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1958-02-27 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十三年二月二十七日(木曜日) 午前十時四十五分開会 ――
―――――――――――
出席者
は左の
通り
。
委員長
重政
庸徳
君 理事 柴田 栄君 藤野 繁雄君
清澤
俊英君 鈴木 一君
委員
雨森 常夫君
佐藤清一郎
君
田中
啓一君
田中
茂穂君 仲原 善一君 堀 末治君 東 隆君
安部キミ子
君 江田 三郎君
大河原一次
君 河合 義一君 北村 暢君 梶原 茂嘉君 北 勝太郎君 千田 正君 北條 雋八君 国務大臣 農 林 大 臣 赤城
宗徳
君
政府委員
農林政務次官
本名
武君
農林政務次官
瀬戸山三男
君
農林大臣官房長
齋藤 誠君
農林省農林経済
局長
渡部
伍良
君
農林省蚕糸局長
須賀 賢二君
水産庁長官
奧原日出男
君
事務局側
常任委員会専門
員
安楽城敏男
君 ――
―――――――――――
本日の会議に付した案件 ○
農業協同組合整備特別措置法
の一部 を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備
審査
) ○
臨時肥料需給安定法
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
開拓融資保証法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
繭糸価格安定法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
漁業制度調査会設置法案
(内閣送 付、
予備審査
) ○
農業協同組合法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
) ○
農林水産政策
に関する
調査
の件 (
日ソ漁業交渉
並びに
国際漁業問題
に関する件) ――
―――――――――――
重政庸徳
1
○
委員長
(
重政庸徳
君) ただいまから
農林水産委員会
を開きます。
農業協同組合整備特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
閣法第
六四号、
内閣送付
、
予備審査
、二月二十一日
衆議院農林水産委員会
において
可決
)、
臨時肥料需給安定法
の一部を
改正
する
法律案
(
閣法第
四四号、
内閣送付
、
予備審査
)、
開拓融資保証法
の一部を
改正
する
法律案
(
閣法第
六号、
内閣送付
、
予備審査
)、
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
(
閣法第
六五号、
内閣送付
、
予備審査
)、
繭糸価格安定法
の一部を
改正
する
法律案
(
閣法第
九〇号、
内閣送付
、
予備審査
)及び
漁業制度調査会設置法案
(
閣法第
六六号、
内閣送付
、
予備審査
)を一括して
議題
にいたします。 まず、
提案理由
の
説明
を求めます。
本名武
2
○
政府委員
(
本名武
君)
農業協同組合整備特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。
わが国
の
農業
を
振興
いたすためには、
農業協同組合
の
整備強化
をはかる必要があることは、今さら申すまでもないところであります。従って
政府
といたしましても、
農業協同組合
の
整備強化
につきましては、鋭意
努力
を重ねて参っておるのでありますが、御
承知
のように、特に
経営
が不振な
農業協同組合
につきましては、すでに
昭和
三十一年度から
農業協同組合整備特別措置法
により、強力にその
整備
の
促進
をはかってきたのであります。 ところで、
本法
により
整備
を行おうとする
農業協同組合
が
整備計画
を樹立しなければならない
期限
及び
都道府県知事
が
農業協同組合
に対し合併について協議すべき旨を勧告することができる
期限
は、いずれも、
昭和
三十三年三月三十一日までとなっているのであります。 一方、
経営
不振な
農業協同組合
の
現状
から見まして、
本法
を適用すべき
農業協同組合
の数を、当初より若干
増加
する必要があります。しかし、
本法
の
実施状況
からいたしますと、これらすべての
経営
不振な
農業協同組合
につき、右の
期限
までに
所要
の
措置
をとらせますことは、困難な向きがありますので、右の
期限
を若干延長すれば、
経営
不振な
農業協同組合
の
整備
に遺憾なきを期し得ると信ずるのであります。従って、この際、この
期限
を一年延長することとし、第二条及び第十四条に
所要
の
改正
を加えたいのであります。 以上が、
農業協同組合整備特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
でございます。 次に、
臨時肥料需給安定法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。
政府
は、第十九回
国会
において
制定
せられました
臨時肥料需給安定法
に基き、
昭和
二十九年度以降
毎肥料年度
、
肥料
の
需給計画
の策定及び硫安の
最高販売価格
の
決定等
を行い、
農業生産資材
のうち、最も重要な
肥料
の
需給
の
調整
と
価格
の安定のため、格段の
努力
をいたして参ったのであります。 特に
肥料
の
需給計画
の
決定
に当りましては、
政府
は、同法第三条第二項第四号の
規定
によりまして、
需給調整用
として
国内消費見込数量
の一割
程度
の
保留数量
を見込まねばならないこととし、そうすることによりまして、
国内消費量
が
計画
に織り込まれた
消費見込み数量
を上回る場合に備えて、
需給計画
に
弾力性
を持たせるようにいたすこととしておりますほか、さらに同法第六条の
規定
によりまして、
農林大臣
は、
肥料
の
需給
の
調整
をはかるため、その指定する
団体
に、
肥料
の
種類
、
数量
及び
買い取り
の時期を示して、
需給調整用
としての
保留数量
の
範囲
内において
肥料
を買い取るべき旨を指示するものといたしまして、
毎肥料年度
、
一定量
を
保管団体
に不
需要期
に買い取らせ、
需要
の
最盛期
に放出せしめ、それに対し、同法第九条の
規定
により、
肥料
の
買い取り
により生じた
欠損金
の額に
相当
する金額を、
当該団体
に
補助
することとしているのであります。 しかるに、最近における
肥料
の
需給事情
は、
生産量
が著しく
増加
して、
需給
に不安を生じない状態となっており、今後、
生産
の
増加
及び
消費
の
増加
の
見込み
からいたしまして、
需給
は
相当
緩和
されるものと考えられますので、第三条の
規定
による
需給計画
には、今後も
調整保留数量
を計上して参りまして、内需の不測の
需要
に対処し得るよう
措置
すべきものと考えますが、第六条の
規定
による
保管団体
に対する
買い取り
の指示を必ず行うということについては、
需給状況
の
改善
の
実情
に照らしまして、今後は
需給
の
調整
をはかるため必要があると認めるときにのみ、この
措置
を講ずることができるものと
改正
することが適切でありますので、このたびこの
法律案
を提出いたした次第であります。 以上が、
臨時肥料需給安定法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
でございます。 次に、
開拓融資保証法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 戦後の
開拓事業
も、ここに約十年余を経ましたが、
政府
といたしましても、この
事業
の
達成
のために多大の
努力
を払っており、また、
開拓農家
もその
営農
の安定をはかるために、日夜精進して参り、その
生産力
も年々高まってきております。 しかしながら、
開拓農家
の
営農
の
現状
を見ますと、一部には
入植
後数年ですでに
既存農家
の
水準
を越え、新しい
農業経営
の
先駆者
と認められる者もありますが、他面、不利な
立地条件
とたび重なる
災害等
のため、いまだに富農の
基礎
も確立できない不安定な
開拓農家
も少くないのであります。
政府
といたしましては、右の
実情
にかんがみ、今後の
開拓者入植
につきましては、
開拓入植方式
を刷新し、
入植者
の
営農類型
を改訂拡充しまして、これに基き、
政府
が
各種
の
措置
を講ずることとし、
昭和
三十三年度の
新規入植
はこの方針のもとに、ひとまず、
営農
の早期安定が確実と見込まれる
地区
において
入植
させることとし、その戸数は、二千五百戸にとどめる一方、
既入植者
の
営農
の
振興
に特に
重点
を指向し、第二十六
国会
において成立を見ました
開拓営農振興臨時措置法等
に基きまして、
開墾建設工事
については、
残事業
の
促進
をはかるほか、
追加工事
を必要とする
地区
に対し、新たに
高率
の
補助
により、
開拓地改良事業
を実施するため
経費
を計上し、また、
営農資金
については、
開拓者資金融通特別会計
から
既入植者
に対する
貸付金
の大幅な
増額
及び
債務条件
の
緩和
をはかる等、総合的に
施策
を実施する考えであります。 一方、
開拓農家
の必要とする
肥料
、
飼料
、
種苗等
の購入に要する
短期資金
につきましては、
農業手形制度
の利用が困難なために、
昭和
二十八年七月
開拓融資保証法
を施行しまして、自後、
中央
及び地方に
開拓融資保証協会
を設立し、
開拓農家
の
債務
を保証し、農林
中央
金庫の
資金
の円滑な
融通
をはかって参りましたが、さらに、三十一年秋より
中小家畜等
の
貸付期間
三年以内の
中期資金
についても本
制度
にとり入れ、
営農資金
の
拡充確保
をはかってきたのであります。その後、この
制度
に対する
開拓農家
の加入も
増加
し、また、
営農
の進展に伴い、
資金
の
需要
も
増大
して参りましたため、現在の
中央開拓融資保証協会
の基金をもってしては、
開拓農家
の
債務保証
の要望にこたえられない段階に立ち至りましたので、
政府
は、主として
既入植者
の
営農振興対策
の一環として、さらに、
昭和
三十三年度
一般会計
から三千万円を
中央開拓融資保証協会
に対し追加出資して、その
保証ワク
の
増大
をはかり、
開拓農家
の必要とする
肥料
、
飼料等
の
短期資金
及び
中小家畜等
の
中期資金
の
融通
を一段と拡充円滑にし、もって
開拓農家
の
農業生産力
の
発展
と
農業経営
の確立を期待するものであります。 以上が、
開拓融資保証法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
であります。 次に、
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
を御
説明
いたします。
開拓者
が未開の
開拓地
に
入植
し、
営農
の
基礎
を確立するためには、必要な
長期
及び中・
短期
の
資金
を要しますことは、言を待たないところでありますが、
政府
は、
昭和
二十一年度から
開拓者資金融通特別会計
を設置し、
新規入植者
に対し、
長期低利
の
基本営農資金
の
貸付
を行うこととし、
昭和
二十七年度からは、
新規入植者
に対する
右融資
のほか、さらに、
入植
後三カ年以上を経過したいわゆる
既入植者
に対しましても、
中期
の
営農資金
の
貸付
を行うこととし、もって
開拓者
の
営農
の
発展
に努めて参ったところであります。 しかしながら、
開拓者
の
営農
の
現状
を見ますと、一部には、
入植
後数年で、すでに
既存農家
の
水準
を越え、新しい
農業経営
の
先駆者
となったと認められるものもありますが、他面、
入植
後
相当
の年月を経ても、不利な
立地条件
や、
建設工事
の遅延その他やむを得ない事由により、
入植
当時目標とした
営農
の
基礎
を未だ確立できず、また、たび重なる
災害等
により、過大な
負債
のため、
経営
の
基礎
が不安定な
開拓者
が、少くないのであります。
政府
といたしましては、このような
既入植者
の
実情
に照らし、極力各般の
措置
を講じ、特にその
営農振興
に力を注ぐことといたしておりますが、これがため必要な
営農資金
につきましては、まず、
開拓者資金融通特別会計
による
貸付金
の総額が、三十二年度は十九億円でありましたものを、三十三年度は二十八億円といたしました。そのうち、
既入植者
に対し
融通
する大
家畜
、
農用施設
、
農機具等
を取得または設置するための
貸付金
を、三十二年度の八億五千万円から、三十三年度は十六億二千五百万円に、
相当
大幅に
増額
しまして、これによりまして、
一般開拓者
に対し、いわゆる
中期資金
を、おおむね継続して融資するほか、特に、
開拓営農臨時措置法
に
規定
する不安定な
開拓者
に対しましては、
重点
を置き、
貸付額
の
増加
及び
償還期間
の延長をはかりたいと考えております。すなわち、
償還期間
が、従来八年でありましたが、特に、
開拓営農振興臨時措置法
の適用を受ける
経営
不安定の
開拓者
に対しましては、これを十二年といたしたのであります。これが、本
改正法律案
を提出した
理由
であります。 これによりまして、
開拓営農振興臨時措置法
に基き、
振興計画
が適切に立てられた
開拓者
に対しまして、この
貸付
を行うとともに、別途行うこととなっております
負債
の
条件緩和等
の
措置
を、あわせ行いますと、おおむね五年後には、現在
営農
の安定のために、
特別措置
を講ずることが必要と認められる
開拓者
が、
農業収入
で
生計費
をまかない、自立安定した
農家
となり、さらに進んでは、自後、自力により
拡大
再
生産
を続けることになると考えるのであります。 さらに、別途、
中央開拓融資保証協会
に対する
政府出資
の
増額
をいたしまして、その
保証ワク
の
増大
により、
開拓者
が
肥料
、
飼料
、
中小家畜等
を購入するための
資金
の
融通
の
拡充円滑化
をはかりますとともに、いわゆる天災による
資金融通法
により、比較的
短期
の
経営資金
を借り受け、これの
償還
が困難な
開拓者
に対しましては、
開拓営農振興臨時措置法
による
振興計画
に基き、その
実情
を検討の上、これを
長期
の
営農改善資金
として借りかえる等の
措置
を、あわせ講ずる所存でおります。 なお、
既入植地
であって、特に
振興
を要すると認められる
開拓地
におきましては、
開墾建設工事
につきまして、さらに
事業
を
促進
して、
残事業
の圧縮をはかるほか、
開拓地
内の
土地改良事業
に対し、新たに
高率
の
補助
を行う等の
措置
を講じまして、総じて、
開拓地
における
営農振興
に資しようと考えております。 以上が、
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
であります。 次に
繭糸価格安定法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
生糸
の
輸出
の増進をはかるため、
輸出適格生糸
についての
特別買い入れ
の
制度
を拡充するとともに、この
制度
による
生糸
の
買い入れ
及び
保管
の
業務
を行う
日本輸出生糸保管株式会社
を、
法律
に基く
特別会社
に改組して、
繭糸価格安定制度
の
運営
の円滑を期するための
改正
であります。 以下、
法律案
の
内容
についてその
概略
を申し上げますと、 第一は、
生糸
の
輸出価格
の安定をはかるため必要があるときは、
輸出適格生糸
について、
一定数量
の
範囲
内で、
日本輸出生糸保管株式会社
が
買い入れ
保管
しているもののうち、所定の
期間
内に売り主から買い戻しの請求のないものについては、
政府
においてこれを
最低価格
に
保管
に要する
経費
を加えた価額で
買い入れ
ることができる旨の
規定
を新たに設けたことであります。 次に、右の
特別買い入れ
の
業務
を行う
日本輸出生糸保管株式会社
の
事業
の
範囲
及び同
会社
に対する
政府出資等
について
規定
するとともに、その
業務
の
運営等
について、
所要
の
監督規定
を設けることとし、その
改正
に伴い、現に存する
日本輸出生糸保管株式会社
を、
法律
に基く
特別会社
に改組するため必要な
規定
を設けました。 なお、
政府
が保有している
生糸
について、買いかえを行う場合の
規定
を加えることにいたしました。 以上が、
繭糸価格安定法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御
可決
あらむことをお願いする次第であります。
瀬戸山三男
3
○
政府委員
(
瀬戸山三男
君) 次に、
漁業制度調査会設置法案
の
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。
わが国
の
漁業
は、戦後の復興に伴い、次第に
漁場
が
拡大
されるとともに、
漁業
に関する
政府
の諸
施策
とも相待ちまして、急速な
発展
を遂げ、
昭和
二十七年度においては、その
生産高
において戦前の最高
水準
に復帰し、以来、
世界有数
の
水産国
の実をあげておりますことは、御
承知
の
通り
であります。 しかしながら、この間、
沿岸漁場
における
漁業生産
は、必ずしも十分な伸展を見せず、
漁業経営体総数
の八割五分を占める
漁家層
は、低い
生産性
と
所得水準
にとどまり、また、この
漁場
における
漁業調整
、特に
沖合漁業
との問題は、近来深刻化して参っているのであります。一方、近年におきましては、
遠洋漁場
において、
沿岸国
との
調整
をはかる必要が漸次
増大
するほか、
水産資源
の
最高生産性
を維持するための
国際協調
が進められ、
漁業
に関する諸条約が締結されまして、従来のように、
漁場
の
拡大
により、問題を解決する
方途
にも慎重なる態度をとらざるを得ない
事態
に至っているのであります。 このような
事態
のもとにおきましては、従来にも増して、一そう
水産資源
の
維持培養
をはかり、
漁場
を高度に利用し、
漁業
の
調整
に意を用いまして、
漁業
の
生産性
を向上し、
漁業者
の
協同組織
を
整備
し、その
経営
の安定を期して参らねばならないと思うのであります。従いまして、この時に当り、ただに従来とられております
各種
の
漁業振興施策
を強化するのみならず、
現行
の
漁業
に関する
基本的制度
も検討し、これが
改善措置
を講ずる必要があると存ずるのであります。
現行漁業法
によりますと、
昭和
三十六年度におきまして、一部の
漁業権
につきましては、第二回目の、その他の
漁業権
につきましては、第一回目の更新時期に際会いたすことでもあり、この間の
漁業事情
の推移をあわせ考えまして、
現行
の
漁業生産
及び
漁業者
の
協同組織
に関する
制度
を検討し、一そうの
生産性
の向上と
漁業経営
の安定を期するために、現在これら諸
制度
の
改善
をはかる要緊切なるものがあると存ずるのであります。もとより、
行政庁
におきましても、かねて
研究調査
を重ねて参っているのでありますが、これら
制度
の
改善
に当っては、その影響するところも多く、また、これら諸
制度
は、相互に複雑な関連を有しており、専門的に深く検討する必要がありますので、この際、
水産庁
に
漁業制度調査会
を設置し、広く
学識経験者
の御参集を得て、慎重に
審議
を重ねていただくことが最も適当であると存じ、この
法律案
を提出する次第であります。 以下、この
法律案
の
内容
について
概略
御
説明
申し上げます。 まず、本
調査会
の
所掌事務
でありますが、本
調査会
は、
農林大臣
の諮問に応じまして、
漁業
の許可、免許を初めといたしまして、
漁業調整
、
水産資源
の
保護等
、
漁業生産
に関する
制度
及びこれらの
制度
と密接なる
関係
を有しまする
漁業協同組合等
の
漁業者
の
協同組織
に関しまして、その
改善
の
方途
につき、
重要事項
を
調査
審議
し、また、これらに関し必要と認める
事項
を、
関係行政庁
に建議することをその任務といたしたのであります。 次に、本
調査会
の
組織
でありますが、本
調査会
は、
委員
二十五人以内で
組織
するものとし、必要に応じ、十人以内の
専門委員
を置くことができるものといたしました。これら
委員
及び
専門委員
は、
学識経験者
のうちから、
農林大臣
が任命することとし、会長は
委員
の互選によって定めることといたしました。 このほか、この
法律
の
制定
に伴いまして、
水産庁設置法
の一部
改正
を行なっております。 以上が、この
法律案
を
提案
する
理由
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御
可決
あらんことをお願いする次第であります。
重政庸徳
4
○
委員長
(
重政庸徳
君) これらの
法律案
の
審議
は、日をあらためて行うことにいたします。
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
重政庸徳
5
○
委員長
(
重政庸徳
君)
速記
をつけて。 引き続いて、
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
(
閣法第
一〇〇
号内閣提出
、
参議院先議
)を
議題
にいたします。 まず、
提案理由
の
説明
を求めます。
本名武
6
○
政府委員
(
本名武
君)
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。
農業協同組合
及び
農業協同組合連合会
の行う
共済事業
につきましては、
昭和
二十九年六月、第十九
国会
において成立いたしました
農業協同組合法
の一部
改正
により一応その
整備
を見たのでありますが、その後の
共済事業
の
発展
にかんがみて、特に
共済契約者
あるいは被
共済者
たる
組合員
の利益の
保護
と
共済事業
の健全な
運営
を確保する見地から最も重要な
事項
と考えられる
責任準備金
の
積立
、
財産
の
運用方法
の
規制等
につきまして、なお十分とはいえない点がありますので、現在、
行政庁
の
承認
を受けた
共済規程
の定めるところにより
積み立て
られている
責任準備金
につき、その
積立義務
を法定いたしますとともに、
財産
の
運用方法
につき、必要な
規制
を加える等の
措置
を講ずることにいたしたいのであります。 次に、
農業協同組合中央会
の行う
監査事業
につきましては、
当該事業
の円滑な
運営
に資し、
農業協同組合
及び
農業協同組合連合会
の健全な発達をはかるという
農業協同組合中央会
の本来の
目的
の
達成
に寄与するため、
農業協同組合中央会
の
監査事業関係
の
規定
を
整備
し、
監査
の
実施手続
を明確にするとともに、
監査事業
に対する
農業協同組合
及び
農業協同組合連合会
の
協力関係
を明定することにいたしたいのであります。 以上が、
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
でございます。何とぞ、慎重御
審議
の上、すみやかに御
可決
あらんことをお願い申し上げる次第であります。
重政庸徳
7
○
委員長
(
重政庸徳
君) 続いて、本
法律案
の
内容
その他について、
補足説明
を求めます。
渡部伍良
8
○
政府委員
(
渡部伍良
君) ただいま
議題
となりました
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
の
補足説明
を申し上げます。お手元に
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案関係資料
というもの、それからもう一つ、
農業協同組合
及び
農業協同組合連合会
の
責任準備金
の
積立
及び
財産
の
運用
に関する
省令案要綱
というのを追加してお配り申し上げておりますから、それをごらん願いながらお聞き取りを願います。 まず第一点の、
責任準備金
の
関係
でありますが、これは
法案
の第十条の三から第十条の四まで
規定
しているのでありまして、その
責任準備金
の
規定
は、もともとこの
共済事業
をする性格からいたしまして、
契約者
、あるいは被
共済者
たる
組合員
の
保護
、この
事業
の健全な
運営等
を確保するための
必要性
からすると、
事業
の
内容
にわたりまして
相当
の
法的規制
を行うことが必要であるのでありますが、
昭和
二十二年に
農協法
の
制定
によって
共済事業
が行われまして、
行政庁
の
行政指導
でやっておりましたが、それでは不十分であるというので、
昭和
二十九年六月に
農協法
の一部を
改正
いたして
共済事業
を行う
組合
及び
連合会
の
共済規程
を
行政庁
の
承認
にかからしめる等、
農協法
の
必要最小限度
の
事業監督規定
を
整備
いたしました。そうしてそれに基きまして、
農業協同組合
及び
連合会
の
共済規程
に記載すべき
事項
を定める
省令
を
制定
しおります。さらに、
農協共済事業指導要綱
という通牒を出しまして、その
運営
に遺憾のないことを期しておるのでありますが、あとで
資料
について御
説明
申し上げますように、この
事業
が非常に急速に伸びてきておりまして、今まで
程度
のことでは不十分である、そこで、少くとも金を預っておるのでありますから、
責任準備金
の
積み立て
の
規定
あるいは
単位組合
における
共済事業
にかかる
会計
を、他の
事業
にかかる
会計
と区分して経理する
規定
、あるいは
共済事業
を行う
連合会
の
財産
の
運用方法
、そういうものについてはっきり法的な
規定
を置くことが、この際、必要である、こういうことで、この
改正
をお願いしておるのであります。で、ここにあります
責任準備金
は、
省令案要綱
でごらん願いますように、「
省令
の定めるところにより、」「
積み立て
なければならない。」、こういう
規定
になっております。その
省令
には、
要綱
でごらん願いますと、「
責任準備金
の
積立
」、「
法案
第十条の三の
規定
により
農業協同組合
又は
農業協同組合連合会
が
積み立て
る
責任準備金
の
種類
及びその額の
計算
は、次の各号によるものとする。」ということを
規定
いたしてあるのであります。すなわち、
積立部分
を有する
共済事業
の
種類
――これは
養老生命共済
、
建物更生共済
でありますが――は、次の額の
合計額
、すなわち(イ)
共済掛金積立金
、(ロ)未
経過共済掛金
、(ハ)
特別危険準備金
、こういう
種類
の
積み立て
であります。さらに
積立部分
を有しない
共済
、すなわち
火災共済
であります。これは、次の額の
合計額
、すなわち(イ)未
経過共済掛金
、(ロ)
特別危険準備金
、こうなっております。これの
計算
の仕方は、現にやっておる
方法
をそのまま
省令
で――今までは
指導要綱
でやっておるのを、
特令
に
規定
して、もっとはっきりしよう、こういうのであります。 さらに、「
財産
の
運用
」、これは第十条の五であります。
運用
については
省令
で「
農業協同組合
の
財産
で
共済事業会計
に属するもの及び
農業協同組合連合会
の
財産
は、次に掲げる
目的
以外の
目的
に
運用
することができない」、こういうことを
省令
で定めることになっております。すなわち一は「信用
事業
を行う
農業協同組合連合会
、農林中金若しくは銀行への預金又は郵便貯金」第二は「国債証券、地方債証券、
政府
保証債券又は農林
中央
金庫若しくはその他の金融機関の発行する債券の取得」、三は「
共済規程
の
規定
による
契約者
に対する
貸付
」、これ以外には
運用
してはならない、こういうことを
省令
で
規定
しようとするのであります。これが
責任準備金
及び
財産
運用
に関する
規定
であります。 第二点は、
中央
会の
監査事業
に対する協力
規定
であります。
農業協同組合
の
現状
とこれをめぐる客観的な情勢を考えますと、その
組織
及び
事業
運営
の刷新強化をはかることが大切でありますが、さしあたり協同
組合
の内部における
事業
監査
機能を拡充しようとするのであって、このために三十三年度予算において農協
中央
会の
監査事業
に対する
補助
金約二千万円計上しております。これに伴って、法的にも
中央
会の
監査事業
関連の
規定
を
整備
するとともに、
監査
実施の手続を明確にしようとするわけであります。外からの
会計
検査とかあるいは非違を指摘するということのほかに、検査によって
組合
の
事業
の
運営
を向上していこうというのがねらいであるから、やはり受検の
組合
の協力は絶対必要であるから、そういう
事項
に関する
規定
もこの
法律
で明らかにしよう、こういうわけであります。
法律
の条文
関係
の
説明
は以上でありますが、配付
資料
について若干補足的な
説明
を申し述べます。
農業協同組合
の行なっている
共済事業
には、
資料
の第一ページの表でごらん願うと、
養老生命共済
、
建物更生共済
、
農家
建物
火災共済
、
団体
建物
火災共済
、職員退職
共済
、自動車
共済
、輸送
共済
、こういう
種類
の
共済事業
を行なっております。おもなものは生命
共済
と建物の
共済
であります。あとの職員退職
共済
あるいは自動車
共済
、輸送
共済
などは、普遍的ではないのであります。 このやり方は、
単位組合
、県共連、全共連のいわゆる三段階によって行われているが、その
事業
の
内容
は、原則として
単位組合
は元受、県共連は再
共済
、全共連は再再
共済
の機能を果しております。その
共済事業
を行う
組合
の数は、
単位組合
が九千六百四十六、これは三十二年三月末現在。それから
連合会
は四十六、これは大阪だけができておらないが、ほかは全部できております。全国は一本、こういうことになっております。 それからその次のページの
養老生命共済
は、
共済契約者
たる
組合員
から、
共済
掛金の支払を受け、被
共済者
につき、一定
期間
、五年、十年、十五年、二十年、二十五年、三十年内に生じた死亡及び当該一定
期間
の生存を事故とし、当該事故の発生により
共済
金を交付する
事業
、これは普通養老生命保険と同じであります。
共済
金額は、一契約当り一万円より百万円までとなっております。
建物更生共済
は、
共済契約者
たる
組合員
から
共済
掛金の支払いを受け、
共済契約者
またはその親族の所有しまたは管理する建物または建物内に収容されている動産であって、
共済契約者
またはその親族の所有し、または管理するものにつき、一定
期間
内に生じた火災及び当該一定
期間
の耐存を事故として
共済
金を交付する
事業
でありまして、これは、一契約当り五万円から百万円になっております。 その次は、建物
火災共済
であります。これは、やはり
共済契約者
たる
組合員
から
共済
掛金の支払いを受け、
共済契約者
またはその親族の所有し、または管理する建物または建物内に収容されている動産であって、
共済契約者
またはその親族の所有し、または管理するものについて、一定
期間
、これは
短期
間内に生じた火災を事故として
共済
金を交付するのであります。これもやはり、一万円から百万円までになっております。 それから、
団体
建物
火災共済
、これは
共済契約者
たる会員、すなわち
組合
連合会
等の
団体
でありますが、それにつきまして火災事故について
共済
金を払うのであります。これは、一契約について五万円から三百万円、これは
団体
の建物でありますから、ほかは百万円が最高でありますが、三百万円を最高にしておるのであります。こういう
種類
のものをやっておるのです。 あと、自動車
共済
とか職員退職
共済
その他ありますが、これはほとんど活発にやっておりませんので、
内容
は省略しております。 そこで、実績を見ますと、その次の表をごらん願いますと、二十七年から三十一年までの実績を掲げております。
相当
急速に伸びてきておるのであります。 それから
共済事業
を行う
連合会
の財務の
内容
であります。五ページの第四に書いてありますが、
共済事業
を行う
連合会
の財務の
内容
については、次の
通り
であります。つまり、
単位組合
は、
共済
責任のすべてを
共済事業
を行う
連合会
に再
共済
させておりますから、
共済事業
の財務の状況は、
連合会
の財務の状況と同じと見てもらえばいいのでありますから、
連合会
のやつを出しておるのであります。すなわち七ページの表を見ながらお聞きを願いたいと思うのでありますが、資産の総額は三十二年三月三十一日現在で百三十九倍になっております。三十年度末では六十八億でありますから約倍にふえておるのであります。このうち、預金が百十五億、有価証券が一億、両者の合計が百十七億になります。それから資本、
負債
の項目で見ますと、支払準備金が一億五千で、
責任準備金
が百二十四億ということになっております。これも前年に比べますと、急速に伸びておるのであります。 以上が、
共済事業
の
内容
についての
資料
の
説明
であります。 協同
組合
の
監査事業
の
資料
が第九ページ以下に載っておりますが、これは協同
組合
に
監査
士というものを置いておきまして、そうして自己
監査
をやっておるのでありますが、
監査
士は「
農業協同組合
監査
士の選任資格を定める
省令
」、これは
昭和
二十九年に出ておりますが、それによりまして、資格試験合格者、あるいは無試験資格認定者という者で、一定の経歴のある者から無試験で
中央
会で認定している、この二つの
種類
があるのでありまして、その実際の人数は資格試験合格者が百六十五人、無試験資格認定者が三百五十二人で、五百十七人の資格者がありまして、その中から二百八十五人が現在選任されております。
中央
会の
監査
の実績でありますが、全国
中央
会の
監査
は、
監査
士が三十二年に四人おりまして、これを
補助
する者十一人、合せて十五人で二十の
組合
を
監査
しております。都道府県の
中央
会の
監査
の状況は、
監査
士が
昭和
三十二年で二百八十一人でありまして、それに
補助
者三百三十八人、合せて六百十九人が二千三百三十五の
組合
を
監査
しておるのであります。この
事業
をさらに推進しようと、こういうふうに考えておるのであります。 以上、簡単でありますが、終ります。
重政庸徳
9
○
委員長
(
重政庸徳
君) ちょっと
速記
をとめて。 午前十一時三十七分
速記中止
―――――・――――― 午後零時二分
速記
開始
重政庸徳
10
○
委員長
(
重政庸徳
君)
速記
をつけて。 これをもってしばらく休憩いたします。午後は、一時から再開いたします。 午後零時三分休憩 ―――――・――――― 午後一時五十四分開会
重政庸徳
11
○
委員長
(
重政庸徳
君)
委員
会を再開いたします。 引き続いて、
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
にし、
審議
を行います。まず、質疑に入ります。御質疑の向きは御質疑を願います。
東隆
12
○東隆君 この協同
組合
法の
改正
を通して、この中に隠れておる問題は、協同
組合
に課税をするという問題なんです。協同
組合
の
事業
に課税をするという問題が、ここに隠れておるのであります。そこで、根本にさかのぼって、私は、協同
組合
の非課税の原則ということを常に主張をいたしておりますので、その立場から伺いたいと思いますが、日本における以前の産業
組合
その他に対して、これは協同
組合
そのものが利潤を追求しない仕事であるために、おそらく協同
組合
の発足以来、協同
組合
の
事業
そのものに対しての利益、そういうようなものはないのでありますから、従って、それに課税をしない、こういうのが、これが基本の原則で、世界的にそういうことが行われておったと思うのです。それが第一次欧州戦争、ああいうようなものを契機にして、協同
組合
に対する課税が認められた。こんなようなことになって、日本においてもそういうような先例に従って税金をかける、こういうようなことになってきて、そうして現在に至っては、利潤を追求しない、しかも民主主義的な
経営
をやっておるところの協同
組合
の
事業
に対して課税をする。こういうことが平気で行われておる。こういうのが
現状
だろうと思うのであります。従って、協同
組合
法に強制
規定
があるなしにかかわらず、当然協同
組合
の
事業
に対して免除をするのが、これが本来からいって正しいことだとこういうふうに考えている。その点はどういうふうにお考えになっているか、これを一つお伺いしたいわけです。
渡部伍良
13
○
政府委員
(
渡部伍良
君) 産業
組合
時代当時と現在の協同
組合
法との課税の状況が御指摘の
通り
違ってきております。しかし、これは世の中の経済機構なり、経済
組織
の変化からですね、お説のように、協同
組合
そのものについて、頭から課税をしてはならないという説で通してきていない実例があります。しかし、これはやはりこの協同
組合
の本質からいって、協同
組合
が一般株式
会社
等のごとく、資力のある者が寄って、その資本によって利潤を獲得する、こういうものとは違った本質を持っているような気がいたします、課税上の
相当
程度
の差をつけることがいいということは、これは大多数の人がそう考えるのじゃないかと思います。そうしますと、結局どの
程度
の差をつけたらいいかということが、先ほど申し上げましたその当時の経済事情なり、経済
組織
、経済機構のもとで考えられるべきじゃないかというふうに考えられるのでございます。現在法人税あるいは所得税、登録税、印紙税あるいは地方税等につきましても
相当
程度
の差はついておりますが、先ほどから申し上げますように、協同
組合
は、資力のある者もない者も一緒になって、相互扶助、共存同栄のために
組織
しておるんですから、もっと安い方がいいんだと、われわれはこういうふうに考えております。
東隆
14
○東隆君 この
共済
関係
の
積立
金そのものの
内容
ですね、これは、利潤を追求するために
積み立て
ておるのかどうか、こういう問題ですね。これは決して利潤を追求していない
関係
で、かえって、大蔵省の方から考えてみても、
積み立て
をする、安全な
経営
をする、こういうふうなことから考えて、当然、こういう
種類
のものは、協同
組合
がやる場合には、免除をしなきゃならぬ、こういうことは当然に考えなきゃならない。そういうような場合に、農林省の考え方と大蔵省の考え方との間に非常に大きな食い違いがある。ただいまの非課税の原則というものを農林省が堅固に支持して、そして大蔵省と話し合いをする、こういうことによって、この問題は当然解決しなければならぬ問題ではないか。あえて
法律
を直さなくとも、こういう
種類
のものは当然免税さるべきものである、こういうことが確立されていかなきゃならない。ある協同
組合
の
法律
には強制
規定
があるから、そこで免税をする。それよりも長い歴史を持ってそしてやっておるところの協同
組合
は、強制
規定
でない、そのために課税をする。こういう考え方が、協同
組合
そのものの本質に立って折衝をしないところに起きてきておるのじゃないか、私は、こういうふうにも考えるわけです。私は、そういうような点で、協同
組合
そのものの考え方を、大蔵省にはっきりと一つ今回のこの機会に植え付けておかないと、これは将来いろいろな問題が起きてくると思う。単にこればかりじゃなくて、あらゆるものにこういうような
規定
をしなければ税金を取ると、こういうようなことになって、協同
組合
がこれから、
組合員
のためにやるところの仕事は、各般の仕事がある。それが進んでいけば進んでいくほど、強制
規定
がなければやっていけないと、こういうような形になっていって、そして、本来の民主主義の機構であるところの協同
組合
の中に、強制機構を持ってくることによって、協同
組合
そのものを非民主的なものにしていくおそれが多分にあるわけです。協同
組合
というものは、そういうようなものじゃなくて、
組合員
の総意によって
決定
をして、そうして、利潤を追求しない、こういう原則のもとに立っておるんですから、こいつを、
法律
を、あまり民主的な機構をこわさないような形でもって当然免税さるべきものであると、こういう形に持っていかなきゃならぬ。そういう点を、農林省の方は頭の中に入れてやっていかないと、常に、仕事をすればするほど、そいつに今度はからんできて、そうして税金を取り上げられる。これは、営利を
目的
とした仕事と全然違って、そうして、しかも、今回の場合のこれなんかは、
積み立て
をすることによって非常に
経営
が安全になっていって、そしてその協同
組合
以外の
関係
にも非常に好影響を及ぼすものである。そういうようなもので、これは当然もう免税をさるべきものなんですから、だから、そういうような場合に、
規定
を持っていかなければ免税にならぬと、そういうような考え方は、これは協同
組合
というものの本質が、税を取る方の側にはっきりしていないということなんです。私は、その点を強力に、一つこういうような機会に、推し進めていく必要があろう、こう考えるんですが、その点はどういうようにお考えですか。
渡部伍良
15
○
政府委員
(
渡部伍良
君) お説の
通り
でありまして、一方からいいますと、
各種
の税金は、
各種
のそれぞれの
法律
に基いて
規定
されておるのでありますから、その中に、特別
規定
で落すということにならなければ、今のお話の本質論から、すぐは免税ということは出てきませんから、どうしても、こういう法人にはこれこれの税金は課すべきでないということを明確にする意味において、今度も法人税法の対象として法人税法によってかける法人から脱落さす、その
目的
で
法律
を
改正
しておるのでありますから、今後も引き続いて協同
組合
の本質、それに対する税法上の取扱いについては、私の方でも
努力
していきたい、こういうように考えております。
北村暢
16
○北村暢君 今度の
法律
改正
の
目的
が、今、東
委員
が指摘いたしましたように、税を免除するということに裏の
目的
があるようでありますが、
農業協同組合法
の第六条には免税の
規定
があるわけです。この
規定
は、
組合員
に剰余金の配当に対するものについて租税を課さない、こういう
規定
があるのでありますが、この条項と、従来
農業
共済事業
を行っておりました法人に対する課税がなされておったということとの、何ゆえそういうような課税がなされておったか。今聞くところによるというと、法人税から、政令で除外するということのようですけれども、もっと早くこれはなされるべきでなかったかと思うのですがね。どういうことで今まで課税の対象になっておったか、この点について、ちょっと御
説明
をいただきたい。
渡部伍良
17
○
政府委員
(
渡部伍良
君) ただいま御指摘の
農業協同組合法
第六条は、ここにありますように、「剰余金の配当に
相当
する金額については、租税を課さない。」これは、まあ
会社
でいえば利益配当の分について、
事業
分量割の部分については課さない、それだけでありまして、そのほかに、たとえば、法人税についてはどうする、所得税についてはどうすると、こういうことがそれぞれの法人税法、所得税法等で特例がまた別途にそれぞれの
法律
で置かれておるわけであります。その六条の分は、今の利益配当に
相当
する部分だけのことでありますから、ほかにたくさん税がありますから、それぞれ、たとえば、印紙税法等では、
組合
の発する出資証券、貯金通帳、積金通帳、積金証書、そういうものとか、あるいは
組合
または
連合会
の発する貯金証書で記載金額三千円未満のもの、あるいは系統
組合
及び
連合会
相互間の受取書、
農業
倉庫証券、そういうものは印紙税法で印紙税を課さない、同様な若干の例外が登録税にもありますし、所得税にもそれぞれあるわけです。この
積立
金の今度の
改正
の裏にある法人税を免除しようというのは、お話のように、元来これにかけるのはおかしいのでありますが、しかし、税の建前から、税の方で、そういうものをかけないといわなければ、性質上、取らなきゃいかぬ、取らなければ、何といいますか、税務担当者は
法律
違反になるわけですから、
法律
違反にならないようにするのは、法人税法の施行規則の中で、これはかけないのだということがいえるようにしておかなければならない、それをなぜ早くやらなかったのか、こういうのでありますが、御指摘のように、もっと早くやるべきであったのでありますが、これは先ほどお話がありまして、協同
組合
について、もっとほかのところにも
改正
すべき点があるのではないか、一諸にしたらどうかということが第一点と、それから協同
組合
の
共済事業
そのものに、先ほど私が
説明
したときに、もっと法的な
規制
を――ただ、一般の保険では、保険業法がありまして、これは非常にたくさんの人の金を預って管理するのでありますから、その管理がうまくなければ、
関係
者に非常な迷惑を及ぼすのでありますから、当然その管理についての
規定
があるべきだ、これも今準備中であります。金額が少いときには、たとえば、先ほども申し上げましたように、
積立
金がまあ百億をこしております。それは前年に比べて約倍になっております。三十二年度ではおそらく二百億、やはりことしの倍ぐらいになるのではないかと思います。そうしてきますと、小さいときであれば、この
積立
金の
運用
についても、
相当
の利回りに
運用
ができるわけでありますが、それがたくさんになってくれば、
運用
もむずかしくなってくる。これの管理について、はっきりした
規定
を置きたい、こういうので準備しておるのでありますが、その
法的規制
は、当然これを直そうとしておったのでありますが、それが手間取っておりまして、
相当
膨大な
規制
法律
になりますから、それを待てない。この分だけは、予想以上に積金がふえてきておりますから、早く税金の対象から除外してもらいたい、こうなるのであります。大体ことしだと三千万円くらいの免税額になる予定でありますから、
相当
の金額になるわけであります。
北村暢
18
○北村暢君 そうしますと、今言われましたように、この剰余金に対する配当に対してすら免税されるのですから、特に
事業
の一つとしての
共済事業
、その
趣旨
からいえば、
共済事業
なんですから、もちろん営利を
目的
としていない。税の減免
措置
というものが当然なされることが、
理由
としては成り立つものであったということですが、それが今日まで問題にならなかったというのは、その発足当初からいって、その額そのものが大した額にもなっておらなかった、そういう点もありましょうし、今ようやく三千万ぐらいに税額がなっておるということで、すみやかに減免
措置
をやることが当然だったと思うのですが、
法律
の不備からこういうことがあったと思うのですが、今仰せられましたように、いろいろほかの面についても検討を要するところがあるようでありますから、私は、非常に
政府
としては、これはやはり問題が水産協同
組合
の場合は、初めから除かれておった問題で、それとのバランスからいっても当然早く考えられるべきで、今まで出なかったということは、非常に怠慢であったのじゃないか、こういうふうに思うわけです。従って、これ以外のいろいろな問題についても、先ほど東
委員
が指摘いたされましたように、協同
組合
の
事業
の税の減免
措置
というものが、原則として営利を
目的
としない
事業
でありますから、私もそうあるべきだと思う。
政府
は、すみやかにそういう準備をやるべきである、こういうふうに思いますので、これは答弁は要らないと思いますので、要望をいたしておきます。
東隆
19
○東隆君 私は、
共済
関係
でもって蓄積された資本というものは、これは普通の協同
組合
の信用
事業
における
資金
のように
短期
の
資金
でなくて、将来これは
長期
の
資金
に当然
運用
していかなければならぬ筋合いのものである。これは
農業
保険が日本に一番初めに到来したときにペー・マイエットなんかが強力に主張をしておったことであって、農村金融のおそらく中心になるところのものは、
農業
保険を通して
長期
の
資金
が得られ、この
資金
を十分に農村に還元をして、そうしてこれを生かすことによって、初めて農村金融というものは完成をするものである、従って、早く
農業
保険をやるべきである、こういうのがぺー・マイエットなんかの明治二十年代ごろにおけるところの強力な主張であったのです。ところが、それが行われないでずっと続いておって、日本では保険
事業
というものはことごとく営利
事業
でなされてきた。従って、農村には
長期
資金
を蓄積するところの機関が一つもなかった。そうして財政投融資というような
関係
でもって預金部
資金
が流れたりなんかして、辛うじて
長期
資金
をまかなっておった。そのために農村は資本的に蓄積が一つもできなくて、そうして常に経済界の変動によって苦しめられてきた。こういうのが、私は日本の農村の姿であると思う。従って、この
共済事業
によって蓄積されるところの資本というものは、当然農村に還元されるべきものである。ところが、今お考えになっておるところの
財産
の
運用
のやり方は、非常にそういうようなものとはかけ離れた考え方になっておる。単に安全ばかりを考えて、そうして農村にこれが還元されていかない。ただ中金の余裕金として存在をする、あるいは国の債券や地方債券、そういうようなものに固定されて投資をする。農村の住宅の建設もできないし、土地改良も根本的にやれないし、それから農村におけるところの病院の建設なんかも私はできないと思う。厚生
事業
を進めていくために
資金
を借り出そうとしても、なかなかこれは容易じゃない。しかし、こういう
積み立て
られた
資金
こそ、農村厚生
事業
に投資してもいい
資金
じゃないか。あるいは
農家
の住宅を建設するためにこの
資金
を使っても、そして考えようによれば、この
積み立て
られた
資金
というものは、これは金利というものを、見ようによっては非常に安い金利のものに使えるところの原
資金
になるわけです。ところが、この考え方からいけば、これは単に預金として、その金利だけを利用するというような形に、これがなっておるために、
共済事業
をやるところの本来の大きな
目的
から、これは非常にそれてしまう。このやり方を、従ってもう少し道を開いて、たとえば
農家
の住宅を建設する
資金
のためにこれは使うことができるのだ、こういうふうにすれば、結局いい住宅に入れば衛生方面もなにいたしますし、それから生命が延びれば
共済
料金もたくさん入ってくる、
拡大
されていくわけです。火災
関係
の問題にしても、りっぱな家をこしらえれば、不燃質の家をこしらえれば、これは火災にかからないで済む。そして、しかも安い保険料でもってやっていく、こういうような非常に重要な農村の
資金
として、しかも
長期
資金
として非常に重要なものを、それを変な方面にみんな使わなければならぬ、こういうふうに
規定
をするのは、これは農村金融本来のものを忘れてしまっておるところのやり方である。こういうように考える。この点はどういうようにお考えですか。
渡部伍良
20
○
政府委員
(
渡部伍良
君) ただいま御指摘の点は、この
制度
ですね。非常に重要な問題じゃないかと思います。私どもも、考えようによっては、
共済
の
目的
を達すれば、この
積立
金は無利子で貸してもいいのじゃないか、安全に返ってくるならば。ところが、御指摘のように、
共済
の
目的
と、その
積立
金を利殖してその
積立
金をまた配当する、こういうふうに二重に使っていることになっているのです、現在。ところが、また別の方面からいいますと、現在までは金が比較的少いですから信連に預け、中金に預ける。これはほとんど現在までは百二十四億のうち百十五億は系統機関の預金になっております。有価証券その他わずか一億ぐらいになっております。これぐらいの金ならば、それで
運用
ができると思う。これが二百億になり五百億になるということになると、もう中金なり信連でも、そういう金を頂って、現在のように六分五厘とか七分で預ってはくれなくなる、当然。従って、これを御指摘のような
農業
生産
の拡充の
長期
的な
運用
の方に向けなければならないということは、われわれもかねてからそういうことを
関係
者で相談して、ぜひそういう
方法
を確立したらいいじゃないか、また別の議論としては、これを
長期
に
運用
するとすれば、現在農林
漁業
金融公庫に預けて、農林
漁業
金融公庫の一つの
長期
資金
として
運用
してもいいのじゃないか、いろんな案を今検討しております。しかし、根本はどうしてもこの
積立
金を有利に利殖して、そこでもうけるという考え方をやめて、
共済
でその
財産
を
保護
する。その
積み立て
た金は、もっと
長期
に
農業
生産
を
拡大
する方向に用いるべきである。この方向は私ども全く同感でありまして、どうしてもそうしてもらはなければいかぬというので、今
関係
者で案を練っているのであります。ただいままでの、ただいま
省令
案としておりますのは、「
共済規程
の
規定
による
契約者
に対する
貸付
」、この中で一応やればできることになるのでありますけれども、もっと何と申しますか、根本的にそういう
制度
を、この
共済事業
の中で打ち立てていく必要がある、こういうふうに考えております。
東隆
21
○東隆君
農業
災害補償法による
農業
共済
組合
で、
家畜
の診療所をやっておる、これは割合に、よその方はわかりませんけれども、北海道なんかでは非常にスムーズにいって、なかなかいいのですが、そうして、かえって人間の病院よりも充実しているのじゃないか、農村においては。従って、そういうようなことを考えて参りますると、
共済
関係
の、特に生命
共済
というようなものを中心にした場合、そこから上げられてきたところの
積み立て
られた
財産
は、私は当然農村における厚生
事業
、こういうようなものに投資をする道を開いておいた方が、これは将来のために非常に明るい
資金
の利用面になるのじゃないか、それで、これを
関係
をもし非常に困難なものにするならば、
共済事業
が付帯
事業
として厚生病院をやる、こういうような考え方も一応考えられる。それで、そういうような考え方でもって、当然あの
事業
を広げていかなければ、厚生
事業
というのは、どこの県もおそらくそううまくいっていないのじゃないか。しかし、あの仕事は非常に大切な仕事ですから、その方面に融資をする、こういう道を一つ、何らかこの際、開いておかなければいかぬ、こういう考え方ですが、この点、一つどういうふうにお考えですか。
渡部伍良
22
○
政府委員
(
渡部伍良
君) これはもうすでに
議題
になっているのでありまして、今まではこの金は系統預け、国債、それから有価証券ということで、今お話いたしましたように、ほとんど全部が系統預けになっております。それを、お話のように、
組合員
に還元する
方法
で、直接信連を通ぜずに、この
共済
の
単位組合
から流した方がいいのじゃないか、こういう意見が出てきているのであります。私は、
拡大
的にやった方がいいというので盛んに中で議論しているのでありますが、ただ、今
程度
の金額であれば、二百億ぐらいであれば、全く系統預けでやった方が安全確実じゃないか、こういう意見の方が現在のところ強いのであります。しかし、お説は私全く同感でありますから、今度の
省令
をきめるときには十分そういう点も取り入れまして、ここにお配りしている
省令
案の、この
内容
については、十分そういう御意見が実現できるような方向で考え直していきたい、こういうふうに考えます。
藤野繁雄
23
○藤野繁雄君 多年の懸案でありました
農業協同組合
及び
農業協同組合連合会
が行う
共済事業
の
責任準備金
の
積み立て
義務の法制化について、今回ようやく
政府
から
法律
の
改正
が提出されるに至りましたことは、おそきにすぎるうらみがあるのでありますが、この点については、
政府
の労を多とするものであります。私は、この機会に、
農業協同組合
及び
農業協同組合連合会
に関して、諸般の
事項
にわたって問題を究明し、
政府
の所見をただし、その誰処を求めたいのでありますが、
責任準備金
を
積み立て
義務の法制化は、法人税の取扱い等との関連において急を要し、従って、この
法律
のすみやかなる成立が要望されておりますので、農協の基本的な問題に関する
審議
は他の機会に譲ることといたしますが、ただ一言、本
法案
成立の上は、
特別危険準備金
は、他の例に見るように、所得の
計算
上損金に算入するよう取り扱われるものと期待し、その実現方について、農林当局の善処を求めるものであります。この
法律案
の提出までの経過から考えてみますると、
農林政務次官
は大蔵政務次官と十分な検討がなされておるのでありますから、この点について、
農林政務次官
の決意を承わりたいと思うのであります。
本名武
24
○
政府委員
(
本名武
君) ただいま藤野
委員
の御意見まことにごもっともでございまして、われわれも本
法案
のすみやかな提出と、そうして成立を久しく期待いたしておったのであります。本日はここに御
審議
をいただきまして、さらにこの
法案
の本質的な
目的
と申しますか、われわれの念願いたしておりますところは、やはり
責任準備金
に対する課税の問題だろうと存じます。この点につきましては、大蔵当局とも完全な折衝をいたしまして、必ず御要望の
通り
の実現を期することを確信いたしております。従いまして、この点については何ら御懸念をいただかなくても、本
法案
の成立後において、ただちに法人税の政令の
改正
を行いまして、本年度内に実施いたしますことを、ここにはっきり申し上げて、お答えにかえたいと思います。
重政庸徳
25
○
委員長
(
重政庸徳
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
重政庸徳
26
○
委員長
(
重政庸徳
君)
速記
をつけて。 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
重政庸徳
27
○
委員長
(
重政庸徳
君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御発言もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
重政庸徳
28
○
委員長
(
重政庸徳
君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
を、原案
通り
可決
することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
重政庸徳
29
○
委員長
(
重政庸徳
君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案
通り
可決
すべきものと
決定
いたしました。 なお、本会議における口頭報告の
内容
、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
重政庸徳
30
○
委員長
(
重政庸徳
君) 御異議ないと認め、さよう
決定
いたしました。 なお、本案を可とされた方は順次御署名をお願いいたします。 多数意見者署名 柴田 栄 藤野 繁雄 鈴木 一
清澤
俊英 雨森 常夫
佐藤清一郎
田中
茂穂 仲原 善一 堀 末治 東 隆
大河原一次
河合 義一 北村 暢 北 勝太郎 千田 正
重政庸徳
31
○
委員長
(
重政庸徳
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
重政庸徳
32
○
委員長
(
重政庸徳
君)
速記
を起して下さい。 では、これで休憩いたします。四時から再開いたします。 午後二時四十一分休憩 ―――――・――――― 午後四時十六分開会
重政庸徳
33
○
委員長
(
重政庸徳
君)
委員
会を再開いたします。
日ソ漁業交渉
並びに
国際漁業問題
に関する件を
議題
にいたします。この件について、千田
委員
から御質問の御要求がございますので、この際、御質疑を願うことにいたします。
千田正
34
○千田正君 どうも非常におくれた時間で、しかも各
委員
の方々が勉強されておることは十分
承知
しておりますが、私は、大臣に注文を発したいのであります。それは、予算
委員
会が開いている間は、全然
委員
会に出られないのかどうかということを、これは冒頭に一つ聞いておきます。 とりあえず私は、時間もありませんから、端折って
重点
だけをお尋ねいたしますが、日ソ
漁業
条約の、ただいまそれを中心として
委員
会が開かれておりますし、またモスクワにおきましては、日本の代表が行って交渉中であるけれども、ちっとも進まない、それで一九五六年十一月のいわゆる北西太平洋の公海における
漁業
に関する日本国とソビエト社会主義共和国連邦との間の条約に基く
漁業
委員
会が、ただいま開かれておりますが、先般来の状況を見るというと、
漁業
条約を中心じゃなくして、むしろ政治的な面において、サンフランシスコ平和条約の問題とからんでソ連側は持ち出してきて、なかなか進んでいない、ところが現実においては、北洋
漁業
に進出すべき準備を整えなければならない時期に到達してきておる、間もなく、従来であったならば
漁業者
はすでに仕込みの準備をしなければならない、そういうときに追い込まれできて、今日まだもたもたしている、一体この見通しはどうなるのか。これは、われわれ
委員
会の
委員
ばかりでなく、毎日の新聞あるいはラジオ等を通じましても、国民のひとしくこの問題に関心を持っていることでありますが、大臣としてはどういう見通しをつけておられますか、一応お伺いをいたしたいと思います。
赤城宗徳
35
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 予算
委員
会に出ている間は
農林水産委員会
に出られないのかというお尋ねでありますが、極力出るつもりで、実は今日もまた予算
委員
会をやっておりまして、私に対する質問が、次の次の人もありますが、極力時間をさいて出るつもりであります。ただ、問題によりましては、その人が質問しております間中おりませんと、いろいろの問題が出ますので、また、予算
委員
会に力を注いでおりますので予算
委員
会に出ているわけでありますが、予算
委員
会に出ておる間は決してこちらの
農林水産委員会
に出ないという原則じゃありませんから、時間をさいて出て来ておるわけであります。 また、今お話のように、日ソ
漁業
に関する
委員
会が今開かれているのでありますが、これはお説の
通り
、一昨年の日ソ
漁業
条約に基いての交渉といいますが、
委員
会の場で協議をとげておるのでありますので、私の方といたしましては、サンフランシスコ条約とか、あるいはまた日ソ間の平和条約とからんで問題を考えるべきものでなく、また、先方においてもこれとからみ合わせてこの
委員
会の
審議
を進めていくべきものではない、こう考えております。事実の問題といたしましても、御
承知
の安全操業問題につきましては、安全操業の申し入れに対しまして、交渉に入ろうということを、一時昨年向うから回答があったのでありますが、最近におきまして、平和条約問題を議するに熟しておらないから、安全操業に対する話し合いもまだ時期ではないというようなことを言ってきております。しかし、このサケ、マス等の
漁業
交渉
委員
会においては、先方においてサンフランシスコ平和条約等にからんで話し合いを持ち込んできている情勢ではありません。そこで、私どもの方の
委員
も、向うの
委員
も、三人ずつ六人出て、あるいは本会議あるいはまた科学技術小
委員
会等において
審議
を続けている、あるいはまた代表が、向うのしかるべき人と話をしているということで進めてきておるわけであります。問題は、私は非常にむずかしい問題であるとは考えておりますが、情報をだんだんに私どもの方でも聞いておるのでありますが、いろいろ小さい問題等につきましては、小さいといっても重大な問題でありますが、いろいろな
提案
を向うから出してきていますが、そういういろいろな問題も、逐次技術小
委員
会等におきまして話し合いがきまってきている面もあるのであります。たとえば、はえなわ
漁業
禁止というようなものは、
規制
区域外の問題でありますが、こういう問題も、話し合いがついて、向うで
提案
を撤回している、こういうことにもなっておりますし、カニの問題等につきましても、
相当
歩み寄りをしておるというような状態であります。こういう状態でありますので、非常に総漁獲量等の問題をめぐっては、これはなかなかむずかしい問題になろうかと考えておるのでありますが、私は、これは新たに
漁業
交流をしておるというのじゃなくて、今お話ししたように、日ソ
漁業
条約の軌道に乗って、その場においての話し合いでありまするから、結論を得ないと最後まできまらぬというふうには私は見ておりません。しかし、漁期が切迫してきておりますが、去年きまったのは、御
承知
のように四月の六日ごろにきまったのでございます。でありますので、切迫はしておりますが、まだ私は、去年から比べれば
期間
もあるように考えておるのでありますが、しかし、出漁する方面から見ますならば、非常に気がせくといいますか、そういうことがあるわけであります。そういうことでありますので、私どもは、今出先におきまして、モスクワにおきましても、時期は迫っておるが、譲歩してということでなくて、やはりわれわれの方の主張を、科学的根拠に基いて貫徹に万全を期しておるという状態でありますが、操業開始時期をも考えまして、交渉の進展に応じて、それぞれ準備等について
所要
の
措置
を進めていきたい、こう考えております。
千田正
36
○千田正君 私は、今これから聞こうとする問題は、あるいは
農林大臣
にお聞きするのは妥当であるかどうかわかりませんけれども、お答えができるならばお答えしていただきたいと思います。日ソ共同宣言のうちの第九項におきまして、日本国とソビエトの両方の共同宣言の中に、歯舞、色丹は日本の要望の
通り
譲ろう、ただし、これは平和条約を結んだあとでなければこれは実行できない、やるわけにはいかない、しかし、要望に沿うて返す、返還するということを、共同宣言の中に堂々とうたっておるのであります。それで、今問題になっておるいわゆるこれを中心として、北海道周辺の沿岸漁民の諸君の特に強い要望があるわけでありますが、その歯舞、色丹を中心とする
漁業
が自由にやっていけるかどうかという問題、四十八度線以南におけるいわゆる中部千島における流し網、はえなわ等に対しては、従来の
通り
、何ら制限を受けることなくして漁獲ができるか、どうか、この見通しはどうですか。
赤城宗徳
37
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 日ソ共同宣言といいましたか、その中には、今御指摘のように、歯舞、色丹は日本の領土と認めて、平和条約のときに、平和条約締結のときにこれを引き渡す、こういうように書いてありますので、平和条約のときには引き渡すことになっていますが、現在は、事実上占拠しているといいますか、占有しているといいますか、占拠している。こういうふうになっていますことはお話の
通り
であります。そこで、まだその引き渡しを受けておりません。択捉、国後等はまだ問題が解決しておりません。引き渡しを受けておりませんので、向うでは事実上占拠しておりますから、これは領土からいえば、領海という問題も、ほんとうは日本の三海軍でいいわけでありますが、この点につきまして、引き渡し前においては、向うの方でも十二海里というような考えを持っておるのじゃないかと思います。
法律
的にいえば、引き渡しはしていないが、事実日本の領土として認めておるのでありますから、領海も従って日本の解釈でいいはずだと、私は考えております。向う側では、そうは考えておらないのじゃないか。でありますので、その近辺に入って漁撈に従事するということになれば、やはり向うでこれを拿捕するというようなことが、今までのようにあると思います。北海道の方からも、領海の問題はいずれにしても、あるいはこの領海を認めても入りたいという申し出があり、あるいはまた、ソ連がそれに応じたというような話も、間接には聞いていますけれども、しかし、私どもといたしましては、十二海里という領海を認めるという前提のもとにそこへ入って行くというようなことは、これはとるべき態度でない、こう考えているわけであります。それから四十八度以南につきまして、向うで
規制
区域を拡張しようという考え方があるようであります。これは正式に要求しているわけではありませんが、そういう動きがあるように私どもも察知しておるのであります。そこで、流し網の
規制
につきましては、この区域にも適用しようとする要請はしておりますが、これにつきましては、私どもの方としては拒否している、こういう
現状
であります。
千田正
38
○千田正君 四十八度線以南の流し網等は、御
承知
の
通り
いわゆる中小企業を主体とした漁民であることは、これは私が申しあげるまでもないことであって、これといわゆる大資本を背景にした船団との
漁業
の競合点において、いろいろな問題が起きてくるおそれがあるのでありまして、これは、今あなたのおっしゃる
通り
、北海道の漁民の方々ももちろん多いのでありますから、非常にこれは、将来ソ連側が強く制限区域を主張してきた場合において、これは敢然に圧縮されてしまう、そういうおそれが多分にあるわけであります。で、ただいまあなたがお答えなされました
通り
、日本側は敢然としてそれを退ける、こういう御意思のあることは私は非常に敬意を表しますが、同時に私は、このほかにもう一つ、非常に現段階でふに落ちない問題が起きている、ということは、今月の初めにおいて、日本の漁船が、大体タラ
漁業
と思いますが、五隻ばかり行方不明になっている、これは外務省あるいは
水産庁
あるいは海上保安庁を通じまして、これらの船主並びに漁夫の家族が、極力捜査を願い出ております。しかるに、これは消息を断っている。海上保安庁からは「だいおう」が行って、その周辺を
調査
したにもかかわらず、遭難したとおぼしきものが一つも見出すことができない。そうすると、当時の風浪その他を考えまして、これはソ連領土内に、あるいは風の強かったために避難したかもしれぬ、そのまま拿捕されたのではないか、こういう危惧がある。で、日ソ
漁業
委員
会がちょうど開かれているさなかであって、こうした拿捕というものが、その陰の一つのソ連側のゼスチュアとして行われているという杞憂も、われわれは感ずるのであります。で、一体この漁船五隻がどうして行方不明になったのか、この点について、
水産庁
なりあるいは外務省なりに、この問題について何らかの情報が入っているかどうか、これをお聞きしたいのです。
奧原日出男
39
○
政府委員
(
奧原日出男
君) 非常に残念に思うのでありますが、まだわれわれ情報をよくつかんでおらぬ次第でございます。
千田正
40
○千田正君 これは、あらゆる面から見まして遭難と見受けられるふしがないのであります。むしろ逆に、いわゆる中部千島あるいはその他の所に避難した、避難と同時に、あるいは拿捕されておるか、抑留されておるだろうという推測を下さざるを得ないのであります。で、今、大臣のおっしゃったような領海侵犯ということは、将来
相当
問題が起きてくる、こういう際に、私は強くソ連のあり方に対して、日本側として要請すべき問題があるのではないか、ということは、一九五六年のこの条約の中にも、海上において遭難した人の救助に対する両国の協定があるはずであります。それに基いて、これは、きょうは外務大臣が来ておりませんから、私は強く要請できませんけれども、事は漁船の問題であって、
相当
の人数が乗っておるわけでありますから、堂々とこういうことに対してはソ連側の
調査
その他に対して、報告を求むべきじゃないか、これは大臣の方からも特に要請していただきたい。 それで、次の段階といたしまして私のお伺いしたいのは、ソ連側は常にの
漁業
条約を中心とした会議のときに、いつでも、日本の背後にはアメリカがあるのじゃないか、アメリカというものが背後にいて、日本というものを抑制しておるから、われわれとの間の話がいつでももつれ合うのだ、こういうふうなことをあらゆる機会を通じてソ連側は報じておるわけであります。そこで、たとえば今度のいわゆるサケ、マス等の
漁業
に対しましても、一方的にソ連にばかりあなたたちは要求するのはおかしいじゃないか、北部太平洋というものは、カナダなり、あるいはアメリカに通ずるところの海である、なぜアメリカやカナダに対しては、あなた方は要求しないのだと、こういうことを一面においては言うておる。そこで私は、
昭和
二十六年の十一月に結ばれた日米カナダ
漁業
条約における日本側としての立場というものは、今まで条約を守ってきた、しかし、魚類の資源
保護
ということに対しては、
相当
のマンネリになってきたのじゃないか、一面、これはある意味においては、日本の
漁場
の拡張という意味からいっても、アメリカやカナダに向っても、ある
程度
の開放を迫ってもいいのじゃないか、これに対して、大臣はどういうふうなお考えを持っておられますか。
赤城宗徳
41
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 日米カの
漁業
関係
につきましては、昨年中も、こちらからも出ていって会議を続けておったわけであります。ところがこれも御
承知
の
通り
でありますが、向う側から見るというと、これは西経百七十五度の西の方に、アメリカ系のマスなども入ってきておるのじゃないか、こういうふうなことも言っておるのでありますけれども、これは条約の基本的な問題が、西経百七十五度の線が、アジア系、アメリカ系のサケ、マスを公平に分つという一つの暫定的な線でありますので、これから日米カ三国が、条約に基く
調査
研究を行なって、アジア系、アメリカ系のサケ、マスを最もよく分つ線を
決定
したときには、これにかわるべきものが定められるものだと私ども考えております。この
調査
研究もすでに四カ年実施されておりますけれども、なお、今後も
調査
を進めていかなければならない点が多いと考えます。お話の点につきまして、
調査
研究の進捗に伴いまして、これに対して慎重な検討を加えた上、わが方の立場を明らかにしたい、こう考えております。 そこで、今の
日ソ漁業交渉
問題等につきましても、ソ連側にのみ話をしておって、アメリカ側等に対しては、主張すべきものを主張しないで、むしろ弱気じゃないかというような見方がないとは限らない、あるいはまた、今お話のように
相当
あるのじゃないかという気もいたしますけれども、そういう点も留意いたしまして、昨年度の日米カの
漁業
の問題の話し合いのときにも、わが方としては、アメリカ、カナダ等についても、わが方の主張を強く押し通してきましたので、あの
委員
会において、あるいは小
委員
会等において、西経百七十五度の線をもっと西の方へ持っていってくれというような向うの主張などは、まあけっておいたようなわけであります。でありますので、決してアメリカ等に対して、主張すべきものを主張しないということでなくて、やはりこの方にも主張してきておるのでありますが、残念ながら、そういうことがソ連の方に聞えていないといいますか、認識されていないということでありますならば、非常に残念であります。出先の
委員
等にも、御注意のようなことを、なお伝える機会を持ちたいと、こう考えます。
千田正
42
○千田正君 今の問題は、これはマッカーサー・ラインの当時、占領海域内にかわるべき条約として、アメリカ及びカナダが持ち出してきたところの条約であって、われわれからいえば、公海に一線を引かれるということは非常に残念であります。当時の状況からいいまして、日本側が被占領国という立場においてやむを得ずああいう条約を結んだとさえもわれわれは考えるのでありますから、機会あるごとに――これは今日においてブルガーニン・ラインあるいは李承晩ライン、いろいろな面において公海の自由操業というものが狭められておる今日でありますから――こういう問題は、逐次
改正
に持っていかなければ、日本の
漁業
というものは衰微する一方にある、私はかように考えますので、この点も十分に研究していただきたいと思います。 次に、三月早々アメリカ側はまたビキニ及びエニウェトクにおいて原子爆弾の実験をやるということを声明しております。これに対しては、日本側は受諾しておるのかどうなのか。また、農林当局としましてはこれに対応するところの何か処置をしておるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
赤城宗徳
43
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 今のエニウェトクにおいてアメリカが核実験をするということにつきましては、
政府
としてもかねてからこれが中止を要望してきておるのであります。私どもも、この場所において核実験をするということにつきましては、まことに遺憾に存じております。二月の二十日に在米大使を通じまして、重ねて本実験の中止を要請いたしております。 それから前の賠償の問題も、まだ抗議を申し込んで解決を見ておりません。この方面も押し返して賠償の要求をしておるのでありますが、今エニウェトクにおいて核実験をするということにつきましても、強くこの中止を要請しておるのでありますが、かりに実験が強行されるにおきましても、これによって生ずるすべての損害は、アメリカが賠償すべきである、こういう旨の申し入れもいたしております。前にも核実験の中止を申し入れておったのでありますが、強行されております。また今度も、強く申し入れてはおりますが、強行される場合に、捨ててもおけませんので、
漁業
関係
からいいまするならば、核実験による被害を避けるために、二月十七日に、とりあえず危険区域の設定について、
関係
都道府県
漁業者
団体
及び郵政省の地方機関でありまする
漁業
用海岸同等に対しましてアメリカ側で核実験の意図がある。これについては抗議を申し込んでおるけれども、あるいは強行するかもしらぬから、こういうことで
関係
漁業者
に周知徹底方を通知いたしておるわけであります。
千田正
44
○千田正君 昨年のイギリスの実験等に対する損害賠償あるいはそういった要求に対して、イギリス側の回答なり
措置
はあったのでありましょうか、どうでありましょうか。
奧原日出男
45
○
政府委員
(
奧原日出男
君) イギリス側に対しまして要求を提出いたしたのでありますが、まだそれについての回答を受領する段階に至っておりません。
千田正
46
○千田正君 どうもこの間の問題、こういう問題が非常に日本にとっては重大な問題であるにもかかわらず、どうもしり切れトンボになってしまう。そうして大国から押し切られてしまう。それだったら、日本が全然損害がなかったのかというと、そうじゃないはずであります。これはどうしても今後もそういうことがたびたび行われるということになると、これは
漁業
だけの問題ではないのであります。日本の将来という問題に対する大きな独立権ということから考えまして、日本側が
相当
がんばらなければならない問題であります。去年の問題も解決しない、またことしも核実験をやられる。そうして、また損害が重なっていく。これじゃとてもやりきれないと思うのですが、きょうは外務大臣が来ておりませんから、外交上のことは言いませんけれども、これは農林省、
水産庁
としましては、少くともその行政の一環であるところの
漁業
の
保護
とか、あるいは資源の
保護
ということからいっても、この問題は強く要請しなきゃならないと思うのですが、大臣としてはどういうお考えを持っておりますか。
赤城宗徳
47
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 御意見の
通り
で、これは強く要求いたしておりますが、なお、さらに外務当局とも話し合って、強く要求するようにいたします。
千田正
48
○千田正君 最後に二、三点、時間もありませんからお伺いしますが、今ゼネバにおいて国連の要請に基きまして、海洋に対する
法案
すなわち領海という問題を
決定
すべき
法案
に対する
審議
の準備
委員
会をやっておるわけであります。報ずるところによるというと、日本側は領海三マイル説を主張した。これは御
承知
の
通り
国際法の厳正な法規がありませんので、各国ともおのおのの立場で主張してきておる。大体三海里説というものが一つの定説のように戦前には考えられておった。ところが戦後においてはもうめちゃくちゃで、二十海里を主張する国もあれば、十二海里を主張しておる国もあります。あるいは李承晩であるとか、ブルガーニン・ラインであるとかいった勝手なことでラインを引いて、国際紛争をかもすべきおそれのあるような状況に立ち至っております。日本は三海里説ということを主張しておるのですが、三海里説を主張した場合において、日本側にとっては少くとも水産
関係
においては、これはまさしく利益であるかどうか。これに対しての考え方は、どういうふうに
政府
は思っておられるのですか。とりあえず
農林大臣
からお考えを承わっておきたい。
赤城宗徳
49
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 今お話しのように、領海につきましては国際法上にも問題があるのでありますが、従前領海三海里説というのは世界の定説になっておるのでありますけれども、戦後いろいろな考え方といいますか、意見が出ております。ことにソ連などでは、これは前から十二海里説というのを言っておったようでありますが、しかし、日本といたしましては、領海三海里ということが適当だし、またそうあるべきだ。それ以上の公海については、これは魚類の保存とかいろいろな問題から話し合うということはあり得るけれども、領海としてはやはり三海里説を強く主張していくという態度に変りはないのであります。
千田正
50
○千田正君 ところで、そういう、日本側だけが三海里説を主張して、一方においては公海自由の原則を盾にとって、日本側としましては長い経験を生かしながら、いわゆる日本の生きる道としての水産というものが進んできておる。日本側は三海里説を主張するが、ほかの国は四十海里だ二十海里だと勝手なラインを引かれて、どうにも行き詰まってきつつある。これの打開の
方法
として、何か考えなければならない、こういう段階にきておると思いますが、これに対しましては、
政府
側としては、何か強く国際間に持ち出すところの用意があるかどうか。そういう点についてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
赤城宗徳
51
○国務大臣(赤城
宗徳
君) これは国際法の学術的な問題が中心であろうと思います。しかし、学術的な問題といっても、実際上の問題との関連が、これもまた持たされてくると思うのであります。しかし、再々お話がありました
通り
、また私ども考えておりまするように、日本といたしましては三海里を主張し、またその貫徹に努める。しかし世界の各国が集まっておりますので、これはきまるというわけにはいかない場合も考えなければならないと思います。そういう場合におきましては、ほかに領海の幅の問題について違った意見があるかもしれませんが、日本にとっては三海里以上については公海として、
漁業
の問題等は、先ほどから申し上げましたように、魚類の保存、こういうような意味からの話し合いをするということであれば、いいけれども、そうでなくて、領海の幅員を三海里以上に延ばしていくということには賛成もできませんし、また、ほかに他の意見がありましても、三海里説に同調するように尽力していくということであります。なおその場合には、
漁業
対策等についての御意見がありましたが、
水産庁長官
からお答え願います。
奧原日出男
52
○
政府委員
(
奧原日出男
君) ゼネバの海洋法草案に対しまする会議におきましては、領海の問題と、それから公海におきまする
漁業
の
規制
の問題と、この二つの問題が取り上げられるかと思うのであります。もちろんそれ以外にも、大陸だなの問題、その他いろいろ
わが国
に
関係
の深い重要な問題がありますが、ただいまの御質問に対しては、この二つについてお答えを申し上げたい。かように存ずるのであります。 領海に関しましては、今
審議
の
基礎
になります草案におきましては、三海里と十二海里の間で何海里とするかということについては、
関係
国一致したところで
決定
すべきだ、こういう案を出しておるのでございまして、日本といたしましては、ただいま大臣からお話がございましたように、その他の海洋国ともたがいに手を携えて、あくまでも領海は三海里ということで主張し、かつまたそう主張することが日本の当面しておりまする領海に関しまする国家的利益というものに合致する。かように考えておる次第でございます。 ただいま話がまとまらなかったらどうするか、こういうことに関しましては、会議の進捗を見た上でないと、何ともお答えいたしかねるのでありますが、とにかく、その際におきましては三海里を主張したということのために不利なる立場に立ち回りますことのないように、十分配慮をして折衝をいたす、かように考えております。 それから公海におきまする
漁業
規制
の問題に関しましては、公海におきまして
漁業
をいたしておりまする国が、資源の
保護
のために
漁業
を
規制
し得る権利を持つ、こういうことに相なっておるのでありますが、同時に
沿岸国
がその
規制
に対して参加し得る、こういうことに相なっておるのであります。そこで、
沿岸国
と出漁国との間の意見が一致しない場合においては、
沿岸国
が科学的根拠に立って自国及び出漁国との間の平等なる
基礎
の上に、その必要とする
規制
措置
を講じ得る、こういうことに相なっておりまして、それに対しては、仲裁裁判に訴える道が開かれておるのでございます。しかしながら、日本といたしましては、あくまでも
わが国
の
漁業
を守っていくという観点に立ちまして、科学的な根拠に立って資源の保存をはかるための合理的な
漁業
規制
をするという場合においては、あくまでも国際間の合意に基いてやるという立場を貫いて参りたい、かように考えておるのでございまして、従って、今後この会議に臨みましても、そういう立場においてできる限りの主張もし、貫徹もはかって参りたい、かように考えておる次第であります。そこで、同時に国際的な
漁場
についてのいろいろな制約が加わっておる現在において、いかにするかということに関しましては、この国際法典においてわれわれがとろうとしておりますその立場そのものが、すなわち日本等の海洋国の行くべき立場である、かように考えるのであります。国際的ないろいろな支障に関しましては、それぞれについてこれを十分折衝をしてほぐして参る、かように
努力
をいたしたい、かように考えております。
千田正
53
○千田正君 今の奧原長官のお話であれば、
沿岸国
が主張した場合には協力するという意味にとられますが、ただいまのソ連側は、昨年から日本側とのいわゆる協定に基く四十海里、それから先ほど大臣が御答弁になった歯舞、色丹あるいは千島等におけるところの占領
地区
における十二海里説、これはあくまで公海における自由の原則からいえば、そういうラインを引かれるということは、われわれは
承知
できないのですよ。今お話しのように、
漁業
資源の
保護
という意味において
沿岸国
がそういうことを設定し得るけれども、私は、日米加条約におけるところの百七十五度以東ですか、この問題でさえもマッカーサー・ラインにかわるべきところの制限区域だと考える。さらにソ連側の主張している四十海里については、勝手な私は言い方だと思う。それを打ち破るだけの日本としては科学的根拠を持たないところに、今までの科学的
調査
あるいは
資料
の収集等において貧しい点があったのではないか、私はそう思うのですが、今度の三十三年度の予算を見ましても、こうした
調査
研究という面の予算は、あまり感心できない。水産そのものは将来国際性を帯びているだけに、国際会議において堂々と日本の主張が通るような
相当
の予算を持って、そうして研究を積み重ねていかなければならないと思う。私は四十海里説は、はなはだ不満でありますが、大臣並びに長官はどういうふうにお考えになっておりますか。
赤城宗徳
54
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 私も領海的に考え、四十海里というのは不満であります。ただ、
日ソ漁業交渉
の場合におきましては、
漁業
委員
会の条約に基いて、距岸四十海里を離れて漁撈をしようというこれは契約上の、両方話し合いの問題であります。一方的に四十海里であるとかというようなことに対しては、私どもは頭から承諾できない問題であります。日ソ
漁業
委員
会での話し合いの漁撈といいますか、魚類を保存するという意味で魚をとる場所をお互いに避けようという話し合いでありますから、これは話し合いとすればいたし方がない、こういうふうに考えておりますが、領海としての主張は認めるわけにいかない、こう考えております。
千田正
55
○千田正君 領海の主張として認める、認めないは別ですが、そういうふうに資源
保護
、資源
保護
というので方々にラインを引かれている、これは終戦後における日本の海洋における活動を制限されたという意味からいえば、ことごとくそうだと私は言いたいのです。だから、これをどうしたならば防ぎ、どうしたならばもっと日本がすなどりのできるような、
漁場
を拡張できる方向に持っていけるかというその根本政策は何かということを、私ははっきり考えておく必要があると思うのです。 時間もありませんから次に移りまして、私は最後にお尋ねしたいのは、今、日ソの
漁業
委員
会は、しょっちゅうジグザク・コースをたどっておる、もしも昨年の
通り
十分な主張ができない、あるいは十二万五千トンで押えられるかもしれない。あるいは十万トンで押えられるかもしれない。必ずしも日本の主張が通るとは、われわれは、どうも今の段階では考えられそうにもありません。しかしながら、国内的には、それぞれの用意をしなければならない。で、妥結することをもちろんわれわれは希望しますが、日本の主張がいれられなかった場合においてでも、やむを得ず日本は、向う側の主張のままに沿うて変えるというようなことがあった場合にはどうするかということを、われわれは考えなければなりません。一体これは最後まで妥結は望むことは、大臣はそういうお答えをするでしょうが、昨年の
通り
いかなかった場合には、どういうふうにお考えになりますか。
赤城宗徳
56
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 昨年の
通り
にいかない妥結になりまするならば、母船や独航船を減らすという形になると思うのであります。しかし私は、今交渉中でもありまするし、千田さんも御
承知
と思いますが、わが方の主張は、やはり沖取り
漁業
というものが、向うのソ連の
漁業
に大へんな悪影響を及ぼしていないのだ。むしろ沖取りの
漁業
があって、適当に産卵もでき、向うの漁獲もできるのだということは
相当
科学的な根拠に基いて主張しているわけであります。それからもう一つ主張の違う点は、マス等について豊漁と不漁の年があってことしは不漁なのだということでありますが、私どもの方は、統計上やいろいろな科学的根拠に基いては、そういう確然たる区別はないのだと、だからして、その差というものが、かりにあったとしても少いのだという主張を続けておるわけであります。でありますので、経過等を見まして、だんだん近づいてきておるから、決裂のままということはちょっとあり得ないのじゃないかと思いますが、私は、話がほんとうに違っておるということなら、一度帰ってきて、また交渉し直すということもあり得ると思うのですが、これもまだ、漁期が近づいてきますと、そういうこともなかなかできません。そこで両方の意見が、
相当
平行線できまらぬというような場面にも追い込まれるかもしれません。そういうときには、去年の経験等を見ましても、岸総理が、最後にテヴォシャンと科学的な根拠に基いて、政治的に話し合うというようなことで、漁獲量等をきめた例もありますので、私は、だれが行けばきまるということではないけれども、やはり平行しておるような場合には、政治的にもきめなくちゃならぬということで、きめるきっかけを作るという意味においては、これは、こちらから人を出すといいますか、出ていくのも、きめるきっかけを作ることになりはしないかということにも考えております。そういうことで、妥結の道をいろいろ考え、また、出先の
委員
あるいは
政府
代表におきましても、熱心にこの妥結の道を開きつつ交渉しているわけであります。もう少し経過を見てから、今のようなことは考えてみたいと思うのでありますけれども、また、国内の
漁業者
等につきましては、どれくらいになるかということの予想を申し上げるわけにもいきませんし、また、私も知っているわけではありませんが、全然なくなるとかいうようなこともないので、ある
程度
の準備はしておくことがしかるべきだと、こう考えております。
安部キミ子
57
○
安部キミ子
君 関連して。私は、今
漁業
問題が出ましたので、先ほどの千田先生の質問に関連してですね、今問題になっております安全操業の問題について、いつまでたってもこのまま解決しないのでは、現地の漁民も非常に困ると思うのです。それでソ連側の意向は、安全操業と領土と平和条約の問題がスムーズに解決するには、基本である平和条約を早く締結することだと、その平和条約が締結されれば、あとの二つの問題は自然に答えが出るのだと、こういうふうな考えに立って、なかなか向うの主張は強いし、今の様子では譲りそうにもないのでしょう。このまま譲らないで、日本側といつまでも対立しているということになりますと、一番困るのは漁民でありますが、この問題がいつまでも対立して解決がつかないということについて、大臣はどう考えられますか。このまま放っていつまでも対立したままにしておかれるのかどうか。その点、一つ。
赤城宗徳
58
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 話を分けて申し上げまするならば、先ほどから私が申しておりましたように、日ソのサケ、マス等の
漁業
交渉ですが、これは今から
漁業
交渉を新たにするということではなくて、一昨年の十一月でしたか、日ソ
漁業
条約ができたのでございます。その条約の各条文に従って、日本及びソ連側から三人の
委員
が出て、その
委員
会において総漁獲量とか、
規制
区域とかを相談いたしまして、それを各
政府
に勧告する。各
政府
がそれぞれの
措置
を許可をしたり何かすると、こういうことになっておりますので、これは平和条約の問題というようなことはかけ離れて、共同宣言がなされた場合には、この条約が効力を発するということで、効力を発して去年も第一回
委員
会が開かれた。ことしも第二回の
委員
会が開かれたのでありますから、これは平和条約の問題とからませるべき問題でもなし、また、ソ連側としても常識があるりっぱな国として、これを平和条約にからませるというようなことは、私はあり得ないし、また、あったといたしましたならば、それは筋違いだ、こういうふうに私は考えております。 それから安全操業の問題でありますが、これは去年、ことしに始まったわけではないのであります。終戦後引き続きあの周域には出漁ができないということで、ずっと続いてきておったのであります。しかし、小
漁業者
といいますか、零細
漁業者
等については、歯舞、色丹などは、共同宣言においても、平和条約ができれば日本に引き渡すというようなことなど、はっきりしているようなことでありますから、あの近辺に出漁するということが必要であり、望ましいことでもありますので、昨年あの近くに入って漁をするということについての申し入れをしたのであります。そのほか三、四の点において、灯台を作るとか、あるいは墓参りをするとか、いろいろな問題について申し入れをしたのであります。その申し入れをしたところ、ソ連側から、私の方からの再々の督促によりまして、昨年の八月でしたか、交渉に応じてもよろしいというような話があって、ことしになりまして、日ソサケ、マス
漁業
交渉等と一緒にやりたいということでありますから、これは分離してやるべきものだ、日ソサケ、マスの
漁業
交渉は、
漁業
条約に基いてやるべきだ。安全操業の問題は、この条約の中には入っていないもので、別にやるべきだということを主張いたしまして、これは向うでいれたのであります。向うでいれて、ただ時期的には、日ソサケ、マス
漁業
の
委員
会が開かれるときに話し合おうじゃないかというようなことになっておったのでありますが、最近におきまして、今御
承知
の
通り
、正式に平和条約を締結しなければ、安全操業の問題は応じないと言ってきたわけではないのであります。話の途中におきまして、平和条約の問題、平和条約を締結するということは機が熟していないから、安全操業の問題を取り上げるのも時期が早いといいますか、来ておらないのだ、こういうふうに申出でがあったのでありますが、これは正式に平和条約を締結しなければ、安全操業問題と抱き合して安全操業問題を全然取り合わないという強い意味ではないと、私どもは受け取っておるのであります。で、十二年、それ以前からあの近くには入れないというようなことなんでありますが、それにつきまして、困っておる漁民に対する生活
保護
とか、あるいはまた漁船の建造についての融資とか、いろいろな
方法
は講じていきたいと思いますが、おととしまでやっていて、急に去年からだめになったとか、あるいは去年までやっておったのが、ことしからあそこへ入れなくなったという問題とは性質が違うのであります。御
承知
だと思いますけれども、念のためにつけ加えておきます。
安部キミ子
59
○
安部キミ子
君 大臣は、それではこりを切り離して、日本が突っぱねていって、いつまでもソ連との意見が平行線になっていてもかまわないと言われるのか。ソ連のねらいは、平和条約を結ぶことがソ連の考え方としては一番大事なんですよ。というのは、日本のうしろにはアメリカがあるのだ、アメリカが日本を利用して原爆の基地をソ連とか中国とかという共産圏に向って、御
承知
のようにもう北大西洋条約からNATOから、みんな態勢をとって、現にイギリスにもそういう基地を作りつつあるわけですね。で、ソ連は、昨年は私はブルガーニン首相に会いましたし、風見先生はフルシチョフ第一書記に会われて、いろいろな方たちに会って、一体ソ連は千島をどんなふうに考えているかという質問をしたわけです。ところが向うは、ソ連は土地は大へん広いし、資源が豊富で、あの小さな千島がほしいとは実は思っていない。率直に言えばあの千島はあってもなくてもそう問題はないのだけれども、戦略的に今は価値がある、というのは、先ほど申しましたように、アメリカが日本の中にあって基地を作っておる現在では、ソ連としては、この問題を日本が要求するように、すぐはいということにはいかないというわけです。千島の価値を、ただ戦略的な価値としてしか見ていないのです。だから日本が早く平和条約を結べば、そうしてアジアの諸国が平和になり、共産圏に対して自由陣営がみんな一斉に大砲の口を向けているようなことがなくなれば、日本にとっては、私は非常に有利になると思うので、いつまでもこの平和条約を結ばないでいるという日本の
政府
の考え方が、私どもにはわからないわけなんです。早く平和条約を結んでですね……
重政庸徳
60
○
委員長
(
重政庸徳
君) 安部さん、今予算
委員
会からだいぶん呼びに来ておるので、大臣は三十分ということでなにしたので、一つお願いいたします。
安部キミ子
61
○
安部キミ子
君 それで、時間もありませんので……、こういうふうに向うの意向も、大体日本の
政府
にもわかっていると思いますので、早く平和条約を結んで、その平和条約を結んだ中において安全操業の問題やら領土の問題を解決した方が、日本にとっても得策ではないか、こういうふうに考えますが、平和条約を早く結ぶという考え方について、
農林大臣
の所見を伺いたいと思います。
赤城宗徳
62
○国務大臣(赤城
宗徳
君) 平和条約等の問題につきましては、一昨年来非常に交渉を続けてきたわけでありますが、その結果、領土の問題、歯舞、色丹はきまりましたが、国後、択捉島が日本の本来の領土であるという主張と向うの主張とが食い違っておりますので、平和条約締結ということには、いっておりませんけれども、しかし、日ソ共同宣言によりまして、日ソの国交は回復してきておるのであります。でありまするから、平和条約の問題は、まあ私は外交官じゃありませんが、外交的な言葉で言えるかどうかしりませんが、これは継続
審議
というような形になっている。引っ張られておるような形であります。でありますから、あえてこれを拒否している日本の
理由
も何にもないのでありますけれども、しかし、それが締結されるというのには、見通しとして、国後、択捉島が日本に返されるということでなければ、これはなかなかむずかしかろうと思います。今のお話のように、平和条約を締結してから領土を返してもらうということとは、逆のようないきさつになっておりますので、私は、平和条約締結ということは好ましいことでありましょうけれども、事実上非常にむずかしいというふうに考えております。
重政庸徳
63
○
委員長
(
重政庸徳
君) ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
重政庸徳
64
○
委員長
(
重政庸徳
君)
速記
をつけて。
千田正
65
○千田正君 最後に一点だけ伺います。これは先般来たびたび当
委員
会から主張しておりますが、今度の補正予算にラッコ、オットセイの処置に関する補正予算が五億円計上されております。ラッコ、オットセイはすでに接岸して来つつある。これに対する処置を早く講じないというと、ことに零細漁民はとれなくなるというと、やはり違反を起す、こういうおそれがあるのであります。一体これは、いつごろまでにこの問題を解決するか。ことに最近の状況を伺うというと、船を持って
財産
のあるものに対しては、金融公庫を通じて金を貸して転換させるということを言っておられる。船を持たない、そうしてしばらく休んでおったというそういう零細漁民に対する
方法
というものは、まだはっきり打ち出していないのじゃないか。それに対してはどういうふうにお考えになっておりますか。
奧原日出男
66
○
政府委員
(
奧原日出男
君) ただいまのお話は、イルカ業者の転換の今の進行状況について御
説明
申し上げる必要があるかと思うのでありますが、われわれといたしましては、イルカ
漁業
によりまして猟銃によりイルカの漁獲によって生計を立てておった漁民というものを、どういう形においてつかむかということに、いろいろ苦慮をいたし、業者の実態を
調査
し、あるいはその後またいろいろ実績を有する方々のお話も伺ったり、そういうことで時間を要したのでございます。われわれといたしましては、あのオットセイ条約の交渉前二カ年の間に、猟銃によりまして正規の火薬の使用の許可を持って、イルカを二カ年間のうちのどちらかの年にでもとっておれば、これをイルカ転換の対象としてとり上げる、こういうことにはっきりした客観的な一つの基準を求めたい、かように考えておる次第でございます。そうして、大体われわれとしましては予算に要求しております
程度
の百七十隻足らずくらいの船がこれに該当するのじゃないか、こういうふうに今の段階において考えておるのでございますが、ただその中で、みずからこの際従来の突棒船をやめまして、漁船を建造していきたいというのと、それから漁船を新しく作るよりも機関換装する、あるいは漁探を
整備
する、そういうふうな
程度
の充実をこの際加えて、他の
漁業
に転換していきたいという方々と、それから、もうこの際いっそ
漁業
をやめて、そして別の仕事につきたいという方々と、大きく分けまして三つのグループがあると思うのであります。それらにつきまして、それぞれに対しまして廃船の交付金及び代船建造、あるいは機関換装の
補助
金、さらにまた失業をいたしまする銃手等乗組員に対しまする
補助
金、そういうようなものを予算に計上いたしておる次第でございます。一方におきまして、公庫におきましてもこれに対する融資の準備をいたしておるのでございまして、すでに経由金融機関を通じまして、公庫の方に書類がだんだん出て参っております。これらにつきましては、もうおそらく来月末まで待つまでもなしに、融資
措置
が具体的に
決定
される、かように考えておるのでございまして、従いまして、実はイルカ漁期前に転換を運びたいと考えておりました点は、やや立ちおくれた次第であったのであります。しかし、明年度前半中にはそれぞれ転換が
達成
し得ると、かように考えております。
重政庸徳
67
○
委員長
(
重政庸徳
君) この件については、本日は、この
程度
にいたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後五時二十三分散会