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説明員(武田誠三君) 食糧庁に関しまして、三十三
年度の予算につきまして御
説明を申し上げます。その際に、食糧管理特別会計を今度新たに六勘定を設けまして経理の明確化をはかることといたしましたので、これに伴います法律案をあわせて御
説明を申し上げたいと存じます。
食糧庁に関します一般会計につきましては、一般会計それ自体としてはほとんどさしたる予算がございませんので、特別会計に関しまして御
説明を申し上げたいと思います。お手元に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律、縦書きになっておりますものでございます。それから、食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律、いずれも縦書きになっておりますものをお配りしてございます。この法律案につきましての大要につきましては、もう一枚、今度は横書きになっております、食管特別会計制度改正案大綱というものをお手元にお配りしてございますが、まずこれをごらんいただきまして御
説明を申し上げたいと思います。
食管特別会計法の一部改正法律につきましては、従来から、食管特別会計がどんぶり勘定であって、なかなか各物資別の損益その他が不明確である。同時に、食管会計についての健全化の措置をとるようにという要請が前々からあったわけでございますが、それにこたえまして、来会計
年度から、食管特別会計の経理を明確化いたしますために、会計法の改正と同時に食管特別会計それ自体の制度を改正いたすことといたしたわけでございます。
まず第一に、経理区分でございますが、食管特別会計を三十三
年度から、ここに書いてございますイからへまでの六つの勘定に分けるということにいたしたいと
考えております。イが国内米管理勘定、口が国内麦管理勘定、ハが輸入食糧管理勘定、ニが
農産物等安定勘定、ホが業務勘定、へが調整勘定、この六つでございます。その(2)以下に、それぞれの勘定におきまして経理の大要を書いてございますが、まず第一に、国内米管理勘定、国内麦管理勘定及び輸入食糧管理勘定、この三つにつきましては食糧管理法に基きます主要食糧、従って米麦の買い入れ及び売り渡しに関する経理を取り扱うわけでございます。国内米管理勘定は内地米の売り買い、国内麦管理勘定は内地麦の売り買い、それから輸入食糧管理勘定は輸入外国米とそれから輸入されます外大麦並びに外小麦の売り買いに関します勘定でございます。それから(3)は、
農産物等安定勘定でございますが、これは
農産物価格安定法に基きます
農産物等、従いまして、カンショのなま切りぼし、カンショ澱粉、それからバレイショ澱粉また菜種、大豆、こういったものの売り買いでございます。それから飼料需給安定法に基きました輸入飼料、さらにてん菜生産振興臨時措置法に基きますテンサイ糖の買い入れ、売り渡し、これらに関します経理を一括して、
農産物等安定勘定において処理をいたしたい、かように
考えるわけでございます。
さらに業務勘定におきましてはこれらの国内米麦あるいは輸入食糧、
農産物等につきまして、これらの買い入れ、売り渡しに関しまする諸般の事務は従来食管特別会計に属しております職員がこれを取り扱っておりましたので、これらの事務、人件費等を各勘定に分届いたしますことが必ずしも正確に参りませんので、これらについては、一括して業務勘定におきまして食管会計の事務取扱いあるいはサイロ、倉庫等の管理に伴います共通の経理を取り扱うことといたしたわけでございます。
それから最後に調整勘定でございますが、現在食管特別会計におきましては、御承知のごとく、糧券の発行等によりまして、買い入れに伴います所要資金の調達をはかっております。そこで各勘定において資金の調達をはかるという方法も確かにあり得るのでありますが、非常に手続的にも煩蹟でございますのと、各勘定の資金の余剰、不足といったものを調整いたしますのになかなか手間がかかりまして、かえってその間に利子負担等がよけついにかかるというようなことになっても困りますので、これらにつきましては一括いたしまして、調整勘定において食糧証券を発行いたしまして資金の調達をはかって参りたい。各勘定の所要の資金を調整勘定における糧券の発行によって調達をいたしたい、こういうことが第一であります。さらに調整勘定におきましては
農産物等安定勘定を除きます、いわゆる食糧管理勘定
——国内米、国内麦並びに輸入食糧勘定が主たるものになるわけでありますが、これらの勘定の損益の調整についての経理を取り扱う、すなわち国内米勘定、国内麦勘定において、現状においては損を生じます。それから輸入食糧勘定におきましては益を生ずるわけでございますが、これらの損益を調整勘定に移しまして、そこで相殺をいたしまして、いわゆる食糧管理法に基きます主要食糧
関係の損益をここで一本に表示して参りたい、こういう
考え方でございます。
そこで、以上申し上げました名大勘定のおおむねの機能は御理解いただけたと思うのでございますが、そこで損益が各勘定に生じますが、それらの損益処理の方法について2のところで御
説明をいたしておるわけでございます。すなわち、今ちょっと申し上げましたように、
農産物等安定勘定に生じます損益を除きました残りの各勘定
——国内米、国内麦並びに輸入食糧、さらに業務勘定等において生じましたる損益については調整勘定にこれらを移しまして、そこで相殺をして、ネットの赤字、あるいは黒字を出して、そこで整理をいたして参りたいということでございます。
それから第二に、調整勘定に調整資金を置きまして、一般会計からの繰り入れ並びに調整勘定の益金をもってこれに充てることといたしたい。調整勘定に調整資金を置くことにいたしましたが、これは別途御
説明を申し上げます。昭和三十二年におきましての補正予算におきまして、百五十億円の資金を食糧管理特別会計に、これは運転資金ということで繰り入れることにお願いをいたしておるわけでございますが、これは食管特別会計の運営の健全化並びに円滑化をはかりますために、衡五十億円の資金を置きたい。で、これが三十三
年度におきまして勘定が六つに分れますので、この資金が調整勘定の調整資金に引き継がれる、こういうふうに
考えております。で、そういった調整資金が置かれるわけでありますが、これには一般会計からの繰り入れ並びに調整勘定の益金をもって調整資金にいたすわけでございます。で、調整勘定に損失を生じました場合には、この調整資金を取りくずして整理することができる。これは運転資金として入れるわけでございますが、一般の経理原則に従いまして、そういうことの可能な道を開いておるわけでございます。
それから
農産物等安定勘定につきましては、暇々に生じます見込み損失相当額は一般会計からあらかじめ繰り入れる
方針をとったわけでございます。これは来
年度におきまして十億円の繰り入れを予定いたしております。
それから
農産物等安定勘定の利益は、当該勘定におきます積立金といたしまして、別途また損失を生じましたときには、その積立金を取りくずしてこれを整理して参りたい、こういう
考え方をいたしているわけでございます。損益処理については、こういうような
考え方でいたしますが、目先の三十二
年度及び三十三
年度からの一般会計からの繰り入れにつきましては、先ほ
ども申し上げましたように、三十二
年度補正予算で特別会計に資金を置きまして、これは百五十億円でございます。三十三
年度の調整勘定の調整資金に引き継ぐことといたしております。三十三
年度の
農産物等安定勘定の見込み損失は約十億と見込んでおりますが、それに相当いたします十億円を三十三
年度の予算で一般会計から
農産物等安定勘定に繰り入れることにいたしております。なお、三十二
年度の損失につきましては、現在約九十六億というように推定をいたしておりますが、決算を待って百五十億円を繰り入れました食管特別会計の資金を取りくずして処理をいたしたい、かように
考えておるわけでございます。
以上申し述べました
趣旨におきまして、食管特別会計法の一部を改正する法律におきまして、主としてこれは各勘定につきましての歳入歳出の規定が第六条の改正からずっと参りまして、第六条ノ五、ここまでは各勘定におきます歳入並びに歳出についての規定をいたしておるわけでございまして、現在の食管特別会計法におきます歳入歳出の規定をさらに各勘定別に区分したと申しますか、という技術的なこれは規定でございます。それから第八条ノ二に規定しておりますのが損益の処理に関連をいたします規定でございまして、食糧管理勘定、ここで食糧管理勘定と呼んでおりますのは、国内米管理勘定、国内麦管理勘定並びに輸入食糧管理勘定でございますが、この三勘定の「毎
年度ノ損益計算上ノ利益又ハ損失ハ之ヲ調整勘定二移シ整理スヘシ、業務勘定二於ケル毎
年度ノ損益計算上ノ利益又ハ損失ハ政令ノ定ムル所二依リ之ヲ調整勘定ニ移シ整理スヘシ」ということでいずれも調整勘定に移して整理するようにということを規定しておるわけでございます。なお業務勘定におきましては、原則的に損益は生じないというように
考えておりますが、ここに固定資産等が属しますので、ときによりまして損益が多少生ずるということも想定されますので、特にこういった規定を設けた次第でございます。それから第八条ノ三は、「前条ノ整理ヲ為シタル後調整勘定ニ利益又ハ損失アルトキハ其ノ利益ノ額ヲ第六条ノ四ノ調整資金二細入レ又ハ其ノ損失ノ額ヲ限度トシテ当該資金ヲ減額シ処理スルコトヲ得」これは調整資金に益があれば積み立て、損失があればこれを減額するということができるということを規定したものでございます。それから第八条ノ四は、
農産物等安定勘定の損益は独立してこの勘定で処理をするということにいたしまして、この利益は、当該勘定の積立金損失が出ました場合には積立金を減額して処理をする、こういうことにいたしておるわけでございます。それから、あとはいずれも読みかえの技術的な規定でございます。大体の食管特別会計法の改正の要旨は今申し上げました
通りでございます。
なお、一枚紙の、食管特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律、これは先ほど申し上げましたように、食管特別会計の経理を健全化し、かつ円滑化いたしますために、できるだけ早くこの特別会計に運転資金を設けたいという
趣旨に基きまして、三十三
年度におきまして補正予算として百五十億円の一般会計からの繰り入れをお願いをいたしておるわけでございますが、それに伴います一般会計からの繰り入れに関する法律でございます。
これは特に御
説明を申し上げる必要もないと思いますが、第三条におきまして、この資金の取りくずしをすることができるということの食管特別会計法の改正法律と同
趣旨の損益処理の規定を置いておるわけでございます。
以上申し上げましたことが今度の食管特別会計の改正の大要でございますが、それにのっとりましてお手元にお配りをいたしてございます、三十三会計
年度食糧管理特別会計予算という横書きにいたしております二枚のプリントがございますが、これについて御
説明を申し上げたいと存じます。
最初に、国内米管理勘定におきまする歳入歳出でございますが、この勘定のおもなる歳入は、国内米の売払代金、三千三百六十八億円、それから他勘定よりの受け入れと、こういうのは調整勘定におきまして糧券を発行をいたしまして調達をいたしました資金をこの勘定におきまして米の買い入れ、あるいは米の運送、保管に要します
経費を支払いますために必要となりますので、そのために調整勘定から受け入れます資金の額でありますが、二千三百十七億、そのほかに雑収入、これは延納金利その他の雑収入でございますが、これらを合せまして国内米管理勘定の歳入総額は五千六百八十八億と予定をいたしております。
これに伴います歳出
関係でございますが、国内米の買い入れ費は二千九万石の買い入れを前提といたしております。石当り一万二百円の価格、千九百万石の買い入れを前提といたしまして二千九百五十八億余りの買い入れ費を予定いたしております。
その次の国内米管理費は、これは国内米の運送、保管に要します
経費でございます。
それから、その次に掲げてございます他勘定ヘの繰り入れば調整勘定に対します繰入金の返還に関連をいたします歳出でございます。
それから、最後の予備費三百五十億、これにつきましては、従来は食管特別会計全体を通じまして予備費は三百億であったのでございますが、どんぶり勘定の場合には国内米の買い入れ費、国内麦の買い入れ費、あるいは輸入食糧の買い入れ費等を彼此融通することができたわけでございます。従いまして国内米の収穫が非常に悪いという場合には、かりに輸入食糧をふやしましても国内米を買い入れます金が余っておりますので、それで処理ができる。豊作の場合にはまた逆でありますが、そういう形で処理ができたのでございますが、今回勘定を区分いたしましたために、かりに国内米は非常に豊作で、よけい買わねばならないという場合に、本来でありますれば輸入食糧をあまり買い入れなくて済むわけでありますから、従来のどんぶり勘定のときは輸入食糧の買い入れ費を国内米の買い入れ費に充てることができたのでございますが、勘定を百区分いたしましたためにそういう操作が予算上できない形に相なります。そこで国内米管理勘定には、国内米のそういった豊作がもし参りました場合に、おおむね通常の状態において必要とせられるであろう予備費をこの勘定に設ける必要があるということで三百五十億の予備費を設けた次第であります。
以下国内麦管理勘定におきましても、国内米管理勘定で御
説明いたしましたのと同様の
趣旨におきまして各歳入歳出を見込んでおります。
なお、国内麦の買い入れ費につきましては、現在のパリティ価格によりましてこれを算定をいたしております。
それから、輸入食糧管理勘定におきましても、ただいま御
説明を申し上げたのと同様でございますが、この輸入食糧管理勘定におきましては、特に一般会計よりの受け入れ十四億八千万円というものが計上されてございます。これは学校給食のための一般会計からの受入金でございます。これはすべて輸入外麦をもって学校給食に充てます小麦粉を製粉いたしておりますので、これにつきましては一般会計から直接輸入食糧管理勘定に受け入れることにいたしておるわけでございます。
それから一枚めくっていただきますと、そこに
農産物等安定勘定につきましても、同様の歳入歳出が掲げられてございます。ここではやはり一般会計より受け入れ十億円というものが計上されてございます。これは、先ほど会計制度の改正のところで御
説明を申し上げました
農産物等安定勘定において、三十三
年度に見込まれます損失約十億円というものに見合いますものを一般会計から直接この安定勘定に繰り入れるということの制度に見合うものでございます。
それから第五に、業務勘定でございますが、これは各勘定からの割掛金と、検査印紙収入がおもな歳入でありまして、これに見合います事務、人件費の歳出を歳出の方に掲げてあるわけでございます。
それから第六に、調整勘定でございますが、調整勘定の食糧証券及び借入金収入三千百九十六億、これは先ほど申し上げました各勘定に必要な資金の調達をこの調整勘定でいたしますので、これの借入金でございます。
それからその次の、他勘定よりの受け入れと書いてございますのは、他勘定に対しましてこの勘定から調達した資金を繰り入れますが、それの返還されて参ります金でございます。それから歳出の方は、最初の他勘定への繰り入れば、食管特別会計の今申し上げた五勘定に対します繰入金、それから他会計への繰り入れ三千十四億は、これは国債整理基金特別会計に対します糧券発行その他に伴います借入金の返還に充てるための国債整理基金への繰入金でございます。
以上が明三十三
年度におきます食管特別会計の各勘定におきます歳入歳出規模の概略の内容でございます。
さらに損益につきまして
説明を続けさしていただきますが、縦書きになっております予定損益計算書のほかに、もう一枚横書きのタイプでガリ版になっております昭和三十一、三十二、三十三
年度損益というのを差しあげてございますが、これが三十三
年度以降分けます勘定別に従いました損益の見込みでございます。三十一
年度と三十二
年度につきましてはどんぶり勘定で本来ありますものを、こういう勘定に仕分けをいたしますと、こういう形になりますという形でお示しをしておるわけでございます。で、三十三
年度の予算といたしましては、国内米管理勘定におきまして百十二億円の赤字、国内麦管理勘定におきまして八十六億円の赤字、それから輸入食糧管理勘定におきましては百五十五億円の黒字、その内訳として、外米におきまして十三億、外麦におきまして百四十二億の利益を予想をいたしております。で、これらを通算いたしまして四十三億円というのが、食糧管理勘定の整理をした結果の赤字の見込みでございます。これが調整勘定におきます損失として現われるわけでございます。
それから
農産物等安定勘定は、これは独立の勘定といたしまして、
農産物で三億五千万円、テンサイ糖で一億、輸入飼料で五億五千万円の赤字が出る見込みでございますが、この合計十億に相当いたしますものを一般会計から繰り入れまして、三十三
年度といたしましては、損益はこの勘定においては一応見込んでない、こういう形に相なるわけでございます。で、これに対応いたします三十一
年度の決算は、御承知の総額で百六十億、三十二
年度の見込みとしては九十六億、こういう形に相なっておるわけでございます。で、縦書きにいたしております予定損益計算書は、ただいま三十二
年度の総括的な
数字を申し上げました損益が、この予定損益計算書にそれぞれ載っておるわけでございます。
それからその次が、各勘定の貸借対照表でございますので、これは別途ごらんをいただけばおわかりになるものと思います。
この
関係で一言だけ御
説明を申し上げたいと思いますのは、十二ページでございます。この縦書きのプリントの十二ページの所をちょっとお聞きいただきたいと思いますが、ここに調整勘定の予定貸借対照表、それから各勘定の損益集計表、資金増減経過表と三つの表が載っております。で、調整勘定の予定貸借対照表は、ほかの貸借対照表と同じでありますから、
説明を省略させていただきますが、その次の各勘定の損益集計表、これは食糧管理勘定につきましての損益は、調整勘定にどういう形で現われてくるかということをお示ししておるわけでございます。
で、書き方といたしまして、国内米管理勘定の百十一億七千九百万円、これは先ほど百十二億と申し上げました国内米管理勘定の損失でございます。それから国内麦管理勘定の損失
——先ほど八院六億と申し上げたのは、これは八十五億七千二百万円、これを合計いたしました百九十七億五千万円、これが国内米と国内麦に生じます損失の見込み額でございます。
それから一方の貸し方の方に載っております輸入食糧管理勘定の益、これは益金でありますが、百五十四億六千三百万円、こういった形で調整勘定に損益が移しかえになりまして、その結果差引いたしますと、本
年度損失と出ております四十二億八千八百万円というのが、三十三
年度におきまする食糧管理勘定の損失見込み額ということで、この損失が調整勘定に残る、こういう格好に相なるわけでございます。
それから、その次の資金増減経過表でございますが、これは昭和三十二
年度におきまして、百五十億円の受け入れを一般会計からいたしまして、その次の払い出しの所にございます九十六億二千八百万円が、三十二
年度に予定されます決算上の損失見込み額でございます。で、これを三十二
年度に繰り入れられました運転資金百五十億円を取りくずすことによりまして処理をいたしますと、三十三
年度におきまする調整勘定の調整資金としては、差引残高の五十三億七千万円というものが、調整資金として引き継がれる、こういう形に相なるわけでございます。そういった計算の経過をここでお示しをしておるわけでございます。
非常に簡単でございますが、以上が大体食管特別会計に関します予算の概要の御
説明でございます。