます。
これは九ページの中ほどから書いてございますが、「輸出価格安定の
ための輸出適格生糸の特別買入」、これは今回九条の三という条項によりまして新しく追加をいたすものでございます。これは、先ほどの九条の二による輸出適格生糸の特別買い入れと、
制度の形は非常によく似ておりますが、あとでも申し上げますように、その運営の方法において若干違っておりますので、以下御
説明申し上げます。「輸出価格安定の
ための輸出適格生糸の特別買入(法策九条の二三)は、政府は、輸出適格生糸の価格の異常な変動を防止して、その輸出価格を安定させる
ため必要があるときは、保管会社が売り戻し
条件付で買い入れ保管した輸出適格生糸のうち、買い入れてから六ヵ月以内に売り主に買い戻されなかったものを買いとることができる。これは、先ほど申し上げましたように、やはりその保管会社を使って保管会社が一ぺん質入れをして、預けて、六ヵ月の間は買い戻せる権利が残っておる。六ヵ月たっても買い戻されなかったものは、政府へ入ってくるという経過をたどるわけでございます。口は、保母会社の買い入れ価格は、十九万円とし、これは最低価格相当額――買い入れ後六ヵ月を経過して政府が引き取る価格は、その買い入れ価格に保管費用を加えた額とする。会社が保母期間中に売り主に売り戻す場合の価格は、保管期間に応じて計算した保管費用を加えた額とする。これは、先ほどの九条の二の特別買い入れと、この辺は同じでございます。
それから買入
対象生糸は、従来の特別買い入れの
対象に準じてきめる。これも、先ほどの特別買い入れのところに十八銘柄がきめてございますが、大体これに準じてきめるつもりでございますが、最終的には多少これよりもしぼる必要があるかとも
考えられます。
それから三が、従来の特例買い入れと違っておるのでございまして、これは、保管会社が買い入れることができる数量は、農林大臣の定める数最を限度とするが、保管中の生糸が売り戻され、または政府に売り渡された場合には、その
相当量を再び買い入れることができるようにする。という
意味は、先ほどの九条の二によりまする買い入れは、輸出適格生糸を保有しようという買い入れ方法でありまするので、一定の数量まで輸出適格生糸が政府及び保管会社にたまって参りますと、そこでおしまいになるわけでありますが、今回設けまする九条の三の規定では、保管会社が扱いまするワクというものを、一定の数量にあらかじめきめておきまして、そのワクの範囲内におきましては、それを繰り返しこのワクを使っていく。いわゆる保管会社を通しまして政府へ入っていく
一つのパイプを、常時ここへ設定しておこうという
考え方でございます。そこのところが、従来のものと非常に変っております。従来のものに対して著しく変っておる点でざいまして、いろいろ工夫をこらしてみたのでございまするけれ
ども、保管全社が持っておりまする先ほど申し上げましたような一種の
中間たな上げ的な機能を生かして、今後運営して参りまするのには、そういう方法でいくのが一番実際的な方法ではないかというふうに
考えまして、ただいま申し上げましたような
制度になっておるわけです、
なおこれは、いろいろな似たようか
制度が並んでおりまして、おわかりにくいかとも思いまするが、また御
質問の過程の中で、繰り返し御
説明を申し上げまして、御納得のいくようにいたしたい。なかなかこの安定
制度は何回も建て増しをいたしておりますものですから、非常におわかりにくいのでありまして、私
どももその
説明をいたしますのに非常に苦労をいたしますのですが、
一つよくごらんをいただきまして、また御
質問もいただきまして、十分御
説明を申し上げたいと思います。