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1958-02-18 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十八日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            清澤 俊英君            鈴木  一君            上林 忠次君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            安部キミ子君            東   隆君            江田 三郎君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            梶原 茂嘉君            北 勝太郎君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林省畜産局長 谷垣 專一君    農林省蚕糸局長 須賀 賢二君    農林水産技術会    議事務局長   大坪 藤市君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    国税庁税部長 金子 一平君    農林省農林経済   局統計調査部長  藤巻 吉生君    食糧庁総務部長 武田 誠三君    水産庁次長   西村健二郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農業課税に関する件)  (農林省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農業課税の件を議題にいたします。  この件について、河合委員その他から質疑の御要求がありますので、この際、御質疑を願うことにいたします。  なお、この件について政府からの出席者は、ただいま国税庁税部長金子君、農林省農林経済局統計調査部長藤巻君でございます。
  3. 河合義一

    河合義一君 私は、兵庫県下の事例を例にとりまして、農業所得の件につきましてお尋ねをいたしたいのであります。  この県では、農業所得申告を前にいたしまして各税務署市町村長及び農業団体との間に、現在紛争を起しておるのであります。その原因税務署見立て収量があまりにも多いからでありまして、たとえば、農林省統計調査事務所調査によると、本年度姫路市の例を申しますが、姫路市の作況は九四%から九九%であるにもかかわりませず、税務署は、反収において昨年より三斗九升も多く認めよと要求しておるのであります。また、社町では三斗五升、上郡では一斗三升、三木市では作況が一〇一%であるのに、税務署は昨年より一〇%増と見ておるのであります。あまりにも税務署所得増加見方は極端でありまして、しかも、農民側納得がいきますように、その算出方法につきましては、全然説明をしてくれません。元来、税務署反収見積りが過大な上に、なわ延び反収に換算されまして、ふえておると思うのでありますが、この件に関しまして、国税庁のお考えを伺いたいと思います。
  4. 金子一平

    説明員金子一平君) お答え申し上げます。  収量見方等につきましては、これは国税庁で統一的に見ておりませんで、全部現地局なり署にまかせておりますので、私の手元には、姫路なり加古川方面資料がございませんので、はなはだ恐縮でございますが、筋を申し上げますと、算出方法説明できないような数字を出しておる、これは、はなはだもうまずいと率直に申し上げていいかと思います。で、税務署収穫量のつかまえ方は、御承知のように坪刈りなり粒数調査によりまして、反収税務署が独自の調査でやる。で、出て参りましたものにつきまして、地元の市町村なり、あるいは農業団体長等精通者意見を十分に参酌いたしまして、過酷にわたらざるよう、妥当な結論を出すようにやって参っておるわけでありますが、その点が、どうもお話を承わりますると、説明が十分行き届いていないというようなことで、はなはだまずい点があるんじゃないかと思います。  なわ延びの問題でございますが、実は、なわ延びは、そのまま税務署調査いたしました収量に結びつくという筋合いのものではございませんで、農林省発表されましたなわ延び、これは個々農家のなわ延びとどういうふうにくっつくかということになりますと、はなはだ——現在の段階では、まだ郡段階でしか発表しておられません。市町村別のなわ延び率等は、そのまま出ておりませんので、これを個々課税に使うことにつきましては、相当慎重に考慮しなきゃならないということで、私どもも指導いたしております。その点は、税務署も相当慎重にやっておるんじゃないかと思いますが、なお、その点につきましては、局の方へ連絡いたしまして、十分調査いたしたい、かように考えます。
  5. 河合義一

    河合義一君 ただいまの御答弁によりますと、やや私も納得はできるのであります。しかし、現地では決してそうじゃない。現地ではそうでありませんから、各地紛争を起しておるのであります。この事実に対しまして、国税庁としてはどうお考えになりますか。国税庁の本来のお考えを伺ったんじゃない。現地ではこういう紛争を起して、税務署の方のやり方がわれわれ納得がいきませんから、その点をお尋ねしたのであります。
  6. 金子一平

    説明員金子一平君) お答え申し上げますが、私どもといたしましては、そういった各地ででこぼこのない、バランスのとれた課税をするように、極力努力はいたしておるわけであります。税務署調査人員その他の関係もございまして、また、私ども努力の足りない点もありまして、今御指摘のような点、はなはだ申しわけないと思って、極力スムーズにいきますように、今後とも努力をいたしたいと考えております。
  7. 河合義一

    河合義一君 先ほど、なわ延び税務署においてこれを採用していないということでありましたですね。そうですね、おっしゃったのは。そうじゃありませんか。
  8. 金子一平

    説明員金子一平君) 農林省発表されましたなわ延びを、そのまま使うことはいたしません。ただ、こういうことは言えると思うのであります。税務署で、精通者あるいは市町村長等意見を聞きまして、村の収穫量を見ます場合に、やはり税務署だけで調べたものがいいかどうかということ、何と申しますか、見当をつけます場合に、作報発表になっております反収なり、あるいは精通者によるその町村反収を比較して、見当をつけます、その際には、なわ延びが相当出ておるような地方におきましては、その精通者意見等に、おのずからなわ延びがこの地方はこの程度あるだろうというような意見の反映はございましょう。そういったものがある程度見込まれることになろうと思いますが、この地方は二割のなわ延びの率がある、三割なわ延びがあるという場合に、それをそのまま課税基礎に直接取り入れるようなことはいたしておりません。かような意味で申し上げたわけであります。
  9. 河合義一

    河合義一君 現に兵庫県下の高砂市における例を申しますと、作報面積になわ延び率を掛けまして、それに市で調査しておる面積を加えまして、それを二で割ったものを税務署が採用いたしまして、徴税基礎にいたしておるのであります。こういう実例がありますから……。ただいまのお話によりますと、話し合いの上で、双方納得の上でやった所もあるかもわからぬというお話でしたが、あるいはその例にこれが該当するかと思うのですが、現にこれは高砂市だけではありません。他におきましても、そういうことがあります。西脇市におきましてもそれをやっておる。それが、双方納得の上で円滑に行われたのでありましたら、別に紛争が起らないのでありまするけれども農民市町村側において納得しませんのにかかわりませす、それをもととしまして、税務署徴税を要求する、こういうようなわけでありますから、紛争が起っております。これは、県下至る所にあります。今申し上げましたのは、その一例にすぎぬのであります。こういうことに対しましては、元来農民側税務署とはよく話し合いまして、円滑に徴税をせなければならぬということは、税務署側のとるべき態度だと思うのです。それが実行されておらないのです。これでは、はなはだ農民側としましても困りますから、何とか国税庁におきましても、もう少し国税庁方針が下部にまで浸透いたしますように、命令なり指導をしてもらいまして、こういう紛争が以後再び起らないようにやられることを、私は希望するのであります。
  10. 金子一平

    説明員金子一平君) 御指摘の点は、十分現地の局に連絡いたしまして、円滑に話し合いがつくように指示いたしたいと思います。
  11. 河合義一

    河合義一君 本年度におきましての申告の期日は、三月の十五日でありますから、もう本月の十六日から三月の十五日までの間にすべきことになっておると思うのでありますが、本年のに間に合うでしょうか。あなたの通達は。
  12. 金子一平

    説明員金子一平君) ただいま各地とも大体会議の最中でございまして、円滑に話し合いが済んだ所が大部分でございます。で、今お話兵庫県の各所の状況は、まあむしろ異例に属すると思うのであります。本年度申告に間に合うように、極力早急に処理するように、連絡をいたします。
  13. 河合義一

    河合義一君 私は、農林省統計調査部の方に一つお尋ねしたいんでありますが、調査部におきましては、現在兵庫県で行われておりますようななわ延び率を、今年の徴税の根拠とされておるようなことを、お認めになるでありましょうか、いかがでありましょうか。
  14. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) まだ私どもの方のなわ延び面積は、市町村別に出ておりませんので、さようなことはないと考えておりますが、私どもの方の資料はそのままお使いになっては困りますということを、しばしば国税庁の方には御連結いたしておりますので、さようなことはないことと考えております。
  15. 河合義一

    河合義一君 先ほど私が申し上げましたように、本年すでにそれを使ってやっておるのでありますから、これを是正するために、早急に一つ兵庫県の方に御示達を願いまして、こういう紛争もとになっております原因を除去してもらいたいと思うのでありますが、そに対しては、どうお考えになっておりますか。
  16. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 御趣旨のように取り計らいたいと存じます。
  17. 河合義一

    河合義一君 国税庁は、この農林省発表面積増加に関連しまして、所得税課税上、国税局へ何か通達をお出しになったのでありましょうか。あるいは、会議の席上で何か命令をなさったんでありましょうか。その点をお伺いしたいと思います。
  18. 金子一平

    説明員金子一平君) 会議の際におきましても、また通達におきましても、先ほど私が申し上げましたようななわ延びを、農林省郡単位発表されたなわ延びを、そのまま課税に使うことは、はなはだ危険である、従いまして、なわ延びを見ます場合におきまして、この点は十分注意して、実情に即するようにやれいという趣旨の話をいたしましたし、また通達も出しております。
  19. 河合義一

    河合義一君 目下所得税所得標準を、国税局税務署は、農業団体へ開示いたしまして、その承諾を得ておるというが、話し合いを現にやっておる時期であるのであります。ところが、従来大阪国税局は、兵庫県の県段階農業団体へ、所得標準を内示してくれないのであります。いまだかつてそういうことはないのであります。これは、他の国税局にこういう例を見ないそうでありますが、大阪局だけだということを私たちは聞いておりますが、何ゆえこのような不公平な取扱いをしますのか、農業団体は、兵庫県といたしましては、系統組織を作っておりまして、県段階に内示してくれないと、十分に研究をすることができないのであります。毎年再三再四大阪局の方へ、その内示方を要求するのでありますが、一向に聞いてくれません。これは、三十年の十月二十八日の閣議で、農業団体意見を尊重せよということが、決定されておるのでありますが、この趣意にも沿っておりません。こういう事実に対しまして、国税庁はどうお考えになりますか。
  20. 金子一平

    説明員金子一平君) 今御指摘の点でございますが、私どもといたしましては、各国税局に対しまして、大体の標準率見当がつきましたならば、関係系統農業団体とよく話し合うように、そしてその協力を求めるようにというふうに指導いたして参っております。ただ、遺憾ながら、大阪国税局におきまして、その点が十分行われていなかったようであります。先般も農業団体事務局長会議の席上で、その点の指摘を受けましたが、ことしはおそらく局の幹部が全部かわったというようなこともございまして、その点が徹底しなかったのではないかと存じますが、今後そういうことのないように気をつけて参りたい、かように考えます。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。ただいまのお話は、大阪だけのように言われましたね、これはおそらく全国的のものではないだろうか。新潟県等でもその問題が中心で非常に激昂しておるのです。ということは、今までの税金の標準をきめます際には、今おっしゃったようなあらかじめ農業団体等と、協力団体として一応の話がついて、それで大体発表せられたと思うのです。ところが、新潟県におきましても、やはりそういう今までの慣例を全然行わないで、しかも関東国税局ですから、中澤課長が出て来て、今までの慣例を全然破って、一方的な各標準発表してしまった。しかも、今年は豊作やその他の関係で、昨年の約培額、昨年は約納税額二億円になんなんとしておったのであります。今年は四億円を上回るだろうというような発表をせられたので、非常な税務署果し状だと、こういうふうに激昂しかかっておるのです。これはどうも国税庁金子さんの言われるように、大阪だけで人がかわったというのではなく、国税庁方針でなかったのですか、そういうやり方をするということの。そうでなければ、どこもここもという、こういうばかな話はないと思う。
  22. 金子一平

    説明員金子一平君) 関東信越国税局におきましては、従来から関係団体との連絡も十分やっておりましたし、ことしも従来通り連絡を行なっておるものと私どもは信じておったのです。今の中澤君の説明その他につきましては、詳細を聞いておりませんけれども、おそらく何らかの行き違いがあったのではないかと思いますが、趣旨は、従来通り十分関係農業団体とも連絡して、御協力をいただくようにということで、私ども指導いたしております。
  23. 清澤俊英

    清澤俊英君 向後さんどうです。あなたやったんでしょう、こういうことを。だから新聞では、税務署から果し状両者自信なく云々と書いてある。これが現実、沸き返っている。どうです、わしが言うておることをやったんでしょう。
  24. 金子一平

    説明員金子一平君) 今お話の点は、おそらく従来の標準率作り方と多少違った標準率作り方をことしやりましたような関係で、あるいは現地農業団体意思疎通を欠いた点があったかと思いますけれども、これは農業課税につきまして、まあ極力私ども人手もございませんし、簡単な方式で、しかも公平な、バランスのとれた課税ができるような方式をとりたいというようなことで、関東信越国税局におきましては、ことし若干標準率作り方を変えた。それが従来とのつながりがはっきりわからなくなったというような点におきまして、現地団体と、あるいは意思疎通を欠いた点があったのではないか、かように考えます。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、今の御説明でありますと、関信越の税務局だけが課税標準率を変えたためにと、こういうふうに私はお聞きしますが、それでよろしいのですか。そうすると、こういうなんですね、ことし新潟県におろされたような標準率のきめ方は、関信越だけのものであって、国税庁は関知しない、こういうことなんですか。それだけお伺いして、あとはまたもとに戻しますから……。
  26. 金子一平

    説明員金子一平君) 私どもは、ある程度局に課税方式やり方をまかせておりまして、それで最も現地実情に適したようなやり方をとることを認めております。そこで、関東信越国税局におきましては、中庸農家に適用する課税標準ではなくて、現在大体課税農家は総農家数の一割程度、中には関東信越におきましては、これは新潟だけではないのでございますが、ほとんど課税農家のないような町村もございます。そこで、一律に各町村について標準率を作るというようなこともいかがであろう、できるだけそういった面は手を省いて、そうして課税農家の集中しておる所に重点をおいて見るような方向に、今後持っていくべきではないかというようなことを、私ども考えております。関東信越国税局におきましても、さような趣旨から、課税農家中心とする標準率をことし作ったわけでございまして、その点につきまして、現地の方では中庸農家基準とする標準率をこしらえてくれないか、かような意見が出ておったように、私は聞いております。その点におきまして、若干の食い違いがあった、かように私は了承いたしております。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでは河合さんが済んでから……。
  28. 仲原善一

    仲原善一君 関連してお尋ねを申し上げたいのですが、実は農林課税の問題は、所得税ばかりではなくて、これは町村税課税基礎に将来なりますので、農民にとっては重大な問題でございますが、広島の国税局管内でも、実は鳥取県でございますが、中国各県で一番反収が高いという問題がありまして、相当地元で紛糾いたしまして、実は今月の九日に、農民団体との折衝の会が持たれまして、私も帰って来いというので実は帰って参りまして、ことしは非常に円満のうちに、立ち会いの上で、解決いたしました。しかし、将来の問題もございますので、若干お尋ねを申し上げたい点がございます。  ことしの、私の県の問題で非常に紛糾いたしましたのは、税務署でおとりになっております標準村が、鳥取県の西の米子とそれから島根県の東の方の安来とがたまたま隣り合せの村に標準村がとられまして、川一つ隔てておるわけですが、その収量が四斗も違う。反当の収量が四斗——一俵も違うという非常にアンバランスの印象を農民に与えましたので、それがもとになって、いろいろ全体としても非常なアンバランスではなかろうかというので、この問題が非常に問題化したわけでございますが、幸いにして解決いたしましたから、ことしは厚くお礼を申し上げておきますけれども、この統計事務所反収と、それから税務署基準町村でお調べになっている反収と、この二つはどういう関係で採用になるか、考慮になるのか、将来どういう方針でこの二つを調節されて課税標準にされるか、その点をまず第一点としてお伺いしておきます。  それから第二番目は、必要経費の問題でございますが、これも非常にアンバランスの問題がたくさんあります。たとえば肥料農薬等に問題を限定いたして考えましても、この税務署の方でお調べになっておりますのは、特に農協関係で入っているそういう資材はよくお調べになっております。農業団体でございますから、もちろんこれは詳しく調べて出しますが、そのほか農協関係以外で商社と特別に取引している農薬なり肥料の額というものが、非常にこれは間違っておるという点がございます。と申しますのは、取引高をそのまま税務署に報告しない関係もあったり、いろいろな関係もありまして、この実情の把握が非常にめんどうであろうと思いますが、実際に農家の使っている肥料なり農薬なりの額と比較いたしまして非常に少い、必要経費見方が少いという点がございます。この点を将来よく御研究を願って、肥料なんかは私の県では使っている半分くらいしか見ていないという点もありますので、その点はもう少し実態をよく把握されて、必要経費の算定をお願いいたしたい。これは質問なり、御方針なり、あわせて要望を申し上げておるわけでございます。  それから第三番目に、何と申しましても、水稲の方は相当の資料お互いに持っております。農業団体も持っておりますし、国税庁の方でも相当の資料を持っておいでになりますけれども、麦につきましては、これは非常に雑駁な資料でございます。これは実態をよく調べてみますとおわかりになろうと思いますが、麦の課税については、相当架空の問題がたくさんありますので、この点は将来材料を十分整備して、お互い農民なり国税庁の間で納得のいく材料を持ち寄って相談をするということにしていただきたいと考えます。  そのほか、木炭にしてもあるいは養蚕の問題にいたしましても、ことしの実態に合わないような問題がたくさんございます。価格の変動等が十分織り込んでない点もたくさんございますので、これも要望になるかと存じますけれども、どうかそのほかの農産物についても、何か上の方から割り当ててきた数字をすぐ下の方におろして徴収するのだというような考え方でなしに、農家経済実態に即したやり方徴税をお願いいたしたい。材料を十分整えてもらいたい。そういうことを将卒のために——ことしは幸い私の県は円満に解決したからよろしゅうございますけれども、毎年こういうことを繰り返しても困った問題でございますので、将来のこともあわせてお願いかたがた質問をする次第であります。
  29. 金子一平

    説明員金子一平君) ただいま御指摘の第一点でございますが、農林省の御発表になっております反収税務署の見ました反収との数字が食い違っておりますのは、一つは、私ども税務署で見ております反収が、農業委員会等において調べました水田なら水田台帳面積、それは一反歩当り反収を見ておる。ところが、作報数字は十反歩一反当り数字を出しておるというようなことで、そこに食い違いが出ております。それからまた、災害地等につきましては、私どもの方は災害地をはずしたもので見ておるというような点から、食い違いが起っておるわけであります。いずれにいたしましても、今後だんだんと作報数字と私どもの方の数字とが、食い違うことのないように努力していくのが、やつぱり本来の行き方じゃないかというふうに考えておりまして、こういった点につきましては、今後一そう一つ研究を重ねていきたいと思います。  なお、隣接町村で四斗も収量が違うというのは、実に申しわけないのでございまして、隣接町村あるいは隣接府県等収量バランスのとれぬ点につきましては、特にやかましく言っておるのでありますが、御指摘の点は全くミスで、あるいは特に災害でもあったなら別でございますが、普通の場合は、こういうことはあり得ないのじゃないかというふうに率直に感じました。  それから御指摘の第二点の、必要経費の問題でありますが、極力個々農家につきまして、実際の数字をつかむように、私ども努力して参っておりますが、なお、お話のような点もあるいはあるかなというふうに感じております。ただ、農林省の御発表になっております必要経費生産費調査と私どものこれは一般的な数字になっておりますが、必要経費見方とを比べてみますと、まあやはり税法上の必要経費になるものと、農林省で御発表になっている必要経費の取り方とが、ちょっと違いますために、若干税務署の方が下っておるように見えますけれども、だんだんと内容を調査して参りますと、必ずしも税務署の見ておる必要経費が辛いというふうには、今のところ感じておりませんけれども、しかし、第一線の税務署に参りまして、個々のものについて調査いたしますと、御指摘の点があるいはあるのじゃないかというふうに考えますので、この点は、なお今後一つ努力を重ねていきたいというふうに考えます。  それから第三点の、麦その他の農産物収量経費見方、これも御指摘通り、従来十分でなかった点も多々あろうかと思います。この点につきましても、私ども極力適切な数字を把握するように、今後とも努力していきたいというふうなつもりでおります。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほどからだいぶ問題になっています所得標準の決定について、いろいろ疑問がある。こういう点について、先ほどからのお話では、十分農民側納得のいくように話し合いをつける、こういうお話でありますので、これは現にその方向に進んでおるわけじゃないかと思いますから、しいて無理は申しませんが、その方向だけは一つ堅持していただくようにお願いしたいと思います。はっきり一つ御返事を願いたいと思います。
  31. 金子一平

    説明員金子一平君) 極力関係農業団体あるいは市町村連絡をとりまして、円滑に課税が済みますように努力を重ねていきたいと思います。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 昨年まで行われておりました中庸標準——農家を対象とした標準率を、今年のように課税中心にした標準町村できめられたおもな理由はどこにあるのか。
  33. 金子一平

    説明員金子一平君) 先ほども説明申し上げましたように、一般の非課税農家をも含めた標準率を作ることは、ある意味において意味がない、税務署側の立場だけで申しますと、だんだん意味が薄れてきております。従来のように相当数の納税者が各町村にあります場合におきましては、やはり中庸農家基準にして見ていくことが必要であると思います。今日その数字も総農家の一割程度、ことしはもっと減るのじゃないかと思いますが、農業所得、給与所得の合算を、ことしから従来やっておりました合算をやめまして、極力分離課税にするような方向へ持っていく、そういった関係もございまして、だんだんと意味が薄れて参る。そういった点から申しますと、課税農家を対象に標準率を作ることがむしろ適切なものができやしないか、かような見地からいたしまして、従来の方針をかえた、かように考えております。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 その考え方の基本は、納税農家の方が、何か収穫が力があって、多いというようなお考えから、一般のものとの収穫量において違いがある、こうお考えになってからのそういうやり方なんですか。
  35. 金子一平

    説明員金子一平君) 御指摘のような点もございましょうし、経費見方等につきましても、やはり一定の規模以上のものを中心調査いたしましたものが、やはり調査が的確に、迅速に出るというようなことから見ております。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 その調査がまことに当を得ていないと思うのですね。ということは、まあ郡単位標準調査と、こうしましょう。それが割合にその郡における収穫標準率の高い町村を選ばれた、こういうことが言えるのです。それを標準に出して言われるということは、どうもおかしいじゃないか、こういう考えを持つのと、それから、その標準町村だということでやられますのは、今言われた通り、一反歩に対する収穫を調べるのに都合がいい。そのほかの方法でこれを調べていくと、同時に在庫米の調査等もやられているのですが、そういうような場合、非常に疎漏なところが多い。これは一つの例ですが、三条税務署管内で、これは具体的に言えば稲川貫二といううちでありますが、そこのうちに調査官が行きまして、お前のうちの反別はどうだ。どうもせがれがいないで幾らあるかようわかりません。在庫米がどれだけあるか。それもようわかりません。わかりませんというのが、ちゃんと幾ら幾らになって、それで何石ときまりがついている。それで、一町村大体三十軒標準調査すると言うているが、実際は二十軒ぐらいしか調査していない。こういうものを標準できめていったのでは、全く納得できない。こういうことを言うているのですが。
  37. 金子一平

    説明員金子一平君) 御指摘のその基準町村と申しますか、毎年そこをもとにして標準率を作るその町村は、変えておらないはずだと思います。同じような町村を毎年とっておると思います。  それから、調査の点につきましては、御指摘のような点がないことを私ども希望しておるわけでありますが、場合によると、十分手が回りかねた点もあろうかと思いますが、この点につきましては、実際問題として、私ども極力周到に調査をするように、従来から指示をいたしておりますし、今後もなお気をつけて参りたいと思います。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 その問題はそれくらいにしまして、その次に、きょうお伺いしょうと思っておりましたが、総合所得の問題ですが、新聞をけさほど見ますと、非常に工合のいい御発表がありまして、妻の所得を分けて課税するというようなことで、長年の問題がある程度まで解決したと思いますが、きょうのこの新聞発表、大体御了承の上ですか。その通りになるのですか。
  39. 金子一平

    説明員金子一平君) 実は、まだそれは正式発表ではございませんので、ただいま通達が、印刷ができたばかりでございますので、内容をよく見ておりませんが、大体内容はこの通りだと思います。なお、こまかく申し上げます。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、いろいろありますけれども、ただ一点お伺いしたいのは「妻が結婚前から所有あるいは結婚後相続した田畑で妻名義のものは妻の特有財産と認め、面積が大きくても構わない。」大きくてもかまわないと、こうなっておる。それから一方におきましては、面積の巨大なものに対しては、第四項に参りますと「夫の勤務が遠隔地の場合。ただしその農業規模が相当大きく雇人などを使用しているときは合算する。」これはちょっと食い違っていると思うのですが。
  41. 金子一平

    説明員金子一平君) ただいまの御指摘の点ですが、妻の特有財産、つまり嫁入り前から、嫁入りの際に実家からもらってきたものでございますとか、あるいは相続において得たものとか、妻名義になっておりますものは、やはり今後妻の所得として、合算しない、妻の所得として課税する、こういうことに改めました。それからあとで御指摘の、大きなものにつきましては合算するのだと、これは、主人が会社なりあるいは学校、官庁等に勤めておって、それで遠隔地に勤務しておる。奥さんが家庭にあってお百姓をしておるという場合におきましては、三段歩未満程度の、まあ奥さんの内職程度のものは、もうはずして課税しよう、こういう考え方を持っておるわけでありますが、逆に、一町歩を超えるというような大きな田畑につきまして、従来からの、まあ御主人の生活状況なり農業における経歴等から見まして、奥さんが家で主として耕しておるが、それは経営者としての耕し方ではなくて、主人の意思をうけての雇人を使ってやっておると見られるような場合におきましては、やはりそれは奥さんの所得ではなくて、主人の所得と見ることが社会通念上正しいのじゃないか、かような意味におきまして、この主人が農業の経営者と見られるのに相当するような事情のあるときは、主人を農業の経営者と見るのだ、かような見方をしております。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の場合は違わして、先へ返るのですが、何か「妻名義のものは妻の特有の財産と認め」る、これの「面積が大きくても」という場合には、三反歩以上の場合でも指すのですか。この文句からいいますと、指しておるように見えますが、そこで、問題が出ますことは、この特有の財産というものが、こういう形で多く残る場合は、まあ養子縁組、お婿さんをもらった場合にこういう場合が出てくる。ところが逆に、いろいろ家の都合上、そうしたことが便利だという形で、かりに夫が妻にその財産を譲った、こういう場合が出てきた場合には、やはり取扱いは特有財産としての取扱いを受けられるかどうか、これはちょっとおかしいと思うのです、実際としての取扱いで。大部分が婿取りが非常な有利な立場に置かれるのじゃないか。従って、そういうような特殊な家庭事情であって、その方が納税上いろいろに得だ、こういう現実の家庭上の問題が出て、夫が妻に特有な財産を譲った場合には、同じ取扱いを受けられるかどうか、こういうことなんです。
  43. 金子一平

    説明員金子一平君) 今御指摘の点は、夫が妻に財産を譲って所有権も耕作権も渡した、それで主人がよそへ出て耕作をしておるというような……。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 勤人なり他に労働するなり……。
  45. 金子一平

    説明員金子一平君) 外へ出て働いておる、農業には全然従事していない。で、奥さんの方が家庭にあって農業に従事しておる、かような場合でございます。実際問題として、奥さんが全部取りしきって、農業経営の中心となってやるというような場合には、私はやはり認めていいのじゃないかと思いますが、ただその場合におきましても、やはり主人が、所有権の名義は奥さんの名義であるけれども、実際には従来の経歴その他から見て、主人が実際に経営しておる、奥さんの方は主人の意図を受けてやったのだと見られるような場合には、やはり主人の所得と見ていいのじゃないかと、かように考えております。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこは非常にめんどうなことなんです。そうすると、その前の原文ですね、原文の、入婿等の場合、妻君が財産を収得しておって、そしてそこに入婿して来た、こういう場合にも、やはり入婿さんもやはり実際の耕作も指導するであろうし、いろいろなことがそれはまあ大体そんな形でいくのだろうと思いますが、片っ方はそれでいいが、片っ方はだめだということになれば、同じ形のものが、財産の譲渡の方法で変るということは、おかしなものだと思う、こういう懸念があるわけです。それに対しては、ここに書かれた場合でも、今御説明のようなことが考えられるのかどうか。
  47. 金子一平

    説明員金子一平君) 事実認定の問題が若干残ると思います。その点につきましては、通達は事実認定の問題として判定する余地を残しております。すっかり割り切っておりませんが、やや文書の書き方その他があるいは本文通りじゃないかとも思いますので、その点は一ぺん調べてみて……。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次にお伺いしますが、豪雪地帯における必要経費中に、何というのですか、耐用年数等の見積りは、特別の御考慮があるのかどうか、これをちょっとお伺いしておきたい。それと同時に、そういう地帯で農作業をしておりますとき、特別なやはり労力が必要になってきておる、これは税務署もよく御存じです。こういうものの実際の取扱いは、今のところほとんど考慮ないかと思いますが、前の場合は、幾らか考慮になっておるのかどうか。それから、あとの場合の労力等に対しては、どういう御処置をとられておるのか。
  49. 金子一平

    説明員金子一平君) 前段の耐用年数につきましては、特に必要な場合には耐用年数の短縮を認める措置もとれることになっております。現実にそれがどの程度いっておるかちょっと私記憶いたしておりません。取り調べるなり何なりして御報告いたします。  それから第二段の、その他の経費の問題につきましては、これは現地の署におきまして、それぞれ適切なるものを見積っておるというふうに考えております。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 この見積りが、耐用年数の見積りが、全く当を得ていないというのが、今までの考え方なんです。しばしばあなた方も御承知であろうかと思うけれども、これは国鉄において、高崎を基準として、そうして保線区の保線小屋というものは、大体日本じゅう同一の木材で作り、同一の形で、同一の面積で、大体ある場所も駅のはずれのような所で、同一の条件のもとにできておるんだ。こういうものを中心にして耐用年数を調べますと、大体豪雪地帯においては二十五年、大体五十センチに対して五年くらいの差を開いて耐用年数がはかられているというのです。こういうことがはっきりしておるのに、そういうものを標準にした、まだ、何べん言うても、家屋等の耐用年数において、そういう計算をとっておられない。従って、それらのことは、いろいろほかのものの方にも及ぼしております。家屋ばかりでなく、ほかの工作物の方にもその比例は生きているものですが、その点、さらに考慮はされていないのですか。これは、特別にやはり税務署としてもお考えになって、一つはっきりした標準を示していただくことができないのですか。
  51. 金子一平

    説明員金子一平君) その点は、青色申告をしておりますものにつきましては、償却の短縮というような措置が、長官会議でできることになっております。一般のものにつきましては、やはり政令、省令等の関係もございまして、いま一度研究してみたいと思います。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次には、これはたびたび税務署の方には、主税局長等中心にして申し上げるのですが、こういった豪雪地帯で農作業を行うとき、雪の降る所で、はざ場なんというものはありません。これは一つの例ですが、特殊の材料を用いて、特殊の構浩を作って、そうしてはざ場のようなものを作る。これは材料も要ると同時に、労力もかかります。これはあらゆるものにそういう労力がかかる。しかるに、今までの税務署考え方としましては、一般の自家作業の生産に対しては、労力を計算しない、こういう建前をとっておるわけございます。そういうものが何ら顧みられておられない。私は、少くともそういう地帯における労力分くらいは、ある程度考えるべきじゃないか、こう考えるのですが。いま一つは、実際の耕作を続けていきます場合において、農村における土地参件というものは、大体天然自然条件に非常に支配せられる。従って、一等田から、同じ地積にありましても、五等田なり、十等田なり区別して、そうして、これはいかに努力してもこれ以上とれない、だからこれは劣等な場所であると、こういうふうにきめつけられる。そういうものが昔から今でも残っておる。そうして、その結果がどうなりますかというと、その悪い地積ほどこれは収穫はない。ないが、悪い地積ほど労力がかかってくる。逆比例しているのです。一般の、仕事をすれば生産がふえていくという形はとれない。いかに努力しましても、それは生産に寄与することではなくて、その条件下おいて努力していかなければならない実情に置かれている。その労力を少も考えないでおったら、これは新潟風あたりが所得税に対し、農業課税に甘して、やんやんという声を上げておるのは、それを解決しなかったら、これは絶対問題にならないと思うのです。労力問題としてこれはしばしば申し上げるのですが、これに対する解決は、少しもない。きょうは主税局長は出て来られないので、まことに残念ですが、これは、私は古くからの懸案とし、税務署でももうその実態は御調査になっていると思う。平田君の主税局長時代に、このことを言うて、僕には調査に行つたとは言わないのですが、確かに長官は長岡の税務署に来られたというのです。そうして山間部をつぶさにその実情調べて行かれたのですが、把握していられると思うのです。しかるに、そのことが、何らあれがないということは、私は、これは非常な間違いじゃないかと思う。課税の公平の立場から、非常な間違いじゃないか。これは、一つあなたにどうしろと言つたところで仕方がないが、庁内において何かと考えてもらわなければならぬ問題であると思いますので、一つ御所見を伺つておきたいと思います。
  53. 金子一平

    説明員金子一平君) 自己労力を必要経費に見るかどうかの問題は、非常にむずかしい問題で、しかも深刻な問題だと思います。やはり今日のような税率の高い時代でありますので、相当、これを見ないということが、納税者に対して重圧になっている事実、これは認めざるを得ないと思います。青色申告についてだけ専従者控除というような名前におきまして、その一半は認めてきたわけであります。やはりこの解決は、税務行政上だけではできない、税法の改正は必要だ、かように考えております。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは全く参ったですよ。金子さんに回答しろといっても、どうも問題にならないのですが、いずれかの時期に、一つ大臣に出てもらつて、やつてもらわなければかなわぬと思います。  そこで、大体私も結論に入りたいと思いますが、豪雪地帯に対する一つ考え方については、幾らか考慮してやられたようですが、まだ非常に不十分なものがありますと同時に、今言ったこの労力は、他の産業と違うだろうと思います。ということは、大体生産費等の労力を出すときには、もう公けの機関で——反歩どれくらいの本田でここに労力がかかる、これにはこうかかるということは、公けの線でさえも出ているものがあるのですから、農業に限つてそれくらいの根拠が労力というものを認めていく機関は、長い間の習慣でもうでき上っているのじゃないかと思うのです。それをお使いになれば大した問題はない。三百六十五日たんぼにつかまっている者はだれもない。一反歩の耕作に対しては、本田はどれぐらい、苗しろ田は幾らだということは、そういうことはちゃんと地区的に個々にもきまっているものが出ているんですから、これははっきりしたものが、もう動きのつかない標準が出ているのですから、それを適用したら、すぐにでもやれるものだと思います。これは一つ現地において、常に農民と接触しておられる現地の皆さんから、一つ問題にして取り上げてやつていただきたいと思います。
  55. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は、農業の所得の問題が非常に重大な問題だと考えられるのであります、というのは、一個人の生産能力というものは、商工業方面の生産能力というものは、もう非常な速度で伸びている。ところが、の一個人の生産能力というものは、神武以来依然としてまあ旧態依然たるものがある。最近におきましては農薬や、あるいは機械というようなものが相当に進んで、また品種改良や、あるいは耕作法というものも改善されておるのはおりまするけれども、天然自然の支配を受ける率が多いので、その労力に対しての生産というものは、きわめて低い。これはもう明らかな問題でありまして、従って、商工業者の所得税農家所得税というものは、比較にならぬことは当然だと考える。従って、これからの農業経営というものは、早く言えば曲りかどに来ている。重大な時期に来ていると私は考える。そこで、農業経営者に対する温い政府のあらゆる保護政策が行われなければならぬのに、今回は所得税課税方法を改良して、そうして実態に即するのだというような名義のもとに、より重い税金を課せられるというようなことになると、いよいよ農家経営が困難になるということになるのだと考えます。  そこで私は、第一に質問いたしたいのは、昭和三十一年度農家所得税の総額、それからその内容ですね、米麦あるいは薪あるいは果樹、園芸等にそれぞれ分類されるのでありましょうが、三十一年度農家所得税の税額の内容と総額というものを、ありましたら教えてもらいたい。
  56. 金子一平

    説明員金子一平君) 御指摘の三十一年度農業課税の税額その他でございますが、税額は大体六十五億でございます。ただ、今お話の米麦がどうか、果樹がどうかというこまかい計数につきましては、ただいま手元に資料を持って参っておりません。いずれ取り調べまして御連絡をいたしたいと思います。
  57. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そこで、今度の課税標準を変更いたしまして、それによってどのくらいの農家負担が多くなるのか、少くなるのか、そこをはっきり一つやっていただきたい。どういうお見通しですか。
  58. 金子一平

    説明員金子一平君) 三十一年度に比較して、三十三年度がどうなるか、こういうことでございますか。——これは、予算の積算の根拠で申し上げる以外に仕方がないかと思うのでございますが、農業の総人員が三十一年度におきまして、五十九万七千名でございましたのが、三十三年度におきましては五十六万九千人、それから課税所得におきまして、三十一年度が三百八十億程度でございましたものが三十三年度の見込みといたしましては、三百五十七億、それから……。
  59. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 三十一年度は幾らですか。
  60. 金子一平

    説明員金子一平君) 三十一年度が三百八十億でございます。それから税額におきまして、先ほど六十五億と申し上げたかと思いますが、三十一年度に大十七億でありましたものが、三十三年度課税見込みが、三十七億程度ということになっております。
  61. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 三十七億ですか。
  62. 金子一平

    説明員金子一平君) さようでございます。
  63. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そうすると、これをもって見ると、いかにも農家所得税は減額されるかのようになるわけでありますが、実際には、実は宇都宮税務署管内における必要経費の算定が非常に不合理であるというので、その書類を実は私の所へ送ることになっておったので、まだ届きませんからわかりませんが、その非常に熱心な男の言うのには、何としても今回の必要経費の計算方法は納得できない、どうか国会おいて十分検討してもらいたいということを言うてきておるのです。この予算算定基礎の上から見ると減額されるものを、それがかえって今度は増税になるかのような算定方法を税務署がとっておるということについては、私は非常な疑問を持っておる。所得税は、背は所得税調査員というようなものがあつて、民間のいろいろな意見も十分参照して行われたものが、最近はさようなことがない、一方的に税務署がやる、ただ、青色申告ということを言うているが、これは一つの抜け口で、実際に青色申告をしてみると、それは税務署員が根掘り葉掘り——それは味噌汁の中に入った菜っ葉一枚までこの中に計算してあるのかと、厳重な調査をされて、かえってやぶへびだから、青色申告なんていうのは、農家の人になんか、とうていできるものじやたい、かえって損をしてしまうというように、一般の農家の者はおそれをたしてしまって、青色申告はほとんどやっている者がない、こういうような状態であって、一方においては、あかかも税金は農家からこれこれ取るのかというような国税庁からの指令があって、いわゆるこういうふうな農家への課税方針、あるいは商工業者にはこうであるというような、一つの暗黙のうちに——暗黙というか、秘密指令のもとにか、(笑声)秘密書類か知らぬが、そういうものによって課税方針がきめられ、税金を納める、いわゆる農家は今日は非常にヤミの相場等もなくなって、農家収入というものがきわめて少くなってきている現状において、昔は米の供出、それから税金の供出——よく百姓は税金も供出するのであって、これは、もう税務署がその指令を受けてきているのだから、いくらこっちから言ったところで、聞かないというようなまあ観念的な考え方で農家はやっておったわけです。国税庁としては、所得税の自然増収がどれだけあったかというようなことを言っておるが、一面においては、農家の方ではそういうふうな税金の供出をされているのだ、で、供出は、これは個々農家について一々当っているようなものの、実際は、もう国税庁から方針がきめられて、定められた供出をしなければならぬようなものになっているのであろうというような考えを持っているんだが、事実そういうことがあるのですか、どうなんですか。それを一つはっきり聞かせていただきたい。
  64. 金子一平

    説明員金子一平君) 御指摘の割当があるのかと、税金の供出があるのかという点ですが、これは全くございませんと申し上げておきたいと思います。ただいま申し上げました数字は、これは全くの予算の見積りにすぎないのでございまして、私どもといたしましては、予算当時の事情と変った事情になれば、あるいは所得がもっと上る場合もございましょうし、所得がもっと下る場合もございましょう。要するに、その実情を正確につかまえて課税をすればいいので、必ずしも予算通りぴったりと取らなければならぬというような気持は毛頭ございませんし、また、さような気持で第一線の局なり署を指導いたしております。従いまして、庁から、たとえば広島なら広島の局へ、ことしは幾ら農業課税をやれというような指示は、いたしておりませんし、また、局から署へさような指示はいたしておりません。また、いたすべき筋合いでない、かように考えております。
  65. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そういうふうな弁解、御答弁を聞くと、そういうふうにも思われるのですが、昨年宇都宮税務署の争議がありまして、宇都宮税務署の署員が街頭に出て、皆さんが幾らどういうことを言ったって指令が来ているのだという文書を流しているのです、街頭で。そういう事実があるので、私は信じられないのだな。どうもわれわれは、このくらいの方針で減税されても、税務署の算定の方式で少しくらい減税されたって、それは、給与課税のようなものは、これはもう明瞭なんだが、一般の商工業者や百姓なんというものは、少しくらい標準が変ったって、わからないから、どうにもならぬ。算定はこういうふうになったんだと言われれば、それきりの話なんです。現に、昨年の税務署の争議のときには、そういう文書を街頭で印刷して流している。これはどういうことですか。こういうものに対しての税務署としての処置としては、どういう措置をとられたのですか。
  66. 金子一平

    説明員金子一平君) 私は、その宇都宮の文書を見ておりませんので、どういう内容になっておるか存じませんけれども、御指摘のような趣旨だとすれば、全くためにする者の趣旨だとしか私には思われません。なお、当時の首謀者と申しますか、これは、それぞれ処分をされたように私は聞いております。
  67. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと、さっき聞き漏らしたかとも思いますが、というのは希望なんです。なぜ農民が中庸標準を要求するかということ、さっきも仲原さんがちょっと指摘せられましたように、大体税務署所得標準中心にして、市町村税がかかってくる。ところが、これをあなた方に申し上げますと、そういうものを中心にして市町村税がきめられることはまことに迷惑だ、こういうふうに御回答になっておられる。そこでお願いしておきますが、これは非常に重大な問題で、将来の紛争を片づけるためにも重要だと思いますので、これは、国税庁からはっきりとこの見解を新聞に発表してもらいたい、それができますかどうか。
  68. 金子一平

    説明員金子一平君) 御指摘標準率、もし中庸標準というようなことでないと、市町村税課税の際に非常に困るじゃないかという御指摘の点につきましては、私ども全く同感でございまして、直税部長会議の際に、もし町村でそのまま利用されて現地でトラブルが起っちゃ困る、かりに町村にそれを渡すといたしましても、町村税資料としてそのまま使うことについては十分慎重にやってもらいたいという旨を申し入れるように指示いたしております。なお、その点につきましては、今お話の点につきましては、よく自治庁とも連絡いたしまして、間違いのないようにやっていきたいと思います。
  69. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の言うのは、自治庁という内かたでやらないで……。内部だけではそれを知らないです。知らないで、税務署の決定をすぐ町村で使うのです、一番便利ですから。だから、税務署の方としまして、だれか、あなたの談でも何でもいいですよ。そういうことを新聞に発表して、これはわれわれは迷惑に思っておる、われわれにお答えになると同じことです。迷惑に思っておる、それを基準にしてかけるのではない、こういうことを公けに発表していただきたい、こういうのです。これをやることはわけはない。新聞記者に御発表になればいいのだ。そうすれば、一般の民衆もわかるですから、そういう問題は起きなくなる。われわれが幾ら、こういうふうになっておるのだから、不服があったら町村会議員を通じて是正をやっていったらいいじゃないかということを言いましても、なかなか聞かないです。はっきりとあなたの方からそれを新聞に発表していただきたい。そういう間違いが末端に非常に起きておる。今度中庸標準ということで、あなた方との交渉の際にも強調したでしょうが、この際、必ず町村標準にするものではないということを、はっきりと全国民にわかるような方法を、新聞をもって発表していただけるかどうかということをお伺いしておる。
  70. 金子一平

    説明員金子一平君) 新聞に発表しましても、うまく載せてくれるかどうか。その点につきましては、十分末端に徹底するように、何らかの措置は講じたいと思います。
  71. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 今のお話なんですがね。新聞に載せてくれるかどうかという大へんな御心配を持っておられるようですが、これは喜んで載せると思います。農家がこれだけ不審な思いをしてやっておるのですから。私は、また少しそれにつけ加えて、こういうことができるかどうか、お伺いしたいと思いますが、税務署と他の税務署との均衡というものがとれていない場合が相当多い。これを是正するためにも、その反収基準というものをどういうふうに見た、課税をする面積については、なわ延びをどの程度に調整した、あるいは価格の点についても、この地区では基礎をどの程度に置いてあるかという課税標準に対する基礎的なあり方を、公明に納税者に周知せしめるという立場から、当然とるべき方法だと私は思う。これは責任を持って、むしろ町村税とも関係があるのですから、税務署から、かくのごとき状況において、基礎において課税をしたのだという報告書様のものを、各町村へお配りになられるかどうか、これを伺いたいと思うのですが……。ただ、新聞に発表するとか何とかいうのでなしに、もっと基礎的なものを公表されることが、私は、課税の公正を期し、また、喜んで納税するという立場に持って行きまする一番よい方法である、かように思います。
  72. 金子一平

    説明員金子一平君) 先ほども御質問にございましたように、この点は、各町村に対する開示の際に、あるいはまた、基準地等の標準率を作りました際に、農業関係団体なり市町村等に十分説明しておると思います。一部説明の足らないような所も、御指摘もございましたけれども、全体としては、さようなやり方をとっておりまして、大体に納得しておっていただけるというように考えております。ただ、今後の問題といたしましては、何らかの方法を講じて、もっとはっきりと内容を説明できるような方法を考えていったらいいじゃないかということを考えております。その点につきましては、今後一つ研究をさしていただきたい。かように考えております。
  73. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) それは、私は当然だろうと思うのですよ。今新潟にもこういう問題が起っておる。鳥取、それから広島にもこういう問題が、今非常に紛糾しておる、解決したかどうか知らぬが。ところが、これは鳥取の場合を見ても、仲原委員のごとき堪能なる人が入って、うまく解決すればいいのだが、一般にはそうはいかないで、とにかくそのままに押しつけられて、やむを得ずということで解決する所もあろう。きわめて課税が不公平だ。だから明瞭な基礎に基いて課税しなければ、私はきわめて不公平な課税になってくる、こういうふうに考える。特に税務署の、今手薄と言われたが、その手薄な職員で、しかも点数をかせごうと思って、各税務署がどんどんやっているという傾向があるということになれば、きわめて不公平な課税になってくる。だから、私どもは、統計調査のこれを基本にするより方法がないだろうと思う。これは完全なものとはいえないだろうが、今の制度としては、これを基礎によるより方法がない。だからこれをはっきり基礎にするということになれば、きわめて公平にいくのだけれども、そこに一つの矛盾がある。この点は、やはり国民に、農民基礎を明らかにしてもらわねばならない。結局これは個々に当ったものではない。それを一つ標準を設けて、そして押しつけていくのだから、そして納得したものがあれば公平にというが、そうじゃないと私は思う。この点はきわめて明らかにしてもらいたいですね。
  74. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 今、委員長から言われたように、また御答弁もありましたが、反収基準調査いたしますのは、農村では統計事務所がございます。御承知の通りであります。それから共済がやっております。農協、あるいは農業委員会等もやっている。また税務署も時折来てやっておりますが、これは一番拙劣なんですね。本職じゃないのですよ。いかにして税金を多く取るかというところに問題点を置いて、坪刈りをやって、なわを引っぱったり、その手つきの下器用なこと、そういうことをやっていて、そうしてその基礎を明瞭にしないということは、それは課税ということの本質から考えて、私は不公平だと思う。そこが納得してくれたらいいけれども、朝、集会をして、そうして閉会に至るまで、もう一点ばりで同じことを説明して閉会に至るのであってやむを得ずやっているにすぎぬのだと私は思う。これは実際問題なんですよ。皆本職の連中がやっていて、なかなかむずかしいことなんだから、一朝一夕に、そろばんを握っておる人が、そう田畑に出てやれるはずがないと思う。これはやれないのがほんとうだろう。それを故意にというか、とにかくこれで間違いないという考え方自体は、これは大へんなことだと思う。どうか一つ、今後の問題もありますので、水かけ論でなしに、少くともそのサンプルを取ります場合が、非常に限定された所で取る、そういうことが間違いが多く起りまする理由なんです。これは全国的に見たら、あまり多くは違わないかもしれないけれども個々の小さい地域になりますと、大へんな違いが起ってくる理由なのです。もう少し他にたくさんの調査をしておるのですから、それを勘案して、公平に課税するということに持っていっていただきたいということで、資料の提出をお願いしたい。特にこの資料の中には、米価の取り方、それからなわ延び面積の取り方、それから農家保有米の算定基準等を明らかにすべきである。〇・三引きました、ということでなしに、百姓というものは金に換えなければなりませんから、売れる米は全部売ってしまって、くず米だけ食っている。それを〇・三引いただけでは不十分だと思う。さらにそういうことが、今度問題になる基礎をあなたの方で御提示にならないから水かけ論になる。一つの信念をもっておやりになるならば、そういう提示をしたものによって、今後議論をされるのが、公平な課税の在り方だと、かように思うのであります。特にお願い申し上げます。  それから、これは作報反収基準税務署のでは、税務署の方が高いのです。私は不思議なことだと思う。こんなことは、あのくらい綿密な——あれだって私は高いと思っているのです。もう少しいろいろのことを勘案してもらいたいと思う。——抽出をして、その反収をとりまするあの仕方は、たとえば凶作地等が抽出に当りましたときに、余計作るためのいろいろな施設をしている田を基準にして、資料調査をしておる場合があります。抽出に当ってもそれを変えるわけには参らぬ、そういう不自然なことがあるのであります。そういうことから考えると、一番正しいだろうと思って一番たくさんの経費をかけて調査をしている所よりも高い課税を出してみようなんということは、これは大へんな間違いです。これは一つ十分に反省してもらいたいと思います。  なお、ただいま佐藤さんの御質問に対して、課税人間と課税所得と税額との発表がございました。税額が三十一年度より三十三年度は半額程度になっておったかと思いますけれども、これは所得税そのものの税額が低くなったから半額になったのであって、決して私は税務署自体が農家課税に対して非常に親心を示しておる問題ではなかろうかと思うのであります。その点は、あとでどうかお伺いをいたしたいと思うのでありますが、増産をしたといいますけれども、それは皆、資本がかかっておる。農薬を余計に使ひ、技術の研修を余計にする、あるいは土地の改良をするということが増産になっておるのであります。それはおのおのそれに対する投資が農村からなされておるのでございます。そういうことを十分に勘案して、この必要経費というものの算定に当っては、もう少しこまかい親心を示すべきである。従来のような農薬ではございません、従来のような、また同じ苗を植えるにいたしましても、保温折衷帯しろのごとき、高い技術をもって高い経費を投じた原苗を持ってきて田に植えておるのであります。ただ、できたから取るのだという形だけでは、このひよわい農村の経済というものに、重圧が一そうかかってくるということを、親心として考慮すべきじゃないか、そういうことに対する配慮が足りない。それから給与所得者の所得農業所得に合算する、これは今、清澤さんからお指摘になりまして、少し改正される趣きになったようでありますが、これは二重課税なんです、ほんとう言えば。理論的に言われればそうでないといえる面もないことはありませんけれども、このごろの農家というものは、農業じゃ食えないのです。やはり外に出て何がしか小づかいというものをかせいでこなければ、どうにもならない立場に追いやられている。そういう立場からこの問題も十分に御検討を願いたい、かように存じます。
  75. 金子一平

    説明員金子一平君) 作報反収税務署の見ました反収の差につきましては、先ほどもちょっと説明申し上げましたが、少し誤解があるようですから、重ねて申し上げておきますけれども作報で作られる反収は、実際の反別、三百歩を一反と見まして、この一反歩当りでございます。ところがこちらの方は、農業委員会等調べておりました各農家台帳面積を集計したものが一反歩当りになっております。そこで、結局なわ延びがございます関係上、作報の方の一反歩当りは、向うから出ておるのは少いし、こちらは多く出ておる。それから災害等がございましたときには、こっちは災害地を外して計算するというような関係で、統計に差が出ておるわけであります。ただ、御指摘のございましたように、この作報調査反収中心にやればいいじゃないか、税務署員は必ずしもその方の専門家でもないのに、むだな調査をやる必要がないのじゃないかという点は、私どももまさにさように考えております。でき得べくんば、作報数字をそのままとれば、これにこしたことはないのでございますけれども、御承知のようなことで、ただいま作報数字そのものを使うわけにはいかない建前になっておる。今後は、一つこういった点をさらに検討を重ねまして、そうしてただいま農林省でお調べになっております。各なわ延びを見たところで作付反別が各町村ごとに出てくるということになりましたので、私どもといたしましては、署の調査は省きまして、農林省の統計にそのまま乗っかっていくような課税をやったならば一番合理的じゃないかというふうに考えております。こういった点につきましては、今後の問題として一つ研究させていただきたいと思います。  それから経費見方でございますけれども、これはやはり私どもといたしましては、たとえば肥料にいたしましても、農薬にいたしましてもやはり実態に即するように、少くとも毎年の農薬なら農薬の販売の伸び、あるいは肥料の伸びというようなものを実際につかみまして、傾向的には、それに合せるように見ております。必ずしも十分ではございませんが、しかし、無理して経費を切っておるというようなことはないと思います。ただ問題は、むしろ従来、特別経費といわれておるような常雇い人の費用、耕牛馬費——耕地整理の費用であります一そういった点については、なお今後研究しなければいかぬ問題が相当あるかと思います。  それから税額が三十一年に比べて左上三年度の見込みは半分くらいに減ったが、これは税率の問題だけだとおっしゃいましたけれども、今申しましたように、私こまかい内訳の計数を持ってきておりませんので、ここですぐ御説明できる段階にございませんが、経費その他もやはり相当伸びて参っておりますので、そういった減税と合せて、必要経費の合理化というような点からも、かようにやって参っております。それから、先ほど申しました農業所得と給与所得の合算課税をはずした面があるというような点も、やはり私は税額の減っております一つの要素になっておるというふうに考えております。
  76. 江田三郎

    ○江田三郎君 君さっきからなわ延びの問題は、これは慎重にやらなければならぬということをおっしゃったのですが、先ほどの答弁、それから今の答弁でも、作報統計調査部の方の数字税務署反収数字との違いというのは、一方は実測でやっているのだし、片一方は台帳面積でやっているのだから、違いがあるのだと、こういう説明なのですね、そうすると、これは明らかになわ延びというものが一般的にあるのだということを認めた議論になっているのですよ。しかし、なわ延びというものは、これは統計調査部の方にお聞きしたいのですが、どこにでもあるのですか。耕地整理をやった所もあるし、山の方の田がありますし、いろいろの田がありますね、どこにでもそういうなわ延びがあるのかどうか。さらに課税農家というものが一割になるのか、一割五分になるのか知りませんけれども、大体において大経営の所でなければならぬ。大経営の所なんというものは、耕地整理は相当進んでおる所だろうと思うのです。そういうようなことから考えると、なわ延びがかりにあるといたしましても、これは一つの偏在した条件だと思うのです。一般的な条件じゃないと思う、統計調査の方はどう見ているか知らぬが。それと、今のような統計調査の方と税務署との違いは、なわ延びがあるのだということで、なわ延びを一般的に認めたということになる、そうするというと、河合さんが御心配するように、どこにでも税務署はなわ延びを持ってくるのだといったことを心配せざるを得ないようなことになる。今の答弁に関連して、変に思ったのでお聞きするわけです。
  77. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) お話のように、なわ延びというもの、つまり台帳面積と実面積との違いというものは、県によりましても郡によりましても町村あるいは個々農家によりまして、非常に違っておりまして、非常に多い所、非常に少い所、むしろ台帳面積の方が多い所もございます。さような実情でございます。
  78. 江田三郎

    ○江田三郎君 だから、それに関連して今の金子さんのおっしゃっているところを、もう少し、納得できませんから、説明して下さい。
  79. 金子一平

    説明員金子一平君) 言葉が少し足りなかったかもしれないと思いますが、農林省から今お話のございましたように、地区々々によって違っていると思います。一律に、私の方で見ております反当収量農林省作報よりも多いということにきまっておるわけじゃございませんので、まあ多い所につきましては、そういう傾向があるのじゃないかということを申し上げたわけであります。
  80. 江田三郎

    ○江田三郎君 それは金子さん、あなたの思いつきの答弁ですよ。大体多いですよ、どこでも。それを合理化するのに、あなた、たまたまなわ延びというようなことを言ったんでね、あまり適切な答弁じゃないですよ。それはやっぱりさっきから出ておるように、税務署の方は何でも税金取らなきゃならぬ。上からノルマもきておるから、それでなれぬ手付でやったということの方がほんとうなんで、もう少し実収の把握については、他の農業団体その他と協調されるということに持っていかれる方が僕は妥当だと思うのです。まああまりしつこう言いませんがね。
  81. 仲原善一

    仲原善一君 農民課税について、もう一点だけお伺いしておきたいと思いますが、これは最近こういう傾向が出てきております。と申しますのは、中小企業で、法人化して税金を少くする。この例にならって、農家が、家族を法人の構成員にして、農業法人というのを作っている傾向があります。親族も一緒になって、農業法人になる。そうしますと、税金が、たとえば二十世紀などを作っているところでは、半分以下くらいになるという実態がありましてそういうのがあっちこっちぼちぼちできかかっておりますが、こういう農業法人の考え方について、国税庁はどういう見解を持っておられるのか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。と申しますのは、この農業協同組合の情成員に、こういう法人がなれるかどうかというような問題もあって、将来の農村の組織といいますか、そういうものにも非常に重大な関係のある問題でありまするし、実態としては、そういうものがぼちぼちできているというようでありますので、その法人化について国税庁意見と申しますか、そういうものをちょっと拝聴しておきたいと思います。
  82. 金子一平

    説明員金子一平君) ただいま私の手元には、まだあまり材料が参っておりません。柑橘類の関係で数社四国にできたというような話を聞いたのでありますが、それは農地法の関係で、果して法人経営が認められるかどうかという問題が、課税の問題の一つ前にあるように伺っております。まだその点の解決がどういうふうになるかによりまして、私どもの方の考え方もまた変って参りますので、最終的に結論を出しておりません。
  83. 仲原善一

    仲原善一君 ただいまの御答弁の中で、農地法の関係もありますが、現在やっておりますのは、たとえば二十世紀なら二十世紀という木ですね。果樹そのものをその財産にして、農地に関係のないような考え方で進めておって、現実に非常に税金が安くなっておる例があると思うのです。そういうものをよくお含みの上で、将来の方針をきわめていただきたいと、かように考えるわけであります。
  84. 鈴木一

    ○鈴木一君 先ほどのなわ延びの問題について、くどいようですがお伺いしますが、われわれ巷間聞くところによれば、統計調査部の方で十三万町歩あるということを発見された。そのうちの二割くらい三十三年度課税の対象にしていけというふうに、画一的にそういう指示が国税庁の方から末端まで出ておるということを私たちは聞いて——もちろん今聞いても、そんな事実はございませんと言うだろうと思いますけれども、どうもそういうものが流れているというようなことを、各所で私たち耳にするのです。それやっぱりあなたたちの方の出先機関が、それらしき行為を方々でやるので、そういうことが私たちの耳に入るのだろうと思うのですけれども、まあ聞かれればそういうことはないと言うかもしれませんが、実際ほんとうのところどうなんですか。
  85. 金子一平

    説明員金子一平君) 先ほども御答弁申し上げましたように、画一的に二割なら二割見ろとか、一割見ろとか、そういう指示はいたしておりません。十分に実情に即した見方をするように指導いたしております。
  86. 鈴木一

    ○鈴木一君 証拠がありませんが、いずれもし証拠を入手したら、あなたの首をもらいに行きますから。
  87. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 一点だけ。今のなわ延びの問題ですが、実情に即するようにというのですが、まことにこれはけっこうなお言葉で、われわれもそう信じたいのですが、即するようにするのには、一体何を準準にされるのですか。これは、たとえば一反のものがありまして、それが欠けておりますね。畦畔が飛んだとかいうことで、実際は欠けておるのがあるのです。また、昔はいなかではなわを投げて、木を投げて、そのなわの行ったところがちょうど一反だというようなことで、区切りをした所もある。そういう所では、昨今大へんななわ延びが出ている。ところがまた、町歩が多い方が収入が多いというので、測量する人が非常にもうけをするために、全くきちっと合わしておる所がある。それを実情にと言われても、田がそれぞれ変った形で置かれておるものを、実情に即してこれを検討するという言葉は、まことに当てはまりやすい言葉であるが、実情は、そういうことは私は困難ではないかと思う。ですから、税務署がなわ延びの所まで入って行って、こういう架空のものを相対計算でかけ合せたもので積算するというようなことは、非常に危険が私は多いと思う。その実情をよく考慮されて、なわ延び等は来年から用いないようにするのが私はよいと思う。それがほんとうなんです。なわ延びというような危険なものをとらえてみようということ自体が、大それたことなんです、農村では。
  88. 金子一平

    説明員金子一平君) お答え申し上げますが、なわ延びのあることがはっきりいたしております町村、必ずしもそれを全面的に見ないのだという必要もないと思います。それから、町村段階も全然わからないで、まあ郡段階でこのくらいだというような場合におきまして、その郡段階のなわ延びを、そっくりそのまま各町村に当てはめること、これもはなはだ危険だと思います。結局精通者の言うことを聞きまして、まあ大体この見当だろうというような場合におきましては、過酷にならないように相当程度のしんしゃくと申しますか、しんしゃくをいたしまして、若干見込んでも無理はなかろうというようなところの数字は、私はとってもいいじゃないか、その程度に考えておるわけであります。
  89. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。なわ延びの問題ですが、これをそう地籍だけやられるから問題が出ると思います。先ほど申しました通り農家の方には立地条件によって逆比例がある。従って、一反歩の収穫を平均するためには、昔あまり労役ということは考えなかったらしい、考えないから、従って地籍を、収穫の表面を合せるということが残っている、現実に。だから山間部なんかに参りますれば参りますほど、労力はかかる。従って収穫はまた少い。だから百刈で一反歩としたりあるいは五十刈で一反歩としたりして、非常に差のあるものが出る。それを地籍では収穫づらで合している。こういうものででき上っているのですから、これは労力の問題から先に片づけないで、すぐなわ延びを出してきたらとんでもない間違いが起ると思う。だから、これは先ほどから言われておる通り、お考えにならない方が無難じゃないかと、こう私は考える。これは御参考までに申し上げます。地籍があるからというて、それをやられては大へんな問題なんで、そのうしろに隠れている労力の問題は、何ら税の対象にならない。
  90. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本件については、本日は、この程度にいたします。  ここでしばらく休憩して、次は、一時半から再開いたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後一時五十五分開会
  91. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 前回に引き続いて農林省関係の昭和三十三年度要求予算及び昭和三十三年度補正予算を中心農林省各局庁別にそれぞれの当局から説明を聞くことにいたします。  なお、この問題は本日中に終りたい予定でありまして、時間の都合上説明はおもな事項について重点的に努めて簡明にお願いいたします。
  92. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) お手元に二枚つづりの表をお配りいたしたかと思いますが、それの方で御説明いたしたいと思います。  なお、前もってお配りいたしております資料の七ページに畜産振興に関しましての説明を書いておりますので、お読みをいただければありがたいと思います。きょうこの二枚つづりをお配りいたしましたので御説明をさしていただきたいと思います。
  93. 千田正

    ○千田正君 委員長が今おっしゃったように、局長さんにお願いしたいのは、昨年と比べて著しく増減のあったこと、それを重点的に説明願いたいと思います。
  94. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) わかりました。  それでは、御説明させていただきます。  1、技術指導の強化、この案件では畜産技術振興が若干ふえております。これは畜産会等でやります経営診断事業でございますが、この摘要のところに十分書いておりませんが、ふえておりますものは家畜共済で赤字が出ておるところがかなりございます。約十三件ほどございますが、そういうところにはこの家畜共済が赤字の出る理由、飼育管理等の不十分、衛生関係の不十分等がございますので、そこにつきまして特に指導を今年度からいたしたい、こういう考え方から経費が若干増加されております。その下の講習施設、これは県の種畜場約十カ所に対しまして講習、研修の施設費の補助をいたしております。  それから二番目の飼料対策の拡充でございますが、草地改良の問題は昨年とほぼ金額的に同じ程度の観を呈しておりますが、実はこれは集約酪農地域の指定が来年度は大幅に数が減ります。これは、この数年間酪農振興地域の指定をやって参りましたわけですが、当初約百カ所という酪農地域の指定の計画でここ数年やって参りまして、だんだんあとが少くなって参っております。そのために、来年度約十四の個所を考えたわけでありますが、そのためにそれに補助いたしまする、イ、ロ、ハ、ニと書いてありますニの草地改自の機械導入の費用が、昨年一億二千万くらいのものがことしは五千四百万くらいに減っております。これは当然の減であろうと思います。そういう状況でございますが、今年度は、従来展示施設にとどめておりました草地改良の事業を、たとえば十町歩の草地に一町歩だけを展示的に見せる、こういうやり方であったのでありますが、これを全部、全地域について草地改良事業としての事業化を来年度からいたす予算を要求いたしておるわけであります。来年度は約四千六百町歩の草地改良の事業を従いまして起すことに相なります。  それからイ、ロ、ハの摘要のハにあります草地放牧利用模範施設、これはわずかな金でございますが、山奥というと語弊がありますが、離れた場所におきまする放牧地、牧野施設を、これを放牧をしながら草地の改善をいたすという構想でございまして、従いまして、その放牧をいたしまする管理が非常に統制のとれたものでなければ、そういうことができないわけでございますので、約六年の間県庁にその牧野の管理を委託いたしまして、そこに計画的に、かつ技術的に放牧を認めるやり方をとっております。県庁の諸君がその放牧地に駐在をいたしまして、それぞれの牧区に分けて、そこの草生の状況等を見張らしまして、放牧をやらしていくわけでございます。そのようにいたしまして、三、四年の間に草地の関係の改良をやっていこう。従来のように、トラクターでひっくり返しましたやり方ではなく、放牧という形において草地の改善ができる。こういう大規模なやり方を、全国四カ所——阿蘇、それから島根の三瓶、それから関東では浅間の裏になりまする群馬県の浅間牧場、それから岩手県は種山高原、これらの地域に、大きいものは数百町歩、あるいは小さい場所になりますと百町歩以下ということになりますが、放牧をいたしながら草地をやろう、こういう新しいテスト的なやり方を加えております。  飼料自給経営は、これは一般的な単価減のみでございます。  飼料の品質改善も言うことはございません。  飼料作物種子供給確保、これは若干ふえておりますが、現在国の種畜牧場が飼料作物の種子供給のために二百五十町歩の原種圃を持っておりますが、この原種圃に供給いたしまする種子そのものの改善をいたす必要がございますので、来年度新しく種畜牧場約二十一町歩に、原種圃に渡しまするいわば原々種圃的な圃場を新たに開きたい、かような趣旨でございます。  牧野改良センターも、単価の減でございます。  家畜の導入、有畜営農の確立で計数が落ちておりますのは、これは国の補助をいたしまする金利の補助率が少くなったために、今年度少くなっておりますが、数字的には大した変り方はございません。ただし、綿羊が昨年三万頭が一万五千頭に減っております。これは実際の需要の点からこういうような数字が出て参っております。  それから、ジャージー種乳牛の導入が、二千五百頭が二千頭に減っております。これは世銀の借款が、今年度——年度になりますか、九百頭分しかございません。あと千百頭分を世銀借款で借りております。ほかの機械類の金が若干余っておりますので、そちらに振り向けたわけであります。三十四年度からは、また正式の世銀借款等の交渉をいたさねばならぬと思いますが、三十三年度はこういう数字でおさめました。これは昨年二千五百頭となっておりますが、実際に入りましたのは二千頭でございまして、頭数においては変りはございません。  それから畜産による中小農振興、これも同様なやり方であります。ふえておりますのは、豚が昨年の一万頭がことしは約三倍になりまして、二万七千五百頭という数字になっております。  寒冷地畜産振興は、昨年同様でございます。節約の分が減るだけでございます。  酪農及び牛乳乳製品対策、これは大幅に広がっておりますが、学校給食のために約二十万石のミルクを供給いたしまするための、一合四円当りの補助約七億、それから酪農振興基金に政府出資を五億、十二億はそういう数字になっております。  それから酪農振興のところの九百五十二万八千円、摘要のところに、牛乳品質改善事業八百七十九万円、これは新しい事業でございますが、これは現在農家で生産いたしまするミルクの品質が、環境が悪かったり、あるいはそれの操作が悪くて品質が非常に悪いのが出ております。二等乳あるいは、細菌数が非常に多いという状況でありまして、これらを品質改善をいたしまする指導をいたしたい、こういうことでございます。まだ強制検査のところまで入りますと、いろいろ弊害があるようであります。強制検査のところまで入っておりません。  種畜牧場整備その他種畜対策、これは摘要にありまするように、大宮種畜牧場の整備、約二千万かけて大宮種畜牧場の整備をいたします。これは私どもの方で、大体五カ年計画くらいで、全国の種畜牧場の再整備をいたしたいという考え方を持っておりまして、案を練っておるのでありますが、それの第一着手といたしまして、鶏の一番主要な種鶏場であります大宮の種畜牧場を整備いたしまして、現在約六百羽くらいの飼養羽数でございますが、これを約三倍くらいの程度にまで上げまして、新しい改良された種鶏の改良方式というものが一応確立されてきておりますので、その改良方式にのっとりまして種畜を改良いたしたい、こういう考え方でございます。  それから家畜衛生関係、これは現在各県にございまする家畜保健衛生所の設置、新設十カ所、今までの支所を本所に直しまするものが二十四カ所、これが新しく加わっております。あと若干の経費その他の増減がございますが、これは節約分でありまするとか、あるいは事務的な問題でございます。  それから、この中で、先ほどの、その他の事項というのを種畜の方で申し忘れましたが、種畜のところで一つ問題になりますのは、全国の乳牛が、このごろは人工授精が約九五%くらい普及いたしておりますので、いい質の乳牛の雄の数が非常に限定されてきております。従いまして、近親繁殖の弊害が出始める危険を帯びてきております。若干の徴候が出ておるのでありますが、近親繁殖によりまするそういう弊害が、今後ますます人工授精がふえて参る状況、あるいは冷凍精液等の問題がございますので、従いまして、この近親繁殖の弊害を除去いたしますために、全国の乳牛を、その三代前までにわたりまして、それぞれの系統をカードで整理いたしまして、人工授精所、家畜保健衛生所、県庁というようなところにカードの備えつけをいたし、整理をいたしたいと思います。さようにいたしまして、その地方におきまするいわゆる種母牛の導入について近親繁殖の起きない、他の品種で優良なものを持ってくるというような整備をいたしたいと思いましてそういう仕事を新しい仕事として考えております。さようにいたしまして、私の方の予算といたしましては、昨年度約二十億、今年が約三十三億、こういうような数字になっております。  それから、しまいの畜産局関係他局計上支弁でございますが、これは試験場その他の問題を抜きにいたしまして、緊急畜産センサス、三十二年度において行いましたものの続きといたしまして、今度は来年度におきましては畜産の集落調査をいたしまして、それが二千六百八十八万という予算になっております。これは昨年よりも減っておりますが、その調査でございますので、当然減る、昨年からの計画の続きでございます。  新しい事業といたしまして、統計調査部の方にお願いをいたしまして、肉豚の供給予察をいたします。これは肉の値段の中で一番豚が値段の高下があるものでございますので、従いまして三十二年度にいたしまして牛乳の供給予察の好成績にもかんがみまして、このたびは新しく肉豚の供給予察をいたしまして、これは今のところ一年二回くらいの短期予察をいたしまして、需要供給その他肉の値段の高下に対応いたしまする生産者、あるいはそれを扱いますもの、双方への予察資料を提供いしたい、かように考えております。  それから畑作地帯におきまする飼料自給化普及研修三百万円でございますが、これはイモ作地帯を対象といたしまして、イモ作の自給飼料化、イモそのもの、あるいわイモずるの問題がございますが、これの飼料はどうすれば有効になるかといういうような指導をいたしたいと考えまして、それの普冊研修のために三百万を計上いたしたのであります。  その他牧野土壌調査は昨年と同様でございます。  以上簡単でございますが……。
  95. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) それでは、蚕糸局所管について簡単に申し上げます。  お手元に昭和三十三年度予算概算一覧表蚕糸局という名前の入りました二枚つづりの刷り物がございますが、これでごらんをいただきたいと思います。  初めに、糸価安定特別会計でございますが、これは今回借入金の限度額を二十億円増額をいたしまして、糸価安定資金の増加をはかったのでございます。ここに証書等の限度額三十億と書いてございますが、これは証券の誤まりでございまするので、御訂正いただきたいと思います。現在の糸価安定資金は六十億円になっておりまして、そのうち現金の分が三十億、それから借り入れができます金額が三十億ということになっております。昨年の暮あたりから非常に糸価が低迷をいたしまして、昨年の暮から今年にかけまして、政府売り込みが相当量に上っておるのでありまするが、今月の十五日現在で大体三十億円相当の生糸買い入れをいたしております。俵数にいたしまして約一万六千俵、三十億円が糸にかわったような状態でございます。従いまして、なお三十億円ほどの余力は残しておるのでございまするが、この会計の資金が減って参りますと、特に海外からの日本の生糸に対する価格の面での不安が出て参りまするので、輸出等の面でも好ましくない影響が出てくるわけでございます。それで約一万俵相当分の資金を増額することにいたしまして、今回その措置をとるわけであります。これは糸価安定特別会計法の一部改正になりまするので、近く大蔵省所管の法律として御審議をいただくことになっております。  それからその次は、生糸の需要増進、これは海外宣伝費でございますが、これは前年同額になっておりますが、前年度の九千万円のうち、二千万円だけは三十一年度限りということになっておったのでございまするので、その関係を織り込みますと、三十三年度は二千万円を増額をいたしたことになっておるわけでございます。   それからその次は、繭検定を飛ばしまして、製糸設備の処理でございますが、これは昨年の国会で御審議をいただきました設備処理法に基く設備の処理の補助金でございます。これは三十  二年、三十三年、三十四年と三年に分けて計上いたすことに相なりましたの  で、三十三年度は五千台相当分の五千万円が計上されておるわけでございます。   それから養蚕振興対策のところでは、特に前年と変ったことがございませんのでその説明を省略いたします。  それから蚕糸の技術改良のところにおきましては、ごくわずかな金額でございますが、この都府県蚕業試験場試験費補助金の中で、この欄の最後のところの、養蚕簡易化試験費補助金というのが四十二万五千円——これはまあ試験費でございますから大したものじゃないのでございますが——計上されております。これは屋外飼育その他の労力を簡易化いたしまして、労働の生産性を上げまする飼い方を今後普及いたして参りまするために、来年度から新しい試験項目として取り上げたものでございます。  その次の蚕業技術改良普及事業費補助金の中では、特に前年と変っておりまするのは、一枚めくっていただきました欄の一番上に、蚕業技術指導強化費補助金というのがございます。これが前年度一億一千八百四十万八千円だったのでございますが、これが一億五千三百九十三万円となりまして、約三千五百万円増額をいたしておるのであります。これは毎年予算編成のときにはいろいろ御心配いただく金でございますが、今回の場合は補助単価を引き上げまして、従来一人当り年間三万三千円くらいの補助単価になっておったのでございますが、これを四万三千円に引き上げをいたしたわけでございます。  その次は、生糸保管株式会社に対する出資でございますが、これは三千万円計上されております。生糸保管株式会社と申しますのは、昭和三十年度に繭糸価格安定法の一部改正をやりまして、いわゆる中間買い入れと申しますか、最低価格で一度この会社が買い取りまして六カ月経過をいたします間に糸値が回復をいたしました場合は買い戻しができると、六ヵ月経過いたしましても糸価が回復いたしませんような場合は、六カ月目に政府がそれを肩代りするという制度になっておるのでございますが、今まではこの会社が五千万円で設立いたしました純民間出資の会社だったのでございますが、これに政府出資を入れまして、受信力その他を強化して参るという考え方でございます。これは繭糸価格安定法の一部改正を伴いまするので、この会社に関しまする部分の規定と、それから最低価格による買い入れ方式に若干の手直しをいたしまするので、近く繭糸価格安定法の一部改正といたしまして御審議をいただく予定にしております。その際に、この会社及び買い入れ制度の改正に関しまする事項につきましては、さらに詳しく御説明を申し上げたい、かように考えております。それで、蚕糸関係の一般会計の予算は、試験場、検査所を通じまして前年度十億三千三百万円でございますが、ことしは十一億二千五百万円ということになっているわけでございます。   なお、農業改良資金の方で特に前年と変りましたのは、技術導入資金の中の三番目でありまする桑園防霜用重油整備の金でございます。これは凍霜害関係の対策が、従来、凍霜害が起きました後におきまして肥料でありますとか農薬でありますとかの補助金を出すということが、毎年繰り返されておったのでございますが、昨年の場合におきましても、事前の対策が何ら講じられておらないということにつきましては、当時強い御批判も受けたわけでございます。それで、目下技術的に一番有効と考えられておりまするのは重油然焼でありまするので、来年度からは、凍霜害の時期に備えましてあらかじめ重油を手当をいたしておきまする資金を、改良資金の利子のつかない方の金で融資をすることにいたしたわけでございます。三十三年度には、とりあえず七百五十町歩分を計上いたしたのでございます。これが一町歩当り二万五千円の単価になりますが、その七割を貸し付けることにいたしまして、千三百十二万五千円の資金をここに計上いたしたわけで、これが改良資金の面で前年度と変っております点でございます。  主要なる事項は以上の通りでございます。
  96. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) お手元に、国会説明資料としまして農林水産技術会議の資料を御配付申し上げておりまするが、実は、ごらんになられまして非常におわかりにくいのじゃなかろうかと考えますので、非常に恐縮をいたしておりまする次第でございます。と申し上げまするのは、実は、技術会議は昭和三十一年度予算より発足いたしたのでございまして、そのときは約  一億五千万円という金額が、つかみで……。現在農林省関係試験研究機関が九つございます。農業試験場でございますとか水産試験場でございますとか、そういうような試験研究機関が九つございますが、その既存の試験研究機関にプラスいたしまして、農林水産技術全体の技術振興という立場から、項目を、対象を特に設けないで重点的にこれは配賦するというような格好でできたのでございまして、従って、これが現在まで続いておるのでございます。で、試験研究機関の既存の経費と、技術会議にプラスされて使われている経費と両方ございますから、非常におわかりにくいと、かように考えるのでございます。で、技術会議の予算は、昨年は約七億五千万円でございましたが、本年は八億二千万円足らずでございまして、約七千万円ほど増額になっておるわけでございます。で、目次に従いまして、大体、アウト、ラインを御説明申し上げたいと思います。第一が、研究協議会による研究事業の推進、こういうことで題目を書いておりま目するが、これは、たとえば水質汚濁の問題になりますると、現に、有明海におきましては農薬による被害、雨の被害という問題がございまするが、この問題は、水産という立場からここで研究いたしましてもなかなか解決困難である。また農業研究所だけでも工合が悪い、こういうようなことになっておりまするので、農業の試験研究機関及び水産の試験研究機関並びに大学、こういう関係者が一丸となって研究するという必要があるのでございます。そういうような性格からいたしまして、そういうどこにも属しない、しかも農林水産業を推進して参りますためには非常に重要である、こういうようなテーマを一つ一つ取り上げまして、それを組織化いたしまして、研究の内容、方法、項目というようなものを組織化いたしまして共同研究をする。こういうような研究をいたしておるのでございます。それが現在九項目を取り上げまして、まず第一に、稲作における土壌と水、畑土壌生産力、草地造成、家畜栄養、家畜育種、水産資源、水質汚濁、永年作物、澱粉、こう九つの命題を上げまして、これには県庁の試験研究機関、それからもちろん国の試験研究機関並びに各大学その他の専門家を網羅いたしまして研究に従事しておるのでございます。これが私どものやっておりまする仕事の一つでございます。  その次が、これは2でございまするが、土地利用調査研究の実施というのがございます。これは本年からあらためてスタートいたしたい。三十三年度からスタートいたしたいと考えておるのでございまするが、これはどういうことをやるかと申しますと、実は農林白書にも、土地利用区分を明確にして農業を振興する、こういうことがはっきり書いてありまするが、中身は、あるいは草地、あるいは原野、あるいはそのボーダー・ラインにありまする荒地、山林、こういうものを対象といたしまして、その当該の土地をどういうふうに利用すれば最も農業生産上合理的であるかというその区分をする。実は、この問題は農業の生産力増強上非常に重要でございまするが、また国土調査等におきましても一応土地調査というものが行われておりますが、実際問題といたしましてなかなか区分をする合理的な基準が出て参らない。どういう基準で、その当該の土地の利用をすればいいかという基準がなかなか出て参らないのでございます。もちろんアメリカ等におきましては、ただいま土地利用区分というものを非常に力強く大規模にやっているようでございまするが、日本の特殊事情からいたしまして、山間非常に雨が多くて、しかも耕地面積というものが非常に小さく分れておる日本の現情におきましては、利用区分の基準を立てることが実際問題として非常にむずかしいのでございますが、どうしてもこれは、農林白書にも第一に、土地利用区分を明確にするということが書いてございますので、まず試験研究的に一地点をとらえまして、大体対象地域は茨城を想定いたしておりますが、一万町歩ほどの対象地域を調査いたしまして、試験的に調査をやりまして、利用区分上の指標を見出す、こういうような考え方で、これに必要な金を計上いたしておるのでございます。  次に、九州地方におきます防災営農方式の確立に関する研究でございまするが、これは御承知のように、九州開発促進会議というものがございまするが、その方面からの強い要望も一面あるのでございまするが、実は御承知のように、九州地方は、特に南の方は、一つは不良土壌地帯であるということと、年々非常な災害を受ける、こういうような特殊事情がありまするので、これらの地帯に即応した防災営農方式はどうやったらいいかということを研究したいと、かように考えておるのでございます。これももちろん試験場、学者、あるいは専門家、こういうものを組織いたしまして、協議会を作りまして研究する、こういうことに相なっておるのでございます。  それから4は、これは新規研究でございまするが、大体十四程度のものをピック・アップいたしまして、新たに各研究の試験場で研究をしてもらう、この経費でございます。  次に、第2でございまするが、農林水産試験研究機関の施設整備、これは、昨年は四億六千万円でございましたが、本年は大体五億一千万円ほどになっておるのでございます。このうちで、私どもが最も重点を置いておりますことは、畑作部の新設でございます。これは、永野振興局長から御説明申し上げたと思うのでございまするが、北海道と関東と、それから九州、いずれも畑作面積が割合に多いのでございます。割合からいたしましても総体からいたしましても一番多いのは北海道でございます。次に関東でございまして、次に九州という順でございますが、まずわが国の非常なウイーク・ポイントになっておりまする畑作の振興のために、畑地帯の多い地帯をまず第一段階としてとらえまして、そこにおのおの畑作部を作っていく、これは三カ年計画をもって実行することになっておりまして、北海道におきましては、大体十勝地方、それからこれに七十町歩ほどの土地を北海道から一応提供してもらいまして畑作部を作る、こういうことに相なっておるのでございます。関東東山の方は埼玉県でございまするが、これに三十町歩ほどの面積を、これは国が買いまして、そして畑作を作っていく、九州は南九州ということで、まだ実は特定いたしておりませんが、五十町歩ほどの土地を国が購入いたしまして、ここに畑作部を作っていく、こういうようなことに相なっているのでございます。で、この畑作部の新設は、従来の試験場と申しまするか、試験研究は非常に孤立いたしておりまして、あるいは育種なら育種、病虫害なら病虫害、土壌肥料なら土壌肥料、昆虫なら昆虫というようなふうに非常に試験研究の対象が細分化されておりまして、それにつながりというものが必ずしもついていない。孤立した研究をめいめいがお互い勝手にやっているというようなことで、農民の側から見まするというと、なかなかこれを応用しかねると、こういうきらいがございまするので、畑作部におきましては、まず地方の維持増進ということを主たる目標といたしまして、このために機械力あるいは畜力、同時に畜産、こういうものを総合的に取り入れまして、畑地帯の地方維持はどうすればいいかということと、これに関連いたしまして畑作としての作付体系をどうするかという点を、地帯地帯の主要作物について見出していこう、こういうのが私どもの大体のねらいといたしているところであります。  その次が蚕糸試験場の機構整備の問題でございますが、これは御承知のように、生糸の需要というものが、戦後非常にアメリカの事情に近寄って参ったという関係がございまして、従いまして蚕糸試験場の機構に新たに織物部を設ける。同時に、だんだんと養蚕地帯自身も、北の方に移動しているというような事情もございまするし、かれこれ各支部というものが非常に乱雑にできておりますので、これを能率的に運営して参るために機構を変えていく、しかし人員、その他できるだけこれは現在の人員でまかなっていく、こういうようなことで蚕糸試験場の機構整備、これが三十三年度予算は五千二百万円ほど計上されているのであります。  そのほかに姫路の中国試験場を広島県の福山市に移転するということで、三十二年度予算が決定いたしまして、実行いたしておりまするが、そのために三十三年度は、一億五千万円ほどの予算を計上いたしているのでございます。  そのほかに伝貧検査所を作り、このために大体千二百何円ほど計上いたしているのでございます。  なお、九州に三十二年度に林木育種場を作りましたが、三十三年度は関西に林木育種場を作り、そのための予算を計上いたしているのでございます。  以上大きな項目について申し上げましたが、これはいずれも従来の試験研究機関の通常の経費以外にプラスする分につきましては、一括して実は私の技術会議の方に計上する、こういうふうな大体建前になっておりまするので、試験研究推進に必要な経費といたしまして、大体八億二千万円ほどに相なっているのでございます。簡単でございまするが、以上でございます。
  97. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 昭和三十一年度林野庁関係の一般会計の予算は百十四億八千四百万円でございまして、このうち公共事業費が九十八億八千一百万円、非公共事業の経費が十六億三百万円で、前年度関係予算の総額百十四億三千五百万円に対比いたしますると、四千九百万円の増加となっております。  昭和三十三年度予算におきまして特に考慮いたしましたのは、その第一といたしまして、林種の転換を主体といたしまする造林地域の拡大でございます。造林事業につきましては、つとに御配慮にあずかっておるところでございまして、近来の造林意欲の向上とともに、旧造林の未済地はおおむね昭和一千一年度をもちましてこれを解消することができたのでございまするが、従いまして、今後は毎年の伐採跡地の造林とあわせまして、造林地域の拡大を着実に実施いたすこととしておりまして、このうち特に森林資源の増強をはかりますために、林種の転換を中心といたしました造林地域の拡大につきましては、昭和三十三年度に十七万一千町歩、前年度十六万九千町歩に対しまして、十七万一千町歩を予定いたしておるのであります。また造林事業の推進に伴いまして優良種苗の確保をはかりますために、昭和三十二年度、新たに林木の品種改良事業に着手いたしたのであります。三十三年度におきましても、これら関連経費四千七百万円を計上いたしておるのであります。  なお、このほかに、国有林野事業特別会計におきましても、別途この種の品種改良の経費を計上いたしまして、国有林、民有林を通じ、一貫した措置を進めておるような次第でございます。  第二といたしまして、予防治山事業の拡大でございます。もとより治山事業におきましては、崩壊地復旧事業を重点といたしますることはもちろんでございまするが、これらとあわせまして、予防治山事業として、地すべり防止、あるいは崩壊防止等の事業量を増して、経費の節減とともに、投資の効果をはかるようにいたしたのでございます。  なお、地すべり対策につきましては、別途法制化が進められておりまするので、不日御審議をお瀬い申し上げることと存じまするが、これらに伴いまする経費といたしまして、調査経費等をも含めまして総額一億三千四百五十四万円、前年度は七千八百万円でございますを計上いたしておるような次第でございます。  次に第三といたしましては、森林資源の保続増強の施策として的確な森林施業を行いまするために、森林計画に関する経費の充実をはかりまして、あわせて林道網の開設を促し、里山における伐採の行き過ぎを阻止することを目標として所要経費の要求を行なっておることでございます。  第四点といたしまして、林業経営の合理化をはかりまする前提といたしまして、森林組合対策として特に経営不振の組合に対する指導経費を新たに計上いたしまするとともに、林業普及指導事業をも強化いたしまして、森林経常の安定と合理化をさらに進めたいと考えているのでございます。  また全国二十万世帯に上る製炭従業者につきましては、その木炭生産が非常に大きな収入源となっておりまする一方、家庭用熱源あるいは鉱工業用の炭素源とも相なっておりまする現状から見まして、これが量的な確保とともに、質的な向上をはかりますることが緊要と考えられますので、昭和三十三年度新たに木炭の生産指導の経費を計上いたしたような次第でございます。  次に、お手元に配付いたしております資料につきまして、主要な点の御説明を申し上げます。  まず、治山事業につきましては、四十二億七千四百万円を計上いたしております。これによりまして、総理府所管の北海道及び離島分並びに労働省所管の特別失対事業を合せまして、崩壊地復旧が五千四百九十六町歩、はげ山復旧が五百八十五町歩、当年度発生災害にかかる荒廃地復旧八百七十三町歩、地際復旧が三十町歩、はげ山防止六百九十一町歩、合計いたしまして七千六百七十五町歩の荒廃林地の復旧を直轄あるいは補助事業といたしまして実施いたしまするとともに、防災林の造成につきましては、海岸砂地造林千三百五十八町歩を中心といたしまして、その他防潮林、防風林、なだれ防止林等の造成を合せて二千三百五十八町歩を実施する計画でございます。また、水源林造成事業につきましては、前年通りの六千町歩を計上いたしまして、既契約分について引き続き実施することにいたしているのであります。昭和三十三年度は、先ほど御説明申し上げましたように、特に予防治山事業を拡大する計画でありますが、このうち崩壊防止といいますのは、渓流に小さな堰堤を設けまして災害を防止しようとするものでございまして、前年度小規模に実施いたしました効果が相当に大きいので、三十三年度よりこれを拡大することといたしまして、二百二十六カ所、前年度は九十八カ所でございますを、予定いたしているのでございます。また、地すべり防止につきましては、別途その法制化が進められておりまするが、私どもといたしましては、山林を主とする地すべり地につきまして排水工、くい打ち工等を施行する計画で、前年度百三町歩に対しまして、百六十四町歩を予定いたしております。この事業の実施に当りましては、建設省及び農地局関係の機関と緊密に連携をいたしまして、万遺憾のないように進めたいと考えている次第でございます。  次に、林道事業につきましては、北海道及び離島分並びに森林開発公団に対する補助金を含めまして二十二億三千万円を計上いたしております。これによりまして、三十三年度は自動車道千百三十九キロを主体といたしまして、車道、索道を合せ千二百十九キロの林道を開設し、主として奥地林を中心とする林道網の整備を促進いたしたいと考えているような次第でございます。  造林事業につきましては、他省所管分を合せまして二十九億五千四百万円を計上いたしております。先ほど総括説明で申し上げました通り、造林地域の拡大に重点を置きまして、十七万一千町歩を実施いたしまするとともに、ほぼ前年度通り、再造林十万町歩を計画いたしておるような次第でございます。  このほか、情感林地の改良事業といたしまして、内地、離島分を合せて前年度通り六千町歩を予定いたしております。  次に、林業の振興関係十億七千四百万円について御説明を申し上げます。  林業経営の集約化、計画化につきすしては、さきに御説明を申し上げました通り、その前提といたしまして、的確な森林施業を行いますための森林計画の内容の充実と、山林の所有者団体でありまする森林組合の育成強化をはかりますることが何よりも肝要であるかと考え、従前の諸施策を拡充いたしますとともに、次の措置によりまして、林業の振興策を進めようといたしております。  まず、林業普及指導事業につきましては、林業技術職員三千一百五人のうち、統轄業務をあわせて行いまする林業改良指導員三百七十七人を新たに設けることといたしまして、この種の職員につきましては、これを従来の六級五号を八級一号相当に格上げいたすことにいたしたのであります。またこれら林業技術職員の活動力を大いに伸ばして参りまするために、前年度に引き続きましてオートバイの購入を計画いたしており、前年度八十六台に対しまして三十一年度は九十七台を予定いたしておるわけでございます。  これらの措置を含めまして、林業普及指導費補助金といたしまして三億五千九百万円、前年度三億四千九百万円を計上いたしておるわけでございます。  次に、木炭生産指導の強化対策といたしまして三千万円を新たに計上いたしておりまするが、これは、さきに御説明申し上げました通りでございまして、都道府県の行いまする木炭生産指導に要しまする旅費の半額を補助する建前といたしております。  次に、林木品種改良事業でございまするが、造林地域の拡大等造林事業の推進に伴いまして当面の施策として優良種苗の確保の経費を計上いたしております。これは、母樹及び母樹林の補償並びに毬果の採取事業の助成の経費でございまして、さらに三十二年度よりは新たに林木品種改良事業を組織的かつ計画的に実施いたしておりまして、昭和三十三年度におきましても関連経費として一般会計で四千七百万円を計上しているような次第でございます。なお、この経費の内容といたしましては、暫定的に採種林の選定調査を行い、母樹及び母樹林を整備しながら恒久的な措置といたしまして精英樹の選抜調査、精英樹クローンの養成並びに三十三年度よりは新たに採穂園及び採種園の造成等の都道府県の行う事業に対しまして助成費を計上いたしますとともに、国設の林木育種場の設置につきましても所要の経費を計上いたしておるような次第でございます。国営の育種機関であります林木育種場は三十二年度からこれを設けておりまするが、三十三年度は一般会計におきまして関西に一カ所——岡山を予定しております。国有林野事業特別会計において東北に一カ所、これは盛岡を予定しております。計二カ所を予定し、前年度設けました九州、中央及び北海道に合せまして五カ所をもって新品種の育成に役立つよう努力して参りたいと考えておるような次第でございます。  次に、財政投融資の関係について申し上げます。森林開発公団の三十三年度計画は総事業費十七億円を予定いたしております。これによりまして十六路線、延長六十八キロの林道開設を行う予定でありますが、このための資金は資金運用部よりの十五億円を予定しております。このほかに別途国庫補助金二億円が予定されておりますので、これも資金繰りの中に入れておる次第でございます。  なお、ここで林業関係に対します農林漁業資金の融資計画を申し上げますると、来年度の農林漁業金融公庫の融資計画におきましては、総額三百七十五億円のうち、林業関係事業といたしまして造林事業の四億八千六百万円、林道事業十億一千六百万円、伐採調整資金十九億三千万円、林業共同利用施設千五百万円、合計いたしまして三十四億九千六百万円となっております。前年度対比一千万円の増加と相なっております。  次に、特別会計の関係につきまして御説明申し上げます。昭和三十三年度の森林火災保険特別会計の予算について御説明申し上げますると、木会計の三十三年度の歳入歳出予定額は五億九百万円となっております。前年度予算額四億六千八百万円に比べますると四千一百万円の増加と相なっております。本会計の歳入予算につきましては、最近における被災損害率の低下と本会計の経理状況にかんがみまして保険料率を二割方引き下げますとともに、県別に定めております等地区分の変更を予定いたしておるようなわけでございます。また歳出予算中新たに取り上げられたものは火災予防費補助金一千八十万七千円でございます。そのうち簡易望楼、簡単な望楼でございます、及び山火消防器具設置補助で各三十カ所に施設いたします計画で従来から実施中の巡視員及び標板柱の設置とともに森林火災予防措置の強化をはかる計画でございます。なお、本会計の積立金は昭和三十二年三月末現在五億八千二百万円となっており、三十三年度末現在は六億五千四百万円となる見込みであります。  次に、国有林野事業特別会計についてでありますが、本会計の三十三年度歳入歳出予算額は四百五十四億五千五百二十八万四千円で、前年度対比二十四億六千七百九万円の増加となっております。歳入予算のもととなりまする伐採量につきましては、昭和二十九年に発生いたしました北海道風倒木処理が三十二年度をもってひとまず終了いたしましたので、この処理期間中の内地国有林の節伐方針を変更いたしまして、内地国有林の調整年伐量三千四百八十九万四千石と、北海道国有林調整年伐量二千二百八十二万石をもって伐採の標準量といたし、その結果は調整外の伐採量三百四十六万九千石を含めまして、六千百十八万三千石となったのであります。これは前年度五千八百四万九千石に対比いたしますると、三百十三万四千石の増加であります。  歳出予算のうち特に考慮いたしております点は、まず北海道風倒跡地の更新を拡充強化する経費でありまして、前年度に引き続き三十三年度は八万町歩を予定し、前年度の七千町歩に対比して一万町歩の増加となっております。  次に、保安林整備臨時措置法による保安林買い入れと賢い入れ地の治山事業でありますが、前年度に引き続き民有保安林三万町歩を買い入れますとともに、買い入れ済みの保安林の治山施設を強化いたしたいのであります。  次に、公有林野等官行造林事業の推進であります。保安林の整備計画に基く水源地帯の造林を主といたしまして荒廃した公有林野の植林を行い、あわせて地方公共団体の財政的基礎の確立をはかる目的で前年度に引き続き本事業の推進をはかることといたしております。  このほか一般会計に計上いたしておりまする林木育種場の経費に関連して三十二年度中央、北海道の二カ所に林木育種場を設置いたしましたが、三十三年度はさらに東北—盛岡を予定いたしておりますが、一カ所新設する計画でございます。そして一般会計による既設の一カ所及び三十三年度新設予定の一カ所とともに、合計五カ所をもちまして国有林、民有林を通じ一貫した方針もとに強力な育種行政を推進して参りたいと、かように考えております。  以上、簡単でございまするが、林野庁関係の予算の概要の御説明を終ります。
  98. 西村健二郎

    説明員西村健二郎君) 水産庁の三十三年度予算をごく簡単に御説明申し上げます。水産庁は、二つ資料を差し上げてあると思います。一つは、昭和三十三年度水産関係予算、こういうものでございます。大体これに基いて御説明申し上げます。それからもう一つは横書きの、御参考のために昭和三十三年度要求事項別表というのが、横書きのを一つ差し上げてあります。大体この縦書きの方で御説明申し上げます。水産関係予算としましては、大体大きく分けまして第一が沿岸漁業の振興、それから第二が沖合及び遠洋漁業の拡充関係、それから第三が水産物の流通改善及び価格の関係、それから第四が漁港の整備、大体便宜大きく四つに分けておるわけでございます。全体の水産庁関係の予算の規模をまず申し上げますと、一般の非公共の分、公共事業を除いた分におきましては、三十三年度の予算は二十八億一千七百五十五万六千円、これは前年三十二年度の二十四億七千八百十九万七千円に比べますると、約三億四千万円の増加になっております。ただし、このうちには漁船保険特別会計の繰入金約二億五千万円がございますので、一般関係としましての三十喜一年度の三十二年に比較しました純増分は約一億程度、こういうふうに御了承願いたい、こう思います。  次に、公共事業、主として漁港でございますが、この分につきましては三十三年度の予算総額は四十六億七千百八十七万一千円、これは大体前年ととんとんでございます。ところが、三十三年度災害復旧の分、これは大体十億でございます。ここに数字がございますが、前年が十五億四千万余円、従いまして災害復旧費が前年より約五億円減少しております。ということは、総額では前年とほぼ同様でございますが、災害復旧が五億円程度減少しておりますので、修築費の部分では前年に比べて約五億円増加しておる、こういう勘定になります。  今、災害復旧のことを申し上げましたので、この機会にちょっと触れておきますと、災害復旧費十億五千四百八万七千円によりまして三十三年度災害復旧の事業計画としましては、二十七年の災害まではすでに完了しましたが、三千二年度におきましては、二十九年度、三十年度災害を全部完了いたしたい。それから三十一年度災害これにつきましては、大体八五%程度をこの三十三年度にやりたい。それから三十二年度災害、これは大体六五%程度をその災害復旧として三十三年度にやっていきたい。残る問題は二十八年の災害復旧でございますが、これは大体二十二年度におきまして今まで残っている事業の五〇%程度を三十三年度にやります。そうしますと、大体全部で二十八年の災害の九二%程度は三十三年中に復旧できる、こういうふうになっております。  次に、各項目に入って御説明申し上げたいと思います。  第一に、沿岸漁業の振興の第一番目には、漁業制度調査会の設置という項目が上っておりますが、これは予算の額としては、わずか七十四万八千円でございますが、近年におきます漁業制度、沿岸漁業についていろいろそこに問題が多い、従いまして沿岸漁業における漁家層の低生産性、低所得というものについてこれをどう打開していくかということについて、漁場の調整ということが深刻な問題となって参っております。あるいは海洋漁業の面につきましても、その国際的な面において必ずしも従来のごとく単に沖合から沖合の方へというような、ただ単なる進出じゃなしに、そこに国際的な協力ないしはそれに対応する日本漁業の調整というような問題、あるいはさらに全体をひっくるめまして水産業協同組合、漁業協同組合その他の水産業団体のあり方がどうあるべきか、そういった漁業生産に関する基本的制度というものをこの際再検討し、いかなる姿において今後この漁業を発展せしめていくかという問題について、特に根本的な検討を加えるために、漁業制度調査会を設けたい。これはすでに法案がきょうあたり提案になったと思いますが、本国会においてその法案を御審議願いたい、こう思っております。  次に、水産増殖でございますが、これは大別しまして内水面の増殖と、それから浅海増殖、大きく二つございますが、内水面につきましては、従来のように放流事業、あるいは種苗供給施設の補助というようなものを従来の規模程度をやって参ります。  浅海増殖という面につきましては、従来もありました浅海耕耘とか、作澪とか、客土のほかに、あるいはノリの漁場の造成、あるいは築いそ、あるいは魚礁の設置というようなことが予算の項目として載っておりますが、特に魚礁につきましては、三十三年度におきましては、大型を六カ所、それから並型を四百一カ所程度を予定しております。  それから同じく浅海増殖で、人工採苗、あるいは種苗の育成という面につきましては、三十年度から始めておりますノリの胞子を人工的に採苗してこれを移殖してやるということが、非常に技術的に進んで参りましたので、これに伴う予算も昨年より多少増額して計上ついたしております。そのほかに、帆立貝の中間育成施設というものにつきましても同様にこの予算の中に入っております。  それから次に、水産業技術改良普及事業の拡充、この縦書きでは3になっておりますが、これは従来各県の試験場に指導員を置きまして、養殖の関係あるいはエンジンの関係、あるいは電気関係の技術者、指導技術員を置きまして漁村の指導に当らしめておりますが、これが、これまで九十二人設置されておりましたのを、今度これを増額いたしまして百十七人にしたい、こう思っております。この増員分は養殖関係でございます。  それから次に4として、沿岸漁業集約経営に関する調査指導という項目がございます。これは予算は前年度百十四万円が二百七十八万円程度になっておりますが、これは予算の額は割に少いのでございますが、ある一定の海域と申しますか、一定の漁村の地先水面と申しますか、一定の海域をつかまえまして、そこにおける海の豊度と申しますか、水産動植物の収容力と申しますか、そういうものを総合的に見て参りまして、たとえばそこにおける水の栄養分とか、あるいはその他いろいろな自然的な環境、条件と、そこにおけるいろいろな魚族の繁殖状況というようなものを見まして、何をそこでどの程度とれば、最もそこにおいて、何と申しますか最大の持続的な生産が上げられるかというようなことを調査しつつ、指導して参るという、少し変った考え方の、着想としては非常に従来とまた画期的な面があるやり方でございまして、これは三十二年度におきまして三カ所、宮城、愛知、岡山で始めましたが、三十三年度におきましては、これを八カ所程度にふやしてこの仕事を拡充して参りたい。この指導主体は、やはりそういう技術的な面が主でございますので、県の試験場あたりが指導主体となるわけでございます。  それから次に、漁業共済制度。漁業共済制度につきましては、国会方面におきましても多年いろいろ御関心が深く、昨年、全国水産業協同組合共済会に対しまして、国が調査事業を委託するというような格好で発足いたしました。これを三十三年度におきましては、昨年の十五府県からこれを三十八県に、いわゆる海のある県全部に拡張してこの調査実施の委託を引き続きやって参りたい。そうしましてその実施した場合におきまして、共済会が共済金支払額の不足額というものが出た場合における補助をするために、別途一億円を限度としまして国庫負担契約を昭和三十三年度において結ぶことにいたしたいと、かように思っております。  以上が沿岸漁業の振興に関連するおもな項目でございますが、第二に、沖合及び遠洋漁業の拡充という面について簡単に御説明申し上げますと、沖合新漁場の開発というものは、従来もいろいろ沖合新漁場、ことに底びき漁場の開発というものを実施して参りましたが、来年度におきましては、北部千島沖海域及び中部沿海州海域の二カ所につきまして、これを引き続き推進して参りたい、かように考えております。  次に、遠洋における新漁場調査と取締り、これにつきましては、マグロ漁業につまして、従来太平洋とか、インド洋等の漁場の調査をして参ったのでありますが、三十三年度におきましては、照洋丸を使いまして、大西洋と東太平洋の漁場調査をする、こういう計画をもって、これに必要な予算四千二百二十一万余円を計上しておるわけであります。  それから沖合及び遠洋漁場の第一二の項目といたしましては、国際関係漁場における生物調査の強化ということがございますが、これは一つは北洋漁場の生物調査、これは例の日米加の条約というもの、あるいは日ソ漁業条約というものに関連をいたしました調査でございます。これをほぼ昨年程度の規模において実施して参りたい。  次に、以西漁場の生物調査、要するに東シナ海、あるいは黄海における漁場の生物調査、この説明書では実はもう一つ落ちているのでございますが、このほかに、こういう項目で分けます場合におきましては、国際関係漁場における生物調査の強化というのには、オットセイの保存の条約に基く調査、これは現にもう始まっておりますが、これが来年度の予算としまして二千八百十四万一千円計上いたしてございます。昨年度は昨年度と申しますか、三十二年度は一千八百七万九千円でございます。  沖合及び遠洋漁業の拡充の第四といたしまして、海外漁業の振興ということがございますが、これはわが国の海外漁業に対する協力体制を作って参るということで、実はこれにつきましては、ここでごらん願いますように、昨年は一千八百九十万九千円、本年は五百十二万四千円というふうに、予算が非常に減っておるようでありますが——事実減っているのでありますが、昨年度と申しますか、三十二年度は、試験船の東光丸によりまして、ブラジルの沖、いわゆる南米の沖合の漁場を調査したのでありますが、ことしはやり方を変えまして海外漁業協力会と申します団体が最近できまして、そこに調査を委託するという方式で、そこの団体の行う主として東南アジアにおける漁場調査に対して半額補助して参りたい、こういうように方式を変えましたので、予算の額も従って変ったわけでございます。  第三に、水産物の流通改善及び価格対策という問題につきましては、御承知のように、水産物というものが、生産から消費に至るまでの間にいろいろな形におきましてそこに価格変動が激しいという事実につきまして、これを何とかして、特にサンマとか、あるいはイカのような、非常に一度に大量にとれる大衆魚につきまして、その価格の安定をはかるために何らかの措置をしていきたい。昭和三十三年度におきましては、これにつきましては、まず第一歩としまして漁業協同組合の系統利用事業の促進と自主的調整ということを主体にして参りたい。そのために、共同保管の調査費の補助、それから基本的な調査——基本的な調査と申しますのは、主要なる魚種について全国の水揚げ個所五十カ所ほどを選びまして、そこについてある特定の魚種につきまして、それがいかに流通消費の過程に乗っていくか、そこにおける相場がどうであるかというような、基本的な調査をまずやって参りたい、こういうような意味におきまして、合せて七百六十万八千円の予算が計上っされておるわけであります。  最後に第四点としまして、漁港の整備について御説明申し上げます。漁港の整備につきましては、これは漁港整備計画に基く全国六百四港の漁港修築事業を計画的にして参る。これは漁港につきましては、昭和三十七年度までに第一期の修築計画の完遂を期するため、昭和三十三年度は三百七十七港の整備をはかりたい。そのうちには、完了予定が三十七港ございます。それから局部改良事業、あるいは海岸保全事業についても、その拡充をはかって参りたい。この漁港予算につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、総額といたしまして、災害復旧費が約五億円三十二年度より減少しておりますので、修築事業費としましてはネット五億円増加して参る、こういう計算になっております。三十三年度におきまして新たに着工するものが三十七港、従いまして、合せて四百十四港の漁港について修築をして参りたい。その予算は、三十二年度に比べまして約一三%増と、こういうことになっております。それから、小規模ないわゆる局部改良と申します事業につきましては、三十二年度の六十八カ所に比較しまして、三十三年度は九十八カ所、約四〇%の増、それから、これは個所数は少いのでありますが、海岸保全につきましては、三十二年度の九カ所に比べまして十九カ所、これは約二倍と、こういうような計算になっております。  以上はなはだ簡単でございますが、水産関係予算のごくアウトラインだけを簡単に御説明申し上げた次第であります。
  99. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次は、食糧庁ですが、食糧庁には、この際食管会計の二法律案の説明もつけ加えてお願いいたします。
  100. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 食糧庁に関しまして、三十三年度の予算につきまして御説明を申し上げます。その際に、食糧管理特別会計を今度新たに六勘定を設けまして経理の明確化をはかることといたしましたので、これに伴います法律案をあわせて御説明を申し上げたいと存じます。  食糧庁に関します一般会計につきましては、一般会計それ自体としてはほとんどさしたる予算がございませんので、特別会計に関しまして御説明を申し上げたいと思います。お手元に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律、縦書きになっておりますものでございます。それから、食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律、いずれも縦書きになっておりますものをお配りしてございます。この法律案につきましての大要につきましては、もう一枚、今度は横書きになっております、食管特別会計制度改正案大綱というものをお手元にお配りしてございますが、まずこれをごらんいただきまして御説明を申し上げたいと思います。  食管特別会計法の一部改正法律につきましては、従来から、食管特別会計がどんぶり勘定であって、なかなか各物資別の損益その他が不明確である。同時に、食管会計についての健全化の措置をとるようにという要請が前々からあったわけでございますが、それにこたえまして、来会計年度から、食管特別会計の経理を明確化いたしますために、会計法の改正と同時に食管特別会計それ自体の制度を改正いたすことといたしたわけでございます。  まず第一に、経理区分でございますが、食管特別会計を三十三年度から、ここに書いてございますイからへまでの六つの勘定に分けるということにいたしたいと考えております。イが国内米管理勘定、口が国内麦管理勘定、ハが輸入食糧管理勘定、ニが農産物等安定勘定、ホが業務勘定、へが調整勘定、この六つでございます。その(2)以下に、それぞれの勘定におきまして経理の大要を書いてございますが、まず第一に、国内米管理勘定、国内麦管理勘定及び輸入食糧管理勘定、この三つにつきましては食糧管理法に基きます主要食糧、従って米麦の買い入れ及び売り渡しに関する経理を取り扱うわけでございます。国内米管理勘定は内地米の売り買い、国内麦管理勘定は内地麦の売り買い、それから輸入食糧管理勘定は輸入外国米とそれから輸入されます外大麦並びに外小麦の売り買いに関します勘定でございます。それから(3)は、農産物等安定勘定でございますが、これは農産物価格安定法に基きます農産物等、従いまして、カンショのなま切りぼし、カンショ澱粉、それからバレイショ澱粉また菜種、大豆、こういったものの売り買いでございます。それから飼料需給安定法に基きました輸入飼料、さらにてん菜生産振興臨時措置法に基きますテンサイ糖の買い入れ、売り渡し、これらに関します経理を一括して、農産物等安定勘定において処理をいたしたい、かように考えるわけでございます。  さらに業務勘定におきましてはこれらの国内米麦あるいは輸入食糧、農産物等につきまして、これらの買い入れ、売り渡しに関しまする諸般の事務は従来食管特別会計に属しております職員がこれを取り扱っておりましたので、これらの事務、人件費等を各勘定に分届いたしますことが必ずしも正確に参りませんので、これらについては、一括して業務勘定におきまして食管会計の事務取扱いあるいはサイロ、倉庫等の管理に伴います共通の経理を取り扱うことといたしたわけでございます。  それから最後に調整勘定でございますが、現在食管特別会計におきましては、御承知のごとく、糧券の発行等によりまして、買い入れに伴います所要資金の調達をはかっております。そこで各勘定において資金の調達をはかるという方法も確かにあり得るのでありますが、非常に手続的にも煩蹟でございますのと、各勘定の資金の余剰、不足といったものを調整いたしますのになかなか手間がかかりまして、かえってその間に利子負担等がよけついにかかるというようなことになっても困りますので、これらにつきましては一括いたしまして、調整勘定において食糧証券を発行いたしまして資金の調達をはかって参りたい。各勘定の所要の資金を調整勘定における糧券の発行によって調達をいたしたい、こういうことが第一であります。さらに調整勘定におきましては農産物等安定勘定を除きます、いわゆる食糧管理勘定——国内米、国内麦並びに輸入食糧勘定が主たるものになるわけでありますが、これらの勘定の損益の調整についての経理を取り扱う、すなわち国内米勘定、国内麦勘定において、現状においては損を生じます。それから輸入食糧勘定におきましては益を生ずるわけでございますが、これらの損益を調整勘定に移しまして、そこで相殺をいたしまして、いわゆる食糧管理法に基きます主要食糧関係の損益をここで一本に表示して参りたい、こういう考え方でございます。  そこで、以上申し上げました名大勘定のおおむねの機能は御理解いただけたと思うのでございますが、そこで損益が各勘定に生じますが、それらの損益処理の方法について2のところで御説明をいたしておるわけでございます。すなわち、今ちょっと申し上げましたように、農産物等安定勘定に生じます損益を除きました残りの各勘定——国内米、国内麦並びに輸入食糧、さらに業務勘定等において生じましたる損益については調整勘定にこれらを移しまして、そこで相殺をして、ネットの赤字、あるいは黒字を出して、そこで整理をいたして参りたいということでございます。  それから第二に、調整勘定に調整資金を置きまして、一般会計からの繰り入れ並びに調整勘定の益金をもってこれに充てることといたしたい。調整勘定に調整資金を置くことにいたしましたが、これは別途御説明を申し上げます。昭和三十二年におきましての補正予算におきまして、百五十億円の資金を食糧管理特別会計に、これは運転資金ということで繰り入れることにお願いをいたしておるわけでございますが、これは食管特別会計の運営の健全化並びに円滑化をはかりますために、衡五十億円の資金を置きたい。で、これが三十三年度におきまして勘定が六つに分れますので、この資金が調整勘定の調整資金に引き継がれる、こういうふうに考えております。で、そういった調整資金が置かれるわけでありますが、これには一般会計からの繰り入れ並びに調整勘定の益金をもって調整資金にいたすわけでございます。で、調整勘定に損失を生じました場合には、この調整資金を取りくずして整理することができる。これは運転資金として入れるわけでございますが、一般の経理原則に従いまして、そういうことの可能な道を開いておるわけでございます。  それから農産物等安定勘定につきましては、暇々に生じます見込み損失相当額は一般会計からあらかじめ繰り入れる方針をとったわけでございます。これは来年度におきまして十億円の繰り入れを予定いたしております。  それから農産物等安定勘定の利益は、当該勘定におきます積立金といたしまして、別途また損失を生じましたときには、その積立金を取りくずしてこれを整理して参りたい、こういう考え方をいたしているわけでございます。損益処理については、こういうような考え方でいたしますが、目先の三十二年度及び三十三年度からの一般会計からの繰り入れにつきましては、先ほども申し上げましたように、三十二年度補正予算で特別会計に資金を置きまして、これは百五十億円でございます。三十三年度の調整勘定の調整資金に引き継ぐことといたしております。三十三年度農産物等安定勘定の見込み損失は約十億と見込んでおりますが、それに相当いたします十億円を三十三年度の予算で一般会計から農産物等安定勘定に繰り入れることにいたしております。なお、三十二年度の損失につきましては、現在約九十六億というように推定をいたしておりますが、決算を待って百五十億円を繰り入れました食管特別会計の資金を取りくずして処理をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  以上申し述べました趣旨におきまして、食管特別会計法の一部を改正する法律におきまして、主としてこれは各勘定につきましての歳入歳出の規定が第六条の改正からずっと参りまして、第六条ノ五、ここまでは各勘定におきます歳入並びに歳出についての規定をいたしておるわけでございまして、現在の食管特別会計法におきます歳入歳出の規定をさらに各勘定別に区分したと申しますか、という技術的なこれは規定でございます。それから第八条ノ二に規定しておりますのが損益の処理に関連をいたします規定でございまして、食糧管理勘定、ここで食糧管理勘定と呼んでおりますのは、国内米管理勘定、国内麦管理勘定並びに輸入食糧管理勘定でございますが、この三勘定の「毎年度ノ損益計算上ノ利益又ハ損失ハ之ヲ調整勘定二移シ整理スヘシ、業務勘定二於ケル毎年度ノ損益計算上ノ利益又ハ損失ハ政令ノ定ムル所二依リ之ヲ調整勘定ニ移シ整理スヘシ」ということでいずれも調整勘定に移して整理するようにということを規定しておるわけでございます。なお業務勘定におきましては、原則的に損益は生じないというように考えておりますが、ここに固定資産等が属しますので、ときによりまして損益が多少生ずるということも想定されますので、特にこういった規定を設けた次第でございます。それから第八条ノ三は、「前条ノ整理ヲ為シタル後調整勘定ニ利益又ハ損失アルトキハ其ノ利益ノ額ヲ第六条ノ四ノ調整資金二細入レ又ハ其ノ損失ノ額ヲ限度トシテ当該資金ヲ減額シ処理スルコトヲ得」これは調整資金に益があれば積み立て、損失があればこれを減額するということができるということを規定したものでございます。それから第八条ノ四は、農産物等安定勘定の損益は独立してこの勘定で処理をするということにいたしまして、この利益は、当該勘定の積立金損失が出ました場合には積立金を減額して処理をする、こういうことにいたしておるわけでございます。それから、あとはいずれも読みかえの技術的な規定でございます。大体の食管特別会計法の改正の要旨は今申し上げました通りでございます。  なお、一枚紙の、食管特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律、これは先ほど申し上げましたように、食管特別会計の経理を健全化し、かつ円滑化いたしますために、できるだけ早くこの特別会計に運転資金を設けたいという趣旨に基きまして、三十三年度におきまして補正予算として百五十億円の一般会計からの繰り入れをお願いをいたしておるわけでございますが、それに伴います一般会計からの繰り入れに関する法律でございます。  これは特に御説明を申し上げる必要もないと思いますが、第三条におきまして、この資金の取りくずしをすることができるということの食管特別会計法の改正法律と同趣旨の損益処理の規定を置いておるわけでございます。  以上申し上げましたことが今度の食管特別会計の改正の大要でございますが、それにのっとりましてお手元にお配りをいたしてございます、三十三会計年度食糧管理特別会計予算という横書きにいたしております二枚のプリントがございますが、これについて御説明を申し上げたいと存じます。  最初に、国内米管理勘定におきまする歳入歳出でございますが、この勘定のおもなる歳入は、国内米の売払代金、三千三百六十八億円、それから他勘定よりの受け入れと、こういうのは調整勘定におきまして糧券を発行をいたしまして調達をいたしました資金をこの勘定におきまして米の買い入れ、あるいは米の運送、保管に要します経費を支払いますために必要となりますので、そのために調整勘定から受け入れます資金の額でありますが、二千三百十七億、そのほかに雑収入、これは延納金利その他の雑収入でございますが、これらを合せまして国内米管理勘定の歳入総額は五千六百八十八億と予定をいたしております。  これに伴います歳出関係でございますが、国内米の買い入れ費は二千九万石の買い入れを前提といたしております。石当り一万二百円の価格、千九百万石の買い入れを前提といたしまして二千九百五十八億余りの買い入れ費を予定いたしております。  その次の国内米管理費は、これは国内米の運送、保管に要します経費でございます。  それから、その次に掲げてございます他勘定ヘの繰り入れば調整勘定に対します繰入金の返還に関連をいたします歳出でございます。  それから、最後の予備費三百五十億、これにつきましては、従来は食管特別会計全体を通じまして予備費は三百億であったのでございますが、どんぶり勘定の場合には国内米の買い入れ費、国内麦の買い入れ費、あるいは輸入食糧の買い入れ費等を彼此融通することができたわけでございます。従いまして国内米の収穫が非常に悪いという場合には、かりに輸入食糧をふやしましても国内米を買い入れます金が余っておりますので、それで処理ができる。豊作の場合にはまた逆でありますが、そういう形で処理ができたのでございますが、今回勘定を区分いたしましたために、かりに国内米は非常に豊作で、よけい買わねばならないという場合に、本来でありますれば輸入食糧をあまり買い入れなくて済むわけでありますから、従来のどんぶり勘定のときは輸入食糧の買い入れ費を国内米の買い入れ費に充てることができたのでございますが、勘定を百区分いたしましたためにそういう操作が予算上できない形に相なります。そこで国内米管理勘定には、国内米のそういった豊作がもし参りました場合に、おおむね通常の状態において必要とせられるであろう予備費をこの勘定に設ける必要があるということで三百五十億の予備費を設けた次第であります。  以下国内麦管理勘定におきましても、国内米管理勘定で御説明いたしましたのと同様の趣旨におきまして各歳入歳出を見込んでおります。  なお、国内麦の買い入れ費につきましては、現在のパリティ価格によりましてこれを算定をいたしております。  それから、輸入食糧管理勘定におきましても、ただいま御説明を申し上げたのと同様でございますが、この輸入食糧管理勘定におきましては、特に一般会計よりの受け入れ十四億八千万円というものが計上されてございます。これは学校給食のための一般会計からの受入金でございます。これはすべて輸入外麦をもって学校給食に充てます小麦粉を製粉いたしておりますので、これにつきましては一般会計から直接輸入食糧管理勘定に受け入れることにいたしておるわけでございます。  それから一枚めくっていただきますと、そこに農産物等安定勘定につきましても、同様の歳入歳出が掲げられてございます。ここではやはり一般会計より受け入れ十億円というものが計上されてございます。これは、先ほど会計制度の改正のところで御説明を申し上げました農産物等安定勘定において、三十三年度に見込まれます損失約十億円というものに見合いますものを一般会計から直接この安定勘定に繰り入れるということの制度に見合うものでございます。  それから第五に、業務勘定でございますが、これは各勘定からの割掛金と、検査印紙収入がおもな歳入でありまして、これに見合います事務、人件費の歳出を歳出の方に掲げてあるわけでございます。  それから第六に、調整勘定でございますが、調整勘定の食糧証券及び借入金収入三千百九十六億、これは先ほど申し上げました各勘定に必要な資金の調達をこの調整勘定でいたしますので、これの借入金でございます。  それからその次の、他勘定よりの受け入れと書いてございますのは、他勘定に対しましてこの勘定から調達した資金を繰り入れますが、それの返還されて参ります金でございます。それから歳出の方は、最初の他勘定への繰り入れば、食管特別会計の今申し上げた五勘定に対します繰入金、それから他会計への繰り入れ三千十四億は、これは国債整理基金特別会計に対します糧券発行その他に伴います借入金の返還に充てるための国債整理基金への繰入金でございます。  以上が明三十三年度におきます食管特別会計の各勘定におきます歳入歳出規模の概略の内容でございます。  さらに損益につきまして説明を続けさしていただきますが、縦書きになっております予定損益計算書のほかに、もう一枚横書きのタイプでガリ版になっております昭和三十一、三十二、三十三年度損益というのを差しあげてございますが、これが三十三年度以降分けます勘定別に従いました損益の見込みでございます。三十一年度と三十二年度につきましてはどんぶり勘定で本来ありますものを、こういう勘定に仕分けをいたしますと、こういう形になりますという形でお示しをしておるわけでございます。で、三十三年度の予算といたしましては、国内米管理勘定におきまして百十二億円の赤字、国内麦管理勘定におきまして八十六億円の赤字、それから輸入食糧管理勘定におきましては百五十五億円の黒字、その内訳として、外米におきまして十三億、外麦におきまして百四十二億の利益を予想をいたしております。で、これらを通算いたしまして四十三億円というのが、食糧管理勘定の整理をした結果の赤字の見込みでございます。これが調整勘定におきます損失として現われるわけでございます。  それから農産物等安定勘定は、これは独立の勘定といたしまして、農産物で三億五千万円、テンサイ糖で一億、輸入飼料で五億五千万円の赤字が出る見込みでございますが、この合計十億に相当いたしますものを一般会計から繰り入れまして、三十三年度といたしましては、損益はこの勘定においては一応見込んでない、こういう形に相なるわけでございます。で、これに対応いたします三十一年度の決算は、御承知の総額で百六十億、三十二年度の見込みとしては九十六億、こういう形に相なっておるわけでございます。で、縦書きにいたしております予定損益計算書は、ただいま三十二年度の総括的な数字を申し上げました損益が、この予定損益計算書にそれぞれ載っておるわけでございます。  それからその次が、各勘定の貸借対照表でございますので、これは別途ごらんをいただけばおわかりになるものと思います。  この関係で一言だけ御説明を申し上げたいと思いますのは、十二ページでございます。この縦書きのプリントの十二ページの所をちょっとお聞きいただきたいと思いますが、ここに調整勘定の予定貸借対照表、それから各勘定の損益集計表、資金増減経過表と三つの表が載っております。で、調整勘定の予定貸借対照表は、ほかの貸借対照表と同じでありますから、説明を省略させていただきますが、その次の各勘定の損益集計表、これは食糧管理勘定につきましての損益は、調整勘定にどういう形で現われてくるかということをお示ししておるわけでございます。  で、書き方といたしまして、国内米管理勘定の百十一億七千九百万円、これは先ほど百十二億と申し上げました国内米管理勘定の損失でございます。それから国内麦管理勘定の損失——先ほど八院六億と申し上げたのは、これは八十五億七千二百万円、これを合計いたしました百九十七億五千万円、これが国内米と国内麦に生じます損失の見込み額でございます。  それから一方の貸し方の方に載っております輸入食糧管理勘定の益、これは益金でありますが、百五十四億六千三百万円、こういった形で調整勘定に損益が移しかえになりまして、その結果差引いたしますと、本年度損失と出ております四十二億八千八百万円というのが、三十三年度におきまする食糧管理勘定の損失見込み額ということで、この損失が調整勘定に残る、こういう格好に相なるわけでございます。  それから、その次の資金増減経過表でございますが、これは昭和三十二年度におきまして、百五十億円の受け入れを一般会計からいたしまして、その次の払い出しの所にございます九十六億二千八百万円が、三十二年度に予定されます決算上の損失見込み額でございます。で、これを三十二年度に繰り入れられました運転資金百五十億円を取りくずすことによりまして処理をいたしますと、三十三年度におきまする調整勘定の調整資金としては、差引残高の五十三億七千万円というものが、調整資金として引き継がれる、こういう形に相なるわけでございます。そういった計算の経過をここでお示しをしておるわけでございます。  非常に簡単でございますが、以上が大体食管特別会計に関します予算の概要の御説明でございます。
  101. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  102. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をつけて。   —————————————
  103. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 午前の議題でありました農業課税の件について、清澤委員から発言を求められております。
  104. 清澤俊英

    清澤俊英君 午前中、各委員によって税務関係の当局との討論の結果、大体抽象的な点で税務関係において改善をすべき点というようなものがありますので、これを当委員会の総意をもって申し入れをしたいと思いますので、案を作りました。  読み上げますから、お聞き取りの上、しかるべく訂正の上、御決定を願いたいと思います。    農業所得税に関する申入(案)   本年度農業所得税の課税標準については、収量及び必要経費の見積或いは縄のびの取扱その他幾多の問題を生じ、各地において紛糾を惹き起したことは真に遺憾とするところである。   ここにかんがみ、よろしく政府においては、関係各機関充分協議し、農業団体等意見を尊重し、適正な課税標準を策定し、これを周知せしめ、以つて課税の公正を期せられたい。   右当委員会の総意を以つて申入れする。   昭和三十三年二月十八日       参議院農林水産委員会    大蔵大臣宛    農林大臣宛
  105. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの清澤委員の御提案を当委員会の決定とすることに御異議がありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) それでは、さように決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時五十六分散会