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矢嶋三義君 ちょっと、一回。
総理は残念ながら帰りましたが、私も、八木
委員と一緒に、十九
国会で防衛法と
自衛隊法、二法を審議した一人なんですが、当時その憲法論議をやったわけです。それを回顧するときに、最近のあなた方の答弁を聞くと、どうも虫がおさまらない。先ほどの
総理の答弁に至っては、どうもおさまらないですね。それで、いずれ
総理から聞きますが、防衛庁長官に、今、印象の新しいときに私は一、二聞いておきたいと思う。
最近のようなあなた方の憲法解釈をすれば、憲法九条を
改正する必要はあなた方も認めないだろうと思うんです。防衛庁長官として、憲法九条の
改正を必要と認めているか認めていないか。私は、あなた方のような解釈であったならば、必要と認めていないだろうと思うんですが、それがどうかということと、
それから、今の外国艦船の拿捕の問題にいたしましても、できぬと言っておったんです。それから、最近問題になっている領空侵犯につきましても、発砲してするところのささやかなる武力行使なんですが、そういうものはできないという解釈をされておったんです。だから、最近、相手次第では、着陸あるいは退去を命じて、聞かない場合には、相手の出方次第では、急迫不正の侵害に対する対抗手段としてこちらも武器を使い得る、ささやかであるかもしれないが、武力の行使ができるという解釈等は、これは憲法に明らかに背反していると思う。
で、
総理は、核兵器は持ち込まぬ、持たないということを、非常に声を大きくして言われている。これは憲法の精神で、そうであったならば、岸
内閣の手による防衛政策というものは変ってこなければならぬと思う。そこに私は非常な矛盾があると思う。国民が核爆発禁止、核兵器を持たぬという圧倒的な世論だもんだから、
選挙も控えているし、票を心配するのでしょう。だから、核兵器を持たぬ、核兵器を持たぬと言う。それは憲法の精神。ところが、そうであったならば、防衛政策というものは私は当然変ってこなければならぬと思う。具体的にこれもあなたに
お答え願うんですが、自衛のためなら最小限の戦力というんでしょう。そうしたら、あるいは中共とか、あるいはソビエトのウラジオストック、あの付近でIRBMを備えたとすれば、IRBMだと三千キロか四千キロは飛ぶ。ICBMだと八千キロから九千キロ飛ぶでしょう。そうしたならば、自衛のための最小限となったら、それを迎撃するところのアンチ・ミサイル・ミサイル、ミサイルを迎え撃つところのミサイルというものを持てるということになるでしょう。そういうものを持たなければならぬということになる。この岸さんの
考えは、国を守るためにはというそのことと、核兵器を絶対入れませんということとは、非常に私は矛盾していると思う。憲法の解釈というものは一貫していないんですよ。さらに、アメリカ軍は核兵器を持っているでしょう。第七艦隊にしたって、あるいは朝鮮には原子砲がある、沖繩にも核兵器は来ている。オネストジョンも核弾頭をつければりっぱな核兵器。核弾頭をつけられる。事あれば、行政協定二十四条で共同
措置を講ずるというんでしょう。そうなると、日本の自衛隊は、この共同
措置のときに核兵器を持っているアメリカ軍と共同行動をとるでしょう。おそらくそのときの指揮官というものは向う側がなるわけでしょう。そのことと、その核兵器を持たないということと、それから沖繩に核兵器を置いてあるのを持って帰ってくれ、日本並びに日本の周辺にアメリカが核兵器を持っているものを置いてくれるな、非核武装地帯を作ってほしい、という主張をなされなければ、首尾一貫しないわけですよ。だから、十九
国会当時を顧みて、また答弁を承わっておって、少しもあの頭のいい岸さんが首尾一貫していない。
だから、あなたもずいぶん頭のいい人で、東大を銀時計で出られたと承わっておるんですが、今私の伺った、憲法九条の
改正を必要としているのか、していないのか。それから、IRBMとかあったら、日本は小型核兵器なりアンチ・ミサイル・ミサイルというものを持てるという解釈がなる。また、持つことが必要になってくるんじゃないか。吉田さんは、あの人は再軍備を推し進める
考え方であったけれ
ども、吉田さんは憲法九条では戦力を持てない、こういうことを主張しながら、アメリカの圧迫をはね返してきた。さすが私は吉田茂氏だと思うんです。(笑声)ところが、鳩山さんから岸さんに至っては、アメリカに対して全くノン・ズロースになってしまった。戦力を持てる。だから、持て持てと圧迫を加えているじゃございませんか。それで排除できるというんですか。そういうこととあわせて、私は、非常な矛盾だらけのことを言われておって、国民の不安はきわまりないと思う。いずれ岸さんのお
考えを承わりますが、あなたのお
考えを
一つ承わっておきたい。