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1958-02-28 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十八日(金曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            清澤 俊英君            鈴木  一君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            安部キミ子君            東   隆君            江田 三郎君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            北 勝太郎君            千田  正君   政府委員    警察庁刑事部長 中川 董治君    農林政務次官  瀬戸山三男君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    警察庁刑事部防    犯課長     増井正次郎君    林野庁指導部造    林保護課長   淺川 林三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○狩猟法の一部を改正する法律案(内  閣提出)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  狩猟法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  前回に引き続き、質疑を行います。御質疑の向きは御質疑を願います。  なお、先日の委員会において千田委員及び堀本委員等の御質疑によって問題になりました銃砲刀剣類等所持取締法に関連して、本日警察庁当局出席を求めておきましたから、御承知願います。
  3. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 先日の本委員会におきまして、狩猟法とさきに本院で御可決願いました銃砲刀剣数等所持取締法との関係につきまして、いろいろ御質疑がありました。その当時、私どもの方の見解を一応申し上げました。しかし、さらに検討を加えましてお答えいたします、こういうことで一応御了解を得ておりましたが、それにつきまして、警察庁当局ともさらに打ち合せをいたしました。その対策についてこの際申し上げておきます。まず、この両法律関係でございますが、現在狩猟法が禁じておりますのは、御承知の通り装薬銃にあっては未成年白痴、ふうてん者が、それから空気銃にありましては十八才未満の者と白痴、ふうてん者がその銃や空気銃をもって鳥獣捕獲を行うことでありまして、これは野生鳥獣保護と、狩猟適正化の必要に出たものであります。ところで、銃砲刀剣類等所持取締法におきましては、人身に対する危害予防という、いわば治安上の目的から銃砲一般及び刀剣熱所持制限しようとしているのでありまして、これを猟銃や空気銃について見ますと、そのものが人身に対して起すことがあり得べき危害予防見地から、その所持一般、及びその所持態様としての携帯運搬発射などを一定の規律のもとに置こうとするものであります。従いまして、その目的とするところが異っておりますのに応じて、規律態様差異が生ずるわけであります。例えば現行の制度で見ましても、装薬銃につきましては、所持取締りの上では満十四才以上の者は許可対象となるが、狩猟免許は満二十才にならないと与えられないことになっております。また、空気銃につきましても同様に、十四才と十八才の差異があるのでありますが、それを今回の改正案では、空気銃による狩猟免許を満三十才以上にしようとしておりますので、これまでの四カ年の差に二カ年の差がつけ加えられる結果となるわけでございます。ところで狩猟川ということで所持許可を受けた者が、現実狩猟免許が受けられないということは、矛盾ではないかということの御疑問もあろうかと思いますが、これは、所持許可の点では、例えば狩猟用とか、有害鳥獣駆除用とかいう用途に供するため必要なものであれば、十四才以上のものが許可対象となるということでありましてそれがすぐ狩猟用とか駆除用に用いられなければならないことを想定しているのではありません。未成年者所持許可を受けたような場合は、正当な使用が認められるときまで、単なる所持を続けるということになるわけでありますが、たとえば公安委員会の指定する射撃場で練習に使われる場合もあるのであります。要するに、この年令差異の点は、狩猟法では、その目的とする鳥獣保護等の必要できめられ、所持取締法では、治安目的と個人の財産権制限との調整の上できめられていることの差異であります。  次に、所持取締法におきましては、これまでの取締令規定の上に、さらに携帯運搬制限し、また発射制限をする規定を加えましたため、たとえば空気銃を持つ未成年者が思わざる違反を犯し、過重な刑罰を受けることになるのではないかという点について申し上げますと、所持許可を受けた未成年者が、狩猟が許されないにかかわらず、狩猟をなすために銃器を持ち歩いたような場合には、捕獲行為がなければ狩猟違反にはならないけれども、その所持取締法違反になるし、捕獲行為が行われたら両法律違反になるのであります。  これは、前者の場合につきましては、狩猟法的見地からではなく、危害予防見地から問題になりますので、やむを得ないことと考えまするし、後者の場合は、一つ行為二つ法律違反となりますので、いわゆる刑罰観念的競合刑法で言いますと第五十四条に当りますが、そういうことでその重い方の一方によって課刑が行われることになると考えますが、その場合、狩猟法違反は一年以下の懲役または五万円以下の罰金であり、所持取締法違反は一年以下の懲役または三万円以下の罰金となっておりますので、実際上は大きい距離がないのであります。  最後についででありますが所持取締法銃器携帯運搬が認められる場合に関連して、たとえば狩猟行為を行うのでなく猟犬の訓練のために銃を携帯して野外で歩き回ることはどうかという御質問がありましたが、これは所持取締法第十条第一項の「その他正当な理由がある場合」に該当するものと考えます。すなわち正当な理由がある場合とはどういうことかと申しますれば、まあこれは社会共同生活において通常承認されている行為は、これに該当するものでありまして、この社会共同生活における基準により判定されることになっております。  以上、先般の御質疑に対して、政府当局としての見解を、この際、申し上げておきたいと思います。
  4. 千田正

    千田正君 私は、なぜこういう質問をするかというと、この法律が施行されるに当って、将来何も起きてこなければ幸いでありまするが、場合によっては何か起きてきた場合において、林野庁、あるいは司法関係警察等において、そうしたときに処置すべきところの所存をはっきりしておきたいと、こう思うのであります。それであえてお尋ねしているのでありまするが、ただいまの政務次官の御説明において大体わかりましたが、この刑法適用におきまして、ただいま刑法第五十四条をおっしゃっておりますが、これは第五十四条の後段の面におけるところのことを御説明になっておるけれども、私は、むしろこれは四十五条、軽犯罪等を犯した場合の併合罪という場合において、何らの関係がないとは言えないと思うのでありますが、この点はどういうふうに考えておりますか。
  5. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 私、法律を忘れておりますので、その点は刑罰規定になりますから、正確を期する意味において、警察庁の方から……。
  6. 増井正次郎

    説明員増井正次郎君) ただいま御質問のございました銃砲刀剣所持取締法所持違反になる場合と、それからかりに年令の満たざる少年が狩猟法違反行為を行なったといったような場合には、どういう罰条が適用されるかということでございますが、先ほど次官からお話がございましたように、私どもも一応は刑法の五十四条でございますか、一応一つ行為で、同時に捕獲違反もあり、それから所持違反にもなるといった場合には、重い方の非でこれを処置をする、こういうふうに解釈できるのではないか、そういうふうに考えております。
  7. 千田正

    千田正君 これは非常にわれわれ考えなくちゃならないのは、年令が、大体今、刀剣及び銃砲所持することを許されておるのは、満十四才以上の者が一応所持ができるわけであります。ただし、法を犯した場合においては、今警察庁の方がおっしゃる五十四条の前段後段を併用した場合には、これは少し過重ではないか。むしろ私自身が考えるのは、四十五条か五十三条のいわゆる軽微なる犯罪として適用する方がむしろ妥当ではないかと考えるのですが、その点はどうですか。そういう御研究をなさっておらないのですか。
  8. 増井正次郎

    説明員増井正次郎君) 軽微な犯罪として適用したらどうかというお話でございますが、ただいまの御説明で不十分かと思いますので、補足して申し上げたいと思います。  狩猟法違反の場合、要するに狩猟免許を受けておらない者が狩猟法違反を犯したといったような場合には、罰則は、一年以下の懲役または五万円以下の罰金、こういうようになっております。一方この場合、所持違反が成立いたしますと、一年以下の懲役、または三万円以下の罰金というふうになっておりますが、刑法の五十四条の規定によりまして、一応その場合は弔い方の罪、すなわち言いかえますと、狩猟法違反の罪によって処置される、こういうふうに解釈できるのじやなかろうかと思うのでございますが、かりにそういう方でなしに、むしろ……
  9. 千田正

    千田正君 そうしますと、警察庁の方のおっしゃるのはこうですか。たとえば空気銃を持って、もしも鳥獣をとるという目的じゃなく、犯罪を行おうという目的のために空気銃所持して犯罪行為を行う場合は、その狩猟法罰則適用した方は重く、所持取締法の方は刑罰が軽いわけですが、それは、鳥をとった者の方が刑罰が重くて、あるいは人を射殺した場合の方が刑が軽いという、こういう矛盾した結論になりはせぬかと思うのですが、その点はどうでしょう。今の御説明のようだと、そんなふうにわれわれは考えられる。人を射殺するとか、あるいは人を傷害した場合の方は、一年以下、三万円以下の罰金であって、鳥をとったときの方がはるかに重い刑罰を課せられるのでございますね。その点は矛盾していると思うのですが、どういうふうにお考えですか。
  10. 増井正次郎

    説明員増井正次郎君) 御質問趣旨のことは、私の説明が不十分なためかと存じますが、ただいまの、人を射殺する、あるいは傷害を与えたといったような場合は、銃砲刀剣類等所持取締法違反の不法な所持で、これは銃砲等所持取締法違反が成立いたしますと同時に、殺人、あるいは傷害罪、こういうふうな法の適用になるのじゃないかと思うのですが、その場合、その行為殺人あるいは傷害といった場合に、重いような犯罪行為でございますならば、当然その場合には、そういう一個の行為で、所持取締法違反を起し、あるいは犯罪行為も起しているといった場合は、殺人、あるいは傷害罪といったような重い方の罪を適用される、こんなふうに考えております。
  11. 千田正

    千田正君 一応法の適用に関する御趣旨はわかりましたが、それで、実際問題といたしまして、現在十四才以上の者は実際空気銃を持っている。先般の御説明によると、約二十万丁近いくらい銃が市販されて、現在所持されている。それに対して、登録申請をしている者は二万五千程度なんです。で、あとの方は、いわゆる単に持っておる。しかし、いつこの人たち鳥獣をとる目的でやるかもしれない。大体この法案ができても、そういう意味からいって、取締りが完全にできるのでしょうか。完全じゃなくても、大体取締りができるかどうか、この考え方はどうですか。
  12. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 先般御説明申し上げましたように、所持許可を得ておる空気銃の数は、約十六万下あるわけでありまして、昭和三十年度におきましていわゆる狩猟登録を受けた者の数は二万八千、従いまして、所持はしておるけれども狩猟登録を受けておらない者が相当ある、こういう現実につきましては、お説の通りだと思います。従いましてそういう間の事情がありますときにおきましては、いつ何どきでも狩猟法違反というものが行われやすいものを含んでいるのじゃないかということも、やはりこれまた同感でございまして、ここで、いわば取締りの問題が出て参らなきもならない、こういうふうに考えるわけでございますが、実は、大体十六万丁の内訳でございますけれども、二十才未満の者というのは約二万五千丁でございまして、全体の一五%でございます。残りの八五%というものは、いわば二十才以上でございます。そこで、たとえば今回のように登録免許にいたしますと同時に、所持年令制限を二才引き上げまして二十才以上にしようということになりましても、依然としてこの間の所持許可登録、今回の場合は免許でございますが、そういうものの申請者との間には相当の開きがある、依然としてその取締法の問題が残って参るということは、やはり同じことだと私どもは考えておるわけでありまして、お説のように、なかなか取締りの問題はそうたやすい問題じゃない、かように考えるわけでございますが、関係方面とも十分に連絡をいたしまして、この徹底を期して参るということに和なるものと考えておるわけであります。
  13. 千田正

    千田正君 これは狩猟許可をとらないで、登録をして所持だけしておる、大部分はおそらくそのようです。結局庭先にきたものはだれも見ていなければ銃をぶっ放してとるということは、こういうことはほとんど周知のようです。こういうふうにわれわれは考えられるのですが、そういう方面に対する一体取締りは、おそらくできないのじゃないか、こう思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  14. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) なるほど家の周辺でとまっている鳥をねらい撃ちする、そういうものを直ちに取り締るということのむずかしさは非常にあろうかと思うわけでございますが、私どもといたしましては、やはり狩猟については一方において取締りを厳にするということとあわせまして、片方におきましては、やはりこれはPRと申しまするか、そういうものに特に重点を置く必要があろうかと思うわけでございます。従いまして、できるだけ広い層を対象にいたしましてPRの活動をうんと強化するということが、狩猟法違反を防いで参る要諦ではなかろうかと、かように考えておるわけであります。
  15. 千田正

    千田正君 大体先ほど政務次官並びに警察庁から一応の狩猟法とそれから銃砲刀剣数等所持取締法との間の考え方を承わっておりましたが、ただ問題は、なかなか取締りにくい、かつまた、その方向考え方においては、やはりPR運動が相当必要じゃないか。われわれは、あるいは教育を通じてそういうことをやらなければならぬのじゃないか。こういう面に対して、非常に私は林野庁今までやっておるとは思いますけれども予算の面や何かで十分にいかないのじゃないかということと、もう一つ、たとい有益な鳥獣であっても、農作物その他に対する被害が起った場合においては、これは特別許可して捕獲させております。ところが、ややもすれば、そういうことに藉口して許可を受けておる者も相当あるようにわれわれは見受けられます。そういう取締りに対して、頭数とか、そういうものを制限して許可しているのですか、それともそういう制限は特にないのかどうか、その点はどうなんてす。
  16. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お説のように有益鳥獣だというように判定はいたしておりますものでありましても、年間のある時期、ある場所におきましては、これが有害な行為をしているという事例は幾らもあるのでございまして、狩猟法十二条に有害鳥獣駆除ということを特別許可によってやれる態勢をとっておるわけでございます。お話のように、これは場所、期間、数量等を限定いたしまして実は許可をするわけでありまして、御心配のようにこれがいわゆる野外狩猟というものを強化する方法に使われているのではなかろうかということにつきましては、私どもといたしましても厳重に注意をいたしておることでございましてこれは、ある特殊のものを除きますと、いつも農林大臣許可ということになっておりますが、これらをめぐりまして、都道府県知事にその許可を委任したらいいじゃないかという議論も実はあるのでございますけれども、ただいまのような点を十分に考慮いたしまして、私ども農林大臣許可ということでやっておるようなわけであります。
  17. 千田正

    千田正君 実際においてわれわれは、だんだん種族が減滅してきつつある鹿の類であるとか、あるいはそのほか鳥獣にしても、有害鳥獣という理由のもとに相当数捕獲することがある。また、たまたま東京都内における肉屋などの店頭に、そうした肉類が掲げられるというようなこともありますが、あなたのおっしゃる通り、真剣にそういうことは取り締っているかどうかということは、はなはだ疑問に思うのです。狩猟法が今度改正されて施行されると同時に、そういう問題とあわせまして、予算の問題、あるいは取締りと同時にPR運動に対するもう少し促進強化ということを考えてもらいたい、こういう希望を申し上げます。  最後に、結局空気銃の問題は、満二十才以上ということになるというと、二十才以下の者は——だいぶ今のものは二十才以下の者が持っているのだが——ほとんど空気銃使用して狩猟するということは、今度の法律によって大体できないじゃないか。できてもきわめて少い範囲になるということだけは言えると思うのですが、その点はどうなんですか。
  18. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは、多分推定に相なると思うのですが、昨日もごらんいただきましたように、空気銃の性能、機能は非常によくなっておるわけでございます。いわゆる従来の単なる子供のもてあそぶ道具というものから、いわゆる猟具としての機能を十分に備えるような状態に相なっておるわけであります。しかも私の方としましては、かりに二十才に引き上げたといたしましても、それほど急激に空気銃猟具として使う者がなくなるというようには実は考えておらぬのであります。先ほども申しましたように、現在所持登録を、許可を得ておる者につきまして見ましても、二十才未満という者は、全体の約一割五分というような状況にありますことから推定いたしましても、そう急激に空気銃使用者という者が激減をするというようには考えられないのではなかろうか、かように考えております。
  19. 千田正

    千田正君 少くとも東京都であるとか、あるいは大阪というような六大都市のような所では、公園あるいは公園と同じような郊外等に対しては、鳥獣保護区を設定しないというと、あなた方の理想とする鳥獣類保護ということはできないのではないかと思うのですが、そういう点は何か考えておられますか。
  20. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 特に大都市周辺にそういうものを計画的に設けるということにつきましては、従来やっておらぬわけでございまするが、今後の問題といたしましては、十二分に研究いたしたいと、かように考えております。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとこの表の十七ページ、二十九年度における狩猟者の出猟範囲調べ、これに、最も多く他府県に出猟した府県県外に全く出猟しない府県、及び最も狩猟者の入り込むことの多い県、こうなっております。この最も多く入り込む県として手が第一、第二が、長野県、第三が滋賀など十県、これはどういう県ですか、第三位のほかの県は。これは今調べておられますから、あとで……。  そこで、三十五ページかどこかに、警察の係官の配置数が出ていますね、
  22. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 四十三ページと違いましょうか、
  23. 清澤俊英

    清澤俊英君 「都道府県猟政関係者数」、これでいきますと、配置数が、一番たくさん入る岩手県などはいや、猟政関係者数じゃない、警察のあれだ。猟政関係者というのは警察だけじゃないですからね。取締官の数が、非常に他県から入って来る所に少くなっているんですがね。配置数が不均衡になっている。これは猟政の上からいっても、どうも手薄になっておるこういう考慮が一つも入っていない。その点はどうなんです。
  24. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは、御指摘になりましたように、要するに、東京都で狩猟免許を受けましてそうして全国各地に……向いていく、そういう場合におきまして、各地狩猟免許を取りましたたくさんの者が一番多く入り込んでいるのが岩手県、続いて長野県、それから滋賀県、こういうような表になっておるわけでございます。そこで、一体狩猟をいたしまするのがそれらの県でありながら、いわゆる狩猟者税というものを納めまするのは、狩猟免許を受ける府県だ、従いまして、地方のいわゆる税収があります所は、実は狩猟免許証を発行いたす府県でありまして、出向く所は決してそれと一致していない、こういう現実が実はあるわけでございます。そういう意味からいたしまして、実は、これを国税にして、しかも目的税にして、狩猟関係のこの予算財源に引き充てるということを考えるべきじゃないかというような議論も、実はあるわけでございますが、かなり有力な地方財源一つにもなっておりますので、なかなかそこまで踏み切るわけにいかない。従いまして、ただいま先生御指摘のように、岩手県のあたりは、一番たくさんの者が入り込んでいながら、しかもそれに対する猟政の施設なり、あるいは取締りの面が非常に手薄であると、こういう問題が起りやすい状況になっておるのでございます。私どもといたしましては、そういう府県こそこの保護面取締り面の問題があるわけでございますから、しばしばの機会に、このような注意を実は喚起いたしておるわけでございますが、そういう必要のある所に実はこの狩猟者税のような財源が入ってこないという関係があるので、なかなかその点、困難を感じておるというのが現実でございます。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは片ちんば、ほんとうに片ちんばだ。そういうことを少しもやらないで、鳥が減ったからといって空気銃だけに免許規定はおかしい、こういうことが出て参ります。こう考えませんか。どうもおかしいじゃないか。それは大きな穴になっておる。そういう所は本気に取り締まるなら取り締まる、大きな保護区を作るなら作る、猟区をたくさんにするならする。そういう所に入ってくることは考えないで……。なぜそういうことを申しますかというと、この答申にもあります通り答申書をちょっと見ますと、なかなかいいことを書いてあるです。ただ漫然としたことを書いてなくして、第一の考え方としては、空気銃というところに書いてありますのは、「現在の空気銃は、猟具として不適当であるから、空気銃による狩猟は、原則として将来は禁止方向にもって行くべきである。」と、これは猟具として不適当だ、だから原則として将来は禁止方向に持っていくべきである、こういうのです。「しかし、将来これを愛好していた狩猟者または製造業者に与える影響等を考慮し、この際は、」云々と、こうなって十八から二十にまで引き上げる、こういうことを書いてある。ところが、今ここに私の質問した通り狩猟免状等を持つ者の出猟県、旭手とか長野とか滋賀とか新潟とか、こういう所へ出てくる大部分は、今の資料によりますれば、登録の際ですか、免許の際に行われている営業者と非営業者とこう二つに区別されたら、非営業者が多いと思う。鉄砲を楽しみに撃つ。営業のために、生活のために撃つのじゃない。この数は非常に多いのです。そうすると、これが関連がどういうことになるか、ただこれが猟具として不適当であるから空気銃は将来やめればいいんだと、こういうことは、言いかえれば、猟以外のことはしちゃならぬ、こういう考え方だ。生活にあらざる猟はいけないことだと、こういう考え方なんです、中心は。そうしてみたならば、火砲で撃っても、常業にあらざるものは猟にあらずと同じに考えなければならぬ。同じことでしょう、それは。これを裏返しに読めばそういうふうに読めるのです。「現在の空気銃は、猟具として不適当であるから、」——猟をすることに不適当であるから、これはおもちゃなんだから——空気銃による狩猟は、原則として将来は禁止方向にもって行くべきである。」この裏は、何を言うておるかというと、猟具として適当なものであってこれが撃たれるものは、これはその次に書かれた平常、「従来これを愛好していた狩猟者または」、この上は安らないですよ、「製造業者」並びに、その前の方にあります、ちゃんと書いてあるが、狩猟業者としてその生活の上に寄与しているもの、これらに寄与する場合は使ってもいい、そうでない場合は猟具として不適当だということが、そこに通ずると思うのです。すなわち遊び道具なんです。遊びであるならばこれはいい、こういう結論が出てくる。それに対しては、あるいは猟区を設けたり、また私設で猟区を作って、そこでやりたいという希望がある。金のある人たちがやることは何でもかまわない。大きな仕事のできる者は、レクリエーションであろうと何であろうと、これは幾らでも何をしてきてもよろしい、こういうことがこの答申書の中にあふれておる。私は、問題にしたいのはここなのです。ただ猟銃を十八でとめるとか、二十以上でとめるとかいうことがどうということじゃない、この答申書を中心にして作られた法案は別にして、この答申を中心にして作られたその根底に流れているものは、そういうことが答申書の中にうかがい知ることができるところに、私は問題があると思う。これはどうなんです。これは林野庁長官に言うのはどうもむちゃな話かもしれないけれども、そういうことが答申書をよく見ますと、うかがい知れます。これはどうお考えですか。農林次官、一つこの見解をはっきりさしていただきたい。
  26. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 審議会の答申については、こちらから、今先生のお話のような趣旨であるかどうかということは、私どもはそういうふうには考えておらないのでありますが、まあ、審議会の委員の各位に聞いてみないとそういう趣旨であったかどうか、今ここで申し上げるわけには参らないのであります。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃ次回に大臣に。今のようなお話だと、審議会の人を呼ばなければこの法案は上げられませんよ、委員長、幾ら急いだって。その人の意見を聞かなければ、これが解釈できないということになったら大問題になる。
  28. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 空気銃猟具として適当でないから将来は禁止方向に持っていかるべきものだと、しかしながら、現在は多数の愛好者もあり、製造に関係しておられる人もあるものだから、そこまで持っていくというわけにはいかない、こういういわゆる審議会の答申の内容になっておるように私は見るわけでございます。そこで、猟具として適当であるかないかという問題でございまするが、御承知のように、この空気銃がいろいろ問題にされるということが、一体奈辺からくるかということでございますが、これがいわゆる家の周辺でありますとか、あるいは公園でありますとか、そういったような人の集まりやすい所において非常に使われやすい、なぜ使われやすいかということになりますと、これは、いわゆる装薬銃と違いまして音が小さい、比較的操作が簡単だ、そういうことで比較的使われる方々、これを用います方の中に、相当の幼年者が含まれておる、こういうことからいたしまして、いわゆる猟具としてこれを用いるということにつきましては、非常に撃ってはならぬ所で撃つ、あるいは撃ってはならぬ鳥を撃つということで、非常に危険性がある。いわゆる有益禽類の保護増殖を考えて参りますときに、やはり不適当だということから、猟具としては不適当だという判断で、答申はしているものというふうに私どもは考えておるわけでございます。従いまして、猟具としては適当でないけれども、たとえば射撃場においてこれを用いて、そうしてスポーツとしてそれを生かす道を考えるというようなことが、むしろ本来の空気銃の使命の向うべき方向じゃないか。こういうことが私はむしろ現存には含まれておって、猟具として用いることは不適当だということは、私ども、実はそういうふうに理解しているのでございます。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、野鳥保護が中心でなくして、取締りは市街地等におきまする取締りが中心になる、こういうことなんですか、目的は、法案改正の重心は。
  30. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) その保護ということでございますが、要するに、現在おりますものをますますふやすということとあわせまして、有益禽類等のようなものをとりますことを、できるだけ押えて参りますということにおきましては、要するに、保護狩猟との適正化ということは、私は、やはり同時的に行わなくちゃならない、こういうふうに考えております。空気銃の場合におきましては、先般も御質問に対して申しあげましたように、小鳥類をこれは大体とるわけでございます。小鳥類の中には、はっきり害鳥というふうに観念づけられますものは、従来はススメ、エキサイスズメの二種類だけであります。これだけがいわゆる狩猟鳥獣になっているわけであります。ほかのものはいずれも非狩猟鳥獣でございます。ところが、そういうものにつきまして、要するに、差別なしに使われている。いわゆるふやさなければならない有益禽類というものが、むしろ殺されているということの方が非常に出て参っていることを、実は心配しているのであります。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 第一の市街地等で使うものを防備するためには、ただ法律でとめただけでは問題にならぬと私は思います。そのことは、この違反数から見ますと、大体においてそういった数の方が、益鳥等をとっていきましたものよりも、大体の法令違反の方が——法令違反にも結局いろいろありますけれども携帯違反とか、禁猟区内で撃ったとかいうような違反者が約四一%、しかもその年令別に見ますと、約半数が二十才以下だ、こういうふうに出ているわけです。そうしますと、これはただ法律ばかりでなく、何かまた別の方法でこれらをとめる方法が考えられればいいんじゃないかと、私はそう思われるのであって、こういうことは非常に問題になると思うのですけれども、最近——最近ではなしに、一時パチンコというのがはやりました。二またにゴムをつけまして、そうして石か適当のたまをつけてこう撃つのです。これは若年の者もたくさん使いましたが、これは市街地のまん中でやって、この被害はむしろ空気銃の被害よりも私は多かったと思う。従って、非常な問題になって、学校の先生、家庭の今でいうPTAの人たちが中心になって、これの禁止運動に出て、今じゃ一人も使っている者はなくなった。だから、一つの道徳教育、情操教育等を中心にして徹底的にやりますれば、市街地等におきまするそういうことは、ある程度までこれは防止できるのじゃないか。ただ問題は、こういう答申があったから、十八才から二十才までにこれを引き上げて、それでまあいいんだと、それじゃ私は、ほんとうの目的は達しられない、十八才から二十才ぐらいまでの者は、この違反者数から見ましても、大したパーセンテージを持っていないと思うのです。この表から見ましても、大体の違反者数は二十才以下の総連反数から十八才未満の者を引いて、大体どれくらいの者が十八から二十才までの違反数になるか。数はこれに出ておりません、総連反数は出ておりますけれども。この数は出ていない。これは大した数じゃないと思うのです。それがために、法律までを書きかえていかれるということは、今の段階じゃないのじゃないか。むしろ重要なことは、空気銃というものの性能中心で考えられていけばいいのじゃないか、今のところ。かわりましたこの法律の第一条を見ましても、金属性の弾丸を撃つ空気銃、ガス使用のものを含む、こうなっておるのでありまするから、非常に初歩的な弱い空気銃等も一括せられてやられておる。私は、ある程度の口径であるとか、あるいは貫通ですか、貫通効力といいますか、射程距離というようなものを制限した銃器を、これ以下のものは、二十才くらい以下には持たしてほしい。これくらいのことを規定していってもいいのじゃないかと思う。昨日も見ました通り、高性能な、凶器に類するような高性能なものまでも、この炎を見ましても、相当年輩の人まで持っておるのでありますから、これはあるいは猟具として見てもいいだろうと思いますが、一律にこうやっていくことによって、非常な無理ができるのじゃないか。こういうことは考えられませんか。
  32. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 御指摘通り年令を引き上げるということだけで何も十分じゃないのじゃないかとおっしゃることは、その通りでございます。それから、先ほど千田先生の御質問にもございましたように、なかなか取締りが困難である、特に空気銃の場合においては困難であるとおっしゃることもその通りでございまして、ほんとうに取締りというものはむずかしい。対象になっておりますことは、年令を引き上げるとか引き下げるという問題とは別にあると思います。従いまして、ただいま先生の御指摘にもございましたように、やはりこれはあくまでも、大へん迂遠な話のようでありまするけれども、愛鳥精神と申しまするか、なかんずく有益禽類の愛護増殖というようなことにつきましては、やはり教育の過程を通じて、広い層の国民に浸透させるというような努力が、やはり前提には必要なものであるということは、その通りでございまして、私どもといたしましても、きわめて不十分ではございまするが、国の段階、府県の段階におきまして毎年のように愛鳥週間を設けて、さらに愛鳥のつどいだとか、あるいは愛鳥カレンダー等を作りまして、これをPRをしておる。あるいは学校等にもたのみまして課外教科の中に取り入れていただくというようなことも、実はお願いをし、やっておる。やはりそれが基本的なことであると思います。そこで、そういうふうなものが基本的であるなら場は、一体この段階で年令を引き上げることは本質論じゃないじゃないかというあるいは御議論もあるのじゃないかと思うのでありますが、先ほど来申しあげておりまするように、これが非常に違反を犯しやすいという特性を持ったものであるということにつきましては、十分御理解をいただいたと思うのでございまするが、それだけに、やはりある種の自制心と申しまするかいわゆる鳥を愛護する習慣が起きるという年輩以上になりませんというと、許可を考えないということの方がむしろ適当ではないかという判断もつきますることとあわせて、少くとも相当高性能になって参りました空気銃、これは銃器として狩猟法のいわゆる猟器に数えられておるものでございますが、そういうようなものは、鳥をとるという目的狩猟をするという目的から見まするというと、装薬銃あるいは現在の甲種免許対象になっておりまする網、わなというふうなものを使ってとりまするとり方と、何も変らぬじゃないか、その目的は何も変らぬじゃないかということになりますと、空気銃が十八才でそのまま据え置かれていいという議論もなかなか出て参らないというように、私どもは、実は考えておるわけでございまして、まあその数字によりまして、急激に違反者がふえて参るとかあるいは急激に空気銃というものの使用者が減って参るとかいうようなことにつきましては、私はないものだというように考えておるわけであります。絶対安全ないわゆるコルクを発射いたします空気銃というものは、いわゆる銃器の中から取り除かれておるわけでございます。それ以外のものにつきましては、これは一応空気銃、場合によりましては人命を殺傷するというような危険性もある空気銃ということでやはり規定すべきものじゃなかろうか、かように考えておるわけであります。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは数字を一つ出して下さい。三十六ページ、この十四才以上二十才未満所持者数二方五千七十二のうち、十八才以上二十才までの者が所持する数はどのくらいだということは、総数約十六万丁、所持者数のうち十四才以上二十才未満までに持っておる者が二方五千、非常に少い数です。それからあと部分が二十才以上の人たち所持しておる、こういう数字になっています。そうすると、十八才から二十才は大体どれくらいの数になっておるのか。
  34. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 実は、その数字を掲記いたしたいと考えたのでございまするが、私どもの持っておる統計の中では、十八才ないし二十才の者が、二万五千のうちどれだけあるということは実はわからないのでございます。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここにありましたかね、三十八ページに。このパーセンテージがちょっと間違っているんじゃないかと思いますがね。総数一〇〇として二十才以上が四六……。
  36. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 四七でございます。
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次が……。
  38. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 二工でございます。二割五分。その次は一五その次が一〇、その次が一・六でございます。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 これ全部合せると百十幾つになりませんか。
  40. 淺川林三

    説明員(淺川林三君) 一・六、一〇・四、一五・〇、二五・六、四七・四です。端数を落したためにちょっと数学が合わなくなっておりますが、それで合います。
  41. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、これは年令じゃないということですね。違反事件というものは、大体年令がそう問題になっておらない。所持数と比べてみますと、そう年令が問題になっておらない。やはり年令の多い人が約半数以上の違反を犯している。ただ十八から二十にまで延ばして、そうして見ましても、違反を防止する上には大した問題点が残されていない、こういうふうなことがこの数字で出ているのじゃないか、と申しますことは、審議の都合もありますから、よけいなことは言わない、商工委員会の方で何か合同審査したいから、こう言いますから、それは委員長のところにいってくれ、こういう話をしておきましたが、私もその際に一つお伺いしたいことがあるのです。と申しますことは、一方においては現にこれで生計している製造業者に、こういう法律が変ると、業者にすぐどう響くか、やはりこれも国民の一部ですから、製造業者の生計にどう響いていくだろうか、これがために非常な障害を受けるならば、国はどうしたらいいだろう、法律できめちゃうのだから。こういうような点について、一緒に御質問もしたいと思っております。  そこで、二十才までにこれを引き上げたことによって、関係する違反数が人数においてどれだけの人数があるか。
  42. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この統計によりますと、十八才ないし二十才までの千八百十六件の中における違反率というものが二五・六、それでお説のように全体の違反の半分以上はいわゆる二十才以上のものじゃないかということでございますけれども、二五・六という数字は、必ずしも私は小さい数字じゃないというふうに判断をいたしたいのでございます。それから全体の違反率というものを計算いたしまするというと、二十才以下と二十才以上におきましては、だいぶんの開きがあるようでございまして、違反率が二十才以下三・八%に対しまして、二十才以上は〇・六というような計算も実はできるのでございます。違反率の問題は、そのように考えるわけでございます。  それからただいまのお話でございますが、私どもは、こういうふうな年令引き上げの措置によりまして、議論といたしましては、それだけ使う人間が減ってきて、それだけやはり空気銃使用者というものが減っていくのじゃないかということでございますが、空気銃も日進月歩の世でございまして、非常に性能の高いものになって、私どもは十二分に二十才以上のものが猟具としてこれを使っていくということになれば、決して滅らない。さらに射的場で、スポーツとしてこれを楽しむというような方向がさらに一そう顕著になって参りまするというと、そういう方面での使用者数というものもふえて参るというようなことを考えまするというと、年令引き上げによりまして、さほど急速に使用者が減って参るというようなことは、私は、考える必要はなかろうかと考えるのであります。
  43. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうもこれは数字が合わないので、質問はちょっと飛躍しますが、これは一人の小鳥捕獲数が一カ年三十八羽ですね、そうして登録数が二万幾ら、所持者数の比例でいきますと、その登録した者の、表には年令別のものがないですが、十八才から二十才の間でもって、実際とるという数は非常に少数のものじゃないか。
  44. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 私どもといたしましては、やはり空気銃そのものが非常に違反を犯しやすいものであるという御了解はいただけるように思うわけでございます。そうして反面においては、非常に取締りがむずかしいものであるということになりますと、やはり一番重要な問題というのは、やはりPRだということに相なりますると同時に、やはり正式に狩猟免許を受けます者は、十分に自省心を持ち得る年令に相ならなければならないということであるわけでございます。かたがた先ほど申しましたように、他の装薬銃なり、あるいは網、わなのようなものを使ってやります場合と同じように、狩猟をするための銃器とこれは目的は同じだということになりますと、あえて空気銃の場合だけ十八才に据え置いてよろしいということに相ならぬのではなかろうか、こういうことで実は年令引き上げを考えているわけであります。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 ところがそう言われると、それは一応筋は通りますが、答申はそういうふうに言うてない。私がさっき言っているように、答申は、猟具に適さないというのが前提だ。結局は空気銃などを持って猟をするのは遊びなのだ。私の議論は遊びということが前提になっている。だからやめさせるならば、これを教育により、よい道徳環境を作ってやって、そしてやめさせる。そういう方向に向けることはまことにけっこうなことだと、こうは思うが、こうやって一つ法律を作ってこれは銃器と同一のものだ。しかもそうやってとめる反面には、これは猟に不向きなのだ、遊び道具だから、こう言っている。遊びということになると、火銃の場合も同じことが出てこなければならない。こういうことを私は誓うのです。そこで、均衡の破れたものが出てきやしないかと思う。そうでしょう。あなた首をかしげておられるけれども、会社の重役などが二等車でふんぞり返って出かけて、岩手や新潟にきて一等旅館に泊って銃砲撃をしている。あれは商売じゃありませんよ。あれは娯楽ですよ、遊楽ですよ。運動ですよ、そして一つのレクリエーションです。これと何ら変らないじゃないかというのです。それが本質であるならば、そっちの方も考えなければいけない。こういうことなのです。これが有益鳥を撃たないとだれが保証できるか、いなければ何でも撃ちます。下手をすると、畑で草をとっている人の尻っペたを撃つということで、年々数人の人が殺傷されている。空気銃による殺傷より、その方の殺傷の方が率が多いのではないか、警察庁どうですか、ここの表には出ておりませんが、空気銃で人を誤殺したという件数と、猟銃で誤殺したという件数とは、どちらが多いか少いか。誤殺するなどということは、えてしてたまさか都会から遊びに来た人の方に多い。答申には禁猟区を設けるとか、保護区を設けるとか、いろいろなことを言っておられるが、これは子供の、人間生活上の一つの特権だと私は思う。それが、たまたま空気銃の製造の能力というのですか、銃の効用能力というのですか、そういうものがだんだん向上して参って、今弊害を生じておるが、基本的に考えれば、空気銃というものはおもちゃなんです。やはり一方においてそういう遊びというものに考えてやるならば、この方にも子供の方に対しても遊戯用としての考え方がでてこなければならない。そうするには、空気銃の性能を中心にして、私は解決ができるのではないかというのが、私の質問の中心なんです。おわかりですか。そういうことを考えられなければならない。そういうことを考られるとするならば、この法案をある程度修正して、皆さんの御賛同を得て修正してやる。第二の国民をただ頭から押えて、たくさんの犯罪者を作るだけが能ではない。警察に一ぺん厄介になるということは、これはもう非常に青少年教育という点から弊害が多いのです。なるべく警察等にやっかいにならないように、一つ育てていく、また、そういう殺伐なことはいけないというならば、少し文部省あたりでも金を出して、林野庁にたのむなんということじゃなく、国がもっと本気になってそういうものに対して教育すべきである、時代の推移とともに教育していかなければならないことなんです。そうして学校の先生とPTAとほんとうに手を握っていけば、こんな法案改正などいたさなくとも、取締りの本質はでき上る。法律で押えることだけをやって、それで取締り目的が達せられるものではありません。先般来、私はしばしば申し上げます通り、われわれ少年の時代には、日曜になれば、ノリの握り飯を腰にぶら下げて、科になればキノコ取りに行く、夏になれば川ヘフナ取りに行く、冬から春先にかけては呼び鳥に行くとか、鳥の卵を取りに行くとか、これは、われわれが大自然に融合する遊びであったと思う。最近は山に行ってごらんなさい。青物取るべからず、落葉踏むべからずと立入禁止の札が立ってしまっておる。魚取りに行けば、佐藤さんの話じゃないけれども、ドジョウ一尾もいやしない。空気銃を持って山野に遊ぼうとすれば、こんな法律が出てこれもだめだ。町のまん中に行けば自動車が道一ぱいに飛び回っておるような始末です。だから青少年の心持はだんだんすさんできて、毎百の新聞を見てごらんなさい。鳥やドジョウならばまだいいけれども、その青少年が自分の仲間を飛び出しナイフで突っついて殺したなんというのが、毎日出ているじゃないか。これは重大な教育上の問題である。少しは考えていかなければならないと思います。これは青少年の環境から生まれるやはり感情が原因していると思うのです。何もかも青少年の伸びるところをとめられたところから生ずる結果であります。私は、そういうことを非常に今考えておるのです。それで、あなた方が差しつかえないと言われるならば、空気銃の性能を落して、どのくらいに性能を直したらよいものかぐらいのことは大体わかると思うのです、だから差しつかえないものぐらいのを一つ持たしておいて、それでもあやまちを犯す者は国がもっと金をかけて、大事な子供なんだから、頭から抑えないで、情操教育や道徳的教育をやって、犯罪防止をすべきでないか、そうすれば完全な目的が達成されると思いますが、次官どうです。そういうことを考えて、やはり僕の申し上げるように、合同修正をしてやるぐらいのことは、私は賛成していただけると思うのだ。
  46. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 今るるいろいろ御意見がありましたが、そういう御意見ももちろん一面においては成り立つと思います。先ほど来この審議会の答申の文字と申しますか、この意義についていろいろお話がありました。空気銃猟具としては不適当だ、あるいはこれをそういうふうに書いてあるのかどうかわかりませんが、考え方によると不適当である、いわゆる猟具でないのだ、こういうふうな前提に立ち得るような御意見のようにも伺われるのであります。この答申の中でも、もう一つ少数意見としては、空気銃は必ずしも猟具として不適当なものでない、適当である、こういう意見も出ているわけでありまして、空気銃も、昨日もごらんの通りに、いろいろ性能が発達といいますか、進歩いたしておりまして、猟具として必ずしも不適当だと断言はできないじゃないかと思います。御承知の通りに、申し上げるまでもないことでありますけれども、まあ今意見も相当違いますが、日本のいわゆる自衛隊についても、あれは戦力だとか戦力でないとか程度の問題で議論がありますが、空気銃についても猟具として適当であるかないかということは、こういうふうに意見が分れております。そこで、空気銃は一応猟具たる性質を持っておりますから、狩猟法においてもこれをその目的として、こういう規制をしようということになっておるわけであります。その問題は、さように御了解を願いたいと思います。そこで、猟具としては適当でないという御意見の方は、従って、そういうものは全廃してしまった方がいいという御意見も相当にあるわけであります。一面においては猟具として不適当なものではない、これは将来も続くべきである、こういう御意見もあるわけであります。こう言ってはなんでありますけれども法律は、結局そういういろいろな意見の、何と申しますか、妥協と申しますか、中庸と申しますか、そういう各種の意見を総合して、この程度で一つ社会の基準を作りたいというのが立法だと思いますので、われわれの方としては、ただいま提案をいたしておりますようなところが、そういう各種の意見のあるところで、妥当なところではないかと、こういう趣旨で提案をいたしております。もちろん先ほどお話がありますように、単に法律を作りさえすれば、この法律目的とする趣旨が簡単に達成せられるとは、これは単に狩猟法だけの問題でなくて、すべて万般についてそういうことが言えると思いますが、これは申し上げるまでもないことでありますが、法律一つの基準でありまして、法律のみによってすべての社会がそういうふうな理想に到達するということは、とうてい考えられないし、私どもとしても考えておるわけでありませんけれども一つの基準を設けて、そうして社会に対する、あるいは鳥獣保護に対する弊害をできるだけ少くしていこう、その他において、今お話がありましたようにあるいは学校教育あるいは社会教育、そういう面において、法律適用する以前において法律が不要になる、こういうふうな別な面において努力をすべきことは、これは当然だと考えておるわけでありまして、ただいまの御意見ももちろん御意見として一面においては成り立つ御意見だと思いますが、先ほど申し上げましたように、そういういろいろな意見のある中において、この程度のもので御了解を得たい、こういう趣旨でありますから、ぜひ一つ御了解を得たいと思います。
  47. 千田正

    千田正君 先ほど来いろいろ論議がありましたので、この狩猟法に関する限りにおいては、一応私もこの説明はわかりました。さらに先ほど警察庁からおいでを願って、一応疑義の点を聞いたのでありますが、所持に対する問題について、決して矛盾しておらない、一応の登録をしておったならば差しつかえないというふうに御説明になったようでありますが、私は、さらにただいまこの銃砲刀剣類等所持取締法なるものをすっかり読んでみましたところ、多少疑義がありますので、幸い刑事部長みえられておるようでありますから、この疑義の点だけ御所信を承わっておきたい。  それは、第三条におきまして、「何人も、次の各号の一に該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない」。こうして十項目をあげております。  さらに第四条においては、許可に関しての法律が出ている。そしてさらに罰則等がありますが、先ほどのお話によるというと、まあ今空気銃を持っている、持っているのだが、それは狩猟目的でもなければ、もちろん人を害する目的でもない。ただ持っているということに対しては、別に差しつかえないのではないかという議論もあったようでありますが、この点について、第三条というのは、御承知の通り、「何人も」という一つの大きな項目を掲げております。たまたま新聞などで、あるいはラジオなどで放送されることがありますが、あなたの方で犯罪人を捜査した場合において、あるいは家宅捜査したような場合において、空気銃とかその他の全然許可しないのに持っておった場合、これが不法所持という面において罰則を受けるのではないか、さような点の疑義がありますので、その点を一つ。これは空気銃所持している者が、登録しないで持っている者はもちろん罰則を受けるとしても、あるいは携行その他のいろいろの点に微妙な点があると思うので、この際、空気銃所持している者の限界をはっきりしていただきたいと思います。たとえば、先ほど所持していてもこれを発砲しなかったり、あるいは鳥をとらなかったり、人を傷つけるようなことをしなければ、持っていてもいいんだ。こういうのと第三条は「何人も」ということを強くうたっているわけでありますから、その点の関連はどういうふうな関係ですか。
  48. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 私は、ほかの委員会へ参っておりまして、途中から入りまして話がダブル点がありましたら御勘弁願いたいと思うのでありますが、お尋ねの銃砲刀剣所持取締法につきましては、お説のように、この法律の建前は、危害予防上の見地からの規制でございましてその見地からずっと一貫して整備をしてございます。  御指摘の第三条は、一号から十号まで書いてあるものについては、所持することはもちろん合法であるが、しからざる限りは合法でないと、こういう旨を規定しております。従ってお尋ねのように、一号でも二号でもこの十号の中で、どれにも属さない御指摘空気銃については、許可を受けたものでない、これは公安委員会許可でございますが、公安委員会許可を受けたものでないものを所持しておれば、罰則適用がございます。ところがこういう狩猟法がございますので、こういう狩猟に向く銃砲というのはもちろん製造可能でございますので、製造者がこれを製造のために持つとか、販売者が販売のために持つ、これは三条各号に掲げておりまして合法でございます。一般業者でない方がお持ちになる場合におきましては四条の許可を得てお持ちになることが合法でございます。四条の許可を得てお持ちになったのでも、たとえばこれは十条でございますが、狩猟のためでもないのに、またその他百正当な理由がないのに、むやみに発射する、こういうことがあったり、むやみに携帯するということがあれば、十条違反の罪に問われる、こういうことに相なるわけでございます。
  49. 千田正

    千田正君 それで、今私が申し上げたいのは、今度の狩猟法ができることによって、狩猟目的とする人たちは一応二十才以上の者が免許を得るわけです。免許を得ないところの二十才未満の者、この、人たちはたとえば今までは十八才まではよかった。十八才から二十才の者は免許をもちろん今度は得られない。しかし、狩猟目的にならない、おもちゃにしたって携行して歩くのじゃ意味をなさぬから、ただうちに置くというのであったら、届出をしなくてもいいじゃないかというような、善意の考えでうちにただ飾っておく、たまたまそういうときに、あなたの方では何かのことがあって捜査したり、あるいはいろいろな点においてそういうことが発見された場合には、やはり不法所持という立場において処罰されるのかどうか、この点。
  50. 中川董治

    政府委員(中川董治君) この金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃は、そのもの自体としてそれぞれ有益な目的を持っておりますけれども人を殺傷するに足る機能がありますので、その意味の規制がございます。従いまして、許可を得ないで持っている、または業務のためでない、たとえば販売業者でない方が持っていらっしゃる、こういう場合におきましては、銃砲刀剣類に定める犯罪に該当いたします。しからば、今度改正——現行法でも同様なんですが、現行法によれば、十八になるまでは狩猟用のために持てない、これが狩猟法規定でございます。そして銃砲刀剣類の法律の方は十四才になれば持てる、現行法によれば。十四才の子供が何に使うのだ、こういう御指摘だろうと思うのであります。いろいろ飾りで使う場合はもちろんあるでありましょうけれども、多くの場合は射撃練習、これは銃砲刀剣法の十条でございますが、十条をおあけ願いたいのですけれども、十五才の方を念頭におきますと、一号の「狩猟法規定により銃猟をする場合」はございません。従って、一号は該当ございません。ところが三号で、都道府県公安委員会の指定する射撃場で射撃する場合があり得る。それでこの年令、現行法でも、今度の狩猟法の改正法案でも、銃砲刀剣年令と、狩猟法年令が違う社会的事由は何か、こういう御質問でございますれば、それは射撃練習、われわれこういう点について必ずしも専門家でないのですけれども、練習というのはだんだん年令が重なるに従って練習の効率がどうも落ちるという状況でありますので、十四才になれば、市街地その他で練習してもらっては困るのでありますけれども公安委員会の指定する射撃場において射撃するために持つということは、国の法律としてそこまで規制する必要はなかろう、こう考えて規定しているわけでございます。
  51. 千田正

    千田正君 そうしますと、空気銃を、狩猟目的でない、ただ持っているんだという意味において、もしもその中で二十才、今度の法では二十才以下の者が所持する場合においては、少くとも第十条の二項の三号にありますところの「都道府県公安委員会の指定する射撃場において射撃をする場合」にのみしか適用せぬということですね、持つということに対して。
  52. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 多くの場合そうだと思います。多くの場合と申し上げましたのは、三号の場合はもちろんですが、一号は大体空で、意味がなくなる。二号もおおむね意味がないのですけれども、今御指摘の、りっぱな空気銃などで、先祖代々伝わって床に飾っておく、こういう場合があれば、第三条第一項第三号によって所持できるほか、第十条第一項により、正当な理由があれば携帯または運搬もできることになる。こういうことでございます。
  53. 千田正

    千田正君 こうなるというと、大部分の場合は第十条の第二項の第三号ですな、これだけで大体持てるというふうに解釈していいわけですか。
  54. 中川董治

    政府委員(中川董治君) その通りでございます。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 警察の方にお伺いしますが、だいぶ性能の高い空気銃ができましたので、これを凶器の一部分として銃砲刀剣取締法の中へ入れられることも考えられますが、実質問題としてですね、暴力団等や子供のけんか口論で実質上空気銃を持っていってぶち合ったとか、空気銃を暴力団が持ってなぐり込みをかけた、こういうような例はありますか。たくさんありますか。どんな比例になっておりますか。
  56. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 御指摘の暴力団という概念が、法律上の概念が私の方にぴったりこないのですけれども、私ども事故発生について幾つも統計を持っているのですけれども銃砲で事故が起りましたのは、たとえば昭和三十一年一ぱいを考えてみますと、装薬銃砲で事故が起りましたのが——装薬銃砲を発射して事故を起しましたのが、合計百六十八件ございます。空気銃発射して事故を起しましたのが百六十三件ございます。それで、まあ装薬銃砲も、空気銃も、いずれも百六十余件事故があったわけでありますが、その内容はどうかということに相なろうかと思うのでありますが、内容は、やはりこの傷害致死なんかに用いられた場合も若干はあるようでございます。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは政府案の説明に、「ところが、いわゆるちまたの暴力団等において、この現行の規制の間隙に乗じて、銃砲刀剣類を乱用するものを見受けられますので、」と「暴力団」とちゃんと書いてある。暴力取締令というようなものもあるのじゃないですか、あなたが今言われたが。
  58. 中川董治

    政府委員(中川董治君) これは、確かに今お読みになったのはその通りで、大臣が提案理由に出しましたのは、ちまたのいわゆる暴力団でございましていわゆる暴力団等が乱用する向きがありますので、銃砲刀剣類等取締法規定を整備する、こういうことを考えまして提案に相なったのでございますが、ただいま御質問空気銃にかかる部面については、これは今回の改正ではなしに、昭和三十年の二十二国会におきまして、空気銃がこの規制の対象に入ると、こういうふうに相なっておりまして、空気銃を入れたことは今回の改正でない。「いわゆるちまたの暴力団」云々という言葉で大臣が説明なさっておりますのは、一般的にここに規定するところの銃砲刀剣の類を、許可を受けたものを、「いわゆるちまたの暴力団」が暴力ざた等において用いる例があるので、それで所持制限所持態様制限等について十条の規定を設けた趣旨である、こういうふうに説明したわけであります。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、わしはそういうめんどうなことを言うているのじゃないのです。だからこれを入れられることは大して差しつかえはあるまい。こう言うが、しかし現実において「いわゆるちまたの暴力団」等がなぐり込み等において空気銃を持っていってなぐり込んだような事例があるのかないのか。それからそういう場合でなく、子供がけんかした——近ごろはちょっとチンピラとか何とかいってようやりますが、そういう場合でも、空気銃を持っていってぶち合いをやった、こういう例があるのかないのか、こういうことをお伺いしたのです。そういう事例があるのかないのか。
  60. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 御質問趣旨よくわかりました。いわゆる暴力団が空気銃を持ってなぐり込入をやった事例は私は聞いておりません。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 子供は。
  62. 中川董治

    政府委員(中川董治君) これは比較的こういったもので殺人事件などは、——若干傷害致死事件なんかが統計上二件ほど出ておりまして、この内容は子供であったかどうか記憶しておりませんが……。
  63. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは傷害事件で、空気銃傷害したというのは二件くらいでしょう。ところが火砲でやった事件はどれくらいあるのですか。しかも殺人、まあ誤殺とか、あるいは過失、これはまあ過失でしょうが、いずれ過失に違いないのですが、そういうものは。猟銃の過失というようなことで人を殺傷した数は、どのくらいあるのですか。
  64. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 繰り返し申しますが、その犯意のあるやつ、過失になるやつ、すべてを含めまして、事故と認められるものにつきましては、先ほど申しました通り空気銃については百六十三件、装薬銃砲については百六十八件でございますが、その内容は殺人かどうか、あるいは傷害かどうか、そういった点についての詳細な統計を持っていないのですが、私の説明は、その中で、空気銃傷害致死事件があったというようなものが、二件ほど統計が出ておる。これ以上の詳細につきましては、そこまでの正確な調べはないのでございます。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 火砲の内容は。
  66. 中川董治

    政府委員(中川董治君) その装薬銃砲につきましては、事故としては今百六十八件あるのですが、その内訳のそれぞれ内容別には統計がとれていないのであります。    〔清潔俊英君「けしからぬじゃないか」と述ぶ〕
  67. 堀本宜実

    堀本宜実君 前回質問申し上げました取締法の内感について、これについて、装薬銃や、空気銃使用する場合の、狩猟法銃砲刀剣類等所持取締法関係から御説明がございました。それによりますと、猟犬の訓練のために銃を携帯して野外を歩き回るということは、第十条第一号の正当なる理由としてこれを見ることができる、こういう御回答であったと思うのです。これはまことにけっこうだと思うのでありますが、しかし、実際の場合の問題なんですね。これはかりに銃砲を携えて、つまり山野を歩き回っているという場合に、装薬を持っておった場合はどうなりますか。つまり弾丸を持っておった場合。つまり取締りをする場合にですね、犬の訓練ということに名をかりますか、まあそういう言いわけをすると思いますが、発砲した様子もない。しかし、その発砲はいつしたかわからないが、銃身の中には装薬の焦げついたものがあって、すでに発砲した、つまり何と言いますか、痕跡はある、がしかし、音は聞かなかった、しかし犬を連れて、その犬が猟犬であり、しかも実包を持ち、鉄砲を持って山町を跋渉しておる場合に、これを狩猟法違反と認めるかどうかという問題なのですが、つまり許可を得ないで、鑑札を受けないで密猟をする場合における取締り見解であります。
  68. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいまのお尋ねは、猟犬訓練のために、猟銃を持って山野をいわゆる跋渉する、そういう場合には、先ほども説明申し上げましたように、この法律違反にはならない、こういう説明をしたが、弾丸を所持していわゆる山野を跋渉したときはどうか、これが第一点であります。弾丸を持っておるだけでは、いわゆる猟をするという意思によって山野を跋渉するのじゃなく、弾丸を持っておるというだけでは、私は、この違反にはならないと解釈をいたしたいと思います。  ただ、それ以上の点が非常に微妙になって参りますが、今のお尋ねでは、発射をした痕跡があるというようなお尋ねでありますが、これは非常に、あとで正確な答弁はまた警察庁の方でやっていただきますけれども、これは、実際たとえば裁判をする事件となりましても、非常に微妙なところでありまして、少くとも狩猟をする、いわゆる鳥獣を射撃する、こういう意思をもって装薬をして、そして山野を跋渉する、そして目的物をねらう、こういうことになれば、一つ狩猟であります。当らなくとも狩猟でありますから、その点は非常に実際問題としては微妙でありますが、そういう事実が証明されると、いわゆる狩猟法違反になると解釈すべきものであると考えております。
  69. 中川董治

    政府委員(中川董治君) ただいまの御答弁と全く同じなんですが、たまを持って、撃った痕跡がある、こういうことになりますと、狩猟法の禁ずる銃猟をやった一応の証拠と認められます。ただし狩猟を禁じられていない合法的の狩猟をやった直後であればもちろん問題はございませんが、銃猟が許されていない所で撃ったのではなかろうかという証拠ということに、一応なろうかと思います。
  70. 堀本宜実

    堀本宜実君 痕跡があるということは、科学的分析によっておよそ証明されるものである。何日くらい前に撃ったか、あるいは山野で、直前に撃ったであろうかという見解がわからなければ罰せられるわけには参らぬと思うのであります。また銃に散弾を装薬し、つまり装薬され直ちに発砲のできる準備における猟銃を携帯しておった場合と、別に薬爽あるいは装薬等を装薬帯に納めて別なところに所持しておった場合に発見された場合との見解は、一体どうなります。
  71. 中川董治

    政府委員(中川董治君) これは、すべての犯罪に共通することなんですが、ただいま私の答弁で、一応と申し上げたが、と申しますのは、すべての犯罪行為、たとえば狩猟法違反というような犯罪行為刑法に定める殺人行為、こういう犯罪行為をやったかどうかということを証明するには、だんだん証拠を積み重ねなければ証明できません。証拠を積み重ねなければ証明できませんので、一応と申しましたのは、銃猟を禁ぜられたところで弾丸発射の痕跡があるということになれば、一応そこで繋ったのでなかろうかという推理ができます。が、それだけをもって有罪判決を受けるということは人権上大へん困りますので、四囲の情勢、場合によっては鑑定もしなければなりません。鑑定ばかりでなしに、目撃者の証拠を調査いたします。証拠を積み重ねて、狩猟法違反だというふうな非行為があったかどうかを証明をして参る作業をするわけであります、その点は、ひとり狩猟法違反行為に限らず、一番典型的な殺人罪につきましても同様でありまして、血痕がある、返り血を浴びているというだけでは殺人だというわけには参りませんが、返り血を受けているということは、人を殺したという疑いに足る一応の証拠である、こういう意味に申し上げたつもりであります、
  72. 堀本宜実

    堀本宜実君 私はこう思う、許可のある銃を携帯して山野を跋渉しておる、また犬を連れておるということは、狩猟をした現場はなくても、たまを持っておらなければ撃つことができない、そこでたまを持っているということ自体が、犬の訓練だとか、あるいはその他のレクリェーション的な散歩といいますか、そういうもの、あるいはかつて狩猟の鑑札を受けた者が、一つのあこがれを持って、鉄砲を持って山野を歩く、こういうことと別にいたしまするためには、実包を携帯するかいなかということが判断の基礎の上に重要な問題ではないかと思います。それを取締りの上で明記しておられぬということが、私は密猟者というものを未然に防ぐ欠陥ではないかと思いますが、見解はいかがですか、
  73. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 狩猟法違反行為の場合においては、たまの問題は重要な要素であると思います。たまを持っておるということによって、狩猟をやるという意思があったかどうか上いうことを区別することが重要問題であります。ところが、非常にレア・ケースを申し上げて恐縮でございますが、全部たまを撃ち終っている、撃ち終ったときは狩猟法違反をやっている、犯罪をやった直後においては、一つのたまもなかったという例もございますので、たまがなかったといってすべて狩猟法違反ではないということは言い過ぎであるということは言えましようけれども、お説のように、たま……。銃と一緒に持っているということが、多くの場合狩猟したかどうかということを判別するに一つの標準になろうがと思います。
  74. 堀本宜実

    堀本宜実君 しからばこういうふうに想像してはどうかと思うのですが、実包を持って山野を跋渉しておる者は狩猟法違反と認める、こういうような点はどうですか。
  75. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 具体的な事例についての問題でありますが、非常にデリケートでありますが、この法律にかかわらず犯罪の種類によって非常に事前の行為禁止する法律があるわけでございますけれども法律の立法技術として、たまを持って歩いてはいけない、たまを持って歩くと、やろうがやるまいと狩猟法違反だというと、ちょっとそれは行き過ぎではないか、立法技術上そう思います。犯罪を構成するしないは、先ほど申し上げましたように、具体的の事実を証明するということが前提になりますので、先ほど警察庁からお話がありましたように、たまを持って、狩猟しない。狩猟の意思がないのにたまを持って歩くということは非常に異例なことであります。でありますから、実包を持って銃を持ち、犬を連れて山野を跋渉するというのは、一応これは狩猟の意思があると推定の材料にはなるのでありますけれども、であるからといって、たまを持って歩いた者は狩猟の意思があると法律規定するということは、立法技術としては少し行き過ぎではないか、まあ私どもはそういうふうに考えております。
  76. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  77. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて。
  78. 安部キミ子

    安部キミ子君 狩猟を全部廃止したら、どんな結果になるでしょうか。と申しますのは、昔は日本の国にもいろんな獣や何か多くて、それで十分生活ができたと思うんですが、今日では必ずしもそれだけでは生活は困難だと思うわけです。それと同時に、昔はおそろしい獣もおったでしょうけれども、今日ではそう獣もおるとは思われぬし、まあ、たまたま北海道あたりでクマが被害を与えたとか、あるいは山の奥にもそういうようなのがたまにはおるでしょうが、そういう人は一部限定して、今日のように、たくさんもう何もかもとらなきゃ生活ができないというようなことになっておると思いますので、しばらく狩猟を全部やめてしまう、そうしたら、もう少しかわいい鳥もふえるんじゃないかと思いますが、そうなったら一体どういうふうになるでしょうか。
  79. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 狩猟を全部禁止する、全廃するとどういうふうになるであろうかというお尋ねでありますが、どういうふうになるか、なかなか簡単に、どういうふうになりますというお答えはできかねますけれども、この前の委員会の席でも、安部さんその他から、あまり世の中が殺伐になるんじゃないか、殺風景になってきたんじゃないかという御意見も、一応ごもっともな点があるわけでございます。しかしながら、先ほどもお話しになりましたように、まあ、地球上が未開の時代と申しますか、人口が少い時代には、ほとんど狩猟だけで人間は生きておった。それが、いろいろ進歩いたしまして、そのほかで生きる方法もいろいろ考えておるわけでありますが、これはもう人類が始まって以来の狩猟行為でありまして、だんだん狩猟は、数においては別でありまするけれども生活形態としては少くなって、先ほど来お話がありますように、一部楽しみと申しますか、スポーツと申しますか、そういう部面まで変ってきておる状態だと思います。しかしながら、先般も申し上げましたように、非常に人口がふえましたので、狩猟のみによって生活はしないけれどもいわゆる鳥獣がだんだん減ってきておることは、これはもう日本のみならず、世界至る所にそういう状況が現われております。でありますから、その調節がなかなかむずかしいところであると思いますけれども、これを全廃するということになれば、そういう意味の楽しみ、あるいは、それによって自分の生計をしておる者の影響もありましようし、あるいは、そういう猟具その他について生計をしておる者にも相当の影響があります。また、御承知の動物蛋白の食糧の供給源がある程度絶たれる。まあこういう影響があると思いますけれども、今これを全廃するということは、ちょっと実際問題として考えられないんじゃないかと、こういうふうに私どもは考えておるわけであります、
  80. 安部キミ子

    安部キミ子君 狩猟することを楽しむというような人は、私は、今日では、ごくわずかの人だと思うのですよ。楽しむ対象になる鳥や獣も少くなりましたし、わずかに特権階級の人たちのそういう楽しみになっていると思う。それから生活の点でも、狩猟して生活を全部ささえているというような人は、そちらにおそらく統計もございましょうが、わずかしかないと思うのです。ただ、その人たちをどう今後の生活保護していくかという問題が残るのじゃないか。それから、そういうふうに狩猟禁止しましたら、この日本の国も、もっとよくなるのじゃないだろうか。生活権という問題にしても、そんなにたくさんの人の予算を必要とはしないと、こういうふうに考えますので、今日この法案が通ることは、一段階として私はたいへん歓迎するものであります。これは、私個人の考え方でありますが、もっとこれを深く推し進めていって、しばらくの間この狩猟禁止したらどうだろう、こういうふうに考えるわけなんですが、もし生活に困るという人がありましたら、何人ぐらいおられるのか、それからその狩猟のために得ているお金はいくらくらいなのか、その点がわかったらお教えいただきたい。
  81. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 適切な数字はなかなか困難かと思うのでございますが、御承知のように、大体年々狩猟免許、従来の登録を受けておる者は、十八、九万、こういうことであります。これは、免許を受けたりあるいは登録を受けたりしておる者の数でございます。そういう者の中で、一体これを直接生活の手段としてやる者はどれくらいあるか、こういうことだと思いますが、なかなかそれは推定困難かと思います。ただ、一方におきまして要するに一つの健康な野外スポーツとして狩猟を楽しむという人は、年々ふえておるという現状にはあるのでございます。そこで、ただ問題は、科学の進歩の過程におきましても、確かに全体として野生鳥獣が減っておるということでございますが、中には、いわゆる産業なかんずく農林業にとりまして有害なものもあるということは、御説明申し上げた通りでありまして有害なものは極力これを駆除すると申しますか、数を少くして参るということが必要であるわけでございますけれども、その反面に、あわせて有益なものが屠殺されるということを、私どもといたしましては非常に懸念をいたすわけでございます。かように考えておるわけでございまして一応狩猟鳥獣ということで狩猟対象にいたしまするものにつきましては、これを固定的に考えませんで、これらについてもやはり増減の実情等を見計らって、場合によりましては、一部のものにつきまして捕獲制限をするとか、あるいは捕獲禁止する。狩猟鳥獣の場合につきましてもそういう措置をして、いわば調整を考え、あわせて狩猟の方法等を適正化することによりまして、いわゆる狩猟鳥獣の場合、乱獲に陥るということはすべきではないという意味からいたしまして、鳥獣保護区、あるいは禁止区、あるいは猟区というような施設を設けまして、増殖をはかっておるという取扱いをいたしておるわけであります。ただ御指摘のように、有益な鳥獣なかんずく小禽類というものが目に見えて減って参ったという事実は、確かにこれは顕著なものがあるように思うわけでありまして、これらにつきましても、とにかく第二段階の問題は、何としてもPRだと思いますけれども、これらを愛護する、さらにこれらの増殖を考えていくという施策を、今後はやはり強化をする、こういう方向でいくべきものじゃないかと私は考えます。
  82. 安部キミ子

    安部キミ子君 有害なと申しますと、まず頭に浮ぶのは、イノシシあたりが大へん農作物の害になっておると思いますが、そういうのは、その地区で限定をして許可をすればいいのであって十八、九万の人がおられるということは、私は少し許可証を出すのが多過ぎやしないか、こう思うのです。それから業者の方としても、十八、九万の銃を作ってどれだけの金になるか私はわかりませんけれども、そう大して、防衛庁の兵器とは違うて、お金になるとは思いません。この銃器の生産によってお金がそんなに膨大に入るとも思われぬのですが、これも当局の方で試験的にでもいいですから、この狩猟をしばらく禁止するという建前で法案を出されて、特定の区域なり人にだけ何年間の期限を切って許可する、その制限も非常に狭めて許可するというふうにしてみたらいいのではないだろうか、実際こういう動物やそれから鳥類は、おってほしいと思うのがだんだんおらなくなりまして、日本も全く人間だけがこの国土に住むというふうでは、あまりに殺風景だと思うので、お互いに人間の顔を見ているだけでは飽いてくると思うのです。たまには鳥の顔も見たいし、かわいい獣の顔も見た方が、私は情操教育の上からもいいと思いますので、そういう法案を研究してみていただいたらどうであろうか。一番私そういう点で気にかかりますのは、今の銃器を作っている人たち生活権と、それから狩猟をしている人たち生活権の問題なんですけれども、この問題も当局の方で善後策を十分考えていただいて、別にいい転業でもあれば大へん望ましいことだと思う。今日の平和の時代に小さな子供が鳥を撃つというささいなことではあるけれども、そのこと自体、私は非常に教育的に見て好ましい姿ではない。草一本むしることにも、チョウチョウ一匹殺すことにも、ただ標本集めるということのみに重点を置いて考えるということ、そういう教育のやり方には、私は今後問題があるのじゃないか。もう少し人間が生き物を大切にするという教育をすることが、やがては人間の命を大切にするということにもなろうし、世界の平和を確保しようと努力をする教育にもなると、こういうふうに思うので、私、これは希望としてそういう研究をしてもらいたい、こういうことを申し添えまして、私はこの法案には大へん賛成でございます。
  83. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本日は、これをもって散会します。    午後三時三十六分散会