○北村暢君 それでは、私は、ただいま
議題になっております
狩猟法の
改正につきまして、社会党を代表して賛成の討論をいたします。
このたびの
狩猟法の
改正が、従来の衆参向防におきます長い間の経過を経まして、今国会へ
提案されて参りましたが、その
提案の過程におきまして、まず
審議会を設けて、その答申を得てこの
改正案となってきた、こういうことを申しておりますが、この
法律は、大正七年の制定になっております。なぜこの
審議会においてこの
法律の根本的な
改正がなされずに、一部
改正しいうことで出てきたかということについて、非常に疑問に思っておるのでございます。しかも出て参りましたものは、いろいろ利害
関係者の間における調和といいますか、話し合いという形で出てきたとは申しながら、きわめてその
目的においてあいまいな点があります。
野生鳥獣の保護を主たる
目的とするものか、または
狩猟の調整ということを申しておりますが、私の感じでは、
狩猟というものに対する特別な利益を与えて、いるというふうにも考えられるのであります。それは、先ほど次官も言っておりますように、この
法律が
経済的な見地から出たものではないと言うておりますけれ
ども、私は、やはりこの野生鳥獣の保護ということが、非常に大きな
経済の
政策に
関連がある、森林保護という面から考えましても非常に大きな
関係があると、こういうふうに見ておりますから、野生鳥獣の保護ということを、もう少し明確にするならば、この
空気銃の
制限ということも、もっと
趣旨が明確になってくるんじゃないか、またその
空気銃の
制限を反対する方々もよく納得するんじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点が非常に明確を欠いている、こういうふうに思うのであります。
またこの資料によりましても、農作物あるいは森林に被害を与えているものか、被害額が約四億に達して、それの防除のために一億二千万要している。それから
狩猟のための手数料、
狩猟税というものが約三億五千万、それから猟政費が三千万、それから国の猟政の補助のための経費が二千万、まあこういうようなことからいたしまして野生鳥獣の害獣あるいは害鳥というような被害の非常に多いものに対しての駆除ということからいけば、非常に大きな
経済的な問題に
関係がある、こういうふうに思う。そういう点からすれば、この被害の防除のための駆除というものに対して、相当な力を入れるということからいけば、この
狩猟……。いうものの調整というこころにまあ非常に疑問も出てくる、そこら辺の
関係のことが、非常に明確でないという点
あるわけでございます。それは疑問としてやはり残ってくるんじゃないか、こういうふうに思います。
それから
空気銃の二十才の、
制限年令の引き上げ、それから
免許制、
登録制から
免許制にしたということについても、
空気銃による被害が非常に大きいということを誇大に言っておりますけれ
ども、これも実際に
空気銃による被害が非常に大きいのか、農薬による非害の方が大きいのか、そこら辺の点もあ
まり明確ではないようであります。従って、まあこの
空気銃に対する
制限というようなものについてもはっきりいたしません。
それから
制限を
強化したことによって犯罪が多くなるんじゃないか。所持春が、公安
委員会に
登録されているものが十六万丁で、
狩猟のためのものが約三万丁、こういうことでもって従来登記されている。あとの十何方、十三が丁というものは、持っているだけで、これは
登録されてないから使ってないはずであります。ところが、これは使っていないとは断定できないのでありまして、無
登録でやつている。そのために
制限を
強化したんでありますから、当局は、これについて監督を
強化するのである、こういうことを言っておりますけれ
ども、これについては、約三百何名のものを五百名
程度にする、こういうような説明であったと思っておりますが、この五百名
程度でありますというと、おそらく
狩猟の
関係の施設、保護区、あるいは禁猟区、猟区、こういうものの施設が六百幾らあるんでありますから、それに一人ずつ配置した
程度で終ってしまうんでありまして、
空気銃の
制限を
強化したことによって、監督を
強化するんだと、こう言っておりますけれ
ども、これだけの監督では、
強化したとはいっても、この監督
強化ということが徹底するかどうかということについては、非常に疑問に思われる点であります。そういうような点からいたしましてもあ
まり明確ではない。本年度の予算を見ましても、禁猟区その他の予算を見まして、監督を
強化するといいながら、三十二年度の予算では三百八万円の補助金が、二百六十何万に逆に三十三年度で減っておる。これで監督を
強化すると言っておるのであります。
こういうような点について、いろいろな矛盾を含んでおる。私はそういう点からいたしますというと、今度の
改正案というものは、非常にまだいろいろな問題を残しているという点を指摘せざるを得ないのであります。従って、ここで私が要望いたしたいことは、近き将来におきまして、この
法律の抜本的な
改正の
提出せられることを希望いたしたいと思うわけであります。今度の
審議会における構成のメンバーを見ますというと、必ずしも私は、その利益を代表する者が網羅されているというふうには考えられない。非常に大きなものは、十六万丁の
空気銃を持っている、その
空気銃を持っている人の代表が入っておらぬというふうに思われるんです。その
空気銃を代表する人の
意思というものが、この
審議会に私は出てきていないのじゃないかという感じをいたします。従って今後のこの抜本的な
改正に当りましては、ぜひそういう人も加えて、あるいはそういう点についての
配慮を
一つしていただきたいということを、お願いしたいと思います。
それからもう
一つは、先ほど島
委員が指摘せられておりますように、実は十八才から二十才に上げたことによりまして、銃砲業者から言わせるならば、これは二十才になりますというと、
空気銃を楽しむよりも、
空気銃よりも火薬砲の方を使うようになる、そういう
年令に達するので、
空気銃の
使用ということは、壊滅的な
打撃を受けるのだ、これは業者から言わせれば、誇大な点もあるかと思いますけれ
ども、相当なやはり
打撃を受けるということも考えられるのであります。政務次官の
答弁では、それほどの、五千名の
失業者が出る、そういうふうには理解しておらない、こういうふうなことのようでございますけれ
ども、
失業者が出るということは、これは数の多寡ではなしに、やはり職を奪うということについては、これは慎重に考えなければならない問題である。従って、ただ単に
制限を
強化するという一方的な
措置でなしに、やはりその経過
措置として、業者に対する転業の指導なり——あるいは起ってくる
失業者というものについての明確な
答弁もないし、それに対する調査もなされなかったようでありますけれ
ども——そういう点についての
配慮というものは、あくまでもやはりなされるべきである、こういうふうに考えるのでございます。
以上が、いろいろの理由からいたしまして、今度の
法案提出に当って不備な点はありますけれ
ども、野生鳥獣の保証ということについて一歩前進という点からいたしまして、私は、この
趣旨に賛成をいたしまして、不備とは思いますが、一歩前進する意味において賛成の意を表したいと思うわけでございます。
以上をもって、賛成の討論にかえたいと思います。