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1958-03-06 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月六日(木曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            鈴木  一君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            東   隆君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            千田  正君            北條 雋八君   委員外議員            島   清君   政府委員    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    林野庁長官   石谷 憲男君    水産庁長官   奥原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    通商産業省重工    業局防衛産業参    事官      金谷榮治郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○狩猟法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○農業協同組合整備特別措置法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を聞きます。  狩猟法の一部を改正する法律案議題にいたします。  この件について、島清君から委員外発言の御要求がございますが、これを許すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  3. 重政庸徳

  4. 島清

    委員外議員島清君) ただいま議題になっておりまする法案につきまして、商工委員の立場から二、三御質問申し上げておきたいと存じましてお願い申し上げておりましたところ、割愛をしていただきまして、お許しをいただきましたことに対して、謝意を表しつつ、二、三質疑を試みたいと思います。まず、私たち商工委員といたしましては、連合審査でお願いをしようかというふうな話し合いも出たのでございますけれども、私が商工委員会を代表するというふうな形において、委員外質問をする、こういうふうな扱いを受けて参ったわけでございます。  そこで、私がお尋ねしたいと思っておりまする点は、昨年八月と十二月の二回にわたりまして、岸内閣経済の運営に関しまする基本的な態度閣議決定をいたしまして、さらに今年の一月の三十一日に、その後の変化等を織りまぜまして、そして三十三年度のわが国経済運営上態度決定いたしまして、その基本方針のもとに、諸法案今期国会提案をされまして、私たち審議に当っておるわけであります。予算もそういうような構想に基いて衆議院を通過をいたしまして、ただいま本院において審議をされておるわけでございまするが、この基本的な態度を遂行するために、大体において三つの項目にしぼられておると、私たちは了承いたしておるのであります。それは、国際収支の改善で一億五千万の黒字を出さなければならないということと、経済成長率を三%伸ばさなければならないということと、三には、三十一億五千万ドルの輸出を達成しなければならない、こういうことを掲げておるわけであります。そのための重要施策といたしまして、八項目あげておるわけでありまするが、最も本議案と関係をいたしまして私が御質問申し上げたいと思っておりますることは、中小企業振興失業対策拡充民生の安定ということがうたわれておるのであります。そこで、本法案原案通り通過をいたしまして成立をいたしまして、年令が十八才から二十才に引き上げられるということになりまするというと、私たちが調べたところによりまするというと、五千人からの失業者が出る、しかもこの製造されておりまする生産部面を担当しておりまするのは、おもに中小企業者の方々によって製造されておると、こういうふうに承知をいたしておるわけでございます。本法案原案通り成立をいたしまして、五千人からの、あるいは製造に関与する者、流通部面に関与する者、合せまして五千人からの失業者が出るということが誤りでないといたしまするならば、この重要施策閣議決定に基きまする民生の安定、失業対策拡充というような岸内閣経済政策に反するのではないか、こういうことが第一点でございます。そこで、本法案を御提出になりまする経過におきましては、それぞれの官庁間におきまして十分な御連絡の上に策定をされたと存じまするけれども、その間、山市内閣重要政策として掲げておられまするところの、この私が御指摘を申し上げました点について、本法案成立の暁に、このおそれがないかどうか、この点について明確にしていただきたいと思いますることが一点と、さらに、そういうことは一応は考えられますることなので、農林省当局通産省当局、あるいは労働省当局あたりで、こういったような問題について合議をなさいまして、そして意見の完全な一致を見られて、そうして、私が心配をいたしておりまする岸内閣が掲げておりまするところの政策に矛盾するように思われるようなこの点も、御承知の上で、法案として御提案になっておられるかどうかということについて、あらかじめ御質問を申し上げたいと思います。
  5. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 私、ただいまの御質問に対しましてお答えを申し上げたいと思うのでありますが、確かに従来の十八才の制限を二十才に引き上げることによりまして、空気銃売れ行きと申しますか、使用者が減って参るという危険が多分にあるのではないか、こういうことに関連をいたしまする御質問のように考えるわけでございますが、実は、十分全国的な資料に基きまする的確な判断とも申し上げかねる点があるのでございますが、私どもが、昭和三十二年度におきまして東京都内空気銃販売数というものを調べ、これを、それぞれの年令層に分けて、一体どういう傾向が見られるだろうかということを、実は、警視庁に集まっておりまする報告から推察をいたしたのでございまするが、その結果によりまするというと、昭和三十二年度におきましては、東京都内における全空気銃販売数は、大体二千百六十四丁という数字が出ておるわけであります。これらを、それぞれ年令層によって分けてみるというと、いわゆる満二十才以上の成年者である者が約六割のいわゆる購入者に相なっておるということが、一つ明らかに出て参りますることとあわせまして、ただいま問題になっておりまするいわゆる十八才と二十才の間の購入者の数は、合計いたしまして一割五分、従来のいわゆる狩猟登録年令に達しないいわゆる十七才以下の者の購入者が約二割二分というような状況が明らかになっておるわけでありまして、十六才以上十九才までの者につきましての年令別購入数を見てみますというと、その間にほとんど開きがない、同じような割合を占めておる、こういうような状況も実はうかがわれるわけでございます。従いまして、かりにこの年令制限関係を、従来の十八才から二十才ということに引き上げるといたしましても、そのことによって、いわゆる空気銃売れ行きにかかわりまする問題は、いわゆる全体の一割五分程度数字から推察しても、さして大きいものではないのではなかろうかということをあれこれ考えますというと、空気銃売れ行きというものと、それから狩猟免許といったものの間には、それほど密接不可分な因果関係が見出しにくいのではなかろうかということを、実は考えておるようなわけでございまして、従いまして、かりにこういう措置において、若干程度影響が一時あるということにいたしましても、空気銃性能が、そのことによってさらに一段と高いものに相なるということになりまするならば、いわゆる装薬銃と匹敵する猟具としての使用というようなものも、十分に今後の問題としては期待できるのではなかろうかと、あれこれそのような考え方の上に立ちまして、装薬銃並み年令満二十才というものと大体肩を並べて参るということにいたしたようなわけでございます。これによるいわゆる失業者といったようなものが、どれほど出て参るかということの推定につきましては、実は、的確な推定を行なったこともないのでありますが、この法案政府操業をいたしまする前に、昨年の七月から十一月にかけまして、野生鳥獣審議会を設けて、そこでは各界の専門家とあわせてさらに関係行政機関のそれぞれの局長もこれに加わってもらって、あらゆる角度からこの狩猟法改正問題を審議したわけでございまして、もちろん空気銃製造関係主務官庁でありまする通産省におきましても、これに参加をして、いろいろと審議にあずかってもらったと、こういう経緯に相なっておるわけであります。
  6. 島清

    委員外議員島清君) 私の言葉が足りなかったのかもしれませんが、質問要点は、本法案成立することよって、年産が減退をして、それから、中小企業体によって製造されておりますが、中小企業振興という基本方策に背反するのではないかというようなことをお聞きしたかったのであります。さらに、輸出の面でございますが、輸出振興ということは、今の岸内閣に限らず、わが国至上命令であると申し上げて、言い過ぎではないと思います。それは、戦前におきましては、かなり、一ドルが二円五十銭との換算率でありました時分に、他国に百万ドルくらいの輸出をしておったのではないか、こういう工合にいわれておるわけでありますが、今、東南アジア、アジア地域と国交の調整が十分になされておりませんが、三十一年度、三十二年度の輸出実績というものは、必ずしも戦前のそれに匹敵するまでに回復はしていないと思いまするけれども、しかしながら、将来性を考えまする場合に、これはかなり、やはり外貨獲得可能性があるということは、戦前輸出にかんがみまして、想像にかたくないわけであります。そういうようなことと関連をいたしまして、十分に配慮がなされたかどうか、清澤委員の御質問に対しまして、審議会で十分に審議を尽されたのだということは、速記録によって承知はしておりますけれども、私の質問申し上げたい点は、輸出関連をいたしまして、そういう面から十分に配慮が加えられて、十分な討議がなされて、そうして完全なる御意思決定がなされたか、御意思一致が見られたかどうか、こういうことをお尋ねしたわけであります。繰り返して御質問申し上げるようで恐縮でございまするが、その点について、簡単明瞭にお答えいただきたい。
  7. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいまのお尋ねについてお答えいたします。中小企業振興あるいは輸出振興ということは、今お話通りに、日本の政治の大きな課題になっておりまして、現在の政府もそれに大きく力をいたしておることはお話通りであります。そこで、狩猟法の一部改正によって、今お話の、特に空気銃の問題について、それにどういう関連があるかというような御趣旨であろうと思いますが、率直に申し上げて、今日まで現行法では十八才以上空気銃使用することを狩猟法で定めておりますから、それを二十才以上に制限年令を上げるということになりますれば、ある程度使用上について影響があることは、これはやむを得ないことだと思います。しかしながら、先ほど林野庁長官からもお答えを申し上げましたように、必ずしも大きな打撃があるとは、われわれの方では考えておりません。ある程度影響があるということは、これは数学的にもある程度出るのじゃないかと思いますが、大きな打撃があるという考えはいたしておりません。ある程度打撃があるのも、これは各般の状況を検討いたしまして、十八才を二十才に引き上げるというのが、現在の情勢からやむを得ない、それが適切であるという一つの大きな要請からでありまするので、多少の影響は、これはそういう面から御了解を願うよりほかにないと思っております。  もう一つ輸出振興の点については、これは、まあ大いに輸出振興しなければならないということは当然であります。諸外国において空気銃使用される所に対しては、大いに輸出をいたしたい。諸外国年令制限等について、私ども、詳細今存じておりませんけれども、現在二千丁ないし三千丁の輸出があるというような話を聞いておりますけれども、できればそういう面に大いに伸ばしてもらって、中小企業の多少の打撃でもそれを緩和する、こういうふうに考えなければならないであろうと、こう思います。  鳥獣審議会において、この問題が真剣に討議されたかというような御趣旨もあったと思いますが、鳥獣審議会において、輸出の面について、これを詳細に討議されたというようなことは、聞き及んでおりません。
  8. 島清

    委員外議員島清君) ただいまの御寺弁のありました抽象的な御答弁に対しましては、私は具体的に数字をあげて、その私の数字が誤まりであるかどうか、誤まりでなければ、そういう問題に対する具体的な対策を考慮されたかどうかというふうに、お尋ねをしたかったわけでございます。しかしながら、ある程度影響はやむを得ないというような、抽象的な御表現でございまするけれども、そのある程度やむを得ないとおっしゃいまするものが、これが基本的な政策関連をする、たとえば輸出振興をはかろうといたしまする場合には、国内需要が旺盛にならなければならないわけであります。国内では使用を禁止するような形に置いて、輸出振興をはかろうとすることは、木によって魚を求むるにひとしいことでありまして、なかなかできがたい問題でございます。そこで、中小企業にある程度影響はやむを得ないというような、そのある程度影響に対して、ただもう仕方がない、放任されるという意味なのか、それとも、ある程度影響を受けるということを想定のもとに、ある程度施策を考えておられるかどうかを、お尋ねいたしたいと思います。
  9. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 輸出振興をはかるについては、国内需要も旺盛でなければならない、一面そういうことももちろんあり得ると思います。輸出品の、何と申しますか、品質の改良その他については、国内の消費の水準が上るということが前提になると思いますが、御承知通りでありますが、最近におけるこの空気銃については、相当性能が進歩をいたしております。これについて、ある程度影響があると、きわめて抽象的に申し上げましたが、私は、十八才から二十才に引き上げるという問題について、先ほど数字的に林野庁長官お答えいたしましたように、ある程度の数が制限されますので、それは全然影響はないということは言えないということを申し上げたわけでありまして、その問題について、ある程度影響があるから、それについて特別の助成措置を講ずるか、そういうところまでは、政府としては現在考えておりません。これは、こういう制度の一部を改正をいたしますので、こういう部面に携わっておられる業界の力も工夫研究をしてもらって、大きな打撃を受けないということをやっていただきたい、特別にそれについて補償をするとか、あるいは助成をするとか、こういうところまでは考えていないのであります。
  10. 島清

    委員外議員島清君) 私は、商工委員会でこういうような御答弁でございまするというと、引き下るようなことはいたしませんけれども農林水産委員会の席上でございまするので、他の委員の諸君から御発言があろうと思いまするので、私は、これ以上申し上げません。ただ、私たち商工委員といたしまして考えまする場合に、今までは登録制であったものが、さらに強化をされまして免許制改正をされる、免許制改正をされまする場合でも、林野庁長官でございましょうか、清澤委員の御質問に対しまして、免許には厳重なるところの審査をおやりになって、免許するかどうかということについては、厳重に臨みたいというような御答弁が、速記録によりまするというとなされておるようでございます。さらに二十才未満は一五%だと、こういうふうな御答弁をなされておる。今までの登録制をさらに免許制強化されて、しかもまた、免許するかどうかということについて、厳重なるところの審査をするのだ、こういうふうに御答弁に相なり、しかも、未成年者の所持は一五%だとおっしゃっておられるのでありまするから、それを免許制にすることによりましても、一五%の対象でございまするから、十分目的を達することができるのではないか、まあ私たちはそう思うわけであります。従いまして、法の改正目的からいたしましても、十分に、この年令を引き上げなくとも、この免許制、しかもまた、講習会制度というようなものが新たに設けられるのでありまするから、今まで危惧されておりました点が、十分に除去できるのではないか、こういうふうに考えるわけでございまするが、さらに、これで登録制免許制にし、講習会制度を設けられて、なおかつこれが目的が達せられなくして、年令を引き上げなければならぬという理由を、私たち商工委員としては、ちょっと理解しかねるわけでございますが、その点はいかがなものでございましょうか。
  11. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 従来の登録制免許制に改めるということが、今回の法案改正要点になっております。この問題につきましては、実は、従来甲種狩猟免状及び乙種狩猟免状という二つの種類がありまして、甲種銃器以外のもの、乙種装薬銃、こういう建前で参っておったわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、今日のように空気銃そのもの性能が非常によくなりまして、従来のスズメ級のものがさらにハトまでも十分に打ち倒せるというようなところまでなって参りまするというと、やはり狩猟するという目的で行われまする以上、従来の免許制度対象となっておりました装薬銃、あるいはその銃器以外のものと区別をいたしまして、特別に登録制度対象のままで残しておいていいということも、非常に困難になって参るわけであります。こういうことを、実は私どもは考えたわけでございます。あわせまして、空気銃が、確かに人家周辺でありまするとか、あるいは公園その他の人家周辺の木立の中でありますとか、銃器を使って相ならぬような所におきまして非常によく使われるということは、空気銃そのもののいわゆる音を発しないというような特殊な性能からくる問題と、これを往々にして扱います者が、比較的若い青年層に多いというようなことからくるわけでございまして、そのことによりまして、確かに危険性と申しまするか、そういう点の考慮をいたさなければならぬというような問題も出て参っておるように考えますこととあわせまして、やはりこれが静止をいたしておりまする鳥をとる銃器だといったような関係からいたしまして、私どもが考えなければならぬいわゆる有益な鳥禽類というものの狩猟が、空気銃のしばしばの対象になりやすいというようなことを考えますというと、まあよほどそういった事態におきまして、場におきまして、的確な判断をして、はやる心を落ちつけるというような年令の者でないと、これを取り扱うようにいたすことが非常に危険じゃないかということ等もあわせまして、実はこの二十才に引き上げるということとあわせまして、免許制度の上にこれを乗っけて参るようなことにいたしたのでございまするが、それにいたしましても、非常にやはり違反を犯しやすいということにつきましては、従来の経験に徴しましても、今後といえども危惧は多分にあるわけでございまして、従いまして、こういった免許をいたしまする場合の一つ要件といたしまして、やはりこの狩猟法に対しまする理解でありまするとか、あるいは、銃器火薬等に対しまするところの心得であるとか、あるいは有益の鳥類等に対しまする識別の問題でありまするとか、こういうものをあれこれやはり教え込んで、それらのことによりまして、狩猟者としての一人前の知識というものを持った者でないと、この免許もいたさないというような運用をいたしますることは、やはり従来の違反の多い事実にかんがみまして、ぜひともいたさなければならぬ前提要件ではなかろうかということで、実は講習会制度をとり入れまして、大体講習を受けた者に対しましては免許をするということを原則といたすように改めたようなわけでございまして、かれこれのことを考えあわせまして、非常に違反の多い銃器の取扱いにつきまして、違反なしに正規に狩猟が行えるという方向に持って参りまするための措置といたしまして、あれこれの問題を取り上げて実は研究をいたした、こういう経緯であるわけでございます。
  12. 島清

    委員外議員島清君) 私は、冒頭におきまして私の質問の範囲を限定をいたしまして、中小企業振興の面と、貿易の振興の面と、失業対策拡充の面と、この三つの面から御質問を申し上げたわけでございまするが、残念ながら満足なる御答弁を頂戴することができなかったのでございます。ただいま私は、登録制免許制強化をして、さらには講習制をおやりになるというのであるからして、その中小企業影響を及ぼすようなこと、さらには輸出振興影響を及ぼすようなこと、失業対策拡充影響を及ぼすようなことには、さらに格段の御留意があってしかるべきでなかったかというようなことについての関連において質問を申し上げたわけであります。しかしながら、これまた十分な御答弁が得られませんので、これ以上私は御質問を申し上げません。ただこの際、委員各位もお聞きの通りでございまするので、はなはだ出しゃばったようではございまするけれども商工委員といたしまして希望を述べさしていただきたいと存じます。  それは、私たちの考えるところによりますると、ただいまも申し上げた通り、いろいろと野鳥の愛護であるとか、あるいは未成年者の所持いたしまする危険を防止するというようなことが考えられまして、それを実現するためには、この改正案の中にありまする通り登録制免許制になり、さらに講習制というものがあるのでありまするからして、ここらの改正によっても、目的を達することができるのではないか。そういたしまするというと、年令を引き上げて中小企業生産を減退させて、それによりまして輸出振興をはばみ、さらにそれによりまして失業者を出すというようなことは、今日の事態においては避くべきではないか、まあこういうような考え方で御質問を申し上げたわけでございます。どうかこういう点に、今後法案成立に際しましては、格段の御配慮がいただけまするならば、商工委員といたしましては大へんに仕合せに存ずる次第でございます。  以上、私の質問は、これをもって終ります。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは商工関係のお方から御答弁を願いたい。この法律が施行せられた場合には、生産業者に対して、まあ大体島君が言うておられるような問題が重点になりますが、その影響があるかないか、その点と、従って、その影響の仕方によっては、製造業者生活権というものが非常に危険に瀕することも考えられます。ということは、二十何年かの数度のこれは制度改正がありまして、年令の引き上げ、登録制度ができたりしましたことによって、現在、これは新潟県などの場合ですが、数軒の空気銃製造業者などがなくなっている。破産したか倒産したか知りませんが、業をやめている。こういうものが出ておりますので、そういう点に対する通産省としての御調査が済んでいるのかどうか。これは、もちろんこの法案が出て参りまするについては、答申にも確かにこのような、私がお伺いした通り生産者に対する影響、それから今まで使っておった者がすぐやめるというようなことを考えなければならぬ、それらの影響を十分考慮して、この法律改正せられたと、こういうことになっているのですが、通産省の立場として、はっきりした御回答を願いたい。
  14. 金谷榮治郎

    説明員金谷榮治郎君) ただいまの御質問に対しまして、お答え申し上げます。  空気銃生産、販売につきましての法的規制は、この三十年の七月の武器等製造法の改正によりまして行なって参っております。従いまして、三十年以降の空気銃製造数量は、三十年の一月から十二月までで、四千五百三十六丁、三十一年が一万一千九百八十七丁、三十二年は六月までの資料でございますが、五千二百四十一丁、合計いたしまして二万一千七百六十四丁、こういう状況にあります。これらは、大分が国内市場に出ておるわけであります。  先ほど島議員からも御指摘に相なりましたように、戦前におきましては、日本は、イギリス、ドイツに次ぎまして空気銃等の主要輸出国であったのであります。戦後におきましては、共産圏に対します特別の措置を除きまして、海外市場の開拓についての特別の支障はないのでありますが、ここ数年の実績は、大体千五百丁から二千丁程度ということで、戦前の実情に比べてみますと、非常に小さくなっていると思います。  こういう時期におきまして、空気銃狩猟法の面からいたしまする所持使用制限強化されて参りますと、国内市場が減少、狭隘化して参りますことは、御指摘の通りでありまして、そういう意味合いにおきまして、野生鳥獣審議会におきましても、当初は、この製造販売を禁止しようという強い御意見もあったのでありますが、今の実情からいたしまして、また野生鳥獣減少の事由が、空気銃ばかりが最大の原因であるかどうかという点につきましても、若干の疑問なきにしもあらずでございまして、極力現状を維持することの方が望ましいのじゃないかという意見を、審議会において申し述べて参りましたのでありますけれども、先ほど林野庁長官、政務次官等から御答弁がありましたように、非常に都会地に近接する所で使用されるケースが多いということからいたしまして、これらの意見は少数説といたしまして、答申案の中に少数悦としてつけ加えられてはおりますけれども、そのような審議状況に相なっております。  そこで、本法案通過いたしました後におきましては、従来マーケットでありました東南アジア地域、それから南米地域等に対する最近におきます需要の縮小の事情は、民生が必ずしも十分に安定しておらぬというようなところにもあるようでありまするけれども、この方面に重点を置きますことによって、影響をできるだけ最少にとどめるように努力をしていきたいと、かように考えております。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、あれですか、現状維持を主張して言われたというものは、まあ具体的に言いますと、免許登録も大体変りがありませんが、実質上では。問題点は、この点から見ますと、十八才のものを、成年までの線に上げました約二カ年の使用数が大体問題になってくる。大体今の問題で中心にしますのはその点で、その二カ年でよほどの影響があると、こうごらんになっているのですか。これを現状維持を妥当であると御主張なさったうしろには、それを……。ということはですね、言いかえますと、大体成年以上になりますれば、わざわざ空気銃を買って鳥を撃って歩くというような人は数少いと思うのです。結局、子供の時代からこれを持っているから、二十才以上になっても持ち歩く、こういう線が非常に多いと思います。そうしますと、わずか二年という限定数でありますけれども、そこにそういうものをぴたりと年限を押えることによって、急激に販売数を減らされる、こういうようなことが考えられて、現状維持を妥当と、こう御判断なさったのでありますか。
  16. 金谷榮治郎

    説明員金谷榮治郎君) 現状維持が望ましいのじゃないかという意見を申し上げましたゆえんのものは、十八才と申しますと、大体高等学校の最高学年であります。従いまして、普通の常識を一応得られた年令じゃなかろうかということに特に着目をいたしまして、そういう議論を展開いたしたわけであります。しかしながら、審議会におきましては、これはきわめて少数意見でありました。この事実だけを申し上げておきます。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 私のお伺いしておりますのは、そういった八才か適格年令だとか年令でないとかということでありませんで、結局十八才、二十、二十—、青年に進ずるまでのものをとめることによって、販売率が非常に減るのだ、こういう御観点にお立ちになったのかどうかということです、
  18. 金谷榮治郎

    説明員金谷榮治郎君) その点は、制限がきつくなりますると、若干その他の需要が減少するであろうということは、当然に考えておりました。しかしながら、この制限の問題は、違った観点からも考慮さるべき必要がございまするし、そういう意味合いにおきまして、おのおの違った観点からの議論が展開されたことは、野生鳥獣審議会におけるだけではなしに、いずれの審議会におきましても、そういう論議がなされるのであります。私どもといたしましては、所持の在方が、また使用の仕方が制限されることによって、その所持層が減少するであろうということは、当然の帰結として考慮せざるを得なかったということでございます。
  19. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。   [速記中止〕
  20. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて。
  21. 大河原一次

    大河原一次君 先ほども商工委員の方が質問されて、それは、きわめてこの席上は農林水産委員会の席上であるからというので、非常に内輪にして、しかも遠慮なさったようなそういう態度質問されたのでありますが、しかし、その質問を聞いておりますと、その質問の内容につきましては、われわれ農林水産委員会においても相当重要な点があるし、しかも、その重要な点については次官からも、あるいはまた政府委員の方からも適切な回答がなかったように考えておるのですよ。そこで、特にこの法案が実施された暁においては、五千人もの失業者が出るということが想定されておったわけです。こういう点については、やはり大きな問題であるし、しかも、島商工委員が言ったように、岸総理大臣もいわゆる雇用の拡大ということを言っておる、そういう事態において、全くこれと背馳したような、そういう結果になるので、これに対してはどのようにお考えになるかという点に対する、具体的な答弁がなかったのであります。従って私は、あえてこの点について次官から再度明確な御答弁を願いたい、こういうことであります。
  22. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 先ほども申し上げましたように、年令制限を引き上げますから、それの使用層、空気銃使用する層において、数の制限がくることは、これは当然のことであります。従って、その間の空気銃に対するその面における需要の数が減るということは、当然に考えられるということを申し上げたのであります。しかし、先ほど林野庁長官からもお答えいたしましたように、その暦における使用数が、全体の使用数から見て、それほど多数のものでない。もちろん全然影響はないとは申しませんが、それほど——今のお話を聞きますと、五千人の失業者が出ると。それはどこから出たのか、私ちょっとわかりませんが、そういう大きな影響があるとは、実は考えておりません。全然影響がないということは、これは考えられませんけれども、五千人の失業者が出るというような、そういう大きな影響があるとは、私どもの方では考えておりません。先ほども通産省の参事官からお話があいましたように、むしろ、これはできるだけ貿易と申しますか、輸出の方に御努力を願いたいと、また努力をしなければならない、そういう面においては、そういう製造販売をなさる業者の方々も、こういう制度改正をいたしますときには、ある程度打撃というものは、これはすべての問題に起るのでありますから、そういう面についても、これはもちろん御考慮を願わなくちゃならない。しかし、政府としては、この影響について、あるいはその補償をするとか、もしくは特別な助成策を講ずるというところまでは、現在考えておりません。こういう申しわけをしたわけでありまして今のお話のような数字が、どこから出たか、私承知いたしませんが、五千人も失業者が出るということは、全然私どもの方では考えておらないということを申し上げたのであります。
  23. 大河原一次

    大河原一次君 五千人の失業者が出るということについて、何といいますか、基礎的的なものについては、私も自信は、実は島委員から聞いておったわけでもないんでございますが、商工委員会の方で五千人も出るということについては、いろいろ考えられた末、そういう数字が出たんだろうと思いますが、私はその点については申し上げませんが、ただ一つだけお聞きしたいのは、何か今になりまして、こういう線が出たということについていろいろ考えてみますと、この法律案の内容をなすものは、前回いろいろ御説明になられましたいわゆる益鳥野鳥の保護であるということに、大体重点が置かれるように聞いておったのですが、今、考え直してみると、このねらいの中には、政府の考えておる財政経済政策基本方針であるいわゆる内需抑制ということがねらいで、その中からこういう問題を考えられてきたように、私としては考えておるわけです。私は、今、内需抑制が非常に大事な政府の考えておる経済政策の重要をなすものであるかどうかは異論を持っておりますが、まあ今その場合でないから即しませんが、むしろ、この法案が、有益鳥の保護というよりか、財政経済全体の姿からながめた上での内需抑制という点が、強くその中に織り込まれているような気がしてならないのですが、そういう点はどうなんですか。次官の方からお聞きしたい。
  24. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) この法律改正趣旨は、たびたび申し上げておりますように、また、委員の各位においても御了解を願っておると思うのでありますが、産業経済考え方に基いてやっておるのではないのでありまして、内需を抑制してその余力で輸出振興しよう、こういうねらいをもってこの改正をいたしておるというわけではありません。先般も申し上げましたように、特に今度の改正一つの重点となっておりますこの空気銃使用年令制限については、賛否両論があるわけでございまして、まあ私どもは、正確かと思いますが、これをある程度制限すべしというのが多数だと思います。むしろ、全部禁止すべしという議論もあるわけでありますけれども、しかし、先般も申し上げましたように、また、鳥獣審議会においても議論がされておりますように、やはりその製造業者の立場という問題も考えなくちゃならない。直ちにこれを禁止するなどということは、現在そういう営業によって生計を営んでおる立場も考えなくちゃならない。こういう一つの妥協と申しますか、そういう考え方でこの立法をいたしておりますので、決して内需を抑制するというねらいを持っておるということは全然ありませんから、御了解願いたいと思います。
  25. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  27. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて下さい。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  28. 北村暢

    ○北村暢君 それでは、私は、ただいま議題になっております狩猟法改正につきまして、社会党を代表して賛成の討論をいたします。  このたびの狩猟法改正が、従来の衆参向防におきます長い間の経過を経まして、今国会へ提案されて参りましたが、その提案の過程におきまして、まず審議会を設けて、その答申を得てこの改正案となってきた、こういうことを申しておりますが、この法律は、大正七年の制定になっております。なぜこの審議会においてこの法律の根本的な改正がなされずに、一部改正しいうことで出てきたかということについて、非常に疑問に思っておるのでございます。しかも出て参りましたものは、いろいろ利害関係者の間における調和といいますか、話し合いという形で出てきたとは申しながら、きわめてその目的においてあいまいな点があります。  野生鳥獣の保護を主たる目的とするものか、または狩猟の調整ということを申しておりますが、私の感じでは、狩猟というものに対する特別な利益を与えて、いるというふうにも考えられるのであります。それは、先ほど次官も言っておりますように、この法律経済的な見地から出たものではないと言うておりますけれども、私は、やはりこの野生鳥獣の保護ということが、非常に大きな経済政策関連がある、森林保護という面から考えましても非常に大きな関係があると、こういうふうに見ておりますから、野生鳥獣の保護ということを、もう少し明確にするならば、この空気銃制限ということも、もっと趣旨が明確になってくるんじゃないか、またその空気銃制限を反対する方々もよく納得するんじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点が非常に明確を欠いている、こういうふうに思うのであります。  またこの資料によりましても、農作物あるいは森林に被害を与えているものか、被害額が約四億に達して、それの防除のために一億二千万要している。それから狩猟のための手数料、狩猟税というものが約三億五千万、それから猟政費が三千万、それから国の猟政の補助のための経費が二千万、まあこういうようなことからいたしまして野生鳥獣の害獣あるいは害鳥というような被害の非常に多いものに対しての駆除ということからいけば、非常に大きな経済的な問題に関係がある、こういうふうに思う。そういう点からすれば、この被害の防除のための駆除というものに対して、相当な力を入れるということからいけば、この狩猟……。いうものの調整というこころにまあ非常に疑問も出てくる、そこら辺の関係のことが、非常に明確でないという点  あるわけでございます。それは疑問としてやはり残ってくるんじゃないか、こういうふうに思います。  それから空気銃の二十才の、制限年令の引き上げ、それから免許制登録制から免許制にしたということについても、空気銃による被害が非常に大きいということを誇大に言っておりますけれども、これも実際に空気銃による被害が非常に大きいのか、農薬による非害の方が大きいのか、そこら辺の点もあまり明確ではないようであります。従って、まあこの空気銃に対する制限というようなものについてもはっきりいたしません。  それから制限強化したことによって犯罪が多くなるんじゃないか。所持春が、公安委員会に登録されているものが十六万丁で、狩猟のためのものが約三万丁、こういうことでもって従来登記されている。あとの十何方、十三が丁というものは、持っているだけで、これは登録されてないから使ってないはずであります。ところが、これは使っていないとは断定できないのでありまして、無登録でやつている。そのために制限強化したんでありますから、当局は、これについて監督を強化するのである、こういうことを言っておりますけれども、これについては、約三百何名のものを五百名程度にする、こういうような説明であったと思っておりますが、この五百名程度でありますというと、おそらく狩猟関係の施設、保護区、あるいは禁猟区、猟区、こういうものの施設が六百幾らあるんでありますから、それに一人ずつ配置した程度で終ってしまうんでありまして、空気銃制限強化したことによって、監督を強化するんだと、こう言っておりますけれども、これだけの監督では、強化したとはいっても、この監督強化ということが徹底するかどうかということについては、非常に疑問に思われる点であります。そういうような点からいたしましてもあまり明確ではない。本年度の予算を見ましても、禁猟区その他の予算を見まして、監督を強化するといいながら、三十二年度の予算では三百八万円の補助金が、二百六十何万に逆に三十三年度で減っておる。これで監督を強化すると言っておるのであります。  こういうような点について、いろいろな矛盾を含んでおる。私はそういう点からいたしますというと、今度の改正案というものは、非常にまだいろいろな問題を残しているという点を指摘せざるを得ないのであります。従って、ここで私が要望いたしたいことは、近き将来におきまして、この法律の抜本的な改正提出せられることを希望いたしたいと思うわけであります。今度の審議会における構成のメンバーを見ますというと、必ずしも私は、その利益を代表する者が網羅されているというふうには考えられない。非常に大きなものは、十六万丁の空気銃を持っている、その空気銃を持っている人の代表が入っておらぬというふうに思われるんです。その空気銃を代表する人の意思というものが、この審議会に私は出てきていないのじゃないかという感じをいたします。従って今後のこの抜本的な改正に当りましては、ぜひそういう人も加えて、あるいはそういう点についての配慮一つしていただきたいということを、お願いしたいと思います。  それからもう一つは、先ほど島委員が指摘せられておりますように、実は十八才から二十才に上げたことによりまして、銃砲業者から言わせるならば、これは二十才になりますというと、空気銃を楽しむよりも、空気銃よりも火薬砲の方を使うようになる、そういう年令に達するので、空気銃使用ということは、壊滅的な打撃を受けるのだ、これは業者から言わせれば、誇大な点もあるかと思いますけれども、相当なやはり打撃を受けるということも考えられるのであります。政務次官の答弁では、それほどの、五千名の失業者が出る、そういうふうには理解しておらない、こういうふうなことのようでございますけれども失業者が出るということは、これは数の多寡ではなしに、やはり職を奪うということについては、これは慎重に考えなければならない問題である。従って、ただ単に制限強化するという一方的な措置でなしに、やはりその経過措置として、業者に対する転業の指導なり——あるいは起ってくる失業者というものについての明確な答弁もないし、それに対する調査もなされなかったようでありますけれども——そういう点についての配慮というものは、あくまでもやはりなされるべきである、こういうふうに考えるのでございます。  以上が、いろいろの理由からいたしまして、今度の法案提出に当って不備な点はありますけれども、野生鳥獣の保証ということについて一歩前進という点からいたしまして、私は、この趣旨に賛成をいたしまして、不備とは思いますが、一歩前進する意味において賛成の意を表したいと思うわけでございます。  以上をもって、賛成の討論にかえたいと思います。
  29. 上林忠次

    ○上林忠次君 私は、緑風会を代表しまして、ただいま上程されておりますこの改正法案に対しまして賛成いたします。  最近特に益鳥が少くなったというような状況が目立っておりますが、もちろん、この原因は薬剤が大きな原因をなしておる。薬剤は、薬剤による目的の効果に対しましては、これは、その目的の害鳥獣あるいは禽類、害禽あるいは害を及ぼす生物を殺すばかりでなしに、万遍なしに殺してしまうということが、生物界のバランスを今破っておるのでありまして、これは、ただいまの薬剤の状況では、いかんともしがたい。しかしながら、益鳥の減少もまた大きいもので、薬剤によるものはしようがないにしても、鳥獣によるこれまで上げておった大きな効果が減殺されておる。この点を目撃しますときに、何とかこれを生かしておき、また繁殖さす。薬剤と相待ってほんとうの害を及ぼす生物のみを殺すという効果を、ますます助長していかなければならぬのじゃないか、こういう点から考えますと、まあ益鳥に対しては、これは十分な保護施設をしなくちゃならぬ。ただいま行われております方法では、それができないのだということになりますと、一番の今回の改正の目標であります十八才を二十才にするという点に対しましては、賛意を表するものであります。しかしながら、ただ十八を法金的に二十才に上げるんじゃなしに、大体、愛鳥精神がないんじゃないかと思われるので、あれだけの税金を上げておるなら、この税金の一部を使って、生物を愛護する愛鳥精神を、もっと涵養していくというような施設に……。それができてないんじゃないか。先般、審議中、開くところによりますと、ほとんどこれに対する施設は行われておらぬ。もっと金を出して、予算を使って、愛鳥精神の涵養、そういうような方正面の施策が必要じゃないか。また、鳥の繁殖し得る地域をもっとたくさん作っていき、これをうまく管理していくということも必要じゃないか。もちろん、こういうようなことによりまして、空気銃の業者が困るということは想像されます。しかしながら、こういうようなレクリエーションとしての空気銃使用じゃなしに、もっとほかの、ゲ—ムとしてあるいはスポーツとして、これをまた発展さしていくというような方と面にいきますならば、まだまだ銃の品質の改善も起りますし、それが結果して、また輸出の増進にもなろうじゃないか、今のようなああいうような子供の使う空気銃じゃなしに、ますますりっぱな空気銃ができていく、そういうようなりっぱなものができてこそ、また輸出ができるのでありまして、ああいうようなちゃちな空気銃では、輸出もできないのじゃないか、私はそういうような点でこの予算をしっかりこの方面にも使っていただきまして、愛鳥精神の涵養、また、業者の銃の改善、これを刺激していただきたいということを申し上げまして、私はこの法案に賛成の意を表する次第でございます。
  30. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御意見もないようですからえ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  狩猟法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  32. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     柴田  栄  藤野 繁雄     清澤 俊英  鈴木  一     上林 忠次  秋山俊一郎     佐藤清一郎  関根 久藏     田中 啓一  仲原 善一     堀本 宜実  東   隆     大河原一次  河合 義一     北村  暢  千田  正     北條 雋八
  34. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) それでは、しばらく休憩して、午後一時再開いたします。    午前十一時五十二分休憩    —————・—————    午後一時三十五分開会
  35. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 再開いたします。  農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する法律案議題にいたします。過ぐる第二十四回国会において農業協同組合整備特別措置法に対して当委員会において付帯決議が行われ、その中に、かような措置はひとり農業協同組合のみならず、経営不振の森林組合及び漁業協同組合に対しても講ずるよう決議され、右の決議について政府におけるこれが取扱いに関し、前回の委員会において東委員から御質疑があり、その答弁が本日に持ち越されておりますので、本日はまずこの東委員の御質疑に対して政府からの答弁を求めます。
  36. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 先の当委員会におきましてこの法律を御可決を願いました当時、森林組合及び漁業協同組合も同じような協同組合であって、この農業協同組合と同様に、相当な不振な組合があるのではないか、従って、農業協同組合に対してこういう特別措置法を制定する以上は、そういう森林組合及び漁業協同組合についてもこれに準ずるような法制的、あるいは予算的措置を講ずる必要があると、こういうふうな付帯決議を当参議院の農林水産委員会において決議されております。そのことについてもちろん政府といたしましても、その後検討を続けておりまして、御趣旨の点は十分わかるわけでございますが、性質上は、ある程度と申しますと語弊があるかもしれませんけれども、妥当な事態が考えられるのであります。しかしながら、よくこれをさらに検討いたしてみますと、この前の委員会でも私から申し上げておきましたように、農業協同組合と、その他の森林組合及び漁業協同組合とは、現在においてその組織等において必ずしも同程度に取り扱う事態には今日なっておらないと、こういうふうな私どもは考えをいたしております。そこで御趣旨の点につきましては、農業協同組合に比べまして組織的にも、経営的にも森林組合及び漁業協同組合は立ちおくれておるように考えられます。そういう関係から、こういう組合につきましてはまずその前提として、組織的に整備改善をはかる、そして事業活動の指導を行うことがまず当面の課題である、こういう考えから、三十二年度の予算的措置から行政指導を進めて参ってきたのであります。そこで、三十三年度におきましても、そういう経営不振の組合に対しましては、森林組合におきましても、また漁業協同組合におきましても、特別指導員、あるいは長期の駐在員、こういう制度をさらにある程度拡充いたしまして組織の整備強化をはかる、こういう指導、行政的な措置を講ずる、こういうふうに今やっております。そこで、この森林組合及び漁業協同組合に対します現在の新組合の状態等については、それぞれ林野庁長官及び水産庁長官からもう少し詳細に御説明を申し上げますが、特に前回の委員会でも申し上げましたように、この漁業協同組合につきましては、ただいま御審議を願っております漁業制度調査会においても、こういう校本的な問題について、さらに検討を願いたい、こういう考えを持っておりますということを、この際つけ加えておきたいと思います。
  37. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 森林組合の関係につきまして御説明申し上げます。  森林組合が、協同組合の考え方に徹て参りますしためには、組合員の系統利用を推進いたしまして、経済事業を活発化していくということが絶対に必要である、こういう考え方からいたしまして、従来、組合の一斉調査を行い、これによりまして実態を把握いたしまするとともに、常例検査等の方法によりまして、実地指導を行なってその育成に努めてきたような次第でございます。先の国会で決議されました農業協同組合整備特別措置法の付帯決議につきましては、その御趣旨を体しまして、特に経営不振の組合につきまして、その実態を調査いたしまするとともに、その不振の原因を究明いたしまして、その対策をかれこれ検討して参ったのでございます。その調査によりまするというと、昭和三十二年三月末現在におきまして、欠損金が二十万円以上の不振組合というべきものの数は、全国で二百七十四ございましてこのうち、特に執行体制の不良というふうに考えられまするもの、しかも組合不振の原因がこの執行体制の不良に基くものだというように考えられまするものが百十七という数に及んでおる実情でございます。これを農業協同組合整備特別措置法対象といたしておりまする不振農協と比較いたしまするというと、組合の数におきましても、また欠損の金額におきましても、非常に少いのでございます。このことは、いわゆる林業そのものの特質にもよりますが、森林組合の経済団体といたしましての活動が、いまだ全般的に活発でない、むしろ非常に不活発なる組合が多いということからきておるように私どもといたしましては考えるのでございます。そこで対策といたしましては、組合に対しまして、利子補給を行いまするとか、あるいは合併奨励金を交付するといったような、直接助成を現在直ちにいたしまするよりも、格組合の不振の原因に応じまして、最も適当な指導を行なうということをこの段階としては取り上げるべきではなかろうか、かようなふうに考えたのでございます。従いまして、昭和三十三年度の予算におきましては、新たに森林組合の振興対策費の補助金といたしまして、二百九十二万三千円を計上いたしまして、組合のための特別指導を行うということにいたしたのでございまするが、ことあわせまして、都道府県の各機関、国有林野事業の格機関等も積極的に協力をするというような内部指導も実は行う方針でございます。振興対策の事業といたしましては、原則として欠損金の二十万円以上の不振組合に対しまして、振興計画の樹立をいたしまするとともに、その実施につきましての行政庁の特別の指導を行いまして、特に執行体制が不十分、不備であると思われるような組合に対しましては、森林組合連合会の職員をこれに派遣いたしまして、半年の期間にわたりまして駐在をいたし、指導を行うというように取り運びたい所存でございます。もとよりこの措置が、不振組合に対しまする施策のすべてではございませんが、これらの措置を推進いたしまするこの機会に、森林組合の自主的な振興への意欲と努力が期待されるのであります。森林組合の系統組織におきましては、昨年の秋に、森林組合振興対策要綱というものを自主的に定めまして、三十三年度から三カ年計画をもって、経営基盤の弱い組合に対しましては、大いに合併の推進をはかる、さらに出資の増強をはかる、苗木の生産及び購買事業であるとか、資材の生産及び販売事業を全面的に実施するような体制をみずから整えつつありますので、この機会に、ただいま申し上げましたような施策をあわせて講じますることは、非常に大きな意味があるものと、かように考えておるわけでございます。
  38. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 漁業協同組合は、全体で四千三百あるのでございますが、その中で沿海の経済事業を行いまする出資漁業協同組合、これが三千百あるのでございます。で、これの最近の経営の状況を、ごく概括的に申し上げますれば、共同販売事業、共同購入事業、いずれもいささか伸び悩んでおる次第であるのであります。で、共同販売事業につきましては、沿岸の漁獲高の千二百億、それの約六一%に当りまする七百四十億というものが、単協の共同販売所で取り扱われておるのでありますが、しかしながら魚の荷物としての取扱いのむずかしさから、連合会に出荷されるというものは、わずかにその七%の五十億見当でありまして、しかも共同販売の多くは、産地の販売所で仲買に売り渡すというところまで魚の流れについての掌握をいたしておるのにとどまるのでございます。共同購入につきましては、共同販売よりも、さらに伸び悩んでおるのでございまして、やや古い数字かと存じますが、全体の取扱量が二十六億、こういうわずかな数字であるのでありますが、しかしながら全漁連の燃油の取扱いが、昭和三十年あたりから非常に伸びて参りまして、この面においては、急速に事業の改良を見ておるのでございます。そこで漁協の仕事で、現存非常に安定した軌道に上りつつあると考えられまするものは、信用事業であるのでございまして、昭和二十七年におきましては、貯金といたしましては、わずかに十億、貸付金として二十億、この程度の取扱いをしておったのにとどまっておるのでありますが、昨年の八月におきましては、とにかく貯金といたしまして、百億の関門を突破いたしまして、百二億、貸付金も百八十七億円、こういう飛躍的な増進を見ておるのでございます。しかしながら組合の経営の実態をながめて見ますれば、まだまだ不十分な点が多々あるのでございまして、漁業協同組合全体を通じましての経理上の損失金が約四億四千万円見当であったと思いますが、大体全体の調査組合の四割見当の組合が、とにかく損失を計上しておる、こういうふうな状況にあるのであります。その中におきまして、特にわれわれが注意をしなければならないと存じておりまするのは、赤字組合及び財務内容の不良な不振組合、これが、両者を合せまして約六百五十あるのでございます。ここで赤字組合と申し上げましたのは、繰越欠損金と固定資産の三〇%というものを回収不能と見まして、その合計額が諸積立金及び特別準備金の合計を上回る組合、こういうカテゴリーで考えてみました場合に、二百五十三組合あるのであります。また、財務不良組合と申し上げまするのは、繰越欠損額を控除いたしました自己資本額が固定資産額よりも足らない組合、これを見ました場合に、三百九十四組合、両方合せまして約六百五十組合が、急速に何らかの手を打っていかなければならない組合である、かように考えるのであります。そこで、現段階におきまする措置といたしましては、森林組合について考究されておりまするのと同様に、行政指導を強化して健全なる経営を自主的に確立さしていく、こういう方角に努力をいたしたいと、かように考えておるのでありまして、長期の特別駐在指導によって経営の改善をはかります組合と、また、巡回指導によりまして経営の改善をはかります組合、合せまして約二百組合、これだけの組合につきまして、これが経営の改善指導に要しまする連合会の経費に対しまする補助費といたしまして、二百十三万円の金を明年度の予算の上に計上をいたした次第であります。しかしながら、われわれは、この対策をもって十分であると、かように考えておるのでは決してないのでございます。漁業協同組合の経営の作興ということに関しましては、根本的には、漁業協同組合の長に沿革及びその沿革を基礎にいたしました現在の漁業法及び水産業協同組合の制度の根本的な検討をする必要がある、かように考えておるのであります。漁業協同組合の経済組合としての機能を付与せられましたのは、昭和八年の漁業法の改正であったのでありまして、一方におきまして、明治十何年かの漁業組合準則以来、漁業協同組合は同時に漁業権の権利主体としての機能を果しておるのでございます。しかし、現在の漁業協同組合の地区が非常に狭小であり、町村未満の部落単位の組合が全体の五割を占めておる、こういうことには、実はただいまの二元的な性格にも一つの原因があるのでございまして、この辺に関しましては、先ほど政務次官からお話のありましたような根本的な制度の検討をいたして参りたいと、かように考えておるのであります。しかし、同時に、その制度の検討も一方においてやらなければならないことでございまするが、今の段階におきましても、われわれは、当面におきまする一つのステップとして、行政指導の強化をはかるにとどめておるのでございまして、なお今後、これが不振組合の作興につきましてのいろんな方策を徐々に機運の熟するに従って実施に移して参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  39. 東隆

    ○東隆君 説明をいただいたんですが、私は、協同組合という立場から考えてみましたときに、本来ならば、森林組合法も、それから水産業協同組合法も、農業協同組合法も、また、今の厚生省の管轄になっておる消費生活協同組合法も、また、中小企業者等の協同組合法も、協同組合法という一本の法律で実はやるべき筋合いのものだろうと思う。それが、占領政策のもとにおいて、日本で発達しておったところの産業組合、それを基盤にして農業会ができておったわけでありますが、それが非常に指導者原理に災いをされておったために、それを是正するために、農業協同組合法というものを単独に出してそうしてやる、従って、必要な面がございまするから、順次農林漁業、あるいは消費者の方面、あるいは商工業の方面、そういうような方面協同組合法が生まれた、こういう経過をたどっておると思う。そこで、商十関係の方面までも私はかれこれ言う必要はないと思いますけれども、この際は、私は、農林漁業に関するものぐらいは同一の歩調でもってやっていっていいと思う。ことに、金融の面なんかは、農林中央金庫がありまして、これは一つになって出ておる。従って、それに非常に関係を持ってくるところの農林漁業関係の協同組合に関するところの整備刷新のためのいろいろな方法というのは、やはり一本になって農林省が大きく力を入れてやるべき筋合いのものだろう。今お話を承わってみましても、林業関係においての取った予算なんというのは、きわめて少い。水産関係は、組合の経営不振を直すために連合会に対して二百万円そこそこの金を補助する。一組合に対して一万の補助を連合会に出してそうして指導をさせる、こういうようなことなっておる。それよりも、私は、協同組合の立場に立って、農林漁業に関係しておる業者の一番強い力というのは何かといえば、やはり協同組合に団結をしてそうしてやっていくのがこれが一番いい方法なんですから、その意味においても、私は、もう少しはっきりとこういうようなものに入れてほしかったわけです。私は、イージー・ゴーイングな方法をとられておると思う。やさしい方法をとってやられておるのですが、非常にせんさくをするようでありますけれども、どうも林野庁にも、それから水産庁にも、農業協同組合の方よりもこういうような法律その他をこしらえるときに手が出ないのも、そっちの方面に非常に力がない。林野庁にも、それから水産庁にも、こういうような法律を編む場合に、それの基礎的ないろいろな工作をするところの力がないんだと、こういうふうにさえ言う人もあるわけであります、私は、これは実は少し聞かされたんでよく覚えておるんですけれども、今水産関係の方なんかは、農業の方面でもって到達しておるぐらいのところは何としてもやりたいものだ、こういってやっておるわけであります。たまたま年金制度のあの共済組合法の関係で、水産関係も林業関係も、もう少しで省かれそうになっていた、ああいうような現実もあります。そういうような関係で、この際こういうような法律が出る場合には、当然農林漁業手を携えて、そうして強力な力になって法律を作っていただきたい、こういう考え方をまず持つわけであります。この点について、次官はどういうふうにお考えになりますか
  40. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) お説の通り、協同組合制自体が、まあ言葉が過ぎるかもしれませんが、比較的に力の弱い人々が団結をして、その経済的その他の地位を守る、こういうのがまあ協同組合の根本の理念であります。従って、そういう組合は大きければ大きいほど私はその効果が上る、そういうふうに考えております。ただしかし、理想としてはそういうように考えられますけれども、現実の問題としてはなかなか、率直に申し上げると、これは私個人の考えとして聞いていただきたいのですけれども、少しこういう種類の団体と申しますか、組合が私は多過ぎるのだという気が実はしております。むしろそういう同類系のものはできるだけ大同団結をして一本の力としていくべきが私はほんとうじゃないかと思いまするが、しかしながら、農林漁業についても各種の団体があるわけでありますけれども、いわゆる組合組織があるわけでありますが、現実の問題としてはなかなかそう簡単にこれを一本化する、あるいは統合するということはそう簡単な仕事ではないと考えております。御趣旨の点は私も同感でありますが、これは将来を期して、そういうふうな方向に持っていくようにお互いに努力すべきものである、かように私は考えておるわけであります。
  41. 東隆

    ○東隆君 漁業協同組合関係でもって、先ほど共同販売関係の仕事は一千二百億、そしてそのうち六八%が単協でもってやられておる、こういうお話でありました。私はこの共同販売を促進するために単協が冷凍設備を、冷蔵庫を持つというような、そういうようなことは、これは無理だろうと思う。いわんや部落の区域の漁業協同組合が冷蔵庫を持ってやるなんということは、これは無理な話なんで、もう少し私は大きくして、そうして行政区域くらいのものを作り上げることが、もう当然必要だろうと思う。それにも私は冷蔵設備は無理だと思う。連合会が冷凍設備を、そういうような必要な地帯に作る、こんなようなことをやらなければ、なまものを扱っておるものが有利に販売をするなんということは、これはなかなかできるものじゃないと思う。そういうようなことをやれば、当然現在の漁業協同組合、浦々にあるような、部落にあるあの小さな漁業協同組合を、私はやはり相当併合をして、そうして強力なものに作り上げていかなければならぬ、私どもは購買方面なんかを見ましても、漁業協同組合がやっておるのは小さな漁具とか、それから米を扱っておるところがだいぶある。で、この共同購入をやっておるものの中身を調べてみますと、おそらくほんとうに漁業者のためになるような共同購入をそう大きくやっておるのじゃないのじゃないか、こういうようにすら考える。従って、もう少し協同組合として漁村の、漁民の財布を握っておる立場にあるところの漁業協同組合を強力なものにするために、私はどうしても合併だとか、そういうような促進をして、それも合理的にやらなければなりませぬけれども、そういうようなものについて急速に手を伸ばさなければならぬ、こういうふうに考えておるのですが、この点は先ほど漁業制度の調査をやる、こういうようなことでもってお逃げになっておるのですけれども、しかし漁業制度の調査の中身はまだきまっておりませんが、そうじゃなくて、これは漁業法あるいは水産業協同純合法との関連であるとか、その他いろいろな調べる問題がたくさんあろうと思う。しかし、それ以前にもうすでにはっきりわかっておる、組合の組織の強化でありますとか、そういうような方面を大いにやらなければならぬ、こう思うのですが、はなはだもって林業の方もそうですが、漁業の方もそっちの方面の力が非常に抜けておる、こう考えるわけであります。  それから水産関係の方面でありますると、林業の方面には、農業の方面にあるいろいろの改良普及員であるとか、こういうような制度なんかも当然わかり切ったものである、こういうようなものを今の部落組合に配置をするということになれば、これはもうてんで問題にならぬと思うのですけれども、しかし行政区域にこれをまとめて少し大きなものにするならば、私は改良普及員に相当する水産関係のものも私は漁業協同組合に配置をして、そうして新しい見地に立った科学的な漁業を漁民にやらせる、こういうようなこともできょう、こう考えるわけで、そういう点を、すでにもうはっきりしておることだと思うのですが、そういうことはなし得ないことを非常に残念に思っておりますが、こういう点はどういうふうに進められていくお考えですか。
  42. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) ただいま漁業協同組合の合併の問題の御質問が出たのでございまして、私たちも合併をして地区を大にし、同時に事業規模を拡大していくということの必要を痛切に感ずるのでございます。しかし、これにつきまして、先ほど私がごく抽象的に触れたように、相当制度の根本について検討をしなければならない要素もあるのでございます。で、現在漁業協同組合の五七%が市町村未満の区域をその地区といたしております。市町村単位の漁業協同組合というのはわずかに三七%、こういうことであるのであります。なぜこういう状態にあるか、合併ができないために、ただいまお話のありましたような製氷あるいは冷凍等の施設を持ちまするために、一つの内湾についての連合会を結成し、あるいは県全体としての連合会においてようやくそういう設備を持つ、こういうふうなことに相なっておるのでありますが、なぜそれではそういう状態にあるかということに関しましては、これは現在漁業協同組合が一方において漁業権の主体であり、組合員は組合の持っておる漁業権に基きまして漁業をする権利を持っておる次第であるのであります。ところで、漁業権の主体であるという関係から漁業権の行使についての不安というものが常につきまといまして、合併をするということが非常に困難なのが現実であるのでございます。もちろん漁業協同組合の発展と同時に、漁業権の管理主体であるということの上に座して今日に至っておる事実は、これはまた認めなければならない次第でありますけれども、今この際において、この二つの機能をどういうふうに考えるかというふうな点に何らかの解決策を求めなければ、なかなか合併による地区の拡大ということは困難ではないか、かように考えるのであります。しかしながら、われわれもそういう困難があることを承知しながらも行政上の指導の面におきましては、できる限り組合の乱立を防ぎ、地区をまとめるような努力はいたしておる次第でございますが、しかしこのあたりが今度できます漁業制度調査会におきまする最も重要なる検討事項の一つであろう、かように考えておる次第であります。
  43. 千田正

    ○千田正君 関連して。ただいま漁業協同組合の問題を中心として、大きな意味において一本化するのは理想的であるし、そうであるべきだと、私も賛成するのですが、さらに水産に関しては、特に業種別の組合がたくさんあり過ぎるのじゃないか。たとえばカツオであるとか、マグロであるとか、あるいはいろいろな漁業協同組合がたくさんある。そうして末端の組合はどれにも参加しなければならない。そういうふうになるというと、経費の面におきましてもしょい切れない弱小の組合も出てきている。こういう面におけるところはやはり統合整理して、ほんとうの漁業協同組合の確立ということを考えなければならないと思うのですが、まき網についても、たとえば北であるとか、南であるとか、あまりに数が多過ぎると私は思うのです。その点はどうですか。
  44. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 業種別組合の乱立に関しましては、現在いろんな批判もあり、いろんな意見も出ておるのでございます。その一つは、ただいま千田先生のお話のように、単位の総合漁協との関係においての問題であるのでありますが、もう一つは、全国的な連合組織というものを漁業組合の活動を盛り立てるために作り上げていかなければならないのにかかわらず、業種別の組合がまた別々な柱を立ててそしてその力を分散しておるという点に関しまする批判であるのでございます。ある地区の狭小な点、あるいは同じ地区に重複して組合がある点、そこらあたりもお話申し上げたのでありますが、ただいまの業種別組合の問題にも関連いたしまして、現在の漁業組合の制度にもう少しよき意味における行政監督というふうな色彩を濃厚にした方がいいのではないか、組合のことは組合員の自治にまかせるということのために、かえって組合の乱立を招き、また業種別組合と地区組合、あるいは連合会との間の不円滑というようなものも来たしている。こういうふうな意見も相当有力に叫ばれておるのでございます。われわれもまたそこらあたりも十分問題として取り上げていかなければならない。かような観点からやがて作りまする調査会におきまして、この辺も取り上げて参りたい、かように考えております。
  45. 東隆

    ○東隆君 今、千田委員が聞いたことを私も聞こうと思っておったのです。業種別の漁業協同組合、これと沿岸の漁業協同組合、この関係でありますが、特に機船底びきというようなものを中心に考えてきたときに、連合会のみを許す、しかもその連合会には、沿岸の漁業協同組合が加入するということを前提にしたところの連合会のみを認める。業種別協同組合は連合会のみを認める、こういう考え方にお立ちになりますが、これは実のところを申しますと、業種別協同組合には、沿岸漁業協同組合の中にいる人のうち資力のある者、力のある者が中に入って、そして業種別協同組合を構成している。そのために非常に力は強いのですが、中身は、私は協同組合という名前を持ったところの株式会社の形になるのではないかと、こう思う。しかも機船底びきのようなものになりますと、沿岸漁区を荒すギャング的の行動をとるというようなものも現われてくるので、従って連合会に組織がえをして、そして沿岸の漁業協同組合が連合会に加入する、そして今まで業種別協同組合に出資しておったものは、沿岸の漁業協同組合を通して出資するという形になるわけであります。そういうような形でもって作ることによって、初めて業種別の協同組合連合会は沿岸の協同組合の漁区を荒す、こういうようなことができなくなる。こういう形を作り上げることによって、私は今の問題を解決するともに、沿岸の漁業協同組合に力をつけていく、こういう道を開いていかなければならぬじゃないかと、こう考えますが、これは水産業協同組合法の改正、その他の問題に関連すると思うのですが、この点どういうふうにお考えになっておりますか、長官また次官の考え方をお伺いいたしたい。
  46. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) ただいま底びき、その他の業種別の組合については単位の組合を作らせないで、地域別組合の連合会という形においてのみ、業種別の存在を認めるというふうにしたらどうか、こういう御意見でございます。われわれも業種別組合についていろいろ問題があることを承知いたしているのでございます。地域別組合が、有力者が業種別組合として離れていくということのために非常に力が弱い、のみならず業種別組合の中には沿岸と正面から対立いたしまする底びき等の業種もあるのであります。その辺にいろいろ問題が介在いたしているのでございます。しかし一方におきまして、全国的な連合組織というものとの間にも、やはり問題が存在いたしているのでありまして、今日、地域別な漁業協同組合は、全漁連というものにまとまつておるのでありまするが、その他の業種別組合は全然別個な全国的連合組織を持っております。そこらあたりに水産としての総合的な活動をいたすのに、いろいろ支障があるという観点から、むしろ連合組織としては全国一本であるべきだと、こういうふうな御議論も一方においてあるのでございます。で、一方におきまして業種別の方々には、またその方々だけで共通の利害を持っておることも、これも事実であるのでございます。従って問題は、現在の協同組合法の根本的立て方、すなわち自由に作り、自由に系統的に結びつくと、こういう根本的な協同組合の理念そのものに業種別組合の取扱いの問題はからんで参ってくるのでございます。われわれといたしましては、実は今の段階におきましてはきわめて重要なる問題であると、われわれとしてもこの問題について何らかの解決をしなければならない深い関心と意欲を持っておるのでありますが、今しかしわれわれといたしまして、これが解決の方途を具体的にこの際打ち出すよりも、むしろこれらの関係者も網羅いたしました調査会の場において十分御議論を願って、そういう御議論をくみ取ってわれわれが解決する具体案を作り上げるということの方が適当ではないか、かような考え方でこの問題に深甚の注意を払っておる次第でございます。
  47. 仲原善一

    ○仲原善一君 簡単にそれでは二、三の点御質問申し上げますが、ただいま東委員は農業協同組合、あるいは全般の協同組合のあり方についての将来についての政府の所信をただされておるわけでございますが、この問題にやはり関連して若干お尋ね申し上げたいと思います。先般の農林水産のこの当委員会におきましても、いろいろこの問題が出まして、渡部局長の御答弁を聞いておりましても、現在の農業協同組合を貫いておる思想が終戦当時にできた関係もあって、先ほどのお話にもありました通りに、自由に全く民主的にやっていくという、こういう理念に基いておって、これが必ずしも現在の日本の農村の実態に合っていないという趣旨の御答弁があったように思いまするし、それから各委員の御発言の中にもそういう問題が同様な意見で述べられておったわけでございまして、そういう点、私も全く共鳴する点がたくさんございます。将来農業協同組合の改正が行われると考えられまするが、その際に、政府としてはどういうふうな御所見を持っておられるかという点に関連して具体的に二、三お聞きしたいわけでございます。その一つは、とりあえずの問題でございますが、この実態と理念と合っていないというところに端を発しておるわけでございますが、総合単協と申しますか、農協の一番末端の組合で、一つの町村の中に同じ事業をやっておる、そういうのがたくさんあるわけです。隣同士で地域は全く同じところでございます、隣同士で一人の人はAの組合に、一人の人はBの組合にと、そういうふうに加入しておる組合があるわけでございます。そういうのも何と申しますか、理念の上から申しますと、十五人以上で加入も自由でございましょうけれども、実際の運営の面から見ますと、大へんな支障が出てくるわけでございまして農民自身が民主的に運営するまでの何と申しますかレベルがそこまできていないという実態がございますので、こういう点を法律的な措置によって何か救済できる方法はないか、もっと具体的に率直に申しますと、一つの町村においては総合単協は一つに限るというような認可方針と申しますか、そういう方針をもって対処されてはどうか、その点についての御所見を最初に承わりたいと思います。  今回の改正法によっても、合併促進をやるようなことが一つのねらいになっております。局長お話でも整備措置法では利子の減免であるとか、あるいは中央会の駐在員の派遣をして補助するとか、そのほか合併促進ということがございますが、少くとも単協の合併についてはただいま申し上げましたように、一町村について一つの組合を認可する、総合単協については特にそうだというような点についての御所見を最初にお伺いしたいと思います。
  48. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 先ほど農協ばかりでなくて、いわゆる組合に対する考え方についていろいろ御意見があったわけであります。御承知通りに農協にかかわらずその他の組合も同じでありますが、いわゆる自由に人々の考えに従ってものを処理する、民主主義というものでありましょうか、そういう大きな根本の理念に従って特に終戦後はものを運んでいこうと、こう  いうことが第一の前提に物事が運ばれておると思うのでありますが、特に農協の場合でも終戦後の状況を見ておりますると、ただいまお話しになりましたように、法律によって十五人以上あれば自由にできるのだ——これは私個人のことを申し上げて失礼でありますが、私もある地域の行政を担当いたしておったことがあるのでありますけれども、ちょうど農協法が十年ちょっと前に制定されましたときに、そういうせいぜい百戸か二百戸のところで組合を作っても決して成り立つものではないという趣旨の行政指導をいたしましたけれども、いや民主主義だ、十五人以上あればできる、ちゃんと法律に書いてあるじゃないかと、こういうような主張をしまして、その後一町村、あるいは一市の中に続々として多くの農協ができた実例があったのであります。今日振り返ってみると、そういうものはほとんど不振農協で、何百万、あるいは何千万という負債を生じて再建整備にかかるというような状況になっておるのでありますが、そこのところのかね合いが、いわゆる言われておりますところの民主主義と、この団体、あるいは協同組合の精神とのかね合いが非常にむずかしいところであると思います。率直に申し上げて今の日本の国民のレベル——というとまことに失礼でありますが、程度においては、状態においては、やはりある程度それに統制——というとこれもまた誤解を受けるおそれがありますけれども、法的な規制を一面においては加えなければ、協同組合の理想も達成せられぬじゃないかという考えを持っております。でありますから、今仲原委員お話通りに、これまた行政区画に従って全部やると、一単位の行政区画は一つの農業協同組合だということ自体もそう簡単に割り切れないんじゃないかと思います。申し上げるまでもなく、一つの主たる経済団体でありますから、理想的に言うと、町村区域は違っても、あるいは地形的、あるいはその地方の経済取引の状況、あるいは人情風俗と、こういうもので行政単位を越えて一つの協同組合ができ得る可能性の場合もあるわけでありますが、しかしながら、全然行政と無関係というわけにいきませんから、行政単位を越えて農業協同組合を作るということは、これは実際問題としては困難だと思います。そこで、行政単位に一つの単位組合を作る、これは私は一つの原則でいいと思います。しかしながら、といっても現在御承知通りに、多くの市町村合併が行われておりますが、それを全部、最近行われておるような合併市などというものについて一つの単協を作るということも、あるいは人情の上から、あるいは経済関係から、いわゆる協同組合という、協同の精神が必ずしも発揮されないという事情もあり得るわけでありますから、一行政単位に一つの組合という主張も、必ずしも私は適切でないと思います。しかしながら、原則としては、一単位の行政区画には、やはり一つの農業協同組合というのが、私はこれは理想であると思います。将来、農協法の改正をする場合においては、そういう一つの目標をもって改正をすべきものである。場合によっては、これは検討の余地はありますけれども、農業協同組合の単位については、あるいは認可制といいますか、法律上、認可制度を作るのがいいかどうかということは、先ほどの民主主義とのかね合いがありますが、そのくらいの、ある程度法律上の規制をする必要がありはしないかと、こういうふうに現在は考えておるわけであります。
  49. 仲原善一

    ○仲原善一君 地域の問題については、全く私も次官と同じように、心ずしも町村ということに限るわけでもございませんので、それはやはり従来の伝統もありましょうし、あるいは経済単位としての関係もございましょうから、まあその点はいいといたしまして、ともかくも、隣同士がほかの組合に入るというような、そういう実態は、何か法律的な規制をすべきではなかろうか、そういう気持がいたします。次に、県段階、都道府県の段階についても、やはりこれを敷衍していきますと、そういう点が考えられはしないかという問題でございまして、これは現在でも県信連であるとか、共済農業は県に一本、一つの都道府県に一つというふうに、これは行政上の措置でやっておられますが、同時に、これはもう少し範囲を広めて、経済連ぐらいについてもそれはできるべきではなかろうか、やはり信連なり共済農業は、そういう趣旨で規制をされている以上は、そう大して違いのない経済連についてもやって差しつかえないじゃないかという気がいたしますが、その点はどういうふうに当局はお考えでございますか。
  50. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 経済連においても、多くは、御承知通りに、一都道府県に一つというのが大体原則でありますが、しかしこれも、やはり経済関係あるいは感情上の問題からいって、一つの県に二つあるというような所もあります。農林省といたしましては、今お話趣旨はそういうふうに考えておりまするが、できるだけこれを県なら県単位一本にしたい、こういうことで強力に行政指導をして、合併と申しますか、その線を進めておるわけであります。
  51. 仲原善一

    ○仲原善一君 次は、農業金融の問題について、関連してお尋ねをいたしますが、農業金融は、先般の当委員会でも、低利で長期でなければならぬ、農民から集めた金は農民に流すべきであるということで、お話し合いがだいぶ進んでおったようでありますが、将来考える問題といたしまして、実は共済農業で、ずいぶんの資金が農民から集まる見込みでございます。現在でも二百億程度集まっているんじゃないかと思いますが、これがだんだん伸びて参りますので、これを現在は信連に預けている形でございますけれども、これを何か特別な長期低利の資金に、農村金融に使うような新しい制度を考究すべきではなかろうか。特に農林漁業金融公庫の自作農資金というようなものと一緒に集めるなり、そうして仮称でございますが、農地金庫というようなものでも作って、特に現在不足しております長期低利の農業金融の新しい制度一つ作ってみたらどうかというような私見を持っておるわけでございますが、そういうものについての、大よその御見解、将来についての御所見というものを伺えれば仕合せであります。
  52. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 農林関係の金融につきましては、先般来、いろいろ貴重な御意見が出ておるわけであります。農林団体関係の資金は、それをまた長期低利で還元すべきではないかという議論と、ひいては組織的にもそういう組織に組みかえなくちゃならない、こういうふうにいろいろな御意見があるわけであります。今の御意見も、新たにそういう趣旨制度と申しますか、機関を作ったらどうか、こういう御意見もあるわけでありまして、これは金融行政と申しますか、そういう問題にも大きく関係いたします。また農林関係としては、非常に大きな関心を持っておることでありますから、将来慎重に検討をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  53. 仲原善一

    ○仲原善一君 この改正案では一年の延長になっておりますが、この間の当局の御説明では、一年では残る組合がある、その組合については抜本的な方法を考えねばならぬということを抽象的に申しておられましたが、残った問題については、どういうお考えであるか、もう少し具体的にお伺いいたしたいと思います。
  54. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 実はこの改正は、これは期間の延長でありますが、元の現行法通り、さらに二年延長すべきである、あるいは一年にすべきかということで、相当立案途中においても論議があったわけであります。ただこれは一種の臨時特例法のようなものでありますから、できるだけ農業協同組合の整備をはかるのはすみやかなのがよろしい、これはもう当然なことであります。でありますから、過去の実績と現在の状況を考え合せまして、二年というよりも、一年の延長にして、こういう事務的な処理あるいはその対策については、すみやかに立てるようにしなければ、また二年延ばすということは、それだけ気分的に悠長になる、そういうことではいけないということで、いろいろ御議論がありましたけれども、一年間の延長ということにいたしたのであります。それでも現在、先般もこまかく御説明したと思いまするが、この一年間延長についても、この法律によって整備をし得ない組合も相当にあるんじゃないか。こまかい数字は今私承知をいたしておりませんが、現在でもそういう見込みといいますか、悪い見込みの協同組合があるわけでありますから、ある程度のものはこの処置によってもどうにもならないものがあるであろう。一体これをどうするかということは、今具体的に申し上げることはできませんけれども、それを放っておいて、農業協同組合はなくなってしまってもいいんだというわけには、これはなかなか参りません。でありますから、この一年間努力をいたしまして、それでもどうしてもこの処置によって整備ができないというものについては、さらに新たにそういうものの整備のできる方法を講じなくちゃならないんじゃないか。そういう点については、財政上の措置等についても、これ以外の措置を講じなくちゃならないと思いますが、そういう問題については、新たにいわゆる財政当局とも相談をして決定をしよう、こういうことで今回の改正案決定いたしておるわけであります。
  55. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今、仲原委員質問に対して、政務次官から、政府の決意の点を示されたのでありますが、私も同様に、政府はこの問題については、重大なる決意を持って進まなくちゃできないと思うのでありますから、重ねて私も申し上げてみたいと思うのであります。それは今回の法律改正によって、政府は、なお残っておるところの不振の協同組合を整備拡充して不振を解消するようにされるということについて、今、政務次官の決意を聞いて喜びにたえないのであります。しかし、今残っておるところの不振の組合は、不振組合中の不振組合であって、整備計画を立てることも非常に困難である、整備計画を立てたといたしましてでも、その整備計画の遂行というものは困難なものであるといたしましたならば、今残っておるところのもので整備が完了せないというものが相当数生まれるだろうということは予想されるのであります。万一そういうふうなことがないということだったらば幸いでありますが、もしあるといたしましたならば、今、政務次官からお話があった通りに、この問題については、すでに農林、大蔵両当局においては十分なる了解ができてこの法律案を出されたものと信ずるのでありますから、農林省は十分なる決意をもって残るものの対策を講ぜられなくちゃできないと思うのであります。どうか、仲原委員質問に対して政府の決意を示されたのでありますが、私も重ねてお願いしておくのでありますから、この法律案成立状況から、また、結果から考えてみましてでも、政府は重大なる決意をもって臨まなくちゃできないということを申し上げて、私の質問といたします。
  56. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 先ほど仲原委員お答えしたことと同様でありますが、これは委員の各位も同じ気持であろうと思いますけれども、協同組合を救済するとか、あるいは協同組合の整備をはかるというのは、単に政府助成を待つというような安易な考えでは、根本的に協同組合の整備はできない。その当時の一時の帳簿上の整理、あるいは一時の糊塗はできるかもしれませんけれども、やはり、われわれの農業協同組合だという意識に基いて、そして、その協同組合の健全化がすなわち個々の農民の生活安定、経済上の向上に寄与するんだと、こういう自覚がなければ、単に、失礼でありますけれども一つ法律によって物事が解決されたとは思わないのであります。しかしながら、こうやって法律上の措置をとって今やっておるわけでありますが、根本は、自主的に自分たちの力でやるという決意を促しながらやっておるわけでありますから、できるだけ、この一年間においてそういう意味の努力をしてもらう。また、この一年間において、この法律の許す範囲でやりましょう、それでもなおかついけない場合は今仰せの通りあると考えられるわけでありますが、そういうものについて、あらかじめこれで救われないものはどうするんだということをまだ決定いたしておりませんが、そういうことを決定して発表するということは、自主的な気持を阻害するゆえんだと私は考えております。今お話しの通りに、法律改正案を立案いたしますときには、そういうことも予想いたしまして、財政当局ともそういう場合にはさらに特段の措置を講じようと、こういう程度の話し合いをいたしておりまして、その後のものはもう捨ててなくなる、こういう考えはいたしておりませんということを申し上げておきます。
  57. 関根久藏

    ○関根久藏君 今の政務次官の御答弁中、特別なことを考えるとおっしゃったことは、そのとき来年になってみたらば新たな構想をもって不振組合その他を整備促進していくというお考えのように承わったのですが、さようですか。
  58. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいま審議をしていただいております一年間の延長の問題でありますが、この措置によってなおかっこの法律目的とするところが達成されない場合があるであろう。また、現にそういう状態のものも今日ただいま見えすいておるものもあるわけであります。しかし、それは最大の努力をいたしまして、今申し上げましたように、組合員自身、あるいは、組合の理事者自身も努力をしてもらっていかなくちゃなりませんが、この一年間の延長をいたしまして、それによってもなおかつこの法律の適用によって救われない場合があるであろう。しかし、そういう組合に対しても、それだからといってもうその後は全部捨ててしまうというわけにも日本の現在の農村の状態ではできませんので、そういう場合に対しては、さらに新たな観点をもって対策を講じようと、こういうことであります。
  59. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御発言もないようですから、質疑は終ったものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  62. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成その他日後の手続につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は、順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     柴田 栄   藤野 繁雄     清澤 俊英  鈴木  一     上林 忠次  秋山俊一郎     佐藤清一郎  関根 久藏     仲原 善一  堀本 宜実     東   隆  大河原一次     河合 義一  北村  暢     千田  正  北條 雋八
  64. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  65. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて。  本日は、これをもって散会いたします。    午後二時五十一分散会