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政府委員(
瀬戸山三男君) その前に、私はこういう方面には、正直なところ、しろうとでありますが、先ほど来、
委員の各位の御
質疑なり、あるいは御
意見を承わっておりまして、たとえば、安部さんやあるいは佐藤さん、その他の各位の御
意見を聞いておりまして、非常に感ずるところがあったのであります。単に
狩猟法の一部
改正であり、単に
有益鳥獣の
保護等に関しての
法律でありますが、その
考え方の基本は、人間の世の中を、もう少し気分的にも豊かな環境を作る必要がありはしないかというふうな
趣旨の御
意見と拝聴いたしました。余談になりますけれ
ども、たとえば、先般来映画などにも出ておりましたように、「滅びゆく大地」というような題名の映画が非常に人気を博しておりました。こういうふうに、昔と違って、文明の進歩に伴って世界の環境が非常に殺伐になっていくような感じがいたすのでありまして、先ほどインドのお話もありましたが、あるいはアフリカ地方においても、自然のそういう動植物というものが、だんだん文明の力によって征服されて、何となく自然の環境の豊かさが害されていく。こういうふうなことは、これは世界的の趨勢じゃないかと思います。特に、日本の場合においては、これは世界的にも、人口の
増殖あるいは生活の高度化、そういうことが影響しておると思うのでありますが、特に日本の場合は、御
承知の
通り、非常に人口が多くて国土が狭い、そういうことが非常に各般の部面において影響いたしまして、先ほど来お説がありますように、たとえば、こういう
鳥獣類についても、その生存の環境が非常に狭められておる。同時に、一面においては、その猟獲がだんだん進んで、こういう
鳥獣類の生息が少くなっている。佐藤さんからいろいろ文学的な言葉で御高説をいただいたのでありますが、確かにそういうことを感ずるのであります。これは、一農林行政、あるいは林野庁だけの
考え方でこういう問題が解決されるのでなくて、皆さんの御高説を聞いて、私、非常に感じたのでありますが、国民の気持と申しますか、情操の上において、各方面から大いにそういう点を高調していただいて、殺伐になりがちな社会環境から、できるだけ守らなくちゃならぬ、これは、私は政治の根本だと思っております。先ほど東京都内のこの物質文明の進み方について、安部さんからもお話がありましたが、それも一面やむを得ないところがあるのでありますけれ
ども、たとえば、東京都周辺に相当広大なグリーン・ベルトを作って、都市に生活する者の気持をやわらげるような都市を構成しなければならないということで、いろいろ、私
どもの所管ではありませんけれ
ども、進めております。それについても、
利害関係がなかなか錯綜いたしておりまして、そういうささやかがらの自然の状況の保存という問題についても、なかなか意のごとく進まないという状況であります。こういう問題は、先ほ
ども申し上げましたように、ただ農林省であるとか、あるいは建設省であるとか、そういう役所だけの
考え方では、なかなか思うような政治が遂行されません。どうか
一つ、私の方からも、特に皆さんのきょうの御
意見を承って、非常に感じたのでありますが、そういう点を十分強調していただきまして、そういう国民の心に触れることでありますから、今後も
一つ御協力を願いたいと思います。
ただいま千田さんからのお話もそれに触れると思います。今仰せの
通りに、単に
鳥獣問題にかかわらず、林産行政についてもお触れになりましたが、その他についても、日本の政治というものについては、非常に科学性がない、そういう点が非常に欠点であると思います。最近、御
承知の
通りに、世界の文明の急速な進歩に刺激をされまして、わが国においても科学技術という問題について大きく取り上げられまして、満足ではありませんけれ
ども、今度のいわゆる
政府の基本政策にもそういうことを強調いたしまして、予算もある程度盛り込んでおるという状況でありますが、決して満足だとは考えておりません。これは、お互い日本人はこれを反省しなければならないところだろうと思います。突っ走ることは非常に得意でありますけれ
ども、その基礎的な、科学的な研究、積み上げた成果に従って事を進めていくということが、どうも過去から現在にわたって、非常に不足するところがあると思っております。今仰せのことは、十分私
どもは拝聴いたしましたが、たとえば、水産についてもお話しがありましたように、確かに今水産問題は国の内においても、あるいは外国との
関係においても、非常に問題が多くて困難を来たしておるのでありますが、そういう重大問題でありながら、過去の経過を見ておりますと、確かに科学的な調査研究が不足をいたしております。今日、日ソ漁業についてもいろいろ
議論がされておりますが、向うの資料がどのくらいの科学性があるのかないのかということは、当方ではわかりませんけれ
ども、しかし、先方としては科学的な調査資料に基いて
議論をされておりますけれ
ども、わが方としては全然ないとは申し上げませんが、それほどいわゆる科学的に積み上げた資料というものが完全でないということは事実であります。でありますから、ただいま
審議をしていただいております問題については、当然でありますが、農林省
関係については、そういう問題についても十分今後基礎的な調査研究というものについて重点を置いていかなくちゃならない。そういう
考え方に立って、三十三年度以降の農林行政をいたしたい。しかし、さきもお話しがありましたように、その裏づけとすべき予算というものが足らないじゃないか。まさにその
通りであります。これは私
どもの努力の足らないところ、大いに反省をいたしますが、どうか
一つ御了解を得たいと思いますのは、国全体の財政の事情もありますので、気持といたしまして、
考え方といたしましては、今仰せの
通りに私
ども考えておりますから、どうか御了解を願いたいと思います。